憂「な、なに? お姉ちゃん」
唯「そこに立ってて」
憂「うん……」
唯「……」スンスン
憂「おねえちゃ」
唯「じっとしてて」
憂「……わかったけど」
唯「……」クンクンッ
憂「は、恥ずかしいな……」
唯「……」スンスンスン
憂「そんなとこのニオイ嗅いでどうするの?」
唯「におう」
憂「へっ?」
元スレ
唯「憂。ちょっとこっち来なさい」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1285919956/
唯「におうよ、憂」
憂「え……」
唯「お風呂入らず三日目、だね?」
憂「いやっ!?」ギクッ
唯「はぁー……」
唯「ほんっとに、お姉ちゃんが入れてあげないと絶対入らないよね?」
憂「そ、そんなことないよ。現に1週間前だって……」
唯「口答えしない! いいからお風呂入るよっ!」グイイィ
憂「痛い痛い! みみ、耳はぁ!!」
ドタドタ
憂「だ、だめええぇっ!」
バタンッ
浴室
ワシャワシャ
唯「あー、くっちゃいくっちゃい!」
唯「女の子なのに3日もお風呂入らないなんてだめだよ!」
憂「でも、お風呂きらいだし……」
唯「だーかーらーねー」ワシャ…
唯「……」
憂「お姉ちゃん?」
唯「……憂はさ、可愛いんだから」
唯「ちゃんと良い所活かしてくれないと、私も悲しいよ」
憂「……」
ワッシャ ワッシャ
憂「だって……」
憂「そんなことしても、意味ないもん」
唯「意味ないことないよ」
唯「清潔にして、いい匂いがしたら、男の子だっていーっぱい寄ってくるよ」
憂「だから」
憂「それが意味ないって言ってるの」
キュッ
ジャバアアアァ…
唯「……ま、そうかもしんないけど」
唯「恋するのだっていいと思うけどなぁ」
憂「……」
憂「そうだね」
憂「お姉ちゃんが憧れてるような、甘ったるくてゆるい恋愛なら、私もしたい」
唯「じゃあ綺麗にしましょっか」
憂「……うん」
ゴシ ゴシ…
唯「……」
唯「憂ってさ」
憂「ん?」
唯「誰かを好きになったこと……恋したこと、ないの?」
憂「……あるよ。一度だけね」
唯「そう……なんだ」
憂「意外?」
唯「意外だよ」
唯「憂ってどうも、そういうの興味なさそうだし」
憂「そうかなぁ」
憂「恋愛については人一倍考えてると思うな、私」
唯「ふぅん……」
唯「でも、恋は一回しかしたことがない」
憂「うん」
ゴシ…
唯「……その恋って、いつのこと?」
憂「……幼稚園生」
唯「そりゃまた、ずいぶん」
唯「つたない恋心だったんじゃない?」
憂「ううん」
憂「何度もそんな風に思った。勘違いだって、気の迷いだって」
憂「でも、今でもそんなんじゃないって分かる」
憂「ほんものの、恋心だよ」
唯「……今も」
唯「その人のこと、好きなんだ?」
キュ
ザアアアア…
憂「……うん」コクッ
憂「すき」
唯「そっかぁ」
唯「その人って、憂がお風呂入らなくても嫌がらないのかな」
憂「……どうなのかな」
憂「私にはわかんないけど、たぶん嫌がってると思うなぁ」
キュ
唯「でも……お風呂には入らないの?」
憂「うん」
憂「幸せを天秤にのせたら、ってね」
憂「やっぱりお風呂に入っても意味ないんだ」
唯「そんなにお風呂が嫌いなの?」
憂「どうだろ」
憂「実はそんなに嫌いじゃないかも」
ヌルーッ
ソリ ソリ…
憂「お姉ちゃんに洗ってもらうのは、だけどね」
唯「……つまり、憂のお風呂嫌いは」
唯「私がずっと洗ってきてあげた結果なのかな」
憂「……」
憂「そういうことになるかも」
憂「お風呂が嫌なんじゃなくて、お姉ちゃんのいないお風呂が嫌なのかなぁ」
唯「でも、私が入れてあげようとするのも憂は嫌がるよね」
憂「あ、そっか」
憂「じゃあ分かんないなぁ」
唯「なんでなんだろうね」
憂「子供のころ、お風呂でおぼれかけた……とか」
唯「無いよ」
憂「シャンプーが目に入った」
唯「それもなかった」
憂「転んでカミソリが大事なとこに刺さった」
唯「私がずっとついてたんだから、そんなこと起こるわけないよ」
憂「それもそっか」
憂「お風呂場にトラウマがあるわけじゃないのかな」
唯「単純に、お風呂場の温度変化が嫌いとか、いろいろあると思うけど……」
唯「……閉所恐怖症とかは? お風呂場って狭いじゃん」
憂「トイレの方が狭いよね」
唯「……」
唯「よし、おしまい」
キュ
シャアアアア…
憂「すべすべになったね」
唯「かくあるべし」スリスリ
憂「っ」
唯「……んー」
唯「うい、私はさぁ」
唯「お風呂に入らない憂を、むりやりお風呂に入れてぴっかぴかにしてあげるの」
唯「ちょっと好きだな」
憂「……じゃあ、これからもこのスタイルでいいんじゃないかな」
唯「……」
唯「でも、憂も私も洗うのは」
唯「ちょっとだけ疲れちゃったりもして」
憂「……なら、お姉ちゃんは私が洗ったげようか?」
唯「えっとぉ……」
唯「うん……」
唯「そうしてもらっても、いいかな」
憂「じゃあ」スクッ
唯「……よろしく」スッ
憂「髪から?」
唯「あ、私、身体からなんだ」
憂「うん、わかった」シュボシュボ
ゴシゴシ…
憂「あっ」
唯「えっ?」
憂「やっぱりお姉ちゃんの肌きれい」
唯「でしょ?」
唯「ちゃんとお風呂入ってますから」
シュブッ…
憂「……」
唯「う、うい?」
憂「手で洗いたい……」
スリスリ
唯「あ、ちょっと……なんかくすぐったい……いひはは!」
憂「……」スリスリ
唯「ふふ……スポンジ派だったけど、この感じもけっこういいね」
唯「けっこう念入りにやるね?」
憂「……」
スリッスリッ
唯「せ、せなかっくすぐったいっ!」ヨジッ
唯「あはっはひっ、ふくく……ひひゃうっ!」
憂「……」スリスリ
唯「な、なんか言ってよう」
憂「……お姉ちゃん」ピタ
唯「ん?」
憂「すっごくかわいい」
スリスリ
唯「っ、ふ……」プルプル
唯「っちょ、背中ばっかし……」
憂「……」スリスリ
唯「……ふぅ、っくう」
唯「い、あ……はっ」
憂「……」スリスリスリ
唯「はあっひゃっひゃひゃ!! やっぱだめぇ、くすぐったい!」
憂「……」
憂「ふぅっ」クイッ
憂「……腕、ちょっとお肉ついてない?」スリスリ
唯「は、ふぅ……いーえ」
憂「ううん。けっこう」プニプニ
唯「……ちぇっ」
唯「腕のお肉くらいがなんだっていうのさ」
憂「いやいや……」
憂「そのくらい気にしようよ」プニプニ
唯「もむなぁーっ!」
憂「自覚ってものを持たないとだめだよー、お姉ちゃん」ムニィッ
唯「くぅー」
憂「これからはお風呂後のアイス、毎回スーパーまで買いにいこっか」
憂「それだけでも違うと思うよ?」
唯「めんどくさいー」
唯「……憂も一緒に行ってくれるよね?」
憂「うん。どうせだったらお姉ちゃんと一緒が良いし」
唯「じゃあ頑張ってみようかな」
憂「うんうん」スリスリ
ヌリュン
唯「……」
唯「憂を丸洗いしてる時はなんとも思ってなかったけどさ」
憂「うん」
唯「こうして他の誰かに体をべたべた触られるのって」
唯「なんかくすぐったくてむずがゆくって……アレだね」
唯「いつもごめんね、憂」
憂「んーん」
憂「私はぜんぜん構わないよ」
憂「お姉ちゃんに洗ってもらうのは好きって言ったじゃん」
唯「……」
唯「ねぇ、憂」
唯「憂の好きな人、当ててみていい?」
憂「……いいよ」
唯「うん……」
唯「憂の好きな人。……私でしょ」
憂「さあ。どうかな?」
憂「はい、足上げて」
唯「……ずるい」
憂「だって」スリ…
憂「ハイそうですよとも、いいえ違いますとも」
憂「言えない、からっ……」
キュキュキュ
ジャアアアアアーッ
唯「憂……まだ洗い終わってないよ……」
憂「……」
唯「……」ポン
憂「……っぅ」
唯「……」ナデナデ
憂「っう……ひ、ぐ……」
唯「……」ナデナデ
唯「……ありがとう、憂」
唯「でも、だめだよ……」
憂「……だよ、ね」
唯「女の子同士だし、ね」
憂「家族だもん、ね」
唯「こんな……」フルッ
唯「こんなことしちゃ、だめなんだもん、ね」グッ
憂「……うん。だめなんだよ、ね」
憂「……」スゥ…ハァ…
唯「……っ」ブルッ
唯「こんなの……」
唯「だめ……」
憂「おねえちゃんっ……」
唯「うい……ういっ」
憂「いけない……よ」
チュ
憂「んう……」
唯「うい……んふぅー」チウチウ
憂「は、ふ……」ゾワッ
…チュッ
唯「……」
憂「……」
唯「……ちがうよね」
憂「うん、違う」
唯「ね。ただ唇が当たっただけだもんね」
唯「キスじゃないよね」
憂「うん。セーフだよ、お姉ちゃん」
唯「……だよね」
唯「……憂はさき上がってて」
唯「髪洗ったら……一緒にアイス買いに行こうね」
憂「うん……」
パタン
憂「……」フキフキ
憂「……」フキ…
憂「……ぁ」
憂「でも……」
憂「姉妹、だもんね」
憂「明日から……お風呂、ひとりか」
憂「いやだな……」
おしまい