※関連
最初: 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
前回: 上条「まだまだ続く!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスはMeダヨ!」心理「誰よ」【前編】





611 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:01:08.33 n16adybp0 499/837

垣根「暑いな・・・」

垣根は放送席で団扇を扇いでいた

正直、観客席に見せる姿とは言えない

心理「情けないわよ垣根」

垣根「だって暑いしさ・・・はい、扇いであげるから」


612 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:01:55.28 n16adybp0 500/837

垣根が心理定規に風を送る

サラサラの髪の毛が少し揺れる

心理「あらありがとう」

吹寄「ねぇ・・・その団扇のデザインが気になるのだけれど」

垣根「ん、これか?」

垣根の右手に握られた団扇


613 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:02:31.07 n16adybp0 501/837

よく分からない冷蔵庫が描かれている

しかもドヤ顔の

なんだか見ているだけでコンセントを抜いて中の食材全てを腐らせたくなってしまうような憎たらしさだった

垣根「ていとうこだよ、うらやましいか?」

吹寄「てい・・・な、何それ?流行ってるの?」

心理「気にしないで、彼のオリジナルキャラクターだから」


614 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:03:05.90 n16adybp0 502/837

垣根「違うしー、マスコットグッズ売られてるしー」

心理「あなたが無理矢理店に置いてるだけじゃない」

垣根「ち、違うしー」

心理「無理矢理店長さんを脅してまで置いてほしかったの?」

垣根「・・・わ、悪いかよ!?」

吹寄「いや、悪すぎるわよ」


615 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:03:45.05 n16adybp0 503/837

心理「全く・・・」

はぁ、と心理定規がため息をつく

彼はこういうふざけたキャラよりもカッコイイキャラのほうが似合っているのだが

心理「あなたって役者よね・・・」

垣根「なんか似たようなことをコイツにも言われたよ」

垣根が吹寄を指差す


616 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:04:26.02 n16adybp0 504/837

吹寄「だって・・・貴様はホントにキャラがコロコロ変わるじゃない」

心理「でもそこも魅力的よ?」

心理定規が垣根の肩に頭を乗せる

垣根「お、なんだなんだ?」

心理「こうやって甘えてみるのもいいんじゃないかしら?」

垣根「これこれ、公衆の面前なんだぜ?」


617 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:05:08.78 n16adybp0 505/837

心理「あら、見せ付けてあげればいいじゃない」

垣根「おいおい・・・」

垣根が呆れたように言う

さきほどもこんなことをしていて吹寄のオデコアタックを喰らったのだ

過去の二の舞だけは御免だった

吹寄「・・・心理定規はホントに小悪魔よね」


618 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:06:10.98 n16adybp0 506/837

嫌味ではなく、素直な気持ちを吹寄が口にする

たしかに心理定規は小悪魔といっていい性格だった

大抵の男なら少し甘えられただけで堕ちてしまうだろう

そして堕ちた先には地獄が待っているのかもしれない

心理「あら、甘えてさえいれば大抵の男なんていい気になってくれるのよ」

吹寄「・・・それ、結構な問題発言よね」


619 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:06:41.72 n16adybp0 507/837

垣根「・・・他の男にもそんな甘えた声出してんじゃねぇだろうな」

垣根が少しふて腐れたように尋ねる

心理「あら、もしかしてヤキモチかしら」

垣根「・・・お前は俺だけのもんだからな」

垣根がずい、と心理定規に体を近づける

心理「・・・分かってるわよ」


620 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:07:08.02 n16adybp0 508/837

心理定規が垣根の頬に指を滑らせる

幸い、観客は今行われている競技を見るのに夢中らしい

彼らがイチャイチャしているのに気づいているのは放送席にいるわずかな人員だけだ

そのほとんどが顔を赤らめて気にしないようにしていた

垣根「・・・心理定規」

垣根が心理定規の顎に手を当てる


621 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:07:46.75 n16adybp0 509/837

少しだけ彼女の顔を上に上げた

潤いのある唇が、彼の唇の正面に来る

心理「・・・」

垣根「愛してるぜ、心理・・・」

セリフの途中で誰かにパカーン!と頭を叩かれた

垣根「いってぇ!てめぇ吹寄!」


622 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:08:34.69 n16adybp0 510/837

吹寄「ち、違うわよ!」

垣根「は?」

吹寄は垣根の右にいる

では後ろにいるのは


黒子「・・・何をされていますの?」

黒子だった


623 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:09:31.37 n16adybp0 511/837

恐らく空間移動で現れたのか

あまり人が多いところには移動しないはずなのだが

それはつまり、そこまでしてでも伝えなければならない急用があったのだろう

黒子「少しマイクを借りますの」

吹寄「あ、あの・・・」

黒子「あぁ、申し遅れましたわ」


624 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:10:07.78 n16adybp0 512/837

黒子が肩に付けた腕章を示す

黒子「風紀委員の白井黒子ですの」

吹寄「あ、風紀委員・・・」

垣根「・・・てめぇ白井・・・俺の頭を殴るとはいい度胸じゃねぇか」

黒子「あら、こんなところでいかがわしい行動をなさっているあなたには言われたくありませんの」

垣根「御坂に未だにアピールし続けてるてめぇが言うんじゃねぇよ」


625 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:11:10.97 n16adybp0 513/837

黒子「あらまぁ、人の胸を揉んでばかりいるあなたには言われたくありませんわね」

垣根「はぁ?てめぇレイプでもされてぇのかよ」

意味の分からない火花を散らす二人

その喧嘩を止めたのは心理定規だった

心理「黒子、あなた用事があったからここに来たんじゃなかったの?」

黒子「あら、そうでしたの」


626 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:11:52.17 n16adybp0 514/837

吹寄「なんの用事なんですか?」

黒子「いえ・・・あまりに熱中症の方が多いもので」

はぁ、と黒子がため息をつく

かなり疲れているようだ

垣根「じゃあ熱中症に気をつけろ、ってアナウンスすればいいんだな?」

黒子「あら、アナウンスしていただけますの?」


627 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:12:43.98 n16adybp0 515/837

垣根「・・・まぁ仕方ねぇからな」

垣根がマイクを握る

垣根「あーあー、選手のみなさん、水分補給はこまめにしてください」

垣根「熱中症は恐ろしいです、ヘタをすればポックリ逝ってしまうのですから」

垣根「まぁ、死んでもいいよ、とかいうバカはそのままで結構」

垣根「たった120円出せば飲み物は買えますよー」


628 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:13:22.68 n16adybp0 516/837

垣根「この先の人生がその飲み物に救われるかもしれませんね」

垣根「人生があと60年くらいとしましょう」

垣根「一年当たりを2円で買えるんです、安いでしょう?」

垣根「ちなみに俺はゲータレードをオススメしておこう」

垣根「水分がどうしてもないのなら水道を使ってくれよな!」

垣根「綺麗な水が出てくるから、だってここは学園都市だし」


629 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:14:17.12 n16adybp0 517/837

垣根「以上、熱中症でぶっ倒れるなんて笑い者だからな」

垣根がアナウンスを終える

黒子「・・・あの、そういうアナウンスとは・・・」

垣根「なんだよ、ああいう脅してる感じのほうがみんなは言うこと聞くんだよ」

ケラケラ、と垣根が笑う

黒子「たしかに分かりやすかったかもしれませんが・・・」


630 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:14:47.81 n16adybp0 518/837

吹寄「でもちょっとおかしい内容だったわよ」

心理「こっそりCM入れてたわよね」

垣根「聞こえない」

垣根が耳を塞ぐ

黒子「はぁ・・・ですがありがとうございますの」

黒子が頭を下げる


631 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:15:21.25 n16adybp0 519/837

アナウンスをする手間が省けてありがたかったのだろう

垣根「なに、畏まるこたぁねぇよ」

ヒラヒラ、と垣根が手を振る

黒子「ではわたくしはこれで」

ヒュン、と黒子の姿が消える

吹寄「・・・空間移動?」


632 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:16:03.63 n16adybp0 520/837

心理「えぇ、かなり便利そうな能力よね」

垣根「あんなもん精密すぎて演算が難しいだろ」

垣根がバカにしたようにつぶやく

彼の能力は非常に応用がきくのだ

だからこそ、演算が難しいなんてバカに出来るのだ

大抵の学生は空間移動系と聞いただけで尊敬の眼差しを送るのだから


633 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:16:37.29 n16adybp0 521/837

垣根「しっかし・・・この暑い中をすぐに移動できるのは楽かもな」

心理「歩いて移動したらかなり汗をかくものね・・・」

吹寄「風紀委員なら、情報伝達にも便利かもしれないわね」

垣根「あぁ、そういう考え方もあるな」

良くも悪くも、黒子に似合っている能力だ

覗きに応用するのだけはいただけないが


634 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:17:23.85 n16adybp0 522/837

垣根「・・・あぁ、あちぃ」

垣根が机に突っ伏す

心理「あら・・・私ともっと熱くなりたくない?」

垣根「そういうのは夜にしようぜ・・・」

うだー、と垣根が体をジタバタさせる

吹寄「どうでもいいけど、そうやって貴様がジタバタすると机が揺れてうるさいのよ」


635 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:18:12.15 n16adybp0 523/837

垣根「おらおらー、垣根がバイブレーターになっちゃったぞー、カーキネーターだぞー」

くだらない、と吹寄がため息をつく

吹寄「はぁ・・・それにしても暑いわね」

この中で競技を行っている選手達はホントに疲れるだろう

垣根「あぁ・・・こんな中にいたらそりゃ熱中症にもなるよな」

心理「仕方ない場合もあるんでしょうね」


636 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:18:39.95 n16adybp0 524/837

吹寄「あなた達も水分補給はしっかりしなさいよ?」

吹寄が二人にスポーツドリンクを差し出す

垣根「サンキュー・・・」

心理「はぁ・・・まだあと1時間あるのね」

午前の部が終わるまでまだ時間はあった

早いとこ涼しいレストランにでも行きたい

心理定規はそんなことを考えながら重い息を吐いていた



637 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:19:23.32 n16adybp0 525/837

初春「・・・あ、おかえりなさい白井さん!」

黒子「とりあえずアナウンスは成功しましたの」

削板「これで倒れる学生が減ったらいいけどな・・・」

初春「そう簡単にはいかないですよ」

初春が苦笑する

誰もが自分はそんなことにはならない、とたかをくくっているのだから


638 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:20:00.75 n16adybp0 526/837

黒子「まったく・・・こちらの苦労も少しは考えてほしいですの」

削板「でもみんな軽症みたいでよかったじゃないか」

黒子「そ、それはそうですが・・・」

黒子が決まりが悪そうにうつむく

なんだか、愚痴をこぼした自分があまりにも子供っぽく思えたのだ

初春「でも愚痴もこぼしたくなりますよ」


639 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:20:36.25 n16adybp0 527/837

初春が汗を拭う

この炎天下の中、人が倒れたと聞いてはその現場に移動し

担架にその人物を乗せたらまた本部にまで戻ってくる

そんな重労働をしばらく続けているのだ

正直、彼女達の体にも疲れが溜まっている

黒子「ですが、弱音を吐いているヒマはありませんの」


640 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:21:35.89 n16adybp0 528/837

削板「そうだな、根性で乗り切るぞ!」

天に向けて拳を突き出す削板

かなり暑苦しい彼だが、こういうときは非常に頼りになる

黒子「はぁ・・・風紀委員は競技を楽しむこともままなりませんの」

初春「仕方ないですよ、結果だって近くの電光掲示板を見なきゃ分からないんですから」

黒子「そうですのね・・・」


641 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:22:22.24 n16adybp0 529/837

風紀委員だって一応は学生の集まりなのだ

やはりクラスメイトや友人と馬鹿騒ぎをしたい

削板「・・・大変だよなぁ」

初春「誰かがしないといけないことですからね」

初春が苦笑する

彼女は体力があるわけではない


642 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:23:05.51 n16adybp0 530/837

ただ、正義感だけは人一倍強かった

削板「そういえば、ウイーハルさんはなんで風紀委員になろうと思ったんだ?」

初春「・・・私は白井さんに憧れて、ですかね」

黒子「あら、わたくしに出会う前から志願していたのでしょう?」

黒子が驚いたように尋ねる

初春「たしかにそうですけど、でもあの時白井さんに励まされてなかったら絶対に辞めてましたよ」


643 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:23:48.87 n16adybp0 531/837

初春が頭をかく

こんな話をするのは初めてだったかもしれない

黒子「あら・・・そうだったんですの?」

初春「はい・・・今はあんまり尊敬してないですけど!」

ニコリ、と初春が微笑む

黒子「初春・・・喧嘩を売っているならそう言ってくださいな」


644 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:24:45.30 n16adybp0 532/837

初春「いえいえ、私は儲けられないなら売ったりしませんよ」

黒子「風紀委員としてあるまじきセリフですの・・・」

初春「白井さんの変態もあるまじき行動ですよ?」

黒子「あら、あなたのお花畑もですの」


二人が火花を散らす

仲良しだなぁ、と削板は一人微笑んでいた



645 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:25:15.33 n16adybp0 533/837

テクパトル「はぁ・・・17600号は上手くやってるかな」

19090「大丈夫ですよ、きっと」

御坂妹「テっくんは心配性ですね」

テクパトルと愉快なミサカ達は観客席に座っていた

しっかりと水分補給をしながら競技を見ている

20000「あ、あっちの学生さんちょっと可愛くない?」


646 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:25:52.45 n16adybp0 534/837

10039「な、なんで女性を見ているのですか!」

20000「ミサカ、両方いけるんだよ♪」

13577「だ、だからミサカ達にあんなことをさせたのですね!?」

20000「あ、なんならここでもう一回・・・」

テクパトル「やめろ」

はぁ、とテクパトルがため息をつく


647 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:26:31.58 n16adybp0 535/837

膝の上で頬杖をつき、あくびをする

暑いうえに、今行われている長縄飛びはヒマなのだ

盛り上がるタイミングは分からないし、何より見ていて映えない

もっとやる競技があるだろ、と感想を抱いていた

ちなみに彼が思い浮かべていたのはボクシングやら柔道やらとあまり大覇星祭には関係ないスポーツばかりだったのだが

19090「テっくん、お菓子食べますか?」


648 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:27:20.83 n16adybp0 536/837

テクパトル「ん・・・何があるんだ?」

19090「ガムとチョコとポテチと・・・」

テクパトル「いや、この暑さじゃチョコは溶け・・・」

19090「あぁ!チョコがドロドロになっています!」

御坂妹「ゲコ太型だったのに!」

20000「ハァハァ・・・こ、この溶けたチョコを全身に塗りたくったらテっくんは舐めてくれる?」


649 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:28:09.29 n16adybp0 537/837

テクパトル「断る」

14510「どうせ19090号がやっていたら喜んで食いつくんですよ」

テクパトル「んなわけないだろ!」

頭を抱えながらテクパトルが否定する

どうもミサカ達の思考回路は一般とずれているらしい

おかげで退屈をしないのはありがたかったが

テクパトル「にしても・・・今日はまた一段と暑いよな」  

650 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:30:26.71 n16adybp0 538/837

19090「・・・そうですね・・・」

御坂妹「暑いですよね・・・」

ミサカたちがTシャツやらスカートやらをパタパタさせる

テクパトル「・・・そういう行動はやめたほうがいいぞ」

13577「おや、なぜですか?」

19090「・・・は、肌が見えるからですよ?」

14510「・・・なるほど」

651 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:32:42.00 n16adybp0 539/837

20000「あれか、テっくんはミサカたちの柔肌を見ると勃起しちゃうのか」

テクパトル「ちげぇよ・・・」

10039「テっくん、なんだか疲れてますね」

20000「まさかもう賢者・・・」

テクパトル「だから違う!!!」

テクパトルは頭を抱えていた

20000号は変態すぎる

652 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:35:01.52 n16adybp0 540/837

20000「ねぇ、勃起して辛いならミサカが・・・」

テクパトル「はぁ・・・もうイヤだ」

10033「おなかが空きました、テっくん」

御坂妹「テっくん、喉が渇きました」

19090「あ、あの競技はなんですか?」

テクパトル「俺は聖徳太子じゃない・・・」

もう一度

テクパトルは溜め息をついた

653 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:37:58.95 n16adybp0 541/837


上条「・・・はぁ」

イン「あー!!このお菓子美味しいんだよ!」

インデックスはまだ食べ物を漁っていた

神裂「インデックス・・・そろそろ昼ごはんですよ?」

美琴「そんなに食べて大丈夫なの?」

イン「うん!!ちょっとおなかを温めないと!!」

ステイル「は、ははは・・・」

654 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:40:00.31 n16adybp0 542/837

五和「で、ですが太ったら・・・」

イン「?私は太らないんだよ?」

クッキーをむさぼりながらインデックスが首を捻る

上条「あのなぁ・・・そういう問題じゃないんだよ」

イン「どういう問題?分からないかも」

上条「俺たちはこれから昼飯なの!!そんな光景見せられたら腹いっぱいになるんだよ!」

イン「じゃあ私の分け前が増えるの!?」

655 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:43:10.24 n16adybp0 543/837

上条「なんでそうなんだよ!!」

上条が頭を抱えながらうめく

何しろ、目の前では未だにインデックスがクッキーを吸っているのだ

見ているだけでおなかが膨れる

これから自分が何かを食べるのさえイヤになるほど、インデックスはたくさんの量を食べていた

ステイル「だが、食べすぎは体に悪いよ?」

656 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:44:59.91 n16adybp0 544/837

イン「?タバコのほうが悪いんだよ?」

上条「それはいいわけだ!!」

ステイル「ニコチンがない世界は地獄だ!」

イン「食べ物がない世界は阿鼻叫喚図なんだよ!」


美琴(よくやってられるわね・・・)ハァ

神裂(あの子は昔からよく食べましたね・・・)

657 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:46:27.54 n16adybp0 545/837

上条「大体、ステイルが全部払ってるんだろ!?」

イン「そ、それは・・・」

上条「甘えてんじゃねぇよ!!」

上条が右手を握り締める


美琴(く、来るわねそげぶ!!)

五和(ま、間近で見るのは久しぶりです!)

神裂(・・・これはなかなか見ものですね・・・)

658 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:48:29.83 n16adybp0 546/837

上条「なんでそうやって今の状況に甘えてるんだよ!?」

上条「ステイルはお前を思っていた!!だからお前にこうやって・・・」

ステイル「上条当麻、この子を悪く言わないでほしい」

上条「あ、今説教・・・」

ステイル「いいかい、僕の金なんだ」

ステイル「どう使おうが僕の自由だろう?」

上条「い、いや・・・」

659 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:50:33.89 n16adybp0 547/837

美琴「と、当麻負けないで!!」

上条「お、おう!!」

ステイル「とにかく、君がどうこう言うことではないよ、文句言うならイノケンティウスだ」

上条「ごめんなさい」

美琴(あ、負けた)

神裂(負けましたね・・・)

五和(て、手加減をしたんですよ!)

660 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:53:32.88 n16adybp0 548/837

上条「・・・そうだ、それより昼飯・・・」

上条がぽつりとつぶやく

美琴「まぁ・・・食欲は正直湧かないけどね」

ステイル「じゃあ、レストランにでも行こうか」

6人が立ち上がる

イン「昼ごはん♪」


インデックスだけは、まだ楽しそうだった

661 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:56:41.55 n16adybp0 549/837


エツァリ「・・・穏やかな 夏の陽射しが 降り注ぐ」

ショチトル「70点」

エツァリ「おや、厳しいですね」

こちらの二人はなぜか俳句を読んでいた

トチトリがいないため、また二人なのだ

ショチトル「なんか・・・ヒマだな」

662 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 10:59:12.79 n16adybp0 550/837

エツァリ「えぇ・・・テクパトルたちはどうでしょうか」

ショチトル「なに、任せていいだろう」

ははは、とショチトルが笑う

エツァリ「・・・そうですね、彼には暖かい家族もいますから」

ショチトル「しかし、ホームシックとはな」

ショチトルは少し驚いていた

トチトリはかなり精神的に強い少女だ

663 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 11:03:26.31 n16adybp0 551/837

テクパトルに利用されたときも

そのあと、立派に立ち直った

そんな少女があそこまで泣き崩れるだなんて

エツァリ「それほど、家族は大切なのでしょうね」

ショチトル「そうだな・・・」

二人が苦笑する

エツァリ「・・・彼女も、普通の生活を手に入れたのですね」

664 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 11:05:23.79 n16adybp0 552/837

ショチトル「・・・私達と一緒だな」

あの組織にいたころとは違う

普通の、平凡すぎる生活

エツァリ「・・・幸せですね」

ショチトル「それは、人それぞれさ」

もしかしたら

誰かは、あの組織が幸せだったのかもしれない

665 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 11:07:13.96 n16adybp0 553/837

人を殺すことが幸せな人間

誰かを顎で使うのが幸せな人間

仕事だけをして生きるのが幸せな人間


そんな人間だって、あの組織にいただろう

エツァリ(そうだとは、信じたくないですがね)

ショチトル「それでも、あの組織が不必要だったと言い切れるのかな」

666 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 11:09:00.26 n16adybp0 554/837

エツァリ「・・・どうなんでしょうか」

エツァリにはわからなかった

たしかに、彼は今幸せだ

テクパトルやショチトル、そしてトチトリもそうだろう

そして、トチトリと共に暮らしている家族も

エツァリ「ですが、中には組織の再編を狙っているものもいるでしょうね」

ショチトル「あぁ、そうだとも」

667 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 11:10:48.68 n16adybp0 555/837

エツァリ「・・・いったい、幸せとはなんなのでしょうか」

ショチトル「そうだな、答えなど無いさ」

ショチトルが苦笑する

彼らは今幸せだ

組織と言うものを犠牲にしたうえで成り立っている幸せだ

ショチトル「・・・誰かを犠牲にした幸せか」

668 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 11:12:42.99 n16adybp0 556/837

エツァリ「そうだとしても、自分はそれで構いません」

エツァリは今の幸せを手放すつもりはない

ショチトル「・・・幸せ、か」

ははは、とショチトルが苦笑する

エツァリ「・・・自分は、この幸せだけを守れたらそれでいいんですよ」

ショチトル「そうだな、私もだよ」

669 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 11:15:07.05 n16adybp0 557/837


エツァリ「そろそろ昼時ですね」

ショチトル「・・・そうだな」

二人がレストランへ向かう

こういった幸せが、嬉しいのだろうか

ショチトル「そういえば、上条たちは競技に出ないのかな」

エツァリ「あ、そういえばそうですね」

670 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 11:17:03.21 n16adybp0 558/837

ショチトルがパンフレットを広げる

競技の項目には、上条たちの高校は乗っていない

エツァリ「おや・・・今日もないのですね」

ショチトル「そうだな、大覇星祭なんて基本ヒマな時間のほうが長いらしいし」

エツァリ「では、行きますか」


大覇星祭5日目

そろそろ盛り上がりに欠ける時間帯になってきた

675 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:03:29.68 n16adybp0 559/837


垣根「あー、昼飯だ昼飯」

垣根が放送席で弁当箱を広げる

吹寄「あら、今日は食べに行くんじゃないのね」

垣根「あぁ、作ってきたんだよ」

心理「どうりで朝早く起きてたわけね・・・」

吹寄「え、垣根って料理上手なの?」

676 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:05:29.59 n16adybp0 560/837

垣根「あぁ、わりと得意だぜ」

垣根が弁当箱の中を吹寄に見せる

色とりどりの弁当だった

バランスも良さそうで、なおかつ美味しそうな弁当

女子でもここまで立派な弁当を作れる人は少ないだろう

吹寄「へぇ・・・美味しそうね」

垣根「心理定規のもあるぞ」

677 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:06:53.38 n16adybp0 561/837

心理「あら、ありがとう」

心理定規が垣根から弁当箱を受け取る

心理「あなたのとは中身が少し違うのね」

垣根「そっちのほうが楽しいだろ、はい吹寄」

吹寄「・・・え、なに?」

垣根「なにじゃねぇよ、お前の分」

垣根がもう一つ弁当箱を差し出す

678 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:08:03.84 n16adybp0 562/837

吹寄「・・・私の分なの?」

垣根「あぁ、一応ヘルシーにしといたぜ」

キリッ、と垣根が決める

吹寄「ありがと・・・」

パカっと蓋を開ける

たしかに、健康に良さそうな食材を使っている

しかし、それでも美味しそうなのは垣根の腕がいいからだろう

679 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:09:22.86 n16adybp0 563/837

心理「あら、かなりヘルシーね」

横から心理定規が覗き込む

吹寄「・・・でも、少しカルシウムが少ないわね」

垣根「どこの栄養管理職だよ」

吹寄「逆にたんぱく質が多すぎるわね」

心理「テクパトルとかは喜びそうね」

680 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:11:00.11 n16adybp0 564/837

吹寄「じゃあ・・・」

垣根「はいはーい!!しわとしわを合わせて!?」

吹寄「え?」

心理「幸せ!!」

垣根「ふしとふしを合わせたら!?」

心理「それはダメ!!」

吹寄(な、なにこれ!?)

681 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:12:18.80 n16adybp0 565/837

垣根「ブルータス、お前もか!?」

心理「私も、そしてお前もだ!!」

垣根「鎧戸を!!」

心理「開けてくれ!!」

垣根「もっと!!」

心理「光を!!!!!」


垣根「いただきます!!!!」

心理「いただきます!!!!!!」

吹寄「い、いただきます・・・?」

682 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:13:51.67 n16adybp0 566/837

垣根「捥ぐ捥ぐごっくん!!」

心理「捥がないで」

吹寄「?何目隠しを持ってきているの?」

垣根「説明しよう!目を閉じて何かを食べ、それが何だったかを当てるのだ!!」

心理「ちなみに、不正解だとこのビリビリジュースを飲まないとダメよ」

吹寄「そ、それで?」

垣根「二人が挑戦してくれ」

683 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:16:06.21 n16adybp0 567/837

垣根「ちなみに!!目隠し外したらその時点で失格な」

吹寄「・・・ヘンなものは食べさせないでね」

心理「まぁ、そこは大丈夫よ」

垣根「じゃ、目隠し目隠し」

垣根が二人に目隠しをする

垣根「では、観客席のみなさん!!」

一同「いぇーーー!!!!」

684 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:19:03.29 n16adybp0 568/837

垣根「盛り上がっていきましょう!!」

一同「ふぉーーーー!!!!」

垣根「では、二人にはヘッドフォンもしてもらいます」

心理「?」

垣根「観客席には何を食べたか伝えるんだよ」

心理「あぁ、なるほどね」

685 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:20:19.51 n16adybp0 569/837

垣根「よし、ではヘッドフォンもつけたし・・・」

垣根が怪しい箱を取り出す

垣根「この中に、いろんな食材が書かれたクジが入ってる!!」

垣根「まずは!!この食材だ!」

一本、クジを引く


垣根「最初に二人が食べるのは、>>686!!!」

686 : VIPに... - 2011/08/16 12:21:30.97 qkKVhyywo 570/837

プロテイン

687 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:23:29.13 n16adybp0 571/837

垣根「プロテイン!!食べるというよりは飲むものだけどね!!」

一同「おー!!」

垣根「ちなみに、提供はチャンピオン社!!」

垣根「ホエイスタックプロテインはまさに王道!」

垣根「おそらく、全世界で最も飲まれているプロテインと言っていいでしょう!!!」

垣根「味はさまざま、もちろんたんぱく質を一回で25g程度も取れてしまいます!」

垣根「味だって、日本のものとは比べ物になりません!」

688 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:24:44.62 n16adybp0 572/837

垣根「価格も安く、味もよし!」

垣根「今回は、クッキー&クリーム味、甘党にはたまらない一品です!!」

垣根(テクパトルの書いた説明文だがいいのかこれ?)

垣根がプロテインを水に溶かす

少し濃い目にして、できるかぎり分かりやすくする

垣根「じゃ、ヘッドフォン外すぞー」

垣根が二人のヘッドフォンを外す

689 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:25:48.76 n16adybp0 573/837

心理「・・・観客席がヘンな盛り上がりを見せているのはなぜ?」

垣根「坊やだからさ」

吹寄「とりあえず、早くしてくれないかしら」

垣根「はい、これはちょっと飲み物だな」

心理「ちょっとじゃない飲み物があるの?」

垣根「バリウムとか」

心理「飲み物じゃないわね」

690 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:27:20.43 n16adybp0 574/837

ゴクリ、と二人が飲む

心理「んっ・・・なんかちょっとドロドロしてない?」

吹寄「・・・ダマはないから、しっかり溶かしたのかしら?」

心理「・・・ねぇ、ヘンなものじゃないわよね?」

垣根「公衆の面前でヘンなものは飲ませねーよ、吹寄のほうが分かりやすいかも」

吹寄「うーん・・・ちょっと待って」


691 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:28:31.77 n16adybp0 575/837

垣根「では、形容してみよう!!」

吹寄「え、何を飲んだのか当てる・・・」

垣根「オリジナリティー溢れる名前にしてあげよう!!」

垣根が無茶振りをする

吹寄「え、えっと・・・」


吹寄「ネバついた・・・」

心理「亜熱帯」

692 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:29:39.79 n16adybp0 576/837

垣根「はい、こちらはこれからネバついた亜熱帯と呼ばれることになりました!!」

わー!!と観客席から声が上がる

吹寄「ねぇ、結局なんだったの?」

垣根「プロテイン」

心理「分かるわけないでしょ・・・」

垣根「はい、またヘッドフォン!!次は・・・」


垣根「>>693!!」

693 : VIPに... - 2011/08/16 12:30:48.75 bc0H0+OIO 577/837

イ、インデックスさんや…
男の人はおおぐいの人は苦手なんやで?

694 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:32:37.08 n16adybp0 578/837

ちょww


垣根「インデックスさん!!」

え?と観客席が首を捻る

垣根「えー、こちらにイカが用意されています」

垣根「これはもはや、インデックスと言っていいでしょう」

垣根が二人のヘッドフォンを外す

695 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:33:34.59 n16adybp0 579/837

心理「・・・うわ、なんかコリコリしてるわね・・・」

吹寄「・・・ちょっとイカ臭くない?」

心理「・・・」

吹寄「・・・」


心理「ちょっと垣根、何してんのよ」

垣根「俺にチソコは一つしかないぞ」

696 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:34:42.18 n16adybp0 580/837

吹寄「あれ、なんか吸盤があるわね」

心理「あ、分かったかもしれないわ・・・って言うかさっき答え出たわよね」

垣根「お、では答えは!?」


吹寄「イカ!!」

心理「ゲソ娘」


垣根「正解!!まさか二回目で正解とは!!」

697 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:36:11.95 n16adybp0 581/837

垣根「いやぁ、なかなかに盛り上がってまいりました!!」

一同「いぇーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」

女の子の少しエッチな反応が好きなのだろうか

観客席が異常に盛り上がっている

垣根「さぁ、次は・・・」


垣根「>>698!」

698 : VIPに... - 2011/08/16 12:38:12.81 rw8qLRs10 582/837

酢豚のパイナップルいってみようか!
・・・案外わかりにくいと思うw

699 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:40:28.54 n16adybp0 583/837

垣根「酢豚のパイナップル!!」

垣根「じゃあ、パイナップルに酢豚のエキスをたくさんつけましょうねー」

垣根がパイナップルを浸す

垣根「よーし、行って見よう!」


心理「・・・?甘い・・・かしら」

吹寄「え、ちょっとしょっぱくない?」

心理「あら・・・でもそう言われたら・・・」

700 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:42:09.84 n16adybp0 584/837

心理「・・・シャリシャリしてるわね」

吹寄「えっと・・・甘くて、でもしょっぱくて・・・」

心理「シャリシャリしてるもの・・・」

吹寄「んー・・・なんだろ?」

心理「私が思うに、魚介系じゃないかしら?」

吹寄「うん、エビとかよね」

垣根(こいつらバカだべ)

701 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:43:18.82 n16adybp0 585/837

心理「よし、じゃあ形容するわね」

垣根「あぁ、頼む」


吹寄「ダイビングが得意な」

心理「クソガリ」


垣根「はい、これからはこちらはダイビングが得意なクソガリになりました!!!」

吹寄「ん?パイナップル?」

心理「あぁ、酢豚に浸したのね」

702 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 12:44:51.16 n16adybp0 586/837

垣根「あー、そろそろお時間ですね」

心理「まぁ、わりと楽しかったんじゃない?」

垣根「そうかもな」

吹寄「ではみなさん!!午後もがんばっていきましょう!!」

一同「おーー!!」

まだまだ暑い陽射しが差している

放送席の人員は必死に盛り上げようと苦戦していた

707 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 16:51:14.99 n16adybp0 587/837

17600「で、ここがミサカたちのお気に入りの店だ」

17600号とトチトリは学園都市の中を散策していた

競技など興味はないし、他にやることもないからだ

トチトリ「・・・へぇ・・・」

17600「アクセサリとか好きか?」

トチトリ「あ、あぁ!!」

トチトリがうなずく

708 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 16:53:18.97 n16adybp0 588/837

トチトリ「アクセサリには魔術的な意味が含まれるからな!」

17600「なるほどな・・・」

トチトリ「ただの十字架のネックレスでさえ、少し細工を加えれば霊装になってしまう!!」

17600「魔術ってのはなかなか面白いな」

17600号が興味深そうに訊ねる

トチトリ「ただ、体力を魔力に精製するから・・・」

17600「体力は減りやすい、か」

トチトリ「あぁ」

709 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 16:55:03.62 n16adybp0 589/837

17600「長期戦になれば科学側が有利、その変わり異様性では魔術、か」

トチトリ「す、すごい理解力だな」

17600「なに、たまにテっくんから聞くからな」

ふふん、と17600号が胸を張る

そうしても、あまり胸が強調されないのは悲しかったが

トチトリ「・・・17600号は・・・なんでテクパトルと過ごしてるんだ?」

17600「ん、ミサカか?」

710 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 16:56:17.73 n16adybp0 590/837

トチトリ「あぁ・・・正直、あいつとずっと一緒にいるのは疲れないか?」

トチトリが訊ねる

それも仕方の無いことだろう

昔のテクパトルは少し話をするだけでも疲れてしまうほどの人間だった

それと一緒に暮らすなんて

もちろん、今のテクパトルが変わったのはわかっているが

17600「・・・そうだな」

711 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 16:57:34.20 n16adybp0 591/837

17600号が顎に手を当てる

当たり前のことをなぜ、と聞かれてもすぐには答えは出てこない

17600「・・・最初はミサカたちがお世話になってるから、だったな」

トチトリ「・・・それだけ、か」

17600「あぁ」

もし彼が他のミサカの世話をしていなかったら

そもそも二人は出会っていなかっただろう

712 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 16:58:40.00 n16adybp0 592/837

17600「でも、過ごすうちに少しずつ分かっていったのさ」

トチトリ「・・・なにが?」

17600「テっくんのことさ」

17600号が笑う

その横顔は楽しそうだった

17600「あいつはバカなほど真っ直ぐだ」

トチトリ「・・・まぁ、昔もそうだったかもな」

713 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 16:59:34.13 n16adybp0 593/837

17600「そして、その真っ直ぐな道は決して間違っていない」

トチトリ「そうかな・・・」

17600「そばにいるミサカたちが言うんだ、間違いないさ」

トチトリ「・・・だから一緒にいるのか?」

17600「居心地がいいからな」

トチトリ「・・・そうか」

トチトリがうつむく

714 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:00:28.30 n16adybp0 594/837

トチトリ「・・・お前は」

17600「ん、なんだ?」

トチトリ「テクパトルのこと、好きなのか?」

17600「恋愛感情はないよ」

ははは、と17600号が笑う

17600「家族としては大好きだがな」

トチトリ「・・・そっか」

715 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:01:16.47 n16adybp0 595/837

17600「お前も、今のテっくんはいいヤツだと思うだろ?」

トチトリ「誑しだがな」

17600「あぁ、それは否定できない」

トチトリ「だろ?」

二人が顔を見合わせて笑う

17600「でも、いいヤツさ」

トチトリ「そうだな」

716 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:02:11.69 n16adybp0 596/837

17600「・・・ホント、いいヤツだよ」

ふと

17600号が真剣な顔をする

クローンである彼女達に優しくしてくれる

それはとても変わっていることだった

それを受け入れ、認めてくれる

17600「ホント、優しいよ」

717 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:03:05.21 n16adybp0 597/837

トチトリ「いい家族だな」

17600「あぁ、自慢の家族だ」

トチトリ「・・・私の家族と同じくらい、な」

17600「お前の家族は暖かいか?」

トチトリ「あぁ、すっごくな」

17600「そりゃよかったな」

トチトリ「あぁ、幸せだよ」

718 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:04:00.38 n16adybp0 598/837

17600「・・・ミサカは、今の生活が好きだ」

17600「お前もそうだろう?」

トチトリ「・・・この時間が好きだな」

17600「この時間?」

17600号が首を捻る

まるで彼女といるのが楽しいというように聞こえたのだ

トチトリ「あ、ヘンな意味ではなく!」

719 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:05:00.66 n16adybp0 599/837

17600「あぁ、分かってるよ」

トチトリ「・・・お前はなんか、お姉ちゃんみたいな存在だな」

17600「・・・姉、か」

彼女の姉は

もっと強くて、もっと優しかった

17600「ミサカはお姉ちゃんなんてなれないさ」

トチトリ「?」

720 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:05:54.52 n16adybp0 600/837

17600「さて、そろそろテっくんのところに帰ろうか」

もう競技は始まっている時間だ

競技場に帰れば会えるだろう

トチトリ「・・・あ、あのさ!!」

トチトリが声を上げる

17600号は立ち止まって振り返る

721 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:06:48.23 n16adybp0 601/837

トチトリ「・・・た、楽しかったよ」

17600「そうか」

ニコリ、と17600号が笑う

あまり感情が豊かではない

それでも、その笑顔は嬉しそうだった

トチトリ「・・・ま、また」

17600「なんだ?」

722 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:07:57.14 n16adybp0 602/837

トチトリ「また、さ」

顔を真っ赤にして

トチトリが17600号を見つめる

トチトリ「あとで、二人で話してくれるか?」

17600「?あぁ」

少し鈍感な少女

少し不器用な少女


二人の抱える感情はまったく違った

723 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:37:27.20 n16adybp0 603/837

削板「あ、競技の始まる時間か」

削板がぽつりとつぶやいた

競技が始まった、ということはまた熱中症になる学生が増えるだろう

黒子「垣根さんにアナウンスはしていただきましたが・・・」

初春「それでも完全にいなくなるとは考えられないですね・・・」

削板「ま、数が減るならそれでいいさ」


724 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:37:53.89 n16adybp0 604/837

スポーツドリンクを飲みながら削板が苦笑する

風紀委員の仕事というのは本当に様々だ

パトロールやら熱中症患者の介抱やら

よく耐えられるものだ、と心の中で感心する

初春「減るだけじゃダメです!もっと一人一人が自覚を持って解決策をとってくれないと!」

黒子「この大人数が全員、はい分かりました、なんて言うわけないですの」


725 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:38:25.67 n16adybp0 605/837

初春「そんな現実的なことを言わないでください!」

削板「でも何人かは無視するヤツもいるんじゃないか?」

黒子「むしろ警告を真摯に受け止めて下さる方のほうが少ないと思いますの」

はぁ、と黒子がため息をつく

彼女としても選手全員がしっかりと対策をしてくれたほうがありがたいのだ

しかしまさか200万を超える学生全員がしっかり言うことを聞くなんて考えられない


726 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:38:52.26 n16adybp0 606/837

悲しいことだがそれが事実だ

そして、彼女達風紀委員はそんな事実と向き合わなければならないのだ

初春「はぁ・・・佐天さんから一緒にスイーツ食べないかって誘われてるんですよね」

黒子「仕事を第一になさいな」

初春「だって!大覇星祭中限定のメニューですよ!?やっぱり気になるじゃないですか!」

黒子「邪念を捨てるのです、初春!」


727 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:40:09.44 n16adybp0 607/837

二人がまた火花を散らす

よく飽きないものだ 

削板「・・・はぁ、それにしてもヒマだな」

今は昼休みが終わってすぐは意外とヒマなのだ

熱中症だった患者も回復し、それぞれの競技へ向かっている

中にはやや重い症状のために病院に運ばれている者もいるが

728 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 17:41:37.97 n16adybp0 608/837

黒子「これから忙しくなりますから、構えておかないといけませんの」

初春「はぁ・・・また患者にスポーツドリンクを渡す仕事が始まります・・・」

削板「どっかで聞いたようなネタだな」

黒子「?」

初春「・・・佐天さんは今頃・・・」

スイーツを食べているのだろう

とても、うらやましかった

732 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:16:37.76 n16adybp0 609/837


佐天「あれ、誰かに呼ばれたような・・・」

■■「気にしなくていいと思う」

佐天「そうだよねー!」

佐天と■■

正直地味な二人である

なぜ、この二人が一緒にスイーツ店にいるのか

733 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:18:34.64 n16adybp0 610/837

いや、二人ではない

御坂妹「お、こちらのケーキも美味しそうですね・・・」

19090「こっちはクッキーですか・・・」

20000「やっべぇ・・・こりゃ天国だぜ」

佐天「みんなも何か食べなよ!」

10033「では・・・」

テクパトル「・・・はぁ」

734 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:19:51.67 n16adybp0 611/837

テクパトルと愉快なミサカたち

なぜか、佐天、■■と面識を持ってしまったのだ

佐天「ねぇ、テクパトルさんは食べないの?」

テクパトル「あぁ・・・今はいい」

■■「あなたは。空気を読まないのね」

13577「読めないんですよ」

テクパトル「ちげぇよ・・・」

735 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:21:27.84 n16adybp0 612/837

14510「テっくん、食べなきゃ店の人に悪いですよ?」

テクパトル「・・・仕方ないな」

テクパトルが適当にケーキを探す

この店はケーキやらクッキーやら、スイーツをバイキングできるのだ

テクパトル(・・・甘そうだな)

いかにも女子が好きそうな商品ばかりだ

736 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:23:23.59 n16adybp0 613/837

テクパトル(・・・いや、これは甘そうだな・・・)

テクパトルは別に甘いものが嫌いなわけではない

しかし、こうも暑い時期に甘ったるいものを食べたいとは思わない

テクパトル(・・・チョコケーキでいいか)

一つだけトレイに乗せ、彼はテーブルに帰る

19090「・・・一つだけ・・・」

■■「ダメな人」

737 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:24:32.11 n16adybp0 614/837

テクパトル「仕方ないだろ・・・」

19090「で、ですがバイキングですよ?」

佐天「お金もったいないじゃん」

13577「そうですよ、テっくん」

テクパトル「・・・甘いものは今はいいんだよ・・・」

20000「もったいないぞ」

テクパトル「・・・」

738 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:25:55.39 n16adybp0 615/837

他のメンバーのトレイを見る

ケーキにクッキー、ドーナッツやらモンブランやら

そんな甘いものばかり食べたら太るのでは、と心配になるほどスイーツが乗っている

テクパトル「・・・よく食えるな」

■■「甘いものは。別腹」

■■がケーキを口に運ぶ

739 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:27:24.30 n16adybp0 616/837

御坂妹「テっくん、そんないやらしい目で見ないでください」

テクパトル「俺が見てるのはスイーツだ」

20000「え、スイーツに欲情してんの?」

テクパトル「んなわけあるか」

佐天「ほらほら、もっと食べなよ!」

佐天が身を乗り出しながらテクパトルに言う

740 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:29:04.83 n16adybp0 617/837

そういう体勢は、胸元が見えそうになるのだ

普通の学生なら多少ドキドキとしてしまうだろう

しかし、テクパトルはミサカたちの下着姿なんて日常的に見ている

それに比べたら、興味のない女性の胸元などどうでもよかったのだ

テクパトル「・・・はぁ」

しぶしぶ、テクパトルがケーキを食べる

チョコの甘みが口に広がった

741 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:30:17.91 n16adybp0 618/837

19090「どうですか、テっくん?」

テクパトル「どうって・・・」

テクパトルが言葉に詰まる

美味しい、それはたしかだ

しかしどう、と言われても形容しがたい

美味しい、と言ってもつまらないだろうし、かと言って、これといった例えもない

742 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:31:31.41 n16adybp0 619/837

テクパトル「そうだな・・・」

佐天「うんうん!!」

■■「どんなコメントをするのか。気になる」

御坂妹「これは期待ですね」


テクパトル「・・・お前にも食べさせたくなったよ」

テクパトルが19090号を見つめながら言う

19090「・・・えっ?」

743 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:33:22.75 n16adybp0 620/837

佐天「くぁーっ!!うらやましいね!!」

■■「こうやって。世界はカップルで埋め尽くされた」

13577「わら人形買ってきますね」

10039「落ちついてください、テっくんの頭にわら人形を打ち付ければいいんですよ」

10033「それは名案です」

テクパトル「いや・・・そのネタはマイナーすぎる」

744 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:35:02.80 n16adybp0 621/837

14510「・・・真っ赤ですよ」

19090「あ、あわわわ!!」

テクパトル「?食べたいのか?」

■■「鈍感でプレイボーイ。上条君に似てる」

佐天「?誰?」

■■「ひどい人」

佐天「?」

745 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:36:54.05 n16adybp0 622/837

テクパトル「上条と一緒にするな・・・」

御坂妹「いえ、そっくりです」

テクパトル「マジかよ・・・」

がっくり、とテクパトルが肩を落とす

あの上条と一緒

ということは、自分は相当不幸なのだろうと

重要な論点がずれているのには気づいていない

746 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:38:51.49 n16adybp0 623/837

佐天「ほらほら、とにかくじゃんじゃん食べよう!!」

10033「おー!!」

女達は本当に甘いものが好きだ

食べ終わったと思ったらすぐにまた取りに行く

テクパトル(・・・太るぞ)

たった一人の男であるテクパトルは

そんな、失礼な感想を抱いていた

747 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:42:50.70 n16adybp0 624/837


垣根「ほーほーほけきょ」

心理「季節はずれよ」

放送席では

未だに垣根がふざけている

垣根「あーあ、初日とか二日目は楽しかったのにな・・・」

吹寄「・・・仮にも実行委員である私の前で言わないでほしいわね」

垣根「えー」

748 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:45:34.94 n16adybp0 625/837

垣根「だってさ、放送席が盛り上げなきゃいけないなんておかしいぜ?」

吹寄「そ、それはそうだけど・・・」

吹寄が少しうろたえる

必死に企画をしたのであろう、彼女だって今回の大覇星祭には自信を持っていたのだ

垣根「あー、つまんねぇよ」

吹寄「き、貴様・・・」

心理(あら、怒っちゃうわよ)

749 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:48:23.29 n16adybp0 626/837

垣根「いいか、お前がしっかりしないからだぜ?」

吹寄「貴様!!それは少し言いすぎよ!!」

垣根「いやいや、だってよくよく考えろよ?」

垣根がプログラムを見直す

垣根「なんで綱引きのあとに大玉ころがしなの?」

垣根「普通はそこで二人三脚だろ?」

吹寄「そ、そういうものなの?」

750 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:50:19.11 n16adybp0 627/837

垣根「心理定規もそう思うよな?」

心理「あら、私は綱引きのあとは借り物競争がいいと思うわ」

垣根「えー、時間掛かりすぎるじゃん」

吹寄「二人三脚もでしょ・・・」

垣根「いいか、綱引きとは集団と集団の戦いだった」

心理「えぇ、それはそうね」

751 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:51:44.91 n16adybp0 628/837

垣根「つまり、それは個ではなく集団として戦ったんだよな?」

吹寄「そうだけど・・・」

垣根「二人三脚は素晴らしい」

垣根が腕を組む

今から語りますよ、というアピールだろうか

垣根「まず、足と足が密着する」

心理「・・・えぇ」

752 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:54:08.29 n16adybp0 629/837

垣根「つまり、体は自然と距離がなくなる」

心理「・・・もちろん、離れられないわね」

垣根「そして、同じゴールを目指すだろ?」

吹寄「うん・・・それも分かるわ」

垣根「心も体も同じように重なるんだ」

心理「・・・たしかに、そういえば」

垣根「そして、何より肩を組む」

753 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:56:37.19 n16adybp0 630/837

垣根「体が倒れそうになれば支えあう」

垣根「しっかり立てれば速さはどんどん上がっていく」

垣根「恋と似ていないか?」

心理「そうかしら」

垣根「俺は二人三脚が大好きだ」

吹寄「へぇ・・・」

垣根「セミの抜け殻と同じくらいに好きだ」

心理「そこまで好きじゃないのね」

754 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 19:59:12.58 n16adybp0 631/837

垣根「・・・とりあえず、来年はもっと面白い大覇星祭にしろよな」

吹寄「・・・分かったわよ」

吹寄が溜め息をつく

心理「とりあえず、今は今に集中しましょ?」

垣根「あーい」

垣根がマイクを握る


垣根「いいか、みんな!!」

755 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:00:50.04 n16adybp0 632/837

一同「おー!!」

垣根「盛り上がってるかい!?」

一同「いぇー!!!」

垣根「まだまだ、あと二日はあるんだ!!楽しんでいけよ!!」

一同「わーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


陽射しが暑い中

まだ、競技は続いていた

756 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:03:43.92 n16adybp0 633/837


旅掛「うーん・・・」

旅掛は唸っていた

美鈴「うーん・・・」

美鈴も唸っていた


旅掛「・・・なぁ、どっちがいいと思う?」

美鈴「そうだね・・・」

二人は、服を見ていた

757 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:06:36.87 n16adybp0 634/837

美鈴「ねぇ、美琴ちゃんってどういう服が好みなのかな?」

旅掛「子供っぽいの・・・はどうなのかなぁ」

そう

二人は、娘へ贈る服を選んでいたのだ

なかなか夫婦揃って訪れる機会は無い

そのため、少しでも親らしいことをしたかったのだ

美鈴「・・・これはまだ早いよね・・・」

758 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:09:24.86 n16adybp0 635/837

旅掛「そ、そんな露出が高めなのは許さん!」

美鈴「でも、私が美琴ちゃんくらいのときは・・・」

旅掛「なにぃ!?美鈴、こんな色気のある服装を・・・」

美鈴「それ見てパパも興奮してたじゃん!」

旅掛「昔のことは忘れた!!美琴にはダメだダメだ!!」

美鈴「似合うのに!!」

旅掛「まだ早い!!」

759 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:13:55.30 n16adybp0 636/837

美鈴「いいじゃん!!もう彼氏にはいるんだよ!?」

旅掛「そ、それはそうだけどさ!!」

美鈴「だから、美琴ちゃんもこういうの着たいと思うよ!?」

旅掛「うっ・・・」

美鈴「きっと、上条くんとの暑い夜はこういうの・・・」

旅掛「あぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!美鈴、言わないでくれ!!」

美鈴「美琴ちゃんは上条くんの彼女ー!!」

760 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:16:05.86 n16adybp0 637/837

旅掛「言うなぁぁぁ!!」

美鈴「とにかく!!一着くらいこれ持ってていいんじゃない!?」

旅掛「くぉぉぉぉぉ!!!!」

美鈴「こういう可愛いショーパンくらい持っててもいいんじゃない!?」

旅掛「そりゃたしかに必要かもしれねぇけど!!」

美鈴「いい!?」

美鈴がずい、と旅掛に顔を近づける

761 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:17:53.23 n16adybp0 638/837

旅掛「な、なんだよ!?」

美鈴「パパ、思い出して!!」


美鈴「私達の初デート!!」

旅掛「!!」



旅掛「あぁ・・・美鈴ちゃん遅いな・・・」

美鈴「ゴメン、旅掛くん!!」

旅掛「!!」

762 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:20:07.60 n16adybp0 639/837

旅掛「な、なんかいつもよりオシャレだな・・・」

美鈴「えへへ・・・//」

旅掛「い、いつもより・・・スカート短くない?」

美鈴「・・・た、旅掛くんが喜ぶかなって」

旅掛「・・・あ、あぁ」

美鈴「い、いや?」

旅掛「いやいや!!めちゃくちゃいいよ!!」

763 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:22:09.77 n16adybp0 640/837

美鈴「・・・た、旅掛くんのエッチ・・・」

旅掛「だ、だってしょうがないだろ!?」

美鈴「ど、どうして?」

旅掛「そ、そりゃ・・・」


旅掛「美鈴ちゃんがそんな格好してると、なんか可愛いからさ」

美鈴「あ、ありがとう//」

764 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:23:44.90 n16adybp0 641/837


旅掛「・・・そ、そういえばそんなことも・・・」

美鈴「ね、パパは女の子の生足とか好きだったでしょ?」

旅掛「あぁ・・・そして美鈴の足は最高だった・・・」

美鈴「いい、それを上条くんも思ってるんだよ!?」

旅掛「なるほどなぁ・・・」

旅掛が納得する

765 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:25:36.19 n16adybp0 642/837

旅掛「・・・しかし、懐かしいこと思い出したな」

美鈴「そ、それはいいから服・・・」

旅掛「あの頃はお互いにちゃん、くん付けだったな・・・」

美鈴「そ、そうだね・・・」

旅掛「若かったな・・・」

旅掛が微笑む

とても幸せそうだ

766 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:28:08.90 n16adybp0 643/837

美鈴「・・・そ、そうだね」

旅掛「なぁ、美鈴ちゃん」

美鈴「ちょっと、恥ずかしいからやめてよ!!」

旅掛「ん、いやか?」

美鈴「ち、違うけど・・・」

旅掛「じゃあ、いいだろ美鈴ちゃん」

767 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:30:02.25 n16adybp0 644/837

美鈴「そ、その呼び方やめてよパパ!!」

旅掛「ははは!!なんだか昔に戻ったみたいじゃないか!!」

美鈴「な、なによ旅掛くん!!」

旅掛「お、なんかドキリとしたぞ!?」

美鈴「ほ、ほらイヤでしょ!?」

旅掛「いや、嬉しいね!」

768 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:33:00.50 n16adybp0 645/837

美鈴「な、なんでよ!?」

旅掛「ははは!!なんなら今からちょっとデートしちゃうか!?」

美鈴「い、いいわよやってやろうじゃない!!」

二人は終始大声だった

周りの客達は何のことかと見つめていた


旅掛「じゃあ、どこ行こうか美鈴ちゃん!?」

美鈴「ホ、ホテルとか!?」

旅掛「初デートまんまだな!!」ハハハ!

769 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:34:55.69 n16adybp0 646/837


刀夜「・・・母さん、当麻はどこだろうか」

詩菜「まぁまぁ、どこにいるんでしょうか」

二人は息子を探していた

刀夜「・・・携帯の電源を切っているのか・・・」

刀夜が携帯を見つめながらつぶやく

どうも上条の携帯には通じないらしい

実際は、ただ単に充電切れなだけなのだが

770 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:37:19.21 n16adybp0 647/837

刀夜「・・・はぁ、どうしようか母さん」

詩菜「・・・とりあえず、さきほど女性に優しくしていたことの言い訳を聞こうかしら」

ニコニコ、と詩菜が笑う

なぜか手に持っている日傘の柄がバキバキと音を立てている

詩菜「・・・刀夜さん?」

刀夜「そ、それは仕方ないだろう!?」

刀夜が腕を振る

771 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:39:35.78 n16adybp0 648/837

刀夜「道に迷った人を・・・」

詩菜「そこを言っているんじゃないですよ?」

詩菜がもっと笑みを浮べる

だんだん、般若の顔になっている気がする

刀夜「そ、そこじゃなくて?」

詩菜「・・・あらあら、分からないのかしら」

刀夜「ひぃっ!」

772 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:41:03.96 n16adybp0 649/837

詩菜「私は、刀夜さんが浮気をするんじゃないかと心配しているんですよ?」

笑いながら、詩菜が訊ねる

刀夜「そ、そんなことないさ!!」

刀夜が詩菜の手を握る

刀夜「私は母さんだけが好きだ!」

詩菜「まぁまぁ、本当かしら」

刀夜「昔から、ずっとそうだよ」

773 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:43:39.53 n16adybp0 650/837

詩菜「まぁまぁ、だったら許してあげなきゃいけませんね」

刀夜「ありがとう、母さん!」

刀夜が嬉しそうに言う

こちらの夫婦は、少し静かな愛情だった


刀夜「・・・か、母さん・・・」

詩菜「あらあら、また女性に道を教えて・・・」ニコニコ

刀夜「はぁ・・・」


刀夜「不幸だ・・・」

774 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:45:10.65 n16adybp0 651/837


一方「・・・」

番外「・・・ねぇ、どうしてこんなとこにいるの?」

一方「・・・疲れたンだよ」

番外「そ、それは分かってるけど・・・」

番外個体が目の前の建物を見つめる

怪しげな建物

そう、ラブホテルだ

775 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:46:42.93 n16adybp0 652/837

一方「・・・クソが・・・」

一方通行が忌々しそうにつぶやく

道を歩いていたコーンロウの兄ちゃんに

「休めるとこねェか?」

と聞いたら

「あ、いいとこあるぜ」

と教えてもらったのだ

776 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:49:27.10 n16adybp0 653/837


番外「ね、ねぇ・・・」

一方「・・・帰るぞ」

番外「で、でも休みたいんじゃないの?」

一方「・・・そォだけどよ」

一方通行が少し辛そうにつぶやく

彼は相当疲れているはずだ

早く休みたいに決まっている

777 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:50:38.30 n16adybp0 654/837

一方「・・・ここはダメだろ」

番外「・・・ミサカはいいよ?別にそういうことするわけじゃないんだし」

一方「あァ?」

番外「あれ、もしかしてしたいの?」

ニヤニヤ、と番外個体が笑う

一方「あァ、したいぜ」

番外「は!?し、したいの!?」

778 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:52:19.02 n16adybp0 655/837

一方「ウソだ」

けろっと一方通行が答える

番外「・・・じゃ、じゃあいいじゃん」

一方「・・・いいか」

一方通行が溜め息をつく

二人は建物の中へ入っていく

779 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:54:07.89 n16adybp0 656/837


「えっと・・・学生の方ですか?」

一方「いや、学校には行ってねェ」

一方通行が答える

本当は籍自体は学校にもある

しかし、そもそも行ってはいないのだから通っているとは言えないだろう

番外「ミ・・・私も違うよ」

780 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:55:39.66 n16adybp0 657/837

「では、二時間で?」

一方「あァ」

「ではごゆっくり」


一方「・・・」

番外「・・・シャワー浴びたら?」

一方「着替えがねェからな」

番外「あ、そっか」

781 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:57:12.96 n16adybp0 658/837

一方「・・・ちっ」

舌打ちをしてから一方通行がベッドに横になる

フカフカ、とした感触だ

だが他のカップルがここでそういうことをしたと思うと、さすがに寝ようとは思えない

一方「・・・お前はどォすンだ?」

番外「とりあえず、飲み物はあるからゆっくりするよ」

一方「そォか」

782 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 20:58:36.66 n16adybp0 659/837

番外「・・・ねぇ」

番外個体が少し小さな声で一方通行を呼ぶ

一方「なンだよ」

番外「・・・しないの?」

一方「しねェよ」

番外「な、なんで?」

一方「疲れてンだよ」

783 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:00:44.92 n16adybp0 660/837

一方通行がゴロン、と寝返りを打つ

番外個体は、そんな様子に少し苛立ちを覚える

番外「・・・ミサカはしたいの」

一方「あァそォかよ」

番外「疲れてんのは分かるけどさ・・・」

一方「うるせェな・・・万年発情してンのか」

784 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:02:25.56 n16adybp0 661/837

番外「だ、だってラブホだよ!?」

一方「ンなの関係ねェよ」

番外「・・・そ、そうだけどさ・・・」

一方「やりてェヤツはどこでもやるしやりたくねェヤツはやンねェよ」

番外「・・・ミサカはしたいなぁ・・・」

一方「・・・ちっ」

785 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:03:47.91 n16adybp0 662/837

一方通行が体を起こす

番外「?なに?」

一方「ほれ」

一方通行が両手を広げる

まるで、飛び込んでこいと言わんばかりに

一方「ほらよ」

番外「・・・うん」

786 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:06:25.18 n16adybp0 663/837

番外個体が一方通行の両腕の中に入る

番外「・・・ありがと」

一方「あァ」

番外「・・・ねぇ、しない?」

一方「・・・夜でいいだろォが」

番外「ん、ありがと」

一方「・・・」

787 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:07:55.09 n16adybp0 664/837

二人がベッドに寝転がる

番外「ねぇねぇ、なんで空って青いの?」

一方「海が映ってるからだ、うるせェから寝ろ」

番外「・・・うるさい?」

一方「俺は寝たいンだよ」

番外「・・・じゃあ、ミサカも寝ようかな」

一方「そォしろ」

788 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:11:26.54 n16adybp0 665/837

番外「・・・好きだよ、一方通行」

一方「あァ」

そっと、目を閉じる

少しして番外個体の寝息が聞こえてきた

一方(・・・お前のほうが早く寝てンじゃねェか)

一方通行が苦笑する

789 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:12:53.01 n16adybp0 666/837

番外「・・・」zzz

一方「・・・」

はァ、と溜め息をつく

一日中歩いている、そんな生活が5日目なのだ

番外個体だって疲れているのだろう

一方(・・・寝るか)

790 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:15:26.84 n16adybp0 667/837

目を閉じると、自然と眠気が襲ってくる

こうやっていると、本当に今の自分が無防備なんだと知る

過去の彼は、寝ている間でも能力による反射が適用されていた

しかし、今は違う

それでも眠れるということは、今が相当平和だということだ

それがいいことなのか悪いことなのか


一方通行はそんなことを思いながら、眠りに落ちた

792 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:17:36.25 n16adybp0 668/837


美鈴「・・・ねぇ、いつまでデートするの?」

美鈴ちゃんは訊ねていた

旅掛「いやぁ、意外と面白いな、こういうのも!」

旅掛くんは喜んでいた

旅掛「あ、そういえば美琴はどこだろうな?」

美鈴「ん、服を渡すのは夜でいいんでしょ?」

793 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:19:04.67 n16adybp0 669/837

旅掛「あぁ、そうだな・・・ふぁぁー・・・」

旅掛があくびをする

美鈴「あれ、旅掛くんはヒマなの?」

旅掛「美鈴ちゃんとのデートは楽しいさ」

美鈴「・・・ねぇ、普段の呼び方にしようよ」

旅掛「ん、そうだな」

794 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:20:45.05 n16adybp0 670/837

美鈴「・・・パパ、美琴ちゃん・・・喜んでくれるかな?」

旅掛「まぁ、喜ばれなかったら俺たちが悪かったってことで」

旅掛が苦笑する

もしかしたら、自分達と娘の趣味は違うかもしれない

拒否されてしまう可能性もあるだろう

旅掛「・・・でも、きっと美琴は喜んでくれるさ」

美鈴「そうだといいなぁ・・・」

795 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:23:03.90 n16adybp0 671/837

旅掛「・・・でも、ショーパンはやっぱ・・・」

美鈴「だって、上条くんも喜ぶよ!?」

旅掛「それはそうだが!!あの美琴がデレてるとこなんて!!」

美鈴「いっつもデレデレしてるじゃん!!」

旅掛「それとこれとは違うんだ!」

美鈴「男の子はみんなエッチさ!」

旅掛「そうだ、そしてそれが悔しいんだよ!」

796 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:24:57.45 n16adybp0 672/837

美鈴「とにかく!!可愛いデザインだし喜んでくれるよ!」

美鈴が手に持った買い物袋を見つめる

ちなみに、上条にも一着買ったのだが

旅掛「・・・上条君はポロシャツとか好きなのか?」

美鈴「うーん・・・でも、ポロって似合う子が着るとかっこいいでしょ?」

旅掛「そうだけど・・・似合うのか?」

美鈴「さぁ?」

797 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:26:38.15 n16adybp0 673/837

旅掛「・・・テクパトル君は似合いそうだけどな」

旅掛がつぶやく

彼らのもう一人の義理の息子だ

ちなみに、まだ一方通行とはご対面していない

美鈴「テクパトルくんはタンクトップ着てたよね」

旅掛「あぁ、かなりがっしりしてたな」

美鈴「うん・・・ポロシャツ似合いそうだよね」

798 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:28:22.68 n16adybp0 674/837

旅掛「・・・そういえば、妹達には何も買わないのか?」

美鈴「う、そういえば・・・」

美鈴が顔をしかめる

なかなか人数が多いため、金が足りなくなりそうだ

かといって、安いものはいけない

娘と認めているからこそ、可愛がりたいのだ

美鈴「・・・美月ちゃんはテクパトルくんと付き合ってる、か」

799 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:30:10.52 n16adybp0 675/837

旅掛「まさか、あの子にも・・・」

美鈴「うん、セクシーな服を買ってあげよう!」

旅掛「やめて!!そうやって若者の性風俗は乱れていくんだぞ!?」

美鈴「愛があるならノープロブレム!!!!!!!!」

旅掛「そんなわけない!主に俺が!」

美鈴「いい加減子供離れしろー」

旅掛「は、離れるだと!?」

800 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 21:31:49.07 n16adybp0 676/837

美鈴「じゃあ、とりあえず服をまた見ましょうか!」

旅掛「いやだ!!セクシーなのはだめ!!」

美鈴「にゃはは!!買ってやるよ!!」

旅掛「やめてぇ!」

娘が増えた

それは、とても嬉しいことだった


旅掛「あぁもう!!不幸だなぁ俺は!!」

803 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:33:41.30 n16adybp0 677/837


御坂妹「・・・ヒマになりましたね、とミサカはつぶやきます」

テクパトル「あぁ・・・そうだな」

19090「はぁ・・・ヒマですよね・・・」

テクパトルたちは佐天、■■と分かれてショッピングモールをぶらついていた

その中でトチトリ、17600号組と待ち合わせをしているのだ


804 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:35:02.45 n16adybp0 678/837

テクパトル(上手くいったかな・・・)

13577「しかし、ここはにぎやかですね・・・」

13577号が辺りを見渡す

たくさんのカップルや親子でごった返していた

おそらくお土産を買いに来ているのだろう

テクパトル「あぁ・・・この人数のなかですれ違ったりしないだろうな」

携帯で、大体の場所は決めていた

805 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:37:05.38 n16adybp0 679/837

14510「テっくん、少し休みませんか?」

テクパトル「ん、そうだな・・・ずっと歩いてきたしな」

10039「足がパンパンです・・・」

20000「足ん中がパンパンだぜー」

テクパトル「やめろ」

呆れたようにテクパトルが溜め息をつく

10033「・・・ですが、待ち合わせに遅れるのはダメでしょう?」

806 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:38:38.66 n16adybp0 680/837

テクパトル「そうだな・・・そうかも」

テクパトルがうーん、と唸りながら考える

テクパトル「じゃ、俺だけ待ち合わせの場所に行ってくるよ」

19090「え、いいのですか?」

テクパトル「あぁ、お前たちはここらへんで待っててくれ」

御坂妹「・・・テっくん、あなたは誑しですね・・・」

テクパトル「はぁ?」

807 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:40:36.94 n16adybp0 681/837

14510「じゃあ、ここで待っておきますね」

テクパトル「おう、行ってくるよ」

テクパトルがミサカたちの元から離れていく


19090「はぁ・・・疲れました・・・」

13577「暑いですからね・・・」

10039「お肌の敵ですね・・・」

御坂妹「・・・一方通行の反射がほしいです、とミサカは愚痴をこぼします」

808 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:41:52.18 n16adybp0 682/837


美鈴「これは!?」

旅掛「だから!!早いんだってば!!」


14510「・・・どこかで聞いた声がします・・・とミサカは冷や汗をかきます」

10033「奇遇ですね、ミサカもです・・・」

20000「逃げたいんだけど」

御坂妹「・・・ち、近くですね・・・」

809 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:43:58.02 n16adybp0 683/837

19090「行ってきますか?」

御坂妹「えぇ・・・あいさつはしておかないと」

テクパトルから礼儀はしっかりするように、と教わっている

それを律儀に守る辺りはいい子達なのだ


美鈴「だから!!いくらあの子達が若いからって、いつまでも守りに入ってたら・・・」

旅掛「イヤ!!むしろ俺が鉄壁のガードになりたいほどなんだぜ!?」

美鈴「あぁもう!」

810 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:45:20.65 n16adybp0 684/837


19090「あ、あの・・・」

旅掛「ん?あれ、妹達じゃないか」

美鈴「なんでこんなとこに・・・っていうか今の会話聞いてた?」

御坂妹「・・・聞こえないほうが珍しいほどの大音量でしたよ・・・」

20000「ステレオ放送みたいだった」

10039「かなり大声でしたね・・・」

旅掛「あぁ、悪い悪い」

811 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:48:02.26 n16adybp0 685/837

10033「それで、何を言い争いされていたのですか?」

美鈴「いやぁ、恥ずかしいことでさぁ・・・」

20000「?あと子供を何人作るとか?」

旅掛「そっちではなく」

20000「じゃあ、なんでミサカたちは胸が弱いのか、とか?」

旅掛「そっちでもなく」

20000「テっくんと19090号は何回ヤったのか、とか?」

旅掛「それは気になるなぁ!!」

812 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:50:14.88 n16adybp0 686/837

19090「そ、そんなことダメですよ!!」

美鈴「えー?でも好きなんでしょ、テクパトルくんのこと」

19090「す、好きですけど・・・」

旅掛「ぐはぁっ!旅掛は19090のダメージを受けた!!」

20000「どこに?」

旅掛「心に、じゃないですか?」

20000「アンタのノリ、好きだよ」

旅掛「父親だからな」

813 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:51:38.46 n16adybp0 687/837

美鈴「それでね、何を話してたかというと・・・」

御坂妹「あぁ、そうでしたそうでした」

旅掛「お前たちに服を買ってやろうと思ってな」

10039「!!ミサカたちにですか!?」

旅掛「あぁ、娘だろ?」

美鈴「自分の子供に服を買う、これ大人の役割ね!」

ミサカ一同「//」

814 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:53:26.15 n16adybp0 688/837

美鈴「でもさ、何を買えば分からなくて、とりあえず19090号ちゃんの分は買ったの」

14510「・・・なぜ19090号の分だけ?」

旅掛「テクパトルくんを誘えるような服、って美鈴が言うからさ」

19090「そ、それは・・・」

ミサカ一同「19090号」

19090「はい?」

19090号が振り返ると


他のミサカたちが、羨望の眼差しを送っていた

815 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:54:37.20 n16adybp0 689/837


テクパトル「おー、いたいた」

トチトリ「おっす・・・って、他のミサカは?」

テクパトル「疲れてるらしくて休ませてるよ」

17600「さすがテっくんだな」

テクパトルたちは、無事に合流していた

少し二人は待ったらしい

816 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:55:42.33 n16adybp0 690/837

テクパトル「・・・トチトリ、どうだ?」

トチトリ「17600号と話してると、気が楽になったよ」

トチトリが嬉しそうに笑う

テクパトル「そうか・・・サンキューな」

17600「なに、友達なら当然のことさ」

17600号が微笑む

とても勇ましい笑みだった

817 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:57:02.02 n16adybp0 691/837

テクパトル「じゃあ・・・他のミサカのとこに戻るか」

17600「あぁ」

トチトリ「おう」

三人がミサカたちの元へ向かう


美鈴「こらこら!!ケンカしないの!!」

旅掛「みんなの分を今から買うからさ!!」

ミサカ一同「いっつも19090号だけずるいです!!」

818 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:58:37.36 n16adybp0 692/837

テクパトル「あれ、義父さんと義母さん」

美鈴「あぁ、ちょうどよかったテっくん!!」

テクパトル「そ、その呼び方・・・」

旅掛「テっくん、ケンカ止めてよ、頼むよ!」

テクパトル「アンタはやめろ」

旅掛「み、美鈴は特別なのか!?このミサカ誑し!!」

テクパトル「男にテっくんって呼ばれて嬉しいわけないだろ!!」

819 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 22:59:54.63 n16adybp0 693/837

美鈴「そういうのはいいから!」

テクパトル「おっと・・・そうそう」


19090「テっくん!!助けてください!」

20000「ハゲちゃえ!!ハゲちゃえ!」

10033「ずるいですよ!!」

820 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/16 23:16:45.54 n16adybp0 694/837

テクパトル「とりあえずお前ら・・・」

ミサカ一同「はい!?」

テクパトルが一同に近づく


テクパトル「騒がないようにしよう、な?」

そっと頭を撫でながら、注意する

それが



ミサカ誑しだった

828 : VIPに... - 2011/08/17 07:37:40.96 eFzMjX7DO 695/837

テクパトルの参考資料請求しますとミサカは暗にどんな奴だっけ?と言う疑問を口にします

829 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 09:54:10.16 OK6NyXVG0 696/837

>>828 エツァリたちのいた組織の指揮官だった

人としては最悪、仕事はまぁまぁできるヤツ

でも組織の上部が自分達の利益だけのために働いていると知って、上層部全員暗殺

その後方向性を失い裏切り者のエツァリを殺そうとする

原典を使い、一時はエツァリを圧倒するも原典に見限られ「死亡」

らしい


へぇ、死んだんだって思ってたけどいいキャラなので使ってみたww

続きは少ししたら

830 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:18:30.68 OK6NyXVG0 697/837

美鈴「ねぇ、19090号ちゃんはこういう服は嫌い?」

美鈴が先に買っておいた服を見せる

かなり露出度が高い服だった

19090「き、嫌いではないですが・・・恥ずかしいです」

顔を赤らめながら19090号が答える

旅掛「だよな!?やっぱりイヤだよな!?」


831 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:19:00.40 OK6NyXVG0 698/837

テクパトル「・・・こういう服は・・・な」

19090「ですが、お母さんが買ってくれたんですからありがたく受け取っておきます!」

美鈴「うん、いい子だね!」

嬉しそうに美鈴がうなずく

20000「・・・ねぇ、ミサカ達にも買ってよ」

御坂妹「そうです、19090号だけなんてずるいですよ」


832 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:19:52.62 OK6NyXVG0 699/837

美鈴「あぁゴメンゴメン、一緒に見ていこうか!」

13577「は、はい!」

ミサカ達と美鈴が一緒に歩いていく

少し後ろからテクパトルと旅掛は追い掛ける形になった

旅掛「・・・すっかり家族になったな」

テクパトル「・・・安心しましたよ」


833 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:20:55.49 OK6NyXVG0 700/837

テクパトルが苦笑する

最初は慣れないのでは、と不安がっていたがそれも無用だったようだ

旅掛「・・・上条くんと君には感謝しないとな」

テクパトル「・・・感謝なんていらないさ」

旅掛「君はそうかもしれないが・・・俺は礼を言っておきたいのさ」

旅掛がははは、と笑う


834 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:21:34.86 OK6NyXVG0 701/837

それは父親の顔だった

旅掛「娘達の世話をしてくれているんだろう、本当にありがとう」

テクパトル「礼を言われたくてやってるわけじゃないさ、俺の家族だから当たり前だろう」

彼にとってミサカ達は家族なのだ

家族と一緒に暮らして、世話をする

当たり前のことだった


835 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:22:10.10 OK6NyXVG0 702/837

旅掛「それでもさ」

テクパトル「・・・本当は義父さん達と暮らすほうがいいのかもな」

ぽつり、とテクパトルがつぶやく

少し寂しそうに

旅掛「まさか、今まで君と暮らしてきたんだろ?」

テクパトル「あぁ」


836 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:22:55.55 OK6NyXVG0 703/837

旅掛「だったら君と暮らすほうがいいに決まってるじゃないか」

テクパトル「そうだといいな」

旅掛「君はいいヤツだな、上条くんとそっくりだ」

テクパトル「・・・褒め言葉として受け取っておくよ」

旅掛「そうだと思ってくれ」

テクパトル「・・・もう少し、あいつらと暮らさせてもらってもいいかな」


837 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:23:33.63 OK6NyXVG0 704/837

旅掛「ずっとでもいいぞ」

テクパトル「・・・そうなったら幸せだな」

旅掛「君はあの美月って子と結婚するつもりかい?」

率直に、旅掛が尋ねる

親子の会話に遠慮などいらないからだ

テクパトル「あぁ・・・いつかはそう思ってる」


838 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:24:01.55 OK6NyXVG0 705/837

旅掛「あの子は君にとって特別かい?」

テクパトル「あぁ、俺を変えてくれたのさ」

テクパトルが目を細める

視線の先には19090号がいる

テクパトル「昔の俺は本当にクズだったんだ」

旅掛「ほぅ」


839 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:24:41.35 OK6NyXVG0 706/837

テクパトル「だが、俺はミサカ達に出会って優しさを持った、家族を持った」

テクパトル「そして・・・美月と出会って、愛を知ったんだよ」

嬉しそうに、テクパトルが頭をかく

テクパトル「こんなことを言ったら笑われるかもしれないな」

旅掛「そうだな・・・たしかに少しおかしな話だ」

テクパトル「昔の俺が聞いても笑うと思うよ」


840 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:25:33.72 OK6NyXVG0 707/837

テクパトルはいつでも昔の自分を忘れなかった

絶対に忘れない

過ちを犯したことは覚えていなければならないのだ

テクパトル「でもさ、俺はきっと・・・美月に出会うために生まれてきたんだと思うよ」

テクパトル「・・・だから、俺は幸せだ」

旅掛「そいつじゃダメだぜ」


841 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:26:12.99 OK6NyXVG0 708/837

旅掛「だったらもう君は生まれてきた理由を完遂したことになる」

テクパトル「おっと、じゃあやり直しだな」


テクパトル「俺は、美月と幸せになるために生まれてきた」

テクパトル「ずっと幸せでいるために、生まれてきたんだよ」

旅掛「お、いいじゃないか」

テクパトル「・・・とりあえず、ミサカ達が家族として認められてよかったよ」


842 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:27:18.45 OK6NyXVG0 709/837

旅掛「俺は元々知っていたからな」

旅掛が笑う

彼は学園都市の裏側とも関わりを持っていた

もちろん、今はあまり関わろうとは思わないが

旅掛「でも、美鈴はよく受け止めたと感心してるよ」

テクパトル「・・・ミサカ達と同じで、強い女性だな」


843 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:27:53.99 OK6NyXVG0 710/837


旅掛「妹達も強いのかい?」

テクパトル「・・・あぁ」

テクパトルは知っている

ミサカ達は昔、みな上条に恋をしていたことを

それでも、上条の幸せを願ったのだ

美琴と彼が付き合うことになったのを、しっかりと受け止めたらしい


844 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:28:52.42 OK6NyXVG0 711/837

彼と付き合っている19090号だって、その一人だったのかもしれない

それに少しだけヤキモチを妬いてしまう辺りは彼もまだ若いのだろうか

テクパトル「・・・強いよ」

旅掛「だったら安心したよ」

テクパトル「なぜ?」

旅掛「・・・弱かったらどうしようかと考えていた」


845 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:29:42.59 OK6NyXVG0 712/837

旅掛がテクパトルのほうを見る

安堵の表情を浮かべながら

旅掛「もしも弱かったら、俺達のとこに引き取ろうと思ってたんだよ」

テクパトル「そうか」

旅掛「学園都市はいろいろと難しいからな」

テクパトル「・・・また実験に巻き込まれるかもしれない、か」


846 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:30:29.31 OK6NyXVG0 713/837

旅掛「それだけじゃないけどな」

二人は知っている

学園都市には様々な問題があることを

周りからはクローンだと知られたら白い目で見られるだろう

それに人間のクローンなんて珍しいものだ

科学の総本山である学園都市からしたら、貴重な実験動物と言ってもいいだろう

そればテクパトルは気に入らなかった


847 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:30:58.86 OK6NyXVG0 714/837

テクパトル「生きた人間を動物呼ばわりだからな」

旅掛「動物も人間も命があることは変わらないさ」

テクパトル「俺は、動物と人間の命が同じだなんて綺麗なセリフは言えないさ」

そして、言える権利もなかった

人間の命を弄んだことさえあるのだ

なぜ動物の命を擁護できるだろうか


848 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:31:27.97 OK6NyXVG0 715/837

テクパトル「だが、俺はあいつらを人間だと思ってる」

テクパトル「そう思ってる限り、俺はあいつらを死なせない」

旅掛「・・・君は妹達が大好きなんだな」

旅掛からしたら嬉しいことだった

白い目で見られてしまうはずのクローン

それを受け入れるどころか、家族として扱ってくれている

どれだけ精神力の強い少年なのか


849 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:32:02.86 OK6NyXVG0 716/837

テクパトル「なに、俺よりよっぽど人間らしいからな」

旅掛「君も十分人間臭いさ」

テクパトル「それはミサカ達に教えてもらったものだよ」

旅掛「なるほどな」

テクパトル「・・・守ってみせたいのさ」

テクパトルが拳を握り締める


850 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:32:58.75 OK6NyXVG0 717/837

その拳一体どれほどの人間を傷つけてきただろう

守ってきた人とは比べものにならないほど多くを傷つけてきたはずだ

テクパトル「こんな、クズみないなヤツにも誰かを守れるということを」

テクパトル「俺だって誰かを愛せるということを」

テクパトル「俺自身に証明してみせたいんだよ」

旅掛「自己満足のためか?」


851 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:34:02.67 OK6NyXVG0 718/837

テクパトル「道を誤らないためだ」

ため息をつきながら、テクパトルが答える

もしも昔からミサカ達と知り合いだったら

まともな人生を送れていたのだろうか

そんなこと、今の彼には分からなかった



852 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:34:55.81 OK6NyXVG0 719/837

美鈴「ん?二人とも、遅いよ!」

旅掛「あぁ悪い悪い!」

話し込んでしまったせいか、前を行く女性達とかなり差が広がっていた

テクパトル「走るか」

旅掛「おう!」

二人が家族の元へと向かう


853 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:35:35.80 OK6NyXVG0 720/837

本当にいいものだ、なんてテクパトルは思っていた

こうやって父親や母親を得ることさえ出来てしまった

かつて、人を殺しても手に入らなかった幸せ

それを、彼は手に入れてしまったのだから


19090「テっくん、みんなの服を選んであげてくださいね!」

テクパトル「あぁ、任せてくれよ」


854 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:36:22.88 OK6NyXVG0 721/837

旅掛「いやぁ、うらやましいぞテクパトル君!」

美鈴「モテモテだねぇ!」

テクパトル「冷やかさないでください、行くぞみんな」

御坂妹「はい!」

17600「久々の服購入、だな」

10033「では行きましょう」


855 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:37:50.82 OK6NyXVG0 722/837

当たり前の光景

家族っていいな、とテクパトルは幸せを噛み締めていた 


美鈴「ねぇねぇ!!こういうセクシーなのはどうかな!?」

20000「ふへへ!!ミサカ興奮しちゃうぞ!」

旅掛「まだ早いからな!!」


やっぱよくないかも、とテクパトルは溜息をついた

856 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:39:30.95 OK6NyXVG0 723/837


エツァリ「・・・」

ショチトル「なぁ、なんで私達は周りから声を掛けられないの?」

エツァリ「・・・カップルですから、ナンパはされないでしょう」

ショチトル「違う、違うんだよ」

ショチトルが指を振る


ショチトル「地味だからだよ」

エツァリ「言わないでください」

857 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:41:32.63 OK6NyXVG0 724/837

ショチトル「競技にも参加してない、他のメンバーとも合流してない」

エツァリ「もう、いいんですよ・・・」

ショチトル「私達に需要があるか?否、ない!!!」

エツァリ「いえ、需要・・・ってなんの話ですか」

ショチトル「よく考えろ、上条はそこにいるだけで美琴の力になっている」

エツァリ「えぇ、そうですね」

858 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:43:17.42 OK6NyXVG0 725/837

ショチトル「垣根はボケ、ツッコミ、メルヘンといろんな人間を演じられる」

エツァリ「器用ですからね」

ショチトル「美琴はどうだ?」

エツァリ「学園都市のマスコットと言っていいかと」

ショチトル「心理定規は?」

エツァリ「セクシー要員、でしょうか」

ショチトル「分かるか?」

859 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:45:05.54 OK6NyXVG0 726/837

ショチトル「それぞれが重要な役割を持っている」

エツァリ「・・・?一方通行さんは?」

ショチトル「お前、学園都市最強だぞ?」

エツァリ「あ、それもそうですね」

ショチトル「じゃあ、聞こう」


ショチトル「私の役割は?」

エツァリ「あなたがいれば自分は強くなれます」

ショチトル「//」

860 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:47:16.74 OK6NyXVG0 727/837

エツァリ「ですが、自分達はこういった静かな恋が似合ってますよ」

ショチトル「そうかもな」

ショチトルがスポーツドリンクを飲む

ショチトル「・・・ぬるいな」

エツァリ「えぇ・・・この暑さですから」

ショチトル「太陽を打ち落としたい」

861 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:48:24.92 OK6NyXVG0 728/837

エツァリ「いえ、それはおかしいですよ」

ショチトル「はぁ・・・ヒマだなぁ」

エツァリ「ヒマですねぇ・・・」

少し暑い陽射しの中

競技場からは歓声が聞こえる


地味な二人は、静かな昼間を過ごしていた

862 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:52:11.54 OK6NyXVG0 729/837


垣根「はい、次はチアダンスでーす!!」

心理「・・・前もやってたわよね」

垣根「うっせーな!!観客席の男達はそういうのを求めてんだよ!!」

そうだそうだ!!と声が上がる

時間は午後の2時

日は空の真上に昇っている

863 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 10:59:55.70 OK6NyXVG0 730/837

垣根「いいか!!男とはパンチラが好きなんだ!!」

吹寄「貴様!!アナウンスでなんてこと・・・」

垣根「チアガールの見せパン?」


垣根「そんなんで興奮するかよ!!」

垣根「見せるの前提のパンツなんてなぁ!」

垣根「殺されるの前提でこっちに向かって仲間になりたそうな顔するスライムくらいやる気無くすって言ってんだよ!!!」

心理「へぇ」

864 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:02:19.27 OK6NyXVG0 731/837

垣根「なぁ!?」

吹寄「・・・私は貴様のこと、理解できないわ」

心理「ゴメン、その考えは私も理解できないわ」

垣根「・・・なん・・・だと?」

垣根が凍りつく

そう、彼はそういう人間だ

隠されたものが見たいのだ

865 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:04:53.86 OK6NyXVG0 732/837

そこにあると分かっていても

手を伸ばしても掴めない

胸やパンツ、下着や夢

それらは垣根の中ではイコールなのだ

そう、彼にとって夢とおっぱいはイコールなのだ

男の夢だ、届かぬ夢だ

866 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:07:18.36 OK6NyXVG0 733/837

垣根「いいか!!俺はおっぱいが好きなんだよ!」

吹寄「おっと!ただいまの中間発表!」

心理「紅組、白組に大きな差で負けています!」

吹寄「紅組のみなさん!がんばってください!」

垣根「諦めたらそこで試合終了ですぞ!?」

吹寄「黙ってて」

垣根「」

867 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:09:46.94 OK6NyXVG0 734/837

心理「みなさん!!水分補給はしっかりと!」

吹寄「大覇星祭中はレッドブルが安くなっております!・・・これCM?」

垣根「えー、なお提供はレッドブル!!」

垣根「甘いだけじゃつまらない!!炭酸なだけじゃつまらない!」

垣根「喉越し最高、後味完璧!」


垣根「僕は、レッドブルを愛しています」

心理「やめなさい」

868 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:12:54.69 OK6NyXVG0 735/837


垣根「さぁ!!次は盛り上がる種目、といっても競技とは少々違います!」

心理「あら、何なの?」

垣根「最近ツイッターって流行ってるだろ?」

吹寄「あぁ・・・私は興味ないけど」

垣根「つぶやき、ってあるだろ?」

心理「えぇ」

869 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:15:54.58 OK6NyXVG0 736/837

垣根「だから、いろんな人からつぶやきを集めたんだ」

吹寄「へぇ・・・」

垣根「さすがにずっと競技だと疲れるし、水分補給のタイミングもなかなか難しいだろ?」

心理「ちょっとした休憩、ね」

垣根「そうそう、では読み上げます!」

垣根がお便りを開く


垣根「ペンネームはトキワの森のビリビリさん」

870 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:18:24.95 OK6NyXVG0 737/837

垣根「私の彼氏は、フラグを立てすぎ、そんなフラグ、ぶち殺す!!」

垣根「へー、恋仲は大変ですね」

観客席の何人かが頷く

彼らも恋人がいて苦労することがあるのだろう

垣根「次は・・・?最新型冷蔵庫さん」

心理(アレイスターじゃない)

871 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:21:48.71 OK6NyXVG0 738/837

垣根「寒いよ」

垣根「この一言です」

心理「・・・ね、ねぇ・・・」

吹寄「なんか、私達のほうが寒気がするわ」

垣根「じゃ、次は・・・」

垣根「変装魔人さん」

心理(エツァリ君ね)

872 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:25:37.66 OK6NyXVG0 739/837

垣根「地味だと言われようと、二人の愛は輝いている」

垣根「・・・」


垣根「このコーナー、地味だな」

心理「えぇ、特にこのお便りのせいで地味になったわね」

吹寄「さっさと次の競技行きましょう」


まだまだ大覇星祭は続いている

873 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:29:47.75 OK6NyXVG0 740/837


美琴「ねぇ、当麻」

上条「・・・なんだ?」

美琴「・・・インデックスって・・・なんであんなに食べまくるの?」

二人が見つめているのは妖怪大喰らいだ

イン「はむはむ!!」

ステイル「よく噛むんだよ」

874 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:35:36.97 OK6NyXVG0 741/837

神裂「・・・インデックス、そろそろ・・・」

イン「?まだまだ食べるんだよ!!」

五和「・・・すごいですね・・・」

上条「なぁ・・・俺たちもう競技場行っていいかな?」

イン「うん、いいんだよ!」

美琴「じゃ、行こうか」

875 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:38:44.50 OK6NyXVG0 742/837


上条「おー・・・やってるやってる」

競技場にやってきた二人はすぐに席に着いた

周りは未だに盛り上がっている

美琴「うん、垣根たちもがんばってるみたいね」

上条「あぁ・・・しっかりやってるな」

キャーリサ「なかなかに面白いし」

上条「あぁ・・・」

876 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:40:15.35 OK6NyXVG0 743/837

美琴「・・・」

上条「・・・」


上条美琴「なんでいんの!?」

キャーリサ「気づくの遅いし」

騎士「・・・私にはノータッチというのも解せないな」

上条「アンタもいんの!?」

美琴「ど、どういうこと!?」

877 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:42:03.62 OK6NyXVG0 744/837

キャーリサ「いやぁ、いろいろあってこんな中途半端な時期からしか来れなかったし」

騎士「皇女がしっかりと仕事をこなされないからです」

キャーリサ「うるさいし!」

上条「ちょっと待って!招待とかしてないから!!!」

美琴「ていうかよく来れたわね!?」

キャーリサ「美琴久しぶりだし」

美琴「あ、お久しぶりです・・・」

878 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:43:46.31 OK6NyXVG0 745/837

上条「なんで来たんだよ!?」

キャーリサ「ステイルとかいうヤツから聞いたし」

騎士「大覇星祭は噂に聞いていてな、力と力のぶつかり合いは興味深い」

上条「そういう問題じゃねぇよ!なんでこんなとこで・・・」

キャーリサ「いや、イギリスで中継見てるだけじゃ臨場感がないし」

上条「だからそうじゃねぇ!」

879 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:45:51.67 OK6NyXVG0 746/837

キャーリサ「特等席とか好かないし」

上条「だからって一国の皇女がそれはまずいだろ!」

騎士「なに、暗殺の心配はあるまい」

キャーリサ「いつかの寿司の大将が見回りしてくれてるし」

上条「パシるなよ!」

美琴「キャーリサさん・・・第一なんですかその格好?」

美琴がキャーリサの服を指差す

880 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:47:46.92 OK6NyXVG0 747/837

そう、ドレスに王冠

いつも着ている暑そうな服装・・・


ではなく

皇女か?と思うほどラフな格好だった

キャミソールにショーパン、サングラス

こういう雰囲気の服のほうが似合うのがまた不思議だった

上条「アンタ・・・金持ちだろ?」

881 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:50:28.13 OK6NyXVG0 748/837

キャーリサ「ブランド物は堅苦しいし」

美琴「で、でも大胆と言うか・・・」

周りの学生もチラチラ、とキャーリサのほうを見ている

彼女は男勝りな性格とは裏腹にとても魅力的な容姿を持っているのだ

キャーリサ「そうか?普通だし」

騎士「皇女・・・なんとはしたない」

キャーリサ「喜んでるくせに」

882 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:53:52.33 OK6NyXVG0 749/837

騎士「喜んでいませんから!」

上条「大体アンタたち登場が急すぎるだろ!」

キャーリサ「ご都合主義だし、っていうか騎士団長鼻の下伸ばしすぎだし」

騎士「なっ・・・」

美琴「ま、まぁ男ならしょうがないですよ!!」

騎士「ゼロにするっ!」

上条「何をだよ!?」

883 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 11:56:13.48 OK6NyXVG0 750/837

上条「はぁ・・・まぁいいや、競技を見ようぜ」

上条が溜め息をついてから競技場を見つめる

彼は今までもこういう突拍子もない急展開を経験してきた

いまさらいちいち細かくツッコんではいられない

騎士「・・・しかし、この競技はなんなのだ?」

上条「あぁ、これは椅子取りゲーム・・・」

美琴「運動会でやるものじゃないわよね」

884 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:00:02.57 OK6NyXVG0 751/837

騎士「どういうルールなのだ?」

上条「あれ、外国には無いのか?」

キャーリサ「あるかもしれないけど、私達は幼い頃から遊んでる時間は無かったし」

上条「なるほどな・・・」

美琴「簡単に言えば、音楽が止んだら椅子に座ればいいのよ」

キャーリサ「・・・それだけ?」

885 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:02:24.43 OK6NyXVG0 752/837

上条「でも、椅子は人数分無いんだ」

騎士「なるほど、座れなかったら負け・・・か」

美琴「そういうこと」

キャーリサ「用意された椅子をかけて戦い・・・」

騎士「座れなかったものは死ぬ・・・」

キャーリサ「素晴らしい社会の縮図だし」

上条「いや、違うからな」

886 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:04:50.46 OK6NyXVG0 753/837

キャーリサ「私はこの椅子取りゲーム、感動したし!」

騎士「ぜひとも騎士団でもやってみましょう!」

上条「・・・」

上条は想像した

用意されるのはおそらく鉄製の椅子だろう

甲冑の重さに耐えなければならないのだから

もちろん、音楽はイギリス国歌だろうか

887 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:09:03.67 OK6NyXVG0 754/837

そして、甲冑を着たむさくるしい男達が椅子の周りをグルグルと回る

剣とか引きずるであろう

音楽が止まれば椅子に座るのだ

体がぶつかって騎士は何人か転がるだろう

いてっ!!押すなよ!

とか

俺が先に尻ついたしー!!

とか言うかもしれない

888 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:11:28.08 OK6NyXVG0 755/837

上条「なんか、シュールな絵面になるんじゃないか?」

キャーリサ「みんなが楽しいならそれでいいし」

騎士「しかし、あれは意外と差別的な意味があるのでは?」

美琴「?どういうこと?」

騎士「円になる、これすなわち完全な形だ」

キャーリサ「ふん、魔術的な意味だし」

騎士「まぁそうおっしゃらずに」

889 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:13:49.68 OK6NyXVG0 756/837

騎士「その状態で回るのは、完全な調和を意味している」

上条「・・・そ、そんな深い意味は・・・」

騎士「そして、音楽が止まる」

騎士「音楽と言うのは宗教的には非常に重要なものだ」

美琴「そういえば・・・インデックスも言ってたわね」

騎士「長い話よりも意味のある行為だ」

890 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:15:04.66 OK6NyXVG0 757/837

騎士「完全な調和、そして宗教的な意味」

騎士「あの場は、一種の教会と化している」

上条「ねーよ」

騎士「そこにある席というのはなんだ?」


騎士「そう、最後の審判によって神に選ばれるということだ」

キャーリサ「興味ないし」

美琴(・・・魔術が嫌いなのかな?)

891 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:17:43.81 OK6NyXVG0 758/837

騎士「では、席から外れた者とは?」

騎士「そう、神に背いたものだ」

騎士「歌が終わることに気づかないのは、神の教えを聞いていなかったから」

騎士「神の教えを聞かぬものは、天国に行く資格はなし、ということさ」

上条「いや・・・だから・・・」

キャーリサ「まったく、十字教らしい排他的正義だし」

騎士「反吐が出ますね」

892 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:19:02.70 OK6NyXVG0 759/837

キャーリサ「その点、騎士は完璧だし」

騎士「救いを求めるものにはそれ相応の救いを与える」

キャーリサ「そこには過去や未来なんて関係ないし」

騎士「まったく、同感です」

上条「お前たち・・・ちょっとおかしいぞ」

キャーリサ「おかしくなきゃ騎士なんてやらないし」

美琴(言ってることめちゃくちゃね)

893 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:20:11.28 OK6NyXVG0 760/837

キャーリサ「にしても暑いなぁ」

キャーリサがパタパタ、と手を仰ぐ

そうすると少々キャミソールの紐とかが揺れてセクシーなことになるのだが

そんなことを気にする彼女ではない

上条「・・・なぁ、そういうのは気をつけろよ?」

キャーリサ「何が?」

騎士「女性と言う自覚を・・・」

894 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:21:39.85 OK6NyXVG0 761/837

上条「大体な、周りの男を見てみろよ」

キャーリサ「あ?」

キャーリサが周りを見渡す

目の合った男子生徒が慌てて視線をそらす


キャーリサ「みんな度胸がないし」

上条「そっちではなく」

キャーリサ「綺麗な瞳だし」

上条「そこでもなく」

895 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:23:19.54 OK6NyXVG0 762/837

美琴「・・・キャーリサさん、もう少し露出は少なめにしたほうがいいですよ?」

上条「さすが美琴!!言いたいことをズバズバ言ってくれる!」

キャーリサ「はぁ?暑いのにあんなヤツみたいな格好してられないし」

キャーリサが観客席のある女性を指差す

上条「あぁ・・・なんかコート着だしたな」

美琴(あれって・・・麦野さんじゃない)

896 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:24:21.69 OK6NyXVG0 763/837

キャーリサ「いいか、涼しくなるにはどうすればいい?」

上条「扇風機」

美琴「エアコン、もしくは避暑」

キャーリサ「ちっちっち、もっと原始的な方法で」

騎士「・・・脱ぐとか言わないでくださいね」

キャーリサ「脱ぐんだし」

騎士「聞いてました?」

897 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:25:52.46 OK6NyXVG0 764/837

キャーリサ「お前たちはまだ若いからいいけど、私はもう歳だし」

上条「若いじゃねーか」

キャーリサ「まぁ、世間からしたらな」

キャーリサがスポーツドリンクを飲む

キャーリサ「あーっ!水分が染み渡るし!」

騎士「・・・はぁ、他の皇女が見られたらなんと言うか・・・」

キャーリサ「姉貴もヴィリアンもクソ真面目だし」

898 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:27:07.55 OK6NyXVG0 765/837

美琴「・・・キャーリサさんは最後の日までこっちにいるんですか?」

キャーリサ「その予定だし」

上条「あのさ、みんなで焼肉パーティーする予定なんだけど・・・」

キャーリサ「おっ!行くし!」

騎士「皇女・・・焼き肉だなんて」

キャーリサ「肉は美味いし!」

900 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:28:15.44 OK6NyXVG0 766/837

上条「じゃあ、みんなに言っとくな」

キャーリサ「カッコイイ人はいるか?」

上条「・・・ほとんど彼女持ちです」

キャーリサ「ちっ」

騎士(必死すぎる・・・)

美琴(騎士団長さんお似合いなのになぁ・・・)

上条「しかし暑いなぁ・・・」

901 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 12:30:00.77 OK6NyXVG0 767/837

上条が空を見上げる

太陽はそろそろ真上から下がってきていた

上条(あと二日・・・か)

競技はまだまだ続くだろう

最後の日はナイトパレード、そして焼肉パーティー

楽しくなりそうだ、と上条は笑っていた


903 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:12:41.25 OK6NyXVG0 768/837


浜面「・・・滝壺、暑くないか?」

滝壺「うん、大丈夫」

浜面「そうか、よかった」

絹旗「・・・あー、超暑いですー」

麦野「あっちぃなー、あっついなーおい!!」

浜面「飲み物でも飲めよ」

904 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:14:50.70 OK6NyXVG0 769/837

麦野「あぁてめぇ!!私が暑いって言ってんだよ!」

浜面「だったらどうすりゃいいんだよ!?脱がせってか!?」

麦野「えっ・・・」カァッ

浜面「頼むから意味わかんない反応すんなよ」

滝壺「はまづら最悪」

浜面「あぁ違うからな!!俺が脱がしたいのは滝壺だけだからな!」

絹旗(超キモいです)

905 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:16:24.60 OK6NyXVG0 770/837

麦野「・・・くそ・・・てめぇな!」

浜面「あーあ、麦野も彼氏さっさと作れよな」

麦野「は?」

麦野が素っ頓狂な声を上げる

なぜいきなりそういう話になるのか

彼氏を作れ、なんてただの下っ端の浜面には言われたくなかった

浜面「麦野だったらすぐできるだろ?」

906 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:19:30.13 OK6NyXVG0 771/837

麦野「・・・うるせぇよ」

絹旗「・・・浜面、超ひどいですね」

浜面「は、はぁ!?」

滝壺「そうだね、鈍感」

浜面「な、なんでだよ!?」

麦野「・・・大きなお世話だって言ってんだよ!」

麦野が浜面を睨みつける

907 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:21:22.09 OK6NyXVG0 772/837

浜面(え、え!?なんで俺が怒られてるんだ!?)

浜面は迷っていた

だって、あの麦野だ

金はあるし、見た目は綺麗

オマケにスタイルも抜群だろう

男なんて黙っていても寄ってくるはずだ

性格を少し直せばおそらく完璧だろう

908 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:24:03.09 OK6NyXVG0 773/837

麦野「・・・てめぇは・・・」

浜面「あ?なんだよ?」

麦野「・・・ちょっとトイレ行ってくる」

いきなり麦野が立ち上がる

滝壺「・・・きぬはた」

絹旗「分かってます」

909 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:27:27.61 OK6NyXVG0 774/837

絹旗が麦野のあとについていく

浜面「な、なぁ?俺なんかまずいこと言ったのか!?」

滝壺「はまづらって、意外と鈍感」

浜面「はぁ!?」

浜面が首を捻る

滝壺「・・・はまづら、生まれなおしてきたら?」

浜面「なんでだよ!?」

910 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:29:04.71 OK6NyXVG0 775/837


絹旗「・・・麦野」

麦野「・・・ついてくんなよ」

麦野は近くのベンチに座っていた

少し寂しそうな顔をしている

絹旗「・・・ですが、超心配だったので」

麦野「・・・ほっとけよ」

911 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:31:48.53 OK6NyXVG0 776/837

絹旗「・・・隣失礼しますね」

絹旗が麦野の隣に座る

麦野「・・・なんだよ」

絹旗「・・・麦野、浜面にあんなこと言われてショックでしたか?」

麦野「・・・別に」

絹旗「あなたは・・・」


絹旗「浜面のこと、好きだったんじゃないんですか?」

912 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:33:58.57 OK6NyXVG0 777/837

麦野「・・・知らねぇよ」

絹旗「・・・そうやってふてくされるってことは、そうなんですね」

麦野「・・・」

気味の悪い沈黙が流れる

昔の麦野だったらすぐに絹旗を殴るなりしていただろう

しかし、今の彼女は違った


麦野「・・・ちげぇよ」

913 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:35:52.45 OK6NyXVG0 778/837

麦野「なんでかは知らないけどムカつくんだよ」

麦野「ずっと一緒にいたヤツらは二人幸せになってて」

麦野「私は何も変わってない」

絹旗「・・・変わったじゃないですか」

麦野「・・・違うさ」

変わったのではなく、元に戻ったのだろう

正常だった状態に戻っただけだ

914 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:37:20.97 OK6NyXVG0 779/837

絹旗「・・・幸せが、うらやましいんですか?」

麦野「そうかもな」

絹旗「・・・麦野、違いますよ」

絹旗は知っている

彼女が浜面を求めていたと

彼女を初めて守ろうとした浜面を

彼女が初めて負けを認めたあの男を

麦野は好きになっていたと

915 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:38:49.11 OK6NyXVG0 780/837

絹旗「あなたは、滝壺さんに嫉妬してるんですよ」

絹旗「ただ、それを認めるのが辛くて」

絹旗「だから、二人の幸せに嫉妬している振りをしているんですよ」

麦野「・・・なんでてめぇなんかに理解できるんだよ」

麦野が忌々しそうに吐く

それは苛立ちからか

それとも図星だったからか

916 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:40:46.20 OK6NyXVG0 781/837

絹旗「・・・超分かりますよ」

麦野「だからなんでだよ」

絹旗「・・・私もそうでしたから」

絹旗が苦笑する

彼女だって、浜面を好きだった

絹旗「・・・だから、分かりますよ」

麦野「・・・何が分かるだよ」

917 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:43:03.95 OK6NyXVG0 782/837

絹旗「・・・超辛いですよね」

麦野「・・・知らねぇよ」

絹旗「・・・失恋なんて、初めてでしたから」

麦野「・・・そうかよ」

麦野が溜め息をつく

そうだったのかもしれない

好きだった人に、面と向かって「彼氏を作れ」なんて言われたら

心に傷を負ってしまう

918 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:45:20.56 OK6NyXVG0 783/837

絹旗「・・・でも、認めてあげないとダメですよ」

麦野「あいつらが幸せなことをか?」

絹旗「えぇ」

絹旗は笑っていた

意外と麦野は子供なのかもしれない

そんな簡単なことにも気づかないのだから

919 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:48:03.07 OK6NyXVG0 784/837

絹旗「・・・麦野、帰りましょう」

麦野「・・・浜面にどんな顔して会えばいいんだよ」

絹旗「ちゃんと謝ればいいんですよ」

麦野「・・・ちっ」

舌打ちをしてから麦野が立ち上がる

麦野「・・・なぁ絹旗」

絹旗「なんですか?」

麦野「・・・私はいつか、他のヤツを好きになるのかな?」

920 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:49:15.91 OK6NyXVG0 785/837

絹旗「きっとなりますよ」

麦野「そうかな」

麦野には考えられなかった

他の誰かを好きになるなんて

これから先、浜面以上に彼女の心を打つ人間が現れるだろうか

そんなことはないだろう

921 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:51:54.14 OK6NyXVG0 786/837

絹旗「・・・そうならなかったとしても」

絹旗「それでもいいんじゃないですか?」

麦野「辛いだろうが」

絹旗「・・・恋なんてそんなもんですよ」

麦野「・・・辛いもんなんだな」

絹旗「だからこそ、得たときの喜びは超大きいと思います」

麦野「・・・くっだらねぇ」

922 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:54:19.99 OK6NyXVG0 787/837

麦野「帰るぞ絹旗」

絹旗「はい」

二人がベンチから立ち上がる

少し暑い陽射しが鬱陶しい

絹旗「・・・暑いですね」

麦野「あぁ、暑いな」

923 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:56:31.75 OK6NyXVG0 788/837


浜面「あれ、帰ってきた」

滝壺「あ、おかえり」

麦野「・・・浜面、悪かったよ」

絹旗「ほら、浜面」

浜面「あ、あぁ」

浜面が麦野を見つめる

924 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 13:59:38.94 OK6NyXVG0 789/837

浜面「・・・悪かった、そのさ・・・」

麦野「いいよ、お前もそこまで深い意味で言ったことではないんだろ」

滝壺「むぎのは大人だね」

麦野「・・・ありがとよ」

麦野が笑う

滝壺は、本当にかわいらしい少女だった

こんな少女なら、浜面とお似合いだろう

麦野よりも、お似合いなはずだ

925 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 14:01:35.05 OK6NyXVG0 790/837

麦野(あーあ、辛いな)

失恋なんて、初めてなのだ

その辛さは経験したことが無かった


浜面「ところでさ、麦野」

麦野「?なんだよ」

浜面「長かったけど、大きいほうだったのか?」


原子崩しが、炸裂した

933 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:34:47.95 OK6NyXVG0 791/837


一方「・・・なァ」

番外「ごめんなさい・・・」

一方「なンで、お前は俺の顔面に足を乗せてたンだ?」

番外「だ、だからごめんってば!」

一方「なンでだ?痛かったンですけどォ」

番外「し、しつこいね!」

一方通行と番外個体はホテルのベッドに座っていた

934 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:36:48.00 OK6NyXVG0 792/837

そう、一方通行と番外個体は休憩をしていたのだ

ヘンな意味ではなく、疲れた体を休めるために睡眠をとっていた

しかし、一方通行が眠りに着いてしばらくしたら、何かが顔面に降り注いだのだ

固い感触が

鉄パイプか、と考えてしまった辺りは彼はまだ危険な世界から抜け出せてはいないのだが

そんな生ぬるいものではなかった


番外個体が、かかと落としをくらわせていたのだ

935 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:39:53.01 OK6NyXVG0 793/837

一方「・・・」

番外「ね、ねぇ・・・」

一方「まァいいけどよ・・・」

一方通行が溜め息をつく

彼としてはあと一時間ほど寝ていたかったのだ

2時間の予定でホテルには入っていたが、延長なんてあとでいくらでもできる

936 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:43:14.64 OK6NyXVG0 794/837

一方「・・・出るか」

番外「え、あ、うん」

なぜか少し番外個体が残念そうな声を出す

一方「・・・夜でいいだろォが」

番外「だ、だってアナタいっつもそう言って結局してくれないし!」

一方「・・・今日は一周年だからしてやンよ」

番外「約束だよ?」

937 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:45:41.17 OK6NyXVG0 795/837

一方「あァ」

一方通行が番外個体の手を引く

番外「外、まだ暑いかな?」

一方「だろォな」

時刻は午後の3時半

まだまだ暑い時間帯だろう

番外「・・・イヤだなぁ」

938 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:47:19.15 OK6NyXVG0 796/837

番外個体がめんどくさそうにつぶやく

なぜか、暑いのは嫌いらしい

一方(・・・なンでだろォな)

一方通行は心のどこかでは分かっていた

あの悲劇があったのも、夏の最中だったから

きっと、暑い日にいい思い出がないのだろう

一方「行くぞ」

939 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:48:57.93 OK6NyXVG0 797/837

番外「うん」

番外個体がベッドから立ち上がる

一方「・・・なァ」

番外「なに?」

一方「・・・いや、なンでもねェ」

番外「?」

940 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:50:12.59 OK6NyXVG0 798/837

一方(・・・こいつは何を思ってるンだろォな)

この陽射しを見て

あの悲劇を思い出しているのか

それとも、友達と行った海や垣根の別荘を思い出しているのか

出来たら、後者がよかった

それでも、きっと前者だったのだろう

一方(俺だってそォだからな)

941 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:53:07.90 OK6NyXVG0 799/837

番外「じゃ、さっさと出ようよ」

一方「わかってンよ」

二人が受付へ向かう


一方「・・・あちィな」

番外「うん・・・暑いね」

まだ、眩しい陽射しは照っていた

942 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 15:59:18.79 OK6NyXVG0 800/837


10039「テっくん、これはどうですか!?」

テクパトル「・・・もう少し落ち着いた色のほうがお前は似合いそうだな」

10033「おや?ミサカには明るい色を進めましたよね?」

御坂妹「それぞれのミサカによって、似合う色が違うのですか?」

テクパトル「?みんなそれぞれなんだから当たり前だろ」

ミサカ一同「//」

943 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:00:50.02 OK6NyXVG0 801/837

今、テクパトルたちは服を見ている

試着室に一人が入り、出てきてはテクパトルが評価する

その繰り返しだった

美鈴「うーん・・・私にはわかんないな」

旅掛「・・・テクパトルくん、マジで見分けついてんのか?」

テクパトル「今は特殊メイクしてるから分かりやすいんじゃないか?」

旅掛「いや、だけどさぁ・・・」

944 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:02:22.86 OK6NyXVG0 802/837

旅掛がそれぞれのミサカを見る

たしかに、見た目は特殊メイクのおかげで変わっている

しかし雰囲気はほとんど同じだ

唯一、19090号だけが違うと言える

トチトリ「・・・17600号は迷彩か?」

17600「あぁ、保護色だ」

テクパトル「お前なぁ・・・」

945 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:04:11.58 OK6NyXVG0 803/837

テクパトルが17600号が選んだ服を見る

迷彩のズボン、迷彩のジャケット

一体どこの特殊部隊だ、とツッコみたくなる

19090「17600号ももう少し女の子らしい格好をしたらどうですか?」

17600「お母さんはそう思わないだろう?」

美鈴「うーん・・・まぁ、それぞれだよ」

14510「ですが、ちょっとおかしいですよ」

946 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:08:20.77 OK6NyXVG0 804/837

旅掛「・・・で、えっと・・・」

20000「20000号だよ」

旅掛「あぁ、で・・・お前はなんでそんな下着ばっかり買うんだ?」

20000「・・・パパのエッチ♪」

旅掛「聞いた!?こんなセリフ初めてリアルで聞いたよ!?」

テクパトル「興奮してんじゃねぇよバカ父!!」

旅掛「ははは!!いいじゃねぇか!!」

947 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:10:43.58 OK6NyXVG0 805/837

13577「・・・ミサカは、これがいいです!」

13577号が指差したのは白のワンピースだった

テクパトル「へぇ、清楚な感じだな」

トチトリ「私もこういうの着たらいいのかな?」

テクパトル「ねぇよ、13577はこういうのが好きなのか?」

13577「テ、テっくんは好きですか!?」

テクパトル「?」

948 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:12:20.36 OK6NyXVG0 806/837

美鈴「なになに!?13577号ちゃんもテクパトルくん好きなの!?」

13577「えっ!?あ、いや!」

御坂妹「お母さん、みんなテっくんのことが好きですよ?」

旅掛「くぁーっ!!憎いね!」

19090「ミサカが一番好きです!」

テクパトル「あ、あぁ、ありがとう」

トチトリ(・・・17600号もテクパトルが好きなのかな)

949 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:15:42.92 OK6NyXVG0 807/837

17600(・・・みんな、よく恥ずかしくねぇな・・・)

はぁ、と17600号が溜め息をつく

もちろん、彼女もテクパトルのことは「家族として」好きだ

だが恋愛感情ではない

だからこそ、他のミサカが好きだ好きだと言っているのを見るとくだらない、と思ってしまう

テクパトル「・・・まぁ、13577号には似合うんじゃないかな」

13577「は、はい!」

950 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:17:41.53 OK6NyXVG0 808/837

19090「・・・テっくん、ミサカはどれがいいでしょうか?」

テクパトル「?お前は何を着ても可愛いぞ?」

ミサカ一同「」

19090「//」

美鈴(あーあ、他の子たち固まってるよ)

旅掛(ひっでぇ一言だな)

17600(すげぇ衝撃力だな)

トチトリ(17600号、取り乱さないなんてカッコイイ・・・)

951 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:20:11.16 OK6NyXVG0 809/837

19090「・・・で、ではこれを・・・//」

テクパトル「ん、似合いそうだな」

13577「19090号はもう買ってもらったはずです!」

20000「そうだそうだ!何着もお母さんに買ってもらうなんてずるいぞ!」

御坂妹「特別扱いは・・・」

テクパトル「じゃあ、俺が買ってやるよ」

ミサカ一同「」

952 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:22:22.73 OK6NyXVG0 810/837

14510「ふぉぉぉぉぉぉ!!!ちくしょう、うらやましいなぁ!!!!」

10039「くそ!!!ミサカだって彼氏ほしいんだよぉぉぉぉ!!!!!」

13577「なに!?忘れ去られててやっとみんなの仲間入りと思ったらこの扱い!?」

20000「オチンチンしゅっしゅ!!!」

テクパトル「20000号は減点な、他のみんなも買ってやるよ」

ミサカ一同「//」

17600(テっくん・・・)ハァ

953 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:25:11.92 OK6NyXVG0 811/837

旅掛「いやぁ、しかしこうやってるとホント楽しいな!」

御坂妹「お父さん、ミサカの服、どうでしょうか?」

旅掛「おう!似合ってるぞ!」

御坂妹「お、お母さんはどう思いますか?」

美鈴「うん、オシャレだよ!」

御坂妹「//」

17600(ま、幸せそうで何よりだ)

954 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:28:19.15 OK6NyXVG0 812/837

旅掛「お前は買わないのか?」

17600「もう買ったさ」

旅掛「いや、テクパトルくんに買ってもらわないのか?」

17600「あぁ、ミサカはいいよ」

17600号が笑う

彼女はあまりそうやって甘えるのは好きではなかった

テクパトル「?お前も買えばいいのに」


955 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:30:17.07 OK6NyXVG0 813/837

17600「いや、遠慮しとく」

テクパトル「・・・遠慮なんていらないんだぞ?」

17600「・・・だったら、19090号に一着多く買ってやりな」

テクパトル「・・・お前は・・・」

17600「ミサカはオシャレには興味ないんだよ、美味いもんなら買ってもらいたいがな」

テクパトル「そっか、じゃあ仕方ないな」

17600「あぁ」

956 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:31:54.26 OK6NyXVG0 814/837

19090「テっくん、これはどうでしょうか?」

テクパトル「あぁ、お似合いだ」

美鈴「テっくん、これはどう!?」

テクパトル「なんでアンタも買ってんだよ・・・」


トチトリ「・・・いいのか、本当に?」

トチトリが17600号に近づく

17600「なにが?」

957 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:34:29.32 OK6NyXVG0 815/837

トチトリ「・・・うらやましいんじゃないか?」

トチトリがテクパトルたちを見つめる

とても幸せそうで、とても楽しそうで

なぜ17600号はその輪の中に入っていかないのか

17600「・・・ミサカは、こうやって見つめてるほうが好きだな」

トチトリ「・・・どうして?」

17600「どうして・・・か」

958 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:37:26.18 OK6NyXVG0 816/837

17600号は少し考える

なぜ、見つめているのが好きなのか

17600「あの中にいれば、たしかに幸せな日々は送れるだろう」

17600「でも、それに気づくことは難しい」

17600「一歩距離を置いたほうが、現実には気づきやすいのさ」

トチトリ「・・・岡目八目ってやつか」

17600「そうだな」

959 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:40:09.10 OK6NyXVG0 817/837

トチトリ「・・・でも、あの幸せを味わうのが難しくならないか?」

17600「なに、普段はあの中にいるのさ」

17600号が微笑む

その笑顔に、トチトリはまたドキリとしてしまう

17600「・・・たまにこうして距離を置いて」

17600「いつも自分が幸せだと実感する」

17600「それが好きなんだ」

960 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:44:02.92 OK6NyXVG0 818/837

トチトリ「なかなか素敵な趣味だな」

17600「そうかな」

17600号が目を細める」

その先にいる家族は

そんなことをしなくても、自分達が幸せだと知っている

碁盤の上に立っていながら

それでも、自分達の模様を知っているのだ

961 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:46:12.30 OK6NyXVG0 819/837

17600「ミサカは不器用だからな」

トチトリ「そ、そこも素敵だと思うぞ?」

17600「・・・そうか」

鼻で笑う

彼女はそうは思えなかった

他のミサカはうらやましい

ずっと、そう思っていた

962 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:49:50.51 OK6NyXVG0 820/837

17600「・・・でも、ミサカもいつかはあの中に入りたいんだ」

17600「・・・ずっと、あの場所にい続けられるようになれたら」

17600「それは、とても幸せじゃないかな」

トチトリ「・・・あの家族が大好きか?」

17600「あぁ、信じられないほどに好きだよ」

トチトリ「・・・幸せじゃないか、十分」

二人が笑う

963 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:52:50.82 OK6NyXVG0 821/837

トチトリ「・・・ん、テクパトルがお前を呼んでるぞ?」

17600「あぁ」

17600号がテクパトルの元へ行く

17600「なんだ?」

テクパトル「食い物だったら、買ってほしいんだろ?」

17600「・・・まさか、今からか?」

テクパトル「ちょうどいい時間じゃないか」

964 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:56:01.19 OK6NyXVG0 822/837

17600「・・・なぁテっくん」

テクパトル「ん、なんだ?」

17600「・・・ミサカは、幸せなのかな?」

テクパトル「あぁ、幸せだろ」

美鈴「ほらほら、立ち話してるヒマがあったら行くよ!!」

旅掛「俺はパフェな!!」

20000「顔に似合わないね」

965 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 16:59:16.23 OK6NyXVG0 823/837

17600「・・・ありがとう」

テクパトル「どういたしまして、トチトリも行くぞ」

トチトリ「はーい」


17600(・・・幸せ、か)

17600号が横を見る

テクパトル「それにしても、暑いな」

19090「そうですね・・・」

966 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 17:02:30.34 OK6NyXVG0 824/837

17600(・・・ミサカはまだこの場所からじゃ分からない)

それでも

17600(いつかは分かるようになればいいな)

そんなことを考えてた

17600(今日も暑いな)


まだ、大覇星祭は続く

968 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 17:10:18.07 OK6NyXVG0 825/837

さて、新スレはこちら

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1313568339/


さて、そろそろ大覇星祭終わらせないとw



単発小ネタ

982 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 20:50:14.62 OK6NyXVG0 827/837

では小ネタ

旅掛くんと美鈴ちゃんの初デート

こうだったらよかったのにな

983 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 20:51:55.52 OK6NyXVG0 828/837

美鈴「ねぇ旅掛くん」

旅掛「なんだい、美鈴ちゃん?」

美鈴「今日はどこに行くの?」

旅掛「そうだな・・・動物園とか・・・行きたいけど、あんまり時間ないんだよな」

美鈴「・・・でも、旅掛くんと一緒ならどこでもいいよ?」

旅掛「!!!」


旅掛(俺に足りないものはなーんだ!!!!!!!!!!!!!)


旅掛(好きだと伝える勇気だよーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

984 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 20:53:24.70 OK6NyXVG0 829/837

美鈴「ねぇ旅掛くん、一緒にアイス食べようよ」

旅掛「おう、いいぞ!」


美鈴「はい、あーん♪」

旅掛「・・・え?」

美鈴「?あーん」

旅掛「あ、あーん」


美鈴「どう?美味しい?」

旅掛「あ、あぁ!」

美鈴「じゃ、今度は私にあーんして?」

旅掛「」


旅掛(俺に足りないものはなーんだ!!!!!!!!!!!!!)


旅掛(あーんをしてやる勇気だよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

985 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 20:55:17.54 OK6NyXVG0 830/837

美鈴「旅掛、そろそろ・・・ね?」

旅掛「?なんだよ?」

美鈴「つ、付き合ってもう5年だよ!?」

旅掛「?あ、あぁ」

美鈴「・・・ねぇ、わかんないの?」

旅掛「悪い、なにが?」

美鈴「・・・いいわよバカ」

旅掛「?」


旅掛(俺に足りないものはなんだ?)

旅掛(理解力・・・かな?)


986 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 20:57:30.06 OK6NyXVG0 831/837


美鈴「え、私のことが好きだった?」

「は、はい!!だから、自分と付き合ってください!」

美鈴「で、でも私・・・彼氏がいるし・・・」

「自分は、世界中の誰よりも御坂さんを愛しています!」

美鈴「・・・ちょっと、時間をもらえないかしら?」

「は、はい!!!!」



旅掛(・・・見ちまった)

旅掛(俺に足りないものはなんだ?)

旅掛(・・・今の場面で走っていって、抱きしめてやる愛情か・・・)

987 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 20:59:31.00 OK6NyXVG0 832/837

美鈴「・・・でね、旅掛」

旅掛「・・・」

美鈴「?聞いてる?」

旅掛「なぁ、俺たち別れるのかな?」

美鈴「え・・・?」


旅掛「ほら、この前他のヤツに告白されてたろ」

美鈴「み、見てたの!?」

旅掛「・・・俺は、お前を愛してないのかもな」

美鈴「え・・・?」

988 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 21:01:14.48 OK6NyXVG0 833/837

旅掛「・・・あのとき、駆け出していってお前を抱きしめなかった」

旅掛「もしかしたら、俺は・・・」

美鈴「そんなことないわよ!!」

旅掛「!」

美鈴「きっと、旅掛はちょっと鈍感なだけ!!だから!!」

旅掛「お、俺は・・・お前を愛してやれないような・・・」

美鈴「違う!!!!!!!!!!」


美鈴「私の好きな人のことを、それ以上悪く言わないで!!」

旅掛「・・・」

989 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 21:02:53.29 OK6NyXVG0 834/837

美鈴「・・・」

旅掛「・・・そっか、お前は俺を好きでいてくれてるんだ」

美鈴「当たり前でしょ?」

旅掛「・・・じゃあさ」


旅掛「結婚・・・してくれないか?」

旅掛「5年もかかった、こうやって考えをまとめるのに」

旅掛「これから、大切なことを決めるたびに時間がかかるんだと思う」

旅掛「そんな、待たせてばっかりの俺でもいいなら・・・」


旅掛「結婚、しよう」

990 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 21:04:10.24 OK6NyXVG0 835/837

美鈴「・・・やっと、気づいてくれたんだ」

旅掛「・・・やっとこさ、だな」

美鈴「嬉しいよ・・・」

旅掛「・・・幸せになろう、美鈴」

美鈴「・・・うん」


旅掛(俺に足りなかったものはなーんだ)

旅掛(いや、もう足りていたのさ)

旅掛(初めて、世界が満たされたんだ)

991 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 21:06:12.60 OK6NyXVG0 836/837



美鈴「?パパ、何笑ってんの?」

旅掛「あぁ、悪い悪い」

テクパトル「ったく、さっさと他のミサカの服も見ないとな」

旅掛「あぁ」


旅掛「なぁ、美鈴」

美鈴「なに?」

旅掛「・・・家に一人って、寂しいか?」

美鈴「・・・うん、ちょっと・・・でも、前は5年待たされたし、慣れてるよ」

旅掛「そっか」

992 : ◆G2uuPnv9Q. - 2011/08/17 21:07:16.75 OK6NyXVG0 837/837

旅掛「・・・これからは、もうちょいこまめに帰ってくるようにするよ」

美鈴「お、サンキュー!」

旅掛「美味いもん作ってくれよな!」

美鈴「もっちろん!」



旅掛(俺に足りないものはなーんだ?)

旅掛(それはな・・・)



単発終了






続き: 20スレ目 上条「そして終盤!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスはワシじゃよ」心理「誰よ」
※編集中です。近日中に公開します。



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