1 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 20:22:39.72 ypEbwZ0/0 1/46





初月「提督め……この執務室を掃除すればするほど」

初月「青年雑誌が埃のように出てくるじゃないかっ」

初月「あのバカ……」カァー…



初月「三日も家を空けるなら、せめて隠して行けばいいだろっ」

初月「こんなものを目にする僕の気持ちにもなれ!」






元スレ
【艦これ】初月「なんて不埒な……っ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455535359/

2 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 20:27:06.83 ypEbwZ0/0 2/46




今作も以下の続きとなります

【艦これ】初月「長10cmを返してくれ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455370950/
http://ayamevip.com/archives/46828851.html

【艦これ】初月「き、今日は……提督の所にいかないのか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455432274/
http://ayamevip.com/archives/46837183.html

何日も連続してのスレ立て、申し訳ありません

もしよろしければ、ごゆっくりどうぞです




4 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 20:36:44.09 ypEbwZ0/0 3/46




初月「はぁ……」

初月(……一人ごちても、仕方ない……か)

初月(……しかし……)

初月(こんなものを読んでるくらいだから)

初月(“興味”は……あるんだよな)

初月(…………)

初月(僕にそんなを気配を見せたことはないのに)



5 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 20:42:25.92 ypEbwZ0/0 4/46




初月(奴の秘書となって一週間)

初月(分かっていたことだが、僕にはやはり……)

初月(女の魅力はないらしいな)シュン




6 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 20:50:53.94 ypEbwZ0/0 5/46




初月(奴は内地に出張だと言ったな)

初月(行先は教えてくれなかったが……)

初月(…………)

初月「なんだかもやもやしてきた」


初月「休憩しよう……」




10 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 21:16:14.34 ypEbwZ0/0 6/46




ガラッ


初月「もう夜だったのか……気付かなかった」

初月「…………」

初月「……“月”が見えはじめたな……」



初月「……秋月姉さん、照月姉さん」

初月「……今も元気にやっているか?」




14 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 21:24:43.31 ypEbwZ0/0 7/46




ブォォォォォォォォン……


初月「!」

初月「輸送機……帰ってきた」ニコッ




15 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 21:33:07.01 ypEbwZ0/0 8/46




「ただいま……」

初月「提督、ご苦労様」スクッ


ガチャ


初月「今回の出張は、一体何を……」

初月「……っ!」

提督「やあやぁ、初月君」ハハハ

初月「おい、顔がものすごく腫れてるぞっ」

初月「どうしたんだ!」




16 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 21:39:13.21 ypEbwZ0/0 9/46




提督「転んだ……」

初月「……転んだ?」

提督「輸送機の揺れのせいでね」

提督「ゴッ……て音がした」

提督「乗組員の皆に一斉に見られてもうやだ」シュン

初月「そ、そうか……」

初月「待っていろ、今氷嚢を作るからな」


タタタッ……


提督「……」

提督「“中佐ごときが”……か」

提督「……ちくしょう……」グッ




17 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 21:46:27.27 ypEbwZ0/0 10/46




………………
…………
……


初月「提督、新しい艦だ……よかったな」

提督「うん、艤装との馴染みもいいらしいね」

提督「少し、顔を出してくるよ」

初月「あぁ」


バタン

初月(…………)




18 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 21:53:02.93 ypEbwZ0/0 11/46




バンッバンッ

ガッ!

初月「チィッ、当ててくるな……っ!」

瑞鶴「初月!」

初月「心配するな、僕はまだ戦える」フフッ

初月「瑞鶴、そのまま流星を四時の方角へ飛ばし続けてくれ」

初月「この演習、勝てるぞっ」


……
…………
………………




19 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 21:57:02.79 ypEbwZ0/0 12/46




初月「いつもすまないな……五十鈴」

五十鈴「お安い御用よ、初月っ」

五十鈴「で?その提督の余裕がどうとかだけど……」

初月「あぁ……」

初月「実はあの日から、提督の様子が少しおかしいんだ」




20 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 21:59:26.66 ypEbwZ0/0 13/46




五十鈴「おかしいのは前からよ?」

初月「そ、そんなことを平気で言うんじゃないっ」




21 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 22:07:11.93 ypEbwZ0/0 14/46




初月「今日、新しい艦娘が着任しただろ?」

五十鈴「えぇ、たしかあの“千代田”って子ね」

初月「あぁ」

初月「あれから艦娘を“建造”したのはこれで10回目だ」

五十鈴「へぇ……」

初月「それに、演習の回数も明らかに増えている」

五十鈴「そう?よそじゃあのくらい、普通にやってるわよ?」

初月「あぁ……実際、僕たちはそれで構わないのだが……」



初月「提督の方に、いつもの余裕がないように見えるんだ」




22 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 22:18:26.40 ypEbwZ0/0 15/46




五十鈴「なるほどね……」

初月「僕の杞憂なら、それでいい」

初月「だが……もし、僕の手腕に問題があるなら改善したい」

五十鈴「ふふっ、あなたはよくやってるわ」

初月「だ、だが……」オロオロ


五十鈴「……ぷっ」

初月「……なんで笑うんだっ」

五十鈴「……べっつにー?」



五十鈴(……幸せな人ね、提督も)




23 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 22:27:52.35 ypEbwZ0/0 16/46




五十鈴「五十鈴にも、具体的なことは分からないわ」

初月「そうか……」

五十鈴「でも……今は提督にとって」

五十鈴「きっと、とても大事な時なのよ」

初月「大事な時?」

五十鈴「そうよ……」


五十鈴「だから、あなたは彼を信じて……」

五十鈴「隣で支えてあげなさい」ニコッ


……
…………
………………




24 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 22:38:36.50 ypEbwZ0/0 17/46




初月(支える……か)


提督「…………」ジー…

提督「…………」カキカキ

提督「……よしっ」

提督「ご飯作る!」


初月「!」

初月「ま、待てっ」

初月「今日は僕が作ろう!」

提督「え、だって君まだ……」




25 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 22:51:48.39 ypEbwZ0/0 18/46




初月「…………」ジワ…



提督(焦げて歪な玉子焼きの下に、麦飯を炒めたもの……)

提督(……“オムライス”を作りたかったのかな)クスッ




26 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 22:54:32.21 ypEbwZ0/0 19/46




初月(提督が好きな洋食……)

初月(これなら作れると思ったのに……)

初月(碌な食事をしていなかった僕じゃ……だめなんだ)

初月(……僕なんかが、提督の支えになんか……)グスッ



提督「いただきます!」




27 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:02:03.73 ypEbwZ0/0 20/46




パクッ

提督「うんまァイ!!」

初月「!」




28 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:06:38.27 ypEbwZ0/0 21/46




初月「お、おい……そんなの食べたら……!」

提督「形はよく分からないけど……」

提督「味付けはバッチリだよ!」

初月「……っ」

初月「そう……なのか?」

提督「うん!これ、簡単そうに見えてもね」

提督「オムレツを綺麗に作るの、難しいんだよ」

提督「初月ならできると思うし、今度一緒に作ろうよ!」


初月「……ていとく……」




29 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:12:26.17 ypEbwZ0/0 22/46




「「ごちそうさま」」


提督「なんか、疲れが吹っ飛んだよ!」

提督「ありがとう!」ニコッ

初月「……あぁ」


初月「お安い御用だっ」ニコッ


……
…………
………………



30 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:21:02.61 ypEbwZ0/0 23/46




提督「ふぅ……」

初月「今日もご苦労様、提督」

初月「茶を入れた……好きな時に飲んでくれ」

提督「ありがと、じゃあ早速」ズズッ…

提督「……ウマイ」

初月「そうか」フフッ




31 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:25:12.80 ypEbwZ0/0 24/46




提督「受け持つ作戦が、少しづつ大規模になってきたなぁ……」

提督「皆には無理させて、申し訳ないね」

初月「何を言う……」

初月「最近は、お前も海に出てきているじゃないか」

提督「旧式のミサイル巡洋艦“近江”に乗ってね」


提督「でも、深海棲艦相手にミサイルは通用しないから」

提督「皆の邪魔にならないように後ろの方で指揮してるだけだよ……」




32 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:31:29.01 ypEbwZ0/0 25/46




初月「いや……それでもお前は立派にやっているよ」

初月「近江に食料や燃料を載せてきてくれるし」

初月「なによりお前の指揮は一流だ」

初月「すぐ近くで共に戦ってくれるのは……とても頼もしいぞ」

提督「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」フフン



初月(以前の艦隊では、考えられなかった……)




33 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:36:06.31 ypEbwZ0/0 26/46




初月「お前に何かあったら、僕が守ろう」

提督「ははは、そうなる前に一目散に逃げることにするよ」



提督「それより、ここに……3本のアイスキャンデーが」サッ

初月「!」

提督「ほしい?」


初月「…………」コクッ

提督「じゃあ長たんも呼んどいで」ニコッ


……
…………
………………




34 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:46:30.50 ypEbwZ0/0 27/46




提督『……やっこさん、なんて言ってる?』ザーッ

駆逐棲姫「……」

初月「あぁ、降伏に応じるそうだ」

提督『ん、了解』ザザッ




提督「皆、よく聞け」

提督「現時刻を以て、捷四号作戦は終了だ」

提督「……よくやった」



……
…………
………………




35 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:50:07.82 ypEbwZ0/0 28/46




ゴロン

提督「お疲れ様、初月!」

初月「あぁ……」ドキドキ

提督「ん?どしたの」

初月「……仕方ないだろう」ドキドキ


初月「……僕は今」

初月「お前に“腕枕”をされている……」カァー…




36 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:53:18.48 ypEbwZ0/0 29/46




提督「いーのいーの」

提督「前のお返しだってー」ハハハ

初月(また布団に一緒に入ることになるなんて……)ドキドキ



提督「そうだ初月、聞いてよ」

初月「な、なんだ」

提督「今回の作戦の成功で……」

提督「僕はついに、晴れて中将となった」

初月「あぁ、おめでとう!」ニコッ




37 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/15 23:55:53.16 ypEbwZ0/0 30/46




初月「……だが、それはさっきも聞いたぞ」クスッ

提督「あはは、そっか」

提督「でも、これでようやく……」

初月「ん?」

提督「……なんでもない」クスッ




38 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:06:39.19 IOHh01sc0 31/46




提督「それより、また提督命令なんだけど」

提督「いいかな」

初月「ん、なんだ?」

初月(また、僕の腕枕だろうか)クスッ




39 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:07:22.01 IOHh01sc0 32/46






提督「ケッコン指輪を受け取ってほしいんだ」

初月「……」


初月「!」






40 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:11:58.02 IOHh01sc0 33/46




初月「お、お前っ!?」オロオロ


提督「はじめはなんだか」

提督「ほっとけない子だなって思ってた」

提督「……でも、君は僕にきっかけをくれた」

提督「小さな島の泊地に収まる器だった僕が」



提督「初めて人のために大きなことをしようと思えた」




41 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:16:37.21 IOHh01sc0 34/46




提督「だから僕はこれを、君に渡したい」

提督「きっかけをくれた素敵な女性にね」

初月「す、すてきな……じょせい?」カァー…




42 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:23:56.29 IOHh01sc0 35/46




初月「そ、そう、いうことは!」

初月「こうい、いう時にっ」

初月「い、言うものなのかっ!」

提督「…………」


初月「……なんてバカなんだ、お前はっ」

初月「バカモノ、バカバカバカっ」

初月「そ、そこはム、ムードという、ものをだな!」

初月「それがないと、ぼ、僕だって……」ドキドキドキドキ



初月「……こ、心の準備が……」カァー…




43 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:29:32.21 IOHh01sc0 36/46





初月「…………」ドキドキドキ

提督「……受け取ってくれるか?」

初月「…………」



ギュ



初月「…………喜んで」





44 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:33:36.59 IOHh01sc0 37/46




………………
…………
……


ガチャッ


提督「たっだいま~」

初月「出張ご苦労様、提督……」

提督「今すぐ引っ越しだよ!」



初月「…………は?」




45 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:37:25.32 IOHh01sc0 38/46




提督「引っ越しだよ引っ越し!」

提督「ひっこーし!ひっこーしっ!」ピョン

提督「さっさとひっこーし!」ピョン

初月「ち、ちょっと待てっ」


初月「引っ越すって……どこにだ!」

提督「……内地の鎮守府さ」

初月「!」




46 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:40:56.22 IOHh01sc0 39/46




提督「軍令部総長直々に、指示を頂いた」ピラッ

初月「指示?」

提督「えーっと、帝国本土の関東方面二個歩兵師団と高射砲部隊」

提督「工兵隊、新鋭航空機群、艦艇部隊」

提督「そして、“艦娘部隊”からなる総勢三万の兵力を貴官の麾下に置く」

提督「……だってさ」




47 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:46:13.72 IOHh01sc0 40/46




提督「叩き上げの中将だからね、仕方ないね」キリッ

初月「お、おぉ……」

初月「なんだか、すごい出世だな……」

提督「あぁ、君のおかげだね」ニコ



提督「で、この泊地ではそれを運用できないから」

提督「今から内地の鎮守府に僕たちの拠点を移します」




48 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:46:52.16 IOHh01sc0 41/46




提督「それは……」

提督「君の姉さん達がいる鎮守府だ」

初月「っ!」




49 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:49:03.65 IOHh01sc0 42/46




提督「これで彼女達も、僕の指揮下だね」

提督「今までそこで偉そうにしてた連中も、早速僕にペコペコしてきたよ」

提督「実に愉快だねぇ……」ニタニタ

提督「はっはっは!」

初月「…………なぁ」



初月「まさか……お前、はじめから……」

初月「僕の……姉さん達のために……」




50 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:52:07.57 IOHh01sc0 43/46




提督「ははは、かいかぶっちゃいけないよ(棒読み)」

提督「ぼくのしゅっせかいどうに(棒読み)」

提督「かのじょたちをりようさせてもらったd」

ギュ

提督「!!」



初月「…………」ポロ…ポロ…




51 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:53:10.48 IOHh01sc0 44/46




提督「……はは」

提督「初月はかっこいいくせに、泣き虫だな」

初月「……すまな……い……」グスッ



提督「……さ、行こ」

提督「これから、初月の姉さん達に……」

提督「たくさん御馳走を腹いっぱい食べさせてあげようよ!」

初月「……あぁ」




52 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:53:51.70 IOHh01sc0 45/46





初月「……姉さん達は」

初月「喜んでくれるかな……オムライス」ニコッ



―――――――――――fin――――――――――――





53 : ◆9l/Fpc6Qck - 2016/02/16 00:57:09.64 IOHh01sc0 46/46

このお話は、これで終わりとなります。

ドロップして4日足らずで、初月にここまで愛着持てるとは思わなんだです。


ここまで読んでくださった方……楽しく書かせていただき、ありがとうございました。

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