1 : 以下、名... - 2011/06/04(土) 23:17:20.53 UTni9FKv0 1/164

「……手、つなぐ?」

真宵「……」

「じゃ、じゃあ足をつなごうかっ?こう足と足のしわを合わせて幸せ~……なんて、倒錯的でなんだか面白いじゃないか八九寺」

真宵「……」

「う、うん……だったらそうだな、あれだよあれ……」

真宵「阿良々木さん」

「お、おうっ!なんだ八九寺、僕になにか用か!!?」

真宵「うざいです」

「ストレートな意見はなによりも人を傷つけるんだぞ!!?」

元スレ
暦「おーい、八九寺……」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1307197040/

16 : 以下、名... - 2011/06/04(土) 23:24:59.57 Fro+i8Ro0 2/164

真宵「……いままで無視ってきましたけど、今日はいつにもましてウザさが120%超えてますね阿良々木さん。どうかしてますか?」

「やっぱ無視られてたんだ…というかウザさが限界超えてしまってる!!?それにどうかしているなんて言葉は、疑問形で使うものではないからな」

真宵「わたしの意見はどうとでもいいんです。まずは阿良々木さんのウザさについて、ここは一つ議論の中心にしていきましょうよ」

「したくない。断じてしたくないぞ僕は。そんなことをするぐらいなら、僕が常日頃に疑問に思う、小学生の近寄りがたい神々しいオーラについて語ろうじゃないか」

真宵「阿良々木さんの普段の思考パターンが、性犯罪者と同等の考えを持っている時点で、私は目先にある交番へと走る準備をするべきなんでしょうか」

「なにをいまさら」

24 : 以下、名... - 2011/06/04(土) 23:29:21.72 Fro+i8Ro0 3/164

真宵「開き直られても困るんですけどねぇ……まぁ、それが阿良々木さんですけど」

「えへへ……」

真宵「ほめてませんから!!私くしの小さい身体に見合わない胸に誓って言い切れます。ほめてませんよ阿良々木さん!!」

「いやいや、違うんだよ八九寺。これは違うんだ」

真宵「なにが違うというんでしょうか……私はてっきり阿良々木さんはマジもんの奴かと、常日頃に身体の危機を感じている日々ですのに」

「違うんだよ。びっくりするぐらいにそれは勘違いなんだ、僕はけっして小学生に欲情とか、はっきり言えばそうだと思えちゃうけど違うんだよ」

真宵「いま、一瞬本音が出ませんでした……?」

31 : 以下、名... - 2011/06/04(土) 23:34:26.84 Fro+i8Ro0 4/164

「だからな、八九寺。僕はお前にひとつ告白をしようと思うんだ」

真宵「なんの躊躇いも無くスルーしましたね阿良々木さん。……まぁですがいいでしょう。なにようの告白ですか?もう性的犯罪には走らないとかですか?」

「大好きだ結婚してくれ八九寺」

真宵「普通の告白でしたー!!!というかもうロリコン決定打ですよそれ!!!?」

「いや、他の小学生には興味はありません!!浮遊霊、迷いウシ、ツインテール、小学生は僕の嫁となれ!!」

真宵「そんな自己紹介だったら確実に高校生活が終わっちゃいます!!?」

「おっとっと……すまない。僕としたことが、八九寺への告白でどうもテンションがおかしいようだ。慰めておくれ八九寺」

真宵「自信持って言えますが、物凄く普段通りでしたよ。というかここで阿良々木さんをわたくしが慰める方向に行くのはおかしいと思います」


34 : 以下、名... - 2011/06/04(土) 23:38:00.15 Fro+i8Ro0 5/164

「え、そうなのか……僕ってばいっつも八九寺に対して、気持ちがダイレクトに出てしまっているのかな。反省しないとな」

真宵「まずはその小学生に対するリビドーをどうにかされた方がいいと、陰ながら助言しておきますよ阿良々木さん」

「八九寺が僕に常日頃に思う気持ちと同じぐらいに?」

真宵「そちらは皆無ですね。安心してください」

「それは悲しい!!悲しすぎるよはちくじぃ~……僕は八九寺無くては、生きられない身体になってしまったんだよ」

38 : 以下、名... - 2011/06/04(土) 23:41:36.25 Fro+i8Ro0 6/164

真宵「人を白い粉と同等な価値にしないでください阿良々木さん。わたくしはこれでも、存在的には人々を癒すマスコットキャラ的な立ち位置を狙ってますから」

「そんな魂胆があったとは……いやはや、八九寺の抜け目ない成長度には目からサーターアンダギーものだな」

真宵「なぜ沖縄原産のお菓子で例えるのやら……やっぱり阿良々木さんは気持ち悪いですね」

「きもちわるい!!?それはいけない言葉だぜ八九寺!!妹たちが言ってたが、きもいと気持ち悪いというのは、同じ意味でありながら大きな落差があるといっていた!!」

真宵「では、その言葉通りに受け取ってかまいません。ええ、かまいませんとも」

「なぜだ…なぜこうも八九寺に嫌われてしまっているんだ僕は……ちゃんとフラグは立てたはずなのに…僕も抜け目なかったはずだったのに…」


40 : 以下、名... - 2011/06/04(土) 23:47:26.90 Fro+i8Ro0 7/164

真宵「あの~ガチで落ち込んでしまっているところ申し訳ありませんけど、わたしは阿良々木さんのことは嫌いではありませんからね?」

「!?本当か!?」

真宵「……あーその、そのように本気で喜ばれると気持ち悪いを通り越して、逆にうれしくなってくるのが阿良々木さんのキモイところですよね」

「やった!!きもいに変化している!!八九寺の中で、確実に僕の好感度が上昇中だな!!」

真宵「喜ぶ所はそこじゃないと思いますよ阿良々木さん……」

「いや、いいんだ。こういうのは確実な一歩が大事なんだよ」

真宵「……阿良々木さんが言うと、本当にそう思えてくるから怖いところですよね。そういう所は」

「え?どういう意味だ?」

真宵「しっりませーんよ。自分でお考えください」

44 : 以下、名... - 2011/06/04(土) 23:56:04.58 Fro+i8Ro0 8/164

真宵「話は紆余曲折しましたが、それで阿良々木さん。わたしにご用はなんですか?ただこのような茶番をするだけにわたしに話しかけたのですか?」

「茶番言うな。それをいったら僕と八九寺の絡みの意味がなさなくなるだろ」

真宵「おやおや……阿良々木さん。わたくしが気づいてないとでも?」

「な、なんだよ……?」

真宵「阿良々木さん、今日はやけにわたしを口説きにかかるというか、大好きっぷりが露骨なところがありますでしょう?」

「大好きっぷりにはいつもどおりだと自負しているつもりだが……露骨というのはいささか疑問に思うので否定すると、いっておく」

真宵「いいえ。嘘ですね」

「断言された!!?」

46 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 00:00:19.78 r/7ftmCl0 9/164

真宵「わかりますよ、阿良々木さんの気持ちが。ええ、わかりますとも。貴方、わたしにやましい過去をお持ちですね!!!」

「ありすぎて困る!!まずはどれをあげればいいのだろう……お前の胸を触ったこととか?」

真宵「それはお忘れください!!昔すぎます!!それにそれから後に、もっと酷いことされてますから!!」

「あー…うーん……?だめだ、わからないな。なんかあったか?」

真宵「あれ、そうですか?……おかしいですね、ではあの浮遊霊さんは嘘をつかれたのでしょうか…」

「浮遊霊?なんのことだ八九寺」

真宵「いえ、最近仲良くなった浮遊霊さんがいるんですが……」

「待て。軽く衝撃的なことをさらっていうな」

52 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 00:08:35.64 r/7ftmCl0 10/164

真宵「?なぜですか?わたしはこのようなナリでも、一応ちゃんとした幽霊ですから、他の幽霊との交遊も結構あるんですよ?」

「そ、そうなのか……それはすごいな。八九寺、お前幽霊と喋れるのか」

真宵「平然とわたくしと喋っている阿良々木さんがなにをおっしゃるのやら。しかも怪異の王のなれの果てであれ、驚異的な力をお持ちである阿良々木さんが驚く必要は無いと思うのですが…」

「よせやい。ほめるんやないやい」

真宵「軽くタブーである吸血鬼の話もノーシリアスモードとは……どうしたのですか?なにか御病気を患っておられるのですか?」

「馬鹿言え。僕が病気になるわけないだろう。…まぁなるとすれば、八九寺好きすぎて死ぬ病だな」

真宵「なんの捻りも無いボケほど、つまらないものはないですよ」

「ボケいわれた!!!」

54 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 00:14:34.09 r/7ftmCl0 11/164

「まぁとりあえず、あれだ。今日の、僕のお前に対するスキンシップが変だというんだったら、お前も今日は変だということも言っておくぜ?」

真宵「あら、どのような所が変だというのでしょうか阿良々木さん。そのような前置きを置かれるんでしたら、大した理由を持ったことなんでしょうね」

「ああ、大した理由すぎて抱えられないぐらいにな」

真宵「ほぅ……それはいかなる理由なのでしょう。教えください」

「そうだな。今に思えば、今日お前に会った時からそれに気づいて、その驚きを隠そうと今日の僕は変だったと言わざる負えないかもしれない」

真宵「……なるほど、では重大なものとは?」

「……」すっ…

真宵「! な、なんですか手を伸ばして……」

57 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 00:20:58.01 r/7ftmCl0 12/164

「…」ぎゅっ

真宵「……えっと、それで、わたくしの髪をお掴みになってどうしたのでしょうかキレるぞ阿良々木さん」

「なんか一瞬、ため口が聞こえたような……いや、今はそれはいい。どうしたのくそもないだろう八九寺、それは僕がききたいことだよ」なでなで

真宵「……。なんのことでしょうか?わたくしは頭をなでられるようなことをした覚えはないのですが」

「いやいや、これは仕方ないことだぜ。なんだって、貴重なほどにもすぎることが目の前にあるんだからな」

真宵「阿良々木さんの物言いは、ごく稀に遠まわしな時があって嫌いです。男ははっきりばっさり言うべきだと思います」

「そうか?じゃあはっきり言うけどさ八九寺……」

「なんで髪型、ストレートなんだ?」なでなで

75 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 00:31:06.73 r/7ftmCl0 13/164

真宵「……」

「……」なでなで

真宵「いま、なんと?」

「いやだからさ、お前のトレードマークであるツインテールが消滅して、ここにはスト八九寺が降臨なさってるのかって話だ」

真宵「……」さわさわ…

「な?」

真宵「ほ、ほんとうですぅー!!!わ、わったしストレートになっちゃってますーー!!!」

「え?気づいてなかったのか?僕はてっきり、髪型変化ブームに乗っかってちゃっかりイメチェンしたのかと……」

真宵「違いますよ!?わたくし、そのような安易な考えで気持ちを切り替えることができるほど年は若くありませんので!!」

「テンパっているかなのか知らないが、いきなり口が悪くなってないか八九寺……?」


94 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 00:41:39.95 r/7ftmCl0 14/164

真宵「あ、いやその……いえ、すみません……わたくしとしたことが、なにやらテンパってしまって…」

「わかるわかる。大丈夫だ、いまの髪型の八九寺もかわいいよ」

真宵「なにをわかってそうおっしゃっているのやら……いや、それもいいです。わたしのせいですから……ふぅ」

「落ち着いたか?キスする?」

真宵「しません、しませんとも!!隙あれば接吻を求めてくる阿良々木さんは変態の極みですね!!」

「あ、なんかストレートの八九寺に言われるとちょっと良いな」

真宵「ドMとしての感覚を味わうのはよしてください!!変態ですね、これはもう手遅れレベルですよ!!ばーか!!」

「ばーか!?それは絶対にひらがなで、ちゃんと先伸ばしたような横線が入ってる良い方か?なら許す。というかもっといってくれ」

105 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 00:53:03.87 r/7ftmCl0 15/164

真宵「阿良々木さんの活字感性はしったこっちゃないですよ!!こっちは乙女の危機に瀕しているところなんですよ!!」

「そ、そうのか……それはすまなかった。……だがさっきも言った通り、僕はてっきり八九寺がイメチェンしたのかと思っただけでさ」

真宵「誰がイメチェンするか!!」

「怖っ!?」

真宵「……はぁはぁ…いえ、すみません。ちょっと怒りがおさまらなくて…」

「お、おう……そうだな。僕も謝るよ、すまない。ちょっと調子に乗ってすまなかった…ごめん」

真宵「わかってくださればいいです……それに何度も言うようですが、決して阿良々木さんのせいでもないので、子犬みたいにしゅんとするのやめてください…」

「だって八九寺にマジギレされたら、僕は死んじゃうからな」

真宵「なんかもうよくわかりませんが、お褒めの言葉と受け取っておきます…」

110 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 01:01:41.71 r/7ftmCl0 16/164

「まぁなんだ。ジュースでもおごるから、そこらへんの公園で休まないか?」

真宵「…………」

「こうやって道端で話込んでても、収まるもんも収まらないだろう?」

真宵「そう、ですね。ちょっとやすみたい気分です」

「だろう。なら、行こうじゃないか。場所はどこがいい?僕と八九寺が初めてであった公園でいいか?いや、そうしようじゃないか」

真宵「この際、どこでもいいです。近いところであれば阿良々木さんのお宅でもかまいませんよ……」

「!?……その言葉に、二言はないな?」

真宵「え……?どうして急に表情がシリアスモードに入っておられるのですか?」

112 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 01:06:23.47 r/7ftmCl0 17/164

「当たり前だ、八九寺。僕は耳に聞き入れた言葉は決して忘れないし、それが重要なほど、僕はそれに従って行動をするんだ。知っているだろう?」

真宵「そ、そうですね…その阿良々木さんの人生論は、はっとさせられることばかりですよ。ですがそのシリアス顔は明らかに無駄遣いです」

「この生き方はむしろ病気だとも言えるけどな。それと無駄遣いとか言うな。…さて、八九寺が望んでいるのならば仕方ない。八九寺、さっそくながら僕の部屋にいくぞ」

真宵「いえ、阿良々木さん。わたしは阿良々木さんの部屋ではなく、阿良々木お宅にお邪魔したいと……」

「それは無理な相談だ八九寺。だって家には妹たちがいるからな!!なにも無い空間に喋ってるところを見られたら、いいわけなんてできやしない!!」

114 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 01:12:06.69 r/7ftmCl0 18/164

真宵「良いわけできるほど、普段ちゃんとした行動してないですからね阿良々木さんは」

「全然否定でいないところが怖いところだ。んじゃいくぞ八九寺。歩けるか?僕の腕につかまるか?キスする?」

真宵「どれだけ乙女の唇を狙っているんですか……しませんよ。するのならば彼女さんにどうぞ」

「そっか。んじゃさっそく」すっ

真宵「ふんっ!!!」ばっ!!

「全力でよけられた!!?」

真宵「当り前です!!!なんの躊躇いも無くキスをかましてくる輩に、持ち合わせてる唇はもっておりませんので!!!」

「彼女のことは否定しないんだ……やったぁああああああああああ!!!!」

真宵「喜びすぎですから。これは酷いって言えるレベルで、喜びすぎですから阿良々木さん」


116 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 01:23:15.40 r/7ftmCl0 19/164

自宅前

 きぃー!

「よし、ついたぞ肺tくぃ」

真宵「阿良々木さん。わたくしよりも先にリアルにかんでますよ、ちゃんと呼べてませんよ。わたしの名前を」

「失礼、噛んだんだ」

真宵「違いますね。わざとです!」

「かみまみた」

真宵「わざとじゃありませんでしたっ!?」

「かみきれいだね」なでなで

真宵「ほめられた!!というかへたくそですよ阿良々木さんなんか!!」

125 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 01:49:05.48 r/7ftmCl0 20/164

「いや、なかなかに難しいもんだ。よく考え付くな八九寺は。天才じゃないのか?」

真宵「もっとお褒めになってもかまいませんよ。わたくしこと八九寺 真宵、会話のころがし方に定評があると巷では有名ですからね」

「幽霊界隈でか?それはすごいな、尊敬するぞ本気で。幽霊なんて年齢不詳のやからばっかで、言葉の壁もあるだろうに。そのつわどもの中で有名になれるんだったら、八九寺、僕はお前をいちから好き直さなければならないな」

真宵「見直す、といった言葉は阿良々木さんの頭の中には存在しないのでしょうか……」

「よっと……よし自転車なおしたぞ。じゃあ上がるか」

真宵「えーと、はい。じゃあ失礼ながらお邪魔します」

「ああ、いらっしゃい八九寺」がちゃ…

神原「やぁ、阿良々木先ぱ…」ばたん!

「……」

真宵「?どうなせれました阿良々木さん」

126 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 01:55:23.86 r/7ftmCl0 21/164

「ん、いや……なんか僕の家に上がってはいけない奴があがってたような気がして」

真宵「どのような輩ですかそれは。とても気になります」

「なんというか、決してお前は会っちゃいけないと断言できる人物だ」

真宵「……帰ってもよろしいでしょうか?なんか、用事を思い出してしまいまして」

「察するレベルが高いのもいいけど、ダメだ帰っちゃだめだ八九寺!!僕のオアシスの八九寺真宵!!」

真宵「その志、しかと嬉しく思いますが…ここ阿良々木さんの自宅前ですからお叫びになるのはどうかと……」

「そんな心配をしてくれのなら帰らないでくれ!大丈夫!!!あいつには決して見えないはずだから!!命に誓って誓うから!!」

真宵「そのように必死にならなければならないほど、一緒にいたくない相手なのですかドアの向こうにいる方は…」


128 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 02:06:27.41 r/7ftmCl0 22/164

「いや、そうじゃない。先日ちょっとトラウマ的なことが一夜あってだな……」

真宵「なにやらやらしい響きの単語を使用しましたね阿良々木さん。その一夜のトラウマ的なこととは一体なんでしょうか」

「知らなくていいんだ。そして僕も忘れるべき記憶なんだ。うん、そうだ、なにも怖がることは無い。あっちも記憶消去したし、万事おっけーだ」

真宵「……あのー、胡乱げな瞳で自問自答しているところ申し訳ありませんが、えっと、その方に見られてますよ?」

神原 じー

「か、神原!?なんだそのヤンデレみたいなドアの隙間から見つめる所業は!?隙間から覗いてる右手包帯だから、ガチでこわいぞそれ!!」

神原「……いやいや阿良々木先輩。これは狙ってのことなんだ、実に効果的な演出だと思われないか?」


129 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 02:14:24.93 r/7ftmCl0 23/164

「じゃ、じゃあ聞くが……なぜそのような行為に走ったが教えてくれ」

神原「ふむ、それはだな。阿良々木先輩がいつも包み隠していた、その迷子の少女との会話を恨み祟らしく見つめると言ったことを確実に表現したかったのだ」

「なるほど…しかし、それだとどちらに思いを募らせているのかわからないな」

神原「大丈夫だ阿良々木先輩。こちらのストライクゾーンは、常に全力で全開だ!!!」

「わけがわからないことを、勢いだけで言い切るな馬鹿後輩。どちらにせよ、お前に見えてないのなら八九寺はお前のものにはならないぞ」

神原「それも大丈夫だ。こちとら妄想という史上最強の武器を保有しているのでな、そこは返して言うなれば愛という言葉でまなかなえるのだ」

「前半の言葉で色々と台無しだよお前」

130 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 02:21:44.05 r/7ftmCl0 24/164

神原「さて、どうやら阿良々木先輩の隣にはツインテールの小学生美少女がいるようだが……本当に見えないな…残念だ…」

「というか本当に見えないのか。最近だと、若干、ガハラさんも見え始めているというのに」

神原「戦場ヶ原先輩が?なに、それは本当のことなのか?」

「マジでだ。なんでか知らないが、どうやらあいつの心の中で家に帰りたくないという感情が降って湧いてしまっているようなんだ」

神原「……では少し聞くが、それは時と場合によらないか?例えば、デートの帰りとかなど…」

「おー!よくわかったな神原、流石はガハラさんの後輩だ。確かにそういう時に限ってよくお前を見かけるよな?八九寺」

真宵「……そ、そうですね…確かに」

132 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 02:31:22.38 r/7ftmCl0 25/164

「どうしたんだ八九寺……?そんな顔して、さっきまでの僕みたいな顔色になってきているぞ?」

神原「どうやらなにやら、とある少女のトラウマを再浮上させてしまったようだ……すまない、そこにいる八九寺ちゃん。悪気はなかったんだ」

「は?なにをいってるんだ神原……」

神原「全てはこの目の前にいる鈍感の方が悪いのだ。君は悪くない」

「いやいやいや!!だからなにをいってるんだ神原!!?どうして僕が悪い奴の方向性が定まっているんだよ!?」

真宵「はい、です……ぐす……わかっていたことですから……ひっく」

「なんで八九寺ガチ泣きしてるんだ!!泣き顔かわいい!!いや、ごめん違った!!」

139 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 02:54:37.68 r/7ftmCl0 26/164

神原「私も想像したくないほどにその光景にい合わせたくないな……ガハラ先輩、その時どのような表情なされていたか…」

真宵「ぐしっ…その時の顔を例えるのならば、この近辺にいる幽霊と負けず劣れずほどの形相だったとお伝えください阿良々木さん…」

「は、八九寺がいうには…ここら辺にいる幽霊とため張れるぐらいの表情だったとさ…僕には、よくわからないが」

神原「……よくわかった。八九寺ちゃん、君は偉いな。そのようなことがあっても、ちゃんと阿良々木先輩と一緒にいるとは。素晴らしいと思う」

真宵「か、神原さん……っ」

神原「姿形は見えないが、とても凛々しい顔つきの少女なのだろう。わたしにはわかる、ああわかるとも!!!」

「なんだろう、この疎外感は…」

138 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 02:53:10.00 7NKGqJy/O 27/164

真面目にこの女子たちが何をはなしているか分からん……。

何? 彼女持ちなら絶対しないような失態をアナマギさんはしたの?

141 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 02:59:19.65 r/7ftmCl0 28/164

>>138
デート中ガハラさん八九寺が見える

ガハラさん家に帰りたくない

八九寺を見たロリリ木さんテンションうp

スキンシップ

ガハラさんそれ見える

以下、阿良々木さん抜いての修羅場化

144 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 03:01:41.25 r/7ftmCl0 29/164

「まぁ、なんだ。このまま玄関先で話し込んでも仕方ない。まずは家に上がろう八九寺」

真宵「ぐすっ……はいっ!わかりました、はやくあがりましょう阿良々木さん!」

「ああ、だな。しかしなんだな、心なしか元気なってないか八九寺」

真宵「そんなことないですよっ。わたくしはいつも通り、浮遊霊の八九寺真宵ですから!」

「普段使用しない浮遊霊という単語を使用するとは…元気どころかテンションがあがってるな」

「あ、それと神原聞きそびれてたんだが。なんで僕んちにいるんだよ」

神原「へ?ああ、そのことなんだが……まあ、それは中で話そうではないか。ついでにいうと、中で妹さんたちが待ってるぞ」

150 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 03:10:51.12 r/7ftmCl0 30/164

阿良々木宅
居間


火憐「おーう、おう。兄ちゃんおかえりー」

月火「駿河先輩もおかえりー」

「ただいまっていうか、なに勝手に神原家に上げてるんだよ」

火憐「なにってなにさ。そんなことまでに兄ちゃんの許可なんて、いらねーだろ」

月火「別にお兄ちゃんだけの家じゃないじゃない。勝手に私有化しないでほしいんだけど」

「うるせーうるせー愚妹共!!兄に口答えするんじゃない!!」

火憐「兄ちゃん、そういうところだとあたしは思う。人から表立って評価されないのってさ」

月火「底が知れちゃうよね。浅はかというか、なんというか」

「うるさいよお前ら!!もうどっか行け!!」

155 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 03:18:48.00 r/7ftmCl0 31/164

月火「だめだよ。私たち、駿河先輩とお兄ちゃんに用があるんだから」

「用…?なんだよ、僕も必要なことなのかそれって」

火憐「そうだぜー。なんたって、久しぶりのファイヤーシスターズの活躍だかんなっ!」

「……はぁ、なんだよそれ。まだ解散してなかったのかよ」

火憐「まぁな。のちのちにな」

「……?んで、まあなんだ、僕と神原に何の用事なんだよお前ら」

月火「えっとね。ここ最近、なんだかわからないけど雑音騒ぎがあったんだ」

「雑音騒ぎ?なんだそれ、どっかで工事でもしてるとかそんなんか?」

火憐「いや、それがちげぇんだ兄ちゃん。どうやら人の声らしいんだ」

「人の、声……?雑音騒ぎと呼ばれるぐらいだから、すっげー聞こえんのか?」

神原「……そこからは、わたしが説明しよう」

159 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 03:27:38.05 r/7ftmCl0 32/164

神原「それは約一週間前だったそうだ。夜も更けて月も空に浮かんでいた時間帯に、とある少女が神社の近くを歩いていた」

神原「その少女は、隣町にある塾に自転車で通っていたそうなんだが、その日はなにかと不都合が続き夜遅くの帰宅になってしまったそうだ」

神原「そして事件は起こった。その少女がとある有名な神社の入り口を横切ろうとして、いつもは風に揺られる木々の音しか聞こえないはずなのに」

神原「その日は、なぜか人の声が聞こえたそうだ。その少女は空耳かと思い、最初は気にはしなかったそうだったんだが……」

神原「それが確実に人の声で、しかもその言葉の内容が……」

神原「たぁああああああすけてぇええええええええええええええええええええ!!!!!」

火憐「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

160 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 03:34:29.49 r/7ftmCl0 33/164

月火「うるさいよ火憐ちゃん……というか何度も聞いた話じゃないこれ…」

火憐「いやこぇーよ!?駿河先輩それこぇーよ!?なんだそれ!?あたいが聞いたときよりも、怖さ倍増だったぜ!!??」

神原「百点満点のリアクション、どうもありがとうな。ははは…こうも良い反応されると、いささか照れるってものだな」

月火「駿河先輩も照れてないでくださいっ。もう、なんでこう自由気ままな人が多いんだろうこの街は……」

「……それで、その話は終わりなのか?」

月火「ん?ちがうよ、それだけだったら雑音騒ぎと称されないしね」

神原「ああ、実はこれに続きがあってな。そんな助けを求める声に驚いた少女は、急いでその場から逃げだしたそうなんだが…」

火憐「ど、どうなったっていうんだ!?」

月火「火憐ちゃん、ちょっと黙ってて……」

161 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 03:44:21.70 r/7ftmCl0 34/164

神原「逃げ出した道の先に、なにか黒い影が走りさって言ったそうなんだ」

「黒い、影?」

神原「ああ、それが今回の雑音騒ぎの現況……『飛び跳ねる雑音肉塊』だ!!!」

月火「いつ聞いても語呂が悪いよね。どうしてそんな名前が噂されたんだろう…」

火憐「だが、名前から察するにすっげーモンだとあたいは思うんだ……」

神原「特に肉塊という部分に、ロマンを感じずにはいられないな…」

「………」

真宵「なにやら、わたくしの名前がタイトルに使われておりますのにこの疎外っぷり。思わず既視感を覚えずにいられませんが…」

真宵「さきほどからどうなされました阿良々木さん。だんだんと表情が曇っていらっしゃいますが」

171 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 04:11:08.65 9yr9qIJp0 35/164

「いや、大丈夫だ八九寺……僕は決して人様に迷惑のかかることはやってないと、自信もって言える人生を歩んできたとは言わないが…」

真宵「言えないんですか……まぁ知ってましたけど。それでもって、その表情はどうかされたんですか?」

「多分、この雑音騒ぎ、これ僕だ」

真宵「まぁ薄々感づいてましたけどね……こりゃりゃ木さんの仕業だなぁーと。勝手ながら推測させていただきましたよ」

「なんだその間接句とおりまぜたような言い方は……僕の名前は阿良々木だ」

真宵「失礼、噛みました」

「違う、それは嘘だ」

真宵「かみまみた」

「わざとじゃない?!」

真宵「感謝した」

「疎外感から救済にお礼を述べるだと!?」

173 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 04:18:12.11 9yr9qIJp0 36/164

真宵「まぁとりあえず、中の人的に噛みネタは下手くそなので自重したいことろなんですが…」

「それが今まで八九寺を出さなかった理由だとは、言えるに言えない過去のお話だ…」

真宵「とりあえずは阿良々木さん、まずは落ち着くべきです。わたくしことながら、この場を借りて助言させてもらうとですね」

「ああ、なんだ?」

真宵「まっさきに阿良々木さん、その騒音騒ぎの元凶だと、ご家族に疑われてますよ。確実に」

「なんだとっ!?なぜそれがわかるんだ八九寺!?」

真宵「簡単なことです。この話、元から疑うべきところがたくさんあるでしょう」

真宵「まず、神原さんが阿良々木さんのお宅にいるところから不自然でした。話でしか聞いたことはありませんでしたが、神原さんという方は妹さんたちと中が良いのでしょう?」

176 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 04:25:07.87 9yr9qIJp0 37/164

「ああ、そうだな。現にこうやって家に招き入れる関係性になってた」

真宵「それがキーポイントです。阿良々木さん、神原さんが家に上がれることを、今日知ったんですよね?」

「……まあそうだな。そこまで関係を妹たちと深めているとは思わなかったし…」

真宵「でしょう。たぶん、妹さんたちもそれが狙いかと。兄である阿良々木さんと関係が深い人物、しかしもって妹たちとの関係性を実の兄にバレない程度の踏まえる必要がある」

真宵「なにかしらの罠に阿良々木さんをはめこむため、一時的に神原さんと契約を結んだか。それとも誰かが裏で暗躍して、この状況を作り上げた可能性もありますよ」

「暗躍と聞くと、一人しか思い浮かばないんだが……」

月火「……」


178 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 04:33:55.64 9yr9qIJp0 38/164

「でもしかしなんだ、どうして神原が必要になるんだ。それに僕が疑われる原因となるのかが不明瞭だ」

真宵「……これも憶測ですが、元から疑う方向性で決まっていたのではないでしょうか。阿良々木さんを」

「ぼ、僕をか!?なぜだ、意味が分からないぞ」

真宵「普段から事件をごったかえしてる人物が、まず疑われるのは推理物では定番ですよ」

「疑われるも何も、まぁ僕が犯人なんだがな……」

真宵「ですがまぁ、元から疑われて罠に陥る。なんては見てて気持ちのいいものではありませんからね、仕方ありません。わたしが助けてあげましょう」

「本当か!?じゃ、じゃあ助けてくれ!!お礼はなんでもするから!!」


179 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 04:38:32.25 9yr9qIJp0 39/164

真宵「どーんとおまかせあれ!!とりあえずは、この思いっきり他人から見れば独り言だったことをどうにか自分でしてくださいね!」

「まずはそこから助けてほしかった!」

火憐「……なぁ兄ちゃん」

暦 びく!

火憐「いや、どうもこうも言うのも何だけどよ……その、頭大丈夫か?」

「だ、大丈夫だ!まったくもって、頭の調子は通常回転中だぞ……っ」

月火「火憐ちゃん…そっとしてあげなよ。最近、ちょっとお兄ちゃん頭疲れてるんだよ。しょうがないんだよ」

「しょ、しょうがなくわないぞ?大丈夫、月火ちゃんに心配されるほど兄は疲れてないから……」

神原「ほぅ……なるほど。話に聞いていたが、本当に阿良々木先輩は妹さんを名前でちゃんづけする───」

「おまえはちょっとこっちこい」

180 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 04:46:26.08 9yr9qIJp0 40/164

真宵「ナイスです阿良々木さん。まずは引き寄せて、神原さんにだけ聞こえるように『お前は疑っているのか?』と聞いてください」

神原「なんだなんだ阿良々木先輩。今夜のお誘いか?」ワクワク

「違うから、そんなことこれっぽっちも期待しなくてもいいから。…そうじゃなくてだな神原、お前さ僕のこと疑ってるのか?」

神原「……?なんのことだ?」

「だから、今回あいつらが解決しようとかしていることだよ」

神原「……疑ってるも何も、どうして疑う人物をこうやって呼びつける必要があるんだ?」

「…まぁ、それもうそうだな」

神原「少なくとも私は疑ってはいないぞ。それに火憐ちゃんや月火ちゃん二人も、決して阿良々木先輩を疑ってることは無いと思うんだが…」

181 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 04:53:06.57 9yr9qIJp0 41/164

神原「というか、あれ、この事件って阿良々木先輩が犯人なのか?」

暦 びく!

神原「………なんだその阿良々木先輩の可愛らしい反応は。まるでわたしが妄想で繰り広げた忍野×暦という時の反応と同じ…」

「それいじょうその妄想の幅を利かせるな変態後輩。言っていいことと悪いことがあると、頭の中でちっとは理解しろ」

神原「……忍野さんのことになるとやけにムキになる阿良々木さんが可愛くてな……これは仕方ないことなんだ」

真宵「その話、すこし興味がありますねわたくし」

「八九寺、お前は僕にとって唯一のオアシスなんだ。それ以上けがれないでくれお願いだ絶対」

真宵「そ、そこまでおっしゃるのなら聞かないことにしときます……」

182 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 04:59:54.89 9yr9qIJp0 42/164

神原「おや、そこにいるのかい八九寺ちゃんは」

「いるんだよ。そして、僕が助言をもらっている立場だ」

神原「助言? ふーん、なるほど。そうか、わかった。なんとなくだが」

「なにがだよ?」

神原「いや、先輩。これは別にわたしが言わなくてもどうにかなっていたことだと思うのだけれど、とりあえずは言っておこうともう」

「やけに遠まわしな言い方だな。どうした急に」

神原「阿良々木先輩、どうか女の子に、嘘をつかないでおいてほしい」

「……は?どういう意味だそれ?」

183 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 05:06:44.52 9yr9qIJp0 43/164

神原「いつかわかるときが来ると、それだけを言っておくぞ。大丈夫、わたしが知っている先輩ならちゃちゃっと解決してくださると信じているからな」

「おいこら、自分だけで納得してないで、ちゃんと結論を言え結論を……」

神原「いや、わたしもそれは言えない。八九寺ちゃんが阿良々木先輩に言ってないのなら、当然のごとく、わたしも言える立場じゃないからな」

「八九寺……?八九寺がなにか関係しているのか?」

真宵「…………」

神原「関係しているも何も、今の阿良々木先輩の原因は八九寺ちゃん…君だろうしな」

「今のぼく……?原因?どういうことだよそれ……」

185 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 05:13:08.26 9yr9qIJp0 44/164

神原「ではヒントを言おう」

「ヒントじゃなくて、答えを言えよ。答えを」

神原「大丈夫、ヒントだって言っても答えに近いものだからな。そしてまぁなんだ、やっぱり阿良々木先輩は予想通りの顔つきになるなぁ……」

「あーもうなんだっていうんだ!!!?はっきりいえよはっきりと!!!」

神原「じゃあ触るけどいいのだな?」

「ああ、早く触れよ……ってなんで触るってなん、」

神原「ほっ」つん

「はうん……っ」ぽにょん

神原「おっほほほ~!!!!やらかいな!!やっぱり本物だったか!!」

「……へ?」

「なんで、ぼく、胸がついてるんだ……?」

188 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 05:23:13.50 9yr9qIJp0 45/164

「……」もにゅもにゅ

「む、むねだ…!!おっぱいがついてる……!!!」

神原「ああ、そのようだな。阿良々木先輩、なんかおっぱいついてるみたいだな」

「ついてるみたいじゃねーよ!?なにこれ、重!?肩から首にかけてなんか重いんだけど!?」

火憐「……あー?さっきからうるせぇな〝姉ちゃん〟?胸がどうしたって?」

月火 ……ピク

月火「火憐ちゃん、あれだよいつもの自慢タイムなんだよこれって。〝お姉ちゃん〟の悪い癖の」

「つ、月火ちゃん……?か、火憐ちゃん……?え、なんだその姉ちゃんって……?」

火憐月火「はぁ?」

190 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 05:36:27.60 9yr9qIJp0 46/164

火憐「なにいってんだねーちゃん。とうとう記憶も行かれちまったのか?」

月火「ごしゅーしょーさまーお姉ちゃん。そのまま胸の空気もぬけてったらいいのにねっ☆」

「ど、どういうことなんだこれ……ぼくがお姉ちゃんとして確定されている…?」

神原「ほう、これはまた不思議なことだな」

「か、かんばるっ!お前は、ぼ、ぼくのこと元はちゃーとした男だって理解できているよな!?」

神原「え?もちろんだ!!阿良々木先輩といえば、学校一有名な不良女子生徒として理解しているぞっ!」

「もちろんもくそもないやい!!思い出せ1!!ぼくは男だったぁー!!ちゃんとした男のはずだったぞぉー!!?」


191 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 05:41:32.26 9yr9qIJp0 47/164

神原「……なんという…ことだ…」

「え……どうした、かんばる…?具合でも悪くなってきたのか…?」

神原「く…くぁいい…なんというプリティな怒り方なのだろうか……っ!!これがあの先輩だったとは思えない……いや、思いたくない!!」

「おぼえてんじゃねーか!!ばか!!!」

「はぁ…はぁ…と、とりあえずなんだ!!ぼくはちょっと用事を思い出した…部屋に籠るからお前らくんじゃないぞ!!」

火憐「待てよねぇちゃん!?話まだおわってねーぞ!?」

月火「お姉ちゃん!?」

「うるさい!!それと神原、お前はくるんだ!!」

神原「よろこんで参る!!」

206 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 11:01:12.95 GcmyitpR0 48/164

自室

「はぁ…はぁ……とりあえずは、落ち着くことがん先決だな」

神原「そうだぞっ!まずは落ち着いて、ベットに腰かけたらどうだろうか?」

「お、おう…そうだな。サンキュ、気がきくな」とすっ

神原「いやいや、お褒めにいただき光栄だ。よいしょ」とすっ

「……なんだか神原、お前とベットに腰かけていると……不思議と逃げ出したくなるような貞操の危機を感じるな」

神原「なにをいう阿良々木先輩っ!?それはいささかわたしを信用に置いてないにもほどがあるんじゃないのか!?」

「うん、信用してない」

神原「ぐぁー!なぜだー!」

207 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 11:06:14.84 GcmyitpR0 49/164

神原「このように今の阿良々木先輩から信用を得られてないと、どうも本気で落ち込んでしまう私がいるみたいだ…」

「なんだそれ、どうしてそうなるんだよ……ぼくはぼくだし、なにも変わらないぞ」

神原「それが変わっているんだ阿良々木先輩。どうやら気にはされてないようだが、一人称のイントネーションが若干変わっておられるぞ」

「へっ?ぼくってのが?」

神原「ああ、なにゆえか平仮名っぽい〝ぼく〟という言い方に聞こえるな。いやはや、萌えるのでいいのだけれど」

「先輩を萌えの対象で見るな」

神原「それは無理な相談だっ!!」

「胸を張って宣言するなっ!!」

208 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 11:14:20.33 GcmyitpR0 50/164

神原「時に相談だが阿良々木先輩」

「お前はもう喋るな。お前と喋ってると、今は何かすっげー疲れるから」

神原「それは酷いっ!?疲れるなんて、そんな長年連添った夫婦みたいな言い方……いいではないかっ!!」

「もう、黙ってろよ馬鹿後輩……」

神原「はぁーん!」

「……まぁなんやかんやでスルーしていたが、八九寺。これはどういうことなんだ?」

真宵「……ラキ子さん…」

「そんな呼び方するな。物凄く会ってるから不自然じゃないほどに。それにぼくの名前は阿良々木だ」

真宵「失礼、噛んでません…」

「もっていかないのかよ…いつもの流れにもっていかないのかよ…」

209 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 11:22:23.94 GcmyitpR0 51/164

「……」

真宵「……」

神原「……おや、なんだか一気にシリアスな雰囲気に突入のようだな阿良々木先輩」

「…お前が何を知っているのかわからないが、どちらにせよ八九寺が言い出さない限り、お前も言うつもりもないんだろう?」

神原「そう、だな。言ってもいいんだが、その目の前にいるという八九寺ちゃんがいまだに言い出してないのなら、言うつもりは無い」

「お前と八九寺に何の共通の秘密が起こるのか……さっぱりわからないぞ。話が聞こえない同士のはずだろ?」

神原「なに、乙女の感というやつさ」

「お前に乙女成分があるということに、いささか驚愕を隠せないでいるぜぼくは」

神原「そうなると、今の阿良々木先輩が乙女度マックスだとわたしは断言しよう!!」

「断言する必要が、まったくもって意味がないことを断言しよう!!!」


210 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 11:31:50.95 GcmyitpR0 52/164

神原「すまない、これでもだいぶテンションを押さえているつもりなんだが…」

「それでかよ。ならもし抑え切れてなかったらどうなってたんだ」

神原「無論、問答無用で先輩をベットに押し倒して服を脱がしあらゆる実践的行為を行使していた」

「精神のコントロール、なおも頑張っててくれ」

「さて、八九寺」

真宵「……はい、なんでしょうか?」

「もう直に聞くが、ぼくはどうしてこうなった?なんで女の身体に変化しているんだ?」

真宵「ですが阿良々木さん。それがわたしくしの所為だと、なぜお思いに?」

「この話の流れからいって、疑うのはまずお前しかいないだろうに」

214 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 11:50:25.49 GcmyitpR0 53/164

真宵「そう、ですね……はい。神原さんのお膳立てもありますし、一からこの状況を説明する必要があるみたいですね…」

「ああ、よろしく頼む。本当に頼む」

真宵「はい、ではまずは……阿良々木さんは、なぜウザいのか。というところから説明に入りましょうか…」

「まだ言ってんの!?あれはもう終わったことだってぼく思ってたのに!!!?」

真宵「わたくしてきには大いに問題なことですよ?貞操にかかわることですからね」

「だから悪かったって!!それよりもまず、議題にすることが大切なことがあるだろうに!!」

真宵「仕方ないですね、それでは本題に入りましょうか」

「ああ…本気で頼む」

215 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 11:59:03.96 GcmyitpR0 54/164

真宵「阿良々木さん、まずは貴方が確実に聞きたいことというのは、その女体化のことでしょうか?」

真宵「それとも、この世界の阿良々木さんの認識が変わってしまったことでしょうか?」

「どちらも聞きたいことなんだが……なんだ、一緒くたに説明できないことなのか?」

真宵「ええ、そうなんです。前者にあげたものは、わたしは阿良々木さんに謝罪と共に説明するここができます」

「謝罪……?この身体はお前の所為だって言うことなのか?」

真宵「それは後々に。しかしなんですね阿良々木さん、本当に可愛らしい顔つきになられて……背が小さいとこうもお似合いになられるとは」

「背のことはこの際、触れるな」

真宵「いえいえ、これは褒めているのですよ?女の子になられても、一切の不都合が起こらず、むしろ女の子としての色気がデテいるところは尊敬に値します」


216 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 12:05:36.60 GcmyitpR0 55/164

「いまのぼくを褒めても、なんら嬉しくないぞ本当に」

神原「ではむしろ、女の子として褒められることに快感を覚えられてはどうだろうか?」

「だからお前は黙ってろ」

真宵「……話を続けますね。後者ですが、これはわたくしにはわかりません…ですが、憶測ながら説明することも可能です」

「ふむ、なるほど。んじゃあどちらも説明してくれ。ぼくとしては二つとも、同じく気になることだからな。この際、憶測でもいい」

真宵「わかりました。……では、場所を変えましょう阿良々木さん」

「へ?ここじゃダメなのか?」

真宵「はい。原因である場所に言ってからのほうが、説明もしやすいので」


217 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 12:18:18.30 GcmyitpR0 56/164

「……えーっと……この姿で、外を出歩け。そう言っているのか八九寺…?」

真宵「なにか不都合でもおありですか阿良々木さん?」

「ありまくりだろ……!!ぼく、女の子の身体になっちまってるんだぜ!?もし外の誰かに見られもしたら……っ!!」

神原「それは大丈夫なのではないか阿良々木先輩」

「な、なぜだ神原……というか、ちゃんと話の内容がわかってるのか?」

神原「推測して話を立てていけば、ちゃんと理解はできるものだぞ。阿良々木先輩は、これからどこか行かなければならないのだろう?その身体で?」

「ああ、そうだ。それでもし、ぼくを知っている奴が今のぼくを見てしまったら……どうなってしまうんだぼくの人生」

神原「どうやらお忘れのようだが、阿良々木先輩の女体化は、世界観点から見てかわっていると思うのだ」


218 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 12:22:48.54 GcmyitpR0 57/164

「へ、あ、そうだったな…妹たちもそう認識していたし」

神原「だったら大丈夫だと思われるぞ。たぶん、わたしのような、男と女の阿良々木先輩を理解している輩の方が異端なのだ」

「よくよく考えると、それもそうだな。なんでだ?」

神原「……それは後々に説明することにしよう。では、阿良々木先輩さっそくながら着替えようではないかっ!!」

「は!?!?なんでだよ、この服装のままでいいだろうがっ!」

神原「だめだ、それではダメなんだ阿良々木先輩。せっかくの女体、楽しまずにはもったいないだろう!!!」

219 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 12:26:14.41 GcmyitpR0 58/164

「楽しみたいのはお前だけだろ!!?八九寺!!たすけて…」

真宵「ふっふっふっ……神原さん、そのまま押さえつけててください…日頃の恨みですよ阿良々木さん…っ!!」

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


玄関先

「これはない」

神原「いやいや、アリすぎて困るんだが阿良々木先輩……」

真宵「ええ、自らやっておきながらなんですが……似合いすぎて、本当に男とでしたのかって記憶に自問自答したいぐらいの可愛さですよ。いや、むしろクールビューティ?」

「もう、お前らが言っていることは全部、ぼくを馬鹿にしているようにしか聞こえないぞ…」

220 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 12:31:00.12 GcmyitpR0 59/164

神原「しかしながら、阿良々木先輩のお母さまがこんなにも可愛らしい服を持っていられるとは…よくわからなくなってきた」

真宵「それに妹さんたちの凄ざましい協力度にも、驚かれましたね……」

回想

神原「なぁ、火憐ちゃん月火ちゃん。阿良々木先輩に可愛らしい服を着せたいのだがどうしたらいいっ?」

「ぎゃー!やめろぉー!」

火憐「……ねぇちゃんにかわいい服、だと…?」

月火「火憐ちゃんこれはチャンスじゃないかな…?」

火憐「そのようだな月火ちゃんよ。これはチャンスでもなにものでもないっ!」

223 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 12:35:39.64 GcmyitpR0 60/164

月火「でも、わたしたちの服じゃあお姉ちゃんに見合ったサイズはないし……胸が主に」

火憐「それもそーだな。んじゃお母さんのやつとかは?ひらひらいっぱいついてるやつあんじゃん」

月火「それだっ!火憐ちゃん、さっそく持ってきて!あと化粧品も少々!!」

火憐「おっけーだぜぇえええええ!!!」

「やめろファイヤーシスターズ!!ぼくはあの母親のような服は断じて着たくない!!!」

月火「しかたないよ。これは運命なんだから、駿河先輩。ちょっと強く抑えててくれませんか?」

神原「どんとこい!!!」

月火「うっふっふ……お姉ちゃん、わたしいっつも思ってたんだけど、化粧したらすっごく映えると思ってたんだ」

225 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 12:40:59.00 GcmyitpR0 61/164

「や、やめろ…参謀役……お前はけっして自らの手を汚すことはしないはずだ……!!」

月火「ん、まぁ、そうだけどね。今日は別にいいや」

「なんでそんな妥協的!?おかしいだろう!!いやいやぼくなんかを化粧したって、野蛮婆メイクレベルでなんとかお似合いなんだよ!!」

火憐「もってきたぜぇー!!ふわふわとふりふりのやつ、それとお母さんが使ってる化粧品を少しだ!!」

月火「ありがと火憐ちゃん。では、さっそく服を脱がすから……火憐ちゃんも手伝って」

火憐「おっけー!」

「おっけー!じゃねぇええええええええええええええ!!!!ばかー!!あ、こらまじで脱がすな、やめろっておい……あっ」

226 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 12:48:03.23 GcmyitpR0 62/164

神原「暴れるな阿良々木先輩。ここは一つ、諦めたらいかがだろう」

「諦めるかっ!!ふざけるな、ぼくが脱がされようとしているんだぞ!?これが暴れずにいられ……っ」

火憐「よいっしょっとぉおおおおおおお!!!」

「ぎゃああああああー!!!!」ぷるんっ

火憐「っ……お、おう……いやはや、すっげーなねえちゃん」

月火「くっ」

神原「服越しでも明らかに大きいと思っていたが…じかに見るとこれは……羽川先輩クラスだなこれは……」

真宵「阿良々木さん、いつからわたしくしの意外とグラマラス枠を奪う立場になられたのですか……?」

「うっせーよお前ら!!!恥ずかしいからまじまじと見つめるなっ!!!」

233 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 13:13:11.25 GcmyitpR0 63/164

火憐「なぁねぇちゃん。ちょっと触っていいか?」

「はっ!!?ダメに決まってるだろ!!なに顔赤くしながら聞いてくるんだ!」

月火「だめだよ火憐ちゃん、こういうのは強引にいかないと」

「違う!!だめだよの方向性が違うから月火ちゃん!!」

火憐「そ、そうか!だったらもう直にぐわしといっちまうか!」ぐわし!

「きゃんっ……!!」

火憐「な、なんだその可愛らしい反応は!!?なんだかドキドキするぜ!?」

神原「火憐ちゃん、それが萌えってやつだ!!」

「ち、ちげーよ!ちょっとお前の手が熱くてびっくりしただけで……というか変な子と吹き込むな神原駿河っ!!!」


234 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 13:16:37.21 GcmyitpR0 64/164

火憐「ほ、ほう……ここまで大きいと、揉みごたえが凄いぜ…!!」

月火「火憐ちゃん、わたしも揉みたいから片方ずつ揉まない?」

火憐「おっ。そうか、なら姉妹仲良く触らしてもらおうぜ」

「こんな所で姉妹の仲の良さを出すな!!お前らぼくを着替えさせたいだけだろ!?なんで揉むことになってんだ!!」

神原「阿良々木先輩……ちょっとわたしには、この光景がいささか刺激が強すぎて、スイッチが入りそうなんだが…いいだろうか?」

「なにいっちゃってんの神原!?それと息荒くて耳に当たってこそばいからやめろ!!」

真宵「阿良々木さん、モテモテですね。うらやましいです」ずずず…

「おーいスト八九寺やーい!!たすけておくれー!!そんなところでお茶飲んでる場合じゃないぞー!!」

235 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 13:22:04.28 GcmyitpR0 65/164

月火「くぅ……どうして同じ血を分けた間でありながら、こうも格差が生まれるんだろ…不公平だよこれって!!!」もみもみ!

火憐「あたいは胸なんて、邪魔でしかないと思うけど……だけどねぇちゃんにこれはあり過ぎたと思うな。マジで」もみもみ

神原「ふ、ふぉおお……妹ちゃんたちが阿良々木さんのあられもない姿を見つめながら、その乳房を片方ずつ弄ぶ……なんという甘美!!エロス!!fooooo!!」ぺろぺろ

「いたいいたい!!お前ら馬鹿妹ども!!強くもみ過ぎだから……って神原なに耳を舐めてるんだ!?く、くすぐったいからやめっ……ひぁあ!!」

真宵「物凄い絵図ですね。言葉だけでこの様子ですから、絵にしようものなら酷い有様でしょう…」

「もういやだぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!」

236 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 13:26:50.24 GcmyitpR0 66/164

回想終わり

真宵「本当に、酷い有様でありましたね阿良々木さん」

「もう思い出したくは無いんだ……そっとしておいてくれ八九寺。いや本当に」

神原「だが良い思い出になったではないか阿良々木先輩。女の子としての服、化粧をされる。実に甘美な体験だな!」

「だな!じゃねーよ、お前が一番楽しんでいたじゃねえか。ふざけるな」

真宵「そしてまあ、そんなこと話していると着きましたよ阿良々木さん」

「ん……ここなのか?八九寺、行きたかった場所って」

真宵「はいそうです。ここですよ」

神原「お、ついたのか。……というかここは、橋の下の河原ではないか」

「八九寺がいうには、どうもここらしいぞ」

238 : 忍法帖【Lv=1,xxxP】 - 2011/06/05(日) 13:36:42.05 6UG2TR5q0 67/164

火憐ちゃんの一人称ってあたしじゃなかったか?

239 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 13:42:55.05 GcmyitpR0 68/164

>>238
!matayattimatta

橋の下

「昼間なのに、橋の下に来ると結構暗いんだな……」

神原「ここは、よく青カンスポットとして有名な場所だからな…」

「同じような物言いで、要らない情報を口に出すなっ」

真宵「ちょっと待っててくださいみなさん。すぐに来ると思いますので」

「……来る?誰かここにくるのか?」

真宵「はい、浮遊霊さんですよ阿良々木さん」

「浮遊霊ってあれか?八九寺、お前が仲良くなったと言ってた」

真宵「はい、そうです。ちょっとその浮遊霊さんは恥ずかしがり屋でして、出てくるのに時間がかかるんですよ。しばしお待ちください」

240 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 13:47:38.45 GcmyitpR0 69/164

「ふーん、そうなのか……ん?」くいくい

神原「なあ、阿良々木先輩…ちょっとこれを見てくれ」

「なんだよ。何を見ろって?」

神原「これだ」ぺら

「……あのなぁ神原、お前がどんなにエロスを追及する清き探求者であっても、河原で拾ったエロ本を嬉しそうにつきだすなよ」

神原「なにをいう阿良々木先輩。これがどんなに素晴らしいものだとわからないのか!?」

「わからないな。ただのくたびれたエロ本、だ……」

「あれ、なんかこのキーワード…どこかで……?」

242 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 13:54:44.77 GcmyitpR0 70/164

「………」

神原「これはだな、ロマンとエロスが最大限に含まれた輝かしい結晶なのだ!!阿良々木先輩、これがわからないとなると、流石にわたしも驚きものだぞ……!?」

「あ、そうだ!思い出した!」

神原「阿良々木先輩……?無視というのは、意外と人を傷つける手段として有効なものであってだな……」

「火憐ちゃんが持ってたエロ本だ。そうだ、確かこんな感じのくたびれ方を……あっ!!」

神原「お?どうなされたんだ、阿良々木先輩」

「そうだ、確かあの時それに挟まっていた石が原因で……それでいて、今回もまたこの〝匂い〟がするような…どこかトラウマも含め、ごく最近にて嗅ぎなれたどこか甘ったるしい…」

神原「…………」

「夜泣き石……か?」


244 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:13:08.50 GcmyitpR0 71/164

「でも馬鹿な、あれはもう色々と騒動を含め収まったはずだ……」

真宵「きゃっ……!?」

「!?八九寺、どうした!?」

神原「どうなされた!?八九寺ちゃんに、なにかあったのか!?」

「いや、わからない……急に叫び声が聞こえて。というかアイツどこにいったんだ?姿が見当たらないぞ……」

神原「元から見えない私はどうにも出来ないが……どこから声が聞こえんたんだ?」

「あっちだ。もっと奥の方から聞こえた」

神原「はちくじちゃーん!!そこにいるのかぁー!?」

「……返事がないな。どうしたんだ本当に」

神原「阿良々木先輩……」

「……ああ、分かってる。探しに行くぞ」

246 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:18:22.39 GcmyitpR0 72/164

橋のした。
河原の奥

「ここら辺まで来ると、背の高い草で周りが見えなくなってくるな……」

神原「予め作られたような獣道があったお陰でよかったものの…阿良々木先輩の柔らかな肌を、傷だらけにするところだったな」

「その気持悪い心配の仕方やめるんだ」

神原「しかしながら、どうしたのだろうか八九寺ちゃん……」

「わからない。今はとにかく、前に進むしかないだろ」

神原「なんかこうしてると、前に神社に行ったのを思い出すな阿良々木先輩」

「……ああ、あのお札を貼りに行ったやつか。お前知らないと思うが、あの札って物凄い力持ってたんだぜ?」

247 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:22:30.75 GcmyitpR0 73/164

神原「そうだったのか。忍野さんもまた、なにも言わないからな」

「そんな奴だろアイツは。誰にも言わないで、一人で考えて行動してるんだ。孤独だけど、それでいて自由気ままな奴」

神原「……そんな姿になった阿良々木先輩がいうと、どうにも恋する少女に見えてしまうのがすごいところだ」

「なんだよそれ。だったらぼくが男の時の方が、不自然みたいな感じになるじゃないか」

神原「それが萌えポイントなんだ。阿良々木先輩」

「よし、この話はお終いだ」

249 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:32:45.90 GcmyitpR0 74/164

「いないな……どうしたんだ本当に八九寺…」

神原「だいぶ奥まで来たと思うんだが……というか、ここはどこなんだろうか」

「いや、だから橋の下の河原………だったよな神原?」

神原「わたしもそう記憶しているつもりだったが……見渡し見れば、なんだか森に迷い込んだような光景になってる気が…」

「まよい、こんだ……?」

神原「……阿良々木先輩。ちょっと耳を澄ましてくれ」

「どうした急に」

神原「なにか聞こえた気がした。人の声のような……」

「人の声……?八九寺か!?」

252 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:37:02.57 GcmyitpR0 75/164

神原「いや、違う。これは男の声だ」

「誰かいるのか…?こんな場所に」

神原「わからない。だが、どうやらこの先から聞こえてきているようだ。どうする阿良々木先輩?」

「当り前だ。先に進む、八九寺も見つかってないしな」

神原「わかった。もしこの先になにかあったら、わたしが責任もって先輩の処女をもらいうけよう」

「さらっと何を言ってるんだお前は」

数分後

「この先か……?声が聞こえるってのは」

神原「……ああ、消えるぞ。沢山の声が」

253 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:41:41.60 GcmyitpR0 76/164

「どうにも僕には聞こえないんだが……でもあれだ、あの匂いがするのは確かだ」

神原「?匂い?」

「いや、なんでもない。じゃあ先に進むぞ……」

神原「ああ、行こうではないか」

がさり

「ん?なんだこのピンクの塊……あっ!八九寺のかばんじゃないか!?」

神原「え?八九寺ちゃんのカバン……!?くんかくんか」

「いや、そこじゃないから…見えてないなら無理すんなよ」


255 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:45:39.02 GcmyitpR0 77/164

神原「いや、こうすれば少しでも八九寺ちゃんを感じる糸口になるかなと…」

「そんな無駄な労力使うぐらないなら、この場の状況をどうにかしようと頭を働かせろ」

「というか、なんでまた八九寺のカバンが……ん、まだ暖かいな。脱げたばっかしなのか」

神原「脱げたばっかし!?」

「その単語だけに食いつくな。しかしながら、まあ持っていくか。これがあるってことはこの先には八九寺はいるってことだしな」

神原「そうだな。ではさっそく……阿良々木先輩っ!!!」

「ん?どうした神ば───」


256 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:51:31.37 GcmyitpR0 78/164

「……なんだこの石は…?」

神原「そ、それだ!!そこから声が聞こえた!!」

「八九寺のカバンをどかしたら、それに隠れるように石が地面に埋まっていた……なんだその関連深そうな流れはって…」

「神原、この石から声が聞こえたのか?」

神原「ああ、そうだ……なにやらとてつもないオーラを感じるぞ。不気味な石だ。声が聞こえたのも不自然じゃないぐらいに」

「そう、なのか…ぼくにはなにも感じないんだが……それに、くんくん。匂いもこの石からはしないしな…」

神原「あ、阿良々木先輩…!!そのようなものに、あまり顔を近づけると危ないんじゃないか…?」

257 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 14:56:42.63 GcmyitpR0 79/164

「大丈夫だろ。なんも危険は無いって」

神原「そ、そうか…じゃあその屈んだ拍子に胸元から零れおちた谷間を、じっくりと観察する側に回ろう…」

「それはダメだ神原。危険なことだった」

神原「そんなっ!!おっぱいは正義のはずだろ阿良々木先輩!!!」

「神原よ……それにはいささか語弊があるようだな」

神原「おっぱい信者である阿良々木さんがなにをいう!!そこに大きなおっぱいがあるのならば、例え自分の命を投げ捨て出ても拝みに行く!!そんな人だったぞ彼は!!」

「ああ、そうだな。それは確かにそうだった……だがな神原駿河!!」

「自分のおっぱいには、燃えないんだ……これが…」

258 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:02:38.12 GcmyitpR0 80/164

「なんかこう……不思議と、脇を一部撮りして谷間!とかやっている気分でだな…全然、面白くないんだこれが」

神原「そうなのか…というか阿良々木先輩、そんなことやっていたのか…」

「妄想は人豊かにする。だろう神原?」

神原「確かにそうだと思われるが、だがしかし、妄想の内容を言われるといささかこちら側としては気まずいものがある…」

「うるさいぞ神原!!お前が言うな!!さて、カバンも見つかったし、この先にどうやら八九寺はいるんだろう。さっそく見つけに行くぞ」4

神原「わかった。しかし、またひとつ疑問に思うことがあるんだが……」

「なんだ?どうした」

神原「人知れず、阿良々木先輩の髪……伸びてないか?」

259 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:08:01.65 GcmyitpR0 81/164

「へっ?」さわさわ

神原「だろう?」

「ほ、ほんとだぁー!!のびちゃってますー!!」

神原「誰のモノマネなんだ先輩。…今はスルーしとくが、凄いな。いつの間にか軽く腰まで伸びきってるように見える」

「本当にいつのまにだよ!?なに、お前気づかなかったの!?いままで!!」

神原「そうだなぁー…わたしはずっと阿良々木先輩の腰のラインをじっくり眺めていたので、気づかなかったのかもしれない」

「ぼくの後ろを歩きながらお前、なにを見ていたんだ!!変態!!」

神原「おおう!なんだか、素晴らしく女のおとして進化した突っ込みの仕方だったな!あごの下に手を置いて振り返りざまに変態!!か……素晴らしい」

260 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:12:11.32 GcmyitpR0 82/164

神原「しかしなんだろう、伸びすぎて貞子みたいな感じになってる気がするぞ阿良々木先輩」

「もとから髪が長い方だしな…片目隠してるし。ここまで伸びるとカーテンみたいだな」

神原「しかし綺麗な黒髪だ。憧れるぞ」

「いいよそんなの。嬉しくない全然」

神原「だけどいいのか?けっこう邪魔じゃないかその長い髪?」

「そ、そうだな……なにか括れるものがあればいいんだが…あ、そうだ!」

神原「?どうしたのだ?」

「八九寺のかばんだったら何か入ってるかもしれない。アイツ、今日はツインテールじゃなくてストレートだったんだよ。もしかしたらカバンにしまいこんでるかも」

263 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:17:27.49 GcmyitpR0 83/164

神原「ほー、八九寺ちゃん。今日はストレートだったのか……いやはや、本当に一度は拝ませていただきたいものだ」

「例えお前が見えるようになったとしても、絶対にぼくはお前を八九寺に合わせたりはしない。命に誓う」がさごそ

神原「ものすっごいドスの聞いた声だったな先輩……そこまで会わせたくないのか私を。なるほど、そこまでの逸材か」

「あれ、墓穴掘ったかぼく…ってあれ?」

神原「どうしたのだ阿良々木先輩?」

「これって……あれ、なんでここにあるんだ?」

神原「……それは?」

「僕のシャーペンだこれ」

264 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:21:50.78 GcmyitpR0 84/164

神原「阿良々木先輩のか?それは確かにそうなのか?」

「ああ、確か以前に失くしたと思ってたやつで……あれ、まだなんかあるぞ」

神原「どれどれ……えっとこれは何だ、ハブラシ?」

「これは以前使ってたハブラシだ。今はたんぽぽの綿毛式を使ってるな」

神原「じゃあこれは?穴のあいた靴下だが……」

「あ、これは以前に履いていた靴下だ。穴が開いたか捨てたような気がする…」

神原「……。では、この髪止めは?」

「これは髪を伸ばし始めた時、前髪が邪魔で付けてたやつ…妹たちが馬鹿にするかすぐに捨てた奴なんだが……あれ?なんか僕のものばかり入ってるな…」


265 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:27:31.42 GcmyitpR0 85/164

神原「……なぁ阿良々木先輩」

「どうしてアイツ、こうも僕の所持品をカバンいっぱいに詰め込んでるんだ…ん?なんだよ神原。青ざめて?」

神原「いや、よくよく考えると……やっぱり八九寺ちゃんは幽霊なんだなって思ってしまってだな…うん、ちょっと恐怖体験をしたまでだ」

「なにを今さら。八九寺は幽霊だろう、それは変わりはしないことだろうが」

神原「いや、阿良々木先輩がどうも思われないのならば、わたしがとやかく言う必要はな良いと思うが…八九寺ちゃん、もしかしたら誰よりも深い所にいるのではないかと…思ってな…」

「わけがわからないこと言うなよ。本当に今日のお前は、遠まわしというか、めんどくさい立ち位置にいる気がするぜ」


267 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:33:53.29 GcmyitpR0 86/164

神原「そうだな、確かに自分でもそう理解しているつもりだ。めんどくさい、ただ阿良々木先輩を撹乱させているだけの存在になってしまっている」

「別にそこまで言ってないが…まぁそれでも、ぼくは女の子になっている時点で、これはなにかの異変だということは確かだしな」

「しかもそれに関して何かを隠しているお前は、その異変の一端を担っているといっても、過言じゃないと思うぞ」

神原「…まぁな。だがしかし、わたしはこの先、このスタンスを通させてもらう。阿良々木先輩、貴方が答えに行きつくまでな」

「別にかまわねーよ。用はぼくが自力で答えを出さないといけないってわけだろ?だったらむしろお前の気持ちは、迷惑じゃなくて感謝ものだぜ」

神原「そう、か…そう思っていただけるのなら、嬉しいと思う」

270 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:41:21.72 GcmyitpR0 87/164

「良いんだよ。後輩が先輩に対して気遣いなんかするな。ぼくとお前の仲じゃないか」

神原「ありがたい。では、さっそく今夜は更なる仲を深めるため、ここに泊ることにして…」

「ぼくのかっこいいセリフを台無しにするな」

神原「冗談はさておき、どうするのだ。阿良々木先輩、かばんをみつけたのもいいとして、それからどうすればいい。先に進むのか?」

「よっと……そうだな。どうするか、カバンがここにあるってんなら、もしかしたらここに戻ってくる可能性だってあるな」

神原「なるほど。そしたら二手に分かれてみることにするか?」

「それがいいな。どうする?先に進む方はじゃんけんで決めるか?」

273 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 15:47:40.22 GcmyitpR0 88/164

神原「…いや、ここはわたしが先に進もう」

「お、なんだよ。やる気だな?」

神原「そういうわけではないんだが……ま、そん感じだ阿良々木先輩。この場を頼んだぞ!」

「おう、お前も気をつけろよ?なにかあったら大声で叫ぶんだぞ?絶対に助けてやるからな」

神原「……ふふっ、その先輩の言葉は、どんな頼りがいがある奴が言ったとしても、決して敵わないセリフだ」

「お世辞はいらねーよ。だから気をつけていって来い」

神原「お世辞ではないのだがな。では、いってくるぞ」たったったっ…

「…大丈夫かなアイツは。心配だが、これも八九寺のためだ。仕方ない」

275 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 16:03:31.81 GcmyitpR0 89/164

カァーカァー…

「……改めて見渡してみると、ここ本当にすごい場所だな。まるで森だ」

「橋の下がこんなふうになっていたなんてな……いやはや、まだまだ世界は不思議でいっぱいだ」

「……暇だな。なんだ、もうちょっと八九寺のカバンをあさくってみるか……なにか面白いもんでも入ってるかもしれないしな」がさごぞ

「んー…なんだろう。何だかんだで、ぼくのモノばっかり入ってるな。以前に読んでた本やら、使っていたタオルに…」

「……これだけ見覚えがないな。ネックレス?」

「だな。金属の輪っかでの……通されているのは…小さな石か、これ?」

がさり!

「!なんだ!?」

285 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 17:18:53.85 Qix/pLYI0 90/164

がさがさ…

「……だ、だれだ!!そこにいるのは!!」

がさ…

「…………。あれ、風とかかな…?」

がさがさがさ!!!

「おおっ!?やっぱなんかいる!!だれだ!!?」

がさがさ……

「ごくり……なんだ、どうしたもったいぶらないで出てこい!!そこのやつ」

がさり!

「……あら」


戦場ヶ原「どうして貴方がここにいるのかしら?」

「は、へ、あ……ガハラさ、ん……?」

286 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 17:26:18.71 Qix/pLYI0 91/164

「なんでこんな所にいるんだガハラさん……お前みたいなやつが、なぜここに……っ!?」

戦場ヶ原「……ええ、そうね。私的にも、どうもわけがわからずこのようなチンケな所にいるわけだけど…少しいいかしら」

「な、なんだ…?」

戦場ヶ原「……なぜ貴方が、そのような呼び方をするのかしら。ガハラさん、なんて。そのような仲だったかしら私たち」

「な、なんでってそりゃ……お前とぼくはつきっ……あっ!!」

(そういうところどうなんだこの世界!?ぼくとガハラさんはちゃんと付き合っている状況なのか!?)

戦場ヶ原「つきあって……?」

「え、あ、うんそうだ!友好関係で付き合ってきた仲だっただろう?それとなくもっと友好を深めようかと、名前から変えてみたんだ!これが!」


287 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 17:31:37.60 Qix/pLYI0 92/164

戦場ヶ原「…ふーん、そうなの。でも言わせてもらうとだけど、確かに私と阿良々木君との関係は、他のクラスメイトとは一線を越えるけど…」

戦場ヶ原「その様な愛称で呼ばれるほど、仲が良かったなんて、これっぽちも思ってなかったわ。ごめんさい、ちょっと迷惑だわ」

「へ……?あ、うん……?」

戦場ヶ原「あら、よく伝わらなかったかしら。私、独りよがりの勘違いな人って、虫唾が走るぐらいに大っきらいなの……とごく詳細に述べたつもりだったのだけれど」

「そ、そうなのか……そ、それはすまなかった戦場ヶ原さん…」

戦場ヶ原「いえ、わかっていただけると幸いよ」

「ご、ごめんなさいでした…」

291 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 17:39:26.55 Qix/pLYI0 93/164

(こ、これは確定だ……この世界では、阿良々木 暦ことぼくはガハラさんとは付き合ってはいない!!)

戦場ヶ原「熱いわねここ……」

(そして話してみてわかったが、なんか会話の印象が以前、初めてガハラさんと会った時と同レベルのツン度だ。そんな気がする……)

戦場ヶ原「ねえ、阿良々木君」

「は、はいっ!?な、なんでしょうか……ガ…戦場ヶ原さん!!」

戦場ヶ原「いえ、大したことではないのだけれど。その髪、どうしたのかしら?」

「へっ?か、髪でしょうか……?」

戦場ヶ原「ええ、そう。貴方、そんなに長い髪のような気がしなかったするんだけど…わたしの気のせいかしら?」

「こ、これはですね……イメチェン…そうそうイメチェンなんですよ!!!ちょっと変えてみようかなぁーって…はい…」

294 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 17:44:57.05 Qix/pLYI0 94/164

戦場ヶ原「へぇ…そう、でも他人ながらいわせてもらうけど。似合ってないわよ、それ」

「あ、そうですか……すんません…」

戦場ヶ原「……私的には、以前のボブカットの方が好みだわ。貴方の髪型は」

「へ?あ、以前のですか……?」

戦場ヶ原「そうよ、あの時。わたしを助けてくれた時の髪型……覚えてるかしら?」

「たす、けた……?」

(あれ、何かでもぼくの記憶と世界は同じ過去なのか……?戦場ヶ原の助けたというのは、明らかに以前の重し蟹のことだろうし…)

298 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 17:57:42.48 Qix/pLYI0 95/164

「あ、ああ覚えてますよ……戦場ヶ原。あの時の廃校ビルで会ったことですよね?」

戦場ヶ原「……そうね。あんなこと、忘れようにも忘れることなんてできないわ」

「………そう、ですね…」

戦場ヶ原「でも、皮肉なものよね。あの時、助かったのはわたしだけで……彼はダメだった」

「……え?いま、なんて……?」

戦場ヶ原「……え?もしかして忘れてしまったのかしら?あの時、いた彼が……私を庇って神様を怒らせて…」

「ま、待ってくれガハラさん!!それは、それは忍野メメというアロハシャツの男の活躍でなったんじゃ…?」

戦場ヶ原「……おしのめめ?誰かしらその人?」


300 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 18:06:23.33 Qix/pLYI0 96/164

「なっ……!?どう、いう……ことだそれは…!?」

戦場ヶ原「どういうことだと、聞きたいのはむしろ私のほうだわ。阿良々木君、貴方もう忘れてしまったの?」

戦場ヶ原「あの時、廃ビルにいたのは三人。わたしと阿良々木君と、もう一人……八九寺真宵くんだったじゃないの」

「八九寺 真宵……くん……?」

ジジジ──ザザザ……

「どういうことだ……八九寺、お前はいったい…僕に何を隠して……というかお前は…」

がさがさ!

戦場ヶ原「!?……なにかいるわね。こんな所、誰もいない物だと思っていたのだけど…」

「せ、戦場ヶ原……!?」

戦場ヶ原「ごめんなさい。私、もう行かないといけないみたい。ここでおいとまさせてもらうわ」


302 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 18:12:56.59 Qix/pLYI0 97/164

「ま、待ってくれ!お前にはもっと聞きたいことが……!!」

戦場ヶ原「ごめんなさい。聞きたいことがあるなら、いつか出会った時に沢山聞いてあげるわ。とにかく私は行かないと」

「なんでだ!!?どこ行こうってんだ!?」

戦場ヶ原「当り前でしょう。逃げるのよ……人を殺した罪人としてね」

「人を……!?」

戦場ヶ原「では、また。……それとありがとう。と、感謝するわ。いきなり私が来たのに、普段通りに接してくれて、と」たったったっ

「ま、まってくれ!!戦場ヶ原!!!ガハラさん!!!」

「あたっ」ごすん!

「いたた……ガハラさん!?……いない…?」

303 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 18:19:58.70 Qix/pLYI0 98/164

「なんだ、というんだ……これは、僕の考えの範疇を超えたことが起こってるとしか…僕は……」

がさり

神原「やー!やー!ただいま阿良々木先輩」

「か、神原……?」

神原「おう、そうだ。阿良々木先輩の愛しい後輩、受けも攻めも兼ねそろえる万能型女子!!それが神原する──」

「かんばるぅう……!!うわぁぁあん……!!」

神原「へっ!?どうなせらた阿良々木先輩!?ガチ泣きとはどうしてそのようなことに!?!」

「ぼ、ぼくもう……わけわかんねぇよぉお……うわぁあーん……!!」

神原「わ、わたしもよくわからないぞ先輩……いや、しかしながら、泣き顔も愛しいな…」

「ばかぁー!!!」


304 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 18:25:38.95 Qix/pLYI0 99/164

数分後

神原「落ち着かれたか?」

「ああ…ぐす。すまない、いきなり抱きついて泣きだしてよ……ちょっと精神的にヤバかったんだちょっと…」

神原「いえ、わたしも至極の時を過ごさせてもらったからな。ぽよぽよだったぞ!!」

「この際、なんとでも言え……一応、感謝しているつもりだからな。うん」

神原「へ…あっ!しまった!その様なことだったら、もっとがっつり揉んでおくことにするべきだった……っ!」

「感謝しているこの気持を返せお前」

神原「……それで、どうなされたんだ阿良々木先輩。私がいなくなって数分ちょっとで」

「…………」

307 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 18:33:42.69 Qix/pLYI0 100/164

「なあ、神原。お前はぼくに、なにもいうことはできないって言ったよな」

神原「……ああそうだな。確かに、そういったぞ」

「だが、それでもこれだけは聞かせてくれ。お前は……お前の…記憶では、戦場ヶ原ひたぎを、どう認識している?」

神原「…………」

「……答えられないっていうのか?」

神原「……そうだな、わたしは戦場ヶ原先輩のことは、貴方の彼女としての記憶しかない。それは阿良々木先輩と共通の記憶のはずだ」

「……本当に、今日のお前は遠まわしな言い方ばかりだな。だとなんだ、違う場合があるって可能性もあるみたいじゃないか」

308 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 18:40:16.38 Qix/pLYI0 101/164

神原「そうだな、今日の私はおかしい。阿良々木先輩という今日のわたしは、本当におかしいな」

「やめろよ。それはもう……なんか認めたも当然見たいじゃないか」

神原「いいんだ。認めよう、わたしは今日の阿良々木さんにとっては、確実におかしい人物になっている。それは当然だ」

「当然ってなんだ。そんな当然、ぼくは知らないぞ」

神原「阿良々木先輩の目の前にあるそのもの自体が事実だ、なにが違うものか、なんてどこにも確証は無い。確かにあるのならば、見て判断するしかないからな」

「何が言いたいんだ。はっきりと言え、神原駿河」

神原「ああ、いおうじゃないか。阿良々木先輩」

神原「わたしは、貴方か見て違った世界の住民。多元世界の一人の女の子。神原駿河と申すものだ!!」


311 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 18:52:30.64 Qix/pLYI0 102/164

「……」

神原「……」

「……なんだ、その。自信満々に言われてなんだが……よく、わからないんだが…?」

神原「大丈夫だ!!分かるように説明はしてないからな、これだけの説明でわかってしまえば、わたしがわざわざ阿良々木先輩の前に出てこなくてもよかっただろうしな」

「なに、それはどういう意味だ神原。まるでぼくと出会うことが、確定事項みたいな風にきこえるんだが?」

神原「そうでもないぞ。阿良々木先輩、貴方がこの〝次元軸〟に来られるのは、いささかルール違反というか、イレギュラーというか」

「イレギュラー?僕がか?どういう意味だ?」

神原「阿良々木先輩、貴方は以前に過去を戻るという所業をしただろう?」

「あ、ああ……確かに、忍と一緒にやってのけたな…」


313 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:00:30.29 Qix/pLYI0 103/164

神原「でも、それは過去ではなく他の次元に入り込むことによって、それを成したはずだ」

「そうだな。しかも大惨事を起こして、僕らは色々と駆け回って……」

神原「………」

「いた、んだが……待て。どういうことだ」

神原「発想が疎い阿良々木先輩でも、ここまでくればわかるだろう」

「ぼく……またどっかの他次元にとんじまってんのか……?」

神原「正解だ、阿良々木 暦先輩」


314 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:05:06.35 Qix/pLYI0 104/164

神原「そうなのだ。阿良々木先輩、これは世界が異変を起こしているのではなく〝貴方自身〟が異変だったのだ!!」

「な、なんだってー!!!?」

「つまりなんだ、ぼくがこの世界に迷い込んだせいで、色々と僕が不都合を感じていた……?」

神原「つまりはそういうことなんだが……先輩。ここでとある少女の言葉を思い返してくれ」

「とある、処女……?」

神原「違うぞ阿良々木先輩。この空気でナチュラルに噛むのはよしてくれ」

「失礼、かみま……八九寺か!!?」

神原「そうだ。変な思い出し方だが、正解だ」

「八九寺がぼくにいったことを…思い出す…」


316 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:11:39.05 Qix/pLYI0 105/164

真宵「うざいです」
真宵「……いままで無視ってきましたけど、今日はいつにもましてウザさが120%超えてますね阿良々木さん。どうかしてますか?」
真宵「そちらは皆無ですね。安心してください」
真宵「なぜ沖縄原産のお菓子で例えるのやら……やっぱり阿良々木さんは気持ち悪いですね」


「……」

暦 ぶわぁ

神原「なんで泣きだすのだ阿良々木先輩!?え、こういった反応は予想外だった!」

「いや、なんか…思い出す所はそうじゃないと思うんだけどな……わかってるつもりなんだが…意外と心に響いてたみたいでな…」


317 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:18:52.71 Qix/pLYI0 106/164

「じゃあ、ちゃんと思い返して……」

『──ええ、そうなんです。前者にあげたものは、わたしは阿良々木さんに謝罪と共に説明することができます』

「そうだ、八九寺は、僕にあやまることがあった……?」

神原「流石だ阿良々木先輩。そうです、八九寺ちゃんは貴方に謝る必要があった。それは何故か?」

「……それを、僕がどうにか推論しなくちゃいけないのか?」

神原「なにゆえ謝らなければならなかったのか。一生懸命考えれば、わかることだ……先輩、わたしはやり遂げることができると信じてるぞ」

「なんだよ、そこでお前はまた引いちゃうのか」

神原「当り前だぞ。こんな風に、ヒントを与えてしまっていることも、彼女にとって不都合だろうしな」

319 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:25:46.78 Qix/pLYI0 107/164

「彼女ってなんだ。それも秘密か?」

神原「無論だ」

「なんだそれ……いや、本当になんだそれ……わからないぞ!!!神原駿河!!!」

神原「必死になってくれ。死ぬ思いで考え抜いてくれ。それが阿良々木先輩、このめんどくさい異変の打開策だ」

「必死になってあがけと……そういうことなのか?」

神原「…………」

「…なるほどな。わかった、いや、なんにもわかってはいないが。その魂胆は理解した」

「僕はどうやら、またもや周りに流されてこの状況に陥ってるらしいな」

320 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:33:20.47 Qix/pLYI0 108/164

神原「できるぞ阿良々木先輩なら、この次元軸にきてしまった理由、そして八九寺ちゃんの謝る意味」

「……そしてお前、ここにいる神原駿河の存在もな」

神原「わ、わたしは別に問題に入れなくてもだな……」

「ダメだ。お前には色々と、今回謎が多すぎる。それは多分、今回僕がこの次元にいることに深く関係があるだろ。カンだけど」

神原「……それはまぁ、そうだと言いきれないが…」

「ならそれも理解してやる。ああしてやるとも、僕が全てを理解して、ハッピーエンドという終わりを迎えてやろうじゃねぇか!!」


325 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:45:35.45 Qix/pLYI0 109/164

 だがしかし、そんな僕の立派な志も、唐突に終わりを迎えられるのだった。
 それは単純明快なことで、僕がいき込んで結果をなそうにも、元から意味は無いことだった。
 だって、それは。最初から答えが、僕たちを待っていたのだから──

数時間後

「…………」

「ってな。そういうわけじゃ、お前様よ」

「……えーっとだな。忍、お前はなにをいってるんだ?」

「なにをってなんじゃ。まっこと、その通りの解釈でかまわんぞ?」

神原「ははは!せ、先輩……これはわたしもこの結果を想像することできなかった!!そ、そうか!あの世界の貴方には彼女がいたか!!」

「なんじゃ、この騒々しい小娘は。……ああ、なるほど。他次元の猿か」

神原「…では、はじめましてだな忍野忍ちゃん。わたしは神原駿河と申すものだ!!以後、よろしく!!」

326 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:50:10.82 Qix/pLYI0 110/164

「いやじゃ馬鹿もの。誰が猿という穢れたものと付き合うか。去れ」

神原「か、かわいい……!!幼女の罵られるというのは先輩、このような気分に昇華するものなのだな!!きゃほーい!!」

「お前は良いから黙ってろ。さっきまでのシリアスモードはどこいったんだ」

神原「しのぶちゃんちゅっちゅ」

「ええーい!!きしょうの悪い!!あっちいけ!!ちぃ吸うぞ!!」

神原「吸ってくれぇえええ!!」

「ちっと黙ってろって!!お前も無駄に乗り気になって吸おうとするな!!やめろ!!!」


327 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 19:55:29.79 Qix/pLYI0 111/164

「とりあえず、落ち着いたか」

神原「すまなかった。わたしの世界では、このようなロリっこはいなかったのでな。思わず?が外れてしまった…」

「お前は外れすぎだ。どれだけ飢えているんだよ本当に」

神原「すまない……」

「それで、忍……忍でいいんだよな?」

「当り前じゃお前様。ワシはお前様の使い、吸血鬼のなれの果て、忍野忍じゃ」

「そうか……でもなんだかな……男のお前ってのも不思議なものだな」

331 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:03:49.48 Qix/pLYI0 112/164

「この次元に合わせるには、この姿が一番だったのじゃ。ワシも中々の体験じゃった」

「そうだよな……というか男になると、やけにお前ってばガタイがいい奴になるんだな」

「それをいうとお前様もじゃろうて。やけに立派な二つの果実が実っておるようじゃのう。けらけらけら」

「なんか今の忍が言うとセクハラっぽいな……」

「なんじゃて?」もにゅ

「揉むな!へんたい!!」

「やらかいの!!そうじゃったのか……我が身についているときはそう、感じることは無かったが…いいものじゃな男の身体というのも」

「やめてくれ。僕は以前の忍が大好きだ!!」


332 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:06:22.63 Qix/pLYI0 113/164

「それで、さっき言ったことは本当なのか?」

「大好き……うむ?お、おおう。そうじゃの……お前様がここにいる理由、『迷い牛』の条件結界のせいじゃとな」

「迷い、牛……」

「そうじゃ。なにがどのような条件でお前様を他次元に飛ばしおったのか、後追いのワシにはわからんが原因はわかるからの」

「またもや例のごとく、『夜泣き石』じゃろうて」

「また、それか……今回はどんなことが重なってこうなったんだ?」

神原「……それについて、わたしが語ろうかと思うぞ先輩」

333 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:11:47.65 Qix/pLYI0 114/164

「……神原、いいのか?僕はなにもわかってないぞ?」

神原「いいのだ阿良々木先輩。私は元から、貴方に疑問をふっかけることすら意味がなかったようだったからな」

「なんだよ、お前の心づかいが無意味だっとでもいうのかよ」

神原「いや、そうではないんだ。ただ、わたしは貴方という存在にただ……嫉妬していただけのことんだからな」

「嫉妬……?なんだよ、この胸にか?」

神原「阿良々木先輩。ボケるにも空気を読んでからにしてくれ」

「ネタにするといことは、ワシはお前様の果実を揉んでもいいということかの?」

「嫌ごめん神原……ちょっとお前とのシリアス会話は正直、いやぶっちゃけると実に楽しくなくてな。それと忍、黙ってろ」


335 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:24:46.52 Qix/pLYI0 115/164

「それで、今回の原因の『夜泣き石』……それがどんな関係があるんだ?」

神原「…まずは聞きたいんだが、阿良々木さんは、夜泣き石というものをどのようにとらえているんだ?」

「忍が言うには、無くなった人物の思想や思考を、恨みや願望として言葉にし、石になったものだという感じで理解しているが」

神原「ああ、それであってるぞ。世か無くなった人間の意思を、言葉として現世に伝えるもの……それは世亡き意思───…夜泣き石」

神原「その思想は誰として同じ者はいない。恨みであったり、愛情であったり、はたまた性欲であったり」

「最後の単語は身にしみてわかるよ」

「物凄い経験済みじゃなお前様は」

神原「では、考えたことは無いか?それがどのような場所からきたのかと。その沢山の思いが、どのような所から来て集まり、塊となったのか」


337 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:31:41.55 Qix/pLYI0 116/164

「それは単純に、死んだ人で……霊界とか?」

神原「阿良々木さん、それはいささか非現実的だと思われないか?」

「いや、吸血鬼とか幽霊とか、お前の腕にしろ非現実的という言葉はどうも意味を成さないというか…それと、なんでさん付なんだ神原」

神原「いえ、私的には阿良々木先輩というのは、さんづけのほうがしっくりするのでな」

「さっしてやれ。そういう世界線にいたのじゃよ、この娘は」

「ということは、お前もこの次元のやつじゃないのか……?」

神原「……続けるぞ。確かに阿良々木さんの言う通り、このように幽霊などが蔓延っていることが証明している世界で非現実的などいうのは、いささか変な話だ」

338 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:38:18.76 Qix/pLYI0 117/164

神原「だが、それでも怪異というルールは存在するんだ」

「怪異、というルール……?」

神原「そこら辺は、王である忍ちゃんに聞いた方が早いと思うがな」

「…ふむ確かにそうじゃな。怪異という中でも、それとして現象を起こすのならば順序が必要じゃ」

「へぇ…ということはなんだ、怪異には怪異の理由と原因があり、曖昧なことは決してないと」

神原「そういうことになるな阿良々木さん」

「……しかしなら、なかなかにてこの小娘。あの忍野メメと同等の知識を要してるようじゃな、なにがあった?」

神原「……ひとついうならば、今からいうことがその答えになると思うだろう」

339 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:42:02.71 Qix/pLYI0 118/164

神原「阿良々木さん、ひとつ心して聞いてほしい」

「お、おう……なんだ。ちゃんと耳をかじぽって聞いてるぞ」

神原「阿良々木さん……貴方は、他の次元で────いっぱい死にまくってるんだ」

「……………」

「ん?」

「…なるほど。そういうわけか!!それでやっと今までの不都合が解消されたわけじゃ。あーすっきりしたのぉ」

「え!?なに、よくわからないんだが……!!僕、いっぱい死んでるの!?」


341 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:49:25.62 Qix/pLYI0 119/164

神原「阿良々木さん、貴方は本当にすごい人だぞ。わたしは本気で尊敬している」

「な、なんだよ急に神原……褒めはじめて!それよりもっと僕が死んでるって話をだな」

神原「だからいってるんだ。阿良々木さん、貴方はなぜ生き残れたのだ?どうしてなにも不都合無く世界に残れることができたんだ?」

「当り前じゃろうて小娘。こやつはこのような人物だからこそ、生き残ったのじゃ。ほかでは無い、お前様としての人物での」

神原「……それほどまで強い説得力のある言葉は、はじめてきいた。なるほどな、この阿良々木さん自体が生き残る秘訣…そういうわけか」

「だんだん読めてきたの。猿の小娘、おぬしはあれじゃな、世界線を越える技術を猿に願ったじゃろう?」

342 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 20:54:17.61 Qix/pLYI0 120/164

神原「……流石は怪異の王。お見通しか」

「その変に達観しとる物言い、猿の腕の力が安定している証拠じゃ。それに安定させたのは忍野かまたそれに近い同業者か格上の者か……」

神原「格上の者、といっておこう」

「ふむ、じゃあ忍野メメの恩師当たりかの。なるほどのぉ……いやはや、年を食うもんじゃないの。驚くことばかりじゃ」

神原「いや、たった一言二言でここまで見破る貴方も凄いと……阿良々木さん、いや、本当に貴方はすごいんだな」

「お前らが話している大半が分からない僕は、どうすごいと誉められてるのかさっぱりだ……」

343 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:00:49.35 Qix/pLYI0 121/164

神原「そうだな、ちょっと話が脱線してしまった。用は阿良々木さん、貴方が死にまくっていることが、原因となっているんだ」

「僕が他次元で死にまくっていることが?どうして原因となるんだ?というかなんのだよ」

「お前様は相変わらずじゃの。ちっとは自分で考えるようにせんか」

「分からない物を分からないと言って何が悪いんだ。分かってふりをしているほうが、馬鹿みたいだろ?」

「そうやって開き直って口答えするもの、馬鹿の表れてということを意識しないとの」

神原「…おお!なんという息のあった夫婦漫才!!これが、生存フラグの関係性なのか……!!」

「漫才いうな。そしてちょっと嬉しそうにするな忍」


345 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:06:06.20 Qix/pLYI0 122/164

「用はあれなのじゃ、さっき言っておった夜泣き石の原料……それは人の恨み辛み怨念だったのであろう?」

「ああ、確か生きている人々を恨んだその……その………」

「……………」

神原「…………」

「………やっと気づいたかお前様」

「………なんだ、その…」

神原「そうなのだ阿良々木さん。わかってしまったようだな」

「夜泣き石の原因は……死んでいった僕の恨み……?」


349 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:16:51.65 Qix/pLYI0 123/164

「ここまでくるのに、どうも時間がかかるのか……お前様、本当にダメな男じゃの。いや今は女かの」

神原「いやいや、わたしも回りくどい言い方をしたせいでもあるわけで…」

「慰めはよしてくれ神原。なるほど……つまりは、夜泣き石。それは僕が作り上げたものだったと」

「おろ?お前様、それほどショックは受け取らんようじゃな」

「…なんで僕がショックを受けないといけないんだ。全てはその世界の僕が原因、罪はそいつらだ。だが僕からひとこと言うんなら、死んでから色々と世界に迷惑にかけるなんて…」

「なんと僕らしいことだろうな」

「じゃな」

神原「……認めるんだな阿良々木さんは。いや、わたしもわかってしまうのがあれだが」

351 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:26:12.83 Qix/pLYI0 124/164

「せめて、死んだあとぐらいは迷惑かけないようにすればいいものの……けらけらけら、なんとまぁお前様らしいことじゃろうて」

「うるさい忍、多分だが色々に死んでる理由は、ほぼお前のせいだと思うぞ」

神原「いや、阿良々木さん。それでも怪異云々で死ぬことは結構、少なかったのだ」

「へ?そうなのか?…というか神原、お前ってばなんかずっと、他次元での僕の死に様を知っているような口ぶりだったな」

神原「当り前だ。そのために猿に願ったわけだからな」

「……、なんのためにだ?」

神原「……それは、その…あれだ阿良々木先輩が、どう死んでいくのか気になってだな!」

「……惚れてるからだ───」

神原「わー!わー!わー!」

「?」

353 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:35:38.87 Qix/pLYI0 125/164

「……なんとけな気なことかのぉ。死にゆく姿を一瞬でも見と届けたい、初めの世界線でどのような酷い別れを味わったかは知らぬが…」

神原「わー!わぁああー!違うんだ阿良々木さん!!耳を貸してはいけないぞ!!」

「切ないのぉ…可哀そうじゃのぉ…でも、大丈夫じゃ。おぬしは今日、日々続けてきた別れを、死ぬという別れ目を味わうことはないからの」

神原「え……?あ、はい…?」

「安心するのじゃ。小娘、おぬしの願いは叶えられた。阿良々木 暦という存在が、死なないという現実を」

神原「!?……そ、そんな……わたしの願いまで…お見通しとは……」

「くっくっく……なんじゃ、やっぱそのような願いだったのかの」

神原「釜をかえられていただと!?阿良々木さん、この幼女すごいぞ!?」

「ごめん、僕はなんといったらいいのかもう、わからないや…」

355 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:42:43.35 9z6eaQZn0 126/164

あれ忍今は男なんじゃ

357 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:52:55.09 Qix/pLYI0 127/164

>>355
ノリでいってると思ってくれ
>>326のときも、ノリで言ってると

356 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:48:23.42 Qix/pLYI0 128/164

神原「ふぅ……なんだかもう、わたしが長年悩んでいたことが一気に吹っ飛んだ気がするぞ阿良々木さん…」

「そうか、それならよかったんだが。僕としては色々また、悩みが増えていくばかりなんだよ…」

神原「あっと、そうだったな。すまない、わたしばかりが解決していってるな……これは失敬」

「ああ、いいんだ。神原、お前の悩みが解決できたのなら。僕も同じように嬉しいからな」

神原「そ、そうか……なら良かった。うんうん、よかった」

「それに、お前がこうも僕を想ってくれてたとはな……それにもびっくりしたぜ」

神原「へっ?あっうん、そうだな…っ!すまない、迷惑だったろう…」

「馬鹿を言うな!!」

神原「えっ怒られた!?」

358 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 21:58:10.17 Qix/pLYI0 129/164

「神原、どうやら僕のことを勘違いしているようだが」

神原「え、はい!?」

「いいか?お前の世界の僕がどうだったか知らないが、今、お前の目の前にいるのが阿良々木 暦だ。ただひとり、お前だけに話しかけている、それが僕だ」

「そしてその阿良々木暦はだな!!お前の、神原の気持ちをないがしろにしたり、無意味だと放っておいたりはしない!!断じてだ!!」

神原「………」

「その可愛い両耳をかっぽじってよーくきけ!!僕はお前の気持ちがすっげーうれしい!!結婚しようか駿河!!」

神原「それは行き過ぎだ先輩!!そしてそれとなく下の名前を呼んでる!!?」

「おう、やっと先輩という言葉をだしたな」

神原「はっ……図りましたね、阿良々木…先輩」

360 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 22:04:12.19 Qix/pLYI0 130/164

「お前が僕にさんづけなんて、似合わないんだよ。それが僕の知ってる神原駿河だ。ちゃんと僕とお前は記憶が共通しているんだろ?」

神原「ああ、そうだな。…すまない、わたしとしたことが、なにナイーブになっていたのだろう。そうだな、私は確かに阿良々木先輩の後輩」

「うんうん」

神原「そして先輩専属愛玩ガールの性処理専門科!!常に阿良々木先輩の貞操を守り、そして実は常日頃その貞操をひそかに狙っている!!」

神原「神原駿河!!ここに降臨!!」

「いらない!!そんな後輩知らないしいらない!!!」

「……仲がいいのぉ。ワシも加わりたいものじゃ、男のなりだとどうも入りにくい空間をつくりおってからに」

362 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 22:13:20.69 Qix/pLYI0 131/164

「さて、もすっごくあれだが、本題に入ろう」

神原「そうだ、まず、本当にまず解決しなければならないことがあるはずだったな……」

「……八九寺、アイツどこいったんだよ本当に」

神原「うーむ……それのことなんだが、一言で言うと、阿良々木先輩がこの世界にきてしまったのは……八九寺ちゃんのせいなんだ」

「……うん、なんかそうじゃないかと思ってたところだ。つぅか忍が、迷い牛っていった時からそう思っているがな」

神原「そうなのだよ。そして阿良々木先輩、どうしてこうなったかご理解できているのか?」

「うーん……なんだろうか、アイツもまた世界線が違ったということで、中身そのものが変わってたとか?」

364 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 22:20:38.94 Qix/pLYI0 132/164

「あたりであって、外れじゃの。たぶん」

「…なんだ忍。よくわからなかったんじゃないのか?迷い牛あたりの解説は、なにやらしぶってたじゃないか」

「いや、さっぱどわからんぞ。今でも。じゃが、想像はできる」

「たとえばそう、この空間。橋のしたの河原じゃとおぬしらは言っておったが……ここ、冥界じゃぞ?」

神原「……はっ?」

「じゃから、おぬしらが何故このような場所にきているかなんてはわからんが、ここは死ぬ者たちがさまよい行き着く、冥界……三途の川じゃ」

神原「なぁにっぃいいいいいいいい!!!??」



368 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 22:27:49.68 Qix/pLYI0 133/164

「はたまた生霊が彷徨い、生と死の定めを受ける判断所……なんて呼ばれるとこじゃが。また凄いところに迷いこんだものじゃのお前様」

「いやいや、びっくりしすぎてあごが外れるかとおもったぜ…なに、僕ら生きながら死にかけてたのか?」

神原「わたし…けっこう奥まで進んでいったが、大丈夫なのだろうか!?」

「そうじゃな。長居しとるとワシも危ない。猿の小娘はどうやら怪異と密接な関係にあるために、奥に行っても助かったのじゃろうて」

神原「いのちびろいしたー!!」

(……じゃあ、さっき見かけた戦場ヶ原は……)

「…お前様よ、考え過ぎんようにな」

「えっ?なにがだ?」

「人が死んだものを考え続けておると、簡単に同じく連れて行かれてしまうぞ。それは古今東西、すべてに共通する怪異じゃ」


374 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 22:33:18.65 Qix/pLYI0 134/164

「じゃあ、僕が見かけた戦場ヶ原は……」

「……蟹の娘がどのような人生を歩み、そうなったかは世界だけしっとる。それを助けられなかったここの阿良々木 暦に罪がある」

「……馬鹿だな、僕。本当に、ここの僕は馬鹿な奴に違いない」

「……一応、その姿形が、今のお前様の女体の正体じゃ。女の阿良々木暦が存在する世界線……なにかと不都合があったのじゃろうて」

「じゃあ、なんだ。僕がなにかしらの理由で……この世界に迷い込んだ時、世界が僕を、その女の阿良々木 暦に返還したのか?」

「じゃろうなーってワシは思うぞ。じゃからワシも男の身体で、常に安定しとる。面白い世界じゃな」

375 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 22:39:32.07 Qix/pLYI0 135/164

「ちなみに、この世界線のお前様は健在じゃ。じゃが、お前様と混合した存在となっておる。それに見合ったところに合うまで時間がかかったのが、お前様の不思議な体験の原因じゃろうて」

「なる、ほどな……」

神原「……阿良々木先輩」

「……ん?なんだ、神原。そんな申し訳なさそうな顔して」

神原「いや……その、なんというか。大丈夫か?」

「なんだ、慰めてくれるのか?はは、お前は良い奴だな」

神原「いや、というか阿良々木先輩すっごい死にそうな感じになってるから、気にしないわけにはいけないんだが…」

「馬鹿言え。そんなわけないだろ……顔冷たっ!?」


377 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 22:45:41.45 Qix/pLYI0 136/164

「なに、僕ってばちゃんと顔面の血管、血通ってんの!?まるで氷みたいなんだが!?」

神原「阿良々木先輩……!!?」

「……はぁ、お前様。それでも本当に吸血鬼モドキなのかの。こうも素早く冥界に持って行かれそうになるとは……そこまでショックじゃったのか」

「え、なに僕ってば死にかけてるのか!?まじで!?」

神原「阿良々木先輩、本気でなんか薄くなってきてないか!?」

「え……まじだ!?なんか自分身体通り越して、あっち側見えてる!!これじゃあ長い髪と相まって本物貞子みたいじゃないか!!」

神原「阿良々木先輩落ち着いて!!なんか変な思考に走ってるぞ!!」


380 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 22:53:15.89 Qix/pLYI0 137/164

「し、しのぶえもぉ~ん!!!たすけてくれよぉお~!!!」

「……ごほん、なんじゃのその。普段のお前様から言われるときと、女体のときだと言われるときの違いが心地良いの」

「いらないわそんな報告!!というか本気で助けてくれ!!この世界軸まで、わざわざ助けに来てくれたんだろ!?」

「そうじゃぞ!なんか夜起きたらなんかお前様おらんし、ワシ死にかけてやばかったんじゃぞ!!でもなんとかお前様の残り香を糧に、ベットの毛布に包まってぶるぶる震え立てたワシを想像してみい!!!」

「かわいい!!すっげー可哀そうだけど、すっげーくぁいいよ忍!!」

「じゃろうて!!」



381 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 23:02:27.73 EwcxzSeT0 138/164

「じゃから!!せっかく無い力を振り絞って、この世界線まできたんじゃ……っ!!」

「簡単におぬしには、連れていかせんぞ……迷い牛っ!!!」がぁー!

「まよっ……八九寺が!?」

「そうじゃお前様、思い返すのじゃ。ここから本当に憶測じゃが、お前様は多分、迷い牛にたぶらかせれてたはずじゃ!!」

「たぶっ……!?いや、そんなことはなかったきが…!!」

「じゃーこういうのはどうじゃ!?迷い牛がやけにお前様に、触れさせるようなことをしなかったかの!?いや、むしろお前様はスキンシップ過多じゃからわからんが!!」

「………」

「いやだからさ、お前のトレードマークであるツインテールが消滅して、ここにはスト八九寺が降臨なさってるのかって話だ」
「……」さわさわ…
「な?」
「ほ、ほんとうですぅー!!!わ、わったしストレートになっちゃってますーー!!!」


383 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 23:06:45.85 EwcxzSeT0 139/164

>>382
>>380訂正
「のぶえもぉ~ん!!!たすけてくれよぉお~!!!」

「……ごほん、なんじゃのその。普段のお前様から言われるときと、女体のときだと言われるときの違いが心地良いの」

「いらないわそんな報告!!というか本気で助けてくれ!!この世界軸まで、わざわざ助けに来てくれたんだろ!?」

「そうじゃぞ!なんか夜起きたらなんかお前様おらんし、ワシ死にかけてやばかったんじゃぞ!!でもなんとかお前様の残り香を糧に、ベットの毛布に包まってぶるぶる震え立てたワシを想像してみい!!!」

「かわいい!!すっげー可哀そうだけど、すっげーくぁいいよ忍!!」

「じゃろうて!!」

384 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 23:10:30.56 EwcxzSeT0 140/164

「あっー!八九寺、ストレートだった!!」

「それじゃな!!あらかた、撫でさせるためにやったのじゃろうて!!」

「そして、その迷い牛は夜泣き石の原料を知り、お前様が自分の世界線に召喚できる仕組みを知った!!」

「どうしてそんな、たいそれた仕組みを……」

「しらん!!じゃがそこの猿の娘と話しててわかった!!小娘、主が教えたな!?」

神原「っ……」

「これもまた憶測じゃが、たぶん小娘は数多くの世界線を飛んでおる中に、さびしくなったのじゃろう。たかが数十年生きた身じゃ!!それも仕方ないことじゃ!!」


386 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 23:13:02.45 EwcxzSeT0 141/164

訂正

「あっー!八九寺、ストレートだった!!」

「それじゃな!!あらかた、撫でさせるためにやったのじゃろうて!!」

「そしてそれがカギとなり、お前様を、この女体の阿良々木暦という存在がいる世界軸に、安定をさせた!!」

「ついでに言うとその迷い牛。夜泣き石の原料を知っておって、お前様が自分の世界線に召喚できる仕組みを知っていたのじゃ!!」

「どうしてそんな、たいそれた仕組みを……」

「しらん!!じゃがそこの猿の娘と話しててわかった!!小娘、主が教えたな!?」

神原「っ……」

「これもまた憶測じゃが、たぶん小娘は数多くの世界線を飛んでおる中に、さびしくなったのじゃろう。たかが数十年生きた身じゃ!!それも仕方ないことじゃ!!」


387 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 23:20:05.49 EwcxzSeT0 142/164

「そして小娘は、理解を求める人物に飢えた!!そして思いついたのが迷い牛!!」

「だ、だが神原……アイツには八九寺のことが見えてないと……!」

「本当に脳が足りておらんな主は!!お前様、ちゃんと猿の手の話は理解しておったのか!?」

「……あっ。三本の願いのストックか!」

「そうじゃな!!それで迷い牛を視覚化することが可能になった!安定したものじゃったから、安易にその行為を行えたのじゃろうて!!」

神原「…………」

「か、神原……お前…」

神原「いいのだ、先輩。これはわたしの失態だ。彼女…いや、彼の言う通り、私が教えた」

388 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 23:29:30.90 EwcxzSeT0 143/164

神原「寂しかったんだ。数多くの世界を飛び回ると願ったものの。阿良々木先輩が生き残れる世界を見つけるために、そう願って望んだことだったけれど」

神原「しかしなんだろうな。わたしも弱っていたらしい。それで、私は理解者を求めたんだ。誰か孤独の私を、少しだけでも理解してくれる人を」

「お前……」

神原「あ、でも勘違いしないでくれ?わたしは誰も傷つけるつもりは無かったのだ。ただ、ちょっとした思いつきで、ちょっとした考えだったんだ…」

「じゃがな!!それが安易な考えじゃったようじゃな!!」

「猿の小娘、お主は、自分がいた世界線と同じ存在だと、迷い牛を早期に勘違いした!!」

「こいつは、違うぞ……お前様!!ワシがさっきから叫んで、お前様にかけられつつある結界を削除しておることは理解してるか!?」

「そうだったの!?やけにぎゃーぎゃー叫ぶと思ったら……」


390 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 23:48:59.59 EwcxzSeT0 144/164

「その結界!!素晴らしいほどに網目が濃い強いものじゃ!!ワシも近づこうにも絡めとられそうにぐらいにの!!」

「じゃ、じゃあどうすればいいってんだ!?忍、お前がどうしようも出来ないことを、僕にできるわけ……!!」

神原「阿良々木、先輩…」

「ど、どうした神原…?あまり僕に近づくと、お前も危ないぞ!?」

神原「思い出すんだ、先輩。貴方は、素晴らしい人なんだ」

「神原……?」

神原「それが例え、幽霊であっても。気がふれた奴であっても、貴方は決してあきらめず立ち向かう……それがわたしが知ってる阿良々木先輩だ」

「………」

神原「見せてくれ。貴方の全力の足掻きようを」

391 : 以下、名... - 2011/06/05(日) 23:56:08.17 EwcxzSeT0 145/164

「なんだ、それは神原……」

「僕がどうにかできると、なぜ思うんだ神原!!どうして僕ができるんだと、どうしてそう思うんだ!!?」

神原「先輩……」

「……かっかっか!いってしまえお前様!!」

「そりゃ当たり前だろ神原駿河!!僕は僕だ!!数多くの世界軸、数多くの世界線で生き残った……しぶとい僕だからな!!」

「乗ってやるよ神原……僕はどうにかしてやる!!だろう八九寺 真宵!!!」

パリ…パリパリ……

「それともなんだ!?お前はこの軸では、真宵くんでいいのか!?すっげーなお前、男とか……ぜんぜん女の子にしみなかってぜ!!!」


392 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:02:15.26 e4Om02l70 146/164

「それともなんだ!!スカートとか、全部僕のために着替えたのか!?かっくぃー!!ろりっかけーよ!!いやショタかっけーかここは!?」

パリパリパリ……

「全部全部、僕のためだったのか!?どうしてだよ!なぜ僕をこの世界に呼ぶ必要があった!!またその年相応じゃない語りで全部教えてくれよ八九寺!!」

ぱりぱr………

「さあ!!姿を見せろはちくじぃーーー1!!!」

ぱりん!!!

神原「うわっ…!?」

「…流石はお前様じゃな」

「……よう、八九寺」

真宵「………」

393 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:06:32.68 e4Om02l70 147/164

「なにか、言うことはあるか?」

真宵「……そうですね、あるとすれば…まんまとひっかかっておりましたねざまーみろです阿良々木さん」

「そうだな、マジで騙されてた。やっぱりあの時、髪じゃなくておっぱい触っておくべきだったな。反省するよ」

真宵「阿良々木さん、それは反省ではなく未練です。というか男の胸なんて触っても面白くも何もないでしょう?」

「え?八九寺だったら、何だってかまわないぞ僕は?」

真宵「ガチもんでしたー!!愛に性別は関係ないのですねー!?」

「だってまあ、今の僕は女の子だしな。いいじゃないか別に」

真宵「いいんですか……」

394 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:12:21.11 e4Om02l70 148/164

「それで、お前、はちくじ、なんだっていうんだ」

真宵「えっとあれですよ、全部演技でした。としかいいようがないですよ」

「どこまでが演技だったんだ?」

「あの~ガチで落ち込んでしまっているところ申し訳ありませんけど、わたしは阿良々木さんのことは嫌いではありませんからね?」

真宵「というところは、ガチで演技でした」

「そこは本音であってほしかった!!」

真宵「冗談はさておき、ショタタ木さん……」

「年場の行かない少年しか欲情しない奴みたいに呼ぶなよ……僕の名前は阿良々木だ」


395 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:21:49.99 e4Om02l70 149/164

真宵「失礼、かみました」

「違う、わざとだ……」

真宵「かみまみた」

「わざとじゃないっ!?」

真宵「感づいた」さっ

「いつから僕が八九寺の鎖骨を見ていることがばれてた!?」

「……お前様よ、楽しんでるところあれなのじゃが」

「え…?あ、ああ、わかってるよ。もう終わらせるからさ…」

398 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:26:24.07 e4Om02l70 150/164

「さて、八九寺。お前はいったいなにものなんだ?」

真宵「迷い牛です」

「それは知ってる。だが、僕が聞きたいことはそこじゃない。いま、目の前にいるお前に聞いてるんだ八九寺」

真宵「わたくし、ですか……?」

「そうだ。教えてくれ、そのためにわざわざ出てきてくれたんだろ?僕と話をしたいために」

真宵「……阿良々木さん、怒ったりしませんか?わたくし、絶対に阿良々木さんを怒らせる自信があるのですが…」

「もう怒ってる」

真宵「あうあう……ですよね。わかってましたけど…」

399 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:31:34.93 e4Om02l70 151/164

「だが、それよりも僕は心配している。八九寺、お前のことを」

真宵「あ、阿良々木さん……」

「さあ、どうしたら聞かせてくれるんだ。この僕の胸に飛び込んで、抱き込まれながら話をしたいか?」

神原「じゃあ、わたしもそうしたいぞ!!」

「いや、神原。そこ出しゃばるところじゃないから」

「ワシも…」

「嫌だ!ぜったいに今のお前は嫌だ!!」

真宵「あははっ!…相変わらず、阿良々木さんはモテテ木さんですね」

「人を在らぬ想像で昇華させたよう名前で呼ぶな。僕の名前は阿良々木だ!!!」

400 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:35:19.58 e4Om02l70 152/164

真宵「わたしはですね、ここの世界では……えっと明確に言うと浮遊霊ではないのです」

「じゃあなんだっていうんだ?僕のだけの神様とか?」

真宵「違いますけど、半分あってますよ阿良々木さん」

「僕のだけ…!?」

真宵「逆です。神様のことろです」

「あ、なんだ……つまんねーの」

真宵「つまらない!?阿良々木さん、いま神様にたいしてつまらないと申しましたか!?」

「いや、別に八九寺のことがつまらないとかじゃなくて。僕のものじゃないというところが現実的でなってないと…」

真宵「何で阿良々木さんの妄想が主体で世界が動いているとお思いなんですか…」


402 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:40:33.13 e4Om02l70 153/164

「やっぱりの、神の地位は土地神かの?」

真宵「……ええそうです。この街の土地神を務めさせてもらってます。わたくし」

「すっげー!!!八九寺、神様なんだな!!」

真宵「いいですよ、今さらリアクションを変えられなくても……興味がないのはわかってますから!」

「失敬な!八九寺のことで、興味がないことなんてこれっぽっちもないぞ!!だからキスしようぜ!!」

真宵「まだわたくしの唇狙ってましたこの変態!!キス魔!!」

神原「そこにわたしが空気を読まずにちゅうううううううう」

「んぐぅううううううううううううううう!!????」


403 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:45:16.45 e4Om02l70 154/164

神原「……ぷはっ。ごちそうさまでした」

「な、なにが起こったんだ……?なにか、物凄い絶技を垣間見たような…」

真宵「神原さん、そこまでにしといてあげてください。年下をからかうのは悪い趣味ですよ」

神原「そうだな。いやっはは、どうにもこうにも、若い頃の阿良々木先輩を見ると、どうもボルテージがおさまらなくてな」

「へ?年下?若い僕?」

「なんじゃお前様、わかっておらんかったのかの」

神原「どうやらそうみたいだな…先輩、わたしは実年齢的にいえば、阿良々木先輩からみてだいぶ年上だぞ?」

「なにっ!?だって見た目は高校生と変わってないじゃないか!?」

404 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 00:50:33.13 e4Om02l70 155/164

神原「これでも一応、怪異と一体化しているのでな。身体的年齢が取らなくなってるみたいでな…」

「そ、そうなのか……なんかすまん。年上なのにため口で…」

神原「いやーそれほどでもないな!こう、粋がってる先輩を見るのも、楽しくて欲情するしな!!」

「欲情いらないだろ!?」

真宵「…まあ阿良々木さんにとって衝撃の事実を伝えた所で。わたくしのことを説明しましょう」

「うむ、ワシも教えてほしいものじゃ。ひとつ、わからないことがあるからの」

真宵「ほう……なんでしょうか。怪異の王の方が、なにようなことがわからなのでしょうか」

409 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:00:23.42 e4Om02l70 156/164


「主の二重人格化じゃ。その理由を聞きたい」

真宵「……それですか、なるほど。単なるあれですよ、取り付かれそうになってました。夜泣き石に」

「……ふむ。それで人格にぶれが生じたと…するとやはり、夜泣き石には人格が発生していたのじゃな?」

真宵「それはもう、大きく出来上がってましたよ。表現するのなら、性欲に貪欲になった阿良々木さんだと思ってくださればいいです」

「理性も無く?」

真宵「それはもう。朝起きて、目の前に女子がいたら問答無用に襲うぐらいに」

「そうか、やはりかの。夜泣き石は人格を持って他次元層に散らばり、そこから波長が合ったものから生気を集め大きくなっていったのか…」

410 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:04:15.44 e4Om02l70 157/164

「なんだよ二人っきりで話し込んで…僕にも話を聞かせろ」

「いや、じきにお前様もわかることじゃ。それについては今は聞かなくていい、それよりもお前様よ……もっと聞いておくことがあるのではないか?」

「む……そうだな。八九寺、お前にききたいことがあるんだ」

真宵「はい、なんでしょうか…?」

「なんで、お前はこの世界に僕という存在を呼んだんだ?」

真宵「………それは、」

「それはこの……カバンの中身が理由か?」

真宵「!?……見たのですか?中身を?」

「ちょっとな。そしたら、僕のものばかりだった」

411 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:09:37.30 e4Om02l70 158/164

「それも、僕の世界で使用していたものばかりだった。それは何でだ?」

真宵「乙女のカバンを覗き見るなんて、最低ですね阿良々木さんは」

「何とでも言え。だが、僕はどうしても聞かなきゃならないんだ」

「お前が、どうして謝ろうとしていたのかを」

真宵「……単純なことだったんですよ、阿良々木さん」

真宵「言いましたよね?わたくし、この街の土地神なんです」

真宵「ですから、世界線という正体自体、理解してたんです。超える方法はわかりませんでしたが、それでもあるということは知っていました」

真宵「だから気になったんですよ──」


413 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:14:48.84 e4Om02l70 159/164

真宵「勝ち残った世界で、その輝かしい阿良々木さんに、ただ、どんな素晴らしい方なのかと───」


~~~

「……」

「さて、帰るぞお前様」

「……ああ、帰るか自分の世界へ」

「ちゃんと戻れるエネルギーはもらったからの。流石は神じゃな、物凄い量じゃ」

「そういえば、神原はどこいったんだ?」

「帰ったぞ。自分の世界に」

「……はっ!?アイツ、僕になんも言っていかなかったぞ!?」

「別れのキスをしたじゃろう。あれが小娘にとっての全てじゃろう」

「あ、あれが……?お別れの挨拶とでもいうのかよ…」

415 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:20:00.34 e4Om02l70 160/164

「良い別れ方だとワシは思うがの。どちらにせよ、お前様とは交われない世界線で生きるものじゃ」

「そう、か……?それが、アイツにとって良いことなのか忍…?」

「……。じゃあどうすればいいのじゃお前様よ、もうあの小娘は多分、この世界線にはおらんぞ」

「……」

「お前様?」

「お前、僕に黙ってることがあったな。まだ聞かなくていいといっていた」

「……なんじゃ、そのことか。そんなのは別に気にはしなくとも……」

「あれ、夜泣き石が関連してるだろう忍」

「……、いやなかなかに聡いのお前様。いつ気がついた?」

417 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:32:55.40 e4Om02l70 161/164

「今。必死に考えてみた」

「ほう……それで、お前様はその必死に考えた結果……なにを考えたのじゃ?なにを理解したのじゃ?」

「ああ、多分だが夜泣き石は……色々な次元軸に有るんじゃないのか?材料が世界にあるひとつひとつの僕でも、石自体はけっこうあるんだ」

「そしてそれは、その世界で広まり、火憐ちゃんや月火ちゃんみたいな波長が合うやつにくっついて、大きくなっていく」

「そうなることによって、世界と世界に共通点ができてしまっている。だからそれを使って、沢山の人が世界を行き来している気がするんだ」

「そう、例えるならあの神原もそう。そしてこの世界の八九寺も……」

「……それで?どうするのじゃお前様。それを知って、なにを望む?」

418 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:37:13.36 e4Om02l70 162/164

「……」

『阿良々木さん、どうもすみませんでした……わたくし、貴方の世界にとても興味があったんです』
『阿良々木先輩、貴方の元気な笑顔見られただけで、私の性欲は満たれた!!』

「あいつらは、一体なにを望んでいただろうか忍……?」

「しらん。それはそいつらだけが考えるものじゃ、かんがえとうもない」

「ああ、僕だってそうだ。人の生き方なんて、知っても得することは無い。誰も、そうやって生きることを望んではいないからな」

「良い答えじゃ。では、あえて聞くがの……お前様よ」

「何だ忍」

419 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:42:27.96 e4Om02l70 163/164

「お前様は、この状況に、なにを望むのじゃ?」

「後日談というか、今回のオチだ」

「ではその内容はなんじゃ?」

「……全世界、ハッピーエンドの暦ハーレムで!!!」

「………」

「………」

「…くっくっ……」

「…あっはっは…」

「サイコーじゃよお前様。ぱないの相変わらず」

「だろ?よかった、お前に反対されなくてな」


420 : 以下、名... - 2011/06/06(月) 01:45:28.74 e4Om02l70 164/164

「そうじゃのぉー…まぁ、過去にワシの無様な姿を見せてしまったこともあったが…」

「ワシはお前様のものじゃ。好きにせえ」

「ありがとう忍、やっぱお前はサイコーに良い女だ」

「今はまだ男じゃがの。さて、お前様。どこにいくのかの?」

「そうだな……まずは」

「勝手に帰りやがった神原に、キスのお返しにいくぞ!!!」


owari


記事をツイートする 記事をはてブする