ゴトン ゴトン
妹「兄、お菓子もうないの?」
兄「もう無い。我慢しろ」
妹「あと何分くらい?」
兄「一時間ちょっとだ」
妹「・・・買ってきてよ」
兄「電車の中なのにどうやって買うんだよ」
妹「いいから早く買ってきてよ」
兄「はぁ・・・」
元スレ
妹「兄、大好き」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1428577286/
妹「兄、大好き」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1428658865/
母子家庭だった我が家は母が必死に働いてなんとか食い繋いできたが、働きすぎてその母もとうとう倒れてしまった。
兄「じゃあ、弁当食べろ。ほら」
妹「・・・」
兄「いらないのか?」
妹「いらないわよ」フンッ
兄「・・・そうか」
兄「ほら、降りるぞ」
妹「わかってるわよ」
電車「ドアが閉まるで」プルルル
妹「ここから何分歩くの?」
兄「30分くらいかな」
妹「やだ、そんなに歩けない」
兄「はぁ?歩けよ」
妹「もう疲れた」
兄「じゃあ休むか?」
妹「いい。その代わりお菓子買ってきて」
兄「・・・・・・わかった」
兄「ほら、買ってきたぞ」
妹「・・・なんでチョコ味なの?」
兄「知るかよ」
妹「イチゴ味がいい」
兄「はぁ、日が暮れる。早く行くぞ」スタスタ
妹「・・・・・・ふんっ」
兄「・・・・・・」スタスタ
妹「・・・・・・ねぇ」スタスタ
兄「・・・・・・」スタスタ
妹「ねぇ、ねぇってば!」グイッ
兄「ちょ、袖つかむな」
妹「ねぇ、歩くの早い」
兄「・・・・・・ごめん」
兄「着いたぞ」
妹「・・・・・・意外と小さい」
兄「ワガママ言うなよ」
兄「ごめんくださーい」ピンポーン
ハーイ
叔母「あら、兄君!早かったわね」ガララッ
兄「今日からお世話になります」
兄「本当にありがとうございます」ペコッ
叔母「いいのよ!そんな堅くならないで」
叔母「それより大きくなったわね~」
兄「ほら、挨拶しろ妹」
妹「・・・・・・」ペコッ
叔母「妹ちゃん!可愛くなったね~」
兄「すいません、こいつまだ元気なくて」
叔母「いいのよ!本当に残念だったわね」
叔母「姉さんが死んでしまって私も悲しいわ・・・」
兄「はい・・・」
叔母「あら、ごめんなさい。暗い話してしまって」
叔母「ささ、入って!今日からここがあなたたちの家よ!」
叔母「従妹も待ってるわ!」
妹「・・・・・・」
兄「お邪魔します」
妹「・・・・・・」
叔母「従妹~!兄君が来たわよ~」
シーン...
叔母「・・・・・・あらごめんなさい」
叔母「久しぶりだから恥ずかしいのかもしれないわ」
兄「いえいえ、大丈夫ですよ」ハハッ
妹「・・・・・・」
兄「妹、お前も俺の後ろに隠れてないでさ・・・」
叔母「ここが兄君の部屋で」
叔母「こっちが妹ちゃんの部屋!」
叔母「これでいいかな?」
兄「本当にありがとうございます」
兄「助かります」
叔母「だから、堅くしないでって言ったでしょ!」
叔母「今日から家族なんだから・・・ね?」
兄「・・・そうですね」
叔母「ほら、まだ堅いわよ」
兄「あ、あはは・・・」
叔母「ごめんね、部屋が狭くて」
叔母「で、こっちが従妹の部屋ね」
兄「(心配させないためにも明るくやるか)」
兄「はい、ありがとうございます!」
叔母「お、そうそうその調子!」
叔母「それじゃ、なんかあったら呼んでね!」
叔母「遠慮はいらないから!ね?」スタスタ
兄「(本当にありがたい)」
妹「・・・・・・兄」
兄「ん、どうした?」
妹「・・・・・・従妹と隣の部屋になれて嬉しいの?」
兄「え、どうして?」
妹「・・・・・・だってお礼してたじゃん」
兄「・・・・・・お礼?」
叔母『こっちが従妹の部屋ね』
兄『はい、ありがとうございます!』
兄「あ・・・・・・」
兄「そ、そういうわけじゃないから!」
兄「ほら、明るくしないと駄目だろ?」
妹「・・・・・・?」
兄「まあいい、別に嬉しくも嫌でもないから」
妹「・・・・・・あっそ」スタスタ
兄「部屋行くのか?」
妹「悪い?」
兄「いや、そうじゃないけど」
??「あ、あのー」
兄「ん?」
妹「!」
??「お、お久しぶりです!」
兄「えーと・・・?」キョトン
??「もう、お兄さん私を忘れたんですか?」
従妹「私、従妹ですよ!」
兄「え!?嘘!?」
従妹「もう・・・酷いです!」
従妹「妹さんもお久しぶりです!」
妹「・・・・・・お久しぶり」
兄「従妹ちゃん変わったなー・・・」
従妹「私変わりましたか?」
兄「(あんなに幼かった従妹ちゃんが数年でここまで大人に!?)」
兄「う、うん、大人っぽくなったていうか、可愛くなったっていうか・・・」
従妹「え///か、可愛い・・・///」カアア
兄「い、従妹ちゃん顔赤いよ?」
従妹「き、気のせいです!///」
兄「そ、そうか」
妹「・・・・・・」ゲシッ
兄「痛っ!なにすんだよ!」
妹「・・・・・・鼻の下伸ばしてた」ムスッ
兄「は、はぁ!?」
妹「もう知らない」スタスタ
兄「おい!妹!せっかくの再会なのに!」
従妹「い、いいんですよ!兄さん!」
兄「で、でもなぁ」
従妹「兄さんも妹さんもここ最近ほんと忙しかったから疲れてるんですよ」
従妹「そ、それに、お兄さんとまた会えて嬉しいです///」
兄「俺も嬉しいよ」
従妹「ほ、ホントですか?」
兄「嘘ついてどうするよ」
従妹「えへへ・・・兄さん、久しぶりたわからお話しませんか?」
従妹「あ、疲れてるのにごめんなさい!」
従妹「今日はゆっくり休んでください!」アタフタ
兄「え、俺は話してもいいんだけど」
従妹「いいんです!休んでください!」
兄「・・・俺従妹ちゃんと話したいな」
従妹「お兄さん・・・///相変わらず優しいですね///」
兄「え、何が?俺はホントに従妹ちゃんと話したいんだけど」
従妹「わかりました!私の部屋に来てください!」
兄「おう!」
妹「・・・・・・」ギリッ
ミンナー,ゴハンヨー‼
兄「従妹ちゃん行こうか」
従妹「は、はい!」
従妹「(もっとお話したかったなー・・・)」
兄「そうだ、従妹ちゃん」
従妹「はい、なんですか?」
兄「よければさ・・・いや、ほんと嫌ならいいんだけど、俺たちにこの街案内してくれないか?」
従妹「!!」
兄「い、嫌ならいいんだよ?」
従妹「な、嫌じゃありませんよ!むしろ案内させてください!」
兄「うん、よろしく」
従妹「(これはまさか・・・デート!?///)」
叔母「あれ、妹ちゃんは?」
兄「あ、そう言えば」
兄「今すぐ呼んできます」スタスタ
叔母「お願いね」
兄「(何やってるんだ、あいつは)」スタスタ
兄「おい、妹」コンコン
兄「おい、おい、おーい」コンコン
妹「・・・・・・何?」
兄「晩御飯だぞ、来いよ」
妹「・・・・・・後で行くから」
兄「後で?何言ってんだお前」
兄「入るぞ?」ガチャ
妹「あ・・・」
妹「な、なによ!変態!」
妹「出てって!」
兄「はぁ?何言ってんだが・・・」
兄「お前な、親父に言われただろ!」
兄「家族は一緒に飯を食えって」
妹「だ、だったら何よ!」
兄「ほら、早く来い」グイッ
妹「あ・・・」カアア
兄「すいません、遅れました」
叔母「全然待ってないわよ」
叔母「それより、ほら!美味しく出来たから暖かいうちに食べて!」
兄「ありがとうございます」
兄「いただきます」
兄「ほら、お前も」
妹「い、いただきます」
叔母「は~い」
叔母「従妹、兄君といっぱい話せた?」
従妹「うん!」
叔母「そっか~良かったわね~」
叔母「ほら兄君覚えてる?」
妹「・・・・・・!」ピタッ
叔母「従妹ったら小さい頃は兄君、兄君ってくっついてて」
叔母「お別れのときは大泣きしてたわよね~」アハハ
叔母「いつまでも泣くから兄君が困っちゃって」
従妹「お、お母さん!!!///」
叔母「あらあら、ごめんなさい」
従妹「もう・・・///」
兄「あはは」
妹「・・・・・・」
兄「ん、お前食べないの?」
兄「食べろよ」
妹「・・・・・・食欲ない」
兄「はぁ?お前なあ」
叔母「い、いいのよ!妹ちゃんには多かったかな?」
妹「ご馳走さまでした」スタスタ
兄「あいつ・・・」
従妹「妹さん、どうしたんでしょうね?」
兄「うん」
兄「(一回怒った方がいいよな)」
兄「ご馳走さまでした!」
従妹「わ、私も!」モグモグ
叔母「は~い、お粗末様でした」
兄「それでは部屋に戻ります」
叔母「ゆっくりしてね!」
兄「はい、ありがとうございます」
従妹「お兄さん!」
兄「ん?」
従妹「は、話の続きしませんか?」
兄「うん、いいよ」
従妹「お兄さん、こっちですよ?」
兄「あぁ、悪い。先言っといてくれ」
従妹「妹さん?」
兄「あぁ、ちょっと話があるから」
従妹「わかりました!待っときます!」
兄「すまない」
従妹「ちゃんと来てくださいね・・・?」
兄「おう」
兄「さて」
兄「おい、妹」コンコン
妹「・・・・・・何」
兄「ドア越しに話すぞ」
兄「お前さ、折角叔母さんが晩飯作ってくれたのにあれは失礼だろ?」
妹「・・・・・・食欲ないんだもん」
兄「と言ってもなぁ」
妹「何よ」
兄「明日からは食べろよちゃんと」
妹「なんでそんなこと言われないとダメなのよ」
妹「あんたが先に産まれただけで私たちは双子なの」
妹「妹扱いしないでくれる?」
兄「・・・・・・」イライラ
兄「なんだあいつの態度は」イライラ
兄「双子でも実際妹じゃないか」イライラ
兄「あー、腹立つ」ガチャ
兄「こういうときは寝て忘れよう」ゴロン
兄「・・・・・・なんか忘れてるような」
従妹「お兄さん?」コンコン
兄「お、おう、従妹ちゃん、どうした?」
兄「(そうだ、従妹ちゃんの部屋に行く約束だった)」
従妹「いえ、お兄さんが独り言言いながら部屋に入ってくのが聞こえたんで」
従妹「まさかとは思いますが・・・・・・」
兄「ちょ」
従妹「ちょ?」
兄「いや、あれだよ!すぐ行くつもりだったから!」アセアセ
従妹「・・・・・・」
従妹「本当ですか?」
兄「うん、今行くから待ってて!ね?」アセアセ
従妹「わかりました♪」スタスタ
兄「・・・・・・ふぅ」
兄「従妹ちゃん」コンコン
従妹「どうぞ!」
兄「お邪魔します」ガチャ
従妹「待ってました、お兄さん」
兄「おぉ・・・」
兄「(当たり前だが、女の子らしい部屋だ!小物がいっぱい置いてある)」
兄「(それに、すげえいい匂いがする!)」
従妹「どうしました?」
兄「い、いやなんでもないよ」
従妹「お兄さん、どうでしょうか?」
兄「え?何が?」
従妹「わ、私のお部屋///」
兄「うん、すごい可愛いよ」
従妹「本当ですか?」パアア
兄「当たり前だのクラッカー」
従妹「じゃ、じゃあ!妹さんとどっちが可愛いですか!?」
兄「え、妹・・・?」キョトン
従妹「は、はい」ワクワク
兄「妹って、妹のお部屋とどっちが可愛いか?」
従妹「は、はい、そうです///」モジモジ
兄「妹って・・・」
兄「(あいつの部屋なんて最近入った記憶ないぞ)」
兄「(結構前だが入ったときの記憶は・・・あんまり覚えてないわ)」
兄「(まあどうせあいつのことだから大したことないだろ)」
兄「従妹ちゃんのお部屋のが可愛いよ」
従妹「ほ、ホントですか!?」パアア
兄「嘘ついてどうすんのよ」
従妹「う、嬉しいです///」
従妹「お兄さん、ここに座ってください」
兄「ありがとう」
従妹「お兄さん」
兄「ん?」
従妹「・・・大きくなりましたね」
兄「え、寂しいか?」
従妹「い、いえ!そんなわけじゃ!驚いてるんです!」アタフタ
従妹「身長はおいくつですか」
兄「えー・・・180かな」
従妹「すごい大きいですね・・・!」
兄「(あれ?俺180あったっけ?)」
兄「従妹ちゃんはさ今高校一年生?」
従妹「はい、そうですよ」
兄「そっか」
従妹「お兄さんたちは二年生ですよね?」
従妹「高校はどうするんですか?」
兄「G高校に編入するんだ」
従妹「えぇぇ!?」
従妹「わ、私と同じ高校なんですか!?」
兄「なに、聞いてなかったの?」
従妹「はい、全然!」
兄「叔母さんに言ったつもりなんだけどな・・・」
従妹「(お母さん!話してくれてもよかったのに!)」
従妹「じ、じゃあ来週から学校なんですか?」
兄「まぁ、そういうことだな」
従妹「そうですか・・・!」
従妹「・・・・・・あ!」
兄「ん?どした?」
従妹「い、いや、なんでもないんです!」アセアセ
兄「え?隠さなくてもいいのに」
従妹「あ、あのですね」ドキドキ
兄「うん」
従妹「い、一緒にと、登校しませんか・・・?///」ドキドキ
兄「登校?」
従妹「は、はい///(言っちゃった・・・///)」モジモジ
兄「うん、いいよ」
従妹「ほ、ホントですか!?」パアア
兄「俺も妹もそっちのが心強いだろうし」
従妹「い、妹さん?」
兄「あー、妹も同じ高校だよ」
従妹「そ、そうなんですか・・・(二人きりの登校かと思ったのに・・・)」ガクン
兄「ていうか従妹ちゃんは俺たちと同じでいいの?」
従妹「え、なんでですか?」
兄「一緒に行く子とかはいないの?」
従妹「あ、はい!大丈夫ですよ!」
兄「そうなの?」
従妹「こっち方面の人はあまりいないんで!」
兄「そうなんだ」
従妹「だから誰も邪魔できません!」
兄「ん、邪魔?」
従妹「あ、ち、違います!///」カアア
兄「?」
兄「まあ、いいや。妹のことなんだけどさ」
従妹「あ、は、はい///」
兄「あいつ、ああいう性格だからさ、友達できるか心配なんだよね」
兄「俺も兄として心配というか・・・」
兄「だからさ、学年は違うけれど、なるべく仲良くしてあげてくれないか?」
従妹「任せてください!そんなこと言われなくとも仲良くしますから!」
兄「ありがとう、従妹ちゃん!」
兄「なんて優しいんだ」
従妹「や、優しいだなんてそんな///」
従妹「そ、そうだ、妹さんはいつから変わってしまったんですか?///」
兄「・・・・・・」
従妹「(しまった!聞いちゃいけないことだったかな?)」
従妹「ご、ごめんなさい!話したくなければ」
兄「親父が離婚したときからだよ」
従妹「・・・・・・え?」
兄「俺の家って母子家庭だっただろ?」
従妹「あ、はい・・・」
兄「妹は元々活発的なやつでも無かったけど」
兄「小学生5年生くらいのときから、お母さんと親父は仲悪くてさ」
兄「家でも毎日のように喧嘩してたな」
兄「んで、妹のやつは親父のことも母さんのことも好きだったから、相当精神的にキツかったらしくてさ」
兄「俺らが中学生のとき結局二人は離婚して、なんだか塞ぎこむようになったな」
従妹「・・・・・・そうなんですか」
兄「離婚したあと、本当は俺は親父の所に行く予定だったんだよ」
従妹「え?」
兄「そりゃまあ母さん一人で二人育てるのは大変だろうから」
兄「俺もそれは納得してたんだけど」
兄「母さんが金の心配はいらないから、どうしてもこっちに来てくれって言うんだ」
従妹「え、どうしてですか?」
兄「お前はたった一人の兄なんだから妹を守ってやれってさ」
兄「あいつ普段は冷静を装ってても夜な夜な部屋で泣いてたらしいんだ。精神的に不安定で」
従妹「妹さん・・・・・・」
兄「親父にはどう説明しようか迷ったけど、既に親父にも話が通ってて、そういうことなら早く行けって言うんだ」
兄「んで、今に至るわけだよ」
従妹「い、妹さんは・・・」
兄「ん?」
従妹「兄さんが戻ってきてからどうでしたか?」
兄「んー、どうなんだろうな」
兄「母さんはあんたが戻ってきてくれたおかげで妹もだいぶマシになったとか言ってたけど」
兄「母さんなりのお世辞だろうな、実際妹は冷たいままだったしな」アハハ
従妹「そ、そんなこと」
兄「ん?」
従妹「そんなことないですよ!」
従妹「妹さんはお兄さんが戻ってきてくれて嬉しかったはずです!」
兄「え?どうしてそう思うの?」
従妹「あの時期、よくこの家に遊びに来てたじゃないですか」
兄「はは、多忙な時期だったからほんと助かったよ母さん夜も惜しまず働くから俺たちにはどうしようもなくてさ」
従妹「その事はいいんです、私もお兄さんといつも会えて嬉しかったんですから!」
兄「・・・お、おお?」
従妹「む、昔の話です///」
兄「はは、ありがとう」
兄「んで、どうしてそう思うの?」
従妹「私あのときお兄さんたちの家の事情のことは知りませんでしたが」
従妹「最初の方は妹ちゃん1人だけで来てて、私とは話してくれるんですが」
従妹「すごい塞ぎこんでるのがよくわかりました」
従妹「私もいろいろ妹さんのためにしたんですが、なかなか明るくならなくて・・・困ってたんです」
従妹「でも、お兄さんも途中から家に来るようになったじゃないですか」
兄「俺が戻ったならな」
従妹「あの日から妹さんはどこか明るくなってたんですよ」
兄「俺には普通に冷たかったじゃん」
従妹「表面的には変わってないかもしれませんが、私にはわかります」
従妹「それで私、気付いたのです」
従妹「なにがあったからは知らないけど、妹さんが明るくなったのはお兄さんのおかげだって」
兄「はは、そりゃたまたまでしょ」
従妹「いえ、きっとお兄さんのおかげです!」
兄「いや・・・え?いや・・・」
従妹「お母さんも兄君が来てから妹ちゃん変わったねって言ってました」
兄「むむ、俺にはわからんな・・・」
従妹「妹さん、キツく当たるときもあるかもしれませんが」
兄「いつもだよ」
従妹「それでも!お兄さんがいるだけで安心できたんだと思います!」
兄「そうかなー?」
従妹「私にはわかるんです!」
兄「従妹ちゃんは優しいなぁ、気遣ってくれてありがとう」
従妹「もう///嘘じゃないのに///」
従妹「お兄さん、今日はもう寝ますか?」
兄「お風呂入って叔父さん帰ってきたら寝るよ」
兄「明日は荷物が届くし、従妹ちゃんに案内してもらわないと駄目だからね」
従妹「あ、そうでした!」
従妹「なら私もいろいろ手伝います!」
兄「いやいや、いいよ」
従妹「いいんです!私が手伝えば早く終わりますし、そしたらいっぱい案内できます!」
兄「いいの?」
従妹「いいんです!」
兄「それじゃ、頼む!ありがとう!」
従妹「はい!」
兄「(はぁ、お風呂気持ちよかった)」
兄「(今日はほんと長く感じたな)」
兄「(叔母さん、叔父さんや従妹ちゃんには感謝してもしきれない)」
兄「(・・・・・・)」
兄「(なあ、母さん。俺らはほんとに大丈夫か?凄く不安なんだ)」
母『あんたはね!妹のたった一人の兄なのよ!あんたが妹を守らないでどうするのよ!』
母『あんたが戻ってきてくれたら、夜に妹が部屋でなくことも無くなったみたいだよ。ありがとう』
母『しっかりしなさいよ、兄』
『しっかりしなさいよ、兄』
兄「(・・・・・・)」
兄「(すまない、母さん)」
兄「(俺がしっかりしないとダメだよな)」
兄「(俺らきっと上手くやっていくから)」
兄「(心配しないでくれ、母さん)」
「・・・・・・兄」
兄「うわ!」ビクッ
妹「何よその反応」
兄「いや、なんでもないよ」
妹「廊下にボーッとつったって気色悪い」
兄「すまん」
妹「そこどいて?」
兄「・・・・・・うん」サッ
妹「・・・・・・」スタスタ
兄「・・・・・・」
兄「・・・・・・なぁ、妹」
妹「・・・・・・何?」
兄「あのさ」
兄「この家に住ませてくれたのは本当に感謝しないといけないけどさ」
妹「また説教なの?」
兄「ちげーよ」
兄「あのな、俺たちはいつまでもここに住めるわけじゃないのはわかるだろ?」
妹「・・・・・・それが何よ」
兄「だから、いつかは俺たち2人きりで、そしていつかは1人きりで旅立たないとダメなんだ」
兄「だからさ、それまで何が待ってるかわかんないけど、これからも苦しいことだらけだろうけど、一緒に頑張ろう?」
妹「・・・・・・うん」
兄「じゃ、じゃあな」スタスタ
妹「・・・・・・変な兄」ボソッ
叔母「そんなことしなくてもいいのに」
兄「いえ、叔父さんにも挨拶しないといけません」
叔母「いつ帰ってくるかわからないのよ?」
兄「それもそうですが、叔父さんとお話だけでもしたいんです」
叔母「・・・そっか」
ガチャ
タダイマ
叔母「あら、帰ってきたようね」スタスタ
ガチャ
オカエリ!アナタ!
叔母「あなた、兄君よ」
兄「久しぶりです」
叔父「おお!おおお!兄君か!!」
兄「はい、兄です」
兄「この度はありがとうございます!」
叔父「いいんだよそんなこと!それよりもこんなに若いのに苦労して・・・」ジワッ
叔父「今日は飲もう!そして語ろう!兄君よ!」
叔母「ちょっとあなた!」
兄「あはは」
兄「(よかった、叔父さんも変わってないな)」
叔父「あれ、愛しの妹ちゃんは?」
兄「妹ですか?疲れて寝てしまったと思います」
兄「ほんとはここに連れてくるべきなのに、すいません」
叔父「いいのいいの!それよりあの可愛い可愛い妹ちゃんのことだからなぁ!絶対美人さんになってるに違いないね!」
叔母「あなたロリコンの気があるの?」
叔父「!!」ゴホン
兄「それで、いきなりなんですが、これからのことでお話が」
叔父「これから?」
兄「はい、僕が、妹が卒業してからの話です」
叔父「そんな先の話を?」
兄「はい、僕ももう決めていたことなんで」
兄「ほんとに叔母さん、叔父さんには感謝しています。」
兄「でもいつまでも厄介になるわけには行きません。僕たちもいつかは自立しなければなりません」
叔父「え?そんな遠慮しなくていいんだぞ?いつまでもここにいなさい」
叔母「そうよ」
兄「いえ、そういうわけにもいきません」
兄「それで、僕は高校を出たら就職しようと思います」
叔父「・・・・・・」
叔母「・・・・・・」
叔父「大学は行かないのか?」
兄「はい、1人で働けるようになって、それで妹を少しでも楽にさせたいです」
叔父「まさか、高校を出たらこの家も出ていくのかい!?」
兄「はい、そのつもりです」
叔父「君たち2人にはまだ早すぎる!ここにいなさい!」
叔母「・・・・・・」
兄「・・・・・・いえ、これはもう決めたことなんで」
兄「どうにか妹だけは自分の力で苦労させずに1人立ちさせてあけだいんです」
叔父「妹ちゃんのためなのか?」
兄「まあ、これも理由のひとつです。お母さんから妹を守れと言われてるので。」
兄「母の口癖であって、遺言なんです。妹を守れと言うのは。僕に対して冷たいし、あまり可愛いやつではないですが、死んだ母さんとの約束なんで、僕が妹を支えてやりたいです」
叔父「兄君・・・」ジワッ
叔父「どうにかできないのか?」
兄「はい、強がりですが、僕が途中までは妹を守りたいと思ってます」
叔父「なんて出来た人間なんだ・・・」ジワッ
叔母「あの、1ついいかな兄君」
兄「はい、どうぞ」
叔母「これは提案なんだけど」
叔母「うちの娘とどう?」
兄「」
叔父「お前は何をいってるんだ!」
兄「そ、そうですよ叔母さん」
叔父「どういうことだ?」
叔母「兄君の強い意思はわかった」
叔母「でもね、どうしても不安なの」
叔母「そこで私考えたの」
叔母「うちの娘と付き合って・・・結婚したら、私たちも兄君を陰ながら支えれるんじゃないかって」
叔父「な、なるほど!それは名案だ!」
兄「い、従妹同士ですよ!?」
叔母「ちょっと危ないけれど結婚できないわけじゃないわ」
兄「で、でも悪いですって!」
叔母「そうでもしないとあなた本当に妹ちゃんと一緒に消えてしまいそうですもの」
叔父「その通り」
兄「でも、従妹ちゃんの意思は」
叔母「あら、悪い男ね、兄君も。」
叔母「あのこ、兄君のことがとっても大好きなのよ」
叔父「うむ」
兄「本当かな・・・」
叔母「覚えているでしょう?昔のこと。兄君にベッタリだったこと」
兄「で、でも」
叔母「それとも何かしら?私の娘に不満あるのかしら?」
兄「い、いや・・・可愛くて素敵な女の子ですが」
叔母「ならいいじゃん!強制とはいかないけれど、これが最善だと思うわ」
叔父「俺も兄君だったら信頼できるよ!頼むよ、兄君!」
兄「えぇ・・・(しまった、地雷を踏んでしまった)」
兄「それでは、おやすみなさい」
叔父「おやすみ、兄君」
叔母「考えといてね、あの話」
兄「はい、考えさせていただきます」
兄「おやすみなさい、叔母さん」ガチャ
叔母「おやすみなさい、兄君」
兄「従妹ちゃんか・・・」スタスタ
兄「悪くないな・・・」スタスタ
妹「・・・・・・兄」
兄「へへ・・・・・」スタスタ
妹「兄!」
兄「うひゃあ!?何でもないよ!?」ビクッ
妹「何が何でもないのよ」
兄「なんだ、妹か・・・」
妹「私で悪かったわね」
兄「んで、廊下でなにしてんだお前」
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?なんだ?」
妹「従妹ちゃんとつき合うってほんとなの?」
兄「え」
妹「ねぇ」
兄「・・・・・・お前聞いてたのか?」
妹「悪い?」
兄「いや、悪くはないが」
兄「最初から聞いてたのか?」
妹「そうよ」
妹「・・・で、どうなの?」
兄「いや、まぁ・・・・・・どうだろうなぁ」
妹「答えてよ!」グイッ
兄「!?」
兄「悪い悪い(何怒ってんだこいつ)」
兄「まだ確定してないけど、叔父さんや叔母さんにはそう勧められたよ」
兄「理由は聞いてただろ?」
妹「・・・・・・・私は反対だから」
兄「は?反対?なんでお前にされなきゃダメなんだよ」
妹「私だって妹だから、反対する権利はある」
兄「こんなときに妹面か、おい」
兄「なんで反対なんだよ」
妹「それじゃ結局叔父さんたちに甘えたきりじゃない」
兄「それもそうだけど、お前のためだよ」
兄「理由聞いてただろ?妹に聞かれちゃ恥ずかしいけど、俺だってあまり叔父さんたちに迷惑かけたくないんだ。ないけれど、きっと限界があるから。」
兄「叔父さんたちなりの優しさだよ。無理になって俺たちが本当に二人きりで消えてしまいそうだから監視の意味もあるだろうな」
妹「・・・・・・兄はさ、私のために働いてくれるの?」
兄「いや、そういうわけでもないけど」
妹「・・・・・・嘘つき」
兄「え?・・・でも、お前のために働くっていうのは理由の1つだよ。言っとくけど母さんの遺言だからな?」
妹「じゃあさ、兄のちからで私を守ってよ」
兄「は?」
兄「俺もそうしたいけれど、善意であそこまで言ってくれてるんだからさ」
妹「・・・じゃあ兄は嘘つきだね」
兄「はぁ?」
妹「私を守ってくれるって言ったじゃん!」
兄「でも、限界があるだろ!俺1人でお前を支えるなんてさ!」
妹「でもそんな理由で従妹ちゃんと付き合ってほしくない!」
兄「・・・っ!」
妹「それに・・・・・・兄はさ、私が1人立ちするまでって言ったよね?」
兄「・・・・・・あぁ」
妹「・・・・・・ずっと守ってくれるんじゃなかったの?」
兄「はぁ?」
兄「あ・・・・・・」
『母さん!俺妹のこと一生守るから!』
兄「確かにそういったけど・・・・・・」
妹「・・・とにかく反対だから」スタスタ
兄「どうしたんだ、アイツ?」
兄「でも確かに言ったは言ったな」
兄「まあ、いいや」
兄「今日は寝よう」
兄「おやすみ!妹!」
兄「・・・・・・」
兄「はぁ」ガチャ
兄「(明日は荷物が来るし、案内もしてもらわなければ)」
叔母「あら、兄君早いわね」
兄「おはようございます・・・」
叔母「もう少しで出来るから待っててね」
兄「わかりました・・・」
兄「(眠い)」
兄「叔父さんは仕事ですか?」
叔母「そうよ」
兄「休日出勤大変そうですな」
叔母「ホントそうよ」
従妹「おはようございます」ガチャ
叔母「おはよう!」
兄「おはよう」
従妹「お兄さん、隣いいですか?」
兄「ん、いいけど」
従妹「えへへ、ありがとうございます」
叔母「うふふ」
妹「・・・・・・」ガチャ
叔母「あら、おはよう妹ちゃん」
妹「・・・・・・おはようございます」ボソッ
妹「・・・・・・・・・」
兄「それでさー」
従妹「えへへ、そうなんですか?」
妹「・・・・・・」ドンッ
兄「あ、妹おはよう」
従妹「妹さん、おはようございます!」
妹「従妹ちゃんおはよう」
兄「・・・・・・俺は?」
妹「知らない」
兄「ご馳走さまでした!」
従妹「ご馳走さまでした!」
妹「・・・ごちそうさまでした」
叔母「はい、お粗末様でした!」
叔母「兄君、今日の料理どうだった?」
兄「とても美味しかったです」
叔母「ふふ、ありがとう」
叔母「兄君は料理できる子の方が好きなの?」
兄「え、まあ、はい」
叔母「(ということだそうだ我が娘よ)」
従妹「(そっか・・・私も頑張ろう)」
ピンポーン ピンポーン
兄「あ、来たか」
叔母「はーい、今行きまーす」
従妹「荷物ですか?」
兄「そうだと思うよ」
叔母「案外少ないわね」
兄「そうですかね?」
従妹「これはすぐ終わりそうですね」
兄「あ、妹の荷物届けてきます」
叔母「いいよ、私が行くわ」スタスタ
兄「ありがとうございます」
従妹「じゃあ早速荷物整理しましょう!」
兄「おう!」
兄「ありがとう、従妹ちゃん!すぐ終ったよ!」
従妹「いえいえ!」
従妹「お兄さん、それにしても気になることがあります」
兄「ん?」
従妹「こ、こ、こ、これなんですか?///」モジモジ
つ『貧乳パラダイス』
兄「(^-^)」
兄「(完全に忘れてた)」ブルブル
兄「(どうしよう、どうごまかそう)」ブルブル
従妹「男の人なんでエ、エッチな本があることは理解できます///」
兄「はい・・・」
兄「(限りなく恥ずかしい)」
従妹「でもよりによって」
従妹「なんでひ、貧乳なんですか!?!?///」
兄「は!?」
従妹「はい!?言い訳あるならどうぞ!!」
兄「え!?」
兄「その後延々と説教されたが」
兄「恥ずかしすぎて覚えているはずもない」
従妹「お兄さん、今日はお出かけですよ!」
兄「・・・・・・そうだな」
兄「あ、妹も連れてこないと」
従妹「そうですね」
兄「あいつ終わったのかな?」
妹「私が何?」
兄「うわっ!?」
妹「なによその反応」
兄「なんでもないけど」
従妹「妹さん!今日は町を案内しますよ」
兄「行こうよ」
妹「・・・パス」
兄「はぁ?」
妹「疲れるから」
兄「なんじゃそりゃ」
従妹「・・・じゃ、行きますか?」
兄「そうだな、二人きりだけどいいか?」
従妹「ふ、二人きり!?///」
妹「・・・・・・」ピクッ
兄「で、お前も来たのな?」
妹「・・・・・・悪い?」
兄「悪くはないけどさ」
妹「ふんっ」
従妹「ほら、見てください!ここが地元の味方!ショッピングセンターです!」
兄「大きいし、徒歩10分ってのがいいね」
従妹「でしょ?じゃ、次行きましょう」
従妹「ここは街でも大きい方の公園です」
兄「なに、黄泉公園?」
従妹「はい!通学路の途中なんですよ」
兄「不気味な名前だな」
従妹「じゃ、このまま高校行きましょう」
妹「・・・・・・・・」グイッ
兄「ん?なんだお前」
妹「・・・・・・疲れた」
兄「はぁ」
従妹「いいですよ、休憩しましょう」
兄「ごめんな」
兄「しかしこの公園大きいな」
兄「前の街にもこんな大きいのなかったよ」
従妹「都会に住んでたんですよね?」
兄「そうだよ」
従妹「都会に憧れます!」
兄「何もないよ、都会なんて」
従妹「ありすぎるじゃないですか!」
兄「俺は都会よりもこっちの街のが好きだな」
従妹「お兄さんの街もいい街でしたよ」
兄「・・・俺の街か・・・」
兄「(特に思い出ないよな)」
妹「ねぇ、行こ」
兄「わかった」
従妹「じゃあ行きましょう!」
兄「おう」
兄「学校の帰りはここよろっかな」
従妹「いいですね、それ」
従妹「ここが私たちの通う高校です!」
兄「なるほど」
兄「なかなか大きいんだな」
従妹「でしょ?」
兄「・・・・・・」
兄「俺うまくやってけるかな」
従妹「お兄さんなら大丈夫ですよ」
兄「友達はいらんが、せめていじめられたくないな」
従妹「何いってるんですか!」
兄「しかし徒歩30分か」
従妹「自転車だと10分ですよ!」
兄「そりゃいいね、近い」
従妹「3人で通学しましょうね!」
兄「ああ」
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?」
妹「私自転車乗れない」
兄「あ、そうだったな」
兄「じゃあ歩けばいいじゃないか?」
妹「・・・・・・」ムスッ
従妹「何いってるんですか!私たちも歩きますよ!」
兄「え」
妹「・・・・・・・」
兄「あー、わかったよ、歩いてやるよ」
妹「・・・・・・・」
兄「なんだよ、なんか言えよ」
妹「・・・後ろ乗せてよ」
兄「は?」
従妹「え?」
妹「そのためにあんたは自転車買ったんでしょ」
兄「買わされた、な!」
兄「2人のりは犯罪だ、いいか?」
兄「それに危ない」
妹「そんなの知らない」
兄「知らない??」
従妹「(お兄さんと2人のりって羨ましい///)」
兄「とにかく、無理」
妹「いや、歩きたくない」
兄「無理だって」
妹「乗せて」
兄「無理!」
妹「・・・・・・」
兄「・・・・・・わかったよ。行きだけな」
妹「・・・帰りは?」
兄「は、帰り?」
妹「帰りはどうすんの?」
兄「歩いて帰れ」
妹「・・・」イラッ
妹「帰りもね」
兄「はぁ?お前なぁ、行きでも恥ずかしいのに帰り待ち合わせて一緒に帰る兄妹なんて怖いぞ」
妹「そんなの知らない」
兄「だからさ、お前か俺かが友達できるかも知れないだろ。んで一緒に帰るかもしれないだろ!」
妹「・・・」
妹「でも従妹ちゃんはこっち方面の人は少ないって言った」
兄「いるかもしれないだろ」
妹「うるさい!乗せろ!」
兄「マジで恥ずかしいだろ!兄妹で一緒に帰るとか」
妹「私はあんたを兄妹として見てない」
兄「それヒドクネ!?」
従妹「わ、私が乗せますよ!」
兄「いやいや、危ないよ」
兄「それに部活あるでしょ、従妹ちゃん」
妹「だから兄しかいないの」
兄「黙れ」
従妹「これも通学路ですが」
従妹「ここが、鏡川です」
兄「綺麗な川だな」
従妹「そして大きいでしょ?」
兄「そうかな?」
従妹「大きいのです!」
兄「そうだな」
従妹「ここは幻想的な川なんです」
兄「え?」
従妹「とにかく、色んな伝説があるんですよ!」
兄「へえ」
妹「・・・・・・」
従妹「水面を覗いて下さい」
兄「うん」ヒョコ
兄「俺やで」
兄「ん?川のなかに俺がいる」
従妹「どうみても反射してるだけですが」
従妹「ここは自分の顔が水面にきれいに反射するんです」
兄「へえ」ヒョコ
兄「俺やで」
従妹「あまり深く除かないで下さいよ!」
従妹「ここの川は流れが強くて、とても深いんです!」
兄「そりゃ怖い」
従妹「ただ、夜はロマンチックですよ」
兄「そうなんだ」
従妹「お昼はどこで食べますか?」
兄「どこでもいいよ」
兄「あ」
兄「イタリア料理がいいね」
従妹「・・・妹さんの好みですか?」
兄「」ギクッ
従妹「わかりますよ、妹さんほんとイタリア料理好きでしたから」
妹「ねえ、さっきから何話してるの?」
イラッシャイマセー
兄「イタリア料理か、あまり食べないな」
妹「兄が行きたいって言ったんでしょ」
兄「こ、こいつ」
従妹「私はスパゲッティで!」
兄「俺も」
妹「・・・・・・」グイッ
兄「あ、あと1つスパゲッティ」
従妹「合計3つお願いします!」
カシコマリマシター
兄「美味しかったな」
従妹「お兄さんはスパゲッティ好きですか?」
兄「いや、嫌いじゃないけど」
従妹「何が好きなんですか?」
兄「んー、オムライスかな」
従妹「オムライス・・・ですか」
従妹「わかりました!オムライス、練習します!」
兄「マジ!?」
従妹「はい!だから期待して待っといて下さい!」
兄「夕方まで案内してもらった」
従妹「ただいま!」
兄「ただいま!」
妹「・・・・・・」
叔母「あら、お帰り」
叔母「従妹、楽しかった?」
従妹「うん!」
叔母「兄君、妹ちゃん、街のことわかった?」
兄「はい」
妹「・・・・・・うん」
叔母「それはよかった!」
叔母「二人ともすぐにすきになるわよ、この街のこと」
兄「そうですかね?」
従妹「好きって言ったじゃないですか!」
兄「そうですかね?」
兄「そして夜」
従妹「もう寝ますか?」
兄「眠いな」
従妹「お兄さん、今日は楽しかったですか?」
兄「楽しかったよ」
従妹「それはよかった」
従妹「それじゃあお休みなさい」
兄「お休みなさい」
ガチャ
兄「ん?お前何してるんだ?」
妹「別に」
兄「エリカ様?じゃなくて」
兄「早く寝ろよ」ガチャ
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?」
妹「・・・・・・おやすみなさい」
兄「!」
兄「おやすみ」バタンッ
兄「おはようございます」
叔母「ご飯置いといたよ!」アタフタ
兄「なんかあるんですか?」
叔母「今日は町内会なの!」アタフタ
兄「日曜日なのに?」
叔母「ほんと忙しいわよ」アタフタ
兄「そうですか・・・」
叔母「それじゃあ行ってくるわ!」ガチャ
兄「行ってらっしゃい、叔母さん」
兄「じゃ、いただきます」
妹「兄」
兄「!?」
兄「お前起きてたのか」
妹「起きてちゃ悪いの?」
兄「悪くはないけどさ」
妹「それより、自分で言って忘れるの?」
兄「何を?」
妹「家族で飯は食べるんでしょ?」
兄「あ・・・」
妹「忘れてたんだ、最低」
兄「すまん」
兄「今日は従妹ちゃんも叔父さんも叔母さんもいない」
妹「そう」
兄「二人で留守番だよ」
妹「・・・そう」
兄「なぁ、今日自転車の練習しないか?」
妹「・・・・・・いや」
兄「いいだろ、乗れたら」
妹「いやなの」
兄「はぁ、ワガママな野郎だ」
妹「・・・・・・」
兄「なんか言えよ」
妹「あんたにしかワガママ言わないからいいの」
兄「それもそれでやだな」
兄「ていうかさ、お前明日から学校だぞ」
妹「・・・・・・」
兄「準備できてるの?」
妹「・・・・・・別に」
兄「じゃあ今日はショッピングセンター行こう」
兄「わかった?」
妹「・・・・・・」
兄「無視ですか?」
ショッピングセンター
兄「文房具買ってくる」
兄「お前どうすんの?」
妹「ここにいる」
兄「わかった」
兄「お前の分も買ってこようか?」
妹「・・・消しゴム」
兄「はいはい」スタスタ
兄「買ってきたぞー」
兄「あれ、妹は?」
DQN「ほら、早くこっち来てよ」グイッ
妹「やだ、ヤメテ!」ブルブル
DQN「聞き分けの悪い女だな!」グイッ
妹「いや!兄!兄!」ブルブル
兄「やめろ」
DQN「あ?」
兄「手を出すな」
DQN「ああ?お前はこの女のなんだよ?」
兄「・・・あn「彼氏」」
兄「は?」
DQN「は?」
妹「私の彼氏なの!」グイッ
兄「(う、腕組むなよ!)」
妹「早く、どっか、行きなさいよ」ブルブル
DQN「・・・・・・」スタスタ
兄「・・・だいじょ」
妹「どこ行ってたのよ!」ウルウル
兄「ちょ、おい」
妹「どこに行ってたのよ!」ウルウル
兄「落ちつけって!」
妹「落ち着けですって!?妹がナンパされてたのよ!」ウルウル
兄「だから!俺は文房具買いにいってただろ!」
妹「そんなの知らない!私怖い思いしたんだから!」
兄「なんなんだよ!」
妹「私を一人にしないでよ!」
兄「ついてこればよかっただろ!」
妹「そんなの知らない!」
兄「ワガママもいい加減にしろ!」
妹「ワガママ!?私怖い思いしたんだけど?」
兄「それは悪かった!だけどな!どうしようもできないだろ!」
妹「もう知らない!」タタタッ
兄「はぁ!?こっちが知らねえよ!」
兄「はぁ、なんでこうなった・・・」
兄「理不尽だが」
兄「俺も怒りすぎたかもしれん」
兄「・・・謝りに行こうかな」
兄「いや、どうせ謝ってもキレられるだけだ」
兄「とりあえず連れて帰るか」
兄「おーい、妹」スタスタ
兄「ここにいたか」
兄「探したぞ」
妹「・・・ヒッグ・・・グスッ」ポロポロ
兄「んで、泣いてやがる」
妹「・・・ヒッグ、な、泣いてないもん」ポロポロ
兄「泣いてるじゃん」
妹「泣いてないもんグスッ」ポロポロ
兄「ほら、泣き止め」スリスリ
兄「(背中さすったら昔はよく泣き止んだ)」スリスリ
妹「ヒッグ・・・」
兄「泣き止んだか」
妹「兄、ごめんなさい」
兄「あ?珍しい」
妹「私・・・めんどくさい妹だよね」
兄「確かにめんどくさいな」
妹「・・・」ウルウル
兄「ああ泣くな!(こんな打たれ弱い妹久し振りに見たぞ)」
妹「ごめんなさい、めんどくさい妹で」
妹「ねぇ、私邪魔?」
兄「?」
妹「私いつも兄に頼ってて、兄のじゃまして」
妹「私なんていない方が良かったって思うときあるでしょ?」
兄「たまにな」
兄「確かにお前はワガママで、乱暴で、おれにつめたいけど、でも心より邪魔と思ったことはないよ」
妹「・・・一度も?」
兄「一度も」
妹「グスッ・・・そっか」
兄「また泣いてやがる」
妹「私ね」
妹「兄が戻ってきてくれたときは嬉しかった」
兄「そうか」
妹「やっぱり私も怖い」
兄「・・・なにがだ?」
妹「兄が遠くに行ってしまいそうで怖いの」
兄「遠くに?」
妹「私を一人にしないで」
兄「は?」
妹「私を一人立ちさせるとか言わないで」
妹「私、友達も少なくて、でも家族が大好きだったのに、その唯一の家族の兄と離ればなれになったら」
妹「私おかしくなりそう・・・」ポロポロ
兄「・・・」
妹「どうせ離れ離れになることないと思ってたから」
妹「兄に冷たくして、強く当たってた」
妹「でも兄の話聞いてから怖いの」
妹「私、頑張るから!兄に嫌われないように口調も態度も変えるから!だから、だから!」
妹「一人にしないで・・・」ポロポロ
兄「・・・・・・」
兄「俺たちは確かに唯一の家族だな」
兄「俺はそんなことも考えずに妹を一人立ちさせるとか言ってたよ」
兄「ごめんな」
妹「うん・・・」ポロポロ
ということでとりあえず完。
というのも僕寝ますんで。もし明日のゆうがたまで残ってたら続き書きますが、残ってなかったら新しくスレ立てます。
では
先生「転校生の兄君です」
兄「よろしくお願いします」
パチパチパチパチ
先生「席はあそこです」
兄「わかりました」スタスタ
女「よろしくね、兄君」
兄「うん、よろしく」
女「女でいいわよ」
兄「わかった」
女「ねぇ、兄君」
兄「ん?」
女「双子の妹ちゃんいるの?」
兄「何でそれを?」
女「噂になってるわよ」
兄「そっか、いるよ」
女「へぇ、見てみたい」
兄「(あいつ上手くやってるかなぁ)」
兄「初日は終わった」
兄「女さんとしか話してないけど」
兄「・・・・・・・」スタスタ
妹「・・・・・・・兄」
兄「え????」
兄「お前なにやってるの?」
妹「兄を待ってたのよ」
兄「なんで?」
妹「自転車に乗せなさいよ」
兄「・・・・・・」
兄「(妹は自転車に乗れない)」
兄「(だけど歩くのは嫌みたいで、自転車に乗せろと言ってくる)」
兄「駄目だ」
妹「なんでよ」
兄「法律的にも、安全的にも」
妹「そんなの知らない」
兄「一人で帰れよ、最悪一緒に帰ってやるから」
妹「・・・・・・」ムスッ
兄「なぁ、そこどけよ」
妹「・・・」
兄「邪魔だって」
妹「嫌だ」
兄「自転車こげないだろ」
妹「知らない」
兄「二人乗りは危ないって!」
妹「知らない!」
兄「周りの目が痛いから」
妹「じゃあ私を置いていくの?」
兄「知るか、どけ」グイッ
妹「きゃ!」ドスンッ
兄「あ、ごめん」
妹「・・・・・・」
兄「おい、大丈夫か?」
妹「足、怪我した」
兄「は?」
妹「もう歩けない」
兄「今日だけだぞ、マジで」
妹「明日からは歩けって言うの?」
兄「だからさ、自転車乗れるようになれって」
妹「・・・怖いもん」
兄「知るかよ!」
妹「知っとけ」
兄「はぁ・・・・・・」
兄「見つかったらどうすんだよ」
妹「知らない」
兄「今日はどうだった?」シャー
妹「別に」ギュ
兄「・・・そうか」シャー
兄「まあ俺も特に無いけどさ」シャー
兄「その内すぐ馴れるよ」
妹「そう」
兄「・・・」
兄「(口数増えたんだよな・・・?)」
兄「ただいま」ガチャ
兄「あ、今日は叔母さんいないんだっけ?」
兄「まだ夕食まで時間あるぞ」
妹「だから何よ」
兄「・・・いや、別に」
妹「・・・」スタスタ
兄「(冷たい態度にはかわり無いが、なんとなく丸くなったかな)」
兄「俺も晩ごはんまではゴロゴロしとくか」
タダイマ‼
兄「従妹ちゃんが帰ってきた」
従妹「お兄さん!」スタスタ
兄「はーい」
従妹「お兄さん?」コンコン
兄「ん?どうした?」
従妹「入っていいですか?」
兄「どうぞ」
従妹「お兄さん!」ガチャ
兄「従妹ちゃん、おかえり」
従妹「ただいまです!」
従妹「それより、お兄さん」
従妹「転校初日はどうでしたか?」
兄「えー・・・」
兄「うん、上出来だよ」
従妹「ホントですか!?安心しました・・・!」
兄「ありがとう、心配してくれて」
従妹「いえいえ!」
従妹「それはそうと、妹さんは?」
兄「妹?部屋で寝てるけど」
従妹「い、いやそうじゃなくて」
従妹「妹さんは馴染めたんでしょうか?」
兄「え?あぁ・・・どうだろうな」
兄「そう言われると心配だけど」
兄「大丈夫なんじゃないか?」
従妹「・・・そうですか」
兄「あいつ人見知りで愛想悪くて口数少ないけど」
兄「なんとなく、憎めないやつなんだよな」
兄「まあ心配しなくていいよ」
従妹「・・・そうですね」
従妹「まあ、私がいるから安心ですよ!」
兄「それは心強い」
兄「いただきます」
従妹「いただきます!」
妹「・・・いただきます」
叔母「ちゃんと食べてね!」
兄「美味い」モグモグ
従妹「兄さんは卵焼きも好きですか?」
兄「うん、好きだよ」モグモグ
従妹「そうですか!」
兄「ごちそうさまでした!」
従妹「ごちそうさまでした!」
妹「・・・・・・ごちそうさまでした」
叔母「御粗末様でした」
兄「あしたの準備しなくちゃ」スタスタ
従妹「あ、私も手伝います!」スタスタ
妹「・・・・・・」
兄「手伝わなくてもいいのに」
従妹「いいんです!まだ転校してきたばっかで忙しいんでしょう?」
兄「おう、悪いな」
従妹「えっへん!」
兄「明日も一緒に登校だな」
従妹「そ、そうですね///」
兄「・・・これからも迷惑かけるかもしれんけど」
兄「よろしくね従妹ちゃん」
従妹「・・・はい!」
翌朝
兄「・・・おはようこざいます」
従妹「おはようこざいます!」
叔母「おはよう♪」
叔母「でも良かったわね、学校馴染めそうで」
兄「はい、頑張ります」
従妹「えへへ」
叔母「今日は妹ちゃん遅いわね」
従妹「確かに珍しいです」
叔母「兄君、お願いできる?」
兄「もちろんです、起こしに行きます」スタスタ
叔母「悪いわね」
兄「眠い・・・」スタスタ
兄「おーい、妹」コンコン
兄「妹?妹ー?」コンコン
兄「おい、遅れちゃうぞ」コンコン
兄「・・・妹?」
妹「あ、兄・・・」
兄「(声が弱々しい!)」
兄「い、妹!?入るぞ!」ガチャ
妹「・・・勝手に入らないでよ変態」ポカポカ
兄「ご、ごめん」
兄「ていうか顔赤いぞ!」
妹「そうでもないから」ゴホッ
兄「お前熱あるだろ!」サッ
兄「うわ、熱い!」
妹「大丈夫・・・だから」ポカポカ
兄「大丈夫なわけないだろ!」
妹「私を気にしないで・・・」
兄「・・・・・・」ガチャ
妹「・・・・・・」
妹「(今日はお留守番・・・か)」
妹「一人・・・寂しいな」
妹「バチが当たったのかな」
妹「いつも兄に強く当たるから」
妹「私・・・最低だ」
兄「妹、入るぞ」ガチャ
妹「!?」
妹「あ、兄!?」ドサッ
兄「ほら、安静にしろ」
妹「あ、兄、学校は?」
兄「休んだよ」
妹「え・・・」
兄「高熱出してんだから誰か看病しないとダメだろ」
兄「もちろん叔母さんにも従妹ちゃんにも言ったし、学校にも連絡したよ」
兄「何か欲しいものがあったら言え。買ってきてやるから」
兄「だから安静にしとけ」
妹「・・・ありがとう」ジワッ
妹「兄、ごめん」
兄「・・・あまり話すな」
妹「・・・今までのこと兄に謝りたいの」
兄「・・・は?」
兄「この前言っただろ、心からお前を邪魔と思ったことがないって」
妹「でも、私、兄に冷たくしてたから・・・それは謝らないとダメだよ」
妹「ごめんなさい」
兄「都合いいやつだなお前」
兄「冷たくしてくるお前に馴れたよ」
兄「逆に優しかったら気持ち悪いから」
妹「気持ち悪い・・・?」
兄「いや、お前が優しいと俺も調子狂うから」
兄「今まで通りにやってくれよ」
妹「・・・ありがとう」
兄「お前風邪引くと素直になるのな」
妹「うるさい」
兄「なんか買ってきてほしいのあるか?」
妹「・・・ない」
兄「ワガママ言ってもいいよ」
妹「いい。もうワガママやめる」
兄「は?だから遠慮は止めろって」
妹「もういいの」
妹「兄に・・・迷惑掛けたくないから」
兄「・・・お前も成長したな」
妹「うるさい」
妹「兄」
兄「もう大人しくしろ」
妹「・・・」
兄「・・・」
妹「・・・」
兄「わかったよ」
妹「え?」
兄「話せばいいんだろ」
妹「うん・・・!」
兄「昨日はどうだった?」
兄「別に しか言わなかっただろ」
妹「・・・」
兄「本当のこと言えよ」
兄「ちなみに俺は馴染めなかったよ」
妹「・・・!」
妹「わ、私も・・・」
兄「ん?」
妹「あまり馴染めなかった・・・」
兄「はは、そうか、一緒だな」
妹「嬉しくない」
兄「何かと似てるんだな俺ら」
妹「うん」
兄「顔は似てないけどな」
妹「うん」
兄「飲み物取ってこようか?」
妹「うん・・・」
妹「あ、ダメ!」
兄「え?」
妹「一人は寂しい・・・」
兄「・・・・・・そうか」
兄「じゃあもう少しここにいるよ」
妹「・・・ありがとう」
妹「・・・・・兄」
兄「ん?」
妹「大学位ってほしい」
兄「妹にか?そりゃそうだ」
妹「でも兄は働くの?」
兄「そうだよ」
妹「一緒に大学行こうよ」
兄「・・・それは無理だ」
妹「どうしても?」
兄「あぁ、どうしてもだ」
妹「・・・そっか」
妹「それは兄のワガママ?」
兄「ワガママかな」
妹「そっか」
妹「じゃあさ、私のワガママ聞いてよ」
兄「ワガママ卒業したんじゃないの?」
妹「う、うるさい!お返し!」
兄「んで、内容は?」
妹「私たち卒業したらさ」
兄「うん」
妹「一緒に住もう?」
兄「・・・・・・」
兄「なんで?叔父さんたちの家からでもいいじゃないか」
妹「うん・・・」
兄「だから、それは難しいな」
妹「兄は私と一緒に住みたくないの?」
兄「住みたくない訳じゃないけど」
妹「・・・そっか」
兄「わかってくれるか?」
妹「・・・うん」
兄「でもいつまでも叔父さんたちに迷惑かけられないよな」
妹「うん」
兄「従妹ちゃんと付き合えば嫌でも厄介になるんだろうけど」
妹「・・・・・・」
妹「だから・・・兄にそんな軽い恋愛してほしくない」
兄「だからさ、経済的な理由で従妹ちゃんと付き合おうとは思わないよ」
兄「叔父さんや叔母さんも付き合えって勧めてくるけど、やっぱりそれじゃ迷惑かけてることになるし」
兄「だから叔父さんたちには悪いけど、従妹ちゃんにもその気が無いなら付き合う気はないよ」
妹「・・・・・・そっか」
兄「お前は彼氏とかいないの?」
妹「・・・・・・いらない」
兄「そうなの?」
兄「実はいたけど別れたとか?」ニヤニヤ
妹「そんなのいない!!」ドサッ
兄「!?」
妹「・・・ご、ごめん」
兄「・・・落ち着けよ、からかって悪かった」
妹「わ、私もごめん・・・」
兄「・・・」
妹「・・・」
兄「お前と意外と話せるんだな」
妹「・・・え?」
兄「今まで俺に当たり強いから嫌われてると思ったよ」
妹「・・・そんなわけないでしょ」
兄「ならよかった!」
妹「・・・そっか」
兄「もうすっかり夕方だな」
妹「そうだね」
兄「熱下がったか?」
妹「だいぶ下がったよ」
兄「そっか、よかった」
兄「なんだか、お前のことを知れた気がしたよ」
妹「え・・・何よ」
兄「お前の兄貴なのに、俺お前のことなにも知らなかったからさ」
兄「お前と話せてよかったよ」
妹「・・・私も」
妹「いっぱい話せてよかった」
兄「へぇー、素直だな」
妹「うるさい」
兄「ごちそうさまでした!」
従妹「ごちそうさまでした!」
兄「はぁ、美味しかった」
叔母「ねぇ、兄君」
兄「はい」
叔母「妹ちゃんの体調どう?」
兄「だいぶよくなりました」
叔母「そっか、よかった・・・兄君のお陰ね!」
叔母「あ、これおかゆ。妹ちゃんに」
兄「わかりました」
従妹「あ、私が持っていきます!」
兄「え、そんな悪いよ」
従妹「いいんです!私妹さんと話したいことありますから!」スタスタ
兄「あ・・・」
コンコン
妹「(あ、兄!?)」
従妹「妹さん、お体大丈夫ですか?」
妹「(従妹ちゃんか・・・)」
妹「うん、だいぶ良くなってきたよ」
従妹「ならよかったです♪」
従妹「おかゆ持ってきました!」
妹「ありがとう、従妹ちゃん」
従妹「・・・入っていいですか?」
従妹「妹さん、ここに置いときますね」コトッ
妹「うん」
従妹「今日、お兄さんが看病してくれたんですか?」
妹「うん」
従妹「・・・こうやって二人きりで話すのひさしぶりですね!」
妹「・・・うん」
従妹「私、妹さんとお話したいことがあります」
妹「・・・え?」
従妹「お話、いいですか?」
妹「うん、私も誰かに話したい気分」
従妹「・・・え?」
妹「兄とのこと、話したいの」
妹「色々モヤモヤしてて・・・」
従妹「え、え?」
妹「話していい?」
従妹「は、はい(なに、なんのこと?)」
妹「・・・この前の日曜日」
妹「兄と喧嘩したの」
従妹「え・・・」
妹「ショッピングセンターで私がワガママ言っちゃったの」
妹「どう見ても私が悪いのに、なんだか訳がわからなくなって」
従妹「・・・」
妹「で、私泣き出して逃げたの」
妹「何をしたいのか私でも分からなかった」
従妹「は、はい」
妹「なんであそこまで強く当たったのかあのときは分からなかったけど」
妹「今やっとわかったの」
従妹「え・・・」
妹「私はいつまでも安心してたの」
妹「兄妹だから、家族だから何があっても離れ離れになることなんてないって」
妹「でも、離婚して、お母さんが死んで、私思ったの」
妹「次は兄がいなくなっちゃうんじゃないかって・・・」
従妹「・・・・・・」
妹「兄はそのあと優しくしてくれたけど」
妹「いつか、いつか兄が私の前からいなくなるんじゃないかって不安なの・・・!」ポロポロ
妹「もう一人になるのはやだよ・・・!」ポロポロ
従妹「妹さん・・・」ジワッ
妹「・・・兄は本当に優しくて」
妹「だから私がずっとワガママ言い続けてたの・・・」
妹「でも、私のワガママが嫌になって、私が見放されるかもしれないって怖くなって!」
妹「だからもうワガママ言わない・・・それだけで兄がいなくならなければ・・・」ジワッ
従妹「妹さん」ギュ
妹「い、従妹ちゃん!?」
従妹「妹さんが一番よく知ってるはずです」ギュ
従妹「お兄さんの優しさを」
妹「・・・うん」
従妹「そんなことで見放すはずかないですよ」ギュ
従妹「家族の縁は絶対にきれません!」ギュ
従妹「だから、安心してください、ね?」
従妹「もしお兄さんが妹さんを見放したら私がぶん殴ってやります!」ギュ
妹「い、従妹ちゃん」ポロポロ
妹「ありがとう、従妹ちゃん」
妹「ずっと恐かったけど、少しだけホッとした」
妹「私も兄に見放されないように頑張るから」
従妹「はい!頑張りましょう!」
妹「うん」
妹「それで、従妹ちゃんの話ってなに?」
従妹「あ、忘れてました!」
従妹「私」
従妹「一人の男性としてお兄さんのことが好きです」
妹「・・・・・・っ!」
妹「・・・うん、何となく気付いてた」
従妹「そ、そうなんですか?///」
妹「・・・従妹ちゃんわかりやすいもん」
従妹「そ、そんな///」
従妹「///そ、それで、いつかはお兄さんに告白します!」
妹「・・・・・・っ!」
妹「そ、そうなんだ・・・」
従妹「お母さんとお父さんには話してますし」
従妹「だから、妹さんの許可が欲しくて・・・」
従妹「わ、私が付き合えばお兄さんを監視していなくならないようにします!」
従妹「・・・・・・だめ、ですか?」
妹「・・・・・・」
『妹のことを一生守るから!』
妹「・・・・・・」
妹「・・・・・・いいよ」ズキッ
妹「従妹ちゃんになら任せられる」
妹「それに、叔父さんや叔母さんもいるしね」
妹「・・・・・・従妹ちゃんが兄のこと好きなら」
妹「兄・・・との恋を・・・応援する・・から」ズキッ
従妹「ホ、ホンとですか!?」
従妹「嬉しいです!妹さんに言ってよかった!」
妹「・・・・・・」
『お兄さんのこと教えてください!』
妹「・・・・・・」
『そんなのが好きなんですか!?』
『で、でも私、頑張ります!』
妹「・・・・・・」
妹「(従妹ちゃんと付き合っても、離れ離れにならないよね?)」
妹「(従妹ちゃんと付き合っても、傍にいてくれるよね?)」
妹「(なら、応援するから・・・)」ポロポロ
妹「・・・・・・なんで泣いてるんだろ」ポロポロ
兄「風呂気持ちよかった」
妹「・・・・・・兄」
兄「うわ!?なんだ妹か」
妹「私で悪かったね」
兄「悪くはないけど」
妹「ねぇ・・・兄ってさ」
兄「え?」
妹「従妹ちゃんのこと、好き?」
兄「ん、んー?」
兄「好きかどうかはわからないけど」
兄「妹に言われた通り、そんな中途半端な気持ちじゃ付き合う気はないよ」
妹「・・・・・・ねぇ、もし誰かと付き合っても」
妹「兄は私の傍にいてくれる?守ってくれる?」
兄「守ってはやれるけど・・・傍にいるのは難しいだろ」
兄「も、もちろん物理的な意味でな?俺たちは残された家族なんだから、心はいつでも傍にいるっていうか・・・」
妹「・・・じゃあ約束して」
妹「私のこと守ってくれるなら、いつもじゃなくても、心だけでも傍にいてくれるなら」
妹「いや、私の前からいなくならないって約束してくれるなら」
妹「私はもう兄の恋愛に口出しはしないから・・・お願い」
兄「・・・それがお前の願いか?」
妹「・・・うん」
兄「・・・わかった、約束する。いや約束しなくとも俺はそれぐらいするから」
兄「俺らが誰と付き合おうと、それ以上に俺たちは大切な存在なんだからさ」
兄「・・・そうだろ?」
妹「・・・うん」
兄「たった一人の妹だから俺は大切にしてきたつもりだよ」
妹「これからは?」
兄「これからも大切にするよ」
兄「親がいなくて寂しい分、俺が大切にしてやるから」
妹「・・・私も兄を大切にする」
兄「・・・・・・そっか!」
妹「おやすみなさい、兄」
兄「おやすみなさい」スタスタ
妹「(これでよかったんだ)」ガチャ
妹「(誰と付き合おうと大切な存在っていってくれた、いなくならないって約束してくれた)」スタスタ
妹「(だったら私が心配することないじゃん)」ボフッ
妹「(なのに・・・なんで・・・)」
妹「(胸のモヤモヤが消えないの?)」
兄「叔父さん、僕は決めました」
叔父「ん?娘と付き合ってくれるかい?」
兄「いえ、それはまだ保留ですが・・・」
兄「・・・僕は高校を卒業したら就職します。妹には大学に行ってほしいです。」
叔父「・・・・・・君たちはいつか独り立ちするのかい?」
兄「最終的にはそうなりますが、それまではなるべく妹の意思を尊重したいです」
兄「妹が独りでやっていけるようになれば安心ですから、それまでは、彼女の好きにさせたいです」
叔父「・・・そうか」
兄「僕も働いて早く皆さんに恩返しできるように頑張ります」
叔父「ふふ、そうか」
兄「だからそれまで、妹が独り立ちするまでお願いします!」
兄「僕は強がりをいってました。高校を卒業したらこの家を出て、僕が働いて、妹を養う・・・」
兄「そう、しようと思ってたんですが、僕はまだ弱いので妹を守れるか不安なんです・・・」
兄「ずっと考えていたことですが、やっぱり叔父さんたちに助けてもらわないと・・・」
兄「調子のいいことを言ってるのは百も承知です!お願いします!」
叔父「・・・・・・なら一つ条件がある」
叔父「敬語をやめろとは言わないが、なるべく家族のように接すること!いいね?」
兄「!!!」
兄「はい!」
兄と約束したあの夜から月日が流れた
こっちに引っ越してきたときには夏だったのに、今じゃもう秋だ
私は相変わらずの毎日だった
友達は一人もできなかった
でも、それでもこの街での生活は楽しい
優しい叔父さん、叔母さん、従妹ちゃん
それに・・・兄がいるから
それだけで満足だった
妹「(・・・・・・・)」ゴロン
従妹ちゃんは兄のことが異性として好きだ。
そのことを、兄と約束した同じ日に聞かされた。
私は応援すると言った。そして手伝うと言った。
それから従妹ちゃんは兄にたくさんアプローチしてたみたいだ。
従妹「妹さん?」コンコン
妹「・・・・・・」
従妹「妹さーん?」コンコン
妹「あ、ごめん。入っていいよ」
従妹「もう、ボーッとしてどうしたんですか!」ガチャ
妹「なんでもないよ」
従妹「えへへ、本当ですか?」
妹「本当だって」
従妹ちゃんは友達のいない私を察してか、毎日部屋に来ては話しかけてくれる。従妹ちゃんは本当にいい子だ。
従妹「さん!......妹さん!」
従妹「妹さん、ボーッとしてどうしたんですか?」
妹「なんでもないよ」
従妹「隠し事はダメですよ?」
妹「してないって」
妹「それより兄とはどうなの?」
従妹「あ、そのことなんですが」
従妹「私たち付き合うことになったんです!」
妹「・・・・・え?」
従妹「どれもこれも全部妹さんのお陰です!」
従妹「妹さんがいなかったら私・・・」
妹「・・・よかった」
妹「(こうなることはわかっていた)」
妹「(もし従妹ちゃんと付き合っても私のことは大事にしてくれると言った)」
妹「(それでいいじゃん)」
妹「(なのに、なんで、モヤモヤするんだろう)」
妹「(わかんないよ・・・)」
従妹「......の前で告白したんですよ!」
妹「・・・そっか」
叔母「はい、どうぞ♪」
兄「いただきます!」
従妹「いただきます!」
妹「・・・いただきます」
叔母「兄君、このハンバーグどう
」
兄「すごい美味しいです」
従妹「そ、それ私が作ったんです!///」
兄「えぇ!?」
兄「すごいじゃん!美味しい」モグモグ
従妹「お口にあってよかったです・・・///」
妹「・・・・・・」
妹「(そっか、私のモヤモヤは兄との距離が遠くなってしまうこととだ)」
妹「(当たり前だけど従妹ちゃんと、付き合えば自然と私との距離も離れる)」
妹「(それでそのまま私のことを忘れてしまうことを恐れているんだ・・・)」
妹「(そんなん嫌だよ・・・)」
妹「(でも約束してくれたから大丈夫だよね?)」
妹「(幸せにね、兄、従妹ちゃん)」
そして、冬____
従妹「お兄さん、早くデート行きましょう!」
兄「ん、そうだな」
兄「行ってきます!」ガチャ
叔母「行ってらっしゃい!」
叔父「お前ら、焦らなくていいんだぞ!恋は焦らず、だ!」
叔母「あなた古いわ・・・」
妹「・・・・・・」
妹「・・・・・・」ゴロン
兄と従妹のデート。お目出たいことなのに。なぜか私は幸せそうな二人を見てられない。胸がチクチクする。
これがなにかはわからない。
妹「・・・・・・」ゴロン
この想いを兄に知ってもらうために私も彼氏を作ろうかな・・・。
でも彼氏とか考えたことない・・・。
やっぱりと叔父さん、叔母さん、従妹ちゃん・・・何より兄がいれば何でもいい。
妹「(・・・今日も一人か)」ゴロン
叔母「妹ちゃん?」コンコン
妹「どうぞ」
叔母「二人きりで話すのは久しぶりね」ガチャ
妹「・・・どうしたの?」
叔母「あのね、兄君と従妹のことなんたけど」
妹「・・・うん」ズキッ
叔母「これからも兄君にはこの家にすんでもらおうと思ってるの」
叔母「もう付き合ってるんだから、それこそ遠慮しようがないと思ってね」クスッ
叔母「でも兄君は妹ちゃんのたった一人の家族なんだから、従妹がそれを奪ったと思ったらなんか申し訳なくて・・・」
妹「そ、そんなことない」
叔母「えぇ、わかってるわ。兄君のことだから、絶対そんなことないとは思うけど、妹ちゃんのことを忘れちゃうかもしれないって・・・。」
妹「!(私と同じ心配してる・・・)」
妹「大丈夫。従妹ちゃんは兄には私を大事にさせるって言わせたみたいだし。誰も頼んでないんだけどね。私も兄とは約束したの」
叔母「あらま」
妹「心配しないで。兄が私のために頑張りすぎていなくなる心配も無くなったし」
妹「だから・・・」
叔母「妹ちゃん」
妹「な、何?」
叔母「あなた、明るくなったわ」
叔母「あなたには兄君が必要よ」
妹「!!」
妹「・・・・・・・」
叔母「だから、あなたもこの家にいなさい!」
妹「!」
叔母「もちろん結婚してだとか、独りになりたいなら強制はしないわ」
叔母「でも私たちには育てる責任があるの。兄君が養うと言ってたけど、娘と付き合ってるなら、私たちにあなたを養う権利があるわ」
妹「・・・・・・」
叔母「いいわね?」
妹「あ、ありがとう」ポロポロ
兄が従妹ちゃんと付き合えばこの家に住むことになるんだろうし、兄の妹である私もこの家にこれからも住める。
大好きな人たちと一緒にいれるなら、図々しいけどここを一生出ていきたくない。だってこれが一番望んでたことなんだから。
ありがとう、叔母さん。
兄が本当に傍にいてくれる・・・。
従妹「お兄さん、街が綺麗ですよ!」
兄「すげーな、ホント」
従妹「・・・・・・お兄さん?」
兄「ん?」
従妹「今どこ見てました?」
兄「ん?」
従妹「あの黒髪美少女見てましたよね?」」
兄「そ、そんなことはないぞ!」
従妹「・・・お兄さんはやっぱり小さな胸が好きなんですね」
従妹「いいです、大きな胸の魅力味わってください」グニュ
兄「うわ!やめろ!やめてくれ!」
従妹「えへへ、お兄さん大好きです」ギュー
兄「わかった!巨乳万歳!」
従妹「お兄さん!映画観ましょう!」
従妹「お兄さん!公園行きましょう!」
従妹「お兄さん!レストランはどうですか?」
従妹「あ!見てください!雪です!」
従妹「すっかり暗くなりましたね・・・。お兄さん、帰りましょう?」ギュ
兄「帰ろっか」
従妹「今日は楽しかったです!」ギュ
兄「何も出来なくてゴメンな」
従妹「そう思うなら撫でてください」
兄「はいはい」ナデナデ
従妹「ふにゃあ♪」
兄「ただいま」ガチャ
従妹「ただいま~」ガチャ
叔母「お帰り!寒かったでしょう?」
従妹「ううん!雪が降って綺麗だったよ!」
叔母「今日は楽しかった?」
従妹「うん!」
兄「はい、楽しかったです」
叔母「ならよかった!はい、上がって上がって!」
兄「叔父さん、こんばんわ」
叔父「こんばんわ」
従妹「お父さん早いね」
叔父「そりゃ早い日もあるわ」
叔母「もう少しでご飯だからね?」
兄「ドラゴンズやれ!打て!」ワアア
叔父「頑張れイーグルス!」ワアア
従妹「それ録画でしょ?」
妹「従妹ちゃん、おかえり」スタスタ
従妹「ただいまです!」
兄「俺はー・・・?」
妹「あ、あんたいたんだ」
兄「ひでぇ」
従妹「エヘヘ」
妹「アハハ」
兄「何がおかしいんだ!」
叔母「ほら、召し上がれ!」
従妹「私も作りました!」
兄「いただきます!」
叔父「いただきます!」
妹「いただきます」
__あぁ、これでいいんだ。
__ほんと幸せ
__なのに、何故か心のモヤモヤが取れない。
__私はこれを何かしらない。
兄「ほら、妹!早くのれ」
妹「待ちなさいよ」
従妹「焦らなくても時間間に合いますよ~」
兄「ひとが少ない時間帯に行かないと二人乗り見つかるだろ」
従妹「いいじゃないですか!」
妹「ほんと」
兄「んな訳にいくか」
兄「じゃあな、従妹!」
妹「従妹ちゃんバイバイ」
従妹「はい!お元気で!」タタタッ
兄「・・・・・・行くか」
妹「うん」
兄「・・・じゃあ俺教室こっちだから」
妹「うん、じゃあね」
兄「ん」ガララッ
ザワザワ
兄「・・・ん?」
「あ、来たわよ!」「こら!聞こえてるって!「ていうかありえなくない?」ヒソヒソ
兄「・・・・・・何?」
男「兄・・・お前さ」
兄「うん(誰だっけ、男?)」
男「妹と出来てるってほんと?」
兄「・・・・・・は?」
ザワザワ
妹「・・・・・・何よ」
ウザ女「もう学年中で噂されてるわよwwwww」
妹「ウザ・・・・・・」
ウザ女「あ、やっぱり出来てるんだ?wwwww」
妹「・・・・・・出来てないし」
兄「なんだその噂」
男「最初はありえねえって思ったけど、昼飯一緒に食べて、行きも帰りもラブラブ二人乗りだからなぁ(笑)」
兄「・・・・・・」
「え、ホントなの?」「やばー!キモイ!」「頭おかしいんじゃないの?」「カッコイイのに残念だね!」
兄「できてねえよ!」
兄「俺には・・・っ!」
兄「(ダメだ、従妹も親族なんだ)」
男「まあそんな必死になるなよ(笑)」
兄「・・・・・・」
クラスメイト「・・・・・・」ジーッ
兄「・・・・・・はあ」スタスタ
女「・・・大丈夫?」
兄「・・・・・・うん」ストン
女「兄君に限ってそんなことないよね?」
兄「何の話?」
女「妹と付き合ってるって」
兄「・・・・・・ないよ」
女「そ、そうだよね!」
兄「(最悪だ、こんな誤解)」
兄「(まあ別にいいけど)」
兄「(所詮こんなやつらだし)」
キーンコーンカーンコーン
「帰ろーぜ」「部活ダルイワー」
兄「・・・じゃ、女さん」
女「・・・兄君、今日も妹さんと帰るの?」
兄「うん」
男「うわ、やっぱり出来てるんじゃねえか!」
兄「(うぜえのが沸いてきやがって)」
兄「出来てねえよ!」
兄「じゃあな!」スタスタ
女「あ、兄君・・・!」
女「ひ、ひどいよ!男君!!」
男「えぇ~そうかなぁ?」
駐輪場
兄「はぁ・・・・・・」
兄「二人乗りやめよっかな」
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?」
兄「ってお前制服汚れてんじゃん」
妹「転んだの」
兄「はぁ、こっち来い」
妹「ん」スタスタ
兄「どんな転び方したんだよお前!」サッサ
妹「そんなことはいいの」
兄「なあ」シャー
妹「何」
兄「二人乗りこれからもやるのか?」シャー
妹「・・・嫌?」
兄「嫌じゃないけどさ」シャー
兄「周りの視線が痛いだろ」シャー
妹「そんなこと知らないって何度言えばいいの?」
妹「それとも私が嫌いなの?」
兄「そういうわけじゃねーよ」シャー
兄「ここ止まっていこうぜ」キュー
妹「どこよ」
兄「何川だっけ?忘れたけど」
兄「覗きこんだら自分の顔が映るだろ」
兄「従妹ちゃんに教えてもらったんだよなぁ」ピョコ
妹「兄、危ない」
兄「あ、ここ流れが強いし深いんだった」
妹「(兄と二人きり)」
妹「(何でだろう、ドキドキする)」
妹「(退屈な授業から開放された帰りの時間、私は好き)」
妹「(兄と入れるから、安心する)」
妹「(でもなんでドキドキするのだろう)」
兄「妹」
妹「何?」
兄「お前今日なんか言われただろ?」
妹「・・・・・・・」
妹「・・・・・・どういうこと?」
兄「いや、そのままの意味」
妹「(何で知ってるんだろ?でも兄に心配かけたくない)」
妹「なんでそんなこと」
兄「俺はからかわれたよ」ハハッ
妹「!?」
妹「私も・・・からかわれた」
兄「そっか、一緒だな」
妹「うん」
兄「内容は言わなくてもわかるだろ?」
兄「どうする?やめる?」
妹「嫌だ」
兄「即答かよ」
兄「まあ確かに噂は噂だし、ここでやめたらまたなんか言われそうだな」
兄「そのうちみんな飽きるだろうし、いいよな?」
妹「うん」
兄「昼食もだよな?」
妹「うん、友達いないし」
兄「俺も」
妹「ねえ、兄はいなくならないよね?」
兄「それ何度目?」
妹「確認しておきたいの」
妹「胸のモヤモヤが取れないから、少しでも安心したいの」
妹「消えたら許さないからね」
兄「はいはい」
妹「ふざけてるの?本気だからね?」
兄「だから消えないって!」
兄「第一どうやって消えるのさ!これからも一緒の家で生活するっていうのに!」
妹「そうだけど・・・それでも不安なの」
兄「・・・そうか」
兄「じゃあその胸のモヤモヤを消そうぜ」
兄「ほら、来い」スタスタ
妹「え、何」スタスタ
兄「ほら、乗れ」クイックイッ
妹「どこ行くの?」
兄「いーから早く!」
妹「・・・わかった」チョコン
兄「夕飯までには帰るぞ!」ガシャン シャー
妹「それでカラオケ?」
兄「うん、歌えよ」
兄「俺の奢りな」
妹「兄から歌って」
兄「俺から?恥ずかしいな」ピッ
妹「乗り気じゃん」
兄「へいじゅーどんめいきっぱ♪」
妹「なにこの曲・・・」
兄「楽しかったな」
妹「まあまあね」
兄「心のモヤモヤ取れた?」
妹「まあまあ」
兄「・・・そっか、帰ろう」
女「兄君?」
兄「・・・え」
女「こんなところで何してるの?」
女「・・・妹さん?」
兄「・・・」コクッ
女「まさか、二人きりでカラオケ行ってたの?」
兄「・・・」コクッ
女「・・・」
女「(あ、あの噂本当なのかな?)」
女「じゃ、じゃあね!私用事あるから!」スタスタ
兄「・・・」
妹「・・・」
兄「あぁ、今のクラスメートで隣の席のやつ」
兄「俺数少ない話し相手だけど」
兄「はぁ・・・・・・」
兄「俺たちダメダメだな」
妹「・・・私は幸せだよ?」
兄「ダメダメでもか?」
妹「うん」
兄「・・・そっか」
妹「兄は?」
兄「ん?」
妹「私や従妹ちゃんといれて幸せ?」
兄「・・・気付かないだけで俺は幸せなんだな」
妹「私は気付いてたよ?」
兄「そりゃすごい」
兄「・・・」
兄「帰ろうか」
妹「うん」
翌朝
兄「早く乗れ」クイックイッ
妹「だから待ちなさい」
従妹「もう、お兄さんはせっかちです」
妹「せっかち」
兄「せっかち?」
兄「いや、違うな」
兄「じゃあ、従妹」
妹「従妹ちゃんじゃあね」
従妹「あ!今日はですね」
従妹「部活無いから3人で帰りましょう!」
兄「いいよ」
妹「うん」
従妹「ありがとうございます!」
従妹「では、お元気で!」スタスタ
兄「・・・行くぞ」
妹「うん」
兄「じゃあ、俺こっちだから」
妹「じゃあね」スタスタ
兄「・・・妹」
妹「・・・何?」
兄「退屈だけど頑張ろうぜ」
妹「・・・うん」
兄「じゃあな」ガララッ
ザワザワ
「うわ痴漢男!」「最低!」「性欲猿!」
兄「?」
「うわこっち向いた!」「最低!」「性欲猿!」
兄「・・・・・・」
男「なあこれお前だろ?ニヤニヤ」カパッ
兄「ん・・・・・・あ」
男「駐輪場で妹に手を出すとかお前イカれてるよ?ニヤニヤ」
兄「誤解だ」
兄「(これは妹の汚れを払ってるときの写真だ)」
男「はぁ?証拠までとられて?まだなんか言い訳あるの?」
兄「・・・・・・誤解だからな」
男「はいはい(笑)」
クラスメート「・・・・・・」ヒソヒソ
兄「(最悪だ)」
兄「(どうせ釈明しても無視されるからこっちが無視だ)」
兄「女さん、おはよう」
女「・・・・・・おはよう」ボソッ
兄「・・・・・・・」
兄「(もうこれで話す相手さえいなくなった)」
兄「(はあ。俺はなんて中身のない毎日を過ごしてるんだ)」
先生「おはようございます」
オハヨーゴザイマス
先生「今日は連絡事項ありません」
先生「あ、兄君は放課後職員室へ来てください」
兄「・・・」
女「・・・」
男「・・・」ニヤニヤ
「やっぱりあの事だよね」「この教室から出ていってほしい」「最低よね」
兄「・・・・・・」イライラ
兄「(今日は授業寝てすごそう)」
兄「話ってなんですか?」
先生「あなた知ってるでしょう?」
兄「なんの話ですか?」
先生「とぼけないで!妹さんとのことよ」
兄「先生は勘違いしてます」
先生「この写真はなんなの?」
兄「・・・・・・」
先生「もう二年生の間では出回ってますよ」
兄「・・・誤解です」
先生「ともかく!兄妹での恋愛なんてありえません!それに不純行為まで!これは厳重注意です!」
駐輪場
兄「先生まで腐ってやがる」
兄「もう知らん」
兄「・・・たまには迎えに行くか」スタスタ
兄「ここら辺の教室だっけ?」スタスタ
兄「・・・・・・・ん?」
兄「なんか聞こえるんだけど」ソーッ
ウザ女「おら!何か言えよ!」パシンッ
妹「ウグッ!や、やめて・・・」
ウザ女2「顔がいいからって初日から調子乗りやがって!」ドスッ
ウザ女3「しかも近親相姦とか最低っ!」ドスッ
妹「ヴゥ‼...ッ!やめて!やめて!やめて!」ポロポロ
兄「おい!!お前らいい加減にしやがれええ!」ガララッ
妹「ううぅぅ兄ぃ...」ポロポロ
ウザ女「だ、誰かと思えば兄ですって?」
ウザ女2「うわー、ほんとに来やがった」
ウザ女3「あの噂ホントなんだね!」
兄「いいからどけ!!」
ウザ女「は、はいはいどきますよ!」スタスタ
ウザ女2「残念な兄妹ね」スタスタ
ガララッ
妹「うぅぅ・・・」ポロポロ
兄「・・・」
妹「兄ぃ、怖かったよぉ」ポロポロ
兄「ごめんな、兄貴の俺が不甲斐ないばかりで・・・」ギュ
妹「怖かったよぉ・・・」ポロポロ
兄「ごめんな、ごめんな」ジワッ
妹「でも兄が来てくれて嬉しかったぁ」ポロポロ
兄「妹・・・っ!」ギュー ポロポロ
妹「ありがとう、兄ぃ」ポロポロ
兄「ごめんな、ごめんな」ポロポロ
妹「なんかいっぱい泣いたね・・・」
兄「俺は泣いてないから」
妹「アハハ、嘘つき!」
兄「嘘じゃねえよ!」
兄「と言うかお前怪我大丈夫か?」
妹「うん、大丈夫だよ」
心にずっと残ってたモヤモヤ。この正体が今日やっとわかった。
兄に抱き締められたとき私はドキドキした。優しさに包まれるように心地よかった。今まで、兄と二人でいるときドキドキしたのもこれだ。
気持ち悪いことに、私は兄が好きなんだ。
一人の男性として。
その時、心のモヤモヤは消えた。
初めてのことだからよくわからなかった。
小さい頃から兄に似たようなモヤモヤを抱いていたけど、最近になってよりモヤモヤがおおきくなった。
それがこんな一瞬にして消えてしまったのだ。
そして自分が兄のことが好きだと、恋だと知った瞬間自分に納得した。
私は小さい頃から兄が好きだったのか
なのに、あんなに冷たくしたなんて自分でも不思議。
兄「従妹待たせてるから行くぞ」
妹「・・・・・・うん」
兄「ほら、手」パッ
妹「うん」ニギッ
兄「ごめん、待ったか?」
従妹「いいえ、今来たとこです」
兄「そっか」
兄「ほら、乗れ」
妹「うん」チョコン
兄「じゃ帰ろっか」
従妹「はい!」
妹「・・・」ドキドキ
第二部終了
136 : 以下、\... - 2015/04/11 01:50:53.56 QXInMlKn0.net 211/211第二部終了です。まとめサイトのコメント欄見たらすごいことになってましたが、まあしょうがないです。
もし明日まで残ってたら続き書きます。残ってなければ新しいスレ立てます。
170cm越えてれば十分だと思う(低身並感)