※関連
最初: 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
前回: 上条「まだまだ続く!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスはMeダヨ!」心理「誰よ」【後編】
元スレ
上条「そして終盤!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスはワシじゃよ」心理「誰よ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1313568339/
1スレ目 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1304/13045/1304506297.html
2スレ目 美琴「当麻♪」上条「なんだ、美琴」垣根「俺も仲間に入れて」心理「はいはい」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1305/13053/1305377166.html
3スレ目 上条「美琴、愛してる」美琴「私も♪」垣根「俺も♪」心理「ジャマしないの」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306063255/
4スレ目 上条「美琴は可愛いな」美琴「えへへ//」垣根「速さが足りない」心理「はいはい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306724889/
5スレ目 上条「放さないからな」美琴「うん♪」垣根「話さないからな」心理「しゃべりなさいよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307282872/
6スレ目 上条「抱きしめようか?」美琴「うん//」垣根「抱こうか?」心理「やめて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307709819/
7スレ目 上条「守り続けるからな」美琴「うん//」垣根「これがリア充です」心理「あなたもよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308139244/
8スレ目(番外編) 美琴「私の好きな人のことを、それ以上悪く言わないで!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308667506/
9スレ目 上条「結婚に必要な物は?」美琴「愛!」心理「お金」垣根「念のため三行半」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308992651/
10スレ目 上条「まずは!」美琴「そのふざけた!」心理「幻想を!」垣根「守るのこそ愛だ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309355502/
11スレ目 上条「マイホームか・・・」美琴「い、いいわね//」心理「そうね」垣根「欠陥住宅か」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309860801/
12スレ目 テクパトル「あの月はもう、空には出ない」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310283821/
13スレ目 上条「美琴は可愛いな」美琴「//」垣根「心理定規可愛いハァハァ」心理「やめて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310641032/
14スレ目 上条「恋といえば!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311066610/
15スレ目 上条「旅行かぁ・・・」美琴「どこ行く?」垣根「ヤっちゃうのか?」心理「黙って」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311506386/
16スレ目 上条「愛って何かな」美琴「守ること?」心理「信じること」垣根「疑い続けることさ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311939697/
17スレ目 上条「始まった・・・」美琴「大覇星祭・・・」垣根「アナウンスは俺」心理「やめて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312451177/
18スレ目 上条「引き続き!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスも俺!」心理「もうイヤ・・・」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312969940/
19スレ目 上条「まだまだ続く!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスはMeダヨ!」心理「誰よ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1313206497/
黒歴史 今日も学園都市には雨が降る
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1303/13037/1303730725.html
キャラ紹介
上条・・・言わずとしれたそげぶマン
美琴の彼氏、第一の主人公であり、正義感溢れます
美琴をかなり愛しています
美琴・・・ヒロイン
可愛いです、可愛いです、可愛いです
ツンデレがデレデレになってますが、それもまた(ry
上条さんにメロメロ
垣根・・・本シリーズでおそらくもっとも愛されてるキャラクター
イケメルヘンからギャグまでなんでもござれ
心理定規と付き合ってます、フリーダム
たまにツッコミ
心理定規・・・垣根の嫁
ていとくんに踊らされながらも彼を支えます
おそらく、心理定規タンハァハァって方もいるかと、俺もそうだ
ホント、マスコットキャラ
エツァリ・・・本シリーズで地味なキャラの一人
ショチトルと付き合ってる変態ツッコミ
ショチトル・・・地味キャラだった一人
エツァリと付き合ってます、自称ドMの実際ドM
もはや、ボケキャラ
削板・・・熱い男
黒子の彼氏、地味なはずがわりとキャラが濃い
黒子・・・ですの
削板の彼女、でもお姉さまも相変わらず好きなのでご安心を
一方・・・歪みないセロリ
番外個体の彼氏、そしてロリコン
番外個体・・・一方の嫁
やっとセロリと付き合うことに
わりと奥手
テクパトル・・・ダークホース
途中でレギュラーになったにも関わらずていとくんとならび本シリーズの目玉に
こんなはずではなかった
美月こと19090号と恋人に、さまざまな苦難も乗り越えイチャイチャリア充
19090号・・・テっくんの嫁
勝手に美月と名づけました
後悔はしてません
テクパトルと結ばれましたが未だに照れ屋さん
20000号・・・変態
しかも、テっくんでヤったこともある変態
たまに男前
14510号・・・セロリのことが好きな乙女
でも報われませんね
10033号・・・セロリのことが好きな乙女
やや口調がキツイ
御坂妹・・・可愛いです
案外しっかりしたキャラ
17600号・・・やや遅れて合流した妹達
彼女は強いですね、いろんな意味で
■■・・・名前が思い出せないキャラ
なのに大覇星祭では輝いている
おそらく準レギュ、というかエツァリよりも輝いてる気がする
吹寄・・・垣根に告白、失恋するもやはり友達がいいと気づいた強いキャラ
案外レギュラーになりそうだけどしない
おっぱい吹寄
スレ内容
上琴、未元定規がメインのギャグほのぼの
一方通行×番外個体
テクパトル×19090号
削板×黒子
エツァリ×ショチトル
サトリナさんは俺の嫁
さだのりはジャガイモ
>>1は速さを極めようとしています、ヒマジンというツッコミはなしですw
ただし、ミサカ口調でいじめるように言うツッコミは大歓迎
Mではありません
あと、背中って素敵
それだけ
えー、ちなみに
背中は正義だから
異論は認めないから
グダグダ苦手な方は気分を害しちゃいます
高確率で、うん
今スレもリクエストは受けられませんw
今回は時間つぶしとかはなし!!w
基本ラジオもできないですね、すいません
もはや上琴ではなくなってきています
全員が主人公になっていますが、日常では誰もが主人公なんだぜ、という>>1のメッセージです
いや、ウソです
サトリナさんは俺の嫁です
サトリナさんは俺の嫁です
>>1が喜ぶコメは
>>1よ、速さが足りない!!
か
ミサカ口調でけなすようなコメ
か
サトリナさんっぽい優しいコメのあとに、(と、サトリナが>>1の耳元で囁いていました)
です
お願いします、>>1に元気を・・・
すいません、冗談です
本編続き
では本編
垣根「・・・はぁ、終わったな」
垣根が溜め息をつく
5日目が終わった
吹寄「お疲れ様・・・」
心理「今日もどうにか終わったわね・・・」
垣根「あぁ」
垣根「・・・俺たちは帰るけど、吹寄はどうする?」
吹寄「ちょっと用事があるのよ」
心理「あら、一緒に食事でもと思ってたんだけどね・・・」
吹寄「二人で楽しんできて」
吹寄が手を振りながら去っていく
垣根「・・・男か・・・」
心理「違うでしょ」
吹寄「ここらへん・・・かしら」
吹寄は公園に着ていた
クラスメイトである■■から呼び出されたのだ
■■「あ。いたいた」
吹寄「あぁ、どうしたの?」
■■「相談があって」
吹寄「相談?」
■■「明日。競技があるでしょ」
吹寄「えっと・・・走り高跳び・・・だっけ?姫神も出るのよね」
■■「そう」
■■がうなずく
吹寄「・・・でも、なんで?」
■■「自信が。ない」
■■が少しうつむく
緊張しているのか、なにやら不安そうだ
吹寄「落ち着いてやれば大丈夫よ」
■■「・・・なぜか。いきなり注目されるようになった」
吹寄「あぁ・・・」
吹寄が苦笑する
■■はこの大覇星祭期間中に有名になりすぎた
もはや名前で呼ばれてもいいほどに
■■「・・・なんだか。いきなり環境が変わった」
吹寄「一部ではファンクラブも出来てるらしいわね」
■■「ちょっと。プレッシャー」
吹寄「うーん・・・でも練習は出来ないものね」
■■「うん」
■■が溜め息をつく
せめて、どうにか高さのあるものとクッションのようなものを用意できればいいのだが
吹寄(・・・あ、そうだ)
吹寄が携帯を取り出す
そこには、このまえ■■から教えてもらった垣根の携帯番号がある
吹寄「出るかしらね」
■■「?」
冷たいコール音のあと、通話が始まった
吹寄「あぁ、垣根?」
垣根「俺の声を聞きながらナニをするつもりだい?」
吹寄「とりあえず五回死になさい」
垣根「なんの用だよ、今から飯食うのか?」
吹寄「そうじゃなくて、貴様に手伝ってほしいことがあるのよ」
垣根「なにを?」
吹寄「貴様、能力でクッションみたいなもの作れる?」
垣根「はぁ?出来るけどなんでだよ?」
吹寄「今○○公園にいるの、来てくれないかしら」
垣根「いや、だから」
吹寄「じゃ、よろしく」
垣根に有無を言わせず、吹寄が通話を切る
垣根はなんだかんだ行ってやってくるはずだ
そう、彼の能力でクッションを作ってもらう
もちろん、棒くらいなら用意はできる
これで、一応の練習はできるだろう
垣根「・・・お前、急に呼び出すなよ」
それから数分
垣根が心理定規と一緒にやってきた
空からだ
■■「・・・飛んできた」
吹寄「貴様・・・なんなのホントに」
垣根「なんなの、はこっちのセリフだボケ」
吹寄「姫神が明日走り高跳びに出るのよ」
心理「あら、選抜選手なの?」
■■「そう」
こくり、と■■がうなずく
垣根「・・・で?」
吹寄「練習をしたいのよ」
心理「・・・あぁ、クッションなら垣根の翼が代わりになるわね」
心理定規が垣根の翼に触れる
とてもやわらかい翼だ
これならある程度の衝撃には耐えられるだろう
垣根「・・・俺は道具扱いか」
吹寄「はぁ・・・手伝ってくれたらなんでも言うこときいてあげるから」
垣根「ほう・・・」
垣根が腕を組む
今彼の頭の中では二つのものが天秤にかけられている
「心理定規とのデート」
と
「吹寄のおっぱい揉み揉み」
この二つだ
垣根「よし、やってやんよ」
心理「あら、いいの?」
垣根「なに、問題ない」
垣根が微笑む
彼だって男なのだ
垣根「で、棒はどうすんだよ?」
吹寄「そうね・・・そこらへんにあるものを組み上げたらどうかしら」
垣根「じゃあ鉄パイプだな」
垣根が鉄パイプを拾ってくる
こんなもの、彼は使ったことはない
そういうのは無能力者が使うものであって彼のような超能力者が使うものではない
よって、意外とまじまじ触るのは初めてだったりする
垣根「吹寄はこういう硬くて太いのが好きか」
吹寄「黙れ」
心理「・・・でも、これを組み立てるの?」
垣根「おうよ」
垣根が適当に鉄パイプを合わせる
吹寄「・・・細かいとこがサイズが違うわね」
■■「・・・どうするの」
垣根「俺の未元物質は常識が通用しないんだぜ?」
垣根が隙間に何かを流し込む
垣根「いやぁ、鉄を溶かしちまう未元物質だ」
吹寄「・・・さらりと恐ろしいわね」
垣根「えー」
心理「私は硬くて太いの好きよ」
垣根「そうか、今晩ヤろうな」
■■「いつの話」
垣根「・・・で、これでいいか?」
垣根が鉄パイプで作った「ジャンプしちゃおう☆」を立てかける
■■「うん。いけそう」
吹寄「ギャラリーは用意できないけど・・・練習しとけば緊張はなくなるわよね」
■■「えぇ。大丈夫かも」
■■が足首をグルグル回す
■■「・・・私は飛ぶ」
そっと、助走をつける
垣根(一回目・・・)
心理(高さも・・・結構なものよね)
吹寄(・・・いけるのかしら)
■■がバン、と地面を蹴る
綺麗な曲線を描いていく
垣根(・・・跳んだ!)
■■の体は、かなりの余裕を保って棒を超えた
垣根「ははは!!ダークマターガード!」
垣根が翼を伸ばす
その翼の中央に、■■の体が落ちる
吹寄「よ、余裕じゃない」
■■「私は。跳べた」
垣根「おめでとさん・・・じゃあ俺は・・・」
吹寄「え、まだ練習するわよ?」
心理「あら、まだやるの?」
垣根「おいおい・・・俺はまだ飯・・・」
■■「お願い。私の胸も揉ませるから」
垣根「いや、お前はいい」
■■「」
垣根「じゃ、次もやるけど・・・」
吹寄「けど?」
垣根「いや、今の手伝った分の言うことは聞いてもらうぜ?」
吹寄「い、一回ごとだったの!?」
垣根「たりめぇだろ!!こっちは時間削ってんだよ!」
心理「まぁ、そうね」
垣根「じゃ、やらせてもらいますね!」
垣根が吹寄の胸を1揉みする
吹寄「」
心理「・・・垣根」
垣根「んー、でもやっぱ心理定規のほうがいいな」
心理「あら、私は胸はあんまり感じないんだけど」
■■「吹寄。目を覚まして」
垣根「よーし・・・高さ上げるか?」
■■「うん。やってみせる」
吹寄「」
心理「ほら、吹寄さん」
吹寄「はっ!!でもどうやって高さを上げるの!?」
心理「そこは・・・」
垣根「下に板をかませる」
垣根が台の下に板を置く
垣根「えっと・・・5cmは上がったかな」
心理「あら・・・5cmだけでもかなり変わるのね」
吹寄「いける?」
■■「もちろん」
■■がまた助走をつける
吹寄「・・・でも、これって中々の記録になるわよね・・・」
心理「・・・えぇ、女性にしてはかなりの記録でしょ・・・」
垣根「黙って見てな」
■■「行くよ」
■■が地面を蹴る
さきほどよりも綺麗なフォームだ
垣根(跳んだ!!)
■■の体は、また軽々と飛んでいく
心理(・・・綺麗な動き)
吹寄(完璧なフォーム・・・)
二人も息を飲む
またも、■■は成功させてしまった
■■「垣根。吹寄のおっぱいまた揉んでいいよ」
吹寄「な、そんなこと・・・」
垣根「うーん・・・」
垣根が顎に手を当てる
垣根「・・・いや、吹寄のはさっきので十分だ」
心理「あら、じゃあどうするの?」
垣根「こっちでいいや」
垣根が■■の胸元に手を突っ込む
心理「じ・・・」
吹寄「直に!?」
垣根「いや、下着越しです」
垣根が手を動かす
■■「・・・どう?」
垣根「マーベラス」
■■「ふふ。これで私もセクシー要員」
垣根「いや、でも心理定規のほうがいいぜ?」
■■「」
心理「あら、揉んでいいわよ?」
垣根「サンキュー」
吹寄(ラッキーじゃないスケベね)
垣根「よし、なら俺はとことん練習に付き合ってやるよ!」
吹寄「え、いいの?」
垣根「上条の学校だろ、応援してやるよ!」
心理「そうね、そういえばそうだったわ」
■■「・・・じゃあ。よろしく」
垣根「ははは!!やってやんよ!」
垣根がまた台の下に板をかます
垣根「ほれ!跳んでみろ!!」
■■「やってやる」
■■がまた跳ぶ
垣根はそれを受け止める
その繰り返しだ
心理「・・・」
吹寄「・・・ヒマね」
垣根「ほら!!天まで届け!」
■■「1。2。3」
吹寄(・・・でも、姫神は楽しそうね)
心理(こういうのも悪くはないかもね)
夜のトレーニングは、朝まで続いた
垣根「・・・朝まで練習しちまったな」
吹寄「・・・今何時?」
心理「4時・・・今からじゃ寮に帰るのはキツイんじゃない?」
■■「でも。このまま眠らずに競技に出るのは辛い」
垣根「そうだよなぁ」
垣根が頭をかく
どうすればいいのかを必死に考えているのだ
心理「・・・私達の家までは近いのね」
垣根「あ、じゃあ俺達の家で仮眠取るか?」
吹寄「え、でも・・・」
■■「二人のプライベートな空間じゃないの」
垣根「いいんだよ、別に隅から隅まで見せるわけじゃねぇんだし」
垣根が立ち上がる
幸い、ここから彼の家までは5分も歩けばつけるのだ
心理「じゃあ行きましょう」
心理定規も垣根の後に続く
吹寄(・・・学生で自分の家を建てるなんて)
■■(さすが高位能力者は違う)
二人はそんなことを考えながら歩いていた
垣根「はい、ここだよ」
少し歩いたらすぐにたどり着いた
吹寄「・・・な、なにこの大きさ・・・」
■■「私達の寮より。普通に大きい」
心理「いろいろな設備が詰まってるもの」
垣根「あ、露天風呂もあるから汗流したらどうだ?」
吹寄(い、家に露天風呂・・・?)
■■(ますますバブリー)
四人はひとまずリビングに上がる
吹寄「おじゃまします・・・内装はかなり綺麗ね」
■■「鹿の頭なんて。初めて見たかもしれない」
吹寄「ホント・・・シャンデリアもあるわね」
心理「私が頼んでつけてもらったのよ」
垣根「お前はこういうインテリア大好きだからな」
垣根が苦笑する
彼女のためになら金に糸目さえつけないのだろう
吹寄「・・・とりあえず、露天風呂に案内してもらっていいかしら」
心理「私が案内するわね」
垣根「えー、俺も案内・・・」
心理「あら、なに?」
垣根「いえ」
心理定規が垣根を睨みつける
彼が覗きをしよう、と考えていることくらい手に取るように分かった
■■「じゃあ。垣根は待っててね」
垣根「あいよ」
垣根をリビングに残し、女三人は露天風呂へ向かう
■■「・・・家に入る大きさの露天風呂じゃない」
吹寄「ていうか、露天風呂は外なんだけど・・・とにかく、敷地はどれだけ広いのよ・・・」
心理「いいからさっさと脱ぎましょう」
三人が服を脱ぐ
■■「そういえば。誰かと風呂に入るなんて初めて」
吹寄「そうね・・・私も修学旅行以外では初めてよ」
心理「あら、じゃあ初体験なのね」
クスクス、と心理定規が笑う
なんでそんな卑猥な言い方をしたのかは分からない
心理「・・・吹寄さんは・・・けしからん胸をしてるわね」
吹寄「な、何よそれ?」
■■「私も少しは自信はあるけど。吹寄と比べたらまったく小さいように見えてしまう」
心理「・・・触り心地はどうなのかしら」
プニプニ、と心理定規が吹寄の胸をつつく
吹寄「ちょ、ちょっと!」
心理「・・・どうやったらこんなスタイルを維持しつつそんな大きな胸に・・・」
細いウェスト、引き締まった体
それとは対照的に大きく出ている胸
女性からしたら最高にうらやましい体なのだ
■■「ホント。うらやましすぎる」
■■も吹寄の胸をつつく
吹寄「ね、ねぇ!さっさと風呂に入りましょう!」
やや無理矢理、二人の魔の手から逃げる
そのまま走るように露天風呂へ向かった
吹寄「・・・すごい・・・まだ月は見えるわね」
■■「・・・竹垣が高いから外の人に見られることもない」
心理「そもそも、この辺りはだいたい垣根の土地だから覗きは基本心配いらないわよ」
驚く二人に、さらに衝撃の事実を伝える
吹寄「・・・この辺りって・・・どれくらい?」
心理「縦1km、横は・・・700mくらいかしら」
■■「それは。土地というより村」
吹寄「ほ、ホントにそんな広いの?」
心理「超能力者、しかも二位なのよ?」
心理定規が苦笑しながら言う
普段のふざけた彼からは想像しがたいかもしれない
だが、彼の能力はヘタをしたら新たな世界を作ってしまうほどのものなのだ
■■「・・・垣根の能力って。結局詳しく知らない」
吹寄「そうね・・・簡単な原理は知ってるけど」
心理「簡単に言えば新たな素粒子を作るのよ」
吹寄「えっと・・・私達にとっては簡単じゃないのよ」
■■「もっと。簡単に言って」
心理「・・・そうね、例えばここには水があるでしょ?」
心理定規がシャワーの蛇口を捻る
少し暖かいそれはお湯と呼んだほうが相応しいのだが
心理「この水から出来てるものって何があるかわかる?」
吹寄「・・・氷、雲」
■■「水蒸気も」
心理「えぇ、そうよ」
正解、といった感じでウインクをしながら心理定規が答える
心理「この世の中の物質は、全て何かを材料にして出来ているの」
吹寄「・・・その材料を新しく作り出す能力、ってこと?」
心理「そうよ」
■■「・・・それって。どれほどすごいの?」
心理「例えば、垣根を倒すとしたらどんな方法を使ってみる?」
吹寄「・・・あまり言いたくはないけど、寝込みを襲うんじゃないかしら」
心理「それは無理よ」
吹寄「?なんで?」
吹寄が首を捻る
寝込みを教われたら垣根だって一たまりはないはずなのに
心理「彼は未元物質を至る所にばらまいてるの」
■■「常に?」
心理「いえ・・・正確には、敵がいるときは、ね」
吹寄「ふーん・・・それで、なんで無理なの?」
心理「未元物質にそれぞれシグナルを混ぜるのよ」
■■「そんなこと。出来るの?」
心理「自分が作った物質よ、それに大抵の素粒子は中に陽子やら電子やらを含んでるでしょ?」
吹寄「原子と同じくね・・・」
心理「何かに触れたらそのシグナルが狂う設定にしたら?」
■■「誰かが近づいてきた時点で気づくのね」
心理「そうよ」
吹寄「・・・」
吹寄は首を捻っていた
なぜ心理定規はそんなに断言できるのか
彼はそうするだろう、ではなくそうする、と
まるで今まで寝込みを襲われるような状況にあった、とでも言いたげではないか
吹寄(・・・って当たり前か、スキルアウトに絡まれたりするものね)
そこで思考が終わるのは、彼女が正常な世界に暮らしているからだろう
心理「じゃあ、他にはどんな方法を使う?」
■■「火炎放射とか。どうかな」
心理「燃えない物質を作り出すわよ、そしたらそれで防ぎ、殺すだけ」
吹寄「こ、殺す?」
心理「・・・たとえばよ」
心理定規が顔をしかめる
たまにそうやって、昔の世界にいた頃の片鱗を見せてしまう
吹寄「・・・その能力でも二位なのね」
心理「正直、一方通行とはいい勝負なのよ」
心理定規が苦笑する
心理「えっと・・・第一位、一方通行の能力は知ってるかしら」
吹寄「たしか、いろんなベクトルの向きを操れるのよね?」
心理「えぇ」
■■「・・・未元物質にも。ベクトルはあるの?」
心理「もちろん、ベクトルの存在しない物質を作っても、結局そこには何らかのベクトルが加わるもの」
たとえば重力
たとえば引力
作り出した物質自体にベクトルがなかったとしても周りのベクトルを操られればそれまでだ
心理「第一、ベクトルの存在しない物質なんてありえないのよ」
吹寄「・・・形を保てないものね、物質として存在出来なくなるわ」
心理「そう・・・ただし、この世の物理法則で計れないベクトルを持った物質にしたら?」
■■「一方通行が演算するまでに、それで倒すこともできる」
心理「・・・ただし、それもいたちごっこよ」
垣根が新たな物質で攻撃して、一方通行は今この世にある全てを操って襲いかかる
能力自体には、差なんてないのだ
心理「ただ、一方通行には自動制御があるのよ」
吹寄「・・・自動制御?」
心理「・・・寝ている間も反射だけは適用されるのよ」
心理定規がため息をつく
高位能力者であればその厄介さは簡単に分かるだろう
■■「・・・寝ているのに演算は出来ない」
心理「違うわ、反射は必要ないものの力の向きを正反対にするだけなの」
心理定規が指を右に差す
心理「右の反対は?」
吹寄「?左だけど・・・」
心理「そう、それを一方通行はデフォルトとして設定してるの」
御坂美琴、という超能力者がいる
彼女は寝ている間でさえ、ほんの少しの電磁波を発している
つまり、演算はしなくても多少の能力は使えるのだ
無意識の美琴でそれだけだ
事前にデフォルトとして、「必要ないベクトルを正反対にする」と設定したら
寝ている間は、演算が行えないだけなのだ
事前に演算し、能力を発動させていれば
寝ている間でも反射が使える
細かい向きを設定するなら一々演算し直さなければならないだろう
反射はそれと違い、ただ単純に180度ベクトルをずらすだけでいいのだ
心理「・・・だから、寝ている間だけじゃなくて不意打ちにも対抗できるの」
吹寄「・・・垣根は一々演算をしないといけないのね」
心理「えぇ、仮に遠くから撃たれたりしたらちょっと面倒ね」
そう言っている心理定規の横顔は笑っていた
まるで、垣根ならどうせそれも防いでしまう、とでも言いたそうに
■■「・・・なんだか。難しい世界」
心理「今は一方通行にも制限がついてるし、一概にどちらが上とは言えないわね」
吹寄「ふーん・・・なんだかちょっと分かったわ」
吹寄がふむふむ、と頷く
彼女は成績優秀なのだ
こういった話を聞くのも好きらしい
上条みたいな落ちこぼれが聞いたら「ガリ勉野郎!」なんて言いそうなものだ
心理「まぁつまらない話はおいといて・・・」
吹寄「え、なかなか魅力的な話だった・・・ひゃんっ!」
吹寄がいきなり甘い声を上げる
また心理定規が彼女の胸をつついたのだ
心理「これはどうやって作り上げたの?そっちのはうが魅力的な話よ」
■■「それは。私も是非聞きたい」
■■もつついてみる
本当に手触りも大きさも文句ない代物だった
吹寄「だ、だからそんな特別なことは・・・っ!」
心理「あら、でもこれは無意識に出来るようなものじゃないわよ?」
■■「うらやましい」
吹寄「と、とにかく触るのはやめて!」
心理「あら、感じちゃうの?」
クスクス、と心理定規が笑う
吹寄「違うわよ!なんだかくすぐったいし・・・」
■■「・・・気をつけて摂っている栄養とかは?」
吹寄「あぁ、まずはカルシウムかしら、やっぱり日本人は骨格が華奢だから、しっかりした骨組みを作ることから始めないと」
■■「ほうほう」
吹寄「脂肪は適度に摂るわね、あんまり摂りすぎたら痩せられないもの」
心理「へぇ・・・」
吹寄「あとは・・・」
その後も吹寄はしばらく栄養について語っていた
こんな話を嬉しそうに語るあたり、彼女はテクパトルと話が合うかもしれなかった
垣根「数字のいっちは!なーぁに!?」
垣根「ロンギヌスーの槍!!!!!」
垣根は一人、リビングで転がっていた
女達は未だに風呂である
まさかその中で吹寄の胸を心理定規と■■が揉むという不思議イベントが行われているのは知る分けない
垣根(あー、ヒマだ)
時刻は4時半
競技開始までは約5時間
彼は発声練習をしていた
垣根「おーれとの愛を守るためー!!」
垣根「おーまえはたびーだーちー!!」
垣根「あしーたをー!!」
垣根「これじゃ練習にならんね」
垣根がゴロン、とソファーに転がる
垣根「・・・こうしてると、眠くなるよな」
まぶたが自然と落ちてくる
疲れているのもあって、すぐに夢の中へ落ちそうになる
垣根(・・・まぁ、一眠りすんのも悪くないか)
小さく微笑んで、垣根は思考を止める
そうすると、些細な音が聞こえてくる
ソファーの軋む音
外から聞こえる少しの声
垣根(・・・いい気持ちだ)
何も考えず
眠気に体を任せる
そして、夢の中へ・・・
心理「ただいまー、あがったわよ」
■■「あ。垣根だけ寝ようとしてる」
吹寄「ずるいわよ」
垣根「・・・ちっ」
心理「なんで舌打ちするのよ・・・」
垣根「こっちはな、そろそろ夢の中のヴィーナスとご対面するとこだったの!!」
プンプン、と垣根が頬を膨らませる
垣根「垂れパンダが実は垂れ乳だったってのと同じくらいショックだよ!!」
吹寄「意味が分からないわね」
■■「それは。ショック」
垣根「俺はな!!眠いんだよ!」
吹寄「私達もよ」
心理「あら、じゃあ寝ちゃう?」
■■「布団は。ある?」
心理「ソファーじゃダメかしら?」
心理定規がソファーを指差す
余裕で四人なら寝られそうな大きさだ
吹寄「・・・か、垣根も一緒に寝るの?」
垣根「お前、今から俺に二階に上がって寝ろってか?」
垣根が呆れたように言う
正直、■■の練習で一番疲れたのは彼だ
ずーっと能力を使っていたのだから
吹寄「そ、そうじゃないけど・・・」
心理「大丈夫よ、彼ってこう見えて真面目だから」
吹寄「そ、そう」
吹寄がしぶしぶと頷く
■■「・・・私も。少し不満だけど」
垣根「あぁ?お前らみてぇな魅力ない女なんざ襲うわけねぇだろ」
■■「あなたは。全国の巫女さんファンと。全国の巨乳フェチを敵に回した」
吹寄「と、とりあえず寝ましょう!」
心理「じゃあ、音楽かける?」
垣根「お、いいな」
垣根が適当にCDを漁る
■■「クラシックがいい」
吹寄「たしかクラシックは眠気を誘発する効果があったわね」
心理「垣根、いいのあった?」
垣根「静かなのがいいか?」
心理「当たり前でしょ」
垣根「じゃあ、これな」
心理(・・・絶対うるさいのかけるわよ)
垣根「SNAPのPOWERだ!!!」
垣根「アイブゴッザパーワー!!!!!!!!!!!!!」
心理「ぶち殺すわよ」
垣根「クラシックじゃないけどゴッドファーザー、愛のテーマで」
■■「あれなら。眠れそう」
独特のメロディーを聴きながら、四人は目を閉じる
吹寄(・・・今思えば、なかなかすごい設定の映画よね)
心理(・・・バイオリンが心地いいわ)
■■(・・・私は。スカーフェイスのほうが好き)
垣根(お尻に綿棒突っ込んだら痛いのかな)
それぞれが違うことを考えていた
そして、少しずつ思考が止まっていく
垣根「・・・目が、覚めました」
一番最初に目を覚ましたのは垣根だった
意味のわからない夢を見たせいで、すぐに目覚めてしまった
30分も寝ていないらしい
相変わらずゴッドファーザーのサントラが続いていた
垣根(・・・みんな寝てるとかムカついた)
垣根がまずは心理定規のもとへ近づく
垣根(・・・)
そっと、頬に触れる
心理「んっ・・・」
垣根(さぁ!!起きたいけど起きるほどの刺激じゃないよなー、どうしよっかな!!を味わえ!!)
心理「・・・んー」
垣根(ひゃひゃひゃ!!眠いんだろ!?でも気になるんだろ!!??)
心理「・・・」
垣根(ちっ、寝ることに決めたか)
今度は■■に近づく
垣根(えっと・・・あったあった)
垣根が手の持ったのは習字の筆
新品だ
垣根(あひゃひゃ!!足をくすぐってやるよ!!!!!!!!!!!!!!!!)
筆の先っぽで■■の足をくすぐる
■■「・・・うがー」
垣根(なんだ?いびきか?それともリアクションか?)
垣根が少しくすぐる強さを高める
■■「ぐぐぐぐ!!」
垣根(なんだこりゃ?)
■■「ほにょー」
垣根(・・・寝てるのか?)
首を捻りながらも、くすぐりは続ける
■■「あ・・・そこは違う穴だよぉ・・・」
垣根(なんの夢見てんだよ)
■■「ほーら。やっぱり○が正解だった」
垣根(いや、○×クイズか?てかなんで穴に飛び込んで正誤を競うんだよ)
■■「・・・」
垣根(リアクションがなくなったな)
垣根が吹寄に近づく
垣根(しっかし、胸がでけぇな)
横になっても盛り上がっている胸なんて卑怯ではないか
垣根(・・・まぁそっちはいいとして)
垣根が鉛筆削りを持ってくる
垣根(耳元で鉛筆削ってやる!!)
ガリガリガリ、と音を立てる
吹寄「ん・・・」
垣根(ひゃひゃ!!こりゃきっついぜぇ!?)
吹寄「・・・」
垣根(ほら見ろ!!目が開いて・・・)
垣根「え?目が開いて?」
吹寄「・・・何・・・してるの?」
垣根「は?鉛筆削り・・・」
吹寄「・・・ね、眠ってる私に近づいてなにしてたの?」
垣根「いえ、硬い棒を・・・」
吹寄「か、硬い棒!?」
垣根「あぁ、Hになるほど硬くなる棒を・・・」
吹寄「そ、それをどうしてたの!?」
垣根「いや、穴に突っ込んでグルグルと・・・」
吹寄「な、なななななな!?」
垣根「いや、鉛筆だからな?」
吹寄「え、鉛筆!?」
垣根「なんでそんな驚いたリアクションするんだよ」
吹寄「そ、そんなもの持ってどこに行くつもり!?」
垣根「頼むから落ち着けよ」
吹寄「私はいちゃって冷静よ!」
垣根「噛んでるじゃねぇか」
吹寄「わ、私の寝顔を見たの!?」
垣根「あぁ、心理定規のを見て■■のを見てそのあとに」
吹寄「さ、最後に?」
垣根「あぁ、なんか一番色気ないし」
刹那
垣根の顎に蹴りが炸裂した
吹寄「そういうのを面と向かって言うな!!!!」
垣根「そういうのが・・・色気なしなんだよ・・・」
宙を見上げながら垣根がつぶやく
なんでだろう
星空が見えている気がする
垣根(あれ、なんだか眠くなってきたよ・・・)
もしも清太がいたら「それ眠気ちゃう、気絶する寸前や」と言っていただろう
とにかく
垣根帝督はこの日、二度目の就寝を迎える
垣根が目を覚ますと
心理定規が心配そうな顔で覗き込んでいた
心理「・・・大丈夫?」
垣根「・・・ここは?」
吹寄「・・・ご、ごめん・・・まさかクリーンヒットするとは思わなかったのよ」
垣根「クリーン・・・」
垣根は、思い出した
垣根「・・・いいか、俺は怒ってはいない、もう一度言おう、怒ってはいない」
心理「あら、怒ってるわね」
■■「・・・吹寄。謝ったほうがいい」
吹寄「ほ、ホントにごめんなさい・・・」
心理「垣根・・・許してあげなさい」
垣根「・・・いったいなぁ、アゴがいったいなぁ」
垣根がアゴを擦る
垣根「猪木になっちゃうぜ」
心理「大丈夫、怒ってないみたいね」
吹寄「なんだ、よかった」
■■「じゃあ。朝ごはん食べよう」
垣根「なぁ、ツッコミはぁ?」
心理「私は突っ込まれるほうなの、はいどうぞ」
垣根「いや、なんで無茶振り?」
心理「じゃあ、私ご飯作ってくるわね」
心理定規がキッチンへ向かう
垣根「・・・ちくしょう、寝たのに眠気が取れない・・・」
吹寄「・・・それは危険よ」
垣根「誰のせいだよ」
■■「そんなどうでもいいことはおいといて」
垣根「」
■■「今日は。私の走り高跳びがある」
吹寄「あぁ・・・そういえば、練習したわね」
垣根「なに?寝ただけで忘れちゃうの?吹寄さんはバカなの?鶏なの?三歩歩いたら」
■■「ちょっと黙ってて。それで。私はどうやって目立てばいい?」
垣根「」
吹寄「そうね・・・目立ちたいの?」
■■「人は。他人に認められてこそ自分を確立する」
吹寄「うーん・・・たしかにそうね」
■■「だから。私は飛ぶ」
垣根「」
■■「行数を取るから現れないで。だから。私は目立ちたいの」
吹寄「・・・じゃあ、やっぱり一位になることかしら」
■■「一位・・・」
吹寄「まぁ、今から考えても仕方ないわよ」
吹寄が苦笑する
■■「よし。今から心理定規のご飯を食べて。力をつける」
吹寄「そうね、がんばりなさい」
心理「できたわよー」
吹寄「あ、出来たみたいね」
心理「はい、じゃあいただきます!」
吹寄「いただきます」
■■「いただきます」
垣根「」
心理「こら、挨拶をしなさい」
垣根「」
心理「おいこら」
垣根「いただきまーす」
心理「さて・・・じゃあ、食べ終わったし行きましょうか」
垣根「今日って■■以外の競技はあるのか?」
吹寄「えっと・・・うちの学校も常盤台も、ちゃんとあるわよ」
■■「だったら。垣根もヒマじゃなくなる」
垣根「おう、そうだなー」
心理「ほら、早く行きましょうよ」
心理定規が時計を指差す
心理「あと30分もないわよ?」
垣根「はぁっ!?」
吹寄「うそ!?もうそんな時間!?」
■■「急ごう」
垣根「じゃ、俺は飛んで行くんで」
吹寄「ちょ、ちょっとずるいわよ!」
垣根「あ、心理定規も一緒に行くか」
心理「あら、ありがとう」
垣根が心理定規の手を握る
吹寄「あ、一緒に飛べるなら私も・・・」
垣根「ここはこいつの特等席だ、じゃあな」
吹寄「・・・」
■■「行っちゃった」
垣根「さぁ!!みなさん、始まりました!!」
心理「大覇星祭、6日目!!!」
垣根「ちなみに!!!吹寄実行委員は遅刻でーす」
観客席がなぜか盛り上がる
垣根「さぁみんな!!早速行ってみよう!!」
心理「第一種目は!」
垣根・心理「紅白選抜リレー!」
上条「へぇ、吹寄は遅刻か・・・」
観客席で上条はつぶやいていた
ちなみに、今日はいつものメンバーが全員集まっている
一方「なンだよ、てめェのクラスの実行委員もダメだな」
番外「どうせ昨日の夜に誰かとギシアンしてたんだよ!」ケラケラ
ショチトル「それはお前だろう」
エツァリ「垣根さん・・・いつの間にか放送席に座るのが当たり前になっていますね」
削板「あぁ・・・いいことじゃないか!」
美鈴「あれ、上条さん、旦那さんは?」
詩菜「今、私の飲み物を買いに行ってくれてるんですよ」ニコニコ
旅掛「いい旦那さんじゃないか」
上条(・・・いや、威厳がないだけだ)
テクパトル「あれ、義姉さんは?」
上条「あぁ、紅白リレーに出るんだよ」
19090「え、選抜選手ですか?」
上条「さっすが美琴だろ!?」
一方「惚気かよ」
美鈴「へぇ、美琴ちゃんは昔からなんでも器用にこなしてたもんね」
旅掛「そうえばそうだな」
削板「そっか・・・昔から優等生だったのか」
エツァリ「それは、意外と苦労しそうですね」
美鈴「そうなのよね・・・周りからは一番取って当たり前、みたいになってるし・・・」
旅掛「そうそう、美琴は辛いだろうな・・・」
詩菜「でも、当麻さんはそうは思ってないでしょう?」
上条「?美琴は俺の一番だけど?」
ショチトル(うぜぇ)
垣根「さぁ!!始まります!」
吹寄「注目は常盤台のツートップ、そしてダークホースの青髪選手!!!」
上条「え、青ピも出るのか」
19090「?あのヘンな人ですか?」
上条「ヘン・・・」
テクパトル(・・・こいつらをレイプしようとしたヤツだな)
美鈴「美琴ちゃんはやっぱ注目選手か」
美琴「・・・なんでアンタがいんのよ?」
食蜂「あら、常盤台のツートップよ?最強のコンビじゃない」
美琴「アンタとコンビとかいやよ」
食蜂「あら、お得意のツンデレかしらぁ?」
美琴「あ、当麻だ!!当麻ーー!!」
食蜂(・・・)
食蜂「私泣きそうなんだけど」
美琴「泣けば?」
垣根「よし!選手並べよ!」
心理「さぁ!!みなさん、ご注目ください!」
美琴(・・・私の前は・・・えっと、誰?)
食蜂(・・・?誰?)
美琴(あぁ、どうでもいいのね、この人は)
食蜂(ひっどいわね)
そして、競技が始まった
美琴(・・・よし、白が勝ってる)
食蜂(・・・今は点数も白が勝ってるのね)
美琴「食蜂、アンタで差を広げられる?」
食蜂「あら、御坂が抱きしめてくれるって言うなら全力を出すわよぉ?」
美琴「・・・結果によるけど、いいわよ」
食蜂「そうよねぇ、どうせ御坂はあの上じょ・・・え?」
美琴「私はね、今当麻と勝負してるのよ」
美琴「紅白で負けたほうが罰ゲームを受ける」
美琴「このリレー、勝ったほうが100点取れるのよ」
美琴「分かるかしら?かなり有利なのよ」
美琴「だから、ここで差を広げてほしいもの」
美琴「ヘンな要求だったら断ってたけど、まぁ抱きしめるくらいなら・・・」
食蜂「・・・え、マジ?」
美琴「その代わり、がんばってよね」
食蜂「・・・い、いいの?」
美琴「ま、できるものなら」
食蜂「ま、まぁ!!やってやってもいいわよ!?」
美琴「じゃ、よろしく」
食蜂(来た!!私の時代が来た!)
食蜂(美琴と抱擁・・・これはもう今晩のオカズ決定よ!?)
美琴「ほら、次はアンタの番」
食蜂「・・・ねぇ、もう一つお願い」
美琴「なに?」
食蜂「私が走ってる間、声援を送ってちょうだい」
美琴「えぇ、いいわよ」
食蜂「操折、がんばれーって」
美琴「それはないわ」
食蜂「じゃ、行ってくるわ」
食蜂がスタートラインに立つ
もう、前の走者は近づいてきている
食蜂(やってやるわ)
食蜂の手に、バトンが渡る
食蜂(美琴の抱擁!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
上条「は、速い!」
ショチトル「あれは・・・ボルトもビックリだな」
一方「あァ・・・あの速さは・・・」
テクパトル「・・・削板、お前なら勝てるか?」
削板「なに、余裕だな」
詩菜(あらあら、かなり盛り上がるわねぇ)
美鈴(・・・美琴ちゃんがなんか溜め息ついてる)
食蜂「はい、御坂!!」
美琴「ありがと!!」
美琴が食蜂からバトンを受け取る
かなりの差をつけている
美琴(・・・はぁ、抱きしめるのはイヤなんだけど)
だが約束は約束だろう
なんだか食蜂はかなり嬉しそうだし
上条「美琴ぉぉぉぉ!!!!」
番外「あれ、上条は紅組だよね」
19090「そうですね、敵同士ですよね?」
エツァリ「複雑なんではないですか?」
上条「で、でも俺は応援する!!」
美鈴「さっすが上条くん!」
旅掛「いやぁ、しかし美琴は速いな」
美琴「はぁ・・・終わったわ・・・」
食蜂「お疲れ様・・・」モジモジ
美琴「・・・あぁ、だったわね」
美琴がそっと食蜂を抱きしめる
食蜂「ふひょぉぉぉぉ!!!!!」
美琴「」
美琴「アンタ、なんか黒子っぽくなったわね」
食蜂「と、とにかく・・・白が勝ったみたいね」
食蜂がゴールを指差す
かなりの差をつけて白組が勝っていた
垣根「おめでとうございます!!白組、勝利です!」
心理「あ、吹寄さんお帰り」
吹寄「・・・道が混みすぎよ・・・」
御坂妹「・・・ちぇっ、テっくんは19090号ばっかり特別扱いして・・・」
17600「彼女なんだから当たり前だろ」
10039「・・・さすが大人数ではダメ、ということですか・・・」
19090号以外のミサカたちは、テクパトルたちとは別行動だった
20000「あーあ、ヒマだぜ」
アイスを食べながら20000号がつぶやく
14510「・・・テっくんは、競技場ですか・・・」
御坂妹「えぇ、どうせ今頃19090号とイチャイチャしてますよ」
みんなが文句を言っていた
トチトリ「まぁ、仕方あるまい」
13577「トっちゃんはそうかもしれませんが・・・」
トチトリ「なぁ、そのニックネームはやめてくれ」
10033「?愛嬌があるじゃないですか」
トチトリ「・・・はぁ」
トチトリは溜め息をついていた
テクパトルが「テっくん」と呼ばれるのは分かる
だが、彼女をトっちゃんというのはおかしいだろう
17600「ミサカはトチトリでいいがな」
トチトリ「・・・ありがとう」
ぽっ、とトチトリの頬が染まる
20000「ちっ、17600号もリア充になりかけか」
17600「はぁ?」
御坂妹「あなたは中々男前ですからね・・・」
17600「・・・ケンカを売ってるのか?」
17600号が声を震わせる
さすがの彼女も、男前と言われるのはイヤらしい
14510「いえ、悪い意味ではなく」
17600「どっちでも構わん、言い訳をするな!」
20000「お、何々お冠!?」
御坂妹「いいでしょう、かかってこいやー、とミサカは身構えます」
10039「迎撃体勢は完璧です、とミサカは現状を述べます」
17600「上位個体以来だな、こんなに苛立ちを覚えた相手は!!」
トチトリ「お、おい・・・」
17600「止めるなぁ!」
暑い日差しの中
御坂妹「ほりゃー!」
17600「あちょー!」
20000「んぁぁっ・・・」
ミサカたちの止められない戦いは始まった
トチトリ「助けてテクパトルぅぅううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!」
垣根「えー、次の種目は・・・走り高跳びです」
吹寄「選手のみなさん、準備運動はしっかりしてくださいね!」
心理「しっかりしないとお姉さんがお仕置きしちゃうぞ☆誰よこの台本書いたの」
垣根「えー、注目選手は■■選手でしょうかね」
心理「えぇ、信じられない快進撃を続けていますね」
吹寄「あとの選手も、強豪ぞろいです」
垣根「なお、この種目は男子、女子が分かれています」
心理「それぞれ、一番高く跳んだ選手が優勝です」
垣根「ちなみに、大会記録を更新された場合はペアで行くイギリス旅行がもらえます」
吹寄「え、そうなの?」
垣根「急遽決められたらしい」
心理「へぇ・・・」
美琴「ただいま・・・って、当麻は?」
テクパトル「おかえり・・・上条なら競技場だよ」
美琴「え、選手なの!?」
美鈴「なんか、出る予定だった選手が体調不良になっちゃって急に代役になったらしいよ」
一方「土御門の野郎が言ってたなァ」
刀夜「母さん、それでよかったかな?」
詩菜「あらあら、ゲータレードを私は応援してるわよ?」
美琴「・・・当麻って運動神経はいいわよね・・・」
エツァリ「えぇ、かなりいいですよ」
ショチトル「ただ、運がないからな」
番外「代役になった時点で運はないけどね」
19090「で、ですがきっと大丈夫です!お義兄様なら!」
テクパトル(・・・だが、練習はしてないんだよな・・・)
上条「・・・」
■■「ドンマイ」
上条「・・・お前はもともと選手だったのか・・・」
■■「そう。私はこういうのは得意」
上条「なんで?」
■■「風になれるから」
上条「・・・はぁ?」
■■「男子から先みたいね」
上条「あぁ・・・俺はもう少しあとだけどさ」
もう一人目の選手は跳び始めていた
どうも、強豪揃いというのは本当らしい
いきなり高記録が出されている
上条(・・・俺は・・・行けるか?)
この種目は、チャレンジ式だ
前の選手が飛んだ高さより高く飛べなければその時点で敗北
そして、それを繰り返し最後まで残った選手が勝ちになる
上条(・・・一人目は得だよな、一回目は低いの跳んでもいいんだから)
■■(でも。そしたら、他の選手も生き残る可能性が高くなる)
上条(・・・一発、高いのを狙うほうが賢明か?)
垣根「さぁ!!次は上条選手です!!」
心理「もはやご存知、御坂美琴選手の彼氏です」
垣根「運動神経はいいですが、いかんせん運がありません」
心理「しかもフラグ男です」
上条(な、なんか観客席から野次が飛んできてるよ!?)
■■(自業自得)
上条「と、とりあえずやってやる!」
上条がスタート位置につく
上条(・・・今の記録は150cm・・・)
上条(・・・?150cmってすごいのかな?)
上条が首を捻る
彼は走り高跳びなんて詳しくない
そもそも、体育に詳しい人間ではない
上条(とりあえず、差をつけたほうがいいな)
垣根「さぁ、上条選手!!」
心理「何cmですか!?」
上条「185cm、行ってみよう!!!」
垣根「」
吹寄「」
心理(バカね、えぇ救いようも無いバカよ)
美琴「185・・・って」
テクパトル「・・・日本の高校生記録は、209cmじゃなかったか?」
ショチトル「・・・無理だろ」
一方「実にバカだなァ」
美鈴「ねぇパパ、パパなら飛べる?」
旅掛「いや、無理だ」
詩菜「あらあら、当麻さんはどうするのかしら」
刀夜「・・・跳ぶしかないだろう・・・」
垣根「か、上条選手・・・185cmに挑戦です」
バーが185cmにセットされる
上条(?なんか、観客席が静まり返ってるんだけど)
心理「さぁ・・・上条選手、失敗したときの言い訳を考えていたほうがいいですよ」
上条「は?」
■■「あなたは。バカ」
19090「・・・テっくんなら跳べそうですか?」
テクパトル「まぁ・・・削板もいけるだろ」
削板「あぁ、だがあれはよっぽどだぞ・・・」
番外「へぇ・・・どうすんだろ」
上条「よーし、行きましょうかね」
上条が足首をぐるぐる回す
■■(正真正銘のバカ)
上条「?そういえばこれって大会記録になるのかな?」
■■「・・・言っておくけど。大会記録は170cm」
上条「え」
上条「なぁ、もしかして無謀な挑戦?」
■■「無謀なんてものじゃない」
上条(・・・おい、マジかよ・・・)
上条は理解した
なぜか、観客席が静まり返っている理由を
美琴が、上条に尊敬と心配のまなざしを向けている理由を
他の友達が、呆れた顔をしている理由を
垣根が笑い転げそうになっている理由を
上条「で、でももう申告・・・」
■■「再申告したら。かなりのブーイングもの」
上条「」
上条「えぇい!!ままよ!!」
上条がスタート地点に立つ
観客席が野次やら歓声やらを浴びせてくる
詩菜「当麻さーん、がんばってくださいね」ニコニコ
刀夜「当麻!!お前ならやれる!!」
美鈴「えぇ・・・無理でしょ・・・」
旅掛「どうかなぁ・・・」
美琴「当麻!!がんばって!!」
美琴が大声を上げる
上条(そうだ・・・俺は、逃げない!)
たとえ失敗しても
彼は後悔などしない
いや、後悔しかないのだが
上条(・・・行くぞ!)
上条が地面を蹴って走る
周りの歓声も、野次も
驚きの目も、好奇の目も
何も感じない
ただ
美琴「当麻、がんばって!!!!」
その声だけを聞いた
上条「はっ!」
上条の体が宙を舞う
どう見ても、素人のフォームだ
周りの選手はバカにして笑っている
しかし
徐々に、その顔が青ざめていく
上条(・・・あれ、バーが体に当たった感触はないですよ?)
ただ、クッションの感触だけを感じた
垣根「せ・・・」
心理「成功です!!!185cm、成功です!!!!」
吹寄「た、大会記録です!!!!」
おぉぉぉぉ!!!と歓声が上がる
美琴「やった!!!!当麻かっこいいよーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」
削板「・・・こりゃすげぇな・・・」
テクパトル「マジかよ・・・」
美鈴「すごいね!!跳んだよ!!」
一方「さすが上条だな」
番外「うん、すっげぇや!」
詩菜「見ました、刀夜さん?」ニコニコ
刀夜「あぁ、やったぞ母さん!」
旅掛(すっげぇなぁ・・・)
上条「あ、あれ?跳んじゃった・・・?」
■■「オーマイガー」
上条「やったぁ!!」
上条が右手を振り上げる
彼の運動神経はたしかにかなりのものだ
ただ、今回の記録は美琴の応援のおかげだったかもしれない
上条「美琴!!ありがとう!!」
美琴「見て!当麻がこっちに手を振ってる!!」
ショチトル「分かったから落ち着け」
19090「・・・しかし、イギリス旅行がもらえるんですよね・・・」
美琴「!!わ、私と当麻がペアで!?」
旅掛「なにぃ!?」
美鈴「ワーオ」
詩菜「まぁまぁ、こういうときもフラグに関係するなんて・・・」
刀夜「母さん、怖い!」
■■「結局、他の選手は棄権したわね」
上条「ちょっと残念だな・・・」
■■「・・・私も、ちょっとがんばってみる」
■■が立ち上がる
次は女子の番なのだ
■■「・・・」
上条「■■、がんばれよ」
■■「・・・新記録作っても。ペアで行く相手はいないけど」
上条「吹寄連れてって、俺たちと四人で行ったら?」
■■「・・・いや。遠慮しておく」
■■がスタートラインへ向かう
上条「?楽しそうなのに」
■■「いいから」
■■「あなたは。何も分かっていない」
上条「?なんで?」
■■「行ってくる」
少し不機嫌そうな顔をしてから、■■が歩いていく
垣根「さぁ、■■選手!!」
吹寄「何cmにチャレンジですか!?」
■■(・・・大会記録は140cm)
■■(目立つには。優勝だけなんかじゃ意味が無い)
■■(最高記録を作る)
■■(・・・)
「俺たちと四人で行ったら?」
■■(・・・あなたは。もう誰と行くか決めてるのね)
はぁ、と一度溜め息をつく
そして、前を見つめた
■■「・・・160cm」
垣根「160・・・?」
吹寄「い、一般男子でも難しい記録よ?」
心理「跳べるの?」
■■「跳べるとか跳べないとか言ってるんじゃない」
■■「跳ぶの」
観客席から拍手が巻き起こる
地味だった彼女は、この数日でスターになった
太陽には届かない、それでも輝く星屑に
■■(・・・もしも)
もしも、この記録を成功させられたら
■■(・・・ふふ。バカね)
そんなふうに自分を嘲笑ってから
■■は、地面を蹴った
■■の体が宙を飛ぶ
昨晩の練習と同じ完璧なフォーム
失敗するかもしれない
そんな考えもあった
それでも
垣根「成功です!!」
心理「男女、両方とも記録が塗り替えられました!!」
彼女は、成功させてしまった
■■「・・・結局。私達のおかげで白組が点数を稼げた」
上条「よかったな・・・でも、誰とイギリス行くんだ?」
■■「吹寄」
上条「?じゃあ俺たちと一緒で・・・」
■■「恋人を見せ付けられると。死にたくなる」
上条(えぇ・・・)
■■「そういうことだから」
■■が観客席へ帰る
上条「?なんなんだろ?」
首を捻りながら、上条も観客席へ帰る
美琴「当麻!!おめでとう!!」
上条「お、サンキュー!」
美鈴「上条くんすごいね!」
旅掛「いやぁ、さすが美琴が選んだ男だ!!」
詩菜「まぁまぁ、当麻さんったらすごいわね」ニコニコ
刀夜「いやぁ、私も驚いたよ!」
上条「そうか?まぁ意外だったけど・・・」
一方「いや、すげェよお前」
ショチトル「ホント、尊敬するよ」
上条「つまらなそうな顔をしながら言うな・・・」
番外「いっやぁ、すごいね!」
上条「・・・イギリス旅行、行くか?」
美琴「あ、あぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
美鈴(うっわぁ、初心な反応)
エツァリ(二人きりでの旅行は初めてではないでしょうに)
テクパトル(イギリスか・・・飯まずいのにな)
19090(テっくんと二人で旅行できたら・・・)ポーッ
削板(おなか減ったなぁ)
上条(いやぁ、でも嬉しいな)
また、美琴と旅行に行ける
しかも、記録も作ってしまった
カッコイイとこを見せられたし、一石二鳥だ
上条(・・・よかったな)
陽射しがいっそう眩しく感じた
上条「幸せだな」
黒子「・・・なんですのこの暑さ」
初春「・・・削板さんは今日はいないんですね」
黒子「えぇ、さすがに毎日手伝ってもらうのは気がひけて・・・」
初春「・・・でも、ちょっと大変ですね」
黒子「そうですのね・・・」
二人はやはり風紀委員の支部にいた
しかも、今日は一段と熱中症の患者が多い
黒子「・・・もうすぐ昼ですのね」
初春「これからもっと増えますよ・・・」
黒子「はぁ・・・イヤになりますの」
初春「それは言ったらダメですよ」
初春が苦笑する
黒子「・・・どうせまた水分補給を怠っただけですの」
初春「し、白井さん・・・」
たしかに黒子の言うとおりだ
大抵は水分補給をしないせいで起きてしまう
さすがに、こうも激務が続くとイライラするらしい
黒子の顔はげっそりとしていた
黒子「・・・はぁ」
初春「・・・白井さん、少し休んだらどうですか?」
黒子「そうしますの・・・」
黒子が椅子に座る
こうやって座ったのは、今日初めてだ
ずっと立ちっぱなしで看病をしていたから
黒子(・・・競技は盛り上がっているでしょうか)
黒子だってやはり気になってしまう
しかも、今はどうしても結果を見られないだけに余計
初春「実行委員はかなり自信があったみたいですね」
黒子「あら、そうですの?」
初春「なんでも、ここ数年で一番楽しいかもって」
黒子「まぁ・・・」
黒子「ですが、アナウンスは・・・」
初春「・・・あの人ですもんね」
はぁ、と二人が溜め息をつく
垣根がアナウンス
去年もそうだったが、なぜか彼のアナウンスは人気なのだ
初春「・・・でも、あれって・・・」
黒子「実行委員の仕事横取りですの」
初春「そうですよね・・・」
実行委員もショックだろう
自分達ががんばって考えた企画よりもあんなアナウンスのほうが盛り上がるのだから
黒子「まぁ、実行委員は少々お堅いですが」
初春「垣根さんがやわらかすぎるんです」
初春が頬を膨らませる
黒子「・・・とにかく、仕事ですの」
初春「え、もう休憩はいいんですか?」
黒子「えぇ」
黒子が椅子から立ち上がる
いつまでも休憩はしていられない
初春「・・・無理はダメですよ?」
黒子「もちろん」
黒子が初春に微笑みかける
彼女はときたま無理をする癖があった
初春もそれを心配しているのだろう
初春「・・・きつかったら言ってください」
黒子「はいですの」
二人の同僚はまた仕事を始める
黒子(・・・今日も暑いですの)
額の汗を拭いながら黒子は思っていた
時刻は11時
まだまだ暑い
これから、仕事は増えていく
テクパトル「・・・そろそろ昼飯だな」
19090「そうですね・・・」
テクパトル「じゃ、俺達はこれからレストラン行ってくる」
上条「?みんなとは食わないのか?」
テクパトル「あいにくこっちはわがままな家族がいるんでな」
テクパトルが肩をすくめる
美琴「・・・ごめんね、迷惑かけて」
テクパトル「好きでやってるんだから仕方あるまい」
美鈴「きゃー、テクパトルくんカッコイイ!」
テクパトル「はいはい、義母さんは綺麗だよ」
美鈴「えっ・・・」
旅掛「てめぇテクパトルぅ!俺の美鈴に手ぇ出してんじゃねぇよ!」
テクパトル「いやいや冗談で返したんだってば!」
旅掛「ぐぁぁ!ミサカキラーめ!」
テクパトル「殺してねぇからな!」
19090「・・・綺麗・・・」
テクパトル「あぁもう!お前は綺麗だし可愛いし優しいよ!」
19090「//」
刀夜「母さん、ああいうほうが私より悪いと思うんだが」
詩菜「まぁまぁ、そんなことないわよ?」
刀夜「なんで!?」
番外(あ、MNWの負の感情が高まっていく・・・)
テクパトル「とりあえず!俺は行くからな!」
テクパトルが19090号の手を引いて観客席から去っていく
上条「なんか・・・もう父親みたいだよな」
エツァリ「あの歳で大変ですね」
一方「あァ」
削板「おっと、俺も黒子のとこに行かないとな」
上条「あぁ、じゃあまた後でな」
削板「おう」
美琴「・・・じゃ、残りのメンバーで食べに行きましょうか」
ショチトル「垣根たちも待たないとな」
旅掛「いやぁ、賑やかだな」
上条「・・・そういえばキャーリサたちは?」
美琴「あれ、ステイルたちも・・・」
イギリス勢がいない
少し、嫌な予感がしてしまう
上条「・・・昼飯・・・」
美琴「インデックス・・・」
ショチトル「ん、どうした?」
上条「いや、なんでもない・・・」
上条と美琴はため息をついていた
上条(まぁ・・・がんばってもらうしかないかな)
ステイル「・・・インデックス、君は本当によく食べるな」
とあるレストラン
そこでイギリス勢は食事を取っていた
神裂「・・・本当にお腹を壊さないのですか?」
イン「うん!とっても美味しいんだよ!」
五和「・・・な、なんだか見ているだけで疲れてしまいますね・・・」
キャーリサ「しっかし、本当によく食べるし」
騎士「・・・皇女、なぜそんなに吐きそうな顔をしておられるのですか」
キャーリサ「いや・・・なんだか少し気持ち悪くてな」
ステイル「いや、仕方ないことだよ」
ステイルがキャーリサに向けてつぶやく
神裂「・・・たしかに」
イン「?なんで?」
五和「いえ・・・お米とパンとスパゲッティーとお好み焼きとヤキソバの組み合わせはおかしいですよ・・・?」
キャーリサ「炭水化物が発狂してるし」
イン「美味しいんだよ?」
ステイル「まぁ、君が笑顔ならそれでいいさ」
ニコニコ、とステイルが笑う
神裂も、五和も
みんなニコニコとしながら見つめている
もちろん、ステイルも
インデックスが笑顔ならばそれでなんでも許せてしまう彼なのだ
今の状況も微笑ましい光景と考えているのだろう
ただその中で
騎士(・・・誰か助けてくれ)
騎士団長だけは、もう泣き出しそうだった
吹寄「・・・垣根、貴様は食事・・・どうするの?」
垣根「みんなと食うんだよ、な」
心理「えぇ、いつものメンバーと・・・吹寄さんも行く?」
吹寄「ううん、私は姫神と食べに行く予定だから」
垣根「そっか、じゃあまた午後にな」
垣根が立ち上がる
心理定規の手を引いて、放送席から立ち去る
それを、吹寄は少し寂しそうに見つめていた
■■「何を。悲しそうな顔をしているの」
吹寄「・・・い、いきなり後ろから声を掛けられたら驚くんだけど」
■■「・・・なんで悲しそうな顔をしているの」
吹寄「・・・特別な理由なんてないわよ」
吹寄がため息をつく
ただ、なんとなく寂しいのだから
■■「・・・イギリス旅行当たっちゃった」
吹寄「あぁ・・・副賞ね」
■■「一緒に。行ってほしい」
吹寄「えぇ、いいわよ」
吹寄がニコリと微笑む
■■「・・・私で。本当にいいの?」
吹寄「もちろん、さっさとレストラン行きましょう!」
吹寄が椅子から立ち上がり、スタスタと歩いていく
■■(・・・吹寄。失恋は辛いけど)
■■(それはあなたにとって。いい経験になるはず)
少し後を、■■は追い掛けた
垣根「あーあ、なんなんだよこの人数・・・」
垣根はつぶやいていた
上条「仕方ないだろ・・・」
美琴「いつものメンバーとあんまり変わらないじゃない」
垣根「こうやって集合したのが久しぶりじゃねぇか」
心理「たった二日、三日じゃない」
一方「垣根は一日でも俺らと離れたら死ンじゃうンだもンな」
垣根「うるせぇよ」
旅掛「でも、こんなにたくさん友達がいるってのはいいことじゃねぇか」
美鈴「美琴ちゃんは幸せだね!」
刀夜「もちろん当麻もだぞ?」
上条「分かってるよ、みんなには感謝してる」
垣根「感謝なんていらねーよ、いまさら水臭い」
ショチトル「そうだな、私達らしくないし」
ショチトルがははは、と笑う
仲のいいメンバーがいまさら感謝だなんて必要ないだろう
心理「・・・でも美琴は本当に恵まれてるわよ」
ポツリ、と心理定規がつぶやく
とてもうらやましそうに
美琴「え・・・そうかな?」
心理「素敵な彼氏がいて・・・」
美琴「心理定規もいるじゃない」
心理「それだけじゃない、こんなに優しい親がいて」
垣根「・・・」
心理「支えてくれる友達がいて」
美琴「・・・そういえばそうね」
心理「私はあなたに憧れてるわ」
大して恥ずかしがることもなく
スラスラ、と心理定規は言葉を並べる
美琴「あ、憧れてる?」
心理「あなたみたいな人間だったらどれほどよかったか」
心理「力があって、それを誰かのために使えて」
心理「周りを守り、周りから尊敬され」
上条「・・・美琴は周りから理解はされなかったんだぜ?」
心理「それでもよ」
なぜだろうか
心理定規の表情が一瞬だけ曇った
美鈴「・・・あなたは幸せじゃないの?」
心理「幸せよ・・・でも、何かが違うの」
エツァリ「何が・・・ですか?」
心理「私にもそれはわからないわ」
番外「ずいぶんと厄介だね」
上条「・・・心理さんは垣根に支えてもらえばいいじゃないか」
心理「えぇ、そうしているしこれからもそうよ」
垣根「・・・辛気臭い話になるのはやめようぜ」
心理「そうね、早く注文しましょう」
ショチトル「みんな何が食べたい?」
ショチトルがメニューを取り出す
上条「俺は・・・」
みんながそれぞれ、自分の頼みたいメニューを選ぶ
心理「・・・」
垣根「なんだよ、疲れたような顔なんかして」
心理「・・・なんでもないわよ」
垣根「へー」
垣根が頭の後ろで腕を組む
垣根「・・・ま、気楽に生きようぜ」
心理「えぇ」
美琴「・・・はぁ、あと二日・・・か」
一方「正確には一日半だろォが」
上条「なんか、終わりが近づくと寂しくなるよな・・・」
番外「そんなもんなの?」
美鈴「うーん・・・また美琴ちゃんと会えなくなっちゃうんだなぁ・・・ねぇ、パパ?」
旅掛「イヤだ!!もうここに住む!!」
美琴「だだこねないの」
ショチトル「上条の両親もやっぱり寂しいのか?」
詩菜「まぁまぁ、それは寂しいですよ?」
刀夜「でも最近は当麻もいろいろと電話で話してくれるからな」
上条「あぁ、そうだな」
水を飲みながら上条がうなずく
美琴「へぇ・・・どういうこと話すんですか?」
刀夜「そうだなぁ・・・」
詩菜「美琴さんとのラブラブな経験とかよ?」ニコニコ
美琴「え!?」
上条「いやいや!!それ以外にも話したりしてる・・・」
旅掛「ラブラブな経験だとぉ!?」
旅掛が上条の言葉をさえぎり椅子から立ち上がる
旅掛(ど、どういう経験!?手を繋いだとかキスをしたとかなんてレベルじゃないだろうな、そうだよ上条くんだって高校生だぞ?俺が高校生のとき母さんと何やってた?そうか、上条くんと美琴だって同じことをしてるはずだ、でもそしたら美琴は・・・)
旅掛「美琴!!」
美琴「ん?なに?」
旅掛「子供はまだ早いぞ!?」
美琴「はぁ!?」
旅掛「いいか、俺たちは少々焦りすぎたからなぁ、美琴と上条くんにはそんな・・・」
美琴「だ、だからなんの話よ!?」
エツァリ(これは・・・)
垣根(へへへ、修羅場だぜ)
美琴「第一!!そんな心配・・・」
一方「あァ?どォせお前ら昨日もやったンだろ?」
美琴「」
上条「」
一方「あァ?」
垣根(地雷踏みやがったぜこいつ)
ショチトル(あーあ)
美鈴「え、そうなの美琴ちゃん!?」
旅掛「美琴ぉ!いや、分かってた!!分かってたんだぞ!?」
詩菜「まぁまぁ、刀夜さん、孫の顔がもうすぐ見られるかもしれませんよ?」
刀夜「いやいや!!せめて40代になってからで!」
上条「なんだよそれは!?」
心理「まぁ、二人とも汚らわしいわね」
上条「心理さんだってヤって・・・」
心理「あ?」
上条「すいません」
旅掛「いつ!?いつ初めて!?」
美琴「うっさい!!お父さんには関係ないでしょ!!」
旅掛「反抗期!?」
一方「おい、注文したの来たぞ」
番外「おー、ハンバーグ美味そう」
打ち止め「わーい、ハンバーグだ!!ってミサカはミサカは喜んでみたり!!」
一方「」
上条「う、打ち止め!?」
詩菜「あら?小さい美琴さん?」
上条(!!まずい、母さん達は打ち止めのこととか知らないんだ!!)
垣根「おー、御坂のチビじゃねぇか」
打ち止め「?」
垣根「いいから話合わせろ、そしたらケーキ奢ってやるから」コソ
打ち止め「了解したぜ、ってミサカはミサカはこっそり敬礼してみたり」
上条「いやいや、ていうかなんで!?」
美琴「い、いつからいたのよ!?」
打ち止め「だってお姉ちゃんに会いたかったんだもん!!ってミs・・・っと」
垣根「そうだ、語尾はダメだぜ」コソ
打ち止め「ちくしょう・・・なかなかきついぜ、ってミサカはミサカは小声で語尾をつぶやいてストレス解消してみたり」
一方「お前なァ・・・」
美鈴「・・・ねぇ上条くん」コソ
上条「は、はい?」
美鈴「この子も妹達なの?」
上条「あぁ、まぁ・・・」
美鈴「そっか・・・よし」
美鈴「久しぶりだね!!美香ちゃん!!」
美琴「・・・はい?」
刀夜「?美香ちゃん?」
美鈴「えぇ、うちの娘で・・・美琴の妹なんですよ」
番外(おぉ、やるぅ)
一方(つゥかなンで番外個体にはノータッチなンだよ)
旅掛「美琴が学園都市は楽しい、っていうものでね」
詩菜「まぁまぁ、だから妹さんも?」
打ち止め「うん!!ここはすっごく楽しいよ!」
心理(まぁ、この子演技派ね)
打ち止め「ねぇ、ママ!」
打ち止めが美鈴の膝の上に座る
彼女は年齢相応の感情を持っている
親に甘えたい年頃なのだろう
が
旅掛(ふぉぉぉぉぉぉ!!!なんだこの可愛い生き物はぁ!?)
美鈴(昔の美琴ちゃんそっくり!!アホ毛とか!!!)
旅掛(なんだこの可愛い生き物はぁ!?)
打ち止め「?ママ?」
美鈴「なにか買いたいものはある!?」
美琴(あ、母性本能を刺激されたわね)
垣根(打ち止め・・・お前は大人殺しだぜ)
一方(・・・打ち止めにパパって言われたら・・・おォ・・・)
番外(なんかこの人が怖い)
美鈴「何がいいかな!?」
旅掛「なんだって買ってやるぞ!?」
打ち止め「えーっとね・・・ミサ・・・美香は服がほしいなぁ!!」
旅掛「服か、ちょっと服屋を買ってくる!!」
刀夜「み、御坂さん落ち着いて!」
詩菜「それにしても可愛い子ねぇ・・・」ニコニコ
上条(そっか・・・俺の家は一人っこだからな・・・)
ショチトル(ハンバーグって卑猥だよな)
美鈴「ふぉぉぉ!!もうダメだ、ちょっと水を飲もう!」
美鈴と旅掛が水をがぶ飲みする
一方「・・・てめェ、なンでいンだよ?」コソ
打ち止め「ヨミカワから聞いたよ!ってミサカはミサカは答えてみたり!」コソ
一方「・・・ストーカーかあいつは・・・」
番外「まぁまぁ、いいじゃん」
上条「ところで・・・打ち止め」コソ
打ち止め「?なに?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
上条「他の妹達はどこなんだ?」
打ち止め「今頃テっくんと食事・・・」
一方「てめェ!!いつからアイツをニックネームで呼ぶようになった!?」
打ち止め「?いいじゃない、ってミサカはミサカは呆れてみたり」
一方(ふざけンじゃねェよ!!俺だってアーくんとか呼ばれてェよ!!)
ショチトル(ほら、刺しただけで汁がグチュグチュ出てきて・・・私は生のほうが好みだな・・・ハンバーグの話だぞ?)
上条「そっか・・・テクパトルが一緒なら安心だな」
打ち止め「?」
上条「いや、なんかあいつらってたまに暴走するからさ」
美琴「あぁ・・・そういえばそうね・・・」
美鈴「美香ちゃん!!一体何がほしいかな!?」
打ち止め「ケーキとパフェ!」
旅掛「すぐ持ってこい!!」
上条(ダメだこいつら、早くなんとかしないと)
テクパトル「・・・」クシュン
御坂妹「え、なんですか、今のかわいらしいクシャミ・・・」
10039「テっくん、風邪ですか?とミサカは若干心配します」
テクパトル「大いに心配してくれよな・・・」
テクパトルは溜め息をついていた
何しろミサカたちは8人
さらにトチトリもいるのだ
トチトリ「いやぁ、悪いな奢ってもらって」
19090「テっくん・・・お金大丈夫ですか?」
テクパトル「なに、問題ない」
20000「ミサカ、体売って返すよ」
テクパトル「いらんから大事な体は売るな」
20000「//」
17600「そこはデレるタイミングじゃないぞ」
テクパトル「・・・でも、みんなハンバーグ大好きなんだな」
テクパトルがテーブルに並んだ食事を見つめる
トチトリは冷しゃぶうどんだが、それ以外は全員ハンバーグだった
14510「いやぁ、この美味さは異常ですよ」
10033「冷凍食品だとしても、とミサカは痛烈なツッコミを浴びせます」
13577「テっくんは・・・」
13577号がテクパトルの注文した品を見る
ステーキ定食
それにサイコロステーキ、鮭のムニエル
そして、野菜サラダ
13577「・・・あの、テっくんが鍛えてるのは知ってますが・・・」
テクパトル「?」
御坂妹「見ていて、恐ろしい量ですね・・・」
テクパトル「そうかな?」
19090「・・・三人前はあるんじゃないですか?」
トチトリ「昔からお前はよく食ってたな」
19090「・・・テっくんのことを昔からよく知ってるんですか」ムスッ
トチトリ「安心しろ、このクズにはこれっぽっちも好意を抱いてはいない」
テクパトル「・・・悪かったなクズで」
トチトリ「・・・まぁ、これで噛み付かなくなったのはかなりいい変化だがな」
トチトリがうどんをすする
テクパトル「しかし・・・さすがに味が濃いな」
19090「?テっくんは薄味派ですか?」
テクパトル「いや・・・だが濃すぎるのもな」
御坂妹「たしかにそうですね・・・」
14510「でも、美味しいですよ?」
テクパトル「あぁ、みんなで食べると美味しいな」
ニコリ、とテクパトルが微笑む
そういうセリフが誑しと言われる所以なのだが
17600(・・・ハンバーグって、たまに無性に食いたくなるよな)
10033(・・・べ、べつに今のテっくんのセリフにドキドキしたりはしていません!)
トチトリ(・・・17600号、なんかカッコイイ・・・)
20000(ギブミーチョコ)
テクパトル「・・・しかし、今日は一段と暑いよな」
外を眺めながらテクパトルがつぶやく
レストランの外には行列が出来ていた
暑いのだろう、中には死にそうな顔をしながら立っている学生もいる
御坂妹「どう考えてもレストランが足りてませんよね・・・」
13577「需要と供給のバランスがおかしいです」
10039「某48人アイドルとかどっかの国のケツ振りダンサー(笑)とかは供給がうざったいほど多いですがね」
テクパトル「やめなさい、文句が来るぞ」
20000「・・・テっくん、よく食えるな」
テクパトル「んー・・・代謝が多いからな」
トチトリ「しかし、見ていて鬼気迫るものを感じるぞ」
テクパトル「なんでだよ」
13577「いえ、なんだか怖いです」
テクパトル「大食いでもいいじゃねぇか・・・」
19090「そ、そんなテっくんも素敵です!」
10039「おえ・・・さすがに二人前を食べる辺りは・・・」
19090「そ、そんなテっくんも・・・」
テクパトル「・・・鍛えてる人なら分かると思う」
テクパトル「昔は味とか楽しさを求めていた食事」
テクパトル「それがいつからか、筋肉に栄養を与えるだけのえさになるんだ」
17600「なに語ってるんだ」
テクパトル「増量期はマシだ・・・いっぱい食うだけでいいから」
テクパトル「減量期は地獄だ・・・友達と飯食いに行っても、少ししか食べられない」
テクパトル「栄養が少なくなるからイライラしやすくなる」
テクパトル「はぁ・・・」
14510「な、なんだか落ち込んでますよ!?」
御坂妹「テっくんをバカにしたヤツ、一列に並べ、ビンタしていく」
20000「殴ってください!」
御坂妹「お前は黙れ」
テクパトル「・・・ごちそうさま」
19090「な、なんだか食事が楽しくなさそうですね・・・」
テクパトル「はぁ・・・いや、こう暑いと食欲が湧かないだろ?」
20000「でも量は食べなきゃ、と」
トチトリ「ま、我々の国では普通の趣味だがな」
10033「・・・ですが、テっくんとか削板は鍛え方が異常です・・・」
テクパトル「そういうなよ」
17600「しかし、戦いには備えておいたほうがいいぞ」
テクパトル「なにのだよ・・・」
はぁ、とテクパトルが溜め息をつく
20000「・・・その鍛え上げられた体で19090号を抱くんだね」ニヤニヤ
テクパトル「ぶっ!!」
13577「うわ、水を噴出しましたよ」
テクパトル「いきなり言うからだろうが!!」
御坂妹「いえ、事実では?」
19090「そ、そそそそそそそそれは!!」
10033「・・・」ジトー
10039「・・・」ジトー
テクパトル「はぁ・・・」
テクパトルは溜息をついていた
にぎやかなのはいいことだ
しかし、この暑い中でそういうにぎやかさは鬱陶しく感じることもある
テクパトル(いや、ガマンガマン・・・これも幸せじゃないか)
20000「テっくん、デザート頼んでいい?」
テクパトル「ん、あぁ」
トチトリ「ゴチになります」
ミサカたち、そしてトチトリがデザートを食べる
トチトリ「・・・美味いな」
17600「お、ショートケーキも美味そうだな」
トチトリ「?美味しいぞ?」
17600「一口くれるか?」
トチトリ「!?」
ミサカ一同「!?」
テクパトル「おー、17600号ったらいつからそんな誑しに」
17600「お前が言うな」
トチトリ「あ、ああああああああーん!!!」
17600「お、ありがとう」
17600号がトチトリの差し出したショートケーキを食べる
17600「ほう、こりゃ美味いな」
トチトリ「そ、そそそそそれは光栄だ!!」
御坂妹「・・・あ、あーん・・・」
10033「あーん・・・ですか・・・」
テクパトル「?なんで俺を凝視するの?」
19090「テっくん、あーん♪」
テクパトル「おう、サンキュー・・・」
ミサカ一同「ふぉぉぉぉ!!!」
ミサカたちの苦悩は続く
10039「あぁもう!!10032号、あーんしてあげます!!」
御坂妹「だが断る!!」
削板「・・・黒子・・・」
削板は、黒子の哀れなる姿を眺めていた
昨日まではあんなに元気だったのに
なぜ、こんなことになったのか
黒子「燃え尽きましたの・・・」
削板「黒子、お疲れ様」
初春「・・・やっと昼休みですね・・・」
そう
熱中症になる生徒が多すぎたのだ
黒子「・・・今日は特に暑いですの・・・」
削板「・・・呼びかけてたのにな」
黒子「・・・ヤツらの精神を元に正してやりますの」
削板「落ち着け、黒子」
黒子「はぁ・・・昼ごはん食べる気にもならないですの・・・」
初春「疲れて食欲が・・・」
削板「ホントに大丈夫か?」
削板が二人にスポーツドリンクを渡す
初春「でも、明日で終わりです!」
黒子「そしたら書類が待ってますの」
初春「うっ・・・」
黒子「・・・ですが、明日はナイトパレードと焼肉ですの」
初春「・・・うらやましいです」ハァ
削板「ん?ウイーハルさんも来ればいいじゃないか」
初春「いいんですか!?」
黒子「佐天さんも一緒にどうぞですの」
初春「やったぁ!!」
削板「多いほうが賑やかだからな!!」
初春「へへへ、これでやる気が出ましたよ!!」
削板「そりゃよかったな!」
黒子「明日はナイトパレードの関係で競技は午前だけですし・・・かなり終盤ですのね」
初春「えぇ・・・そうですね・・・」
削板「思えば長かったなぁ・・・」
三人が大覇星祭を振り返る
なぜか、熱中症のことしか思い出せなかったが
吹寄「・・・はぁ」
■■「どうしたの」
吹寄「・・・ちょっとね」
こちらの二人は小さな喫茶店にいた
あまり混んでいなかった為、すんなり席に座れた
吹寄「・・・大覇星祭も明日で終わりなんだな、って」
■■「・・・いろいろなことがあった」
吹寄「そうね・・・」
吹寄が溜め息をつく
彼女は実行委員だった
だから、思い出すのは競技のこと
であるべきだが
■■「やっぱり。垣根のこと?」
吹寄「うん・・・やっぱ変わったからね」
状況が変わったのだ
もちろん、今はそうでもないが
吹寄「でも、わりと普通に接していられるし、よかったと思うわ」
■■「恋とはそういうもの」
■■がお茶を飲む
吹寄(・・・暑くないのかしら?)
■■「ところで。上条くんから焼肉のこと聞いた?」
吹寄「あぁ・・・聞いたわよ、面白そうよね」
吹寄がうなずく
みんなで集まって焼肉パーティーなんて久しぶりだろうか
■■「つまり。いろんな人が集まる」
吹寄「?え、えぇ」
■■「その中で。私は埋もれるかもしれない」
吹寄「まぁ・・・大丈夫よ」
■■「だといいけど」
二人がはぁ、と溜め息をつく
■■「・・・午後からうちの学校は競技ね」
吹寄「えぇ、でもなんでまた・・・」
吹寄「飴食い競争なの?」
■■「私にも。分からない」
吹寄「はぁ・・・顔が真っ白になるのよね、あれ」
■■「・・・しかも、相手は常盤台」
吹寄「・・・え、そうなの?」
■■「上条君が。心配」
吹寄「・・・そうね」
吹寄「おっと、そろそろ時間ね」
吹寄が腕時計を見ながらつぶやく
時刻は競技開始20分前だ
ここから競技場はかなり近いので、5分もあれば着ける
■■「じゃあ。行こう」
吹寄「えぇ」
二人が喫茶店から出る
吹寄「・・・暑いわね」
■■「うん」
外は暑い陽射しが差している
■■「・・・がんばろうね」
吹寄「えぇ」
午後の競技が始まった
垣根「・・・えー、みなさんだるいかもしんないけど競技始めますよー」
心理「はぁ・・・暑いわね」
吹寄「しゃきっとしなさい!!これから行われるのは、飴食い競争です!!」
テクパトル「お、上条も義姉さんも出場するのか」
一方「敵同士なンだとよ」
垣根「さぁ!!ルール説明です!」
心理「あちらの粉が大量に入った箱の中に飴が隠されています」
垣根「口だけで探し、咥えたら次の選手へタッチ!!」
吹寄「そして、一番先にアンカーがゴールした学校が優勝です!」
上条(・・・常盤台が相手・・・)
土御門「にゃー、勝てそうもないぜよ」
青ピ「そうやねぇ・・・」
■■「そんなこと言ったら。吹寄がキレる」
上条「だよなぁ・・・」
はぁ、と上条が溜め息をつく
視線の先には常盤台の生徒がいた
全員、慣れた感じでストレッチをしている
飴を探せるかどうかは運に近いが、そのあとは走らなければならない
上条(・・・足が速いと有利だな・・・)
■■「・・・私は。やってみせる」
■■が肩を回す
土御門「にゃー、でも女の子が唾液をつけた粉に顔を突っ込むなんて・・・」
青ピ「それご褒美やん!!」
上条「やめろよ・・・」
垣根「えー、ちなみに男女共学の学校は男女別々の飴箱になります」
青ピ「」
垣根「さぁ!!みなさん準備はいいですか!?」
心理「がんばってくださいね!!」
番外「へぇ、ミ・・・私もやってみたいな」
旅掛「あぁ・・・俺たちも昔やったなぁ」
美鈴「あれって顔が真っ白になるよね」
ショチトル「そうだな・・・美琴がおしろいか・・・」
詩菜「あらあら、可愛いじゃない」ニコニコ
刀夜「・・・当麻はどうなんだろうな」
エツァリ「運が無いですから・・・きついのでは?」
一方「そォだな」
テクパトル「うーん・・・難しいかな」
19090「たしかに、いつまでも見つけられないでしょうね」
吹寄「では選手のみなさん、用意はいいですか!?」
一同「おー!!!!!」
垣根「では!!」
心理「スタート!!!!!!!!!!!」
審判員が旗を挙げる
上条たちの学校は出席順らしい
青ピ「僕からやねぇ!!!」
青ピが全力で駆けていく
走力だけなら、常盤台の女子になど負けはしない
青ピ(よっしゃ!!一位やで!!)
青ピが飴箱に顔を突っ込む
青ピ(・・・見つからないなぁ)
口を動かして飴を探すが見つからない
本当にこの中にあるのか、と疑いかけたとき
青ピ(!!あったで!!)
口が飴に当たった
青ピ(よっしゃ!!他の選手はまだ追いついてないわ!)
青ピが走り、次の選手にタッチする
上条「お疲れさん!」
青ピ「いやぁ、顔が真っ白や」
土御門「ははは!!白ピだにゃー!」
■■「面白くない」
土御門「」
美琴(・・・うちは二位か・・・)
美琴は眉をひそめていた
常盤台は全5チーム中二位
悪くは無いが、やはり一位がほしいのだ
しかも無名な学校に負けたとなると、学校の威厳に関わってしまう
美琴(・・・白組は・・・ほんの少しリードになったのね)
白組はわずか100点しかリードしていなかった
昨日まではかなりの大差をつけていたのに
美琴「・・・食蜂、きつそう?」
食蜂「・・・そうね、きついかも」
一位の学校・・・つまり上条たちの学校は、かなりのハイペースだった
いったいなぜこんなにもすんなり行くのだろうか
食蜂「ま、飴を上手く探せるかが問題ね」
美琴「・・・そうよね・・・」
飴を上手く探せなければ、いくら足が速くても敵いはしない
まして、こちらは女子校だ
やはり顔が真っ白になるのはイヤな生徒もいるだろう
食蜂「・・・なかなかきついわね」
美琴「・・・次は私の番ね・・・」
食蜂「大丈夫?彼氏の番らしいわね」
美琴「えっ!?」
美琴が同じスタートラインに並んでいる上条を見つめる
偶然にも同じ番らしい
美琴(うわ・・・これは戦いにくいわね・・・)
上条(・・・美琴・・・か)
上条も眉をひそめていた
上条(・・・この種目で勝てれば、白組に逆転できるかもしれない)
上条は考えていた
もしもこれで勝てれば
上条(美琴に罰ゲーム・・・か)
罰ゲーム
どんなことをさせたい、なんていろいろあるが
上条(燃えてきたな・・・!!)
もともと二人は喧嘩仲だったのだ
こういう勝負で出会ったのだ
なぜか、記憶はないのに上条はそう知っているような気がした
上条(・・・いいじゃねぇか、楽しそうだ!!)
上条の前の生徒が上条に近づく
上条(来たな!!)
ポン、と手がタッチされる
上条「よっしゃぁ!」
上条が地面を蹴る
かなりのハイペースで走っていく
美琴「は、速い!!」
「み、御坂さん!」
美琴の手にも、遅れてクラスメイトの手がタッチされる
食蜂「頼んだわよ!」
美琴「当たり前!」
美琴も走っていく
少し先に、上条の背中が見える
美琴(・・・当麻は運が無いわよね)
そう、上条は不幸なのだ
飴を探すのにかなり手間取るだろう
美琴(・・・となると、ここで差を縮めないと!)
上条(・・・くそ、飴は見つけられるかな・・・)
先を走っている上条は考えていた
足は正直美琴よりも速い
しかし、運は明らかに美琴のほうが上だ
上条(・・・くそ、さっさと探さないと!)
箱の前にたどり着いた
上条(頼む、すぐ見つかってくれ!)
上条が箱に顔を突っ込む
誰もが嫌がるような種目だが、上条はそんなこと考えていない
上条(・・・ないな・・・)
そのとき
隣に美琴がやってきた
美琴(よし、当麻はまだ探してるわね!)
常盤台用の箱に美琴が顔を突っ込む
垣根「おっと!!両選手、まったく躊躇せずに顔を突っ込みました!」
美鈴「おー!!美琴ちゃん、いいぞ!!」
旅掛「真っ白の美琴も可愛いはずだ!」
詩菜「あらあら、当麻さんったら」
刀夜「がんばれ、二人とも!!」
テクパトル(・・・姉さんは能力でレーダーを使える・・・有利だな)
美琴(・・・!!飴、あった!!)
美琴がレーダーで飴の位置を確認する
一番近い場所の飴を咥える
美琴(よし!!これで・・・)
上条(あった!!)
同時
上条も、飴を発見した
美琴(!?当麻、もう見つけたの!?)
上条(・・・美琴と同じタイミングか)
二人が走り出す
口の中で飴を転がしながら走るのは意外と辛い
上条(負けてられるかよ!!)
美琴(や、やっぱ体力は当麻のほうが・・・)
上条が差をつけていく
上条「よっしゃ!!」
上条が次の選手にタッチする
美琴はその5秒ほどあとにタッチした
■■「まぁ。君にしたら上出来」
土御門「にゃー、もうちょっとてこずるかと思ったぜぃ?」
青ピ「これならなんとか勝てそうやね」
上条「あぁ」
食蜂「お、おかえり御坂・・・」クスクス
美琴「・・・真っ白だからってバカにしないでよ」
食蜂「まぁ、すぐに飴を見つけられたからそこまで白くは・・・」プルプル
美琴「笑いたいなら笑えば!?」
食蜂「と、とにかく次は私だからぁ!」
食蜂がスタート地点に着く
垣根「さぁ!!常盤台中学、二位に甘んじてます!」
食蜂(・・・こういう能力があんまり関係ない競技だとどうしても男子のいる学校には不利よねぇ・・・)
食蜂は考えていた
彼女はもちろん運動は得意だ
しかし、さすがに男子高校生が相手では勝てない
食蜂(・・・隣は)
ちらり、と自分と同じ番になるであろう選手を確認する
食蜂(!!こいつ!)
■■(・・・この人)
二人の視線がぶつかり合う
そう、食蜂が唯一サシで負けを喫した人物
食蜂(へぇ・・・いつぞやのお礼ができそうね)
■■(・・・面倒なことになりそう)
はぁ、と■■は溜め息をつく
食蜂(・・・ちっ、まだ相手のほうが早い!)
■■の手に前の選手がタッチした
■■「じゃあ。行って来る」
上条「頼んだぞ!」
土御門「差を広げてくれにゃー!」
青ピ「行けるはずやで!!」
食蜂「あぁもう!」
遅れること8秒
食蜂の手がタッチされた
美琴「頼んだわよ!」
食蜂「分かってるわよ!」
食蜂が■■の背中を追いかける
観客席のボルテージは最高潮だ
垣根「さぁ!!注目の2選手がぶつかり合います!!」
心理「勝つのはどちらだ!?」
吹寄(・・・がんばって、姫神・・・!)
旅掛「どっちもがんばれ!!てか常盤台がんばれ!」
美鈴「いけいけーー!!」
刀夜「当麻の学校の子、速いな・・・」
詩菜「あらあら、がんばってるわ」ニコニコ
一方「・・・速いなおい」
エツァリ(・・・しかし、常盤台の人は胸がでかいですね)
ショチトル(私は殺意を覚えた)
テクパトル(・・・姫神、速いな)
19090(・・・どちらも応援したいですが・・・)
上条「よし!!■■が箱にたどり着いた!」
土御門「頼む!」
■■(・・・粉の中から探す必要は無い)
■■(よく考えて。人々の中に埋もれている私と同じ)
■■(粉の中に埋もれてしまった。哀れな飴)
■■(・・・きっと・・・)
■■が口をぱっとつける
すぐに、飴が口に当たった
■■(・・・やっぱり。箱の角にあった)
垣根「!!は、速い!!■■選手、もう折り返しました!」
食蜂(は、はぁ!?)
食蜂はやっと箱にたどり着いたところだ
その横を■■が走っていく
食蜂(野郎・・・)
上条「すげぇ!!1秒も経たずに飴を!」
土御門「いやぁ、観客席も盛り上がってるぜぃ」
青ピ「なんや、まだ常盤台の子、飴見つけられてないやんか」
食蜂(・・・くそっ!!どこよ!?)
食蜂は焦っていた
また、■■に負けを喫したのだから
食蜂(!!あった!!)
食蜂も飴を見つけた
急いで折り返す
そいばらくして、競争は終わった
食蜂「・・・結局、負けたわね」
美琴「・・・紅組が逆転・・・」
常盤台のツートップは立ち尽くしていた
上条「やったな!!」
土御門「いやぁ、■■の活躍のおかげだぜぃ」
■■「私は。神になった」
青ピ「なんかおかしいで?」
上条(よかった・・・)
上条は空を仰いでいた
陽射しが、とても眩しかった
垣根「・・・結局、飴食いが盛り上がりのピークだったか・・・」
はぁ、と垣根が溜め息をつく
それも仕方ないだろう
あのあとはあまり有名ではない学校同士の戦いだったからだ
吹寄「・・・今日も一日無事に終わったわね」
心理「・・・静かな競技場ってのはいいわね」
ふふ、と心理定規が笑う
時刻は夜の7時
競技はとっくに終わり、あとは片づけをしている者だけだった
垣根「あとは明日の午前だけか」
心理「早かったわね、6日は」
吹寄「・・・そうね、しかも明日の午前は・・・閉会式だけね」
垣根「つまんねぇのが残ってんのな」
はぁ、と垣根が溜め息をつく
心理「仕方ないじゃない」
吹寄「垣根もちゃんと出なさいよ?」
垣根「ういういー」
垣根が得点板を見つめる
紅組の勝利だった
上条「はー、美琴の罰ゲーム決定ですねー!」
帰り道
ニコニコ、と上条は笑っていた
隣を歩く美琴はふてくされている
美琴「・・・最後の最後で逆転なんて・・・」
上条「あれれ?いいわけですか?」
美琴「ち、違うわよ!」
上条「・・・美鈴さんと旅掛さんは帰ったのか?」
美琴「うん、なんかこれから二人で旅行なんだって」
上条「へぇ・・・仲いいな」
美琴「当麻のご両親は?」
上条「父さんは明日から仕事、母さんももう帰ったよ」
こんな話をしていると、大覇星祭が終わったのだと感じる
美琴「・・・なんだかんだ楽しかったかな」
上条「・・・罰ゲーム、さ」
美琴「う、うん・・・」
上条「・・・こ、今晩ヤってくれってのは・・・ダメかな?」
美琴「え、それでいいの?」
上条「うん、美琴もがんばってたしさ」
美琴「・・・あ、ありがと」
上条「・・・終わったんだな、本当に」
んー、と上条が伸びをする
美琴「・・・明日は閉会式だけね・・・」
上条「終わったらすぐ焼肉パーティーだからな」
美琴「え、昼間から?」
上条「あぁ、なんか垣根が貸しきってくれるらしくてさ」
美琴「へぇ・・・いいじゃない」
上条「とりあえず、さっさと帰って砂を落としたいよ」
上条が苦笑する
体のあちこちに砂がついている
美琴「そうね・・・私も一緒に入っていい?」
上条「あ、もう罰ゲームを・・・」
美琴「ち、違うわよ!」
カァッ、と美琴が頬を染める
上条「・・・ま、一緒に入るか」
美琴「うん!」
二人は手を繋いで寮へと向かっていた
一方「・・・打ち止め、てめェ結局オリジナルの親とずっといたンだってな」
打ち止め「うん、いろいろ話したよ!ってミサカはミサカははしゃいで・・・あいたた!!チョップはダメ!」
一方「ペラペラしゃべりやがって・・・」
番外「ガキだからね」
打ち止め「むぅ!!ミサカだってお母さんと話したかったんだよ!ってミサカはミサカはふてくされてみたり!」
一方「ちっ・・・無関係の一般人を巻き込むンじゃねェよ」
番外「でも、ミサカと結婚するならいずれは・・・」
一方「あァ?そォなるか」
打ち止め「け、結婚!?ってミサカはミサカは二人がすでに将来を決めていることに焦りを覚えたり!」
番外「あれ、なに?ヤキモチ?」ニヤニヤ
打ち止め「むきーっ!!」
一方(足をジタバタさせるロリ可愛い)
一方「・・・明日は焼肉かァ・・・」
番外「あれ、閉会式は?」
一方「行くわけねェだろ」
打ち止め「えー、ってミサカはミサカは不良生徒に文句を言ってみたり!」
一方「生徒じゃねェし」
一方通行がソファーに寝転がる
番外「それより風呂は入っちゃいなよ」
一方「お前らから入れよ」
番外「ん、なに?ミサカたちの残り香でなんかするの?」
一方「」ギクッ
一方「ンンンンンンなわけねェだろ」
番外「焦ってるね」
打ち止め「気持ち悪い、ってミサカはミサカはひいてみたり」
一方「」
打ち止め「じゃあ、ミサカたちから入ってくるけど・・・」
番外「・・・覗いたら、エッチなことしちゃうぞ?」
一方「覗きてェなおい(もォ俺のいろンなとこを弄ンでくれ)」
打ち止め「ひいたよ、ってミサカはミサカはジト目で見つめてみたり」
番外「そりゃ救いようがねぇな」
一方「」
一方(・・・入ったか)
一方通行は一人、ソファーで横になっていた
黄泉川は仕事、芳川はなんでも知人の家に行っているらしい
静かな部屋の中
一方(・・・外はまだ明るいンだな)
ふと、窓の外を見つめる
そろそろ日は沈もうとしていた
一方「・・・眩しいな」
陽射しが建物の壁に反射している
一点に集中した光は、ちょうど一方通行の部屋を差している
一方(・・・楽しかったな、大覇星祭)
そんなことを考えてから苦笑する
こんな生活、初めてだった
一方(平和ボケか・・・)
一方(・・・いいじゃねェか、ボケたってよ)
そんな毎日が続けば
それは平和ボケではなく、当たり前になるのだから
一方(・・・毎日が楽しいなンて、嘘みてェだな)
一方(・・・クソが)
一方(こりゃ、俺も丸くなったもンだ)
もう一度苦笑してから、一方通行は目を閉じた
エツァリ「・・・終わりましたね」
ショチトル「明日は焼肉か」
二人は、そんな話をしていた
場所は公園
家に帰る前に、ふと寄りたくなってしまったのだ
エツァリ「陽射しが暑いですね」
ショチトル「もう夜なのにな」
エツァリ「・・・楽しかったですね」
ショチトル「見てるだけだったが・・・やっぱり、楽しかったよ」
ははは、とショチトルが笑う
とても楽しかったようだ
エツァリ「・・・少々寂しいですね」
ショチトル「なに、これからもこんなくだらない日々は続くぞ?」
エツァリ「えぇ」
ショチトル「・・・さて、帰るか」
エツァリ「おや、もうですか」
ショチトル「いつまでもここにはいられないだろ」
ショチトルがベンチから立ち上がる
日焼けのあとだろうか
少し赤くなっている場所がある
エツァリ「・・・暑かったですね」
ショチトル「あぁ、もう日焼けが痛いよ」
エツァリ「自分もです」
顔を見合わせて苦笑する
笑っただけでも少し顔が痛い
だが、それもいい思い出になるだろう
ショチトル「・・・なぁエツァリ」
エツァリ「なんですか?」
ショチトル「私、こんな日常が大好きだ」
エツァリ「自分も、あなたがいるこの日常が好きですよ」
ショチトル「それはよかった」
ショチトルがそっとエツァリの手を握る
そのまま、二人は歩き出す
二人が帰るべき家へ
削板「・・・お疲れ様、二人とも」
削板はそっとタオルを差し出していた
風紀委員の仕事も今日で終わり
明日は競技がないため、熱中症になる生徒も少ない
そのため実行委員だけで足りるのだ
黒子「はぁ・・・最終日だけ休めるなんて、皮肉ですの」
初春「そうですよね・・・」
削板「明日は焼肉だから、ちょっとは楽しいんじゃないか?」
黒子「今日はそれでやっとこさ乗り切れましたの・・・」
はぁ、と黒子が溜め息をつく
初春「佐天さん、めちゃくちゃ喜んでましたよ」
黒子「あぁ、一緒にでしたっけ?」
初春「はい!」
削板「にぎやかになりそうだな!」
黒子「今日はあと・・・」
初春「支部の片付けですね」
削板「なんだ、まだ仕事があるのか?」
黒子「えぇ、ですから軍覇さんは先に帰っていただいてよろしいですの」
黒子が苦笑する
相当疲れているのだろう
若干、笑顔がぎこちない
削板「いや、俺も手伝うよ」
削板が椅子を持つ
黒子「で、ですが・・・」
削板「俺は黒子と帰りたいからな、早くなるように手伝いたいんだよ」
黒子「//」
初春「誰か、ちょっと灰皿を持ってきてください」
黒子「やめてくださいな」
削板「よし!!あと一粘りだ!!」
黒子「はいですの!!」
初春「いきますよ!!」
風紀委員の支部
少し目立たない彼女達
しかし、間違いなく彼女達も大覇星祭の立役者だった
テクパトル「・・・終わったんだな・・・」
キッチンでテクパトルはつぶやいていた
今作っているのは野菜炒めだ
疲れているため、少し簡単なメニューにしている
テクパトル「・・・美月、他のみんなは?」
19090「風呂ですよ、と美月は答えます」
テクパトル「そっか」
19090「・・・な、なんだかこうしていると・・・」
テクパトル「夫婦みたいだよな」
ぽつり、とテクパトルがつぶやく
その通り、遠目から見たらどう見ても夫婦にしか見えない
19090「・・・テっくん」
テクパトル「ん、どうした?」
テクパトルが19090号の顔を見つめる
19090「・・・その、愛していますよ・・・」カァッ
テクパトル「あぁ、俺もだよ」
ジュージュー、と野菜の焼ける音がする
なんだか、幸せな音だ
テクパトル(・・・いいな、こういうの)
テクパトルは本当に幸せ者だった
テクパトル「そろそろあがってくるかな」
19090「そうですね・・・ちょうど野菜炒めも出来ましたし」
テクパトル「いいタイミングかな」
二人が野菜炒めを皿に盛る
17600「ふへー、いい湯だった」
10033「テっくん、ただいまー・・・」
御坂妹「まーた愛の料理ですか」
トチトリ「うらやましいぞ」
テクパトル「はいはい、分かったからテーブルに皿出してくれよ」
20000「えーっと、野菜炒めは・・・」
14510「あ、この皿でいいんじゃないですか?」
13577「そうですね、とミサカはうなずきます」
テクパトル「ははは・・・すっかり自分達で家事もできるようになったな」
10039「え、みんなは家事が出来ないんですか?」
テクパトル「まぁ・・・昔はな」
御坂妹「今はミサカたちだけでも暮らしていけるかもしれませんね」
20000「うん、そうかもね」
テクパトル「ははは、そうだな」
10033「・・・ですが、やっぱりテっくんは必要ですよ?」
10033号がニコリ、と微笑みかける
19090「そうですよ、テっくんがいない我が家は考えられません!」
テクパトル「・・・そっか、ありがとう」
トチトリ(・・・お前は幸せ者だな)
テクパトル「さ、みんな食べようか」
ミサカ一同「はい!!」
テクパトル「いただきます!」
一同「いただきます!」
みんなが食事を始める
トチトリ「・・・いいな、この家族も」
テクパトル「・・・そうか」
トチトリ「・・・ホームシックになったときは帰りたいと思ってたけど・・・」
トチトリ「・・・今は少し帰るのがイヤかもな」
トチトリが苦笑する
もちろん、家族も大切だ
昔からずっと一緒にいる、かけがえのない仲間達だから
それでも、今一緒にいるみんなも好きだった
17600「・・・まぁ、出会いがあれば別れもありさ」
17600「出会い-別れは0になる」
17600「しかし、出会い÷別れは1にはならない」
17600「酷なものさ」
テクパトル「・・・トチトリ、もう少しいてもいいんだぞ?」
トチトリ「・・・いや、ここはやっぱり私の家じゃないさ」
少し寂しそうにトチトリが苦笑する
トチトリ「・・・家族ってのは、一つだけだからな」
テクパトル「・・・じゃ、晩飯はこれが最後かな?」
トチトリ「明日の焼肉もあるだろう」
御坂妹「ですが、一応はそうなりますね・・・」
20000「ちょっと残念だね」
10039「・・・帰っても、元気でいてくださいね?」
トチトリ「ははは、当たり前だろう?」
テクパトル「また来てくれよな」
トチトリ「お、なんだなんだ?」
テクパトル「・・・なんだよ」
トチトリ「いや、本当に変わったな、とさ」
テクパトル「そうかい」
テクパトルが少しめんどくさそうに食事を続ける
あまり昔のことは言われたくないらしい
テクパトル「とにかく、今日はトチトリの門出を祝って!」
御坂妹「お酒持ってこーい」
テクパトル「ないからな!?」
20000「あるよーん」
テクパトル「い、いらない・・・」
10039「では飲みましょうか」
ミサカたちがお酒を開ける
テクパトル「ちょっと待って不幸だ!?」
垣根「お疲れさん、吹寄」
垣根が吹寄の肩をポン、と叩く
ようやく、アナウンスの仕事は終わった
吹寄「はぁ・・・6日間は長かったわ・・・」
心理「私は途中からだったからそうでもなかったけど」
垣根「なかなか盛り上がったな」
吹寄「・・・そうね、なかなかにいい大覇星祭だったわ」
吹寄が嬉しそうに笑う
よほど嬉しいのだろう
心理「今年は観客も一体になってたものね」
垣根「俺のおかげかな」
吹寄「・・・否定できないのが辛いわ」
心理「・・・実際そうだもの」
吹寄「でも、礼は言っておくわ」
吹寄が垣根に頭を下げる
吹寄「ありがとう、垣根のおかげでいい6日間になったのよ」
垣根「お前は楽しかったか?」
吹寄「・・・えぇ、もちろん」
垣根「ならよかったじゃねぇか」
ケラケラ、と垣根が笑う
垣根「他人の言葉は信用ならねぇが、自分の感情は信用できるからな」
垣根「大覇星祭に誰よりも厳しいお前が楽しかったんだろ?」
垣根「ならみんな楽しかっただろうな」
吹寄「・・・そうだといいわね」
心理「・・・この6日間、吹寄さんもお疲れ様よ」
吹寄「今日はゆっくり寝たいわね」
垣根「明日は寝坊しないようにな」
垣根が立ち上がる
三人は静まり返った観客席に座っていたのだ
心理「・・・あら、何するの?」
垣根「いやぁ、二人にお疲れの意味を込めてな」
垣根が翼を広げる
垣根「何色の光がいい?」
吹寄「?」
心理「じゃあ、七色で」
垣根「お、わかってんじゃねぇか」
ははは、と笑ってから垣根が空を見上げる
ちょうど、星が輝き始める時間だ
吹寄「・・・あ、すごい」
垣根の翼から七色の光が放たれる
垣根「ま、乱反射とだけ言っておこうか」
吹寄「で、でも乱反射って・・・」
垣根「おいおい、マジックの種はばらすもんじゃねぇよ」
心理「今は垣根のマジックを楽しみましょう」
心理定規は目を細めて垣根を見つめていた
もちろん、垣根も彼女を見つめている
吹寄(・・・いいな)
そんなことを、吹寄は考える
吹寄(・・・いつか、か)
垣根「・・・吹寄、お前もどうせいつかは誰かを好きになるさ」
吹寄「何よいきなり」
垣根「なーに、一夏の勘違いってことにしときな」
ケラケラ、と垣根が笑う
心理「あら、自分が好きにさせておいて無責任ね」
垣根「うるせぇな・・・」
吹寄「そうね、勘違いだったかも」
垣根「そうだな、それでいいだろ」
空には星が輝いている
とても綺麗な星だ
吹寄(・・・誰も、あの星に手を伸ばそうなんてしないもの)
吹寄(・・・だからこそ、私は伸ばしてみたかったんだけど)
吹寄「ねぇ、心理定規さん」
心理「あら、なに?」
吹寄「前々から思ってたんだけど、垣根ってなんであんなチャラチャラしてるの?」
心理「さぁ」
垣根「・・・チャラチャラしてねぇよ」
心理「してるわよ」
垣根「えぇ・・・」
二人の女に笑われて
それでも、垣根は苦笑しているだけだった
トチトリ「・・・はぁ」
トチトリは、病院の屋上にいた
時刻はもう遅い
他のみんなはとっくに寝ているだろうか
トチトリ「・・・」
そっと、座ってみる
床の冷たさが少し辛かった
トチトリ「・・・帰りたくないな」
ぽつり、とつぶやく
あんなに大好きな家族がいるはずなのに
トチトリ「・・・うっ・・・」
涙が頬を伝う
たった二日、三日一緒にいただけなのに
なぜか、とても大切な存在になってしまったのだ
トチトリ「・・・ちくしょう・・・」
一人で泣いていた
どうして、こんなに苦しいのか
トチトリ「・・・17600号・・・」
好きになってしまったのか
女を好きになるなんて、おかしいのに
憧れにも近かった
トチトリ「・・・」
強い人に憧れていた
力ではなく、心が強い人に
彼女にとって17600号は理想のお姉さんのようなものだった
トチトリ「・・・」
17600「おいおい、なに泣いてんだ?」
トチトリ「!」
17600「いやぁ、ミサカは耳が良くてな」
ふふん、と胸を張りながら17600号がトチトリに近づく
なぜか、その姿がとても頼もしく見えた
トチトリ「・・・17600号、ヘンな目で見ないでくれるか?」
17600「あぁ」
17600号がうなずいた
トチトリ「私な・・・」
トチトリ「・・・お前のこと、好きになってしまったんだ」
17600「ほう、恋というやつか」
うんうん、と17600号がうなずく
トチトリ「い、いやじゃないのか?」
17600「別に、いいんじゃないか?」
17600号は知っている
自分の後ろでオナったり、平気で他のミサカに公開処刑をさせた変態を
17600「好きになった相手が偶然同性だったなら仕方あるまい」
トチトリ「・・・そ、それでな・・・なんだか離れるのがイヤなんだ」
17600「そりゃエゴだぜ」
トチトリ「・・・分かってるさ」
17600「・・・トチトリ、別にいつでも会えるだろう」
17600号がトチトリの頭に手を乗せる
トチトリ「そうかな・・・」
17600「まぁ、会おうと思えば会えるさ、今世の別れではない」
トチトリ「・・・お前は優しいな」
17600「この優しさはテっくんに教えてもらった」
トチトリ「・・・そうか」
二人が遠くを見つめる
静まり返った街
トチトリ「・・・綺麗な街だな」
17600「あぁ、どこよりも美しいと思っている」
17600号が小さく笑う
本当にハードボイルドなミサカだ
17600「さて、寒いから帰ろうか」
トチトリ「そうだな」
トチトリがそっと立ち上がる
トチトリ「・・・綺麗な街だ」
17600「そうだろう」
トチトリ「あぁ」
二人で並んで、部屋へと帰る
トチトリ(・・・とても綺麗だ)
トチトリ(あぁ、綺麗に決まっているだろう)
トチトリ(・・・好きな人が住む町なのだからな)
上条「はぁ・・・疲れた・・・」
美琴「・・・ば、罰ゲームもなかなかきついわね・・・」
この二人は、ベッドの上で息を荒げていた
もちろん、罰ゲームのせいだ
上条「・・・えっと、次で何回目?」
美琴「三回目よ・・・アンタすごいわね・・・」
上条「美琴も・・・だろ?」
美琴「ん・・・ちょっと待って」
美琴が少し上条から離れる
上条「ん、疲れたんですか?」
美琴「うん・・・疲れた」
上条「じゃあ、今日はお開き・・・」
美琴「え、5回はヤるんじゃないの?」
上条「あ、いや・・・」
美琴「ヤるのよね?」
美琴が上条に詰め寄る
上条「は、はい」
美琴「うん、よろしい!」
ニコニコ、と美琴が笑う
なんだかこれでは俺への罰ゲームだな
上条はそう思っていた
垣根「・・・朝か」
垣根が目を覚ます
なんだか、またイヤな夢を見ていた気がする
垣根(・・・今日で終わり、ねぇ)
そっとベッドから立ち上がる
心理定規はまだ寝ているようだ
垣根(・・・今何時だ?)
時計を見ると、まだ6時のようだった
少し早いだろう
垣根(・・・さてと)
さっさと服を着替える
早く起きたところで、彼の生活は変わらない
垣根「じゃ、軽く散歩でもしますか」
垣根「おー、朝日が気持ちいいな」
垣根が目を細める
こんな時間でも、もう太陽は昇っていた
どこからか、学生の声が聞こえる
早く起きたのか、それとも徹夜したのか
垣根(どっちにしろ、踊る阿呆なのは変わらないな)
彼だってそうなのだから
垣根「・・・お、猫だ」
垣根が猫を見つける
なんだか、スフィンクスっぽい猫だった
どういう意味かはまったく分からないが
垣根(はは、まさかスフィンクスとかいう名前じゃねぇよな)
そんな名前だったら爆笑してしまう
いや、そうなのだが
垣根「・・・ん、誰だ?」
神裂「はぁ・・・まさか急に仕事が入ったなんて・・・」
ステイル「仕方ないさ、今度はあの子も一緒にイギリスに来てくれるらしいから」
五和「・・・はぁ、でも上条さんと・・・」
垣根(なんか知らないけど大変そうだな)
垣根(っていうか上条の知り合いか)
垣根(・・・そろそろ帰るか)
一時間ほどふらついていた
垣根の散歩にしては長いほうだろう
いつもは一本目の電信柱まで往復、とかなので20秒で終わる
垣根「たっだいまー」
垣根が自宅に帰る
心理「あら、お帰りなさい」
垣根「おーっす、ただいま」
心理「早くしなさい、今日は結構早くから閉会式なのよ」
垣根「俺たちと上条たちと削板たち以外は行かないんだろ」
心理「まさかテクパトルまで来ないとはね」
垣根「どうせ19090号と乳繰り合ってんだろ」
垣根が食卓に着く
垣根「さて・・・何食べる?」
心理「どうでもいいけど、あなた台本書いたの?」
垣根「何の?」
心理「閉会式のあいさつ」
垣根「は?」
心理「あなた自分がやるって言ってたんじゃないの?」
垣根「忘れてた」
心理「ほら、書きなさい」
垣根「い、いや・・・その・・・」
心理「書け」
垣根「・・・はい」
ペンと原稿用紙を机に置く
だが、結局最初の三行しか書けなかった
そして、そのまま閉会式は始まる
上条(・・・暑いな)
競技場に立った上条は、顔をしかめていた
周りのクラスメイトもめんどくさそうな顔をしている
これから役三時間も、お偉いさんの話を聞かなければならない
観客は昨日までの三分の一ほどか
誰も聞きたくなどないのだろう
美琴「ねぇ、当麻」
上条「ん、なんだ?」
美琴「めんどうじゃない?」
上条「あぁ・・・かなり」
唯一の救いは、常盤台が隣に並んでいて、しかも偶然二人が隣同士なことか
ヒマなときはこっそり話でもするつもりだ
土御門「はぁ、カミやんはうらやましいにゃー」
青ピ「ほんま、彼女が隣やなんて」
上条「まぁ・・・救いではあるな」
■■「君は。ちょっと自重しなさい」
上条「はいはい・・・」
はぁ、と上条が溜め息をつく
暑い
非常に暑い
上条(あ、始まった)
どこかの学校の校長か
非常にビシッと決まったスーツを着ている
上条(・・・はぁ、めんどいな)
「えー、今年の大覇星祭はやや品格には欠けていたものの・・・」
上条(・・・楽しかったからいいじゃねぇか)
美琴(・・・お偉いさんは堅いわね・・・)
次の校長も
「少々品が無く」
なんて言っていた
中には
「勉学を本業とするべき学生としてふさわしくなく」
なんて言う挨拶もあった
そんなわけで、学生達はかなりイヤな表情をしていた
せっかくの盛り上がりに、最後に水を差されたのだから
上条「はぁ・・・」
美琴「なんか、みんなかなり睨んでるわね」
上条「そりゃそうだろ」
そろそろ閉会式も終わる
最後は統括理事長の話だ
上条(あれ、でもアレイスターは今・・・)
話が出来る状況ではない
上条「なぁ、土御門」
土御門「あぁ、どうするつもりかにゃー」
一応、統括理事長が冷蔵庫、なんてことは極秘事項だ
上条(・・・どうすんのかな)
吹寄「なお、今回は統括理事長殿が急用の為、代役を立てて挨拶と代えさせていただきます」
上条(あぁ、代役か)
美琴(誰かしら)
垣根「はーい、どうもー」
観客席からなぜか歓声が上がる
もちろん、生徒達からも
上条「」
美琴「」
■■「まさか。彼だったなんて」
青ピ「こら面白くなるで!」
垣根「えー、みなさん、ホントお疲れ!」
垣根「疲れたろうから座ってもいいし、なんならもう帰ってもいいぜ」
おー!と生徒が喜ぶ
後ろのお偉いさん達はまた顔を青くしているが
垣根「いやぁ、まさかここまで盛り上がるとは思わなかった」
垣根「こりゃ一重に、みんなと、そして実行委員のおかげだ」
垣根「他のお偉いさんはつまらなかった、品がなかったとか言ってるけど」
垣根「ここにいるみんなは笑顔になれたはずだ」
垣根「笑顔を作るのは、お偉いさんのうざったいスピーチじゃねぇんだよってことだ」
拍手が起こる
これが、学生の総意なのだろう
垣根「じゃ、最後に一言」
垣根「楽しかったか、みんな!?」
一瞬の静寂の後、大きな声で返事が返ってくる
その返事が、拍手が
学生の答えだろう
垣根「以上、また来年楽しもう!」
垣根「解散!」
学生達がぞろぞろと競技場から出ていく
明日は一日休みになる
そのため、今日は夜遅くまで起きていられるのだ
ナイトパレードを見に行く学生がほとんどだろう
上条「垣根、ありがとよ」
垣根「あぁ?何がよ?」
上条はそっと放送席へ近づいていた
残っているのは椅子だけ
その光景が、大覇星祭の終わりを裏付けている
上条「いやさ・・・お偉いさんの挨拶でみんなイヤな思いしてたからさ」
垣根「別にお前らを喜ばせるために言ってたんじゃねぇさ」
上条「台本か?」
垣根「当たり前だろ」
心理「あら、あなた台本なかったじゃない」
心理定規が横でクスクスと笑う
垣根「・・・とにかく、俺は俺の思ったことを言っただけさ」
心理「それが結果的に他の学生と同じ気持ちだった、ってだけよ」
上条「あぁ、そうだな」
上条が頷く
美琴「ねぇ、当麻」
後ろから美琴が上条に声を掛ける
上条「ん、どうした?」
美琴「一旦帰るんでしょ?」
上条「あぁ・・・焼肉パーティーまでどれくらいあるっけ?」
垣根「あと3時間くらいだな」
今は10時
昼に焼肉を食べるため、少し時間が開いてしまう
美琴「じゃ、その時間に焼肉屋で待ち合わせね?」
垣根「あいよ、他のヤツらも多分集合するから」
上条「分かった、サンキュー」
二人が手を振って、放送席から去っていく
吹寄「・・・終わった・・・んだ」
垣根の隣で吹寄がぽつりとつぶやく
大覇星祭で一番力を入れていたのは彼女だ
きっと、終わった瞬間に力が抜けたことだろう
垣根「お疲れ様、いい大覇星祭だったよ」
心理「ナイトパレードもあるし、私も垣根も楽しめたわよ」
吹寄「そっか・・・みんな、楽しめたんだ」
とても嬉しそうに吹寄が笑う
他のクラスメートが見たらきっと驚くだろう
彼女がこんなに無邪気な笑顔を浮かべるなんて、なかなかないことなのだから
■■「楽しかった。吹寄」
吹寄「あら、姫神」
■■が放送席に近寄ってくる
■■「とても楽しい一週間だった」
吹寄「そう・・・よかったわ」
■■「土御門君も青髪君も。そう言ってた」
吹寄「デルタフォースは全員楽しめたんだ・・・よかった」
心理「その三人は特に楽しませたかったの?」
吹寄「えぇ・・・いつも自発的には参加しないタイプだったから」
垣根「そりゃいい変化だな」
垣根が笑う
得点板では紅組が勝っていた
しかし、そんな点数での優劣を抜きにして、本当にいい大覇星祭だった
垣根「二人とも焼肉パーティー来るよな?」
吹寄「もちろん」
■■「これで私も。レギュラー入り」
垣根「?」
意味がわからない、と垣根が首を捻る
垣根「まぁいいや・・・とりあえず帰るか、心理定規」
垣根が椅子から立ち上がる
吹寄「・・・垣根」
垣根「ん、なんだ?」
吹寄「・・・本当に、色々とありがとう」
垣根「そりゃプライベートな意味か?それとも仕事の意味でか?」
吹寄「・・・両方よ」
吹寄が困ったように笑う
吹寄「貴様のおかげで、楽しい大覇星祭になったわ」
吹寄「それに私もいつもより楽しかった」
吹寄「本当に、ありがとう」
垣根「どうも、だったら今度はお前が俺を楽しませてくれよ」
手を振って、垣根と心理定規は家へと向かう
吹寄「・・・いいわよ、楽しませてやろうじゃない」
■■「吹寄。顔が怖い」
暑い陽射しが眩しかった
その陽射しが照らす競技場にはもうほとんど生徒はいない
だが、それでも
まだ楽しい日々は続くようだった
美琴「んぁぁっ・・・当麻のバカぁ・・・」
美琴は上条の部屋の入り口で甘い声を上げていた
帰り着いた途端、いきなり服の上から胸に触れられたのだ
優しい手つきは、まるで彼女を焦らしているようだった
上条「いいだろ・・・?今日は夜は忙しいからできないだろうしさ」
美琴「あっ・・・だ、だからって昼前に・・・んっ・・・」
上条が少し手の動きを強める
美琴の脚の間が何かの液体で濡れる
脚を動かしただけで、クチュクチュという卑猥な音がする
美琴「やぁっ・・・き、聞かないで・・・」
上条「美琴のいやらしい音が聞こえますよ?」
美琴「は、恥ずかしいこと・・・んっ、言わないで・・・」
上条「美琴・・・好きだ」
軽く、美琴の頬に口づけをする
それだけでも彼女は達してしまいそうになる
美琴「やぁっ・・・はぁっ・・・んゅっ・・・」
上条「美琴、ダメなの?」
美琴「ダ、ダメじゃない・・・けど・・・」
上条「あぁ、じゃあ風呂でやろうか」
美琴「うっ・・・」
言おうとしていたことは完全に読まれている
美琴は何もかもを理解されているのだ
上条「美琴さんはやりたくないの?」
美琴「ふ、風呂じゃ・・・ゴムがないから・・・」
上条「ん、ベッドでいいか?」
美琴「うん・・・だから・・・ね?」
上条「はいはい」
苦笑してから、上条がベッドに美琴の体を押し付ける
少し乱暴な気もするが、美琴にとっては興奮の材料になっているようだった
大好きな上条にこういうことをされるのはかなり興奮するらしい
上条「美琴はエッチだからな」
美琴「はぁ・・・分かったから早く触って?」
美琴が自ら服を脱いでいく
中途半端に触られたせいで体のあちこちが火照っているのだ
上条「・・・ちょっと待って」
上条が美琴の手を押さえ付ける
最後は自分で脱がしたいのだ
上条「じゃ、失礼しますよ」
下着をずらし、美琴の素肌を露にする
美琴「ん・・・はぁっ・・・」
上条「すっげぇ・・・もうかなり濡れてますよ」
美琴の下半身はもうぐしょ濡れだった
胸への愛撫だけで相当感じていたのだろう
上条「美琴、舐めていいか?」
美琴「ふぁぁっ・・・な、舐めて・・・」
淫らに、美琴が腰を動かす
上条の体を欲して止まないのだ
上条「・・・」
無言で、上条が美琴の胸に舌を這わせる
先っぽを舌先で転がし、甘美な刺激を与える
美琴「んぁぁっ・・・当麻・・・」
上条「美琴、気持ちいい?」
美琴「もう・・・ダメ・・・」
美琴が上条の頭に抱き着く
その瞬間、彼女の体がびくりと跳ねた
達してしまったのだろう
上条「・・・すげぇ、ますます敏感になってるな」
美琴「だって・・・あんなに触られたんだもん・・・」
上条「美琴、次は・・・」
美琴「ん、分かってるわよ」
美琴が上条の下着を脱がせる
やはりこの瞬間は緊張してしまう
いい加減に慣れたいところだが、さすがにそこまで図太い神経は持っていない
美琴「あ・・・おっきくなってる・・・」
上条「あぁ・・・かなり興奮してるからな」
美琴「・・・舐めるわよ」
美琴が上条の肉棒に舌を這わせた
筋に合わせて滑らせ、さらにカリの部分を口に含む
上条「あっ・・・はぁ・・・」
上条の甘い声が聞こえてくる
それがさらに美琴を加速させる
美琴「んっ・・・んっ・・・」
頭を前後させ、ピストン運動を始める
舌だけの刺激に慣れてきた上条の肉棒は、いきなりの新しい刺激に打ち震えた
上条「あっ・・・美琴、エロすぎ・・・」
美琴「ほぉま・・・ほぉま・・・」
虚ろな目で、美琴が上条の名を呼ぶ
上条「はぁ・・・ん、ありがとな・・・」
上条が美琴の綺麗な髪の毛に指を這わせる
ちょっと触れただけでも傷つくのでは、と思うほどに繊細な髪の毛だ
上条「美琴・・・出そう・・・」
美琴「うんっ!んっ!」
頷くような仕種を見せてから、美琴はまたピストン運動を再開させる
了承の合図だろう
上条「美琴っ!」
ドピュ、と上条の肉棒から熱い液体が放たれる
その瞬間、上条の頭の中は真っ白になる
何か火花が飛び散ったような、そんな感じだ
美琴「・・・いっぱい・・・出し過ぎ・・・」
ゴクン、と喉を鳴らしてから美琴が上条を睨む
上条「はぁ・・・悪かったってば・・・」
美琴「んっ・・・あ、んっ・・・」
上条「ん?どうかしたのか?」
美琴「なんか・・・あっ・・・」
ピクピク、と美琴が体を痙攣させる
上条「なんだ、イっちゃったのか?」
美琴「はぁ・・・へ、変態よね?」
上条「でも嬉しいですよ」
上条が美琴のおでこにキスをする
美琴「はぁっ・・・ね、入れて?」
上条「ちょっと待ってな・・・」
上条が自分の肉棒にゴムをつける
学園都市製の超薄型だ
かなり生に近い刺激を得られるため、人気らしい
上条「・・・よし、入れますよ」
美琴「うん・・・はぁっ・・・」
ぐぐ、と美琴の入り口を広げて肉棒が入っていく
肉体的にも精神的にも、満たされる瞬間だ
美琴「・・・あっ・・・当麻・・・大好き・・・」
上条「美琴・・・美琴・・・」
頭がぼーっとしてしまう
そういえば昼前にするのなんて久しぶりだった
外ではまだみんなが遊んでるんだ、と考えると背徳感に襲われる
その背徳感でさえ、彼等にとっては起爆剤に過ぎなかったが
美琴「んぁぁぁぁっ!はぁ、熱い・・・んっ!」
上条「うわ・・・ちょっと締めすぎじゃないですか?」
美琴「うっさい・・・き、気持ちいいんだから仕方ないでしょ・・・」
グチュグチュ、と部屋に音が響く
パンパン、と体がぶつかる音もする
ハァハァ、と荒い息遣いが二人を興奮させていく
目の前の愛している人だけを見つめる
美琴「・・・んゅっ・・・」
上条「あ、イったな・・・」
美琴「はぁ・・・ヤバい・・・なんかめちゃくちゃ感じちゃう・・・」
上条「俺も・・・」
肉棒を抜き差しする度に、美琴はよがった
その甘い声が、上条をなおさら快感に導く
美琴「いやっ・・・は、激しすぎ・・・て・・・」
愛液がだらし無く太ももに垂れていく
だがそんなことを気にしている余裕もないくらい、美琴の体は敏感になっていた
美琴「当麻・・・まだ・・・?」
上条「もうちょい・・・はぁっ・・・」
美琴「ねぇ・・・一緒に、ね?」
上条「あぁ、分かってる」
上条が集中的に奥を責める
美琴が快感によがって、締め付けが一層強くなっていく
結果として上条も早く達することができるのだ
上条「あぁ・・・そろそろだ、美琴!」
美琴「はぁっ・・・来て!」
上条「イくぞ・・・あぁっ!」
美琴「んぁぁぁぁっ!」
美琴の中で上条が爆ぜる
脈打つ肉棒が、上条が達してしまったことを美琴に伝えていた
上条「はぁ・・・まだ焼肉パーティーまで時間あるな」
疲れた体をベッドに預けたまま上条がつぶやく
あれほど激しかったにも関わらず、まだ30分しか経っていなかった
美琴「あと二時間はあるわね・・・」
上条「あぁ・・・どうしましょうか?」
美琴「・・・一回でいいの?」
上条「うーん・・・あ」
上条が何かを思いついたように声を上げる
上条「後ろの穴、いいか?」
美琴「・・・ゴメン、ちょっとひいたわ」
上条「だ、だって美琴の全部が欲しいんだぜ!?」
美琴「そ、それは嬉しいけど!」
上条「前にもやったじゃんか!」
美琴「あ、あれは勢いというか!」
上条「ダメなのか?」
美琴「!」
上条が少し悲しそうな目で美琴を見つめる
分かっていた、これは彼の作戦なのだ
ここでOKを出してしまえば、上条はきっと調子に乗ってしまう
美琴「そ、そんな目なんかされたって・・・」
上条「美琴の全部がほしいなぁ・・・」
美琴「・・・」
美琴がそっと脚を閉じる
クチュリ、と静かに、しかし確実に音が鳴る
そういえば、後ろの穴を奪われたときも決して悪くはなかった気がする
美琴(だ、だからってそう簡単に許すの!?)
いまさら許してしまったら、快感に負けたみたいになってしまうだろう
美琴「・・・あ、あのさ」
上条「ん、なんだ?」
美琴「痛くはしないでね?」
上条「いいのか?」
美琴「ア、アンタのためなんだからね・・・」
下を向きながら美琴がつぶやく
快感を得るためではなく上条を喜ばせるため
そう言い訳をして、彼女は四つん這いになる
上条「えーっと・・・二回目だっけ」
美琴「ま、まだ慣れてないんだから・・・」
上条「お腹の中は大丈夫ですか?」
美琴「い、いいから早くしなさいよ!」
上条「あ、あぁ」
上条が美琴の腰を掴む
肉棒で、入り口を軽く弄ってみる
上条「・・・きつかったら言ってな?」
美琴「うん・・・分かった」
上条「じゃあ」
上条が指で美琴の愛液を掬う
それを後ろの穴に塗りたくり、少しでも滑りがよくなるようにする
美琴「んひゃっ!さ、触んなやぁっ!」
上条「ん、触られると感じちゃうんですか?」
美琴「違うから!」
上条「でも濡れてますよ?」
美琴「そりゃ・・・んぁぁっ・・・」
上条「・・・興奮してんのか?」
美琴「な、なによ悪い!?」
上条「いや・・・ちょっと嬉しい」
上条がぐい、と最後まで挿入する
美琴「はぁっ・・・や、やっぱり・・・なんか変な感じ・・・」
上条「い、痛い?」
美琴「はぁっ・・・な、なんか・・・」
美琴の前の穴からタラリ、と愛液が垂れる
感じているのだ
上条「お・・・こっちもちゃんと感じてしまうんですね」
美琴「と・・・当麻にだったら何されてもいいのよ」
そう言いながら美琴が上条に手を伸ばす
上条「ん」
考えを汲み取ったのか、上条が美琴の手を握りしめる
美琴「えへへ・・・一緒だね」
嬉しそうに美琴がつぶやく
上条「あぁ・・・そうだな」
美琴「んゅっ・・・はぁっ・・・」
上条「美琴・・・かわいいな」
上条が美琴の髪に触れる
少し汗でべたついている
だが今はそれさえ愛おしく感じた
上条「・・・はぁ・・・焼肉までに・・・終わるかな・・・」
腰を前後させながらつぶやく
美琴「んっ・・・ま、まだ時間あるから・・・はぁ・・・だ、大丈夫」
上条「エ、エロすぎですよ・・・」
美琴「ふぁっ・・・」
美琴の中が上条を締め付ける
ギュウギュウ、とかなりきつくなってくる
上条「おわ・・・やっべぇな・・・」
美琴「バカ・・・もっ・・・んゃぁっ・・・」
上条「・・・はぁ・・・イきそうだ・・・」
美琴「わ、私も・・・」
上条「イくぞ・・・」
美琴「うん・・・うん・・・!」
上条「美琴ぉっ!」
ぐ、っと美琴の体を抱きしめる
上条の存在がまた美琴の体の中で爆ぜる
上条「はぁ・・・はぁ・・・」
美琴「やっ・・・」
美琴「・・・ちょ、ちょうどいい時間じゃない・・・?」
上条「そうだな・・・風呂入ってからいきますか」
美琴「うん」
二人がベッドから起き上がる
シャワーを浴びながら
やっぱり、二人は風呂の中でもエロエロなのであった
続き: 上条「そして終盤!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスはワシじゃよ」心理「誰よ」【後編】