関連
岡部「交わした約束」ほむら『忘れないよ』【前編】

171 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:29:01.10 JKskC6Aqo 164/367


――第十話 もう誰にも頼らない――


紅莉栖「ねえ、岡部」

岡部「どうした?」

紅莉栖「私たち……」

紅莉栖「『私たちはどこかで……』」

紅莉栖「『どこかで会ったことあるの?私と』」

岡部「ブゥーッ!!」


噴いッゲホゲホゲホ!!!
ドクぺが噴き零れる。
何だ!?突然どうした!?


紅莉栖「ちょ!汚っ!」

岡部「お前こそ、何の、真似だっ!」

紅莉栖「……モノマネよ」

172 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:30:44.15 JKskC6Aqo 165/367

岡部「……そ、それは『まどか』の言葉だ。
   お前がコスプレしているキャラじゃない」

紅莉栖「うん……言ってみただけよ……
    そ、それとも何?
    鳳凰院さんは『ほむら』のキャラで罵られたいの?

    『愚か者が相手なら、私は手段を選ばない』」

岡部「誰が愚かものかっ!
   俺は別にキャラを真似ろとは一言も言ってない!!」


最初にコスプレの衣装を渡しただけだッ!
俺のせいじゃないのに、色々根に持ってるのか?


紅莉栖「そう?本当は少し嬉しいんじゃない?
    私に見惚れてた鳳凰院さん」

岡部「勝手なことを言うんじゃないっ!
   まったく、突然何だと言うんだ……」


ビックリしたじゃないか。
アニメの言葉をしっかり覚えているあたり、
よく見ているな。

173 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:35:08.33 JKskC6Aqo 166/367

紅莉栖「ほら、次の話し始まるわよ。

    ……今のはちょっとした空気の入れ替え。
    ずーっと見てたら肩凝っちゃった。
    空気は重いし、
    アニメを見てるだけなのに、
    何でこんな気持ちにならなきゃなんないんだか」


お前と俺が会ったのは、去年の夏が、初めてだよ。
俺は、忘れない、忘れてないから安心しろ。


              ――……岡部は私のこと、覚えてて……くれる?


絶対に、忘れない。



先生『はーい、それじゃあ自己紹介いってみよー』

ほむら『あ、あの……あ、暁美……ほ、ほむらです。
    ……その、ええと……どうか、よろしく、お願いします……』


お、ん?んんん??
何だこれは?どうしちゃったんだ??

……何て思えたら、良かったんだろうな。
それが狙いだったのかもしれないし。
だが、俺はもうこの時点で、ひとつの確信がある。


ほむら『あの、わ、私、その……』

まどか『暁美さん?』

まどか『保健室、行かなきゃいけないんでしょ?場所、わかる?』

まどか『じゃあ案内してあげる。私、保健係なんだ』

まどか『みんな、ごめんね。
    暁美さんって、休み時間には、
    保健室でお薬飲まないといけないの』


転校生として、生徒に珍しがられるほむらに、ピンク色の髪をした女の子が話しかける。
転校生として、戸惑うほむらに対しての助け舟のようだ。

174 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:36:47.95 JKskC6Aqo 167/367


まどか『ごめんね。
    みんな悪気はないんだけど、
    転校生なんて珍しいから、はしゃいじゃってw』

ほむら『いえ、その……ありがとうございます』

まどか『そんな緊張しなくていいよ、
    クラスメイトなんだから』

まどか『私、鹿目まどか。まどかって呼んで』

        ――……暁美さん?

まどか『いいって。だから、私もほむらちゃん、
    って呼んでいいかな?』

       ――ほむらでいいわ。

ほむら『え?そんな……私、
    その……あんまり名前で呼ばれたことって、無くて……。
    すごく、変な名前だし……』

       ――ほむら……ちゃん。

まどか『えー?そんなことないよ。
    何かさ、燃え上がれーって感じでカッコいいと思うなぁ』

       ――あぁ、えっと……その……変わった名前だよね?

ほむら『名前負け、してます』

       ――ギリッ

まどか『うん?そんなのもったいないよ。
    せっかく素敵な名前なんだから、
    ほむらちゃんもカッコよくなっちゃえばいいんだよ』

――い、いや……だから……あのね。変な意味じゃなくてね。
                   その……カ、カッコいいなぁなんて。

175 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:39:42.80 JKskC6Aqo 168/367



頭の中に会話が思い浮かぶ。
どうして、気付けなかったんだ。
思えば、こいつの行動は、そっくりだったじゃないか。


    ――……あの時の俺に言ってやりたい!

    ――……迂闊な真似をするなと!

    ――……軽率な真似をするなと!

    ――……見て見ぬフリをするなと!

    ――……もっと注意を払えと!


    ――『さもなければ、全てを失うことになる』――


あの忠告も、執着心も、
どうして魔法少女になることを妨害してたのかも、
全てが、繋がった気がした。

そうだ、

     こいつは、

            暁美ほむらは……!


――『君はこの時間軸の人間じゃないね』


タイムトラベラーだ。

176 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:41:30.63 JKskC6Aqo 169/367



――無理だよ……私、何にもできない。
   人に迷惑ばっかり掛けて、恥かいて。どうしてなの……?
   私、これからも、ずっとこのままなの?

――死んだ方が良いかな……?
  『だったらいっそ、死んだ方がいいよね』

――死んで……しまえば……。
  『死んじゃえばいいんだよ……』


ほむら『……えっ!?なにっ……?」

ほむら『ど……どこなの、ここ……?』

ほむら『何?何なの!?』

ほむら『え?いやっ!あぁっ!』


魔女の結界……か。
おそらく次に現れるのは――


     ビュンッ! バンッ! ビュンッ!

177 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:42:49.90 JKskC6Aqo 170/367


??『間一髪、ってところね』
???『もう大丈夫だよ、ほむらちゃん』

ほむら『あ、あなたたちは……?』

?????『彼女たちは、魔法少女。
      魔女を狩る者たちさ』

まどか『いきなり秘密がバレちゃったね』

まどか『クラスのみんなには、内緒だよっ☆』


これが、
今まで俺たちが観測してきた、
暁美ほむらの、本来居た、時間。
やり直して、なかったことにした、時間と空間。


                  ――世界線。


だとしたら、やり直してでも、
〝なかったこと〟にしたかった、
その理由は?

     ――ああ、君たちからしたら未来になるのかな?

わかっている。
認められない結末、
何をしてでも、変えなければならない結果。

     ――そんな未来を変えるため。

ほむらが魔法少女になる理由。

178 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:43:41.91 JKskC6Aqo 171/367


まどか『私なんて、
    先週キュゥべえと契約したばっかりだし』


まどかに、あれだけ執着した、その理由は……!




まどか『じゃ、いってくるね』

ほむら『えっ……そんな……巴さん、死んじゃっ、たのに……』

まどか『だからだよ。
    もうワルプルギスの夜を止められるのは、
    私だけしかいないから』

ほむら『無理よ!一人だけであんなのに勝てっこない!
    鹿目さんまで死んじゃうよ?』


崩れた世界で、語り合う二人。
その二人の間には、巴マミの体が仰向けに倒れていた。

179 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:44:42.26 JKskC6Aqo 172/367


ほむら『ねぇ……逃げようよ……だって、
    仕方ないよ……?
    誰も、鹿目さんを恨んだりしないよ……』

まどか『それでも、私は魔法少女だから。
    みんなのこと、守らなきゃいけないから』

まどか『ほむらちゃん。私ね、あなたと友達になれて嬉しかった。
    あなたが魔女に襲われた時、間に合って。
    今でもそれが自慢なの』

まどか『だから、魔法少女になって、
    本当によかったって。そう思うんだ』



まどか『さよなら。ほむらちゃん。元気でね』

ほむら『いや!行かないで……鹿目さぁぁぁん!!』



収束していく結果。確定した未来。
これが、ほむらが過去を変えてでも、
取り戻したかった現在の理由。

180 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:46:26.68 JKskC6Aqo 173/367


ほむら『どうして……?死んじゃうって、わかってたのに……。
    私なんか助けるよりも、
    あなたに……生きててほしかったのに……』

キュゥべえ『その言葉は本当かい?暁美ほむら。

      君のその祈りの為に、魂を賭けられるかい?
      戦いの定めを受け入れてまで、
      叶えたい望みがあるなら、
      僕が力になってあげられるよ』


ほむら『あなたと契約すれば、どんな願いも叶えられるの?』

キュゥべえ『そうとも。君にはその資格がありそうだ。
      教えてごらん。

      君はどんな祈りで、ソウルジェムを輝かせるのかい?』


未来を変えるために、神をも冒涜する12番目の理論。

181 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:47:34.96 JKskC6Aqo 174/367




ほむら『私は……。私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。

    彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたいっ!!』


キュゥべえ『契約は成立だ。

      君の祈りは、エントロピーを凌駕した。

      さあ、解き放ってごらん。その新しい力を!』



時間を跳び越える。
彼女を助けるために。
彼女が死んでしまう未来を、変えるために。


紅莉栖「タイムトラベル……」

182 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:48:17.27 JKskC6Aqo 175/367

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岡部「タイムトラベル……」


ダル、お前が見せたかったものがわかったよ。
つまり、そういうことなんだろ?

俺はこの流れを知っている。
何度やっても、変わらなかった結果を。
過程は違えども、結果は収束する。

どれだけもがいても、
もがいても、もがいてもっ、もがいてもっ!!
どれだけ過去に逃げても変わらなかった、世界の意思。


                 ――……世界が、まゆりの死を望んでる?


認められるわけがない。

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183 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:49:29.86 JKskC6Aqo 176/367


――――――カチャッ ギュゥゥゥウウウン

ほむら『はっ?ここは……。私、まだ退院してない……。
    はっ!?夢じゃ、ない…』


跳んだ。
ほむらも、跳んだ。
これがほむらの〝してきたこと〟だったのか。

俺は気付くべきだった。
いや、気付かなくて良かったのか?
もしも、最初から全て知っていて、このアニメを見ていたら、
俺はどんな顔して見ていればいいか、わからなくなってたと思う。


ほむら『暁美ほむらです。よろしくお願いします!』

ほむら『鹿目さん、私も魔法少女になったんだよ☆
    これから一緒に頑張ろうね!』

まどか『え?……えぇと……ぅぅん……///』

184 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:51:06.21 JKskC6Aqo 177/367


紅莉栖「こんな風に繋がるのね……」

岡部「正に魔法の成せる業だな!
   アニメらしいじゃないかフゥーハハハ!!」

紅莉栖「え?……う、うん。
    ……そうね、魔法よね」


そうだ、これは魔法だ。
奇跡の力だ。
タイムトラベルが出来る……。
そんなことは、もう現実にはあってはならない。

俺が許さない。


ほむら『それじゃ、行きます!』


――――――カチャッ


時間が止まる。
ほむらの目の前にはドラム缶。
手に持ってるのはゴルフクラブ。


ほむら『わぁああああああ!
    あちょっ?とっとっ』スカッ

ほむら『えいっ』ボコッ

ほむら『は、ふぃ……』ボコボコボコッ

――――――チキチキチキッガチャン


時間が動きだす。

185 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:52:11.21 JKskC6Aqo 178/367


ほむら以外の、
二人の目の前には、ボコボコになったドラム缶
息切れするほむら。


まどか『どう思う?マミさん』

マミ『うーん、時間停止ねぇ?
 確かにすごいけれど、使い方が問題よねぇ』


仲間たちは、時間干渉能力に戸惑っているようだ。
そりゃそうだろう。
時間干渉を観測出来るのは当事者だけ。
他の者からしたら、何が起こったか何てわからないし、
それがどれだけ悪魔の力を持つかなど、予測もつかないだろう。
わかるのは、観測者だけ。
実験して起こった出来事の過程を理解できるのは、

観測者だけなんだ。

186 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:53:31.34 JKskC6Aqo 179/367


ほむらはその力を理解したのか、危険そうなもの作ってる。
暗い雰囲気で、若干病んでる感じがするぞ?
何かこういう場面は、紅莉栖を思い出してならない。
この実験大好きっ子も、未来ガジェットを作っている時こんな感じだからな!

紅莉栖はもうちょっとマッドっぽいけどな!


まどか『マミさん!今だよ!』

マミ『オッケー』

ほむら『ふぁあぁあ!ひぃぃぃ!』

マミ『暁美さん、おねがい』

ほむら『は、はい!』


おお、綺麗な風景だ。いや結界だ。
魔女と戦う魔法少女。
すごく……魔法少女アニメみたいです。
いやそのものズバリ何だけど、過程が過程だけに忘れがちになる。


――わ~~~~~ ポイッ!!
――ズドオオオオオオオオオン!!
――そして時は動き出す――

ほむら『やった?やっ――』 
     まどか『やったぁ~!すごい、すごいよほむらちゃん!』

マミ『お見事ね』


ほむらちゃん大勝利!
魔法少女は今日も平和を守りましたっ!
何て新鮮な光景!これだよっ!こういうのだよ!

187 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:54:52.35 JKskC6Aqo 180/367


紅莉栖「ま、まどか……、ソゥキュート……」

岡部「これはいいな、こういうのが本来の魔法少女アニメだな」

紅莉栖「魔法少女同士で共闘してるのって、
    これが初めてなんじゃない?」


確かにそうだ。
結局俺たちの予想はハズレにハズレて、
当初考えてたアニメとは、別なものを見ていたからな。

マミ復活とか、さやかとまどかのコンビとか、
他の魔法少女と和解とか。
全部水の泡となって消えていった。
共闘とか見てるだけで胸熱だ。

……ダルの顔が浮かんできて、少し腹が立った。

188 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:56:35.12 JKskC6Aqo 181/367


しかし、この新鮮な光景は続かないんだろうな……。

何故なら、
この、
世界線は変わっていない。
未来のほむらが変えたかった、過去が変わっていない。
収束からは、逃れられない。


ほむら『どうしたの?ねぇ、鹿目さん?しっかりして!』

まどか『どうして?ィッ!あああぁぁぁぁああああああっ』


ソウルジェム、いやグリーフシードが割れる。
さやかと同じ、そこからは魔女が具現化する。


――ゥボァァァァァァァァァァァッ


ほむら『何……?どうして……?なんで、こんな……?』


――彼女のソウルジェムは、
  グリーフシードに変化した後、魔女を生んで消滅したわ。


――――――カチャッ ギュゥゥゥウウウン


ほむら『伝えなきゃ……みんなキュゥべえに騙されてる!』


――だったら、やがて魔女になる君たちのことは、
  魔法少女と呼ぶべきだよね?

189 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:58:36.63 JKskC6Aqo 182/367



何度も時間を跳ぶ、ほむら。
俺はこの流れを知っている。
何度やっても、変わらなかった結果を。
過程は違えども、結果は収束する。
どれだけもがいても、
もがいても、もがいてもっ、もがいてもっ!!
どれだけ過去に逃げても変わらなかった、世界の意思。


                 ――……世界が、まゆりの死を望んでる?


認められるわけがない。



さやか『あのさあ、キュウべえがそんな嘘ついて、
    一体何の得があるわけ?』

さやか『私達に妙な事吹き込んで、
    仲間割れでもさせたいの?』

さやか『まさかあんた、
    ホントはあの杏子とか言う奴とグルなんじゃないでしょうね?』

さやか『はあ、どっちにしろ私この子とチーム組むの反対だわ。
    まどかやマミさんは飛び道具だから平気だろうけど、
    いきなり目の前で爆発とか、ちょっと勘弁して欲しいんだよね。
    何度巻き込まれそうになった事か』



紅莉栖「なんだ、こいつは」

190 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 18:59:21.55 JKskC6Aqo 183/367


まったくだ、これはウザい。
美樹さやかは実にバカだなッ!
紅莉栖を見習え!
こいつは一発で信じてくれたぞ?
その後、疑われたりもして、苦労したこともあるがな。

……ちょっと感情的になったかな……?
ほむらを見てると色々思い出してしまうからか、
今まで俺が観測してきた、
アニメなんだという過程を忘れてしまうな。
すまない、さやか。
お前の最後に、俺は泣いたのに。


紅莉栖「何か性格変わってない?この子」

岡部「これはもしかしたら、バタフライ効果じゃないのか?
   仲間思いの良い奴、
   って設定がほむらの告白で微量の変化を及ぼしたと。
   しかし、人の性格も変わるものなのかどうか」

紅莉栖「性格じゃないとしたら、
    映されてない所で何かあったのかも。
    それでほむらを嫌ってるからとか、
    まあ過程が映されない限り、
    解はでないんだけど……」


前回が前回だけに、あんまりこの過程は認めたくないな。

191 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:00:29.25 JKskC6Aqo 184/367


忠告されたほむらは、暴力団のアジトみたいな所に潜入している。
これは便利な魔法だな。

しかも、紅莉栖も付けているあの盾?
四次元ポケットそのものじゃないか。
入れてるモノはめちゃくちゃ現実的なブツだがな。
我がラボに来たら、未来ガジェットを奢ってやろう。


                    ――……いらねー。


杏子『テメェ、一体何なんだ!?
   さやかに何しやがった!?』

まどか『さやかちゃん、やめて!
    お願い、思い出して。こんなこと、
    さやかちゃんだって嫌だったはずだよ!?』


どこかで聞いたセリフ。
踊る使い魔、ライトアップされるアイドル。
戦う相手は人魚姫の魔女。


紅莉栖「あの使い魔、仁美って子にそっくり」

岡部「あ、轢かれた」

紅莉栖「何かのメタファーかしら」

     ――まゆりおねえちゃーん!

轢かれ……。
ダメダメそれはダメ、
思い出したらダメいや俺は何も見てない知らない。


ほむら『ごめん……美樹さん……』

192 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:01:23.78 JKskC6Aqo 185/367



時間停止、時間進行。
爆発するさや……いや、魔女。

世界の意思は、
さやかも悲劇に巻き込んでいるのかもな。


杏子『さやか……。チクショウッ……。こんなことって……』

まどか『ひどいよ……こんなのあんまりだよ……』




ほむらの体に縛り付く黄色い帯。


バンッ


黄色い閃光が走る。
杏子のソウルジェムが砕かれる。

193 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:02:24.56 JKskC6Aqo 186/367




ほむら『……はっ!?巴さん!?』

マミ『ヒクッゥ……っ!

    ソウルジェムが魔女を産むなら……!
    みんな死ぬしかないじゃないっ!?

         あなたも!?私もっ!!』

ほむら『やめてっ――』



ビュンッ

194 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:07:10.58 JKskC6Aqo 187/367



桜色の光が貫く。
マミのソウルジェムが砕かれる。
ほむらの横をそれる銃弾。


まどか『嫌だぁ…もう嫌だよぉ…ッ…ッ…こんなのぉ…
    ぁぁぁ……あああ゛あ゛あ゛あ゛ン……

ほむら『大丈夫だよ。二人で頑張ろ?
    一緒にワルプルギスの夜を倒そう?』

まどか『うん……』


くそッ!何だよこれは……。
わかってる、まどかが魔法少女である限り、
俺たちは悲惨な結果を見るしかない、なんてことはッ!

でも、こんなのって酷い。アニメ酷い。
中学生だろこいつら……?あんまりじゃないか。

195 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:08:24.96 JKskC6Aqo 188/367



まどか『私たちも、もうおしまいだね』

ほむら『グリーフシードは……?』


質問には答えない。


ほむら『そう……。ねぇ……私たち、このまま二人で、
    怪物になって…こんな世界、
    何もかもメチャクチャにしちゃおっか?
    嫌なことも、悲しいことも、全部無かったことにしちゃえるぐらい、
    壊して、壊して、壊しまくってさ……。

    それはそれで、良いと思わない?』


     ――……無駄だった……なにをやっても、無駄だ……!


カツンッ


まどか『さっきのは嘘。1個だけ取っておいたんだ』


グリーフシードが、その手に握られている。
ほむらの手と交差した、右手とは別の左手で、
左手に添えられていた。

196 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:09:39.87 JKskC6Aqo 189/367



ほむら『そんな……!何で私に!?』


――わかってる……わかってたんだぁ?
         ……こうなるって、予想してたんだ……!


まどか『私にはできなくて、
    ほむらちゃんにできること、お願いしたいから』


――オカリン!


まどか『ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね?
    こんな終わり方にならないように、
    歴史を変えられるって、言ってたよね?』


――オカリン……は、途中で諦める人じゃないよ!


まどか『キュゥべえに騙される前のバカな私を、
    助けてあげてくれないかな?』


――最後の最後まで食いついたまま離れないんだよ……?

197 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:10:09.19 JKskC6Aqo 190/367




ほむら『約束するわ!絶対にあなたを救ってみせる。

         何度繰り返すことになっても、

        必ずあなたを守ってみせる!!!』


――諦めちゃ、ダメだよ……!



198 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:10:52.55 JKskC6Aqo 191/367

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――雲の向こうで、変わらずに輝き続けてるんだもん。

     ――というわけで!私が、オカリンの空を覆っている雨雲を、取り払ってくる♪
       ちょっとだけ、待ってて?


岡部「まゆりぃ……なんで帰ってこないんだよ。
   ……お前は、この世界線では生きているはずだろう……?」


俺のリーディングシュタイナーは反応しなかった。
あの二人は、未来を変えられなかった。

過去へ跳んでも、結果は同じ。世界の収束からは逃れられない。
だから、何も変わらない、変わらないはずなんだ。
それなのに……まゆりは、帰ってこない。
まゆりは、死んだ。


岡部「まゆりの生死は、この世界にとって重要な意味を、持たない……」


自問自答。
いや、これは紅莉栖の……。          ――まゆりが死ぬ本当の原因。

俺は二人が、タイムマシンに乗って再び過去に遡ってから、
ひたすらそのことについて考えていた。

199 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:11:21.97 JKskC6Aqo 192/367


α世界線において、まゆりが悪夢の三週間を生き残ることは出来なかった。
そして、まゆりが生き残ることは、そのままそこがβ世界線だという証明にもなった、
はずだったんだ。

だがまゆりは、この世界の未来で生き残ることが確定しているのに、
再び俺の前からいなくなった。
もしかしたら帰ってくる可能性もあるかもしれない。
それでも、あれから何日過ぎても、帰ってくることはなかった。
それが意味するものは、存在的な死ではなく、社会的な死。
まゆりは、社会的に、死んだ……。
それでもリーディングシュタイナーは発動しない、まゆりがいないのにぃッ!

α世界線では、まゆりの生死が世界線変動率に影響するものではなく、
重要な過程の中で、まゆりが死ななければならないという結果が確定しているだけだった。
まゆりが死ぬ原因が、まゆりを殺していたんだ。

ここでは、どうだ?何が起こっている?

β世界線では、まゆりの生死が世界線変動率に影響するものではなく、
重要な過程の中で、紅莉栖が死ななければならないという結果が確定しているだけだった。
そう、まゆりは関係ない。

つまりこの世界では、まゆりが生きていても、死んでいても、
世界にとってそれは些細な出来事に過ぎないのかもしれない、ということだ。

世界線変動率は、人類のたかが一人が死んだからといって、
大幅に変わることはない。
そして、大幅に変わるとされた、2010年はもう過ぎ去った。
因果は、収束は、まゆりがいようがいまいが、もう揺るぎはしない。

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200 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:12:36.59 JKskC6Aqo 193/367



まどか『よかった……』

まどか『もう一つ、頼んでいい…?』

まどか『私、魔女にはなりたくない……!
    嫌なことも、悲しいこともあったけど、
    守りたいものだって、たくさん、
    この世界にはあったから』


――俺が、殺してしまったんだ……!


ほむら『まどかぁ……!』

まどか『ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね。
    嬉しい……な』







ほむら『はっ……ぅ、ぬぐっ……うぅ……うう゛ううううう゛うう゛うう゛う!!』チャキッ


――ぁぁあああぁあぁあああ、ぁああぁあぁああぁぁあああぁ――!!


――――――カチャッ ギュゥゥゥウウウン

201 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:15:07.11 JKskC6Aqo 194/367



紅莉栖「お、岡部?」

岡部「ハァハァハァッゴク、ハーハーハー……」

紅莉栖「ねえ?岡部、本当に大丈夫なの?」

岡部「……紅莉栖」


俺は紅莉栖に、手を伸ばしていた。


紅莉栖「え?何、ちょっ!」


指先が、その髪に触れた。
サラサラしてるな。

雨に濡れたくせに、
最初の頃と何も変わらない。

頬に触れる、何てやわらかい感触、懐かしい感触。


              ――おのれは、警察に突き出されたいのか?


紅莉栖「お、おかべ??///」

岡部「お前は、ここにいる、いるんだよな……」


              ――ありがとう。私のために、そこまで苦しんでくれて。


紅莉栖「な、何言ってんの?
    当たり前でしょ……?
    ねえ……恥ずかしいんだけど///」


              ――このHENTAI!頭おかしいんじゃないの!?
                馬鹿なの?死ぬの?


岡部「あ、……すっすまん!つい……」


なんなのよっもぅ……と、
顔を赤らめて髪を指で弄りだす紅莉栖。
フ、フハ、フハハ……初々しいじゃないか。
最初に会った頃とは大違いだな!
洋書(は手元にはないから、付けている盾?)で、
殴られるかと思ったぞ!

202 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:16:36.01 JKskC6Aqo 195/367



ほむら『――誰も、未来を信じない。

    誰も、未来を受け止められない。

    だったら、私は……――』


メガネを外し、髪を解き、目に力を使うほむら。
目つきが変わり、そこからは、覚悟の違いが見えた。


まどか『ハッ……誰?』

ほむら『まどか。あなたに奇跡を約束して、
    取り入ろうとする者が現れても、
    決して言いなりになっては駄目』

まどか『え?あの……?』


まどかの前に再び舞い戻る。
その手には、悪魔を持つ。




ほむら『もう、誰にも頼らない。
    誰にわかってもらう必要もない』

ほむら『もう、まどかには戦わせない。
    全ての魔女は、私一人で片付ける。
    そして今度こそ、ワルプルギスの夜を、

         この手で!』


その姿は――

203 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:17:41.85 JKskC6Aqo 196/367



―――いつか君が、瞳に灯す、愛の光が、時を越えて―――


紅莉栖「これ、冒頭の……!」


―――滅び、急ぐ。世界の夢を。確かに、ひとつ、壊すだろう―――


まどか『ひどい……!』

キュゥべえ『仕方ないよ。彼女一人では荷が重すぎた』


―――躊躇いも、飲み干して、君が望むモノは何?―――


まどか『そんな……あんまりだよ。こんなのってないよ……!』


―――こんな、欲深い憧れの、
        行方に、儚い明日はあるの?―――


キュゥべえ『諦めたらそれまでだ。でも、
     君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、
     嘆きも、全て君が覆せばいい。
     その為の力が、君には備わっているんだから』

204 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:19:11.74 JKskC6Aqo 197/367



―――子供の頃、夢に見てた、古の魔法のように―――


ほむら『まどか、そいつの言葉に、
             耳を貸しちゃダメぇええええ!!』



スクリーンには、大きい怪物?と戦ってる少女。

     ――魔女。

それを見ている少女と小さくてファンシーな動物との会話が行われていた。

     ――インキュベーター。

戦ってる少女はその会話を見ている…のか?何か叫んでるようにも見える。

     ――届かない言葉。

で、その戦っている少女がまゆりの言っていた『ほむら』、

     ――未来から来た、タイムトラベラー。

即ち紅莉栖がコスプレしているキャラにそっくりだった。

     ――世界線の収束。

主に、一体、どこが!?とは、言わないがな!

     ――確定した、未来を変える。

紅莉栖「そうか……そういうことか……」



―――闇さえ砕く、力で、微笑む君に、会いたい!―――


まどか『本当なの?私なんかでも、
    本当に何かできるの?
    こんな結末を変えられるの?』

205 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:19:54.07 JKskC6Aqo 198/367



―――怯える、この手の中には―――


ほむら『騙されないで!そいつの思う壺よ!!』


―――手折られた花の、勇気―――


インキュベーター『もちろんさ。

          だから僕と契約して、魔法少女になってよ!』


―――想いだけが、頼る全て、光を、呼び覚ます願い!―――


ほむら『ダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


輝く願いの光。
悲痛な叫びは、虚空の中に消える。

206 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:21:56.54 JKskC6Aqo 199/367



インキュベーター『本当にもの凄かったね、変身したまどかは。
          彼女なら、
          最強の魔法少女になるだろうと予測していたけれど……。

          まさかあのワルプルギスの夜を、一撃で倒すとはね』

ほむら『その結果どうなるかも、見越した上だったの?』

インキュベーター『遅かれ早かれ、
          結末は一緒だよ。彼女は最強の魔法少女として、
          最大の敵を倒してしまったんだ。

          もちろん後は、最悪の魔女になるしかない。

          今のまどかなら、おそらく十日かそこいらで、
          この星を壊滅させてしまうんじゃないかな?

          ま、後は君たち人類の問題だ。
          僕らのエネルギー回収ノルマは、
          おおむね達成できたしね』


最強の魔女とは、別の場所を向くほむら。


インキュベーター『あ……戦わないのかい?』

ほむら『いいえ。私の戦場はここじゃない』


――――――カチャッ ギュゥゥゥウウウン


            スカイクラッド
――その姿は、まるで孤独の観測者。

207 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:22:49.95 JKskC6Aqo 200/367

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ほむら『繰り返す。私は何度でも繰り返す』


―――過去は、離れて行き。
         未来は近づくの?―――


ほむら『同じ時間を何度も巡り、
         たった一つの出口を探る』


―――観測者はいつか、矛盾に気づく!―――


ほむら『あなたを、
        絶望の運命から救い出す道を』


―――神の創り出した世界は、
              完全なるもので―――


???『何度繰り返したの?あと何度繰り返すの?』


―――絶対の均衡―――


???『貴女が歩いた昏い道に、望んだものに似た景色はあった?』

ほむら『黙りなさい……黙れッ』

208 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:24:14.07 JKskC6Aqo 201/367



―――それは、折り重なる偶然。
               宇宙規模の奇跡―――


マミ『いつか私たちはその魔女になるのよ?』

??『いつかはいまじゃないよ』


―――守られてきた、ゲート―――


杏子『ったく!ガキに説教されるなんて、あたしもヤキが回ったかな。
  らしくないね』


―――規制は終わった―――


     『みんな……聞いて欲しいことがあるの』


           『キャアアァアッ』
『まどか!まどか!!』
                   『返事してよ!』
『うわああああああああああ』


     『……』


    ―――Open The Eyes―――

209 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:24:56.10 JKskC6Aqo 202/367



―――0が過去で、1が未来、
            今は何処にもない―――


ほむら『まどか……たった一人の、私の友達……』


―――背く事の出来ぬ、ロジック―――


    ―――Open The Eyes―――


まどか『ほむらちゃん……?』


―――並行する、無数の線。
             選択は冒涜へ―――


ほむら『あなたの……あなたの為なら』


―――僕らの存在さえ、疑う。
      その目に映る景色は、収束をする!―――


岡部「う、ああ……あああ……」


ほむら『私は永遠の迷路に閉じ込められても、
                   ――構わない』

210 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:26:24.02 JKskC6Aqo 203/367



岡部「無駄だぁぁああ!!無駄なんだよッ!?」

頭が、頭が痛い……。かゆい。
でもこの痛みは、タイムリープした時のものでもないし、
リーディングシュタイナーによるものでもない。


岡部「クソッ!クソォォォオオオ!!ちくしょぉぉぉおおおおお!!!」


俺は、我慢できずに暴れまわる。
それでも、アニメは再生され続ける。
もう、最終話まで止まらない。

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211 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:27:23.77 JKskC6Aqo 204/367



―――交わした約束、忘れないよ、
               目を閉じ確かめる―――


     『絶対にあなたを!救ってみせる!』


―――押し寄せた闇、振り払って、進むよ―――


     『〝なかったこと〟にしてはいけない』

212 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:28:13.91 JKskC6Aqo 205/367



―――いつになったら、無くした未来を―――


     『だって、お友達たっくさんできたもん』


―――私、ここでまた見ること、できるの?―――


     『もう、大丈夫だね。まゆしぃが、人質じゃなくても』


―――溢れ出した不安の影を―――


     『岡部っ!本当にいいのっ!?
       タイムリープしてもいいのっ!?ねえっ!?』


―――何度でも裂いて、この世界、歩んで行こう―――


     『やれ、紅莉栖!マシンを動かせっ!!』

213 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:28:56.54 JKskC6Aqo 206/367



―――とめどなく、刻まれた―――


     『貴女を失えば、それを悲しむ人がいるって、
             どうしてそれに気づかないの!』


―――時は、今、始まり告げ―――


     『……成功、したのか?……』


―――変わらない、思いをのせ―――


     『いくつもの世界線を旅してきたからこそ……』


―――閉ざされた、扉開けよう!―――


     『跳べよぉおおおおおおおおおっっ!!!』

214 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:29:57.14 JKskC6Aqo 207/367



―――目覚めた心は走り出した、
                未来を描くため―――


     『貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。
                 今までどおり、これからも』


―――難しい道で、立ち止まっても、空は―――


     『私は、いつだってあんたの味方よ』

215 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:30:49.09 JKskC6Aqo 208/367



―――綺麗な青さで、いつも待っててくれる―――


     『すべて、意味があったことなんだよ』


―――だから怖くない、もう何があっても―――


     『〝最初のお前〟騙せ!
               世界を騙せ!』


     ―――挫けない!―――


     『エル・プサイ・コングルゥ』

216 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:31:25.18 JKskC6Aqo 209/367



「――‐‐……べ!!」

岡部「俺は、俺は……!」

「…ぉ……!」

岡部「辿りついて……全部あったことで……」

「…かべ!!」

岡部「だから、俺は覚えてるから……!」

紅莉栖「岡部ッ!!!」


ハッと振り向くと、
目に涙を溜めた紅莉栖が、
俺を呼んでいた。
あれ?俺何やって……?


紅莉栖「岡部、ねえ岡部?」

217 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:32:39.65 JKskC6Aqo 210/367

岡部「な、何だ?クリスティーナよっ。
   酷い顔ではないか!」

紅莉栖「……自分の顔、鏡で見てきてから言ったら?」


え?
と思う前に気付いた。

俺、めちゃくちゃ泣いてる。
頬がビショビショになってる。
紅莉栖どころのレベルじゃない……。

ああ、感情移入しすぎたな、と冷静に後悔した。
これはアニメだ。アニメの話しだ。
あの悪夢の、
人生でもっとも長い三週間のことを、言ってるんじゃない。


紅莉栖「岡部、あんた自分でわかってる?
    岡部の顔……急に老けたように見える……」

岡部「だ、黙れクリスティーナよ!
   俺は元からこの顔だっ!」

紅莉栖「強がってるの、見え見えだぞ?」


うるさいっ!
こうでもしてないと、
お前の顔何てまともに見れるか!

218 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:33:34.85 JKskC6Aqo 211/367

紅莉栖「岡部……」

岡部「岡部岡部と何だ、
   そんなに構ってほしいのか!
   この構ってちゃんめ!」

紅莉栖「……辛いならね、
      『無理しなくていいんだよ?』」

岡部「!?」

      ――まゆしぃは大丈夫だから。


バッおまっ、その台詞は……。

何故お前がその言葉を……。
今その言葉は反則だろ……ふざけんな。


紅莉栖「『なにがあったのかは、わからないけど……』」

岡部「あ……ぁ」

紅莉栖「岡部は、岡部のために……」

紅莉栖「泣いて、いいと思うの」

岡部「ぐ……ぅ」


こいつらは……揃って卑怯だ。

219 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:34:38.23 JKskC6Aqo 212/367


そんなこと言われたら、泣くしかないじゃないか!
むしろ泣かなかったら、
空気嫁判定をくらう勢いだ。

紅莉栖は俺の頭に手を伸ばして、頭を撫でてくれた。
被るんだよ、お前らは……。


岡部「か、勘違いするなよ!
   これは汗だっ!
   目から汗が出ているだけだからなっ」

紅莉栖「ツンデレのテンプレ乙。
    慣れないことしてるんだから、素直になれば?」


お前が言うな。

紅莉栖が居てくれてよかったと思う。
紅莉栖とこのアニメを見れて良かったと思う。

もしもここに居なかったら、俺は泣くどころではなく、
何をしていたかわからない。

220 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:35:51.86 JKskC6Aqo 213/367


俺には未来があるから、安心できる。
確定してない、無限の可能性が溢れている、

<シュタインズゲート>の選択なんだからな!
フゥーハハハ!!!

           ――エル・プサイ・コングルゥ。


紅莉栖「落ち着いた?」

岡部「ああ、流石は俺の、助手だな。クリスティーナ……」

紅莉栖「だから私は助手でも、
        クリスティーナでもないと言っとろーが!」


目に涙を溜めた紅莉栖は言い切った。

221 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:37:12.73 JKskC6Aqo 214/367


――第十一話 最後に残った道しるべ――


インキュベーター『時間遡行者、暁美ほむら』

インキュベーター『過去の可能性を切り替えることで、
          幾多の平行世界を横断し、
          君が望む結末を求めて、
          この一ヶ月間を繰り返してきたんだね』

インキュベーター『君の存在が、
          一つの疑問に答えを出してくれた

          「何故、鹿目まどかが、魔法少女として、
          あれほど破格の素質を備えていたのか?」』
 
インキュベーター『今なら納得いく仮説が立てられる』

インキュベーター『魔法少女としての潜在力はね、
          背負い込んだ因果の量で決まってくる』

インキュベーター『一国の女王や救世主なら兎も角、
          ごく平凡な人生だけを与えられてきたまどかに、
          どうしてあれほど膨大な、
          因果の糸が集中してしまったのか不可解だった』


インキュベーター『だが――ねえ、ほむら?』

インキュベーター『ひょっとしてまどかは、
          君が同じ時間を繰り返す毎に、
          強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい?』

ほむら『……ッ!?』

222 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:38:21.62 JKskC6Aqo 215/367

インキュベーター『やっぱりね、原因は君にあったんだ!』

インキュベーター『正しくは、
          君の魔法の副作用――と言うべきかな?』

ほむら『……どういうことよ?』

インキュベーター『君が時間を、
          巻き戻してきた理由はただ一つ。

          ――鹿目まどかの安否だ』

インキュベーター『同じ理由と目的で、
          何度も時間を遡るうちに、
          君は幾つもの並行世界を、
          螺旋状に束ねてしまったんだろう。

          ――鹿目まどかの存在を中心軸にしてね』

インキュベーター『その結果、決して絡まるはずのなかった、
          平行世界の因果線が、
          全て今の時間軸のまどかに連結されてしまったとしたら?
          彼女の、あの途方もない魔力係数にも納得がいく』

インキュベーター『君が繰り返してきた時間。

          ――その中で循環した因果の全てが、
          巡り巡って、
          鹿目まどかに繋がってしまったんだ。
          あらゆる出来事の元凶としてね』

223 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:39:14.52 JKskC6Aqo 216/367



紅莉栖「……因果律の収束だとでも言うの?」

岡部「因果の輪から外れたことで、
   その代償に因果の輪に絡まったのが、
   ……鹿目まどか……?」


いつか言っていた言葉を思い出す。


――時間の輪、つまり因果律から外れるかもしれない。

――SF小説によくあるでしょ?
         閉じた時間の輪の中で、永遠にさまよい続ける。


それが、暁美ほむら。
そして、その希望の代償になったのが、

鹿目まどか。

ほむらが、絶望する理由。
希望と絶望は差し引きゼロで、
世界はそういう風に出来ている。



……こんな話しがあるかよ……!

224 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:40:48.85 JKskC6Aqo 217/367


結果的にほむらは、
自分で自分の首を、
延々と絞め続けていたということだ。


  ――時間を跳び越えることは、それだけ危険なのよ。


インキュベーター『お手柄だよ、ほむら。
          君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ』


  ―――あんたは、それでももがくの……?

225 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:51:48.72 JKskC6Aqo 218/367


誰かの葬式会場。
それはまどかの友達で、親友で、かけがえのない仲間。

まどかの顔には生気がない、まるで魔法少女のようだ。
本当は何も知らないはずなのに、
全てを知ってしまった存在。


まどか『さやかちゃんも、杏子ちゃんも死んじゃった』

インキュベーター『意外な展開ではないよ?
          予兆は随分前からあった』

まどか『どうでもいいって言うの?
    みんなあなたのせいで死んだようなものなのに!』

インキュベーター『例えば君は、
          家畜に対して引け目を感じたりするかい?』

インキュベーター『彼らがどういうプロセスで、
          君たちの食卓に並ぶのか』


意識が幻界へ。

226 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:52:48.37 JKskC6Aqo 219/367


まどか『あっ……やめてよ!』

インキュベーター『その反応は理不尽だ』

インキュベーター『この光景を残酷と思うなら、
          君には本質が全く見えていない』

インキュベーター『彼らは人間の糧になることを前提に、
          生存競争から保護され、
          淘汰されることなく繁殖している』

インキュベーター『牛も豚も鶏も、
          他の野生動物に比べれば、
          種としての繁殖ぶりは圧倒的だ』

インキュベーター『君たちは皆、
          理想的な共栄関係にあるじゃないか?』

まどか『同じだって言いたいの?』

インキュベーター『寧ろ僕らは、
          人類が家畜を扱うよりも、
          ずっと君たちに対して譲歩しているよ?』

インキュベーター『曲がりなりにも、
          知的生命体と認めた上で、
          交渉しているんだしね。
          信じられないのかい?』

インキュベーター『それなら、見せてあげようか。

          ――インキュベーターと人類が、
          共に歩んできた歴史を』


フラッシュバックする記憶と意識の世界。
まどかの脳裏に様々な世界線の記憶が映る。

227 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:55:24.38 JKskC6Aqo 220/367


インキュベーター『僕たちはね、
          有史以前から君たちの文明に干渉してきた』

インキュベーター『数え切れないほど大勢の少女が、
          インキュベーターと契約し、
          希望を叶え、
          そして絶望に身を委ねていった。
          祈りから始まり、呪いで終わる。

          ――これまで、数多の魔法少女たちが、
          繰り返してきたサイクルだ。
          中には、歴史に転機をもたらし、
          社会を新しいステージへと導いた娘もいた。


まどか『もうやめて…!
    みんな、みんな信じてたの。信じてたのに裏切られたの』


インキュベーター『彼女たちを裏切ったのは僕たちではなく、
          寧ろ自分自身の祈りだよ?

          どんな希望も、
          それが条理にそぐわないものである限り、
          必ず何らかの歪みを生み出すことになる』

インキュベーター『やがてそこから、
          災厄が生じるのは当然の節理だ。
          そんな当たり前の結末を裏切りだと言うなら、

          そもそも、願い事なんてすること自体が間違いなのさ。
          でも、愚かとは言わないよ?
          彼女たちの犠牲によって、
          人の歴史が紡がれてきたことも、また事実だし』


紅莉栖「解説乙。死ね、氏ねじゃなくて死ね!」


@ちゃんねらークリスティーナの反撃。


インキュベーター『そうやって過去に流された、
          全ての涙を礎にして、
          今の君たちの暮らしは成り立っているんだよ?

          それを正しく認識するなら、
          どうして今更、
          たかだか数人の運命だけを、
          特別視できるんだい?』

228 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:57:08.72 JKskC6Aqo 221/367


まどか『ずっとあの子たちを見守りながら、
    あなたは何も感じなかったの?
    みんながどんなに辛かったか、
    わかってあげようとしなかったの?』

インキュベーター『それが僕たちに理解できたなら、
          わざわざこんな惑星まで、
          来なくても済んだんだけどね。

          僕たちの文明では、
          感情という現象は、
          極めて稀な精神疾患でしかなかった』

インキュベーター『だから、
          君たち人類を発見した時は驚いたよ!
          全ての個体が、
          別個に感情を持ちながら、
          共存している世界なんて、
          想像だにしなかったからね!』
 
まどか『もしも……、
    あなたたちがこの星に来てなかったら……?』

インキュベーター『君たちは今でも、
          裸で洞穴に住んでたんじゃないかな?』


紅莉栖「あああっ!!何なのよこいつ!?
    まるで自分が、
    私たち人類にとっての神みたいな視点で語って!
    バカなの?死ぬの!?
    今すぐこいつを論破してやりたい!

    ……でもこいつの言ってることは間違ってない。
    ……ああああもうっ!
    まともな反論出来ない自分に腹が立つ!」

岡部「お、おちけつクリスティーナよ。
   ……相手はアニメのキャラだぞ?」

229 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:58:22.19 JKskC6Aqo 222/367

紅莉栖「これが落ち着いていられるかっ!
    私はすぐにでも研究室に戻って、
    こいつを論破する論文を作らせてもらうっ!」


だからそれは死亡フラグだって。
どうにか助手をなだめながら、
俺たちはさらに鑑賞していく。

ハァ……もう今何時だ?
時間と空間の概念がここにはないかのような、
そんな感覚。

いや、違うな。
そう、ここは小さなブラックホールだ。
      イベントホライゾン
これは、事象の地平線の向こう側。
時間と空間の役割が入れ替わる場所。
永遠に引き延ばされた時間。


     ――振り返ってはいけない。


なんてな。そんな大層なものではないか。


     ――永遠は無限ではない。


お先真っ暗、って点ではあってるけど。

230 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 19:59:53.48 JKskC6Aqo 223/367


あ、そういえばミクちゃんクロちゃんの、
魔法少女擬人化もそんな話ししてて生まれたんだっけ?
やっぱ紅莉栖は魔法少女アニメにはまるような乙女(笑)、
なんじゃないか?

ダル、ミクちゃんクロちゃんではないが、
お前の魔法少女云々もあながち間違いじゃなかったぞ。


    ――そして裸の特異点の存在は、
       一般相対性理論と因果律を破綻させるわ。

    ――宇宙の 法則が 乱れるのよ。


頭に過る言葉。
紅莉栖はある意味で実証しているんだよな……。
こいつの天才っぷりは、因果律もなんのそのだ。
……マジでインキュベーターを論破することも、
紅莉栖には可能なんじゃないか?
こいつの探究心は半端ない。
甘く見てると、人格を崩壊させられるほど論破されるしね!
紅莉栖、恐ろしい子!


      ――前を向いて、たどり着いて。

231 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:00:45.93 JKskC6Aqo 224/367



まどか『入っていいかな?』

まどか『これが……「ワルプルギスの夜」?
    杏子ちゃんが言ってた……』


まどか『一人で倒せないほど、
    強い魔女をやっつけるために、
    ほむらちゃんと二人で戦うんだって。
    ずっとここで準備してたのね?
    街中が危ないの?』

ほむら『今までの魔女と違って、
    コイツは結界に隠れて身を守る必要なんてない。
    ただ一度具現しただけでも、
    何千人という人が犠牲になるわ』


まどか『なら、絶対にやっつけなきゃ、ダメだよね?』

まどか『杏子ちゃんも、死んじゃって……、
    戦える魔法少女は、
    もうほむらちゃんだけしか残ってない。
    だったら……!』

ほむら『一人で十分よ!』

232 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:02:30.58 JKskC6Aqo 225/367


ほむら『佐倉杏子には無理でも、
    私なら一人でワルプルギスの夜を撃退できる。
    杏子の援護も、本当は必要なかったの。
    ただ彼女の顔を立ててあげただけ』

まどか『ホントに?』


涙に濡れた頬。


まどか『何でだろ、私、ほむらちゃんのこと信じたいのに、
    嘘つきだなんて思いたくないのに。
    ……全然大丈夫だって気持ちになれない。

    ほむらちゃんの言ってることが本当だって思えない』









ほむら『本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ』

まどか『ほむらちゃん……?』

233 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:04:31.84 JKskC6Aqo 226/367




ほむら『だって、私は……私はまどかとは、

         ――違う時間を生きてるんだもの!!』



紅莉栖「ビクッ」


横にいる紅莉栖が反応した、気がした。
俺はスクリーン画面を見ていて、よくわからない。


ほむら『……私ね、未来から来たんだよ?

    何度も何度もまどかと出会って、
    それと同じ回数だけ、
    あなたが死ぬところを見てきたの』


いくつもの世界線の収束を観測した、
過去のほむらの映像が漂う。


ほむら『どうすればあなたが助かるのか、
    どうすれば運命を変えられるのか、
    その答えだけを探して、
    何度も始めからやり直して……!』

まどか『ほむら……ちゃん……?』

234 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:06:15.15 JKskC6Aqo 227/367


ほむら『ごめんね。
    わけわかんないよね……気持ち悪いよね?』


    ――さっき、……何を言おうとしたんですか?


ほむら『まどかにとっての私は、
    出会ってからまだ1ヶ月も経ってない、
    転校生でしかないものね』


    ――……前にあなたと会ったことありますか?


ほむら『だけど私は……私にとってのあなたは……』


    ――……俺は、お前を助ける。


ほむら『繰り返せば繰り返すほど、
    あなたと私が過ごした時間はずれていく。

    気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。

    たぶん私は、
    もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う』

235 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:08:43.65 JKskC6Aqo 228/367



ほむら『あなたを救う。
    それが私の最初の気持ち。

    今となっては、

    ……たった一つだけ、

    最後に残った道しるべ』


――痛かったか……?
  すまなかった……。
  だが、お前を……救うためだったんだ……!


ほむら『わからなくてもいい。
    何も伝わらなくてもいい。
    それでもどうか、お願いだから、
    あなたを私に守らせて……ッ!』


――……お前に、生きていてほしかったから。




……ヤバい、泣きそう。
今泣いたら絶対ダメだ。
俺はきっと、我慢できなくなるだろう。
俺は横目で紅莉栖を見――


     紅莉栖「<◎> <◎>」

236 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:09:50.77 JKskC6Aqo 229/367


見てる。俺を見てる。
顔をこっちに向けて、ガン見している。
一瞬目があった……ヤバい。


紅莉栖「岡部」


いかんッ!
緊急シークエンスCSG発令確認!
鳳凰院凶真、出動を許可する!!


岡部「な、何かね?クリスッティーナ」


ヤバい……声が上ずった。


紅莉栖「こっち向いて」

岡部「だが断る!」

紅莉栖「私を見て。目を逸らさないで」


          ――目を閉じろっ!


何だよこいつ、
目を閉じろとか見ろとかどっちだよ。

俺の記憶が混乱する。

237 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:10:44.87 JKskC6Aqo 230/367

岡部「……何故だ?」

紅莉栖「教えて、ほしいことがある」


シュタインズゲェェェェエェェエエット!!


紅莉栖「こっちを向けっ!」


うわっ!
俺の胸ぐらをつかみあげ、ぐいっと引き寄せた。


          ――いいから、閉じなさいよ!!


岡部「な、何をする!?
   ついに、反逆のクリィースティーナか!?」

紅莉栖「私の質問に、答えて」


真剣な眼差しで、俺を、瞳に映してる。


紅莉栖「なんだかね、思い出したの……あの時を」

238 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:12:20.37 JKskC6Aqo 231/367

岡部「あ、あの時?」

紅莉栖「私と、初めて会った……十五分前のあなたと、
                    十五分後のあなた」

岡部「!!」

紅莉栖「何が、違うの……?
        教えてよ……わからないの」


フゥーハハハ!
天才の癖にそんなことを聞いてくるとはな!
大違いだよバカ野郎。

でもそんなの、言えるわけ、ないだろ。

俺はこの選択を選んだんだ。
もう二度と間違ったことをしてはいけないんだ。
だから、お前にそれを喋るわけには、
いかないんだよ……。


紅莉栖「答えて、くれないの?」

岡部「……」

239 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:13:40.88 JKskC6Aqo 232/367


わからないの?
じゃなく、俺がすでに悟っていることを前提に、
喋りかける。

ひどい。紅莉栖ひどい。
いきなり追い詰めてくるとは、
やはり天才の名は伊達じゃない。


紅莉栖「答えてよ……答えなさいよ……」


    ――あなたを、ずっと捜していました。

    ――どうしても、あなたに会いたくて。

    ――あなたが、無事でよかった。


もう全部喋ってしまおうか?
何もかも喋って、
ネタバレして、
スッキリしてもいいんだろうか。

……もう、ゴールしてもいいよね?


岡部「く、紅莉栖?」

240 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:14:36.45 JKskC6Aqo 233/367

紅莉栖「グスッ……うん」

岡部「答えてやる」

紅莉栖「ぅん……えっ!?」


紅莉栖が驚いた顔をしている。










……よし、今だ!!

岡部「答える、答えるがっ!今回、
   まだ、その時と場所の指定まではしていない!
   つまり、俺がその気になれば、
   答えるのは10年後、
   20年後ということも可能だろう……!
   ということだッフゥーハハハ!!」


決まったー!ゴォォォオォォオオルッ!!
フフフ、フゥーハハハ!
紅莉栖は肩を振るわせてブルブルしているっ!
俺の、勝ちだ!

241 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:16:25.82 JKskC6Aqo 234/367

紅莉栖「おのれと……おのれという奴は」


所詮、助手は助手!
この灰色の脳細胞を持つ狂気のマッドサイエンティスト!
フェニックスの鳳凰に、院、凶悪なる真実と書いて、
鳳凰院凶真の!足元にも及ばないということをっ!!


紅莉栖「……目を閉じろ」

岡部「え?なぜ、目を……?」

紅莉栖「いいから、閉じなさいよ!!」


あれ?俺いつの間にかフラグ立ってたのか?
俺はおとなしく目を閉じる。






wktkと、考えた次の瞬間!鳳凰院凶真の頭に衝撃走る!


「おのれの頭を開頭して、海馬に電極ぶっ刺してやるッ!!」


ついに盾?で殴られた。
驚異の魔法テクノロジーが鈍器とは、
流石、紅莉……栖。
目の付け所が違う。

見事……だ。

242 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:17:20.26 JKskC6Aqo 235/367


タツヤ『今日はお泊り~?キャンプなの~?』

まどか父『ああ、そうだよ。
     今日はみんなで一緒にキャンプだぁ~』

まどか『ほむらちゃん……』


激痛のする頭で、何とか理解しようとする。
とりあえず、紅莉栖は落ち着いた。
まだぷりぷりしてるけど。
まどか家族、町の住民は避難所にいる、のか?
ものすごい空気だ。




ほむらが立ちつくしている。
何かゲームのラスボス戦みたいだ。
仲間の居ない、ソロプレイだけど。


     ほむら『来る!!』

243 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:19:34.21 JKskC6Aqo 236/367




――進む、ほむら――――――

――移り変わる異様な景色――

――使い魔の行進、パレード―

――さあ、ショータイムだ――!



   ⑤

     ④

       ③

         ②

           ①



ほむら『今度こそ……決着をつけてやる!!』

244 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:20:30.22 JKskC6Aqo 237/367



紅莉栖「( д)゜゜」

岡部「RPG!!!」


時間干渉能力をフルに使った攻撃!
奇跡のカーニバルの開幕だッ!
紅莉栖も俺も、
先ほどのことも忘れてスタンディングオベーション。
意味はまったく違うが、そんなの関係ねぇ。
響きが大事なんだ、響きが。


紅莉栖「いけぇぇぇぇえええ!!!」

岡部「ヒョォォォー!!」


撃つ、放つ、撃つ!
怒涛の攻撃の嵐!


ワルプルギスの夜『アハハハハハハハハハ!』

245 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:21:15.78 JKskC6Aqo 238/367



しかし、無傷の魔女、ワルプルギスの夜。


紅莉栖「汚物は消毒だァーッ!」

岡部「ヒャッハー!」


外が大雨で良かった。
これじゃ俺らはただの基地外だ。


紅莉栖「タンクローリーだッ!!」

岡部「WRYYYYYYYYYY!!!!!」


どんどん魔女を追い込むほむら。
しかし、無傷。


岡部「ワルプルギスの夜メェ!」

紅莉栖「シネェ!」


クレイモアのバーゲンセールだぜ!
爆発する地形。





紅莉栖「やったか!?」


おま、それフラグ……。

246 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:23:31.16 JKskC6Aqo 239/367



ワルプルギスの夜『アハハハハハハハハハハハ!!』


追い詰められたのは、ほむらだった。






まどか『ほむらちゃんが、
    一人でも勝てるっていうのは、ホント?』

インキュベーター『それを否定したとして、
          君は僕の言葉を信じるかい?
          今更言葉にして説くまでもない。
          その目で見届けてあげるといい。

          ――「ワルプルギス」を前にして、
          暁美ほむらがどこまでやれるか』

まどか『どうしてそうまでして戦うの?』

インキュベーター『彼女がまだ、
          希望を求めているからさ。
          いざとなれば、
          この時間軸もまた無為にして、
          ほむらは戦い続けるだろう。
 
          何度でも性懲りもなく、
          この無意味な連鎖を、
          繰り返すんだろうね?

          最早今の彼女にとって、
          立ち止まることと、
          諦めることは同義だ。

          ――何もかもが無駄だったと、
          決してまどかの運命を変えられない、
          と確信したその瞬間に、
          暁美ほむらは絶望に負けて、
          グリーフシードへと変わるだろう』

247 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:24:07.94 JKskC6Aqo 240/367


まどか『希望を持つ限り、救われないって言うの?』

インキュベーター『そうさ、
         過去の全ての魔法少女たちと同じだよ。
         まどか、君だって一緒に視ただろう?』

まどか『うぅ……でも、でも。でも!』


覚悟を決める、まどか。






まどか母『どこ行こうってんだ?オイ』ガシッ

まどか『ママ……私、友達を助けに行かないと、
    私でなきゃダメなの!!』

まどか母『テメェ一人のための命じゃねぇんだ!
     あのなぁ、そういう勝手やらかして、
     周りがどれだけ…ッ』

248 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:25:06.68 JKskC6Aqo 241/367


まどか『わかってる。私にもよくわかる。
    私だってママのことパパのこと、大好きだから。
    どんなに大切にしてもらってるか知ってるから。
    自分を粗末にしちゃいけないの、わかる』

まどか『だから違うの。みんな大事で、
    絶対に守らなきゃいけないから。
    そのためにも……!

    私、今すぐ行かなきゃいけないところがあるの!』

まどか母『なら、アタシも連れていけ』

まどか『ダメ。
    ママはパパやタツヤの傍にいて、
    二人を安心させてあげて?』

まどか『ママはさ、私がいい子に育ったって、
    言ってくれたよね。嘘もつかない、
    悪いこともしないって。
    今でもそう信じてくれる?
    私を正しいと思ってくれる?』

まどか母『絶対に下手打ったりしないな?
     誰かの嘘に踊らされてねぇな?』

まどか『うん、ありがとう!ママ!』


一方ほむらは?――

249 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:25:37.96 JKskC6Aqo 242/367



ほむら『これ以上先に進まれたら……ッ!
   どうにかして……ここで食い止めないと……』


時間干渉を行おうとするほむら。
しかし、彼女の時間は、砂時計の砂の如く、
使い切っていた。

      ――そう、塵一つ、誤算も許さぬ必然。


ほむら『そんな……ハッ』


攻撃を避けられない。


ほむら『どうして?……どうしてなの?
    何度やっても、アイツに勝てないッ』


――世界の結果は、
     ある一定範囲に収束する。

250 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:27:00.26 JKskC6Aqo 243/367



ほむら『繰り返せば…ッ、
    それだけまどかの因果が増える。
    私のやってきたこと、結局……』


――まどかは、
   どの時間でも魔法少女になる。

   絶望の時、彼女のソウルジェムは――


紅莉栖「ぁ……ダメ……」


    ――零れ落ちる、涙――




パシッ

         手を掴む音。


   『もういい。もういいんだよ、ほむらちゃん』

251 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:31:10.20 JKskC6Aqo 244/367

―――――――――――――――――

ダル「あ、もしもしまゆ氏?やっと繋がったお。
   ……え?何?寝てた!?
   ちょwww寝オチwwwとかwwwwバロスwwwww」

ダル「え?うるさい?これはすまんこ。
   ……それでさ、実はね――」



まゆり「もしもーし、るかくん?
    トゥットゥルー♪まゆしぃです☆
    ……ん?こんな時間にどうしたの?
    あのねぇ、実はですね~――」



萌郁「椎名さんから……メール……」

萌郁「え……今からみんなで……ラボに……?」

「Zzz......」

天王寺「Zzz......」



フェイリス「ダルニャンダルニャン、話しは聞いたのニャ。
      それはいい考えニャ!凶真とクーニャン、
      希望と絶望の相転移を教えてあげるのニャーン……。

      移動手段はフェイリスに任せるニャ!」

252 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:32:55.18 JKskC6Aqo 245/367

ダル「流石フェイリスたん!そこに痺れる憧れるぅ!!
   雨も弱くなってきたし、逝くならいましかないお!」

るか「い、いいんでじょうか……?
   突然そんなことして、
   岡部……凶真さんが怒らないでしょうか?」

ダル「いいんだお。
   つーか、オカリンのくせに美人な助手と一晩二人きりとか、
   うらや……いや、けしからんでしょ。

   そんなリア充共をラボに置いておくのは、
   僕が絶対に許さない、絶対にだ!」

フェイリス「何と言う妬みだニャ……。
      ダルニャンもついに覚醒の時が、
      近づいてきたのかニャン?」

ダル「リア充には爆発してもらう。
   こっそり入って、一部始終をたっぷりと拝んでから、
   いい所で凸するお。

   大体るか氏だってさ、
   オカリンが牧瀬氏とくっついちゃったら嫌なんじゃないの?」

るか「え!?な、なんで……ボクは……あの……」

萌郁「私も、
   [二人がいちゃいちゃしてるシーン撮りたい!><]」ピロンッ

まゆり「えっへへ~……今ね、
    クリスちゃんは『ほむらちゃん』の格好してるんだって♪
    ……それで、オカリンと二人で……、
    トゥットゥルー……トゥットゥルー」

253 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 20:34:43.87 JKskC6Aqo 246/367

ダル「牧瀬氏の暁美ほむら……ブヒ、ブヒィィィィイイ!!!

   後たぶん、まゆ氏の目が笑ってない件について。
   マジでオカリンは爆発しろ」

フェイリス「準備が出来たニャ!
      ニャフフ、ルシフェルの宴を始めるのニャア!」


ダル「待ってろよオカリン。
   二人きりで良い思いができると思ったら大間違いだ。

   お前がそんな卑怯な行動に出るなら、
   まずは、僕がその幻想をぶち殺す!

   僕と一緒に、魔法使いになってよ!」

フェイリス「すごいニャ……!
      ダルニャンの戦闘力が五万、七万、八万!
      まだ上がるのニャ!?」


るか(ボク……ボク……ごめんなさい凶真さん……!)

まゆり「即興でドッキリ板を作ったよ☆
               リア充は爆発しろー♪」

ダル「今日のまゆ氏は本気と書いてマジ。
               これは歴史に残る」キリッ


フェイリス「いざ、出発ニャー!――」

―――――――――――――――――

254 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:35:06.61 JKskC6Aqo 247/367



ほむら『まどか……?』

まどか『ほむらちゃん、ごめんね』

ほむら『まどか……まさか……!?』


いよいよ、最後の時間が迫る。


まどか『ほむらちゃん、ごめんね。
    私、魔法少女になる』

ほむら『まどか……そんな……』


     ――これは、世界線の!?


まどか『私、やっとわかったの。
    叶えたい願いごと見つけたの。
    だからそのために、この命を使うね』


     ――抗えない、結末、収束。

255 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:38:48.57 JKskC6Aqo 248/367



ほむら『やめて!
    それじゃ…それじゃ私は、
    何のために……!』


               アトラクタフィールド
――世界は、世界線と世界線収束範囲で、
              できてるっていう解釈だよ。


まどか『ごめん。ほんとにごめん。
    これまでずっと、ずっとずっと、
    ほむらちゃんに守られて、望まれてきたから、
    今の私があるんだと思う。
                ほんとにごめん』


――だから……確実に、……!


まどか『そんな私が、やっと見つけ出した答えなの。

               信じて。

    絶対に、今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから』

ほむら『まどか……』


――でもそれは、お前を犠牲に……。

256 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:40:10.94 JKskC6Aqo 249/367


インキュベーター『数多の世界の運命を束ね、
          因果の特異点となった君なら、
          どんな途方もない望みだろうと、
          叶えられるだろう』

まどか『本当だね?』

インキュベーター『さあ、鹿目まどか?

          ――その魂を代価にして、君は何を願う?』



まどか『私……。


               はぁ…ふぅ…』




紅莉栖「……ムムッ」

岡部「……ゴクッ」

257 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:41:18.53 JKskC6Aqo 250/367




まどか『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。


    全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、


                 この手で!』




インキュベーター『――!?その祈りは、
          そんな祈りが叶うとすれば、
          それは時間干渉なんてレベルじゃない!
          因果律そのものに対する反逆だ!


          ハッ――君は、本当に神になるつもりかい?』

まどか『神様でも何でもいい。
    今日まで魔女と戦ってきたみんなを、
    希望を信じた魔法少女を、
    私は泣かせたくない。

    最後まで笑顔でいてほしい』


まどか『それを邪魔するルールなんて、壊してみせる、
    変えてみせる』


まどか『これが私の祈り、私の願い!!』


     まどか『さあ!叶えてよ、インキュベーター!!』

258 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:43:46.88 JKskC6Aqo 251/367

/////////////////////////////////////////////////////

今ではない、何処か別の世界。


マミ『鹿目さん。
  それがどんなに恐ろしい願いかわかっているの?』

まどか『……たぶん』

マミ『未来と過去と、全ての時間で、
  あなたは永遠に戦い続けることになるのよ。
  そうなればきっと、あなたはあなたという個体を保てなくなる。
  死ぬなんて生易しいものじゃない。
  未来永劫に終わりなく、
  魔女を滅ぼす概念として、この宇宙に固定されてしまうわ』


まどか『いいんです。そのつもりです』

まどか『希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、
    私、そんなのは違うって、何度でもそう言い返せます。
    きっといつまでも言い張れます』


杏子『いいんじゃねぇの?やれるもんならやってみなよ!
   戦う理由、見つけたんだろ?
   逃げないって自分で決めたんだろ?
   なら仕方ないじゃんw。
   後はもう、とことん突っ走るしかねぇんだからさ!』

まどか『うん。ありがとう杏子ちゃん』


マミ『じゃあ、預かっていた物を返さないとね!はいコレ』


手渡される、いつか描いたノート。


マミ『あなたは希望を叶えるんじゃない。
  あなた自身が希望になるのよ。私達、全ての希望に――』

/////////////////////////////////////////////////////

259 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:45:11.67 JKskC6Aqo 252/367



自分を、犠牲にして。
いつか描いた、魔法少女になる。
まどかは矢を放つ。
数多の世界線に降り注ぐ、希望の矢を。
過去も、未来も、全ての〝確定した結果〟に干渉する。
魔法少女の運命を、魔女の存在を、絶望の行方を。

       世界を変えるために。


まどか『あなた達の祈りを、絶望で終わらせたりしない』

まどか『あなた達は、誰も呪わない、祟らない。
    因果はすべて、私が受け止める。
    だからお願い、最後まで、自分を信じて』


跳んで行く、願いと、祈りと、希望を乗せて。


ほむら『何が……起きてるの……?』

インキュベーター『全宇宙、全ての時間軸、
          全ての並行世界のグリーフシードが、
          彼女に浄化されているんだ……』


―――アハハハハハハッハアッハッハハハハハ―――


まどか『もういいの、もう、いいんだよ?』

まどか『もう誰も恨まなくていいの。
    誰も、呪わなくていいんだよ。

    そんな姿になる前に、
    あなたは、私が受け止めてあげるから!』



全てを包みこむ光。

260 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:47:40.42 JKskC6Aqo 253/367



そして、裸の特異点の存在は、一般相対性理論と因果律を破綻させる。

宇宙の、法則が、乱れる。


ほむら『ここは……?』

インキュベーター『まどかがもたらした新しい法則に基づいて、
          宇宙が再編されているんだよ。

          ――そうか、君もまた、
          時間を越える魔法の使い手だったね?
          じゃあ一緒に見届けようか?

          ――鹿目まどかという、存在の結末を。

          あれが、彼女の祈りがもたらしたソウルジェムだ』


ほむら『そんな……ッ』

インキュベーター『その壮大過ぎる祈りを叶えた対価に、
          まどかが背負うことになる呪いの量が分かるかい?

          一つの宇宙を作り出すに等しい希望が遂げられた』




『それは即ち、

  一つの宇宙を終わらせるほどの絶望をもたらすことを意味する、

                                  当然だよね?』

261 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:48:12.66 JKskC6Aqo 254/367



惑星を飲み込み、宇宙を包み込む絶望。
究極のエネルギー体、救済の魔女。


―――ウフフ、アハハハハ、ハハハハハハ―――


ほむら『ぁぁ……ゥゥッ!!』








まどか『ううん。大丈夫』


岡部「!?」

紅莉栖「!?」

262 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:49:08.65 JKskC6Aqo 255/367





まどか『私の願いは、全ての魔女を消し去ること!』

まどか『本当にそれが叶ったんだとしたら、

    私だって、もう絶望する必要なんて、ない!!』




全てを、〝なかったこと〟にする、究極の選択。
自分を犠牲にして、犠牲になって。
世界と他者を繋ぎ、希望を救う、愛の光が絶望を貫く!

そして――

263 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:50:04.00 JKskC6Aqo 256/367

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#################################

何もかも、無駄になる。
よくわかってるじゃないか。
凄いな、このアニメは。
まるで、この世界の未来を見てきたような――


岡部「鹿目まどかの、選択……」


思い出す、思い出される。
もう思い出したくもないのに……あの時の気持ちが……。
全てを、〝なかったこと〟にする、究極の選択。
自分を犠牲にして、犠牲になって。

犠牲になった先に、何があるんだ?

俺は、
犠牲にした先には、
歪んだ世界の絶望が待っていた。

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264 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:52:04.33 JKskC6Aqo 257/367


インキュベーター『まどか、これで君の人生は、
          始まりも、終わりもなくなった。

          この世界に生きた証も、その記憶も、
          もう何処にも残されていない。
          君という存在は、一つ上の領域にシフトして、
          ただの概念に成り果ててしまった。

          もう誰も君を認識できないし、君もまた、
          誰にも干渉できない。

          君はこの宇宙の一員では、なくなった』


漂う無数の鹿目まどか。
それぞれが世界に溶け込み、やがてひとつに収束する。





ほむら『何よ……それ……!』

ほむら『これがまどかの望んだ結末だって言うの!?
    こんな終わり方で、まどかは報われるの!?
    冗談じゃないわ!!』

ほむら『これじゃ、死ぬよりも……、
    もっとひどい……ひどい……ッ』





まどか『ううん。違うよ?ほむらちゃん』

ほむら『ッ!!』

265 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:53:55.69 JKskC6Aqo 258/367


まどか『今の私にはね、過去と未来の全てが見えるの』

まどか『かつてあった宇宙も、
    いつかあり得るかもしれない宇宙も、みんな。
    だからね、全部わかったよ?

    いくつもの時間で、ほむらちゃんが、
    私のためにがんばってくれたこと、
    何もかも。何度も泣いて、
    傷だらけになりながら、それでも私のために』


まどか『ずっと気づけなくてごめん……ごめんね?』

ほむら『ゥゥゥ……ウウウウウウッヴゥゥヴゥヴヴヴッ』



まどか『今の私になったから、
    本当のあなたを知ることができた。
    私には、こんなにも大切な友達がいてくれたんだって。

                   ――だから嬉しいよ』


まどか『ほむらちゃん、ありがとう。あなたは――

266 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:54:40.24 JKskC6Aqo 259/367




――最終話 わたしの、最高の友達――



267 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:56:47.25 JKskC6Aqo 260/367

                     ――だったんだね』


ほむら『だからって、あなたはこのまま、帰る場所もなくなって、
    大好きな人たちとも離れ離れになって、
    こんな場所に、独りぼっちで永遠に取り残されるって言うの?』


まどか『独りじゃないよ?みんな、みんないつまでも私と一緒だよ。
    これからの私はね、いつでもどこにでもいるの。
    だから見えなくても聞こえなくても、

    私はほむらちゃんの傍にいるよ?』

ほむら『まどかは…それでもいいの?
    私はあなたを忘れちゃうのに?
    まどかのこと、

    もう二度と感じ取ることさえできなくなっちゃうのに!?』

268 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:58:19.32 JKskC6Aqo 261/367



まどk...『ううん。諦めるのはまだ早いよ。
    ほむらちゃんはこんな場所まで付いて来てくれたんだもん!
    だから、元の世界に戻っても、もしかしたら私のこと、
    忘れずにいてくれるかも。

    大丈夫、きっと大丈夫。信じようよ!』

ほむら『まどか……』



まd......『だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから。
    きっとほんの少しなら、
    本当の奇跡があるかもしれない。

    そうでしょ?』

ほむら『まどか……行かないで……ッ!』



ま.........『ごめんね。私、みんなを迎えに行かないと』


ほむら『……ッ!!』



m............『いつかまた――』

269 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:59:02.77 JKskC6Aqo 262/367

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#################################
#################################

     『――もう一度ほむらちゃんとも会えるから。
     それまでは、ほんのちょっとだけお別れだね』


ほむら『まどかぁぁぁぁぁぁああああッ!!』



光と影が揺れる。
ほむらの意識が遠く引き延ばされる。
そして、

     ――世界は、再構成される!――


岡部「まゆり……紅莉栖……」


俺は、全てを失った。
もはや、この世界にはなんの価値もない。

それを再認識させられて、俺は――

270 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 22:59:49.91 JKskC6Aqo 263/367



ほむら『……!?』

マミ『逝ってしまったわ……円環の理に導かれて』

杏子『バカ野郎……惚れた男のためだからって、
   自分が消えちまってどうするんだよ……』

マミ『希望を求めた因果が、この世に呪いをもたらす前に、
   私達はああやって、消え去るしかないのよ』



ほむら『まどか……』

マミ『暁美さん……?まどかって……』

杏子『誰だよ?』



まるで、世界線を越えた時のようだな。
暁美ほむらは、俺と同じだ……。

そうやって、
大切な人がいなくなった世界で、
生きて行かなければならない。

271 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:00:50.38 JKskC6Aqo 264/367

/////////////////////////////////////////////////////

まどか『さやかちゃんが祈ったことも、
    そのために頑張ってきたことも、
    とっても大切で、絶対、無意味じゃなかったと思うの』

さやか『そうだよ。私はただ、
    もう一度、アイツの演奏が聴きたかっただけなんだ。
    あのヴァイオリンを、もっともっと大勢の人に聴いてほしかった。
    それを思い出せただけで、十分だよ。
    もう何の後悔もない』

/////////////////////////////////////////////////////


残された人の悲しみはどうなる?
無意味じゃなくても、残された人は何を思って生きればいい?

272 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:02:54.06 JKskC6Aqo 265/367


キュゥべえ『君が言うように、
       宇宙のルールが書き換えられてしまったのだとすれば、
       今の僕らにそれを確かめる手段なんてない訳だし』

キュゥべえ『君だけがその記憶を持ち越しているのだとしても、
       それは、君の頭の中にしかない夢物語と区別がつかない』

キュゥべえ『まあ確かに、浄化しきれなくなったソウルジェムが、
       何故消滅してしまうのか?

       ――その原理は僕たちでも解明できてない』

キュゥべえ『そんな上手い方法があるなら、
       僕たちインキュベイターの戦略も、

       もっと違ったものになっただろうね』

キュゥべえ『君が言う、『魔女』のいた世界では、
       今僕らが戦っているような『魔獣』なんて、

       存在しなかったんだろう?』


『魔獣』……だと?

やっぱりな。
何をしても、どうせ世界は歪んでいる。

273 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:03:55.58 JKskC6Aqo 266/367


キュゥべえ『呪いを集める方法としては、余程手っ取り早いじゃないか』

ほむら『そう簡単じゃなかったわ。
    あなたたちとの関係だって、かなり険悪だったし』


では何故、この暁美ほむらは平気な顔をして生きていられるんだ?
お前だって、一番大切な人と離れて――



――たとえ、魔女が生まれなくなった世界でも、
   それで人の世の呪いが消え失せるわけではない。


――世界の歪みは形を変えて、今も闇の底から人々を狙っている。


ほむら『ボヤいたって仕方ないわ。さあ、行くわよ』


――悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど。



岡部「そうだ、この世界は――」

274 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:04:44.88 JKskC6Aqo 267/367



――だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ。



 『岡部も、がんばって』

                  『オカリン』



――それを、覚えてる。
   決して、忘れたりしない。



     「……っ……」



――だから私は、戦い続ける。

275 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:05:55.60 JKskC6Aqo 268/367

‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐

荒野。
沢山の魔獣が、溢れかえる。
独り立ち歩く、暁美ほむら。
その背中には、禍々しい翼。



     『がんばって』



翼の闇は、広がって……。





岡部「これで、終わり……なのか?」

俺と、『魔法少女まどか☆マギカ』による長い夜の幕は閉じた。

だが、なんだ、この言いようのない気持ちは?
この結末は、つまりバッドエンドだとでもいうのか?

世界はやがて荒廃し、魔獣が蔓延る未来が待っている、と?
大切な人を犠牲にし、辿り着いた結末は望んだ形にもならない。



――Beginning of fight――

278 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:19:52.24 JKskC6Aqo 269/367


不意に、携帯電話が鳴る。
……ダルか。


岡部「もしもし」

ダル『……そろそろ見終わったかお?』

岡部「ああ」

ダル『……それで、どう?まだオカリンは、このまま終わりたい?
   それとも、アニメみたいに立ち向かう?』

岡部「そうだな」


立ち向かうことに、意味は無い。

この世界で、俺の運命は決められている。

俺は、
     〝この〟俺は、全てを失った。

もはや、〝この〟世界にはなんの価値もない。

そうだ、思い出した……!
俺の、想いを、願いを。世界のためじゃない、俺自身の……。

だから俺は――


岡部「ダル」

279 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:21:12.53 JKskC6Aqo 270/367


ダル『うん』



    オペレーション・スクルド
岡部「『未来を司る女神』」作戦だ」

ダル『は?』

岡部「やることは決まっている、俺は、俺たちは……」





鳳凰院凶真「世界の歪みを、破壊する」

ダル『……オーキードーキー』




世界の選択を、破壊する。
そういうことなんだろ?

俺は、認めない。
俺は暁美ほむらじゃない。

認めない……この結末を。世界も、アニメも、全て。
こんな世界は、破壊してやる。


全ては、この俺!
            鳳凰院凶真の願いによってな!!

280 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:22:18.04 JKskC6Aqo 271/367

‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐


―――夢を繋いだ、時の誘惑―――


クルーカットの男「岡部倫太郎だな!?
           両手を上げこちらを向け」


―――嵐の後の、青空が沁みる―――


鳳凰院凶真「フ、フフ……フゥーハハハ!!」

「「「「「!?」」」」」


―――幸せに何故、隠れているの?―――


鳳凰院凶真「長かった、ようやくこの時が来た」

クルーカットの男「なんだ、何を言っている!?」


―――悲しみの種、僕らを試すよ―――


鳳凰院凶真「今日ここで、世界は終わる」

281 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:24:39.39 JKskC6Aqo 272/367



―――すれ違う、優しさ、持て余し夜の、闇に震えてた―――


鳳凰院凶真「そして、未知なる世界への扉が開かれるだろう」

クルーカットの男「あ、頭がいかれてやがる……」


―――遠回りした、道で気づいた―――


                     シュタインズゲート
鳳凰院凶真「世界の選択ではない、運命石の扉の選択だ!」


―――失くせない、モノがなんだか―――


鳳凰院凶真「俺は……まゆり、紅莉栖……ッ!!」

     『まどか』

282 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:25:08.38 JKskC6Aqo 273/367



―――切なさを、越えて、今呼び合う瞳―――


鳳凰院凶真「間違ってるとは思ってない」

     『だとしてもここは、
     かつてあの子が守ろうとした場所なんだ』


―――運命が見つけた絆―――


鳳凰院凶真「だがそれでも、認められなかった」

     『それを、覚えてる。決して、忘れたりしない。』

283 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:30:02.83 JKskC6Aqo 274/367



―――壊れそうなもの、溢れてる世界で―――


鳳凰院凶真「今ここに、世界は再構成される!

       数多の世界線の俺が、
       たった一つの執念で作りあげた計画が、
       ただ独りの俺に託されるのだ!!」

クルーカットの男「何を言ってるんだ!?
          いいから大人しくこっちへ――」



     『だから私は、戦い続ける』



―――永遠と呼びたい、君に―――


   「オカリン♪」

             「オカリン!」

   「岡部!」

             「……岡部君……!」

   「凶真さん!」

                「凶真!」

「岡部倫太郎!」「オカリンおじさん!」


     『がんばって』

284 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:31:11.38 JKskC6Aqo 275/367



―――出逢えた、ことだけは―――


     「――エル・プサイ・コングルゥ!!」



     ――メールを送信しました――



「『シュタインズゲート』は、無限の可能性に溢れている――」

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#################################
#################################

285 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:31:53.54 JKskC6Aqo 276/367


――最終話 わたしの、最高の友達――





                    イイカゲンニ……










――最終話 わ//しの、最//の友達――



   ほむら『……いい加減に……してよッ!!!』

286 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:33:40.82 JKskC6Aqo 277/367

        ||
――最終話 1.た0の、…...の友達――
||           ||      || 
        ――最終話 わた...の、...高...4達――
 ||    ||                 ||   
――最終話 ...た...の、最高8...達――
||       ||           ||     ||
        ――最終話 わ.....しの、.........の友5――
                ||        ||
――最終話 ..................、最9の友―
         ||          || 
        ――最終話 ...........わ............な....6......――

||  
         ||           ||

――最終話 //わした////、////ないよ――
   ||    
                ||
                       ||
 ||       ||   

                ||   
――最終話 //わした約//、////ないよ――
   ||    
                ||
                       ||
 ||       ||   

                ||   

287 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:34:16.30 JKskC6Aqo 278/367




――最終話 交わした約束、忘れないよ――



288 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:35:09.58 JKskC6Aqo 279/367



ほむら『私が叶えて欲しいのは、そんな夢でも、希望でもないっ!!』

ほむら『あなたの居ない未来で、あなたのことを覚えている私がいても!』

ほむら『そんなの奇跡なんて言えないわ!!残酷なだけよっ!!!』

ほむら『どうして!?どうしてなのっ!?』

ほむら『あなたは、なんであなたは、いつだって、そうやって自分を犠牲にして!』

ほむら『私の前から居なくなっちゃうのっ!?』

ほむら『あなたを、大切に思う人のことも考えて……!考えなさいよ……!』

ほむら『あなたを失えば、それを悲しむ人がいるって、
      どうしてそれに気づかないの!?ねえ、答えてよ!まどかァ!!』

ほむら『まどかを守ろうとしてた人はどうなるの!?まだ、私は答えを聞いてない!』

ほむら『私の希望はどうなるの?まどかの居ない世界で、

      まどかを覚えている私がいるとして、

         それで私の希望は守られると思ってるの!?』

ほむら『ふざけないでよっ!!
    まどかの居ない世界何て、私が見ることのできない、
    まどか何て!そんなのは絶望と一緒だわ!!!!』

289 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:36:14.69 JKskC6Aqo 280/367


ほむら『私は……ッ!!私は、魔法少女何てどうでもいいのッ!!!』

ほむら『みんなの願い?みんなの祈り?そんなのどうでもいいわっ!!』

ほむら『私はただ、まどかに生きていて欲しかっただけ……、
    私の知ってる鹿目まどかのままでいい……今でどおり、
    これからも。

    ……ただそれだけだったの』


ほむら『ねえ、まどか?どうするの?まどかがこのままじゃ、
    私は絶望するわ!全ての魔法少女を呪うわ!!祟るわ!!!』


ほむら『まどかにこんな祈りをさせた魔法少女を恨むわ……。
    魔法少女を呪い続けるわ……。

    私だけが、まどかの居ない世界で絶望するのよ……?』

290 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:37:19.21 JKskC6Aqo 281/367


ほむら『当たり前よ……、だって私は、まどかと約束したんだものっ!』



――ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね?
         こんな終わり方にならないように、
    歴史を変えられるって、言ってたよね。

   キュゥべえに騙される前のバカな私を、
                      助けてあげてくれないかな――



ほむら『約束するわ!絶対にあなたを救ってみせる。
         何度繰り返すことになっても、
        必ずあなたを守ってみせる!!!』



ほむら『それが出来なかった世界何てっ!糞喰らえよ!!』

ほむら『まどか?このままじゃ、まどかの祈りは叶わない!


         まどかの願いは、報われない!!


     私という魔法少女を絶望させて……ッ!


          まどかはそれでもいいの!?』

291 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:38:02.61 JKskC6Aqo 282/367



ほむら『ねぇ……答えて……答えてまどか……』


ほむらの言葉は、世界に溶けて行く。










ほむら『答えて……答えて……』


ほむら『……答えなさいよ、インキュベーター』




ほむら『居るんでしょ!?お前はまだ、
    世界の概念になったわけじゃない!』

ほむら『私の願いが、祈りが!叶ってない!
    奇跡が起こってないのよインキュベーター!』

292 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:38:59.10 JKskC6Aqo 283/367


ほむら『まどかの願いも、祈りも、私が居る限り叶わないの!』

ほむら『このままだと矛盾を孕んだ宇宙が、再構成を許さないのよ!?』

ほむら『ずっとこのまま!!
    ここには何もない、宇宙も、世界も、再構成されない狭間の中で、

         私は永遠に抗い続けるから!!!』

ほむら『お前の望みは違うでしょ!?
    お前の目的は宇宙の寿命を延ばすこと!
    その願いも叶わないのよ!!!!』




ほむら『だから、私の願いを叶えてよ……』

ほむら『私の願いは!まどかとの出会いをやり直したい!!

         彼女に守られる私じゃなくて、

         彼女を守る私になりたい!!!』




ほむら『さあ、叶えて!!お前の力で奇跡を起こしてみせて!!!』

ほむら『叶えてよ!!!インキュベーターーーー!!!!!』




響く声。

293 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:40:09.06 JKskC6Aqo 284/367





     『まったく、訳がわからないよ』




インキュベーター『どうして君たち人類は、
          君の人類の価値基準こそ、
          僕らは理解に苦しむなあ。
          本当に意味がわからない』

インキュベーター『せっかくまどかが、
          その価値基準を最大限に生かして、
          宇宙を再構成してくれる、
          って言ってるのに』

インキュベーター『今現在で69億人、そのほぼ全てを救うって、
          言ってるのと同じ何だよ?
          それをどうして、単一個体の生き死にで、
          そこまで大騒ぎするんだい?』



ほむら『69億人の命も、

    宇宙の再構成も、

    そんなの私にとっては知らないことよ!』

ほむら『私はッ!!私はわたしの、最高の友達を守りたいだけ!!

    助けたいだけなの!!それの何が悪いの!?

    私の願いはただそれだけなのよ……』

294 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:40:43.04 JKskC6Aqo 285/367

インキュベーター『……いいのかい?君が望む世界は、

         〝魔法少女のいない〟世界だ。

          そこでは誰も魔法少女にならないし、

          もしかしたら人類の繁栄もされないかもしれない。

          でも、確かにその時間軸にまどかが居れば、

          その世界に居続けることもできるかもしれない、

          かもしれない、かもしれない。君が望んでいるのは、

          そんな世界何だよ?

          もちろん、エネルギーだって僕らは得られなくなるわけだから、

          宇宙そのものが危ないかもしれない。そんな世界何だ』


ほむら『それでもいいわ。それでも、まどかが生きててくれるなら、

    その可能性があるのなら!!今の、この世界よりずっとマシよ!!

    そして、まどかの命は、必ず私が守ってみせる。

    宇宙を救うことになっても、まどかは私が守ってみせる!!!』

295 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:41:12.43 JKskC6Aqo 286/367


インキュベーター『……暁美ほむら、

         君は本当に面白いね。どこに行っても、

         どこで逢ってもその信念は揺るがない。

         僕にとっては興味深いよ』

インキュベーター『もうどの道今の僕らは、

         この世界から消えるしかないんだ。

         今まで得てきたエネルギー源も全部パーさ』









インキュベーター『……だから、叶えてあげるよその願い』

296 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:42:14.35 JKskC6Aqo 287/367



ほむら『!?……ほ、本当に?本当に叶えられるの!?』

インキュベーター『今更聞き返すのかい?

          人類の感情は本当によくわからないな。

          理解に苦しむよ。

          でも本当のことだよ、暁美ほむら』



インキュベーター『君の願いは、エントロピーを凌駕した』



インキュベーター『君の意識は、

          無限の可能性に溢れた世界へと導かれるだろう』


インキュベーター『……これで、僕は君たちとお別れ、というわけさ』

297 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:43:28.53 JKskC6Aqo 288/367



インキュベーター『……ねえ、聞こえてるかい?鹿目まどか!』

インキュベーター『……僕らは君たちを理解できないし、

          感情もよくわからないけど』

インキュベーター『僕は、僕たちはもっと早く、

          君たちに会いたかったよ』


     ――僕たちの文明では、感情という現象は、
               極めて稀な精神疾患でしかなかった。


インキュベーター『そうしたら、僕たちインキュベーターの戦略も、
          もっと違ったものになっただろうからね』

ほむら『インキュベーター……?』



インキュベーター『まどかと過ごした時間は、
          とっても有意義なものだった』

インキュベーター『まどかと居た時間は楽しかったし、
          まどかのくれた卵焼きは美味しかった!』


キュゥべえ『僕の、その時の気持ちは、本当だと思うから』

     ――キュゥべえ!!


何処からか、聞こえた気がした。

298 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:44:27.66 JKskC6Aqo 289/367



インキュベーター『さあ、解き放ってごらん!
          君たちの、無限の可能性を!!』

インキュベーター『さようなら、鹿目まどか、暁美ほむら』

ほむら『インキュベーター……お前は……』





インキュベーター『そうだ、最後に一つ、
          大事なことを言い忘れてたよ!』

インキュベーター『またいつか、何処か無限の可能性が、
          僕たちと君たちを結び繋いだときはさ!!』






キュゥべえ『またっ!

      僕と契約して、魔法少女に、なってよ!!!』

ほむら『キュゥ……べえ……!』


光と影が揺れる。
ほむらの意識が遠く引き延ばされる。
世界の狭間へ、運命石の扉の向こう側へ。

299 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:45:43.13 JKskC6Aqo 290/367



ほむら『――まどか……まどかっ!!』


     ――世界は、再構成される!――





紅莉栖「うおっまぶしっ」

岡部「これが、暁美ほむらの選択――」


視界が、再生する。

300 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:46:12.94 JKskC6Aqo 291/367


























マミ『逝ってしまったわ、円環の理に導かれて……』

301 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:48:25.56 JKskC6Aqo 292/367



―――振り返れば、仲間がいて―――


さやか『マミさんの演技!超カッコイー!!』

まどか『マミさん、素敵です!』


―――気がつけば、優しく、包まれてた―――


先生『転校生を紹介しまーす』

ほむら『暁美ほむらです。よろしくお願いします』


―――何も、かもが、歪んだ世界で―――


まどか『私、鹿目まどか。まどかって呼んで』

ほむら『私も、ほむらでいいわ』

まどか『うん、ほむらちゃん!』


―――唯一信じれる、ここが救いだった―――


さやか『転校生―っ!あんまりまどかにベタベタすんなー!』

ほむら『何を言ってるの?まどかは貴方のモノじゃないわ』

まどか『さやかちゃん……ほむらちゃんも、仲良くしようよ』

仁美『禁断の愛ですわっ!』

302 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:48:59.81 JKskC6Aqo 293/367



―――喜びも、悲しみも―――


ほむら『この世界は、無限の可能性に溢れている』


―――わけあえば、強まる想い―――


ほむら『私は、この世界と、まどかを守るためならば』


―――この声が、届くのなら―――


ほむら『どんなことをしてでも、諦めることはしない』


―――きっと奇跡は、起こせるだろう―――


ほむら『――だからね、まどか?』

303 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:51:54.99 JKskC6Aqo 294/367

ほむら『交わ

               忘れないよ』 



   ほむら『交わした約束、忘れないよ』岡部「(´;ω;`)ブワァッ」




        した約束、         紅莉栖「(´;ω;`)ブワァッ」

304 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:52:25.60 JKskC6Aqo 295/367



―――目を閉じ、確かめる―――


まどか『え?何?約束??』


―――押し寄せた闇、振り払って進むよ―――


ほむら『何でもないわ』

305 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:53:05.98 JKskC6Aqo 296/367



―――どんなに大きな、壁があっても―――


まどか『えー?約束って何のこと??
    教えてよ、ほむらちゃん!』


―――越えて、みせるからきっと―――


ほむら『秘密よ』


―――明日信じて、祈って―――


ほむら『私だけの、秘密』

306 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:53:57.41 JKskC6Aqo 297/367



ほむらが歩んできた、世界線のビジョン。
俺が観測してきた、時間軸の流れ。
全てが、一瞬に過ぎ去って行く。


岡部「ああ、ああ!うああ!!」

紅莉栖「岡部、ちょっとうるさい」




―――壊れた世界で彷徨って私は―――


さやか『あーまたいちゃいちゃしてる!!』


―――引き寄せられる、ように―――


ほむら『貴方には杏子がいるでしょう?』


―――辿り、着いた―――


さやか『あいつはあいつ!!
    ってゆーかそんなんじゃないし!あんな不良娘』

ほむら『そんなこと言って、杏子が泣くわよ?』

杏子『……泣かねーよ……』

307 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/16 23:54:42.39 JKskC6Aqo 298/367



―――目覚めた心は走り出した、未来を描くため―――


マミ『ねえ、みんなで写真撮らない?』

杏子『ハァ?写真?お断りだね』


―――難しい道で、立ち止まっても、空は―――


さやか『ほらー不良娘ー?
    このさやかちゃんが逃がすとでも思ってるのかー?』


―――綺麗な青さで、いつも待っててくれる―――


まどか『ほむらちゃん!一緒に映ろう!』


―――だから怖くない、もう何があっても―――


ほむら『ええ、わかったわ、まどか。
    これからも、いつまでも』

308 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:06:17.13 MTnjOSI4o 299/367



―――挫けない!―――


ほむら『ずっとね!』

マミ『撮るわよー?はい、

        ティロ・フィナーレッ!』カシャッ




―――ずっと、明日、待って―――


ほむら『――悲しみと憎しみばかりを繰り返す、
    救いようのない世界だけれど。だとしてもここは、
    かつてあの子が守ろうとした場所なんだ。それを、覚えてる。

    決して、忘れたりしない。だから私は、戦い続ける――』


『魔法少女 まどか☆マギカ ――交わした約束、忘れないよ――』

309 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:09:10.07 MTnjOSI4o 300/367




紅莉栖「ブラボー!!!!」

岡部「うおおおおお!!!!」


感動した!全俺が泣いた!!
紅莉栖も素直になったようだ、涙を拭う仕草をしない。



こうして俺と、
         紅莉栖と、
                『魔法少女まどか☆マギカ』による、

     長い夜の幕は閉じるのだった。

310 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:09:59.34 MTnjOSI4o 301/367

――――――――――――――――――――――――――

……。

興奮冷め止まぬまま、
俺たちの時間は過ぎていく。

いや、実はもう俺は疲れ切ってしまっていて、
完全に意気消沈しているわけだが、
隣りの助手が、それを許してくれなかった。


紅莉栖「――……であって!エントロピーの熱力学を応用してるのが、
    インキュベーターの役割何だから、
    その存在に矛盾が生じるってことでしょ?
    だから最後は矛盾の無いように、
    世界は『鹿目まどか』によって再構成されるはずだった、
    ってところね」

岡部「そうだな」


紅莉栖「――……でその先は、
    人類の繁栄している世界があった。
    つまり、魔法少女が居ても居なくても、
    人類の未来は、
    しっかり定まっていた――確定した未来――ということ。
    そうなると、『暁美ほむら』が元居た世界は何だったのか?
    『鹿目まどか』の再構成される世界には、
    魔法少女はいるのか?
    という疑問にぶつかるわけ」

岡部「そうだな」

311 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:10:52.61 MTnjOSI4o 302/367


紅莉栖「――……でも待って。
    『鹿目まどか』の願いの要点は、現在居る世界の宇宙、過去と未来、
    「全ての魔女を消し去る」こと、「全ての魔法少女の魔女化を防ぐ」こと、
    それによって導き出される「希望を絶望で終わらせない」という解がある。
    これを方程式で導くとすれば、
    「魔女が世界には居たけど、『鹿目まどか』という魔法少女の概念が全て倒した」、
    と言う公式を使うことになる。
    つまり、
    『鹿目まどか』が再構成する世界には、
    魔女が居た=魔法少女も居るということになるわ。
    あのまま、『鹿目まどか』が概念になって終わっていたとして、
    もしかしたら、
    魔法少女がいる「理由が作られる」こともある可能性があった、
    ってことね」

岡部「そうだな」


紅莉栖「――……でもそうなると、魔法少女になった娘は、
    最終的にはソウルジェムが穢れて、
    グリーフシードになるわけでしょ?
    あ、いや、ならないのか。
    そもそもその前に概念が現れて、
    ……何て言ったらいいかしら、
    円環の理?
    それで最後は消えて逝っちゃうのよね……。それってどうなの?
    安らかに消えて逝くシーンはあるけど、
    自分の存在が消えるのよ?
    それって本当に希望のある終わりなのかしら。
    それとも、「希望を絶望で終わらせない」だけであって、
    希望を守る、
    という解には繋がらないから?」

岡部「そうだな」

312 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:11:33.53 MTnjOSI4o 303/367



紅莉栖「――……ちょっと岡部!聞いてんの!?
    今は大事な、

    「魔法少女のエントロピー」について、

    のディスカッションの時間よ!?
    あんたさっきから「そうだな」って、
    聞いてるだけじゃない!何か言えよ!!」

岡部「そうだな」


紅莉栖「――……岡部は、魔法少女みたいな、
    かわいい中学生女の子に欲情する、
    HENTAIロリコン童貞です」

岡部「そうだな……って違うわ!

   いい加減にしろクリスティーナ!!」


この調子で、
『魔法少女 まどか☆マギカ』が終わってからというものの、
延々と続いているのである。

313 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:12:49.41 MTnjOSI4o 304/367


紅莉栖「何ぃ?話しを聞かない岡部が悪いんでしょ!?
    女の人の話しを聞かない男の人って、
    ……最低よ岡部!」

岡部「お前との会話は会話と呼べないんだよ!
   何か喋れば最後、

   お前は延々と俺を論破し続ける気であろう!?

   この論破癖の天才HENTAI処女めがっ!!」


これで論破なんてされようものなら、
俺はラボから出てくぞー!助手ー!!


紅莉栖「な、な、なぁーーー!?

    だだだだ誰がHENTAI処女だっ!?
    私は岡部にそんなことを言った覚えないぞっ!?///」

                 サイズハング
岡部「バカめッ!今のは<カマかけ>だッ!!

   それにHENTAIも否定しないとは、
   ……落ちるとこまで落ちたな助手ぅ?」

紅莉栖「お、岡部、テメェ……許さない!
    絶対に許さない!絶対にだ!」

314 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:13:46.22 MTnjOSI4o 305/367


岡部「わっ!?止めろクリスティーナ!
   それは鈍器でも凶器でもないぞ!?

   神聖なる魔法力の宿りし盾、
     ノスタルジアドライブ
  <失われた過去の郷愁>!

   お前が扱えるような品物ではないっ!」


紅莉栖「黙れこの厨二病患が!
    お前の敗因を教えてやる。
    お前は、私を、怒らせたッ!!」


ブンッと言う擬音が聞こえたかと思うと、
          ノスタルジアドライブ
俺の横を過ぎ去る<失われた過去の郷愁>。

正に、ノスタルジアドライブゥッ!!
ちょ、こいつ投げやがった!?もはや鈍器ですらない。


岡部「あ、危ねっ……助手!!俺を殺す気か!?」

紅莉栖「たかが玩具がぶつかったくらいで人が氏ぬか!
    いや死ね!氏ねじゃなくて死ね!」


直後にガチャーンという音が開発室から聞こえた。


岡部「――!?何に当たった!?」

315 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:14:22.91 MTnjOSI4o 306/367


見に行くと、そこには壊れ果てた未来ガジェット4号機、
モアッド・スネーク(使い捨て、特価7,800円)の姿がっ!


岡部「モアッド・スネーク……?
   おい、嘘だろスネーク?返事をしてくれっ!!
   スネェェェェエエエエェェェェクッ!!!」


返事がない。ただの屍のようだ……。
俺は白衣から素早く携帯を取り出す。


岡部「もしもし俺だ、大佐!……スネークがやられた……。
   助手が裏切ったのだ……ッ!あいつは俺のことを庇って、
   ……あいつには何度も助けられたのにっ!
   俺は、守れなかった……許してくれスネーク……。
   お前のことは忘れない……!
   何故ならこれも<シュタインズゲート>の選択!
   通信を切る、次の連絡の時……その時俺は……!
   いや、何でもない。
   これが終わったら一杯やろう、大佐。
                 ――エル・プサイ・コングルゥ」

紅莉栖「おい、遺言は済んだか?」


振り向くと、紅莉栖が仁王立ちしてた。
こわい。

316 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:15:07.96 MTnjOSI4o 307/367

岡部「貴様ァあああ!!
   俺の歴戦の勇士をよくもっ、よくも!

   その罪、万死に値する!!」

紅莉栖「ほう、で具体的にはどうなるんだ?」


いつの間にやら、
どこからか洋書を手に入れた助手は、
ニヤァと笑ってこっちを見ていた。こっち見んな!

その姿は、
どう見てもマジカルマッドサイエンティストです。
本当にありがとうございました。


岡部「クッ……しかし、いいのかな?助手よ?」

紅莉栖「どういう意味だ?」

岡部「ククク……実はな、
   この部屋は盗撮されているのだッ!」

紅莉栖「ハ?」


岡部「つまり!

   貴様が視聴中に見せた醜態が録画されている、

   ということだ!!」

紅莉栖「なん……だと……?」

317 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:15:51.67 MTnjOSI4o 308/367


……まあ、もちろんハッタリである。
盗撮とか、
そもそもそんな機材買う資金ラボにはない。
しかしここは、ハッタリでも乗り切らねばならない場所!
ダル、俺のために犠牲になれッ!!


岡部「フゥーハハハ!ダルが言っていたのだ!

   紅莉栖の泣き顔が見たいから、
   このカメラを仕掛けておいてくれ!

   となァ!!」

紅莉栖「橋田ァ……!!
    このラボにはまともな男が居ないようね!###」ビキビキッ


おい助手、ルカ子ry。


紅莉栖「……でもいいの?
    それだと私以上に酷かった、

    鳳凰院凶真の醜態まで晒すことになるんじゃないの?」


あ、しまった。やっちまったわ。っべー、俺ヤッベー……。


岡部「ぐぬぬ……。だがしかし助手!
   こうなれば死なば諸共だ!
   お前が俺に手を出したら、
   ダルがネットに全世界配信を行うぞっ!
   それでもいいのかな?んー?」


頼む!俺が悪かったからこれで引き下がってくれ!

318 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:16:46.72 MTnjOSI4o 309/367

紅莉栖「ぁ……」


何故か紅莉栖は、
足を絡めてもじもじ仕出した。


紅莉栖「……///」


何だー?どういうことだー?
今度は顔を赤らめ出したぞ!?
精神攻撃にシフトしたのか!?
理性を保て!岡部倫太郎!!


岡部「ど、どうしたクリスティーナ?
   調子でも悪くなったか?
   ……生理か?」

紅莉栖「HENTAIは自重しろ!
    ……別に、何でもないわよ……」


と言うと、しずしずとソファーに座りこむ助手。
やっぱこいつ構ってちゃんだな。

構ってオーラを出しながら、
チラッチラッとこちらを見ている。


紅莉栖「……ねえ、岡部」

岡部「何だよ……何か言いたいことがあるなら言え」

紅莉栖「岡部は、あのアニメについて、どう思ってるの?」

319 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:17:41.59 MTnjOSI4o 310/367


あ、そう来たか。
どうやら今までのやりとりで、

視聴中の出来事を思い出したらしいな。

そりゃあ顔も赤くなるわけだ、
あんだけ基地外っぷりを晒してたらな!


  ――いけぇぇぇぇえええ!!!

            ――汚物は消毒だァーッ!

  ――タンクローリーだッ!!


……冗談は置いといて。

実際、かなりの精神攻撃を受けたのは確かだ。

一話~三話で始まり、
四話~六話で崩壊し、
七話~九話で追い打ちをかける。
十話に至っては、
ピンポイント攻撃をしてくるという始末で、
十一話は本当に危なかった。
最終話は驚きと感動で、
セルフエコノミー状態にさせられる結末。

おまけに助手の本能を刺激し、
我がラボの家族問題まで乱してくるあたり手におえない。

約六時間の世界線争を、
俺は、俺たちは、戦い抜いてきたのだ!

どうもなにも、
もはや言葉では語りつくせないくらいの、
記憶に残るアニメとなってしまった。

320 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:18:37.84 MTnjOSI4o 311/367



――あの神アニメが、
 ニコニコで全話一挙無料配信とか胸が熱くなりすぎて世界がヤバい!

――お前がヤバいだろ……。


ダルの計画通りっ!ということか?
くそっ!やられた!!
でも後悔なんてあるわけない。
……俺って、ほんとバカ。


岡部「……お前は、
   その、どう思ってるんだ?」

紅莉栖「え?それはさっきから説明して――」

岡部「学術的なことはどうでもいい!
   ……お前が見た時の、気持ちだ」

紅莉栖「わ、私は……」


紅莉栖は言葉に詰まる。
と同時に、電話がなった。


――Beginning of fight――


岡部「……って誰だこんな時間にッ。
   ん?ダルからだと?」


黙っていても仕方がないので、俺は着信に出た。

321 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:19:26.42 MTnjOSI4o 312/367

岡部「……俺だ」

ダル『あ、お、もすもすオカリン?
   ……えーと、今何してるお?』

岡部「……別に、アニメを見終わって休憩していたところだ。
   それで?
   こんな時間に何の要件で電話をかけてきた?」

ダル『え?あ、いやー……その、……そうそうっ!
   アニメの感想!どうだったお?
   まど☆マギは面白かったお?』

岡部「……悔しいが同意せざるを得なかった。
   あのアニメは神だな」

ダル『ッシャァ!!オカリンにそこまで言わせてしまう神アニメ!!
   その瞳は何を見る!!』

岡部「は?
   ……で、要件はそれだけか?なら切るぞ?」

ダル『……エ?イマハヒマカキケ?……あっ!

   ちょちょちょ、待って欲しいお!!要件はそれだけじゃなくて、
   ……オカリン?今は暇でつか?』

岡部「え?……いや、少し取り込み中だ。
   あのアニメの感想について議論している所なのだ」

ダル『へぇー……オカリン、それ誰と?』


ピクッ、と俺の耳が反応した。
俺は考える。
正直に、紅莉栖と夜中に二人きりで会話してます、
何て情報を伝えてしまって良いものか?
しかも今、
彼女は顔赤らめてもじもじこちらを見ています、
何て教えたら、
ダルが何を言い出すかわかったもんじゃない。

ここは、うまく話を合わすべきだと判断した。

322 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:21:10.69 MTnjOSI4o 313/367

岡部「……ぁあ、何、@ちゃんでのことだよ。
   今はアニメの関連スレをチェックしていた所だったのだ」

ダル『ふーん……なあ、オカリン?
   今は、独りでラボにいるのか……お?』


何だこいつ、やけに喰いつくな?


岡部「……そうだが?それがどうかしたのか?」

ダル『オカリン、僕たちってさ……、
   僕たちって友達だよ……な?』

岡部「……ああ、もちろん。
   お前はラボメンナンバー003にして驚異のスーパーハカーッ!
   マイフェイバリットアーム
   我がラボの右腕ことダルだっ!
   そして俺の、かけがえのない友人でもあるっ!
   光栄に思え!」


ここまで言っとけば引き下がるだろう。


ダル『……そうだよな、僕もそう思ってる……お?』


あれ?いつもならここで、
僕はスーパーハカーじゃなくて、スーパーハッカー!!
とか何とか横やりを入れてくるものを、
今日はやけに大人しいではないか?
どういうことだ?


ダル『オカリン、友達のさ、友達の言葉にはさ、
   ……嘘はないよな?』


むっ!?どういう意味だ?
まさか助手のことを言ってるのか?

だが助手がこの場にいることは誰にも喋って、
いや、連絡してないはずだ……となると?
助手の声が耳に入ったか?
いやそれもない。
さっきから奴はこっちをじーっと見てる。

ん?あれ?もしかして睨んでるの、あれ?
それは置いてといて、助手のことでも無いとしたら、
つまり……どういうことだ?


ダル『オカリン、僕はオカリンを信じてるお!プツッ』

岡部「え?おい、ちょ、ダル?ダルー!?」


一方的に切りやがった。
何だったんだあいつは?
フーと溜息をつき、携帯を白衣のポケットにしまう。


紅莉栖「……おい、岡部」

323 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:22:12.38 MTnjOSI4o 314/367

岡部「ッ!?……はい、何でしょうか?」


ま、また威圧感を放ったクリスティーナが帰ってキター!!
やばい、殺気放ってるよ。紅莉栖やぁばい。

そういえば紅莉栖は……。


紅莉栖「あんた、
    人と会話してる時に電話とは、
    良い身分だな?」

岡部「はい」


紅莉栖「……しかも、
    そっちから質問をぶつけておいて、だ?」

岡部「はい」


紅莉栖「私に何か、
    言うことはないのかな?
    鳳凰院凶真さん?###」

岡部「すみませんでした」


紅莉栖「で?
    どう責任を取るつもりなんだ?え?」

324 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:23:06.79 MTnjOSI4o 315/367


何だよっ!
たかが携帯に出たぐらいで、
そこまで怒る必要もないだろ!?
全部ダルが悪いんだ!
俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇッ!!


岡部「し、しかし助手よ?
   こんな時間に電話が鳴るんだ。
   普通何かあったのか?
   と心配になるはずだろう?」

紅莉栖「着信履歴は橋田、
    外は大雨、
    奴は家でアニメを見てた。あとはわかるな?」

岡部「……すみません」


すると、またも唐突に携帯が震え出した。
今度はメールか?
一体誰だっ!この非常時に!!

反射的に、俺は携帯を取り出し、メールの内容を確認する。


件名:お前を見ているぞ
 がんばって♪v≧∀≦v

           萌郁。


誤送信、かッ!

俺は携帯を叩きつけるような仕草で、
白衣のポケットに戻す。

325 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:24:25.53 MTnjOSI4o 316/367


俺は携帯を叩きつけるような仕草で、
白衣のポケットに戻す。

お前を見ているぞ♪じゃない!
こんな時間に、どこで何してるんだあいつはっ!
ストーカー、かっ!

安易に想像できるから困る。
送り主は可哀想に……。

あんなメール魔に目をつけられるとは。
ご冥福をお祈りします。


「岡部」

326 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:24:58.54 MTnjOSI4o 317/367


背筋が凍る、声。
圧迫感。何かがいる、後ろに、確実に。
助手だけど、助手じゃない何かが。
今、振り向いてはいけない。頭の中で声が響く。
前を向いて、岡部。うん、そうだよな?

振り向いたらいけないよな、人間前を向いてないと。


「岡部」


ダメだッ!冷や汗で背中がビショビショだ!
あ、そういえば「背筋が凍る」って、
広辞苑では、「背筋が寒くなる」としか乗ってないんだよな。
とか、まったく関係がないことを考えながら、
俺は現実逃避を行う。

今、岡部ピンチ、なう。


「岡部、こっちを向いて?」


あまりにも感情の無い、優しい声が響く――

そうだ、逃げるのは止めよう。
向き合おうじゃないか、現実と。
今の俺は、現実と向き合って、
向き合い続けたからこそ、ここにいるんだっ!
そう、それが<シュタインズゲート>の選択!
     ――エル!プサイ!!コングルゥ!!!


岡部「クリスティー……いえ、紅莉栖さん」

327 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:25:46.53 MTnjOSI4o 318/367


俺は、指を鳴らす。


岡部「話しをしよう」パチンッ


俺は綺麗な顔で振り向いた。

待っていたのは、
洋書を片手に振り上げた助手の姿だった。
もうだめ、NOW。


岡部「クリスティーナ、そんな装備で大丈夫か……?」

紅莉栖「大丈夫よ?……問題ッない!!」


             ――本日二度目の衝撃走る。


ああ、俺はどこで選択を間違えたというのだ。
選択、と言う言葉の大切さに気付かされる。

些細な選択でも、大きな被害に繋がることを、
……俺は去年、散々学んできたじゃないか。
自分の軽率な行動に、後悔をしてしまいそうになる。
残念、岡部倫太郎の冒険はここで終わってしまった!

薄れゆく意識の中で、そんな声が頭に響いた。

328 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:26:21.08 MTnjOSI4o 319/367

岡部「おい、クリスティーナ?……助手?……紅莉栖?」

紅莉栖「……ムスッ」


現在、時刻は深夜二時。
アニメが終わってから、約一時間が経過している。
洋書でぶん殴られた俺は、一瞬意識を失っていたが、
何とか再び復帰し、今に至る。


岡部「おーい、紅莉栖さーん?
   もしもーし?臀部に蒙古斑のある助手ー?」

紅莉栖「……ギロッ」


おうっ……!今のはアウトか。
あれからと言うものの、紅莉栖はまともに口を聞いてくれない。
いや、むしろ口を聞いてくれないだけならいいのだが、
ソファーに座ったままこちらを向いて、
俺を今だに睨み、もとい見つめ続けているのである。

……あぁ、これはキツイぞ。
気まずいなんてレベルじゃない。

うーぱのぬいぐるみを抱きかかえたまま、
こちらを何も言わずに見つめ続けられるのだ。
何考えてんの、この助手……。
耐えかねて、話しかけてはみたものの、
普通にシカトされてしまっている。
シカト?シカトデスカー?モォウ、クチヲキイテクダサイヨーッ!

ダメだこいつ、早く何とかしないと。
俺の精神力が持たん!

329 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:27:18.00 MTnjOSI4o 320/367

岡部「……そろそろ、
   機嫌を直してくれないか?クリスティーナよ」

紅莉栖「……ジーッ」


……何が何だかわからない。
そんなに俺が悪いことをしたか?
携帯に出ただけだぞ!?

……とは思うものの、
俺には、世界線を越えた記憶のせいで、
助手が怒ってる気持ちが半分わからんでもないので、
余計、罪悪感と共に気まずい空気を作ってしまうのだ。

だからって、こんなに怒るなよなー、と思いつつ、
もう素直にジャンピング土下座でもして、
許してもらおうかな、などと考える。


岡部「く、紅莉栖!……申し訳ありませんでしたー!」ズサーッ

紅莉栖「……ツーン」


こ、これでもダメなのか!?
何が気に入らないんだよ!
もういい、気に入らないなら帰ればいいじゃないか!
タクシーでも拾えば帰れるだろ?
秋葉原駅くらいまでは付き添ってやるから!
という思いを顔に出しつつ、紅莉栖の様子を伺う。


岡部「……」

紅莉栖「……」


あ、ダメだわ。伝わってないわ。

330 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:27:57.39 MTnjOSI4o 321/367


最初からダメだったんだ!
この、天才HENTAI処女の助手、
クリスティーナの思考に合わせるのなんて!

うう……息をするのも苦しくなってきた。

俺が悪かった、悪かったから、


『いい加減にしてよ!』


とは言えず、カチコチと時計の音だけがラボに鳴り響く。

もう、ストレートに「帰れ」、と伝えてしまおうか?
いや、そんなことを言えば、三度目の衝撃が来かねない。
俺にはわかる。

この神聖構ってちゃんが、
何もせずにこの気まずい空気の中、
帰りたがりもせず、こちらをジッと見つめてるということは、
俺のリアクションを待っているということに他ならない。

331 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:29:24.39 MTnjOSI4o 322/367


ここで間違った選択をすれば、
取り返しのつかないことになるであろうということが、
俺には空気で感じ取れる。
……BADENDは絶対に避けなければ……な。


       ――岡部さん……。


頭に何かが浮かんでくる。
これと似たような空気が、あったような……?


       ――ボクと……コ……ト……に。


考えろ、考えるんだ!
こういう時はどうしたらいいのか!


       ――……ビトに……って…くださぃ。


アッ―!
しっかりしろ俺の灰色の脳細胞よ!混乱するな!!
あれは〝なかったこと〟になったはずだ!!



       ――〝なかったこと〟にしてはいけない。

うるせぇ!
こまけぇこたぁいいんだよ!!
よし、それとなく帰れば?と言おう。

332 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:30:02.89 MTnjOSI4o 323/367


大丈夫、自分を信じろ岡部倫太郎。
鳳凰院凶真を信じる、岡部倫太郎を信じろ!
俺を誰だと思っている!?


岡部「あー、紅莉栖?
   ……その、そろそろ帰らないのか?」

紅莉栖「……岡部は、私に帰って欲しいのか?」


ワットゥ?何?何で?
どういうことなの?どうしたらいいの?
そんなこと俺に言われても、どうしようもないだろう。
そもそもお前がシカトするから、
俺はこの気まずい空気に耐えられなくなってるわけで、
そんなこと言われる筋合い無いぞ?

あー、なんかだんだん腹が立ってきた。
ここはビシッと言ってやろう。


岡部「……だがな、助手よ。
   そこでジーっとこちらを見ながら、
   話しかけてもシカトされるわ、
   土下座してもシカトされるわじゃ、
   いい加減こちらも居心地が悪いわけだが……?」

紅莉栖「……」


またシカトされた。
もういっそ俺が出ていくべきか?
そう考えてると、突然空気が変わることになる。


紅莉栖「……ジワッ」

333 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:30:46.81 MTnjOSI4o 324/367


なん……だと……?
助手がちょっと涙目になってないか?

俺、何か悪いことしたっけ?
携帯のことは全力で謝っているのに、
何が悪いんだ?
どうしてこうなった!どうしてこうなった!


岡部「え、あ、いや、あの?
   ……紅莉栖さん?」

紅莉栖「……ナイテ……ナンカナイカラナ」


ボソボソ喋ってる。
あーあー聞こえない聞こえない。

……本当にどうしたらいいんだ……。
仕方ない。
ここは恥を被ってでも、聞き出すしかないか。


岡部「……わかった、わかったよ。
   俺が全て悪かった。
   だから、
   何がそんなに気に入らないのか教えてくれないか?」

紅莉栖「……それは――」



――Beginning of fight――

334 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:31:26.35 MTnjOSI4o 325/367


――Beginning of fight――

――Beginning of fight――

――Beginning of fight――


またかよっ!
今何時だと思ってるんだ!
何で今日に限って、こんなに携帯が鳴るんだっ!


――Beginning of fight――


紅莉栖「……出ないの?」

岡部「え?」

紅莉栖「……出れば、いいじゃない……」


いや、そんな顔されたら出れるわけないだろう。
わざとやってんのか?


――Beginning of fight――


岡部「ええい!うるさい!」

紅莉栖「ビクッ」


俺は携帯を取り出し、
ピッピッとボタンを操作する。
そして、音は鳴り止んだ。

335 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:32:18.26 MTnjOSI4o 326/367

岡部「助手よ!これで満足かっ!」

紅莉栖「ジー」


俺は、電源を切った携帯の画面を助手に突き付けた。
ちなみにこの時、着信が誰だったのかが見えたのだが、
何とこんな時間に、ルカ子からの電話だった。
強引に切ってしまったから、後で泣かれるかもしれない。
泣かれる理由には、心当たりがない。
うん、俺は知らない。
すまんなルカ子よ、今はそれどころではないのだ。


紅莉栖「……何で?」

岡部「は?っや、何でってお前、
   俺が携帯に出てるから怒っているのだろう?
   流石の俺でも空気は読むぞ」

紅莉栖「……別に、怒ってなんかないわよ……」


どう見ても怒っていたじゃないですかと、
頭に出来たコブが自己主張を続けている。


紅莉栖「……ただ、岡部は……私と会話するより、
    電話に出たほうが気楽なんでしょ?

    だったら出ればいいじゃない。
    私のことは放っておいて……」


と言うと、
うーぱのクッションに顔を埋めてしまった。

え?

336 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:32:51.33 MTnjOSI4o 327/367

まさか、今まで黙ってシカトしてたのって、
それが理由?
それだけ?

紅莉栖が、俺と会話したくなかったんじゃなくて、
俺が、紅莉栖とまともに会話しなかったから黙ってた、
とでも言うのか?

う、うわぁ……この助手……。
めんどくSEEEEEE!!!!

あれ?
それよりこれってもしかして……?
嫉妬か?嫉妬なのか?
oh shit!

俺が紅莉栖と喋らないで電話してたから、
その電話相手に嫉妬して怒ってた。
とかそういうことなのか??
いや、この場合は電話相手ではなく、
携帯電話そのものに、か?
そう考えると辻褄が合うような気がしてきた。

337 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:33:25.67 MTnjOSI4o 328/367


最初は、
紅莉栖のディベート――しかし、口を挟むことは許されない――を、
聞き流しているから、
自分と会話しようともしない姿勢に、
怒った。  ――相互干渉の嫉妬。

次に、
俺がやっと会話しようと話しかけた所を、
ダルからの電話で遮られ、
自分との会話よりも、
電話での会話の方を優先したことに、
怒った。  ――優先順位の嫉妬。

最後に、
それに対して注意をしているにも関わらず、
俺がそっちのけで携帯のメールを見だしたことにより、
自分との会話は、
他のことよりも重要性が低い内容である、
と勝手に解釈し、
そこに対して、
怒った。  ――価値判断の嫉妬。

338 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:34:13.06 MTnjOSI4o 329/367


結果、
紅莉栖の中で導き出される解は、
自分と会話するよりも、
電話と会話している方が気楽なんだから、
自分は会話しない方が、
良いのだろう。  ――天才少女のメランコリィ。


ハハッワロス。
それで俺がいくら謝っても、
シカトしてたとか?

俺の行動で、
〝機嫌が悪くなったこと〟に謝ってても、
意味がないから?


そしてあまつさえ、
遠回しに「帰れ」って言ってしまった俺に、
さらなる怒りと、
〝自分の存在はいらない〟んだと仮定してしまうことによる、
哀しみの心象を抱いたとか?
            ――哀心迷図のバベル。

339 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:35:16.52 MTnjOSI4o 330/367


で、俺が痺れを切らして、
お前と居ると居心地悪いんだよ、
って言ってしまったことから、
仮定が確定に変わってしまった、と?


       ――ねえっ!聞こえないの!?
              私……ここにいるんだよ!?


おお、何か繋がってきた気がしたぞ!
流石は俺の、IQ170の怜悧なる頭脳だ!
これは完全に、
天才魔法HENTAI少女くりす☆ティーナ、
の思考を暴きだしたZO!
フゥーハハハ!!

ついにこの俺にもフェイリスの特殊能力!
 チェシャー・ブレイク
チェシャ猫の微笑が目覚めたということか!
フゥー……自分の才能が恐ろしいな……。

340 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:35:57.63 MTnjOSI4o 331/367


ああー、それでか。
それで哀しくなって涙目になっちゃった、
ってか?
はいはいワロスワロス。


紅莉栖「……グスッ」


そういえば、これと同じようなことがあったような……。


     ――おい、クリスティーナ。

     ――うるさい。話しかけるな!


あの時俺は、
なんて言ってこいつを慰めたんだっけ?

大体、紅莉栖も紅莉栖だ!
お前はこんなに心根の弱い奴だったか?

お前はどんなことがあっても、
自分の存在が消えることを知っても、
平然としていようと、
そういう姿勢を貫こうとしていたじゃないか?

341 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:36:36.06 MTnjOSI4o 332/367



――……怖くないかって訊いた……?
            怖いに決まってるでしょ!


――……〝なかったこと〟になるかもしれない。


――……かもしれない。
            かもしれないっ。
                    かもしれないっ!


――……こんなの全然論理的じゃない。
                 仮説にすらなってない。


――……妄想を垂れ流す脳の機能なんか、
                 全面カットしてやりたい!


失われた記憶が。
俺の頭に蘇る。

そうだ、そうだったな。

342 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:37:25.75 MTnjOSI4o 333/367


こいつは天才で、
黙っていれば美人で、
でも粘着の@ちゃんねらーで、
ただただ純粋に科学と実験が好きな十八歳の女の子。

そして、過去の失敗により、
大事な人との絆をなくしてしまった、
希望と絶望のパンドラ。

論破癖持ちで、
人格無視なマッドサイエンティストで、


      ――俺は――お前に憧れていた。


俺は、
いつだって紅莉栖の動きを目で追っていた。
いつだって、紅莉栖の言葉を胸に刻みこんでいた。
いつだって、紅莉栖の語る理論に痺れていた。
本物の科学者で、本物の天才で、
世界を変える発明をするような、


      ――そんな奴がこの世に実在した。


そして、
俺はどうしようもなく憧れてたんだ。
その憧れを悟られたくなかった。

まともに名前を呼べなかったのだって、
結局のところ、照れくさかっただけだ。


      ――『本当の気持ちなんて、
              伝えられるわけないのよ』

343 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:38:12.56 MTnjOSI4o 334/367



俺にとっては、
俺にとっては……。
紅莉栖は単なる仲間じゃない。


岡部「紅莉栖、いいか?
   話さなくていいから黙って聞け」

紅莉栖「……」


俺は、無視されても喋り続ける。


岡部「お前はすでに我がラボの大切な仲間だ。
   お前にやったラボメンナンバー004バッチはダテではない。
   俺たち、いや俺はお前を頼りにしている。
   だから、お前はいらない存在なんかじゃない」

               ――今となってはもっと大きな存在だ。

344 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:39:26.11 MTnjOSI4o 335/367

岡部「だから、気楽だとか、気楽じゃないとか、
   そんなものはどうでもいいことなんだよ。
   紅莉栖は紅莉栖らしくあればいい」

紅莉栖「……でも、私は私らしくしていたら、
    大事な人を失った……」

岡部「だが、
   お前は間違ったことは言ってはいなかったはずだ。

   どんな時でも論理的で、思ったことは何でも言う。
   友達の少ない実験大好きっ娘、
   ロンリーナを貫き通してきたんじゃないのか?」

紅莉栖「……大事な人を失うのは、もう嫌なの……」


           ――『アタシの祈りが、
                   家族を壊しちまったんだ』


今だそのトラウマは心に強く残っているのか。
仕方がない、
こういう時こそ鳳凰院凶真の出番だな。


岡部「ク、ククク……フゥーハハハ!!  
   なぁにが、大事な人を失うのは~、だ!

   いつもお前は、
   俺を論破しては勝ち誇ったような顔をして、
   見下しながらほくそ笑み、
   バーカ!と言いたげな顔して、
   はい論破ー☆顔洗って出直してきなさい♪

   と俺を蔑んでいるではないか!?」

紅莉栖「ぅ……きょ、今日は、
    ……そういう気分じゃないの……」

345 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:40:32.90 MTnjOSI4o 336/367

岡部「お前がいつ、どういう気分であろうとなっ!

   俺が見ているいつもの助手は、
   俺に対して向けられる言葉の数々は、
   自信満々でマッドなサイエンティスト!
   牧瀬紅莉栖、本人のものなんだよ!

   どこでも、いつでもだ!」

紅莉栖「……今日は、私だって理解できないのよ!
    あのアニメを見てから、
    ……アニメ自体は素晴らしい作品だった!
    不覚にも感動してしまったわ!

    でもそれだけじゃないのっ!
    ……心に、引っかかるのよ!
    彼女たちの言葉が……岡部の存在が……」


――『だって、私は……私はまどかとは、
         ――違う時間を生きてるんだもの!!』


――『…私ね、未来から来たんだよ?
        何度も何度もまどかと出会って、
          それと同じ回数だけ、
      あなたが死ぬところを見てきたの』


――『どうすればあなたが助かるのか、
      どうすれば運命を変えられるのか、
       その答えだけを探して、

      何度も始めからやり直して……!』


――『ごめんね。
       わけわかんないよね…気持ち悪いよね?』


      ――……俺は、お前を助ける!

346 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:41:09.53 MTnjOSI4o 337/367

紅莉栖「何だか、些細なことでも気になって!
    イライラして、
    そのわけのわからない感情にまたイラついて、

    方程式も、解もない。
    ……ただ、頭の何処かに引っかかる……、
    脳科学者なのにそんなことも解明できないの……」

岡部「それがどうした!?
   俺は俺、いつでも、どこであろうとも!

   狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真そのものだ!」

紅莉栖「……」


紅莉栖は、
何か苦虫を噛んだような顔をする。


紅莉栖「……岡部、覚えてる?
    私とあなたが初めて会った日のこと。

    私があの時持っていた封筒、
    あれの中身の内容を」

岡部「……ッ!」

347 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:42:13.18 MTnjOSI4o 338/367

紅莉栖「……十五分前に出会ったあなたは、
    私を助けるって言った。
    あの時は何のことだか全然わからなかった。

    次に会ったあなたは、「機関」だ何だといって、
    電源の入ってない携帯に語りかける、
    HENTAI厨二病患者になってた、
    まるで十五分前の人間とは別の存在のような、
    私は狐につままれた気分だった」


――『まどかにとっての私は、
        出会ってからまだ1ヶ月も経ってない、
                転校生でしかないものね』


紅莉栖「そして最後にあなたは、
    本当に私を助けてくれた!
    救ってくれた……。
    まるで十五分前のあなたに、
   〝戻った〟ように……」


――『繰り返せば繰り返すほど、
       あなたと私が過ごした時間はずれていく。

        気持ちもずれて、
      言葉も通じなくなっていく。

         たぶん私は、
    もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う』

348 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:43:14.87 MTnjOSI4o 339/367



紅莉栖「……どうして?
    私はずっとわからなかった……。
    だから、あなたを捜していたの!
    一言でもお礼が言いたくて、
    自分の気持ちを確かめたくて、
    どうしても、あなたに会いたくて……」


――『あなたを救う。
       それが私の最初の気持ち。

     今となっては……たった一つだけ、
        最後に残った道しるべ』


紅莉栖「再会した岡部は、
    また変な厨二病患者になっちゃってたけど、

    でもどこか懐かしい感じがして、
    でも心当たりはなくて……」


――なに!?俺が守れだと!?


紅莉栖「……それでも今日、
    私はひとつの仮説を立てられた」


――『わからなくてもいい。
       何も伝わらなくてもいい。
         それでもどうか、お願いだから、
     あなたを私に守らせて……ッ!』


紅莉栖「岡部、……十五分前のあなたと、
            十五分後のあなた」

岡部「紅莉――」

紅莉栖「何が、違うの!?教えてよ……」

岡部「それは――」

349 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:43:54.06 MTnjOSI4o 340/367


紅莉栖「答えられないんでしょ?
    だったら私が言ってあげる。

    〝あの論文〟を書いた私がっ!岡部……」


紅莉栖は一旦間をあけて、
俺をしっかりと瞳に捉え、口を開く。


紅莉栖「岡部!あなたは――」


――『そうまでして、
   鹿目まどかの運命を変えたいのかい?』


岡部「紅莉栖ッ!!!」


俺は紅莉栖の言葉を遮った。
その言葉は、ダメだ……。

350 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:44:29.40 MTnjOSI4o 341/367


世界線の未来を、
無限の可能性をこのまま保つためには、
どんな障害も存在してはいけないんだ。

そのためにも俺は、
どんな犠牲を被ってでも隠し通さねばならない。
例え気付かれても、言葉にさせてはいけない、
その存在を許してはいけない。

俺は、俺だ。

一人の人間で、

学生で、

狂気のマッドサイエンティストで、

鳳凰院凶真であり、岡部倫太郎でもあるんだ。
それ以上でも、それ以下でもない。


紅莉栖「どうして!?
    何で言わせてくれないの!?
    やっぱりあなたは――ッ!?」




俺は紅莉栖を抱きしめていた。

351 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:45:08.79 MTnjOSI4o 342/367

紅莉栖「……岡……部……?」

岡部「……お前が何を喋っても、
   俺を論破しても、
   俺の存在が変わったことがあったか?

   どんなことがあっても、
   俺は変わらない。
   〝なかったこと〟にしたことはない。

   お前の話しを聞かなくても、
   お前に無視されても、
   俺は俺、鳳凰院凶真であり、
   岡部倫太郎なんだよ……」

紅莉栖「……岡部」

岡部「だから、
   お前はイラつく必要もないし、
   方程式も、解もいらない。

   わからなくてもいい、
   何も伝わらなくてもいい。
   紅莉栖は紅莉栖らしくていい。
         ――他には何も考えるな」

352 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:46:14.69 MTnjOSI4o 343/367

紅莉栖「……うん」


岡部「お前はここに居ていいんだ!

   俺も、

   ダルも、まゆりも、萌郁も、

   ルカ子も、フェイリスも!

   そして、今は居ないラボメンナンバー008も!

   お前の存在を望んでる!
          ――紅莉栖じゃなきゃダメなんだ!!」

紅莉栖「……うん」


岡部「だから、心配するな。

   俺は、
   俺たちはお前をいらないなんて思ってない。
   ここにいてくれれば、それだけでいい。
          ――余計なことは考えなくていい」

紅莉栖「……うん」

353 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:46:45.27 MTnjOSI4o 344/367



岡部「わかったな?わかったら、
   いつものクリスティーナに戻るのだな!

   お前がそんな調子だと、
   俺の調子が狂うんだ。
   居心地が悪いんだよ。

   だから、紅莉栖は助手として、我がラボの頭脳!
   クリティーナとして存在し続けろ!

   これは俺との、『約束』だぁッ!!

               ――フゥーハハハ!!!」

紅莉栖「うん……岡部、あのね?」


紅莉栖が、優しく語りかける。

354 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:47:50.98 MTnjOSI4o 345/367

紅莉栖「私、岡部に伝えなきゃいけない言葉があるの」


……あれ、ちょっと待って。
これ何か、
良いふいんき(何故かry)なんじゃね?


紅莉栖「岡部に逢えたら……伝えられなかった言葉を言うんだって……」


俺は今更、
自分が今している行動に対しての、
自覚が芽生える。


紅莉栖「いつも、夢で見る……私の大切な想い」


   ――これは、未来へのタイムトラベル!!

   ――さよなら。私も、岡部のことが……。





紅莉栖「私もっ!岡部のことがっ!!……大――」
        ――バタンッ!

355 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:48:32.43 MTnjOSI4o 346/367



急に、ラボのドアが開け放たれた。
俺と、紅莉栖の顔がそちらへ向く。


ダル「イイハナシダナー!!!;;」


は?


まゆり「ダ、ダルくーん!!
    ダメだよぉ~……とってもいい所だったのにぃ」


ダルと、
何か板持ったまゆりがラボに入ってくる。
え?


フェイリス「もー!
      ダルニャンは、せっかちなのニャ!」


聞きなれた声がどんどん増えていく。
カシャッ!というシャッター音も聞こえた。


萌郁「……惜しい……」


ちょっと展開についていけない。


ルカ子「ごめんなさい……ごめんなさい岡部さん……」


何か涙目のルカ子も来た、
ってこれでラボメン全員か。

356 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:49:42.78 MTnjOSI4o 347/367

ダル「数多のエロゲーをやった僕でも感動した!
   オカリンは人生!」

まゆり「あのね、
    ごめんねオカリン?……これー」


板を掲げるまゆり。
その手には、


1316105877-356





と書かれた板が高らかに挙げられていた。


岡部「どういう……ことだ……助手よ?」

紅莉栖「え、え、え?何??何なの???」


俺が聞きたい。


フェイリス「そういうことニャのニャン」

ルカ子「すみません、
    岡……凶真さん。ボクたち、その……」

ダル「みんなは悪くないお!
   これは僕が発案したことッ。
   フェイリスたん、
   君は僕が必ず守ってみせる」キリッ


は、発案……だと?
それはつまり、どういうことだ?

357 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:51:01.32 MTnjOSI4o 348/367

まゆり「あ、あのね~、まゆしぃがね、
    ダルくんに、
    『オカリンと紅莉栖ちゃんが一緒にアニメ見てるみたい☆』って、
    メールを送ったのです」


ダル「それで、オカリンの野望を察知した僕が、
   その野望を阻止すべく、立ち上がったというわけ」


全然わかりません。


フェイリス「雨も弱くニャってきたし、
      ラボに行くニャら今しかニャい!
      ってことで、
      みんなを拾って移動してきたのニャ!」

岡部「お、お前たち……アニメは?
   『まど☆マギ』見てたんじゃないのか?」

ダル「まあ、みんな視聴済みだったし。

   それよりも、
   オカリンと牧瀬氏の行方のが気になるっつーか、
   許せないっつーか?」


だんだん、話しが見えてきた。


ダル「で、僕がオカリンと牧瀬氏が良い雰囲気になったら、
   凸しようってことでみんなラボの前で張ってたんだお」


ああ、そういう、ことか。
このラボは、声が外によく漏れる。

358 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:51:49.47 MTnjOSI4o 349/367

岡部「どこから、聞いていたのだ?」

ダル「牧瀬氏が、
   オカリンに無視されてた所から」


ほぼ全部じゃねーか。

俺は他のラボメンの目を一人一人見渡す。
まゆり以外は全員目を逸らした。


ダル「でも聞いてる内に、
   牧瀬氏があまりにもクァイイくなってしまいましてね。
   ……ちょっと我慢出来なくなったってゆーか……」

フェイリス「結果的に妨害しちゃったのニャ。
      残念だったニャー」

まゆり「ごめんねオカリン、クリスちゃん……」


まゆりが悲しそうな顔をする。
俺はもっと悲しい顔をする。


萌郁「……二人とも、
   こっちを向いて……?」カシャッ





俺は気付いた、
紅莉栖抱きしめたままだと。

359 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:52:39.02 MTnjOSI4o 350/367


慌てて離すも、もう遅い。
この現象、何て言うんだろうか。

エターナルフォースブリザード、紅莉栖は死ぬ。
え?ちょ、紅莉栖さん倒れ――



岡部「お、おい!
   クリスティーナ?クリスティーーーーッナ!!」

紅莉栖「……キュー」

―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――
       ―――――――

360 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:53:12.22 MTnjOSI4o 351/367


それから俺たちは、
ぶっ倒れた紅莉栖を介抱して、
その日は解散となった。


夜中、勝手に家を出たまゆりやルカ子は、
家族に怒られて、
一週間は学校以外、外出禁止になったりしたという。

もちろんフェイリスも、執事に絞られてしまったそうだ。


ダルは、
何故かあれから鬱になったとかで、
ラボに一週間は顔を出さ無かった。
リア充は氏ね!と言う言葉を残して。


萌郁は、
シスターブラウンが魔法少女にはまってしまったらしく、
それが、ミスターブラウンにバレて、
しばらく怒られっぱなしだったそうな。
まあ、あんなアニメにはまれば、
そうなるのもやぶさかではないか。

361 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:53:43.52 MTnjOSI4o 352/367


ぶっ倒れた紅莉栖は、
しばらく口も聞いてくれなかった。
電話もメールも完全無視。
ラボにも顔出さないし、
ほとぼりが冷めるまでは、
もうダメそうだ。


最後に、

あいつは何を言いかけたんだろう?

この世界線でも、

紅莉栖の言葉は最後まで聞けないんだな。

これも収束か?違うか。

362 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:55:03.54 MTnjOSI4o 353/367




これは俺たちの、選択の結果だ。

まあ、これから時間はたくさんある。

ゆっくりと、いつかまた聞けばいいさ。



     「この世界は、無限の可能性に溢れている」
     『この世界は、無限の可能性に溢れている』




     『私は、この世界と、まどかを守るためならば』

     『どんなことをしてでも、諦めることはしない』




     「だから――」
     『――だからね、まどか?』

363 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:56:48.44 MTnjOSI4o 354/367




     岡部「交わした約束」ほむら『忘れないよ』



1316105877-363


364 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:57:48.12 MTnjOSI4o 355/367



―――命の主張と、無意味な証明―――


まゆり「わー☆みんなカワイイよぉ~」

ルカ子「ボク……恥ずかしいぃ……」

ダル「うはwwwwおkwwww」

萌郁「……円環の……断り?」


―――あなたには、退屈しのぎに、足らぬ滑稽―――


フェイリス「ニャーン!フェイリスの魔法!

     チェシャー・テンプテーション
     チェシャ猫の誘惑ニャ!……食うかい?」

ダル「ありがとうございます、ありがとうございます!
   その槍で僕を貫いてください!お願いします!」

紅莉栖「HENTAI自重しろ」

岡部「あまり騒ぐなお前たち!外に聞こえるぞ!」

365 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:58:52.95 MTnjOSI4o 356/367



―――支配者きどりの、愚かな種族は―――


まゆり「みんながコスプレしてくれて~、
    まゆしぃはとっても嬉しいなって♪」

紅莉栖「……まゆりのために着てるんだからなっ!
    岡部!勘違いしないでよ!」

岡部「まだ、何も言ってないわけだが」

ダル「オカリン、言い忘れてたことがあるお。
              ――今すぐ爆発しろ」


―――うぬぼれた、稚拙な定理を、並べた―――


岡部「ダル、その言葉、
   いつかそっくりそのまま返してやるから覚えてろ?」

ダル「どういう意味だお?
   ……まさか、
   僕とフェイリスたんの仲を取り持って!?」

岡部「あ、それはない」

ダル「――リア充……氏ね」

366 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:59:27.71 MTnjOSI4o 357/367



―――『無限』と、信じた愛も―――


ルカ子「ボク、おかb……凶真さん!」

岡部「な、何だルカ子?」

ルカ子「ボクは……ボクは……!
   ――後悔したくありません!!」

岡部「!?」

ダル「ちょwwwwこの展開wwww」


―――空の彼方も―――


紅莉栖「まさか、これは……」

まゆり「トゥッ?……トゥルー!……トットゥルー♪」

萌郁「……禁断の……愛……デスワ」


―――僕たちに、示された、仮想の自由―――


岡部「落ち着けルカ子!
   後悔なんてあるわけない!!」

ルカ子「ボクと、ボクと……」

ダル「ハァハァ、僕的にはこの展開、
   全然有りな件」

367 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 00:59:59.38 MTnjOSI4o 358/367



―――『有限』それは、無慈悲に、時を刻み―――


紅莉栖「あ!岡部が逃げた!!」

ルカ子「ぁ……待ってぇ!岡部さん!!」


―――明日さえも、否定する、選択へ―――


岡部「その未来は嫌だあああああアッー!」


    ―――Hacking to the Gate―――

368 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:00:43.80 MTnjOSI4o 359/367



―――いくつもの、輝ける日々、仲間との約束―――


岡部「俺は今日も生きる」

ほむら『――悲しみと憎しみばかりを繰り返す、
    救いようのない世界だけれど』


―――〝なかったことには〟、してはいけない―――


岡部「この世界で、無限の可能性を観測し続ける」

ほむら『だとしてもここは、
    かつてあの子が守ろうとした場所なんだ』

369 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:01:49.45 MTnjOSI4o 360/367




―――そのために、時を欺く、残された仕掛けに―――



岡部「仲間との約束を守り、犠牲は無駄にはしない」

ほむら『それを、覚えてる。決して、忘れたりしない』



―――もう迷いはない、孤独の観測者―――



  岡部「だから俺は、戦い続ける――」
 ほむら『だから私は、戦い続ける――』




370 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:02:48.51 MTnjOSI4o 361/367

まゆり「オカリン屋上にいるよー!」

ダル「逃げ場はないお!」

紅莉栖「待ちなさい!岡部」

萌郁「……みんなで……写真……ティロ……フィナーレ♪」

ルカ子「聞いてください!凶真さーん!!」

フェイリス「逃がさないニャアー!!」

岡部「フ、フフ、フゥーハハハ!
          
   聞けぇ!今ここにワルプルギスの夜は決した!」



岡部「『魔法少女まどか☆マギカ』とこの俺、
   狂気のマッドサイエンティストである鳳凰院凶真は、
   そのアインシュタインにも匹敵するIQ170の怜悧なる頭脳により!
   ――〝機関〟及びインキュベーターのあらゆる攻撃に対して、  
   時空を操ることで完全に勝利した!

   我らは神に等しき存在になったのだ!
   そして!たどり着いたこの大いなる地平こそ、
   我らが野望の叶う世界!世界の支配構造はリセットされ、
   混沌の未来が待つであろう!

   そうっ、まさにっ、これこそがシュタインズ――」

紅莉栖「岡部」


ふいに。
宣言を続けている最中なのに、紅莉栖の声で遮られた。
なんだか、この展開覚えがあるぞ――

371 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:03:31.56 MTnjOSI4o 362/367


     紅莉栖「厨二病乙」


くそっ!!やっぱり助手は助手!!
しおらしかったのはあの時だけかよっ!


そう考えていると、ラボメン全員が俺を見て、
何かを待っている。


紅莉栖「……やっぱり、続き……聞かせて?



             ――今の言葉の、続きっ!」

372 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:05:09.97 MTnjOSI4o 363/367



―――だから今、1秒ごとに、世界線を越えて―――


まゆり「オカリン♪」

                  ダル「オカリン!」


―――君のその笑顔、守りたいのさ―――


紅莉栖「岡部!」

                  萌郁「……岡部君……!」


―――そしてまた、悲しみの無い―――


ルカ子「凶真さん!」

                  フェイリス「凶真!」


―――時間のループへと―――


    鈴羽『岡部倫太郎!オカリンおじさん!』

373 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:06:20.06 MTnjOSI4o 364/367





―――飲み込まれてゆく―――




岡部「フ、フハハ!
   ……そうっ、まさにっ、これこそが――」




―――孤独の観測者―――




      シュタインズ・ゲート
     「『Steins;Gate』の選択だよ」

374 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:07:22.34 MTnjOSI4o 365/367

There is no end though there is a start in space.
--- Infinity.
宇宙に始まりはあるが、終わりはない。
―― 無限

It has own power, it ruins, and it goes though there is a start also in the star.
--- Finite.
星にもまた始まりはあるが、自らの力を持って滅びゆく。
―― 有限

Only the person who was wisdom can read the most foolish one from the history.
英知を持つ者こそ、もっとも愚かであることが、歴史からも読み取れる。

The fish that lives in the sea dosen't know the world in the land.
It also ruins and goes if they have wisdom.
海に生ける魚は、陸の世界を知らない。
彼等が英知を持てば、それもまた滅びゆく。

It is funnier that man exceeds the speed of light than fish start living in the land.
人間が光の速さを超えるのは、魚達が陸で生活を始めるよりも滑稽。

It can be said that this is an final ultimatum from the god to the people who can fight.
これは、抗える者達に対する、神からの最後通告と言えよう。

375 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:08:42.55 MTnjOSI4o 366/367




スレ 岡部「交わした約束」ほむら『忘れないよ』

1316105877-375


376 : ◆4soo/UO.k6 - 2011/09/17 01:18:17.35 MTnjOSI4o 367/367

以上で終了です。

元ネタ ほむら『交わした約束、忘れないよ』岡部「(´;ω;`)ブワァッ」
の三分割を、一つにまとめて、再編集しながら部分部分の修正を加えました。
シュタゲの途中でやった時と、シュタゲの終わった今を見計らって、
せっかくなので、また見て貰いたかったという気持ちです。

実は、この後に設定として、
「いたずら誕生日」を岡部が企画したり、「星を見に行ったり」するという裏設定。

新作をやる時は、また↓で告知します。
http://twitter.com/siatusi_finger

後、一番最初の絵師さん重ね重ねありがとう。忘れないよ。

それでは、また別の世界線でお会いしましょう。

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