※関連
最初: 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
前回: 上条「結婚指輪は!」美琴「給料三か月分!」心理「君への愛は」垣根「プライスレス!」【1】
ショチトル「…」
エツァリ「ん?ショチトル、何を読んでいるんだ?」
ショチトル「…これだ」
エツァリ「何々…?仮面ライダー全集…?」
ショチトル「日本でかなり人気のヒーローらしいぞ」
エツァリ「ほう…見た目はそこまでヒーローという感じはしないな」
ショチトル「基本はバッタやクワガタがモチーフらしい」
エツァリ「虫か…スカラベを信仰するのと同じ感じなのだろうか」
ショチトル「…私も」
エツァリ「?」
ショチトル「私も仮面ライダーになりたい」
エツァリ「」
ショチトル「なぁ、ヒーローってカッコイイよな、だからなりたい」
エツァリ「い、いや…なに子供みたいなことを言って」
ショチトル「なりたいんだよ!!!!」
ショチトル「戦隊を組みたいんだよ!!!」
エツァリ「仮面ライダーは一人だ」
ショチトル、ライダーになりたいの巻
ショチトル「仮面ライダーといえば、まずはバイクだな」
エツァリ「お前、バイクには乗れるのか?」
ショチトル「まさか、乗れないから代わりに自転車にする」
エツァリ(いきなりランクが落ちたな…)
ショチトル「…あとは、マントだろうか」
エツァリ「ちょっと待て…まずはベルトだろう、マントよりも」
ショチトル「なんだ、それがあったか」
エツァリ(…ショチトル…お前、仮面ライダーを知ってるのか…?)
ショチトル「…でもベルトってデザインが難しいよな、しかもオリジナルにしたいからなおさらだ」
エツァリ「というか…お前のライダーの名前は何だ?」
ショチトル「仮面ライダーEROだ」
エツァリ「子供の味方なのに…」
ショチトル「まぁ、そこはいいじゃないか」
エツァリ「で…?ベルトはどうする?」
ショチトル「段ボールで作る」
エツァリ(もうダメかもしれない…)
ショチトル「ふっふっふ…見ろ、できたぞ!!」バン
エツァリ「…なんだその手作り感満載なベルトは…」
ショチトル「誰しもがヒーローには憧れるものさ」キリッ
エツァリ「…まさか、そのベルトを着けて街中を歩いたりは…」
ショチトル「安心しろ、さすがにそれはない」
エツァリ(よかった…)
ショチトル「だが、ライダーになったからには敵がいないとな」
エツァリ「…俺はしないからな」
ショチトル「なら…ほかのヤツらに頼むかな」
エツァリ「待て、ベルトだけなのか?」
ショチトル「…なに?」
エツァリ「ダメだな…いいか、仮面ライダーといえばバッタやクワガタなどの昆虫をモチーフにした、生物的でありながら機械的でもあるそのボディが定番だ」
ショチトル「な、なるほど…」
エツァリ「その点最近の仮面ライダーはかっこよさばかりを重視している…ま、それもそれでいいのかもしれないがな」
ショチトル(…なんか熱いな)
エツァリ「で?お前にはないのか、ボディ」
ショチトル「あ、あるとも…」
エツァリ「ほう…いったい何の体をモチーフにしてるんだ?」
ショチトル「い、今から作るから見とけよ!!!」
ショチトル(…やはり、ここは昆虫をモチーフにしなければ…)
ショチトル(…カミキリムシでいいかな)
ショチトル(名前は…仮面ライダーエイシイストでいいや)
ショチトル(…えっと、顔はこうやって…触角をつけて…)
ショチトル(…おぉ、なんかカッコイイ感じになってきたぞ)
ショチトル「出来たぁ!!」
エツァリ「どれどれ…」
ショチトル「見ろ、足には焼酎の箱を使うことにより可動にしてみた!!」
エツァリ「…顔はセロハンとかいろいろ使ってるな…」
ショチトル「さぁ、今から誰かと仮面ライダーごっこだ!!!」
エツァリ「…一応俺もついていくが…」ハァ
テクパトル「…なんでお前達…そんな武装してるんだ?」
10033「あぁテっくん」
御坂妹「今からショチトルと遊ぶんですよ」
テクパトル「ショチトルと?」
14510「なんでも仮面ライダーごっこらしいです」
テクパトル「へぇ…お前たちはヒロインか何かか?」
13577「いえ、ショッカーの雑魚集団みたいですよ」
テクパトル「ショッカー…」プルプル
20000「何笑ってんだよてめー」
テクパトル「ははははは!!!そりゃ傑作だ、俺も見に行っていいか?」
19090「そ、それは…」
12345「もちろん!!」
10398「イギリスの底力見せてやりましょう!!」
ミサカ一同「おー!!!」
アレイ(…仮面ライダーごっこか…いいなぁ)
とある公園にて
御坂妹「はっはっは!!ミサカショッカーの手に掛かればこんなヤツを捕えることくらい他愛もない!!」
19090(…なんで美月がヒロインなのでしょうか…)
17600「ほら、さっさと出てこねぇとこの娘の命が危ないぞ」
19999「ま、怖くて出てこれないのかもしれないのさ!!!」
ミサカ一同「ぎゃーっはははははは!!!!」
テクパトル「…なんであいつら、あんなに力入れてるんだ?」
エツァリ「知りませんよ…」
???「待てぇ!!!」
20000「!!どこのショチトルだ!?」
???「ネタバレすんな!!」
20000「っといけねぇ、誰だ!?」
???「はっはっは!!!とうっ!」
エツァリ(!!ジャングルジムの上から跳んだ!!!)
???「いってぇ!!」
テクパトル(着地ミスった…)プルプル
10039「だ、誰だ!?」
???「ははは!!私が誰か知りたいか!?」
御坂妹「な、何者か答えろ!!!」
???「古今東西、東西南北!!上下左右に縦横無尽!!!」
11116(…な、なんてカッコイイセリフなんですか…)
14510(す、すごい迫力です!!)
???「子供の悲鳴を聞きつけて!!!明日の風を引き連れて!!!正義を貫き悪を討つ!!!」
ショチトル「私は、仮面ライダーエイシイスト!!!」
ミサカ一同(か…かっけぇぇぇぇぇ!!!!!)
エツァリ「…もう片目が外れかけてるな」
テクパトル「…暑いからな」
ショチトル「ショッカー共よ、その子を放せ!!!」
10033「ふん、なら力ずくでしてみるこった!!!」
ショチトル「いいだろう!!!」
ショチトル「ライダーパンチ!」
御坂妹「ぎゃああ!!」
ショチトル「ライダードラゴンスクリュー!!」
11116「うわぁぁぁ!!!」
ショチトル「ライダーチョップ!!」
12345「ぎゃあああ!!」
テクパトル(…なんか、幼稚園児の遊びを見ているようだ)
エツァリ(本当に…ですが、本人たちは楽しそうですね)
ショチトル「ふん…口ほどにもないな」
19999「く…ま、まだ我々にはあの方が残ってるのさ…」
ショチトル「…なに?悪の親玉か」
20000「あの方にかかればお前なんて…」
17600「くっ…ははは…」
ショチトル「…おい、いったいそれは誰…」
???「俺だよ」
ショチトル「!?誰だ!!!」
???「偽りで固めた過去と今」
???「希望や夢で誤魔化す未来」
???「太陽に挑んだ者は、その愚かさから地に堕とされた」
???「闇を歩き夜を行く、黒きを纏い血で弧を描く」
???「欺瞞の翼をはためかせ」
???「今日も虚へと消えていく」
垣根「俺の未元物質に、その常識は通用しねぇ」
垣根「仮面ライダーエイシイスト、まぁ好き放題やってくれたようだな」
ショチトル「貴様…何者だ!?」
垣根「そうだな…仮面ライダー…ダークマター、とでも名乗っておくか」
ショチトル「お…お前も仮面ライダーだと!?」
ミサカ一同(か…かっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!)
エツァリ(…)
テクパトル(…)
エツァリ・テクパトル(無理ゲーだ、これ)
ショチトル「馬鹿な・・・仮面ライダーがなぜこんなことをしている!?」
垣根「なぜ・・・か」
ショチトル「お前・・・その力をなぜ正義に使わないんだ!?」
垣根「ならば聞こう、正義とはなんだ」
ショチトル「誰かを救うことだ!」
垣根「・・・誰かを救うために誰かを傷つける・・・か、結局それは正義じゃねぇんだよ」
ショチトル「何を・・・」
垣根「ショチトル・・・じゃなかった、仮面ライダーエイシイスト」
ショチトル「なんだ!」
垣根「俺だって最初からこんなことをしていたわけじゃない、誰かを守るために戦う戦士だったのさ」
ショチトル「ならなんで・・・!」
垣根「・・・守ろうと決めた人が・・・もしも今まさに、その命の灯を運命という名の吹きすさぶ嵐に掻き消されそうになっていたらどうだ」
ショチトル「な・・・」
垣根「ふ・・・お前ならどうする?自らが砦となってその誰かを守ろうとするんじゃないか」
ショチトル(言葉が難しすぎて何言ってるか全くわかんないぞ・・・)
垣根「俺もそうだ・・・あいつを助けるには、人間の生命力を手に入れなければならない」
ショチトル「だから19090号を捕らえたのか!」
垣根「あぁ・・・若い女の生命力ならきっとあいつを救える」
ショチトル「そんな正義は・・・悲しすぎる!」
エツァリ(なんだか・・・垣根さんとショチトルの語彙に差がありすぎて)
テクパトル(・・・見た感じ、垣根がむしろ主人公っぽいな)
垣根「悲しい正義・・・か、正しい正義の次はそんなおかしなことを言う」
ショチトル「私は信じている!私の正義が正しいと!」
垣根「主観を無くして正義や悪などは語れない・・・見ろ、お前が倒した他のヤツらを」
ショチトル「・・・」
御坂妹「うぅ・・・」
17600(冷静に考えたらなんでミサカ達はこんなことしてるんだ)
垣根「なぜそいつらが地面に伏せているか分かるか」
ショチトル「それは・・・」
垣根「お前が偉そうに語っていた・・・正義とやらのせいさ」
ショチトル「くっ・・・」
垣根「・・・俺と同じ人を救うために・・・そいつらも立ち上がった」
垣根「その哀れな戦士達を地に堕としたのは他でもない、お前だよ」
ショチトル「う!?そんなことはない!」
エツァリ(明らかに圧されてる・・・)
テクパトル(ショチトルは勢いで演技しているが・・・垣根は上手くキャラに過去を作っているな)
垣根「・・・答えてみろ、お前がその女を守ろうと俺やそいつらを傷つけたことと・・・俺がある人を助けるためにその女を捕らえたこと、一体何が違うんだ」
ショチトル「・・・だ、だが・・・私はお前も救いたいんだ!」
垣根「・・・悪を救うだと?一度も暗闇に堕ちたこともないお前が、か」
ショチトル「分からないなら教えてやる!本当の正義を!それは言葉や会話で伝わるものではない!」
垣根「いいだろう・・・なら見せてみろ、お前の正義を!」
ショチトル「いくぞ!ライダーパンチ!」
垣根「甘いな」
ショチトル「!?飛んだ・・・だと!?」
垣根「俺の未元物質をナメるなよ・・・」
ショチトル「ちっ、こうなったら!」
垣根「・・・黒曜石の槍?」
ショチトル「ライダー・・・トラウィスカルパンテクウトリの槍!」
ミサカ一同(名前なげぇ・・・)
エツァリ(・・・まさか本当に槍を使うつもりでは・・・)
テクパトル(いや、まさかな)
ショチトル「喰らえぇぇぇ!」
ズゴォォォン!
エツァリ・テクパトル(マジだぁぁぁ!)
ショチトル「・・・どうだ、これが正義の力・・・」
垣根「・・・小さいな、そして何より確固とした信念が見られない」
ショチトル「!?」
垣根「それが正義だと?力なき正義を人は綺麗事と言うんだ、仮面ライダーエイシイスト」
垣根の周りを覆っていたのは純白の翼だった
繭のように彼の体を覆っていたそれは、やがてゆっくりと広げられていく
御坂妹(相変わらずメルヘンな見た目ですね・・・)
12345(・・・あれ、もしかしてミサカ達の出番もう終わりでは・・・)
19090(・・・ヒロインとは意外と暇なものですね)
垣根「・・・お前に俺は倒せないんだよ」
ショチトル「そんなこと、やってみなけりゃ分からない!」
垣根「なら示してみな」
6枚の翼を、垣根が一度だけ羽ばたかせる
それだけの行動だったはずだ
しかしそんな単純過ぎる行動から起きたとは思えないほど強烈な風が、ショチトルの体を打つ
ショチトル「ぐぁぁ!」
垣根「はっ!なんだよ、ライダーライダー言ってても所詮はただの雑魚なのか!」
ショチトル「・・・ま、まだだ・・・」
垣根「ほう・・・まだやる気かよ、まぁその諦めの悪さは褒めてやるかな」
ショチトル「私にだって・・・必殺技がある」
垣根「なに?」
ショチトル「ライダー・・・キックだ」
エツァリ(貯めたわりには普通ですね)
テクパトル(・・・垣根も一応手加減してるみたいだな)
垣根「・・・は・・・ははは!いいじゃねぇか、やってみろよ!」
ショチトル「・・・いくぞ」
ショチトルが自転車に跨がる
勢いよくそれを漕ぎ、どんどんと加速していく
垣根「いいぜ・・・ならこっちも正面からぶつかってやるよ!」
垣根が上空から、ショチトル目掛けて降下する
ショチトル「ライダー・・・!」
垣根「キック!」
そして
二人のライダーのキックがぶつかる
御坂妹「ど、どうなったんですか!?」
10398「結末が気になります!」
20000「・・・!砂煙が晴れるぞ!」
垣根「・・・まさか・・・俺が負けるなんてな」
ショチトル「・・・正義は勝つのさ」
垣根「は・・・はは・・・」
ショチトル「・・・お前の守りたかった誰かを、私は守ってみせる」
垣根「・・・出来るのか・・・?お前なんかに・・・」
ショチトル「やれるかやれないかじゃない、やるかやらないかだ」
垣根「・・・なら・・・任せてみるのも悪くはないな」
ショチトル「・・・」
垣根「頼んだぜ・・・仮面ライダー・・・エイシイスト」
ショチトル「あぁ」
ショチトル「どうだった!?」
エツァリ「いえ・・・そう言われても」
19090「中々クオリティーは高かったですよね!?」
テクパトル「・・・」
垣根「あぁ?感動して声も出ないか?」
テクパトル「お前達、仮面ライダーを分かってないな」
ショチトル・垣根「」
テクパトル「仮面ライダーにそんな話は邪道だ・・・敵が辛い過去を背負っている?ましてや敵も過去には正義のために戦った仮面ライダー?」
テクパトル「笑わせてくれる、そんなのは昼間のドラマでやっとけよ」
テクパトル「大体な、仮面ライダーは子供が見る番組だ」
ショチトル「そ、そうだが…」
テクパトル「いいか?子供にとって一番大切なのは敵がどんな理由で戦っているかでもなければ、物語の意外性でもない」
エツァリ「…仮面ライダーが悪を倒すことが、子供の楽しみですね」
テクパトル「その通りだ…いいか、子供は物語の難しさを求めていない、派手なアクションとかっこいい必殺技が見たいんだ」
垣根「一理あるな…」
テクパトル「それに、子供たちに俺たちが教えるべきなのは正義が勝つということだ、たとえそれが綺麗事であっても子供たちは仮面ライダーを通して正義というものを教わるんだ」
ショチトル「う…」
テクパトル「…最近の仮面ライダーはそもそもそこが分かっていないんだ、敵の見た目にかっこよさもいらないしましてや仮面ライダーが何人もいてそれがそれぞれの人生を送っている、なんて描写もいらない」
御坂妹「こ、これは今のテレビ業界に対する挑戦ですか!?」
テクパトル「…お前たちはどうだ、どう思う」
19090「…たしかに、ヒロインなんてものもいらないと思いますね…」
17600「…そうだな、主人公をサポートする女役は必要だがむやみやたらに恋愛を絡ませるのはどうかと思う」
テクパトル「そうだろ?」
垣根「でもなぁ…やっぱり今の子供は仮面ライダー=斬新なアイディアだと思ってるだろうから…」
テクパトル「…くだらないプロパガンダだな」
垣根「なに?」
テクパトル「昔の仮面ライダーは斬新なアイディアよりも物語の熱さで売っていたはずなんだ」
エツァリ「…そうですね、たしかに今と比べるとチープとも言えます」
テクパトル「だがな…本来、正義ってのはそういうもんじゃないのか?」
ショチトル「というと?」
テクパトル「正義が悪を討つのは当たり前だ、それはこの世の理だと言っていい」
10398「…でも、敵をバッサバサと倒していくのは…」
テクパトル「…今の敵はそうかもな、敵には敵なりの事情を作るシリーズもありやがる、それは仮面ライダーだけじゃなく戦隊物やその他の特撮にも言える」
垣根「ならいいじゃねぇか、アニメだってそうだろ」
テクパトル「…アニメにはなくて特撮にあるもの、それはリアリティーだ」
ショチトル「リアリティー…」
テクパトル「生身の人間が演じていることによって、まるで本当に世界のどこかでそのようなことが起きているかもしれないという錯覚を起こらせる」
20000「あぁ、それはちょっとわかるかも」
テクパトル「…ならば、リアルには複雑な理由を持った悪などいるか?ほとんどいない、大抵は憎むべき対象でしかないはずだ」
垣根「おう…」
テクパトル「鬱な展開、深い展開…そういうのは漫画やアニメで十分だ、せめて特撮でくらい綺麗事を並べたご都合主義の話を作りたいじゃないか」
一同「おぉ…」
テクパトル「ということでやり直しだ…大事なのは内容の複雑さではなく、正義が悪を倒すという王道である」
垣根「よし来た!!」
ショチトル「もう一度やり直すか!!!」
19090「今度はヒロインもいりませんし、ミサカも敵にまわります!!」
エツァリ(ふふ…なんだかんだ、テクパトルも付き合いがいいですね)
テクパトル(こうして仮面ライダーごっこの時間を延ばせばその分俺はゆっくり休める…あぁ、いいなぁ)
垣根「よーし、いくぜ!!!」
一同「おー!!!」
垣根「ぎゃっはっは!!!俺様は悪の親玉、垣根大明神だ!!!」
ミサカ一同「ひゃーっはっは!!そしてその部下、ミサカ大明神だ!!!」
エツァリ(名前にバリエーションがなさすぎますね)
テクパトル(これはひどいな)
???「待て!!」
垣根「!?誰だ!?」
ショチトル「弱きを守り悪を討つ、正義を貫き闇を消し去る!!!」
ショチトル「私の名は、仮面ライダーエイシイストtake2だ!!!」
テクパトル(ひっでぇなこりゃ)
ショチトル「さぁ、悪の軍団よ!私が蹴散らしてくれる!」
垣根「ふん!お前達、やってしまえ!」
ミサカ一同「はぁっ!」
ショチトル「甘い!」
14510「ぐぁぁっ!」
12345「やられた!」
ショチトル「あとはお前だけだ!」
垣根「くっ・・・仮面ライダーエイシイストめぇ!」
ショチトル「いくぞ・・・必殺、ライダーキック!」
垣根「ぎゃぁぁぁぁ!」
ショチトル「・・・正義は必ず勝つ!」
ショチトル「どうだった!?」
テクパトル「い、いや…なんでそんなにあっさりさせたんだ?」
ショチトル「だって簡潔にって言ったじゃないか」
テクパトル「短すぎるだろ!!敵の大将が雑魚と一緒の秒数でやられるのはやめろよ!!!」
エツァリ「…自分が思うに、仮面ライダーの敵の大将は最初、仮面ライダーを圧しているものではないでしょうか」
テクパトル「そうだよ、それだ!」
エツァリ「たとえば汚い戦略だったり…たとえば絶対的な力の差だったり、なににしろ最初は敵のほうが上、というのはいいのではないでしょうか」
テクパトル「それを、仮面ライダーがパワーアップして倒す…そういうのも必要かな」
ショチトル「…よし、やってみよう」
垣根「またかよ」
垣根「はーっはっは!!破壊活動は楽しいなぁ、えぇ!?」
ミサカ一同「うっひゃっひゃ!!!」
垣根「次はあいつらをみじん切りにしてやる!!」
ミサカ一同「まるで玉ねぎのようになぁ!!!」
???「待てぇぇ!!!」
垣根「!?誰だ!?」
???「今日の笑顔を守るため、明日の希望を掴むため!!」
???「強きを挫き、弱きを守る!!!」
ショチトル「仮面ライダーエイシイスト、その3!!!」
テクパトル(ネーミングセンスはツッコまないか)
エツァリ(…さて、これからどうなりますかね)
ショチトル「悪の怪人よ、私が成敗してくれる!!」
垣根「ふん、お前達やってしまえ!!」
ミサカ一同「おー!!」
17600「喰らえっ!!」
ショチトル「甘い!!」
17600「ぐぁぁっ!!」
御坂妹「こうなったら…」
ミサカ一同「ミサカイリュージョン!!!!」
ショチトル「!それならば…」
ショチトル「ライダーキック!!!」
ミサカ一同「ぐぁぁ!!」
ショチトル「さぁ、最後はお前だけだ!!!」
垣根「…まぁまぁやるようじゃねぇか」
ショチトル「無駄話はそれまでだ!!!」
垣根「仕方ねぇな…」ファサファサ
ショチトル「!?なんだそれは!?」
垣根「俺の未元物質に常識は通用しねぇ」ファサファサ
ショチトル「くっ…降りて来い!!!」
垣根「喰らえ、ショッカー光線!!!」
ショチトル「ぐぁぁぁぁっ!!!」
垣根「ははは!!まだまだいくぞ!!!ショッカーサイクロン!!」
ショチトル「く…くそっ…」
垣根「どうしたどうした!!そんなものか仮面ライダーエイシイスト!!!」
ショチトル「も…もう…」
「頑張れよ仮面ライダーエイシイスト!!!」
「ショッカーを倒してよ!!!」
「負けちゃダメだぁ!!!」
ショチトル(あぁ…子供たちの声が聞こえる…)
テクパトル(どっから出てきたんだこの子たち)
エツァリ(知りませんよ)
ショチトル「…まだだ…」
垣根「あぁ?まだやんのかよ」
ショチトル「…ショッカー…お前は一つだけ過ちを犯した」
垣根「なに?」
ショチトル「まだ…私は変身を一回残している」
垣根「!!」
ショチトル「ライダー変身…」
ショチトル「とうっ!!」
垣根「!!な、なんだその力は!?」
ショチトル「喰らえ…最後の一撃だ!!!」
垣根「くそ…ショッカーキック!!!」
ショチトル「甘い甘い!!ライダーキック!!!」
垣根「ぐあぁぁぁぁ!!!」
ショチトル「正義は…勝つ!!」
ショチトル「どうだった!?」
テクパトル「まぁまぁ…かな」
ショチトル「…やった…これが私の仮面ライダーだ!!」
エツァリ「よかったですね、ショチトル」
ショチトル「…あぁ…感動した…」
御坂妹「よかったですね…」ウルウル
14510「これで正義が世の中に広まりました…」ウルウル
17600「いや、テレビじゃあるまいし」
20000「でもまぁ楽しかったかな」
19090「いい暇つぶしにはなりましたね」
垣根「あぁ、俺も楽しかった」
エツァリ「では自分たちはこれで」
ショチトル「あぁ、そうするか」
垣根「じゃあ、またな」
テクパトル「さーて…帰るか」
御坂妹「はーい」
10033「家に帰ったら…」
ミサカ一同「仮面ライダーを見ましょう!!」
テクパトル「ねーよ」
上条「暑い…」
美琴「暑いわね…」
上条「…あぁ…」
そろそろ夏も本番
そんなある日、二人は近くの喫茶店でそんなことを呟いていた
上条「…ダメだ…やる気が起きない…」
美琴「せっかくのデートなのに…」
上条「もう七月だからな…」
美琴「…ねぇ、せっかくだし海に行かない…?」
上条「おぉ…いいな」
美琴「よし…じゃあみんな誘おうか」
上条「よっしゃぁ!!」
みんなで海に行こう編
上条「青い空…白い雲!!やっぱり海に行かなきゃな!」
垣根「…なぁ…なんでこのクッソ暑いときに海に行かなきゃならねぇんだよ…」
一方「知るか…」
黒子「私、久々にお姉さまに会いましたのぉぉぉ!!」
美琴「あぁもう!!抱き着かないで!」
削板「ははは!!中々いい日差しだな!!!」
エツァリ「…学園都市にも一応海は…ないですよね」
テクパトル「となると…外に行かなければならないな」
番外「めんどくせー」
心理「でもアレイスターには許可取れたんでしょ?」
19090「もちろんです!」
ショチトル「家族だと便利だな」
垣根「家族割!」
テクパトル「ちげぇよ」
一方「…で、このバスに乗ればいいンだな」
ショチトル「まさか無人島に直行する、とか言わないよな」
テクパトル「さすがにそれはないだろ」
美琴「そうよ、ショチトルも冗談が過ぎるわね」
一同「あははは!!!」
上条「でもさ、こんなこと言ってたらフラグが立ちそうだよな」
削板「まっさかぁ、そんなベタなことはないだろ!」
黒子「もしもそうでしたら笑ってしまいますの」
番外「実際そうなったら固まるだろうけどね」
エツァリ「ははは、そんなことはないですから安心しましょう」
19090「?垣根さん、なんで黙ってるんですか?」
垣根「いやぁ…なんでもない」
美琴「心理定規もなんで無言なの?」
心理「…別に」
上条「そういや、行き先選んでくれたのは垣根と心理さんだったな」
垣根「…」
心理「…」
垣根・心理(行き先無人島なのに…)プルプル
上条「・・・なぁ、いつになったら着くんだ?」
垣根「さぁな」
上条「さぁなって・・・」
テクパトル「垣根は行き先知ってるんだろ?だったらどんくらい掛かるか知ってる・・・」
垣根「いや・・・まぁ乗り継ぎとかあるし」
美琴「乗り継ぎ?」
ショチトル「かなり遠いんじゃないか?」
19090「珍しいですね・・・学園都市の中と外で乗り継ぎだなんて」
削板「どこの海なんだ?」
心理「海・・・っていうか」
黒子「なんですの?」
心理「島・・・みたいな」
番外「島?」
一方「おい・・・まさか本当に無人島だとか言うンじゃねェだろォな」
垣根「・・・ザッツライト」
一方「あァ!?ふざけンな、日帰りだろォな!?」
垣根「まさか、泊まりがけだって」
テクパトル「お・・・おいおい!こっちは明日仕事あるんだぞ!?」
垣根「アレイスターになんとかしてもらえばいいじゃんか!」
テクパトル「そんな無責任なことが出来るかよ・・・」
上条「無人島って・・・遠いのか?」
心理「言っておくけど、定住してる人がいないってだけよ?観光地としてはかなり有名だから」
エツァリ「なら大丈夫そうですね」
削板「でもなんでそんなとこなんだ?観光地なら混むだろうし・・・」
心理「この人の別荘があるからよ」
垣根「にゃっはっは!宿泊費がいらないから楽じゃろう!」
19090「そ、それはありがたいですが・・・」
番外「テクパトル、ドンマイだよ」
テクパトル「はぁ・・・今からでも帰っていいか」
垣根「無理だな、すでに学園都市の外に出てるみたいだし」
美琴「そうなの?なんかこの車・・・カーテン閉めきってて外が見えないから分からなかったわ」
黒子「なぜカーテンを閉めていますの?」
垣根「・・・外は日差しが強いんだ」
一方「あァ」
垣根「心理定規の美白が崩れたらどうすんだよ!あぁ!?」
一同(このバカップルが)
心理(あなた達はそれを言えないわよ)
一方「…クソが…日帰りじゃねェのかよ…」
垣根「いいだろ、長い時間友達といられるんだぜ」
一方「ンな素敵なイベントはいらねェンだよ」
美琴「私達はもう夏休みだけど…」
上条「え、もう夏休みなのか!?」
美琴「うん」
ショチトル「早いな」
美琴「まぁ、常盤台は授業ばっかりしなくてみんな頭いいから」
上条「うっぎゃぁぁ!!なんだその自慢!!!」
番外「事実だから仕方ないじゃん」ケラケラ
黒子「その代わり、補習の日はほとんど強制登校ですが」
垣根「ふーん…あ、そろそろ着くな」
上条「なんだ、分かるのか?」
垣根「空気が美味しくなってきたんだよ」
美琴「?」
19090「本当ですか?」
垣根「こう…息を深く吸ってみればわかるはずだ」
エツァリ「なるほど」
一同「スーハー」
垣根「バーカ、分かるわけねぇだろwwwwカーナビ見てたからそろそろだってわかったんだよwww」
テクパトル「ちょっと表に出ようぜ」
ショチトル「久々にキレちまったよ」
一方「中々面白い冗談だったぜていとくン」
垣根「落ち着け、いいから落ち着け」
心理「…そういえば、今から行くのって垣根の別荘なのよね」
垣根「あぁ」
心理「へぇ…私の知らない別荘がまだあったなんてね」
垣根「マイシークレットイズデンジャラス」
上条「意味わからねぇよ…」
垣根「…そういや、俺も最近その別荘行ってないんだよな」
上条「…なぁ、ちゃんと水道とか電気とか通ってるよな?」
垣根「あぁ、そこは大丈夫だ」
美琴「そこは…ってことは、何か問題があるの?」
垣根「いや…まぁ」
心理「どんな問題?」
19090「クマが出るとか…ですか?」
黒子「さすがにそれはないですの」
削板「あぁ、もしかしてめちゃくちゃ汚いとか?」
垣根「埃とかすごそうなんだよな、なにせ掃除なんてしてねぇし」
番外「なーんだ、そんなことか」
テクパトル「俺たちが協力すれば、すぐに綺麗になるだろ」
ショチトル「そうだな…まぁ、ひと肌脱ぐよ」
垣根「お前ら…」
垣根(めちゃくちゃ広いってことも知らないでwwww)
上条「で…でかい!!!」
エツァリ「こ、これも別荘ですか…」
垣根「おうよ」
美琴「へぇ…垣根の別荘だから洋風だと思ってたのに」
19090「和風ですか…」
一方「…なンで庭に獅子脅しがあるンだよ」
垣根「お、それが気になるとはプロだな」
削板「理由でもあるのか?」
垣根「まぁ…ちょっと、悲しい過去がな」
黒子「か…悲しい過去?」
垣根「ふっ…昔、この別荘にライオンが来たことがあってな」
心理「さ、さっさと入って掃除から始めましょ」
一同「はーい」スタスタ
垣根「…あ、あれ?みんな行っちゃうの…?」
垣根「あれ…?」
垣根「…な、泣いてなんかないんだからね」
黒子「まぁ…たしかに埃が恐ろしいほど溜まってますわね」
削板「なんか息苦しささえ感じるぞ!」
番外「うっひゃー、こりゃ気管支とか弱い人にはダメだね」
一方「ゲーッホゲッホ、ゴホッ、オエーッ!!!」
番外(むせてるよ)
ショチトル「…掃除道具とかあるのかな」
美琴「ないと困るわよ…」
上条「よーし、とにかくまずは客間から行ってみるか!!」
心理「そうね、一応そこが綺麗になれば大丈夫だし」
テクパトル「…だがこの感じだと、客間も結構汚れてそうだな」
エツァリ「はぁ…気が遠くなりますよ」
垣根「みんな悉く俺を無視しやがって…」
心理「じゃ、行きましょうか」
客間にて
上条「…お、思ってたより汚いな」
美琴「まぁ…汚いっていってもゴミが溜まってるわけじゃないけど…」
黒子「綺麗だった部屋に埃だけ溜まった…という感じですわね」
垣根「…誇りがあるんだよ、この家には」
心理「さっさと片付けるわよ」
一同「はーい」
垣根「」
上条「…なんかさ、こんなに広い別荘を持ってるってだけで勝ち組だよな」
美琴「そうね」
黒子「ですが、あまりに別荘を持っているとこんな風に掃除ができない場合がありますの」
削板「そうだな、やっぱり我が家が一番だ!!」
垣根「うるせぇな、和室が落ち着くんだよ」
テクパトル「だったらなんで家は洋風にしたんだ」
垣根「…」
一方「どォせ洋風も和室も好きなンだろォが」
垣根「あぁ…まぁな」
エツァリ「…まぁ、どちらにしろ別荘はあまり買いすぎたらいけませんよ」
垣根「うるせぇな…」
番外「でもさ、別荘でしかもこの海沿いな雰囲気は憧れるかもね」
19090「あ、それはわかりますね」
心理「垣根って、こう見えて結構ロマンチストだからそういうのにこだわるのよ」
一同(どう見てもメルヘンだよ)
垣根「…客間…なんでこんなに広いんだよ…」
テクパトル「お前の別荘だろ」
垣根「…おい、モップ持って来いよ」
美琴「どこにあるのよ?」
垣根「あー…だったな、ここの物の配置は俺しか知らないんだった」
ショチトル「そうだよ、早く取ってこい」
番外「さすがに雑巾だと効率が悪いね」
19090「そうですね…掃除機はないんですか?」
垣根「…あぁくそ…分かったよ…」
心理「私も手伝うわ」
垣根「さすがマイラブリーエンジェル!!」
心理「はいはい」
上条(…なんだかんだ心理さんって垣根にベッタリだよな)
美琴(…仲良しよね、ホント)
垣根「モップモップ・・・」
心理「・・・ねぇ」
垣根「なんだよ?」
モップや掃除機を置いてある部屋に向かう途中、心理定規が垣根に声を掛けた
若干不機嫌そうなのが垣根は引っ掛かった
垣根「なぁ、なんだよ?」
心理「なんでこの別荘のことを内緒にしてたの?」
垣根「内緒にはしてなかったんだけど」
心理「・・・教えてくれなかったじゃない」
垣根「だってわざわざ教えるほどのことでもないだろ」
心理「でも・・・」
垣根「でも?」
心理「あ・・・あなたのこと、全部知っておきたいから」
垣根「」
垣根(うぉぉぉ!可愛い、破壊的な可愛さだぞこれは!)
垣根「な、何言ってんだお前・・・」
心理「・・・私に秘密とか作らないでよ」
垣根(うわぁぁぁ!顔を赤らめながらそんなこと言われたらぁぁぁ!)
垣根「・・・別に秘密とかじゃなくてさ」
心理「・・・分かってるわよ、分かってるけど・・・」
垣根「まぁ・・・今度からはでかい買い物とかしたら教えるからさ」
心理「あ、ありがと」
垣根「・・・お前、今なんか可愛かった」
心理「・・・私はいつだって可愛いでしょ?」
垣根「今は特別に可愛かったんだよ」
心理「・・・垣根」
垣根「心理定規・・・」
ショチトル「ふと近づく二人の唇」
垣根「・・・なんでお前がいるんだよ」
ショチトル「いや、早くモップを持ってきてほしくて」
心理「・・・あのね、私達今ロマンチックな雰囲気だったのよ」
ショチトル「あぁ、なんか見れば分かるよ」
心理「ならなんで邪魔したのかしら、ねぇ?」
ショチトル「そこに・・・妬みがあるからさ」
垣根「意味が分からねぇよ・・・」
ショチトル「とにかく、いちゃつくのは海に行ってからでもいいだろ!!まずは掃除だ!!」
垣根「分かった分かった…」
ショチトル「で?モップはどこに?」
垣根「何を言っている…モップはお前の後ろにいるぞ!!」
ショチトル「な、なんだってぇ!!」クルッ
垣根「はっはっは!!隙ありぃ!!」ポカッ
ショチトル「ぐぁぁぁ!!む…無念なり…」ガクッ
垣根「ははは!!仮面ライダーエイシイストを討ち取った!!」
心理「何よそれ…早くモップを取りましょうよ」
垣根「あぁ、そうだったな」
ショチトル「…なんかさ、もっとアナログ的なモップを想像してたよ」
垣根「あぁ?先端から水が出るモップとか古いだろ」
ショチトル「いや、私には新しいんだよ!」
心理「…でもこの本数じゃみんなには渡せないわね」
垣根「じゃあ俺はサボ」
心理「サボるのはなしよ」
垣根「なんだって…」
ショチトル「ほら、早く帰るぞ…みんな真面目に掃除してるはずだから」
心理「そうね」
上条「喰らえ、雑巾爆弾!!!」
一方「ぐァァァ!!何しやがる!」
上条「ははは!!油断してるから…」
削板「すごい雑巾!!!」
上条「ごふぅっ!!」
削板「ははは!!!油断したな上条!!」
上条「この野郎!!」
心理「…」
一同「…」
心理「全員、どうして正座させられてるか分かるかしら」
美琴「わ、私は参加してなかったのに…」
心理「止めなかったのはどうして?」
美琴「だ…だって…」
一方「…ちょっと息抜きしてただけだろォが」
心理「さっさと掃除を終わらせて、みんなで海に行きたいんじゃないの?」
19090「…はい」
ショチトル「でも今のペースだと、どっちみち今日は掃除が終わるころには夕方になってるぞ?」
心理「それでもやるのよ」
番外「えー、めんどくさい」
黒子「…明日に回すよりはマシですの」
心理「はぁ…とりあえず、モップは持ってきたからこれ使って掃除してちょうだい」
垣根「まぁ全員分はないから、持てなかったヤツは雑巾で頑張ってくれ」
上条「不幸だ…」
上条「…はぁ、疲れる…」
上条と美琴は客間の掃除を担当することになっていた
二人きりになって、畳やら机やらを布巾で擦っている
金持ちの別荘ってのはこんなにも広いんだな、と改めて上条は感心した
もちろん、垣根の家やら美琴の金銭感覚やらである程度の耐性は出来てきている
だがしかし、自分とほぼ同年代の青年がこんなに稼いでいるのかと考えると肩が落ちる
上条「…はぁ、いいよな金持ちは…」
美琴「…そんなにいいもんかしら」
上条「もしもさ、結婚してこういう家に住めたら毎日幸せだろうな…」
美琴「ふぇぇっ!?」
上条「子供とかも広々した家なら遊べるし」
美琴「ふぁふぁ!?」
上条「あ、でもあんまり広すぎるとちょっと寂しい感じもするかな、家族団欒の時間が減ってさ」
美琴「にゃ…」
上条「?どした?」
美琴「にゃにいきにゃり言ってるのよ!?」
上条「な、なんで顔真っ赤にしてるんだよぉぉ!!しかも電撃はダメだからなぁ!!」
美琴「そ、そんな未来設計いきなり語りだして恥ずかしくないの!?」カァッ
上条「いや…あくまで家の感想を言ったまででして」
美琴「こ…こんな家…そ、そりゃいいかもしれないけどさ…」
上条「もしもーし」
美琴「で、でもやっぱり最初はワンルームのマンションとかで、いつかいい家に住ませてやるからなっていう素敵な話があっても!」
上条「ま、待て!!腕振り回したら飾ってるものに当たって…」
ガシャン
美琴「!!」
上条「あーあ…言わんこっちゃない…」
美琴「と…当麻ったら全く困った…」
上条「落としたのはお前だからな」
美琴「ぴぃっ!?」
上条「それはやめろ」
美琴「だ…だって偶然だもん!!それにほら、割れたような音じゃなかったし!!!」
上条「ったく…なんかの置物か?」
上条「…」
美琴「な、なになに?」
上条「…写真だ、しかも子供の頃の垣根が映ってる」
美琴「!!!」
上条「ほら、結構昔なんじゃないかな」
美琴「ホントだ…まだ純粋さが残ってるって感じ」クスクス
上条「…日付から考えると…小学校3年くらいかな」
美琴「え、そんなに幼い頃?」
上条「…さすがにこの頃からイケメンだ」
美琴「…なんか垣根の小さい頃とか見てると…変な感じ」
上条「俺たちが知ってる垣根はもう最初から今の垣根だったからな…」
垣根「上条!!モップが一個隠れてたから貸してやるよ!!!」
上条「おわぁぁぁっ!!」
垣根「あぁ?どうしたんだよ慌てて」
美琴「あ、い、いや…」
垣根「あ、その写真ここにあったのか」
上条「さ、触ってないからな!!」
美琴「ましてや落としてもないから!!」
垣根「落としたんだな」
美琴「う…ごめん…」
垣根「いいんだよ別に…にしても懐かしい写真だな」
上条「これってどこで撮ったんだ?」
垣根「学園都市に入るすぐ前だからな、たぶんその時だから…学校じゃねぇかな」
上条「学校?」
垣根「外にいるときに通ってた学校だよ」
美琴「やっぱり垣根も昔は普通の学校に通ってたの?」
垣根「まぁな…」
写真を机の上に置いて、垣根が小さく笑う
垣根「あれは…そうだな、たしか俺が小さい頃の話だった」
上条「語らなくてもいいからな」
垣根「あ、さいですか」
美琴「…ねぇ垣根、全然片付かないんだけど」
垣根「そりゃ…広い家だからな」キリッ
上条(うっぜぇ)
美琴「…もうここはいいかしら、あんまり丁寧にしすぎていると時間掛かるし」
垣根「はぁ…分かった分かった、次は二階だ」
ショチトル「…広すぎる」
エツァリ「…三階まであるんですか、この別荘は…」
テクパトル「なんで和風の家なのに展望台やらテラスがあるんだよ…」
19090「…これがお金持ちの力ですか…」
アステカ組+19090号は三階の掃除に回っていた
三階には寝室と展望台、テラスやら小さな喫茶店のような部屋やらがあった
エツァリ「…なんでここまで凝った作りなんですかね」
ショチトル「垣根のことだからな、どうせ趣味で作ったんだろ」
19090「…垣根って、紅茶とか飲むのが趣味でしたっけ?」
テクパトル「いや、それは心理定規だろ」
エツァリ「…」
ショチトル「…」
テクパトル「なぁ、もしかしてこの別荘って…心理定規のために作ったとかじゃないよな」
19090「な、なんて素敵なサプライズなんですか…」
テクパトル「家がプレゼントってすげぇな…」
19090「で、でも素敵ですよね!」
テクパトル「…でも垣根も恥ずかしがり屋だな」
エツァリ「そうですね、こんな方法でなければ教えられないなんて」
ショチトル「ぷぷぷ、しかも心理定規ったら秘密を作られてたことに少し怒ってたぞ」
テクパトル「うっわ…そりゃまたバカップルだな」
エツァリ「うらやましい限りですよ」
19090「…あ、こっちはもう綺麗になりましたね」
ショチトル「…となると、次は展望台でも掃除しに行くか」
テクパトル「あぁ」
展望台からは目の前にあるオーシャンビューが一望できた
一面に広がる青の世界
つい、その中に吸い込まれるような感覚を覚えてしまう
19090「…綺麗ですね」
テクパトル「掃除が終わったらこの海で遊べるのか…」
エツァリ「やる気が出ますね」
ショチトル「今日は掃除終わらないフラグだな」
削板「あぁ!!もうイヤだ!!」
削板は嘆いていた
いくら綺麗にしようとしても、あまりの広さのせいで綺麗になっている気がしない
黒子「…たしかに、これは疲れますわね」
隣で黒子も呆れたような声を出している
一方「…つゥかよ、なンで俺たちが垣根の別荘の掃除なンかしなきゃいけねェンだよ」
番外「泊めてもらうにしても、なんか不満だよね」
黒子「…いいように使われている気がしますわね」
削板「ま…まさか、陰謀か!?」
心理「そんなことないわよ、まったく…」
黒子「あら心理定規…」
心理「…垣根のことだし、きっと掃除も楽しんでほしいはずよ」
一方「…それを俺たちの目を見ながら言えるか?あァ?」
心理「…」
一方「おいこらなンでそっぽ向きやがった」
心理「そっぽだからかもしれないけど」
一方「やめろ」
削板「なぁ、ここはこれくらいでいいと思うか?」
心理「そうね…ま、別荘なんだしそう何日もいるわけじゃないんだから」
黒子「ある程度綺麗になればいいでしょうか」
心理「えぇ」
番外「ならこんなもんかな…」
一方「…ったくよォ、埃が溜まってるとむせちまうから困るンだよ」
心理「あなたって気管支も弱いのね」
一方「もってなンだよてめェ」
心理「体も弱いじゃない」
一方「…あァ?」
心理「ふふふ、知ってるわよ…あなた、アルビノだから日光に弱いんでしょ」
一方「…ンなことねェよ」
心理「へぇ…ま、明日になればわかることよ…海で遊べばあなたすぐ音をあげそうだし」
一方「…うるせェな、てめェこそ外歩くときは日傘差してるじゃねェか」
心理「あら、それは女として当たり前でしょ?」
一方「…番外個体、てめェ日傘とか使うか?」
番外「ううん、使わない」
一方「白井、お前は」
黒子「使いませんの」
一方「…」
心理「あなた達、それじゃお肌に悪いわよ」ハァ
黒子「あら、ある程度の紫外線は人間の健康生活には必要ですの」
番外「そうそう、ずーっと日傘差してたらダメだよ」
心理「…あなた達、そんなこと言ってたら大きくなってから痛い目に遭うわよ」
黒子「そ、そんなことありませんの!」
削板「そうそう、人間は日光の下で暮らすべきだ!」
心理「…あなたは太陽にも対抗できそうね」
削板「嬉しいこと言ってくれるな!!」
心理(嫌味だったんだけど…)
黒子「…そういえば、心理定規は何しに来ましたの?」
心理「あぁ、お昼ごはん何がいいかって」
削板「お、心理定規が作ってくれるのか」
一方「…お前、ちゃンと料理できるンだろォな」
心理「失礼ね、あなたにも食べさせたことあったはずよ」
一方「…見た目からするとダメそうなのにな」
番外「ミサカも手伝おうか?」
心理「一人で大丈夫よ、そんなに手の込んだものは作らないから」
削板「じゃあ…カレーとかかな!!」
心理「この暑い時期に…」
黒子「では…パスタなどはいかがですの?」
心理「…となると、ペペロンチーノかしらね」
番外「…ミートがいいな」
一方「あァ?バジルに決まってンだろ」
心理「はいはい、いくつか作るから」
削板(…スパゲッティに種類があるなんて知らなかったぞ…)
テクパトル「…そういえばさ」
エツァリ「はい、なんですか」
テクパトル「お前、昔はそんな口調じゃなかったよな」
エツァリ「」ギクッ
19090「?そうなんですか?」
ショチトル「あぁ、そうだぞ」
エツァリ「い、いいじゃないですか…慣れてしまったんですから」
テクパトル「正直な話、気持ち悪いんだよな」
エツァリ「…何度もその話、してますよね」
テクパトル「…なぜその口調のままなんだ?」
19090「エツァリさん、元はどんな口調だったんですか?」
ショチトル「今も私と二人きりの時は昔の口調だぞ」
エツァリ「ショ、ショチトル!」
テクパトル「お、二人きりの秘密みたいなやつか」ニヤニヤ
19090「それはそれは」ニヤニヤ
ショチトル「ふふん、いいだろう?」
テクパトル「二人だけの秘密…か」
19090(…美月に名前があるというのも一応秘密になりますね)
エツァリ「?どうされたんですか?」
テクパトル「いや、なんでもないよ」
19090「それより、そろそろお昼ごはんなんじゃないですか?」
ショチトル「っと、すっかり忘れてたな」
テクパトル「誰かが作ってくれてるかな」
エツァリ「心理定規さんがおそらく作ってるんじゃないですか?」
テクパトル「あぁ、あいつはしっかりしてるからな」
エツァリ「えぇ、そうですね」
19090「…あの、ミサカも結構しっかりしてますよね」
ショチトル「私もしっかりしてるんだが」
テクパトル「?なんだよ今更」
エツァリ「それくらい分かっていますが…」
ショチトル(この鈍チン)
19090(…相変わらず鈍感ですね…)
心理「みんなー、御飯よー」
テクパトル「お、御飯だとよ」
エツァリ「では行きましょうか」
上条「腹減ったー」
美琴「ホント、かなり疲れたわ・・・」
心理「みんなお疲れ様、パスタとサラダでよかったかしら」
一方「・・・肉はねェンだな」
番外「あんまり肉ばっか食べてると体壊すよ」
テクパトル「元々壊れてるじゃないか」
削板「ははは!たしかにな!」
一方「あァ!?」
エツァリ「まぁまぁ、そんなに怒らないで」
19090「こんなに種類があるものなんですね・・・」
テーブルの上に並べられた皿を見つめながら、19090号が感心したように呟く
ショチトル「・・・ミート、ペペロンチーノ、チーズ、カルボナーラ、バジル・・・」
上条「すっげぇ・・・よく一人で作れたな」
心理「あら、茹でるだけじゃない」
黒子「いえ・・・味付けとかありますの」
美琴「心理定規って一家に一人いたら便利そうね」
垣根「どういう意味でだよ」
一方「こンな澄ました女がいたら気にくわねェだろ」
心理「あら、アルビノって言ったことまだ怒ってるの?」
一方「・・・」
番外「はいはい、喧嘩は食べてからにしようよ」
19090「そうですよ、せっかくのパスタが冷めちゃいます!」
削板「じゃ、垣根!」
垣根「よーし、手を合わせろ!」
一同「おう!」
垣根「その幻想を!」
一同「ぶち殺す!」
垣根「明日天気に!」
一同「なーぁれ!」
垣根「恋する乙女は!」
一同「女豹なの!」
垣根「いただきます!」
一同「いただきます!」
上条「あぁ美味い・・・」
エツァリ「ホント、店で出せるレベルですよ」
黒子「・・・心理定規、あなたスペックのインフレが激しいですの」
心理「そうかしら」
美琴「・・・悔しいけど・・・私も料理は敵わないわ」
垣根「お前、心理定規に敵ってるものって身長以外にあるか?」
美琴「の、能力とか!」
テクパトル「それしかないのか、義姉さん」
美琴「う・・・」
エツァリ「御坂さんには御坂さんの良さがあるじゃないですか」
垣根「はい、これからストーカーが良さを語ります」
エツァリ「ストーカー・・・」
19090「・・・お姉様は優しいですから!」
黒子「そうですのよ、お姉さま!」
美琴「ありがとう・・・」
上条「美琴のほうが心理さんより可愛いよな?」
一同「・・・」
上条「あ・・・あれ?」
削板「可愛いの基準にもよるんじゃないか?」
番外「セクシーなのは明らかに心理定規だよね」
一方「ツンデレが好きならオリジナルがいいンだろォな」
ショチトル「そのツンデレも最近は無くなってきてるけどな」
上条「み、美琴は可愛いから!」
心理「はいはい、そんなくだらないことどうでもいいでしょ」
一同(・・・大人だ)
垣根「まぁ心理定規が一番可愛いだろ」
削板「いや!黒子が・・・」
心理「だから・・・可愛さなんて人それぞれなのよ、誰が一番だなんて決めてたら人生が終わっちゃうわよ」
美琴「・・・そうね」
番外「パスタさっさと食べちゃおうぜ」
テクパトル(心理定規、垣根の一言が嬉しかったんだろうな・・・)
ショチトル(足プラプラさせちゃって・・・かーわいーい)
垣根「・・・掃除はあらかた終わったんだよな」
パスタを頬張りながら垣根がみんなに尋ねる
黒子「私達の担当していた場所はある程度綺麗になりましたの」
ショチトル「こっちも大丈夫だ」
美琴「私達も」
垣根「なら午後からは遊べるな」
エツァリ「海ですか?」
垣根「今から海か・・・」
削板「いいんじゃないか?」
上条「だよな、今日は海で遊んで明日はそれ以外で遊ぶ、これだな!」
ショチトル「ふふん、私のセクシーダイナマイト水着を見せる時がきたな!」
心理「・・・何よそれ?」
19090「・・・テっくん、浜辺のギャルの背中に見とれたらダメですよ」
テクパトル「俺はそういう風に思われてるのかよ・・・」
一方「あァ・・・こンなクソ暑いのになンで海で遊ばなきゃいけねェンだよ」
黒子「あら、暑いからこそ海で涼しく遊ばなければいけませんの」
削板「そうそう、クーラーの効いてる部屋にいるより健康的かつエコロジーだな!」
一方「お前がいるだけで暑さが増すンだよ」
削板「ははは!こりゃ嬉しいな!」
一方「褒めてねェよ」
垣根「じゃあ、食い終わったら各自着替えるってことで」
ショチトル「風呂場とかで着替えられるのか?」
垣根「あぁ」
美琴「一人一人部屋はないの?」
番外「そうだよ」
垣根「あるにはあるが・・・」
心理「わざわざ散らばる必要もないでしょ、男女で分かれれば」
エツァリ「むしろ男女一緒に着替えましょうよ」
19090「男性のみなさんは・・・どこで着替えますか?」
テクパトル「客間で良くないか?どっからも見えないしさ」
上条「女の子は風呂場と脱衣所でいいかな」
垣根「それでいいな」
エツァリ「あの」
心理「エツァリ君」
エツァリ「はい」
心理「気持ち悪い」
エツァリ「」
美琴「んー、なんかやっと海に来た気分になってきたわ!」
削板「よし、はしゃげるだけはしゃいでやる!」
テクパトル「怪我には気をつけろよ」
一方「フラグ建てンな」
上条「っしゃあ、スイカ割りとかしようぜ!」
19090「あ、それいいですね」
垣根「スイカ、ちゃんと買ってきてるぜ」
上条「準備がいいな!」
黒子「ふふ・・・久々の息抜きですの」
心理「みんなで楽しみましょうね」
エツァリ(気持ち悪い・・・気持ち悪い・・・)
ショチトル「エツァリ」
エツァリ「は、はい!」
ショチトル「気持ち悪い」
エツァリ「」
上条「そうと決まったらさっさと食べちゃおうぜ!」
削板「おうよ!!」
美琴「私バジルも食べようかな」
黒子「私にもくださいな」
心理「はいはい」
エツァリ()
美琴「はぁ…当麻、こういう水着好きかなぁ…」
食事を終え、着替えの段階に入ってから美琴はそんなことを呟いていた
前の旅行とは違う水着を持ってきている
そのため、これも上条に見せるのは初めてなのだ
心理「…ちょっと美琴にしては背伸びしてるわね」
美琴「ど、どういう意味よ!?」
黒子「お姉さま…そこまで胸、ありますの?」
美琴「こ、これでもちゃんと成長してるのよ!!」
番外「ぷけけ、ちょーっと成長しても結局は小さいじゃん」
美琴「なによ!?」
19090「ま、まぁまぁ…」
ショチトル「色気とは胸だけではない、それがわからんのだよ」フン
美琴「む、胸だけじゃないことくらい分かってるわよ!!」
ショチトル「ほほう、じゃあどこで魅せるつもりだ?」
美琴「あ、脚とか!!」
心理「…でもまぁ、胸もある程度はあるし」ムニムニ
美琴「な…なに突いてるのよ!?」
黒子「あらまぁ、私がお触りしていたときよりも大きくなっていますの」ムニムニ
美琴「黒子ぉぉぉ!!!」
上条「…削板は相変わらず海パンが好きだよな」
削板「ははは!!黒の海パンは男のロマンだ!!」
一方「…俺、ブーメランなンだけどよォ」
垣根「だっせぇww」
エツァリ「垣根さんと上条さんと…自分はトランクスタイプですね」
垣根「あたぼうよ」
上条「…削板は似合ってるけど、一方通行のブーメランは…」クスクス
一方「なンだよ」
削板「?テクパトル、どうしたんださっきから鞄漁って?」
テクパトル「…れた」
上条「?」
テクパトル「水着を忘れた」
一同「…」
垣根「ぶっははははは!!!なんだよそれ、来た意味ねぇwwww」
一方「あひゃひゃ!!!ノーパンかよおい!」ゲラゲラ
エツァリ「どうするんですか、テクパトル?」
テクパトル「…俺、もしかして泳げないし日焼けもできないしの三重奏か?」
上条「二つしかないぞ」
テクパトル「なんだよこれ…キャンプに来てカレー用のご飯炊いたあとでカレールー忘れたのに気付いた時と同じ絶望感だ…」
削板「ははは!!海の家とかで売ってるだろ!!」
テクパトル「…売ってるかな…」
上条「ほら、とりあえず今は海に向かおうぜ」
一方「…売ってなかったらどォすンだよ」
テクパトル「…みんなを見守るかな」
垣根・一方「だっせぇwwww」
一方「ねぇねぇ、お兄さン一人なの?」
垣根「え、あ、いや…」
一方「よかったら私たちと泳がない?」
垣根「…そ、その…水着を忘れたんだ」
一方「うっわ、何それきしょーいwww」
垣根「…」
一方「だからさっきから水着の女の子見つめてたンだ、マジキモインですけどwww」
垣根・一方「とか言われるぞお前wwww」
テクパトル「殴るぞ」
エツァリ「…最悪、水着がなかった場合のことを考えないといけませんね」
テクパトル「…そうなったら、ヒマだろうな」
上条「まぁ大丈夫だろ」
削板「大抵水着って売ってるものだよな」
垣根「そうだな、サイズとかも結構あるだろうし」
一方「まァデザインはシンプルなのばっかだろォけどな」
テクパトル「泳げるならそれでいいよ…」ハァ
上条「じゃ、女の子はまだ着替えてるみたいだし…先に行くか」
垣根「あぁ」
サンサンと降り注ぐ日差し
海辺に戯れる水着の女の子達
キラキラと輝く海
少し暑く感じる砂浜
そして
テクパトル「…売ってない」
なかった水着
上条「そ、その…なんだ」
垣根「ふ…ふふふ」プルプル
一方「ざ、残念だったなァ…」プルプル
削板「ドンマイ、テクパトル」
テクパトル「…不幸ってのは、こういうことを言うんだろうな」ハハハハハハハハハハハハハハ
エツァリ「テクパトル、壊れないでください」
テクパトル「お前には言われたくねぇよ」
エツァリ「」
テクパトル「…これ…あいつらにも笑われそうだな」
心理「お待たせ」
垣根「おう、来た来た」
美琴「あれ?テクパトル…なんで着替えてないのよ」
テクパトル「…水着を忘れた」
番外「う、海に来るって聞いてたのに…?」プルプル
テクパトル「…」
黒子「だ、誰だってうっかりというものは…あ、ありますの…」プルプル
一方「水着って書いたメモでも貼れば大丈夫じゃねェか」
ショチトル「ぶっはぁwww」
美琴「あはは!!水着忘れるなんてテクパトルらしくないわね!」
心理「ふふふ…そうね」
垣根「だよなぁ、お前たちは忘れてないよな」
19090「忘れてませんよ?」
黒子「当然ですの」
女一同「水着忘れるヤツとかいないでしょ」
テクパトル「…」
一方「だよなァ」
テクパトル「…お前達…」
エツァリ(あ、怒ったのかもしれませんね)
テクパトル「何も…何も分かっちゃいねぇ」
美琴「…は?」
テクパトル「俺が水着入れ忘れるなんてミスするかよ!!いや、確かにたまにポカはするけど結構楽しみにしてたんだ、忘れるわけねぇだろ!!」
番外「でもなかったんでしょ?」
テクパトル「…なんか…20000号とかに奪われた気がする」
一方「…」
19090「…」
一同(ありそうだからいやだな、それ)
上条「よーし、まずは泳ぐか!!」
美琴「そ、そうね!!」
心理「じゃ、行きましょうか」
垣根「おうよ」
ショチトル「じゃ、テクパトルは見張っててくれ」
一方「そォだな、俺達でも見張っとけよ」
番外「じゃ、見張っててね」
削板「ははは!!スイカ割りくらいは出来るよな!!」
黒子「まぁ…水着でないのにスイカ割りやっても痛いでしょうが」クスクス
エツァリ「では、また後ほど」
テクパトル「…あぁ」
海の見える場所に座りながら、テクパトルは憂鬱に駆られていた
みんなは水着を着て、楽しそうに海で遊んでいる
テクパトル(…たしかに鞄に入れたはずなのにな…)
誰かが外に出したのか、はたまた入れたと勘違いしていただけか
どちらにしろ、今の彼は普通のタンクトップに短パンだ
この状況では少し場違いな服装である
テクパトル「はぁ…」
19090「そんなにため息をついても水着は出てきませんよ」
テクパトル「…で、なんでお前は泳いでこないんだ」
19090「だ、だってカップルでみんな泳いでるんですよ!?美月、一人余ってしまいますから!」
テクパトル「…そういう理由かよ…」
19090「…それに、テっくんがいないのなら遊んでも面白くないですから」
テクパトル「…そうか」
はぁ、とため息をつく
その吐いた息が夏の熱気で気味の悪い蒸し暑さを持つ
こういう日にラジオ体操とかしたら熱中症が続出するだろうな、とテクパトルは考える
19090「…あの、テっくんはこれから何するんですか?」
テクパトル「…何もできないんだよな…」
19090「…じゃ、じゃあ…美月とお話しでもしますか?」カァッ
テクパトル「いや…それじゃつまらないだろ」
19090「テっくんのおませさん!!!」
テクパトル「な、なにが?」
19090「じゃなかった、テっくんのおバカさん!!」
テクパトル「えぇぇぇ!?」
心理「…太陽が眩しいわ…」
浮き輪に乗っかりながら、心理定規は空を見つめていた
プカプカと波に揺られると、なぜか眠くなってくる
こうやって沖に流される人もいるのだろうか
垣根「…あぁ…水冷てぇ…」
心理「…垣根、太陽が眩しいわよ」
垣根「心理定規、水が冷たいぞ」
心理「垣根、太陽がさんさんと輝いてるわ」
垣根「心理定規、水がキラキラ揺れているぞ」
心理「…そうね、海面が揺れているわ」
垣根「ホントだ、太陽が眩しいな」
心理「…あ、魚がいる」
垣根「あ、目が焦げる」
心理「…可愛い魚」
垣根「目が…見えない…」グァァァ
心理「おいでおいで…あ、逃げちゃった」
垣根「帰ってこい視力…」
心理「垣根、これからどうする?」
垣根「…そうだな、泳ぐのも暑苦しいよな…」
心理「…このまま浮かんでる?」
垣根「浮かんでてもいいかもな…」
心理「…でもせっかく海に来たんだし、何かしたいわよね」
垣根「…そうだ、スイカ割りとかするか」
心理「…それ、みんなでしないといけないじゃない」
垣根「…そうだな」
心理「そうね…釣りでもする?」
垣根「道具持ってきてねぇよ」
心理「あぁ、そうだったわね…」
垣根「…海といったら花火だな」
心理「まだ昼よ」
垣根「あぁ、そうだったな」
心理「…」
垣根「…」
垣根「浮かんでるのも悪くないよな」
心理「そうね、悪くないわ」
上条「…美琴、その水着も可愛いよな」
美琴「あ、ありがと」
上条「…いいなぁ、それ」
美琴「そ、それは…」
一方「…なァ、俺たちが傍にいるのにあンなこと話してるってどォなンだろォな」
番外「さぁね」
一方「…なンかムカつくンだけどよ」
番外「奇遇だね、ミサカもだよ」
比較的浜辺に近い場所で泳いでいた四人
そんな四人も、少しするとイチャイチャとしだしていた
上条「…あ、テクパトルがこっち見てる」
美琴「おーい、何してるのー」
上条「…あ、手振ってきた」
一方「…19090号のヤツ、テクパトルの傍にいやがる」
番外「テクパトルも恵まれてるねぇ」
上条「…仲いいよな、あいつらも」
美琴「…テクパトルってさ」
上条「あぁ」
美琴「目つき悪いわよね」
一方「…」
上条「…」
番外「…」
三人「…ふ…ふふふ…」プルプル
美琴「なんかさ、たまにどこ見てるか分からないわよね」
上条「そ、そんなこと言うなよ…」プルプル
美琴「…しかも怒ってるみたいに見えるし」
一方「…あいつ、雰囲気怖いからな」
番外「アナタもね」
美琴「…なんか、今も私たち睨まれてる気がするんだけど」
一方「…あいつが俺たちの義理の家族とか、イヤだよな」
上条「俺としてはお前が義理の家族ってのもきついんだけど」
一方「あァ?」
番外「ミサカだって上条が義理の兄貴とかイヤだよ」
上条「な、なんでだよ!?」
番外「なんかさ、ちょっと夫婦喧嘩とかしたら説教されそうだし」
上条「し、しないからな!」
一方「あァ?誰と誰が夫婦なンだよ」
番外「ミサカとアナタ」
一方「…俺、お前と結婚すンのか?」
番外「な、なんでそこでドン引きしてるの!?」
一方「…恋愛と結婚は別だと思うンだよな」
番外「ミサカと結婚しないの!?」
美琴「一方通行…アンタ、ちゃんと責任取りなさいよ」
一方「…あのなァ、番外個体が嫁になってみろ」
上条「…料理とか出来るのか?」
番外「で、出来るよ…」
上条「掃除は?」
番外「…出来る」
美琴「そういえば…番外個体って家事とかあんまりしなそうね」
一方「だろ?」
上条「…たしかに、一方通行と番外個体の夫婦が一番心配だ…」
美琴「…そ、そうね」
番外「びぇぇぇぇぇ!!!」
一方「嘘泣きすンな」
番外「…でもさ、そう考えたら垣根と心理定規っていい夫婦になりそうだね」
上条「テクパトルと19090号もな」
美琴「…エツァリさんとショチトルとか心配ね」
一方「…つゥかよ、なンで海に来てまでこンな話しねェといけねェンだよ」
番外「それもそうだね」
上条「…そうだ、海っていったらあれしないといけないんじゃないのか?」
番外「あれ?」
美琴「あぁ…あれね」
一方「だったら垣根のヤツ呼ばねェといけねェよ」
番外「あぁ、あれやんのか」
美琴「じゃあ…垣根のところ行きましょうか」
垣根「…我々はただいま海の家に来ております」
ショチトル「待ってくれ、なんで私たちだけ二人の描写がなかったんだ」
黒子「私たちもありませんでしたの」
垣根「気にするな」
垣根「そういやこれやるのも久しぶりじゃないか」
一方「…いつになったら無くなるンだよ、これ」
垣根「永久に不滅だ」
削板「さっさとやろうぜ!!」
エツァリ「あ、テクパトルも来たんですか」
テクパトル「来たらダメだったのか」
美琴「よーし、全員揃ったし!!」
19090「そろそろ始めますか」
垣根「っしゃぁ!!遊びながらやっちまうか!!」
上条「おう!!!」
上条「暑い日差しに輝く日焼け!!」
垣根「ジリジリ照らすは空の太陽!!!」
上条「暑いもだるいも押しのけて!」
垣根「俺たちゃ走る、あの浜辺!!」
上条・垣根「とあるラジオのイマジンマター、in海の家、何度目だ!!」
上条「うーん…」
皆さんはバイク乗りたいと思った事ありますか?
垣根「ガキの頃は憧れてたな…」
テクパトル「俺は今でも憧れてるし乗りたいな…アメリカンとかいいよな」
一方「ンなもン、車でいいじゃねェか…」
垣根「分かってないな…バイクにはバイクのかっこよさがあるんだよ」
美琴「…で、でもバイクの二人乗りで当麻に捕まりながら…とかいいわね」
番外「えー、なにそのベタな感じ」
黒子「私はサイドカーを付けているダンディーな方も素敵だと思いますの」
エツァリ「自分も興味はありますね」
削板「なんで?走ったほうが早いじゃないか!!」
心理「それはあなただからよ…」
上条「とりあえず、乗ってみたいかな」
垣根「風を感じられるからな」
垣根「それがないんだよな」
垣根の家に水着無いの?
海の近くなんだしあっても不思議じゃない気がする
垣根「たしかにここは海から非常に近い…」
垣根「いくら別荘とはいっても何の設備もないわけじゃない」
垣根「現にパジャマとかはある程度の備えもある」
垣根「…そうだな、あっても不思議じゃない…というよりないほうがおかしいな」
垣根「別荘だからそんなもの置いてない、なんてことは普通はまずねぇ」
垣根「むしろ別荘だからこそ、遊びに特化しているはずだ」
垣根「…この別荘に最後に来たのはかなり前だが…それを差し引いてもやはりある可能性のほうが高いだろうな」
垣根「…ま、普通のヤツの別荘にならあるはずだ」
垣根「だが、俺の未元物質に常識は通用しねぇ」
一同「それが言いたかっただけだろ」
垣根「ないもんはないんだよ、忘れたヤツが悪い」
テクパトル(これが世間の荒波か)
削板「こんなお便りが」
皆さん入籍はいつごろに?
一方「知るかよ…何日に、とか何歳で、とか付き合ってどれくらいで、とかの基準で決めるもンじゃねェしな」
ショチトル「今のタイミングだ、って思えばその時に入籍するさ」
19090「ミサカは今すぐでもいいんですが…」チラッ
テクパトル「…お前、戸籍ないだろ」
19090「つ、作ればいいじゃないですか!!」
テクパトル「でもそしたら義姉さんと同い年じゃないのか」
美琴「そうなると、結婚できるまではもう少し掛かるわね」
19090「…なら内縁の妻でもいいです!!!」
テクパトル「もうそんな感じだろ」
19090「//」
心理「そうね、入籍は私が16なったらすぐさま」
垣根「えー、そうなのかー」
心理「えぇ」
番外「ま、たぶん二十歳前後で入籍ラッシュだろうね」
エツァリ「ですね」
番外「あ、気持ち悪いからしゃべらないで」
エツァリ「」
美琴「にゃ、にゃにゃにゃ!?」
Hになるほど硬くなるものってな~んだ?
答え えんぴつ
※答えは隠して聞いています
一方「ならあれしかねェだろ」
垣根「…このHってのがセッ○スの略とは限らないな」
19090「な、なるほど…」
垣根「…たとえば、水素の略とか」
テクパトル「だが、水素はむしろ柔らかい物質のはずになるぞ」
削板「うーん…ヘクト、のことかな」
垣根「固い、とは無関係だろ」
エツァリ「チンチンに決まってるじゃないですか」
テクパトル「磁気学では磁場のことも言うな」
垣根「だが、磁場が固いってなんだよ?」
上条「…となると、やっぱりHはそういう意味か…」
エツァリ「チンチンに決まってるじゃないですか」
番外「…なんか男達が熱くなってるよ」
心理「…えんぴつ」
垣根「あぁ?」
心理「これ、有名ななぞなぞよ?えんぴつに決まってるじゃない、ペニスではないわよ」
一同「」
垣根(心理定規がペニスって言った…)
垣根「そうだな…」
なんだかんだで結婚は垣根達が一番早そうですね
垣根「まぁ、結婚ってのは互いの愛情が深いもの、というより硬いものになった時にするもんだからな」
心理「私達の愛は硬いですもの」
19090「…ですが、最初はやっぱり大変ですよね」
黒子「二人での生活…さすがに付き合っているだけとは違いますの」
ショチトル「だよなぁ…」
番外「でもさ、垣根達ってなんだかんだいい夫婦になるよね、絶対」
垣根「そうか?」
削板「互いのことを思いやってるしな!」
上条「…二人の子供ならモテモテだろうな」
心理「あら、話が早いわね」
一方「…てめェ達の子供なら、ムカつくヤツになりそォだな」
垣根「娘だったらどうする?」
一方「…」
一方「くれ」
垣根「やだ」
心理「垣根が買ってきてるから」
ていとくんと心理さんは日常読んでたりするの?
ていとくんはゆっこネタが心理さんははかせネタあったりしたしww
垣根「なんか、あの漫画は懐かしいシュールなギャグな気がするな」
心理「ダウンタウン、好きですものね」
垣根「あれと似通ってるよな」
番外「どんな漫画なの?」
垣根「キャラの設定、見た目はわりと萌えられるはずだ」
一方「なンだよ、最近流行りのそォいうのか」
エツァリ「ですが、ギャグなんですよね?」
垣根「あぁ、変顔、リアクション、ヨゴレ、なんでもありだ」
黒子「…想像ができませんの」
垣根「でもアニメのほうはいい話も増えているし、どっちも面白くなってるな」
上条「へぇ…見てみたいな」
垣根「ちなみに俺はゆっこ派だな」
心理「私はなのちゃんかしら」
上条(…あれ、この二人ってオタクだったっけ)
垣根「さて、スイカ割りだな」
上条「スイカっていくつくらい用意してるんだ?」
垣根「一応10個」
ショチトル「・・・私達は12人いるんだが」
垣根「あぁ、全員が割れたら面白くないだろ」
削板「じゃあ・・・割れないのは3人になるな」
黒子「2人ですの、軍覇さん」
テクパトル「これまたシビアだな」
美琴「なんか・・・その2人になったら可哀相よね」
一方「確率的には6分の1だからなァ」
上条「・・・なんかイヤな予感しかしないんだけど」
心理「あなたって不幸だからね」
上条「そうなんだよ・・・」
エツァリ「まぁまぁ、これは実力も関係ありますから」
19090「順番はどうしますか?」
垣根「適当にやろうぜ」
上条「指示を出すのは?」
垣根「カップル同士で指示を出すのは」
テクパトル「なんかベタだな」
垣根「うるせぇ、水着忘れたくせに!」
テクパトル「」
番外「じゃ、まずはミサカから行かせてもらうかな」
黒子「あら、自信がありますの?」
番外「先手必勝ってやつだよ、特に今回は」
美琴「・・・じゃあ一方通行、指示出しなさい」
一方「てめェに言われなくてもやるから気にすンな」
番外個体がスイカを割るための棒を握る
炎天下のため、ただでさえ熱気に満ちているビーチ
それに加え、スイカ割りという真剣勝負をこれから行うのだ
一同の燃える闘志のせいか、ビーチの温度はさらに増しているように感じられた
番外「一方通行、スイカの位置は?」
一方「レーダーで分からねェのかよ」
垣根「無理だ、俺が未元物質撒いといたから」
一方「ちっ・・・まず少し体を左に傾けろ」
番外「はっ!」
一方「そして位置は右・・・」
番外「これくらい?」
一方「もう少しだな」
番外「ここ?」
一方「あァ、あとは進ンでいけ」
上条(うわ・・・完璧な誘導だな)
19090(加えて番外個体の力です)
エツァリ(まずは確実に割れるでしょうね)
番外「ここだ!」
番外個体が棒を振り下ろす
バキッ、という鈍い音
誰もが砕けたのはスイカのほうだと思っていた
だが
番外「みぎゃぁぁぁぁ!」
番外個体の悲鳴を聞いた一同は、事態を把握した
さっきの鈍い音は、彼女の体から鳴ったものだった
一方「番外個体!」
番外「いってぇ!手が痺れてんだけど!」
黒子「ま、まさか・・・あのスピードで棒が直撃しましたのに・・・」
テクパトル「・・・スイカには傷一つ付いてないな」
ショチトル「なぜだ・・・」
垣根「ふん・・・お前ら、スイカ割りの醍醐味が何か分かるか?」
19090「割ったスイカを食べること・・・ですか?」
垣根「それは三流の答えだな」
削板「分かった、指示を出し合う楽しさだな!」
垣根「惜しい、二流の答えだな」
エツァリ「・・・分かりました、目隠しをした女の子というなんとも卑猥な画をタダで見られることですね」
垣根「クズの答えだな」
エツァリ「」
心理「・・・なんなのよ、スイカ割りの醍醐味って」
垣根「指示を出し合った相手との間に信頼関係が生まれる・・・それがスイカ割りの醍醐味だ」
上条「まぁ・・・間違ってはないかな」
美琴「でもそれがどうしたの?」
垣根「・・・正直、今の一方通行と番外個体のコンビネーションは完璧と言っていいようなものだった」
一方「ならなンで文句言うンだよ」
垣根「・・・簡単にスイカが割れたら、信頼関係が生まれる前に・・・二人の愛が深まる前に、勝負が終わってしまう」
削板「まさか・・・敢えて俺達に試練を与えるために!?」
垣根「悪いな・・・少しばかりスイカの表明に未元物質で細工をさせてもらった」
19090「なんだか・・・能力の無駄遣いという感じですね」
番外「どうりで力任せに殴ったのに手応えがあんまり無かったわけだ・・・」
未だに痺れる右手をプラプラさせながら番外個体が悔しそうに呟く
心理「でも・・・試練ってことは、クリアできないってわけではないのよね」
垣根「あぁ、何度か殴り続ければ未元物質にもダメージが蓄積していく」
ショチトル「つまり、何度も叩け・・・と」
黒子「ですが、これなら確かに順番関係なく長い間楽しめますの」
美琴「・・・私の知ってるスイカ割りじゃないんだけど」
上条「・・・よし、俺がやってみる」
美琴「き、聞いてたの!?ダメージが蓄積していくってことは、後からやったほうが・・・」
上条「有利だな、それは分かってる」
美琴「ならどうして!」
上条「・・・だとしてもさ、俺は今のこのスイカと戦わなきゃいけない」
美琴「!」
テクパトル「・・・なぜだ」
上条「みんな・・・正直、このスイカの力の前に怯えてる」
心理(そんなシリアスな話になってるのね)
垣根(ただの遊びなのにな)
上条「・・・誰もが逃げ出すだろうな、きっと」
上条「でも・・・逃げてちゃ何も始まらない」
目隠しをしながら、上条が小さく笑う
上条「それに垣根は言った、信頼関係を築くためにこのスイカに細工をしているって」
棒を握り、軽く地面をトントンと叩く
なぜかその姿は、とても頼もしく見えた
上条「でもさ、俺と美琴の間にはとっくに信頼関係が出来ている」
美琴「!」
上条「・・・俺達なら乗り越えられるはずだ、美琴」
美琴「・・・体を右に傾けて、位置はそのまま・・・もう少し前に」
垣根「はん、んな簡単には割れないって言っただろ」
一方「・・・上条、無理だ」
上条「無理でもやってみせる」
美琴の指示通り、上条はスイカへと近づいていく
削板「上条・・・」
上条「無理だってことは分かってる、番外個体の腕力でさえ砕けなかったスイカだ・・・俺なんかが叩いても割れないだろう、それも分かってる」
黒子「・・・それでもあなたはやりますの?」
上条「当たり前だろ」
エツァリ「なぜ・・・ですか」
上条「変態は黙ってろ」
エツァリ「」
心理「・・・なぜなの」
上条「・・・逃げてちゃ前には進めない、足掻き続ければ・・・少なくとも、ゴールに背中を向けないで済む」
美琴「そこよ、当麻!」
垣根「ははは!だから一回や二回じゃ割れないって・・・」
上条「いいぜ・・・もしも俺と美琴の間にある愛より未元物質のほうが上だなんて言うなら!」
19090「!この少しいらつくほどに暑苦しい言い回しは・・・」
ショチトル「まさか・・・!」
上条「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!」
一同(そげぶキター!)
ビュン、と棒が音を立てながら振り下ろされた
バキッ、と再び鈍い音が鳴る
だが、今度は音の主が違った
あんなに固いはずだったスイカは、その美しい赤い実を露にしていたのだ
上条「よっしゃぁぁ!!」
美琴「やった、当麻!」
垣根「…これが、愛か」
心理「…なんて茶番なの…」
上条「スイカ美味いな…」
美琴「結局、あとのスイカは普通に割ったわね」
垣根「だってスイカ硬すぎても割れないだろ」
一方「…お前、さっきと言ってることちげェよ」
ショチトル「うん、とても甘いな」
黒子「…はぁ、スイカを食べると夏という感じがしますの」
削板「そうだなぁ…」ムシャムシャ
上条「…いいなぁ、夏らしくて」
テクパトル「…そうだな」
番外「水着忘れたテクパトルは夏らしくないよ」ゲラゲラ
テクパトル「あぁもう!!いつまで引っ張られるんだ!?」
ショチトル「…だが、海に水着で来ないというのは変態チックだな」
エツァリ「…水着を見るためだけに来ている、という感じですからね」
19090「テっくん…」
テクパトル「違うんだって…」
心理「…でもテクパトルはその格好だと海の家のお兄さんって感じね」
テクパトル「…」
一方「おい、焼きそばくれよ」
テクパトル「うるせぇよ白モヤシ」
一方「」
上条「…海と言ったら、ほかに何かあるか?」
垣根「ビーチバレーだろ、やっぱ」
ショチトル「…前もやったよな」
エツァリ「そうですね…」
心理「あら、何度やっても面白いものよ?」
垣根「さっすが心理定規、分かってるな」
美琴「…じゃあ、ビーチバレーやる?」
一方「じゃあ審判はテクパトルだなァ」
テクパトル「…なんでだよ」
一方「お前、普通の服装でビーチバレー出来ンのかよ」
テクパトル「…」
19090「で、ですが…チーム戦となると、一人足りなくなってしまいますよ?」
垣根「…あそこの兄ちゃんでも誘おうぜ」
番外「何それ」
削板「でも、どっかで見たことある後姿だな」
垣根「おーい、ビーチバレーやろうぜ」
さだのり「あいよー」
一同「」
垣根「さて、ビーチバレーを始める」
上条「…なんかツッコみたいところがたくさんあるんだけどな…」
一方「…テクパトル、てめェ19090号のほうのチームに甘くすンなよ」
テクパトル「スポーツは常に公平でなければな」
美琴「…ルールは?」
垣根「21点先に取れば勝ち、能力使用オーケーだ」
心理「…周りの一般人は?」
垣根「俺のプライベートビーチに移動するから」
ショチトル「そんなのまであるのか…」
テクパトル「なのになんで水着はないんだよ…」
削板「よーし、能力だなんだは関係ねぇ!!!根性で勝ってやるからな!!!」
上条「…なんか、俺が不利じゃないか…」
19090「…垣根と一方通行は別々のチームになってくださいよね」
一方「そォいやどォやってチーム分けするンだよ」
垣根「クジ」
美琴「…それ、アンタ達が一緒になるかもしれないじゃない…」
垣根「じゃ、クジやるぞ!!」
上条「おー!」
上条「…結果的にこうなりました」
エツァリ、ショチトル、一方通行、垣根、番外個体、削板
心理定規、黒子、上条、美琴、19090号、さだのり
美琴「…ねぇ、相手が強すぎるんだけど」
ショチトル「ふふん、そんなことないぞ」
エツァリ「さ、早く移動しましょう」
垣根「おうよ」
心理(…でも、うちのチームの最後の一人の実力が未知数ね…)
垣根「…いいか、基本のルールはバレーと一緒だ」
黒子「何度もやっていますので大丈夫ですの」
上条「よーし、ばちこーい!!!」
一方「…垣根、削板」
削板「あぁ、分かってる」
垣根がボールを握る
彼がサーブをする役だ
垣根「…通常、サーブというのは相手へのサービスと言われる」
上条(…来るか!!)
垣根「…たしかにそうだろうな、威力は低いし何より打つタイミングはバレバレだ…つまり、この一手は点を取るには向かない」
空を舞ったボール
そして、垣根は未元物質の翼を広げた
美琴「!!いきなり能力…」
垣根「だが」
その翼でボールを弾く
通常の物理法則ではありえないほどに加速したボール
摩擦により炎を帯びたそれは、上条達のコートの角、ギリギリを狙っている
心理(あんなところにあんなスピードで打たれたら…)
美琴「でも…私だって負けてられないのよ!!!」
美琴がすかさず、砂の中の砂鉄を操る
上条(そうか…砂でボールをコートの外に弾けばいいのか!!)
エツァリ(手には触れていないため垣根さんのミス扱いになってしまう…これはまずい!!)
垣根「一方通行」
一方「ちっ…仕方ねェな」
トン、と一方通行が軽く地面を踏む
その足元のベクトルを操作することにより、美琴が操ろうとしていた砂鉄をあたりの砂ごと吹き飛ばす
美琴「しまっ…」
上条「…あれ、コートの外にボール落ちてるぞ」
心理「…」
黒子「…どういうことですの?」
垣根「一方通行てめぇ!!威力を強くしすぎだ!!ボールまで弾かれたじゃねぇか!!」
一方「…まさかあンなに軽いとは思わなかったンだよ」
垣根「あぁもう!!一点取られたじゃねぇか!!」
19090「…僥倖でした…」
垣根「ちっ…次はないからな」
上条「…今度は俺たちのサーブか」
美琴「…私に任せて」
美琴がボールを受け取る
すでに摩擦によって、表面はツルツルになっている
黒子「…お姉さま、お願いしますの」
美琴(…こっちのチームはたしかに相手より能力的には不利…)
美琴(でも、黒子の能力はこの系統のスポーツにおいては無敵!!)
バチバチ、と火花を散らす美琴の前髪
垣根「…ほう、空気中の水分を爆発させた勢いで…」
心理「サーブの威力を上げるつもりね」
美琴「喰らいなさい、私の全力よ!!」
凄まじい速度になったボールは、番外個体の正面へと向かう
番外(しまった…お姉様の能力はやっぱ桁違いだ!!!)
削板「待った待ったぁ!!!」
美琴「!!」
そのボールにすぐさま追いついたのは削板だった
削板「俺の根性を…」
削板「ナメるなぁぁぁぁ!!!」
バァン、という破裂音が聞こえた
その瞬間には、すでに目の前にボールが飛んできていた
美琴「…え…?」
上条「み、美琴避けろ!!!」
黒子「お姉さま!!!」
削板「しまった、強く打ちすぎた…」
美琴(このままじゃ…)
削板の説明できない力によって加速したボールは、もはや捉えるのがやっとだった
それを避けるなど、美琴にはできなかった
さだのり「…この世の中には様々な法則がある」
しかし、その美琴の悲劇を救うのはこの男だった
さだのり「重力加速、質量保存、遺伝…様々な法則は原初から変わらず、更には日々新たな法則が生まれている」
その男がボールの正面に回った
そう、その男は音速を超えていた
いや、光さえも超えていたのかもしれない
さだのり「…だが、世の中の法則を否定することは至極簡単なことなんだよなぁ」
さだのり「…削板軍覇、お前の能力は説明できない力だ…」
軽く振るわれたその右腕
それに当たったボールは、凄まじい音を立てて破裂した
さだのり「なら、その力が説明できない、という法則を否定すればいい」
さだのり「…これが虚無の瞳…カオティック・アイだ」キリッ
19090「あー!!!ボールが割れました!!!」
黒子「か、替えのボールはありませんの!?」
一方「…何個もあるわけねェだろ」
垣根「ちくしょう…こうなるんだったらちゃんと予備も持って来ればよかったな…」
ショチトル「…はぁ、ビーチバレーはすぐさま出来なくなったな…」
垣根「あーあ、さだのりがボール割ったからだぞ」
美琴「…ちょっと残念」
上条「ま、まぁ美琴を守ったんだし…」
番外「なら別にボール壊す必要はなかったのに」
テクパトル「…はぁ、ボールがないなら仕方ない、また別の遊びでも考えるか」
一同「そうだな…」
さだのり(…)
さだのり(…引きこもろう…)
垣根「・・・仕方ない、今からまた泳ぐのもあれだし」
心理「もう別荘に帰る?」
垣根「いや、まだ少し早いからスポーツをしよう」
ショチトル「?砂浜で出来るスポーツなんて限られてるぞ?」
19090「ビーチフラッグですか?」
垣根「いや、フリンフォンをやる」
美琴「・・・な、何よそれ」
垣根「あぁ・・・?ま、まさかお前・・・知らないのか?」
美琴「そ、そんなスポーツないわよね!?」
一方「おい、フリンフォンするには人数が多過ぎだろ」
美琴「!?」
番外「そうだね・・・鶴の陣でやるなら三人対三人でやれるけど」
心理「あら、そうなったらコンパスと油田が必要になるじゃない」
テクパトル「・・・となるとやはり田中君の陣になるかな」
エツァリ「ですが、田中君の陣だと一人が鬼にならなければなりませんよ?」
美琴(ほ・・・本当にフリンフォンなんてあるの!?)
削板「おぉ!そうだ、矢継ぎ早の陣にしたらどうだ!?」
垣根「!その手があったか!」
黒子「さすが軍覇さんですの!」
美琴(と・・・当麻は知ってる?)
上条(いや・・・知らない)
一方「・・・仕方ねェな、矢継ぎ早の陣なら俺は不利だから降りる」
黒子「あぁ、一方通行さんはたしか右利きでしたかしら」
一方「あァ・・・しかも足は左利き気味なンだ」
ショチトル「それは不利だな、仕方ない・・・」
垣根「じゃあ俺が参加するかな」
番外「ミサカも!」
心理「・・・私は審判を」
エツァリ「では自分もやりますよ」
垣根「上条、お前もやったらどうだ?」
上条「!?な、なぁ・・・フリンフォンって・・・」
垣根「あはは!まさか知らないわけじゃないだろ、早くやろうぜ」
19090「お義兄様は黒髪ですから先に7ループ貰えますよ」
上条(ループ・・・?ループってなんだ・・・)
テクパトル「・・・上条はやらないのか・・・なら義姉さんは」
美琴「わ・・・」
美琴「私は、フリンフォン初心者だから!」
上条「えぇぇ!?」
テクパトル「ははは!誰だって最初は初心者だよ」
黒子「これから練習すればいいんですのよ」
削板「そうそう、だからやってみろよ!」
美琴「・・・わ、分かったわよ」
上条(だ・・・大丈夫なのか、美琴?)
美琴(なんとかやるわよ・・・)
垣根が何やら地面に意味の分からない円を二つ書く
エツァリ「矢継ぎ早の陣をここまで早く書くとは・・・垣根さん、中々上級者ですね」
番外「そうだね・・・ミサカだったら小一時間は掛かるよ」
垣根「いや、ネットでコツを聞いただけさ」
美琴(そ、そんなに有名なの!?)
19090「お姉様、頑張ってください!」
テクパトル「・・・久しぶりにフリンフォンを生で見るな」
ショチトル「エツァリ、圏外には気をつけろよ」
エツァリ「もちろん」
一方「番外個体、湯たんぽはあンのかよ」
番外「準備してるに決まってるじゃん」
上条(よ・・・よく分からないけど、見ていれば理解出来るはずだ!)
垣根「じゃあ・・・」
美琴「ね、ねぇ」
垣根「ん?どした?」
美琴「チームは・・・どうするの?」
エツァリ「・・・チーム?」
番外「お姉様、矢継ぎ早の陣だってば」
美琴「え?あ、あぁそうだったわね!」
垣根「定価250円の陣だったらチームだけどな」
上条(な、なんか細かいルールが多いんだな・・・)
垣根「じゃ・・・始めるか」
三人が先に、円の中に入る
美琴「・・・そうね」
あまり状況を理解していない美琴も円に足を踏み入れた
垣根「!?」
エツァリ「み・・・御坂さん」
美琴「な、なに?」
番外「左足から円に踏み込んだ・・・ってことは」
垣根「くそ、その作戦は想定外だった!」
美琴「え?え?」
心理「はい、美琴のフリーキックよ」
美琴「・・・は?」
上条(フ・・・フリーキック!?ボールないよ、どうすんだよ!?)
美琴「え・・・えっと」
意味が分からないが、とりあえず蹴る真似だけしてみる美琴
エツァリ「!一富士!」
番外「二鷹!」
垣根「三茄子!」
美琴「」
エツァリ「・・・はぁ、一点取られましたね」
美琴「えぇぇ!?」
垣根「・・・御坂、お前・・・初心者とか言って騙しやがったな!」
美琴「ち、違う・・・」
番外「いきなりウェービング使うなんて・・・正直、一歩間違えたら一発退場なのに」
削板「御坂、かっこよかったぞ!」
黒子「さすがですの!」
テクパトル「まさかいきなりこんな大技が見られるとは・・・」
美琴「あ、あはは・・・」
垣根「・・・次は俺からだ」
番外「・・・」
垣根が何やら指をウネウネと動かす
美琴(・・・と、とにかく意味が分からないから・・・適当に合わせてみよう)
美琴もウネウネと指を動かす
番外「あ、お姉様反則!」
美琴「ぴぃっ!?」
エツァリ「・・・審判、今のは・・・」
心理「あぁ・・・紅茶美味しい」
垣根「しまったぁぁぁ!」
美琴「は、はぁ?」
垣根「くそ・・・審判が優雅なティータイムに入っていたなんて・・・!」
番外「お、お姉様・・・まさかそれまで読んで!?」
エツァリ「・・・しかもストレートティーです・・・」
垣根「得点は・・・7倍になるから13点だな」
上条(7で割り切れねぇ・・・)
番外「はぁ・・・デュアルモーションをこう上手く使ってくるなんて」
美琴「あ、は・・・反則だったの?」
垣根「いや、審判が優雅なティータイムに入っている間のデュアルモーションは有効打突だ」
上条(打突!?)
19090「番外個体も審判にまでは気が向かなかったみたいですね」
番外「いやぁ・・・お姉様、かなりの上級者だね」
美琴「ビ・・・ビギナーズラックよ」
一方「いや・・・それで片付けるには勿体ねェ」
テクパトル「・・・これは意外と一方的な展開だな」
エツァリ「では次は自分が」
美琴(・・・なんか・・・今までのは偶然よね、きっと)
エツァリが地面に平仮名の「ぴ」を書いていく
美琴(・・・ぴ?)
エツァリ「・・・」
番外「・・・」
垣根「・・・」
エツァリ「あと2秒しかないですよ」
美琴(!?な、なにその時間制限!?)
19090「これはエツァリさんが・・・」
美琴「ピーナッツバター!」
エツァリ「!?」
番外「お・・・」
美琴(や、やっちゃった!?)
番外「お姉様すげぇ!」
美琴「・・・はい?」
心理「・・・エツァリ君、ペナルティよ」
エツァリ「・・・まさかピーナッツバターでくるとは」
垣根「あぶねぇ・・・ピザで行こうとした自分が恥ずかしいぜ」
美琴(えぇぇ・・・)
番外「ミサカなんかボイコットだよ?」
垣根「ははは、そりゃ無効だな」
上条(・・・意味が分からない・・・)
番外「次はミサカだね」
美琴「そ、そうね」
削板「・・・そういえば、番外個体は湯たんぽを準備してるのか?」
番外「もちろん!」
番外個体が一方通行からなにかを受け取る
美琴(・・・湯たんぽ?この暑い時期に)
番外「ほら!」
上条(!?)
美琴(あ・・・あれは・・・)
上条・美琴(粉石鹸!?)
テクパトル「ほぅ、ちゃんと湯たんぽを用意してたのか」
上条「はぁぁぁ!?」
黒子「・・・となると30ヤード、有利ですわね」
上条(・・・そ、それは何の意味が・・・)
番外「これなら逆転勝ち出来るね!」
美琴(・・・と、とにかく意味が分からない・・・)
美琴(分からないけど・・・あれは湯たんぽではないわ)
美琴が番外個体に近づいていく
番外「?どしたの、お姉様」
垣根「おい・・・」
美琴「それは湯たんぽじゃない・・・」
エツァリ「!?」
美琴「そんなもの・・・」
美琴「湯たんぽじゃないわ!」
垣根「審判!」
心理「・・・」
心理定規が何かのカードを掲げた
上条(レッドカード・・・とかか!)
反則でもしたのか、と思いながら上条がカードを見つめる
だがそれはレッドカードでは無かった
白いカードに何か文字が書かれている
上条(へ・・・)
上条(扁平足!?)
エツァリ「!?」
テクパトル「馬鹿な、今のはどう考えても木工ボンドだ!」
一方「・・・百歩譲ってもワルシャワ条約だろォが」
心理「いえ、番外個体の立ち位置を見なさい」
垣根「・・・!」
ショチトル「か・・・」
一同「風上!?」
上条(今風吹いてねぇよ!)
心理「・・・分かるわね、風上に立っている選手が湯たんぽを取り出した場合、アタッカー以外の選手は異議を申し立てることが出来る」
19090「し、しかもお姉様は番外個体の正面に回って・・・!」
黒子「なるほど、つまり剣の舞を踊られたんですのね、お姉様!」
美琴「ま・・・まぁね!」
心理「つまり、番外個体にはペナルティが、及び異議申し立てに成功した美琴には点が与えられるわ」
垣根「・・・待て、今の御坂のスコアは・・・」
19090「お餅22個・・・」
上条(な、なんで餅換算なんだよ)
エツァリ「・・・負けました」
美琴「え?」
番外「お姉様の勝ちかぁ・・・なんか呆気なかったなぁ」
美琴「え?」
削板「御坂、かっこよかったな!」
ショチトル「まぁ、これはあまりにワンサイドゲームだったな」
垣根「あぁ、フリンフォンだけにか?」
ショチトル「その通り」
一同「あははははは!」
上条「・・・な、なぁ」
垣根「あぁ?なんだよ」
上条「その・・・フリンフォンってさ、結局どんなスポーツなんだ?」
垣根「・・・はぁ?」
垣根「そんなスポーツねぇよ、ノリでやってただけ」
上条「やっぱそうかよぉぉぉぉ!」
テクパトル「んなこと出来るかよ…」
テクパトルさん
もうパンツで泳いじゃえばいいんじゃないですか?
テクパトル「…パンツでってなぁ…」
一方「あァ、それならいいかもなァ」
美琴「でもテクパトルのパンツなんて見ても得はないわよね」
ショチトル「ホント、誰が得するんだよ」
19090「テっくんの下着はミサカが選びました!!」
削板「お、いい話だな!!!」ハハハ
番外「下着で泳ぐ人って実際にいるのかな」
エツァリ「中にはいるのでは?」
上条「…そうかもな」
心理「…男性はともかく、女性は無理よね」
テクパトル「…どっちも無理だろ」
黒子「そうですわね」
さだのり「惑星が生まれる」
垣根「ねーよ」
カオティック・アイと幻想殺しが同時にぶつかったらどちらがかちますか?
上条「…俺の右手は異能ならなんでも打ち消せる…」
さだのり「…これは上条が勝つだろうな、俺がその右手の効果を打ち消そうとするのも異能だし」
美琴「…そう考えると、当麻ってどんな能力者にも有利よね」
19090「…そうですね、魔術師にも対抗できますから」
ショチトル「…だが、あれってどの程度まで無効化出来るんだ?」
上条「長い間撃ち続けられるようなのは向かないんだよな…」
番外「…ってなると、ミサカの電撃も?」
上条「どうだろう、核があるわけじゃないから…」
美琴「大体、私の電撃が効かなかったんだから番外個体のが効くわけないでしょ」
心理「…前々から思ってたんだけど、美琴はなんで上条君を襲ってたのよ」
美琴「う…か、勝てなかったから」
一方「…くだらねェ理由だな」
垣根「超能力者は喧嘩吹っかけられるほうだろ」
テクパトル(…ミサカ達がおかしいのは義姉さんがおかしいからか…)
美琴「何か言った?」
テクパトル「いや」
垣根「…そろそろ日も暮れてきたし、別荘に向かうか」
一方「そォだな」
美琴「…じゃ、帰りましょうか」
別荘のリビングで、一同はしばしぼけーっと無駄な時間を過ごしていた
垣根「…今日一日で日焼けしたヤツ」
黒子「…私は少々」
心理「…ずいぶん焼けちゃったんだけど」
19090「ミサカもですね…」
ショチトル「…私たちはもとから浅黒いからわからないけどな」
エツァリ・テクパトル「ははは、ブラックジョーク!!!」
上条(…な、なんだこのテンション)
垣根「…さて、何するかな」
19090「夜ご飯にはまだ早いですね…」
垣根「…ならこれするか」
垣根が取り出したのはツイスターだった
色々なカップルが入れ混じるとNTRゲームと化するあれだ
上条「…もちろん、カップル同士でするんだろうな」
垣根「まさか」
上条「まさかってなんだよ!?っていうか前もこんなことあったよな!?」
一方「…ツイスターってよォ…面白くねェよな」
心理「あらそう?私は結構好きだけど」
美琴「…まぁいいわ、誰からやる?」
19090「これもクジ引きでいいんじゃないですか?」
削板「よーし、誰が相棒だろうとハイスコアを狙ってやる!!」
テクパトル(…ツイスター、やったことないんだよな)
エツァリ(ボロを出さないでください)
垣根「…さぁ、俺が厳選なるクジを引いた結果」
番外「日本語がおかしいよ」
垣根「19090号と」
19090「ミサカですか」
垣根「エツァリ」
エツァリ「…ほう」
テクパトル(…イヤな予感しかしないな)
垣根「さぁ、ツイスターゲーム、まずは19090号とエツァリから!!」
ショチトル「スタート!!!」
エツァリ「まずは青…」
19090「あ、青…ありました!!」
エツァリ「…」
19090「…」
エツァリ「あの、そこは自分の股下なのですが」
19090「だ、だって足で青となるとそこしかありませんから!!」
エツァリ「では自分も…」
19090「そ、そこはミサカの胸元です!!」
エツァリ「違いますよ、その下に…」
19090「へ、変態です!!」
テクパトル「…垣根、やめさせることは出来ないのか」
垣根「断ります」
19090「こ、今度は赤を手で…」
エツァリ「失礼します」
19090「!?な、なんでミサカの下に潜り込んでくるんですか!?」
エツァリ「いえ、こうしないと赤に手が…」
19090(ま、まずい…美月が赤を手で押さえるにはエツァリさんの向こう側にあるのでなければ…)
19090(しかし、そうなると互いの体が密着してしまいます…)
19090(そ、それだけは!!それだけは勘弁です!!!)
エツァリ「さぁ、早く赤を…」
19090「う…」
垣根「あぁ、ちなみに負けたらまっずいジュース飲ませるからな」
19090「!?」
一方「おい、聞いてねェぞ」
垣根「じゃないとみんなすぐやめるだろ」
黒子「…19090号さん、頑張ってくださいな!!!」
テクパトル(…だが、美月が今手の届く赤はエツァリの足の先…)
心理(手を伸ばせば、胸が否が応でもエツァリ君の背中に当たるわね)
19090「ご、ごめんなさいテっくん…」グスン
19090号がエツァリの足元に手を伸ばす
テクパトル(…エツァリの野郎、わざとあの大勢に持っていきやがったな…!!)
エツァリ「おや、次は緑を手で…」
19090「み、緑…!!」
エツァリが19090号の手に触れるようにして、緑に触れる
19090(こ、こんなことってありですか!?)
上条(…ダメだ、エツァリの野郎…)
黒子(完全に楽しんでいますの…)
19090(…こうなったら、選択肢は二つです)
19090号がエツァリの足の間に空いている手を通す
エツァリ「!?」
19090(…こうして、少しずつ相手の動ける範囲を少なくしていく)
19090(…美月が負けるか、エツァリさんを倒すか)
19090(…いつまでも引っ張るよりはよっぽどマシです!!)
美琴(…やるじゃない、19090号)
エツァリ「…次は、青を足で…!?」
エツァリが我が目を疑う
エツァリ(足の動きを…19090号さんに封じ込まれている!?)
19090号は、エツァリの足の間に手を通している
そのため、それを避けるようにして動かす必要がある
だが、今の状況で無理に避けようとすれば体勢を崩してしまうはずだ
エツァリ(…な…なんということですか)
19090「ふふふ…どうしたんですか?」ニヤリ
エツァリ「!」
19090「言っておきますが、ミサカはすでに青の足のモーションを終えていますよ」
エツァリ「ば、馬鹿な…」
19090「…先ほどの一手、あれは緑の手と青の足、および黄色の手を封じることができる一手だったんです」
エツァリ「!!」
19090「あなたはミサカの体に触れることだけを考えていた…そして、ミサカは勝利のことを考えていた」
エツァリ「く…」
19090「…この勝負、ミサカの勝ちです!!!」
垣根「そこまで!!勝者、19090号!!」
テクパトル「…体触った上に負けるとか、エツァリはただの変態だな」
一方「今更かよ」
19090「…エツァリさん、軽蔑します」
エツァリ「…」
垣根「じゃ、こっちに来ようか」
エツァリ「な、何を…」
垣根「罰ゲームだよ、まっずいジュースがあるって言っただろ」
エツァリ「ひ、ひぃぃぃぃ!!!」
垣根「次は上条と白井だな」
黒子「あら、私ですの?」
上条「よーし、やってやるよ!!」
上条「…まずは黄色の手…か」
黒子「あの、言っておきますが極力触らないでくださいまし」
上条「誰が好き好んでお前のつまらない体…」
エツァリ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
上条「…」
黒子「…あの、私勝つためならおそらくなんでもしますの」
上条「俺も…そうかもな」
上条「…ちょっと失礼」
黒子「では私も」
美琴(…ま、まぁ最初の一手は安心なのよね…)
削板(…黒子、頼むから勝ってくれ!!)
上条「次は黄色で足…か」
黒子「では私はここに!」
上条(!俺の足に絡めるようにしてきやがった…!!)
一方(…あれだと足の動きがかなり封じられるな)
ショチトル(なおかつ、自分は割と安定した体勢でいられる…)
19090(…考えてますね、黒子…)
黒子「さぁ、上条さ…」
上条「ならここだ!!!」
黒子「!?」
ぐいっと上条が体を移動させる
ちょうど、黒子と下半身が密着するようになった
美琴「にゃぁぁぁぁ!!!」
削板「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
心理(あら、ヤキモチだなんて可愛いじゃない)
上条(な、なんか…危ない体勢だな)
黒子(く…何やら危ない予感がしますの)
上条「次は…赤の足」
黒子「!?そ、そこは…」
上条が黒子の体の下に足を延ばす
無理やりすぎるため、二人の体は完全に重なっている
美琴「当麻ぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!」
上条「だ、だってまずいジュースとか飲みたくねぇよ!!!」
削板「上条…人の彼女に手を出すなんて根性がねぇな!!」
黒子「…!!こ、これでは…赤がありませんの!」
上条「っしゃぁぁぁ!!!」
垣根「勝者、上条!!」
上条「よかった…」
美琴「とぉぉぉぉうぅぅぅぅまぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」
上条「ひぃっ!?」
美琴「な、なによ!!黒子の体に密着なんかしちゃって!!」
上条「だ、だって仕方ないだろ!!」
黒子「…い、いやですの!!ジュースは…」
垣根「はいはい、こっちに行きましょうね」
黒子「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
黒子「おぇぇぇ…」
心理「…ねぇ垣根」
垣根「なんだよ」
心理「…どういう飲み物なのよ」
垣根「未元物質を混ぜた」
番外(…常識が通用しない…)
一方「…次は誰だ」
垣根「…テクパトルと」
テクパトル「…俺か…」
垣根「心理定規だな」
心理「…あら、私?」
テクパトル「…お手柔らかに」
心理「…えぇ、よろしく」
ニヤリ、と心理定規が笑う
何やら不敵な笑みだ
テクパトル「…」
垣根「じゃあ、スタート!!!」
テクパトル(…なんだ?心理定規のヤツ…)
テクパトル(相当な自信でもあるのか?それとも作戦か…)
心理「あら、まずは赤の手ね」
テクパトル「そうだ…な!?」
心理定規は、無理やりテクパトルの横に移動してくる
かなり近い距離だ
しかも今の彼女が着ているのはかなり露出度の高いドレス
つまり
テクパトル(せ…)
テクパトル(背中が丸見えだぁぁぁぁ!!!!)
心理「あら、どうしたのかしら」
テクパトル「な、なんでもねぇよ!!」
上条「?テクパトル、どうして顔真っ赤なんだ?」
一方「…あのアバズレのドレスが派手だからだろ」
美琴「へぇ…結構初心なのね」
19090「ミサカ以外の女性を知りませんから!」フンス
黒子「ですが、それにしても顔が真っ赤ですわね」ジュースマズカッタ
ショチトル「…なぜだ?」
エツァリ「ばるばるばるばるばる」
番外「…言語中枢がやられたか」
テクパトル(あいつらの角度からは背中が見えてねぇのか…)
心理「…次は緑を手で、よ」
テクパトル「み、みど…りぃぃっ!?」
ぐいっと心理定規が、背中を近づける
テクパトル(…け、肩甲骨ぅ!?)
すっとくぼんだその間のセクシーな谷間に目が釘付けになる
テクパトル(いやいや!!美月というものがありながら俺は…)
頭をブンブン振りながら、緑に手を置く
心理「…ふふ、どこまで粘るつもりかしら」
テクパトル「…まだ…まだだよ、まだなんだ!!」
心理「…黄色の足、ね」
心理定規がテクパトルの足に自分の足を絡める
19090「あぁぁぁ!!!心理定規、何を…」
美琴「お、落ち着いて!」
削板「…しかし、心理定規はかなり慣れてるな」
垣根「だってよく二人でやるもん」
一方「寂しいな、お前達」
垣根「お前が言うな」
エツァリ「ばるばるばるばるひがしこくばる」
垣根(壊れてやがる)
テクパトル(…ま、まずい)
まずい、というのはゲームに負けそうだからではない
心理「…どう?結構19090号は悔しがってるけど」
テクパトル「な、ならお前が離れろよ…」
心理「…もっと見たい場所があったら見せてもいいけど?」
テクパトル「はぁぁぁぁ!?」
心理「冗談よ…はい、赤の足」
テクパトル「あ、足だな」
テクパトルが足を延ばす
しかし、心理定規はそこに足を重ねる
テクパトル「あぁ!?な、何してるんだよ!?」
心理「あら、偶然よ、偶然」
テクパトル(ぜってぇ嘘だぁぁぁ!!)
垣根「あぁ、私の心理定規が裸にされてゆくぅ!!」
美琴「されてないわよ」
19090「く…た、耐えてみせます!!」
心理「…あなた、背中見ても耐えられるものなのね」
テクパトル「は、はは!!そんな簡単に浮気みたいなことは出来るかよ!!」
心理「…よし、なら…」
テクパトル「…次、黄色の手だぞ」
心理「き、黄色?」
心理定規が自分の体勢を思い出す
今の状況では黄色に手が届かない
心理(し、しまった…つい今の状況を楽しみすぎたわ)
垣根「はい、そこまで!!心理定規の負け!!」
心理「ま、待って!!罰ゲームはやめ…」
エツァリ「何を言っているんですかばる!!」
黒子「そうですの、いくら垣根さんの恋人だからって許しませんの!!」
心理「は、離して!!せめてエツァリ君は触らないで!!」
エツァリ「」
黒子「では行きますの」
心理「い、いや…」
イヤァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!
垣根「…次は削板と御坂だぞ」
美琴「よーし、負けないわよ!!」
削板「俺だって負けないからな!!」
垣根「では、用意…スタート!!」
削板と美琴の戦いは白熱していた
互いが体の密着云々とか気にせず、まさにいい意味での「真剣勝負」だった
その戦いは、なんと20分にも及んだ
無理な体勢になってもバランスを崩さず、次の一手を読む
まるでお手本のようなツイスター
しかし、細かい描写などされるわけがない
上条(…こんな、何のエロもないツイスターなんて…)
一方(…これ、エロを求めるゲームなのかよ)
番外(長い…)
削板「あぁ!!足だった!!!!!」
美琴「あはは!!手でやるとかバカみたい!!」
垣根「そこまで、勝者御坂!!」
美琴「やりぃ!!」
上条「削板は罰ゲームだな」
削板「さぁこい!!」
垣根「じゃ、こっちに」
ハハハ!!ナカナカオイシイゾ!!
ゲテモノカオマエ
上条「…次は、必然的に一方通行とショチトルになるな」
ショチトル「そうだな、一方通行と番外個体じゃ面白みがないし」
一方「面白みなンていらねェよ」
19090「…なんというか、どちらも応援してもしなくても変わらない気がします」
ショチトル「チクリと刺す言葉だな」
一方「…くだらねェが、何事にも本気を出すのが超能力者ってもンだ」
上条「…頑張れよ、一方通行」
一方「負けるわけねェだろォが」
エツァリ「…ショチトル、頑張ってください」
黒子「あのジュース、異常なまずさですの」
心理「」
テクパトル(…心理定規、体育座りしてる…)
美琴(よっぽどまずかったのね…)
ショチトル「よーし、やってやる!!」
一方「…お前みてェな三下が勝てるとでも思ってンのか?」
ショチトル「三下には三下の戦い方があるのさ、それをお前は分かっちゃいない!!」
垣根「では、用意!!スタート!!」
ショチトル「さぁさぁ!!前かがみになって谷間を見せつける私!!どう!?ねぇどうなのよ!?」
上条(こ、これは…!!)
19090(こ、この中でも一番の巨乳と言われているショチトルならではの戦法です!!)
美琴(…あの立ち位置だと、一方通行は谷間を直視してることに…)
番外(…一方通行…)
一方「…そンなもン、ただの脂肪の塊だろォが」
ショチトル「!?」
一方「くっだらねェ、まずは赤の手だ」
ショチトル(ば…バカな!!)
黒子(ショチトルの色気攻撃が効いていませんの!!)
テクパトル(…やるな)
一方(中学生以上はババァなんだよ)
ショチトル「…ところでさ」
一方「あァ?」
ショチトル「一方通行はなんでロリが好きなんだ」
一方「…俺に語らせるつもりか、てめェ」
ショチトル「…まぁな」
一方「打ち止めと出会ってからだ、あの包容力と母性本能、しかし見た目は幼女だなンて素敵だろ」
ショチトル「ほうほう」
一方「加えて可能性を秘めいているときた、これが一番だな」
ショチトル「ふーん」
垣根「はいはい!!タイムアップ!!」
一方「…あァ?」
垣根「一方通行、さっさと動かないとゲームオーバーだって言ったろ」
一方「き、聞いてねェよ!!」
美琴「はいはい、ジュースね」
一方「ま…待て…」
アッー
垣根「さて、最後は俺と番外個体だな」
番外「ふふん、ミサカが負けると思う!?」
垣根「やってみなきゃわからねぇだろ」
上条「じゃ、二人とも用意はいいか!?」
垣根「あたぼうよ!!」
上条「よし、スタート!」
垣根「よし、赤の足!!」
番外「ふん、余裕余裕!!」
垣根「緑の手!!」
番外「まだまだぁ!!!」
心理(…口の中にまだ味が残ってるわ)
美琴(…二人ともいい試合してるわね)
一方(…あァ?垣根のヤツ、段々番外個体の上に…)
番外「次は…緑の足」
垣根「はいはい、ちょっと失礼」ムニッ
番外「?なんで胸触ってるのさ」
垣根「いや、こうしないと倒れちゃうから」
番外「相手に触るのってありなの?」
垣根「ありだろ」ムニムニ
一方「て、てめェ!!なに番外個体に触ってやがる!!!」
垣根「胸は脂肪の塊なんだろ?」
一方「それとこれとは別だろォが!!」
黒子「か、垣根さんったら大胆ですのね…」
19090「あ、あああ!!」アタフタ
美琴(こ、これがいわゆる寝取りってヤツ!?)
ショチトル(ほほう、これはなかなか)
垣根「次、黄色の足な」ムニムニ
番外「…ね、ねぇ、ちょっと触りすぎだって」
垣根「そうか?仕方ねぇだろ」
番外(ど、どうしよう…)
一方(こ、この野郎…!!)
テクパトル(…まずいな)
エツァリ(…何がまずいんですか?少し服の上から揉んではいますが…正直、垣根さんはよくあの手の悪ふざけをするじゃないですか)
テクパトル(…相手が他のヤツなら大抵問題はないだろう)
削板(いや、問題だらけだぞ!!)
黒子(…ですが、まぁ…いつもの悪ふざけですの)
テクパトル(…だが、ミサカDNAにとって胸とは最大の弱点なんだ)
心理(…そういえばそうだったわね)
上条(…美琴も服の上からでもかなり…)
美琴(そ、そんなことないわよ!!)
19090(となると今の番外個体は…)
一方「て、てめェ!離せ!!」
垣根「だーかーら、これは仕方ないんだよ」ムニムニ
番外「…っ…そ、そうそう…ツイスター中に邪魔したら怒るからね!!!」
一方「えェェェェェ!?」
垣根「はい、青の足」クリクリ
番外「ひゃうっ!?」
一方「あァァァァ!!あ、あァ!?」チラッ
上条「な、なんで俺のほうを見るんだよ…」
一方「お前ヒーローだろォが!!」
上条「無茶だよ無茶!!!」
黒子「…まぁ、垣根さんにとってはいつもの悪ふざけですし」
エツァリ「というか、そろそろ面白い番組が始まりますよ」ピッ
美琴「あ、動物特集?」
テクパトル「飯にもいい時間だし、準備しようか」
19090「は、はい!」
削板「よーし、俺も飯の準備しようかな!!」
ショチトル「はーあ、腹減った」
一方(な、なンでこいつらノータッチなンだよ…)
垣根「ここか!?ここがえぇんか!?」
番外「だ、だめ…あっ…」
一方(こっちはタッチしてるのによォォォォ!)
心理(ま、垣根もそのうち飽きるでしょ)
一方(お前もかよ!?)
美琴「ねぇ、膝…座っていい?」
上条「?いいけど、どうした?」
美琴「べ、別に…」チョコン
ショチトル「美琴ってさ、本当に甘えるタイプだよな」
美琴「な、なによ!?悪い!?」
垣根「まぁ御坂はツンデレが魅力だったのに、そんなデレデレになっちゃダメなんだよ」
上条「あ、もう飽きたのか」
番外「…」グタッ
一方「…あァ?お前まさか…」
番外「違うよ、なんか疲れただけ…」
垣根「お、動物特集か…ガキの頃は好きだったな」
エツァリ「…犬とかは人気ですよね」
黒子「私も犬や猫は好きですの」
削板「ライオンとかかっこいいよな!!」
垣根「俺は虎派だけどな」
上条(…というか、さっきから美琴さんのお尻が当たって若干まずいのですが)
美琴「あ、パピヨン可愛い!!」
一方「…パピヨンよりチワワだろォが」
番外「よく言うよ、打ち止めが好きだからって無理やり好みを合わせたくせに」
一方「…」
心理「あら、話を合わせるためになんて優しいわね」
一方「そンなンじゃねェよ」
黒子「…あ、ティーカッププードルですの」
上条「お、おぉ…将来飼いたいな」
美琴「あ、分かる分かる!!」ピョコピョコ
上条(い、今跳ねられたらお尻が当たって…!!)
番外「?どうしたの、上条?」
一方「顔が赤いぞ」
上条「な、なんでも…」
テクパトル「どうせ義姉さんが膝の上に乗ってくれてるのが嬉しいんだろ」
美琴「そ、そうなの?」
上条「あ、ま、まぁ…」
心理「はいはい、御飯できたわよー」
上条「は、はーい!」
テクパトル(夜ご飯は美味しいバーベキューだった…)
テクパトル(…だがしかし、そこの描写はちょっと省かれてしまう)
テクパトル(…つまらなかったからではない、むしろ)
上条「あぁぁ!!誰だよ美琴に酒飲ませたヤツ!?」
美琴「にゃはは!!もっと持って来い!!!」
一方「…ロリはなァ、正義なンだよ…」
エツァリ「ははは!!おっぱいおっぱい!」
ショチトル「おっぱいおっぱい!!」
黒子「…私、そろそろ50…もうババァですの…」
削板「…根性でどうにかなるなら世の中苦労しないよな…」
番外「ねー、垣根ぇ…さっきの続きはぁ…?」トロン
垣根「…おねんねの時間だぜ…」グヘヘ
心理「…大体、あちきという者がありながら浮気するなんて帝督ったら最低なんだから!!」
19090「…テっくーん…こっちに来て一緒に飲みましょうよ…」ニャハハ
テクパトル(今が濃すぎるからである)
19090「テっくん…あの、テっくん…」トローン
テクパトル(あぁぁぁ!!なんだか懐かしい感じもするなこれ!!)
美琴「当麻ぁ…お部屋、お部屋行こう?」
上条「あぁ…行くか」ハァ
美琴「なんでため息ついてるのよ!!」
上条「な、なんでもないですよ!?」
美琴「と、当麻は子供…何人くらいほしいのかな…?」
上条「なんという情緒不安定!?」
テクパトル「…はぁ、酒は人を狂わせるんだよ…」
19090「テっくん…」トローン
テクパトル「は、はい!?」
19090「そ、その…お、お部屋に行きませんか…?」ドキドキ
テクパトル「」
テクパトル(ど、どどどどうすりゃいいんだよ!?)
テクパトル(>>441、俺は美月と二人で部屋に行っていいのか!?)
441 : VIPに... - 2012/03/07 18:45:26.66 CSbwVuzIO 356/823いいとも~♪
しかし、エツァリ、ショチトル乱入
テクパトル「そ、そうだな…さすがにこのままここにいたら危険そうだし」
19090「お願いします…」
テクパトル(…し、しかし…この状況で二人きりになるのか…)
テクパトル(…そういえば、付き合う前は酔ったこいつと…いろいろあったなぁ)
テクパトル(はは、そう考えると俺と美月はこういうイベントに何かしらの縁がらしい)
テクパトル(…それもまぁ…たまにはいいかもな)
19090「やっと部屋に着きましたね…」ウー
テクパトル「…お前、階段昇の遅すぎだろ…」
19090「ま、前後ろがグルグルと…」
テクパトル「本格的に酔ってるな…」
ショチトル「いやぁ、これからどうする?」
エツァリ「このまま寝かせるにはもったいないですよ」グヘヘ
テクパトル「そうだな、とりあえずこいつを介抱…」
テクパトル(…なんでこいつらがいるかは分からない、だがこの状況では明らかに邪魔だ)
テクパトル(二人して酒くせぇし)
テクパトル(さて、部屋から追い出すか?>>443)
443 : VIPに... - 2012/03/07 19:07:33.02 uY9nRRT7o 358/823ショチトルを脱がす
テクパトル(待て、だがしかし素直に出て行ってくれって言っても訊くわけないよな)
エツァリ「はぁ、しかし19090号さんは中々いい体をされていますね」
ショチトル「ほっほう、興味深いな」
19090「さ、触らないでください!!」
テクパトル(…そうだ、嫌がられることをすれば部屋から出て行ってくれる!!)
テクパトル「おいショチトル!!」
ショチトル「ん?なんだ?」
テクパトル「襲っちゃうぞーー!!!」ババッ
エツァリ「」
19090「」
テクパトル(よし、別に上着を脱がせただけだ…ちゃんとタンクトップも着てるし、大丈夫だな)
テクパトル(というか上着の下にタンクトップって暑くないか…)
19090「テっくんの浮気者!!」プンスカ
テクパトル「…え?」
ショチトル「…テクパトル、まさか私に劣情を抱いたのか!?」
テクパトル「ま、待て!!違う違う、俺はただ…」
テクパトル「>>445したかっただけだ!!」
445 : VIPに... - 2012/03/07 19:19:54.68 uY9nRRT7o 360/823ショチトルとエロいこと
テクパトル「ショチトルとエロいことがしたかっただけだ!!」
三人「」
テクパトル(ってちげぇ!!俺は美月とそういうことがしたいんだよ!)
19090「…テっくん」
テクパトル「ち、違う!!今のはそういう意味じゃ…」
19090「…美月では…満足できないんですか…?」
ショチトル「み、美月!?まさかテクパトル…」
テクパトル(ま、まずい…)
ショチトル「美月という女もいるのか!?」
テクパトル「は?」
エツァリ「ま、まさかセフレですか!!!」
テクパトル「ち、違う違う!!」
19090「そ、そんなものがいるんですか!?」
テクパトル「いねぇよ!!」
ショチトル「…ま、私の体の魅力が分かったのは嬉しいことだ」ニヤニヤ
テクパトル「だ、だから違うんだよ!!」
エツァリ「ほう、ショチトルを寝取りたいと」
テクパトル「ち、違うんだからな!」
ショチトル「じゃあ脱いでから…」
テクパトル「ま、待て待て!!」
19090「テっくん…」ウルウル
テクパトル「俺が愛してるのはお前だけだからな!!」
19090「//」
エツァリ「おや、ショチトルを抱きたいんではないのですか」
テクパトル「当たり前だ!!」
エツァリ「…」チッ
テクパトル「チッってなんだよ舌打ちするな!」
ショチトル「だがなぁ…だったらなんでさっき私を脱がしたんだ」
テクパトル「お前たちに出て行ってほしかったんだよ…」
エツァリ「あぁ、そんなこと言ってくれればよかったのに」
テクパトル「…?出て行ってくれるのか」
エツァリ「当たり前ですよ」
テクパトル(よ、よかった…)
ショチトル「じゃ、楽しんでな」
テクパトル「…あぁ」
エツァリ・ショチトル(と見せかけて部屋の外から盗み聞く!!!)
テクパトル(とりあえず…美月をどうしようか、>>449)
449 : VIPに... - 2012/03/07 20:31:19.29 BzdKasYvo 363/823脱
テクパトル(そうだよな、恋人なんだし脱がしても…)
19090「…テっくーん♪」
テクパトル「なぁ、美月」
19090「?なんですか?」
テクパトル「脱がせていいか?」
19090「!!い、いいですけどいきなりそんな大胆に言われるとその…」
テクパトル「よし、いいんだな」
19090「え、あ、ちょ…」
テクパトル(…もうさっきから理性は飛びかけているし…仕方ないな)
テクパトル(…にしても、酔ってる女がエロいってのはよく理解できるよな…)
19090「あ、あの…」
テクパトル「ん?どうした」
19090「…テっくんは脱がないんですか?」
テクパトル「そうだな…まずはお前から」
19090「ひ、一人だけ脱ぐのは恥ずかしいのですが…」
テクパトル「いいじゃないか、別に」
19090「あ…」
テクパトル「…相変わらず…そ、そそられる体だな…」
19090「うぅ…」カァッ
テクパトル(…胸は義姉さんのよりでかい…のか?)
美琴のなんてもちろん生で見たことはない
だが、水着の時などから推測するに19090号のほうが大きい気がする
テクパトル「…」
19090「な、なんで黙るんですか…」
テクパトル「あ、いや…そういえば久しぶりじゃないか?」
19090「…イギリスのミサカ達が来てから…テっくんはリビングで寝てますからね」
テクパトル「…今日は今まで溜まってた分もやるかな…」
19090「そ、そうなんですか?」トローン
テクパトル(…酔ってるからか、普段より目が虚ろだな…)
テクパトル(…しかし、こういう目は興奮材料になるもんだな)
テクパトル(…さて、目の前には全裸の美月がいる)
テクパトル(まずは焦らずに…)
テクパトル(>>452から触るか)
452 : VIPに... - 2012/03/07 21:01:52.09 uY9nRRT7o 366/823足の裏
テクパトル(?そういえば、女の子って足の裏とか感じるのかな)
テクパトル(…よくくすぐってなんたら、とかいうジャンルがあるけど…)
テクパトル(…足の裏、触ってみるか)
テクパトル「美月」
19090「?はい、なんですか?」
テクパトル「…ちょっと失礼」
19090「ふひゃっ!?」
テクパトル(…ふーん、足の裏って普通にきれいだな)コチョコチョ
テクパトル(いや、でもここは正直感じるわけはないだろうな)
19090「あっ…はぁっ…」
テクパトル()
テクパトル(…美月って、どんどんエッチになっていく)
19090「テっくん…そんなところ…そ、その…」
テクパトル「ん?どうした?」コチョコチョ
19090「ひっ…」
テクパトル「ほう…ここが感じるのか、いやらしいなおい」
19090「ち、違います…うっ…」カァッ
テクパトル「…ほら、ほら!」
19090「あ、ちょ、ちょっと待ってくだ…」
テクパトル「?」
19090「あぅぅっ!」ビクッ
テクパトル「」
テクパトル「…も、もしかして…あの…」
19090「ち、ち違いますよ!?」
テクパトル「…いや、でも今顔真っ赤で息荒いぞ」
19090「き、気のせいですよ!?」
テクパトル「…ん?でもこっちは濡れてるぞ」グイッ
19090「!!ち、違います…」
テクパトル「…濡れてるのになぁ」ニヤニヤ
19090「う…」
テクパトル(…さて、どうするかな…)
テクパトル(…そろそろ…>>455も触るかな)
455 : VIPに... - 2012/03/07 21:51:36.70 8aj4tnmU0 369/823髪
テクパトル「…髪…触っていいか?」
19090「あ、はい…」
テクパトル(…綺麗な髪の毛だよな)
テクパトル(…茶髪なんだよな…あれ?でも染めてないんだっけ)
テクパトル(…さらさらしてる…そ、それになんかいい匂いが…)
テクパトル(シャンプーの匂いかな)
テクパトル「…あ」
19090「な、なんですか?」
テクパトル「そういえば、風呂ってどうなってるんだろう」
19090「…部屋についてるみたいですよ?」
テクパトル「…は?」
19090「ですから…ホテルみたいに」
テクパトル「ま、待て待て!!ここってただの垣根の別荘だぞ?」
19090「…ですが、さっき垣根が言ってましたし…」
テクパトル「き、聞いちゃいねー…」
19090「…風呂、入りますか?」
テクパトル(ど、どうする!?一緒か、それとも別々か!?)
テクパトル(>>457、どうする!?)
457 : VIPに... - 2012/03/07 22:08:35.68 4tKVCbFuo 371/823別々
テクパトル「じゃ、じゃあ…美月から入ってきてくれるか?」
19090「え…い、一緒じゃないんですか…?」
テクパトル「だって一緒ってのは…さすがに風呂の中で暴走するのはまずいしさ」
19090「…そうですか」
テクパトル「ほらほら、早く入った入った…」
19090「…はーい…」
テクパトル(…ぶっちゃけ、危なかった)
テクパトル(…あのままだったら襲いかかってたぞ、俺!!)
テクパトル(…しかし、安心した…意外と酔ってても話は通じるもんだな)
テクパトル(…あ、あいつがあがったら…久しぶりにやれるんだな)
テクパトル(…友達の別荘で、ってのは少し申し訳ないが…まぁ、いいよな)
テクパトル(みんなもどうせするだろうし)
エツァリ(これは面白い展開になってきましたね)
ショチトル(やるんだな、やるんだな!!!)
エツァリ(オラ、ドキドキしてきたぞ)
テクパトル「・・・はぁ」
今更ながら何をしているのだろう、とテクパトルは頭を抱えた
さすがに友達の別荘でやるにしても悪ふざけが過ぎている
テクパトル(・・・まぁ、酒を飲ませないように見張ればよかったんだが・・・)
テクパトルだって一応酒は飲んだ
彼はいつも飲んで慣れているから酔わなかった、それだけだ
テクパトル「・・・はぁ」
いつも19090号が風呂に入っている間はこんなことを考える
自分よりかなり年下な女の子に何をするのか、という罪悪感に駆られることもある
テクパトル(恋愛に年齢は関係ない・・・か)
よくよく考えれば、妹達には年齢はないわけだが
テクパトル(だがしかし・・・あんな年齢の女の子と・・・やるなんて)
変態扱いされてしまうだろうが、まぁそれは仕方ない
19090「た、ただいま」
テクパトル「お、おう」
下着だけ身につけた19090号がテクパトルの隣に座る
ちなみに今、テクパトルは部屋の中にあった座椅子に座っている
さながら旅館のような別荘だ
女将がいれば旅館です、といった感じなのだ
テクパトル「・・・美月」
19090「は、はい」
テクパトル「・・・触っていいのか?」
19090「!?テ、テっくんは風呂には・・・」
テクパトル「後からでもいいだろ?」
19090号に有無を言わせず、テクパトルが半ば強引に胸に触れる
19090「あっ・・・」
テクパトル「・・・やっぱここは一番敏感だな」
19090「はぁっ・・・ん・・・」
テクパトル「・・・なぁ」
19090「は、はい」
テクパトル「・・・愛してる」
19090「!な、なんですかいきなり・・・」
テクパトル「いや・・・最近言ってない気がしたからさ」
19090「・・・大丈夫ですよ、言われなくても通じていますから」
少し火照った顔を微笑ませながら19090号が答える
テクパトル「・・・ダメだ、我慢出来ない」
19090「・・・い、いいですよ?」
スルスル、と19090号が下着を取る
こんなにすぐ脱ぐならわざわざ着て来なくてもよかったかな、と思う
だがその思考も優しいキスで遮られた
テクパトル(…愛してる、か)
そういえば、とテクパトルが思い出す
そろそろそういう時期かな、と最近考えていたことがあった
今、もしかしたら今、それを言うべきかもしれない
テクパトル「・・・あ、あのさ」
19090「なんですか?」
テクパトル「・・・俺、就職したじゃないか」
19090「は、はぁ」
テクパトル「・・・安定もしたし・・・それに、家も買えたし・・・」
19090「・・・」
ドキドキ、と二人の胸が高鳴る
テクパトルが何を言おうとしているか、19090号にはよく分かっている
いつか彼にそんなことを言ってほしい、何度そう思っていたことか
テクパトル「そろそろ、け・・・」
19090「ん!」
だったはずなのだが、なぜか無理矢理キスをしてそれを防いでしまう
テクパトル「!?」
驚いたようなテクパトルの瞳が目に映る
19090「ぷはっ・・・」
テクパトル「な、なんだよ!?せっかくプロポーズしようと・・・」
19090「そ、そういうのはもっと改まってからしましょうよ!」
テクパトル「あ、改まってから?」
19090「・・・あ、こういうのがイヤなわけではなくて、でもそういう大事な話はしっかりしながら・・・」
あわわ、とテンパりながら19090号が言葉を並べる
テクパトル「・・・分かった」
テクパトルが19090号の細い体を優しく抱き上げ、ベッドの上に座らせる
19090「あ、あの・・・」
テクパトル「…でも、今じゃなきゃ…また後回しにしちゃいそうだからさ」
19090「え、あ…」
テクパトル「・・・とりあえず・・・俺はお前に言いたいことがある」
19090「・・・き、聞いてあげましょう」
テクパトル「・・・あの、さ」
19090「・・・」
テクパトル「・・・さっきも言ったように、俺は・・・人を養うだけの準備が出来ている」
19090「は、はい」
テクパトル「・・・自分で言うのもなんだけど・・・あれだ、割りと家事も出来る」
19090「・・・はい」
テクパトル「それに・・・しっかり金の管理もするし、多分子育てだって手伝い・・・」
19090「あぁもう!じれったいです!」
テクパトル「!?」
19090号がテクパトルのほうににじり寄ってくる
全裸の恋人にそういうことをされると今すぐ事を始めたい衝動が湧いてしまう
19090「・・・それで、それらの意味するところは」
テクパトル「・・・お前に戸籍はないだろうし・・・多分、妹達の戸籍ってのを作るのは難しい」
19090「・・・そうですね、少し残念です」
テクパトル「・・・だから・・・入籍って言うのはおかしいかもな」
入籍
その単語が出てきただけで19090号の心臓は踊りだす
下手をすれば口から出てしまうのではないか
テクパトル「・・・だから・・・世間的には正式には認められない」
19090「あ、あの・・・」
テクパトル「でも俺は認めたい、お前を・・・お前を妻にしたいと思う」
19090「!」
テクパトル「・・・年の差が・・・あるのは分かってる、それに・・・内縁の妻ってなると・・・色々苦労があるのは分かってる」
テクパトルが出来る限り優しい言葉で現実を伝える
それは簡単に言えば「自分達は結婚したつもりでいるが、周りからすればただの結婚ごっこである」ということだ
テクパトル「でも・・・俺だって表立っては死んだような人間だったんだ」
19090「・・・ま、回りくどく言わないでください!」
テクパトル「し、仕方ないだろ!?こっちだって緊張してるしこんなこと初めてなんだよ!」
19090「美月だって初めてですよ!」
テクパトル「・・・ストレートに言うのは・・・さっき邪魔されちゃったし」
19090「あう・・・」
キスなんてしなければよかった、19090号は今になって後悔した
もしかしたらこのまま、言葉にはしてもらえないかもしれない
テクパトル「・・・」
19090「い・・・言ってはもらえないんですか?」
テクパトル「改まってからがいいんだろ」
19090「い、今でいいです、特別に!」
テクパトル「・・・お前全裸なのに?」
19090「・・・そ、それは・・・おいておきましょう」
テクパトル「・・・はぁ」
テクパトルが一度息を吐く
そういえばなんでこんなことを言おうと思ったのか
テクパトル(・・・そっか)
付き合い出してすぐの頃は色々な変化があった
19090号との関係、仕事、ミサカ達の世話
目まぐるしく変わった人生に、翻弄される時期もあった
だが最近になって様々な幸運が重なり彼の生活は安定してきた
誰かを背負って歩くには安定した道の上でなければならない
その安定した道を、やっとテクパトルは築けたのだ
そして何よりも
彼が、命を懸けて守ったこの命を、ずっと守り続けたいと思ったのだ
テクパトル「・・・美月」
19090「・・・はい」
テクパトル「一度しか言わない・・・だから、一度で返事を聞かせてくれ」
19090「・・・答えなんて決まってます」
テクパトル「・・・俺と」
テクパトル「・・・結婚してくれ」
これまで見たことないほど真剣な表情のテクパトル
地面に頭が付くのではないか、というほどに体を折り曲げている
結婚
夫婦としての共同生活
マリー
家庭を築く日々
頭の中で幸せ過ぎる単語がフォークダンスを踊っている
19090「は、はい!」
テクパトル「・・・」
テクパトル「美月ぃぃぃ!」
19090「にょわっ!?」
19090号の体をベッドに押し倒したテクパトルが、無理矢理彼女の体を弄る
19090「ロ、ロマンチックだった雰囲気が!」
テクパトル「わ、悪いけど・・・」
19090「ま、まぁ・・・いいですよ、今日はプロポーズしてくれたお礼です!」
テクパトル「サンキュー!」
エツァリ「あ、あわわわわわわ!」
ショチトル「み、美月ってなんだ!?」
エツァリ「そういえば御坂さんのお母さんに19090号さんの名前だと説明していた気が・・・ってそこではないです!」
ショチトル「け、結婚!?結婚するのかあいつら!?」
エツァリ「こ、これは皆さんに伝えないと!」
ショチトル「めでてーな!」
テクパトル「うっ・・・」
19090「あ・・・テっくん・・・」
ぎゅっ、と強く抱き合った二人はしばし余韻に浸っていた
第一ラウンドはあまりにも激しかった
先程のプロポーズのこともあり、かなり幸福感に満たされている
テクパトル「はぁ・・・なんかちょっと寒いな」
夏の夜とはいっても全裸でいるのは寒い
とくに海沿いの別荘、しかも部屋は空調が完璧なのだ
汗をかいた体はすぐに冷えていく
すっ、と二人な布団の中に潜り込む
19090「・・・テっくん」
テクパトル「ん?なんだ?」
19090「美月とテっくんは・・・ふ、夫婦なんですね?」
テクパトル「・・・あぁ、戸籍なんて関係ないさ・・・俺が決めたことだからな」
19090「・・・あ、あなた」
テクパトル「・・・なんかその呼び方は照れるからやめてくれ」
19090「でも子供がもし出来たら・・・やっぱり名前で呼び合うのはいかがなものかと」
テクパトル「そうか?」
19090「だって・・・」
垣根「ひゃっはー!汚物は消毒だぁ!」
黒子「風紀委員ですの!!心の盗難が奪われたと聞いて駆けつけましたの!!」
心理「二人の距離がゼロになったって聞いて」
テクパトル「」
19090「」
いきなり、部屋のドアが開かれた
美琴「聞いたわよ!プロポーズしたんですってねぇ!」
黒子「おめでたいですの!おめでたいですの!」
削板「・・・あぁ、やっぱ根性や愛は通じたんだ!」
番外「あはは!おめでとうおめでとう!」
テクパトル「ちょ・・・お前達、なんで知ってるんだよ!?っていうか今は入ってくるな!」
ショチトル「ははは!私達が部屋の外から盗み聞きしていたとも知らずに!」
テクパトル「あぁぁ!?」
一方「はン・・・まァよかったじゃねェか」
上条「・・・おめでとう、俺としては祝福の気持ちで一杯だ!」
19090「あ、ありがとうございます・・・」
美琴「子供は!?子供は何人作るの!?」
心理「あら、もう子作り始めてたのよね?」
テクパトル「ば、違う!」
垣根「ひゃはは!めでたいからみんなで飲もうぜ!」
一同「おぉぉぉぉ!!宴じゃあぁぁぁぁぁああああ!!!」
ダダダダ、と一同が部屋から一階に駆けていく
上条「・・・ま、まぁ・・・みんなは俺がどうにかしとくから」
出来る限り19090号のほうを見ないようにしながら上条が笑う
テクパトル「あぁ」
上条「・・・なぁ、テクパトル」
テクパトル「なんだよ」
上条「・・・19090号のこと、幸せにしてやれよ」
テクパトル「お前にわざわざ言われることでもないさ」
上条「・・・安心した、俺達の中から・・・ちゃんとした夫婦が生まれてさ」
テクパトル「お前も結婚出来る歳になったらすぐするんだろ?」
上条「ま、まぁな」
テクパトル「それに・・・19090号は・・・美月には戸籍がない」
上条「美月?美月ってそいつの名前か?」
テクパトル「・・・あぁ、ずいぶん前に俺がつけたんだよ」
上条「・・・そうだな、たしかに戸籍はないな」
妹達は1万人近くいるのだ
それら全てに戸籍を与えることは出来ない
そもそも国際法で禁止されている人間クローンの戸籍など取得出来ないだろう
上条「でもさ、戸籍なんて書類上の問題じゃないか」
テクパトル「・・・あぁ」
上条「お前達はそんな誓約書なんか必要ないだろ?だったら堂々と胸を張れよ」
テクパトル「・・・上条、お前・・・」
上条「お互いに愛を誓ってるならそれでいいだろうし・・・それに、神様に誓うのもそれでいいさ」
上条「でさ・・・俺はお前達の愛情をずっと見てきた、だとしたら俺がその愛情の保証人になってやるよ!」
19090「・・・お義兄様・・・」
上条「・・・結婚おめでとう、学園都市に帰ったら派手にお祝いしようぜ!」
テクパトル「あぁ!」
上条「じゃ、俺も下に行くから」
テクパトル「・・・上条!」
上条「?なんだ?」
テクパトル「・・・お前も早く、義姉さんに伝えておいたほうがいいぞ」
上条「…予約ってことか」
テクパトル「あぁ」
上条「御忠告ありがとう・・・一応参考にしておく」
小さく笑ってから、上条はその場を去った
バタン、と部屋のドアが閉められる
テクパトル「・・・エツァリとショチトル、上条には・・・お前の名前、知られたな」
19090「・・・結婚を機に皆さんに教えましょうか?」
テクパトル「それもいいかもな」
笑ってから、テクパトルが19090号の体を抱きしめる
19090「あ、ま・・・またですか?」
テクパトル「なぁ、美月」
19090「?」
テクパトル「子供、欲しくないか?」
19090「!」
テクパトル「俺はほら・・・一姫二太郎って言うし…ひ、一人目は女の子がいいかなぁとか思ってたり・・・って美月?」
19090「ふ・・・」
19090「ふにゃぁぁぁぁ!」
テクパトル「電撃はダメだからぁぁぁぁ!」
上条(・・・予約、か)
美琴「テクパトルの結婚を祝して、乾杯!」
一同「乾杯!」
上条「あーもう!未成年の飲酒は禁止!」
一方「ンな固いこと言ってンじゃねェよ」
番外「今はめでたい場面だぜ!」
心理「まさかこんなに早く結婚一組目が出るなんてね・・・なんか、時間の経過を感じるわ」
垣根「次は俺達かな?」
心理「あら、素敵」
上条(・・・予約、か)
美琴「当麻、当麻も飲まない?」
上条「いや・・・俺はいいや」
美琴「ケチー!」
上条(・・・美琴は・・・モテるだろうな)
自分と付き合い出してからはどうかしらないが、かつて美琴は何人かの男性から好意を寄せられていたはずだ
上条がよく知っているエツァリもその一人だった
美琴は正義感が強いし、容姿も申し分ない
もしかしたら、他にもっといい男が現れるかもしれない
そうなったら
垣根「おうおう!何暗い顔しちゃってんの上条君!」
上条「か、絡んでくんな・・・って酒臭い!」
垣根「ははは!めでたいんだから飲もうぜ!」
上条「だから俺はいいって!」
黒子「まぁ、軍覇さんったら//」
ショチトル「いや、私達だ!」
一方「・・・俺達はいつ頃だろォな」
番外「お?ちゃんと考えてくれてるんだ・・・ありがと」
一方「・・・お前のためだけじゃねェよ」
心理「垣根、私が16になったらすぐ入籍よ」
垣根「ひゃはは!そりゃいいな!」
美琴「・・・」
ムスッ、としている美琴
上条だけは先程から何も言ってくれない
他のカップルはテクパトル達の一件から「結婚」を意識しているのに
美琴「ねぇ、当麻」
上条「あ、あぁ・・・なんだ?」
美琴「当麻は結婚とかどうなのよ」
上条「・・・」
美琴「ねぇ、何か言いなさいよ!」
上条「・・・結婚、か」
上条には結婚というものが分からない
それは意味が分からない、というのではなく
ただ、結婚した時に何が起きるのかが分からないのだ
責任が伴い、二人だけで新たな道を進まなければならなくなる
上条「・・・美琴」
美琴「なに?」
上条「ちょっとさ、海・・・見に行くか」
美琴「?いいけど」
垣根「なんだよ、二人だけでデートか!?」
上条「うるせぇな、別にいいだろ」
垣根「ぎゃはははは!海・・・見に行くか?とかくせぇくせぇ!」
上条「あぁもう!そこに海があるんだからいいだろ!?」
美琴「もう、早く行こうよ!」
上条「あ、あぁ・・・」
美琴に引っ張られるようにしながら、上条が玄関に向かう
垣根「上条」
上条「なんだよ、しつこいな・・・」
垣根「・・・頑張れよ、信じてるぜ」
上条「・・・」
上条「任せとけ」
海の音はこんなにも心地好かっただろうか
波が浜辺を行ったり来たりする様が、とても儚い
近づこうとしても、そこに居続けることは出来ない
かつての不器用だった頃の自分達のようだった
月明かりに照らされた海には、悲しい色が映っている
美琴「・・・綺麗」
上条「綺麗だな」
お前と見てるからかな、と呟く
少し驚いたような表情の美琴
それを気にせず、上条が少しだけ先に歩く
砂浜に座って、行っては帰る波を見つめていた
上条「・・・」
美琴「当麻?」
後ろから、美琴の声が聞こえる
いつになく静かな上条を不審がっているようだ
上条「・・・俺さ・・・思えば、記憶にある中で愛してるって言ってもらったの、お前だけな気がする」
美琴「な、何よいきなり?」
顔が熱いのは酔いのせいか
上条「・・・多分、他の誰にも言われてないと思う・・・言われてたとしても、覚えてない」
美琴「・・・うん」
上条「・・・でもさ、お前がくれた愛してるだけは・・・覚えてるんだ、全部」
美琴「・・・当麻」
上条「・・・忘れたくないんだ、お前がくれた大切な時間」
なんでそんなに悲しい話をするのだろうか
美琴は少し不安になった
美琴「な・・・何かあった?」
上条「・・・なぁ」
美琴「な、なに?」
上条「・・・俺は・・・お前にどれくらい、愛を与えられたかな」
美琴「・・・たくさんよ、たくさん」
上条「・・・お前から貰ったのと同じだけ、与えられたかな」
美琴「・・・分からない、愛情の形は違うから」
上条「・・・もしもさ」
上条「もしも・・・俺が与えられた愛情が・・・そんなに多くなかった、どうしよう」
普段の前向きな彼には、とても似合わない一言
しかし、なぜかそれが今の彼の本心のような気がしてならなかった
美琴「・・・どうしたのよ、急に」
上条「・・・テクパトルと19090号・・・すごいよな」
美琴「すごい?」
上条「結婚ってものを自分達で掴んだんだ・・・テクパトルは、それを成し遂げるために仕事を見つけた」
上条「・・・仕事が見つかったから結婚したんじゃないと思う、やっぱり・・・養うために、仕事を探したんだ、あいつは」
美琴「・・・」
上条「俺ってダメだよな・・・なんかさ、今の幸せに満足してるんだ」
将来のことなんて考えていなかった
結婚結婚、と口にはするが、結婚なんて実際には分からない
彼に家族を養えるか、美琴を背負う責任は負えるか
彼には、まだ自信がない
上条「・・・お前との将来を考えてるつもりだったけど・・・その将来は、今が続くってだけのものだった」
上条「恋人から夫婦に、なんて・・・今思えば、あんまり真剣には考えてなかったな」
上条「俺って・・・ホント情けないよ」
美琴「・・・あんまり、私の好きな人のこと・・・悪く言わないで」
悲しそうな声が聞こえる
波の音が、誰かの泣き声に聞こえる
上条「・・・」
美琴「私ね、大好きな人がいるんだ」
上条「?」
美琴「不器用で、頭はそんなに良くなくて・・・不幸だし、たまに女の子と絡んでるし」
美琴「でもさ、誰より私を愛してくれて、私を守ってくれて・・・優しくて、おっきな人」
美琴「・・・私、その人といつか結婚したい」
上条「美琴・・・」
美琴「・・・結婚、したい」
上条「・・・俺は・・・まだ自信ないや」
美琴「結婚する自信?」
上条「俺の夢を叶える自信がないんだ、俺には叶えられないかもしれない」
美琴「私達の夢じゃない、私達で叶えましょう」
上条「・・・美琴」
美琴「・・・それに・・・私だって今は自信ないわよ、だからいつか・・・ね?」
上条「・・・俺達なら出来るかな」
美琴「出来るわよ!」
ぐっ、と右手を握り締めた美琴が笑う
美琴「もしも当麻が、その夢を叶えられないなんて思ってるなら!」
美琴「そんな幻想、私がぶち殺してやるから!」
上条「・・・」
美琴「・・・私の好きな人はね、そうやって何度も私の悲しい幻想を打ち砕いてくれた」
美琴「だから今度は私の番なんだ」
上条「美琴」
美琴「はい」
上条「・・・いつか、お前と結婚するのに相応しい男になったら・・・絶対にプロポーズする」
上条「だから、今・・・予約入れていいかな」
美琴「予約…?」
上条「…あぁ、俺が迷ってる間に…他の男が現れないようにさ」
美琴「そ、そんなわけないじゃない」
上条「それに、予約したら…責任持てるからさ」
美琴「…そんなことしなくても、当麻はちゃんとしてくれてるわよ」
上条「…それでも、自分にけじめをつけたいからさ」
どこまで彼は真っ直ぐなのだろう
少し呆れながらも、美琴は笑った
彼女の愛した「上条当麻」は、そういえば最初からこんな男だったはずだから
美琴「サインが必要なんだけど」
微笑みながら、美琴がそっと上条に近付く
上条「・・・これで代わりになるかな」
優しく唇を重ねて、上条が美琴を抱きしめる
美琴「・・・上出来」
上条「・・・よかったよ」
波の音が、少し小さくなった
テクパトル「ん…」
19090「はぁ…」
ベッドの中で、二人は熱い口づけを交わしていた
男にはそういう行為を出来るのに限りがあり、それを超えるとかなりきつくなってくるものだ
3回目を超えたあたりから、テクパトルもそんな感じだった
そのため、今はもう体までは交じらわせていない
しかし、その代わりと言ってはおかしいがもう何分も口づけを交わしていた
息が苦しくなっては口を離し、そして息を吸い込んでまた唇を重ねる
テクパトル(あぁ…幸せだ…)
結婚、というものは決めただけでこんなにも幸せなのか、とテクパトルは驚く
相手への気持ちを抑えることなんか出来なくなっていた
テクパトル「美月…」
19090「テっくん…」
互いの唇に、自分の唾液を塗っていくような、品のないとも言える口づけ
それさえもとても愛おしく感じられた
テクパトル「…愛してる…」
19090「あっ…そ、その…」
テクパトル「ん、もう一度やるか…?」
19090「は、はい」
ゴムを取り出してからテクパトルが19090号の体を抱き上げる
結局、今はまだ子作りはしないということになったのだ
理由は様々で、まずは二人の結婚生活というものに慣れようということ
もちろん今までも長く暮らしてきたため、慣れているとは言えるのだが「夫婦」という括りになったという実感が湧くまでは我慢、ということだ
あと一つは、19090号が恥ずかしがったことだ
「刺激が強すぎる」だの「早いですから!!」だの、とにかく顔を真っ赤にして否定していた
テクパトル(まぁ、精神的には中学生だしなぁ…)
腰を振りながらテクパトルが苦笑する
ギシギシとベッドが軋む
19090「あ、あぁ!!」
テクパトル「…はぁ」
テクパトル「幸せってのはこういうことを言うのかな」
心理「…」
心理定規と垣根は、自分たちの部屋にいた
シャワーを軽く浴びた心理定規が部屋に帰ると、グデングデンに酔っぱらった垣根がベッドに横になっていた
心理(…相当酔ってるわね)
風呂に入ったおかげで酔いの醒めた心理定規
今はいつも通りの冷静な彼女だ
心理「ねぇ、垣根」
垣根「おえぇ…ウルトラマンタロウが跳んでるよ…」
心理「ちょっと、大丈夫?」
垣根「テクパトル結婚おめでとう…」
心理「はぁ…ほら、ちゃんとしなさいよ」
ぐいっと垣根の腕を掴み、無理矢理起き上がらせる
垣根「…なんだよ…こっちは酔ってて気持ち悪いんだ…」
心理「とにかく、風呂に入ってきなさいな」
垣根「…あぁ、そうするよ…」
心理「…ったく」
ドレスに着替えた心理定規が、普段の彼女からは想像できないほどだらしない寝転がり方をする
大の字、というか無防備、というかとにかく今部屋に誰かが入ってきたら恥をかく、というような寝転がり方だ
心理(…結婚、ね)
テクパトルと19090号が結婚
ずいぶんと突然なことだ、と呆れていた
そしてそれと同時に羨ましさも感じている
心理(…私も、いつか垣根と…)
そこまで考えて、枕に顔をうずめる
心理(そ、それはいいけど…そうなったらいいけど…!!)
顔が熱くなっていくのがわかる
足をじたばたさせながら顔の火照りが醒めるのを待つ
心理(…垣根と結婚…かぁ)
心理(…そうなったら…幸せよね…)
心理(…垣根と…)
垣根「俺がどうかしたか?」
心理「!?い、いつの間にあがったのよ!?」
垣根「いや、今な…風呂入ったら酔い醒めた」
心理「…き、聞いてた?」
垣根「あぁ?何がだよ」
心理(…口には出てなかったみたいね)ホッ
垣根「…にしても、お前にしては珍しくだらしない格好だな」
心理「…ちょっと疲れてたからよ」
垣根「へぇ」
心理「…」
垣根「…結婚ってさ」
心理「な、なに?」
垣根「…やっぱり、責任重そうだよな」
心理「…そうね、互いに背負い合いながら…だから」
垣根「…いいよなぁ、それを自分達で決められるだなんてさ」
心理「決めるだけじゃダメなのよ」
垣根「…あいつらなら大丈夫だろ」
心理「…ねぇ」
垣根「なんだ?」
心理「…私たちには…出来るのかしら」
垣根「何がだよ」
心理「…結婚…よ」
垣根「…結婚、か」
心理「あなた、私とのそういうこととか…真面目に考えたことある?」
垣根「…正直な話、そこまで真面目にはないかもしれないな」
部屋の中にある冷蔵庫に向かいながら、垣根が答える
中にあったワインを開けながら、心理定規のほうを見つめ、先を続ける
垣根「…いや、結婚したいとは思ってるが…それがどういう変化をもたらすか、何が必要か、どうすればいいのか…とかはよく分からないんだよな」
心理「…そうね、私も実はそうなのよ」
垣根「…なぁ、心理定規」
心理「…なに?」
垣根「…俺達ならさ、きっと大丈夫だよ」
心理「…あなた…」
垣根「今までだって色々乗り越えてきたんだ」
心理「…そうね、きっと結婚だって大丈夫よ」
垣根「…それよりさ、今は夜景を楽しもうぜ」
窓の外に見える海を指差しながら垣根が笑う
垣根「…波を見てるとさ、なんか…心が洗われそうじゃないか」
心理「ここからだとあんまり見えないわよ」
垣根「雰囲気だよ、雰囲気」
心理「はぁ…仕方ないわね」
呆れたように笑いながらも、心理定規がワイングラスを手に取る
仲間たちとどんちゃん騒ぎをしながら飲む酒も嫌いではないが、やはり彼と飲むのが一番好きだった
垣根「…なぁ」
心理「なに?」
垣根「…俺達は…薬指に誓いの指輪を嵌めている」
心理「?」
垣根「だったら、予約なんていらないよな」
心理「あら、プロポーズしてもらいたい、ってのは女の子の永遠の夢なのに」
垣根「バーカ、そんなの知るかよ」
グラスを鳴らしてから、垣根が小さく笑う
垣根「…いつかさ、結婚しようぜ」
心理「あら、素敵」
これ以上やられたら死ぬ
テクパトルはげっそりとしていた
死ぬ、というのはあくまで例えの話だ
実際、命の危険があるわけではない
19090「んくっ・・・あ、はぁっ!」
19090号が自分のあれを受け入れながら、腰を激しく振っている
現在時刻、夜の1時
他の連中は寝ているのか、それとも自分達と同じようなことをしているのか
どちらにしろ、今のテクパトルには関係ない
テクパトル「み、美月・・・もう出ない・・・から・・・」
19090「だ、だって・・・」
テクパトル「お前・・・そんなにエロかったっけ?」
19090「!ち、違います!ただテっくんと一つになりたくて・・・」
テクパトル「・・・それはまぁ、嬉しいんだけどさ」
さすがにもう種が尽きてるから、とテクパトルがため息をつく
プロポーズを終えてから二人のボルテージは上がっていくばかりだった
そこから5回やって休憩、さらにその後2回
つまり、計7回も行ってしまったのだ
男性の限界は5回程度のはずだが、そんなものを振り切ってしまうほどに興奮していた
とはいえ今はもう限界だ
19090「あ・・・じゃ、じゃあ・・・やめますか・・・」
テクパトル「・・・」
体をくすぐったそうにくねらせる19090号
このまま中途半端に終わらせてしまっては可哀相だ
テクパトル「美月、おいで」
19090「?」
19090号を自分の横に寝させ、優しく胸を触る
19090「あ・・・」
テクパトル「・・・ホント、美月はエロいんだから」
19090「テ、テっくんだって変態さんです!」
テクパトル「・・・俺は普通だよ」
ぎゅっ、と19090号の胸の頂きを摘み上げる
ビクン、と体を揺らした19090号が満足げに息を吐く
テクパトル「・・・なぁ」
19090「・・・はい」
テクパトル「キス、していいか?」
19090「もちろんですよ」
貪るようにしながら唇を奪う
何度目なのか、もうこうしているのが当たり前にさえ感じてきた
テクパトル「・・・幸せだ」
19090「・・・結婚、しちゃいましたからね」
テクパトル「あ、あぁ」
19090「ふふ・・・帰ったらみんなに自慢しちゃいますよ」
テクパトル「・・・みんなから祝福されたら嬉しいな」
19090「はい!」
微笑み合ってから、二人がそっと目を閉じる
さすがに体は眠気を訴えていた
テクパトル「美月、おやすみ」
19090「おやすみなさい、テっくん」
短く挨拶を済ませた二人は、眠りの世界に旅立った
垣根「・・・そういや、お前を抱くの久しぶりだな」
心理「・・・どういうことよ」
ベッドの中で、下着だけになった二人
垣根が慌ててフォローする
垣根「いや・・・お前以外の女なんていないからな?」
心理「・・・ちょっと焦っちゃったじゃない」
垣根「悪い悪い・・・あれだよ、俺達って元々そっちはあんまりしないからさ」
心理「私、あなたとならいくらでもやっていいのよ?」
垣根「…そりゃ嬉しいことだな」
心理「…ね、そろそろ始めない?」
垣根「なんだよ、やっぱ普段の格好と同じでエロいのか、お前」
心理「…そうなのかそうじゃないか、あなたがよく知ってるでしょ」
垣根「…そうだな」
心理定規の頬をそっと撫でながら、垣根が空いた手で彼女の体に触れる
心理「…始める?」
垣根「始めたいんだろ、お前」
心理「…えぇ」
垣根「んじゃ…始めるか」
ギシギシ、と軋むベッド
少し小さい、しかし確実に聞こえている相手のうめき声
垣根「…お前ってさ」
心理「なに?」
垣根「こういう時って、決まって電気消したがるよな」
心理「あら…私が快感でだらしない顔になっているの…そんなに見たい?」
垣根「男としてはな…そういうのも見ておきたいもんなんだよ」
心理「…別に…ん、電気は付けててもいいんだけどね」
垣根「あぁ?じゃあなんでいつも消すんだよ」
心理「気分よ気分…こっちのほうが、落ち着くじゃない」
垣根「…お前、結局恥ずかしいだけだろ」
心理「…恥ずかしいわよ、たしかに」
垣根「…な、こことかどうだ?」
心理「…くすぐったい」モジモジ
垣根(…いい感じかもな)
心理「…ね、あなたはどうなの?」
垣根「?何が」
心理「…こういうことしてる時の表情とか…見られて恥ずかしくない?」
垣根「…別に、お前にだったら見られても恥ずかしくないし」
心理「…何よそれ」
垣根「…あ、ちょっとヤバいかも」
心理「…私も、そろそろ」
垣根「…疲れた…」
枕に顔をこすり付け、モフモフしながら垣根はそんなことを言っていた
心理「…情けないわね…男の子でしょ?」
垣根「…男のほうが疲れるんだよ、知らないのか…」
心理「…ほら、しゃんとしなさい」
垣根「…疲れたぁ…」
心理「はぁ…寝る?」
垣根「そうする…」
心理「…じゃ、おやすみなさい」
垣根「…あぁ、おやすみぃ…」
ゴロン、と仰向けになった垣根
一分もしないうちに、子供っぽい寝息が聞こえてきた
続き: 上条「結婚指輪は!」美琴「給料三か月分!」心理「君への愛は」垣根「プライスレス!」【3】