※関連
最初: 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
前回: 上条「熱い思いは!」美琴「止められない!」心理「燃える心は」垣根「バーニングハート!」【3】





767 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:08:44.01 2pOaYUh20 643/851

上条「・・・どうだって?」

美琴「来れるみたいよ」

携帯を抱えた美琴はVサインを出していた

美鈴に明日、学園都市に来られるかを尋ねたのだ

上条「はぁ・・・こりゃ暇を見つけたら家にも帰らないとな」

美琴「なんなら当麻も呼べばいいのに」

上条「・・・ツッコミが足りなくなるんだよ」

美琴「?」

上条「・・・まぁ美鈴さんも旅掛さんも優しいから好きだけどな」

上条がため息をつく

大好きなことは大好きなのだが、あまりにはちゃめちゃすぎる大人なのだ

小学生がそのまま大きくなった感じだろうか


768 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:09:50.09 2pOaYUh20 644/851

美琴「お母さんも当麻に会いたいって」

上条「へぇ・・・そりゃ嬉しいな」

美琴「・・・明日から二人きりにはなれないね」

上条「じゃあ・・・今晩にやれるだけ?」

美琴「そ、そんなに何回もしなくていいわよ・・・」

美琴が赤くなりながら答える

上条「んー・・・とりあえず飯から食べましょうか」

上条が冷蔵庫の中を覗く

あまり食材は残っていない

上条「・・・か、買い溜めが・・・」

美琴「どうする?今から買いに行くのも・・・」

上条「仕方ない・・・外食しましょうか」


769 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:10:37.46 2pOaYUh20 645/851

美琴「やったぁ!」

美琴が上条の腕にしがみつく

上条「ん?どうかしたか?」

美琴「だって・・・二人で外食なのよ?嬉しいじゃない」

ぎゅっ、と美琴が胸を押し付ける

上条「や、やめなさいけしからん!」

美琴「ん?なになに?」

上条「う・・・早く行きますよ!」

上条が財布をポケットに突っ込み、素早くドアの元へ向かう

美琴「あ、逃げた」

上条「いいから早く!」

上条が美琴を手招きする

彼だって美琴との二人きりでのデートを楽しみにしているのだろう


770 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:11:05.42 2pOaYUh20 646/851

美琴「はいはい!」

美琴も自然と笑顔になってしまう

互いの手を強く握りながら、二人は夜の街へと繰り出した


上条「・・・こうやってるとホント幸せだって実感するよな」

美琴「ホント・・・」

上条「・・・昔は不幸だ不幸だって思ってたけど」

夜道を歩きながら二人はたわいもない会話をしていた

上条「・・・最近は楽しい不幸ばっかりだから嬉しいな」

美琴「楽しい不幸って何よ?」

上条「そうだな・・・垣根に振り回されたり」

美琴「あぁ」

二人が同時に苦笑する

771 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:11:53.33 2pOaYUh20 647/851

上条「最近はホント、不幸が少ないんだ」

美琴「いいことじゃない」

上条「あぁ」

上条が嬉しそうに笑う

彼は不幸がイヤだったのではない

自分が幸せで、だが誰かが嘆いている、そんな世界がイヤだったのだ

今は、少なくとも自分の守りたい人は笑顔のまま暮らせている

それなら今の幸せを喜ぶべきだ

不幸に巻き込まれなければ、上条は誰かを助けることができない

だが誰も助ける必要がないならそもそも不幸だって必要ないのだ

上条「・・・いいよな・・・平和だ」

美琴「私達の知らないところでは今も誰かが泣いてるのよ?」


772 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:12:38.75 2pOaYUh20 648/851

上条「・・・それは仕方ないことじゃないかな」

誰かが笑うなら、誰かが泣く

それは壊すことの出来ないルールだった

そんなクソッタレな世界、上条はイヤだった

だが彼一人が全ての世界を変えるなんてことは出来ない

ならば、自分の守りたい世界だけはそのルールに当てはまらないようにしたかった

美琴も自分も笑顔でいられるように

それだけが上条の願いだった

大切なものを見つけていなかった昔のほうが、多くの人を助けられたかもしれない

上条「・・・でも、あのままじゃ俺達は救われなかったんだよな」

美琴「?何か言った?」

上条「なんも」


773 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:14:00.98 2pOaYUh20 649/851

上条が美琴の頭を撫でる

隣に美琴がいてくれる

そんな世界が大好きだった

上条「・・・月が綺麗だな」

美琴「うん・・・雲一つないわね」

夜道で擦れ違う学生達もみんな空を見上げていた

お正月の夜に、こんな綺麗な月が見られるなんて風情があるではないか

上条はそう思っていた


垣根「へぇ・・・上条はホント授業態度悪かったんだな」

小萌「そうなのですよー!」

焼肉店の中で、垣根は小萌の愚痴に付き合っていた

小萌「いっつも寝てたり外を見てたり・・・」

心理「そりゃ成績も悪いわね」


774 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:18:16.05 2pOaYUh20 650/851

吹寄「しかも、ボランティアもやらないし・・・」

垣根「いーや、あいつはそんなのとは比べ物にならないことを・・・」

吹寄「?」

イン「まったく!!当麻は女の子だったら絶対に助けるんだよ!」

心理「そうね」

姫神「ふふ。彼はもはやそういう運命にある」

垣根「小萌も苦労するな・・・」

小萌「はぁ・・・垣根ちゃんみたいな生徒だったらまだいいのですけど・・・」

心理「どういうこと?」

小萌「垣根ちゃんなら、クラスは盛り上げられますし成績優秀!おかげにルックスもばっちりなので学校の雰囲気も大幅アップなのです!!」

垣根「はっはぁ!!!まぁさすが俺ってとこかな!?」

吹寄「・・・垣根がクラスメイトなんてイヤだけどね」

垣根「なんでだよ」



775 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:22:08.49 2pOaYUh20 651/851

吹寄「だって・・・」

姫神「暴れだしそう」

心理「そうね・・・」

垣根「おいおい、授業は真面目に受けるぜ?」

心理「でも授業参観のときもすごいことになってたじゃない」

垣根「あれは見る側だったろ?」

小萌「垣根ちゃんみたいな生徒も一人いると、いい刺激になるんですけどねー」

イン「はむはむ!!!かきねは学校に行ってないの?」

垣根「あぁ、興味ないし」

小萌「ならぜひとも!!!うちの学校に来てほしいのです!」

垣根「いやいや・・・」

吹寄「・・・ダメですよ先生」

姫神「私も。それは反対」


776 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:24:23.70 2pOaYUh20 652/851

イン「かきね!!私も一緒に行くんだよ!!」

垣根「いやいや!!!お前はまだどう見ても中学生だろ!」

心理「そうよ、インデックス」

イン「うー!!とうまの学校に行きたいんだよ!!」

小萌「シスターちゃん、ダメなのですよ」

吹寄「言っておくけど・・・学校は遊ぶところじゃないのよ?」

イン「う・・・」

姫神「学び舎だから」

垣根「・・・学校か」

吹寄「な、なに真面目な顔になってるのよ?」

垣根「いや・・・あ、お肉焼けた」

小萌「・・・垣根ちゃん、どうですか?学校」

垣根「そうだな・・・」



777 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:38:47.45 2pOaYUh20 653/851

小萌「・・・垣根ちゃんは学校、行きたくないんですか?」

垣根「はぁ?行きたいって」

小萌「ですが、どこか少し敬遠してるみたいなのです」

垣根「・・・いや、まぁ・・・学校には慣れてなくてさ」

心理「・・・まぁ、中学生辺りから通ってなかったんでしょ?」

姫神「そうなの?」

垣根「あぁ」

吹寄「・・・どうして通わなくなったの?」

垣根「焼肉食いながら話すようなもんじゃないぜ」

垣根が肉をつつく

小萌「いいんですよ、垣根ちゃん」

姫神「・・・高位能力者の悩み?」


778 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:41:34.61 2pOaYUh20 654/851

垣根「・・・そうだな・・・」

垣根が顔をしかめる

垣根「小萌にも役立つかもな・・・」

小萌「能力者の悩みも聞く、それが我々の役目なのです!」

それを聞いて、垣根が小さく笑う

こんな教師ばかりなら、自分ももう少しまともな人生を歩めたのか

垣根「・・・御坂の能力は・・・努力で伸びたものだ」

姫神「どうしたの。急にそんなこと」

垣根「・・・他の能力者もそうだろうな、最初はあまり高い能力じゃなかった」

素養格付というものがある

それは、誰がどんな能力で、どれほどのレベルになれるかを細かく示しているのだ

だが、だからといって美琴が努力しなかった訳ではない


779 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:44:22.85 2pOaYUh20 655/851

「彼女は超能力者になりますよ」と書かれていても、もしも彼女が努力を怠ればそうはならなかっただろう

垣根「・・・だがな、俺は違った」

イン「?どういうこと?」

垣根「・・・おそらく一方通行もそうだろうな」

小萌「・・・最初から、恐ろしい力を持っていたのですか?」

垣根「あぁ」

心理「・・・」

垣根「俺が能力開発を受けだしたのは、たしか小学生の頃だ」

吹寄「周りも大抵はそうよね・・・」

垣根「・・・最初の頃・・・俺はどんな能力だったと思う?」

姫神「・・・この世に存在しないものの解析をできるとか」

姫神が答える

誰だって、能力のレベルが低いうちは使える能力の強度も低い

それが常識だった


780 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:47:23.85 2pOaYUh20 656/851

垣根「・・・違うんだ、俺の能力は最初から存在しないものを作り出すことだった」

吹寄「ど、どういうこと?」

垣根「一方通行の能力は・・・最初からベクトル操作だったんだ」

小萌「・・・つまり、最初から超能力級の力を・・・?」

垣根「そうだ」

心理「待って・・・それはおかしいんじゃないかしら」

垣根「能力の強さは経験、年齢、そんなものから決まるんじゃない」

垣根が自分の頭を叩く

垣根「自分だけの現実の強さから決まるんだ」

姫神「・・・」

垣根「御坂はなぜ低い能力から始まった?ガキの頃はなんでみんな能力値が低い?」

小萌「・・・自分だけの現実を、それほど確立していないからなのです」

垣根「そうだな」

吹寄「・・・自己の存在自体にそれほど気づいていないから?」

垣根「あぁ」


781 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:52:47.59 2pOaYUh20 657/851

イン「どういうこと?」

垣根「シュレディンガーの猫・・・知ってるか?」

イン「前に小萌に教えられたんだよ」

垣根「・・・自分だけの現実ってのは、まず自分が周りから孤立した存在だと気づくべきだ」

心理「自分と周りの違いを見つけることなの、重要なのは」

垣根「・・・小学生が、最初から自分と周りの違いなんて完璧に分かるか?」

姫神「分からないはず」

垣根「普通はな」

吹寄「・・・垣根は違ったの?」

垣根「・・・自分だけの現実・・・それがより強いっていうのは、二つのパターンがある」

垣根が指を二本立てる

垣根「一つは周りと違った視点から物事を見つめられる・・・そうだな、どちらかというならプラスな方向のパターン」

吹寄「・・・もう一つは?」


782 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:55:49.96 2pOaYUh20 658/851

垣根「・・・周りから外れた・・・逸脱した、狂った考えをする・・・マイナスのパターン」

心理「・・・あなたや一方通行ね」

垣根「・・・周りと違う見方を手に入れるには時間が掛かる」

姫神「・・・でも、狂った精神というのは・・・」

垣根「ガキの頃から持っている」

吹寄「・・・く、狂った・・・自分だけの現実?」

垣根「そうだな・・・お前らが犬嫌いだとしようぜ」

イン「?うん」

垣根「そして、目の前に犬がいるとする」

姫神「うん」

垣根「どうする?」

吹寄「?追い払う・・・かしら」

垣根「そうだな、それが普通だ」


783 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 11:58:18.40 2pOaYUh20 659/851

小萌「・・・プラスのパターンの能力者は、自分が立ち去るんですね」

垣根「あぁ」

姫神「・・・なるほど。犬を動かすのではなく自分が動くと」

吹寄「・・・たしかに面白い考え方かもね」

垣根「・・・じゃあ、狂った考え方の能力者はどうすると思う?」

かつての一方通行や垣根が

もしも、うっとうしい類の存在を見つけたら

それが、たくさんいると知ったら

吹寄「・・・目の前の犬を・・・殺す?」

垣根「ははは・・・そりゃ、まだまともなほうさ」

心理「・・・そうね、やっぱり吹寄さんはまともな思考の持ち主よ」

吹寄「じゃ、じゃあ・・・」


垣根「世界中の犬を殺すのさ」


784 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 12:01:00.10 2pOaYUh20 660/851

姫神「世界中の・・・」

垣根「目の前の問題を取り払うだけじゃない、その先の可能性さえも捨て去る」

イン「・・・な、なんて恐ろしい考え方なんだよ・・・」

垣根「・・・狂ってるだろ?超人間的だろ」

吹寄「・・・それが、垣根たち?」

垣根「あぁ」

心理「・・・そんな考え方を・・・小学生の頃からしていたのね」

垣根「もちろん、それを抑える術だって知ってたさ」

吹寄「・・・」

吹寄の背中に、何か恐ろしいものが走った

彼女が友人だと思っている垣根

そして、一度は恋をした垣根

そんな優しい彼が、狂った人間だったなんて

垣根「・・・そりゃ、学校なんて行きたくなくなるさ」


785 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 12:04:54.48 2pOaYUh20 661/851

吹寄「・・・な、なんで」

垣根「俺の通ってた小学校には結構な才能の持ち主が多かった」

小萌「・・・エリート校だったんですね」

垣根「あぁ・・・だからこそ、俺はムカついたんだ」

心理「・・・騎士が怒りを覚えるのは民間人ではない、ね」

垣根「おうよ」

姫神「それは。どういう意味?」

垣根「剣の振るい方をしっている人間がムカつくのは、剣を知らないものじゃない」

心理「中途半端に剣を振るう、ごろつき達なのよ」

垣根「俺は昔から超能力の片鱗を手にしていた・・・そんなガキが、中途半端に強い能力を持っているヤツらを見て何も思わないだろうか?」

小萌「それは・・・」

垣根「まして・・・そんなヤツらが切磋琢磨していたら?」

吹寄「・・・それに・・・どうして怒りが湧くの?」

垣根「御坂なら湧かなかったろうさ」


垣根「だが、俺は狂ってたんだぜ?」



786 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 12:07:08.17 2pOaYUh20 662/851

姫神「・・・うらやましかったの?」

垣根「そうだな、それもあるかもしれない」

姫神「・・・」

垣根「だからさ、小学校は途中から通わなくなったし・・・中学なんてそもそも入学式にも出なかった」

小萌「・・・ですが、学校には行きたいんじゃないですか?」

垣根「・・・まともな神経を手に入れたんだ」

吹寄「あ・・・」

垣根「・・・狂った人間だった俺が、やっと普通の人間になれたのさ」

垣根が苦笑する

吹寄「・・・やっぱり、垣根は垣根よ」

垣根「あ?」

吹寄「・・・先生、体験入学・・・できるんじゃないですか?」

小萌「もちろんなのです!」

垣根「おいおい、なんだよ急に」


788 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 15:56:24.47 2pOaYUh20 663/851

小萌「垣根ちゃん、祝学校復帰なんですよ!」

垣根「はぁ?」

心理「ふふ・・・私は授業参観に行ってあげるわよ」

小萌「一応制服も買ってくださいね!」

垣根「マジかよ・・・てかそれってもう編入・・・」

小萌「編入でもいいんですよ?」

姫神「・・・垣根みたいな能力者なら、書類なんていらなそう」

心理「そりゃそうでしょうね」

垣根「はぁ・・・インデックス、肉もっと食っていいぞ?」

イン「うん!!」

インデックスが注文を追加する

垣根「・・・学校か」

789 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 15:57:33.42 2pOaYUh20 664/851

心理「いいんじゃない?」

垣根「悪くはないけどさ・・・」

小萌「垣根ちゃん、ぜひとも来てほしいのです!!!」

姫神「歓迎する」

吹寄「・・・その代わり、大人しくしなさいよ?」

垣根「はぁ・・・いつの間にか決定事項か」

垣根が溜め息をついた

しかし、なぜか顔は笑っている

小萌「垣根ちゃん、どうですか?」

垣根「そうだな・・・」


垣根「ま、ちょっとくらいならいいぜ」

790 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 15:58:18.23 2pOaYUh20 665/851

フレンダ「ねぇねぇ、ゴーグル」

ゴーグル「なんすか」

フレンダの部屋で、二人はテレビを見ていた

一人一台テレビがある、なんと豪華な隠れ家だろうかとゴーグル男は感心した

フレンダ「このゴーグルがないと、アンタってなんも特徴ない訳よ」

ゴーグル「仕方ないじゃないっすか」

フレンダ「いやじゃない訳?」

ゴーグル「別に・・・目立てなくてもいいですから」

フレンダ「ふーん・・・」

Tシャツに短パン、という簡単な格好をしたフレンダが脚をバタバタとさせる

テレビでは正月特番のようなものをしていた

ゴーグル「・・・世間はやっぱり正月一色っすね」

791 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 15:59:08.02 2pOaYUh20 666/851

フレンダ「そりゃそうな訳よ」

ゴーグル「よく考えたら・・・俺たちが知り合ってまだ一週間ちょっとっすね」

フレンダ「時間とかどうでもよくない?」

フレンダがゴーグル男をじっと見つめる

フレンダ「どれだけ信用してるかが大切な訳よ」

ゴーグル「そりゃそうですけど」

ゴーグル男が不思議そうな顔をする

彼女の口から「信用」なんて言葉が出るとは思わなかったからだ

ゴーグル「・・・俺のこと、信用してるんすか?」

フレンダ「うん」

ゴーグル「そうっすか・・・」

フレンダ「?どうしたの?」

ゴーグル「あぁ、いや」

792 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:00:09.87 2pOaYUh20 667/851

ゴーグル男が苦笑する

フレンダ「・・・嬉しいの?」

ゴーグル「そりゃ嬉しいっすよ」

フレンダ「ふーん・・・」

ゴーグル「あ、なんか面白い企画やってますね」

テレビの中ではよく見る男性アイドルがなにやらリアクション芸に挑戦していた

フレンダ「一一一だっけ?」

ゴーグル「ヘンな名前っすね」

フレンダ「そりゃ芸名な訳よ」

ゴーグル「まぁそうなんすけど・・・」

フレンダ「でも、たしかにイケメンな訳よ」

ゴーグル「はぁ・・・イケメンは得っすよね」

フレンダ「・・・へぇ、リアクションもなかなか」

793 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:01:17.01 2pOaYUh20 668/851

フレンダがじっとテレビを見つめる

ゴーグル「はぁ・・・なんか男は男を見ても面白くないですよ」

フレンダ「まぁそうな訳・・・」

ゴーグル「あ、でも後ろにいる水着の子可愛いっす」

フレンダ「かー!!!男はやっぱ胸な訳・・・」

ゴーグル「背中綺麗っすね・・・」

フレンダ「・・・アンタってもしかして背中フェチ?」

ゴーグル「あぁいや・・・でも綺麗じゃないっすか?」

ゴーグル男が水着の女の子を指差す

すらっとした背中が綺麗な印象を与えていた

ゴーグル「・・・別に背中が好きなんじゃないっすけどね」

フレンダ「あぁ、あの子が見た目的にツボって訳・・・」

794 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:02:03.41 2pOaYUh20 669/851

ゴーグル「・・・でも脚はフレンダさんのほうが綺麗っすね」

フレンダ「と、当然!!!」

ゴーグル(はぁ・・・どうにか機嫌を取れたっす)

フレンダ「・・・にしても、アンタがこの部屋に泊まって二日目な訳よ」

ゴーグル「・・・はぁ」

フレンダ「ねぇねぇ、この後どうすんの?」

ゴーグル「この後っすか・・・」

フレンダ「もうみんな迎え入れるつもりみたいな訳よ」

ゴーグル「へぇ・・・そうなんすか」

フレンダ「・・・ねぇ、アンタは・・・まだここから出て行くつもりな訳?」

少し不安そうにフレンダが訊ねる

ゴーグル「・・・みなさんがいいって言うなら、ここにいたいって気のほうが強いっす」

795 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:03:02.53 2pOaYUh20 670/851

フレンダ「!!ホント!?」

ゴーグル「・・・それに・・・」

フレンダ「そ、それに?」

ゴーグル「フレンダさんといるといろいろ面白いじゃないっすか」

フレンダ「ま、まぁ私はさすがだからな訳よ!!!」

ゴーグル「何がっすか・・・」

ゴーグル男が苦笑する

フレンダ「あ、見て見て!!!この企画も面白そうな訳よ!!!」

ゴーグル「あ、ホントっすね」

ゴロゴロと転がりながら、二人は再びテレビを見つめる

それはまるで、ずっと昔からそうであるかのような光景だった



796 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:03:53.56 2pOaYUh20 671/851

上条「さて・・・何頼みますか?」

上条と美琴は近くのレストランに来ていた

レストランと言っても、ファミレスではない

さすがに正月くらいは高級なレストランに行こう、と二人で話し合ったのだ

美琴「うーん・・・ステーキかな」

上条「ステーキか・・・俺はこっちのハンバーグでいいや」

美琴「!!じゃ、じゃああーんって出来るわね!!!」

上条「ん?そうだな」

上条が微笑みながらウェイトレスに注文を伝える

美琴「・・・ここのレストランはオシャレよね」

上条「場違いじゃないかな?」

上条が自分の服を見つめる

797 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:04:49.84 2pOaYUh20 672/851

美琴「そう?どんな服で来てもいいじゃない」

上条「そういうもんかな?」

美琴「私は当麻といられればそれでいいんだもん」

上条「はぁ!!美琴は可愛いなぁ!!!!」

上条が美琴の頭を撫でる

美琴「にゃっ!!こ、こんなとこでやめなさいって!」

上条「ん?でもニヤニヤしてますね?」

美琴「そ、そりゃ・・・嬉しいもん」

上条「へぇ・・・可愛いな」

ニコニコ、と上条が微笑む

美琴「にゃ・・・にゃに言ってんのよ」

上条「ん?どうしました?」

美琴「ニヤニヤしないでよ!」

798 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:09:09.29 2pOaYUh20 673/851

美琴が顔を真っ赤にしながら手を振り回す  

上条「はいはい、そげぶー」

美琴「そげぶなんてしなくていいじゃない!」

上条「美琴さん、周りのお客さんがクスクス笑ってますよ?」

美琴「にゃ・・・」

美琴が辺りを見回す

たしかに、客はみんな美琴の顔を見つめていた

有名なあの常盤台の超電磁砲

それが、彼氏と普通に騒いでいる

知らない人からしたら不思議な光景だろう

上条「やっぱ注目されるな・・・」

美琴「気にしない気にしない」

当然といった感じで、美琴は手をヒラヒラと振る



799 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:14:36.93 2pOaYUh20 674/851

少し遅れた話になるけど、ハイネが天国に行ったみたいですね・・・

利奈さんの元で過ごせて幸せだったと思いますよ、本当に

ペットは家族でありかけがえない存在ですよね

家の犬ももうちょい可愛がってあげないといけません

みなさんも家族を大切に


上条「・・・なぁ」

美琴「ん、なぁに?」

上条「美琴の超電磁砲ってさ、金属にしか使えないんだよな?」

美琴「うん、そうだけど?」

上条「もし金属がなかったらどうなるんだ?」

美琴「関係ないわよ、電撃は絶対撃てるし・・・」

上条「あー・・・大気中にも電子やらなんやらは漂ってる訳か」

美琴「そうそう」


800 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 16:24:32.79 2pOaYUh20 675/851

上条「そうなると・・・万能だな」

上条が感心したようにつぶやく

美琴「まぁ・・・当麻とか一方通行とか垣根以外には負ける気がしないわね」

上条「それだけあの二人は化け物・・・か」

美琴「でも、そんなに強すぎても考え物よね」

上条「そうだな」

もしも痴話喧嘩の相手があんな化け物だったら

そう考えると、背筋が凍る

上条「あ、来た来た」

美琴「んー!美味しそう!」

運ばれてきた出来立ての料理を前に、二人が手を合わせる

上条「んじゃあ・・・」



801 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 17:32:55.91 2pOaYUh20 676/851

上条「しわとしわを合わせて!!!」

美琴「幸せ!!!」

上条「脳ある鷹は!!!」

美琴「当たり前!!!!」

上条「君は!!!」

美琴「刻の涙を見る!!」

上条「いただきます!!!」

美琴「いただきまーす!!」

二人が頭を下げてから食事を始める


美琴「うん!!!美味しい!!!」

上条「おー!美味しいな!」

美琴「はぁ・・・幸せ・・・」ニコニコ



802 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 17:52:00.91 2pOaYUh20 677/851

上条「はい、あーん」

美琴「あーん♪」

互いの注文した料理を交換したり、褒め合ったり

そんなことをしながら楽しい夜食のひと時を過ごす

上条「・・・外はもう暗いな」

美琴「うん・・・幻想的」

上条「あ、ここからなら月も見える」

美琴「ん、ホントだ」

さきほど夜道で見上げた月が建物の中からも見えた

上条「・・・月って綺麗だよな」

美琴「うん・・・ホント」

上条「・・・食べ終わったし、そろそろ帰るか」

美琴「そうね」



803 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 18:20:26.64 2pOaYUh20 678/851

上条が支払いを済ませ、二人は外へと出る

上条(・・・思ったより安く済んでよかったな)

美琴「?どうしたの、溜め息なんかついて」

上条「あぁいや」

上条が笑いで安堵を誤魔化す

美琴「それで・・・これからどうする?」

上条「うーん・・・まだ帰るには早いかもな」

現在時刻は7時半

もう少し夜の街を歩いていてもいいのではないか

上条(・・・しっかし、上条さんは不幸だからな・・・)

このまま歩いていたら、いきなり不良に絡まれたりどこからか飛んできた矢に当たって死に掛けたりしそうだ

そういうことが本当に起きそうで困ってしまう

美琴「ねぇねぇ、どこ行く?」

上条「そうだな・・・」



804 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 18:24:20.75 2pOaYUh20 679/851

上条が辺りを見回す

さすがに、この人混みの中で不良に絡まれたり矢に撃たれたりなんてしないだろう

上条「じゃあ・・・」

とりあえず適当に買い物でもするか?と言おうとした上条の顔面に何かが飛んできた

え、この人混みの中でなんで?と思ったが、それもまた不幸

では一体何が飛んできたのか


テクパトル「・・・い、いてぇ・・・」

テクパトルだった

筋肉武装されたテクパトルの大柄な体だった

美琴「テ、テクパトル!?」

テクパトル「あ、義姉さん・・・と上条か?」

上条「」

テクパトル「だ、大丈夫か!?」


20000「にゃーっはっは!!」

そんなやり取りを遠くから見ている一人のミサカ

彼女がそもそもの元凶なのだ



805 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 18:27:46.90 2pOaYUh20 680/851

時は遡る

テクパトルたちは、テレビゲームに勤しんだ後食事にしようじゃないか、という話をしていた

テクパトル「で?何か食べたいのがあるヤツは・・・」

御坂妹「はいはい!!ミサカはお肉が食べたいです!」

14510「えー・・・太ってしまいますよ?とミサカは顔をしかめてみます」

19090「そ、そうですよ・・・とミサカも14510に賛同します」

17600「第一、お肉なんて一括りで言ってもテっくんが困るだろ」

13577「じゃあ・・・鍋でしょうか?」

20000「おー、いいね」

テクパトル(・・・大晦日に食べたばっかだけど、まぁいいか)

10039「ではどこに行きますか?」

テクパトル「・・・は?」

10033「もちろん食べに行くんですよね?」

テクパトル「え?」


806 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 18:31:51.88 2pOaYUh20 681/851

御坂妹「そうですね・・・すき焼きなんかどうですか?」

19090「あ、いいですね!」

テクパトル「待て待て!!外に行くつもりか!?」

10039「いいじゃないですか、とミサカはしらばっくれます」

17600「なんだ、引きこもりたい年頃か?」

テクパトル「そんな年頃は存在しない!!っていうか俺たちは疲れてて・・・」

13577「自分達だけ楽しんだせいですよね?とミサカはジト目で見つめてみます」

14510「自業自得ですよね?とミサカは追い討ちをかけます」

御坂妹「それで疲れたから外には行けない、とかちゃんちゃらおかしいです、とミサカはこの前小説で読んだ言葉をここぞとばかりに使ってみます」

テクパトル「で、でもな・・・」

御坂妹「仕事も決まったんですから、そのお祝いも兼ねてですよ」

20000「なー、行こうぜテっくん」

テクパトル「・・・はぁ」

テクパトルは溜息をついていた

仕方ないか、と


それが午後の5時のことだった



807 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 18:36:16.23 2pOaYUh20 682/851


テクパトル「はぁ・・・結局、こうやって大人数で食べに来てしまった・・・」

御坂妹「特殊メイクもばっちりです、とミサカはどや顔を披露します」

17600「それをやったのはミサカだ」

19090「ほえー・・・こんなお店があったんですね」

10033「どうせテっくんは一人で食べに来たことがあるんじゃないですか?」

テクパトル「ちげぇよ・・・さっき垣根にメールで教えてもらったんだ」

13577「それは便利な情報屋ですね」

テクパトル「いや・・・それはいいのか?」

20000「早く行こうぜ!!!」

20000号が先陣を切って店へと突入した


テクパトル「・・・へぇ、いろいろあるんだな・・・」

19090「甘口、辛口というのも存在するんですね」


808 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 18:38:42.61 2pOaYUh20 683/851

20000「ダシかなんかの濃度を変えるのかな?」

17600「そんなことはどうでもいいじゃないか、早く頼もうぜ」

テクパトル「そうだな・・・」

テクパトルが店員に注文を伝える

少し甘めのすき焼きだ

10039「・・・鍋って、始まる前にワクワクしますよね」

14510「ご馳走ですからね・・・」

10033「鍋がご馳走というのも複雑ですね」

御坂妹「ですが、たくさん食べられるので大好きです」

テクパトル「・・・鍋だったら何が好きなんだ?」

ミサカ一同「すき焼きです!!!」

テクパトル(・・・ダジャレじゃないよな?)

そんなやり取りをしていたのは5時20分頃



809 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 19:39:03.07 2pOaYUh20 684/851

テクパトル「・・・お、来た来た」

20000「?なんか綿菓子も持ってきてるけど」

「前を失礼いたします」

店員が綿菓子を鍋の中に入れる

御坂妹「おや、これを溶かすのですか・・・」

「では、ごゆっくりどうぞ」


19090「なるほど・・・これが甘口の正体ですか」

10039「・・・ほう、これは面白いですね・・・」

綿菓子が溶けていくのを、ミサカたちが不思議そうに見つめる

テクパトル「ふーん・・・美味しそうだな」

17600「さっさと食べようぜ」



810 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 20:17:28.33 2pOaYUh20 685/851

一同がお肉を入れ、それに火が通るのをじっと待つ

テクパトル「・・・楽しみだよな、こういうのが焼けるの待つときって」

19090「こう・・・肉の色が変わっていくのも面白いです」

10039「・・・早く食べたいです」ワクワク

14510「食い意地が張りすぎですよ」ドキドキ

御坂妹「あなたもですよ・・・」ウズウズ

20000「みんな食べたいんだね」

13577「そりゃ久々にテっくんとの食事ですから!」

テクパトル「いや・・・そうでもないだろ」

10033「はぁ・・・テっくんは鈍いですね」

20000「ニブチンだね」

テクパトル「はぁ・・・何がだよ?」



811 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 20:26:15.88 2pOaYUh20 686/851

10039「テっくん、玉子溶いてください!」

19090「!!ミサカもです!」

御坂妹「ミサカもお願いします!!!」

テクパトル「いやいや!自分でやれよ!!」

13577「やってください!!」

テクパトル「お前たちは子供か・・・」

呆れたように言いながらも、テクパトルは全員分の玉子を割っていく

17600「おう、ミサカは自分でやるよ」

テクパトル「ん・・・いいさ、ついでだし」

17600「悪いな」

御坂妹「なーんかテっくんは19090号と17600号には甘いですね・・・」

13577「まさか二股ですか?」



812 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 20:36:00.29 2pOaYUh20 687/851

テクパトル「ちげぇよ!!!」

テクパトルが頭を抱えながら叫ぶ

10033「ですが、たしかに妙に17600号にも優しいですよね・・・」

19090「それは17600号がまともだからじゃないですか?」

20000「ミサカたちはまともじゃないってか!?」

13577「それは聞き捨てなりませんよ!!!」

御坂妹「19090号!!!ちょっと表に出ましょうか!!!」

19090「に、肉に火が通りましたよ!!」

14510「誤魔化すなぁ!!!!」

19090「み、みんなは少しお茶目が・・・」

10033「ちくしょぉぉぉ!!!これがヒロインの余裕だよ!!!」


テクパトル「ほれ、17600号」

17600「おう、悪いな」

御坂妹「そこぉ!!!」


813 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 20:45:23.17 2pOaYUh20 688/851

19090「テっくん!!」

テクパトル「ち、違うって!」

御坂妹「ミサカたちは見た!!」

14510「浮気の現場ですよ!!!!」

テクパトル「違うからなぁ!」

御坂妹「はぁ・・・19090号、テっくんは浮気性ですよ?」

19090「そ、そうなんですか?」

テクパトル「違うって・・・」

20000「まぁまぁ、セフレまではセーフだよ」

テクパトル「アウトじゃねぇか!!!!!」

17600「いやん」

テクパトル「いやんじゃねぇ!!」

19090「テっくん・・・ミサカは信じてますからね?」

テクパトル「ありがとう!!なんかめちゃくちゃお前が癒しだ!!!」

10039「うっわぁ、惚気ましたよ」

テクパトル「いいだろ!」


814 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 20:52:35.68 2pOaYUh20 689/851

御坂妹「あ、豆腐もらいますよ」

13577「ミサカもほしいです」

19090「ではミサカはしらたきを・・・」

テクパトル「みんなヘルシーだな・・・」

17600「ミサカは肉がほしいな」

テクパトル「お、はいはい」

20000「ミサカは・・・テっくんの雄雄しいソーセージがほしいな」

テクパトル「帰れ」

20000「帰れってなにさ!!!」

御坂妹「20000号、お下品です」

19090「ちょっと引きましたよ」

20000「むしろその冷たい視線が堪らない!!」

テクパトル「はぁ・・・ん、14510号・・・どした?」



815 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 20:59:56.46 2pOaYUh20 690/851

14510「あの・・・これはなんですか?」

14510号がある食材を指差す

テクパトル「ん?エノキもしらないのか?」

御坂妹「エノキは美味しいですよ?」

14510「・・・な、なんか・・・グロテスクですね」

17600「そうか?美味いぞ」

テクパトル「そうそう、食べてみろよ」

10039「食わず嫌いはダメですよ」

20000「ほら、将来下のお口でキノコを食べないといけない・・・」

テクパトル「20000号ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!」

20000「ひゃっひゃっひゃ!!!!19090号はキノコ大好きだもんねぇ!!!」

テクパトル「てめぇ!!個室に分かれてる店だからよかったなぁ!!」

20000「テ、テっくんったら個室で何を・・・」

テクパトル「断じてしねぇよ!!」



816 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 21:04:37.25 2pOaYUh20 691/851

14510「・・・これはどうやって食べるのですか?」

17600「普通にぱくっと」

14510「ほうほう」

14510号がエノキを口に放り込む

14510「ん、食感がなかなかいいですね」

20000「太くて・・・硬いでしょ?」

テクパトル「減点が累積1京を突破したぞ」

20000「」

御坂妹「あ、まだしらたきが・・・」

13577「そのしらたきはミサカのですよ!!!」

御坂妹「違います!!!ミサカの・・・」

10039「あ、しらたきもーらい」パクッ

御坂妹13577「」

17600(修羅場だなこりゃ)



817 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 21:07:50.31 2pOaYUh20 692/851

御坂妹「なんで勝手に食べるんですか!!!」

13577「ミサカのしらたきを!!」

10039「これが漁夫の利ですよ!!!」

御坂妹「ちくしょぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」

テクパトル「はぁ・・・またしらたき入れればいいだろ?」

御坂妹「あのしらたきがよかったんです!」

19090「な、なんだか子供っぽい理屈ですね」

10033「くだらないことで喧嘩はしないでください」

13577「クールぶっちゃって!!!」

御坂妹「妹達がクールキャラなんて今日日流行りませんよ!!」

テクパトル「なんだよそりゃ・・・」

14510「エノキ美味しいです・・・」

17600「ミサカももらおうかな」

14510「あ、どうぞ」


818 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 21:14:38.18 2pOaYUh20 693/851

テクパトル「ほら、しらたきまた入れたから」

御坂妹「うぅ・・・」

10039「ふん、弱肉強食ですよ」

20000「すき焼きだけに?」

10039「?」

テクパトル「・・・お前たちは仮にも兄弟だろ?もっと仲良く・・・」

17600「いやぁ、兄弟というのは仲が悪くてなんぼだよ」

テクパトル「そういうもんか・・・ていうかいつの間にお前は酒を頼んだ」

17600「おう、テっくんの分も頼んだぞ」

テクパトル「それはいいけどさ・・・」

御坂妹「19090号、酔った男女というのは過ちを犯すんですよ」

19090「あ、過ち?」

20000「犯すんだな」



820 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 21:23:36.46 2pOaYUh20 694/851

テクパトル「はぁ・・・19090号、こっちにおいで」

19090「は、はい」

19090号がテクパトルに寄る

テクパトル「言っとくけどな、俺はお前以外の女なんて興味がないんだよ」

19090「わ、わわわ・・・」

御坂妹「てめぇテクパトルぅぅううううううううううう!!!!!!!!!!!」

10033「あれですか!?なんですか!?」

20000「自問自答はやめようぜ!!!」

10039「テっくん!!興味ないってなんですか!?」

テクパトル「異性としては、だってば・・・」

17600「みんなそう怒るなよ、大体テっくんはバカに一途なんだからお前たちじゃ相手にもされないさ」

13577「されどもぉぉぉ!!!」

14510「エノキ・・・」

御坂妹「14510号、戻ってきてください!!!!」



821 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 21:40:17.09 2pOaYUh20 695/851

テクパトル「・・・はぁ、なんかお前たちは愉快だよな」

御坂妹「バカにしてますね!?」

10039「愉快だなぁ(笑)てことですね!?」

テクパトル「・・・17600号、頼む」

17600「ほら、テっくんも困ってるぞ」

御坂妹「ですが・・・」

17600「お前たちはテっくんにお世話になってるだろ」

13577「う・・・」

17600「その上、自分達にずーっと構えというのはガキの理論だぞ」

17600号がぐいっと酒を飲む

17600「いいか?構ってくれ構ってくれ、なんて言うヤツの要望に一一応えられるわけがないだろ」

10033「・・・で、ですけども・・・」



822 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 21:54:46.51 2pOaYUh20 696/851

17600「あれだよ、ミサカたちは十分与えてもらってるんだからいいじゃないか」

テクパトル「そうだそうだー」

20000「おいおい・・・テっくんがなんか情けないぜ」

17600「はぁ・・・当たり前の幸せに覚えてはいけないぞ」

御坂妹「・・・そうですね」

ミサカたちが申しわけなさそうな顔にする

テクパトル「まぁ・・・俺も悪かったな」

19090「・・・みんな、今は美味しい食事を楽しみましょう!」

10039「そ、そうですね!」

御坂妹「では改めて!!!」

パン!!と一同が手を合わす


テクパトル「いただきます!!」

ミサカ一同「いただきます!!」


そんなてんやわんやがあったのは、午後の6時半

一時間以上、すき焼き店に滞在していた


823 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 22:01:50.64 2pOaYUh20 697/851


その後、みんなで面白い話をして過ごすこと一時間近く

店もそこまで混んでいなかったため、長い間滞在できた

そして問題は起きる


テクパトル「さて・・・これからどうする?」

19090「そうですね・・・夜の街を歩くのはどうですか?」

御坂妹「あ、賛成です」

14510「では行きましょうか」

印象的だったのは、月が綺麗だったこと

こういう月を見ていると、テクパトルは19090号に名前をつけた日を思い出す

テクパトル(・・・月、か)

19090「?どうしたんですか、テっくん?」

テクパトル「いや・・・なんでもないさ」


824 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 22:05:34.24 2pOaYUh20 698/851

10039「黄昏てますね」

テクパトル「そんな言葉を使うな・・・」

19090「・・・テっくん、月が綺麗ですよ」

テクパトル「あぁ」

20000「かー、ウサギが餅ついてるよ」

テクパトル「ウサギ・・・か」

13577「あれはお姫様が泣いてるんじゃないですか?」

テクパトル「そうか?老人が笛を吹いてるんだろ」

17600「初めて聞いたな、それは」

20000「・・・ん?」

20000号が突然歩みを止める

なぜか、空から視線を離していた

テクパトル「ん、どうした?」

20000「お姉様とお義兄様だ」



825 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 22:10:29.86 2pOaYUh20 699/851

テクパトル「は?」

20000号の視線を追うと、二人が並んで歩いていた

ここから少し遠い場所だ

テクパトル「ふーん・・・あの二人はデートか」

20000「お姉様ー!!」

20000号が手を振るが、その声は周りの喧騒に掻き消されてしまう

テクパトル「聞こえるわけないさ」

御坂妹「そうですよ、何か気づいてもらえることをしなければ」

10033「ま、この距離からじゃどうすることも・・・」

20000「あ!何か気づくようなことをすればいいんだよね!?」

テクパトル「はぁ?そうだけど」

14510「何をするんですか?」

20000「テっくん、テっくん」

20000号が手招きをする



826 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/06 22:15:10.12 2pOaYUh20 700/851

テクパトル「ん、どうした?」

20000「ちょっとそこに立って・・・そうそう」

テクパトル「?」

テクパトルが首を捻る

ちょうど、20000号の後ろだ

20000「ではテっくん!」

そして、テクパトルの腕がぐっと握られた

その時彼は直感で理解した

あ、投げられると

次の瞬間には、宙を舞っていた

そして


上条「うぼぁ!」

テクパトル「ぐぁぁ!」

二人と一家は交差した


それが、ちょうど夜8時のことだった




833 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 10:49:06.61 LHQyTIq+0 701/851

フレンダ「・・・あ、映画がある訳よ」

新聞のテレビ欄を見ながらフレンダは呟いた

時間は夜の8時

中途半端な時間だが映画が放送されるらしい

ゴーグル「・・・映画っすか?」

ゴーグル男が横から新聞を覗く

ゴーグル「ふんふん・・・アメリカの恋愛物っすね」

フレンダ「今の番組も飽きちゃったし見てみない?」

ゴーグル「いいっすよ」

ゴーグル男がチャンネルを回す

フレンダ「あ、ちょうど始まっ・・・」

映画のチャンネルに合わさった途端

全裸の男女がベッドで絡むシーンが始まった

834 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:15:12.13 LHQyTIq+0 702/851

ゴーグル「うわ・・・いきなりラブシーンすか」

フレンダ「な、な!」

ゴーグル「いや、8チャンネルっすよ?」

フレンダ「なんでこんなシーンから始まる訳よ!?」

ゴーグル「そういう映画なんじゃないっすか?」

あまり興味なさそうにゴーグル男が答える

別に海外の映画ならラブシーンだって珍しくはないだろう

大体、フレンダは外国人のはずだ

そういうのにはゴーグル男より詳しそうなものだが

フレンダ「わわわ!ちょ、ちょっと・・・」

指の隙間からフレンダが映画を見る

さすがに下半身は見えてはいない

だが上半身はもう丸見えだ

835 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:15:43.03 LHQyTIq+0 703/851

ゴーグル「・・・なんか微妙そうじゃないですか?」

フレンダ「な、何が!?」

ゴーグル「女優さんがちょっと演技下手ですし」

フレンダ「え、演技!?」

ゴーグル「背中に回してる手が中途半端に震えてますし・・・」

フレンダ「アンタ・・・もしかして映画好き?」

ゴーグル「そこそこっすよ」

ゴーグル男は映画に集中しているようだった

フレンダ「そんなに女優の裸が見たい訳?」

ゴーグル「違いますよ・・・」

フレンダ「・・・な、なんかスタイルはいい女優な訳よ」

ゴーグル「ちょっと静かにしてて下さい」

836 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:16:40.59 LHQyTIq+0 704/851

フレンダ「な、何よ!私のテレビなのに!」

ゴーグル「しー、フレンダさんもちゃんと見ましょうよ」

フレンダ「映画なら今日見た訳よ!」

ゴーグル「はぁ・・・なんなんすか」

フレンダ「だ、だって・・・」

フレンダが何かを訴えるような目で見つめる

フレンダ(・・・あんまり裸をじっと見つめるゴーグルなんて見たくない訳よ)

ゴーグル「・・・どうしたんすか」

フレンダ「そんなに・・・裸に興味ある訳?」

ゴーグル「ないっすよ」

フレンダ「・・・もういい訳よ」

なぜかフレンダがそっぽを向いてしまう

837 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:17:28.26 LHQyTIq+0 705/851

ゴーグル「・・・」

ゴーグル男は気にせずテレビに集中している

フレンダ(・・・ふん、何よ・・・)

ゴーグル(カメラワークは上手いっすね)

フレンダ(なんか少し画面に近づいてるし)

ゴーグル(うん、今の場面転換も上手いっす)

フレンダ(・・・どうせ私は貧乳ですよー)

ゴーグル(・・・もしかして、なかなかいい映画なんじゃないっすか?)

フレンダ(・・・)

フレンダ「・・・ねぇ、ゴーグル」

ゴーグル「なんすか」

フレンダ「・・・ゴーグルって胸がでかい子が好きな訳?」



838 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:18:13.99 LHQyTIq+0 706/851

ゴーグル「違いますよ」

フレンダ「・・・素っ気ない訳よ」

ゴーグル「そうですか?」

フレンダ「・・・なんかつまんない」

ゴーグル「浜面さんとか滝壺さんの部屋に行ったらどうっすか」

フレンダ「・・・そうする」

フレンダが少し寂しそうな顔をしながら滝壺の部屋に向かう

フレンダ「・・・バーカ」

扉を閉める瞬間、そんなことを吐いてから


滝壺「うーん・・・この映画はなかなか電波が飛んできてる」

不思議少女滝壺理后は奇遇にもゴーグル男と同じ映画を見ていた

滝壺「うん・・・これは」

いい、と言おうとした時に部屋のドアがノックされた



839 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:18:51.95 LHQyTIq+0 707/851

滝壺「はい」

フレンダ「入っていい?」

滝壺「フレンダ?うん」

ドアが開かれた

そこには拗ねたような顔のフレンダが立っていた

フレンダ「・・・ちょっといい?」

滝壺「うん、入って入って」

滝壺が手招きをする

フレンダ「・・・滝壺もこの映画見てたんだ」

滝壺「フレンダも見てたの?」

フレンダ「ゴーグルが見てた」

滝壺「一緒に見なくていいの?」



840 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:19:22.55 LHQyTIq+0 708/851

フレンダ「・・・いい訳よ、あんなヤツ」

滝壺「喧嘩したの?」

フレンダ「・・・なんかね、構ってもらえなかった」

滝壺「映画に集中してたんじゃないの?」

フレンダ「・・・そうなんだけどさ」

滝壺「構ってほしかったの?」

フレンダ「うん」

フレンダがコクリと頷く

滝壺「・・・フレンダはゴーグルが好きなんだね」

フレンダ「す、好き!?」

滝壺「私にとっての浜面みたいに」

フレンダ「違う訳よ!恋心なんて無い無い!」



841 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:20:00.15 LHQyTIq+0 709/851

滝壺「認めたほうが楽になれるよ?」

フレンダ「違うから!」

滝壺「・・・じゃあなんで構ってほしいの?」

フレンダ「それは・・・あいつがこのフレンダ様に構わないのがムカつくから」

滝壺「なんで?」

フレンダ「なんでって・・・」

滝壺「好きなの?」

フレンダ「・・・」

フレンダが少し口をつぐむ

フレンダ「・・・あいつは私にそっくりなんだ」

滝壺「そう?」

フレンダ「私はさ・・・アイテムの中で一番の足手まといだった訳よ」



842 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:20:34.28 LHQyTIq+0 710/851

滝壺「そんなことないよ」

フレンダ「ううん・・・能力なんてないし・・・だから、アイテムの中では一番弱かった訳よ」

滝壺「・・・」

フレンダ「ゴーグルもそうだったんだ」

滝壺「垣根や心理定規のいるスクールの中で一番弱かったから?」

フレンダ「うん・・・同族感情かもしんない」

滝壺「・・・それだけ?」

フレンダ「・・・分からない訳よ」

はぁ、と深いため息をつく

フレンダ「・・・好きとかそんなこと分からないもん」

滝壺「出会ってすぐだから?」

フレンダ「うん・・・」

滝壺「ゴーグルはあんまりそういうのに興味なさそうだもんね」


843 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:21:10.55 LHQyTIq+0 711/851

フレンダ「・・・そうな訳よ」

滝壺「フレンダ、ゴーグルに謝ってきたら?」

フレンダ「な、なんで私が・・・」

滝壺「困ってると思うよ?」

フレンダ「な、何も言ってないもん」

滝壺「・・・それでも、帰ったほうがいいと思うな」

滝壺がフレンダの目を見つめる

その澄んだ瞳は母親の瞳に似ている

フレンダ「・・・分かった」

フレンダが滝壺の部屋から出ようとする

フレンダ「滝壺、ありがと」


844 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:21:52.72 LHQyTIq+0 712/851

滝壺「ねぇ、フレンダ」

フレンダ「ん、何?」

滝壺「私には居場所が出来たの」

フレンダ「うん」

滝壺「フレンダにも出来るといいね」

フレンダ「!」

滝壺「頑張って、フレンダ」

フレンダ「ありがと!」

満面の笑みを浮かべてからフレンダが自室に帰る


フレンダ「・・・ただいま」

ゴーグル「?早かったっすね」

フレンダ「・・・うん」



845 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:22:49.81 LHQyTIq+0 713/851

ゴーグル「どうしたんすか?」

フレンダ「なんでもない訳よ」

フレンダがゴーグル男の隣に座る

フレンダ「映画、面白い?」

ゴーグル「わりといいかもしんないっす」

フレンダ「・・・私も見ようかな」

ゴーグル「見ましょうよ」

フレンダ「・・・うん」

映画の中では恋人が甘い生活を送っている

周りの住人に振り回されながらも仲良く過ごしていく、といった話だ

フレンダ「・・・こういうことをしたら幸せなカップルになれるのかな」

ゴーグル「どうなんでしょうかね」

846 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:23:34.03 LHQyTIq+0 714/851

フレンダ「・・・」

そっとフレンダがゴーグルの肩に頭を載せる

ゴーグル「?眠いんすか?」

フレンダ「違う訳よ」

ゴーグル「じゃあなんで・・・」

フレンダ「したいからしてるの」

ゴーグル「はぁ・・・ちょっと重いんですけど」

フレンダ「・・・そういうことは言わないでほしかった訳よ」

ゴーグル「はいはい」

ゴーグル男が笑いながらテレビに視線を戻す

その中では、幸せなカップルが公園のベンチに座っていて

そして、彼女は彼氏の肩にそっと頭を載せていた


847 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:24:28.58 LHQyTIq+0 715/851

みなさんはご存知だろうか

筋肉というのはかなり重いのだ

よく、体重が重いなら絶対に太っているという意見を耳にする

だがそれは正確には間違っているのだ

脂肪よりも筋肉のほうが重い

ボディビルの世界レベルの選手は110kgを超える体重なんて当たり前

脂肪と筋肉が同じ体積だけある人が一人ずついるなら、筋肉達磨のほうが重いのだ

そして

上条の顔面に直撃したテクパトルは言わずもがな筋肉達磨だ

彼の体重は90kg近い

それを飛ばした20000号も恐ろしいには恐ろしい

だがそれ以上に、90kgの弾丸が顔面に直撃した事実のほうが恐ろしい

上条の意識は一瞬にしてお空の向こう側に到達してしまった


848 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:25:20.11 LHQyTIq+0 716/851

美琴「当麻!?当麻ぁ!」

テクパトル「か、上条!大丈夫か!?」

19090「み、水か何かで冷やしましょう!」

20000「あーあー、大変なことになっちゃったね」

テクパトル「てめぇのせいだ!大体なんで俺を投げた!?」

20000「全力出して自己アピールを・・・」

美琴「細かい事情なら後で聞くから!とにかく当麻の手当てよ!」

周りの通行人はなんの騒ぎだと見つめている

傍から見たら、マッチョなお兄さんが高校生をぶん殴った、みたいな雰囲気になっているだろう

テクパトル「とにかく!運ぶぞ!」

テクパトルが簡単に上条の体を抱える

御坂妹「あぁ、鍛えていてよかった」

13577「テクパトルはこの時そう思ったのでした」



849 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:25:56.33 LHQyTIq+0 717/851

テクパトル「昔話にするな!ていうか手伝え!」

10033「近くの公園にでも運びましょう」

テクパトル「あぁ!」

人混みの中をテクパトル達が歩いていく

人間を抱えたマッチョなお兄さん

自然と人並みが裂けて道が出来る

テクパトル(・・・はぁ・・・これで俺のイメージは最悪だよ・・・)

17600「にしてもよかったなテっくん、人命救助のライセンスを持っていて」

隣で17600号がありもしない嘘を吐く

それを聞いた通行人は、一転して尊敬の眼差しでテクパトルを見つめる

テクパトル(よくやった17600号!)

17600(はぁ・・・20000号は後でぶん殴るか)



850 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:26:24.20 LHQyTIq+0 718/851

20000(いやん、17600号がミサカをじっと見つめてる)

19090「お姉様、大丈夫ですよ」

美琴「当麻・・・当麻!目を覚まして!」

美琴は心配そうに上条を見つめている

20000「いっやぁ、やりすぎたね」

10039「後でテっくんからの説教が待ってますよ」

御坂妹「お姉様を泣かせるとはいい度胸ですね」

20000「こ、これは路地裏に連れていかれて痛いのに無理矢理やられちゃうパターン?」

17600「卑猥な言い方するな潰すぞ」

20000「」


テクパトル「はぁ・・・ベンチに寝かせるか」

テクパトルが上条の体をベンチに寝かせる



851 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:26:50.58 LHQyTIq+0 719/851

美琴「な、何からすればいいの?」

テクパトル「まぁ・・・タオルを水に浸して頭に乗せる」

美琴「そ、それだけ!?」

テクパトル「幸い、俺の体は当たっただけだったからな」

テクパトルが苦笑する

あのまま上条の顔を押し潰すようにテクパトルの巨体が乗っていたら

顔面骨折なんてことになっていたかもな、とテクパトルは冷や汗をかく

19090「タオル、濡らしてきました!」

テクパトル「お、サンキュー」

20000「もう、そんなに早く濡れちゃうなんて!」

17600「ちょっとこっちに来い」

20000「ひぃっ!」

御坂妹(強制連行ですね)


852 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:27:27.90 LHQyTIq+0 720/851

テクパトル「・・・あとは義姉さんがずっと手を握ってるのが一番かもな」

美琴「わ、私が?」

テクパトル「愛は通じるのさ」

13577「適当なこと言ってますね」

テクパトル「・・・病は気から」

19090「病ではないですよ?」

美琴「・・・アンタの巨体が当たったんだから・・・」

テクパトル「治る目覚める立ち直る!」

美琴「こ、このまま起きなかったら・・・」

上条「勝手に殺すな・・・」

上条が苦しそうな声を出しながら目を開けた

美琴「当麻!」

上条「うぅ・・・」


853 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:28:04.25 LHQyTIq+0 721/851

美琴「当麻、私が分かる!?1+1は!?」

上条「かなり昔にあったようなやり取りだ・・・」

美琴「よかった!覚えてる!」

テクパトル「悪いな上条・・・20000号が俺を投げたばかりに」

上条「どうしてそうなったんだ・・・」

御坂妹「全て彼女の自己アピールの激しさが招いた悲劇です」

上条「は・・・?」

意味が分からない、という表情をしながら上条が首を捻る

17600「よう、お仕置きは終わったぜ」

20000「」

上条「・・・なんか生気が無くなってるんだけど」

17600「おいたが過ぎたガキには痛い痛いお仕置きを、だろ?」



854 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:28:33.48 LHQyTIq+0 722/851

上条「怖いなおい・・・」

テクパトル「まぁ・・・まだしばらくは動かないほうがいいかもな」

上条「いたた・・・地面に頭ぶつけたんだっけ?」

頭の後ろを摩りながら上条が言う

美琴「うん・・・大丈夫?」

上条「こぶになってるな・・・」

テクパトル「本当にすまなかった・・・」

上条「お前は投げられただけなんだろ?気にしない気にしない」

20000「そうそう!」

上条「お前は気にしろ!」

御坂妹「ですが、元気になられて何よりです」

19090「そうですね、安心しましたよ」



855 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:29:02.61 LHQyTIq+0 723/851

上条「いや・・・心配掛けて悪かったな」

美琴「当麻のバカ!」

上条「う・・・不可抗力だったのに」

17600「お姉様はめちゃくちゃ慌ててたからな」

テクパトル「あぁ、もうそれはそれは」

美琴「そ、そんなことないわよ!」

上条「心配してくれたのか?」

美琴「だって当麻が・・・」

上条「ありがとな、美琴」

上条が美琴にキスをする

10033「あぁ!またカップルを見せつけられました!」

14510「甘いんですよぉぉ!」

856 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:29:28.72 LHQyTIq+0 724/851

上条「な、なんか・・・大丈夫か?」

17600「気にするな」

テクパトル「いつもこうだ」

美琴「なんか妹達の将来が心配になってきた」

御坂妹「大丈夫です、まっとうに生きていきます」

上条「そういうことを言うヤツに限って荒んだ人生を・・・」

13577「あ、お得意の説教ですね」

上条「違うから!ただのツッコミだから!」

テクパトル「むしろボケじゃないか?」

19090「ボケですね」

美琴「やっぱり頭を打ったから・・・」

上条「なんか変な方向に話が進んでる!」



857 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:30:21.61 LHQyTIq+0 725/851

美琴「当麻!!私は当麻がヘンになっても好きだからね!?」

上条「はいぃ!?」

御坂妹「うわぁ、惚気ましたよ」

上条「なんでそうなるの!?」

上条が頭を抱える

明日、美鈴達に会わなきゃいけない

だから今日は体力温存しようねー

そう美琴と話していたのに

やはり彼はミサカに振り回される運命にあるらしい

上条「あぁもう!」


上条「久しぶりに本当の意味での不幸だぁぁ!」

美琴「な、なんでよ!?」

夜の空には、嘆き声と笑い声が響いていた


858 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:31:03.54 LHQyTIq+0 726/851




垣根「だーかーらーさ、もっと能力開発は緩いやり方にするべきなんだよ!!」

バァン!!と焼肉店のテーブルが叩かれていた

ちなみにマジギレ、という雰囲気ではない

どちらかといえば酔った影響で、勢いのまま言っているという感じだ

小萌「ですが垣根ちゃん、今でも十分健康に影響はないのですよ?」

垣根「本当か!?本当にそうなのか!?」

心理「あなただって体調は普通じゃない」

垣根「違うんだよ!!!脳に電極ブッ刺したり血管に注射したり!!!それがヤバイって言ってんだよ!」

イン「そんなことしてるの?」

吹寄「でも・・・それくらいは了承してここに来たんじゃないの?」

垣根「うるせぇ!!!」

姫神「私は。能力開発は受けてない」

859 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:31:31.18 LHQyTIq+0 727/851

吹寄「え、どうして?」

姫神「巫女さんだから」

垣根「さっすが姫神ぃ!」

心理「はぁ・・・」

小萌「ですが、たしかにそれを非難されることも多いのですよ」

吹寄「非人道的だ、と?」

小萌「サイボーグを作る気かぁ!うちの子供をそんなにはさせん!なんていう親もいるんですよね・・・」

姫神「でも。そんなことでもしないと、能力なんて得られない」

小萌「そうです、だからこそ原石の子は重宝されるのですよー」

小萌の言葉に姫神の肩がピクリと震える

垣根「原石・・・か」

イン「原石ってなんなの?」

860 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:31:59.09 LHQyTIq+0 728/851

小萌「あんな非人道的なことをされずに能力を得た人たちです、相当に幸運なのですよ」

心理「しかも、それが超能力者の中にも一人いるんだからね」

クスクス、と笑う心理定規

彼女たちの友人こそ、そのありえない人間の一人なのだ

姫神「・・・でも。原石は科学的にも不思議な力の人が多い」

垣根「科学的に作られたわけじゃないからな」

小萌「自然的に発生したものは、ときとして科学を超えてしまうのです」

吹寄「でも、原石なんてほとんど会ったことがないわね」

心理「あら、そうなの?」

吹寄「削板だっけ?彼ぐらいだから」

垣根「・・・へぇ」

垣根がニヤニヤと笑いながら姫神を見つめる



861 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:32:25.30 LHQyTIq+0 729/851

彼は学園都市の暗部にいた人間だ

少しくらい、そういう情報も伝わってはいる

垣根「姫神はどうなんだ?」

姫神「・・・私も。あまりみんなにそういうことをしないでほしい」

垣根「だろ?いつも顔を合わせてる友達がサイボーグ紛いなことされてるなんてイヤだぜ」

心理「・・・仕方の無いことじゃないの?」

小萌「・・・そこまでしても、たいした能力を得られない子達も多いのです・・・」

吹寄「・・・自分達だけの現実、そしてそれを実現させる・・・」

心理「理屈では分かっても実際に行うのは難しいのよ」

垣根「そうか?」

姫神「二人は高位能力者だから。きっと分からない」

吹寄「・・・そうね」



862 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:32:52.37 LHQyTIq+0 730/851

心理「ふふ・・・あなたたちの苦労なんかとは比べ物にならないほどの苦悩を味わってるけどね」

姫神「?」

垣根「はぁ・・・なんでこんな辛気臭い話になったんだよ」

吹寄「貴様のせいよ」

垣根「なぁ、おっぱい揉ませろよ」

吹寄「貴様・・・」

姫神「垣根は。いっつもそればかり」

小萌「ダメなのですよ垣根ちゃん!!」

垣根「だってさー、科学の話したら途端にインデックスが無口になるんだぜ?」

イン「だって分からないもん」

小萌「シスターちゃんはそういうのを受けようとは?」

イン「思わないんだよ!!そんなの神への冒涜なんだよ!!」


863 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:33:48.14 LHQyTIq+0 731/851

垣根「神様を言い訳にすること自体が自分への冒涜だぜ」

イン「そんなことないんだよ!」

心理「でもね、見たこともない存在なんて信じられないものよ?」

吹寄「そうそう、神の一撃だって信じがたい話しだし」

イン「神の一撃?」

垣根「宇宙が生まれるには何かしらの異常な事態が必要だった、無の中からそれが生まれたとは思えない」

小萌「では一体、誰がその異常な事態を巻き起こしたのでしょうか!?」

心理「ビッグバンの原因は、神の一撃なのよ」

イン「ほーら!!神様を認めてるんだよ!」

垣根「便宜的にそう言ってるだけだ、そもそも宇宙の生まれる前が無だったという証拠も無い」

心理「そうそう、神様なんてこれっぽっちも信じてないわよ」

イン「うー!!だったらどうして初詣で神様にお祈りするの!?ねぇねぇ!?」


864 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:34:24.67 LHQyTIq+0 732/851

姫神「昔からの習慣だから」

イン「そんなことないんだよ!みんな神様を・・・」

垣根「日本は八百万の神の国だ・・・偉業を成し遂げたもの、人のためにたったもの・・・そういうものは神格化されるのさ」

心理「軍神、なんて言葉もあるものね」

小萌「日本人は先代の方々を神と奉るのですよ?」

垣根「奇跡を起こしたり、命を生んだりする神じゃないけどな・・・でも、そういう心意気が日本の素晴らしいとこだぜ?」

イン「そんなの・・・納得できないんだよ」

インデックスが頬を膨らませる

垣根「俺からしたら、一神教のほうが怖くてヤだね」

イン「なんで?」

垣根「神様のためになら人殺しも平気でやるやつが現れるだろ?」

心理「人を殺させて喜ぶ神様なんて、こっちから願い下げよ」



865 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:34:52.75 LHQyTIq+0 733/851

イン「・・・それは一部の異端なんだよ」

姫神「・・・結局。神様なんているかどうかは分からない」

心理「無神論者の過ちって知ってる?」

吹寄「何それ?」

心理「神はいない、天国なんてないって思う人がいるとするじゃない?」

姫神「うん」

心理「でも実際に神様がいて、天国があったら?」

垣根「そいつは自分の考えが間違いであったことに気づくんだ」

小萌「ですが、有神論者は?もしも天国がなければ、そもそも考えることさえできないのです」

イン「自分の間違えには気づかない・・・?」

垣根「そう、だからある意味有神論者は幸せなのかもな」

心理「信じるものは救われるのかしらね」



866 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:35:20.09 LHQyTIq+0 734/851

イン「・・・難しいんだよ」

難しそうな顔をしながら、インデックスがお肉を頬張る

垣根「はぁ・・・真面目になっちまったな、吹寄おっぱい揉ませて」

吹寄「黙って」

姫神「私でよければ」

小萌「ダメなのですよ、垣根ちゃんには心理定規ちゃんという立派な恋人がいるのです!」

垣根「ちぇー、つまんねぇ」

心理「あら、そうは言ってもセクハラはやめるのね」

垣根「仕方ねぇだろ」

心理「・・・インデックス、そろそろ帰るわよ?」

イン「え!?そうなの?」

垣根「もう8時半だぜ?」



867 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:35:46.66 LHQyTIq+0 735/851

心理「そうよ、さっさと帰らないと」

小萌「ちょうどお肉も食べ終わりましたし」

吹寄「そうね」

イン「うぅ・・・分かったんだよ」

しぶしぶとインデックスが箸を置く

姫神「じゃあ。ご馳走様でした」

垣根「おう、支払っとくから帰っていいぜ」

吹寄「いいわ、待っておくわよ」

垣根「あぁ?いいっていいって」

吹寄「・・・いいじゃない、別に」

心理「垣根、女の子には優しくなさいな」

垣根「はぁ・・・インデックスと小萌はもう帰るだろ?」



868 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:36:15.71 LHQyTIq+0 736/851

小萌「はい、では今度は学校で会いましょうなのです!!!」

イン「ありがとなんだよかきね!」

垣根「おうよ、今年もよろしくな」

手を振りながら、先に二人が帰っていく


垣根「さーて、支払いも済ませましたし・・・帰ろうか」

心理「そうね」

吹寄「・・・カードでぱっと支払うなんてすごいわよね」

姫神「私達には無理な所業」

垣根「おう、当たり前よ」

ニコニコと笑いながら垣根は歩き出す

まるで少年のような笑みだ

姫神「・・・見て、月が綺麗」



869 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:36:42.77 LHQyTIq+0 737/851

夜空には綺麗な月が浮かんでいる

心理「ホントね」

垣根「・・・姫神も吹寄も、恋はしてないのか?」

吹寄「な、なにいきなり?」

姫神「今はしていない」

垣根「昔はしてたってことだな」

姫神「・・・そう」

吹寄「・・・私も」

心理「・・・恋なんて、時間をかけてゆっくり始まるものよ」

垣根「そうかもな・・・ま、頑張れや」

吹寄「・・・あんまり素敵な人がいないってのもあるけどね」

姫神「・・・垣根みたいな人が?」



870 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 11:37:14.64 LHQyTIq+0 738/851

吹寄「ち、違うわよ!」

垣根「はぁ・・・俺みたいなヤツなんてロクデナシだぜ?」

吹寄「・・・そうかもね」

心理「あなたを泣かせるんだものね?」クスクス

吹寄「そ、そういう意味じゃなくて・・・」

姫神「じゃあ、どういう意味?」

吹寄「そ、それは・・・」

垣根「・・・ま、ボチボチ頑張れよ」

垣根が笑いながら空を見上げる

綺麗な月が浮かんでいた


姫神「・・・あの月を見てると。血がザワザワと疼くの」ウフフ

垣根「怖い怖い」



871 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 15:59:54.07 LHQyTIq+0 739/851


上条「いってて・・・まだコブが痛いですよ」

美琴「大丈夫?」

公園のベンチで、美琴は上条の頭を撫でていた

御坂妹(ちっ・・・リア充が)

10039(・・・なんなんですか、なーんなーんでーすかー)

20000(早く帰ってオナりたいお)

19090(・・・テっくんの巨体が当たるのは痛そうですね・・・)

テクパトル「しっかし・・・20000号はよく俺を投げられたな」

20000「ミサカをナメちゃいけないぜ」

テクパトル「褒めてないからな」

14510「・・・ミサカたちも一応は軍用クローンですからね」

13577「そうですよ、あれくらいならどうにかできますよ」

テクパトル「怖いなおい」

17600「まぁただの白兵戦じゃテっくんには敵わないから安心しろ」



872 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:10:35.76 LHQyTIq+0 740/851

テクパトル「むしろ敵ったら怖いんだよ・・・」

19090「テっくんに暴力なんて振るいませんよ!」

10039「そうそう、そんなことしたら周りのミサカからバッシングをくらいますからね」

20000「だねー」

御坂妹「・・・テっくん、お姉様たちはずっとイチャイチャしてますよ?」

テクパトル「恋人の看病ほど堪らないものはないさ」

19090「!!テっくん、看病をしましょうか!?」

テクパトル「いやいや!!何も怪我してないからな!?」

19090「そ、そうですか・・・」

20000「!!じゃあミサカが投げれば・・・」

テクパトル「わざわざ怪我をさせようとするな!!!」

美琴「もう、うるさいわよみんな」

テクパトル「あ、あぁ・・・」

上条「夜には静かに、な」


873 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:15:33.15 LHQyTIq+0 741/851

美琴「はぁ・・・寒くなってきちゃったね」

上条「あっためてあげますよ」ギュッ

美琴「//」

上条「あったかいか?」

美琴「う、うん!!」


御坂妹「だぁぁぁぁ!!!あれがリア充だよ!!!」

10039「ムカつきますねぇ!!」

10033「あれですか、ヤキモチを妬かせるためですか!?」

13577「爆発させましょうかね!?」

14510「それは名案です!!」

ミサカ一同「げっへっへ・・・」

17600(いつからミサカたちはこうなったんだ)

19090(みんな立派になりましたね・・・)

テクパトル(もう一度教育をやり直そうかな)



874 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:21:49.16 LHQyTIq+0 742/851

美琴「・・・当麻、そろそろ帰る?」

上条「そうだな・・・こうやってるうちにすっかり遅くなりましたね」

騒ぎから一時間

もう夜の9時近くになっていた

上条「じゃあ・・・テクパトルたち、またな」

テクパトル「あぁ」

美琴「あ、そうだ・・・」

御坂妹「?なんですか?」

美琴「明日ね、お父さんとお母さんが来るのよ」

20000「!!マジマジ!?」

上条「あぁ、だから一方通行たちにも言っておかないといけないんだけどな」

テクパトル「へぇ・・・義母さんたちが」

美琴「みんなも会いに来てよ」

10039「ぜひとも!!」



875 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:24:37.27 LHQyTIq+0 743/851

上条「あ、そういえば垣根にお願いするの忘れてたな・・・」

美琴「そうね・・・」

テクパトル「?何かお願いするのか?」

上条「垣根のとこに美鈴さんたちを宿泊させてほしいんだ」

テクパトル「はぁ・・・大変だな」

19090「ですが、あそこはホテルよりもいいですからね」

御坂妹「・・・そうですね」

13577「はぁ・・・久々の両親とのご対面です・・・」

テクパトル「親、か・・・」

14510「・・・楽しみですね・・・」

17600「ま、正月だしいい機会かもな」

テクパトル「・・・なんか大変になりそうだけどな」


876 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:27:51.29 LHQyTIq+0 744/851

上条「はは・・・そこはもういいじゃないか」

テクパトル「・・・イヤになりそうだ」

テクパトルが義両親を思い出す

がはは!!と笑う父親

なんだかんだ冷やかしてくる母親

めんどくさい親の典型だった

テクパトル「・・・上条、一緒にがんばろうぜ」

上条「あぁ」

御坂妹「よし!!ならさっさと帰って寝ましょうか!」

美琴「うん、じゃあおやすみ!」

一同が手を振って分かれる



877 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:30:46.44 LHQyTIq+0 745/851


上条「さて・・・垣根に電話するか」

夜道を歩きながら、上条は携帯電話を取り出した

美琴「出るかしら?」

上条「どうかな・・・」

プルル、とコールが鳴る

上条「出ないかな・・・」

何度目かのコールが鳴った

すると、突然通話が始まった

上条「あ、垣根・・・」

心理『あら、上条君だったの』

上条「」


上条「お邪魔しましたぁ!」

心理『ちょっと、なんか誤解してるでしょ』



878 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:33:13.31 LHQyTIq+0 746/851

上条「ご、誤解?」

姫神『誰?』

心理『あぁ、上条君よ』

吹寄『なんだ、上条からか』

垣根『人の携帯を勝手に取るな・・・』

上条「・・・」


上条(おかしい・・・男女の比率がおかしいぞ?)

上条は考えた

こんな時間に、なんで他の女も周りにいるのだろうか

垣根ならたしかにそれもありそうだが

上条「ちょっと垣根と替わってくれるか?」

心理『はいはい・・・ほら、垣根』



879 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:37:57.86 LHQyTIq+0 747/851

垣根『よぉ』

上条「・・・お前、どういう状況だよ」

垣根『さっきまで小萌とインデックスも混ぜて焼肉食ってたんだよ』

上条「ハーレムすぎんだろ!!」

垣根『はっはっは、それが俺の素晴らしさだぜ』

上条「5回死ね!!!」

垣根『で?用件は』

上条「・・・お前の家ってさ、明日誰か泊まる予定とかあるのか?」

垣根『ねーよ、宿泊施設じゃねぇんだ』

上条「う・・・」

上条が言葉に詰まる

それもそうだろう、友達だから泊めてくれていただけなのだ

上条「その・・・頼みがあるんだけどさ」



880 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:40:52.09 LHQyTIq+0 748/851

垣根『なんだよ、もったいぶって』

上条「明日さ・・・美琴の両親が来るんだ」

垣根『あぁ、それで泊めてくれってか?』

上条「お前の家なら広いし・・・美鈴さんが喜びそうな風呂もあるだろ?」

垣根『おーおー、いいぜいいぜ』

上条「マジか!?」

垣根『あの二人は面白いしな』

上条「助かる!!!」

垣根『なんならミサカたちも泊めてやったらどうだ?御坂やお前と違って里帰りもできないんだし、この機会に少しでも長くいるべきだろ』

上条「悪いな何から何まで・・・」

垣根『ま、感謝しろよな』

上条「あぁ!!」


881 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:44:03.85 LHQyTIq+0 749/851

垣根『んじゃ、俺はこれから三人と遊ぶから』

上条「な、何して?」

垣根『カラオケだよ』

上条「・・・暴れるなよ」

垣根『心配するな』

上条「じゃあ・・・助かる、サンキューな」

垣根『おう、あばよ』

垣根との通話を終える

美琴「どうだって?」

上条「オッケーだってさ」

美琴「よかった!」

美琴がほっとしたように胸を撫で下ろす



882 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 16:46:25.48 LHQyTIq+0 750/851

上条「これでなんの心配も無いな・・・」

美琴「あとは・・・私達もさっさと帰って寝るだけね」

上条「あぁ」

美琴「じゃ、急ぎましょう!」

美琴が上条の先を走る

上条「おい、待てって!」

美琴「捕まんないもん!!!」

上条「よーし、言ったな!!」

二人の追いかけっこが始まる

昔と同じように、でも追いかけるのは上条で

そんな幸せな時間が幸せだった


上条「いってぇ!!誰だよこんなとこに空き缶捨てたヤツ!!」

美琴「あはは!!!」



886 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:11:43.37 LHQyTIq+0 751/851


フレンダ「んー・・・」

ゴーグル(・・・どうしてこうなったんすか)

ゴーグル男は悩んでいた

フレンダは隣で、少しうつらうつらとしている

映画もそろそろ終盤、眠くなる時間でもある

もちろん、まだ夜の9時半ほどなので就寝には早いかもしれない

しかし映画というのはずーっと見てると眠くなってしまうものだ

フレンダ「ん・・・」

ゴーグル(いや、ちょっと待ってくださいよ)

そう、フレンダは映画のヒロインの真似をしてゴーグル男の肩に頭を乗せていたのだ

そんな状況で、眠そうな表情をされてしまったらどうだろうか


ゴーグル(・・・思いっきりデコピンしたいっす)ウズウズ

フレンダ「ん・・・ん?」


887 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:14:52.78 LHQyTIq+0 752/851

ゴーグル「あ、起きちゃいましたか」

フレンダ「・・・何じーっと見てる訳よ」

ゴーグル「いや、なんか眠そうだなって」

フレンダ「・・・人の寝顔を凝視するなんて悪趣味な訳よ」

ゴーグル「いやいや、気になるじゃないっすか」

フレンダ「き、気になる!?」

ゴーグル「そりゃ重いですから」

フレンダ「・・・可愛いとか言うのかと思ったのに」

ゴーグル「寝顔って可愛いもんなんすか?」

フレンダ「・・・なんか父性本能をくすぐられたりとか」

ゴーグル「?そうなんすか?」

フレンダ「・・・アンタは寝顔を可愛いとは思わない訳?」

ゴーグル「間抜けだなって思います」

フレンダ「・・・」


888 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:22:54.71 LHQyTIq+0 753/851

ゴーグル「な、なんで思いっきり拳を振り上げてるんですか・・・」

フレンダ「・・・なんかムカついた訳よ」

ゴーグル「ムカついたとか言わないでくださいよ・・・」

ゴーグル男が溜息をつく

垣根の口癖を思い出してしまうのだ

フレンダ「・・・私の寝顔見といてその感想とか許せない訳よ」

ゴーグル「だってフレンダさんはあんまり大人っぽい雰囲気の人じゃないですよね?」

フレンダ「なに?大人っぽい雰囲気の人の寝顔がいい訳?」

ゴーグル「寝顔は子供っぽいっすよね?いつも子供っぽい人が子供っぽい表情しても面白みがないじゃないですか」

フレンダ「・・・あ、それは分かるかも」

フレンダは過去に麦野の寝顔を見たことがある

それは、いつもと違いかなり可愛げのあるものだったのだ


889 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:28:52.19 LHQyTIq+0 754/851

ゴーグル「つまり、フレンダさんのキリってした表情とかは逆にくるかもしれませんね」

フレンダ「・・・私は童顔ってこと?」

ゴーグル「まぁ・・・そうじゃないっすか?」

フレンダ「・・・若々しいってこと?」

ゴーグル「若いじゃないっすか」

フレンダ「ガキっぽいってこと?」

ゴーグル「ガキじゃないですか」

フレンダ「ガキ!?今ガキって言った訳よ!!!」

ゴーグル「・・・いや、そうじゃないっすか」

フレンダ「アンタにガキ扱いされたくない訳よ!!」

ゴーグル「お、俺ってガキなんすか?」

フレンダ「愛想ないし素っ気無いし!!」

ゴーグル「・・・それはガキになるんすね」

フレンダ「もう!!なんかつまんない!!」



890 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:40:02.46 LHQyTIq+0 755/851

ゴーグル「・・・じゃあ、子供じゃないってとこ見せましょうか?」

フレンダ「へ・・・?」

真剣な表情でゴーグル男がフレンダを見つめる

よくよく考えたら、彼は立派な青年だ

そしてフレンダだって女性と言っていい年齢

そんな二人が密室にいる

しかも、今の台詞

「子供じゃない」ということを証明する、と言っているようだった

それはつまり


ゴーグル「・・・腕相撲、やりましょうよ」

フレンダ「・・・は?」

ゴーグル「俺が一応、男性だってことを・・・」

フレンダ「お、おかしい訳よ!!!」

ゴーグル「?」



892 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:51:10.77 LHQyTIq+0 756/851

フレンダ「も、もっとエ・・・」

ゴーグル「エ?」

フレンダ「・・・エッチなことされるかと思った訳よ」

ゴーグル「いや、なんでですか?」

フレンダ「あんな台詞言われたら誰だってそう思うから!」

ゴーグル「・・・そうっすか?」

フレンダ「・・・ちょっと怖かった」

ゴーグル「ご、ごめんなさい!」

ゴーグル男が慌てたように謝る

フレンダ「・・・まぁ、いい訳よ」

ゴーグル「その・・・ああいうことは言わないほうがいいんすか?」

フレンダ「そりゃ・・・言われたら怖い訳よ」

ゴーグル「・・・申し訳ないです」

893 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:51:47.52 LHQyTIq+0 757/851

フレンダ「・・・もういいって」

フレンダがテレビを見つめる

もう映画はエンドテロップになっていた

ゴーグル「・・・終わりましたね」

フレンダ「・・・ねぇ、これから何するの?」

ゴーグル「・・・あの、ああいう会話のあとにそういう会話はダメっすよ」

フレンダ「はぁ!?エッチとか期待してた訳!?」

ゴーグル「いや・・・違いますけど」

フレンダ「わ、わわわ私はそんなに軽くない訳よ!!」

ゴーグル「・・・」

フレンダ「ダ、ダメだってば!!」

ゴーグル「・・・軽くないんすか?意外と太ってるんすね」

894 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:52:49.47 LHQyTIq+0 758/851

フレンダ「そういう意味じゃない訳よ!!!!」

ゴーグル「そ、そうなんすか?」

フレンダ「はぁ・・・なんでそんなことになる訳よ」

ゴーグル「・・・フレンダさんって、エッチなんすか?」

フレンダ「はぁ!?な、なんでそうなる訳よ」

ゴーグル「・・・だってさっきからずーっとそういう話ばっかり」

フレンダ「してないもん!」

ゴーグル「い、いや・・・してるじゃ」

フレンダ「アンタこそ変な目で見てる訳よ!!!」

ゴーグル「見てないっすよ!」
 
フレンダ「も、もしかして期待してた訳!?ふっけつー!!!」

ゴーグル「不潔じゃないっすよ!!!」

フレンダ「結局男はみんなそうな訳よ・・・」



895 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 19:59:12.15 LHQyTIq+0 759/851

ゴーグル「お、俺はそういうやらしい気持ちで接してるわけじゃ・・・」

フレンダ「・・・ホント?」

ゴーグル「その・・・冗談が過ぎました、ごめんなさい」

頭を深く下げながら、ゴーグル男が謝罪する

フレンダ「・・・まぁいい訳よ」

ゴーグル「あ、はい」

フレンダ「・・・あ、あのさ」

ゴーグル「なんすか?」

フレンダ「・・・ゴーグルは、その・・・そ、そういうこととかする訳?」

ゴーグル「そういうこと?」

フレンダ「ひ、一人で・・・とか」

ゴーグル「・・・いや、なんでいきなり?」

フレンダ「浜面には聞けない訳よ!!」


896 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 20:01:52.93 LHQyTIq+0 760/851

ゴーグル「でもそんなこと聞いてどうするんすか?」

フレンダ「やっぱ男の子ってそうなのかなって」

ゴーグル「へぇ・・・」

ゴーグル男が驚いたような顔をする

女の子からしたら、思春期の男はみんなそうだと思われているのか

ゴーグル「まぁ、やる人もいるしやらない人もいるんじゃないっすか?俺はそういうのは全く興味ないんで」

フレンダ「へぇ・・・健全な訳よ」

ゴーグル「うーん・・・そういうことをしてるヒマもなかったですから」

フレンダ「でもさ・・・」

ゴーグル「・・・よくわかんないんすよ、そういうこと」

フレンダ「そりゃ分かったら怖い訳よ」

ゴーグル「・・・フレンダさんは?」

フレンダ「ふえっ!?」


897 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 20:05:53.55 LHQyTIq+0 761/851

ゴーグル「あ、ごめんなさい」

フレンダ「あ・・・そ、そういうのはあんまり」

ゴーグル「あんまり?」

フレンダ「したことない訳よ」

ゴーグル「へぇ・・・純朴っすね」

フレンダ「そうかな?」

ゴーグル「なんか安心しました」

フレンダ「な、何が?」

ゴーグル「いや・・・だってフレンダさんの女性っぽいエピソードとか聞きたくないですもん」

フレンダ「うっわ・・・傷つくぅ・・・」

ゴーグル「?だって友達のそういうのってイヤじゃないっすか」

フレンダ「そりゃそうだけどさ・・・」

ゴーグル「な、なんか怒ってます?」

フレンダ「別に・・・」



898 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 20:10:11.64 LHQyTIq+0 762/851

ゴーグル「・・・そうだ、フレンダさん鯖缶食べなくていいんすか?」

フレンダ「!!その存在を忘れてた訳よ!!!」

電光石火の如きスピードで、フレンダが一階へ向かう

そして数秒後、手に鯖缶を持ちながら帰ってきた

もう笑顔がすごい

ルンルン、と鼻歌を歌っている

フレンダ「はぁ・・・!久しぶりの鯖缶!!」

ゴーグル「よかったっすね」

フレンダ「・・・い、いただきます!!」

パカッ、と蓋を開け一口食べる


フレンダ「美味い!!久々の鯖缶はさらに美味い訳よ!!!」

ゴーグル「へぇ・・・」

フレンダ「この渋さがたまんない・・・」



899 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 20:19:27.08 LHQyTIq+0 763/851

ゴーグル「そんなにいいもんっすか?」

フレンダ「ん?食べたいの?」

ゴーグル「いや・・・」

フレンダ「食べてもいい訳よ」

ゴーグル「・・・でも間接キスとかいやなんじゃないっすか?」

フレンダ「いまさら・・・昼間にソフトクリームも分けたし」

ゴーグル「それもそうっすね」

ゴーグル男が一口鯖缶を食べる

味噌煮込みだろう、ほんのりと柔らかくもしっかりとした味が広がった

ゴーグル「へぇ・・・これはなかなか」

フレンダ「でしょでしょ!?」

ゴーグル「水煮もいいっすよね」

フレンダ「分かってくれる!?ちょっと塩の味が効いてるだけのも美味しい訳よ!!!」

ゴーグル「分かりますよ」

フレンダ「やっと仲間ができた訳よ!!」


900 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 20:24:20.72 LHQyTIq+0 764/851

ゴーグル「でも外国人なのに珍しいっすね」

フレンダ「そうかな?」

ゴーグル「なんか嬉しくなりますよ」

フレンダ「?なんで」

ゴーグル「だって日本に馴染んでるって感じじゃないですか」

フレンダ「嬉しいの?」

ゴーグル「国境を越えた友情っていいじゃないですか」

フレンダ「あはは・・・そうかもしんない」

フレンダも嬉しそうに笑う

今思えば、仕事の関係ではなくして知り合ったのは彼が初めてかもしれないのだ

フレンダ「・・・ねぇ、ゴーグル」

ゴーグル「なんすか?」

フレンダ「アンタってさ、心理定規が好きな訳よね?」

ゴーグル「あぁ・・・それっすか」



901 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 20:28:52.20 LHQyTIq+0 765/851

フレンダ「違うの?」

ゴーグル「・・・憧れとか、羨望とか・・・そういうのですよ」

フレンダ「ふーん・・・」

ゴーグル「多分、フレンダさんが麦野さんに抱いてたのと同じ感情っす」

フレンダ「なんだ、好きなんじゃん」

ゴーグル「・・・なんか背筋が凍りました」

フレンダ「?」

ゴーグル「なんでもないっすよ・・・」

ゴーグル男は苦笑して誤魔化した

でも、そっと心の扉は閉じておいた

フレンダはいい友達だが、少し間違った道を進んでいると

彼はこの日初めて知った


フレンダ「・・・鯖缶美味しい・・・」

ゴーグル(・・・こうしてると普通の女の子なんすけどね)



902 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 20:36:05.56 LHQyTIq+0 766/851


削板「いっやぁ・・・しかし、風紀委員の新年会に俺まで混じってよかったのか?」

削板たちは風紀委員の支部にいた

時間は夜の9時

新年会くらいは夜遅くでもいいだろう、と集まったのだ

黒子「えぇ、軍覇さんはもう一員のようなものですから」

初春「そうですよ、遠慮しないでください!」

固法「いつもお世話になってるもの」

削板「ははは!そりゃ嬉しいな!」

黒子「こうやって集まると、今年一年もがんばろうと思えますの」

初春「そうですね・・・」

固法「・・・最初の大きな行事は・・・」

黒子「そうですわね・・・やはり学期初めでしょうか?」

削板「やっぱりテンションが上がって変なことするヤツも出てくるのか?」


903 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 20:39:29.30 LHQyTIq+0 767/851

黒子「そうですの」

固法「まぁ一部の生徒だけどね・・・」

初春「全く、こっちの身にもなってほしいですよね」

黒子「そんな人が犯罪は犯しませんの」

削板「はー・・・大変だな」

黒子「・・・わたくし達が治安を守ると決めましたの」

固法「強制されたわけじゃないわ、私達を動かすのは正義感だけよ」

初春「それが揺らぐことは決してありません!」

削板「素晴らしい!!!根性があるな!!」

ニコニコ、と削板が笑う

こんなにもすがすがしい正義は珍しい

削板「それなら今年も、わずかながら助太刀しよう!」

黒子「軍覇さんがいれば百人力ですの!」

初春(百人なんてものじゃないですけどね)



904 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:00:16.05 LHQyTIq+0 768/851

削板「・・・では、みんな!!」

削板がソファーから立ち上がる

削板「まぁ・・・正式なメンバーではない俺が言うのもだんだけど、去年は本当にありがとう!」

固法「あら、こちらこそ」

初春「削板さんこそ、ありがとうございました」

削板「今年は、みんなの益々の発展を祈っている!」

黒子「なんだか結婚式のスピーチみたいですの」

削板「では!!ジュースを構えて!!」

黒子「はいですの!」


削板「今年もよろしく!!乾杯!!」

三人「かんぱーい!!」

チン、とグラスが合わさる

もちろん中身はジュースだ

風紀委員の新年会は、健全なのである



905 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:10:29.16 LHQyTIq+0 769/851


一方

番外「よーし!!晩御飯完成!!」

打ち止め「よっしゃぁ!!ってミサカはミサカはガッツポーズをしてみたり!」

一方通行家では二人のミサカが夜食を作り終わったところだった

さきほど電話で、明日美琴の両親が来るから会ってくれとの連絡があったばかりで、二人のテンションは最高潮だ

一方「ねみィ・・・」

だが一方通行は眠そうだった

さきほどからハイテンションの二人に振り回されている

黄泉川「まぁまぁ、せっかく二人が作った料理じゃん?」

芳川「食べてあげなさいな」

一方「・・・めンどくせェ」

打ち止め「食べてくれるよね?ってミサカはミサカは上目遣いで・・・」

一方「よっしゃあ食べよォ!!」

番外(単純・・・)



906 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:16:01.58 LHQyTIq+0 770/851

芳川「あら、上手にできたじゃない?」

番外「でしょでしょ!!」

打ち止め「ミサカたちも成長してるんだ!ってミサカはミサカは胸を張ってみたり!!」

黄泉川「偉いじゃん、打ち止め」ナデナデ

打ち止め「//」

番外「・・・」

一方「お前もありがとよ」

番外「!!うん!!」

打ち止め(いいな・・・ってミサカはミサカは嫉妬してみたり・・・)

芳川「あらあら、一方通行もずいぶん優しくなったわね」

一方「うるせェヒキニート」

芳川「前言撤回しとくわ」

黄泉川「事実じゃん」



907 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:26:58.20 LHQyTIq+0 771/851

一方「・・・うめェ」

番外「でしょでしょ!?」

打ち止め「もっと褒めて!ってミサカはミサカはちょっとわがままなことを言ってみたり!!」

一方「よくやったな」

打ち止め「えへへ・・・//」

番外「ま、もっと上手になってあげるよん」

一方「期待しとくな」

芳川「あら、もう結婚後の相談かしら?」

一方「相手のいねェババァは黙ってろ」

芳川「ねぇ、なにこの悪口の嵐?」

黄泉川「事実じゃん」ウンウン

芳川(ひ、ひどい・・・)

黄泉川「・・・相手を探したほうがいいじゃんよ」

芳川「それくらい分かってるわよ」



908 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:36:19.80 LHQyTIq+0 772/851

一方「・・・明日はあいつの両親と会うのか」

黄泉川「ん?何の話じゃん」

一方「なンでもねェよ」

番外「楽しみだよね」

打ち止め「うん!!!」

芳川「・・・明日は三人で出かけるの?」

一方「あァ」

黄泉川「それはちょうどよかったじゃん、明日は私も仕事があるし」

芳川「自宅の警備は任せて」

一方「哀れだな」

芳川「自覚はあるわよ」

一方「むしろダメだろ」

番外「仕事探しなよ」



910 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:41:31.07 LHQyTIq+0 773/851

打ち止め「一方通行、あーん!ってミサカはミサカはスプーンを・・・」

一方「あーン!!!!」

番外「喜びすぎだよ」

一方「いいだろォが」

黄泉川「あっはっは!!一方通行は打ち止めを溺愛してるじゃん」

一方「当たり前だろォが」

番外「ま、一番はミサカなんだけどね」

打ち止め「ぶー、ってミサカはミサカはぶーたれてみたり」

黄泉川「打ち止めは私が大事にしてるじゃん?」

打ち止め「うん!!」

一方「はァ?俺だしィ」

黄泉川「冗談きついじゃん」

あははは、と笑いあう四人

そこから一人だけ孤立した芳川

彼女はただのヒキニートだった


芳川(・・・仕事、探さないとね)



911 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:48:09.68 LHQyTIq+0 774/851


フレンダ「つまり!!人間とは鯖によって構築されてる訳よ!!」

ゴーグル「いや、それはおかしいっす」

ゴーグル男は首を振っていた

救いようのない患者を診た医者の気持ちがなんとなく分かる

あの後、フレンダは一口一口鯖缶を食べるたびに何かしらの賞賛を口にしていた

もちろんゴーグル男だって鯖缶は好きなほうだ

それでも、フレンダの情熱には敵わない

というか、暑苦しい

ゴーグル「・・・その話はおいといて」

フレンダ「おかないでほしい訳よ!!!」

ゴーグル「さっきからこればっか・・・」

フレンダ「だって鯖缶は正義なのにぃ!!」


912 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:51:43.47 LHQyTIq+0 775/851

ゴーグル「はぁ・・・なんなんすかそれは」

フレンダ「じゃあ!!じゃあさ!!」

フレンダがぐい、っとゴーグル男に詰め寄る

ゴーグル「なんすか?」

フレンダ「もっと面白い話をしてほしい訳よ!!!」

ゴーグル「面白い・・・ですか?」

フレンダ「アンタの過去とか!!こっちとしてはアンタは掴みどころないし!!」

ゴーグル(お、怒ってますね・・・)

フレンダ「どう!?話せる!?」

ゴーグル「で、ですけど・・・かなりつまんない話っすよ?」

フレンダ「いい訳よ!!私の鯖缶談義をつまんないって思わせるほどの面白い話をしてほしいなんて思ってない訳よ!!これっぽっちも!!!」

ゴーグル「思ってますよね・・・」

フレンダ「いいから!!」

ゴーグル「はぁ・・・」



913 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/07 21:56:29.96 LHQyTIq+0 776/851

ゴーグル男が頭をかく

過去の話

それは、暗部の話などを要求しているのではないだろう

もっと昔

つまり

ゴーグル「・・・垣根さんにも・・・心理定規さんにも話したことないんすけどね」

フレンダ「それは光栄な訳よ」

ゴーグル「・・・分かりました」

ゴーグル男がフレンダの正面に回る

ゴーグル「・・・あれは俺が学園都市に来る前の・・・忘れようとしても忘れられない話っす」

フレンダ「うん」

そして、ゴーグル男は話し出す

少し笑いながら


誰にも話したことのない、秘密を



917 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:07:33.78 BBnwR1370 777/851

ゴーグル「・・・忘れたことにしたかった過去なんす」

フレンダ「あ・・・もしかして、まずい話?」

ゴーグル「フレンダさんになら話してもいいっすよ」

フレンダ「・・・どうして?」

ゴーグル「・・・きっと笑ったりなんかしないからっすよ」

突然、ゴーグル男がフレンダに右肩を見せる

そこには過去に何かで切られたような傷があった

フレンダ「う、うわ!?何これ・・・」

ゴーグル「・・・虐待って知ってますか?」

フレンダ「!虐待されてたの?」

ゴーグル「・・・正確には違いますね」

フレンダ「・・・」


918 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:08:17.52 BBnwR1370 778/851

ゴーグル男が目を閉じる

あれは忘れもしない

彼がまだ、小学生の年齢だった頃だ

ゴーグル「・・・俺は小学生の年齢の途中までは外にいたんす」


東京の中心

ゴーグル男はかつてそこに住んでいた

いや

住んでいたというよりは「生きていた」

名前も与えられていた

だが、そんな名前、思い出したくもなかった

今思えば、親には一度も名前で呼ばれたことはなかった

友達には?と思うかもしれない


919 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:09:27.10 BBnwR1370 779/851

だがそれ以前に

友達なんていなかった

ゴーグル「だるい」

小さな、薄汚れた部屋の中でゴーグル男はつぶやいていた

部屋には一人

親の姿はなかった

当然のことだった

父親なんていなかった

逃げた、とかそもそも知らなかった訳ではない

殺されたのだ

誰に

母親に

なんで

うるさかったから


920 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:10:05.86 BBnwR1370 780/851

母親が父親を殺したのは、その数日前だった

喧嘩のもつれから、出刃包丁で刺し殺した

彼の目の前で

ゴーグル男は大して驚かなかった

子供ながらに知っていた

父親と母親の間に愛情なんてなかったということを

性欲を持て余した男と、股をすぐに開く女

その二人の間に自分は生まれたのだと

そして、二人はそれを鬱陶しく思っていることを

だから

目の前で父親の眉間に包丁が刺さった時

灰色の何かがだらりと零れ落ちた時

母親が冷たく舌打ちをした時


921 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:10:58.04 BBnwR1370 781/851

悲しみも恐怖も感じなかった

ただ、めんどくさいことになったとだけ思っていた

ゴーグル「ちっ・・・腹減った」

母親がいなくなったからではない

母親なんて、いてもいなくても腹は減る

大体あの母親は食事なんて作ってくれたことがない

いつも食事は、近くのごみ箱を漁って食べていた

ゴーグル「だりぃ・・・」

ゆっくりと立ち上がり、外へ向かう

部屋に鍵なんてしない

しなかったところで、盗まれるものはない

服もそろそろ調達したい


922 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:11:37.44 BBnwR1370 782/851

金がほしい

美味い飯が食いたい

様々な願望を彼は持っていた

聞いた話では、学校というものが世間にはあるらしい

知らなかった

学校とは何か

どんなものなのか

ゴーグル「ちっ・・・暑いな」

外は日差しが差していた

それが鬱陶しい

ゴーグル「・・・」

表の通りを歩き出す

綺麗な服を着た一般人が歩いている


923 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:12:06.18 BBnwR1370 783/851

そういえば、あの母親はなぜか綺麗な服を着ていた

金なんてないはずなのに

ゴーグル「・・・」

どうせ体でも売っていたのだろう

今頃、刑務所の中で他の囚人とセッ○スでもしているのではないか

あの母親は性欲が強かったから

なぜ小学生がそんなことを知っているのか、とまともな人間なら疑問に思うだろう

だがゴーグル男からすれば、それを知らないほうがおかしかった

ゴーグル「・・・」

汚い目をした少年は

汚い世界を見ていたから

ゴーグル(あのババァにするか)


924 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:12:47.50 BBnwR1370 784/851

目の前を歩く女性をじっと見つめる

高そうな服、高そうな鞄

見るからに金のありそうな人間だ

その横を追い抜くようにしてすり抜ける

鞄の中から、財布だけを抜き取って


ゴーグル「・・・あ?なんだこりゃ」

路地裏で見てみると、財布の中には予想通り、大量の金が入っていた

だが彼はそれには大して目をくれていなかった

金なら見たことがあったから

疑問に思ったのは、少し固いカードのようなものだ

ゴーグル「・・・なんだ?金じゃねぇし・・・」

彼がもう少し世間を知っていたら、それがクレジットカードだと分かっただろう

もちろん彼は知らない


925 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:13:37.16 BBnwR1370 785/851

ゴーグル「あんないい歳してカード集めかよ」

バカにしたように吐いた後、カードをドブに捨てる

必要ないものなんて持っていても仕方ないから

ゴーグル「さーて・・・服でも買うか」

近くの服屋で適当に服を購入する

服を盗むのは難しいから、仕方なく購入するのだ

可愛い店員さんの笑顔も、彼にはうざったいものだった

ゴーグル(・・・ケラケラ笑いやがって)

世間にイライラが募っていた

人々に嫉妬をしていた

ゴーグル(早く帰ろう)

地面に唾を吐いてから、彼は家に帰った

暮らすための家ではない

いるためだけの家に



926 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:14:16.69 BBnwR1370 786/851

それからどれくらいしたか

一年か二年だったはずだ

彼は10歳になっていた

体はかなり大きくなり、力もついていた

盗みの技術も上がり、裏では少し名の知れた不良になっていた

中学生5人を相手にしても簡単に捩じ伏せる小学生

警察官から拳銃を盗んだ小学生

暴力団との繋がりがある小学生

そんな、ありもしない噂が広がった

彼は別に特別なことをしている意識はなかった

ただ、その日その日を暮らすための金を盗み

喧嘩を吹っかけてきた面倒なヤツを適当にぶちのめす

その程度の認識だった



927 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:14:46.69 BBnwR1370 787/851

当たり前の日々が過ぎていた

罪悪感が消え、憂鬱感が消え、惰性が残り

彼が人としての大切なものを無くしてすぐ

誰かが家の扉を叩いた

なぜかその日は鍵を掛けていた

まるで何かを恐れるかのように

ゴーグル(あぁ?誰だ)

めんどくさい、と思いつつも扉を開けた

そこにいたのは

「久しぶりじゃないの」

母親だった

母親なんて呼びたくはない

ただのイヤな女だった


928 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:15:20.85 BBnwR1370 788/851

ゴーグル「・・・何だよ」

「イヤだね、また二人で暮らせるのに」

ゴーグル「はぁ?」

「知ってる?殺人なんて案外軽い罪なんだってさぁ」

ケラケラ、とそれは笑っていた

歯は何本か欠けていた

何か薬物でも使っていたのだろう

大して興味がないため知らなかったが

ゴーグル「出てけよ」

「ちっ・・・誰に向かって口利いてんだよ!」

突然、それが平手打ちを喰らわせてきた

ガンガン、と頭が揺れる

天井が視線の先にあった


929 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:16:21.32 BBnwR1370 789/851

「相変わらずしけた部屋」

ずかずか、とそれは部屋にあがってきた

ゴーグル「・・・」

「何見てるのさ、お前を見てるとイライラするんだよ」

ゴーグル「あぁそうかよ」

「お前が出て行きな」

ゴーグル「ふざけんな、ここは俺の家なんだよ」

彼がポケットからナイフを取り出す

今まで、何度も使ってきた

だが実際に誰かを刺したことはない

脅すのに使っただけだ

「へぇ、刺すつもり?いいわ、やってみなさいよ」


930 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:16:56.06 BBnwR1370 790/851

それはやはり笑っていた

醜い女だな、と彼は思った

こんなのを買う男の気が知れない

そう思っていた

ゴーグル「死ねよクソババア」

その眉間を向けてナイフを突き出す

だが、腕を捕まれてしまう

中学生なんて、大した体格の差はない

しかし相手が大人なら

「お前さ、私がなんも知らない箱入り娘だと思ってるの?」

ゴーグル「ちっ・・・離せよ」

「私だってさ、ちょっと喧嘩の仕方は知ってるのよ」

手から、ナイフが奪われた


931 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:17:44.53 BBnwR1370 791/851

それを握りしめ、女は近づいてきた

恐怖なんてなかった

ただめんどくさいと思った

「さすがに殺しはまずいんだよ」

ナイフが右肩に突き刺された

何かが切れるような音がした

体験したことのない痛みが走った

見たこともないような、卑屈な笑みを目にした

「だから、出ていけ」


街中をさ迷っていた

右肩からは血が出ている

なんだろうか

痛い


932 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:18:25.47 BBnwR1370 792/851

Tシャツの肩が赤く染まっている

擦れ違う人々が驚いたような目で見つめてくる

めんどくさかった

ゴーグル(クソババア・・・殺してやる)

それだけを考えて歩いていた

どれくらい歩いたか

時間の感覚がなかった

血は流れていた

ふと、ビルのモニターに広告が出ているのに気がついた

そこにあったのは、力を手に入れたくないかという文字だった

あなたのお子様を、能力開発しませんかという文字だった

聞いたことはある

なんでも、学園都市というところでは超能力者を作り出す研究をしているらしい


933 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:18:57.94 BBnwR1370 793/851

ゴーグル(バカじゃねぇの)

超能力なんて信じなかった

そんなものがあるなら、目の前に札束を生み出すものだ

ゴーグル(・・・今日はどこで寝る・・・?)

公園のベンチか

コンビニの裏か

どこかの家の庭か

ゴーグル(くそ・・・)

家というもののありがたみを初めて知った

肩の痛みが、だんだん麻痺していく

ゴーグル「・・・」

路地裏に入った

なんとなく、ここが一番落ち着くのだ


934 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:19:37.67 BBnwR1370 794/851

肩から血が流れている

その血がドブに落ち、異様な模様を描いていく

ゴーグル「・・・」

ふと、目の前がぼやけた

あぁ、死ぬのかと思った

吐き気がした

自然と笑みが零れた

なぜ

生きているのが辛いから

だから


目が覚めたら、病院の上だった

知らない匂いがした

鼻をツン、と刺激する匂い


935 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:20:06.78 BBnwR1370 795/851

ふかふかな布団

そして、よく分からないものを首からぶら下げた男

「あぁよかった・・・君ね、路地裏で倒れてたらしいよ」

ゴーグル「・・・ここは」

「病院さ・・・全く、君みたいな年齢の子が夜遊びなんてね」

ゴーグル「・・・っ・・・」

肩にズキリと痛みが走った

「あぁ・・・まだ動かないほうがいいよ」

ゴーグル「・・・帰る」

「待ちなさい、そんな傷を負ってどうするつもりだい?大体その傷はなんなんだい」

ゴーグル「うるせぇな・・・」

このオッサンは何なのか

病院、ということは医者というヤツだろうか


936 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:21:02.96 BBnwR1370 796/851


「・・・誰に刺された?それは鋭利な刃物で刺された跡だ」

ゴーグル「クソババアだよ」

「・・・母親?ならば虐待ということか」

ゴーグル「虐待?なんだそりゃ」

「君、家は?」

ゴーグル「ない、追い出された」

「追い出された?全く・・・」

医者と思われる男はため息をつく

「・・・治療費はいらない、だからとにかく君はここにいなさい」

ゴーグル「御免だね」

「その傷を治せるかい?」

ゴーグル「治らなくていいんだよ」


937 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:21:43.53 BBnwR1370 797/851

「はぁ・・・君ね、そんな傷を放ってはおけないんだよ」

ゴーグル「一々うるせぇな、お前は何様だよ」

「こちらからしたら小学生でそんな口を利く君のほうが何様、だがね」

ゴーグル「・・・」

「私の世話になった医者がそういう人でね、私もそれを模倣してるんだ」

ゴーグル「そりゃ大層だな」

「まぁ蛙みたいな顔までは似せられなかったが」

ゴーグル「あ?」

「・・・君は孤児ということになる・・・あぁいや、父親は?父親はどうなんだい」

ゴーグル「死んだよ、殺された」

「殺された?」

ゴーグル「クソババアにな、こうサクッと眉間を」


938 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:22:39.82 BBnwR1370 798/851

眉間に何かを突き刺すジェスチャーをする

医者はそれを苦そうな顔で見つめていた

「君はなんで知っているんだい」

ゴーグル「俺の目の前で殺したからな」

「・・・ならばなおさらだ、君の身柄は確保しよう」

ゴーグル「いらねぇよ、こんな臭いとこにいられるか」

「・・・そうはいかない、私の世話になった医者は・・・」

ゴーグル「じゃあその医者に会わせろよ、文句の一つ言ってやる」

「なんでそうなるんだい」

ゴーグル「俺はいらついてんだよ」

「はぁ・・・分かった、会いたいならそうしたまえ」

ゴーグル「どこにいる」

「学園都市さ」


939 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:23:11.36 BBnwR1370 799/851

ゴーグル「あぁ?あのイカれた街か」

「イカれたとは失礼な」

ゴーグル「そんなとこで何してんだよ」

「まだ医者をしているらしいよ」

ゴーグル「あっそう」

「君は子供だし・・・私が紹介しようか?中に知り合いがいてね」

ゴーグル「いらねぇよ・・・」

「超能力とかに憧れないのか?君は小学生らしくないな・・・」

ゴーグル「・・・なぁ、超能力ってのはどんなのなんだ」

「電気や火や水を操れるらしい」

ゴーグル「はぁ?マジかよ」

「君はそういうのに憧れないかい?」


940 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:23:44.57 BBnwR1370 800/851

ゴーグル「・・・」

憧れなんてない

だが

そんな圧倒的な力を手に入れたら

自分の肩に傷を負わせたあの女を殺せるのではなかろうか

ゴーグル「・・・金は?」

「むしろ君みたいな親に文句を言われない子供なら、無償でやってくれるんじゃないかな」

ゴーグル「実験台・・・か」

「そういうことだね」

ゴーグル「・・・そこには飯とかあるか?」

「君はご飯を食べてなかったのかい?」

ゴーグル「たまに盗んだりしたけどな・・・基本はごみ箱漁ってた」


941 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:24:17.13 BBnwR1370 801/851

「はぁ・・・君みたいな子がいるんだね」

ゴーグル「・・・うるせぇな」

「まぁいい、手続きはしておくから」

ゴーグル「なぁ、なんでそんなに構うんだ」

「言ったろう?私の世話になった医者はそうだったと」

ゴーグル「それに近づくためか」

「そうさ、それだけのためだ」

ゴーグル「へぇ」

ニヤニヤと彼は笑った

そういうエゴが大好きだった

彼もエゴに満たされているから

ゴーグル「面白いな」

初めて彼は笑った


942 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:24:56.37 BBnwR1370 802/851

愉快に、下品に、狂ったように

ただ、復讐を果たすために

目の前で人を刺した、自分の肩を刺した

自分なんかを産んだあの女を殺すために


学園都市からの迎えが来たのはそれから一週間後だった

どんなことをされようが文句なんて言わない、という契約をした

正直、死んでもよかった

別に生きている理由はないから

ただ、自分が死んだらこの女を殺してほしいと黒服の男に頼んだ

男は笑っていた

「それは、君が殺すべきだ」と


彼が着いたのは、夢みたいに綺麗な街だった


943 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:25:48.16 BBnwR1370 803/851

機械がうろちょろと地面をはいずり回っている

でかいビルが並んでいる

イカれた街だと思っていた街は、とても美しかった

彼の知っている世界と違う気がした

そんな気がした

ゴーグル(・・・綺麗な街だな)

ゴーグル男はらしくないことを考えた

その日すぐに、一回目の能力開発が行われた

電極を差された

注射を打たれた

脳みそに直接刺激を与えられた

普通の子供は泣きわめくらしい


944 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:26:21.79 BBnwR1370 804/851

だが、彼は違った

笑っていた

ケラケラと笑っていた


結果は反応なし

つまり、超能力なんて手に入れられないということだった

それでも別に、悲しくはなかった

こんな綺麗な街に住めるだけでよかった

能力開発は楽しかった

学校に通えた

あんなに夢見た普通の生活を出来た

いつの間にか、まともな言葉遣いを覚えた

まともな思考を手に入れた


945 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:26:54.31 BBnwR1370 805/851

ただ

どこか、諦めを抱えていた


ゴーグル「・・・」

無能力者の中にはスキルアウトと呼ばれる不良集団に属する人間もいるらしい

彼も、友人から誘われた

中学生になってすぐの頃のことだった

だが彼はそれを断った

めんどくさかったから

そんな中途半端な組織に属してどうするのか

不良がただ喚くだけなんて

そんなこと、学園都市の外でだってできるから

彼がしたかったのは、あの女への復讐だった

自分を産んだ女を殺すことだった


946 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:27:24.21 BBnwR1370 806/851

絶対的な恐怖を植え付けて殺すことだった

かつて、彼が感じた絶望と同じほどの大きさの恐怖を

力がない、金がない

愛されていない

ゴーグル男は、何も持っていなかった

ならば捨てるものなんて何もない

暗部

学園都市の裏社会

そこに身を投じることにためらいはなかった

学校を辞めた

友人との縁を切った

もともと、憧れから作った友人だった

友情を語るつもりでも、互いを磨き合うつもりもなかった



947 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:27:59.39 BBnwR1370 807/851

ゴーグル「これは?」

暗部に所属するようになってすぐ、ゴーグルを手渡された

「筋力や瞬発力を増強する装置だ、腰にはこの機械を付けろ」

黒服の男が機械を差し出してきた

どこかで見た男だった

ゴーグル「もしかして、俺がここに来たときの人っすか?」

「覚えていないな、お前みたいに堕ちた人間は多いから」

ゴーグル「そうっすか」

別に覚えてもらっていなくてもよかった

ゴーグル「で?何をすればいいんすか」

「そうだな、スキルアウトの殲滅だよ」

ゴーグル「スキルアウト?あんなヤツらをっすか」


948 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:28:39.22 BBnwR1370 808/851

「頼めるか」

ゴーグル「いいっすよ、一応拳銃ももらえますか」

「あぁ」

男が拳銃を渡してきた

ゴーグル「行ってきますよ」

「行ってらっしゃい」

二人は笑っていた

何かが狂った世界だった


なるほど世界は狭いものだ

殲滅しろと言われたスキルアウトの集団の中には、友人だった人間がいた

泣きながら命乞いをしてきた

いきなり拳銃を持った男が、隠れ家を襲ってきたのだから

それがかつての友人だったのだから


949 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:29:05.98 BBnwR1370 809/851

ゴーグル「久しぶりっすね・・・ってまだ3日くらいっすけど」

ゴーグル男が笑いながらそれに近づいた

ぎゃあぎゃあ泣きながら、それは何かを訴えている

ゴーグル「あぁそうそう・・・この機械試さなきゃ」

どれほどのものかと思い、標的の一人の腕を軽く掴む

いや、軽く掴んだはずだった

だが、グシャリと音を立てて、その腕がおかしな方向へ曲がった

絶叫が闇に響く

ゴーグル「うわ・・・すごいっすねこりゃ」

学園都市の技術に改めて感心した

スポーツなんかに役立てたら、世界記録連発だろう

ゴーグル「ま、スポーツなんて興味ないっす」


950 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:29:35.09 BBnwR1370 810/851

今度は標的の頭を掴む

グシャリ、とそれが潰れた

灰色の何かが零れ落ちる

見覚えがあるものだった

ゴーグル「へぇ・・・脳みそなんすね」

じっとそれを見つめる

懐かしい

あの女が、父親を刺した時にも見たものだ

ゴーグル「・・・思い出したくなかったっすね」

苦笑してから、残りの標的も片付ける

襲撃を開始してからわずか15分

殲滅は完了していた



951 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:30:04.91 BBnwR1370 811/851

ゴーグル「ただいまっす」

「お、なんだ生きてたか」

ゴーグル「拳銃なんていらなかったっすね」

「そうじゃない」

黒服の男がゴーグルを指差す

「それな、合わないヤツが使用したらすぐに脳みそが弾け飛ぶらしいぞ」

ゴーグル「へぇ、拒否反応っすか」

万能の機械じゃなかったんだな、と感想を抱く

「いや、誰も使いこなせないと思っていたが・・・」

ゴーグル「これもらっていいっすよね?」

「あぁ、報酬の一つだ」

ゴーグル「一つ?」


952 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:30:30.32 BBnwR1370 812/851

「金もやるんだよ」

ゴーグル「おー、そりゃいいっすね」

ゴーグル男は笑った

彼が欲していたものの一つが簡単に手に入り

さらに、金も手に入ったのだから

「また頼むぞ・・・」

ゴーグル「はいはい」

ヒラヒラと手を振ってゴーグル男が立ち去る

久しぶりに

いや、初めて

清々しい一日を過ごした


それが続いた


953 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:31:14.58 BBnwR1370 813/851

本当に楽しい、そして寂しい日々だった

ずっと一人で殺しを続けた

そんな日々が、ある日変わった

ゴーグル「スクール?なんすかそれ」

「暗部に組織を作るんだよ、その一つにお前は所属が決まった」

ゴーグル「へぇ・・・それなりに実力を買われてると考えても?」

「当たり前だろう、お前はなかなかの逸材だからな・・・このスクールはわりとスペックが高いんだ」

ゴーグル「・・・いくつか組織が結成されるわけっすね」

「その中でも一番に強いかもしれないぞ」

黒服の男がニヤニヤと笑う

「何しろ、超能力者の第二位がいるんだからな」

ゴーグル「・・・第二位?」


954 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:31:54.42 BBnwR1370 814/851

「垣根帝督、化け物さ」

ゴーグル「へぇ・・・俺とどっちが強いんすか?」

「は?」

ポカン、としたあと黒服の男は大声で笑い出した

「お前なんか歯も立たないさ、絶対的に力が違う」

ゴーグル「へぇ・・・そりゃ楽しみっす」

「ま、お前も役には立つはずだ」

ゴーグル「で?いつ結成っすか」

「明日、指定の場所で顔合わせだ」

ゴーグル「へぇ・・・了解っす」

「ではな」

ゴーグル男がその場を立ち去る

別に居場所などではなかった




955 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:32:21.68 BBnwR1370 815/851

ゴーグル(・・・絶対的?)

ゴーグル男は笑っていた

自分のこの力より絶対的

それはどれほどなのか

興味があった

ゴーグル(・・・これは、楽しくなりそうっす)


翌日

指定の場所へ、彼は向かった

ゴーグル「さーて・・・誰かいるんすかね」

ガチャリ、と待ち合わせの部屋のドアを開ける

そこには一人の青年がいた

茶髪にスラリとした長身

整った顔に、オシャレな服装


956 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:32:48.80 BBnwR1370 816/851

一見すれば、表の世界で生きていそうな青年だった

だが

その目を見た瞬間に、ゴーグル男は悟った

この青年は、自分と同じだと

何かしらの絶望を抱えていると

ゴーグル「初めまして」

垣根「あぁ」

ゴーグル「垣根帝督っすか?」

垣根「てめぇは?」

ゴーグル「スクールの一員の・・・ゴーグルとでも呼んでください」

垣根「そうかよ、よろしく頼むぜ」

垣根は素っ気ない態度をしていた

強者の余裕というものが感じられた


957 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:33:33.49 BBnwR1370 817/851

常に気を張り、身の危険を察知しようとしているゴーグル男とは違う

どんなに油断していようが、そこらの人間になど殺されないという余裕があった

ゴーグル「・・・たしか正式メンバーは三人だって」

垣根「知らねぇよ、どうせ遅れてきてんじゃねぇか?」

ゴーグル「どんな人っすかね」

垣根「知るか・・・むさい男だろ、スナイパーとか」

ゴーグル「そりゃそうでしょうね」

垣根「大体な、こんな世界にまともな、しかも女なんて来るわけがないんだよ」

バンバン、と垣根がテーブルを叩く

なぜかその表情は楽しそうだった

互いに、どこかしら似たものを感じていたのだろう

ゴーグル「・・・そうっすね」


958 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:34:01.94 BBnwR1370 818/851

そもそも、まともな女なんていない

ゴーグル男はそう思っていた

彼が知っているあの女は狂っていたから

垣根「はぁ・・・ま、仕事に女なんて求めてねぇけどな」

ゴーグル「垣根さんはモテそうだからいいじゃないっすか」

垣根「あぁ?てめぇはモテたい願望でもあんのかよ」

ゴーグル「ないっすよ」

垣根「ちっ・・・あ?来たみたいだぜ」

垣根がドアのほうを指差す

その窓に映ったのは、盛られた髪のシルエット

盛られた髪?

ゴーグル「はぁ・・・チャラい男っすかね?」


959 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:34:39.47 BBnwR1370 819/851

垣根「長い髪を適当に束ねてんじゃねぇの?」

ゴーグル「なんか小柄っすね」

垣根「小柄の男が粋がってるんだろ」

つまんねぇ、と二人が息を吐いたのと同時に、ドアが開いた

簡単に言えば、女神がいた

綺麗な女性がいたのだ

年齢はゴーグル男より下だろう

だが、その落ち着いた雰囲気や凛とした顔はかなり大人っぽく見える

胸は普通より少し大きい程度だが、体が華奢な分際だっている

心理「初めまして・・・あなたは垣根帝督ね?」

垣根「あぁ・・・お前は」

心理「心理定規よ、よろしく」


960 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:35:09.70 BBnwR1370 820/851

垣根「あぁ」

心理「あなたは?」

ゴーグル「・・・あ、ゴーグルっす」

心理「あら、偽名?」

ゴーグル「はぁ・・・」

ゴーグル男が頷く

だが心理定規というのも明らかに能力の名前だ

彼女も本名を捨てたのだろう

ゴーグル「でも意外っすね・・・心理定規さんみたいな人が暗部にいるなんて」

心理「あら、どういう意味かしら」

ゴーグル「なんか・・・表にいそうな雰囲気ですから」

心理「常に気を張ってるのはダメな証拠よ」


961 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:35:41.02 BBnwR1370 821/851

ゴーグル「・・・」

ゴーグル男は理解した

彼女も垣根と同じ類の人間だ

力を持っていて、それを完全に制御しているのだろう

ゴーグル「・・・それで?これからどうするんすか」

心理「どう?結成会ってことで飲みに行かない?」

垣根「はぁ?バカじゃねぇかお前」

心理「あら、ゴーグル君は行くわよね?」

ぐい、と心理定規が体を近づけてくる

清楚な雰囲気の顔が間近にある

服からは少し胸元が覗いている

普通の女性がやっていたら、軽いと思える行動

だが彼女がすると違った意味を持っていた

妖艶な雰囲気に、ゴーグル男はドキリとしてしまう


962 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:36:07.55 BBnwR1370 822/851

彼が知っている女とは違う

一瞬でそれを把握する

ゴーグル「い、行きますよ!」

心理「あら、優しいじゃない?」

ゴーグル「・・・は、はい」

垣根「はぁ・・・お前ら二人で行って来いよ」

心理「いいじゃない、あなたも行きましょうよ」

垣根「ちっ・・・分かったよ」

垣根が渋々立ち上がる

そして、三人は飲み会に向かった

それまでは覚えていた

多分酔い潰れたんだろう


963 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:36:57.00 BBnwR1370 823/851

気がついたら次の日の朝だった

垣根が連れて帰って来たのか、ホテルの一室にゴーグル男はいた

ゴーグル「・・・頭痛いっす」

辛そうな顔をしながらも、彼は体を起こした

身支度を整え、スクールの隠れ家へ向かう

いつも迎える朝だった

朝日も、時間も、何も変わってはいない

なのに

なのに、何かが違ったのだ

なぜか、少し楽しみだった

あの二人に会えることが





964 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 10:44:24.66 BBnwR1370 825/851

こっちはあとはリクだけで埋めます

単発で、まぁわりとほのぼのできそうな小ネタリクをください!

ではどうぞ



965 : VIPに... - 2011/10/08 10:50:50.96 rOtYQCDB0 826/851

>>964
じゃあ、麦のんの恋人探し

966 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 11:02:04.76 BBnwR1370 827/851

麦野(・・・フレンダはゴーグルの野郎がいる・・・絹旗は海原・・・)

麦野は考えていた

1月2日の昼間

自分以外のメンバーは外に出かけている

麦野「ちっ・・・ヒマだな」

家から適当に外へと繰り出す


しかし、すれ違うのはカップルばかり

麦野(右も左も甘い雰囲気かよ・・・)

こうもなってくると、独り身であることのほうが異常に感じる

実際は、カップルであるほうが珍しいのだろうが

麦野(・・・ってそうだ、ナンパでもすればいいじゃねぇか)


967 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 11:07:24.91 BBnwR1370 828/851

麦野が辺りを見回す

独りの男だってたくさんいる

麦野は美人の類だ

金だってあるし、名声だってある

ならばナンパくらい簡単だろう

「ど、どうすればいいの?」なんて初心でもない

麦野(・・・あ?あの男とかどうだ)

適当に独りの男を見つけ、標的にする


青ピ「はぁー・・・なんでボクぁ可愛い女の子に声とか掛けられへんのやろ」

麦野「」


麦野(やめよう、あれはダメだ)

ぶんぶん、と頭を振る

あんなのと関わったらなんかまずい

なんかがまずい



968 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 11:11:40.57 BBnwR1370 829/851

麦野(・・・あれはやめといて・・・)

またぐるりと周りを見渡す

しかし、これといった独り身の男はいない

麦野(うーん・・・ん?)

さっき目を掛けた男が麦野に向かって歩いてくる

青ピ「あのー・・・この近くに地図とかってあらへんかなぁ?」

麦野「は?」

ぽかん、と麦野は口をあける

地図持ってない?とか道教えて、なら分かる

地図が街中に突っ立ってるわけなどないのに

麦野「あぁいや・・・知りませんけど」

青ピ「なんや・・・土御門との待ち合わせ場所がわからへんのやけどな・・・」

ぽつり、と男が呟く



969 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 11:15:03.79 BBnwR1370 830/851

麦野(土御門・・・?)

たしか、かつて暗部に所属していた男の名前だ

この男はそいつの知り合いなのだろうか

青ピ「はぁ・・・お姉さん、この近くのメイド喫茶て知らへん?」

麦野「・・・は?」

この男は、友人とそんな場所で待ち合わせをするのか

浜面のバニー好きがマシに思える

麦野「あぁ・・・知りませんけど」

青ピ「そっかぁ・・・残念やなぁ」

麦野「・・・あの、なんで私にそんなこと聞くんですか?」

青ピ「だってどうせ道教えてもらうなら美人さんに教えてもらったほうがええもん」

麦野「美人・・・?」

青ピ「お姉さん、めちゃくちゃ美人やん」



970 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 11:22:34.55 BBnwR1370 831/851

麦野「そう?ありがとう」

他人と関わるときの笑顔を浮べる

普通の男性なら、それだけでドキリとするだろう

でも、目の前の男は違った

青ピ「普通に笑ったらもっと美人さんなのになぁ」

麦野「!」

青ピ「お姉さん、人間って素のときが一番やで?笑うときも泣くときも怒るときも・・・」

麦野「わ、私は・・・」

青ピ「そんなに気張らんでもええんやで?別にボクぁなんもせぇへんし」

ニコニコ、と男が笑う

麦野「あ・・・あはは」

青ピ「それもなんか作り笑いやなぁ」

麦野「な、なんなんだよお前・・・」


971 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 11:26:59.08 BBnwR1370 832/851

青ピ「ボクぁ普通の男子高校生やで!」

胸を張りながら笑う男

麦野よりかなり背が高い

麦野「・・・それより、待ち合わせには行かなくていいの?」

青ピ「あぁ、そうやったそうやった・・・」

男がくるりと向きを変える

麦野「・・・ねぇ」

青ピ「ん、どうかしたん?」

麦野「アンタの名前は?」

青ピ「内緒やで!」

親指をぐっと突き立ててから、男は走っていく

麦野(・・・ふん、バカみてぇな男だったな)

麦野は笑っていた

本当に心の底から笑っていた



972 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 11:27:30.34 BBnwR1370 833/851

こんなもんかと


いや、単発で恋人探しは難しいww

次のリクどうぞ





973 : VIPに... - 2011/10/08 11:27:52.51 2Zft5rhHo 835/851

ミサカ20000号と打ち止め

978 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:26:41.18 BBnwR1370 836/851

20000(・・・こちら20000号!!上位個体、起きてるか!!)

打ち止め(もっちろん!!!こちら打ち止め、一方通行が手料理を褒めてくれてるよ!!)

20000(とりあえず画像うp!!!)

打ち止め(無理!!)

一方通行宅が家族団らんを楽しんでいたとき

突然、MNWで20000号が連絡を取ってきた

20000号は打ち止めともっとも親しいと言ってもいい個体だ

ナンバリングが近い、同じ一方通行派

そんなこともあって、たまに眠れないときにはくだらない話をして時間を紛らわしていた

ちなみに今は眠れない訳ではない

20000(明日、お母さんが来るんだってさ)

打ち止め(うん、知ってるよ!)


979 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:30:20.99 BBnwR1370 837/851

20000(楽しみじゃねぇ!?)

打ち止め(思い切り甘えるんだ!!)

20000(そしてあわよくば、おっぱいが大きくなる方法を尋ねる!)

打ち止め(そりゃ魅力的だ!!!)

20000(げっへっへ、おっぱい大きくなったら一方通行を誘惑する!!!)

打ち止め(おー、それは名案だ!!)

二人のミサカは知らない

別に一方通行は胸フェチではないのだ

もちろん、番外個体の胸は好きらしいが

打ち止め(でもさでもさ、必然的に一方通行もお母さんに会うことになるよね?)

20000(!!こっそり聞かなきゃなんないぜ!!!)

打ち止め(こりゃなかなかの隠密行動!!!)

20000(ふっふっふ・・・こちらには17600号という強い味方がいるんだ!!)

打ち止め(ずるい!!)

20000(上位個体命令を使えば従わせられるぜ!!)

打ち止め(お、おぉ・・・)

その時、MNW内で約1名のミサカがぶちぎれた

言わずもがな、17600号だが


980 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:32:23.95 BBnwR1370 838/851

20000(ダメダメ、17600号ったら怒っちゃやーの)

打ち止め(・・・とりあえず、こちらはこれからまた食事だから!)

20000(えーつまんない)

打ち止め(明日生で話そうぜ!!)

20000(あばよ!!ダチ公!!!)

打ち止め(あばよじゃねぇ!!一緒だろ!)


そんなやり取りをしてから、打ち止めは再び食事を始める

一方「なァ、なンか目つぶって集中してたみてェだけど」

打ち止め「なんでもないよ!ってミサカはミサカはごまかしてみたり!」

一方「ごまかしてンじゃねェか・・・」

ミサカたちの秘密は

MNWの中だけにある






974 : VIPに... - 2011/10/08 11:28:24.93 418xNBceo 840/851

むぎのんの恋人探し 続き

981 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:37:32.32 BBnwR1370 841/851


青ピ「・・・あれ?お姉さんやないか」

麦野「ん?アンタは・・・」

あれから2時間

街中で、再びあの男に出会った

インパクトの強いルックスなため、遠目からでもすぐに分かった

麦野「何やってんだ?待ち合わせは・・・」

青ピ「それがなぁ!!聞いてくれへん!?」

麦野「あ、あぁ」

青ピ「土御門のヤツ、メイドはミニスカに限るって言うんやで!?おかしいやんか、メイドさんに求められるのは困ったお坊ちゃんを優しさから叱り付けることやろ!?お坊ちゃんがミニスカにしてくれ、なんて言ったらそれは無理ですご主人様、って断るような大人な対応!!つまりボクぁメイドさんにエロさは求めてないねん、求めてるのは大人っぽさや清楚さや!!なのに土御門のヤツはエロさが重要なんだにゃー、とか言ってミニスカを要求してたんやで!?おかしないか!?そうやろ、だってメイドさんはメイドであってグラビアアイドルやないっちゅうねん!!露出度を増やして楽しませるのなんてメイドやない、それはただのメイドの皮を被った女の子やとボクは思うんやけども!!」

麦野「お、落ち着いて・・・」

青ピ「つまり、喧嘩したから一旦お開きしたんや」

麦野「は、はぁ・・・」

麦野は呆れていた

この男、サブカルチャーが好きなようである

麦野(っていうか、女の私にメイドを語るか普通・・・?)


982 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:39:54.03 BBnwR1370 842/851

青ピ「まぁ・・・要は、ヒマになってもうたんや」

麦野「へぇ・・・」

青ピ「お姉さんこそ、なんでこんなところでふらついてるん?」

麦野「ヒマだから」

青ピ「・・・彼氏とかおらんの?」

麦野「・・・いない」

青ピ「意外やなぁ・・・お姉さんめちゃくちゃ美人なのに」

男が心底不思議という顔をする

麦野「・・・美人なだけじゃ彼氏なんて出来ないってことよ」

青ピ「そうなんやなぁ・・・難しい世の中や」

麦野(お前の思考回路のほうが難しいだろ・・・)

青ピ「そうや、ヒマならちょっと付き合ってくれへん?」

麦野「?」



983 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:42:29.68 BBnwR1370 843/851

青ピ「この近くに美味しいレストランが出来たんやけど・・・」

麦野「ナンパ?」

青ピ「そうとってもらっても構わんけどな」

ははは、と男が笑う

どうせ一人で行くのが恥ずかしいだけなのだろう

麦野「いいよ、付き合ってあげる」

青ピ「ほんま!?助かるわぁ!!」

嬉しそうに男が笑った

その笑顔は、それはそれは心から嬉しそうなものだった

麦野「・・・そうだ、名前・・・って内緒だったね」

青ピ「青ピでえぇで、お姉さんは?」

麦野「麦野。麦野沈利だよ」

青ピ「じゃあ行きましょか、麦野さん!」

男が麦野の手を引いていく


恋の予感は、まるでしなかった






977 : VIPに... - 2011/10/08 12:23:47.62 FgwxXhtmo 845/851

削板寮監に再戦申し込み

984 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:45:18.07 BBnwR1370 846/851


削板「・・・」

削板軍覇は、負けをほとんど知らない

彼が屈した相手は、いない

たとえ地に伏せられたとしても、彼は何度でも立ち上がる

目の前にあるのは壁ではない

ただの、踏み台なのだから

そして、削板が自分よりも強いと認めたのは三人だけだ

一方通行、垣根帝督

そして


寮監「・・・白井に会いたい?」

この阿修羅だけだ

削板「そうだ!!俺は黒子に会いたい!」

寮監「・・・わざわざ寮までお出迎えとはご苦労だな・・・御坂も最近はめっきり帰ってきていないようだし・・・常盤台の風紀はもはや無いに等しい」

削板「風紀を乱すつもりはない!!愛を貫いているだけだ!!」

寮監「ふん・・・よかろう、風紀を乱すものは私が成敗してくれよう」



985 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:48:01.16 BBnwR1370 847/851

削板「いいだろう!!俺の前に立ち塞がるなら!!俺は拳でそれを砕く!!」

寮監「全く・・・風紀を乱すものに秩序などありはしない」

削板「お前が守っているのは、風紀ではない!!独りよがりの悲しい正義だ!!」

削板の拳が炸裂する

はずだった

しかし、それを寮監は最小限のモーションでかわす

削板(やはり・・・早い!!)

寮監「・・・ならば問おう!!!」

寮監の腕が、まるで蛇のように削板を狙ってくる

この攻撃を、彼は知っている

削板はこれを「絞め殺しの蛇」と呼んでいる

ツッコミは世間がしてくれる

文字通り、首を絞めてくるのだ


986 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:50:34.86 BBnwR1370 848/851

削板「くっ・・・」

寮監「正義とはなんだ!?正しいものとはなんだ!?」

削板「それは!!」

パシッ、と削板が寮監の手を払う

削板「俺が、俺だけが探すんだ!!!」

寮監「勘違いもはなはだしい!!!お前のような子供に見つけられると思うてか!?」

削板「議論はいらない理屈はいらない!!!貫き通すんだよ、教科書通りの正義なんてないんだよぉ!!」

削板の拳に、説明できない力が集まる

空間が歪むほどの圧力

削板「正義とは!!!あるものではない、教えてもらうものではない!!!」

拳を、全力の拳を寮監に向けて突き出す


削板「それは!!!正義を求めるものが生み出すものだ!!!」

衝撃が、寮監を襲った



987 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:54:33.36 BBnwR1370 849/851

寮監「この・・・程度かぁ!?」

削板「!?」

寮監「答えはない!?いや、教えてやろう!!!正義とは!!!」

寮監が突き進んでくる

あの攻撃を受けても尚

それは、まるで

削板とそっくりの瞳だった


寮監「悪を払い善を守り!!弱気を愛し強気を憎む!!平和を望み狂気を恨み!!!明日の光に手を伸ばす!!」

寮監が拳を振りかぶる

そこには、なんの特別な力などない

だからこそ、削板には強く見えた

特別な力などない彼女が

特別な力を振るう削板に、正面からぶつかってくるのだから

寮監「寮監奥義!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


寮監「禍霊!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ドォン、と思い衝撃が削板を襲った

それは、重く、大きく

そして、強かった


988 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:56:47.99 BBnwR1370 850/851

削板「・・・負けた・・・か」

目を覚ますと、学び舎の園の外だった

寮監との戦いが終わると、いつもこうだ

勝ったことはない

勝てると思ったことも無い

圧倒的な何かを見せられ、いつもことごとく打ち破られる

それが悔しく、そしてすがすがしい

削板(・・・くっ・・・まだまだだな・・・)

自分の力を知らない男が、正義を知る女に勝てるわけがなかった

削板「・・・よし!!」

ポンポン、と膝の泥を払い立ち上がる


削板「今日も鍛錬に励むか!!!」

削板の頭には、真っ赤な陽射しが差していた



989 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/10/08 12:57:16.53 BBnwR1370 851/851

さて、リクはここまで


ちなみに>>1はこれといってメイドが好きなわけではありません

1000取りどうぞですの








続き: 26スレ目 上条「異性のどこが好き!?」美琴「優しさ!」心理「温かさ」垣根「声」テクパトル「背中」
※編集中です。近日中に公開します。



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