1 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:40:26.07 g2ah9tul0 1/31

Aパート

元スレ
男「猫と結婚することにした」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445604025/

2 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:41:17.13 g2ah9tul0 2/31


1年前。

俺の言葉を聞いた両親の反応は、予想どおりだった。

「ふざけるな!自分が何を言ってるか分かってんのか!?」

「お父さん、落ち着いて…男も、もう一度よく考えて…」

「俺は自分が何を言ってるか、ちゃんと理解してるよ。俺は真剣なんだ」

「出て行け!お前はもう息子でも何でもない!」

「なんてことを言うの!?やめてよ!

…ねえ、男、一緒に病院に行きましょう?ね?」

「…クソっ!もういい!こんな家2度と来るか!」

「待って!お願い!」

「もうあんな奴は放っておけ!」


3 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:42:03.51 tsuXlbKW0 3/31


「やっぱり、認めてくれなかったか…」

「ごめんね…私が、人間じゃないから…」

「猫は悪くない!

母さんも父さんも、頭が固すぎるんだよ。

だから、猫が謝る必要はないんだ。

謝らないでくれ…」

「男…

帰ろう。私たちの家に」

俺は猫を抱き上げ、家に帰った。


4 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:43:24.44 L8DUcd7r0 4/31


11ヶ月前。

「はい…はい…そうですか。

いえ、こちらこそ無理を言ってすみませんでした。

ありがとうございました」ガチャ

「どうしたの?」

「ん?ああ、式場を予約しようと思って…

でも、どこも断られちゃったよ。

…ああ、そんな顔すんな!

俺は、別に結婚式を挙げられなくても、法的に結婚できなくても、いいんだよ。

ただ、お前と一緒にいられればそれでいい」

「男…なに恥ずかしいこと言ってんの///」

「ごめん///でも、本当にそう思ってる。

うーん、だけど、このまま何もしないのもなんか釈然としないというか…

親しい友達だけ呼んで、家でお祝いするとかどう?」

「それいいね!やろうやろう!」

元気一杯な猫を見ていると、俺にも元気が湧いてくるようだった。

5 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:43:57.68 g2ah9tul0 5/31


10ヶ月前。

「だから結婚するんだって!

…ああ?病院?もういい!

てめえがそんなに心の狭いヤローだなんて思わなかったよ!」ガチャン

「ど、どうしたの?大丈夫?」

「あ…びっくりした?ごめん…

お祝いに誘おうと思っていろんな友達に電話したんだけど、みんな断られたよ…

ごめん…ごめんね…」ポロポロ

「男、泣かないで。

私は、ずっと男の傍にいるから」

「猫…ありがとう。

ありがとう…」

猫を抱きしめ、俺は涙を拭った。

6 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:44:57.45 g2ah9tul0 6/31


3ヶ月前。

プルルルル

プルルルル

「男ー!電話鳴ってるよー!」

「はーい!今出る!

もしもし。…はい、そうですけど…

え?取材?テレビ!?いえ、それはちょっと…

はい…すみませんが、お断りします。」ガチャ

「なんの電話だったの?」

「んー?

猫と結婚した男として、テレビに出てくれないかってさ。

出てもどうせバカにされるだけだろ?断ったよ」

「ふーん…私はちょっとテレビに出てみたかったかも、なんてね」

「はは…猫がテレビに出たら、あっという間にお茶の間の人気者かもね」

俺と猫の関係は、あまり良くない噂として少しずつ広まっていった。

最初は、近所の人に遠巻きにされたり

逆に好奇の目でジロジロ見られたりする程度だった。

それぐらいなら、別にどうってことなかった。でも…

そのうち、イタズラ電話や嫌がらせを頻繁にされるようになってきた。

動物愛護を唱える団体が押しかけて、俺に文句を言いに来たこともあった。

だから、引っ越すことにしたんだ。

7 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:45:43.86 tsuXlbKW0 7/31

2ヶ月前。

「ここが俺たちの新しい住処だぞー!」

「どこ、ここ…知らない場所…」

「前より狭いアパートだけど、俺の在宅システムエンジニアの仕事じゃあ、

まだそんなに貯金もなくてさ」

「…嫌っ!」

「あっ!?ちょっと、待って!」

半開きのドアから飛び出した猫を追って、俺も外に走り出た。

8 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:46:13.08 g2ah9tul0 8/31


「ハァハァ…見失っちまった…

どこ行ったんだよ…

あいつがいないと、ダメなんだよ…

俺は、あいつがいないと…」

夜になるまで探し回っても、猫は見つからなかった。

9 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:46:48.93 L8DUcd7r0 9/31


「くそ、全然見つからねえ…

冷えてきたし、一旦上着とりに帰るか…」

トボトボと家に歩いて帰ると、聞き慣れた猫の声が聞こえてきた。

慌てて辺りを見回すと、近くの路地裏から猫が走り寄ってきた。

「男!!」

「お前…どこ行ってたんだよ!心配したんだぞ!」

「ごめんね、もうどこにも行かないから…

許してくれる?」

「許すよ、許すけど…

もう絶対、俺から離れるなよ。絶対だからな!」

10 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:47:25.76 g2ah9tul0 10/31


今日。

「どういうことだよ…

どういうことなんだよ!」

「男、あなたの子供が今お腹にいるのよ」

「嘘だ!だって…そんなことあるわけねえ!」

「男、お願い、信じてよ…」

「うるさい!あの時か!?

引っ越してきたばかりの時、お前家を飛び出してったじゃねえか!

あの時に浮気したんだろ!?そうなんだろ!!」

「違う!ねえ、聞いてよ…」

「ああああああ!黙れ黙れ!」

俺はあの時の猫のように家を飛び出して、走り続けた。

11 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:47:58.33 g2ah9tul0 11/31


そうだ…そして、俺はここに来たんだ。

ここから海に向かって飛び込めば、死ねるだろうか。

猫との思い出を振り返ってみたけど、やっぱり俺は…

俺には猫しかいなかったのに。

あいつは俺を裏切った。

猫のために、家族とも友達とも縁を切ったのに。

俺には、猫しか。

だから

12 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:48:27.97 tsuXlbKW0 12/31


「さよなら」


13 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:48:55.92 L8DUcd7r0 13/31


Aパートおわり

14 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:49:27.81 tsuXlbKW0 14/31


Bパート

15 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:49:55.94 g2ah9tul0 15/31


「猫と結婚することにした」

16 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:50:24.60 tsuXlbKW0 16/31


「ふざけるな!自分が何を言ってるか分かってんのか!?」

「お父さん、落ち着いて…男も、もう一度よく考えて…」

「俺は自分が何を言ってるか、ちゃんと理解してるよ。俺は真剣なんだ」

「出て行け!お前はもう息子でも何でもない!」

「なんてことを言うの!?やめてよ!

…ねえ、男、一緒に病院に行きましょう?ね?」

「…クソっ!もういい!こんな家2度と来るか!」

「待って!お願い!」

「もうあんな奴は放っておけ!」

17 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:50:56.48 L8DUcd7r0 17/31


「やっぱり、認めてくれなかったか…」

「にゃあ」

「猫は悪くない!

母さんも父さんも、頭が固すぎるんだよ。

だから、猫が謝る必要はないんだ。

謝らないでくれ…」

「にゃあ」

18 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:51:30.14 L8DUcd7r0 18/31


「はい…はい…そうですか。

いえ、こちらこそ無理を言ってすみませんでした。

ありがとうございました」ガチャ

「にゃあ」

「ん?ああ、式場を予約しようと思って…

でも、どこも断られちゃったよ。

…ああ、そんな顔すんな!

俺は、別に結婚式を挙げられなくても、法的に結婚できなくても、いいんだよ。

ただ、お前と一緒にいられればそれでいい」

「にゃ~ん」

「ごめん///でも、本当にそう思ってる。

でも、このまま何もしないのもなんか釈然としないというか…

親しい友達だけ呼んで、家でお祝いするとかどう?」

「にゃー」

20 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:52:06.67 g2ah9tul0 19/31


「だから結婚するんだって!

…ああ?病院?もういい!

てめえがそんなに心の狭いヤローだなんて思わなかったよ!」ガチャン

「にゃ~」

「あ…びっくりした?ごめん…

お祝いに誘おうと思っていろんな友達に電話したんだけど、みんな断られたよ…

ごめん…ごめんね…」ポロポロ

「にゃ~ん」

「猫…ありがとう。

ありがとう…」

21 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:52:34.11 g2ah9tul0 20/31


プルルルル

プルルルル

「にゃー」

「はーい!今出る!

もしもし。…はい、そうですけど…

え?取材?テレビ!?いえ、それはちょっと…

はい…すみませんが、お断りします。」ガチャ

「にゃあ」

「んー?

猫と結婚した男として、テレビに出てくれないかってさ。

出てもどうせバカにされるだけだろ?断ったよ」

「ごろごろ…」

「はは…猫がテレビに出たら、あっという間にお茶の間の人気者かもね」

22 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:53:15.40 tsuXlbKW0 21/31


「ここが俺たちの新しい住処だぞー!」

「フー…」

「前より狭いアパートだけど、俺の在宅システムエンジニアの仕事じゃあ、

まだそんなに貯金もなくてさ」

「…にゃっ!」

「あっ!?ちょっと、待って!」

24 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:53:50.99 L8DUcd7r0 22/31


「ハァハァ…見失っちまった…

どこ行ったんだよ…

あいつがいないと、ダメなんだよ…

俺は、あいつがいないと…」

25 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:54:14.87 g2ah9tul0 23/31


「くそ、全然見つからねえ…

冷えてきたし、一旦上着とりに帰るか…」

「にゃあ」

「お前…どこ行ってたんだよ!心配したんだぞ!」

「にゃあ」

「許すよ、許すけど…

もう絶対、俺から離れるなよ。絶対だからな!」

26 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:54:38.87 tsuXlbKW0 24/31


「どういうことだよ…

どういうことなんだよ!」

「にゃ~」

「嘘だ!だって…そんなことあるわけねえ!」

「にゃーん」

「うるさい!あの時か!?

引っ越してきたばかりの時、お前家を飛び出してったじゃねえか!

あの時に浮気したんだろ!?そうなんだろ!!」

「にゃあ」

「ああああああ!黙れ黙れ!」

27 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:55:06.06 tsuXlbKW0 25/31


「さよなら」

28 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:55:26.04 L8DUcd7r0 26/31


Bパートおわり

29 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:55:53.01 L8DUcd7r0 27/31


おまけ

30 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:56:18.45 g2ah9tul0 28/31


「う…



ここは…



砂浜?



俺は



生きてるのか…



どこなんだここ…」

31 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:56:57.70 tsuXlbKW0 29/31


「とりあえず歩いてみたけど



そんなに大きくもない無人島?なのかな



外周をぐるっと回って



また砂浜に戻ってきた



これからどうしよう…







あれは?



なんだ?」



エイ「…」スイー



「…



エイだ…







お前が助けてくれたのか?」



エイ「…」スイスイ



「…



ありがとう…」

32 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:57:23.79 tsuXlbKW0 30/31


「エイと結婚することにした」

33 : ◆ERH4IkRlmI - 2015/10/23 21:57:52.86 L8DUcd7r0 31/31


おわり

記事をツイートする 記事をはてブする