1 : VIPに... - 2013/10/18 01:35:38.32 +zkL4m9C0 1/771

今日から君がこの鎮守府の提督だ。

──なんで私なんだ。

良い働きを期待しているよ。

──嫌だなぁ……。

──────
────
──


提督「鎮守府に着任する。これより、艦隊の指揮を執る」

「は、はい! よろしくお願いします、司令官さん!」

(このお方が電の司令官さん……。若い男性ですが、少し小柄ですね)

(でも司令官さん、目に光が無いのです……大丈夫なのでしょうか……)

提督「……うん?」

「どうか……なされましたか?」

提督「他の艦船はどうした」

「え、えっと……電、だけですよ?」

提督「……は?」

「ですから……その……この鎮守府に居る艦船は、電だけですよ?」

提督「…………」

提督「駆逐艦一隻で……」

「は、はい?」

提督「どうしろってんだクソがああああああッッッ!!!!!」

「ひぃ!?」


拝啓、亡き父と母へ。

私の死亡先は海のようです。

元スレ
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382027738/
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」 二隻目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382975945/
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」 三隻目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385048978/

2 : VIPに... - 2013/10/18 01:45:20.89 +zkL4m9C0 2/771

「はう……はわわわ……あぅぅ……」

提督「──あ。ああ、すまん。取り乱した」

「びっくりしたのです……」

提督「だが、駆逐艦一隻でどうしろと。なんだ? 爆弾積んで敵母港に神風特攻か?」

「ち、違います違います!! 建造したり海で拾ったりして仲間を集めるのです!」

提督「……は?」

「え、えっと……ですから──」

~駆逐艦説明中~

「──というコトなのです」

提督「便利だな、これ→」~駆逐艦説明中~

「はい?」

提督「いや、こっちの話」

提督「まあ、やる事は分かった。最初に頂いた資源もあるし、まずは建造でもするか」

「はいなのです」

3 : VIPに... - 2013/10/18 01:51:44.45 +zkL4m9C0 3/771

「……でも、どうして建造なのですか? 海で拾ってきた方が、消費資材が少ないと思うのですが……」

提督「…………」

「あ……すみませんすみません! 司令官さんに意見をするなんて──」

提督「いや、気にしなくて良い。これからも意見は言ってくれ。私一人の考えでは足りん所もあるからな」

「え? は、はい」

(見た目と違ってマトモなお方……なのです)

提督「さぁて、各資材はこんくらいでいいか。頼んだ」

妖精「え、これマジで?」

「?」

提督「構わんよ。やってくれ」

妖精「まあ、提督が言うのなら……」ガッチャガッチャ

「あの……資材はいくらご投入を?」

提督「オールナイン」

「え?」

提督「上限いっぱいとも言う」

「ええええええええええええええ!!?!」

4 : VIPに... - 2013/10/18 02:05:41.13 +zkL4m9C0 4/771

「な、何をやってるのですか司令官さん!? 貴重な資源がぁ!!!」

提督「構わんよ」

(えええ……司令官さん、本気ですか……? 身動き取れなくなっちゃいますよ……?)

「まともじゃなかったのです……」

提督「よく言われる。ああ、バーナーも使っちゃって」

「うう……本当に大丈夫なのでしょうか……」

妖精「あたしシーラネ」ゴォォォ

~新しい船が出来ました~

提督「ほう」

「あわ……あわわわわ……」

金剛「英国で生まれた、帰国子女の金剛デース! ヨロシクオネガイシマース!」

金剛「貴方が提督ですカー?」

提督「ああ。これからよろしく頼む」

金剛「ィエース! 私にまっかせてクダサーイ!」

5 : VIPに... - 2013/10/18 02:12:20.85 +zkL4m9C0 5/771

金剛「そちらのレディのお名前は?」

「あっ。い、電と申します。金剛さん、これからよろしくお願いします!」

金剛「ハイ! 私の実力、見せてあげるネー!」

金剛「ところで、他の艦娘たちはドコですか?」

提督「いや、この鎮守府は君たち二人しか艦娘は居ないよ」

金剛「……ホワッツ!? どういう事ですカ!?」

「あの……司令官さんは今日、着任されたばかりなのです……」

「そして、初めての建造で金剛さんが進水されたのです」

金剛「……と、いうことは資材は」

「雀の涙しか残ってないのです……」

金剛「Oh……」

金剛(私……来る鎮守府を間違ったのカモしれません……)

提督「では、二人共。早速ですまんが、すぐに出撃準備をしてくれ。旗艦は金剛に任せる」

金剛(大丈夫なのでしょうカ……私達……)

8 : VIPに... - 2013/10/18 02:17:08.84 leJhq38Jo 6/771

最初に貰う資源でオールナインってできたっけ?

9 : VIPに... - 2013/10/18 02:20:03.73 +zkL4m9C0 7/771

>>8
確か出来なかったかと。
あれだ。きっと本部からくすねてきた。

10 : VIPに... - 2013/10/18 02:20:30.09 +zkL4m9C0 8/771

~鎮守府正面海域~

「あ、あの……司令官さん?」

提督「うん?」

「ど、どうしてついてきたのですか? 危ないですよ……?」

提督「お前達が戦場に出ているのに、上官である私が安全な場所でのうのうとするのは嫌だ」

提督「それに、無線だけでは分からないモノもある。的確な判断を下すなら前線に立つべきだ」

金剛(言ってる事はマトモなのですガ、そもそもテートクが居なくなったら私達もどうしようもできないデス……)

提督「そら、敵さんのお出ましだ」

金剛「!」

提督「総員、戦闘準備。敵影から見るに駆逐艦一隻だが気を緩めるな」

提督「金剛、砲塔をそのまま左に20°調整」

金剛「え?」

提督「敵が射程内に入り次第そのまま斉射」

提督「電はそのままでいい。もし第一射が外れたら撃つから準備だけしておけ」

「は、はい!」

金剛「わ、わかりマシタ!」

11 : VIPに... - 2013/10/18 02:30:14.87 +zkL4m9C0 9/771

提督「──今だ。金剛、テーッ!!」

金剛「ファ、ファイヤー!」

ロ級「ヒャhhバゴォォン! 轟沈

金剛「おお……」

「す、凄いのです司令官さん! 金剛さん!」

提督「気を抜くなと言ったはずだが?」

「あっ──」

提督「沈みたいのか、電」

「ご、ごめんなさい!!」ビクッ

提督「……分かれば宜しい」

「あ……」ナデナデ

(温かい……。司令官さん……変な人で、厳しいけど優しいのです)

提督「…………倒した敵艦から何か浮かんでるな」

金剛「あれは……艦娘のデータですネ。持って帰って実体化させまショー!」

提督「なるほど。だから『拾ってくる』か」

提督「私が回収する。金剛、電は周囲に敵が居ないか索敵をしてくれ」

提督(……敵艦から艦娘のデータが出てくる、か)

提督(まるで艦娘が沈んだのが深海棲艦みたいじゃないか……)

14 : VIPに... - 2013/10/18 02:50:24.47 +zkL4m9C0 10/771

金剛「むっ! テートク! 2時の方向から敵艦が来ますヨ!」

提督「! 数と艦種は」

金剛「軽巡が一隻と……駆逐艦が二隻デス!」

提督「そうか。連戦になるな」

提督「二人共、まだいけるよな?」

「い、電は全然大丈夫なのです!!」

金剛「テートクのおかげでピンピンしてるヨー!」

提督「良い返事だ。戦闘準備に入れ」

金剛「ハイ!」

提督「……なんだあれは。一隻だけ突出してきたぞ」

提督「金剛、さっきは細かく指示をしたが……狙えるか?」

金剛「イエース! この距離ならまず外しまセーン!」

16 : VIPに... - 2013/10/18 03:07:54.24 +zkL4m9C0 11/771

提督「よし。金剛、テーッ!!」

金剛「ファイヤー!」

イ級「ひぃぃッッハアアアア!!!」ヒョイ

金剛「なァッ!?」

提督「チ。避けられたか。よく見てやがる」

提督「電は突貫してくる敵艦を撃て。金剛は奥の軽巡だ」

提督「避ける事も考えて前門と後門で時間差で撃つんだ」

「電の本気を見るのです!」

イ級「オウフ!」ボゴォン! 中破

後方イ級「!」サッ ドォン! 大破

「あ、当たったのです!」

金剛「ノー! 敵旗艦を庇われまシタ!」

提督「だが、速度を維持できなくなったみたいだな」

17 : VIPに... - 2013/10/18 03:22:14.49 +zkL4m9C0 12/771

提督「敵から砲撃がくるぞ。総員、衝撃に備えよ!」

「はわわわわ!!」miss

金剛「シット! 至近弾!!」3ダメージ

提督「反撃だ。奴等の息の根を止め──!?」

提督「チッ……金剛は5時の方へ砲撃! 電は敵旗艦になんとしても当てろ! 挟まれた!!」

金剛「なんですッテ!?」

「ひぃ!」

駆逐ハ級「奇襲はいいものですたい」

金剛「なんて奴ネ! 主砲、砲撃開始!!」

駆逐ハ級「俺は不可能を可能にsバガァァン! 撃沈

軽巡ホ級「まだだ……まだ終わらんよ!」小破

「だ、ダメです司令官さん! 止めれません!!」

提督「もう雷撃距離か……。金剛は敵軽巡へ全門斉射。電は魚雷と主砲を残りの駆逐艦へ撃て」

提督「相手の錬度は低いが、気を引き締めろ」

18 : VIPに... - 2013/10/18 03:47:20.23 +zkL4m9C0 13/771

金剛「バーニング──ファイヤー!!」

「な、なのです!」

軽巡ホ級「馬鹿なぁ……ありえん……有り得んぞぉ!!!」 撃沈

駆逐's「「へべれげッ!」」 撃沈

提督「……周囲に敵影はあるか?」

金剛「──ノー。反応無いデス」

「…………電の方も何も反応ないです!」

提督「よし……戦闘終了。二人共よくやってくれた」

金剛「……テートク」

提督「うん?」

金剛「ごめんなさい……」

提督「……話が見えないんだが?」

「? ……?」

金剛「……出撃の際、私はテートクが前線に来るのを見てミステイクだと思いまシタ」

金剛「でも、テートクが指示を出してくれなかったら今頃、私達がこうして居られたかどうか怪しかったデス」

金剛「だから、ごめんなさいテートク」

「金剛さん……」

19 : VIPに... - 2013/10/18 03:55:33.92 +zkL4m9C0 14/771

提督「気にするな。ここは鎮守府の正面海域。そして初出撃だ。気が緩むのも無理はないだろう」

金剛「でも! それでも私は……間違っていました……。下手をしたら、私達はロストしていたのかもしれまセン……」

提督「……分かった。その件については後で処罰を行う。今は母港に帰ろう」

提督「こうして生きて帰れるのも、二人が居るからこそだ」

金剛「テートク……」

「司令官さん……」

提督「さて、では帰ろう。だが、索敵を怠るなよ?」

金剛「──はいっ!」

20 : VIPに... - 2013/10/18 04:04:51.26 +zkL4m9C0 15/771

~母港~

提督「二人共、燃料と弾薬を補充。そして金剛は風呂を済ませた上で私の部屋に来るように」

金剛「ハイ!」

金剛「って、テートク? どうして入渠なんデスカ?」

提督「至近弾を貰っていただろ、金剛」

金剛「でも、資材が……」

提督「足りるだろう?」

金剛「あ、あの……掠り傷ですカラ、私はまだまだ大丈夫デ──」

提督「金剛」

金剛「サ、サー!」ビクッ

提督「私の命令が聞けないと? それとも慢心してそのまま出撃し、沈みたいという願望でもあるというのか?」

金剛「ノ、ノー! 違います! 私はただ──」

提督「異論は認めん。例え掠り傷であったとしてもしっかりと修理をする事」

提督「……その傷が原因で沈んだら、後悔してもしきれなくなる」

提督「指示は以上だ。各員、指示が遂行次第、休息を取るように」

「は、はい!」

金剛「……はい」

21 : VIPに... - 2013/10/18 04:20:07.09 +zkL4m9C0 16/771

~提督室~

コンコン──。

提督「入れ」

金剛「……金剛、出頭しまシタ」

提督「そうか。少し待っててくれ」

金剛「…………? 何をしているんデスカ?」

提督「報告書だ。先の戦闘での戦果と被害、そして新たに手に入った駆逐艦二隻の進水とかのな。進水は明日だが」

金剛(……出会った時も思いましたケド……テートクは、なぜ死んだ目をしているのでしょうカ)

提督「待たせた。すまない」

金剛「い、いえ!」

提督「そうか。では早速、本題に入らせてもらう」

提督「金剛、お前は私の行動が間違っている思っていた……と言っていたな?」

金剛「……ハイ。ごめんなさい……」

提督「気にするなと言っただろう?」

金剛「それはダメです! それでは、いつかテートクを軽視する者が出てくると思いマス!!」

金剛「だから、ケジメは大事デス!」

提督「……ふむ。確かにそうだな」

22 : VIPに... - 2013/10/18 04:32:05.10 +zkL4m9C0 17/771

提督「……………………処遇を決めた」

提督「金剛、お前を私の私欲に使わせてもらおう」

金剛「────!! ハ……イ……」

金剛(そうデス……テートクも年頃の人デス……)

金剛(本当はディスライクですが、これもケジメ、デス)ギシッ

提督「どこへ座っている。こっちだ。椅子だ」

金剛「……ホワイ?」

提督「いいから、ベッドではなくこっちだ」

金剛「……?」チョコン

提督「じっとしていろよ」

金剛「……あのー、テートク?」

提督「んー?」

金剛「なんで、私の髪をブラッシングしてるのデスか?」

提督「処遇」

金剛「処罰じゃないんですか?」

提督「じゃあこれが罰だ。私への不敬と私への助言。二つ合わせて+-0といった所だろう」

23 : VIPに... - 2013/10/18 04:50:23.56 +zkL4m9C0 18/771

金剛「では、なぜブラッシング?」

提督「金剛の髪を梳きたかったから。言っただろう、私欲に使わせてもらうと」

金剛「プッ……アハハハ!」

提督「どうした、何がおかしい」

金剛「だって、これじゃあ罰にならないじゃないデスカ」

金剛「私、ブラッシングされるの好きですよ」

提督「そうか。じゃあこれからもブラッシングをして良いか?」

金剛「もっちろんデース!」

金剛(テートクのブラッシング、とっても優しくて丁寧デス……気持ち良いネ)

提督「だが、あまり男に髪を触らせるんじゃないぞ?」

金剛「何を言ってるんですか、テートク」

金剛「私、誰にでも触らせる訳じゃありませんヨー?」

提督「……そうか」

24 : VIPに... - 2013/10/18 05:02:36.72 +zkL4m9C0 19/771

金剛「ハイ♪ テートクだからデス!」

提督「……そうか」

金剛「むー……。反応が薄いデース……」

提督「ほら、ブラッシングは終わりだ。しっかりと休息を取るように」

金剛「ぅー……もうちょっとしてほしかったデース……」

提督「あと三十分もすれば食堂が閉まるが?」

金剛「そ、それはテリブルです! テートクも急ぎましょう!!」

提督「あっこら! 私はまだ仕事が──」

金剛「体調管理も仕事の内デース! 栄養をしっかり取らないと、指揮できなくなりマスヨ?」

提督「……そうだな。食堂へ行こう」

30 : VIPに... - 2013/10/18 13:23:00.34 uKhsAYXN0 20/771

~食後、提督室~

提督「ふぅ……。さあ仕事だ」ギシ

金剛「ハイ!」

「なのです!」

提督「……ところで、どうして二人がここに?」

「秘書なのです!」

金剛「テートク、私達も手伝いマース!」

提督「ああ……そうか。まだ秘書を任命していなかったな」

提督「だが、秘書は一人しか付ける気がない」

金剛「それじゃあ、どっちか一人デスカ?」

提督「そうなるな」

提督(さて……どっちに任命するべきか……)

提督(…………フタフタサンマル)チラッ

提督「よし。二人共、そこのソファーに座ってくれ」

提督「そのまま私から命令があるまでジッとしている事」

金剛「?」

31 : VIPに... - 2013/10/18 13:47:18.80 uKhsAYXN0 21/771

~十分後~

「…………」コックリコックリ

提督(ふむ、やはり船を漕ぎだしたか)

金剛(あ、ナルホド。まだ幼い電には眠い時間ネ)

「!!」フルフル

提督「…………」ジッ

「!!!」ハッ

提督「…………」

「……………………」ビクビク

提督「電、明日の為にゆっくり休んできなさい」

「うぅ……ハイ……」トボトボ

提督「ああそうだ、電」

「……?」

提督「今日一日ご苦労。また明日も私に力を貸してくれ」ナデナデ

「!」

金剛「!!」

「ハ、ハイなのです! 司令官さん、金剛さん、お先に失礼します」

ガチャ──パタン

32 : VIPに... - 2013/10/18 14:16:14.42 uKhsAYXN0 22/771

提督「さて、金剛。正式に任命する。私の秘書となり、サポートしてくれ」

金剛「…………あのぅ」

提督「うん?」

金剛「私も……撫でてもらって良いデスか?」

提督「秘書になってくれるのなら」

金剛「ハイ! なります! 高速戦艦金剛、提督の秘書の命、受け取りました!!」

提督「うむ。よろしく頼む」ナデナデ

金剛「はうぅ……」

提督「それでは仕事だ。時間が押している。書類の左上に提出先が書いてあるから、それを分けてくれ」

金剛「ハイ! 任せてくだサーイ!!」

提督「ああすまん。その前に」

金剛「?」

提督「紅茶を淹れてくれ。金剛も喉が渇いたんじゃないか?」

金剛「! 分かりました! 紅茶はとっても得意デース♪」

提督「期待しているよ」

……………………
…………
……

33 : VIPに... - 2013/10/18 14:37:13.62 uKhsAYXN0 23/771

金剛「テートクー、日付が変わりましたヨー」

提督「ん、もうそんな時間か」

提督「金剛、君はもう休んで構わない。ご苦労だった」

金剛「……テートクは?」

提督「私はまだやらねばならない仕事がある。ほら、そこの書類の束とかな」

提督「金剛のおかげで山から盆地くらいにはなった。これからも頼む」

金剛「……終わるまで手伝ってはイケマセンか?」

提督「ならん。体調管理も仕事の内なのだろう?」

提督「朝になったらまだやっていない事を──ああ……失敗した」

金剛「? テートク?」

提督(電に起床時間を伝えるのを忘れていた。参ったな……方法は無くもないが、あまりやりたくない)

金剛「?」

提督「いや、気にするな。独り言だ」

金剛「あの、テートク……私に何か出来る事はアリマセンか?」

提督「……どうした?」

金剛「私、もっとテートクの役に立ちたいデス! だから、何か指示を下サイ!」

提督「……そうか」

提督「じゃあ就寝しろ。起床はマルロクマルマルだ。マルロクサンマルまでに提督室へ来るように」

金剛「ええええええええええ!!!? テートクーッ!!??」

34 : VIPに... - 2013/10/18 14:56:59.09 uKhsAYXN0 24/771

提督「お前はこの小さな鎮守府の最重要艦だ。そして明日も朝から新しい事をする。早めに寝てくれないと困るのだよ」

金剛「ウ。ううー……分かりまシタ……」

金剛「……テートクもしっかりスリープして下さいヨ?」

提督「約束する」

金剛「…………一緒にスリーピングしても──」

提督「金剛」

金剛「ソ、ソーリー!! お先に失礼します!!!」

提督「ああ、おやすみ」

金剛「良い夢を!」

ガチャ──パタン

提督「…………小さなミスは数多く、大きなミスは三つ」

提督「一つ、各資材を浪費した事」

提督「一つ、電に中破した駆逐イ級ではなく軽巡ホ級へ攻撃させた事」

提督「……一つ、金剛に必要以上に気に入られてしまった事」

提督「……やり辛くなるな」

35 : VIPに... - 2013/10/18 15:07:19.47 uKhsAYXN0 25/771

~翌朝~

提督「電、起きているか」コンコン

……………………。

提督「…………」コンコンコン

『わひゃあ!? はっはい!! どなたですか!?』

提督「私だ。起きたか?」

『し、司令官さん!? ご、ごめんなさい! 寝過ごしてしまいました!!』

提督「いや、起床時刻を伝えていなかった私のミスだ。それに、寝過ごしてはいないから安心しておけ」

『は、はい……ありがとうございます……』

提督「三十分後のマルロクサンマルに提督室へ来るように。今日進水する駆逐艦達を紹介する」

……………………
…………
……

36 : VIPに... - 2013/10/18 15:18:19.83 uKhsAYXN0 26/771

提督「今日進水した二隻の駆逐艦を紹介する」

「雷よ。カミナリじゃないわ。そこのとこもよろしく頼むわね!」

「響だよ。その活躍ぶりから、不死鳥の通り名もあるよ」

「雷ちゃん! 響ちゃん!」

金剛「知り合いデスか?」

「はい! 姉妹艦なのです!」

「元気みたいね! 良い事よ!」

「見た所、暁は居ないみたいだね。すぐに会えるかな」

提督「安心しろ。すぐとは言わないが、見つけよう」

「さっすが司令官! 頼りになるわ!」

「司令官、スパスィーバ」

金剛「…………」

提督「そんなに悲しそうな目で見るな。どれくらい時間が掛かるか分からんが、金剛の姉妹艦も見つけるよ」

金剛「……約束デスよ?」

提督「ああ、約束だ」

37 : VIPに... - 2013/10/18 15:40:12.18 uKhsAYXN0 27/771

金剛「──アハッ。センキュー、テートク♪」

提督「…………」

金剛「?」

提督「さて、と。進水して間もないんだが、君たち駆逐艦は遠征してもらう」

金剛(テートク、一瞬だったけど……すっごく悲しそうな顔してた……)

「遠征?」

「資源はとても大事だからね。遠征で資源を拾ってこなければ、すぐに枯渇してしまうだろう」

提督「…………」

「? 司令官?」

「あの……あ、あの……」

「……既に、ほとんど枯渇状態なのです」

「……え?」

38 : VIPに... - 2013/10/18 15:55:20.40 uKhsAYXN0 28/771

~駆逐艦説明中~

「オールナインって……」

「どうしてだい、司令官?」

提督「深い意味は無い。強いて言うなら、直感だな」

提督「だが、そのおかげで金剛が早期にここへ来てくれた」

金剛「ヨロシクね!」

「……司令官、ちょっと良いかな」

提督「許可する」

「見た所、母港もまだまだ小さい。そして資材は枯渇寸前と聞く」

「戦艦である彼女をまともに運用できるのかい?」

金剛「────っ」ビクッ

提督「できんよ」

金剛「あ……」

提督「だから、君たち駆逐艦には遠征に出てもらう」

提督「その間、金剛は母港を守ってもらおう。だが、ジッとさせる訳ではない」

提督「装備の開発や秘書としての仕事もある。彼女には資材のあまり掛からない仕事を任せる気だ」

金剛「テートク……」

提督「──この鎮守府はまだまだ弱小だ。この国の明日の為に協力してくれ」

39 : VIPに... - 2013/10/18 16:06:02.03 uKhsAYXN0 29/771

「勿論よ司令官! もーっと私を頼りにしても良いのよ?」

「…………」

提督「まあ、それは建前だ」

「建前なのですか!?」

「たて……まえ……」

提督「当たり前だ。国の為など二の次。一番はお前達を誰一人とて沈ませず戦争を抜け出すことしか考えていない」

「……それは、司令官としてどうなのかな?」

提督「知らん。ここは私の城だ。私のやりたいようにやらせてもらう」

提督「それに、上も私へ大して期待しておらんよ。尻尾さえ振っておけば後はどうとでもやれる」

提督「例え、駆逐艦一隻を犠牲にして敵主力戦艦を五隻討ち取れる戦況でも、私は撤退命令を出す」

「エゴだね」

提督「エゴの塊だよ、私は」

「……司令官としては最底辺だね」

「響ちゃん!?」

「でも、嫌いじゃない。むしろ好ましい」

「司令官、作戦指示を。私は司令官の為に動きたい」

提督「ああ。だが、その前に──」

40 : VIPに... - 2013/10/18 16:16:18.75 uKhsAYXN0 30/771

────────────。

「なっ……ななななななんで!? なんで私は吊るされてるんだ!?」

提督「上官への暴言は許されるものではない」

提督「むしろこの程度で良かったと思え」

「ひ、響ちゃあああん!!!」

「──あ、下着が見えそうね」

金剛「……プリティピンク」

「ッ!?」ビクッ

「さ、流石にこれは……恥ずかしいな……」

提督「反省はしたか?」

「……もし、していないと言ったら?」

提督「そうか」クルクル

「あ、あああ……! た、たたた高くなった!?」

「完全に丸見えになったわね」

「はわわわわわわ!!」

「ひぅっ!!」

41 : VIPに... - 2013/10/18 16:26:28.32 uKhsAYXN0 31/771

金剛「テ、テートク……そろそろ降ろしてあげては?」

提督「…………」チラ

金剛「!!」ビクッ

提督「……あと二分吊るしておこう」

「ううう……」

~二分後~

「たった二分だったのに……物凄く長かった……」

「だ、だだ大丈夫ですか、響ちゃん!?」

「ん、ああ。どこも痛くないよ。……心はちょっと傷ついたけどね」

提督「…………」ジッ

「!! し、司令官! 先程の暴言、申し訳ありませんでした!!」

提督「……本当に身体は痛くないか?」

「え? はい……どこも痛くないですけど……」

提督「ならば良し。駆逐艦達は十分……いや、二十分後までに遠征準備をして第二艦隊船着場へ集まるように」

提督「私は先に待っている」

42 : VIPに... - 2013/10/18 16:43:35.25 uKhsAYXN0 32/771

「……響ちゃん、本当にどこも痛くないのですか?」

「うん? ああ、ほら、毛布に包んで縛られていただろう? どこも痛くないよ」

「え、毛布……?」

「あら、電ったら気付いてなかったの?」

「あうう……」

金剛「バット、どうして大人しく吊るされたのですか? 縛られたのは隣の部屋デスから、詳しくは分からないのデスけど」

「あ、ああ……それは……」

提督『抵抗すれば撃つ。言葉を発しても撃つ。大人しく縛られるのと、私にこの部屋を大規模な掃除をさせるのとどっちが良いか選びたまえ』

「──と、リボルバーを眉間に当てられて……」

金剛(怖ーーーー!!!!!)

「ハッタリなのは分かっていたから抵抗も出来たけど、従うことにしたよ」

「ハッタリ?」

「弾倉に弾が入ってないのが見えたんだ。間違っても弾が出ないようにする為だと思うよ」

「心臓に悪いのです……」

44 : VIPに... - 2013/10/18 16:54:01.95 uKhsAYXN0 33/771

「──っと、毛布が汚れてしまったね。不用意に床へ置くんじゃなかった」

金剛「あ……」

「うん?」

金剛「い、いえ。なんでもないデース!」

金剛「その毛布、皆が遠征に出てる間に洗っておくヨー」

「ん、了解した。頼んだよ」

金剛「まっかせなサーイ!!」

金剛(……この毛布、提督のベッドにあった物なのデス。という事は……)

48 : VIPに... - 2013/10/18 17:04:49.78 uKhsAYXN0 34/771

~その夜~

提督「ふむ……仕事は終わりか」

金剛「途中でスコールになって、遠征も練習だけで切り上げちゃいましたからネー」

提督「あれはかなりの痛手だった。特に燃料が痛いな」

金剛「どうにかしてやりくりしないとイケマセンねー……」

提督「そこは上へ申請して少し多めに頂く事にする」

提督「今回の遠征、敵艦が現れて至近弾をいくつか貰っただろう?」

金剛「え? ハイ……」

提督「損傷箇所をいくつかでっち上げておいた。修理に使った燃料と鋼材を余分に要求したよ」

金剛「そ、それって大丈夫なんデスか!?」

提督「無論ダメだ。だが、現場に居た人間しか分からないくらいの水増しだ。まずバレんよ」

金剛「ほええ……」

提督「金剛、分かってはいると思うが──」

金剛「ハイ! 私は提督の味方デス!」

提督「感謝する」

提督「それでは、今日の仕事は全て終了。金剛、部屋に戻って休息を取れ」

金剛「ハイ!」

ガチャ──パタン

49 : VIPに... - 2013/10/18 17:15:14.40 uKhsAYXN0 35/771

提督「……寒いな。毛布は乾いてないし、代えの毛布を備蓄倉庫へ取りに行くか」

~倉庫物色中~

提督「無い……だと……?」

提督「仕方が無い……。風邪を引かないようにしなければ……」

ガチャ──パタン

提督「うん?」

金剛「おかえりなさい、テートク!」

提督「…………なぜここに居る」

金剛「ちゃんと毛布を取りに自室に戻りまシタ」

金剛「そして、休息を取る為にここへ来まシタ」

提督「私が聞きたいのはそういう事ではない。どうしてここで寝ようと思っているんだ」

50 : VIPに... - 2013/10/18 17:23:41.49 uKhsAYXN0 36/771

金剛「だって、テートクの毛布が乾いてまセン」

提督「備蓄倉庫から取ってくる。だから自分の部屋へ──」

金剛「午前中に備蓄倉庫を確認しましたケド、毛布なんて無かったデス」

金剛「毛布は一枚。加えて寒い中にこのスコール。私達の二人が風邪を引かない為には一緒に寝るしかないデス」

提督「……分かった。私は毛布無しで寝る。だから──」

金剛「テートクが風邪を引いてしまったら、明日の仕事に影響が出てしまいマス」

提督「暖房を使って──」

金剛「暖房用の燃料、まだ無いですよネ?」

提督「代えの服ならある。それを何枚か着て──」

金剛「三着しかないデス。それでは風邪を引いてしまいマス」

提督「……はぁ。参った。降参だ」

金剛「ヤッタ! 私の勝ちネ! テートクー、カムヒアー!」

提督「帽子と上着くらいは脱がせてくれ。皺が付く」

提督「それと、私は男だと分かっているよな?」

金剛「勿論デスよ?」

提督「……自分の身の安全を考えないのか?」

金剛「テートクはそんな事しまセン! それはこの間の処遇で知っていマース!」

提督「分からんぞ。仮に金剛の予想が外れて襲ったらどうする」

金剛「襲われたらデスか? うーん……」

金剛「……テートクなら、受け入れちゃうかもしれまセン。アハッ」

51 : VIPに... - 2013/10/18 17:30:54.65 uKhsAYXN0 37/771

提督「冗談でもそういう事を言うもんじゃない」コツン

金剛「アウチッ。むー……テートク、ノリが悪いデース……」

提督「まったくお前というヤツは……」

提督「電気、消すぞ」

金剛「ハイ。準備オッケーデース!」

提督「何の準備だか……」

提督「それじゃあ、失礼する」モゾ

金剛「アンッ」

提督「ソファーで寝る」

金剛「ジョークですってばテートクー!」

提督「次は無い」モゾ

金剛「はーい……」

金剛「……ねぇ、テートク」

提督「なんだ?」

金剛「テートクはやっぱり優しいデス」

提督「とんだ勘違いだな」

金剛「私の中では優しい人デス」

提督「……そうか」

52 : VIPに... - 2013/10/18 17:41:16.42 uKhsAYXN0 38/771

金剛「響に罰を与える時も、痛くないように毛布を使ってましたし」

金剛「吊るしている時も、響の表情をずっと見て苦痛がないかどうか確認していました」

提督「そうか、そう見えたか」

金剛「遠征の準備も、五分で終わるものに二十分もくれました」

金剛「充分に響へフォローできる時間です」

提督「…………」

金剛「他にも、響へ銃を突きつけたと聞きましたが、弾が入ってなかったそうです」

提督「万が一にも誤射しない為だ」

金剛「本当に脅すなら弾が入っていないと意味がないです」

提督「…………」

金剛「そして、さっきも私を気遣ってくれました」

提督「当然だろ」

金剛「私は──私達は、提督の道具です。本来だったら気遣う必要なんてないです」

提督「私のやりたいようにやっているだけだ」

金剛「気遣ってくれてるのは、今もです」

提督「…………」

53 : VIPに... - 2013/10/18 17:51:41.94 uKhsAYXN0 39/771

金剛「提督、背中を向けてくださってます。私を少しでも安心させる為です」

提督「……………………」

提督「勘の良いヤツだ」

金剛「あはっ」

金剛「提督、こっちを向いてください。背中を眺めるのは、寂しいです」

提督「…………」

金剛「向いてくれなかったら、私がそっちへ行きますよ?」

提督「分かった分かった……」モゾ

金剛「提督♪」ギュー

提督「む」

金剛「やっぱり、あったかいです……。提督も抱き締めてください」

提督「……拒否権は」

金剛「ありません!」

提督「……分かったよ」ギゥ

金剛「あはっ。あったかい……」

金剛「ここ最近で、一番心を落ち着けて眠れそうです……」

54 : VIPに... - 2013/10/18 18:02:50.60 uKhsAYXN0 40/771

提督「……そうか」

金剛「はい。提督、おやすみなさい……良い夢を」

提督「おやすみ」

提督「……………………」

提督(……困ったなぁ。本当、困った……)

~翌朝~

金剛「ん……」

提督「おはよう、金剛」

金剛「てーとく……?」

金剛(なんでテートクが私の部屋……じゃない!)

金剛(そうでシタ! 私、テートクと一夜を──)ガバッ

金剛「いち、やを……」

金剛「あうあうあう……! あう……?」

提督「どうした金剛」

金剛「……テートク、お仕事デスか?」

提督「ああ。午前中に終わらせておきたいからな」

金剛「…………」

金剛(テートク、ロマンチックじゃないデース……)

55 : VIPに... - 2013/10/18 18:11:56.99 uKhsAYXN0 41/771

金剛「って、午前中に?」

提督「そうだ。今日一日は全員に暇を出しておいた。この濃霧じゃ出撃なぞできんよ」

提督「加えて資材が枯渇する寸前だ。資材は明日届くから、どっちにしろ明日じゃないと動けん」

金剛「ナルホドー」

提督「まあ、何もしない訳にはいかないからな。何か装備でも作っておこうか」

提督「ところで金剛、顔を洗ってきた方が良いんじゃないか? まだ軽く寝惚けているように見えるが」

金剛「え? いえそんな事は──」

提督「そうだな、ゆっくりと時間を掛けてきて良いぞ。今日は時間があるからな。秘書の仕事はそれからだ」

金剛「! ハイ! 行ってきマース!」

ガチャ──パタン

56 : VIPに... - 2013/10/18 18:15:59.01 uKhsAYXN0 42/771

金剛(って、テートクはどうして私が朝にバスタイムするの知ってるのでしょうカ……?)

金剛(……………………そういえば、書類が半分終わってましたネ)

金剛(今は……マルロクマルマル。という事は、最低でも一時間前には起きていたのデスか)

金剛(私の部屋からシャワー室へ行くにはテートクの部屋の前を通らないと行けナイ)

金剛(だから、私が朝にバスタイムを知っているのデスか)

金剛「……昨日の仕返しデスかね? ふふっ」

金剛「──楽しいデス」

……………………
…………
……

58 : VIPに... - 2013/10/18 18:35:18.86 uKhsAYXN0 43/771

~工廠~

提督「で、だ……金剛」

金剛「ワオ……」

提督「お前、何やった?」

金剛「何もやってないデスよ……?」

提督「じゃあなんで、妖精達は建造してるんだ……?」

金剛「提督のご指示じゃなかったんですか……?」

提督「いや、私じゃない……勿論、秘書以外の者が建造に関わる事もできない」

金剛「…………」

提督「…………」

金剛「これ、どう見ても空母デスよね?」

提督「……ああ、それも正規空母だな」

59 : VIPに... - 2013/10/18 18:44:32.22 uKhsAYXN0 44/771

妖精「お、やあ提督」

提督「……何を造ってるんだ?」

妖精「空母」

提督「資材はどこから?」

妖精「港に沈んでた艦をリサイクル」

提督「…………どうやって?」

妖精「あたし達にできない事なんて……一杯あるけど、これくらいならできるよ」

妖精「昨日、提督が駆逐艦達を思いながら遠征練習してるのに心を打たれちゃってね。」

妖精「いやぁ、良かったよアレ! 『資材を持って帰れないと判断したら資材を捨ててでも帰ってこい』なんてさ!!」

妖精「ありゃあ普通の提督には言えないよ」

提督(そうなのか……?)

金剛(たしかに、死んでも持って帰ってこいって言う人がほとんどでしたケド……)

62 : VIPに... - 2013/10/18 19:09:10.98 uKhsAYXN0 45/771

妖精「という訳で、あたし達からのプレゼント。おお、丁度出来たっぽいね」

瑞鶴「──はじめまして! 翔鶴型航空母艦2番艦、妹の瑞鶴です!」

提督「」

金剛「」

瑞鶴「って、あ、あれ?」

妖精「ふふん。ちょっと本気出しました。どうせなら良いモノをプレゼントしたいしね」

提督金剛「どうしよう……」

妖精「……あれ? お気に召さなかった?」

提督「いや、こんなに難しい船を造ってくれて物凄くありがたい」

金剛「だけどネ、妖精さん……」ピラッ

妖精「うん? 資材倉庫の情報紙? ……え?」

瑞鶴「なになに? 見せて?」

瑞鶴「……うわぁ」

妖精「これ、運用できないじゃん……」

瑞鶴「え……私、来るところ間違えた……?」

金剛(私と全く同じコト考えてマスね……)

妖精「ま、まあ! ここからは提督の腕の見せ所ということで……さいならー!!!」

64 : VIPに... - 2013/10/18 19:21:20.14 uKhsAYXN0 46/771

瑞鶴「……提督さん、大丈夫?」

提督「どうしよう……ホントどうしよう……」

瑞鶴「ですよね……」

金剛「駆逐艦達に遠征を頑張ってもらいまショウ……」

提督「それしかないな……」

瑞鶴「……ちなみに、なんだけど……ここの艦娘保有数は?」

金剛「駆逐艦三隻と、私達だけデース……」

瑞鶴「…………詰んでるじゃないの!?」

提督「……金剛、駆逐艦たち全員に伝えてくれ」

提督「ヒトサンマルマルから作戦会議……それも非常に重要な、と……」

金剛「分かりまシタ……」

瑞鶴「…………」

提督「…………」

67 : VIPに... - 2013/10/18 19:32:22.39 uKhsAYXN0 47/771

瑞鶴「……提督さん、どうする? あの……なんだったら解体しても──」

提督「それは認めない」

提督「それとも、瑞鶴は解体されたいのか?」

瑞鶴「そりゃ……嫌だけど……」

提督「ならばそれが答えだ。私はお前を解体しない」

瑞鶴「……どうやっても極貧生活になるわよ?」

提督「いくら普通の女の子になるからといって、解体で悲しそうな顔をする艦娘を見たくない」

瑞鶴「……エゴね」

提督「エゴの塊だよ、私は」

瑞鶴「加えて大馬鹿だと思うわ。この先、上手くやって極貧生活。下手を打ったら敵に殺されるっていうのに──」

グチグチグチグチグチグチグチ。

提督「…………そうかそうか」

瑞鶴「──え? あ……」

……………………
…………
……

69 : VIPに... - 2013/10/18 19:44:00.57 uKhsAYXN0 48/771

「休みが作戦会議になるくらい重要な事って何かしら?」

「きっと、とっても大変な事があったのです」

「それだと緊急召集を掛けると思うけど……うん?」

瑞鶴『たーすーけーてー!!』

「だ、誰かの悲鳴が聞こえてくるのです!」

「行きましょう!!」

「……なぜだろう。とても同情したくなる声だ」

~提督室隣の部屋~

「ここなのです!」

「えいやーっ!!」バターン!

瑞鶴「あ、た、助け──いや待って! まず見ないでぇ!!」

「吊るされてる……」

「響ちゃんみたいになってるのです……」

「提督、何があったんだい?」

70 : VIPに... - 2013/10/18 19:58:50.22 uKhsAYXN0 49/771

提督「八分に渡る上官への暴言、侮辱、その他諸々の罪で吊るし上げた」

瑞鶴「だ、だからってこんな辱め──」

提督「時間追加」

瑞鶴「ひぃっ!?」

金剛(瑞鶴さん……同情するネ……)

「…………」

「あーあ……司令官を怒らせちゃったのね」

「むしろ八分もよく続けれたと思うよ。私にはできない」

瑞鶴「だ、だって……」

「安心して良い。私も吊るされた。昨日」

「それにしても、そこまで言ったのなら、どうして懲役刑じゃないんだい?」

瑞鶴「!?」

「いやむしろ、そんなに長々と言ったのならその場で銃殺してもおかしくないと思うんだけど」

瑞鶴「!!?」

71 : VIPに... - 2013/10/18 20:15:39.62 uKhsAYXN0 50/771

提督「知らん。私はそんな腐った法に従う気はない」

提督「この鎮守府内だけだがな」

瑞鶴「それはそれでどうなの提督さん……」

提督「そうか」

瑞鶴「わぁぁああ!! 嘘嘘! ごめんなさい!!!」

提督「嘘をついてまで私を貶めたかったのか?」

瑞鶴「あの……その……」

提督「…………」ジッ

瑞鶴「えっと……う……」

提督「…………」ジッ

瑞鶴「ぅ、ううう……」ジワ

提督「ところで皆、もうすぐヒトサンマルマルだが?」

全員「!!」ビクゥ

「は、はいい!!」

「い、急ぐのです!!」

「もうあんな思いはゴメン!!!」

金剛「あ、あの、私もですか?」

提督「うむ」

金剛「オ、オーケー!! テートクも程ほどにネー!?」

──パタン

76 : VIPに... - 2013/10/18 20:37:35.96 uKhsAYXN0 51/771

瑞鶴「うぅ……うえぇ……」ポロポロ

提督「…………」クルクルホドキホドキ

瑞鶴「ぐすっ……?」

提督「悪かった。もしかして痛かったのか?」

瑞鶴「…………」フルフル

提督「本当だな?」

瑞鶴「…………」コクン

提督「そうか……。泣くほど嫌がるとは思っていなかった。すまない」

瑞鶴「う……」ジワッ

瑞鶴「うう~~ッッ!!!」

提督「っとと?」

提督(なぜ抱き付いてきた……)

81 : VIPに... - 2013/10/18 20:54:00.81 uKhsAYXN0 52/771

瑞鶴「教えて……どうしてこんなに罰が甘いの……」

提督「さっきも言っただろう。私はあんな法に従うつもりはない」

瑞鶴「……それだけ?」

提督「建造直後とはいえ、既にお前は私の艦だ。誰が捕まえたり殺したりするものか」

瑞鶴「でも……私はあんなに沢山……」

提督「だから罰を与えた。充分に恥ずかしかっただろう」

瑞鶴「そりゃ……そうだけど……」

提督「…………」

提督「……私は、悲しまれたりするのが苦手なんだよ」

瑞鶴「……?」

提督「本当なら気にするなと言ってやりたい。だが、それではダメだと秘書に叱られてしまってね」

提督「だから、こうしてケジメをつけている。吊るされるのは嫌だろう?」

瑞鶴「…………」コク

提督「それに……お前を刑に処したら、姉の翔鶴がやってきた時に悲しむ」

瑞鶴「…………」

瑞鶴「……優しすぎ」

提督「悪いか?」

瑞鶴「ううん……そういうの、好き……」

82 : VIPに... - 2013/10/18 21:02:18.54 uKhsAYXN0 53/771

提督「ところで、顔を洗ってきた方が良いだろう。抱き付くのもそろそろ止めておいた方が良い」

瑞鶴「え?」

提督「ん?」

瑞鶴「…………」

瑞鶴「──ピィッッッッ!?!!??!」ビックゥ

瑞鶴「ご、ごごごごごごめんなさいいいい!!!!!!!」ダッシュ

提督「…………嵐のような娘だ」

~一方、隣では~

「い、いいいい今、とんでもない声が聴こえてきたのです……!」ビクビク

「何をやったのかしら、提督……」オドオド

「まるで鴨の首を絞めたかのような声だったね……」ガタガタガタ

金剛(気になりマース……)

……………………
…………
……

85 : VIPに... - 2013/10/18 21:12:43.73 uKhsAYXN0 54/771

提督「さて、諸君」

金剛瑞鶴「ハイ!!!」ビシィッ

提督「……これから作戦会議を行う。議題は『不足している資材の調達方法』についてだ」

金剛瑞鶴「────」ピシッ

提督(やたら皆気合が入っているな……)

提督「手元の資料を見て貰えば一目瞭然だが、現在この鎮守府の資材は枯渇寸前となっている」

提督「運用できて駆逐艦三隻が限界だろう。だが、駆逐艦達には遠征をしてもらわなければならない」

提督「この現状を打破するに有効な手段が無い。そこで、諸君らにも知恵を分けて欲しい」

提督「何でも良い。思いついた者は手を挙げて述べてくれ」

「あの……資材が集まるまで遠征のみというのはどうですか?」

提督「一番確実で効率が良い意見だ。だが、昨日のように敵艦が近くに居る可能性が高い」

提督「そこを狙われて轟沈してしまったら、それこそこの鎮守府は終わりだ」

86 : VIPに... - 2013/10/18 21:25:09.63 uKhsAYXN0 55/771

「はい! 護衛に金剛さんを付けるのはどう、司令官?」

提督「それだとマイナスになってしまう。この近海で得られる資源は少なくてな……」

「夜、海岸を影にして遠征をするのはどうだろう?」

「私達が昼に寝れば、夜を通しての遠征ならできると思うよ」

提督「ふむ……。これを見てくれ」

「これは?」

提督「本部からの情報だ。夜になると、赤や黄のオーラを纏った敵艦が複数出没するらしい」

提督「奴等の戦闘能力は非常に高いものとされるようだ。重巡が駆逐艦に落とされたという報告もある程だ」

「これは……提督は許可してくれそうにないね」

提督「うむ」

提督「何度でも言うが、資材を持って帰れないと判断したら資材を捨ててでも帰ってこい」

瑞鶴「資源を捨ててでもって……貴重なんでしょう?」

提督「資源など時間を掛ければいくらでも手に入る」

提督「だが、君達は君達しか居ない。例え同じ設計図で組み立てても、それは彼女等であって君達ではない」

金剛「提督……」

87 : VIPに... - 2013/10/18 21:34:07.23 uKhsAYXN0 56/771

金剛「ぁ──」

瑞鶴「あの、良いです?」

金剛(──の……)

瑞鶴「ちょっと賭けになっちゃうのがネックなんですけど、艦娘を増やすのはどう?」

提督「増やす?」

瑞鶴「敵艦を撃破すれば艦娘のデータが手に入るでしょう? 初期投資という事で、海からデータを拾ってくる」

瑞鶴「修理や補充ができなくなるのは痛いけど、艦隊を二つに分けて出撃すれば、二倍のチャンスが巡ってくるわ」

瑞鶴「近海の敵も減らせる。新たに手に入った艦娘で遠征も出せる」

提督「…………」

瑞鶴「ど、どう……?」ビクビク

提督「……保留。他にも良い案が無いか考えてから検討しよう」

提督「いや、むしろこの案を基にどう動くか考えた方が良いだろう」

金剛「!」

瑞鶴「やった!」

91 : VIPに... - 2013/10/18 22:03:48.07 uKhsAYXN0 57/771

提督「金剛、何か他に案はあるか?」

金剛「え、あ……その……」

金剛「……無いです」

提督「…………そうか。では、瑞鶴の案を基に話を進めよう」

金剛(大体同じ案だったけど、瑞鶴の方がしっかりとしていました……)

金剛(劣化の案なんて、言えません……)

提督「…………」

……………………
…………
……

92 : VIPに... - 2013/10/18 22:06:05.60 uKhsAYXN0 58/771

「提督、この子→ID:KIphuwbUo どうする?」

提督「無論……」

瑞鶴「私と同じ目によ!!」ブラーンブラーン

金剛(また何かやったのデスか)

93 : VIPに... - 2013/10/18 22:18:02.72 uKhsAYXN0 59/771

提督「──よし、練り固まったという所だろう。諸君、お疲れ」

提督「この会議での作戦を明日までに頭に叩き込んでおく事。良いな?」

瑞鶴「ハイ!!!」

提督「……宜しい。では各自自由行動」

提督「ああ金剛、お前だけは残ってくれ」

金剛「……え?」

提督「お前は私の秘書だ。やってもらいたい事がある」

金剛「──ハイ」

提督「駆逐艦達は瑞鶴にこの鎮守府の案内をしてやってくれ」

「はーい、司令官。瑞鶴さん、いっきますよー!」

瑞鶴「あ、こ、こら。引っ張ったら──」

──パタン

94 : VIPに... - 2013/10/18 22:36:17.54 uKhsAYXN0 60/771

提督「……さて、人払いは済ませた」

金剛「!」ビクッ

提督「金剛、私が何を言いたいのか分かるか?」

金剛「……私は、役立たずでシタ」

金剛「ろくな案も出せず……かといって煮詰めることも、本当に何も出来なかったです……」

金剛「ごめんなさい……提督……」

金剛「私、役に立てなかった……」

提督「ああ、違う」

金剛「──え?」

提督「私が言いたかったのはそうじゃない」

提督「だが、聞きたかった事が聞けた」

金剛「? …………?」

提督「会議中、何か思い詰めてるようだったからな。気になっていた」

提督「悲しい顔をさせたk……いや、聞き流してくれ」

提督「ゴホン。明日の作戦に支障が出るからな。ケアが必要だ」

金剛「…………」

95 : VIPに... - 2013/10/18 22:46:23.75 uKhsAYXN0 61/771

提督「……どうした? ノーマル駆逐艦からクリティカルを貰ったかのような顔をして」

金剛「あははっ。なんでもないデス」

金剛「涙、ひっこみまシタ!」

提督「良い事だ。泣くのは嬉しい時だけで良い」

金剛「ふふっ、そうさせて下さいネ、テートク♪」

金剛「I don't mind that everthing is a lie」

提督「む?」

金剛「As long as I love you forever」

提督「……流暢だな。聞き取れなかった」

金剛「内緒デース♪」

金剛「ただ……一つ言うなら」

金剛「私、こんなに惚れやすくないはずなんですけどね」

提督「……………………」

金剛「それじゃあ、グッナイ提督♪」

──パタン

提督「…………は?」

96 : VIPに... - 2013/10/18 22:55:10.82 uKhsAYXN0 62/771

カチャ……

金剛「あのぅ……」

提督「……なんだ?」

金剛「髪、梳いてくれますか?」

提督「……さっき良い夢をって言わなかったか?」

金剛「ぅー……」

提督「…………」

金剛「ダメ、ですか?」

提督「……椅子に座りなさい」

金剛「ヤッター!」チョコン

提督「嬉しそうだな」

金剛「そりゃあモッチロン!」

金剛「んー♪ やっぱり気持ち良いデース♪」

提督「そんなに良いのか……?」

金剛「ハイ! 提督のブラッシングは優しくて丁寧デス!」

金剛「もう私、テートクの虜ですヨー?」

提督「冗談……じゃないんだよな?」

97 : VIPに... - 2013/10/18 23:08:37.29 uKhsAYXN0 63/771

金剛「おっ。テートクはコミックスとかでよくある都合の良い難聴はないみたいですね」

提督「なんだそれ」

金剛「告白とカー、それに順ずる言葉ダケ聴こえなくなる現象デス」

提督「もはやそれって分かっててやってるだろ」

金剛「まあ、コミックスですからネー」

提督「それもそうだな」

金剛「ネー、テートクー」

提督「うん?」

金剛「今日も一緒にスリーピングして──」

ガタッ!

金剛「!?」

提督「……誰だ? 現れなかった場合、明日、全員を縛り上げて──」

ガチャ──パタン!

瑞鶴「わ、私です!」

102 : VIPに... - 2013/10/18 23:31:01.47 uKhsAYXN0 64/771

金剛「瑞鶴?」

提督「……無断で部屋に入ってきた事についてだが」

瑞鶴「あぁっ!? ご、ごめんなさい!!!」ビクビク

提督「いや、現れろと言ったのは私だ。不問にする」

提督「だが、どうして盗み聞きしていた?」

瑞鶴「それは……その……」

瑞鶴「えっと……ですね……」

瑞鶴「…………」

提督「瑞鶴」

瑞鶴「ひゃいッ!?」

提督「……………………」

瑞鶴「ぅ……」ビクビク

提督「話せ」

瑞鶴「はいぃ……」

金剛(ちょっとだけ可哀想デス……)

103 : VIPに... - 2013/10/18 23:38:47.27 uKhsAYXN0 65/771

瑞鶴「あの……この通路を通ろうとした時、金剛さんが入っていくのが見えたの」

瑞鶴「なんだかすっごい笑顔だったから、つい気になって……」

金剛「あ、あぅぅぅ……」

瑞鶴「えっと……差し支えなければ聞いても、良いですか?」

提督「…………」チラ

金剛「…………………………」コク

提督「髪を梳いてくれとねだってきたので梳いている」

金剛「ス、ストレート過ぎですよ提督ー!!」

提督「回りくどく言った方が良かったか?」

金剛「…………いえ、このままの方が良かったデス」

瑞鶴「……仲が良いですね」

提督「懐かれてしまってな」

金剛「懐いてるんじゃありまセン。惚れているんデス」

瑞鶴「なぁ!?」

提督「お前の方がストレートじゃないか……」

金剛「開き直りまシタ!」

104 : VIPに... - 2013/10/18 23:50:54.78 uKhsAYXN0 66/771

提督「……女心は分からん」

瑞鶴「……あの」

提督「うん?」

瑞鶴「私も立候補して良いですか」

金剛「ホワッツ!?」

提督「…………」

金剛「ど、どうしてですか!? 貴女、今日来たばっかりじゃないですか!!」

提督「それ、昨日来たばかりのお前が言えるか……?」

金剛「……あー…………」

瑞鶴「分からないんです」

提督「ん?」

瑞鶴「なんか、金剛さんが提督さんと……その……恋仲、になるのがとても嫌って思って……」

瑞鶴「でも、提督さんの事が好きかって言われたら、合ってるような違うような……良く分からないの」

提督「…………」

瑞鶴「だから、金剛さんが提督さんと恋仲になる立候補をするなら、私も──」

提督「話の途中ですまんが、一つ言わせてくれ」

瑞鶴「え?」

105 : VIPに... - 2013/10/19 00:11:16.50 Dt4axTQb0 67/771

提督「私は金剛の想いを受け入れるともなんとも言っていないし、そもそもハッキリとした……いわゆる告白は受けていない」

金剛(言いましたのにー……)

提督「そもそも、私にとって二人は昨日今日、出会ったばかりなんだ」

提督「そんな出会ってすぐ決めれるほど飢えておらんよ」

提督「金剛がそこの所をどう思っているのか知らないが……」

金剛「アピールするだけですよ。私は食らいついたら放さないんだから!」

金剛「あ、でも、嫌がってたら流石に諦めますケドね」

金剛「提督が振り向いてくれるまで、ささやかに想い続けます」

提督「…………分かった。憶えておく」

提督「瑞鶴もそれで良いか?」

瑞鶴「え? は、はい……」

提督「それじゃあ二人共、今日は解散。明日に備えよ」

金剛「ハーイ」

瑞鶴(…………?)

瑞鶴(なんか、無理矢理に追い出そうとしてる……?)

──パタン

提督(…………はぁ)

提督(本当に困った……)

提督(……………………やりづらい……)

106 : VIPに... - 2013/10/19 00:22:46.58 Dt4axTQb0 68/771

~翌日~

「晴れたね」

提督「ああ、晴れたな」

提督「──これより第一艦隊、第二艦隊に分かれ、南西諸島沖に向けて出撃してもらう」

提督「第一艦隊は瑞鶴、電、雷」

瑞鶴「はい!」

提督「第二艦隊は金剛、響」

金剛「ハイ!」

提督「昨日も言ったが、今から言う事は何がなんでも守れ」

提督「『まだいける』と思ったらもう危ない。そして『もう危ない』と思ったらいつ沈んでもおかしくないと思え」

提督「慢心は死を招く。海の上では気を抜くな」

全員「はい!!」

提督「金剛、響。私の留守中、母港を守ってくれ」

金剛「ハイ!」

提督「出撃する。第一艦隊、出撃」

107 : VIPに... - 2013/10/19 00:34:25.21 Dt4axTQb0 69/771

~南西諸島沖~

瑞鶴「……普通に出てきたからなんとも思わなかったけど」

「どうして司令官も一緒に来てるの?」

提督「電は知ってるが、お前達が戦場に出ているのに、上官である私が安全な場所でのうのうとするのは嫌だ」

提督「あと、無線だけでは分からないモノもある。的確な判断を下すなら前線に立つべきだ」

瑞鶴「もっともだけど、危なくないかしら……」

瑞鶴「提督さんが居なくなったら、私たち何もできなくなるわよ?」

提督「だからこその指示だ」

「? どういう事?」

提督「……本当は演習で経験を積ませるのが良いんだが、何せ資源が無いからな。私のせいで」

瑞鶴(認めてたんだ……)

109 : VIPに... - 2013/10/19 00:46:48.47 Dt4axTQb0 70/771

提督「それゆえ、今の艦隊は錬度が低い」

提督「それを補うために、私が直接指示を出しているんだ」

提督「正直に言うと、さっきのは建前だ。錬度が高くなれば無線で指示をする方向に切り替わるかもな」

「かも……ですか? それは、ずっとこのまま一緒に海へ出るかもしれないという事ですか?」

提督「……よく聞いているな、電。そういう事だ」

提督「人間、誰しも矛盾した心を持っている」

提督「私の言った建前も、本当の理由も、どっちも私の本心なんだ」

提督「そして、どちらも──む」

瑞鶴「! 船の影! 偵察機、飛ばします!」

……………………。

111 : VIPに... - 2013/10/19 01:10:19.38 Dt4axTQb0 71/771

提督「……敵か。数と艦種は」

瑞鶴「数は2。駆逐ロ級とイ級です!」

提督「総員、戦闘準備開始。瑞鶴、攻撃機と爆撃機は飛ばせるか?」

瑞鶴「いつでも!」

提督「良い返事だ。飛ばせ」

瑞鶴「はい! 皆、アウトレンジで決めてよね!!」

艦爆妖精「任せろ嬢ちゃん」

艦攻妖精「……敵艦確認。沈めます」

艦戦妖精「今回は休みなのー」

ブゥゥゥン……ッドォォォオオン!!!!

瑞鶴「……敵艦、全滅させたみたいよ」

提督「よくやった瑞鶴。流石だな」

瑞鶴「──あ」

瑞鶴(……胸が高鳴るくらい、すっごく嬉しい)

112 : VIPに... - 2013/10/19 01:23:06.92 Dt4axTQb0 72/771

「おおお!!! 凄い凄い!! 射程距離に入る前にやっつけた!!」

「これが瑞鶴を先に出させた理由かー」

提督「そうだ。射程外から一方的に攻撃できるのは、とてつもない武器だ」

提督「ところで、瑞鶴、雷」

瑞鶴「?」

提督「電の方を見てみろ」

「他に敵は居ないみたいです──って、はい?」

提督「二人がしていなかった索敵を、電は一人やっていた」

瑞鶴「あ……」

提督「出撃前、私が言っていた事を暗唱せよ!」

瑞鶴「ヒッ──! 『慢心は死を招く。海の上では気を抜くな』です!!」

提督「うむ、よく憶えていた。そして、さっきの君達はどうだったか答えてくれ」

瑞鶴「慢心していました!! 申し訳ありません!!!」

提督「そうか。よほど海の底へ沈みたいようだ」

瑞鶴「────!!」ガクガクブルブル

113 : VIPに... - 2013/10/19 01:45:08.17 Dt4axTQb0 73/771

提督「処罰は帰ってから行う。だが、私も鬼ではない」

提督「先程の行為を覆すほどの活躍を見せてくれたら、処罰は無しとしよう」

瑞鶴「ありがとうございます!!」

提督「うむ。良い働きを期待しているよ」

(凄いのです……! 緩んでいた緊張の糸をすぐさま張り直したのです!!)

(凄いなぁ……司令官さん)

(そして、瑞鶴さんのあうとれんじ攻撃も凄いのです! これだったら被害が最小限なのです!)

……………………
…………
……

114 : 少なかったからもう一個 - 2013/10/19 01:46:19.40 Dt4axTQb0 74/771

瑞鶴「むっ! 敵艦と思われる影を確認しました!!」

瑞鶴「──偵察機の報告によりますと、軽巡、雷巡が各一隻、駆逐が三隻のようです!!」

瑞鶴「飛ばしましょうか」

提督「意味は伝わるが、必要箇所を省略するな。それが元となって伝達に齟齬が発生する」

瑞鶴「は、はい!! 失礼しました!」

提督「ちなみに、各艦の大きさ、陣形は?」

瑞鶴「軽巡がへ級。雷巡がチ級。駆逐はロ級一隻、ハ級が二隻。陣形は単縦陣のようです」

提督「ふむ……陣形はこのまま維持。まずはハ級の二隻を艦爆、艦攻で攻撃しろ」

瑞鶴「え? は、はい」

艦爆妖精「いいのかい提督さん? 真っ二つにしてやるぜ」

艦攻妖精「了解しました。殲滅します」

艦戦妖精「まーたお仕事無しですよ……」

ブゥゥゥン……ッドォォォオオン!!!!

瑞鶴「! 一隻は撃沈、もう一隻は大破炎上! ですが、直に沈むと思われます」

提督(やはりか……まだ火力が足りない。駆逐艦を狙わせて正解だった)

125 : VIPに... - 2013/10/19 11:43:34.08 VCXgUKuM0 75/771

提督「総員、砲雷撃戦に入る。駆逐艦は主砲用意」

提督「空母は第二次攻撃隊発艦始め」

提督「敵に攻撃を許すな」

提督「電、恐らく敵の駆逐艦は旗艦の軽巡を庇おうとする。さっきの先制攻撃で随分敏感になっているはずだ」

提督「それを逆に狙え。最初っから駆逐艦を狙うんだ」

「はいなのです!」

提督「瑞鶴は電の発砲後、敵旗艦の軽巡へ総攻撃。一切の妥協をするな」

瑞鶴「はい!」

提督「雷は敵軽巡と駆逐の両方を狙っておけ。落とし損ねていたら撃つから、いつでも撃てるようにしておく事」

提督「そして威嚇に今、敵旗艦に撃て。当たらなくて良い。敵駆逐艦を誘い出す」

「任せて司令官! テーッ!!」

敵軽巡「ぴぎぃ!?」ゴォン! 中破

「あ、船橋に当たっちゃった」

提督「よくやってくれた! 敵が怯んだこのチャンスを逃すな!」

提督「電、困惑している駆逐艦へ斉射! 瑞鶴、第二次攻撃隊に攻撃命令!」

瑞鶴「はい!!」

敵軽巡「Nooooooo!!!!」 撃沈

敵駆逐「連中の艦隊はバケモノか!?」 撃沈

126 : VIPに... - 2013/10/19 11:56:30.71 VCXgUKuM0 76/771

瑞鶴「……提督さん、攻撃隊が一発目で敵軽巡を沈めたらしいから、敵雷巡にも攻撃していいかって聞いてる」

提督「許可する。──雷、残った敵雷巡へ撃て!」

瑞鶴「はい!」

「はーい!」

敵雷巡「えっちょ──おおおばあああああきるぅぅぅううううう!!!?!?!」ドゴドゴドゴドゴ 撃沈

提督「うむ。敵は全滅したな」

瑞鶴「周囲に敵影ありません!」

提督「うむうむ。索敵ご苦労」

提督「やればできるじゃないか」

瑞鶴「!」パァ

瑞鶴「──ハッ!!」キョロキョロ

提督「うむ。もう慢心していないようだな」

提督「──さて、データも回収したし、帰ろうか」

提督「……索敵を怠るなよ?」

瑞鶴「はい!!」

……………………
…………
……

127 : VIPに... - 2013/10/19 12:12:27.12 VCXgUKuM0 77/771

金剛「あ、帰ってきたネ!」

「! ご苦労様、皆」

金剛「お疲れサマ!」

金剛「戦果リザルトはどうでシタ?」

提督「上々だ。まさかデータを四つも持って帰れると思わなかった」

金剛「ワーオ! コングラッチュレイショーン!!」

「という事は、私達は出撃しない方が良いかな?」

提督「このデータが何によるかだが、大方しなくても良いだろう」

……………………
…………
……

128 : VIPに... - 2013/10/19 12:27:23.06 VCXgUKuM0 78/771

提督「……確認する。君達の名前は──」

提督「神通、川内、那珂、暁で間違いないな?」

神通「はい」

川内「うん、そうだよー。で、今夜って夜戦の予定とかある?」

那珂「那珂ちゃん、有名だー!」

「ええ、そうよ司令官さん」

「って、皆!!」

「暁!」

「暁ちゃんなのです!」

「……これは驚いた。まさか一発で拾ってきてくれるなんて」

提督「私も正直、驚いてる」

金剛「あのー……提督、これって」

提督「ああ」

金剛「第三艦隊の保有許可が下りるネー!!」ダキッ

提督「なぁ!?」

金剛「やったヨー! 凄い嬉しいネー!」ギュウゥ

130 : VIPに... - 2013/10/19 12:39:32.40 VCXgUKuM0 79/771

提督「……金剛、時間と場所を弁えろ」

金剛「はっ!」

全員「……」ジィ

金剛「あ、アハハ………………ゴメンなさい……」

提督「喜ぶ気持ちは良く分かる。が、今後無いように」

金剛「ハイ……」

提督「それはさておき……」チラ

瑞鶴「!!!」ビクッ

提督「処遇を決めよう。三人共、提督室へ行くように」

提督「金剛、響、すまないが四人に鎮守府の案内をしてやってくれ」

金剛「了解デース」

「いってらっしゃい、司令官、三人共」

133 : VIPに... - 2013/10/19 12:53:29.80 VCXgUKuM0 80/771

瑞鶴「…………」ガタガタガタ

川内「……なんであの三人、震えてるの?」

「司令官の怖さを知っているからさ」

神通(こ、怖いお方なんですか……)ビクビク

那珂「そんな風には見えないけどー?」

「ええ。むしろ優しそうな人よね」

金剛「いずれ分かる日が来ると思いマース」

金剛(でも……『処遇』ですか。やっぱり優しいですね、テートク♪)

……………………
…………
……

135 : VIPに... - 2013/10/19 13:10:26.47 VCXgUKuM0 81/771

~提督室~

提督「……ここに呼ばれた理由は分かっているな?」

提督「出撃前の私の命令に従えなかった者が二名居る」

瑞鶴「はい……っ」ビクッ

提督「それとは別の理由で、電にも来てもらった」

「は、はい……」オドオド

(なんでしょうか……私、何か失敗したのかな……)

提督「まずは雷」

「はい!!」ビクッ

提督「戦闘終了後、命令をしていたのにも関わらず気を抜き、慢心した」

提督「だが、最後の戦闘において敵旗艦軽巡に直撃弾を与え、指揮系統を狂わせて敵に攻撃させなかったのは事実」

提督「資材を消費できない中、今回の出撃で一切の被害を出さなかった事へ非常に大きな貢献してくれた」

提督「よって、罰は無しだ」

「え、あ──ありがとうございます!」

140 : VIPに... - 2013/10/19 13:27:09.34 VCXgUKuM0 82/771

提督「次に、瑞鶴。一歩前へ」

瑞鶴「はい!」ビクン

瑞鶴(どうしよう……私、雷みたいに特別な戦果を挙げてない……)

提督「先に述べた雷と同じ過ちを犯している、が──」

瑞鶴(おまけに戦闘中に何回も注意された……!! つ、吊るされる!?)

提督「──会敵七隻中四隻撃破。雷との共同戦果二隻」

提督「今回の出撃で一番貢献してくれている。よくやってくれた」ナデナデ

「!!!」

瑞鶴「──え? あ、あれ……はひ!?」

(瑞鶴さん、お顔が真っ赤なのです)

(物凄く嬉しそう……。良いなぁ……)

提督「これにて今回の処遇は終わりだ。電以外は下がりなさい」

瑞鶴「え?」

提督「なにかね?」

瑞鶴「い、いえ!! 失礼しました」ピシッ

提督「ああ、午後からは行動を自由とする。燃料と弾薬が補充できないのはすまないがね」

瑞鶴「は、はい……」ポー

「はいっ司令官!」

カチャ──パタン──

提督「──さて電」

「は、はい!!」ビクッ

提督「紅茶とココア、どっちが好きかな?」

「…………ほえ?」

……………………
…………
……

142 : VIPに... - 2013/10/19 13:40:11.95 VCXgUKuM0 83/771

提督「大した話ではないのだが、少々気になってね──ココアの甘さ加減は丁度良いかい?」

「はい……とっても美味しいです……。けど、どうしたのですか、司令官さん?」

提督「なに。電は敵艦を沈めると悲しそうな顔をしていると気付いてね」

「…………」

提督「それはなぜか、私には分からんのだよ。だから教えてくれないか?」

「……………………」

提督「…………」

「あの……怒りませんか?」

提督「知らん」

「ええっ!? こ、ここは『怒らないよ』とか言う場面じゃないですか!?」

提督「知らん。私が怒るかどうかは話の内容を聞かないと分からんよ。私はエスパーではないからね」

提督「それとも、私が怒りそうな内容なのかな」

「司令官さんなら怒りそうにない……と思います。けど……」

提督「…………けど?」

「『司令官』という立場だと、怒るのが普通かな……と思うのです」

提督「ふむ。言ってごらん」

143 : VIPに... - 2013/10/19 14:01:25.73 VCXgUKuM0 84/771

「はい……。あの………………戦争って、殺し合いですよね……」

「敵も私達と同じだと思うのです……。家族が居て、仲間が居て、大切な人が居て……中には、仕方がなく戦ってる人も居ると思うのです」

「だから……沈んだ敵も、できれば助けたい……。そう思っちゃうんです……」

提督「……………………」

「司令官さん……。戦争には勝ちたいけど、命は助けたいって……おかしいですか……?」

提督「……どうだろうな」

提督「…………すまん、私は電の悩みを解決する事ができない」

「です、よね……。敵を助けても、帰らせちゃったらまた戦場に──」

提督「それもあるが、私が言いたかったのはそうじゃない」

「え?」

提督「…………」

「……相容れれない……のですか?」

提督「確かに敵と会話を設けた事は無い。だが、それが理由というわけではない」

144 : VIPに... - 2013/10/19 14:27:23.27 VCXgUKuM0 85/771

提督「電」

「はい?」

提督「……電の悩みの答えは、電の思っているよりも深海の闇の中にある」

提督「触れると取り込まれるぞ」

「………………取り込まれる……?」

「司令官さん……? どういう事なのですか……?」

提督「知らなくて良い。できるならば──」

提督「──その悩みを忘れた方が、幸せだ」

……………………
…………
……

145 : 思ったより短かったからもう一個 - 2013/10/19 14:28:27.69 VCXgUKuM0 86/771

提督「さて、この書類を片付けねば」

金剛「ワーオ……まさにマウンテンね……」

提督「この程度で音を上げていたら、この先やっていけなくなるぞ」

提督「鎮守府を快適にすればするほど、この書類は増えていくからな」

金剛「ンー……大きくするのも問題なのデスねー……」

提督「できるなら、程々が一番だな」

金剛「ですネー……。あ、紅茶にしますか、コーヒーにしますか、それともココア?」

提督「金剛が飲みたいヤツを頼む」

金剛「ハイ! では紅茶を淹れますネ」

……………………。

146 : VIPに... - 2013/10/19 14:41:54.56 VCXgUKuM0 87/771

金剛「お待たせネ」

提督「ん、ご苦労」ズズ

提督「……………………」

金剛「? どうしたんデスか、テートク?」

提督「金剛、お前の茶を飲ませてみろ」

金剛「え!? い、いや……それは…………」

提督「上官命令だ」

金剛「……ハイ」

提督「…………」ズズ

金剛「…………」ビクビク

提督「……やはり、薄いな」

金剛「あう……バレてしまいまシタ……」

提督「金剛の紅茶は、出涸らしを使っていたのか」

金剛「ハイ……」

提督「見えない所で健気だな、金剛。そうやって少しでも節約しようとしていたのか」

金剛「そもそも、たかが秘書の私も紅茶を飲んでいるのがおかしいのデス」

金剛「テートクは優しいから私に紅茶を飲むの許可してくれていますケド、本来だったらダメなんデスよ?」

提督「秘書の特権だ。私の城ではそうなっている」

149 : VIPに... - 2013/10/19 15:04:30.54 VCXgUKuM0 88/771

金剛「そう言うと思っていたネ」ソッ

提督「む」

金剛「大好きですよ、提督」ギュ

提督「金剛、時間と場所を弁えろと言ったはずだろう」

金剛「今は仕事前のティータイムです」

提督「ここは提督室だが」

金剛「私達以外、誰も居ません。つまり、誰の目にも触れません」

提督「……まったく、抜け道を探すのが上手いな」

金剛「提督の秘書になる為の必須技術だと思いますよ?」

提督「ごもっとも」

金剛「──サテ! デスクワークをしましょう!」

提督「ああ。だが、その薄味の紅茶は私が貰う。そして、これからは使えなくなるまで私の紅茶にも出涸らしを使う事」

金剛「え?」

提督「私も鎮守府の懐に貢献せねばな」

金剛「あはっ。やっぱり、提督は優しいです」

提督「私のやりたいようにやっているだけだよ」

150 : VIPに... - 2013/10/19 15:14:42.86 VCXgUKuM0 89/771

提督「──さて、今日の遠征練習についてだが、金剛はどう思った?」

金剛「──まだ錬度が足りないと思いマス。あれではまだ、敵が現れた時に無駄撃ちしそうデス」

提督「同意見だ。だが、上から指示された近海の警備任務の項目をギリギリながらクリアしているのも事実」

提督「そこでだ。彼女らにはしばらく警備任務と海上護衛任務で────」

金剛「海上護衛はまだ早いと思いマス。実戦で経験を────」

提督「そうだな。その方向でやって────」

金剛「こっちの資料によると────」

提督「防空射撃演習か────」

金剛「────」

提督「────」

……………………。

瑞鶴「…………」

瑞鶴(……仕事をしてるけど、楽しそう。いいなぁ……)

瑞鶴(秘書、か……。お茶の練習、しよう)

……………………
…………
……

153 : VIPに... - 2013/10/19 15:28:41.08 VCXgUKuM0 90/771

提督「ふう……。今日の仕事、終わったな」

金剛「うー……疲れまシタァ……」

提督「秘書の仕事、だいぶ慣れてきたようだな」

金剛「いっぱいいっぱいデース……。まだまだ速くなれるはずデース……」

提督「向上心があって良い事だ」

金剛「…………テートク、マルヒトマルマルデース」

提督「もうそんな時間か」

金剛「そうデス。この時間が悪いのデス」

提督「うん?」

金剛「提督。提督はどうしてそんな目をするのですか?」

金剛「希望を失って、絶望しか見えていないかのような目をしています」

提督「…………」

金剛「私、知りたいです。提督の過去を」

提督「……ストレートだな、金剛」

金剛「それが私の良い所で悪い所です」

157 : VIPに... - 2013/10/19 15:59:21.12 VCXgUKuM0 91/771

提督「よく分かっているようだ」

金剛「踏み込まれたくないのだったら、そう言ってください。私は強要したくないです」

提督「……少し、時間をくれるか?」

金剛「はい、待ちます。いつまでも」

提督「………………金剛」

提督「答える代わりに、髪、梳かさせてくれ」

……………………。

金剛「ンー♪ 幸せデス♪」

提督「それは良かった」

金剛「こうしていると、眠くなるのが玉に瑕デス……。もっとこの幸せを感じていたいの二ー……」

提督「眠くなったら寝ても良いんだぞ。無理はするもんじゃない」

金剛「勿体無いデース……。折角テートクがーブラッシングしてくれているのニー……」

提督「…………」

金剛「…………」

提督「……綺麗な髪だな」

金剛「自慢のー……髪デース……」

提督(ホント、綺麗だな……)

提督(艶もあるし、細く柔らかい。自然な栗色の毛で、風に靡けば一層美しさが増すだろうな)

提督「……………………」

158 : VIPに... - 2013/10/19 16:10:47.41 VCXgUKuM0 92/771

提督「沈ませはせんよ。必ず」

金剛「…………」

提督「む」

提督(寝たか……。自室へ運んで──いや、勝手に部屋に入るのはマズイか)

提督(なら私のベッドへ運ぶか。嫌がる事はないだろう)ソッ

提督(……こうして見ると、本当にただの女の子なんだがな)

金剛「てーとく……」

提督「ん、すまん。起こしたか」

金剛「私が……護ります……」

提督「……寝言か」

提督(護る、ね……)

提督(…………悲しい事だ)

……………………
…………
……

162 : VIPに... - 2013/10/19 16:39:12.15 VCXgUKuM0 93/771

金剛「で、言い訳はありますか、テートク」

提督「……無い」

金剛「私、前に言いましたよね? 風邪を引くって」

提督「……言った」

金剛「じゃあ──どうして風邪を引いてるんですか!!」

提督「面目ない……」

(あの司令官が言い負かされてる……)

(金剛さん、ある意味凄いのです……)

(私には真似できない……)

瑞鶴(私もよ……。恐ろしくてできないわ……)

金剛「ええ。確かに私が提督の部屋で眠ってしまったのが悪いですよ?」

金剛「でも、起こすなり一緒の毛布に入るなりと方法はいくらでもあったんじゃないですか?」

(さり気なくとんでもない発言してるのに気付いてるのかしら……)

163 : VIPに... - 2013/10/19 17:02:42.60 VCXgUKuM0 94/771

金剛「前に毛布が無い時、一緒に寝ましたよね?」

瑞鶴(なんですって!?)

金剛「前例はあったのに、どうして今回はやらなかったのですか?」

提督「…………あの時は、金剛の同意を貰っていただろ」

金剛「では、私が嫌がるとでも思ったのですか?」

提督「…………嫌がらないと思う」

金剛「分かっているじゃないですか!! そういう時は一緒に寝てください!」

(はわわ……! 聞いてるこっちが恥ずかしいのです……)

提督「だが……論理的に──」

金剛「てーいーとーくー!?」

提督「……………………」

金剛「ちゃんと反省して下さい。提督が不調だったら、公私共に困るんですよ?」

提督「…………分かった。以後無いようにする」

金剛「──はい。ちゃんと反省して、分かってくれたら良いんです」

金剛「ふう……。デハ、今日のミッションは瑞鶴と私を除く七隻で演習をすれば良いんデスね?」

(あ、真剣の時──じゃないわね。私事の時は日本語が流暢になるのね)

提督「ああ……頼んだ」

……………………
…………
……

165 : VIPに... - 2013/10/19 17:12:45.06 VCXgUKuM0 95/771

金剛「──と、いう訳で! 今日は私が提督の代わりに演習総指揮を執りマース!」

金剛「ちなみに命令に背いた者、昼に夜戦を試みようとする者、支障をきたす私語をする者は吊るして良しと許可を貰っていマス」

川内那珂「ひぃ!?」ビクゥ

「ああ……君達は早々に吊るされてたね、同胞よ」

金剛「弾は開発妖精さん特製のペイント弾を使いマス。水で簡単に落ちるので、気にせず当ててくださいネー」

金剛「当たった箇所で瑞鶴と私が轟沈判定を出しマス。砲塔に当たったらその砲塔は使えなくなると思ってくださいネー」

金剛「質問はありマスか?」

「はい。中破、大破の判定はどんな基準なんだい?」

金剛「基本的にありまセン。けど、重要箇所に被弾したら使わないように意識して下サイ。当たると冷たいからすぐに分かると思うネ」

「はーい! 被弾箇所を意識しながら戦闘するのって、物凄く難しくない?」

金剛「それは実戦でも同じ事ヨー? 至近弾でもない限り、被弾すると基本的に使えなくなるデショ?」

金剛「むしろ、被弾箇所を意識せず戦闘を続行すると、思わぬ被害が生まれマス。なので、実戦でも被弾箇所は意識して下さいネ」

「あの……。弾は二十発だけなのですか?」

金剛「これからはもっと遠くの海域に足を運ぶ事になりマス。つまり、戦闘回数が多くなるわネ。確実に当てるのは難しいケド、浪費しないよう出来るだけ当てる訓練も兼ねていマス」

166 : VIPに... - 2013/10/19 17:25:01.24 VCXgUKuM0 96/771

「はい。魚雷は?」

金剛「今回は無しデス。開発妖精さんに期待してくださいネ」

川内「はい!! 夜戦の演習はやって──」

金剛「吊るしますヨ」

川内「い、いえ!! なんでもな──あ、違った、えと……あっ! や、夜戦の演習って今後やるの!?」

(上手くかわしたね)

金剛「今の所その話は無いデスが、提督に聞いてみますネ。他にありマスか?」

金剛「………………無いみたいネ。それじゃあ、演習開始デス!!」

……………………
…………
……

167 : VIPに... - 2013/10/19 17:34:15.53 VCXgUKuM0 97/771

提督「ケホッ。まだ少し甘い気もするが、さすが艦娘。よくやっている」

コンコン──。

提督「──誰だ?」

任務嬢『任務嬢です。元帥がお見えになりました』

提督「!? ……お通ししろ」

ガチャ──

元帥「やあ、数日ぶりだね」

提督「ハッ」ピシッ

元帥「いやいや、畏まらなくて良い。楽にしたまえ」

提督「いえ! 元帥殿に対し、そのような行為は出来かねます」

元帥「私が良いと言っている。……そうだな、座って話そうか」

……………………。

169 : VIPに... - 2013/10/19 17:44:59.66 VCXgUKuM0 98/771

提督「どうぞ。元帥殿がいらっしゃるのでしたら、もっと上等な茶葉を用意したのですが……」

元帥「構わん構わん。濃は程々の茶が一番だよ。礼儀作法は苦手なのでな」

元帥「──いきなり本題に入るが、君は非常に興味深い戦果を挙げているね」

元帥「着任初日で高速戦艦を保有。二日目で空母。三日目では総司令部の指定した神通、川内、那珂の進水」

元帥「このような大戦果を挙げる者はそうそう居らぬよ」

提督「恐縮です」

元帥「だが、一つ気になるものがある。二日目に建造した瑞鶴」

元帥「アレは、港に沈んでいた艦を材料に造ったとあるが、間違いないね?」

提督「ええ。建造妖精達が総出で拾い上げてくれました」

元帥「ハッハッハッ。実に面白く、無駄の無い行為だ。だが──」

元帥「単刀直入に言おう。瑞鶴を総司令部へ引き渡しなさい」

提督「…………理由をお聞きしても宜しいですか?」

171 : VIPに... - 2013/10/19 18:01:47.58 VCXgUKuM0 99/771

元帥「ふむ、理由とな?」

提督「はい。上官の命令は絶対です──が、我が鎮守府は残念ながら小さい。小さい故に戦力が乏しい。そんな小さい鎮守府で、最大戦力の一隻です」

提督「今、彼女を手放してしまうと、戦力の降下だけではなく深海棲艦から母港襲撃を受けた際──」

元帥「それは無い」

提督「……無い? なぜですか」

元帥「そういう風に出来ておるのだよ、深海棲艦というモノは」

提督「…………すみません、話が逸れてしまいました」

元帥「よい。私が逸らした」

提督「──艦娘は一人の提督にしか命令を聞かないと耳にします。まるで、初めに見た者を親と思う雛鳥のように」

提督「それなのに、どうして総司令部へ? こう言うのは少々気が引けますが、他人では完全に役立たずですよ」

元帥「……………………」

提督「……元帥殿?」

175 : VIPに... - 2013/10/19 18:22:38.40 VCXgUKuM0 100/771

元帥「……いやなに。君への処遇を考えている所だ」

提督(は? 処遇?)

元帥「そうだな。うむ。素質は充分にある」

元帥「少将よ、君は深海棲艦に興味はあるか?」

提督「……はい。大変興味深くはあります」

提督(なんだ……? どういう意図の質問だ……?)

元帥「では、深海棲艦をどう思っている?」

提督「どう……とは?」

元帥「そのままの意味だ。何でも良い。率直に答えてくれ」

提督「……………………」

提督(まさか、調べていたのに感付かれたか……?)

提督(いや、その可能性は低い……。倒した敵艦から出てきたデータを回収しているようにしか見えていないはずだ)

176 : VIPに... - 2013/10/19 18:39:29.88 VCXgUKuM0 101/771

提督「そうですね……なんと言えば良いのやら……」

提督(どう答えるのがベストだ……。くっそ……頭が上手く回らん……!)

提督(仕方が無い……冗談を言って有耶無耶にするか)

提督「性能の驚きを隠せません。アレらを素材とした艦娘を建造すれば、我が鎮守府もすぐさま強くなるでしょう」

元帥「宜しい。二階級特進だ。少将、君は今から大将だ」

提督「なーんて──ハァ!?」

提督「な!? ど、どういう事ですか元帥!!」

元帥「どうもこうも、そういう事だ。おめでとう」

提督「……私は死ぬのですか」

元帥「何か勘違いしているようだが、殉職による二階級特進ではない」

提督「ではなぜ……」

177 : VIPに... - 2013/10/19 18:51:54.18 VCXgUKuM0 102/771

元帥「なぁに。我々の計画を話すに値すると判断したからだ。大将以上の方が何かと融通が利くからのう」

元帥「深海棲艦を素材にして艦娘を造ったという実績もある」

元帥「何より今は駒が圧倒的に足りない。多少強引でも引き入れている」

元帥「そして──」

元帥「もう逃げる事は叶わんよ、大将殿?」ニィ

提督(おい……オイオイオイオイオイオイオイオイ!!!!! 地雷を踏み抜いたどころの話じゃねーぞ!!?)

提督(帝國海軍はどこかおかしいと思っていたが、真っ黒なんじゃねーのかこれ!?)

元帥「何もかもという訳にはいかんが、話そうじゃないか」

元帥「我々の計画を────」

……………………
…………
……

178 : VIPに... - 2013/10/19 19:16:03.59 VCXgUKuM0 103/771

元帥「始まりは、艦娘建造計画から始まった」

元帥「我々の今の敵は深海棲艦。士官学校でもそう教えられただろう」

元帥「そして、その深海棲艦を倒す為に艦娘を使っている」

元帥「今でこそ当たり前の存在だが、当時の艦娘はとても不安定でな」

提督「……………………」

元帥「いやあ、それはもう阿鼻叫喚、地獄絵図だったよ」

元帥「失敗作は様々な死に方を迎えた。全身の皮膚が剥がれ落ちる者。溶けるように血の塊へと変わる者」

元帥「身体中から鉄の柱が突き出る者。突如骨が砕ける者。人の形を保てなくなった者……」

元帥「どんな形であれ、その成れの果てが深海棲艦だ」

提督「!!」

提督(やっぱりか……。倒した深海棲艦から艦娘のデータが出てくるなんておかしいと思った)

元帥「その顔を見るに、既に予測はしていたようだな」

提督「……ええ。敵艦から艦娘のデータが出る事に疑問を抱いていましたから」

提督「それに、ところどころ艦娘と似ていますしね」

180 : VIPに... - 2013/10/19 19:32:40.97 VCXgUKuM0 104/771

元帥「結構。話を続けよう」

元帥「その深海棲艦だが、最初は艦娘と大して変わらん装備だった」

元帥「だが、彼女らは次第に我々の想像を上回る兵器を扱ってきだした」

元帥「なぜだと思う?」

提督「……彼女らも、艦娘と同じように成長している……?」

元帥「半分正解だ」

元帥「もう半分は、大陸の技術だ」

提督「大陸……? 士官学校で言っていた深海棲艦の大陸ですか?」

元帥「うむ」

元帥「更に、深海棲艦は燃料も弾薬も必要無い」

提督「……どういう事ですか。どうやって動いているんですか、それは」

元帥「これについてはまだ解明されていない。が、一説によると負のエネルギーが原動力では、と言われている」

182 : VIPに... - 2013/10/19 19:52:36.94 VCXgUKuM0 105/771

提督「負のエネルギー?」

元帥「そう。恨みや怨念。現に彼女らが率先して狙うのは人間ではなく艦娘。それはよく実感しているんじゃないかね?」

提督(────そうか。最初の出撃の挟撃してきた駆逐艦。確かに俺じゃなくて金剛を狙っていた)

元帥「思い当たる節があるようだね」

元帥「その負のエネルギーだが、戦争をしている内はまず無くならないだろう」

元帥「殺し、殺され、沈んでいくのだ。無くなる訳がない」

元帥「深海棲艦を解体して調べてみたが、動力となりそうな部分は一切発見されなかったらしい」

元帥「その深海棲艦を素材にして、艦娘を造ろうと試みた。が、今まで一回たりとも成功しなかった」

元帥「君を除いて」

元帥「君の瑞鶴、通常の艦娘よりも性能が高いのでは?」

提督「……いえ、この鎮守府に空母は瑞鶴一隻しか居ないので分かりかねます」

元帥「そうか……残念だ。補給はしたのかね?」

提督「いえ。資材が枯渇寸前の為、金剛、瑞鶴に回す資材がありません」

元帥「そうか……色々と足りないのだな」

186 : VIPに... - 2013/10/19 20:16:23.06 VCXgUKuM0 106/771

元帥「よし。資材については特別配給をしよう」

元帥「これから色々と結果報告をして貰わねばならんからなぁ」

元帥「さて、前置きはそろそろ終わりにしよう。本題だ」

元帥「我々は今、戦争で劣勢状態にあるのは分かっているね?」

提督「……はい」

元帥「深海棲艦を基とした艦娘を大量に造り、そして戦争を勝ち抜け」

元帥「勝たなければいけないのだよ。でなければ我々の未来は無い」

提督「……未来、ですか」

提督(何言ってるんだこのクソジジイ。さっき深海棲艦は艦娘しか狙わないって言ったじゃねーか)

提督「ですが、深海棲艦は艦娘しか狙わないと──」

元帥「そんな事は言っておらん。率先して狙うのは艦娘だが、人間を狙わない訳ではない」

提督「……失礼しました」

元帥「よい。大将、ランチェスター第二法則は知っているか?」

187 : VIPに... - 2013/10/19 20:25:33.54 VCXgUKuM0 107/771

提督「戦闘力=質×量×量……ですよね?」

元帥「うむ。現在の深海棲艦の数は、艦娘の数千倍は下らないと言われている」

提督「数千……」

元帥「総合的な質で言うと我々の方が遥かに上だ。だが、圧倒的な数の暴力には勝てん」

元帥「その内、艦娘は全滅して深海棲艦が人類を滅ぼしにくるだろう。そうなると、人類は滅亡する」

元帥「現に、いくつかの基地は艦娘が全滅したという報告もある」

提督「……その基地はどうなりましたか」

元帥「放棄した後、乗っ取られたよ。現在は深海棲艦が拠点にしている」

元帥「彼女らも母港というものが恋しいのだろう……。母港に対して一切の砲撃はしてこなかったよ」

元帥「だが、それを逆手に戦力が揃うまで一切出撃をしなかった基地もあるが、流石に手を出された」

元帥「なるべく母港を傷つけず、艦娘は例外なく沈められた」

188 : VIPに... - 2013/10/19 20:50:03.71 VCXgUKuM0 108/771

元帥「──量で勝てないのなら、質で勝つしかあるまい」

元帥「それも、圧倒的な質で」

提督「……そうですね」

元帥「だからこそ、深海棲艦を基とした艦娘を建造して欲しい」

提督「……ただの偶然かもしれませんよ」

元帥「ただの偶然ではないかもしれんだろう?」

元帥「我々に残された選択肢は数少ない。君が協力してくれそうでなかったら、瑞鶴を強奪して研究の為に華々しく散っていっただろう」

提督「それは──!」

元帥「倫理的に問題がある。それは分かっている。だが、そうせざるを得ないほど切羽詰っているのだ」

元帥「例え元艦娘を材料に──いや、回りくどく言うのは止めよう」

元帥「艦娘の死体を利用してでも、やらなければならない」

提督「……………………」

元帥「やってくれるのであれば、定期配給される資源を上乗せしよう。……明らかに必要ないであろう程になればストップはするが」

元帥「勿論、通常の任務報酬も今まで通りだ」

192 : VIPに... - 2013/10/19 21:41:22.51 VCXgUKuM0 109/771

提督「…………仮に拒否した場合はどうなりますか?」

元帥「不穏分子と判断し、艦娘諸共殺害する。この情報を漏らす訳にはいかぬから、君に関わった者も全員行方不明となるだろう」

提督「ッ!!」

元帥「既に言ったではないか。逃げる事は叶わぬと」

元帥「特に、君は艦娘達に好かれているようだね。目の前で見せてあげようか、彼女らの生身が解体されるのを」

提督「……分かりました」

提督「協力……します……」

元帥「うむ。頼んだぞ」スクッ

提督「……お帰りですか」

元帥「濃も忙しい身でな。──ああそうそう」

元帥「大将のバッヂだ。付けておきなさい。それと──」

元帥「くれぐれも、この話は漏らさないように。濃らと深海棲艦を基とした艦娘以外には、な」

提督(漏らしたらどうなるか分かっているな、とでも言いたそうだな)

提督「勿論です。ご安心を」

元帥「……では、失礼する。君の目に光が宿ったのを初めて見たよ」

提督「!」

ガチャ──パタン

提督「私の目に光、ねぇ……」

……………………
…………
……

193 : VIPに... - 2013/10/19 22:03:22.21 VCXgUKuM0 110/771

コンコン──。

提督「入れ」

ガチャ──

金剛「テートクー! 演習終わったヨー!!」

提督「ああ、見ていた」

瑞鶴「え、起きていたの?」

金剛「……提督?」

提督(──ヤベッ!)

金剛「やぁあっぱり提督は私の話を聞いてくれなかったのですねぇ……?」

提督「いや……そういう訳じゃない……」

金剛「じゃあどうして身体を休めず演習を見ていたのですかッ!?」

金剛「──って、あれ? これ……大将バッヂ……? どうしたんですかこれ?」

提督「……さっき元帥殿がやってきて、なぜか二階級特進になった」

金剛瑞鶴「はぁ!?」

196 : VIPに... - 2013/10/19 22:24:42.00 VCXgUKuM0 111/771

提督「なんでも、初日に戦艦、二日目に空母、三日目に総司令部が指定した川内型の保有。異例な速度での近海の敵艦排除。沈んだ船を引き上げて資源の有効活用。その他諸々」

提督「尋常じゃない戦果と新たな資源の活用法を編み出したという理由で二階級特進……だそうだ」

瑞鶴「へぇ……そんな事もあるんだ……」

金剛「…………」

提督「元帥殿の前で寝ている訳にはいかなく、かといって風邪を引いたと言えば体調管理すら出来ていないのかと思われそうで言えなく……」

提督「バッヂを貰ったあと元帥殿に演習する姿が目に入ったらしく、演習が終わるまでずっとご見学されていたんだ」

瑞鶴「ええ!? こ、金剛さん……私達、大丈夫だったかな……?」

金剛「──え、ああウン。大丈夫だと思うヨ?」

提督「……その演習についてなんだが、瑞鶴、この書類の山を片付けたら話があるから、ちゃんと起きているように」

瑞鶴「ッピィ!?」

提督「以上だ。金剛、秘書の仕事は大丈夫か?」

金剛「……ハイ! まだまだいけますヨー!」

瑞鶴「そ、それじゃあ私はこれで……」ガクガク

……………………。

199 : VIPに... - 2013/10/19 22:53:17.18 VCXgUKuM0 112/771

金剛「……さて、提督」

提督「…………」

金剛「私が言いたい事、提督なら分かってますよね?」

提督「……ああ」

金剛「本当は何があったんですか?」

提督「……すまん。これは誰にも言えない」

金剛「……秘書の私でも、ですか?」

提督「ああ」

金剛「……そうですか」

金剛「──では! 書類を分けますネー!」

提督「…………」

金剛「? どうしましたテートク。鳩がアトミックバズーカに被弾したような顔をして」

提督「……私の顔は爆発四散した肉みたいに酷いか?」

金剛「まっさか~」

205 : VIPに... - 2013/10/19 23:21:57.03 VCXgUKuM0 113/771

金剛「……いつか、話せるようになったら話してください。約束ですよ?」

提督「……ああ、約束だ」

金剛「ふふっ。じゃあテートク、ゆっくり休んで──」

提督「そうか。金剛が一人でこの書類の山を片付けてくれるのか」

金剛「…………」

金剛「頑張りマス!!!」

提督「冗談だ……。早く終わらせて寝ようか」

……………………
…………
……

208 : VIPに... - 2013/10/19 23:34:36.80 VCXgUKuM0 114/771

提督「んー……! 終わった……」

金剛「現在マルマルサンマルですネ。昨日より早いデース」

提督「ご苦労だった金剛」

金剛「ありがとうございマース! ご褒美はキスが良いデース」

提督「調子に乗るな」コツン

金剛「アウッ。むー……残念デース……」

提督「明日も早い。自室に戻って寝なさい」

金剛「……看病してはイケマセンか?」

提督「風邪が移ったら困る」

金剛「テートクが看病してくれるのなら風邪になるのも──ァウッ」コツン

提督「バカを言うな。皆も心配するだろう」

金剛「……テートクも?」

提督「当たり前だ」

金剛「……ハイ! 風邪を引かないように努めマス!」

提督「良い返事だ」

金剛「それじゃあ、グッナイテートク!」

提督「ああ、おやすみ」

提督(…………さて、瑞鶴と話さなければな)

……………………。

211 : VIPに... - 2013/10/19 23:52:08.16 VCXgUKuM0 115/771

提督「……瑞鶴、話をしようか」

瑞鶴「はい……」ビクビク

提督「……今日、この提督室にて非常に問題のある発言があった」

瑞鶴「…………ッ」ビクッ

提督「瑞鶴、お前は上に目を付けられた」

提督「深海棲艦を材料としたお前が──」

瑞鶴「────え?」

……………………。

瑞鶴「……嘘、よね?」

提督「本当だ」

瑞鶴「ま、またまた提督さんたら! 私をからかってるんでしょ?」

提督「……残念だが、本当だ。できれば私も信じたくない」

提督「だが、この大将を示すバッヂは紛れもなく本物……。あの話は嘘偽りが無い事を証明している」

213 : VIPに... - 2013/10/20 00:10:22.98 1K4VV5nm0 116/771

瑞鶴「で、でも! 私は補給が必要よ! さっきの話が本当なら、深海棲艦は──」

提督「通常の空母に補給に必要な燃料と弾薬、調べさせてもらった」

提督「結論を言うと、瑞鶴……お前の補給に必要資材は圧倒的に少ない。駆逐艦並みだ」

瑞鶴「……数字で言うと、どのぐらい差があるの?」

提督「通常空母と比べ、4~5倍の差がある。空母でこの数字は絶対にありえない」

提督「あと、いくら駆逐艦相手でも、経験の全く無いお前が撃沈させるのは無理がある話らしい」

提督「……どういう事か、もう説明しなくても分かるな」

瑞鶴「……………………」

提督「…………」

瑞鶴「ねえ、提督さん……私、居ちゃいけないのかな……」

提督「…………」

瑞鶴「私ね、役に立てて嬉しかった。皆からお礼を言ってもらって、提督さんに頭を撫でてもらって、すっごく幸せだった」

瑞鶴「ダメなの……? 他の皆が当たり前のように感じる幸せを、私は感じちゃいけないの……?」

提督「…………」

214 : VIPに... - 2013/10/20 00:29:31.55 1K4VV5nm0 117/771

瑞鶴「私……提督さんの会えて良かったなって思ってた……。でも、今は違う。会わない方が──造られない方が良かったって──」

提督「それは私が困る」

瑞鶴「…………」

提督「瑞鶴が居なかったら、今の鎮守府は無い。下手したら無くなっていた可能性だってある」

瑞鶴「……でも、私の身体は──」

──同族の死体──

瑞鶴「──それで出来てる……。やだよ……こんなの……」

提督「…………」

瑞鶴「だって……気持ち悪いじゃない……」

提督「……スゥ…………瑞鶴!!」

瑞鶴「ぴゃい!?」ビクゥ

提督「…………」ジッ

瑞鶴「あ、ああぁあの……? わ、私、なに、か粗相を……?」ビクビク

215 : VIPに... - 2013/10/20 00:49:19.41 1K4VV5nm0 118/771

提督「お前は誰に仕える艦だ」

瑞鶴「て、提督さんに、です」ビクビクビク

提督「私はお前が居なかったら困ると言った。お前は私に必要だ」

提督「それすら信じれないか?」

瑞鶴「それとは……また、ちょっと別というか……」オドオド

提督「瑞鶴」

瑞鶴「はいッ!!」ビクッ

提督「私の前に立ちなさい」

瑞鶴「え……?」

提督「ほう、指示を聞き逃したか。それは吊るさな──」

瑞鶴「はいぃ!!!」シュタッ

提督「うむ。よろしい」

218 : VIPに... - 2013/10/20 01:11:30.36 1K4VV5nm0 119/771

瑞鶴「…………」ビクビクビク

提督「…………」スッ

瑞鶴「ッ!!」ビクッ

提督「ほれ、こうして触れる」ナデナデ

瑞鶴「…………?」ビクビク

提督「む……触っていて心地良い髪だな。ちょっとブラッシングさせてくれ」

瑞鶴「え、え? 良いけど……え?」

提督「椅子に座れ。──よし。そしてリボンを外してっと……梳くぞー」

瑞鶴「あ……」

瑞鶴(優しくて丁寧だ……気持ち良い……)

提督「ん? 痛いか?」

瑞鶴「……全然」

提督「なら良かった」

瑞鶴「……提督さん、嫌じゃないの?」

219 : VIPに... - 2013/10/20 01:37:00.30 1K4VV5nm0 120/771

提督「むしろもっと触らせてくれ」

瑞鶴「……変なの」

提督「よく言われる」

瑞鶴(ああ……これ、すっごく良い……。なんでだろう……さっきまでの辛い気持ちが嘘みたい……)

提督「落ち着いたか?」

瑞鶴「うん……」

提督「……まだ続けたいんだが、良いか?」

瑞鶴「ぜひお願い!」

提督「うむ」

瑞鶴(……自分の身体が死んだ艦娘を使っているっていうのは凄く嫌だって思った。けど……)

瑞鶴(こうして提督さんが髪を梳いてくれるなら、別にどうでも良いかなぁ……)

瑞鶴「ねー、提督さんー」

提督「んー?」

瑞鶴「私を正面から抱き締めれるなら私もこの身体の事を気にしない──って言ったら、どうする?」

瑞鶴(ちょっとだけ、イタズラ)

瑞鶴「なーんて──!?」

提督「こうする」ギゥ

223 : VIPに... - 2013/10/20 02:00:53.04 1K4VV5nm0 121/771

瑞鶴「え、ええっ!?! ちょ、て、提督さん!?」

提督「どうした、私は抱き締めれるぞ。何も変わらない、普通の女の子じゃないか」

瑞鶴「い、いいいやそういう事じゃなくて!?」

提督「ああもう、うるさい。大人しくしろ」ナデナデ

瑞鶴「ぁ………………はぃ……」

提督「…………」ナデナデ

瑞鶴(何これ……今まで感じた事がないくらい幸せ……)

瑞鶴(なんで……? なんでこんなに幸せなの……?)

提督「瑞鶴」

瑞鶴「……はひ?」

提督「勝手に死んだり、自分を蔑ろにするなよ」

瑞鶴「…………うん」

瑞鶴「絶対、そんな事しない……」

瑞鶴「約束する……」

……………………
…………
……

230 : VIPに... - 2013/10/20 02:26:40.29 1K4VV5nm0 122/771

提督「落ち着いたか?」スッ

瑞鶴「────あ」

提督「うん?」

瑞鶴「……ううん、名残惜しかっただけ」

瑞鶴「ありがとう、提督さん」

提督「うむ。よろしい」

瑞鶴「それに、ポジティブに考えたら私ってすっごくコストパフォーマンスが良い空母なのよね」

提督「そうなるな」

瑞鶴「それって、他の誰よりも提督さんの力になれるって事じゃない!」

提督「それは実力次第だな」

瑞鶴「むぅ……そこは嘘でも良いから『そうだよ』って答える所じゃない?」

提督「ほう。ではまず秘書の仕事と出撃を両立してもらおうか?」

瑞鶴「う……」

瑞鶴「──や、やる!!」

提督「お?」

瑞鶴「金剛さんに負けてられないもの!」

瑞鶴「提督さん、明日から私が秘書になって良い?」

提督「…………」

提督(変に対抗意識を燃やさせるんじゃなかった……)

……………………
…………
……

247 : VIPに... - 2013/10/20 13:23:06.45 ngVu1Op90 123/771

~翌日~

瑞鶴「負けました……」ズゥゥゥン…

金剛「秘書で私に勝とうなんて、百年早いネー」

「特にお茶淹れは段違いだったね。月とすっぽんと言っても過言じゃなかった」

瑞鶴「うっ」グサッ

「レディとしての振る舞いも金剛さんの方が上ね。さすが英国からの帰国子女といった所かしら」

瑞鶴「うぅ……」ドスッ

神通「提督の細かい動きを見れていたのも金剛さんでしたね……」

瑞鶴「あぐ……」グシャァ

提督「金剛、今後も秘書をよろしく」

金剛「ハイ♪ 私に任せてくだサーイ♪」

瑞鶴「あああぁ……」トドメ

提督「──話は変わって、遠征について言っておくことがある。が、その前に……」

「どうしたの、司令官?」

提督「整列」

全員「!!!」ビクッ

ザッ──!!

249 : VIPに... - 2013/10/20 13:34:48.33 ngVu1Op90 124/771

提督「点呼」

金剛「1!」

川内「2!」

神通「3!」

那珂「4!」

「5!」

「6!」

「7!」

「8!」

瑞鶴「9!」

提督「よろしい。では今後の遠征についての計画を発表する」

提督「総司令部の意向で、この鎮守府への定期資材配給に上乗せが約束された。──だが、私はこれに頼りきろうと思っていない」

提督「確保できる資源があるのなら自分達で調達するべきだ」

提督「現在、予定しているのは警備任務と海上護衛任務の二つ」

提督「だが、海上護衛任務に就くには旗艦を軽巡にしなければならないという決まりがある」

提督「そこで、次の出撃で一番適切だと思える軽巡の者を海上護衛任務の旗艦となってもらう」

提督「だが、それではモチベーションが上がらないと思い……こんな物を用意した」スッ

252 : VIPに... - 2013/10/20 13:48:25.98 ngVu1Op90 125/771

金剛「……はい、テートク」

提督「なんだ?」

金剛「それはなんデスか?」

提督「間宮アイスクリーム券だ」

全員「!!?」

提督「人数分頂いたのだが、生憎と私は甘い物が苦手でね。一枚余ってしまう」

提督「そこで今回、全員が一回出撃して、特に頑張った者に+一枚の景品として渡そう」

提督「質問はあるかな」

「はい! 駆逐艦と戦艦など、戦力に差がありすぎるのは不公平だと思うのだけど、そこはどうするんだい司令官!」

提督「私は一番戦果を挙げた者とは言っていない。特に頑張った者と言った。故に、戦果が全てではないから安心したまえ」

提督「……無いとは思うが、目の前の欲に駆られていると判断した場合、その者へのアイスクリーム券は一枚も与えないから注意するように」

全員「はいっ!!!!」

提督「他に質問はあるか? ……………………無いようだな。では、第一艦隊、第二艦隊の編成を発表する──」

……………………
…………
……

254 : VIPに... - 2013/10/20 14:01:52.20 ngVu1Op90 126/771

ぜーはーぜーはー……。

提督「皆よく頑張った。全員が全員を助け合い、目立った失敗も無かった」

(もうヘトヘトなのです……)

川内(夜戦で、気付いたら後ろから敵駆逐艦が主砲を向けていたくらい神経磨り減った……)

金剛(ノー……睡眠不足はダメね……これから気を付けないといけまセン……)

瑞鶴(疲れた……これが私の全力よ……! でも、ダメだったらどうしよう……)

提督「それでは、提督室にて旗艦になる軽巡と特に頑張った者を発表する。総員、補給と入渠を済ませたら随時提督室に来るように」

……………………
…………
……

提督「さて、と準備しなければな」

金剛「何の準備デスか?」

提督「……うん? なぜここに──ああ、金剛は今回被弾していなかったな」

提督「間宮アイスクリーム券を封筒に入れて準備をする。ついでに時間が余るはずだから少しでも書類を片付けようとね」

金剛「ナルホド。では、私は書類を整理しマスね?」

提督「ああ、頼む」

……………………
…………
……

257 : VIPに... - 2013/10/20 14:16:24.92 ngVu1Op90 127/771

「遅くなってごめんなさい。雷、出頭したわ」

提督「ん、これで全員揃ったな」

金剛「ハイ、雷。ココアデース」

「え!? 良いの、司令官!?」

提督「うむ。構わん」

「わぁー! ありがとう司令官、金剛さん!」

提督「……」

金剛(あ……また一瞬、悲しそうな表情を浮かべました……)

金剛(どうしてですか、提督……)

提督「飲みながらで良い。今から順不同で発表し、封筒を渡す。呼ばれたら私の前に来てくれ。封筒は各自室で開けるように」

提督「まずは暁」

「はい!」

提督「休み無く動き回り、砲雷撃戦、また戦闘後の索敵も申し分なかった。今回の戦闘で一番経験を積んだだろう。良い実戦だったな」

「ありがとうございます、司令官」

259 : VIPに... - 2013/10/20 14:31:52.25 ngVu1Op90 128/771

提督「川内」

川内「はい!」

提督「少し危なっかしい所もあったと思うが、その猛攻は素晴らしいものであった。敵の動きに対して反応が速かったようにも見えるから、その分野を伸ばすと夜戦にも役立つだろう」

川内「褒めてくれるの……? ありがとう!」

提督「神通」

神通「──はい」

提督「……運が悪かったのか、敵に狙い撃ちされていたな。だが、それらのほとんどを避け、その中でも砲雷撃を止めなかったのは驚嘆に値する」

神通「あの……提督……ありがとうございます」

提督「電」

「は、はい!」

提督「慣れているのもあるかもしれんが、どの動きも機敏で質が良く、まさに電の本気を垣間見た。常日頃から努力しているのが窺える。良くやった」

「あ、あの……! ありがとう……」

提督「瑞鶴」

瑞鶴「はいっ!」

提督「前回よりも艦上機の精度が増していたな。特に爆撃機の精度が素晴らしい。その機体で敵重巡を一撃大破させた功績は非常に大きかった。これからも頑張りなさい」

瑞鶴「ふふっ、ありがとねっ」

262 : VIPに... - 2013/10/20 14:45:05.65 ngVu1Op90 129/771

提督「響」

「はい」

提督「敵空母から直撃弾を受けたのには肝を冷やされたが、その際のダメージコントロールは目を見張るものがあり、勉強にさせてもらったよ。不死鳥の名は伊達じゃないな」

「これは照れるな……スパスィーバ」

提督「那珂」

那珂「はーい!」

提督「言葉は普段と変わらないが、その行動は戦域全体を見据えたもので、何より真剣に戦闘へ取り組んでいた。特にあの真剣さはこの鎮守府で右に出るものは居ないだろう」

那珂「提督ー! ありがとーーーーー!!」

提督「…………」

那珂「……ごめんなさい」

提督「……次、雷」

「はーい、司令官」

提督「戦果は乏しかったものの、最後の戦闘で直撃弾を受けそうになった金剛を庇って彼女に攻撃を託し、敵空母二隻を撃沈させたのは非常に大きい功績だ。被弾後のダメージコントロールも素早く、よく耐えてくれた」

「ありがとう司令官! 私、もっと頑張るからね!」

263 : VIPに... - 2013/10/20 14:57:26.49 ngVu1Op90 130/771

提督「最後に、金剛」

金剛「ハイ」

提督「出来る事は非常に多くなっており、勉強しているのが分かる。が、いつもよりキレが悪かった。一つ一つ習得していくようにしなさい」

金剛「あぅ……やっぱりデース……」

提督「次に海上護衛任務の旗艦を任せる者を言い渡す」

提督「総合的に見た所、神通、お前が適任だと判断した。頼んだぞ」

神通「え──は、はいっ。頑張ります」

提督「以上だ。ココアが飲み終わった者から自由行動を許可する」

……………………
…………
……

264 : VIPに... - 2013/10/20 15:08:18.78 ngVu1Op90 131/771

「ごちそうさま司令官! ココア、とっても美味しかったわ」

提督「うむ。これからも良い働きをしてくれ」

「はいっ! 雷、司令官の為だったらいくらでも頑張るわね! おやすみなさい!」

提督「おやすみ」

金剛「グッナイ、雷」

ガチャ──パタン

提督「そういえば金剛、自室へ戻らないのか?」

金剛「秘書の仕事がまだ残っていマース。封筒の中身なんていつでも確認できるネー」

提督「……ふむ」

金剛「テートクの仕事のスピードが速くなっていってるから今日も早く終わりそうデス。さっすがねテートクー!」

提督「それもあるが、一番は効率良く仕事を進めれるように金剛が色々としてくれているからだよ」

金剛「そんなことありまセーン。テートク、謙遜しすぎですヨー?」

提督「鏡を向けてやろう」

金剛「むー……私はサポート役なのニ……。メインはテートクですヨ?」

266 : VIPに... - 2013/10/20 15:29:19.55 ngVu1Op90 132/771

提督「私を剣とするならば金剛は技術だ。いかに優れた剣でも技術がなければ鉄屑に等しい鈍ら剣にすら負けるものだ」

提督「それとも、私に褒められるのは嫌いかね?」

金剛「そ、そんなことありまセン!!」ブンブン

金剛「本当はスキップしたいくらいに嬉しいデス。でも、恥ずかしいというかなんというカー……」

提督「はっはっはっ。そういう所は日本人だな、金剛」

金剛「ぅー……テートクは私をからかってるのデスか……?」

提督「半分からかってるが、もう半分は金剛を困らせたいからだ」

金剛「なんデスかそれー!!」

提督「さて……話は変わるが金剛」

金剛「ハイ、なんですか?」

提督「昨日は何時間ほど寝ている?」

金剛「え。エート……何時間でしょうか、ネ……」

提督「ほう? 自分の睡眠時間すら把握できていないのか、金剛?」

金剛「……二時間デス」

267 : VIPに... - 2013/10/20 15:39:49.76 ngVu1Op90 133/771

提督「最低でも四時間は寝れるようにしているつもりだったが、余りの二時間はどこへいった?」

金剛「…………自分の部屋で戦術指南書を読んでまシタ」

提督「やはりか」

金剛「……少しだけ、私の心の内を見せても良いですか?」

提督「うむ」

金剛「ありがとうございます提督」

金剛「…………私、もっと提督の役に立ちたいです。そして、提督を護りたいです」

金剛「提督は一緒に海へ出ていますけど、本当は凄く凄く怖い。なぜか敵は提督を狙わないけど、これからはどうなるか分かりません」

金剛「それに、例え狙わないといっても流れ弾はあります。それで提督が…………しまったら、私……その場で提督を追いかけてしまいます」

提督「……金剛」

金剛「は、はい」ビクッ

提督「すまないが、椅子に座るのが疲れた。ベッドへ腰掛けよう。隣に座りなさい」ギシッ

金剛「え……? は、はい……」チョコン

提督「そのまま私へ倒れなさい」

金剛「こ、こう、ですか?」

提督「肩へではない。足の上にだ」

金剛「えーと……はい」ヒザマクラ

268 : VIPに... - 2013/10/20 15:55:33.81 ngVu1Op90 134/771

提督「話を途中で止めてすまなかった。続けてくれ」ナデナデ

金剛「あ…………」

金剛(これ、とっても幸せです……)

提督「どうした、金剛?」

金剛「──あ、ご、ごめんなさい。つい気持ち良くて……」

提督「そうか。それは良かった」

金剛「……えっと……それでですね」

金剛「提督を死なせる訳にはいけません。皆の為にも、なにより私の為にも」

金剛「だから、私は強くなりたいんです」

提督「………………それで?」

金剛「え?」

提督「それだけじゃないんだろう? もっと汚い部分もあるはずだ」

金剛「…………提督はなんでもお見通しですね」

提督「分かる所しか分からんよ」

金剛「提督らしい切りかえしです」

金剛「……でも、ここから先は私自身が嫌う汚い部分ですよ? 良いんですか?」

269 : VIPに... - 2013/10/20 16:36:24.34 ngVu1Op90 135/771

提督「……うん? なにか独り言が聞こえてきたような気がするが、気のせいか。私はこのまま金剛を撫で続けるとしよう」

金剛「くす……。優しいですね、提督」

提督「……………………」

金剛「……私は、怖いんです、瑞鶴が……。いつか、今私が立っている提督の隣を取っていくんじゃないかって」

金剛「今日、秘書としての勝負を持ち込まれた時は心の底から怖かったです。勝てたから良かったですけど、今でも思い出すと背筋が凍りそうです」

金剛「そして、戦力では圧倒的です。あれは私がいくら努力しても勝てそうにないです。スペックが違うというのでしょうか……」

金剛「そのスペックの差を埋めるには、技術しかないと思います。提督を護る為に読んでいた戦術指南書で、どうにかしようと思いました」

金剛「でも、今思うとそれは汚い感情です。提督の為に読み始めたはずなのに、いつのまにか瑞鶴と対抗する為に読むようになってしまいました」

金剛「私は、提督よりも自分の心を優先させてしまったのです。それが醜くて、汚くて、そして悔しい……」

金剛「私は提督が大好きです。提督が傷付きそうになるなら、私は身を挺して庇います。万が一、提督が居なくなってしまったら、私は後を追います。それくらい好きです」

金剛「なのに……いえ、だから、自分の為に本を読むようになっていったのが、物凄く悔しいです」

金剛「提督……ごめんなさい……」

金剛「……………………」

金剛「──提督、ありがとうございます。スッキリしました。これが私の汚くて、嫌いな部分です」

270 : VIPに... - 2013/10/20 16:47:32.08 ngVu1Op90 136/771

提督「なんの話だろうな」

金剛「ふふっ、独り言です」

提督「そうか、独り言か。それならば仕方が無い」

金剛「……そろそろお仕事に戻らないといけませんね」

提督「何を言ってるんだ金剛。今日のお前の仕事は終わってるぞ」

金剛「え、でも提督の机の上の──」

提督「私には何も見えないな。私に見えるのは、上官の膝に倒れこむほど寝不足の秘書だ」

金剛「……ズルいですよ、提督」

提督「上の者は基本的にズルいんだよ、憶えておくと良い」

金剛「もっと、好きになっちゃったじゃないですか」

提督「そろそろ溺れそうだな」

金剛「とっくに沈んでますよ。水面に届かないくらいに」

提督「困った秘書だ」

金剛「あはっ」

……………………
…………
……

271 : VIPに... - 2013/10/20 17:01:02.25 ngVu1Op90 137/771

金剛「ん……今何時──はっ!!」ガバッ

提督「起きたか」

金剛「……私、何時間寝てまシタか?」

提督「三時間にギリギリ届かないくらいだな」

金剛(という事は、今フタサンサンマルくらいデスか)

金剛「……テートク、机のスタンドライトだけでは目を悪くしマスよ」

提督「継続しなければ問題ないだろう」

金剛「私の為に気を遣って……」

提督「今日はこうして仕事をしたい気分だったんだ」

提督「だが、秘書の言う事は最もだろう。電気を付けるぞ?」

金剛「ノープロブレム。大丈夫ですヨ。──ワオッ眩しい」

金剛「さて、私もお仕事を──アレ? もう書類が無いデス……」

提督「言っただろう、今日のお前の仕事は終わったと」

金剛「あれだけあった書類を、たった一人──しかも三時間で終わらせるのは無理があると思います。どこに隠しましたか。終わらせた書類の下ですか?」

提督「……まったく、本当に勘が良いな」

272 : VIPに... - 2013/10/20 17:22:45.23 ngVu1Op90 138/771

金剛「ほらほら出してください。早く終わらせまショー?」

提督「いや、残りの九割は機密書類なんだ。私以外が見る訳にはいかない。金剛は自室にもどって寝るように。これは上官命令だ」

金剛「……理由を聞いても良いですか? 一割は残ってますよね」

提督「寝不足が原因で艦全体の動きに支障が出るのは困る。何度でも言うが、轟沈なんてされたら後悔してもしきれん」

金剛「……提督が寝不足になっても同じ事じゃないですか? それも、私よりも遥かに影響が大きいです」

提督「私が訓練した艦が早々轟沈する訳がないだろう。演習を見ていて分かったが、そろそろ私が一緒に出撃しなくても良いくらいだ。それでも私は行くがな」

提督「それに、私は轟沈などしない。死ぬ事は無いんだ」

金剛「それはどうなるか──」

提督「ならない」

金剛「────え?」

提督「そうならないように出来てるんだよ」

273 : VIPに... - 2013/10/20 17:32:30.16 ngVu1Op90 139/771

金剛「……………………」

金剛「それは、前に言っていた秘密ですか?」

提督「…………」

金剛「──分かりまシタ! 今日、私はぐっすりとスリープしマス!」

提督「うむ。おやすみ金剛」

金剛「グッナイ、テートク! ……ありがとう」

ガチャ──パタン

提督「…………さて、瑞鶴が来るのにあと三十分か。ギリギリだったな」

……………………
…………
……

275 : VIPに... - 2013/10/20 17:57:51.60 ngVu1Op90 140/771

コンコン──コン──。

提督「入れ」

ガチャ──

瑞鶴「……瑞鶴、出頭しました」

パタン

瑞鶴「あの、提督さん。お話って何……?」ビクビク

提督「昨日話したように、私と私に直属する艦娘の命は握られている。下手をすれば明日の命が無いのは知っているな?」

瑞鶴「う、うん……」

提督「本当は全くの進展無しではぐらかすつもりだったんだが、そうもいかなくなった。これを見てくれ」ガサッ

瑞鶴「……何これ?」

提督「簡単に言うなら、実験結果報告書だ」

提督「知っての通り、艦娘は一人の提督にしか言う事を聞かない。だから、私達の二人でそこの書類にある項目をクリアしていき、報告書を作成しろ、との事だ」

提督「まあ、私が何もしないで放置すると思ったのだろう。だからこんな物を送りつけてきた」

279 : VIPに... - 2013/10/20 18:14:06.22 ngVu1Op90 141/771

瑞鶴「……それって効率悪くない? この鎮守府にその手の施設とか職員を置くのが普通だと思うんだけど」

提督「この事はAAAクラスの機密事項。詳しくは知らんが微塵にも怪しまれる訳にはいかないのだろう」

提督「それに、駒も足りないと言っていた。何よりも人が居ないのだろうな」

瑞鶴「ふぅん……。げっ、薬物投与の項目もあるじゃない」

提督「それらの項目に従うつもりは一切無い。貴重なサンプルを薬で壊す可能性がある上、当鎮守府の戦力を大幅に削ぐため論外とでも適当な事を書くさ」

瑞鶴「……ありがとう、提督さん。……それにしても滅茶苦茶多いわね、この書類。どれだけあるのよ」

提督「まったくだ。通常の機密書類と一緒に送りつけてくるものだから、金剛を追い払うのに少し頭を悩まされた」

瑞鶴「…………あの、提督、さん。これ、全部、見た?」

提督「いや、全部は見ていないが、どうした」

瑞鶴「…………」スッ

提督「うん? ……『性行為による通常艦娘との違いの報告』?」

瑞鶴「……………………」

280 : VIPに... - 2013/10/20 18:30:18.74 ngVu1Op90 142/771

提督「…………………………………………」グッ

瑞鶴「だめえええ!!! 機密書類を破っちゃだめえええええ!!」ガシッ

提督「ええい放せ瑞鶴! あんのクソジジイ共こんなもん送ってきやがって!! 破り捨てて焚き火の燃料にでもしてくれるわ!!!!」

瑞鶴「それでもダメだってばあああ!!!」

提督「問題ない!! 紛失したと言えば良い!!!」

瑞鶴「それ言ったら隠蔽の為に私たち殺されちゃう!!」

提督「ならば誤って燃やしてしまったと!!」

瑞鶴「提督さん落ち着いてえええええええ!!!」

……………………。

提督「…………」

瑞鶴「…………」

提督「……よし、何も変わらなかったと書こう」

瑞鶴「検査されたら一発じゃない……」

提督「…………これで三十回のダメだし。もう他に思い付かんぞ」

瑞鶴「……………………」

瑞鶴「まだあるじゃない、一つ……」

提督「何、本当か!?」

瑞鶴「う、うん……」

提督「一体なんだ。むしろよく思い付いたな」

瑞鶴「……………………本当にやっちゃえば良いじゃないの」

281 : VIPに... - 2013/10/20 18:39:50.46 ngVu1Op90 143/771

提督「…………」

提督「そうだ。まだ瑞鶴の心の準備が出来ていない為、延期を希望と書こう」

瑞鶴「……私、提督さんなら良いよ?」

提督「…………」ビキィ

瑞鶴「万年筆にヒビが!? どういう力してるのよ!?」

提督「……瑞鶴、お前も冗談が言えるようになったじゃないか」ミシミシ

瑞鶴「万年筆が可哀想だから離してあげて!!」

瑞鶴「……本心よ。私、提督さんになら身体を預けて良い」

瑞鶴「それに、艦娘は生殖能力が無いから戦闘に影響は無いじゃない」

瑞鶴「……やらないと、私達はどうなるか分からない。それだったら、私は──」

提督「時間が必要と書く。本人が望まず強引に行為を運ぶと戦闘に甚大な影響が出る可能性が極めて高い」

瑞鶴「──え、提督さん?」

提督「ご苦労だった瑞鶴。今日はもう休みなさい」

瑞鶴「ま、まだ話は途中でしょ!? 性こ……さっきの話が最後なんだし、最後まで話しましょうよ!」

284 : VIPに... - 2013/10/20 18:50:07.48 ngVu1Op90 144/771

提督「いや、終わったよ。心の底で瑞鶴がどう思ってるのかを聞けた」

瑞鶴「え…………え……?」

提督「私の言っている意味が分からないのなら、じっくり考えると良い。安心しろ。上に急かされるまで命は大丈夫のはずだ」

瑞鶴「て、提督さん……? 私、何か癇に障る事──」

提督「瑞鶴」

瑞鶴「ぴゃい!?」ピシッ

提督「これ以上は明日の行動に支障をきたす。寝なさい」

瑞鶴「…………はい」

ガチャ──

瑞鶴「………………おやすみなさい、提督さん」

提督「ああ、おやすみ」

パタン

提督「…………はぁ」

提督「本当、やり辛くなってきた……」

285 : VIPに... - 2013/10/20 19:04:11.34 ngVu1Op90 145/771

提督「──それにしても、実験か。本当に効率が悪いな。なぜわざわざ瑞鶴を使う。敵艦を捕獲でもなんでもして──」

提督「──……そうだ、なぜだ? なぜ敵艦で実験しないんだ?」

提督「確かに瑞鶴は深海棲艦から造られた、たった一隻のサンプルだが、それにしては明らかに不必要だと思える内容もあった」

提督「何かがおかしい……。いや、おかしい事はいくらでもあるが……なんだ、この妙な違和感は……」

……………………
…………
……

287 : うおお、ミスった!! - 2013/10/20 19:06:30.63 ngVu1Op90 146/771

~翌朝~

提督「ふぅん……沖ノ島海域でねぇ……」ズズッ

金剛「どうしましたテートク? 軍諜報新聞を睨み付けて」コクコク

提督「ん、沖ノ島海域で過去最大級の大規模戦闘があったらしい。敵味方共に被害は甚大だそうだ」

金剛「怖いですネー……」

提督「あそこは敵が蛆のように沸く海域らしいからな。大規模戦闘自体は珍しくもない。まあ、私達の管轄じゃないから大丈夫だ」

提督「……ところで、当たり前過ぎたから流してしまっていたが、どうして金剛がここに居る? 今日は休みにしたはずだろう」

金剛「私は提督の秘書デスから」

提督「本音は?」

金剛「提督と一秒でも長く一緒に居たいからデス」

提督「金剛は素直だな」

金剛「ふふーん。秘書の特権デス!」

290 : VIPに... - 2013/10/20 19:22:42.78 ngVu1Op90 147/771

提督「……こうして薄い紅茶を嗜みながら海を眺めていると、平和そのものなんだがな」ズズッ

金剛「ですネー……。戦争しているなんて嘘みたいデス」コクコク

金剛「それにしても、どうして今日は休みにしたのデスか?」

提督「なんとなくだ」

金剛「……………………」

金剛(何かありましたね、これは)

コンコン──。

提督「入れ」

ガチャ──パタン

「あの、い、電です」

提督「どうした?」

「あのですね……えっと……なんて言えば良いのでしょうか……」オロオロ

提督「……ほら、飲んで落ち着きなさい」スッ

「え、あ──はい」コクコク

金剛(む。間接キス……)

291 : VIPに... - 2013/10/20 19:29:57.54 ngVu1Op90 148/771

提督「落ち着いたか?」

「──はい。ありがとうございます」

「それで、ご報告なのですが……敵です」

提督「な──!?」

金剛「どこデスか電! 急行しマス!!」

「あ、あの!! 落ち着いてください! その敵がおかしいのです!!」

金剛「おかしいって何がデスか!!! 早く行かないと──」

提督「金剛」

金剛「──ひゃいっ!」ピシッ

提督「電、おかしいというのはどういう意味だ。それは、お前が慌てていないのと関係があるのか?」

「は、はい……それが……」

……………………。

298 : VIPに... - 2013/10/20 19:48:58.49 ngVu1Op90 149/771

空母ヲ級「…………」ボー

提督「……なんだあれは。なんで母港の端っこで黄昏てるんだ……」

「おまけに、なんだか砲身も折れ曲がってるわよ」

「使い物になりそうにないです……」

「服もボロボロね」

「まるで必死に逃げてきたみたいだよ」

ヲ級「……………………」ハァ

金剛「……物凄く落ち込んでるみたいネ」

川内「…………良く見たら艦載機積んでないよね、アレ」

神通「どういう事なのでしょうか……」

那珂「話しかけてみる?」

瑞鶴「誰がやるのよ……」

提督「…………私が行く」

金剛「何を言ってるんですか提督!?」

「正気かい? ……いや、司令官ならそんな無謀もやりかねないか」

提督「響、あとで吊るすからな」

「なっ!?」

「……同情するわ」

302 : VIPに... - 2013/10/20 20:08:55.68 ngVu1Op90 150/771

提督「皆はここで待っててくれ」

金剛「私も行くわ。提督は私の一歩後ろを進んできてください」

「……本当に行くのですか?」

提督「ああ。これは今までに前例が無いからな」

「いってらっしゃい司令官!」

「雷、いってらっしゃいって……」

「だって司令官と金剛さんよ? 大丈夫に決まってるじゃない!」

瑞鶴「…………」

提督「それじゃあ行って来る。瑞鶴、川内、神通、電は周辺の索敵。何かあったら瑞鶴を司令に動いてくれ」

提督「行くか、金剛」

金剛「ハイ! 皆さん、頼みましたヨー?」

瑞鶴(…………あの敵空母、危険じゃないような気がする……)

瑞鶴(やっぱり、深海棲艦がベースだからかな、私……)

……………………。

303 : VIPに... - 2013/10/20 20:17:32.24 ngVu1Op90 151/771

ヲ級「?」チラッ

金剛「動かないデ! 動いたら撃ちマス!!」

ヲ級「ッ!?」ビクッ

提督「……今までの敵と様子が違うな」

ヲ級「…………」ビクビク

ヲ級「……?」

提督「うん?」

ヲ級「…………」ジー

提督「……なんだ?」

ヲ級「…………?」ジー

提督「……………………」

ヲ級「……」チラ

金剛「……なんデスか?」ジャキッ

ヲ級「!」ビクッ

ヲ級「…………」ビクビク

304 : VIPに... - 2013/10/20 20:35:38.04 ngVu1Op90 152/771

提督「…………」

提督「金剛、砲を下ろしてやれ」

金剛「できまセン」

提督「私からのお願いだ」

金剛「う……。何か変な行動をしたと思ったら発砲して良いですか」

提督「許可する」

提督「……さあ、教えてもらおう。どうしてここに居るんだ?」

ヲ級「……………………!!!!」ビクゥッ

ヲ級「!」ピシッ

提督「…………なぜ敬礼をした」

金剛「テートク……このエネミー、意味不明ネ……」

提督「ここまでくるともはや敵かどうかさえ疑いたくなる……」

ヲ級「…………?」

提督「…………」

ヲ級「…………」ソロソロ

金剛(テートクに近付いて何をする気……? 敵意は感じないケド……)

305 : VIPに... - 2013/10/20 20:45:39.25 ngVu1Op90 153/771

提督「……なんだ?」

ヲ級「…………」ソロー…ギゥ

金剛「なぁッ!?」

提督「……は?」

ヲ級「♪」ホッコリ

金剛(なんってハッピーな顔をしてるんデスか、このエネミー……)

ヲ級「♪」スッ

ヲ級「♪」ニコニコ

提督「……一体お前はなんなんだ?」

ヲ級「…………」ピョン…パシャ

ヲ級「♪」ペコッ

提督「…………」

ヲ級「♪」スーッ

金剛「……なんだったんデスかね、アレ」

提督「分からん……」

……………………
…………
……



続き
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」 #02


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