2 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 09:50:48.47 yE/a4JmE0 1/23

「ほえ?だいく…?」

「大晦日のN響によるベートーヴェンの交響曲第九番の放送です!」

「そういえば、大晦日には毎年やってるみたいだねえ~…」

「今年の指揮者はヘルムート・リリングです!宗教学にも精通していて、バッハ演奏の第一人者と呼ばれている人です!古典派やロマン派の合唱曲の演奏も評価が高い人ですから、今年の第九は絶対見るべきです! 私前からすごく楽しみで楽しみで…」

「大晦日にはダウンタウンのガキ使が…」

「この前PS3とトルネ買ったじゃないですか。それで録画しましょう」

「第九を録画じゃないんだ!?」



※注:このSSは2010年に書かれたものです。


元スレ
唯「大晦日といえば…」 梓「第九ですよね!!」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1293756586/

6 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 09:53:26.30 yE/a4JmE0 2/23

「う…、仕方ないじゃないですか。二つの番組は同時に録れないですし…」

「ほら~。だったら、第九は録画で、その間にガキ使見ようよ♪そしたら何回も見られるよ♪」

「いいんです。どうせ澪先輩かムギ先輩が録画してます。とりあえず、放送を見て、後日録画データをもらいます」

「そこまでしなくても…」

「どうせ23:30からのマーラーの復活の録画はお願いする予定でしたから」

「でもでも!ガキ使は生で見ないと面白くないんだもん!」

「どのみちガキ使はダメです」

「ええ~!?な、なんで?」

「だって、あの番組見てたら年明けの瞬間が見られないじゃないですか…。年が明けたら初詣に行こうって言い出したのは唯先輩なのに」


8 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 09:55:31.44 yE/a4JmE0 3/23

「あ…」

「ふん」プイ

「え、えへ。ごめんね~あずにゃん」

「知りません」

「ごめんね、あずにゃん」ギュ

「もう…。…コタツに入って来ないでくださいよ。唯先輩、テレビ見えないですよ」

「えへへ~。あずにゃんのうなじ、いい匂い~」

「ちょ、ちょっと!嗅がないでください!ああ、もう、くすぐったい!!」

「良いではないか良いではないか~♪」

「ひゃあ!?あっ…!ちょっと、だめ、です…」

10 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 09:58:09.82 yE/a4JmE0 4/23

「もう、唯先輩は」

「ご、ごめんね~、つい…」

「全く…」

「ああ、あずにゃんに呆れられた…」グスン

「…」シュン

「…反省しましたか?」

「…うん」

「…それじゃあ、年明けの瞬間はゆく年くる年を見て、初詣に行きましょうね」

「あずにゃん…!うん!」


――――――――――――――――


「ところで、そもそも唯先輩は第九を聴いたことあるんですか?」

11 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 09:59:44.05 yE/a4JmE0 5/23

「え?あれでしょ?音楽の時間で歌うやつでしょ?いくら私でもそれぐらいは知ってるよ!」フンス

「有名な歓喜の歌ですね。でも、あれは終楽章のほんの一部です」

「ほへ?そうなの?」

「やっぱり知らないんですね…。」

「面目ない~」

「実はこの曲かなり長いんですよ。CDって大体74分入るように出来てますよね。最近は80分のやつもありますけど」

「そうだね。うんうん」

「その74分というのは、この第九が入るように設定されてたっていううわさです」

「ええ!?ながっ!!」

「近代の作曲家の交響曲だとかなり長いものもありますが、ベートーヴェンの年代に交響曲でこんなに長大な曲を作る、ということは当時としてはかなりの挑戦だったでしょうね」

12 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 10:04:55.21 yE/a4JmE0 6/23

「へえ~!!第九ってそんなに有名なんだね!あずにゃん、私もっと第九の話聴きたい!」

「(食いついてきた!)それでは、予習がてらに少しベートーヴェンの第九の話をしましょうか」

「おお!あずにゃんの本日の音楽講座だね!」

「…そんな大層なものじゃないんで、その呼び方はやめてください」

「いいのいいの!大船に乗った気持ちで!」

「はあ…」

「前にベートーヴェンの運命を聴いた時に、少しベートーヴェンがどんな人か話ましたよね?」

「うん。なんか難しそうな人だったよね」

「う~ん、というよりは、どうやらベートーヴェンは人付き合いが苦手だったようで、生涯、70回以上もの引越しをしたとされています。原因は、近隣からの視線が気になったとか大家とのトラブルが主な原因だったのではないかと言われています」

15 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 10:13:45.20 yE/a4JmE0 7/23

「社会に馴染めなかったんだね…、うう…」

「なんでも、部屋の窓から見えた人が笑っていただけで自分が笑われていたのじゃないかと思ったり、服を着たままお風呂に入ったりしていたようですよ」

「……結構重症だったんだね…」

「作曲をしていなかったら、唯先輩みたいにニートだったかもしれませんね」

「私はニートじゃないもん!?」

「運命交響曲は、そんなベートーヴェンの壮年期の作品なんですが」

「スルーされた…」

「この〝第九〟こと交響曲第九番はベートーヴェンの最後の交響曲で、彼の死の数年前に完成されたというまさに最晩年期の作品となります」

「〝運命〟を書いたときはまだまだ若かったんだね」


17 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 10:20:19.31 yE/a4JmE0 8/23

「そうですね。〝運命〟を作ったころと、この〝第九〟を作ったこととのベートーヴェンとの間では、彼の心理面がかなり異なっています。それは、あるエピソードが元となっていると考えられています」

「生涯を独身で終えたベートーヴェンだったんですけど、彼自信は結婚を、そして家庭を深く望んでいたんです」

「独りで死んでいくのは悲しいもんね…。誰にも気づかれずに部屋で孤独死とか絶対ヤだもん」

「まあ、そういう意味ではベートーヴェンはかなり勝ち組ですけどね。彼の葬儀にはかなりの参拝者が訪れ、観光客が驚いたという話があるぐらいですからね」

「う…、その観光客に、参拝者が『(音楽の)将軍の葬式だ』って言ったっていうエピソードだね」

「良く知ってますね。ベートヴェンにはカールという弟がいました。ある日、カールはたった一人の息子を遺して他界してしまいます」

「え…」

「彼の妻はまだ存命でしたので、当然彼女が育てるはずですが、彼女はカールの遺産を浪費した上、息子の教育さえも放棄します。カールと大変仲が良かったベートーヴェンは彼女に激怒し、彼女の代わりに息子を育てようと決心します。そして彼女に対し、訴訟を行いました」


18 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 10:27:23.09 yE/a4JmE0 9/23

「えええ!?そんな昼ドラみたいな話がそんな時代からあったの!?」

「人間の争いは紀元前にさかのぼりますからね…。ともあれ、勝訴判決を勝ち取ったベートーヴェンはカールの息子のために尽くし、悪戦苦闘します」

「いい話だね~がんばったんだねえ~」ウルウル

「しかし、残念ながら母ありきで息子ありきという様だったのか、息子はベートーヴェンの努力とは裏腹に、どんどん飛行に走って行きました。しまいには息子は自殺未遂まで引き起こします」

「うおおおおい!!?本当に昼ドラ!?」

「最終的に、カールの息子は軍人になり、ベートーヴェンとは別れ離れになりました。息子にとってはこれが良かったようですが、ベートーヴェンはすっかりふせぎこんでしまいました」

「それは落ち込むよ…」


19 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 10:37:50.16 yE/a4JmE0 10/23

「このエピソードのなかで、ベートーヴェンは父性愛をどんどん強めていったと思われます。そして、〝運命〟のころの外向的な英雄精神の主張は、息子への愛情を通し、もっと内面的な深い愛情、人類愛へと変わって行ったようです」

「だいぶ達観しちゃったんだねえ…。こんな辛い経験すればそうなるかあ…」

「〝運命〟に対し、そののどくびを引っつかんでやる!という彼の壮年期の思想はもはやなりを潜め、彼の態度は、忍従して神に祈るというようになりました」

「な、なんか宗教的になってきたね」

「そのとおりです。そして彼に生まれた人類愛は、自分を含めた悩める人類に向けられ、そして彼に与えられた芸術を通じてその救いを求めます。そうして作られたのが…」

「ベートーヴェンの第九、なんだね」

「そうです」

22 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 10:49:11.26 yE/a4JmE0 11/23

「きっとすごい曲なんだろうね」

「すごい曲ですよ。私たちぐらいの年齢では到底そのすべてを理解するのは難しいんだろうな、ってすごく感じさせられる曲です」

「…あずにゃん」

「はい?」

「大晦日まで待てない!CDないの~!?」

「(来た来た…)iTunesにいくつか入れてありますよ?唯先輩のipodにも入ってるんじゃないんですか?」

「え?そーなの?ごめ~ん☆気づかなかった!」

「だと思いました…。それでは、私のお薦めからお送りしましょう!」

「お願いします!!指揮者とオケはだれ~?」

21 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 10:48:25.84 jQBpziXD0 12/23

これってけいおん!と関係あるの?

25 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 10:57:14.27 yE/a4JmE0 13/23

>>21 前に唯と梓がヴァイオリンをやってるSSを書いて、その設定をそのまま使いました
    音楽つながりってことで大目に見てやってください


「今回はヒミツです!言っちゃうと感想に恣意が入っちゃうかもしれませんからね!聴き終わってからお答えします!」

「それは挑戦だね!心して聴きましょう!」

「では行きますよ…」

♪~

トスカニーニ ※フル。最初のうるさいノイズは40秒ほどで消えます

http://www.youtube.com/watch?v=t-SvDNKkjEw

フルトヴェングラー ※フルはニコニコにしかありませんでした。申し訳ないです

http://www.youtube.com/watch?v=J1gelDyX1zc(4楽章一部)


http://www.nicovideo.jp/watch/sm1534352(フル)

――――――――――――――――

27 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:02:38.10 yE/a4JmE0 14/23

バン バン バン!…


「うう…」グスッ

「ちょ、ちょっと唯先輩!?鼻水が!!…ほら、チーンしてください」

「あぅ…チーン。あずにゃん、これいい曲だね~…」

「そ、そうですよね!」

「もう4楽章なんてドラマチックすぎるでしょ…、反則だよぉ~」ズズ

「ああ、もう。また鼻水が…」

「ベートーヴェンのせいだよぉ~!」

「えええ!?楽聖に対してなんてことを…。でも、本当にいい曲ですよね!以前年末にオケのトラで参加したときなんて演奏中、ステージの上に何かが舞い降りたみたいで…」

「ええっ!?ちょっとあずにゃん、これやったことあるの!?」

28 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:04:39.41 jQBpziXD0 15/23

リアルけいおんだったら
唯「まーた歴史的録音っすかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
みたいな流れになりそうな気がする

29 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:11:48.35 yE/a4JmE0 16/23

>>28 選曲する側からすると悩んだ挙句、まずは有名どころから挙げてしまう…


「は、はい。何度か両親の所属してるオケとかに出させてもらって…」

「ずるい!!」

「そ、そんなこと言われても…」

「何で私も呼んでくれないの!」

「いや、だって興味ないかなって…」

「プーン!!いいもん!楽譜!!」

「え、はい?」

「今から部室に弾きに行くから楽譜貸して!」

「ええっ!?外すっごく寒いですよ!」

「車で行くから平気だも~ん!」

30 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:13:04.65 jQBpziXD0 17/23

全然関係ないけど
全国各地で第九を聴く旅とかしたいなあ
あとついでにムギちゃんと第九デートしたいなあ

31 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:17:49.38 yE/a4JmE0 18/23

>>30 握手(AAry


「しょうがないですねえ、行きますか…」

「あずにゃんも来る?」

「私がいないと楽譜読めないでしょう?」

「えへへ~、あずにゃん、ありがと!!」


――――――――――――――――


「あれ、いつの間にか雪積もってますね」

「わ、ホントだ~!ホワイト年末だね!」

「あんまりはしゃぐと転びますよ」

「あずにゃん、雪合戦しよう雪合戦!!」

「楽器持ちながらやりませんよ…、それより車の雪おろさないと出られませんよ?」

32 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:23:34.62 yE/a4JmE0 19/23

「うへ~…、何で雪なんか降ってるんだよ~!」

「さっきまであんなにはしゃいでたのに…」

「仕方ない、これもベートーヴェンのため!!」

「大きく出ましたね~」

「さくさくっと、雪を降ろして…、さあ、しゅっぱーつ!」

「おー!」

「あずにゃん、向かいながらもう一度聴こうよ」

「いいですけど、唯先輩は安全運転でお願いしますよ?雪道は危ないですから」ピッピッ

「これぐらいの雪ならへーきへーき!」

「長い曲だからどこまで聴けるかなあ」

37 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:34:07.13 yE/a4JmE0 20/23

「うう…、外寒いなあ~。手がかじかんで動かないかも~」

「暖房がつくといいですけど…。あれ、部室から音がしますね?誰かいるのかな」

「ホントだ。熱心な人がいるもんですなあ~」

「唯先輩も見習ってください」

「私は家でがんばってるもん!!あずにゃんに借りた金属ミュートつけて!」

「知ってますけど…。でも、ミュートとかつけないで練習するのが楽器にも耳にも一番ですよ?」

「う…、それはわかってるんだけど…。寒いんだもん」

ガラッ

「おつかれさまで~すって、澪先輩に律先輩にそれにムギ先輩…」

「あれ、みんなどうしたの~?」

38 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:37:04.77 yE/a4JmE0 21/23

「お、唯に梓じゃないか」

「こんな寒い日にコタツから出てくるなんて珍しいじゃないか~」

「もうすぐテレビで第九をやるでしょ?その話をしてたら私たち突然、第九が弾きたくなっちゃって」

「ええ~そうなの!?実は私たちもなんだ~!」

「おお、唯の口から第九なんて言葉が出てくるなんてな~!大工さんの間違いじゃないか~?」

「むむむ、りっちゃんめ!」

「みんなそう思いますよね~…」

「ふふっ、どうだ、せっかくだし楽譜があるならみんなで弾かないか?」

39 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:40:31.48 yE/a4JmE0 22/23

「わぁ!さんせ~い!」

「いいじゃないか!やろうやろう!」

「私も賛成ですけど、唯先輩は弾けそうですか?」

「えへへ、ゆっくりテンポでお願いします」

「…はあ」

「ったく、仕方ないなあ~、よし、じゃあこれぐらいのテンポでどうだ?」トントン

「おっけーです!!」

「唯先輩、ちゃんとカウントしてくださいね。じゃないと唯先輩の入りで崩壊しますから」

「はい…」

40 : 以下、名... - 2010/12/31(金) 11:44:29.15 yE/a4JmE0 23/23

「律もちゃんとテンポどおり刻めよ?」

「梓先輩に合わせるから問題なかとです!」

「じゃあ、最初私休んでるからザッツ出すわね!4分の2拍子だけど、4つ数えるから~♪」

「了解!」

「行くわよ~?1,2,3,4―――」

おわり

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