1 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:37:07.71 D0g4cxQa0 1/17

比企谷「ん?雪ノ下からメール来てる…」

比企谷「えーっと、部室に人が来ているから早く来い…?」テクテク

比企谷「ぅわっ!」ドンッ

奉太郎「いたた…」

比企谷「…す、すみません…」

奉太郎「…ぃ、いや、こちらこそ」

奉太郎(この人…ぶつかった事によって荷物がぶちまけられている…)

奉太郎(このままだと俺が拾わなければいけない羽目になるな…)

奉太郎「では」ダッ

比企谷「誰だ今の…あ、俺の荷物が落ちてる、拾わなきゃ…めんどくせ」

元スレ
比企谷「うわっ!」ドン 奉太郎「いった…」
http://hayabusa5.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1396096627/

4 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:39:44.45 D0g4cxQa0 2/17

奉仕部

比企谷(全力ダッシュで来たが辛い…!)ゼーハー

雪乃「あら、遅かったわね比企谷君。お客さんが居るというのに」

比企谷「きゃ、客…?」

千反田「どうも、お邪魔してます。千反田えると申します」

比企谷(…!?)

比企谷(何だこの美少女は…)

比企谷(あれ…やばい…この娘を見ると…)

比企谷「………ぇ」

比企谷「……ぇ」

比企谷「…え、」

比企谷「えるたそ~」

7 : >>6 多分くるとは思ってた - 2014/03/29(土) 21:41:51.83 D0g4cxQa0 3/17

千反田「!?」

雪乃「!?」

千反田「こ、これです!」

雪乃「…これ?」

千反田「私の知り合いの折木奉太郎という方が、今この方が仰った『えるたそ~』というのを、事あるごとに言うんですっ!」

雪乃「それで奉仕部に相談に…」

千反田「はい、その折木さんに聞いてみたんですけど、分からないとの事でして…」

8 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:44:05.71 D0g4cxQa0 4/17

千反田「それでここに来たんです!教えて下さい!私、気になります!!!」

雪乃「取り敢えず聞くけれど比企谷君、今の『えるたそ~』というのは、何故言ったのかしら?」

比企谷「そ、それが分からないんだ…無意識に出た言葉というか、何というか…」アセアセ

雪乃「ふうん、じゃあ早速その折木さんと言う人に事情を聞きに行って来なさい比企谷君」

比企谷「お前が行けや!」

千反田「あ、大丈夫です。私が…」

雪乃「いや、千反田さんは別に良いのよ、それなら私が行くわ」

比企谷&千反田「どうぞどうぞ」

雪乃「!?」

9 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:46:36.40 D0g4cxQa0 5/17

結局全員で行くことに

千反田「ここです」

雪乃「古典部…?」

雪乃「変な部ね」ハッ

比企谷(お前が言うな)

比企谷(あれ…というかその折木って人も『えるたそ~』と言ったんだよな…)

比企谷(ならば…もしかすると…)

比企谷(そうかもしれない…)

10 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:47:40.11 D0g4cxQa0 6/17

ガラッ

千反田「折木さん、私、気になったので奉仕部さんに聞いてみました!」

奉太郎「奉仕部って…」

千反田「聞いたところによると、なんでも屋さんみたいな部活だそうです!」

千反田「あ、奉仕は、奉太郎の奉に仕事の仕ですよ!」

奉太郎(最後のいらなくね)

11 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:49:17.81 D0g4cxQa0 7/17

比企谷「どういう部活だここ…あっ」

奉太郎「あっ」

千反田「お知り合い、ですか?」

奉太郎「さっき廊下でぶつかっただけだ」

奉太郎「申し遅れました。折木奉太郎です」

比企谷「比企谷八幡です」

雪乃「雪ノ下雪乃よ」

12 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:50:40.36 D0g4cxQa0 8/17

千反田「それでは本題に入りましょう!」

千反田「今回の事件は、二つです」

千反田「まず第一の事件ですが」

千反田「私が部室に入ると、折木さんが」

千反田「『えるたそ~』」

千反田「と、そう言ったんです」

千反田「これが第一の事件です」

15 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:55:35.40 D0g4cxQa0 9/17

千反田「第二の事件は」

千反田「その事を相談しようと奉仕部に赴いてみたら、比企谷さんが」

千反田「『えるたそ~』」

千反田「と、同じ様に言ったんです」

千反田「これが今回の事件です」

雪乃「第一の事件だけど、それ以前にその様な事は無かったのよね?」

千反田「はい。唐突に…」

雪乃「折木さん、第一の事件が起こる前までは何をやっていたのかしら?部室にいたようだけど」

奉太郎「…俺は、そこにあるパソコンをやっていた」

雪乃「じゃあ比企谷君、第二の事件前は何をやっていたのかしら?部室に来るのが遅かったけど」

比企谷「俺は折木さんにぶつかって荷物を片づけていたんだ。だから遅くなった。つーか全力ダッシュで行ったんだから遅くはないだろ!」

16 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:57:42.72 D0g4cxQa0 10/17

雪乃「なるほどね…」

千反田「分かったんですか?」

雪乃「分からないわね。私に分からない→迷宮入りよ、諦めなさい」

千反田「そんな…折木さんっ!」

奉太郎「…残念だが、俺にも分からん」

比企谷(いや、分かっている筈なんだ。この人は…)

比企谷(ただ、そこに待ち受けているのは…)

比企谷(残酷な結末)

18 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:58:20.16 D0g4cxQa0 11/17

比企谷(この人は、それを免れようとしている…)

比企谷(俺もできればそれは避けたい…)

比企谷(どうすれば…)チラッ

奉太郎(…)チラッ

奉太郎「…分かった…。答えが」

比企谷(な…話すっていうのか…?)

奉太郎「まず第一の事件だが、これは俺がパソコンで作業をして疲れたのが原因だ」

千反田「疲れた…?」

19 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 21:59:00.26 D0g4cxQa0 12/17

奉太郎「疲れるとあくびが出てしまうだろ?」

奉太郎「千反田の聞いた、その『えるたそ~』と言うのは、俺のあくびだったんだ」

千反田「折木さんのあくびですか?」

奉太郎「ああ。『えるたそ~』と言う言葉に注目して欲しい」

奉太郎「えるたそ~の『え』は、あくびの最初の息を吸い込む時に発した声だ」

奉太郎「そして『る』もまた吸い込みの時の声」

雪乃「でも、吸い込む時に『える』なんて言うのかしら」

奉太郎「いや、実際には『える』とは言っていない。そう聞こえただけだ」

千反田「そう聞こえた…」

20 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 22:01:54.63 D0g4cxQa0 13/17

奉太郎「千反田の下の名前は『える』だ。千反田、普段両親に『える』と呼ばれてないか?」

千反田「はい。そう呼ばれています」

奉太郎「つまり、千反田にとって『える』は何年間も聞いてきた言葉だ。あくびがそう間違って聞こえる可能性は十分ある」

奉太郎「次に『たそ』だが、これは息を吐き出した時の声だ」

奉太郎「これもまた聞き間違いで、千反田が『える』に繋げて一番つじつまが合う『たそ』の母音『あお』が『たそ』と、『えるたそ』と聞こえたわけだ」

奉太郎「最後の『えるたそ』の次の『~』だが、これは息を吐き出した時の音だ」

奉太郎「これは普通に聞き間違いでもなんでもないな」

21 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 22:04:25.62 D0g4cxQa0 14/17

雪乃「でも、第二の事件では比企谷君も同じ事を言ってるんでしょう?」

比企谷「!」

奉太郎「いや、これもまたあくび…いや、走った後の呼吸音かな」

奉太郎「これも吸い込みの音と吐き出しの音だ」

奉太郎「これを千反田はさっき聞いた『えるたそ~』と聞き違えた」

奉太郎「奉仕部に居る時には『えるたそ~』と言う単語の事を考えていたんだろう?」

奉太郎「それならそう聞こえても不思議ではない」

奉太郎「それが今回の事件の全貌だ」

22 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 22:07:42.97 D0g4cxQa0 15/17

千反田「やっぱり折木さんはすごいですね!」

雪乃「まあ私も分かっていたけどあえて言わなかったのだけどね」

比企谷(すごすぎる…よくあそこまで誤魔化せたな…)

24 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 22:08:19.13 D0g4cxQa0 16/17

放課後

比企谷「…」テクテク

奉太郎「…」テクテク

比企谷「…やはり、『えるたそ~』と言ったという事は、パソコンで閲覧していたのは」

比企谷「…VIP、か?」

奉太郎「…ああ。今日初めて存在を知ったんだが」

奉太郎「千反田を見て、思わず『えるたそ~』と言ってしまった…」

奉太郎「VIPPERとバレると厄介だからな、言わなかった」

28 : 以下、名... - 2014/03/29(土) 22:14:30.19 D0g4cxQa0 17/17

比企谷「俺は古参とは言えないが、昔からVIPPERでな」

比企谷「だからつい発してしまったんだ、あの娘を見た瞬間。『えるたそ~』を」

奉太郎「まぁ今回は、VIPPERだとバレないで、お互い良かった…」

比企谷「と言うか、これから毎日大変じゃないか?『えるたそ~』と言ってしまう衝動にかられてしまいそうだが」

奉太郎「…部活が同じ、クラスは違えど学年は一緒だし、確かにな…」

比企谷「…俺もこれから先あの娘を見たら言ってしまうかもしれない…」

奉太郎「じゃあ、今言ってしまうか…」

比企谷「ああ。そうだな、じゃあいくぞ」

「えるたそ~」

由比ヶ浜「!?」

摩耶花「!?」

終わり

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