苗木「え?なにそれ」
霧切「私も苗木君みたいに決め台詞を考えてみたの」
苗木「決め台詞?」
霧切「苗木君ってよく『それは違うよ!』って言うでしょう?」
苗木「ああ…別に決め台詞のつもりじゃないんだけど」
霧切「だから私も決め台詞を作ったのよ」
苗木「へえ…」
元スレ
霧切「それには及ばないわ」ファサ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1380381002/
霧切「だから苗木君、次の学級裁判では私の決め台詞を言わせてちょうだい」
苗木「勝手に言えばいいじゃないか」
霧切「あなたの協力がいるの」
苗木「なんでだよ!」
霧切「あなたが何かを提案して、それに私が『それには及ばないわ』と応えることになってるの」
苗木「勝手に僕を決め台詞の中に組み込まないでよ!」
霧切「そうね…あなたは裁判中に『そろそろお腹が減ってきたね』と言って頂戴」
苗木「いやだよ!僕そんな食いしん坊キャラじゃないよ!」
霧切「そこで私が『それには及ばないわ』と言ってあらかじめ焼いておいたクッキーをみんなに配るの」
苗木「それ霧切さんのキャラも崩壊しちゃってるよ!」
霧切「協力してくれるわよね?」
苗木「しないよ!ふざけないでよ!」
霧切「舞園さんが死んだ後に彼女の部屋からパンツを盗んだこと言いふらしてほしいの?」
苗木「!!!!!なんでそれを」
霧切「私は超高校級の探偵なの…そのくらい朝飯前よ」
苗木「ど、土下座でも何でもするからそれだけはみんなに言わないで…」
霧切「そんなことしなくても…あ、いや」
霧切「…それには及ばないわ」ファサッドヤアアアアア
苗木(うぜぇ…)
霧切「あなたはただ私に協力してくれるだけでいいの」
苗木「わかったよ…」
~~~学級裁判 開廷~~~
山田「よりによって不二咲千尋殿を殺すとは…許せませんなぁ!!」
十神「フン…俺が犯人を見つけ出してやる」
葉隠「それよりもなんかいい匂いしねーべか?」
霧切「!!」ドキッ
朝日奈「ほんとだ!香ばしい匂いがするよ!」
十神「お前のマン臭じゃないのか?腐川」
腐川「そんなぁ白夜様ぁ~ん」
霧切「そ、そんなことより早く裁判を始めるわよ!!!!」ドキドキ
苗木(ほんとに作ってきたんだ霧切さん…)
セレス「私は大和田君が怪しいと思いますわ」
大和田「な、なんでだよ!オレは何もしてねえよ!」
十神「証明できるのか?殺人を犯していないということを」
朝日奈「顔色悪いよ大和田!!」
大和田「ぐっ……!」
霧切「…………」チラッチラッ
霧切「…………」ジー
苗木(うう……わかったよ……)
山田「冷や汗が凄いですな!ますます怪しいですぞぉ!」
大和田「て、てめぇ……!」
苗木「……ねえみんな!それよりお腹空かない?」
十神「は?」
腐川「は?」
山田「は?」
セレス「は?」
大神「は?」
葉隠「は?」
石丸「は?」
朝日奈「は?」
苗木「」ビクッ
十神「お前は何を言ってるんだ?」
朝日奈「こんなときにお腹空いたって……何考えてんの!?」
セレス「緊張感の欠片もありませんわ」
山田「見損ないましたぞ苗木誠殿ぉ!」
苗木(な、なんだよ……!
霧切さん、早く決め台詞言ってよ!!何してんだよ!!)
霧切(完全に言うタイミングを逃してしまったわ……)ドキドキ
苗木「そ、その……ちょっとお腹が空いただけなんだよ!!」
大神「貴様…人の生き死にを決めようという時によく腹が減るものだな」
石丸「厚顔無恥とはこのことだぞぉぉ!!苗木君!!」
苗木(くっ……霧切さん、次こそ言ってくれよ!!)
苗木「だからさ、裁判は一時中止してみんなで食堂でご飯でも食べない?」
霧切「!!」
十神「お前という奴は……!!」
霧切「ん゙っ!んん゙っ!!」
十神「!?」
霧切「 そ れ に は 及 ば な い わ 」ファッサァァァアアアアアドヤァァァァァアアア
全員「」
朝日奈(え、何今の……)
葉隠(霧切っち……頭でも打ったのか?)
十神(どういうことだ……何が起きている……)
大和田(オレのことみんな忘れてねぇか……?)
霧切「実はここに偶然私が朝焼いたクッキーが……」
山田「霧切響子殿ぉぉぉぉ!!!」
霧切「!?」ビクッ
山田「今の!!まどか☆マギカの暁美ほむらの台詞ですな!!??」
霧切「!!!!!!!!」
十神「まどか……何だって?」
山田「まどか☆マギカですぞ!!社会現象にもなった魔法少女アニメですぞ!!?」
朝日奈「いや知らないし……」
十神「いい年こいてアニメなんか観るか!!」
霧切「」ズキッ
腐川「私も知ってる…クールな謎の魔法少女の決め台詞よね…」
石丸「初めて聞いたぞ!!」
山田「霧切さんもまどマギファンだったんですな!!」
霧切「え、あ、いや……あの」
苗木(うわ…アニメの台詞だったんだアレ…いたたた…)
霧切「わ、私知らないわ!!そんなの知らない!!」カアアアア
山田「何を言いますか!!髪を払うポーズまで一挙手一投足が完全一致ですぞ!!」
霧切(黙りなさいよ豚が!!!)
葉隠「霧切っちってアニメなんか観るんだべ…」
朝日奈「しかも魔法少女って…ポーズまで真似して…」
大和田「イメージ変わっちまうぜ…」
霧切(やめて!!やめてよ!!)プルプル
モノクマ「じゃあそろそろ時間だし、投票行っちゃう?」
苗木「え!?」
朝日奈「ちょっと!まだちゃんと話し合ってないよ!」
モノクマ「き、君たちが話を逸らしたんじゃないか…」
十神「霧切!お前のせいだぞ!」
葉隠「そうだべ!霧切っちが突然アニメキャラの真似なんかするからややこしくなったんだべ!」
朝日奈「アニメなんか小学生で卒業しといてよね!!」
セレス「思ってたより幼稚な人でしたわね」
霧切「……!!」ポロッ
霧切「…………っ」ポロポロ
苗木(霧切さん……泣いてる……)
苗木(やれやれ……仕方ないな……)
苗木(助け舟を出してやるか……)
苗木「みんな……よく聞いて」
全員「「「?」」」
苗木「……それは違うよっ!!」ドン!!
霧切「!?」
全員「「「!?」」」
苗木「霧切さんはね……クッキーをみんなに配りたかっただけなんだ」
朝日奈「え……?」
苗木「霧切さん、出して」
霧切「え、あ、でも……」
苗木「いいから」
霧切「……はい」ポスッ
大神「さっきから漂う香ばしい匂いはこれだったのか……」
霧切「…………」モジモジ
苗木「クッキーを焼くのが趣味の霧切さんは、みんなにクッキーを配りたかった」
苗木「でも恥ずかしくて素直に渡せなかったんだ」
苗木「だから僕が一芝居持ちかけることを提案した」
苗木「あの台詞もポーズも、僕が霧切さんに教えたんだよ」
朝日奈「な~んだ、そうだったの!」
葉隠「そうだべ!霧切っちはアニメなんか観るキャラじゃないべ!」
十神「フン…俺は最初からわかっていたがな」
霧切(苗木君……)
~~~学級裁判後 苗木の部屋~~~
霧切「苗木君……さっきは助かったわ」
苗木「当然のことをしたまでだよ」
霧切「まさかパンツ泥棒に助けられるなんてね……」
苗木「そのことはもういいよ!!」
霧切「そうね、もう忘れることにするわ」
苗木「え……」
霧切「だから苗木君も、私のアニメ趣味のことは忘れてね」
苗木「ああ……うん……」
苗木(あのポーズがアニメキャラの真似だってこと、実は結構引いたんだけど……僕だって忘れたいよ……)
霧切「私、思ったの」
霧切「決め台詞っていうのは、考えるものじゃなくて、自然と身につくものなんだって」
霧切「苗木君にはきっと人を助けたいという純粋な気持ちがあるから、ああいう台詞がおのずと出てくるのね」
霧切「……正直、惚れかけるくらいにはかっこよかったわよ」///
苗木(これもアニメの台詞なのかなぁ……そうだったら気持ち悪いな……)
霧切「じゃあ私、もう行くわね」
苗木「ああ、うん」
霧切「……あ、最後に一つだけ」
苗木「何?」
霧切「……ありがと」ファサ
終わり