Part1「http://ayamevip.com/archives/43350592.html」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
兄(おかしい......こんなもの通販で買った覚えないぞ)
兄(えっと、前と同じで青を押すと不幸に、赤を押すと幸福になるのか......)
兄(と、とにかくこれはどこかにやったほうが......)
ガチャッ
妹「兄、ご飯できt」
兄「わァッ!?」
妹「......どうしたの?」
兄「あ......いや別に、何もねぇよ」
兄(セーフ......どうにか隠せたが、あとちょっとで見つかるところだった......)ガサッ
妹「......まぁいいわ。とにかく、ご飯できたから」ガチャッ
兄「あ、あぁ、サンキュー」
兄(と......とにかく、いまはポケットに隠しておくか)
元スレ
兄「押すと後輩が不幸になるボタンと、幸福になるボタン……だとッ!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1427339344/
―――
兄「いただきます」
妹「......ねぇ、兄」
兄「な、なんだよ?」
兄(先週くらいから突然話しかけてくるようになったが......いったいどうしたんだ?)
妹「......さっき、何隠したの?」
兄「え、あ、いやその......」ドキッ
母「あら~? まさかまたボタンでも買ったのかしらぁ?」
兄「は!? な、んなワケねぇだろ!」
母「......そう?」
妹(あからさま過ぎ......)
兄「......あ、そ、そうだ。俺、いまからちょっと出掛けてくるわ」
母「え、ちょっと? ご飯どうするのぉ?」
兄「食べてくる! じゃ、いってきまーす!」
妹「......逃げた」
―――
兄「ふぅ......危ない危ない」
兄(こんなもの見つかったら、確実に絞められるな)
後輩「何が危なかったんっすか?」
兄「おうァ!?」
後輩「......どうしたんすか、先輩? しかもこんな夜遅くに」
兄「あ、いや、お前こそどうしたんだよ」
後輩「私っすか? 私はバイトっすよ」
兄「あ、あぁ......」
兄(......さっきのボタンの後輩って、こいつのことになるんだろうか?)
兄(......俺、気になります)
後輩「? どうしたんっすか、先輩?」
兄(よし、じゃあ押すボタンは......)
>>9
9 : 以下、\... - 2015/03/26 12:24:56.89 mk6LcBEG0.net 4/89赤
兄(赤だ)ポチッ
後輩「先輩、今日なんか変っすよ?」
兄「あ、いや、大丈夫。ちょっと考え事してただけだから」
兄(さーて、どんなことが起きるか楽しみだ)
後輩「......そ、そういえば先輩」
兄「......どうした?」
後輩「......あの、えっとっすね......」
後輩(ヤバイ......ここまで来たら言うしかない)
兄「お前こそ大丈夫か? なんか変だが」
後輩「先輩!」
兄「はい?」
後輩「に、日曜日......私と遊ばないっすか!」
兄「え、い、いいけど......?」
後輩「! じゃ、じゃあ明日の朝八時に駅前に来てくれっす! それじゃあ!」タッタッタッ
後輩(やった、ついに言えた! ついに言えたよ!)
―――
兄「......」
兄(朝八時っつってもなぁ......七時五〇分くらいにはきたほうが)
後輩「先輩!」
兄「うぉ! ......って、ビックリさせるなよ、後輩」
後輩「ご、ごめんなさいっす」
兄「......それ、私服か?」
後輩「え? ......あ、いえ。今日のために卸したものっす」
兄「わざわざ?」
後輩「あ、いえその......前から着たかったんで、今日は思い切って......」
兄「あぁ、なるほど」
兄(ビックリした......それじゃあまるで......)
後輩「じゃあ、先輩! で、デートに行きましょう!」
兄「......」
兄(......デート?)
後輩「......」
兄「......」
兄(しまった......何も話すことがない)
後輩「......あの、先輩」
兄(......ボタンでも押そうかな)
後輩「先輩? 聞いてますか?」
兄(......よし、押そう)
後輩「先輩!」
兄「え!?」ドキッ
後輩「......聞いてるんすか?」
兄「あ、あぁ」
兄(押すボタンは......)
>>16
16 : 以下、\... - 2015/03/26 13:06:57.31 VDzVI8Od0.net 8/89赤
兄(前のでだいぶ青の怖さはわかったし、赤かな)ポチッ
兄「そういえば、これからどこに行くんだ?」
後輩「もうすぐっす」
兄「そうか......」
兄(えーっと、こっちの方面にあったのは確か......)
後輩「ここっす!」
兄「......やっぱりショッピングセンターか」
後輩「さて、行きましょう」ウィーン
兄「あ、あぁ......」ウィーン
兄(あ、あれ、こいつってこんなに積極的なタイプだったか?)
パーンッ!
後輩「......え?」
店員「おめでとーございますっ! あなたたちが、我がショッピングモールの百万人目のお客様です!」
兄「......」
兄(これが赤ボタンの効果か?)
店員「これをどうぞ」
兄「これは......?」
店員「本日限定の全品五割引券です」
兄「五割!?」
兄(それってつまり、半額じゃねぇかよ)
後輩「凄いっすね、先輩!」
兄「あぁ、こりゃ凄い幸運だな」
兄(......ボタンってやっぱスゲエ)
兄「そういえば、今日はなんか買いたいものでもあるのか?」
後輩「はいっす。実は、今日の十四時頃に屋上でアイドルの特設ライブがあるっす!」
兄「あ、アイドル......?」
兄(こ、こいつ......そういうの好きだったのか? 全然知らなかった)
兄「それで、そのアイドルと買いものになんの関係が?」
後輩「そこでしか買えないグッズがあるんすよ」
兄「グッズか......って、ちょっと待て。それじゃあなんで俺を誘った?」
後輩「い、いや......///」
兄(......)
兄「まぁいいよ。ともかく、そのアイドルのステージまであと六時間程度あるワケだが」
後輩「せ、先輩は何か買いたいものはないんすか?」
兄「え?」
兄(俺は......そういえば、金あんま持ってきてねぇしなぁ)
兄「俺はいいよ。お前の買いものについていくだけで」
後輩「そ、そうっすか? じゃあ、ちょっと服を見にいきたいっす」
兄「OK」
兄(......そうだ、ボタン押そう)
>>25
25 : 以下、\... - 2015/03/26 14:59:49.86 5h7tTvnB0.net 12/89父の今日のパンツと同じ
兄(さて、どっちを押したものか......)
テレビ『......さて、今日のパンツ占い! 一位は迷彩柄パンツのあなた! 男らしいパパのそれが、血気盛んにこんにちわ! 何事にも負けず、何かの成果を得るでしょう! ラッキーアイテムは......』
兄「......」
兄(そういえば、今日父がたしか迷彩柄パンツだったな)
兄(......あぁ、俺もか)
テレビ『......やりましたよ! 僕ね、今日迷彩柄なんですよ。しかもね、これ。ラッキーアイテムの女性用パンツも持ち歩いているんですよ。ほら、凄いでしょ......』
兄「......」
兄(女性用パンツ? ......そういや、今朝父が母からなにかを受け取ってたな。まさか......な)
後輩「どうしたんすか? 女性用下着が欲しいっすか?」
兄「なっ、んなワケねぇだろ!」
兄(......それよりボタンだ)
>>31
31 : 以下、\... - 2015/03/26 15:38:58.77 1oyn7rDA0.net 14/89あか
兄(赤だな)ポチッ
後輩「着いたっす」
兄「こ......ここは」
兄(ランジェリーショップだとぉぉぉぉぉぉ!?)
兄「あ、じゃあ俺はここで待ってるから......」
後輩「せ、先輩!」
兄「はい!?」ドキッ
後輩「そ、その......先輩が好きなのを、選んでほしいっす///」
兄「はァッ!?」
後輩「だ、ダメっすか......?」
兄「......」
兄(......女子と入れば大丈夫だよな?)
兄(......なんて考えてた俺がバカだった)
後輩「ど、どうしたんすか、先輩?」
兄「あ、いや......」
兄(なんで入っちまったんだよぉ、俺?)
後輩「うーん。先輩、どんな感じのが好きっすか?」
兄「あ、えーっと......」
兄(んなの言えるワケねぇだろ......)
兄「えー、それとか?」
兄(適当に選んじまったが......って)
後輩「せ、先輩? こ、これは......///」
兄「あ、いや、ちが、違うぞ! 断じてそういう趣味じゃねぇからな!」
兄(......なんでガーターベルト選んでんだよ、俺)
後輩「......せ、先輩が着て欲しいのなら......」
兄「いや、違うからなッ!?」
兄(......どうにか誤解は解けたが、赤ボタンの効果とは程遠いな......)
兄(......まさか、また偶然だったってことはないよな?)
後輩「これ、どうっすかね?」
兄「あ、あぁ......いいんじゃねぇの?」
後輩「それじゃあ、ちょっと試着してくるっす」
兄「わかった......待て、それじゃあ俺がひとりに......」
兄(......ってもう入ってるし......気まず過ぎだろ、これ)
兄(......ボタン、もう一回押してみようかな)
>>41
41 : 以下、\... - 2015/03/26 16:08:54.51 1oyn7rDA0.net 18/89赤
兄(......赤だな)ポチッ
後輩「先輩!」
兄「ど、どうした?」
ガシャァァァ
後輩「じゃーん!」
兄「......」
兄(や、やべぇ、可愛いかも......)
後輩「ど、どうですか......///」
兄「に、似合ってるんじゃないか?」
兄(......直視しづらい)
後輩「か、可愛いですか?」
兄「あ、えっと、その......か、可愛いよ」
後輩(......やった、先輩に二回も褒めてもらっちゃった///)
後輩「じゃあ、これ買ってくるっす」
兄「あ、あぁ、俺は外に出とくから......」
兄(や、やっと出られる......あぁ、空気が気持ちいい......)
妹「あれ......兄?」
兄「なっ!? い、妹......!? どうしてここに」
妹「......いま、どうしてランジェリーショップから出てきたの? ......まさか」
兄「違う違う違うから! そういうんじゃ一切ないから!」
母「あらぁ、それじゃあ誰かとデートかしら~」
妹「まさか、後輩さんと?」
兄「あ、いや、えっとだな......」
後輩「先輩、お待たせしたっす!」
兄「ちょ!?」
妹「......兄、後輩に手を出すなんて、最低ね」
後輩「いやー、先週はありがとうございましたっす」
母「いえいえ~」
妹「こちらこそ、兄がお世話になったようで」ギロッ
兄「だから違うって......」
兄(面倒なことになったな......)
兄「......あ、俺ちょっとトイレ」
後輩「いってらっしゃいっす」
兄(......とりあえず逃げれたな)
妹「それにしても、どうして後輩さんが兄と一緒に?」
後輩「私が誘ったんっすよ。今日のアイドルのライブに」
妹「そういえば、今日屋上でライブがあるとかテレビで見たような......」
母「あらあら」
妹「お母さん、どうしたの?」
母「うふふ、別に~」
母(つまり、デートってワケねぇ。まったく、いつの間にそんなことになったんだかぁ)
妹「?」
兄(ふぅ......にしても助かった)
兄(先週のことがあって、色々と気まずくなった節があるしなぁ)
兄(もう少し時間潰すか......)
兄(......そうだ、ボタンでも押そう)
兄(えっと、ボタンボタン......)
>>56
56 : 以下、\... - 2015/03/26 17:03:07.77 NtKjF1sLa.net 23/89あか
兄(見つけた。えっと、押すのは当然赤だな)ポチッ
兄(でも......ここじゃ確認できねぇしな)
兄(......戻るか)ジャー
妹「それにしても、まさか兄が後輩さんと一緒にいるとは思わなかったです」
後輩「そうっすか? まぁ、たしかにいままでこんなことは一度もなかったっすしね」
母「そうなの~」
母(なるほどぉ、つまり初デートってことねぇ! 初々しいこと......)
兄「おーい」
妹「兄......」ジトー
兄「な、なんだよその目は」
妹「別にー」
母「あらあら」
兄「そういえば、母と妹はどうしてここにいるんだよ?」
妹「え? 普通に服を買いに来たに決まってるでしょう?」
母「私と妹ちゃんと、ついでに兄くんのもねぇ」
妹「感謝してよね」
兄「あ、あぁ......」
兄(別に頼んでねぇけど......)
後輩「なら、私たちも一緒にいっていいっすか?」
兄「え?」
母「もちろん、当然じゃない」
後輩「ありがとうございますっす!」
兄(......マジで?)
―――
兄「......」
母「あら~、凄く似合ってるわよぉ」
後輩「そ、そうっすか?」
妹「似合ってると思いますよ、後輩さん」
後輩「えへへ......///」
兄(......俺、空気じゃん)
兄「......」
兄(そういや、さっきの赤ボタンの効果ってどうなったんだろ......?)
後輩「いやー、今日は間違いなく最良の日っすよ」
妹「そうですね」
母「......」
兄(あぁ、たぶんこれだな)
兄(......もう一回ボタンを押すか)
兄(このままいてもつまんねぇしな、よし)
妹「ねぇ、兄」
兄「!? な、なんだよ?」ドキッ
妹「......さっきから黙ってるけど、どうかしたの」
兄「い、いや......なんでもねぇよ」
妹「そう......」
兄(一瞬気づかれたかと思った......)
兄(よし、押すボタンはと......)
>>73
73 : 以下、\... - 2015/03/26 17:57:56.12 jXFt7N9V0.net 28/89赤
兄(......赤かな)ポチッ
後輩「そういえば先輩」
兄「ん?」
後輩「あの......私、あとで見たい映画があるんすよ」
兄「映画? どんな作品だ?」
後輩「『赤い糸の伝説』っす」
兄「赤い糸......そういえばそんな映画あったな」
兄(でも、あれってたしかカップルに人気の映画......)
後輩「ダメっすか......?」
兄(......まぁでも、後輩が見たいなら見てもいいか)
兄「わかった、そうしよう」
後輩「......やった」
兄「?」
母「それじゃあ、兄くんをよろしくね~」
後輩「まかせてくださいっす!」
妹「それじゃ」
兄「あ、あぁ......」
兄(......結局、なんかずっと暇だったな)
兄(ボタン押しても効果が出たのかよくわからないし)
後輩「......それじゃあ、私たちも行きましょうっす」
兄「お、おう」
兄(......うーん、なんだかなぁ)
兄「なぁ、後輩」
後輩「はい?」
兄「お前、今日いつもより断然楽しそうだな」
後輩「そ、そうっすかね......」
兄「あぁ......」
兄(......改めて考えると、こいつも一応女子なんだよな)
―――
兄「映画まで少し時間があるな」
後輩「早く入って予告編でも見るっす」
兄「そうだな」
兄(どうせいてもやることもねぇし)
兄(にしても、『赤い糸の伝説』か......)
兄「なぁ後輩」
後輩「なんすか、先輩?」
兄「お前は運命の赤い糸とかって、信じるタイプか?」
後輩「運命っすか......」
後輩「うーん、そういうのってあんまり信じない......というか、好きじゃないっすね」
兄「好きじゃない?」
後輩「はいっす。なんていうか......他人に人生を操作されるとか、あんまり好きじゃないっすかね。そういう意味では、あのボタンとかも私は好きじゃなかったっす」
兄「......」
兄(他人に人生を操作される、か......)
後輩「そういう先輩は、どうなんすか?」
兄「え? ......あぁ」
兄(俺は......どうなんだ?)
兄(ボタンを使っているとき、別に何も感じなかったし、たぶん嫌いではないだろう)
兄(でも......信じているかなんて、考えたこともなかったな)
兄「俺は......よくわからないな」
後輩「その答え、先輩らしい気がするっす」
兄「......俺らしい?」
後輩「はいっす!」
―――
映画『あぁ、どうして運命は、私たちを分かつの? 国境でさえ、私たちを分かてなかったというのに!』
兄(......運命、か)
後輩「......先輩」ヒソヒソ
兄「なんだ?」ヒソヒソ
後輩「......この映画、思ってたよりつまらないっす」ヒソヒソ
兄「はぁ? いや、お前が見たいっていったんだろ......」ヒソヒソ
兄(......そうだ、つまらないならこのボタンで......)
兄(あ、でも暗くて色が見えん......)
兄(よし......こっちだ)
>>95
95 : 以下、\... - 2015/03/26 20:15:08.15 2gI64m6H0.net 34/89あか
兄(よし)ポチッ
兄(さて、後輩の様子はと......って)
兄「......おい、寝るなよ後輩」ヒソヒソ
後輩「へ......? あ、ご、ごめんっす......」カクッ......スー
兄「お、おい......」ヒソヒソ
兄(......肩に寄りかかるなよ、オイ)
兄(......なんか甘い香りがする。シャンプーか?)
後輩「......ふふふ、せんぱぁぃ......」スー
兄(あぁ、なんだろう......このままでいいか。気持ちよさそうだし)
後輩「......ぅぃ......んにゃぁ......」スー
兄(......まったく映画に集中できねぇ)
―――
後輩「はぁ~......よく寝た」
兄「お前、結局全然映画見てなかったろ」
後輩「そうっすか? ......そうっすね。まぁ、でも気持ちよかったんでOKっす」
兄「いやそれ映画としてじゃなくて子守唄的な意味じゃねぇか......」
兄(さっきのボタンは......どうやら赤だったっぽいな)
後輩「あぁ、そういえば。あの映画、最後はどうなったんすか?」
兄「ん? あぁ、たしか......」
兄(......後輩のほうばっか見ててなんかよくわかんなかったが......まぁいいか)
―――
後輩「一時十七分......二時まであと四〇分くらいっすね」
兄「そういや、昼飯まだだったな。そこらへんに食べにいくか」
後輩「はいっす!」
後輩「いただきまーす」
妹「いただきます」
母「いただきま~す」
兄「......いただきます」
兄(なんでまた会うかね......)
後輩「いやぁ、まさかまた会うとは思ってもみなかったっす! 嬉しいっす!」
母「そぉ? でも私たち、お邪魔じゃないのかしらぁ?」
妹「ふたりっきりで楽しんでたんじゃないの、兄?」ギロッ
兄「......」シレー
兄(こいつ、なんか今日怒ってんのか......?)
母「映画、どうだったの?」
後輩「そうっすね......実は途中で寝ちゃって......」
母「兄くんは、どうだったの?」
兄「そうだな......なんか、途中でドロ沼化してたな。まぁ、最後には純愛ものに戻ってたけど......なんというか、女子が好きそうな映画だった」
母「そう......なるほどぉ」
兄「?」
妹「女性が好きそうな映画か......お母さん、今度一緒に見にいかない?」
母「そうね、行きましょうか」
後輩「中睦まじいっすねぇ」
兄「そうだな......なんとなく家でも俺だけ疎外感はあるな」
後輩「ははは......」
兄(......俺だけ、ね)
兄「じゃあ、俺たちはそろそろライブに行くんだけど......母さんたちはどうするんだ?」
母「そうねぇ、どうしようか?」
妹「うーん......そうだ。たしか駅前に新しいケーキ屋ができたって誰かが言ってたから、そこに行こうよ」
母「そうね。じゃあ、私たちはケーキ屋ね」
後輩「そうっすか。それじゃあ、私たちはこれで」
兄「じゃあな」
母「行ってらっしゃ~い」
妹「......」
母「じゃあ、私たちも行きましょうか」
妹「......うん」
―――
後輩「うわぁ、人がいっぱいいて凄いっすねぇ」
兄(あぁ......面倒だな、こりゃ)
後輩「うぅ......この大衆の光景を見てると、なんか人生が残酷に感じてくるっす......」
兄「絶望するな後輩、たぶん社会よりはマシだから」
後輩「あぁ......未来は暗いっす......」
兄(......そうだ、ちょっとボタンで遊んでみるか)
>>117
117 : 以下、\... - 2015/03/26 21:55:27.38 QpCgnHUs0.net 41/89あか
兄(もちろん、後輩がこれ以上絶望しないように赤をと)ポチッ
後輩「......まぁでも、未来は絶望だけじゃないっすよね」
兄「あ、あぁ、希望もあるだろ」
兄(......いまのが効果......なワケねぇか)
後輩「それじゃあ、行きましょうっす!」
兄「え、どこに?」
後輩「どこって決まってるじゃないっすか。もちろん......最前列っす!」
兄「......」
兄(......このファンの軍勢の、最前列に......だと?)
兄「な、なんとか着いた......」
後輩「いやー、まさか本当にたどりつけるとは思ってなかったんすけどねー」
兄(......これだな、効果は)
兄「......そういえば、ここでライブするのってどんなグループなんだ?」
後輩「え!? 先輩、知らないんすか!?」
兄「あ、いや......」
兄(そもそも聞かされてねぇし......)
後輩「いまを翔けるアイドル、Le:LIFE(リライフ)っすよ!?」
兄「あぁ......」
兄(そういえばテレビで見たことあるような......ないような?)
後輩「なんすかそのいたような気がするわーみたいな反応は?」
兄「あ、いや、見たことはあるよ......一度くらいは」
後輩「......やっぱり覚えてないっすよね?」
兄「い、いや......」ギクッ
後輩「はぁ......まぁいいっす。今日覚えて帰ってもらえばいいだけっすから」
兄「あ、あぁ......」
兄(た、助かった......)
後輩「あ、そろそろはじまるっぽいっすよ!」
兄「え? あ、あぁ......」
兄(......そういえばグッズは?)
ミオン「どうもみなさん!」
Le:LIFE全員「「「こんにちはっ!」」」
アリサ「私たち!」
Le:LIFE全員「「「Le:LIFEですっ!」」」
ファン「「「「「「「「「「フォォォォォォォ!!!!!!」」」」」」」」」」
兄(すげぇ、なんだこの一体感は)
リーカ「いやぁ、はじまりましたね!」
ミオン「はい! 今日はみなさん、私たちのステージに足を運んでくれて、本当にありがとう!」
兄「......この三人がLe:LIFEか」
後輩「そうっす! いまもっとも勢いのある秋葉系アイドル、それがLe:LIFEっす!」
兄(......こいつ、そういうの好きだったのか)
兄「おい後輩、お前グッズがどうとかって言ってなかったか?」
後輩「あぁ、そうでしたっす! でも、ここから離れたらもう二度と......」
兄「......なら、俺が買ってきてやるよ」
後輩「え?」
兄「なんの商品が欲しいんだ?」
後輩「あ、えっと、サイン色紙と限定のタオルっす」
兄「わかった、それじゃあまた後で!」
後輩「え、ちょっとっ!?」
兄(......よかった、この人ごみから脱出成功だ)
兄「さてと......あそこか」タッタッタッ
兄「あいつが言ってたの、これであってたのかな? まぁいいや」
兄「さてと、もうあそこに戻るのは不可能だな。ここで時間潰すか」
兄(......あ、そうだ。ボタン押そうかな)
兄(さっきまでは見張られてたのとほぼ同じ状況だったけど、いまなら確認もできるし......)サッ
兄(さて、ここは当然......)
>>134
134 : 以下、\... - 2015/03/26 22:59:22.88 P2V02VfP0.net 48/89あお
兄(いままでの恨みの意味も込めて青だな)ポチッ
兄(......そういえば、後輩に対して一回も青押してなかったな)
後輩(さすがに、呆れられちゃったのかな?)
後輩(Le:LIFEとか、本当は滅茶苦茶好きってワケでもないんだけどなぁ)
ファン「ちょっと失礼しまーす」
後輩「え? ......ちょッ!?」
後輩(まさかこれって......痴漢!?)
痴漢魔「いやぁ、可愛いねぇ」
後輩(だ、誰か......)ウルウル
痴漢魔「いやぁ、本当に可愛いなァ、Le:LIFEはァ?」ニヒィ
後輩(ど、どうして......声が、出せない)
痴漢魔「フッハッハッハッ......」ニタァ
後輩(助けて、先輩......ッ!)
ファン「はーい、ちょっとごめんなさいねー」
痴漢魔「!?」
後輩(だ、誰......?)
ファン「ボクね、見ちゃったんだなぁ。キミがその右手で、その娘の体を触っちゃってるところ......」
痴漢魔「な、何を言って......」
ファン「いやぁ、あくまでも否定しますか? じゃあ......」
私服警官「他の人から被害届が出てるんで、その件できてもらいますよー、連続痴漢犯さん?」
痴漢魔「......警察、だと!?」
私服警官「確保ォ!」
私服警官たち「「「オォォォ!!!」」」
痴漢魔「ッ! クソォォォ!」
後輩「......」
後輩(た、助かった......)
兄「ちょっとすみません、通してください。ちょっと失礼します......おーい、後輩。大丈夫か?」
後輩「しぇ、しぇんぱぁい......」ウルウル
兄「え、ちょ、泣いてる......?」
後輩「な、泣いてないです......」
兄(......こいつ、感情が昂ったりすると喋り口調が変わるっぽいな)
後輩「......せ、センパーイっ! 怖かったよぉ......!」
兄「お、おい......」
兄(......しかたないな)
兄「......もう大丈夫だから、よしよし」ナデナデ
後輩「せ、先輩......っ///」カーッ
兄(......助けてくれた警官の人に、お礼言っとかないとな)
兄「ありがとうございました」
私服警官「いえいえ、これが我々の仕事ですから」
後輩「本当に、ありがとうございましたっす!」
私服警官「お嬢ちゃんは可愛いから、また狙われないように気をつけてね」
後輩「か、可愛い......?」
私服警官「それじゃあ」
兄「どうもありがとうございました......って、どうした後輩?」
後輩「い、いえ......私って、可愛いのかなと」
兄「......可愛いよ」
後輩「えっ? ......なっ///」
兄「......あ、いやそのだな......」
兄(......しまった、無意識のうちに答えてしまった)
―――
後輩「今日は色々と付き合ってもらっちゃって、ありがとうございましたっす」
兄「いやいや......俺に、そんなこと言われる筋合いはないから」
兄(主に青ボタンとか青ボタンとか青ボタンとか)
後輩「それじゃあ、私はここで」
兄「また明日」
後輩「はい、また明日っす!」ニコッ、タッタッタッ
兄「......さてと、帰るか」
―――
兄「ただいまー」
母「あら、お帰り」
兄「......あれ、妹は?」
母「お風呂よ」
兄「お風呂って、まだ三時だぞ?」
母「レディーには色々と事情があるのよ」
兄「はぁ......?」
母「そうだ、私ちょっと買いものに行ってくるから」
兄「え、あぁ、いってらっしゃい」
母「いってきま~す」ガチャッ
兄「......テレビでも見るか」
兄「さてと、リモコンはと......って、これは」
兄「......妹用ボタンじゃねぇか」
兄「なんでこんなところに? ......とりあえず押してみるか」
兄「ニセモノかホンモノかはしらねぇが、とりあえずあれば押したくなるな、ボタンって」
>>165
165 : 以下、\... - 2015/03/27 00:13:28.15 gL/LM4j80.net 56/89青
兄「もちろん青だな」ポチッ
兄「さてと、リモコンリモコンっと......」
妹『きゃぁぁぁあああああああああああああああぁぁぁ!?』
兄「......あぁ」
兄(また面倒なことになっちまったかもしれない)
兄「おーい、どうかしたのかー?」
妹『きゃぁぁぁああああああああああああぁぁぁ』ガチャッ!
兄「って、おい待て待て待て止まれとまれっとォ!?」バタッ!
妹「痛っ......って、あれ? ......」
兄(いてて......って、こいつ裸......)
兄「......どうかしたのか?」
妹「......きゃぁぁぁあああああああああああああああぁぁぁッ!!」バチン!
兄「アァァァッ!?」
兄(り、理不尽だ......)
妹「......」
兄「......あー、そのだな......悪かった」
兄(とりあえず謝っとこう、うん)
妹「......」フンッ
兄「......」
兄(あれ、逆効果だった?)
妹「......私、部屋に戻ってるから」
兄「え、あ、あぁ......」
兄(女って......よくわからん生き物だな......)
兄「うーん、このボタンも考えようだな......」
兄「ある意味、最高の商品だが......ある意味、最低の商品だよなぁ、これ」
兄「......って、そもそもなんでこれまだあるんだよ。たしか母がどこかにやったって......まさか、まだ処分してなかったのか?」
兄「しかも、これってたしか中身が空なんじゃなかったっけ? ......うーん、よくわからんな」
兄「......解体するか」
兄「えっと、たしかここにドライバーが......あれ? ドライバーが、ない?」ガラッ......ガサガサッ
兄「前はここにあったんだがなぁ......こっちか?」ガラッ......ガラッ
兄「......あれ、見当たらないな......?」
兄「......まぁいっか、別に」
兄「それよりリモコン......」
ガチャッ
母「ただいま~」
兄「あ、おかえり......なぁ母、テレビのリモコン知らない?」
母「え? ......あぁ! ごめんなさ~い。実は間違えて持っていっちゃってたのよね~」
兄「はぁ?」
兄(天然......)
母「はいこれ、リモコンよ」
兄「どうも......あ、それと、どうしてまだあのボタンが残ってるんだよ」
母「え? ......あぁ! ごめんなさ~い。実は忘れててまだ処分してなかったのよね~」
兄(またか......)
母「あとで片しておくから、大丈夫よ」
兄「......頼んだから」
兄(さすがに忘れることはない......よな?)
―――
兄「......いただきます」
兄(......うわー、気まずいな、これ)
妹「......」
兄「......」
母「......? ふたりとも、どうかしたの?」
妹「......なんでもない」
兄「......はぁ」
兄(なんだかなぁ)
妹「......ごちそうさま」
母「え、ちょっと? まだ食べきって......」
バタンッ!
母「......何かあったの?」
兄「......」
兄(......なんだかなぁ......はぁ)
―――
兄「......おはよう」ガチャッ
母「あら、おはよ~。今朝は早いわねぇ」
兄「ま、まぁな」
兄(面倒だから妹と鉢合わせたくねぇし......)
母「......ねぇ、兄くん」
兄「?」
母「......妹ちゃんのこと、どう思ってるの?」
兄「......なんだよ、その恋バナにありがちなフレーズh」
母「ちゃんと答えなさい」
兄「......」
兄「急に母親面しだしたな」
母「私はあなたたちの母親です」
兄「......」
兄(俺にとって......妹は......)
兄「......なんなんだろう、妹っていう存在は?」
母「......」
兄(いてもいなくても、別に大丈夫な存在......いや、そもそもいないほうがいい存在かもしれない)
兄(でも......)
母「......まぁいいわ。早く朝ごはん食べなさい」
兄「......あぁ」
―――
兄「......」
後輩「......どうしたんすか、先輩?」
兄「......あ? あぁ、いや、別に」
後輩「......?」
兄(......妹は、か)
後輩「先輩!」
兄「え?」
後輩「......本当に大丈夫っすか?」
兄「......」
兄(大丈夫なワケ、ねぇだろ)
兄「......なぁ、後輩」
後輩「......どうしたんすか?」
兄「お前ってたしか、兄貴いたよな?」
後輩「? はい、いるっすけど......」
兄「......兄貴のこと、どう思ってる?」
後輩「え......?」
兄「......」
後輩「......」
後輩(どうしたんだろ、唐突にそんなこと......でも、先輩が聞いてきたんだし......)
後輩「......正直、あまり好きじゃないっすかね。昔から結構ケンカとかいっぱいしてましたし」
兄「......」
後輩「なんというか、どうしてもそうなっちゃうんすよね。それこそ、まるで運命みたく......」
兄「......じゃあ」
後輩「でも」
兄「......?」
後輩「たとえどれだけケンカしようが、泣かされようが、キレさせられようが......どうしても、心底嫌いにはなれなかったっすね」
兄「......」
兄(心底、嫌いには......?)
後輩「なんというか、そういう風にできてるというか......長年一緒にいたらとか、そういうのもあるかもしれないっすけど、どうしても嫌いにはなれなかった......そう、もっとも身近でもっとも遠い存在、それが兄貴っすかね」
兄「......」
兄(......なるほど、な)
兄「......ふっ、サンキューな。さすが俺の後輩だ!」
後輩「え、そ、そうっすか......?」
兄「あぁ、俺史上最高の後輩だ!」
後輩「な、なんかそれ、照れるっす......///」
兄(よし、景気づけにでもボタン押すか)
兄(押す色は......)
>>193
193 : 以下、\... - 2015/03/27 02:10:46.68 qTWVDJwg0.net 68/89赤
兄(昨日のこともあるし、当然赤だな)ポチッ
後輩「......あの、先輩」
兄「ん? どうかしたのか?」
後輩「......警察って、カッコいいっすよね」
兄「......あ?」
後輩「警察ってヤバイっすよね! あれ! 事件をスピーディーに解決しますし! 日本の治安維持に大きく役立ってますし! 凄い職業っす!」
兄「......」
兄(......話が見えん)
後輩「私、将来警察官になりたいっす!」
兄「......はぁ!?」
兄(え、そういう話? 将来の夢とか、そういう乗りだったの?)
兄「......あー、そうか。頑張れよ」
後輩「はいっす!」
兄(......こいつ、こんなに弱々しくて逮捕術とかできるのか?)
後輩「そのためにも、まずは体力をつけないとダメと思うんすよ」
兄(あ......自覚はあるんだ)
後輩「そこで先輩、そのですね......一緒に走ってほしいっす。毎朝、一緒に......?」
兄「......」
兄(何故そうなる......)
兄「あぁ、まぁ、学校がある日だけなら......」
兄(休日はできる限り寝たいし......)
後輩「本当っすか!? やったっす!」
兄「おいおい、そこまで喜ぶほどのことじゃねぇだろ」
後輩「嬉しいものは嬉しいんす!」
兄(......あ、やっぱ面倒なこと引き受けちゃったかもしれない)
―――
兄「いってきまーす」
母「あら、今日は一段と早いわねぇ」
兄「まぁな、それじゃ」
母「いってらっしゃ~い」
後輩「......あ、先輩! 遅いっすよ!」
兄「あぁ、悪いな」
兄(いや、俺そんなに遅かったか?)
後輩「じゃあ、行きましょうっす」
兄「お、おう......」
後輩(とりあえず......毎朝会う口実はできたかな)
兄(......こういうのは、無心で走っとけばいつかはつくはず......)
後輩「せ、先輩! 私......もう限界っす!」
兄「......」
兄(いや、体力なさすぎだろ。まだ片道一キロもいってねぇぞ)
後輩(ヤバイ......私将来絶望的じゃん......)
兄「......とりあえず、今日はここまでにしておこう。それと、筋トレとか家でやっといたほうがいいかもしれんぞ、お前。あるいは日常的に運動しとけ」
後輩「えぇ......」
兄(......こいつ、将来本当に大丈夫か?)
後輩「はっ......はいっす」
兄(......やる気だけはありそうなんだがなぁ)
―――
兄(画して、俺たちの早朝ランニングの日々ははじまったワケだが......)
後輩「はぁ......はぁ、せ、せんぱい。もうヘトヘトっす......」
兄「おい、大丈夫か? 無理してないか?」
兄(いや、もう明らかに無理か)
後輩「だ、だいじょうぶっす。こ、これくらいなら......あっ!」カツン
兄「って、おい!?」ガチッ
後輩「はぁ......あ、あぶなかったっす......」
兄「あのな......」
兄(こんなになるまでやる必要はないだろ......)
兄「ほら、立てるか?」
後輩「げ......げんかいっす」
兄「今日は何キロ走ったんだ? ともかく、無理して走っても最終的に反動がでかくなるだけだって。もう今日はやめにするぞ」
後輩「......」
後輩(先輩こそ、とっても無理してるように見えるけど......)
兄(......ボタン、押してみようかな)ガサッ......ポチッ
兄「......って、あ?」
後輩「どうかしたんすか?」
兄「あ、いや、別になんでもねぇよ」
兄(しまった、ポケットに入れた手がどっちか押してしまったっぽいぞ?)
兄(どっちなんだ、これ?)
>>221
221 : 以下、\... - 2015/03/27 08:03:54.28 HVosstes0.net 75/89赤
兄(しかたない......あとで確認しよう)
後輩「......ねぇ、先輩」
兄「ん?」
後輩「先輩は、どうして毎朝一緒に走ってくれるんすか?」
後輩(先輩だって、とっても疲れてるだろうに)
兄「......」
後輩「? 先輩......?」
兄「......バカか、お前は」
後輩「え?」
兄「バカかって言ってんだよ、お前は!」
後輩「えぇ!?」
後輩(え、私、いま怒られてるの?)
後輩「ど、どうしてっすか!? どうしてそんなことを言って......」
兄「お前が危なっかしいからに決まってんだろ!?」
後輩「......えっ?」
後輩(私が......危なっかしい?)
兄「前の痴漢事件のとき、あれ以来ずっと思ってたことだよ! お前は、やっぱり女子だし、体力もそこまでだし、その......可愛いし、ともかくなんか危なっかしいんだよ! わかるか!」
後輩「......」
後輩(先輩......そんなことを思って......)
兄「だから! ......だから、ひとりで無茶するのが、危なっかしくて......ガラス玉くらい、澄んでいて儚いからに決まってるだろうが......」
後輩「......」
後輩(......)
後輩「......先輩」
兄「な......なんだよ」
後輩「泣いてんすか?」
兄「はッ!? な、んなワケは......って、あれ?」
後輩「なんで先輩が泣いちゃうんすかー、なんかここは私が泣く感じじゃないっすか? 普通は」
兄「う、うるさい! な、泣いてねぇ! 俺は断じて泣いてねぇぞ!」
後輩「それはちょっと......無理があるっす」
兄「......はぁ」
兄(なんでこうなるかなぁ......)
―――
後輩「先輩、今日は色々とありがとうございましたっす」
兄「......今日も、の間違いじゃねぇの」
後輩「いえ先輩、いつも以上にっす!」
兄(......そういえば、赤ボタンの効果って......?)
後輩「それじゃあ、行きましょうっす! 学校へ!」
兄「あ、あぁ......」
兄(まぁ、いいか)
後輩「それじゃあ、お先っす!」
兄「え、ちょっ、お前どこにそんな余力が......?」
後輩(......先輩、私のこと思っててくれたんだ......///)
兄「......」
兄(......ま、今日はこれでよしとするか)
―――
キーンコーンカーンコーン
兄(さてと、六時限目も終了したし、さっさと帰るか)
後輩「先輩! 一緒に帰ろうっす」
ザワザワ
兄「......」
兄(たぶん、明日色々と面倒だな......)
後輩「先輩、どうかしたんすか?」
兄「あ? いや、別に......」
兄(......ボタン押すか)
兄(今朝は結局どっち押したのかわからなかったけど、いまは左右でボタンをわけたからわかるし)
兄(さて、押すボタンは......)
>>235
235 : 以下、\... - 2015/03/27 09:06:38.44 DGX7EvuY0.net 81/89あか
兄(赤っと)ポチッ
後輩「先輩」
兄「ん? どうしたんだ?」
後輩「私、夢を諦めないっす」
兄「あ? あ、あぁ......頑張れよ?」
後輩「はいっす! ただ......」
兄「......?」
後輩「......なんというか、拍子抜けしちゃったというか」
兄「?」
後輩「......やっぱり、なんでもないっす!」
兄「? そ、そうか......?」
後輩(この想いは、まだ心のうちに留めておこう......)
後輩「さぁ、早く帰りましょう、先輩!」
兄「......おう」
兄(......まぁ、また今度聞けばいいか)
―――
兄「......」
兄(さて、そろそろ妹が帰ってくる頃かな)
ガチャッ
妹「ただいま......」
兄(......よし)
兄「おかえり!」
妹「な!?」
妹(あ、兄......なんかいつもと違う?)
妹「......なによ」
兄「この前はすまなかった!」
妹(と、突然にどうしたのよ......?)
妹「......」フンッ
兄「......まだ、怒ってるのか?」
妹「......」
妹(いまさら、引き下がれるワケないでしょう......)
兄「......愛してるぞ、マイ・シスター」
妹「にゃ!?」
兄「俺は、お前を家族として愛している!」
妹「にゃ、にゃにを......え?」
兄「お前が俺をどれだけ嫌いであろうが、俺は絶対にお前を嫌いになったりはしない! 俺のことは嫌いでも、それだけは忘れないでいてくれ!」
妹「......」
妹(......)
兄「......あー、なんか悪かったな。いろんな意味で」
妹「......」
兄(あれ......もしかしてこいつ想像以上に怒ってるのか? てか、そもそも俺の作戦が無謀だったってことも......)
妹(......)
妹「......ぷっ」
兄「......ぷっ?」
妹「あっはははははっ!」
兄「......えっ?」
兄(わ、笑ってる......?)
妹「あ、兄、バッカみたいwww」
兄「わ、笑うなよ!」
妹「あはははははっwwwwwwwwwwww」
兄「あぁ......もう、これでいいか」
妹「あははっwwwwww......はぁ......そ、それは私が決めることでしょう?」
兄「......そうだな」
妹「......なんかもう、バカみたい」
兄「ば、バカは失礼だろ......」
妹「本当......さっきまで意固地になって怒ってた私、バッカみたい」
兄「......?」
妹「......もう、いいわよ」
兄「ほ、本当か!?」
妹「......ていうか、あれはその、私がゴキブリを見て取り乱したというだけの話であって......その......こちらこそ、ごめんなさい」
兄「......」
兄(はぁ......これだから妹は)
兄「......よしよし」ナデナデ
妹「にゃっ!? にゃ、にゃにしてるの......よ///」
兄「......愛してるぞ、マイ・シスター!」ギュッ!
妹「ちょ、待って! や、ちょっとやめなさいッ!」ガシッ
兄「イタッ!? ......やったなぁ......いくぞッ!」
母(......あ、えっと......私、気づかれてないのかしらぁ?)
―――
部下A「先生、実験は成功でしたか?」
?「そうね......今回はほとんど青しか押さなかったし、もうちょっとデータが欲しいわねぇ」
部下B「ですが先生、もう被験者が......」
?「実は......明日、あの子のクラスに転校生がくるのよ」
部下C「て、転校生ですか......?」
?「えぇ、そして、その子がちょっと厄介......というか、過去に色々とあってね」
部下B「わかりました......」
部下A「で、ですが先生......?」
?「どうしたの?」
部下A「えーっと、転校生用のボタンなんて、作っても意味をなさないんじゃないでしょうか? ......転校生っていうのは、あくまで一時的な形でしかないでしょう?」
?「えぇ、そうよ。だけどあの娘は......それよりもっと深い、特別な関わりがあるのよ」
部下C「そ、それはいったい......?」
?「それはね......」
母「あの娘は兄くんの......幼馴染なのよ」フッ
―――
兄(あぁ、風呂上りの牛乳はやっぱ格別だなぁ)
ピンポーン
兄(? こんな時間に誰だろう......)
兄「はい」
宅配員『宅配便でーす』
兄(こんな時間に......いったい誰が?)
兄「こ、これは......!?」
兄(幼馴染用のボタン、だと......!?)
兄「......」
兄(また、頼んだ覚えもないのに、いったいどうして......?)
兄(......とんでもなく、嫌な予感がする......ッ)
[完]