※関連
最初: 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
前回: 上条「好きと叫んでも!」美琴「心は遠く!」心理「貴方を呼んでも」垣根「振り向かず!」【3】
垣根「やっぱりターミネーターは2までだよな」
垣根「・・・シュワちゃんって結構棒読みだから、ターミネーターみたいなのは似合ってるよな」
垣根「・・・にしても、コマンドーは面白いな」
垣根「ま、最近の映画はCGを使いすぎだ」
絹旗「垣根!お客さん連れてきました!」
垣根「あぁ?そういえば呼び込み頼んでたな」
浜面「おい!俺は散歩してたんだよ!」
垣根「お、浜面じゃないか」
浜面「聞いてねぇぞ!いきなり引っ張られてきたんだからな!」
垣根「まぁまぁ、座ってくれ」
浜面「垣根がいるって時点で不安なんだよ!」
絹旗「超しつこいですよ、浜面」
浜面「だって俺、散歩してただけだぞ!?」
垣根「絹旗、もしかして無理矢理連れてきたのか」
浜面「いまさらかよ!?」
絹旗「浜面なら百の煩悩を持ってそうですから」
浜面「地味にひどい言われようだよな・・・」
垣根「・・・ま、浜面も悩み事の一つくらいはあるだろ」
浜面「な、なぁ・・・大体この怪しげなテントはなんなんだ?」
垣根「メルヘン相談屋だ」
浜面「だからそれが何なのか分からないんだよ・・・」
垣根「簡単に言えば、お悩みを聞く店だ」
浜面「・・・なに?」
垣根「そして俺がアドバイスを出す、そういうことだ」
浜面「・・・なぁ、それってどんな悩みでもいいのか?」
垣根「あぁ」
絹旗「ほら、やっぱり浜面も悩みがあるんじゃないですか」
浜面「そりゃ一つくらいあるさ」
垣根「さ、素直に吐露してみろ」
浜面「・・・出来れば絹旗には席を外してもらいたい」
絹旗「超理不尽です!なんでですか浜面!」
浜面「だ、だって垣根にならともかくお前に悩みを聞かれたらなんかからかわれそうなんだよ!」
垣根「ま、お前の悩みは滝壺のことだろうけどな」
浜面「そ、そうなんだけどさ・・・」
絹旗「なんだ、なら超問題ないですよ」
浜面「あるんだよ!」
垣根「絹旗、お前消えろ」
絹旗「う・・・」
垣根「あぁもう冗談だから涙目になるな!」
絹旗「・・・さ、浜面」
垣根「さっさと吐いたらどうだ」
浜面「・・・じゃあ話すよ」
垣根「やっとその気になったか」
浜面「・・・滝壺とさ」
垣根「あぁ」
浜面「まだエッチしてないんだよ」
絹旗「」
垣根「・・・お前達、かなり昔から付き合ってるよな?」
浜面「あぁ・・・なのに、まだエッチしてないんだ」
垣根「・・・なんで?お前、したくないの?」
浜面「したいに決まってるだろ!」
垣根「じゃあ滝壺が嫌がるとか?」
浜面「いや・・・言い出せないんだよ」
垣根「はぁ?なんでだよ」
浜面「だ、だって滝壺だぜ!?かなり無垢そうじゃねぇか!」
垣根「いや・・・だったら少し愛撫すれば」
浜面「いきなりハードル高いだろ!」
垣根「あのなぁ、男なら女をリードしなきゃならねぇんだよ」
浜面「・・・滝壺に・・・もし嫌われたらどうするんだよ!?」
垣根「お前、もしかして早漏か」
浜面「ち、違うって!」
垣根「なら言えばいいだろ」
浜面「・・・やっぱり、エッチは必要だよなぁ・・・」
垣根「・・・そうだな、なんだかんだ恋人にセッ○スは付き物だ」
浜面「・・・ちなみに垣根は心理定規の姉ちゃんとよろしくやってるのか?」
垣根「心理定規とは・・・まぁな」
浜面「いいよな・・・あんな美人と出来て」
垣根「滝壺もそれなりに美人だろ」
浜面「だ、だから申し込みにくいんだよ」
垣根「あーあー、ウジウジしてても女には届かないぜ?」
浜面「・・・わ、分かったよ・・・」
垣根「いいな、今日申し込んでみろ」
浜面「や、やってみる」
垣根「じゃ、健闘を祈る」
浜面「あぁ・・・じゃあな」
垣根「なぁ、なんで固まってるんだよ」
絹旗「エッチ・・・わ、私もいつか海原さんとするんですか!?」
垣根「知るかよ」
絹旗「・・・!い、今のは取り消しですから!」
垣根「はいはい・・・じゃあ、引き続き客引きを頼む」
絹旗「・・・分かりました」
垣根「・・・にしても、なんか昨日は心理定規が不機嫌だったな」
垣根「ケーキバイキングの時も・・・」
垣根「なんでだ?」
垣根「・・・この間抱いてやったし、そっちの問題じゃないよな・・・」
垣根「・・・まさか、心理定規・・・生理だったのか?」
垣根「・・・いや、違うか」
垣根「・・・今日帰ったら聞いてみよう」
絹旗「垣根!連れて来ましたよ!」
垣根「今度は無理矢理じゃねぇだろうな」
絹旗「超もちろん!」
小萌「・・・垣根ちゃん、見つけましたよ」
垣根「げ」
小萌「ふっふっふっ!吹寄ちゃんから聞いたのですよ!ここで学校を休んで店を開いていると!」
垣根「あの牛・・・今度会ったらレイプするか」
小萌「垣根ちゃん!どうして学校に来てくれないのですか!?」
垣根「待て、なんで小萌は今日学校に行ってないんだよ」
小萌「今日は有給なのですよ!」
絹旗「あ、あの・・・先生なんですか?超小さいですけど・・・」
小萌「・・・今、なんて言いました?」
絹旗「え、超小さい・・・」
小萌「小さい・・・今、小さいって言いましたか?」
絹旗「は、はい・・・」
垣根「いやいや!小萌は可愛いんだよ!」
小萌「もう、垣根ちゃんったら・・・」
垣根(なんか知らないけどこの人小さいって言われるの嫌いなんだよな)
小萌「じゃなくて垣根ちゃん!学校に来て下さい!」
垣根「待てよ、お前は今日は休みを貰ったただの一般人だろ?」
小萌「先生と生徒の関係に非番も有給も関係ないのですよ!」
垣根「・・・あのな、俺は別に学校が嫌いなんじゃないんだよ」
絹旗「あれ、学校がめんどくさいって・・・」
垣根「でもな小萌、せっかくの休みを俺みたいな生徒のために使ったらもったいないぜ」
小萌「先生は・・・先生は・・・」
垣根「な、なんだよ」
小萌「垣根ちゃんが大好きなのですよ・・・」
垣根「はぁ?」
垣根「はぁ?」
絹旗「なんで素なんですか」
垣根「いや、それは生徒としてだよな」
小萌「・・・そうなんですけど、でも垣根ちゃんのいない学校は寂しいのですよ」
垣根「なんでだよ」
小萌「まず、学校給食が出ません!」
垣根「元々出てねぇよ」
小萌「次に、クラスの窓際に空席が出来ます、よって外の暑い空気を防いでくれる壁が無くなります!」
垣根「俺は壁の代わりだったんだな」
小萌「最後に・・・先生は、毎晩寂しい夜を過ごすことになってしまうんですよ」
垣根「なぁ、俺と過去に何かあったのか?」
小萌「垣根ちゃん・・・先生は、垣根ちゃんに学校の楽しさを知ってほしくて体験入学を提案したんです!」
絹旗(な、なんて模範的な先生なんですか)
垣根「・・・それは無理なんだよ、小萌」
小萌「な、なんでなのですか・・・?」
垣根「・・・心理定規の制服姿が隣にいたら欲情するに決まってるだろ」
小萌「な、そんな理由なのですか!?」
垣根「大体な、心理定規は制服を着崩しすぎなんだよ」
垣根「・・・第三ボタン辺りまで外してたら、谷間も見えるんだよ」
垣根「・・・なのにブラジャーを見せないというガードの硬さ」
垣根「・・・小萌、俺は学校に行かないことによって理性を保っているんだ」
小萌「・・・垣根ちゃん、心理定規ちゃんも寂しがっていたのですよ」
垣根「・・・」
小萌「それに、垣根ちゃんがここ何日か怪しいって悩んでましたよ?」
垣根「怪しい?」
小萌「・・・垣根ちゃん、先生のお願いなのですよ、学校に来て下さい」
絹旗「ほ、ほら垣根・・・こんなにお願いされてるんですよ?」
垣根「・・・分かったよ、来週には行くからさ」
小萌「・・・約束なのですよ?」
垣根「約束だ・・・俺は約束を守る男だからな」
小萌「約束なのですよ!」
垣根「あぁ、またな」
小萌「はい!」
絹旗「・・・なんだか、めんどくさい先生でしたね」
垣根「てめぇが連れて来たんだろうが」
絹旗「・・・そろそろお昼ですよ」
垣根「・・・昼飯食いに行くか」
絹旗「?浮気を疑われるのがイヤなんじゃなかったですか?」
垣根「だから、今日もお前から先に食いに行くんだよ」
絹旗「あぁ・・・やっぱりそうなんですか」
垣根「ほら、行け行け」
絹旗「分かりました・・・それじゃ」
垣根「あぁ」
垣根「・・・心理定規が怪しがってる・・・か」
垣根「昨日機嫌悪かったのはそのせいか?」
垣根「でも何を怪しがることがあるんだ?」
垣根「・・・分からない」
垣根「家に帰ったら聞くか」
垣根「・・・ダダンダンダダン」
垣根「ペレレー、ペーペー、ペーペーペー」
垣根「ダダンダンダダン!ダダンダンダダン!」
垣根「・・・ターミネーターのテーマって、たまに自分のテーマソングにしたくなるよな」
垣根「・・・暇だ」
絹旗「ただいま」
垣根「あぁ?早すぎだろ、まだ5分くらい・・・」
絹旗「はい、コンビニで買ってきました」
垣根「・・・は?なんだよ、どっかで食ってくればよかったのに」
絹旗「なんでですか、同じ仕事をするなら同じ時間にご飯を食べないといけませんよ」
垣根「・・・お前、俺のこと好きなのか」
絹旗「あの、超盛大な勘違いをしてますよね」
垣根「・・・でさ、なんで俺にはおにぎりなんだよ」
絹旗「なんでって・・・垣根、おにぎり好きそうなイメージでした」
垣根「なぁ、どんなイメージなんだよ」
絹旗「・・・それにしても、平和な一日ですね」
垣根「・・・なぁ、絹旗」
絹旗「なんですか?」
垣根「・・・お前、おっぱい柔らかいか?」
絹旗「」
垣根「ん?なんだよ、小さいと思ってたけど御坂と同じくらいか」ムニムニ
絹旗「」
垣根「中々の揉み具合だな」
絹旗「な、なんで普通に揉んでるんですか!?」
垣根「なんでって、普通以外な揉み方がよかったか?」
絹旗「違います!なんで揉むんですか!?」
垣根「あのな、女にとっておっぱいって大切なコミュニケーションの手段だぜ?」
絹旗「どんなコミュニケーションを始めるつもりなんですか!?」
垣根「・・・おにぎり美味い」
絹旗「あぁもう!」
垣根「・・・骨って偉大だよな」
絹旗「ごめんなさい、いきなり過ぎて超ついていけません」
垣根「骨の通った、骨抜きにされる、骨が折れる」
垣根「骨とは心のことじゃないか?」
垣根「俺はな、人間の体で最も重要なのは骨だと思う」
垣根「さらに言えば頭蓋骨だな」
垣根「上からハンマーとか落ちてきたときのために脳みそを守る」
垣根「分かるか、人間の華奢な体を守るのは骨だ」
垣根「街で人と擦れ違う度に、その人の骨を想像してみろ」
垣根「というかむしろ骨が中心だ、骨が歩いているんだ」
垣根「皮膚だ内臓だなんだは骨の付加価値だ」
垣根「と、俺は思ってる」
絹旗「ごちそうさまでした、客引きしてきますね」
垣根「聞いてくれよ」
垣根「・・・梅干し酸っぱい」
垣根「ちくしょう・・・あの野郎、よりによって丸いおにぎり買ってきやがって」
垣根「・・・俺は三角のが好きなんだよ」
垣根「丸いおにぎりとか邪道だろ」
垣根「持つ場所が分からないんだよ」
垣根「・・・」
垣根「ムカつくなクソ・・・」
絹旗「お客さん連れて来ましたよ!」
垣根「・・・あぁ、そうか」
一方「・・・よォ」
垣根「なんだ、一方通行か」
一方「打ち止めから聞いたから来てみたンだけどよォ・・・」
垣根「なんだよ、冷やかしに来たのか?」
一方「お前、打ち止めにアンパンマン奨めただろォが」
垣根「あぁ、そういえば奨めたな」
一方「面白かったぜェ」
垣根「お前が嵌まったのか」
一方「なァ、あァいう心温まる物語ってないか」
垣根「・・・ハイジとか」
一方「どンな話だよ」
垣根「なぁ、そんな話をしに来たのかよ」
絹旗「・・・無理矢理引っ張ってきたらこれですよ」
垣根「無理矢理だったのかよ」
一方「なァ」
垣根「・・・アルプスの山小屋に住むおじいさんと、その孫ハイジの物語だ」
一方「面白いのか?」
垣根「オープニングがツッコミ所満載だけどそれ以外は素晴らしいぜ」
一方「・・・あとは」
垣根「・・・とっとこハム太郎」
一方「どンな話だ」
垣根「ハムスターが主人公なんだがな、ハムスターが人間に隠れて地下の隠れ家で遊ぶ話だ」
一方「なンだよそれ」
垣根「ちなみに、俺はマフラーちゃんが大好きだ」
一方「・・・なるほどなァ、見てみるぜ」
絹旗「・・・あ、あの・・・垣根はともかく一方通行もこんなキャラだったんですか?」
垣根「当たり前だろ」
一方「あンまり超能力者に幻想抱くなよ」
垣根・一方「その幻想をぶち殺す」
絹旗「超仲良しじゃないですか、あなた達」
一方「じゃあな」
垣根「あぁ、打ち止めによろしく」
一方「あァ」
垣根「・・・しりとりしようぜ、ヒマだから」
絹旗「あ、いいですよ!私必勝法知ってます!」
垣根「マジか、じゃあ俺からな・・・しりとり」
絹旗「リップ!」
垣根「プール」
絹旗「ループ!」
垣根「プラス」
絹旗「スープ!」
垣根「プライベート」
絹旗「トランプ!」
・・・
・・・
垣根「プレゼント」
絹旗「トラップ!」
絹旗(どうですか、プで終わらせる作戦!これなら確実に相手が詰むんですよ!私ったら超天才!)
垣根「プリンカップ」
絹旗「」
垣根「プリンカップ、早く」
絹旗「」
垣根「おい、もしかして詰んだのか」
絹旗「ま、まさか・・・プリンカップを今まで言わなかったのは・・・!」
垣根「やっと分かったか、てめぇが知っていそうなプで始まる全ての言葉を先に俺が潰す」
垣根「てめぇの最初のリップを聞いた時点で、俺はてめぇの作戦を悟った」
垣根「なら話は簡単だ、作戦に掛かった振りをして逆にてめぇを罠の中に連れ込んだ」
垣根「てめぇはギロチンの縄を掴んでいたつもりだろうが、その縄はてめぇの首を絞めるための物だったんだ」
垣根「最後にプリンカップでプ返しをすることによって、お前の一手はなくなる」
垣根「分かるか、所詮窒素装甲なんかじゃ未元物質には敵わないんだよ」
絹旗「・・・超負けました」
垣根「・・・つぅかヒマだな」
絹旗「お客さん、来ないですね」
垣根「多分昼ご飯の時間だからだろ、昼ご飯食いながらここには来ないだろ」
絹旗「・・・それもそうですね」
垣根「ヒマだな・・・」
絹旗「あ、そうだ・・・垣根の悩み、聞いてみましょうか」
垣根「あぁ?」
絹旗「超名案じゃないですか!垣根の悩みとか知らないです!」
垣根「俺は人に悩みなんて吐かない」
絹旗「・・・ちっ」
垣根「大体、てめぇみたいなガキに相談しても意味ねぇし」
絹旗「・・・ガキとか言わないで下さい」
垣根「・・・あーあー、ヒマだなぁ!」
絹旗「・・・そろそろ昼ご飯の時間も終わりますね」
垣根「そうだな・・・いい加減お客さん来てくれないかな」
絹旗「・・・そうですね」
垣根「・・・」
絹旗「・・・」
垣根「誰か来たな」
絹旗「?そうですか?」
垣根「あぁ」
フレンダ「垣根!」
垣根「あぁ?またお前かよ」
絹旗「フレンダ・・・何しに来たんですか」
ゴーグル「あれ、絹旗さんもいたんですか」
垣根「あぁ?ゴーグル馬鹿も一緒なのか」
フレンダ「ちょっと相談したいことがある訳よ!」
垣根「なんだよ」
ゴーグル「垣根さんは、デートってそんな頻度でするもんじゃないと思いますよね!?」
垣根「あぁ?そんな頻度ってなんだよ」
フレンダ「絹旗!絹旗はたくさんデートしたいタイプだよね!?」
絹旗「な、なにを言っているのか・・・」
ゴーグル「フレンダさんったら、明日もデートしようって言うんすよ!」
垣根「なぁ、お前らって付き合ってるのか?」
ゴーグル「いや・・・付き合ってないっすよ」
絹旗「ならまず付き合いましょうよ」
フレンダ「そ、そういうのはまだ早いんじゃないかな・・・」
垣根「デートのほうが後だろうが!」
絹旗「そうですよ!」
ゴーグル「・・・いや、今はそれは問題じゃないんすよ」
垣根「問題だろうが!」
ゴーグル「とにかく!フレンダさんが明日もデートしたいって言うんですよ、でも俺は明日くらいゆっくりしたいんですよ!」
フレンダ「なんで!?私はゴーグルと出掛けたい訳よ!」
ゴーグル「これだから女はめんどくさいんすよ!あのね、家でゆっくりするのも楽しみの一つなんすよ!」
フレンダ「違う訳よ!様々な場所を二人で訪れることで愛情が生まれる訳よ!」
垣根「なぁ、痴話喧嘩なら他所でしてくれ」
ゴーグル「垣根さん!フレンダさんにバシっと言ってやって下さい!」
絹旗「フレンダ、別にあなたのことが好きなわけではないですが、今回の件は超支持しますよ」
フレンダ「でしょ!?やっぱりデートは楽しい訳よ!」
垣根「分かってねぇなぁ・・・好きな人となら、どこにいても楽しいもんだろ」
フレンダ・絹旗「!?」
垣根「いいか、想像してみろ・・・大好きな人が一緒に隣に座ってテレビを見たりゴロゴロしたりしてくれるところを」
垣根「たしかに新鮮味はないかもしれない、だがそこには外出時には感じられない二人だけの幸せがあるはずだ」
垣根「ま、これが分かるようになったら本当に愛し合っていると言えるな」
ゴーグル「さ、さすが垣根さんっす」
絹旗(海原さんと家で二人きり・・・)
フレンダ(へ、部屋で二人きりになったら・・・そ、そういうことになっちゃうのかな!?)
垣根「いいか、明日くらいはゆっくり家で過ごしてみな」
フレンダ「わ、分かった訳よ」
ゴーグル「それじゃ・・・ありがとうございました」
垣根「お前らさっさと付き合えよ」
ゴーグル「じ、自分達のタイミングがありますから!」
絹旗「それでは」
垣根「・・・そろそろ今日は閉めるか」
絹旗「?今日は早いんですね」
垣根「ちょっと心理定規に聞きたいことがあってさ」
絹旗「・・・そうなんですか、じゃあ」
垣根「お疲れ」
絹旗「お疲れ様でした」
垣根「また明日な」
絹旗「あ、明日は海原さんとデートなんですよ」
垣根「あぁ?マジか・・・」
絹旗「手伝えないですけど、垣根なら一人で大丈夫でしょう」
垣根「あぁ、分かった」
絹旗「それじゃ」
心理(・・・垣根、今日もどこか行ってるのね)
心理(せっかく急いで帰って来たのに・・・)
心理(・・・彼がいないんじゃ意味ないわよね)
心理(・・・垣根の馬鹿・・・)
ベッドの上で、心理定規は悶々としていた
心理(・・・馬鹿・・・)
寂しさからか、自然と悲しい気持ちになってしまう
心理(・・・)
垣根「ただいまー」
垣根「・・・あれ?靴はあるのに返事はない」
垣根「まさかただの屍か?」
心理(・・・帰って来た)
心理(・・・どこに行ってたのよ)
垣根「お、なんだよいるじゃねぇか」
心理「・・・お帰りなさい」
垣根「ただいま・・・体調悪いのか?」
心理「別に」
垣根「?じゃあ眠いのか?」
心理「・・・違うわよ」
垣根「?」
心理「ねぇ、どこに行ってたのよ」
垣根「いや、別に」
心理「・・・私には言えない場所なのね」
垣根「は、はぁ?」
心理「昨日もどこか行ってたみたいね」
垣根「いや、それは・・・」
心理「なによ、朝から楽しそうに出掛けて」
垣根「な、違うんだって!」
心理「・・・」
垣根「お、おい・・・どこ行くんだよ」
心理「関係ないでしょ、あなたと一緒でどこに行ってもいいじゃない」
垣根「待てよ」
心理「・・・垣根、私ね・・・あなたがどこかに行くと寂しいのよ」
垣根「・・・すまない」
心理「・・・馬鹿」
垣根「・・・なぁ、明日・・・近くのでかい公園、来てくれないか」
心理「・・・公園?」
垣根「あぁ、学校が終わってからでいいからさ」
心理「・・・何よそれ」
垣根「・・・信じたくないなら来なくていいけどさ」
心理「・・・」
垣根「飯作って来るよ」
心理「・・・えぇ」
垣根(・・・なにやってたんだろうな、俺)
垣根(友達の悩みとか・・・他人の相談とかは簡単に気付けてアドバイスも出来るのに)
垣根(・・・一番大事な女の考えてたことに気付けなかったなんてな)
垣根(・・・馬鹿だよ、ホントに)
垣根(・・・・あいつが俺のこと疑ってたなんてな)
垣根(いや、俺があいつの立場でもそうするはずだ)
垣根(・・・あいつを結果的に傷つけてたなら・・・この数日間は、何だったのかな)
垣根(・・・ホント、なにやってんだよ)
垣根(はぁ・・・)
垣根(・・・なにやってんだろうな、俺は)
垣根(・・・ゴメンな、心理定規)
翌日
垣根「・・・絹旗もいねぇし、ヒマだな」
垣根「・・・あーあ、昨日の事もあったからテンション下がるな」
垣根「・・・あいつ、来るのかな」
寮監「・・・こ、ここは・・・」
寮監「・・・普段寮生達の管理で疲れている私にも・・・悩みというものが生まれる」
寮監「・・・一つ、相談してみるとしよう」
垣根「・・・きっと、来るはずだよなぁ・・・」ズーン
寮監「あの・・・すいません」
垣根「あぁはいはい・・・」
垣根(あぁ?初めて知らない客が来たな)
寮監(・・・若い、私より一回り近く下ではないか?)
垣根「どのような相談でしょうか」キリッ
寮監「あ、その・・・私は、ある中学の寮監をしているのですが」
垣根「ふむふむ」
寮監「・・・生徒から恐れられているようなのです」
垣根「ほう・・・と言うと?」
寮監「影では・・・悪魔、鬼、いけず後家、スフィンクス、カロン、第三の男・・・」
寮監「ひどいものでは、13日の金曜日というあだ名までつけられる始末です」
垣根(最初の二つしか納得できないだろ普通)
寮監「・・・その噂が広まっているからか、未だに男性とも縁が無く・・・」
垣根「それはお辛いですね・・・」
寮監「・・・生徒からも、世の中からも必要とされないなんて・・・」
垣根「ですがそんなものですよ、人生とは」
寮監「そ、そうですか?」
垣根「生きているだけで誰かのためになれる人間なんてほとんどいません」
垣根「だとすれば、これから先に自分がどうするかで人のためになれるか否かが決まるのです」
垣根「そこには周りの意見や社会の目など、介入の余地もないのですよ」
寮監「・・・そうですが・・・時々、自分が正しいのか分からなくなるときがあります」
垣根「少なくとも、自分の信じたことを貫き通せないことは間違いだ」
寮監「!!」
垣根「正しいことか迷うよりも、自分の信じたことを続けてみるべきです」
寮監「・・・信じたこと・・・」
垣根「あなたが寮監になった理由は何ですか」
寮監「・・・学生達に、規則正しい生活を歩んでほしかったからです」
垣根「ならばそれを貫きなさい、少なくとも何もしないよりはマシなはずだ」
寮監「・・・それが原因で、誰かに嫌われたとしても?」
垣根「当たり前です、嫌われることが怖くて人を好きになれますか?」
垣根「あなたはまだ人を好きになろうとしていない、ならまずはそこから始めなければならない」
垣根「生徒に愛情を注ぎなさい、そうすればあなたは自然と好かれる人間になるはずだ」
寮監「あ、愛情・・・」
垣根「いいじゃないですか、たとえ独身だとしても、生徒から怖がられたとしても」
垣根「それであなたが死ぬわけではない」
垣根「大切なのは、自分の考えですよ」
垣根「・・・さ、行きなさい」
寮監「は、はい!!!」タッタッタ
垣根(・・・ちっ、一人だと真面目に仕事しちまうなぁ・・・)
垣根(・・・もっと面白くやりたかったのに)チッ
垣根「・・・」ハァ
垣根「・・・そういや今日はうちの学校、能力測定だったっけ」
垣根「行けばよかったなぁ・・・未元物質で暴れまくりたかったなぁ」
垣根「・・・静かだ」
垣根「寂しいよぉ・・・」グスン
心理(・・・結局、気になって学校休んで来ちゃったけど)
心理(なによこのテント・・・翼はえてるし・・・)
心理(可愛いけど、なんだか見覚えがあるわ)
垣根「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ・・・」
心理「お邪魔するわよ」
垣根「!?心理定規、学校は・・・」
心理「あら、もしかしてこの店はお客さんにタメ口で話すのかしら」
垣根「な、なにを」
心理「そんなんじゃ、私の相談なんて言えないわね」
垣根「よ、ようこそおいでくださいました!!」
心理「よろしい」クスクス
垣根「それで・・・何の相談?・・・ですか」
心理「・・・ちょっとね、好きな人に疑いをかけちゃったの」
垣根「は、はぁ」
心理「・・・こんな素敵な店をしてるなんて知らなかったから・・・浮気か何かを疑ったのよ」
垣根「・・・浮気?」
心理「いえ・・・きっと、傍にいてほしかっただけなのよ、浮気なんてそんなことする人じゃないから」
心理「・・・その人にね、ちょっとひどいことを言っちゃって」
心理「・・・私が寂しい思いをしたからって、そんなこと・・・」
心理「もしかしたら、嫌われちゃったんじゃないかしら」
垣根「・・・それが、相談か」
心理「敬語」
垣根「・・・だとしたら、その相談には明確な答えが出ていますよ」
心理「どのような?」
垣根「あなたみたいな素敵な人に寂しい思いをさせてしまった・・・きっと、そのお相手も辛い思いをしている」
垣根「・・・だから、キスの一つでもして慰めてあげてください」
心理「・・・キス、ね」
垣根「そ、恋人にならそれが一番・・・」
心理「それじゃ、ちょっと失礼」チュッ
垣根「」
垣根(まさかここでされるなんて思わなかったでござる)
垣根(家に帰ってからされるんじゃねぇのかよ!?)
垣根(おっほぉ!!これはまずい!!まずいぜ!!!!!)
心理「・・・ごめんなさい、こんな素敵な仕事をしていたのに・・・私ったら」
垣根「い、いや!!悪くない!!お前は決して悪くないからな!!」
心理「・・・ねぇ、垣根」
垣根「な、なんだよ」
心理「今日は・・・学校、能力測定なのよね」
垣根「あぁ」
心理「・・・わざわざ受けなくてもいいから・・・今日一日はヒマなのよ」
垣根「お、おう」
心理「私も、一緒に働いてみていいかしら」
垣根「も、もちろん!!」
心理「ありがと」クスクス
垣根「・・・静かだな」
心理「そうね・・・やっぱり、学校があるからじゃない?」
垣根「学校行ってないヤツは大方来たからな」
心理「・・・二人きりね」
垣根「・・・あぁ」
心理「ねぇ・・・あなた、なんでこんな店を始めたの?」
垣根「うーん・・・ヒマだったからかな」
心理「ヒマだったから店を始めるなんて・・・世の中の、真面目に働いてる人に謝りなさい」
垣根「なんでだよ、みんなの悩みを解決すれば俺も人のためになれそうじゃないか」
心理「・・・あのね」
垣根「いやいや、罪ほろぼしなんかじゃないんだよ」
心理「あら、じゃあどうして?」
垣根「世界の一員として、誰かの役に立ちたいというのは当たり前だろ?」
心理「・・・あなたのそういうところ、結構好きよ」
垣根「そりゃどうも」
心理「・・・ねぇ、呼び込みでもしてみる?」
垣根「するか」
心理「・・・眩しい」
垣根「大丈夫か?」
心理「いきなり明るい所に出ると目の奥が痛くなるわよね」
垣根「あぁ・・・俺も今まさにそれだ」
心理「日傘持って来ればよかったわ・・・」
垣根「未元物質使おうか」
心理「いいの?」
垣根「そっちのほうが人の目を引くだろ」
心理「・・・私はついでなのね」
垣根「・・・あれ、なんか怪しい雰囲気になったな」
心理「冗談よ、ありがとう」
垣根「・・・しっかし、この時間に公園なんかに来てるヤツらはどうなんだろうな」
心理「私達はまた別だけど・・・あの人達とか、学校はないのかしら」
垣根「スキルアウトなんじゃねぇの?」
心理「あなたね・・・そういう差別的な発言すると嫌われるわよ」
垣根「それか学校サボりやがったな」
心理「あなたじゃない」
垣根「・・・ん?なんか来た」
滝壺「・・・かきね、おはよう」
垣根「おっす・・・お前だったのかよ、遠目に見てたら分からなかったな」
心理「滝壺さん・・・今日は浜面君とじゃないの?」
滝壺「うん、はまづらは今日は一緒じゃない」
垣根「あいつがお前と一緒じゃないなんて珍しいな」
心理「そうね、いつもいつも一緒にいる気がしてたけど」
滝壺「・・・今日ははまづらといたくない」
垣根「な、なんでだよ?」
滝壺「・・・そこ、かきねのお店だよね?」
垣根「あ、あぁ・・・入って話すか」
滝壺「うん」
心理「・・・」
垣根「で、なんで浜面といたくないんだよ」
滝壺「・・・昨日の夜ね、はまづらがいきなり私のベッドに入ってきたの」
心理「あら・・・なかなか大胆な行動に出たわね」
滝壺「・・・はまづら、なんであんなことしたのかなって考えたんだ」
垣根「待て、お前はその時どうしたんだよ」
滝壺「暑かったからイヤだって言ったよ?」
垣根(浜面、ドンマイ)
滝壺「そしたらはまづら、自分とじゃイヤなのかって泣き出しちゃって」
心理「・・・たしかに、それは泣くわよね」
滝壺「・・・きっと、はまづらは羽毛の枕で寝たかったんだね」
垣根「はぁ?」
滝壺「はまづら、今合成繊維の枕で寝てるんだ」
滝壺「きっと、はまづらは羽毛の暖かさが恋しかったんだ」
滝壺「でも私も羽毛が好きなの知ってて、一緒に羽毛の枕で寝ようと思ったんだよ」
滝壺「・・・でも私、羽毛の枕に二人の頭が乗るのっておかしいと思うから」
滝壺「一羽の鳥には一人の勇者しか乗れないんだよね、なんだかそんな物語がありそうだよ」
垣根「・・・お前、何言ってるんだよ」
心理「・・・滝壺さん、あなたってちょっと・・・おかしいわよ」
垣根「言ったな、心理定規」
滝壺「・・・そうだよね、はまづらとなら一緒に羽毛の枕で寝てよかったんだよ」
垣根「違う、浜面はお前とあることをしたかっただけなんだ」
滝壺「チェス?」
垣根「なにをどう考えてたらチェスって結果が出たんだよ」
滝壺「何となく、はまづらはチェスがとっても弱いから練習したかったのかもしれないね」
垣根「エッチだよエッチ」
心理(あら、言っちゃったわね)
滝壺「エ、エッチ・・・?」
垣根「お前のマ○コに浜面はチ○コを突っ込みたかったんだよ」
心理「やめなさい」
滝壺「・・・はまづらは、私のマ○コに自分のチ○コを突っ込みたかったの?」
心理「滝壺さん、やめて」
垣根「そうだよ・・・滝壺、お前は浜面とエッチをしたいと思ったことはないのか?」
滝壺「・・・したいよ、だって大好きだもん」
垣根「ならしてやれよ」
滝壺「・・・やっぱり、不安なんだ」
心理「あら・・・それは誰だってそうなのよ?私も初めての時はドキドキしたもの」
滝壺「心理定規の初めての時はどんな感じだったの?」
心理「・・・垣根も初めてだったから、あんまり緊張はなかったわよね?」
垣根「あぁ、初めてなんてそんなもんだぜ?」
滝壺「ううん、不安なのはそれだけじゃないんだ」
垣根「・・・他に何かあるのか?」
滝壺「・・・はまづらってね、バニーさんが大好きなんだ」
垣根「あぁ、そういやそんなこと聞いたな」
滝壺「・・・きっと、私もそういう時に着せられちゃうんだ」
垣根「・・・浜面がそんなことするか?」
心理「・・・でも浜面君って、一目につく所であんな露出の高い服を着ているっていうギャップに萌える人なんでしょ?」
滝壺「だから不安なんだ・・・」
垣根「・・・変態チックなプレイをさせられそうだからか?」
滝壺「うん、はまづらって多分一度ハマると抜け出せないと思う」
垣根「あぁ、それはよく分かるな」
滝壺「・・・ねぇ、私達はどうすればいいのかな?」
心理「・・・信じてみなさいよ、浜面君はあなたをただ愛しているだけなのよ?」
滝壺「でも・・・」
心理「本当に愛している人が嫌がるようなこと、浜面君はするかしら」
滝壺「ううん、そんなことはしないよ」
心理「なら信じなさい、疑うよりはよっぽどいいでしょ?」
滝壺「・・・うん、分かった」
垣根「ただな、あんまり急ぎすぎることはないからな」
滝壺「?」
垣根「お前がまだだって思うならそうしたほうがいい、後悔しないような初めてをな」
滝壺「分かった、ありがとね二人とも」
心理「それじゃね」
垣根「・・・」
心理「ああいう思春期の悩みは面白いわね」
垣根「浜面、どうすると思う?」
心理「さぁ?それはあの二人次第よ」
垣根「ふーん・・・」
心理「あら、なんだかよく分からない人が来たわよ?」
垣根「あ、あのピョコンと跳ねた前髪、その上から掛けた微妙にダサいサングラス!!」
垣根「そしてあからさまに悪趣味なあの車は!!!」
??「うーん、2時間58分と32秒、また一秒・・・世界を縮めたぁ・・・」
??「しっかし、瓜実のヤツはどこ行ったんだよ・・・」
??「みのりさんもどっか行っちまうし・・・」
垣根「クーガー!?アンタ・・・ストレイト・クーガーだろ!?」
心理「だ、誰?」
??「おいおい、一体誰に向かって話してるんだ坊主?」
垣根「!?いつの間に後ろに!?」
??「ハハハハハ!!誰も俺の速さに追いつけない、目で追うことすらも叶わないほどの圧倒的な速さ!!」
垣根「さ、さすがだ!!」
??「俺の速さについていける人間なんて世界中にいるわけが無い!!」
心理(誰なのこの人)
??「そこのお嬢さん!!」
心理「は、はい」
??「あなたがこの世で最も素晴らしいと思うものは何ですか?」
心理「あ、愛情・・・かしら」
??「うーん、実に素晴らしい答えです、愛情というのは人々の何気ない生活に一筋の光を差し伸べてくれます、退屈な朝でも恋人が朝食を作って待っていてくれればそれは素晴らしい寝起きへと変貌を遂げ、日課である散歩も恋人と一緒ならまるで特別な旅路のようにさえ思えます、愛情というのは人々の生活にゆとりと潤いをもたらし日々の柵からほんの一瞬ですが心を解き放ってくれます」
??「しかし、そもそもその愛情を得るには相手に自分の愛情を伝えなければなりません、もしも愛情を伝えるのが遅ければ他の誰かにお目当ての異性を奪われるかもしれない、伝えるのが遅ければ相手が先に自分に思いを伝えてくるかもしれない、どちらにしろ自分から何か行動を起こし、自分で掴み取った能動的な幸せは得られないのです」
心理「え、えぇ」
??「では自分が思いに気づいた瞬間に相手に伝えるのはどうでしょう、速さこそがこの世の理です、振られてしまう可能性なんて忘れてしまいましょう、振られてしまえばまた最速で新たな恋を見つければいいのです、もしも遅ければ少なくとも人生の中に用意されている貴重な時間というものを無駄に使ってしまいます、それではもったいないとは思いませんか」
心理「お、思います・・・」
??「かくいう俺もかつてほんのちょーっとだけ遅かったことが理由で思い人に手が届かなかったことがあります、それはとても悔しくまた悲しいものでした、しかしそれでも俺は最速で自分の心を調整しました、すなわち彼女の幸せを見守ろうという結論に至ったのです、最速で!!!」
心理「は、はぁ」
垣根「す、すげぇ理論だむちゃくちゃだ!!」
??「俺がどうしてここまで必死になっているか分かりますか?この街の住人は非常にスロウリィです、それはもうとてつもなく」
??「毎日毎日学校に通い、宿題を終わらせて余った時間で友達と遊ぶ、非常に規則的に見えますがしかしそれは変わり映えの無い人生です、安定などしてしまった人生は怠惰と同じです、自分の今だけを見つめ、今から脱したくないとその場に留まり、同じ幸せだけを毎日毎日味わっている!!」
??「愚かとは思いませんか!?最速で突っ走ればもっと違う世界に行けるのです、俺だったらこんな退屈な生活はイヤなものですけどねぇ」
心理「・・・あら、ゆっくり歩かないと景色を楽しめないものよ?」
??「これは手厳しい」
心理「それに、時として羽を休めたオアシスで、人は女神に会うものなのよ」
??「なるほど、それもまた文化」
垣根(心理定規・・・立派に育って・・・)ウルウル
心理「それより、あなた人探しをしてるんじゃなかったの?」
??「そうだった、俺は人探しをしているんです、最速で探し当てるにはここでこんな・・・」
心理「はいはい、だったらさっさと行きなさい」
??「それでは、可憐なお嬢さん!!!」
垣根「・・・速すぎた、知覚出来ない」
心理「あなた、半ば無視されてたわよね」
垣根「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
心理「・・・何よ、大声出して」
垣根「サイン貰うの忘れてた!!」
心理「・・・あのね、私達は今客引きをしてるのよ?」
垣根「・・・そんなもん、お前が男を誘惑すればいいんだよ」
心理「あら、ここで脱げって言うの?」
垣根「・・・いや、そうじゃなくて」
心理「・・・じゃあどうするのよ」
垣根「こう・・・私を食べて、みたいな」
心理「変わらないじゃない、第一そんなので釣れる男なんていないわよ」
垣根「・・・あれ?なんか超スピードで駆けてくるヤツがいるんだが」
心理「あら、本当ね」
イン「今、どこからか食べるという単語が聞こえてきたんだよ!!」キラキラ
垣根「よぉ、イカ娘」
イン「ゲソー!!!って違うんだよ!!!」
垣根「おぉ悪い悪い、でも食べ物は無いぜ?」
イン「ちっ・・・とんだ時間の無駄だったんだよ」
心理「久しぶりね・・・元気だった?」
イン「うん、でも最近出番がもらえなかったんだよ!!」
垣根「・・・そうだな、お前って原作でも出番減ってきてるもんな」
心理「そういうネタはやめなさい」
イン「そうなんだよ!!メインヒロインは私なんだよ!!」
垣根「俺もさ、15巻しか出てきてないんだぜ?そのあとちょくちょく名前は出てきてるけど復活してないし」
心理「ねぇってば」
イン「かきねはかわいそうなんだよ!!」
垣根「・・・かませだったからな」
心理「その話はやめなさいよ」
垣根「・・・で、なんでお前は公園にいたんだ」
イン「こもえがね、たまには外で遊びなさいって!!」
心理「そういえば、今は先生の家に居候してるんだったわね」
イン「とうまとみことの邪魔は出来ないんだよ!」
垣根「お前・・・いいヤツだな」
イン「それに、こもえの家は美味しいものがいっぱいあるんだもん!!」
垣根「お前・・・やなヤツだな」
心理「どっちなのよ」
垣根「・・・てか、小萌ってなんでそんなに子供拾いたがるんだろうな」
心理「だってあの人独身でしょう?寂しさを紛らわしてるのよ」
イン「正論過ぎて何も言えないんだよ」
垣根「小萌が聞いてたら泣くぞ」
心理「・・・でも、小萌先生が学校のときはあなた、どうしてるの?」
イン「・・・冷蔵庫から適当に漁ってるんだよ!!」ニコニコ
垣根「まず食のことから答えるんだな」
心理「生きるために食べるっていうより食べるために生きてるわよね」
イン「何も言えねぇ」
垣根「・・・ところで、そろそろ昼飯の時間だがどうする?」
イン「う・・・そうだ、ここに来たのは外食するためだったんだよ・・・」
心理「さっき外で遊ぶためだったって言ったじゃない」
イン「おなか空いたんだよ・・・」グキュー
垣根「女のクセに腹鳴らすんじゃないって」
心理「・・・そうよ、インデック・・・」グー
垣根「・・・」
心理「・・・」
垣根「素晴らしいノリツッコミだな」
心理「・・・ねぇ、一緒にどこか食べに行きましょうよ」カァッ
垣根「ごまかすな」
心理「・・・何か聞いたのかしら、何も聞かなかったわよね、えぇ?」
垣根「怖いから来ないで」
イン「そうだ!!じゃあ、とうまの学校に行ってみようよ!!学食ってのがあるんだよ!!」
垣根「・・・そうだな、まぁ今日は制服着てないけど・・・」
心理「それじゃ行きましょうか」
垣根「あぁ」
垣根「お前、おなか空いてたんだな」
心理「なにか言った?」
垣根「・・・てかさ、今更だけどインデックスは学校行っていいのか?」
イン「?ダメなのかな?」
心理「さぁ・・・私と垣根は一応生徒になっているけど」
垣根「めんどくせぇなぁ・・・もし追い返されたらどうするんだよ」
イン「小萌がなんとかしてくれるんだよ!」
心理「そんなわけないでしょ・・・」
垣根「・・・そんな話してる間に着いちまったな」
垣根が足を止める
今思えば、私服でこの学校に来るのは久しぶりになる
垣根「・・・よし、行くか」
イン「学食学食!」
心理「食べるために学校に来たのね・・・」
イン「ついでにとうまの学校での態度を確認するんだよ!」
垣根「保護者かよ」
上条「・・・なんだかイヤな予感がするんだよな」
土御門「にゃー、カミやんのそういうのはたまに当たるから困るぜぃ」
青ピ「ほんまやなぁ」
姫神「これで悪いことが起きたら。責任を取って」
上条「お、俺のせいか?」
吹寄「全く・・・上条はお騒がせすぎるのよ」
上条「いや、俺は悪くない・・・」
垣根「風紀委員ですの!」ガラガラ
心理「違うでしょ」
青ピ「なんや、垣根やん!」
土御門「にゃー、久々じゃないかにゃー!」
姫神「まさか。このタイミングで来るなんて」
吹寄「な、なんで今更来てるの!?」
垣根「いいじゃねぇか」
イン「あ!とうま発見なんだよ!」
上条「あぁ、イヤな予感が的中してしまいましたよ」
青ピ「なんや、シスターさんがわざわざ会いに来てくれるなんて羨ましいなぁ」
上条「違うだろ!なんでインデックスがいるんだよ!?」
垣根「たまたま会ったから連れてきた」
上条「余計なことするなよ!こいつが来たら弁当全部奪われ・・・」
イン「・・・とうま」
上条「」
イン「美味しそうな弁当だけど・・・なんでお米の上にハートが描かれてるのかな?」
土御門「にゃー、これはカミやんの愛する彼女が作ってくれたからだにゃー」
心理「あら、美琴が作ってくれたの」
上条「だ、だからインデックスに分けるわけにはいかな・・・」
イン「・・・お腹の空いてる私に何もくれないなんて、とうまは鬼畜なんだよ!」
上条「ま、待って!なんで口を開けてるの!?」
イン「食べ物を放るんだよ!しなかったら噛み付くから!」
上条「な、なんでそんな・・・!?」
イン「いただきまーす!」
上条「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
吹寄「・・・垣根、私の弁当少し食べる?」
垣根「うわぁ・・・なんか健康第一って感じの弁当だな」
吹寄「な、なによ悪い!?」
姫神「垣根・・・私の食べてもいい」
垣根「マジか、サンキュー」
心理「・・・垣根、吹寄のも食べてあげなさいよ」
垣根「・・・姫神の弁当美味いな、お前いい嫁さんになれるぜ」
姫神「ふ・・・ふふふ。これは中々いい特技」
吹寄「・・・いいわよ、私の弁当なんてどうせ・・・」
垣根「ん?吹寄のも結構美味いな」
吹寄「!そ、そう?」
垣根「あぁ」
吹寄「・・・よかった」
心理「はぁ・・・垣根、あなたねぇ・・・」
垣根「分かってるって、お前の作った料理が一番だからな」
心理「あら嬉しい」
土御門「心理定規は料理上手かったよな」
青ピ「いつも垣根の分のお弁当作って来てたもんなぁ」
垣根「・・・は?」
青ピ「垣根がいつ学校にふらっと現れてもいいようにって、多めに弁当作ってたんやで?」
土御門「でもお前、いつも来ないからにゃー」
姫神「私達が分けてもらってた」
吹寄「おかげで心理定規の美味しいお弁当を食べられたけど」
垣根「そ、それマジなのか?」
心理「・・・別にあなたのために作ってたわけじゃないわよ、勘違いしないで」フン
垣根「なぁ・・・いつも俺が来ていいようにしてたのか?」
心理「だ、だから違うんだってば・・・」カァッ
垣根「・・・心理定規、お前可愛いな」
心理「ふえぇっ!?」アタフタ
垣根「やべぇよ、過去に戻れるなら自分の頭を殴ってやりたいくらいにな」
心理「だ・・・だから、あ、あなたのために作ってたわけじゃ・・・」カアッ
土御門(リア充見せつけやがって)
吹寄(この二人・・・ホントお似合いよね)
青ピ(ちっ、爆発せぇや)
姫神(・・・ちょっと味付け濃かった)
上条「・・・美琴が作ってくれた弁当が・・・!」
イン「美味い!美味いんだよ!みことの料理は一級品なんだよ!」
上条「!た、頼む!その卵焼きだけは俺に・・・」
イン「いただきます!」
上条「なんで不機嫌なんだよ!?」
イン「当たり前なんだよ!みことの愛妻弁当ににやけてるとうまなんて見ててイライラするんだよ!」
上条「だからなんでだよ!?」
イン「春によくある、センチメンタル、そうでしょ!?」
上条「誰がそんなネタ分かるんだよ!」
イン「ふん!寮に帰って、みことに今日の卵焼きの感想を聞かれて嘘の感想を言ったあと、それが嘘だったってバレて喧嘩になればいいんだよ!」
上条「なんでそんなに陰湿なんだよ!?」
イン「とうまなんか嫌い!」
上条「嫌いなヤツの弁当だから奪ったのかよ!?」
垣根「よぉ、仲良しだな」
土御門「見てると兄妹みたいだぜぃ」
青ピ「カミやんったら、シスターさんを妹にするなんて・・・」
上条「してないから!」
吹寄「上条・・・貴様そんなことして!」
上条「してないってば!」
姫神「・・・垣根。あーん」
垣根「あーん」
心理「ちょっと、何私の垣根に手出してるのよ」
姫神「さっきリア充を見せつけられたから。逆襲」
心理「はぁ・・・」
上条「それより・・・垣根、お前なんで今日は制服じゃないんだよ?」
垣根「いや、急に来ることになったからさ」
土御門「だからこんな中途半端な時間に来たのか」
垣根「あぁ」
イン「・・・私はどうすればいいのかな?」
上条「帰れよ」
イン「・・・とうま、みことと幸せになってからメインヒロインの私を無下にしすぎなんだよ!」
上条「ま、待て待てそういうネタはダメだ!」
吹寄「・・・そろそろ昼休みも終わるわよ」
上条「!?弁当食ってるだけで時間が過ぎていた!?」
垣根「いやぁ、昼休みなんて言葉も久々だな」
心理「・・・私、いつも昼休みにはあなたが来るんじゃないかって待ってたのよ?」
垣根「・・・心理定規、ちょっと二人きりになれる場所行こうぜ」
土御門「何するつもりなんだにゃー」
青ピ「学校であんなことやこんなこと!?」
姫神「・・・垣根。やめて」
垣根「ジョークだよ」
吹寄「・・・とにかく、垣根はそんな服装じゃ授業は受けられないわよね」
垣根「仕方ないな、インデックスもついでに授業見学するか」
イン「うん!」
上条「いやいや帰れよ!」
イン「帰らない!」
土御門「まぁまぁ、せっかく来たんだから」
青ピ「そうやでカミやん」
上条「・・・分かったよ」
吹寄「上条、さすがに冷たくしすぎじゃない?」
上条「だっていきなり噛み付かれたんだぜ!?不機嫌になっても仕方ないだろ!」
心理「ほら、教科書準備しなさい」
上条「クールにスルーされた!」
垣根「お前、そんなキャラだったか?」
小萌「野郎共ー!授業なのですよ!」スタスタ
土御門「あ、小萌先生が来たぜぃ」
小萌「はい、みなさん揃って・・・」
垣根「ちーっす」
小萌「」
垣根「なんだよ、ビビったような顔しやがって」
小萌「か、垣根ちゃんがやっと来てくれました・・・!」
垣根「あぁ、来て悪いか?」
小萌「やっと先生の愛が通じたのですね!?」
垣根「いや、心理定規が行こうって言うから・・・」
小萌「よかったのですよー!」
青ピ(あぁ、嬉しそうに笑うセンセも可愛ぇなぁ!)
姫神(というか。あのインチキシスターにツッコまないのが不思議)
吹寄「・・・先生、今日は垣根とインデックスさんが見学だそうです」
小萌「?シスターちゃんは見学でいいですけど、垣根ちゃんは・・・」
垣根「俺は今私服なんです、こんなふざけた格好で小萌先生の真面目な授業を受けるわけにはいかないですから」
小萌「な、なんて真面目な生徒なんですか・・・!上条ちゃん、あなたも見習って下さい!」
上条「真面目な生徒はそもそも私服で学校には来ないからな!」
心理「先生、早く授業を」
小萌「では教科書の26ページを開いて下さい!」
青ピ「・・・なになに、AIM拡散力場の・・・?」
土御門「簡単に言えばAIMについてってことかにゃー」
小萌「そうなのです!」
吹寄「でも今更そんな基本的なこと・・・」
小萌「基本的なことが出来ない子がいるのですよ・・・テストのときに間違える生徒とか」
上条「な、なんで俺を見ながら言うんですか?」
姫神「君が落ちこぼれだから」
小萌「上条ちゃん、AIMは何の略ですか?」
上条「アーティストイズミュージシャン!!」
土御門「バカだな」
吹寄「全くよ」
上条「ひ、ひどい・・・」
小萌「AIMとは未だに正体が明らかになっていないのですよ」
垣根「実際は科学的な力ではないがな」
小萌「?垣根ちゃんはAIMについて何か知っているのですか?」
垣根「別に」
イン「ねぇねぇ、AIMって何なの?」
小萌「能力者が知らない間に撒き散らしている、ちょっとした力なのですよ」
イン「ふーん・・・」
垣根「・・・にしても相変わらず低レベルな授業してんな」
心理「ちょっと、静かに見学してなさいよ」
垣根「・・・分かったよ」
上条(・・・なんか見られてると集中出来ないよな)
小萌「ということにより、このAIMを応用すれば能力者の能力を解析・・・」
垣根「ババンバン!ババンバン!ババンバンとバトルだー!」
小萌「・・・垣根ちゃん、静かにしてください」
垣根「馬鹿言ってんじゃないよー」
小萌「歌いたいならカラオケに行って下さい!」
垣根「だってよ、こんなつまらない授業じゃみんな退屈だろ?」
青ピ「そんなことないで?」
土御門「にゃー、垣根は優秀だからそう感じるだけだぜぃ」
垣根「あー、これだから俺は学校に来なくなったんだ」
小萌「先生の授業がつまらないから・・・垣根ちゃんは学校に来なくなったんですか・・・?」
垣根「まぁ、間接的な理由ではあるかもな」
吹寄「垣根!その台詞は許さないわよ!?」
垣根「先生のアソコをスケスケミルミルとかなら喜ぶけどな」
吹寄「垣根ぇ!」
垣根「くっだらねぇ、大体なんでロリが先生なんだよ」
土御門「い、言い過ぎだぜぃ垣根・・・」
小萌「いいのですよ・・・先生が悪いんです・・・」
垣根「だが」
垣根「俺はそんな先生が大好きだ」
垣根「こういうつまらない授業を、生徒のために繰り返す」
垣根「ロリとか言われているが包容力は溢れている」
垣根「ま、学校に来なくなった理由はつまらないからだが・・・小萌の授業、嫌いじゃないぜ」
小萌「か、垣根ちゃん・・・」
心理(倒置法で褒めるなんて卑怯よね)
イン「ねぇ、小萌のアソコをスケスケミルミルってどういうこと?」
垣根「パンツは白でも中は黒かもな」
青ピ「いやいや、中は肌色やで?」
垣根「え、マジ?小萌ってパイ○ン?」
小萌「それは内緒なのですよー」
上条「・・・あの、そんな無駄話してる間にかなり時間過ぎてますよ」
小萌「!?」
姫神「・・・もう。時間がない」
吹寄「・・・仕方ないです、垣根がふざけるから」
垣根「いいじゃねぇか、俺に常識は通用しねぇんだ」
イン「ねぇねぇ、私は次の時間も見学なの?ヒマなんだよ」
垣根「そうだな、次は授業に参加してみるか」
上条「結局授業受けるんじゃねぇかよ!」
小萌「じゃあ、次の時間は保健なのですよ」
青ピ「あっはぁ!恥じらう女の子が見られるでぇ!」
土御門「にゃー、青ピはそういうの好きだからな」
吹寄「汚らわしい・・・」
小萌「それでは、みなさん頑張るのですよ!」
垣根「あー、やっと休み時間か」
心理「あなた、何もしてなかったじゃない」
垣根「次の時間、お前の教科書貸してくれよな」
心理「一緒に並んで受けましょう?」
垣根「あいよ」
上条「・・・にしても、垣根のその服装すごいな」
垣根「あぁこれか、スクールの時はこの格好よくしてたな」
心理「懐かしいわね」
吹寄「でも・・・おかしいわよね、その服装」
垣根「?なんでだよ」
姫神「シャツの下にセーター着てる」
垣根「」
土御門「にゃー、そういえばおかしいぜぃ」
青ピ「痒くないん?セーターってチクチクするやろ?」
垣根「・・・常識が通用しねぇ格好だったのか」
上条「無意識だったのか」
イン「ねぇ、次の授業は保健なの?」
垣根「あぁ、性教育だったら嬉しいな」
心理「イヤよ」
垣根「・・・なんなら、今から二人きりで性教育しないか?」
心理「帰ってからね」
青ピ「あぁ!帰ってからね、なんて一度言われてみたい台詞やなぁ!」
垣根「ふん、お前は麦野とでも乳繰り合ってろ」
土御門「にゃー、そういえばお前、麦野とはどうなったんだ?」
青ピ「今度デートすることになったで」
上条「え、マジ?」
青ピ「ほんまほんま」
吹寄「・・・また一人、恋人持ちが増えるのね」
姫神「そして私達は。寂しい独身貴族へと変貌を遂げる」
心理「諦めたらそこで試合終了よ」
姫神「そもそも。出場資格を持っていない」
心理「・・・が、頑張ってね」
土御門「あー、俺も彼女ほしいぜぃ」
垣根「作ればいいじゃねぇか」
土御門「それはイケメンの理論だぜぃ」
青ピ「そうやって、普通は女の子の知り合いなんてそうそういないで?」
垣根「あぁ?そうなのか」
上条「そうだろ普通」
姫神「君が言っても。説得力が無い」
上条「な、なんでだよ・・・」
吹寄「・・・それより、そろそろ授業が始まるから席に着いて」
垣根「次は保健だから・・・黄泉川の授業か」
イン「おなか空いたんだよ!!」
上条「もうかよ!?」
心理「あなたってホント食いしん坊ね」
土御門「・・・どうせ、小萌先生の家でも食い荒らしてるに違いないぜ」
上条「お前・・・そうなのか!?」
イン「当たり前なんだよ!!」フンス
上条「ない胸を張るな!!」
心理「はぁ・・・騒がしいわね」
黄泉川「はいはい、席に着くじゃんよ」
垣根「よぉ、久しぶりだな」
黄泉川「あれ、私を殺そうとしたことのあるていとくんじゃんよ!!元気だったじゃんよ!?」
垣根「・・・お前、何気に俺のこと嫌いだろ」
黄泉川「ん?あとなんか知らない子がいるじゃんよ」
イン「私の名前はインデックスって言うんだよ」ニコニコ
黄泉川「そうか、見学者じゃん?」
心理「なんで分かったのよ」
土御門「にゃー、先生ってのは謎の多い生き物だぜぃ」
姫神「・・・それより。授業」
黄泉川「えー、今日は思春期の体の変化じゃんよ」
上条「なんか・・・いっつもそれな気が」
黄泉川「お前達にも必要な教育だからじゃん」
垣根「もう実技もしてますから大丈夫です」
吹寄「じ、実技!?」
垣根「なんだよ、ビビって」
青ピ「ヤってるんやなぁ!?」
黄泉川「はいはい、静かに」
心理「・・・さっさと進めましょう」
黄泉川「はい、垣根・・・56ページ音読してほしいじゃんよ」
垣根「はーい」
姫神(保健の教科書を音読・・・)
吹寄(私なら耐えられないわね)
垣根「思春期には、男女の体はそれぞれ性的に成長していきます」
垣根「男の股間にはチ」
吹寄「そんなこと書いてないでしょ!!!」
垣根「ちっ・・・女の体は、子供を妊娠できるように変化します」
垣根「俗に言う、私孕んじゃう、です」
土御門「そんなこと書いてないぜぃ」
イン「破廉恥なんだよ」
垣根「男性の精子が女性の卵子に届くと、夢が叶います」
垣根「出来ちゃった、という修羅場です」
心理「別に修羅場じゃないわよね」
垣根「ちなみに、その行為はなんというでしょうか!!青ピ!!!」
青ピ「セッ○ス!!!」
垣根「オウイェア!!!!」
吹寄「・・・あの、先生」
黄泉川「垣根、青髪、ちょっと立つじゃんよ」
垣根「はい」
黄泉川「反省してるか」
青ピ「すんませんでした」
黄泉川「よし、次のページを吹寄音読」
吹寄「そ、それだけ!?」
黄泉川「音読」
吹寄「・・・その・・・せ、精子は・・・」
垣根「携帯ってボイスレコーダー付いてたっけ?」
土御門「あぁ、付いてたぜぃ」
吹寄「貴様達!!もしかして録音・・・」
垣根「あぁあったあった、さっさと音読しろよ」
吹寄「くっ・・・せ、精子が卵子に届くと受精と呼ばれ・・・」
垣根「なぁ、その受精を行う行動ってなんだっけ?」
吹寄「ちょっと黙ってなさい!!」
心理(公開セクハラね)
黄泉川「最近は性の乱れが問題になってるじゃんよ」
上条「・・・避妊しないで、とかな」
垣根「そうだな、性を軽んじてるんだよな」
心理「そうね、もっとお互いが真剣に考えないと」
吹寄「ま、私はまだ関係ない話ね・・・」
姫神「私も。あまり関係ない」
青ピ「ボクもまだやなぁ」
土御門「最初に反応した三人が怪しいぜぃ」
上条「な、なにが?」
青ピ「カミやんって彼女と毎日ヤってそうやもんなぁ」
上条「いやいや!!そんなこと・・・」
黄泉川「上条、あとで職員室じゃんよ」
上条「なんで!?垣根と心理定規は!?」
黄泉川「?」
上条「なんで驚いてるんですか!?」
イン「とうま、真面目に授業受けるんだよ!!」
上条「お前いたの忘れてたよ!」
垣根「あー、それにしてもそろそろいざ来てみると授業も早いな」
心理「もう終わりですものね」
黄泉川「はい、それじゃもう終わるじゃんよ」
青ピ「?でももう少し時間残ってますよ?」
黄泉川「上条の説教しないといけないじゃんよ」
上条「マジだったんですか!?」
黄泉川「はい、さっさと職員室じゃんよ」
垣根「よかったな上条」
上条「よくねぇよ!!」
姫神「私達は先に帰るから」
吹寄「垣根、貴様も一緒に帰るわよね?」
垣根「まぁ久しぶりだしな、インデックスも一緒に帰るか」
イン「うん、帰るんだよ!!」
上条「インデックスにさえ見捨てられた!?」
イン「とうまなんてどうでもいいんだよ!!」プンプン
上条「心理さぁぁん!!!」
心理「じゃあみんなでケーキでも食べる?」
土御門「いいな」
上条「」
垣根「じゃあな、上条」
上条「マジで帰るのか!?」
心理「あとでこの店来て頂戴、先に行ってるから」
上条「いや・・・それを教えてくれてるだけマシだけどさ・・・」
姫神「上条君。私は上条君を応援してるから」
青ピ「ええなぁ、カミやんは人気者で」
土御門「にゃー、女の子に応援されるなんて羨ましいもんだぜ」
上条「イヤだよ・・・」ハァ
イン「じゃあねとうま、また後で!!」
吹寄「先生からしっかりと不純じゃない異性交遊を学びなさい」
上条「イヤだ・・・」
垣根「あばよダチ公」
上条「お前、死ぬのか」
心理「それじゃ、みんな行きましょう」
一同「おー」
上条「・・・俺も帰りたい・・・」
垣根「あー、こんな学校帰りとか久しぶりだな」
心理「・・・学校に来てなかったからよ」
吹寄「全くよ」
垣根「なんだよ、お前ら」
青ピ「カミやんと同じくらいモテるとかすごいなぁ」
姫神「でも私は。上条君のほうがいい」
土御門「にゃー、とにかくモテるヤツは嫌いだぜぃ」
垣根「羨ましいのか?」
土御門「羨ましいに決まってるぜぃ」
イン「あんまりモテると恋人が不安なはずなんだよ」
心理「そうね、たしかに不安だわ」
吹寄「ま、待ってよ!私は垣根なんて・・・」
垣根「忘れはしないぜ・・・あの時の乙女だった吹寄」
吹寄「い、いつの話!?」
垣根「相談屋にも来たじゃねぇか」
吹寄「あ、あれは・・・そう、別の人の話よ!」
青ピ「なぁなぁ、相談屋ってボクが行ったあれやろ?」
垣根「あぁ、中々繁盛してたぜ」
心理「土御門君は来なかったの?」
土御門「俺は悩み事なんてないからにゃー」
姫神「気楽すぎ」
垣根「お前も来なかったじゃねぇか」
姫神「私は。吹寄を遠くから見守ってた」
吹寄「そ、それを言わないでよ・・・」
イン「・・・相談屋って、公園にあったあのテントのこと?」
垣根「あぁ、あれだよ」
イン「相談・・・私も悩み事があるんだよ」
垣根「なんだ、なんなら今聞いてもいいぜ?」
イン「豚肉と牛肉ってどっちが美味しいのかな?」
垣根「知るか」
青ピ「あぁ、食べ物の話されたらお腹空くわぁ・・・」
心理「もうすぐ着くから待ってなさい」
吹寄「・・・あんまり甘いものばっかり食べてると太るのよね」
土御門「吹寄はそういうのよく気にしてるよな」
吹寄「女の子なら当たり前でしょ・・・」
姫神「私も。最近はあまり食べていない」
イン「もったいないんだよ!胃が何のためにあると思ってるの!?」
垣根「その考えはおかしいだろ」
心理「・・・でもたまにはパーッと食べるのも悪くないんじゃない?」
吹寄「ま、まぁね」
青ピ「心理定規ちゃんはあんまり気にせぇへんの?」
心理「食べてもそこまで太らない体質なのよね」
姫神「・・・なんて羨ましい」
イン「私もそうなんだよ!」
土御門「インデックスは太らないってより消化スピードが異常なんだぜぃ」
吹寄「そうなの?」
青ピ「どっちにしろ、痩せてるのはえぇ事やで」
垣根「・・・心理定規はもう少しもっちりしても可愛いと思うけどな」
心理「あら、ありがとう」
土御門「ちっ・・・見せつけやがって」
青ピ「ほらほら、着いたで?そんなイライラ忘れようや」
イン「やっと食べ物にありついたんだよ!」
垣根「さっきも食ってたじゃねぇか」
イン「食べるんだよぉぉぉぉぉぉ!」
心理「はぁ・・・落ち着きなさいよ」
垣根「とにかく、無駄話は中に入ってからにするか」
垣根「・・・で、中に入ったんだけどよ・・・」
心理「・・・なんで・・・」
ゴーグル「・・・なんで、心理定規さんと垣根さんがいるんすか」
垣根「なんで俺が後なんだよ」
心理「なんであなたがいるのよ」
ゴーグル「いや・・・フレンダさんの付き添いっす」
姫神「・・・垣根の友達?」
垣根「ゴーグル馬鹿だ」
吹寄「会ったことは・・・」
ゴーグル「ないと思いますよ」
土御門「にゃー、初めまして」
ゴーグル「・・・えぇ、初めまして」
垣根(土御門は知ってるだろ)
青ピ「なんや知り合いさんと待ち合わせかいな?」
ゴーグル「あぁ・・・一緒に来たんすけど、今はケーキ取りに行ってるんすよ」
イン「ふーん、それよりケーキ食べたい!」
心理「あなたそればっかりね」
垣根「・・・にしても、フレンダとこんな所にねぇ」
ゴーグル「・・・無理矢理連れて来られたんですよ」
姫神「でも。男友達とこんなところに来るなんて」
ゴーグル「あ、いや・・・」
垣根「フレンダってのはな・・・」
フレンダ「たっだいまー!!」ニコニコ
ゴーグル「あ、フレンダさん」
垣根「おっす」
フレンダ「」
心理「お久しぶり・・・ってほどではないわね」
フレンダ「な、なんでアンタ達がいる訳よ・・・」イライラ
垣根「偶然だよ」
姫神「・・・女の子・・・」
吹寄「・・・まさか、あなたも恋人持ちだったとは・・・」
ゴーグル「恋人なんかじゃないっすよ」
フレンダ「そこはもうそれでいい訳よ!!」
ゴーグル「よくないっす!!」
垣根「落ち着けよ」
土御門「にゃー、ここで会ったのも何かの縁だし一緒に・・・」
フレンダ「いやいや!!絶対いや!!」
姫神「?どうして?」
フレンダ「だ、だって・・・」
垣根「いいだろ、ゴーグル」
ゴーグル「は、はぁ」
フレンダ「ゴーグルのバカ!」
ゴーグル「えぇ!?」
垣根「・・・で、なんでフレンダはそんなに不機嫌なんだ?」
フレンダ「・・・別に」
姫神「フレンダさんとゴーグル君は。いつから付き合ってるの?」
ゴーグル「だから恋人じゃないですって」
土御門「にゃー、お似合いなのにな」
垣根「全くだよな」
心理「あなた達、お互いに好き合ってるんでしょ?あ、私ケーキ取ってくるけど」
吹寄「私も」
青ピ「ボクも行ってくるわ」
姫神「なら私も」
垣根「俺は残ります」
フレンダ「そこは気を利かせて行って来なさい!」
垣根「なんで?インデックスと土御門も残るんだぜ?」
フレンダ「その二人はなんだかんだ気を遣って話し掛けて来なさそうだから!」
イン「早くケーキ食べたいんだよ!」
ゴーグル「・・・食いしん坊なんすね」
イン「食いしん坊という名の女神なんだよ!」
ゴーグル「いや、女神ではないでしょ」
垣根「・・・ほら、早く取って来いよ」
吹寄「・・・じゃあ、垣根は何がいい?」
垣根「メルヘンケーキ」
吹寄「チョコケーキね、分かったわ」
心理「違うわよ、ショートケーキがいいのよね?ちゃんと天使の形したチョコの乗ってる」
垣根「よく分かったな、さすが心理定規」
青ピ「なんや、メルヘンケーキってそういう意味やったんか」
姫神「意味が分からない」
垣根「ほら、行った行った」
吹寄(・・・なんか知らないけどイライラするわね)
ゴーグル「・・・にしても、垣根さんはあんなにたくさんの友達がいたんすね」
垣根「あぁ、まぁな」
ゴーグル「・・・楽しそうで何よりっすよ」
垣根「お前は相変わらずアイテムとつるんでるのか」
ゴーグル「はい・・・みなさん優しいっすよ、最初は受け入れられるか分からなかったんすけど」
垣根「よかったな、居場所が出来て」
ゴーグル「・・・はい」
垣根「でさ、なんでフレンダは不機嫌なんだよ」
フレンダ「・・・ちょっと、ゴーグルこっち来て」
ゴーグル「は、はぁ」
垣根「じゃあ俺も行きますか・・・」
フレンダ「来るな」
垣根「はい」
フレンダ「・・・ゴーグル、アンタって私をどうしたい訳よ」
ゴーグル「な、何がっすか?」
フレンダ「・・・あのね、せっかく私はアンタをデートに誘った訳よ」
ゴーグル「はぁ・・・またデートなんすか」
フレンダ「デートに決まってるじゃん!」
ゴーグル「だったら出掛ける前にこれがデートだって言ってくださいよ」
フレンダ「言わなくても分かるでしょ!」
ゴーグル「分からないっすよ・・・大体、俺はあんまりデートばっかりはイヤだって言ったじゃないっすか」
フレンダ「で、でも私はデートしたい訳よ!」
ゴーグル「・・・ケーキバイキングに行きたいって言うから着いて来たのに」
フレンダ「私とデートしたくないって言いたいの・・・?」
ゴーグル「そうじゃないっすよ」
フレンダ「そう聞こえる訳よ」
ゴーグル「ただ毎日毎日デートだって騒がれてたらイライラするんすよ」
フレンダ「・・・あぁそう!アンタは私なんかとデートしても楽しくないって言うんだ!」
ゴーグル「そうは言ってないでしょ!」
フレンダ「いいわよもう!」
ゴーグル「な・・・なんなんすか」
垣根「あ、帰ってきた」
イン「?なんか怒ってるみたいなんだよ」
フレンダ「・・・」
垣根「?」
ゴーグル「・・・」
垣根「なぁ、なんか不機嫌だな二人とも」
フレンダ「そんなことない訳よ」
ゴーグル「そうっすよ、なんも無かったっす」
フレンダ「へぇ、私を怒らせたことはどうでもいいって聞こえる訳よ」
ゴーグル「俺の気持ちを考えないで平気なんすね」
フレンダ「・・・」
ゴーグル「・・・」
垣根(や、やべぇ・・・今にもバトルが始まりそうな高揚感だ)
イン(楽しんだらダメなんだよ)
吹寄「ただいま」
青ピ「いやぁ・・・美味しそうなのがたくさんあったから迷ったわ」
土御門「にゃー、同じチョコケーキでもあんなに種類があるとは思わなかったですたい」
姫神「はい、垣根」
垣根「サンキュー」
心理「・・・ゴーグル君達は何も食べないの?」
ゴーグル「いいっすよ、俺は別にケーキ食べたかったわけじゃないっすから」
フレンダ「ふーん、嫌々来たなら最初から来なきゃいいのに」
ゴーグル「嫌々来ただなんて誰も言ってないじゃないっすか」
フレンダ「ケーキ食べたいわけじゃないんでしょ?なら嫌々じゃん」
ゴーグル「・・・」
吹寄(な、なんだか急に気まずい雰囲気・・・)
青ピ(喧嘩したんかなぁ?)
土御門(・・・なんなんだにゃー)
心理「・・・あら?上条君も来たみたいよ」
垣根「ホントだな」
上条「はぁ・・・や、やっと見つけた・・・」
心理「お疲れ様、説教はどうだった?」
上条「イヤなもんだったよ・・・しっかり年齢を考えた愛情表現を心得て・・・ってさ」
吹寄「なんだかかなり真面目に怒られたみたいね」
上条「全くだよ・・・ってゴーグルとフレンダもいたのか」
ゴーグル「あ、どうも」
上条「あぁ、久しぶり」
フレンダ「ふん、他人にはいい顔して」
ゴーグル「・・・一々噛み付いてこないでくださいよ」
フレンダ「別に噛み付いてない訳よ」
イン(・・・ケーキが美味しくないんだよ・・・)
心理「・・・フレンダさん、ちょっといいかしら」
フレンダ「?」
心理「女同士の話がしたいんだけど」
フレンダ「あ、うん・・・」
垣根「なんだよ、隠し事か?」
心理「・・・悪いかしら」
垣根「いや、別に」
姫神「私達も行こうか?」
心理「いえ、大丈夫よ」
吹寄「じゃあ、また後でね」
心理「えぇ」
ゴーグル「・・・」
垣根「・・・なぁ、ゴーグル馬鹿」
ゴーグル「はい、なんすか?」
垣根「フレンダと喧嘩したな、しかもかなり短時間で」
ゴーグル「な、何言ってるんすか」
上条「あぁ、だから気まずかったのか」
土御門「バレバレだったぜぃ」
青ピ「ほんまやな」
ゴーグル「・・・いや、別に喧嘩なんて・・・」
上条「なぁ、仲直りしたほうがいいんじゃないか?」
垣根「てかなんで喧嘩になったんだよ」
ゴーグル「・・・フレンダさん、デートのつもりだったみたいなんすよ」
青ピ「・・・ちょっと羨ましいわぁ」
ゴーグル「でも俺、二人きりの時間も大切だと思いますけど・・・たまには友達とか知り合いとかとワイワイやる時間も必要だと思うんすよ」
上条「あぁ、ゴーグルにとって今日はワイワイやる時間だったのか・・・」
吹寄「それを怒られちゃったのね・・・」
姫神「愛故の喧嘩。なんという映画みたいな話」
ゴーグル「・・・フレンダさん、今日デートだと思ってたんすよね」
垣根「女って身勝手だよな・・・流石に束縛しすぎだってな!」
ゴーグル「・・・でも、ちょっと悪いことしました」
吹寄「・・・そうだ!私達が仲直りさせてあげるとかどう!?」
ゴーグル「あ、いや・・・わざわざそこまで」
イン「それは面白そうなんだよ!」
青ピ「えぇなぁ!」
土御門「一肌脱ぎますたい!」
姫神「私も。協力してもいい」
垣根「よーし!やってやる!」
ゴーグル「ま、待ってくださいよ・・・」
上条「じゃあとりあえずケーキ食い終わってから仲直り作戦開始だな!」
一同「おー!」
ゴーグル(こ、これがクラスの団結力っすか・・・そりゃ内気な生徒は入り込めないっすよね!?)
心理「・・・フレンダさん、ゴーグル君はどんな調子?」
フレンダ「・・・何が?」
少し離れた席で、二人は向かい合いながら話していた
ニコニコと笑う心理定規を見ながら、フレンダは首を傾げていた
心理「だから、アイテムの中で・・・馴染めてるかしら?」
フレンダ「そんなの何度も見てきたでしょ?」
心理「あら、一番近くにいるのはあなたなんだからよく知ってるでしょ?」
フレンダ「・・・別にいつも一緒にいるわけじゃないもん」
心理「いつも一緒だなんて言ってないわよ?」
フレンダ「・・・」
フレンダが心理定規を睨みつける
別に彼女が嫌いなわけではないが、大人っぽく振る舞う相手は苦手なのだ
それに昔は曲がりなりにも敵同士だった間柄だ
気安く話せるわけがなかった
フレンダ「・・・で、なんで私を呼び出した訳よ」
心理「・・・さっきの場所にあなたとゴーグル君の二人がいたら、また喧嘩するでしょ?」
フレンダ「ふーん・・・てっきり私に反省しなさいって言うためかと思ってた」
心理「してくれるならそれが一番だけど・・・あなたは捻くれてるからそうはいかないでしょ?」
フレンダ「捻くれてるなんてアンタみたいな他人には言われたくない訳よ!」
心理「・・・他人、ね」
フレンダ「・・・ご、ごめん・・・別にアンタが嫌いなわけじゃないんだけどさ」
心理「ふふ・・・好きな人に素直になれなくてイライラする、その気持ちよく分かるわよ」
フレンダ「!?そんなんじゃないから!」
心理「今更否定しなくていいのよ」
フレンダ「だ、だって・・・デートだって言ったら嫌がるような男な訳よ」
心理「あら、あなた達今日はデートだったの?」
フレンダ「女の子と二人で出掛けるっていったらデートでしょ・・・」
心理「・・・それは押し付けすぎよ、ゴーグル君はそんなの好きだと思わないわ」
フレンダ「・・・でも、そこは分かって欲しかったの」
心理「分かるわよ、その気持ちも・・・好きな人に回りくどい愛情表現をして、自分に興味を持たせたいのよね」
フレンダ「・・・うん」
心理「・・・ゴーグル君はね、あなたに自然体でいてほしいのよ、きっと」
フレンダ「・・・自然体?」
心理「普段のあなたでいてほしいのよ」
フレンダ「・・・だって、普段の私じゃ振り向いてもらえないもん」
心理「あなた・・・」
フレンダ「ホントはさ・・・もっと素敵でもっと美人で・・・もっと優しかったら、ゴーグルにすぐ好かれると思うんだ」
フレンダ「それこそアンタみたいだったら・・・」
フレンダ「・・・私はそんな素敵な女じゃないから、だから頑張って振る舞って・・・振り向かせたかった訳よ」
心理「・・・」
フレンダ「でも、ゴーグルはそういうのがイヤだったのかな・・・」
心理「中々発展しないわよね・・・擦れ違いすぎよあなた達」
フレンダ「・・・うん」
心理「分かった、私が協力してあげるから」
フレンダ「協力?」
心理「あなたとゴーグル君が二人きりになれるようにするから・・・そうなったら謝りなさい」
フレンダ「あ、謝るって・・・」
心理「はい、そうと決まったらみんなの所に帰るわよ」
フレンダ「ね、ねぇ」
心理「なに?」
椅子から立ち上がった心理定規がクルリと振り返る
フレンダ「なんでそんなに・・・よくしてくれるわけ?」
心理「そうね・・・好きな人との距離に悩んでる人を見ると、手出ししたくなっちゃうのよ」
フレンダ「?」
垣根「だから、俺達が後をつけながら指示を出す!」
土御門「いやいや、それじゃめんどくさいぜぃ」
吹寄「いっそのこと、私達の一人がゴーグルさんを好きになった振りをしてヤキモチを・・・」
姫神「今やったら逆効果」
イン「ここはお腹一杯食べて仲直りなんだよ!」
上条「そんなことできるわけないだろ・・・」
垣根「やっぱり、尾行しながら指示を出す、が一番だよな」
ゴーグル「あ、あの・・・」
垣根「安心しろ!絶対に成功させるからな!」
ゴーグル「いや、誰も頼んでない・・・」
上条「あ、二人が帰ってきた!」
垣根「心理定規には俺がこっそり伝える」
吹寄「じゃあ任せたわよ」
土御門「泥船に乗ったつもりでいてくれ!」
青ピ「それ沈むやんかー!」
土御門・青ピ「わははは!!!」
上条「つまんない漫才はするな・・・」
ゴーグル「はぁ・・・」
ゴーグル「・・・大丈夫なんすかね・・・」
心理「・・・それで、尾行してるってわけね」
垣根「・・・あいつらと別々の方向に帰ると見せかけての尾行だ、完璧だろ」
イン「もっと食べたかったんだよ・・・」
上条「我慢してくれ・・・」
姫神「ふふふ。まさかフレンダは。私達が尾行してるとは思わないはず」
心理(まずいわね・・・フレンダとゴーグル君を二人きりにしないと)
心理(かといって、普通にそれを伝えてもみんなは納得しないわ・・・)
心理(尾行したほうが楽しいとか言い出しそうだから・・・)
心理(となると、ここで立ち止まらなければならない理由を作りましょうか)
心理(別に何分も足止めしなくてもいいのよ、二人が私達の視界から消えればいいんだから)
心理(とはいえ・・・少し恥ずかしいわね)
心理(・・・感謝してよね、二人とも・・・)
心理「痛い!」
垣根「!?どうした心理定規!?」
突然、心理定規がその場に屈み込んだ
心理「な、なんでもないわ・・・ちょっと足をくじいただけ・・・」
垣根「はぁ!?ちょっと見せてみろ!」
心理「だ、大丈夫・・・」
垣根「いいから無理するな!」
心理(・・・嘘だから、心が痛むわね)
吹寄「大丈夫?」
姫神「暗くなってきたから。足元がよく見えないせいかも」
土御門「たしかにな・・・」
心理「ごめんなさい・・・」
垣根「ちくしょう・・・暗くてよく分からない・・・」
青ピ「痛むんか?」
心理「えぇ・・・」
イン「・・・回復魔術を・・・」
土御門「それはダメだぜぃインデックス」コソッ
イン「で、でも!」
垣根「仕方ないな・・・さすがに心理定規をおいていくわけにはいかない」
土御門「じゃあ・・・」
姫神「・・・というか。今から私達だけ追い掛けようにも姿を見失った」
青ピ「!?ホンマや!」
上条「しまった!せっかくゴーグルを助けてやるチャンスだったのに・・・」
心理「そうよね・・・私のせいよね・・・」
上条「・・・え?」
吹寄「・・・上条、ちょっとこっちに来なさい」
上条「え?」
土御門「カミやん、タイミングってもんがあるんだぜぃ」
イン「来いよ、久しぶりにイラっと来ちまった」
上条「なんかインデックスはキャラが変わってないか!?」
垣根「上条・・・お前は俺を怒らせた!」
上条「そ、そういう意味じゃないんだ!」
心理「うぅうぅ・・・」
上条「明らかに嘘泣きじゃねぇか!」
青ピ「可愛い女の子を泣かせるなんて言語道断!」
土御門「制裁を加える!」
上条「ま、待って!」
イン「神に祈りは済ませたのかな!?」
上条「あぁもう!」
上条「不幸だぁぁぁ!」
ゴーグル(いなくなってますよいつの間にか!?)
フレンダ(いざ二人きりになったらどうすればいいか分からない訳よ!)
ゴーグル「・・・あ、あの」
フレンダ「き、気安く話し掛けないで」
ゴーグル「・・・」
フレンダ(って違う違う!なんでこんな冷たい態度・・・)
ゴーグル「さすがに今のは聞き捨てなりませんよ」
フレンダ「・・・え?」
ゴーグル「気安く話し掛けるな、なんて・・・まるで俺を下に見てるようっすね」
フレンダ「誰もそんなこと言ってない訳よ」
ゴーグル「遠回しにそう言っているようなもんっすよ」
フレンダ「だから言ってないって!」
ゴーグル「さっき怒らせてからずっとその調子っすね」
フレンダ「怒らせるほうが悪い訳よ・・・デートだなんて思わなかった、またデートか・・・なんて言われたら」
ゴーグル「デートの時のフレンダさんってなんか借りてきた猫みたいなんすよね」
フレンダ「猫被りって言いたいの?」
ゴーグル「誰もそうは言ってないでしょ」
フレンダ「・・・」
ゴーグル「・・・俺は、デートとか細かいことは考えてない時のフレンダさんのほうが接しやすいっす」
フレンダ「どうして」
ゴーグル「・・・自然体というか、親しみやすいというか・・・なんというか、落ち着くんですよ」
フレンダ「・・・」
ゴーグル「別にデートがイヤってわけじゃないっす、フレンダさんと二人で出掛けるのは好きですし」
暗くなった学園都市の空を見上げ、ゴーグル男が笑う
ゴーグル「ただ・・・デートって最初から決めてた時の空回ってるフレンダさんは、あんまり見たくないんですよ」
フレンダ「・・・痛々しいから、ね」
ゴーグル「いえ」
フレンダ「?」
ゴーグル「・・・そんなことしなくたって、あなたは魅力的っすから」
フレンダ「!だ、だって普段は全然自分のタイプじゃないとか言う訳よ!」
ゴーグル「タイプじゃないっすよ、それは本当です」
フレンダ「なら・・・」
ゴーグル「でも・・・フレンダさんならそんなのどうでもよくなるんすよ」
フレンダ「!」
ゴーグル「理想とか好みとか・・・そんなのは結局はただの幻想でしょ?でもフレンダさんは大切な現実っす」
フレンダ「な、なに詩人気取ってカッコつけてるの・・・」
ゴーグル「似合わなかったですかね」
フレンダ「・・・ありがと」
ゴーグル「・・・どうも」
フレンダ「・・・ねぇ、この時期も夜は冷える訳よ」
ゴーグル「・・・はい」
フレンダ「ちょっと手が冷たいかな・・・なんて」
ゴーグル「・・・素直に繋ぎたいって言えばいいのに」
フレンダの少し柔らかい手をゴーグル男が握る
フレンダ「・・・ありがと」
ゴーグル「どうも」
気まずいな、とは思いつつも彼は笑っていた
こういう気まずさなら悪くはない
垣根「・・・仕方ない、心理定規は俺が連れて帰る」
心理「・・・ごめんなさいね」
上条「ま、まぁ・・・仕方ないって」
青ピ「あーあ、あのお二人さん大丈夫かいな」
土御門「・・・ま、ケセラセラってヤツだにゃー」
イン「なるようになるんだよ!!」
吹寄「・・・最初から私は反対だったのよ」
上条「いやいや、賛成だっただろ」
姫神「・・・冷めちゃった」
青ピ「ほなボクも帰るわ・・・」
土御門「俺も帰るぜぃ、行こうかカミやん」
上条「え?あ、あぁ」
吹寄「姫神、帰りましょう」
姫神「うん」
イン「じゃあ私も帰るんだよ!!」
上条「じゃ・・・またな」
垣根「あぁ」
心理「・・・」
垣根「・・・」
垣根の背中に負われている心理定規は、何か罪悪感のようなものを抱えていた
心理「・・・ね、ねぇ」
垣根「痛くはないか」
心理「・・・だ、大丈夫よ」
垣根「ふーん・・・ならよかった」
心理「・・・あのね、垣根」
垣根「お前も馬鹿だよな・・・わざわざあいつら二人にするために演技するなんてさ」
心理「!!気づいてたの?」
垣根「当たり前だろ、大体お前は俺達の後歩いてきてたのに一人だけ足くじくのはおかしいだろ」
心理「・・・捻ったのかもしれないわよ?」
垣根「お前がそんな馬鹿な真似するかよ・・・それに、尾行の途中もやる気なさそうだったし」
垣根「どうせおおかた、フレンダと企てた作戦だったんだろ?俺達が尾行してたらあいつらいつまでも二人きりになれないし」
心理「・・・ごめんなさい」
垣根「・・・あのな、ああいう時は俺にも相談しろよ」
心理「・・・心配してくれたの?」
垣根「少しな」
心理「・・・ねぇ、重くない?」
垣根「大丈夫だ、背中に胸が当たってるってご褒美もあるからな」
心理「そう、よかったわ」
垣根「・・・にしても、俺が関わると絶対カップルが成立するな」
心理「・・・あなた、その調子で吹寄さんと姫神さんにもいい男の子紹介しなさいよ」
垣根「あぁ?なんで」
心理「相談屋さんでしょ?」
垣根「・・・しばらくお休みだ、ちょっと学校にも行きたくなったしさ」
心理「あら、今日楽しかったの?」
垣根「・・・別に」
心理「じゃあどうして?」
垣根「お前が多めに弁当を作って行って、一人で寂しがってる画を想像したら辛いからさ」
心理「べ、別に待ってないわよ」
垣根「待ってたんだろ?」
心理「違うってば」
トボトボ、と夜道を歩きながら二人は話す
少し伸びた影が、地面でユラユラと揺れていた
心理「・・・ねぇ、重くない?」
垣根「大丈夫だ、背中に胸が当たってるってご褒美もあるからな」
心理「そう、よかったわ」
垣根「・・・にしても、俺が関わると絶対カップルが成立するな」
心理「・・・あなた、その調子で吹寄さんと姫神さんにもいい男の子紹介しなさいよ」
垣根「あぁ?なんで」
心理「相談屋さんでしょ?」
垣根「・・・しばらくお休みだ、ちょっと学校にも行きたくなったしさ」
心理「あら、今日楽しかったの?」
垣根「・・・別に」
心理「じゃあどうして?」
垣根「お前が多めに弁当を作って行って、一人で寂しがってる画を想像したら辛いからさ」
心理「べ、別に待ってないわよ」
垣根「待ってたんだろ?」
心理「違うってば」
トボトボ、と夜道を歩きながら二人は話す
少し伸びた影が、地面でユラユラと揺れていた
削板「いやぁ!!今日もいい天気だ!!」
削板軍覇
彼は熱い男だ
毎朝マラソンと称した60kmダッシュを行い、そのあとジムに行ってトレーニングをし、そのあと風紀委員の支部に手伝いをしに行く
休養なんて取らない、彼にはそんなものが必要ないのだ
人体について詳しい学者が聞いたら頭を抱えて唸るだろう
しかし、彼にはそんな理論は関係ない
説明できないのが彼なのだ
削板「にしても、今日は人通りが多いな・・・たくさんの人と擦れ違ってる気がするな!!」
今日は休日なのだ、しかし彼には関係ない
休みなんて必要ない、それが彼だ
もう一度言おう、彼は熱い男だ
どんな人でも助けるし、悪を許すことは出来ない
困っている人がいたら見過ごせず、泣いている人がいたら隣で慰めてあげる
そんな、最近では珍しい愛と根性の男なのだ
削板「うーん、今日はなんで・・・」
「きゃー!!!!」
削板「!?」
悲鳴がどこからか聞こえた、彼はその方向へ走る
信じられないスピードで、しかし誰にもぶつからず彼は駆けた
削板「!!」
小学生の子供達が横断歩道を渡っている、そこに大型のトラックが突っ込もうとしていた
運転手はいない、完全に自動制御のトラックのようだ
「危ない!!!」
先生なのだろうか、それとも通りすがりの研究者か、大人の女性が必死に叫んでいる
小学生の子供達は唖然としていた、おそらく状況が飲み込めていないのだろう
削板(くっ!!)
足の裏に力をいれ、彼は駆けた
アスファルトの表面に無数の亀裂が走る
惨劇を目の当たりにしようとしていた通行人が、アスファルトの砕ける音に驚いている
削板(間に合え!!!!!!)
両手を伸ばし、小学生達の下へ飛び込む
トラックはクラクションを鳴らすことも無い、自動制御なのだから当然でもある
ぎゅっ、と小学生達を抱きかかえ、彼がトラックに背を向ける
胸の中の小学生達を庇うようにして
そして
大きな衝突音と、黒煙が上がった
黒子「はぁ・・・初春、そっちはどうですの?」
初春「あ、あの・・・白井さん、心配じゃないんですか?」
黒子「・・・今は、現場のことを考えなければなりませんわ」
白井黒子
彼女は風紀委員の一員だ
先ほど、近くの大通りで大型のトラックが横断歩道を渡っていた通行人に突っ込んだという通報があった
そんな事故はとても珍しいのだが、それでも彼女達は駆けつけた
そして、そこで目の当たりにしてしまった
小学生達を庇って倒れていた削板を
泣き叫ぶ小学生達と、あまりの事態に恐ろしいものを見たような表情の通行人
黒子は、その有様を見て口をつぐむことしか出来なかった
黒子「・・・軍覇さんは、大丈夫でしょうか」
初春「やっぱり不安なんじゃないですか」
黒子「・・・」
初春「・・・はぁ、私が仕事しておきますから、病院に行ってもいいですよ」
黒子「で、ですが・・・」
初春「そんな状態で仕事をしても意味ないです、はっきり言って邪魔なだけですよ」
黒子「そ、それは・・・」
初春「さっさと行ってあげて下さい・・・もしも今手術中だったりしたら、一番傍にいないといけないのは白井さんですよ」
黒子「・・・分かりましたの」
初春「その代わり、今度美味しいものを奢ってください!!」
黒子「考えておきますの!」シュン
空間移動で、すぐさま削板が運ばれた病院に移動する
ドキドキ、と胸が不気味に跳ねる
もしも、もしも削板が意識不明になっていたら
黒子(・・・どういたしましょう)
中に入り、ナースに事情を話す
案内されたのは、手術室でも病室でもなく、なぜか待合室だった
黒子(・・・なるほど、ここで一旦待っていてくれと・・・)
削板「あー、痛かった!!!」アハハ!!!
黒子「」
そしてなぜか、そこに彼がいた
思い切り笑って
黒子「ぐ、軍覇さん!?」
削板「ん?おぉ、黒子じゃないか!」
黒子「な、なんでこんな所にいるんですの!?」
削板「なんでって、車に轢かれたからさ・・・」
黒子「車というか大型トラックですの!」
削板「だから病院にいてもおかしくは・・・」
黒子「そうではなくて、病室にいないとダメですの!」
削板「?なんで?」
黒子「大怪我だったのでは・・・」
冥土「あぁ、見つけたよ」
削板「ん?おぉ、先生!」
冥土「全く、いきなり帰るなんて言い出すとはどういうつもりだい?」
黒子「せ、先生の許可は頂いていなかったんですの!?」
削板「いや、だってもうどこも痛くないし」
黒子「そういう問題ではありませんの!」
削板「な、なんで?」
黒子「先生、軍覇さんはどんな容態ですの!?」
冥土「この子は信じられない再生力を持っているね・・・噂には聞いていたが、本当に不思議な超能力者だよ」
言いながら、冥土返しが黒子と削板を手招きする
冥土「詳しい説明は診察室だ、君はしっかり説明しないとすぐに逃げそうだからね」
アルコールや薬品の独特な臭いに、削板は少し顔をしかめた
削板「・・・やっぱり病院は好きになれないな」
冥土「安心したまえ、僕も好きではないよ」
削板「なんだ、先生が好きじゃないなら俺が好きじゃなくても問題ないな!」
黒子「そんな話はどうでもいいんですの、軍覇さんの容態を教えて頂きたいのですが」
冥土「これがレントゲン写真だ」
冥土返しが黒子にレントゲン写真を渡す
詳しい医学の知識がない黒子だが、そのおかしさがすぐに分かった
黒子「あ、あちこちの骨にヒビが入っていますの・・・」
冥土「運ばれてきた時は完全に折れていたんだよ、たった2時間でここまで回復したんだ」
削板「根性の成せる業だな!」
黒子「・・・内臓などに影響はありませんでしたの?」
冥土「診たかぎりでは大丈夫そうだね」
削板「なら、俺はこれで・・・」
冥土「待つんだね・・・あまり急がないでくれ」
黒子「な、なにか問題がありましたの?」
冥土「君、毎日体に多大な負担を掛けていないかね?」
削板「いや、俺は・・・」
黒子「毎日マラソン、筋トレ、さらには風紀委員の手伝いなどを・・・」
冥土「・・・やはりね、かなり疲れが溜まっているはずだ・・・」
血中の糖度だがね、といきなり話を変えられる
冥土「かなり数値が低い・・・食事だけで賄えていないということだ」
削板「馬鹿な!俺は毎日しっかり三食以上食べてる!」
冥土「つまり、それでは足りないほどにハードな生活をしているということだね」
黒子「あの・・・血液検査も行いましたの?」
冥土「一応ね、凄まじい回復力を解明したいと思ってしまってね」
黒子「まるで科学者ですの・・・」
冥土「物理法則の代わりに体を研究しているだけだね」
黒子「それで、それが何か問題なのでしょうか?」
冥土「彼の体がそんな無茶苦茶に堪えられる理由はなんだと思うかね?」
削板「根性だ!」
黒子「恐らく、彼の能力・・・でしょうか」
冥土「そうだね、全く思い込みの力なのか何かは知らないが・・・」
はぁ、と冥土返しがため息をつく
冥土「しかし、いつその力の源が無くなるかは分からないのだよ」
黒子「は、はぁ・・・」
冥土「そもそもその力の源はなんなんだね?説明出来ない、つまり・・・命を削っている可能性もある」
黒子「!」
冥土「もちろんそれは最悪の場合だが・・・正体が分からない以上、むやみに使うべきではない」
削板「俺は子供達を守るために力を使った、それを悔やんだりはしない!」
冥土「だから、日常生活では出来るかぎりその力を使わないようにしたまえ」
黒子「・・・あの、つまり何が言いたいんですの?」
冥土「とにかく、体に大きな負担が掛かっているのは事実なんだ・・・たまにはゆっくりしたまえ」
削板「でも・・・」
冥土「ちょうどいい機会だ、二、三日入院したらどうだね?」
削板「そ、そんな大袈裟な・・・」
黒子「是非ともお願いしますの!」
削板「く、黒子!?」
黒子「この人ったらいつも無理はするのに・・・それに見合った休みは取りませんの」
ジロリ、と黒子が削板を睨みつける
冥土「・・・ほら、彼女もこう言っているんだ、休みというよりは体を回復させるためだ」
削板「・・・分かった、その代わり出来るかぎり美味しい病院食を!」
黒子「体にいい病院食をお願いしますの」
冥土「任せてくれ」
削板「」
こうして、削板軍覇の入院生活は始まる
削板「・・・ヒマだなぁ」
事故から5時間
すでに、骨は完全回復していた
普通の人間なら二ヶ月近く掛かる傷なのだが、彼には関係ない
削板「もう夕方か・・・」
黒子「・・・軍覇さん、先生の言う事を聞いてしっかり休みましょう」
削板「あんまりこういう立ち止まる時間ってのは好きじゃないんだよな・・・」
黒子「全く・・・」
削板「・・・体をじっとさせるのって苦手なんだよ、昔から体動かしてばっかだったからさ」
黒子「それが体に負担を掛けているんですの」
削板「分かってるんだけど・・・」
黒子「・・・リンゴ、買って来ますの」
削板「リンゴ?」
黒子「果糖を摂るためですの」
一礼してから、黒子が空間移動する
とりあえず削板が無事で安心したようだ
削板「・・・加藤って誰だ?」
難しい言葉が分からない削板は、うーんと唸った
その時、トントンと部屋のドアがノックされる
削板「はーい」
テクパトル「よぉ、事故ったんだって?」
19090「大丈夫ですか?」
削板「おぉ!二人だったか!」
テクパトル「なんだ、かなり元気そうじゃないか」
削板「全くだよ、入院なんて大袈裟なくらいだ!」
19090「あの、車に轢かれたんですか?」
削板「大型トラックに」
テクパトル「・・・よく生きてたな」
削板「それより、二人はなんでこんな所に?」
テクパトル「妹達の調整に来ててさ・・・みんなが終わるまで時間があるんだ」
19090「ヒマだったところに、ちょうど削板さんの入院話を聞いて」
削板「テクパトルも大変だな・・・仕事は?」
テクパトル「今日は午前だけだったから問題ないさ」
削板「なんだ、サボったのかと心配したぞ!」
テクパトル「お前はまず自分の心配をしろよ・・・」
テクパトルが呆れたようにため息をつく
削板の体には傷はほとんど残っていない
正直、退院してもいいように見える
テクパトル「なんで入院してるんだ?かなり元気そうなのに」
削板「たまには休みを取れって先生が」
19090「ふふ・・・先生らしい気遣いですね」
テクパトル「全くだな・・・ま、いい機会なんじゃないのか?」
削板「一度休むと習慣がそこで止まるんだよなぁ・・・」
テクパトル「そういえば白井は?」
削板「今はリンゴ買いに行ってる」
テクパトル「あぁ、果糖はこういう時役に立つからな」
削板「へぇ、そんなに加藤さんはすごいのか」
テクパトル「いや、さん付けする必要はないぞ」
削板「?でもまだ知らないし」
テクパトル「果糖を知らない?お前、今まで果物食べたことあるだろ」
削板「あぁ、でも加藤さんと果物は関係ないよな?」
テクパトル「・・・な、何を言ってるんだお前は・・・」
削板「はっ!そういえば今日は胸のトレーニングの日だった!ちくしょう!」
テクパトル「最近調子がいいんだったな」
削板「楽しみにしてたのに・・・」
19090「体調が良くなったらまたやればいいんですよ?」
削板「体調は完璧なんだ!」
テクパトル「・・・そうだな、まるで怪我人には見えないよ」
19090「・・・でも、休んで下さいね?」
削板「分かってる・・・」
テクパトル「じゃあ、俺達はこれで」
削板「ん、もう帰るのか」
テクパトル「白井が見舞いに来てるんだろ?だったら長居は無用だろ」
削板「?」
19090「お大事に、今度は何か持って来ますね」
削板「美味しいものを頼む!」
テクパトル「あぁ、じゃあな」
手を振りながら、二人が病室から出ていく
そのすぐ後に黒子が帰ってきた
削板「お、タイミングがすごいな」
黒子「?」
削板「今テクパトルと19090号・・・かな、二人が来てたんだ」
黒子「あら、そうなんですの?」
削板「しっかり休めって言われた」
黒子「当たり前ですの!」
怒ったような顔をしながら、黒子が買ってきたリンゴの皮を剥き始める
削板「・・・怒ってるのか?」
黒子「はぁ・・・軍覇さんが地面に倒れているのを見た時、どれほど心配したと思いますの?」
削板「ご、ごめん・・・」
黒子「ですから、今回こそはしっかり休んで頂きます」
削板「うわ・・・なんか黒子に良いようにやられてる気がするよ」
黒子「・・・はい、剥けましたの」
削板「お、美味そうだな!」
黒子「しっかり栄養も摂って、しっかり体を回復させて下さいな」
削板「とは言っても、かなり元気なんだよなぁ・・・」
ほんのり甘いリンゴを口に含みながら削板が苦笑する
黒子「・・・まぁ、軍覇さんのいい所はいつでも元気なことですわね」
削板「だろ!?」
黒子「・・・ですが、たまにはゆっくりしたいですの」
削板「やっぱり、黒子は女の子なんだなぁ」
黒子「あ、当たり前ですの」
削板「俺とゆっくりしたい・・・か」
黒子「・・・好きな人とゆっくり過ごしたいのは、誰でもですのよ?」
削板「誰でもか・・・」
黒子「・・・軍覇さん、あまり無理をなさると私も心配になりますの」
削板「あぁ、分かってる」
黒子「・・・あぁ!いけませんわね、こんな暗い雰囲気にしていては!」
パンパン、と黒子が自分の頬を叩く
黒子「・・・ところで、軍覇さんは料理だったら何が好きなんですの?」
削板「ん?いきなりだな」
黒子「やはり栄養管理は私みたいなしっかりした人間がしなければなりませんの!」
削板「おぉ!黒子がやってくれるなら安心だな!」
黒子「ですが、やはりある程度好きな料理でなければ食べる気にもなれないでしょう?」
削板「いやいや、黒子が作ってくれたならなんでも美味しく食べるぞ!」
黒子「そ、それは嬉しいですの」
削板「あ、赤くなってる!」
黒子「なっていませんの!」
削板「リンゴみたいに真っ赤だな!」
黒子「ま、真っ赤なんかじゃないですの!」
削板「あはは!」
黒子「わ、笑わないで下さいな!」
冥土「・・・全く、不思議な少年だね」
削板のレントゲン写真を見つめながら、冥土返しは一人ポツリと呟いていた
削板の凄まじい回復力は彼にも理解出来ない
冥土「・・・」
アレイスターのメインプランは、一方通行と上条当麻だった
あの魔術師の目的を遂行させるのに最も向いているのはあの二人だったからだ
しかし、冥土返しからすれば一番興味深いのは削板だった
冥土「彼の回復力を医学に活かせたら・・・」
そこまで言ってから、小さくため息をつく
自分の患者を研究対象として見てしまうのは間違っている
冥土「・・・」
しばらくぼーっとしていた冥土返しが、机の中から何かを取り出す
それは病院食のメニューだ
患者の好みもあるため、何パターンかの料理が準備されている
全てのメニューが、しっかり栄養バランスを考えて作られている
冥土「・・・しかし、あの子は何が好みなのかね」
というか、嫌いな食べ物は無さそうに見える
冥土「・・・聞くのを忘れていたね、今から聞きに行くかな」
少々めんどくさいが、これも仕事なのだ
ゆっくりと立ち上がった冥土返しは、再び削板の病室へと向かう
削板「はぁ・・・ヒマだなぁ!」
黒子「仕方ないことですの」
削板「なぁ、なんか楽しいことってないかな?」
黒子「た、楽しいこと・・・」
削板「?なんで急に赤くなったんですの?」
黒子「口調を真似ないで下さいな!」
削板「?」
黒子「・・・密室で恋人が二人となると、やはり少しは期待してしまいますの」
削板「なぁ、やっぱり黒子はそういうことがしたいのか?」
黒子「あ、いえ・・・別にそれが目的ではないですの」
削板「・・・そうなのか?」
黒子「・・・軍覇さんとなら、何でも出来ますの」
削板「ははは!それは嬉しいな!」
黒子「わ、私は真面目に言っていますの!」
削板「いや、でも黒子はまだ中学生だからな・・・もう少ししてからでいいか?」
黒子「も、もちろんですの!」
削板「よーし、予約完了!」
黒子「よ、予約だったんですの?」
削板「当たり前じゃないか!」
黒子「・・・そういえば、お食事わ何時なんでしょうか」
削板「ん?食堂に食べに行くんじゃないのか」
黒子「わざわざ病院食で管理する意味が無くなりますわね」
削板「あぁ!立食みたいな感じなのか!?」
黒子「な、なんでそんな結論に至ったんですの?」
削板「違うのか」
黒子「時間になったら持ってきてくれますの」
削板「な、なんて便利なシステムなんだ!」
冥土「ちょっと失礼するよ」
黒子「あら、先生」
削板「なんかあったのか?」
冥土「少しね・・・君、料理で好き嫌いがあるかね?」
削板「?そんなにないけど」
黒子「それがなにか・・・?」
冥土「いや、病院食にもいくらか種類があってね」
削板「おぉ、選べるのか!!」
冥土「やはりある程度の好みというものがあるだろう?」
削板「肉が好きだ!!」
冥土「君、病院食の目的を知っているかね?」
削板「栄養のためだ!!」
黒子「バランスのよい、が抜けてますの」
冥土「とにかく、すぐに運んでくるから待っていてくるかね・・・あと、君はそろそろ帰ってもらえると助かるね」
黒子「はいですの」
削板「じゃあ、またな!!」
黒子「えぇ、しっかり休んでくださいな」
削板「おう!!」
冥土「じゃあ僕も帰るよ」
削板「サンキュー、先生!」
削板「・・・これが病院食か・・・」
目の前にある料理を見て、削板は愕然としていた
彼が知っている「食」という文化は心と栄養、両方を満たしてくれるもののはずだ
しかし、目の前にあるのはどちらかと言えば「餌」に近かった
もちろん、普通の学生からしたら量、質共に申し分ないだろう
ところが削板は、毎日たくさんの食事を摂るのだ
そんな彼からしたら、少なくしかも味気なさそう、という印象なのだ
削板「いや!せっかく作ってもらったものを残すなんて根性がない!」
パン!と勢いよく手を合わせる
削板「いただきます!」
削板「・・・呆気なかったな」
5分もしないうちに、全ての皿は空っぽになってしまった
削板「・・・!そういえば・・・」
冥土返しが言うには、困ったことがあったらナースコールなるものをすればいいらしい
削板「今がまさに、困った時だ!」
近くにあったナースコールボタンを押し、削板が満足げに頷く
ほんの少ししてから、一人のナースがやってきた
「どうかされましたか?」
削板「あまりに食事が少ないです!」
「・・・もしかして、それだけですか?」
削板「はい!」
満面の笑みで答える削板
それを見て引き攣った笑みを浮かべるナース
あまりに対称的だった
「削板さん、病院食とは栄養のバランスを考えて作られています」
削板「だが、食というのは心も満たさなきゃならない!」
「病院はあくまで患者さんの体を治すのが目的ですから・・・」
削板「ノンノン!心が癒されなければ、体の治癒も遅れるんだ!」
「はぁ・・・分かりました、少し先生と相談して来ますから」
削板「頼みます!」
ナースが病室から出ていって数分
今度は冥土返し本人が病室にやって来た
削板「おぉ、先生!」
冥土「全く・・・君は何度言ったらわかるのかね」
削板「しかし先生、こんな少ない食事じゃ栄養が足りないと思います!」
冥土「たしかに君はかなりパワーを使っているだろうが・・・だからと言って、君だけを特別扱いするわけにはいかないんだね」
削板「先生!俺は健全な精神は健全な肉体に宿る、をモットーにしています!」
冥土「だが理論上は、この食事で十分なはずだね」
削板「ノンノン!そこは敢えてNOと言わせてもらおう!」
削板が人差し指を横に振りながら笑う
削板「理論上、とか普通なら、なんてのはそこらの根性のないヤツらにしか通用しない考え方だな!」
冥土「しかし、君にもこれで足りるはずだが」
削板「足りない!俺のお腹はまだ足りないと叫んでいる!」
冥土「・・・断るよ、患者が必要とするものは揃えたい質だが・・・今回は別だ」
削板「そ、そんな・・・!」
冥土「食事の量が少ないと感じるのは、普段があまりに暴食だからだね」
削板「失礼な、俺は食事に感謝しながら食べている!」
冥土「まぁまぁ、これを作っている人も頑張っているんだ、その人に感謝しないのは根性がないんじゃないかね」
削板「む・・・そう言われるとそうだな」
冥土「とにかく、普段からの食生活を見直す第一歩だと思ってくれ」
削板「ちなみに、その食事を作っている人ってのは?」
冥土「妹達の一人だよ、昔世話を見ていたから今もちょくちょく手伝ってくれるんだ」
削板「なぁ、その妹達シェフを連れてきてくれ!」
冥土「・・・仕方ないね」
はぁ、とため息をついてから冥土返しが部屋を出る
さらに少ししてから、今度は妹達の一人がやって来た
御坂妹「ご指名されたと聞きましたが・・・」
削板「よく来てくれた!」
御坂妹「あの、料理に何かご不満が?」
削板「味付けが少し薄いような気もするが・・・一番ダメなのは、食材に対する愛が感じられない!」
御坂妹「愛、ですか?」
削板「どうしてこんなに味気なさそうな見た目にしちゃったんだ!?」
御坂妹「いえ、先生が渡してくださったレシピ通りに作っただけです、とミサカは・・・」
削板「この豚肉の生姜焼き、これは本来もっとコッテリしているはずなんだ!」
御坂妹「は、はぁ・・・」
削板「ダメだ・・・これじゃ豚さんがかわいそうだ!」
御坂妹「豚さんが・・・かわいそう?」
削板「この豚さんは何のために生まれてきたのか・・・きっと、俺達に食べられるためだけに生まれたに違いない」
御坂妹「まぁ、牧場で育てられたなら・・・」
削板「だが!この豚さんはきっと、立派に美味しい料理になれると信じて生きてきたはずなんだ!」
御坂妹「!」
削板「こんな味気なさそうな料理になるなんて・・・豚さんがかわいそうだ!」
削板「思い直してみろ・・・この豚さんが歩んできた道を、ブーと鳴いては飼い主の元に駆け寄った日々を!」
御坂妹「・・・豚さん・・・」
削板「・・・だから、明日からはもっと美味しい料理を作ってくれ!この豚さんへのせめてもの償いだ!」
御坂妹「ミ、ミサカは・・・」
テクパトル「はいはいそこまで」
二人の会話を遮ったのは、パンパンと手を叩く音だった
削板「あれ?また来たのか、面会時間は過ぎてるけど」
テクパトル「うちの家族を迎えに来たんだよ・・・10032号、なに泣きそうになってるんだ」
御坂妹「だって・・・豚さんが・・・」
テクパトル「・・・はぁ、その豚はどんな食べ物になろうが死ぬ結果だったんだ、今更不満もクソッタレもないだろ」
御坂妹「」
削板(くっ・・・もう少しで明日の料理が美味しくなるところだったのに!)
テクパトル「大体、食われるために生まれて・・・」
御坂妹「テっくん・・・そんな現実的な話はやめて下さい!」
テクパトル「とにかく帰るぞ」
御坂妹「ま、まだ料理の話は・・・!」
テクパトル「削板、明日も多分病院食は質素だぞ」
削板「ば、馬鹿な・・・!」
テクパトル「じゃあな、入院中くらいは質素な食事を楽しんでみな」
肩を竦めて、テクパトルが病室から出ていく
削板「・・・なんてことだ・・・俺はこれだけの栄養で一日をやり過ごさなきゃならないのか!」
削板「・・・そうだ、こんなことしてる場合じゃない・・・マラソンマラソン・・・」
削板「って今は入院中だったな、走っちゃいけないか」
削板「・・・あれ、でもマラソンしなかったら何すればいいんだ?」
削板「って、今は入院中だったな・・・何もしないで大人しくしないといけないんだ」
削板「でも何もしないってどうすれば出来るんだ?」
削板「今は息をしてるし・・・それに色々考え事もしてる」
削板「ってことは何もしないことにはならない」
削板「いや、運動をしなけなればいいんだよな」
削板「よし、大人しく横になるか」
削板「・・・」
削板「・・・やることないな」
削板「・・・マラソンが出来ないと、こんなにヒマなんだな・・・」
削板「・・・それだけマラソンするのが当たり前だったんだな」
削板「・・・はぁ、入院って退屈なんだな・・・」
削板「・・・」
削板「よし!とりあえず根性で寝てみよう!」
病院の窓から眩しい朝日が差し込む
それに少し目を細めながら、削板は体を起こした
削板「おぉ!根性で眠れるなんて知らなかったな!」
アハハ!と笑いながら、肩を回す
入院生活も早二日目だ
現在時刻は7時、普段なら朝のマラソンを行っているはずの時間帯だ
だがもちろん入院中なのでそれは出来ない
削板「さて・・・何をするかな」
削板「そういえば朝ごはんは何時なんだろう」
削板「パンフレット・・・あった」
削板「8時・・・!?遅い、遅すぎる!」
削板「今持ってきて貰おうかな・・・」
削板「いやいや、さすがにそんなわがままは良くないか!」
削板「・・・ヒマだなぁ」
削板「・・・誰か来てくれないかな」
黒子「軍覇さん、いらっしゃいますか?」
突然、病室のドアがノックされる
聞こえてきたのは黒子の声だった
削板「あれ?黒子だよな」
黒子「はい、失礼いたしますの」
削板「?学校は?」
黒子「いえ、今日はそれよりも大切な仕事がありますの」
何かの書類を取り出して、黒子が削板のベッドの縁に腰掛ける
黒子「昨日の事故の詳細を、私に話してほしいんですの」
削板「あぁ、もしかして風紀委員の仕事か?」
黒子「はい、そうですの」
削板「でもそんなの、わざわざお前がしなくてもいいんじゃないのか?」
黒子「ま、まぁいいではないですか」
削板「?」
黒子(軍覇さんに会いたかったなんて言えませんの・・・)
削板「じゃあ、ちゃっちゃと済ませるか!!」
黒子「そうですわね・・・」
黒子がいくつかの質問を挙げる
とはいっても、既にほとんど状況は把握しているため確認作業に近かった
削板「そうそう、いきなり暴走してたみたいだぞ?」
黒子「おかしいですわね・・・そんな簡単に故障するはずはないですの」
削板「近くで電撃使いが能力を使った、とか?」
黒子「もしくは、回路の異常・・・どちらにしろ、中々大きな問題ですわね」
削板「でもけが人は出なかったんだろ?万々歳じゃないか」
黒子「ところが、そのトラックを製造した会社がそんな事故は発生しない、なんて言いがかりをつけてきてますの」
削板「ふーん・・・たしかに、いきなり暴走するトラックなんて評判が下がるもんな」
黒子「でっちあげだ、なんて言われるとこちらも意地になってしまいますの」
削板「そんなことまで言ってるのか・・・根性がないな」
黒子「・・・ですから、出来る限り証言を集めていますの」
削板「大変だな・・・学校の授業も遅れるんじゃないか?」
黒子「それはまぁ・・・補習がありますので」
削板「・・・大変だなぁ」シミジミ
黒子「大変ですが、仕方ないことですの」
書類を書き終えた黒子が顔を上げる
削板「偉いぞ、黒子!」
黒子「当たり前のことですから・・・」
削板「ん?どこか行くのか?」
黒子「これから支部に帰って他の書類を書かなければなりませんの」
削板「なぁ、あんまり無理するなよ?」
黒子「それは私の台詞ですの」
削板「俺はゆっくり休むって」
黒子「約束ですわよ?」
削板「おう!」
黒子「では・・・また夕方には来ますの」
削板「またな」
ヒュン、と黒子の姿が宙に消える
病室に静けさが戻った
削板「・・・寂しいもんだ」
削板「・・・このまま消えちゃいそうだな」
削板「・・・根性で明るく振る舞ってみるか!」
削板「・・・で、どうしたら明るくなれるんだ?」
削板「普段から明るいからそんなこと急には出来ないな」
削板「ははは!なんかそう考えたら俺って明るいヤツだったんだなぁ!」
削板「・・・誰か来ないかな」
病院の生活というのはこんなにも淡泊な物なのか
削板は今のつまらない時間を書き記したくなった
なんなら本を書いてもいい
ベストセラーになれるだろう、「退屈な根性」
削板「・・・ヒマだな」
削板「うーん・・・ちょっと体動かすくらいなら・・・」
垣根「バーン!ここで登場、みんなに人気のていとくん!」キリッ
心理「病院では静かにしなさい」
削板「うわっ!いきなりドアを開けるなんて非常識だぞ!」
垣根「俺に常識は通用しねぇ!」
いきなり、二人が病室の中に入ってきた
垣根「よぉ!事故ったって聞いたぜ!」
削板「というか轢かれたんだよ!」
垣根「あぁ?なんでだよ」
削板「子供を庇ったんだ」
垣根「・・・なん・・・だって?」
心理「へぇ、あなたらしい理由ね・・・」
削板「いやぁ、当たり前のことだからな」
心理「ふーん・・・あ、これお見舞いの品」
削板「おぉ、桃だ!」
心理「あなた、病院食じゃ満足出来ないでしょ」
削板「よく分かったな!かなり不満だ!」
垣根「どういうことだよ心理定規!お前は俺のことしか考えられないんじゃなかったのか!?」
心理「いつからそんな設定になったのよ・・・でね、甘い物が食べたいんじゃないかって」
削板「な、なんでそこまで分かるんだ?」
心理「私、人の考えてることは結構分かるのよ」
垣根「ちくしょう・・・俺は毎日心理定規のことしか考えてないのに!」
心理「もうそれはいいから・・・なんなら今食べる?」
削板「食べたい食べたい!」
心理「ちょっと待ってなさい」
心理定規がポケットから果物ナイフを取り出す
削板「・・・な、なんでポケットにそんな物が入ってるんだ?」
心理「あら、お見舞いに持って来るのは当たり前でしょ?」
削板(心理定規もちょっとおかしいよな)
垣根「待て待て!お前、まさか削板のために剥くつもりか!?桃を!?」
心理「なんで倒置法を使ったのか気になるけど・・・えぇ、そうよ?」
垣根「なんでだよ!?そんな素敵な家庭的心理定規は俺のためだけの・・・」
心理「削板君、大きさはどれくらいがいい?」
削板「そうだな、一口で食べられるならどれくらいでもいいぞ!」
心理「分かったわ、少し待ってて」
かなり手慣れた様子で心理定規が桃の皮を剥いていく
削板「へぇ・・・心理定規ってそういうの得意なんだな」
心理「あら、黒子はこういうことしてくれないの?」
削板「うーん・・・果物の皮を剥くってシチュエーションが中々ないからな」
心理「残念ね・・・果物を剥ける女の子ってかなり好感度上がるのよ?」
削板「あぁ、今まさにそれだな!」
心理「あら、私に惚れそうなのかしら」
削板「いや、それは・・・」
垣根「あぁぁぁぁ!俺の心理定規が削板に取られちゃうよぉ!」
心理「はいはい、旦那様は静かにしてて」
垣根「だ、旦那様・・・//」
心理「あなたが顔赤らめても気色悪いだけよ」
垣根「」
心理「はい、剥けたわよ」
削板「ありがとな!」
心理「食べさせてあげましょうか?」
削板「いや、一人で食べられるぞ!」
心理(ダメね・・・からかい甲斐がないわね)
垣根「心理定規、俺に食べさせてー」
心理「もう、鬱陶しいから」
垣根「」
削板「うん、桃は美味しいな!」
心理「病院食って味気ないわよね・・・」
削板「そうなんだよな・・・」
心理「でもお菓子とか食べられないわよね」
削板「だから果物が特に甘く感じるんだよな・・・」
モグモグと口を動かしながら削板が頷く
心理「あら、口に桃が付いてるわよ」
削板「え、どこだ?」
心理「ここ・・・」
垣根「あぁぁぁぁ!ヒョイパクか、ヒョイパクなんだなヒョイパクに違いない!」
心理「病院では静かにって言ったでしょ」
垣根「なんで!?お前って俺にヤキモチを妬かせたいのかよ!?」
心理「黙って」
垣根「・・・」
削板「あ、ショボンってした」
心理「ほっといて、構ってほしいだけだから」
削板「そ、そうか・・・それにしても助かったよ、あんまりヒマだから退屈してたんだ」
心理「入院生活なんて楽しみがないもんね」
削板「そうなんだよ・・・さっきまで黒子がいたんだけどさ」
心理「あら、会いたかったわね・・・」
削板「多分夕方にはまた来るけどさ」
心理「その時間まで残ってくれってことかしら」
削板「それは助かるな!」
心理「あら・・・私に傍にいてほしいの?」
削板「誰でもいいから傍にいてほしいんだ!」
心理(ダメね、反応が面白くないわ)
垣根「・・・心理定規・・・心理定規じゃない・・・心理定規・・・」
心理「意味の分からない花占いしないでよ」
垣根「・・・なんで俺はこんなに寂しいんだよ!?」
心理「ねぇ、病院食ってどんな感じだった?」
垣根「うーわ、完全に無視だよ」
削板「なんかおかずが二品だけだったな」
垣根「少ないな・・・俺が入院してた時はもう少しあった気がするけどな」
削板「ん?最近入院したのか?」
垣根「あ、いや・・・」
一方通行に敗れた後の話なのだが、今更削板に話す必要はない
心理「・・・私、あんまり入院なんてしたことないんだけど・・・やっぱり不安なものなの?」
垣根「そりゃ不安だよな」
削板「そうだな・・・自分が病院にいるってだけでなんか病気なんじゃないかとか思っちゃうんだよな」
垣根「でもお前、どこも悪そうじゃないけどな」
削板「いや、もう傷は治ってるんだよ」
心理「相変わらず化け物じみた回復力ね」
削板「いやぁ、それは嬉しいな!」
心理「褒めてるように聞こえたのね・・・」
垣根「じゃあなんで入院してんだよ」
削板「あんまり毎日無茶してるから、たまには休みを取れってさ」
垣根「ふーん・・・」
心理「たしかにあなた、いっつも運動してるからね」
削板「でも体を動かすのは楽しいぞ!」
垣根「俺にはそこまで理解出来ないな」
心理「・・・それより垣根、そろそろ学校よ」
垣根「えー、今から行くのか?制服着てないぜ?」
心理「急いで帰れば二時間目には間に合うわよ」
削板「え・・・帰っちゃうのか?」
心理「さすがにずっといるわけにはいかないでしょ?」
削板「・・・そうか、お前達は俺より学校を選ぶのか!」
垣根「当たり前だ・・・なぜなら、学校は嫌なことだから!嫌なことにむしろ挑んでいく、これが根性だ!」
削板「おぉ!」
心理「馬鹿は馬鹿同士波長が合うのかしら・・・」
垣根「ほら、さっさと行こうぜ」
垣根が心理定規の手を引っ張りながらドアに向かう
垣根「じゃあな!また今度な!」
削板「明日には退院するから次会うときはプライベートだな!」
垣根「そうなることを祈る!」
心理「じゃ、お大事に」
ガチャン、とドアが閉まる
やはり静けさが帰ってきた
まるで最初から誰もいなかったかのようだ
削板「・・・仕方ないな、休むのもたまには必要か」
目を閉じると、昨晩より自然に眠気が近づいてきた
削板(あ・・・なんか・・・いい感じだ・・・)
黒子「・・・あら、眠っていらしたの」
黒子が病室に再び来たのは夕方の5時だった
その時間まで削板は寝ていたのだ
昼食がベッドの横に置きっぱなしになっている
黒子「・・・昼間からずっと寝ていらしたのですね」
小さく笑ってから黒子が削板の寝顔を見つめる
疲れていない、とか体を動かしたい、とか言ってはいるがやはり疲れは溜まっていたのだろう
今まで見せてこなかっただけで、かなり無理をしていたはずだ
黒子「・・・軍覇さん、たまにはゆっくりして下さいな」
削板「う・・・ん?黒子、来てたのか」
黒子「お、起こしてしまいましたの?」
削板「いや、なんか目が覚め・・・!?なんで黒子がいるんだ!?夕方に来るって言ってたのに!」
黒子「いえ・・・もう夕方ですの」
削板「!?」
時計を確認した削板が驚愕の表情を浮かべる
削板「そんなに寝てたのか・・・時間がもったいないな」
黒子「・・・軍覇さん、ゆっくり体を休めるのはもったいない時間の使い方ではないですの」
削板「そうかな?」
黒子「・・・今日もゆっくり休まれてたではありませんの」
削板「い、今のはちょっと疲れてただけで・・・」
黒子「・・・軍覇さん、やっぱり体に負担が掛かってますのよ?」
削板「そうか・・・そうだよな、たしかに疲れてたのかも」
黒子「・・・私、心配ですの」
削板「?なんで」
黒子「・・・」
ギュッ、と削板の手を握りながら黒子が俯く
黒子「・・・このまま」
黒子「もしもこのまま、軍覇さんが力を使い続けたら・・・体を壊すのではないかと、心配ですの」
黒子「・・・私は」
削板「それは間違ってるぞ、黒子!」
黒子「な、なんでですの!?私は軍覇さんを愛しているからこそ・・・」
削板「力を使っても俺は絶対に体を壊したりはしない、俺はそんなに腑抜けじゃないからな!」
ハハハ!と笑う削板
それがとても頼りに見える
削板「俺は無茶はするけど無理はしない、そういう男だ!だから安心してくれ」
黒子「ですが・・・」
削板「それに、俺が一番守りたいのはお前の笑顔なんだぞ?」
黒子「!」
削板「だったらお前が悲しむようなことはしないさ!」
黒子「な、なら・・・まぁ許しますの」
削板「ありがとな、黒子!」
黒子「・・・わ、私の笑顔を守りたいんですの?」
削板「当たり前じゃないか!」
黒子「・・・軍覇さん・・・」
削板「・・・黒子・・・」
垣根「心理定規・・・」
心理「やめなさい」
削板・黒子「」
黒子「い、いつの間に!?」
削板「そ、そういえば夕方にまた来るって言ってたな・・・」
心理「やっほ・・・相変わらずイチャイチャしてるわね」クスクス
黒子「こ、これは違いますのよ!?」
垣根「おーおー、仲良しでうらやましいな」
心理「こら、あんまり冷やかさないの」
垣根「だってさ」
削板「と、とにかくよく来てくれたな!!」
心理「あなたはあなたで慌てすぎなのよ」
黒子「お二人は学校は終わられましたの?」
垣根「あぁ、もうとっくに」
心理「それでもう一度お見舞いにね」
黒子(余計なことを…)チッ
心理「なにか?」
黒子「い、いえ…」
垣根「さて、削板もヒマだろうし話し相手に…」
黒子「わ、私がいますから大丈夫ですのよ?」
垣根「いやいや、俺達がいなきゃな」
心理「そうそう、垣根のボケがなきゃ始まらないでしょ?」
黒子(いりませんのぉぉぉ!!)
垣根「なんだよてめぇ…」
削板「でもわざわざ来てもらって悪いな…」
垣根「友達なんだから当たり前だろ」
削板「嬉しいこと言ってくれるな!!」
垣根(ヒマだったしな)
心理「それで?お昼御飯が残ってるけどどうして?」
削板「いやぁ、さっきまで寝てたんだよ」
垣根「はぁ?なんで」
削板「疲れてたのかな…」
垣根「お前、やっぱ無理してたんじゃねぇの」
削板「そんな自覚はないんだけどな…」
垣根「自覚ってのは大切だぜ」
心理「あなたが言うと説得力があるわね」
垣根「うるせぇな…」
黒子「…そういえば、お姉さまもお見舞いに来るとか言っていたような」
削板「へぇ、わざわざ来てくれるのか!!」
黒子「いえ、上条さんが入院されたのでついでに、と」
垣根「あぁ?あいつも入院したのか」
削板「上条が入院か・・・あいつらしいな」
黒子「なんでもお姉さまとの約束に遅れそうになって走っていたら、車に轢かれたらしいんですの」
垣根「途中に何があったのか気になるな」
心理「でも上条君でしょ?有り得るわよ」
垣根「それで納得いくのが怖いよな」
削板「・・・ん?てことはこの病院には上条も入院してるのか!」
黒子「言っておきますが・・・患者同士が互いの病室を行き来するのはダメですのよ?」
削板「なーんだ・・・」
心理「大人しくしてないといつまでも入院させられるわよ?」
垣根「そうそう・・・ここの先生は頭おかしいからな」
冥土「悪かったね、頭がおかしくて」
垣根「・・・いつからいたんだよ」
知らぬ間に垣根の後ろには冥土返しが立っていた
ドアを開ける音なんて聞こえなかった、話に夢中になっていたためだろうか
削板「先生、上条はどうなんだ?」
冥土「安心したまえ、轢かれたと言っても軽くぶつかっただけだったみたいだね」
垣根「なんだよ、大袈裟に言ってただけかよ」
心理「・・・でも美琴は落ち込んでるんじゃない?」
冥土「それはもう、すごい落ち込み方だったね」
削板「そんなに落ち込んでるのか?」
黒子「お姉さま・・・自分のせいだと責任を感じられていますのね」
垣根「なぁ、御坂もここに連れて来てくれよ」
冥土「全く・・・僕は君達の使用人じゃないのだがね」
垣根「患者の頼みだ」
冥土「君はいつから僕の患者になったのかな」
垣根「おいおい、随分前に世話になっただろうが」
冥土「・・・仕方ないね、さすがに上条君も困っていたようだし」
削板「よし、また一人話し相手が増えるな!」
黒子「そこで喜ぶんですのね」
削板「垣根、御坂を慰める会の始まりだぞ!」
垣根「おうよ!」
心理(・・・削板君のお見舞いに来たんだけど・・・)
黒子(・・・私が二人きりで看病するつもりでしたのに・・・)
美琴「・・・呼んだの」
垣根「お、おう・・・」
黒子「お、お姉さま・・・なんだかかなり落ち込まれていますのね」
美琴「・・・別に」
心理(若干病んでるわね)
削板「と、とにかく座ってくれよ」
美琴「ありがと・・・」
病室に入ってきた美琴は、かなり疲れた様子だった
別に上条が大怪我をしたわけではないし、入院だって長く掛かるわけでもない
それに美琴が車をぶつけたなんてことでも決してない
だが自分があんな約束をしたせいで、ということを考えてしまっていた
垣根「なぁ、そこまでお前は悪くないんだからさ」
美琴「分かってるわよ・・・」
黒子「・・・お姉さまが落ち込まれていたら、上条さんも悲しみますのよ?」
美琴「・・・うん」
心理「大体、上条君が鈍臭いだけじゃない」
美琴「違うわよ!当麻のことを悪く言わないで!」
心理「だったら全部自分のせいにしてみる?それはそれで馬鹿らしいわよ」
美琴「・・・でも、私があんな約束しなかったら・・・」
心理「あなたね・・・上条君はその約束を守りたいって思って急いだのよ?あなたとの約束は上条君にとって大切なものだったのよ」
美琴「・・・」
垣根「ま、落ち込んでるヒマがあるなら上条を看病してやれよ、もちろん笑顔でな」
削板「そうだな、根性だ!」
黒子「・・・お姉さま、元気を出して下さいな」
美琴「ありがと・・・なんだかちょっと元気出たわ」
垣根「そうかい・・・ならよかった」
美琴「削板はどうなの?トラックに轢かれたって聞いたけど」
削板「いやぁ、大怪我にしすぎなんだよ!ちょっと骨が折れて意識無くしてただけだって!」
美琴「そ、それ命に関わるじゃない!大丈夫なのホントに!?」
黒子「ですが、もう完全に回復してるみたいですの」
美琴「だ、だって事故は昨日だったんでしょ?」
心理「一日で回復したってことよ・・・俄かには信じられないけど」
美琴「相変わらず意味分からないわね、アンタ・・・」
削板「いやぁ、照れるなぁ!」
美琴(褒めてないのに)
黒子「・・・さて、お姉さまも元気になられましたし一件落着ですわね」
垣根「っと・・・俺達はこれから用事だから帰らせてもらうな」
削板「そうか・・・じゃあ、またな」
黒子「お姉さまは?」
美琴「私、当麻の看病してくる」
垣根「そうしてやれ」
心理「じゃあ黒子は削板君と二人きりになれるわね」
黒子「そ、そうですのね」
削板「みんな、今日はありがとな!」
垣根「明日には退院だっけ?今日まではゆっくり休めよな」
削板「あぁ!」
美琴「じゃあ、お大事に」
削板「サンキュー!」
黒子「・・・二人になってしまいましたわね」
削板「そうだな・・・なんか静かになっちゃったな」
黒子「で、ですが二人きりですのよ!?」
削板「ん?そうだな?」
黒子(あぁ、どうしましょう!!いざ二人になると緊張しますの!!)
削板「あぁぁ!!もうそろそろ夜ご飯だ!!」
黒子「そ、そうですわね」
削板「どうしよう・・・昼ごはん残してるからなぁ・・・」
黒子「もう冷えてますから、どうしようも・・・」
削板「よし、作ってくれた人に申し訳ないよな!!いただきます!!」
黒子「い、いえ!!冷えた病院食なんてとても食べられたものでは・・・」
削板「うん、冷えててあんまり味が無い!!」
黒子「なら食べないでくださいな・・・」ハァ
削板「でもさ、明日になったら退院だし」
黒子「・・・あんな事故にも関わらず三日で退院なんて、信じられませんの」
削板「根性だよ根性!!」
黒子「そういうものでしょうか・・・」
削板「夜ご飯は何かな・・・最後の食事くらい豪華だと嬉しいな!!」
黒子「一患者にそこまでしませんの」ハァ
削板「はぁ、早く退院して黒子の弁当が食べたいよ」
黒子「わ、私のお弁当・・・ですの?」
削板「あぁ、どこで売ってるお弁当よりも美味しいからな!!」
黒子「そ、そうですか」カァッ
削板「だからさ、さっさと退院して美味しいお弁当食べさせてくれよな!」
黒子「も、もちろんですの!!」
御坂妹「ほう、それはミサカの作った病院食がまずいと言っているのですね」
削板「おわっ!?いつの間に部屋に来てたんだ!?」
黒子「と言いますか・・・なんでこの部屋にはこんなにも突然人が現れますの?」
御坂妹「ミサカイリュージョンです、これがミサカイリュージョンです」
削板「あ、もしかしてご飯持ってきてくれたのか!」
御坂妹「しかしこれはあなたの愛しい黒子のお弁当よりも美味しくないですから」
削板「そ、そんなこと言ってないぞ!?」
御坂妹「ふん、これはお義兄様にでも持って行きましょうか」
削板「待って待ってよ待ってくれ!!!」
御坂妹「冗談はおいときますが・・・あまり病院でいちゃつきませんように、とミサカは警告を出します」
削板の近くにあるテーブルに夕食を置きながら、10032号が呆れたように呟く
黒子「どうしてですの?」
御坂妹「この病院には様々な病気にかかった方が入院しています、とミサカは至極当たり前のことを述べます」
削板「いきなり語尾を付け出したな」
御坂妹「その中には、童貞をこじらせた方もいるようです」
黒子「ど・・・?」
御坂妹「ですから、リア充なるものを見せ付けられるとゾンビ化するらしいのです」
削板「な、なんだって!?」
御坂妹「お姉様達には既に警告を出しておきましたから、あなた達もお気をつけくださいね」
黒子「あ、あの・・・それは本当ですの?」
御坂妹「さぁ?先生が言っていたことですから本当かもしれません」
削板「な、なんて病気が流行っているんだ!!」
黒子(嘘ですの、絶対に嘘ですの!!)
削板「お前も気をつけろよ!!」
御坂妹「むしろミサカはその患者側の人間ですから」フフフ
削板「なん・・・だと・・・?」
御坂妹「そういうことですから、イチャついたらぶっ放しますので」チャカ
削板「なんでメタルイーターを取り出すんだよ!?」
御坂妹「おっと失礼・・・まぁ、明日で退院ですので問題ないでしょうが」
黒子「・・・ちなみに、上条さんはいつ退院ですの?」
御坂妹「そうですね・・・一週間ほどは入院です」
削板「結構な大怪我なのか?」
御坂妹「いえ、ですがなぜか先生はお義兄様には妙に執着心が強いようでして」
黒子「あぁ、そういえばナース属性の味方が出来るとかなんとか」
削板「上条って・・・そうだったのか?」
御坂妹「さぁ」
黒子「だとしたら、お姉さまは大変ですの」
御坂妹「おっと、こんなところでムダ話はいけません・・・そろそろ他の患者さんにも食事を持っていかなければ」
削板「じゃあ、お疲れ様!!」
御坂妹「ではまた」スタスタ
削板「・・・あ、ちゃんとドアは閉じてくれよ」
御坂妹(ちっ)
黒子「どうですか?お味のほうは」
削板「お、なんかちょっとだけ味が濃くなってる!!」
黒子「最大限の譲歩だったのでしょうね・・・」
削板「これが最後の晩餐か・・・」
黒子「病院食、ですの」
削板「思えば・・・とても長い入院生活だった」
黒子「いえ、かなり短かったですの」
削板「根性で体を動かさないようにしたが・・・その退屈とも今日でおさらばだ!!」
黒子「・・・あの、そんなに退屈でしたの?」
削板「世間はもう5月の半ば、みんなが体を動かし始め春が息吹く頃だ!!」
黒子「むしろ枯れる頃ですの」
削板「そんな中、俺は三日もムダにしてしまった!!」
黒子「いえ、そんなことは・・・」
削板「これじゃ根性が足りないな!!」
バクバク、と病院食を食べながら削板が笑う
削板「よし、こんな退屈は明日からなしだ!!」
黒子(・・・はぁ、全く)
黒子(ですが・・・軍覇さんらしい・・・ですわよね)フフ
削板「・・・朝、か」
昨晩は夕食のあと、ひたすら黒子と何かしらの話をしていた
とはいっても、遊びの話ではなく事故のことやこれからはしっかり休息をとるように、などの難しい話だった
削板「・・・で、黒子は知らない間に寝てたし・・・」
ベッドに顔をうずめて寝ている黒子は、およそ乙女という言葉からは遠かった
しかしそれが非常に愛おしくも思える
削板(・・・こいつにも、心配掛けたなぁ)
そう思いながら、削板が黒子の頬にそっとキスをする
黒子「・・・ん・・・?」
削板「よっ、おはよう」
黒子「ぐ、軍覇さん・・・!?あのまま寝てしまいましたの、私!?」
削板「あぁ、きっと疲れて・・・」
御坂妹「・・・言いましたよね、リア充を見せ付けるなと」
削板「あれ?いつの間にいたんだ・・・おはよう」
御坂妹「ミサカネットワークに膨大な負の感情を感知・・・番外個体単体での適切な処置は不可能、よって」ガチャ
削板「お、おい・・・」
黒子「ど、どうしてメタルイーター・・・」
御坂妹「血祭りだぜベイベー」
ババババ、という銃声のようなものが病院に響く
冥土返しは頭を抱えながら、それらの音を聞いていた
冥土「全く・・・患者のモーニングコールには少し過激だね」
冥土「・・・ま、まだ早いし誰も聴いてはいないだろう」
冥土「・・・騒がしい病院というのは評判が落ちそうで心配だが」
あの騒がしい患者にはそれが一番似合っているだろう
退院手続きも終わっているし、もうすぐ彼らも普通の生活に戻るはずだ
冥土「・・・それにしても、彼が大人しく過ごしていてくれるなんて思わなかったね」
冥土「・・・医者としては、ありがたい限りだ」
小さく笑いながら、冥土返しがクルクルと回転イスを回す
冥土「・・・患者の笑顔のためなら、これくらいの騒がしさはなんとも・・・」
削板「先生!!助けてくれよぉぉぉ!!」バン!!
黒子「止めてくださいな!!」
御坂妹「先生、その二人を引き渡してください!!」
冥土「・・・はぁ」
溜め息をつきながら、冥土返しは呆れたように呟いた
冥土「本当に、これだから医者はやめられないね」
951 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/02/12 13:37:11.31 0KxALTE60 772/807新スレはこちら
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329021080
なんかただの病院での話になっていた
そろそろしっかりと削板と黒子書いてあげたい
こっちのスレは>>1のやりたいことで埋めるとしますか
以下、意味不明な内容になりますが気にしないでくださいw
アレイ「・・・最近、運動不足だな」
アレイ「いや・・・ここ60年ほど、運動をしていなかった」
アレイ「・・・そうだ、あの生命維持装置に入ってからというもの・・・」
アレイ「よくもまぁ、こうやってあの騒がしい家族と過ごせるものだ」
アレイ「・・・しかし、やはり運動は大切だ」
アレイ「・・・でも・・・テクパトルのようにいきなりハードにトレーニングとかしたくない」
アレイ「・・・何か手軽に出来る運動は・・・ん?」
アレイ「このチラシはなんだ?学園都市にもこういう古い文化が残っていたか・・・掲示板か」
アレイ「なになに?あなたも体のゆがみを直しませんか」
アレイ「・・・軽いストレッチで、まずは健康に興味を持ってみましょう」
アレイ「・・・これだ」
アレイ「これしかない、これにしよう」
アレイ「そうとなれば、早速通ってみるか」
アレイ「・・・私の健康、第一歩目だ」
アレイスター、運動を始めるの巻
アレイ「ただいま」
テクパトル「おかえり…どうした、なんだか楽しそうだな」
アレイ「なに、私も少し運動をしようと思ってね」
テクパトル「!?本当か、いつから!?」
アレイ「今度から…というか、明日だったかな」
テクパトル「そうか、ならまずはウェイト…」
アレイ「この近くでフィットネスのクラブが開かれていて、それに参加しようと思っているのだが」
テクパトル「あ、あぁ…そうなのか」ショボン
アレイ「あからさまにがっかりしてるな」
テクパトル「せっかくお前もこっちの世界に来たかと思ったのに」
アレイ「あんなハードな世界にいきなり行けるものか」
テクパトル「何事も挑戦だぞ」
アレイ「まずは簡単なものからしなければな」
テクパトル「まぁ、健康に興味を持つのはいいことだな」
アレイ「とにかく、月謝を…」
テクパトル「自分で払え」
アレイ「」
アレイ「ということで、フィットネスクラブに通うことにしたのだよ」
御坂妹「とうとうアレイちゃんが独り立ちですか…」
20000「一人でおっきするのか…」
17600「撃ち殺すぞ」
テクパトル「…しかし、なんでまた急に?」
アレイ「少しチラシを見かけたものでな」
10039「なるほど…」
19090「でも、街中に貼られていたチラシとなると、知り合いが同じクラブに通うかもしれませんね」
アレイ「…なに?」
テクパトル「そうだな、その可能性もある」
アレイ「…それはまずいな」
テクパトル「はぁ?なんでだよ」
アレイ「威厳がなくなる、統括理事長がフィットネスにいそしむなど…」
テクパトル「威厳とかあったのか、初耳だ」
14510「全くですね」
一同「あははははははははははは!!!!!!!!!」
アレイ(胸が痛い)
アレイ「…旅立ちの朝というのはこんな気分なのか」
テクパトル「久々に出かけるだけじゃねぇか」
アレイ「こんな長い外出は久々だ」
20000「コンドームは持った?バイブは?ちゃんとオチンチンは洗った?」
テクパトル「帰れよ」
10033「…アレイちゃん、ついていきましょうか?」
アレイ「大丈夫だ」
19090「…本当に大丈夫ですか?」
アレイ「大丈夫だ、問…」
テクパトル「じゃあ、俺は仕事に行ってくるから」
御坂妹「いってらっしゃい、お見送りしますよ!!」
13577「ミサカがお見送りするんです!!」
19090「ミサカに決まってます!!!」
テクパトル「みんなありがとな」
アレイ(あれ、涙が出てくる)
アレイ「はぁ…妹達は本当にテクパトルが好きなようだな」
アレイ「…それに、とても尊敬もしている」
アレイ「…うらやましいものだ」
アレイ「…朝日がまぶしいな…キラキラしている…」
アレイ「いや…」
アレイ「これは涙のせいか…」フッ
アレイ「…ツッコミがいないとどうにも成立しないボケだな」
アレイ「…そろそろ着くはずだが」
「はいはーい、お客様はここに並んだ並んだ!」
アレイ「…あれがフィットネスの先生…」
ステファニー「いやぁ、やっぱりフィットネスはいいですよね!!私もこの体型を維持するのに苦労しましたよ!!」
アレイ(どこかで見た顔だ、あの先生)
ステファニー「?そこの銀髪の人、あなたもフィットネスをしに来たんですか!?」
アレイ「ま、まぁ」
ステファニー「ようこそ、トラの穴へ!!」
アレイ(やばい、もう帰りたくなってきた)
ステファニー「さて、ここに集まった人はおそらく日頃の運動不足で悩んでいるのでしょう!!」
アレイ(全くだな)
ステファニー「しかぁし!!私のクラブに入ったからには安心です!!」
アレイ「ちなみに…どのようなことをするのか、教えてほしいのだが」
ステファニー「…そうですね、これが最初の目標です」
アレイ「なになに…なるほど、まずは体のストレッチからか…」
打ち止め「うーん、これならミサカにもできそう!!ってミサカはミサカはガッツポーズ!!」
アレイ「」
アレイ(あぁぁぁぁぁ!!最低だ、よりにもよってこのタイミングでこの子の存在に気づいてしまった!!)
アレイ(子供は無邪気だから絶対に私がここに来ていたということを言いふらすだろう、しかも悪気もなく!!)
アレイ(そうなったら笑いものだ…統括理事長が運動不足で悩んでいるなんて知られたら!)
アレイ(ただでさえ無いに等しかった威厳が完全になくなる!!)
アレイ(どうしようどうしようどうしようなんかないかなんかないかなんかないか!!??)
打ち止め「あれ?」
アレイ(気づかれちゃったよぉぉぉぉぉ!!!)
打ち止め「もしかして、ミサカ達と一緒に暮らしてる人?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
アレイ(あぁぁぁ!!私の人生これにて終了!!!)
打ち止め「もしかして、運動がしたかったの?ってミサカはミサカは確認してみたり」
アレイ(遠回しに運動不足を指摘されてるよぉぉぉ!!)
打ち止め「あ、ミサカは20001号で打ち止めって言うんだよ、ってミサカはミサカは自己紹介!」エッヘン
アレイ(知ってるよぉぉぉぉ!!)
打ち止め「?でも、あなたみたいな人が運動なんて珍しいね、ってミサカはミサカは…」
アレイ「私がここに来ていることは、他言してはいけない」
打ち止め「おう!!ってミサカはミサカは勢いよく返事をしてみたり!!」
アレイ(絶対言うよこれ)
打ち止め「あ、先生が何か始めてる!!ってミサカはミサカは先生に注目!!」
ステファニー「はい、まずは軽い柔軟からです!!これをしないと怪我しちゃいますから気を付けてください!」
アレイ(…か、体が曲がらない…)グググ
打ち止め(…この人、なんでエビ反りようとしてるのかな?ってミサカはミサカは首をかしげてみたり)
ステファニー「はい、しっかり体を伸ばしましょう!」
アレイ「おぉぉぉぉぉぉ!!」
打ち止め(エビ反りのまま伸ばしたら痛いのに…ってミサカはミサカはこの人の不思議な動きに大注目)
ステファニー「はい、今日はここまでです!!」
アレイ(…ちょっとしたヨガだけで…こんなにも体が疲れるとは…)
打ち止め(…この人、どうしてこんなに疲れてるのかな?ってミサカはミサカは首をかしげる)
ステファニー「あ、そこの統括理事長さん」
アレイ「」
アレイ「バレてるよぉぉぉぉ!!??」
ステファニー「もしかして、誰も気づいてないと思ってたんですか?何度もアレイスターさんって呼んでるのに」
アレイ「ち、違う違う!!偶然同じ名前…」
ステファニー「プランを」
アレイ「短縮」
ステファニー「統括理事長だ!!」
打ち止め「統括理事長だ!!」
ステファニー・打ち止め「統括理事長だ!!」
アレイ「なんだそのコンビネーション!?」
ステファニー「あぁ、ちなみにもう町中の噂になってると思いますよ、ツイッターとかで」
アレイ「これだから科学の進歩はイヤなんだよぉぉぉぉ!!!」
テクパトル「ただいまー」
御坂妹「あ、おかえりなさい」
19090「お疲れ様です、テっくん!!」
テクパトル「おう…ところで、アレイスターはもう帰ってきてるか?」
御坂妹「えぇ、ですがなぜかかなり落ち込んでいます」
テクパトル「落ち込んでる?」
19090「何かあったのでしょうか」
テクパトル「よし、俺が励ましてやるか…」スタスタ
アレイ「もうダメだおしまいだお嫁にいけない…」
テクパトル「よっ、アレイスター」
アレイ「…君か、どうした…」
テクパトル「聞いたぞ、打ち止めも同じところに通ってるんだってな」
アレイ「もう情報が広まってるよぉぉぉぉぉ!!」
テクパトル(なんでこんなに荒ぶってるんだ)
アレイ「私のプライベートは消えた!!!消えちゃったよこれ!!!」
テクパトル「…なぁ、なんでそんなに落ち込んでるんだよ?」
アレイ「…私が…私のイメージが…」
17600「そんなものないだろ」
14510「ないですね」
アレイ「昔はあったのだ…恐ろしく、凄まじいオーラが…」フフフ
テクパトル「今は跡形もないけどな」
20000「ていうか、アレイちゃんってそんなに凄くなかったじゃん」
10033「ただの引きこもりだったんですよね?」
10039「そのあとは冷蔵庫…」
13577「ぶっちゃけ、褒められる人生じゃないですよね」
テクパトル「言ってやるな」
アレイ「…いいか、私だって人の噂になるといい気分ではないのだよ」ムスッ
テクパトル「?なんでだよ」
アレイ「常に見られているという感じがするではないか」
一同「それは自意識過剰なんだよ」
アレイ「」
アレイ「・・・はぁ」
テクパトル「そんなに落ち込むことか?」
アレイ「自分のプライベートは大切だ・・・」
テクパトル「人のプライベートは?」
アレイ「のぞき見するが何か?」
テクパトル「ツケが回ったんだろ」
アレイ「・・・まさか私の噂が街規模で広がるとは」
19090「いいじゃないですか、健康に気を遣うのは素晴らしいことですよ?」
テクパトル「そうそう、恥じることではない」
アレイ「・・・統括理事長がわざわざフィットネスしてるなんて・・・」
御坂妹「誰も笑いませんよ、アレイちゃん」
アレイ「ほ、本当に・・・?」
ミサカ一同「プププwwww」
アレイ「思いっ切り笑ってるよ!」
テクパトル「お前達なぁ・・・アレイスターが運動してるのがそんなにおかしいか?」
20000「え?」
14510「あ、いや・・・」
テクパトル「今まで引きこもりがちだったアレイスターが外に出るきっかけが出来たんだぞ?」
10039「そ、そうですが・・・」
テクパトル「それを祝福してやるのが家族だろ?いくらアレイスターが運動不足丸出しで動いてるのが似合わない一方通行以上のモヤシだからって笑ってやるなよ」
アレイ「・・・お前が一番ひどいぞ」
御坂妹「・・・ごめんなさい、アレイちゃん」
アレイ「いや・・・分かってくれたなら構わない」
テクパトル「さて、ご飯にしようか」
13577「そうですね、アレイちゃんも手伝って・・・ってどうしたんですか?」
アレイ「か、体が動かないんだ」
19090「そんなにハードな運動をしたんですか?」
アレイ「ヨガみたいなのを」
10033「ヨガだけでそんなに疲れてるんですか・・・」
アレイ「な、なぜ笑う?」
20000「ミサカ達はこれでも体力があるからね」
17600「少なくともアレイちゃんよりは体力あるぞ」
アレイ「し、仕方ないだろう・・・」
テクパトル「はぁ・・・分かった、お前はゆっくりしててくれ」
アレイ「あ、あぁ」
御坂妹「・・・いいですよね、仕事で疲れてるのに家事も出来る男性って」
14510「19090号は幸せですね・・・」
10039「あんな旦那様がもらえるんですからね」
19090「//」
アレイ「・・・」
アレイ(・・・私も体力つけて、外出から帰って来ても家事が出来るくらいになってみよう)
ステファニー「はい、今日は体を動かしながら、少しずつ強度を増していきます!!」
アレイ(…強度が増すのか、きつくなるだろう)
打ち止め(この人、意外と頑張ってるなぁ…ってミサカはミサカはネットワークでこの映像を垂れ流してみたり)
ステファニー「まだ少し大変かもしれませんが、そのうちこの運動が楽にできるようになりますよ!!」
アレイ「だといいのだが…」
打ち止め「諦めたらそこで試合終了だよ、ってミサカはミサカは最近覚えた言葉を口にしてみたり!!」
アレイ「…諦めてはいない」
打ち止め「それでこそ統括理事長だ、ってミサカはミサカは応援してみたり!!」
アレイ「頼むからそれ以上言わないでぇぇぇ!!!」
打ち止め「?」
ステファニー「さて、まずは昨日のように猫のポーズからです!!せーの!!」
アレイ「にゃー」
打ち止め「にゃー!ってミサカはミサカは猫の気持ちになってみたり!!」
ステファニー「統括理事長、腕が伸びきってません!!」
アレイ「だからその呼び方はやめてくれないか!!!」
打ち止め「ミサカはどうかな?ってミサカはミサカは猫のポーズ!!」
アレイ「…どうしてそんなに体が柔らかいのだ」
ステファニー「というか、これくらいはできないと困りますよ」
アレイ「…理由はなんだ、そんなに体が柔らかい理由は」
ステファニー「あなたが硬い理由はわかります、運動不足です」
アレイ「」
打ち止め「引きこもりさんだもんね、ってミサカはミサカは全国の自宅警備員にもエールを送ってみる!!」
ステファニー「そうですね、外に出ないと体が鈍りますよ?」
打ち止め「言葉も訛っちゃうよ?ってミサカはミサカは心配そうに…」
アレイ「言葉は訛らないぞ」
ステファニー「はい、次はテクパトルぅぅううううううううううううう!!!!!!のポーズです!!」
アレイ「そ、そんなポーズはないはず…」
打ち止め「テクパトルぅぅううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!」
ステファニー「テクパトルぅぅうううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!」
受講者全員「テクパトルぅぅううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!」
アレイ「」
アレイ(あの、腕を上下に構えたポーズがまさか何かの運動になるのか…?)
アレイ(体のストレッチには…)
アレイ(いや、ならないならない!!!)
アレイ(…しかし、全員がしているにも関わらず私がしないのは…)
アレイ(よ、よし!)
アレイ「テクパトルぅぅうううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!」
一同「ツッコめよ!!!!」
アレイ「」
ステファニー「次は鶴のポーズです」
アレイ(こ、これは実在するポーズだ…お、落ち着け…)
ステファニー「はい、ホロッホー!!!」
打ち止め「ホロッホー!!ってミサカはミサカは鶴の鳴き真似!!!」
アレイ「」
アレイ(それは鳩だぁぁぁぁ!!!)
アレイ(先ほどのこともあるし、ここはツッコんだほうがいいのだろうか!?)
アレイ(あぁそうだ、私はおそらくツッコミに徹するべきだ!!)
アレイ(よし…)
アレイ「そ、それは鳩の鳴き声だ!!」
ステファニー「…え?」
アレイ「な、なぜ鳩が豆鉄砲を食ったような顔を…」
打ち止め「せ、先生…?」
ステファニー「じゃあ…私が今まで鶴の鳴き声だと思ってたのは…鳩の鳴き声だったんですか…?」
アレイ(な、なんでそんなに泣きそうなんだ!?)
ステファニー「わ、私が今まで街中で聞いてたのは…鳩の鳴き声だったんですか…?」
打ち止め「先生…大丈夫ですよ、ってミサカはミサカは統括理事長をジト目で見つめながら先生の肩を撫でてみたり」
ステファニー「うぅ…」
アレイ「ご…」
アレイ「ごめんなさい…鶴もホロッホーって鳴くかもしれません…」
ステファニー「ほ、本当ですか…?」
アレイ「鳴かなかったとしても…私が鳴かせてみせよう」
ステファニー「言いましたね!?それ、言いましたね!?」
打ち止め「みんなぁ!!統括理事長が鶴をホロッホーって鳴かせるみたいだよ!!ってミサカはミサカは高らかに宣言してみる!!」
受講者一同「おぉぉぉぉぉぉ!!!」
アレイ「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
アレイ「待て待て!!さっきのは嘘泣きだったのか!?」
ステファニー「いいえ、本当に泣いてましたよ」ケロッ
アレイ(あぁぁぁぁぁぁ!!!!)
ステファニー「はい、今度は人がゴミのようだ、のポーズです!!」
打ち止め「見ろ、人がゴミのようだ!!」
アレイ「ははははははは!!!!見ろ、人がゴミのようだぁ!!!」
ステファニー「おぉ、統括理事長もやる気になってきましたね!!」
アレイ「こうなりゃ自棄だぁぁ!!!」
打ち止め「ミサカも楽しくなってきたな、ってミサカはミサカはニヤニヤしながら人がゴミのようだのポーズをしてみたり!!」
アレイ「はははははははは!!!!」
受講者一同「ははははははははは!!!!!!!!!!」
アレイ「ただいま…」
御坂妹「おかえりなさい、今日は遅かったですね」
アレイ「少し長引いてな…」
10039「テっくんはもうおかえりですよ」
アレイ「そうか…」
御坂妹「ですが…」
アレイ「?」
テクパトル「ちくしょう…迂闊だった…まさか一方通行の補助をしてたら手首にバーベル落とされるなんて…」ガーン
御坂妹「ご覧のとおり、手首を負傷しているんです」
アレイ「どうしたのだ?」
テクパトル「あぁおかえり…」
20000「セロリたんの手伝いしてたら怪我しちゃったんだってさ」
アレイ「大丈夫なのか?」
テクパトル「2、3日安静にすればな…」ハァ
14510「まったく…テっくん、一方通行は怪我をしなかったんですか?」
テクパトル「俺よりあいつの心配か…」
10033「し、仕方ないですよ…ミサカ達は一方通行が好きですから」
テクパトル「まぁそれはわかってるさ…」
17600「テっくん、明日も仕事なのか?」
テクパトル「あぁ、まぁ無理はしないようにするさ」
19090「気を付けてくださいね?」
テクパトル「わかってるよ」
アレイ「…そういえば、最終信号がフィットネスクラブに来ているのだが」
10039「えぇ、たしか暇だから運動がしたいと言っていましたが」
アレイ「だからか…」
テクパトル「…アレイスター、仲良くしてやれよ」
アレイ「それはあの子供に言ってくれ…」
テクパトル「?」
アレイ「とりあえず、食事にしてもらえるか?疲れてしまってな」
20000「今日は13577号が作ってるよ」
テクパトル「不安だが…俺はこれだしな」
御坂妹「それじゃ、ミサカ達も手伝いに行ってきますね」
テクパトル「あぁ」
13577「さぁ!!ミサカ達愛の料理が完成しましたよ!!」
アレイ「…焦げているぞ」
テクパトル「なんで…なんで白身魚が黒いんだ…」
13577「てへっ☆」
20000「いやぁ、タイマーをセットし忘れてたんだ」
17600「おかげで真っ黒だぜ、まるで日焼けしたギャルのようにな」
テクパトル「…まぁいいや、いただきます」
テクパトル「予想通り、苦かったな」
アレイ「そうだな…」
19090「あ、あの…お口に合いませんでしたか?」
テクパトル「タイマーさえ間違えなければ美味しかっただろうな…少しだけした隠し味がいい感じだったよ」
10033「テっくん…そのフォローが苦しいですよ」
テクパトル「す、すまん」
アレイ「…私は風呂に入ってくる、汗が気持ち悪くてな」
テクパトル「どうだ、体を動かすのは楽しいだろ」
アレイ「…まぁな」
アレイ「だが一つだけ問題がある…」
テクパトル「?なんだよ」
アレイ「…私がいじられるのだよ」
一同「むしろ本望だろ」
アレイ「」
テクパトル「・・・おはよう」
アレイ「・・・あぁ」
食卓についているのは二人だけだ
ミサカ達はまだ寝ている
唯一起きている19090号はいつもテクパトルに朝ごはんを作る役だ
と言ってもテクパトルが強制させているわけではない
むしろ彼は19090号にもゆっくり休んでいてほしいと考えている
しかしいくら言っても「テっくんに朝ごはんを作りたい」の一点張りなのだ
テクパトル「なぁ・・・毎日は大変じゃないか?」
19090「そんなことないですよ、テっくんのためですから」
テクパトル「・・・そりゃ嬉しいけどさ」
アレイ「いいのではないか?彼女が好きでしているならば」
テクパトル「無理してないか?」
19090「いえ、テっくんのためですから!」
テクパトル(健気だ・・・なんて可愛いヤツなんだ・・・)
アレイ「全く・・・君は愛されているな」
テクパトル「自覚はあるぞ」
アレイ「・・・私はそろそろ行ってくる」
テクパトル「っと・・・俺も行かなきゃいけねぇな」
19090「テっくん、怪我してるんですからあんまり無理はしないで下さいね?」
テクパトル「分かってる、ありがとな」
アレイ「私にも優しくそういうことを言ってくれ」
19090「アレイちゃん、頑張って下さいね!」
アレイ(この子は女神か・・・他の妹達なら絶対きめぇとか言ってるはずなのに・・・)
テクパトル(きめぇ)
アレイ「…」
打ち止め「あ、統括理事長さんおはよう!!ってミサカはミサカは元気よくあいさつ!!」
アレイ「…君は構わない、もう慣れている…だが」
番外「おー、これが噂の統括理事長?」
アレイ「なんで一人増えてるんだよぉぉぉぉ!!!」
番外「ねぇ、こんなに騒がしいのが本当にお偉いさんなの?」
打ち止め「そうだよ、ってミサカはミサカは頷いてみたり!!」
番外「へぇ…なんかミサカ、疑っちゃうよ」
アレイ「…君も運動しに来たのかね」
番外「一方通行が上位個体の見張りをしろってさ」
アレイ(あの白モヤシ…なんて余計なことをっ!!)
ステファニー「はいはい!!無駄話はそこまでにしてくださいよ!!!」
打ち止め「あ、先生おはよう!!ってミサカはミサカは元気よく挨拶してみたり!!」
ステファニー「おはようございます打ち止めちゃん、この子はお姉さんですか?」
打ち止め「ううん、妹だよ、ってミサカはミサカは微笑みながら真実を伝えてみる!!」
ステファニー「…妹?どう見てもこの子のほうが年上…」
番外「ほら、いろいろ事情があるんだから探らないでよ」
ステファニー「な、なるほど」
アレイ「それよりも早く始めようか」
垣根「そうだよな」
アレイ「…」
アレイ「なんで君がいるのだ垣根帝督!?」
垣根「いやぁ、今日は学校休みだろ?で、他のみんなは補習とかあるし」
アレイ「だから暇つぶしで来たとかか…」
心理「えぇ、そうなのよね」
アレイ「」
ステファニー「あ、たしか垣根さんと心理定規さんですよね!?」
垣根「よぉ、イギリスでのクリスマス以来だな」
心理「あなたがこんな教室を開いてるなんて知らなかったわ」
打ち止め「やったぁ!!知り合いが多いと楽しいね、ってミサカはミサカははしゃいでみたり!!」
番外「そうだねぇ、まぁ一人嫌がってるヤツがいるけど」
アレイ「…」
垣根「なんだよ、お前もとうとう外デビューか」
ステファニー(どんだけ引き籠りだったんですか)
心理「…まぁ、アレイスターがそういうことに打ち込むのはいいことじゃない?統括理事長が健康に気を遣えば、下の学生たちも気を遣うでしょうし」
アレイ「そ、そういう考え方もあったか」
心理「私は素敵だと思うけど」
アレイ「//」
心理「照れないでよ気持ち悪い」
アレイ「」
番外「ねぇねぇ、今日はどんな運動するの?」
ステファニー「今日は天気もいいですし、みなさんでウォーキングに行きましょう!!」
垣根「それってわざわざこういうクラブですることか?」
ステファニー「ノンノン!こういう気分転換もしないとダメですよ!!」
打ち止め「お出かけできるの?ってミサカはミサカは胸の高鳴りを隠せずに喜んでみる!!」
心理「ほらほら、そんなに騒がないの」
打ち止め「はーい!!」
ステファニー「じゃあ、行きましょうか!!!」
垣根「おー!!」
アレイ(…この面子で外出とか公開処刑に等しいな…)
垣根「おっほー!!いい天気だな、あの雲アイスクリームに見えないか!?」キラキラ
心理「どうしてそんなにハイテンションなのよ…日傘日傘…」
ステファニー「あ、日傘はダメですよ?紫外線を適度に浴びないと…」
心理「…えっ…?」
ステファニー「はい、日傘は預かっておきますから!!」ニコニコ
心理「」
打ち止め「心理定規…ドンマイ、ってミサカはミサカは心理定規を慰めてみたり」
番外「ぎゃはははは!!!ドンマイドンマイ!!!」
アレイ(…なんて暑さだ…まだ6月に入る前だぞ?)
垣根「おー、アレイスター、ちょっと太陽見てみろよ!!!」
アレイ「?なぜだ…」ジーッ
アレイ「目が痛いぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
垣根「ぎゃははははは!!太陽見れるわけねぇだろ!!目が焦げるぅぅぅぅ!!!」ゲラゲラ
番外「だっせー!!そんなのに引っかかる統括理事長だっせぇ!!!」
アレイ「くっ…君たちも太陽見てみろ、綺麗だぞ!!」
垣根「ん?どの太陽だよ」
アレイ「だからあれ…」ジーッ
アレイ「目がぁぁぁぁぁ!!!!」
垣根・番外「ばーかwwwww」
心理(…暑いわね…)
打ち止め「ねぇ先生、今日はどこまで行くの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
ステファニー「考えてません!!」キリッ
アレイ「君はそれでも先生か!?先生というのは生徒を導く…」
ステファニー「うっ…」ウルウル
打ち止め「あー!!統括理事長が先生を泣かせた!!ってミサカはミサカは指さしで指摘してみる!!!」
垣根「泣ーかせたー、泣ーかせたー!!」
番外「せーんせいにー…」
垣根・番外「って先生が泣いてる!?」
心理(何よそれ)
垣根「泣ーかせたー泣ーかせたー!!」
番外「プーチンにー、言っちゃーおー!!」
アレイ「やめて!!殺されちゃうからやめてぇぇ!!!」
ステファニー「そうだ、今日はあの山まで行ってみましょう!!」
番外「あぁ、そういや昔みんなでハイキング行ったね」
打ち止め「その時あなたいたっけ?ってミサカはミサカは…」
垣根「細かいことはツッコっでやるな、目的地は決まったんだ…」
番外「ミサカ、目的の決まってる旅路ってのは大好きだよ」
垣根「行こうぜ、愛しの番外個体…」
番外「そうね、あなた…」
垣根・番外「二人の明るい未来へ!!!!」
心理「おい」
垣根「…にしても、暑いな」
ステファニー「まさに運動日和ですね!!」
打ち止め「番外個体、水は持ってきてる?ってミサカはミサカは確認してみる!!」
番外「一方通行がうるさかったからね、もちろん!!」
垣根「心理定規、喉が乾いたら俺が持ってきたスポーツド…」
心理「はぁ、カプチーノがなかったら死んでたわね」パカッ
垣根(なんてこった)
垣根「ところでさ、あの山って結構ここから時間掛かるぞ?」
ステファニー「5分くらいですか?」
垣根「結構って言わなかったか、俺」
ステファニー「私外国人ですから」
番外「さっきまでペラペラだったじゃん」
打ち止め「先生をイジメちゃめっ!!ってミサカはミサカは頬を膨らませてみる!!」
アレイ「…あまり歩きたくない…」
心理「さっさと歩きなさいよこのモヤシ」
アレイ「」
垣根「ま、天気はいいし雨も降らないだろうな」
番外「時間もまだ早いし…たぶん昼ごろには着くだろうね」
ステファニー「よーし、頑張りますよ!!!」
アレイ「おー!!!」
ステファニー「あ、統括理事長さんはそういうのいいですから」
アレイ「」
一同「おー!!」
ステファニー「よーし、黙って私に着いて来い!!!」
アレイ(涙が出てきた)
垣根「せーんろはつっづくーよー」
打ち止め「どーこまーでもー!」
心理「野を越え山越えー」
番外「たーにぞっこーへー!!」
アレイ「落ちてるじゃないか」
ステファニー「いやぁ、この清々しい日差しを浴びながらのハイキングは楽しいですね!!」
打ち止め「こんなにいい天気は初めてだぜ!!ってミサカはミサカは太陽に負けないくらいまぶしい笑顔を浮かべてみる!」
番外「自分で言うとか痛いなぁ、上位個体」ニヤニヤ
心理「あら、子供の笑顔は眩しいものよ?」
垣根「そうそう」
アレイ「その通りだな」
垣根「それを踏みにじってきたのがお前だけどな」
アレイ「」
ステファニー「あ、信号が赤になりました、みなさん止まってくださいね!」
一同「はーい!!」
垣根「だが、俺の未元物質にその常識は通用しねぇ」テクテク
一同「」
キキーガッシャーン!!!
心理「垣根…垣根ぇぇ!!」
垣根「悪い…心理定規…」ガクッ
心理「イヤよ…垣根ぇぇぇぇぇ!!」
ステファニー「目を開けてください!!」
番外「ちょっと…冗談…でしょ?」
打ち止め「最後に九九を全部言ってくれるって約束したのに…ってミサカはミサカは涙をぬぐいながら…」ウッウッ
アレイ(思い切り未元物質で車を飛ばしていたよな)
垣根「最後に…みんなに聞いてほしかったことがある…」
番外「な、なに…?」
垣根「…鹿児島県民は…」
心理「えぇ…」
垣根「自分のことをおいどん、なんて言ったりは…しない…」ガクッ
一同「垣根ぇぇぇぇぇ!!!」
チャーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラー
アレイ(なんでゴッドファーザーが流れるのだ)
垣根「仕方ねぇ、take2だ」
ステファニー「深沢はどこに行ったんでしょうかね」
心理「さすがにあの山まで徒歩だけで行くのはきついわよ」
打ち止め「バスも使うの?ってミサカはミサカは…」
番外「えー、運動の意味ないじゃんかー」
アレイ「…私としてはそっちのほうがありがたいのだが」
垣根「仕方ない…」ゴソゴソ
心理「?コインなんか取り出してどうしたのよ」
垣根「こいつに…任せるか!!」
アレイ「しゃらくせーよ!!」
垣根「じゃあ徒歩な」テクテク
アレイ「」
打ち止め「あーあ、統括理事長さん…」
ステファニー「せっかくバスに乗るチャンスだったのに…」
受講者一同「そりゃないぜ…」ヒソヒソ
アレイ「わ、私の…せい?」
番外「あ・な・た・の・せ・い・だ」
心理「あぁ…紫外線って大嫌いなのよね…」テクテク
ステファニー「心理定規さんはお肌真っ白ですね」
垣根「腹は真っ黒だけどな」
心理「垣根、ちょっと」
垣根「はい」
垣根「いやぁ、心理定規は優しくていい子だよな」
アレイ(洗脳されてるぅぅぅ!!!)
心理「さて…バス停はっと」
打ち止め「?バスに乗るの?ってミサカはミサカは尋ねてみる」
心理「えぇ、さすがにあそこまで歩いてたら熱中症になるわよ」
番外「心理定規は体弱いなぁ」
心理「日差しが嫌いなの」
アレイ「バンパイアなのか」
心理「そう見える?」
垣根「ぜひとも俺の血を吸ってくれ」
心理「断るわ」
垣根「」
ステファニー「よし、山の麓まではバスで行きましょう!!」
アレイ「…まるで、登山をするみたいな言い方だな」
ステファニー「はい、山の上で食べる弁当はおいしいですよ!!」
アレイ「登るのか!?」
番外「おっほー、楽しみ楽しみ」
垣根「悪くはねぇな」
打ち止め「テンションが上がるね、ってミサカはミサカは統括理事長さんの袖を引っ張ってみる!」グイグイ
アレイ「下がるわっ!!!」
垣根「…しかし、なんだか根本的な目的が変わってきてるな」
ステファニー「登山も立派な運動ですから」
心理「そうね」
アレイ「…イヤでござる」
番外「ねぇ、ついでに学生運動も起こそうぜ」
垣根「お、いいな」
垣根・番外「統括理事長の頭を丸刈りにしろ!!!そうだ、あいつに毛髪など必要ない!!」
アレイ「あるわっ!!」
垣根「えー、必要ないだろ引きこもりのくせに」
アレイ(引きこもりは…髪の毛がいらないのか…?)
垣根「…そして、俺たちは山の麓にたどり着いた」
心理「そこは、とても幻想的な景色でした」
打ち止め「鳥のさえずりが聞こえます」
ステファニー「木々の木漏れ日が、優しく包みます」
アレイ「さわやかな風が頬を撫で」
番外「まるでミサカ達も自然の一員になったかのようです」
垣根「ふっ…いいぜ、もしもお前がそんな幻想を抱いてるなら!!!」
垣根・番外「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!!!」
ステファニー「あ、あれはテクパトルぅぅうううううううううううう!!!のポーズ!!」
心理「いえ、あれはそげぶのポーズよ」
打ち止め「なにそれ?」
番外「さぁ」
アレイ(おかしい…この人間たちは、何かがおかしい…)
垣根「じゃあ、山登り始めるか」
心理「そうね」
990 : ◆G2uuPnv9Q. - 2012/02/15 19:21:38.10 9hVKu5Xb0 807/807
キリがいいのでこっちはここまで
メンテ長かったですね
やりたかったネタの一つがこれですが、本当はもっとシュールというか意味不明なネタにするはずでした
でも途中まで書いてあぁ、こりゃ無理だなと思ったのでこのネタに
そういうもんです
では、1000取りどうぞ
続き: 30スレ目 上条「結婚指輪は!」美琴「給料三か月分!」心理「君への愛は」垣根「プライスレス!」
※編集中です。近日中に公開します。