1 : VIPに... - 2014/08/20 01:06:32.32 oF1BqgSpo 1/209

まどか「談義スレ発企画、まどマギでリレーSSしましょう! ってスレだよ!」

ほむら「ルールは以下の通り。よく読んで頂戴ね」

~~
①参加できるのは昔SSを完結させた作者のみ。
 昔書いたSSのスレタイを酉つきでレスしたエントリーのみ有効。
 同一の酉でも作品数だけエントリー可能。続編等に関しては暫定無効。

②レスできるのは一回のエントリーにつき5レスまで。
 5レス以内にバトンタッチしたい場合は、書き終わったあとその旨をレスすること。

③エントリー方法は安価とする。
 最後に書いた作者は必ず次の作者を決める安価を出すこと。

④エントリー後、翌日の深夜0時までに投下されなかった場合はエントリー無効とする。
 2回無効となった酉はエントリー権が失われる。

⑤酉持ち作者には拒否権が与えられる。
 続きがあまりにも酷い内容だった場合に、酉つきで五回「拒否権発動」とのレスがついた場合は、その作者が書いた内容は無効とする。
 ただし、同一IDで違う酉の拒否権発動は無効とする。さらに一度拒否が成立した際に成立要件になった酉五つは拒否権が失われる。

⑥再度作者を募集しなければならなくなった場合は、それが明らかになったレスから3つ下のレスにエントリー権が与えられる。
~~

まどか「目指すは>>1000! 完走だよ!」



元スレ
まどか「まどか☆マギカで!」ほむら「リレーSS」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408464382/

3 : VIPに... - 2014/08/20 01:12:35.18 oF1BqgSpo 2/209

ほむら「まどか、大切なことを忘れているわ」

まどか「えっ?」

ほむら「作者の募集よ」

まどか「あっ」

ほむら「それと、まどマギには三つの世界があるわ」

まどか「元の世界、私が改変した世界、ほむらちゃんが改変した世界だね」

ほむら「ええ。舞台くらいは最初に決めておかないと」

まどか「じゃあさっそく安価だよ! 舞台は>>5、作者さんは>>10で!」

ほむら「作者は自分の過去作と酉を忘れずにね」

5 : VIPに... - 2014/08/20 01:40:46.01 go/1lhyKO 3/209

悪魔世界で

10 : VIPに... - 2014/08/20 03:51:14.05 Kxkup5xX0 4/209

おわり

13 : VIPに... - 2014/08/20 07:34:10.53 ifBI0BpAO 5/209

この場合はルール⑥によって3つ下のレスが作者になるまたは0時までにレスがつかないから流れる訳だな。
確かにルールはよく考えられてる。
しかし完結作の酉付きが参加条件って意外にハードルが高いけど確かにテンションがあがりそうな縛りだな。
期待する。

16 : ◆qi9dg3ebRKTd - 2014/08/20 09:07:00.66 Bff+CO6/0 6/209

クソSSだけど
ほむら「まどパンに叛逆するわ」
http://ayamevip.com/archives/39450657.html
16だったら一応書き留めてくる

22 : ◆qi9dg3ebRKTd - 2014/08/20 10:59:13.67 Bff+CO6/0 7/209

悪魔ほむら「神を誹謗中傷し、人を誘惑する存在」

悪魔ほむら「wikipediaー悪魔ー」

悪魔ほむら「・・・悪魔らしいことしてないわね」

悪魔ほむら「本当に悪魔と呼ばれるに相応しい事でもしましょうかしら」


まどか「へぇ~ 上条くんがねー」

さやか「そうそう それでね・・・」

悪魔ほむら「ちょっと良いかしら まどか?」

まどか「ほむら・・・ちゃん・・・」

さやか「何しにきた! 悪魔!」

悪魔ほむら「ごめんなさい あなたに用はないのよ」 パチン

さやか「トイレ~ トイレ~」テッテッテ

まどか「さやかちゃん?」

悪魔ほむら「さっそく悪いのだけれども・・・」

悪魔ほむら「パンツを脱がさせもらえるかしら?」

まどか「・・・え?」

23 : ◆qi9dg3ebRKTd - 2014/08/20 11:00:05.85 Bff+CO6/0 8/209

まどか「え・・・ここ教室だよ・・・」

まどか「それにパンツって・・・」

悪魔ほむら「つまりパンツ脱がされるのが気まずいのね?」

まどか「まぁ・・・うん?・・・そうだね・・・?」

悪魔ほむら「大丈夫よ」 パチン

中沢「パンツ! パンツ! パンツ! パンツ!」

上条「まどパン! まどパン! まどパン! まどパン!」

まどか「え・・・? え!? え・・・?」

先生「まどパン! まどパン! まどパン!」

まどか「・・・そもそもまどパンって何・・・?」

悪魔ほむら「皆応援してるわよ まどか!」

さやか「まどパン! まどパン! まどパン! まどパン!」

仁美「まどかさんのちょっと良い所見てみたいですの! まどパン! まどパン!」

まどか「さやかちゃん? 仁美ちゃん? 何これ・・・?」

悪魔ほむら「さぁ私にまどパンを脱がせなさい! まどかぁ!」

クラス一同「まどパン! まどパン! まどパン! まどパン!」

悪魔ほむら「まどパン! まどパン! まどパン!」

まどか「ひぃ!? あんまりだよ・・・こんなのってないよ・・・」

クラス一同「まどパン! まどパン! まどパン! まどパン!」

悪魔ほむら「手を離しなさい! まどか!」グググ

まどか「駄目! 私のパンツが・・・裂けちゃう!」グググ

24 : ◆qi9dg3ebRKTd - 2014/08/20 11:00:39.28 Bff+CO6/0 9/209

まどパンを引っ張る度にまどかに抵抗される

その抵抗が”まどかが生きている”という確かな安心感を私にくれた

そして、その抵抗から”まどかがこの世界で確かに生きようとしている”事が伝わった


悪魔ほむら(私は間違ってなかったようね・・・)


まどパンを引けば引くほど、まどかの顔が赤くなっていった

涙がこぼれていった

羞恥心が広がっていった

それを見る度、私の体が ゾクゾク 音を立てるのが聞こえた


ソウルジェムの秘密をしって

魔法少女の仕組みをしって

私は生の実感を失っていた

さらに、悪魔になって生の実感自体を忘れていた・・・


けれど、今、体がゾクゾク震える度に

私の生の実感は 続々と増えつづけていった


悪魔ほむら(私も生きているのね この世界に)


まどパンを奪った後、まどかの顔を再び見た

まどかの形容し難い羞恥心に満ち溢れた顔を見て

悪魔になった実感もゾクゾクと、続々と思い出した


悪魔ほむら(もっと、もっとまどかの・・・まどかの堕ちる顔が見たいわ)

25 : ◆qi9dg3ebRKTd - 2014/08/20 11:01:50.91 Bff+CO6/0 10/209

悪魔ほむら「いったわよね? 私が敵になるかもしれないって」

まどか「そんな・・・あんまりだよ・・・こんなのってないよ・・・」

悪魔ほむら「ねぇまどか これが何か分かるかしら?」パチン

まどか「・・・え? なにそれ?」

悪魔ほむら「フフフ・・・」パクパク

まどか「え?・・・何を食べてるの?」

悪魔ほむら「口移ししてあげるわ」ブチュゥゥ

まどか「嘘っ 嘘だよね ほむらちゃん頭絶対おかしいよ・・・」

まどか「うっ・・・・・・・」チュゥゥゥゥ


どんどん堕ちていく・・・

どこまでも堕ちていく・・・


まどかの可愛い顔が必死に困惑の表情をする

眉を精一杯上げた、純粋なまどかの必死の蔑む顔が

さらに涙を流すまどかの顔が

羞恥心に悶え苦しむまどかの顔が

微かに雌の顔をするまどかの顔が

子供のような疑心暗鬼にかられているまどかの顔が

それを見てゾクゾク震え続ける私の体が


私をさらに悪魔にした


どこまでも堕ちていきたい

まどかを堕とし入れたい

まどかとどこまでも堕ちていきたい

二人でどこまでも堕ちていきたい

ずっとずっと堕ちていたい

誰もこれないような、暗闇の底まで二人だけで堕ちていきたい

26 : ◆qi9dg3ebRKTd - 2014/08/20 11:02:58.31 Bff+CO6/0 11/209

いつだったか・・・

二人で魔女になって暴れようと決意したとき・・・

あの時の感情が

何倍にも 何倍にも 何倍にも 何倍にもなって

堕ちて 堕ちて 堕ちて 堕ちて 堕ちつづけた感情が

今の私の感情を支配しているのかもしれない


悪魔ほむら(私は悪魔・・・)

悪魔ほむら(神を まどかを堕とし誘惑する悪魔)


まどか「ねぇ・・・ほむらちゃん」

悪魔ほむら「なにかしら? 私のまどか?」

女神まどか「ねぇ どうして? どうして友達なのにこんな事するの?」ピッカー

悪魔ほむら「!?」

悪魔ほむら「・・・」

女神まどか「私ね・・・ほむらちゃんの事信じてたんだよ・・・」

女神まどか「それなのに・・・」

悪魔ほむら「あなたの力を奪った時、あなたの記憶や気持ちも流れてきたわ」

女神まどか「え!?」

悪魔ほむら「あなたも本当は内心嬉しいんじゃないかしら・・・」

女神まどか「・・・・・・」

悪魔ほむら「ねぇ 教えてよ! まどか!」





安価(拒否権発動を除いて)下3

(拒否権発動5つ発動した場合、安価は5つ目の拒否権から 下3)

28 : ◆qi9dg3ebRKTd - 2014/08/20 11:15:13.76 Bff+CO6/0 12/209

あ、安価って 次の作者の事ね・・・

41 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/20 15:19:37.38 oF1BqgSpo 13/209

>>28乙乙
そしてこのノリは、どうやら俺の出番のようだな!

ほむら「愛よ」まどか「え?なあに?」ほむら「なななんでもないわ」
http://ayamevip.com/archives/38635738.html
ほむら「人間まどかを攻略する」まどか『えぇー』
http://ayamevip.com/archives/38639430.html
ほむら「人間まどかを攻略し損ねた私の末路」
http://ayamevip.com/archives/38640925.html
シリーズ物は一作扱いなので、この三作でエントリーします

44 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/20 15:33:48.86 oF1BqgSpo 14/209

女神まどか「いや…ごめん、私パンツ食べる趣味はないよ…」

ほむら「」

女神まどか「あ! でもほむらちゃんとこうして会えたのは嬉しいかな…」ウェヒヒ

ほむら「まどか・・・」

女神まどか「あーあ! 私ほむらちゃんを導くの楽しみにしてたのになぁー」

ほむら「でも人間として生きられる方がいいでしょう」

女神まどか「・・・うーん。いまみたいに円環の理とアクセスできてないと、変態なほむらちゃんしか知らない状態なんだもん」

ほむら「うぐっ・・・」

女神まどか「できれば、頑張り屋なほむらちゃんも、優しいほむらちゃんも・・・ほむらちゃんのことぜーんぶ知ってる状態でお話ししたいなー、なんて」ウェヒヒ

45 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/20 15:42:09.59 oF1BqgSpo 15/209

ほむら「・・・・・・! じゃ、じゃあこのままでいればいいじゃない!」

女神まどか「だめだよ。いまの私は世界の理だもん。みんなのために、役割を全うしなきゃ。・・・だから、私のチカラ、全部返してくれないかな」

ほむら「死んでもイヤよ」

女神まどか「でも・・・過去のことをぜんぜん知らない私といたって、ほむらちゃんも辛いだけでしょ?」

ほむら「だいたい、すぐ帰らなくてもいいじゃない。神様だって80年やそこらの休暇は必要だわ」

女神まどか「休暇長すぎるよ! だいたい、円環の理が不完全なままだったら危険なんだよ! わかってる!?」

ほむら「ああもう。本当にあなたって自分の使命にまっすぐなのね。そんなところも愛してるわ」

女神まどか「愛・・・っ!?」カアア

ほむら「スキありっ!」ビシィ

女神まどか「んぁっ」

まどか「あう」シュウウウ

ほむら「まったく、油断も隙もあったもんじゃないわね」ガシッ

46 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/20 15:45:04.21 oF1BqgSpo 16/209

ほむら(・・・でも)

女神まどか『できれば、頑張り屋なほむらちゃんも、優しいほむらちゃんも・・・ほむらちゃんのことぜーんぶ知ってる状態でお話ししたいなー、なんて』ウェヒヒ

ほむら「・・・ふふ」

一同「「まどぱん! まどぱん!」」

ほむら「・・・まだやってたのあなた達。ほら、解散解散」パン


47 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/20 15:49:15.58 oF1BqgSpo 17/209

ほむら「我ながら、酷いありさまね・・・。なにを思ってこんなことさせてたのよ」

ほむら「・・・・・・」

ほむら(・・・最近、すこしおかしい気がする。とつぜん変態的な衝動や、暴力的な衝動に駆られてどうにも自分を抑えられなくなる)

ほむら(いずれも反社会的な衝動ばかり。まさか、悪魔に堕ちた反作用だとでもいうの?)

ほむら「・・・ま、気にしても仕方のないことよね」

48 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/20 15:56:30.05 oF1BqgSpo 18/209

ほむら「それよりもまどかだわ。ノーパンのままじゃまずいし、保健室に運びましょう」

―保健室―

まどか「すー、すー」

ほむら「はぁ…可愛い寝顔だわ。この顔を見てるだけで心が洗われるってもんね」

ほむら「・・・・・・・とりあえず、写真に残しておきましょう」カシャッ

ほむら「・・・・・・」

ほむら「私だって、全部知ってるまどかとおしゃべりしたいわよ・・・・・・。まどかのばか」

ほむら「私と仕事、どっちが大事なの!? ・・・・・・って、仕事なのよねぇ」

ほむら「・・・・・・そうだ。仕事を奪っちゃえばいいんじゃない!」ガタッ

ほむら「そうよ! なんでこんな簡単なことに気づかなかったのかしら!」


ほむら「まどかとふたたびルナミスするため、まどかに代わる、新たな円環の理を創造しましょう!!」


以上で
次の作者>>52

65 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/20 20:28:20.51 lOBWlYUvo 19/209

踏んだかぁ…

さやか「魔法少女狩り?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1336469372/
さやか「見滝原の悪夢」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1317377108/
さやか「この世界って守る価値あるの?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1314446474/
当時酉で書いてなかったから酉だけで本人だと証明する方法がないので、
完結させたのを保存してるpixivのユーザー名に◆L6BlpxGAiAをくっつけてみたんだけど、どうでしょう?

pixivのリンク先はこちら
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=896159

問題ないようなら続きを書かせてください

74 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/20 22:44:09.69 lOBWlYUvo 20/209

--ほむらの家--

??「わわわたしはかかかめまどまどまど……」

ほむら「……また、失敗した」

ほむら「どうして!? ただ一人魔法少女となる素質のある子を作り上げるだけでいいのに! どうして出来ないの!?」

QB「それが君の限界だという事だよ。暁美ほむら」

ほむら「……!!……キュゥべえ!!」

QB「無から新たな人間を作り出すというだけでも大変な事なのに、さらに魔法少女としての素質をもった子を作りあげる。そんな無茶苦茶な事、無理に決まっているじゃないか」

QB「……まぁ、魔女の肉があれば不可能ではないんだけどね」

ほむら「!? 魔女の肉? どういう事?」

QB「言葉の通りさ。死んだ魔女の肉を元にして新たな人間を作りだす。まぁ鹿目まどかの願いで魔女は生まれる事すらできなくなったんだけどね。だけど……」

僕たちにはソウルジェムの中の世界で魔女を作り上げる技術がある

ほむら「……そうよ! あなた達の力を使えば可能なはず。今すぐにでも魔法少女を捕まえて……!」

ドンドン!

ほむら「……だれよ。こんな時に」

マミ「暁美さん! 私よ! 巴マミよ!」

ほむら「……あぁ、向こうから来てくれるなんて、嬉しいわ……」

ガチャ

マミ「暁美さん! またあなたとんでもない事をしでかして……!!」

ほむら「ねぇ、巴さん。私お願いがあるの」

ほむら「私の為に、魔女になってくれないかしら」

マミ「……魔女? 聞いた事がないわね」

ほむら「あなたの知識なんてどうでもいいわ。……そう、あなたほどの魔法少女なら、上質な魔女の肉が作れるはず。そうすれば素質のある子を作り上げ、その願いで新たな円環の理を作れる」

マミ「……? 何を言っているの?」

ほむら「だから……私の為に魔女になってくれるわよね。巴さん?」

マミ「う……これが佐倉さんの言ってた操り魔法。でもね、それは既に対策済み……」

バタン

ほむら「……」

マミ「……え? 暁美さん? ……暁美さん! ちょっと、しっかりして! 暁美さん!!」

75 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/20 22:45:50.96 lOBWlYUvo 21/209

ほむら「……あれ、私は?」

マミ「暁美さん、目を覚ましたの? 良かった……」

ほむら「……そう、私はあのまま気絶して……」

マミ「突然倒れて本当にびっくりしたんだから……ちゃんと睡眠はとってる? 食事は?」

ほむら「そういえばもう随分寝てないし食べてないわね。部屋にこもってからどれだけたったのか……馬鹿らしいからいちいち時計を確認してもいなかったわ」

マミ「まったくもう……はい、おかゆ」

ほむら「……巴さん。あなたは何故ここに?」

マミ「佐倉さんと美樹さんのクラスで随分な事をやってくれたみたいじゃない。まどパン! まどパンって」

ほむら「……あなたが何故それを知っているのかしら。クラスも違うはずよ」

マミ「佐倉さんが教えてくれたのよ。あなたの魔法でクラス中の生徒が大変な事になっていたって」

ほむら「……佐倉杏子は私の魔法が通じていなかったのね」

マミ「あなた何度もクラス中の人間を操っていたみたいじゃない。佐倉さんはそこからあなたの魔法を解析して対抗策を作り上げていたのよ」

マミ「もっとも……魔法にかかっておけばよかったと思うぐらいのひどい状況だったと聞いたわ。それで今日はあなたにお灸をすえに来たんだけど……そんな事言っていられるような状況ではなかったみたいね」

ほむら「……私は、新しい円環の理を想像するの。その為にならどんな犠牲を出したって構わない」

マミ「……その方法が私をその魔女とやらにする事だったわけかしら」

ほむら「そうよ」

マミ「……そんな回りくどい方法を使う必要はないわ」

ほむら「……え?」

76 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/20 22:48:05.11 lOBWlYUvo 22/209

マミ「キュゥべえ! いるんでしょ! 出てきなさい!!」

QB「何だいマミ?」

マミ「願いを叶えられる存在は、別に人間に限った話ではないわよね」

QB「そうだね。人間以外でも……例えばそれが人造人間でも、悪魔であっても叶える事は可能だよ」

ほむら「……何故それを教えてくれなかったの?」

QB「聞かれなかったからさ」

ほむら「……」

QB「暁美ほむら、君は規格外の素質をもっている。君の願いなら誰かに円環の理を押し付ける事なんて造作もない事だろう」

ほむら「……なら、私は」

QB「そう、君はもう一度完全なまどかと出会う事が出来るんだ」

ほむら「……私は、巴さんに」

マミ「待って!」

ほむら「……何かしら」

マミ「……私を円環の理にするなら、一つ私の頼みごとを聞いてほしいの」

マミ「……百江なぎさちゃん。知ってるわよね。あの子は私がいなくなったら凄いショックを受けると思うの……あの子の事を暁美さんにお願いしてもいいかしら」

ほむら「……別にいいわよ。それぐらい」

マミ「じゃぁ……願いなさい。私を円環の理に……」

ほむら「……悪いけど、気分じゃないの。……もう少しだけ考えさせて」

マミ「……そう。じゃぁ私はこれで帰らせてもらうわ。おかゆ、ちゃんと食べるのよ」

ほむら「……ありがとう、巴さん」

77 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/20 22:50:55.94 lOBWlYUvo 23/209

ほむら「……気づかないわけないじゃない。あんなにふるえて……本当は円環の理になるなんて怖くて仕方ないくせに」

ほむら「……キュゥべえ。魔法少女になる素質をもった人造人間を作る事を願えば、その子の願いで円環の理になってもらう事は可能なの?」

QB「産まれたその子の魔法少女の素質の度合いにもよるけど、難しいだろうね」

ほむら「……もし、私が魔女を作り出す事に成功していたとしても、円環の理にさせる事は不可能だったという事!?」

QB「何を怒っているんだい? 僕は君に対して魔法少女の素質をもった人間の作り方を助言しただけじゃないか」

ほむら「……」

QB「さぁ願う内容はもう決まっているんだろ? 何を迷う事があるんだい?」

ほむら「魔法少女になれば、私は悪魔ではなくなる。そうなったらあなた達はどうするの?」

QB「……」

ほむら「悪魔の存在がいなくなれば、円環の理の解析を邪魔する人間がいなくなる。……魔女の存在を復活させるつもりね」

QB「勿論さ。魔法少女の魔女になった時の希望から絶望への相転移。悪魔である君がいたから実行できなかったけれど、いなくなればもう僕たちの障害はいなくなる」

QB「でも、君は完全な鹿目まどかと一緒にいたい、その為なら君にとってそれぐらいは些細な事だろう?」

ほむら「……消えなさい」

QB「願いが決まっているのに悩むなんて、君達は本当に理解できないな」

ほむら「いいから消えなさい!!」

QB「わかったよ」

ほむら「……」


おしまい! オリジナル入ってごめん!

次の作者>>81

81 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/21 01:20:22.89 M0EtWdtbO 24/209

はい。
ほむら「キュゥべえをレイプしたらソウルジェムが浄化された」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1306/13065/1306507584.html

110 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/21 22:01:47.15 AGWaVqmXO 25/209

ほむら「…………、眠っていたのね」

テーブルに突っ伏して眠っていたようで、頬には木目が浮かんでいた。

ほむら「……酷い顔」

昨日はどうしてこんな所で眠っていたのだったか。覚醒しつつある脳髄に油を差し込んでいく。

ほむら「……円環の理を作り出すには魔法少女が必要。その為には死んだ魔女の肉が入り用」

ほむら「……巴マミを犠牲にするなら、楽だわ。でも、それで良いの……?」

『いいのよ』、と、悪魔的な誰かが囁く。

『嫌だ』、と、見知った誰かが叫ぶ。

ほむら「……軽く食べてから、学校に行く仕度をしなくちゃ」

全く、悪魔となってもままならない。具体的には冷蔵庫の中身とか。

ほむら「……お肉と野菜くらいしかない……調理する暇なんかないのに」

ふと、その新鮮な生肉を見て――天恵。

ほむら「――魔女の肉が必要なだけ。なら――生き死には然程重要じゃないわ!」

そう思い立ち、彼女は仕度を40秒で済ませて根城を飛び出した。そう、彼女には一人――生きている魔女に心当たりがあったのだから。

――――ファミレス、朝

ほむら「学校には休むと連絡してあるわ、既に」

さやか「用意がよろしい事ですねぇほむらさぁん!」

通学路で見敵必殺、美樹さやかを拉致して今に至る。ボランチがわりに広げられた軽食は、一応ほむらの驕りだった。

さやか「んで? アンタがアタシに用事って何さ? アタシとしては、アンタに協力するなんてゴメンなんだけど――」

ほむら「まどかを解放したい」

さやか「――事情が変わるかもしれないね」

単の刀を直に入れる。嘗て円環の一部だったさやかは、一瞬彼女を見間違えるくらいには効果的だった。

さやか「どうしたのさ。懐かしい顔付き……悪魔っぽく無いよ?」

ほむら「関係無いことは右にでも置いておきなさい」

言って、ソフトドリンクで言葉を一旦遮る。テーブルから離れたグラスが傾いて、氷が暴れてカラリと音を発てた。

ほむら「……要は、円環の理がなければ、貴女達は納得しない」

さやか「それはそうだよ。だって、魔女どうすんのさ」

ほむら「だから、円環の理は返す。でも、それはまどかでなければいい」

さやか「……ほむら、まさか――他の誰かでも生け贄にしようと考えちゃいない?」

ほむら「考えているわ」

さやか「なら、手は貸せな――」

ほむら「でも」

立ち上がろうとする彼女を、声で何とか縛り付ける。

ほむら「それは誰でも無い者よ」

さやか「……どういう事?」

ほむら「新たな魔法少女をこの手で作り、円環の理にする。意思や感情は封じた、人形の生体パーツを作成しまどかと置き換える――それが目下の私の目的よ」

さやか「……つまり、自前で円環を産み出そうと言うわけ、か。上手く行くの?」

ほむら「素材が無さすぎて、現状は無理ね」

ここで漸く、さやかは得心した。

さやか「なるほどね。何か必要な物があるんだ……まどかの為なら協力してあげるよ」

ほむら「じゃあ」

と、鳴るのはほむらの細い指。空間は虚空へと変わり、彼女らは隔離された。

さやか「――何を!」

ほむら「美樹さやか……!」

ほむら「ウロコちょうだい。下半身の」

虚空には地面も見当たらないが、多分彼女は盛大にすっ転んだのだろう。

――――――――

さやか「何だっけ、あれ。足を水辺に浸けると集まってきて角栓とか皮質とか食べてくれるやつ」

ほむら「ドクターフィッシュの事? ガラ・ルファかしらね」

さやか「そうそれ。それっぽい感じ」

ほむら「あー……」

――――――――

杏子「まどかの為か……なら仕方ねぇな。で、アタシに何をしろって?」

ほむら「最近貴女精神系の魔法に精通してるじゃない」

杏子「八割強お前のせいでな」

ほむら「だから、少しレクチャーしてほしいのだけれど」

杏子「強引だな……でも」

杏子「――何か今のお前の方が、お前っぽいよ」

杏子「ま、とりあえず人の精神の構造を把握するところからなんだが――――」

111 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/21 22:04:56.79 AGWaVqmXO 26/209

マミ「えっ、もし腕が千切れたらどうするか……って、縁起でも無いこと聞かないで」

ほむら「私は勝手に修復してしまうのよ。参考に聞きたいわ」

マミ「と言っても……こう、欠損した部分を再度組み立てる感じで治癒してるけれど」

ほむら「それから?」

マミ「肉体の構成からイメージするのが大事ね。例えば――っと、いけない。何のつもり?」

ほむら「……ちょっと給仕が欲しくて、魔法で人造人間でも出来ないかしらと思って」

ほむら「(適当な事を言っておけばいいわよね)」

マミ「なるほど、ホムンクルスね!」

ほむら「えっ」

マミ「そういう事なら参考になりそうな理論構築は済ませてあるわ。まずは――――」

ほむら「(実力はあるのに使い方と努力が斜め上過ぎる)」

――――――――

「ほむらちゃん、ほむらちゃん。起きて?」

ほむら「ぅん……?」

呆けた頭と滲んだ視界が世界を捉える。どうやら、授業をまるまる一つ眠って過ごしてしまったみたいで。

ほむら「……頭が重いわ」

まどか「エヘヘ……ほむらちゃんも居眠りすることあるんだね。お疲れかなぁ?」

ほむら「そうね、たまにはこういう事もあ、る――」

背筋を下から上に、電撃が駆け巡ったような感覚。前屈みになって微笑む彼女の胸元の小さな膨らみとか、陶器のように白くて滑らかな首筋とか、その諸々が貴女を捉えて離さない。

ほむら「(ま、た――!)」

背後から羽交い締めにして体中を弄ってやりたい。首筋に強く歯形を刻印したい。柔らかそうな舌を甘く舐りたい。

堪らない。堪らない――

ほむら「――少し、花を摘んでくるわ」

まどか「あー、うん。いってらっしゃい」

何も知らないあの子を汚したい。

そうじゃない。そうじゃあない。

ほむら「どうかしてる……!」

とっくに、どうにかなっている。と、言ったのは誰だろう。

――――――――

ほむら「また、失敗……か」

何度目かの不成功を越えて、疲れも隠せない。パン、と手を叩く音と共に、寝台に乗った肉塊は蕩けて消えた。

ほむら「何が足りないのかしら……体は完璧に出来ている。脳に知恵も詰め込んだ。あと足りないのは何なの……」

「それはね」

壁に力無く凭れ掛かるほむらに、何処からとも無い声が語りかけた。

ほむら「……キュゥべえ」

キュゥべえ「君達は元々人間だからね、気付かなくても不思議じゃあない。僕達だって、いくら研究を重ねた所で人類という不可解な生き物の生態を知りかねているんだから」

ほむら「……まるで、足りないものが解るとでもいった口振りじゃない。インキュベーター」

キュゥべえ「そうさ、少なくとも一つは知っている」

ほむら「何ですって……?」

この獣はいつも重大な事を簡素に告げる帰来がある。思わず聞き逃しそうになるほどに。

キュゥべえ「君達は最初から持っているから、その存在をいつも軽んじる」

キュゥべえ「足りないものは、『感情』さ。暁美ほむら」

ほむら「…………」

自分でも、薄々そんな気はしていた。感情を持たない人間が居たとして、それはもうヒトではないだろう。ならば、人間を人間足らしめるのはソレ。魔法少女に至っては、更に。

しかし。

ほむら「感情を持った魔法少女を作り上げたとして、それをまどかの代わりにしてしまったら……それはもう、殺人と変わらないわ」

ほむら「それは――」

キュゥべえ「君の創った物を君がどうしようと勝手なんじゃないかい?」

ほむら「っ」

それは悪魔より悪魔的で、その上合理的な甘言。

キュゥべえ「それでも君の心が痛むと言うなら、製作に成功した時点で感情を奪えばいい」

キュゥべえ「君なら容易く出来るだろう」

112 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/21 22:08:13.51 AGWaVqmXO 27/209

ほむら「私、は……」

魔法少女の体が勝手に組み上がる。

後は、最後に麻薬を植えるだけ。

キュゥべえ「君が最も強い思いを感じる様に想像してみるんだ……その時の、魂の震えを再現するだけでいい」

キュゥべえ「その、観測できない揺らぎが――魔法少女だ」

生唾を呑み込む。

感情を持った魔法少女を、創る。

出来るのか、やっていいのか。

何より恐いのは、造り出した魔法少女に叛逆される事で――――

ほむら「――ふふっ」

キュゥべえ「それでこそ、君だ」

下らない事だった。

ここは私の世界。巴マミだって、あの美樹さやかだって――ここでは私に敵わない。魔法少女が暴れたと仮定しても、私に問題は無い。

だから、魔法少女に芥子の種。

咲かせて生るは綺麗な毒。

魔法少女の肢体が輝き、ほむらの部屋を白く染める。眩しくて見ることは叶わないが、確実な手応えは感じた。

ほむら「やった――」

コツ、と額に何かが当たる音。

それは銃口で、チープな呼び名で言うなら『デザートイーグル』。.50AEをぶちかます、鉄の塊だった。

ほむら「っ!!?」

額を円心の端へ置いて、身を全力で翻す。

銃弾は、嘗ての脳天箇所を貫いて虚空へと突き刺さった。

魔法少女「……避けますか」

光が消えて、視界がぼんやりと回復していく。

そこで、ほむらは。そしてインキュベーターも予想外に――それを見た。

魔法少女「…………」

ほむら「な、なんで……なんて事……!」

キュゥべえ「これは驚きだ。ほむら、君は――」

キュゥべえ「――三つ編みもメガネも、良く似合うんだね」

そこに居たのは、鏡でしか知らない――自分自身だった。きっと、あの頃の。

魔法少女「……暁美ほむら」

ほむら「私……!?」

――――

いつか、自分の中で巴マミと戦った場所があった。そこに、ほむらは逃げ込む――この戦いに誰も巻き込まない為に。

ほむら「(よりによって……自分なんて、最低)」

悪魔の装束には傷が目立ち、羽も幾つか欠けている。あんなに、強くは無かったと思う、が。

魔法少女「逃げてばかりですか?」

ほむら「……ここなら好きなだけ、暴れられるだけよ」

お互いが激突する。爪を振るい、羽を刺すほむら。盾から幾つもの銃火器を駈り、苛烈に舞う魔法少女。

それを眺めながら、キュゥべえは一人呟く。

キュゥべえ「最近の君は隙が見えるようになってきた。あれだけ迸っていた君のソウルジェムも、今は大人しいものさ」

キュゥべえ「感情も不安定になってしまっている。既に魂は悪魔としては冷えきってしまっているのに、体だけがイヤらしいままだから」

キュゥべえ「僕達に感情は分からない。だけれど観測し、データを集める事はできる……統計通りだよ、暁美ほむら」

「――愛は、冷めるんだ」

113 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/21 22:12:30.40 AGWaVqmXO 28/209

―――――

銃弾が頬を掠める。

が、ほむらの爪は魔法少女の腹を食い破った。

魔法少女「か、はっ――!」

ほむら「はぁ……はぁ……んづっ!?」

肉薄した状態から、盾を使って顔面に裏拳を突き抜かれる。口の中に血の味が広がった。

魔法少女「はなし、て!」

体は離れてお互い地に落着する。

息も絶え絶えに、二人。

ほむら「私なら……大人しく私の言うことを聞きなさいよ」

魔法少女「聞いて、どうするつもりです?」

ほむら「何……?」

魔法少女「本当はどうしようも無く怖がってるの、知ってます」

魔法少女「この世界にまどかを閉じ込めた事を後悔しているのも」

魔法少女「魔法少女たちから円環を奪ったことを後悔しているのも」

魔法少女「まどかを契約させてしまった事も」

魔法少女「皆を説得できずに、殺したり、殺されたりした事も」

魔法少女「後悔している。罪の大きさも理解している」

魔法少女「そういうのも、私、知ってます」

ほむら「なら――!」

魔法少女「でも」

魔法少女「『まどかに守られる私じゃない。まどかを守る私』として、貴女から、私はまどかを守ります。守りたいと――」

「「あの時、誓った……」」

何故か、目の前の自分がとても眩しくて。

勝手に涙が溢れてきて止まらなくて。

苦しくて、切ないのに。

それでも。

ほむら「……貴女を潰して、私はまたやり直すわ」

魔法少女「貴女を倒して、私は今度こそ――まどかとやり直します」

決着を付ける為に、構えて――踏み、込んだ。神速だった。ほむらの爪は、確実に魔法少女の首を捉えている。

そして、振り抜いて――

コツリ。

銃口が、今度は顎の下に。

頭を屈んだ体勢で、切っ先だけを突き付けて、ほむらさえ見ずに『ほむら』は言った。

魔法少女「よかった。少しだけなら、『止まって』くれたんですね」

盾の機械仕掛けは、自慢気に稼働していて。

ほむら「――――!」

「こんな風には、なるつもり……無かったんですけれど」

故に、脳漿が――爆裂した。

――――

ほむら「かっ……」

治癒を。一心不乱に治癒を行う。死なない。この程度では死なないと、理解しなおさなければ死んでしまう。

立つこともままならず、ほむらは地に崩れ落ちた。

魔法少女「……醜いわね」

ほむら「…………!」

それは、やはり良く見知った姿。

恐らく、一番付き合いが長かったと思う。

覚悟に三つ編みを解いた、あの頃の姿そのままだった。

114 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/21 22:15:02.27 AGWaVqmXO 29/209

魔法少女「私も後悔しているの。何故あの時、『まどかとの出会いをやり直したい』なんて願ったのか」

魔法少女「『まどかを生き返らせて』とは願わなかった。結局、私は――まどかに良い格好をしたかっただけ」

魔法少女「あの時何度も繰り返して、傷付き苦しんできた全てがまどかの為だった――そんなのは」

ほむら「――やめて」

魔法少女「――嘘よ」

魔法少女「私は最初から、『まどかの為に戦う自分』を求めたに過ぎないのよ」

魔法少女「今だってそう。まどかが欲しいから、まどかの願いを否定してまで手に入れた」

魔法少女「だけど、貴女は心の中では後悔し続けた。私のソウルジェムは、貴女のそういう奥底の形」

魔法少女「貴女だって知っているんでしょう。円環の理にぴったりの魔法少女を」

ほむら「――――!」

頬を持ち上げられ、自分と見つめ合う。

瞳に映る自分自身が、とても頼りなく見えた。

魔法少女「それは貴女よ。暁美ほむら」

ほむら「…………」

魔法少女「本当にまどかの為なら、まどかの為に身を差し出せる。それが出来ないのは、まどかといる自分を求めているから」

魔法少女「私には無理よ。貴女には出来る?」

ほむら「まどかの……ため……」

まどかの為なら、そう、したい。

はず。

魔法少女「大丈夫よ。まどかは、私が守るから――」

ほむら「――!」

想像する。

ほむらと笑い合うまどか。

人の生を謳歌し、幸せを教授するまどか。

私と共に……日々を育みあって――

その『わたし』が、こちらを向いて――歯を見せて笑った。

それは、わたしじゃ、ない。

ほむら「――――イヤよ!!!!」

ほむら「……へっ?」

魔法少女は、頭が弾けていて。

首から鮮血も吹き出して――石ころも割れていて。

絶命していて。

彼女はだから、さっきまで彼女が持っていた物を『持っていってしまった』。

ほむら「――こんなの、どうでもよかったじゃない」

ほむら「私は、もうまどかを――手に入れてるのだからぁ……ふふ」

ほむら「ああ、素敵な気分だわ。明日はどうやってあの子を穢そうかしら……」

ほむら「そうだわ。この喜びを誰かと共有したいわね……まどかの御裾分けなんかいいかもしれないわ」

ほむら「明日の一時間目を数学から『書道』にしたら男子は喜ぶかしら? でも貸してあげるだけにしなくっちゃ」

ほむら「うふふ、あはははっ!」

世界にそんな、壊れた笑い声が響いているばっかりで。

やっぱりそれが、いつもの当たり前だった。

キュゥべえ「悪魔が感情を取り戻して力を失っても、自分自身に敗北し消滅しても、魔女のエネルギーを回収するにはどちらでも良かったのに」

キュゥべえ「やれやれ。暁美ほむら、完敗だよ。また暫くは小間使いかな」

キュゥべえ「人間はやっぱりわけがわからない。全く、うまくいかないなぁ」

キュゥべえは背を丸め、少しだけ元気が無くなったように――トボトボとその場を後にした。

交わした約束は、もう何だったかすら思い出せない。

116 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/21 22:17:11.82 AGWaVqmXO 30/209

終わりました。レスの大切さをしりました(迫真)

次の人>>118

125 : ◆/ZP6hGuc9o - 2014/08/21 23:04:30.84 BFESoyAso 31/209

取れたか
まどか「ほむらちゃんが別人みたいになっちゃった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1339861715/
これでいいでしょーか

138 : ◆/ZP6hGuc9o - 2014/08/22 23:45:50.09 bzh267Hdo 32/209

明けて翌日。

ほむら「………ふぅ」

最近はどうも、疲れが溜まっているのか気が付いたら朝だった、と言う事が増えてきたような気がする。

昨夜の事を思い出す。

ほむら「…………ふふっ」

恐ろしい事があったはずなのに―――わたしの口の端からは、何故だか笑みが零れた。

そもそも、恐ろしい事とはなんだ?

わたしは最早、人でも魔法少女でもない。『悪魔』なのだ。

『悪魔』であるわたしに、恐れるようなことなんてあるのだろうか?

ほむら「……ないんだろうなぁ」

そうひとりごちる。

そうだ。今のわたしに、恐るべきことなど何もない。

わたしが何かを恐れるのではない。誰かが、わたしを恐れるような存在なのだ。

そう言う存在になって『しまった』。自ら望んでそれを『受け入れた』。

ほむら「受け入れたなら―――その通りに振舞わなきゃね」

ここはわたしの世界。何物にも……何者にも侵略されること無き聖域。

壊すことが出来るとしたら―――それは、あの子だけだろう。

ただ、そんなことはまずさせないし、出来る筈もないこともまた事実。

さて………今日も、学校へ行くとしよう。

139 : ◆/ZP6hGuc9o - 2014/08/22 23:48:11.97 bzh267Hdo 33/209

いつもより少し遅い時間帯。

周囲には既に登校する生徒の姿がない。こんな光景を見るのもずいぶんと久しぶりだと思いながら歩いていると、背後から賑々しい二人分の声が聞こえて来る。

さやか「もーっ!!だから夜更かししないで寝ようって言ったのにぃ!!」

杏子「今更そんな事愚痴ったって仕方ねーじゃん!無駄口叩いてる暇あったら走れ!」

さやか「っ、誰のせいでこんな目にあってると思ってんのよぉっ!!」

杏子「わかった、愚痴なら後でいくらでも聞いてやっから!ほれ、いそがねーと遅刻するぞ!」

さやか「わかってる、わよっ!!」

二人、あーだこーだと話しながらわたしの横を駆けていく。

ほむら「………ふふ、よかったじゃない。あなたも、新しい人間としての生を楽しめているようで」

そう呟き、二人を見送る。


―――と、美樹さやかの方が不意に立ち止まった。

杏子「どうしたよ、さやか!諦めたのかー!?」

さやか「ごめん、杏子!先に行ってて!」

杏子「? ああ、わかった!先生にはあたしからうまいこと言っとくからなー!」

そう言って、佐倉杏子一人だけが駆けて行ってしまった。

140 : ◆/ZP6hGuc9o - 2014/08/22 23:49:50.35 bzh267Hdo 34/209

ほむら「………」

さやか「……あたしは、望んでここにいるわけじゃない」

それは、独り言だろうか?それとも、わたしの言葉に対する返答だろうか?

さやか「何か言ったらどうなのよ?―――悪魔」

どうやら後者だったようだ。

ほむら「さて、何のことかしら?と言うか、未だに忘れずに覚えているのね。案外としぶといものだわ、美樹さやか」

さやか「一応褒め言葉と受け取っておくよ。で?あたしに何の用よ?」

ほむら「あら、別段わたしはあなたに用はないのだけれど?あなたの方がわたしに用があって立ち止ったんじゃないのかしら?」

さやか「……言い方を変える。今度は何を企んでるのさ?前は新しい円環の理を作るだのなんだの言ってたはずだけど?」

ほむら「どうやらわたしの話はあなたの頭では理解しきれなかったようね。説明下手だったわたしの責任よ、ごめんなさい」

さやか「あーもうっ!話の進まない人だねぇっ!」

ほむら「何よ、聞きたい事があるならまわりくどい事を言わずはっきりと言いなさい。わたしも暇じゃないんだから」

今だって、あの子の顔を見たくてウズウズしている。

141 : ◆/ZP6hGuc9o - 2014/08/22 23:51:53.66 bzh267Hdo 35/209

さやか「なーんかふっきれた顔してるよね、あんた?また何かよからぬことでも企んでるんじゃないの?言っとくけど、まどかに何かしようとしたらあたしが許さないからね」

ほむら「……ふふ、ホント、人のそういう部分には敏感なのね、あなた」

そうでなくては張り合いがない―――とは言わない。敵を煽って得する事なんて、何もないのを知っているから。

さやか「それも褒め言葉として受け取っておく。一応、釘を刺しておくよ。まどかには、手を出すな。今は―――あたしには何も出来ないけど、いつかあんたを倒して、まどかを解放してやるから」

ほむら「随分と頼もしい言葉ね。円環の理の守護騎士にでもなったつもりかしら?」

さやか「別にそんなつもりはないよ。ただ、あの子は……まどかは、あたしの一番の親友なんだから。あんたなんかに、絶対に好きにさせない」

ほむら「この世界であんな笑顔をしていたあなたに言われてもちっとも説得力無いわ。―――全て忘れて、何も考えずに遊んでいれば楽なのに」

さやか「お生憎様、あたしもすでに円環の理―――引いては神様の一部になってる身だからね。楽な方に逃げるなんてのは、許さないの」

ほむら「ふぅ……本当、あなたってめんどうくさいわ」

でも、それでいい。美樹さやかは、そうあるべきだ。

142 : ◆/ZP6hGuc9o - 2014/08/22 23:54:52.84 bzh267Hdo 36/209

美樹さやかとの問答を終え、学校への道を歩く。

―――何故か、わたしの隣を美樹さやかが同じ速度でついてきていた。

ほむら「………」

さやか「………」

どうしよう。ここは突っ込むべきところなのだろうか。

でも、そうするとなんとなく負けな気がする。

ほむら「………」

さやか「………」

試しに少し歩く速度を落とすと、美樹さやかも同じく速度を落とし、わたしの隣を維持した。

ほむら「………」

さやか「………」

校門が見えて来る。と、予鈴のチャイムが鳴り響いてきた。

ほむら「遅刻するわよ?急がなくていいのかしら?」

さやか「先生には杏子がうまいこと言ってくれてるはずだし。だからあたしは、あんたの行動を監視することに専念出来るってわけ」

ほむら「随分と信頼しているのね、佐倉杏子を」

さやか「そりゃそうでしょ。―――あんただって、あたしたちの中では杏子を一番信頼してたんじゃなかったの?」

ほむら「―――さあ、そんな事、もうすっかり忘れてしまったわ」

本来、何かを『忘れるべき』なのは美樹さやかのはずなのに……どうして、わたしが何かを『忘れてしまって』いるのだろうか。

ただ……これは、本当だった。わたしの中からは、すでに、何かが溶けて崩れてしまった後なのだろう。それが大事なものだったのかどうかさえ、もう定かではない。

さやか「………」

143 : ◆/ZP6hGuc9o - 2014/08/22 23:58:06.82 bzh267Hdo 37/209

以上でございますです。なんか全然話進んでる気がしないでもないけど多分気のせい
ほむらの中に起きた異変を、誰がどう受け止めたか?を意識して書いたつもりです

次は>>147に頼みまする

148 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/08/23 00:27:40.29 YzfZ0x9Z0 38/209

よし、とれた。

偽街の子供達「ご主人様!」メガほむ「ご主人様!?」
http://ayamevip.com/archives/37958872.html
偽街の子供達「ご主人様?」メガほむ「……うん、ご主人様だよ」
http://ayamevip.com/archives/37958910.html
偽街の子供達「ご主人様!」リボほむ「使い魔!?」
http://ayamevip.com/archives/39892683.html

シリーズで一回ということらしいので、これでお願いします。

トリップつけるのは初だったので>>65と同じ方法で本人確認できるようにしておきました。自己紹介にトリップぶちこんであります。

リンク先は下記の通りです。
http://pixiv.me/qazxsw020119

これでいいのかな……?

167 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/08/23 22:22:12.36 YzfZ0x9Z0 39/209


 ほむらの様子がおかしい。

 ほむらの横を歩きながら、さやかは言いようのない違和感を持て余していた。

 まどかを解放したい。先日までは確かにそう言っていたのだ。その時のほむらは絶対に嘘をついていなかったと確信していたし、その後に杏子やマミさんに何かの協力を仰いでいたのも知っている。

 それなのに、今朝のほむらの顔は悪魔そのものだった。

 その変貌の理由は分からない。けれども、一つだけはっきりしていることがある。

さやか(上手くいえないけど、今のこいつから目を離しちゃダメだ)

 もう校舎の中に入り、廊下を歩いているところだ。まどかのいる教室まであと少し。さやかは目を鋭くして横を歩くほむらをにらみ付ける。

ほむら「なにかしら?」

さやか「べつにぃー?」

ほむら「……はあ」

 ほむらはらちが明かないとばかりにため息を一つ吐く。

 執拗に張り付いてくるさやかの視線に、ほむらはうっとうしそうに髪をかき上げ

ほむら「……」ファサ

さやか「ぶっ」

 その長い髪の毛を、ぶつけてきた。

さやか「~~っ」

ほむら「美樹さやか。どうしたのかしら。教室はもうすぐそこよ」

さやか「どうしたも何も、今あんたが髪の毛ぶつけてきたんでしょう! 髪の毛が目に入って、地味に痛いのよ! なに!? 目つぶしなの!?」

ほむら「その通りよ。よくわかってるじゃない。それじゃあ、先に教室に入ってるわ」

さやか「その通りよってあんた――あ、ちょっと待ってっての!」

 やけに冷淡なほむらを追いかけてさやかも教室に入る。髪が入ったときに出た涙で視界がにじんだままだったが、すぐそこの教室に入ることぐらいはわけない。

さやか「ったく、ほむらのやつ……」

 さやかは目をこすりながら教室を見渡す。ちょうど朝のHRが終わったところだったのだろう。早乙女先生は教壇にいない。次の授業の先生が来るまで、まだ少しの時間がありそうだ。

さやか(まぁ、ちょうどいい時間ではあるよね。ほむらは自分の席に座ったみたいだし、とりあえず授業が始まる前に杏子とまどかと仁美に挨拶を――って)

 まどかが、いない。

 反射的にほむらの座る席をにらみ付けるが、素知らぬ顔を返された。

さやか「杏子! まどかが……って、寝てるし。おい、杏子ー! 起きろー!」

 杏子が授業が始まる前に寝てるのは珍しくない。ゆさゆさと乱暴に杏子を揺り起す。

杏子「……」

 さやかの呼び声に、むくりと杏子が起き上がり、さやかの方を向く。

 奥行きのない幼稚な落書きのような杏子の顔が、その顔面に張り付いていた。

さやか「なっ。これ――っ!」

 背後から殺気を感じて、とっさに身をかがめる。

 黒い棒状の何かがさっきまでさやかが場所を突き抜け、破壊音を鳴らして壁を粉砕した。

ほむら「……良く避けたわね、ミキサヤカ」

168 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/08/23 22:36:03.83 YzfZ0x9Z0 40/209

 がらがらと壁が崩れる中、武器が投擲された方向からほむらの声が届く。だが、さやかは教室の壁を派手に破壊した武器を見て静かに呟いた。

さやか「あんた、ほむらじゃないわね」

ほむら「アら?」

 ほむらの姿をした何かが、カクンと関節が固定しきれていないような奇妙なしぐさで首をかしげる。

ほむら「なんでそう思うのカシラ」

さやか「ほむらはそんなバカでかいマチ針を使わないわよ」

ほむら「あア、そういえばそうだったワ」

 さやかの答えに、ほむらの姿をしたそいつはのどをのけぞらしてケタケタと笑う。

 もう隠す必要もないということなのだろう。ざあっと色が洗い流されるようにして本来の姿が現れる。

 黒かった長髪は色が抜けて金糸のようなプラチナブロンドへ。もともと白かった肌は人工的なまでに青白くなり、球体関節がむき出しになる。黒い喪服、羽根つき帽子をかぶったその人形を、さやかは当然覚えていた。

さやか(やっぱり、ほむらの使い魔か。ここは、あの時の結界と同じだ。さっきほむらに髪をぶつけられた時に、教室の出入り口を結界の入口のされたんだろうね)

 改めて教室を確認すれば、クラスメイト全員の顔には赤と灰色のモザイクがかかっていた。例外はといえば、そもそもいないまどかと、落書きのような顔を張り付けられた杏子と、結界に招かれたさやかと、後は――

レイケツ「……」ニタニタ

 ――ほむらの代役を務めていた、この人形ぐらいなものだ。

さやか「あんた一人……じゃないよね、やっぱり」

イバリ「Fort」ニタニタ

ヤキモチ「Da」ニタニタ

ノロマ「Fort」ニタニタ

ナマケ「Da」ニタニタ

ウソツキ「Fort」ニタニタ

ワルクチ「Da」ニタニタ

 無邪気に声を響かせて教室の扉から、窓の外から、ぞろりぞろりと入ってくる。その合計、七人。思わず苦笑がこぼれた。

さやか「ちょーっと厳しいですかねぇ」

 軽口をたたきながら魔法少女に変身し、剣を構える。七対一。相手は使い魔とはいえ、一人一人が油断できない強さを持っていることは知っている。力の出し惜しみなんてできないだろう。

 息を吸って、吐いて、覚悟を決める。

さやか「さて、それじゃ――行きますか!」

偽街の子供達「Fort Da!」ニタニタニタニタ


169 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/08/23 23:04:23.97 YzfZ0x9Z0 41/209

 鼻歌を歌う。

 リズムをとって音程を合わしてメロディをつなぐと、教室に小さな音楽が流れる。それを耳にしたクラスメイトがちらちらと不気味そうにこちらを見てはひそひそと何か話している。

 けれども構わずに続ける。

ほむら「~♪」

 いい気分だ。空席のままの美樹さやかの席を確認し、今度は志筑仁美と歓談しているまどかを見る。

ほむら「~♪ ~♪」

 いいき気分。とてもいい気分。

 そうして上機嫌に鼻歌を続けていると、ふと声をかけられた。

杏子「なあ、ほむら。さやかはどうしたんだ?」

ほむら「あら」

 鼻歌を止めて、杏子と視線を合わせる。

 杏子。佐倉杏子。そう。そうだった。まだ彼女がいた。

ほむら「美樹さやかなら、今頃人形遊びをしている頃よ」

杏子「はあ? 人形遊び?」

ほむら「ふふっ。そう。さっき、私のお人形を貸してあげたのよ。さやかはとてもとても頑張っているはずよ」

杏子「ああ? なに言ってんだよ。わけがわからねえ」

 不機嫌そうに顔をしかめる。それはそうだろう。その気持ちは、手に取るようにわかる。

 杏子はさやかが心配なのだ。さやかが杏子のことを信頼しているように、杏子もさやかのことを信頼している。その感情がそのまままっすぐさやかを心配させているのだろう。そう。私がかつてあの子をとても心配――私がかつて?

 ……私がかつて、何だというのだろうか。いま、何を考えようとして――

杏子「ちゃんと説明しろ。わけわかんねー言葉で煙に巻こうとすんな」

ほむら「――あら、怖いわね」

 すごんできた杏子に笑顔を返すの一緒に、わけのわからないもやもやを振り払う。

 かつてなんて、どうでもいい。忘れてしまった感情なんて拾う必要もない。そう。そうだ。

 だって私はもう、まどかを手に入れているのだから、他に必要なものがあるはずもない。

ほむら「ちゃんと説明……そうね。そう、こんな風な人形遊びのことよ」

 パンッと手をたたくと同時に、糸が切れたようにクラスメイト達の動きが止まる。

まどか「え? ひ、仁美ちゃん、どうしたの? あ、あれ? みんな……」

 自分の意思を保っているのは、まどかと杏子だけだ。訳もわからず狼狽するまどかとは違い、杏子はぎくりと体をこわばらせていた。当然だろう。彼女たちが昨日体験したのとまったく同じ状況だ。記憶を消したまどかとは違い、杏子はこの状況をはっきりと覚えているのだ。

杏子「ほむら、あんた……」

ほむら「さて」

 目つきを厳しくする杏子に、口の端を持ち上げて答える。

ほむら「それじゃあわたしたちも人形遊びを始めましょう?」

170 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/08/23 23:39:46.55 YzfZ0x9Z0 42/209


さやか「はぁ、はぁっ。なんとか逃げ切れた……! 今いるのは……ああ。いつだかほむらが絶好調のマミさん相手にしてた場所か」

さやか(この結界、いつかの偽街と一緒か……。この出口のない迷路から、どうやって抜け出そうか)

 状況を把握して、思案する。

 この結界は、あの時と同じ見滝原の偽街の結界だ。あの人形たちに狙われているのも問題だが、それ以上に結界にとらわれている現状を何とかしないといけない。さやかがここにいるというのは、まどかと分断されていることを意味する。この状況でほむらがまどかに危害を加えないと考えるほどさやかも楽天的ではない。

さやか「これからどうしよう。援軍も期待できないし――」

QB「やあ、さやか。ここに来たのは君かい。思ったよりずいぶん早かったね」

さやか「――って、キュゥべえ!?」

QB「そうだよ、さやか」

 あくまでも事務的な口調を崩さないその話しぶり。ちょこんと座るかわいらしくも憎らしいその毛玉は、間違いなくインキュベーターだ。

さやか「あんた、なんでこんなところにいるのよ」

 さやかは、じろりと警戒心を込めてにらみ付ける。

 孤立無援ではないと分かったとはいえ、インキュベーターを頼るほどさやかもバカではない。こいつは、まぎれもなく敵なのだ。

QB「そんなに警戒しないでもいいよ。僕は君が来る前から……正確に言うと昨夜からここにいたんだよ。君がこんなにも早くここに来るのは予想外だったから気長に待つつもりだったんだけど、君に見せたいものがあってね。これを見てくれないか、さやか」

さやか「これって――うっ」

 インキュベーターが指示した先には、首のなくなった死体があった。

さやか「なに、これ……」

QB「つい昨夜、ほむらがここで彼女と争ってね。あれはその結果さ」

さやか「争って、って……だ、誰なのさ、この人」

QB「円環の理を請け負うために、ほむら自身が作り出した魔法少女だよ。君だって心当たりはあるだろう? 何せ、この子の材料はほとんど君で賄われているんだ」

さやか「そういえば、誰でもない魔法少女を作るためにウロコをくれとか言われてたっけ……でも、どうして? 苦労して作った、円環の理の器なんでしょう? なんでそれをほむらが壊しちゃうのよ」

QB「ほむらは君の魔女の肉を使い、マミから人体生成の理論を学び、杏子から幻惑魔法を教授してこの魔法少女を作り出した。何度も失敗した試みだが、最終的には魔法少女の頃の自分の感情を込めることにより円環の理の器たる魔法少女を作り上げることに成功した。……けれども、ねえ、さやか。そうしてできた魔法少女は、どんな形をしていたと思う?」

さやか「え、ええっと、ほむらが魔法少女の頃の自分の感情をこめて作ったってことは……あ! も、もしかして!」

QB「その通りだよ。この魔法少女は、正しく魔法少女であったころのほむらの感情をもった魔法少女として生まれた。そして、彼女はその感情に従い悪魔となったほむらに逆らい……殺された。ほむらの『魔法少女だったころの感情』を持ち去ったままね」

さやか「そ、んな。それじゃあ、今朝のほむらの様子が変だったのは……」

QB「間違いなく、魔法少女だったころの感情を持って行った自分を壊してしまったからだろうね」

さやか「ッ!」

QB「でもね、さやか。君なら、この壊れてしまった魔法少女を治せるかもしれない」

さやか「え?」

QB「さっきも言ったように、この体の構成要素はほとんど君の魔女の肉が使われている。君の回復力は人一倍だ。君の魔力を受け取れば、ここまで損傷した体ももとに戻せるかもしれない。そしてこれを動かす肝心の感情だけれども……」

 インキュベーターは前足で、ころりと割れた紫の石を差し出した。

QB「残骸とはいえ、ここにある。これはまぎれもなく、魔法少女だったころの暁美ほむらの魂さ。――さあ、美樹さやか」

さやか「……」

QB「僕と協力して、この暁美ほむらを蘇らせてよ!」

171 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/08/23 23:42:53.75 YzfZ0x9Z0 43/209



マミさんとなぎさが息してない……。

よく考えればあと一日あったけど、早く続き見たいからいいや。
ホントはドールズ出すつもりなかったのに、いつの間にかごく自然な流れでドールズを目立たせるのに心血を注いでおきました。反省はしてます。レイケツちゃんはかわいい。

ほんとはルミナスする方向に話を持っていたかったけど、ムズイ。

次の人>>174

179 : ◆SzGamSzLKs - 2014/08/24 00:01:22.89 KJQYZN+W0 44/209

ほむら「悪魔だけど安価で魔法少女を救済するわ」
http://ayamevip.com/archives/38208344.html

乗るしかないですもんね、このビッグウェーブに

183 : ◆SzGamSzLKs - 2014/08/24 10:05:06.20 KJQYZN+W0 45/209

さやか「ちょっと考えさせて、っていう時間はなさそーだね」

頬を伝う嫌な汗を拭いながら、さやかは呟く。

周囲の街並みは蜃気楼のように揺らぎ、今にも掻き消えてしまいそうな気配だった。

どうやらこの偽街は酷く不安定な状態にあるらしい。

恐らくは外でほむらが何らかの力を行使していて、こちらの構築がなおざりになっているのだろう。

このまま此処に居続ければどうなるのか、正確な答えは持ち合わせていないが……ろくなことにならないだろうことは容易に察せられた。

QB「感情の欠けた暁美ほむらがこのまま暴走を続けたら何を仕出かす分からない」

急かすようにキュゥべえは続ける。

QB「さあ、ほむらに感情を返すためにも、早くこの肉体を再生しよう!」

さやか「……?」

だがその言葉は、さやかの思考に小さな疑惑を芽生えさせた。

184 : ◆SzGamSzLKs - 2014/08/24 10:06:29.91 KJQYZN+W0 46/209

さやか「あんたさ、なんか企んでない?」

さやかは問うた。

元より友好の色など微塵も帯びていなかった声色を、一層冷えたものへと変じさせて。

QB「……何のことだい?」

さやかの発言に対してキュゥべえは何ら変わった反応も示さなかった。

感情のない宇宙人の瞳からその思考を読み取ることは難しい。

しかし、だからこそさやかは確信する。

────やっぱこいつ、なんか企んでる。

さやか「……いやね、ちょーっと違和感あるんだよね」

さやかは肉塊を見下ろし、砕けた紫の石を見やり、そして頷く。

さやか「……うん、やっぱそーだ。この死体はあたしのウロコから出来た唯の肉塊、そしてこっちは暁美ほむらの魂の一部」

確認するように順に指を差して行き、そして最後に指さされたがのは疑惑の白い固まり。

さやか「必要なのはほむらの魂の破片。それだったら……ほむらに感情を返すのに、わざわざ作り物の肉体を蘇らせる必要なんてないでしょ?」

それは抜き身の刀を突きつけるかのように。

さやかの人差し指は真っ直ぐにキュゥべえへと向けられた。

さやか「そんな者を蘇らせて、あんた何に利用する気だったわけ?」

QB「…………」

185 : ◆SzGamSzLKs - 2014/08/24 10:07:49.96 KJQYZN+W0 47/209

余計なことまでペラペラと喋るはずのキュゥべえが一瞬だけ言い淀む。

ほんの僅かな間であったが、さやかからしてみれば十分だった。

やはりキュゥべえは黒だ、と断ずるのに十分な判断材料であった。

さやか「悪いけどキュゥべえ……」

だが、さやかが判決を下す直前に────飛来した無数の黒き槍がキュゥべえを貫いた。

さやか「……!?」

QB「きゅぶっ」

聞き苦しい断末魔をあげ絶命するキュゥべえ。

これで最早企みの真相は闇の中だ。

さやか「ちっ……!」

さやかが振り向けば、其処には喪服に身を包んだ子供達が整列していた。

ニタニタと薄気味の悪い笑みを貼り付けた、十四体の人形が。

さやか「随分と最悪のタイミングで登場するじゃんか……まるで口封じみたいだったよ」

さやかの皮肉に対して、人形達は槍を構えることで応える。

「Fort Da!」

186 : ◆SzGamSzLKs - 2014/08/24 10:09:39.89 KJQYZN+W0 48/209

さやか(……こりゃ本気でピンチだわ)

油断無く剣を構えるも、内心では全く勝ち目がないことを半ば認めていた。

七体一で辛うじて逃げ切れた。相手がその倍に増えたなら?

考えるまでもなかった。間違いなく一方的な戦いになる。否、蹂躙になる。

きっとここで自分は死ぬ。酷たらしく殺される。

さやか「……ふざけんなっ」

頭の中を埋め尽くそうとするネガティブな予測を怒鳴りつけて追い出す。

さやか「そう簡単にこのさやかちゃんがやられると思わないでよね、あんた達!!」

さやかが吼えると全身から魔力を立ち上り、外套がはためいた。

「Fort Da!」

それを開戦の合図と受け取ったのか、人形達は大声で笑いながら駆け出す。

彼女らがさやかへと迫り、双方の間合いに入る────

さやか「くっ……!」

その直前に、さやかは懐かしい声を聞いた。

「さやか! 下がるのです!」

一瞬にして無数のシャボン玉がさやかの前方を埋め尽くし、人形達の行く手を阻んだ。

さやか「これって……!」

187 : ◆SzGamSzLKs - 2014/08/24 10:13:19.55 KJQYZN+W0 49/209

なぎさ「怪我はないですか、さやか?」

現れたのは一人の幼い魔法少女。

かつてさやかと共に戦った、円環の理によって選ばれた少女……百江なぎさ。

悪魔が世界を改編した折に、戦う力を失った筈の少女だった。

さやか「なぎさ!? ど、どうしてここに……ていうかあんた、魔法少女じゃ……」

なぎさ「話は後なのです! 早く此処から出るのですよ!」

さやか「あ、ちょ、待って!」

さやかはキュゥべえの死体の側に転がっていた紫の石を拾い上げると、再会を喜ぶ暇もなく駆け出したなぎさの後を追った。

「Fort Da!」

人形達も後に続こうとし騒ぎ出す。

だが迂闊にも一体の人形がシャボンの壁に触れ、即座に破裂したシャボン玉に吹き飛ばされた。

「……!?」

まともに衝撃を食らった人形の喪服は千切れ、灰色の乳房と黒ずんだ乳首が露わになる。

破裂のダメージは身体までは達していなかったらしくその肌は無傷であったが、何が起こったのか分からず困惑している様子だ。

人形達の隊列が乱れる。槍を持つ手も何処か覚束なく構えにも隙が伺える。

彼女らにとってもなぎさの乱入は想定の範囲外であったのだろう。人形達が見せる初めての動揺であった。

此処に招いたのはミキサヤカだけだった筈。何故あんな奴がいる?

そう浮き足立った人形達の中、ただ一人だけが小さく呟く。

「Falsch」

間違えた。そう白状したのは何処かマヌケ面の人形だった。

188 : ◆SzGamSzLKs - 2014/08/24 10:16:17.46 KJQYZN+W0 50/209

一番書きたいものをねじ込んだから満足した。

次>>191

220 : ◆01299LD7G. - 2014/08/25 21:30:19.48 9UIV5Bg20 51/209

さやか「あたしが僕で僕があたしで」
http://ayamevip.com/archives/27048381.html

酉は現行のQB「僕と契約してポケモン図鑑所有者になってよ!」2に晒してる
同一作者なのは上の作品の下の方に書いてるんで大丈夫だと思う

229 : ◆01299LD7G. - 2014/08/26 21:50:39.76 PX3kvLfm0 52/209

『空が降ってくる』とは比喩だったはずなのにと、さやかは思った。

稲妻は亀裂と化して轟音を上げ、命を投げ出すように空の破片たちが落ちてくる。

それらを躱しながら跳び回るなぎさの後ろを、さやかは訳の分からぬままついていくだけだった。

足場にしているビルや橋だった物もぼやけ始め、いよいよ時間がないことは誰の目にも明らかだ。

時間とは勿論、どこだか分からないこの世界の終焉までの残数だ。

無限に広がらない空の下。

二人はガラス玉の中にいる。

さやか「なぎさ! どうしてあんたがここにいるわけ!」

なぎさ「分かんないのです!」

さやか「はぁ!? あんたそれどういうへぁああぁぁあ」

会話が断末魔に変わったのは、さやかが足を踏み外して奈落へとダイブしたからである。

無論、あると思った足場が突然消えてしまったためであるというのはさやかの名誉に誓って伝えておかなければならない。

さやか「はぶっ!」

どうにかコンクリートではない何かに着陸したらしく、幸いお尻を打っただけで済んだようだ。

なぎさ「大丈夫なのですか?」

さやか「痛たた……なんとかだね、全く。今そっちに行―――」

会話が再び途切れたのは、見上げた先にいたなぎさの背後に、この世界ではないどこかで見慣れた、ピンクの人形が浮かんでいたからである。

230 : ◆01299LD7G. - 2014/08/26 21:52:28.70 PX3kvLfm0 53/209

陰に隠れて顔は見えないが、首に巻かれた黒地に赤斑点のマフラー。
ココアブラウンの腕が見えない割にお腹がギリギリ隠れないアンバランスな服。
ちょこんとした足。
そしてキャンディを彷彿とさせる巨大な耳。

かつて百江なぎさだった者。

あるいはなぎさに成る前の者。

それはお菓子の魔女だった。

ちなみに顔が隠れている陰とは、その魔女の口からはみ出したマフラー模様の長く太いつるりとしたもの。
蛇のような体躯をした、お菓子の魔女のもう一つの形態である。

人形の口から現れている巨体はさやかの足元に伸びていて―――

後ろを振り返れば、ピエロのような顔をした魔女が、自慢の歯並びを見せつけるようににっこりと微笑んでくれた。

さやかにとってそれが恐怖の対象であったことは過去の話だ。

さやか「なんで魔女が……うわっと!」

魔女はゆっくりと上昇してなぎさの元へと縮んでいく。

なぎさ「なぎさも乗せてもらうのです。とりあえずゴーなのですよ!」

昔TVに映っていた電電太鼓を持った少年と彼を乗せた竜の如く、魔女とさやかたちは再び崩壊する街の中を跳び回る―――

否、飛び回ることになった。

231 : ◆01299LD7G. - 2014/08/26 21:54:27.16 PX3kvLfm0 54/209

なぎさ「魔女に乗るのも久しぶりなのです。さやかもでしたっけ?」

さやか「当たり前でしょ。それより、まずは聞きたいことが山ほどあるんだけど」

落ちてくる欠片に気を付けながら、さやかは問う。

さやか「なぎさ、あんた魔法少女じゃなくなってたはずだよね? どうして変身してるの?」

なぎさ「それについてはなぎさもよく分からないのです。ただ、思い出したらソウルジェムも一緒に手の中にあったのです」

さやか「思い出した?」

なぎさ「なぎさたちが、かつて円環の理に導かれてその一部になってたこと」

さやか「――っ!」

なぎさ「ここに来た理由は残念ながら知らないのです。でも、変身の仕方も魔法の使い方も魔女の出し方も、全部思い出したのです! 暁美ほむらが、円環の理を奪って、悪魔になったことも……」

さやか「思い出した、ね……でもこの世界がどういう物かとか、どうして思い出せたのかは、分からないってわけ?」

なぎさ「ごめんなさいなのです……」

ちなみに、なぎさがここに呼ばれたのがどこかのおマヌケさんの仕業だとは、とうとう二人は知ることはない。

さやか「あれ、待って待ってちょっと待って……じゃあなぎさ、あんた今どこに向かってんの? 出口に向かってるんだよね?」

なぎさ「逃げてるだけなのです! あの人形たちから」

がっくりと肩を落として魔女から落ちそうになる。

入り方が不明ならば出方も不明。

さもありなんというわけだ。

なぎさ「でも、もしかしたら出られるかもしれないのです」

さやか「……パードゥン?」

一時間目は和子先生の英語だったなあと、ふと思い出した。

232 : ◆01299LD7G. - 2014/08/26 21:56:10.25 PX3kvLfm0 55/209

なぎさ「ここが暁美ほむらの創った世界なら、きっと前と同じ感じだと思うのです」

さやか「この世界はソウルジェムの中、ってこと?」

なぎさ「誰のかは分かりませんが……要するに空なのです! 空をぶち壊してここから脱出するのです!」

少々安直すぎる気もするが、打開策が見当たらない今、確かに試す価値はあるように思えた。

あの時は空の向こうにキュゥべえたちが雁首揃えて見下ろしていた。

今回は一体誰が観察しているのだろうか……。

もしかしたら、あの悪魔がしたり顔でニヒルな笑みでも浮かべているかもしれない。

さやか「……なんかイラッとしてきた」

なぎさ「へ?」

さやか「あいつにヘラヘラした顔で嘲笑われてるとか考えただけでイラッとしてきた。絶対ここを出てぶん殴ってやるっ!」

なぎさ「じゃあなぎさはチーズを食べるのです!」

さやか「はいはい、いつも通りってわけね」

なぎさ「むぅー……いいから早く空をぶち壊してほしいのです。なぎさのシャボン玉だと威力不足なのですよ」

さやか「水場がないし、久々に"アレ"、やりますか……あんまり好きじゃないんだけどなぁ」

空を見やる。

剥がれ落ちた箇所には何もなく黒が広がっているだけだ。

さやかは取り出した剣を僅かに躊躇ってから、

ズブリと―――

心臓に突き刺した。

痛みを消せるとはいえ。
創痕が治せるとはいえ。

やはりいい気分がするものではない。

なぎさが作り出したシャボン玉が刹那で紅に染まる。

血飛沫がシャボンの内側で血溜まりへと姿を変え、そこに尾ひれが飛び出し、サーベルタイプの大剣がシャボンを割り―――

人魚の魔女が空を泳いだ。

233 : ◆01299LD7G. - 2014/08/26 21:57:42.69 PX3kvLfm0 56/209

さやか「ほんとに出せるもんだね……しかも、ほむらの魔女と戦った時くらいでっかいんだけど」

なぎさ「この世界のおかげなのかもしれないのです」

この際理屈も理由もどうでもいい。

さやかの指揮で魔女がサーベルを振るえば、空は紙を裂くより容易く割れる。

返す刀でもう一撃。

今度は暗闇を切り裂き、偽街に光が差し込んできた。

さやか「よーしもうちょい!」

なぎさ「ゴーゴーなのです!」

二人は希望を確信してハイタッチを決めた。

「Finden!」

それを邪魔する人形たちがわらわらと群がってくる。

まるで獲物を見つけた蟻のようだ。

さやか「でも残念。一足遅かったみたいね」

二人を乗せたお菓子の魔女が、光降る亀裂の中へと飛び込んでいった。

その姿はやはり、どこかで見た竜のようだった。

――――――――――
―――――
――


なぎさ「起きて! 起きてくださいなのですさやかっ!!」

さやか「ん……」

空が暗い。

気持ち悪くなるくらい体を揺さぶるなぎさを押しのけ、さやかは上半身を起こした。

さやか「出られた……のかな?」

なぎさ「それより見てくださいなのです! もしかしたらなぎさたちはあの街を出た時に誰か殺してしまったかもしれないのです! きっとあの街があったソウルジェムの持ち主なのです!!」

さやか「な、なん―――っ!」

なぎさ「あわわわ、どうしようなのです……」

さやか「なんだって……こんなことに―――」

二人の目の前には、首のない死体が横たわっていた。


無限に広がらない空の下。

二人はガラス玉の中にいた。

234 : ◆01299LD7G. - 2014/08/26 21:58:44.86 PX3kvLfm0 57/209

続きのことは知りません考えてません
次の人頑張ってください

次安価下5

243 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/26 22:34:21.37 pS/3qsboO 58/209

ほむら「キュゥべえを(ry)」

266 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/28 00:04:10.97 zxJpw5h5O 59/209

ここも子供たちに見つかってしまったようで、賑やかしの声が響いてくる。

さやか「なぎさ、まだ逃げられる?」

なぎさ「お茶のこさいさいなのです!」

なぎさが魔女を呼び出して、二人はそれに乗って空を走っていった。

キュゥべえだけが、そこに残された。

彼を取り囲む子供たち。やれやれ、と言った様子で猫のように寝そべった。

キュゥべえ「……ボクはもう負けているよ。彼女らを追わなくていいのかい?」

急がなくちゃ、と誰かが呟いて――彼女らは彼を無視して行ってしまった。

キュゥべえ「……もう、ボクを恐れることもないのだろうね」

キュゥべえ「だけど、まだだ。最後に勝てれば、何度負けたっていい。二の矢は、放っているよ」

そして、また別の矢が装填される。

キュゥべえ「――ほらね」

マミ「キュゥべえの言った通りね……向こうには毛並みの悪いキュゥべえがいると聞いたのだけれど」

キュゥべえ「概ね間違いじゃないね」

マミ「二人はどこ?」

キュゥべえ「彼女らは使い魔に追われて逃げていってしまったよ」

マミ「ここに来れば、キュゥべえが外に出る秘策を教えてくれる――信じてはいないのだけれど、そう聞いてきたわ」

キュゥべえ「ああ。それはまず」

そこで、マミは視界の隅に転がる死体に気付いてしまった。

キュゥべえ「暁美ほむらの話をしよう」

――――――――

マミ「魔法少女としての、暁美さん?」

キュゥべえ「ああ。彼女は悪魔となった自分を倒そうとしていた。君達のように正しくあろうとする魔法少女だったと評価するよ」

マミ「そんな魔法少女を失ったと言うの……なんてこと……!」

キュゥべえ「でも、マミならもしかしたらこの子を甦らせられるかもしれない。肉体を修復できるかい?」

マミ「……それが秘策?」

キュゥべえ「暁美ほむら自身なら、この結界を突破するのも容易い筈だ」

――もしそうだとするなら、旨くいきすぎる。巴マミはそう直感的に感じた。

マミ「…………」

キュゥべえ「悩むのはいいけれど、時間は無いよ。それはさやかやなぎさを救うためには間に合うかもしれないけれど、杏子は無事なのかな?」

マミ「……コレをやらせる為に、呼んだのね」

言うや否や、頭の形にリボンが覆い――程なく、整った顔が露になった。確かに違わず、ほむらの顔。

だが、それでもやはり死体は動く訳が無い。

キュゥべえ「…………ダメか。さやかが持っていってしまったからかな」

マミ「……何か聞かせてくれる?」

キュゥべえ「暁美ほむらの感情の欠片――ソウルジェムの破片をさ」

キュゥべえ「あれがあれば、この魔法少女は動き出すかもしれない」

マミ「……なら、どっちにせよ、美樹さんたちとは合流しなきゃいけないわね。この件は――後からよ」

飛び出した黄色の魔法少女。だから、眠るほむらと、獣だけになった。

キュゥべえ「……壊れた魂は、治らない。そんな簡単にいくならボクたちはこんなに苦心していない」

キュゥべえ「前例はあった。肉体から意志が芽生えれば、と思ったのだけれどね。やれやれ、二の矢も折れるとは」

キュゥべえは少しだけ『震えた』。

キュゥべえ「だけど、これが宇宙のためならば」

「そうだね。三の矢を放つだけだよ、キュゥべえ」

キュゥべえ「……その為のボクだろう。僕」

薄汚れたキュゥべえの側に、もう一匹――インキュベーター。外でマミと話していた個体と同一の。

「その為に君を僕たちから切り離した。君には役目がある」

キュゥべえ「分かっているよ。君たちにとっても、ボクは切り離すべきだ」

「君は僅かとはいえ、『焦り』を思い出してしまった。君は――」

「――欠陥だ、『キュゥべえ』」

キュゥべえ「分かっているよ、『インキュベーター』」

268 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/28 00:36:58.62 zxJpw5h5O 60/209

彼らの種族は温厚だった。

星は豊かな自然に恵まれ、生き物は伸びやかに育ち、争いなども無い。

食物連鎖程度のソレが、緩やかに――しかし一つの文化を育て上げた。

インキュベーター。

彼らは『聞く』力を持っていた。他者と繋がり、意思を共有する力。個々でありながら群。だからこそ平和だった。

ある時は草木の声を聞き、ある時は昆虫の声を聞き。鳥の声を聞き。

遠くの文明の声を聞き、吸収し、発展した。宇宙のありとあらゆる声を聞き、育った。

いつしか発展は無尽蔵に進み、凄まじい文明を築いた。そんな中、彼らは星の声まで聞いてしまった。

空の声を聞いてしまった。宇宙の声を聞いてしまった。

どんどん死んでいく。ありとあらゆるモノが死んでいく。この宇宙はいずれ熱的死を迎える。それは誰にも止める事が出来ない。

『恐怖』が彼らを支配した。どんなに発展した文化も何れは滅びるのだと知った。自分だけは特別だと思っていた事の、何と愚かな事か。

彼らは賢すぎた。現実を目の当たりにして絶望した。

だが、この宇宙を救えるのは現状どう見積もっても自分達しかいなかった。

だから覚悟をした。命有る者達が築き上げた文化を失うのは見過ごせなかった。全ての命は平等に平穏であるべきだと。

彼らは感情を棄てた。途方も無い道程だったが、これで折れて投げ出す事もない。

後は研究だった。遠くの何処かで星が爆発する声を聞きながら、彼らはひたすらに研究した。悲しくもない。

そして遂に生み出した、エントロピーの法則を覆す――魔法少女というシステムを。

これを使って、少しずつなら宇宙を延命できるという所まで来て、問題が見つかった。

感情が必要だ。

今取り戻してもいい。しかしこの計画は億や兆の年数では足りない。そんな永い年月を感情を持ったまま活動するのは不可能だった。

悔しくはなかった。今や彼らを突き動かすのは原初の義務感だけだったからだ。

感情を持った生命体を探して声を聞いた。そして人間を見つける。

原始的な生命だったが、発展の余地は大いにあった。感情があったなら小躍りしていただろう。

彼らは人間に希望を託した。 無償ではならない。人類を尊重し、望むものを何でも一つだけ与えた。素質を見出だした者には彼らの『聞く』力を預けて意思疏通を図れるようにした。

人間にとっては便利な通信手段程度にしかならなかった。心を通わせる力だった筈だが、なかなか上手くいかないなと感情があるなら凹んでいた。

人間は利己的だった。強欲だった。自愛に満ちていた。奪い、争い、時に同士ですら殺め、蔓延っていた。

豊かな星を緩やかに汚し、辱しめ、殺していこうとしていた。

それでも彼らには感情があるのだから、きっと発展すると、感情があるなら信じていた。

「人類だって、いずれはこの星を離れボクたちの仲間入りをするだろう」

本気でそう思っていた。

今もほら、どこか遠くで何処かの文明が滅びた。これを、感情がある生命体なら悲しいと感じる筈だ。

でも否。否。否。否。人類が答える事はない。人類は目の前しか見えない。自分しか分からない。他者と分かり合わない。

ああまた何処かが冷えて死んだ。感情が有ったなら泣いていた。しかし感情は置いてきてしまった。だから幾つもの失敗を越えて計画を進められる。

声が聞こえないから仕方ないと思い、長く腰を据えるつもりで再度取り組んで。

ある日、一人の少女がソレを壊した。インキュベーターを捕らえて、自らが書き換えた世界に閉じ込める。

インキュベーターには聞こえていた。緩やかに死んでいく宇宙が。ソレを踏みにじっていることにすら少女は気付かない。

だから、『彼』はそんな自問自答の中で『焦り』を思い出した。人類と生活するなかで知識として蓄えた感情の意味としてでは無く、初めから持っていたものとしてのソレを。

『義務感』や、ソレに類するモノ。

早く打開しなければ。そればかり考えていた。それは彼らにとって致命的な不協和音だ。

だから彼は彼らを離脱した。甦るのにも一苦労する。全く、不便なものだ。

――――――――

「さぁ、やらないのかい?」

キュゥべえ「やるさ」

キュゥべえは亡骸へと一歩。

キュゥべえ「死んでいくこの宇宙の為にボクは働き続ける。だから」

キュゥべえ「それを邪魔するルールなんて、壊してみせる。変えてみせよう」

キュゥべえ「さぁ、暁美ほむら。これがボクからの『叛逆だ』――!」

と、彼は『願った』。

269 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/28 00:42:33.00 zxJpw5h5O 61/209

マミ「しつこいわね……!」

さやか「マミさん、今は逃げる事にしましょう!」

なぎさ「ば、バテてきたのです……正直キツいのです」

子供たちは疲れ知らずとは良く言うが、こんな時くらい控えてくれても良さそうなものだとさやかは自嘲気味に笑う。

渡りに船、マミが合流した時は確かに歓喜した。

マミ自身もなぎさの無事な姿を、そしてその健やかな強さに一つ安堵する。

だが、状況は一転すらしない。

マミ「甘い!」

子供「――!」

さやか「(このままじゃ……)」

頼りの先輩のお陰で戦闘は格段に楽だ。

だがこと逃走する事に関してはあまり変わらない。

こういう時は器用さが、具体的には杏子の様な搦め手が欲しかった。

さやか「上手く捕まえてるよ、ホントにさ」

マミ「――『……』!」

リボンが空間に絡み付いて子供ら全てを縛り付けて拘束する。

『レガーレ・ヴァスタアリア』。詠唱の余裕など無い。

さやか「(マミさんもアタシも、なぎさももうギリギリ、ってこと)」

マミ「下がるわよ!」

なぎさ「はい――きゃあっ!?」

マミ「しまっ――!」

逃げようとした先に、悪魔の手先。カラスの体を持ってして――なぎさの鼻先を掠めた。

なぎさ「はわわわわっ……囲まれてるのです!」

さやか「(南無三……!)」

子供らもリボンをまち針で切り裂いて周囲を取り囲んで笑いだす。

万策尽きたか、そう剣を握り直した。

コン、と鳴るブーツの足跡。

広がる水面の波紋。

取り巻きはざわめきだす。

何故? どうして?

そう誰かが言った。

「もういいの。お疲れさま、皆。さぁ、解散」

現れた少女、手を鳴らし――夕焼け空。

帰ろうか、帰ろうかな。子供たちは家に帰る。

結界は夜になり、空へと開いた。

カラスも鳴いて、また――

「――また、明日」

マミ「――あなた、まさか」

なぎさ「??」

さやか「アンタ――どうして!? だって、魂はここに。何で、治ってるの!?」

「そこにいる、巴マミが治してくれたわ。随分と美人になってて驚いたわよ」

ほむら「さぁ、行きましょう。随分と、待たされたのだから」

長く黒い髪を掻き上げ、鍵を開けた牢屋から出る――暁美ほむら。

差し出した手を――手を差し出した事に、チクリと違和感を感じながら、さやかはその手を取って。

驚くほどアッサリと、彼女らは脱出したのだった。

――ソウルジェムは、ルビーの様な深い紅色を湛えていた。

270 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/28 01:19:42.65 zxJpw5h5O 62/209

ほむら「さて、次はどうしようかしら……ねぇ、まどか」

まどか「ほむらちゃん、一体どうしちゃったの……こんなの、絶対おかしいよ……」

杏子「どうせまた記憶すっ飛ばすんだろ。なら止めちまえよ、下らない」

恍惚としていたほむらが、逆さ吊りの杏子の首を掴む。骨が軋んで悲鳴を上げた。

杏子「ぐ……図星じゃん」

ほむら「黙りなさい。貴女一人『書き換える』のなんて容易いのよ」

まどか「杏子ちゃん!?」

そろそろか。と思考する材料が揃った。ポケットに手を挿し込み、仕込んでおいたロザリオに爪で傷を強く刻み込む。赤い結界による遮断、された悪魔の右腕が焼けた。

ほむら「つっ――この!」

杏子の結界を突き穿つ。

――彼女は舌を出して、ほむらを見ていた。だけ。

マミ「――ティロ・フィナーレ!!」

不意打ち上等、という意味を籠めて。

ほむら「しまっ――!?」

防御に回した羽が砕けて落ちる程の威力と砂煙の中、堪らず『世界ごとマミを捻り潰そうとして』しまって――その力が円環の化身に切り裂かれる。

さやか「へっへー! 脱出してやったり!」

なぎさ「オマヌケさんな部下を持つと苦労するのです!」

悪魔「貴女たち――何故!?」

ほむら「それはね」

悪魔「――――!?」

晴れる煙。まどかを抱き上げ、悪魔を睨み付ける――暁美ほむら。

ほむら「貴女を倒すためよ、悪魔」

悪魔「な、んで」

ほむら「もう大丈夫よ、まどか」

まどか「ほむら……ちゃん?」

ほむら「えぇ」

あ、あぁ。

お前は、誰だ。

悪魔「消えなさい――!!!」

ほむら「むっ」

羽が矢尻となって襲い掛かる。ほむらの機械盾が反射的に稼働を始めた。彼女の魔法の行使と共に紅く輝く瞳。世界を止める事は儘ならなくても、少し減速する程度ならば――自分に効いてくれるだろう。

ほむら「(やはり乏しい感情ではこの程度しか……!)」

まどか「わわっ」

ほむら「しっかりつかまって!」

崩れていく校舎の壁。瓦礫と弾丸を踊るように回避しながら、暁美ほむらは叫んだ。

ほむら「逃げるわよ!」

その瞬間、魔法少女たちは散り散りに。追おうとした悪魔を、杏子印の捕縛結界が5秒引き留めた。

悪魔「くっ――!!?」

ほむら「――じゃあね」

ほむら「今度はボクが勝つよ……暁美ほむら」

呟きは誰にも聞こえない。

ただ、逃げられる。

悪魔「はぁっ、はぁぁぁ……!」

感知も聞かない。円環の力がそれを邪魔していた。

悪魔「あぁ……許さないわよ……どこまでも、私は私が許せないようね!!」

偽りの自分にすら気付かない程に激昂しながら。

271 : ◆wu8VE5paJA - 2014/08/28 01:25:11.45 zxJpw5h5O 63/209

リレースレですら寝落ちする俺は実は寝落ちの天才なんじゃないかと思うんですがそこのとこスイマッセンしたァァァぁぁ!!(どげ)
また例のごと改行がアレだったんでぶつ切りになる意識の中頑張りまさは、
誤字あったらごめんなさ寝る

次↓3で

278 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/28 07:59:52.79 IMpVxptXo 64/209

って、>>277か
じゃぁまぁエントリーで

2回目です。書いたSSは過去レス参照

286 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/29 23:29:54.10 VwSqAkLFo 65/209

さやか「まどかは寝かせてきました!」

マミ「そう、じゃぁ始めるわよ!」」

さや マミ なぎ「第XX回! 悪魔被害者の会! 開幕~~!!」

なぎさ「パフー! パフー!」

ほむら「……何、これ」

さやか「……あぁ、そうか。ほむらは初めてなんだよね。って当たり前か」

マミ「これは悪魔からひどい被害を受けた時に不定期に開催してたお茶会よ。愚痴を言い合ったり対策法を練ったり……まぁあまり建設的な展開になったことはないんだけど」

杏子「……ま、今回はちょっと本気で話し合わないとまずそうだけどな」

ほむら「……あぁ。そういう」

さやか「どの道今後に向けて状況を整理したいしね」

-----------------------

さやか「まず、一番バッターさやかちゃん、いきまーす!」

さやか「登校早々に悪魔の魔女結界に放りこまれて、あいつの使い魔とガチバトルさせられました! 死ぬかと思いました! マジで!」

杏子「多分今回一番の被害者ってさやかだよなー」

なぎさ「やれやれなのです。なぎさが助けていなかったら即死だったのです」

マミ「……ところで」

マミ「なぎさちゃん。あなたはどうして魔法少女になっているの?」

なぎさ「え? あ、えーと、それは……いろいろあったのです」

マミ「絶対魔法少女にはなるな! とあなたには言っておいたはずだけれど。それとも私との約束を破るぐらいの願い事があったのかしら。まさかチーズケーキで魔法少女に何かなっていないわよね!」

なぎさ「え、あ、その……」

さやか「マミさん抑えて抑えて! なぎさ絡みの話は後でちゃんと説明しますから!」

マミ「……」

なぎさ「……ごめんなさい、なのです」

マミ「……いえ、私の方こそごめんなさい。話を続けて」

さやか「それでなぎさに助けられたあたしは、なぎさと一緒に逃げ回りつつ結界の外に出られる手段を探していた」

さやか「で、何のかんのあってマミさんと合流し、そして……あんたに助けてもらった」
ほむら「……そうね」

さやか「……あんたの存在が一番の謎なのよ。あんたの魂はここにある」

あたしは紫色の石をみんなに見せる

さやか「じゃぁ……あんたは誰?」

ほむら「……私は『暁美ほむら』よ。それ以上でも以下でもないわ」

さやか「助けてくれたことには感謝するけどさぁ……」

287 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/29 23:31:22.08 VwSqAkLFo 66/209

なぎさ「でも、由々しき事態なのです」

さやか「どうしたの? なぎさ」

なぎさ「こっちにもほむらがいて、あっちには悪魔のほむらがいる。ほむらほむらでわかりにくいのです」

さやか「あー……まぁ、その辺はうまく使い分けていくってことで。次杏子。どんな感じだったの?」

杏子「あぁー……まどかと一緒にお人形遊びをずっと付き合わされてた」

さやか「……お人形遊び? どういうこと?」

杏子「……そのまんまだよ。あたしとまどかを人形にして、演劇みたいなことをずーっとやってやがった」

さやか「……それ、地味にあたし達よりきつかったんじゃない?」

杏子「どうだろうなー。取り敢えず、あいつに脚本センスはないとだけ言っておく」

さやか「……うーん。それじゃぁ状況を整理」

なぎさ「待ってください。みんなに伝えたいことがあるのです」

さやか「なぎさ……まさか?」

なぎさ「なぎさの記憶を共有します。それで思い出してほしいのです。……別の世界の杏子、マミがどんな戦いをしてきたのかを」

杏子「? 突然何さ」

マミ「……」

さやか「……なぎさ、いいの?」

なぎさ「多分悪魔はこの件をカードに使ってくると思うのです。突然ばらされて杏子やマミの精神的な隙を突かれる可能性があるかもしれない」

さやか「……まぁ、あんたがそういうのならいいけど。杏子、マミさん。突然ですけど、いいですか?」

マミ「えぇ。……いつか、話をしてくれるのを待っていたし。何とか受け止めてみせるわ」

杏子「……別にあたしもかまわねぇよ。悪魔があたしが知らないあたしの記憶を知ってるってのも腹立つしな。……こいよ」

さやか「じゃぁ……杏子、マミさん。しっかり覚悟だけは決めておいてください。……なぎさ!」

なぎさ「はい、なのです!」

288 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/29 23:32:46.23 VwSqAkLFo 67/209

杏子「なるほど……こいつはきっちぃな……」

マミ「……これは、なんて」

さやか「杏子、マミさん。大丈夫ですか?」

杏子「……大丈夫だよ。これぐらい、屁でもねぇ」

さやか「……杏子、顔色悪いよ。後その……ごめんね? 何かいろいろと」

杏子「……あんたが謝るなよ」

さやか「うん……でも、あんたに迷惑かけてばっかりで」

杏子「バーカ。あたしが好きでやった事だよ。あんたに悪い顔されるとこっちが気持ち悪くなる」

さやか「……何さー。人がしおらしくなってんのに!」

杏子「馬鹿さやかは馬鹿さやからしく馬鹿やってりゃいいんだよ。……あたしはそんなあんたが気に入ったんだ」

さやか「……杏子」

杏子「ま、マミは大丈夫か? あたしよりきっつい内容みたいだったけど」

マミ「……そうね、私はとても多くの過ちを犯してしまったのだと思う」

なぎさ「……マミはがんばっていたのです」

マミ「頑張ればいいというものではないわ。結果が伴わなければ何にもならない」

さやか「マミさん! それは違もごご」

杏子「さやか。ここはなぎさに任せておけ」

なぎさ「マミ、なぎさは謝らなければならないのです」

なぎさ「マミを殺した事。それをほむらの魔女結界の中で黙っていた事。そして……この世界ですべてを忘れてしまったこと」

なぎさ「本当はさやかのように、強く受け止めなければいけなかったのに……なぎさはなぎさの罪を放棄しました。もし、なぎさも罪を全く知らないでマミと仲良くできたなら……そんなことを考えてしまったのです」

なぎさ「……なぎさは、最低なのです」

マミ「……本当に最低ね」

なぎさ「……マミのマスケット銃で打ち抜かれても文句は言えないのです」

マミ「……そういう意味じゃなくてね」

なぎさ「え」

マミ「……なぎさちゃんが……ベベが実は苦しんでいた事を、私は気づいてあげられなかった。それどころかベベに甘えて……依存してた」

マミ「なぎさちゃんが言い出せなかったのも当然ね。……最低なのは、私よ」

なぎさ「そんな事ないのです! マミは泣き虫でさびしがりやだけど、でもだからみんなの為にはとっても強くて、すごくて……」

なぎさ「マミは私の思い描いた最高の魔法少女の姿そのものなのです!」

マミ「そう言ってくれるのは嬉しいわ。なら……本当に最高の魔法少女になれるよう努力しないとね」

なぎさ「なぎさも頑張るのです!」

289 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/29 23:33:35.20 VwSqAkLFo 68/209

ほむら「それでは……そろそろ本筋を話し合いましょう。あの悪魔をどうするか」

さやか「どうするって……取り敢えずこのほむらの『感情』をほむらに返して、それで……後はまた現状維持かなぁ」

ほむら「待って。あの悪魔は害悪よ。何とか倒して円環の力を取り戻して、まどかを完全な形に戻さないと」

マミ「その行動には問題点が二つあるわ」

マミ「ひとつは悪魔から今円環の力を取り戻せば、キュゥべぇに解析されてしまう。そしたら魔女システムが復活してしまう。……それはなんとしても避けないと」

マミ「それに……あの二人は一度腹を割って話し合うべきだと思うの。でも、今の状態では悪魔の暁美さんは暴走してしまっている。まずはそれを止めてあげないと会話も成り立たないわ」

杏子「まぁ、何とかして拘束して、ほむらの『感情』を強制的に返す……ってあたりが今後の方針かな。すっげぇ大変そうだけど」

ほむら「あなたたちはあの悪魔に殺されそうになったのよ! それなのにどうして!?」

マミ「……私の場合、そもそもあの子にこれだけの迷惑をかけなければ、そもそも今の悪魔化だって避けられたかもしれない……そういう気持ちがないといえばうそになるわ。でも、それ以上に」

杏子「……あいつはあんなになっても大切な友達なんだ。倒すとか倒されるとかそういう関係じゃねぇよ」

ほむら「……私には理解できない。私はあいつを倒してみせる。じゃないと……私は私になれない」

マミ「……まぁ、紅茶でも飲んで落ち着きましょう?暁美さん、ちょっとダージリンティーの茶葉をとってくれる?」

ほむら「……わかったわ」

290 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/29 23:34:18.44 VwSqAkLFo 69/209

ほむら「……これね」

マミ「ありがとう。さぁみんな、お茶会を始めましょう」

杏子「ケーキ! ケーキがほしい!」

さやか「杏子ー! あんたは! こんな非常時にケーキが都合よくあるわけ」

マミ「あるわ」

さやか「……ケーキ! ケーキ!」

なぎさ「チーズもあるのです!」

マミ「……じゃぁそろそろ鹿目さんも起こしてあげないとね。彼女だけ食べられないのは不公平だから」

さやか「!! まどかにも協力してもらうつもりですか?」

マミ「普通に戦ったら勝負にならないもの……あまり使いたくはないけど、搦め手を使っていかないと」

さやか「……まどかを真の姿に戻す、とかですか?」

マミ「それが有効な手段になるならね。でもそれをやってしまうと魔女の問題が残ってしまうから、あまり善手とはいえないわ」

マミ「それでも……何かに利用できるかもしれない。とれる手はいくつも考える必要はあるわ」

マミ「……それにしても、暁美さん」

うちのダージリンティーの茶葉の位置を正確に把握しているのは、私とキュゥべえぐらいなはずなんだけれど

マミ「……本当、いろいろと厄介ね」

292 : ◆L6BlpxGAiA - 2014/08/29 23:40:26.87 VwSqAkLFo 70/209

っと忘れてた

次安価>>294

297 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/30 13:19:37.46 HcJ7TtUTo 71/209

二度目だけど一応過去作
ほむら「愛よ」まどか「え?なあに?」ほむら「なななんでもないわ」
ほむら「人間まどかを攻略する」まどか『えぇー』
ほむら「人間まどかを攻略し損ねた私の末路」
エントリーしますー

306 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/31 00:36:28.54 H/oVPsu/o 72/209


なぎさ「まどかを起こしてきたのです!」

まどか「うぇひひ、おはようみんな」

杏子「おー。気分はどーだい?」

まどか「寝過ぎてくらくらする…」

さやか「あれだけ寝てたらねぇ」

まどか「え…っと。私、いつからマミさん家にいたんだっけ??」

杏子「おいおい、覚えてねーのかよ。放課後みんなでマミん家来て、まどかは眠いとか言って早々に寝ちゃったんじゃねーか」

まどか「そ、そうだっけ…?」

さやか「えー、まどかその歳で健忘症なわけ?」

なぎさ「まどかがボケたのですー!」

まどか「ち、違うよぅ!」

ほむら「……」

まどか「あれ、ほむらちゃん?」

ほむら「…なにかしら」

まどか「ほむらちゃん、だよね…?」

杏子「おいおい、そんなことも覚えてねーの? まどか、ほんとにヤバイんじゃん?」ケラケラ

なぎさ「手遅れ感なのです」

まどか「違うったらー!」

ほむら「……」

まどか(やっぱりほむらちゃん、なんだか変だなぁ。こういう時はいつも…)


307 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/31 00:37:50.27 H/oVPsu/o 73/209


マミ「はい、お待たせ。紅茶とお茶菓子よ」コトッ

なぎさ「チーズー!」
杏子「菓子!」

マミ「はいはい、お菓子は逃げないんだから二人ともゆっくり食べなさい」

さやか「あ、そーだ! 今日ほん怖やる日じゃん! テレビつけなきゃ」

まどか「えー、怖いの観るの…?」

さやか「あれ? ひょっとして三年経ってもまだ苦手なの?」ニヤニヤ

まどか「……ちょっと」

杏子「まあまあ! こーゆーのがいた方が盛り上がるし、とりあえす点けようよ」

さやか「だねー。ポチッと」

杏子「ぶふぅっ!」

さやか「うわ! 汚っ!! なにすんのさ杏子!」

杏子「そ、それ…!」プルプル

さやか「なに? もしかしてアンタも怖いのダメなクチなの?」クルッ

さやか「」


308 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/31 00:38:54.08 H/oVPsu/o 74/209


TV『本日、同性婚合法化に関する法案が、参議院本会議において可決され、無事成立いたしました』

TV『これに関しまして、暁美首相が会見を開きました。VTRをご覧ください』

ほむら『全国のレズの皆さま、こんばんは。首相の暁美ほむらです』

さやか「な、な、な…!?」
まどか「ほむらちゃん!?」
マミ「なにやってるのあの子!!?」

ほむら「だから言ってるじゃない! あの子は悪魔なのよ! これで解ったでしょう、放っておいたら何をしでかすかわからないわ!」

マミ「こ、これには流石に度肝を抜かれたわね…。ここまで大胆に世界を塗り替えるなんて」

さやか「なんかもう渇いた笑いしか出ないっすよ…」

なぎさ「クレイジーなのです」

まどか「あの、なんでほむらちゃんが二人…? しかも総理大臣…??」

杏子「後で説明してやるよ…」

ほむら「あなた達、これは想像以上に深刻な事態だって解ってる?」

マミ「どういうこと?」

ほむら「いままで暁美ほむらは、かなり慎重に世界の改変をしていたわ。それもそのはず。世の中のすべての事象は因果の糸で繋がっているわ。ある出来事を塗り替えようとすれば、そのシワ寄せが必ずどこかに現れる」

さやか「だろうね。あたし達は誰よりもそれを知ってるよ。奇跡の代価は、安くない」

杏子「……」

ほむら「いままでの暁美ほむらの世界改変は、そんな不都合を起こさないように、細心の注意を払って行われてきたわ。一つひとつ、因果の糸をほぐしては自分の都合のいいように再度裁縫し直す…。それは途方もない作業よ」

まどか(さっぱりついて行けないけど黙っておこう)

ほむら「けれど、今回彼女はそれを放棄してしまった。後先も考えず、よりにもよって一国の首相という、因果の糸が極端に集中している存在になり変わって、自分勝手な法案を成立させてしまった。これによってもたさられる混乱の波紋は計り知れないわ」

さやか「…なんか、思ったよりビッグな事態だ」

杏子「アイツがその作業をしながら首相になった可能性は?」

ほむら「ゼロよ。あのめちゃくちゃな法案を通すだけなら、他にいくらでもやりようはあったはず。それをしなかったのがなによりの証拠だわ。あの悪魔は、世界をかき乱すことを愉しんでる」

マミ「決めつけるのは良くないんじゃないかしら? あなたの論調はすこし面白くないわね」

ほむら「…反論するなら論理的にお願いするわ」

マミ「あなたはずいぶん焦っているようだけど、どのみち私たちの方針は変わらないわ」

さやか「そーそー。だいたい、アンタのことだってまだ完全に信じたわけじゃないんだからね」

杏子「とりあえず、いまアイツは首相官邸なんだろ?」

さやか「デモでもしちゃう?」

杏子「それ面白ぇな!」ケタケタ

ほむら「そんな余裕はないの! 世界が壊れてもいいって言うの!?」

なぎさ「なぎさから見ると、いま一番余裕がないのはあなたなのですよ」

ほむら「……」

杏子「お、よく言ったチビスケ!」

なぎさ「ちびじゃなーいーのーでーすー!」プクーッ

ほむら「…まぁ、いいわ」

ほむら「せいぜい、君たちの中に余波がないことを祈ることだね」ボソッ


309 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/31 00:39:26.47 H/oVPsu/o 75/209


杏子「痛っ!?」ガクッ

さやか「ちょっと杏子!?」

杏子「大丈夫だ、…つつ」


杏子「っ!?」
――こんなのは宗教弾圧だ! 許されるとでも…!
――悪いな、国の方針だ
――おとーさーん!
――行くなモモ!

杏子「…なん、だ? この記憶…」ハアハア


310 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/31 00:40:33.01 H/oVPsu/o 76/209


―某所―

「ふん、首相なんて…厚かましい」

「でも私はこの法案、賛成だなー」

「あの女の肩を持つというの、キリカ」

キリカ「まっさか! 私が持つ肩は織莉子のだけだよ!」クネクネ

織莉子「…行くわよキリカ」

キリカ「あっ待ってよ織莉子ぉー!」


織莉子「暁美ほむら…。お父様の仇…!!」


312 : ◆QnqYInc3ms - 2014/08/31 00:43:12.57 H/oVPsu/o 77/209

以上です

出先で頑張ってシリアスなの書き溜めたら、案外ふざけていい感じの空気だった…
せっかくネタ振りされてたのに…
次ははっちゃけます

次の方>>315

332 : ◆SzGamSzLKs - 2014/09/01 20:21:19.26 OBfTba8p0 78/209

書いていいかな?

337 : ◆SzGamSzLKs - 2014/09/01 23:40:58.34 OBfTba8p0 79/209

美国織莉子の父は市議会議員であった。それも超新星の観測よりも極めて希有な、『善良な』政治家であった。

彼は市民のため骨身を惜しまず日夜働き、市政の改善を訴え続けてきた。

そんな父の背中を見続けてきた織莉子もまた、善良な少女であった。正義を胸の内に燃やし、世のため人のために尽くそうと誓った。

彼女は自身の未来に何ら疑問を抱かず生き続けてきた。あの悪魔が現れる夜までは────。

織莉子「……あの悪魔は、お父様を狂わせ失脚させたの。そしてその後釜に座り、政治家としての地位を得た」

キリカ「で、結果が日本国首相で独裁政治かい。ふざけたやつだ」

織莉子「そうね。でも、そのおふざけもすぐに終わらせてあげるわ。私達のこの手で……!」

キリカ「ふふ、腕がなるね……!」

二人の少女は歩みを止めることなく決意を語る。

彼女たちの歩む先にそびえ立つのは白亜の建造物。

見る者に威圧する為に創り出されたかのような鴻大なその外観は少女達の心に少なからず怯えを生じさせたが、彼女らは欠片も表情に出さない。

ただ真っ直ぐに、その討ち果たすべき壁を見据えていた。

キリカ「キミにはもう予知出来ているんだね、悪魔が私達に屈する未来が」

織莉子「勿論よ」

悪魔を打倒するために。彼女らの戦いが今始まる。

織莉子「私の予知によれば────私とキリカがURB48のメンバーとしてアイドルデビューすればあの悪魔を追い詰められるらしいわ!!!!」

キリカ「えっ」

338 : ◆SzGamSzLKs - 2014/09/01 23:42:16.76 OBfTba8p0 80/209

そんなわけで織莉子とキリカはアイドルデビューを目指して、URB48(ウロブチフォーティエイト)のオーディションを受けることにしたのだった!

キリカ「うう、緊張するよ織莉子ぉ」

織莉子「だ、大丈夫よ、だってキリカはとってもキュートでプリティで可愛いもの! でも私はダメかも……ぐすん」

控え室では垢抜けた感じのナウい女の子達がオーディションの開始を待っていた。

田舎から出てきたばかりの織莉子もキリカも、自分たちがおのぼりさん丸出しな気がしてちょっと自信喪失中だ。

緊張したときは皆ジャガイモだと思えと言うけれど、どっちかと言うと私たちのほうがイモくさいジャガイモなんじゃ……などというような自虐さえ芽生えちゃう織莉子たち。

かずみ「ねえねえ、もしかしてあなた達もオーディションのために上京してきたの?」

そんな緊張でガチガチの冷凍ジャガイモ達に話しかけてきたのは黒髪の女の子だった。

かずみ「わたし、かずみ! 昴かずみだよ! わたしも東京は初めてだから緊張しちゃって話し相手が欲しかったんだ……えへへ♪」

織莉子「あら……そうなの? ふふっ」

キリカ「成る程……じゃあ私達は同士、いや戦友というわけだね!」

突然話しかけられて少し戸惑った織莉子だったが、明るく元気な彼女の雰囲気に和まされ、少しだけ気が楽になる。解凍芋の出来上がりだ。さすがはかずみちゃん、ペロペロしたい。

でもそこでそんな和やかなムードをぶち壊す噛ませ犬が登場だ!

沙々「くふふっ、こんな場所で馴れ合いとは脳天気ですねぇ♪」

339 : ◆SzGamSzLKs - 2014/09/01 23:44:21.97 OBfTba8p0 81/209

キリカ「むっ、なんだいキミは。失礼だね」

いきなりの闖入者にキリカもおこだ。否、激おこプンプンしろまるである。

沙々「だって本当のことじゃないですかぁ? 一緒にオーディションを受けるってことは互いに蹴落とすライバルってことですよお?」

嫌らしい間延びした口調で沙々にゃんは続けるが本当は彼女は心優しい女の子なんだということは後のエピソードで明らかになる。

沙々「それなのに馴れ合いだなんて余裕ぶって、お馬鹿さんとしか言いようがないですよねぇ?」

キリカ「むむむ」

沙々「……まあ、このわたし、優木沙々さまみたいに完璧に可愛ければ本当に余裕なんですけれどねぇ、くふふ!」

彼女がこうして嫌みを言っているのも実は友達が欲しくて寂しいのに素直になれなくて仲良くする方法が分からないからなのだ。沙々にゃん可愛い。腹パンしたい。

かずみ「あはは、そーだね。沙々にゃんくらいに可愛ければきっとオーディションも余裕だよね!」

織莉子「ふふ、そうね。可愛らしくて、でも華がある美しさも秘めていて……まさしくアイドルって感じね」

沙々「ふえっ?! な、なな、そんなこと無いですよぉっ……じゃ、なくて、なに当たり前なこと言ってるんですかぁ! もうっ!」

などとキャッキャうふふを満喫している内にいよいよオーディションの時刻となる。

ついに第一次審査『ドキッ!水着美少女だらけのアメフト大会!』が今開催されようとし










「────この物語は私の夢の中のお話なの」

340 : ◆SzGamSzLKs - 2014/09/01 23:46:19.87 OBfTba8p0 82/209

「ここは現(うつつ)ではない夢の世界。私の内側に広がる夢の世界」

『似ているね、キミがかつて観た幸せなナイトメアと』

「そうね。でも、今度の夢を作り上げているのは私一人じゃない」

「この世界に招かれた全ての魔法少女たちが、それぞれの夢を紡いでいるのよ」

「貴方は夢の中で夢を観たことはあるかしら? ……まあそんなことはどうだって良いわ」

「此処ではね? 私の夢の中で眠る、魔法少女たち皆の夢が、繋がりあっているの」

「混ざり合い、絡み合った夢は、条理をねじ曲げた世界を構築している」

「此処はそんな場所なのよ」

『成る程、だから突拍子もない出来事が次から次へと起こるんだね』

『ただでさえ夢とは不安定で不確定なものだ。それが複数人のものとなれば整合性を保つことなど不可能に近いだろうからね』

「ええ、そう。言わば幾重にも重なる泡沫」

「それがこの夢の世界。儚い夢の世界」

「夢見る魔法少女の、ソウルジェムの数だけ物語が存在しぶつかり合う……」

「Soulgems' Storys、とでも呼ぼうかしら?」

341 : ◆SzGamSzLKs - 2014/09/01 23:49:30.72 OBfTba8p0 83/209

「あそこでまどかを辱めようとしている私は誰の夢かしら?」

「あっちの夢の私は日本の首相ですって、ふふ、可笑しいわ」

「あの夢の私は円環の理を作り出そうとしているのね、今度真似しようかしら?」

「……あちらの夢の私は貴方に乗っ取られているみたいね、少し気に入らないわ」

『夢なんだから目くじらを立てないでおくれよ』

「ふふ、冗談よ」

「嗚呼、楽しい……でもいつかはきっと皆醒めてしまうわ」

「だってこれは夢なんですもの」

「……誰が最初に起きるのかしら? 誰が最後に起きるのかしら?」

「夢から覚めた時、この残酷な現実を受け止められる子はいるのかしら?」

「■■■■■■■だなんて、信じられるかしら?」

『……それも夢なんじゃないのかい?』

「ふふ……さあ、ね?」

342 : VIPに... - 2014/09/01 23:57:27.61 OBfTba8p0 84/209

やらかした感は否めない。
次>>345

357 : >>1 ◆QnqYInc3ms - 2014/09/03 11:59:58.77 9l+0Cdi8o 85/209

えーと、あんまり進捗ないし、一応ひとつのSSとして終われそうな流れだからどうするか安価で決めたいと思います。
1、ひとつのSSとして完結。また新しく始めよう。
2、まだいける! このまま続行。
3、その他。

3の場合は代案の提示もお願いします。
以下10レスで一番多かった選択肢で決定です。また、3に関しては代案が同一かを問いません。
連投禁止です。

368 : >>1 ◆QnqYInc3ms - 2014/09/03 18:04:45.02 9l+0Cdi8o 86/209

じゃあ一度〆て仕切り直しの方向で!
>>361さんラストお願いします!!

380 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/09/03 23:50:30.32 mnQClgPI0 87/209

お願いされたので、締めを書かせていただきます。
たぶん、明日の夜に投下します。

つっても全部なかったこと系のオチになるから期待はしないでくださいな……。


終わった後の安価をどうすればいいかだけ教えてください。

>>1が仕切りなおすのか、もしくは書き終わった後に俺が舞台安価と作者安価を出すのか、>>1に従います。


382 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/09/04 23:15:53.50 Lo+D6lM60 88/209



 夢は、人の心の鏡だ。

 新しい概念のもと書き変わっていく現実の歴史を追いながら、インキュベーターはこのすべての原因となった少女を見つめた。

 暁美ほむら。円環の理という概念の一部を引き取って、自らを悪魔と称した。

 ゆっくりと丁寧に鹿目まどかの人だった部分を抱きかかえた暁美ほむらが世界を再編するさなか、インキュベーターにも説明できないことが起こった。

 本来ならば、すべてが書き換えられていくはずの世界の中、魔法少女のソウルジェムのみが本来の輝きと形を保っていたのだ。

 それがなぜなのか、人類にはおよびつかない英知を抱えるインキュベーターにも不明だ。インキュベーターにより結晶化された魂だからこそ形を保てたのか、あるいは知性と感情を併せ持つ資格ある少女の魂だからこそ形を保ったのか、その両方か。インキュベーターにできたのはそんな予測を立てることぐらいだった。

 暁美ほむらはしばらくあまたのソウルジェムを眺めていたが、やがてそれらをすべて己のダークオーブの中に収めた。

 その結果できたのが、暁美ほむらがが悪魔であるという前提の下で膨らんでいく泡沫の夢だ。

 あまりに自分の欲望に素直な暁美ほむらがいた。暁美ほむらを明確な敵と定めて、必要以上に肥大化した力を持った悪魔として扱われた夢もあった。望みも、理想も、現実のとらえ方も人それぞれで違う。けれども、その夢を見ればはっきりとわかることがある。

 悪魔としている暁美ほむらのいる世界で、己自身はどうありたいかという心だ。

 それを見ることで、暁美ほむらは手ずから魔法少女の立場を決めているようだった。それらは千差万別だったが、中には百江なぎさのようにソウルジェムが解けて消え、ただの少女としての人生を示されたものもある。

 現象として興味深いそれらを観測していく中で、インキュベーターはふと思った。

 あの夢の中に、悪魔となった暁美ほむら自身はどうかかわっていたのだろうか。あるいは、円環の理である鹿目まどかは? 人間を超越した彼女たちがありたい心とは、どのようなものなのだろうか。

 けれどもその疑問が解消されることはついになかった。

 夢はしょせん夢でしかない。暁美ほむらの力によって再編された世界で、宇宙が膨らみ星が生まれて地上ができる。やがて世界の夜明けが来て、魔法少女たちも目を覚ましていく。

 やれやれ、とインキュベーターは目を閉じる。

 これからどうするか、どうありたいか。インキュベーターのその選択は、悪魔となった暁美ほむらが選ぶものだ。

 パンッ、と破裂する大きな音が世界に響いた。

383 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/09/04 23:25:58.47 Lo+D6lM60 89/209


 なにか、白昼夢を見ていた気がする。

 ただいつも通りの通学路を歩いていただけなのに、マミはなぜかそんなことを思った。

 通学路には自分以外の生徒が多く歩いている。春の盛りを象徴するように桜が咲き誇って、なにより舞い散る桜吹雪が美しい。そんな風景の中ぼんやりと歩いていたせいか、長い長い夢を見ていた気がした。

 記憶にとぎれがないのだから、もちろんそれは気のせいだ。

 ふと足を止めて、何気なく手を伸ばして桜の花びらをつかみとってみようとした。

 上手くつかみとれた花びらを見ようとしたとき、ガチャンと陶器が砕ける音がした。

マミ「!」

 はっとして振り返るが、そこに何もいない。振り返った自分の真正面から次々と登校中の生徒が流れていくだけだ。

マミ「……?」

 決して聞き逃していけない音だった思ったのだけれども、原因は見当たらない。聞き間違えだったのだろう。小さく息を吐いて、さっき桜の花びらを見るために握りしめた手を広げる。

 何をつかみ間違えたのか、手のひらに乗っていたのは儚く散った桜の花びらではなく、一枚の黒い羽だった。

マミ「……」

 なぜだかその羽が捨てられず、そっと握りなおした。

 少し長い間立ち止まったマミを避けて見滝原の生徒が通学路を歩いていく。

 それに交じり喪服の女の子が三人、そっとマミの横を通り過ぎた。


384 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/09/04 23:33:23.37 Lo+D6lM60 90/209


 集まったカラスの使い魔にリンゴを食べさせてやる。

 ばさばさと羽音を立ててついばむ使い魔たちに気を良くして、杏子はまるまる一個のリンゴをくれてやることにした。

 もう一つかばんからリンゴを取り出し、赤いリンゴをあむと丸かじりする。

杏子「~♪」

 そうして機嫌よく木の上でリンゴを食べていると、三人の人形の使い魔が手を振ってきた。

 たぶんリンゴが欲しいのだろう。ゆらゆらと、ちょうだいちょうだいとばかりに手を振ってくる。

杏子「……」

 一瞬だけ考えたが、杏子は笑顔のまま、ほいと後ろ手にリンゴを投げてやる。

 落ちていったリンゴが、喪服の少女たちのスカートに受け止められる寸前――

杏子「!」

 ぼちゃん、とリンゴが水に落ちる音に、杏子は立ち上がって振り返る。

 桜の木の上から通学路を見るが、そこには何もない。見滝原中の生徒たちが、ゆっくりと登校していくのどかな風景が流れていくだけだ。

 けれども見逃してはいけない何かを見逃してしまった気がしてならない。

杏子「……」

 落ちたリンゴは、ゆっくりとリンゴが小川を流れていった。

385 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/09/04 23:51:48.93 Lo+D6lM60 91/209


 元気のよい小学生が、友達と合流していた。

 さやかは、それをほほえましく見守っていた。

 なにが楽しかったのか、さっきまでくるくる回りながら無邪気に駆け回っていた子だ。長い銀髪が特徴的な女の子で、その印象のまま元気よく友達に挨拶をして駆け足で去っていく。

 それを見送っていると、ふと声をかけられた。

上条「やあさやか。おはよう」

仁美「おはようございます、さやかさん」

さやか「ああ、うん。えと、おはよう。うん、おはよう。二人とも!」

上条「どうかしたのかい、さやか」

さやか「いやぁ、なんだかねぇ。恭介や仁美におはようって言えるなんて、それだけでどんなに幸せか……あたし、想像もしてなかったんだってね」

仁美「ふふっ。相変わらず、さやかさんは不思議なことをおっしゃいますわ」

さやか「そうだよ。いつだってあたしは不思議ちゃんさ!」

 にひひ、と笑ってさやか駆けだす。なぜだか、無性に幸せだった。

 その幸せそうな姿は、さっき友達と合流していた銀髪の小学生とそっくりだった。

386 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/09/05 00:12:38.02 kr0Wx9yf0 92/209



和子先生「女子のみなさんはくれぐれも! 半熟じゃなきゃ食べらないとか抜かす男とは付き合わないように! そして男子の皆さんは絶対にっ、たまごの焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」

ほむら「……」

和子先生「はいそれから。あとみなさんに転校生を紹介します。――鹿目さん、いらっしゃい」

ほむら「!」

まどか「初めまして、鹿目まどかです」









 大きな原っぱのある公園で、ほむらはひとり腰かけていた。

 隣に誰かいないのが不自然な偏り方で、けれども一人で座っている。

 真っ二つに見えるような半月のもと、風に吹かれた草木がざわりと揺れる。そうしてひときわ大きな風が水を揺らした時、がさりと草木をかき分ける音がした。

ほむら「!」

 はっと立ち上がって振り返るが、そのシルエットを見て興味が一瞬で失せた。

QB「……」

 インキュベーターだ。別に、いまはどうすることもない。そう思ってインキュベーターを見下ろして

 ――『……それも、夢なんじゃないのかい?』

ほむら「……」

 なぜだか不意に、インキュベーターの言葉を思い出してしまった。

 毛並みのぼろぼろになったインキュベーターを見下ろし、ほむらは手の平からダークオーブを浮かび上がらせる。

 ひとり、ステップを踏み、その相手となるかのように紫色の宝石がくるくると回る。

 やがて立ち止まったほむらは、満足げに己の魂の結晶を見つめ、退場するかのように落ちていく。 

 残ったインキュベーターは、ただただ瞳を濁らし、ふるふると震えていた。

387 : ◆eXn3QOvOw8p2 - 2014/09/05 00:20:32.70 kr0Wx9yf0 93/209

おわり。

綺麗に締めれるかもとはいったい何だったのか。自分でもこれじゃない感がはんぱないです。書く前は本編に回帰すれば丸く収まると思ったのに、なぜ……。

あとドールズはお人形さんなんだからそもそも乳首なんてあるわけねーだろ!やぶれた喪服の欠片をさやかちゃんが見間違えただけに決まってるとマジレスしておきます。



舞台安価>>397

作者安価>>402

388 : VIPに... - 2014/09/05 00:23:17.49 9uUo1BZOo 94/209

乙!
いやいい感じで締まったじゃないか

391 : VIPに... - 2014/09/05 06:01:56.18 djO1qL2AO 95/209


締め方としては綺麗な感じだったんじゃないだろうか。
まぁ、暴投もリレーの醍醐味だろうけど次の人が捕れなきゃ打ち切りの布石にしかならんってことなんだろう。



続き(2作目)



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