シンジ「え……」
ゲンドウ「冬月が司令に成り代わって……何故だ……」
シンジ「父さん上司と折り合い悪いからでしょ」
シンジ「冬月さんが板挟みになって辛い、って何回も愚痴ってたよ」
ゲンドウ「ゼーレと私の人類補完思想は違うんだ」
シンジ「思想とか言ってる場合じゃないよ」
シンジ「早く再就職先見付けてよね」
シンジ「僕はネルフから給料出るからいいけど」
シンジ「中学生の僕に養われるなんて父さんも嫌でしょ」
元スレ
ゲンドウ「……ネルフをクビになった」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353501581/
ゲンドウ「……まだ貯金はある」
シンジ「でもいつか無くなるじゃないか……」
シンジ「とりあえず今日のところはいいけど……お風呂先に入る?」
ゲンドウ「いや、私は後でいい」
シンジ「そう、僕が出たら早めに入ってね」
シンジ「お湯が冷めちゃったらもったいないから」
ゲンドウ「ああ、問題ない」
バタン
ゲンドウ「……」
ゲンドウ「とは言え普通の仕事なんてしたことがないな……」
ゲンドウ「貯金はあるが……とりあえず手に職を、か」
ゲンドウ「……ハローワーク第三新東京支部に行くか」
………
……
…
面接官「それでは面接を始めます」
ゲンドウ「碇ゲンドウです、よろしくお願いします」
面接官「えーと、お宅は国家公務員を免職になった、と書いてありますが」
ゲンドウ「はい、上司との意見の食い違いにより」
面接官「詳しくはどんな業務内容だったのですか?」
ゲンドウ「国家機密なので答えられません」
面接官(なんだこのヒゲ)
面接官「……では、そちらではどのような役職に?」
ゲンドウ「司令です」
面接官「……司令?」
ゲンドウ「……いえ、地位としては取締役クラスと認識しております」
面接官「そんなに偉い方でも免職になってしまう時代ですか……」
ゲンドウ「不景気ですから」
面接官「でもウチは飲食業ですし、そんな偉い方が当社で接客や水仕事ができますか?」
ゲンドウ「頑張ります」
面接官「頑張りますはいいんだけど……」
面接官「おたく、なんでグラサン着けて面接に来てるの?」
ゲンドウ「問題ない」
面接官「いや、問題あるでしょ」
面接官「グラサン着けて接客するウェイターなんて聞いたことないでしょ?」
ゲンドウ「……これは私のトレードマークでして」
ゲンドウ「着けてないと息子にヤクザ扱いされて……」
面接官「いや、着けてても人相悪いよおたく」
面接官「ともかく、グラサン着けて面接に来るような方は採用出来ません」
ゲンドウ「……はい」
ゲンドウ「……シンジ、三社受けたが駄目だった」
シンジ「そりゃグラサン着けて行ったら落ちるよ」
シンジ「面接は印象で決めるんだから」
シンジ「ヒゲ剃って、普通の眼鏡にして、髪も清潔にして行かなきゃ」
ゲンドウ「それでは私のアイデンティティーが」
シンジ「そんな事言ってたらいつまで経っても再就職出来ないよ!」
ゲンドウ「すまん……」
シンジ「ほら、ご飯だから器運んで」
ゲンドウ「今日はモツ鍋か」カチャカチャ
シンジ「僕の給与だって使徒が来なくなったら入らなくなるんだし」
シンジ「いつ危険な目に会うかわからないんだから、早く仕事先決めてよ」トン
ゲンドウ「すまんな、シンジ」
シンジ「いいよ、一応家族だし」
ゲンドウ「いただきます」
シンジ「いただきます」
ゲンドウ「……最近、ネルフはどうなっている」カチャ
シンジ「使徒も来ないし、平和だよ」モグモグ
ゲンドウ「そうか……レイの様子はどうだ」パク
シンジ「明るくなったよ。今度食事会がしたいって言ってた」パクパク
ゲンドウ「……そうか」ゴク
ゲンドウ(私も行きたい)
シンジ「ああもう、お酒飲むなら自分で買ってきてよ」
ゲンドウ「ああ」モグモグ
チャラーラーチャーラーララー
ジャラジャラジャラ
ゲンドウ(就職難も重なって、熟年からの再就職がこうも難しいとは)
リーチ!
ゲンドウ(世界はこんなにも冷えきっていたのか)
デーンデンデンデンデンデン
シンヤシマサクセンカイシ!
ゲンドウ(……使徒がいなくても、エヴァがなくても人類補完出来そうな勢いだな)
ゲンドウ「あっ、金枠ラミエルリーチ外しやがった」ドン
ゲンドウ「くそっ、やっぱり赤木博士は金枠でも信用ならんな」
ゲンドウ(隣は山ほど出ているし、そろそろやめ時か……)チラ
ゲンドウ「……!」
加持「おや、碇司令じゃないですか」
ゲンドウ「加持リョウジ……なぜここに」
加持「いや、冬月司令とゼーレからお前はもういらんと言われましてね」
加持「私もフーテンですよ」ハハハ
ゲンドウ「今はどうやって暮らしている」
加持「葛城の家に居候させてもらってます」
加持「いわゆるヒモです」ハハハ
ゲンドウ(ヒモか……赤木博士に掛け合ってみようか)
ゲンドウ「だいぶ出ているな」
加持「二重スパイをやる前はこれで口に糊していましたから」
アヤナミヲ……カエセ!
加持「おっ、全回転」
ゲンドウ「……帰る」
加持「お疲れ様です。また飲みにでも行きましょう」
ゲンドウ「FXとやらを始めようと思う」
ゲンドウ「面接は受からんからな」
シンジ「やめときなよ……きっと失敗するよ」
ゲンドウ「失敗するのなら誰もやらんだろう」
ゲンドウ「ネルフ在籍時の貯金はまだ豊富にあるしな」
ゲンドウ「エヴァを管理していた私にとってマネーゲームなど容易い」
シンジ「知らないよどうなっても……」
………
……
…
シンジ「ただいまー」
ゲンドウ「シンジ……」
シンジ「?どうしたの父さん、顔真っ青だよ」
シンジ「やっぱり失敗したんでしょ」ゴソゴソ
ゲンドウ「私の貯金が……奪われていた」
シンジ「ええっ!?」
ゲンドウ「赤木博士の仕業だ……定期預金も含め全て……」
シンジ「な、なんで!?」
ゲンドウ「一度酔って暗証番号をポロリとこぼしたことがある……」
ゲンドウ「登録印も預けていたのを忘れていた……」
シンジ「そんなの犯罪じゃないか!ミサトさんに言って……」
ゲンドウ「いや……いい」
シンジ「なんで!」
ゲンドウ「とにかく……いいんだ」
ゲンドウ(言ったら……)
ポワポワポワーン
ゲンドウ『赤木博士……私を縛ってくれないか』
リツコ『え……?』
ゲンドウ『縛って鞭で叩いた上ヒールで踏みながら罵って欲しい』
リツコ『そ、そんな変態みたいなこと出来ません!』
ゲンドウ『本当はレイにやって欲しいんだがな』ボソッ
リツコ『やります』キリッ
………
……
…
リツコ『ほら、これが欲しかったんでしょ?この薄汚い豚が!』パシーン
ゲンドウ『ひぎぃ!』ビターン
リツコ『ほらほら、豚なら鳴いて見せなさいよ!』パシーン
ゲンドウ『ぶひぃ!』ゾクゾク
リツコ『なんて恥ずかしい格好なのかしら!?』
リツコ『記念に写真を撮ってあげるわ』パシャ
ゲンドウ『待て赤木博士、写真はまずい』
リツコ『誰が喋っていいって言ったの!?』パシーン
ゲンドウ『あふぅ!』ビクンビクン
………
……
…
ゲンドウ(言ったら間違いなくあの恥ずかしい写真をバラまかれる……)
ゲンドウ(あれが世に出回ったら私の人生は終わりだ……)
ゲンドウ「早急に金策については考える、問題ない」
シンジ「頼むよ父さん……僕の給料だって中学生って名目上、あんまり使えないんだから」
ゲンドウ「わかっている」
シンジ「はぁ……お風呂洗ってくるね」
ゲンドウ「ああ」プシュ
ゲンドウ「ゴクゴクゴクゴク」
ゲンドウ「ふう……」プハー
シンジ「……仕事しないのにビールは飲むんだ?」
シンジ「あのだらしないミサトさんだって仕事してから飲んでたのに」
ゲンドウ「……いや」
シンジ「父さんの貯金があてにならなくなったんだから、お酒も控えてよ」スタスタ
シンジ「父さんのお小遣いも減らすからね」バタン
ゲンドウ「……」
ゲンドウ(楽に金が手に入る方法はないものか)
チャラーラーチャーラーララー
ヒャクヨンバンダイオオアタリスタートシマシタ!
ゲンドウ(千円で10万くらい出ないものか)ジャラジャラジャラ
ゲンドウ(月に50万稼ぐとして……1日2万弱勝てばいい計算か)
チョーゼツカワイイミーチャン!
リーチ!
加持「また会いましたね、碇元司令。出てますか?」
ゲンドウ「今、超絶カットインとゼブラ柄保留でのリーチが掛かったところだ」
加持「それは胸熱ですね。おや、推しメンはみーちゃんですか」
ゲンドウ「ああ、君は誰だ」
加持「私はまりこ様一筋ですので」
ゲンドウ「パチンコで勝つ秘訣はなんだ」
加持「おや、何故ですか?」
ゲンドウ「職を失い、貯金も奪われた。パチンコで生活しようかと思ってな」
ゲンドウ「あっ、外しやがった……有り得ん」
加持「うわ、これは痛いですね……」
加持「ああ、秘訣でしたね」
加持「そうですね……データと回転率、でしょうか」
加持「とにかく機械割の高く、よく回る台を打ち続けることです」
ゲンドウ「そんなものか」
加持「ええ、特に多人数だと有効な手段ですが……一人だと厳しいかも知れませんね」
ゲンドウ「辛いな、現実は……」
ゲンドウ「……帰る」
加持「お疲れ様です」
加持「あ、そうだ。明日競艇で大きなレースがあるんですが行きませんか?」
ゲンドウ「競艇か……やったことはないな」
加持「競馬や宝くじよりは遥かに当たりますよ」
ゲンドウ「わかった、行こう」
加持「では明日、迎えに行きますよ」
―――翌日
シンジ「ただいま……」
ゲンドウ「シンジ」
シンジ「うわっ!? び、びっくりさせないでよ父さん」
ゲンドウ「小遣いがなくなった……都合してくれ」
シンジ「昨日あげたばかりじゃないか!」
ゲンドウ「……」
シンジ「なんで一日でなくなるの!? 何に使ったの!?」
ゲンドウ「……加持リョウジに誘われて、その、競艇に」
シンジ「で……負けたの?」
ゲンドウ「……あそこで六号艇がモンキーターンを決めていれば大勝だったのだ」
シンジ「父さん……」
ゲンドウ「なんだ」
シンジ「うちはそんなにお金持ちじゃないんだよ……」
シンジ「それなのに働かずに毎日パチンコや競艇に……」
ゲンドウ「それは……金を増やそうと」
シンジ「ギャンブルで生活できるわけないでしょ!」
ゲンドウ「……」
シンジ「最低だよ父さん! もう知らないよ!」
バタン
ゲンドウ「……」
ゲンドウ「……最低、か」
カー カー
アスカ「あれ、あそこの川べりで体育座りしてるの、碇元司令じゃない?」
レイ「……そうかも。免職になったって聞いたし」
アスカ「そう言えばシンジがぼやいてたわね」
アスカ「アンタは声かけなくていいの、エコヒイキ? 碇元司令と仲良かったじゃない」
レイ「碇司令はもう司令じゃない」
レイ「まるでグラサンの似合ってないダメなおっさん……略してマダオよ」
アスカ「まぁそうね。それにしても……」
アスカ「あの背中、哀愁漂ってるわね……」
レイ「行きましょう」
ゲンドウ「……」
ゲンドウ(職を失い、レイに愛想を尽かされ、愛人に貯金も奪われた……)
ゲンドウ(これもまた、人類を補完しようとした報いか)
ゲンドウ(私にはもう、シンジしか残っていない……)
ゲンドウ(もう矜持や建前などどうでもいい)
ゲンドウ(……働こう。身を粉にしてでも)
ゲンドウ(例え、私が私でなくなったとしても)
ゲンドウ(シンジだけは、失うわけに行かん)
スッ
ゲンドウ「まずは新しい髭剃りを買って眼鏡屋に行ってから……床屋だな」
翌日
面接官「それでは面接を始めますね」
ゲンドウ「碇ゲンドウです! 趣味は草野球です!」
面接官「お歳の割に明るい人だね~、前はどんなお仕事をしていらっしゃったんですか?」
ゲンドウ「巨大ロボットで人類を守るお仕事をしていました!」
面接官「はっはっは、面白い人だね。採用~!」
そして私はコンビニ店員として働くことになった。
恥も外聞も知ったことではない。
生きるために働くという、人間としては当たり前の行為に、産まれて初めて傾倒する。
それは、意外にも悪い気はしなかった。
ゲンドウ「いらっしゃいませ!」
ミサト「ビールちょうだい。あとおつまみとおでん」
ゲンドウ「ありがとうございました!」
コンビニの店員をしていると、色々な人間に出会える。
閉じた組織の中で決まった人間と接していた私にとって、それは新鮮だった。
ゲンドウ「いらっしゃいませー!」
青葉「ギターマガジンとのり弁」
ゲンドウ「ありがとうございましたー!」
何度か昔の同僚に出会ったが、みんな私には気付いていないようだった。
当たり前だ、髭を剃り丸眼鏡をして七三分けにした私は、かつて椅子に座り威張り散らしていたまさにダメなお父さん、略してマダオではない。
ゲンドウ「らっしゃーせー!」
マヤ「アンアンとブブカと……プリンを」
ゲンドウ「あざーっしたー!」
一か月、週休二日のアルバイトで働いて給与は前と比べ物にもならない15万円……。
慣れない仕事に身体は悲鳴を上げ、身体中筋肉痛と戦う日々だった。
ゲンドウ「あっしゃーせー!」
トウジ「おっちゃん、コーラとからあげ串! おっきいヤツ頼むわ!」
ヒカリ「もう鈴原、恥ずかしいこと大声で言わないでよ」
ゲンドウ「じゃーっしたー!」
だが、皮肉にも心中はどこかで穏やかだった。
きっと、シンジと「普通の親子」として生活できているから、だろうか。
ゲンドウ「しゃーせー!」
レイ「包帯とカップラーメン」
ゲンドウ「あーっしたー!」
朝から晩まで働き、家に帰ればシンジと一緒に飯を食い、寝る。
こんな当たり前のことが、今までは出来なかったのだ。
ゲンドウ「っせー!」
冬月「整髪料とブレスケアをもらえるかな」
ゲンドウ「っしたー!」
ここにユイが居れば完璧だったのだが……過ぎた事はもう変えられない。
私にはユイの忘れ形見のシンジがいる。
それだけでいいじゃないか。
ゲンドウ「いらっしゃ……」
シンジ「と、父さん!?」
ゲンドウ「学校の帰りか、シンジ」
シンジ「う、うん……父さん、ここで働いてたんだ」
ゲンドウ「ああ。今からあげ串を作ったばかりだが、食うか。今なら105円が84円だぞ」
シンジ「いや、いいよ……帰ったらご飯だし」
ゲンドウ「卵も切れていたな。買って帰ろう」
シンジ「なんだか、不思議だね……父さんがコンビニの店員だなんて」
シンジ「ちょっと前までエヴァに乗れ、乗らなければ帰れ、なんて言ってたのに」
ゲンドウ「まあな。だが、悪くはない」
ゲンドウ「シンジとこうして話すこともできる。家に帰ればシンジと飯が食える」
ゲンドウ「私はそれで満足している」
シンジ「そうだね。僕も父さんと過ごせて嬉しいよ」
ゲンドウ「……そうか」
シンジ「ずっと一緒に暮らせなかったから……かな」
シンジ「母さんがいないのは少し寂しいけど、今は父さんがいるしね」
ゲンドウ「シンジ……今更だが、悪いことをした」
ゲンドウ「私は―――」
ドーン!
シンジ「うわっ!?」
ゲンドウ「使徒か……!?」
ピピピピピ
シンジ「は、はい」
ミサト『シンジ君、わかってると思うけど、使徒が現れたわ』
シンジ「もう肉眼で確認しましたよ!」
シンジ「なんでこんなに接近するまで気付かなかったんですか!」
ミサト『いきなり上空に現れたのよ! とにかく本部へ急いで!』
シンジ「は、はい!」ピッ
ゲンドウ「行くのか」
シンジ「行かなきゃ……街のみんなが危ないよ」
ゲンドウ「シンジ、お前はもうエヴァに乗る必要はない」
シンジ「父さん……?」
ゲンドウ「今だから話そう。あの時お前を呼んだのは他でもない」
ゲンドウ「エヴァ初号機にはユイ……お前の母親の魂が宿っている」
シンジ「……!」
ゲンドウ「だからお前を呼んだ。初号機はお前にしか上手く動かせんからな」
ゲンドウ「だが……人類補完計画も、今となってはもうどうでもいい」
ゲンドウ「私という拘束具がない以上、お前はエヴァを降りてもいい」
ゲンドウ「動かせない初号機は永劫に凍結されるだろう。ユイには悪いが、約束は果たした」
シンジ「約束……?」
ゲンドウ「『シンジが幸せに暮らせるように』」
ゲンドウ「それがユイの言葉だ。私は、それを履き違えていたようだ」
ゲンドウ「私の宿願であった人類補完計画」
ゲンドウ「それは命の器と魂の器をひとつとし、永遠を生きること」
ゲンドウ「だが今の私に永遠に意味があるとは思えん」
ゲンドウ「ヒトは……朽ちるまで必死に戦うから美しいのだ」
シンジ「父……さん」
ゲンドウ「零号機と弐号機だけで第三新東京支部の運用は充分だしな」
ゲンドウ「一人の父親として、お前に無事でいてもらいたい」
シンジ「本当……父さんは勝手だね」
シンジ「いきなり呼んで乗れと言ったり、今度は降りてもいい、なんて……」
ゲンドウ「……言葉もない」
シンジ「でも……ありがとう。やっと父さんの言葉が聞けた気がした」
シンジ「でも、僕は行くよ」
シンジ「僕にしか乗れないなら、僕にしかやれないことがあると思うんだ」
ゲンドウ「そうか。ならば止める理由はない」
シンジ「うん、行ってくる」
ゲンドウ「今日は私が夕食を作ろう」
ゲンドウ「何がいい、言ってみろ」
シンジ「……オムライス」
ゲンドウ「わかった、健闘を祈る」
ゲンドウ「……頑張れ、碇シンジ」
シンジ「……うん!」タッ
店長「ちょ、ちょっと碇君! 外に変なの来てるよ! 早く避難しなきゃ!」
ゲンドウ「大丈夫ですよ、店長」
ゲンドウ「あれは、私の自慢の息子が何とかしますから」
ゲンドウ「私は品出しをしてきます」
ゲンドウ「これで……良かったのだろう? ユイ……」
シンジ「ただいまー」
ゲンドウ「お帰り、シンジ」
シンジ「わ、いい匂い。本当にオムライス作ってくれたの?」
ゲンドウ「約束だからな」
ゲンドウ「ただ……」
シンジ「?」
ゲンドウ「私の技術が足りないせいで……」グチャ
シンジ「ぷっ……あはははは! これじゃチキンライスの卵炒めだよ」
ゲンドウ「すまない……」
シンジ「ううん、嬉しいよ。初めて父さんが僕にご飯を作ってくれたんだ」
シンジ「一緒に食べようよ」
ゲンドウ「あぁ、そうだな」
シンジ「いただきます」
ゲンドウ「いただきます」
完
113 : 以下、名... - 2012/11/21(水) 22:51:42.94 7nv+f0Zr0 37/37見てくれた人ありがとう!