関連
提督「あけぼのちゃんはツンドラ」【前編】

316 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 06:23:23.82 kZ47dMbx0 151/334


話の本筋はここまで
今日はおまけ話でも投下しようかな、と意に反して話が長引きそうな試み
それにしてもここのところ寝落ちが酷くて困ってしまう

321 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 15:00:55.24 kZ47dMbx0 152/334


おまけ話「斯くして噂は広まった」

322 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 15:21:43.27 kZ47dMbx0 153/334


——————
————
——

第七駆逐隊の部屋・早朝


<ナカチャンダヨー!ナカチャンダヨー!

「グッモーニン那珂ちゃん」チョップ

<ナカチャンダッ

「んんーっ、と。 今日も那珂ちゃんか……明日も明後日もずっと那珂ちゃんだろうけど」

「う……おはようございますー」ゴシゴシ

「おはよう、2人共」

「……あれ、ぼのやんは?」

「秘書艦の仕事だ、ってもうとっくに起きて行っちゃったよ」

「ち、昨日のことについて根掘り葉掘り訊こうと思ってたのに。 まーいいや、後でも訊けるもんねー」

「昨日の、って?」

「ぼのやんとご主人様がデートしたことに決まってるっしょ! こんなぼのやんはウルトラレアだよ!」

「ケータイの待ち受けにするってどうなのそれ」

「ああ……いい笑顔してるねえ、やっぱり」

「不肖漣、ぼのやんの口を割ることに身命を賭す覚悟よ!」

「なら同じくらい勉強も頑張ろうか」

「さーて着替えて朝御飯食べに行こーぜ皆の者ー」

「逃げた」

「逃げちゃダメだよ漣ちゃん」

323 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 16:40:16.76 kZ47dMbx0 154/334


食堂——


「それにしてもビックリだよねホント」

「何が? ああ、味噌汁に豆腐が入ってないってことかな」

「ちゃいますがな、ぼのやんだよぼのやん」

「え、でもお味噌汁にお豆腐は必要だよ?」

「話の肝そこじゃないから。 漣ちゃん的には豆腐の有無はどーでもいーし」

「どうでもよくはないよ、豆腐の良さを分からない人とは一緒にいられないかな」

「そーゆーどーでもいいじゃないよ! どーでもいーけど! 漣ちゃんをツッコミに回させんなし!」

「まあ冗談はそこそこにしておいて、曙のことでしょ? 別につつくようなこともないんじゃないかな」

「何言っとりますのん! あのぼのやんがだよ! あの子がデートだっちゅーてそのまま素直に従いますかいな!」

「だからだって。 素直に従うような性格じゃないから、提督もデートとは言わずに別の要件で呼び出して、って感じじゃないの? 昨日の様子からしてもこうだと思うけど」

「そんな気はするけどそれを気にしてちゃ始まんないぜ、それに双方に話を訊かにゃあとなー」

「はあ、野次馬根性も程々にしとかないと嫌われるよ」

「漣とぼのやんはズッ友だからだいじょぶ!」

「何それ」

324 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 17:53:17.31 kZ47dMbx0 155/334


「デート、デートって言ってるけど、提督の方はどうなんだろう?」

「んあ?ご主人?」

「曙ちゃんを連れ出したのは提督でしょう? その提督は曙ちゃんのことどう思ってるのかなって」

「そら氷解大作戦ーとか言ってるくらいだからそれなりの気はあると思うけど、どうなんだろね。 未だにイマイチ分かんねーぜあの人。 特定の誰かに色目向けてるような素振りがあるわけでもなしだし」

「まあ、この狭い閉鎖空間で何かしようものなら即行で知れ渡るし、内容によっては村八分待ったなしだよね。 女の敵は女とも言うし」

「n角関係で潰れた司令部もあるって噂もあるしねー。 まあ漣らのご主人様は誰でもバッチコイ絶倫大魔王とかじゃなくてよかったよかった」

「漣ちゃん、まだ朝だよ」

「夜なら言ってもいいってわけでもないからね?」

325 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 18:15:23.62 kZ47dMbx0 156/334


浦風「何やら賑わっとおね、お邪魔してもいい?」

「浦風、それと浜風。 珍しいね」

「浦風先生おはよーさーん。 かげやん達はどったの?」

浦風「なんや、課題がまだぎょうさんある言うて徹夜でやっとる最中なんよ。 日頃から口を酸っぱくして早よ終わらし、言うとるのにコレよ」

「漣も見習いなよ」

「それはまあ、またの機会に……」

「浜風さん、おはようございます」

浜風「おはようございます」

「…………」

浜風「…………」

浦風「…………」

「…………」

「駆逐艦娘の中でも屈指の胸部装甲を持つ3人が揃いおったわ……!」

「そこじゃないよね」

326 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 18:32:25.66 kZ47dMbx0 157/334


浜風「申し訳ありません、話を繋ぐというか、苦手でして」

「それはもう知ってるから平気だよ、悪気があるわけじゃないのも皆知ってるからね」

浦風「そうなんよねぇ、自分からグイグイ喋らんといけんって環境じゃないから浜風もずっとこの調子でのう」

浜風「面目ない、皆の好意というか優しさについ甘えてしまって……」

浦風「どうせなら漣ちゃんくらいに喋ってくれたら心配もいらんのじゃけど」

「おーう? 漣ちゃんのマシンガントークスキルは盛者必中、唯我点睛、焼肉定食の秘伝だぜ? それを学びたいってんならまず世界中に散らばる108人の煩悩の権化を揃えてからじゃにゃーと教えらんねえな?」

浦風「ほら、話を振っただけでこうよ?」

浜風「なるほど、焼肉定食……」

「コレを参考にするのは間違ってるってことは教えておく」

「四字熟語がめちゃくちゃだよ漣ちゃん」

「支離霧中ってね」

327 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 19:46:55.02 kZ47dMbx0 158/334


浜風「本当は、皆と会話が上手く交わせればと思うのですが、いざとなると話題も思い付きませんし、相手にとってつまらない話題かも、と思うと」

「うーん、眉間にシワ寄せて考えることでもないと思うんだけど」

浜風「う」

浦風「小難しく考えんでええよって言うてもこう、じゃからなぁ」

「漣も意識してるわけじゃないからにぃ、アドバイスはちっと難しいね」

浜風「そうですか……」

「うーん、話せる話題があればいいんですよね?」

浜風「え、まあ、端的に言えばそうなります」

「だったら、とっておきの話題がありますよ!」

「え、潮ちゃんにそんな十八番的な話題があったっけ? おっぱいでかい?」

「そんなのじゃないです! それに、今話していたことですよ!」

「今? それってまさか」

「曙ちゃんと提督がデートした話です!」

328 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 21:57:59.48 kZ47dMbx0 159/334


浦風「——あの曙ちゃんが、ねえ」

浜風「デート、ですか。 ですが、この話が一体私と何の関係が」

「話題ですよ」

浜風「話題?」

「つっけんどんで提督にすら一撃を入れるあの曙ちゃんが提督とデートしたという話に食い付かない人は、この司令部には多分いません。 言わばこの話題は会話を始めるためのスタートダッシュなんです」

「会話を始めてからは浜風さんの好きなように展開してもらっても構いません。 どう思ったとか、どう思うとか、これからどうなるんだろう、とか色々自由に引き出してください!」

浜風「どう思った、どう思う……なるほど! 素晴らしく参考になります!」

「もちろんこの話題以外にも、いつもと髪型が違うなあくらいでもいいんですよ? 会話のきっかけなんて人それぞれです」

浦風「へーえ、潮ちゃん詳しいんじゃねえ」

「えへへ、つい最近色んな人に訊いたことの総括の一部なんですけどね」

浜風「御教授ありがとうございます。 鬼に金棒とまでは行きませんが、釘バットくらいにはなれた、気がします!」

浦風「物騒な例えはやめとき、な?」

「ねー朧ちん、すっげーナチュラルに友達のあんまり言い触らされたくないであろう話を売られた光景を見てどう思う?」

「悪意のない善意が一番恐ろしいね」


陸奥「ふうん、デートねえ……」チラッ

長門「ん、なんだ?」

陸奥「別に? 貴方に女子力をお裾分けしてあげて欲しいなって思っただけ」

長門(女子力……?)

330 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/26 23:18:17.88 kZ47dMbx0 160/334


————
——


浦風「いやあ、それにしても驚きじゃねえ」

浜風「何度言えば気が済むのですか、それ」

浦風「そりゃあだって、あの曙ちゃんじゃけん、驚くのも無理はなかろ?」

浜風「まあ、クールな印象はあるけれど」

浜風「それよりも曙と言うと、浦風と決闘騒ぎまで起こしていたことの方がすぐに思い出せる」

浦風「ちょ、そげなこと思い出さんでいいやんね、いらんこと言わんの」

浜風「曙が提督のことをクソ提督と呼ぶのが気に食わないという口喧嘩からまさかあそこまで発展するとは思いも」

浦風「皆まで言わんでええわ! 早よ講義行きんさい!」

浜風「分かった、分かったから押さないの。 浦風もこの後の遠征、気を付けて」

浦風「まったくもう……そんにしてもデートかぁ。 隅に置けん奴じゃねぇ、ふふっ」

336 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/27 11:09:42.86 3+ufr6Js0 161/334


浜風side・講義室——


<ワイワイガヤガヤ

浜風(潮から人と話すための話題を提供してもらえたのはいいけれど、話の切り出し方が分からない)

浜風(既に会話を始めている人達のところに行くのも、邪魔しては悪いし)

浜風(それに、講義は別の司令部と共同ですし見知った人でも別人という可能性も……まったく同じ顔でないにしても似た顔立ちをされると紛らわしいものです)

浜風(難しく考えることではないと言われたけれど、私にはハードルが——)

大井「ごめんなさい、隣、いいですか?」

浜風「わ」

大井「あら、驚かせてしまったかしら」

浜風「ああ、あの、いえ、どうぞ」

大井「ふふ、そんなにかしこまらなくていいですよ」

337 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/27 11:35:06.19 3+ufr6Js0 162/334


浜風「あの、何故私の隣に……」

大井「言うほどの理由なんてないですよ? 手頃な席がここだっただけですし」

浜風「そうですか」

浜風「…………」

大井「…………」

浜風(会話が途切れてしまった……)

浜風「…………」ジーーーッ

大井(なんかすっごい見られてる……)

浜風(この大井さんは私の知る大井さんだけども、何か普段と違うところは……)

浜風(いきなりあの話をするのは突拍子もないし、まずは何か牽制が出来れば)ジーーーッ

大井(言いたいことがあるならとっとと言ってくれた方が気が楽なんだけど……それとも隣に座られたのが気に食わなかったの?)

浜風「あ」

大井「え」

浜風「服、違いますね、その制服は改仕様の物では……」

大井「ああ、改二のだと寒いですから。 ほら、お腹出てるでしょ? それに今日は出撃任務もありませんからいいかなーって」

浜風「なるほど……」

浜風(我ながら上出来なのではないでしょうか、今のは。 この調子で畳み掛けよう)

大井(あれだけ凝視しといて言いたかったのはコレだけなのかしら)

浜風「時に、大井さん」

大井「はい? なんでしょう?」

浜風「デートをしたことはあるでしょうか?」

大井「……はい?」

338 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/27 12:08:24.45 3+ufr6Js0 163/334


大井「急に話が飛びましたね……」

浜風「いやその、そうではなくてその実は曙がかくかくしかじかということらしく」

大井「え、曙さんが? 嘘でしょ?」

浜風「信じ難いとは思いますが、友人である潮から聞いた話ですから信頼に足るかと」

大井「それでもちょっと……胡散臭いとまでは言わないけれど」

浜風「そこまでの話、ですか?」

大井「そりゃそうですよ、普段の彼女の提督への言動を見聞きしていればね」

大井「私の知る中では、『汚物にまみれて死ねヘドロゾウリムシ』と提督に言っていたのが堂々1位の悪態です」

浜風「むしろ提督が何をして曙にそれを言わせたのかが気にかかるところなんですが」

大井「まあ、最近はすっかり丸くなりましたけどね。 ドラム缶に詰め込んで沈めてやるって言ってたのが最新かしら?」

浜風「それもどうかと」

340 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/27 13:25:02.53 3+ufr6Js0 164/334


大井「そんなこんなで、彼女が提督とデートしたなんて到底想像も、信じることも、ね。 それくらいのレベルなんです」

浜風「本当の話だと思いますが……漣にそのデートの時であろう写真を見せてもらいましたし」

大井「彼女と提督の仲を考えると過程をいくつも飛び越えてますけどね。 一体何がどうしてそうなったのやら」

大井「と、そろそろ講義、始まりますよ。 お喋りはここまでにしときましょうか」

浜風「あ、はい。 そうですね」

浜風(浜風、やりました。 助言があったとはいえ独力で会話を繋ぐことに成功しました)

浜風(これも全て潮の、いえ、潮先生のお陰です。ありがとうございます)

大井(デート……デートかあ)

341 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/27 14:46:57.81 3+ufr6Js0 165/334


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——


大井「チッ、今回もまた課題てんこ盛りにしてくれちゃって。 私達艦娘がそんな簡単に課題こなす時間作れるわけないってのに、どこの教師か教授か何か知らないけど少しは考えろっつーの」

浜風「大井さん、どうかしましたか?」

大井「はっ、いいえ! 別になんでもありませんよ! おほほ」

浜風「そうですか……? 私は他の講義がまだありますから、失礼します」

大井「ああ、はい! お疲れ様です」

浜風「ではまた」

浜風(この調子でどんどん行こう……!)

大井「ええ、また」

大井「……勉強熱心ねぇ。 にしてもあんな風に話をする人だったかな」

北上「よっほー大井っち、暇だから来たよー」

大井「北上さん! 迎えに来てくれたんですか?」

北上「いんや、訓練飽きたし暇潰しにブラついてただけ」

大井「ああんもう、北上さんったら♪」

342 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/27 16:28:12.38 3+ufr6Js0 166/334


大井「そうだ北上さん! 私達もデートしましょう!」

北上「おおう、えらく唐突だね? ってか、も、ってどゆこと?」

大井「何やら曙さんと提督がデートをするほどの仲になっているらしくて」

北上「うぇ、あの曙が? マジで?」

大井「大マジです、さあさ早くプランを建てに行きましょ」

北上「ついでに諸々の話を聞かせてもらおうかなー」

北上「でも私らの場合デートって言わなくない? 男女じゃないしこの近辺あんまり行くとこないしー」

大井「細かいことはいいんです! ほら善は急げです、2人には負けられませんよ!」

北上「どーゆー勝ち負けなんだかなあ」


足柄「」コソッ

足柄「提督と曙が? 本当に?」

343 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/27 17:11:57.99 3+ufr6Js0 167/334


甘味処「間宮」——


足柄「——とゆーわけよもー、先越されたぁー」グビー

那智「そう腐るな、あの2人はお似合いだと思うがな」

間宮「あのー」

足柄「似合う似合わないじゃないのぉー、私だっていちおー提督のこと狙ってたんだからー」

足柄「ビジュアルまあよし、職業安定、人柄も悪くはなしでぇ。 せっかく身近にいたそこそこ良条件の人だったのにー」グビー

那智「そうは言うがな足柄、貴様は提督に対してアプローチか何かはしたのか?」

足柄「してない……」

那智「だろう? そんな体たらくで愚痴を吐くのは2人に対して筋違いじゃないのか?」

足柄「わかってますぅー、わかってるんだけどー」グビー

間宮「あのー」

足柄「はぁ……逃した獲物は大きいにゃあ……」

那智「何、星の数だけ男はいるさ。 同じ星は無くとも次を探せばいいだけだ」

足柄「その次はいつ見つかるってえのよ」

那智「……いつか見つかるさ」

足柄「あーもう! ヤケ酒よヤケ酒ー! 飲まなきゃやってらんないわー!」グビー

間宮「あのー」

足柄「おかわり!!」

間宮「オレンジジュースをビールみたいに飲むの、やめてもらえません? ジョッキまで持ちこんで……」

那智「茶番の舞台にして申し訳ない」

足柄「おつまみー!」

那智「貴様もいい加減にしておけ」

344 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/27 21:13:47.99 oHi5ImzLO 168/334


那智「む、もう昼か。 どうせ食べるならまともな食事にしておけ」

足柄「どうせ行くなら鳳翔さんとこで朝までホンモノの酒浸りコースで……」

那智「寝言を言うな、これからまだ仕事もあるんだぞ」ズルズル

足柄「やーん、まだ飲み足りないのぉー!」

間宮「……酔っ払いの相手も大変そうね。 鳳翔さんは凄いわねぇ……」

「あっ、間宮さんなのです」

間宮「あら、電ちゃん。 六駆の子達と阿武隈ちゃんに浦風ちゃんも。 遠征帰り?」

阿武隈「はい、南方海域の方に輸送任務で」

「まったく、しれーかんってばレディの扱いが雑なんだから! あんなにドラム缶持たせて……」

浦風「文句言わんの。 皆頑張ったけぇ、何か奢っちゃるき」

「ホント!? やったあ!」

「Большое спасибо……じゃない、ありがとう」

「あ、暁はそんなんじゃなびかないけど、どうしてもと言うなら……」

「浦風さん、ありがとうなのです!」

阿武隈「浦風ちゃんは相変わらず面倒見がいいよねぇ」

浦風「阿武隈さんがね」

阿武隈「え゛っ、アタシ!?」

「」チラッチラッ

「」キラキラ

「」キラキラ

「」キラキラ

阿武隈「……奢るケド」

浦風「もちろんウチにも、ね」

阿武隈「前言撤回しようかなぁ……」

355 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/30 13:34:16.53 UvJEjJZS0 169/334


六駆「「「「いただきまーす!」」」」

阿武隈「あはは、嬉しそうで何より……」

浦風「阿武隈さんは食べんの?」

阿武隈「お昼ご飯まだだし、先に甘いもの食べるのもって感じで」

浦風「ふうん? 几帳面なんやねぇ」

阿武隈「浦風ちゃんは意外にルーズというか自由というかそんな感じだよね……バッチリ食べてるし」

浦風「んー、他者の厚意に甘えるべき時には甘えとかんとね」

阿武隈「甘え過ぎだと思う」

「そういえばさっき、足柄さんが那智さんに引きずられていたのです」

「それ私も見たわ、何だったのかしらアレ」

「ダメな大人の典型」

「そういうことじゃなくって」

「ねー間宮さん、何か知ってる?」

間宮「え? そうね、確か提督を取られたとかなんとかって」

「しれーかんを取られた? 誰に?」

「そもそも司令官は誰のものとかではないけど」

「しれーかんは皆のものなのです!」

「まずものと言うのをやめよう」

間宮「確か……なんでも、曙ちゃんが提督とデートしただとかお似合いだとか、そんな話をしていたわね」

浦風「あらま、その話? ウチのおらん間に広まっとるんじゃねぇ」

浦風(漣ちゃんか、もしかしたら浜風かのう)

356 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/30 14:05:06.70 UvJEjJZS0 170/334


「浦風さん、何か知ってるの?」

浦風「知っとるっちゅうほどじゃないよ、ウチも漣ちゃんから同じ話聞いただけやけんね」

阿武隈「曙ちゃんがねぇ。 なんかちょっと意外かな、あの子はそういうの興味ないと思ってた」

浦風「大体皆同じ意見みたいやね、まあ普段の曙ちゃん見とうとそうなるわ」

阿武隈「口悪いもんねぇ、1日に何回悪態ついてるんだろ?」

「えと、曙さんは優しい人、ですよ?」

阿武隈「ん?」

「そうだね、この間図書室でたくさん本を借りて、部屋に持ち帰ろうとしたら代わりに持ってくれた」

「あ、私は宿題を教えてもらったことがあるわ!」

「……私はピーマンが食べれなくてどうしようってところに意地悪げに笑われて、ちゃんと食べろって言われた」

「それはその、残すのは良くないのです」

「そのあとアイスくれたけど……」

阿武隈「へえ、また意外な一面が出て来たねー」

「だから、曙さんがしれーかんとデートするのがおかしい、というのは……」

浦風「大丈夫よ電ちゃん、曙ちゃんが優しいのは皆知っとるけぇ」

「本当ですか?」

浦風「けどなぁ、あくまで優しいのは皆には、なんよ。 提督に対しては……どう思う?」

「しれーかんに」

「対して……?」

「あ、そう言えばこの間……」

ホワンホワンホワーン

357 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/30 14:15:40.29 UvJEjJZS0 171/334

————————

「フンッ!」ドスッ

提督「おふっ!」

「ったく、十数回やられといてまだ懲りてないようだから教えといたげる」

「女ってのは気安く頭を触られたくないもんなのよ、知恵遅れで数少ない脳細胞にそこんとこ刻み込んどきなさい、このクソ提督」

提督「ぐ……いい、拳だった……ぜ、がくっ」

「馬鹿じゃないの」

(ば、ばいおれんすだわ……!)ノゾキミー

————————


「——なんてことがちょっと前に」

「Это ...」

「そ、それは……」

「あっ、それなら私もね——」

ホワンホワンホワーン

358 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/30 14:28:31.98 UvJEjJZS0 172/334

————————

「そこぉっ!」バシーン

提督「やったか!?」

「ちっ、逃げられたわ!」

提督「奴は絶対生きて帰すな、奴が存在している限り俺達に安息はない……!」

「まあ私は部屋に帰ればいいんだけどさ」

提督「そんな殺生な!」

「てゆーかなんで私が蚊退治に付き合わされてんのよ、秘書にやらせなさいよ秘書に」

提督「霧島は今近場のスーパーに蚊取り線香買いに行ってもらってるから……丁度来てくれて助かったぜあけぼのちゃんや」

「来なきゃ良かった……あ」

提督「ん?」

「……動かないでよ」ジリジリ

提督「え、何、何?」

「動かないで、動くな……ジッとしてろ……」ジリジリ

提督「あのっ、まだそんな俺気持ちの整理がまだっ」

「動くなぁっ!!」ビッターン

提督「ありがとうございますっ!?」バターン

「ふー、アンタの顔に止まってくれて助かったわ、蚊」

提督「」チーン

(かっ、家庭内暴力……!?)イカズチハミテイタ

————————

359 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/11/30 14:53:56.91 UvJEjJZS0 173/334


「——という、ソーゼツな現場に遭遇したわ……夏の頃の出来事よ」

「それは微妙に違う気がするけれど」

「そお?」

阿武隈「提督に対してはとことん冷たいというか、優しさを見せてないよね……」

浦風「まあ、そんな感じじゃけぇ、曙ちゃんが提督とデートしたー言うんがね、皆びっくりしとるんよ」

「そうですか……」

「デートするっていうのには憧れるけど、暴力はいただけないわね! レディらしくないわ!」

「2人の挙げた例が悪かっただけな気もする」

「でも、どうしてしれーかんにだけそんなに冷たいんでしょうか? 皆には優しいのに……」

浦風「うーん、ややこしゅうこと言うけど、かつての艦の曙の艦娘は多少違いはあっても皆おんなじように提督というか、指令を出すような人が気に食わんのじゃと。 それであげな風になるーて漣ちゃんが言うとったよ」

「持って生まれた性質、か。 曙自身がそう思ってなくても曙としてそう思うようになっているのかな」

「……響の言っていることがよく分からないわ」

366 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/04 03:49:46.62 wcVJ6d1pO 174/334


「えーっと、曙ちゃんが曙ちゃんだから曙ちゃんは曙ちゃんなんだけど本当の曙ちゃんはそうじゃないってこと?」

「曙曙連呼されると訳分かんないわ!」

「曙さんは曙さんですよ?」

「そうじゃなくってね?」

「そう言えば曙と暁という単語は意味合いとしては大体同じだと辞書か何かで見たことがある」

「つまり曙は暁で暁は曙だったの……!?」

「自分から訳分かんなくしてどうするのよ」

「曙さんは暁ちゃんだったんですか?」

「если、暁はこれから司令官のことをクソ提督と呼ばなくては」

「突然そんなこと言ったら怒られちゃうじゃない!」

「普段から曙によってカラテ殺法を受けてる司令官だからきっと許される、それに暁は曙だから」

「そうなのかな……暁が曙なら平気なの?」

阿武隈「暁ちゃん、目を覚まして」

浦風「見事に話が脱線したねぇ、キッカケ作ったんはウチやけど」

阿武隈「さ、皆早く食べないと食堂閉まっちゃうよ! 流石にお昼ご飯抜きは嫌でしょ?」

「もう食べ終わっているから平気」

「はわわ、すっかり忘れていたのです」

「急がなきゃ……って暁?」

「暁は曙で曙は暁で暁は曙で曙は暁で」ブツブツ

浦風「しゃんとしぃな」ワキバラツカミー

「うぃひぃい!?」ガタタッ

367 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/04 06:52:52.03 wcVJ6d1pO 175/334


演習場・昼過ぎ——


「——どお!? これがレディの実力なんだから!」ドヤァ

「えっと、主砲を20発撃って15発が仮装標的に命中だから、命中率70%を超えているのです! 凄いです!」

「へへーん、レディだから当然よ!」

「相手は単騎でかつ動きもしない、反撃もない、暁自身も静止して安定した砲撃が可能、дальше、天候による影響も無しなのだから暁の練度も考えるとそれくらい出来ないと」

「い、いいでしょ別に! 練習で上手くいかないと実戦がダメになるんだから!」

「それはそうだけど、上には上がいることを忘れてはいけないよ」

「うう……」

「響ちゃんは暁ちゃんよりも凄い人を知っているのですか?」

「話を聞いただけなのは浦風や叢雲、この目で見たのは曙と時雨かな」

「浦風さんが凄いのは分かるのです、午前の遠征の時に見ましたから」

「1人でエリートクラスの駆逐艦を何匹も追っ払ってたわね……暁だってドラム缶ばかり持たされていなければ出来たのに」

「叢雲なんだけど、少し前に彼女のいる艦隊が遠征帰りに敵艦隊に出くわしてしまったらしい。 しかもその中にはフラグシップクラスの戦艦ル級もいたとか」

「フラッ……!?」

「正確な証言はないけど。 当時は悪天候で視界も悪く同じ場にいた睦月、如月、天龍は動揺していたらしいから」

「全員で馬鹿正直に逃げたところで逃げ切れないと感じた叢雲は轟沈覚悟で囮になって3人を逃したそうだよ」

「そんな……」

「あ、でも今普通に生きてるわよね」

「まあその通りだけど。 天龍達が帰還して1時間ほどで中破しつつも帰ってきたらしい」

「……中破?」

「中破」

「りーありー?」

「действительно」

「……なんて?」

「ホントだよ。 叢雲本人から聞いた訳ではないけども」

371 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/05 12:07:31.88 tVmPBDXV0 176/334


「叢雲に関しては、当人がわざわざ語る程のことはないって言っていたから真偽も分からないけれど」

「でも、敵の1艦隊を相手にしてどうやって中破止まりで帰ってこれたんだろう……」

「教えてくれないのなら知りようがないですね……」

「残る曙と時雨だけど、先々週に丁度ここで私が1人で訓練の間の小休止をしていた時に2人が仮想標的を持ってやって来たんだ」

「2人で一緒に訓練、だったのかな?」

「いや、別の方向から来ていたから単にバッティングしただけだと思う」

「と言っても、演習場は広いしただ訓練するだけなら何の問題もないはずなのだけど、2人とも見つめ合ったまま動かなくて。 その後どうなったと思う?」

「にらめっこでもしていたの?」

「きっと無言で譲り合いをしていたんですよ」

「2人とも仮想標的をその辺に投げ捨て、海上に出てそのまま模擬戦を始めたんだ」

373 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/05 12:48:06.24 tVmPBDXV0 177/334


「待って、2人とも偶然ここにやって来たんでしょ?」

「そうだよ」

「で、ここに来てから一言も喋ってなかったんでしょ?」

「顔を合わせて、『あ』くらいなら言っていたと思うけど」

「姉妹艦でもないのに……以心伝心なのです」

「2人の練度はこの司令部に所属する駆逐艦の中でもトップクラスだからね、トップ同士で何か通じ合ったのかもしれない。 仮想標的を相手にするよりよっぽどいいのが目の前にいる、と言った具合に」

「でも、2人で模擬戦したってだけでしょ? 別にそんな凄い話じゃ」

「まだ話の途中だよ、暁。 ただの模擬戦なら私も気に留めなかったろう」

「戦艦同士の砲撃戦のような派手さは無かったし、実際の戦闘に活かせるかは難色があったけれど凄いものだった」

「近付けば取っ組み合いにも見紛うインファイト染みた射撃戦、離れれば相手の先の先まで読んだ偏差射撃の雨霰の応酬、それでも模擬弾で染色されることのない互いの衣服。 見ていた私の息が止まる程目まぐるしい戦いだった」

「聞いているだけで凄そうなのです……」

「話だけじゃイマイチだけど……実際に見ていた響がちょっとだけ羨ましいわ」

「ビデオカメラがあったら間違いなく録画していただろうね、勿体無いことをした」

「で、あまりにも濃密だった僅か数分の戦闘は互いに主砲を突き付ける形で終了したよ。 それに、最後まで命中弾はなかったのだから驚きだ」

「え? 1発も当ててないの? 2人とも?」

「当てていないと言うより、全て躱されたと言うのが正しいだろうね。こと戦闘に関して司令官は勝つよりも無事であるようにと言っているから、2人ともそれに則っていたのだと思う」

「それでも、全弾回避なんて出来るんでしょうか……?」

「確かにこの目で見たけれど、今でも夢だったんじゃないかと思うことはあるよ」

374 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/05 13:18:06.12 tVmPBDXV0 178/334


「ま、そんな訳で上には上がいるという話。 暁には彼女達と並べるくらいには頑張ってもらおう」

「ちょ、そんなのハードルが高過ぎるわよ!」

「諦めたらそこで試合終了だという偉人の名言があるよ、漣から聞いた」

「そんなこと言ったってえ! 大体響だって今は私達と同じ制服着てるけどホントは」

「そう言えば雷は? 一緒に演習場に来ていたはずだけど」

「無視するなー!」

「えと、雷ちゃんはあそこで座ったまま……」

「しれーかんが……うん、いやでも……」ブツブツ

「ずっと、何かブツブツ言っているのです」

「昼食の途中から何かに気付いたかのように物思いにふけっていたけれど、まだ続いていたんだ」

「流石にずっとあんなんだと怪しいわよね……と言うか来てから何もしてないし、ここはレディとしてバシッと言ってやるわ!」

「暁ちゃんはこんな時だけは頼もしいのです!」

「だけ、は余計だと思う」

「雷、さっきからどーしたのよ! ずっとブツブツブツブツ言っちゃって!」

「へ!? あ、あれ? ああ、ゴメンね、ちょっと考え事が弾んじゃって」

「ご飯の時からずっとよね、あの時も生返事しかしなかったし」

「考え事? 何か悩んでいるなら相談に乗ろう」

「4人寄れば六駆の知恵、なのです!」

「いや、そんな大したことじゃないのよ? ただ……」

「ただ?」

「しれーかんと曙ちゃんが結婚したらしれーかんの世話を焼けなくなるから、どーしたらいいのかなーって」

「」

「」

「」

「……あれ? 変なこと言った?」

375 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/05 13:44:51.60 tVmPBDXV0 179/334


「だって曙ちゃんはしれーかんとデートしたんでしょ? そしたらいずれは結婚してもおかしくないし、だけどそーなったらしれーかんの世話を私が焼くと2人の間を邪魔することになっちゃうし、だけどしれーかんはほっとけないしで……何かいい方法ないかなあって」

「」

「」

「」

「ねー、みんなー、生きてるー?」

「Я не знаю то, что Вы говорите」

「雷ちゃんが何を言っているのか分からないのです……」

「響の言うことのが分からないけど!?」

「大体同じことを言ったよ」

「雷ちゃん、色々飛躍し過ぎじゃないですか……? デートしたからって結婚するとは……」

「何言ってんのよ! もはや時間の問題よ! 秒読みよ! その前に何か良い案が浮かべば良いんだけどー!」

「仮に2人が結婚したとして、間に割って入るのは野暮だと思う」.

「分かってるわよー! そうならない方法がないか考えてるとこなの!」

(ないと思う)

「」

「暁ちゃん、目を覚ますのです」チョップ

「はっ!? 雷のあまりの意味不明さに圧縮された時間を過ごしていたわ……」

「意味不明って何よ!」

「だけどお陰で名案が浮かんだわ! 感謝しなさい雷!」

「えっ、ホント!?」

「2人の養子になればいいのよっ!!!」

「」

「」

「」

376 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/05 13:56:03.81 tVmPBDXV0 180/334


「夫婦となった2人の間に入ってもおかしくないポジションの存在、それは即ち子供よ! なら、2人の養子になれば極めて自然にこのポジションに収まることが出来るわ!」

「……それはどうかと」

「暁ちゃん、どこかに頭のネジ忘れてきちゃったんですか?」

「どーゆー意味よ! 失礼しちゃう!」

「つまり、しれーかんが私のお父さんになるってこと?」

「雷、真面目に考えなくていい」

「うーん、でも私お父さんもお母さんもいるんだけど大丈夫なのかなあ」

「考えなくていいから」

「せめて他の案を考えよう……?」

「名案だと思ったのに」プンムクレ

377 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/05 14:13:52.05 tVmPBDXV0 181/334


長門「おや、賑やかだな。 訓練していた訳ではなさそうだが」

「あ、長門さんだ」

長門「む。 雷、どうかしたのか? 何やら浮かない顔をしているが」

「んー、ねえ長門さん、しれーかんが結婚したら私はどーやってしれーかんのお世話したらいいのかな」

長門「……どういう意味だ?」

「曙が司令官とデートをしたらしい。 で、その話を聞いてから雷はこの調子で」

長門「ああ、その話か。 それを聞いて金剛が気を失ったとか言っていたな……夕方には目覚めるだろうが」

「金剛さんは分かりやすいのです」

「ねえ長門さんは何かいい方法思いつかない?」

長門「そうは言われてもな……そういったことは不得手なものでな、申し訳ない」

「そっかあ……」

「雷のこれは気の迷いみたいなものだから、あまり気にしなくて構わない」

長門「同じく悩みを持つ者同士として、何かしら解決の糸口を示せれば良かったのだがな」

378 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/05 14:51:00.55 tVmPBDXV0 182/334


「長門さんにも悩み事があるのです?」

「意外ね、大きなことでしか悩まないと思ってた。 明日地球が爆発するとか」

長門「はは、私にだって些細な悩みはあるさ。 陸奥に女子力を磨いたらどうだと言われたはいいが、どうすればいいかまるで見当がつかなかったりな」

「女子力? なんで?」

長門「女らしさとも言うか、陸奥の言う限りでは私にはそれが欠けているようでな、曙にお裾分けして貰ったらどうだとまで言われたよ」

「曙よりも、浦風や那珂とかの方が参考になると思うけども」

長門「それほどということなのだろうな、私は。 しかし幼い頃からそう言ったことは性分に合わなくてな……自分に見合わない範囲まで手を伸ばせば、女子力も磨きようがあるのだろうが、そうなっては私ではなくなるような気さえしてな」

「ビッグセブンも大変なのですね」

「らしくないと言えば曙がデートしたって言うのもらしくないわよねー」

「それは皆の思うところよね、デートなんて最上位の女子力修行みたいなものだし」

長門「そういうものなのか? 男女で逢い引きする程度の事だと思っていたが、奥が深いのか……?」

「逢い引きて」

379 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/05 15:11:57.12 tVmPBDXV0 183/334


「皆、そろそろ午後の遠征の時間だ。 小休止して訓練の疲れを抜いてから行こうと思っていたけど、お喋りが過ぎたね。 このまま向かって浦風と阿武隈を待とう」

「え、もうそんな時間?」

「時間が経つのは早いのです、あわわ」

(そう言えば私何にもしてないわね、まあいいや)

「雷は遠征から戻ったら私と一緒に訓練しよう、何もしていないのは良くないから」

「う、やっぱりそうなるのね」

長門「4人とも気を付けて行ってこい。 慢心はするんじゃないぞ?

「分かってまーす」

「了解」

「レディの辞書に慢心なんて言葉はないわ!」

「そう言えば長門さんはどうしてここに?」

長門「私か? 悩み事とかで頭の中が溢れた時はよく訓練して頭の中を空にするんだ。 そうして終わった後に空になった頭で整理しながら考えるという訳さ」

「なるほど、そうなんですか」

<イナヅマー、オイテクワヨー

「はわわ、それじゃ行ってきますです」ペコリ

長門「ああ、行っていきな」

388 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 10:00:05.03 LaDqTrAM0 184/334


長門「……さて、始めるとするか。 持ってきたコイツの電源を入れて、距離は……100mくらいでいいか、行ってこい」

仮想標的「イッテキマース」ブロロロロ

長門「……女子力、修行、曙、デート、曙はともかく、耳に入り慣れていない単語に押し寄せて来られるのはどうにも参ってしまうな」

長門「ふ、そんな時こそ精密射撃で心を空に、静かにしようなどと言い聞かせてみようか」

天龍「へえ、天下のビッグセブン様も特訓とかするんだな」

長門「む、天龍……か?」

天龍「んだよ? そんなジロジロ見てよ。 あ、嫌味って訳じゃねえからな?」

長門「いや、いつも浮いているアレが無いと雰囲気が違うんだな、と」

天龍「あー、今日は休みだからな、俺」

389 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 10:52:22.13 LaDqTrAM0 185/334


天龍「それよりも何ブツブツ言ってたんだ?」

長門「ああ、大したことでは無い、曙が修行をしたと雷が」

天龍「は? 修行?」

長門「いや、それは別にいい。 悪いが天龍、少し付き合え」

天龍「いや付き合えって、俺今日休み……」

長門「どうせなら動く的の方がいいからな。 それに、休みだからと腑抜けているその根性を叩き直せて一石二鳥だ」

天龍「いいじゃねーか別に! 休みは休みだぞ! すごろくだって1回休みは1回休みじゃねーか!」

長門「有無は言わせんよ、さあ、艤装を装備してこい! 私の修行に一役買って貰おうか!」

天龍「チクショウ! 声なんてかけなきゃよかった!」


仮想標的<ホウチプレイッテヒドクネ

391 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 13:38:35.14 LaDqTrAM0 186/334


演習場・夕方——


長門「——む、日が暮れてきたな。 熱が入るとどうにも時間を忘れてしまう」

天龍「そ、そうだな……どうせならあと1時間は早く気付いてくれりゃあ良かったんだが」

長門「今日はこのくらいにしておくか。 天龍、礼を言おう。 休みを潰した詫びとして何か贈ろうか」

天龍「だったら規定日数とは別に自由に使える有給2日分くらいくれ。 そんくらいは撃たれた気がするぜ、俺」

長門「はは、確かに全身桃色にされた労力とは釣り合っているかもな。 今度提督に打診してみよう」

天龍「頼むぜマジで。 ペイント弾でも直撃すっと痛ぇんだからよ」

長門「善処するさ。 ではな」

長門(女子力の修行……修行したことで女子力とやらが身に着いたのだろうか?)

長門(いや、私とて女だ、私が私らしくあるというだけで女子力の修行になるのではないだろうか?)

長門(……陸奥に相談してみるか、アイツの方がその方面は強いからな)スタスタ

天龍「……なんかエラく難しい顔して行ったな。 強え奴は何考えてんのかわっかんねえな」

木曾「それは、お前は強くないって言っているようなものだがいいのかい?」

天龍「うおお!? いきなり声かけんなよ!ってかいたのかよ! ってかいつからいた!?」

木曾「お前の元に来たのはたった今だが、長門仕込みの猛特訓は始めから見ていたぞ」

天龍「だったら止めろよ! 止めてくれよ! いっそお前も巻き込まれろよ!」

木曾「滅多にない機会だ、邪魔することはないだろうと思ってな」

天龍「お前、俺のこのナリを見ても言えんのかよ」

木曾「……ショッキングな感じでオシャレじゃないか、似合ってるぞ、ぷくふふっ」

天龍「笑ってんじゃねーか」

392 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 14:23:55.25 LaDqTrAM0 187/334


天龍「ったくよ、戦艦の相手が軽巡に務まるかっつーの、戦艦は戦艦と殴り合ってりゃいいってのに」

木曾「実戦だとそうもいかないだろう、落とせる敵から落とすべきだしな」

天龍「それは分かるけどよ……」

木曾「それはそれとして珍しいよな、長門が演習とか、そういうことをする姿は久し振りに見た気がする」

天龍「あー確かに、戦闘に関しちゃ鍛錬とかしなくてもいいレベルだと思ってたぜ。 長門は修行だとか言ってたけどな」

木曾「ご時世に似合わない妙な言い回しをするもんだな?」

天龍「いや、なんでも確か……曙が修行したとか雷がなんとか、とか言ってたな?」

木曾「それは……曙と雷が2人で修行をした、ということか? だが……」

天龍「ああ、雷にゃ悪いがちっと実力が釣り合ってねえな。 俺と長門もそうだけどよ……いや、軽巡と戦艦を比べんなっつー話だよ」

木曾「曙が修行したという話を雷から聞いた、ということかもな。 それなら合点が行く」

天龍「なるほどな、それなら納得だ」

393 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 15:24:43.21 LaDqTrAM0 188/334


天龍「んー、でもまだ足りねえな」

木曾「何がだ?」

天龍「いや、曙がそういうことをしてる姿を見たことがねえなって思ってよ? もし昨日今日の話だとしてもアイツは今週の秘書艦だろ? してる暇があるとも思えねえしなって」

木曾「ウチの司令部は随分ルーズな方だが、それもそうだな……あ」

天龍「お? 何かあるのか?」

木曾「そう言えば、昼飯を食ってる時に曙と提督がどうのとかいう話が流れていたな」

天龍「そうだったか? 飯ン時は食うことに集中してっからなあ」

木曾「足柄が何か喚いてたからな、嫌でも耳に……というか目に入ったよ」

木曾「で、だ。 もしこの2つが繋がっているとしたら曙は提督と修行をした、ということになる」

天龍「やー、それも苦しくないか? 艦娘とフツーの人間がする修行ってなんだよ? 武器を装備してなきゃ俺らもただの人間だけどよ」

木曾「天龍! まさしくそれだ!」

天龍「おおう、なんだ急に」

木曾「装備がなければ艦娘とてただの人、つまりか弱い女なんだ。 まあ、中には腕っ節に自信のある奴もいそうだが……」

天龍「長門とか腹筋凄えもんな……」

木曾「対して曙はどうだ、今は確か14か15歳とかだったな。 そんなのがもし装備もない時に暴漢にでも襲われたらどうなるか言うまでもないだろう?」

天龍「アイツなら容赦無く金的とかやりかねないけどな」

木曾「それは言うな。 でな、提督は曙のことを大層気に入っているだろう? 何かと構っているからな」

天龍「その都度痛い目見てるのもよく見るぜ」

木曾「それも言うな。まあ、それでも心配なんだろう。 アイツはクールで気丈で放っといても生きていけそう、そして提督に対して口が悪いと来ているがな」

木曾「それで多分……修行というか、稽古をつけてやってるんだろう。 おそらく対人格闘とかのをな」

天龍「お節介というか人がいいというか、なあ。 3年か4年かの付き合いらしいけどよく見限らねえよな。 ずっと一緒にいてあの態度とかさ、普通ならもう相手にされねえだろ」

木曾「提督が寛容だってことにしておこうか。 一旦話は置いておいて、お前のピンクいのをなんとかしようか。 そのままじゃ飯も食えねえだろ」

天龍「すっげえ普通に話してたから忘れてた。 風呂で流して、服は洗濯、艤装のは……明日の手入れン時に落とすか」

木曾「今日やっとけ。 飯の後でなら手伝ってやるからよ」

天龍「マジで? 恩にきるぜ」

木曾「長門の猛特訓に付き合わされたご褒美ってことでな」


時雨「……曙が稽古?」コソッ

394 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 17:43:03.30 LaDqTrAM0 189/334


食堂・夜——


時雨「——という話を聞いたんだけど、どうなんだろう」モグモグ

白露「信憑性は薄いと思うよ? どっちかと言うとデートしたって話の方が広まってるし」モグモグ

時雨「そうなんだけど、あの2人が嘘をつくとも嘘に騙されるとも思えないし」

白露「どっかでねじ曲がったりしてるのかもねー、所詮噂話だもん。 曙と提督が結婚したなんてのを聞いた時はサイダー吹き出しそうになったよ」

時雨「当人達がいれば直接訊けるんだけど……当然この場にはいないし、直接訊きに行くという切り込み隊長はいないみたいだね」

白露「曙の逆鱗にゃー触れたくないからねぇ。 それなのに話に尾ビレ背ビレに胸ビレがどんどんついてくという」

時雨「正直なところ、デートに行ったこと自体が間違いなんじゃないかと思うよ」

白露「曙だもんねぇ」

395 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 18:40:34.74 LaDqTrAM0 190/334


白露「けど、デートかぁ。 ちょっと憧れるなー」

時雨「え? もしかして提督のことが好きなの?」

白露「違う違う、デートしたっていうのがいいなぁってだけだよ。 ほらウチらってさ、年齢的には中学生とか高校生とかそんなもんでしょ? 戦艦や空母、重巡の人らはもっと上だろうけどさ」

時雨「まあ、そうだね」

白露「艦娘やってなかったら学生なんだよねー、そんでさぁ、隣のクラスの気になってたカレに告白とかされちゃってさぁ、放課後デートとか? 告白記念日とか? あわよくば初チッスとか? いやーいいよねぇ」

時雨「恋に恋する女の子って表現がピッタリだね」

白露「どーゆー意味よ」

時雨「他意は無いよ」

白露「むう。 でもさーあ? ウチらってそーゆー青春をぶん投げてるよね、軽く。 男っ気無いし、ここ。 そりゃあ艦娘なりたくてなったのはこっちだけど?」

時雨「提督を代表として、一般の事務員の人とか整備員の人くらいだよね、男の人。 その事務員や整備員も女の人が多いし、守衛さんも女性だし病棟の医師も看護師も皆女性だ」

白露「同年代の男の子いないんだもんなー! しかも数少ない男性陣の中で一番若いのが提督だよテ・イ・ト・ク!」

時雨「20代だったかな、確か。 詳しくは知らないけど、あの若さで階級も高かったはずだし結構凄いと思うけど」

白露「そーじゃないのだよ時雨くん、あの人は曙にベッタリだからノーチャンなんです」

時雨「え、そうかな。 曙に限らず皆のこと褒めちぎってるよ」

白露「そーじゃないんだよ時雨先生……! 事あるごとに雑用を曙に任せたり、何してんの?って訊いたらちょっと考え事してたってこれ大体曙のことだろうし、水雷戦隊では大体曙が旗艦任されてるしその他諸々、これでどうベッタリじゃないってのよー!」

時雨「落ち着いてよ白露、明らかに思い過ごしも混ざってるし」

白露「てゆーか褒めちぎってるってどゆこと?」

時雨「え? ああ、提督って唐突に目の前に誰がいようと誰かのこと褒めたりするから。 僕は直接僕に言われちゃったけど……髪が綺麗だって、へへ」

白露「え、何それ、私聞いたことない、私のは? 私のは誰が聞いたっての!?」

時雨「白露のも僕が聞いたよ、褒め言葉か分からないけれど」

白露「なんて!?」

時雨「がっつくね……確か、幼馴染だったら放っとかなかったかも、とか」

白露「だったら気合いか怪しい薬かで何か若返ろうよ……!」

時雨「……白露、好きなの?」

白露「だからノーチャンなんだって……!」

397 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 21:38:51.84 LaDqTrAM0 191/334


白露「……いいもん、明石さんにタイム風呂敷作ってもらうから」

時雨「流石に現代技術じゃ作れないから」

白露「じゃあアポトキシン」

時雨「あれ本当は毒薬だからね?」

白露「赤と青の年齢詐称薬とか……」

時雨「魔法がこの世にあるとでも?」

白露「八方塞がりか……」

時雨「どうして奇策だけで攻めようとするのかな」

白露「いいもん、将来なんかの社長にでもなってギャフンと言わせてやるんだから」

時雨「気が長いのにふんわりとした話だね」

398 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 22:06:35.25 LaDqTrAM0 192/334


江風「おいーっす姉貴達ー。 遅れ馳せながらおゆはんご一緒してもいいかい? ……って殆ど食べ終わってんね」

時雨「やあ江風。 それに川内さんも一緒なんだ」

川内「いやー、2人で夜戦の特訓してたら危うく晩御飯すっぽかすとこだったよ」

江風「で、白露の姉貴はどうして眉間にしわ子になってるんだい?」

白露「……ふ、いつか江風にも分かるよ、甘酸っぱい青春がね……」

江風「何訳わかんないこと言ってんだ?」

時雨「さっき自分で青春をぶん投げてるって言ってなかったっけ」

白露「一般的な青春はぶん投げてるけど、投げた後に残った数少ない青春は謳歌してもいいの!」

川内「青春かあ、若いねえ……」

時雨「川内さん、それは20歳超えてない人が言う台詞じゃないよ」

川内「いいのいいの、細かいことは気にしないのが若さの秘訣なんだから」

時雨「早寝早起きもね」

川内「うぐ」

江風「こりゃ時雨の姉貴の方が正しいかね」

399 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 23:02:48.85 LaDqTrAM0 193/334


江風「そう言えばさ、なんか騒がしくないかい? や、騒がしいのはいつものことだけどさ」

川内「あー、話をするにしてもなんか似たような単語ばかり聞こえてるような、ね」

白露「おや? 2人とも何も知らないの?」

川内「今日はずっとご飯食べたらすぐ特訓ーなんてしてたからね、江風以外と喋る機会が無くって」

江風「薄ら暗い部屋で神経衰弱やったりとかなー、これがまた判別し辛いんだよ」

白露「特訓になるのそれ? てか目ぇ悪くしそう……」

時雨「一応2人にも訊いておこうかな、曙が提督に何かしらの稽古をつけてもらったって話、どう思う?」

江風「なんだそりゃ。 曙ってあの取っつきにくそーな人だろ?」

川内「皆が皆、曙曙って言ってるような気がしてたけど、それと関係あるの? と言うかありそうだよね」

時雨「まあね。 でもこの意見は明らかに少数派みたいだから、単にどう思うかだけで答えてくれたらそれでいいよ」

江風「うぅん、何の稽古かってーのにもよると思うが、あり得ないんじゃないか? 公私混同するかは分からねぇけど、お前と個人稽古とかお断りだーとかってやりそうだし」

白露「でもデートしたって話なんだよねぇ」

江風「は?」

時雨「はいはい、こっちの話」

400 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/07 23:26:14.87 LaDqTrAM0 194/334


川内「いや、江風はあり得ないと言ったけど逆だね、あり得る話だよ」

白露「お?」

江風「そうかねぇ? なんかホラ、クソテートクとかあの人言ってるし、無いんじゃないの?」

川内「好き嫌いを超えたレベルの革新性を持った稽古なんだよ、きっと! 提督はただの人間だからさ、だからこそ私達とは違う目線で物事を見ることが出来てそこで何か気付いたに違いない!」

江風「な、なるほど、そういうのもあり得るか」

白露「なんか自分が納得するようにこじつけてない?」

時雨「こうして噂はねじ曲がって行くんだね」

川内「よぉし! こうしちゃいらんない、さっさと食べて特訓の続きするよ!」

江風「合点承知ィ!」

白露「直さなくていいの、これ?」

時雨「そこまで面倒を見なきゃいけないこともないし、いいんじゃないかな? どうせ明日には気付くだろうし」

白露「そだねー、それに回られて困る話でもないし。 別にいっか」

401 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/08 00:21:49.88 6wzt60Xl0 195/334


川内型の部屋(暗室)・夜中——


川内「…………」

江風「…………」スッ

川内「…………」

江風「…………」ポイッ

<チャリーン

川内「そこォ!」シュタッ

江風「流石の夜目だな姐さん、いや、夜耳か? 音だけで硬貨を見つけるたぁな。 これで何連続正解だ?」

川内「これで7回目、夜戦では目だけを頼りにしちゃダメだからね。 探照灯や照明弾はあるに越したことはないけど……最後に頼るのは自分自身だから」

江風「頼りになるねぇ、ところでそろそろ変わって欲しいんだけど」

川内「後もうちょっとだけ! まだ足りない気がするんだ、曙がしたっていう稽古やら特訓やらってのには」

江風「でもさ、何をしたのかってのは具体的に分からないんじゃないのかい? やっこさんが何をしたのか分からないってのに特訓しても見当違いな方向に向かってちゃあな」

川内「いや、大体見当は付いてるんだ、というかほぼ間違いない、夜戦の特訓だよ」

江風「ほお? そりゃまたどうしてさ?」

川内「提督が力添え出来ることなんて限られてるからね、輸送作戦や砲雷撃戦なんかは教えられることなんてないでしょ、多分」

川内「でも夜戦のことなら別だよ、今の私達みたいにこうして部屋を暗くしてさ、暗中から提督が襲いかかってくるんだ! 曙ならそれに対してどうすると思う?」

江風「え? えーと、反撃しそう、かなあ」

川内「だよね、提督はきっと身を張ってまで曙の特訓に付き合ってるんだよ。 もし江風に同じこと頼んだらどう? 嫌でしょ?」

江風「あー、殴られるのは勘弁さね」

川内「当然の意見よね。 まあこれは憶測でしかないんだけどさ、夜目と即座に反撃出来る反射神経を鍛えられるいい特訓だと思うんだ。 擬似的な夜戦みたいなものだし?」

江風「武器は己の拳か脚のみだけどな」

川内「……そう言えば最近夜戦してないなあ」

江風「あ、騒ぐのはやめてくれ。 もう散々騒いでるし、また叢雲の姐さんがやって来るぜ?」

川内「曙ばっかりずるいー! 私も提督の夜戦したーい!」

江風「ダメだこりゃ」

403 : ◆1VwSTfn.DM - 2015/12/08 00:48:44.76 6wzt60Xl0 196/334


部屋の前——


<ヤーセーンー! テートクトヤーセーンー! アケボノダケズールーイー!

<アネサンシズカニシテクレッテホントニ! アネゴニドヤサレンノコワインダカラ!

<ワタシモマゼロー! ヤセンシタイー!

叢雲「…………」←夜川内好きバカうるさいって言いに来た

瑞鶴「…………」←かわうち静かにしろって言いに来た

叢雲「…………司令官と夜戦?」

瑞鶴「曙が? 夜戦?」

叢雲「……いやでも馬鹿の言うことだし」

瑞鶴「だよね? きっと額面通りの意味だよね?」

叢雲「……でもデートはしてるんでしょ」

瑞鶴「…………」

叢雲「…………」

那珂「みーんな、大好きーって、何してんの、叢雲ちゃんと瑞鶴さん? トマトみたいな顔色しちゃって」

瑞鶴「へぅっ!? いやいや違う違う違うんだから!」

叢雲「そそっそうめん! じゃない! 何もそうじゃないんだから!」

那珂「んー? あ、また川内ちゃん騒いでる。 いつもゴメンねー、ちょっと言ってくるから」ドアガチャ

<センダイチャンミンナニメーワクカケチャダメッテイッテルデショー!

<マサカノナカチャンアネサンガキタ

<ダッテー! ワタシモヤセンー!

<ダッテモヘチマモナイヨ! ジブンホンイダトファンナンテフエナインダカラ!

叢雲「……帰ろっか」

瑞鶴「そだね、明日にでも当人に訊けばいいし」

叢雲「訊くんだ……いや、気にならなくはないけど……」

瑞鶴「一応真相は最後まで、ね? それじゃおやすみ」

叢雲「……ええ、おやすみ。 また明日ね」

<ヤーセーンー! ヤーセーンー!

叢雲「…………」ドアガチャ

叢雲「黙らないと尻に酸素魚雷ぶちこむわよ!」


おまけのおわり


続き
提督「あけぼのちゃんはツンドラ」【後編】

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