※関連
最初: 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
前回: 上条「結婚指輪は!」美琴「給料三か月分!」心理「君への愛は」垣根「プライスレス!」【3】





735 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/22 20:57:51.38 0scRwx6h0 612/823


テクパトル「…はぁ」

一方「…てめェ、なンで俺を呼び出したンだよ」

テクパトル「…俺さ…美月と結婚しただろ?」

一方「惚気なら帰るぞ」

とある喫茶店

そこで、男二人が寂しく紅茶を飲んでいた

ちなみに現在、ミサカ達は調整中だ

そのため、現在二人の相方もいない、というわけだ

テクパトル「そうじゃねぇんだよ…それでさ、マリッジブルーというか…」

一方「あァ、19090号がか…たしかに不安だろォな」

テクパトル「いや、俺が」

一方「てめェかよ…しかも、マリッジブルーなンて結婚前がほとンどだろォが」

テクパトル「…そうなんだけどさ…」

一方「…で、どォいう悩みなンだよ」

テクパトル「き、聞いてくれるのか?」

一方「…まァ、義理の兄弟になっちまうからな」

テクパトル「サンキュー!!!」



テっくん、結婚の悩み編



736 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/22 21:09:16.56 0scRwx6h0 613/823

テクパトル「…結婚したことは後悔なんてしてないんだけどさ…これから、本当に上手くやっていけるのかってさ…」

一方「ンなもン、他人の基準で決めるもンじゃねェだろ」

テクパトル「…だけどさ、今までは…恋人だから、ある程度ゆとりがあったというか…」

一方「…無責任なことはできねェな」

テクパトル「だよなぁ…」

テーブルに突っ伏しながら、テクパトルがため息をつく

テクパトル「…例えばさ、結婚したってなったら…色々と変化があるだろ?」

一方「…いつかは子供が生まれるだろォな」

テクパトル「それなんだよ!!子供が出来たらどう接すればいい!?分からないんだよ、それが…しかも周りにはミサカ達が大勢…」

一方「俺がてめェの子供なら、軽くトラウマだな」

テクパトル「…なぁ、やっぱり…結婚って大変だな」

一方「…だったらなンだよ、今更取り消すなンてできねェだろ」

テクパトル「…まぁ、そうなんだけどな」

一方「…でもよォ…俺は結構、お前達は大丈夫だと思ってるンだけどなァ」

テクパトル「…そうかな…」

一方「…お前、これから具体的にどォしたいンだよ」

テクパトル「これから?」

一方「…ある程度先に将来のプランを立ててたら気楽だろォが」

テクパトル「…プランって、アレイスターみたいなことを…」


737 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/22 21:18:54.01 0scRwx6h0 614/823

一方「で、どォしたいンだよ」

テクパトル「…まぁ、子供はそのうち…かな」

一方「…てめェ、もしかしてもォ子作り始めてンじゃねェだろォな」

テクパトル「ま、まだだって!!美月が少し恥ずかしいからって…」

一方「…で、子供以外は」

テクパトル「…というと?」

一方「はァ…まず、新婚旅行はどォしたいンだよ」

テクパトル「!!そ、それがあった…」

一方「…おい、結婚指輪はどォした」

テクパトル「…そ、それもあった…」

一方「…車とかは買わないのか、いつか子供が生まれたら必要になるだろォが」

テクパトル「う…」

一方「オリジナルの両親への連絡は」

テクパトル「…まだ、です…」


一方「…てめェ、結婚をナメてンのか」

テクパトル「そ、そんなことは…」

一方「責任責任って口ばかりじゃねェか、結婚ってのはてめェらだけの問題じゃねェ、家族まで関わってくることなンだよ」

テクパトル「あぁ…」

一方「…いいか、妹達のことに関しては俺は少し口うるさいンだからな」

テクパトル「…分かってる…」



738 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/22 21:25:30.66 0scRwx6h0 615/823

一方「…まずは両親に連絡しろ、連絡先は」

テクパトル「…貰ってる」

一方「今連絡しろ」

テクパトル「そ、そんなに焦ること…」

一方「いいから」

テクパトル「…」

テクパトルが携帯を取り出す

電話帳の中にある、「御坂美鈴」という名前

そういえば、この人物に電話を掛けたことはなかった

テクパトル(…心配だな)

プルルルル、という電子音

そして、通話が始まった


美鈴『はいはーい、テクパトルくーん!?』

テクパトル「…なんでそんなにハイテンションなんですか」

美鈴『いやぁ、なんかテクパトル君に電話されるのって初めてだからさ!!』

テクパトル「…あ、あの…今日は折り入って大事な話が」

美鈴『なになに!?まさか、19090号ちゃん…えーっと、美月ちゃんだっけ?美月ちゃんと結婚しましたぁ、とか!?』

テクパトル「は、はい」

美鈴『あはは、ごめんごめん!!冗談だって、で、なに?もしかして別れそうだとか!?それとも美月ちゃんの好きな…』



美鈴『うぇぇぇぇぇぇ!?結婚だってぇぇぇぇぇぇぇ!!??』

テクパトル「遅いな」


739 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/22 21:33:58.33 0scRwx6h0 616/823

美鈴『マジ!?それマジ!?』

テクパトル「…まぁ、あいつには戸籍がないから内縁の…ってことになってしまう、申し訳ないが…」

美鈴『いやぁ!!それはよかった!!よかった、うん!!』

テクパトル「…ゆ、許してもらえるのか?」

美鈴『当たり前じゃん!!だって二人はお似合いだからさぁ!!そっかぁ、結婚かぁ…』

テクパトル「…そ、それで一応…義母さんにも伝えておこうと」

美鈴『こりゃ、パパに言ったら驚くだろうなぁ!!』

テクパトル「…それで、時間が出来たら里帰り…というか、ご挨拶をしたくて」

美鈴『おう、来て来て!!出来たら上条君と、あと…あの一方通行君だっけ!?彼も呼んできてよ!!!』

一方「あァ?なンで俺まで行かなきゃならねェンだよ」

美鈴『およ?そこにいるの?…!!もしかして、御坂家の将来の旦那様の集会とか!?』

一方「ちっ、相変わらずうるせェな…」

美鈴『まぁいいや、とりあえず結婚はオッケー!!私としても早く孫の顔が見たいなぁ!!』

テクパトル「そ、それはまだ先になるから…」

美鈴『あ、そうだ!!結婚指輪はオススメのがあるから、あとでメールで情報送ってあげる!!』

テクパトル「は、はぁ…」

美鈴『あ、テクパトル君って免許とか持ってる?』

テクパトル「…一応…車のなら」

一方(持ってたのかこいつ)

美鈴『じゃあ車はやっぱり6人乗りくらいがいいよね、そしたら子供たくさん出来ても大丈夫!』

テクパトル「…そ、そんなには作らないからな」


740 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/22 21:37:30.90 0scRwx6h0 617/823

美鈴『んじゃ、おめでとうね!』

テクパトル「…なにかあったらまた」

そう言って、携帯の通話を終える


テクパトル「あぁぁ!!緊張したぁ!!」

一方「…よかったじゃねェか」

テクパトル「…とりあえず、一つの大きなイベントは終えたか…」

一方「…お前、車の免許持ってたのか」

テクパトル「あぁ、アステカで一応」

一方「…それ、国際免許か?」

テクパトル「え?」

一方「…」

テクパトル「…」



テクパトル「…でもさ、悩みってのはそれだけじゃないんだ…」

一方「他にもまだあンのかよ」

テクパトル「…それがさ、美月と…そりゃ、こう…夜になればするだろ?」

一方「あァ、セッ○スレスは離婚の原因とか言うからなァ」

テクパトル「…だけどさ…」



テクパトル「…最近、妙に美月がせがんでくるんだよなぁ、毎日してくれって」

一方「」



745 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:08:11.67 XfkHLO6P0 618/823

テクパトル「いやほら・・・俺も美月とはたくさんしたいんだけどさ」

一方「待て、お前ら毎日してンのかよ」

テクパトル「?普通するだろ?」

一方「しねェよ、普通」

テクパトル「えー・・・んなわけないだろ」

一方「・・・まァいい・・・で、なンでそれが困るンだよ、愛されてンだから問題ないじゃねェかよ」

テクパトル「・・・美月ってさ、胸が弱いんだ」

一方「・・・番外個体と同じじゃねェか」

テクパトル「・・・でさ、こう・・・やっぱり胸を虐めてくれと言われるわけなんだ」

一方「あァ、俺もそォだ」

テクパトル「でもさ、胸を弄ってる間・・・俺は全然気持ち良くはないわけだ」

一方「・・・分かるな」

テクパトル「・・・つまり、簡単に言えば時間の無駄だよな」

一方「あァ、互いが気持ち良くなりてェなら最初からヤればいいだけだ」




746 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:08:48.94 XfkHLO6P0 619/823

テクパトル「・・・濡らすにしても、時間なんてそんなには掛からない」

一方「・・・?待て、お前って仕事は何時くらいに終わるンだ」

テクパトル「トレーニングまでして帰ったら・・・21時くらい」

一方「そこから飯、風呂だろ」

テクパトル「あぁ、ベッドに入るのは・・・23時かな」

一方「・・・その後ヤるのかよ、よく体力あるな」

テクパトル「・・・前に一回、美月を無視して寝ようとした」

一方「どォなったンだ」

テクパトル「たしかあの時は・・・」

一方(あ、回想すンのかよ)





19090「テっくん・・・寝ちゃったんですか?」

テクパトル(我慢我慢!夫婦なんだから、多少はわがまましたって・・・)

19090「・・・じゃあ・・・美月は一人で頑張ります・・・」

テクパトル(・・・は?)

19090「あっ・・・はぁ・・・」

テクパトル(おぉぉ!?)



747 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:09:15.43 XfkHLO6P0 620/823


19090「んっ、くぁっ・・・テっくん・・・はぁっ・・・」

テクパトル(ま、まずいまずい!俺のトラウィスカルパンテクートリの槍が!)

19090「あうっ!はぁ・・・」

テクパトル「み、美月!」

19090「あ・・・や、やっぱり起きてたじゃないですか・・・」

テクパトル「その・・・や、やるか」

19090「はい・・・//」





テクパトル「って感じ」

一方「てめェ・・・」

テクパトル「・・・分かってるんだけどさ」

紅茶をぐいっ、と飲んでからテクパトルが顔をしかめる

テクパトル「・・・ほら、やっぱり愛してる相手のわがままって叶えたいだろ」

一方「・・・まァな」

テクパトル「・・・そういや美月、たしか結婚したら・・・」

一方「結婚したら?」




748 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:09:41.96 XfkHLO6P0 621/823

テクパトル「夫婦茶碗が欲しいって言ってたな」

一方「・・・随分古風だな」

テクパトル「・・・でも、高いものじゃないだろ?」

一方「・・・買ってやれよ、お前と結婚出来たのが嬉しいンだろ」

テクパトル「・・・そうだな」

一方「・・・って、お前のそれ・・・マリッジブルーと関係ねェよな」

テクパトル「・・・そうだった、つい惚気ちまった」

一方「他にもっと悩み事ねェのか?」

テクパトル「・・・実は・・・さ」

一方「あァ」

テクパトル「この前、ちょっと美月と言い合いになったことがあって・・・まぁちゃんと仲直りはしたんだけど、根本的な解決には至ってないというか」

一方「勿体振るな、なンだよ」


テクパトル「味噌汁、お前はどっち派だ」

一方「・・・はァ?」

テクパトル「赤味噌、白味噌・・・どっち派か」





749 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:10:09.42 XfkHLO6P0 622/823

一方「・・・まさかそれで言い合ったのかよ」

テクパトル「それとはなんだ!食の違いはかなり大切な問題だ!」

一方「・・・毎朝飲むからな」

テクパトル「俺は赤味噌派なんだが・・・美月は白味噌なんだよな」

一方「・・・でもよ、それはどっちかが妥協しなきゃいけねェだろ」

テクパトル「・・・美月に我慢してもらうなんて出来ない」

一方「・・・じゃあお前が折れるか」

テクパトル「だが!やっぱりあの赤味噌のしっかりした味は捨て難いんだよ!」

一方「・・・なら毎日交互にしろよ」

テクパトル「・・・お前、天才だな」

一方(思いつかなかったのかよ)


テクパトル「・・・それと、最後に一つ」

一方「・・・またくだらねェことか」

テクパトル「・・・美月は・・・本当に、他のみんなと一緒でいいのかな」

一方「あァ?どういう意味だよ」

テクパトル「ほら、俺は他のミサカと過ごしたいけど・・・」

一方「・・・あいつが我慢してるかもしれないってのか」




750 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:10:51.49 XfkHLO6P0 623/823

テクパトル「・・・あいつは優しいし、多分他のミサカと過ごしたいってのも本心だ」

手を絡ませ、テクパトルが迷う様な仕草を見せる

テクパトル「でも・・・やっぱり、本当は二人がいいんじゃないのかな」

一方「・・・」

テクパトル「俺だって・・・たまにだけど、二人きりで暮らせたらって考える時があるんだ」

一方「別におかしくはねェよ・・・お前があいつらを引き受ける義務はねェ」

テクパトル「・・・あいつらのことは大好きだ、だから一緒にいたいとも思う」

一方「・・・」

テクパトル「・・・ただ俺は・・・なんかさ、結婚したのに・・・いやむしろ、結婚したからこそ、美月のことが分からなくなったんだ」

テクパトル「・・・あいつの近くにいればいるほど、あいつが何を考えてるのかを知りたくなって」

テクパトル「でも・・・知りたいと思っても、知ることは出来なかったんだ」

テクパトル「・・・もしかしたら、俺は美月のことなんか何も知らないんじゃないか、って不安になったんだ」

はぁ、と深いため息

それが彼の不安を表していた

テクパトル「・・・食の好み、それも・・・だな」

一方「・・・」

テクパトル「・・・俺はあいつのこと、全て知ってるつもりだったのに・・・こんな俺は、もしかしたら夫失格かもしれないな」






751 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:11:17.46 XfkHLO6P0 624/823

一方「だったら今から少しずつ知っていけばいいじゃねェか」

テクパトル「?」

一方「何も知らないから・・・傍にいて、もっと知りたいって思うンだろ」

一方「・・・俺だってそうだ、番外個体のこともまだよくは分からない」

でもな、と一方通行が笑う

一方「まだ分からないだけで、いつまでも分からないって決まったわけじゃねェ」

テクパトル「一方通行・・・」

一方「・・・俺はあいつのことを知りたい、いつか絶対に分かる日が来るって信じてる」

一方「・・・お前はどうなンだ、あいつのことをこれから知りたいンじゃねェのか」

テクパトル「・・・あぁ、俺だってそうだ」

一方「なら、ゆっくり知っていけばいいだろ」

テクパトル「・・・ありがとう、一方通行」

一方「礼なンていらねェ・・・さて、そろそろ迎えに行く時間だ」

テクパトル「・・・あぁ」

支払いを済ませ、二人が病院へと向かう



752 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:13:14.78 XfkHLO6P0 625/823

テクパトル「なぁ、一方通行」

一方「なンだよ」

テクパトル「・・・俺は美月をずっと愛することができるかな」

一方「その答えを今探してるとこだろォが」

テクパトル「あぁ・・・そうだな」

一方「それに、もしも答えが見つからなくても…ずっと大切なヤツと一緒にいられるなら、いい言い訳になるじゃねェか」

テクパトル「…そうだな、そうかもしれない」

一方「別に答えがあるって決まってるわけでもねェ、だったら気楽に生きて行けよ」

テクパトル「…ははは、そうだな」

嬉しそうに笑ってから、テクパトルが最後に言う


テクパトル「お前、垣根のメルヘンが移ったな」

一方「・・・うるせェ」


病院へ向かう道を、ある義理の兄弟が歩いていた

一方は怪物、一方は卑怯者

それでも


彼らには、守りたい物が一つだけ



753 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:14:50.43 XfkHLO6P0 626/823

涙が地面に落ちないように

彼はふと空を見上げた

しかし、すぐまた彼は俯く

星があまりに眩しくて






垣根「・・・」

垣根帝督

かつて、「スクール」という組織のリーダーだった青年だ

今はその世界から足を洗い、表の住人として生きていた

垣根「・・・」

幸せだ、と彼は思う

真っ黒に染まっていた彼の人生は、一度真っ白に戻ったのだ

皮肉なことに、純粋なほどの真っ白に

その真っ白な人生に、どのような絵を描けただろうか

垣根「・・・幸せ、か」

幸せという言葉ほど万人に愛される言葉はない

そして、万人が求める言葉も

「幸せ」という言葉で表すには、今の彼の人生はちっぽけな物だった

ただ、背負っている物は重い、とてつもなく、重い





754 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:15:17.07 XfkHLO6P0 627/823



心理「・・・どうしたの、難しい顔して」

垣根「・・・なんでもない」

今思えば、運命の出会いというものだったのだろうか

目の前の美しく、繊細な少女と出会えたことは

彼女が、自分の人生に色を与えてくれた

垣根「・・・どこか行きたい場所、あるか」

心理「あら、デートのお誘い?」

垣根「・・・まぁ、たまにはさ」

心理「じゃあ・・・あの鉄橋かしら」

垣根「あぁ」


夕陽は美しい

誰かに輝きを与え、自らは淡くくすんだ光になった姿

それは、遠い彼方に沈んでいく

夕陽は悲しい

決して、それは留まり続けることはない




755 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:16:02.87 XfkHLO6P0 628/823

垣根「・・・」

垣根帝督は夕陽が大好きだった

昼間に人々を輝かせる太陽も好きなのだが

だが、それは時々自分を嘲笑っているように感じられる

だからこそ、彼は夕陽が好きだった

自分には眩しくないから

心理「・・・綺麗な夕陽、ここは本当に景色が綺麗ね」

垣根「あぁ」

いつだっただろうか

この鉄橋で、彼は少女に命を救われた

世界に絶望していたあの時に

誰も守れない、あの時の彼はそう思っていた

垣根(今は、守れている)

よく待ち続けてくれたものだ

少女は、彼が帰ってくるのを待ち続けていた

それは、純粋な愛情からくる行動だったのだろう




756 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:16:28.60 XfkHLO6P0 629/823

垣根「お前ってさ」

心理「なに?」

垣根「昔から俺が好きだったんだよな」

心理「えぇ」

垣根「・・・なんで、俺のこと好きになったんだ」

心理「簡単な質問ね、素敵だったからよ」

垣根「素敵・・・か」

心理「私はあなたに惹かれた、それだけよ」

本当に簡単な答えだった

これ以上、的確な答えもなかった

垣根「・・・じゃあ質問を変えていいか」

心理「なに?」

垣根「なんで・・・俺が帰ってくるのを待ち続けてたんだ」

心理「・・・それはいつの話かしら」

垣根「・・・この鉄橋で、お前に救われる前の話」

心理「・・・そうね・・・どうしてだったかしら」




757 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:16:54.86 XfkHLO6P0 630/823

クスクス、と笑う少女

夕陽が沈んでいく、二人を照らすスポットライトは月へと変わった

心理「・・・私が待っていれば、あなたには帰ってくる場所が出来たから」

垣根「帰ってくる場所・・・?」

心理「あなたが・・・帰ってきた時に、誰かが抱きしめてあげなきゃいけなかったのよ」

あなたはどこかに飛び立って行こうとするから

あなたは温もりを求めていたから

心理定規はそう答える

垣根「・・・お前、もし俺が帰ってこなかったらどうするつもりだったんだよ」

心理「・・・待ち続けていたと思うわ」

垣根「・・・なんでだよ」

心理「あなたの居場所が・・・私の隣であって欲しかったから」

へぇ、垣根はそう言った

この少女が昔から、そんなに彼を欲していたとは思わなかった

垣根「・・・俺の居場所が、他にあったらどうしてた」

心理「・・・それならそれでよかったの、あなたが笑顔でいられるなら」

垣根「お前は笑顔になれなかったはずだ」

心理「私の笑顔を、私自身が見ることは出来ないの」



758 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:17:29.29 XfkHLO6P0 631/823

ただ、あなたの笑顔なら見られるから

彼女は笑う

垣根「・・・」

心理「でもね・・・あなたの瞳に映った私は笑ってる、それがとても幸せなの」

垣根「幸せ、か」

万人に愛される言葉

そして、垣根が少女に与えたかった温もり

心理「・・・あなたが帰ってきてくれた時は、嬉しかった」

橋の欄干に、心理定規が座る

危ない、と思うかもしれないが、垣根はそれを止めはしなかった

垣根「落ちるぞ」

心理「あら、そしたらあなたは天使になって私を助けてくれるじゃない」

垣根「ちっ・・・」

心理「・・・風が気持ちいい」

垣根「・・・」

少女の髪が揺れる




759 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:17:56.65 XfkHLO6P0 632/823

美しいな、と垣根は息を飲む

輝く月さえも、淡く見えるほどに

心理「・・・垣根」

垣根「なんだ」

心理「・・・あなた、覚えていないかもしれないけど」

垣根「あぁ」

心理「私と再会した時、一度逃げ出したわよね」

垣根「・・・覚えてる」

心理「どうして逃げ出したの?」

垣根「・・・」

欄干に背を預け、垣根がぽつりと答える

垣根「・・・あの時のお前は・・・俺が帰ってくることだけを願っていた」

心理「えぇ」

垣根「・・・その温もりが、最初は怖かった」

心理「・・・」

垣根「・・・俺の冷めた心が溶かされるんじゃないかって」




760 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:18:25.88 XfkHLO6P0 633/823

心理「あなた、意外とナイーブだったのね」

垣根「・・・それに、さ」

自分のせいで悲しい顔をしていた彼女を見るのが、辛かった

心理「・・・だったら、逃げたらもっと傷付くって分からなかった?」

垣根「傷ついたのか」

心理「・・・いいの、こうやって傍にいてくれるから」

垣根「・・・」

少女の笑顔は美しかった

垣根「・・・なぁ」

心理「なに?」

垣根「・・・今日はさ、歩いて帰っていいかな」

心理「?いつも歩いて帰るでしょ」

垣根「・・・」

あぁ、と心理定規が笑う

心理「そうね、歩いて帰りましょう」



761 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:18:57.67 XfkHLO6P0 634/823





カツカツ、と鳴り響く二つの足音

垣根「・・・」

心理「綺麗な星空」

垣根「お前のほうがよっぽど綺麗だって」

心理「何よそれ」

ベタな台詞ね、と文句を言われる

本心なのだからどうしようもない

垣根「・・・」

心理「・・・あなたって、ちゃんと私に歩幅を合わせてくれるのよね」

垣根「当たり前だろ、じゃなきゃ隣にいられない」

心理「・・・そうね」

長く伸びた陰が、ユラユラと揺れる

心理「手・・・繋いでもいいかしら」

垣根「あぁ」

すっ、と垣根が手を差し出す

それを心理定規が掴もうとするが

垣根「やっぱやめた」



762 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:19:40.35 XfkHLO6P0 635/823

ひょい、と彼はその手を頭上に持っていってしまった

心理「ちょ、ちょっと!」

垣根「悔しかったら自力で掴んでみな」

面白くて堪らない、といった表情の垣根

心理「この・・・!」

ピョン、ピョン、と心理定規がジャンプしてその手を掴もうとする

だが垣根は180近い長身だ、彼女が跳ねたところで届きはしない

心理「う・・・いいわよ別に」

ふん、と拗ねた心理定規は先に歩いて行く

垣根「待てって」

心理「意地悪する人の言うことなんか聞かないわよ」

垣根「待てってば」

心理「あなたが意地悪するからじゃない」

機嫌を悪くした彼女は、段々と急ぎ足になる

垣根「待てよ」

心理「嫌よ」

こういうときあの二人なら、素直になって笑い合えるのだろうか

心理定規は、あのビリビリ少女が羨ましくなった

垣根「・・・」


ぎゅっ、と心理定規の手が掴まれる

心理「あ・・・」










垣根「一緒にいろよ」












763 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:20:07.41 XfkHLO6P0 636/823



夜道の静寂の中、その声は響いた

心理「・・・え?」

垣根「・・・」

繋がれた手に視線を落とし、垣根が歩き出す

心理「ま、待ってよ・・・今なんて」

垣根「二度は言わない」

心理「一緒にいろって・・・」

垣根「・・・聞こえてたんじゃねぇか」

心理「あ、あなたにもう一度言って欲しかったのよ」

垣根「・・・」

心理「もう一度・・・言ってくれない?」

垣根「・・・」

じっ、と垣根が彼女の顔を見つめる

しばらく迷う素振りを見せた彼は、言葉ではなく行動で示した

実に簡単な、キスという行動で




764 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:20:33.15 XfkHLO6P0 637/823

心理「・・・卑怯」

垣根「そうかい」

短く答え、彼が歩き出す

繋がれた手だけは放さずに

心理「・・・一緒に、いてほしいの?」

垣根「あぁ、いてほしい」

心理「傍にいてほしいの?」

垣根「あぁ、傍にいてほしい」

心理「・・・隣にいてほしいの?」

垣根「あぁ、隣にいてほしい」

心理「・・・私に?それとも誰かに?」

垣根「お前に」

心理「・・・私が・・・好きだから?」

垣根「・・・」

違う、と垣根が答える

一瞬、心理定規は不安になった

好きだからではないのか




765 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:21:00.86 XfkHLO6P0 638/823

垣根「お前がいいから」

心理「・・・?」

垣根「・・・好きだからとか、心地いいからとか、温かいからとか、そんな複雑な理由じゃないんだよ」


垣根「俺はお前がいいんだよ、心理定規」

心理「・・・ありがと」



垣根「・・・俺さ、愛情なんて未だによくは分からないんだよな」

心理「私も・・・形がない物なんて、いつまでも分からないままじゃないかしら」

垣根「だよな・・・答えなんて探すほうが間違ってる」

心理「・・・」

垣根「でもさ、お前と探すのは楽しいよ」

心理「私もよ」

垣根「・・・出来たら、俺とずっと探してほしい」

心理「そ、それってプロポーズ?」

垣根「あぁ、プロポーズだ」

心理「・・・じゃあ、ちゃんと目を見て言って」

垣根「・・・」





766 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:21:58.43 XfkHLO6P0 639/823

手を放し、垣根が一歩先に進んでから振り返る

彼の真剣な顔は、心理定規さえ見とれてしまうほどに美しい



垣根「俺と、愛の答えを探し続けてくれ」

心理「・・・はい」



垣根「・・・婚約指輪はもう買ってるからな、予約はOKだ」

心理「・・・戸籍は私達なら作れるわね」

垣根「学園都市に作ってもらうのがいいかもな、外には俺達のデータなんて渡せないだろうし」

心理「あら、そしたら私とあなたはまだ結婚なんて出来ない歳ね」

垣根「だな」

心理「残念?」

垣根「まさか」

その間も一緒にいるんだから、と垣根が笑う

心理「・・・ねぇ垣根」

垣根「手、繋ぎたいのか?」

心理「・・・ううん、そうじゃなくて」



心理「ずっと、隣を歩いてもいいかしら」

垣根「あぁ」



綺麗な星空だな


垣根は、心理定規は

そう思っていた


767 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:22:34.59 XfkHLO6P0 640/823





上条「…夏休みも佳境ですね」

吹寄「まだ8月1日じゃない」

土御門「そうですよカミやん、こんな時期に宿題云々なんて話は抜きですたい」

上条「・・・でさ、なんで俺はこんな所に呼ばれたわけ」

上条がいるのは彼が通う学校

そのとある教室だった

いわゆる「調理室」と呼ばれるその部屋は、様々な調味料や皿が置かれている

姫神「夏休みの宿題」

上条「あぁもう!さっきの土御門の話聞いてなかったのかよ!?」

青ピ「何を言ってんカミやんったら・・・家庭科の宿題の中に自由選択あったやろ?」

上条「・・・あー、たしか裁縫、調理、郷土について研究の内一つを選べってヤツだったかな」

吹寄「協力してもいいみたいだったから、この際みんなでやろうと思って」

青ピ「カメラもちゃんと用意してるんやで!」

上条「・・・何用のカメラ?」

青ピ「もちろん、写真を撮るためやって・・・出来た料理、作る風景・・・」

土御門「まさにメモリアルですにゃー」

姫神「私。写真でオートフォーカスが働いてくれない」





768 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:23:02.68 XfkHLO6P0 641/823

上条「・・・分かったよ・・・で?何を作るんだ」

吹寄「ここは簡単に・・・」

青ピ「野菜炒めなんてどうやろ」

上条「炒めるだけじゃねぇか・・・なぁ、せっかくなんだしもうちょっと評価が上がりそうな物作ろうぜ」

土御門「うっわぁ、この期に及んでまだそんなことを」

青ピ「女子からの評価なんてカミやんには必要ないやんか」

上条「いやいや!教師からの・・・」

一同「だったら尚更、今更だよ」

上条「」





美琴「・・・当麻、ちょっと用事があるって言ってたのに・・・」

一方の美琴は、上条の通う学校の校門付近に突っ立っていた

上条は「多分お説教ですから待ってて下さい」とだけ言っていたが

かれこれ20分

美琴「・・・お説教ってそんなに長いかしら」

彼女なりに可愛い服を選び、デートに行こうと張り切っていたのに

美琴「・・・ま、まさか中で階段から落ちて頭を打って記憶が無くなったりしてないわよね!?」





769 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:23:29.77 XfkHLO6P0 642/823

有り得ない、と言いたいところだが不幸というのは恐ろしいものだ

美琴「・・・行くしかない!」

美琴は駆け出す

まさか、上条が今エプロンを装備しているとは夢にも思わず



上条「結果・・・まさかのオムライスですよ」

姫神「・・・なんか。地味」

吹寄「仕方ないでしょ、調理室で出来る物なんて限られてるんだから」

土御門「じゃ、材料誰が買ってくるか決めようぜぃ」

青ピ「じゃんけんがえぇかな?」

吹寄「・・・待って、それじゃ上条が負けるわ」

上条「いや、だったらなんだよ」

吹寄「貴様にお金を渡すと、無条件で全部なくなりそう」

上条「う・・・否定出来ないのが悲しい事実ですよ!」

土御門「だったら吹寄に任せますたい」

青ピ「そうやな、吹寄やったらしっかりしてるし」

吹寄「はぁ・・・何人分買ってくる?」





770 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:23:55.71 XfkHLO6P0 643/823

上条「ここにいる人数だけでいいだろ」

吹寄「じゃ、行ってくる・・・後でちゃんと料金払ってよね」

姫神「気をつけて」





美琴「・・・階段にはいなかった」

上条を捜索し始めて早10分

一通り階段は見て回った

美琴(・・・教室で説教されたとしても・・・さすがに今の時間まで説教はない)

美琴(・・・説教された後、当麻が行きそうなのは・・・)

パッ、と目に飛び込んだのは男子トイレ

ちょっと美琴とのデート前に用を足して・・・なんて彼らしい考えではある





美琴(だ、男子トイレに入れなんてどんな羞恥プレイよ!?)

その前まで来たはいいものの、彼女は入ることは出来ない

なんか後から誰かに見つかっても、水に流して済む話ではなくなりそうだ

プライドがそこに入るな、と手を引っ張る




771 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 17:24:31.67 XfkHLO6P0 644/823


美琴「はぁ・・・でも誰もいないみたいだし・・・となると」



垣根「あっれ、ミコっちゃんじゃんか」

美琴「・・・その呼び方やめて、あとなんで垣根が・・・」

心理「あら、あなたも何か用・・・って私服」

美琴「心理定規・・・アンタ、制服姿だと破壊力抜群ね」

心理「ありがとう」

美琴「・・・二人とも制服ってことは、学校に提出物か何か?」

垣根「離婚届けをな」

美琴「結婚すらしてないじゃない」

心理「学校に持ってきてどうするのよ」

垣根「いーね!ステレオで聞こえてくるツッコミの嵐、やっぱいーね!」

心理「・・・美琴はどうせ上条君でしょ」

美琴「うん、説教されるからって学校に入ったのに帰ってこなくて」

垣根「保健室で性教育でも受けてるんじゃねぇの」

美琴「そ、そんなわけないでしょ!!」



773 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/23 23:34:42.03 XfkHLO6P0 645/823


垣根「…じゃあ、どこにいるって言うんだよ」

美琴「…それは…」

心理「というか、本当にお説教なの?」

美琴「あ、そういえばそうね」

垣根「ほーら、やっぱり性教育だ」

美琴「違うわよ!」

垣根「ミコっちゃん、俺と性教育しない?」

心理「となると…教室かしらね」

美琴「うーん…どうだろ?」

心理「ちょうど私も教室に用事あるし、一緒に行かない?」

美琴「いいの?」

心理「えぇ、一人で行っても面白くないから」

美琴「ありがと、心理定規大好き!」

心理「…なに言ってるのよ、さっさと行くわよ」

美琴「うん!!」




垣根「…」

垣根「…」

垣根「ウサギは寂しいと死んじゃうんだよぉ…」グスン


775 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 00:05:10.49 fs6gkXt80 646/823


上条「おかえり!」

吹寄「…卵とタマネギと肉とジャガイモと…」

姫神「…マヨネーズを卵に混ぜると。ふんわりする」

青ピ「さ、早速作ってちゃっちゃと終わらせようや!!」

土御門「あーあ、早く帰って舞夏に肩揉んでほしいぜぃ…」

上条「お前さぁ…舞夏に手、出してないだろうな」

土御門「にゃにー!人の妹を呼び捨てにするんじゃねー!」

青ピ「せやからつっちー、つっちーの妹は誰にでもお兄ちゃんって言って上目遣いをする女子なんやで?」

土御門「んなわけないぜぃ!!」

吹寄「…姫神、馬鹿は無視してさっさとオムライス作りましょう」

姫神「了解」

女二人がエプロンを身に着け、ぎゅっと三角巾を締める

上条「…なんか、似合うな」

吹寄「?なにが?」

上条「いや、出来るお嫁さんっぽい」

吹寄姫神「!?」カァッ

土御門青ピ(この誑しが…)





美琴「!!!当麻が浮気してる予感!!」ピピッ

心理「…何よそのセンサー」

垣根「…ウサギは寂しいと死んじゃうんだよぉ…」グスン


776 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 10:25:59.62 fs6gkXt80 647/823



吹寄「・・・にしても、貴様達はやる気あるの?」

エプロンも三角巾も持ってきていない三人を見て、吹寄が呆れる

土御門「にゃー、やる気満々ですたいー」

青ピ「わー、調理は楽しいなぁー」

姫神「吹寄。上条君は調理だって知らなかったから仕方ない」

上条「そ、そうだよな・・・」

吹寄「・・・まぁ、それはたしかに仕方ないわね」

土御門「にゃー!ずるいずるい!」

青ピ「カミやんはこれやから!」

上条「仕方ないんだよ!」

吹寄「はい、それよりちゃんと手伝って・・・青髪はしっかり写真撮って」

青ピ「任せてぇな」

土御門「・・・オムライスだけでいいのかにゃー」

上条「いいんじゃないか?調理なんだし」

姫神「・・・早く作ろう」





777 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 10:26:27.21 fs6gkXt80 648/823



垣根「・・・夏休みの学校ってなんか寂しいよな」

心理「そうね・・・いつもの騒がしい風景が懐かしく感じるわ」

美琴「・・・えっと、当麻の教室ってここだっけ」

垣根「あぁ」

ガラガラ、と垣根がドアを開ける

鍵を閉めていないのは無用心な気もするが、一応自習に来る生徒のために解放しているらしい

心理「・・・静か」

垣根「蝉の鳴き声が目立つな」

自分の机の中を覗き、垣根がノートを取り出す

垣根「あったあった・・・これがないと宿題出来ないんだよな」

心理「あなたね・・・終業式をサボるって有り得ないわよ」

垣根「俺には常識が通用しないんだよ」

ケラケラ、と笑いながら垣根がノートを開く

垣根「ワーオ、真っ白」

美琴「・・・アンタ、真面目に授業受けてなかったの?」

垣根「低レベルすぎてやる気起きなかったんだよ」




778 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 10:26:55.68 fs6gkXt80 649/823

心理「・・・あった、私もノート忘れてたのよね」

机の中から、心理定規もノートを取り出す

そちらはしっかり授業の内容をノートにとっていた

美琴「・・・なんかさ、アンタ達ってバランスいいカップルよね」

垣根「なんだよいきなり」

美琴「優等生と、なんか・・・チャラいヤツみたいな」

心理「あら、垣根の悪口はやめてもらえない?」

垣根「・・・まぁ、用は済んだし後は上条を探すだけだな」

美琴「・・・よりによって携帯は電源切ってるし」

心理「・・・仕方ないわね」

垣根「はぁ?なんか方法あるのかよ」

心理「消去法よ・・・まず教室にいなかったということは、彼は宿題を取りに来たわけではなかった」

垣根「・・・説教でもないだろうな、さっき俺達は職員室に行ったが上条はいなかったから」

美琴「・・・トイレにもいなかったみたいだし、校門付近にも姿は見えない」

垣根「・・・体育館にも用事はない・・・」

心理「・・・となると・・・」

垣根「なぁ、上条は説教って言ってたんだよな」





779 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 10:27:30.40 fs6gkXt80 650/823

美琴「一応ね・・・でも本人も多分、って言ってた」

垣根「ならヤツは先生から連絡を受けたんじゃないな、だったら説教だって断言するはずだ」

心理「・・・悪友、土御門君と青髪君から連絡があった可能性がほとんどね」

垣根「・・・なるほど、恐らく合同での宿題をやっていると考えられる」

美琴「わ、私に伝えずに?」

垣根「忘れてんだろ」

美琴「・・・あの馬鹿・・・」

ビキビキ、と美琴の額に青筋が走る

心理「・・・合同の宿題で、学校で出来るものは一つ」

美琴「…」ゴクリ




垣根「家庭科だな」




上条「出来た!」

青ピ「完成品の写真も撮ったし・・・」

姫神「じゃあ食べる?」

土御門「ちょうど昼飯にもいい時間帯だしにゃー」




780 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 10:27:58.06 fs6gkXt80 651/823

吹寄「・・・じゃ、いただきます」

四人「いただきます・・・」



美琴「当麻ぁぁぁぁ!」

上条「ひぃっ!?」

バァン!と勢いよくドアが開かれた

般若のような表情の美琴が上条に詰め寄る

上条「わ、忘れてた・・・」

美琴「やっぱり!アンタ、人をデートに誘っといてなによそれ!?」


姫神「いきなり修羅場」

土御門「この勢いで別れたら笑えますたい」

吹寄「・・・というか、デートついでに学校に来るって・・・」

青ピ「なんかカミやんらしいわぁ」




781 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 10:28:30.10 fs6gkXt80 652/823



垣根「おぉ!?いい匂いがする!」

吹寄「!?か、垣根も来てたの!?」

心理「あらホント・・・調理を選んだのね」

青ピ「心理定規ちゃんやんかぁ!」

心理「しばらくね・・・オムライス?」

姫神「・・・そう」

上条「ほ、ほら!美琴にも半分やるから・・・」

美琴「それで私の怒りが収まるとでも思ってんの!?」

上条「じゃ、じゃあ急いで食べるから説教は後に・・・」

美琴「いただきます!」

上条「結局食べるんじゃねぇか!」



美琴「・・・で、宿題をするために私に連絡も取らなかった、と」

上条「・・・反省してます」

吹寄「・・・御坂さん、私達にも非はあるから・・・」




782 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 10:29:01.12 fs6gkXt80 653/823

美琴「いえ・・・当麻が連絡してくれれば全部済んだ話です」

上条「な、なんて厳しいんだ!」

土御門「・・・まぁ、もう調理も終わったわけだしカミやんに用はないけどにゃー」

青ピ「ほんならここらで解散ということで」

上条「あ、あぁ」

垣根「俺達も宿題しないとな・・・」

心理「そうね、さっさと帰りましょう」

上条「・・・」

美琴「じゃあ当麻、デートでくらいはしっかり楽しませなさいよね」

上条「あ、あぁ・・・」


あれ?と上条が首を捻る


上条「まさか、オチなし?」

一同「ねーよ」



783 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 11:01:15.65 fs6gkXt80 654/823



上条「…うーん…なんかぱっとしないよな」

美琴「ぱっとしないわよね…」

上条「…」

二人は、大手家具量販店に来ていた

きっかけは、ある美琴の一言


「当麻の部屋って、なんか殺風景」



上条(…好きで殺風景にしてるんじゃないんだよなぁ…)

だがしかし、確かに彼女も出来た以上部屋にも気を遣いたかった

付き合い始めて大分してから、こんなことを考えるのもおかしいだろうが

美琴「…でさ、アンタの部屋には何が置けそう?」

上条「…狭い部屋だからなぁ…そんなに大きい家具は勘弁してくれ」

美琴「…ちょっとした棚とかは?」

上条「本棚あるし」

美琴「…机は?アンタ、いっつも小さいテーブルで勉強してるし」

上条「…でもさ、出来てるし」

美琴「…ソファーとかは?」

上条「?フカフカしてるのがいいならベッドがあるし…」

美琴(ダメだこりゃ)


784 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 11:06:04.81 fs6gkXt80 655/823

上条「…美琴はどう思う?俺の部屋に似合いそうな家具」

美琴「…こんなのは?」

美琴が指差したのは、小さな収納ボックスだ

下は普通の棚に、上は観音開き風になっている

上条「…でも、これ買っても直すものがあんまりないんだよな…」

美琴「…それもそうね」

上条「…そうだ、どうせだしこの際、二人お揃いの何か買わないか?」

美琴「…じゃ、じゃあこれがいい!!」

次に美琴が指差したのは、小さな座椅子だった

上条「…なんで?」

美琴「アンタの部屋ってさ、カーペットないしフローリングで冷たいし…夏はいいけど、冬とかきついから」

上条「…ま、まぁこれくらいなら入るかな」

美琴「…じゃ、これに決まり!」

座椅子を二つ持ち、レジへと持っていく

大きい物のため寮の部屋にまで宅配便で送ってもらうことにした

上条「よーし、じゃあこれで買い物も終わり…」

美琴「待った!」

上条「?」

美琴「せっかくだから、服も見たい!!」

上条「…いや、ここ家具…」

美琴「だからショッピングモールに行くの!!」

上条(えぇ…)



785 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 11:10:02.33 fs6gkXt80 656/823


女の子って本当に買い物が好きだな

上条は呆れていた

美琴「んー…やっぱりこっちのワンピースも捨てがたい…」

上条「…あの、美琴にならどっちも似合いそうだけど…」

美琴「そ、そう?」

上条「あぁ…だから、両方買っちゃえば…」

美琴「?これ結構高いわよ?」

上条「う…ま、まぁいいですよ…」

美琴「あー!!でもあっちのも可愛い!!」

上条「ちょ、ちょっと!?」

ダダダッ、と駆けていく美琴

それを呆然と見る上条

上条「…なんで女の子はこうもいろんな種類のを見たがるんだろ…」

今日はワンピースが買いたい、とか今日はスニーカーを買いたい、とか決めればいいものを

「あ、あっちのも可愛い!」とか「これに合う服も買いたい!!」とか言い出す始末だ

上条にはそれが分からない

上条(…必要最低限のだけ買えばいいのに…)

美琴「当麻、来て来て!!!」

上条「はいはい…」



786 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 11:25:35.34 fs6gkXt80 657/823

美琴「見て、これはどうかな!?」ニコニコ

上条「…」ゴクリ

美琴「?当麻?」

上条「ん?あ、あぁ!!いいんじゃないかな!?」

ここで似合ってないからさっきのだけでいいだろ、とか言えればいいのだろう

しかし美琴が着たら本当に可愛くて仕方ないのだ

上条「…でもさ、あんまり買いすぎたらお金が…」

美琴「う…じ、自分で買うから!ね?」

上条「買い物に付き合わされる身にもなってくれよ…」ハァ

美琴「…いや…?」ウルウル

上条「いやいや!!そうじゃなくて、ただ女の子の買い物はちょーっとだけ長いかなぁってさ!!」

美琴「…当麻と、買い物したかったの…」シュン

上条(おぉわぁ!?なんかこれは美琴のペースだ、ここは一発がつんと言ってやらなきゃ!!)



上条「じゃあ、もう少し買い物しましょうか」



上条(俺は何を言ってるんだぁぁぁぁ!?)

美琴「やったぁ!!」キラキラ

上条(…まぁ…この笑顔が見られたからよしとしましょうかね…)



787 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 11:29:44.67 fs6gkXt80 658/823



やっぱよくねぇ

上条はそっとため息をついた

あれから一時間、あれから一時間

あんなに楽しかったデートは一変、ただの買い物へと変わった


というわけではないが、あまりにも美琴は色々なものに興味を持ちすぎている

美琴「あ、この短パンも可愛い!!」

上条「…あの、短パンだけってのはやめてくれよな」

美琴「?」

上条(…人様に太もも晒してほしくないんだよなぁ)

美琴「それはそうと、アンタは服…買わないの?」

上条「俺はいいよ、サイズ合ってるのまだたくさんあるし」

美琴「…アンタ…オシャレという言葉を知らないの!?」

上条「…美琴センセーの子供っぽいセンスには敵いませんよ」

美琴「わ、若々しいって言ってよ!!」

上条「…ところでさ、いつになったらこの女性服コーナーから上条さんは脱出できるのでしょうか」

美琴「うーん…でもこの短パンだと中々他の服と合わせにくいし…あ、あっちのスカートなら合いそう!!!」

上条(もうダメかもしんない)


788 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 21:00:27.21 fs6gkXt80 659/823


美琴「…やっぱり、簡単にはいいのが見つからないわね…」ウーン

上条「あ、いや…今ので似合ってましたよ?」

美琴「そうじゃなくて…さっきの短パンに合うのがほしいのよね…」

上条「…に、似合ってたんだから買えばいいのに…」

美琴「…なによその言い方」

上条「あ、いや…」

美琴「はぁ…女の子にとって買い物ってのはね、本当に面白いものなのよ!」

上条「分かってるけどさぁ…なんか買いたいものだけ買うのがいいじゃんか…」

美琴「…じゃあ、アンタが選んでよ。そしたら文句言わないから」

上条「俺が?」

首を捻った上条が、不思議そうに問いかける

美琴「彼氏に服を選んでもらう以上の買い物の楽しみなんてないの、はい選んだ選んだ!!」

上条(…と、言いましても)

上条には特別ファッションセンスがあるわけではない

美琴に似合う服ならなんとなく分かるが、短パンに合わせるとなると話は別だ

上条(し、慎重に選べ…)



789 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 21:03:16.26 fs6gkXt80 660/823

短パンはいつも通り白かったが、若干裾が長かったようだ

つまり、いつもより長いスカートやワンピースでないといけない

上条(…というか、ショートパンツを買うという選択肢はないのだろうか)

尤もな意見だが、今それを言ったら怒られそうな気がするのでやめておく

上条「…あ」

上条が見つけたのは赤いワンピース

ちょっとセクシーなものだ

上条「これがいいな」

美琴「…な、なんかちょっと派手じゃない?」

上条「そうか?美琴に似合いそうだけど…」

美琴「…じゃ、これにする」

顔を少し赤らめながら、美琴がワンピースを手に取る


美琴「…なんか、安いわね」

上条「ね、値段で選んだんじゃないって!!」

美琴「そうじゃなくて…アンタ、自然と安いものを選んじゃう体質?」

上条「それはいやだ…」



790 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/24 21:17:15.35 fs6gkXt80 661/823


美琴「…さて、じゃあ」

上条(か、帰るか!?)

美琴「靴、見ない?」

上条「…はい?」

美琴「最近スニーカーにも飽きてきたし…心理定規みたいに、ブーツとか着こなしてみたいのよね」

上条「あの、美琴さん」

美琴「ん、なに?」

上条「…今日は、家具を見るっていう理由で外に来たのでは…」

美琴「うん、でも靴も買いたい」

上条「…」



上条「いやいや!!おかしいおかしい、なんかおかしくないですかそれ!?」

美琴「?なにが?」

上条「俺は家具を買うつもりだけでここに来たんだ、靴まで買うキャパを持ち合わせてはいない!!!」

美琴「…そっか、当麻に選んでほしかったんだけど…」シュン

上条「さて、ブーツがいいんだっけ」

美琴「うん!」



美琴(してやったり)ニヤリ


792 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/25 11:57:45.54 cSSPqhf00 662/823


上条「…で、まだ探すのか…」

美琴「…ブーツってさ、ブラウン系かブラック系がいいわよね…」

上条(…そ、そうなのか?)

美琴「…でもやっぱり私はホワイトが好きだなぁ…」

上条「美琴が好きなのを選んだらいいじゃないか」

美琴「…でも中々ないし…」

上条「…」

女の子のファッションって難しいな、と上条は思う

女性はスカートにするか、ズボンにするか、という選択肢から始まる

キャミソールとタンクトップは違う、というしブーツにしても全くデザインが異なる物が多い

男なら「まぁ大体これで」という感じで決めてもいいのだろうが

上条「…美琴はどういうのが好みなんだっけ」

美琴「…本当はスニーカーとかローファーみたいなのがいいんだけど…当麻はやっぱりブーツ履いてる女の子とか好きじゃない?」

上条「え、俺?」

美琴「うん」

上条「あの…なんでそんなことを?」



793 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/25 12:44:11.89 cSSPqhf00 663/823

美琴「…だってさ、昨日、当麻が持ってたエロ本に…」

上条「エロ本!?」

上条が素っ頓狂な声を上げる

美琴「…ベッドの下にあったエロ本、女の子がブーツ履いてたし…」

上条「…?ベッドの下?」

あぁそういえば、と上条が頷く

上条「あれ、青髪から預かったやつだけど」

美琴「…は?」

上条「あいつ、今日土御門と吹寄と姫神を部屋に呼んで遊ぶ予定らしくてさ…」

美琴「な、なんだ…」

上条「むしろ俺はスニーカー履いてる元気な女の子とかが好みですよ」

美琴「ホント!?」

上条「あぁ、ホント」

美琴「よかった♪」

上条「なんか嬉しそうですね…」

美琴「じゃあ、今日はスニーカーだけ買うね!!」

上条(あ、結局買うのか)



794 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/25 12:52:21.96 cSSPqhf00 664/823


美琴「…そうだ、当麻は何か買いたい物とかなかったの?」

上条「…そうだな…デートってだけしか決めてなかったし…」

美琴「なんか買いなさいって、もったいないわよ?」

上条「…じゃあ、服でも買うかな…」

美琴「うん!!あっちに…」



御坂妹「おや、お姉様ではないですか」

美琴「?あ、アンタ…」

上条「あれ、御坂妹じゃないか…」

御坂妹「あなたもいたのですか…ということはデートですね」

美琴「そうだけど…なんでアンタがこんなところにいるのよ」

美琴が少し不思議そうに尋ねる

ここはショッピングモールだ、普段はあまり妹達が来るような場所ではない

テクパトルが一緒なら話は別だが、彼女は今一人のようだ

美琴「…買い物でもしに来たの?」

御坂妹「いえ、一日バイトです」

上条「一日バイト…?そういやなんか持ってるな」

御坂妹「某会社の宣伝用ポケットティッシュです」


795 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/25 13:00:39.10 cSSPqhf00 665/823

美琴「…でもなんでそんなこと?」

御坂妹「テっくんと19090号が結婚しましたから、みんなでお祝いの品を贈ろうとおもいまして」

上条「へぇ、偉いな…」

御坂妹「さ、お二人も受け取ってください」

上条「あ、あぁ…」

10032号からポケットティッシュを受け取る

「エネルギーとやる気を補充するにはこれ一本、赤い牡牛の力を受けろ、レッドブル!!」という文字が書かれている

上条「…なんか、あからさまな宣伝だな…」

御坂妹「…それより、これもそろそろ配り終えますから、お二人と一緒に回ってもいいですか?」

美琴「え!?」

上条「な、なんで?」

御坂妹「テっくんと19090号への贈り物を選んでほしいのです」

上条(…えぇ…)

美琴「で、でもほら!!私達今デートだし…」

御坂妹「あ、レッドブルをよろしくお願いしまーす」

上条「聞いちゃいねー!!!」

御坂妹「それで?いいんですよね」

美琴「よかないわよ!」

御坂妹「さて、配り終えましたし行きましょうか」

上条(このマイペースさは懐かしいぞ…)


796 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/25 13:12:31.47 cSSPqhf00 666/823



美琴(…なんでこの子がついてくるのよ…)

御坂妹「おや、なぜかお姉様が不機嫌ですね」ケロッ

上条「…そりゃデート邪魔されたんだから…」

御坂妹「ほほう、嫉妬するお姉様は中々かわいらしいですね」

美琴「そんなんじゃないわよ!」

御坂妹「おや、これでもそんなことを言えますか」

ぎゅっ、と10032号が上条の腕に抱きつく

上条「ちょ、ちょっと!?」

御坂妹「ほらほらお姉様、いいのですか?」ニヤニヤ

美琴「あ…アンタねぇ!!!」

御坂妹「素直に、この少年と二人でデートしたいと言えばいいじゃないですか」

美琴「そ、そうよ!!私は当麻と二人でデートがしたいの!!」

上条「…」


上条(あれ、でもこのまま御坂妹がついてきてくれたら、美琴も長々買い物はしない…)

上条(…もしかして、そっちのほうがよくないか?)


美琴「ねぇ、当麻も…」

上条「ま、テクパトルの結婚は俺も祝いたいし…今日だけだからな」

御坂妹「はい」

美琴「えぇぇぇぇぇぇ!?」


797 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/25 13:43:44.71 cSSPqhf00 667/823


美琴「…なによ、私が色々目移りするからって…」

上条「まぁまぁ…テクパトルと19090号の結婚は祝いたいだろ?」

美琴「祝いたいけど…」

御坂妹「テっくんには浮気の時間という物を与えてはいけませんからね…」

上条「いや、あいつは19090号にぞっこんだろ」

御坂妹「そうですが、念のためです」

10032号が腕時計を手に取る

御坂妹「これで常に時間を気にしていてもらいましょう」

美琴「…いい考えだとは思うけど…テクパトルはもう持ってるんじゃない?」

御坂妹「…そうでした、これはだめですね」

上条(…テクパトルなら、妹達の贈り物は喜んで受け取りそうだけどなぁ…)

御坂妹「…では、こちらはどうでしょうか」

美琴「?メモ帳?」

上条「でもそれって、使い切るとおしまいだよな…」

御坂妹「…では観賞用として使ってもらいましょうか…」

美琴「それじゃ意味ないじゃない」

御坂妹「…では、何を贈ればいいのでしょうか…」


801 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/27 21:32:40.70 2mopSb9y0 668/823

上条「・・・やっぱり残るもので、なおかつ毎日使うような物がいいかな」

御坂妹「となると・・・」

美琴「テクパトルって筋トレが趣味だったわよね」

御坂妹「?はい」

上条「でもタオルなんて持ってるだろうし・・・」

美琴「・・・違う違う、ってことは音楽とか聴きながらやるんじゃない?」

御坂妹「たしかジムにも音楽は掛かっていた気がします」

美琴「だったら携帯音楽プレーヤーは?」

上条「あ、それいいじゃないか!」

御坂妹「?」

美琴「ほら、毎日通勤の間にも聞けるだろうし・・・あれって名前を彫れるサービスもあるでしょ?」

上条「そうそう、筋トレの間に自分の好きな曲だけ聴けるしさ」

御坂妹「なるほど・・・ですがそんなものでいいのでしょうか」

美琴「腕時計と違ってテクパトルは持ってないんじゃない?」

御坂妹「・・・」

10032号が考えるような仕草を見せる



802 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/27 21:33:06.52 2mopSb9y0 669/823

御坂妹「・・・たしかに、中々名案かもしれませんね」

美琴「でしょ?」

御坂妹「では、買いに行きましょう」

上条「たしかこのショッピングモールに家電量販店はあったな」

美琴「善は急げよ、早く早く!」



上条(・・・ど、どうしよう!?)

美琴(知らないわよ!)

御坂妹(あなたの不幸がうつったんじゃないでしょうか)

上条(俺のせい!?)

三人は慌てていた

ショッピングモールの中にある家電量販店に入ったら


テクパトル「・・・やっぱり食器洗浄機と空気清浄機は欠かせないよな・・・」

19090「・・・美月としては掃除機も新しいのが欲しいですね・・・」


プレゼントを贈る本人がいたのだ





803 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/27 21:33:32.21 2mopSb9y0 670/823



御坂妹(・・・19090号がここにいる分には構わないんですよ)

上条(な、なんで?)

御坂妹(ミサカがプレゼントを贈るのはテっくんですから)

美琴(それぞれ担当があるのね・・・)

御坂妹(ですが・・・)


テクパトル「ん?なんだ、上条に義姉さん・・・10032号まで」

上条「お、おう!たまたまデート中に御坂妹に会ってさ!」

美琴「そ、そうなのよ!二人きりでデートしたかったんだけどさぁ!」

テクパトル「・・・お前、あんまり二人の邪魔はするなよ?」

御坂妹「してません」

19090「・・・それで、なぜ家電量販店に?」

上条(うぉっ!?ま、まずい核心をつく質問だ!)

美琴「わ、私達がちょっと家電を見たくて、ついでにこの子にも付き合ってもらおうかなって!」

テクパトル「?義姉さんの部屋はそういうの勝手に持ち込んだらダメじゃないのか」

美琴「と、当麻の部屋よ!」




804 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/27 21:34:01.44 2mopSb9y0 671/823

テクパトル「あの狭い部屋に置けるのか、家電」

美琴(あぁぁぁ!これだから鋭いヤツは嫌いなのよ!)

上条「ち、違う違う!家電って言っても小さい空気清浄機のことだって!」

19090「あ、お義兄様も空気が気になるタイプなんですか?」

上条「ま、まぁな」

美琴(当麻、ナイスフォローよ!)

テクパトル「・・・ふーん」

上条(明らかに疑ってるよぉ!)

御坂妹「テっくん達は何を?」

テクパトル「まぁ色々新調・・・っていうよりは追加で購入したくてさ」

上条「・・・いいよな、お前・・・」

テクパトル「上条も買えばいいんだよ」

上条「・・・新調出来る金がないんだよ」

美琴「・・・じゃ、じゃあ私達は二人の邪魔は出来ないから・・・」

テクパトル「空気清浄機はこっちだぞ」

美琴「あ、あぁ!そうね!」



805 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/27 21:34:29.73 2mopSb9y0 672/823

美琴(きーっ!私達はアンタのためにオーディオプレーヤー見なきゃいけないのに!)

テクパトル「・・・ま、俺達は俺達で見るから気にしないでくれよ」

上条「あぁ」


御坂妹「・・・どうしましょうか」

上条「・・・まさかテクパトルがいるなんて思わなかった」

美琴「・・・このままじゃ買えないわよ・・・」

上条「・・・どうしよう」

御坂妹「・・・やっぱり、別の物を買います」

少し残念そうな10032号

上条「・・・?そういえば、今テクパトルは空気清浄機が欲しいみたいだったな」

美琴「うん、アンタも空気清浄機を買いに来たって言っちゃった・・・」


上条美琴「空気清浄機を贈るってのは!?」

御坂妹「え、あ、いいんじゃないですか?」

美琴「それだったら私達もさりげなく探せるし!」

上条「よし、ならそっちにプラン変更!」



806 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/27 21:35:00.07 2mopSb9y0 673/823

テクパトル「うーん・・・?どうした上条」

上条「いや、ちょっと聞きたいことがあって」

テクパトルに近づいた上条が、少し大胆な質問をする

上条「お前だったらどの空気清浄機が買いたい?」

テクパトル「はぁ?」

上条「い、いや・・・お前達ってしっかり考えて来てそうだからさ、意見を参考にしたくて」

テクパトル「あぁ、そういうことか・・・加湿器の付いてるタイプで、マイナスイオンが出るヤツがミサカ達は喜びそうだな」

19090「・・・やっぱり、みんなのことを考えていてくれるんですね」

テクパトル「当たり前だろ、俺達の家族なんだから」

19090(あぁ・・・カッコイイですよテっくん・・・)

上条「じゃあお前ならこれが欲しいのか・・・」

テクパトル「あぁ、だがお前にはあんまりオススメじゃないな・・・ちょっとばかりサイズがでかいから」

上条「あはは、やっぱり俺の狭い部屋には向かないよな・・・」

テクパトル「あっちのはマイナスイオン機能は付いてないが、コンパクトでいいんじゃないか?」

上条「あぁ、サンキュー」



美琴「さすが当麻!かなり自然だったじゃない!」

御坂妹「見直しました、あれだけの演技力なら浮気を隠し通せますね」

上条「嫌な褒め方はしないでくれよ・・・で、あれが欲しいみたいだぞ」

上条がテクパトルの言っていた空気清浄機を指差す

御坂妹「ほう・・・中々高い物を欲しがるんですね」

上条「家電はちょっと高くてもいいやつが便利だからな」



807 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/28 09:45:20.73 6qKil3nU0 674/823

美琴「・・・そう考えたら、テクパトルもちゃんと考えてるのね」

上条「そりゃ高い買い物になるからな」

御坂妹「・・・しかしテっくん、空気清浄機なんてどうして欲しいんでしょう」

上条「体のためじゃないか?それよりあれ、買うんだろ」

御坂妹「・・・もちろん、テっくんが店から出たら買いますよ」


テクパトル「・・・はぁ、やっぱりしっかり考えてから買うか」

19090「急ぐことはないですよ、ゆっくり揃えていきましょう?」

テクパトル「子供が出来るまでには色々揃えたいよな・・・」

19090「こ、子供・・・」

顔を真っ赤にしながら、19090号がテクパトルの手を引く

19090「と、とにかく今日は一旦帰って策を練りましょう!」

テクパトル「あ、あぁ」



上条「よし、帰ったみたいだ!」

美琴「・・・これね、50000円くらいかぁ・・・」

御坂妹「・・・高いですよね」




808 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/28 09:45:50.56 6qKil3nU0 675/823

10032号が一日で稼げたのは10000円程度だ

明らかに予算が足りない

美琴「・・・私もちょっと出そうか?お祝いなら一緒に・・・」

御坂妹「・・・申し訳ありませんが、お断りします」

上条「お、おい・・・あんまり意地張るなよ、テクパトルにこれを贈ってやりたいんだろ?」

御坂妹「・・・たしかにつまらない意地なのかもしれません」

美琴「・・・」

御坂妹「ですが・・・ミサカが一人でしっかりお金を稼いで、テっくんにお返しがしたいんです」

上条「お前・・・」

御坂妹「今までテっくんにしてもらったことに比べたら、非常に微々たるものです」

ですが、と10032号が苦笑を浮かべる

御坂妹「・・・それでもミサカは、自分だけの手でこれをテっくんに贈りたいんです」

美琴「分かったわ・・・アンタがそこまで言うなら」

上条「・・・でもどうするんだ?まだ金が・・・」

御坂妹「・・・一週間みっちり働けば、どうにか稼げる額です」




809 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/28 09:46:18.42 6qKil3nU0 676/823

美琴「そんな簡単にバイト・・・見つかるの?」

御坂妹「大丈夫です」

上条「・・・じゃあ頑張ってな、俺達も応援してるよ!」

御坂妹「お二人のデートを邪魔して申し訳ありませんでした、謝罪させていただきます」

美琴「いいわよ、アンタのことも姉として気にかけなきゃいけないから」

御坂妹「ではまた」

ペコリ、とお辞儀をしてから10032号がその場を去る

美琴「全く・・・あの子も随分大人になったわね」

上条「ははは、お前より大人っぽいかもな」

美琴「な、なによそれ!」

上条「まぁまぁ、で?これから俺達はどうしますか」

美琴「決まってるじゃない!」

上条(テクパトルへの贈り物を選ぶ、か)


美琴「今度はゲコ太のグッズを見に行くわよ!」

上条「そういうのが子供っぽいんだよ」



810 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/28 10:12:38.05 6qKil3nU0 677/823


テクパトル(…最近、ミサカ達が何かコソコソと話している)

テクパトルは、紅茶を口にしながらそんなことを考えていた

リビングには、彼とアレイスター、19090号しかいない

普段のテクパトルの休みならば、ミサカ達はリビングに集まって話し込むはずだ

しかし今はそうではない

19090「…なんだか、みんなコソコソしてますね」

テクパトル「…あぁ」

アレイ「気にすることはない、年頃の女性にならよくあることだ」

テクパトル「そうか?」

アレイ「そうだ」

19090「…ですが、なぜかこちらをチラチラ見ながら話していますよ?」

テクパトル「アレイスターの悪口かな」

アレイ「ちょっと待ってくれ」



17600「…ミサカは二人にお揃いのパジャマをプレゼントすることにした」

13577「あ、あなたに似合わず乙女チックな…」

17600「なにを、こういうのが夫婦にはいいんだぞ」

14510「な、なるほど…」

10033「ミサカはまだ決めていません…」



811 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/28 15:44:24.12 6qKil3nU0 678/823

御坂妹「ふふん、ミサカはすでに決めましたよ」

20000「マジ?ミサカも決めないとな…」

10039「…ミサカは、お二人のために遊園地のチケットを買おうかと思っています」

14510「それは中々素敵な案ですね」

12345「ミサカは…イギリスの関係のものをあげたいですね」

11116「イギリス料理とかですか」

19999「そりゃダメなのさ」

17600「…中々みんながかぶらないようにするのは大変だな…」

10398「そうですね…」



テクパトル(…なんか悪巧みでもしてるのか?)

テクパトル(…まさか俺を罠に嵌める…とか)

テクパトル(い、いや!!そんなことはない、こいつらは絶対に…)



20000「とにかく、絶対にテっくんにはバレないようにね」

17600「あぁ、バレたらこの計画はおじゃんだ…」


テクパトル(あぁぁぁこういう不穏なセリフだけはしっかり聞き取っちゃったよぉぉぉぉ!!!)

19090(…ネットワークも上位個体に遮断されてしまってますね…彼女も協力しているとは、中々手ごわいです)

アレイ(プレゼントでも贈るのだろうな)


812 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/28 17:14:23.31 6qKil3nU0 679/823


テクパトル「…あ、そういえば今日ってスーパーがセールだよな」

19090「あ、そうでした!!お肉が安いんですよね!」

17600「じゃあ買いに行ったらどうだ?」

テクパトル「?あ、あぁ」

御坂妹「今日は二人で買い物に行ってください!!!」

20000「そうそう、夫婦だろ!!」

テクパトル「言われなくてもそうするが…なんだお前達、今日に限って怪しいな」

ミサカ一同「」ギクリ


12345「そ、そそそそそそそそんなことありませんよ!!」

11116「な、ななななななななななな何を言ってるんですか!?」

20000「ボ・ボボーボ・ボーボボ!!」

14510「ほ、ほら!!早く行かないとタイムセールが終わりますよ!?」

テクパトル「今日のはタイムセールじゃないんだけどな…」

13577「と、とにかく早く行ってください!!」

17600「今はテっくんがいると困るんだよ」

ミサカ一同(ストレートに言ったぁぁ!!)

テクパトル「そ、そうか…ならそうするよ」

ミサカ一同(従ったぁぁぁ!!!)



テクパトル「…へ、変なこととか企んでないよな?」

ミサカ一同(勘ぐったぁぁぁぁぁ!!!!!!!)


813 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/28 22:35:08.27 6qKil3nU0 680/823


御坂妹「はぁ…どうにか行ってくれましたね」

アレイ「…お前達、プレゼントでも贈るつもりなのか」

17600「よく分かったな、アレイスター」

20000「もう、アレイちゃんったら敏感!!」

アレイ「あんな不自然な振る舞いをしていれば誰でも分かるさ」

10039「じゃ、じゃあテっくんも…」

アレイ「いや、テクパトルはそういうところは割と疎いから大丈夫だろう」

13577「ならいいんですが」

11116「それで、アレイちゃんはどういう風に贈るのがいいと思いますか?」

アレイ「私には分からないさ」

19999「野口英世か!!」

アレイ「?」

19999「あ、なんでもないのさ」

10398「しかし…ミサカ達が一斉にプレゼントを贈ると中々の数になりますね…」

14510「…19090号にもあげなければなりませんし…」

御坂妹「…そうです、みんなで何か手紙でもプレゼント、というのはいかがですか?」

10033「手紙…ですか?」



814 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/28 22:40:15.60 6qKil3nU0 681/823

20000「あ、でもそれなら他のプレゼントの料金は全員で出せばいいことになるね」

17600「ミサカのお揃いパジャマと10032号の言ってた空気清浄器くらいならなんとかなるな」

10039「では、みんなで手紙を書きましょう!!」

御坂妹「そうとなったら、まずは便箋と封筒を買ってこないといけませんね」

アレイ「…そこまで本格的にするものか」

14510「アレイちゃんも書いてくださいね!」

アレイ「な、なぜ私が…」

12345「あなただって家族じゃないですか!」

19999「そうそう、水臭いのさ!!!」

アレイ「むしろ手紙を書く方が水臭い…」

13577「細かいことはいいですから、書きますよ!!」

アレイ(…めんどくさい…)

17600「…空気清浄器とパジャマは明日すぐに買えるし、明日をエックスデーにするか」

御坂妹「おぉ…中々緊張しますね」

14510「…手紙ですか、中々いいですよね!」

アレイ(…手紙、か)

12345「まぁ、お祝いの言葉を書けばいいんですよ」

20000「あと日々の感謝もね」

御坂妹「では、テっくんと19090号へのお祝い作戦!!!」



御坂妹「スタートです!!」

ミサカ一同「おー!!!」

アレイ「…おー…」



817 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 11:12:25.11 YRuMpQ8a0 682/823


御坂妹「さぁ、とうとう来ましたよ…」

20000「今日がセッ○スデーだね」

17600「エックスデーだ」

10039「…みなさん、手紙は書きましたか?」

13577「もちろん」

12345「…英語で書こうかと思ったのですが、テっくんは英語も出来るはずなのでやめました」

14510「なんだかツッコミどころが多いですね、それ」

19999「…アレイちゃんは書けた?」

アレイ「…慣れないことだったがな」

アレイスターが便箋の入った封筒を差し出す

17600「…テっくんと19090号が帰ってくるまでもう少しだ」

10398「都合よく出かけていてくれてよかったですね…」

10033「空気清浄器はしっかり隠しています!」

11116「パジャマも大丈夫です!」

御坂妹「…では、みなさん…クラッカーの準備をしていてください」

ミサカ一同「おー!!」



818 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 11:17:33.37 YRuMpQ8a0 683/823


テクパトル「…はぁ、やっぱり家電も家具も高いよな…」

19090「中々買おうなんて思えませんよね…」

はぁ、と息を吐いてから二人は家の玄関を開ける

テクパトル19090「ただいま…」



ミサカ一同「おかえりなさい!!!」

パンパンパン、とクラッカーが鳴る

そのいきなりの音に、しばし二人は固まった

テクパトル「…な、なんだこりゃ?」

御坂妹「さぁ、入ってください!!!」

テクパトル「な、なんかあったのか?っていうかなんだよ?」

アレイ「ははは…」

テクパトル「あぁお前、その苦笑いは事情を知ってるな!!!」

10039「いちいち細かいことは気にしないでください!!」

14510「そうそう、まずは来てください!!」

19090「な、なんなんですか一体…」

ミサカ達に引っ張られ、二人がリビングに向かう

そこには新品の空気清浄器とパジャマがあった


テクパトル「…あ、あれ?」


819 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 11:21:42.27 YRuMpQ8a0 684/823

17600「ご結婚おめでと、お二人さん」

12345「ミサカ達はまだ二人と暮らして時間は短いですが…おめでとうございます」

テクパトル「な、なんだよこりゃ…お前達が買ってくれたのか?」

御坂妹「はい、バイトをしてお金を貯めました!」

テクパトル「…わざわざそんなことしなくても…」

10033「何を言っているんですか、いつも料理やら洗濯やら、テっくんと19090号にはお世話になっているじゃないですか!」

14510「それを少しでもお返ししたくて…」

10398「テっくんがこの空気清浄器を欲しがってる、と聞きまして」

19090「よ、よく情報を仕入れましたね…」

御坂妹「ですがテっくんがこういうのを欲しがっているなんて…正直意外でしたよ」

テクパトル「あぁ、だって女の子に乾燥とかは大敵だろ?」

空気清浄器を指さしながら、テクパトルが笑う

17600「は?」

テクパトル「?お前達は空気清浄器とか欲しくなかったのか」

10033「い、いえ…あったらたしかに便利ですね」

テクパトル「じゃあよかった」ケラケラ

ミサカ一同(…あなたって人は…)


820 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 11:39:52.95 YRuMpQ8a0 685/823

アレイ「…それより、もう一つプレゼントがあるのだが」

テクパトル「?」

19090「この二つで十分ですよ?」

御坂妹「あ、えっと…」

17600「そう言うなよ、つれないな」

テクパトル「?」

17600号が、全員分の手紙を差し出す

テクパトル「これ…」

17600「一人一人が丹精込めて、二人にお祝いの言葉を書いたんだ…あと感謝の言葉も」

19090「…みなさん…」

17600「どんなプレゼントよりも安上がりだし、どんなプレゼントよりも小さいものだが…どんなプレゼントよりも、ミサカ達があげたかったものだ」

テクパトル「…読んでもいいのか」

御坂妹「も、もちろんです!」

14510「目の前で読まれるのは…中々恥ずかしいですね」

テクパトル「…」

無言で、テクパトルが手紙を開く

19090号は、それをそっと隣から覗き込むようにして読んでいく



821 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 11:51:30.21 YRuMpQ8a0 686/823

「テっくん、19090号へ
 ご結婚おめでとうございます
 お二人の末永い幸せを、ミサカは心の底から祈っています
 テっくん、あなたには今まで色々とお世話になりましたし、これからも甘えるつもりなので覚悟してください
 19090号、テっくんはたまに不安定な時があるので、そういうときはしっかりと支えてあげてください
                                         10032号」

「テっくん、19090号へ
 結婚おめでとう、というよりも羨ましいの一言です
 お二人ほどお似合いで、支えあっているカップルをミサカは知りません
 ですから、きっと今まで見たこともないような素敵な夫婦になることでしょう
 これからは、ミサカもお手伝いをするので、以後ともよろしくお願いします
                                      10033号」

「テっくん、19090号へ
 ハッピーニューイヤー、というのは嘘です
 ご結婚おめでとうございます、お二人と過ごした時間は今のところは一番短いミサカですが
 それでもミサカは、お二人の幸せを嬉しく思っています
 出来れば、イギリスには帰らないでこのままここで暮らしたいと思っています
 その時は、よろしくお願いします
                                      10398号 」
                                      

「テっくん、19090号へ
 末永く爆発しろ、というヤツですね
 お二人には感謝することもありますし、見せつけるなこの野郎、と言いたいことも多いですが
 まぁ、それでも本当に感謝しています
 本当に、おめでとうございます
 これからもよろしくお願いします
                                       10039号」

「テっくん、19090号へ
 いいものを見せてもらっています
 幸せというのは、たとえ他人のものであっても嬉しく感じるものです
 まして、それが大切な家族の物ならばなおさら
 この幸せのお手伝いを、ミサカにもさせてください
 お願いします、そしてこれからもよろしく
                                       11116号」



822 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 11:57:05.13 YRuMpQ8a0 687/823

「テっくん、19090号へ
 これをリア充、と人は呼ぶのでしょうか
 とにかく、お二人は映画の主人公のような恋をしていたのだと思います
 ですから、お二人のエンドロールが流れるまで幸せでいてください
 これからも、よろしくお願いします
                                 12345号」

「テっくん、19090号へ
 幸せなお二人を見ていると、これがミサカにとっても理想の夫婦なのだと思いました
 お二人なら、幸せな家庭を築けるはずです
 ミサカは、信じています
 だから、絶対にミサカの信用を裏切らないでくださいね、おめでとうございます
                                      14510号」

「テっくん、19090号
 羨ましいぜちくしょう、としか言えないけど
 ほっとしたような、気が抜けた様な気持ちです
 お二人の幸せを喜ぶのは、こんなにもたくさんの家族ですよ
 だとすれば、それはとても幸せなことではないでしょうか
 ミサカがお祝いしていることも誇ってください、これからもよろしく
                                 13577号」

「テっくん、19090号へ
 おめでとう
 ミサカはこういうとき、どんな言葉を並べればいいのか分からない
 ただ、この胸が震えるような気持ちは、きっと嬉しさだと信じている
 絶対に、幸せになるんだ
 これがミサカのわがままだから、それだけは叶えてくれ
                               17600号」

「テっくん、19090号へ
 結婚おめでとう、ミサカにはお二人の長い時間は分からないけど
 でも、それが幸せだったのだろうとは簡単に想像がつきます
 それほどまでに、今のお二人は幸せそうに見えますよ
 これからもよろしく、あと子供が出来たら世話させてください
                                 19999号」

 

823 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 12:03:35.67 YRuMpQ8a0 688/823

「テっくん、19090号へ
 セッ○スの時はもう生でもいいということですね、分かります
 気持ちいいんだろうな、そりゃ
 ちくしょう、ちくしょう!!
 子供が出来たらミサカが性教育してやるんだからなぁ!!
 だから、早く子供を産んで、幸せな家庭を築けよ
 んでもって、早いとこミサカ達に弟か妹をくれ
 そんだけ、これからもよろしくね
                           20000号」

「私が青酸カリを飲んだのはもうだいぶ前のことになる
 それからお前達に拾われた日のことは、ずいぶんしっかりと覚えているのだ
 君たちとの出会いはそれほどまでに衝撃的だった
 だからこそ、君たちの幸せはよく分かるのだ
 私が作ることのできなかった、幸せな家庭という物を、二人には築いてほしい
 頑張ってくれ
                           アレイスター」



テクパトル「…みんな、ありがとう」

手紙を折りたたみ、丁寧に便箋に入れるテクパトル

19090「…ありがとうございます」

20000「ふ、ふん!!水臭いからもうこんな空気はやめやめ、さっさとご飯にしようよ!!」

御坂妹「テっくんと19090号の料理が食べたいですね」

テクパトル「手伝うよ、とかはないのか…」

17600「今日くらいは甘えさせてくれ」

テクパトル「はいはい…」

呆れたように笑いながら、テクパトルがキッチンに向かう

テクパトル(…でもまぁ)



テクパトル(…幸せなんて、もう見つけてるようなもんだな)



824 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 16:31:21.72 YRuMpQ8a0 689/823


シン、と静まり返った家の中

リビングで、テクパトルは一人何度も手紙を読み直していた

テクパトル(…全く、それぞれの個性がよく出てるな)

苦笑しながら、また一から読み返そうとする

その時、ある「ミサカ」の存在に気付いた

テクパトル「あれ、なんだか久しぶりじゃないか」

9982「はい、お久しぶりですね」

本来なら、すでに死んでいるはずのミサカ

AIM拡散力場を媒体にした上で、ネットワークに微かに残っていた記憶、感情などを元に「実像」として現れたミサカ

テクパトル「どうしたんだ?」

9982「結婚のお祝いを言いに来ました、とミサカは答えます」

テクパトル「あぁ、そうだったな…お前達にも伝えなきゃいけないのに」

9982「いえ、ミサカ達には伝える必要もなく空の上から常に見ていますから、とミサカはテっくんが19090号に告白した瞬間を思い出して若干顔を赤らめながら…」ニヤニヤ

テクパトル「せめて顔を赤らめてくれよ」

9982「…ですがよかったです、これでテっくんも一段落ですね」

テクパトル「あぁ…そうだな、これがきっかけで他の友達も恋仲が進めばいいが」

9982「おや、そこまで気を回していたとは…とミサカはテっくんの考えに正直引いてみます」

テクパトル「引くな」


825 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 17:16:43.73 YRuMpQ8a0 690/823

9982「…天国のミサカ達も全員、お祝いムードですよ、とミサカは伝えます」

テクパトル「…そうか、そっちのミサカ達と全員話せればよかったな…」

9982「テっくんが天国に行けば話せますよ」

テクパトル「遠慮しときます」

9982「…それは残念ですね」

テクパトル「…ま、みんなお礼言っててくれ」

9982「はい、とミサカは頷きます」

テクパトル「…そうだ、義姉さんには会わなくていいのか?」

9982「そうですね…それはまたにします」

テクパトル「そうか」

9982「…そろそろテっくんも眠らないといけませんね」

テクパトル「なんか死ぬような言い方だなおい」

9982「…ではまた今度…いいでしょうか?」

テクパトル「あぁ、今度はお前にもコーヒーかなんか出してやるよ」

9982「では砂糖をたっぷりでお願いします」

テクパトル「あぁ」

では、と頭を下げた9982号が一瞬で消える


テクパトル(…本当に、お祝いムードってのはありがたいな)

小さく笑ってから、テクパトルも寝室へ向かった



826 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 22:21:09.30 YRuMpQ8a0 691/823



心理「…雨ね」

ザー、という雨音を聞きながら、心理定規はぽつりとつぶやいた

突然の雨に降られた彼女は、しばし小さな公園の中で雨宿りをすることにした

今日は8月の9日

もう夏休みも半ば、少し鬱になってしまう時期でもある

心理(…せっかく本借りてきたのに…)

近くの図書館で借りたかった本をやっと借りられた

そこまではよかったのだが、帰り道急に雨に降られてしまった

おかげでお気に入りの服が濡れてしまった

心理「もう、ビショ濡れじゃない…」

とりあえず、屋根つきのスペースにあるベンチに座る

少し濡れて肌にべたりと張り付く服の感触がどうも気持ち悪い

それに顔をしかめながら、時々外の様子を見る

心理(…まだ降ってる)

垣根に迎えに来てもらえばいいのだろうが、あいにく彼は今ヒトカラだ

悲しいかな



827 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 22:51:54.76 YRuMpQ8a0 692/823

心理「はぁ…」

夏なのがまだよかったのだろう、これが秋や冬なんかだったら体が冷えて堪らなかっただろう

夏は夏で蒸し暑くて気持ち悪いが

心理(…家に帰ってシャワーが浴びたいわ)

髪から滴る水滴を見つめながら、心理定規がもう一度ため息をつく

その時だった、彼女の座っていたベンチの下から「にゃー」という声が聞こえたのだ

心理(土御門君かしら)

自分の冗談に自分で笑ってから、そっと下を覗き込む

そこには一匹の子猫がいた

色は白、目は開いているがそれほど育っているとは言えないような年齢の猫だろう

雨に濡れていない、ということは彼女より先にここにいたのだろう

心理「ごめんなさいね、あなたのほうが先客だったのに」

にゃー、と猫が応えるように鳴いた

心理(…でもこの子、この後どうするのかしら)

近くに親猫がいる雰囲気はない

おそらく、親が捨ててしまったのだろう

それとももしくは、飼い主が

心理(…ちょっと可愛そうよね)

猫の頭を撫でながら、心理定規が悲しそうな瞳をする


828 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/29 23:13:42.57 YRuMpQ8a0 693/823

心理「そうだ、あなた連れて帰っちゃおうかしら」

にゃー、とまた猫が鳴く

心理「ふふ、冗談よ…もしかしたら近くに親猫がいるかもしれないものね」

いなかったら、ということも同時に考えてしまう

もしかしたら、このまま餓死してしまうかもしれないのだ

それは、少し彼女にとって嫌なことだ

心理「…そうね、一日くらいなら」

にゃー、と鳴いている猫は彼女の言葉の意味など分かっていないだろう

しかしそれがもし分かっていたら、さぞかし喜ぶはずだ

美人に拾われ、広い家に連れて行ってもらえるのだ

猫にしたら最高の幸せだろう

それが雄ならばなおさらだ

心理「…さて、じゃあ連れて帰っていい…」

猫を抱き上げた心理定規

猫はそれに抵抗しようと、必死に彼女の顔を引っかこうとする

心理「こらこら、女の子の顔に傷つけたら、その子と結婚しないといけないのよ」

そんなことを言いながら、雨も気にせず彼女は歩いて帰った



830 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/30 10:55:23.83 Up5IKjjD0 694/823

垣根「雨が降ってるのか」

ヒトカラを終えた垣根は、家に帰ろうとカラオケ店の外に出た

だがそこには土砂降りの世界が広がっている

垣根「ちっ、ちょっと濡れるかもしれないな」

悪態をつきながら、傘を差して歩き出す

垣根(・・・ところでこの傘誰のなんだ)

カラオケ店の入口に適当に置かれていた傘

それはある不幸な少年がそこに立て掛けていただけなのだが

垣根に常識は通用しない、勝手に傘を盗むのなんて罪悪感さえ覚えない

垣根「ビニール傘の防御力って地味だよなー」

文句を言える立場ではないため、濁った言い方をする

垣根「・・・あれ、そういえば心理定規は傘・・・持っていってなかったな」

垣根「ま、まさかビショ濡れになった心理定規は能力が効かない謎の男に透けた服の中身を弄られあんなことやこんなことを!」

垣根「されるわけないか」

ふんふん、と鼻唄を歌いながら家へ向かう道を進む

垣根「雨雨降れ降れ母さんがー蛇の目でお迎え嬉しいなー、っと」

垣根「・・・しかし夏なのにここまで大雨とはね」

垣根「・・・嫌になるぜ」

ぶつぶつ文句を言っているうちに、自宅前にたどり着いた



831 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/30 10:56:08.87 Up5IKjjD0 695/823



垣根「ただいまー・・・ってまだ心理定規は帰ってきてないな」

リビングに向かい、まずはテレビをつける

天気予報では明日まで天気の悪い日が続くと言っている

何が基準になって「悪い」なのかは分からない

垣根「・・・気温は相変わらず高いんだな、蒸し暑い日が続く・・・」


「えー、気温が相変わらず高いため蒸し暑い日が続くでしょう」


垣根「あ、このお天気キャスター俺の台詞パクった」

垣根「・・・んなわけないか」


心理「ただいま」

垣根「ん、遅かったじゃな・・・ってなんだよその猫」

心理「雨宿りした公園で見つけたのよ・・・見捨てるのが可哀相だったから」

腕に抱えた猫を自慢げに見せる心理定規

だが垣根の顔は少し険しい

垣根「親猫がいたらどうするんだよ」

心理「・・・一日だけ預かりたくて」

垣根「あのな・・・猫は一度餌をやったら中々それを忘れないんだぜ」



832 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/30 11:04:11.55 Up5IKjjD0 696/823

心理「分かってるけど・・・」

垣根「いいか、簡単な気持ちで動物を拾うな・・・親猫が探してるかもしれない、帰して来い」

心理「聞いた猫ちゃん、このお兄さんはあなたが雨に濡れて体が冷えたり、お腹を空かせてうろついてる野良犬や烏に襲われて食べられたり、心ない子供達に棒で殴って虐められた挙句に何の治療もされず野垂れ死にしたりしても構わないんですって、親猫がいるかもなんて言って結局あなたのことなんて興味ないのよ」

垣根「」

心理「・・・猫ちゃんが可哀相じゃないの?」

垣根「お前の妄想の中の猫ちゃんなら飛んで助けに行くけどな」

心理「ね、一日だけならいいでしょ?」

垣根「お前、猫が飼いたかったのか」

心理「そういうわけではないけど…なんかこの子、かわいそうだったから」

垣根「…白猫か」

心理「可愛いでしょ、一緒にお風呂入るのよ」

垣根「お、おふ!?」

心理「だって私も濡れてるし、この子もちょっと汚れてるから」

垣根「おぉぉぉぉわぁぁぁ!!!実はその猫は上条が猫の姿に変わってるものでした、みたいな話があってだなぁ!!」

心理「ないわよ」




833 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/30 14:54:47.98 Up5IKjjD0 697/823

垣根「…なぁ、マジで入るのか?一緒に」

心理「猫相手にヤキモチなんて妬かないの」

垣根「で、でもさぁ…」

心理「ほら、猫ちゃーん、お風呂に入るわよ」

にゃー、と一鳴きした猫が風呂場に連れて行かれる

心理「あ、覗いたらダメだからね」

垣根「…まさかそんなマニアックなプレイに興味があったなんて!!」

心理「ないわよ」

垣根「…くそう…猫に負けるなんて!!」

心理「はいはい、猫用のシャンプーなんてないわよね」

垣根「…あるわけねぇだろ」

心理「役立たずなんだから…」

垣根「」

心理「まぁいいわ、今日はお湯で洗うだけにしましょうね、猫ちゃん」

にゃー、と猫が首をひねる



垣根(…も、もしかして…)

垣根(もしかして猫>>越えられない壁>>>>>>>俺?)


834 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/30 15:08:02.48 Up5IKjjD0 698/823


心理「…それにしてもあなた、小さいわね」

白猫を洗いながら、心理定規が呟く

ちょうどいい温度のお湯に現れて、猫も満足げだ

心理「…生まれて間もないのかしら」

猫はにゃー、と鳴くこともせずただ目をつぶって彼女に体をゆだねている

心理(…可愛いわね、猫)

上条の家にいる猫はそこまで可愛げがないが、彼女は案外動物好きなのかもしれない

心理「…あ、御飯とかどうしよう」

猫用の餌なんてないが、人間の食べ物をあげるわけにもいかない

心理(…垣根に頼んで買ってきてもらおうかしら)

ゴシゴシ、と自分の体も洗いながらそんなことを考える

すると、子猫が彼女の脚にスリスリとすり寄ってきた

心理「あらあら、レディーが体を洗ってる時にそんなことしたらダメよ…」



垣根「ぬっわぁぁぁぁぁぁ!!何をされてるんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



心理「…覗くなって言わなかった?」


垣根「外で耳を傾けているだけだぁぁぁぁ!!!」


心理「…」ハァ


835 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/30 15:47:02.26 Up5IKjjD0 699/823


垣根「…それにしても、ずいぶん小さいよな」

心理定規の膝の上に乗った猫を見つめ、垣根がそんなことを言う

心理「そうね、まだ幼いのかも」

垣根「…いいのかよ、そんなの拾ってきて」

心理「…今日一日だけだってば」

頭を撫でると、子猫は気持ちよさそうに目を細める

心理「…か、可愛いわね…」ポーッ

垣根「…まぁ、それはそうだけどさ」

心理「ねぇ、もし親猫いなかったら飼い続けていい?」

垣根「はぁ?なんで」

心理「だ、だって可愛いじゃない…それに、人生に一筋の華が生まれるわよ」

垣根「…ペットが死んだら悲しいだろ、お前それとか堪えられるか?」

心理「だ、大丈夫…」

垣根「いいか、命を預かるってのは生半可な気持ちじゃだめなんだよ…一生しっかり世話を見るって決めなきゃだめだ、可愛いから、飼いたいから、そんなこと言ってるから最近は捨てられた動物も多いんだろうが」

心理「…」ウルウル

垣根「お、お前がそういうのじゃないってことは分かってるけどさ…大変だろ?」



838 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 00:01:59.58 JCGD5xH50 700/823

心理「…いいでしょ…?」ウルウル

垣根「…な、なぁ…そんな目で見るなよ…」

心理「…この子、もしも親がいなかったらきっと…」グスン

垣根(絶対にこれ演技なんだよ!!演技なんだけどさぁ!!)

心理「…猫ちゃん…」グスン

垣根(それでも堪えれねぇんだよ!)

心理「ねぇ…」

垣根「分かったよ…まぁ、親猫がいなかったらな」

心理「なんかそういうのってフラグになりそうなんだけど…」

垣根「…それはそれでこの子にはいいだろ」

垣根も、猫の頭をそっと撫でる

にゃー、と小さく鳴いた猫は垣根の膝に頭をこすり付ける

垣根「…中々可愛いじゃねぇか」

心理「ねぇ、名前は何にする?」

垣根「…まだ飼うって決めたわけじゃねぇよ、親猫が…」

心理「ていと、とかどうかしら」

垣根「」



心理「はいはいていとくん、こっちおいでー」

心理「とかどう?素敵じゃない」

垣根「」




839 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 00:20:17.53 JCGD5xH50 701/823

心理「ねぇ、どう思う?」

垣根「却下よ却下!!ド却下よ!!」

心理「…じゃあ、ブランカちゃんとか」

垣根「…なんで急にマシなのにしたんだよ」

心理「だってふざけた名前じゃ可愛そうじゃない」

垣根「なぁ、ていとくんって呼び名はふざけてるって言いたいのか」

心理「あ、でもこの子オスだったわね…ブランカは女の子っぽいし…」ウーン

垣根「…あの、聞いてますか」

心理「うるさいわね…白いから…ホワイト…なんてベタよね」

垣根「クリームもメスだし…うーん」

心理「…白いものって何があるかしら」

垣根「雪」

心理「…スノウとかウィンター、みたいなのじゃ女の子よね」

垣根「雲」

心理「クラウド…になるのかしら」

垣根「いいじゃないか」

心理「じゃあ、あなたはクラウド君ね」

猫こと改め、クラウド君の頭を撫でる心理定規


847 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 10:24:59.72 JCGD5xH50 702/823

垣根「・・・そういや、晩飯にしないとな」

心理「この子を?」

垣根「・・・お前って猫好きなのか嫌いなのかどっちだよ・・・」

心理「じょ、冗談よ・・・でもクラウド君のご飯はないわよね」

垣根「・・・猫まんまでいいんじゃねぇの」

心理「あんなのダメよ、味覚が戻らなくなるわ」

垣根「何を基準に戻るとか言ってるのか分からない」

心理「・・・今から買ってこようかしら」

垣根「お前今風呂入ったばっかりだろ・・・」

呆れたように、垣根が立ち上がる

垣根「俺が買ってくるからお前は晩飯作っててくれよ」

心理「あら、いいの?」

垣根「適当に選んでくるからな、文句言うなよ」

心理「ふふ・・・ありがと、あなたのそういう優しいところ、大好きよ」

垣根「そりゃどうも」

はいはい、と適当に返してから垣根が玄関へ向かう

外は相変わらずの雨だったが、先程までよりは幾分かマシになっていた






848 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 10:25:49.71 JCGD5xH50 703/823



垣根「おっぺけぺーおっぺけぱー・・・」

垣根「・・・お、雷が鳴ったな」

傘を差し、濡れないようにしながら垣根は一人歩いていた

ザー、という雨の音が少し鬱陶しい

垣根「・・・くわばらくわばら」

垣根「・・・にしても、どんな餌がいいんだろ」

垣根「やっぱりキャットフードだよなぁ」

垣根「あれ、でもどんなキャットフードがいいんだろ」

垣根「そういや、半生タイプよりしっかりした固形のほうが顎が丈夫になるとか聞いたことあるな、そうしよう」

垣根「・・・」


垣根「あれ、だったらどんな固形キャットフードがいいんだろ」


「いらっしゃいませー」

近くのペットショップ

少し威勢のいい店員の挨拶に会釈で返してから、垣根はキャットフードを売っているコーナーへ向かう

それほど大規模なペットショップではないのだが、それでもかなりの数のキャットフードが置かれている

つまりそれほどまでに、それぞれの栄養バランスなどにバリエーションがあるのだろう




849 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 10:26:31.33 JCGD5xH50 704/823

垣根「・・・ダメだ、全く分からん」

垣根「・・・固形にしようと思ったが固形にも固さが様々みたいだ」

垣根「・・・心理定規だったら固いのがお好みだな」


垣根「まぁ食べるのは上じゃなくて下の口なんだけどなぁ!」


垣根「・・・どういうのがいいんだろ」

一人でうーん、と唸ること15分

店員も話し掛けようか迷っているようだが、まだアルバイト生らしくそこまでの勇気はないように見えた

垣根「・・・」


上条「あれ、垣根じゃないか」

垣根「お、上条・・・何しに来たんだこんなとこ」

上条「あぁいや、実は」

垣根「まさか御坂に付ける首輪を買いに来たのか、ならここじゃなくて大人の玩具屋に・・・」

上条「違うから!明らかに間違いだから!」

垣根「・・・じゃあなんなんだよ」



850 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 10:27:48.40 JCGD5xH50 705/823

上条「・・・家にも一応猫がいるからさ」

垣根「猫被りの女、の間違いだろ」

上条「お前美琴のこと嫌いなのかよ・・・」

垣根「ジョークだよジョーク、俺はミコっちゃんが大好きだぜ」

上条「ミコっちゃん言うな」

垣根「あ、じゃあ餌でも買いに来たのか?」

上条「あぁ・・・お前はなんで?」

垣根「いや、心理定規が猫拾ってきたんだけど餌がなくて」

上条「心理さんが?なんか珍しいな」

垣根「まぁ・・・そうだな、たしかにあいつにしたら珍しいかも」

上条「えっと・・・そうだな、この餌を俺はいつも買うけど・・・」

垣根「え、こんな安いのを?」

上条「う、うるせぇ!」

垣根「…そうだなぁ…うーん…」

腕を組み、垣根が考える素振りを見せる



垣根「…これってさ、お前食べたことある?」

上条「ねーよ」



851 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 10:38:14.56 JCGD5xH50 706/823

垣根「これってさ、美味しいのかな」

上条「いや…動物ってそんなに味とか分からないんじゃないか」

垣根「馬鹿だから?」

上条「え、あぁ、多分」

垣根「じゃあお前も味は分からないんだな」

上条「ちょっと待て」

垣根「…そういえばさ、半生タイプと固形タイプってどっちがいいんだろうな」

上条「半生タイプって、一度開けたら一気に最後まで使わないと容器替えなきゃいけないからな…」

垣根「…そういうことも考えなきゃいけなかったか…餌入れる容器もねぇし、遊ぶ道具もねぇし…」

上条「…トイレも買ってあげないとな」

垣根「…今日一日面倒見てやるだけなのに…」

上条「?そうなのか?」

垣根「明日公園に連れて行って、親猫がいたら返してくる」

上条「…それ、心理さんが嫌がるんじゃないか?だって心理さんが拾ってきたんだろ」

垣根「知ったこっちゃねぇよ!!あの猫心理定規とお風呂入って、その上無防備な姿のあいつに体洗ってもらいやがって!!!」

上条(大人げねぇ)

垣根「どう思うよ上条!?もしもミコっちゃんがそんなことしてたらムカつくだろ!?」

上条「その呼び方も大概ムカつくけどな」



852 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 10:49:17.06 JCGD5xH50 707/823


垣根「…じゃ、こんなところか」

上条に勧められた猫用の様々な用品を、垣根と上条が抱える

上条「…なんで俺まで…」

垣根「お前の分まで奢ってやったんだから文句言うなよ」

上条「そ、そうだけどさ…」

垣根「…あーあ、まだ雨降ってるな」

上条「走ればいいんじゃないか」

垣根「お前、絶対にこけるだろ」

上条「…反論できない俺が情けないな」

垣根「…まぁいいや、未元物質で防げばいいし」

上条「…こ、こんな街中で翼生やすつもりかよ…」

垣根「いいじゃねぇか、メルヘンだし」

上条(お前の頭がな)

垣根「んじゃ、帰るか」ファサファサ



キャーナニアレカッコイイー!!
ツバサヨ、モフモフシターイ!!
シカモイケメン!!
ダイテ!!!
オレノヒダリテガウズク・・・
イイナァ、ワタシモハイリタイヨハマヅラ
イヤイヤムリダカラナ!!





853 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 11:05:22.95 JCGD5xH50 708/823


垣根「…たっだいまー」

上条「お邪魔しまーす…」


心理「ほらほら、ゴロニャーン」

「にゃー」

心理「にゃーにゃー」

「にゃー」ブンブン

心理「こらこら、そんなに猫パンチしないの」

「にゃー!」

心理「ふふふ、にゃーにゃーny」

垣根「何やってんのお前」

心理「」



心理「い、いいいいいいいつの間に帰ってきてたのよ!?」

垣根「さっきたっだいまー、って言っただろ」

心理「き、聞こえなかったわよ!?」

上条「…あ、あの…お邪魔してます」

心理「!?よ、ようこそ上条君…」

上条「あ、あれだな!心理さんも猫の前だとそういう振る舞い…」

心理「見た?」

上条「え、あ…」

心理「見た?」

上条「」

心理「見た?」

上条「い…いいえ」

心理「ならいいわ、紅茶でも淹れてくるから待ってて」


上条(怖いよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!)



854 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 11:35:34.93 JCGD5xH50 709/823


心理「…へぇ、色々買ってきたのね」

垣根「…まぁ万が一、飼い続けることになったらあれだしな」

上条「…綺麗な猫だな…」

心理「飼い主に似たのかしら」

上条「たった一日なんだろ?」

垣根「…でも、たしかに野良だったにしては綺麗だよな」

心理「…もしかして、誰かに飼われてたのかしら」

垣根「…学園都市は子供が多いからな、捨てたんじゃなくて逃げられたのかもしれねぇ」

心理「…そうだったら、返してあげないといけないわね」

上条「でも首輪とかついてなかったんだろ?」

垣根「みたいだな」

心理「それにまだ生まれて間もないでしょうから、ペットショップで買ったんじゃなさそうだし…」

垣根「じゃあ親猫を買ってたら子供が生まれて、って可能性があるな」

上条「…風紀委員に届け出たら?」

心理「ただの野良猫だったらあんまり意味ないじゃない」

上条「あ、そっか…」

心理「…明日公園に行って、それから考えるわよ」

垣根「…それまではこの猫と一緒か…」

心理「あなた、猫アレルギーでもあるの?」

垣根「ないけどさ」


855 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 14:46:21.61 JCGD5xH50 710/823

心理「…ならいいじゃないの、一日くらい」

垣根「…でもさぁ、猫ってなんか懐かないだろ」

上条「え、そうだっけ?家のスフィンクスは懐いて…」

心理「…」プルプル

上条「?なんで震えてるの心理さん…」

心理「な、なんでもないわよ…」プルプル

垣根「スフィンクスってなんだよ」

心理「くっ…」プルプル

垣根「スフィンクスは体は獅子だ、猫じゃねぇし…あれだろ、謎々出して正解できなかったやつ食べる」

上条「…スフィンクスってそんなのだったんだ…」

垣根「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足、これなーんだってやつ」

上条「あぁ、人間だったっけ…それ」

垣根「ていうかさ、猫にスフィンクスとかセンスねぇよ」

心理「…」プルプル

上条「仕方ないじゃん、インデックスがつけた名前だし」

垣根「インデックスって名前もおかしいけどな」

心理「ふふっ…」プルプル

垣根「…」



垣根「まぁ正直、クラウド君もセンスねぇけどな」

心理「あ?」



856 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 14:50:50.39 JCGD5xH50 711/823


上条「…じゃあ俺はそろそろ帰るよ」

垣根「おう、じゃあまたな」

心理「美琴によろしく」

上条「おう」

上条がそそくさと帰っていく


垣根「…にしても、この猫随分大人しいよな」

心理「…もっと壁とかひっかくイメージだったけど」

「にゃー!」

垣根「…なんか訴えてるぞ」

心理「…あぁ、おもちゃで遊びたいんじゃないの?」

垣根「へぇ…」

猫じゃらしのような形をしたおもちゃを垣根が取り出す

垣根「ほれほれ、捕まえられるかな…」

「」ガシッ

垣根「…お、俺が遅い!?俺がスロウリィ!?」

「にゃー!!!」

垣根「冗談じゃねぇぇぇぇぇ!!!!」ガサガサガサ

「にゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

心理(楽しそうで何よりね)


857 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 21:55:08.64 JCGD5xH50 712/823

垣根「・・・この猫、わりと人懐っこいな」

心理「でしょ?だから飼いましょうよ」

垣根「ダメ」

心理「・・・いいじゃないの」

垣根「あのな、俺は動物嫌いなの」

心理「嘘おっしゃい」

垣根「・・・よ、夜になると狼になっちゃうの」

心理「知ってる」

垣根「ち、違うの!お腹が痛かったの!」

心理「で、なんで飼いたくないのよ」

垣根「・・・だって世話とかめんどくさいし」

心理「いきなり現実的になったわね」

垣根「・・・俺は猫より犬が好きなんだよ」

心理「知らないわよそんなこと」

垣根「・・・猫って大変だぞ?」

心理「大丈夫、悪いことしたら私がしつけるから」

垣根「何それこわい」




858 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 21:55:41.77 JCGD5xH50 713/823

心理「・・・いいじゃない」

垣根「・・・」

猫が垣根をじっと見つめる

たしかに可愛い猫ではある

垣根「・・・なぁ、なんでこいつ拾ったんだ?」

心理「なんでって・・・可哀相だったから」

垣根「それだけ?」

心理「・・・それに、上条君と美琴が猫飼ってるの、前々から羨ましかったし」

垣根「・・・同情したから、とかじゃなく責任持って飼うんだな?」

心理「えぇ」

垣根「・・・分かった、ならまぁいいけど・・・明日公園に親猫がいたら返すんだぞ、それは約束だ」

心理「あ、ありがと・・・」

垣根「なんだよ」

心理「・・・」


心理「あなたってもしかしてツンデレ?」

垣根「何言ってんだか分かんねぇ」





859 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 21:56:12.86 JCGD5xH50 714/823




心理「・・・」

翌日

垣根「・・・」

二人は、公園で親猫がいないか探していた

垣根「見当たらないな」

心理「・・・あなた、やっぱり親に捨てられちゃったの?」

心理定規の腕に抱かれた猫がにゃー、と短く返事をする

垣根「・・・仕方ないな、飼うか」

心理「いいの?」

垣根「こいつだって期待してるだろ、こんな所でまた捨てられるなんて不憫だし」

心理「・・・ありがと」

垣根「その代わりクラウドって名前はやめようぜ、なんかムカつく」

心理「いいじゃない、クラウド君」

垣根「・・・いや、俺にいい案がある」

垣根がそっ、と猫の頭を撫でて言う


垣根「こいつは、メルヘン君だ!」

心理「クラウド君、帰るわよ」



860 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 21:56:44.17 JCGD5xH50 715/823





一方「そろそろ彼岸だな」

番外「だね」

打ち止め「今年はお墓参り行くの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

一方「・・・あァ」

番外「えー、行かなくていいじゃんかー」

一方「なンでだよ」

番外「ミサカ達だっていつまでも引きずってほしくないって言ったでしょ」

一方「?いや、何がだよ」

打ち止め「?妹達のお墓参りに行くんじゃないの、ってミサカはミサカは・・・」

一方「あァ、今度はそっちじゃねェ・・・いや、そっちにも行きたいンだけどよ、お前らの意見もあるし今年はそっちには行かないンだよ」

番外「じゃあ誰のお墓参り?」

一方「お前らは多分知らないな・・・打ち止めは一応面識はあるが」

打ち止め「?」


一方「木原くンのお墓参りだ」




861 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 21:57:16.60 JCGD5xH50 716/823


木原数多

かつて一方通行の能力開発を行い、更には彼の反射を破る方法さえ生み出したほどの科学者だった

一方通行によってお星様に変えられた彼のお墓は、ない

ないのだが、それでは余りに可哀相なので木原一族によって適当に石碑だけ作られていると聞く

一方「木原の一族でも木原くンは格段に頭良かったからなァ、何せ俺の能力開発任されたくらいだし」

番外「何その微妙な自慢」

打ち止め「でも一方通行と木原くンって憎み合ってたんじゃないの?ってミサカはミサカは不安になって尋ねてみる」

一方「それは昔のことだ・・・今は後悔しかしてねェ」

打ち止め「あなたは優しい人になったね、ってミサカはミサカは感動の涙を流してみたり・・・」

一方(石碑に落書きしてやる)

番外(絶対落書きするつもりだね)

一方「だからよォ、俺はその石碑に今から行く」

打ち止め「ミサカも!」

番外「ミサカも行くよ、楽しそうだし」

一方「あァ、じゃあ行くか」

一方通行が二人の手を取り、木原一族によって研究所跡地に作られた石碑に向かう

彼はまだ知らない

木原数多は、死んでもなお彼の背中を狙っていたと




862 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/03/31 21:57:45.96 JCGD5xH50 717/823




木原(あぁクソ・・・ムカつく)

木原数多

かつて一方通行というロリコンに殺された男

ならなんで彼が生きているのか、という疑問が湧くだろう

実際はそうではなく、なんか霊的な物になっているのだ

人と擦れ違っても気づかれない

ただ、人に触れることは出来るため悪戯はお手の物だ

見えないが質量はある、という不思議な状態

もしかしたら暗黒物質の正体も霊だったりしてな、と木原は笑う

木原(しっかし魂なんて物が本当に存在したとはねぇ)

木原(くっ・・・ははは!こんなの今まで見てきた科学者共は全員知らない事実なんだろうなぁ!)

木原(・・・って何一人でテンション上げてんだ俺は・・・クソ、スカートめくりにももう飽きたし・・・)

木原(・・・かと言ってこの体じゃあ研究結果を出してもそれが俺によって出された結果だなんて誰にも分からない・・・)

木原(最悪、俺が見えないことを利用して誰かが俺の研究を盗むかもしれねぇ)

木原(あーあー、そーなったら俺の面目丸つぶれだぞ)

木原(って面目も何もねぇんだよなぁ)

大好きな実験も意味がない、他にやることもない

フラフラさ迷って、平和な時間を過ごす

普通の人からすればとても羨ましいような生活だろう

だが彼は木原だ、木原とは暇さえあればモルモットを玩具にして遊ぶ狂人なのだ

平和とか平穏、なんて彼が最も憎むものだった



863 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:03:01.32 zlbh1uGe0 718/823

木原(あぁ・・・つっまんねぇ、それもこれも一方通行が俺を殺したからだ)

木原(・・・殺してぇ、あぁ畜生、殺してぇは目茶苦茶殺してぇ)

木原(でもあいつ意味分からない力あるから怖いんだよなぁ・・・)

考え事をしながら歩いていたら、誰かにぶつかった

木原「あ、すいません」

垣根「ん?誰かにぶつかった気がしたが・・・気のせいか」

木原(おぉぉ!?こいつ第二位じゃねぇか、かなりレアな素体・・・)

木原(って、だからなんだよ・・・声も聞こえてねぇみたいだし、俺がこいつにどうすることも出来ないしな)

木原(クソ・・・こんなレアなモルモットなんて中々見られねぇのに)

木原(つぅか腹減った・・・なんか食いてぇ)

ちなみに、現在木原数多は偶然にもAIM拡散力場を媒体として実体化しかけている

しかけている、というのは若干の誤差が生じているためだ

完全にAIM拡散力場との波長が合えば問題ないのだが、彼には生憎それがまだ分かっていない

だから自分が「霊的なもの」と思っている

とにもかくにも、彼は「風斬氷華」のようにほぼ人間に近い存在になっている

痛感もあれば空腹を感じることもある

よって、彼は腹が減っている




864 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:03:44.16 zlbh1uGe0 719/823

木原(だが・・・声を掛けても気づかれないならコンビニ行けねぇよなぁ)

木原(・・・万引きはダメだって小さい頃言われたし)

木原(・・・そういや、金に触れられるなら飲み物くらいは自販機で買えるか)

木原(・・・仕方ねぇ、まずは金から探すか)



一方「・・・おい、なンで公園に来てンだよ」

番外「上位個体がちょっとだけ休みたいって言うから」

打ち止め「歩き続けて疲れちゃった、飲み物がほしい!ってミサカはミサカは・・・」

一方「お前、ジュース飲みたいだけだろ」

打ち止め「バレたかぁ!ってミサカはミサカは驚きのリアクションを見せてみたり!」

番外「でもまぁ、ミサカも水分補給はしたいかな」

一方「ちっ・・・仕方ねェ、ロリの頼みを断るなンて俺のプライドが許さねェ」

打ち止め「ありがと、一方通行大好き!ってミサカはミサカはあなたの胸にダイブ!」

一方「あァもォロリはたまンねェな(やっべェ、軽く勃起した)」

番外「建前も本音もひっどいね」

一方「・・・ヤシの実サイダーでいいか?」

打ち止め「うん!」

一方「・・・」

一方通行が自販機に500円玉を入れようとした

しかし、少しだけ手元が狂いコロコロと500円玉は転がっていく

打ち止め「あ、転がっちゃった!ってミサカはミサカは慌てて追い掛け・・・」

一方「おい、走ると転ぶぞ」

打ち止め「で、でもお金・・・」




865 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:04:21.87 zlbh1uGe0 720/823

一方「金なンて腐るほどあるンだよ、あンなものよりお前が怪我しないことのほうが大事だろォが」

打ち止め「一方通行・・・」

一方「打ち止めァ・・・」

番外「サスケェ・・・」




木原(ちっ、そういや俺は生まれてこの方金拾ったことなんてなかったな)

木原(宝くじ拾ったときは交番に届けたが、ありゃ多分ハズレだっただろうし)

木原(・・・そうだよなぁ、金が転がってくるわけなんてねぇよ)

木原(となるとやっぱり万引きか・・・でもコンビニの店員に悪いよなぁ・・・)

木原(・・・ん?)

彼の左前方から何かが転がってきた

それは

木原(500円玉!)

キラキラと陽の光を浴びて輝くその美しい円

喉を潤わせるべくオアシスを探していた木原数多の元に、女神がマナを降らせたのだ

木原(ゲーット!)

誰のものか分からないが、しかし追い掛けてくる人影はない

木原(落としたヤツには悪いが・・・こっちも半端なく腹が減ってんだ、使わせてもらうか)




866 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:04:53.90 zlbh1uGe0 721/823

まずは喉から潤わせるか、と公園の中にある自販機へ向かう

木原(・・・あったあった、そういや自販機でジュース買うのも久しぶり・・・)


一方「・・・なンだこのいちごおでンっての、まっず」

木原()

打ち止め「そう?ミサカはそれ好きだけどな、ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

番外「一方通行は苦いのが好きな厨二だから仕方ないよ」

一方「・・・うるせェ」


木原(は・・・ははは!なんだよおい、今日はとことんツイてやがる!)

木原(喉が渇いて腹が減ってたら金は転がってくるわ、ムカつく一方通行の野郎はすぐ見つかるわ!)

木原(おいおい、本当に神様ってのはいるんじゃねぇか!?)

くっくっくっ、と頭を押さえて笑う

あまりに愉快て仕方ない

木原(とりあえずコーヒー買うか)

自販機の前に立ち、商品のラインナップを見つめる



木原(コーヒーねぇ)

コーヒーがない




867 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:05:29.31 zlbh1uGe0 722/823

というか、コーヒーがあるならそもそも一方通行も買っているはずだ

木原(ちっ、じゃあ・・・炭酸にするか、マシなのはヤシの実サイダー・・・)

木原(売り切れじゃねぇか・・・仕方ねぇ、黒豆サイダー・・・)

木原(あ、あったか~い!?なんであったか~いなんだよ!?炭酸あっためるとか頭おかしいんじゃねぇのこの自販機!)

木原(・・・残るはいちごおでんか・・・もしくは桃寒天)

木原(まぁ普通に考えたら桃寒天だろうな、別に甘いのも嫌いじゃねぇし)

木原(じゃあいちごおでんにすっか)

ぴっ、と自販機のボタンが鳴る

ガチャンという音と共にいちごおでんが出てきた


番外「?なんか自販機、音鳴ったよね」

一方「気のせいだろ、誰もいねェよ」

打ち止め「ミサカも聞こえたけど・・・」

一方「気のせいだって」


木原(・・・そういやこれ一方通行とお揃いだな)

木原(あ、なんかちょっとムカつく)

そう考えながら、いちごおでんを飲む

木原(・・・)


木原(まっず)





868 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:05:58.62 zlbh1uGe0 723/823


一方「・・・」

番外「・・・」

打ち止め「・・・」

先程も言ったように、木原数多の体は今現在誰にも見えない

だがしかし、ジュースの缶は見えるのだ、当たり前なことだが

そして木原数多がジュースの缶を持っていたら、「誰もいないのにジュースが浮かんでしかも動いてる、そんでもって中身出るはずの角度なのに零れてない」という光景が出来上がる

一方「・・・マジかよ」

番外「お、おおおおおおお化け!?」

打ち止め「あ、あはは!夏にはちょうどピッタリだね、ってミサカはミサカは一方通行の冗談に笑ってみたり!」

一方「あァ?」

打ち止め「あなたがベクトル操作してるんでしょ、ってミサカは・・・」

一方「ンなわけねェだろ、俺は触れなきゃベクトル変換出来ねェし、第一今は能力切ってるぞ」

打ち止め「」



木原「ぷっはー、まっず!」

木原「・・・あぁ?なんだよあいつらジロジロ見やがって・・・ってあぁ、俺は今あいつらに見えてねぇのか」

木原(・・・ってことは、悪戯し放題じゃねぇか)




869 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:06:25.09 zlbh1uGe0 724/823

缶をごみ箱に放り、木原は三人へ近づく

番外「か、缶が自分でごみ箱に・・・」

木原(・・・こいつも妹達か?俺は知らないな、暗部のデータにはなかったが・・・)

一方「気にすンな、風かなンかだろ」

番外「か、風であんな現象は起きないよ!」

木原(脅かし甲斐があるな)

まずは番外個体を脅かそう、木原はそう決めた

ゆっくりと、彼女の肩に手を置く

番外「はひんっ!?」

一方「あァ?」

番外「だ、誰かミサカの肩に触ってる・・・」

打ち止め「な、何言ってるの・・・ってミサカはミサカは震えてみる・・・」

番外「だ、誰だよ!?」

番外個体が振り返る

だが、木原は彼女の目に見えない

番外「」

一方「だから気のせいだって言って」

番外「」

一方「おい、気絶したのかよ」

木原(くっ・・・はははは!はひんっ!だってよ、傑作じゃねぇか!)

木原(次は打ち止めだな)

そっと、打ち止めの頬を撫でる



870 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:06:58.79 zlbh1uGe0 725/823

打ち止め「ひゃいっ!?」

一方「あァ?」

打ち止め「だ、誰かがミサカの頬を撫でて・・・」

木原(ぎゃはははは!傑作だなおい!ビビりまくり・・・)

一方「あァァァァ!?打ち止めの頬に触れていいのは俺だけなンだよ!」

ぶん、と一方通行が腕を振る

木原(がふぅっ!?)

一方「・・・あァ?なンかに触ったな」

打ち止め「ほ、本当?」

一方「・・・俺にはダメージがない、ってことは反射が適応されたか、はたまたベクトル操作したか」

打ち止め「よ、よかった・・・あれ、でもあなたって能力切ってるんじゃ・・・」

一方「あァ、つまり今俺が触れた何かは科学的な物じゃなく非科学的な何かだ」

打ち止め「」

一方「科学的じゃねェものには演算云々じゃなくてもなンか無意識で使えるみてェ・・・ってどォした」

打ち止め「」

一方「気絶してやがる」





871 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:07:28.25 zlbh1uGe0 726/823



木原(あぁくっそ・・・いてぇな畜生!)

鼻血は出ていないようだが、かなりの痛みが木原の鼻に走っていた

木原(的確に鼻殴ってきやがった、見えてんじゃねぇかこいつ・・・!?)

試しに一方通行の目の前で変顔をしてみる

木原「べろべろばー!」

一方「・・・どォすりゃいいンだよ、こいつら・・・」

木原(見えてねぇのかよ、一人ではしゃいじゃったじゃねぇか)

一方「おい、起きろ・・・」

木原(つぅかこいつ、随分丸くなったな)

一方「おい」

番外「んん・・・!ヤツはどこ行った!?」

一方「・・・さァな、さっき吹っ飛ばした」

番外「さ、さすが一方通行!」

一方「打ち止め、起きろ」

打ち止め「はっ!」

一方「・・・あのなァ、お化けなンているわけねェだろ」

木原(俺がいるんだよ、一方通行ァ!)




872 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:07:59.20 zlbh1uGe0 727/823

木原が一方通行の頭をぽかん、と殴る

もちろん無意識で反射されないように「木原神拳」を使って

一方「あいたァ!」

番外「ど、どうしたの?」

一方「誰かが頭殴りやがった・・・」

打ち止め「や、やっぱりお化けだよ・・・ってミサカはミサカは怯えながら伝えてみたり・・・」

一方「・・・彼岸だからなァ、帰ってきてンのかな」

木原(ぎゃはははは!彼岸だからお化けいるとかバッカじゃねぇの!)

一方「・・・まァいいか、それよりさっさと行くぞ」

番外「こ、こんなことがあったばかりなのに墓参りなんて・・・」

木原(あぁ?墓参り?)

一方「いいだろォが」

打ち止め「・・・さ、さっさと終わらせようね、ってミサカはミサカは上目遣いで頼んでみる」

一方「あァ」

木原(なんだよ・・・墓参りなんてらしくねぇな、一方通行)




873 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:08:36.13 zlbh1uGe0 728/823




一方「・・・ここだな」

研究所跡地にぽつりと作られた石碑

「木原数多」という名前が彫られただけの粗末な石碑だ

仕方なく作りました、という感じが丸出しの石碑だった

木原(・・・こいつぁ俺の墓じゃねぇか)

一方「・・・木原くン、そっちの景色はどうだ」

一方通行が石碑に話し掛ける

落書きペンを取り出しながら

水性なのはせめてもの優しさである

一方「あァ、木原くンがいなくなって何年にもなるなぁ」

もう、言葉に出来ないほど下品な単語を落書きしていく

一方「・・・こンな力を手に入れられたのも、木原くンのおかげだったンだよな」

「木原」に一本加えて「本原」にする

一方「・・・あァ、そォだ・・・木原くンは俺の先生みたいな存在だったンだ」

木原「一方通行ァ・・・」

一方「木原くンは、俺の親代わりだった」

ハエのたかったウ○コも書く




874 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:09:01.29 zlbh1uGe0 729/823

木原「はっ、何しけたこと言ってやがる」

一方の木原は、コキコキと手首を鳴らす

一方「・・・成仏出来るわけはなかっただろうな、あンな死に方じゃ」

打ち止めが大好きなゲコ太も書く

木原「・・・あぁそうだな、だが野垂れ死によりはよっぽど俺らしかった」

今日は拳の調子がよさそうだ

一方「・・・なァ木原くン、帰ってきてくれよォ・・・」

笑いが止まらない一方通行は、最後に「木原数多」を相合い傘で囲む

木原「はっ、俺だって帰ってやりたかったさ」

ぐっ、と拳を振りかぶる

一方「・・・木原くン・・・」

相合い傘の相手は「卑弥呼」

木原「だからなぁ・・・」

ぶん、と木原が拳を振るった

木原「ここで死ねや一方通行!」

一方「めンどくせェな」




875 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:09:43.70 zlbh1uGe0 730/823

ひょい、と一方通行が体を動かす

木原(避けた!?)

一方「・・・なンか知らねェが・・・さっきから誰かに追われてる」

番外「ま、まさかお化け!?」

一方「さァな、だが公園で俺達に悪さしたヤツだろ」

打ち止め「や、やっぱりお化けだよ!ってミサカはミサカは慌てて辺りを見回してみたり!」

一方「・・・だがなァ」

カチッ、と一方通行がチョーカーのスイッチを入れる

そして、全てのベクトルを注ぎ込み

一方「やぁぁぁぁっと分かったぜ木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥゥン!」

木原(!?)

木原数多を殴りつけた

木原「がっはぁ!」

一方「決まったな」

ふん、と一方通行が息を吐く

876 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 18:10:45.17 zlbh1uGe0 731/823

番外「な、なになに!?」

一方「・・・木原くンの亡霊だったンだ」

打ち止め「そ、そうだったの!?ってミサカはミサカは驚きを隠せない!」

一方「・・・」

木原の石碑に近づき、そっとそれを撫でる

一方「成仏出来ねェようだな、木原くン」

木原「あぁくそいてぇ・・・あぁいてぇ・・・」

AIM拡散力場を媒体としているため、痛覚はあっても死ぬことはない

木原「ははははは!愉快だねぇ、この体は便利だ!」

一方「・・・ムカつくンだよ」

木原「あぁ?」

一方通行の背中から、真っ白な翼が現れる

木原「な、なんだそりゃあ・・・!?俺を殺した時とは違・・・」

一方「星になれ、木原くン」

振るわれた一対の翼

それは、木原数多の体を粉々に砕け散らせた

木原(くそぉぉぉ!)

一方「・・・寂しくなったらまた来いよ木原くン」

最後に、一方通行は木原の石碑にガムを貼付けた

たった今噛みはじめた、味の残っているガムを

これが第一位、本当の悪党だ



877 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 22:45:40.43 zlbh1uGe0 732/823


木原「…あ…あぁ?」

木原が目を開けると、そこには懐かしい天国が広がっていた

つまり彼はまた「星になった」のだ

木原「ふ…ふざけんなよ!!」

自分の墓にガムを付けられて、我慢していられるだろうか

いや、していられない

木原(…クソがぁ!!一方通行の野郎、殺してやる!!)

木原(…)

木原(で、どうやって俺は幽霊になってたんだっけ)

木原(…つーか気づいたら俺は幽霊になってたんだよな)

木原(あぁそういや寝て、目が覚めたら幽霊だったな)

木原(てことはまた寝れば幽霊になれるのか?)

木原(…いや、そんな都合のいい話はねぇか…)

はぁ、と木原がため息をつく

これでは彼なんてただの馬鹿だ

木原(…まぁいいや)



木原(つーか腹減ったなぁ…)




878 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 22:50:21.78 zlbh1uGe0 733/823


垣根「…俺は第二位の垣根帝督だ、つまり学園都市で二番目に頭がいい」

垣根「…ってことはだ、俺の頭脳に敵うヤツなんてほとんどいねぇ」

垣根「クイズとかもお手の物、ってわけだ」

垣根「…だが、俺に常識は通用しねぇ」

垣根「普通なら頭のいいやつは答える側に回るはずだな」

垣根「そこを敢えて、俺は問題を出す側に回る」

垣根「…そうだ、クイズ大会やって親睦を深める、とかはどうだ」

垣根「おぉ、こりゃ名案だな!!!早速メンバー集めるか」


トゥルルルルルル


絹旗『はい、絹旗ですけど』

垣根「どうも、垣根帝督です、お嬢ちゃんパンツ何色履いてるの」

絹旗『超切りますよ』

垣根「冗談が過ぎた、それよりお前ってクイズとか好きか?」

絹旗『…なんですか突然』

垣根「いや、俺が主催のクイズ大会、出ないか」

絹旗『はぁ?』

垣根「優勝したら賞金20万出してやるよ」

絹旗『い、いいですけど超突然ですね』

垣根「んじゃあ、明日俺の家来いよ…住所はメールしとく」ガチャッ


垣根「さて、次は…」




879 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 22:53:47.98 zlbh1uGe0 734/823

トゥルルルル

上条『なんだよ垣根…』

垣根「よぉ、今大丈夫か?」

上条『大丈夫じゃな…こ、こら美琴!!今動くなって!!』

垣根「」

上条『あ、いや!!これは、その…』

垣根「明日俺の家に来い、クイズ大会、優勝したら20万、じゃあな」ガチャッ


垣根「二人は順調に捕まえた、次は…」


トゥルルルル


食蜂『はぁい、こちら食蜂』

垣根「お嬢ちゃん、パンツ何色?」

食蜂『さぁ、知りたいなら教えてあげてもいいけどぉ』

垣根「遠慮します」

食蜂『ねね、それでなんか用事?』

垣根「明日俺の家でクイズ大会するんだよ、お前を参加者にしたくて」

食蜂『えーっ?でも私、結構これでも忙しいのよねぇ…魅力がありすぎてみんなから遊びに誘われ…』

垣根「あぁそう、じゃあいいや…」

食蜂『嘘嘘行く!!行くから、友達なんていないからぁ!!!』

垣根(可愛そうに)

垣根『じゃ、明日俺の家に来いよ』ガチャッ



880 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 22:57:53.39 zlbh1uGe0 735/823

垣根(…最後の一人は重要だな)

トゥルルルル


■■「はい、こちらひ…」

垣根「すまん、間違えた」ガチャッ


トゥルルルル


小萌『はいはい垣根ちゃん、なんなのですか?』

垣根「先生、声可愛いっすね」

小萌『もう、垣根ちゃんったら上手なのですよー!』

垣根「そうだ、明日俺の家でクイズ大会開くんだけどさ、回答者になってくれよ」

小萌『?いいですけど、なんで先生なのですか?』

垣根「残りの参加者が馬鹿、馬鹿、馬鹿の三拍子だからな」

小萌『それ、一拍子なのですよ』

垣根「優勝したら賞金20万だから、明日俺の家に来てくれよ」

小萌「こ、子供がお金のやり取りなんてしたらダメ…」

垣根「じゃあな」ガチャッ


垣根「さて、4人は集まった…これなら対戦形式として中々面白いことが出来るだろ」

垣根「あ、そうだ…ついでだし相方も連れてきてもらうか、食蜂はいないだろうけどいいや」



881 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 23:01:38.15 zlbh1uGe0 736/823

次の日


美琴「…なんなのよ、急に」

上条「さぁ…」

食蜂「…相方なんていないのに…」グスン

小萌「相方と言ったら結標ちゃんなのですよ!!」

結標「…まぁ、賞金山分けだからいいけど」

絹旗「…相方が浜面なんて超心配です」

浜面「…なんか微妙なメンツだな」


垣根「おー、よく来たな、あがれあがれ」

上条「…お邪魔します」



垣根「どうだよ、このセット一日で作ったんだぜ」ヘヘーン

美琴「…セットって、早押しボタンと椅子だけじゃない」

食蜂「…相方…」

心理「私が相方になるから、泣かないで」

食蜂「う、うん!!」

結標「…目的はなんなのよ、垣根帝督」

垣根「親睦を深めたいのと、昨日テレビで面白いクイズやってたのに影響されて」

上条「へぇ…どんなクイズ?」

垣根「野生の王国」

一同(クイズじゃねぇ…)




882 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/01 23:04:43.42 zlbh1uGe0 737/823


垣根「じゃあ、答えるのはどっちか一方だな、相方は出番まではくつろいでてくれ」

美琴「…まぁ、暇つぶしにはちょうどいいわよね」

心理「紅茶淹れたわよ」

浜面「わ、悪いな姉ちゃん…」

心理「何よ、ちょっと遠慮してない?」

浜面(アンタにはいい思い出がねぇんだよちくしょう!!)

結標「…それにしても、ショタ成分がないなんてどういうことよこのシリーズ」

美琴「そういうのはやめて」



垣根「さて、ではみなさん…用意はいいですか」

上条「…あぁ」

絹旗「超いいですよ!!」

小萌「どんとこいなのですよ!!」

食蜂「超能力者ってものを教えてあげるわよ」フフン

垣根「では、第一問」

デデン


垣根「二問前の答えはなんだったでしょうか」

一同「」

垣根「カッチッカッチッカッチッ…」



垣根「ブー!!!」



886 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 10:09:03.59 JI+6M4WO0 738/823

垣根「あーあ、一問目から答えられないのかよ」

上条「ま、待ってくれ・・・今のが一問目だよな?二問前の正解とかないし・・・」

垣根「正解!」

上条「はぁ!?」

垣根「上条に1ポイント」

食蜂「ひ、引っ掛けたわね!」

小萌「上条ちゃんも時間切れだったのですよ!」

上条「え、えぇ・・・」

垣根「まぁ今回はちょっと大目に見てやるよ」

絹旗「くーっ!超悔しいです、早く二問目行って下さい!」

垣根「じゃあ第二問」

デデン

垣根「太郎君が花屋に行きました」

上条「ふむふむ・・・」

垣根「さて、どうでしょう」

一同「」

垣根「カッチッカッチッカッチッ・・・」


垣根「ブー!」




887 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 10:09:29.76 JI+6M4WO0 739/823


美琴(・・・なんか聞いたことあるわね)

心理(ダウンタウンのネタね)

結標(ショタのことだったら答えられるのに)

浜面(・・・絹旗、顔真っ赤だな)


垣根「さて、次の問題」

絹旗「超待った!」

垣根「なんだよ」

絹旗「今の問題の答えを教えて下さい!」

垣根「第三問」

絹旗「超うぜぇ!」

上条「・・・ここまで来たら、やり通すしかない」

食蜂「・・・私の頭脳力があれば優勝なんて・・・」

垣根「プルプル、モガモガ、ビッタンビッタン」

垣根「さて、どれ」

一同「」

垣根「カッチッカッチッカッチッ・・・」

垣根「ブー!」




888 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 10:10:20.49 JI+6M4WO0 740/823

上条「・・・」

小萌「は、はいなのですよ!」

垣根「小萌、正解をどうぞ!」

小萌「モガモガ!」

垣根「答えはプリンセスプリンセスでした」

絹旗「さ、さっきはそんなのなかったじゃないですか!」

垣根「引っ掛けだよ」

上条「引っ掛けも何も最初がおかしいんだよ!」

垣根「うるせぇな・・・」

食蜂「もっとこう、普通なクイズは出来ないの?」

垣根「じゃあ・・・俺が口である曲のイントロを歌う、なんの曲か分かったヤツはその曲のサビを正しく歌う、これは?」

絹旗「あ、なんかいい感じです!」

小萌「それなら大丈夫なのですよ」

上条「まぁ…そうだな、ちゃんと歌ってくれよ」

垣根「分かってるって」



889 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 10:10:49.28 JI+6M4WO0 741/823

美琴「わー!ホントだ・・・でも私は触れないな・・・」

結標「・・・猫ってちょっと苦手だわ、毛が舞うから」

心理「ふーん・・・」




垣根「チャララララーン、チャララララーン、チャラララチャラララチャララララーン、チャッチャッ、チッチャッチャッチャッ、チッチャッチャッチャッ、チッチャッチャッチャッチャーン」

上条(・・・なんとなく分かった)

絹旗(多分・・・あれですよね)

小萌(・・・垣根ちゃんもメロディー合わせて歌ってくれてますね・・・)

食蜂(・・・いいのよ、曲は分かるのよね・・・)

垣根「さぁ、サビを正しく歌って!」




一同(これトルコ行進曲だ・・・)


垣根「カッチッカッチッカッチッ・・・」

上条「・・・」

食蜂「・・・はい」

垣根「はい、食蜂!」



890 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 10:11:20.82 JI+6M4WO0 742/823

食蜂「愛にー気づいてくだっさーいー、僕がーだ」

垣根「不正解」

食蜂「」

垣根「食蜂は50引かれます」

上条「な、何が!?」

垣根「!?あ、聞きたいのか・・・いや、いいんだけどさ・・・聞いちゃうのかぁ」

絹旗「超気になるじゃないですか!」



垣根「第四問」

小萌「つ、次なのですか!?」

食蜂「な、何を引かれちゃったの私!?」

垣根「地球の誕生のきっかけとなった爆発の名前は」

絹旗「はいはいはいはい超はいはい!」

垣根「絹旗」

絹旗「ビッグバン!」

垣根「ですが」

絹旗「あぁぁぁ超うぜぇぇぇ!」



891 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 10:12:15.73 JI+6M4WO0 743/823

垣根「イギリスの巨大な時計塔といえば」

小萌「はい!」

垣根「小萌!」

小萌「ビッグ・ベン!」

垣根「ピンポンピンポン!大正解、1ポイント!」

上条「・・・いきなり正統派できたな」

食蜂「・・・まさか引っ掛けがあるなんて」


美琴「・・・ねぇ、いつになったらペアでのクイズになるのよ」

垣根「うるせぇな、次の問題の後だよ」

浜面「ならいいけどさ・・・」

結標「私だって暇じゃないんだからね」

垣根「暇だったからここにいるんだろ」

結標「・・・」

垣根「じゃ、第1ステージ最終問題!!!」


デデン!



892 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 10:21:37.47 JI+6M4WO0 744/823

垣根「あぁん!!お、お義父様…ダメですわ、こんなところで!!」

一同「」

垣根「ふぇっふぇっふぇ、いいじゃろう、それにここはこんなに疼いておる…」

垣根「お、お義父様…痛い、痛いです!!」

垣根「感じておるのじゃろう?さぁさぁ!!」

一同「」

垣根「ここで問題です」

上条「もう大問題だよ!」

垣根「このお義父様は、SMのどっちでしょうか」

食蜂「はい!」

垣根「はい、食蜂」

食蜂「S!!」

垣根「ファイナルアンサー?」

食蜂「ファイナルアンサー!」

垣根「正解!」

食蜂「やったぁ!!」

絹旗「ちょっと待てぇ!!!」

垣根「あぁ?なんだよ」


893 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 11:00:57.49 JI+6M4WO0 745/823

絹旗「お、お願いだから普通の問題にしてください…」

垣根「はいはい、じゃあ次からコンビでの問題な」

垣根「よっこいしょ」

美琴「?何それ」

垣根「マジックで書いては消せる、便利なホワイトボードだ…一人一個取ってくれ」

浜面「あぁ…でもなんで?」

結標「…あ、なんとなくわかったわ」

垣根「…そう、予想通りだが…二人で前後を答えるクイズだ」

上条「?」

垣根「そうだな、簡単に言えば…」


垣根「問題です、ツンデレ中学生が、変態ストーカー、頭がお花畑、年下の巨乳に悩まされる愛と青春の物語の題名といえば、とある何の何でしょうか、みたいな」

美琴「…」

小萌「私が前を答えて、結標ちゃんが後ろを答えるのですね」

結標「せーの、で答えを出すのよね」

垣根「せーの!!」

小萌「とある科学の!」

結標「超電磁砲」

垣根「ザーッツライトォ!!!」

美琴「みんな、買ってね!」


894 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 11:16:11.55 JI+6M4WO0 746/823


垣根「さ、みんな自分の相方との相性が試されるぞ」

上条「…じゃ、さっそくやってくれよ」

美琴「…優勝賞金20万あれば、当麻は4か月かそこらは暮らせるもんね」

浜面「…大将も大変だな…」

上条「…さっさとやってくれよ…」グスン

心理「貧乏って大変ね」

垣根「第一問!!」

デデン!


垣根「ハンニバル・レクターの作品史上、最も人気ともいえる1991年に公開された、映画の題名は何の何?」

小萌「ちょうど先生の世代なのですよ!」

上条「…ぜ、全然分からないんだけど…」

美琴「…大丈夫、たぶん…これよね」

浜面「…絹旗、分かったか?」

絹旗「映画のことで私にクイズを出すなんて、愚かしいことこの上ないです!」

心理「…分かってるわね、食蜂」

食蜂「もっちろん」


垣根「では、上条達から答えをオープン!!」


895 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 11:23:21.98 JI+6M4WO0 747/823

美琴「羊たちの!」

上条「ラ…ラブストーリー…」

美琴「な、なによそれ!?」

垣根「ブー!!上条、間違い!!」

上条「で、ですよねー…」

美琴「…はぁ、まぁ当麻は知らないわよね…原作とか読んだこともなさそうだし」

上条「…すいません」

垣根「はい、次は絹旗と浜面!!!」

浜面「しゃあ!!」

垣根「答えをオープン!!」



浜面「スパイダーマンと!」

絹旗「と、とってなんですか!!超馬鹿なんですか、の、って言ったじゃないですか!」

浜面「そ、そうなのか?」

絹旗「…超ダメダメですね…後ろは沈黙、です」

上条「あぁ!!羊たちの沈黙か、聞いたことある!!」

小萌「先生達は正解なのですよ」

心理「私たちも」

垣根「はーい、2チーム正解」



896 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 14:19:36.76 JI+6M4WO0 748/823

上条「…もっと俺にも分かるようなのを…」

垣根「うるせぇ、回答者が出題者に文句言うんじゃねぇ!!」

心理「さ、次の問題にいってよ」

食蜂「こういう普通の問題なら私達の連携力で楽勝よねぇ」

浜面「…映画の問題は…なんだ、もうやめてくれ」

垣根「じゃあ、第二問」

デデン!


垣根「静けさや、石に染み入る…さて、なに」

小萌「…はい?」

結標「ね、ねぇ…それって一人で答えられ…」

垣根「カッチッカッチッカッチッ…」

美琴(か、考えてるヒマはないわ!!)

心理(…どういうのが正解なのよ…)

絹旗(超意味わかんねぇ…)


垣根「ブー!!一斉にオープン!!」


上条「…蝉の」

美琴「声」

心理「蝉の」

食蜂「声」

結標「蝉の」

小萌「声」

絹旗「蝉の声」

浜面「by松尾芭蕉」

垣根「全員正解か」

上条「ちょっと待てよ」



897 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 14:30:47.85 JI+6M4WO0 749/823

垣根「なんだよ」

上条「…最後のは、正解じゃないだろ」

垣根「はぁ?むしろ詠んだヤツまで答えたからボーナスポイントだよ」

美琴「そ、そんなのアンタのさじ加減一つじゃない!!」

垣根「第三問」

美琴「聞けよ!!」



垣根「素敵なプロポーズといえば」

一同「」

垣根「カッチッカッチッカッチッ…」

結標(か、考えなきゃ…)

浜面(こんなのもうクイズじゃねぇ…)



垣根「ブー!!そこまで、まずは上条チームから!!」

上条「…お前の人生半分くれ」

美琴「まずはキスから始めよう」

垣根「不正解」

上条「なにが正解なんだよ!?意味が分からねぇよ!!」

垣根「次、小萌チーム」


898 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 14:34:04.18 JI+6M4WO0 750/823

小萌「君と、一緒に幸せになりたいから!!」

結標「お姉ちゃん、僕…こんなの知らないよ!!」

一同「」

垣根「不正解だな」

浜面「そりゃそうだよなぁ…」

垣根「次、食蜂チーム」

食蜂「まぁ、私の経済力さえあればアンタなんて養ってあげられるしぃ」

心理「だから、家事だけは任せたわ」

垣根「…まぁ、文章は繋がってるし…正解にしてやるか」

食蜂「よっしゃぁ!!」

上条「…もう、これやめたい…」

垣根「20万が欲しくはないか」

上条「…欲しいです…」ウッウッ

垣根「次、絹旗チーム」

絹旗「…超あなたと一緒にいたいんです」

浜面「だから、隣にいてもいいかな」

垣根「不正解」

絹旗「超異議あり!!」

垣根「なんだよ、うるせぇな」

絹旗「浜面にしては中々しっかりした答えじゃないですか、いいじゃないですかこれで!!!」

浜面「…なんか、暗に馬鹿にされてるよな俺…」



899 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 14:36:54.06 JI+6M4WO0 751/823

垣根「じゃあ、次の問題な」

美琴「…ペアでの問題なんだから、最初みたいなまともな問題にしてよ」

垣根「はいはい…第二ステージ、最後の問題です」

上条「やっとか…」

垣根「ボーナスですので、正解すると素敵なことが起こります」

浜面「へぇ、どんな?」

垣根「さて、それはなに」

一同「」

垣根「カッチッカッチッカッチッ…」

心理(お、落ち着いて考えれば…)

食蜂(…分からないわよねぇ…)


垣根「ブー!まずは上条チームから!!」

美琴「…垣根が」

上条「二倍になる」

垣根「…」



垣根「何言ってんのお前達、ちょっと引くわ…」

美琴「アンタねぇ!!」

上条「じゃあ何が正解なんだよ!?何が善で何が悪なんだよ!?」

垣根「次、食蜂チーム」


900 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/02 14:39:23.13 JI+6M4WO0 752/823

食蜂「…地球が」

心理「平和になる」

垣根「有り得ません、夢見すぎなんだよ」

心理「…なんか、腑に落ちないわね」

垣根「次、小萌チーム」

小萌「…上条ちゃんが」

結標「ショタ化」

上条「はぁ!?」

垣根「惜しい!!!」

上条「惜しいのかよ、正解はなんだよ気になるよ!!!」

美琴「…っていうか、答えもアンタのさじ加減…」

垣根「最後、絹旗チーム」

絹旗「…隣の柿が客を食う」

浜面「それでもあなたは旅立った」

垣根「不正解」

上条「…正解を言ってくれ…」

垣根「第三ステージは、泥沼クイズ!!!」

上条「聞けよ!!!」



901 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 18:35:49.55 JL6dM09X0 753/823

垣根「これは二択のクイズだ、○か×で答えるだけだな」

美琴「なんだ、簡単じゃない」

心理「…でも、泥沼っていうのは?」

垣根「昔ながらのあれだよ、○か×のどっちかに飛び込む、正解ならばマットが敷いてあるだけだが間違いならば泥に落ちる、みたいな」

心理「あぁ、なんかあったわね…アメリカ横断ウルトラクイズみたいなの」

絹旗「…それで、どこでやるんですか?」

垣根「庭」

浜面「に、庭にわざわざ作ったのか?」

小萌「かなり手が込んでますね…」

垣根「あぁ」

結標「…でも、垣根にしてはベタね」

垣根「まぁ、庭に行こうぜ」



食蜂「…どっちかがマットでどっちかが泥沼なのよねぇ」

垣根「正解と間違いの入れ替えは、毎回エキストラがやってくれる」



御坂妹「…なんでミサカがこんなことを」

20000「知らないよそんなこと」

10039「…全く」


902 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 18:39:28.55 JL6dM09X0 754/823

上条「…で?間違いの方には泥沼なんだっけ」

垣根「いや」

美琴「?」

垣根「正解はマットだが、間違いは溶岩が敷かれている」

一同「」

垣根「冗談だよ」

心理「…そ、それで?間違いには何が敷かれてるの?」

垣根「…」



垣根「じゃあ、この契約書にハンコを押してくれるか」

美琴「…」

上条「なになに…?」


「私は、仮にこの競技で命を落としたとしても、垣根さんを責めません。この競技に参加したのは私の意志です」


食蜂「ちょ、ちょっと待ってよ!!」

浜面「なんだよこれ!?」

小萌「そんなに危ないものが敷かれているのですか!?」

垣根「…」



垣根「じゃあ、第一問」

一同「聞けよ!!!」


903 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 18:57:32.97 JL6dM09X0 755/823

垣根「セクシーコマンドー外伝、すごいよ!!マサルさんの中で、フーミンが最初つけられそうだったあだ名はゲロシャブである」

一同(知らねぇよ!!)

垣根「はい、○×どーっちだ」

上条「み、美琴…知ってるか?」

美琴「知らないわよ…」

小萌「ふふん、先生は知っているのですよ!!」

結標「さすがね…」

心理「…食蜂、どっち?」

食蜂(知ってる人の心を読めば簡単に分かっちゃうのよねぇ)

絹旗「…そ、そんな古い漫画を言われても…」

浜面「…っていうかゲロシャブってなんだよ」

垣根「では、どっち!?」



上条「○…かな」

小萌「○なのです!」

食蜂「○なのよねぇ」

浜面「…ば、×じゃないのか…」

垣根「はい、ではそれぞれ飛び込んでください」

美琴(…死なないわよね…?)



904 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 19:00:31.69 JL6dM09X0 756/823

上条「よっしゃぁ、先生がこっちだって言ってるし!!」

食蜂「自信持てるわよねぇ」

浜面「ちくしょう…」


ダッダッダ


美琴「…!?」

上条「マ、マットじゃない…」

心理「…っていうかこれ…」



一同「もずくぅぅぅぅぅ!!!!」


ビチャッ



絹旗「せ、正解!?」

浜面「え、マジで!?違うのかよ!?」

小萌「そ、そんなぁ!!垣根ちゃん、間違いじゃないはずです!!」

垣根「ゲロシャブじゃなくてげろしゃぶでした」

美琴「か、カタカナかひらがなの違い!?っていうか何この大量のもずく!!!」ヌルヌル

心理「…海に飛び込んだ気分よ…」ハァ

結標「あぁ…パンツの中までヌルヌルする…」



905 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 23:20:48.40 JL6dM09X0 757/823



上条「・・・もう間違えたくない」

美琴「なんなのよ、もずくって・・・」

垣根「ははは、よかったな、健康になれるぞ」

結標「それは食べなきゃダメでしょ・・・ったく」

絹旗「へっへーん!超余裕でしたね、浜面!」

浜面「運がよかっただけだよな・・・」

小萌「・・・垣根ちゃん、次も失敗したらもずくなのですか?」

垣根「まさか、毎回毎回変わるんだよ」

心理「・・・まぁ、正解すればいいのよね」

垣根「じゃあ第二問な」

食蜂「よっしゃ来い!」


垣根「昔々、あるところにお爺さんとおばあさんが」


垣根「いた、○か×か」

一同「・・・」

垣根「さ、どっちだ」

上条「・・・もう問題がおかしいことにはツッコまない」




906 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 23:21:16.18 JL6dM09X0 758/823

美琴「・・・いいわよ、×!」

食蜂「ふふん、なら私は○にしようかしらぁ」

絹旗「・・・私も○で」

小萌「結標ちゃん、どうしますか?」

結標「○でいいんじゃない?」

垣根「上条達だけが×だな」

浜面「・・・よし、もう行くしかないんだ!」

上条「20万のために!」

一同「うぉぉぉ!」

ダッダッダッ


上条「・・・マ、マットじゃないぃぃぃ!」

美琴「っていうかこれ何よ・・・ベチャベチャしてる・・・」

垣根「即効性の媚薬です」

上条美琴「」

心理「危なかった・・・」

食蜂「はぁ、こういう時の運は私のおかげよねぇ」

絹旗「二連続正解ですよ、浜面!」




907 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 23:21:42.75 JL6dM09X0 759/823

浜面「よし・・・なんか知らないけどツイてる!」

結標「・・・小萌、20万は山分けよ」

小萌「こ、子供がお金をやり取りしたらダメなのです!」

美琴「んっ・・・ね、当麻ぁ・・・」

上条「美琴ぉ・・・」

垣根「次がこのステージ最後の問題だ」

心理「まともな問題にしなさいよね・・・」

垣根「では問題です」


垣根「犬、猿、猫、仲間外れはどれ」

一同「」

垣根「はい、正解のほうに飛び込んで」

浜面「待った待った!○×じゃなくて三択になってんじゃねぇかよ!」

食蜂「しかもいきなり意味が分からないんだけどぉ!?」

結標「だ、大体○が何で×が何なのよ!?何が足りないのよ!?」

垣根「○か×、どっち?」

絹旗「だからどっちも何もないじゃないですか!」

垣根「どっちだ!」




908 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 23:22:08.42 JL6dM09X0 760/823

絹旗「垣根は超馬鹿なんですか!どっちじゃなくて、最早どれですよ!」

垣根「じゃあどれだ!」

絹旗「三つ選択肢を作れよクソメルヘン!」

上条「美琴、もう濡れてる・・・」

美琴「あふぅ、当麻もカチカチ・・・」

小萌「垣根ちゃん、クイズっていうのはしっかり答えがないとダメなのですよ!」

垣根「だから答えはあるんだよ!」

食蜂「私の理解力をもってしても分からないわねぇ」

心理「・・・っていうか、分かったらおしまいよ」

垣根「犬、猫、猿、バルサミコ酢、どれが仲間外れだ!?」

浜面「選択肢増えてるじゃねぇか!っていうか明らかにバルサミコ酢が仲間外れだろ!」

垣根「・・・犬か猿かバルサミコ酢、どれが仲間外れだ」

浜面「猫じゃなかったってことは今明らかになったよ!」

垣根「バルサミコ酢、バルサミコ酢、バルサミコ酢!どれが仲間外れだ!」

浜面「もう選択肢がねぇよ!」

垣根「バルサミコ酢、どれが仲間外れだ!」

浜面「纏めるな!」

垣根「・・・太郎君は、いつも仲間外れだ」

浜面「か、悲しくなるからやめろ・・・」



909 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 23:22:36.20 JL6dM09X0 761/823

垣根「じゃあ犬か猿か猫、仲間外れはどれだ!」

浜面「繰り返しにするな!」

結標「・・・○でいいわ、私・・・」

心理「・・・私も」

食蜂「はぁ・・・常識が通用しないっていいことじゃないわねぇ」

絹旗「・・・超理不尽、私達は×で・・・」

上条「美琴・・・い、入れていいか・・・?」

美琴「ダ、ダメよ・・・みんなが見てる・・・」

垣根「上条達はどっち?」

上条「・・・ダメだって」

垣根「分かった、×だな」

浜面「どういう結論だよ」


垣根「はい、じゃあ正解だと思ったほうに飛び込んで」

心理「・・・ちなみに、今度は媚薬なんかじゃないわよね・・・」

垣根「さすがに反省したよ」

小萌「じゃあ、行きましょうか・・・」


ダッダッダッ




910 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/03 23:23:09.99 JL6dM09X0 762/823



絹旗「!×じゃなかったぁ!」

浜面「っていうかなんだこの液体・・・」

上条「あ、なんかヌメヌメしてる・・・」

美琴「あは、なんか気持ちいい・・・」

浜面「あぁぁぁ!これセメントじゃねぇか!」

絹旗「し、死ぬ!超死ぬ!○にすればよか・・・」


心理食蜂「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

小萌「こ、来ないで下さい!あ、足が一杯なのですよ!」

結標「いいやぁぁぁ!腕に登ってきたぁぁぁぁ!」

心理食蜂「」

結標「あぁぁぁぁ!服に入ってきたぁぁぁぁ!」

小萌「ぬわぁぁぁぁ!」


浜面「・・・」

絹旗「・・・」



垣根「であっはっはっ!さ、三択あるのに○か×とか・・・www」

垣根「俺は○で」


垣根「はっずーwwwwww」

垣根「ひゃははははは!だせぇ、マジやべぇww」



ゲラゲラと垣根が笑う、まるで目の前の惨事を楽しむかのように。


そんな垣根帝督の背後から、そっと肩を叩く者がいた。

振り返った出題者は、そこで目撃する。

立っていたのは。

青筋を浮かべた。

般若のような顔の。

心理定規。



914 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 17:36:20.22 +Nd/zA1y0 763/823


アックア「…運動をして疲れたのである」

テクパトル「そんな時はこれですよ、アックアさん」

アックア「?レッドブルではないか!!」

テクパトル「全世界で愛されているエナジードリンク」

アックア「その甘すぎぬ魅力的な味は、人々の心を掴んで離さない」

テクパトル「一度見たら忘れられない、かっこよすぎるシンボルマーク」

アックア「これを飲めば、午後の会議やこれからの仕事だって頑張れそうである!!」

テクパトル「全国のコンビニなどで販売されているレッドブル、250ml210円!」



アックア「…CMって難しいのである」

テクパトル「そうですね…」

アックア「…あれ、でもなんでCMが…」




垣根「」

心理「…」

垣根「」

一同「」ブルブル


915 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 17:37:00.20 +Nd/zA1y0 764/823



垣根「・・・次のステージがラストステージだ」

上条「・・・媚薬って怖いよな」

美琴(私としてはさっきから心理定規が怖くて仕方ないんだけど・・・)

心理「・・・」

垣根「あ、メ、心理定規・・・さん?」

心理「愛してるって十回言って」

垣根「な、なんだそれ?」

心理「十回クイズよ」

垣根「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」

心理「・・・//」

浜面「えぇぇ!?」

心理「ほら、早く次いきましょう」

小萌「それで許しちゃう心理定規ちゃんは優しいのですよ・・・」

結標「全くよね・・・私なら死ねの一言だわ」

絹旗「超セメントの臭いがします・・・」

垣根「うるせぇな、グチャグチャ言うな」

絹旗「あ、超うぜぇ」

垣根「さて、最後のステージは全員対抗早押しクイズだ、テンポよくいこうぜ」

上条「あれ、ペア戦じゃないのか」

垣根「ペアで計算されるが、なにせ早押しボタン張り切ってたくさん作ったから」




916 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 17:37:28.08 +Nd/zA1y0 765/823

食蜂「へぇ、楽しみにしてたのねぇ」

垣根「じゃあいくぜ」

浜面「あぁ」


垣根「御坂が一番感じるのはどこ」

美琴「は、はぁ!?」

ピンポン

垣根「はい、上条」

上条「胸」

垣根「正解」

上条「あぁ!?なんでお前が正解かどうかなんて分かるんだよ!?」

垣根「分かるんですぅ、ミコっちゃんのことなら分かるんですぅ」

上条「よっしゃいいだろう、表出ろよ!」

心理「落ち着きなさい二人とも・・・」

垣根「いいだろ、上条にポイントやるんだから」

上条「くそっ・・・」

浜面「なぁ大将、なんで分かったんだ?」

上条「いや、いつも感じるから」

浜面「」


いつも感じるからいつも感じるからいつも感じるからいつも感じるからいつも感じるからいつも感じるから


浜面「死ね!」

上条「えぇぇ!?」



917 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 17:37:53.50 +Nd/zA1y0 766/823

小萌「上条ちゃん、先生はそんな子に育てた覚えはないのですよ・・・」

食蜂「こ、これだから最近の男は怖いわよねぇ!」

絹旗「あなたも最近の女ですけどね」

美琴「は、早く第二問いきなさいよ」

垣根「じゃ、次な」


垣根「パンはパンでも食べられないパンは」

ピンポン

垣根「浜面」

浜面「フランスパン!」

垣根「・・・は?」

結標「え?」

浜面「いやぁ、俺ってあれ固くて噛み切れなくてさ・・・滝壺と一回デートで食べようって話になったんだけど結局二人とも噛み切れなくて、仕方なく・・・」

垣根「-5ポイント」

浜面「えっ」




918 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 17:38:27.98 +Nd/zA1y0 767/823

絹旗「浜面ったら超余計なことを!」

浜面「お、俺が悪いのか!?」

結標「はぁ・・・私も彼氏欲しくなるわぁ、小学生以下の」

小萌(結標ちゃん・・・立派になって)

食蜂「はい、次いって」

垣根「問題」


垣根「家は大火事頭は玉ねぎ、なーんだ」

ピンポン

垣根「心理定規」

心理「永沢君」

垣根「正解」

上条「な、なんだよそれ・・・」

垣根「次な」

美琴(ぜ、全然答えられない・・・)


垣根「フレミング左手の法則により、高速で弾を・・・」

ピンポン

垣根「御坂」

美琴「超電磁砲!」

垣根「正解!」



919 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 17:38:54.84 +Nd/zA1y0 768/823

美琴「っしゃあ!」

小萌「な、なんて早い・・・」

結標「・・・もっと簡単なのにしなさいよ、マニアックすぎ」

垣根「・・・分かったよ」


垣根「1+1はなーんだ」

結標「それはナメすぎ」

垣根「じゃあ・・・」


垣根「日本では雷という意味の、チョコを・・・」

ピンポン

垣根「食蜂」

食蜂「エクレア」

垣根「正解」

絹旗「くぅ!私も分かってたのにぃ!」

浜面「早押しだから仕方ないって・・・」

垣根「次」





920 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 17:39:21.44 +Nd/zA1y0 769/823



垣根「干支に関わる伝説で、鼠に騙されたために干支に加わることの出来なかった動物はなに」

ピンポン

垣根「お、結標」

結標「猫・・・だったかしら」

垣根「正解」

浜面「・・・知るかよそんなの・・・」

垣根「・・・そろそろ問題も終わるぞ」

浜面「!い、今何ポイントあるのか分からない・・・」

絹旗「・・・早く次、いって下さい」

垣根「あぁ」


垣根「ここで、時間切れです」

絹旗「じゃあさっきの問題云々はなんだったんですか!」

垣根「仕方ないだろ、おやつの時間だし」

絹旗「まだ正午ぉぉぉ!」

垣根「ではポイントを見てみましょう」

上条「・・・俺達、後半はわりと頑張ったかな」

美琴「あの泥沼クイズはボロボロだったけど」




921 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 17:39:54.46 +Nd/zA1y0 770/823

心理「私達が一番安定してたかしら」

食蜂「ま、まぁあなたにも少しは感謝してるわ」

小萌「結標ちゃん、楽しかったですね!」

結標「久しぶりに遊んだって感じね・・・」

浜面「・・・腹減った・・・」

絹旗「大して頭も使ってないくせに」

浜面「つ、使ったんだよ俺なりに!」

垣根「集計結果が出ました!」

結標「早いわね」

上条「・・・で、どうだったんだ」

垣根「結果は・・・」


垣根「ダララララララララララララ・・・ダダン!」


上条、美琴ペア・・・13点

心理定規、食蜂ペア・・・18点

小萌、結標ペア・・・どっちつかずのアイウォンチュー

浜面、絹旗ペア・・・ピーちゃん

垣根帝督・・・50000点

垣根「よって、俺の優勝です」


一同「待てよ」



922 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 21:12:16.79 +Nd/zA1y0 771/823



垣根「あー、出校日とかだりぃ…」

心理「…全くもって同感ね」

上条「…しかも宿題のチェックもあるとか…」

三人はため息をついていた

今はもうホームルームも終わり、帰ってもいい時間帯だ

とはいえ久々の学校ということもあり、クラスのほとんどが帰らずに無駄話をしているという状況だ

土御門「にゃー、カミやんは宿題終わってたみたいだし、雨が降りそうですたい」

吹寄「…してきたらしてきたで気持ち悪いわよね」

上条「なんだよそれ…」

垣根「…?」

窓の外を見ていた垣根は、あるものに気付いた

それは野球部の練習だ

垣根「へー、この学校でも一応部活ってあったんだ」

心理「あなたね…体験入学の前に説明あったでしょ」

垣根「忘れた」

姫神「…でも。垣根がスポーツをしたら、能力だけで全国優勝になるから」

青ピ「ほんま、学園都市じゃスポーツなんて能力者の遊びみたいなもんやからなぁ…」

吹寄「全く…スポーツの大切なことは、結果じゃないのに…」

垣根「…そうだ」



垣根「部活作りたいな」

一同「は?」



923 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 21:30:19.22 +Nd/zA1y0 772/823


垣根「面白そうだろ、部活」

上条「い、いや…何の?」

垣根「フリンフォン」

上条「あれ架空のスポーツだっただろ!!!」

垣根「…なぁ、青ピも入るよな?」

青ピ「残念やけど、ボクバイトが忙しいからなぁ…」

垣根「じゃあ仕方ないな…吹寄はマネージャーな」

吹寄「な、なんで私が…」

垣根「姫神は…レギュラーでいいだろ」

姫神「レギュラー。素敵な響き」

心理「…騙されてるわよ」

土御門「…垣根、馬鹿なことはよしとけ…」

垣根「お前、清掃員な」

土御門「あるぇぇ逆鱗に触れたのかにゃー!?」

垣根「…あとショチトルとエツァリと…削板と白井と御坂がいれば完璧だな」

上条「い、いや…部外者は学校の部活とか参加できないし…」

垣根「あとは顧問だけだな!!」

上条「…むしろ何も決まってないよな」


924 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/04 21:55:50.58 +Nd/zA1y0 773/823


垣根「…というわけで、部外者を招集してみました」

美琴「…あのね、大事な話があるからって言われて来てみたら…」

エツァリ「…まぁ、制服の女性がたくさん見られるのはオカズになるからいいんですが」

削板「はっはっは!!いいじゃないか、部活なんて青春らしくてさ!!」

黒子「で、ですが…」

上条「…こんなのって、絶対許可下りないだろ…」

垣根「え、なんで」

ショチトル「勝手に決めて、部外者を呼んで、しかも実在しないスポーツだろ」

垣根「エキセントリックじゃん」

一同(ダメだこいつ)

心理「…それで、仮にいいとして顧問は誰なのよ」

垣根「…小萌に頼もうと思う」

上条「こ、小萌先生?」

姫神「…小萌なら。たしかにどうにかなりそう」

吹寄「…でも、それでも結局は意味のない部活じゃない」

垣根「…意味がない…だと?」

吹寄「あ、嘘だから怒らないで」

垣根「…そうだなぁ、小萌に頼んでダメだったら…どうしよう」

美琴「…本当にやるのね、フリンフォン部…」




928 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/05 20:00:26.37 tYPTTeGd0 774/823

垣根「・・・で、部活を作ったから」

小萌「ダメなのですよ垣根ちゃん!」

垣根「なんで?」

職員室、その中央

携帯型の空気清浄機の前で、小萌は黄泉川と二人タバコを吸っていた

しかし生徒が職員室に入ってきたため、慌ててそれを隠した所だ

上条「ほら言っただろ、垣根・・・」

小萌「上条ちゃんもなんで来てるんですか・・・」

垣根「部員だからだよ」

上条「いやいや!違いますからね!」

垣根「なぁ、だから部活と認めてくれよー・・・御坂とかいるんだぜ」

小萌「はぁ・・・一応聞きますけど、何の部活なんですか?」

垣根「フリンフォン」

小萌「・・・あの、初めて聞く単語なのですが」

黄泉川「私も知らないじゃんよ」

垣根「・・・え、知らないのかよ・・・」

小萌「上条ちゃんはフリンフォンを・・・その、分かるのですか?」



929 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/05 20:01:02.81 tYPTTeGd0 775/823

上条「・・・いや、分からないんですよね」

垣根「・・・なぁ、いいだろ?」

小萌「あの・・・」


垣根「なんでだよ先生!俺は・・・部活を通して友情を見つけたかったんだ・・・!」

小萌「!」

垣根「あぁそうだ・・・俺は超能力者だ、スポーツをしようものなら卑怯だと思われる時もある!」

垣根「でもな・・・俺は、何も超能力を使って無双したいわけじゃないんだよ!」

垣根「流した汗は、誰だってしょっぱいはずだ!流した涙は、誰だっていつかは枯れるはずだ!」

垣根「俺は・・・俺は、部活を通して大切な何かを見つけたいんだ!」


小萌「垣根ちゃん・・・分かりました、私が認めるのです!」

黄泉川「ちょ、ちょっと・・・そんな簡単には認められないじゃんよ」

上条「そ、そうそう!おかしいって垣根も小萌先生も・・・」

小萌「いやいや!そんなことないのですよ!」

垣根「じゃあ、顧問は任せたからな」

小萌「はい!」

垣根「よろしく!」

上条「いやいや待て待て!」



930 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/05 20:01:28.92 tYPTTeGd0 776/823



美琴「・・・で、本当に部活として認められちゃったわけね・・・」

エツァリ「・・・なんというか馬鹿馬鹿しいですね・・・」

黒子「・・・それで、部活の活動時間は何時から何時ですの?」

垣根「・・・そうだな、フリンフォンは基本的に正午辺りがいいかな」

削板「?違ってもいいのか?」

垣根「まぁ、いいけどさ・・・あんまり夕方になるとピーカブーが破廉恥しちゃうんだよな」

心理「ねぇ、ピーカブーって何?」

土御門「ボクシングのスタイルの一つだぜぃ」

姫神「・・・それで。部費はいくら?」

垣根「部費?なんで部費が気になるんだよ」

吹寄「・・・そりゃ、部活に入ったら部費払わないといけないんだし」

垣根「部費は・・・75ペソだ」

エツァリ「・・・あの、円じゃないんですか」

垣根「はぁ?お前、フリンフォンなのに円とか・・・マジで俄かだな」

ショチトル「・・・なぜペソなんだ?」

垣根「二文字だから」

一同「円も平仮名なら二文字だよ!」


垣根「・・・さーて、まずは姫神の背番号から決めないとな」

姫神「・・・私から?」

垣根「だってお前が部長だろ」

美琴「ア、アンタが作った部活なんじゃないの!?」



931 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/05 21:34:14.90 tYPTTeGd0 777/823

姫神「…私が部長」

垣根「その通り、お前が部長だ」

姫神「…おい。お茶持って来い」

垣根「黙れよ」

■■「」

垣根「…さて、じゃあ早速練習でもしてみるか」

上条「…な、なぁ」

垣根「あぁ?なんだよ」

上条「校庭、もうほとんど他の部活に使われてるから…」

垣根「それならいいんだよ、フリンフォンは基本的に屋内でやるから」

エツァリ「…ま、前は外でやりましたよね」

垣根「あれは仕方なかったんだよ」

土御門「…でも、体育館も使われてるんだぜぃ」

黒子「そうなったら…練習なんてできませんの」

垣根「いや、一つ場所がある…屋外で妥協すれば」

美琴「?でも校庭は…」

垣根「校庭じゃない」



垣根「屋上だよ」

一同(馬鹿だこいつ…)


932 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/05 21:50:49.65 tYPTTeGd0 778/823


削板「おぉ!!中々広々とした屋上だ!!」

上条「い、いや…そんなに広くないぞ」

ショチトル「せいぜい四つん這いで25歩ってところか」

美琴「そ、そんな単位って…」

心理「そこまで狭くはないけど…」

吹寄「それで…その、フリンフォンって何をすればいいの?球技?」

垣根「あぁ、球技と言えば球技だ」



垣根「だが球技じゃないと言えば球技じゃない」


吹寄「な…なんですって…」

土御門「全くもって意味が分からないぜぃ…」

心理「…ねぇ、屋上では危険じゃないの?」

垣根「あぁ、危険と言えば危険だ」



垣根「だが危険じゃないと言えば危険じゃない」



吹寄「な…なんですって…」

土御門「全くもって意味が分からないぜぃ…」

心理「ねぇ、どうして屋上がいいの?それなら児童公園でもいいじゃない」

垣根「あぁ、児童公園と言えば児童公園だ」



垣根「だが児童公園じゃないと言えば児童公園じゃない」


吹寄「なんですって…」

上条(もうついていけない)



933 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/05 21:57:14.63 tYPTTeGd0 779/823


垣根「…さて、バスケットボールは貰ってきた」

上条「あれ、ボールって使うんだっけ」

垣根「…これは、祭壇に飾るためだよ」

上条「さ、祭壇に…?」

ショチトル「な、なぁ…祭壇って、屋上にあるのか?」

垣根「屋上にはねぇよ」

削板「なんだ、ないのか」

垣根「あぁ、だが神棚ならあるし代わりに祀っておくか」ヨッコイショ

美琴「そ、そんな適当でいいの…?」

姫神「…ねぇ。部長の役目はなに?」

垣根「ない、それより練習始めようぜー」

姫神「」

小萌「はいはい、皆さん整列して…」

垣根「はぁ!?なんで皆さん整列させるんだよ!!!」

小萌「ひっ!?」ウルウル

垣根「小萌…お前は、フリンフォンを何も分かっちゃいない…」

上条「な、なんでだよ…?何がいけなかったんだ…?」



垣根「皆さんじゃなくて全員じゃなきゃいけないんだ、メソポタミアでは!!」

上条「あぁ、そうなんだ」


934 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/05 22:03:16.80 tYPTTeGd0 780/823


垣根「小萌、小萌はマネージャーの手伝いをしてくれ」

小萌「はいなのです!!」

垣根「吹寄、これがスコアボードだから…個人の細かいデータを書いてくれ」

吹寄「?あ、あぁ…野球みたいなのね」



「 本校を訪れて、どう感じられましたか
  非常によい よい 普通 つまらない すごくつまらない

 
  体験授業は分かりやすかったですか?

 非常に分かりやすかった 分かりやすかった 普通 分かりにくい すごく分かりにくい 」


吹寄「」

垣根「さて、それじゃあよろしくな、それで打順決めるから」

吹寄「ま、待って待って!!!これのどこがスコアボードなのよ!?ただの体験入学アンケートじゃない!!!」

垣根「…え?」



垣根「あぁ…それで?」

吹寄「これでいいの!?」

姫神「こら垣根。しっかり練習しないと」

垣根「あぁ、悪い悪い…じゃあ頼むぞマネージャー、もしくはベトナム人」

吹寄「…」



吹寄「垣根、×と…」

   

935 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/05 22:08:40.32 tYPTTeGd0 781/823


垣根「…さて、じゃあチョークを使って陣を書くからな」

土御門「そんなもんがあるのかにゃー」

黒子「…えっと、たしか…」

垣根「今日は貞子の憂鬱、温もりは四畳半の陣で行くぞ」

上条「…なんだそれは…」

垣根「えーっと…」

垣根が地面に陣を書いていく

上条「…」



上条(ただの星型だぁ…)



美琴「…わ、私…フリンフォンとか知らないんだけど」

垣根「…安心しろ、お前は全国ランキングに載ってるほどの実力者だ」

美琴「いやいや!!全国ランキングなんて…」

垣根「知らなかったのか、実は最近日本フリンフォン同盟が出来たんだ」

美琴「え?」

垣根「はい、この雑誌の54ページに全国ランキング載ってるから」

美琴「…今日のレシピ…?なんか知らない雑誌…」ペラペラ



美琴「って私全国一位!?」

一同「え、えぇぇぇぇぇ!?」



938 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:21:13.48 jF3Xn67l0 782/823

垣根「それの意味が分かるか」

エツァリ「・・・全国一位の選手がいる・・・」

土御門「な、なんてラッキーなんだにゃー・・・」

垣根「そう、現段階ですでに俺達は全国二位のチームだ」

上条(一位じゃないんだ)

垣根「・・・だが油断は禁物だ、これを見ろ」

ショチトル「ん?」

垣根が美琴の一つ下の選手を指差す

美琴「垣根帝督・・・へぇ、なんかすごい名前」

削板「こいつが全国で二番目なのか」

垣根「最近急成長らしいぞ」

姫神「となると。要注意人物ね」

吹寄(なんで誰もツッコまないの・・・)

黒子(全国のトップツーがいるのに、チームとしては二番目ですの・・・?)

心理「・・・それで?美琴は現段階では全国ランキングトップなのね」

垣根「あぁ、よって俺達には全国大会ではシード権が与えられる」



939 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:21:42.16 jF3Xn67l0 783/823

上条「へぇ・・・トーナメントなんだ」

垣根「?」

上条「いや、シードなんだろ?一回戦が免除される・・・」

垣根「・・・?フリンフォンでシードだぞ?カップ麺にお湯を入れる優先権に決まってるだろ」

上条「全く競技関係ねぇよ!」

垣根「何を言う!全国大会でもしも昼ご飯がカップ麺だったら!」

小萌「・・・お湯を巡る争いが繰り広げられるのですよ!」

土御門「最悪、死者が出るぜぃ」

垣根「あぁ・・・それも数珠繋ぎに」

エツァリ「それを防ぐためにシード権があるんですね・・・」

黒子「奥が深いですの・・・」

上条「奥行き云々の問題じゃねぇ」

垣根「・・・さて、まぁそういうわけだ・・・俺達には全国一位がついてる」

美琴「で、でも私が一位になったのは偶然よ?」

削板「はっはっは!偶然でも一位は一位だ!」

垣根「・・・そうそう、それに御坂は偶然なんかで一位になったわけじゃない」

ショチトル「これからそれを証明すればいい」

美琴「・・・」




940 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:22:15.97 jF3Xn67l0 784/823

垣根「さぁ、陣の中へ」

心理「私は審判を」

垣根「頼んだ」




美琴(・・・たしか、どっちの足から入るかも大切だったわね・・・)

垣根「いざ参る、100マイル」

土御門「!?」

垣根が突然、逆立ちを始める

上条「な、なんだ?」

吹寄「か、垣根・・・練習なのに悪ふざけは・・・」

ショチトル「・・・ふん、悪ふざけか」

姫神「?どういうこと」

ショチトル「ただの逆立ちだと思うか?」

上条「!」

黒子「さ、逆立ちで歩き出しましたの!」

腕をガサガサ、と動かしながら垣根が陣の中へ入る

心理「・・・寒い親父ギャグ(横文字使用)を言った後に、逆立ちで陣に入る・・・これが天地無用よ」

上条「は、はぁ?」




941 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:22:58.05 jF3Xn67l0 785/823

心理「吹寄、スコアボードに書き込んで」

吹寄「え、あ・・・うん」

姫神「・・・でも。これは具体的にどんな効果があるの?」

心理「垣根の視界は今、天と地が逆さまになってるわ」

黒子「そうですわね」

心理「そういうことよ」

上条「・・・」


一同(意味ねぇのかよ・・・)


美琴「・・・じゃ、じゃあ私も!」

ピッ、と美琴が腕を真上に上げて合図する

垣根「!?」

心理「あれは・・・まさか!」

小萌「な、なんなのですか!?」

垣根「やめろ御坂!今日は日本晴れだ!」

美琴「・・・賽は投げられた」

垣根心理「!」



942 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:23:23.19 jF3Xn67l0 786/823

美琴「アン・・・ドゥー・・・」


美琴「スリー・・・」

美琴が、兎跳びで陣に入る

土御門「・・・えっと、なんなんだにゃー?」

上条「・・・美琴、それは?」

美琴「・・・」

上条(あれ、顔真っ赤)

黒子(お姉さま、ノリでやりましたのね・・・)


垣根「シーザーの台詞を言いながら兎跳びで陣へ・・・!」

心理「それだけじゃないわ・・・台詞を言う前に美琴は、天に向かって腕を突き上げたわ」

姫神「そ・・・それも大切なの?」

垣根「あぁ、最初の腕を突き上げたのは天への反抗を示す」

心理「シーザーの台詞によって、覚悟を明らかにした」

垣根「さらに兎跳び・・・決して攻撃には向かない動きを、敢えて攻撃に混ぜた」

削板(今の攻撃だったんだ・・・)




943 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:23:49.71 jF3Xn67l0 787/823

心理「・・・グラウンドゼロね」

上条「何が!?」

垣根「吹寄、御坂のスコアボードにグラウンドゼロを記入しろ」

吹寄「え、あ・・・はい」

ショチトル「・・・負けていられないな」

垣根「!?な、何を取り出す・・・」

ショチトル「縦笛だよ」

エツァリ「そ、それはまさか・・・」



一同(ドアノブ!)


ショチトル「ピーヒャラピーヒャラ」

ショチトル「ヒャララララン」

ショチトル「お邪魔します、陣の神様」

ショチトル「そんなのおるかいな!」


ショチトル「・・・さて、私の攻撃は終わった」

上条「えぇぇ!?」




944 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:24:15.71 jF3Xn67l0 788/823

姫神「今のが攻撃・・・?」

心理「・・・縦笛で演奏した後にノリツッコミ、まずまずね」

垣根「だがお前、ドアノブが錆びてなかったらファールだぞ」

ショチトル「危なかったが、結果オーライだ」

上条「いやいや色々オーライじゃないから!」

垣根「・・・あと一人、参戦してくれ」

削板「仕方ないな」

黒子「軍覇さん・・・」


削板「・・・パンはパンでもその空は輝いていた!」

垣根「!」

心理「ファールよ削板君」

削板「だぁぁぁ!」


上条「待て待て何があったか説明してくれ!」

心理「彼は今、パンを持っていない」

上条「当たり前だぁぁぁぁ」




945 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:24:52.81 jF3Xn67l0 789/823

心理「にも関わらず、ジャムは持っている」

上条「・・・」

削板「・・・」


上条(・・・マーマレード・・・)

小萌「そ、それはなぜ反則なのですか?」

垣根「命の危険があります」

上条「誰に!?」

垣根「全国の集中治療室にいる患者に」

上条「全く関係ねぇぇ!」

美琴「ともあれ、四人揃ったわね」

ショチトル「では私から・・・行くかな」


ショチトル「ダイアモンド」

垣根「アスファルト」

削板「・・・鉄」

美琴「親父の頭」

上条「」



946 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:25:23.63 jF3Xn67l0 790/823



ショチトル「心理定規!今の美琴はファールだろ・・・」


心理「あぁ・・・貴方はもう、行ってしまうのね・・・」

四人「トレンディードラマだ!」

上条「なんだそれぇ!?」


心理「・・・分かってたわ、貴方が裏切り者だったって」

垣根「馬鹿言うなよ、裏切り者は・・・俺じゃない」

ショチトル「ふん、なら私だとでも?」

削板「まさか、そんなことは言っちゃいない」

美琴「・・・どちらにしろ、ユダは既に行動に移った・・・今宵のカクテルが、主の葡萄酒になるのね」


美琴「赤ワインが、血の色に見えるわ」


四人「トレンディードラマだ!」

上条「」


心理「これは美琴の勇み足かしら」

美琴「やったぁ!」

上条「え、勇み足って負けだろ普通!」



947 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:29:40.08 jF3Xn67l0 791/823

垣根「いや、勇み足はセーフだぞ」

美琴「むしろオーケーなのよね」

上条(…なんだこいつら)

ショチトル「…だが、トレンディードラマにしては少々メランコリックだったな」

削板「ははは!!そうだな!!」

垣根「…仕方ない、次は負けないからな」

美琴(…?何か地面に書いて…)



カビルンルン


垣根「…さぁ、どうする」

美琴「!!」


吹寄「な、なんなの…?この威圧感!!」

心理「…禁じ手、なのよ」

土御門「なにぃ!?」

黒子「で、ではこれは反則では…」

心理「いいえ、地面がアスファルトだと…これは有効になってしまうの」

上条(な、なんだそれ…)



948 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:40:39.93 jF3Xn67l0 792/823

心理「…?」

姫神「どうしたの?」

心理「み、美琴…!!!!」



美琴「…カビキラー」

垣根「!!」

美琴「一日三回、シュッシュと掛ければ…たちまちあなたの心を除菌」


美琴「ザ・リバース」


ショチトル「ば…かな…」

削板「しょ、正気か!?両手が頭の後ろになければファールになるぞ!!!」



心理「み、美琴!!それはファールよ、何を…」



美琴「…よく見てよ、私の靴下を」

心理「!?」


エツァリ「あ、あれは…!」

土御門「そ、そんな…信じられないぜぃ!!!!」



一同「両方の柄が揃ってる!」

上条(当たり前だ)



949 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:45:21.27 jF3Xn67l0 793/823

美琴「…垣根、カビルンルンを野良試合で出すなんてさすが第二位ね」

垣根「馬鹿な…てめぇ、読んでやがったな!!両方の靴下を揃えてきたなんて!!」

ショチトル「こ、これで垣根のアウトサイドはボロボロだ…」

削板「…で、でもインサイドはまだ残ってる…何より半開きの窓の構えだ!!」

垣根「へ、へへ…カビルンルンは破られたが、だからって…」

美琴「…分かってないのね、なにも」

垣根「…な…んだと?」

美琴「さっき言ったでしょ、私の靴下をよく見なさい」

垣根「…!!!」



垣根「ロールされている…!!!」


心理「!?」


説明しよう、靴下ロールとは長い靴下の上をクルクルと巻いて、短くする行為である

起源は3世紀頃と言われ、恐竜の絶滅、ムー大陸の消滅、第一次世界大戦の勃発、クララが立ったなどの理由とされる


心理「美琴!!やめなさい、そんなことしたらこの学校が…いえ、この街がただじゃ済まないわ!!」

美琴「…それはね、今まで使ってきた者がこの技を扱いきれなかったから」

垣根「…てめぇ、まさか操りきれると言いたいのか…」

美琴「その通り…いえ、むしろ」



美琴「私もまた、ロールされた靴下なのよ」

垣根「…」



垣根(…何言ってんだこいつは…)



950 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 15:48:38.00 jF3Xn67l0 794/823

美琴「…そして、攻撃対象には垣根を選ぶわ」

垣根「!!」

ショチトル「垣根、タイマン勝負だぞ」

削板「4人勝負でタイマンを仕掛けるなんて、御坂は度胸があるな!!!」



心理「…」

上条「な、なんか分からないけどすごい技なのか?」

心理「えぇ、美琴のそれは完成形に近いわ…」

土御門「なら、垣根は不利だぜぃ」

心理「…どうかしら」

姫神「?どういうことか分からない」

小萌「あ、あの…御坂ちゃんはすっごい技を使ってるのですよね?」

吹寄「普通に考えたら…それで垣根の負けじゃないの?」

心理「…垣根の手の中にある物を見なさい」

上条「…?あれって、靴下のりだろ?靴下がずれないように…」



上条「ま…まさか!!」

心理「えぇ、垣根はきっと…美琴が靴下をロール出来ないように、靴下のりで靴下を固定するつもりよ」

黒子「あ、相手に触れることは反則ではないんですの?」

心理「むしろマンダムよ」

上条「…美琴…」



952 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:01:08.83 jF3Xn67l0 795/823

垣根「…残念だな、御坂」

美琴「…へぇ、中々いい物持ってきたのね」

垣根「へ、へへへ…お前は全国ランキング一位の女だ!!どんな大技を繰り出すか分からなかったからな、色々な最強技の封じ手を準備してきた!!!」

美琴「…封じ手…ねぇ」

ショチトル(な、なんだこの美琴の余裕は…)

削板(…ま、まさか…)

美琴「でもね垣根、フリンフォンの一番の醍醐味をアンタは分かっちゃいないわ」

垣根「…なに?」

美琴「それは最強の攻撃でもなければ、それを封じ込める最強の防御でもない」



エツァリ「!!み、御坂さんが徐にローファーを脱いだ!!」

黒子「お、お姉さまったら破廉恥な!!!」

小萌「な、何をするつもりなのですか御坂ちゃん!!!」

上条「み、美琴!!!」



美琴「…」スッ

垣根「…な、なんだよ…ローファーなんか差し出して…」



美琴「降参します」

一同「」



953 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:05:40.71 jF3Xn67l0 796/823

垣根「…こ、降参…?」

美琴「…どうぞ、ローファーを受け取ってください」



黒子「おおおおおお姉さまのローファー!?」

エツァリ「ほ、欲しい!!!」

吹寄(…な、なんなのこの二人?)

姫神(これが。噂に聞く変態)

土御門(…だがおかしい、全国ランキング一位ってそんな簡単に負けを認めるのかにゃー…?)

上条「な、なんだ…降参かよ」

小萌「てっきり何か大技を繰り出すのかと…」

心理「…」

小萌「?心理定規ちゃん、どうしたのですか?」

心理「美琴、10カウントよ」


垣根「!」

ショチトル「ちっ、匍匐前進だ!!!」

削板「いや、ワサビ!!!!」


上条「」

土御門「な、なんで匍匐前進始めたりワサビをすりおろしたりしてるんだにゃー!?」


垣根「…いや…」



垣根「…ペッパー警部」スッ

美琴「…」






954 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:08:39.95 jF3Xn67l0 797/823

上条「ま、また垣根が逆立ちしたぞ!!」

吹寄「ね、ねぇ…ペッパー警部ってなに?」

小萌「ピンクレディーのヒット曲なのですよ」

土御門「そ、それとこれと何の関係が…」

小萌「!!ま、待ってください!!垣根ちゃんが足に何か括り付けて…」



垣根「…」ジャンジャンジャン



一同(シンバルだぁぁぁぁぁぁ!!!!)

心理「…」


一同(しかも鳴らしてる!!!おもちゃの猿みたいに足でシンバルを鳴らしてる!!!)



垣根「…あいつもこいつもあの席をー、ただひーとつ狙っているんだよー」


一同(違う歌を歌っている!!!)



美琴「…」

垣根(はん、分かってんだよ…その降参の真の意味を)

垣根(…御坂、お前はローファーを差し出したことによってまるで何もかもを諦めたように見せかけた)

垣根(だが…まだ、お前の目には闘志が宿っていたんだ)



955 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:11:41.67 jF3Xn67l0 798/823

ショチトル「馬鹿な…垣根、反撃するつもりか!?」

削板「やめろ垣根!!!」

垣根「…これで、俺とお前のランクは入れ替わる!!!」



垣根「垣根流奥義…パラサイト・ロンリネス!!!」


心理「!!!あの動き…かつて織田信長が恐れていなかったとされる竜の動きにそっくりよ!!」

姫神「…?」

心理「…分からないの?美琴は、今まさに竜に飲み込まれようとしているの…」

上条「な、なんだって…」



美琴「…垣根、甘いのよ」

垣根「あぁ?」

美琴「…」スッ



上条「な、なんだ…?ゲーセンのコイン?」

吹寄「あ、あれも何かフリンフォンに関係あるの!?」

心理「…いえ、あれは…」



美琴「えいっ」バシュッ

垣根「ぎゃー」


心理「ただの超電磁砲ね」

一同「しょべぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


956 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:14:01.27 jF3Xn67l0 799/823


垣根「…負けるなんて思わなかった」

美琴「アンタも筋はいいんだけどね」

ショチトル「…しかし、中々ハイレベルな攻防だったな」

黒子「…さすが全国のトップツーですわね」

垣根「…あぁ」

上条「…あ、あのさ」

垣根「なんだ?」

上条「…フリンフォンって、何を競う競技なんだ?」

垣根「そうだな…いわば」



垣根「青春の輝き、かな」

吹寄「みんなご飯にしない?」

土御門「あ、賛成だにゃー」

削板「いやぁ、おなか減ってたんだよな!!!」

美琴「うん、運動したらちゃんと食べないとね!!」

上条「まぁ、謎の運動だけどな!!!」


一同「あははははは!!!!」


垣根(…輪に入れないって、辛いね)


957 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:22:01.17 jF3Xn67l0 800/823


上条「そういえばさ、大会っていつなんだ?」

垣根「明日」

上条「へぇ…」



上条「明日ぁ!?」

美琴「ちょ、ちょっと!!エントリー出来てないんじゃないの!?」

垣根「あぁ、フリンフォンの大会はエントリーいらないんだよ」

小萌「そ、そうなのですか?」

垣根「まぁな」

土御門「そ、それで試合はサクサク進むのかにゃー…」

吹寄「…自由大会みたいなの?」

垣根「いや…実はな、フリンフォンはまだ競技人口が多くないんだ」

姫神「なるほど。だったらある程度適当な大会でも進行が出来る」

垣根「…野球くらいしか競技人口がいないんだ」

一同「かなりじゃねーか」

垣根「…俺はな、その中で頂点に立ってみせたいんだ」

黒子「なぜですの?」

垣根「超能力者だって、努力してるんだって教えてやりたいんだ」

美琴「…垣根…」


958 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:26:09.29 jF3Xn67l0 801/823

垣根「こんなこと言ったら嫌味と思われるかもしれないが…俺は、どっちかといったら選ばれた人間だ」

吹寄「まぁ、そうね」

垣根「…世の中には、才能のある人間と才能のない人間がいる」

垣根「…でもな、才能がある人間だって…その才能を活かすために努力してるはずなんだ」

心理「そうね…でも、才能を言い訳にして僻む人もいるわ」

エツァリ「悲しいことですね」

垣根「変態は黙ってろ」

エツァリ「」

垣根「だから…俺は、子供達やスキルアウトに見せてやりたい、俺のマンダムなメルヘンを」

削板「感動したぞ、垣根!!」

小萌「垣根ちゃん…立派に育って…」ウッウッ

垣根「やめろよ…お前に育てられた覚えはねぇよ」

小萌「」

垣根「…みんな、協力してほしいんだ」

ショチトル「…私は無能力者だぞ?」

垣根「だからこそさ、超能力者と無能力者が同じフィールドで戦えるフリンフォンを通して、俺は努力を教えてやりたい」

吹寄「…分かった、協力するわ」

土御門「そうだ、ユニフォーム買おうぜぃ」

垣根「金の無駄だから却下」

土御門「」



959 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:29:32.85 jF3Xn67l0 802/823


垣根「…みんな、明日は俺の家の前に集合してくれないか」

上条「…なんでだ?」

垣根「…バラバラで会場に行くんじゃなくてさ…みんなと行きたいんだ」

美琴「分かった、私はいいわよ!!」

姫神「私も」

ショチトル「誰も異論はないさ」

垣根「…ありがとよ」

削板「なぁ、おやつはいくらまでだ!?」

垣根「500円までだ、ただしバナナはおやつに含めないものとする」

吹寄「…おやつってねぇ…」

心理「ねぇ、チョコバナナはおやつなの?」

垣根「あぁ、それはおやつに入ってしまうから要注意だ」

エツァリ「自分のチョコバナナはどちらかといえばオカズですけどね」HAHAHA!!

一同「あ?」

エツァリ「」

垣根「…そうだ吹寄、マネージャーにはこれを読んでいてもらいたい」

吹寄「?ルール説明の本?」

垣根「いや、まぁ…家に帰ってから読めよ」

吹寄「えぇ、分かったわ」


960 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:34:06.75 jF3Xn67l0 803/823


その日の夜

吹寄「…」

吹寄(部活を結成して二日目で大会なんて…)

吹寄(…それが、フリンフォンなのかしら)

吹寄(…でも)

吹寄(…今日の垣根、ちょっとかっこよかったな)

吹寄(…)


吹寄(な、なななななななに考えてるの私!?)

吹寄(違う違う!!かっこいいってのはあれよ、スポーツ選手として!!!)

吹寄(あれ、でもフリンフォンって文化部なのかな?)

吹寄(…まぁ、それより…)ガサガサ

吹寄(ルールの書いてある本…だったかしら)

吹寄(…)



「乳輪大魔王、舐めまわさないで私の乳首!!!」



吹寄(…)



吹寄(…エロ本じゃないのよ!!!)キーッ!!




961 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:39:06.40 jF3Xn67l0 804/823


垣根「…みんな、集まってくれたか」

上条「あぁ」

小萌「…垣根ちゃん、今日は大会なのですよ」

美琴「…ちょっと雨が降ってるけど…でも、私達の心は晴れやかね!」

ショチトル「ふふ…そうだな」

黒子「…出場選手は昨日練習した四名ですのね」

土御門「期待してるぜぃ」

垣根「あぁ…会場の体育館まで歩いて15分、15分が俺達に与えられた最後の時間ってわけだ」

吹寄(…昨日のエロ本のことを言ってはいけない雰囲気ね)

垣根「吹寄、昨日はオナったか」

吹寄「は、はぁ!?ふざけないでよ貴様!!!」

垣根「…姫神、部長として一言頼んでいいか」

姫神「分かった」

そっと、姫神が吹寄の肩に手を回す

吹寄「?」

姫神「一度。円陣という物を組んでみたかった」

美琴「あ、いいじゃない!!」

心理「やりましょうやりましょう」

一同が円陣を組む


エツァリ「…」


エツァリを省いて



962 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:44:04.68 jF3Xn67l0 805/823

姫神「…練習なんて昨日しかしてない」

上条「そうだな…」

姫神「…結成したのも昨日」

美琴「…思えばめちゃくちゃね」

姫神「…フリンフォンなんて知らなかった」

垣根「あぁ…みんなはそうかもな」

姫神「正直。今も嘘じゃないかって思ってる」

心理「ふふ…私も」

姫神「でも。私は信じてる」

吹寄「えぇ、私も」

姫神「…きっと。ここに集まった仲間たちは勝利を掴んでくれるはず」

ショチトル「努力する」

姫神「あいにくの雨なんて気にしない」

小萌「そうなのですよ!!」

姫神「この雨は。私達の頬を濡らす涙の代わり」

土御門「へへっ、その通りですたい」

姫神「だとしたら。私達は泣いてしまってはいけない」

黒子「そうですわね…」

姫神「ただ。最後は笑って終わりたい」

削板「俺もだ!!」

姫神「…私は信じてる。みんなは優勝してくれる。そして私は目立てる」

エツァリ「そうですね」

姫神「誰ですかあなた」

エツァリ「」



963 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:52:38.45 jF3Xn67l0 806/823


姫神「…みんな。優勝しよう!!!」

一同「おぉぉぉ!!!」


一同は歩き出す

空は段々と、濃い雲に覆われていった

どこからか雷鳴を聞こえてくる

それは、何かの予兆のようにさえ思えた

不気味な試合の始まりの予兆のように

しかし、それでも一同は歩き出した

雨など気にはしていられない

彼らの心には、炎が宿っていた

今更後ろへ退くことなど出来ないのだ

男も女も、老いも若いも関係なく

彼らは、ただ勝利を求める猛者となっていた

誰が彼らを止められようか

誰が彼らを制せられるか

いや、出来などはしない


一同(…やってやる!!!)


彼らは、猛者なのだ


964 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 20:57:00.44 jF3Xn67l0 807/823


垣根「…ここだ」

雨の降りしきる中、とうとう一同は体育館にたどり着いた

美琴「…何か、恐ろしい威圧感を覚えるわね」

上条「…ここに入ったら…逃げることは出来ないんだな」

小萌「そうなのですね…」

土御門「さぁ、行こうぜぃ…みんな」

上条「あぁ…」

ゆっくりと、一同が体育館の入り口に向かう

固く閉ざされたその扉

ガラス張りのその扉に、張り紙がされていた



「雨のため、フリンフォン大会は中止になりました」



一同「…」


猛者だったのだ、彼らは

夢と希望を人々に与えるため、自分たちの夢を叶えるために立ち上がった猛者だったのだ

その雄姿は、いつまでも人々の心に残るだろう

そう、残るのだ








上条「…帰って…カップ麺でも食うか…」

一同「…そうだな…」


フリンフォン編、終了




965 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/06 21:02:54.85 jF3Xn67l0 808/823


テクパトル「…」

テクパトルは目の前にある一枚の紙を見つめていた

それは、いわゆる「結婚指輪」のカタログだ

彼らはまだ、結婚指輪の交換をしていない

テクパトル(…美月には内緒で買ってやりたいんだよな…)

サプライズプレゼントなんてベタだな、と思いながらもそれを実行するあたり彼は奥手だ

奥手、というよりそもそも今まで他にこんなことをする相手がいなかったのだから仕方ない

テクパトル「…うーん…」

20000「こ」

テクパトル「…」

20000「…」

テクパトル「…何見てるんだよ」

20000「それはこっちのセリフだよ…何?まだ結婚指輪買ってなかったの?」

テクパトル「うるせぇな…タイミングを逃してたんだよ」

20000「はー、もう結婚決めて一か月経ちそうだってのに」

テクパトル「そうだけどさ…結婚指輪ってよく分からないから…」

20000「あぁ、初体験なの?」

テクパトル「言い方を変えろ」


970 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:04:23.88 iY/HUf000 809/823

20000「ならあれだ、名前彫ってやれるやつ」

テクパトル「あぁ、そういえばそんなのあるな」

20000「それで19090号はイチコロだぜ!」

テクパトル「・・・って、それはシルバーリングだよなぁ・・・」

20000「?なに、もしかしてダイヤとか買ってあげたいわけ?」

テクパトル「悪いかよ」

20000「ははは!今時でっかい宝石の指輪とかww」

テクパトル「やっぱり、なんだかんだ言ってお金掛けてやりたいんだよなぁ・・・あいつ、ダイヤの指輪とか似合いそうだろ」

20000「うっわ、ツッコミ放棄した上に惚気かよ」

テクパトル「・・・はぁ、となるとシルバーリングとダイヤを一個ずつ・・・」

20000「おいおい、結婚指輪は一つって決まりだよ」

テクパトル「あれ、そうなのか・・・」

20000「どっちにするの?」

テクパトル「うーん・・・美月に直接聞かなきゃいけないか」

20000「えー・・・サプライズは?」

テクパトル「だから、さりげなく聞くんだよ」

20000「あ、なるほど」



971 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:05:02.72 iY/HUf000 810/823

テクパトル「・・・っと、このカタログは隠さないとな」

20000「あ、じゃあミサカに頂戴よ」

テクパトル「?なんで」

20000「ミサカも将来誰かに買ってもらうかもしんないし」

テクパトル「お前を嫁にもらう男なんていないだろ」

20000「いやん、テっくんったらミサカがほかの男に取られるのが嫌なの?このこの!」

テクパトル「ベタベタするな・・・」

20000「あれれ、否定しないの?」

テクパトル「・・・娘が結婚の話をした時の父親の気持ちがよく分かったよ・・・」

20000(ちっ、娘かよ)





19090「あっ・・・はぁ・・・」

その夜

ベッドの上でいつものように行為に及んでいた二人

そういえば、とテクパトルはその最中に思い出した

テクパトル「あ、あのさ」

19090「あ、はい」



972 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:05:24.06 iY/HUf000 811/823

テクパトル「・・・今度、俺の勤務先の人が結婚指輪を買うらしくてさ」

19090「?」

テクパトル「・・・相手に贈るならシルバーリングか、宝石の指輪か、どっちがいいか迷ってて・・・」

19090「あん・・・こ、こんな時にそんな話ですか・・・」

テクパトル「い、いいだろ・・・!」

19090「あ、ちょっと!いきなり激しく・・・したら・・・ぁっ!」



テクパトル「・・・でさ、どっちがいいと思う?」

19090「美月に聞かれても・・・その女性の好みが分かりませんから」

テクパトル「じゃあ、仮にお前だったらどっちがいいんだ?」

19090「美月ですか?」

テクパトル「女の子の意見って貴重だろ、俺は男としての意見になっちまうからさ」

19090「美月は・・・どっちだっていいですね」

テクパトル「?高いのがいいとか、名前が彫ってあるのがいいとかじゃなくて?」

19090「も、もちろん・・・やっぱり高い物に憧れたりはしますよ?」

体をモジモジさせながら、19090号が恥ずかしそうに続ける



973 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:05:57.02 iY/HUf000 812/823

19090「ただ・・・ただ、結婚指輪がどんな物かより、愛してくれた人が精一杯考えて・・・自分にはこれが似合うだろうと選んでくれた指輪なら、それがいいです」

テクパトル「へぇ・・・」

19090「高い指輪には・・・正直、美月じゃ割り合いませんから」

テクパトル「そ、そんなことないって!」

19090「・・・ただ」

テクパトル「ただ?」

19090「・・・愛している人が選んでくれた指輪に釣り合うような素敵な女性になりたい、というのは美月の夢です」

テクパトル「!」

19090「相手がその指輪に篭めてくれた愛情以上の大きさを、その人に返してあげたいんです」

テクパトル「・・・なんか、美月っていいよな」

19090「な、何がですか?」

テクパトル「あぁいや・・・そういうとこ、本当に大好きだ」

19090「ふぇぇっ!?」

テクパトル「・・・な、なぁ・・・」

19090「な、なんですか?」

真剣な顔のテクパトルに、19090号はドキッとしてしまう




974 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:06:23.57 iY/HUf000 813/823

テクパトル「そろそろ・・・こ、子作りとか始めたいなぁ・・・ってさ」

19090「!」

テクパトル(あ、どんどん赤くなってく)

真っ暗な部屋でさえ分かるほどの顔の赤さ

りんごみたいだな、と感想を抱くテクパトル

19090「あ、あ・・・」

テクパトル「・・・ダメかな」

19090「えっと、その・・・」


19090「や・・・優しく、してくださいね?」

テクパトル「あ、あぁ!」



テクパトル「・・・」

翌朝

テクパトルはリビングで新聞を読んでいた

休日には毎朝新聞を読んで一日を始める習慣である

毎朝新聞ではない、「毎朝」新聞を読むのだ

読んでいるのは朝日だ

どうでもいいことだが



975 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:06:57.86 iY/HUf000 814/823

テクパトル(・・・芸能人Aが妊娠発表・・・結婚して二ヶ月か)

テクパトル(・・・に、妊娠・・・)

アレイ「なに顔を真っ赤にしている」

テクパトル「おわぁ!」

アレイ「な、なんでそんなに驚くのだ?」

テクパトル「びっくりした・・・」

アレイ「?あぁ、芸能人のおめでたの記事か」

テクパトル「あぁ・・・やっぱり、子供が出来るのって幸せなのかな」

アレイ「そうだな、そうだと思う」

テクパトル「・・・子供・・・か」

アレイ「お前達は、予定はないのか?」

テクパトル「い、一応・・・欲しいなぁって」

アレイ「・・・まさか、もう子作りしてるのか」

テクパトル「あ、あれだよ!まだお手柔らかにしてるし!」


御坂妹「な、なんですって!?とミサカは驚愕を露にします!」

テクパトル「げ、聞いてたのか・・・っていうかなんで語尾・・・」

14510「はぁ・・・家族の前で堂々の子作り宣言とは、とミサカは呆れて物も言えません」



976 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:07:30.07 iY/HUf000 815/823

17600「言ってるじゃないか、それに夫婦なんだから子作りくらいするだろう」

20000「うっひゃー!19090号はもうテっくんの肉棒を生で感じたのか!」

テクパトル「お、お前達なぁ・・・」

13577「・・・テっくん、あなたはまた一歩大人の階段を上りましたね、とミサカは祝福と侮蔑を贈ります」

12345「あぁ汚らわしや」

テクパトル「・・・」




19090「ふぁぁ・・・おはようござい・・・」

ミサカ一同「19090号!」

19090「は、はい」

10033「子供はできそうですか!?とミサカは甥か姪が出来る期待に胸を膨らませます!」

19999「いやっはぁ!おめでたなのさ!」

19090「ま、まだ出来ませんよ?」

10039「ほほう、いつかは出来ると」

11116「お熱いですねぇ」

19090「え、あ!」

アレイ「こらこら、あまり冷やかしてやるな」




977 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:07:59.89 iY/HUf000 816/823

御坂妹「・・・嬉しいんじゃないですか!とミサカは心にもないことを口にします」

テクパトル「・・・まぁいいや、俺ちょっと出かけてくるから」

19090「あ、美月もついて行きますか?」

テクパトル「あぁ・・・いや、今日はゆっくりみんなと話しててくれ」

19090「わ、分かりました・・・」

部屋から出ていくテクパトルの背中を、不安そうに19090号は見つめていた

ミサカ一同「どんな感じだったか教えてください!」

19090(これを一人で相手にするなんて・・・無理ですよ・・・)



テクパトル「・・・気持ちの篭った指輪・・・か」

宝石や指輪を扱う店の前で、テクパトルは立ち止まった

テクパトル(美月なら、そう言うよな・・・そうだ、分かりきってたことだよな)

苦笑してから、その中へ入る

「いらっしゃいませ」

テクパトル「あの・・・妻に結婚指輪を贈りたくて」

「それはおめでとうございます!」

社交辞令だろうな、と思いつつもやはり嬉しかったりする



978 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 17:08:41.05 iY/HUf000 817/823

テクパトル「でも・・・妻は気持ちさえ篭っていればいいって言うので、どれにしようか迷っていて」

「となりますと・・・リーズナブルな価格のこちらがオススメとなっていますが」

店員が差したのは、シルバーリングだった

テクパトル(やっぱり人気なんだな・・・)

「愛されている奥様のお名前を彫ることも可能ですし、それ以外に記念日などを彫ることも可能です」

テクパトル「・・・なるほど・・・」

「なお、ワンポイントのついたシルバーリングも用意しております」

テクパトル「あ・・・そうだ、月のワンポイントか何がかあるリングはないですかね」

「こちらに」

テクパトル(・・・月の刻印・・・か)

いいなぁ、と笑う

テクパトル「これに名前を彫れますか?」

「はい、お名前は・・・」

テクパトル「美月です、美しい月と書いて」

「それはそれは、このリングがピッタリですね」

テクパトル「いや、まぁ・・・」

照れ隠しに頭を掻き、テクパトルが笑う



979 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/07 20:46:55.27 iY/HUf000 818/823

テクパトル「…これ、喜んでもらえますかね」

「えぇ、もちろんですとも」

テクパトル(…でも…なんか、緊張するな)



その頃、テクパトル宅

20000「…はぁ、テっくんは上手くやってんだか…」

17600「おそらくだが指輪を買いに行ったんだよな」

20000「こら、大声で言わないの」

17600「なに、愛しい奥様は今洗濯物を取り込んでるじゃないか」

20000「あれ、そうだっけ」

17600「…手伝うか?」

20000「めんどくせぇや」

17600「…そうだな、めんどくさ…」



19090「あ、テっくん!!!!おかえりなさい!!!!」



2000017600(…ベランダからでも聞こえる嬉しそうな声…)



テクパトル「美月!!!!ただいまー!!!」



2000017600(…近所に聞こえそうな大声…)




980 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/08 09:13:12.73 Iuubhd270 819/823

テクパトル「美月、ちょっと渡したい物があるんだけどさ」

19090「?」

ベランダにいる19090号に、テクパトルが呼びかける

19090「渡したい物ですか?」

テクパトル「あぁ・・・ちょっと、いいかな」

19090「は、はい」



19090「・・・あ、あの・・・」

テクパトル「ん?なんだ?」

19090「・・・どうしてこのコンビニの前に?」

19090号が不思議そうに尋ねる

そこはかつて、テクパトルがアルバイトをしていたコンビニだった

テクパトル「・・・よく迎えに来てくれたよな、美月」

19090「は、はい」

テクパトル「・・・あ、時間大丈夫か?もう暗くなりそうだけどさ」

19090「大丈夫ですよ・・・他のミサカ達が心配ですけど」

テクパトル「じゃあ・・・ちょっと散歩しないか」

19090「?」




981 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/08 09:13:39.56 Iuubhd270 820/823

不思議そうな顔の19090号

先程から、全くテクパトルの目的が分からないのだ

テクパトル「・・・いいだろ?」

19090「は、はい」


綺麗な月が空に浮かぶ

テクパトルは、それを大通りに面した小さな公園から眺めていた

もちろん、19090号も

19090「・・・綺麗な月ですね・・・」

テクパトル「お前に名前を付けた時は・・・ちょうどこんな月だったかな」

19090「美しい月が出ていたから美月、なんて結構単純ですよ?」

テクパトル「ははは、悪い悪い」

19090「・・・でも、今では大好きな名前です」

テクパトル「なんで?」

19090「テっくんがいつも呼んでくれていますから」

テクパトル「・・・そっか」

19090「・・・あの、テっくん」

テクパトル「ん?」



982 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/08 09:14:08.50 Iuubhd270 821/823

19090「その・・・渡したい物ってなんですか?」

テクパトル「あぁ・・・いや、二人きりで渡したかったからさ」

テクパトルがポケットの中から何かを取り出す

テクパトル「・・・俺達、結婚しただろ」

19090「?」

テクパトル「・・・その証って、やっぱり必要だと思うんだ」

それは、少し小さいが美しい指輪だった

19090「あ・・・!」

テクパトル「・・・結婚指輪・・・なんだ、宝石は付いてないし給料三ヶ月分なんて到底出せなかったし・・・」

悪いな、とテクパトルが謝る

テクパトル「でもさ、美月には・・・この指輪が一番似合うと思ったから」

19090「・・・月がデザインされてますね」

テクパトル「・・・その・・・」

緊張しながら、テクパトルが続ける

テクパトル「俺は、あんまりこういう時の気の利いた台詞とか分からなくて・・・」

19090「・・・」

テクパトル「だから、多分お前に涙を流させることは出来ない」

そっ、と19090号の髪を撫でながらテクパトルが笑う

テクパトル「でもさ・・・お前を笑顔に出来るような男になるから」




テクパトル「だから、ずっと一緒にいてくれないか」





983 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/08 09:14:34.92 Iuubhd270 822/823

19090「あ・・・当たり前じゃないですか」

鼻を啜りながら、19090号が答える

19090「・・・素敵な指輪です、これ以上ないくらいに」

テクパトル「・・・そっか」

19090「・・・昨日聞いてきたのは、やっぱりこれのためだったんですね」

テクパトル「バ、バレてたのか・・・」

19090「だってテっくん、演技が下手ですから」

テクパトル「あはは・・・」

19090「・・・美月の名前が彫ってありますね」

テクパトル「結婚記念日も、彫ってるからさ」

19090「・・・着けてみてもいいですか?」

テクパトル「どうぞ」

左手の薬指に、19090号が指輪を嵌める

あるべき場所に収まった指輪は、より一層輝きを増した


テクパトル「・・・綺麗な月だよな」

19090「綺麗ですね」




984 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/04/08 09:15:00.74 Iuubhd270 823/823

公園のベンチで肩を寄り添わせながら、二人は月を見上げていた

傍から見たら、ただのカップルにしか見えないだろう

だが二人には、特別な関係があった

テクパトル「・・・今度この月を見上げる時はさ」

19090「はい」

テクパトル「・・・三人になってるといいな」

19090「え?」

ぽかん、とした表情で19090号が首を傾げる

そして数秒後

19090「ふ・・・」

その言葉の意味を理解した19090号は



19090「ふにゃぁぁぁぁぁぁ!」

テクパトル「どわぁぁぁぁぁ!」


漏電してしまった


月や星が輝く空の下

テクパトルは、呆れながらも、しかし幸せそうに笑っていた








続き: 31スレ目 上条「これからもよろしく、美琴」美琴「うん//」垣根「俺も俺も」心理「はいはい」
※編集中です。近日中に公開します。



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