私、駆逐艦磯波は新たな鎮守府に配置されました。
でもここ……こじんまりとしてて、どう見ても事務所なんですよね。海に面してすらいません。
磯波「ふぅ~……」
磯波(よーし、入るぞ……)
ガチャ
磯波「うへっ!」
「あら、失礼。お嬢さん何か御用ですかな」
磯波「あ、あの、私ここに配属される磯波と申します」
「あらそう、私が提督です。来たばかりで悪いけど私服に着替えてくれませんかな」
磯波「えっ?」
これが、私と司令官の最初の出会いでした。
※掛け持ちになるから更新速度は遅めかも
※ちょい磯波がキャラ崩壊気味だけど許してちゃぶ台
元スレ
【艦これ】磯波「防諜ですか?」提督「防諜です」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423666135/
街
磯波「あの、司令官……」
提督「なんです」
磯波「司令官は本当に提督なんですか……?」
提督「そうですよ。いやちょっと違うがね、艦娘に対する指揮権はあります」
磯波「はあ……」
提督「ちょっと、あれをご覧なさい」
磯波「はい?」
ワイワイ
「安いよ安いよー!」
「こんなご時勢だから儲け度外視で売っちゃうんだから!」
「もってけ泥棒!」
磯波「スーパーマーケットですか?」
提督「ええ、あそこはこの状況の中大安売り。といっても平時よりちょっと高いですが。しかし潰れない」
磯波「たくさんの人が買っているんでしょうか」
提督「もちろんそれもあります。しかしそれだけではありません。この写真を」
磯波「えっ、港で深海棲艦が荷揚げを……?」
提督「そうです、そしてこの箱に見えるステッカー、『深海商店』というものですが、あのスーパーの名前です」
磯波「ということは、あれは深海棲艦の……」
提督「その通り、連中は経済的に攻勢に出た、というわけです。近隣のスーパーやコンビニは閑散としている」
磯波「でもそれって、取り締まる事なんて……」
提督「そう、できないんですよ。仮に取り締まったとして、ここの住民たちはどこで買い物をすればいいんでしょうか」
磯波「難しい問題ですね……」
提督「しかし、問題はそこではありません。戦場で優位に立てば時間が解決します」
磯波「というと?」
提督「あそこは連中の拠点、諜報活動の資金源となっているのです」
磯波「諜報?」
提督「そう、何も火薬を使ってドンパチ花火を上げるだけが戦争ではありませんから」
磯波「でもどうすれば」
提督「それを今から考えるのです。さ、戻りましょう」
執務室
提督「さて、挨拶がまだだったね。私は広川中佐」
磯波「は、はい、磯波と申します」
提督「では磯波、これから君が助手としてここで働いてくれるんですね」
磯波「はあ、助手、ですか?秘書艦ではなくて?」
提督「そう助手です。海に出るわけではない」
磯波「でも艦娘ですけど」
提督「いやそこは艦娘でなくてはなりません。深海棲艦に立ち向かうならば艦娘はなくてはならない存在ですよ」
磯波「それはそうですけど、他には誰もいないんですか?」
提督「……情けない話、海軍は防諜には興味がないらしくって、無いんですよお金が」
磯波「へぇ?」
提督「ですから、こんなこぢんまりとした事務所を鎮守府と呼んでいるわけで、艦娘もひとりしか雇えないわけです」
磯波「は、はぁ」
磯波(えらいところに来ちゃったなぁ……)
提督「そろそろ晩御飯の時間ですね、そうですね、来たお祝いということで外食にしましょうか」
磯波「あの、お金無いんじゃ……」
提督「ご心配なく、給料自体はきちんともらってますから」
高級レストラン
提督「ま、それなりのね」
磯波「こんなところ来たの初めてです」ワクワク
提督「たまには贅沢も必要です。2人」
「かしこまりました」
提督「む」
磯波「どうしました?」
提督「あちらを」
磯波「ん?」
「いや、どうもお世話になります」
「いえいえ、このご時勢ですから!ご安心を、安いからといって粗末な食材はお出しいたしません!」
「また使わせていただきます」
「ありがとうございます、『深海商店』のまたのご利用を!」
提督「連中、こんなところまで」
磯波「悪いことなんでしょうか……」
提督「胃袋を敵に握られていい事なんかあるはずがありませんよ」
磯波「じゃあ、お食事は……」
提督「……ま、今日のところは致し方ありません、握らせておきましょう」
磯波「は、はい、いいのかな……」
執務室
提督「まさかトマトが入ってるとは……磯波が食べてくれなければ恥をかくところでした」
磯波(いや十分恥ずかしいと思います……)
提督「そう言えば、この事務所にお風呂はありますが、ベッドは一つしかありません」
磯波「へぇ……ええ!?」
提督「お風呂先どうぞ」
磯波「は、はいぃ……」
ガチャバタン
提督「ふうむ……」
提督(連中はアレを資金源に活動を広げるだろう……しかしまだ動きを見せてはいない)
提督「ま、悩んでも仕方ないか。相手の出方を見ることにしよう」
…
磯波(よかったお風呂は普通で。でもあの洗濯物……)
ドッサリ
磯波(どうするんだろう、あれ……)
提督「では私も入らせていただくとしましょう」
磯波「どうぞ……」
磯波(待ってる間暇だな……そうだ、今のうちに叢雲ちゃんに電話してみよう)テチテチ
プルルルルル
『はい』
磯波「叢雲ちゃん?新しい鎮守府に着いたよ!」
叢雲『お!どんな感じ?深雪たちとその話で持ちきりでさぁ』
磯波「それが変なの、艦娘も私一人で、何やら諜報活動をするらしくて……」
叢雲『怪しいわね……なんか騙されてるんじゃない?気をつけなさいよ、あんた気が弱いんだから』
磯波「それは……うん」
叢雲『でさ、司令官どうよ?かっこいい?』
磯波「まあ……顔はそこそこかな。叢雲ちゃんの好みのタイプじゃないと思う」
叢雲『残念ねぇー』
磯波「それで、トマトが嫌いなの」
叢雲『何よそのすっごいどーでもいい情報!まあ元気そうで何よりだわ』
磯波「うん、なんとか頑張ってみるから、心配しないで」
叢雲『わかったわ。頑張ってね』
磯波「おやすみなさい、叢雲ちゃん」
叢雲『おやすみ、磯波』
ツー、ツー
提督「ふーサッパリした」
磯波「きゃっ!?なんで裸なんですか!?」
提督「いやパンツ履いてますけど」
磯波「パンツしか履いてないじゃないですか!!」
提督「別に恥ずかしがることじゃ」
磯波「デリカシーって知ってますか!?」
提督「なんなのそりゃ」
磯波「ったく、もぉ~!」プンスカ
寝室
磯波「そういえば一つしか無いって言ってましたね……」
提督「そうですよ」
磯波「私、ソファで……」
提督「布団も一つしかありませんよ」
磯波「えっ」
提督「お金がね、無いんですよ」
磯波(よりによってそこ削る?自分から艦娘呼んでおいて)
提督「このクソ寒い中布団無しじゃ厳しいでしょうから」
磯波「い、一緒の布団で……?」
提督「何か問題でも?」
磯波「何かって……」
提督「さあ、明日も仕事ですからポフン
磯波「……」
提督「どうしました?」
磯波「……はぁ」ポフン
モゾモゾ
提督「おやすみなさい、磯波」
磯波「……おやすみ、なさい」
磯波(ああ、ごめん叢雲ちゃん。私はもう……)
提督「すー…すー…」zzz
磯波「……」
磯波(なんでだろう、腑に落ちない)
どうにも、仕事ばかりの提督みたいです……。
そんな港町もすっかり寝静まった頃。
この事務所近隣の鎮守府では……。
雪風「そんなー!また負けましたー!」
初霜「ふふ、私の実力も中々でしょう?」
霞「いい加減に寝ましょうよ二人とも」
雪風「いや、もう一戦です!」
ワイワイ
「……ふふふ、獲物が雁首揃えて待っておるわ。よし、行ってこい」
「あ、はい、がんばりますぅ」
「それじゃ、ウチラも準備に取り掛かるっすよ」
「お前その話し方なんとかならんのか」
雪風「また!なんでなんでぇ!」
初霜「私の方が運がよかったみたいですね」
雪風「勝つまでやりますっ!」
霞「ふわぁ~あ、まあいいか。明日も休みだから」
コンコン
雪風「あ!」
初霜「ど、どうぞ」
ガチャ
隣提督「みんな、まだ起きてるのかね」
霞「あ……その……」
隣提督「ふふ、別に怒ってはいないよ。明日は君たちはお休みだからね」
雪風「はい!」
隣提督「実はだな、みんなには内緒だぞ?ちょっとしたおやつを持って来た。みんなで食べなさい」スッ
雪風「わぁ!まんじゅう!」
初霜「い、いいんですか?」
隣提督「お前たちにはいつもがんばってもらってるからな。本当に内緒だぞ?」
雪風「ありがとうございます!」
隣提督「うむ、まあ疲れたら寝なさい。おやすみ」
霞「おやすみなさい……」
雪風「いただきまーす!」パクッ
初霜「美味しそう」パクッ
霞「せっかくだから、私も食べよっと」パクッ
雪風「美味しいです!でもなんか……」
初霜「なんだか、急に眠く……」バタッ
霞「ふわぁ~~……」バタッ
雪風「ううん……」バタッ
「……」ニヤリ
一体、どうなってしまうのでしょうか。
次回に続きます...
翌日の朝、案外グッスリと眠れるものです。こうまで意識されないと、ですけど。
磯波「ん……朝……」
提督「おはよう磯波、よく眠れましたか?」
磯波「はい、おかげさまで……」
提督「早速ですが仕事ですよ」
磯波「え、えぇ?」
提督「隣にも鎮守府があったでしょう。そこでなんと駆逐艦が行方不明だと」
磯波「ゆ、行方不明、ですか……?」
提督「そうです、なんでもエース駆逐艦、雪風、初霜、霞の三名が朝になると姿を消していたと」
磯波「どこかに、出かけたとかは……」
提督「それは考えられない、と依頼者は言っています」
磯波「無事だと、いいんですが」
提督「あ、朝ごはんなら戸棚にカップ麺があるからそれをどうぞ」
磯波「……朝からカップ麺。あの、パンとかはないんですか?」
提督「パン焼いちゃうと焦がしちゃうんで、置いてません」
磯波「そう、ですか……」
お隣鎮守府
ザワザワ
隣提督「な、なあ、頼むよ、彼女たちがいないと艦隊が成り立たないんだ」
提督「落ち着いてください雨森中将。それを今から調査するわけです」
榛名「お願いです、三人を必ず……」
提督「任せてください」
磯波「……」
提督「いくつか質問させてください、昨日の夜、部屋に立ち寄ったことは?」
隣提督「いや、入っとらんよ」
榛名「それについては聞き込みはしました。誰も部屋には行ってないそうです」
提督「そうですか。ではお部屋を拝見させていただきますが、よろしいでしょうか」
隣提督「ああ、もちろん見てくれ」
エース駆逐隊部屋
提督「では拝見……」
磯波「……」キョロキョロ
提督「……!これは」
磯波「なにか見つけました?……お菓子のかすじゃないですか」
提督「ええ、ただのお菓子のかすです。ではゴミ箱をご覧なさい」
磯波「ゴミ箱……空ですね」
提督「変だとは思いませんか?」
磯波「ゴミも出ないお菓子だなんて」
提督「ええ、滅多とありません。それにかすを見たところ饅頭です」
磯波「饅頭、ですけどそれが?」
提督「饅頭であることはどうでもいいんですが、おそらく睡眠薬を盛られたのでしょう」
磯波「どうして、そう思うんですか?」
提督「ここにいた三人を始末するだけであれば、この場で殺害すれば手っ取り早かったはずです。しかしそれをしなかった」
磯波「つまり、三人を生け捕りに」
提督「その通り」
磯波「でも、誰も部屋には立ち寄ってないと……」
提督「ええそうです。それでは窓を見てみましょう」
磯波「……あ!」
提督「土で汚れています。サッシはこういう汚れ方はしません。足で踏まない限りはね。それに周りは綺麗です」
磯波「じゃあ、犯人は窓から」
提督「その通り、外部の者の仕業でしょう。もっとも、ここの艦娘たちに動機はありませんが。外を見てみましょうか」
ガラッ
磯波「あ!足跡が三つ!」
提督「茂みに続いています……向こうはフェンスですね。乗り越えてきたのでしょう」
磯波「でもこんな足跡を残すなんて」
提督「犯人は相当マヌケのようですね。向かう先はおそらく海岸でしょう」
磯波「どうしてですか?」
提督「海から来るヤツラの仕業だからですよ」
隣鎮守府、執務室
隣提督「それで、つまりは誘拐ということか」
提督「その通りです、残念ながら」
榛名「ゆ、ゆうか…う~ん」クラッ
磯波「は、榛名さん、しっかり」ガシッ
隣提督「榛名、気をしっかり持て」
提督「そして艦娘を誘拐する、さらに言えば誘拐できる、誘拐する目的がある者と言えば」
隣提督「深海棲艦か……だがこんなことは初めて聞くぞ」
提督「ええ、今回が初仕事なんでしょう。そしてまんまと成功した」
隣提督「なんたることだ……」
提督「雨森中将、もしよろしければ、一つ頼み事を聞いてはくれないでしょうか」
隣提督「それはもちろん、全力で協力する」
提督「今からここの港を封鎖して誰も通さないで欲しいのです」
隣提督「誰も?小型ボートでもか?」
提督「ええ、それも民間船、軍籍、入るものも出るものも問わず、です。もちろん艦娘も」
隣提督「ふうむ……まあ背に腹は代えられん。いいだろう」
提督「ではまた、私たちはこれで。磯波」
磯波「はい、お邪魔しました」
街
提督「……」テチテチ
プルルルルル
磯波「誰に電話してるんですか?」
提督「お友達にね」
『もしもし』
提督「もしもし、あきつ丸。私です」
あきつ丸『おお!広川殿!ふふん、あなたから連絡をくれるとは』
提督「あきつ丸、少し手伝ってもらいたいことがありましてね」
あきつ丸『何でもどうぞ、自分は広川殿のためならなんだって』
提督「そうですか、ではそちらに向かいます」
あきつ丸『いや別に深い意味はないのでありましてこれは言葉の綾といいm』
ピッ
提督「行きましょう」
磯波「は、はあ」
一方、海岸の穴ぐら
「ふふ、うまくいったうまくいった!まさかこんなに簡単に成功するとはな!」
霞「離しなさい!このくそったれの深海棲艦!」
「はっ、ばァかめ。離せと言われて離すやつがどこにいる」
霞「そこに」
「トイレって言ってたんですがぁ」
「二人とも戻って来ないっすね」
「はぁー!?何をやっとるんだ貴様ら!!さっさと連れ戻してこい!!」
「「は、はいぃ!!」」
霞「あんたらは一体?ただの深海棲艦じゃないわね」
「ふっ、冥土の土産に教えてやるわ」
霞「いや結構」
「そう言わずに聞くだけ聞いてよ。私はレ級、名はアルマトイ。Приятно познакомиться」
霞「ロシア語?まあ深海棲艦とやらは多国籍なのね」
レ級「そうでもないさ」
「ええい大人しくしてよぉ!」
初霜「離しなさい!」
レ級「あのどんくさいのがネ級、キャプテン・マユズミ。なんと身長体重臭いまでも思いのまま変装できるのだ、すごいだろう」
ネ級「自己紹介ですかぁ?」
霞「ということは、お菓子を持ってきたのはそいつなのね!汚いったら!!」
ネ級「ご、ごめんなさいぃ…」
レ級「気圧されてどうする……ふ、戦争に卑怯も汚いもあるか!残ったアイツがソ級、058だ」
ソ級「やっと捕まえたっすね」
雪風「ぐぎぎ、離せ!」
霞「自己紹介どうも、これがあんたらにとっての悪夢にならないといいけどね」
レ級「だが今の貴様らにどうすることもできまい。二日後深海本拠地に送られる。それまで楽しみにしているんだな」
霞「ぐっ……」
雪風「しれえ……」
…
憲兵隊詰所
あきつ丸「な、ななな、なんでありますかその娘っ子はぁ!?」
提督「助手です」
磯波「磯波と申します」
あきつ丸「そんな!ずるい!ずるいであります!」
提督「はぁ?」
磯波「???」
あきつ丸「と、とにかく!ご用というのは!?」
提督「今夜、街の住民に外に出ないよう勧告してもらいたいのです」
あきつ丸「外にでありますか?」
提督「ええ。そして、君の部下たちを率いて街を見張って欲しい」
あきつ丸「それは一体どういう……」
提督「実は、そこの鎮守府で駆逐艦三名が攫われるという事件がありましてね」
あきつ丸「誘拐でありますか!」
提督「ええ、それで街を不用意に歩いてもらっては困るってわけです」
あきつ丸「わかりました、徹底させるであります」
提督「私も一緒に張り込みます」
あきつ丸「そ、それは素晴らしいでありますなァ~」
提督「もちろん磯波も」
磯波「は、はい」
あきつ丸「ガルルルゥ……」
磯波(なにこいつ)
なんだか、対抗意識を持たれたみたいです……。
そうして、夜になりました。
沖合では艦娘たちが封鎖にあたっていて、灯りがキラキラ光ってまるで蛍のようです。
海岸の穴ぐら
レ級「……暇だな」
雪風「お腹すいたぁ……」ギュルル
霞「……」グゥ
初霜「……」クゥ~
レ級「ふうむ……おい、キャップ」
ネ級「はいぃなんでしょぉ」
レ級「お前拠点から飯もらって来い」
ネ級「あぁ!ご飯ですねぇ!皆さんは何がいいですかぁ?」
雪風「おにぎり!」
霞「て、敵に施しを受けるだなんて……」
初霜「むぅ……」
ネ級「心配しないでも皆さんの分も貰ってきますよぉ!」
テテテテー
霞「何なのあの人」
初霜「悪い人じゃないみたいですね……」
レ級「何かわからんが、お人好しなんだよアイツ」
深海商店前
提督「……おや、お出ましのようです」
磯波「でも、見た目は普通の人ですよ」
提督「きっと変装でしょう、街にいたなら普通の人は出歩かないはずです。どんな手かはわかりませんが、あれで部屋にも侵入したようです」
あきつ丸「さあ!引っ捕え」
提督「待ってください、まず泳がせておくんです」
磯波「戻るところを尾行するんですね」
あきつ丸「むぅ……」
提督「さあ、バレないように」
コソコソ
「……」
提督「食べ物を抱えていましたね、食べるのでしょうか」
磯波「そりゃそうでしょう……」
提督「やはり睨んだ通り海岸へ向かっています。あきつ丸」
あきつ丸「はいはい!お呼びでありますか!」
提督「静かに。部下を呼んできてください、突入しましょう」
あきつ丸「は、はあ……ちぇっ、これじゃまるで都合のいい……」トボトボ
磯波(この人は司令官のことが好きなのかな。だとしたら悪いことしちゃってるかも……)
提督「磯波、尾行を続けますよ」
磯波「は、はい」
海岸の穴ぐら
ネ級「もらってきましたよぉ!」
レ級「随分と早かったな」
ネ級「不思議とだーれもいませんでしたからぁ」
レ級「ふうん、私はイクラがいい」
ソ級「ウチにもくれっすよ」
ネ級「もちろんありますよぉ!三人とも、おにぎり、いっぱいあるからどうぞぉ」
雪風「いただきます!」
霞「何も入ってないでしょうね」
ネ級「当たり前ですぅ、私たちも食べるんですからぁ」
初霜「それなら大丈夫そうね、いただきm」
「お待ちなさい」
レ級「何奴!?」
提督「ついに追い詰めましたよ深海棲艦」チャキ
レ級「何だ貴様、雨森ではないが」
霞「……誰だかわかんないけど」
初霜「助けが来たみたいですね」
雪風「もぐもぐむしゃむしゃ」パクパク
磯波「わ、私もいます」ジャキ
提督「私はあなたのような工作員を始末する者です。三人を開放しなさい」
レ級「ふっ、開放しろと言われて開放するヤツがどこにいる!」
提督「そこに」
ネ級「ほらぁ、仲間の元におかえりぃ」
初霜「は、はあ……」
霞「いいのかしら……」
雪風「おにぎり美味しかったです!」
レ級「何やっとんじゃ貴様は!」
ネ級「ひぃ」
提督「さあ、人質は全て返してもらいました。大人しく観念しなさい」
レ級「貴様が今構えている豆鉄砲でそんな脅したぁ見上げた根性だ。効くと思うかそんな銃が」
提督「そうでしょうか、試してみなければ」スッ
レ級「外へ?まさか!」
バシュッ
提督「そう、これは信号弾です」
「突入ぅぅーーーーーっ!!」タッタッタッ
レ級「やばい逃げるぞ!」ダッ
ソ級「そっすね」ダッ
ネ級「ひぃいぃ!」ダッ
あきつ丸「カロ艇部隊、突撃!連中を引っ捕えるであります!!」
「わああああああああ!!!」
レ級「脱出の準備はしてあるんだろうな!」
ソ級「多分大丈夫っすよ、ほらリモコンあるんでどうぞ」
レ級「どうぞじゃない早く起動しろ!」
ソ級「そっすか?」ポチッ
ゴォォォォォォォ
提督「いけません、洞窟が崩れます!」
あきつ丸「退避であります!」
ワーワー!
ゴゴゴゴゴゴ
レ級「今回はしてやられたが次はこうはいかんぞ!」
ネ級「そうだぁ、覚えとけぇ!」
ソ級「そっすね」
提督「驚いた、脱出ロケットですか!しかしロケット……」
磯波「どうやって着陸?するつもりなんでしょうか!?」
レ級「はぁ?ちゃくr」
シュゴォォォォォォ!!
「にゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
キラーン☆
…
提督「星に、なってしまいましたか」
磯波「ですねぇ」
あきつ丸「いや、面白い連中でありました」
ザァァー
磯波「あ、榛名さん!」
榛名「あの、ここで何が起こったんでしょうか……あ!三人とも!」
霞「なんとか、助かったわ」
初霜「ええ、なんか変な感じ」
雪風「眠くなって来ました……」
榛名「はぁ……よ、よかったあああああああ」ポロポロ
霞「な、泣くことないじゃない」
提督「ま、黙って抱きしめてあげなさいって」
磯波「そうですよ」
初霜「ただいま、榛名さん」
雪風「ただいまです!」
霞「ただいま……」
榛名「お゛か゛え゛り゛な゛さ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」ビエー
あきつ丸「い、いい話でありますなぁ……」グスグス
提督「無事、一件落着のようですね」
ザァァー
青葉「恐縮です!青葉です!一言お願いします!」
提督「えっ、ちょっ、え、ん、え」
霞「事件とくればすぐ駆けつけるわね」
榛名「そうですよ!読めないんですか!?空気というものが!」
青葉「い、いえ、そりゃ、みなさんが戻ってきて嬉しいですけど、なんというか記者魂が……」
初霜「でもよかった、それでこそ青葉さんだから」
雪風「はい!そうですね!」
青葉「あんまり褒められてる気がしないなぁ……で!取材です!」
提督「なんと言えばよろしいのでしょうか」
青葉「これからの意気込みとかどうぞ!」
提督「んー…なにか不思議なことがあれば我が事務所においでください。必ずや解決してみせます。この私広川と敏腕助手の磯波がね」
磯波「ええっ!?」
青葉「いただきました!記事にさせていただきますよ!」
磯波「適当なこと言わないでください!助手になって二日目ですよ!?」
提督「ま、いいではないですか」
私が事務所に来て、最初の事件でした。
これをきっかけに私たちはレ級アルマトイたちとの壮絶な戦いが始まってしまうんです……いやだなぁ。
次回に続きます...
その日は朝から天気がよくって、気持ちいい朝でした。
磯波「うーーーん、はぁ……」ノビー
提督「すー……すー……」zzz
磯波(……ほんとに何もしないんだよねぇこの人)
磯波「ふう、コーヒーでもないかな……」スタスタ
ガチャガチャ
磯波「あったあった」
…
コポコポ
磯波「……」ズズ
提督「おはよーございます……」
磯波「おはようございます。コーヒー、飲みます?」
提督「いただきましょう」
コポコポ
磯波「どうぞ」
提督「どうも」ズズ
磯波「……」ズズ
提督「……砂糖どこやったかな」
磯波「ブラック、飲めないんですか……」
提督「ええ、砂糖を入れないコーヒーなんて腐った麦茶です」ポチャン
磯波(この良さがわからないなんて……)
それから司令官は資料とずっとにらめっこしていて、暇で暇で仕方ありませんでした……。
あっという間にお昼になってしまいます。
磯波「司令官」
提督「なんです」
磯波「お昼ですよ、ご飯出来てますけど……」
提督「ほお」
磯波「食べましょう」
提督「そうですね」
カチャカチャ
提督「このレ級、アルマトイと言いますか。コイツだけ正体が掴めません」パクパク
磯波「ええ?」モグモグ
提督「ネ級、キャプテン・マユズミは間違いなくあの“マユズミ”でしょうね。それから…」
磯波「司令官」
提督「なんです」
磯波「食事の時ぐらい、仕事の話はやめてください……」
提督「あら……そう、そうね」
カチャカチャ
磯波「そういえば、街で変な出来事が起こってました」
提督「変な?変な艦これげk」
磯波「それは関係ないです。なんでも、チョコが大量に消えたとか……」
提督「ふうむ……」
磯波「おかしな話ですよね」
提督「磯波、臭いますね」
磯波「えっ?そんな、なにか臭いますかぁ……?」クンクン
提督「いえ、事件の臭いです」
.
どこぞの商店
「そうなんだよ、今朝だぜ?ひどい話だよ全く。でもどうしようもねえよ、いつ盗まれたのか」
提督「そうですか」
磯波「これはやっぱり事件じゃ……」
提督「そう見て間違いないようですね」
磯波「なにか、手がかりはありましたか?」
提督「いえ、さっぱり。店主さん、怪しい人影なんかは見かけませんでしたか」
「いや、見てないねぇ。ただ箱を開けたら空っぽで、昨日には確かにあったんだよ」
提督「ふむ……少し倉庫を調べさせてもらっても?」
「どうぞ、見てくれよ」
倉庫
提督「ふうむ……特に怪しい物は無い、と」
磯波「窓やドアに痕跡はありませんね」
提督「店主さん、朝に変わったことはありませんでしたか?」
「いや…そうだ、確かガラス屋が来たね。何日か前にガラスが割られて。それで……まさか!」
提督「そう、きっとそのまさかでしょう。そのガラス屋の特徴は?」
「あんまりわからないな、情けないことに仕事してたから……まさかガラス屋が盗むなんて思いつきもしなかった」
提督「それじゃあひょっとすると他にガラスを割られたという店はご存知ですか」
「向こうの通りにある店もやられたらしい」
提督「わかりました、ご協力ありがとうございます。磯波!」
磯波「はい!」
タッタッタッタッ
通り
提督「すみません、そこの!」
「はい、なんでしょうか」
提督「ガラス屋は来ましたか?」
「え、ええ、ついさっき」
提督「在庫の確認をしてみてください。それでどちらへ?」
「あのバンですよ、あそこの信号で止まってる」
提督「そうですか!ちょっと車を貸してください!」
「えぇ!?」
提督「磯波」
磯波「ご、ごめんなさい、緊急事態なんです……!」ジャキ
「は、はひぃ!?」
ソ級「いや、らくしょっすねぇ」
レ級「ふふふ、そうだろう」
ネ級「でもぉ、盗みだなんてよくないですよぉ」
レ級「お前この間誘拐しただろうが」
ネ級「ひぃ!私なんてことをぉ!」
レ級「しっかし、北方棲姫様もワガママでかなわんな」
ソ級「チョコが欲しいと駄々こねて大変らしっすよ。嗜好品は正規で手に入らんっすからね、監査が厳しくて……あれ」
レ級「どうした、058」
ソ級「後ろっすね」
レ級「ん?」
ブルルルルルル
提督「さあ、追いつきますよ」
磯波「あわわわわわわわわわわうううううううう」ガクガク
レ級「あんのにっくき若造ども!」
ソ級「ぶっちゃけ自分も若造じゃないっすか?」
ネ級「ほらまた怒られるよぉ、チョコ返しましょうよぉ」
レ級「お前なぁ、上にどやされるのは我が輩なんだぞ。わかったら妨害しろ!」クワッ
ネ級「はいぃ!」
レ級「後ろを開けて砲撃するんだ!」
ガチャ
提督「おや、いけませんね。磯波、身を乗り出して反撃です」
磯波「ええ!?無茶な!」
提督「なあに、なるようになるでしょう。運転なら任せて」
磯波「うう、やだなぁ……」
ウィーン
かくして、街中で前代未聞のカーチェイス砲撃戦が開始されたのです……。
ネ級「あたれぇ!」
ドン!
提督「よっと」
ギャギャギャ
磯波「うわあ!?司令官!」
提督「何言ってるか聞こえませんが、とにかく撃ってください!」
磯波「当たってぇ!」
ドンドン!
ソ級「無駄っすよ!」グリン
キキィーー!
ネ級「ほわぁ!もうやだぁ!」ズコー
レ級「情けないやつだな!代われ代われ!」
ネ級「はいぃ!」
レ級「この我が輩が来たからには、一撃で仕留めてみせる!くらえい!」
ズドン!
提督「危ないっつの!」
ギャギィー
磯波「あわぁ!落ち!落ち!」
提督「いけません磯波!」ガシッ
ズルッ
磯波「!?!?!?!?」
提督「おっと、失礼、可愛いお尻ちゃんが、うん、見えちゃいましたね、ゴホン」
磯波「もうやだぁああああああああああああ!!」ビエー
提督「砲戦は諦めましょうか」
磯波「うぅ……」シクシク
提督「いやね、あのね、しかしね、プリンとして中々魅力的でしたよ」
磯波「フ゛ォ゛ロ゛ー゛に゛な゛っ゛て゛な゛い゛で゛す゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」
レ級「なんだつまらん、頭を引っ込めたぞ」
バタン
ネ級「はぁ~~……」
ソ級「んーっと、ちょっとやばいっすね」
レ級「今度はなんだ!何がヤバイって言うんだ!」
ソ級「自分の、大口径っすからね。砲撃の衝撃でどっか壊れたっす。制御できんっすね」
レ級「……」
ネ級「……」
ソ級「……」
レ級「すまん!」
ガシャァアン
…
提督「全く逃げ足の速い連中です。もう姿を消しています」
磯波「ぐす……ひっく……」スンスン
提督「……ほら、これどうぞ」
磯波「これは……チョコレート……」
提督「私からのお詫びです」
磯波「でもこれって……」
提督「足りませんか?」
磯波「お店の物なんじゃ……」
提督「ああ……一個ぐらい貰ってもバレやしませんよ。“バレン”タインデーですからね」
磯波「バレン…ふふっ」クスッ
こうして騒動は終わりました。ちょっと恥ずかしいこともありましたけど……。
とにかく一件落着です。チョコはお店の人たちが回収していきました。
北方棲姫「バカッ!バカッ!ウンコタレ!カエレ!」ギャーギャー
港湾棲姫「いや、ごめん……ほんとごめん……急に無理言ったこっちが悪かった……」
レ級「ああ、いえ、そうですか」
ネ級「よかったですねぇ怒られなくてぇ!」
レ級「うん、そうね」
次回に続きます...
68 : 以下、名... - 2015/02/14 21:45:53.92 cs1ZbssOo 61/657ぱんつまでずりおちたのか気になります
69 : 以下、名... - 2015/02/14 21:47:59.05 iCCB4IZA0 62/657スーパー営業してるなら普通にチョコが手に入るのでは、と考えるのは野暮なんすかね
70 : ◆TLyYpvBiuw - 2015/02/14 21:52:03.57 J3yVIQOro 63/657し、嗜好品だから……
きっとチョコやタバコは手に入りにくいんだよ!
71 : ◆TLyYpvBiuw - 2015/02/14 22:41:11.42 J3yVIQOro 64/657深海商店の立場上、大企業などへの取り寄せや注文はリスクが伴うので、酒やタバコ、チョコなどの嗜好品や大きな設備の必要な加工品などはあまり置いていない。
あとパンツまでずり落ちた。
こういう感じでお願いします
青葉さんの記事が掲載されてから、仕事の依頼の手紙が来るようになりました。
でも失くしものを探してーとか不倫の調査だーとか、これじゃまるで私立探偵か興信所です。
パサッ
磯波「……また!犬の散歩だなんて、便利屋じゃないんだから」
提督「いや、有名になるのもいい事ばかりではありませんね。有名税ってやつでしょうか」
磯波「それにしたって、ひどいです」
提督「ひどいと言えば、最近宝石店で泥棒が入ったそうですよ、ほら新聞」
磯波「はぁ、『宝石店にて泥棒が侵入、憲兵隊もお手上げ。見つけた者には懸賞金』ですか」
提督「しかしこのご時世に宝石屋なんて儲かるのかね」
磯波「儲かるんでしょうねぇ……」
ピンポーン
提督「おや、お客のようです」
磯波「はーい」
ガチャ
男の子「……」
磯波「あら僕、何かご用?」
男の子「あの、相談したいことがあるんです」
磯波「あら相談……」
提督「おや、これはまた随分と小さなお客さんですね。どうぞお入り」
…
提督「それで、相談というのは?」
男の子「これ……」スッ
キラリーン
提督「阿賀野……ではなく宝石ですか。でかいなこれしかし」
磯波「どこでこれを手に入れたの?」
男の子「ペットのジローが持ってきちゃったの」
提督「ふむ、ジロー……ワンちゃんかな?」
男の子「うん。近くの空き地で遊んでいたら拾ってきたんだ。誰のかわからないし、もし僕が盗んだなんて言われたらと思ったら……」
磯波「怖く、なっちゃったんだね」
男の子「うん……」
提督「なるほどね」
磯波「司令官、これってきっと」
提督「私もそう思っていました。僕、おじさんたちをその遊んでいた空き地に案内してくれないかな。持ち主を探すのはその後で」
男の子「うん、いいけど…」
提督「それから、ジローくんも連れてきて欲しいんだけど、いいかな」
男の子「いいよ!」
空き地
ブルルルルン…
ガチャ
提督「ここで間違いありませんね」
男の子「そうだよ。な、ジロー!」
ワンワン!
男の子「待ってよジロー!」タッタッタッ
磯波「司令官、よくすんなり受けましたね、深海棲艦絡みでもないのに」
提督「……子供にとって軍施設を訪ねるというのはきっとすごく勇気のいることだと思いましてね」
磯波「そう、ですか……」ニコッ
提督「……なにかおかしいことでも言いましたか?」
磯波「いいえ。さっ、手掛かりを探しましょう」
提督「はあ、そうですね」
ワンワン!
提督「ジローくん、君が宝石を見つけたところを教えてくれないかな」
ハッハッハッハ…
提督「……ダメだこりゃ」
磯波「そりゃ無理ですよ……」
レ級「な、なんでヤツがここにいるんだ!」ヒソヒソ
ソ級「知らねっすよそんなの」ヒソヒソ
レ級「見つけられちゃ大変だぞ、我々の仕業だとバレちまう」
ソ級「でもあのガキが宝石を一個持ってるらしいっすよ」
レ級「それで一個足りなかったのか……このネックレスの一番大事な部分なのに」
ソ級「じゃあガキごととっ捕まえてトンズラこいたらいんじゃねっすか」
レ級「連中に見つかるだろうが」
ソ級「別にそれが嫌ならいっすけど、空母棲姫様にそんなネックレス渡すの自分っすよね」
レ級「……よし、あの連中を見張れ。我が輩はガキの方に行く」
ソ級「わかりっしたー」
.
磯波「もう回収してしまったのかもしれません」
提督「いや、また戻ってくるはずです。あの男の子が持っていた宝石には何かにはめ込まれていた跡がありました」
磯波「じゃあ何かアクセサリーの、あの大きさだと一番メインの宝石でしょうかね」
提督「ええ、必ず探しにやってくるはずです」
イデェーーーーーー!!
提督「なんですか一体」
男の子「おじさーーん!」
ワンワン!
提督「僕、どうしたんだい」
男の子「アイツがいきなり襲ってきて!」
レ級「あんの犬っころめが、本気で噛みやがって畜生!」
磯波「あの人っ!」
提督「僕、ジローくん、私の車に乗ってください。磯波、逃げますよ」
磯波「は、はい」
ワンワン!
タッタッタッタ
ソ級「大丈夫っすか?」
レ級「大丈夫っすか?じゃないわアホ!追うんだ!キャップのところまで行くぞ!」
ガコガコ、ブゥゥゥゥン
提督「そうだ、磯波。地図を出してください」
磯波「は、はい、グ○グルマップでいいですか?」テチテチ
提督「ええ、少し妙案が思いつきましてね」
男の子「おじさん!前!」
提督「おっと」
キキィーーー!!
ネ級「通せんぼですぅ!」
提督「おや、ハイ○ースが犯罪者御用達とはどうやら本当のことのようですね」
ネ級「ト○タに謝れぇ!」
レ級「はっはっはっは!逃げられるか青二才!おっと自己紹介がまだだったな!我が輩は天才的な工作員、アルマトイ!」
提督「私は広川一郎、ただの海軍中佐です」
レ級「ふっ、宝石は貴様を踏み潰した後にゆっくり頂くとしよう。キャップ!」
ネ級「はいはいぃ!」
ギャギャギャギャ
提督「我々も飛ばしますよ」
ガコガコ
ブゥゥゥゥゥゥゥン!!
磯波「この間と引き続きカーチェイスですか!」
提督「少々残念ですが今度は上着を掴みますからね、妨害お願いします」
磯波「はい!……はい?」
提督「いえなんでも」
ウィーン
磯波「えい!」
ドンドン!
レ級「くっそう!あいつらめ!」
ネ級「あわわわぁ!」
ソ級「まずいっすね、キャップが運転じゃ誰も反撃出来ないじゃないですか」
レ級「うーん、困った。とにかく追いかけろ!見失うなよ!」
ネ級「はいぃ!」
提督「僕、大丈夫かい?運転荒いけど」
男の子「スリルがあって楽しいよ!」
ワンワン!
提督「それじゃ赤信号もぶっちぎりますからね。磯波」
磯波「ごめんなさいっ!」ドンッ!
ズガァン
キキィー!
「地面が吹っ飛んだぁ!」
「危ないぞみんな止まれぇ!」
提督「ごめんあそばせ」
男の子「無茶苦茶するねー!」
提督「まあ時にはね。磯波、妨害はもういいので電話を頼みます」
磯波「はい、あそこにですね!」テチテチ
レ級「あいつら、とんでもねーなぁー」
ネ級「怖いですぅ」
ソ級「でももう撃って来ないっすよ」
レ級「何があったかは知らんがチャンスだ、距離を詰めるぞ!」
ブゥゥゥゥゥン!!
男の子「おじさん!追いつかれちゃうよ!」
提督「スポーツセダンを舐めなさんなってばさ!」グッ
ブィィィィィィィィン!!
男の子「わぁっ!速い速い!!」キャッキャッ
ワンワン!
磯波「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏…」ガクガクブルブル
提督「もうすぐですね」
隣鎮守府
隣提督「お!あれだな!総員戦闘準備!」
「ハッ!!」
ザッ、ジャキッ
隣提督「あの車の後続を撃つんだ!」
ブゥゥゥゥゥゥゥン!
榛名「なんだかブーンって擬音ばっかりですね」
隣提督「メタ発言は大丈夫じゃないぞぉ榛名!」
提督「じゃ頼みましたよぉおぉぉぉぉおぉおぉ~~~~」
隣提督「よしこれの次だ!」
榛名「砲撃用意!」
レ級「うおおおお待てええええ!!」
ネ級「こ、ここってぇ……」
ソ級「いかんっすね」
榛名「撃てぇーー!!」
ドドォン!
レ級「ぬあああーーーーーーーーーっ!!!」
ネ級「ひゃぁ~~~~~!!」
ソ級「やっぱ今回もダメッしたね」
キラーン☆
提督「空にきらめく星となれ……か。おや、あれは」
パシッ
提督「どうやら、盗まれたアクセサリーも無事帰ってきましたよ」
磯波「わぁ、素敵なネックレス」
提督「僕、宝石を」
男の子「うん!」
カチリ
磯波「はぁ……こんなネックレス付けることができたら素敵でしょうにね」
提督「今のうちつけてみたらどうです」
男の子「きっと似合うよ!」
磯波「それじゃ、ちょっと……似合いますか?」
提督「ええ、とっても素敵ですよ」
磯波「そう、ですか……///」カァー
隣提督「広川くん、一体何事かね」
榛名「何があったんですか……あ!綺麗な首飾りですね!」
磯波「えへへ……」
提督「ま、こういうことです。さて、懸賞金を貰いに行きましょう。僕、見つけたのは君とジローくんだから、君たちが貰いなさい」
男の子「本当!?やったぁー!!やったなジロー!」
ワンワン!
小さな男の子とワンちゃんの冒険はこうして幕を閉じました。
懸賞金は結構な大金で、男の子のご両親も大喜びだったそうです。
ジローちゃんのご飯はちょっと豪勢な物に変わったとか。
次回に続きます...
今日は雨の日、ますます冷え込みます。
こんな日に仕事なんてきたら堪ったもんじゃありません。
二人して布団に包まってしまいます。
モゾモゾ
磯波「寒い……」
提督「じきに暖房が効いてくると思うんですが」
磯波「いい加減布団増やしましょうよ」
提督「置く場所がないじゃないですか、それにベッドも一つだし」
磯波「部屋増築とかできませんかねぇ」
提督「ま、考えておきましょう」
磯波「……郵便受け見てきます」ダッ
提督「お願いします」
磯波「うー寒い寒い」
提督「いや、いい助手を持って私は幸せ者ですよ」ヌクヌク
磯波「ふぅ」モゾッ
提督「どうですか?」
磯波「んーと」
パサッ
磯波「……」
提督「ふむ……」
磯波「何かありますか」
提督「いえ、全然」
磯波「はあ」ガクッ
バンッ!!
磯波「ひゃっ!」
提督「ん、なんなのか」
スタスタ
あきつ丸「……」
「……」
提督「おや、あきつ丸。それから御仁。御用があるならインターホンもあったでしょうに」
あきつ丸「……は!?なんで、その娘っ子とね、ね、寝ているんでありますかぁー!?」
提督「話すと長ーくなります」
あきつ丸「広川殿!正直言って自分の方がスタイルも」
「あきつ丸」
あきつ丸「あ、失礼。ゴホン、広川殿、言いたいことは色々あるでしょうが、今は黙ってついてきていただきたい」
提督「ふむ……訳ありのようですね」
磯波「あ、あの……」
提督「磯波、着替えましょう」
私たちはあきつ丸さんたちにどこかへ連れて行かれました……。
どこかの、会議室でしょうか?テーブルに椅子が並べられています。
提督「……」
磯波「……」オドオド
あきつ丸「……」
「おい、お前」
提督「なんです」
あきつ丸「た、隊長殿……」
「テーブルに足を乗せて、少し行儀が悪いんじゃないのか?」
提督「まっ、人んちのドア蹴破って何も言わず連れていくよりはマシでしょうよ」
「……」
あきつ丸「あわわわわ……」
提督「あきつ丸、その人は誰なんです?」
あきつ丸「こ、このお方は、大塚芳夫憲兵隊長、大佐であります」
提督「そうですか、私は」
隊長「広川中佐」
提督「ご存知でしたか」
隊長「……」
提督「……」
あきつ丸「……」
ガチャ
隣提督「全く、ワシも忙しいというのに緊急招集とは」
榛名「何かあったんでしょうか」
提督「おや、雨森中将」ガタッ
隣提督「広川くん、君も来ていたのか」
榛名「磯波さんもいますね」
隣提督「広川くん、何があったのかね」
提督「大事でもあったんでしょう、例えば秘密兵器が盗まれたとか」
隣提督「なんと!それは大問題だ!」
提督「ただの憶測ですよ」
隊長「いや、憶測ではない」
あきつ丸「ああ、隊長殿」
隊長「その若造が言う通り、秘密兵器が盗まれた。対深海棲艦の新型魚雷の試作型だ」
ザワッ……
あきつ丸「しかし隊長殿、まだ揃っては」
隊長「先に伝えていても問題はない」
ガチャ
「やあやあ諸君」
瑞鶴「こんにちは」
提督「おや、あなたは確か」
隣提督「エリートの神谷亮中将、だったかな」
榛名(七光りって話ですけどね)
七光提督「そうです、僕がエリート、神谷亮」
瑞鶴「あまり調子に乗らないように」
七光提督「あ、はい」
隣提督「で、神谷中将、新兵器が盗まれたそうじゃないか」
七光提督「あれ、皆さんもうご存知で」
隊長「軍の工廠で夕張たちが研究をして、ついに試作が出来たってところに盗みに入られた」
七光提督「そうです。しかし、全くと言っていいほど足取りは掴めていません」
瑞鶴「そこで皆にも協力して欲しいと思って」
隊長「窃盗団が新兵器を盗んで、一体何の意味があるっていうんだ」
隣提督「いや、全くじゃ」
磯波「……提督、これって」
提督「あんにゃろめしか、いませんね」
七光提督「心当たりがあるんですか?」
提督「ええ一人、いや三人ですかな」
瑞鶴「それで、どこにいるの?」
提督「それは情報をまとめてみないと。まず、工廠は港湾の中心部にあります」
七光提督「そうですね、湾の一番奥にあります」
提督「そしてもちろん、調査すべきはこの湾に沿った工業区や倉庫」
隣提督「ああ、あいつらか!それならきっと海沿いだろうな。でもそれじゃかなりの広範囲になるぞ」
提督「そうなりますね、そこで犯行グループが簡単に利用できるところは?」
榛名「やっぱり空き倉庫でしょうか」
あきつ丸「あ!大戦不況で一帯が空き倉庫になった地区に潜んでいるとか!」
瑞鶴「そこを調べるの?」
提督「いいえ、誰もいないはずの地域に人が出入りすればかえって怪しまれます。ではどうしましょう」
磯波「木を隠すなら森の中、ですね」
提督「その通り、現在も稼働している工業区の中に絞れるはずです。さらに音を出しても気にされませんからね」
七光提督「なるほど」
隣提督「そこの中を手当たり次第に探っていけばいいんだな」
提督「いえ、それはよくありません。感づかれないようにしなくては」
隊長「つまり潜入捜査か……なるほど、いいセンスだ」
提督「ま、別にコソコソやる必要はありませんけどね」
七光提督「よし!そうと決まれば早速準備に取り掛かりましょう!」
こうして潜入捜査が始められました!
港湾沿いの工業地区
ブロロロ…
ガチャ
隊長「待たせたな」
あきつ丸(誰に言ってんだこいつ)
提督「さて、始めましょう」
隊長「雨森のじーさんはともかく、エリートのやつ来なかったな」
七光提督『いやー!僕は肉体労働は向いてないからねー!』
提督「ま、そんなもんでしょう。彼らには海上封鎖を行ってもらっています」
磯波「どこから始めますか?」
隊長「ちょっと待て。こいつを持っていけ」スッ
提督「これは……ダンボールですか」
隊長「ただのダンボールじゃない、ラブダンボールだ」
提督「……いや、え、え?」
隊長「ダンボールはすごいぞ、これに隠れてやり過ごすこともできるし、踏み台にだってできる」
提督「で、ラブっていうのは」
隊長「二人隠れることができる、だからラブダンボール」
提督「……はぁ」
隊長「それからこれだ。カロ○ーメイトと即席ラーメン。腹を満たせ」
提督「そう……ですか……」
隊長「じゃあ俺たちは向こう側へ行く。あきつ丸」
あきつ丸「はい!広川殿、お騒がせしてすみませんです」
提督「え、ええ」
磯波「提督、これ……」
提督「ま、何かに使えると思いますよ。多分ね」
変な人ですが、いい人、なんでしょうか……?
次回に続きます...
110 : ◆TLyYpvBiuw - 2015/02/18 19:39:48.57 3zPYnWrYo 96/657これはよい児童向けとか書かれちゃ下手にイチャラブキャッキャウフフは書けないなー(棒読み)
どーしちゃおうかなーと考えてるところ
でもこの雰囲気だとそういうのはぶっこみにくいよね
工業地区の空き倉庫
グゥ~
ネ級「お腹空いちゃったなぁ……」ショボン
ソ級「そっすね、でも今日中に港出ないと奴さんにどやされるっすよ」カチャカチャ
ネ級「でも、力が出ませんよぉ」
ソ級「はぁーあ、気が利かんっすよね奴さんは」カチャカチャ
ネ級「魚雷の調整はまだかかりますかぁ?」
ソ級「そっすねー、残りの調整にはあと数時間は欲しいとこっす」
ネ級「そっかぁ……」
ソ級「あの夕張とかいうヤツ、字が汚いんすよね~。これ読める?」スッ
ネ級「……わかんないよぉ」
ソ級「そっ。だから全部手探りっす。どうも誘導するってことはわかりっしたけど」
ネ級「まだかかりそうですねぇ……ラジオでも聞こっとぉ」カチ
ザザーー
ネ級「あれぇ?」
ソ級「そこ扉を開けたらいっすよ多分」
ギィ
ザザザ
『…多摩の部屋にゃ。今日もゲストとお話していくにゃ~』
……
工業地区
ザァァァァ
隊長「こちら大塚、工業区に到着した」
あきつ丸(……この人といると疲れるであります)
サッ、サササッ
隊長「気づかれないように物陰に隠れつつ行くんだ」
あきつ丸「はぁ……」
「……」ジー
「ありゃ何やってんだ?」
「さぁ……」
あきつ丸(うう、恥ずかしいであります……)
隊長「今は雨が降っている。こういう時は敵にバレにくい」
あきつ丸「ただ寒いだけであります……」
「いやー、わからないね。あんまり出歩くことはないから」
提督「そうですか、ご協力ありがとうございます」
磯波「はぁ……」
提督「おそらく海に面しているところにいるはずですが」
磯波「一つ一つ確かめるしかないみたいですね……」
提督「そのようです。さっ、行きましょう」
レ級「おい戻ったぞ」
ネ級「あ!帰ってきたぁ!何かお土産ありますかぁ?」
レ級「お土産ぇ?あってたまるかそんなもん!058、調整はどうだ?」
ソ級「……」ムー
ネ級「……」ムスー
レ級「なんだその顔は」
ソ級「腹減って動けんっす」
ネ級「目が回るよーだぁ」
レ級「何ィーッ!?」
ネ級「サラダ、それもエビサラダがいいなぁ」
ソ級「何か精のつくものが欲しっすねー」
レ級「ぐぬぅ~~、わ、わかった。何か仕入れてくる」
「「わぁい!やったぁ!」」
レ級「その代わり!!サボるなよ!!時間までに完成させんと報酬は無しだぞ!あ、自転車借りるぞ」
ギィ
ザザーン…
磯波「地図を見ても……ここらに無ければもうどこにあるのかさっぱり……」テチテチ
提督「海上の艦娘たちもしっかり見張ってるみたいですが、連絡はありません」
磯波「まさか、推理が外れたんじゃ」
提督「まっ、たまにはそういうこともあるでしょう。おや」
磯波「どうしました?」
提督「ダンボールに入って!」
磯波「うわっ!」
ガボッ
レ級「ったく、商店の連中はケチだから金取るんだよなー。雨も降ってるしもーやだ!へーっきし!」ブツブツ
シャー
提督「どうやら推理は外れていなかったようですね」
磯波「ひゃあ、喋らないでぇ、耳に息が」
提督「おや失礼、弱いんですか耳」
磯波「あふぅ」
提督「ダンボール外しますよっと」
ガバッ
磯波「はぁ……地面に座ったからお尻が濡れちゃいましたよ」パシパシ
提督「こんな雨の日にスカートなんて履いてくるからですよ」
磯波「これが艤装ですからしょうがないじゃないですか」
提督「じゃ、パンツ脱げば?」
磯波「嫌ですよ!」
提督「まぁそりゃそうか。しかし厄介なのが一人消えてくれましたね」
磯波「はい、それじゃあ倉庫に」
提督「ええ、行きましょう」
タッタッタッ
…
隊長「……あれは」
あきつ丸「間違いない、レ級アルマトイであります」
隊長「愉快に自転車に乗っている」
シャー
レ級「ふ~かく~ふ~かく~み~ゆき~のよ~おな~♪」キコキコ
隊長「動くな!」
レ級「なぁ!?」
隊長「うおっ!」
ガシャーン!
あきつ丸「そりゃ走ってる自転車の前に立ったらそうなるであります……レ級アルマトイ!ここで会ったが百年目であります!」
レ級「自転車の前に飛び出してくるな!危ないったらないわったく!」
隊長「あきつ丸!捕まえろ!」
あきつ丸「了解であります!」ガシッ
レ級「おっと!貴様ごときの艦娘に捕まるほどの我が輩ではない!」グイッ
あきつ丸「うわぁ!」
レ級「海に落ちろ!」ポイッチョ
あきつ丸「無念であります!」
ザバーン
隊長「くっ!」ズドン!
カイーン
レ級「そんな豆鉄砲が効くか!」ガシッ
隊長「クッ!」
レ級「仲良く海水浴してなっ!」ポイッチョ
隊長「うおおおおおおおっ!!!」
ザバーン
レ級「全く、時間を取らせおって。だがしかしどうやら計画がバレたらしい。戻らなくては!」
シャー
あきつ丸「……とりあえず連絡するであります」
隊長「海水冷てぇ……」
コンコン
ネ級「もう帰ってきたのかなぁ」
ソ級「どうぞっす」
「あ、どもどもー。ラーメンお届けに参りやしたー」
ソ級「ラーメン?」
「アルマトイって人からです。出来立てを大急ぎで持ってきましたよ!」
ネ級「サラダが良かったけどラーメンでもいいなぁ!」
ソ級「この寒いのにラーメンはうまそっすね。奴さんもたまには気が利くっす」
「熱いのでお気をつけてくだせぇ」
ネ級「しかし、そっちは娘さんですかぁ?」
「は、はい、そうですけど」
ネ級「家族経営だなんて感心ですねぇ!」
ソ級「どっこも厳しんでしょ、こんな時勢」
「そうですねぇ、ところでお二人は何を?」
ネ級「ちょっと盗んできた魚雷を…」
ソ級「しー!あれっすよ、金版加工みたいな、ね」
「なるほどですね。あ、どうぞお気になさらず召し上がってくだせぇ」
ネ級「そうですねぇ、それじゃあ」
「「いっただっきまーす!」」
ズルズルムシャムシャ
「……」スッ
ガンッ!ゴンッ!
ネ級「」
ソ級「」
提督「……やれやれ、即席ラーメンがこんなところで役に立つとは」
磯波「ちょっともったいない気もしますけどね」
提督「とにかく、縛ってその辺に隠しておきましょう」
ゴソゴソ
提督「さて、魚雷をどうしましょうか」
磯波「私の魚雷管に装填してとか」
提督「なるほど、グッドアイディアです。しかしサイズが合いますかね?」
シャー
キキィ
レ級「アイツらは無事かな……ん?」
「ダメですよぉ、ここは……んっ」
「おや、この辺りはビショビショですね」
「うう……そこは違います……」
「失礼、じゃあこっちに」
「はい、入れてください」
「……ふぅ、入りました」
「それじゃあ、もう一つの方も……」
「もしもの時は撃ちますからね」
「はい、準備は出来てますから……」
バンッ!!
レ級「お前ら!!人のアジトで盛ってんじゃねー!!!」
提督「え……いや、え、え?」
磯波「魚雷を装填してたんですけど……」
レ級「知ってたよ」
ネ級「エッチな想像したんだぁ!や~らしぃ~~!」
ソ級「スケベっすね!」
レ級「うるさいっ!何捕まっとるんだ貴様らは!」
提督「まずいですね」
レ級「この主砲でブチ抜かれたくなければ、大人しくしてるんだな。それからその魚雷管も少し借りるぞ」
磯波「て、提督……」
提督「ま、万事休すとでも言っておきましょう」
海上司令部
あきつ丸『~の地点にすぐ向かわれたし!』
隣提督「了解じゃ!」
七光提督「画面で確認します……ここですね、工廠からこんなに近くだったなんて」
隣提督「総員、目標地点へ向かえ!」
『了解!』
隣提督「よし、我々も指揮をとるぞ!」
七光提督「はい!瑞鶴、運転頼んだぞ!」
瑞鶴「わかった!」
レ級「ふふふ、貴様らはこの我々が華麗に港を発つ姿をじっくりと見ているがいい」
提督「くそー、アルマトイの茄子のヘタ!」
レ級「そんな悪口があるか!もっとこう…あるだろう!」
ソ級「『ゲロ』とかどうすか」
レ級「そうだな……お前あとで泣かす」
ソ級「ひえっ」
提督「コントなんかやってないでさっさと出てってくださいよ」
レ級「それもそうだな、よし行くぞ!」
ネ級「ねね!あ、あれぇ!」
レ級「今度は何だ!……うお!?」
ザァァァァ
榛名「勝手は榛名が許しません!」
大和「深海棲艦の企み、ここで阻止してみせます!」
霞「行くわよ雪風!」
雪風「はい!頑張ります!」
夕張「私の発明品返して!」
七光提督「レ級がいると聞いて大急ぎで大和を連れてきましたよ」
隣提督「いや、流石はエリートじゃな」
レ級「くっそう!全てバレていたのか!だがこれしきの艦隊返り討ちにしてくれる!出撃だ!」
ネ級「はいぃ!」
ソ級「ほっ!」
ズザァァァ
磯波「艦隊は大丈夫でしょうか……」
提督「さあね、みんなの武運を祈りましょう」
大和「砲雷撃戦、はじめます!」
レ級「ふっ、ノロマめ!」
榛名「主砲!砲撃開始!!」
ドンドン!
レ級「当たるかぁ!」
ネ級「ひぃ~~!こんなの聞いてませんよぉ~!」
レ級「馬鹿!お前も撃たんか!」
ネ級「当たったら死んじゃうじゃないですかぁ!」
レ級「当たり前だバカタレ!仕方ない、この魚雷を試してみるか!」
シュゴッ
夕張「むむっ、あれを使ったみたいです!」
大和「あの魚雷!?」
夕張「あれは脅威度を察知して高い方へと向かっていく誘導魚雷!炸薬量も従来の比ではありません!」
霞「なんでそんな恐ろしいもの作ったのよ!」
夕張「えへへ、つい」
雪風「ってことは、大和さんが狙われるってことですよね?」
大和「えっ」
榛名「皆さん、大和さんから離れてください」
ザァァァァ
大和「えっ!ちょっと!置いてかないで!」
榛名「はい!榛名は大丈夫です!」
大和「ふざけんなマジで!」
スィー
大和「こ、こっち来ないで!ついてくるな!」
ドォーン
大和「たばぁーーーーーーッ!!」ピュー
夕張「あらー、爆発力がデカすぎて飛んでっちゃった」
霞「女子としてありえない叫び声ね」
七光提督「や、大和がこっちに!」
隣提督「でぇーー!危ない!」
大和「どいてーーーーー!!」ピュー
ゴシャァ
七光提督「あぁ~おワッタ~!」
ザブーン
瑞鶴「提督ー!大和さーん!」
隣提督「なんだかえらいことになったわい!」
レ級「はっはっはっは!こいつは半端じゃないぞ!」
ソ級「も一発行っときましょ」
レ級「そうだな!発射だぁー!」
シュゴッ
夕張「もう一発来ます!今度は榛名さんです!」
榛名「……」ガシッ
雪風「!?離してください!」
榛名「いえ!雪風ちゃんなら!幸運の女神がついてるから!」
雪風「誘導なんかどうにもなりませんよ!霞ちゃん助けてぇ!」ジタバタ
霞「幸運を祈るわ」b
雪風「薄情者ー!!」
榛名「大丈夫だから!大丈夫だから!」
夕張「魚雷きたー!」
スィー
雪風「ひいぃいい!!」
クルン
榛名「あれ?」
夕張「反転して……」
雪風「ふ、ふう……」
霞「どういうことかしら」
レ級「ん?おかしい、そろそろ爆発してもいい頃だが」
ネ級「あ!あれ!あれ!」
ソ級「こっちに来るっすね」
スィー
レ級「なんでだ!なんでこっちに!逃げろ!」
ネ級「もう間に合わな」
ドォーーン
「「「だああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」」」
キラーン☆
夕張「そうか!脅威度は敵も味方も含まれるわけか!だから大和さんの次はレ級を狙ったのね!」
霞「敵も味方もって、兵器として致命的だと思うんだけど」
夕張「……やっぱりそうかなぁ」
雪風「見損ないましたよ!榛名さん!」
榛名「いやぁ、そのぉ、ごめんなさい……」
雪風「当たらなかったから良かったものを!もぉー!」プンスカ
ブゥゥン
瑞鶴「みんなー!」
隣提督「無事かねみんな!」
榛名「あ!提督!そういえば大和さんは!?」
大和「ここにいますよ~~」
雪風「あ!無事だったんですね!」
大和「提督がクッションになってくれて、なんとか沈没は免れたわ」
七光提督「」ピクピク
夕張「提督の方が死にそうね」
隣提督「それじゃあ、みんなを迎えに行こうか」
ブルルルン
提督「どうやらなんとかなったみたいですね」
磯波「よかったぁ……」
隊長「おい、広川」
提督「おや、隊長さん、あなたのダンボールとラーメンが役に立ちましたよ」
隊長「だから言っただろ?お前もダンボールの良さがわかったか」
提督「ええ、意外と馬鹿にできませんね」
あきつ丸「マジでありますかそれは……」
提督「……晴れてきましたね。磯波、ご覧なさい」
磯波「あ、虹ですか!」
あきつ丸「綺麗でありますな!」
提督「そして、迎えも来たようですね」
「おーーい!」
あきつ丸「お迎えご苦労でありまーす!」
ワーワー
磯波「提督、これであの三人組は滅びたと思いますか?」
提督「さあね、連中はゴキブリのようにしぶといですから」
こうして無事に事件は解決しました。
夕張さんは懲りずにまだまだ開発を続けるそうです。
でも、工廠の警備もより厳重になるそうですから、とりあえずは安心でしょうか。
ガサガサ
レ級「クソッ!忌々しい帝国軍め!覚えておれー!」
ネ級「あ!可愛いウサギぃ!見て見てぇ!」
ソ級「ここがどこの山だかわかれば素直に可愛がれるんすけどね」
レ級「畜生、ここはどこなんだ……」
次回に続きます...
147 : ◆TLyYpvBiuw - 2015/02/19 19:58:09.31 kVasguAZo 128/657初めて防諜した気がする。てか読みづらいよなぁ……なにかいい手段を考えなくては
第五話 北方急行殺ケーキ事件
あの事件が終えてから数日。依頼の手紙も訪問者もさっぱりで、退屈な日々が続いています。
磯波「はぁ~~あ……」
コポコポ
提督「磯波、そのコーヒーを何杯も飲むのはなんとかなりませんか」
磯波「ええ?はぁ……暇だからつい……」
提督「確かに、こう暇だと脳みそがベチョっとなります」
ピンポーン
提督「おや」
磯波「あ!誰か来ましたよ!」トテテ
提督「仕事だといいんですけどね」スタスタ
ガチャ
磯波「はーい」
望月「……ここが広川中佐の事務所だよね」
提督「そうです、私が広川一郎中佐」
望月「実は頼みたいことがある」
提督「なんです?」
望月「ウチの鎮守府をなんとかしてくれないか」
磯波「鎮守府を……?」
提督「何があったんですか?」
望月「ウチの司令官が艦娘たちを洗脳してるんだ」
磯波「洗脳?」
提督「ふむ……立ち話もなんですからお上がりなさいお嬢さん。そこのソファに」
望月「あ、ああ……」
提督「ちょっと待っとってね」
望月「うん……」スタスタ
磯波「提督、これは何かの間違いじゃ……」
提督「君ってものは、大湊からはるばる来た子を追い返せますか」
磯波「大湊?青森からですか?」
提督「まず胸につけたワッペンは大湊の物です。それから、服装、艤装の汚れ。遠征から帰った艦娘にそっくりです」
磯波「それじゃ、海上をずっと……」
提督「よくよくの事なんだよきっと」
磯波「……」
提督「それで、洗脳について詳しく教えてくれないかな」
望月「ああ。ある日突然艦娘たちが司令官のことを好きになってしまった、というか……」
提督「好きに?しかも突然?」
望月「うん、前日までどうこう言ってなかった艦娘までも」
磯波「恋は突然に、とは言うけど、いくらなんでも……」
提督「他に変わったことは?」
望月「それに乗じて、明石さんが司令官の私物オークションなんか始めて、もうグチャグチャなんだ」
提督「ふむ……よし。行きましょう、大湊へ」
望月「本当か!?ありがとう……!」
提督「ただし、事務所で体と服を洗うこと。随分汚れてるみたいですからね、よいですか」
望月「ああ!」
駅
ザワザワ
磯波「電車に乗るなんて初めてですっ」ワクワク
望月「あたしもだな」
提督「それも寝台列車ですよ、車が減ったので増えてるそうです」
磯波「でも、東北行きには誰もいませんね」
望月「まあ東北だからな。大湊だって、鎮守府を一歩出たらなんにもないし」
磯波「ふ、ふぅーん……」
提督「おや、あれは」
ワイワイキャッキャッ
卯月「さあどいたどいたぴょん!」
赤城「三段ケーキだなんて……」ジュルリ
加賀「赤城さん、はしたないですよ」
赤城「あ、すいません」フキフキ
川内「勝手に食べちゃダメだよ」
龍驤「せやで、まあ美味しそうやけどな」
朝潮「司令官にお披露目するまでお預けです」
提督「どうやら私達だけではないみたいですね」
望月「共同か、2等車両だもんな」
磯波「それも楽しそうです!」
提督「どれ、挨拶しておきましょう」
卯月「絶対!食べたらダメぴょん!」
赤城「わかってますよぉ」
提督「ちょっと失礼」
卯月「ぴょん?」
提督「私たちも同じ車両に乗るんです」
望月「ああ、大湊までな」
磯波「よろしくお願いしますね」
卯月「よろしくっぴょん!」
赤城「よろしくお願いします」
加賀「……でも男ですよね」
磯波「大丈夫ですよ、この人私が隣に寝てても何もしませんから」
加賀「それなら安心」
川内「ホモなの?」
龍驤「ホモやろなぁ」
朝潮「ホモってなんですか?」
提督「変なこと言われちゃ困りますよ磯波!」
磯波「でも事実じゃないですか」
提督「何もしないってところがね、ホモじゃありませんから」
望月「ところで、その大きな荷物は?」
卯月「これはしれーかんへの誕生日ケーキっぴょん!」
加賀「単冠湾ではこういうのは作れませんから」
提督「なるほどね。さぞかしあなた方の司令官も大喜びでしょうな」
卯月「もっちろんぴょん!しれーかんの喜ぶ顔が目に浮かぶっぴょん!」
望月「……」
磯波「望月ちゃん……」
赤城「あの、どこか具合でも?」
望月「いや、気にしないでくれ」
提督「……さあそろそろ時間です。入りましょうかみなさん」
ゾロゾロ
私たち以外に乗ってる人はいなかったみたいです。
すっかり日も沈んで夜になりました。
寝台車
ガタンゴトン
卯月「そうっぴょん!すっごく美味しい特注のヤツっぴょん!」
磯波「へぇー!すごいなぁー!」
提督(よく飽きもせず何度も話せるもんですね……)ハァ
卯月「ふわっふわのスポンジになめらかなクリーム!キラキラ輝くイチゴを乗せた一段目!」
磯波「いちごのショートなんだっ!」
卯月「レンガのようなチョコでびっしりコーティングし、最高級のクルミやナッツで彩った二段目!」
磯波「ほろ苦~~くて、甘~~いんだねぇ~~!」
卯月「そして!最高においしいチーズを使ってふんわり焼き上げ、仕上げにアプリコットジャムをたっぷり塗った三段目!」
磯波「はう~~~」バタッ
卯月「これぞまさしく芸術!一度に三つの味が楽しめる!スンばらしいんだからっ!」
磯波「か、革命児や!革命児がここにおるで~~~!」ジタバタ
望月「お前たち馬鹿だろ!」
提督(まっ、何度見てても面白いからいいか)ホッコリ
提督「しかし……」ヌトォ
赤城「あ、すみません……」ゴシゴシ
提督「まあ、あんまり言いませんけど、女性ならもちっとしっかりした方がいいと思いますよ」フキフキ
赤城「ごめんなさい……」
加賀「赤城さんをいじめないでください」
提督「いや、いじめてるわけじゃ。むしろ被害者ですよ、上からよだれが降ってくるなんて」
赤城「話聞くだけでよだれが……」
加賀「赤城さん……」
そして寝る時間になりました。
卯月「うーちゃんは夜通し見張るっぴょん!」
川内「誰も食ったりしないでしょ」
龍驤「せやで」
卯月「いや、念の為にぴょん!何が起こるかわからないっぴょん!」
加賀「まあ、構いませんけど、ほどほどにね。おやすみ」
パチン
卯月「……」
夜中……。
卯月「グゥー……グゥー……」zzz
ガサゴソ
卯月「……ん?あ!」
ガタッ!
タッタッタッタ!
ガラッバタン!
卯月「待つぴょん!」
ガラッ!
卯月「……あれ!?確かにこっちに逃げたはず……」
ゴソゴソ
卯月「あ!もうひとり!」
ダッ
タッタッタッタッ
ビタンッ!
「いてっ!」
卯月「あっ、大丈夫ぴょん?」
ガラッピシャッ
卯月「待てー!」
ガラッ
ビュゥゥゥゥ
卯月「うわっ!外!……一体どこに……」
トボトボ
卯月「次来たって……絶対手は出させないっぴょん!……グゥー」zzz
………
……
…
卯月「グゥー……」zzz
チュンチュン
卯月「うーん……朝かぁ……あぁぁぁ!!?」
赤城「どうしました!?」ガバッ
加賀「何事ですか」ガバッ
卯月「しれーかんのケーキがぁぁぁぁぁぁ!!!」
グシャァ
赤城「なっ!?」
加賀「!」
提督「ふわぁーあ、何事でしょうか。おや」
卯月「うぅ……どうして……なんで……」シクシク
赤城「誰かに、食べられてますね……」
提督「ふむ、磯波。事件ですよ」ユサユサ
磯波「うぅん……ん……」モゾモゾ
提督「磯波」
ガバッ
提督「おや失礼、こっちはお尻でした」バサッ
磯波「んん……提督……?」
提督「磯波、その歳でどうぶつパンツっていうのは少々子供っぽいと思いますよ」
磯波「そうですか……考えときます……」ムニャムニャ
提督「それより起きてください。事件ですよ」
磯波「……!?なんでパンツ見たんですか!」ガバッ
提督「磯波、事件です」
磯波「あ、はいぃ」
望月(なんなんだこいつらは……)
なんと!あの誕生日ケーキが誰かに食べられてしまったのです!一体誰が……?
次回に続きます...
寝台車
ガタンゴトン
ザワザワ
卯月「誰が!ひどい!そんな!一体どうしてぴょん!」
朝潮「うーちゃん、まずは落ち着いてください」
卯月「これが落ち着いていられますかっぴょんだ!この中で誰が犯人か調べなきゃ!」
赤城「はあ……犯人ですか……」
提督「それでは、調査して証拠を集めなくてはなりません。ここは私が」
卯月「その通りっぴょん!名探偵うーちゃんの推理が冴え渡るっぴょん!」
提督「え、いや、ちょ、え」
朝潮「うーちゃんが、探偵?」
卯月「そうぴょん!そして朝潮が助手っぴょん!」
朝潮「え、ええ」
磯波「お鉢を奪われちゃいましたね」
提督「そうですね……」
朝潮「それじゃ、うーちゃん。まず手掛かりを探しましょう」
卯月「くだらないっぴょん。なぜなら犯人はもうわかってしまったぴょん」
「えぇーっ!?」
朝潮「うーちゃん!どうしてもう犯人がわかっちゃったりしちゃったんですか!?」
卯月「どう考えても犯人は、あの部外者の三人の誰かっぴょん!」
磯波「ええ!?」
望月「言いがかりだ!」
卯月「あんなに美味しそうなケーキ、我慢できなかったんでしょ。望月!」
望月「えぇー!?」
モチヅキザサード♪
卯月「望月ぃ~~逮捕だぁ~~!手錠をくらえ!」
ヒュッ
望月「おっといけねっ!」パシッ
卯月「何を小癪な!」
望月「これ返すぜ!」
ガシャン
卯月「しまった!柱に!くそ、待て~~望月~~~!!」
望月「あぁーばよーうっつぁ~ん!獲物は確かに頂いたぜ!」モグモグ
卯月「くっそー!逃がさんぞー!地の果てまでも追い詰めてやる!」
……
…
望月「なんだそりゃ」
卯月「そう、これは望月、あなたの仕業っぴょん!」
朝潮「あの、うーちゃん?それってただ決め付けてるだけだし……」
卯月「何が言いたいの朝潮くん!」
朝潮「第一、柱に手錠で留められたなら、どうしてここにいるの」
卯月「……確かに、鋭い質問ぴょん」
朝潮「いやいや」
卯月「それなら、話は簡単。犯人はそう、広川一郎!またの名をジェミー・ボルドー!」
提督「えっ」
デデッ!テー!デデッ!テー!デデデデ!デン!
提督「珍客到来かな。ようこそ、一杯どうです」
卯月「ダメよ、先客があるの」
提督「いいじゃないか。ミス・ラビットムーン」
卯月「……詳しいのね」
提督「君の第一印象は刺激的でね、バックショットもまた」
卯月「部下の失礼はお詫びするわ、命令に過剰反応しちゃって」
提督「気にすることはないさ、それよりバカルディを一杯いかがかな」
卯月「言ったでしょ、先客があるの。さよなら、“ジェミー・ボルドー”」
提督「じゃあまた、と言ってくれ。なぜか君とはまた会う予感がする」
……
…
朝潮「ちょっと待って。長くなりそうなので」
卯月「まだ肝心の犯行パートに入ってないぴょん!」
磯波「提督はそんなオシャレなスパイなんかじゃない!ただのガサツなおっさんだよ!」
卯月「言われてみれば、確かにそうぴょん……」
提督「なんでこんなこと言われなきゃなんないの」
卯月「となると、磯波。あなたが犯人ということになるっぴょん」
磯波「え!どうして!」
卯月「さっき気がついたけど、磯波はあからさまにニンジャなのだ!」
磯波「……」
スタタタタ
磯波「ドーモ、ウヅキ=サン。イソナミです」
卯月「アイエエエエ!ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」
磯波「寝台車にニンジャはいますか?おかしいと思いませんか?あなた」
サツバツ!殺戮者のエントリーだ!ケーキスレイヤー=サンは思った、何事も暴力で解決するのが一番だ。
磯波「ゴウランガ!」
ケーキ=サンに一太刀浴びせる!
ケーキ「グワーッ!」
ワザマエ!ケーキ=サンはしめやかに爆発四散!サヨナラ!
……
…
望月「ちょっとやめないか」
朝潮「そうよ、だいたいケーキは食べられたのよ。切られても爆発もしてない」
卯月「ううう……じゃあどうすればいいぴょん!」
提督「いい加減な推理はやめて、論理的にやるのはどうです」
卯月「うーん……」
磯波「まずケーキを見てみます、一段ずつ食べられてますね」
卯月「そうぴょん!一度に三回も!」
提督「いえ、犯人が一人だとするのは少々早合点ですよ」
磯波「それにまだ口の中に証拠が残っているかもしれません」
卯月「あ!そうぴょん!みんな口開けるっぴょん!」
朝潮「ええ、いやですねぇ」
卯月「なんでぴょん!?さては……」
朝潮「だって朝起きて歯磨きしてないし」
卯月「歯磨きしたら意味ないっぴょん!黙って開けるぴょん!」
朝潮「アー」カパッ
卯月「……異常なしぴょん」
赤城「……」カパッ
卯月「異常ないっぴょん」
加賀「あ~」カパッ
卯月「うーん、何もない」
…
卯月「全員なにも無かったぴょん」
提督「そうですか……。ところで卯月さん。あなたは一晩中ケーキのそばで見張ってたそうですね」
卯月「まさかうーちゃんを!?」
提督「いえ、それならばあなたは何かを目撃したのではないか?と」
卯月「……あ!そうぴょん!すっかり忘れてたっぴょん!」
提督「それを」
朝潮「それならそれを!一つづつ思い出して!」
卯月「うーんと……まず、夜中ガサゴソと音がして、列車の前の方へ!」
朝潮「前ね!」
ガラッ
朝潮「……何もない」キョロキョロ
卯月「なんと忽然と姿を消したぴょん」
提督「きっとドアの裏などにさっと隠れたのでしょう、とするとs」
朝潮「あ!何かが挟まってる!」
卯月「布ぴょん?ドアを慌てて閉めたから」
朝潮「それから?」
卯月「そしたらもう一回物音がして、今度は客車の後ろに……外で行き止まりなのに見失ったぴょん」
朝潮「後ろね!」
タッタッタッ…
ガラッ
朝潮「……特に変わった様子はないけど」
磯波「そこに何か落t」
卯月「あ!これは!まさかこんなものが……」
朝潮「その次はどうしたの?」
卯月「戻ってケーキを朝まで見張ってたぴょん!」
朝潮「朝まで?」
卯月「……眠っちゃうまでぴょん」
提督「証拠はそr」
朝潮「証拠は揃ったみたいね」
提督「……磯波、なーんかやな感じですね」
磯波「そうですね……」
朝潮「まず、第一の証拠、この布切れ!大慌てでドアを閉めた為に挟まってちぎれたんです!」
赤城「でも、誰のどこの布、なんですか?」
朝潮「そ、それは……」
提督「ところで川内さん、あなた今日スカーフはしていないようですが」
川内「えぇ?いや、汚れてるから」
提督「昨日から今までに、何か汚れることでもしたんですかね」
朝潮「川内さん!マフラーを見せてください!」
川内「あう……ごめんよ、ケーキ食べたのあたしなんだ……」
卯月「川内さんが!?信じられない!裏切り者っぴょん!それじゃあこれで」
朝潮「いやまだです、これを見てください!」スッ
龍驤「あぁ!?そ、それは!」
朝潮「龍驤さん、これに見覚えがあるみたいですね。そう、これは式神を呼び出す……なんか紙です!」
龍驤「そうや、ウチが外に飛び出して艦載機でふわりと宙を舞った、そしてやり過ごしたんや……」
赤城「しかし、それだと三つ目の食べ口は……」
加賀「……実は私が」
卯月「みんなひどいっぴょん!なんで食べちゃうぴょん!うええええええ!!」ビエー
川内「……それは卯月の説明があまりにも美味しそうだったから」
龍驤「ああ、ウチらはバカや!」
加賀「悔やんでも悔やみきれません……」
卯月「ぐすっ……いいぴょん。思えば単冠湾じゃこんなケーキ絶対食べれないっぴょん。魔が差すのも無理ないっぴょん」
朝潮「しかし、事件は解決したけど……ケーキはもう……」
ドヨーン……
提督「……望月、大湊に間宮か伊良湖はいますか?」
望月「ああ、確かいたけど……」
提督「このまま終わっても後味が悪い、私が一肌脱いで差し上げましょう」
卯月「おっさんのストリップなんて見たくないぴょん!」
提督「そらそうだ。皆さん、大湊に寄る時間はありますか?」
赤城「無いことはありませんけど……そうか、そういうことですね」
提督「実は私は間宮券をいくつか持ってましてね。新しく作ってもらいましょう。味もしっかり再現してね」
卯月「本当!?」
提督「ええ。ただし、犯人の皆さんはしっかり反省して、仲直りしてくださいね」
磯波「魔が差すだなんてことは誰にだってありますから」
川内「ごめんね、卯月、朝潮、赤城さん」
龍驤「気持ちを裏切ってしまって……」
加賀「自分自身に頭に来ます」
卯月「いいぴょん。それよりも帰ってからしれーかんに謝るっぴょん!」
提督「ふぅ……なんとか無事、着地したようですね」
赤城「……あの、卯月さん」
卯月「ぴょん?」
赤城「作り直すんなら、一口いただいても……」
卯月「これだもん」
その後、大湊の間宮さんにケーキを作り直してもらいました。
なんとかみんなの仲に亀裂が入ることはなかったみたいです。よかったよかった。
さて、それでは望月ちゃんの依頼を解決しなくてはなりません。
一体どんな事件が待ち受けているのでしょうか!
次回に続きます...
~第六話 私の愛した司令官~
遠路遥々この大湊にやってきました。
望月ちゃんが言うには艦娘たちが洗脳されている、とのことですが……。
大湊警備府 執務室
「ふっふっふ……モテモテ電波装置、すごい効き目だね明石」
明石(私も提督の私物オークションで大儲け。提督には感謝感謝)
喪女提督「この、橘花泉がモテ覇権を取った!そう言っても過言では無い!」
明石「その通りです提督」(モテ覇権?)
喪女提督「しかし、もっちーはどこに行ったのかな……もっちーがいなきゃ外にも出れない」
明石(あんたがそんなだから愛想つかしたんじゃないの)
喪女提督「……ところで、最近私物がよく無くなるんだけど」
明石「いえ、存じませんねぇ」
大湊警備府 門前
提督「うーん。外観からは特に変わった様子は見受けられませんね」
望月「理由はわからない、まるで魔術か幻術の類だ」
提督(もし、入るだけでそれが効くのであれば……)ムムム
磯波「ど、どうしました?私の顔に……」
提督「望月、あなたのように正気を保ったままの艦娘はいますか?」
望月「ああ何人かいる。そいつらも困惑してるよ」
提督「そうですか、では彼女らと合流いたしましょう」
スタスタ
提督「……!」
磯波「?どうしました?」
提督「いや、別にどってことないんだけど」
望月「おい、何か変だぞ」
提督「なんだかここの提督に無性に会いたくなったんだよなー!」
磯波「まさか!えぇっ!?そりゃないでしょ!」
望月「お前が洗脳されるのかよ!」
提督「別に洗脳はされてないんだよなー!」
望月「こ、こういう風に人が変わるんだよ……」
磯波(ここは、私がしっかり事件を解決しなくちゃ!早くしないと提督が……!)
磯波「それじゃ、調査だよ望月ちゃん!」
望月「こ、こいつはどうすんだよ」
磯波「ある意味では都合がいいから、利用させてもらおう」
望月「お、おう……」
磯波「まず範囲。提督、おいで」グイッ
提督「やめてほしんだk…おや、磯波。そんなに引っ張られては」
望月「範囲なんか調べてもなんか意味あんのか?」
磯波「調べられることは、全て調べるべきだって、提督が言ってたの」
提督「その意気ですよ磯波。ところで離してほしんだけどなー」
磯波「ダメです」
提督「なんか頭が行ったり来たりっていうか、グワングワンする」
磯波「ほら、ここに立ってください」
提督「うん」
望月「提督使い荒いなー」
…
磯波「この四角い警備府をすっかり覆ってるみたいだね。でも四隅に効果はない」
望月「だとするとこの魔術は円に効力があるってことか」
磯波「そうなるよ。この建物の中心に何かありそう!」
提督「こ、これは私のキャラではない、大塚隊長とかそっちの方の役目ではありませんか!」
磯波「何言ってるんです提督!仕事ですから!」
提督「仕事だからってこんなことされちゃ困ります!」
磯波「望月ちゃん、単純にあなたの司令官が怪しいんじゃない?」
望月「いや、聞こうとしたら明石が出てきていつもはぐらかされたんだ」
磯波「明石さん……確か、オークションを」
望月「そうだ」
提督「なるほど、初歩的な推理だ。確実にその明石が怪しいですね」
磯波「望月ちゃん!明石さんがどこにいるか知ってる?」
望月「執務室にいると思う、行こう!」
磯波「はい!」
提督「行きましょう」
タッ
磯波「あ」
提督「なんだか無性に、胸がドキドキしてきたんだよなー!」ダッ
磯波「待って提督ッ!」ダッ
望月「あ!ちょ……あれ……」
ポツーン
望月「……司令官、女なんだよな。まずいっちゃあまずいわな」
タッタッタッタ
これは後から考察したんですが、艦娘はみんな女の子だから正面から突撃するってことは無くって、
ずっと牽制、駆け引きが行われていたんだと思います。
でも提督は猪突猛進とばかりに突き進んでいきます。これは問題です。すっごく問題です。
警備府内
タタタタタタ…
磯波「提督!止まって!止まれ!」
提督「いえ、愛を止めることなんか出来るはずありません」
羽黒「これは!」シャッ
名取「提督の!」シャッ
伊19「ピンチなの!」シャッ
磯波「そこの人たち!この人を止めてくださーい!」
羽黒「止まってくださーい!」
ガッキィ
提督「まだまだですね」ムン
羽黒「た、倒れない!」
磯波「引きずっている!」
名取「待ってください!」ガキッ
伊19「止まるの!」ガキッ
磯波「また捕まった!三人は流石に」
提督「その程度では、私の愛を止めることは出来ませんね」グワワッ
磯波「すっごぉ~~~いッ!三人を引きずりながらも突進をやめない!まるで重機関車ですッ!」
伊19「言ってる場合なの!?」
磯波「四人目ですッ!!」ガシィ
提督「ぐっ、流石にぐらつきますね……!」
磯波(でも、このままじゃ捜査を続けることなんて……)
望月「何してんの……?」
磯波「あ、望月ちゃん!提督を抑えつつなんとか捜査する方法は……」
望月「……無いんじゃないか」
磯波「そっか……じゃあ司令官に耐え抜いてもらうしかないかな……」パッ
提督「隙有り!」ダッ
羽黒「ま、待ってくださ~~い!」ダッ
名取「追いかけなきゃ!」ダッ
伊19「イクから逃げられると思うの!」ダッ
望月「このタイミングで伝えるが、ウチの司令官は女なんだ」
磯波「……さあ、望月ちゃん。提督はあの三人に任せて、明石さんをとっととしょっ引いちゃうよ」
望月「う、うん」
地下倉庫
敷波「あたしたちも洗脳はされていないんだ」
扶桑「望月、あなたがいない間に調査を進めていたら、こんなものが」
望月「これは……」
ピピー、ピピー
磯波「間違いありません、これが騒動の原因です。ちょうど円の中心ですね」
望月「どうしてわかる」
磯波「ここに『モテモテ電波装置 by 明石』って書いてあります」
望月「ズコー」
敷波「さあ急がなきゃ、こいつを持っていこう!」
望月「その場で止めることはできないのか?」
扶桑「色々試してみたけど、どうも提督だけが知ってるパスワードがあるみたい」
敷波「下手にぶっ壊したら何が起こるかわからないしな」
望月「なるほどな」
執務室
喪女提督「なんか騒がしいね」
明石(きっと、望月が誰かを連れてやってきた。私はそう予感してる)
喪女提督「あ、もっちーかな!」
コンコン
喪女提督「もっちー?」
ガチャ
提督「いえ、あなたのダーリンです」
喪女提督「」
明石「うげっ、男!?」
提督「おやおや、どうしました。可愛いレディ。びっくりした顔もキュートですけどね」
喪女提督「」
明石(可愛いって……中の下、いや下の上ぐらいじゃん)
喪女提督「明石!ワタシ可愛いなんて言われたの初めて!」キャッキャッ
明石「ああ、でしょうね」
提督「あなたのお名前は?」
喪女提督「あ、あのぅ……っか……」
提督「照れてるのかな?」
喪女提督「きっかいじゅみ……」
提督「橘花泉、いい名前です。まさしく美しいあなたに相応しい。僕は広川一郎、君の愛しの王子様かな」
喪女提督「うぅ……おーじさま……///」
明石(ゲェー!歯がガタガタ浮くようなセリフッ!)
羽黒「待ってください!」
伊19「てーとくに手は出させないの!」
名取「提督は私と...するんです///」
伊19「あ?」
羽黒「は?」
名取「ほぅ?」
明石(盛り上がってきたところで退散しよ……)コソコソ
磯波「待ちなさい、明石さん」
明石「ん?あ、どうも」
望月「明石……」
明石「げっ!」
磯波「げっ、ということは。何かやましいことでもあるんですね?」
明石「そ、それは……」
望月「手品のカラクリならもうバレてるぜ」
敷波「これだろ、明石」
ピピー、ピピー
明石「そ、それは」
扶桑「これが艦娘たちを惑わせていたんですね」
明石「でもそれは提督にしか切れないんですよ」
望月「そうだな。おい司令官!」
喪女提督「もっちー!どこ行っていたの!」
望月「司令官。夢は終わりだ。もう目覚めてみんなのところへ帰ろう」
喪女提督「……!」
提督「あ、マイスイーt」
ガンッ!バタッ
磯波「ちょっと、寝ててくださいね」
敷波(おーこわ)
望月「それともこのお花畑みたいなところに、ずっと居続けるのか」
喪女提督「それは……」
望月「ただ司令官を好いてるだけな“装置”とずっと暮らして、それで満足なの?」
喪女提督「だって……」
望月「だって?」
喪女提督「だって私だってチヤホヤされたかったし…!他の人みたいに恋だってしたかった!」
望月「……」
喪女提督「だって、隣に誰もいないんだよ、孤独だよ、ずっとひとりぼっちで生きてきて、
それでも頑張って提督になったのに、ちょっとぐらいご褒美もらってもいいじゃん!」グスッ
望月「司令官」
喪女提督「生まれながらに必要とされるあんたらには一生わかんないだろーね!」ポロポロ
望月「司令官!」ガバッ
ギュッ
喪女提督「……!」
望月「司令官、あたしにはあなたが必要だ」
喪女提督「それは提督だから……!」
望月「あなただから必要なんだ。司令官、あたしが艦隊に配属されたばかりの話をしてやる」
艦隊に馴染めず、一人でいたあたしに声を掛けてくれた。
喪女提督『ひ、一人?』
望月『ん?ああ』
喪女提督『なんで一緒に食べないの』
望月『別にいいだろ、なんでも』
喪女提督『じゃ、じゃあ、ワタシと食べょぅ……』ボソッ
望月『……いいけど、別に』
変な奴だって思ったよ。でもこの時、あたしはきっと救われたんだと思う。
馬鹿で、不器用で、どうしようもない愚図で、でもお人好しな司令官に。
それから、ずっと一緒にいて、秘書艦にもなってさ。
本当に楽しかった……。本当さ。嘘なんかじゃない。
喪女提督(あ、あれは……)
望月「一人で食べてるの見ると昔を思い出して嫌だったから声かけた、とかだったんだろうけどさ」
喪女提督「うん……図星……」
望月「それでもこうやって、横須賀まで行ってさ、迷走してる司令官をどうにかしようってぐらいには好きになった」
喪女提督「うん、うん……」ポロポロ
望月「だからさ、泣かないでくれよって。こんなあたしだけど、傍にいるからさ……」
喪女提督「……望月」
望月「えっ?」
喪女提督「パスワードは『望月』」
この橘花提督は、学生時代を孤独に過ごし、士官学校でも孤立していたそうです。
成績は優秀でしたが、人間関係という面では落第点でした。
彼女は晴れて提督になり、望月ちゃんと出会ったのです。
でもずっと無能感に悩まされ、『本当に自分は必要なのか』と考えてしまったんですね。
明石「冗談で言ってると思ったんですよ……でもこれは……」
望月「どっちでもいいぜぇ、あたしは。逮捕となったら書類とか色々とめんどーだしぃ」
明石「……いや、自首します。すっかり反省してからまた会いましょう」
望月「どーせ、執行猶予とかですぐ帰ってくると思うけどね」
敷波「望月もいつもの調子に戻った」
扶桑「よかったわ」
羽黒「あの、あたしたち……」
伊19「数週間ぐらい記憶がないの……」
名取「何か恐ろしい事件でも……?」ウルウル
敷波「いやいや、忘れちまいなよ……っても記憶が無いんだったか」
喪女提督「さ、さよぅ......」ボソボソ
望月「さよならだってさ」
提督「え、ええ。まあ我々は特に何もしていないんですけどね」
磯波「考えてみればそうですよね……」
敷波「いいきっかけには、なってくれたよ」
扶桑「引き金を引いたみたいなものですよ」
提督「物騒な例えですね」
喪女提督(ああっ、そういえば……お、おーじさまだなんて///)カァー
提督「ん?どうかなさいましたか」
磯波「いいですよー提督は気にしなくて」
提督「はあ、そうですか」
喪女提督(いい夢見させてもらいました、ありがとうございます)ニマニマ
望月「ありがとう、だって」
喪女提督「!?」ビクッ
提督「え?ええ、どういたしまして」
望月「また暇なときにでも遊びに来いよ」
提督「そうですね、また機会があれば」
望月「あたしはめんどくさいからもうそっちには行かないけど」
提督「なんなのそりゃ」
…
提督「……なぜか頭がズキズキします」
磯波「そうでしょうね」
提督「磯波、君怒ってはいませんか?」
磯波「怒ってませんよ」
提督「そう、です、か……?」
磯波「さあ、帰りましょう、横須賀へ」
提督「ええ、そうですね」
事件はなんとか収まりました。
橘花提督はこれから頑張ってイメチェンしていく!と意気込んでいるとか。
イメチェンって言葉が若干古いような気もしますけど、それなりに楽しくやってるみたいです。
明石さんは、特に罰則を受けはしませんでした。でも反省するために自主的に謹慎をしているそうです。……が、
駆逐艦たちに引っ張り回されて以前と全然変わらない生活なんだそうです。
無事丸く収まったみたいでよかったです!
次回に続きます...
第六話の注ぎ足し
磯波「そういえば、あの電波はどういう条件で発動したんでしょうね」
提督「そうですね……完全にランダムなのではないでしょうか?あるいは出力側で設定できるとか」
磯波「名取さん、羽黒さん、イクさん、それと提督。望月ちゃん、敷波ちゃん、扶桑さん、そして私」
提督「……くまさんぱんつでは?」
磯波「くまさんぱんつは関係ないです!もう忘れてくださいよぉ」
提督「磯波のくまさんぱんつ、私は好きだなぁ」
磯波「えっ!そう、ですか……ってごまかさないでください!」
提督「別にごまかしたつもりはありませんけどね」
プルルルル
磯波「ん?あ、望月ちゃんからだ。もしもし」テチッ
望月『もしもーし、そういえばあの電波の条件聞いてみたけどさ』
磯波「あ!ちょうどその事について話してたところなんだけど」
望月『そっか。それで条件なんだけどな……パンツ、どんなだった?』
磯波「え!?く、くまさんだったけど……」
望月『やっぱりそうか……わかるな、つまりそういうことだ』
磯波「えぇ~~……じゃあ扶桑さんも……?」
望月『ああ……くまさんだった……』
磯波「そ、そうなんだ……ありがとう、わざわざ」
望月『いいってこと。それじゃあね』
磯波「うん、じゃあね」
ツー、ツー
提督「どうでした?」
磯波「パンツ、パンツでした……」
提督「やはり、私の推理に間違いはありませんでしたね」
磯波「間違いであって欲しかったですよ……」
んなアホなって感じです...
224 : ◆TLyYpvBiuw - 2015/02/25 09:00:40.14 T75g6fQCo 181/657蛇足かなと思ったが書いた以上投稿しなくちゃな!
まあこの装置もう出ないと思うし
くまさんふんどしとかどこで売ってるんでしょうね
第七話 特型遊撃隊
大湊の事件の後は平穏な日々が続いていました。
でもそんなある日、またあの連中が何か企んでいるようです……。
深海商店 スタッフルーム
レ級「ふっふっふ……」
ネ級「仕事しないとまた怒られますよぉ」
レ級「我々はこんなところで品出しをするために敵地に送られて来たのではない」
ソ級「別にいっすけどね、ウチは」
ネ級「うん、私もぉ」
レ級「貴様らにはプライドというものがないのか!」
バサァッ!
ソ級「あ、すごい写真の山」
ネ級「みんな広川のだぁ……」
レ級「我々はにっくき広川のために数々の苦渋を舐めさせられてきた」
ソ級「コテンパンにっすね」
レ級「ヤツを叩きのめし、我々の誇りを回復するのが急務である」
ネ級「あ、そういえば店長が呼んでたよぉ」
ソ級「へぇ、後で行こ」
レ級「あの小賢しい若造を倒すため我が輩は日夜考え続けた」
ネ級「これ終わったら何するぅ?」
ソ級「お肉コーナーの点検っす」
レ級「我が輩はヤツの動向を探るべく調査を続けた」
ソ級「ストーカーっすか」
ネ級「酷いことするねぇ」
レ級「うるさいんだよ黙って聞けぃ!!」
ソ級「そんで、どーすんすか」
レ級「誘拐するのさ」
ソ級「誘拐!?またっすかぁ!?」
レ級「今度はミスはしないさ、それにブレインであるヤツはこちらの手の内だ」
ネ級「わかったぁー!誘拐してお婿さんにする気なんだぁ!」
レ級「んなわけあるか!!」
ネ級「彼かっこいいもんねー!」
レ級「だ、黙れっての!///」
ネ級「へへー、赤くなったぁ!」
レ級「このぉ!!」ダッ
ネ級「へへー!まんざらでもないんだぁー!」ダッ
ソ級「ちょ、こっち来ないでっすよ!」ダッ
ドタバタ
一方、宿毛湾泊地。
叢雲「磯波……心配だわ」
深雪「ほんの数日連絡よこさなかっただけじゃないか」
吹雪「そうだよ、少し心配のしすぎじゃない?」
叢雲「いや!あの子は気が弱いんだから!それに世の中には怖い提督もいるのよ?」
初雪「例えば?」
叢雲「怪しい薬を事あるごとにジャラジャラ飲んだりするヤツとか」
白雪「はあ……」
叢雲「犬だ魔力だと言葉巧みに艦娘を誑し関係を持とうとするヤツとか!」
初雪「モノは言い様だよね」
叢雲「学園を作ってそこで生徒として暮らしてるヤツまでいるのよ!?」
深雪「それは別に悪徳でもないだろ!」
吹雪「それ本当にこの世界の話なの?」
初雪「ていうかそんなこと言っちゃ怒られちゃうよ」
叢雲「怒られるって、誰に?」
初雪「それは……そりゃ色んな人に怒られると思う」
叢雲「ふうん。まあいいわ、とにかくみんなで横須賀に乗り込むわよ!」
吹雪「いいのかなぁ~」
深雪「楽しそうだな」
白雪「じゃあ司令官に許可取ってきますね」
初雪「意外と乗り気だね白雪」
数日後、事務所
ピンポーン
磯波「ぐ~……すぴ~……」zzz
提督「ふわぁ~あ、こんな時間からなんです……」ガバッ
ピンポーン
提督「……ってもう10時ですか」
スタスタ
ピピピピピピンポーン
提督「はいはい、今行きますよっと」
ガチャ
提督「はい」
叢雲「あんたが広川!?」
提督「その通り、私は広川中佐です。仕事の依頼ですか?」
叢雲「磯波いるでしょ!」
提督「ええ、いますけど。まだ寝てますよ」
叢雲「私は磯波の姉の叢雲、様子を見に来たわ」
提督「はぁ、そういうこと。どうぞ上がってください」
深雪「お邪魔しまーす!」
吹雪「どうも!はじめまして!」
初雪「……」
白雪「妹がご迷惑をおかけしてすみません……」
ゾロゾロ
提督「はあ。まあいいですけど」スタスタ
叢雲「あー!」
提督「ん、なんなのか」
叢雲「こここ、これ……ベッド……」
深雪「あらまあ」
初雪「一緒に寝てるのか」
吹雪「はわわわわ……///」
白雪「お、驚きですね」
提督「話すと長ーくなります」
磯波「ん~、なんですか騒がしい……ふわぁ~あ」
叢雲「い、磯波!超えちゃいけないライン考えなさいよ!!」
磯波「あれ、叢雲ちゃん。それにみんなも、どうしたの?」
…
提督「なるほど、それで心配になって来たわけですね」
磯波「ごめんね、心配させちゃって」
深雪「いやいや、こいつが勝手に心配しただけだからさ」
初雪「お詫びに観光案内は任せた」グッ
磯波「そうだね、みんなゆっくりしていってよ。そういえば宿は?」
白雪「近くのホテルを使ってます」
磯波「へぇ~」
吹雪「叢雲ちゃんがね。磯波ちゃんが心配だーって、急遽来ることになったの」
白雪「連絡するべきでしたけど……」
提督「そうですね。一報くだされば歓迎の準備も出来たというのに」
初雪「残念」
叢雲「……でもそれって磯波に魅力がないってこと!?」
深雪「えぇっ!?いきなりっ!?」
吹雪「ずっと黙ってたと思ったらそんなことを…」
提督「そりゃ魅力的でしょう、一般的に見てもね」
叢雲「じゃあなに!?あんたホモ!?」
提督「いえ、ホモではありません」
叢雲「じゃあイ○ポね!イ○ポ司令官!」
白雪「女の子がそういうこと声高に叫ぶのはやめなさいよ…」
提督「いえ、別に健康ですよ……」
叢雲「証拠は!?」
初雪「ぶほっ」
深雪「お、おい、叢雲、落ち着けって」
吹雪「叢雲ちゃん、あなた自分で何言ってるかわかってる……?」
叢雲「……あ!いい!証拠はいい!」
提督「いや、驚きましたよ。本当に見せろと言われたらどうしようかと」
磯波「見せないでくださいね?」
初雪(私はちょっと見てみたかったけどね)
提督「さて、私はお邪魔のようですから、ちと出かけます。夕食までには戻りますよ」
磯波「あ、はい。あの、今日のお夕食はシチューにしようと思ってますけど……」
提督「おや、それは楽しみだ。必ず帰ってこなくてはいけませんね。ではいってきます、磯波」
磯波「いってらっしゃい、提督」
ガチャ
バタン
磯波「ふぅ、それじゃあコーヒー入れてあげるね」トテテ
深雪「これは……」
吹雪「うん……」
(((((信じて送り出した妹が……)))))ガビーン
磯波「ん、どうしたの?」
…
バタン
提督「……やれやれ」
スタスタ
「……」コソコソ
レ級『頑張れよキャップ。一気にガってやっちまえ』
「うんうん」
コソコソ
提督「~~♪」スタスタ
「あのぅ……」
提督「おや、どうされましたか?」
「ご、ごめんなさいぃ!」
提督「え?うわっ」
ガバッ
時間は進んで夕方
磯波「はぁ~~……提督遅いなぁ……」
シーン…
磯波「せっかく作ったのに、シチュー」
イジイジ
磯波「叢雲ちゃんたちもホテルに帰ったし……」
プルルルルル
磯波「あ!提督かな!もしもし!」テチッ
『磯波とやら、貴様の提督は預かった』
磯波「え、え?」
『返して欲しかったら大人しく指示を待つことだ。でなければ提督は死ぬ』
磯波「……」ゴクリ
『その携帯に指示を送る。無駄なあがきはせんことだ』プチッ
ツー、ツー
磯波「て……提督……」
レ級たちのアジト
提督「」
ソ級「起きませんっすね」
ネ級「死んじゃったのかなぁ」
レ級「心配するな。もう少しで薬が切れる」
ネ級「……やっぱり起きない!死んじゃったんだぁ!」
レ級「しつっこいな!寝てるだけだってのにもう!」
ネ級「うそだぁ!!お前が殺したんだ……!」
レ級「何ぃ!?人聞きの悪いことを言うな!我が輩の殺人は今まで一度も成功したことがないんだよ!」
ソ級「それでここに左遷っすか、どーりで。レ級なのに変だと思ったんすよ」
レ級「だーっとれい!」
ネ級「人殺しー!!」ジャキ
レ級「な、なにぃ」
ソ級「だー!やめなさいよ!」
ネ級「お前を殺してワタシも死ぬぅー!!」
ソ級「やめなさいよ!危ないからおろして!」
レ級「どーいうつもりだお前は!」
ネ級「殺してやるーーー!!」
ドタバタ
提督「……」ムクリ
ソ級「あ、あれ!起きた!」
ネ級「い、生き返った……よかったぁ~~~」
提督「一体これは……夢かはたまた幻か……」
レ級「見ろ、我が輩の言ったとおりだろうが」
ネ級「むむっ!!」
ソ級「!」
レ級「!」
ネ級「今すぐお飲み物を持ってきなさい!!」
ソ級「逆らわない方がいいみたいっすね」
レ級「うん」
ネ級「早くしなさい!!」
「は、はい!」ピュー
ネ級「ホントに愚図なんだからぁ!」
提督「……とどのつまり、私は囚われの身ということですね?」
ネ級「そういうことになりますぅ。あ、大丈夫。酷いことはしませんからぁ」
提督「そうですか、君はあまりこういうことには向いていない性格のようですね」
ネ級「ええ?そ、そうかもしれません……」
提督「君は見た目もさることながら、心までも清く美しいお方だ」
ネ級「そ、そうですかぁ?///」カァー
提督「どうです、ここはひとつ私をここから連れ出してもらえませんか?」
ネ級「そうですねぇ、そのほうがいいと」
レ級「ああ!馬鹿!そんな言葉に惑わされるな!」
ネ級「ええ?あ、はぁいぃ……」
提督「おや、バレちまいましたか、こりゃ残念」フゥー
レ級「ったく、お前は人が良すぎるんだよ」
ソ級「飲み物お持ちしましたっす」
提督「どうも、いただきます」
提督(……磯波は変わりないだろうか)チビチビ
翌朝……。
深雪「ったく、昨日は提督の話ばっかり聞かされて全然遊べなかったよな」
白雪「元気そうで良かったですけどね」
吹雪「まだ心配なの、叢雲ちゃん」
叢雲「べっつにぃー」
初雪「今日こそは街を回ろう」
深雪「おーい、磯波ー」ポチ
ピンポーン
シーン…
深雪「ありゃ」
吹雪「変だね」
ガチャッ
吹雪「あれ開いてる」
白雪「あのー、おはようございます」
グスッ…グスッ…
叢雲「!?磯波!どうしたの!」ダッ
タッタッタッタッ
磯波「うぐっ……ひっく……」グスグス
叢雲「どうしたの!?つ、ついに乱暴を…」
磯波「提督が、提督が拐われちゃったよぉ……」ポロポロ
再び起こってしまった誘拐事件!
無事、提督を救い出すことはできるのでしょうか……。
次回に続きます...
提督が拐われてしまったのです。どうしよう……。
磯波「……」グスグス
吹雪「とにかく、連絡を待つしかないよ」
初雪「うん」
叢雲「うーん、一体何者なのかしら」
磯波「……きっと深海棲艦の三人組」
深雪「深海棲艦の三人組ぃ?」
白雪「何者なんですか?」
磯波「実は……」
レ級たちのアジト
提督「随分と、汚いと言いますか。私も磯波に任せてばかりですから人のこと言えませんが」
レ級「ふうん、どうでもいい」
提督「そういえば、深海棲艦というのは」
レ級「うるさいんだよ!口塞いどけ!」
ネ級「酷いことしちゃダメですよぉ!」
レ級「全く、やかましいったらありゃしない」
提督「いやいや失礼、思ったことがすぐ口に出る質なので」
レ級「いいことを教えてやろう、貴様の命は我が輩の気分次第だということだ」
提督「それはそれは恐ろしい」
レ級「ふっ、いつまでその余裕が続くか見ものだな」スッ
提督「それは私のスマホですね」
レ級「こいつで貴様の助手とやらにどんな命令を出してやろうかなぁ~」
提督「……私の磯波に手を出すことは許しません」
レ級「別に何もせんよ、ただちょっとお手伝いをしてもらうだけさ」
ネ級「柄にもなくシリアスですねぇ」
ソ級「そっすね、久々の登場だから張り切ってるんでしょ」
レ級「あのねぇ、空気壊さないでくれるかな」
事務所
吹雪「発信源を突き止めることができれば……」
深雪「初雪こういうのできないか?」
初雪「無理、第一パソコン持ってきてないし」
白雪「憲兵に持っていけばできるんでしょうけど」
磯波「そ、そんなことしたら提督が!」
叢雲「そうね、困った、困ったわね……」
プルルルル
「!!!」
叢雲「……提督の携帯から、ヤツらね」
白雪「みんな、息を潜めて。悟られないように」
吹雪「うん」
磯波「……もしもし」
『磯波とやら。誰にも言ってないだろうな』
磯波「はい……提督は?」
『元気に減らず口を叩いておるわ。そして、貴様には仕事をしてもらう』
磯波「仕事……?」
『そうだ。詳しくはまた後で話す。今夜、機密書類を持って海岸へ来い。もちろん一人でな』
磯波「機密書類!」
『貴様の事務所にも一つぐらいあるだろう?わかったら、準備するんだな』プツン
ツー、ツー
磯波「……」
叢雲「……ど、どうだった?」
磯波「今日の夜、海岸に一人で来いって……」
吹雪「一人で、ねえ」
深雪「そんで提督は無事なのか?」
磯波「うん、無事だって」
白雪「しかしどうしましょう……」
磯波「……」
初雪「……よし、袋叩きにしよう」
深雪「おう!」
叢雲「悪くないわね」
白雪「主砲で弾幕張ります」
吹雪「わたしがやっつけちゃうんだから!」
磯波(そういえばこの人たち脳筋だった)
夜…
提督「……深海棲艦は夢を見たりするんですか?」
ネ級「夢ぇ?」
提督「ええ、少し興味が沸きましてね。艦娘も人間と同じように夢を見ます」
ネ級「夢、悪夢なら見る」
提督「悪夢、ですか」
ネ級「甲板に人が大勢並べられ、一人ずつ刀で斬首していく夢……」
提督「……」
ネ級「だから私は人殺しは嫌い。それでここに異動を希望した」
提督「なるほど……あなたはキャプテン・マユズミでしたね」
ネ級「……」
提督「失礼、嫌なことを喋らせてしまいましたね」
ネ級「いいんですよぉ」
レ級「何いい感じになってる!」
提督「おや、ヤキモチを焼いているのですか?」
レ級「口を開けばその度にコケにしおって、キャップがいなければ貴様は今頃あの世にいただろうな」
ソ級「でも殺人は成功しないんじゃないっすか?」
レ級「……うーん、流石にこの距離では失敗しないはずだが」ブツブツ
ソ級「そろそろ時間っすよ」
レ級「お!そうだったそうだった!行くぞ!」
海岸
ザザーン…ザザーン…
磯波「……」
シャー
キキィ
磯波「!」
レ級「ふっ、ちゃんと一人で来たようだな」
磯波「提督は!」
レ級「無事だ、我が輩の寛大さに感謝するといい」
提督「いい子にしてましたよ私」
ネ級「ぶふっ、いい子にだってぇ!」
ソ級「全く余裕っすねこいつ」
磯波「機密書類はここにあります!」
レ級「物分りがよくて助かるぞ磯波くん。さて、そいつをこっちに渡してもらおうか」
磯波「先に提督を離してください!」
レ級「それは出来ないな、機密書類とこいつの命、どっちが大事かな?」
磯波「くっ……」
スタスタ
磯波「はい」
提督「後ろに飛びなさいっ!」
磯波「!」トッ
ガボッ
磯波「!?」
レ級「おっと、ふふ。失礼、尻尾が滑ってな」
ネ級「な、なんてことを!卑怯ですぅ!」
提督「それは私どもが言うべきセリフですよ」
レ級「これくらいやらなければな!連中は敵なのだ!」
ソ級「でもまた失敗しましたっすね」
レ級「……うるさい!」
磯波「……!」ジャキッ
レ級「こいつもやる気みたいだからな、こっちは3人!」
ネ級「私は手伝いませんよぉ!」
レ級「2人!」
ソ級「自分もパスっす」
レ級「1人……」
磯波(人望ないなぁ……)
提督「人望ないですね」
レ級「黙れ!だが所詮駆逐艦よ……戦艦に勝てるわけがない!」
磯波「本当にそうでしょうか?」
ドン!
レ級「痛っ!」
吹雪「私たちもいます!」
叢雲「この自慢の薙刀で三枚におろしてくれるわ!」
深雪「おう!それ薙刀だったんだな!」
レ級「なにぃ!騙したな!」
白雪「先に騙したのはあなたの方です!」
レ級「いや!一人で来いって言ったのにこんなに潜ませていたなら貴様らの方が先に」
初雪「うるさい!」ドンッ
レ級「くそぅ、ここはひとまず退却だ!キャップ!058!逃げるぞ!」
……
提督「二人ならもうとっくに逃げましたよ」
レ級「な、なんとーーーっ!!」
磯波「提督、解けましたよ」
提督「どうも」
叢雲「それじゃあ、大事な妹を泣かせた罰を与えてあげるわ……!」
レ級「我が輩は戦艦だ、貴様ら駆逐艦の豆鉄砲など」
深雪「それが酸素魚雷があるんだなこれが」
レ級「魚雷が陸で使えるか?」
白雪「起爆させることはできます」
レ級「……」
提督「あ、大人しくお縄にかかるってのはどうでしょう?」
レ級「やだっ!」ダッ
叢雲「あ!待ちなさい!」
レ級「バーカバーカ!この次は覚えてろよ!」
タッタッタッタッタッ……
叢雲「……行っちゃった」
白雪「なんか、投げやりな展開ですね……」
深雪「さっさと終わったんだから良しとしようぜ」
初雪「うん。戦闘は痛いからヤダ」
吹雪「なんにしても、一件落着です!」
叢雲「そういえばふたりは?」
磯波「提督、なにか酷いこととか…」ギュー
提督「いいえ、磯波こそ何事もなくて良かったですよ」ナデナデ
磯波「よかった、提督……」
叢雲「う、うちのいmムググ!」
白雪「いいからいいから!」
吹雪「叢雲ちゃんはおとなしくしてて!」
深雪「ほえ~」
初雪「仲良きことは美しきかな」
こうしてあっさり解決してしまったのです。
でもたまたま姉たちが来ていなかったらどうなったことか。
翌日は休みを取って、みんなと街で遊びました。でも、半日で飽きました。
次回に続きます...
第八話 交渉人
コポコポ
磯波「……」ズズズ
提督「磯波、着替えは済んでますか」
磯波「仕事ですか?」
提督「ええ」
磯波「それで、どんな依頼ですか?」
提督「どうにも軍用品生産工場からですね」
磯波「何を作ってるんです?」
提督「んー……衣料品、艦娘の軍服などですね」
磯波「えー!?」
提督「どうしました?」
磯波「ひょっとして下着も!?」
提督「え、ええ。下着もじゃないでしょうか。何をそんなに……」
磯波「これですよ!」ペロン
提督「うおっ、お尻丸出しにしちゃってまた」
磯波「このくまさんシリーズもそこで作られたなんです!提督は知らなかったと思いますけど、大ファンなんですよ私!」フリフリ
提督「あ、あのねぇ」
磯波「それから上も!」スポーン
提督「あらら」
磯波「このくまさんブラも同じところでして!」
提督「ジュニアブラですか」
磯波「可愛いでしょう!?」
提督「あー、可愛らしいストリップを見せてくれたのはありがたいですが、とりあえず落ち着いて服を着てください」
磯波「すとり、あ……」
提督「磯波、目は覚めましたか?」
磯波「あの……は、恥ずかしいです……///」カァー
提督「ああ、でしょうね……」
ブルルルルルン
提督「もうすぐですね」
磯波「提督、そういえば依頼内容は……」
提督「どうやらこの工場は提督が運用しているようです」
磯波「そ、そんなことってあるんですか!?」
提督「深海棲艦がスーパーを経営してるんですから、鎮守府の主が工場を経営していても不思議ではありませんよ」
磯波「そうでしょうか……?」
提督「それはともかく依頼主はその提督の部下、軽巡洋艦です。内容は行ってからのお楽しみだそうですね」
磯波「何か重大なことでもあったのでしょうか?」
提督「もしかしたらもしかするかもね」
依頼主の鎮守府
球磨「ようこそ我が鎮守府へクマ。あんたが広川中佐クマ?」
提督「その通りです。ということはあなたが依頼者ですね。こちら助手の磯波です」
磯波「よろしくお願いします」
球磨「よろしくクマ。軽巡洋艦球磨だクマ。早速だけど依頼内容クマ」
提督「何か重大なことですか?」
球磨「そうクマ!球磨たちにとっては死活問題クマ!」
提督「なるほど」
球磨「とりあえず、球磨の部屋に来るクマ」
球磨の部屋
ガチャ
球磨「来てくれたクマ!」
阿武隈「ほんとぉ!?」
三隈「三隈感激です」
熊野「全く、こんなことで遥々横須賀から呼び出すなんて……」
提督「こんなこと、なんてことはありませんよ。困ったことがあればいつでも知らせてください」
磯波「そうですよ!」
熊野「で、でもこれは……」
提督「申し遅れました、私は広川中佐。こっちは助手の磯波。軍事探偵のようなことをやっとります」
磯波「よろしくお願いします」
球磨「それじゃあ、早速聞いて欲しいクマ……」
阿武隈「提督の事、なんだけど」
三隈「三隈たちは提督に苦しめられているの」
提督「……やはり」
球磨「厳しい制限を掛けられているクマ」
磯波「い、一体……何にですか……?」
球磨「それは……」
提督「……」ゴクリ
球磨「お酒クマ!」
.
提督「……はぁ?」キョトン
磯波「……え~」ジトー
球磨「その顔は何クマ!?」
熊野「だから言いましたのに」
阿武隈「厳しすぎるんだもん提督」
三隈「三隈たちだってお酒ぐらい飲みたいもの」
磯波「それはお気の毒に帰りたい気分がしてきました」スタスタ
提督「待ちなさいってんだよ」ガシッ
球磨「どうにかならないクマ?やっぱこんな依頼じゃダメクマ?」
提督「なかなか興味深い依頼ではありませんか。私もお酒は好きですから気持ちはわかります」
球磨「じゃあ、受けてくれるクマ!?」
提督「ええ、もちろん。ですよね磯波」
磯波「はぁ、提督がそう言うなら……」
提督「説得ってことなら、あなた方の提督の特徴を教えてください」
球磨「名前は水原かおり、女少将クマ」
阿武隈「すっごいドギツイわ!」
三隈「それでいて、なんだかんだ言って艦娘は沈めたことはありませんわ
磯波「そういえば、あの工場はどういう経緯で?」
熊野「あの工場は提督が私財を使って経営を立て直した工場ですわ」
阿武隈「そうなの!そうして経営権まで委託されたのよ!すごいでしょ!
磯波「くまさんシリーズもここで生産してるんですよね!?」
球磨「ああ、あれクマ……」
熊野「提督が経営し始めてから生産し始めたとか……提督デザインという噂がございますわ」
磯波「ひょっとしてこれですか!?」ペロン
三隈「そ、それですけど……」
熊野「まあ!はしたない!殿方までいらっしゃるのに!」
磯波「すごいなぁ!ここの提督!」
球磨「こいつはいっつもこんななのかクマ?」
提督「今朝はブラまで見せつけられましたよ」
球磨「え、えー……」
……
執務室
女提督「……ったく、球磨は一体何をしているっ」イライラ
コンコン
女提督「球磨か!入れ!」
ガチャ
球磨「失礼するクマ」
女提督「一体何時だと思って……そいつは?」
球磨「あの、お客さんだクマ」
提督「お初にお目にかかります、少将。私は広川中佐。連絡もなく訪ねたご無礼お詫びします」
女提督「……私は水原少将だ」
提督「あなたの噂はかねがね聞いております。そこで実はあなたに話したいことがありましてね」
女提督「話したいこと?」
提督「よろしければ二人きりで、ね」
女提督「ダメだ、球磨にも同席してもらう」
提督「いえ、これは提督同士の話です。とてもじゃないですが艦娘には聞かせられない」
女提督「……球磨、下がれ」
球磨「はいクマ」
ガチャ、バタン
女提督「それで、何の用だ」
提督「……あなたの艦娘の事です」
女提督「艦娘?大きなお世話だ、うちは無理な運用も虐待もやってない」
提督「ええ。見る限り尊敬されているみたいですね」
女提督「そうだろ?」
提督(……こういう提督にはもう単刀直入に言ったほうがいいでしょうな)
提督「しかし、一点だけ。惜しいところがあります」
女提督「惜しいところ?」
提督「あなたは艦娘の飲酒を制限しているそうですね」
女提督「そうだ。それがどうした、体に悪いだろう」
提督「それはその通りです。しかし艦娘たちはそれを息苦しく感じているみたいで」
女提督「うちの方針に口を出す貴様は何様だ」
提督「私をここに呼び出したのは他でもない、あなたの艦娘たちなんですよ」
女提督「何?」
提督「それほどまでに、切羽詰っていた。私は依頼者には報酬を請求します、多額のね」(嘘ですが)
女提督「多額のか……そんなことしてまで……」
提督「酒を禁止するのは何故なのですか?まさか体に悪いだけではないでしょう」
女提督「……仕方ない、貴様には話そう。私は酒癖が悪いんだ」
提督「……は?」
女提督「酒癖が悪い。こんな威張り腐ったヤツが酔っ払いだなんて知られたらカッコ悪いだろ……」
提督「……それで、あなたはそもそもの飲酒を禁止した。許したならきっと自分も誘われるから」
女提督「そういうことだ」
提督「あ、そう。そーいうことね…」
提督(磯波、あなたの気持ちがわかりました。私ものすごーく帰りたい)
バンッ!
球磨「話は聞かせてもらったクマ!!」
阿武隈「提督の弱み聞いちゃった!」
女提督「な、お前ら!聞いてやがったのか!」
三隈「くまりんこがお酒の飲み方教えてあげます」
熊野「あまり下品な飲み方は嫌よ?」
女提督「いや、酒癖はどうしようもないだろ」
球磨「なんにしても、ただ厳しい人ってだけじゃないクマ」
三隈「面白い方ですね、三隈たちがそんなことで提督のこと見損なうわけないのに」
熊野「ますます好きになりましたわ」
女提督「う、ぐぅっ……///」カァー
提督「どうやら、ここまで言われてはお酒は許可するしかありませんね」
女提督「……いいだろう、許可しよう」
「やったぁー!」
女提督「ただし!飲み過ぎるな!二日酔いで出撃できませんなんて言ったら、もう金輪際酒は無しだ!」
「はぁーーい」
磯波「あの!水原少将!」
女提督「なんだ?」
磯波「このパンツ、あなたがデザインをしたんですよね!?」ペロン
女提督「おわっ!?やめろはしたない!」
提督「すみませんこの子興奮するとこれなんですよ……」
磯波「ファンなんですよ!」
女提督「お……そうか。そうかそうか~~うんうん」ニマニマ
磯波「うふふふ!」
提督「……」
食堂
球磨「そうと決まれば宴会クマ!新しい水原提督に乾杯クマ!」
「カンパーイ!」
ワイワイ
磯波「いいんでしょうか、私たちもいただいて」
提督「私は運転があるので、飲めませんけどね」
球磨「ん゛っん゛っ、ぷはぁ~~!お前らも遠慮せずいただくクマ!」
阿武隈「広川提督は飲まないんですかぁ?」
提督「運転があるので」
女提督「泊まっていけばいい」
球磨「て、提督!?」
女提督「私は、少し厳しすぎたかもしれない。こうして部下たちと騒げて、今すごく楽しい。礼を言う」
提督「お礼なら、あなたの旗艦に。私は何もしていませんよ」
女提督「……ありがとう、球磨」ナデナデ
球磨「く、クマぁ///」
提督「彼女は本当に酒が飲みたかったわけではありません」
女提督「?どういうことだ」
提督「もっと仲良くなりたかったんですよ、あなたとね。そうでしょう皆さん」
「そーだそーだ!」
女提督「ぐ、お、お前ら……///ま、まあいいそれより中佐、お前も飲んだらどうだ」
提督「残念ですが、ご遠慮させていただきます。今日中に帰る予定なので」
女提督「そうか、そりゃ残念だな。積もる話もしたかったが」
提督「磯波、君は飲んでもいいよ」
磯波「じゃあいただきまーす」ゴクッ
……
提督「……こうなるような気がしていたんですよ」
ギャーギャー
熊野「とぉぉぉぉぉぉお!!」
阿武隈「わたし的には許せないんですけどぉ!!」
女提督「喧嘩ぁ?けぇぇんんんかぁぁぁぁぁ!?私も混ぜろや!!」
ドタバタ
球磨「どどど、どうしよーどうしよークマぁ」オロオロ
提督(ものすごーく帰りたい)
磯波「ていとく、ていとくぅ」ベタベタ
提督「なんですか」
磯波「なんでもないですぅ」
提督「……」
磯波「れろれろれろ」ペロペロ
提督「顔舐めないでください酒臭い」
三隈「あの、広川提督」
提督「なんです」
三隈「後はこちらで何とかしますから、これ以上ご迷惑はかけられないので……」
提督「ええ、ちょうどそう思っていたところです。君はケロッとしてますね」
三隈「三隈はお酒強い方なんですよ」
提督「そうですか。じゃ、後は任せましたよ。ちょいと失礼」ダキッ
磯波「わあい、おひめさまだっこぉ」キャッキャッ
そうして事務所……。
ガチャ、バタン
提督「はぁ……なんだかたっぷり疲労感がします」
磯波「んん、ていとくぅ、おふろぉ」
提督「はいはい、今沸かしますから」
磯波「ていとくもいっしょにはいるぅ」ヌギヌギ
提督「あ、あのねぇ磯波、野郎の前であらら全部脱いじゃって」
磯波「はいるのぉ」グイグイ
提督「わかった、わかりましたからそんなに引っ張らないでください」
宴会の途中からすっかり記憶が抜け落ちてますが、幸い二日酔いにはなりませんでした。
酔ってる間にお風呂に入って服も全部着替えてしまったみたいです。
でもなんだか提督の態度が変って言いますか……なんでしょう、とにかくおかしいです。
聞いても教えてくれません、ただ「外で、特に私がいない時に酒は飲むな」と言われてしまいました。
何か提督に酷いことをしてしまったのでしょうか、心配です……。
次回に続きます...
続き
【艦これ】磯波「防諜ですか?」提督「防諜です」【中編】