1 : 以下、\... - 2014/06/10 11:40:35.95 43iAsMC00.net 1/27

夜時間、桑田の部屋

桑田「あーあ……眠ぃ。脱出手段も見つからねえし、俺たちこれからどうるんだろ」

桑田「考えてても仕方ねえか。筋トレでもしてから寝て……ん? 何だ、この紙」

桑田「何々、部屋に来てください、舞園。だと」

桑田「ひゃっほう! 苗木の奴と仲良くしてたみたいだけど、やっぱり俺に惚れてたんだな!」

桑田「そうと決まれば、考えるまでもねえ。早速向かうとするか」

元スレ
桑田「舞園ちゃんから手紙を貰った」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1402368035/

3 : 以下、\... - 2014/06/10 11:48:15.18 43iAsMC00.net 2/27

桑田「へへ、携帯電話全盛期のこの御時勢に、アイドルから手紙で呼び出しを受けるなんて、俺ぐらいのものだろうな」

桑田「それにしても、妙に廊下が長い。舞園ちゃんの部屋なんてすぐそこの筈なのに」

桑田「舞園ちゃんの部屋だけじゃない。俺の部屋以外、行けども行けども部屋が無いじゃないか」

桑田「こんなの詐欺だ! あんまりじゃないか!」

桑田「どうせ、モノクマの嫌がらせだろうな。しゃーない、部屋に戻るか」

桑田「舞園ちゃんには、食事の時に誤ればいいだろ」

4 : 以下、\... - 2014/06/10 11:51:26.66 43iAsMC00.net 3/27

桑田「俺の部屋もない」

桑田「どういうことだ。帰ろうと思うまでは、振り返れば見える距離にあったのに」

桑田「扉が、影も形もなくなっているじゃあないの」

桑田「おい、モノクマ! どういうことだよ!」

桑田「」

桑田「モノクマも出てこない。全体、どうなってんだこりゃ」

6 : 以下、\... - 2014/06/10 11:54:50.17 43iAsMC00.net 4/27

桑田「嫌がらせにしちゃ、大仰すぎるんじゃあないか」

桑田「こう、廊下ばかりが続くんじゃあ、気も滅入ってくる」

桑田「舞園ちゃんに会うどころか、部屋に戻ってベッドに入ることすら許されないのかよ」

桑田「そこまでの咎を負ったつもりもないんだけどな」

桑田「おい、モノクマ! いい加減にしてくれよ!」

桑田「」

桑田「よく考えたら、監視カメラも無いじゃねえか」

桑田「どうなってんだよ」

7 : 以下、\... - 2014/06/10 11:57:39.60 43iAsMC00.net 5/27

桑田「いくらなんでもおかしいだろ」

桑田「このまま眠っちまうのも手だが、ルールに抵触したら俺の身が危ない」

桑田「ルール以前に、廊下で寝こけているような奴は格好の獲物じゃね」

桑田「俺なら揺り起こすけれど、あいつらが信用できるとも限らねえ」

桑田「何とかして部屋に帰り着くしかねえな」

9 : 以下、\... - 2014/06/10 12:01:22.15 43iAsMC00.net 6/27

桑田「とはいうものの、やっぱりいくら歩いても廊下だ」

桑田「もう十分は歩いているのに、扉どころか監視カメラの一つも見えない」

桑田「ここが本当に希望ヶ峰学園なのかも怪しく思えてきやがる」

桑田「学園七不思議ってやつか? 夜中に廊下が伸びるなんて、ゾッとしない話だな」

桑田「誰か出てきてくれよ、モノクマでもいいからさあ」

13 : 以下、\... - 2014/06/10 12:05:00.84 43iAsMC00.net 7/27

桑田「この廊下の先に、本当に俺の部屋はあるのだろうか」

桑田「そもそも。廊下の先なんてもんがあるのだろうか」

桑田「室内で地平線を見るなんて、生まれてこの方想像もしなかったな」

桑田「これがモノクマの嫌がらせだってんなら、効果覿面だ。本当に、何もかもが嫌になってくる」

桑田「」

桑田「あー、ダメだダメだ。こんなの俺らしくねえ。前向け、俺」

18 : 以下、\... - 2014/06/10 12:13:16.10 43iAsMC00.net 8/27

桑田「何か叩けるようなものがありゃ、廊下をぶち壊してもみるんだが」

桑田「駄目か、防音処理がされてるような建物、大神でもなけりゃあぶち破れねえ」

桑田「歩くしか……ねえわけだよなあ」

桑田「くっそ、眠気ヤバいってのに、何で俺がこんな目に合うんだよ」

桑田「こういった訳の分からねえ現象は、十神の野郎にでも降りかかればいいのに」

桑田「走ってみるか」

20 : 以下、\... - 2014/06/10 12:16:46.30 43iAsMC00.net 9/27

桑田「ふぅ」

桑田「二十分程走ってみても、依然変化無しか」

桑田「こうなってくると、いくら歩いても果てが無いとしか思えねえ」

桑田「壁、ノックしてみるか」

桑田「誰か気付いてくれるかもしれねえ」

桑田「ノックくらいで気付くなら、叫んだ時点で気付きそうなもんだが、やらないよりはマシだろ」

21 : 以下、\... - 2014/06/10 12:18:26.72 43iAsMC00.net 10/27

コンコン

桑田「」

コンコン

桑田「」

コンコンコンコンコンコンコン

桑田「」

コンコンコンコンコン

桑田「返事は無し、と。まあ分かりきってたけどな」

24 : 以下、\... - 2014/06/10 12:25:32.27 43iAsMC00.net 11/27

桑田「脱出手段を考えるのは一先ず諦めるか。歩きながら、とっかかりを探せばいいや」

桑田「まずもって気になるのは、俺をこの長い廊下に閉じ込めた黒幕だ」

桑田「順当に考えればモノクマなんだろうが、しかし妙だ」

桑田「殺すにしても、俺を狙う理由がまるでない」

桑田「俺は知恵が回る方でも無ければ、腕っぷしが強いわけでもない」

桑田「自分で言うのも悲しいけれどよ、モノクマにとっては脅威にもならない筈だ」

26 : 以下、\... - 2014/06/10 12:33:02.51 43iAsMC00.net 12/27

桑田「俺がモノクマなら、少なくとも俺なんかは狙わない」

桑田「暴力の脅威なら大神や大和田、知力の脅威なら十神や不二咲か。オカルトの力を信じるなら、葉隠なんかも存外曲者かもしれない」

桑田「苗木は何とも言えない行動力があるし、石丸には統率力がありそうだ」

桑田「霧切は何をしでかすか分からない不気味さがあるし、セレスはギャンブラーだけに決断力に優れているだろう」

桑田「俺なら、その辺りから潰していく。俺のような駒は、能力ある駒を潰した後の手慰みにでも殺せばいい」

桑田「やっぱり、妙だ」

28 : 以下、\... - 2014/06/10 12:38:29.05 43iAsMC00.net 13/27

桑田「モノクマじゃあないとするならば、ますますもって妙だ」

桑田「あいつらとは、会ってから三日ほどしか経っていない」

桑田「七十二時間程度の邂逅でもって、人を殺害せんと断じたならばそいつは気狂いもいいところだ」

桑田「よしんばDVDに騙されたとしても、手を穢してまで外の連中に会いたいものか」

桑田「俺以外の奴はそうは思わなかったのか?」

29 : 以下、\... - 2014/06/10 12:44:05.17 43iAsMC00.net 14/27

桑田「誰が俺を貶めようとしているのかはさっぱり分からねえが、俺がこうして長廊下の刑に陥っている以上、犯人がいるってこった」

桑田「一人ずつ考えていくか」

桑田「人を疑うのは悪いことだろうがよ、直接疑いをぶつけるわけでもない」

桑田「まあ、許してくれるだろ」

桑田「まずは、苗木だ」

桑田「苗木が俺を殺そうとするなら、舞園ちゃんを取ったことに対する嫉妬か?」

31 : 以下、\... - 2014/06/10 12:48:03.13 43iAsMC00.net 15/27

桑田「おいおい、そりゃないぜ」

桑田「確かにお前と舞園ちゃんは良い雰囲気だったよ」

桑田「でも、最後に舞園ちゃんが手紙を出したのは俺だ」

桑田「俺の方がちっとばかし顔もよく、男として魅力があり、才能があったってだけだ」

桑田「でも、俺を選んだのは舞園ちゃんだ。俺に咎があるわけじゃあない」

桑田「逆恨みを加味して、犯人確率二十パーセントってところか」

33 : 以下、\... - 2014/06/10 12:50:17.14 43iAsMC00.net 16/27

桑田「次は霧切か」

桑田「やべえ、何も思いつかねえ」

桑田「つーか、そもそも喋ってねえ」

桑田「だってこええんだもん、あいつ」

桑田「不気味度を加味しても五パーセントくらいか?」

桑田「万が一あいつが犯人だったら、こりゃ無差別殺人だわな」

34 : 以下、\... - 2014/06/10 12:56:27.25 43iAsMC00.net 17/27

桑田「十神は有り得そうだ」

桑田「あいつは二重三重に凝った殺人をしてきそうだからな」

桑田「廊下で衰弱死なんて犯人の分からない方法、好みだろうな」

桑田「同じく、腐川も怪しい」

桑田「こんな怪奇現象、小説の中でしか起こりえねえ。トリックが怪奇現象なんて、クイーンやカーならそっぽ向くこと請け合いだけどな」

桑田「クリスティなら笑い飛ばして新作を書き起こすだろうな」

桑田「小説で起こり得ることは漫画でも起こる。よって、山田も入ってくる」

桑田「三人とも六十パーセントくらいにしとくか」

36 : 以下、\... - 2014/06/10 13:03:19.61 43iAsMC00.net 18/27

桑田「そもそも、モノクマ以外と仮定するならこりゃ怪奇現象なんだよな」

桑田「そうなると、俄然怪しくなってくるのは葉隠だ」

桑田「占いなんてもんはオカルトだ」

桑田「そんなオカルトを自由自在に操れるのなら、廊下を伸ばすくらい訳ないだろ」

桑田「俺が衰弱死した後に、『長廊下の先制攻撃だべ!』とでも言えばいい」

桑田「マジであいつ犯人じゃねえのか。つうか、もうあいつが犯人でいいや」

桑田「考えるのも面倒になってきた」

38 : 以下、\... - 2014/06/10 13:07:27.09 43iAsMC00.net 19/27

桑田「俺が部屋を出てから、もう一時間以上も経っている」

桑田「どうしてこうなったんだ? 何で俺がこんな目に合うんだ?」

桑田「俺が何したってんだよ」

桑田「畜生! 部屋はどこなんだよ!」

桑田「ああああああああああああああ!!」

桑田「ふざけんなよ! 俺をこんな目に合わせやがって!」

桑田「と、苛ついてみても仕方がない。叫んでも誰かが答えてくれるわけはないんだからな」

43 : 以下、\... - 2014/06/10 13:12:27.00 43iAsMC00.net 20/27

桑田「眠気も限界だ。もう寝てしまってもいいんじゃないだろうか」

桑田「罰を受けた方がまだマシかもしれない」

桑田「起きた時に、この廊下が元に戻っていればの話だけどな」




桑田「ん?」

桑田「あれは……扉?」

桑田「戻れた、のか?」

47 : 以下、\... - 2014/06/10 13:14:26.96 43iAsMC00.net 21/27

桑田「ここで行き止まりか」

桑田「目の前には三つの扉」

桑田「左右に一つずつ。そして最奥に一つ」

桑田「どれかが部屋の扉だったらいいけど」

桑田「まずは、右側の扉から開いてみるか」

53 : 以下、\... - 2014/06/10 13:21:04.58 43iAsMC00.net 22/27

桑田「この部屋は……」




苗木「君が舞園さんを殺したんだ」

桑田「ふざけんな、証拠はあんのか! アホアホアホアホアホアホアホ!」

苗木「君は鍵を壊す際に、自分の工具セットを使った筈なんだ」

桑田「アホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホォ!」

苗木「見せてもらえるかな、君の工具セット」

桑田「……アポ?」

モノクマ「それでは投票に――」




桑田「はぁ……はぁ……」

桑田「何だ、今の部屋」

桑田「俺が、舞園ちゃんを殺した?」

56 : 以下、\... - 2014/06/10 13:24:21.99 43iAsMC00.net 23/27

桑田「俺が、殺されてた」

桑田「硬球を千発もぶち込まれたら、死ぬに決まってるだろ!」

桑田「何だよ、俺は何もしてねえよ!」

桑田「幻覚か? にしちゃあ、やけにリアルだった……まるで、自分が本当に体験したような……」

桑田「……いや、どうせ嘘っぱちだ。次は、左の扉だな」

61 : 以下、\... - 2014/06/10 13:33:47.92 43iAsMC00.net 24/27

桑田「さっきみたいに、また殺されてる光景を見るんじゃないだろうな」



桑田「俺、この学校辞めるわ。チームメイト達に頭下げて、もう一回野球やってみようかってな」

苗木「うん、やっぱり桑田君はその方がいいと思うよ」

桑田「といっても、歌も両立させるつもりだぜ?」

苗木「そうなの?」

桑田「ああ、投げて歌えるプロ野球選手! これが俺の選んだ新しい道だ」

桑田「こうして道を見つけられたのも、話を聞いてくれたお前のおかげだ」

苗木「そんなことないよ! 桑田君がそうやって道を選べたのは、桑田君の力だよ」

桑田「だから、俺のパンツやるよ」

苗木「えっ」

桑田「えっ」




桑田「俺がもう一度野球を……?」

桑田「どういうことだ? あと、パンツってなんだよ」

62 : 以下、\... - 2014/06/10 13:36:19.68 43iAsMC00.net 25/27

桑田「右が絶望で、左が希望ってとこか」

桑田「野球をやる気はねえし、パンツもやる気はねえけど」

桑田「俺が野球を選ぶ未来ってのも、あったのかもしれねえな」

桑田「その時には、隣に舞園ちゃんが居てくれれば」

桑田「多分、最高に幸せだろう」

桑田「少なくとも俺は、そう思う」

64 : 以下、\... - 2014/06/10 13:39:21.44 43iAsMC00.net 26/27

桑田「残るは最奥の扉だ」

桑田「ここが出口なんだろうな」

桑田「絶望と希望の中間、どっちに転んでもおかしくない世界」

桑田「希望ヶ峰学園の非日常生活に戻る扉」

桑田「そんな気がする」

65 : 以下、\... - 2014/06/10 13:43:08.48 43iAsMC00.net 27/27

桑田「結局、この廊下がなんだったのかなんて分からない」

桑田「だけど、希望があると分かっただけでも、俺は胸を張って戻れる気がする」

桑田「人殺しなんてするものか。絶望になんて染まるものか」

桑田「扉を開けるくらいの手間で、希望は見えるのだから」

桑田「さて、と」





 扉を開けた先には、どこまでも続くような長い廊下があった。


 完

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