唯先輩は何でもくれる……
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梓「クシュン」
唯「あずにゃん、大丈夫?」
梓「あ、はい。大丈夫です」
唯「もう駄目だよー。今日は冷えるんだから、ちゃんと暖かい格好してこないと風邪ひいちゃうよ。
はい、私のマフラーかしてあげる」
梓「え、ええ!?い、いいですよ。それじゃ、唯先輩が寒いじゃないですか」
唯「私の事は気にしないでいいから。はい、手袋も付けておきなさい」
梓「そ、そんな……唯先輩、寒いの苦手なんじゃないですか?」
唯「そんなのあずにゃんの為ならえんやこらだよ!さ、行こう?あずにゃん」
梓「ゆ、唯先輩!待ってください」
元スレ
梓「唯先輩の欲しいものって何ですか?」
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梓「……」クシクシ
唯「あずにゃん前髪邪魔そうだね」
梓「そうですね、最近伸びてきちゃって……そろそろ切らないと」
唯「それじゃ、私の予備のヘアピンをあげよう!」
梓「え、いいんですか?」
唯「うん、予備なら他にもあるしね」
梓「そうですか……。それじゃあ頂きます」
唯「えへへー、お揃いだねー、あずにゃん?」
梓「そ、そうですね」
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梓「もう、唯先輩また部室に私物持ち込んで……。どうしたんですか、このぬいぐるみは?」
唯「ああ、それはこの前律ちゃんとゲームセンターに行ったときに取ったやつだよ。可愛いでしょー?」
梓「まぁ、確かに唯先輩のセンスにしては可愛いですね」
唯「ガーン!あ、あずにゃん酷いよ!」
梓「…………」ジー
唯「あれ?あずにゃんもしかしてそのぬいぐるみ結構気に入った?」
梓「い、いえ。別にそんな……」
唯「よし、じゃあこれあずにゃんにあげよう!」
梓「え?いや、あの……」
唯「可愛がってあげてね!」
梓「あ……はい」
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梓「キャッ!!」
バシャッ
唯「あずにゃん!?大丈夫!?」
梓「は、はい。ごめんなさい、手が滑って……」
唯「あちゃー……お茶がもろに服にかかっちゃったねー」
梓「うう、びしょびしょです……」
唯「あずにゃん、私のハンカチ使いなよ」
梓「ありがとうございます。唯先輩」フキフキ
梓「これ、明日洗ってお返ししますね」
唯「いいよー。それ、あずにゃんにあげるー」
梓「え?で、でもこれ唯先輩お気に入りのハンカチじゃ……」
唯「いいのいいの。でも、大切に使ってね?」
梓「……はい」
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唯「私は苺のショートケーキにするー。あずにゃんはー?」
梓「えーと、じゃあ私はバナナケーキで……」
唯「あずにゃんは本当にバナナが好きだねー」
梓「ゆ、唯先輩だってまたショートケーキじゃないですかぁ」
唯「えへへー」
梓「でも、本当にいいんですか?おごってもらったりしちゃって……」
唯「いいよー。今月は余裕あるしねー」
梓「でも……」
唯「もう!あずにゃんは後輩なんだからゴチャゴチャ言わず素直に先輩に甘えなさい」
梓「そ、そうですか。それじゃ遠慮なくいただきます」
唯「どう、おいしい?」
梓「はい、おいしいです」
唯「そっか、よかったー。それじゃ、あずにゃんには特別にこのイチゴちゃんもあげちゃおう!」
梓「え!?いいんですか?唯先輩はそのイチゴにこだわりがあったんじゃ……」
唯「いいんだよー。このイチゴちゃんだってあずにゃんのお腹の中に入るんだったら本望だよ!」
梓「はぁ……」
唯「えへへー、じゃああずにゃん、あーん」
梓「な!そ、それやめてください!自分で食べられますか」
唯「いいから、あーんしてよぉ、あずにゃん」
梓「うっ……あ、あーん……」
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唯先輩は何でもくれる
どんなものでも、簡単に……あっさりと……
梓「なんでなんだろ……」
唯「あーずにゃん!!」ダキッ
梓「にゃあっ!?もう、唯先輩!!いきなり抱きつかないで下さい」
唯「えへへ、ごめんごめん。それでね、あずにゃん。今日はあずにゃんにあげたいものがあって……」
梓「ちょ、ちょっと待ってください!」
唯「え?どうしたの、あずにゃん?」
梓「唯先輩はどうしてそんなにホイホイ物をくれるんですか?」
唯「えー?どうしてって言われても……理由なんてないよ。あずにゃんが可愛いからあげたくなるだけだよー」
梓「そんなことされても私、お返しできるものなんて持ってないですよ?」
唯「お返しなんていらないよ。私はあずにゃんが幸せな気持ちになってくれたらそれだけでいいんだもん!」
梓「そ、そんなのおかしいですよ」
唯「おかしくなんてないよー。ほら、愛は惜しみなく与うっていうでしょ?
私はそれくらいあずにゃんのことを愛してるの!」
梓「ど、どうして勉強はからっきしなのに、そういう変な事は知ってるんですか!?」
唯「えへへー、すごいでしょ」
梓「うー……だけど、やっぱり……唯先輩ばっかりあげる側で、なんかずるいです!」
唯「え、ええ!?そうかなぁ?」
梓「そうです!!だから、今度は私が唯先輩にお返しする番です!!」
唯「あ、あずにゃん……」
梓「という訳で、唯先輩の欲しいものってなんですか?
私が用意できるものなら何でもあげますよ。遠慮せず言ってください!」
唯「えー……、そんなの別にいいのに……」
梓「だめです!このままじゃ私の気が収まりません!」
唯「うーん……私の欲しいものかぁ……」
唯「…………」
唯「!!」
唯「ね、ね、あずにゃん!!本当に何でもいいの!?」
梓「はい、何でも!」
唯「本当の本当に!?」
梓「しつこいですね!ロッカーに二言はありません!!どんなものでもどんとこいです!!」
唯「それじゃあ、私ね……あずにゃんが欲しいな!!」
梓「そうですか、あずにゃんですか。そんなのお安い用……って、はい!?」
梓「ゆ、唯先輩?い、今なんていいました?」
唯「だからー、私、あずにゃんが欲しいよー!!」
梓「な……な……!!何馬鹿なこと言ってるんですか唯先輩!!」
唯「馬鹿なことじゃないよ!私、本気であずにゃんが欲しいんだもん!ね、私のものになってよ、あずにゃん!」
梓「わ、訳分からないですよ……!」
唯「ねぇ、あずにゃん、やっぱり駄目?」
梓「だ、駄目じゃないです……駄目じゃないですけど……」
唯「やったー!!それじゃ、あずにゃんはこれから私のものだねー!!」
梓「う……うぅ……これって何か間違ってるような気がします……」
唯「えへへー、あずにゃん、勝手にどこか行っちゃったりしたら嫌だよー?」
梓「ゆ、唯先輩こそ責任持ってしっかり私の事見ててくださいよ?」
唯「当たり前だよー!私があずにゃんから目を離すはずないじゃん!!」
梓「うぅ……唯先輩ってやっぱり、ずるいですよね……」
唯「えー?そうかなー?どうしてー?」
梓「はぁ……全く……」
おしまい