※関連
最初: 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
前回: 上条「熱い思いは!」美琴「止められない!」心理「燃える心は」垣根「バーニングハート!」【1】
垣根「そして俺達は風呂から上がった」
心理「誰に説明してるのよ」
垣根「仕方ねぇだろ・・・みんな舌はピリピリしてるわ眠いわでテンション低かったんだよ」
心理「説明になってないわね」
上条「・・・もう寝ようぜ・・・限界だ」
ショチトル「さすがにまぶたが重くなってきたぞ」
テクパトル「・・・今日はカップルで寝ていいだろ?」
垣根「あぁ?どうせエッチするつもりだろ」
テクパトル「あーもうそれでもいいからカップルで寝させろ、お前がいるとうるさくて寝られないんだよ」
19090「・・・眠いです」
黒子「わたくしはもう半分寝てますの」
削板「ダメだ黒子!寝るなぁ!」
一方「・・・じゃあな、俺は寝る」
番外「えー、もう寝ちゃうの?夜はまだまだこれからだぜ!」
一方「一人で喘いでろ・・・クソが」
エツァリ「・・・自分達も寝ましょうか、ショチトル」
ショチトル「あぁ」
美琴「じゃあ・・・みんなお休み・・・」
19090「・・・夜の9時に寝るなんてかなり健康的ですよね、素敵じゃないですか」
テクパトル「じゃあな」
心理「お休み、みんな」
それぞれのカップルに分かれ、寝室へと向かう
リビングに残ったのは垣根と心理定規だけだった
心理「あなたは眠くないの?初詣のときはもう死にそうだったのに」
垣根「・・・眠気もな、あまりに限界を超えたら眠くない気になるんだ」
心理「よく分からないけど、まだ起きてるの?」
垣根「あぁ・・・ワインでも飲む」
垣根がため息をついてから冷蔵庫へ向かう
冷蔵庫に無造作に突っ込まれた高級なワインというのまなかなか面白い風景だ
心理「・・・それにしても驚いたわよね、まさかゴーグル君が帰ってくるなんて」
垣根「・・・あいつはいいヤツだからな、あれくらいの救いがあってもいいだろ」
心理「ふふ・・・私ね、彼に告白されたわよ?」
垣根「はぁ?なんて」
心理「好きだった、って」
垣根「なんだよ、それは告白とは言わないんだよ」
心理「あら、不機嫌になっちゃった?」
垣根「んなことでいちいち不機嫌にはならねぇよ・・・」
心理「・・・もちろん断ったわよ、あなたが好きだもの」
垣根「・・・そりゃ嬉しいな」
心理「でも、彼には他に大切な人が出来たみたいだから安心したわ」
垣根「フレンダか?」
心理「えぇ、彼はフレンダの隣にいるときすごく純粋な笑顔を浮かべていたのよ」
垣根「お互い合うんじゃねぇかな」
心理「・・・ゴーグル君は・・・孤独がいいって言ってたわね」
垣根「そうやって強がってる時点であいつは一人がイヤなのさ」
垣根がワインを一口飲む
垣根「一人が好きならなんでスクールにあいつはいた?」
心理「・・・何かメリットがあったから、とは思えないかしら」
垣根「俺達といてなんのメリットがあった?あいつはアレイスターの計画になんざ興味はなかったんだ」
心理「・・・そもそも、自分が闇の世界にいることを妥協してさえいたわね」
垣根「俺達なんかといても本来ならメリットはなかった、なのに誰かといたかったのさ」
心理「・・・そうなのかしら」
垣根「詳しく分かるのは本人だけだがな」
心理「・・・フレンダはどうなのかしら」
垣根「さぁな・・・あいつらはお互いにそういう意識の仕方はしてなかったみたいだし」
心理「でもきっかけがあればいい感じになりそうよね」
垣根「知るかよ、そんなのはあいつの勝手だ」
心理「・・・気にならないの?」
垣根「あいつは俺達と関わらないでも生きていけるんだ、いつまでもスクールを気取ってんじゃねぇよ」
心理「・・・友人として気になるのよ」
垣根「だとしたら余計に深くは追求するな、友人からの詮索ほどうざったいもんはないだろ」
心理「・・・そうね、少し考えすぎたかも」
垣根「・・・告白された、ねぇ」
心理「あら、やっぱり気になるの?」
垣根「・・・俺も人並みにヤキモチ妬いたりするんだな」
心理「嬉しいこと言ってくれるわね」
心理定規が垣根にキスをする
心理「ほら、安心して?私はあなただけが好きなんだから」
垣根「あぁそうかよ」
心理「・・・私もワイン、もらっていいかしら?」
垣根「いいぜ」
心理「ありがとう」
リビングで二人の男女がワインを嗜む
静かな夜
正月の夜は、少しロマンチックだった
エツァリ(・・・おや、夢でしょうか)
エツァリは夢を見ていた
初夢というものだろう
エツァリ(・・・この景色には見覚えがありますね)
今からどれほど前だろうか
まだ、あの組織があった頃の夢だ
エツァリ「失礼します」
ガチャリ、とドアを開けたのはエツァリだった
この日はちょうど、敵対組織との戦闘を終えたところだったはずだ
テクパトル「よぉ」
エツァリ「・・・なんですかいきなり呼び出して」
テクパトル「まぁそう睨んでくれるな」
エツァリ「・・・睨みたくもなりますよ」
テクパトル「・・・お前に少し頼みがあってな」
エツァリ「情報なら聞き出しましたよ、意外とすんなり口を割ってくれました」
テクパトル「ほぅ・・・意外だな」
エツァリ「・・・あんな仕打ちをされたら仕方ないでしょう」
エツァリが眉をひそめる
いわゆる拷問ともとれる行為を彼等は行っていた
直接拷問を行ったのはエツァリではなかった
彼は拷問を受けたあとの敵に話を聞く係だったのだ
テクパトル「・・・で?やつらはどうした」
エツァリ「・・・今はまだ拘束していますよ」
テクパトル「そうか、なら殺していいぞ」
エツァリ「・・・なんですって?」
テクパトル「殺せ、二度は言いたくないんだがな」
エツァリ「・・・彼等は口を割りました」
テクパトル「そうだな、だから?」
エツァリ「今は戦闘を行える能力もない!第一情報を得られたら解放するとあなたは言っていたじゃないですか!」
テクパトル「・・・そんな甘いことを言うとはな、お前はそれでもアステカの戦士か?」
エツァリ「・・・戦士というのは、無意味な殺生などはしません」
テクパトル「それは英雄というんだよ」
エツァリ「・・・なぜ殺すのですか!別に帰したところで問題はないでしょう!?」
テクパトル「敵対組織はほぼ壊滅させたから、か・・・つくづく馬鹿なやつだな」
エツァリ「・・・何を言いたいのですか」
テクパトル「再び組織を作り出される可能性だってあるだろ?あの手のバカはそういう無駄なことが大好きだからな」
愉快そうにテクパトルが笑う
昔の彼は本当に冷たい人間だった
エツァリ(・・・今の彼がどれだけ変わったのか・・・分かりますね)
エツァリ「・・・だからといって殺すことはないでしょう!?」
テクパトル「アステカの神は何度も虐殺を行った、それと同じことをするだけさ」
エツァリ「あなたは彼等のことを何も分かってはいない!彼等にだって家族が・・・」
テクパトル「彼等にだって?彼等には、の間違いだろ」
エツァリ「っ・・・」
テクパトル「敵の家族なんか興味がない、大体なんで敵のことを知る必要がある?」
エツァリ「・・・あなたは家族がいないから分からないでしょう」
テクパトル「お前もいないだろう?」
エツァリ「だからこそ我々は憧れたはずだ!彼等は何も争いを起こしたかったわけではない!我々が仕掛けなければ・・・」
テクパトル「よく言う、あいつらの武装はなんだった?あんなものは一日やそこらで手に入れられるものではなかったぞ」
エツァリ「そ、それは・・・」
テクパトル「やつらの組織の本部はイタリアにあると聞き出したのはお前だろ?そんなやつらがなぜこんな土地に来ていた?旅行だと言っていたらしいがまさか信じるのか?」
エツァリ「・・・」
テクパトル「何が敵のことを分かっていない、だ」
テクパトルがエツァリを睨む
テクパトル「お前はそもそも人間が分かっていないのさ」
テクパトル「人間は平気で誰かを騙す、誰かを見下す」
テクパトル「家族がいる?それがどうした」
テクパトル「貴様はわざわざそこらにいる野良犬の家族構成を気にするか?」
テクパトル「我々にとって仲間以外は敵になりうる存在なんだ」
エツァリ「ですが・・・」
テクパトル「あぁそうか分かったよ・・・ならば敵の家族のためにあいつら全員を今自由にしてみようか?」
テクパトルが口元を歪める
だがその顔は少しも笑っていない
テクパトル「死ぬぞ、貴様も・・・貴様が入れ込んでいるショチトルも、トチトリも・・・みんな死ぬぞ」
テクパトル「敵のために味方を捨てるか、素晴らしいまでの聖人君子だな」
テクパトル「・・・エツァリ、貴様はこの組織を家族だと思っているようだな」
エツァリ「・・・あなたは笑うでしょうね」
テクパトル「ならば自分の家族を守りたいのではないか?なぜ敵を第一に考える」
エツァリ「・・・殺生など、ただの無意味な憎しみを産むだけです」
テクパトル「・・・」
テクパトルが何かを言おうとした
だがその時、急にドアが開かれた
そこにいたのはショチトルだった
エツァリ「何をしているショチトル、今は・・・」
ショチトル「・・・拘束していた敵兵士が・・・」
テクパトル「・・・どうした?」
ショチトル「・・・見張り番の二人を殺した・・・」
エツァリ「ば・・・馬鹿な!?両手両足を拘束していたのでは・・・」
ショチトル「やつらナイフを隠し持っていたんだ!それで縄を切って・・・そのまま・・・」
テクパトル「ふふ・・・ははは!愉快じゃないかエツァリ!」
エツァリ「何が愉快なんですか!?」
テクパトル「家族がいる、全て吐いてくれた優しい優しい敵なんじゃなかったか?」
エツァリ「!」
テクパトル「お前が話を聞くはずだった・・・だがいつしかお前は話を聞かされていたんだ、同情なんてしないですぐに殺していればよかったものを」
エツァリ「・・・ナイフを持っていたなんて」
テクパトル「チェックが甘かったな」
テクパトルが椅子から立ち上がる
テクパトル「どけ、俺が行ってくる」
ショチトル「しかし・・・」
テクパトル「餓鬼は黙ってろ」
テクパトルがショチトルの体を突き飛ばす
ショチトル「がはっ!」
エツァリ「ショ、ショチトル!」
テクパトル「何をしているエツァリ、行くぞ」
エツァリ「ショチトルを傷つけることは・・・」
テクパトル「許せない、か?仲間二人を殺した貴様が言うか」
エツァリ「・・・」
テクパトル「言い返せないだろう?責任はお前にあるんだ、ならば幕はお前が降ろせ、来い」
テクパトルが牢獄へ向かう
組織の本部である建物の中には敵を拘留しておくための牢獄があった
光も届かず、肌寒い空間が
エツァリ(・・・この時は落ち込みましたね・・・テクパトルの言っていたことが正しかった・・・それが悲しかった)
テクパトル「おー、派手にやってくれたみたいだな」
敵兵士は牢獄から既に抜け出し、地上へ向かう階段を登っているところだった
「く、くそ!そこをどけ!」
エツァリ「待ってください!」
「てめぇもか!どけって言ってんだよ!」
エツァリ「なぜ・・・なぜこんなことをしたのですか!?家族が待っていると涙を流していたあなたが・・・」
「家族!?そんなもんいるかよバーカ!」
エツァリ「!」
「もっと言ったら俺が話した情報だってほとんど出まかせだぜ!?お前さんったら全部信じるんだからなぁ!」
ゲラゲラ、と敵兵士が笑う
「いいからどけ!俺はここから出るんだよ!」
エツァリ「あ、あなたは・・・」
テクパトル「エツァリ、殺せ」
エツァリ「・・・」
エツァリの手の中には一丁の拳銃があった
普段から常に魔術を用いて戦いはしない
必要なとき以外は隠し通す、というのが組織の暗黙の了解だった
テクパトル「殺せ」
「どけ!死にたいのか・・・」
パァン、と乾いた音がして男の頭に穴が空いた
生死など言うまでもない
エツァリ「・・・自分は・・・」
テクパトル「言っただろう?人間なんて平気で嘘をつくんだよ」
エツァリ「・・・あなたは・・・気づいていたのですか」
テクパトル「ふん、馬鹿なことを言うな」
テクパトル「イタリアから来たと言っていた人間がなぜアステカの訛りをしていた」
エツァリ「!?」
テクパトル「やつはこの近くの敵対組織の人間だった、それだけだ」
エツァリ「す、すぐに・・・」
テクパトル「安心しろ、先程殲滅は終了したそうだ」
エツァリ「あなたは・・・知っていながら・・・」
テクパトル「まさか門番が殺されるとは思わなかったがな・・・」
エツァリ「なぜ言ってくれなかったのですか!」
テクパトル「何をだ」
エツァリ「イタリアに本部があると聞き出したのはたしかに自分でした!」
エツァリが拳を握る
エツァリ(そうだ・・・この時、自分を責めて半ば自棄になっていましたね)
エツァリ「その時にその情報は間違っていると言ってくれたら!」
テクパトル「お前が騙されたのがそもそもの問題ではないか?」
エツァリ「あなただって納得したように振る舞っていた!」
テクパトル「・・・やつと一度戦ったときに・・・アステカの訛りがあるということさえ見抜けなかったとはな」
エツァリ「テクパトル!今はそんなことを言っているんじゃない!」
テクパトル「なんだ?仲間のミスはカバーし合おう、なんて夢を語りたいのか?なら他で講釈垂れてくれよ」
エツァリ「・・・テクパトル、あなたは仲間を見殺しにしたんだ」
テクパトル「そしてお前は殺したんだ、エツァリよ」
テクパトル「お前の甘さはこうでもしないと治らない、荒療治だったがなかなか効いてるようじゃないか」
エツァリ「・・・もっと他の方法でもよかったのではないですか!?こんな命を無駄にしてまで・・・」
テクパトル「ははは!命なんて切り捨てるためにあるものだ」
エツァリ「あなたは間違っている!どうして・・・」
テクパトル「今回に関しては全部お前の責任なんだがな、間違った情報を信じ、敵を生かし、あわよくば逃がそうとさえしていた」
テクパトル「行っただろ?敵を信じるな」
テクパトル「ここにいたいなら敵を人だなんて思うな、文句があるならば出ていけ」
テクパトルがくるりと踵を返す
テクパトル「・・・エツァリ、一つだけ教えてやろう」
エツァリ「・・・なんですか」
テクパトル「誰かを守ることほど難しく愚かなことはない」
エツァリ「・・・覚めましたか」
エツァリがベッドから体を起こす
時間は夜の11時
エツァリ「・・・喉が渇きましたね」
いやな初夢だった
まさか、こんな時に昔を思い出すなんて
エツァリ「・・・」
無言でリビングへと向かう
そこにはテクパトルがいた
エツァリ「おや、あなたも起きていたのですか?」
テクパトル「ん?あぁ、エツァリか・・・お前も喉が渇いたか?」
エツァリ「えぇ、いやな夢を見てしまいまして」
テクパトル「夢?」
エツァリ「・・・自分の失敗で仲間が死んだときのことを」
テクパトル「・・・あれか」
テクパトルが顔を歪める
テクパトル「信じてはもらえないかもしれないがな、あの時少し辛かったんだ」
エツァリ「そんな気はしましたよ、あなたが自分に教えてくれたことはどこか悲しかったですから」
テクパトル「教えたこと?」
エツァリ「誰かを守ることほど難しく愚かなことはない、と」
テクパトル「・・・今はそうじゃないと思えるよ」
エツァリ「あなたも変わりましたからね」
テクパトル「互いに変わったな・・・お前はそんな気持ち悪い敬語ではなかったはずだ」
エツァリ「あなたはずいぶんと優しくなりました、あの頃と違って・・・何かを背負わされているのではなく、自ら背負っている」
テクパトル「誰かを守るのは難しく愚かだが・・・時にそれは素晴らしいことだと分かったからな」
エツァリ「・・・辛気臭い雰囲気になってしまいましたね」
テクパトル「お前はスポーツドリンクか?」
エツァリ「あなたは相変わらず酒ですか・・・よく体を壊しませんね」
テクパトル「これでも丈夫なんだよ」
テクパトルが笑う
エツァリ「・・・19090号さんを守ることが・・・今のあなたの生きがいですか」
テクパトル「愛することもな」
エツァリ「それはよかった」
テクパトル「・・・今は楽しいよ、本当に楽しい」
エツァリ「信じられないほどに楽しいですよね」
テクパトル「あぁ・・・幸せだ」
エツァリ「・・・テクパトル」
テクパトル「なんだ?」
エツァリ「やっぱり、自分はこの口調・・・似合ってないですかね?」
テクパトル「・・・まぁいいんじゃないか?」
夜遅くのリビングは、かつて憎み合った仲の二人の笑い声で満ちていた
垣根「うー・・・あぁ・・・あ?」
垣根「・・・夢か」
垣根「なるほど、これが初夢ってヤツだな」
さだのり「そうだな」
垣根「あぁ」
さだのり「うん」
垣根「・・・あ?久しぶりだなお前」
さだのり「よう、久しぶり」
垣根「・・・なんでこの時期にナス食べてるんだよ」
さだのり「3だぜ、3」
垣根「はぁ・・・?っていうかなんで俺たちはでっかい鷹の背中に乗っているんだ?」
さだのり「2だよ、2」
垣根「そして富士山が見えるな」
さだのり「1だからな、1」
垣根「・・・ん?なんか頭がクラクラするんだが・・・」
さだのり「あぁ、俺が見せたかった夢はもう終わったからな」
垣根「早過ぎるだろ」
さだのり「だからあとは」
さだのり「お前の好きな夢でも見とけ!!」
垣根「・・・いてて・・・なんか地面に落ちましたでごじゃりまする」
美琴「あれ?垣根じゃない」
垣根「んー?あぁ、御坂じゃねぇか」
美琴「もしかしてアンタも夢見てるの?」
垣根「・・・はぁ?」
美琴「なんか前もこんな経験を当麻としてね・・・夢の中でリンクしちゃってるのよ、他の人の夢と」
垣根「ま、まさかここから超未元砲カップル物語始まり始まり!?」
美琴「始まらないわよ、無理にでも終わらせるから」
垣根「ワーオキレる若者だね」
美琴「・・・で?アンタだけ?」
垣根「あぁ・・・他のヤツとかは来てないのか?」
美琴「なんかこれって偶然起きる現象らしいのよね・・・」
垣根「へぇ・・・にしてもここはどこだ?」
美琴「・・・多分」
美琴「・・・喫茶店」
垣根「・・・はぁ?」
美琴「だってほら、テーブルもあるし紅茶もおいてあるし」
垣根「・・・なんだよこの喫茶店」
美琴「まぁいいじゃない・・・見た感じ、未来とかではないみたいだし」
垣根「未来とかもあるのかよ?」
美琴「私と当麻は前に未来の夢見たわよ」
垣根「へー、未来って便利なのな」
美琴「なんでも、アンタはクールなキャラになってるみたいだったわ」
垣根「戻った、が正解だけどな」
美琴「ふーん・・・」
垣根「紅茶飲めよ、せっかくだし」
美琴「そうね」
二人が紅茶を口に含む
垣根「・・・なんか周りのヤツらがジロジロ見てくる」
美琴「夢でもわりと現実的なのが多いのよね・・・」
垣根「・・・ヒソヒソ話されてるし」
美琴「ホントだ・・・」
垣根「お前は有名人だからな」
美琴「アンタだって大覇星祭で暴れて以来有名じゃない」
垣根「そうだけどさ・・・」
「見て見て!!あの二人!!」
「で、でも御坂さんって彼氏が・・・」
「分かった!!浮気よ浮気!!」
「そ、そうなの!?」
美琴「!?」
垣根「疑われてますぜ、御坂さん」
美琴「アンタなんかちっとも好きじゃないんだからね、垣根!!!これっぽっちも!!」
垣根「大声で言うな、あとそれはむしろツンデレの代名詞だ」
美琴「ど、どうすればいいのよ!?」
垣根「これ夢だろ?」
美琴「・・・そういえばそうだったわね」
垣根「・・・にしてもさ・・・」
美琴「なによ」
垣根「なんか初春とよくわかんない女がお前をジロジロ見てるんだけど」
美琴「え?」
初春「み、御坂さん!!」
佐天「ま、まさか・・・浮気!?」
美琴「わぁ!?い、いたの!?」
初春「御坂さん!!!目を覚ましてください!!その人は頭がおかしいです!!」
垣根「お花畑のお前に言われたくねぇよ」
佐天「そ、その・・・浮気ですか?」
美琴「違うわよ・・・ヒマだから紅茶奢らせてるだけ」
垣根(・・・なんでこんなにリアリティーがあるんだろうな、夢って)
初春「なんだー・・・てっきり御坂さんが悪の道に走ったかと・・・」
佐天「?この人って垣根さんですよね?大覇星祭でちょこっとお世話になりました」
垣根「あぁあぁ、お前佐天か」
佐天「わ、忘れてたんですか・・・」
垣根「お前、姫神と同じくらい影薄いよな」
佐天「・・・あの、姫神さんってどうしてますか?」
垣根「元気だぜ」
美琴「・・・初春さんと佐天さんはどうしてここに?」
初春「ヒマだったので出かけてるんですよ」
垣根「へー、ならなんか奢ってやるよ」
佐天「本当ですか!?」
垣根「その代わり触らせて」
佐天「1揉み500万!!!」
垣根「・・・ちっ」
初春「・・・あの、垣根さん・・・」
垣根「なんだよ」
初春「・・・垣根さんって、御坂さんより強いんですよね?」
垣根「あぁ、そうだけど?」
佐天「そうだ!!どうやったら強くなれるんですか!?」
垣根「能力か?そりゃ常に勉強して頭をイカれさせるんだよ」
佐天「・・・は、はい?」
垣根「自分だけの現実が強ければ強いほど、能力は強くなっていく」
初春「・・・そ、それで?」
垣根「まぁ要は自分だけの世界を持っている人間が能力を持てるわけだが・・・」
美琴「その自分だけの世界が、周りと違うほど強大な能力を使えるのよ」
垣根「思い込みの力だな」
垣根がティーカップを指差す
垣根「これを、触れずに壊すにはどうすればいい?」
初春「?ハンマーで叩き割るとか」
佐天「・・・あと、超能力でズバーン!!と」
垣根「ほうほう・・・凡人だな」
初春・佐天「う・・・」
垣根「御坂、お前はどう思う?」
美琴「・・・そうね」
美琴「叩き壊す」
佐天「・・・あ、いや・・・」
初春「触れたらダメなんですよ?」
美琴「うん、でも叩き壊す」
初春「・・・」
垣根「分かるか?そこに電気はないなんて思えば電気は生み出せないし、人間の体は鉄より硬くならないなんて思えばその時点で鉄に負ける」
垣根「大事なのは前提条件、既成概念、この世の理を崩すことだ」
垣根「お前たちはまだまだ常識に囚われてるのさ」
佐天「・・・そ、そうだったんですか・・・」
初春「・・・傍から見たらおかしな答えですけどね・・・」
垣根「だからこそ、超能力者は頭がおかしいって言われるのさ」
美琴「人並み外れた考えっていうのはそういうものよね」
佐天「・・・私にも出来ますかね?」
垣根「・・・信じれば報われるさ」
美琴「アレイスターは素養格付を・・・」
垣根「浜面みたいなイレギュラーが生まれたんだ、アレイスターの予想のしていないことだって起きることはある」
初春「?」
垣根「とにかく、お前らはまだまだ未熟だ」
垣根「蕾というのは3つの道を辿る」
垣根「一つは花咲かず、枯れる道」
垣根「二つはずっと蕾でい続ける道」
垣根「三つは花を咲かす道」
垣根「お前らは三番目になれるようにすればいいんだよ」
佐天「が、頑張ります!!!」
垣根「ふ・・・決まったぜ」
初春「その一言が余計ですよ」
佐天「あ、そうそう・・・垣根さんについでにもう一つ聞きたいんですけど」
垣根「あ?なんだよ」
佐天「垣根さんって、彼女いるんですよね?」
垣根「いるけどなんで」
佐天「私の友達が垣根さんのファンで・・・確認してほしいって」
垣根「ふーん・・・サインならくれてやるよ」
美琴「ファン・・・アンタも大変ね」
垣根「お前ほどじゃねぇさ」
初春「あ・・・私達そろそろ行かないと」
垣根「じゃあな」
佐天「ごちそうさまでした!」
垣根「おう」
美琴「・・・垣根、やっぱアンタは教師に向いてるわね」
垣根「そりゃ嬉しいな」
美琴「・・・ねぇ」
垣根「なんだよ」
美琴「アンタは将来教師になりたいのよね」
垣根「あぁ」
美琴「どうして?」
垣根「・・・俺は間違った道を歩んでたからな」
垣根が空を見上げる
あそこを自在に飛べたらどれだけ気持ちいいだろうな、と昔は思っていた
垣根「・・・だから、誰かが間違った道を歩もうとしていたら正してやりたいんだよ」
美琴「そうやって夢があるのはいいわよね」
垣根「上条はないみたいだからな」
美琴「ないっていうか・・・特技もないから」
垣根「あぁ・・・」
美琴「・・・どうしようかな」
垣根「別に大学行ってからでもいいだろ」
美琴「今から考えたほうがよくない?」
垣根「・・・いやいや、あいつにはきついだろ」
美琴「はぁ・・・ヒモにだけはならせたくないわね・・・」
垣根「あ、一応そうは考えてたんだ」
美琴「だって当麻がイヤだって言うから・・・応援したいのよ」
垣根「・・・今は月いくらあれば暮らせるんだろうな」
美琴「場合にもよるんじゃない?」
垣根「そりゃそうだけどさ」
美琴「・・・お金は足りなくてもいいのよ、私は当麻がいればいいから」
垣根「甘いねぇ」
美琴「・・・アンタはどうなの?心理定規との結婚とか考えてるの?」
垣根「一応はな」
美琴「・・・どんなふうになりたい?」
垣根「・・・幸せになれればいいさ」
美琴「それだけ?子供はほしいとか・・・ないの?」
垣根「関係ないな、あいつがほしいって思って俺もほしいって思ったら」
美琴「・・・なんか、垣根らしいわね」
垣根「そうかよ」
美琴「・・・アンタたちはさ」
垣根「あぁ?」
美琴「・・・なんだかんだ、いいカップルよね」
垣根「どうしたんだよいきなり」
美琴「・・・暗部にいたなんて思えないわ、ちょっと失礼かもしれないけど」
垣根「そりゃ嬉しいな」
美琴「・・・ホント、うらやましいカップルよ」
垣根「俺はお前たちがうらやましいけどな」
美琴「・・・垣根、心理定規を幸せにしてあげなさいよ」
垣根「んなことお前に言われなくても分かってんだよ」
美琴「ふふ・・・ならよかった」
垣根「にしても眠くないか?」
美琴「あ、私も私も」
垣根「・・・ちょっと寝る」
美琴「じゃあ・・・おやすみ・・・」
垣根「おう・・・」
夢の中で二人は目を閉じる
グルグル、と世界が回っているような感覚がした
垣根(・・・あれ?)
垣根(・・・もしかして、目・・・覚めるのかな)
19090「?ここは・・・」
19090号は首を捻っていた
夢の中というのは分かっている
だが、おかしな状況だ
一方「・・・なンでお前がいるンだよ」
目の前に、友人がいる
19090「あ、あの・・・これは夢ですよね?」
一方「夢だな」
19090「あ、あなたは一方通行ですよね?」
一方「・・・あァ」
19090「なんであなたがミサカの夢に?」
一方「ンなことこっちが聞きてェンだよ・・・俺の夢になンでお前がいる」
19090「・・・正月の奇跡ですか・・・」
一方「はァ?」
19090「・・・なんでミサカたちはこんなところにいるのでしょうか?」
一方「・・・操車場か」
19090「・・・」
一方「・・・最後の実験の場所だな」
一方通行が辺りを見回す
よく知っている場所だった
19090「・・・ここで、あなたはお義兄様に敗れたのですよね」
一方「あァ・・・止められたンだ」
19090「・・・そうですか」
一方「怖いか?お前の姉貴たちを殺した俺が」
19090「・・・怖くはないですが、少し悲しいです」
一方「・・・俺は、お前といる権利はねェのかもな」
19090「そんな権利なんて必要ないですよ」
一方「・・・すまなかったな」
19090「いえ・・・」
一方「・・・一つ聞きたかったンだけどよ」
19090「なんですか?」
一方「お前たちはなンで俺を恨まないンだ?」
19090「・・・一応、恨んでもいるとは思います」
一方「・・・そォか」
19090「ですが、ミサカたちは救われました・・・それに、あの実験の被害者の一人にあなたもいたんですよね」
一方「・・・同時に加害者だったけどな」
19090「・・・それでしたら、責めることは出来ませんよ」
一方「・・・悪いな」
19090「いえ、謝らないでください・・・お姉様も、あなたのことを今は許しているはずです」
一方「・・・」
19090「・・・一つ聞いてもいいですか?」
一方「あァ」
19090「あなたは、番外個体を愛していますよね?」
一方「それがなンだ」
19090「それは、番外個体が妹達だからですか?」
一方「いや違う」
19090「・・・同情ではないんですね?」
一方「俺は同情なンてする人間じゃねェよ」
19090「なら安心です」
19090号がニコニコと笑う
屈託のない笑顔だ
一方「・・・月を見ると・・・あいつに殴られたときを思い出すンだ」
19090「ミサカは、テっくんと初めて夜の街を歩いたときを思い出します」
一方「夜の街?」
19090「あ、そういう意味ではなく・・・テっくんがバイトを終える頃に迎えに行ったんですよ」
一方「ずいぶンと熱心だな」
19090「・・・月、ですか・・・」
一方「・・・月は一番人間を惑わせる天体なンだってな」
19090「・・・」
一方「なンだよ」
19090「あなたの口からそんなロマンチックな言葉が出るとは思いませんでした」
一方「うるせェ」
19090「なるほど・・・惑わせる、ですか」
一方「・・・綺麗だよな」
19090「えぇ」
一方「・・・お前は今幸せなのか?」
19090「えぇ、あなたは?」
一方「幸せだ」
19090「なら安心しました・・・」
一方「・・・互いにいい居場所を見つけたもンだよな」
19090「えぇ」
19090号が小さく笑う
操車場の上には、月が昇っていた
美しい月が
上条「・・・あぁ・・・あ?」
上条が体を起こす
そこは橋の上だった
上条「・・・ここって、美琴を止めた橋・・・だよな?」
美琴「・・・アンタ」
上条「ん?あぁ、美琴か」
美琴「な、なに気安く名前で呼んでるのよ!?」
上条「は、はい?あぁこれ夢か・・・」
美琴「と、とりあえず!!勝負よ勝負!!」
上条「勝負・・・?」
上条が首を捻る
そういえば、上条は昔、美琴と喧嘩仲だったそうだ
上条(でもそれって・・・記憶がない頃の話だよな)
美琴「さぁ!!さっさと来なさい!!」
上条「なぁ・・・こんなこともうやめようぜ?」
とりあえず、上条は美琴をなだめることにした
美琴「な、なに言ってるのよ!?アンタに勝つまでやめないんだから!!」
上条「そのさぁ、お前は常盤台の超電磁砲だろ?なんで俺みたいな無能力者を追いかけるんだよ」
美琴「!!そ、それはアンタがムカつくから・・・」
上条「・・・もしかしてさ」
上条「構ってほしいのか!?」
美琴「っ!?」
一瞬にして、美琴の顔が赤くなる
上条「あ、そうなんだな」
美琴「ち、違うわよ!!大体なんで私がアンタに・・・」
上条「俺はお前を特別扱いしないからさ」
美琴「だ、だから!?」
上条「・・・お前って周りから特別扱いされてるだろ?」
美琴「だから何よ!?」
上条「・・・俺はお前を特別扱いしないからさ」
美琴「うっ・・・」
上条「なぁ、今日のところは帰ったらどうだ?」
美琴「・・・そうね・・・アンタは今日なんかおかしいし」
美琴がくるりと踵を返す
上条「気をつけてな」
美琴「わ、分かってるわよ!!」
少し大きな声を出してから、美琴が駆けていく
上条「・・・なんか、懐かしい感じがするな」
上条「覚えてはないんだけどさ・・・」
溜め息をついたその時
周りの風景が一瞬で変わった
上条「?ここは・・・家だよな?」
上条が次に辺りを見回すと、そこは自分の部屋になっていた
上条「・・・?ベランダに誰かが引っかかってる・・・?って・・・」
上条「インデックス!?」
急いでベランダへ向かう
やはり、インデックスだ
上条「な、なにやってんだよそんなところで!?」
イン「ん・・・あなたは誰なの?」
上条「え?あ、いや・・・」
そこまで答えて上条は気づく
さきほどの美琴の夢は、自分の記憶がないときのものだ
そしてこれも
そうだとしたら、これはインデックスとの出会いなのだろうか
上条(・・・なんだこの出会いは・・・)
ベランダにシスターさんが引っかかっているなんて
イン「それよりおなか空いたんだよ」
上条「あぁやっぱりな」
イン「?なんで分かったの?」
上条「いや・・・なんでも」
イン「何か食べ物をくれると嬉しいな!」
上条「はいはい・・・」
上条がインデックスを部屋へと上げる
昔、こんなやり取りをしたのかは知らない
だが、おそらく出会いの仕方は本当にこうだったのだろう
上条「・・・で?なんで腹が減って・・・って決まってるか」
イン「?魔術結社から逃げてるの」
上条「ふーん」
イン「・・・驚かないの?」
上条「え?あ、あぁ!!そりゃ驚いてるけどさ!?」
イン「・・・私はね、それから逃げてるんだよ」
上条「へぇ・・・あ、これ食べていいから」
イン「ありがとう!!」
インデックスがパクパクと野菜炒めを食べていく
上条「・・・それで?これからどうするんだよ?」
イン「・・・ここから出て行くんだよ、迷惑になっちゃうから」
上条「迷惑?ふざけんなよ!!」
上条がインデックスを睨みつける
知っていた
彼女が悲しい理由で、かつての友人に追われていたことを
上条「俺がお前を守ってやるよ!!」
イン「・・・地獄の底に行ってくれる?たった今私と知り合ったばかりなのに」
インデックスが悲しそうな顔をしながら玄関へ向かう
上条「お、おい!」
イン「どうしたの?」
上条「・・・お前は、絶対に助けてやるから!」
イン「・・・うん、ありがとう」
インデックスが扉の外へと向かう
上条「・・・前の俺は・・・こんなに不甲斐なかったのかな」
上条が拳を握り締める
上条「ちくしょう・・・」
夢だとは分かっていた
しかし、今の彼はあまりにも無力だった
上条「どうして・・・」
ステイル「どうやって彼女を救うつもりかな」
上条「!?ステイル!!」
ステイル「ん・・・なんで僕の名前を知っている」
上条「あ、いや・・・」
ステイル「ふん、インデックスから聞いたのかな」
上条「お、お前・・・」
ステイル「君にはあの子を救えないよ・・・そうだな、そもそも魔術が何かも理解できないくせに」
上条「・・・そんなことは関係ないんだよ!!」
ステイル「なんだって?」
上条「お前はあいつの仲間なんだろ!?」
ステイル「!それを誰から聞いた!?あの子はそれを覚えているはずはない!」
上条「そんなことなんかどうでもいいんだよ!!」
上条が一歩前に踏み出す
上条「お前は何も分かってない、お前が守りたかったのはあいつの命だけか!?違うんだよ!!今のあいつを!!お前が守りたかったあいつを守りたいんだろ!?」
ステイル「・・・君になにが分かる!?何も出来ない素人が偉そうに!!」
上条「そんなことは関係ないんだよ!!理屈とか方法じゃねぇ!!あいつを助けるんだろ!?」
右手を握り締め、ステイルの顔面を目掛けて振り下ろす
上条「そんなふざけた幻想、ぶち殺してやるよ!!」
ガン、と鈍い音がしてステイルが地面へ倒れる
すると、また風景が変わった
上条「・・・ま、また変わったのか・・・」
上条?「よっ」
上条「ん?お、俺?」
上条?「あぁ、まぁそうかもな・・・」
上条「そうかも?どういうこと・・・っていうか俺?」
上条?「・・・お前は二人目の俺だよ」
上条「!!もしかしてお前・・・」
上条?「記憶を失う前のお前、死ぬ前のお前さ」
上条「お、俺なのか?」
上条?「・・・ビリビリと付き合ってるんだってな」
上条「し、知ってるのかよ?」
上条?「はぁ・・・いや、たしかにビリビリは可愛いけどさ・・・まさか付き合うとはさ」
上条「い、いいだろ!?お前には分からない魅力があるんだよ!!」
上条?「お、俺だって一応ビリビリは可愛いと思ってたけども!!??それ以上にしつこかったんだよ!!!」
上条「美琴はしつこくなんかねぇよ!!」
上条?「ビリビリを美琴って呼んでるのか!?」
上条「付き合ってるんだから当たり前だろ!!!」
上条?「・・・インデックスのこと、最近は構ってやってないみたいだな」
上条「そ、それは・・・悪いと思ってる」
上条?「ステイルは・・・インデックスをまた守れるようになってるみたいだな」
上条「あぁ・・・そうだよ」
上条?「土御門と青髪も構ってやれよな・・・あ、吹寄ってまだうるさいのか?」
上条「あぁ、いっつも注意してくるよ・・・外見てるだけでテニスしてる女子を見てるとかさ」
上条?「ははは!!昔からそうだったよな、あいつ!!」
上条「変わんないんだな・・・みんなは」
上条?「・・・お前も変わってねぇよ、お前も」
上条「・・・なぁ」
上条?「どうした?なんか聞きたいことでもあるのか?」
上条「お前はさ・・・後悔してるのか?」
上条?「何をだよ」
上条「・・・記憶を失ってることだよ」
上条?「いや、後悔なんかしてないさ」
上条「・・・だってさ、お前が手に入れられたかもしれない幸せなんだぞ?」
上条?「・・・そんなことないさ、ビリビリと付き合ってるのも、他にいい友達が出来てるのもお前だからこそさ」
上条「そうかな」
上条?「あぁ、そうに決まってるだろ」
二人が顔を見合わせて笑う
上条「・・・そろそろ朝か」
上条?「じゃあな、行って来いよ」
上条「・・・俺は今の幸せを喜んでいいのかな」
上条?「あぁ・・・もしもお前が今の幸せにどこか引け目を感じてるならさ」
上条?「そんな幻想はぶち殺してやるよ」
上条「・・・サンキュー」
上条?「じゃあな」
上条「おう」
上条が手を振る
上条?「・・・うらやましいな」
上条?「ビリビリと付き合ってる・・・か」
上条?「面白いな・・・ホント、不幸なヤツだけどな」
上条?「・・・」
上条?「・・・幸せ、か・・・いいな」
少しまぶしい朝日が、窓の外から部屋に差し込む
上条「うーん・・・朝か」
美琴「おはよう・・・」
上条「おはよう・・・眠れたか?」
美琴「変な夢見たわ・・・」
上条「変な夢?」
美琴「うん、垣根と話す夢」
上条「・・・垣根と?」
美琴「なんかいろいろ話したわ・・・当麻は大学に入ってから進路を考えていい、とか」
上条「ふーん・・・なんか面白そうだな」
美琴「うん、面白かった」
美琴がニコニコと笑う
上条「・・・じゃあリビング行きましょうか」
美琴「うん」
二人が寝ぼけ眼を擦りながらリビングへと向かう
垣根「あぁ?遅かったな」
ショチトル「おはよう」
一方「・・・よォ」
上条「なんだ、みんな起きてたのか」
削板「おう、お前たちだけだぞ、寝てたの」
19090「疲れていたんですかね?」
垣根「どうせ夜遅くまでやってたんだろ」
上条「ち、ちげぇし!」
美琴「そんなことしてないもん!」
エツァリ「ま、まぁまぁ」
黒子「・・・しかし、みなさんそれぞれ初夢を見たそうですの」
テクパトル「19090号は一方通行と会ったんだよな?」
19090「はい、面白かったですよ」
番外「いいなぁ・・・ミサカなんかずーっとグルグル観覧車に乗ってる夢だったよ」
心理「なんか怖いわね」
テクパトル「・・・俺は見なかったな」
美琴「そうなんだ・・・」
番外「仲間はーずれ!!」
上条「はは!ドンマイ!」
削板「・・・俺は走り続ける夢を見たぞ!!」
テクパトル「お前らしいな」
ショチトル「走る夢か・・・」
心理「一体どういう意味の夢なのかしら」
垣根「恐怖から逃げてるから、とかか?」
削板「恐れるものは何もない!!!」
黒子「さすがですの!!!」
上条「・・・俺は相変わらず不幸な夢でしたー・・・」
エツァリ「自分も若干イヤな夢でしたね」
テクパトル「・・・」
番外「ん?テクパトルは?」
テクパトル「内緒だ」
テクパトルが顔を逸らす
心なしか、顔が赤くなっている
一方「あァ?もしかしてお前・・・」
垣根「あれか!!変態な夢か!?」
テクパトル「うるせぇ!!」
19090「あ、相手は誰ですか!?」
テクパトル「だから違うんだよ!」
心理「19090号には話せない相手・・・」
ショチトル「ま、まさか美琴!?」
テクパトル「そういう夢じゃねぇんだよ!!!」
美琴「うっわー、いやだぁ」
テクパトル「違うんだって!!」
上条「テクパトル・・・正直に言え・・・」
テクパトル「だから!!相手は決まってるだろ!!!」
垣根「あぁ、心理定規か」
テクパトル「ちげぇよ!!」
一方「19090号だな、夢でもそォいうことやるとかひくぜェ」
テクパトル「なっ・・・」
黒子「見損ないましたの」
削板「テクパトル・・・お前はマシだと思っていた・・・」
テクパトル「マシだからな!?」
エツァリ「自分でまともという人に限ってまともじゃないんですよ」
テクパトル「お前が言うな・・・とりあえず、上条と義姉さんは飯食えよ」
美琴「あぁ、そうだったわね」
上条「じゃあちょっとキッチン借りるぞ」
心理「あら、愛のクッキング?」
上条「まぁそんな感じかな」
美琴「じゃあなに作る?」
上条「なぁ、冷蔵庫の材料自由に使っていいのかー?」
垣根「おう、なんでも使えよー」
エツァリ「自分達は野菜炒めでしたよ」
上条「よし、じゃあ俺たちも野菜炒めでいいかな」
美琴「えっと・・・塩ダレでいい?」
上条「オッケー」
二人がサクサクと野菜炒めを作る
テレビからは正月恒例のマラソンの実況が聞こえていた
上条(・・・いいなぁ、幸せだ)
隣に立つ美琴を見つめながら、上条が小さく笑う
上条(・・・この幸せは俺の幸せなんだよな・・・)
上条「幸せだ!!!」
美琴「な、なに大きな声出してるの?」
美琴「じゃあ・・・いただきます!」
上条「いただきます!」
垣根「おー、美味そうだな」
上条「お前達も野菜炒めだったんだろ?」
垣根「塩ダレじゃなくて普通の焼肉のタレだったからさ」
心理「塩ダレもなかなかよさそうね」
ショチトル「ずるいぞ上条も美琴も」
19090「まぁまぁ・・・たしかにいい匂いはしますが」
一方「・・・肉が入ってねェなら興味ないンだよ」
削板「好き嫌いはよくないぞ!」
テクパトル「一方通行、もう少し野菜やら海産物やらも食べないといけないかもな」
エツァリ「健康のためにもバランスよく、ですよ」
一方「分かってンだけどよ・・・」
番外「わがままだね、アナタは」
黒子「情けないですの」
一方「いいだろォが・・・」
19090「だからいつまで経っても白モヤシなんですよ?」
一方「うるせェ!てめェは俺の何なンだよ!?」
19090「義理の姉ですが?」
一方「あっ・・・て、てめェ・・・」
テクパトル「そうだな、お前は義姉さんと19090号には偉そうな口を利けないぞ?」
垣根「ドンマイ一方通行、グッバイ一方通行」
一方「グッバイはしねェよ」
番外「ミサカもアナタには健康でいてほしいな」
美琴「ほら、愛する番外個体のお願いなのよ?」
一方「分かったよ・・・」
上条「んじゃ、ここは丸く収まったということで」
心理「・・・ちょっと私ももらっていいかしら?」
美琴「おなか減ってるの?」
心理「違うわよ、ただ味見をしてみたいだけ」
上条「あぁ・・・塩ダレのか」
心理「上条君、あーんして」
上条「は、はいぃ!?」
上条が少し顔を赤くする
くい、っと心理定規が顔を近づける
心理「ほら早く」
上条「いやいや!俺には美琴という愛する女性がいましてね心理さん!?」
心理「あら何?私なんかちっとも魅力的じゃないって言いたいのかしら」
上条「違いますけど!そりゃ今一瞬ちょっとだけはドキってしましたけど!」
美琴「当麻のバカ!なんでドキってするのよ!?」
上条「そ、それは仕方ないだろ!?」
エツァリ「浮気はダメですよ」
19090「修羅場ですね・・・」
黒子「この隙にお姉さまを慰めれば・・・」
削板「上条!浮気だなんて根性がないな!」
上条「浮気じゃないんだってば!信じてくれよ!」
垣根「上条、人の女に手を出すとはいい度胸じゃねぇかハゲ」
上条「出してないから!ハゲてないから!」
美琴「当麻!私と心理定規、どっちが好きなのよ!?」
上条「美琴に決まってるだろ!っていうか心理さんにそういう感情なんかこれっぽっちも抱いてませんからね!?」
美琴「//」
上条「なんでそこで照れたのかな!?」
心理「あら、ちょっとカチンときたわね」
番外「女の子にこれっぽっちも興味ない、なんて言ったらダメだよ」
垣根「てめぇ上条!心理定規の魅力をナメるなよ!?御坂なんかよりよっぽど可愛いんだよ!?」
上条「はぁ!?美琴のほうが可愛いから!」
心理「ねぇ、とにかく早くちょうだい」
上条「じ、自分で食べればいいでしょ!?」
心理「あら、何焦ってるのよ・・・ちょっと可愛いわね」
美琴「当麻をたぶらかさないで!」
垣根「心理定規!浮気とかふざけんなよな!?」
心理「浮気じゃないわよ、からかってるだけ」
テクパトル「・・・なおさら最悪じゃないか」
一方「・・・オリジナルが食わせればいいだろ」
美琴「わ、私?」
心理「あら、あーんしてくれるの?」
美琴「それはしないわよ!」
心理「だけど箸を持ってくるのもめんどくさいのよね」
美琴「あぁもう!とにかく私はしないから!」
心理「・・・じゃあいいわよ」
上条「な、なんで不機嫌になってるんですか!?」
垣根「お前ら鬼畜カップルだな!略してキチップル!」
上条「最初のキチが違う意味に聞こえるからやめてくれ!」
ショチトル「心理定規、お前は可愛いから大丈夫だよ」
削板「浮気とかそんなことじゃなく、心理定規は友情の証としてあーんをしてほしかったんだろ!?二人ともそれに応えないなんて根性がなさすぎるぞ!」
19090「いえ、そうではないと思います」
垣根「・・・心理定規、俺が今から箸を取ってきてやるからな」
心理「ありがとう・・・やっぱりあなたは素敵よ」
垣根「よせよ、照れるじゃないか」
上条(なんだよこの茶番)
美琴(いつの間にか私たちが悪者になってる)
エツァリ「一件落着ですか」
番外「ちぇっ、もっと憎しみ合えばよかったのに」
上条「なんだよそのいやな願望!?」
テクパトル「はぁ・・・だがな、心理定規は少し周りの男にちょっかいを出し過ぎだぞ」
心理「あら、たまにこうやってないと魔性に磨きがかからないのよ」
19090「そんなものを磨かないでください・・・」
黒子「心理定規・・・あなた怖いですの」
心理「な、何よ・・・冗談だってば」
エツァリ「まぁまぁ、みなさんもあまり責めてはいけませんよ」
心理「ありがとう・・・あなたは優しいわね」
エツァリ「あ、ありがとうございます」
ショチトル「エツァリ!ドキってしただろ今!?」
エツァリ「し、していませんよ!」
ショチトル「したに決まってるね!」
心理(面白いわよね、こういうのって)
テクパトル「はぁ・・・女版上条って感じだよな」
上条「俺はこんなことしないんだけど・・・」
美琴「何よ、いろんな女の子にフラグ建てまくるくせに」
上条「あれは知らない間に建ってたんだよ!」
番外「ある意味一番最悪なパターンだよね」
垣根「ほれ、箸」
心理「ありがとう・・・じゃあもらうわよ」
美琴「うん、どうぞ」
心理定規が一口野菜炒めを食べる
心理「あら、塩ダレもなかなかいいじゃない」
垣根「俺は焼肉のタレのほうがいいんだけどな」
心理「ちょっと肉なんかも入れたらさらにいい感じになるかも」
美琴「でしょでしょ!?当麻と二人のときは肉も入れたりするのよ!」
垣根「俺は焼肉のタレのほうがいいんだけどな」
上条「でも肉よりも野菜をメインにしたいんだよな・・・」
ショチトル「朝飯にはさっぱりしたのがいいからな」
19090「なるほど・・・今度みんなにも作りましょう」
削板「黒子、俺にも今度作ってくれないか?」
黒子「了解しましたの」
垣根「俺は焼肉のタレのほうがいいんだけどな」
一方「肉が入ってるならなンだって食べられる」
番外「アナタは子供だね・・・ミサカはピーマンと人参が入ってなかったら食べられるよ」
一方「お前だって子供じゃねェか」
垣根「俺は焼肉の」
心理「分かったから、あなたは焼肉のタレになりたいのね?」
垣根「あ、いや違う・・・」
心理「なりたいのね?」
垣根「・・・箸持ってきたの、俺なんだけど」
心理「それは感謝してるわ、愛してる」
垣根「そこで愛情の再確認とはやるな・・・」
テクパトル「何を言ってる・・・お、日本体育大学が一位を走ってるな」
削板「後ろは駒大か・・・さすがだな」
黒子「みなさん素晴らしい走りですの・・・」
ショチトル「・・・マラソンって走ってる途中にたまに呼吸を無理矢理整えたりするよな」
19090「それで、新しい呼吸法を開発したつもりになるんですよね」
ショチトル「すぐにバテるんだけどな」
上条「いや、ないからな?」
テクパトル「・・・運動はいいよな」
一方「・・・今日はトレーニングしないからなァ」
削板「甘えたこと言うんじゃない!今日だってやるに決まってるだろ!」
一方「お前らとやるとかなりきついンだよ!」
テクパトル「何、軽い重量でやらせるさ」
一方「そォいう問題じゃねェ!」
上条「・・・一方通行、マッチョになればロリにも注目されるかもな」
美琴「あぁ、子供はすごいものにはすぐ興味持つもんね」
一方「・・・本当だろォな」
19090「・・・ずいぶんと不純な動機ですね」
番外「ミサカというものがありながら・・・」
テクパトル「・・・しかし、増量だと飯は食えるわトレーニングは楽しいわで最高だよな」
上条「減量はきついらしいな」
テクパトル「今年から仕事も始まるからな・・・さらに厳しくなるよ」
ショチトル「体を壊さないようにな」
テクパトル「なに、仕事自体は慣れてるからな」
エツァリ「昔の仕事とはまったく違いますよ?」
テクパトル「そりゃそうだけど・・・」
ショチトル「ふん、働きだしてから体を壊して泣きつくなんて格好悪いぞ」
テクパトル「そうならないように努力するよ・・・」
垣根「しかしさ、テクパトルが働くなんて信じられないよな」
テクパトル「そうか?俺だっていい歳だし働くさ」
垣根「あぁいやそうじゃなくて・・・」
一方「俺達の中からとうとう働くヤツが現れたってのがだよ」
削板「そうだよな・・・今までずっと遊んでばっかだったからな」
19090「・・・一応バイトはしていましたけどね」
上条「テクパトルはわりとまだ理解出来るけどさ・・・19090号もバイトしたいんじゃなかったっけ?」
19090「そうですよ、テっくんの働くジムで・・・」
テクパトル「・・・その、本気なのか?」
19090「い、嫌なんですか?」
テクパトル「嫌ではないけどさ・・・お前はそんなに無理できない体だろ?」
美琴「そうよ・・・調整を受けてるから大丈夫だけど、一応体細胞クローンは体が弱いんだから」
一方「・・・無理はすンなよな」
19090「出来る範囲で頑張りますよ、もちろんテっくんの迷惑にならないようにすぐに辞めたりもしません!」
心理「ほら、ここまで真剣に考えてるみたいよ?」
テクパトル「・・・無理はするなよ?俺の体裁のためとか言って無理なんかしなくていいからさ」
19090「はい、大丈夫です!」
ショチトル「・・・私たちもバイトくらいは探さないといけないかもな」
エツァリ「そうですね・・・垣根さんは能力で稼がれてるんでしたっけ?」
垣根「大抵は研究費用だな・・・あとたまに便利屋みたいなのもやろうかと考えてるな」
テクパトル「能力を活かせる仕事だな・・・」
削板「垣根ならかなり稼げるだろうからな・・・心配なさそうだ」
黒子「しかも一ヶ月に何度かだけ働けば十分そうですの」
上条「うらやましいよな・・・俺もなんかいいバイトとかないかな」
垣根「お前はまず勉学に励むべきだな・・・あ、マラソン終わった」
美琴「そうよ・・・とりあえず大学進学だけは出来ないと」
エツァリ「ご両親も心配されているのでは?」
上条「そうだな・・・でも信じてくれてるみたいだから」
一方「親は大切にしろよ」
垣根「一方通行はどうするんだ?研究者にでもなるんだっけか」
一方「あァ、自分の能力を詳しく突き詰めてみてェしな」
番外「ふーん・・・あなたは頭いいから似合うかもね」
ショチトル「・・・削板は体育教師とか向きそうだよな」
19090「ついでに生徒指導なんかもやりそうですね」
削板「お、それもなかなか良さそうだな!」
テクパトル「削板もジムのトレーナーはどうだ?」
削板「迷うとこだが・・・安定してそうなのは教師なんだよな」
黒子「あら、軍覇さんがなさりたい仕事をするのが一番ですの」
心理「好きでもない仕事を続けるのは難しいものね」
削板「いや、でも誰かの人生を支えるのもなかなか興味があってな!」
テクパトル「教師か・・・たしかにいいかもな」
美琴「・・・みんな仕事を始めたら、こうやって遊んだり集まったりするのも難しくなるかもね」
ショチトル「仕方ないことさ、いつまでも子供のままではいられないしな」
19090「そうですね・・・悲しいですが」
上条「でもさ、みんなの友情は変わらないだろ?」
垣根「当たり前じゃないか」
上条「なら大丈夫だって・・・子育てとかの相談とかもし合えるし」
番外「子供かぁ・・・ミサカ達は子供産めるのかな?」
垣根「問題ないだろうさ」
テクパトル「先生ならなんとかしてくれるはずだ」
黒子「・・・ふふ、こんなふうに将来の話をしていると・・・みなさんも成長なさったと実感しますの」
垣根「お前は俺の母親かよ」
黒子「・・・ずっと一緒にいた友人が少しずつそれぞれの道を進んでいくんですのね」
美琴「・・・みんな、ずっと一緒にいようね?」
垣根「んなことは分からないだろ」
テクパトル「そうだな・・・ある日突然別れが訪れるかもしれない」
一方「生きていくなら別れが付き物だからなァ」
心理「それでも・・・一緒にいたいってわがままを言うくらいなら問題ないわよね?」
垣根「勝手だろそんなの」
19090「ミサカはみなさんといたいです!」
上条「みんなそうに決まってるさ」
テクパトル「みんながずっと一緒ってのは難しいかもな」
垣根「学園都市の外に行く予定のあるヤツとかいるのか?」
エツァリ「自分達は中に残る予定ですよ、ここは便利なので」
上条「俺達は言うまでもないな」
美琴「出たいって言っても簡単には出られないし・・・第一超能力者なんて普通の世界じゃ恐れられるだけよ」
番外「そうだよね・・・」
19090「ミサカもここで調整を受けなければいけませんから」
心理「なら、みんなずっと学園都市で暮らすのね」
削板「だったら一緒にいられるんじゃないか?」
黒子「そうですの、学園都市の中ならわりとすぐ会えますし」
19090「それは嬉しいですね!」
垣根「そっか・・・そうだな」
垣根が苦笑する
上条「なんだよ?」
垣根「いや・・・なんだかんだ腐れ縁ってのは切れないもんなんだな」
ショチトル「ふん、切れないから腐れ縁なんだよ」
テクパトル「はは、それは違いないな」
心理「・・・じゃあこの話は終わりましょうよ、辛気臭い話なんて正月にはしたくないもの」
美琴「じゃあなんか話したいことある人いる?」
番外「うーん・・・」
削板「・・・テクパトルは一軒家建てる予定は?」
テクパトル「そうだな・・・稼げたら建てたいと思ってるけど」
一方「どンな家に住むンだ?」
テクパトル「ミサカ達も暮らさせる予定だから・・・ある程度は広い家がいいかな」
ショチトル「ほぅ、なかなか賑やかな家になりそうだな」
テクパトル「賑やかになりすぎるかもな」
美琴「たまに遊びに行かせてね?」
テクパトル「あぁ」
19090「・・・これで、自分の家を持っているのは垣根さんとミサカたちになるんですね・・・」
テクパトル「ま、まだ買えるって決めたわけじゃないからな?」
番外「期待させるようなこと言っちゃってー」
テクパトル「言ってない!」
一方「自宅かァ・・・」
垣根「警備員かぁ・・・」
一方・垣根「自宅警備員かァ・・・」
心理「そのコンビネーションはいらないわよ」
黒子「垣根さん、一方通行さん口調にならないでくださいな」
ショチトル「・・・自宅警備員か・・・」
エツァリ「憧れないでください」
美琴「当麻、大丈夫よ?」
上条「疑わないでください!!」
番外「でも上条はヒモになりそうだから心配ないよ」
上条「心配だらけだよ!!」
ショチトル「いやぁ、上条はヒモになってこそのヒモだろ」
垣根「ヒモは上条になってこその上条だからな」
心理「ホモはホモになってこその上条君だからね」
上条「ツッコミだと思っていたあなたがいつの間にやらボケキャラに!?」
一方「うるせェぞ・・・今テレビでロリたちが今年の目標を熱く語ってンだ、耳かっぽじってよく聞けよ」
ショチトル「ふーん・・・プリキュアになりたい、か」
垣根「じゃあもっとプリティーでキュアキュアにならないとな」
エツァリ「ナースになりたいそうですね」
垣根「セクハラに耐えられるかな?」
上条「警官になりたい、か」
垣根「どこまで汚くなれるかな?」
美琴「あ、お花屋さんになりたいんだって」
垣根「明日、父の命日なんです、一周忌なんでどの花がいいでしょうか?なんて訊ねられた挙句その訊ねてきた男の子となにやら運命的なものを感じてそれから毎日通い詰められ告白されるも私はしがない花屋ですからごめんなさい、なんてイベントをこなせるかな?」
心理「ないわよそんなの」
上条「・・・みんな夢を持ってるんだな・・・」
垣根「大人になるっていうのはね、夢を捨てるってことなのよ」
ショチトル「なんだそれは」
垣根「大人がなんで毎日毎日働くか知っているか?」
美琴「お金を稼ぐため」
垣根「新しい夢を見つけるためさ」
心理「どや顔はやめなさい」
テクパトル「でもやりたいことだけやれるもんじゃないからな・・・」
削板「そうだな、いやな上司とかもいるだろうし」
黒子「この女の子達にはそんなこと教えられませんけどね」
19090「・・・子供は純粋でうらやましいです」
番外「十分子供じゃん」
垣根「穢れを知らない分、汚されやすいのさ」
エツァリ「間違ってはいませんね」
上条「はぁ・・・正月だなぁ・・・」
垣根「あ、じゃあまたあれやるか?」
美琴「いいんじゃない?今年一発目ってことで」
上条「じゃあいきましょうかねぇ」
垣根「おう、いきますわよ!!」
上条「踊る踊るよ馬鹿騒ぎ!!」
垣根「騒げや騒げ、阿呆なら!!!」
上条「回る回るよおてんとさん!!!!」
垣根「眩しく眩しく照りつける!!」
上条「寒さも眠さも吹き飛ばせ!!」
垣根「今日は何の日1月2日!!!!」
上条・垣根「とあるラジオのイマジンマター!!!!in正月!!!!」
ゴーグル「・・・俺は今とても迷っています」
ゴーグル男は焦っていた
彼は今、アイテムの家にいる
そしてなぜかフレンダの部屋にいる
時間は朝の8時
フレンダが昨日「アンタの分まで部屋はないから特別にこのフレンダ様と寝させてあげる訳よ!!」なんて言い出したのがきっかけだ
別に彼としてはドキッ!寝ている彼女は無防備だイベントなんて期待もしていなかった
というか、床で寝させられたことが不満だったためそんな幸せはどうでもよかった
よかったのだが
ゴーグル「なんでフレンダさんは俺の布団に入ってきてるんすか?」
自分の隣にフレンダがいた
彼女はフッカフカでそりゃもう気持ち良さそうなベッドに寝ていたはずだ
「フカフカなベッドが最高な訳よ!」と自慢されたので覚えている
それを聞いて悔しがったのも覚えている
ゴーグル「・・・だ、抱きつかれてるんすけど」
ぎゅーっと、力強く抱かれている
足とか手とか全部絡まされている
こう、フレンダの胸は小さいと思っていた
ゴーグル(し、しかし・・・こうされるとなかなかあるもんですね)
年相応程度にはあるようだ
どうもアイテムの面々は巨乳が多いので忘れがちな事実だが
ゴーグル(・・・足はたしかにいい感じっす)
脚線美を自慢していたが、なるほどこれはなかなかのものだ
スベスベとしていてスラッと長い
しかも細くてスレンダー
ゴーグル(・・・寝顔は純粋そのもの・・・)
フレンダ「ふふ・・・鯖缶・・・鯖缶・・・」
ゴーグル(・・・寝言はちょっと狂ってますけど)
ゴーグル「フレンダさん・・・起きてくださいよ・・・」
フレンダ「にゅふふー・・・鯖・・・」
ゴーグル(うわぁぁぁぁ!!!なんか抱きしめる力が強まった!!)
フレンダ「・・・鯖・・・麦野・・・鯖・・・」
ゴーグル「む、麦野さんと鯖を天秤に掛けてるんすね・・・」
フレンダ「麦野の勝ち・・・」
ゴーグル「そりゃそうっすね・・・」
フレンダ「・・・寂しいよ・・・」
ゴーグル「・・・はい?」
フレンダ「鯖・・・鯖!!鯖がいない訳よぉ・・・」
ゴーグル「あなたの中で鯖はどんな位置づけなんですか」
フレンダ「ん・・・」
ゴーグル「!?」
ゴーグル男の体とフレンダの体の密着度がグングン増していく
そういえば、昨日はめちゃくちゃセクシーな短パンで決める訳よ!!と言っていた
つまり、今彼女はきわどい短パンを着ているのだ
ゴーグル「あ、あの・・・」
フレンダ「ん・・・」
フレンダの大きな瞳が開かれる
その瞳が、驚愕の色に変わるまでおよそ15秒
フレンダ「何してる訳?」
ゴーグル「言っておきますが、入ってきたのはあなたっすから」
フレンダ「・・・なんで私がアンタに抱きついてるの」
ゴーグル「それはこっちが聞きたいっすよ」
フレンダ「・・・こ、この下半身に当たっている棒状のものは?」
ゴーグル「あぁ、それは朝だからっすよ」
フレンダ「・・・」
ゴーグル「・・・」
フレンダ「処刑な訳よ」
ゴーグル「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!言っておきますけど、これは本当にただ朝だから!!!」
フレンダ「それは問題じゃない訳よ!!結局私の下半身にあてがっていたのは事実!!」
ゴーグル「当たってただけっす!!」
フレンダ「さ、最低!!私の下半身に当てて何をするつもり!?」
ゴーグル「違いますからね!?」
フレンダ「男は結局獣な訳よ!!」
ゴーグル「お、大声で変なこと言わないでくださいよ・・・」
フレンダ「・・・ね、ねぇ・・・」
ゴーグル「はい?」
フレンダ「変なこと・・・しなかった?」
ゴーグル「?してないっすよ、本当に」
フレンダ「・・・あ、あぁそう・・・」
ゴーグル「なんすか」
フレンダ「いや、てっきり童貞なアンタはそういうことしそうだと思ってたから」
ゴーグル「女性が普通に童貞とか言わないでくださいよ・・・」
フレンダ「ふん!!魔法使いでも目指せばいい訳よ!!」
ゴーグル「はいはい・・・とりあえず、俺は欲情もしていなければ犯罪も犯してないっすからね」
フレンダ「なんか別の意味で殺意が湧く訳よ」
ゴーグル「・・・で、これからどうするんすか?」
フレンダ「うーん・・・まだみんな起きてないと思う訳よ」
ゴーグル「え?もう朝の8時っすよ?」
フレンダ「麦野も絹旗も夜遅くまで起きてるタイプだから」
ゴーグル「浜面さんと滝壺さんは?」
フレンダ「あの二人は起きててもたぶん自分達の部屋でゴロゴロしてる」
ゴーグル「へぇ・・・じゃあリビング行っても俺たちだけっすか」
フレンダ「・・・なに?何が言いたい訳?」
ゴーグル「何も」
フレンダ「・・・ふーん」
ゴーグル「さて・・・じゃあ俺は先に降りてますから」
フレンダ「あれ?着替えないの?」
ゴーグル「・・・ここで着替えていいなら着替えますけど」
フレンダ「そ、それは困る訳よ!!!」
ゴーグル「じゃあ、リビングで着替えますよ」
フレンダ「べ、別に私がここから一旦出ればよくない?」
ゴーグル「いいんすか?」
フレンダ「うん、早くしてくれれば」
ゴーグル「じゃあお願いします」
フレンダが部屋から出て行く
ゴーグル「はぁ・・・しかし外は大雪ですね」
窓から外を眺めながらゴーグル男がつぶやく
昨日も降ってはいたのだが、ここまでではなかった
ゴーグル「・・・こういう日は、コタツでぬくぬくしたいっす」
そんなことをつぶやきながらパッパと着替えを済ませる
ゴーグル「終わりましたよー」
フレンダ「・・・早い訳よ」
ゴーグル「・・・大雪っすね」
フレンダ「うん」
扉越しに二人は会話をしていた
今はフレンダが着替えをしている
そのため、部屋の外でゴーグル男は待たされていた
さっさとリビングに行きたいのだが、ヒマだから話しててよ、とフレンダに頼まれたのだ
ゴーグル「・・・こういう日は」
フレンダ「雪合戦がしたい訳よ!!」
ゴーグル「・・・はい?」
フレンダ「雪合戦!!みんなが起きたら誘ってやる訳よ!!!」
ゴーグル「いや・・・寒いのは遠慮したい・・・」
フレンダ「そうと決まれば朝ごはん!!♪」
バァン!!とドアが開かれる
ゴーグル男の顔面に、ドアが直撃した
ゴーグル「・・・」
フレンダ「怒んないでってば」
ゴーグル「怒ってるんじゃないっす、鼻が痛いんすよ・・・」
フレンダ「あはは!!ドア直撃したから・・・」
ゴーグル「・・・」
フレンダ「お、怒ってる訳よ・・・」
ゴーグル「はぁ・・・雪合戦とかしないっすからね」
フレンダ「な、なんで!?楽しいのにー!」
ゴーグル「・・・そんな寒いことしたくないっすよ」
リビングのコタツに入りながら二人は話していた
フレンダの言うとおり、他のメンバーはまだ起きていない
ゴーグル「大体、皆さんが起きてくるのって何時くらいなんすか?」
フレンダ「うーん・・・12時?」
ゴーグル「・・・まだまだじゃないっすか・・・」
フレンダ「それまではヒマな訳よ」
ゴーグル「どうするんすか?」
フレンダ「せっかく帰ってきたんだし買い物したいな・・・」
ゴーグル「行けばいいじゃないっすか」
フレンダ「でも荷物持ちがほしい訳よ!!」
ゴーグル「はぁ」
フレンダ「・・・荷物持ち」
ゴーグル「いやっすよ」
フレンダ「なんで!?このフレンダ様とデートできるのに!?」
ゴーグル「デートとかいいっすよ・・・大体そういうのじゃないっすから」
フレンダ「うっわつまんねぇ・・・」
ゴーグル「・・・寒いからいやっす」
フレンダ「はっ!!寒いなら手を繋げばいいよね、みたいな展開期待してる訳!?」
ゴーグル「してないっす、出かけたくないっす」
フレンダ「引きこもりー」
ゴーグル「何とでも・・・」
フレンダ「・・・はぁ、行きたいなぁ・・・」
フレンダが窓の外を見つめる
たくさんのカップルが手を繋いで歩いている
ゴーグル「・・・そんなに行きたいんすか?」
フレンダ「うん・・・でもさすがにこの雰囲気は一人じゃイヤでしょ?」
ゴーグル「カップルばっかりですからね」
フレンダ「・・・ねぇ、着いてきてくれない?」
フレンダがくるりと振り返る
ゴーグル「はぁ・・・分かりましたよ」
フレンダ「ホント!?」
ゴーグル「その代わり、自分の金で買ってくださいよ?」
フレンダ「ありがとう!!」
ニコニコと笑いながらフレンダが飛び回る
ゴーグル「はぁ・・・じゃあさっさと行きましょうか」
フレンダ「うん!!」
準備をすぐに終わらせた二人は商店街へと向かう
ゴーグル(はぁ・・・甘いっすね、俺・・・)
ゴーグル(悪くはないっすけどね)
ゴーグル「・・・混んでますね」
フレンダ「そりゃ正月だから当然な訳よ」
ゴーグル「・・・はぁ、なんで来ちゃったんでしょうか」
フレンダ「・・・周りはカップルばっかりな訳よ」
ゴーグル「そうですね・・・うらやましいっす」
フレンダ「なになに?やっぱ人並みにカップルとか憧れるてんの?」
ゴーグル「そうっすよ・・・そりゃ男ですから」
フレンダ「・・・ねぇねぇ、手ぐらいなら繋いであげてもいい訳よ」
ゴーグル「いや・・・手を繋げばカップルって子供っぽい発想っすよね」
フレンダ「な、何よ!こっちは優しさから言ってんのにー!!」
ゴーグル「はぁ・・・いいっすよ、遠慮しときます」
フレンダ「ちぇー」
ゴーグル「・・・なんか買いたいものがあるんすか?」
フレンダ「服とかほしい訳よ!」
ゴーグル「服っすか、了解です」
フレンダ「ふっふーん、フレンダ様のセンスは抜群な訳よ!!」
ゴーグル「そうなんすか?」
フレンダ「今の服も可愛いでしょ!」
フレンダが胸を張る
スラリと伸びた足、ニーソ
それしか目に入らないくらいあとは普通だった
もちろん、オシャレではあるのだ
だが麦野や絹旗のファッションがなかなか可愛いだけに、平凡に感じる
アイテムにいなければ最高に可愛いと思えるのかな、なんてゴーグル男は首を捻る
フレンダ「なに?首なんか捻って」
ゴーグル「なんでもないっすよ」
フレンダ「・・・ねぇねぇ、ゴーグルはなんか買いたいものないの?」
ゴーグル「ないっすよ、服はもう持ってますから」
フレンダ「・・・意外とオシャレな訳よ」
ゴーグル「昔垣根さんに熱く教えられましたから・・・」
フレンダ「へぇ・・・文字とかばっか書かれてるのよりいいと思うけどさ」
ゴーグル「けど?」
フレンダ「なんかアンタはだっさい服のほうが似合いそうな訳よ」
ゴーグル「なんでっすか・・・」
フレンダ「にゃはは!!そりゃアンタもダサイから!!!」
ゴーグル「ひ、ひどいっすよ!!」
ゴーグル男が困ったような顔をする
フレンダ「だってさぁ、アンタ・・・」
フレンダが呆れたような表情をしたとき
足元の雪に滑って、フレンダがゴーグル男のほうへ倒れた
上条「・・・雪合戦?」
垣根「あぁ、雪合戦もしたくないか?」
番外「まぁこんなに雪も降ってるからね」
美琴「よし、じゃあやってあげるわよ!!」
一方「・・・めンどくせェ・・・」
ショチトル「なんだ?怖いのか?」
19090「さっすがモヤシですね」
削板「情けない・・・それでも男か!?」
一方「あァ?誰もやらねェとは言ってねェだろォが」
黒子(乗せられてますの)
テクパトル「じゃあどうやって分かれる?」
エツァリ「ミサカ姉妹とその彼氏さん、それ以外でよくないですか?」
一方「・・・削板と垣根が同じチームかよ・・・」
垣根「能力は禁止でいいだろ、楽しくないし」
心理「あら平和的ね」
削板「よし!!そうと決まれば行くぞ!!」
削板を先頭にして、一同が外に向かう
美琴「さ、寒いわね・・・」
上条「厚着しててよかったな・・・」
一方「もォ・・・終わりだね・・・」
番外「寝たらやばいよ、アナタ」
ショチトル「よーし・・・やってやろうじゃないか!!ルールは!?」
垣根「チームは分かれた、ならばあとは倒すのみ!!」
上条「・・・ちなみに、勝ち負けは?」
垣根「互いのチームが陣地の中に雪だるまを作る・・・その雪だるまを完全に破壊されたら負けだ!!」
垣根「相手のチームの陣地内に入ってもオーケー、ただしそうすれば攻撃をくらいやすくなる!!」
垣根「遠くからの攻撃ではなかなか雪だるまを破壊できない!!」
垣根「さぁ、始めようじゃないか!!!」
垣根「君は!!雪だるまを守れるか!?」
垣根「はっはっは!!雪合戦だろうがなんだろうが、時間を見つけたらラジオなんだよ!!」
皆さんの趣味はなんですか?
健全な趣味ですよ、健全な
大切なことなので(ry
垣根「みんなにアンケートを取った結果」
垣根「上条は料理、御坂はゲコ太グッズ集め・・・」
垣根「心理定規はオシャレをすること」
垣根「エツァリは魔術の勉強、ショチトルは日向ぼっこ」
垣根「テクパトルと削板は筋トレ」
垣根「白井は御坂盗撮、19090号は昼寝・・・」
垣根「一方通行はコーヒーを飲む、番外個体はそんな一方通行のコーヒーに砂糖を入れること」
垣根「三者三様だな・・・ちなみに俺は読書だ」
垣根「さて・・・そろそろ雪合戦に戻るかな!!アドゥー!!」
上条「・・・美琴、雪だるまは?」
美琴「とびっきり大きいの作ってるわよ」
テクパトル「たしか雪だるまは傷ついても修復してオーケーだったな」
19090「ただし、修復するときはあちらの雪を使わないといけないんでしたよね」
19090号が遠くを指差す
かなりの量の雪が積み上げられていた
一方「・・・俺は守りに徹するかなァ」
番外「あはは!!アナタは運動音痴だもんね!」
一方「うるせェな・・・」
テクパトル「俺と上条が攻撃に回る・・・守りは任せたぞ」
美琴「当麻、がんばってね?」
上条「あぁ、行ってくる」
上条とテクパトルが敵の陣地へ向かう
その距離、約30m
広い庭のため、かなりのスペースを用意できている
上条「・・・向こうは削板、垣根、エツァリの三人が攻撃か・・・」
テクパトル「・・・こちらのほうが守りは堅いな」
垣根「おー、あっちは二人が攻撃か」
エツァリ「一方通行さんはあまり運動できませんからね」
削板「そうだな・・・攻撃ならこっちが有利だ!!!」
エツァリ「どうしますか?すぐに突っ込んでいきましょうか?」
垣根「・・・テクパトルは削板に任せる・・・エツァリ、お前は上条を頼む」
削板「お前はどうするんだ?」
垣根「直接陣地に殴り込みだ・・・向こうの守りでは戦力になるのは実質二人」
削板「番外個体と御坂か・・・」
エツァリ「19090号さんは攻撃的ではないですからね・・・」
垣根「雪だるまの修復に回ってるみたいだしな」
削板「よし、了解した!」
垣根「では始めようか、諸君!!」
上条「!!エツァリが向かってきたか・・・」
上条が雪玉を作る
エツァリ「・・・上条さんとこうやって一対一というのは久々ですね」
上条「そうだな・・・」
両者の手には雪玉
上条「くらえ!そげぶ弾!!!」
エツァリ「トラウィスカルパンテクートリの雪玉!!!」
二人が同時に雪玉を投げつける
それはぶつかり合い、地面に落ちた
上条「やるな!!」
エツァリ「あなたこそ!!」
上条「おらおらぁ!!」
エツァリ「くっ・・・なかなか!!」
上条「この野郎!!」
上条が雪玉をエツァリの顔に目掛けて投げる
エツァリ「くっ・・・」
それを腕で叩き割るエツァリ
上条「かかったな!!」
エツァリ「なに・・・」
上条がその隙にもう一つの雪玉を放る
エツァリ「いつの間に・・・ぼふっ!!」
上条「はっはぁ!!!上条さんはこういうの大得意なんですよ!!」
エツァリ「くっ・・・自分だって負けていられませんよ!!!」
上条(・・・それにしても・・・)
エツァリ(向こうはどうなっていますかね)
二人が横目で削板とテクパトルのほうを見つめる
そこには二人の修羅がいた
テクパトル「・・・こうやってお前と何かで勝負するのはいつ振りかな」
削板「大覇星祭でのウェイトリフティング以来かな」
テクパトル「ほう・・・もうそんなになるか」
削板「・・・テクパトル、準備はいいのか?」
テクパトル「そんなもの、とうの昔に終わらせた」
テクパトルが足元の雪を片手で掴む
そして、握りつぶすようにして固める
それはもはや雪玉の硬さではなかった
あまりの圧力で一部が氷になっている
言うなれば雪玉という名の「弾丸」だ
削板「いいじゃねぇか、俺だって」
削板が雪玉を作る
もちろん、彼の雪玉も「氷玉」だった
テクパトル「行くぞ、削板」
削板「来い、テクパトル!!!」
テクパトル「くらえ!!」
テクパトルの腕が唸りを上げる
お前どこの野球部のエースピッチャーだ、と思うほどの剛速球
そして正確なコントロール
削板の胸元目掛けて、氷玉は一直線に飛んでいく
削板「甘い!!!」
削板がそれを掌で受け止める
バキッ、という音と共に氷玉が崩れる
削板「投球っていうのは!!!」
削板「こうやるんだよ、テクパトル!!!!!!!!!!!!!!!」
ヒュン、と音がしてテクパトルの目の前に氷玉が現れる
テクパトル(速いな)
そんなことを思うテクパトルの顔に焦りはなかった
テクパトル「まだまだだ」
裏拳でそれを叩き割る
テクパトル「・・・見せてみろ、お前の本気をぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!」
削板「いいだろう、受けろ!!!」
削板が両手で玉を固める
大きさにして拳大
しかもそれは雪のように柔らかいものではない
下手をすれば人を傷付けることのできる凶器
削板「・・・さぁ!!!お前もだ!!!」
テクパトル「よかろう」
テクパトルも玉を握る
削板のものよりやや小ぶり
だがその代わり、硬さは削板のそれよりも上だ
殺傷力と命中力
違いはそれだけだった
削板「では」
テクパトル「始めようか」
削板とテクパトルが振りかぶる
そして
心理「何やってるのかしらね、あの二人は」
ショチトル「・・・上条にやられるなんて情けないな・・・」
黒子「まだ立っていますから大丈夫ですの・・・」
心理「・・・?あら、みんなちょっと隠れましょう」
黒子「なんでですの?」
心理「いいから」
テクパトル「ぐはっ!!!」
削板「ぐぁぁっ!!」
二人の胸元に、互いの投げた氷玉がヒットする
削板「く・・・ひ、引き分けか・・・」
テクパトル「・・・どうかな・・・」
削板「な、なに?」
テクパトル「・・・これ、なんだと思う」
テクパトルが右手の中にあるものを見せる
それは氷玉だった
削板「なに!?」
テクパトル「・・・お前は大きな玉を握った・・・少しだけ時間が掛かりすぎたのさ」
ふらり、と体を起こすテクパトル
テクパトル「その間にもう一つ作っておいたんだ・・・」
削板「くそっ!!」
削板が急いで氷玉を作ろうとする
テクパトル「遅いぞ・・・削板」
テクパトルが氷玉を投げる
それは削板を狙っているのではない
削板たちの陣地にある雪だるまを狙っていた
削板「しまった・・・」
心理「来たわ、伏せて」
ショチトル「あ、あの距離から当たるわけあるまい!」
黒子「そ、そうですの・・・」
心理「・・・!!」
剛速球としか言いようのない氷玉が、雪だるまに向かって飛んで来る
心理(まずい、このままじゃ・・・)
テクパトル「・・・はは・・・これで俺の仕事は終わりだな」
バタン、とテクパトルが倒れる
削板との一騎打ちで体力を使い果たしかけていた
そして、最後の投球で力を完全に使い果たしたのだ
テクパトル(・・・はぁ、まぁ最低限の仕事は・・・)
削板「くっそぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!」
テクパトル「!?」
削板が突然陣地へ向かって走り出す
テクパトル「バカな、体力が残ってるわけ・・・」
削板「理屈や理論や戯言は!!!!」
削板「熱い根性で吹き飛ばす!!!!!!!!!!!!!!!」
心理「!削板君!?」
黒子「あ、危ないですの!!!」
削板「おらぁぁ!!!」
削板が氷玉の前に回る
そして、その体を張って受け止める
削板「ぐあぁぁぁっ!!」
黒子「軍覇さん!!!」
黒子が削板のそばに駆け寄る
削板(・・・さすがだなテクパトル・・・)
削板(勝負も試合も忘れはしない・・・)
削板(くっ・・・俺はまだまだだ)
テクパトル(・・・あの氷玉を二回も受け止めるなんてな・・・)
テクパトル(はは・・・勝負も試合も引き分けか・・・)
テクパトル(さすがだ・・・削板)
二人の男が拳を空にかざす
なぜか、とてもすがすがしかった
削板・テクパトル「いい・・・勝負だったな・・・」
ガクリ、とその拳が垂れる
削板・テクパトル 戦闘不能
垣根「・・・テクパトルさんと削板さんのご冥福をお祈りします」
心理「死んでないわよ」
皆さんに質問です
この人にこの歌を歌ってほしいみたいな歌ありますか?
上条「美琴には・・・ポケモンのOP」
一方「・・・俺はねェな」
ショチトル「エツァリにチチをもげ、とか」
エツァリ「」
黒子「お姉さまにぜひともわたくしの歌を・・・」
美琴「イヤだからね」
心理「あら、上条君には地獄のズバットとか」
上条「渋いですね・・・」
19090「テっくん・・・安らかな顔です・・・」
テクパトル「死んでは・・・ない・・・」
削板「こ、根性・・・」
美琴(死にかけね)
垣根「・・・テクパトル・削板両選手のご」
心理「それはもういいの」
みなさん目玉焼きになにつけますか?
ほかにも天ぷら、フライ、食パン等も教えてください
上条「目玉焼きなら醤油・・・天ぷらは前に言ったな、フライは・・・マヨネーズかな、食パンはマーガリン!!」
心理「あら、食パンはジャムに限るわよ」
一方「あァ?食パンはベーコン乗せるだろォが」
ショチトル「いーや、食パンはハチミツだな」
19090「・・・フライは醤油がよくないですか?」
垣根「全部味の素を振りかけろ、万事解決する、俺は味の素嫌いだけど」
心理「バッシング受けるわよ」
上条「・・・テクパトルと削板が相打ちか・・・」
エツァリ「なかなか熱い戦いでしたね」
上条「冬なのにな」
エツァリ「上手くはないですよ・・・我々も続けましょうか」
上条「あぁ」
上条(まずいな・・・)
上条が顔をしかめる
彼のチームの陣地には現在垣根が責めていっている
守りが4人いるとはいえ、一人はモヤシで一人は平和的な19090号だ
上条(このままじゃ不利だよな)
目の前にいるエツァリを倒さなければいけないのは明白だ
エツァリ「ではいきますよ」
エツァリが雪玉を作る
上条(ここは汚い手を使ってでも勝たなきゃいけない)
上条が後ろに足を振りかぶる
エツァリ「?何を・・・」
上条「必殺!雪煙!」
雪を思い切り蹴り上げる
真っ白な雪のせいでエツァリの視界は狭まってしまう
エツァリ「し、しまった!」
上条「くらえ、エツァリ!」
上条が最高の硬さに固めた雪玉を投げる
エツァリ「がふっ・・・」
それはエツァリの顔面に当たった
エツァリ「む、無念・・・」
至近距離から硬い雪玉をくらったエツァリはその場に倒れる
上条はその上を飛び越え、味方陣地へ向かおうとする
上条「よし!これで上手く・・・」
エツァリ「さ、させません・・・」
倒れながらもエツァリは必死に上条のズボンを掴む
上条「くそっ・・・しぶといな!」
もう一発上条が雪玉をくらわせる
エツァリ「ぐはっ!」
エツァリの腕が力無く地面に落ちる
エツァリ(や、やられ・・・ました・・・)
エツァリ 脱落
垣根「・・・一方通行、残念だったな」
一方「クソ・・・が」
垣根の目の前では一方通行が情けない姿になっていた
全身雪まみれになって地面に仰向けになっていたのだ
垣根の雪玉250連打をくらって無様に敗北を喫したのだ
番外「は、速すぎる・・・」
美琴「くっ・・・垣根、ここは私たちが死守するって決めたのよ!」
19090「そうです!テっくんの犠牲を無駄にはしません!」
垣根「にゃーっはっは!お前達じゃ守れないんだよ」
垣根が雪玉を美琴目掛けて投げる
美琴「くっ!」
くるり、と転がって美琴がそれを避ける
だがすぐさま垣根は次の雪玉を放る
垣根「垣根式!連続雪玉!」
美琴「なっ・・・なんなのよ!」
番外「ちっ・・・お姉様!援護するよ!」
番外個体が後ろから雪玉を放る
だが垣根はそれを拳で打ち砕く
垣根「無駄なんだよぉ!俺を前にしてそんな悪あがきは無駄なんだよぉ!」
19090(新しい喋り方ですね)
垣根「はっはぁ!御坂、あばよぉ!」
垣根が美琴に向けて雪玉を投げた
一つではない
同時に5つも
美琴「ど、どうやってんのよ!」
どうにか転がって避けるが、すぐに起き上がれる体勢ではない
垣根「ざまぁ!おしまいだぜ御坂!」
番外「お姉様!」
19090「避けてください!」
垣根「垣根式・・・」
上条「美琴ぉぉぉ!!!」
美琴「!?当麻!?」
上条「そげぶ弾!」
遠くから上条が垣根に向かって雪玉を放る
垣根「て、てめぇ・・・ごふぁっ!」
垣根の鼻に雪玉が命中する
美琴「当麻!無事だったの!?」
上条「美琴を守るために帰ってきたんだよ!垣根、お前の幻想は・・・」
垣根「あー・・・ムカついた」
垣根が首をコキコキと鳴らす
垣根「オーケーオーケー、ならお前からだ・・・っていうかエツァリはどうした」
上条「倒したんだよ・・・」
垣根「弱いなあいつ・・・」
上条「弱いっていうか・・・真面目すぎた?」
垣根「はは・・・ははは!いいぜ上条、面白いじゃねぇか!」
垣根が雪玉を握る
上条「いいのか?こっちは4人、お前は一人だ」
垣根「0が4つ集まっても0なんだよ」
上条「い、言いやがったな!」
美琴「番外個体、行くわよ!」
番外「了解!」
番外個体が雪玉を作り美琴が投げる
無駄のないコンビネーション
その間に19090号が雪だるまを作る
垣根「・・・雪玉の威力をナメたらダメだぜ」
垣根が美琴の雪玉をすべて避ける
美琴(なんで・・・?こいつ、動きが良すぎる・・・)
垣根「・・・いいもんだな、こういう多勢に無勢をされるのも」
上条「垣根!くらえ!」
垣根「はっはぁ!遅い遅い!」
垣根が上条の攻撃さえも避ける
番外「・・・垣根は頭脳明晰なんだよね?」
美琴「そ、そうよ?」
番外「もしかしたら・・・雪玉の軌道を完全に予測してるんじゃ?」
美琴「・・・たしかにスピードと角度を確認すれば出来ないことはないかも・・・」
19090「!お姉様!」
美琴「え?ふにゃぁ!」
美琴の後頭部に雪玉が命中する
上条「美琴!大丈夫か!?」
美琴「痛い・・・何よ垣根!」
垣根「ははは!世の中には二種類の人間がいるんだよ!他人に勝つ人間と他人に負ける人間!俺は前者なんだよ!お前らは後者だ!支配する側と支配される側!人間はその二種類だけだ!」
上条「な、なんかめちゃくちゃテンション高くないか?」
垣根「くらえ!衝撃のぉぉぉ!」
上条「!来るのかよ!?」
垣根「ファーストブリッドォォォォォォ!」
上条「くそぉ!」
上条が無理矢理雪玉をたたき落とす
しかしその衝撃は中々のものだった
上条「いてぇ!」
垣根「固めたんだよ!ガッチガチに固めたんだよ!初めてじゃ痛かっただろ!?」
上条「無理矢理下ネタに持っていくな!」
垣根「あばよ上条!」
19090「・・・垣根さん!」
垣根「あぁ?なんだよ、てめぇじゃ俺は止められ・・・」
19090「くらえ!雪煙!」
垣根「なっ!?」
19090号が雪をまとめて垣根にかける
垣根「クソが!目くらましかよ・・・!」
上条「!垣根!」
垣根「いいぜ・・・分かってんだよそこにいるのはぁ!」
垣根が雪の中に浮かぶ人影に向けて雪玉を投げる
美琴「・・・垣根、甘かったわね」
垣根「な、なに!?御坂じゃなかったか・・・なら」
19090「ミサカ達を簡単に倒せると思ったらダメですよ?」
番外「そうだよ垣根」
垣根「!?上条か!?」
上条「俺でもないんだよ」
垣根「!?じゃあ誰なんだよその人影・・・は・・・」
垣根が目をこらす
あの細い人影は
一方「てめェら・・・俺を盾にするンじゃねェ・・・」
一方通行だった
番外「あとで・・・たくさんお肉食べさせてあげるから・・・」
19090「ミサカも・・・感謝しますから・・・」
美琴「アンタは・・・犠牲になったのよ・・・」
一方「クソ・・・許さ・・・ね・・・ェ・・・」
一方通行ががくりとうなだれる
その顔は、本当に不幸そうだった
一方通行 脱落
垣根「・・・仲間を盾にする、か」
上条「・・・仕方ないのさ、雪合戦だし」
垣根「・・・いけねぇな・・・俺がここにいてもこのままじゃ雪だるま破壊できないな」
垣根が頭をかく
上条「・・・美琴、お前は・・・責められるか?」
美琴「大丈夫よ・・・番外個体も来てくれる?」
番外「了解!」
二人の「ミサカ」が駆け出す
19090「よかったんですか?陣地がピンチなんじゃないですか?」
垣根「韻を踏むな・・・いいんだよ」
垣根がニヤリと笑う
垣根「こっちとしては敵が減ってくれて嬉しいし・・・」
上条「・・・守りに自信があるってことか」
垣根「・・・そうだと思っとけ」
垣根が上条に向けて雪玉を放る
上条「いいぜ!なら最低限、ここでお前だけは食い止める!」
エツァリ「こちら保健室です」
テクパトル「ただ見学してるだけだがな」
削板「ははは!そうだな!」
こんな物を拾いました
変態ランキング最新版
1位 エツァリ
2位 ショチトル
3位 美琴
4位 20000号
5位 心理定規
美琴さん20000号抜いたね
ショチトル「・・・私達が1位2位か」
エツァリ「それは・・・仕方ないですよ」
美琴「どこが変態なのよ!?黒子とか20000号とかのほうが・・・」
心理「ちょっと、そのランキング見せてもらっていいかしら?」ニコニコ
美琴「は、はい」
心理「・・・」
心理「あら、私が5位・・・ね」
心理「・・・ちょっとこのランキング作った会社に殴りこみ行ってくるわ」
垣根「安心しろ、オリコンのランキングは全部捏造だ」
上条「そういうのはやめろよ・・・」
垣根「やれるもんならやってみな!」
19090「お義兄様!援護します!」
上条「頼む!」
垣根「無駄なんだよ!」
三人の激闘が始まった
そしてその少し遠くでは女だけの戦いが始まっていたのだ
心理「あらいらっしゃい」
美琴「・・・守りは三人ね」
黒子「待ちくたびれましたの」
ショチトル「・・・エツァリはすぐにやられたな・・・情けない」
番外「頑張ってたんだから褒めてあげないと」
ケラケラと番外個体が笑う
美琴「・・・雪だるまはなかなか大きいのかしら?」
心理「教えないわよ」
番外「陣地のどこかに隠してるのかな?」
くるり、と辺りを見渡すがそれらしきものはない
おそらくは建物の影などに隠しているのだろう
美琴「さて・・・心理定規とショチトルは私が引き受けるわ」
番外「じゃあミサカは黒子だね」
黒子「のぞむところですの!」
黒子が番外個体のそばへ駆け寄る
黒子「はっ!」
雪玉を素早く作り、番外個体の体目掛けて投げつける
番外「甘いね!簡単にはやられないよ!」
番外個体も負けじと応戦する
黒子「まだまだですの!」
番外「楽しませてよね!」
心理「ふふ・・・なかなか楽しんでるみたいで嬉しいわ」
美琴「アンタも楽しんでるんじゃない?」
心理「そうね、こういうのも嫌いじゃないわよ」
心理定規は雪玉を作る素振りすら見せない
美琴「・・・余裕をかましてるの?」
心理「違うわよ、私は戦うつもりはないの」
美琴「・・・?」
ショチトル「美琴、まずは私が相手だ!」
美琴「あぁ・・・一人ずつ、なんて考えてるわけね」
ショチトル「ふん・・・いくぞ!」
ショチトルが雪玉を作り、走り出す
美琴「いいわよ、まずはアンタから!」
心理「頑張ってねショチトル」
ショチトル「あぁ!」
ショチトルが美琴と一進一退の攻防戦を繰り広げる
心理「さてと・・・それじゃ行きましょうか」
美琴がショチトルとの戦いに集中しているのを確認して心理定規は走り出す
美琴「!?どこ行くのよ!」
レーダーによって気づいた美琴がいち早く反応する
雪玉を投げようとはするが、その前にショチトルが立ちはだかる
ショチトル「させん!」
美琴「くっ・・・騙したわね!」
ショチトル「誰も一人ずつ戦うなんて言ってないぞ!」
美琴「この試合は相手の雪だるまを破壊しないと勝てない・・・」
ショチトル「垣根一人ではきついからな・・・当たり前の作戦だ!」
美琴「心理定規を攻撃要員にするっていうわけか!」
美琴が華麗な動きでショチトルの攻撃を避ける
ショチトル「ちっ・・・ちょこまかと・・・」
美琴「えいっ!」
ショチトル「!目くらましか・・・芸がない!」
美琴が雪を蹴り上げる
その隙になにかしらの策を練るつもりだろうか
ショチトル「・・・どこだ」
ショチトルが目を細めて雪煙の中を凝視する
ショチトル「!?いない!?」
雪煙が晴れたとき、そこには誰もいなかった
ショチトル「心理定規を追ったか!」
心理「あら・・・早く追いつかれそうね」
走りながら心理定規が後ろを確認する
美琴が雪玉を両手に抱えながら走ってきていた
心理(・・・敵の陣地につく前に捕まりそうだし・・・一旦迎え撃とうかしら)
急に心理定規が足を止める
美琴「・・・止まったわね」
心理「あら、せっかく追って来てくれてるのに相手をしないのはかわいそうでしょ?」
美琴「・・・男のこと?」
心理「違うわよ、あなたのこと」
美琴「ずいぶんと甘く見られたわね・・・私だってそれなりに運動は出来るのよ?」
心理「分かってたわよ」
美琴「・・・どっちみち追いつかれるのは分かってたわけ?」
心理「疲れてすぐに敵の陣地に行ったんじゃ迷惑だもの、あなたを倒した後ゆっくり行くつもりよ」
美琴「倒せたら・・・の話だけどね!」
美琴が雪玉を投げる
女の子にしてはなかなか速い弾ではある
心理「でもね・・・私はもっと速い弾を知っているのよ」
全く無駄のない動きで心理定規がかわす
美琴「やるじゃない・・・」
心理「そうかしら?あなたの剛速球もなかなかよ」
美琴「怪力って言いたいの?」
心理「あら、可愛らしいあなたにそんなことは言わないわよ」
美琴「・・・どうするの?このままじゃ垣根もキツイんじゃない?」
心理「・・・」
心理定規が垣根のほうを見る
上条がなかなか粘っているらしく、まだ決着はついていないようだ
それどころか19090号の援護もあるため圧されかけている
心理「・・・彼はたしかに運動神経もいいけど・・・上条君とはトントンだからね」
美琴「19090号の援護も効いてるみたいね・・・逃げながら戦わなきゃいけない分辛いでしょうね」
心理「早く助けに行きたいけど・・・私じゃあなたをすぐには倒せないわ」
心理定規がため息をつく
だが不思議とその表情に焦りはない
美琴「・・・なんだかしっくりこないわね」
心理「あら、何が?」
美琴「アンタはもうちょっと頭を使いそうだけど・・・どうしてこんな見え見えな作戦を使ったの?」
心理「見え見えだった?ちょっと悔しいわね」
クスクスと心理定規が笑う
心理「・・・でもあなたが気づいてるのはどこまでかしら」
美琴「何ですって?」
心理「ふふ・・・ショチトルは何してるのかしら・・・今頃ヒマで仕方ないかもね」
美琴「・・・!まさかショチトルが!?」
心理「気づいた?あなたが私を追いかけてきたら別のルートから垣根の援護に行くように言ったのよ」
美琴「くっ・・・」
心理「まぁショチトルはあんまりいい顔はしなかったけど」
美琴「ショチトルは運動が好きなわけじゃないから・・・ね」
美琴が唇を噛む
別のルートということはここから少しばかり離れているのだろう
ショチトルを追いに行けば心理定規が垣根を援護しに行く
ここで心理定規と戦えばその間にショチトルが
かといって離れているなら同時攻撃は不可能
心理「どちらかの行動がダミーなんじゃない」
美琴「どちらもダミーでどちらもメインね・・・やるじゃない」
心理「あとは番外個体が上手くやってくれれば守りも大丈夫よ」
美琴「なら・・・とりあえずアンタを倒して少しでも早く当麻を助けに行かないと」
心理「簡単には出来たいと思うわよ?」
心理定規が雪玉を作る
心理「私だって一応、それなりの運動神経だから」
黒子「んぁっ・・・はぁ・・・」
黒子は喘いでいた
なぜか
番外「おっ、ここはここは?」
番外個体に体を触られているからだ
番外(黒子はお姉様に惚れてる・・・ならミサカにだって多少は興味ありそうだったけど)
番外個体の作戦はいたって単純
正面からぶつかるのは疲れる
頭を使ってもめんどくさい
なら攻撃できない状況にすればいいや、というものだ
黒子「あっ・・・そこはやめてくださいな・・・」
番外「んふふ・・・どう?今はまだ下着の上からだけど・・・」
黒子「あぁっ!ダ、ダメですの!」
番外「ふーん・・・でもここは欲しい欲しいって言ってるよ?」
番外個体が黒子の敏感な部分に触れる
黒子「ひ、卑怯ですの!こんな・・・作戦・・・」
番外「最近一方通行が構ってくれなくてちょっと溜まってたんだよね・・・」
黒子「んっ・・・無理矢理そんな展開にしないでください・・・な・・・っ!」
番外「どう?」
黒子「し、知りませんの!」
番外「ふーん・・・なら・・・」
黒子「くっ!」
黒子が自分の体を少しだけ遠くにテレポートさせる
番外「あー、能力使用は禁止なんだってば」
黒子「関係ないですの!今のはわたくしの貞操の危機でしたから!」
番外「ちっ・・・まぁいいや」
番外個体が雪玉を作る
番外「本当なら腰砕けにしてあげようかと思ったけど・・・」
番外「正々堂々、足止めさせてやろうじゃないさ!」
黒子「のぞむところですの!かかって来てくださいな!」
二人の雪玉がぶつかる
一対一の攻防戦
それを見つめているのは太陽だけだった
上条「くらえ!!」
垣根「ちっ・・・」
19090「垣根さん、一人ではやはり辛そうですね!!」
上条「一気に行くぞ!!」
垣根「ナメるなよ!!!」
上条「そげぶ弾!!!」
垣根「撃滅のぉぉぉぉ!!!!セカンドブリッドォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!」
両者の雪玉はぶつかり合って地面に落ちる
その隙に19090号は垣根を狙う
垣根(このままじゃ消耗戦じゃねぇか・・・)
上条「・・・番外個体と美琴がうまくやってくれてたら、こっちは問題ない!!」
垣根「はは・・・ははは!!クソが!!蚊トンボが!!!」
19090「いきますよ、垣根さん!!」
垣根「叩き落してやる!!」
ショチトル「待った待った!!!」
上条「!?」
垣根「ショチトルか!!!」
ショチトル「誰かと聞かれりゃ答える定め!!!」
ショチトル「何かと問われりゃ教える定め!!!!!」
ショチトル「正義派世のため人のため!!!」
ショチトル「赤い血白い目黒い肌!!!!」
ショチトル「我こそは!!!!アステカの戦士!!!!」
ショチトル「ショチトルじゃあ!!助太刀しに来たぞ、垣根!!」
垣根「待ってたぞ!!」
ショチトル「待たせたな!!」
上条「くそっ!!応援か!?」
19090「どうしますか!?」
上条「やるしかないだろ!!」
垣根「こっからは俺らのターンだ!!」
ショチトル「垣根!!!雪玉を作ってくれ!!!!」
垣根「あいよ!!」
垣根がショチトルに雪玉を渡す
ショチトル「一つ分かったことがあるのさ」
上条「な、なんだ?」
ショチトル「雪玉を早く投げることがいいのかどうか、ということさ」
ショチトルが雪玉を放る
それはまったく的外れの方向へ飛んでいく
上条「なんのつもり・・・」
ショチトル「今日は大雪だな、木の上にも雪が積もっている」
上条「!?」
ショチトルの投げた雪玉は木の葉に当たる
それだけで、そこに乗っていた雪がドサリと落ちてくる
垣根「そうか!!!」
19090「!!お義兄様、よけてください!!」
垣根「遅いんだよ!!!」
垣根が雪玉を放る
さきほどのショチトルはいわば試し撃ち
垣根「俺の・・・全力を木の幹にぶつけたらどうなるかな!?」
上条「くそっ!!!」
上条がいたのは木の真下
ここに雪が落ちてくれば、しばらく行動不能になってしまう
上条「謀ったな垣根ぇ!!!!」
垣根「最初からこの予定だったのさ、上条ぉ!!!!」
ショチトル(思いつかなかったくせに)
垣根「これで・・・終わらせる!!!!!」
垣根「抹殺のぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!」
垣根が足を思いっきり上げる
それは、美しい銅像にさえ見えた
垣根「ラストブリッドォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
木の幹に、雪玉が当たる
通常の雪玉が当たったぐらいではなんともないだろう
だがなぜか、垣根の玉には力があった
大きな存在さえ揺るがしてしまうほどの力が
上条「くそぉぉぉぉ!!!!」
上条の上に容赦なく大量の雪が降りかかる
上条「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!冷たい!!!!!!!!!!!」
垣根「ショチトル!!!お前には19090号を任せる!!!!!」
ショチトル「よろしい」
19090「!?ゆ、雪だるまは死守します!!!」
垣根「ショチトル、任せるぜ!」
ショチトル「先に行って待ってろ、すぐに行く」
垣根「フラグをへし折れ!!」
ショチトル(頼むぞ垣根・・・)
ショチトル(ぶっちゃけもう走りたくないし)
心理「・・・さすがじゃない」
美琴「・・・一発も当たらないなんて、アンタも相当よ・・・」
二人はじっと睨み合っていた
今のところ、互いに一発も当たっていない
美琴「まさか・・・このまま引き分けだったりしてね」
心理「今頃垣根が上手くやっててくれるわよ」
美琴「・・・だといいわね」
心理「あなた達のほうは・・・番外個体ね」
美琴「あの子はなかなか強いわよ?」
心理「・・・黒子もそれなりには鍛えてるけど・・・さすがに戦闘用にチューニングされた番外個体相手じゃきついかしらね」
美琴「・・・そうじゃない?」
心理「・・・ふふ、こうやってあなたとの真剣勝負ってのはなかなかいいものね」
クスクスと嬉しそうに笑う心理定規
美琴「・・・そうね、私も楽しいわよ」
心理「・・・さて、おしゃべりはここまでにしましょう」
心理定規が雪玉を握り締める
心理「ここであなたを足止めできたら万々歳ですからね」
美琴「・・・私は早いとこ当麻のとこに行きたいのよ」
心理「行かせると思う?」
美琴「・・・いいわ、行ってみせる」
美琴が雪玉を放る
心理「何度も同じ手を・・・」
美琴「くらえ!!!!」
心理(!?何か手が・・・)
美琴「猫騙し!!!」
心理「きゃっ!?」
パン!!!!!と心理定規の目の前で美琴が手を叩く
何をされるのか分からない恐怖から、心理定規は一瞬目を閉じてしまう
美琴「よっしゃぁ!!」
心理「ひ、卑怯よ!!」
美琴「勝負に卑怯も何もないのよ!!!」
美琴が心理定規の横を駆け抜ける
心理「待ちなさい・・・」
心理定規がくるりと振り返ったとき、雪に足を取られた
心理「きゃっ!」
ボフン、と雪の上に心理定規が転がる
心理「いたた・・・冷たいわね・・・って美琴は!?」
心理定規の視線の先には、全速力で走っている美琴がいた
心理「ちっ・・・させないわよ!」
体についた雪を適当に払い、心理定規も走り出す
美琴(・・・あっぶない・・・転んでくれなかったらここまで差はつかなかったわね)
美琴(当麻・・・待ってて!!!)
雪玉と雪玉が交差する中
とうとう、勝負の終盤が始まる!!!
一方(雪冷てェ・・・)
フレンダ「あいたた・・・」
ゴーグル「てて・・・大丈夫っすか?」
フレンダ「ん?ア、アンタ・・・わざわざ私を庇ったわけ?」
街中で、二人は雪の上に転がっていた
正確には、ゴーグル男が下に潰されるような形になっていたのだ
ゴーグル「ん・・・いや、あのまま転がったら二人とも雪まみれじゃないっすか」
フレンダ「で、でもわざわざ庇うこと・・・」
ゴーグル「どっちみち俺は雪まみれなんすから、フレンダさんだけでも雪に倒れないほうがいいと思って」
フレンダ「・・・ごめん」
ゴーグル「?なんで謝るんすか」
フレンダ「わ、私が転ばなかったら・・・」
ゴーグル「仕方ないっすよ、ちょっとドジっぽくて面白かったですし」
フレンダ「な、何よそれ!?」
ゴーグル「とりあえず、そんなに落ち込まないでくださいよ」
フレンダ「・・・ゴーグル、アンタって優しい訳よ」
ゴーグル「そうっすか?」
フレンダ「・・・ありがと」
ゴーグル「なんか大人しいフレンダさんはイヤっすよ」
フレンダ「な、なによ!?」
ゴーグル「ほら、さっさと行きましょう・・・俺も暖房に当たって乾かしたいですし」
フレンダ「・・・ね、ねぇ!」
ゴーグル「なんすか?」
フレンダ「手・・・繋いでいい?」
ゴーグル「な、なんでっすか?」
フレンダ「また転ばないように!!!」
ゴーグル「はぁ・・・そうっすか」
ゴーグル男が溜息をつく
ゴーグル「いいっすよ、転ばれると困るんで」
フレンダ「な、なんか地味に根に持ってる訳よ・・・」
ゴーグル「ほら、行きますよ」
半ば強引にゴーグル男がフレンダの手を握る
フレンダ「・・・なんか緊張する訳よ」
ゴーグル「なんでっすか?」
フレンダ「こうやって誰かと手を握るなんて・・・ほとんど初めてに近いから」
ゴーグル「そうっすか」
フレンダ「アンタは?」
ゴーグル「・・・俺も同じかもしれません」
フレンダ「ふーん・・・じゃあまずは私の服から見る訳よ!!」
ゴーグル「はいはい・・・」
ゆっくりと二人は歩き出す
ゴーグル(・・・誰かと手を繋ぐ・・・ですか)
ゴーグル(・・・俺は昔・・・親に手を引かれたことがあったんでしょうかね)
上条「う、動けない・・・」
上条はどうにか雪の中から這い出そうとしていた
しかし、雪の重さはなかなかに厳しい
上条「くそ・・・もう、ダメだ・・・」
美琴「当麻!!」
上条「!?美琴、戻ってきたのか!?」
美琴「待ってて!!」
美琴が上条を雪の中から救い出す
上条「美琴・・・お前は天使だ・・・」
美琴「そ、そそそそんなことより!!!!」
心理「あら・・・上条君は雪まみれだったのね」クスクス
上条「!心理さん・・・」
美琴「お、追いつくのが早いわね・・・」
心理「垣根はどうやら上手くやってるみたいね」
心理定規がショチトルと19090号の一騎打ちを眺めながらつぶやく
上条「美琴、俺は垣根を止めてくる!!」
心理「あら、させないわよ?」
美琴「・・・当麻、行ってきて」
上条「美琴、頼む!!」
上条が心理定規の横を駆け抜ける
心理「・・・美しい愛ね」
美琴「愛っていうのは美しいものよ」
心理「ふふ・・・ロマンチストね」
美琴「・・・垣根は当麻に任せればなんとかなるわ」
心理「どうかしら?垣根がすでに雪だるまを破壊していたら?」
美琴「・・・信じるしかないわ」
心理「じゃ・・・ここで私と散りましょう」
美琴「散りたくないわよ・・・」
心理「行くわよ、美琴」
美琴「えぇ」
二人の乙女がぶつかり合う
愛と夢と明日への希望を抱えながら
番外「・・・やるね」
黒子「さすがですの・・・」
番外「意外とミサカが圧せないね」
黒子「わたくしだって一応は風紀委員ですの」
番外「・・・そうだね、さすがに一筋縄ではいかないか・・・」
番外個体が手に握った雪玉を見つめる
番外「ミサカはね、負けず嫌いなんだ」
黒子「えぇ、お姉さまとそっくりですの」
番外「だからこの勝負も勝ちたくてね」
黒子「わたくしだって負けられませんの」
番外「・・・いいよ、ミサカは別にあなたに勝たなくてもいいんだから」
黒子「?」
番外「つまり・・・!!!」
黒子(ど、どこへ向かわれましたの!?)
番外個体が黒子から離れていく
番外「ミサカは雪だるまを破壊すればいいんだからね!!」
黒子「!勝負から逃げるつもりですの!?」
番外「はっはぁ!!ミサカは別に黒子との勝負なんて興味ないもん!!!」
黒子「汚いですの!!!」
番外「ふふーん!!ミサカは悪知恵が・・・」
黒子「くらいなさいな!!ジャッジメント弾!!!!」
番外「ぐはぁっ!」
黒子(命中しましたの!!)
番外「ちっ・・・雪だるまは・・・」
番外個体が攻撃を受けながらも雪だるまを探す
番外「・・・どこだ?」
番外(・・・ない・・・?いや、でも作るってルールは一応守ってるはずだ・・・)
番外(それにこんなに守りを薄くするってことは相当頑丈な雪だるまだと・・・)
黒子「見つけましたの!」
番外「ちっ!!あぁもうしつこい!」
黒子「させませんの!!」
番外「やっぱアンタを倒してからだね!」
二人が再び勝負を始める
垣根「お、あったあったよ見つけたよん」
垣根は上条側の雪だるまの前に立っていた
垣根「長い道のり・・・」
上条「垣根ぇ!!」
垣根「あ?あぁ、上条じゃないか」
上条「させねぇぞ!!!」
上条が雪玉を放る
しかしそれを軽く垣根がかわす
上条「くらえ!」
垣根「甘いんだよ!!!!」
垣根が雪玉を上条にぶつける
上条「ぐぁぁっ!!!!」
垣根「ははは!!雪だるま、壊させてもらうぜ!!!!」
上条「やめろぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!」
垣根が雪玉を思い切り雪だるまにぶつける
その頭が完全に崩れ去った
垣根「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
上条「や、やられた・・・」
がくり、と上条がうなだれる
勝者は、垣根たちだった
黒子「・・・あら?」
番外「なに?そっぽ向いて」
黒子「・・・いえ、わたくし達の雪だるまが破壊されたみたいですの」
番外「マジ?」
美琴「や、やられた・・・?」
ショチトル「はっはっは!!!勝ったな」
心理「あら、嬉しいじゃない」
19090「ま、負けました・・・」
美琴「・・・はぁ、せっかく頑張ったのになぁ・・・」
一方(一番の被害者は俺だろ・・・)
垣根「さぁ、みんなお疲れ様」
心理「若干負傷者も出たみたいだけど、たいした怪我じゃなくてよかったわ」
上条「・・・ちくしょう、新年は負けてばっかだ・・・」
テクパトル「・・・寒いんだが」
19090「テっくん、紅茶飲みますか?」
テクパトル「サンキュー」
削板「はぁ・・・どうにか勝てたな」
黒子「よかったですの!」
垣根「いやぁ、楽しめたなら幸いだ」
エツァリ「・・・一方通行さん、どうしてふて腐れているのですか?」
一方「・・・理由は言いたくねェンだよ」
番外「ほらほら、そんなに怒らないで」
ショチトル「・・・しかしなかなか時間つぶしにはなったな」
美琴「1時間もやってたのね・・・」
削板「お、そんなにやってたのか?」
上条「はぁ・・・いい運動になったな」
垣根「さってと・・・昼飯まであと一時間だな」
ショチトル「何するんだ?」
一方「・・・ゴロゴロしようぜ」
美琴「えぇ・・・せっかくの正月よ?」
垣根「・・・そういえばお前ら、年賀状は読んだのか?」
上条「いや・・・第一寮に帰ってないからさ」
テクパトル「そういえば大晦日からずっとここに泊まってるもんな」
黒子「常盤台には一応外出届は出してますが・・・」
19090「常盤台はそういうの厳しそうですよね」
美琴「厳しいなんてもんじゃないわよ・・・」
垣根「リョウカーンとかいう化け物がいるんだろ?」
美琴「寮監よ・・・」
心理「・・・私達も年賀状まだチェックしてないわね」
垣根「あ、そうだったな」
美琴「じゃあチェックしてみれば?」
垣根「そうだな・・・そうすっか」
上条「じゃあ一旦帰るか」
一方「あァ」
垣根が年賀状の束を持ってくる
一体どこからそんなに送られてくるのだろうか
垣根「えー・・・まずは妹達から」
テクパトル「お、あいつら偉いな・・・」
垣根「なになに・・・?」
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
テっくんの就職も決まり、19090号のバイトも決まり、ミサカたちは余計ヒマになってしまいます
垣根、たまには遊びに誘ってくださいね
それでは ミサカ達より
垣根「おー、嬉しいじゃないか」
テクパトル「・・・ちゃんと構ってやらないとな」
19090「そうですね・・・」
垣根「次は・・・打ち止めか」
一方「あいつが?」
あけましておめでとう!!
語尾を使わないようにするのって難しいね!
ミサカはみんなと遊ぶのが大好きだから、今年も遊んでね!!
番外「・・・上位個体・・・」
美琴「・・・なんか、可愛い子よね・・・」
19090「はい・・・」
垣根「あれか?兄弟馬鹿か?」
心理「あら、打ち止めはたしかに可愛いじゃない」
黒子「そうですの!!何しろ小さいお姉様ですの!」
削板「そうだな・・・正月終わったらまた誘ってあげようぜ!」
テクパトル「はは・・・そしたら俺は忙しくなるな・・・」
エツァリ「がんばってくださいね」
垣根「・・・あぁ?吹寄からも来たな」
心理「あら、どれどれ?」
上条「うっわ・・・綺麗な字だな・・・」
明けましておめでとう
垣根のことだから今年もたくさんの女の子を誑かすんだろうけど
心理定規のことだけ見ているようにしなさい
あと、心理定規は垣根のことを見張っててね
それではまた
垣根「あの野郎・・・母親かよ・・・」
心理「いいんじゃない?あなたのこと気にかけてるみたいよ?」
垣根「いらねぇよ・・・」
ショチトル「こうやって気にしてくれる人がいるならいいじゃないか」
19090「そうですよ、素晴らしいことじゃないですか」
黒子「さすが垣根さんはモテモテですの」クスクス
垣根「笑うな・・・」
心理「ほら、姫神からもよ」
垣根「おー、嬉しいな」
心理「・・・巫女さんの格好の写真も載せてるわね」
垣根「ひゃっほぉぉぉぉ!!!!こりゃ素晴らしいじゃないか!」
上条(そういや姫神は巫女さんみたいな格好してたもんな・・・)
明けましておめでとう
垣根が巫女さんが好きだと言っていたから写真を撮った
これで今年も生き延びて
心理定規
私の出番を増やして
お願い
心理「・・・なんか、辛い年賀状ね」
削板「・・・字が若干薄いよな」
垣根「今すぐにでも消えそうだよな」
一方「・・・ていうか半分消えてねェか?」
番外「うん、消えてるね」
美琴「・・・がんばって、姫神さん」
垣根「オルソラからだ!!!わざわざ送ってきてくれた!!!!」
心理「テンション上がりすぎよ」
垣根「き、綺麗な字だ・・・」
明けましておめでとうなのでございますよ
イギリス清教のみなさんからの感謝の言葉も述べさせていただきます
またイギリスに来られたときは、上条さん共々女子寮に立ち寄っていただけたら嬉しいのでございますよ
それでは、お体に気をつけて
垣根「額に入れよう」
心理「はぁ・・・あなたは浮気が心配ね」
垣根「あれはもはや性の対象じゃない!!!崇拝に近いんだよ!」
美琴「あぁ、私のゲコ太に対するのと同じ?」
垣根「あー・・・まぁそうかもな」
番外「おぉ!そりゃすごいね!」
テクパトル(・・・よく分からないな)
垣根「・・・?アイテムのみんなからも来てるな」
ショチトル「・・・ほう、丁寧だな」
一方「どれどれ?」
明けましておめでとう
実はこれを書いてるのは元日です
フレンダとゴーグル君が来たのはちょっと意外だった
アンタが言ってたように、やっとやり直せそうだよ垣根
また何かあったら頼るかもしれない
そしたら相談に乗ってくれよ
みんな感謝してる 麦野
垣根「・・・はは、こりゃ辛気臭いな」
心理「・・・今度アイテムのみんなも家に誘ってみたら?」
垣根「・・・それもいいかもな」
エツァリ「そうですね」
一方(・・・変わったもンだな、暗部のやつらも)
垣根「・・・お、食蜂だ」
心理「あら、あの子も?」
美琴「へぇ・・・丁寧ね」
明けましておめでとう
元日に書いてるのはちょっとおかしいかもしれないけど
垣根、大晦日は楽しかった
なんか本当の友達が出来たって感じで本当に嬉しかったわ
こんなこと面と向かっては言えないから、年賀状で伝えるね
ありがと
垣根「はっはぁ!!これが垣根様の力よ!」
エツァリ「・・・たしかに垣根さんがいろんな人の人生を変えてますよね」
垣根「俺は上条のパクリだぜ!」
上条「いやいや・・・違うだろ」
ショチトル「・・・にしても、みんな垣根に感謝してるんだな」
心理「素敵だからね、あなたは」
垣根「そりゃどうも」
心理「あら?美琴のお母さんから来たみたいよ?」
美琴「え、ホント?」
上条「美鈴さんか?」
垣根「ホントだ」
明けましておめでとう!!
垣根君も心理定規ちゃんも元気?
今年は妹達のこととかいろいろと驚いたけど、いい刺激のあった一年だったよ!
これでパパが帰ってきてくれたらなぁ・・・
パパがこの前ね、久しぶりに電話してきてくれたの!
1月3日に帰ってきてくれるって!
だから久しぶりにデートするんだ!
いいでしょ!?
それじゃ、ここらへんで!
またこっちに来たら美琴ちゃんたちと寄ってね!
垣根「惚気じゃねぇか」
美琴「はぁ・・・明日はお母さんテンション高いかもね」
上条「里帰りも・・・しないとな」
心理「・・・あとは研究者とかね」
垣根「こういうのはめんどいよな・・・あ?インデックスと小萌からだ」
上条「こ、小萌先生か・・・」
明けましておめでとうなんだよ!!
小萌が当麻をあんまり誘わないでって言ってるんだよ!
なんか成績が悪いんだって!
またご飯奢ってね!
バイバイ!!!
垣根「何が言いたかったんだ?」
心理「上条君をあんまり遊ばせるなってことじゃない?」
美琴「当麻・・・」
一方「遊びすぎだな」
削板「・・・上条、勉強も根性で越えようぜっ!」
エツァリ(暑苦しいですね・・・)
垣根「こんな感じかな」
ショチトル「すごい数の年賀状だな・・・」
垣根「お前は引きこもりだからこんなに来ないだろ?」
ショチトル「・・・」ウルウル
垣根「冗談だって!!!」
テクパトル「でも年賀状なんて来過ぎるのも考え物だろ」
美琴「そうよね・・・私は後輩からたくさん来るもの・・・」
黒子「お姉さまはアイドルですから」
美琴「はぁ・・・それは辛いのよね・・・」
番外「いいじゃん、人気があるってのはいいことだよ」
19090「そうですよ、お姉様は優しいですから」
美琴「慕われるのは嬉しいけどさ・・・」
上条「美琴は学園都市のマスコットだからな・・・」
エツァリ「そうですよね・・・」
453 : VIPにかわりまして統括理事会がお送りします - 2011/10/01 19:56:23.65 L3QyTRS50 368/851あれ?何でみこっちゃん素養格付の事知ってんの?
>>453 このシリーズでは一応暗部とか知ってますので
まぁ細かいことは気にしない
美琴「マスコット・・・ねぇ」
上条「イヤなのか?」
美琴「堅苦しいっていうか・・・なんかね」
垣根「めんどくせぇよな、肩書きって」
一方「そォいうもンだろ」
ショチトル「お前たちも苦しんでるのか?」
垣根「あぁ・・・未だに喧嘩売られるときあるからな」
一方「超能力者ってのはそォいうのとの戦いだ」
削板「そうだな・・・」
黒子「・・・ですがお姉さまはそれとはまた違いますの」
心理「アイドルってのは常に動きを見られちゃうからね」
テクパトル「よく分からんな・・・」
美琴「たとえば・・・そうね、よく握手求められたり」
ショチトル「あ、握手?」
美琴「あとなんかラブレターいきなり渡されたり・・・」
19090「いきなり・・・ですか」
上条「怖いななんか・・・」
美琴「しかも女の子からよ?」
番外「そりゃすごいね」
黒子「お姉さまは憧れの的ですの」
美琴「いいんだけどさ・・・」
一方「はっ、そりゃ大層じゃねェか」
上条「大変だろうな・・・」
テクパトル「しかも女からラブレター・・・」
削板「いろいろあるな・・・」
エツァリ「・・・御坂さんはたしかにアイドルにもなれそうですからね」
心理「そうね・・・」
垣根「はー、大変だねぇ」
ショチトル「・・・美琴、大変だな」
美琴「・・・まぁ慣れたわよ」
垣根「慣れたらおしまいだよな」
一方「・・・まァオリジナルはいい意味で注目されてンだろ」
美琴「うーん・・・そうかな」
テクパトル「そうに決まってるさ」
心理「見た目は可愛い、能力は高い・・・」
黒子「優しく気さく・・・」
ショチトル「たしかに、学園都市のイメージアップには最適だな」
19090「・・・で、ですがお姉様は客寄せパンダなんかじゃないですよ!?」
テクパトル「そうだな、義姉さんはいい人だから」
美琴「そ、そうかな?」
上条「あぁ、優しいよ」
美琴「//」
エツァリ「・・・さて、そろそろお昼ご飯にしましょうか?」
上条「お、そんな時間か」
ショチトル「じゃあ・・・何食べる?」
垣根「んー・・・あれだ、今日は適当な料理でよくないか?」
黒子「お正月は手の込んだものがいいですの・・・」
垣根「えー、作るのがめんどいー」
心理「私が作るわよ・・・何がいい?」
上条「じゃあ・・・お好み焼き」
美琴「お好み焼き?」
心理「お好み焼き好きなの?」
上条「いやぁ・・・ただなんとなく食べたいんだよ」
削板「いいじゃないか!」
番外「うん、ミサカもいいよ」
心理「じゃあ作るわね」
美琴「私も手伝うわよ」
心理「あら、ありがと」
上条「じゃあ俺たちは・・・」
テクパトル「そうだな、せっかく休ませてもらえるんだしゆっくりしようか」
一方「テレビでも見るか」
番外「なんか面白いのある?」
エツァリ「そうですね・・・」
19090「!!!このペットが大人気!!可愛い動物ランキングというものが!!」
番外「ホ、ホント!?」
黒子「あら、お二人は動物が好きなのですか?」
19090「それはもう!!」
テクパトル(・・・動物か・・・)
垣根「犬とかは可愛いよな」
番外「いやいや、猫だね!!」
ショチトル「蛇は?」
番外「・・・ちょっと」
上条「うちは猫がもういるからなぁ・・・」
458 : VIPに... - 2011/10/01 21:00:32.81 UO7t6z0DO 374/851垣根達の雪だるまって何処にあったんだろ?逆に小さな雪だるまを作ったのかな?
>>458 めーっちゃ小さい雪だるまですね
それ書くの忘れてた
散々でかいのとか伏線張ってたのに
垣根「猫ねぇ・・・」
一方「猫は自由に遊ンでくれるンだろ?」
エツァリ「ですが懐かれにくいのでは?」
削板「俺はでっかい犬が好きだな!!」
黒子「まぁ、ドーベルマンとかですの?」
ショチトル「あれって怖くないか?」
削板「そうか?カッコイイけど」
垣根「ペットねぇ・・・」
上条「どうしたんだよ」
垣根「いや・・・」
垣根「そういえばゴーグル馬鹿も動物わりと好きだったな・・・」
ゴーグル「・・・はぁ・・・」
ゴーグル男はため息をついていた
女の買い物はなんでこんなにも長いのかと考えながら
大体、買い物というのは必要のあるものを手に入れるために行うのではなかったか
必要あるものがないときに「ヒマだから買い物行こう」と言ったりするのがそもそも彼には理解出来ない
必要あるものがないなら別に買い物なんてしなくてもいいのではないか
しかも買い物の途中で仮にほしいものを見つけたとしよう
ならば買ってすぐに買えればいいのではなかろうか
なぜ買いたいものを前にして「あ、でもこっちはどうかな?」なんて言うのだろう
買いたかったのはジーパンじゃなかったの?
なんでこっちはどうかな?なんて言ってTシャツを見るの?
全く関連性のない商品だよね?
そうゴーグル男は思っていた
いい商品を見定めるには時間が必要、という人もいる
なら一つの商品をじーっと眺め、吟味するべきだ
わざわざ他の商品を広げて比べたり互いの利点をあげてみたりする必要なんてない
断じてない
ゴーグル(・・・というより、Tシャツ着るだけなのに何分掛かってるんすか)
試着室の中にフレンダが消えてはや3分
もしかして自分に見せる前に試着室の中で一人ファッションショーでも始めているのか
見せても恥ずかしくないかな、なんて考えているのか
そんなことを考えるならその前に待たされる自分に気を遣ってほしいものだ
ゴーグル(世の中の男は・・・彼女の買い物とかによく付き合えますね)
ゴーグル男は顔をしかめていた
別にフレンダは彼女ではない
だが今の状況はそれに近いのではないのか
今まで彼がずっと夢見てきたデートなるものかもしれない
それは決して素敵なものではなかった
むしろストレスさえ溜まる
ゴーグル「あの、フレンダさん」
フレンダ「あー、ちょっと待ってほしい訳よ!」
ゴーグル「あの・・・もしかして似合わないとかっすか?」
フレンダ「そ、そうじゃないの!ただちょっとサイズが合わなくて・・・」
ゴーグル「ならもう一つ上のサイズを着れば・・・」
フレンダ「それはそれで問題点がある訳よ・・・」
ゴーグル「あぁ、胸が小さいから自分の身長に合わせたら無理なんすね」
フレンダ「胸が小さいんじゃなくて身長が高いだけだから!」
ゴーグル「それって鶏と卵みたいな話っすよね」
フレンダ「うるさい!ちょっとくらい待ってくれてもいいじゃん!」
ゴーグル「・・・早くしてくださいよ」
フレンダ「今開けたら殺すからね!」
ゴーグル「んなことしないっすよ・・・」
ゴーグル男が呆れたようにつぶやく
ここはもちろん女性用の服屋だ
彼が一人でいるには少しばかり厳しい場所である
周りにも何人か男性はいる
それらの全てが彼女を連れている
ゴーグル(はぁ・・・うらやましいというか切ないというか)
フレンダ「よし!着られた訳よ!」
試着室のドアが開かれる
中から出てきたフレンダは少し大人っぽいTシャツを着ていた
胸はピッタリ、丈はやや短いといったところか
ヘソチラなんてのも出来るかもしれないが、あいにく今はお正月
さすがにそんなヘソチラなんかしていたら寒くて風邪をひいてしまうだろう
フレンダ「どうどう?」
ゴーグル「悪くはないんじゃ・・・」
フレンダ「・・・いいって訳でもない?」
ゴーグル「もうちょっと胸があれば・・・」
フレンダ「最低!胸がピチピチになってる子に惹かれる訳!?」
ゴーグル「いや・・・ただちょっと色気が足りないっすよ」
フレンダ「心理定規と比べてるでしょ!?」
ゴーグル「そんなことないっすけど」
フレンダ「じゃ、じゃあどうな訳よ!?」
ゴーグル「うーん・・・フレンダさんはTシャツ自体は似合うんですけどね」
フレンダ「これがダメ?」
ゴーグル「・・・どうっすかね・・・」
フレンダ「あぁもう!アンタなんでそんなに曖昧な答え方する訳よ!?」
ゴーグル「仕方ないっすよ・・・女性のファッションなんて詳しくないですし」
フレンダ「もういい!ちょっとそこのアンタ!」
砂皿「ん?」
ゴーグル「あれ、砂皿じゃないっすか」
砂皿「貴様・・・何をしている?」
フレンダ「な、何?アンタたしかスクールのスナイパーの・・・」
砂皿「・・・貴様はアイテムのフレンダか」
フレンダ「な、なんでアンタみたいなごつい男が女性服を・・・まさか女装趣味!?」
砂皿「違うに決まってるだろ・・・」
ステファニー「砂皿さん!この服はどうですか!?」
砂皿「・・・なんとタイミングの悪いところで出てくるんだお前は」
ゴーグル「あれ、砂皿に彼女がいたなんて知らなかったっす」
砂皿「違う、こいつはスナイパー仲間だ」
ステファニー「な、なんでそんなにすぐ否定するんですか!?」
フレンダ「ま、まぁいいわ・・・アンタは私にこの服似合うと思う?」
フレンダが試着しているTシャツを指差す
ゴーグル男は優柔不断で役に立たないと踏んだのだろう
砂皿「・・・そうだな、なかなか似合ってるのではないか?」
フレンダ「ふっふーん、やっぱりゴーグルは優柔不断な訳よ!」
ステファニー「砂皿さん砂皿さん!私のはどうですか!?」
砂皿「似合っていない」
ステファニー「ひ、ひどいです!」
砂皿「・・・俺達はこれで」
ゴーグル「あぁ、それじゃ・・・」
ステファニー「まさかもう帰るつもりですか・・・あぁ待ってくださいよ!」
砂皿とステファニーが去っていく
ゴーグル「・・・スクール勢揃い・・・も近いかもしれないっすね」
フレンダ「何険しい顔してんの?」
ゴーグル「別に・・・」
フレンダ「とにかくこれは買う訳よ!」
ゴーグル「・・・」
フレンダ「何?なんか文句ある訳?」
ゴーグル「フレンダさんは今日着てきた服のほうが可愛いっすよ」
フレンダ「かっ・・・な、何今さら気づいてんの!?鈍感!」
ゴーグル「いや、今のと比べたらっすよ?」
フレンダ「いいから早く支払いに行く訳よ!」
ゴーグル「はいはい・・・なんで顔赤くなってるんすか」
フレンダ「なってない!」
フレンダが先に歩いていく
ゴーグル「・・・どうしたんすか?」
フレンダ「・・・か、可愛かったの?今日の服・・・」
ゴーグル「フレンダさんってああいう学生服みたいなのが似合いますよ」
フレンダ「アンタもしかして・・・女子高生とか好きな訳?」
ゴーグル「違いますよ」
フレンダ「・・・そう」
ゴーグル「そういえばフレンダさんは女子高生くらいの年齢でしたっけ?」
フレンダ「うん、アンタは?」
ゴーグル「詳しくは分からないですけど・・・フレンダさんと同年代なはずっす」
フレンダ「ふーん・・・」
ゴーグル「でも服の趣味とかは全く違いますね」
ゴーグル男が苦笑する
フレンダ「そうそう、アンタの服も買う訳よ」
ゴーグル「いいっすよ・・・」
フレンダ「いいから!」
ゴーグル「いや、もう持ってますから・・・」
フレンダ「イメチェン!イメチェンとかどう!?」
ゴーグル「なんでそんなに食いつくんすか」
フレンダ「よーし!ゴーグルをかなりのオシャレさんにしてみせる訳よ!」
ゴーグル「あ、いや・・・」
何やら勝手に意気込んでフレンダは駆け出していく
向かうのは男性用の服屋
ゴーグル「はぁ・・・なんか子供っぽいっすよね」
ゴーグル「・・・でもまぁ、可愛らしくていいですけど」
垣根「例えばだ、この犬を飼ったとする」
テレビの画面を指差しながら垣根が語り出す
ちなみに今はチワワが映っていた
彼等が見ているのはペットランキングのような番組だ
番外「か、可愛い・・・」
19090「モフモフしたいですね・・・」
ショチトル「たしかに可愛いな」
テクパトル「なんか小さすぎないか?」
削板「もっと大きなほうがカッコイイよな?」
黒子「あら、ペットには可愛さを求めるものですのよ?」
一方「・・・でもよ、なンかわがままそォじゃねェか?」
番外「アナタそっくりで可愛いじゃんか」
一方「あァ?俺がわがままだって言いたいのかよ」
ショチトル「まぁ実際わがままだろ?」
19090「可愛いと言ってもらえるだけマシではないですか」
上条「そうだぞ、一方通行」
一方「・・・なンかムカつく」
垣根「・・・あ、このパピヨンとかどう・・・」
番外「可愛い!可愛いじゃんめちゃくちゃ!」
19090「か、飼いたいですね・・・」
テクパトル(・・・ミサカ達は動物が好きなんだよな)
美琴「・・・」
心理「・・・行っていいわよ、あなたも見たいんでしょ?」
美琴「え!?べ、別に見たいわけじゃないわよ!」
心理「さっきからチラチラテレビのほうを見てるじゃない」
美琴「・・・で、でも今はお好み焼き作ってるんだし・・・」
心理「いいわよ、残りはもう焼くだけだから」
美琴「う・・・じゃあ・・・お願いしていい?」
心理「えぇ、いってらっしゃい」
美琴「ありがと!」
美琴がテレビの近くへと移動する
心理「さて・・・私もさっさと終わらせましょうっと」
美琴「か、可愛い!」
上条「お、チンか・・・」
19090「チンは小さいながらになかなかなボリューム感が・・・」
ショチトル「チンは小さいだけじゃないか?」
黒子「チンってかなり人気らしいですの」
番外「まぁチワワには敵わないよ、チンじゃ」
一方「・・・女がチンとか言うンじゃねェよ」
上条「たしかに・・・ちょっと恥ずかしくなりますよ」
美琴「そ、そういう意味じゃないわよ!」
削板「お、次はダックスフントだな」
19090「!こ、この子が一番可愛いです!」
垣根「えー、短足なだけじゃん」
エツァリ「そのアンバランスさが可愛いんじゃないですか?」
テクパトル「よたよたした歩き方が保護欲をそそらせるのかもな」
美琴「うんうん・・・みんな可愛い・・・」
ショチトル「しかし小型犬はかなりわがままなのが多いらしいじゃないか」
テクパトル「そうなのか?」
一方「小さい犬ほどよく吠えるンだよ」
垣根「へぇ・・・犬は鳴き声が結構うるさいからな」
19090「・・・ですがかなり可愛いです」
黒子「一軒家なら飼っても構わないのでは?」
19090「テっくん!飼いたいです!」
テクパトル「ほ、ほら!世話とかが大変じゃないか?」
19090「ミサカ達なら全力でやるはずです!」
テクパトル「う・・・ならいいんだけどさ」
美琴「いいな・・・」
上条「俺も将来一軒家を建てられるように頑張りますよ・・・」
美琴「ホント!?当麻大好き!」
ショチトル「おいおい、イチャイチャするなよ」
削板「相変わらず仲良しだな!」
垣根「・・・お、焼き終わったのか?」
心理「今焼いてるとこよ・・・にしても犬は可愛いわね」
美琴「だよね!」
心理「ご主人様のためになんでも行う・・・ご褒美をもらえためになんだってするのはかわいらしいんじゃない?」
美琴「」
心理「ふふ・・・信じてたご主人様にあんなことされるなんて、とかね」
ショチトル(ド、ドキドキしてきた)
上条「心理さん・・・なんか怖いから」
心理「冗談よ、純粋に可愛いじゃない」
テクパトル「・・・一人暮らしのヤツとかは特にペットなんか欲しいかもな」
エツァリ「家族ですからね・・・」
一方「家に帰ったときに迎えてもらえるのが嬉しいンだろォな」
番外「ちょっとヒマなときは一緒に遊べるもんね」
19090「散歩をすればダイエットにもなります!」
垣根「そう考えたらペットも悪くはないかもな・・・っと」
垣根がキッチンへ向かう
心理「あら、どうしたの?」
垣根「つまみ食いつまみ食い・・・」
心理「もう、はしたないわよ?」
垣根「お前が作ったんなら美味いんだろ?」
心理「何言ってるのよ・・・大体どうやってお好み焼きをつまみ食い?」
垣根「箸でぶった切る!」
心理「はしたないことこの上ないわね・・・」
垣根「お、なんもかけないでも美味いじゃんか」
心理「あら、ホントに?」
垣根「ほれ、お前も味見ついでに」
心理「そうね」
心理定規が垣根に近寄る
垣根「はい、あーん」
心理「あーん・・・ホント、美味しく出来たわね」
上条「・・・なんかさ、なんだかんだ俺達より垣根と心理さんのほうがイチャイチャしてないか?」
垣根「はぁ?俺達はお前達と違って常時イチャイチャじゃねぇから」
上条「でも甘さだけでいったら二人もかなりのもんだぞ?」
テクパトル「あぁ・・・見てて驚くくらいにな」
心理「あなたと19090号だって常にイチャイチャしてるじゃないの」
テクパトル「俺達はそこまででもないさ」
ショチトル「それはないな、お前達のイチャイチャは甘いし甘いし甘い」
テクパトル「・・・お前とエツァリだってなかなか見せ付けるじゃないか」
上条「そうだよな」
心理「そうよそうよ」
削板「俺達はその点平和でいいよな?」
黒子「そうですの、わたくし達は初々しくみずみずしいですの!」
一方「いや・・・なンか青春って感じがするのはお前らが一番だろ」
番外「たしかに・・・黒子は削板一直線だもんね」
黒子「あら、お姉さまも好きですの」
美琴「や、やめなさいよ!」
上条「・・・削板はそれについて何か?」
削板「ははは!好きで尊敬する人がいるってのはいいことだ!」
美琴「止めてちょうだい!」
削板「なんで?黒子は御坂をかなり尊敬してるんだろ?」
黒子「その通りですの!」
美琴「歪んだ愛情になってるじゃないの!」
上条「白井・・・お互いカップル持ちなんだからそういうのは辞めようぜ?」
黒子「あら、わたくしを止められる方なんていないですの・・・常盤台に入ってわたくしは知りましたの!」
垣根「あ、長くなりますか?」
黒子「派閥や力や地位や名誉や!そんなものに囚われることの愚かさ!」
黒子「そして己の力に自惚れないお姉さまの素晴らしさ!」
黒子「あぁ!軍覇さんには申し訳ありませんが、わたくしはお姉さまも愛していますの・・・」
削板「ははは!俺が一番ならなんら問題はない!」
上条「問題だらけだから!浮気と同じだぞ・・・!?」
削板「?そうか?」
上条「ダメだこいつ・・・」
19090「は、早くなんとかしましょう!」
テクパトル「無理に合わせなくていいんだぞ」
一方「・・・白井は変態すぎンだよ」
黒子「あら、あなたには言われたくないですの」
エツァリ「この世の中に変態じゃない人はいませんよ」
垣根「うわぁ変態神が言いきったよ」
心理「そんなくだらない話してるならさっさとお好み焼き食べるわよ」
上条「あぁ、出来たのか」
ショチトル「ならば食べないとな」
美琴「私はソースとマヨネーズ・・・」
19090「大抵の方はそうでしょうね」
テクパトル「米ももらうな」
垣根「俺ももらっとくかな」
削板「俺も!」
上条「俺も」
番外「男はよく食べるね・・・」
テクパトル「女は太ることを気にしないといけないから大変だよな」
美琴「はぁ・・・最近ちょっと体重増えたのよね」
上条「美琴は軽すぎたくらいだからいいんじゃないか?」
垣根「胸が大きくなったんじゃねぇ?」
美琴「だといいけど・・・」
19090「ミサカも太ってしまいました・・・」
テクパトル「いや、十分すぎるほど痩せてるからな?」
上条「そうだな、女の子はちょっとふっくらくらいでもいいんじゃないか?」
心理「そうもいかないのよ」
皿を並べながら心理定規が苦笑する
心理「女性としては痩せてれば痩せてるほど魅力的に思えてしまうの」
19090「・・・モデルさんはすらっとしてますからね」
テクパトル「モデルは色気がないだろ・・・細くなくてもいいんじゃないかな」
一方「・・・出るとこ出てるってのが一般受けはしそォだよな」
ショチトル「ほぅ、私みたいにか?」
垣根「お前はたしかにグラマラスだな」
黒子「・・・胸の大きさだけならこの中で一番かもしれないですわね」
ショチトル「ふふん、よく食べよく飲みよく眠る」
19090「そ、そしたらそんなナイスボディになれるのですか?」
ショチトル「なれないこともないぞ?」
テクパトル「出鱈目を言うな・・・」
削板「最近の若いヤツは不健康だからな、自分の体調と相談しなきゃいけない!」
美琴「体調崩してまで痩せたいとは思わないわね」
黒子「何事もほどほどに、ですわね」
心理「じゃあ食べましょうか」
上条「はーい」
垣根「じゃあ!いただきます!」
一同「いただきます!」
一同が勢いよくお好み焼きを食べ始める
垣根「おー、美味いな」
心理「私が作ったからよ」
上条「美琴も作ったんだよな?」
美琴「うん!!」
テクパトル「二人とも将来いいお嫁さんになれそうだな」
男一同「・・・」
テクパトル「な、なんだよ?」
削板「テクパトル、それは誑しが言うセリフベスト10に入るくらいのセリフだ」
上条「俺だって美琴くらいにしか言ったことないぞ・・・」
一方「呆れたぜェ」
エツァリ「ちょっと引きました」
垣根「・・・テクパトル、19090号が泣いてるぜ・・・」
テクパトル「違うっての・・・」
心理「あら、素直に料理の腕を褒めてもらえるのは嬉しいじゃない」
黒子「そうですのよ、みなさん」
テクパトル「だよな!?」
19090「ですがちょっとキザすぎますよ」ムスッ
テクパトル「えぇ・・・」
ショチトル「ひゅーひゅー、色男ひゅーひゅー」
テクパトル「変態は黙ってろ」
ショチトル「私は紳士ではない、仮に紳士だとしてもそれは紳士という名の変態だ」
上条「お好み焼きってさ、かなりたくさん食べられるよな」
垣根「そうか?俺は米と一緒に食べるからそうでもないな」
テクパトル「単体だったらいくらでもいけそうだよな」
削板「鰹節かけるといいよな!」
黒子「子供のころは鰹節が踊っているのが不思議でしたの」
番外「?あれって踊ってるんだよね?」
19090「違いますよ、熱くて逃げようとしているんですよ」
一方「・・・世間知らずだな」
上条「はぁ・・・」
美琴「違うわよ二人とも、あれは早く食べてーって言ってるのよ」
上条「」
番外「おぉ!!」
19090「なるほど・・・」
垣根(こいつら頭痛いのか?)
ショチトル「はぁ・・・青海苔って歯にくっつくと困るよな」
美琴「そんなリアルな話しないでよ・・・」
心理「歯なんて磨けばいいじゃない」
ショチトル「外出してたら?」
心理「磨けばいいじゃない」
ショチトル「あ、青海苔挟まっちゃった!!ちょっと歯磨きしてくるから待ってて!なんて言えないだろ」
一方「歯磨きしてくる、だけでいいだろォが」
エツァリ「そうですよ、女性は普段からそうするものですし」
削板「うーん・・・男はむしろ青海苔を引っ付かせてるべきだと思うんだ」
テクパトル「いや、それはないだろ」
19090「・・・爪楊枝でシーハーするのも一つの手ですね」
番外「あっはは!!親父臭いじゃん」
垣根「そうか?俺はたまにするけど」
上条「・・・そういえばさ、お好み焼きってなんでお好み焼きって言うんだろうな」
一方「知るかよ」
美琴「お偉いさんの好みの食べ物だったとかかな?」
ショチトル「いやいや、何かが訛ったんじゃないか?」
心理「うーん・・・調べればいいんじゃない?」
上条「いや、そこまではいいけどさ」
テクパトル「・・・はぁ、なんか食事をたくさん食べられるって幸せだよなぁ・・・」
削板「テクパトルは減量と増量をかなりきっちり分けてるからな」
テクパトル「お前は意外と適当だよな」
削板「鍛錬のために鍛えてるだけだからな・・・それをお前ほど厳しくするのは難しいぞ!」
テクパトル「俺は趣味なだけだからな・・・」
美琴「ねぇねぇ、テクパトルって力強いのよね?」
テクパトル「ん・・・まぁぼちぼちかな」
美琴「じゃあさじゃあさ、硬いビンとかも開けられる?」
テクパトル「ある程度ならな」
上条「それってさ、かなり有利だよな」
テクパトル「何がだよ?」
心理「か弱い女の子は大抵強い男に惚れるのよ」
テクパトル「はぁ・・・別に好かれなくてもいいんだけど」
ショチトル「またまたぁ」
テクパトル「お前は黙ってろ・・・」
19090「ですが、テっくんの腕とか見たら大抵の女の子は怖がるみたいですよ?」
美琴「そりゃそうよ」
黒子「わたくし達はテクパトルさんが優しい方だとは知っていますけど・・・」
一方「つゥか男だろうが女だろうがテクパトルの見た目は多分怖がるぜ」
テクパトル「そうか?」
上条「肌も浅黒いしな・・・」
削板「いやいや、健康的でいいじゃないか!!!!」
垣根「ギャングみたいだもんな」
テクパトル「・・・人が気にしていることを・・・」
番外「なになに?柄が悪いことを気にしてるの?」
テクパトル「・・・そりゃ少しは」
エツァリ「あなたはもっとさわやかに、常に笑顔でいるべきですよ」
テクパトル「んなのは性に合わないんだよ・・・」
美琴「エツァリさんはずーっとニコニコしてるわよね」
ショチトル「昔はこんなに優男ではなかったのに・・・」
エツァリ「な、なんですか・・・」
一方「あァ?そォだったのかよ」
ショチトル「大体私にまで敬語とは変わりすぎだ」
エツァリ「な、慣れてしまったんですよ・・・」
心理「昔はどんな口調だったの?」
黒子「気になりますの」
エツァリ「・・・普通にタメ口なだけですよ」
黒子「エツァリさんがタメ口ですの?」
ショチトル「あぁ、もっとフレンドリーだったぞ」
テクパトル「そうだよな・・・まぁ年上には敬語だったが」
エツァリ「・・・い、いいじゃないですか」
美琴「あー・・・海原に化けてからそんな風になったの?」
エツァリ「そうですね・・・」
一方「・・・優男に化けたら優男になるンだな」
番外「新たな発見だね」
削板「エツァリ、この際だから昔の口調にしたらどうだ?」
上条「いいな、聞いてみたいし」
エツァリ「いいですよ今更・・・」
心理「あら、みんなの要望に応えないの?」
エツァリ「応える義理はありませんから・・・」
19090「あ、ちょっと焦ってますね」
エツァリ「焦ってないですよ・・・」
美琴(よし、このままイライラさせたら!!!)
エツァリ「あぁもううるさいんだよ!!!」
一同「ひー!」
美琴(みたいになるかも!!)
一方(こりゃ面白いな)
ショチトル(久しぶりにエツァリの本性が見られるかもな)
垣根「・・・でもまぁ、口調くらいどうでもいいんだよな」
エツァリ「そ、そうですよね?」
垣根「でもよ、敬語ってのは距離を置いてる証拠だ」
垣根「上司に対して敬語を使うのはある程度の距離を置いているからだ、そして知らない人に敬語を使うのも距離を感じてしまうからだ」
垣根「つまり、友達に敬語を使うのは間違いだと思うんだよ」
エツァリ「言ってることむちゃくちゃじゃないですか・・・」
垣根「いーや、筋は一本通ってるね」
エツァリ「はぁ・・・大体ショチトルは聞いたことがあるでしょう」
ショチトル「だからこそ今のお前は違和感を持つんだよ」
エツァリ「・・・いいじゃないですか・・・」
一方「キャラ作ってンじゃねェよ」
19090(いいですよ、一方通行!)
番外(キレたら本性を現すはずだ!!)
一方「大体よォ・・・」
上条「・・・エツァリ、なんで敬語なんだ?」
エツァリ「ですから・・・海原が敬語だったんですよ」
上条「そ、それだけか?」
エツァリ「自分でも少し疑問ですよ・・・」
削板「うーん・・・昔の口調に戻す気は?」
エツァリ「いえ、ないですよ」
美琴「なんかちょっと残念」
エツァリ「・・・申しわけありません」
上条「いや、俺たちもからかいすぎたかな・・・」
テクパトル「・・・だがしかし、そう考えるとショチトルは変わらないよな」
ショチトル「変態になったがな」
エツァリ「・・・あなたはわりと昔のままですね」
ショチトル「自分という人間は自分の中にいるのだよ」
一方「哲学かよ」
黒子「ですが・・・己を持っているのは素晴らしいことですの」
削板「そうだな・・・偉いぞ!」
19090「ミサカも自分だけの世界を持っています!」
垣根「・・・それを妄想癖という」
テクパトル「・・・自分、か」
ショチトル「お前は過去の自分を捨てたんだよな」
テクパトル「あぁ、まぁな」
心理「そんなこと言ったら私達もよ」
一方「・・・過去か」
一方通行が意味深な顔をする
垣根「あ?なんだよナイーブになっちゃってー」
一方「うるせェな、てめェは俺にボッコボコにされた黒歴史があるもンな」
垣根「うっぜー、ムカついた」
上条「・・・お前たちのぶつかり合いなんて恐ろしい限りだな」
ショチトル「・・・そうだよなぁ・・・」
番外「二人はホント超能力者の中でもずば抜けてるよね」
美琴「それだけ自分だけの現実が強いんじゃない?」
心理「そうね・・・」
垣根「・・・自分だけの現実ね・・・」
一方「・・・俺の自分だけの現実か」
美琴「・・・二人の自分だけの現実・・・ね」
テクパトル「お前ら自分だけの現実って言いたいだけだろ」
一方「でもよ、周りの世界から断絶されればそれだけ強くなるンだよな」
垣根「ってことは俺たちは周りから離れてた存在だったってわけか」
美琴「孤独だったのかしらね」
黒子「・・・お姉さまも、ですのね」
削板「ふーん・・・俺は昔からわりと友達は多いけどな」
上条「お前のは特例だろ?」
番外「うんうん、おかしいし」
エツァリ「・・・削板さんは恨まれはしても嫌われはしなさそうですよね」
垣根「あー・・・なんか分かる」
心理「スキルアウトとかともなんだかんだ仲良くなりそうよね」
削板「悪の芽を包み取るのが正義だ!!!」
黒子「さ、さすがですの!!!」
一方「・・・包み取る、ねェ」
垣根「呆れるぜまったく」
心理「・・・自分だけの現実なんて、本当は持っていないほうがいいのかもね」
美琴「?なんで?」
心理「・・・なんでもないわよ」
黒子「心理定規は・・・両親もいないのですよね?」
心理「えぇ、気づいたら学園都市って感じね」
垣根「俺と同じさ、どうせ碌な親じゃなかったんだよ」
一方「・・・はン、親がまともなのなンて上条とオリジナルと白井だけだろ」
削板「・・・俺は?」
垣根「・・・心理定規のは能力も悲しいからな」
心理「あら、一方通行のよりはマシじゃない?」
一方「はァ?」
心理「触れなければ何も出来ない・・・自分以外を救うことは難しい・・・」
心理「何よりも、あなたの能力を恐れた人からは触れてもらえないのよ?」
一方「だからなンだよ」
心理「悲しい能力よね」
一方「アホか、俺を恐れるやつに触れてほしいなンて思わねェよ」
心理「・・・大切にしてくれる人は恐れたりしない、ね」
一方「・・・てめェの能力こそ悲劇じゃねェか」
心理「他人との距離を気にするなんて、誰だって同じことよ?」
美琴「・・・でも、それを操れてしまうのよね」
黒子「遠くにも近くにも・・・ですのね」
19090「それって、昔誰からも近づいてもらえなかったから・・・」
垣根「そこらへんにしとけ」
美琴「で、でも」
垣根「今は俺がそばにいるから問題ないんだよ」
心理「えぇ、その通りよ」
美琴「・・・そうね、ごめん」
上条「・・・一方通行は何もかもを思い通りにする能力、か」
一方「・・・そォかもな」
上条「そして垣根は思い通りになるものを作る能力・・・」
垣根「お、そりゃ的を射てるな」
上条「そう考えたらさ・・・お前らってなんか似てるよな」
一方「は?」
垣根「似てねーよ、なんでこんなのと似てなきゃいけないんだよ」
テクパトル「似てるじゃないか」
心理「似てないわよ、一方通行なんかと一緒にしないで」
番外「垣根みたいなバカと一緒にしないでよ」
美琴「・・・私は垣根のほうが優しいと思うわね」
垣根「だろだろ?」
美琴「一方通行は愛想ないし」
一方「・・・悪かったな」
ショチトル「そうだな、怖いもん」
上条「・・・まぁそう考えたらみんなそれぞれ欠点はあるか」
19090「・・・お義兄様が一番の問題児ですよ」
上条「そ、そうなのか!?」
一方「当たり前だろ、誰にだって説教するしよ」
上条「そ、それは・・・」
垣根「・・・そうだな、説教マンだ」
美琴「私も説教されたことある」
エツァリ「自分もです」
黒子「わたくしはなんか語られたことはありますの」
上条「いやいや!!それは上条さんは正義を愛しているから・・・」
番外「でもさ、それって病んでる人には逆効果だよ?」
上条「う・・・」
心理「そうね、ヘタに説教したら傷付けるだけよ」
上条「・・・き、気をつけます」
垣根「はぁ・・・ヒマだなおい」
上条「そうだよな・・・正月って言っても普段とあんまり変わらないし」
垣根「お前宿題持ってきてないのか?」
上条「・・・持ってきてない」
心理「はぁ、お姉さんが家庭教師してあげようと思ったのに」
上条「か、家庭教師!?」
美琴「当麻!!!」
上条「違いますから!!!なんだよそのちょっといかがわしい響きは!?」
心理「冗談よ・・・」
一方「・・・この中で一番頭悪いのは上条だからな」
ショチトル「みんなで勉強を教えてやろうか」
エツァリ「あ、いいですね」
削板「おう!!宿題取って来いよ!!!」
上条「いや・・・じゃあいっそのこともう帰りますよ」
垣根「はぁ?つまんねぇこと言ってんじゃねぇよ」
美琴「当麻・・・はテレポートさせられないのよね」
黒子「あら、ではわたくしがテレポートで取ってきますの」
上条「出来るのか?」
黒子「えぇ、場所も分かっていますから」
美琴「・・・私も一緒に行くわ」
黒子「な、なぜですの?」
美琴「ついでに私の下着を奪うつもりだったでしょ」
黒子「」ギクリ
黒子「そ、そそそそそんなことはないですの」
削板「黒子、盗みはダメだぞ!」
上条「そこ以前にツッコミどころがあるだろ!!!」
削板「?」
垣根「削板・・・お前はいささか純粋すぎる」
心理「あら、初心なのね」
黒子「では行ってまいりますの」
美琴「ちょっと待っててね」
上条「あぁ」
二人の姿が宙に消える
垣根「便利な能力だよな」
上条「・・・お前は飛べるじゃないか」
テクパトル「一方通行も飛ぼうと思えばできるしな」
ショチトル「いいなぁ・・・移動が早くできたら最高だよな」
垣根「目的地までの移動がめんどくさいってな」
心理「・・・あなた、某兄貴のセリフを言いたいんでしょ」
19090「・・・どこでもドアとかいいですよね」
上条「あぁ、分かる分かる」
番外「ドラえもんか・・・」
美琴「ちょっと黒子!!どこ触ってんのよ!!」ビリビリ
黒子「ぎゃん!!」
上条の部屋で、二人はそんな言い争いをしていた
かつてはよくあったやり取りだ
黒子「な、なにやら懐かしいですの・・・」
美琴「懐かしさなんて求めてないわよ!」
黒子「お姉さまったら・・・上条さんに触れられてもなんとも言われませんのに」
美琴「そ、それとこれとは別でしょ!!!」
美琴が再び電撃を出そうとする
黒子「こ、ここではダメですの!!電化製品が・・・」
美琴「う・・・」
黒子(・・・あら?これってもしかしてチャンスでは?)
黒子が辺りを見回す
上条はいない
美琴も電撃を無闇には撃てない
黒子(・・・う、うへへへ!)
黒子「お姉さまぁん!!」
黒子が美琴の後ろにテレポートする
美琴「な、なに・・・」
黒子「さて・・・」
その衣服に触れ、それだけをテレポートさせる
美琴「バ、バカ黒子・・・」
黒子「あぁ!!久々ですの、お姉さまの素肌・・・」
美琴「黒子!!!」
美琴の突きが黒子の顔にヒットする
黒子「ぎゃうん!!」
美琴「これで懲りた!?」
黒子「こ、これしきのことでくじけたことはありませんの!!」
黒子が再び美琴の死角にテレポートする
そして、直接下着の中に手を入れた
美琴「ちょ、アンタ触って・・・」
黒子「あぁ!!この慎ましい触り心地も久しぶりですの・・・」
美琴「んぁぁっ!!ちょ、ちょっとやめてってば・・・」
黒子「あら・・・もしかして敏感になってますの?」クスクス
美琴「こんのクソバカぁ!!!!」
美琴が肘鉄砲を黒子の腹に食らわす
黒子「ぐぉっ・・・」
美琴「アンタねぇ!!削板と付き合いだしたんでしょ!?っていうか結構長い付き合いでしょ!?」
黒子「そ、そうですの・・・」
美琴「なら削板だけに集中しなさいよ!!」
黒子「・・・め、迷惑でしたでしょうか?」
美琴「迷惑っていうより情けないわよ・・・」
はぁ、と美琴が溜め息をつく
美琴「私はもうちょっとアンタのこと評価してたんだけどね・・・」
黒子「そ、それは・・・」
美琴「愛した男だけを見ていられる人間だと思ってたわ・・・」
黒子「・・・そうですの」
美琴「はぁ・・・そのね、アンタが私を慕ってくれるのは嬉しいわよ?」
美琴「そりゃ、常盤台ではみんなが距離を置く中でアンタだけが近くにいてくれたし・・・」
美琴「でも、削板っていう彼氏ができたんだしこういうのは終わりにしましょうよ」
黒子「・・・わたくしは軍覇さんは愛していますの・・・」
黒子「ですが、お姉さまだって好きですの!」
美琴「はぁ・・・それは浮気よ?削板は純粋だしよく分かってないみたいだけど」
黒子「・・・」
美琴「・・・どっちが大切なの?私と削板」
黒子「軍覇さんですの・・・」
美琴「ほら、答えなんて出てるじゃない」
黒子「・・・そうですのね・・・」
美琴「・・・ねぇ、アンタはなんで私が好きなの?」
黒子「なぜ、ですか・・・」
黒子「・・・たしか、お姉さまがかっこよかったからですの」
美琴「かっこよかった?」
黒子「みなさんが派閥だ勢力だに囚われる中で・・・」
黒子「お姉さまは決してそうではありませんでしたの」
美琴「・・・それが、好きになった理由?」
黒子「えぇ、わたくしは真っ直ぐで優しい方が好きですの」
美琴「つまり、削板もそうなのよね?」
黒子「あら、軍覇さんはお姉さまよりも素敵ですの」
美琴「うわ、ここにきて惚気?」
黒子「・・・分かりました、今日はここまでにしますの」
美琴「・・・ちょっと待って、今日は?」
黒子「えぇ、今日は」
美琴「・・・き、聞いてた?私の話・・・」
黒子「ですが、わたくしはお姉さまも愛していますの!!!」
美琴「だから浮気・・・」
黒子「二兎を追わなければ人生楽しめませんの!!!!」
美琴「あぁもう!!!やっぱアンタはダメな後輩よ!!!」
黒子「わたくしは、ダメで結構ですの!!!」
黒子が美琴に抱きつく
黒子「ですから、わたくしを導いてくださいまし!!!」
美琴「あぁもう!!」
美琴はそれを振り払う
どこか懐かしく、そして鬱陶しい感覚
美琴「黒子!!!!」ビリビリ
黒子「あぁん!!これもまた堪らないですの!!」
そんなやり取りをしている二人
彼女達は、二人とも笑っていた
どこかしら楽しそうに
絹旗「あぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
絹旗はアイテムの隠れ家で大きな声を出していた
麦野「なんだよ」
絹旗「フ、フレンダがいません!!!」
麦野「あぁ、なんか書置きがあったぞ」
麦野が机の上を指差す
フレンダの文字だ
絹旗「なになに・・・ゴーグルと買い物に行きます・・・」
麦野「見せ付けてくれるよなあいつも・・・」
絹旗「・・・そうですね、超うらやましいです」
麦野「てめぇは海原がいる・・・」
絹旗「そう!!!それなんですよ、今日これから海原さんと会う予定なんですよ!!!」
麦野「」
絹旗「はぁ!!!超久しぶりに二人でお出かけです!」
麦野「てめぇ・・・」
絹旗「?なんですか、超怖い顔なんかして」
麦野「またデートか!!!正月からデートか!!!」
絹旗「いいじゃないですか!!!」
麦野「浜面たちは部屋でイチャイチャ!!!フレンダはデート!!!」
絹旗「あぁ、一人が悲しいんですか?」
麦野「・・・フレンダたちの邪魔でもしに・・・」
絹旗「超最低ですね」
麦野「うるせぇな!!!」
絹旗「でも、フレンダたちがどこにいるか知ってるんですか?」
麦野「・・・知らない」
絹旗「ダメじゃないですか」
麦野「・・・はぁ」
絹旗「とりあえず、麦野はお留守番ですね」
麦野「つまんねぇ・・・」
絹旗「仕方ないですよ」
麦野「・・・お前はいいな、絹旗」
絹旗「これから海原さんとお食事ですから!楽しみですよ!」
麦野「・・・私は寝るからな」
麦野がぬいぐるみを持って部屋へ向かう
絹旗「・・・じゃあ私も超急いで準備しないといけませんね」
絹旗が服を選び始める
今年の春には、自分にも何か新しいことが起きるのかと胸を踊らせながら
フレンダ「・・・結局、アンタとは趣味が合わない訳よ」
ゴーグル「全くっすね」
二人は男性用の服屋でため息をついていた
ゴーグル男は大人っぽい服を選んでいた
フレンダはいかにも若い男が着そうな服を選んでいた
二人の手にしているのは全く逆と言っていいほどのものだ
ゴーグル「そういうのはオシャレな人が着るからいいんすよ」
フレンダ「そっちこそ老けて見える訳よ」
ゴーグル「俺はこういうのが好きっす」
フレンダ「私はこういうのを着てほしいの」
ゴーグル「フレンダさんのお眼鏡に敵う必要はないっす」
フレンダ「あぁもう!アンタはもう少し女の子に気を遣うべきな訳よ!」
ゴーグル「いや、そういう風には見てないっすから」
フレンダ「でも私は女の子!」
ゴーグル「・・・第一、なんでそんな若い人向けなのを選ぶんすか?」
フレンダ「だってアンタ若いじゃん」
ゴーグル「でも俺はイケメンじゃないっすよ」
フレンダ「イケメンじゃなくてもこれくらい着ていい訳よ」
ゴーグル「・・・はぁ、わかりましたよ」
フレンダ「買ってくれるの!?」
ゴーグル「フレンダさんがせっかく選んでくれたんすから、足蹴には出来ないっす」
フレンダ「ありがと!やっぱりアンタは優しい訳よ!」
ゴーグル「・・・優しくなんかないっすよ」
フレンダ「そう?」
ゴーグル「ほら、行きますよ」
フレンダ「あ、待ってってば!」
肩を落としながらゴーグル男はレジに向かう
店員さんがニコニコと笑っているのがまた悲しかった
垣根「・・・遅かったな」
一方「しかし大義である」
垣根「よく分かった、さすがだ」
一方「俺を誰だと思ってンだよ」
垣根「ふん、そうだったな」
19090「・・・なんかお姉様が疲れてますね」
美琴「・・・黒子、アンタ最低よ」
黒子「あら、わたくしは後悔などしていませんの!」
削板「?なんかあったのか?」
テクパトル「・・・で?上条の宿題は?」
美琴「これよ」
美琴がテクパトルにプリントを差し出す
テクパトル「・・・なるほど、英語だけなら教えられるな」
上条「そうか!英語圏だから・・・」
ショチトル「だが断る」
上条「なんでだよ!教えてくれよ!」
エツァリ「上条さんのためになりませんからね」
上条「そんな気遣いいりませんから!」
番外「自分でも少しはやってみなよ」
美琴「そうよ当麻」
19090「いきなり投げ出すなんて情けないですよ?」
心理「・・・古文なんて今でもやるのね」
垣根「へぇ・・・神話とかも習うのか」
上条「なんか知らないけど歴史でちょこっとな」
テクパトル「どれどれ?・・・なんだギリシャ神話か」
エツァリ「ギリシャ神話は自分達の専門外ですね」
ショチトル「あんな胡散臭い神話なんて信じられないな」
垣根「神話は全部胡散臭いだろ?」
ショチトル「何を言う」
美琴「ギリシャ神話が一番面白くない?」
19090「ですが神様がたくさんいるのはややこしいですよね」
テクパトル「大抵の神話は唯一神が一番上に君臨してるよな」
上条「ゼウス・・・とかか?」
一方「日本は八百万の神とか言うけどなァ」
上条「・・・それだけいろんなものに感謝してるんだろうな」
エツァリ「日本の素晴らしいところですね」
黒子「・・・保健なんかの宿題もありますのね?」
上条「あぁ、常盤台には全くないんだっけ?」
美琴「初めて見たもん」
垣根「うらやましいな・・・宿題は楽しいもんじゃないからな」
上条「垣根はやったことあるのか?」
垣根「ガキの頃に少しな」
心理「ほら、無駄話はそこまでにしておきなさい」
上条「はーい・・・さて、頑張りますか!」
上条がシャーペンを握る
そしてうなだれる
19090「ど、どうしました?」
上条「分からない・・・」
美琴「諦めが早すぎるわよ!」
ショチトル「情けないぞ」
垣根「何が分からないんだよ?」
上条「まずは保健からやろうと思ったんだ!たった一枚プリントあるだけだから!なのに分からない!」
心理「何々?男性は思春期に入ると性機能が成熟し・・・精巣よ、ここの空欄は」
上条「・・・あ、はい」
番外「・・・よく恥ずかしくないね」
心理「プリントに欲情してどうするの?こんなのでドギマギするほど子供じゃないわよ」
削板「そうだぞ上条!やらしいことばっか考えたら馬鹿になるんだぞ!」
上条「すでに馬鹿なんですが!?」
削板「普段からやらしいことばっか考えてるだろ!?」
上条「なんでだよ!」
黒子「あら、間違ってはいませんの」
一方「上条はそォいうヤツだからな」
美琴「当麻・・・ちょっと幻滅したわよ」
上条「なんで!?違うからな!」
テクパトル「ったく・・・早く解けよな」
上条「はいはい・・・」
上条が美琴と心理定規に教えてもらいながらプリントを終わらせる
上条「よし!次は体育だ!」
垣根「保健と体育が別々なのか」
上条「こっちも一枚だけなんだよな」
エツァリ「そういう進め方でいいんでしょうか?」
心理「自分がやりたいのからやればいいのよ」
上条「・・・えっと、クローズドスキルとオープンスキル・・・」
テクパトル「ややこしいよな・・・」
一方「体育なンて体動かすもンなのにな」
削板「プリントで言われても分からないよな!」
心理「そんなの言い訳よ」
美琴「将来役に立たないから、って言って勉強しないのと同じじゃない」
上条「う・・・分かってますよ」
上条がしぶしぶプリントを進めていく
垣根「・・・あ、それは運動技能だろ」
上条「あぁ・・・なるほど」
美琴「分かってないわね、絶対に」
上条「だって俺は落ちこぼれ!」
ショチトル「言い訳するな、みっともない」
上条「・・・だってさ」
19090「社会に出たら言い訳なんて聞いてもらえませんよ?」
番外「このままじゃヒモだねヒモ」
心理「あら可愛そう」
上条「あぁ分かりましたから頑張りますから!」
エツァリ「・・・上条さん、不可能を可能にするのがあなたの得意技ですよ」
テクパトル「不可能とは可能性だ、諦めるな」
上条「お前らはまともだよ・・・」
美琴「な、私達がまともじゃないって言いたいの!?」
上条「そうじゃないから!」
テクパトル「・・・宿題なんてめんどくさいだけかもな」
一方「でもよ、終わったときの達成感はいいもンだろ?」
黒子「・・・仕事と同じなのでしょうか」
削板「風紀委員の仕事を終わらせたら嬉しいのと一緒なんじゃないかな」
黒子「それはかなり嬉しいですの!」
19090「・・・学校、通ってみたいですね」
テクパトル「お前は戸籍がないから難しいかもな・・・」
ショチトル「というか、戸籍がないなら結婚も無理なんじゃないか?」
テクパトル「」
19090「な、内縁の妻になるのですか!?」
上条「それはなんとも危険な香りが・・・」
垣根「事件が起きそうな設定だな」
美琴「いざとなればアレイスターに頼めばいいじゃない」
テクパトル「だよな!?びっくりさせるなよ・・・」
番外「・・・話がずれてるよ、上条はさっさと宿題」
上条「う・・・上手くごまかせたと思ったのに・・・」
テクパトル「逃げるな、前を見ろ」
上条「前には絶望しかありませんよ!」
心理「はぁ・・・見せてみなさい?」
心理定規が上条に近づく
上条「ちょ、心理さん!?」
心理「ほら、ここはわかる?」
上条「あ、いや・・・」
心理「いい?よく覚えてね、ここは・・・」
一から丁寧に解説していく心理定規
それを聞き逃すまいと必死に耳を傾ける上条
ショチトル「なんかカップルみたいだな」
美琴「!当麻は私のものよ!」
上条「あぁ美琴、静かにしてて」
美琴「なっ・・・」
垣根「勉強なんだから我慢しろよ御坂」
美琴「アンタはイヤじゃないの!?」
垣根「別に?」
ショチトル「ならなんで眉をひそめてるんだ」
垣根「うるせぇ」
心理「ヤキモチを妬いてくれるのは嬉しいけど、今は我慢してて」
美琴「わ、私も教えるわよ!」
美琴が上条の左隣に座る
上条(りょ、両方からシャンプーのいい匂いが・・・っていかんいかん!)
上条が必死にプリントを見つめる
何やらよく分からない問題が書いてある
問題は分からない
両隣からいい匂いがするのは分かる
空欄の中に入るのが何かは分からない
鼻の中に広がるいい匂いがシャンプーのものなのはよく分かる
上条「・・・こ、ここはこれでいいのかな!?」
声を裏返らせながら上条が尋ねる
美琴「惜しいわね・・・」
心理「体育は言葉を覚えるだけだから、力を入れればすぐに点が取れるわよ」
上条「そ、そうですか・・・」
テクパトル「なんか上条は両手に花だな」
19090「男性からしたら堪らない光景ですか?」
テクパトル「俺はお前だけでいいよ」
19090「//」
ショチトル「ふん、上条はやはりプレイボーイだ」
番外「女に好かれるために生まれてきたとしか言えないね」
一方「・・・なンなンだろォな、この敗北感」
エツァリ「彼はそんなものですよ」
削板「でも勉強を教えてもらってるだけだろ?」
黒子「あの上条さんならそれさえもフラグにしますの」
削板「おぉ・・・なんかすごいな」
垣根「・・・」
番外「あれ?どしたの垣根?」
垣根「・・・心理定規、なんか楽しそうだな」
心理「あなたも混じる?」
垣根「混じる!」
マッハのスピードで垣根が心理定規の横に行く
上条(めちゃくちゃ嬉しそうじゃないか)
美琴(可愛いとこもあるのね)
垣根(やっべぇ、一度でいいから誰かに宿題教えてみたかったんだよな)
心理(・・・ヤキモチ妬いてくれてたのかしら)
垣根「なぁなぁ、上条の苦手科目は?」
上条「・・・英語が一番苦手かな」
垣根「なんで?」
上条「数学は日常でもよく使うし、理科も学園都市なら馴染み深いだろ?」
美琴「科学の総本山だものね」
上条「歴史だってよくテレビでやってるからイメージしやすいし・・・国語も古文とかはあれだけど普段から使うじゃんか」
垣根「英語は馴染みがない、か」
上条「学園都市は外との交流があんまりないから外国人なんて合わないし・・・」
心理「使わないと覚えられないものね」
美琴「そっか・・・そんな理由があったんだ」
上条「イギリスにはよく行くけど、それってただの旅行だろ?」
垣根「御坂と行くのがほとんどだから通訳もいるしな」
美琴「わ、私のせい?」
上条「いやいや!ただなんか保険があるから覚えなくていいや、と・・・」
心理「最近は日本語の分かる外国人もいるからね」
上条「そうだよな・・・」
ショチトル「私は保健だけは得意な自信がある」
エツァリ「自分もです」
削板「俺は体育かな!」
テクパトル「記憶力には自信がある」
19090「ミサカも科学とか数学は得意かもしれません」
番外「ミサカも」
黒子「・・・わたくしはあまり歴史は好きではありませんの」
一方「過去に囚われたくないとかか?」
黒子「かなり恐ろしい理由ですわねそれ」
ショチトル「・・・上条、頑張ってるな」
テクパトル「集中さえすればなかなかできるヤツなんじゃないか?」
削板「骨があるからな!」
19090「?骨のない人間がいるのですか?」
削板「あぁ、最近は骨のないヤツが多い!」
19090「み、みなさん狭いところとか通りやすそうですね」
テクパトル「そういう意味の骨じゃないからな」
黒子「・・・お姉さま、勉強を教えられているときも凜とされていますの」
番外「あぁ、ありゃ女の子にもモテるはずだね」
心理「さて、次は数学ね」
垣根「・・・なんだよ、因数分解なんて習ってるのか」
美琴「こんなの中学生レベルじゃない?」
心理「あら、下手したら小学生でも出来ちゃうわよね」
垣根「だよな」
上条「・・・小学生?」
上条は顔を引き攣らせていた
小学生より頭が悪いよ、と言われたようなものだ
美琴「ほら、早くやるわよ」
垣根「刮目しろよな」
心理「さ、頑張りましょう」
目の前に広がるのはよく分からない数字の羅列
一体なんなのだろうか
上条「・・・ち、ちなみにみんなは答えとか分かってるのか?」
美琴「当たり前じゃない」
心理「すぐに分かったけど?」
垣根「お前と一緒にすんなよな」
上条「・・・不幸だ」
上条がうなだれる
何度うなだれたことだろうか
友人と自分にここまで学力の差があるなんて信じたくなかった
垣根「ほら、さっさと解く解く」
上条「あぁもう!不幸だ不幸です不幸ですよ、の三段活用!」
心理「あら、三段活用はできるのね」
美琴「ちょっと違うけどね」
そんな無駄話をしながらも、上条はプリントを解こうと努力した
努力はした
フレンダ「・・・ねぇ、ゴーグル」
服屋から出た途端、フレンダがゴーグル男の名前を呼んだ
ゴーグル「なんすか?真剣な顔なんかして」
フレンダ「べ、別に真剣じゃない訳よ」
ゴーグル「それで?なんか用ですか?」
フレンダ「そんなキツイ言い方しなくても・・・」
ゴーグル「あ、責めてるんじゃないっすよ!すいません・・・」
フレンダ「ううん、いいんだけどさ」
フレンダが地面を見つめる
足先で雪を少し蹴っている
子供みたいだな、とゴーグル男は思った
実際、二人は決して大人と言える年齢ではない
だがそれなりの人生経験は積んできたつもりだ
それはフレンダも同じはず
そんな彼女が子供っぽい仕種をするのは少し不思議だった
フレンダ「・・・アンタは私と買い物・・・したくなかった?」
ゴーグル「?なんでそんなこと聞くんすか」
フレンダ「さっきからずっと気を遣わせてばっかりだから・・・」
ゴーグル「そりゃフレンダさんが言ったんじゃないっすか」
フレンダ「そうだけど・・・」
ゴーグル「・・・俺が楽しんでないように見えますか?」
フレンダ「うん・・・無理矢理付き合わせちゃったかなってさ」
ゴーグル「無理矢理じゃないっすか、実際」
フレンダ「う・・・なんのフォローもない訳よ」
ゴーグル「無理矢理誘われて無理矢理買いたくない服を買わされて、そりゃ楽しい訳なんかないっすよ」
フレンダ「ご・・・」
ゴーグル「・・・楽しい訳ないはずなんすよ、本当なら」
ゴーグル男がフレンダの顔をじっと見つめる
青い瞳が印象的だった
初めて見たときから、瞳が綺麗だなと思っていた
女性として、とか異性として、とかではなく
ただ宝石のように澄んだ瞳だなと
その宝石が似合うのはきっとフレンダだけなんだと
ゴーグル「・・・楽しい訳ないはずなのに・・・なんだか楽しいんですよ」
ゴーグル「・・・なんででしょうね?」
フレンダ「こ、このフレンダ様と一緒にいられるからじゃない!?」
ゴーグル「はは・・・そうかもしれないですね」
フレンダ「ひ、否定しないの?」
ゴーグル「よく分からないですけど、ほかの人とはこうならないかもしれないですから」
フレンダ「・・・そっか」
ゴーグル「次はどこ行きますか?」
フレンダ「!」
ゴーグル「?もう帰るんですか?」
フレンダ「まだ!まだ遊び足りない訳よ!」
ゴーグル「じゃあ行きましょうか」
二人は再び手を繋ぐ
ずっと一人だったはずの自分の掌に、誰かの温もりが触れている
今は一人ではない
そう思わせてくれる温もりだ
フレンダ(・・・別に顔がカッコイイ訳じゃない・・・)
フレンダ(・・・力がある訳でもない)
フレンダ(金だってそんなにないし、いっつも優柔不断だし・・・)
フレンダ(でも・・・私に優しくしてくれる訳よ、こいつは・・・)
ゴーグル(なんなんでしょうかね)
ゴーグル(・・・フレンダさんの手、あったかいです)
ゴーグル(・・・もしかしたら・・・もしかしたら)
ゴーグル(俺って冷え症なのかもしんないっす)
二人は歩いていた
一人は少しずつ、相手に惹かれ
もう一人は惹かれるとかそういうこととは無縁で
そんな二人は、それでもずっと手を繋ぎながら歩いていた
続き: 上条「熱い思いは!」美琴「止められない!」心理「燃える心は」垣根「バーニングハート!」【3】