幼「ん?どうしたの?いらないの?」
男「あ、いやいや。ありがとう、幼」
男「毎年ありがとう」
幼「何よ改まって……変な男っ」
男「……」
幼「開けないの?」
男「あ、あぁ、開けるよ開ける。今年はどんなチョコかなー?」
ガサガサ
男(マジどんなチョコ?)
元スレ
幼馴染「はいこれ!チョコレート!」 男「……」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1424006434/
パカッ
男「お、トリュフチョコかー……」
男「3個なー……」
幼「去年喜んでくれたから、今年も頑張りました!」
男「……」
幼「あれ?そんなに嬉しくない?」
男「あぁ、いやいや、うん。超嬉しいぜ!」
男「なぁ、これって去年と同じく……」
幼「そう!3つとも味が違うチョコだよ!」
男「そうか……」
幼「今年も!何の味かを当てたら、素敵な追加プレゼントがあるよ!」
男「追加プレゼントってなんだろうなー」
幼「去年は一個ハズレて残念だったよね」
男「おう!今年は全部当てるぞー……」
幼「それじゃ張り切ってどうぞっ!」
男「ままよっ!」
ぱくっ
モグモグモグ
幼「どう?わかる?」
男「…………」ゲフ
幼「うーん……ちょっと複雑過ぎたかな?」
男「……いや、単純明快な味だな」
幼「そう?じゃあ言ってみ?チョコのお味はなーんでしょ?」
男「これはチョコレートに、刻んだニラの葉を混ぜた物だな」
幼「お!せーいかーい!幸先良いね!」
男「ちょっと質問して良いか?」
幼「何?」
男「幼はこれを……その……食べたのか?」
幼「去年も聞かれたけど、食べたよもちろん」
幼「不味いものを男に食べさせる訳にはいかないからね」
男「……ありがとな」
幼「さぁさぁ、続いて2つ目!」
男「おう、その前にお茶飲んでも良いか?」
幼「どうぞどうぞ」
男「……」
ゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッ
幼「ちょ、ねぇお茶飲み過ぎじゃない?」
男「ぷはっ……ハァハァ……大丈夫大丈夫」
幼「2リットル全部飲み切ったね……」
男「いつもの事だ気にするな。さて、次だ次!当てるぞー!」
幼「う、うん。どうぞどうぞー」
男「南無三っ!」
ぱくっ
モグモグモグ
幼「なんでいちいち気合入れる様な事を……」
男「こ、これも簡単だ」ゲフ
幼「チョコのお味はなーんでしょ?」
男「これはニンニクだな」
幼「あ、ひょっとして匂いでわかっちゃった?」
男「いや、結構大きめの欠片を噛んだので、口の中に味が広がったんだよ」
幼「ニンニクの醤油漬けを刻んで入れたんだー。どう?」
男「今、口中で堪能中だ」
モニュモニュ
男「……ふぅ、ちょっとお茶飲んで良いか?」
幼「う、うん。男の買ったお茶だから私がとやかく言う事じゃないよ」
男「……」
ゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッ
幼「……」
男「ぷはーっ……ハァハァ……さぁ!最後の一個だ!当てるぜ当てるぜー!」
幼「ねぇ、男。ちょっと聞いていい?」
男「ん?あ!やっぱり臭うか?」
幼「あの……もしかしてなんだけどさ……」
男「ん?」
幼「このチョコ、美味しくない?」
男「いや、大丈夫だぜ?」
幼「大丈夫?」
男「あぁ、言い間違えだ。美味しいぜ」
幼「本当に?」
男「残さずちゃんと食べてるだろ?マズけりゃマズいって言うよ」
幼「……じゃあ、最後の一個はなーんの味でしょっ?」
男「押忍っ!最後の1つ頂きますっ!」
ぱくっ
モグモグモグ
幼「……どう?」
男「んーーーーーーーーーーー」
モニュモニュモニュ
幼「美味しく……ない?」
男「いや………なんつーか……」
ゴクン
男「なんだろう、チョコ以外の味がわからなかったぜ」
幼「それはつまり?」
男「今年も俺は不正解だって事だな……無念だ……」
ガクッ
男「おっかしいなー……俺の舌がバカになってんのかな……」
幼「ふふっ」
男「?」
幼「実はね」
幼「最後の一個はチョコレートだけでしたー!」
男「え?マジで?」
幼「3つのチョコを混ぜたんだけど、チョコはチョコだもんね」
男「え?マジで?」
幼「マジです。だから全問正解なのです!おめでとうー!」
パチパチパチ
男「お、おー?やったー?」
幼「長年チョコの中身当てをやってきたけど、初めて全問正解したね!」
男「おう!初めてだな!追加プレゼントは……今貰えるのか?」
幼「もったいぶらずに、この後すぐに差し上げます」
男「なんだよ、ちょっと怖いぞ、幼」
幼「素直な感想を聞かせて下さい!」
男「わかったよ、何をくれるんだ?」
幼「5秒だけ目瞑って」
男「ん?こうか?」
チュッ
男「!?」
幼「………どうだった?」
男「なにが?」
幼「私の……その……ファーストキスの味は?」
男「あ、あの……」
幼「迷惑だった?」
男「そんな訳あるか」
ぎゅうっ
幼「わっ!」
男「あのな、幼」
幼「何?」
男「俺は世界中の17歳の中で、幼の事が世界一好きだ」
幼「マジで?世界一?」
男「マジだぜ」
男「実は中1の時のバレンタインデーにさ」
幼「うん」
男「思い切って告白しようと思ってたんだよ」
幼「そうだったの?なんでそうしなかったの?」
男「既成品から手作りになって、味当てクイズが始まったからな」
幼「あ……そうだったね」
男「いつも最後の一個で外して、結局今日になっちまったけど」
男「これからもずっと俺の傍に居てくれよ」
幼「うん……ずっと傍に居るよ」
ぎゅっ
幼「えへへ、お菓子会社の陰謀だってわかってるけど、たまに乗ってみるもんだね」
男「そうだな。美味しいチョコも食べられるしな」
幼「嬉しい……」
男「……でもな、幼」
幼「え?何?」
男「去年と同じ事を言わせて貰うが……」
男「バレンタインデーは昨日だからな?」
幼「えっ!?」
男「バレンタインデーは2月14日だからな?」
幼「えっ!?あれっ?15日じゃなかったっけ?」
男「違う、14日だ。もれなく毎年14日だぞ、幼」
幼「私、去年も……」
男「去年は一日早かったな」
幼「うぅ……」
男「でもそんな事はどうでもいいんだ」
幼「そうなの?」
男「まぁ確かに、去年は1日早くて心の準備が出来てなかったし」
男「今年は1日遅かったから、貰えないのかと思って落ち込んでいたが」
男「結果、幼に告白出来たし、良い返事も貰えた」
男「俺はそれで満足だ」
幼「男……ありがとね……」
男「……甘かったよ」
幼「え?」
男「幼の……まぁ、その……俺のファーストキスでもあるけど、柔らかくて甘かったよ」
幼「本当に?あんなに触れるだけのキスで味まで解った?」
男「あ、あぁ……正直、びっくりしてよくわからなかったよ」
幼「じゃあ、今度はちゃんと、ね?」
男「……おぅ」
翌朝
男「あ、おじさん、お早うございます!」
幼馴染の父「ん?あぁ、男君おはよう」
男「爽やかな朝ですね!」
幼馴染の父「本当に?」
男「え?」
幼馴染の父「男君、あれ食べたんだろう?」
男「あれ?」
幼馴染の父「ウチの娘が作った……チョコ的な物」
男「あぁ、昨日貰いましたよ。もちろん全部食べました」
幼馴染の父「……お互い苦労するな?」
男「苦労?」
幼馴染の父「あれ?ニラやらニンニクやらが入ったやつを……」
男「あれ凄く美味しかったですね。また食べたいです」
幼馴染の父「……それマジで言ってる?」
男「え?なんでですか?」
幼馴染の父「いや、何でもないから」
幼馴染の父(お、俺の味覚がおかしいんだろうか……)
幼「男、お待たせ!」
男「全然待ってないよ、そんじゃ学校行くか」
幼「うんっ!」
ぎゅっ
男「ちょ、腕組み登校はちょっと……」
幼「良いでしょ?だってもう付き合ってるんだし!」
男「それもそうだな!行くか!」
幼「行こっ!」
幼馴染の父(俺の味覚がおかしいのか?)
幼馴染の父(まぁ、今日職場に差し入れる大量のチョコを、皆に食べて貰えばはっきりするか……)
幼馴染の父(あと、我が娘ながら、リア充爆発しろ!)
おわり