1 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 12:37:16 MME 1/39

「うん……わかった」

「それじゃアタシ、部活だから終わるまでまっててね」

「うん……」

元スレ
女「今日も一緒に帰ろう!」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1431574636/

2 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 12:38:42 MME 2/39

部室

「おつかれー」

女友「うん、おつかれ。合唱コンクール近いし、頑張ろう!」

「そうだね、まずはもう一度全体で合わせよっか!」

教室

「女さんが部活終わるまでどうしよう……」

「僕は携帯電話も持ってないし」

「宿題でもやろう」

3 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 12:45:17 MME 3/39

部室

顧問「よし、今日は終わり!」

「はあー疲れた」

女友「今日も頑張ったねー」

女友2「そういえば、この間さー」

「えーマジで!? ヤバい!」

女友「もしかしてあれなんじゃない?」

ワイワイ……

校門

「……」

「女さん遅いなあ……」

「宿題終わっちゃったよ……」

4 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 12:47:53 MME 4/39

一時間後

「あ! 男くん!」

「女さん……終わったの?」

「あーそれでさ、今日は部活の友達とカラオケ行くことになったから」

「え?」

「また明日ね、バイバイ」

「うん……」

5 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 12:49:57 MME 5/39

翌日

帰り道

「それでさー、女友がさー」

「うんうん」

「そうだったのよ。ヤバくない!?」

「うん、わかるよ」

「あはは、やっぱり男くんは面白いね!」

「あ、ありがとう」

「じゃあまた明日、一緒に登校しよ!7時に駅で待ち合わせね」

「うん……(早いなあ)」

7 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 13:11:16 MME 6/39

翌日

「まずい、待ち合わせに遅刻した!」

「ちょっと、男くん?」

「はい……」

「待ち合わせに遅れるなんて、どういうつもり? アタシ10分も待ったんだけど?」

「ごめん……」

「罰として、お昼奢ってね」

「え!?」

「なに? そっちが悪いんでしょ?」

「はい……」

9 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 13:21:00 MME 7/39

昼休み

「じゃあアタシは、A定食ね」

「はい……僕はうどんで……」

「あ、女友ー!」

女友「あ、女? 一緒に食べない?」

「うん、わかった!」

「え?」

「それじゃ、そういうことだから。食券もらうね」

「あ……」

女友「それでさー」

「えー本当!?」

「……」

12 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 15:08:33 MME 8/39

放課後

「じゃあ今日も待っててね」

「あの……」

「なに?」

「今日、みたいテレビがあるんだけど……」

「は?」

「……」

13 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 15:17:35 MME 9/39

「なに? テレビが見たいっていう理由でアタシと帰るのを断るの?」

「いや、その」

「テレビなんていつでも見られるでしょ? 録画でもすればいいし。それより、それともアタシのこと、友達と思ってないの?」

「そ、そんなことないよ!」

「じゃあ、待っててくれるよね?」

「はい……」

14 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 16:37:11 MME 10/39

土曜日

「出掛けてくるよ」

「あら、今日も女ちゃんと遊ぶの?」

「……うん」

「いいわねえ、あんな可愛い娘が遊びに誘ってくれるなんて。あんた友達いないんだから、女ちゃんに感謝しなきゃダメよ?」

「わかった……」

「いってらっしゃい」

(そうだ、せっかく女さんが誘ってくれるんだから、喜ばないと……)

16 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 18:31:04 MME 11/39

繁華街・待ち合わせ場所

「女さん遅いなあ。公衆電話から電話かけよう」

「ああ、男くん?」

「どこにいるの?」

「××服屋だよ。繁華街の外れの」

17 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 18:35:04 MME 12/39

「なんでそこにいるの?」

「友達と会って話してた」

「そうなんだ……」

「じゃあ、こっちに来てくれる?」

「え?」

「店の前で待ってるからねー」

「切れちゃった……」

18 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 18:53:46 MME 13/39

××服屋前

「ここにいるはずなんだけどな。もう一度電話をかけよう」

「もしもし、男くん?」

「どこにいるの?」

「買いたい本があってさ。それがすごい面白そうなの!」

「うん」

19 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 18:59:31 MME 14/39

「それでさ、女友とその本のことでメールしてたらいてもたってもいられなくてさ」

「うん……それでどこにいるの?」

「あー、待ち合わせ場所の近くにある本屋だよ」

「そうなんだ……」

「じゃあ、こっちに来てね」

「え!? あ、切れちゃった……」

20 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 19:45:40 MME 15/39

本屋

「男くん遅い!」

「だ、だって大分距離あったし」

「ほら、今日は買いたいものいっぱいあるから、早く行くよ!」

「うん……」

21 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 19:49:53 MME 16/39

アクセサリーショップ

「うーん、このペンダントもいいし、この指輪もいいな」

「そうだね」

「どっちが似合うかなあ?」

「女さんには、こっちじゃない?」

「アタシじゃなくて! 女友にあげるの! 男くんも真面目に考えてよ!」

(女友さんにあげるって、初めて聞いたよ……)

22 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 19:59:35 MME 17/39

四時間後

「今日は欲しいものいっぱい買えたね!」

(僕は女さんに着いていっただけだったな……)

「じゃ、明日も買い物に付き合ってね」

「え?」

「どうしたの?」

「いや、明日はちょっと……」

24 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 20:02:36 MME 18/39

「何かあるの?」

「ええと……(明日はゆっくりしたいな……)」

「どうせ家でゴロゴロしてるんでしょ。だったら付き合ってよ」

「あの……」

「家でゴロゴロしてるより、外に出たほうが有意義だよ?」

(でも、女さんに着いていっても、僕の行きたい場所には行ってくれないし……)

「はい、決まり! また明日ね」

「はい……」

25 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 20:12:04 MME 19/39

男宅

「ただいま」

「お帰りなさい。楽しかったでしょ? あんな可愛い娘と遊びに行ったんだし」

「えーと……」

「何よ、楽しく無かったって言うの!? あんたねえ、あんな娘あんたには勿体ないくらいだよ! せっかく誘ってくれるんだから、もっと喜びなさい! 失礼よ!」

「はい……」

部屋

「そうだ、女さんが誘ってくれるんだし、明日も行かないとなあ……」

27 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 20:54:13 Dew 20/39

月曜日

「今日も女さん遅いな……」

学級委員「あれ、男じゃん」

「学級委員くん、まだ残ってたの?」

学級委員「ああ、委員会が長引いてな。あれ、お前帰宅部じゃなかったっけ? お前こそどうしたんだよ?」

「うん、女さんを待ってるんだ……」

学級委員「え?」

28 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 20:59:52 Dew 21/39


「一緒に帰ろうって言われたんだ」

学級委員「あれ、女って合唱部だよな?」

「うん」

学級委員「ということは、お前とは帰る時間違うよな?」

「うん」

学級委員「……お前、誰かと話していてこの時間まで残ってたのか?」

「いや、ずっと一人だったよ」

29 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:04:25 Dew 22/39


学級委員「一応確認するけど、お前が一緒に帰ろうって言ったの?」

「いや、女さんが部活終わるまで待っていてって」

学級委員「……」

「……どうしたの?」

学級委員「……お前と女って付き合ってるの?」

「ううん、友達だよ」

学級委員「お前……何も感じないの?」

「え?」

学級委員「いや……女は自分の都合でお前をこの時間まで残らせているんだぞ? それについて何も感じないの?」

31 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:06:44 Dew 23/39

「でも、女さんが一緒に帰ろうって誘ってくれたから……」

学級委員「そうじゃなくてさ、お前はどうしたいの?」

「え?」

学級委員「だって、放課後は自由に使える時間のはずだぜ? お前だって、今までの時間で部活なりバイトなり出来たはずだ。それを自分の都合で奪った女に何も感じないの?」

「そ、それは……」

学級委員「まあ、お前がいいんだったらそれでいいけどさ。少し考えた方がいいぜ」

「……」

32 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:12:52 Dew 24/39

十分後

「男くーん!」

「女さん……」

「さて、帰ろうか」

「うん……」

女友2「……」

33 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:16:40 Dew 25/39


帰り道

女友2「ねえ、女友」

女友「ん、なに?」

女友2「女と男くんって付き合ってるの?」

女友「いや、友達だって言ってたよ」

女友2「そうなの? なんかおかしくない?」

女友「なにが?」

34 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:22:27 Dew 26/39


女友2「だってさ、男くんって帰宅部でしょ? 部活も無いのに、この時間まで残って女を待ち構えているのって気味悪くない?」

女友「確かに……」

女友2「女って優しいからさ、友達にいない男くんにも手を差し伸べちゃったから、勘違いしてるんじゃない?」

女友「そうかも」

女友2「一度、私たちでビシっと言った方がよくない?」

女友「そうだね、明日二人で男くんに文句言おう」

35 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:24:21 Dew 27/39


翌日

教室

「今日も女さんは部活か……」

女友2「ちょっと男くん」

「なに?」

女友2「話があるの、ちょっと来て」

「う、うん」

36 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:26:34 Dew 28/39


階段

「話って?」

女友「あのさ、女に付きまとうの止めてよ」

「は?」

女友2「は? じゃないわよ。部活も無いのにあんな時間まで残って、女のこと付け回してるんでしょ?」

「い、いや、その……」

女友2「否定しないってことは、図星なんだ」

「ち、ちが……」

女友2「ねえ、これ先生に言った方がよくない?」

38 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:29:04 Dew 29/39

女友「そうだね」

「あ、あの、待って……」

学級委員「おい、ちょっと待てよ」

女友2「なにアンタ? ちょうどいいわ、このストーカーを先生に突き出すから手伝ってよ」

「あ、ああ……」

学級委員「待つのはお前らだよ。男はストーカーじゃないぜ」

女友「え?」

学級委員「こいつは女が待つように言ったから待っていただけだ。先生がその現場を見ていたらしいから間違いない」

女友2「そ、そうだったの?」

39 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:32:22 Dew 30/39

学級委員「だから、このまま男を突き出せば恥を掻くのはお前らだぜ?」

女友「あ、えーとその、ごめんね男くん。女友2があなたのこと疑うから……」

女友2「ちょっと、何人のせいにしてんのよ!?」

学級委員「あーもういいだろ。この話は終わり!」

女友2「わかったわよ! もう!」

女友「ごめんね本当に……」

40 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:42:49 Dew 31/39


昇降口

「ありがとう、学級委員くん」

学級委員「あんな咄嗟のウソでも信じてしまうもんだな。さて、次はお前だぜ」

「え?」

学級委員「さっきはお前ひとりじゃどうにもならなそうだから、手を貸した。だが、女との関係はお前ひとりで決着をつけるべきだ」

「決着?」

学級委員「お前はどうしたい? 女とどういう関係になりたい? それを考えたうえで答えを出して女に伝えるべきだ」

「僕の、答え……」

学級委員「俺はそれを応援することしか出来ない。だから、お前が答えを出せ」

「……」

42 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 21:59:50 Dew 32/39


放課後

「なに? 話って」

「……あのさ」

「うん」

「……僕はもう、女さんと一緒には帰らない」

「え?」

「僕は早く帰って、家でゴロゴロしたい。ゲームもしたい。漫画も読みたい。だから、女さんを待ってはいられない」

「ちょっと待ってよ、そんなことのために早く帰るなら、アタシのことを待っていたって……」

「違う!」

「……!」

43 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 22:01:25 Dew 33/39

「どんなに外に出て行動したとしても、それが僕のための時間でなければ何の意味もない。僕は僕のために時間を使いたい。決して僕の時間は女さんの物じゃない!」

「何よそれ。友達のために時間を使えないって言うの!?」

「僕はそういう人間だったんだ。僕は友達のために時間を多く割きたくはなかった。もっと自分のために使いたかったんだ」

「でも、人間関係を保つためにはお互いに合わせることだって必要……」

「じゃあ、女さんは僕に何をしてくれたんだ!?」

「……」

「女さんは僕のためと言いながら、自分の時間に僕を巻き込んでいるだけじゃないか! 僕はもっと自分の時間を過ごしたい。女さんのための時間は過ごしたくない!」

「……」

44 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 22:02:42 Dew 34/39


「だから僕はもう、君と一緒には帰らない」

「……わかったわ、アンタがそんな人間だとは思わなかった」

「……」

「そんな……自分の意見をはっきり言える人間だとは思わなかった」

(女さんが……笑った?)

「今までごめんなさい。……さよなら」

45 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 22:03:53 Dew 35/39


数日後

(それから、僕は女さんと一緒に帰ることはなくなった)

(女さんは合唱部の練習に精を出し、僕は学校が終わったらすぐ、家でゲームをやる毎日を過ごしている)

(これが、有意義な時間かどうかはわからない)

(でも、僕は今すごく……気分がいい)

(そして……)

「男くん、合唱部のコンサートがあるんだけどさ」

「うん」

「もし良かったら、見に来てくれないかな……」

(……僕は合唱にはあまり興味が無い)

(でも女さんの歌声を、一回は聞いてみたいなとは思った)




46 : 名無しさ... - 2015/05/14 22:06:02 py5 36/39


面白かった

47 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 22:08:29 Dew 37/39

>>46
ありがとう

49 : 名無しさ... - 2015/05/14 22:25:20 NMu 38/39

女がなんで男に執着してたかの理由が見えないのが残念
そこを描いてくれたら100点満点だったが
後味の良さがすごく良かった

50 : ◆BEcuACNawuaE - 2015/05/14 22:31:06 Dew 39/39

>>49
まあ、遊び相手にちょうどよかったみたいな感じ
男は誘ったらいつでも来るから女はそれに甘えてた

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