1 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:30:52.15 sbNArVPzo 1/16

・潜水艦娘たちと提督とのハートフルストーリーです
・地の文ちょっとあり
・轟沈台詞あり
・すぐ終わる

元スレ
ゴーヤ「毎日毎日オリョールオリョール……。いい加減にして欲しいでち!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429277451/

2 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:32:15.43 sbNArVPzo 2/16

ある日の鎮守府、潜水艦娘寮。一人の少女の声が談話室に響く。

ゴーヤ「もー我慢ならないでち! てーとくに一泡ふかせないと気が済まないでち!」

談話室の机に両手を叩きつけ宣言する。

ゴーヤ「毎日毎日オリョールオリョール……。いい加減にして欲しいでち!」

ろー「通商破壊はろーちゃんの十八番だけど……さすがに飽きてきたなぁ」

イムヤ「基本的に隙だらけだもんね」

イク「あんなんじゃ狩り甲斐がないのね!」

しおい「でも、どうするの? 海の底まで一緒にどぼーんするの?」

ゴーヤ「さすがに直接手を出すのはちょっとアレだから……。はっちゃん、例のモノ出来てる?」

はち「うん。リモート式の録音機と小型スピーカー」

イムヤ「わかった! 司令官の部屋に仕込んでなんか物音立てて怖がらせるんでしょ」」

ゴーヤ「チッチッチ。イムヤも甘いでち。この録音機に皆で死に際の台詞録音しててーとくが寝ている間に……」

ろー「うわー、でっちあくどーい」

ゴーヤ「でっちじゃないでち! まぁとにかく録音しよ?」


艦娘録音中……


ゴーヤ「なんだかんだで皆気合入れて吹き込んでたね……」

イク「せっかく悪戯するなら本気でやらないとダメなの!」

はち「後はスピーカーを提督の寝室の四隅に仕込んで、眠ったのを見計らってランダムに流す、と」

イムヤ「暗視カメラもついてるとか凝ってるわね」

ゴーヤ「起き出したらすぐ切ってね」

しおい「じゃあ私が仕掛けてくるね!」

ろー「ろーちゃんも頑張る!」

3 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:33:31.81 sbNArVPzo 3/16

夜! 

ゴーヤ「準備できたよー」

イムヤ「司令官の部屋、映ってる」

はち「提督の就寝を確認したら再生ボタンで流す。起きそうになったら停止ボタンで止める。流れる音声とスピーカーはランダムだから細かいことは気にしなくて大丈夫」

イク「にひひっ、うずうずするの!」

しおい「明日に差し支えてもいけないし、一時間ごとに見張り交代することにしよ?」

ろー「あっ、てーとく来たよ!」


提督寝室

提督「さて、寝るか」

提督「Zzz」


イムヤ「司令官、眠るのはやーい」

ゴーヤ「でもそれはそれで好都合でち、このボタンを……ポチッとね」Pi

5 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:34:03.07 sbNArVPzo 4/16

『ああ、もっと太陽を浴びていたかったな…。海の底はもう…飽きたよ…』

『いつかは、私も沈むと覚悟はしてたけど……提督や…みんなと逢えてからで、よかっ…た……』

提督「うっ……う゛う゛……」

『イク…沈むの…?ねえ…提督…私がいなくなっても…心配…しないで…なの…ね…』

『ゴーヤはまたいつか、皆さんに会える日を夢見て…深く潜る……』

提督「あっ……ぐぐ……」

『うっうぅ…今回は随分暴れられたかな…沈む船が本当に沈むのね…バイバイ…』

『やだ…やだよ…冷たい…冷たいし…暗い……』

提督「ぐっ……ぐぁぁ……」

~~~~~~

イク「うなされてるの!」

はち「これで少しは懲りるといいけど」

ゴーヤ「とりあえず、一晩やって様子見よ?」

6 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:35:20.43 sbNArVPzo 5/16

翌朝! 食堂!

提督「……」トボトボ


ろー「しょんぼりしてるー」ヒソヒソ

イムヤ「明らかに元気がなくなってるね」ヒソヒソ

はち「やりすぎたかな……?」ヒソヒソ

しおい「もうやめる?」ヒソヒソ

ゴーヤ「まだ一日目でち」ヒソヒソ

イク「続けるかどうかは様子見てからなの」ヒソヒソ

ゴーヤ「そうでちね」ヒソヒソ


だが、事態は彼女たちが思うより早く進行していた……。

7 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:37:01.36 sbNArVPzo 6/16

昼飯時! 食堂!

ゴーヤ「今日は出撃命令ないでちね」

イムヤ「オリョールいかない日なんて久しぶりね」

しおい「でも、演習もしないなんておかしくない?」

はち「思ったより落ち込んでる……?」

ろー「そういえば提督、見かけないね?」

イク「ちょっと執務室まで様子を見に行くの!」

8 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:38:05.07 sbNArVPzo 7/16

執務室前

まるゆ「ど、どうしよう……」オロオロ

イムヤ「まるゆじゃない、どうしたの?」

まるゆ「隊長が、隊長がいなくて、机の上にこんなのが……」

ゴーヤ「……遺書!?」

しおい「ちょっと見せて。……後任人事と遺産分与についてと……。二枚目は……私たちへの謝罪文ね」

はち「まさか本当に自殺を!?」

イク「豆腐メンタルすぎるのね……って冗談言ってる場合じゃないのね!」

ろー「早く探さないと手遅れになるかも!」

~~~~~~~

青葉「司令官? 何か深刻そうな顔して鎮守府から出て行きましたね。その時はもっと面白そうなネタがあったのでそれ以上は追いませんでしたが」

ゴーヤ「どっちに向かったんでち!?」

青葉「いつも働かされてるのに司令官探すなんて仕事中毒なんですか?」

ゴーヤ「違うけど……とにかく教えて!」

青葉「あっちのほうですねぇ。あ、何かネタになる話聞けたら教えてくださいね!」

ゴーヤ「了解でち」

9 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:39:43.45 sbNArVPzo 8/16

鎮守府近くの見晴らしのよい崖。よく真犯人が刑事に追い詰められて事の真相を白状してそうな形状の崖。たまに飛び降りて死ぬ。つまりは自殺の名所。

イムヤ「……あっ、あれ!」

ゴーヤ「てーとくの靴でち!」

はち「揃えて置いてある……まさか」

しおい「飛び降りた!?」

イク「しおい、偵察機を飛ばすの!」

しおい「艤装持って来てないよ~」

ろー「あっ、こっちから崖の下に降りられそう!」

イムヤ「降りて司令官を探そう!」

10 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:41:03.65 sbNArVPzo 9/16

崖下。潮の満ち引きの影響か、平らな岩場になっている。

ゴーヤ「落ちて来るとしたらここだと思うけど……」

イムヤ「ちょっと潜ってみるね」

そう言って海に飛び込むイムヤ。一分が永遠にも感じられる。しばしのち、イムヤが顔を出し、首を振る。

イムヤ「司令官、どこにもいなかった」

ゴーヤ「そうでちか……」

他に手がかりがないか探す中、イクが指差したもの。

イク「……なんか引きずった後があるの!」

はち「血痕……?」

赤いしみが彼女らを誘うように、洞窟の奥へと続いていた。

しおい「確認、する……?」

イク「毒を喰らわば皿まで、なのね!」

ろー「でも、なんだか怖い……」

11 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:42:28.04 sbNArVPzo 10/16

なんだかんだで入っていく潜水艦娘達。

イムヤ「明かり、ある?」

ゴーヤ「あるわけないでち」

はち「とりあえず入り口からの光が届かなくなってから考えよう? この怪我ではそう奥まではいけないはず」

イク「それにそんなに深くはなさそうなのね」

しおい「……あれって、提督の帽子じゃない?」

しおいが示した先には確かに帽子らしきシルエット。皆検めるために近寄る。

イムヤ「たしかに司令官の帽子っぽい」

ゴーヤ「でもてーとくいないでち……」

ろー「あ、あわわ……」

ゴーヤ「ろーちゃん、どうしたの?」

ろー「こ、これ……」

ろーちゃんが差し出したもの。上半分が丸くて、ひび割れが走っていて、側面に穴がいくつか開いている。

ゴーヤ「こ、これって……」

はち「頭蓋骨、ですね……」

ろー「ひ、ひっ……」

その言葉に手に持った頭蓋骨を取り落とすろーちゃん。

イムヤ「ここにいたら私たちも遠からずこうなるんじゃ……」

しおい「そんなのやだやだ!」

イク「撤退、なのね!」

イクの号令とともに皆我先に出口に向かって駆け出す。

12 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:43:46.75 sbNArVPzo 11/16

しおい「はぁ、はぁ……」

ろー「ぐすっ、こわかったよぉ……」

はち「こうなると提督はもう……」

イムヤ「てーとくの生存は絶望的……

イク「なのね……」

ゴーヤ「ゴーヤたちがあんなことしなければ……」

13 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:44:15.35 sbNArVPzo 12/16




「あんなことしなければ、俺もこんなことする必要なかったんだがな」




14 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:45:45.41 sbNArVPzo 13/16

皆一斉に声のしたほうを振り向くと、そこには白い軍服の男が!

ゴーヤ「て、てーとく!? っていうかあのイタズラ気付いてたの!?」

提督「布団から出なくても普通気づくっての」

はち「うなされてたのは」

提督「ただの声真似。おかげで眠くて仕方なかった」

イク「あの遺書は」

提督「もともと用意してあったものに意図を汲んで二枚目を足しただけ」

しおい「あの血痕は」

提督「ただの染料」

ろー「じゃあ、こ、この頭蓋骨は……」

提督「人体骨格模型の頭部。あ、そうそうイムヤ」

イムヤ「な、何?」

提督「帽子返してもらうぞ」

イムヤの返事を待たず帽子を取り上げて被りなおす。

提督「大体その程度で俺が自殺するわけなかろ? お前らしっかりしろよ」

その言葉に緊張の糸が切れたのか、皆へたり、と座り込む。

提督「……まぁだいぶ資源も溜まったことだししばらくオリョクルはなしだ」

ゴーヤ「ほ、ホントに!?」

提督「あぁ、嘘は無い」


『や、やったぁ!!』



16 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:48:21.04 sbNArVPzo 14/16

数日後、サーモン海域。

イムヤ「……」シュバッ  ドーン

イク「……」シュバッ  ドーン

はち「……」シュバッ  ドーン

しおい「……」シュバッ  ドーン

ろー「……」シュバッ  ドーン

ゴーヤ「……確かに、オリョクルはなくなったけど」シュバッ  ドーン


爆炎を上げて沈むワ級Flagshipとその随伴艦。


ゴーヤ「……これで、何隻目でち?」

イムヤ「20から先は覚えてない……」

イク「補給後、再出撃なのね……」

はち「どうしてこうなったのかな……」

しおい「提督はランカーになるとか言ってたけど……」

ろー「うあああああああん!」


東急クルーズ。果てしない繰り返し。地獄はそこにあった。

この後彼女らがオリョクルに文句を言わない潜水艦娘になったのはまた別の話。

17 : ◆jf7rnHhSH2 - 2015/04/17 22:48:48.61 sbNArVPzo 15/16

潜水艦娘は大切にね! じゃ、html化依頼してきます。

21 : 以下、名... - 2015/04/17 23:22:55.12 0qIhpfJu0 16/16

乙です
一度オリョクルの旨味を知ってしまうとね…

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