学校
男(朝日が眩しい教室の窓辺。そして、その周りで談笑に花を咲かせる美少女たち。)
主人公「ふぁぁ……眠い」
幼馴染「もう、だらしないアクビしてぇ」
幼馴染「また、夜更かししてたんでしょう」
主人公「しょうがないだろ?撮り貯めしてたアニメを消化してたんだから」
ツンデレ「うわ、きっもち悪い……そんなんだからアンタはモテないのよ!」
主人公「うるせー、モテなくて結構だ」
男(羨ましいだろ?)
男(校内1位2位を争うレベルの美貌を備えた女の子たちがこの2-C組に集結しているのだ。)
元スレ
男「アニメの世界に入ったのか!?俺は!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430483028/
シャイ「そ、そんな……。主人公さんはも、モテてると思います」
主人公「ん?何か言ったか?」
男(しかし、残念なことに、ここから俺がいくら彼女たちに猛烈アタックをかましても彼女たちは決して振り向かないであろう。)
男(見ての通り、彼女たちの心は既にある一人の男に奪われてしまっているからだ。)
男(なにそれ?どこのハーレムアニメ?)
男(そう、ここはハーレムアニメの世界なのである。)
男(そして、俺はこの世界の人間ではない。)
不良「」イライラ
男(寝不足なのは彼だけではなかった。)
男(この見るからに人をおつまみ感覚でパシリ扱いして、暴君の如く弱者を苦しめそうな容姿をしたこの男。)
男(ハーレムアニメに相応しくない要素てんこ盛りの彼も俺と同じで”現実”からやってきたのである。)
不良「……るっせぇ」
男(彼の堪忍袋の緒は釣り糸よりも細く、なにより脆い。)
後輩「せんぱ~い☆おっはようございま~す!!!!!!!!」ガラガラ ドン!!!!!!!
不良「」ブチッ
不良「あぁああ!!!!!!!朝からピーピー喧しいんだよ!!!!!!!!!!!」
不良「コ○スぞ!!!!!!!!!!!!」
後輩「」
シャイ「え……えっと」ウルウル
不良「あぁ?」
シャイ「ごめんなさい」シクシク
主人公「おい!そんな言い方ないだろ!」
不良「おぉ、やるか?」イライラ
チャラ男「お~やってるねぇ」
男「大丈夫かアイツ」
チャラ男「いいんじゃない?ほら、何かいい感じにチンピラキャラになってるし」
男「そうだなぁ。いや、良くない気がするんだが」
後輩「」
チャラ男「君、大丈夫?」
後輩「え?あ、はい」
チャラ男「ごめんねぇ。驚かせちゃって」
チャラ男「アイツ、悪いやつじゃないんだよ。うん、ただ眠かっただけなんだ」
後輩「はぁ」
チャラ男「ところでさ、君って一年生だよね?」
後輩「はい、そうです」
チャラ男「やっぱり、前から気になってたんだぁ!」
チャラ男「君、めちゃタイプなんだけど」
男(主人公がチンピラと奮闘する中、隙を見てヒロインの一人を口説こうとするハーレムアニメの悪の権化のようなこの男。)
男(もちろん、こちら側の人間である)
不良「お前、いけすかねぇんだよ」
主人公「俺だって、アンタみたいな不良は嫌いだ。できれば関わりたくないんだが」
不良「だったら、決着つけようや。ぼっこぼこにしてやるからよ」
ツンデレ「アンタねぇ!自分が気に入らないからって」
主人公「いいよ。それで、お前の気が済むのならな」
主人公「だけど、その代わり……クラスのみんなを怖がらせるような真似は」
イケメン「はいはい。二人ともそこまで」
不良「んだよ。邪魔すんな!!」
イケメン「まぁまぁ」
イケメン「ごめんね。何か迷惑かけちゃって」
イケメン「ちょっと、声のボリュームを落としてもらいたかっただけなんだよ」
イケメン「コイツ、頼み事とかするの苦手だからさっ」ハハハ
シャイ「……」グスン
イケメン「怖がらせちゃったね。だけど、もう大丈夫だよ?」ニコッ
男(……主人公の見せ場を奪い去るムードクラッシャーなこの男も”現実”から来た人間である)
男(そして、何故、こんなことになったのかと言うと)
魔女「おっはよー!」
男(……何もかもコイツの責任だ。物語のヒロインの一人であるこの女が珍妙な魔法を行使して我々を召喚したのだ。)
男「おはよう」
魔女「お、やってるねぇ!」
男(彼女の一族には古くから伝わる究極の召喚魔術というものがあった。)
男(たったの一度きりしか使えないその魔術は、術者の願いを叶えるために精霊を召喚するというものだ。)
男(本来ならば彼女の願いを叶える最良の精霊が召喚されるはずであったのだが)
男(彼女はヘマをした。召喚に必要な詠唱を一文すっとばし、最良でも精霊でもなんでもない我々を召喚してしまったのである。)
男(ちなみに、その願いとは)
魔女「どう?他の子から主人公くんを切り離してくれた?」
男(主人公を独り占めしたいというなんともワガママなもの……)
男「いや、そんなことするわけないじゃないか」
魔女「えー!なんでー!契約違反でしょ!」
男「何がだよ!」
魔女「一年間、私のために全身全霊を捧げるって契約でしょう!?」
男「昨日、散々言っただろう?俺達はそんな契約してないし、お前のミスでこっちに引っ張られただけなんだ」
魔女「えーっ!でも、手伝ってくれてもいいじゃない!」
男「まぁ、俺は気楽に高校生活を楽しませてもらうよ」
魔女「そんなぁ……だけど、他の人は私のために頑張ってるよ?」
後輩「せんぱ~い☆何か、変な人が執拗に絡んでくるんですけどー!!!!」
チャラ男「いいじゃん!もうちょっと話そうよ!センパイより楽しいぜ?俺」
シャイ「……」グッスン
イケメン「……ほら、もう二人共仲直りしてるから、ね?」
不良「ちっ」
主人公「ふんっ」
男「……いや、アイツら別にお前のためにしてるわけじゃないと思うが」
魔女「そうなの?」
魔女「そうは見えないけど」
チャラ男「あー!待ってよー!ホントに俺、退屈させないからー」
後輩「しつこい!!」
男(わぁ……デフォルメ化使いこなしてる)
――
―
昼休み
不良「もう、帰っていいか」
イケメン「まぁまぁ、そう言わずに」
不良「面倒くせぇんだよ。なんで、また高校生しなきゃらなねぇんだ」
イケメン「仕方ないよ。学校へ行く代わりにアパートの部屋を借りれたわけだし」
不良「そんだけの金があるなら、あの野郎を金で釣ればいいだろうが」
チャラ男「うまくいかないから俺らを呼んだんでしょー?」
イケメン「彼女が求めてるのは彼の心だよ。お金でなんとかなる問題ではないと思う」
不良「けっ、なにが心だ。お前も何かアニメのヤツみたいな事いうな」
男「別に好き勝手やればいいと思うぜ?俺達は謂わば被害者なわけだしな」
男「いきなり、こんなとこに呼ばれて恋愛を手伝えだの、そんな義理はねーよって話だ」
男「むしろ、俺達のためにアイツが何かすべきだと思うがな」
イケメン「だから、こうして学校へ通えるようにしてくれたじゃないか。住む場所だって」
男「それは当たり前のことだろ。それに、学校へ通えるようにしたことに関してはいらないおせっかいだしな」
チャラ男「俺はもう一回高校生になれて嬉しいぜー?可愛い子だっていっぱい、いるし」
チャラ男「おまけに、その可愛い子たちはみんなアニメのキャラだぜ?これは願ってもないチャンスだと思わない?」
不良「キモいんだよ、お前。そんなもんで現抜かすのは根暗だけなんだよ」
イケメン「俺達がここに来たのが彼女のミスにしても、やっぱり、俺は手伝ってあげたいな」
男「なんで?」
イケメン「だって、可哀想だろ?たった一度しか使えない魔法を失敗してしまったなんて」
チャラ男「言っておくけど、俺はあの子を手伝うつもりだぜ?」
チャラ男「ヒロインたちとラブラブ出来て、あの子は主人公とラブラブできて、、完璧じゃん!」
不良「なら、勝手にしろよ。気持ち悪い」ガタッ
イケメン「何処へ行くつもり?」
不良「帰る」
イケメン「君はどうするんだ?」
男「え、俺?」
男「ま、まぁ、どう足掻いても1年はここに居なきゃならないんだし……」
男「手伝ってやっても……いいかな?」
イケメン「……そうか。ありがとう」ニコッ
男(おぉ……アニメの絵でこれじゃぁ”現実”でも相当なイケメンだなコイツ)
アパート
男「というわけで、ちょっとした会議を」
魔女「いえーいえーい!!」パフパフ
男(どっから持ってきたそのパーティーグッズは)
魔女「みんな!私のためにがんばってくれる気になったんだね!お姉さん、感動だよ」グスン
チャラ男(普通に歳上なんだけどなぁ……)
イケメン「正直、俺はここの世界についてあまり詳しくないんだ。だから、まずはざっとその説明をして欲しいかな」
チャラ男「おっけー!まかせろ!大人気アニメ○○??はみなさん知っての通り」
男「いや、知らない知らない」
チャラ男「ヤレヤレ系主人公くんが数多の女の子に惚れられイチャイチャしたりするラブコメディだ!」
チャラ男「物語は高校一年生から始まる。ファンの間では前半戦なんて言われてますね」クイッ
男「おーい、眼鏡してたかお前」
チャラ男「前半戦は主人公とヒロインたちとの出会いが中心でどういった経緯で主人公にヒロインたちが魅了されていくかが描かれています!」
チャラ男「そうですね!先生!」
魔女「うむ、そのとおりじゃ」
イケメン「……君、ホントはこっち世界の人なんじゃないの?」
チャラ男「そして!!ファンの間でも絶大な人気を誇るのが後半戦!!高校2年編だぁ!
チャラ男「簡単に言えば主人公は一体、誰と結ばれるのかー!っていう話です」
チャラ男「そして、俺達が来たのはその後半戦の一話目だ」
チャラ男「メインヒロインの魔女ちゃんが一度きりしか使えない究極の召喚魔法を使うんだけど、失敗して気持ち悪いモンスターを呼び寄せちゃって」
チャラ男「学校中は大騒ぎって話だったんだけど」
イケメン「モンスターでなく、何故か我々が呼ばれてしまったというわけだね」
男「まぁ、一人、気性の荒いモンスターは混じってたがな」」
男「それにしても、意外とアニメに詳しいんだなぁお前」
チャラ男「まぁね~。こういうのを知っておくだけでちょっとオタクな女の子はチョロいのなんのって」
男「あぁ、なるほど……」
魔女「それで、結末は!?誰と結ばれるの!」
チャラ男「誰ともくっつかないよ?」
魔女「がぁああん!!」
男「人が石になるの初めて見たな……」
イケメン「どうして、誰とも結ばれなかったのかな?」
チャラ男「まぁ、選べなかったんだろうね~。みんな可愛いし」
チャラ男「だから、結局、俺はみんなが好きだー!で終わっちゃったわけ」
チャラ男「ファンの間でも賛否両論はある」
イケメン「つまり、このまま何もしないでいると」
イケメン「魔女ちゃんにとって最悪の結末を迎えると……」
魔女「はぁ……なんか、主人公くんらしい選択だよ……」
男「ある意味で召喚は成功かもな」
イケメン「どういうこと?」
男「いや、だって今後、物語がどう進むかわかるだろ?コイツがいれば」
チャラ男「……そう、俺には未来が見えるのだ」
男「その、いちいちウザいリアクションやめてくれ」
チャラ男「えー!なんでー!これ、おもしろいじゃーん!」
男「あぁ!もう!デフォルメ化すんな!」
魔女「未来がわかる……」
男「そうそう、だから、他のヒロインがいい感じになりそうな展開を回避できるかもしれないってことさ」
イケメン「先回りするんだね」
男「で、どうするか」
チャラ男「あぁ、確かクールちゃんのお話がちょっと続いたような」
男「だれだ?」
チャラ男「教室の一番前の席の無口な子」
チャラ男「あの子が主人公に本格的に惚れるのは後半戦からなんだよ」
イケメン「それを阻止すればいいのか」
男「で、どうやって惚れたんだ?」
チャラ男「えーと……確か、放課後、教室で二人きりになって」
チャラ男「あれ、なんだっけな」
男「おいおい、しっかりしてくれ」
チャラ男「いやぁ、なんかクールちゃんの過去の話とか色々あって」
チャラ男「……わすれちった」
男「要するに放課後、二人きりにしなければいいんだろ?」
チャラ男「うむ」
男「よかったな。これで恋敵を一人減らせるぜ」
魔女「う、うん」
男「なんだよ。嬉しくないのか」
魔女「何か、クールちゃんに悪いことしてるようで」
チャラ男「そう?惚れるきっかけを無かったことにするだけじゃん」
魔女「そ、そうだよね!うん!」
男「お前さ、遅かれ早かれ他の女のキモチを踏みにじることになるのを忘れるなよ?」
魔女「や、やっぱり……そうなるよね」
男「ま、結局は主人公が選ぶことだけどな」
魔女「うん」
チャラ男「御膳立てはしてあげるから~。あとはガンバ!!」
チャラ男「ついでに、他の子に俺の魅力をたっぷり伝えておいてね!!もう、めちゃアゲといてね!」
イケメン「……」
男「どうした?」
イケメン「いやぁ、不良のことなんだけど」
男「放っておけよ。アイツのやりたいようにやらさればいいじゃん?」
イケメン「いや、そこが……問題なんだけど」
男「?」
イケメン「ここは現実の世界ではないもう一つの世界……」
イケメン「ここで、何しようとも1年経てば元の世界に戻れる……」
チャラ男「あっははは……犯罪の限りを尽くしても一年経てば無罪ってことか」
男「……いやぁ、笑えないなぁ」
男「何かしでかしそうだなぁ……」
魔女「えええ!!それはまずいよ!!ちょっと部屋見てくるね!!」
男「いや!女一人で行くのはもっとやべーよ!」
――
―
男「アパートの部屋は俺の隣の隣だ」
チャラ男「絶対、ヤバイって……」
イケメン「入るよ!!!不良!」ガチャッ
不良「あ?」
イケメン「な、なにしてるのかなって」
不良「……飯作ってんだよ」
男(すまん!不良!)
不良「つうか、何しにきた!!そもそも、勝手に上がりこむとはなんだよ!テメェ!!!!!」
チャラ男「いやぁ!これは防犯上のなんとやら」
不良「そうか、俺が何かやらかしてんじゃねぇかって思ったわけか」
イケメン「……すまない」
不良「いや、別にいいけどよ」
魔女「不良君!」
不良「なんだよ」
魔女「学校、明日も来るよね?」
不良「いかねーよ。馬鹿か」
男「お前もいい加減、諦めろよ。コイツの好きにさせてやれよ」
魔女「学校、楽しいよ!保証する!」
不良「行かねーって!!」
魔女「……私の責任だから」
魔女「こうなったのも……だから、せめて!楽しい思い出くらいは!」
不良「どうして、こうもお前の頭ん中はお花畑なのかねー」
不良「余計なお世話なんだよ!!楽しい思い出だ!?んなもんいらねーよ!!」
魔女「だけど……」
イケメン「不良……」
不良「部屋を借りてくれたのは……ありがてーがよ」
不良「……もう、いいだろ。帰ってくれ」
バタンッ
チャラ男「あちゃー、めちゃ怒ってたねぇ」
イケメン「……悪いヤツじゃないと思うんだ」
男「こっちに召喚されたのが相当、気に食わないらしいな」
魔女「……」
不良(こんなことしてる場合じゃねーんだよ……)
不良(こんなことしてる場合じゃ……)
不良「くそ!!!!!!!!!!!」
不良「学校……んなもんどーでもいいんだよ……」
不良「俺には……」
不良「くそ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
――
―
深夜
不良の部屋
魔女「こんばんわー」
不良「zzz」
魔女「こんばんわぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
不良「わぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」ガバッ
不良「……んだよ」
魔女「あの……ちゃんと、謝ろうと思って」
不良「いいよ、そんなもん。お前が謝っても……しょうがねぇよ」
魔女「ですけど、迷惑かけたみたいだし」
不良「……一年も拘束されるんだ。迷惑にも程がある」
魔女「……そうですよね。自由にしたいですよね」
不良「そんなんじゃねーよ!馬鹿が」
不良「俺には金がいるんだよ」
不良「一年も……稼げないなんて」
魔女「……」
不良「俺にはよ、高校生の弟がいるんだよ」
不良「俺と違ってめちゃくちゃ頭いいんだぜ?昔からそーういうやつだった」
不良「……大学だってすんげぇいいところ行けそうなんだぜ」
魔女「すごい!自慢の弟さんですね!」
不良「……だが、アイツは進学する気は無いって言ったんだ俺に」
魔女「どうしてですか!?」
不良「……金だよ」
不良「幼いころに親父を亡くしてな。母親と俺と弟の三人暮らしだった。」
不良「おふくろの収入だけを頼りに今まで生きてきたんだ。」
不良「だけど、今は違うんだぜ!?俺が仕事に就いて稼ぎも増えた!」
不良「それに、奨学金だって借りれるんだ。金ならなんとかなる!」
不良「そう言ってるんだが、アイツは聞く耳もたねぇんだよ」
不良「俺とお袋に働かせて自分だけ大学なんて行けないってな」
魔女「……」
不良「だから、もっと働いて、アイツに安心しろ!って言ってやりてーんだよ俺は!!」
不良「アイツは……弟は!ホントは大学へ行きたいんだからよ!!」
魔女「あの……」
不良「……だから、もう放っておいてくれ」
魔女「えっと……昨日、言い忘れてたんですけど」
不良「……なに」
魔女「こっちの世界で1年過ごしても不良さんの世界に戻ったときには」
不良「……なんだよ」
魔女「ほんの一瞬の出来事というか……実際、一秒も経ってないと言いますか」
不良「それって……つまり」
魔女「はい!不良さんが気にしていることは大丈夫だと思います!!!!!!」
不良「……お前」
不良「先に言えよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
隣の部屋
チャラ男「はっ!!!!!!!!!俺、失踪扱いなんじゃ!!!!!!!つか、デートの約束!!!!!!!!」
更に隣の部屋
男「ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
男「会社どうなるんだよ!!!!!!!!!この歳になって露頭に迷っちまうのか俺は!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
――
―
朝
教室
後輩「せんぱ~い☆おはようございま~す!」キラキラ
主人公「朝から、教室くるんじゃねーよ」
後輩「いいじゃないですか~☆せんぱ~い!」キラキラ
チャラ男「うらやまちぃ!僕もセンパイ☆って呼んでもらいた~い!」
チャラ男「で、無視と」
男「どーでもいいけど、さっきからキラキラしたのが全部こっちに飛んでくるんだがよ……」
イケメン「それにしても、ホントの人気だね。主人公って」
チャラ男「おぉ、イケメンの心に火がついたか!?」
イケメン「いや、ついてないけどさ」
不良「うっす」ガラッ
男「おいおい、どういう風の吹き回しだ?」(このセリフ……二次の俺の今なら絶対様になってるよコレ)
不良「あぁ?」
男「いや……お、おはよ」
不良「まぁ、色々あってな」
不良「俺もこの世界をのんびり楽しむとするわ」
イケメン「そっか」
後輩「もぉ~センパイ☆ってばぁ!!もっと構ってくださいよぉ」キラキラ
不良「テメェ、ちょっとどいてくれ」
後輩「はぁあ?」
不良「あぁ?」
後輩「」ガクブル
主人公「なんだよ。また喧嘩か?」
不良「いや、そーじゃねぇ」
男「おいおい、来て早々なにやらかす気だ?」
不良「昨日は悪かった」
不良「俺も余裕がなくて気が立っててよ……すまん」
主人公「そっか」
主人公「いいよ。許す」
後輩「はぁあ!?センパイ、こんなの許しちゃうんですかぁ!?」
主人公「あぁ」
後輩「なんでー!?」ガビーン
チャラ男「意外と素直なやつじゃん」
イケメン「やっぱり、根はいいやつなんだよ。アイツ」
男「そうだな」
不良「はぁ……」ガタン
イケメン「おつかれ」
不良「あのチビ、うぜーんだよ」
イケメン「まぁまぁ」
男「さて、クールの件だけど」
イケメン「具体的に何をすればいいんだろうね」
男「チャラ男にもっと詳しい情報を」
男「ってアレ?いない?」(そして、お決まりの点線シルエット!)
クール「」ペラッ
チャラ男「君、読書好きなの?」
クール「……」
チャラ男「俺は文字読むの苦手なんだよね~。あ、でも漫画とか読むよ」
クール「そう」
チャラ男「何か読みやすい本とかない?君、詳しそうだし」
男「……もう、アイツ一人に任せたらいいんじゃねえか?」
イケメン「あはは……かもね」
チャラ男「」トボトボ
イケメン「戻ってきた」
チャラ男「話にならん!!!!!!!」
チャラ男「アイツ耳ついてんのかよ!!!!!!!!!!!!!」
男「落ち着けよ」
チャラ男「あぁああ!!!相手が俺じゃなくて主人公だったらホイホイ股開くんだろうな!」
男「だから、落ち着けって」
チャラ男「落ち着いてられるかよ!!!!!!」ドッカーン
男「お前、ホントに使いこなしてるよなこういうの」(噴火してるぞー)
イケメン「別に口説かなくても、主人公と二人きりにさえしなければいいんだしさ」
チャラ男「俺は納得いかないねー」
チャラ男「面白く無いじゃん」
不良「阿呆が」
チャラ男「せっかく、アニメの世界に来たんだぜ?ヒロインの1人や2人、攻略したいだろー?」
男「まぁ……確かに?」(所謂、二次元美少女とお近づきになれるのは良い。めちゃ良いじゃん)
男「けど、無理無理。主人公の存在が大きすぎるって」
チャラ男「だから、アイツに惚れてないクールちゃんを狙ってんだろー」
男「なるほど、頭いいなお前」
不良「シカト決め込む女の何がいいんだか」
チャラ男「誰だっていいんだよーだ」
チャラ男「要は、ヒロインをゲットしたっていう地位がほしいんだよ、おれっち」
男「最低だな、お前」
イケメン「俺もそういうの嫌だな」
チャラ男「まぁまぁ、見てなさいよー」
チャラ男「俺の生き様を!!!」ザッパーン
イケメン(火山の次は波……)
――
―
授業中
男「」キョロキョロ
チャラ男「zZZ」グー
男(うわぁ……鼻ちょうちんだ)
男(しっかし、教室で授業を受けるなんて久しぶりだなぁ)
男(黒板に、机に椅子、何もかも懐かしい)
不良「」カキカキ
男(ほぉ、真面目にノートとってやがる。不良っつっても見掛け倒しかよ)
男「」ニヤニヤ
不良「……」イライラ
不良(アニメだか、なんだか知らねぇが……そういうのすっげぇわかりやすいんだよ!)
不良「おい、お前。後で覚えてろよ」
男「」
男(主、主人公は何してんだろうなぁ)
主人公「ZZZ」グー
男(まぁ、そーだよなぁ)
幼馴染「こら、起きんか」テイ
主人公「ってーな……勘弁してくれぇ」
男(あぁ……はいはい)
男(そういえば、ツンデレって席、どこなんだろ)
男「」クルッ
イケメン「どうした?」
男「ツンデレの席ってどこ?」
イケメン「……」
男「そっか、わかんねーか」
男「あんな、奇抜な髪色してんのになんで見当たらねーんだろうな」
イケメン「……君の前の席だよ」
男「えっ」
男「」クルッ
ツンデレ「……奇抜な髪色で悪かったわね」
男(あぁ……灯台下暗しってやつか)
男「……」
ツンデレ「何か用事でもあるワケ?」
男「……いや、別に」
ツンデレ「ふんっ。後ろでコソコソうわさ話しないでくれる?気持ち悪い」
男「あ、はい」
ツンデレ「ふんっ」クル
男「」
男(何か、いい感じじゃないかコレ?)
男(いや、わからんけど何かラブコメっぽかった気がする)
男「これって、脈あり?」クルッ
イケメン「いや……ないと思うんだけど」
――
―
休み時間
チャラ男「ふぁ~、やっぱり、こっちの授業もダリィなぁ」
男「意外と普通に授業してるよな」
チャラ男「せっかくだしさぁ、授業中も面白くしたいよねー」
イケメン「どういうこと?」
チャラ男「何かアニメっぽいこと」
男「意味がわからん」
チャラ男「何かないかねー。これじゃぁ、普通の高校生と変わりないじゃ~ん」
不良「普通で問題あんのかよ。大体、てめえは」
後輩「せんぱ~い☆」ガラガラトー゙ン!!!!!!
不良「……」
後輩「センパイ☆と私の幸福の10分が始まりましたよー☆」
後輩「センパ~イ!!!!!!」
不良「……あの、クソアマ」
イケメン「まぁまぁまぁ」ガシッ
不良「いちいち、うるせーんだよ!!!!!!あのキンキンした声がよ!!」
男「あれだ!仕方ねーってコレ、アニメだし!」ガシッ
不良「あのドアの開け方だって気に入らねぇ。上級生の教室にありゃねぇだろ!!」
後輩「何してるんでんすかー?プロレスの練習?」キョトン
不良「おう、テメェ練習相手になれや」
後輩「きゃー☆こわ~い!センパ~イ助けてぇ」
主人公「知らん!」
チャラ男「すげーなぁ。ホントいい感じだよ。完全にチンピラとしてキャラ確立してんじゃん」
不良「」ドス
チャラ男「ごっふぁ!!!!!!!」
イケメン「じ、地面にめり込んでる……頭が……」
男「死んでないよな!?大丈夫だよな!?」
――
―
放課後
不良「んじゃ、帰るわ」
チャラ男「おいおい、待てよぉ」
不良「んだよ」
チャラ男「クールちゃん作戦どーすんだよぉ」
不良「俺は興味ねぇって」
イケメン「そっか、気が向いたら手伝ってくれ」
不良「気が向いたらな」スタスタ
男「学校へ来たから、てっきり手伝ってくれるもんかと思ってたんだが」
チャラ男「よくわかんねー、ヤツだよなー」
男「で、お前も教室に残るのか?」
魔女「え?私?」
イケメン「魔女ちゃんは主人公と居たほうがいいんじゃない?」
魔女「そう?」
男「アイツはお前に任せるから」
男「教室に近づかないようにな、頼むわ」
魔女「うん、わかったよ!」
教室
クール「」ペラッ
男「家で読めよ……なんで、教室に残って読書すんだよ」
チャラ男「教室にいないと二人きりになれないじゃん?」
男「あぁ……そっちの都合ね」
イケメン「で、俺達はどうする?」
チャラ男「へっへーん。退屈するだろうと思ってトランプ持ってきた」
男「ほぉ、昔よくやったな。大富豪とか」
チャラ男「ジュースかけたりとかねー!」
男「で、何賭けるよ」
チャラ男「ビリがクールちゃんとお話、とかどうよ」
男「うひょー!そういう罰ゲームも懐かしいな!!」
チャラ男「でしょでしょー!?あれって凄い盛り上がるよなー!」
男「女子に”キモい……”とか言われたりしてなぁ!」
チャラ男「話かけるんだけど、話題を全く考えてなかったり!」
男 チャラ男「ぎゃーっはっはっはっは」
イケメン「何か、気乗りしないな……」
チャラ男「んだよー。こういうのも青春だろー」
男「ノリが悪いなぁ」
イケメン「悪ノリは良くないよ」
チャラ男「ま、いいから参加しろって」
ギャー ワー
クール「……」
男「おい!そんなルールしらねーよ!!!!!」
チャラ男「はぁ!?大富豪やったことある!?ちみ」
男「それ、ローカルルールだろ!!」
チャラ男「違うし!!だったらお前のさっきの飛ばすヤツだって意味不明だろ!」
男「いやいや、公式だから!!」
チャラ男「はぁあああ!?」
イケメン「まぁまぁ」
クール「」スタスタ
男 チャラ男「え?」
イケメン「な、なにかな」
クール「……もう少し、静かにしてくれないかしら」
イケメン「ごめん」
男「読書なら家ですればいいだろ?」
イケメン「男!」
男「わざわざ、教室に残ってすることでも無い気がするんだがなー」
男「図書室だってあるのに」
クール「……そうですね」
イケメン「それは、俺達がとやかく言うことではないよ」
男「そうか」
チャラ男(あれ、何かっぽいシーンを見た気が)
イケメン「場所だったら、俺達だってここでする必要はないんだし」
チャラ男「いや、俺達はク」
男「ま、確かにそーだな」
イケメン「トランプなら別の場所でしよう」
クール「……」
イケメン「邪魔して悪かったね」
クール「……いえ」
――
―
廊下
全員「」
チャラ男「どーすんの!?教室から出ちゃったよ!?」
男「あんな事、言われたら出て行くしかねーだろ」
男「なぁ、イケメン」
イケメン「すまない……」
男「どういうつもりだよ。俺はアイツを追い出すつもりで言ったのによ」
イケメン「君のやりたい事はわかってたけど……あの子がちょっと可哀想で」
男「お前さぁ、良い奴なのはわかるけど。もうちょっと合理的に動けねぇか?」
イケメン「……すまない」
男「ま、うるさくしてしまった俺が言うのも何だけどな」
チャラ男「で、どーする?見張る?」
イケメン「……」
男「主人公の方へいこうぜ」
男「何か、居づらいわここ」
チャラ男「そ、そう?」
イケメン「うん、そうしよう」
チャラ男(やな雰囲気だなぁ)
――
―
――
―
主人公「え?甘いモノが食べたい?」
魔女「うん!だからさ、どっかよってかない?」
魔女(みんな頑張ってくれてるんだもん!私だって頑張らなくっちゃ!!)
主人公「う~ん」
魔女「ほら!駅前のお店!あそこのパフェ凄く美味しそうなんだよ!」
主人公「まぁ、別にいいけどさ」
魔女(やったー!)
ツンデレ「ふ~ん。パフェ食べに行くんだ」
魔女「げげっ」
ツンデレ「げげってナニよ!」
ツンデレ「私もいこうかなぁ」
魔女(えー……)
主人公「お、来るか?」
魔女(えー!!!)
幼馴染「じゃぁ、私もいこうかなー!」
魔女「なんでこーなるの!!」
主人公「いいじゃん。みんなで行ったほうが楽しいし」
魔女「そ、そーだけど」
喫茶店
魔女「」
ツンデレ「あら、美味しいじゃない。ここのパフェ」
魔女「そ、そーだねぇ」
主人公「たまにはこーいうのも悪くないなぁ」
幼馴染「食べ過ぎ注意よ。これで、晩御飯食べれませーんとか言ったら許さないんだから」
主人公「へいへい」
ツンデレ「まだ、幼馴染に晩御飯作ってもらってるの?」
主人公「弁当もな」
ツンデレ「ふ、ふーん。そろそろ、自炊できるようになったら?」
主人公「やだよ。面倒くせぇし」
幼馴染「ほんっとしょうがないんだから」
魔女「」
魔女「わ、私が作ってあげよーか?」
幼馴染「なっ!」
ツンデレ「アンタ、料理できるの?」
魔女「え?まぁ、そこそこ」(料理なんてしたことないよー!!)
幼馴染「べつにいいわよー。ほら、コイツに作ってやってんのはついでなんだし」
幼馴染「一人分増えたところで手間は変わらないのよっ」
主人公「だそうだ」
魔女「そ、そう」
主人公「」
主人公「けど、魔女の作った料理、ちょっと食ってみたいかなぁ、なんて」
魔女「ホント!」
魔女「それじゃ!こんd」プルルルル
魔女(なー!!!こんなときに電話!?きーっ)
――
―
チャラ男「あ、もしもし。オレオレー」
魔女『なんですかー……チャラ男さん』
チャラ男「今さぁ、どこにいんのー?」
魔女『駅前の喫茶店です』
チャラ男「主人公と一緒」
魔女『はい』
チャラ男「おぉ!やるじゃん!放課後デートってやつ?」
魔女『いえ……2人きりではないんですよ』
チャラ男「あぁ、そっか!だけど、いいじゃん!一歩前に進んだってことでね!がんばー!」
魔女『はい!頑張ります!って何で電話かけてきたんですか?』
チャラ男「えっと、色々あって作戦変更。今からそっちいくねー」
魔女『えー!!困りますー!』
チャラ男「なんで?」
魔女『だってせっかく、主人公くんと喫茶店に来てるのにー』
チャラ男「俺らが雰囲気盛り上げるじゃん!ほら、他のヒロインから切り離してあげるって」
魔女『え!ホントですか!助かりますぅ!』
チャラ男「は~い!そんじゃぁ」
チャラ男「いざ!駅前へ!!」
男「ちょっと待て」
チャラ男「え~なに~?」
男「アイツ、上手くやってるんだろ?俺ら必要なくないか?」
イケメン「確かに」
チャラ男「いいじゃんか!他のヒロインもいるんだよ?合コンじゃんこれ!」
イケメン「だけど、主人公たちとあんまり話したことないしさ。いきなり、押しかけるのは気まずいんじゃない?」
チャラ男「こまけぇことは気にすんなだよ!」
男「ま、これを機に仲良くなれたらそれでいいか」
チャラ男「そうそう!」
――
―
ツンデレ「お友達?」
魔女「え?あ、はい!同じクラスの」
ツンデレ「ふ~ん、誰?」
魔女「チャラ男さんたちです!今からこっちに来るって」
ツンデレ「うげぇ……嫌よ。あんなチャラチャラした男」
魔女「そ、そんなことないですよー!とっても良い人です」
幼馴染「ていうか、知り合いだったんだ」
魔女「はい!」
主人公「俺、あんま喋ったことないんだけど……」
魔女「とってもフレンドリーな方たちなんで!大丈夫ですよ!」
主人公「そっか」
ツンデレ「たち……って他にも来るの!?」
魔女「はい!男さんとか」
ツンデレ「却下」
魔女「ええええ!」
――
―
チャラ男「~♪」
男「これって、もうほとんど合コンだよな!だよな!?」
イケメン「どうかな……」
チャラ男「いやぁ、楽しみだねぇ」
男「はじめから、クールの方じゃなくて主人公を止めてればよかったんだなぁ」
男「あぁ言う何考えてんのかわかんねーのは苦手だし」
イケメン「そういえば、結局、主人公はなんで教室に残ってたの?」
チャラ男「あぁ、それは忘れ物して教室に取りに戻るんだよ。確か」
男「忘れ物ねー」
男「……いや、それまずくないか?」
――
―
主人公「なっ!ない!」
魔女「なにがですか?」
主人公「俺のケータイ!」
幼馴染「もう、なにやってんのよ!教室に忘れたんじゃないの?」
主人公「多分、いや絶対そうだー……」ガーン
主人公「わりぃ、ちょっと取りに行ってくるわ」
魔女「えー!!わ、私も」
主人公「いや、いいよ。すぐ戻るから」
魔女「え、でも」
主人公「んじゃ!行ってくる!」タッタッタ
魔女「あ……」
魔女(どうしよ……チャラ男さんたちケータイ持ってないし)
魔女(連絡手段が……)
魔女「……」
幼馴染「だ、大丈夫?」
魔女「お構いなく……」
――
―
男「おいおいおい!魔女に連絡いれろよ!引き止めておけって!」
チャラ男「公衆電話ボックスさっきのとこしかないって!」
チャラ男「あ!駅前なら2箇所くらいあるよ!」
男「それ、店に入った方がはええじゃねーか!!」
イケメン「戻ろう!」
男「間に合うのかよ」
イケメン「わからないけど……とにかく、戻るしかないよ!」
廊下
不良「あぁあ、ノート忘れちまった」
不良(せっかく、高校生活をやりなせるんだ……ちっとは賢くならねぇと)
不良「柄にもねぇことしてんなぁ俺ァ」ガラッ
教室
クール「……?」クルッ
不良「ん?居残り勉強か?」
クール「……違います」
不良「んじゃぁ、何してんだよ」
クール「……読書」
不良(読書か……つーことはコイツ頭いいやつなのか?)
不良「」スタスタ
クール「……」
クール「」ペラッ
オ アッタアッタ
不良「おい、お前。頭いいか?」
クール「……?」
不良「ちと、教えてもらいたいとこあんだが、いいか?」
クール「……え??」
タッタッタ
男「い、息がぁ……」ゼェゼェ
チャラ男「ちょ、ちょっと休憩しない?いや、マジで」
イケメン「もうすぐなんだから!がんばれ!!」
廊下
主人公「」
男「おい!教室の前!!アイツだ!」
チャラ男「っしゃー!!やろう!ひっ捕らえてやる!!」
主人公「……え?」
ドガシャーン
主人公「いったたた……なんだよお前ら」
チャラ男「すまん、つい本能で飛び込んじゃった」
主人公「ウシかよ!」
男「よーし、んじゃ教室入るか」
主人公「ちょっと待った」
男「え?」
主人公「俺も忘れ物してさ、戻ってきたんだけど……」
主人公「ほら、アレ見てみろよ」
全員「?」
クール「……そう。そこに代入するの」
不良「あぁ、そういうことか。んじゃぁ、これは公式?ってやつか」
クール「……」コクリッ
クール「覚えておかないとダメ」
不良「んだよ……忘れたら終わりじゃねーか」
クール「大丈夫……初めはノートを見ながら解けば……」
不良「おう、そうするわ」カキカキ
主人公「……入り辛くないか?」
イケメン「……確かに」
男「何してんだよ……アイツ」
チャラ男「ライバルが一人増えちまったな」フッ
後輩「あー☆センパイはっけ~ん!」ピョーン
主人公「おわっ!!」
ガラガラドン!!!!!!!!
不良「あ?」
後輩「探しましたよーセンパイ☆」スリスリ
主人公「どいてくれ……重いから……マジで」
主人公「お前らも見てないで助けろ!」
男「いや、いいんじゃない?」
主人公「何が!!!!!」
不良「お前ら、何してんだよ」
男「お前が何してんだよ!!!!!!!!!!!」
不良「なにって勉強だよ」
男「はぁあ!?」
不良「せっかくだから真面目に勉強してんだよ!悪いか!!」
イケメン「ううん。凄くいいと思う」
チャラ男「保険体育のか?」
不良「」ドス
チャラ男「ハグァ」
男「天井に!!天井に刺さってる!!大丈夫か!?生きてるよな!?」
イケメン「君が手伝えない理由って」
不良「まぁ、そういうことだな」
不良「昔は馬鹿やってたけど、今はちげぇ」
不良「また……一年だけだがこうして高校へ通えるチャンスができたんだ」
不良「ちょっと、がんばってみようかと思ってよ」ヘヘッ
イケメン「そうか、うん!俺も応援するよ」ニコッ
主人公「携帯、やっぱりここだったか」
後輩「センパ~イ☆今からどうします?2人で放課後デートしません!?きゃーっ」キラキラ
不良「勉強の邪魔だ。とっと、けぇれ」
後輩「ふん!ばーか!ばーか!」
不良「てめぇも天井にぶら下げてやろうか?あぁ?」
後輩「」ガクブル
――
―
帰り道
主人公「アイツ、真面目なんだな」
男「確かになぁ、授業中も真剣にノートとってるだぜ?」
チャラ男「短気だけどねー」
後輩「そーですよ!あれは猛獣とかそっちの類のヤツです!」
主人公「なんか、誤解してたよ俺。アイツの事、ただの嫌なヤツだと思ってたけど」
後輩「せんぱぁい!?」ガーン
主人公「ちょっと、見方が変わったな」
イケメン「うん、それは良いことだね」
後輩「騙されてるだけですよー!猛獣に知識が備わる何てとんでもねーですよ!」
男「お前、絶対チクってやるからな」
後輩「やめでぇえええ!!!!!」ドタバタ
男(うわぁ、可愛いし面白いなぁ。すげーアニメっぽい)
男(いや、アニメか)
チャラ男「すんごい鼻の下伸びてるよ」
男「げっ!マジ!?」
チャラ男「”お前、絶対チクってやるからな”の後からそりゃもうすんげー」
男「」
チャラ男「おぉ!男が真っ白に!」
主人公「あぁああ!!!!!!!」
主人公「喫茶店!!忘れてた!!!!!!!!!!!」
喫茶店
ツンデレ「遅いわね」
魔女「……うん」
幼馴染「アイツ……忘れてんじゃないでしょうね」イライラ
ツンデレ「いや、絶対そうよ」イライラ
――
―
教室
不良「お、もうこんな時間かよ。んじゃ帰るか」
クール「」コクリ
不良「わりぃな。付きあわせちまって。今度、なんかお奢るからよ!」
クール「い、いえ……そんな」
不良「まぁ、気ぃ使うなって」
クール「」コクリ
不良「ん、お前帰らんのか?」
クール「え……帰ります」
不良「あぁ、戸締まりとかしないといけねぇな」
――
―
チャラ男の部屋
チャラ男「なんだったかなぁ……クールちゃんが教室で読書してた理由って」
チャラ男「なんか、あった気がするんだけど……」
――
―
『ただ、友達が欲しかった……それだけでした』
『教室がクラスメイトととの唯一の繋がりの場で……』
『私の席、私の居場所……ここに居れば……いつか、誰かが私と友達になってくれる』
『言葉を交わすのは苦手だけれど……いつか、私に気付いてくれるって』
『一人でもいい……誰かきっと』
不良「わりいな。職員室の場所もわかんなくてよ」
クール「……いえ」
クール(あなたは……)
クール(……私と友達になってくれますか?)
クール「あの」
不良「あ?」
クール「い、いえ」
帰り道
不良「そんじゃな、気をつけて帰れよ」
クール「……はい」
不良「」スタスタ
クール「……」
不良「あ、そうだ」クルッ
不良「また、わかんねーとこあったら聞いていいか?」
クール「えっ」
不良「いや、面倒だとか、うざかったら全然良いんだ」
クール「私でよけ、よければ!」
不良「そうか、そんじゃ!また頼むわ!」
クール「」コクリッ
――
―
男(人生の主役とは一体誰なのか。……紛れも無く自分である。)
男(大きな舞台の端で細々と生きていると感じる人間がどこにる。)
男(誰もが山と谷を乗り越え、苦悩を感じ、幸福の瞬間を得てきたはずだ。)
男(そして、その都度思うのである。人生において脇役に徹するなど不可能であると)
友「よーっ!今日も天気いいなぁ!」
男(ここに己が人生を脇役に徹する男がいる。不可能を可能にした唯一の男である。)
主人公「……」
友「どした?」
ツンデレ「昨日、私達をほったらかしにしたから叱ってやったのよ」
男(主人公を除く唯一の男のレギュラーキャラである彼はまさに当て馬、噛ませ犬というような言葉に相応しい学園生活を送っている)
男(もちろん、彼に彼女ができることはなかった……)
友「なんだよソレー!俺も誘えよー!」
男「何が楽しくて生きてるんだろう」
イケメン「……酷いことを言うんだね」
チャラ男「友は主人公とヒロインたちをいい感じにしてくれる存在なんだぞ!」
チャラ男「そんなこと言うもんじゃないよー!」
男「いや、そういうのがね」
男「やることなす事、全部が主人公の踏み台見たいになるんだろー?」
チャラ男「いいじゃねーか!面白いんじゃん!!」
男「そりゃぁ、見てる分にはいいけどさー」
不良「あほらし」
チャラ男「んだよー!お前ら絶対、文化祭とかズル休みするタイプのくせに!」
男「それは別の問題だ!」
イケメン「不良、それ、予習?」
不良「まぁな。バイトも何もしてねーし。暇だろ?」
イケメン「確かに、やることはないね」
不良「余裕があればこうしてれたんだろうな……」
イケメン「……」
不良「おっと、こんな時間か」ガタッ
チャラ男「なに?トイレ?」
不良「俺の膀胱はタイマー式じゃねぇっての」
男「扉の前に立ってどうする?立ちションか?」
不良「テメェら……マジでコ○スぞ」
後輩「センパ~イ☆おっは」ゴッ ガガッ
後輩「あれ……開かない。お~い!」ドンドンドン
不良「」
後輩「センパ~イ☆あっけてくださ~い♪」ドンドン
不良「」ペラッ
男「扉、抑えながら教科書読んでるよ」
チャラ男「後輩ちゃんをいじめるなよ~」
不良「コイツの金属音みてぇな声、きれぇなんだよ」
後輩「」ガラッ
後輩「よっこら」
男「窓から入ってきたぞ」
不良「……」
不良「帰れ!くそアマ!!!!!!!!」
後輩「やだぷー☆私とセンパイの時間を邪魔しないでくださ~い」
不良「……だったら、もうちょっと静かにしろ」
後輩「はいは~い」
主人公「お前、毎回くるな」
後輩「だって~☆寂しいんだも~ん」キラン
主人公「あ、そう?」
後輩「きゃぁ~ん、もう!センパイ☆ったらぁ!!!」
不良「テメェ!!さっそく喧しいんじゃ!!!!!!」
後輩「はぁ?アナタのその喚き声の方がよっぽどですよー?」ププー
不良「一回、シメるわコイツ」
後輩「」ガクブル
チャラ男「すと~っぷ」ガシッ
男「死ぬって多分!!」ガシッ
不良「はぁ?死んでくれたらそりゃもう万々歳だろ」
イケメン「まぁまぁ!ほら、むこうも静かになったし」
後輩「」ガクブル
友「あっはは、後輩のやつカチコチになってるよ」
主人公「注意聞かないから」
ギャー ワー
クール「……」ペラッ
クール(……楽しそう)
シャイ「主人公くん……わ、私も行きたかったな。その、喫茶店」
男(唐突なやつだな……)
主人公「なら、行くか?いつでもいいぜ?」
友「俺も行く!」
チャラ男「俺も行く」
後輩「ちょ、ちょっとー!こっちは無視ですかー!」
イケメン(さらっと主人公サイドに行っちゃうチャラ男……すごいな)
男「はぁ、朝から賑やかだなぁ」ガタン
男「こういうところはアニメらしくてすげーわ」
イケメン「みんな、なんだかんだ言って楽しそうだもんね」
ツンデレ「」スタスタ
男(お、ツンデレが戻ってきた。昨日、何かいい感じだったし……今日もちょっと話かけてみるか!?)
男「あ、あのさ」
ツンデレ「なに?」
男「今日も!髪、すげー色してんな!」
イケメン(……褒めてるつもりなのか?)
ツンデレ「……何、文句あるわけ?」
男「え」
ツンデレ「昨日といい今日といい何なの?」
男「えーっと……あれー」
ツンデレ「そんなに、私の髪色が気に食わないなら、席替えでもすれば?」
男「……」
ツンデレ「なんとか言いなさいよ」
ツンデレ「ホントに気持ち悪い!サイテー!」フン
男「なぁ、イケメン……これって」クルッ
イケメン「脈なしだよ」
男「だよなぁ……」
チャラ男「へーパフェかぁ。聞いてる感じチョーウマそー」
主人公「魔女が教えてくれたんだぜ」
魔女「ふっふっふ。甘いものはお任せくださいな」
シャイ「わ、私も甘いもの……好きだよ」
チャラ男「よ~しっ、んじゃ俺っちがシャイちゃんのために良いお店探しちゃおー」
シャイ「え……」
後輩「チャラ男センパイ、私のことタイプとか言ってたくせにー」
チャラ男「おぉ!後輩ちゃん!それはボクチンに対する嫉妬!?」
後輩「違います。軽蔑してるんです。」
クール(あの人達……)
『……もう少し、静かにしてくれないかしら』
『読書なら家ですればいいだろ?』
クール(友達に……なれるかもって)
クール(思ってた……けど)
クール(……)
幼馴染「正に女の敵ね」
チャラ男「そう?なろうと思えば王子様にだってなれるんだぜ?俺」
後輩「うわぁ……」
主人公「こっちも鳥肌立つわ」
不良(喫茶店か……)
『わりぃな。付きあわせちまって。今度、なんかお奢るからよ!』
不良(礼はきっちりしねぇとな)
後輩「きゃー!あの獣がこっちの話を盗み聞きしてるー!」
不良「」ブチッ
不良(大体なんで、わかんだよ)
不良「おい、くそチビ」
後輩「だれがチビだ!ごら~!」
不良「その、喫茶店、どこにあんだよ。」
後輩「はへ~?」
不良「……」イライラ
不良「場所だよ。どこにあんだよ」
後輩「しらな~い。だって、私行ってないも~ん」
後輩「だからぁ☆センパイ、私も連れてってくださいよぉ」
主人公「おう」
不良「お前、知ってんのか?」
主人公「あぁ、知ってる。教えてやるよ」
不良「そりゃ、助かる」
後輩「はぁああ?コイツ連れてくんすかー!?」
不良「……」イライラ
不良「いや、場所だけでいいから」
主人公「いいじゃん。お前もこいよ」
不良「おう、んじゃそうする」
後輩「ガーン!!!!!!!!!」
不良「」ニヤッ
後輩「がるるるるっる!!!!!!!!!!!!!」
男「アイツ、一番溶け込んでねぇか?」
イケメン「あっはは、そうだね」
ツンデレ(しまった!!私も放課後の約束しておくべきだった!!!!!!!)
ツンデレ「」ガーン
男(おぉ……青い火の玉だ)
――
―
先生「というわけで、オリエンテーションの班。決めておくように」
男「なんか、俺の時もやった記憶あるわ。オリエンテーション」クルッ
イケメン「バーベキューかぁ。楽しみだね」
魔女「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
イケメン(絶対、成功させろという怨念のような眼差しが……)
ツンデレ(オリエンテーション……これはチャンス!)
シャイ(がんばろう……)
幼馴染(まずは……班決めか)
主人公「めんどくせー」
ゴゴゴゴゴ
イケメン(熱い……教室がものすごく熱い……)
――
―
授業中
男(班決めか……女子と男子4:4、アイツのためには俺たちの内、3人が主人公と同じ班になるのが良いんだよな)
男(まぁ、不良は乗り気じゃないみたいだし、俺とチャラ男とイケメンで決定か)
男(いや、待てよ……友が割り込んでくる可能性もあるわけだ)
男(んじゃぁ、結局、2人……)
男(まぁ、チャラ男とイケメンでいいか)
男(主人公の班、面白そうだけど)
イケメン「男」
男「どした?」クルッ
イケメン「アイツの班に入りたいか?」
男「えっ、俺は別に」
男「チャラ男とイケメンならいい仕事しそうだなと考えてたんだが」
イケメン「俺はどの班でもいいんだ。君は興味あるのか?」
男「いや、ヒロイン口説くとか無理無理」
イケメン「気になってる子がいるなら、応援するけど」
男「別に」
男「まぁ、確かにみんな可愛いけどさ。高嶺の花っつうか。何か恐れ多いわ」
イケメン「そうか」
休み時間
ツンデレ「主人公」
主人公「ん?」
ツンデレ「どうせ、アンタは余りでしょ?わ、私が組んであげても//いいわよ?」
主人公「そうか?」
魔女「あ!私も私も!!!」
主人公「これで、2人か」
魔女(よし!)
シャイ「わわ、私もよかったら……いいかな?」
主人公「あぁ。いいぜっ」
男(おぉ……男より先に女子のメンツが揃うか。さすがだな)
主人公「あっそうだ。お前もどうだ?」
男(なっ!主人公、直々のお誘いだと!?確かに、昨日ちょっと話したし)
男「い、いやぁ俺」
主人公「不良」
男「」
不良「あ?何の話だ?」
不良「あぁ。オリエンテーションか」
不良「俺は別にいいぜ。もともと、どの班でも良かったしよ」
クール「!!」
主人公「よし、なら決定だな」
主人公「んじゃぁ、後は男子2人と女子1人か」
友「おいおい頼むぜぇ?俺を忘れんなよ~」
クール「」スタスタ
クール「」
主人公「ん?」
クール「わ、私も……」
主人公「え、あぁ、うん!別にいいけどさ」
チャラ男「これで、メンバー全員決まったな」キリッ
主人公「いや、入ってたか?お前」
男「なーっ!!!不良が入るのは予想外だったー!!!!!!!!!」
男「ま、いいか」
魔女「」ゴゴゴゴ
イケメン(……魔女ちゃんは良く思ってないみたいだけど)
男「しかし、クールが進んで入ったのは意外だな。これも主人公の力なのか」
イケメン「不良が入ったからとか?」
男「いや、敢えて不良を入れることでクールを班に……という考えも」
イケメン「そこまで考えるかな……」
幼馴染「……」
幼馴染(トイレ行ってた間に班が決まってる……なんて……)
後輩「せ、せせせせセンパ~イ☆」ガラガラッドシャーン
イケメン「のわっ!!」
男「あー!!イケメンが扉の下敷きにー!!!!!!!!!」
後輩「どうなってるんですかー!オリエンテーションは1年と2年合同じゃないんですかー!?」
主人公「しらねーよ!」
放課後
幼馴染「で……私の班は」
男「あ、ども」
イケメン「よろしく」
ポニテ「よっろしくね~!」
幼馴染「余り物の4人班と……」
男(やっぱり、主人公と同じ班になれなくて落ち込んでるんだろうな)
男(よし、こういう時は気の利いた言葉を)
男「余り物同士!仲良くやろうぜ!」
幼馴染「なんで、こーなるのー」シクシク
男「な、泣くなよ!!な!?」
ポニテ「あっははは。よかったね!なんとか班組めて」
イケメン(そうじゃないでしょ)
ポニテ「これから、仲良くしようね!」
男(エラくキャラ立ってるけど、この子もヒロインなのか?)
――
―
喫茶店
チャラ男「かんぱ~い♪」
ツンデレ「なにこれ……」
チャラ男「親睦会だよ!親睦会!」
友「オリエンテーションの前に仲良くなっとこうぜ~ってな!」
不良「……」
クール「……」
主人公「ま、悪くはないよな」
チャラ男 友「」エヘ エヘヘヘ
魔女(うわぁ……仲良くって……絶対に女の子とあわよくば、なんて思ってるよぉ)
シャイ「え、えっと」
チャラ男「んじゃぁ、何する!?王様ゲームとか?」
ツンデレ「しないわよ!」
チャラ男「俺、何歳に見える?」フッ
ツンデレ「同い年でしょ!!」
魔女「ちょっと、チャラ男さん。いいんですかコレ?」コソコソ
チャラ男「なにがー?」
魔女「みんなと仲良くなっちゃたら、主人公くんと他の人がいい感じになるかもしれないじゃないですかー」コソコソ
チャラ男「心配しすぎだってぇ」
魔女「これじゃぁ、クールちゃんを引き離した意味がなくなっちゃいますよぉ……」コソコソ
チャラ男「そうかぁ?あ、ねぇねぇシャイちゃん!」
シャイ「はひ!」
魔女(ダメだ……この人)
不良「騒がしい連中だな」
クール「……」
不良「わりいな!今度、ちゃんとおごるからよ!」
クール「い、いえ!」
不良「で、さっそくなんだが」ペラッ
主人公「この状況で勉強とは」
不良「わかんねーこと多すぎてやべーんだよ」
ツンデレ「アンタも少しは勉強したらー?」
主人公「そのうちなー」
ツンデレ「もう2年生なんだから、ノートくらい自分でなんとかしなさいよ」
主人公「んだよ。幼馴染みてーなこと言うなよー」
魔女「の、ノートだったら!私が見せてあげるよ!」
ツンデレ「甘やかしすぎ」
魔女「だ、だよねー……」
チャラ男「でさー!そこで、俺がズバババーンって」
シャイ「は、はぁ……」
ツンデレ「けど、意外よねー。アンタが幼馴染と違う班になるなんて」
主人公「ま、たまにはこういうのも良いだろう」
友「幼馴染はそうは思ってねーかもな!」アハハ
主人公「どういう意味だよ」
――
―
オリエンテーション当日
バス
不良「ふわぁ……」
チャラ男「トランプしようぜ!な!な!」
不良「やらねーよ。狭いし」
男「……なんか、もう、普通に学生生活おくってるだけだよなコレ」
イケメン「チャラ男が展開忘れたとか言うからね」
男「まぁ、班も違うし。やることもねーんだけどなぁ」
魔女「」ヒョコ
魔女「ちょ、ちょっとー!がんばってくださいよー」
男「何をだよ。がんばらなきゃならないのはお前だろー?」
魔女「それはそうですけど……」
魔女「けどー!オリエンテーションですよ!?バーベキューですよー!?」
魔女「絶対、何かありますって!」
男「あ、そう?」
魔女「あ、そう、じゃなくてー!」
シャイ「どうしたの?」
魔女「いや……なんでもないよ」
主人公「大丈夫か、お前」
友「だ、ダイジョブ……ちょっと、酔っただけだ」
ツンデレ「……」
クール「」
ツンデレ(気まずい……)
幼馴染「(はぁ……せっかくのオリエンテーションなのに)
幼馴染(どうして、私はこんな班なのよ)
ポニテ「ねぇ見たー!?今のバイク!超かっこよかったよねー!」
幼馴染「そうねー」
男「チャラ男と不良って何だかんだ言ってすげー溶けこんでるよな」
イケメン「この一年をどう使うか、明確な目的を見つけんだね」
男「確かに、不良は勉強で、チャラ男はヒロインを落とす、だっけ?」
イケメン「そう」
イケメン「不良は1年という時間を、チャラ男はアニメというこの世界を」
イケメン「上手く活用しようって考えたんだよ」
イケメン「……どれも、俺達のいた”現実”では得られないもの」
男「俺も”ここ”でしかできないことを探さねーとな」
男「魔女のドジのせいでこんな所に来ちまったけどさ」
男「けど、よくよく考えたらラッキーなのかなって」
イケメン「ラッキー?」
男「そう、なんつーかな。長い休暇をもらったっていう感じがするんだよ」
男「嫌な上司も面倒くさいことも何もない世界でゆっくりできるっていうか」
男「なんだろうなぁ。うまく言えねーわ」
イケメン「そう」
男「お前はどうなんだよ?」
男「”ここ”の見方も随分変わったんじゃねーか?」
イケメン「俺は……」
イケメン「初めてここがどんな世界なのか教えられた時から今まで……」
イケメン「何も変わっていないよ」
イケメン「――ここは」
イケメン「――地獄だよ」
男「……え?」
イケメン「いや、なんでもない!」
イケメン「みつかるといいね。”ここ”でしか出来ないこと」ニコッ
男「あ、あぁ」
ポニテ「お菓子たべる?」
イケメン「もらうよ」
ポニテ「これ、すごく、美味しいんだよ?新発売なんだってー」
幼馴染「確かに、美味しいわね」
ポニテ「なーっ!勝手にたべるなー!!」
幼馴染「いいじゃない。こうなったらやけ食いよ!」
男(さっき、イケメンのやつ)
男(今は、何も聞かないでおこう……。触れられたくないこともあるだろう)
男(俺はアニメのキャラなら、何か気の利いた事でも言ってやれるのかもしれない)
男(助けになってやれるかもしれない)
男(けど、俺はそんな善人でもない)
男「あ!俺にもくれよ~」
男「おぉ!うまい!」
ポニテ「でしょでしょ~?」
男「つか、お前食い過ぎると後で、肉食えなくなるぞ?」
ポニテ「なっ!しまったぁ!」
イケメン「あっはっは」
男「単純なやつだな」アハハハ
先生「もうすぐ、着くぞー。準備しとけー」
ハーイ
チャラ男「きたー!」
不良「テメェが隣じゃ、一睡もできねぇっての!」
男(あぁ、いいな。こういうの)
友「っしゃー!!!食うぞ!焼くぞー!!」
主人公「切り替えはえーな!!」
男(何か、みんなすげー楽しそうで)
ツンデレ「ったく、騒がしいわね」
クール「」
ツンデレ「アンタは静かすぎるわよ!」
男(きらきらしてて)
ポニテ「なー!もうついたのー!?お腹にたまったお菓子を消化しなくちゃー!!」
男(なにこれ?どこのアニメ?)
男(そう、ここはハーレムアニメの世界なのである。)
第一部完
続き
男「アニメの世界に入ったのか!?俺は!?」【第二部】