《1つ前》
第28話<聖剣争奪杯>

《最初から》

第1話<呪い>

《全話リンク》
少女勇者「エッチな事をしないとレベルがあがらない呪い…?」


649 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:17:14.92 d4wZGi4Mo 1994/3213




第29話<囚われの少女>




 ちゅぷっ ちゅぷっ


魔女「んっ…あっ♥」

魔女「おっき…ぃ」

傭兵「はぁ、はっ…マナ」

魔女「んっ♥ ああぅっ…あなた…どうしてそんなに元気なの」

傭兵「だ、だってよ。せっかく2人で寝るんだから、マナを満足させてやろうとおもって」

魔女「……そ、そう。 …んっ♥」


  ちゅぷっちゅぷっちゅぷっ 
   ちゅぷっちゅぷっちゅぷっ


魔女「そこ…きもちいい」

傭兵「マナの中、きゅうきゅう締め付けてくる。やっぱり慣れない騎乗位よりこっちのほうがいいな」

魔女「…う、うん。抱かれるほうが、好き…」

650 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:22:01.36 d4wZGi4Mo 1995/3213



魔女「本当は今日はユッカと寝なきゃダメな日…」

傭兵「気にするな」なでなで

魔女「…」コク

傭兵「あと1回だけ出させてくれるか?」

魔女「いい。私はあなたの物だから、あなたは好きにしていい♥」

傭兵「マ、マナ…っ」


  ちゅぷっちゅぷっ ちゅぷっちゅぷっ
   ちゅぷちゅぷちゅぷちゅぷちゅぷちゅぷ


その晩、俺は久しぶりにマナを相手に腰を振った。
すっかり俺のサイズを受け入れることのできるようになった彼女に対して、以前のような過剰な遠慮や慎重さは必要ない。
マナのきもちのいい場所を探りながら、何度も膣壁にこすりつけるように肉棒を打ち付けた。


魔女「うっ♥ あぅ♥ あっ」

傭兵「どうした。ここ好きか。顔がとろけてるぞ」

魔女「うんっ、あう♥ み、見ちゃ嫌…っ」

傭兵「マナのかわいい顔をみながらしたい。ほら、見せて」

651 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:27:12.99 d4wZGi4Mo 1996/3213


紅潮した顔を隠そうとするマナの手を掴んで、身体を少し抱き起こす。
そのまま正面から抱き合うようにお互いの性器を重ねつづけた。

マナの小さな膣は何度も繰り返し収縮し、絶頂した。


傭兵「う…ぐ、出していいよな」

魔女「…っ」コクコク

傭兵「中で出すぞ。マナのおま○この奥で出すぞ」

魔女「だしてっ、お嫁さんになる…から…」

魔女「私の奥に出してっ♥」

傭兵「マナっ、そんなエロい声…」


首筋を撫で、深く口付けしながらマナの膣内の吐精した。
2度目の射精となれば小さなマナの中におさまりきるはずもなく、結合部からぶくぶくと細かく泡立つように溢れてくる。

傭兵「すげ…搾り取られた」

魔女「…♥ あついの出た」

魔女「赤ちゃんできるかも」

652 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:33:51.19 d4wZGi4Mo 1997/3213


傭兵「もし出来たら…産んでくれるのか?」

傭兵(出来る可能性はほとんどないだろうけどな…ハァ)

魔女「…」コク

傭兵「そ、そっか…」

魔女「その代わり、ちゃんと私をもらってほしい。大きなお城をたてて、お姫様として迎え入れて」

傭兵「いやぁ…俺王様でもないし、一般市民は城なんて持てないって言ってるだろ…」

魔女「冗談」

魔女「一緒にいられれば、どこでもいい。どんな場所でも幸せ」ギュ

傭兵「マナ…」

魔女「……また大きくなってる。元気」

傭兵「お前ってさ…こうして近くでみるとほんと美人だよな」

魔女「…?」

傭兵「肌真っ白でさ、髪もさらさらで…」

魔女「…そんなに見られるとはずかしい」

傭兵「よし…もう一回この顔を歪めよう」

魔女「!! まだするの…眠い」

傭兵「あと1回だけ! な?」

魔女「…」コク


そのあと1時間ほど抱き続けた。

653 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:38:44.30 d4wZGi4Mo 1998/3213



<翌朝>



傭兵「レベルあがったのか」

勇者「……うん、一応ね。24になったよ」

魔女「おめでとう」

傭兵「ずいぶんげっそりしてるな」

勇者「うう…わかるでしょ。わかるでしょ…」

僧侶「ソル様おはようございます! うふふ、とっても良い朝ですね」

傭兵「対してヒーラちゃんはつやつやしてるな」

僧侶「ユッカ様のレベルアップに私が立ち会えるなんて…♥ 幸せです♥」

勇者「…はぁ」

傭兵(心中察する)

傭兵「そういやサマンサは」

勇者「まだ起きてこないんだよ。おじいさんのお世話どうしたらいいんだろう」

傭兵「起こしに行って来るか…」

655 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:44:13.37 d4wZGi4Mo 1999/3213



コンコン


傭兵「入るぞ」

ガチャ


女剣士「……」ブツブツ

女剣士「……」ブツブツ

傭兵「うわっ…なんだそのクマ」

女剣士「あ…へ、へへ…なんでもないよ…眠れなかっただけ…はは」

傭兵「泣き腫らした跡みたいだな」

傭兵「ちょっと見せてみろ、目元の血行をよくすれば――――」

女剣士「さ、触るなっ」バシッ

女剣士「そうやって女をあちこちで手篭めにしてるんだろ」

女剣士「あたしはダマされないからな!」

傭兵「なんだよどうした」

女剣士「昨夜のこと、どう弁明するつもり。あんな小さい子たちと…ら、乱交なんて…っ!」

傭兵(乱交…なのか?)

女剣士「こっちはあなたのせいで眠れなかったんだからね!」

傭兵「…って言われてもなぁ。騒がしくしたのわるかった。すまない」

傭兵「けどサマンサ聞いてくれ。俺は不純な気持ちだけで、あいつらとああいう関係になったわけじゃない」

657 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:48:48.91 d4wZGi4Mo 2000/3213



女剣士「じゃあなんだっていうの!」

傭兵「…説明して、納得してくれるかどうかはわからないが」


  ・   ・   ・


俺は旅の経緯をサマンサに語った。
サマンサはいぶかしそうな目で俺の話をきいていたが、最後はやや不機嫌ながらも納得してくれた。


女剣士「…もし今の話が嘘なら、本気で衛兵につきだすから!」

傭兵「あぁ。かまわない」

傭兵「俺は3人のことを本気で愛している。決して遊びじゃない」

傭兵「出来ることなら、旅が終わった後みんなを嫁に迎え入れようと思う」

女剣士「…あなたの国って多重婚できるの?」

傭兵「うぐ…それは…全てが終わってから考える」

女剣士「できないのに、3人に手を出したって!?」ゴゴゴ

傭兵「ひっ、すまん、通報しないで…」

女剣士「……はぁ、ぐすっ…」

傭兵「な、なんでお前が泣く」

女剣士「あんな小さな子たちでも想い人がいるってのに…」ガク

658 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:53:54.19 d4wZGi4Mo 2001/3213


傭兵「お前にも必ず現れるさ。素敵な男が!」

女剣士「なにその適当な慰め」

女剣士「あたしこのままおじいちゃんと一緒にくらして…人知れずおばさんになっていくのかな」

女剣士「うえええん、なんで剣士になんてなっちゃったんだよぉおぉおおあたしのバカあああっ」


勇者「あー、ソルがサマンサさん泣かせてるー」

僧侶「ソル様! 一体何事ですか!」

魔女「きっとセクハラした」

僧侶「サイテーですよ! 戻ってくるのが遅いと思ったら、朝っぱらからこれですか!」

勇者「ほんと女の子好きなんだから」

傭兵「ち、違うっ! 朝飯にするぞ!」


女剣士「あなた、ちょっといまからあたしに付き合いなさい」

傭兵「な、なんだよっ! どこ連れてく」

女剣士「みんな、しばらくこの人借りるね」

女剣士「あ、おじいちゃんのことは放っておいていいから!」

659 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 22:57:41.88 d4wZGi4Mo 2002/3213



勇者「…サマンサさんどうしたんだろう。ほんとにソルに何かされたのかな」

僧侶「…どこいくんでしょう」

魔女「………ふ」



【屋敷・外】


傭兵「で、なぜ俺はこの服装…」

女剣士「あれ、その女装自信あるんでしょ?」

傭兵「…」

女剣士「どのみちそれでバレないかどうか外歩いてみて試さなきゃいけないでしょ」

傭兵「そりゃそうだが…なぜお前と一緒に」

女剣士「いまから…ナンパしに行くよ!」

傭兵「は…?」

女剣士「…な、なによその哀れんだ目は! くぅ~~、むっかつく」

女剣士「あたしのコンプレックスを刺激したあなたのせいなんだからね!!」

660 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:04:20.25 d4wZGi4Mo 2003/3213




  ・   ・   ・



傭兵「なるほど、つまりお前は生まれてこの方異性との付き合いがないと」

女剣士「うん」

傭兵「それが自分の体つきのせいだと?」

女剣士「うんうん。だってさ、ユッカやマナとくらべて、あたしってデカイでしょ?」

傭兵「デカイっていうか…まぁほどよく筋肉がついてて、背も高くていいんじゃないか」

傭兵「あいつらはチビすぎる」

女剣士「きっとこの筋肉のせいでモテないんだよ!  あぁぁ、なんで鍛えちゃったんだろう…あたしのバカ」

傭兵「で、俺と一緒にナンパに行く意味はなんなんだ?」

傭兵「他に女の子の友達いねーのか」

女剣士「だって、隣にデカくてゴツい女がいたら相対的にあたしがか弱い乙女に見えるでしょ?」

傭兵「…」

傭兵(モテないのはお前の性格のせいじゃないのか…?)

女剣士「とにかく行くよ!!」グイッ

傭兵「お、おう……」

女剣士「きっとこの時期、強くてイイ男がたくさん街にきてるはず!」

661 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:09:38.85 d4wZGi4Mo 2004/3213



【繁華街】


女剣士「むーー…」

傭兵「男ならいっぱいいるだろ。どうして声かけない」

女剣士「だ、だって…あんま良くないもん」

傭兵「そうか? まぁ強そうなやつはそうそういないな」

傭兵「お前の好みってどういうタイプ」

傭兵(なぜ俺はこんなことをしているんだろう…)

女剣士「そうだなぁ。まずかっこいいことが大前提」

女剣士「で、あたしより強くて、背が高くて、地位もあるといいかも」

女剣士「腕周りがたくましいのも良いよね!」

傭兵(注文多いなぁ)

女剣士「でもね、あたし大会に出て探してみてもなかなかそんな人見つからないんだ」

傭兵「まぁ大会に出るようなゴリ…、あー女剣豪からするとなかなか難しい注文だな」

女剣士「良さげなのはすでにお手つきだし」ボソッ

663 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:13:57.01 d4wZGi4Mo 2005/3213



傭兵「とりあえずよ、ぶらぶらしてても仕方ねぇし」

傭兵「声かけてみないか」

女剣士「う、うーん」

傭兵「ほらあそこの大男なんていいんじゃないか」

女剣士「えっ…」

傭兵「お前が緊張して無理なら、俺がひっかけてきてやる」

傭兵「まぁまかせろって」グッ

女剣士(なんなのさその異常な女装への自信は…)



傭兵「よぉ、その兄さん」

大男A「あん? なんでい…」

傭兵「…ふふふ」

傭兵(俺の美貌に目を奪われてやがる)

大男B「なんだこいつ…やべぇよ…イカれてやがる」

傭兵「ちっと面貸せよ。2対2で茶でもしねぇか」ギロ

大男A「……ひっ」

大男B「お、俺達用事があるから!!」ダダッ

傭兵「んだよ…そんな照れなくても」

664 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:19:38.85 d4wZGi4Mo 2006/3213



  ・  ・  ・


<30分後>


傭兵「ただいま…」

女剣士「どうだった…って聞くまでもないよね」

傭兵「どいつもこいつも…俺の顔をみて顔を真赤にして逃げ出しやがる」

傭兵「ふふ…男って意外と初対面の女性に対してはシャイだよな」

女剣士「…いやいや」

傭兵「まぁしかし物事は何事も数撃ちゃ当たる。ナンパも一緒だ。くじけず行こうぜ」

女剣士「あっ、あー!! ちょっと喉乾いたなぁ!」

傭兵「ん? じゃあどっかで休むか」

女剣士(こいつどっかズレてるよ!)

女剣士「喫茶店にでも行こう!」

傭兵「そうだな。俺も慣れないことをして緊張で喉が渇いたぜ」

女剣士(このままじゃ違う理由で指名手配されるよ!!)

665 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:24:05.18 d4wZGi4Mo 2007/3213




【喫茶店】


店員「すみません、テラス席でよろしいですか」

女剣士「ん、しかたないね」

女剣士(本当は奥まった席に座りたかったんだけど…)チラ

傭兵「しゃれた喫茶店だなぁ。俺たちの国にはこんなとこなかったぜ」

女剣士「一応グリモワは世界で有数の大きな街だからね」

女剣士「バカ陛下主催の闘技大会のこともあって各国から人がやってくるでしょ?」

女剣士「だからいろんな国の新しい文化が混じってるの」

傭兵「へぇ。ユッカたちにもみせてやりてぇな」

女剣士「明日は魔封じのローブでも着せて、連れだしてみる?」

傭兵「そうだな」


傭兵「よっと、さて注文は何にするか。女が食うといったら甘いもんだな」


<キャーー 
<カッコイー


傭兵「ん?」

女剣士「なんだかあっちの席騒がしいね」

666 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:28:42.85 d4wZGi4Mo 2008/3213



闇剣士「……」

町女A「カッコイー、どちらからいらしたんですか」

町女B「あのっ、お席ご一緒していいですか!?」

闇剣士「……」ズズ

町女C「何読んでるんですかーー」

町女A「ねぇねぇー、私達とすこしお話しませんかー」

闇剣士(人里というのはいつの世も騒がしいものだな…)


<キャッキャッ



傭兵「……げッ」

女剣士「すご…っ! 見てみなよあの銀髪の人!」

傭兵「…おい、あんま視線送るな。気づかれるぞ」

女剣士「え? なにが?」

傭兵「あいつだ。例の魔剣士…」

女剣士「うそ!? あの色男が!?」

667 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:33:54.77 d4wZGi4Mo 2009/3213



傭兵「チッ…なんでこんなとこで優雅に茶飲んでやがるあの糞野郎」

傭兵(まさか俺の行く先々で待ち伏せを…?)

傭兵(いや考え過ぎだな…行動が読まれてるならとっくに殺られてる)

女剣士「話を聞く限り、もっといかつい大男かとおもったよ」

女剣士「それがあんなかっこいい剣士なんてさ…」

傭兵「やめとけあんな趣味悪い奴」

女剣士「にしてもあの髪の毛! ほんと綺麗だよね」

傭兵「…なに浮かれてんだよ」

女剣士「あーえっと、マナもああいう色してるよね。あんな風に伸ばしたら、さらっさらになるのかな」

傭兵「え…」

女剣士「ここ数日で2人も銀髪がみれるなんて、珍しいこともあるもんだ! 眼福ー」

傭兵「……」

傭兵「あっ、おいほんとに視線送るな! やべぇって!」


闇剣士「……ッ!!」ガタッ


傭兵「!!」

668 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:38:06.48 d4wZGi4Mo 2010/3213



闇剣士「すみません。すこし席を離れます」

町女A「えっ、はい…」


コツコツ


傭兵(ぎゃーこっち来るじゃねぇか! 馬鹿野郎!)

女剣士(ご、ごめん!)


闇剣士「失礼。どうにも人の敵意や視線には敏感なもので」

女剣士「あっ、す、すいません…ごめんなさい」

闇剣士「いえ。武具など持参して、目立つことは承知の上」

闇剣士「こちらこそ不躾に尋ねて申し訳ない」

闇剣士「ところで、そちらの方」

傭兵「…!」ギクッ

女剣士「あっ、あーこの子は私の友達でっ!」

闇剣士「顔をあげていただけませんか」

傭兵(いやーー助けて!!)

傭兵「…へ、へへ…」

闇剣士「…!」

670 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/10 23:46:47.70 d4wZGi4Mo 2011/3213



傭兵(こうなりゃ、いきなり切りつけて、サマンサを抱えて一気に跳躍…)

傭兵(離脱まで3秒…いや2秒…だがこの服でこいつから逃げきれるか!?)

闇剣士「…美しい人だ」

女剣士「そ、そんなぁ……えへへ」クネクネ

女剣士「そんなこと言われたのはじめてです」

闇剣士「発達した筋肉、歴戦の勇士を思わせる鋭い眼光…」

女剣士「えへへ…そうですかね」

闇剣士「是非お名前を聞かせてくれませんか。私はレヴァンと名乗っています」

傭兵「ひっ!」

女剣士「あ…サマンサです…どうかよろしく―――」

闇剣士「いえ、そちらの赤い髪をした…」

傭兵「は…? おれ…私ぃ!?」

女剣士「……あ゛ん?」イラッ

闇剣士「どうかお名前だけでも」

傭兵「…ソ…ソラ。ソラ…でぇす」

闇剣士「ソラさん…心に染み渡る良い名だ」

傭兵(大丈夫かコイツ…)

女剣士(死にたい)




第29話<囚われの少女>つづく


 

687 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 22:16:13.61 68NSIEAAo 2012/3213

第29話<囚われの少女>つづき



闇剣士「…素敵な方だ」

傭兵(おいおい……こいつマジか…)

傭兵「…」ゴクリ

傭兵(俺ってもしかしてイケてる?)

闇剣士「よろしければすこしお話でもいかがですか」

傭兵「は? いや誰がお前と…」

女剣士「はいはい! 是非!」

傭兵「おい」

傭兵(いやまてよ…色々本音を聞き出すチャンスかもしれないな)

傭兵(こんなに油断してるコイツを見るのははじめてだ)

傭兵「分かった。少し席を移ろう」

女剣士「目立ちすぎちゃったね」


町女A「なにあのゴリラ女」

町女B「つかあれ男でしょ! まじきもい」

町女C「変質者じゃん。あたし近くの衛兵さん呼んでくるよ」

688 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 22:20:54.08 68NSIEAAo 2013/3213



  ・   ・   ・



闇剣士「なるほど、ソラさんは大会に出場するためにこの街へ…」

女剣士「そうなんですー、いまは友達である私の家に泊めてあげてるんです!」

女剣士「うふふふ」ニコニコ

傭兵(なんでお前が同席してるんだ…)

女剣士(あなた1人じゃボロがでるからフォローしてあげてるの!)ギロッ

傭兵「……あーおちゃがおいしー♥」ズズッ

闇剣士「…」

闇剣士「…」ズズッ

闇剣士「珍しい味だ。私の故郷にはこのような茶は存在しない」

傭兵(こいつさっきからチラチラ見てきてすげぇ気分悪いな。その首叩き落とすぞ)

傭兵(っと…殺意を出したらさすがに気づかれる…抑えろ抑えろ)

女剣士「レヴァンさんも大会に出場なさるんですか?」

689 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 22:27:08.49 68NSIEAAo 2014/3213



闇剣士「ええ。手に入れたい物があるので」

女剣士「今回の優勝賞品は聖剣なんですよね! わーあたしもほしいなぁ」

女剣士「でもぉ、レヴァンさんと当たったら負けちゃうかも…強そうだしぃ」

傭兵(お前キャラ違うぞ)

闇剣士「…大会はどのような形式で行われるかご存知ですか」

女剣士「はい。例年は予選が参加者入り乱れた生き残り戦で16人までしぼって」

女剣士「あとは16人でトーナメント戦です」

傭兵「一度でも倒れたら終わりか…ハードだな」

傭兵「日程もきついし、一度手傷をおったら回復の時間がない」

傭兵「サマンサはベスト16になったんだっけか」

女剣士「うん。トーナメントの一回戦負け」

女剣士「まぁあの時より強くなってるから、次はもっと上を目指すよ」

闇剣士「おふたりと同じブロックにならないことを祈っています」

690 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 22:34:11.64 68NSIEAAo 2015/3213


闇剣士「とくに、あなたとは戦いたくない」

傭兵「お…私?」

闇剣士「私は力の加減が得意ではありませんので」

闇剣士「あなたに怪我を負わせたくない」

傭兵「…へぇ」

傭兵(ユッカ達にめちゃくちゃしかけてきてるくせによく言うぜ)

女剣士(私は!? ねぇ私はー!?)

女剣士「そ、それより!」

闇剣士「…なんでしょうか」

女剣士「レヴァンさんの…お友達を紹介してもらえませんか?」

傭兵「なーに言ってんだお前は」

闇剣士「……」

闇剣士「生まれてこの方、私に心を許せる友などいません」

闇剣士「私にあるのは、己の使命と、命を奪い合いを続けてきた好敵手のみ」

闇剣士「貴様はいまも、どこかで鍛錬に励んでいるのだろうな……」ボソリ

傭兵(目の前でケーキ食ってるよ)もぐもぐ

691 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 22:41:19.40 68NSIEAAo 2016/3213



女剣士「なんだー…」

女剣士(チッ。だったらもうレヴァンさん一点狙いしかない!)

女剣士(魔物? 魔人? そんなの関係ないね)

女剣士(こんな眉目秀麗な色男をみすみす逃す手はない!)

闇剣士「…む」

傭兵「どうした」

闇剣士「厄介事が起きそうですので、お先に失礼します」

女剣士「えっ、もう行っちゃうんですか」

闇剣士「ソラさん。また会いましょう」

闇剣士「おふたりの分は私が支払っておきます」

傭兵「おう。じゃあな。最後にケーキもう一個たのんでいいか」もぐもぐ

女剣士(あなた調子のりすぎだよ!)

傭兵(うるせーな。酒場の食い逃げでえらい目にあった分取り返さなきゃならねぇんだよ)


町女A「衛兵さんこっちです! 不審者が!!」

バタバタ

692 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 22:47:41.24 68NSIEAAo 2017/3213


闇剣士「…! やはり人里には紛れ込めんか」ビュッ


女剣士「…はぁ」

女剣士「全然手応えがなかったよー…レヴァンさぁん」グスッ

傭兵「やめとけやめとけ。いくらツラが良くても色々ちいせぇ奴だぞ」

女剣士「ほんとにあなたのライバルなの?」

傭兵「あ、あぁ…」

女剣士「友達じゃなくて?」

傭兵「ぶふっ。誰が友達だ! 気色悪い」

傭兵「あのな、俺はもう何年も前からあいつと殺し合い続けてきてんだ」

女剣士「そうなんだ…」

傭兵(騎士時代の仲間だって何人も殺されてる…)

傭兵(だから俺は…あいつを必ずこの手で…)グッ

女剣士「殺し合いの中で生まれる唯一無二の友情…素敵じゃない」

傭兵「お前…意外と乙女チックだよな」

女剣士「あ゛んっ?」

693 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 22:52:02.84 68NSIEAAo 2018/3213


衛兵A「失礼。市民の通報を受けて来ました」

傭兵「あぁごくろうさん。変な奴ならあっち走ってったぞ」

ガチャン

傭兵「あ? なんだこの手錠は」

衛兵A「不審者確保ー!」

衛兵B「おとなしくしろ。いつまで呑気にケーキを食っている」

傭兵「は!? 不審者って俺かよ!? ふざけんな!」

衛兵A「ふざけてるのは貴様のほうだ」

町女A「そうよ! 気持ち悪い!」

町女B「変態! 変態!」

傭兵「おいおい…サマンサなんとかして」

女剣士「…」ジトー

衛兵A「こい! いまからみっちり取り調べだ!」

傭兵「まじかよ!」

女剣士「あたし今晩の買い物してるから、あとで身元引け受けにいってあげるよ…」

694 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 22:58:05.75 68NSIEAAo 2019/3213



【近くの詰め所】



兵長「なぜそのような格好をしている」

傭兵「……」

兵長「答えられない理由でもあるのか」

傭兵(グ…俺は手配書はばらまかれてないとはいえ、お尋ね者の身)

傭兵(やべぇな…。蹴散らして逃げるのはわけないが)

傭兵(そんなことをしたらますます立場が悪くなる)

傭兵「えっと…だな」

傭兵「趣味…かな」

兵長「…」

傭兵「おいおい! この国は人様の趣味にまで干渉するの!?!」

兵長「…」

傭兵「いやーん、エッチな目でみないでよ変態!」

兵長「ぶち込むぞ」

傭兵「きゃーー変態。25年も大事にしてきたあたしのハジメテを奪う気!?」

兵長「牢屋に決まってるだろ!!」

695 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 23:04:16.97 68NSIEAAo 2020/3213


兵長「あたまが痛くなってきた」

衛兵A「代わりましょうか」

兵長「一応危険物を所持していないか身体検査をしておけ」

衛兵A「自分がっスか…おいお前がやれ」

衛兵B「え? 自分も嫌ッスよ……」

傭兵「何いやがってんだよ。てめぇらどんだけ失礼なんだ」

傭兵「てっきり体中まさぐられて、エロい事されるかと思ったのに…」ドキドキ

兵長「いくらむさ苦しい男の仕事場とはいえ、貴様のようなゲテモノを食いたがる男などおらんよ」

兵長「しばらくしたら解放してやるから反省文を書いておとなしくしていろ」

傭兵「へいへい…」

傭兵(俺いったい何やってんだろ…早く帰りてぇ)



  ・   ・   ・


<夕方>


女剣士「迎えに来たよ」

傭兵「サマンサ!」

女剣士「こってりしぼられたんだね…ま、それで済んで良かった」

696 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 23:12:13.98 68NSIEAAo 2021/3213



兵長「釈放だ」

傭兵「時間より早くねーか」

兵長「少し予定がかわったのでな、ここを空けねばならん。貴様の相手をしている暇はない」

傭兵「?」

兵長「広場で捕物があったそうだ。我々は現場の応援に駆けつける事となった」

傭兵「とりもの……」

傭兵「ま、まさか!」

傭兵「サマンサ、広場はどっちだ!」

女剣士「えっ、あっちだけど……ちょっと! は、速…」


無我夢中で人の波をかきわけて、街なかを突っ切った。

俺が現場に辿り着いた時、すでに広場を囲うようにたくさんの人だかりができていた。
その輪の内側では武装した衛兵達たちが剣や杖を構えている。
そして彼らの視線の先、大衆の中央には見慣れた姿。
ユッカとマナが戦闘態勢に入っていた。


傭兵「ユッカ! マナ!」

勇者「! ソル!」

697 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 23:19:01.66 68NSIEAAo 2022/3213


傭兵「どけっ」


俺は野次馬を押しのけて、衛兵を飛び越え、ユッカの元へむかった。
四方八方から向けられる警戒と、おぞましいものをみるかのような恐怖の眼差し。
今俺たちはこの国の人々にとって、間違いなく敵だった。


傭兵「なぜだ…どうして外に出た」

勇者「だって…ソルの帰りが遅いから。心配になっちゃったんだ」

勇者「あの王様に捕まっちゃったんじゃないかって…」

傭兵「く…」

魔女「完全に囲まれたみたい」

傭兵「逃げるぞ」

勇者「でもどうやって…」


衛兵「隙間をつくるな。王宮から守備隊がくるまで時間を稼げ」


勇者「離脱しようにも、どこから…」

傭兵「最悪、蹴散らしてでも逃げるぞ」

698 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/11 23:27:20.56 68NSIEAAo 2023/3213


勇者「う…っ」

傭兵「どうした」

勇者「…この感じ…あいつが来る」

魔女「…!」

傭兵「え…」


ふいに人垣が割れ、物々しい鎧で全身を覆った男達が現れた。


町人「王国騎士団だ!」

衛兵「おお、陛下のお姿まで…!」

魔法国王「根比べのつもりだったけど、意外と早く決着がついたね」

傭兵「グリモワ国王…! てめぇ…」


魔法国王「みなのもの下がれ。君たちでは相手にならない」

魔法国王「死にたくなければもう少しだけ下がるんだ」

魔法国王「勇者くん。こうなった以上、もう逃げられないよ」

魔法国王「今度こそ、ソレを渡してくれるかい?」

勇者「…!」

魔女「…」



第29話<囚われの少女>つづく

716 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 21:59:45.54 LRtZuy6Oo 2024/3213

第29話<囚われの少女>つづき




騎士A「抵抗は無駄である」

騎士B「投稿せよ」

傭兵(この国の騎士級が4人…大層なことだな)

勇者「ボクの仲間は渡さない!」

魔法国王「護るか…ふふ、おかしなことを言うね」

魔法国王「この間も言ったけど、魔物と人間が相容れることは決して無い」

魔法国王「魔物を庇い立てするのは、罪なんだよ」

勇者「マナは魔物じゃない!」

勇者「この子のどこが魔物に見えるんだ!」

魔法国王「きみほどの魔覚をもっていて、わからないというのか」

魔法国王「そこの青年――」

魔法国王「んーっと、きみは女性だったんだね。残念ながらぼくの好みではないが」

傭兵「…ちげぇよ」バサッ

魔法国王「虚ろなきみですら、薄々感じていたはずだ。彼女の特異性を目の当たりにしてきただろう」

魔法国王「ほら、いまもそうして勇者にしがみつき、魔力をすすっているじゃないか」

魔女「!」

717 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:05:22.41 LRtZuy6Oo 2025/3213


勇者「こ、これは…違うんだ。違うのにっ」

勇者「マナ、ボクから離れないで。あいつの言うことを聞いちゃダメ」

勇者「ボクとソルが絶対守るから」

魔法国王「自分の正しさを信じているんだね」

魔法国王「意固地なのも悪くない。きみぐらいの歳の子なら、矯正のしがいがある」

魔法国王「教えてあげよう。ソレが魔物たるゆえんを」

魔法国王「魔力解放」

▼魔法国王は杖を振りかざした。


魔法国王「この広場は祭典の儀式でよくつかわれる場所でね」

魔法国王「一帯に特殊な術式を施してあるんだ」

勇者「なに…この感じ」

傭兵「どうした」

勇者「魔力が高まってくる……っ」

魔女「いや…イヤッ! あああっ」

勇者「マナ!?」

718 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:12:27.69 LRtZuy6Oo 2026/3213


町人A「なんだ、苦しんでるのか?」

町人B「こええ…大丈夫か」


魔法国王「どうだい、自らの力が増していく様を感じるだろう」

魔法国王「まるで、月満ちる夜のように」

魔女「…ぅぅ、あああ」

傭兵「…マナ! よせ、やめてくれ!」

魔法国王「さぁ、見せるんだ」

魔女「怖い…助けて」

魔女「私が…壊れる…」

傭兵「…!」

震えるマナをかばうように両腕で強く抱きしめた。

傭兵「大丈夫だ。お前はお前だ、絶対に守ってやる」

魔女「はなして…」

傭兵「マナ」


そっと頭をなでた。
さらさらとした透き通る銀色の絹糸のような髪の毛が指の間を通って靡いた。
その時、チクリとちいさな硬い異物が手のひらに触れた。

傭兵「…!」

719 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:18:59.36 LRtZuy6Oo 2027/3213



手の皮が微かに切れて、血がわずかに滴る。

傭兵「…これは」

魔女「…みちゃ…イヤ」

傭兵(角…?)


魔法国王「わかったかい」

魔法国王「その見目麗しい銀の髪は、魔族領出身者特有の物さ」

魔法国王「ぼくらの世界でそのような髪の毛の色の子は生まれない」

魔法国王「そしてその角。もう、わかったろ?」

勇者「そんな…」

魔女「う…あ…ぅ」

魔法国王「今更驚くことかい。きみたちは、薄々感じ取りながらも、自らを騙していただけさ」

魔法国王「仲間だの友達だの、都合の良い理由でソレを側においていただけ」

魔法国王「さっさと処分しておけばいいものを、愚かだね」

魔法国王「だからぼくが、引導を渡してあげよう」

勇者「やめっ――」

720 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:24:45.15 LRtZuy6Oo 2028/3213



▼魔法国王は杖を振りあげた。


魔女「…! うっ」

傭兵「マナ! どこへ行く!」

魔女(あなたたちをこれ以上危険な目にあわせるわけにはいかない)

魔女(最初からこうするべきだった。私さえ、いなければ…)

魔法国王「1人で逃げる気かい。だがこの包囲網を抜けることは出来ない」

騎士A「…確保しますか。それとも」ジャキン

魔法国王「やるとしても、みなに被害を出さないようにね」

騎士B「はっ」


魔女「こないで。術式、アイスビュレット!」

傭兵「やめろマナ!」

▼魔女は無数の氷の弾丸を放った。

騎士A「ふんっ、小賢しい」

魔法国王「先に手をだすとは、救いようのない魔物だ」

721 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:30:04.44 LRtZuy6Oo 2029/3213


魔法国王「魔術は得意なようだね」

魔法国王「だったら」


魔女「術式、フレイムキャノン!」

魔法国王「スペルブレイク」

▼魔女の魔法はかき消された。

魔女「! そんな」

魔法国王「きみが天才的に魔法が得意でも、ぼくの術式の速さと精度には遠く及ばない」

魔法国王「ぼくは古の大魔導師の末裔。きみとは格がちがうのさ」

魔女「術式…アイス――」

魔法国王「スペルブレイク」

▼魔女の魔法はかき消された。

魔女「…出せない」

騎士A「確保」ガシッ

魔女「いっ…ああっ」

傭兵「やめろ!」

騎士B「貴様らの相手は私達だ」

勇者「はなせー!! くそー!!」

722 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:37:48.55 LRtZuy6Oo 2030/3213


魔法国王「そのまま抑えてなよ」

騎士A「はっ」

魔女「うっ…離してッ」

魔法国王「危険な魔物には、とっておきをくれてやろう」

魔法国王「…秘術、魔法堅牢【グリモワプリズン】」

▼魔女の周囲を分厚い魔法壁が取り囲んだ。


魔女「!」

勇者「マナ!!」

勇者「な、なにあれ!?」

魔法国王「それはあらゆる害意から身を守る盾であり鎧」

魔法国王「ぼくら人間にとってはね」

魔法国王「だけどひとたび魔物相手につかえば、脱出不能の堅牢な檻となる」

バチッ

魔女「痛っ…!」

魔法国王「魔力の解放された魔物のきみがうかつにさわるとはじけ飛ぶよ」

勇者「それってまるで…」

魔法国王「そう。このグリモワ全土を囲う巨大な魔法障壁もこの秘術の応用なのさ」

724 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:43:26.43 LRtZuy6Oo 2031/3213


町人A「うおおお陛下!!」

町人B「さすがです陛下ぁぁ!!」

町人C「グリモワ王万歳!」


勇者「マ…ナ…」

魔法国王「許してくれ。これも人々を護るため」

魔法国王「勇者くん、きみにはつらい思いをさせた」

魔法国王「だがもう忘れるんだ。きみは魔物と共にいて良い存在じゃない」

騎士A「この者達の処分はどうしますか」

魔法国王「そうだねぇ」

魔法国王「仮にも国賓級の彼らだから、あまり手荒いことはしたくないけど」

魔法国王「それだとみなに示しがつかないか」


町人A「魔物を連れ込んだ悪魔を倒してください!」

町人B「あいつらは魔物の仲間よ!」

勇者「…そんな、ひどいよ」

傭兵(これが俺たちの旅の結末なのか…)

725 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:51:42.93 LRtZuy6Oo 2032/3213



魔法国王「とはいえ、大魔導師の末裔が勇者の末裔を手に掛けるのはまずいだろう」

魔法国王「かといって、数々の罪状をぼくの一声で帳消しともいかない…うーん」

騎士A「魔物の誘致、反逆罪、逃亡罪。禁錮刑では足りぬ所業です」

騎士B「陛下。ご決断を」

魔法国王「…ならここは穏便に解決してみせようじゃないか。きみたちは手をだすなよ」

騎士A「はっ」


魔法国王「勇者くん。いい加減目が覚めたかい」

勇者「…!」

魔法国王「きみたちは人に化ける狡猾な悪魔にだまされていた、そうだろう?」

勇者「…え?」

魔法国王「きみたちは悪魔に心を支配され、人間だと思い込んでいた。術をかけられていたんだよ」

魔法国王「だから疑うこと無く、仲間としてこの街に連れ込んでしまったんだ」

魔法国王「そうだろう?」

勇者「なにを言ってるの…違う! マナはボクの」

魔法国王「……」

726 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 22:59:05.10 LRtZuy6Oo 2033/3213


魔法国王(にこやかに頷くんだ。そうでなくては、ぼくは君たちを捕らえねばならない)

傭兵(こいつ、なんてことを考えやがる)

魔法国王「もう一度聞くよ。次が最後だ」

魔法国王「きみたちは、この悪魔マナによって洗脳されていた、被害者である」

魔法国王「そうなのだろう?」

勇者「だから…ちが―――」

魔女「そう。私がやったこと」

勇者「マナ!」

傭兵「…!」

魔女「私が勇者ユッカ、僧侶ヒーラ、傭兵ソル…に魔法をかけ、心を…操った」

魔女「そしてこの街に入るよう促した」

勇者「マナ何を言ってるの!! そんなの全然違う!」

魔女「ので…ふ、ふふ。頭の悪い勇者はまだ洗脳がとけていないみたい」

魔法国王「おーそうかい。それが真実だったんだねぇ」

魔法国王「いやぁ良かった。悪いのは勇者くんたちじゃなくて、悪魔の貴様一匹だったんだねぇ」

魔女「…そう。私が全ての元凶」

傭兵「マナ……お前…」

魔法国王「つれていけ。慎重にね」

魔女(さようなら)

727 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 23:04:51.63 LRtZuy6Oo 2034/3213


勇者「マナを…どこに連れて行くの…」

勇者「やだよぉ…やめてよぉ」

魔法国王「かわいそうな勇者くん。仲間を失うのはつらいよねぇ」

魔法国王「けどそれは奴に植え付けられた偽りの感情なんだ」


町人A「あの女の子、勇者だって」

町人B「かわいそう…悪魔に利用されたのね」

町人C「くそ、魔物ってやつは小狡いことばっかり考えやがって」


勇者「ボクは…そんなんじゃない…マナはボクの仲間なんだ…っ」

勇者「友達なんだ! 返して!!」

魔法国王「…よしよし。あとでぼくが洗脳を解いてやろう」

魔法国王(ま、これはこれで、ある意味いい演技とも言えるか)

魔法国王「さぁ、捕物は終わりだ。みな、戸締まりをしっかりして寝るように」

728 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 23:12:06.31 LRtZuy6Oo 2035/3213




  ・    ・    ・



傭兵「…」

魔法国王「よかったじゃないか。これできみたちは晴れて太陽の国からの来客となれた」

魔法国王「なぁに、この国の民はぼくの手腕を信用しきっている」

魔法国王「街を歩いて石を投げつけられるようなことは起きないさ」

魔法国王「ゆっくりしていくといい」

傭兵「てめぇはよ」ガシッ

魔法国王「…」

騎士A「貴様!! なんたる無礼を」

魔法国王「恨むのなら、自らの鈍さと、生まれを恨むことだ」

傭兵「なんだと!!」

魔法国王「闇は光を飲み込む存在。炎のような眩しさも、深い闇の前では無力だ」

傭兵「何が言いたい」

魔法国王「きみたちの道が奴と交わることはない」

魔法国王「ぼくはきみたちとこの世界の未来のために正しい選択をしたってことさ」

魔法国王「側にいたきみが一番よくわかっていたんじゃないのか?」

傭兵「…くっ」

729 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/12 23:21:53.97 LRtZuy6Oo 2036/3213



何も言い返せなかった。
俺は、最後の最後でマナをかばうことができなかった。

彼女は、コイツの言うとおり、魔族であったから。

だけどそんなマナは俺たちのことを、自らを犠牲にして嘘をついてでも救ってくれた。

手の平から流れる血はとまっていた。
俺は拳を握りしめて、夜空に向かって吠えた。





闇剣士「……やはり人間は、私達とは違うか…」

闇剣士「そんな奴らに、そうやすやすと、彼女を渡すわけにはいかんな」

闇剣士(ソル、貴様とてそれは同じことだろう)

闇剣士(ここで折れるような貴様ではないはずだ)

闇剣士「だがあの国王、一筋縄では行かんようだな」

闇剣士「私ひとりでどこまでやれるか…」

闇剣士「騎士級が今回確認できただけでも4人」

闇剣士「…おもしろくなりそうだな」ジャキン


第29話<囚われの少女>つづく

751 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:05:01.30 XwM80xMho 2037/3213

第29話<囚われの少女>つづき



失意のままにサマンサの屋敷へと一時帰還しようとした矢先に
俺たちの荷馬車が国王軍によって返却された。


勇者「スレイプニル…」

「ヒヒン…」

傭兵(結局、今日ここでこうなることは奴にとってお見通しだったということか…)

傭兵「くそ…」

女剣士「ソル…ユッカ」

女剣士「陛下はきっとマナのことを殺しはしないと思う」

女剣士「あいつ、とんでもない悪趣味だから。そんな簡単に手に入れたものを壊したりしないんだ」

女剣士「奪還のチャンスは必ずあるよ!」

女剣士「だ、だから…」

傭兵「ありがとうサマンサ。だがもうこれ以上俺たちのことにお前を巻き込むことはできない」

傭兵「ヒーラちゃんを回収したらあとは俺たちが勝手にやる。誰にも迷惑はかけない」

女剣士「そんなこと言わないで! あたしのせいでもあるんだから」

女剣士「最後まで協力させてよ…」

752 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:08:23.55 XwM80xMho 2038/3213



傭兵「だが」

女剣士「あたしはあなたたちの協力者になるって決めたんだ」

女剣士「信じて」

女剣士「それに、なにをするにもアジトがないと大変でしょ」

傭兵「…わかった。恩に着る。とにかくまずはヒーラちゃんと合流しよう」

勇者「マナ…怖い目にあってなきゃいいけど」



【古びた屋敷】


ガチャッ

僧侶「ユッカ様! ご無事ですか!?」

勇者「……」

僧侶「ど、どうしました。あ、ソル様もサマンサさんもお帰りなさい」

僧侶「あれ…荷馬車返してもらったんですか…? マナちゃんは…?」

勇者「……」

僧侶「そんな…! まさか…」

753 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:13:29.03 XwM80xMho 2039/3213



  ・   ・   ・



僧侶「広場でそんなことが…」

僧侶「ごめんなさいっ! 私がマナちゃんが外出するのを止められなかったせいです!」

傭兵「ヒーラちゃんに責任はない。むしろ俺のせいだ…もっと早く帰ってきていれば」

僧侶「う、ぐすっ…マナちゃん」

勇者「まだマナがどうかなったわけじゃないよ」

勇者「取り返そう」

勇者「マナをあの場で殺さずに、つかまえただけってことは、あの王様きっと何か企んでいるんだよ」

女剣士「あたしもそうおもう。あのとおり、腹に一物抱えたクソ野郎だからね」

女剣士「だけど猶予は少ないかもしれない。なるべく早く行動したほうがいい」

勇者「いまから城に乗り込もう」

傭兵「ダメだ。戦力が違いすぎるし、全員でいくとすぐバレる」

傭兵「それこそ、マナの身に危険が及ぶぞ」

勇者「じゃあ…どうすれば」

傭兵「俺が1人で行く」

勇者「え!?」

754 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:18:07.14 XwM80xMho 2040/3213


僧侶「何言ってるんですか!」

傭兵「俺ならやつの魔覚の網に引っかからないし、潜入工作だって慣れていて得意だ」

勇者「危険だよ!」

女剣士「そうだよ! あそこは魔境だよ。ひとりでどうにかなるってレベルじゃない…」

傭兵「俺にやらせてくれ…頼む」

勇者「ソル…」

僧侶「悔いていらっしゃるのですね」

傭兵「俺はマナをまもってやれなかった…ずっと護るって誓ったのに」

傭兵「たったあれだけのことで動揺して、バカだ…」

傭兵「マナはずっと1人で苦しんでいたのに…俺はどうしようもなく鈍い男だった」

僧侶「ソル様…」

傭兵「それにこれじゃマナのじいさんに顔向け出来ない」

傭兵「命に替えてもマナを取り戻す」

傭兵「俺に行かせてくれ」

女剣士「…わかった。ちょっと待ってて、城の見取り図があったはずだから」

755 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:24:39.43 XwM80xMho 2041/3213


女剣士「これだよ。だいぶ古いけど、昔あたしのおじいちゃんが城で働いてた時のものさ」

勇者「城のなかにマナがいるとしたら、どこだろう」

勇者「ボクらがこの前入らせてもらった謁見の間ではないよね」

僧侶「この地下じゃないですか? 牢獄っぽく描かれています」

傭兵「かもしれないな」

勇者「中は複雑だね。気をつけてそう」

傭兵「あぁ。だがこれ、潜入できそうな場所あるか」

女剣士「夜は全ての門扉を閉ざしてる。窓もダメだ」

傭兵「窓くらいなら、割るかこじ開けるかして」

女剣士「それが、ここの窓は特殊でね。魔法障壁が貼ってあるんだ」

女剣士「だから破壊することが出来ない」

傭兵「……く」


老人「こらグレン! また貴様は修行をサボって城へ忍び込みにいくのか!」

老人「そんなにあの女がええのか! 女にうつつを抜かしとる場合か!」

傭兵「……」

756 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:29:41.74 XwM80xMho 2042/3213


老人「性懲りもなくびしょ濡れになって帰ってきおって!」

老人「はよ庭で乾かしてこい! 濡れたまま家に入るなと言うておろうが!!」

傭兵「…」

女剣士「ご、ごめん。こんな真剣は話してるときに」

傭兵「まて、じいさんなら何か知ってるんじゃないか」

女剣士「おじいちゃん。お城のこと思い出せる?」

勇者「おじいさんお願いッ」

老人「ふがふが…」

傭兵「……ダメか」

老人「城は…全面が堅牢な魔法障壁で覆われた要塞での」

老人「扉や窓、壁を破壊することは難しい」

老人「一度門扉が閉じれば中へ入る手段はない」

傭兵「…くそ」

老人「仮に侵入できても、城内には王直属の騎士兵団が待ち構えておる」

老人「侵入者は鼠一匹とて、生きて帰ることはできん」

女剣士「無理なのかな…」

758 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:34:45.34 XwM80xMho 2043/3213


傭兵「だが、グレンというやつは度々侵入していたんだろ?」

傭兵「…びしょ濡れ、か。雨の日? いや…」

傭兵「…! サマンサ、城の外部に水路はあるか」

女剣士「! 待って、えっと…ここ!」

女剣士「うん! 中庭に通じる水路が一本通ってる」

傭兵「すくなくとも、人間1人通れる広さはあるはずだ」

勇者「やった! じゃあここからなら入れる?」

傭兵「あぁ。だが行くのは俺1人だ」

勇者「……」

傭兵「心配そうな顔をするな。俺にまかせろ」

傭兵「必ず…マナを取り戻す」

勇者「…うん。信じてる」

僧侶「危なくなったら逃げてくださいね」

女剣士「そうだよ。見つかったらどのみちみんな危ないんだ」

女剣士「あなたに任せたよ」

傭兵「あぁ!」

759 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:42:48.99 XwM80xMho 2044/3213


老人「なにやら、とんでもないことをしでかそうとしておるようじゃな」

女剣士「おじいちゃんはもう寝てて」

老人「来い。魔除けにこれをもっていくといい」

傭兵「これは…」

老人「魔封じの篭手じゃ。1度だけ、この篭手が魔法を身代わりに受けてくれる」

老人「がんばれよ。愛しい女が待っとるんじゃろ」

傭兵「…じいさん」

老人「それが済んだら、せがれの顔でもはようみせてくれんかのう…ふがふが」

傭兵「どこまでボケてんのかわかんねぇなこのじいさん」

女剣士「はは…ごめん」



【グリモワ城・1階】


コツコツ


闇剣士(侵入は容易か。誘い込まれているような気配すらある)

騎士A「そこのローブの男!」

闇剣士「やはり待ち構えていたか」

760 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:47:35.75 XwM80xMho 2045/3213


騎士A「その大剣。賊か」

騎士A「さしずめ、あの勇者の仲間といったところか」

闇剣士「仲間か……むしろ、最も遠い存在といったらどうする」

騎士A「何を言っている…侵入者は排除するのみ!」

闇剣士「来るか」


コツコツ

騎士B「ククク…」

騎士C「ひさびさの獲物だぜ。俺にも分けてくれよ」


闇剣士「騎士級3人…ふ、昔を思い出す」

闇剣士「相手にとって不足なし!」 


騎士A「フォーメーションαで行く」

騎士B「ククク…」

騎士C「グリモワの騎士をなめんじゃねぇぞこそ泥!」

761 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:51:19.40 XwM80xMho 2046/3213




  ・   ・   ・



騎士B「ク…クふ…」

騎士C「なんだぁ、こいつのポテンシャル、尋常じゃねぇ」

騎士A「三方向からの同時攻撃をことごとくいなされるだと」


闇剣士「ぬるい…もっと踏み込んでこい」

騎士A「うおおお!!」

闇剣士「!」

▼闇剣士のカウンター。

▼騎士Aの剣は砕け散った。


騎士A「ぐわっ、何!? 魔法剣が!」

闇剣士「……」

騎士C「このローブの男…なにもんだぜ。広場にいたあのオカマじゃねぇよな!?」

騎士B「クク…やりがいがある」

762 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:55:30.97 XwM80xMho 2047/3213


闇剣士「私のことを甘く見たな」

闇剣士「魔法障壁に囲まれたグリモワという温室で育った貴様達ごときが、騎士を名乗るなどおこがましいものと知れ!」

騎士A「なっ!」

騎士「……」

騎士C「にぃ!?」

闇剣士「私の知っている騎士という人間は、もっと誇り高く」

闇剣士「もっと手強いはずだ!!」



▼闇剣士は騎士Aの懐に飛び込み大剣を薙ぎ払った。

▼騎士Aの盾と鎧は砕け散った。


騎士A「ぐあああっ」

騎士B「クっ!? なんだこいつは!」

騎士C「俺たち騎士級3人を相手にこの戦いぶり! ええい陣形を立て直せよ!」


闇剣士「遅い!」

▼闇剣士の一撃。

763 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 22:59:07.11 XwM80xMho 2048/3213


▼騎士Cは血しぶきをあげて吹き飛び、壁へと激突した。

騎士C「かはっ…俺の…魔法装甲の盾と鎧がァ…ッ」


闇剣士「我が剣の前に、魔法障壁など無力」

騎士A「気をつけろ。さっき受けてみてわかったが、インパクトの瞬間にこちらの魔力を無効化されているような気がする」

騎士B「何!」

騎士A「なんなんだこいつは!」

闇剣士「私は彼女を護る剣であり盾」ズズッ

▼闇剣士は剣を正面に振りかざした。


騎士A「あの剣だ…無効化じゃない! 魔力を吸われている!?」

騎士B「くっ…ひぃぃぃ」

闇剣士「そこを通してもらう!」

闇剣士「一閃!!」



  ・   ・    ・



 

764 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 23:02:44.24 XwM80xMho 2049/3213



衛兵「ほ、報告!」

衛兵「南西水路より侵入者1名! 現在は庭園内で交戦中です!」

衛兵「待機中の騎士様方がすぐに応援を…」

衛兵「え…き、騎士様!」


騎士A「 」

騎士B「 」

騎士C「  か、ぁ…が」

衛兵「ひっ! な、なんだこれは――――」

ザシュッ

衛兵「げひゃうっ」

闇剣士「…」

闇剣士「ふ…やはり来たか」

闇剣士「そうでなくてはな。我が好敵手」

765 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 23:08:22.37 XwM80xMho 2050/3213



【グリモワ城・中庭】


傭兵「よっと…これで終いか」

騎士D「 」

騎士E「 」

騎士F「かはっ…き、きさま」

傭兵「殺しちゃいない。だが集団でかかって来られちゃ手加減もできなかった」

騎士F「何者だ…我々は、がはっ、グリモワ騎士団なるぞ」

傭兵「そうかよ。俺の国じゃせいぜい分隊長ってとこだな」

騎士F「きさまー! 俺は、前々回闘技大会の覇者だぞ!! ぶち殺してや―――」

ザシュッ

騎士F「…ッ」ドサッ


傭兵「程度が知れるぜ。どうもあの国王、てめぇらのことすら使い捨てのコマとしか思ってねぇようだな」

傭兵(闘技大会は人材をかき集めて餌付けするためか。たいした飼い主様だぜ)

傭兵「さて、地下室か…」

766 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 23:14:08.71 XwM80xMho 2051/3213


【グリモワ城・階段前広間】


コツコツ


闇剣士「来たか」

傭兵「やっぱてめぇの殺気だったか」

闇剣士「何人狩った」

傭兵「衛兵を5。騎士を3」

闇剣士「なら雑魚の差で私の勝ちだな」

傭兵「誰も勝負してねぇよ」

傭兵「で、なんでここにいやがる」

闇剣士「理由などわかっているだろう。貴様と同じだ」

傭兵「マナを…奪いに来たのか」

闇剣士「仲間が監禁されているのを見捨てるほど、私達魔族は薄情な生き物ではなくてな」

傭兵「仲間…」

闇剣士「あぁ。貴様が仲間だと信じていたマナという少女は、私と故郷を同じくする、魔族だ」

傭兵「……」

傭兵「関係ねぇよ。生まれも育ちも、関係ねぇ。俺にとってマナはマナだ」

闇剣士「! そうか」

767 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 23:21:52.77 XwM80xMho 2052/3213


闇剣士「貴様はいつ会っても迷い苦しんでいるように見えた」

闇剣士「だが、貴様はこうしていつでも答えを出してきた」

傭兵「……」

闇剣士「一度心に決めた以上は、直刃のように真っ直ぐに突き進んできた」

闇剣士「過ちを繰り返し、なおも挫けようとも」

闇剣士「貴様は恐れることなく立ち上がる」

闇剣士「それは、貴様の無鉄砲さや命知らずゆえではないことくらい私にも分かる」

傭兵「何が言いてぇ」

闇剣士「…忘れるな。傷つかぬものに覇道はない」

闇剣士「失敗や痛みすらも、己の糧となるのだ」

傭兵「あぁ。俺は、この先に待ち受けるどんな現実も受け入れる」

傭兵「なにがあろうとも…マナを護る」

闇剣士「ふ…無用なおせっかいだったか」

闇剣士「だが彼女を手に入れるのは私だ」

傭兵「てめぇ!」

768 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 23:28:01.45 XwM80xMho 2053/3213



闇剣士「いま戦う相手は私ではないはずだ」

傭兵「あぁ。すべてにおいてマナの奪還が最優先だ」

闇剣士「しかしどうやら、一筋縄ではいかんようだ」

傭兵「この階段を降りた先に…マナが…」




【地下牢】


魔法国王「はぁ。きみ、すこしは話せないの」

魔法国王「せっかく人型をしてるんだからさぁ」

魔法国王「ぼくとおしゃべりをしようよ」

魔女「…」

魔法国王「やれやれ、その幼い肢体に鞭でも打ってやったほうが素直になるのかな」

魔法国王「それとも、頭の中をいじくられるのが好みかい?」

魔女「あなたに話すことはない」

769 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 23:36:06.89 XwM80xMho 2054/3213



魔法国王「いいかい魔物の子。きみはぼくの良心で生かされているってことを忘れちゃいけないよ」

魔女「私の命なんていらない」

魔女(ユッカたちが自由なら…それでいい…)

魔法国王「そんな狭いとこでじっとしているのは辛いだろ? ぼくの問いに答えれば少しは広い部屋にうつしてあげるよ」

魔女「こんなの慣れっこだから」

魔法国王「そ。やっぱり忌み嫌れてきたんだねぇ」

魔法国王「監禁されたことは、一度や二度じゃないってことだよねぇ…ふふふ」

魔女「!」

魔法国王「ふふ、ははは。虚勢を張っても、過去をほじくられるのは嫌いとみた」

魔法国王「どれ、少しみせてみなよ。きみ」ズズッ

魔女「い、いや…」

魔法国王「…ん、なんだ。記憶がうまく読み取れないな。なにかが中で混在している?」

魔女(一号ちゃん…私をまもってくれるの?)

770 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/13 23:42:02.02 XwM80xMho 2055/3213


魔法国王「なんなんだ。くそぅ、わからないことだらけでイライラしてきたよ」

魔女(ありがとう…ありがとう…)

魔法国王「こうなったら、多少痛い目みさせてでも」ズズッ

魔女「…!」



コツコツ コツコツ

魔法国王「ちっ…いいとこで邪魔なのが来たよ」

魔法国王「やぁ。城内探検は楽しかったかい」

傭兵「あぁ…! 愉快なアトラクションがいっぱいだったぜ」

闇剣士「マナ…」

魔女「ソル!! ど、どうして…」

傭兵「お前と約束したからな…絶対に幸せにするって。子供産んでもらうって」

闇剣士「それはけしからん話だな」

魔法国王「なんだこっちの男……まぁいい」

魔法国王「…少々物足りなさそうなきみたちを、ぼくが直々にもてなしてあげようかな!!」

傭兵「くるか!」ジャキ

闇剣士「参る!」キィン




第29話<囚われの少女>つづく


 

788 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 21:42:18.74 x8fcgf66o 2056/3213

第29話<囚われの少女>つづき



攻防がはじまって数分。
まさに石に針といったところだった。
俺と闇の魔剣士は連携して続けざまに波状攻撃を仕掛けるが、奴の強固な結界の前にあえなく弾かれた。

奴の杖先から放たれる結界を破ることができずにいた。


傭兵「ぐっ」

闇剣士「……」

傭兵「てめぇ、結界やぶれるんじゃねぇのかよ」

闇剣士「城壁のような無人の設置型ならな」

闇剣士「だが奴のように常に魔力を流し続けられると、私の剣でも吸いきれん」


魔法国王「ぼくを前に全ての攻撃は無駄だと気づいたかい」

魔法国王「剣士のきみたちの力じゃ、それを助けるどころか、近づくことすらできないのさ」

魔女「……ソル」

傭兵「魔力は底なしかよ…ッ」

傭兵「ヒーラちゃんの結界とは比にならねぇな」

魔法国王「伊達に魔法国王を治めちゃいないさ」

789 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 21:47:35.19 x8fcgf66o 2057/3213



魔法国王「さて、そろそろ反撃してもいいかな」

傭兵「…ッ!」

魔法国王「貫け」

▼魔法国王は無数の光弾を放った。


闇剣士「疾い!」

傭兵「ぐあっ」


目もくらむような光の弾丸が、防ぐことも回避することすらもできない速度で
俺たちの身体に降り注いだ。

闇剣士「く…ダメージはたいしたことはないが」

傭兵「かわせるかよ」

魔法国王「生身にしては頑丈だねぇ。ま、こうやって結界を出しているから威力が弱まっているだけなんだけどね」

魔法国王「もっとうけてみなよ。ジャブでなぶり殺しっていうのも楽しいかもね」


▼魔法国王は無数の光弾を放った。


傭兵「…ッああ」

闇剣士「く…私でも見切れん」

790 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 21:53:05.53 x8fcgf66o 2058/3213


  

   ・    ・    ・


為す術がなかった。
こちらの斬撃は全て弾かれる上に、相手の攻撃は不可避の速度。

光弾ひとつひとつの威力は並以下でもダメージは徐々に蓄積していく。


傭兵「…がはっ」

ついに俺は血を吐き出して、膝をついた。

魔女「!」

魔法国王「せめてガード役をつれてくるべきじゃなかったかい?」

魔法国王「そっちのローブのきみもタフだが、いい加減疲労の色が見える」

闇剣士「私は…貴様のような外道に屈することはない」

魔法国王「へぇ。なら折れるまで続けてあげよう」


▼魔法国王は無数の光弾を放った。

傭兵「うぐああああっ!」

魔女「…! も、もうやめて…私のことはいいから…」

魔女「お願い…逃げて」

傭兵「マ…ナ…がは、げほッ」

791 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:00:16.55 x8fcgf66o 2059/3213



魔法国王「まだ諦めないのかい」

魔法国王「だったら…もう消し炭にしてあげよう」

魔法国王「どうせきみたちはここまで潜り込んだ以上、死罪は免れない」

魔法国王「判決を待たずしてぼくが直々に手を下してあげよう」ズズッ

闇剣士「結界が弱まっていく…今しかない」

傭兵「!」

魔法国王「消え失せろ」

▼魔法国王は巨大な光弾を放った。


闇剣士「この魔力量は!」

傭兵(でかい…うけきれない)

「聖守護結界!」

傭兵「!」

▼僧侶は光の壁を創りだした。

僧侶「ううう…くぅぅ…ッ! ソル様、ご無事ですか!」

傭兵「ヒーラちゃん!」

792 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:05:13.51 x8fcgf66o 2060/3213


魔法国王「何!? ぼくの攻撃を防いだ」

勇者「マナを放せ!! はあああ」

魔法国王「勇者くん! きみがいつの間に」

勇者「やっ!」

傭兵「ユッカよせ! お前じゃそいつには勝てない」

勇者「勝てなくていい! ボクはマナを助けたいだけなんだ!!」

傭兵「お、おい!」

ユッカは剣でグリモワ王を退けたあと、背後の牢へと真っ直ぐに走っていった。


勇者「マナ!」

魔女「ユッカ…どうしてきたの」

勇者「来るにきまってるでしょ! いま出してあげる」

魔女「だめ。檻にはカウンター障壁が展開されている。触ると」

勇者「え…」

バチッ

勇者「ぎゃっ…痛ッ」

勇者「こ、こんなもの! ボクが剣でぶっ壊してやる!」

バチッ バチッ

793 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:10:39.13 x8fcgf66o 2061/3213


バチッ バチッ


勇者「このっ! このぉ!」


魔法国王「無駄だよ。その牢屋は最高位の術でガードしてある」

魔法国王「きみごときの剣術じゃどうにもならないさ」

勇者「うるさい! はやく解け!」ガンガンッ

魔法国王「…ま、きみが疲れるだけだ。勝手にしなよ」

魔法国王「それにしても、ボクの攻撃を防ぐ子がいるなんてね」

僧侶「……マナちゃんを解放してください」

魔法国王「愚かだ。せっかくきみたち2人はぼくの妃になれる器だったのにね」

傭兵「どうして来てしまったんだ」

僧侶「ソル様1人が戦っている間、家でも待ってることなんてできません」

闇剣士「……」

僧侶「…って! きゃっ、こ、この人まで…!?」

闇剣士「今は貴様達に剣を向ける気はない」

傭兵「こいつもマナを手に入れにきたクチだ」

闇剣士「我が同胞が捕えられているとなれば、見捨てるわけにはいかんのでな」

僧侶「同胞…?」

794 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:16:34.11 x8fcgf66o 2062/3213


魔法国王「やれやれ、とんだ飛び入りゲストだ」

魔法国王「賑やかなのはきらいじゃないけど、女子供をいたぶる趣味はないよ」

傭兵「マナを捕らえておいてどの口がいいやがる」

魔法国王「…あくまで人間のね」

魔女「……」

傭兵「貴様!」

勇者「マナは魔物なんかじゃないっていってるでしょ!」

勇者「マナを解放してよ! こんなのひどいよ!」

魔女「ユッカ。もういい…帰って」

勇者「そんな…やだよマナ…絶対助けるんだ!」

バチッ バチッ

勇者「あうっ」ドサッ

僧侶「ユッカ様!」

魔法国王「……どうやら、これはぼくの説明不足が招いた結果かもしれないね」

魔法国王「謁見の間できみたちに会った時、しっかりと説明しておくべきだった」

魔法国王「そいつは、決してこの世に解き放ってはいけない化け物の1人なんだよ」

795 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:21:53.51 x8fcgf66o 2063/3213


傭兵「なぜそこまでマナに執着する」

傭兵「魔物ならそこら中にいる。なんなら俺の隣にだって」

闇剣士「……」

魔法国王「へぇ、その男は魔物なのか。ローブで魔力が薄まっているから気づかなかったよ」

魔法国王「というか、きみごとき半端な凡夫は魔物だろうが人間だろうがどうでもいい」

闇剣士「…!」

傭兵(半端…?)


魔法国王「きみたちが納得してそれを手放せるように、ぼくがそいつの脅威についておしえてあげよう」

魔法国王「まず、きみたちの質問に答えようか」

勇者「マナを放せ!」

魔法国王「それは質問じゃないよね」

勇者「どうしてマナが危険だっていうの! マナはいい子なのに!」

魔法国王「それは、そいつが古の災厄を秘めているからさ。おそらくね」

魔女「…」

僧侶「災厄…」

796 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:28:48.75 x8fcgf66o 2064/3213


魔法国王「災厄については知っているかな?」

僧侶「はい…」

傭兵「魔王のことだろ」

魔法国王「魔王…ね。まぁ伝承に残っている情報なんてわずかなものだよね」

魔法国王「だがこのグリモワという国は違う。王家の意思は古の大戦より脈々と受け継がれ、すべての術書、調書がいまもなお現存している」

魔法国王「災厄ときいて、きみたちは具体的にどんな力を思い浮かべた?」

傭兵「……」

僧侶「えっと…天災のように、竜巻を起こしたり…雷をふらせたり…?」

魔法国王「あぁ、あたらずとも遠からず。世界のどこかにはそういう力をもった魔王もいたかもしれないね」

魔法国王「災厄とは、限りなく研ぎ澄まされた魔術」

魔法国王「ぼくらが俗に秘術と呼んだりする物の、更に高位なものさ」

僧侶「え…」

傭兵「秘術だと」

魔法国王「そう。それは、人類の研究と叡智の果て、なんだよ」

797 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:34:28.54 x8fcgf66o 2065/3213


魔法国王「だけど何時の世も、行き過ぎた力は人を狂わせるんだね」

魔法国王「先代から受け継いできた秘術を更に研ぎ澄ますほどの尖りすぎた才能は」

魔法国王「やがて自らをコントロールできずに邪悪の化身となり」

魔法国王「この世に災厄をもたらした」

勇者「秘術って…?」

魔法国王「きみたちも経験したことがあるはずだ」

勇者「……?」

魔法国王「ピンとこないかな?」

魔法国王「なら勇者くんにとって身近な例をだそうか」

魔法国王「例えば、ピニオンのクロノさんには不出来な弟がいただろう」

勇者「闇の呪術師!?」

闇剣士「……」

魔法国王「残念ながら魔法使いのポテンシャルとしては姉のほうが上だったようだけど、弟は時魔術一点に関しては姉を遥かにしのぐ才能を見せた」

魔法国王「だが、ゆえに力に溺れたのさ」

798 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:41:02.28 x8fcgf66o 2066/3213


魔法国王つまり、あれも放っておけばいずれ災厄になりうる一つのケースだった」

魔法国王「闇に堕ちた彼が時魔術を極めたとき、この世を変貌させるほどの力になっていただろうね」

魔法国王「あの秘術によってなにがもたらされるか、身をもって体験した人がいるんじゃないか?」

傭兵「…!」

魔法国王「いずれは街一つ、いや国一つの歴史を巻き戻す力になっていたかもしれない」

僧侶「そんな……そんな力ありえません」

傭兵「たかが人間1人がそんなことできるわけないだろ」

魔法国王「凡夫には永遠にわからないことさ。人間が心の持ちよう次第でどれほどの力を得ることか」

魔法国王「ま、辛くもそれは勇者くんたちによって無事阻止されたようだけどね」

勇者「…うう」

魔法国王「ぼくとしては惜しい才能を失ったよ」

魔法国王「ぼくに付き従えば、自信の才能を活かしたより良い道もあったはずなのにね」

傭兵「ならお前がクロノさんを狙っている理由は、時魔術を手に入れるためだけか!」

魔法国王「…そうかもしれないね」

魔法国王「弟はさきに魔物に取られちゃったしね」

傭兵「…貴様」

799 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:49:43.59 x8fcgf66o 2067/3213


魔法国王「さて災厄がなんたるかはわかっただろう?」

魔法国王「そいつの危険性も」

魔女「……」

闇剣士「貴様が少女をさらった目的は、古の災厄…とやらを手に入れるためか」

魔法国王「白々しい口を聞くなよ」

魔法国王「いかにも、ぼくの目的はそいつの中の力を引き出して、手中に収めること」

魔法国王「それが出来なきゃ危険だから殺す」

魔法国王「さらに、そいつの場合、なんと2つだ」

闇剣士「2つだと」

魔法国王「ふ、ふふふ、はは…2つの災厄を身に宿しているなんて…」

魔法国王「ラッキーだね」

傭兵「いいかげんにしろ! マナはてめぇのコレクションじゃねぇ」

勇者「そうだよ!」

魔女「2つ……」

傭兵(キュウから奪った力か…あいつも自分が災厄だとか自称してたな)

傭兵(あの時…俺はどうしてマナを止められなかったんだ…クソッ!)

800 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 22:56:27.11 x8fcgf66o 2068/3213


魔法国王「秘めた災厄が1つなら、まぁ少々放置しててもなんとかなるが、2つとなれば話は別」

魔法国王「どっちが先に覚醒するかわからない。ぼくも早急に手を打つ必要があった」

魔法国王「仮に2つの力が組み合わさったら、この世の地獄だよ」

勇者「2つ…なんのこと」

僧侶「どういうことですか…?」

魔法国王「えーっとねぇ。竜巻と地震がいっぺんに襲ってきたら大変じゃないか、って話さ」

傭兵(あっけらかんと言いやがって)

闇剣士(どこまでつき止めているのか。この男、私の想像以上の魔覚をもっているようだな…)


魔法国王「世を壊すほどの危険な力をもったやつらが野放しにされるのは危険だろ?」

魔法国王「だから未来永劫、ぼくが管理するのさ」

魔法国王「つまりぼくは、先祖代々続く魔術の管理者ってとこかな」


傭兵「だが、マナ自身の力なんてせいぜい人から魔力を吸い取る程度だ」

傭兵「お前が危惧するほど危険性があるとも思えない!」

魔女「……」

801 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 23:00:59.01 x8fcgf66o 2069/3213



魔法国王「…ふふ、なぜか魔力をもたない鈍いきみにはわからないだろうけど」

魔法国王「魔力とは生物にとって命の源」

魔法国王「それが他者に奪われるというのは、即ち生命の危機なのさ」

魔女「…う」


傭兵「だが、死にいたらしめるほどではない」

傭兵「ユッカやヒーラちゃんはずっとマナと一緒にいても、大事には至っていない」

魔法国王「いまはね。だが力は使い続ける内に進化する」

魔法国王「それにその2人は飛び抜けた魔力量をもっているだろう。支障は少ないのも頷ける」

魔法国王「だけど、いずれは人の命なんて、息をするかのごとく吸いとってしまうかもしれないよ」

魔女「…!!」

傭兵「そんなばかな話が!!」

傭兵「仮にそうなったとしても、マナがそんなことをするわけない!」

802 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 23:04:59.27 x8fcgf66o 2070/3213


魔法国王「こいつの場合自分で一切コントロールできないから厄介なんだよ」

魔法国王「災厄って位置づけられるくらいだから、そういうもんだろうけどさ」

魔法国王「ぼくだって、こうして、定期的に檻に魔力を新しく流さないと、吸われて破られてしまう」ズズッ

傭兵「…貴様」

勇者「なにするの!! やめてよぉ!!」

魔法国王「力の強まる満月の夜に、勇者くん達から離れたがることはなかったかい?」

勇者「ッ!!」

魔女「……ごめん…なさい」

勇者「ま、マナが悪いわけじゃない!」


魔法国王「教えてあげるよ」

魔法国王「そいつの災厄の名前は生命吸収【マナドレイン】」

魔法国王「生命の命を奪う、この世でもっとも忌むべき力だ」

803 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 23:09:53.71 x8fcgf66o 2071/3213


勇者「マナドレイン…」

勇者「た、ただの体質にすぎないよ! こんなの……ぐすっ、どうってことないんだから!」

勇者「マナは…絶対違うもんっ」


魔法国王「魔力を吸って自分のものに変換する魔術くらいなら、しばしばその辺に転がってる」

魔法国王「そういった魔法具すらこの国では市販されるくらいだ」

勇者「じゃあ」

魔法国王「だけどそいつのは次元が違う!!」

勇者「!」

魔法国王「覚醒してしまえば、こうやって座ったまま手の平をかざしただけで、あらゆる地平の命を吸うことだってできるかもしれない」

傭兵「なんだと…」

魔法国王「……ま、きみみたいな稀有な人間にはてんで効かないが…ぼくら普通の人間にとってはたまったもんじゃない」

魔法国王「そんな危ない力……正しく利用するもなにも、ないだろう?」

魔法国王「以上がそいつが内に秘める一つ目の災厄」

闇剣士「…」

傭兵「冗談だろ……」

804 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 23:14:41.29 x8fcgf66o 2072/3213


魔法国王「2つ目。これはまだこいつが口を割らないためはっきりとはしないが」

魔法国王「きみたち、旅の途中で災厄の継承者と出会ったんじゃないか?」

勇者「…え」

傭兵(キュウのことか…)

傭兵(確かにあの時のキュウの化けた姿、この世の終わりかに思えた)


魔法国王「心当たりがあるようだね」

魔法国王「きみたちが来てくれたおかげで、調査ははかどったよ」

魔法国王「どうにも、こいつは心を探りづらくてね」

魔女「…」

魔法国王「災厄が2つあるせいなのか、それ以外の別の要因なのかはわからないが…」

魔法国王「まぁなんにせよ、相当の能力をこいつは他者から奪っている」

魔法国王「それがぼくがマナドレインを危険視している最も大きな理由さ」

魔法国王「命を吸う傍らに、相手の魔術まで手に入れるなんて、狂った性能だ」

805 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 23:21:59.16 x8fcgf66o 2073/3213


魔法国王「さて…どんな力だったのかな」ズズッ

勇者「うっ…やだっ、探るな。気持ち悪い!」

魔法国王「…大丈夫。ぼくの問いかけに素直に記憶を呼び起こせばすぐおわる」

魔法国王「あぁ…なるほど」

魔法国王「そうか…そんなことがあったのか」

勇者「やめろーー!!」

魔法国王「もう1つもすばらしい力だ。美しいほどの破壊の化身」

魔法国王「命を喰らい、蹂躙し、破壊のためだけに生きる獣」

勇者(キュウちゃんは…そんなんじゃないっ!)

魔法国王「神獣変化とでも名付けようか」

魔法国王「ぼくたちの世界では珍しいタイプの能力だね」

闇剣士「…災厄は遺伝によるものか」

魔法国王「ん? それが多いね、元をたどれば魔術だからね」

魔法国王「習得した魔術はその家系に代々遺伝する事が多い」

魔法国王「先代が極めた秘術となれば間違いなく、子孫は生まれた時から内に秘めている」

魔法国王「ぼくだってハイハイを始める前にゆりかごを結界で包めたくらいだ」

806 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/16 23:29:24.80 x8fcgf66o 2074/3213


魔法国王「もっとも、それを引き出せるかどうかは、受け継いだ者の才覚次第なんだけどね」

魔法国王「勇者くん。きみはどうかな?」

勇者「え……」

魔法国王「きみだって勇者の末裔。秘術を操る資質はある」

勇者(もしかして…あの炎の柱のことかな?)


魔法国王「ぼくたちの先祖、つまり古の魔王と呼ばれた災厄を討伐したときの勇者一行は」

魔法国王「それぞれがみな、自ら編み出した秘術を持っていた」

魔法国王「ぼくの先祖、初代大魔導師の魔法堅牢」

魔法国王「クロノさんの先祖、初代賢者の時魔術」

魔法国王「そしてきみの先祖、初代勇者の浄化の炎」


勇者「浄化の炎…」

傭兵「…!」

傭兵(なんだ…こいつは何を言っている)

傭兵(俺は…一体…)

魔法国王「……ふっ、ふふ」

魔法国王(まとめて手に入れるのもおもしろいかもね)



第29話<囚われの少女>つづく


  

815 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 21:41:19.44 QFQ11tHao 2075/3213

第29話<囚われの少女>つづき



魔法国王「始祖たちは旅を終えたあと、道を違い、国を離れて暮らすことにした」

魔法国王「秘術を継承した血が交じり合うことを恐れたからだ」

魔法国王「個が力を持ちすぎると、やがて新たな災厄が生まれてしまう」


傭兵「それがお前やユッカのルーツか」

魔法国王「あぁ」

魔法国王「大魔導師は魔族領に近いこの地に魔法大国グリモワを建国し、魔物の残党から人類を護る防波堤となった」

魔法国王「賢者はそれを補佐できるよう、ピニオンへ移り住んだ。当時の国名はしらないけどね」

魔法国王「勇者は海をわたって生まれ故郷へ舞い戻った」

魔法国王「……さて、赤髪。きみの出自はどこだったかな?」

傭兵(俺は…)

816 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 21:48:12.47 QFQ11tHao 2076/3213


傭兵(浄化の炎は始祖勇者の編み出した秘術だと……なら俺は…やはり)

傭兵(グレンという男と関係が)

傭兵(……いや、こいつの話がどこまで本当かわからない)

傭兵(真っ赤なウソの可能性もある)

傭兵(だがこんな話をわざわざ作ってまでするか?)


勇者「おかしいよ…だったらボクたちはいまいちど、力を集めるべきじゃないの…?」

勇者「魔王が復活の兆しをみせていることくらい、王様だってわかるでしょ!」

勇者「先代勇者達の血をひくボクたちが協力して、阻止しなきゃいけないよ…」

勇者「ボクたちの力と王様の防壁があればきっとなんだって倒せる!」

魔法国王「たしかに、ぼくらの先祖は、秘術によって無事魔王を打倒したよ」

魔法国王「だが、前もいったけど、グリモワは外の世界に干渉する気はない」

魔法国王「最悪魔王が復活したとしても、このグリモワの防壁をやぶることはできないからね」

勇者「……そんな」

傭兵「ユッカ。こいつに何を言っても無駄だ」

817 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 21:53:52.28 QFQ11tHao 2077/3213


傭兵「先代がどう思うかわからねぇが、一度違えた道」

傭兵「マナを監禁するこいつと組むことはない」

魔法国王「それがいいよ。わかりやすい」

魔法国王「ぼくらは1000年の時を超えて、戦う星の元に生まれてきたのさ」

魔法国王「きみたちも、ほうっておくと厄介だね」

傭兵「ユッカの力が、災厄になり得るとでも言うのか」

勇者「!」

魔法国王「人がみな、正義に則って力を正しく行使できるとは限らない」

魔法国王「ま、ぼく自身は人間ができてるからそんな心配は欠片もしてないが」

闇剣士「すでに貴様は堕ちているとおもうが」

魔法国王「いいねそのツッコミ。あまりに心外だ」

魔法国王「ぼくは始祖の意思を継いでこの地を、ひいては人類を災厄から護ろうとしているんだよ」

魔法国王「邪悪に堕ちているわけがないじゃないか!! ははは!」

傭兵「てめぇの言う人類は!! グリモワの人間だけかよ!!」

818 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:00:13.39 QFQ11tHao 2078/3213


魔法国王「このグリモワは! 人類にとってのシェルターなのさ!」

魔法国王「選ばれた人間だけが暮らし、恒久の平和と幸福を享受することができる!」

魔法国王「ぼくの一族が作った最後の楽園だ!! ははは!」

僧侶「なんて人…」

勇者「この人…どうしてこんな邪悪な気配を纏えるの」

傭兵「…わかったぜグリモワ王。人を試し、人の命を弄んでいるのは貴様だ!!」

魔法国王「…ふふ、ははは。あらかじめ危険の芽を摘んでいるといってくれないか」

傭兵「てめぇはほうっておくと、世界の秩序を乱す!」

闇剣士「どうやら、次なる災厄に一番近いのはこの男のようだ」

魔法国王「やれやれ…」

魔法国王「どれだけそれの危険性を説明しても、きみたちの瞳から闘士が失われることはない」

819 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:02:41.43 QFQ11tHao 2079/3213


魔法国王「だめだねぇ」

魔法国王「どれだけ危険性を説いても、きみたちの瞳から闘士が失われることはない」

魔女「……」

魔法国王「事の次第は全てぼくに任せておけば丸くおさまるものを……」

魔法国王「つまりさぁ。世界が滅びるとしても、こいつを取り戻したいってことかな」


傭兵「あぁ。御託はいいからマナを返せ」ジャキン

僧侶「世界が滅ぶなんて、そんなことには私達がさせません」

勇者「マナは大丈夫。ボクの仲間なんだ。だからマナを返して」

魔女「みんな……」

傭兵「今助ける」

820 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:06:55.00 QFQ11tHao 2080/3213


魔法国王「そっちの半端者のきみはどうする」

闇剣士「…例えばだ。災厄の力を少女から完全に抜き取って、貴様が手に入れるということはできるのか」

闇剣士「少女を無力化し、普通の子供にすることはできるか」

魔法国王「…無理だよ。ぼくはマナドレインを持っていないからね」

魔法国王「能力をポンと綺麗抜き出す方法があるなら、こんな周りくどいことをせずに、とっくにやってるさ」

魔法国王「ま、それができたらぼくはグリモワだけでなく史上最強の王として、この世界に君臨できるんだけどね」

魔法国王「魔法大国の王様だから、ぼくが魔王ってのはどうだい? ははは」

魔法国王「ははははは!」

傭兵「…!!」

勇者「…何、このビリビリくる感じ」

僧侶「さいっっていです!」

闇剣士「……それが貴様の返答か。ならば交渉は決裂だ」

魔法国王「あ゛ー、そう。……きみも苦労してそうだね」


闇剣士「ソル、いま一度を手を貸す。どうやら野放しにしてはいけないのはこの男のようだ」

傭兵「あぁ、ちょうど言おうとしてたとこだ」

821 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:12:59.48 QFQ11tHao 2081/3213



魔法国王「4人同時でもいいよ」

勇者「ヒーラはひたすらボクたちの防御に」

僧侶「わかりました」

闇剣士「勇者。前衛はまかせてもらおう」バサッ

勇者「…! うん」


魔法国王「来なよ。そして己の才のなさに絶望しろ」


傭兵「…!」

俺と魔剣士は同時に踏み込んだ。
いまだ奴の強固な防壁を破る術はない。

傭兵(だがこちらの手札は2枚増えた!)

ユッカは魔法で遠距離攻撃を仕掛け、ヒーラちゃんの結界は光弾からの盾となる。

また奴は定期的にマナの檻に対して魔力を注ぎこまなくてはならない。
檻を囲む魔法障壁をマナは中から魔力を吸って破ることができるからだ。


傭兵(必ず隙は出てくる)

822 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:17:22.97 QFQ11tHao 2082/3213



ギィン! バチッ バチッ


傭兵「ぐあっ」

僧侶「ソル様、一度下がって。聖守護結界!」

魔法国王「きみの防壁はたいしたものだよ」

僧侶「破邪の結界です。これに防がれるということは、あなたが私達と敵対する邪な存在であることのなによりの証明です!」

魔法国王「まいったね。ぼくはぼくにとって邪魔な奴を消したいだけなんだが」

勇者「やぁあ!」

▼勇者は激しく斬りかかった。

魔法国王「おっと」ガキン

勇者「杖で!?」

闇剣士「まずい」

魔法国王「体術でも負けないよ」

勇者「!」

傭兵「ユッカいますぐ下がれ!」

勇者「あ…壁がないってことは…!?」

魔法国王「そうだよ。この距離では防げまい」


▼魔法国王は巨大な光弾を放った。

823 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:21:46.19 QFQ11tHao 2083/3213


魔法国王「消え植えろ」

傭兵「ユッカ!」

勇者「…!」

闇剣士「ぐぅぅ! 間に合え」

奴のカウンターに最初に気づいた魔剣士は、体剣を構えてユッカに前に立ちふさがり、
一身に攻撃を受け止めていた。

闇剣士「ぐあああっ」

魔法国王「いい反応だ。魔法を放つ前によく気づいたね」

闇剣士「がはっ」

勇者「…! 魔剣士」

闇剣士「勇者。これは貸しだ」

魔法国王「へぇ。耐えたねぇ。そうか、その剣で魔力を食らって威力を軽減したか」

闇剣士「…」

魔法国王「ポンコツのおもちゃにしては丈夫だね」

魔法国王「ま、きみ自信の才の無さを補うには十分ってところか」

824 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:26:00.85 QFQ11tHao 2084/3213


傭兵「うおお!」

魔法国王「きみのような雑魚は、壁をやぶることすらできない」

傭兵「…いいんだ。サシで勝てない相手ならいままでもいた」

バチッ バチッ

傭兵「てめぇを少しでも削れれば、勝機はある!」

バチッ

魔法国王「へぇ。でもぼくは案外底なしだよ」

▼魔法国王は無数の光弾を放った。

傭兵「ぐおあああっ!!」


容赦なく振りかかる弾丸に俺は殴り飛ばされ、牢内の壁に突き刺さるように直撃した。


傭兵「かはっ」

魔法国王「一発一発は微々たる威力でも、間近でそれだけうけると痛いだろう」

僧侶「ソル様!!」

魔法国王「どうした。手札が減っていくねぇ」

825 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:30:51.88 QFQ11tHao 2085/3213



魔女「……無理よ」

魔女「戦わないで」

魔女「あなたたちが傷ついていくのを…みたくない」


勇者「マナのうけた苦しみにくらべたら、こんなのどうってことない」

勇者「絶対助けるから…う、えほっ」

勇者「血が…」

僧侶「ユッカ様」

闇剣士(もはや満身創痍か。だが、切り札はまだある!)

闇剣士「勇者。私の言うことを聞け」

勇者「…え」

闇剣士「貴様がバザで見せたあの術を使え」

勇者「バザ…?」

闇剣士「魔力をソルにたくせ」

闇剣士「このままではジリ貧になる。貴様の力を分け与えるのだ」

勇者「…! そうか、あれがあった」

826 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:35:56.90 QFQ11tHao 2086/3213


勇者「ソル!」


傭兵「ぐ…ユッカ」

勇者「大丈夫!?」

傭兵「あぁ、だが、折れてるなこりゃ」

勇者「…ちょっと、顔みせて」

傭兵「え」

勇者「ん……ちうっ、ちゅる」

傭兵「!?」

▼勇者は魔力貸与を使った。

傭兵(ユッカお前…)

勇者「ボクだと、うまく力を扱えないから」

勇者「ソルならきっと、ボクの魔力を使いこなしてくれるよね…」

勇者「まかせ…たよ…――」

ユッカの力が流れ込み、体が煮えたぎるように芯から熱くなる。
体は魔力につつまれ、やがて炎のように燃え上がった。
ユッカはゆっくりと目を閉じ、その場に倒れこんだ。

傭兵「…まかせろ」

傭兵「ヒーラちゃん、ユッカを頼む」

僧侶「はい!!」

827 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:40:23.47 QFQ11tHao 2087/3213


闇剣士「その力…ふ、やはり貴様は」

傭兵(傷が治っていく…昔と、変わらないな…)

闇剣士「行け!」

傭兵「あぁ。時間はすくねぇ、一気に片を付けるぞ!」

魔法国王「………」

魔法国王「へぇ。それがきみの出自を裏付けているってわけだ」

魔法国王「どうやって自分の中に封じ込めていたのかは知らないが」

魔法国王「表に出てくるととんでもない力だねぇ」

魔法国王「欲しくなったよ…」

傭兵「奪えるものなら奪ってみろ!!」

▼傭兵は炎の剣で魔法障壁を切りつけた。

魔法国王「!」

魔法国王「なんて光量だ。目が痛いよ」

傭兵「砕けろ…ッ!!」

828 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:43:49.37 QFQ11tHao 2088/3213


魔法国王「だが力押しじゃ敵わないよ」

魔法国王「根比べするにしても、魔力の量の差は圧倒的さ」

闇剣士「1対1ならな!」


バチッ

魔法国王「…ふふ、二人同時攻撃でも無駄…――」

魔法国王「…狙いはそっちか!?」



闇剣士「中から吸い続けてください。奴が時間をかせいでいるうちに私が外から、破ってみせる!!」

魔女「…!」


魔法国王「く…檻に魔力の補充を」

傭兵「行かせるかよ!!!」

魔法国王「うぐ…邪魔をおおお!!」

829 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:48:27.48 QFQ11tHao 2089/3213


魔法国王(まずい、なんて粘りだ。さっきとは別人!)

魔法国王(守り続けなければ。斬られる!)

魔法国王(おかしい…ぼくの障壁はカウンター属性、剣先をふれているだけで自身にダメージが入るはずなのに)

傭兵「うおおお!!」

バチッ バチッ バチッ

魔法国王(瞬時に回復している…! ありえない)

魔法国王(これが浄化の炎!? いや…そんなはずは)

魔法国王(なにか他にトリックがあるはずだ)

魔法国王(まさかこいつも…2つ持っているのか!?)

魔法国王(これではジリ貧はぼくの方!)

傭兵「砕けろおおおおおお!」

闇剣士「砕けよ!!」


魔法国王「!!」


ピキッ…ピシッ―――

830 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:52:46.75 QFQ11tHao 2090/3213


目の前の歪んだ空間にヒビが入り、またたく間に砕け散った。

俺の剣は奴の肩口に深くつきささり、炎を伝えていく。


魔法国王「ぐああっ!! あああ」

魔法国王「痛い…だろっ、ぼくは痛いことは嫌いなんだ」

魔法国王「だけどねぇ、きみたちの反撃はここまでだ」


奴は刀身を素手で握りしめる。指が裂け血が滴るのも気にもとめていないようだった。


魔法国王「さっき言っただろう。マナドレインほどとはいかなくても」

魔法国王「接触型のドレイン能力くらいなら習得できる!」

傭兵「!!」

ゾワリとした感覚。突如腕からどんどん力が抜けていく。
俺はやむなく剣を手放し離脱した。

傭兵「チッ、かなり吸われたか」

魔法国王「きみさえ無力化できれば…はははは!」

831 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 22:56:46.68 QFQ11tHao 2091/3213



魔法国王「はぁぁあ痛い…肩がちぎれるようだ…」

魔法国王「回復ぅううう回復をおおお!!」

▼魔法国王は回復魔法を唱えた。

▼魔法国王の傷口がみるみる修復していく。

傭兵「バ、バケモンか…」

魔法国王「ひ…な、なぜだ…炎が消えないッ! 消えないんだぁ!」

魔法国王「熱いッ、やめろおお! 痛いぃぃいい」


闇剣士「ソル。こちらの作業はおわった」

魔女「…」

魔法国王「!!」

魔女「やっと窮屈な場所から出られた」コツコツ

傭兵「はぁ…ハァー、グリモワ王。マナに触れることすらできないっていったよな」

傭兵「鉄壁が破られて、どんな気分だ…?」

魔法国王「ぐ…ッ! ううう!!」

832 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 23:02:04.02 QFQ11tHao 2092/3213



魔法国王「ありえない…ありえないこんなこと…」

傭兵「…」

闇剣士「…」

勇者「マナ…よかった…」

僧侶「マナちゃん…はやくこっちに」


魔法国王「ありえないんだあああ!! ぼくの、ぼくのグリモワプリズンが、こんな下等なやつらに…!!」

傭兵「終わりだ」

魔法国王「なんてね」パチン

魔女「…―――」ピタ

傭兵「!」

魔法国王「念には念をいれておいたぼくが、きみらごときに負けるはずないのさ」

傭兵「なにをいって…」

魔法国王「隣の男を吹きとばせ。最大火力でね♪」

魔女「……了解。術式、ダークブラスター」

▼魔女は闇の波動を放った。


闇剣士「…なっ――――」

833 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 23:07:48.68 QFQ11tHao 2093/3213



闇の波動は真っ直ぐに城壁をつきやぶり、地上までの縦穴を空けた。
そこにあったはずの壁や土は跡形もなく綺麗に消失している。


傭兵「おい…レヴァン…?」

魔法国王「いいねぇ。火力だけならぼくの光弾以上だ」

傭兵「マナ…お前なにしてんだ」

魔女「……――マスター、命令を」

魔法国王「やー、ギリギリ間に合ったよ。そいつには予め暗示をかけておいてね」

魔法国王「ぼくが本当に命の危機にさらされたときにだけ発動する、絶対服従の暗示さ」

傭兵「服従だと…」

僧侶「そんな…」

魔法国王「だけど、服従の暗示は強力すぎてね、その分対価も大きい」

魔法国王「正しい発動には相当の条件をクリアしなきゃいけないんだ」

魔法国王「よかった…」

魔法国王「ぼくを追い詰めてくれてありがとう」

傭兵「…!」

834 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 23:12:08.54 QFQ11tHao 2094/3213



傭兵「そんな…」

魔法国王「これで、こいつを思う存分支配下における! ははは!」

魔女「……――命令を」

傭兵(もう、抗えるだけの魔力は残ってない…)

勇者「マ…な…」

僧侶「ひどいです…こんなのってないですよ!!」

魔法国王「…ふふ、はは、ははは!」

魔法国王「けど、ひさびさに楽しかったよ」

魔法国王「とくに、勇者のきみらには褒美でもとらせたい気分だ」

魔法国王「なにがいい?」

魔女「……――命令を」

傭兵「マナを返せ」

魔法国王「それは無理だってば。しつこいなぁきみも」

魔法国王「ちょっといたぶってあげて」

魔女「了解」

835 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 23:17:26.50 QFQ11tHao 2095/3213



    ・    ・    ・



▼魔女は無数の氷の弾丸を放った。

傭兵「ごほっ…げほっ」

▼魔女は無数の炎の弾丸を放った。

傭兵「がはっ…――」

勇者「ソル…!」

僧侶「もうやめてください!!」

魔女「……――命令を、め、めいれい…命令を」

魔法国王「まだだ。なぶりつづけろ、そいつの心が折れるまでね」

魔女「……」

魔法国王「聞こえないのか。チッ、やはり半端な練度じゃ秘術たりえないか」

魔法国王「魔法でそいつをなぶるんだよ。魔力ならたっぷり余ってるだろ」

魔女「…了解」

魔女「術式…ダークビュレット」

▼魔女は無数の闇の弾丸を放った。

傭兵「ぐああああ!!」

魔女「…ぁ、ぁ…なぶる。なぶる…」


魔法国王「…で、褒美は決まった?」

傭兵「返…せ……マナ…を…」ふらっ

魔法国王「……はぁ」

836 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 23:23:08.25 QFQ11tHao 2096/3213



魔法国王「わかった。この先、何度もきみたちが挑んでくることを考えるとうんざりする」

魔法国王「それに、この肩の炎も消えないまま死なれてもこまるしね」

傭兵「……ぅ、ぁ」

魔法国王「炎を消してくれたら、取引してあげよう」

魔法国王「この魔物を取り戻すチャンスを、今一度きみに与える」

傭兵「本…当…か…」

魔法国王「あぁ。ぼくは秘密はつくっても嘘はつかない」

僧侶「チャンスとは、一体なんですか」

魔法国王「来週行われる聖剣争奪杯。その賞品にこれを加えてあげるよ」

傭兵「……!」

勇者「えっ!」

魔法国王「それでどうだい?」

魔法国王「きみたちが勝ち残ればいい。ぼくは約束を違えることはないよ」

傭兵「…マナ…」

魔女「命令を…命令を…」

傭兵(必ず…助ける―――から)

魔法国王「さぁ炎を消してくれ。痛みを遮断しても、鬱陶しくてかなわないよ」

837 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 23:28:12.85 QFQ11tHao 2097/3213



【古びた屋敷】



老人「だいぶ傷ついておるの」

女剣士「…よく生きて戻った…ほんとよかった」

傭兵「……」

勇者「…zzz」

僧侶「王様は私達を見逃してくれました。命を奪うことなど容易だったはずでした…ぐすっ」

僧侶「マナちゃんがっ…!」

女剣士「でも、まだ終わったわけじゃない」

傭兵「あぁ……なんの情けかしらねぇが、俺達はいきてるし、チャンスはまだある」

傭兵「あいつに弄ばれようとも、マナを奪還する」

女剣士「優勝賞金…だっけ。趣味わるいね」

女剣士「最低な王様だよ。こんな国でごめん…」

傭兵「マナは必ず取り返す…」

女剣士「あ、まだおきちゃダメっ!」

傭兵「あいつが素直に渡すともおもえねぇ、叩きのめせる力が必要だ!」

838 : ◆PPpHYmcfWQaa - 2015/08/17 23:34:56.40 QFQ11tHao 2098/3213




傭兵「ヒーラちゃん、疲れがとれたら、なにか食事頼む」

傭兵「ユッカが起きたらおしえてくれ」

傭兵「来週までにこいつのレベルあげもたくさんしなくちゃならない」

勇者「うにゅ…マナ…zzz」

僧侶「はい…」

女剣士「あっ、料理なんてあたしにやらせて! あなたたちのこと、ちゃんと支援するって決めたんだから」

女剣士「…付いていけなくてごめんね…」

傭兵「半端な戦力だと死人が出ていた」

僧侶「あの人、大丈夫でしょうか…」

傭兵「奴なら死なないさ」



【とある森】


闇剣士「ぐ…う」

闇剣士「ずいぶん飛ばされたな…ぐあ、体のダメージは隠せんか」

サキュバス「大丈夫? まだ起きないほうがいいわよ」

闇剣士「貴様は…」

サキュバス「あはっ、なんでそんなボロボロなの? ってだいたいの事情はしってるけどね」

サキュバス「ねぇ、力が欲しいんでしょ?」

サキュバス「あたしと…特訓しない?」



第29話<囚われの少女>おわり


 



《次話》
第30話<マナ>


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