1 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 17:54:30.90 fy106a3b0 1/30

<執務室>


カリカリ…

提督「……」ムスッ カリカリ

扶桑「……」カリカリ

扶桑「……あっ……」

提督「……」ムッスー カリカリ

扶桑「……」オロオロ

提督「……」ムカムカ カリカリ


元スレ
扶桑「耳かきを致しましょう」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424854470/

2 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:00:07.68 fy106a3b0 2/30


扶桑「あの、提督……?」

提督「……」

提督「……?」ギギギキ゛

提督「どうした?」グルッ

扶桑「ッ!」ビクッ

扶桑「こ、ここの数字が、その……」

提督「どれどれ? oh……隣の欄と混ざってるじゃないか。これは失礼……」カリカリ

提督「……これでどうだ」

扶桑「はい、確かに……ありがとうございます」

提督「いや……」ムスッ

扶桑「……」

3 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:08:10.98 fy106a3b0 3/30


<昼時 食堂>


大・伊・長「「「提督の顔が怖い?」」」

扶桑「えぇ……」

伊勢「提督ってそんな強面キャラだっけ?」

扶桑「そうじゃなくて……最近、ずっと怖い表情でお仕事を……」

扶桑「提督に、何かあったのかと思って……」

長門「表情が怖いなどと……秘書艦がそれしきで動揺してどうする」

大和「何なら変わりましょうか?」ニヤリ

扶桑「ダメっ! 折角秘書艦の椅子を勝ち取ったのに!」

扶桑「……あ……///」カァァ

5 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:16:11.53 fy106a3b0 4/30


伊勢「お熱いねぇ……んで、何か情報は?」

長門「…………そういえば……」

大和「心当たりがあるんですか?」

伊勢「何だかんだ言いつつ情報提供してくれる長門マジツンd」

長門「……」ゲシッ

伊勢「あぅっ!」

6 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:25:14.30 fy106a3b0 5/30


長門「一昨日の午後の演習、三戦目が終わった後の事だ」

長門「提督は、桟橋で私の艦隊を待っていたんだ」

長門「そこまではいつもの事だったんだが……」






提督『…………………………』ムカムカ

提督『……チッ、あぁクソッ……』ムカムカ






伊勢「えっ……!?」

長門「一瞬だったからか、遠目だったからか、気付いたのは私だけだった様だが……」

長門「あの温厚な提督が、あんな顔で舌打ちを、まして悪態をつく様など初めて見た……」

伊勢「待って! 一昨日の午後の三戦目って言えば!」

長門「あぁ。練度も装備も格下の相手に、惨敗を喫した時だ……!」ギリッ

大和「しかも……その日の午前と合わせて四連敗目だった様な……」

扶桑「という事は、提督は不甲斐ない私達に怒りを……!?」

7 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:29:56.83 fy106a3b0 6/30


伊勢「じゃ、じゃあ、そのうち……」





提督『チッ、使えない連中だ……』

提督『もう良い。貴様ら全員不要だ』

提督『この海域で、弾と燃料の続く限り戦ってこい』

提督『一体でも多く深海棲艦共を倒して、そこで沈め』

提督『二度とその顔を見せるな』













扶桑「いやああああっ!!」

長門「ま、待て待て待て! いくっ、いくらなんでもそそそそれは無い! 無いはずだ!」

大和「そっ、そうです! 提督に限ってそんな事は!」

8 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:36:19.55 fy106a3b0 7/30


提督「俺が、どうかしたか?」スッ

「「「「ッ!?」」」」ビックゥ

提督「戦艦の皆が集まって、何か会議かな? 食事の時間くらい気を休めればいい」ムカムカ ニ゙ゴッ

扶桑「そそっ、そう、ですね!」

大和「お気遣い、かっ感謝します!」

提督「ははっ、そんなに畏まらなくても……じゃ!」スタスタ

伊勢「…………確かに、すっごいムカムカしてた……」

扶桑「やっぱり、何か怒って……」

大和「少し強引に笑顔を作ろうとしている様にも見えた様な……?」

9 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:47:39.18 fy106a3b0 8/30


扶桑「……でも待って。演習の負け続きはそれまでで、その後の四戦目からは今まで勝ち続きよ?」

伊勢「じゃ、じゃあ私達に怒ってた訳ではないって事?」

長門「あくまで仮説だし、"演習では"なさそうというだけだがな」

大和「他に、他には何か手がかりは……」

10 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:51:59.33 fy106a3b0 9/30


扶桑「……ハッ! もしかして、提督はお体が……」

長門「バカな! 仕事をしっかりこなしつつ、駆逐艦達の遊びにも付き合える程には元気な人だぞ!」

大和「でも、もしそれが私達に心配かけまいとして、苦痛を堪えていたとしたら……?」

伊勢「そしていずれ……」





提督『よーし! 今度はこっちから……ゴハッ!』

提督『ゲホッゴホッ……いや、何でもない……って言っても信じて貰えないか』

提督『隠しててすまない……俺は、実はもう長くないんだ』

提督『でも俺は、最後の瞬間まで提督として皆を……ぐふっ!』

提督『……ちっ、くしょう……ここまでか……』ガクッ












大和「ひぃぃいいいっ!」

長門「そんな……そんな事ってないぞ! あんまりだ!」

扶桑「そっ、そうよ! 前回の健康診断で、提督は健康体だった事は確認していたんだったわ!」

伊勢「ちょ、脅かさないでよ!」ドキドキ

大和「じ、自分で確認していながら、忘れていた、なんて……」ドキドキ

長門「ふっ、ふふふ扶桑は、うっかり屋さんだなぁ!」ドキドキ

扶桑「ごっ、ごめんなさい! 私ったら……」

12 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 18:59:51.68 fy106a3b0 10/30


長門「しかし、怒りでも、病気でもない……他に何がある?」

大和「花粉症でくしゃみを我慢……いや、提督がくしゃみをしている所なんてよく見るし……」

伊勢「いや、案外こんな感じだったりして……」





提督『……』ムカムカ

提督『…………』ムカムカ

提督『………………』ムカムカ

扶桑『提督? どこか、お体が悪いのですか……?』

提督『なーんちゃってー! びっくりしたー!?』

提督『”意味深な事をして艦娘を心配させてみよう作戦”成功!』ジャーン!

提督『ほらカメラ向いて! はい、ドッキリ大成功!』テッテレー!














扶桑「……」ガコォン

伊勢「うわぁっ! 無言で砲向けるのやめて! 怖い!」

扶桑「あなたは……人が……本気で心配しているというのに……」ゴゴゴゴ

長門「お、落ち着け!」

大和「こんな所で撃ったら大変な事になりますよ!?」

伊勢(あれ、”撃つ所”の心配だけ!? ”撃たれる対象”は!?)

長門「きっと冗談だ! 伊勢流のジョークなのだ!」

伊勢「そ、そうそう! ちょっと暗い感じになって来てたから、盛り上げようと……」

扶桑「そう……つまり提督は、あなたにとって冗談程度の存在という事ね?」ズズズズズ

長門「いや、だからだな……」

13 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 19:10:30.86 fy106a3b0 11/30



--
---

扶桑「ごめんなさい。取り乱して……」

伊勢「いや、こっちこそ、ごめん……」

長門「しかしどうする。このまま話していても埒が明かんぞ」

扶桑「えぇ……相談しておいてなんだけど、やっぱり直接聞くのが一番早いのかも……」

大和「まぁ、一番確実な方法ではありますよね」

長門「だが……」

伊勢「まぁ、秘書艦だしね。機会はいくらでもあるでしょ」

扶桑「……そうね。後で聞いてみるわ……」

14 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 19:17:15.59 fy106a3b0 12/30


<夜 執務室>


扶桑(とは言ったものの……)

提督「……」カリカリ ムスッ

扶桑(お昼から未だに聞けずに、もう夜……)

扶桑(……いい加減、覚悟を決めないと!)

扶桑「て、てい、とく……?」ビクビク

提督「……」ムカムカ

提督「どうした」グルッ

扶桑「……ッ!」ビクッ

15 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 19:22:30.27 fy106a3b0 13/30


扶桑(い、いけない……!)

扶桑「あの……その……」

提督「ん?」

扶桑「最近、提督が……難しい、お顔を……」

提督「えっ、そんな顔していたのか、俺?」

扶桑「え、えぇ……何か、あったのですか?」

扶桑「まさか、病気、なんてことは……」

提督「いや……あぁー……」

提督「まぁ、中らずと雖も遠からず、かな」

扶桑「っ!?」

16 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 19:31:44.36 fy106a3b0 14/30


扶桑「で、ではもう、提督は……」フルフル…

提督「ま、待て待て! そんな大騒ぎする事じゃないんだ!」

提督「それに、そもそも病気ですらない!」

扶桑「えっ?」

提督「いや、ちょっとな……婦女子相手にこんな事言うのもなんだが……」

扶桑「はい……」

17 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 19:34:49.37 fy106a3b0 15/30


提督「その、耳がな?」

扶桑「耳が、悪いのですか……?」

提督「いや、その……痒いんだ。もの凄く」

扶桑「…………へ?」

提督「だからつまりその、最近耳掃除してなくて……」

提督「人前で耳ほじる訳にも行かないからさ……」

提督「でも一人の時に限って痒みが収まって、そんな時は耳かきする気なんて起きないし……」

扶桑「では、提督は痒みを堪える為に、ずっと顔を……」

18 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/25 19:38:31.58 fy106a3b0 16/30


提督「そういう事だ。すまんな、何か心配させた様で」

扶桑「いえ、そんな……」

扶桑(あぁ…………良かった……何でも、なくて……!)ウルッ

扶桑(……そうだ)

扶桑「提督」

提督「ん?」

扶桑「耳かきを致しましょう」

提督「……え?」

31 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 21:01:25.17 cJwuegzD0 17/30


扶桑「私が、提督の耳掃除を致します」スッ

提督「なんと。い、良いのか?」

扶桑「はい。日頃から、提督にはお世話になっていますから」フトンニセイザ

扶桑「さぁ、こちらへ……」ポンポン

提督「お、おぉ……では、お言葉に甘えて……」ポスッ

提督(膝枕……女性特有の柔らかさ……硬過ぎず、かといって弛んでもいない)

提督(綺麗な脚だ……良い匂いもする気がする」

扶桑「えっ!?///」

提督「あれっ!? い、いや何でもない!」

扶桑「は、はい……では失礼して……///」

32 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 21:06:47.52 cJwuegzD0 18/30


扶桑(かなり溜まっている……確かにこれは痒そう……)

扶桑「まず外側から行きます」

提督「頼む」

カサッ、パリパリパリッ
パリペリパリッ、パリッ

提督「う……うぉぉぉっ……」

提督(耳たぶの内側……早く中まで入ってほしいもどかしさと……)

提督(このままずっと掻いていてほしい気持ち良さ……)

提督(なんと、心地の良い板挟みか……)

カサッ、パリパリ
カリカリペリペリ

扶桑「痛くは、ありませんか?」

33 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 21:15:37.65 cJwuegzD0 19/30


扶桑「ふふっ……良かった……」

カサリカサリ、パサッパサッ
パリパリパリッ……
スーッ、ススーッ

扶桑(…………敵影なし。掃討完了……)

扶桑「ふぅ。ではそろそろ中をします」

扶桑「危ないので、なるべく頭を動かさないでくださいね」

提督「あぁ……わかった」

スイーッ……
カリッ、カリカリカリ

提督「ぉおぅ」ビクッ

扶桑「提督っ!? 痛かったですか?」

提督「いや、大丈夫……」

提督(やっぱり、人にしてもらった方が気持ちいいな……)

34 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 21:22:39.99 cJwuegzD0 20/30



カリコリ、コリコリッ
コリッ、カリッカリッ

提督(おぉ……耳の中が綺麗になって行くのが良く分かる……)

コリッコリッ、コリッ
カリュカリュッ、パリッ

扶桑「少し大きいものが……耳道に引っかかっていますね……」

カリカリッ…コリュッコリュッ
カリリッ、パリッペリッ

提督「んおっ……」

扶桑「どうかしましたか?」

35 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 21:30:46.29 cJwuegzD0 21/30


提督「それ、ずっと気になってたヤツだきっと」

扶桑「では、すぐに取ってしまいますね」

パリパリ、パリパリッ
ペリッペリッ

扶桑(よし、掬えた。後は落とさない様に……)

スーッ……

提督(異物が消えて行く……抜けたっ)

扶桑「ふぅー、取れましたよ」

提督「あぁ……スッキリだ……」

扶桑「では仕上げを……」

36 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 21:36:46.38 cJwuegzD0 22/30


--
---


扶桑「……ふぅ。これでこちらは完了です。反対側をしますので……」

提督「あぁ、わかった」ムクッ…

扶桑「あ、待ってください……」

提督「え?」

扶桑「お、起き上がらないで……そのまま転がって、良いですよ……?///」ドキドキ

提督(……マジか)

提督「では……お言葉に甘えて……」クルリ

扶桑「……っ!!///」ドキーン

提督(お、おおお……目の前に……)ドキドキ

39 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 21:47:06.65 cJwuegzD0 23/30


扶桑「すぅーっ、はぁーっ…………いざ」

グイッ

扶桑(……こちらの方が手強そう……本気でかからないと……)

ペリッ、ペリリッ
パリパリパリッ

扶桑(確か提督の利き手は……逆側だからかしら、取りにくいのかも……)

ピリピリ、ピリピリパリ
ペリペリ
ススーッ

扶桑「ふぅ。中を掻きます」

提督「安全運航でな」

扶桑「はい。心得ています」

スィーッ

40 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 21:51:36.17 cJwuegzD0 24/30


ミシッ、ミリミリ
ミリミリパリッ

提督「おぉ……ミリミリ言ってる。こんなの初めてだ」

扶桑「反対側に比べてかなり溜まっています。そのためでしょう」

提督「うわぁなんか恥ずかしい……」

ミシミシ、パリッパリッ
パリパリ……

コシュッコシュッ

スイーッ

扶桑「むっ……」

提督「何だ、何を見つけた?」

扶桑「大物です。必ず仕留めます」

提督「頼む」

42 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 22:03:20.27 cJwuegzD0 25/30


ゴソッ
ゴソゴソゴソ……

ゴシュッ

提督「音が重々しい……」

扶桑「鼓膜に近付いています。ここからは本当に危ないので……」

提督「あぁ……動かさない……」

提督(というか、気持ち良くて体が動かん……)

45 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 22:08:17.39 cJwuegzD0 26/30


ゴシュゴシュ……
ゴッ、グッグッ

ザッザッ、ガサッ

扶桑(あと、少し……)

ザッ、ザスッ
グッグッ、グッ

バリッ

提督「んおっ……!」

バリ、ビリ、バリバリバリ
ビッ

扶桑「……っと……えいっ……」

ススッ
ズボゥ……

扶桑「すーっ……はぁぁーっ……」

扶桑「取れました!」

提督「……おぉ……おぉぉぉ……」

49 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 22:15:51.84 cJwuegzD0 27/30


提督「なんじゃ、こりゃ……こんなモンが入ってたのか……」

扶桑「これからは、こんなに溜めてはダメですよ?」

提督「あぁ……分かっ……てる…………」

扶桑「それでは仕上げです」

フワッ
フワフワッ、モフモフッ
コシュコシュ
フワッ

ふぅーっ……







扶桑「……これでお終いです。お疲れ様でした」

提督「……zzz」

扶桑「ふふっ……」

扶桑「お休みなさい、提督」

52 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 22:21:37.67 cJwuegzD0 28/30


<翌朝 食堂>


提督「ようおはよう戦艦の皆! 今日も頼むぞ! ハハハッ!」ニコニコ

提督「おっ、電! ちと背が伸びたんじゃないか? 牛乳飲んでた甲斐あったな!」スタスタ

大・伊・長「……」

扶桑「ふふ……」モグモグ

伊勢「ねぇ、何したの……?」

長門「よもや、一晩でいきなりあぁなるとは……」

大和「結局、原因は何だったんですか?」

扶桑「……内緒」

伊勢「えぇーっ!?」

長門「お、おい。気になるじゃないか……」

大和「そうですよ! それに何か……う、羨ましい事が進行している気がします!」

扶桑(うっ……流石、鋭い……)

53 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 22:26:27.35 cJwuegzD0 29/30


扶桑「とにかく、何も悪くはなかったから、それだけは安心して」

長門「それは、まぁ良かったが……」

大和「むぅぅ……」

伊勢「ブーブー!」







扶桑(あれは、私の役目)

扶桑(私だけの特権)

扶桑(そしてあそこは)

扶桑(私だけの、特等席)

扶桑(だから)

扶桑(だからまた、また今度)

扶桑(…………♪)







このあと滅茶苦茶した

おわり

55 : ◆pysihcVNJQ - 2015/02/26 22:31:24.86 cJwuegzD0 30/30


みんなは誰に耳かきされたいですか?

皆々様ありがとうございました

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