1 : 以下、\... - 2015/03/26 12:09:04.69 eWNCw3Jf0.net 1/89

Part1「http://ayamevip.com/archives/43350592.html
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(おかしい......こんなもの通販で買った覚えないぞ)

(えっと、前と同じで青を押すと不幸に、赤を押すと幸福になるのか......)

(と、とにかくこれはどこかにやったほうが......)

ガチャッ

「兄、ご飯できt」

「わァッ!?」

「......どうしたの?」

「あ......いや別に、何もねぇよ」

(セーフ......どうにか隠せたが、あとちょっとで見つかるところだった......)ガサッ

「......まぁいいわ。とにかく、ご飯できたから」ガチャッ

「あ、あぁ、サンキュー」

(と......とにかく、いまはポケットに隠しておくか)

元スレ
兄「押すと後輩が不幸になるボタンと、幸福になるボタン……だとッ!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1427339344/

6 : 以下、\... - 2015/03/26 12:17:51.71 eWNCw3Jf0.net 2/89

―――

「いただきます」

「......ねぇ、兄」

「な、なんだよ?」

(先週くらいから突然話しかけてくるようになったが......いったいどうしたんだ?)

「......さっき、何隠したの?」

「え、あ、いやその......」ドキッ

「あら~? まさかまたボタンでも買ったのかしらぁ?」

「は!? な、んなワケねぇだろ!」

「......そう?」

(あからさま過ぎ......)

「......あ、そ、そうだ。俺、いまからちょっと出掛けてくるわ」

「え、ちょっと? ご飯どうするのぉ?」

「食べてくる! じゃ、いってきまーす!」

「......逃げた」

7 : 以下、\... - 2015/03/26 12:23:05.08 eWNCw3Jf0.net 3/89

―――

「ふぅ......危ない危ない」

(こんなもの見つかったら、確実に絞められるな)

後輩「何が危なかったんっすか?」

「おうァ!?」

後輩「......どうしたんすか、先輩? しかもこんな夜遅くに」

「あ、いや、お前こそどうしたんだよ」

後輩「私っすか? 私はバイトっすよ」

「あ、あぁ......」

(......さっきのボタンの後輩って、こいつのことになるんだろうか?)

(......俺、気になります)

後輩「? どうしたんっすか、先輩?」

(よし、じゃあ押すボタンは......)

>>9

9 : 以下、\... - 2015/03/26 12:24:56.89 mk6LcBEG0.net 4/89


11 : 以下、\... - 2015/03/26 12:34:49.11 eWNCw3Jf0.net 5/89

(赤だ)ポチッ

後輩「先輩、今日なんか変っすよ?」

「あ、いや、大丈夫。ちょっと考え事してただけだから」

(さーて、どんなことが起きるか楽しみだ)

後輩「......そ、そういえば先輩」

「......どうした?」

後輩「......あの、えっとっすね......」

後輩(ヤバイ......ここまで来たら言うしかない)

「お前こそ大丈夫か? なんか変だが」

後輩「先輩!」

「はい?」

後輩「に、日曜日......私と遊ばないっすか!」

「え、い、いいけど......?」

後輩「! じゃ、じゃあ明日の朝八時に駅前に来てくれっす! それじゃあ!」タッタッタッ

後輩(やった、ついに言えた! ついに言えたよ!)

13 : 以下、\... - 2015/03/26 12:53:40.19 eWNCw3Jf0.net 6/89

―――

「......」

(朝八時っつってもなぁ......七時五〇分くらいにはきたほうが)

後輩「先輩!」

「うぉ! ......って、ビックリさせるなよ、後輩」

後輩「ご、ごめんなさいっす」

「......それ、私服か?」

後輩「え? ......あ、いえ。今日のために卸したものっす」

「わざわざ?」

後輩「あ、いえその......前から着たかったんで、今日は思い切って......」

「あぁ、なるほど」

(ビックリした......それじゃあまるで......)

後輩「じゃあ、先輩! で、デートに行きましょう!」

「......」

(......デート?)

14 : 以下、\... - 2015/03/26 13:01:25.39 eWNCw3Jf0.net 7/89

後輩「......」

「......」

(しまった......何も話すことがない)

後輩「......あの、先輩」

(......ボタンでも押そうかな)

後輩「先輩? 聞いてますか?」

(......よし、押そう)

後輩「先輩!」

「え!?」ドキッ

後輩「......聞いてるんすか?」

「あ、あぁ」

(押すボタンは......)

>>16

16 : 以下、\... - 2015/03/26 13:06:57.31 VDzVI8Od0.net 8/89


17 : 以下、\... - 2015/03/26 13:17:02.52 eWNCw3Jf0.net 9/89

(前のでだいぶ青の怖さはわかったし、赤かな)ポチッ

「そういえば、これからどこに行くんだ?」

後輩「もうすぐっす」

「そうか......」

(えーっと、こっちの方面にあったのは確か......)

後輩「ここっす!」

「......やっぱりショッピングセンターか」

後輩「さて、行きましょう」ウィーン

「あ、あぁ......」ウィーン

(あ、あれ、こいつってこんなに積極的なタイプだったか?)

パーンッ!

後輩「......え?」

店員「おめでとーございますっ! あなたたちが、我がショッピングモールの百万人目のお客様です!」

「......」

(これが赤ボタンの効果か?)

22 : 以下、\... - 2015/03/26 14:48:40.82 eWNCw3Jf0.net 10/89

店員「これをどうぞ」

「これは......?」

店員「本日限定の全品五割引券です」

「五割!?」

(それってつまり、半額じゃねぇかよ)

後輩「凄いっすね、先輩!」

「あぁ、こりゃ凄い幸運だな」

(......ボタンってやっぱスゲエ)





「そういえば、今日はなんか買いたいものでもあるのか?」

後輩「はいっす。実は、今日の十四時頃に屋上でアイドルの特設ライブがあるっす!」

「あ、アイドル......?」

(こ、こいつ......そういうの好きだったのか? 全然知らなかった)

23 : 以下、\... - 2015/03/26 14:56:04.30 eWNCw3Jf0.net 11/89

「それで、そのアイドルと買いものになんの関係が?」

後輩「そこでしか買えないグッズがあるんすよ」

「グッズか......って、ちょっと待て。それじゃあなんで俺を誘った?」

後輩「い、いや......///」

(......)

「まぁいいよ。ともかく、そのアイドルのステージまであと六時間程度あるワケだが」

後輩「せ、先輩は何か買いたいものはないんすか?」

「え?」

(俺は......そういえば、金あんま持ってきてねぇしなぁ)

「俺はいいよ。お前の買いものについていくだけで」

後輩「そ、そうっすか? じゃあ、ちょっと服を見にいきたいっす」

「OK」

(......そうだ、ボタン押そう)

>>25

25 : 以下、\... - 2015/03/26 14:59:49.86 5h7tTvnB0.net 12/89

父の今日のパンツと同じ

29 : 以下、\... - 2015/03/26 15:32:19.28 eWNCw3Jf0.net 13/89

(さて、どっちを押したものか......)

テレビ『......さて、今日のパンツ占い! 一位は迷彩柄パンツのあなた! 男らしいパパのそれが、血気盛んにこんにちわ! 何事にも負けず、何かの成果を得るでしょう! ラッキーアイテムは......』

「......」

(そういえば、今日父がたしか迷彩柄パンツだったな)

(......あぁ、俺もか)

テレビ『......やりましたよ! 僕ね、今日迷彩柄なんですよ。しかもね、これ。ラッキーアイテムの女性用パンツも持ち歩いているんですよ。ほら、凄いでしょ......』

「......」

(女性用パンツ? ......そういや、今朝父が母からなにかを受け取ってたな。まさか......な)

後輩「どうしたんすか? 女性用下着が欲しいっすか?」

「なっ、んなワケねぇだろ!」

(......それよりボタンだ)

>>31

31 : 以下、\... - 2015/03/26 15:38:58.77 1oyn7rDA0.net 14/89

あか

34 : 以下、\... - 2015/03/26 15:48:46.68 eWNCw3Jf0.net 15/89

(赤だな)ポチッ

後輩「着いたっす」

「こ......ここは」

(ランジェリーショップだとぉぉぉぉぉぉ!?)

「あ、じゃあ俺はここで待ってるから......」

後輩「せ、先輩!」

「はい!?」ドキッ

後輩「そ、その......先輩が好きなのを、選んでほしいっす///」

「はァッ!?」

後輩「だ、ダメっすか......?」

「......」

(......女子と入れば大丈夫だよな?)

37 : 以下、\... - 2015/03/26 15:58:19.29 eWNCw3Jf0.net 16/89

(......なんて考えてた俺がバカだった)

後輩「ど、どうしたんすか、先輩?」

「あ、いや......」

(なんで入っちまったんだよぉ、俺?)

後輩「うーん。先輩、どんな感じのが好きっすか?」

「あ、えーっと......」

(んなの言えるワケねぇだろ......)

「えー、それとか?」

(適当に選んじまったが......って)

後輩「せ、先輩? こ、これは......///」

「あ、いや、ちが、違うぞ! 断じてそういう趣味じゃねぇからな!」

(......なんでガーターベルト選んでんだよ、俺)

後輩「......せ、先輩が着て欲しいのなら......」

「いや、違うからなッ!?」

39 : 以下、\... - 2015/03/26 16:07:45.82 eWNCw3Jf0.net 17/89

(......どうにか誤解は解けたが、赤ボタンの効果とは程遠いな......)

(......まさか、また偶然だったってことはないよな?)

後輩「これ、どうっすかね?」

「あ、あぁ......いいんじゃねぇの?」

後輩「それじゃあ、ちょっと試着してくるっす」

「わかった......待て、それじゃあ俺がひとりに......」

(......ってもう入ってるし......気まず過ぎだろ、これ)

(......ボタン、もう一回押してみようかな)

>>41

41 : 以下、\... - 2015/03/26 16:08:54.51 1oyn7rDA0.net 18/89


42 : 以下、\... - 2015/03/26 16:15:15.43 eWNCw3Jf0.net 19/89

(......赤だな)ポチッ

後輩「先輩!」

「ど、どうした?」

ガシャァァァ

後輩「じゃーん!」

「......」

(や、やべぇ、可愛いかも......)

後輩「ど、どうですか......///」

「に、似合ってるんじゃないか?」

(......直視しづらい)

後輩「か、可愛いですか?」

「あ、えっと、その......か、可愛いよ」

後輩(......やった、先輩に二回も褒めてもらっちゃった///)

47 : 以下、\... - 2015/03/26 16:37:36.87 eWNCw3Jf0.net 20/89

後輩「じゃあ、これ買ってくるっす」

「あ、あぁ、俺は外に出とくから......」

(や、やっと出られる......あぁ、空気が気持ちいい......)

「あれ......兄?」

「なっ!? い、妹......!? どうしてここに」

「......いま、どうしてランジェリーショップから出てきたの? ......まさか」

「違う違う違うから! そういうんじゃ一切ないから!」

「あらぁ、それじゃあ誰かとデートかしら~」

「まさか、後輩さんと?」

「あ、いや、えっとだな......」

後輩「先輩、お待たせしたっす!」

「ちょ!?」

「......兄、後輩に手を出すなんて、最低ね」

53 : 以下、\... - 2015/03/26 16:53:50.00 eWNCw3Jf0.net 21/89

後輩「いやー、先週はありがとうございましたっす」

「いえいえ~」

「こちらこそ、兄がお世話になったようで」ギロッ

「だから違うって......」

(面倒なことになったな......)

「......あ、俺ちょっとトイレ」

後輩「いってらっしゃいっす」

(......とりあえず逃げれたな)





「それにしても、どうして後輩さんが兄と一緒に?」

後輩「私が誘ったんっすよ。今日のアイドルのライブに」

「そういえば、今日屋上でライブがあるとかテレビで見たような......」

「あらあら」

54 : 以下、\... - 2015/03/26 17:01:53.69 eWNCw3Jf0.net 22/89

「お母さん、どうしたの?」

「うふふ、別に~」

(つまり、デートってワケねぇ。まったく、いつの間にそんなことになったんだかぁ)

「?」





(ふぅ......にしても助かった)

(先週のことがあって、色々と気まずくなった節があるしなぁ)

(もう少し時間潰すか......)

(......そうだ、ボタンでも押そう)

(えっと、ボタンボタン......)

>>56

56 : 以下、\... - 2015/03/26 17:03:07.77 NtKjF1sLa.net 23/89

あか

62 : 以下、\... - 2015/03/26 17:13:08.73 eWNCw3Jf0.net 24/89

(見つけた。えっと、押すのは当然赤だな)ポチッ

(でも......ここじゃ確認できねぇしな)

(......戻るか)ジャー





「それにしても、まさか兄が後輩さんと一緒にいるとは思わなかったです」

後輩「そうっすか? まぁ、たしかにいままでこんなことは一度もなかったっすしね」

「そうなの~」

(なるほどぉ、つまり初デートってことねぇ! 初々しいこと......)

「おーい」

「兄......」ジトー

「な、なんだよその目は」

「別にー」

「あらあら」

64 : 以下、\... - 2015/03/26 17:26:06.97 eWNCw3Jf0.net 25/89

「そういえば、母と妹はどうしてここにいるんだよ?」

「え? 普通に服を買いに来たに決まってるでしょう?」

「私と妹ちゃんと、ついでに兄くんのもねぇ」

「感謝してよね」

「あ、あぁ......」

(別に頼んでねぇけど......)

後輩「なら、私たちも一緒にいっていいっすか?」

「え?」

「もちろん、当然じゃない」

後輩「ありがとうございますっす!」

(......マジで?)

69 : 以下、\... - 2015/03/26 17:50:47.23 eWNCw3Jf0.net 26/89

―――

「......」

「あら~、凄く似合ってるわよぉ」

後輩「そ、そうっすか?」

「似合ってると思いますよ、後輩さん」

後輩「えへへ......///」

(......俺、空気じゃん)

「......」

(そういや、さっきの赤ボタンの効果ってどうなったんだろ......?)

後輩「いやー、今日は間違いなく最良の日っすよ」

「そうですね」

「......」

(あぁ、たぶんこれだな)

70 : 以下、\... - 2015/03/26 17:56:43.04 eWNCw3Jf0.net 27/89

(......もう一回ボタンを押すか)

(このままいてもつまんねぇしな、よし)

「ねぇ、兄」

「!? な、なんだよ?」ドキッ

「......さっきから黙ってるけど、どうかしたの」

「い、いや......なんでもねぇよ」

「そう......」

(一瞬気づかれたかと思った......)

(よし、押すボタンはと......)

>>73

73 : 以下、\... - 2015/03/26 17:57:56.12 jXFt7N9V0.net 28/89


79 : 以下、\... - 2015/03/26 18:13:53.16 eWNCw3Jf0.net 29/89

(......赤かな)ポチッ

後輩「そういえば先輩」

「ん?」

後輩「あの......私、あとで見たい映画があるんすよ」

「映画? どんな作品だ?」

後輩「『赤い糸の伝説』っす」

「赤い糸......そういえばそんな映画あったな」

(でも、あれってたしかカップルに人気の映画......)

後輩「ダメっすか......?」

(......まぁでも、後輩が見たいなら見てもいいか)

「わかった、そうしよう」

後輩「......やった」

「?」

80 : 以下、\... - 2015/03/26 18:26:09.70 eWNCw3Jf0.net 30/89

「それじゃあ、兄くんをよろしくね~」

後輩「まかせてくださいっす!」

「それじゃ」

「あ、あぁ......」

(......結局、なんかずっと暇だったな)

(ボタン押しても効果が出たのかよくわからないし)

後輩「......それじゃあ、私たちも行きましょうっす」

「お、おう」

(......うーん、なんだかなぁ)

「なぁ、後輩」

後輩「はい?」

「お前、今日いつもより断然楽しそうだな」

後輩「そ、そうっすかね......」

「あぁ......」

(......改めて考えると、こいつも一応女子なんだよな)

89 : 以下、\... - 2015/03/26 19:26:06.18 eWNCw3Jf0.net 31/89

―――

「映画まで少し時間があるな」

後輩「早く入って予告編でも見るっす」

「そうだな」

(どうせいてもやることもねぇし)





(にしても、『赤い糸の伝説』か......)

「なぁ後輩」

後輩「なんすか、先輩?」

「お前は運命の赤い糸とかって、信じるタイプか?」

後輩「運命っすか......」

90 : 以下、\... - 2015/03/26 19:51:14.23 eWNCw3Jf0.net 32/89

後輩「うーん、そういうのってあんまり信じない......というか、好きじゃないっすね」

「好きじゃない?」

後輩「はいっす。なんていうか......他人に人生を操作されるとか、あんまり好きじゃないっすかね。そういう意味では、あのボタンとかも私は好きじゃなかったっす」

「......」

(他人に人生を操作される、か......)

後輩「そういう先輩は、どうなんすか?」

「え? ......あぁ」

(俺は......どうなんだ?)

(ボタンを使っているとき、別に何も感じなかったし、たぶん嫌いではないだろう)

(でも......信じているかなんて、考えたこともなかったな)

「俺は......よくわからないな」

後輩「その答え、先輩らしい気がするっす」

「......俺らしい?」

後輩「はいっす!」

92 : 以下、\... - 2015/03/26 20:09:55.14 eWNCw3Jf0.net 33/89

―――

映画『あぁ、どうして運命は、私たちを分かつの? 国境でさえ、私たちを分かてなかったというのに!』

(......運命、か)

後輩「......先輩」ヒソヒソ

「なんだ?」ヒソヒソ

後輩「......この映画、思ってたよりつまらないっす」ヒソヒソ

「はぁ? いや、お前が見たいっていったんだろ......」ヒソヒソ

(......そうだ、つまらないならこのボタンで......)

(あ、でも暗くて色が見えん......)

(よし......こっちだ)

>>95

95 : 以下、\... - 2015/03/26 20:15:08.15 2gI64m6H0.net 34/89

あか

96 : 以下、\... - 2015/03/26 20:33:12.57 eWNCw3Jf0.net 35/89

(よし)ポチッ

(さて、後輩の様子はと......って)

「......おい、寝るなよ後輩」ヒソヒソ

後輩「へ......? あ、ご、ごめんっす......」カクッ......スー

「お、おい......」ヒソヒソ

(......肩に寄りかかるなよ、オイ)

(......なんか甘い香りがする。シャンプーか?)

後輩「......ふふふ、せんぱぁぃ......」スー

(あぁ、なんだろう......このままでいいか。気持ちよさそうだし)

後輩「......ぅぃ......んにゃぁ......」スー

(......まったく映画に集中できねぇ)

101 : 以下、\... - 2015/03/26 20:50:29.07 eWNCw3Jf0.net 36/89

―――

後輩「はぁ~......よく寝た」

「お前、結局全然映画見てなかったろ」

後輩「そうっすか? ......そうっすね。まぁ、でも気持ちよかったんでOKっす」

「いやそれ映画としてじゃなくて子守唄的な意味じゃねぇか......」

(さっきのボタンは......どうやら赤だったっぽいな)

後輩「あぁ、そういえば。あの映画、最後はどうなったんすか?」

「ん? あぁ、たしか......」

(......後輩のほうばっか見ててなんかよくわかんなかったが......まぁいいか)

103 : 以下、\... - 2015/03/26 21:06:44.72 eWNCw3Jf0.net 37/89

―――

後輩「一時十七分......二時まであと四〇分くらいっすね」

「そういや、昼飯まだだったな。そこらへんに食べにいくか」

後輩「はいっす!」




後輩「いただきまーす」

「いただきます」

「いただきま~す」

「......いただきます」

(なんでまた会うかね......)

後輩「いやぁ、まさかまた会うとは思ってもみなかったっす! 嬉しいっす!」

「そぉ? でも私たち、お邪魔じゃないのかしらぁ?」

「ふたりっきりで楽しんでたんじゃないの、兄?」ギロッ

「......」シレー

(こいつ、なんか今日怒ってんのか......?)

109 : 以下、\... - 2015/03/26 21:22:26.88 eWNCw3Jf0.net 38/89

「映画、どうだったの?」

後輩「そうっすね......実は途中で寝ちゃって......」

「兄くんは、どうだったの?」

「そうだな......なんか、途中でドロ沼化してたな。まぁ、最後には純愛ものに戻ってたけど......なんというか、女子が好きそうな映画だった」

「そう......なるほどぉ」

「?」

「女性が好きそうな映画か......お母さん、今度一緒に見にいかない?」

「そうね、行きましょうか」

後輩「中睦まじいっすねぇ」

「そうだな......なんとなく家でも俺だけ疎外感はあるな」

後輩「ははは......」

(......俺だけ、ね)

112 : 以下、\... - 2015/03/26 21:36:26.97 eWNCw3Jf0.net 39/89

「じゃあ、俺たちはそろそろライブに行くんだけど......母さんたちはどうするんだ?」

「そうねぇ、どうしようか?」

「うーん......そうだ。たしか駅前に新しいケーキ屋ができたって誰かが言ってたから、そこに行こうよ」

「そうね。じゃあ、私たちはケーキ屋ね」

後輩「そうっすか。それじゃあ、私たちはこれで」

「じゃあな」

「行ってらっしゃ~い」

「......」

「じゃあ、私たちも行きましょうか」

「......うん」

114 : 以下、\... - 2015/03/26 21:51:48.57 eWNCw3Jf0.net 40/89

―――

後輩「うわぁ、人がいっぱいいて凄いっすねぇ」

(あぁ......面倒だな、こりゃ)

後輩「うぅ......この大衆の光景を見てると、なんか人生が残酷に感じてくるっす......」

「絶望するな後輩、たぶん社会よりはマシだから」

後輩「あぁ......未来は暗いっす......」

(......そうだ、ちょっとボタンで遊んでみるか)

>>117

117 : 以下、\... - 2015/03/26 21:55:27.38 QpCgnHUs0.net 41/89

あか

121 : 以下、\... - 2015/03/26 22:07:35.97 eWNCw3Jf0.net 42/89

(もちろん、後輩がこれ以上絶望しないように赤をと)ポチッ

後輩「......まぁでも、未来は絶望だけじゃないっすよね」

「あ、あぁ、希望もあるだろ」

(......いまのが効果......なワケねぇか)

後輩「それじゃあ、行きましょうっす!」

「え、どこに?」

後輩「どこって決まってるじゃないっすか。もちろん......最前列っす!」

「......」

(......このファンの軍勢の、最前列に......だと?)

124 : 以下、\... - 2015/03/26 22:20:09.99 eWNCw3Jf0.net 43/89

「な、なんとか着いた......」

後輩「いやー、まさか本当にたどりつけるとは思ってなかったんすけどねー」

(......これだな、効果は)

「......そういえば、ここでライブするのってどんなグループなんだ?」

後輩「え!? 先輩、知らないんすか!?」

「あ、いや......」

(そもそも聞かされてねぇし......)

後輩「いまを翔けるアイドル、Le:LIFE(リライフ)っすよ!?」

「あぁ......」

(そういえばテレビで見たことあるような......ないような?)

後輩「なんすかそのいたような気がするわーみたいな反応は?」

「あ、いや、見たことはあるよ......一度くらいは」

後輩「......やっぱり覚えてないっすよね?」

「い、いや......」ギクッ

126 : 以下、\... - 2015/03/26 22:39:48.52 eWNCw3Jf0.net 44/89

後輩「はぁ......まぁいいっす。今日覚えて帰ってもらえばいいだけっすから」

「あ、あぁ......」

(た、助かった......)

後輩「あ、そろそろはじまるっぽいっすよ!」

「え? あ、あぁ......」

(......そういえばグッズは?)

127 : 以下、\... - 2015/03/26 22:50:12.73 eWNCw3Jf0.net 45/89

ミオン「どうもみなさん!」

Le:LIFE全員「「「こんにちはっ!」」」

アリサ「私たち!」

Le:LIFE全員「「「Le:LIFEですっ!」」」

ファン「「「「「「「「「「フォォォォォォォ!!!!!!」」」」」」」」」」

(すげぇ、なんだこの一体感は)

リーカ「いやぁ、はじまりましたね!」

ミオン「はい! 今日はみなさん、私たちのステージに足を運んでくれて、本当にありがとう!」

「......この三人がLe:LIFEか」

後輩「そうっす! いまもっとも勢いのある秋葉系アイドル、それがLe:LIFEっす!」

(......こいつ、そういうの好きだったのか)

130 : 以下、\... - 2015/03/26 22:55:20.16 eWNCw3Jf0.net 46/89

「おい後輩、お前グッズがどうとかって言ってなかったか?」

後輩「あぁ、そうでしたっす! でも、ここから離れたらもう二度と......」

「......なら、俺が買ってきてやるよ」

後輩「え?」

「なんの商品が欲しいんだ?」

後輩「あ、えっと、サイン色紙と限定のタオルっす」

「わかった、それじゃあまた後で!」

後輩「え、ちょっとっ!?」

(......よかった、この人ごみから脱出成功だ)

「さてと......あそこか」タッタッタッ

131 : 以下、\... - 2015/03/26 22:58:35.12 eWNCw3Jf0.net 47/89

「あいつが言ってたの、これであってたのかな? まぁいいや」

「さてと、もうあそこに戻るのは不可能だな。ここで時間潰すか」

(......あ、そうだ。ボタン押そうかな)

(さっきまでは見張られてたのとほぼ同じ状況だったけど、いまなら確認もできるし......)サッ

(さて、ここは当然......)

>>134

134 : 以下、\... - 2015/03/26 22:59:22.88 P2V02VfP0.net 48/89

あお

138 : 以下、\... - 2015/03/26 23:11:40.70 eWNCw3Jf0.net 49/89

(いままでの恨みの意味も込めて青だな)ポチッ

(......そういえば、後輩に対して一回も青押してなかったな)





後輩(さすがに、呆れられちゃったのかな?)

後輩(Le:LIFEとか、本当は滅茶苦茶好きってワケでもないんだけどなぁ)

ファン「ちょっと失礼しまーす」

後輩「え? ......ちょッ!?」

後輩(まさかこれって......痴漢!?)

痴漢魔「いやぁ、可愛いねぇ」

後輩(だ、誰か......)ウルウル

痴漢魔「いやぁ、本当に可愛いなァ、Le:LIFEはァ?」ニヒィ

後輩(ど、どうして......声が、出せない)

144 : 以下、\... - 2015/03/26 23:23:21.05 eWNCw3Jf0.net 50/89

痴漢魔「フッハッハッハッ......」ニタァ

後輩(助けて、先輩......ッ!)

ファン「はーい、ちょっとごめんなさいねー」

痴漢魔「!?」

後輩(だ、誰......?)

ファン「ボクね、見ちゃったんだなぁ。キミがその右手で、その娘の体を触っちゃってるところ......」

痴漢魔「な、何を言って......」

ファン「いやぁ、あくまでも否定しますか? じゃあ......」

私服警官「他の人から被害届が出てるんで、その件できてもらいますよー、連続痴漢犯さん?」

痴漢魔「......警察、だと!?」

私服警官「確保ォ!」

私服警官たち「「「オォォォ!!!」」」

痴漢魔「ッ! クソォォォ!」

後輩「......」

後輩(た、助かった......)

147 : 以下、\... - 2015/03/26 23:36:32.42 eWNCw3Jf0.net 51/89

「ちょっとすみません、通してください。ちょっと失礼します......おーい、後輩。大丈夫か?」

後輩「しぇ、しぇんぱぁい......」ウルウル

「え、ちょ、泣いてる......?」

後輩「な、泣いてないです......」

(......こいつ、感情が昂ったりすると喋り口調が変わるっぽいな)

後輩「......せ、センパーイっ! 怖かったよぉ......!」

「お、おい......」

(......しかたないな)

「......もう大丈夫だから、よしよし」ナデナデ

後輩「せ、先輩......っ///」カーッ

(......助けてくれた警官の人に、お礼言っとかないとな)

153 : 以下、\... - 2015/03/26 23:53:24.48 eWNCw3Jf0.net 52/89

「ありがとうございました」

私服警官「いえいえ、これが我々の仕事ですから」

後輩「本当に、ありがとうございましたっす!」

私服警官「お嬢ちゃんは可愛いから、また狙われないように気をつけてね」

後輩「か、可愛い......?」

私服警官「それじゃあ」

「どうもありがとうございました......って、どうした後輩?」

後輩「い、いえ......私って、可愛いのかなと」

「......可愛いよ」

後輩「えっ? ......なっ///」

「......あ、いやそのだな......」

(......しまった、無意識のうちに答えてしまった)

155 : 以下、\... - 2015/03/26 23:58:40.35 eWNCw3Jf0.net 53/89

―――

後輩「今日は色々と付き合ってもらっちゃって、ありがとうございましたっす」

「いやいや......俺に、そんなこと言われる筋合いはないから」

(主に青ボタンとか青ボタンとか青ボタンとか)

後輩「それじゃあ、私はここで」

「また明日」

後輩「はい、また明日っす!」ニコッ、タッタッタッ

「......さてと、帰るか」

158 : 以下、\... - 2015/03/27 00:08:42.40 D4CzpEIk0.net 54/89

―――

「ただいまー」

「あら、お帰り」

「......あれ、妹は?」

「お風呂よ」

「お風呂って、まだ三時だぞ?」

「レディーには色々と事情があるのよ」

「はぁ......?」

「そうだ、私ちょっと買いものに行ってくるから」

「え、あぁ、いってらっしゃい」

「いってきま~す」ガチャッ

「......テレビでも見るか」

162 : 以下、\... - 2015/03/27 00:13:02.68 D4CzpEIk0.net 55/89

「さてと、リモコンはと......って、これは」

「......妹用ボタンじゃねぇか」

「なんでこんなところに? ......とりあえず押してみるか」

「ニセモノかホンモノかはしらねぇが、とりあえずあれば押したくなるな、ボタンって」

>>165

165 : 以下、\... - 2015/03/27 00:13:28.15 gL/LM4j80.net 56/89


171 : 以下、\... - 2015/03/27 00:23:44.24 D4CzpEIk0.net 57/89

「もちろん青だな」ポチッ

「さてと、リモコンリモコンっと......」

『きゃぁぁぁあああああああああああああああぁぁぁ!?』

「......あぁ」

(また面倒なことになっちまったかもしれない)




「おーい、どうかしたのかー?」

『きゃぁぁぁああああああああああああぁぁぁ』ガチャッ!

「って、おい待て待て待て止まれとまれっとォ!?」バタッ!

「痛っ......って、あれ? ......」

(いてて......って、こいつ裸......)

「......どうかしたのか?」

「......きゃぁぁぁあああああああああああああああぁぁぁッ!!」バチン!

「アァァァッ!?」

(り、理不尽だ......)

173 : 以下、\... - 2015/03/27 00:32:07.51 D4CzpEIk0.net 58/89

「......」

「......あー、そのだな......悪かった」

(とりあえず謝っとこう、うん)

「......」フンッ

「......」

(あれ、逆効果だった?)

「......私、部屋に戻ってるから」

「え、あ、あぁ......」

(女って......よくわからん生き物だな......)

175 : 以下、\... - 2015/03/27 00:39:34.37 D4CzpEIk0.net 59/89

「うーん、このボタンも考えようだな......」

「ある意味、最高の商品だが......ある意味、最低の商品だよなぁ、これ」

「......って、そもそもなんでこれまだあるんだよ。たしか母がどこかにやったって......まさか、まだ処分してなかったのか?」

「しかも、これってたしか中身が空なんじゃなかったっけ? ......うーん、よくわからんな」

「......解体するか」

「えっと、たしかここにドライバーが......あれ? ドライバーが、ない?」ガラッ......ガサガサッ

「前はここにあったんだがなぁ......こっちか?」ガラッ......ガラッ

「......あれ、見当たらないな......?」

178 : 以下、\... - 2015/03/27 00:56:49.79 D4CzpEIk0.net 60/89

「......まぁいっか、別に」

「それよりリモコン......」

ガチャッ

「ただいま~」

「あ、おかえり......なぁ母、テレビのリモコン知らない?」

「え? ......あぁ! ごめんなさ~い。実は間違えて持っていっちゃってたのよね~」

「はぁ?」

(天然......)

「はいこれ、リモコンよ」

「どうも......あ、それと、どうしてまだあのボタンが残ってるんだよ」

「え? ......あぁ! ごめんなさ~い。実は忘れててまだ処分してなかったのよね~」

(またか......)

「あとで片しておくから、大丈夫よ」

「......頼んだから」

(さすがに忘れることはない......よな?)

181 : 以下、\... - 2015/03/27 01:21:50.40 D4CzpEIk0.net 61/89

―――

「......いただきます」

(......うわー、気まずいな、これ)

「......」

「......」

「......? ふたりとも、どうかしたの?」

「......なんでもない」

「......はぁ」

(なんだかなぁ)

184 : 以下、\... - 2015/03/27 01:39:47.63 D4CzpEIk0.net 62/89

「......ごちそうさま」

「え、ちょっと? まだ食べきって......」

バタンッ!

「......何かあったの?」

「......」

(......なんだかなぁ......はぁ)

185 : 以下、\... - 2015/03/27 01:43:49.26 D4CzpEIk0.net 63/89

―――

「......おはよう」ガチャッ

「あら、おはよ~。今朝は早いわねぇ」

「ま、まぁな」

(面倒だから妹と鉢合わせたくねぇし......)

「......ねぇ、兄くん」

「?」

「......妹ちゃんのこと、どう思ってるの?」

「......なんだよ、その恋バナにありがちなフレーズh」

「ちゃんと答えなさい」

「......」

186 : 以下、\... - 2015/03/27 01:48:23.13 D4CzpEIk0.net 64/89

「急に母親面しだしたな」

「私はあなたたちの母親です」

「......」

(俺にとって......妹は......)

「......なんなんだろう、妹っていう存在は?」

「......」

(いてもいなくても、別に大丈夫な存在......いや、そもそもいないほうがいい存在かもしれない)

(でも......)

「......まぁいいわ。早く朝ごはん食べなさい」

「......あぁ」

188 : 以下、\... - 2015/03/27 01:51:33.94 D4CzpEIk0.net 65/89

―――

「......」

後輩「......どうしたんすか、先輩?」

「......あ? あぁ、いや、別に」

後輩「......?」

(......妹は、か)

後輩「先輩!」

「え?」

後輩「......本当に大丈夫っすか?」

「......」

(大丈夫なワケ、ねぇだろ)

189 : 以下、\... - 2015/03/27 01:58:00.65 D4CzpEIk0.net 66/89

「......なぁ、後輩」

後輩「......どうしたんすか?」

「お前ってたしか、兄貴いたよな?」

後輩「? はい、いるっすけど......」

「......兄貴のこと、どう思ってる?」

後輩「え......?」

「......」

後輩「......」

後輩(どうしたんだろ、唐突にそんなこと......でも、先輩が聞いてきたんだし......)

後輩「......正直、あまり好きじゃないっすかね。昔から結構ケンカとかいっぱいしてましたし」

「......」

後輩「なんというか、どうしてもそうなっちゃうんすよね。それこそ、まるで運命みたく......」

「......じゃあ」

後輩「でも」

「......?」

190 : 以下、\... - 2015/03/27 02:07:22.98 D4CzpEIk0.net 67/89

後輩「たとえどれだけケンカしようが、泣かされようが、キレさせられようが......どうしても、心底嫌いにはなれなかったっすね」

「......」

(心底、嫌いには......?)

後輩「なんというか、そういう風にできてるというか......長年一緒にいたらとか、そういうのもあるかもしれないっすけど、どうしても嫌いにはなれなかった......そう、もっとも身近でもっとも遠い存在、それが兄貴っすかね」

「......」

(......なるほど、な)

「......ふっ、サンキューな。さすが俺の後輩だ!」

後輩「え、そ、そうっすか......?」

「あぁ、俺史上最高の後輩だ!」

後輩「な、なんかそれ、照れるっす......///」

(よし、景気づけにでもボタン押すか)

(押す色は......)

>>193

193 : 以下、\... - 2015/03/27 02:10:46.68 qTWVDJwg0.net 68/89


212 : 以下、\... - 2015/03/27 07:22:37.60 D4CzpEIk0.net 69/89

(昨日のこともあるし、当然赤だな)ポチッ

後輩「......あの、先輩」

「ん? どうかしたのか?」

後輩「......警察って、カッコいいっすよね」

「......あ?」

後輩「警察ってヤバイっすよね! あれ! 事件をスピーディーに解決しますし! 日本の治安維持に大きく役立ってますし! 凄い職業っす!」

「......」

(......話が見えん)

後輩「私、将来警察官になりたいっす!」

「......はぁ!?」

(え、そういう話? 将来の夢とか、そういう乗りだったの?)

「......あー、そうか。頑張れよ」

後輩「はいっす!」

(......こいつ、こんなに弱々しくて逮捕術とかできるのか?)

213 : 以下、\... - 2015/03/27 07:33:52.19 D4CzpEIk0.net 70/89

後輩「そのためにも、まずは体力をつけないとダメと思うんすよ」

(あ......自覚はあるんだ)

後輩「そこで先輩、そのですね......一緒に走ってほしいっす。毎朝、一緒に......?」

「......」

(何故そうなる......)

「あぁ、まぁ、学校がある日だけなら......」

(休日はできる限り寝たいし......)

後輩「本当っすか!? やったっす!」

「おいおい、そこまで喜ぶほどのことじゃねぇだろ」

後輩「嬉しいものは嬉しいんす!」

(......あ、やっぱ面倒なこと引き受けちゃったかもしれない)

214 : 以下、\... - 2015/03/27 07:38:48.99 D4CzpEIk0.net 71/89

―――

「いってきまーす」

「あら、今日は一段と早いわねぇ」

「まぁな、それじゃ」

「いってらっしゃ~い」





後輩「......あ、先輩! 遅いっすよ!」

「あぁ、悪いな」

(いや、俺そんなに遅かったか?)

後輩「じゃあ、行きましょうっす」

「お、おう......」

後輩(とりあえず......毎朝会う口実はできたかな)

215 : 以下、\... - 2015/03/27 07:46:57.18 D4CzpEIk0.net 72/89

(......こういうのは、無心で走っとけばいつかはつくはず......)

後輩「せ、先輩! 私......もう限界っす!」

「......」

(いや、体力なさすぎだろ。まだ片道一キロもいってねぇぞ)

後輩(ヤバイ......私将来絶望的じゃん......)

「......とりあえず、今日はここまでにしておこう。それと、筋トレとか家でやっといたほうがいいかもしれんぞ、お前。あるいは日常的に運動しとけ」

後輩「えぇ......」

(......こいつ、将来本当に大丈夫か?)

後輩「はっ......はいっす」

(......やる気だけはありそうなんだがなぁ)

217 : 以下、\... - 2015/03/27 07:54:40.62 D4CzpEIk0.net 73/89

―――

(画して、俺たちの早朝ランニングの日々ははじまったワケだが......)

後輩「はぁ......はぁ、せ、せんぱい。もうヘトヘトっす......」

「おい、大丈夫か? 無理してないか?」

(いや、もう明らかに無理か)

後輩「だ、だいじょうぶっす。こ、これくらいなら......あっ!」カツン

「って、おい!?」ガチッ

後輩「はぁ......あ、あぶなかったっす......」

「あのな......」

(こんなになるまでやる必要はないだろ......)

「ほら、立てるか?」

後輩「げ......げんかいっす」

「今日は何キロ走ったんだ? ともかく、無理して走っても最終的に反動がでかくなるだけだって。もう今日はやめにするぞ」

後輩「......」

後輩(先輩こそ、とっても無理してるように見えるけど......)

218 : 以下、\... - 2015/03/27 08:00:09.16 D4CzpEIk0.net 74/89

(......ボタン、押してみようかな)ガサッ......ポチッ

「......って、あ?」

後輩「どうかしたんすか?」

「あ、いや、別になんでもねぇよ」

(しまった、ポケットに入れた手がどっちか押してしまったっぽいぞ?)

(どっちなんだ、これ?)

>>221

221 : 以下、\... - 2015/03/27 08:03:54.28 HVosstes0.net 75/89


223 : 以下、\... - 2015/03/27 08:16:58.30 D4CzpEIk0.net 76/89

(しかたない......あとで確認しよう)

後輩「......ねぇ、先輩」

「ん?」

後輩「先輩は、どうして毎朝一緒に走ってくれるんすか?」

後輩(先輩だって、とっても疲れてるだろうに)

「......」

後輩「? 先輩......?」

「......バカか、お前は」

後輩「え?」

「バカかって言ってんだよ、お前は!」

後輩「えぇ!?」

後輩(え、私、いま怒られてるの?)

227 : 以下、\... - 2015/03/27 08:45:43.74 D4CzpEIk0.net 77/89

後輩「ど、どうしてっすか!? どうしてそんなことを言って......」

「お前が危なっかしいからに決まってんだろ!?」

後輩「......えっ?」

後輩(私が......危なっかしい?)

「前の痴漢事件のとき、あれ以来ずっと思ってたことだよ! お前は、やっぱり女子だし、体力もそこまでだし、その......可愛いし、ともかくなんか危なっかしいんだよ! わかるか!」

後輩「......」

後輩(先輩......そんなことを思って......)

「だから! ......だから、ひとりで無茶するのが、危なっかしくて......ガラス玉くらい、澄んでいて儚いからに決まってるだろうが......」

後輩「......」

228 : 以下、\... - 2015/03/27 08:46:39.66 D4CzpEIk0.net 78/89

後輩(......)

後輩「......先輩」

「な......なんだよ」

後輩「泣いてんすか?」

「はッ!? な、んなワケは......って、あれ?」

後輩「なんで先輩が泣いちゃうんすかー、なんかここは私が泣く感じじゃないっすか? 普通は」

「う、うるさい! な、泣いてねぇ! 俺は断じて泣いてねぇぞ!」

後輩「それはちょっと......無理があるっす」

「......はぁ」

(なんでこうなるかなぁ......)

230 : 以下、\... - 2015/03/27 08:53:19.15 D4CzpEIk0.net 79/89

―――

後輩「先輩、今日は色々とありがとうございましたっす」

「......今日も、の間違いじゃねぇの」

後輩「いえ先輩、いつも以上にっす!」

(......そういえば、赤ボタンの効果って......?)

後輩「それじゃあ、行きましょうっす! 学校へ!」

「あ、あぁ......」

(まぁ、いいか)

後輩「それじゃあ、お先っす!」

「え、ちょっ、お前どこにそんな余力が......?」

後輩(......先輩、私のこと思っててくれたんだ......///)

「......」

(......ま、今日はこれでよしとするか)

232 : 以下、\... - 2015/03/27 09:03:40.04 D4CzpEIk0.net 80/89

―――

キーンコーンカーンコーン

(さてと、六時限目も終了したし、さっさと帰るか)

後輩「先輩! 一緒に帰ろうっす」

ザワザワ

「......」

(たぶん、明日色々と面倒だな......)





後輩「先輩、どうかしたんすか?」

「あ? いや、別に......」

(......ボタン押すか)

(今朝は結局どっち押したのかわからなかったけど、いまは左右でボタンをわけたからわかるし)

(さて、押すボタンは......)

>>235

235 : 以下、\... - 2015/03/27 09:06:38.44 DGX7EvuY0.net 81/89

あか

247 : 以下、\... - 2015/03/27 09:28:27.24 D4CzpEIk0.net 82/89

(赤っと)ポチッ

後輩「先輩」

「ん? どうしたんだ?」

後輩「私、夢を諦めないっす」

「あ? あ、あぁ......頑張れよ?」

後輩「はいっす! ただ......」

「......?」

248 : 以下、\... - 2015/03/27 09:39:43.22 D4CzpEIk0.net 83/89

後輩「......なんというか、拍子抜けしちゃったというか」

「?」

後輩「......やっぱり、なんでもないっす!」

「? そ、そうか......?」

後輩(この想いは、まだ心のうちに留めておこう......)

後輩「さぁ、早く帰りましょう、先輩!」

「......おう」

(......まぁ、また今度聞けばいいか)

250 : 以下、\... - 2015/03/27 09:42:59.62 D4CzpEIk0.net 84/89

―――

「......」

(さて、そろそろ妹が帰ってくる頃かな)

ガチャッ

「ただいま......」

(......よし)

「おかえり!」

「な!?」

(あ、兄......なんかいつもと違う?)

「......なによ」

「この前はすまなかった!」

(と、突然にどうしたのよ......?)

「......」フンッ

252 : 以下、\... - 2015/03/27 09:51:12.60 D4CzpEIk0.net 85/89

「......まだ、怒ってるのか?」

「......」

(いまさら、引き下がれるワケないでしょう......)

「......愛してるぞ、マイ・シスター」

「にゃ!?」

「俺は、お前を家族として愛している!」

「にゃ、にゃにを......え?」

「お前が俺をどれだけ嫌いであろうが、俺は絶対にお前を嫌いになったりはしない! 俺のことは嫌いでも、それだけは忘れないでいてくれ!」

「......」

(......)

「......あー、なんか悪かったな。いろんな意味で」

255 : 以下、\... - 2015/03/27 09:58:40.43 D4CzpEIk0.net 86/89

「......」

(あれ......もしかしてこいつ想像以上に怒ってるのか? てか、そもそも俺の作戦が無謀だったってことも......)

(......)

「......ぷっ」

「......ぷっ?」

「あっはははははっ!」

「......えっ?」

(わ、笑ってる......?)

「あ、兄、バッカみたいwww」

「わ、笑うなよ!」

「あはははははっwwwwwwwwwwww」

「あぁ......もう、これでいいか」

「あははっwwwwww......はぁ......そ、それは私が決めることでしょう?」

「......そうだな」

256 : 以下、\... - 2015/03/27 10:08:03.74 D4CzpEIk0.net 87/89

「......なんかもう、バカみたい」

「ば、バカは失礼だろ......」

「本当......さっきまで意固地になって怒ってた私、バッカみたい」

「......?」

「......もう、いいわよ」

「ほ、本当か!?」

「......ていうか、あれはその、私がゴキブリを見て取り乱したというだけの話であって......その......こちらこそ、ごめんなさい」

「......」

(はぁ......これだから妹は)

「......よしよし」ナデナデ

「にゃっ!? にゃ、にゃにしてるの......よ///」

「......愛してるぞ、マイ・シスター!」ギュッ!

「ちょ、待って! や、ちょっとやめなさいッ!」ガシッ

「イタッ!? ......やったなぁ......いくぞッ!」


(......あ、えっと......私、気づかれてないのかしらぁ?)

260 : 以下、\... - 2015/03/27 10:32:32.48 D4CzpEIk0.net 88/89

―――

部下A「先生、実験は成功でしたか?」

「そうね......今回はほとんど青しか押さなかったし、もうちょっとデータが欲しいわねぇ」

部下B「ですが先生、もう被験者が......」

「実は......明日、あの子のクラスに転校生がくるのよ」

部下C「て、転校生ですか......?」

「えぇ、そして、その子がちょっと厄介......というか、過去に色々とあってね」

部下B「わかりました......」

部下A「で、ですが先生......?」

「どうしたの?」

部下A「えーっと、転校生用のボタンなんて、作っても意味をなさないんじゃないでしょうか? ......転校生っていうのは、あくまで一時的な形でしかないでしょう?」

「えぇ、そうよ。だけどあの娘は......それよりもっと深い、特別な関わりがあるのよ」

部下C「そ、それはいったい......?」

「それはね......」


「あの娘は兄くんの......幼馴染なのよ」フッ

266 : 以下、\... - 2015/03/27 10:43:45.34 D4CzpEIk0.net 89/89

―――

(あぁ、風呂上りの牛乳はやっぱ格別だなぁ)

ピンポーン

(? こんな時間に誰だろう......)

「はい」

宅配員『宅配便でーす』

(こんな時間に......いったい誰が?)





「こ、これは......!?」

(幼馴染用のボタン、だと......!?)

「......」

(また、頼んだ覚えもないのに、いったいどうして......?)


(......とんでもなく、嫌な予感がする......ッ)
                                         [完]

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