1 : ◆OGjl5DlNKAEM - 2015/04/01 23:41:10.03 Kd+hGTXBO 1/103

※超絶亀更新
※微エロ
※戦後独自設定アリ

元スレ
【艦これ】早霜「司令官?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427899270/

2 : ◆sSG7v7hQUpU3 - 2015/04/01 23:45:29.70 Kd+hGTXBO 2/103

提督「だから、もうその呼び方はやめろって言ったろ?」


早霜「フフ…いまいち、慣れませんね」


提督「まあ、呼び方は何でもいいがな」


早霜「なら、司令官、でも良いですね?」


提督「うう…」

3 : ◆sSG7v7hQUpU3 - 2015/04/01 23:48:19.37 Kd+hGTXBO 3/103

提督「…」


早霜「…とりあえず、手伝ってください」


早霜「…お掃除」


提督「おお、そうだな、すまんすまん」


早霜「…」


提督「…どうした?」


早霜「いえ…」

4 : ◆sSG7v7hQUpU3 - 2015/04/01 23:55:49.51 Kd+hGTXBO 4/103

提督「あ、あとその敬語な」


早霜「…」


提督「…もう、上下関係云々は無しだぞ?」


提督「…2人、もう…」


早霜「…ええ、はい」


早霜「私は、艦娘ではなくなった」


提督「…うん」

7 : ◆sSG7v7hQUpU3 - 2015/04/02 01:01:21.29 Jwod9jMEO 5/103

早霜「…」


提督「何か言ってくれよ」


早霜「…」


早霜「やっぱり、慣れませんね」


提督「…」


早霜「…暫く、これで」


提督「…」


提督「…分かったよ」

11 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/08 23:15:18.37 kDD4fuPNO 6/103

早霜「…お手紙…」

提督「…ああ」

提督「…元気かな、あいつら」

早霜「…」

提督「その…姉妹は?」

早霜「…復員しましたよ?」

提督「いや、そうじゃなくて…」

12 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/08 23:21:33.68 kDD4fuPNO 7/103

早霜「…あなたは」

提督「いや、俺は確かに責任者だったけどな?」

提督「変な所で見せてくれないんだよこれが…」

早霜「…」

提督「…ごめんな?」

提督「いや、俺が不甲斐ないばっかりに」

早霜「…別に」

早霜「気にはしていませんよ」

提督「(…怖いな)」

13 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/08 23:32:39.23 kDD4fuPNO 8/103

早霜「いえ、手紙を見る限り…」

早霜「元気にやっている…みたいですね」

提督「本当は、皆と…」

早霜「仕方ありませんよ…そればっかりは」

提督「しかし何だかあれだよなあ」

早霜「…?」

15 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 03:51:59.13 6LktXcoGO 9/103

提督「…賑やかだったよな」

早霜「…」

提督「まあ、戦争中、つかなんと言うか…」

早霜「…血が滾る、ということですか?」

提督「ああ、うんそんな感じ」

提督「…一端の軍人だもんなあ、俺だって」

早霜「…」

早霜「私は…」

16 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 04:01:33.05 6LktXcoGO 10/103

提督「何だ、まだ未練が…」

早霜「…」

提督「…そりゃあ、噂によれば何人かはまた戦場に戻るってことを聞けばな」

提督「お前だって…完全には抜けてないだろ?」

早霜「…」

早霜「私達の、武器…」

早霜「深海棲艦にのみ、向けられるべきものでは?」

提督「よく分からんが、『テロとの戦い』って奴だよ」

早霜「当然、一度は殴られているんですよね?」

早霜「…でなくては」

提督「ああ、早霜は知らんか…あのテロ」

早霜「…?」

提督「ちょい待ち…パソコン…」

提督「確かネット回線の工事は済んでたよな、ここ」

17 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 04:06:45.41 6LktXcoGO 11/103

提督「動画、動画っと…」

提督「ほら、こいつだ」

早霜「…」

早霜「…何ですか、これ」

早霜「飛行機がビルに…」

提督「びっくりするよな…」

提督「これが生中継でテレビから流れて来るんだぜ」

提督「今でも忘れられないよ」

早霜「…深海棲艦」

早霜「…深海棲艦のみが、人類の敵だと思っていました」

提督「おいおい、テロリストは人でなし扱いかよ…まあ、そうなんだが」

提督「…彼らなりに、何か考えや訴えたいことがあってやってんだろうがな、まあ理解は出来ん」

18 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 04:09:31.53 6LktXcoGO 12/103

早霜「…もう、十分です」

早霜「多くの方が、亡くなったんでしょうね」

提督「…そうだな」

早霜「…戦争とは、何なのでしょうか」

提督「さあな、分からん」

早霜「明確に、敵と分かるもの…」

提督「なあ早霜」

早霜「はい…」

19 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 04:22:20.58 6LktXcoGO 13/103

提督「あの動画の惨劇を引き起こした奴らと、元艦娘の一部は戦いに行く」

早霜「…どういうことでしょうか」

提督「つまり、艦娘では無く、一戦闘員として戦場に赴く訳だな」

早霜「…」

早霜「…私は」

提督「生憎、艦娘になっちまったら最後、外見も艤装を扱う身体能力も死ぬまでそのまんまだからな」

提督「まあ戦力としては十分だろうな」

早霜「…司令官」

提督「…ん?」

早霜「部下、ですよ?元が付きますが」

早霜「どうしてそう…」

20 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 04:37:54.10 6LktXcoGO 14/103

提督「冷たい、か?」

提督「ありゃ、兵器だよ」

提督「いくら情を注いだって、兵器なんだ」

早霜「…」

提督「…早霜だけいればいいんだ」

提督「…」

提督「…何だよ」

早霜「…いいえ」

早霜「何でも無いです」

22 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 11:36:14.76 TBFEadnCO 15/103

提督「…いや、でもな?」

早霜「…」

早霜「…フフ」

早霜「いいんですよ」

早霜「…私さえいれば…でしょう?」

提督「…」

提督「…お、おう」

23 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 11:43:51.31 TBFEadnCO 16/103

早霜「さて、夕食は何にしましょうか?」

提督「あんまり無理しなくてもいいぞ?」

提督「越して来たばっかでまだバタバタしてるしな」

早霜「ガスは…大丈夫」

早霜「では、久しぶりに…カレーでも」

提督「お、いいなあ」

早霜「でも、材料がありませんね」

提督「そう言えば…」

早霜「お買い物、行きましょう」

25 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 14:12:32.47 TBFEadnCO 17/103

提督「車、いいのか?」

早霜「ええ…」

早霜「折角、免許を取ったんですし」

提督「慣れてないだろ?」

早霜「…」

早霜「…行きますよ」

26 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 14:42:12.55 TBFEadnCO 18/103

提督「…運転上手いな」

早霜「…フフ」

提督「いや本当に」

早霜「…」

提督「しかし、まあ不便っちゃ不便だよな」

早霜「何がですか?」

提督「街まで30分」

早霜「大した時間でも…」

提督「そうなんだけどな、こう、出掛けるのが微妙に億劫になるような、そんな微妙な感じなんだよな」

27 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 17:23:43.10 TBFEadnCO 19/103

提督「例えば、街まで半日かかるみたいなとんでもない山奥に来たとする」

早霜「…」

提督「出掛けるにも覚悟がいるだろ?」

提督「ところがこうダラダラと絶妙に長い時間だと…」

早霜「よく、意味が分かりません」

提督「うーん、分かんないか」

早霜「例え、司令官が…」

早霜「私が連れて行きますよ」

28 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 19:12:42.11 TBFEadnCO 20/103

早霜「そろそろですね」

提督「おう」

早霜「…無駄遣いは、やめてくださいね」

提督「はいはい」

29 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 21:47:55.79 TBFEadnCO 21/103

早霜「…」

早霜「…終わりました」

提督「…あ、あとこれも…」

早霜「…」

早霜「…作れるぶんは…」

提督「畑も、まだ作れる訳じゃ無いしな」

早霜「…お金にも、限りがありますしね」

30 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 22:11:17.05 TBFEadnCO 22/103

提督「やれやれ、帰宅だ」

早霜「雨、降って来ましたね」

提督「…漏ってんな」

早霜「バケツ、持って来ましょう」

提督「…ありがとう」

31 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 22:12:40.44 TBFEadnCO 23/103

早霜「それじゃあ、作って来ますね」

提督「手伝うよ」

早霜「…ああ」

早霜「…」

提督「駄目か?」

早霜「…いえ」

32 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 22:16:26.17 tNgKDisBO 24/103

早霜「…野菜、お願いします」

提督「おう」

早霜「…あ、その前に」

早霜「…物置の、ココナッツミルクを…」

提督「あ、あの缶に入ったのか」

早霜「…ええ」

提督「分かった」

33 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/10 22:22:36.85 tNgKDisBO 25/103

早霜「ありがとうございます」

提督「これで良かったか?」

早霜「ええ」

早霜「じゃあ、こっちを」

提督「分かった」

35 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/12 12:33:10.85 DpwQqr+VO 26/103

早霜「…出来ました」

提督「おっしゃ、いただきます!」

早霜「食べ過ぎは、お腹をこわしますよ」

提督「…早霜は食べないのか?」

早霜「…あ、いや、今までは…」

早霜「…私は、見ているだけだったので」

早霜「…一緒にたべるのは…」

37 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/13 16:09:06.31 uwT23srdO 27/103

提督「良いから食えって…な?」

早霜「…」

早霜「…はい」

提督「全く…いただきます」

早霜「いただきます」

38 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/13 17:32:56.82 uwT23srdO 28/103

提督「やっぱり、早霜のカレーはうまいなあ」

早霜「私の…」

早霜「今日は…司令官もですよ…?」

提督「…へ?」

早霜「…一緒に」

提督「ああ!そうじゃんか…」

39 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/13 17:57:57.68 uwT23srdO 29/103

早霜「…おいしいですね」

提督「本当だな」

提督「うまい」

提督「…さて」

提督「…ごちそうさまでした」

早霜「…片付け」

提督「いい、いい、俺がやっとく」

40 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/13 18:10:42.13 uwT23srdO 30/103

早霜「…」

早霜「…終わりましたか?」

提督「ばっちりだ」

提督「…余ったのは、明日でいいな?」

早霜「…作りすぎてしまいましたね」

早霜「…私がやれば」

提督「いーのいーの、気にすんなよ」

41 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/13 19:07:29.14 Qe/q+PO0O 31/103

早霜「…」

提督「…ん」

提督「…ありがとう」

早霜「…久し振りに、2人で呑みますね」

提督「ああ、バタバタしてたしな」

早霜「…殺風景ですね」

提督「荷物は、だいたい物置に入れたし…」

提督「ああ、家具だな後は」

43 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/14 02:37:50.41 OFiuQdOGO 32/103

早霜「…鎮守府のものを…」

提督「幾つか貰えることになってた様だが…」

早霜「まだ、届かないみたいですね」

提督「しばらくかかるかもな…」

提督「それまではこのテーブルで我慢だ」

早霜「…バーカウンター」

提督「…ん?」

早霜「…何でも」

44 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/14 19:07:43.99 G4rLoHbMO 33/103

早霜「…わかりました」

早霜「…おかわり、作りましょうか?」

提督「…今日はいいや」

提督「とりあえず、シャワー浴びて寝るよ」

早霜「…」

提督「…分かったよ」

早霜「…一緒に」

提督「はいはい、後でな」

45 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/16 21:21:11.40 KrWe91NdO 34/103

提督「…うへえ」

提督「冷たっ」

提督「ボイラー整備しなきゃなこれ…」

提督「まあ、こんな場所にこれだけの設備があるんだからな」

提督「…ん?」

提督「ちょ…」



早霜「どうしました?」


46 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/16 21:24:01.62 KrWe91NdO 35/103

提督「…どうしたって…」

早霜「…お酒を飲んだ後にお風呂は危険だと…」

早霜「万が一倒れでもしたら」

提督「いや俺、酔い覚ましのシャワーを…」

早霜「…!」

提督「…あと、服…」

早霜「…洗濯物が増えるのは…」

提督「そういうことじゃなくて」

47 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/16 21:28:32.83 KrWe91NdO 36/103

提督「いいから戻った戻った」

早霜「すみませんでした…」

早霜「…私の早とちりで」

提督「お、おう」

早霜「…では、私もシャワーを…」

提督「…え?」

早霜「私と司令官で分けて水を使えばそれだけ無駄になります」

早霜「だから」

提督「…いやいや」

48 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/16 21:31:48.31 KrWe91NdO 37/103

早霜「…」

早霜「…ですから」

提督「う…」

提督「…分かった」

提督「…あまり、こっちみんなよ」

早霜「…ええ」

提督「…」

早霜「…」

51 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 00:36:08.52 reviFGZZO 38/103

早霜「…」

提督「…見るなって」

早霜「…はい」

提督「…」

早霜「…フフ」

提督「…?」

52 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 00:45:55.23 reviFGZZO 39/103

提督「…うう、このシャンプー目に染みる…」

早霜「…」

提督「…見てるだろ」

早霜「…おや」

提督「…」

早霜「…フフ、ばれましたか」


53 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 01:05:09.90 reviFGZZO 40/103

早霜「…不思議なものですね」

早霜「…こうやって、見ているだけで」

提督「…」

早霜「…ふぅっ」

提督「…!?」

早霜「…息を吹きかけるだけで」

早霜「…こうやって」

54 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 01:11:51.20 reviFGZZO 41/103

提督「…わかった、やめてくれ、な?」

提督「頼む、命令だ」

早霜「…」

早霜「…私は、艦娘?」

提督「いや、でも司令官って…」

早霜「もう、軍属では無い」

提督「…」

早霜「…つまり、そういうことです」

55 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 01:19:52.04 reviFGZZO 42/103

早霜「…私も、困っているんですよ?」

早霜「もう、海には…」

早霜「戦いには出られない」

提督「…いいじゃ無いか」

提督「…あいつらみたく、木っ端微塵にならなくても済むんだぞ?」

早霜「艦娘、特に駆逐艦は…」

早霜「…もとより、そういう役目でしょう?」

56 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 01:25:03.82 reviFGZZO 43/103

提督「…」

早霜「…文字通り、命がけの日々がある日突然、終わった」

早霜「…司令官、私は今寂しいんですよ」

提督「気持ちは、分かるがな」

提督「…指輪を渡して、一緒になっただろうが」

早霜「…なら、少しは私の…」

57 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 01:32:42.65 reviFGZZO 44/103

早霜「…血の滾りを」

提督「…」

早霜「…フフフ、フフフフ…」

提督「…早霜?」

早霜「…私は先に失礼します」

提督「…」

早霜「…では、『後で一緒に』宜しくお願いしますね?」

提督「…」

58 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 01:43:13.32 reviFGZZO 45/103

提督「…来たぞ」

早霜「…どうぞ」

提督「なんだこの…匂い?」

早霜「…アロマですよ、アロマ」

早霜「…ゆっくり、楽しみましょう?」

提督「…」

早霜「…さあ」

59 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 01:48:54.59 reviFGZZO 46/103

キーーー
ーンーー
ーークー
ーーーリ


早霜「…朝ですよ」

早霜「朝ごはんが出来ました…」

提督「…うぅ」

提督「…何だったんだ?」

提督「昨日の…アロマだったか…」

提督「畜生、身体が動かん」

早霜「…さあ」

早霜「私は、司令官に楽しんで欲しかっただけです」

61 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 10:32:22.98 55pm5AIcO 47/103

早霜「…フフフ」

提督「分かったよ…すぐに行く」

早霜「では」

提督「…」

63 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 10:51:24.86 55pm5AIcO 48/103

提督「(あれから暫く経って、生活も大分落ち着いた)」

提督「(家具も、ちゃんと来た)」

提督「(夜は…相変わらずだが)」

提督「(まるで、戦場が海の上から布団の上に変わったみたいだった)」

提督「(きちんと、生活はしている筈だ)」

提督「(でなければ…)」

65 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 10:57:52.71 55pm5AIcO 49/103

早霜「…あなた」

提督「…ん、どうした?」

早霜「お客様です」

提督「誰か、来るって言ってたか?」

早霜「元、第6駆逐隊の皆さんが…」


ブロロロロロロロ…


提督「…車?」

66 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 11:02:48.56 55pm5AIcO 50/103

~~~~~~~~~~~~~~!!!


提督「うわ、うるさいなあ…」

早霜「カーオーディオですかね…」

提督「…大丈夫か?」

早霜「…ええ、お電話もお手紙も頂いている筈です」

早霜「…」

提督「…!」

提督「おいおい、あの車響が運転してるのかい」

早霜「…艦娘は、見かけは判断できませんよ」

提督「…そうなんだがな」

67 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 11:07:13.25 55pm5AIcO 51/103

提督「あ、降りて来た…」

提督「って、ええ…?」

早霜「…」

提督「…銃は、携帯していてもいいのかね…?」

早霜「…さあ」



「司令官、ごきげんようです」


提督「…お、おう、久しぶりだな」

68 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 11:16:50.76 55pm5AIcO 52/103

提督「…お前らも、久しぶりだな」

「久しぶり、なのです」

「久しぶり!しれーかん!」

「…」

提督「…あれ?」

提督「何だか、動きが」

「ああ、雷は補助具を付けないと、滑らかに動けないのです」

提督「…え?」

「大丈夫よ、しれーかん!ちょっと膝を抉られただけだから」

69 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 11:27:21.61 55pm5AIcO 53/103

提督「…いや補助具って」

「あまり、心配しなくてもいいよ」

「私達は艦娘だからね」

「補助具だって、今は付けていないし」

提督「…」

提督「…わかった、とりあえず中に入ってくれ」

70 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 11:34:00.40 55pm5AIcO 54/103

早霜「…お茶の準備が出来ています」

早霜「響さんは、ロシアンティーでしたね?」

「спасибо(スパシーバ)」

提督「まあ、座って座って」

提督「それで…」

提督「どうだ?最近の調子は」

72 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 13:35:25.25 136LJfi1O 55/103

早霜「…なんでしょうか?」

「お肌が、つやつやしているのです」

「夜の方もなかなか順調そうね」

早霜「…それは」

提督「おいおい…お前ら」

「戦場にいれば、多少はそうなるさ」

「仕方ないかもしれないけどね」

提督「けどなあ…」

「…私達も、戦場を忘れられないんだ」

73 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 14:15:21.05 136LJfi1O 56/103

「だから、こうやって身一つで」

「あなたも、私達と戦わない?」

「なんだかんだで、まだ未練があるでしょう?」

「政府の、お墨付きも貰っているんだ」

提督「今日はスカウトに来たのか?」

「…」

提督「なら、帰ってくれ」

早霜「…」

提督「おい早霜?」

74 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/17 14:42:01.49 136LJfi1O 57/103

早霜「…」

早霜「…いえ」

早霜「お断りします」

提督「…」

「それは、残念なのです」

「じゃあみんな、帰る?」

早霜「いいんですか?」

「いいのよ、これからまた、あっちにとんぼ返りだし」

76 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 18:59:58.71 WGBm/vsYO 58/103

提督「それじゃ、元気でな」

「ああ、司令官もね」

「また、来るのです」

提督「分かった、二度と来ないでくれ」

「…」

「…行こう」

早霜「…」

77 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:03:10.97 WGBm/vsYO 59/103

提督「…なんか、すまんな」

早霜「謝る必要はありませんよ」

早霜「ただ…少し」

提督「冷たかったか?」

提督「だがなあ…」

提督「あいつらはもう兵器になっちまったんだよ」

提督「なあ早霜」

早霜「…はい?」

提督「お前は、違うよな?」

78 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:05:47.30 WGBm/vsYO 60/103

早霜「…」

提督「…頼むよ」

提督「…俺はな」

早霜「…いいえ」

提督「…」

早霜「私は、もう艤装を脱いだんですよ」

早霜「…だから、安心してください」

79 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:09:53.25 WGBm/vsYO 61/103

ーー夜ーー

早霜「…では」

提督「また、やるのか…?」

早霜「今回は、アロマも薬もナシですよ…」

提督「いや、だから」

提督「いつも、夜になると人が変わったように」

早霜「フフフ…何を言っているんですか?」

早霜「あなた」

早霜「私は、私ですよ…?」

80 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:13:35.74 WGBm/vsYO 62/103

提督「流石に、毎日は…」

早霜「…」

提督「…ごふっ!?」

早霜「…」

提督「は…早霜」

提督「何で…?殴って…」

提督「…うう」

早霜「大人しく、していて下さいね」

82 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:16:42.65 WGBm/vsYO 63/103

キーーー
ーンーー
ーークー
ーーーリ


提督「…あ」

提督「朝か…」

早霜「おはようございます」

早霜「朝ごはん、出来てますよ」

提督「早霜…昨日」

早霜「…?」

83 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:19:30.12 WGBm/vsYO 64/103

早霜「昨日、どうかしましたか?」

提督「…」

提督「…昨日、俺を殴って」

早霜「…え?」

早霜「昨日は、普通に…寝ましたよ?」

提督「…いや、だってお前」

早霜「するのは週末って決めたじゃないですか…」

早霜「…あれも、使ってないですし」

84 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:21:54.54 WGBm/vsYO 65/103

早霜「今日は、火曜日ですよ…?」

提督「あ、う、うん」

提督「そうだったけ?」

早霜「はい」

早霜「ほら、早くしてください」

早霜「ご飯、冷めちゃいますよ」

85 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:26:42.20 WGBm/vsYO 66/103

提督「(あの夜から、大体二日おき位にやられる様になった)」

提督「(普段とは違う、暴力に満ち溢れたものだった)」

提督「(確かに、今までも主導権は彼女が握っていたが)」

提督「(明らかに、おかしい)」

提督「(その証拠に、週末は…いつも通りなのだ)」

86 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/21 19:39:57.72 WGBm/vsYO 67/103

早霜「…あなた?」

提督「お、おう早霜!」

早霜「いきなり、どうしたんですか?」

提督「い、いやちょっと考え事をしててな…?」

早霜「…」

提督「な、なあ早霜」

提督「最近、嫌なこと無かったか?変わった事とか…」

88 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 00:45:09.26 wDm8Uxs4O 68/103

早霜「いえ…というか一日中、私といるんですから…」

早霜「普通は、あなたが気付く筈でしょう?」

提督「ん、ああ、そうだな」

提督「そうだよなあ」

早霜「私が…何かしましたか?」

89 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 00:53:28.56 wDm8Uxs4O 69/103

提督「いやあ、なんでもない」

提督「早霜…」

早霜「…」

提督「何処にも、行くなよ?なあ、おい」

提督「俺にはお前しかいないんだよ…」

早霜「…はい」

90 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 01:03:36.18 wDm8Uxs4O 70/103

???


「どうなったのかな、早霜さん」

「私達が行った時にはもう、ね」

「司令官も、だいぶ絞られてたみたい」

「そろそろ、次の…」

「おっと、お出ましみたいね」

「急ぐのです」

「よし、攻撃準備」

91 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 01:06:20.38 wDm8Uxs4O 71/103

ーー朝ーー


提督「(昨晩は、どうやら襲う気にはならなかった様だ…)」

提督「(ふう…)」

提督「(あれ?)」

提督「(いつもなら、起こしに来てくれる筈なんだけどなあ)」

提督「(飯の匂いはするな…)」

92 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 01:08:01.95 wDm8Uxs4O 72/103

提督「おーい、早霜?」

提督「いたら、返事してくれー…」

提督「台所かな…」

提督「あっ…」

提督「早霜!大丈夫か!?」

提督「早霜!」

93 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 01:16:41.33 wDm8Uxs4O 73/103

早霜「…」

提督「おいっ、しっかり…」

提督「えっ…」

94 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 12:46:19.45 jeUzIcQ5O 74/103

提督「炊飯器…?」

提督「確か、昨日炊いたご飯が…空?」

提督「冷蔵庫…空きっぱなしで…」

提督「おいおい、これ全部食べたのか…?」

提督「早霜?」

早霜「…は、はい…」

提督「良かった…」

96 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 16:01:12.14 OoOAFynyO 75/103

早霜「あれ…私…」

早霜「ご飯の支度を…」

提督「いや、全部食べ…」

早霜「何ですか、これ…」

早霜「私が、これをやったんですか?」

提督「そうだ」

97 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/22 17:09:24.16 OoOAFynyO 76/103

提督「なあ、本当に大丈夫なのか?」

提督「早霜」

早霜「分かりません…何が何だか」

早霜「覚えて、無いんです」

提督「…」

98 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 15:41:28.86 j/MUOAZZO 77/103

ーー翌朝ーー

提督「…」

提督「…」

提督「…何だよ」



「そろそろだとは思っていたよ」

99 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 16:25:17.58 j/MUOAZZO 78/103

「早霜さんは?」

提督「何だ、もう来るなと言ったはずだが」

「こっちも欠員の補充をしなくちゃいけないんだ」

「突然ですまない」

提督「…寝たきりだ」

提督「睡眠薬飲ませて、寝かせてる」

100 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 16:57:44.09 j/MUOAZZO 79/103

「成る程…もうそこまで」

提督「どういうことだ?」

「だんだんと、おかしくなったんだろう?早霜さん」

提督「…」

提督「そうだ。早霜に何があったのか」

提督「知っているのか?」

「ああ」

「それと、早霜さんはこのまま連れて行く」

101 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 17:03:44.11 j/MUOAZZO 80/103

提督「…」

提督「…おい」

「仕方ない」

「下手すれば早霜さんは…」

「このまま、死ぬ」

102 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 17:12:03.74 j/MUOAZZO 81/103

提督「…」

提督「…詳しく」

「私たちは、戦いの為の道具であること」

「これは、知っているだろう?」

提督「…そうだ」

提督「でも早霜は…」

「使わない剣は錆る」

「早霜さんはもう朽ちかけているんだ」

103 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 17:18:50.95 j/MUOAZZO 82/103

提督「だったら、早霜をまた戦場に…」

「察しが良くて助かるよ」

提督「嫌だよ」

「…」

提督「誰が、あんな危ない所に行かせるか」

提督「…お断りだ」

提督「死ぬんなら、早霜にはここで死んでもらう」

「はあ…」

「司令官」

「早霜さんは、あなたの愛玩動物じゃないんだ」

104 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 17:26:44.67 j/MUOAZZO 83/103

「艦娘は戦う為に生まれた存在だ」

「だったら、こんな場所で朽ち果てるより(ry

提督「ふざけるな!」

提督「もう戦争は終わった!」

「終わってない」

「私たちの戦いはまだ」

提督「…」

105 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 17:29:44.41 j/MUOAZZO 84/103

提督「…駄目だ」

提督「帰ってくれ」

「そうか、残念だよ」





「雷の代わりは、見つからなかったみたいだね」

106 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 20:30:12.27 j/MUOAZZO 85/103

提督「代わり?」

提督「…雷は?」

「ああ、雷はちょっとね」

「戦ってる最中に補助具が壊れちゃって」

提督「死んだ…のか?」

「艦娘は簡単には死なないよ」

107 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 20:39:41.34 j/MUOAZZO 86/103

「今頃、東欧かどこかの国にいるだろうね」

「溶液に浸かったまま」

「バラバラになったのに、よく回収したよ」

提督「…助けにはいかないのか?」

「無理だね。政府同士で話はついてるらしい」

「雷は…多分そこで一生を過ごすと思うよ」

108 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 21:03:10.39 j/MUOAZZO 87/103

提督「響…」

「私だって悲しいさ」

「でもね、早霜さんをこのまま放っておいたら、もっと悲しいことになる」

「今の雷よりも…生きながら朽ちて行く苦しみだよ」

提督「…」

109 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 21:15:55.73 j/MUOAZZO 88/103

提督「…考えさせてくれ」

提督「今は…」

「時間は無い」

「…あ」

提督「…ん?」

「後ろ!」

110 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/27 23:50:06.18 mTl1EDYIO 89/103

「ちいっ…!」

提督「ぐ、あっ!?」

提督「く、首がっ」


「何を…」


早霜「…」

112 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 02:00:26.05 guFbvDB/O 90/103

早霜「…話は聞きました」

「なら、話がはやいです」

「とりあえず、首から腕を離して…」

早霜「…フフ」

早霜「…」

113 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 02:07:00.85 guFbvDB/O 91/103

早霜「…」

提督「あ…やめ…」

提督「」

早霜「落ちましたか」

「…?」

早霜「支度をします」

早霜「五分、待ってください」

115 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 15:33:51.75 yloiq3h5O 92/103

「それでは…」

早霜「ええ、行きましょう」

「…ひとまず、訓練施設に」

「一週間もあれば、戦場に出られると…」

早霜「…はい」

早霜「…」

早霜「…あなた」

116 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 15:34:24.46 yloiq3h5O 93/103

早霜「ちょっと、行って来ます」

117 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 15:37:35.84 yloiq3h5O 94/103

ーーーーーーーーーーーーーーーー


提督「…あ」

提督「…いない」

提督「ああああああああああああああああああああ!!!!」

118 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 17:46:23.65 yloiq3h5O 95/103

ーーーーーーーーーーー


提督「手紙が来た」

提督「便箋は少し埃っぽかった」

提督「彼女は、砂漠にいるらしい」

提督「俺は、待つ」

119 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 18:03:16.88 yloiq3h5O 96/103

提督「そんな覚悟は、とてもじゃないができなかった」

提督「あの時、俺は早霜に裏切られた」

提督「そう信じ切っている自分が怖い」

提督「だが」

提督「響の言うとおり、早霜は…」

提督「愛玩動物としてしか、俺は早霜を見ていなかったのかもしれない」

120 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 18:13:02.66 yloiq3h5O 97/103

提督「半年待っても、早霜は帰ってこなかった」

提督「しかし…」

提督「初めて、手紙が来た」

提督「…」

121 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 18:29:09.26 yloiq3h5O 98/103

ーーーーーーーーーー


提督「結論から言うと、もうここには早霜は帰ってこないらしい」

提督「…」

提督「…馬鹿みたいだな」

提督「何やってたんだ、半年間」

提督「…」

提督「これから、どうすればいいかな」

122 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 18:38:03.37 yloiq3h5O 99/103

提督「…」

提督「…来ないなら、行けばいいんだ」

提督「…場所は分からんが…砂漠か…」

提督「俺だって、一端の軍人だ。元がつくが…」

提督「…準備がいるな」



提督「待ってろよ、早霜」

123 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 18:41:27.22 yloiq3h5O 100/103

ーーーーーーーー


「ふう、今日はおしまいだね」

「思ったよりも早く方がついたのです」

「それで…あなたは」

「ええ、大丈夫です」

「休暇も、許可するよ」

「いいんです」

「帰ってあげてもいいんじゃないかな」

「…」

124 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 18:49:25.58 yloiq3h5O 101/103

「あの人は、必ず私に会いに来ます」

「どんなに遠くにいても、必ず居場所を突き止めて…」

「餌は、まいておきました」

「おいおい、本当なのかい?」

「ええ、私はあの人の全てを知っていますから」

「会いに来なかったらそれまでですよ」

125 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 18:55:45.58 yloiq3h5O 102/103

「だから…」






「待ってますよ」


「あなた」

126 : ◆Y3c9ofWvL1nM - 2015/04/28 19:01:11.91 yloiq3h5O 103/103

おしまいです
更新が大変遅く申し訳ありませんでした
依頼出して来ます

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