関連
とある不幸な戦士! 上条「仮面ライダー幻想!!」【前編】

186 : 第9話 - 2012/10/16 17:28:22.61 yemX2gRDO 170/362

これは学園都市に住む


不幸な


高校生の物語である


op~♪(省略)


第9話
「語られる真実!発動する魔神の力!!!」


~第7学区~

~とあるアパート~

~小萌の部屋~


片付けられた、畳部屋の中央で…

"小萌・インデックス・上条・ステイル・神裂"の五人が、丸いちゃぶ台を囲む様に座っていた。


そこでステイルは、小萌に脳医学について詳しく説明を聞き、…真実を知る。


ステイル「人間の脳は140年分の記録が可能? 脳がパンクする事はありえない?」


小萌「ですです、記憶の入れ物はそれぞれ違うのです! どんなに沢山の本を覚えて"意味記憶"を増やしても~…」


小萌「"エピソード記憶"が圧迫される事は、脳医学上"絶対"にありえませんよ~?」


…数秒間、沈黙が訪れた


ステイル「ハハッ……どう言う事だ…"上"は僕達を騙していたとでも言うのか!!」

ドン!
小萌禁書「!?」ビク!!


ステイルが苛立ち、ちゃぶ台を叩く…


神裂「…はい、"アレ"を必然と思わせ、私達の反乱を防ぐため…と思うのが妥当です」

187 : 第9話 - 2012/10/16 17:30:14.58 yemX2gRDO 171/362


――


上条「え~と…お前達は、インデックスの持つ"10万3000冊"と"完全記憶能力"が脳を圧迫して、記憶消さないと死ぬって言われてたんだよな?」


神裂が質問に答える。


神裂「…はい、正確には脳の85%を魔道書の記録で使われ、残り15%しか脳が記憶出来ず…1年周期で消さないと、完全記憶能力により、脳がパンクして死ぬと言われてました」


上条「…で、教会は"禁書目録"の反乱を防ぐ為、メンテナンスって名前の"首輪"を付け、一年周期で死にかける様にプログラムしたって訳か」


ステイル「……それも、何の以上もない"この子"に"首輪"を付けたがった教会の嘘だった訳だ…あの女狐!!」


神裂「多分、原因は"首輪"に有るハズです…が、どうやって破壊するか。ですね…」


………


小萌「(皆さん、一体何の話しをしてるのですか~?)」ヒソヒソ


禁書「(私の病気が治るかもって話なんだよ。こもえ)」ヒソヒソ


小萌「(シスターちゃん、病気だったのですか~?)」ヒソヒソ


禁書「(わかんないんだよ)」ヒソヒソ

188 : 第9話 - 2012/10/16 17:32:11.41 yemX2gRDO 172/362


――


上条「なぁ、神裂」


神裂「? 何でしょうか?」


上条「俺の右手…"幻想殺し"なら、その"首輪"を壊せると思うぞ?」


上条は右手を皆に見せる様に上げる。


神裂「幻想殺し?」


上条「ああ、それが異能の力なら"超能力"であろうが"魔術"であろうが打ち消す事が出来る…それが"幻想殺し"だ」


禁書 「……私の"歩く教会"も、その右手に壊されちゃったんだね」ショボン


ステイル「………」スパー


神裂「法王級の霊装を破壊ですか…"首輪"の破壊も恐らくは可能ですね…では」

神裂「上条当麻とステイルは、一端部屋を出て行って貰えますか?」


上条「何でだよ? 俺が触れば一発で終わっちまうんだろ?」ハテ?


禁書「…」


ステイル「…」イライラ

神裂「…"首輪"がインデックスの何処に有るか分からないんです」


上条「だから俺m」
ステイル「さっさと来い!!」
ガシ


上条「おっおい、何で急に怒ってんだよ? オマェ…」ズルズルズル


パタン

神裂「…ハァ…」


―――
――

189 : 第9話 - 2012/10/16 17:33:16.07 yemX2gRDO 173/362


~第7学区~

~とあるアパート~

~小萌の部屋前・通路~


部屋を出て数分間、上条とステイルは会話も無く、ぼーっとしていた。


上条「…」
ステイル「…」スパー


すると、上条がステイルに何気なく 問い掛ける。


上条「…なぁ、ステイル」
ステイル「…」


上条「お前と一緒にいた頃のインデックスって、どんな子だったんだ?」


ステイル「…」フー

ステイル「…」


―――
――

190 : 第9話 - 2012/10/16 17:34:16.25 yemX2gRDO 174/362


________
※ステイル回想

―2年前―


~ロンドン~

~聖ジョージ大聖堂~


~礼拝堂~


禁書「…」


魔術師A「ステイル=マグヌス。そなたに1年間、禁書目録の守護を命じる!」


ステイル「ハッ! ありがたき幸せです」


????「…そなたも、もう12歳になりけりね?」


ステイル「はい、最大教皇(アークビショップ)」


最大教皇「禁書目録の為。せいぜい、立派なパートナーになりたる事よ、ステイル?」クスクス


ステイル「はい!」


―――
――

191 : 第9話 - 2012/10/16 17:35:24.21 yemX2gRDO 175/362


~聖ジョージ大聖堂~

~礼拝堂前の廊下~


禁書「初めましてだね、私はインデックスって言うんだよ。君の名前、教えて欲しいな?」ニッコリ


ステイル「はい、私はステイル=マグヌス…今日から、貴方を命に代えてもお守り致します」


ステイルは、"禁書目録"に一礼する。


禁書「む~硬いんだよステイル。君、歳は幾つなのかな?」


ステイル「年齢は12ですが…それがなにか?」


禁書「じゃあ、同い年くらいなんだね! 身長は私が勝ってるけ・ど・も~」フフーン


ステイル「…」


禁書「ねぇ、ステイル? 私、お腹すいたかも。一緒にご飯食べに行こう」グイグイ


ステイル「はい、禁書目録…仰せのままに」


禁書「むぅ~! ステイル! 次に敬語使ったら怒るんだよ!」ガルルル


ステイル「…はい、以後気をつけます」


禁書「ムキー! 人を馬鹿にしてー! 次に使ったら本当にお仕置きが必要かも!!」



 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄

192 : 第9話 - 2012/10/16 17:37:09.27 yemX2gRDO 176/362



時は過ぎ…二ヶ月後


~聖ジョージ大聖堂~

~霊装置き場~


禁書「ねぇねぇ、ステイル」グイグイ


ステイル「何d…何だい、インデックス? 僕は、今忙しいんですよ」ガチャガチャ


禁書「一緒に遊んで欲しいかも」ウン


ステイル「…神裂と遊んで下さい…僕は、霊装のチェックの後に勉強したいんですよ」

禁書「勉強なんてしないで遊んだ方が楽しいかも…ステイルは、私と遊ぶの嫌いなのかな?」シュン


ステイル「…」


禁書「…」レイソウケリケリ


ステイル「ハァ…分かりました。この霊装を片付けたら遊びますから…大人しく、外で待っててくれないかい?」


禁書「本当!? なら私も手伝うかも! ヨイショッ!これ何処に持って行くのk」グラ

ガシャーン!!とインデックスは足を引っ掛け、盛大に転んだ。


ステイル「…ハァ…ほら大丈夫かい?」


ステイルは、倒れたインデックスに手を差し延べ…


禁書「ありがとうステイル…うぅ、膝が痛いかも」


インデックスは、笑顔でその手を取った。


―――
――

193 : 第9話 - 2012/10/16 17:38:26.18 yemX2gRDO 177/362

更に、二ヶ月後

~ロンドン~

~とある丘の木陰~


ステイル・神裂・インデックスの三人でピクニックに来ていた。


禁書「ステイル~風が気持ちいいね」ンー

ステイル「そうだね」スパー

禁書「むっ! またタバコ吸ってるね…体に悪いから止めるんだよ」バシ


インデックスは、ステイルが口にくわえていたタバコを取り上げた

…が

ステイル「…」フー

禁書「ステイル…私の話、聞いてるのかな?」ニッコリ


ステイル「失礼だな、ちゃんと聞いてるよ? 耳で?」スパー

禁書「ムキー! 人の事を馬鹿にして! 言うこと聞かないステイルには体罰が必要だね!!」ガァァ!!


ガブ!っと、インデックスの必殺技が炸裂し、ステイルの頭をかみ砕く!


ステイル「ぐっ!? ごっがぁぁぁぁあ!!!」

禁書「はんへいふるまでゆるはないんだよふている」グルルルル

神裂「楽しそうですね。インデックス」クスクス


ステイル「神裂! 君は!コレが楽しそうに見えr…ごっがぁぁぁ!!」


禁書「はやふごへんなはいふるんはよふへいる!!」グルルル


すると神裂が救いの手


神裂「インデックス? そろそろご飯にしますよ」ニッコリ

禁書「ご飯ーー!!!」キラキラ
ステイル「」ピク…ピク

194 : 第9話 - 2012/10/16 17:40:04.85 yemX2gRDO 178/362


更に四ヶ月後


~とある書庫~


禁書「…ステイル…隣り、座っていいかな?」


ステイル「良いけど…どうしたんだい?」


ステイルが隣の椅子を引き、インデックスを招く。


禁書「…うん…ステイル、最近寝てないよね。魔術の勉強も良いけど、あんまり無理しちゃ駄目なんだよ?」


ステイルは笑顔を見せ、インデックスの頭を優しく撫でる。


ステイル「……無理なんてしてないよ」ナデナデ


禁書「……でも、心配なんだよ」


インデックスは、そっとステイルの肩の上に頭を乗っける。


ステイル「…」
禁書「…」


………


禁書「…」スー
ステイル「…」?


禁書「…」zzZ
ステイル「……ハァ」


ステイル「……君を救う為なら、こんなの無理の内に入らないよ」ボソ


 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄

195 : 第9話 - 2012/10/16 17:41:21.92 yemX2gRDO 179/362


更に四ヶ月後


~聖ジョージ大聖堂~


~礼拝堂~


7月26日

午後20時00分



神裂「ステイル…明日の午後16時に儀式を開始します」

ステイル「…」


神裂「…彼女と共に過ごす最後の時間。大事にして下さい」


ステイル「…」


神裂「…」ギリッ


神裂はステイルを残し、礼拝堂を後にした。


ステイル「…」


礼拝堂に一人残ったステイルは、奥にある十字架を見上げる。


ステイル「…僕は」


すると、ステイルの背後にある礼拝堂の扉が、静かに開いた


禁書「ステイル? 捜したんだよ」


ステイル「…」

196 : 第9話 - 2012/10/16 17:42:34.46 yemX2gRDO 180/362


――


ステイル「…すまない、少し考え事をしてたものでね」


ステイルは振り返らず、そのままインデックスと会話する。


禁書「…」


すると、インデックスは静かに近づき…


禁書「…」

ギュ!

ステイル「…」


ステイルを後ろから優しく抱きしめた。


禁書「…」


ステイル「……情けない男だな…僕は」


禁書「ううん、そんな事ないんだよ…私はステイルのかっこいい所をいっぱい知ってるもん」


ステイル「…………………」


背中を抱くインデックスの声は、微かに震えていた。


禁書「えっとね…私…ね…ステイル」



ステイルはこの時…初めて


禁書「インデックスは…ね……ステイルの事が大好きだったよ」



大切な人の為に涙を流した


―――
――

197 : 第9話 - 2012/10/16 17:43:49.45 yemX2gRDO 181/362


――

そして、夜が明け。ステイルとインデックスは、お互いの思い出の場所を見て回る事にした。


初めて会話し、彼女を怒らせ、頭を噛まれた大聖堂の廊下。


初めて彼女を襲撃者から守った路地裏。


三人でピクニックに行ったとある丘。


他にも数えきれない程、沢山の…


彼女と共に歩いた道を彼女と共に歩く。



―そして―





二人が別れの時を迎える

198 : 第9話 - 2012/10/16 17:45:13.51 yemX2gRDO 182/362


~聖ジョージ大聖堂~


7月27日

午後16時00分


暗い部屋の中、祭壇の上でインデックスが眠っていた…


まるで熱病で倒れた病人の様に、インデックスは動かない。


そして、インデックスが眠る祭壇を中心に、三人の魔術師が魔術の準備を開始する。


魔術師A「"クロウリーの書"を参照。今から天使の捕縛法を応用し、妖精の召喚・捕獲・使役の連鎖を作る」


神裂「…はい」


ステイル「……」


『初めましてだね? 私はインデックスって言うんだよ』


ステイル「……」


『ありがとうステイル…うぅ、膝が痛いかも』


ステイル「…」


『むっ! またタバコ吸ってるね…体に悪いから止めるんだよ』


ステイル「…」

199 : 第9話 - 2012/10/16 17:46:22.61 yemX2gRDO 183/362



『インデックスは…ね…』




『……ステイルの事が大好きだったよ』


ステイル「……僕もだよ、インデックス」


神裂「ステイル?」


ステイルは、魔術師Aの前に立つ


ステイル「記憶消去の十字架を貸して貰えませんか?」


魔術師A「お前…」


ステイル「彼女の思い出は、僕自身が消します…どうかお許しを」


魔術師A「…しかし」


神裂「私からも、お願いします。最後は、彼に任せてあげてくれませんか?」


魔術師A「……分かった」チャラ


ステイル「ありがとうございます」

200 : 第9話 - 2012/10/16 17:47:29.99 yemX2gRDO 184/362


――

ステイルは、十字架を受け取り、祭壇に眠るインデックスの前に立つ。


禁書「ハァ…す…てい…る」


ステイル「インデックス」


禁書「やっぱり…やだよ…消さないで…すて…い…ると…の思い…出…忘れた…くないん…だよ」


インデックスは、涙を流しながら必死に拒む


――忘れたくない、と


すると、ステイルが祭壇の前で膝を曲げ。インデックスの手を握り、そして優しく囁いた。


ステイル「…大丈夫、安心して眠るといい」


禁書「…?」


ステイル「たとえ、君が全てを忘れてしまうとしても…」

―それは"彼女"へ贈る―



ステイル「僕は、何一つ忘れずに…」


―"最後"の―


ステイル「君のために生きて死ぬ」



―"誓いの言葉"だった―



この後、ステイルが魔術を発動させ、インデックスの記憶は消滅した。


 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄



※回想終わり

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

201 : 第9話 - 2012/10/16 17:48:39.10 yemX2gRDO 185/362


――


ステイル「…」


上条「ステイル?」


ステイル「彼女は変わらないよ。今も…これからも」


上条「…そっか」


ステイル「…………」スパー


すると小萌の部屋のドアが開き、神裂が出てきた。


…そして、静かに口を開く


神裂「"首輪"を発見しました。何があるか分かりませんので、インデックスを連れて近くの小学校へ行きましょう」


ステイル「了解した。人払いのルーンを刻んで来るから、グラウンドで待っててくれないか?」


神裂「はい。では、インデックスを呼んできます」


上条「ああ、頼む」


 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄

202 : 第9話 - 2012/10/16 17:49:48.95 yemX2gRDO 186/362


~第7学区~

~とある小学校~

~グラウンド~


夜も老け、辺りには人の気配はない…


上条、神裂、インデックスは、小学校のグラウンドでステイルの到着を待っていた。


上条「ほ~ら、インデックス~パース」ポイ


禁書「わっわっ暗くて見えブッ!」


上条の投げたゴムボール(手の平サイズ)が、インデックスの顔に直撃した。


神裂「だっ大丈夫ですか!? インデックス」アワアワ


禁書「…痛いかも」ウルッ


神裂「!?…上条当麻…次、彼女を傷つける様な事があれば、七つの斬撃が貴方を襲います。…お気を付け下さい」


上条「…ハイ」


禁書「いくよ~とうま」ポイ

上条「…は~い」パシ


上条「そ~らイn」

神裂「…」チャキ!

上条「…」エー

203 : 第9話 - 2012/10/16 17:50:54.30 yemX2gRDO 187/362


――


小学校を囲む様に、半径1キロメートルに"人払い"のルーンを設置し、グラウンドに到着したステイル


…が


ステイル「…」


神裂「ほ~ら、インデックス捕まえますよ~」ウフフ


禁書「きゃ~」キャッキャ!


神裂「捕まえました♪」ダキツキ


禁書「む~! 捕まっちゃったんだよ」ホッペプクー


神裂「ふふふ」ヨシヨシ


上条「次は、インデックスが鬼な~」


禁書「じゃあ、10秒数えるんだよ!」イーチ,ニーイ…


ステイル「…」


禁書「10! まぁぁてぇぇ、とうまぁぁかおりぃぃ」ドドドドド


上条「うわ! 何か怖ぇ!」

神裂「ほら~こっちですよインd」

ステイル「…」スパー

神裂「…」
ステイル「…」

ステイル「…」
神裂「…スミマセン」


―――
――

204 : 第9話 - 2012/10/16 17:52:00.03 yemX2gRDO 188/362


――


上条「さて、さっさと"首輪"を破壊しようぜ」


ステイル「…」


上条「何だよ…まだ、拗ねてんのか?」


ステイル「違う。こんな時に気を抜く、君たちに呆れているんだよ」ハァ…ヤレヤレ


神裂「…すみません」ショボン


上条「…だな。悪かったよステイル」


ステイル「…」フン


すると、インデックスがステイルの隣に立つ


禁書「ねえ」クイクイ


ステイル「?」


禁書「ごめんね?」ウワメズカイ

ステイル「」


禁書「?」クビカシゲ

ステイル「…」ゴソ


ステイル「…」ケータイカメラ

パシャ!
禁書「うわっ! ぴかってしたかも」


ステイル「フッ…これで今回は許してあげるよ」スパー


禁書「う~! 目がチカチカするんだよ」ゴシゴシ


神裂「大丈夫ですか? インデックス?」アセアセ

上条「……」


―――
――

205 : 第9話 - 2012/10/16 17:53:08.07 yemX2gRDO 189/362


――

※仕切り直し


上条「…で? 結局、"首輪"は何処にあるんだ?」


神裂 「はい、それは…つむじよりも脳に近く。人にも触れさせない場所…」


神裂「喉の奥に"首輪"が刻まれてました」


ステイル「…」


上条 「じゃあ、俺の右手をインデックスの口の中に突っ込めば良いんだな」


神裂「……はい」

禁書「……恥ずかしいんだよ」///


ステイル「…」


上条とインデックスは、お互いが向き合う様に地面に座る。


ステイル「…」


上条「はい。じゃあアーンして~」


禁書「…とうま」


上条「? 何だよ?」


禁書「…痛くしないでね?」ウワメズカイ

上条「いっ!!///」

ステイル「イノケンティウス!!!」

「!?」ビク!!


ステイルの背後に炎の巨人"魔女狩りの王"が現れた!

206 : 第9話 - 2012/10/16 17:54:27.76 yemX2gRDO 190/362


――

神裂「ステイル!?」


ステイル「…何があるか分からないだろう? 準備だよ」


ゴァァァコロスゴァァカミジョウ


上条「おい……その、炎の巨人。俺に炎の十字架、叩きつけ様としてねぇか?」


ステイル「気の性だよ」スパー


ゴァァブッコロゴァァ


上条「……さっさと、早く終わらせるか。インデックス、アーン」


禁書「アーン」


~R15指定~

~省略~


インデックスの、喉に刻まれていた黒い文字を右手が触った瞬間!

バキィン!
上条「くっ!!」


上条が弾き飛ばされた


上条「ってぇ! なんだよ今n」


『――警告、第三章、第二節。Index-Librorum-Prohibitorum――禁書目録の"首輪"』


神裂「なっ…"自動書記"(ヨハネのペン)」


『第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備……失敗』


ステイル「チッ…」ギリ


『"首輪"の自己再生は不可能、現状、10万3000冊の"書庫"の保護のため…』



『侵入者達の迎撃を優先します』

207 : 第9話 - 2012/10/16 17:55:55.52 yemX2gRDO 191/362


――

上条たちの目の前には"インデックス"では無く。赤い瞳の"自動書記"が宙に浮いていた。


上条「ハァ…やっぱ、そう簡単には行かねぇか」

ステイル「フン…ようやく、"ここ"まで辿り着いたよ」

神裂「今度こそ救い出します。…必ず」


上条が右拳を突き出し!

ステイルが赤いカードを天高く掲げ!

神裂が令刀"七天七刀"を地面に突き立てる!


上条「幻想変身!!」

ステイル「fortis931!!」

神裂「salvare000!!」


すると、上条の身体を黒い影が包みこみ…


イノケンティウスが、ステイルの全身を覆い…


神裂の身体を白い羽が包み込む


…そして"自動書記"の目の前には…


中央に、漆黒の駆動鎧を着たツンツン頭のヒーローと


左側に、紅い仮面に紅いスーツのヒーロー


右側に、白い仮面に白と黒のスーツ。そしてマントを羽織ったヒーロー


三人の"救世主"が現れた!


幻想「…いいぜ…この物語が、神様(アンタ)の作ったシステム通りに動いてるってんなら…」


幻想「俺達がその幻想をぶち殺す!!」

208 : 第9話 - 2012/10/16 17:57:10.73 yemX2gRDO 192/362


――

先に動いたのは"自動書記"だった!


"自動書記"の背中に赤い羽が生え、50メートル程、高く飛び上がる。


自動書記「第十三章第九節。対象達に対し、飛び道具が有効と判断。即発動します」

ステイル「神裂!」


"自動書記"の赤い羽が膨れ上がり…


神裂「分かってます!!」
タァン!!


バン!!と弾け。血飛沫のように舞う、細く赤いレーザーが地上に向け、数百の数で襲いかかる!


ガガガガガガガガ!!
幻想「ぐっあぁぁぁぁ」


ガガガガガガガガ!!
ステイル「ぐっがぁぁぁ」


だが、神裂は先を読み"自動書記"に向かい、目に見えない程の速さで飛んでいた!


そして"七天七刀"の鞘で赤いレーザーを弾きながら"自動書記"の紅い羽に目掛け…

神裂「ハァァァ!!」
自動書記「 、 。」


必殺の抜刀を放つ!


ガギィ!!

神裂「!!」


自動書記「……優先標的を設定」


しかし、"自動書記"の周りに光の粒子の様な西洋剣が三本出現し、神裂の一撃を受け止めていた。


自動書記「直ちに、危険度の高い因子を排除します」

209 : 第9話 - 2012/10/16 17:58:18.91 yemX2gRDO 193/362


――


神裂「くっ!!」


神裂が紅い羽に向かい、再び"七天七刀"を振りかざした ……が、

┣"ス
神裂「ぐぁっっ!!」


一本の粒子の西洋剣が、神裂の鎧を貫き、左脇腹に突き刺さった。


幻想「っ! 神裂!!」カシン!カシン!


そして、立て続けに…


自動書記「対象に、"豊穣神の剣"が有効と確認…直ちに追撃を実行します」


神裂「クッ!」


残りの二本の豊穣神の剣が、神裂に襲いかかる!


その時!!


幻想「ハァァ!!」

バキキキン!!!
神裂「!!」


仮面ライダー幻想が、音速の三倍の速さで放った"イマジンストライク"で、三本の"豊穣神の剣"を破壊した。

210 : 第9話 - 2012/10/16 17:59:26.97 yemX2gRDO 194/362


――


神裂「ぐっ!!」


横腹に刺さっていた"豊穣神の剣"が折れ、神裂が地上に落下する。


自動書記「"幻想殺し"へ対象を変更、第二十二章、命名"神よ何故私を見捨てたのですか"(エリ・エリ・レマ・サバクタニ)発動まで七秒」


"自動書記"の顔を起点に巨大な魔法陣が出現し…


幻想「!!」カシン!カシン!


遥か上空にいる 仮面ライダー幻想に向かい、直径1メートルの赤黒い光線が放たれる!


幻想「くそっ!!」ok!ドラゴンストライク


それと同時に仮面ライダー幻想の右腕が膨れ上がり、巨大な"竜王の顎"(ドラゴンストライク)が出現した!


その"竜王の顎"を


幻想「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


赤黒い光線へ叩きつける!!


ガッ!


―┣" ォ ン!―


上空にいた仮面ライダー幻想を中心に大爆発が起こった。


ステイル「上条当麻!!」

211 : 第9話 - 2012/10/16 18:00:34.55 yemX2gRDO 195/362


――


爆発の黒煙の中から、一つの影が落下してきた…


幻想「」


落下する影は"仮面ライダー幻想"だった。先程の衝突で意識を失っているのか反応が無い…


ステイル「チッ!」


ステイルは、落下してきた仮面ライダー幻想を空中で受け止めた。


ステイル「!?」


そして、ステイルは気づいた……仮面ライダー幻想の右腕が根本から吹き飛び、大量の血が吹き出ている


ステイルは仮面ライダー幻想を抱えつつ着地し、地べたに寝かせた。


ステイル「チッ!…どうする!」


すると、近くで倒れていた神裂が起き上がり、ステイル達の元へ近づく。神裂の左脇腹からは大量の血が溢れていた。


神裂「ぐっ!上条当麻は」


ステイル「かなり、危ないな…直ぐに医者に見せたい所だが…」


―優先対象の撃破を確認


「!!!」


ステイルの背後から、聞き慣れた声が聞こえた…


自動書記「直ちに、次の対象の撃破に移行します」


"自動書記"が赤い羽を広げ、空から舞い降りる!

212 : 第9話 - 2012/10/16 18:01:39.39 yemX2gRDO 196/362

自動書記「第二十章第六節。最優先標的を"ルーンの魔術師"に設定 "神よ何故私を見捨てたのですか"即時発動します」


"自動書記"の顔の前に、巨大な魔法陣が出現し…ステイルに向かい、赤黒い光線が放たれる

…その瞬間!

ギギギギギ
神裂「くっ!!」


神裂が盾になり"七天七刀"で受け止めた!


ステイル「神裂!!」

幻想「………くっ!」

そして、仮面ライダー幻想が意識を取り戻す。


ステイル「気が付いたか」

幻想「ス…テイ…ル」

仮面ライダー幻想は、身体を起こし。左手でベルトの右レバーを叩きだす

幻想「頼む…1分…時間を稼いでくれ」カシン!

ステイル「?…どうするつもりだ?」

幻想「今から…最後の力を使う…」カシン!

ステイル「…最後の力?」

幻想「後、神裂に伝えてくれ。俺がインデックスを助けたら…」カシン!


幻想「    」カシン!

ステイル「……分かったよ。僕としては願ってもない事だ!」

ステイルは、"自動書記"に向かい突撃した

幻想「ハハッ…ヒデェな…」カシン!

仮面ライダー幻想は、フラフラとよろめきながら立ち上がった

―そして、今―

幻想「これが、最期の…」ok!フォームチェンジ!

―究極の力を発動させる


幻想「…幻想変身!!」イマジンブレイカー・オーバーブレイク

213 : 第9話 - 2012/10/16 18:02:58.59 yemX2gRDO 197/362


――

"赤黒い光線"を受け止めている神裂の背後から、ステイルが5メートル程飛び上がり…


ステイル「ハァァァ!」

轟!

ステイルが右手に炎の剣を生み出し。"自動書記"に生えている"赤い羽"目掛け、炎剣を振り下ろす!


自動書記「 、 。」


ガキィン!!
ステイル「!」


しかし、"自動書記"は赤黒い光線を出すのを辞め、再び"豊穣神の剣"を出現させていた。


ステイル「神裂! "豊穣神の剣"を抑え込むぞ! 手伝え!!」


神裂「はい!!」


"自動書記"から振り下ろされる三本の"豊穣神の剣"に対し、


―ステイルは炎剣で


ガガガガガガガガ
ステイル「ハァァァ!!」


―神裂は"七天七刀"で


ガギギギギギキィン
神裂「アァァァ!!」


互いの武器のぶつかり合う音だけが、辺りに響き渡る

214 : 第9話 - 2012/10/16 18:04:06.74 yemX2gRDO 198/362


――


ステイル(まだか!)


ステイル「まだか!! 上条当麻!」


書記「警告、第二九章第三三節。"ペクスヂャルヴァの深紅石" 即時発動します」

ビキ!!
ステ「!!」


ステイルと神裂の足の指から足首、スネ、膝へと激痛が這い上がってきた。


ステイル「ぐっあ…ぁ…ぁぁ」
神裂「ぅあっっくぅ」


骨の関節を強引にずらされた様な痛みが走り。ステイルと神裂がバランスを崩す

その瞬間を狙い。"自動書記"が"豊穣神の剣"を二人の頭上に目掛け、音速の速さで振り下ろした!


神裂「っ! しまっ…」


―――
――

215 : 第9話 - 2012/10/16 18:05:22.37 yemX2gRDO 199/362


――

……


ステイル「…? どう…言うことだ」


"豊穣神の剣"が、ステイルと神裂の目の前で止まっている。


自動書記「最優先目標を変更。直ちに"神よ何故私を見捨てたのですか"発動させます」


"自動書記"が、ステイル達の背後目掛け。赤黒い光線を放った!


????「ゴ…ガッ」カシン


????「ガァァァァァ!!!!」ok!ドラゴンブラスト


―――  ―――



…そして、"何か"が衝突した瞬間…一瞬、音が消え……


神裂「ステイル!!」ガシッ



200メートル程のドーム状の爆発が起きた。

216 : 第9話 - 2012/10/16 18:06:32.46 yemX2gRDO 200/362


――


爆発が静まり、土煙が晴れ。グラウンドの中央に隕石が落ちた様な200メートル程のクレーターが出来ていた…

クレーターから少し離れた場所に、ステイルを抱えた神裂が着地する。


神裂「大丈夫ですか? ステイル」


ステイル「!? あの子は何処だ!」


ステイルと神裂が、中央のクレーターに近づくと…


ステイル「!!」


そこには…


????「…」


黒い竜の仮面に、翼の着いた鎧を着た"怪物"が佇んでいた


そして、その"怪物"の右手に…


禁書「」


意識を失っているインデックスが首を掴まれ、持ち上げられていた。

217 : 第9話 - 2012/10/16 18:07:28.42 yemX2gRDO 201/362


――


神裂「インデックス!!」


ステイル「…"アレ"が上条当麻の言っていた力か!」ギリ


神裂「!? あの"黒い竜"が…あの少年なのですか?」


ステイル「神裂、上条当麻からの伝言だ……上条当麻が、あの子を救出したら」


神裂「…」


ステイル「"躊躇わず、俺を殺してくれ"だとさ」


神裂「!!」


ステイル「君の魔法名は知っている……だが」


ステイル「殺される事が"救い"になる奴もいるって事だよ」

神裂「…」


ステイル「まぁ君が行こうが、行くまいが。僕は、あの子を助けに行く!」


轟!とステイルの右手から炎剣が生み出され…


そして、インデックスを救うべく"怪物"の元へ歩き出す。


神裂「……ステイル」


……神裂が口を開いた


ステイル「……なにかな?」



神裂「あの二人の事は、…私に任せて下さい」

218 : 第9話 - 2012/10/16 18:15:21.80 yemX2gRDO 202/362


――


神裂が、クレーターの中央にいる"怪物"の背後に立つ

神裂「……」


"怪物"は、未だにインデックスの首を右手で掴み、持ち上げた状態のまま動かない。


神裂「……上条当麻」


怪物が話しかけると"怪物"が振り向く…


????「ハァ ハァ 」


神裂「彼女を助けて頂き、ありがとうございました」

????「ハァ ハァ ハァ」


神裂「……最後に、貴方に"魔法名"を名乗らせて頂きます」


????「ハァ ハァ ハァ!」


神裂「"救われぬ者に救いの手を"(salvare000)」



????「ガァァァアァァアァァァ!!!」


神裂が左手に"七天七刀"を持ち、抜刀の構えに入る!


神裂「…」


それに反応し、"怪物"も腰を低くし左腕を水平に構えた!

219 : 第9話 - 2012/10/16 18:22:25.44 yemX2gRDO 203/362


――


お互いの距離は、2メートルほど離れている。


神裂「…」


先に動いたのは…


―"怪物"だった―


????「ゴッガァァァァァ!!!」

轟!!!


"怪物"が神裂に目掛け、音速の速さで左手を薙ぎ払―

『とうま?』


????「ア…」ビク!


神裂「唯閃」


――神裂の抜刀術"唯閃"により、"怪物"は腰から肩までを真っ二つに切り裂かれ…


????「あ…」



――やがて絶命した


神裂「…」



―――
――

220 : 第9話 - 2012/10/16 18:23:33.69 yemX2gRDO 204/362

その後


~第7学区~

~とある病院~



何処からか声が聞こえる



『助けてくれて、ありがとねとうま』


『本当は、もっとここにいたいけど…帰るんだよ』



『ばいばい…とうま』


 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄



上条「インデックス!!」


上条が目を覚ますと病院のベッドの上だった。上条は身体を起こし、周りを見渡すが…


上条「…」


誰もいない


上条「……ん?」


ふと、隣の机に目線を移すと手紙が置いてあった。


上条は手紙を手に取り、便箋を取り出す…


上条「何々…」

221 : 第9話 - 2012/10/16 18:24:28.62 yemX2gRDO 205/362

__________

―ステイルの手紙―

※文字が多いのでスルーしてオッケーです


ステイル=マグヌス

Dear
上条当麻へ


挨拶は無駄なので省かせて貰うよ。
全く、よくもやってくれたなこの野郎と言いたい所だけど、その個人的な思いの丈をぶつけてしまうと世界中の木々を残らず切り倒しても紙が足りなくなるのでやめておくよこの野郎。


大体なんで死んでいないんだよこの野郎。
何が"躊躇わず殺してくれ"だ、死ぬんなら潔く死ねよこの野郎、あと神裂が泣きそうな顔してたから謝っとけよこの野郎。


君のお陰で色々と後始末が大変なんだよこの野郎。校庭に謎のクレーター出現!とニュースになってしまって総括理事長に怒られたぞこの野郎。


もう何だよ君、僕を怒らせて何がしたいんだい? 馬鹿なのかい? 死ぬのかい? いやいっそ死んでくれないかい?


あぁそうそう、最後に君にこれだけは言っておかないといけない、とてもとても重要なことがあったんだ。








※手紙終わり
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

222 : 第9話 - 2012/10/16 18:25:30.56 yemX2gRDO 206/362


――


上条「ハハッ…ハハハッ」


上条は、優しく手紙を丸め


上条「そげぶ!!」


…ごみ箱へ投げ捨てた


 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄



そして早朝…


~とある病院の個室~



上条は朝ごはんを食べ、やることも無くゴロゴロしていると…


コン コン とドアをノックする音が聞こえた。


上条「? どうぞ」


カエル医者「失礼するよ?」


カエル顔の医者が上条に近づき、隣に立つ。


カエル医者「君、ベルトの最後の力を使ったね?」


上条「…はい」


カエル医者「もう、金輪際使ってはいけないよ? 次こそ、君と言う存在が"何か"に食われてしまうからね?」


上条「……はい」

223 : 第9話 - 2012/10/16 18:26:35.32 yemX2gRDO 207/362


――

カエル顔の医者が、上条の身体を診察しながら話しかける。


カエル医者「そう言えば君、凄い身体の構造してるらしいね?」


上条「?」


カエル医者「君を連れてきた"女の人"に聞いたんだけど。君、本当なら死んでいたハズだったらしいね?」


上条「…」


カエル医者「彼女が言うには、君の身体を斜めに切り裂いたら……10分後にくっついそうだよ?」


上条「…ハイ?」


カエル医者「多分、君が変身したら不死身って事だね? あぁ、そう言えば吹き飛んだ腕も、いつの間にか生えていたらしいよ?」スゴイネ?

上条「」


カエル医者「さて、伝える事も伝えたし、僕は行くよ? あと君、明日には退院出来るからね?」


ガラガラ ピシャン


上条「」エー


―――
――

224 : 第9話 - 2012/10/16 18:27:40.39 yemX2gRDO 208/362

そして次の日


~第7学区~

~とあるマンション~


上条「うだ~。やっと我が家に帰れる」


上条はエレベーターに乗り、7階のボタンを押してドアを閉めようとすると…


禁書「ちょっと待って欲しいかも」トテ トテ


上条「あぁ、はいはい」ポチ

ウイーン
禁書「ありがとね、とうま」


ウイーン

上条「いいよこれぐらい」


禁書「うん」


……


上条「…ハァ…モウツッコマネエ」


禁書「……ねえ、とうま」


上条「? なんだよ?」

禁書「私と、かおりと、ステイルね? 此処の管理人として働く事になったんだよ?」

上条「は?」

禁書「仲良くしてくれると嬉しいな。これからも宜しくね?とうま」ニッコリ


上条「」


最強の魔神に勝利した仮面ライダー幻想!!

魔術師との絆を結び、新たな友情が芽生えた事だろう!!
仮面ライダー幻想よ! 絆の強さで悪に立ち向かえ!

戦え!仮面ライダー幻想!!

進化しろ!仮面ライダー幻想!!


ED~♪

225 : 第9話 - 2012/10/16 18:28:34.37 yemX2gRDO 209/362


次回予告


夏休みに突入し、外に出かけた上条当麻!!


コンビニに立ち寄り、外を歩いていると。とある女子中学生に突撃される!!


そして現れる、新たな魔術師!! 果たして、仮面ライダー幻想は勝利する事が出来るのか!!


幻想変身!仮面ライダー幻想!!

第10話
「ラブラブ?デート!忍び寄る!爽やかストーカー!!」


その幻想をぶち殺す!!

229 : 第10話 - 2012/10/17 19:34:52.83 3tfTc0oDO 210/362

これは学園都市に住む


不幸な


高校生の物語である


op~♪(省略)


第10話
「ラブラブ?デート!忍び寄る!爽やかストーカー!!」


~第7学区~

~上条当麻の部屋~


午前10時00分


魔術師の騒動から十日が過ぎ。日付は7月22日…学生達は、夏休みを迎えていた…

上条当麻は、朝ごはんを食べ。ゴロゴロと今日の予定を考える


上条「夏休みか~なにすっかな~新しい変身ポーズでも考えてみっかな~」ゴロンゴロン


すると呼び鈴が鳴った


ピンポーン
上条「? はーい」


ピピピピンポーン
上条は、だらだらと立ち上がり、玄関のドアを開ける

ピピピピピンポーン

上条「はいはい、どちら様ですか~」

ガチャ
禁書「おはようt」
バタン


上条「…鍵をかけてっと」カチッ

禁書「おはようとうま」ガチャ


上条「…」エー


禁書「? とうまの部屋の"ますたーきー"があるから鍵をかけても無駄かも」フフーン

230 : 第10話 - 2012/10/17 19:36:39.01 3tfTc0oDO 211/362


――


上条「…で、何か用か? 上条さんは忙しいんですよ?」


禁書「あのね? コレなんだよ」ズイ


インデックスは、四角い箱を上条に差し出す。


上条「? そうめんか?」ウケトリ


禁書「しかも、揖保乃糸なんだよ かおりが持っていきなさいって」


上条「おお! ありがとな、インデックス」ヨシヨシ


禁書「うん! あとね、とうま…」ゴソゴソ


上条「?」


禁書「ふふ~ん、けーたいでんわ~」ドヤァ


上条「わ~」パチパチパチ


上条「…って。それがどうしたんだよ?」


禁書「とうまの"けーたいばんごー"と、"めあどー"を教えて欲しいんだよ」

231 : 第10話 - 2012/10/17 19:38:00.04 3tfTc0oDO 212/362


――


上条「ん? じゃあ、ちょっと待ってろ」


上条は、四角いテーブルの上に置いていた携帯電話を手に取り。インデックスの待つ玄関に戻る


上条「インデックス、赤外線でいいか?」カチカチ


禁書「? せきがいせん? なに、とうまお湯でも」

上条「沸かさない…ほら、携帯貸してみろ」


禁書「うん」ケータイワタシ


上条は、インデックスから携帯を受け取り、操作する


上条「お前、何で使えないのに携帯買ったんだ?」カチカチ


禁書「ステイルが、『学園都市は危ない所だから肌身離さず持っておくんだよ』って買ってきてくれたんだよ」


上条「ふーん…っと、ほら登録しといたぞ」


上条は、インデックスに携帯を返す


禁書 「ありがとね、とうま。 今日は、かおりと お買い物に行くから。これで帰るんだよ」


上条「おう。神裂に そうめんありがとなって言っといてくれ」


禁書「うん! 伝えとくね。ばいばいとうま」テオフル


上条「ゆっくり楽しんで来いよ~」テオフル


 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄

232 : 第10話 - 2012/10/17 19:39:22.53 3tfTc0oDO 213/362


~常盤台寮~

~食堂~


午後12時40分


御坂美琴は、やたら広く、荘厳な食堂の座席で考え事をしていた。


御坂「…ハァ」


すると…御坂の背後から


黒子「お姉様? 何か悩みでもありまして?」


御坂「黒子…ん~ちょろっとね~」


白井黒子が同じテーブルの空いてる座席に座る。


黒子「お悩みがあるのでしたら。僭越ながら、この黒子がお聞きいたしますが?」


御坂は少し考え、口を開いた。


御坂 「……黒子、もしアンタが しつこい男に言い寄られたら。どう対応する?」

黒子「ムゥ…わたくしでしたら。その殿方に、丁重にお帰り頂き、二度と付き纏わぬように致しますが?」


御坂「……それが、常盤台の理事長の息子だったとしたら?」


黒子「うげっ…海原様ですの…」


御坂「…うん」

233 : 第10話 - 2012/10/17 19:41:23.60 3tfTc0oDO 214/362


――


黒子「…ですがお姉様。素直にお断りすれば、向こうも諦めて頂けるのではございませんの?」


御坂「ちゃんと、断ってるわよ。それでも毎日の様に誘いに来るのよねぇ」ハァ…


黒子「ムゥ……!!」ヒラメキマシタノ!


白井黒子が閃いた!!


黒子「では、『お付き合いしている方が居る』と"嘘"をついて見てはいかがでしょうか?」


御坂「はぁっ!?」


黒子「その方は、頼りがいがあり! お姉様がピンチの時も颯爽と現れ、救いの手を差し延べる。とても素敵な、こうh…ゲフンゲフン…素敵な方なのだと、つけ加えれば…完璧ですの!」


御坂「…」///


御坂は少し考え、口を開く…顔は、ほんのりと赤くなっていた


御坂「…そ…そうね! 今度、海原に会ったらそんな感じで伝えてみようかな」///


黒子「(ぐぇっへっへ! そんなの、この黒子しかいませんの! これで噂が広まれば…お姉様と…お姉様とぉ~~!!)」ムハー!


御坂「? 黒子?」


黒子「ハッ!いえ! 無事、上手くいく事をお祈りしておりますわ。お姉様」オホホ


御坂「うん、相談に乗ってくれてありがとね黒子」ニッコリ


―――
――

234 : 第10話 - 2012/10/17 19:42:48.46 3tfTc0oDO 215/362

~第7学区~

~とあるコンビニ~


午後13時00分


上条は、相棒(自転車)と共にコンビニに来ていた。

因みに、今日の予定を考えた結果。トーマス(自転車)と気ままにサイクリング。となった訳である


上条「ふんふん♪ふふふふふふふ♪ふんふんふんふんふ~ん♪」

イラッシャイマセー


上条「あれ? またこの銘柄のコーヒーが残ってるな…珍しい」


上条は缶コーヒーを手に取り、会計を済ませ、コンビニの外に出た。


アリガトウゴザイマシター


上条「今日は、久々にツイてる予感がするなぁ」ト-マス

……


上条「……あれ?」


相棒(自転車)が居たハズの場所に相棒が居ない…


上条「…おいおい、冗談だろ!? なんで、俺の自転車をピンポイントで盗ってんだよ! いや、素晴らしい自転車なのは分かるけどもぉぉ!」ウガー


上条は、コンビニの前で頭を抱え…


上条「ハァ…不幸だ」トボトボ


やがて冷静になり、ゆっくりと歩きだした…

235 : 第10話 - 2012/10/17 19:44:18.65 3tfTc0oDO 216/362


――


上条は、缶コーヒーを左手に持ち。トボトボと歩く


上条「まぁ…トーマスは自力で戻ってくるから大丈夫として…」シンパイダケド


上条「早速、予定が無くなったなぁ……誰だよ今日はツイてるとか言った奴」ブツブツ


上条が常盤台の寮前に差し掛かると…


上条「ん?」


約50メートル程先に…爽やか系のイケメン男と、茶髪で常盤台の制服の女の子が道の真ん中で話している。


上条(青春してるなぁ…羨ましい)


すると、女の子の方がこちらに気づき、何かを言いながら走って来た!


―――
――


―――――――

※視点変更

 上条→御坂

―――――――

236 : 第10話 - 2012/10/17 19:45:59.58 3tfTc0oDO 217/362

※御坂視点※


~常盤台寮前~


午後13時00分


食堂で黒子と別れ。御坂美琴は、近くのコンビニで立ち読みでもしようと寮の外に出た。


……瞬間


海原「どうもこんにちは御坂さん。今日は良い天気ですね」キラキラ


爽やか系イケメンが、狙いすましたかの様に声をかけてきた


御坂(はぁ…)

御坂「こんにちは、海原さん」ニッコリ


海原「今日は、どちらへお出かけですか? 宜しければ途中までご一緒しても構いませんか?」


御坂「いや~あの~これから、知り合いと遊びに~」アハハー


海原「そうですか…どんな方ですか? 宜しければご紹介して頂けませんか?」ニッコリ

237 : 第10話 - 2012/10/17 19:47:16.84 3tfTc0oDO 218/362


――


御坂(…しょうがないか)


御坂は深呼吸をして


御坂「海原さん。ゴメン、私付き合ってる人が居るの」


海原「……どんな方なのですか?」


御坂「えっと…頼りがいがあって、私の為なら直ぐに駆け付けてくれて、身体を張って守ってくれる。そんなヒーローみたいな格好いい奴なの」


海原「フム…そんなに素晴らしい方でしたら、男としては一度会ってみたいですね。是非、ご紹介して頂けませんか?」ニッコリ

御坂(くっ! そう来るか…結構しつこいわね)


御坂「!?」


御坂が視線を左に逸らすと。その先に、とあるツンツン頭の少年がこちらを見ていた。


御坂(もう"コレ"しかない!!)


御坂は覚悟を決め! ツンツン頭の少年目掛け、走り出す!!


―――
――


――――――

※視点変更

 御坂→上条

――――――

238 : 第10話 - 2012/10/17 19:48:39.30 3tfTc0oDO 219/362


――

※上条視点※

~常盤台寮前~


茶髪の女の子が上条に向かい、凄い速度で走ってきた


…そして


ドゴォ!!
上条「オッフ!!」


御坂「ごめ~ん、待った~?」


速度を維持したまま上条の胸元目掛け、思い切り抱き着いてきた!


上条「おま!」

御坂「しっ! 話し合わせて」ヒソヒソ

上条「はっ?なn」

御坂「アイツ、ストーカー(っぽい奴)なの!!」ヒソヒソ!

上条「!!」


上条が理解したのに気づき。御坂は上条から離れ、海原へ振り返る。


御坂「海原さん、紹介するわ。コイツが私のヒーロー」


海原「……これはこれは」ニコニコ

239 : 第10話 - 2012/10/17 19:50:04.75 3tfTc0oDO 220/362


御坂「とととっても、ラブラブなのよ~?ね~?」ギュッ!

御坂(うわ! めちゃくちゃ恥ずかしい!///)


御坂は、上条の右腕にピタリとくっつき、腕を組んだ


上条(御坂さ~ん! それはちょっと、やり過ぎなのでは~!!)


御坂「ちょっと! 何か言ってよ///」ヒソヒソ


上条「あっえっと…そうだな! 御坂ぁ!」


海原「おや? お付き合いされているのに、苗字で呼ばれてるのですか?」ニッコリ


上条「じゃn」

御坂「わっ私達、付き合い出してまだ二週間だから! それに ほら、コイツ恥ずかしがり屋なのよ~」アハハー

海原「…」ニコニコ

240 : 第10話 - 2012/10/17 19:51:53.85 3tfTc0oDO 221/362


――


御坂「じっじゃあ、私達これからでででデートだから~///」


御坂は上条の腕から離れると、右手に握り直し、歩きだす


…と唐突に


バン!と常盤台中学女子寮の扉が一斉に開け放たれ…


『うぉ姉様ーー!!』


奇声が聞こえた。


御坂「…」
上条「…」


そして、距離が離れているのに。何故か鮮明に話し声が聞こえる


リョウノマエデアイビキトハイイドキョウダナミサカ


御坂「あ…あは…あははは」

サスガミサカサマ…アレガゾクニユウサンカクカンケイ


上条「…」


オッオッオネエサマガガガガガガガ

御坂「うわーーーー--…」

御坂は上条の手を掴んだまま。物凄い速さで走り去っていった……


海原「……」ギリ


―――
――

241 : 第10話 - 2012/10/17 19:53:30.28 3tfTc0oDO 222/362

~第7学区~

~とある広場~


午後13時35分


あれから約20分程走りつづけ。御坂は、ようやく走るのを止めた。


上条と御坂は、息を切らしながら近くのベンチに腰を掛ける


上条「ハァッ…ハァ…っあー疲れたぁ」


御坂「ゴッ…ゴメン…あまりにも恥ずかしかったから…つい」


上条は息を整え、喋りだした


上条「…で? 何が、どうして、こうなったんだ?」


御坂も息を整え、上条の質問に答える。


御坂「うん……それが最近、アイツ…海原って言うんだけど、付き纏われてて…誘いは全部断ってはいたんだけど。それでも毎日誘いにくんのよ…あんまりにもしつこかったから…」


上条「通りすがった俺に彼氏のフリをさせたって訳か」フムフム

御坂「…うん」


上条「ハァ…まぁ、その"海原"って奴には見せ付けた訳だし。もう行っていいか?」


御坂「えっと……出来れば、今日一日お願いしたいんだけど…」


上条「?…何を?」ハテ?


御坂「……彼氏役」ウン

242 : 第10話 - 2012/10/17 19:54:36.80 3tfTc0oDO 223/362


――

上条「…なんで?」

御坂「…だって、また来たら面倒だし…多分、アイツ完璧には信じてないと思うのよね…」


上条「まぁ、確かに疑ってたな」

御坂「だからお願い! アンタ仮面ライダーでしょ?」リョウテアワセル


上条「……仮面ライダーは便利屋じゃねーよ」


御坂「フーン…何よ、アンタ。佐天さんには『困った時は、いつでも呼べ』とか言ってた癖にやっぱり人を選ぶんだ。この変態ドケチライダー!」


上条「そう言う意味で言ったんじゃねーよ! 後、ケチはしょーがねーだろ! 貧乏なんですよ上条さんは!」


御坂「(よし、かかったぁ!)」ニヤリ


御坂「…あーやだやだ。やっぱり、普段からケチな奴って心まで貧しくなるのかしら~」ヤレヤレ


上条「なんだとテメェ! 謝れ! 俺を含め、こつこつ節約してる皆様方に謝りやがれ!!」


御坂「じゃあ、アンタが心が大らかなのを証明してみなさいよ? そしたら謝ってあげるわよ」ウンウン


上条「……いいぜ」


上条がゆらりと立ち上がり


上条「…お前がドケチな人を馬鹿にするって言うのなら…」


御坂に対して…


上条「俺が、そのふざけた幻想をぶち殺す!!」※イケメンAA


無駄にカッコイイ決めゼリフを放った!!

243 : 第10話 - 2012/10/17 19:56:25.20 3tfTc0oDO 224/362


――

上条「…んで? 恋人同士って…何すりゃいいんだよ?」


御坂「エット…私が見た"某週刊誌"には、嘘の恋人同士を演じてる話しがあって…」


上条「…」フムフム


御坂「お互い…ダーリンとハニーって呼び合ってたわね」ムゥ


上条「ゴメン無理却下」


御坂「…じゃあ、どうすんのよ?」


上条「ん~じゃあ、お互い下の名前で呼び合ってみるか? 海原も疑ってたしな」


御坂「えぇ!」///


上条「いや、えぇ! じゃねえよ…お前から言い出したんだろ?」ハァ


御坂「…だって…ハズカシイシ」///


上条「落ち着け、御坂……冷静になって考えたら分かると思うけど、ダーリンとハニーの方が恥ずかしいからな」

244 : 第10話 - 2012/10/17 19:58:08.38 3tfTc0oDO 225/362


――


御坂「フン!…じっじゃあ、アンタが先に呼んでみなさいよ! 呼べたら私も呼んであげなくも///」

上条「? 美琴」


御坂「」


上条「美琴? 呼んだぞ?」


御坂「とっ///」バチ


上条「と?」


御坂「とっとっ///」バチン バチン


上条「あっヤバいな」ウン


御坂「ととととうみゃ~!!!」バチ

バキン!
上条「はい、良く頑張ったな」ナデナデ


御坂「あっあた!あたみゃ」///


上条「なんで猫っぽいんだよ? てか、手を離したら漏電すんだろ…取りあえず落ち着け? な?」ナデナデ


御坂「おっおち! アンタが、あたまにゃでるからでしょうが!!///」ウガー!

245 : 第10話 - 2012/10/17 19:59:43.16 3tfTc0oDO 226/362


――


上条「はいはい…後、"アンタ"じゃねえだろ?」


御坂「……」


御坂「………ト……ウマ///」ボソ


上条「ウマ?…じゃあ、手ぇ離すぞ」テオハナス


御坂「……」


上条「? どうした?」


御坂「…ナンデモナイ」


上条「? よし、ならミコっちゃんに、上条さんがホットドッグ奢ってやるよ」

御坂「え!? でも、悪いわよ…アンタお金ないし」

上条「ハァ…ドケチがどうこう言ってたのはお前だろうが…良いから待ってろ」ナデナデ


御坂「いや…そこのお店…」


御坂が言い終わる前に。上条は、広場の中央にある屋台へ向かった…


御坂「…高いんだけど」



―――
――

246 : 第10話 - 2012/10/17 20:00:51.60 3tfTc0oDO 227/362


――

上条は屋台に到着し、注文をする。


上条「すみません、メルヘンドッグ2つ下さい」


ハイ!メルヘンドッグオフタツデスネ?ショウショウオマチクダサイ


上条「さて…と」


上条は料金を払う為、ズボンの後ろポケットから財布を取り出し。料金を確認した…


上条「…oh」


1個…2000円


上条「…fuck'n fantasy」


2個で4000円


…お財布には3380円…つまり足りない


上条「…すみません、一つキャンセルでお願いします…」ハァ


ハッハイ!カシコマリマシター


上条(情けねえ…てか、たけぇ)


―――
――

247 : 第10話 - 2012/10/17 20:02:13.12 3tfTc0oDO 228/362


――

上条は会計を済ませ、ホットドッグを1つ受け取り。
御坂の座っているベンチへ戻って来た。


上条「ほら、美琴。ホットドッグ」ハイ


御坂「あれ? アンタの分は?」アリガト


上条「…上条さんは、腹減ってないから良いんですよ」

御坂「…あ~あそこ高いのよねぇ。確か、グルメランキング2位のメルヘンドッグだっけ?」


上条「値段考えろよ…だから1位になれねぇ……!?」

御坂「どうひたの」モグモグ


上条「御坂…いる」ヒソヒソ


御坂「? ホットドッグ?」モグモグ


上条「ちげぇよ…海原!後ろの木の陰」ヒソヒソ


御坂「!!」モグモグ!

248 : 第10話 - 2012/10/17 20:03:15.25 3tfTc0oDO 229/362


――

とりあえず上条は、御坂の隣に座った。背後の木の陰にはストーカー(海原)が居る。


海原「…」ジー


上条「アイツ、本気でストーカーだったのかよ」ヒソヒソ


御坂「だから言ってるじゃない! 最近、ずっと付き纏われてるって」ヒソヒソ


上条「まぁ、取りあえず演技続けるぞ。諦めてくれれば良いわけなんだしな」ヒソヒソ


御坂「うっうん、了解」ヒソヒソ

……


海原「…」ジー


上条「なっなぁ、美琴」


御坂「なっなによ…当麻」


……沈黙……


上条「ヤバい! 何も思いつきません御坂軍曹!」ヒソヒソ


御坂「くっ! とっ当麻、お腹空いてないかしら~?」


上条「おう! 空いてるぞぉ」ナニスルキダ!ミサカ!!!


御坂は、自分の食べかけのホットドッグを上条の口元に持って行き…


御坂「……ァーン///」


上条「…」

249 : 第10話 - 2012/10/17 20:04:17.03 3tfTc0oDO 230/362


――


御坂「……」///


上条「…美琴」


上条は、御坂の両肩を乱暴に掴んだ…


御坂「えっ!?」///


上条「すまねぇ…もう我慢の限界なんだ」


御坂「えぇ!! なんで? そんな…えっこんな所で!?」///


御坂は驚き、右手に持っていたホットドッグを落としてしまった。


上条「あぁ…もし、何か合ったら責任取るから…いいか?」※イケメンAA


御坂「ーーーー!!///」


御坂は、恥ずかしさのあまり目を瞑った…





上条「ストーカー野郎! こそこそ隠れてないで出て来やがれ!!」


御坂「へ?」///

250 : 第10話 - 2012/10/17 20:05:21.34 3tfTc0oDO 231/362


――


海原「…ばれてましたか」


ベンチの後ろにある木の陰から。爽やかストーカー(海原)が現れた!


上条「コイツ、嫌がってんだ。お前には悪いけど諦めてくれねえか?」


……


海原「…嫌だと言ったらどうしますか?」ニッコリ



上条「ハァ…口で言って分からねえ奴には、拳(コレ)って決まってんだよ」


上条は右手を握り。見せるように前に突き出す!


海原「……」


少しの間、沈黙が訪れ。やがて海原が口を開いた


海原「…近くに誰も居ない工事現場があります。そこで、ゆっくりと語り合いましょうか? "上条当麻さん"」


上条「コイツ……御坂、此処で待ってろ」


上条はベンチに座っている御坂の頭を軽く撫で。海原と共に、近くの路地裏に入って行った…


……


御坂「あ~! もうっ! 大人しく待てる訳ないでしょうが! あの馬鹿」///


そして、御坂も後を追い、路地裏へ入って行った。


―――
――

251 : 第10話 - 2012/10/17 20:06:26.89 3tfTc0oDO 232/362


~第7学区~

~とある工事現場~


上条は、海原と共に工事現場に到着した。辺りを見渡すが誰も居ない。


上条「殴り合う前に、少しいいか?」


海原「何でしょうか?」


上条「何でストーカーなんてしてやがんだ? アイツが嫌がってんのは、態度で分かってんだろ?」


海原「…それでも、好きなんですよ。初めは諦めようと思いましたよ? でも、簡単に忘れられる程、軽い物ではありませんでした」

上条「……」


海原「彼女と出会ったのは一週間前…調度、貴方の身辺調査を開始した時でしたね」


上条「…俺の調査?」


海原「はい…貴方は禁書目録、炎の魔術師、聖人、LEVEL5の超能力者…そして、"幻想殺し"。御自分の"勢力"が魔術結社にとって、どれ程の脅威に成り得るかご存知ですか?」


上条「!? テメェ、魔術師か!」

252 : 第10話 - 2012/10/17 20:07:32.20 3tfTc0oDO 233/362


――


海原は無視して続ける


海原「初めは監視のみ…のつもりでした。上条勢力のパワーバランスに影響が無ければ問題無し、と報告するだけで済む話だったんです…」


上条「…」


海原「しかし…自分は出会ってしまった…」


少し間を置き、海原は空を見上げる…


その時の表情は、手を伸ばしても届かない事を悟っている…とても…とても切ない表情だった…


上条「海原…お前」


海原「…マイ…天使に」


……

上条「」


海原「本当に…本当に監視のつもりだったんですよ! なのに、あの天使が! 公園の自販機に蹴りをいれ! 出て来たヤシの実サイダーをグビッ!と飲んでいる姿を見ただけで! 自分の、トラウィスカルパンテクウトリの槍が金星の光を浴びたんですよ!!」


上条「」

253 : 第10話 - 2012/10/17 20:08:42.29 3tfTc0oDO 234/362


――

海原「貴方には分かるハズがない! 貴方が全部壊したんだ! 貴方が御坂さんに手を出したりしなければ! 自分が、ハグされて"ごっめ~ん待った~"して貰ったり! 自分が腕を組まれて、胸を押し付けられ"当ててんのよ馬鹿"して貰っていたハズなのに! 貴方さえ居なければ! 自分は、この妄想でご飯三杯いけたのに!!!」


上条「」ウワァ


海原「…貴方のせいで、今の自分は御坂さんの敵になってしまいました。でも、そうなってしまったのは誰のせいだ!?」クワ!!


上条「」


海原「誰のせいだ!?」クワ!!


上条「知らねえよ変態」


魔術師の全身から、見えざる殺意が吹き荒れる!!


上条「…」

海原「…」スッ


海原は、ズボンに手を入れ。

中から黒い石のナイフを取り出し、上条へ向けた!


上条「……お前どっから出してんだよ」

254 : 第10話 - 2012/10/17 20:09:50.46 3tfTc0oDO 235/362


――


上条「ハァ…いいぜ…お前がまだ、御坂にストーカー行為を続けると言うのなら…」


上条は、右拳を海原に見せ付ける様に勢いよく前に突き出した!


上条「まずはその幻s」

海原「…」ヒュン!

バキィン!
上条「う?」


海原「チッ!…"幻想殺し"厄介な能力ですね」ヒュン!


海原が黒い石のナイフを天にかざし、反射した光を上条に向ける!


上条「テメェ! 人が決めゼリフ…ってか眩しっ!」
バキィン!
上条「!?」


上条が右手で顔を庇うと、幻想殺しが発動した。


海原「…」ギリ

255 : 第10話 - 2012/10/17 20:10:58.62 3tfTc0oDO 236/362


――

海原が、再び黒い石のナイフを天にかざそうと腕を上げると…上条が真っ直ぐ突撃して来た!


上条「あぁぁぁ!!」


しかし、海原はその突撃を右に避ける…


海原「くっ!!」


上条(多分、あのナイフで光をレーザーみたいに飛ばしてやがる!)


上条「だったら!」
タン!


上条は、再び海原へ突撃し、右拳を振るう!


上条「接近戦に持ち込んでやんよ!!」

ゴッッ!!
海原「くっ」


海原が腕を交差し、上条の右拳をガードした。


そのスキを狙い。上条は左手で、海原のガードした右腕を掴み…


上条「アァァ!!」


ドス!!
海原「グッァ!!!」


上条の腰の回転をかけた右のショートフックを、海原の左脇腹に直撃させた!

256 : 第10話 - 2012/10/17 20:12:15.12 3tfTc0oDO 237/362


――

海原も左拳を上条の右頬を目掛け、振るう!


海原「ぐっっおぉぉぉ!」

ガン!
上条「…クッ」


海原の拳は直撃した…が!


上条「…そんな腰の入ってないヘタレパンチが!!」

ドス!!
海原「グフ!!」


上条が再び、海原の左脇腹に右拳を突き刺すと体制を崩した!

そのスキを狙い。上条は、掴んでいた海原の右手を離す…


海原「!?」


そして、弓なりに引いた右拳を海原の顔を目掛け…


全力で放つ!!


上条「俺に効くわきゃねえだろうが!!」


ガン!!!と体重を乗せたフルスイングの右拳を炸裂した!

バキィン!
海原「ブハァ!!」


海原は黒い石のナイフを落とし、数メートル転がり止まった


海原「ァッガ…」

257 : 第10話 - 2012/10/17 20:13:26.76 3tfTc0oDO 238/362


――


上条は左手で黒い石のナイフを拾い、海原を見る。


上条「!?」


そこには顔の表面が砕け、浅黒い色の肌が見えていた。


上条「お前、顔!」


????「…ええ、変装です。"海原光貴"の皮膚を剥ぎ、護符にする事で対象の顔になれるんですよ」


上条「皮膚って…テメェ、本物の海原はどうした!」


????「……殺しておくつもりでしたが。彼の力…"念動力"(サイコキネシス)によって、海原は自分を分子レベルで固めてしまいまして。コールドスリープ状態で、どうやっても殺せませんでしたよ」


上条「…なんで、"海原"なんだ?」


????「御坂さんと接する事が出来るからですよ……対象と接触し、内部分裂をさせる事が自分の本来の役目ですから」


????「…でも自分は、彼女を一目見て。彼女が住んでる この世界が大好きになって…彼女と共に生きたいと思いました…」



????「……例え"組織"を裏切ったとしても」

258 : 第10話 - 2012/10/17 20:14:53.78 3tfTc0oDO 239/362


――


????「…」


上条「お前、御坂を守りたかったのか?」


????「ええ」


上条「…この件から引く気はねぇか?」


????「引くも引かないも。もう、自分に進む道はありませんね」



上条「…一つだけあんだろ」


????「…ありませんよ」

上条「あんだろうが! お前が生き抜いて…御坂を守り抜く道が!!」


????「…」


上条 「御坂に嫌われたからなんだ! テメェが死ぬほど御坂に謝って。許して貰うまで生き続ければいいだけの話しだろうが!!」


上条「テメェの覚悟ってのはそんなもんかよ! 好きな人がいるなら死ぬ気で努力して奪ってみせろよ! 勝手に可能性を捨てて、絶望してんじゃねえぞ!!」

????「…」

259 : 第10話 - 2012/10/17 20:16:01.38 3tfTc0oDO 240/362


――


????「フフッ……初めから好意を持たれている上に、今回の原因である貴方には言われたくありませんね」

上条「……口で言って分かんねえなら」


上条は、左手に持っていた黒い石のナイフを。黒い肌の男の目の前に投げた


上条「…拳(コレ)って決まってんだよ」


そして上条は、右拳を前に突き出す!


上条「幻想変身!!」


掛け声と共に上条の右手から黒い影が飛び出した

_________
※説明しよう

上条当麻はとある不幸な事故により、カエル顔の医者の手術を受け、開発したベルトを体内に埋め込んだ。

改造手術の結果…生まれた頃から体内に眠る幻想殺し(イマジンブレイカー)の力を解放する事が出来る様になったのだ!

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

そして黒い影は上条の全身を包みこみ


上条「ごっっがぁぁぁ!」


「漆黒の駆動鎧」へと姿を変えた!!

260 : 第10話 - 2012/10/17 20:17:16.67 3tfTc0oDO 241/362


――

黒い肌の男は黒い石のナイフを右手に持ち、立ち上がる。


????「貴方が噂の仮面ライダー幻想でしたか」


幻想「…ああ」


????「…まずは、貴方に勝って。先の事を考えたいと思います」


幻想「悪いな…仮面ライダーに敗北はねえんだ」


????「…勝ちますよ…"いずれ"ね」


幻想「…」カシン!


????「…」


二人の距離は、ほんの2メートル程…勝負は一瞬だった

仮面ライダー幻想が突撃したと同時に、黒い肌の男が黒い石のナイフを天にかざし光を反射させる…


バキィン!
????「…」


しかし、光は幻想殺しの力に掻き消された…


そして、距離を詰めた仮面ライダー幻想が放った"イマジンブレイク"が黒い石のナイフを砕き!


幻想「はぁぁ!!」

????「…」ニコ


――ゴッ!!――


…黒い肌を男の顔に炸裂し。そのまま、地面に叩きつけた!


―――
――

261 : 第10話 - 2012/10/17 20:18:53.05 3tfTc0oDO 242/362

その後


~第7学区~


午後16時30分


あの後、黒い肌の男と別れ。工場現場の外で待っていた御坂と合流した…

今は御坂を送るため。常盤台の寮に向かって歩いている。


上条「…そう言えば御坂、"アイツ"からの伝言があんだけどさ」


御坂「…うん」


上条「いつか素顔で謝りに行くから、待ってて下さい…だとさ」


御坂「なにそれ? いつかって、いつよ?」


上条「さぁな、厄介事を全て片付けたら…じゃねえか?」


御坂「もう、ストーカーとか…本気で勘弁なんだけど…」


上条「本気でお前の事好きなんだろ。少し、暴走気味だったけどな…」


御坂「…」

262 : 第10話 - 2012/10/17 20:20:26.80 3tfTc0oDO 243/362


――

御坂「…」


御坂が左手で上条の右手を握る。


上条「? どうした御坂?」


御坂「……まだ1日過ぎてないから///」


上条「…はいはい。爺がこのまま寮までエスコートさせて頂きますよ、姫?」


御坂「? やけに聞き分けが良いわね///」


上条「ん? "アイツ"に御坂を悲しませるなって言われたんだよ……。後、もう1つ約束したな」


御坂「?」


上条「あぁ。御坂と…その周囲の世界は、俺が必ず守ってやる!ってな」


御坂「……ふ~ん///」


上条「なんだよ?」



御坂「なんでもないわよ。せいぜい、一生かけて守ってよね? 仮面ライダー」

上条「…ん? 一生?」


※この後、ちゃんとトーマスは戻って来ました


―――
――



ストーカーの魔の手から、御坂を守った仮面ライダー幻想!!

友との約束を心に誓い!全ての人を守り抜け!!

戦え!仮面ライダー幻想!!

走れ!仮面ライダー幻想!!

ED~♪

263 : 第10話 - 2012/10/17 20:21:24.08 3tfTc0oDO 244/362

次回予告



…8月21日



列車の操車場に現れた、正義のヒーロー



一つの物語が



終わりを迎える



第11話
「絶対能力進化実験」


………

267 : 第11話 - 2012/10/22 16:56:17.04 uMZZRb+DO 245/362

これは学園都市に住む


不幸な


高校生の物語である


op~♪(省略)


第11話
「絶対能力進化実験」


~第7学区~

~とあるマンション~


時は進み…日にちは8月20日。夏休みも後少しで終了と言う、今日この頃…


上条は、自宅で夏休みの宿題と格闘していた


上条「うだ~終わんねぇ…インデックスの奴。俺の中の桃太郎を、リアル桃太郎に変えやがって…」


はぁ…とため息をつき、時間を確認すると夕方の4時。上条は、キッチンに置いている冷蔵庫を開け、食材を確認する


上条「さて…と。見事に何も無いな、割引シールの食品でも買いに出かけるか」


上条は、冷蔵庫を閉め。出かける用意をしていると

~♪

テーブルに置いていた携帯の着信音が鳴った。


上条「? 佐天から?」


上条は、携帯を掴み通話のボタンを押す


上条「もしもし、どうした?」

佐天『上条さん、お久しぶりです。少し、聞きたい事がありまして…』

268 : 第11話 - 2012/10/22 16:57:20.57 uMZZRb+DO 246/362


――

上条「? なんだ、聞きたい事って?」


佐天『先程、気になる情報が入りまして…。御坂さんが、私服を持ち歩き。昼も夜も寮に帰って来ないそうなんですが…』


上条「…フムフム」


佐天『ズバリ上条さん! 最近、御坂さんと、毎日デートしてますね!』


上条「? いや、全然」


佐天『あれ?』


上条「御坂とは、一週間くらい前から会ってねえけど?…ていうか、何で俺なんだ?」


佐天『御坂さんの知り合いで。男の人と言えば、上条さんくらいですから…間違い無いと思ったんだけどな~』ハズシタカー


上条「いやいや、上条さんにそんな素敵フラグは立ちませんことよ?」


佐天『……』


上条「どうした?佐天?」


佐天『いえ。お話しはそれだけです。お忙しいのに、すみませんでした』


上条「おう、またな」


上条は、通話が切れたのを確認し。携帯を折りたたみ、後ろのポケットに入れた


上条「さて…用意用意」


―――
――

269 : 第11話 - 2012/10/22 16:58:56.43 uMZZRb+DO 247/362


~第7学区~

~とある公園~


午後18時10分

とあるスーパーで買い物をした帰り道。何となく喉が渇き、ジュースでも買うか、と自販機の前に立つ


上条「なに買うかな…ザクロコーラは苦い思い出があるしな~」ウーム


上条が500円玉を入れると、自販機のランプが点灯する。


上条「…無難に、ヤシの実サイダーかな」ピッ


ガタタタタン!と音が鳴り…


上条「…」


…ジュースを取り出し口から取る


上条「…ひやしあめ×4…しかも、何故かホット…か」


そして、お釣りが出て来ない


上条「いいぜ…自販機…テメe」

????「ちょろっとー」

270 : 第11話 - 2012/10/22 17:00:12.06 uMZZRb+DO 248/362


――

上条「?」


上条が後ろを振り向くと、御坂美琴が立っていた。


御坂「ジュース買ったんなら、どくどく。こちとら一刻でも早く水分補給しないとやってらんないだから」

御坂が上条の腕を掴み、横に押す。


上条「御坂…お前、何飲むつもりだ?」


御坂「? 出来れば、ヤシの実サイダーね?」


上条「止めとけ止めとけ。ひやしあめが出るぞ」


御坂「? まぁ、どうせランダムだし」


御坂は、トン トン と軽くジャンプし、やがて止まった


御坂「常盤台内伝、おばーちゃん式ナナメ45度…」


……


御坂「打撃による故障機械再生砲!!」

轟!!!


御坂「ハァァァァ!ちぇいっさー!!!」

ガァン!!


掛け声と共に自販機の側面にハイキックが炸裂し、中からゴトン!と音がした



御坂「…」ヒヤシアメ…

上条「…」ニッコリ!


―――
――

271 : 第11話 - 2012/10/22 17:01:34.17 uMZZRb+DO 249/362


――

上条と御坂は、公園のベンチに腰を掛ける。


上条は、相棒(自転車)の前カゴから"ひやしあめ"を一本取り出し。プルタブを起こす。


上条「……ウェ…夏の熱い日に、温くてドロドロした飲み物って結構キツイな」


御坂「でも、ガラナ青汁よりはマシでしょ?」ゴク


上条「…て言うか…お前みたいのが。毎日 毎日、自販機蹴ってるから壊れたんじゃねえか?」


御坂「いいでしょ。別に、アンタに実害ある訳じゃないし」


上条「…あったんだよ! つり銭出ねえわ。別のジュース大量に買わされるわ。俺の500円返せチクショウ!」


御坂「やだ」ゴク

上条「……ですよね」

272 : 第11話 - 2012/10/22 17:03:33.13 uMZZRb+DO 250/362


――

二人がたわいない話で盛り上がっていると…


  「お姉様!?」


「「?」」


上条と御坂が声がした方向へ振り向くと。御坂と同じ制服を着た、ツインテールの女の子が青ざめた顔で引き気味に立っていた。


御坂「"黒子"じゃない、どうしたの? 見回り中?」

白井「お…お姉様…ハッ!その殿方は…あの時のぉ!」


御坂「?…そう言えば、黒子は知らなかったっけ? …ねえ、ちょっと…」


御坂は上条に近づき、耳打ちする。


白井「!?」

御坂「……」ヒソヒソ

上条「う~ん…どうすっかな~」

御坂「黒子なら大丈夫だってば」シャツヲグイグイ

上条「……しょうがねえ…分かったよ。ったく。あの時に誓った約束は、なんだったんですかねー」


御坂「……しょうがないじゃない…私だって…仕方なく……」シュン

白井「…」

上条「ハァ……今のは上条さんが悪かったよ。だから、そんなに落ち込むなって…な?」ナデナデ

御坂「…ウン」///


白井「…」

273 : 第11話 - 2012/10/22 17:06:05.96 uMZZRb+DO 251/362


――

白井「」


御坂「あっごめんね、黒子。コイツは上条当麻って言って。実は仮面ライダー幻想なの」


白井「」


上条「よろしくな白井。仮面ライダーの事は、他の奴には内緒にしといてくれな」

白井「」


御坂「? 黒子~?」オーイ

白井「お姉様…やはり、佐天さんが言っていた通りだったのですわね…」ハァ

御坂「?」


白井黒子は、ベンチに座る上条の目の前に立つ。


そして、ニッコリ笑いながら。上条の手を掴んで両手に包み、顔を近づける


上条「うえ///」

白井「上条さんと言いましたか? その節は、助けて頂きありがとうごさいます。わたくし、お姉様の"露払い"をしております。唯一無二のパートナー白井黒子と言いますの」ニッコリ


上条「おっおう!」///


白井「…あら? この程度で照れる様では、浮気性の危険性がありますわね…しっかりして下さいな? 上条さん」

274 : 第11話 - 2012/10/22 17:08:26.65 uMZZRb+DO 252/362


――

御坂「ちょっ! 黒子アンタなに言って」


白井「分かっておりますわ…お姉様。最近、お出かけになられているのも…この殿方に会う為なのでしょう?」


白井黒子は、握っていた上条の手を離すと…


白井「…わたくしは、これにて失礼させて頂きますの。…お姉様…今日は、ちゃんと帰って来て下さいませ」シュン


御坂に一礼し、瞬間移動(テレポート)で去って行った。


御坂「…」

上条「何だったんだ…一体」


すると、再び二人の背後から…


  「お姉様?」

御坂「!!!」
上条「!? また…」


上条が振り返ると。そこには、背格好から服装まで何もかもが一緒の…


上条「か…よ…」


軍用のゴーグルを頭に引っ掛けた"御坂美琴"が立っていた。

275 : 第11話 - 2012/10/22 17:10:01.48 uMZZRb+DO 253/362


――

上条「御坂が二人!?」


ミサカ「? ミサカは、"妹"ですよ、とミサカは貴方の疑問に答えます」


上条「ふーん…妹いたんだな…名前は?」


ミサカ「ミサカはミサカですが、とミサカは即答します」


上条「御坂美坂?」


ミサカ「御坂美坂では無く。ミサカはミサカです、とミサカは貴方の理解力の無さを疑います」


上条「…口悪いな、お前の妹さん」ヒソヒソ

御坂「…!!」ギリ


御坂は、"ミサカ"に近づき乱暴に胸倉を掴んだ


上条「いっ!!」

御坂「アンタ! どうしてこんな所でブラブラしてんのよ!!」

ミサカ「?…今は研修中ですが、とミサカは答えます」

御坂「!? 研修…って…」

御坂は、ベンチに座っている上条に振り返る。


御坂「…ゴメン…私、ちょろっと妹と話があるから…帰るわ」


上条「お…おう」


ミサカ「? いえ…ミサカにもスケジュールがあr」

御坂「いいから……来なさい」


御坂は、"ミサカ"の肩に腕を回し。二人で公園の通りを歩いて行った…


上条「…姉妹喧嘩…か」コエエナ

―――
――

276 : 第11話 - 2012/10/22 17:11:24.48 uMZZRb+DO 254/362


――

御坂姉妹が帰り。上条も相棒(自転車)と共に帰路に就く


上条「ふんふんふ♪ふんふんふ♪ふんふんふ♪ふふっふ~ん♪」


すると、寮まで後5分ほどの所で。


上条「あれ?」


上条の正面に、先ほど公園で別れたハズの女の子が歩いていた…


上条は自転車を走らせ。女の子に追いつき、話しかける。


上条「オッス! どうした御坂。さっき、妹連れてどっか行ってなかったっけか?」


御坂?「? ミサカはあちらから来ましたが、とミサカは指を差します」

上条「…?」ハテ?

御坂?「…?」クビカシゲ

上条「…ん?」


上条はミサカの手に持っているゴーグルを見て。ようやく気づく


上条「あぁ! その独特的な話し方とゴーグルは妹の方か。…しかし、本当に美琴に似てんな…ゴーグル掛けてないと見分けがつかねぇわ」ウン


ミサカ「美琴…ああ、お姉様の事ですか?、とミサカ聞き返します」


上条「…他に誰がいんだよ」

277 : 第11話 - 2012/10/22 17:12:39.70 uMZZRb+DO 255/362


――

上条は自転車を降り、ミサカのペースに合わせて歩く


上条「…」テクテク

ミサカ「…」テクテク


そして会話が無いまま、上条の寮の前まで到着した


寮の入り口前にはインデックスと神裂が、向かい合うようにしゃがみ込んでいた


上条「…何やってんだよ? こんな所で」タダイマー


神裂「上条当麻ですか、…それが…」オカエリナサイ


禁書「おかえりとうま。見て見て! スフィンクスなんだよ」


上条「スフィンクス…ってこの猫の名前か?」


スフィンクス「ニャー」
ミサカ「…ニャー」


禁書「うん、寮の前に捨てられてたの。今は、かおりと交渉中なんだよ」

神裂「…ですが、寮の規則ではペット禁止になってますし。管理人の私たちが破る訳には…」ウーン


すると、インデックスが神裂のpiyopiyoエプロンの裾を軽く掴み…


禁書「かおり…お願いなんだよ」ナミダメ

神裂「!?」

禁書「スフィンクス…飼っていい?」クビカシゲ

神裂「くっ!」

上条「…」


スフィンクス「…」マエアシペロペロ
ミサカ「…」ジー

278 : 第11話 - 2012/10/22 17:13:49.54 uMZZRb+DO 256/362


――

神裂「そっそんな顔をしても駄目な物は駄目です!」

禁書「…かおりの"魔法名"…」ボソ


神裂「!!」


禁書「うん、"salvare(救われぬ者に救いの手を)"だよね?」


上条「よしよし」アゴナデ

スフィンクス「ゴロゴロ」

ミサカ「…」ジー


禁書「私は、困っている人なら誰にでも救いの手を差し延べる。そんなかおりが大好きなんだよ…」


神裂「…」


禁書「かおり…スフィンクスを救おう。私も頑張ってお手伝いするんだよ」ニッコリ

神裂「……はい!!」グス



スフィンクス「…」ゴロン ゴロン

上条「かわいいな~」

ミサカ「はい、とミサカは即答で同意します」


―――
――

279 : 第11話 - 2012/10/22 17:15:07.08 uMZZRb+DO 257/362


~第7学区~

~常盤台女子寮~


午後21時10分

御坂とルームメイトである白井黒子は、パジャマに着替え。各々くつろいでいた

因みに、御坂はベッドの上でぬいぐるみを抱き、白井黒子は机の上で考え事をしていた。


御坂「…」ギュッ

白井(お姉様…帰ってきてから。ずっと、あの調子ですわね…)


白井(ずいぶん、深いお悩みを抱えられてるご様子…何故、パートナーである わたくしに、打ち明けてくれないのでしょうか…)


白井(…いっそ、わたくしから…)



すると突然、白井黒子の背後から…


ギュッ!


白井「!! うぉ!? うぉ姉様///」


御坂「……ねえ、黒子」


白井「? ハッハイ、なんでしょうか?」



御坂「もし……私が学園都市に災難をもたらす事をしたら…どうする?」

280 : 第11話 - 2012/10/22 17:16:56.89 uMZZRb+DO 258/362


――

……ほんの数秒間、会話が途切れ…白井黒子は口を開いた


白井「……わたくし白井黒子は、御坂美琴お姉様の唯一無二のパートナーであると自負しておりますの」


御坂「…うん」


白井「…ですが、わたくしは風紀委員です…学園都市の治安を脅かすのであれば。たとえ、お姉様が相手でも、やる事は変わりませんの」


……


御坂「黒子~♪」ギューー!


白井「ヌハァ! お姉様///」

御坂「今日は、久しぶりに一緒に寝よっか」アタマニスリスリ


白井「おっお姉様が! 対に、この黒子の身体を求めてますのー!!」イヤッホゥデスノ--!

御坂「ん~? 変な事したら即追い出して、二度と口きかないから覚悟してね~黒子~♪」アタマニスリスリ


黒子「…ナ マ ゴ ロ シ デスノ」


御坂(ありがとね…黒子)


―――
――

281 : 第11話 - 2012/10/22 17:18:24.76 uMZZRb+DO 259/362


…8月21日

午後16時30分


~第7学区~

~とあるスーパー~


ここは、上条がよく通っている"とあるスーパー"。上条は、いつも値引きシールを貼る店員さんをマークしていた。


上条(あの店員が精肉コーナーにいる時は九割の確率で牛肉に貼る!)


もし、牛肉を逃すと。今日の夕飯は特売のモヤシとピーマンで、肉なし青椒肉絲に決定してしまうのだ!


上条「…」チラッチラッ

店員「…」サギョウチュウ


~10分後~


上条「ヒューヒュー」チラッチラッ

店員「…」


~1時間後~


上条「この、豚バラ安いなー」チラッチラッ

店員「…」シールダス

上条「アー迷うなー」チラ!チラ!

店員「…」ギュウニクニ

上条「アッ!今日は、牛肉に…」

店員「…」ハラナイ

上条「」



上条(いや!ちっとぐらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよ上条当麻!)

上条(手を伸ばせば貼れるんだ! …さぁ、いい加減始めようぜ、店員!)


…この後、シールは貼られず。モヤシ2袋とピーマンを買い、店を出た…

282 : 第11話 - 2012/10/22 17:20:51.24 uMZZRb+DO 260/362


~第7学区~


午後18時40分

スーパーを出ると、空も赤く染まっていた。上条は、相棒(自転車)に乗る気分になれず、帰り道をのんびりと歩いていく。


上条「ちくしょう、あの店員め! 時間が経った刺身にだけ貼りやがって」フン!フン!
ソウダネゴシュジン!


上条が愚痴をこぼしながら歩いていると…


上条「ん?」


人通りの多い道の端に、夕日を眺める常盤台の制服を着た少女が居た。


上条「おっす! 御坂」

御坂「ん?…ああ、アンタか…」

上条「? 元気ねぇな? どうしたんだよ?」

御坂「私にだって色々悩みがあんのよ…で、何の用?」

上条「ただ、何となく話したくなったんだよ」

御坂「なに? アンタ、私を口説こうとしてんの?」クスクス


上条「ちげーよ…昨日、お前が妹と会った時の態度が気になってな。お前、妹と喧嘩でもしてんのか?」


御坂「……色々あんのよ……色々」

283 : 第11話 - 2012/10/22 17:26:17.29 uMZZRb+DO 261/362


――

上条「…ふ~ん」


御坂「…ってか何? アンタ、姉妹って響きが好きなタイプ? …もしかして、あの子狙ってんの?」ニヤニヤ


上条「ハァ…ちげーって。何で、そうなんだよ」


御坂「じゃあ……」


御坂は、上条の右腕に優しく腕を絡め…


御坂「私の事は?」ウワメヅカイ

上条「フゴ!!」///

御坂「…」ウルウル


上条「えっえっとですね御坂さん」アセアセ



御坂「えい」


ずびし!と上条のデコにチョップする。


上条「痛ってぇ! 何しやがる!」


御坂「鼻の下伸ばしてんじゃないわよ、ばーか」ニヤニヤ


上条「…ちくしょう、覚えてろ!」

284 : 第11話 - 2012/10/22 17:27:24.50 uMZZRb+DO 262/362


――

御坂は、上条に背を向け。頭上に飛んでいる飛行船を見上げる。

上条も釣られ、飛行船を見上げると、飛行船のお腹にくっついている大画面から

『筋ジストロフィー関連の研究所が三件ほど相次いで撤退しました』


…と言う学園都市ニュースを流れていた。


御坂「……私、あの飛行船って嫌いなのよね」


上条「? なんでだよ?」


御坂「……機械が決めた政策に人間が従ってるからよ」

上条「……"樹形図の設計者"(ツリーダイアグラム)だっけか? …お前が言ってる事も分かるけどさ。いくら、宇宙から人々を見下す鋼鉄の頭脳って言っても。結局、ボタンを押すのは人間だろ?」

御坂「……そうね…でも…」


御坂は溜め息を付くと、顔を振り、上条に身体を向け告げる


御坂「…じゃあ私、こっちに用があるから」


上条「…ああ、またな」


御坂「……」


御坂は、別れの言葉を返さずに、その場を立ち去って行った…

285 : 第11話 - 2012/10/22 17:29:14.76 uMZZRb+DO 263/362


――

上条は御坂と別れ。少し進むと…


上条「…? あれ?」


風力発電のプロペラの真下にある段ボールを、屈んで覗いている"御坂"がいた


上条は少し考え、御坂の足元にあるゴーグル見て、気づく。


上条(…! ああ、妹の方か)


そして座っている御坂妹に近づき、話しかけた。


上条「うっす! 昨日ぶりだな御坂妹。何してんだ? こんな所で」


御坂妹「…どうも、とミサカは頭を下げます。何をしてるかと聞かれれば黒猫に餌を与えています、とミサカは返答します」


上条が自転車を止め、段ボールを覗くと。隅の方で黒い毛並みの子猫が丸まっていた。


上条「捨て猫か…」


御坂妹「……この子猫は飼い主に捨てられ、毎日お腹を空かせ鳴いているのでしょうね、とミサカは遠回しに貴方に伝えます」


黒猫「ミャー」

上条「…」

286 : 第11話 - 2012/10/22 17:30:25.37 uMZZRb+DO 264/362


――

上条「…何が言いたいんだよ」


御坂妹「お腹が空いたにゃー、寂しいにゃー、ツンツン頭に拾って欲しいにゃー、とミサカは子猫の心の言葉を代弁し、貴方に伝えます」

黒猫「ミィ…」


上条「…いや、お前が拾ってやれば良いじゃねーか? 猫好きなんだろ?」

御坂妹「……ミサカには、この子猫の飼育は不可能だとミサカは正直に答えます。ミサカの居場所は、貴方の生活環境とは若干異なりますから、とミサカは理由を述べます」


上条「…いや、上条さんも余裕がですね…」

御坂妹「じー、とミサカは真っ直ぐ貴方を見つめます」

上条「…」チラ

黒猫「ミャア」


御坂妹「ハァ…、とミサカは溜め息をつきます。このまま放っておけば、この子猫は保健所の人間に回収され。…苦しいにゃ~苦し…い…にゃ~と」

上条「わーーっ!飼う! 飼うから、もうやめてくれ! 保健所の話しとか聞きたくねーー!」


―――
――

287 : 第11話 - 2012/10/22 17:31:40.98 uMZZRb+DO 265/362


――


午後19時10分


上条「はぁ…」


上条は、自転車を押しながら。御坂妹と共に表通りを歩く…

因みに、買物袋は自転車の右グリップに掛け、黒猫は前カゴの中で丸くなっている。


御坂妹「拾われてよかったですね"いぬ"、とミサカは安堵し。お姉様と同じく、あまり無い胸を撫で下ろします」

黒猫「ミャー」


上条「……?…いぬ?」


御坂妹「はい先程、黒猫に"いぬ"と命名しました、とミサカは…猫なのに…フフフ」ニヘラ


上条「…いや、別に良いけどさ」


すると、御坂妹が気づく


御坂妹「あの、こちらでは遠回りなのでは? とミサカは近道の方向を指差します」


上条「ん? ちょっと、本屋に寄りたくてな。コイツ飼うなら、知識くらい知っておかないとマズイだろ?」


御坂妹「それは良い心掛けですね、とミサカは親指を立て、爽やか笑顔でサムズアップします」ニヘラ


上条「爽やかって……口元しか笑ってねーじゃねぇか…」ハァ


―――
――

288 : 第11話 - 2012/10/22 17:33:01.26 uMZZRb+DO 266/362


――

二人は、本屋に到着した。上条は駐輪場に自転車を止め、御坂妹に話しかける


上条「なぁ、御坂妹。俺が本を買って戻るまで、黒猫と買物袋見ててくんねえか?」

御坂妹「はい、お任せ下さい、とミサカは"いぬ"に危害を加える存在に対し、迎撃モードに入ります」バチ バチ

上条「いや、そこまでしろとは言ってねーよ。…それより、何で"コイツ"の頭撫でねぇんだ? お前、猫好きなんだし、じーっと見てるだけじゃつまんねぇだろ」ヨシヨシ


黒猫「ゴロゴロ」


御坂「…いえ、ミサカの体には、動物が苦手とする微弱の磁場が形成されており。どうしても避けられてしまうのです、とミサカは肩を落し、溜め息をつきます」ハァ


上条「……体から出てる磁場か…。御坂妹、ちょっとこっち来い」コイコイ

御坂妹「?」


御坂妹が上条の隣に並ぶと、頭に右手を置かれた。


バキィン!
上条「よし。これで触れるぞ、黒猫の頭を撫でてやれ」

御坂妹「?」


御坂妹は、恐る恐る手を伸ばし…黒猫の頭に手を乗せると…


御坂妹「…!?」

黒猫「ゴロゴロ」

御坂妹「…///」ナデナデモフモフ

黒猫「ゴロゴロ」ミサカノテヲペロ

御坂妹「!!!」ナデモフナデモフナデナデモフモフ!


上条「ハハッ!よかったな、御坂妹」ナデナデ

289 : 第11話 - 2012/10/22 17:34:38.10 uMZZRb+DO 267/362


――

御坂妹は約10分ほど黒猫を愛でると。ようやく満足し、手を離した


御坂妹「ハァッ…ハァッ…、とミサカは顔を火照らせ、額の汗を拭います」///


上条「……じゃあ、本買ってくるから大人しく待ってろよ」


上条が本屋に入り。御坂妹は、黒猫を守るため迎撃モードに入る。


御坂妹「……先程の自然に高揚する気持ちは何だったのでしょうか、とミサカは一人つぶやきます」


黒猫「ミー」


御坂妹「…ミサカは…」



????「…」



御坂妹「!!」


御坂妹は気づく


…近くの路地裏の陰で。御坂妹を、静かに眺める視線に…



そして、この瞬間。御坂妹の日常は終わりを迎え…



そして、この瞬間から地獄が始まっていた


―――
――

290 : 第11話 - 2012/10/22 17:36:52.91 uMZZRb+DO 268/362


――


上条「? ありゃ? 御坂妹~」

上条が本屋を出ると、駐輪場に御坂妹の姿は無かった

前カゴにいる黒猫が、上条を見て小さく鳴く。


上条「おかしいな…アイツが黒猫ほっといてどっかに行く訳が…」ウーム


上条が辺りを見渡すと、本屋と雑居ビルの隙間の路地に、女の子の靴が片方置いてある。


上条「…、?」


取り敢えず買った本を買物袋に入れ。自転車のスタンドを上げると、上条は靴のある路地の入り口に近づいた。

上条「…」


自転車を押し、路地の入り口に立ち眺めるが…夕日の明かりが建物の隙間に入り込まず。路地の先は暗く何も見えない…

上条は意を決して先に進むと、路地の地面にもう片方の靴が置いてあった。


上条「…」


更に奥へ進むと、コンクリートの壁に無数の傷がつけられ、足元には大量の薬莢が落ちていた

…まだ、火薬の匂いがうっすら漂い残っている。


上条(…銃撃戦でもあったのか?…気味が悪ぃな)

291 : 第11話 - 2012/10/22 17:38:27.41 uMZZRb+DO 269/362


――

さらに一歩、一歩とゆっくりと進むと、暗がりに何かが転がっているのが見える。


上条「!!!」


辺り一面に血溜まりの海



ズタズタに裂かれた手足



そして…吹き飛んだ顔


上条「ぐっっっっ!!!」


……御坂妹が死体となって転がっていた


上条(吐くな!!! 一体、何を見て吐こうとしてんだ! 俺は!!)



しかし…見てしまった


上条「うっ!!!」


…両足の中から、はみ出した"何か"を


―――
――

292 : 第11話 - 2012/10/22 17:39:29.44 uMZZRb+DO 270/362


――

その後、あの場所に居るのが耐えられなくなり路地裏を引き返した。


今は119番に連絡し、近くの壁に もたれ掛かっていた。


上条「本当なら、美琴にも連絡するべきなんだけどな…そう言えば連絡先…聞いて無かったな…」


……


上条「…守れなかった…あんなに近くに居ながら……俺は!!!」


……急に胸の奥から何かが込み上げてきた。


上条「くそっ!!」


上条は、右手で目を隠し、自然に出る声を必死で殺した…


―――
――

293 : 第11話 - 2012/10/22 17:40:46.14 uMZZRb+DO 271/362


――

あれから、20分ほど経ってから警備員が到着した


警備員達は車から降り、辺りを見渡している。どうやら、上条を探している様だ。


上条「あっ…こっちです」


警備員A「通報したのは君で合ってるかい?」


上条「はい…通報したのは俺です…。けど俺、警備員じゃなくて救急車を呼んだハズなんですけど」


警備員A「こんな時は、警備員にも連絡がいくようになっているんだ。それで…現場は、この路地の先で間違いないかな?」


……


上条「はい……女の子が一人、死んでます」


警備員A「そうか…本来なら君にも同行してもらいたい所だが、どうする? 辛い様なら此処に残ってもいいぞ?」


上条「大丈夫です…、行きます」

294 : 第11話 - 2012/10/22 17:41:50.54 uMZZRb+DO 272/362


――

上条は自転車を押し、警備員を盾にする形で、路地裏へ先導された…


しかし路地に入り、少し進むと。直ぐに違和感を感じた


上条(…あれ? もう片方の靴が…無い?)


上条が振り返ると、路地の入り口には、確かに片方だけ靴が転がっている

だが、路地の先に落ちていたはずの。もう片方の靴がどこにも存在しない


上条「…」


警備員は、どんどん先に進み薬莢が落ちていた現場を越え…


上条(…な…んで)


そして、御坂妹が死んでいた殺人現場に辿り着いた


…が、


上条「……何で、なにもねぇんだよ」


そこにあるハズの死体は、どこにも無かった

295 : 第11話 - 2012/10/22 17:43:00.22 uMZZRb+DO 273/362


――

警備員A「どうかしたのかな。何か気になる点でも?」

上条「いや…そうじゃなくて」



上条「そこに…死体があったハズ…なんですけど」


警備員A「なに?」


警備員達が地面を見るが、そこには死体どころか血の一滴すら無い…


警備員B「…死体なんて、どこにも無いじゃないか…」

上条「ちょっと待って下さい! ここで、本当に死んでたんですって! 嘘じゃありません!」


警備員A「…分かったから落ち着いて。君が見たモノが本物だったとしてだ。
それは、本当にここなのか? 錯乱して、他の場所と勘違いしている、という事は考えられないかな?」


上条「…っ!」

警備員「!? 君!」


上条は、警備員を押しのける様に路地の先へと走った!


上条「どうなってやがんだよ、くそっ!!」


自分でも分からない"何か"を探しだし、わだかまりを晴らす為に…

296 : 第11話 - 2012/10/22 17:44:32.25 uMZZRb+DO 274/362


――

暗く腐ったような路地裏を走り続けて、突き当たりのT字路を右に曲がり、暗闇の続く奥の道へと進む。


上条(…アレは)


上条が見つけたのは、地面に溜まったドロドロの粘液を踏み、出来た足跡…それが道の奥へと伸びていた


足跡を目で追い、暗闇の先を見ると…


????「…」

上条「!?」


闇の中、誰かが寝袋を抱えて、こちらを見ていた


上条「な……?」


????「…貴方でしたか」


上条「御坂…妹…」


御坂妹「申し訳ありません作業が終わったらそちらへ戻る予定だったのですが、とミサカは初めに謝罪しておきます」

297 : 第11話 - 2012/10/22 17:45:38.78 uMZZRb+DO 275/362


――

上条「お前…その口調、本当に御坂妹でいいんだよな?」


御坂妹「? はい。先ほど貴方と接していたのは このミサカですが、とミサカは質問に答えます」

上条「あースマン。お前にとっちゃ、物凄く気分が悪い話だろうけどさ。今の今まで、お前が危ない目に遭ってるんじゃないかって………けど、無事で良かったよ…本当に」ハハハ


上条は、御坂妹が生きていた事に安堵し、自然と笑みがこぼれた。


御坂妹「……いまいち貴方の言動には理解しがたい部分があるのですが……」


上条「?」




御坂妹「ミサカはきちんと死亡しましたよ、とミサカは報告します」

298 : 第11話 - 2012/10/22 17:46:47.94 uMZZRb+DO 276/362


――

上条「……は」


御坂妹「分からないのですか、とミサカは逆に聞き返します」


上条「分かる訳ねぇだろうが! お前、一体なに抱えてんだよ…その寝袋に何が入ってんだ!」


御坂妹「……実験場に入ってる時点で関係者かと思いましたが……そうですね、確かに貴方は実験との関連性は薄そうに見えます、とミサカは直感で答えます」


御坂妹「…念のために"符丁"(パス)の確認を取ります。とミサカは有言実行します。"ZXC741ASD852QWE963"とミサカは貴方を試します」

上条「お前さっきから何言って」

御坂妹「今の"符丁"を解読できない時点で、貴方は実験の関係者ではなさそうですね、とミサカは自分の直感に論理的な証拠を付け加えます」


上条は、御坂妹の言葉がまるで理解出来ず。不審の目で御坂妹を見る


…その時……上条の背後から声が聞こえた…


????「その寝袋に入っているのは"妹達"(シスターズ)ですよ、とミサカは答えます」


そして、上条の抱く疑問に答えたのは…間違いなく"御坂妹"の声だった。

299 : 第11話 - 2012/10/22 17:47:55.95 uMZZRb+DO 277/362


――

…そして増えていく足音


「黒猫を置き去りにした事については謝罪しますと、ミサカは告げます」


―それは一つではなく―


「貴方についても同様に謝罪しておきましょう、とミサカは頭を下げます」


「どうやら本実験のせいで無用な心配をかけてしまったようですね、とミサカは」


―際限なく増えていく―


「しかし心配なさらずとも」
「黒猫は大丈夫でしたか、とミサカは問い」

「ここにいるミサカは全てミサカです、と」

「詳細は機密事項となっているため説明出来ませんが、事件性はありません、とミサカは答えます」


上条は、後から後から現れる"ミサカ"達に思わず後ろへ下がった

ドン
「……あ…?」

しかし、振り返ると背後にも同じ顔をした"ミサカ"達が無表情で上条を見ていた


上条「…何なんだよ、これ……?…全員…御坂と同じ…」

御坂妹「はい、学園都市で7人しか存在しない超能力者(LEVEL5)、…お姉様(オリジナル)の量産軍用モデルとして作られた体細胞クローン…」


御坂妹「――"妹達"(シスターズ)ですよ、とミサカは答えます」

300 : 第11話 - 2012/10/22 17:49:00.46 uMZZRb+DO 278/362


――

上条は自転車のスタンドを下ろし、路地裏の壁に背中を預けている…

沢山いた"ミサカ"達は闇に溶け込むように姿を消していた。


上条(…実験?)


御坂妹が去る前に、上条が問いかけた。


『お前は…何をやってるんだ』


と、言う質問に対して…


『ただの実験ですよ…』


と、御坂妹は答えた。


上条(あいつらの言っていた"妹達"は、御坂の体細胞クローンなんだよな…)


上条(…けど御坂が、こんな実験に協力するとは思えねえし)


上条「ハァ……やっぱ、御坂に聞くしかねえよな」ウン


上条は自転車のスタンドを上げ、サドルに跨がり、自転車を走らせる。

暗い路地裏を抜け、御坂が暮らしている常盤台の女子寮を目指して…


―――
――

301 : 第11話 - 2012/10/22 17:50:14.55 uMZZRb+DO 279/362


~常盤台女子寮~

午後20時00分

上条は寮の前に自転車を止め、前カゴで丸くなっていた黒猫を抱きかかえ、正面玄関へ向かった

…が

上条「…」


やたら、厳重なロックが掛っていた。


どうやら部屋の番号を入力し、インターホンで呼び出し、ようやく扉が開く仕組みらしく。ドアの左側に、ボタン式のパネルが設置されてある

そして、パネルの横の壁には無数のポストが並んでいて。"208号室"に御坂の名前が書かれてあった。


上条「さて、…と」ピッピッピッ

上条は迷う事なくボタンを操作し、インターホンを鳴らす

……

少し待つと、ぶつっとスピーカーのノイズが鳴った


上条「あ、えっと上条だけど。御坂か?」

白井『あら? 上条さんですの?』

上条「あれ? 白井か? やべ…部屋間違えたか…」


白井『いえいえ、大丈夫ですの。お姉様に御用がおありでしょう? わたくしお姉様と相部屋ですから』


上条「ふ~ん…で、その様子だと御坂は帰ってねぇのか?」

白井『はい。恐らくですがお姉様なら、そろそろお戻りになるかと。そこの玄関は門限と同時にセキュリティが働きますので…』

白井『お姉様に御用がおありでしたら、中で待つ事をお勧めしますの。行き違いはお勧め出来ませんもの』

ぶつっとインターホンの切れる音が鳴ると、玄関のロックが外れる音が聞こえた

302 : 第11話 - 2012/10/22 17:51:21.39 uMZZRb+DO 280/362


――

玄関をくぐると、そこは巨大なホールだった。上条は2階3階の回廊へ繋がる玄関ホールの中の階段へ向かう


上条(208号室ってことは、御坂の部屋は2階のどっかだよな?)


そのまま階段を上り。2階の左側の通路を歩くと、208号室は直ぐに見つかった

上条「…」

コン コン

上条が控え目にノックすると、中から声が返ってきた


白井「どうぞ。鍵はかかっていませんので、ご自分の手で開けて下さいな」


ドアを開けるとホテルみたいな部屋だった。

入って直ぐにユニットバスらしきドアがあり、奥にはベッドが二つとサイドテーブル、そして小さな冷蔵庫が置いてある。


白井「いらっしゃいませ、殿方様」


因みに白井黒子は部屋の中でも髪留めを外さず、ツインテールのままだった。


服装も制服のままで、左側のベッドの枕を抱きかかえ、座っている。

303 : 第11話 - 2012/10/22 17:52:34.57 uMZZRb+DO 281/362


~常盤台女子寮~

~御坂・白井の部屋~


上条(…女の子の部屋ってなんか落ち着かねえな)

白井「元々、寝て起きるための部屋ですので、客人をもてなすように出来ておりませんの。お姉様を待つのでしたら、隣のベッドに腰掛けて下さいな」

上条「…いやいや、本人の許可無しに座るのはマズイだろ」ウン

白井「あら? 案外、紳士ですのね…ご心配なさらずとも、そちらがわたくしのベッドですので」ダイジョウブデスノ

上条(コイツ…変態さんか?)


白井「変態とは聞き捨てなりませんわね。人間、人には言えないものの、みんな心の中ではこれくらいならオッケーと考えているものですのよ」フフン

上条「…」エー

白井「例えば…、好きな人の枕に顔を埋めてクンカクンカしたり。好きな人の短パンをスーハースーハーしたり…しませんの?」ハテ?

上条「しねーよ」

白井「あら? そうですの」フーンデスノ

上条(…偽海原の件と言い。御坂って苦労してんだな)

304 : 第11話 - 2012/10/22 17:53:50.22 uMZZRb+DO 282/362


――

上条は、とりあえず後ろの壁に寄り掛かると。ドアの向こうの通路からカツ カツ と足音が近づくのを聞き取った


上条(…御坂か?)


白井黒子がベッドから飛び起き、耳を澄ませると


白井「…!? マズイ、寮監の巡回のようですの!」

上条「…、は?」

白井「どどどどうしましょう。貴方の事が寮監に知られるとマズイ展開になりますわね」アタフタ

上条「? 寮監って…足音聞いただけで分かるのかよ」

白井「とりあえずベッドの下に! あの"鬼"に見つかると首をポキッ!ですわよ!」グイグイ

上条「痛てっ!テメェちょっ無理だってこの隙間は!」

白井「ええい! 面倒臭いですの。空間移動で外に…ってあら? 貴方どうしてわたくしの力が働かないんですの!」

上条「ああきっt…って痛い!痛い!」


白井「さっさと入りやがれですの! この!この!お姉様をたぶらかす類人猿め!!」ガス ガス ガス

上条「テメっ!恨み込もっゴッガァァ!」


そんなこんなで、上条は黒猫と一緒にベッドの下に詰め込まれた。

305 : 第11話 - 2012/10/22 17:55:01.50 uMZZRb+DO 283/362


――

ただでさえ狭いベッドの下に先客がいた…


上条「…」

黒猫「…」ペシペシ
キルグマー「…」


上条の身長と同じくらいの巨大な熊のぬいぐるみ(きるぐまー)である。


…ガチャ

寮監「白井。夕食の時間だから食堂へ集合せよ。……、御坂はどこだ? 私は外出届を見ていない、門限破りなら同居人と連帯責任で減点一つとみなすが構わんか?」

白井「いえいえ、本当に急な用件ならば外出届など提出している暇は無いと思いますの。わたくしはお姉様を信じて、減点を受け取る事はできません」グイグイ

…パタン

白井黒子は、寮監の体を押しながら部屋を出ていった…

ダレガオニダ
ポキッ
グェッ!!


上条(もう少し潜っとくか…ベッドから出て鉢合わせとか俺なら普通にありそうだしな)

306 : 第11話 - 2012/10/22 17:56:08.10 uMZZRb+DO 284/362


――

上条「…にしても、デカイぬいぐるみだなぁ…コイツ。御坂にも、こんな趣味あったのか」サワサワ

黒猫「…」ペシペシ


熊のぬいぐるみを良く見ると、ほどけた縫い痕をファスナーに改造してあるようだった。撫で回してみるとやたらゴツゴツとしている。

多分、香水とか見つかってはマズイ物を大量に詰め込んでいるんだろうな、と上条は考え、触るのを止める

…と

上条「あれ?」

ぬいぐるみが付けている太い首輪の裏で、ゴツいファスナーが半開きになっていた。

上条は、その中にワープロの文字の用紙が入っているのに気づく


上条「…?…量産…"妹達"…!?」


上条は、ぬいぐるみの中からレポート用紙を取り出し、ベッドから這い出ると。改めてレポートを目で追っていき

……

そして、"実験"の内容を知った


上条「………ふざけやがって"あの野郎"!!!」


上条は、黒猫を抱え部屋を飛び出し、寝ている白井を避け、階段を駆け降り、玄関の扉を開け、勢い良く外へ飛び出した!

307 : 第11話 - 2012/10/22 17:57:42.60 uMZZRb+DO 285/362


~第7学区~

~とある鉄橋~


午後20時15分

空は闇に染まり、三日月の明かりだけが鉄橋を仄かに照らす。

御坂は一人、手すりに両手をついて、遠い街の灯りを眺めていた。


御坂「…」


御坂は掌を握り、もう一度開く


御坂「……筋ジストロフィー、か」

――――――――
※御坂回想

~御坂美琴 幼少期~

~筋ジストロフィ-研究所~


研究者A「アレを見てごらん美琴ちゃん」

御坂「?」

御坂が窓ガラスを覗くと、一人の少年が手すりを掴みながら必死に歩く為のリハビリをしていた


御坂「? あのこ、あしがわるいの?」

研究者A「うん、そうなんだ…あの子はね"筋ジストロフィー"って言う病気なんだよ」

御坂「きんじすとろふぃー?」

研究者A「どうやっても治らない病気の一つでね。ちょっとずつ、筋肉が動かなくなっていって。最後には死んでしまうんだ」

308 : 第11話 - 2012/10/22 17:59:11.18 uMZZRb+DO 286/362


――

御坂「そんなのやだ なんで、あのこのびょうきなおらないの? おくすりないの?」

研究者A「うん、今はまだ無いんだ」

すると、窓の向こうでリハビリをしていた少年がつまずき、倒れる


御坂「あっ!」


しかし少年は誰の手も借りず、起き上がろうと両腕に力を入れ…


御坂「ん~!!」


手すりを掴み、立ち上がった


御坂「むは~!」パチパチパチ

研究者A「…ねぇ、美琴ちゃん?」

御坂「ん?」

研究者A「あの少年や、他の筋ジストロフィー患者を助けてみたくはないかい?」

御坂「? どうやって?」

研究者A「他の誰でもない、君の力を使えば、筋ジストロフィー患者を助ける事が出来るかもしれないんだ」

御坂「ほんと!」

309 : 第11話 - 2012/10/22 18:00:26.60 uMZZRb+DO 287/362


――

研究者Aはニッコリと笑い御坂の頭をなでる。


研究者A「勿論、本当だとも! 筋ジストロフィーは、自分の思い通りに筋肉を動かせなくなる病気でね」

研究者A「脳の命令って言うのは、電気信号によって筋肉に伝えられるんだよ?」

御坂「でんき!」


研究者A「もし仮に、生体電気を操る力があれば、通常の神経ルートとは別の方法で筋肉に命令を送る事が出来るかもしれない…」

研究者A「徐々に体が弱っていく事が分かっていながら何も出来ず。少しずつ不安と恐怖の闇へと飲み込まれていく人達に、救いの光を与える事が出来るかもしれないんだ」


御坂「? わかんないけど。みことがてつだえばみんな なおるの?」


研究者Aは、笑いながら御坂の頭から手を離し…


研究者A「そうだね。でも、その為には…君の電撃使いとしての力が必要なんだ…どうかな?」


御坂に手を差し出し握手を求める。


御坂「うん!」ギュ!


そして。御坂は、迷わずその手を握り返した


この日、御坂美琴のDNAマップは書庫へと正式登録された。


―――――――――
※回想終わり

310 : 第11話 - 2012/10/22 18:01:39.58 uMZZRb+DO 288/362


――

御坂「どうして、……こんな事になっちゃったのかな」

御坂は俯き、両手を強く握りしめる



御坂「………」

御坂「……けて…」


御坂「…たすけてよ……」



闇夜の中、一筋の光が御坂を射す



――ああ、任せとけ



御坂「!?」


御坂が振り向いた先には


??「おっす、御坂……」


地獄の底から少女を救うヒーロー…。


上条「…俺、参上!ってか」


上条当麻が立っていた!

311 : 第11話 - 2012/10/22 18:03:17.33 uMZZRb+DO 289/362


――

上条は自転車のスタンドを下ろし、前カゴを漁る


御坂「アンタ…なんで」


上条「お互い無駄な事は省こうぜ…。もう、知ってんだよ…」ガサガサ


御坂「!!」


上条「御坂妹の事も "妹達"の事も "実験"の事も…そして――」


上条「――あの"くそ馬鹿野郎"の事もな」


上条は、20枚以上の紙束を前カゴから取り出した。


御坂「……」


御坂「ハァ……何で、こんな事しちゃうかなぁ?」

上条「…」

御坂「そのレポート持ってるって事は私の部屋に勝手に上がり込んだって事よねぇ……そんな周りが見えなくなるほど深入りしてくれたってのは、ありがたく思うべきかもしれないけどさぁ…」


御坂「結局…それ見てアンタは私が心配だと思ったの? 私を許せないと思ったの?」


上条「? 心配したに決まってんだろ」


御坂「……ま、嘘でもそう言ってくれる人がいるだけマシって事かしら、ね?」

上条「…」

312 : 第11話 - 2012/10/22 18:04:50.10 uMZZRb+DO 290/362


――

上条「勝手に部屋に上がった事は謝る。文句なら後でいくらでも聞いてやるよ……。だから、答えてくれ」


上条「お前は何をしてるんだ? このレポートも、まともな手段じゃ手に入らねぇだろ。…それに、レポートの中に病気を調べてる研究所の地図が混ざってたな。あの赤い×印…アレじゃ、まるで……」


御坂「ええ…潰した研究所の場所であってるわよ」

上条「…」

御坂「研究所の器材って1台数億とかするでしょ? そいつをネットで介入して根こそぎドカン!って……まぁ、いくら潰しても 次から次へ"実験"は引き継がれちゃったけどね…」


御坂は大きくため息をつき、上条に背を向ける…


まるで顔を隠し、見られないようにする為に…


御坂「……あの子達ね。平気な顔で自分達を"実験動物"って言うのよ…」


御坂「それをあの子達は、どんな物か正しく理解してる。…分かっていながら、それでも平然と自分達の事を"実験動物"って呼んでるのよ」

313 : 第11話 - 2012/10/22 18:06:15.32 uMZZRb+DO 291/362


――


上条「でも、レポートがあるんだろ。警備員にでも渡せば、上の理事会が動き出すんじゃねえのか? 確か人間の量産化は国際法違反だったハズだろ?」


御坂「黙認してんのよ、理事会の連中も。そしてそれは当然、この街の警察である警備員も風紀委員にも及んでる」


上条「!?」


御坂「…そんな所にレポートなんて持っていってみなさい。こっちが捕らえられかねないわよ」



御坂は大きく体を伸ばし、上条に体を向ける


御坂「元はと言えば、これは私の引き起こした問題なんだし。人に頼るのは間違ってるのよね…」


御坂「…だから責任を取って、あの子達は私の手で助け出すべきなのよ」


上条「…」

314 : 第11話 - 2012/10/22 18:07:23.23 uMZZRb+DO 292/362


――

上条「…お前、どうして俺にまで相談しなかったんだよ? いくらでもタイミングはあっただろ」


御坂「……じゃあ、逆に聞かせてもらうわ」



御坂「アンタ…人を殺せる?」


上条「!!」


御坂「私達の為に、全てを捨てて犯罪者になれる?」


上条「…」


御坂「アンタの力は知ってる…多分、"あの化け物"に勝てるのはアンタしかいないと思う」


御坂「でも、倒すだけで"実験"は終了したりしない。…何度でも再演算して、直ぐに再開されるわよ。…あの"樹形図の設計者"が存在し、"奴"が生きてる限り……何度でもね」


上条「…」

315 : 第11話 - 2012/10/22 18:09:09.35 uMZZRb+DO 293/362


――

御坂「…私じゃ、あの"化け物"には勝てない…一度戦った事があるから、それは分かってる」


御坂「……なら、"アレ"しか無いわよね」


御坂は、闇夜の空を見上げ指を差した。


上条「…"樹形図の設計者"か」

御坂「うん…流石の私でもハッキングでアレは壊す事は出来なかったけどね…」



御坂「……だから1時間くらい前に、私は最後の賭けに出たの。 情報総受信センターに忍び込んで、"樹形図の設計者"の出す"実験"の予言を偽の予言に書き換えてやったわ…この、計画を破綻に追い込む為にね」



上条「……そんな事しても一時凌ぎにしかならねえって事くらい。お前にも分かってんだろ?」


御坂「一回や二回で終わるつもりは無いわよ…これを繰り返して、"妹達"を助けながら"実験"に関連する研究所を潰していけば…いずれ計画は破綻するわよ」


上条「いずれって……そんなの無理に決まってんだろ!」

御坂「…それでも、私が捕まるか殺されたりしない限り…。あの子達は、生き続ける事が出来るじゃない」


御坂「…私にはもう、この方法しか残ってないのよ」

316 : 第11話 - 2012/10/22 18:10:22.95 uMZZRb+DO 294/362


――

御坂「今日の実験は、今から10分後…前の子は助けられかったけど、次は絶対に助けてみせる」


上条「なら俺が」


御坂「アンタは来ないで!!」

上条「!?」

御坂「…ゴメン。今回ばかりは、今までと違うから…」


御坂「私は、アンタに犯罪者になって欲しくない…。いつも私を…みんなを救ってくれた、正義のヒーローのままでいて欲しいの」

上条「…」

御坂「だからアンタは、自分の居場所に戻って? …あの子達は、私が必ず救い出してみせるから!」


御坂は、上条に心配かけない様に精一杯の笑顔を作り…

御坂「…じゃあ、元気でね。平和のために頑張んなさいよ、仮面ライダー」


実験場を目指し…歩き出した


―その時―


御坂「!?」
上条「…」


上条が右手で御坂の肩を掴んだ

317 : 第11話 - 2012/10/22 18:11:33.64 uMZZRb+DO 295/362


――


御坂「…邪魔しないで」


御坂は、上条の手を振りほどこうとするが離れない


上条「…無理して強がってんじゃねえよ」


御坂「アンタ、何言ってんの? さっさとこの手を離して…」


上条「…本当は死ぬほど怖いんだろ、お前? …なんで、正直に言わねえんだよ」


御坂「はぁ? だから、何言って」

上条「"助けて"ってよ」

御坂「!」


上条「俺は、お前に誓ったよな。御坂とその周囲の世界は、俺が必ず守ってやる!って」

上条「学園都市を敵に回す? 上等じゃねえか? たとえ犯罪者になろうが、お前達を守る為なら、世界中のどんな奴でもぶっ飛ばしてやるよ」

御坂「…」

318 : 第11話 - 2012/10/22 18:13:02.59 uMZZRb+DO 296/362


上条は掴んでいた肩を離し、そのまま御坂の頭に優しく手を置く


上条「だから、お前が溜め込んでた言葉を聞かせてくれ…」

御坂「…」

上条「そしたら俺が、必ずお前に見せてやっから」


上条「誰もが笑って、誰もが望む、最っ高に最高な幸福の結末ってやつをよ」


上条が御坂の頭を優しく撫でると…


御坂 「……アンタにやって欲しい事があるの…ううん、アンタにしか出来ない事があるの!」


少女が叫ぶ


御坂「身勝手なのは分かってる…でも私にはきっとみんなを守れない…。どれだ…けあがいても、絶対に守れない!…だから、お願い…」


御坂「たす…けて!!」


恥やプライドなど全てを捨て、涙でグシャグシャになった顔で…


御坂「アンタの力で! あの子達を助けて! 仮面ライダー!!!」


ただの一人の女の子が、ヒーローに救済を求めた。


上条「ああ、任せとけ! けど、救われんのは"妹達"だけじゃねえ。お前も、この腐った街から救ってみせる」

上条「そして、お前の中にあった絶望って名前の幻想を仮面ライダー幻想がぶち殺す!!」

上条は御坂から少し離れ、右手を前に突き出す!


上条「幻想変身!!」


そして掛け声と共に、上条の右手から黒い影が飛び出した!

319 : 第11話 - 2012/10/22 18:18:53.61 uMZZRb+DO 297/362


――

~とある鉄橋~


午後20時30分

上条が実験場へ向かって5分が経った。


御坂「…ハァ」


御坂は一人、鉄橋で佇んでいる



御坂「あの馬鹿…散々、カッコつけといて。場所どこだっけ? とか、黒猫と荷物預かっといてくれ、なんて。…ホンット、三枚目なヒーローね…アイツ」


黒猫「ミャー」

御坂「ね~」


足元にいた黒猫が相槌を打つように鳴き、御坂も合わせ返事を返す。

黒猫は、電磁波に怯えてはいるが足元を離れようとはしない


御坂「さて…と、ちょっと我慢してね~ネコ太」


御坂は買物袋を左腕に引っかけ、黒猫を両腕で抱きかかえる。


御坂「…アイツだけに良いカッコさせてらんない」


御坂「私だって何か出来る事があるハズ! 絶対に、あの子達を救ってみせるんだから」


黒猫「ミャー」

御坂「ね~」


そして、御坂も"実験場"へ向かい歩きだした


―――
――

320 : 第11話 - 2012/10/22 18:20:35.42 uMZZRb+DO 298/362


~第17学区~

~とある操車場~


午後20時35分

既に実験は始まっていた

そこには、黒い矢印の角の仮面に、独特的な黒い模様の入った白色の駆動鎧を着た"怪物"と御坂妹が睨みあっていた


????「クカカ…サイッコゥダネェオマエ」


????「サスガニ、イチマンカイモコロサレリャ、ワルジエノヒトツモハタッハタハタラクッテカァァ」

白い駆動鎧を着た"怪物"が招くように両腕を広げ、ゆっくり御坂妹に近づく


????「ダケドヨォォォジャクテンガヒトツ」


御坂妹の肩が一瞬、大きく震えた瞬間…


????「オマエガ…オイツカレチマッタラ…コノサクセンハシッパイダヨナァァァ!!!」チャ--ジ


白い駆動鎧の怪物が、腰のベルトの中央に付いている二つのスイッチの左側を押した…その時!


????「カカッ!」ベクトルブースト



御坂妹「!!」


御坂妹の目の前から、白い駆動鎧の怪物が消えた

321 : 第11話 - 2012/10/22 18:21:50.71 uMZZRb+DO 299/362


――

御坂妹「!?」

????「ウシロォ!」


御坂妹が振り向こうとした瞬間。視界が反転し地面に叩きつけられた!


御坂妹「がぁっ!」

????「サァテ、シツモンダァ! オマエハ、ナンカイコロサレテェンダッテッツウノ!」


怪物が、体を丸めている御坂妹の背中を目がけ、何度も何度も踏みつける


????「ギギヒャギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


怪物は蹴りつづける…御坂妹が死なない程度に手加減しつつ、じっくりと嬲るように…


御坂妹「ごっ…ふっ…ぐっ…ぐぁ…」


怪物が踏みつけるのを止め、右足を御坂妹の頭に持っていくと…


御坂妹「あぁ…ぁ!!」


怪物は足を数センチほど足を浮かせているのに、御坂妹の頭がゴリ ゴリと鈍い音を立て、激痛が走る

322 : 第11話 - 2012/10/22 18:23:04.01 uMZZRb+DO 300/362


――

その時―カシンカシン!―と2回、音が響いた


????「ア?」


――御坂妹から離れろ


????「アァ!!」


幻想「御坂妹から離れろっつってんだろうが! 聞こえねえのか"一方通行ァ"!!」ok!イマジンストライク

一方「!!!」


一方通行に、音速の3倍の速さで放った"イマジンストライク"が直撃した!


一方「ガバァ!!!」


一方通行の体はコンテナの壁を次々と突き破り、ノーバウンドで数十メートル先まで吹き飛んで、ようやく地べたに転がった。

323 : 第11話 - 2012/10/22 18:28:15.23 uMZZRb+DO 301/362


――

御坂妹が顔を上げ、振り返ると、漆黒の駆動鎧を着たヒーローが立っていた


御坂妹「あ…なた…は…ゴホッ!」

幻想「無理して喋んな…御坂妹」


仮面ライダー幻想は、御坂妹の体を両手で抱え、持ち上げた。


ミサカは、"御坂妹"と呼び名をつけた少年を知っている。


御坂妹(…あなたは)


黒猫を拾ってくれた優しい少年…


御坂妹「どうして…ミサカは必要な…機材と薬品があれば…ボタン一つで」


幻想「うるせぇんだよ…んな小っせぇ事情はどうだっていい!」


仮面ライダー幻想は、抱えていた御坂妹をコンテナの影に連れていき、寝かせる


幻想「お前は、世界でたった一人しかいねぇだろうが! 何だってそんな簡単な事も分かんねぇんだよ!」

御坂妹「…」


幻想「今から、正義のヒーロー仮面ライダー幻想が お前を助けてやる。お前は黙ってそこで見てろ」

…ジャリ

すると、穴の開いたコンテナから"一方通行"がゆっくりと歩いてきた。

一方「…ハァァ!」

そして、仮面ライダー幻想も"一方通行"に向かい、歩き出す


幻想「…」
一方「…」


…物語は最終章へ続く

324 : 第11話 - 2012/10/22 18:29:11.50 uMZZRb+DO 302/362

次回予告


激突する最強のLEVEL5と最強のヒーロー



二人の戦いに決着がつき



この物語は終幕を迎えた



最終話

「とある不幸な仮面ライダー」

328 : 最終話 - 2012/11/11 13:02:45.82 fGi0vuzDO 303/362


~第17学区~

~操車場~


闇に染まる操車場、学校の校庭ぐらいの広さの大地と周りには線路と同じような砂利が一面に敷き詰められ、10本以上のレールが並んでいる。

線路の先には、シャッターのついた車庫と、操車場の外周を山積みの金属コンテナがぐるりと囲み、立体迷路のように入り組んでいた。

そして、人気のない操車場の中央に…


周囲の闇と同化する、漆黒の駆動鎧を着た"仮面ライダー幻想"と…


幻想「…」カシン!


それに相反する、白い駆動鎧を着た。最強のLEVEL5"一方通行"…


一方「ハアァァ…」チャーージ


闇の中心で、お互いの距離を詰め。両者は向かい合う

一方「オマエ、オモシレェナ――」ベクトルブースト!


幻想の目の前にいたはずの"一方通行"の姿が、音もなく消えた…


幻想「なっ!?」ok!イマジンブレイク

一方『ギャハ!!』


ドドドドドドン!と地面が"幻想"を囲むようにエグれ、大量の砂利が散弾の雨となって襲いかかる!


ガガガガガガガガガ!
幻想「くっ!そ…動けねぇ!」

砂利の一つ一つが音速の速さで飛び交い。もの凄い衝撃と共に、"幻想"の全身を叩き続ける


ガガガガガガガガガ!
幻想「チック…ショ!!」
ガガガガガガガガガ!

329 : 最終話 - 2012/11/11 13:49:19.08 fGi0vuzDO 304/362


――

"一方通行"は攻撃の手を緩めない


一方『ギャハハハ!』


ガァン! ガァン! ガァン! と金属音が辺りに響き渡った瞬間。操車場の地面に敷かれていた数十本のレールが"幻想"の頭上に舞い上がった!


ガガガガガガガガガ!
幻想「!! く…そッ」カカシン!


音速の速さで襲い掛かる砂利の嵐の中、"幻想"はベルトの右レバーを2回叩き、右手に溜まっていた"イマジンブレイク"の力を"ドラゴンクロー"に強化すると…


ガガガガガガガ!
幻想「ッ! アァァァァ!!」ok!ドラゴンクロー


ダァン!! と思い切り大地を蹴り、上空へ飛び上がった。

そして眼前にまで迫る数十本のレールに対し、"幻想"は顔の前で両腕を交差すると…


幻想「ハァァァ!!」

ギギギギギン!

両手の甲に出現した"ドラゴンクロー"を振り回し、上空から降り注ぐレールの雨をバラバラに切り裂いた!


幻想「フゥ…」


一方「……クカカ」チャージ チャージ! チャーージ!


幻想「!?」

330 : 最終話 - 2012/11/11 13:59:22.10 fGi0vuzDO 305/362


――

落下中の"幻想"の背後に、暴風の翼を生やした"一方通行"が空に浮いていた


一方「ギャッ!ギャハ!ギャハハハハ!!」ベクトルキィィックゥ!


"一方通行"の暴風の翼が巨大な竜巻に変わり、ジェット噴射のように吹き出すと…

その速度は光の速さにまで加速する!


一方「センカイシンデキヤガレェェ!!!」

!!轟!!

幻想「ッ!!」

そして、落下中の"幻想"の背中に超高速の"ベクトルキック"が炸裂した。


幻想「ゴブッ!!」


"幻想"の体は、物凄い速度でコンテナを突き破り


幻想「がぁ ぁ ぁ ぁぁ!!!」


車庫の天井を突き抜け


幻想「あッがッ!!」


ドガァン! とコンクリートの地面に衝突した。"幻想"の身体は高く高く跳ね上がり、数回バウンドして車庫の壁にぶつかりると、ようやく動きを止めた。


幻想「ぎ…ぁ…ぁ…」

331 : 最終話 - 2012/11/11 14:03:35.57 fGi0vuzDO 306/362


――

~操車場・車庫~

広々とした車庫には列車は無く。穴の開いた天井から月明かり零れ、闇に染まっていた車庫を照らす。

車庫中央のコンクリートには大きなヒビが入っており、車庫の隅には"幻想"が俯せになって倒れていた


幻想「…っ」


"幻想"は、起き上がろうと右腕を動かそうとするが…


幻想「!? ぐっっぎぁぁぁ!!」

右腕が折れているのか、おかしな方向に曲がり、動かない


幻想(く…そっ!早く起き上がらねぇと!)


意識が朦朧とし、身体全体から激痛が走りながらも左手に力を入れ…なんとか起き上がる


一方「ココカ…ナァ!!」


"一方通行"が車庫のシャッターを蹴破り、進入してきた


幻想「!!」

一方「アハァ! ミッミツケ!ミツケ!!ギャハハハ!!」

332 : 最終話 - 2012/11/11 14:19:12.16 fGi0vuzDO 307/362


――

幻想「っっガアァァァァ!!」


"幻想"が左手を握り"一方通行"に向かい突撃する

…が、

一方「ザァンネェン」


たん、と。"一方通行"が足のつま先で軽く地面を踏むと、コンクリートが砕けて石つぶてとなり、"幻想"に襲いかかり…

幻想「……しまッ!」

ドン! という鈍い音と共に、大小10を越す瓦礫が"幻想"の全身を叩く!


幻想「がぁあぁっ!!!」


あまりの衝撃に、"幻想"の体が数メートル後方に吹き飛ばされ、再び地面に疼くまった…


幻想「ギッ…ア…ァ」

一方「ハァァ…オマエ、ヤッパダメダワ」


"一方通行"が"幻想"に近づき、左腕を思い切り踏み付けると…

ゴ!ギ!と駆動鎧を砕き、骨の折れる鈍い音が響いた

幻想「!!! がぁああぁぁぁぁ!!!!!」

一方「キヒッ! ツギハ…ヒダリアシィィ」

ゴ!ギ!

一方「ミギアシィィ」

ゴ!ギ!

幻想「」

一方「オイオイ…ショックデキゼツタァ、ホントツマンネェワ…」

"一方通行"はゆっくりと右足動かすと、意識のない"幻想"の首元に移動させた


一方「モウシネ」


…グチャ…

333 : 最終話 - 2012/11/11 14:23:29.92 fGi0vuzDO 308/362


~操車場~


御坂は操車場に到着していた。今は買物袋を左手に掛け、両腕で黒猫を抱えながらコンテナの迷路を歩いている


御坂「……、さっきから、やけに静かね。"あの子"と"アイツ"は無事かしら」


周囲を警戒しつつ歩いていると、正面のコンテナに寄り掛かる人影があった


御坂妹「…」


御坂「!? ちょっ! ねぇ、大丈夫!」


"御坂"は"御坂妹"に駆け寄ると、黒猫と買い物袋を砂利の地面に置き、意識の確認を取る。


御坂「…呼吸はしてる…ハァ…良かったぁ…」


御坂妹「…ッ…お姉…様?」

御坂「!? 大丈夫? 直ぐに救急車呼んであげるから」

御坂妹「それよりも…あの少年が…"一方通行"と…」

御坂「うん、全部分かってるから。取りあえず安全な場所まで離れるわよ」


御坂は再び買物袋を左手に掛け、黒猫を左腕に抱えると、"御坂妹"に右の肩を貸しつつ立ち上がった

334 : 最終話 - 2012/11/11 14:26:13.83 fGi0vuzDO 309/362


――

御坂妹「お姉様…どうして此処に?、とミサカは問い掛けます」

御坂「……」

『その顔で…その声で…二度と私の前に姿を現さないで!』


御坂「……あの時は、酷い事言ってゴメンね。私がどうかしてた」

御坂妹「? 何の事ですか? このミサカはお姉様に会うのは初めてですが、とミサカは返答します」

御坂「…うん、知ってる。何て言うか…懺悔みたいなもんよ」


"御坂"は"御坂妹"に肩を貸しつつ、ゆっくりと歩きだす


御坂「私ね、別の妹にすっっごく酷い事言ったの。そして凄く悩んで、凄く後悔して、ようやく気づいたの。アンタも、他の"妹達"も、一人ひとりが私の遺伝子から生まれた。命を賭けてでも守りたい、大切な妹たちなんだって…」

御坂妹「!?」

御坂「だから。自分の事を"実験動物"だ、とか。私が悲しむ様な事は、二度と言うんじゃないわよ? "妹達"全員にも伝えなさい」


御坂妹「…はい…伝えておきます、とミサカはお姉様の命令を素直に従います」

御坂「素直でよろしい! じゃあ、ご褒美に美琴お姉様が遊びに連れてってあげるわよ。まぁ、怪我が完治してからだけどね」フフン

御坂妹「是非お願いします…と、ミサカは"妹達"の人数を考えてない、お姉様の失言を"妹達"全員に伝えます」ニヤリ

御坂「"妹達"に?……って! 10000人近くいるじゃない!?」

御坂妹「はい、正確には9969人です、とミサカは答えます」

御坂「……まぁ……しょうがないか…」ムゥ

335 : 最終話 - 2012/11/11 14:30:59.82 fGi0vuzDO 310/362


――

御坂は、"御坂妹"を安全な場所で待たせ、黒猫を預けた。

今は、再び操車場へ戻り、上条を探している


御坂「…」


ドウスンダヨアマイクンヨォ…


御坂「!?」


コンテナの道の曲がり角から話し声が聞こえる


御坂(……?)


御坂はコンテナの陰から、そっと覗く…と


御坂「!!!」


地面の所々に穴が空き、折れたレールは地面に突き刺さっている酷く荒れた広場の中央に…



一方「コノバアイ、ジッケンハドウナンダ?」


白い駆動鎧を着た"一方通行"が立ってた。


一方「…アァ! サガシダセダァ!」


御坂(何で…一方通行が……アイツは…)


一方「チッ…ワカッタ、ワカッヨ、ワカリマシタァ……。…アァ、ソウイヤァ アノ"クロイザコ"ダケドヨォ」



一方「ハコビヤスイヨウニカイタイシトイテヤッタカラ、アトデ"カイシュウ"シトケ」


御坂「!?」

336 : 最終話 - 2012/11/11 14:36:40.01 fGi0vuzDO 311/362


――

御坂は、広場へ踏み込む


御坂「一方通行!!!」

一方「アァ?」


御坂「さっきの話は何? "アイツ"は何処!」バチ バチ


一方「? アァ…オマエ、オリジナルカァ。ソックリダカラ キヅカナカッタワ」


御坂「無視してんじゃないわよ!! サッサと答えろっつってんのよ!」バチ バチ

一方「ハァ? オマエ、ナンノコトイッテンダァ?」

御坂「コ…イツ!!! 黒い駆動鎧を着た奴は何処だって聞いてんのよ!!」バチ バチ


一方「アァ…アイツナラァ…」


一方「ゼンシンノパーツヲバラバラニシテ、ユカイナオブジェ!!」

御坂「…………は」バチ

一方「ホントオモシレェワアイツ! ヒーロォキドリデ サッソウトアラワレテサァ……アッッサリトシンデヤガンノォ」クカカッ!

御坂「……ッ!」ギリ

一方「コノ、アクセラレータトノ チカラノサガ ワカッテネェトカ、アイツバカナンジャネェノ? マァ、アンナサンシタナラァ? シンデモガイネエダロォ? ナァ、オリジナル?」


御坂(……ゴメン、"妹"。…約束守れないかもしれない)


御坂(でも、コイツだけは……絶対に許せない!!!)

337 : 最終話 - 2012/11/11 14:42:47.17 fGi0vuzDO 312/362


――

御坂「ねぇ…」バチ バチ

一方「ア?」

御坂「アンタが殺した奴さぁ…本物のヒーローなの…私みたいな知り合いだけじゃない、一度も会った事のない赤の他人であっても。困ってる人を見たら なりふり構わずに助けてきた。正真正銘のヒーローだった」バチ バチ



御坂「それを…ア…ンタみたいな……」ギリ!!!



御坂「アンタみたいなクズヤロウが馬鹿にしてんじゃないわよ!!!」


轟!!
一方「?」

突如、"一方通行"の周りを10メートルほどの砂鉄の竜巻が囲んだ!


一方「カカッ! ムダムダァ!」

しかし、"一方通行"は何事もなかったかのように砂鉄の竜巻の中から出てきた。白い駆動鎧には傷一つ付いていない


一方「アァ? アノクソアマドコイキヤガッ…タ?」

"一方通行"が頭上を見上げると、空から数十個のコンテナが降り注ぐ


一方「チッ!…ムダダッツッテンダロォガァ!」


…が、落下してきたコンテナは"一方通行"の能力(ベクトル操作)により角度を変え、四方八方に吹き飛ぶと…

次々と周りを囲むコンテナの山と衝突し、辺りに数多の破壊音が響き渡った

338 : 最終話 - 2012/11/11 14:44:27.26 fGi0vuzDO 313/362


――

大量の砂煙と白煙が混ざり、空中に巻き上げられ。"一方通行"の視界を奪っていく


一方「アノ、コンテナノナカミ…ゼンブ"コムギコ"カヨ…」ウザッテェ


霧のように白い粉末の白煙が、空気中を漂い続ける中。どこからか声が響く…


『ねぇ、"一方通行"』


一方「ア?」


『…アンタなら"粉塵爆発"って言葉くらい、知ってるわよね?』

バチ!


直後、あらゆる音が吹き飛ばされ。小麦粉の粉末が撒き散らされた、半径30メートルもの空間が巨大な爆弾と化した

339 : 最終話 - 2012/11/11 14:46:24.10 fGi0vuzDO 314/362


――

先ほどの爆発など物ともせず。"一方通行"は炎の海の中をゆっくりと歩く


一方「チッ!…キカネェノハワカッテン…ダロォニ、ヘ…タナコザィ……?」


『そろそろかしら?』


一方「! カッ…ハ!?」


"一方通行"急な目眩に襲われ、地面に倒れる


『最初にアンタと話してる時から、空気中の"酸素"を分解して"オゾン"に変えてたのよ。…臭いがするから普段のアンタなら気づくハズなんだけど…馬鹿みたいにずっっと喋ってて笑えたわ。…アンタ、油断し過ぎじゃないの?』


一方「グ…ェ…」


『…もう、頭の中ぐちゃぐちゃで演算も出来ないでしょ? アンタには出来る限り、苦しんで死んで貰わないとね……じゃないと』


『アンタに殺されたあの子達も、アイツも、浮かばれないから!!』


一方「……」


"一方通行"の体が少しずつ動かなくなっていった





―その時―


一方「…流石だな、超電磁砲(レールガン)」


『!?』


一方「いくら"Five_over"で操っているとは言え、万に一つも勝ち目が無いと思っていたのだが。…これは"実験"も、再演算し直さないといけないかな」


意識を失ったハズの"一方通行"が、何事もなかったかの様に起き上がった!

340 : 最終話 - 2012/11/11 14:47:28.31 fGi0vuzDO 315/362


――

『何で……死んだハズでしょ…』


一方「駆動鎧の中に生命を維持させる装置が有るのだよ、超電磁砲。まぁ、今は意識を失っている状態だがら、私が"一方通行"を操作しているのだがね」


『……今、喋ってるアンタは誰?』


一方「この、実験に関係してる研究者の一人だよ。せっかくの機会だ、少しだけ話がしたいのだが……出てきてくれないか」


『私が、簡単に出て来る馬鹿に見える?』


一方「嫌でも君は出て来るさ…"妹達"の命は、私達が握っているのだよ。これがどう言う意味か、賢明な君になら分かるだろう?」


『!? ホンッットに、クズ野郎の集まりね! 人の命を何だと思ってんのよ!!!』


一方「"人"の命? ククク…何を言ってるんだ超電磁砲? "妹達"なんて、ただの"実験動物"(モルモット)だ。そんな"物"に感情移入する科学者など、居るハズが無いだろう?」


『…コイツ!!』


一方「とりあえず、向こうの荒れてない広場に場所を移そうか? ここでは落ち着いて話しも出来ない」


"一方通行"はコンテナの山に触れ、ベクトル操作で吹き飛ばし、道を作った。


一方「さぁ、いこうか」

341 : 最終話 - 2012/11/11 14:48:55.98 fGi0vuzDO 316/362


――

"一方通行"は場所を変え、別の広場の中央に移動した。


一方「…」


周りには砂利の大地と、それを囲むコンテナの山。そして"一方通行"の数メートル先には、シャッターの破壊された四角い屋根の車庫がある。


御坂「ここが、私の処刑場って所かしら?」


"一方通行"の背後にあるコンテナの陰から、御坂が姿を現す


一方「いい子だ、超電磁砲…。子供は素直でないとな」

御坂「…話ってなに?」


一方「私達は、君と取り引きがしたいんだ」


御坂「? …取り引き?」


一方「なに、簡単な事だよ。この実験の事は全て忘れて、いつも通りの生活に戻ってくれないか? 大人しく言う事を聞いてくれたら、君の命は保証しよう」


御坂「ふ~ん。ずいぶん魅力的な提案ね」


一方「そうだろう? なんだったら、先ほど君が助けた"10032号"も君にあげよう! どうだ? 良い条件だろう?」

御坂「そうね~私の返答は…」


御坂「"死んでもお断りよ、クズ野郎!"ね」


一方「そうか…それは残念だ」


"一方通行"は、ゆっくりと御坂に向かい歩きだした

342 : 最終話 - 2012/11/11 14:50:37.28 fGi0vuzDO 317/362


――

御坂(ハァ……私、死んじゃうんだ)


一方「…」


後、10メートル


御坂(……ゴメンね"妹"たち、約束守れなくて)


後、8メートル


御坂(……黒子には、心配ばかりかけさせちゃったな…駄目な先輩でゴメンね)


後、6メートル


御坂(ハァ…初春さんと佐天さんとも、もっと遊びたかったな)


後、4メートル


御坂(……ママとパパにも、もう一度会いたかったな)


後、2メートル


御坂(そして、アイツ)



御坂(最後まで…私達の為に頑張ってくれてありがとね……)


御坂「…    」


―ゴ キ―


そして…音の無い静かな操車場に破壊音が響き渡った

343 : 最終話 - 2012/11/11 14:54:09.25 fGi0vuzDO 318/362

暗闇の中、声が聞こえた


「仮面ライダー伝統奥義……腹パンチ」カシン!

「なっキサm!」

「そしてこれが!!」

ガシッ!

「くっ! 離s」


「俺の、幻想ボディブロォ!!」ok!イマジンブレイク


ゴシャ!

「なっベルトが!!」


「幻想ボディブロォォ!!」

ベギィ!!


御坂(空耳かしら……何故か死んだハズの"アイツ"の声が聞こえるんだけど)

「そして…禁じ手!」カシン!


御坂は閉じていた目をゆっくりと開くと…


幻想「イィィマァァジィィン!!」ok!イマジンストライク

御坂「」


すると、死んだハズの仮面ライダー幻想が目の前に立っており、……左手で"一方通行"の仮面を掴み、持ち上げていた。


御坂「」エー


そして、気合いの入った雄叫びをあげると"一方通行"を軽く放り投げ


幻想「腹キィィィィック!!!」


ドゴォ! と"幻想"の前蹴りの"イマジンストライク"が"一方通行"の腰のベルト目掛け音速の速さで炸裂した!


一方「ガァァァァァァァ…」

ゴォン!!!

幻想「……決まったな、これが幻想コンボだ!!」キリ!

※真似しないで下さい

344 : 最終話 - 2012/11/11 14:56:30.80 fGi0vuzDO 319/362


――

御坂「!!」


御坂は迷わず、スパン! と"幻想"の頭を叩いた


幻想「いたぁ! くないけど何しやがr」

とんっ

幻想「って御坂さん?」


御坂は目に涙を浮かべながら"幻想"の胸に飛び込んだ。

御坂「こ…のバカァ! アンタが死んだって聞いて! 私がどれだけっ! この! この!!」ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!


泣いてはいるが、御坂の顔からは笑みが零れている


幻想「……悪いな、心配かけて」ナデナデ

御坂「ホンッットよね。この馬鹿!」ゴン!

幻想「…ハイ」ナデナデ

御坂「スケベ! 女ったらし!」

幻想「…オイ」

御坂「……馬鹿…ぁ」ゴン!

幻想「……」ナデナデ

345 : 最終話 - 2012/11/11 14:57:55.23 fGi0vuzDO 320/362


――

ドォン!!!

幻想「……」
御坂「!?」

一方「クク…流石ハ、仮面ライダー…と言ッた所カ」

崩れたコンテナの山が吹き飛び、砂煙の中から"一方通行"が姿を現す


幻想「御坂…離れてろ」

御坂「……うん」


"幻想"は、御坂を近くのコンテナの陰に隠れさせ、"一方通行"に話しかける


幻想「普通に戦っても勝ち目が無いって分かったからな…。そのベルト、もうあんまり機能してねぇだろ?」

一方「問題ナい。ベるトの力が使エなクてモ"一方通行"ノ能力ハ残ッてイるカらな」

幻想「ん? 話し方が…?」

一方「あア、私は"一方通行"ヲ操作しテいル研究者の一人ダよ」


幻想「操作って、テメェ…"一方通行"に何しやがった!!」

一方「何ヲしタと言ワれレば改造手術ノ際。脳に第5位ノ"Five_over"を埋メ込ミ。強制的に一ヶ月と少シの間、休まズ実験さセ続けタくラいダが…何か問題デも?」

346 : 最終話 - 2012/11/11 15:01:36.05 fGi0vuzDO 321/362


――

幻想「……最初からおかしいとは思ってたよ。"一方通行"が、こんな事する訳ねえからな」

一方「? 君は"一方通行"ノ知り合イなノかナ?」

幻想「ああ、ソイツの親友だ。クソ野郎」

一方「ホう? コれハ驚いタな……マさカ"一方通行"に友人ガ居たトは…人格データをプログラムし直サなケれバいケなイな」

幻想「……ッ!」ギリ

一方「ヤるト言うノかネ? 一度ハ敗北しタ相手と? ソれハ、無謀と言ウのダよ仮面ライダー!」


幻想「……分かってねーな」

一方「ナに?」

幻想「お前、ホント分かってねーよ。例え、千回倒れようが…守りたい奴の為なら何度でも立ち上がる。それが正義のヒーロー"仮面ライダー"なんだよ」


一方「フン……減らズ口を」


幻想「そして"正義のヒーロー"に完全な敗北はねーよ。最後には必ず勝利するからな」


一方「面白イ……なラば私タち大人ガ、そノ幻想を砕イてアげヨう」


幻想「いいぜ。なら俺は、テメェらの腐った幻想をぶち殺す!!」


"幻想"は、その幻想を砕く右拳を見せつける様に、勢い良く前に突き出した!


一方「……ガキが」


ドン!と音が鳴り、"一方通行"の体が大きく揺れ…


幻想「…」

一方「……クカカッ!!」


最強のLevel5が、再び目を覚ます

347 : 最終話 - 2012/11/11 15:04:05.22 fGi0vuzDO 322/362


――

一方「クカッ!!」ドッ


"一方通行"がベクトル操作で加速し、"幻想"に向かい突撃した


幻想「!?」カシン!

一方「クカキ!!」


右手を握らず、広げたまま"幻想"に叩きつける


ボキ!!
幻想「グっ!!」


"幻想"は、左腕でガードしたが、骨の折れた様な鈍い音が響く。

しかし、"幻想"も攻撃のスキを狙い、一方通行の腹部に目掛け


幻想「オォォオォ!」ok!イマジンブレイク

┣"ン!!


カウンター気味の"イマジンブレイク"が炸裂した!

348 : 最終話 - 2012/11/11 15:05:01.22 fGi0vuzDO 323/362


――

一方「オッ…」


先程の攻撃で3メートル程真上に浮いた"一方通行"が、落下しながらも左手を振り上げ、"幻想"目掛け振り下ろす!


一方「ッガァァァ!!」

轟!

一方「!?」


しかし、"幻想"は半歩後ろに下がり"一方通行"の攻撃を交わすと…


幻想「フッ!」

ガァン!

着地した瞬間を狙い、左回し蹴りを食らわせ"一方通行"を吹き飛ばし…


幻想「よし!」カシン!

一方「オッ…グ」


幻想「…ハァ!!」ok!イマジンストライク


"一方通行"目掛け、音速の三倍の速さで垂直に跳躍し


幻想「ハアァアァァ!!」


吹き飛んでいる"一方通行"に追いつき、飛び蹴りの"イマジンストライク"が炸裂した!


一方「ゴッ! ガァァ!」


しかし、"一方通行"は体がコンテナに衝突する刹那の瞬間。ベクトル操作で向きを変え、勢いを殺し地面に着地した。


一方「アァァァァ!! チョウシニノッテンジャネェゾ! サンシタァァァ!!!!」


そして再び、"一方通行"が"幻想"に向かい、矢のような速さで突撃する


幻想「いいぜ、来いよ!"一方通行"(最強)。お前の気が済むまで付き合ってやんよ!!」

―ゴ ッ!!―

349 : 最終話 - 2012/11/11 15:06:17.23 fGi0vuzDO 324/362


――

~とある研究所~

~モニター室~


27インチのモニターが数十台並ぶ長方形の広い部屋に、男の研究者が6人と、女の研究者1人が。操車場で戦う二人を映したモニターを眺めていた。


研究者A「なんだこれは…、どうして"一方通行"が押されているんだ……」


研究者B「!! "樹形図の設計者"から、再演算結果が出ました」


研究者A「!! やっと出たか! どうせ、先程の結果は何かの入力ミスだったのだよ…見せてみろ」


研究者Aは、研究者Bが見ているデスクトップ型のパソコンの画面を覗く


研究者A「!? ……何故、先程と同じ内容なんだ……それならば何故、私の"一方通行"が押されている?なんだこの結果は!!」


研究者B「……え…あの」

350 : 最終話 - 2012/11/11 15:07:28.50 fGi0vuzDO 325/362


――

パーマのかかった黒い髪に痩せ型の男が、モニターの一つを睨んでいた

その顔には焦りの色が浮かんでいる。


????(何故だ……私の造った"一方通行"の人格データは完璧なハズだ。"樹形図の設計者"の演算結果通りに造ったハズなのに、どう言うことなんだコレは!?)


すると研究者Aが 黒い髪の男を睨みつけ、口を開く


研究者A「そうだ……分かったぞ。天井亜雄! お前の人格データが、おかしいんだ。そうに違いない!」


天井「!! 何をふざけた事を…。"学習装置"(テスタメント)は完璧だ! どちらかと言えば、お前らが持って来た"Five_Over"の方に問題があるんじゃないのか?」

フザケタコトヲ! ダイタイオマエノ…


????「ハァ……後、よろしくね」ポン


女研究者の一人が、側にいた研究者Cの肩を叩き、部屋の出口へ向かう。


研究者C「芳川さん、何処へ?」

芳川「"妹達"の調整よ……二人の仲裁、頑張ってね」テオフル


研究者C「は?」


キサマコソ ダイ5イノDNAマップソノモノヲシンヨウスルホウガ…


―――
――

351 : 最終話 - 2012/11/11 15:11:12.70 fGi0vuzDO 326/362


~操車場~

一方「グッガァァァァ!」


…"幻想"と"一方通行"


幻想「…はぁっ!」

ゴッ!!

二人が戦いだして、既に1時間が経過していた。


一方「ブッぐ!…ハッアァァァァァァァァ!!!」

幻想「……」

一方「ナンダ! ナンダナンダチクショオオ!! シナ、シナシナシナシシシネェェェ!!!」ドッ


……ベルトの力を失った"一方通行"の動きは機械の様に正確で、そして単純だった…

まずは、ベクトルを操り突撃する攻撃…


幻想「フッ!」

ゴンッ!
一方「ギッ!!」

何も考えず、ただ真っ直ぐ突撃するだけの攻撃に"幻想"は、カウンターの左拳を放つ。

一方「アァァァァ!!」

そして、突撃が止められれば地面を踏み、砂利を飛ばす

┣"!ン!

一方「!?」

幻想「くっ―――」


その攻撃には体を前に倒し、体制を低くして飛弾を最小限に抑え、


幻想「――アァァ!!」


"一方通行"を目掛け突撃し

―ゴ ン!!―


フルスイングの右拳を叩きつける。

一方「ッギッァア!」

352 : 最終話 - 2012/11/11 15:12:47.10 fGi0vuzDO 327/362


――

今の"一方通行"は、本人を元に造られた人格データを脳にある"Five_Over"に入力し、


一方「ギャァアア!!」


決められた動きを、決められた通りに動くだけの"機械人形"だった。


幻想「…」ok!イマジンブレイク


そして最強の"Level5"であり、触れなくても勝てる"一方通行"に、かつてココまで追い込まれたデータなど存在せず

ゴ ッ!!
一方「ッブェェ!!ッグ…ェ」


ベルトも壊され、新たなデータを入力しない限り、成長もしない"今の一方通行"に勝ち目は無かった。


一方「…グ……ギギ」


それでも"一方通行"は立ち上がる


脳に埋め込まれた"Five_Over"と…


幻想「…」

一方「アァァァァ!!」

ゴッ!!

……この"白い駆動鎧"がある限り


幻想「………」ギリ

一方「アァァァァ!!!」

ゴ ン!!

………何度でも


一方「ギアァァァァ!!」

幻想「っ…くっしょ…ぉがぁぁぁぁ!!!」

┣"ォン!!


何度でも立ち上がる…。同じ言葉でも"上条"を支えている持論とは違う……異質で"悪質"なモノだった。

353 : 最終話 - 2012/11/11 15:13:49.94 fGi0vuzDO 328/362


――

一方「ッッグッェェ!」

幻想(……これじゃあ、埒が明かねぇ)


"幻想"は、先程の攻撃で倒れた"一方通行"に近づき、右手で頭を掴み、持ち上げる。


幻想「……オイ、聞こえてんだろクソ研究者? ちょっと出てこい」ギリギリ

一方「グガァァ!」


幻想「さっさと出てこいっつってんだろうが!!!」

一方「ァ!!!」ビク!


すると、怒号に反応したかの様に"一方通行"の体が跳ね上がり


一方「!…ァ…………………ァ……………」



一方「……呼ンだカね、仮面ライダー」


……冷静な口調へと変化した。



幻想「答えろ…"一方通行"は、まだ生きてんのか…」


一方「何ヲ馬鹿な事ヲ…生きテるジゃナいカ? 今も君ト戦っテいルだロう?」

幻想「俺が言ってんのは"コイツ"の事じゃねぇ。"一方通行"は、この駆動鎧の中で生きてんのかって聞いてんだよ!」


一方「アあ…ソれハ勿論、生きテいルさ。脳ト心臓が動イてナいト、イくラ"Five_Over"でモ操作出来なイかラな」クックックッ

354 : 最終話 - 2012/11/11 15:14:57.03 fGi0vuzDO 329/362


――

幻想「……助ける方法はねえのか」


一方「勿論アるサ……"一方通行"の"Five_Over"ヲ破壊出来れバ、だガな」


幻想(……脳に埋め込んだって言ってた奴かよ)


一方「クックックッ…残念ダっタなヒーロー……分カっタだロう、不可能ナのダよ! オ前に救ウ事なド出来はシなイ!諦めロぉ!!」


"一方通行"が"幻想"の腹を目掛け蹴りを放つ!

┣"ッ!!!

幻想「!? う……げぇ…!!」


駆動鎧の蹴られた場所にヒビが入る程の衝撃を受け。"幻想"は、掴んでいた手を離してしまった


一方「ドうシた! スキだラけダぞ? 仮面ライダー!!!」ヒュッ


┣"ォン!!と重たい音と共に"一方通行"の右拳が、"幻想"のがら空きの顔面に直撃した。


幻想「ご!!!」


その衝撃で"幻想"は、竹とんぼの様に回転しながら数メートル吹き飛び。地面を何度もバウンドして、ようやく動きを止めた


幻想「ギあ……ぁ!…」


仮面の中央に大きなヒビが入り、先程食らった攻撃で鼻の骨が折れたのか、ヒビから大量の血が溢れ出す


一方「サて、今度ハ全身をミンチにシてアげヨうカ?」クックックッ


ドン!と大きな音と共に"一方通行"の体が大きく揺れ。再び、造られた人格データへと交代した。

355 : 最終話 - 2012/11/11 15:15:57.29 fGi0vuzDO 330/362


――

一方「アハァ!」

幻想(……どうすりゃいい……コイツを殺す以外に方法はねえのか…)


"一方通行"が"幻想"に向かい、ゆっくりと一歩ずつ歩いていると…


┣"ン!!

一方「…アァ?」


突如、二人の間の地面に、音速の三倍の速さの何かが衝突し、砂煙が巻き起こる。


―止まりなさい、"一方通行"!―


一方「…」

幻想「御…坂…」


何十メートルも離れた場所に、右手を突き出した御坂が立っていた。


御坂「……迷ってんじゃないわよ。アンタ正義のヒーローなんでしょ?」


幻想「……御…さか」


御坂「ヒーローなら、悪の研究者達の野望を阻止して、"コイツ"を含めた全員を救うぐらいの事してみなさいよ」


幻想「一つ間違えれば……何も悪くねぇ"アイツ"を殺しちまうかもしんねぇんだぞ!!……んな事俺には!」


御坂「私は! アンタなら絶対に救えるって信じてる。……だから早く、私に約束した"幸福な結末"ってのを見せなさいよね? "仮面ライダー幻想"」


幻想「………」

356 : 最終話 - 2012/11/11 15:16:54.06 fGi0vuzDO 331/362


――

幻想「……」


"幻想"は、よろめきながら立ち上がり、右手を硬く握り、拳を作る


幻想「せーのぉ!!!」


そして、自分の顔を思い切り殴った。


幻想「………ふぅ」

御坂「……スッキリした?」


幻想「あぁ、スッキリした! そうだよな。無い頭使って、何考えてんだよ俺は」


幻想「こんな簡単な奇跡すら起こせなくて何がヒーローだ! 奴らが作り上げた幻想の全ては、"仮面ライダー幻想"がぶち壊す!!」


"幻想"は腰の右レバーを四回叩き、右腕を水平に上げると…


幻想「そしてお前達に見せてやんよ」ok!ドラゴンストライク


右腕が膨れ上がり、巨大な"竜王の顎"(ドラゴンストライク)が出現した。


一方「!!」

御坂「!?」


幻想「最高に最っ高の"幸福な結末(ハッピーエンド)"って奴を!!」

357 : 最終話 - 2012/11/11 15:19:31.62 fGi0vuzDO 332/362


――

"幻想"は"一方通行"に向かいゆっくりと歩きだした

右腕から出現した"竜王の顎"(ドラゴンストライク)が大きな口を開き、赤眼の瞳で"一方通行"を睨む。

一方「ギッ…ヒィ…」

その瞳に睨まれた"一方通行"は戦慄し本能に逆らえず…、後ずさりしてしまい…

一方「グギャアァァァァァァァァ!!!」

ドドドドドドドドドドガガガガガガガガ!!!


砂利、レール、コンテナ、砕けたコンクリートを"幻想"に向け、ベクトル操作で飛ばした


幻想「…」スッ


それに対し"幻想"は右腕を前に突き出し、手を開くと。動きに合わせる様に"竜王の顎"が大きく口を開き…

バキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキィン!

一方「ギ!!!」

"一方通行"が飛ばした全ての物体は、"竜王の顎"に触れた瞬間に無効化され、勢いを無くし、地面に落下した。


幻想「……"一方通行"」ユラァ

一方「ヒッ」ビク!


"一方通行"は恐怖で足がもつれ、転んでしまった。


幻想「今、救ってやるからな」

一方「ヒィッ! ヤッヤメロォ!!クンジャネェ!」

"幻想"が"一方通行"の目の前で止まり。右手をゆっくり近づけていき


一方「ヒ! イギャァァァァァァァァアア!!!」

最大限に開かれた"竜王の顎"は、"最強のLevel5"を頭から呑み込んだ。

358 : 最終話 - 2012/11/11 15:21:14.57 fGi0vuzDO 333/362


――

ゴリゴリゴキベキボリボリ


御坂「」アワワワワワ


ボギベギバリバリ



……ゴックン!!


御坂「ッ!!!」


幻想「……ふぅ」


御坂「」ウワァ


幻想「なぁ、御坂」

御坂「な…ナにョ」


幻想「? 少しの間、後ろ向いててくれないか?」

御坂「? …いいけど」


御坂は言われた通り、後ろを振り向いた。

――すると


幻想「ハァァァ!」

グチャ!グチャ!オェェェェェ!!


御坂(いやぁぁぁぁ!なに! なに、今の!!)

幻想「ヨシ……取りあえずは無事だな……後は、カエル先生に任せるしかねぇか」


幻想「アト…ハ…御坂。俺の買い物袋は?」


御坂「? "妹"を隠した時に、トーマス見つけたからついでに前カゴに入れといたけど?」


幻想「おお、ナイス御坂!」トーーマーース


御坂「? ねぇ、まだ振り向いちゃダメなの?」


幻想「あ~もう少しだな」ウン


御坂(なんか怖いんだけど)

359 : 最終話 - 2012/11/11 15:22:21.19 fGi0vuzDO 334/362


――

しばらくすると


キコキコキコゴシュジーン

幻想「お~偉いな~、トーマス」ヨシヨシ

サテト…マズハ ナカミヲゼンブドカシテト…

御坂「……」


バン! バン!…ヨシ!イケルイケル

御坂(…なにが?)

上条「……ぶふぉ!!」

御坂「!!!」ビク!


上条「……あ~御坂ぁきっ救急車2台よっ…呼んでぶふぉっくれないか」

御坂「(笑ってる?)…まぁ、ついでだし別に良いけど」

御坂はゲコタ携帯を取り出し、119番に電話をかけた

~省略~

御坂「…はい、…はい、お願いします……。…よし」pi

御坂「ねぇ、私"妹"連れて来るからアン…」クルットフリムク

幻想「ちょっ!」

……

御坂「」

御坂「い」

御坂「いゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!!」

……御坂は顔を真っ赤にして、一目散に逃げ出した。


幻想「…悪い、一方通行」


彼女が見たのは、生まれたままの姿で……


幻想「……完全には…救えなかった!」チクショオッ!


大事な所を隠す為、下着の代わりに買物袋を履かされた"最強のLevel5"だった。

一方「」

360 : 最終話 - 2012/11/11 15:23:25.25 fGi0vuzDO 335/362


――

一方通行と御坂妹は救急車で病院に運んで貰った。

※救急隊員の人達が、ぶふぉ!!と吹きだしてました


幻想と御坂は操車場に残り、入り口付近で夜空を見上げていた。


御坂「…」

幻想「……お前さ…何で、御坂妹に付き添わねぇんだよ?」


御坂「アンタ……何しようとしてんのよ」


幻想「……何って。上条さんは、さっさと帰って寝たいのですが?」


御坂「……じゃあ、とりあえず変身解除したら? その格好じゃ警備員に捕まるわよ」


幻想「……はいはい。お前が帰ったら変身解除すっから、早く行けって。御坂妹も、お前の後輩も心配してんだろ?」


御坂「そうね…変身解除を見届けたら病院に行くわ。……さっさとしなさいよ」


幻想「……ハァ」

御坂「……」


幻想「……今からやろうとしてる事を絶対に邪魔しないって誓えるか?」


御坂「……内容によるわね」

幻想「そうか…じゃあ、話は終わりだな。早く病院に行け」


御坂「…何よ、それ! 話を聞くまで絶対ココを離れないから!」

幻想「……勝手にしろ」


幻想は自転車のスタンドを上げ、サドルに跨がった

361 : 最終話 - 2012/11/11 15:24:17.91 fGi0vuzDO 336/362


――

御坂「待ちなさいよ」バチ


御坂はポケットからコインを取り出し、右手を突き出して狙いを自転車に定める


幻想「…」

御坂「絶対に逃がさないから。観念してさっさとしゃべりなさい」バチ バチン

……

幻想「ハァ……分かった、分かったよ、分かりましたの三段活用。喋れば良いんだろ? 一応言っておくけど、止めても無駄だからな」

御坂「…」



幻想「"アレ"をぶっ壊しに行こうと思ってよ」


幻想は、遥か上空にある"何か"を指差した。


御坂「? アレって……"樹形図の設計者"よね?」


幻想「ああ、"樹形図の設計者"がある限り。"実験"は終わらねぇよ……また、別の形で繰り返す可能性もあるしな」


御坂「でも…"アレ"は宇宙にあんのよ? どうすんのよ?」


幻想「………ベルトの最後の力を使えば破壊は出来ると思う、…けど」


御坂「……危険って事?」


幻想「一度使った事があってさ……その時は奇跡的に助かったけど、次は無いって言われた」


御坂「はぁ!? 何よ、それ?」

幻想「……」

362 : 最終話 - 2012/11/11 15:25:15.97 fGi0vuzDO 337/362


――


御坂「馬っっ鹿じゃないのアンタ! そんな力、絶対使わせないから!!」


御坂「私が言えた義理じゃ無いけど。アンタちょっとは、自分を大事にしたらどうなの? 簡単に命捨ててんじゃないわよ!!!」


幻想「……そうだな」

御坂「……!?」


幻想「確かに、お前の言う通りだ……」

御坂「わっ分かればいいのよ、この…」

幻想「けど、このまま放っておく事も俺には出来ねぇんだ」

御坂「!!」


幻想「分かってくれとは言わねーよ。お前の言う通り、ただの自己犠牲だしな」

御坂「…」


幻想「そして今から俺のやる事はヒーローぶって、誰かの為に何かを犠牲にする"偽善行為"だ。自分でも分かってる」


幻想「でも俺は今回の件で、例え学園都市の全員に怨まれたとしても後悔はしねぇ。そして、保身の為に自分の信念を曲げたり何か絶対にしねぇ、それが俺の"仮面ライダー"だ!」

363 : 最終話 - 2012/11/11 15:26:10.74 fGi0vuzDO 338/362


――

御坂「……ハァ…」


幻想「……何だよ、その可哀相な人を見る目は」


御坂「? 別に~"思ってた以上の鈍感で馬鹿だったわコイツ"、なんてこれっぽっちも思ってないわよ~」ハン!


幻想「」エー


御坂「……もう、止めない……だから無事に帰って来なさいよ」


幻想「約束する」


御坂「後、無事に帰って来ても、来なくても罰ゲームだから。覚悟しなさい」


幻想「確定かよ…オイ」


御坂「へ・ん・じ・は?」ニッコリ


幻想「……ハイ」


御坂「宜しい!」フフン


(この馬鹿……少なくとも私や、アンタに救われた皆は胸を張って、そいつらに言えるっての)


(偽善なんかじゃない。誰かの為に…腐った考えを持った研究者の幻想を砕いた……本物のヒーローだって)

364 : 最終話 - 2012/11/11 15:27:38.85 fGi0vuzDO 339/362


――

幻想は、御坂と相棒を操車場の入り口に残し、一方通行と戦った広場へ辿り着いた。

広場は荒れており、辺りのコンテナは全て潰れ、レールは大地の所々に刺さっている


幻想「さて…と」


すると幻想が"何か"に話しかけだした


幻想「…聞こえてんだろ」

幻想「少しの間、黙って俺の好きにさせろ」


話し終わると、一度深呼吸し、ベルトの右レバーに手を添え、軽く五回叩く


幻想「…」ok!フォームチェンジ!



幻想「幻想変身!」イマジンブレイカー・オーバーブレイク


―   ―


すると、幻想の足元に巨大な黒い二重の円と、その中心に一筆書きの六芒星が描かれた魔法陣が出現し…


そこから黒い影が吹き荒れ"幻想"を覆い隠した。


????「ぐッッギッッがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


そして黒い影が"幻想"を喰らっているかの様な生々しい音が響き渡る。


????「ガァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」


そして、音が鳴り止み


―バ キィン!―


"幻想"を包んでいた黒い影にヒビが入り、周囲に弾け飛んだ!

365 : 最終話 - 2012/11/11 15:28:49.84 fGi0vuzDO 340/362


――

"幻想"を包み込んでいた黒い影が吹き飛ぶと、黒い竜の仮面に、翼の生えた漆黒の鎧を着た"何か"が出現した。


"何か"は右拳を前に突き出したポーズを解くと、独り言の様に人外の言葉を喋りだす


????「bgj痛qux反oke抗wtqk無dmfa!」ウガー!


????「……? emkh言qvynk葉aehp変uwn!?」ハテ?

……


幻想「……cru空yg星ko♪jo時bd代agaj零puwt始rkga~♪」


↓※ここから翻訳↓


幻想「ってか、歌ってる場合じゃねぇな」ガシン!ガシン!


"幻想"は遥か上空を見据えると、ベルトの左レバーを2回叩き、左手を掲げる


幻想「えっと…これで良いのか?」リミットブレイク!


すると、手の平から10メートル程の、一筆書き六芒星の魔法陣が出現する。


幻想「…で、こっちを2回…と」カシン!カシン!


掲げた左手を離すと、魔法陣が緩やかに上空へ浮上しだした。その間に"幻想"はベルトの右レバーを二回叩き、姿勢を低くする…


幻想「…、よし!」ok!イマジンストライク!



そして背中の竜の翼を広げ一気に上空に跳躍し、魔法陣を叩き割った瞬間、


― バキン ―


仮面ライダー幻想が、次元の壁を越えた。

366 : 最終話 - 2012/11/11 15:29:43.61 fGi0vuzDO 341/362


――

~宇宙~


地表から3万km以上離れた場所で、人工衛星『おりひめ一号』が宇宙空間を漂っていた。

学園都市が産んだ『超高度並列演算機』は、『おりひめ一号』に積まれており。今も地上から送られるデータを演算し予言を叩き出していた


すると突如、遠く離れた宇宙空間に


―    ―


10メートル程の、六芒星の魔法陣が出現する。

― ビキ  ―

そして、魔法陣にヒビが広がり、中心が砕け、中から漆黒の竜が飛び出した!


―バキィン!!!―


幻想(これで幕切れだ、学園都市の研究者!)


――漆黒の竜は『樹形図の設計者』目掛け、超高速で接近し…


幻想(その、テメェらが思い描いていた幻想(シナリオ)の全てを!!)




幻想(仮面ライダー幻想がぶち壊す!!!)



――漆黒の衝撃波を全身に纏いながら右足を前に突き出し、"イマジンストライク"を放つ!


  ―     ―



…そして、黒竜の一撃により『樹形図の設計者』が大破し…


『絶対能力進化実験』は終わりを迎えた。


―――
――

367 : 最終話 - 2012/11/11 15:30:36.23 fGi0vuzDO 342/362


――

~窓の無いビル~


部屋にはドアも窓も廊下も階段もない、建物としては機能しないビル。


そんな密室の中心に巨大な円筒機が鎮座していた。


円筒機の中には赤い液体が満たされ。緑色の手術衣を着た人間が逆さに浮かんでいる


名前はアレイスター・クロウリー。


彼は、円筒機の中で四角い映像モニターに話しかけていた


アレイスター「ふむ、貴方のお陰で、後は部品(パーツ)を集め、目覚めの時を待つだけになったな」


『……………』


アレイスター「だが貴方は、今回の事を承知の上で幻想殺しに手術を施した…そう、あの時死にかけていた私の時の様に」


『……………』


アレイスター「残念だが私は止まれない。もう、プランも最終段階へ移行している」


『…………』


アレイスター「遠隔操作で生命維持装置を止めるなら今しかないぞ」


『……………』


アレイスター「そうか……ではお別れだ、優しい優しい私の敵」



―――
――

368 : 最終話 - 2012/11/11 15:31:25.66 fGi0vuzDO 343/362


――

~操車場入り口~



幻想が操車場の奥へと消え、30分が経過していた




御坂「…」




御坂は金網のフェンスに背中を寄り掛かりながら、無事戻って来る事を願い、待ち続ける。



御坂「……グス」



御坂「……!!」ブンブン



時間が経つにつれ、最悪な結果ばかりが頭に思い浮かんで来る。その度に"少年"の顔を思い出し、頭を左右に振り、両手で頬を叩いていた。



御坂「…」



……しかし、1時間が経過しても"少年"は戻って来ない……抑えていた感情は限界を超え、自然と涙が溢れて止まらなくなり



御坂「…ッ………ッ…」



ついには、その場で座り込み、両腕で顔を隠し、むせび泣き出した……


―――
――

369 : 最終話 - 2012/11/11 15:32:55.28 fGi0vuzDO 344/362


――



なんだろう




……ポン。と頭に暖かい感触を感じる


「……悪ぃ、また泣かせちまったな」


そして、謝りながら優しく頭を撫でてくれた。


私の冷たくなった感情が、暖かいものに変わっていく。


「御坂?」



気がついたら"アイツ"を抱きしめてた。


今なら素直になれる気がする。……………………多分


「……ただいま、御坂」



「……お帰り。   」



―――
――



これは学園都市に住む


不幸な


……少年の物語


最終話
「とある不幸な仮面ライダー」


――終――

370 : >>1です - 2012/11/11 15:37:45.28 fGi0vuzDO 345/362

最終話の投下終了です


番外編は後日投下させて頂きます

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


次回作は、つい出来心で立ててしまったスレが完結次第、書かせて頂きます

お待たせして大変申し訳ございません

372 : >>1です - 2012/12/05 21:49:13.18 +U7oZBEDO 346/362

番外編投下します

誤字、脱字はあまり気にせずお楽しみ下さい

373 : 番外編 - 2012/12/05 21:49:48.42 +U7oZBEDO 347/362


※回想※

~とある研究所~

~休憩室~


操車場での事件の約一ヶ月と少し前…


これは、とある日に交差点で"上条当麻"と別れた後の話。


一方通行は、片手に"絶対能力進化実験"の内容が書かれた企画書を持ち、木原数多に連絡を取っていた


一方「木原くンよォ…ホントに、この改造手術ってのを受けて。二万通りの戦闘をしたぐらいで"LEVEL6"になれンのかよ?」ウソクサクネェカ?

木原『俺が知るかボケ。こちとら忙しいんだよ、テメェが直で"幻生"のジジイに聞けボケ』

一方「オマエこそ、ちゃンとジジイの話し聞いとけよボケ。オマエ、仮にも保護者だろォが! いい加減にしねェと円周に"あの事"バラすぞデコハゲェ!」


木原『…アァン? オマエこそ"写真"の件を円周にバラしてみろ…どうなるか分かってんだろぉな?』

一方「アァ?」

木原『555体限定。ファイズのフィギュアは預かった』

一方「木ィィ原ァァ!!!」


 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄

374 : 番外編 - 2012/12/05 21:50:42.29 +U7oZBEDO 348/362


~研究所・通路~

木原数多との電話の後、一方通行は、白衣の男を捕まえ実験の内容について質問した


一方「なァ、天井くンよォ。手術してまでベルト付ける意味あンのか?…いや、まァ…仮面ライダーみてェになれンのは嬉しいがよォ」


天井「"樹形図の設計者"によると。駆動鎧に、一方通行自身の実戦データを記憶させる事により。お前の能力が限界を越え、絶対能力へ進化する。と出たそうだ」

一方「……"実戦データ"って事は、人と戦うわけなンだよなァ?」

天井「ああ、勿論だ。立体映像では"実戦"とは言えないからな」


一方「仮に、実験中に負傷した"協力者"はどうなンだ?」

天井「大丈夫だ、そこの所は問題無い。詳しい"シナリオ"は言えないが、"人"が傷つかない簡単な実戦内容ばかりだからな」

一方「……まァ、実戦っつっても。演算して対象に向けなければいいンだしなァ」

天井「私たちにも、学園都市にとっても、お前は希望なんだ。頼む! "絶対能力"とやらを見せてくれ。コレは、お前にしか出来ない事なんだ!」

一方「チッ…分かった、分かったよ、分かりましたァ。実験とやらをやってやンよ」

天井「おお! そうか!」


一方「オラ。さっさと行くぞ、改造手術ってのをすンだろォが?」


(…楽しみに待っとけ、ヒーロォ! 俺が、この学園都市の希望になって、お前に追いついてやっからなァ!)

―――
――

375 : 番外編 - 2012/12/05 21:52:04.80 +U7oZBEDO 349/362


――

~研究所・通路~

天井との会話の後、一方通行は直ぐに手術室に入り、今は改造手術を受けている。その間、天井は女研究者と話していた


天井「やはり、ガキは騙しやすい。あんな演技で、あっさりとOKだ」クックックッ


????「……あの子は純粋なのよ。私達とは違ってね」


天井「なんだ…今更、後悔してるのか? 芳川桔梗?」


芳川「……」


天井「……しかし、無駄に量産してしまった"欠陥電気"(レディオノイズ)が、まさか役に立つ日が来るとはな…お陰で首の皮一枚繋がったよ。クックック…これでどうにか借金も返せる」


芳川「……あの子たちも、超電磁砲の遺伝子から作られた一人の人間でしょう。アナタにとっての"妹達"は"人"ではなく"物"でしか無いのかしら?」


天井「フン…相変わらず甘いな、芳川桔梗。"妹達"だろうが、"LEVEL5"の第1位であろうが、そんな肩書…科学者である私達には、何も関係ないだろう?」


芳川「…」


天井「どうせ奴らは、この実験の為に結果を生み出すだけの"実験動物"でしかないのだからな!」


―――
――

376 : 番外編 - 2012/12/05 21:52:53.31 +U7oZBEDO 350/362


――

~2時間後

~研究所内・個室~


無事、改造手術が終わり。麻酔が効いて眠っている一方通行は個室のベッドに移されていた。


一方「」zzZ


???「じー」


一方「」z…ン?


???「じー」

一方「アン?……人の寝顔じィーっと見てンじゃねェよ」

???「目が覚めましたか一方通行、とミサカは確認します」


一方「誰だテメェ?」


ミサカ「ミサカは今回の実験で、一方通行と実戦を行う軍用クローン"妹達"のシリアルNo.00001号です、とミサカは懇切丁寧に質問に答えます」


一方「オイオイ……見た目ひょろいガキじゃねェか。ホントに大丈夫ですかァ、この実験?」


ミサカ「貴方こそ大丈夫ですか? 実戦中に貧血を起こして倒れないで下さいね白モヤシ、とミサカは一方通行の体を心配します」


一方「…口汚ェな、オマエ」

ミサカ「いえ、ミサカのお口は綺麗ですが?、とミサカは惚けながらも、お前もな! と心の中でツッコミを入れます」


一方「…」

377 : 番外編 - 2012/12/05 21:54:00.56 +U7oZBEDO 351/362


――

~研究所・通路~


芳川「あらそう……。じゃあ私は、もう少しこのフロアを捜してみるから」ピッ


芳川は、居なくなったミサカ00001号を捜していた


芳川「ハァ……どこ行ったのかしら。ちゃんと待機しとく様、言っておいたハズなんだけど」


テメェバカニシテンノカ


ナニヲコウフンシテルノデスカ?アクセラレータ,トミサカハ カルシウムブソクナ シロモヤシヲサイドシンパイシマス

芳川「うん?」

クカカッ チャントトッテマスゥ オレハマイニチ,カメンライダーフィッシュソーセージタベテンダヨォ ザンネンダッタナァサンシタァ!


ドウセ,ガンバライドカードノタメニ ハコガイシテ,ソノ ツイデニタベテンダロ シロモヤシ,トミサカハ シンソウヲミヤブリマス

芳川「……ハァ」

コン コン

芳川「失礼するわよ」ガラ

378 : 番外編 - 2012/12/05 21:54:52.50 +U7oZBEDO 352/362


~研究所内・個室~

芳川が個室の部屋に入ると…大きなベッドの上で、白い髪の少年が体を起こしていた。何故か表情には焦りの色が見え、顔が引きつっている。


芳川「……やっぱり」


そして、その少年の隣の椅子には芳川の捜していた"ミサカ"が座っていた。無表情なのに、何故か少年に睨みを利かせている様に見える


一方「ハッ…ハァァ!? ぜンぜン違ェし! アァ、オマエ知らねェンだなァ? アレ食ったらなァ……仮面ライダーの様に強くなれンだよォ!!」

ミサカ「……では、カードはいらないのですね?、とミサカは問い詰めます」

一方「……イラネェ」ボソ

ミサカ「…聞こえません」

芳川「はいはい…二人共、もういいでしょう。貴方、一方通行よね? 私は芳川桔梗、この子を引き取りに来たのだけれど?」

一方「アァ…この、口悪ィ女の保護者か…サッサと連れてけェ!」シッ!シィ!!

芳川「まぁ、その様なモノかしらね……ほら立って、部屋に戻りましょう」


芳川は、椅子に座っている"ミサカ"の肩に軽く手を置くと、ミサカは頷き立ち上がった


芳川「一方通行。体に異常が無ければ直ぐにでも実験を始めるそうだけど、問題は無いかしら?」

一方「アァ、問題ねェ」

芳川「……そう」

一方「……あン?」

芳川「何でもないわ……じゃあ、伝えておくわね」

ミサカ「…」ペコリ

ミサカは一方通行に一礼し、芳川と共に部屋から出て行った

――

379 : 番外編 - 2012/12/05 21:55:38.81 +U7oZBEDO 353/362

~研究所内・実験場~


白く広い部屋。

出口は10メートル程の大きな扉一つしか無く、白い壁の一部には強化ガラスが貼られており、そこがモニタールームなのか、研究者達が覗いている。

そして、白く広い部屋の中央には…


一方「…」


腰にベルトを巻いた一方通行と


ミサカ「…」


ハンドガンを片手に持ったミサカ00001号が立っていた。


研究者A『さぁ、一方通行。まずは、変身してくれるかね?』

一方「……アァ」


一方通行が、腰のベルトの両端にあるボタンを左、右の順番に押すと。ベルトが左右に開き、中央に小さな球体が出現した。


一方「…」Model_Case"アクセラレータ"


2秒程経つと球体が輝きだし、一方通行が右手をベルトへ近づけ


一方「変身」


掛け声と共に勢いよく右手を払い、輝く球体を回転させた。


『ok!ヘンシィィン!』


すると、ベルトから変身音が鳴り、ベルトの中央の球体から白と黒の粒子が大量に飛び出し、一方通行を包み覆っていき


一方「…」


体を覆っていた粒子は形となり、矢印の角のついた白い仮面と黒い模様の入った白い駆動鎧へと姿を変えた!

380 : 番外編 - 2012/12/05 21:56:31.01 +U7oZBEDO 354/362


――

一方(クカカ…スゲェ! 俺が仮面ライダーに!)


一方通行は確認するように右手を開き、強く拳を握る


研究者A『素晴らしいな、一方通行。どうだい変身した感想は?』


一方「アァ! 最っ高だなァ、愉快に素敵にキマっちまってンぞ! コレはァ!」クカカ


研究者A『クックックッ、そうかね。では…』

…パン!

一方「……………ア?」


ミサカ00001号のハンドガンから渇いた音が鳴り、一方通行に向かい弾丸が放たれた


…そして、


ミサカ「…ゴ…フ」

ドサッ


弾丸は向きを変え。ミサカ00001号の脇腹に突き刺った。


研究者A『さあ、そのクローンを殺せ……"一方通行"』

381 : 番外編 - 2012/12/05 21:57:48.30 +U7oZBEDO 355/362


――

一方(……なンで弾丸のベクトルがアイツに向イてヤがンだ!)


ミサカ「…ゴ…プ」チャキ

一方「ヤ…!?」


ミサカは、血を吐きながら、再び一方通行にハンドガンの銃口を向け


一方「!?(カらダが)」


パン!


再び、弾丸を放った。


一方「……ア」

ドッ!

弾丸は一方通行に触れる直前に向きを変え、ミサカ00001号の右胸を貫き…


ミサカ「……ッ」


……力を失い、白い床に倒れた



一方「ッッガッアァァァアァァ!!!!」ギッギギ


一方通行は強引に体を動かそうとするが、金縛りにあったかの様に指先一つ動かせない


一方「クソ!グゾォ!!サッサとア"イヅヲタズけロォ"!!」


研究者A『ほう…まだ抵抗する力があるのか。…ならば』ピッ


一方「ギッ!! ガッ!ッァダマ"ガ!!!」



研究者A『さぁ、そろそろ"交代"して楽になろうか? "一方通行"』

382 : 番外編 - 2012/12/05 21:58:44.90 +U7oZBEDO 356/362


――

激しい頭痛により、一方通行の視界が霞む中…


一方「…ア…ッ…ガ…!!!」


銃弾により、血だまりの中で倒れているミサカ00001号の姿が視界に入った。



ミサカ「…ヒュ…」


一方「がッ"ァッ"!」ズ…


一方「マ"ッデロヨ"今…ビイ"ロ"ォ"…ガ!仮"……面"ラ"イダァ"ガ助"ゲてヤッガラヨ"ォ!!!」ズ…ズ


一方通行が足を引きずりながら、一歩、一歩、とミサカ00001号に向かい歩き出した。


研究者A「……」


一方「ゼッダイ"ニオマ"エヲ"死"ナ!!…ゼ…ネ…ェ」


"一方通行"はミサカの目の前に立ち、左手を伸ばした。


ミサカ「…ア……ク…」


一方「オ"…レ…ハ」




  ―グチャ―



一方「」

383 : 番外編 - 2012/12/05 21:59:43.02 +U7oZBEDO 357/362


――


一方「……アハ!!」


――グチャ…ブチ…グチ……



 アハハァ!!!ギヒッギャハギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!



…グチャ!グチャ!グチャ…グ……



―――
――




この日から、操車場で仮面ライダー幻想と戦い、救われるまでの間に――



――"妹達"の10031人を虐殺した。

384 : 番外編 - 2012/12/05 22:00:42.23 +U7oZBEDO 358/362


※回想終了

――

8月24日

午後13時35分


~第7学区~

~とある病院の個室~


操車場での事件から二日後…


白い個室のベッドで眠っていた一方通行が、ゆっくりと目を覚ました。


一方「……」


取りあえずベッドから体を起こし、辺りを見渡す。


一方「……病院? なンだってこンな所で寝てンだ……ッ!」


頭に手をやると痛みが走った。治療をした後なのか包帯が巻かれており、よく確認して見ると身体の至る所に包帯が巻かれてあった。


一方「ハァ……ゼンッゼン思い出せねェわ」


少し考えてベッドの枕元の壁に設置されてあるナースコールを押した…


看護婦『一方通行さん、どうされました?』


すると数秒後、スピーカーから看護婦の声が発せられる。


一方「……俺が入院した時の事を知ってるヤツがいたら呼ンでくれ」

看護婦『?…センセイ』


会話に少し間が空いた。どうやら看護婦は誰かと話している


看護婦『……お待たせしました。今から先生がそちらに向かうそうですので、少しお待ち下さい』


ブッ

―――
――

385 : 番外編 - 2012/12/05 22:01:36.20 +U7oZBEDO 359/362


――

コン コン

「失礼するよ?」


5分ほどで小太りの医者が部屋に入って来た。

顔はカエルに似ていて、本人も自覚しているのかネームプレートにはカエルのシールが貼られている。


カエル医者「具合はどうだい? 身体に痛みや痺れ等はないかな?」

一方「アァ…特に問題はネェ。それより教えろ、オレはなンで入院してンだ?」


カエル医者「その質問より先にこちらから聞かせて貰うよ? 君はいつ頃までの記憶が残っているのか覚えているかい?」

一方「アー……ヒーロォと喋っ……て……交差点で別れてから記憶がねェ……」


カエル医者「ヒーロー? 名前は覚えているかい?」

一方「仮面ライダー幻想って言う学園都市のヒーロォだ」シッテルカ?


カエル医者「……彼の事は良く知っているよ。今もこの病院に入院しているからね?」

一方「ハァ? なンであのヒーロォまで入院してンだよ?」

カエル医者「……二日前に彼が病院に運ばれてね? 今も、意識が戻らない状態だ」


一方「!!! なンだそりゃあ!」


カエル医者「……聞いた話によると、その彼が倒れる前に事件があったらしくてね?」

一方「…」

カエル医者「……一方通行。"絶対能力進化実験"と言う言葉に聞き覚えはないかい?」

―――
――

386 : 番外編 - 2012/12/05 22:02:22.98 +U7oZBEDO 360/362


――



一方「……」




一方通行は、カエル顔の医者から全てを聞いた。



一方「……オ……レ……は」




そして思い出す。研究所で合った悲劇、




"実験"、"妹達"、研究者に騙され操られた事までの全てを。





……助けられなかった一人の女の子の事を。



一方「……………ク…ソ…」



―――
――

387 : 番外編 - 2012/12/05 22:03:13.99 +U7oZBEDO 361/362


――


気がつくと松葉杖で身体を支えながら個室を抜け出し、とある少年の病室の前に来ていた。


一方「…」

コン コン

一方通行は軽く左手でノックし、部屋に入ると……



ベッドの上で眠るヒーローと


一方「…!?」


その隣の椅子に、常盤台女子中学の制服を着た茶髪の女の子が座っていた。


御坂「………  」ボソ

一方「………」


御坂は握っていた上条の右手をベッドに下ろし、布団を掛け直すと…


御坂「……アンタに話しがあるの、ちょっと屋上に行かない?」


ゆっくりと椅子から立ち上がり……赤く腫れた目で、一方通行を見る。


一方「……アァ」


そして二人はベッドに眠る上条当麻を残し、部屋を後にした。



次の物語は此処から始まる


~番外編~

 ~終~

388 : >>1です - 2012/12/05 22:05:04.64 +U7oZBEDO 362/362

ここまでで番外編投下終了です


ここまで見て頂き、本当にありがとうございました

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