兄「よぉ」
女装弟「……う」タジタジ
兄「バイト始めたってのは聞いてたけどまさか男の娘カフェとはねぇ」
女装弟「わ、悪いかよ!いろいろワケがあんだよ」
兄「ワケ?」
女装弟「割と時給いいし…」
兄「趣味と合致してるし?」
女装弟「趣味じゃない」
兄「本音は?」
女装弟「うぜぇ……さっさとメニュー決めて出てってくれ」イライラ
兄「俺は客だぜ?とりあえず席に案内してくれ」
女装弟「こちらへどうぞ!」ムス
兄「にしても似合ってるな、別人みたい」
女装弟「はぁ……なんでばれたんだ……」
元スレ
女装弟「いらっしゃいませ♪……って兄貴!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1436423732/
兄「メニューは普通だなぁ」
女装弟「は・や・く・し・ろ」
兄「急かすな、なんかお触りメニューとかないの?」
女装弟「そういう店じゃねーから、通報するぞ?」
兄「ツマンネー」
女装弟「なに?兄貴はそっち系だったの?」
兄「別にそういうの興味なかったけど、お前で目覚めたかも」ジー
女装弟「こっちみるな」グイ
兄「いででで、アイスコーヒーと抹茶ケーキで」
女装弟「はいはい、じゃあな」
兄「あれ?ずっとそばにいてくれないの?」
女装弟「だからそういう店じゃねーって!」
兄「ま、逆に安心だな」
女装弟「なにが?」
兄「なんでもねーやい」
女装弟「ほらよ」カチャカチャ
兄「扱い雑だな、客なんですけど」
女装弟「だってもう二度と来ないだろ?サービスするだけ無駄」
兄「いつ俺がリピーターにならないと言った?」
女装弟「俺がさせない」
客「注文お願いしまーす」
女装弟「はいっ、ただいま」
女装弟「アメリカンコーヒーとチョコレートケーキですね♪」
女装弟「それではおにーちゃんっなでなでしてください♪」
客「うへへ」ナデナデ
女装弟「………」チラ
兄「………」クイクイ
女装弟「……くっ」カァァ
兄「今のは?」
女装弟「なんでもない」
兄「あの客のメニューと俺のやつちょっと違うんじゃないの?」
女装弟「………」
兄「これは店長さんに報告かな?」
女装弟「な、なでなではあるんだよ……」
兄「ほう?」
女装弟「でもそれだけだぞ?」
兄「頭出せ」
女装弟「……う」
兄「お金一緒なのにサービス違うとかやっちゃだめだよね?」
女装弟「………」フルフル
兄「よしよし」ナデナデナデナデ
女装弟「な、なげぇよ!!」
兄「本当のおにーちゃんにナデナデされちゃったね」
女装弟「うっさいなぁ……最悪」
兄「ちょっとおにーちゃんって呼んでみて」
女装弟「はいはい、じゃあな」
兄「ツンデレだな」モグモグ
女装弟「よし、食い終わったな。出てけ」
兄「出てく時には何か無いの?」
女装弟「ねーよ」
兄「本当は?」
女装弟「………」
兄「あるんだな」
女装弟「……手出せ」
女装弟「つ、次来てくれた時のクーポン……」ギュ
兄「ほう」
女装弟「はいこれだけ!!二度とくるなよ!」ドキドキ
兄「クーポンもらっちゃったんだけど」
女装弟「捨てろ、なんなら返せ」
兄「んじゃ、また来るね」カランカラン
女装弟「二度とくるな!」
女装弟「…………はぁ」
女装弟「家帰りたく無い……」
ウェイトレス娘「ふふふ、どうしたの?」
女装弟「聞か無いでください……」
ウェイトレス娘「あぁ…後輩ちゃんの儚い表情っ」ブルルッ
女装弟「うぅぅ……どうしよう」
弟「た、ただいま……」
兄「おう、お帰り」
弟「………」スタスタ
兄「ストップ」グイ
弟「くっ……なんだよ!」
兄「はいこれ」ガサリ
弟「うわっぷ…なにこれ」
兄「部屋で開けてみ」
弟「なんかもうわかるんだけど……」
兄「ほら行った行った」
弟「な、なんなんだ……」
弟「………」ガサゴソ
弟「こ、これは!?」
弟「おい兄貴!!なんで知ってんだよ!」ガチャ
兄「なにがー?」
弟「これ!俺がお金貯めて買おうと思ってた服……」
兄「?」
弟「うぅぅぅ、いつからバレてたんだよ!」
兄「だからなにが?」
弟「とぼけ無いでよ、俺が女装するのが好きになっちゃったってことだよ!」
兄「その服はただ似合うかなって思って買ったんだけど……お前の服のサイズは知ってたし」
弟「え?俺が買おうと思ってたって事は……」
兄「全然知らなかった」
弟「………」カキン
兄「あ、凍った」
女装弟「………」ゴソゴソ
兄「どう?サイズは」ガチャ
女装弟「ばっ…勝手に入ってくんな!」
兄「なんでなんで?」
女装弟「着替え途中だったらどうすんだよ!」
兄「別に男同士だからいいだろ……」
女装弟「そ、そうだけどそうじゃない!」
兄「そんなことより、めっちゃ似合ってるぞ」
女装弟「ぅ……」
兄「ナデナデしたい」
女装弟「は?なに言ってんの?」
兄「その服結構したんだけどなぁ」
女装弟「そ、それは……知ってる」スッ
兄「お?」
女装弟「だ、だからまぁ、今回だけだぞ?」
兄「少しは素直になったな」ナデナデ
女装弟「ってどこナデナデしてんだ!!」バッ
兄「え?頭って言ったっけ?」
女装弟「おかしいだろ?なんで太ももなんだよ!」カァァ
兄「店じゃできないことしないと、な?」
女装弟「つーか兄貴は……その…」ドキドキ
兄「?」
女装弟「き、気持ち悪いと思わないの?俺がこんな格好するの」
兄「なんで?可愛ければ問題ないだろ?」
女装弟「そ、そんな軽く……こっちの気も知らないで……」ボソ
兄「え?」
女装弟「い、いや…なんでもない」
兄「こっちの気も知らないで、は聞き取れた」
女装弟「そ、そこは流せよ!!」
兄「うーん」ジロジロ
女装弟「な、なんだよ……」
兄「うん、なんとなくわかったぞ」
女装弟「何が!」
兄「両手手出して」
女装弟「え?」
兄「いいからいいから」
女装弟「はぁ……?」ヒョイ
兄「よし」ギュ
女装弟「ぁ……」ドキ
兄「よっと」グイッ
女装弟「わわっ!?」ポフン
兄「よしよし、上手くいった」ギュ
女装弟「な、なにしてんの!?これじゃあ抱き合って……」トクントクン
兄「弟ちゃん、女の子として扱ってほしいんじゃない?」
女装弟「えっ?」
兄「俺の勝手な思い込みかもしれないけど」ギュ
女装弟「うっ……くるしいって」
兄「本当に?」
女装弟「い、息が……っ…」ドクンドクン
兄「そんなに強くしてないけど」
女装弟「じゃあなんで…っ……」
兄「わからない?じゃあ分かることから言ってってみ」ギュ
女装弟「んっ……」
女装弟「あ、兄貴の匂いがする」スンスン
兄「え」
女装弟「えっ…ってなんだよ!!」
兄「あはは、それは予想外だったわ」
女装弟「う……うぜぇ……」カァァ
兄「とりあえず、女の子みたいに男の胸に顔を埋めてみてどう?ってこと」
女装弟「……言いたくない」
兄「という事は、良かったってことか」ギュ
女装弟「………」
兄「随分大人しくなったな」
女装弟「今頭ごちゃごちゃしてんだよ……」
兄「じゃあ襲うなら今のうちだな」クイッ
女装弟「は……?」
兄「………」スッ
女装弟「まっ……まって…!え?ぅ……」
兄「なんてな」
女装弟「………ぇ」
兄「明日もバイトあんの?」
女装弟「うるさいしねっ!!」カァァ
兄「おわっ、なんで怒った!?」
女装弟「はー……今日は流石にこねぇよな」
ウェイトレス娘「ふふ、何がですか?」
女装弟「うわっ!?」
ウェイトレス娘「あれ、後輩ちゃん……」ジー
女装弟「?」
ウェイトレス娘「何か変わりました?」ムニー
女装弟「あうっ!やめへふらさい!」
ウェイトレス娘「ふふ、可愛い……」
女装弟「ほっぺがぁ……」ヒリヒリ
カランカラン
ウェイトレス娘「あら、いらっしゃいませ♪」
兄「よっ」
女装弟「げっ……」
ウェイトレス娘「ご注文はお決まりでしょうか♪」
兄「えぇーと、ロールケーキとカフェラテで」
ウェイトレス娘「ふふ、それでは……ご主人様どうぞ♪」
兄「え?」
ウェイトレス娘「もー、え?じゃないですよ、なでなでしてください」
兄「あっ忘れてた」ナデナデ
ウェイトレス娘「ふふ、ありがとうございます♪」
女装弟「…………」チラ
兄「そういえば人によって呼び方が変わるんだね、君の場合メイド?」
ウェイトレス娘「そこに気づくとはやはり天才か…」
兄「はぁ」
ウェイトレス娘「ふふ、そうですここでは私はメイド、あの娘は弟なんですよ」
ウェイトレス娘「他にも先輩とか近所のお姉さんなどもいますから、是非♪誰が来るかはあちらのボードで確認できます♪」
兄「あはは、そうなんだ」
女装弟「…………」ムス
ウェイトレス娘「はー…緊張しました」
女装弟「えっ!」
ウェイトレス娘「あの方、何か不思議な雰囲気ですよね」
女装弟「そ、そうかなぁ?」
ウェイトレス娘「この前はどうやって盛り上がったのですか?」
女装弟「盛り上がった…んですかね」
ウェイトレス娘「んー…兄弟……」
女装弟「……っ!」ギク
ウェイトレス娘「もしかしたらあの方は弟がいるのかもしれませんね」
女装弟「……っ」ギクギク
ウェイトレス娘「それで後輩ちゃんと盛り上がった…なんて…はぁ、妄想が捗ります……」ブルルッ
女装弟「あはは…なんか、色々すごいですね」
ウェイトレス娘「それでは、ケーキとカフェラテお願いしますね」
女装弟「えっ、俺がですか!?」
ウェイトレス娘「お願いしますね♪」
女装弟「どうぞ」カチャリ
兄「ん?さっきの娘じゃないんだ」
女装弟「別に、嫌なら変わるけど」
兄「はぁ?お前がいいに決まってんだろ」
女装弟「い、いきなりなんだよそれ!」カァァ
兄「あはは、真っ赤」
女装弟「う、うぜぇ……」
兄「今日何時に終わる?」
女装弟「は?」
兄「バイトだよ」
女装弟「……7時」
兄「朝の?」
女装弟「夜の!」
兄「オッケー、んじゃそっからちょっとデートすっか」
女装弟「な……」
女装弟「………」ソワソワ
ウェイトレス娘「ふふ、何やら今日はそわそわしてますね」
女装弟「そ、そうですか?」
ウェイトレス娘「まるで真の乙女のよう……しかし私達は偽りの乙女……」ギュ
女装弟「ぁ………」
ウェイトレス娘「ふふ、落ち着きましたか?」
女装弟「はい、ありがとうございます」ギュ
ウェイトレス娘「うんうん、それではあと少し、頑張りましょう」
女装弟(なんで兄貴の断れなかったんだ……)
女装弟(今日はあの服着てきちゃったのに……)
カランカラン
女装弟「………」
兄「よっ、お嬢さん。今一人かい?」
女装弟「……意味不明」
兄「いや、こういうシチュ憧れない?」
女装弟「どうでもいいけど、デートってなんだよ」
兄「そりゃデートはデートでしょ」スッ
女装弟「何この手」
兄「それを聞くか?」
女装弟「で、どこ行くの」
兄「まぁ黙って付いて来いよ」グイ
女装弟「ぁ……勝手に」
兄「絶対喜ぶと思うぜ」ニコ
女装弟「……っ」ドキ
兄「予約していた者です、はい」
女装弟「………」ポカーン
兄「おーい、行くぞ」グイ
女装弟「う、うん。なんかお洒落なお店だな……」キョロキョロ
兄「だろ?彼女ができたら来たいなって思ってたんだ」
女装弟「ほぇー……って、え?」
兄「こう見えて値段も結構お手頃なんだよ」
女装弟「えと……その……」
兄「何食う?」
女装弟「え?えぇと…マルゲリータ……」
兄「俺はこっち食いたいし半分こしようぜ」
女装弟「うん……」ジー
兄「どうした?」
女装弟「別に」プイ
兄「注文お願いしまーす」
女装弟「ん、美味しい」パァァ
兄「良かった良かった」モグモグ
女装弟「兄貴の癖にやるじゃん」
兄「惚れた?」
女装弟「……っ!?」
兄「大丈夫か?」
女装弟「けほっ、けほっ!」
兄「いくらキモいからって何もむせることないだろ」
女装弟「まったく……あ」
兄「?」
女装弟「ほっぺにソース付いてるよ」
兄「え?どこ?」ゴシゴシ
女装弟「あーもう、ここだよ」ヒョイ
兄「おぉ、サンキュ」
女装弟「あ………」
女装弟「………」ドキドキ
兄「お?」
女装弟「………」フキフキ
兄「っておい!そこはペロリだろ!」
女装弟「そんな気持ち悪いことするわけないだろ!」
兄「………」シュン
女装弟「ぁ………」
兄「……折角頑張って店選んだのに」
女装弟「……た、食べさせてやるから!恋人同士っぽく……」
兄「よっしゃ!!」
女装弟「……こいつ」
兄「はやく!!」
女装弟「ほら」ヒョイ
兄「雑っ!」
兄「いやー、美味しかったな」
女装弟「……そこは認めよう」
兄「この後はどうする?ちょっと早いけどホテルでいい?」
女装弟「な、何考えてんの!?」
兄「えっ?」
女装弟「いや、男同士だし!?その前に兄弟だし!付き合ってすらいないし……」
兄「それは今さらだろ」
女装弟「ま、待って……」
兄「?」
女装弟「心の準備が……」
兄「まぁそれは行ってからでいいでしょ」
女装弟「う、嘘だろ?」
兄「嘘じゃねーよ、デートって言ったろ?」グイ
女装弟「ぁ……」
女装弟(ど、どうしよう……)ドクンドクン
兄「やっぱりまだ始まってないな」
女装弟「………」プルプル
兄「何か飲み物でも買っとくか?」
女装弟「じゃ、ジャズのコンサートなら……」プルプル
女装弟「ジャズのコンサートと言え!!!」カァァ
兄「え?言ってなかったっけ?」
女装弟「言ってねーよ!!」
兄「ん?知らなかったなら心の準備とかって?」
女装弟「わー!わー!なんでもねーよ!!飲み物とってこい!」
兄「はいはい、何がいい?」
女装弟「オレンジジュース!!」
兄「おっけー、言ってくる」スタスタ
女装弟「あぁぁ……消えて無くなりたい……」
兄「上手いなぁ」
女装弟「うん……」
兄「特にあのサックス、かっこいいなぁ」
女装弟「………」ジー
兄「ん?」
女装弟「ぅ……」アタフタ
兄「………」ナデナデ
女装弟「うわっ!なんだよいきなり!」
兄「なんか頭撫でたくなる顔してた」
女装弟「どんな顔だよ!」
兄「あ、終わっちゃった」パチパチ
女装弟「あ、兄貴……今日はさ……」
兄「んー?」パチパチ
女装弟「その…普通に楽しかったし……ありがと」
兄「え?」パチパチ
女装弟「ぁ、ありがとうってば」
兄「すまん!拍手で聞こえん!!」
女装弟「………っ!」ギュ
兄「!」
女装弟「こ、こういう事だ……」ドキドキ
兄「えっ?えっ?惚れたってこと?」
女装弟「ち、ちげーよ!!ありがとう…てことだ……」カァァ
兄「はは、今日は素直だな」ナデナデ
女装弟「はい、デート終わり!!帰るぞ!!」
兄「デートは帰るまでがデートだぜ?」ギュ
女装弟「………はいはい」
女装弟「ただいま」
兄「ただいまぁぁ……」
女装弟「あ、お風呂沸かさなきゃ」
兄「任せたー……」ドサリ
女装弟「ソファーで寝たら風邪ひくよ?」
兄「ん……無理……Zzz」
女装弟「おーい!」
兄「………Zzz」
女装弟「……ったく、デートが良くてもこれじゃ彼女が悲しむぞ」
兄「Zzz」
女装弟「………兄貴」ツンツン
兄「Zzz」
女装弟「………」コチョコチョ
兄「Zzz」
女装弟「ふぅん……」
女装弟「兄貴、コンサートの時なんで抱きしめ返してくれなかったんだ?」
兄「Zzz」
女装弟「デートって言ったくせに……」ギュ
兄「Zzz」
女装弟「ん……」ギュゥゥ
兄「Zzz」
女装弟「全然違う……」ギュウ
兄「Zzz」
女装弟「………ばか兄貴」スンスン
兄「………もう一回チャンスもらっていい?」
女装弟「うあっ!?」
兄「ダメ?」
女装弟「い、いいいいつから?」
兄「デートが良くてもなんちゃら」
女装弟「ぁ…あぁぁっ…」カァァ
兄「弟ちゃん?」スッ
女装弟「さ、触るな!!」カァァ
兄「………右手」
女装弟「……?」
兄「右手前に出して」
女装弟「………」スッ
兄「左手も」
女装弟「な、なんだよ」スッ
兄「よし、どーん」グイ
女装弟「あぅっ!」ポフン
兄「これでバッチリかな?」ギュ
女装弟「デートはもう終わったんだぞ…」
兄「そんじゃ、再開」ギュウ
女装弟「んっ……勝手だな」ギュ
女装弟「あ、兄貴はさ、どうしたいの?」
兄「んー?」
女装弟「急にデートとか……どういうつもりなんだよ」
兄「結婚を前提にお付き合い……とか?」
女装弟「そ、そうやって!!いつもふざけるから!」
兄「ふざけてないさ」
女装弟「へ、へぇ?じゃあキスとかできるの?」
兄「………」クイ
女装弟「そ、そうやって前みたいにーーー」
兄「………」チュ
女装弟「ーーーー!?」
兄「前しなかったのは、お前に嫌われると思ったからだよ」
女装弟「ぇ……ぇ……?」
兄「ったく……ふざけないと恥ずかしいんだよ」
兄「弟ちゃんは?」
女装弟「………」
兄「付き合って、って言ったら、どうする?」
女装弟「………」
兄「………」
女装弟「俺は……」
兄「………」
女装弟「俺は…無理だと思う……」
兄「……そっか」
女装弟「ぁ……」
兄「気持ち悪い思いさせてごめんな」ダッ
女装弟「ち、ちがっ…そういう意味じゃ」
女装弟「ぁ……あぁ……」
女装弟「違う……違うのに……っ」
女装弟「………」ポー
ウェイトレス娘「あらら後輩ちゃん、今日はよくぼーっとしてますね」
女装弟「あ、ごめんなさい!」
ウェイトレス娘「ふふ、何があったのです?」
女装弟「……ちょっと兄と気まずくなってしまって」
ウェイトレス娘「兄?お客様?」
女装弟「いや、実の」
ウェイトレス娘「……後輩ちゃんお兄さんがいたのですか?」
女装弟「あれ、言ってませんでした?」
ウェイトレス娘「実の兄がいながらここでも弟を演じる……つまり後輩ちゃんは兄から女として見られたいと」
女装弟「………ぅ」
ウェイトレス娘「ふふ、なるほど、合点がいきました」
女装弟「でも俺が素直じゃないから……突き放してしまって……もうどうしたら…」
ウェイトレス娘「だそうですよ」
女装弟「………え?」
兄「よっ」
女装弟「なっ、なっ……」
ウェイトレス娘「ふふ、いらっしゃいませ」
女装弟「い、いつから……」
兄「今日はよくぼーっとしてなんちゃら」
女装弟「な………」カァァ
ウェイトレス娘「ふふ、やっぱり不思議な雰囲気を感じたのは後輩ちゃんのお兄さんだったからですね」
兄「注文お願いしていい?」
ウェイトレス娘「はい、でも申し訳ありません……本日は1品しかやってないんです……」
兄「1品?」
ウェイトレス娘「はい、こちらに」ギュッ
女装弟「へ……?」
兄「それじゃ、それをお願いします」
ウェイトレス娘「はい♪では……コホン」
ウェイトレス娘「汝は、後輩ちゃんを妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、
共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
女装弟「ちょっ……待って、待って!」
兄「誓います」
ウェイトレス娘「ふふ、後輩ちゃんは?」
女装弟「け、結婚とかいきなりすぎるし!そもそもまだ付き合ってすらいない!」
ウェイトレス娘「と、言っておりますが?」
兄「幸せにします」
ウェイトレス娘「ふふ、良かったですね後輩ちゃん♪」
女装弟「え、え?」
兄「これからも末永くよろしくな」チュ
女装弟「~~~~~っ!?」
女装弟「兄貴、傘持った?」
兄「おう、持った持った」
女装弟「今日は……早めに帰ってきてね」
兄「ん?なんかあったっけ」
女装弟「……い、一応一周年だろ?」
兄「ぷっ…あはは」
女装弟「わ、笑わなくてもいいだろ!!」
兄「あのなぁ、あの日からまだ返事聞いてないんだけど」
女装弟「………」
兄「だからまだ付き合ってすらいないと思ってた」チュ
女装弟「んっ……」
兄「それじゃ、改めて。俺と、付き合ってください」
女装弟「………無理」
兄「えぇっ…!?」
女装弟「なんてもう言わないから」ギュ
END