八幡「……これ以来俺は由比ヶ浜の匂いの虜となってしまった」
八幡「すれ違うたびに必死に匂いを嗅いだ」
八幡「靴も嗅いだ、カバンも嗅いだ」
八幡「さっきまで由比ヶ浜が座っていた椅子を嗅いだこともある」
八幡「そんな由比ヶ浜の匂いが俺の生活の一部となったある日のこと……」
八幡「……事件は起こった」
元スレ
八幡「由比ヶ浜のシャツ……」スーハースーハー
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1381402633/
八幡「……今日は体育、教室は空だ」
八幡「由比ヶ浜のバッグは……お、これだこれだ」
八幡「……ちょっと湿ってる……汗か?」
八幡「まあいい……嗅げればそれで良い……」
スーハースーハー
クンカクンカ
八幡「あぁ……くらくらくる……たまらねぇ」
三浦「………ちょ…えっ…何やってんの……?」
八幡(……俺の人生は終わった)
三浦「それユイのシャツなんだけど…何してんの」
八幡「いや、これは……その別に何も」
三浦「いや今の絶対嗅いでたっしょ……キモッ、マジ変態じゃん」
八幡「……」
三浦「ユイ可愛いのは分かるけどさ……服嗅ぐとかありえねー」
三浦「これユイにも言うから」
八幡「……はは……終わった」
次の日…
八幡(黒板にでかでかと変態ヒキタニ)
八幡(もちろん机は見るも無残な状態)
八幡「なんてことは流石にこの高校じゃおこらねーな」
八幡「……たが周りからの視線は鋭い」
八幡(大方クラス全員に連絡が回ったんだろう、流石上位カースト)
八幡(由比ヶ浜は)
八幡(……こっちを見ようともしない……当然か)
戸部「シャツタニくんマジぱねぇわー」
葉山「こ、こら……あまり大声で」
三浦「いや実際変態だし……あーし失望したわ、マジで」
ヒソヒソ
ヒキタニ…キモッ
アリエネー
八幡「……」
八幡(……百戦錬磨のぼっちにはこの程度何でもない、むしろ心地良い)
八幡(だが…………由比ヶ浜は別だ)
由比ヶ浜「」ポケー
由比ヶ浜「…………」
由比ヶ浜(どうしてもっとうまく嗅がないかなぁ……ヒッキー)
由比ヶ浜(せっかくシャツとか置きっぱにしてあげてるのに……バカ)
由比ヶ浜(てかなんで直接嗅ぎに来ないの!あたし隙だらけなのに!)
由比ヶ浜(ボケーッと後ろから抱きついてよ!そのまま嗅いでよ!)
由比ヶ浜(どーしてわかってくれないのかなぁ……はぁ)
八幡(由比ヶ浜には悪いことをしてしまった)
八幡(由比ヶ浜も影で何か言われると思うと……自分の失敗が腹立たしくてしょうがない)
由比ヶ浜(次はどうしよーかなー)
由比ヶ浜(パンツでもヒッキーの下駄箱に入れておこうかなぁ……)
由比ヶ浜(絶対嗅ぐよね……うへへ)
数日後
平塚「あー、その……由比ヶ浜の制服が紛失した」
平塚「なにか知っている奴はいるか?」
由比ヶ浜(……ヒッキーかな、取ったの)
由比ヶ浜(…だったらいいな……舐めたりしてるのかな…それとも着ちゃったり)
八幡(このタイミングで誰だよ……俺のせいになるだろうが)
アイツジャネー
シャツタニダナ
八幡(いや既にクラスの雰囲気的に俺犯人になってる……どうすんだよ)
平塚「比企谷……なにか知っているのか?顔色が変だぞ」
八幡「いや…別に」
平塚「そうか……」
平塚「おい由比ヶ浜!お前も顔が真っ赤だぞ、平気か?」
由比ヶ浜(あぁ……もしヒッキーが着たならあたしもうその制服着れないかも……)
由比ヶ浜(大事に保存しないと)
平塚「おい!由比ヶ浜!」
由比ヶ浜「!?」
平塚「制服を取られたショックで体調でも悪いんじゃないか?」
平塚「保健室で休んだらどうだ?」
由比ヶ浜「だ、大丈夫です、はい」
平塚「そうか」
平塚「……とにかくだ、なにか知っている奴がいたら私のところまでこい」
平塚「以上だ」
放課後…
八幡「帰るか……忘れ物はないよな」
ポトッ
八幡「なにか落ちたぞ……これは……制服?」
三浦「……あれユイの制服じゃね?」
葉山「本当だ……」
八幡(なんで俺のバッグから出てくんですかね……終わった)
三浦「おい、どーいうことだよ」
ドゴッ
八幡「ぅ……」
三浦「やっぱ犯人はアンタだったのね」
八幡(違うって言っても物的証拠がある以上無理だわこれ……)
八幡(つーか校舎裏に呼んで腹蹴るとか酷過ぎる……)
三浦「ユイがどんだけ気持ち悪がっているか分かってんの?」
三浦「もう今後一切ユイには近づくなよ」
ドゴッ
八幡「その後、俺は十四発にも及ぶ腹蹴りを受けて嘔吐を繰り返した」
八幡「それでも蹴りが止むことはなく」
八幡「ひたすら嘔吐と謝罪の言葉を吐き続けた」
八幡「そして翌日」
八幡「……学校行きたくねぇ」
教室
由比ヶ浜(……ヒッキー遅いなぁ)
三浦「な? だからあいつには近づくなよ」
由比ヶ浜(私の制服盗んだのヒッキーだったんだ……)
三浦「ちょ、ユイ? 話聞いてんの?」
由比ヶ浜「うへへ~」
三浦「!?」
ガラガラ
八幡「……」
ヒソヒソ…
ウワ…キタヨ
セイフクドロボー
ガッコウクルナヨ…カス
八幡(あ、ヤベェもう帰りたい)
戸部「シャツタニくんマジぱねぇわー、盗むのはマジ犯罪っしょ?」
葉山「……」
八幡(さすがにこの完全アウェー感にはボッチもビビる)
八幡(今までは空気と化していたのに今では腐臭ガスを見るような目で見られている)
八幡(由比ヶ浜は……まぁ目合わせないよな)
由比ヶ浜(もぉヒッキーってば言えば制服の一つくらいあげたのに)
由比ヶ浜(……代わりにヒッキーのワイシャツもらえたりして)
由比ヶ浜「ぱ、パジャマにしたいっ」
三浦「!?」
三浦「……ちょユイ、何デレデレしてんのよ」
由比ヶ浜「え、し、してないよー?」
三浦「口元緩ませているくせに何言ってるのよ。あーしはユイのこと心配して」
由比ヶ浜「ヒッキ―の匂い包まれて寝れるなんて頭がフットーしそうだよおっっ」
三浦「……」
三浦(もう少し痛めつけないと……ヒキオの野郎、許せない)
放課後
八幡(今日は一段と酷かったな)
八幡(寝たフリしているだけなのに休み時間になると全員が教室を出ていく)
八幡(そして廊下から聞こえる空気が美味しいよねトーク)
八幡(……マジで腐臭ガス扱いを受けている。さっさと帰ろ)
デサー、アハハ
八幡(上位カーストの連中が雑談をしながら俺の方を睨んでいる……)
八幡(分かってるよ、腐臭ガスは大人しく消えるから)
ポトッ
八幡「何か落ちたぞ……これは……下着?」
三浦「……あれユイのブラじゃね?」
葉山「本当だ……」
八幡(だからなんで俺の鞄から出てくるんだよ四次元ポケットか!?)
ドゴッ
三浦「……何してるんだよヒキオ」
八幡(昨日と比べて十発増しの蹴り)
八幡(まあそれだけのことをしてしまったせいか)
八幡(いやしていないけど)
三浦「制服だけじゃなく下着まで盗むなんて……キモ」
ドゴッ
八幡「ぐっ……げほ」
三浦「アンタ自分が何やったか分かってるの?」
三浦「昨日で懲りたと思ったのに、今度は下着とかサイテー」
ドゴッ ドゴッ
八幡(……もう嫌だ)
ドゴッ
八幡(やってない、俺はやっていない、それは俺自身が知っている)
ドゴッ ドゴッ
八幡(誰からも信じてもらえないボッチでも俺は……俺は……)
ドゴッ ドゴッ ドゴッ
八幡「っ、がぁ、ま……待て」
三浦「あん?」
八幡(ボッチが自分に嘘ついてどうする。言え、言うんだ……!)
八幡「俺は……や、ってない……何も盗んじゃいないんだ」
八幡「俺はやっていない!」
八幡(制服の匂いは必死に嗅いだけど)
三浦「何言ってんの? アンタの鞄からユイの下着出てきたじゃん」
三浦「どう見てもアンタが犯人でしょ!言い訳してんじゃねぇよヒキオ!」
ドゴッ
八幡(何回蹴れば気が済むんだよ……吐き続けてもう何も吐けない)
八幡(……弱音まで吐いてたまるか)
八幡「俺、じゃないんだ。他に犯人がいる……信じ、て、くれ」
三浦「……アンタのせいでしょ」
三浦「アンタが、アンタのせいでユイがどれだけ……!」
三浦「ヒキオはヒキオらしく大人しくしていろ!」
ドゴッ
八幡「がぁ……」
三浦「アンタが何言おうとあーしの発言でアンタは終わりなんだよ」
三浦「たとえ盗んだのがアンタじゃないにしても」
三浦「もうおしまいなんだよ!」
ドゴッ
八幡「げほぉ……」
三浦「つーかブラ入っていることくらい昼休みのうちに気づけよ!」
三浦「そしたらクラスメイトが全員いる前でアンタを攻撃できたのに!」
八幡「……なんで昼休みには下着が入っていることを前提に話しているんだ?」
三浦「……ぁ」
八幡「……待て、よ。まさか……」
八幡「下着、いや昨日の制服も」
八幡「俺の鞄に入れたのは……三浦、お前じゃないのか?」
三浦「……な、何言ってんの馬鹿じゃねーの!?」
八幡(明らかに動揺している)
八幡「そもそもブラなんて、いつ盗めばいいんだ」
八幡(つーか由比ヶ浜気づけよ)
八幡「男の俺が盗む機会なんてない。けど、もし、盗める可能性があるとすれば」
八幡「同じ女子。しかも仲が良くて距離の近い友達」
八幡(由比ヶ浜は上位カースト所属、その長たる人物は)
八幡「俺なんかよりも、三浦、お前の方が盗めるチャンスはあるはずだ」
八幡「俺が盗んだか以前の前に、これだけは絶対に揺るがない事実だ」
三浦「……」
三浦「そうだよ。あーしが盗んだ」
三浦「あーしが盗んでアンタの鞄に入れた」
八幡「……お前だったのか」
三浦「アンタを陥れる為よ、そして成功した」
八幡(……)
三浦「あーしが犯人でも皆はそう思わない。アンタを疑う」
三浦「アンタがどれだけ弁解しても誰も信じるわけがないものね!」
三浦「もうアンタは終わりなのよ!」
八幡(三浦の言う通りだ。鞄から出てきたところを見られている)
八幡(真犯人は三浦だと容疑者の俺が言って誰が信じる?)
八幡(……ボッチで苦労したことはいっぱいあったけど)
八幡(今回ばかりは……悔しいな)
八幡(……たとえ誰からも信じてもらえなくても)
八幡(俺はやっていない、それだけは事実なんだ)
八幡(それを知っている一人がいるから)
八幡(信じているボッチがいるから、俺がいるから、絶対に諦めない)
三浦「もうアンタはおしまいなんだよ」
八幡(他の誰でもない。ボッチがボッチの為に)
八幡(譲れない思いだってあるんだ)
八幡「俺は……やっていない! ずっと言い続けてやる!」
由比ヶ浜「……ヒッキー?」
三浦「なっ、ユイ……ここに来ちゃ駄目って言ったのに……!?」
八幡(あ、ノーブラの由比ヶ浜さんだ)
八幡「由比ヶ浜……」
由比ヶ浜「……ヒッキーじゃなかったんだね」
八幡「し、信じてくれるのか? ボッチの俺なんかの発言を」
由比ヶ浜「信じるよ。だって、友達でしょ」
八幡「……っ!」
八幡(あぁ、やはり俺は間違っていた)
八幡(ずっとボッチだと思っていた)
八幡(一人だけと思っていた……けど、もう一人、信じてくれる人がいた)
八幡「ありがとう、由比ヶ浜……!」
由比ヶ浜(ヒッキーじゃなかったのか……残念)
由比ヶ浜(ヒッキーが私のブラを着けてくれたら……)
由比ヶ浜(それって私とヒッキーの胸が重なり合うってことで)
由比ヶ浜(つまり抱き合っている……)
由比ヶ浜「どぅへへ~」
八幡・三浦「!?」
三浦「ちょ、ちょっとユイ! こんな奴の言うことを信じるの?」
三浦「あーしじゃなくてこんな奴を?」
由比ヶ浜「……」
由比ヶ浜「だって体育の時、ブラ取ってたの見てたから」
八幡(そんな堂々と盗んだのかよ)
由比ヶ浜「それにヒッキーのこと、信じてるから」
八幡「ゆ、由比ヶ浜……!」
八幡(ノーブラで形がおかしいけど由比ヶ浜……!)
三浦「……そうだよ、あーしがやった」
由比ヶ浜「どうしてヒッキーをハメるなんてことしたの?」
八幡(ハメるとか言うなよ。ノーブラのお前に言われると変な意味で聞こえるだろ)
三浦「……ユイのこと心配だったから」
由比ヶ浜「そっか……」
三浦「あーしが盗んで、隼人がヒキオの鞄に入れた」
八幡「!?」
八幡(その後、三浦と由比ヶ浜によって俺の疑いは晴れた)
八幡(上位カーストの発言なだけあってクラスメイトはすぐに信じた)
八幡(制服とブラは由比ヶ浜の下に戻り、葉山は由比ヶ浜からビンタされていた)
八幡「なぁ、なんで葉山をビンタしたんだ?」
由比ヶ浜「だって私の、ブ、ブラ手に取って見たから……」
八幡「俺も見たけど?」
由比ヶ浜「ヒッキーはいいの。ヒッキーは特別」
八幡「……そですか」
八幡(それともう一つ聞きたいことがある。なんで俺達、抱き合ってるの?)
由比ヶ浜「いいのっ、ヒッキーは黙って後ろから抱きしめて!」
八幡「へいへい」
八幡(まぁ匂い嗅げるからいいけどさ)
ギュー
由比ヶ浜「えへへ……ヒッキーの匂いだ」
由比ヶ浜「幸せな気持ちになれる匂いだよ、虜になっちゃうかも」
八幡「……俺はずっと前からそうだったよ」
ギュー
由比ヶ浜「ねぇヒッキーは何も盗んでないの?」
八幡「何一つとして物品は盗んでいねぇよ」
八幡(制服はがっつり嗅いだけど)
八幡(そういえば最初の罪もなんやかんやで消えたなラッキー)
由比ヶ浜「あ、あのね……帰りに下駄場の中ちゃんと見てね」
八幡「お、おう?」
八幡(すると由比ヶ浜は急に立ち上がると)
由比ヶ浜「じゃあ部活行こっ!」
八幡「あ、おい待……!?」
八幡(走って教室から出ていった。フワリと翻るスカート……え?)
八幡「……あれ、今あいつ……ノーパンじゃなかった?」
終わり
284 : 以下、名... - 2013/10/11(金) 02:15:47.13 xoAsdUho0 29/29待っているお前らを見るのが辛くて乗っ取った
つまんなくてごめんな