1 : VIPに... - 2013/10/06 22:12:45.09 lE+JnxTyo 1/25

霧切「ねえ、苗木君。今日の午後空いてる?」

苗木「えっ…あ、ゴメン霧切さん。実は先約があるんだ」

霧切「そう。少し手伝って欲しい事があったのだけれど。仕方ないわね」

苗木「ごめんね。埋め合わせはちゃんとするから」

霧切「いいわ。突然聞いた私が悪かったから」

苗木「そっか…それじゃボク、行くね」

霧切「ええ。また」

苗木「うん。またね」



霧切「…というのが3日前の出来事」

元スレ
霧切「苗木君が執拗に私を避ける…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1381065164/

2 : VIPに... - 2013/10/06 22:13:57.24 lE+JnxTyo 2/25

霧切「苗木君、今いいかしら?」

苗木「あっ……ゴメン霧切さん。今ちょっと手が離せないんだ」

霧切「そう…。いいわ」

苗木「ホントごめんね。それじゃまたッ」タタッ

霧切「…………」



霧切「…というのが昨日の出来事」

3 : VIPに... - 2013/10/06 22:14:38.88 lE+JnxTyo 3/25

苗木「ふぅ…霧切さんには見つからないようにしないと」

霧切「…私に見つかると、何か都合が悪いのかしら?」

苗木「うわっ!!霧切さん!いつからそこに!?」

霧切「ついさっきよ。ところで苗木君」

苗木「ごめん!今急いでるんだ!」ダダッ

霧切「…………」



霧切「…というのが今朝の出来事」

4 : VIPに... - 2013/10/06 22:16:08.43 lE+JnxTyo 4/25

霧切「何か苗木君の気に障ることでも言ったかしら…?」

霧切「いつも同じパーカーを着てる事を指摘したのが、まずかったのかしら…」

霧切「それとも、何か事件に巻き込まれてて、私を巻き込まない為にあんな事を?」

霧切「あり得るわね。苗木君は"超高校級の幸運"だけど、やたらと事件に巻き込まれる傾向があるから」

霧切「最近だと、葉隠君を追ってるヤクザから内蔵を取られかけたそうだし…」

霧切「そうよ。きっとそうだわ。…全く、事件なら相談してくれればいいのに」

霧切「…苗木君の癖に生意気よ」

霧切「そうと決まれば、早速調査開始よ!」

霧切「調査といえば、基本は聞き込みよね。まずはこの辺りにいる人に聞いてみようかしら」

5 : VIPに... - 2013/10/06 22:17:14.15 lE+JnxTyo 5/25

不二咲「あっ、霧切さん……」

霧切「あら不二咲さん。丁度いいところに」

不二咲「…何か用?」

霧切「ええ、ちょっと今調査をしているんだけど、少しお話を聞かせてもらってもいいかしら?」

不二咲「いいよ。でも、ボクなんかが役に立てるかなぁ?」

霧切「問題ないわ。早速本題なんだけれど、最近、苗木君を見なかったかしら?」

不二咲「苗木君を?……えっと……そ、そのぉ……あ、そうだ。おとといの事なんだけどぉ、図書室で見たよぉ」

霧切「なるほど、図書室ね。ありがとう不二咲さん」

不二咲「どういたしまして。えへへ、褒められちゃった」



霧切「どうやら苗木君はおととい図書室に行ったようね。何か手がかりがあるかもしれないし、図書室へ行くわ」

6 : VIPに... - 2013/10/06 22:18:51.67 lE+JnxTyo 6/25

江ノ島「よう!霧切!俺様になんか用か!?」

霧切「え、ええ……ある事件を調査してるんだけど、少しお話を聞かせてもらってもいいかしら?」

江ノ島「ええ、構いませんよ。私は今絶望的に暇でしたから」

霧切「…単刀直入に聞くわ。最近、苗木君を見なかったかしら?」

江ノ島「よりによって苗木誠の話をこの私様に問うか!人間風情が!私様があの者を嫌ろうておる事は承知であろうが!」

霧切「……知らないならいいわ。邪魔したわね」

江ノ島「ギャハハハハ!!誰が知らねぇつった?俺様の情報網を持ってすれば、苗木の情報なんざ今履いてるパンツの色までお見通しよッ!!」

江ノ島「それを教えてあげるかどうかはまた、別の話だけどねーうぷぷぷぷぷ」

江ノ島「っていない……あぁ……無視なんて……絶望的ィィ!」

7 : VIPに... - 2013/10/06 22:27:28.12 lE+JnxTyo 7/25

霧切「収穫なしね……他の人に聞いてみようかしら」

田中「……ほう、奇遇だな。封印されし地獄の両腕を持つ銀狼娘よ」

霧切(また面倒なのに会ってしまったわ……でも一応聞いておこうかしら)

霧切「あら、田中君。丁度いいところで会ったわね。少しお話を聞かせてもらってもいいかしら?」

田中「フン……魔界を統べるこの俺様の武勇伝を聞きたいのか。そんな時間はない!……と言いたい所だが、貴様と貴様の眷族には、俺様も一目置いている。言ってみろ。答えてやるとは限らんがな!」

10 : VIPに... - 2013/10/06 22:36:20.95 lE+JnxTyo 8/25

霧切「最近、苗木君を見なかったかしら?」

田中「よりにもよってヤツか。我々の住む世界とは最も程遠い存在だと思っていたが……まさか!ヤツこそ一般人という被膜に身を隠す、新たなる魔界の超新星だとでもいうのか!?おのれ!この俺様の目を欺くとは……!」

霧切「そ、それで、苗木君を見たの?」

田中「魔界の植物図鑑だ!」

霧切「……は?」

田中「我が配下、破壊神暗黒四天王の生態について、大図書館にて俺様が禁制書物を読みふけっていた時の事だ。ヤツは時を同じくして大図書館へとやって来た」

霧切「なるほど、苗木君は植物図鑑を調べてたのね」

田中「!?…馬鹿な、貴様、俺様の思考を読み取ったというのか……」

11 : VIPに... - 2013/10/06 22:41:53.76 lE+JnxTyo 9/25

霧切「エキサイトする田中君に話を合わせつつ、隙を見て逃げ出してきたわ」

霧切「はぁ……どうしてこの学校には個性的な人間しかいないのかしら?」

霧切「愚痴っていても仕方ないわ。聞き込みを続けましょう」

狛枝「おや、霧切さんじゃないか!!まさか君のような人に出会えるなんて……ぼくは幸運だなぁ……」

霧切「…………」

12 : VIPに... - 2013/10/06 22:49:34.98 lE+JnxTyo 10/25

霧切「はぁ……」

狛枝「ご、ごめん……ボクみたいなヤツに話しかけられたら迷惑だよね。すぐ消えるよ」

霧切「それは違うわ!」

霧切「実は今、ある事件を追っていて、ここ数日間の苗木君が何をしていたのかを調べているの」

狛枝「それならボクなんかでも少しはお役に立てそうだよ。そうだね、確か苗木君は、今日の夜、食堂を貸し切りにして何かするみたいだよ」

霧切「それは初耳ね。他には何か知ってる?」

狛枝「ちらっと横目に見ただけだから、あんまり詳しいことはわからないんだ。けど妙だね……貸し切りの名義は78期生だったから、てっきり霧切さんも知ってると思ってたんだけど」

13 : VIPに... - 2013/10/06 22:55:18.17 lE+JnxTyo 11/25

霧切「確かに妙ね……事件の匂いがするわ」

狛枝「そうだよね。霧切さんには超高校級の探偵という素晴らしい才能があるんだ。ボクみたいなクズなんかと違ってハブられるわけがないんだ!」

霧切「…………」

霧切「と、とにかく情報ありがとう。助かったわ」

狛枝「礼なんてとんでもない!キミの役に立てるなんて今日のボクはなんて幸運なんだろう……あぁ、希望が溢れてるよ……」



霧切「自分の世界に入り込んでいく狛枝君は放っておいて、次に行くわ」

14 : VIPに... - 2013/10/06 23:06:02.20 lE+JnxTyo 12/25

霧切「他の78期生に話を聞いてみようかしら」

石丸「おや、霧切君じゃないか!お……ゴホン、こんな所で会うなんて奇遇だね、あっはっは」

霧切「石丸君、苗木君を見なかったかしら?」

石丸「な、苗木君を!?……ははは、知ってるような、知らないような……」

霧切「知ってるのね」

石丸「な、何を根拠に……と、とにかく、僕は苗木君が舞園君と買い物に出かけた事なんて知らないぞ!」

石丸「あっ……すまない、今のは聞かなかった事に」

霧切「へえ……二人で買い物ね」

石丸「い、いやこれには訳が!そう、わけがあるのだ!決して僕は彼らの不純異性交遊を黙認しているわけではないぞ!」

石丸「っておーい、霧切君!……いってしまったか……」

15 : VIPに... - 2013/10/06 23:12:52.85 lE+JnxTyo 13/25

苗木「これなんてどうかな?」

舞園「えーっそれはちょっと派手すぎませんか?こっちのシックな感じの方が……」

苗木「あ、やっぱりそうかな…さすがは舞園さん、超高校級のアイドルはセンス抜群だね」

舞園「もう、褒めても何も出ませんよ?」

苗木「え、いや、そんなつもりは……」



霧切「…………」

霧切「帰ろうかしら」

17 : VIPに... - 2013/10/06 23:20:25.22 lE+JnxTyo 14/25

苗木「あれ、探してる花がないや……ちぇっ、ツイてないなぁ……」

舞園「あら、それは残念ですね……どうしましょう?」

苗木「うーん、仕方ない。見た目が良さそうな花を選ぼう」

舞園「そうですね。大丈夫、苗木君が選んだ花なら、きっと素敵な贈り物になりますよ!」

苗木「そうかな……うん、舞園さんがそう言ってくれるならそうだよね!」



霧切「…………」

霧切「なぜ尾行を続けたのかしら、私」

18 : VIPに... - 2013/10/06 23:25:49.79 lE+JnxTyo 15/25

苗木「やっぱり苺のショートケーキかな……いやでも、こっちのチョコレートケーキも捨てがたいな…」

舞園「もう、苗木君は優柔不断なんですから。こういうのはどれを選んだっていいんですよ?大切なのは、気持ちですから」

苗木「それはそうなんだけどさ、やっぱり女の子って、カロリーとかも気にするのかな、とか思って…」

舞園「別腹ってやつですよ!食べた分だけ運動するから、大丈夫、大丈夫!」

苗木「そ、そうかな。うん、そうだよね!あ、これください!」



霧切「…………」

霧切「ホールケーキでも買って、ヤケ食いしようかしら」

19 : VIPに... - 2013/10/06 23:30:10.71 lE+JnxTyo 16/25

霧切「調査結果……苗木君が事件に巻き込まれた可能性は極めて低い、と」カタカタ

霧切「はぁ……なんだかすごく疲れたわ」

霧切「舞園さんと一緒にデートしてた苗木君……すごく楽しそうだった」

霧切「……!な、何を落ち込んでるのかしら」

霧切「べ、別に苗木君は……確かに優秀な助手だけど、それだけよ」

霧切「そう……それだけ……よ」


20 : VIPに... - 2013/10/06 23:37:13.15 lE+JnxTyo 17/25

ピンポーン

霧切「誰?」

苗木「苗木だよ。霧切さんにきて欲しい所があるんだ」

霧切「……今、出たい気分じゃない」

苗木「体調でも悪いの?大丈夫?」

霧切「大丈夫……なんでもないわ」

苗木「本当に?」

霧切「苗木君には関係ないわ……」

苗木「それは違うよ!」

21 : VIPに... - 2013/10/06 23:40:16.79 lE+JnxTyo 18/25

苗木「霧切さんは……大切な人だから……」

苗木「心配して当たり前じゃないか!」

霧切「嘘よ……だって……だって……」

霧切「舞園さんの方が貴方にはお似合いじゃない!」

霧切「今日だって……あんなに楽しそうに……」

22 : VIPに... - 2013/10/06 23:42:35.69 lE+JnxTyo 19/25

苗木「それは……違うよ」

苗木「確かに、舞園さんも、大切な友達だけど……」

苗木「ボクは……」

苗木「霧切さん……キミの事が……」

苗木「好きなんだ!」

霧切「!?」

23 : VIPに... - 2013/10/06 23:44:52.53 lE+JnxTyo 20/25

霧切「だったら……どうして……どうして……」

苗木「それは……食堂に来てもらえれば、わかってもらえるはずさ」

苗木「だから、ボクは待ってる。いつまでだって待ってるから」

霧切「…………」

24 : VIPに... - 2013/10/06 23:49:16.78 lE+JnxTyo 21/25

霧切「…………結局、どれくらいそのままでいたかは覚えていない。けど、苗木君の言うように、私は食堂にやってきた」



霧切「そこには……」



パンッ

パンッパンッ


「「霧切さん、お誕生日おめでとう!!」」

25 : VIPに... - 2013/10/06 23:54:12.97 lE+JnxTyo 22/25


霧切「……誕生日?」

苗木「そう、今日は10月6日、霧切さんの誕生日でしょ?」

葉隠「苗木っちの提案で、誕生日パーティを開く事にしたんだべ!」

石丸「こんな脅かすような真似はよくないと僕は反対だったんだが……」

大和田「硬い事言うなって兄弟!サプライズがあったほうが嬉しさは増すんだぜ!レッツパーリィ!!」

不二咲「ごめんねぇ、どうしても内緒にしてくれって苗木君に頼まれちゃって……」

霧切「みんな……」

26 : VIPに... - 2013/10/07 00:04:12.70 sVq+hbRDo 23/25

十神「ふん、俺は別に欠席でも構わなかったんだが、苗木の奴がどうしてもというからな……仕方なくだ。勘違いするなよ」

腐川「びゃ、白夜様に同じく!」

朝日奈「もう、二人とも素直じゃないんだから……」

大神「そう言ってやるな、朝日奈よ。あれは…照れ隠しという奴だ」

山田「いわゆるツンデレというやつですな!まぁ僕は男のツンデレなんてノーサンキューですが!」

セレス「あら、こんな所にまだ食材が残ってますわよ。花村君を呼ばないと……」

山田「正直すいませんでした」

江ノ島「ってあれ、霧切……泣いてんの?うぷぷぷぷぷ、もしかして苗木を取られたと思って泣いてたの?絶望的な勘違いだね!」

霧切「!?」

戦刃「盾子ちゃん、少し黙ってようか?」バキ

江ノ島「残姉に気絶させられるとか……絶望……的……ガクッ」

27 : VIPに... - 2013/10/07 00:08:40.14 sVq+hbRDo 24/25

舞園「今日は、霧切さんのプレゼントを選んでたんですよ」

桑田「俺の方が苗木よりセンスはあると思うって言ったんだけどよ」

苗木「ボクがどうしても自分で選びたい、ってわがままを通させてもらったんだよ」

苗木「けど、霧切さん……勘違いとはいえキミを傷つけてしまった」

苗木「……本当にごめん!」

28 : VIPに... - 2013/10/07 00:13:39.65 sVq+hbRDo 25/25

霧切「…………」

霧切「……生意気よ」

苗木「えっ?」

霧切「こんなパーティを計画したり、自分でプレゼントを選んだり……それを私には全部内緒にしたり……」

霧切「苗木君のくせに、生意気よ」

霧切「けど……その……」



霧切「……ありがとう」

fin.

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