関連
ハニー・ポッター「『私は、嘘をついてはいけない』……?」 【前編】
元スレ
ハニー・ポッター「『私は、嘘をついてはいけない』……?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365339954/
※関連作品
第一巻『ハリー・ポッターと賢者の石』相当
ハニー・ポッター「私が、魔法使い?」
ハニー・ポッター「賢者の石、ですって?」
ハニー・ポッター「賢者の石は、どうなったのかしら」
第二巻『ハリー・ポッターと秘密の部屋』相当
ハニー・ポッター「秘密の部屋?なぁに、それ」
ハニー・ポッター「スリザリンの継承者?なんなの、それ」
第三巻『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』相当
ハニー・ポッター「脱獄囚の、シリウス・ブラック?」
ハニー・ポッター「『エクスペクト・パトローナム!』」
ハニー・ポッター「『守護霊よ、来たれ!』」
第四巻『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』相当
ハニー・ポッター「勝つのは私、そうでしょ?」 【前編】 【後編】
ハニー・ポッター「何がこようと、受けて立つわ」
ハニー・ポッター「いつか必ず、来るものは来るのよ」
ハニー・ポッター「来るものは来る、来た時に受けてたてばいいのよ。勝つのは、私よ」
第五巻『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』相当
ハニー・ポッター「騎士団、いいえ。私の豚団ね、そうでしょ?」 【前編】 【後編】
ハニー・ポッター「『私は、嘘をついてはいけない』……?」 【前編】
十月
図書館
ロン「結局、ハニーによる『闇の魔術に対する防衛術』講座、通称ハニー講座は、申し訳ないことに僕の宿題とクィディッチの練習が軌道に乗るまで待ってもらいましたとさすいませんマーリンの髭」
ハーマイオニー「準備する期間を設けられたからよしとしてあげるわ。私もやしきしもべ妖精にたくさん帽子や、靴下も編むことができたもの」
ロン「あぁ、君の上達っぷりったらないよな。なんせ今じゃもうあの毛糸の固まりも帽子か靴下か見分けがつくとこまできてるもの」
ハーマイオニー「あなたを編みこんでもいいのよ、ロン。ハニー、あなたも何を教えるか、考えることができたのじゃない?」
ハニー「……そうね。考えては、みたんだけれど」
ロン「なんだいハニー、君が世界を救う術なんて108つどころじゃないくらい沢山思いつくよ僕ぁ。まずは君の記念碑を立てるだろ?」
ハニー「まだ出来ていなかったことに驚きだわ。そうね、前に説明したけれど、私が教えられるのはせいぜい『守護霊』くらいのものよ……?」
ハーマイオニー「ハニー、それこそ私は前にも説明したわ。あなたの歳で『有体守護霊』が召還できるのはとんでもないことなの。それに、『服従の呪い』をクラスで唯一退けたじゃない。ビクトールが手紙で言っていたけど――」
ハニー「私がネコがいいだとか?」
ロン「おいあいつ何言い出してんだ……というか、ハーマイオニー、おいおいおいまさか君まだビッキーと連絡とってるのか?え?」
ハーマイオニー「だからなんだというの?私に、あー、ペンフレンドがいたからって……」
ロン「奴さんは君とペンフレンドになりたいわけじゃない!」
ハーマイオニー「黙ってて、もう。とにかく、ハニー。あなたから教わることは一杯あるのよ、本当よ?みんなが教わりたがると思うわ」
ハニー「それは、私に誰もが跪いて教えを乞うのは当然……待って。教えるのは、二人だけじゃないの?」
ロン「僕もそれがいいというかそのために賛成した節があったんだけどねハニー、聞いてやってよ。ハーマイオニーが、習いたい人はだれでも参加できるべきだ、っていうだ。マーリンの髭」
ハーマイオニー「だって、問題はその、ヴォルデモートに対して自衛する、ということでしょう? 他の人に与えないのは、公平じゃないでしょう? って、ハニーなら思うと踏んだの」
ハニー「……それは、そうね。でも考えてみて?今この城では私、少し頭がおかしい、可憐な少女と思われているのだけれど」
ロン「あぁハニー!君におかしいなんて評価する豚以下な奴らなんてとち狂ってるんだから気にしなくていいよ!ヒンヒン!」
ハーマイオニー「あー、確かにヒソヒソ噂する人は多いけどね? アーニーたちやチョウのように他の寮でもあなたを支持している人、それに、あなたの話を聞きたいという人、きっとたくさんいると思うの」
ハニー「……隠れ豚が?」
ロン「君を想う気持ちは隠せないと思うけどなぁ。無理に隠してたら寝室から飛び降りかけたりしかねないよ、もちの僕で」
ハーマイオニー「豚とは違うし、ロン、あなたの異常を常識にしないで。私、あなたたちがクィディッチの練習をしている間にそれとなく話して回ったの。何人か興味をもってくれた人がいたわ」
ロン「ついでに『S.P.E.W』の話もふってみたわけかい?え?」
ハーマイオニー「……そっちは、収穫なしだったわね」
ロン「君、反吐のこととなると見境ないよな」
ハニー「そう。それじゃ、今からその人たちを呼び出してみてくれる? 一体、どんな――」
ハーマイオニー「ダメよ、ここでそんな相談をしているのがアンブリッジに見つかりでもしたら……いい顔はしないわ」
ロン「あのババアの顔が良かったことがあるかい? そんじゃ、次のホグズミート休暇だね、うん」
ハニー「……ホグズミート休暇」
ハーマイオニー「……ハニー、シリウスのことは考えなくていいと思うわ。いくらなんでも、本当に実行したり……しない、と……うーん」
ロン「リーマスの非番が重なるといいよな、ほんとにさぁ」
週末
校門
フィルチ「……許可証は本物か?え?」
ハニー「あなたの眼が節穴でないのならね。さぁ、通して頂戴よ」
フィルチ「……お前が手紙で『クソ爆弾』を大量に注文したという垂れ込みがあったが、本当か?え?今度ふくろう小屋ででくわしたら覚えておけ、絶対に止めてやる。さっ、とっとと行け!」
ハニー「引き止めたくせに何を言ってるのかしら、まったく……私が『クソ爆弾』?冗談ではないわ」
ロン「君にあんなもん触らせるくらいなら僕はドラゴンの鼻くそを大鍋一杯チャーリーから注文するよ、ほんと」
ハーマイオニー「垂れ込み、そう言っていたわね……誰からなのかしら」
ハニー「さぁ、大方生徒に難癖をつけるためのでっちあげでしょう……ところで、ホグズミートのどこで話し合うのかしら。『三本の箒』?」
ハーマイオニー「いいえ、あそこは人が多すぎるから……もっと人の少ない、あー、寂れた所を選んだの」
ロン「『叫びの屋敷』は僕らとか以外よりつかないと思うぜ」
ハーマイオニー「あれは寂れたじゃなくて廃れたでしょ、そうじゃなくて……『ホッグズ・ヘッド』っていう、胡散臭いバーよ」
ロン「あー、なんだか名前とイノシシみたいなのが描かれた看板だけ覚えてるな……胡散臭い?どんな風にさ」
ハーマイオニー「なぜだか『ヤギ愛好家大歓迎、ヤギ引き取ります、ヤギのミルク入荷しました』って、ヤギに異様に執着した張り紙がされているから、よ」
ハニー「ヤギが好きなのかしら?」
ロン「僕はハニーだけの豚兼ヤギだから出荷されないけどね、あぁ」
ホグズミートの端
ロン「……あそこかぁ、『ホッグズ・ヘッド』……みすっぼらしいなぁ」
ハニー「……階段下の物置よりは、あー、広そうね?」
ハーマイオニー「開店しているのかどうか自信ないわ……えっと、とりあえず入りましょうか」
ベェェェエエエ
ロン「カランカラン鳴れよベルなら――ヤギ臭い!!!」
ハニー「失礼な事を言わないの、ロン――お邪魔するわ、店主さん」
バーテン「――」
ハーマイオニー「無愛想な人ね」
ハニー「……ひっぱたきたいわ」
ロン「!? ど、どうしたんだいハニー!?いやまぁ分からないでもないし君がそうしたいなら僕は言うまでもなく従うけどさ!」
ハニー「っ、あぁ、ごめんなさなんでもないわ。あの眼がなんとなく……何故かしら」
ハーマイオニー「ともかく、これで秘匿性は守られそうじゃない? ここなら誰も他に……居心地は悪いけど」
ロン「ハニーがいればどこだって宮殿級だから平気だろ。さぁハニー!硬そうな椅子だけど僕がいればあら不思議!君専用のフカフカロニーソファに早代わりだぜ!」
ハーマイオニー「あなたがいるとどこだって頭が痛いわね、えぇ」
ロン「ここ土間なのかと思ったらさ、何年も積もった埃が踏み固められただけみたいだよ」
ハーマイオニー「あら、ほんとう。石畳なのねこれで……よくお気づきですこと」
ロン「何せ僕ぁ床ならよく見えるからね、こんな体勢だし。心の眼はハニーを常に注視してるけどさ」
ハニー「全世界がそうでしょうね、えぇ。窓も煤けているし……掃除したいわ」
ハーマイオニー「あまり派手なことはしないで。さっき入ってきあ、あー、頭までフードを被った人もいるのだし……魔女、なのよね、きっと」
魔女「――」
ロン「アンブリッジババア蛙かな、と思ったけど、あいつはもっとちっこいよな。あいつの存在価値くらい」
ハーマイオニー「まぁ、あの女蛙が現れたところで私たちを止めることはできないのだけどね。『ホッグズ・ヘッド』が生徒の入店禁止なんて校則のどこにもないし、フリットウィック先生も大丈夫だとおっしゃっていたわ。ヤギは連れて行くな、って言われたけど……」
ハニー「あら、うっかり連れて来てしまったわね」
バーテン「!!」ガタッ!!
ロン「ヤギはヤギでもハニーのヤギだけどね! なんだ、あのバーテン。すごいこっち睨んでる、マーリンの髭」
ハーマイオニー「一瞬凄く期待した眼をしたあと怒ったようににらまれているわね……」
ハニー「ほんと、ひっぱたきたいわ無性に。なんなのかしらあのバーテン……」
ハーマイオニー「癇癪どころではないわ、ハニー。えぇっと、そろそろ話をした人たちも到着すると思うわ」
ロン「何人くらい呼んだんだい?反吐を巻き散らすのを平行してたってことは、そりゃもう全校生徒の勢いなのかな」
ハーマイオニー「『S.P.E.W』! そんな派手なことできないわよ、もう。ほんの数人よ、数える程度……ほら、今来たようだわ」
ベェェェェエエ
ガヤガヤガヤガヤガヤ
ゾロゾロゾロゾロゾロ
フレッド「おぉーっとはなたれ坊やに才女様、それにこの場に相応しくない女王の君、待たせて悪いな。僕ら双子に、鈍行集団の到着でござーい」
ジョージ「おっと遅いじゃないかって文句を放つのはなしだぜ?僕らは買い物の後このどん詰りの場所を知らない奴らを案内してきたんだからさ」
ネビル「ヒンヒン!あぁ、こんなうすっきたない部屋にハニーがいるなんてなんてことだろ!」
ディーン「ヒンヒン!いや、むしろそのおかげでハニーのすばらしさが引き立ってんだろ!」
リー「ふざけんなそんなの周知の事実だろ今更何言ってんだ!ヒンヒン!」
ラベンダー「あー……ハァイ」
パーバティ「ハァイ、ハニー」
パドマ「何故だか初めまして、パーバティの双子のパドマよ」
ゾロゾロゾロ
ガヤガヤガヤガヤ
ロン「……おいおい、まだまだいるぜ。君にしては、あー、随分派手な計算違いみたいだね?」
ハーマイオニー「予想外、って言うのよ、えぇ」
チョウ「ほら、マリエッタこっちこっち。平気よ、きっとヤギのお乳とか美味しいものが飲めそうじゃない?だから付き合って、ね?――こんにちわ、ハニー」
マリエッタ「……なんで私まで、もう」
アンジェリーナ「やぁ、ポッター。まったく、ここまでくると呆れる通り越して乗っかりたくなったよ」
ケイティ「ヤギくさい!」
アリシア「ヤギくさい!」
コリン「記念すべき第一回を写真に収めていいかな、ハニー!」
デニス「こっちにも目線ちょうだい、ハニー!」
アーニー「ハニーの豚として慎みたまえよ君たち!」
ジャスティン「まったくだ!三点倒立土下座は僕の技だから教えかねるよ!」
ハンナ「ヤギくさい!」
ハッフルパフ女生徒「ヤギくさい!」
ハッフルパフ男生徒「ヤギくさい!」
レイブンクロー男生徒「「「やぎくさい!」」」
ジニー「こんにちわおねぇさま!これで全員……あら!ルーナ、あなたも?」
ルーナ「? みんなヤギ好きなんだ、へぇ、知らなかった。他に人がいるところ初めて見たもン」
ハニー「あなた普通に客なのね……普通じゃないけれど」
ルーナ「あんたに言われたくないな――なぁに?秘密組織の集会?へんてこだね」
ハニー「それこそ言われたくないわ」
ザワザワザワザワ
ガヤガヤガヤ
フレッド「イチネイプ、ニネイプ、サンネイプ、死ねイプ……ニジュウゴネイプか。おい爺さん、バタービールを二十五本頼むよ」
ジョージ「みんなあとで金払えよな、一人ニネイプシックル。流石の僕らも全員に奢るだけの金貨や甲斐性は持ち合わせてないさ」
ハニー「……なんでその数え方……っ、それはいいわ。ハーマイオニー、どういうこと?一体みんなに、何と言ったの?どうしてこんなにたくさん……」
ハーマイオニー「言ったじゃない、あなたの話を聞きたい人は思っているより大勢いる、って――私の思っていたよりも、だったみたいだけど」
ロン「まったく君の先見の明ったらないよな。おっと、ハニー。予想してなかった人数に緊張かい?」
ハニー「馬鹿言わないで、ロン。この私が緊張?退屈も体重計もないこの場で?たったこれだけの人数相手に、そんなもの――」
ロン「あぁハニーごめんよハニー!愚問だったね!でもさ、ちょっと試しに手のひらにこうね?」
ハニー「『人』だの『水』だの『馬』だの書いて飲み込むんでしょう知っているわよ、何回やったと――うるさいわねこの豚!」
ロン「いや、『犬』って書いてみなよ」
ハニー「……みんな、集まってくれて感謝するわ。当然、私のもとに人類どころか非生物まで跪くのは当然のことだけれど!」
ヒンヒーン! ザワザワガヤガヤ
ハーマイオニー「……しばらく使えそうね」
ロン「スナッフル様様だよな、うん。マーリンの髭」
ハーマイオニー「ハニー、あなたはまだ何も喋らなくていいわ。説明は私が」
ハニー「そう、頼んであげるわ」
ハーマイオニー「はいはい。えーっ、と、みんな本当に集まってくれてありがとう。それじゃ、どういう経緯で耳に入ったにしろ、ここに集まった人たちは私たちの考えに賛同してくれる、と思っていいのよね?」
ロン「ハニーの言葉は僕ら豚にとっては脳からの伝達より優先されるからね。脊髄反射ならぬハニ豚反射さ」
ハーマイオニー「合いの手をありがとう。 『闇の魔術に対する防衛術』を自習する、っていうことは、とても大事だと思うの。つまり、アンブリッジ、あの女蛙の授業では何も学べないから、そう思います」
アンソニー「いいぞいいぞとアンソニー・ゴールドスタインは言いました!」
ハーマイオニー「合いの手と謎の自己紹介をありがとう。それで、つまりこれは適切な自己防衛を学ぶということであり、単なる理論でなく――」
「でも君、OWLも――」
ジニー「マイケル、マイケル・コーナー!ハーマイオニーひいてはおねぇさまの大事な話を遮らないの!」
マイケル「あっとごめんよジニー……でもえっと、君はOWLを通りたいっていうのもあるんだろ?」
ハーマイオニー「勿論よ、むしろパスしたくないなんて言う人がいるのならお目にかかりたいわ。だけど、それ以上に私はきちんと身を護る訓練を受けたいの。置いていかれないように、しっかり着いていけるように。なぜなら……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「なぜなら、ヴォルデモート卿が復活したから、よ」
マリエッタ「キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
チョウ「ま、マリエッタ落ち着いて!」
ザワザワザワザワ
ネビル「っひ……っ、ひ、ヒンヒン!あー、えっと、このバタービール美味しいね!うん!」
ロン「あぁ、よく叫ぶのを耐えたぜネビル。漢だ、漢だね君は。誰も手をつけてないこの店の古すぎるのがみるだけで分かるそいつをあおるしな」
ネビル「うわぁあああんウェエエエエエエ!!」
ハーマイオニー「みんな、ハニーの方を期待した眼で見ているということは、そのあたりを考えていたと思っていいのよね?」
ハニー「私に向けるのは尊敬のまなざしだけで結構よ」
ハーマイオニー「それはもうあると思うわ。えーっと、とにかくそういう計画です。みんなが一緒にやりたければ――」
ハッフルパフ男生徒「でも、『例のあの人』が復活したって証拠がどこにあるんだ?」
ハーマイオニー「――まず、ダンブルドアそう信じて――」
ハッフルパフ男生徒「ダンブルドアがその子を信じてるって意味だろ?そんなの証拠って言えない――」
ロン「なんだよ名前も知らない野郎が僕らのハーマイオニーの話を遮るんじゃないよなんなんだよお前、誰だよまず!名乗れよ!豚以下かよ!!!」
ザガリアス「……ザガリアス・スミ――」
ロン「よーし分かったヘイザグリー!君が何を期待してるか知ったこっちゃないけどね、君がダンブルドアの言った事が信じられないならどうして僕らの言葉を信じられるっていうんだい?生憎僕ときたらOWL全教科がけっぷちのマーリンの髭さ。マーリン顔まけとか言われてるダンブルドア以上のことなんて話せないね」
ザガリアス「……僕が知りたいのはセドリックがあの場でどんな目にあったのかってこと、それに、聞いてるのは君なんかじゃなくてそっちの――」
ロン「この集まりの主旨も理解できてないならヤギの乳でも飲んでろよ、ひょっとしてそっちのお客さんかい?」
ザガリアス「……」
ロン「ハーマイオニー、つづけて」
ハーマイオニー「あっ、えっと、ありがとう。あー、今日は、そう。ハニーが何を見たのか、とか、ダンブルドアのことについて意見を交わす場ではないと改めて言わせてもらいます。それを期待していたなら、えーっと、かえってもらったほうがいいわ」
フレッド「どうやらみーんなその気はないみたいだぜ才女様?もっとも、すこーし思っちゃいたようだがね」
ジョージ「ザガリー、君もちょびっと噛み付いてみたかっただけなんだろ?え?話す機会なんてないもんな」
ザガリアス「……とりあえずザガリーはやめろよ!」
ハーマイオニー「じゃぁ、色々と決めないといけないわ。どんなことを教えるか、とか」
ハッフルパフ女生徒「……本当なの?守護霊を創り出せるって?」
ハニー「? えぇ、そうよ。あなた……」
ハッフルパフ女生徒「有体の守護霊を?」
ハニー「あなた……魔法省にお勤めのマダム・ボーンズを知ってる?」
スーザン「私の叔母よ、私はスーザン・ボーンズ。あなたの尋問の事、聞いたわ。今年の夏、有体の守護霊で吸魂鬼を二人もやっつけた、って。えーっと……なんのことだかなんだけど、眼鏡の守護霊?」
ハニー「えぇ、そうよ」
ザワザワザワザワ
眼鏡……?
リー「なんてこった!そんな大一番を実況できなかったなんて!ヒンヒン!」
テリー「それに、君はあの『秘密の部屋』の事件も解決したってこと、みんなが知ってるよとテリー・ブートも言いました!」
ハニー「ええ、そうね――私だけの力ではないけれど」
ザワザワザワザワ
ネビル「それに、それにさ!一年生の時は、『例のあの人』と対決して『例のあの石』を守ったよ!ハニーってすごいや!ヒンヒン!」
ハニー「最終的にはダンブルドアが出張ったけれど――」
ガヤガヤガヤガヤ
ハンナ「あれって、ほんとのことだったのね!すごいわ!」
チョウ「それに、まだあるわ。ハニーが去年『三大魔法学校対抗試合』でどれだけ素晴らしい成果を見せたか、みんな覚えてるでしょ?私、第一の課題の飛びっぷり、とっても好きだったわ!」
ジャスティン「そうだそうだ!ヒンヒン!」
ロン「僕もあの時目が覚めたしね!あぁハニー、抑えないで得意顔をしていいと思うよハニー!なにせ憧れなチョなんとかさんに褒められたんだしね痛い!ありがとう!」
ハニー「さっきのことで褒めてあげようと思ったけれど帳消しよ……みんな、聞いて頂戴。そうやって並べられるとなんだか凄いことをしてきたように思うかもしれないわ。でも、私は、あー、色々とそういうことを助けてもらって――」
ネビル「そんなことないよハニー!ドラゴンの時の飛行は本当に、かっこよかった!それがなくても高貴で可憐だけど!ヒンヒン!」
ハニー「えぇ、知ってるわ。あー、飛んでからはそうだけれど――」
スーザン「夏休みも、あなたはマグルのいとこと二人だけだった、って聞いたわ」
アーニー「! あの恨んでるってはずのいとこを!?あぁ、あなたは女神だよハニー!ヒンヒン!」
ハニー「恨んでなんてとっくにいないわよ、ってば。あー、そうね、あれは確かにそうだったわ。でも――」
ザガリアス「君、のらりくらりって僕らに結局そういうことを教えないつもりなのかい?だったら本当にこの集まりはなんの――」
ロン「いいこと教えてやるよザガリー、減らず口閉じとけ。いいかい、これは君のために言ってやるんだ」
ザガリアス「だって、ポッターはそんなこと出来やしないって言うじゃないk――」
フレッド「んなこと言っちゃいないさ。オーケーザガリー、ちょっとこっちこい。お前みたいな頭でっかち口出しクソ野郎を見てるとうちの石頭を思い出してどうにもイライラすんだ」
ジョージ「耳のあなザックリとかっぽじってやるよ、今日買ったばっかりのこいつでな。なーに、耳クソ以外でもなんでも取るぜ?こいつは別にどこに突き刺したってかまわないんだ」
ザガリアス「!?う、うわ、やめ、やめろ、や、ごめん!僕がわる、うわああああああああ!!」
ロン「だから言ったんだよ、マーリンの髭」
ハーマイオニー「えーっと、ザガリアス、話を進めていいかしら?」
ザガリアス「ハイ、モウナニモ イイマセン」
フレッド「こいつはもう茶々いれないさ。お墨付きだぜ俺達のな」
ジョージ「隅っこで体育座りしかできないだろうさ、もちの豚で」
ロン「ハニー以外が豚って言うなよ。そんじゃ、ハニーの素晴らしい所を上げていく作業にもどろうかみんな」
ハーマイオニー「その時間でもないから後にして。えーっと、要するにみんな、ハニーからそういう術を学びたい、そう思っているということでいいのよね?」
テリー「Yeah」
アンソニー「HAHAHA」
ハーマイオニー「違うベクトルで腹の立つ合いの手をありがとう。それじゃ、次はどのくらいの頻度で集まるか、ね。少なくとも週に一回は集まらないと、意味がないと思うわ」
ジャスティン「何を言うのさ!ハニーに会える機会なら毎日だって設けてほしいな、僕は!」
アンジェリーナ「待った、待った。クィディッチの練習とかち合うのは勘弁してくれよ。今年も私たちが優勝杯をいただくにしろ、練習できないのはダメだ」
チョウ「あら、それなら競技場の予約をレイブンクローに譲ってくれない? 私たちの練習とも重ならないようにお願いしたいわ」
ザガリアス「アッ、ボクモ、オネガイシマ……スイマセン」
ハーマイオニー「は、はいはい。あなた選手だったのね……どこかみんなに都合のいい夜があるはずだと思うわ。でも、いい?あまりにみんなの都合に合わせていくわけにもいかないの。これはとっても、たいせつな集まりなんだもの」
アーニー「アーニーそのとおり!個人的には、僕はこれが今年僕達のやることでは一番大切だと思う!ハニーに付き従うことの次に!」
ロン「そうだそうだ!」
ネビル「よく言ったこの豚!」
アーニー「ありがとう同胞諸君!個人的にはぼくは魔法省がどうしてあのカエルババアを派遣したのか理解に苦しむ!『あの人』を否定するだけならまだしも、僕らが防衛呪文を使うことを禁じる先生をよこすなんて、あってはならない!」
ハーマイオニー「それはね、アーニー……魔法省は、ダンブルドアがホグワーツで私設軍隊を作って魔法省に楯突くつもりだ、って被害妄想になっているからなの」
ザワザワザワ ガヤガヤ
ジニー「あっきれた。そんなバカなこと考えてるの、あの能無し!」
ルーナ「でも、それつじつまがあうよ。だってファッジだって私設軍団をもってるもン」
ハニー「……なんですって?」
ルーナ「先々週の号で特集だったんだ。うん、火の精『ヘリオパス』の軍隊を持ってるの、コーネリウス・ファッジって」
ハーマイオニー「ハニー、相手にしないで……ルーナ、お願いだから実在するものの話で進めていただける?今は絵空事や机上の空論やあなたの夢物語を発表する場ではないの――!」
ルーナ「あら、いるよ。いるもン!目撃者の話だってたっくさんあるよ、でもそうだね、あんたの中ではいないのかもしれない。だってあんたって頭が固いから、自分の眼でみないと――」
ジニー「エヘンッ、エヘンッ!」
ハーマイオニー「!? あ、あぁ、ジニー、あなた?」
ジニー「ミス・グレンジャー?お話を進めていただけますかしら♪」
フレッド「っひゅー、やるねぇジニー、あんのババアの咳払いにそっくりそのままだった」
ジョージ「思わずザガリーを投げつけてみんなをそっくり逃がす準備をするとこだったぜ」
ハニー「……ジニー、ふとももが痛むから今の真似は禁止よ、いいわね?」
ジニー「おねぇさまが言うなら呼吸だって!ふともも?昨日は寝室が激しかったの?いいなぁ」
ハーマイオニー「オホンッ!ゴホンッ!えーっと、それで。頻度については」
ロン「ヒン度だね」
ハーマイオニー「うるさいわ。クィディッチの練習日程をそれぞれ後で教えて頂戴、それから組み立てることにするわ。あとの問題は、どこで教えるのか、ということなんだけど……案はあるかしら」
ザワザワザワザワ
ケイティ・アリシア「「図書館は?あっ、ケイシア被ってごめんなさい」」
アンジェリーナ「二人とも、たまには一人ひとりはっきり喋っていいんだよ?え?もっと前に、ほら、ね?」
フレッド「だってよジョージ、たまにはバラけるか?え?」
ジョージ「そうだな、なんとなくイヤな感じがするが一つ程」
ハーマイオニー「そっちの双子はそれ以上自己主張必要ないでしょ」
ハニー「図書館は……広さはあるけれど、私達がそこで呪いをかけあっていてはマダム・ピンスがいい顔しないわ」
ディーン「使ってない教室はどうだろう!ヒンヒン!」
ロン「あー、そういや一昨年だか去年だかにハーマイオニーや僕らにマクゴナガルが空き教室を貸してくれてたっけ?」
ハーマイオニー「今回の目的ではとても無理だと思うわ……」
ハニー「今度こそ、私が生姜ビスケットに変えられてしまうわね、えぇ」
ロン「あぁハニー!そうなったら僕は君を永久保存する缶になるよ!漢ならぬ缶にね!もちのロンさ!」
ハーマイオニー「それじゃ、場所も色々と考えておくことにして……今日はこのくらいでお開きにしましょうか」
ロン「ハニーへの抑えきれない想いを無理やり閉じ込めている鎖を?」
ハーマイオニー「常時解放してるでしょあなた。えーっと、それで……今日集まってくれた人を確認したい、という意味でこれに名前を書いてほしいのだけど」
ルーナ「? じゃあ、ただの羊皮紙でいいんじゃないの?」
ハーマイオニー「あー……分かったわ、フェアじゃないから言うわね。ここに名前を書けば、ここ私たちがしていることを誰にもいいふらさないと約束したことになるの。それを、分かっていてほしいわ」
フレッド「おいおい、才女様らしからぬしち面倒くさい物言いだな、え?」
ジョージ「いいねぇ、物々しくってさ。ここに名前を書きゃいいのかい?」
ハーマイオニー「えぇ、ありがとう二人とも。さぁ、アーニー?」
アーニー「あっ、あー……あのさ、僕はほら、あー……監督生だし、もしもアンブリッジにこのリストがばれた時、ほら、普通より重い処罰になったり、するんじゃ……」
ハニー「アーニー……?」
アーニー「ヒンヒン!!愚問でしたハニー!僕はあなたに従いますそうだろ諸君!!!」
ハーマイオニー「すぐさま心変わりしていただいてありがたいことだわ、えぇ。他の人たちにも、私から約束します。あの性悪女蛙にこのリストが渡るなんてことには絶対にならないわ」
ロン「まさかその辺におきっぱなしにするわきゃないだろ、なぁ? さっ、みんな書いっちまえよ。名前と、あとそうだな、ハニーへの一言とか。論文でもいいぜ」
ハーマイオニー「無駄に長くして紛失の恐れを増長させないでもらえる?」
ロン「あっ、豚どもは『ヒンヒン』でいいぜ?僕なら誰のどんなことか分かるし」
ハーマイオニー「……文字媒体にまで!?!?!?」
フレッド「さーてと、それじゃ残りの輝かしい休日を楽しむとしようか、失敬」
ジョージ「『ゾンコの店』で訳ありの物を仕入れなくちゃいけないしな。失礼」
ベェェェエエエエ
ゾロゾロゾロ ガヤガヤガヤ
ハニー「……何とか終わったわね。あぁ、そんなに喋らなかったのに疲れてしまったわ」
ロン「みんなの話題になるのは慣れてても君基本あがり症で痛い!ありがとう!」
ハーマイオニー「あなたもはやわざと煽ってるでしょう……ああ、ラベンダー。来てくれてありがとう」
ラベンダー「こっちこそ。ハニー、新学期は疑ってごめんなさいね」
ハニー「いいのよ、気にしてないから」
ラベンダー「百合って正義よね、ってことにようやく気づいたの」
ハニー「……あなた、クィディッチ選手とか好きかしら」
ラベンダー「?えぇ、それはもう!だって私ミーハーだもの!じゃ!パーバティと画材の補充にいかなきゃ!」
ハニー「……いっそ清清しいわね、あの紳士といい」
マリエッタ「……チョウ、早くしてよ」
チョウ「えーっと、待っていてね?あの、なんでかな、鞄が上手く閉まらなくって、あぁ、なんでかしら――」
マリエッタ「……チッ」
チョウ「そ、そんなに不機嫌にならないでよ。ねっ、これから二人でお茶しましょ?」
マリエッタ「……じゃぁそれこそ早くしてよ」
チョウ「あー、はいはい……それじゃ、ハニー。バイバイ」
ハニー「! えぇ、また」
ベェェェエエエエ バタンッ
ロン「チョウのやつ、不自然にここに居残ろうとしてたよな。なんでだろうね、誰かと話したかったのかな、なーんてね」
ハーマイオニー「……憧れる人から憧れられて良かったわね、ハニー?」
ハニー「そんなのではないわ。言っているじゃない、私が憧れる?冗談、私が目指す存在はパパとママの二人きりよ……でも」
『 チョウ・チャン ハニー、頑張って♪』
ハニー「……悪い気はしないわね、ええ。豚にしてあげても、いいくらいだわ!それはもうね」
ロン「……」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……ニヤニヤしないの!」
ハーマイオニー「人数も集まったし、それにみんな最終的にはちゃんと話を聞いてくれたわ。なかなかうまくいったわね」
ロン「あのザガリーって奴に声をかけたのだけは間違いだと僕ぁ思うね。まぁ、うん、最終的に」
『ザガリアス・スミスイマセン』
ロン「こんなんなったけど」
ハーマイオニー「……あー、確かに良い人だとはいえないわ。でも、アーニーたちに話している時に丁度通りかかって、興味を持っていたから……それに、あのバッジをつけていたのだもの」
ハニー「……セドリックのバッジ、ね」
ハーマイオニー「そう、だから力になってくれると思ったの。思った以上に捻くれてはいたけど……人数が多いのはいいことだわ、えぇ。例えばマイケル・コーナーなんかは、ジニーと付き合っていなければきっと友達も誘えなかったと――」
ロン「」
ハーマイオニー「……あっ」
ハニー「……ハーマイオニー」
ハーマイオニー「ご、ごめんなさい、だって……あー」
ロン「おい、おい、おい。ハーマイオニー、今なんて?」
ハーマイオニー「……ジニーは、そうね。先学期の終わり頃から、マイケルと付き合っているの……気がつかなかった?」
ハニー「あなたのことだから、妹のそういう事情も察していることと思っていたのだけれど?ハーマイオニーの読みの方が当たったわね、流石」
ロン「ご、ごめんよハニー、ジニーとの定期連絡、定期ヒン絡は君のことばっかだし……えっ?えっ?だってほら、あー……マイケルってのは、ジニーのどっちに立ってた奴だっけ?」
ハーマイオニー「……右となりの、髪が茶色い方よ」
ロン「へぇ!あんな気に食わないのとなんてまったくマーリンの髭だね!反対の方の奴ならまだしも――」
ハーマイオニー「……ごめんなさい、勘違いだったわ。マイケルは左となりの黒髪よ、まさしくその人」
ロン「まだ下には下がいるだろうねそれはまさに黒髪のそいつさ!って言いたかったのさ!やっぱりだ!!マーリンの髭!!」
ハーマイオニー「……これだから、ジニーはロンに教えたがらなかったのよ。くどくどお説教するのはやめて頂戴よ?」
ロン「くどくど?誰が!いいか、僕はハニーの豚としての戒律に基づいてジニーを説得するだけであって!説教?ハッハッハ、マーリンの……」
ハニー「ロン」
ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!僕のハニー!」
ハニー「家族の門出をお祝いできない人は、嫌いよ」
ロン「やったぜジニーおめっとさん!!!!今夜はドビーに頼んで赤飯だ!!!やれ嬉しや!!!!!」
ハーマイオニー「……これだから、ジニーはロンに教えたがらなかったのよ、もう」
日曜日
クィディッチ練習明け
ハニー「『ナマケモノ型グリップロール』は、箒を斜めに下降させるのと合わせれば身体が浮いてやり易いのよ、って、何度も言っているじゃないの、ロン。出来る豚のあなたにしては覚えが悪いわね」
ロン「いやハニーそりゃ飛行バカの君だからそうなんだろうけどさ、そんな状態で箒からぶら下がるのをやり易いってまったくマーリンの髭だよ――あれ?なんだろ、夕暮れだってのに談話室のこの騒ぎ」
ザワザワザワザワ ガヤガヤガヤガヤ
ハニー「私を讃えるお祭りかしら」
ロン「なんてこった昨日の前夜祭に参加してないよ……みんな掲示板を見てるみたいだね」
ハニー「そのようね。何かしら、朝まで貼ってあった掲示物の上から、でかでかと何か新しい掲示が貼り出されて……」
ロン「こっからじゃよくわからないね。おーい、一番前の豚……ネビルか!ハニーが何の掲示だってさ!ヒンヒン!」
ネビル「!ヒンヒン!あぁハニー!あのババア蛙が、新しい教育令だかなんだかを発表したんだってさ!吐き気がするね!ウェ!」
ハニー「! 通して、ちょっと通して……『ホグワーツ高等尋問官令――教育令第二十四条に基づき、学生による組織、団体、チーム、グループ、クラブ、群れなどはここにすべて解散される』……なによ、これ」
ロン「おいおい、まさかこの『群れ』って僕らのことじゃないだろうな。ハニー以外が僕らを豚扱いすんなよ」
ハニー「『再結成の許可は高等尋問官(アンブリッジ教授)に届出をし、承認なしに結成した場合はそれに属する生徒は退学処分となる』……まるで、というかそのまま、私たちの集まりを意識したような文面ね」
ロン「あのババアが知ってるってことかい? まさか」
ハニー「……あそこに集まった、誰かが垂れ込んだのかもしれないわ。私を、褒めるフリをして」
ロン「屠殺もんだね、そりゃ……まてよ!もしかして!」
ハニー「えぇ、でもスリザリン生徒でもないのに一体誰――」
ロン「マイケル・コーナーだよ!うん!そうに違いない!あんにゃろ、怪しいと思ってたんだ!」
ハニー「ロン。赤飯に特大ケーキにマイケルを胴上げまでしてジニーにこっぴどく呪われておいて、あなたね」
ロン「僕ぁまだ君がたまに二人に見えるよ、あぁ、天国だねここは」
ハーマイオニー「あら、二人ともおかえりなさい。今日の練習は少しは実りあったの?」
ロン「あの掲示の文字よりよっぽどね、すこーしだけだけどさ。あれ、見たかい?え?」
ハーマイオニー「……マクゴナガル先生が青筋立てながら貼り付けるのを見ていたわ。急遽決定したことなんでしょうね」
ハニー「誰かがあの人?に喋ってしまった、そういうことだと思う?」
ハーマイオニー「それは、ないわ」
ロン「おい、おいハーマイオニー。いっくら君自身が名誉を重んじる信用おけるとびっきりの監督生様だからって言ってさぁ、ハニーはそれを上回る清廉潔白な人類の鑑だけど」
ハニー「そうね、誰もが目指すべきね、えぇ。ハーマイオニーはそのままで十分魅力的だけれどね」
ロン「でもさ、ハーマイオニー?みんながみんな君のようなわけじゃ――」
ハーマイオニー「私の確認した限りではいないわ。それに、あの中に密告した人がいたのなら明日の朝食で一目瞭然よ。私、あの羊皮紙に呪いをかけたもの」
ロン「……なんだって?」
ハーマイオニー「呪い、よ。あー、こう言えばいいかな……アンブリッジに告げ口した人があの中にいるとしたら、きっと鏡を見るたびに後悔するはめになるわ」
ロン「……あのババアの顔になるのかい!?」
ハーマイオニー「そんなの最早分類は闇の呪いだわ」
翌朝
大広間
ロン「痘痕っぽいやつはどこにもいないなぁ」
ハニー「アーニーや、ザガリアス、それに、チョウもそのお友達も普通ね……何か、話し込んではいるようだけれど」
ハーマイオニー「どうやら怪しかったあのマリエッタも違うのね……掲示は全寮に貼り出されたようだもの、その話をしているのじゃないかしら」
ハニー「……もう来ないと思う?」
ロン「他の寮の連中にとっちゃ君に会える数少ないチャンスだぜ?そんなわけないさハニー、さっ、気にせず朝食のパンでも、ちぎって僕の方に放っておくれよ!ヒンヒン!」
ハニー「あら、いつから私に勝手にお願いできる立場になったのかしら?」
アンジェリーナ「癪だけどお願いするよ、ポッター!」
ハニー「!? アンジェリーナ!? えーっと、あなたも、豚に?」
アンジェリーナ「そうじゃない、そうじゃない!気づいたか、あの教育なんちゃら第なんちゃら号は!」
ハーマイオニー「……アンジェリーナってそんなに、あー、勉強ができない人ではなかったわよね?」
ロン「やっぱりウッドのクィディッチバカ魂が乗り移っちまってんだよ絶対……あっ、ほんと、来年のハニーどうなっちまうんだろ。ハニーはハニーだけどさ」
ハーマイオニー「燃え上がるのは暗いときだけで十分だわ……」
アンジェリーナ「えぇいそこうるさいな!とにかくあれが、クィディッチチームも一度解散されることに気づいたか!?」
ハニー「……!そんな!」
アンジェリーナ「あぁ、そうなんだ!今朝マクゴナガルと話し合って、そのための書類を書き上げることにしてる。だから、いいかい、ハニー……お願いだから!承認されるまで今度こそ大人しくしてて。いい?じゃないと、っ、私たちプレイできなくなっちゃう!!」
ハニー「分かったわ、分かったから、なきそうな顔しないで――」
アンジェリーナ「よし!それでいい!頼むよ!それじゃ! 次は双子だ!アリシア!目薬切れてない!?ケイティ!迫るの今の感じでいいかな!?」
ハニー「……普通に説得したって応じるわよ!!!もう!!!!」
ロン「なんだっけ、グリフィンドールの三人娘?」
ハーマイオニー「変なところでも息ピッタリなのね」
『魔法史』
ビンズ「~~であるからして」
ロン「Zzz……うーん、ハーマイオニー、違うんだ、やめ、ちが、うーん……Zzz……やめっ、たのむよ、まだ僕明日のお日様ひな菊とろけたバターを拝みたいよ……Zzz」
ハニー「ほんともう、夢でまであなたにどんな失礼をしているのかしらね、ロンったら」
ハーマイオニー「あなた、こそ、んっ、今現在何を、してる、のっ!ハニー、今授業ちゅ、あぁっ」
ハニー「だって折角上手くいったと思ったのに、あんなことがあって、なんだか少し裏切られた気分になって……あなたは私に嘘をつかないでしょ?ねぇ、ハーマイオニー?素直に、なって……?」
ハーマイオニー「あぁ、そんな、ハニー、あなたにそんなこと言われたら、私、そんな、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店にある書物より正確に……っ! ハニー、ふく、ふくろうだわ!」
ハニー「? どうしたの、いつものようなキレが……」
ハーマイオニー「い、いいから、その、後で!窓を見て……あなたの、白豚よ!」
ハニー「私以外が豚と呼ぶのは――あぁ、なんてこと――ヘドウィグ!あなた、怪我……!」
ヘドウィグ「ピィーヒン……」
ロン「――襲われただって!?」
ハーマイオニー「思わぬ角度から突っ込んでこないで、物理的にも常識的にも」
職員室
ガーゴイル「おいおいメスガキ、お前はまだ授業中だと思うんだがな」
ハニー「いつから職員室に石像が……緊急なのよ!通して頂戴!」
ガーゴイル「緊急、そうかい。そんじゃおれの出番なんてあるわけないよな。いいぜ、丁度昼寝がしたかったところだ。雄牛が突っ込んでも来ない限り、おれは動かないことにしよう」
ハニー「そうしなさい!」
ドンドンドンッ!
ガチャッ
マクゴナガル「なんです、騒々しい……ポッター?」
ハニー「先生、緊急の用事――」
マクゴナガル「!まさか、あなたはまた罰則を!?」
ハニー「違うわ!違うの!グラプリー=プランク先生を探して!本当は、本当はハグリッドに見てもらいたくて、彼の小屋まで行ったけれど、まだ、帰っていなくって!」
マクゴナガル「それは……ポッター、この荒れ模様の天気にあそこまで?何をそんなに」
ハニー「わたしのふくろうが、わたし、っ、助けてあげてほしく、っ、ヘドウィグが、怪我を……!」
プランク「手負いのふくろう、そう言ったかい?え?おやおや、びしょぬれで病人みたいな随分大きい梟だぁね」
ハニー「っ!診て、あげて!お願い、この子、朝の配達の時間から随分遅れて……何かに襲われたようで、たくさん怪我、この子、わたしの大事な……!」
マクゴナガル「落ち着きなさい、ポッター。大丈夫です、死にいく目はしていません……襲われた?」
プランク「さーて、ね。何に襲われたんだか……野生のセストラルは鳥を襲う習性があるが、ここのはハグリッドがしっかりしつけとるからありえない。ふむ、翼が折れとるね。数日は安静、だがすぐに治るさね」
ハニー「ほんとう!?なんとも、ないの……良かった」
マクゴナガル「先生の腕を信じなさい、ポッター。さぁ、生姜ビスケットです、例の如く」
ハニー「えぇ、ありがとう……あたたまりますわ」
マクゴナガル「それはそうでしょう、どれだけ濡れているとお思いです。時に、ポッター? このふくろうは、どこから手紙を?」
ハニー「えっ……えぇ、そうね。きっとロンドンから、そう思うわ。他にあては、ないもの……」
マクゴナガル「……誰から、とは聞きません。よいですかポッター……気をつけなさい、ホグワーツを出入りする通信網は見張られている可能性があります」
ハニー「……えっ?」
マクゴナガル「さっ、ウィルヘルミーナ。手当てするにしろ、その手紙をポッターに」
プランク「あぁ、そうさね。ほれ、この患鳥は預かるよ」
ハニー「えぇ、お願い、お願いします、先生……マクゴナガル先生、さっきの事は」
マクゴナガル「十分、注意なさい。さぁ、授業が始まる前に寮に戻ってはどうです?そんな顔ではレディが台無しです、いいですね?」
ハニー「……はい、先生。失礼します」
バタンッ
ハニー「……良かった、本当に、良かったわ……襲った何か、は、とても気になるけれど……そういえば、手紙の方は……」
『今日、同じ時間。同じ場所で 親愛なる君の一等星より』
ハニー「……!!!」
ガチャッ
マクゴナガル「あぁ、そうでしたポッター。クィディッチチームの件で――先ほどまでの心配そうなつつしんだ顔はどこに行ったのです、ポッター。クルクル飛び跳ねて、落ち着きなさい」
ハニー「っ!あの、あー、なんでも!先生!それじゃ!」
マクゴナガル「ポッター!話がまだ……はぁ、若いですね、まったく」
ガーゴイル「あんたとちがってか?」
マクゴナガル「いい度胸です、塵と藻屑、どちらがお望みですか?」
地下牢教室前
ハーマイオニー「そう、シリウスからそんな手紙が……」
ロン「あぁ、だからハニーの常に輝いてる後光が一際光り輝いてるってわけだねヒンヒン!何色かな、ハニーの心境とか髪の色と同じ赤とかピンク痛い!」
ハニー「勘違いしないで。これは前回あんな去り方をしたシリウ、スナッフルを直に問い詰めることができて嬉しい、そうよ、それだけ。そうでしょ?」
ロン「あぁ、そうだねハニー、嬉しい事続きになるといいんだけど、まぁ君がいれば僕ぁ……」
マルフォイ「僕達スリザリンは良いことずくめだろうけど、君達グリフィンドールの出来損ないは不運が続くだろうねぇ、ウィーズリー」
ロン「僕のハニーを讃える台詞を遮るなんて何様だよこのフォイフォイ」
マルフォイ「マルフォイ様だ、当たり前だろう。ほーら、スリザリンチームはアンブリッジ高等尋問官から『クィディッチチームの再結成許可』をもらえたよ。朝一番で、アンブリッジ先生に話をしただけでねぇ」
ハーマイオニー「!おかしいわ!アンジェリーナやマクゴナガル先生は許可を貰うための書類を書いている、って」
マルフォイ「あぁ、つまりそれは君のような出来そこないで力も無い連中の限界ということだろう。僕の父上がどんな人か、今更言う必要もないだろうね?」
ハーマイオニー「屋敷しもべ妖精にボコボコにされた人がなんですって」
ハニー「そのドビーに言わせれば『フォイフォイうるさいクズ』、ね」
ロン「前髪後退してたよな、おっと、君のことじゃないぜ?あくまで君のお父上の方さ」
マルフォイ「黙れ!黙るフォイ!おフォん、とにかくアンブリッジ高等尋問官は僕の父上のことをよーくご存知だ。父上は魔法省に出入り自由だし……おや?ウィーズリー、君のとこはなんの仕事をしてたっけ?」
ロン「お前の家みたいなのを取り締まる仕事だよこんにゃろナメクジを……」
ハーマイオニー「抑えて、抑えてロン!思う壺よ!」
マルフォイ「これじゃ、君達のチームが再開許可をもらえるのは学年末かもしれないな。残念だねぇ、魔法省に務めても万年ヒラな親をもって。父上がおっしゃるには大臣はアーサー・ウィーズリーをクビにする口実を常に探しているというし。なにより、ポッターを聖マンゴ疾患病院に放り込むべきだと思っているしな」
ハニー「そこはなに?私の魅力にあてられた豚が入る場所なのかしら」
ロン「入院手続きしてこなくっちゃな」
マルフォイ「おやおやそんな常識も知らないなんてな、ポッター。あそこは頭がイカレタ特別病棟があるらしいから、君にお似合いだろう?こんな風に、だらしない顔で、フォーイtt」
ネビル「オラァアアアアアアアアアアア!!」バキャァアアアアアア!!!
マルフォイ「うわぁああああああフォィイイイイイ!?!?」
ハニー「!? ね、ネビル!?」
ロン「! よくやったぜネビル!漢だ!漢だね君は!でも顔面グーパンからの顔面蹴たぐりはちょっとヤバイから抑えようかマーリンの髭だぜ!!!」
ガチャッ
スネイプ「入りたまえ……なんだこの騒ぎは。ポッターか、ポッターなのか?」
ハニー「全ての事象の中心にいるのは私の宿命だけれど、うるさいわ。ネビル、大人しく、っ、しなさい!」
ネビル「聖……マンゴ!おかしくない、やっつけてやる、あのフォイフォイ、毛根死滅させて、あいつめ……!」
ロン「そりゃほっときゃいつかそうなるだろうよ」
ハーマイオニー「あー、ネビル?ハニーに腕を掴まれているわよ?」
ネビル「! ヒンヒン!あぁ!ハニーの手って柔らかうわあああああ何で僕の手真っ赤なの!?!?ハニー色だ!!すごい!」
ロン「そりゃマルフォイの野郎の返り血だからハニー色は撤回するべきだと思うね僕ぁ」
マルフォイ「ぐっ、ふっ、ずねいぷ、先生。医務室に行ってきます……」
スネイプ「そうしたまえ……ロングボトム、無意味な喧嘩にグリフィンドールから10点減点、そして罰則を――」
ネビル「望むところだ!悔いは無いやい!この童貞!」
スネイプ「むこう一ヶ月、毎晩、カエルの腸をこねくりまわす作業をしてもらう。カエルのな」
ネビル「――――はぃ」
スネイプ「無意味な時間をとらせたことによりグリフィンドールから一〇点減点、ポッター、教授を睨むな二〇点減点」
ロン「ネビルの漢っぷりはいつものことだけどさ。今日のはなんだったんだろうね、おっどろきすぎてマーリンの名前だって忘れっちまいそうさ、僕ぁ」
ハーマイオニー「髭でもながめてなさい。そうね、尋常じゃない、えーっと、怒り方だったわ。ネビルがあんな風になったところ、初めて見たもの」
ハニー「……聖マンゴ」
ロン「あぁ、ハニー病棟がとっても気になるところだね。ベッド空いてるかなぁ」
ハーマイオニー「万年床でしょうね、えぇ。それがどうかしたの、ハニー?」
ハニー「……いいえ。ただ、私の可愛い豚だもの。何か理由があるのよ、そうね、私が知らない、と思っている何かが」
ロン「ちょっと待ってなよハニー!あんにゃろハニーに大して隠し事なんて『豚規定』に反することをあんにゃろうあの豚」
ハーマイオニー「ハニー以外が豚扱いは、なんでしょ?もう」
ハニー「そうよ、ロン。私以外が豚と呼ばないの。それに、豚には豚なりに私が求めるものがあるわ。いつか本人から話すのを待つの、いいわね」
ロン「そりゃもう来世までだって君に言われたら僕は待つけどね……おぉっと、うわぁ、今生を後悔したくなる光景を見ちまったハニーを見ようやったー!生まれてよかったー!ヒンヒン!」
ハーマイオニー「極端も極端よねあなたの神経……アンブリッジが、地下牢教室に入ってきたわ」
ハニー「査察をするようね……ああ、考えうる限り最悪の組み合わせだわ」
アンブリッジ「ごめんあそばせ、スネイプせんせ♪」
スネイプ「……我輩の授業の査察、というお話でしたな?」
アンブリッジ「えぇ、それは……っぷ、オッホホ!我輩?オッホホホホ!面白い方ですのね!」
スネイプ「ロングボトム!罰則は今晩からに変更!カエルを粉みじんにしてもらう!カエルをな!」
ネビル「はい先生!!」
スネイプ「『強化薬』の精製に取り掛かりたまえ。完成した暁には、実験台となる生徒の瞼に落として目がどうなるか経過をみることとする」
ネビル「はい先生!」
スネイプ「誰にとはまだ言っておらんロングボトム、失敗をする自信があるということか、グリフィンドールの態度に五点減点」
アンブリッジ「ふむ、ふむ……厳しい対応、ふむ……エヘンッ、エヘンッ!せんせ♪質問よろしいかしら?」
スネイプ「……なんですかな?」
アンブリッジ「この学年にしては『強化薬』は進みすぎではないかしら?それに、魔法省はこの薬を教材から外すよう検討して――」
スネイプ「進みすぎ、なるほど。我輩の個人的経験としては『OWL』においての『強化薬』の頻出度は我輩の学生時代から高いものでありそれ故教材とするにふさわしいと判断し、また、難易度に関して言えば我輩の授業を正しく理解していた生徒であればこのくらいのものは容易でなければ来年度からの授業を受けられ得ないと考えたのですがな。そして、なるほど、魔法省の指導要綱。して、今の指導要綱では『強化薬』はどうなっておいでなのですかな?あなたの個人的な見解でなく、魔法省の、現在の公式な扱いでは」
アンブリッジ「……なんでもありませんわ」
スネイプ「適切な質問感謝しますな。生徒、取り掛かりたまえ」
ガヤガヤガヤ ザワザワザワ
ロン「理詰めカッコイイと思ってる系の痛い奴だよな。マーリンの髭」
ハニー「どちらが勝つかしら。どちらも応援したくないけれど」
ハーマイオニー「勝ち負けじゃないのよ、ハニー?」
ロン「何言ってんのさハーマイオニー、この結果如何によっちゃスネイプの野郎がやめさせられる可能性もあるんだろ?僕、わざと物凄い間違いをしてあいつの印象を下げようかなぁ」
ハーマイオニー「下がるのはあなたのこれ以上下がりようがなかったはずの成績と追加課題によるやる気だけよ」
ゴポゴポゴポゴポ
シューーーシューーーッ
ハニー「……」
ハーマイオニー「ハニー、ハニー?ちょっと、次に入れるのは『サラマンダーの血液』よ!『ざくろ液』じゃないでしょ!」
ハニー「あっ、えぇ、そうだったわね……」
ロン「スネイプの野郎とアンブリッジババア蛙の動向が気になるのは分かるけどねハニー、君、考え事してると目の前の事でさえ目にはいらなくなるんだからまぁそこも君らしいから僕ぁ」
ハニー「えぇ、ロン。それで、このサラマンダーの血液は、そうね。あなたの口に注げばよかったのかしら?」
ロン「やったぜ!丁度喉が燃えるように乾いてたんだ!頼むよ!」
ハーマイオニー「どうせ回復させるなら頭にしなさい、もう……あっ、アンブリッジが動いたわ」
ロン「なんだい?跳ねでもしたのかい? ほんとだ、またクリップボードにガリガリ書いてたと思ったら、また質問タイムでも始めるのかな。スネイプの奴盛大に噛めばいいのに。『わぎゃ輩』とかってね」
スネイプ「トーマス、なんだねこの魔法薬の色は。よりによってハシバミ、よりによって真逆な――」
アンブリッジ「エヘンッ、エヘンッ! せんせ、二、三質問をよろしいかしら♪」
スネイプ「わぎゃ輩……オホン。我輩に答えられるのことならば。実習も完成間近ですからな、いいでしょう」
ロン「僕、この後の『占い学』に自信ができたよ」
ハニー「その調子で未来で跪くあなたを見てみなさい?」
ハーマイオニー「確定でしょうねそれは誰でも分か、んっ、ちょっと、ハニー、『ざくろ液』はそんなとこ、ちょっ、わざと、んっ!?」
ハニー「さぁ、手元を見ていられないからなんのことだか。そうよね、ロン」
ロン「あぁそりゃもう、どうざれないくらいなんのことなんだかね、うん」
アンブリッジ「さて、あなたはホグワーツで教えてどれくらいになりますの?
スネイプ「十四年」
アンブリッジ「最初は『闇の魔術に対する防衛術』の職に応募したのでしたわね?」
スネイプ「左様」
アンブリッジ「でもうまくいかず、『魔法薬学』の教授になった、と」
スネイプ「あなたの目が確かならばご覧の通り」
アンブリッジ「ですが、毎年『闇の魔術に対する防衛術』の教師への変更の希望を?何故だか毎年いなくなる、務められなくなる、だとかいう前任に代わって?」
スネイプ「この教科は呪われている、などと言われておりますな、えぇ」
ハニー「そういば、ビルがいたときもずーっと、一年もったためしがない、そう言っていたわね」
ハーマイオニー「迷信よ、危険なことが多い教科だもの」
ロン「あぁ、そりゃ、教室の中でご自分が書いた嘘八百のご本を読むのは、ハラハラドキドキだよな。一年も持ちっこないぜ、うん」
ハーマイオニー「ロン」
ロン「や、やめろよ、材料刻むナイフ片手はやめようよだから」
アンブリッジ「ですが毎度うまくいかず、今年に至っては外様のわたくしにその座を取られた、と。今どんなお気持ちですの?」
スネイプ「ロングボトムの罰則を二、三日増やそうそうしようという気持ちですな」
ネビル「わぁいとばっちり」
アンブリッジ「ダンブルドアはどうして一貫してあなたの要望を却下しておいでなのかしら?」
スネイプ「本人にききたまえ」
アンブリッジ「そうしたいところなのですが、毎度毎度一対一でお話しようとしても『右ひざに走る電車が暴れておってのう』だのはぐらかされるのですわ」
スネイプ「……そうまでして、我輩の望みがダンブルドアに退けられることに何か意味があるとでも?」
アンブリッジ「いいぇ、別に。ですがあなたがそうおっしゃるならばそうなのですわね、あなたにとっては?ん?どうですの?」
スネイプ「さて、分かりかねますな――ポッター、この大鍋の中身はなんだね」
ハニー「……あぁ、さぁ?何があったのかしら」
スネイプ「みた所、『サラマンダーの血液』以降の行程がまったくなされていないようだが?その目には黒板の文字も映らないのかね、その目には。さもありなん。グリフィンドールから十点減点!」
『占い学』
ロン「ハニーにまた零点をつけるなんてあのスネイプベタベタ髪野郎!石鹸喉に詰まらせて絶命すればいいのに!マーリンの髭!」
ハニー「課題をこなせばいいだけだもの、あの人のために怒るだけ無駄よ、やめなさい」
ロン「君がそう言うならね……おっと、荒ぶってるのはどうやら僕だけじゃないみたいだ……」
トレローニー「ホーーーォワチャァッ!!」
ディーン「うわ!?『夢のお告げ』の本を、あの位置から投げ渡された!?」
トレローニー「ハァイハイハイハイハイハイハイハイハイーーーッ!」
ドサバタドサドサドサバサバサバサッ!
ラベンダー「せ、せんせい!先生!配るならお手伝いします!ですから投げないで、きゃぁ!?」
ハニー「なんだかまた前とは違う風におかしな――」
ロン「おっと!痛い!マーリンの髭!おいおいおい、ハニーの顔っていう人類の宝に本が直撃したらどうすんだよ!まったく!ハニーの豚でよかったよ、背表紙がみけんに突き刺さるくらいで済んだんだから」
ハニー「豚らしいタフさね、ロン。よくやったわ」
ネビル「ぼ、ぼくも見習わなきゃな――」
トレローニー「ホゥワチャーーーーーーァッ!!!」
ネビル「うわあああああああん!!」
ディーン「ネビルだけ本ごとぶん殴られた!?」
ロン「あいつ、この授業得意じゃないくせに一番前に陣取るから……マーリンの髭だよ全く、豚らしくないね」
トレローニー「さあっ、おやりなさいな!やることは分かっておいででしょ!?わたくしなんかに教わらなくても、それともなんです!?わたくしのようなだめ教師の教え方では、現世の本の開き方も分からなかったとお言いになりますの!?!?」
ラベンダー「せ、せんせい、落ち着いて、落ちついてください」
パーバティ「アロマを、アロマを焚きましょうたっくさん、えぇ」
ロン「やるって、殺るの間違いだろさっきのテンションはさぁ。なんなんだろうね、一体」
ハニー「……査察の結果を受け取ったのじゃないかしら。きっとね」
昼休み
ロン「やぁハーマイオニー、早速だけど今日の『占い学』はサボらなくて正解だったね。君とトレローニーの共通点が見つかったよ」
ハーマイオニー「人類であること以外で?」
ロン「あぁ、驚くべき事にね。あの昆虫ババアも、アンブリッジのことをめたくたに嫌ってるってとこさ」
ハニー「『目の曇った俗人に――あぁ、迫害されるのは『予見者』のいつの世でも――運命<さだめ>』とか、あれからはいつもの調子で嘆いていたわね」
ハーマイオニー「そう、それじゃ、あのインチキ女はよくない評価をされたのね」
ロン「おっと、きみとアンブリッジの共通点にもなるね、こりゃ。あぁ、どうやら停職なんだとさ」
ハーマイオニー「それはお気の毒。あーら、心の目でその未来が見えていたのなら、どうして心構えができていなかったのかしらね。おっどろきだわ」
アンジェリーナ「……そんな君たちに、私からもおっどろきのお知らせだよ。いや、思ったとおり、なのかな」
ハニー「あら、アンジェリーナ……なぁに、沈んで……まさか」
アンジェリーナ「あぁ、そのまさかさ。今夜のクィディッチの練習は、なし」
ハニー「! そんな!だって、アンジェリーナ!私、あの人?にあれから一度も反抗なんてしてないわ!本当よ!信じて?」
アンジェリーナ「分かってる、分かってるわよ。君が理由じゃない、ただ、あのカエルは『考える時間が必要ですわ♪』って……オェッ」
ロン「考える!?ハッ!あいつにそんな脳みそがあるだなんてほーんとおっどろきだね!マーリンの髭!髭!」
ハニー「マルフォイたち、スリザリンチームにはすぐに許可をだしたくせに……本当に、あの、アンブリッジって……!」
ロン「まったくだよ、正確から姿から君とは正反対の、あの性悪の――」
フレッド「おーっと今をときめく監督生さん、よもや教授に罵声なんて浴びせないよな?うん?」
ジョージ「だけどサボるなら力をかすぜ?ゲーゲー吐いて、反吐をあいつに浴びせっちまうか?」
ハーマイオニー「『S.P.E.W』よ! ……それってまさか?」
フレッド「ご明察さ、さっすがグリフィンドール寮の才女様!」
ジョージ『ずる休みスナックボックス』の完成品にござーい!」
放課後
グリフィンドール寮
ザワザワガヤガヤ
フレッド「いいかお集まりの諸君!まず、この二色の砂糖菓子のオレンジ色部分を噛む!すると――オェェェッ」
ジョージ「ってな具合にアンブリッジ面並の吐き気に見舞われるのさ!でも、反対側の紫色の方を食べると――」
フレッド「オェェェッ――たちまち気分爽快!教室から抜け出した後は、君達の思うがまま!」
ジョージ「かたっ苦しい授業から解放されて、思う存分にやりたい放題したい砲台って訳さ!」
ワーーーーワーーー!
やんややんや!!
フレッド「はいはーい、ご予約する子たちはこっちの羊皮紙に名前をどうぞ!大丈夫さ、呪いなんてかかってはいないぜ?」
ジョージ「今金貨を用意できる子には特別サービスで女王カラーの『伸び耳』も付け――えっ?そっちを売れ?参ったなぁ」
ハーマイオニー「……まったく呆れるわ、本当にあんなものを作ってしまうなんて、もう、『S.P.E.W』が、いいえ、反吐が出るわ、全く、まったく!」
ロン「えーっと、鉤爪の分量――あぁ、ハーマイオニー。ブツブツ文句を言うならさ、連中をいつものようにしかりつけにいけばいいじゃないか。それか、僕のレポートの助太刀にかけつければいいじゃないか」
ハーマイオニー「出来ないの。あの二人は今日は自分達でその『何とやら』を食べているし、それに、談話室で売買をしてはいけないって規則もないもの……役にたたない派手なことばかりするんだから」
ハニー「えぇ、世界中笑い飛ばしそうね、二人なら」
ロン「僕の部屋のテディベアとかはもう吹き飛ばさないでほしいけどね、あぁ。蜘蛛足まで生やして。ハニーのためなら僕ぁ天まで飛べるけど。それに、ハーマイオニー?役に立たないだって?連中、もうあれで三〇ガリオンは稼いだぜ?」
ハーマイオニー「OWL一つ取るのにはまだまだ足りないわ。ほら、早くレポートを仕上げなさいよ。ハニーはもう終わるようよ?」
ハニー「当然ね、私だもの。あんな童貞教師の出したものくらいで、ヒーヒー言ったりしないわ」
ロン「あぁそうだろうねハニー!何せ今日の晩にはシリ、スナッフルがやってくるもんだから気合がちがうよねハニー!ヒンヒン!」
ハニー「ロン」
ロン「なんだいハニー!」
ハニー「あの『ずる休みスナックボックス』のオレンジ部分をお腹一杯食べれば、頭もスッキリするんじゃないかしら」
深夜
ポンッ
シリウス「やあ、ハニー」
ハニー「! シリウス!」
クルックシャンクス「ナーーゴ」
シリウス「おや、久しぶりだなクルックシャンクス。ははっ、そんなに近づいては火傷するぞ?ハニー、君もだ。火傷するのは心だけにすればどうだね」
ハニー「っ、だ、誰が、なんのことかしら!ねぇ、ハーマイオニー!?」
ハーマイオニー「えぇ、おかげで胸焼けがしそうだわ、こっちは」
ロン「あぁほんと、マー髭さ」
シリウス「? ロン、あー、痩せたか?うん?どうしたね、体調でも優れないのかい?え?」
ロン「なんでもないよ、ハニーの提案なら僕ぁたとえ内臓でも吐いっちまうよ、もちのロンで」
シリウス「それは殊勝な心がけだな。どうだね、それから」
ハニー「えぇ、上々よ。あー……魔法省が強引につくった法律で、私たちのクィディッチチームが活動できなくなったり、あと――」
シリウス「あぁ、それに、秘密の『闇の魔術防衛』グループが、かい?」
ハニー「!?」
ロン「アッハハハシリウスナニイッテンノサー、あの、あれだ、マーリンの髭でも尻尾に絡まってるんじゃないかい!?」
ハーマイオニー「下手すぎるわロン。あ、えっと、シリウス?どうしてそのことを知っているの!?」
シリウス「会合の場所はもっと慎重に選ばなくてはいけないね。よりによって、『ホッグズ・ヘッド』とは。相変わらずヤギ臭かったか?え?」
ハニー「それはもう。でも、よりによって、って?」
ハーマイオニー「そ、そうよ。少なくとも『三本の箒』よりはましだったわ!あそこはいつも、人が一杯で――」
シリウス「あぁ、それだけ盗み聞きするのも難しいはずなんだがね。すこーし周囲に聞き取り辛くする細工をしておけば、わざわざ他の客の話を聴こうとする人間は滅多にいないさ」
ロン「おっと。ハーマイオニー、君もまだまだ勉強しなくちゃいけないみたいだね、うん。ためしにどうだい、これなんて」
ハーマイオニー「えぇ、どうも。あら、てんでダメなレポートだわね。書き直さなくっちゃ」ビリーーーーッ
ロン「ま、マーリンの髭!!髭!!!!」
ハーマイオニー「一体誰が聞いていたの……って、そうよね。私たちの後に入ってきた、あの魔女……あの人が、騎士団の誰かだったというの?」
シリウス「ご名答さ。あれはマンダンガスだ。あいつ、日頃は任務に消極的なくせに金儲けと女装はやりたがってね」
ハニー「あれが、マンダンガス……でも、そこまでして何のために?」
シリウス「あいつは昔、『ホッグズ・ヘッド』を出入り禁止になってる。あのバーテンは物覚えがよくてね、そこだけは流石と言えるな、うん。だから、君を見張る任務のためにそんな格好をしていたのさ」
ハニー「……相変わらず、私には見張りがついていた、そういうことなのね」
シリウス「あぁ、出来れば、というか、なんとしても私が任務につくいやつかせろ行かせろ止めるなうるさい牙むくぞ、と、暴れ、いや、大人な説得をしたのだがね」
ロン「痛い!ありがとう!ヒンヒン!」
シリウス「君に止められてしまったし、なによりダンブルドアの姿を見てから次の日まで意識が無かったものだから……まったく、大人気ないな、うん。いくつだと思っているんだあの方は」
ハーマイオニー「あなたダンブルドアに向かってさっきの言葉まくしたてたの……?」
シリウス「当たり前だ、私はハニーのためなら何にだって牙をむくさ」
ハニー「っ、そう、そうね。私は、えぇ。あなたの大事な、家族だもの。そうでしょ、シリウスおじさん♪」
シリウス「……ワン、いや、うん。そうだな。ワフン、話を戻そうか。ほねっこのことだがね」
ハーマイオニー「話を戻して」
シリウス「『ホッグズ・ヘッド』のことだがね。見張りをしていて正解だった、ということさ。休暇が始まって君達が真っ先にやったことが、違法なグループの結成だったのだから。あぁ、ハニー。君は私の誇りだな、本当に」
ハニー「っ、~~っ、当然だわ!私だもの、えぇ!もっと誇っていいわね、それで、あー……」
クルックシャンクス「ナーーーン」
シリウス「うん?なんだね、クルックシャンクス。撫でて欲しいのか?はっはっは、お前は甘えんぼうだな、子供のようだ。あぁ、なんだねハニー、すまないね」
ハニー「……」
ハーマイオニー「クルックシャンクス」
クルックシャンクス「!? ナ、ナーーン!」
シリウス「? まぁ、いい。そうだ、これを伝えねば。ロン、君のお母上からの伝言だ」
ロン「? ママから?」
シリウス「あぁ、手紙を書ければいいのだが生憎この内容は知られないように伝えられないし、当番なのでここに来られないものだからと――」
ハニー「当番?」
シリウス「気にしなくて良い、騎士団の何かだ。モリーから、『もっとあとになれば自己防衛を学ぶ時間はゆっくりあるのだから、退学になるような真似はするんじゃありません!』だそうだ」
ロン「……マーリンの髭」
シリウス「全くだ。そして、ハニー、ハーマイオニー、二人にも。『グループをこれ以上進めないように』とのことだ。しかし、二人に関しては自分に指図する権限はない、と認めたうえで『それでも、二人のために良かれと思って言っているのだということを分かって頂戴ね。あと、仲良くね』と」
ハーマイオニー「……おばさま」
ハニー「……仲良く、は、えぇ。勿論だけれど」
シリウス「今度モリーに手紙を書くときにでも、私がきちんと君達に伝えたと言ってくれ。どうにも彼女は私を信用してくれないのでね」
ハニー「それは、残念だけれど。じゃぁ……シリウスは私たちに『もう防衛グループのことはやめにする』、そう言わせたい、の?」
シリウス「私が!? とんでもない!ハニー、ハニー、私はすばらし考えだと思っている、当然だろう?」
ハニー「! ほんと!?」
シリウス「あぁ!君達のしでかしたことを聞いたとき、流石は私のハニーだ!と思ったさ!言っただろう、誇らしいとね!私のハニーはなんて素晴らしいんだろう、おまけに、そうだ、とびきり可愛い」
ロン「そろそろ僕の肩は外れてもおかしくない!本望だけど!ありがとうございます!」
シリウス「私が反対すると?いや、いや、ありえないね。もしも私やムーニー、プロングズ、あとあのネズミが在学中にあのカエルババアが赴任してきたとしたら、私たちも全く同じことをしただろう。もっと酷いかもしれないな。どこぞの眼鏡は論破した上で鏡を常に眼前に固定する呪いでもかけそうだ」
ロン「それいいなぁ!」
ハーマイオニー「喧嘩を売っちゃだめじゃない……あくまで、あくまで私達は自己防衛のグループ、それだけよシリウス」
シリウス「あぁ、とても良い考えだ。今は外からの脅威に身を守るのが何より大事だ。それで退学になろうとも、そうだな、学校にいて何も知らずに安穏としているよりずっといい。そうだろう?」
ハーマイオニー「…………」
シリウス「それで、グループはどんな風に組織するつもりだい。どこに集まるんだ?」
ハニー「それが、目下の所問題なの」
ロン「どこかあてがないかな、広くて、誰も来なさそうな場所」
シリウス「『叫びの屋敷』はどうだ?」
ハーマイオニー「伝わってないのなら教えるのだけど、シリウス。私たち二十八人の大所帯で、そんな人数を夜中にあそこまで隠れて移動させるには『透明テント』でもないといけないわ」
シリウス「……そうか。あぁ、もっともだ。それにあの屋敷では窮屈だな、うん……ハニー、私たちの地図は持っているかい?」
ハニー「えぇ、ここに。使うの?」
シリウス「あぁ、少し近くに寄せてくれ。懐かしいな……『我、ここに誓う。我、よからぬ事をたくらむ者なり』」
スゥゥゥゥゥゥッ
『――君が言うとよからぬが本当に「よからぬ」な気がして気が気じゃ』
シリウス「だまれ眼鏡でしゃばるなお前は。いつでもどこでもでしゃばりすぎだお前は、まったく」
ハニー「……ずるいわ!!」
シリウス「いや、この地図製作当時の人間に反応するようになっているんだよ、うん……そんな覚えはないが、おそらく眼鏡の仕込みだろう。さておき、五階のところをみてご覧。そこの鏡の裏には大きな通路があってね。そこなら――おや」
ロン「あー、陥没しっちまってるみたいだね。マーリンの髭」
シリウス「……私も、歳をとったんだなぁ」
ハニー「! そんなこと、ないわ!えっと、シリウスはとっても若いし、あの、ハン……は、ハングリー精神おおせいだわ!」
シリウス「ハッハッハ、そうだな。まだまだ年下には負けないさ、うん」
ロン「ハニーは語彙が豊富だなぁ」
ハーマイオニー「逃げ道とも言うわね、えぇ」
シリウス「あそこがダメだとすると、うーん……『禁じられた森』はハグリッドがいない今は無理だろうし、安全とは言えないな」
ハーマイオニー「屋外だもの、呪いの類の閃光が見られるわ」
ロン「それに蜘蛛がいるしね、蜘蛛が。ハニーがいれば心穏やかだけどさ、安心して気を失えるよ」
ハニー「それじゃあの車豚に来てもらわなくてはいけないわね……また色々、考えてみるわ」
シリウス「あぁ、そうするといい。私もよく思い出してみよう、いい場所を――っ!!」
ハニー「? シリウ――あっ」
ロン「あれ? なんだかいきなり険しい顔をしたと思ったら……あぁハニー、そんな顔もいいんだね知ってるよマーリ――マーリンの髭!?」
ハーマイオニー「? どうして何も言わずに消えて――きゃぁっ!?」
ずんぐり手首「捕まえましたわ!!この!!!この!!!ここですの!?!?こっちですの!?!?この!!!」
ロン「ウップ、この、ごてごてした趣味悪い指輪とか、短さとか……これ、おいおい、ウェッ」
ハーマイオニー「手首と、声、だけ……あっ、あぁ、ハニー、ロン、寝室に戻りましょう!いつ顔を覗かせるか……!」
ロン「そりゃいい判断だハーマイオニー、双子の紫色のスナックも手元に無いしね!さぁハニー!」
ハニー「シリウス、シリウス……は、逃げられた、のよね!?」
ロン「そりゃそうさ、あの人は君の大事な人だぜ?あんなカエルに掴まりゃしないよ、もちのロンで」
ハーマイオニー「寸前で気づいたようだわ、ほんと、勘というか経験かしら、すごいわね。さっ、早く、ハニー……」
ずんぐり手首「あぁーーっ!ファッジ大臣!待っていてくださいまし!いますぐこの犯罪者の首をもってあなたのもとに!あぁ大臣!コーネリウスったらコーネリウス!あぁっ……!!」
ロン「……ファッジにこの数ヶ月で初めて同情するよ、僕」
ハーマイオニー「……魔法省の犬なのね、えぇ」
ハニー「犬はやめて……とんだ性悪蛙だわ、本当に……っ!」
ずんぐり手首「ファッジ!ファッジぃ!あぁっ!コーネリウスーぅ!」
翌日
『呪文学』
フリットウィック「『黙らせ呪文』は鋭く突くように杖を振るのです!いいですね!カラスやねずみ、それにカエルに向かって呪文をおかけなさい!」
ガーーーガーーーカァーーーー
ゲロゲロゲロですの チーーチィーッ
ロン「この授業は騒がしいから話をするのにもってこいだよね。ハニーがお言葉をくれるのに邪魔する権利なんて誰にもないけどさ」
ハニー「……アンブリッジは私の豚を、白豚を襲って、シリウ、スナッフルからの手紙を読んだのね」
ハーマイオニー「それ以外考えられないわ……覚えてる?フィルチが、あなたの手紙を止めてやる、って脅していたこと」
ロン「そういやそんなこと言ってたっけ……それじゃ、垂れ込みしたってのがあのババア蛙?糞爆弾って、クソみたいな面してさ、まったく」
ハーマイオニー「フィルチにでっちあげでハニーから手紙を没収させる、っていう汚れ仕事を押し付けて、そして、どうにかしてフィルチからその手紙を回収するつもりだったのでしょうね。高等尋問官の権限か、それとも……そもそもあの二人がグル、という線もありえるわ」
ハニー「人に意地悪するのを極上の喜びとしていそうですものね、えぇ。まったく、そろいもそろって、童貞ね。そうでしょ?」
ロン「うん、君が未だにいまいちその意味分かってないってことは分かったよ。あいつらめ、このカエルみたいに黙らせられればいいのに。『シレンシオ!』」
カエル「ゲコゲコゲコッ!ゲコッ!」
ハーマイオニー「ただつついたところで余計に騒がしくなるだけよ、そのカエルも、アンブリッジもね」
ハニー「シリウ、スナッフルは本当に危ないことろだったものね……あぁ、でも、これでもうシリウスとはあぁやって連絡とれること、できなさそうね……」
ロン「……」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……『シレンシオ』かけられたくないなら黙りなさい。ニヤニヤもしないっ!」
ハーマイオニー「ハニーが残念がるのはもっともだけど、もうスナッフルはあんなことをしてはいけないわ」
ロン「アンブリッジババアを先にどうにかするしかないよな。どうしてやろう、がんじがらめにして『禁じられた森』にでも放り込むか」
ハーマイオニー「つついちゃ駄目って言っているでしょう?表面的には反抗せず、自衛の勉強は裏で……うーん」
ハニー「?なぁに、つついてほしいの?」
ロン「どこをとは聞かないよ、どうぞ」
ハーマイオニー「誰がいつどこで言ったのそんなことを」
ハニー「?昨晩寝し――」
ハーマイオニー「ともかく、えぇ、少し考えていたのよ。あのね、えーっと……私たちが始めたことは正しいのだし……でも、むしろ……」
ロン「おやおや、なんて明確なご説明だろうね。そんなにハッキリ言ってくれなけりゃ僕たち、マーリンの髭が顔にへばりつくくらい気になってしょうがなかっただろうさ」
ハーマイオニー「……つまり、すこーしだけ、『闇の魔術に対する防衛術』のグループをはじめることが正しいか、疑問に思えてしまったということよ」
ハニー「……いまさら?」
ロン「おいおい、これは君の発案だぜ?」
ハーマイオニー「えぇ、でも、そうね……スナッフルが手放しに褒めたことで、うーん、自分がどれだけ無謀で危ない橋をハニーに渡らせているのか、自覚したのよ……彼のように、無謀に」
ハニー「……シリウスは、無謀じゃなくって勇敢なの。私は彼を見習いたいわ」
ハーマイオニー「もちろんそうよ、否定はしないわ。でもね、最近のスナッフルはきっとそんな勇敢さを生かすことができなくて滅入ってしまって……深く考えずに私たちをけしかけることに熱心になったのじゃないか、って」
ロン「つまり君は、スナッフルが賛成したからやらないほうがいい、そう言いたいのかい。あーぁ、ほんと君ってママそっくりだよな。ママって呼んでいいかい?」
ハニー「十年ほど早いと思うわ」
ハーマイオニー「そういう話じゃ……何の話をしてるのハニーは!」
ハニー「さぁ、素直にならない人にはわからないでしょう、ックシュ……? 何かしら、最近風邪でもないのに、もう」
ロン「おい豚ども!!動け!!動いて鳴きまくってこの教室の温度をあげるんだ!!!ハニーが寒がってるぞ!!ヒンヒーーーン!!」
ヒンヒンヒーーーン!
ハーマイオニー「『シレンシオ、黙れ!!!』」
フリットウィック「ンーンー、ンー!(大変よろしい、ミス・グレンジャー!グリフィンドールに十点!)」
放課後
クィディッチ競技場
ザァアアアアザアァアアアアアア
ビュオォオオオオオオオ!
フレッド「ヘーイ、アンジェリーナ。僕とダンパティに行くかい?じゃなかった、本当にこの天気で練習をするつもりかい?え?」
ジョージ「そりゃ、マクゴナガルからのダンブルドアのとりなしであのカエルから許可をもぎとったのが嬉しいのは分かるけどさ」
ハニー「試合まで三週間もないのよ? あと、ダンパティはやめなさいよ」
アンジェリーナ「ポッターの言うとおり!スリザリンとの大一番に備えて我々はやらねばならぬ!」
ロン「オリバ、おっと、アンジェリーナ、そうは言ってもさぁ。この雨あられでどうやってクアッフルを見ろってんだい?まぁ、ハニー色だから千里の先からでも見つけられるけど」
ハニー「えぇ、そうね。地平線から上る朝日のような存在、そうでしょ?」
アンジェリーナ「心強いねまったく! 雨で見えない?笑止!私たちのクィディッチ魂をもってすれば、見えなくってもクァッフルの存在を感じられるはずだ!」
ロン「なんだいその超感覚呪文……マーリンの髭」
フレッド「ほんと、オリバー然としてきっちまったなアンジェリーナは……あーっと、相棒?第二弾の『発熱ヌガー』を試してみるか?」
ジョージ「いいや、彼女にはゲロゲロの方を売っちまったから見破られるだろう。それに、あのデキモノを取る方法がまだ未解決だろ?」
ロン「へぇ、それって効くのかい?僕なら発熱くらいハニーを見ればすぐだけど」
フレッド「お前みたいな豚のそれに敵うかは分からんがな、あぁ、とりあえず熱はすぐ上がるぜ」
ジョージ「だけど言った通り、副産物のデキモノがな……未だにいくつも俺たちにゃ残ってるぜ」
ハニー「? 二人とも、見たところどこも変わりないようだけれど」
フレッド「あぁ、まぁ、あまり公衆の面前で見せ付ける箇所とは言えないしな、うん」
ジョージ「ビリウスおじくらいのもんだ。でもこれが、箒にまたがると痛いのなんの」
アンジェリーナ「おしゃべりはやめ!よし!行くぞ野郎ども!」
ケイティ・アリシア「「あら、女性もいるのよ?」」
アンジェリーナ「何も同時にしゃべらなくったって!!それにもうその件やったよ!もっと個性を出そうよ二人とも!」
フレッジョ「「まったくだぜ、今日日似たもの同士二人組なんて流行らないよな。なぁ相棒。まったくだぜ」」
アンジェリーナ「そっちもステレオでうるさいな!いくよ!練習はじめ!!」
一時間後
フレッド「練習で一度もブラッジャーを叩けなかったのなんて初めての経験だな、僕ぁ」
ジョージ「なかなか新鮮だったな。おまけに雨風に叩き付けられて飛べたもんじゃない」
ロン「僕今日一度もゴールを許さなかったよハニー!あぁでも褒めなくていいよ、うん。誰もこなかっただけだしね」
ハニー「……声も聞こえないし、姿も見えなかったものね、練習中」
ケイティ「……チェイサーって、泥の中からクァッフルを拾うポジションだったかしら」
アリシア「……」
アンジェリーナ「こ、ここまでじゃないけど雨の中での試合だって珍しくないじゃないか!無駄じゃなかった!うん!あ、アリシア?大丈夫?ほら、タオルだ。すぐシャワーに行こう、うん」
ハニー「こんなに冷えてしまうのだから、もっと早く引き上げさせてほしかったわ、アンジェリー……うっ、っ!?」
アンジェリーナ「?」
ロン「……ハニー!ハハハ!そりゃウッドみたいだけどさ、そっちで呼ぶのはアンジェリーナがかわいそうってもんだよ!もちのロンで!」
アンジェリーナ「あぁ、もう。ハニーまでそう呼ぶのはやめてほしいよ、まったく。ウッドみたいだって?誰がクィディッチ馬鹿だよ、誰が」
ハニー「っ、そうね、あなたくらいでしょうね……ロン、着替えたらここで、いい子にして待っていなさい……褒めてあげるから」
ロン「ヒンヒン!なんのことか分からないけどハニーからもらえるなら僕ぁムチだって嬉々として受け取るよ!もちのロンでね!」
ガチャッ、バタンッ
ハニー「……傷跡が、また、痛むなんて……」
アンジェリーナ「さっ、アリシア脱いだ脱いだ。冷えきっちまう……アリシア?アリシア、ちょ、待った、待って……ケイティまで、あのさ、ほら、あ、温まるのはシャワーからのお湯だけにしようよ!ねっ!おねが、あぁ……」
ハニー「……ごゆっくり」
数十分後
談話室
ハーマイオニー「傷跡がまた、痛んだのね……?」
ハニー「えぇ、それも……思いっきりね」
ロン「でも、ハニー。あー、『あの人』がまさかこの雨の中そのへんをうろついてる、そんなわけないだろ?君の言うことを否定するつもりなんてマー髭だけど」
ハニー「それは、そうだけれど……違うわ。これはきっと……あいつが、怒っている。そのせいよ。とてもとても怒っているの……っ?どうして私、そんなこと……」
ロン「!? は、ハニー?『あの人』が見えたのかい?」
ハニー「いいえ、ただ……どうしてかしら、私の中でなんだか、なんだか……感情、が。あいつは何かさせたがってる……それなのにうまくいかない、だから、怒ってる……そういう」
ハーマイオニー「前は、アンブリッジに触られた時に痛んだときは、どうなの!?やっぱり怒っていたのかしら」
ハニー「あのときは……いいえ、そうよ、私、あのときアンブリッジにやられて惨めだったのに、いきなりあんな感覚になって驚いたの……そう、とっても、飛び上がりそうなくらい、喜んでたわ……」
ロン「ハニー、ハニー、すっげぇや。君ってすごいね、知ってたけど!あの占い昆虫に取って代われるよ!君、『あの人』の心を読んでる!」
ハニー「違うわ。心を読んでいるのじゃなくって……それこそ、感情よ。あいつの感情が高ぶると私にそれが分かることがあるだろう、って、去年あの豚が言っていたわ……説明したでしょう?」
ハーマイオニー「でも、これまでとは違うように思えるわ。ねぇ、ハニー。今度こそダンブルドアに相談しなくっちゃ!」
ハニー「ダンブルドアは知っているし、おそらくこれくらいのこと予想しているわ。どうせね。わざわざ言ったところで無駄よ」
ハーマイオニー「あぁ、もう。ハニー、どうしてあなた最近ダンブルドアを――」
ロン「ハニーがそうしたくないってんなら、僕らが強要することじゃないだろ、ハーマイオニー……さっ、ハーマイオニー以外に出された『黙らせ呪文』の練習をしなくっちゃね!もちのロンで!」
ハーマイオニー「実演を見せてあげたっていいのよ、もう……」
カリカリカリカリカリ
ロン「だからさ、トモシリソウだのラビッジだのオオバナノコギリソウだのの使用法をちょびっと教えてくれるだけでいいんだよ、頼むよハーマイオニー」
ハーマイオニー「そのくらい自分でやりなさい」
ハニー「……(あいつの喜びそうなこと――ほしがっているもの。権力、名声……お辞儀?)」
ロン「自分でって言ったってね、僕ぁ君のようにすばらしい頭脳も何ももっていないんだよ、悪かったねマーリンの髭!」
ハーマイオニー「そうじゃなくって、せめて教科書を開いてみてから言いなさいよ、ってこと!」
ハニー「……(そういえば、すっかり忘れていたわ――夏に、シリウスが言っていたあいつの欲している……武器のようなもの)」
ロン「何言ってんのさ、教科書を見るのと君に聞くのじゃ得られるものはまったく一緒だよ。君ときたらそっくりそのまま覚えてるんだもんな、それなら僕ぁ君と喋りながら宿題をこなすほうがずっとずっといいね」
ハーマイオニー「っ、なにそれ、もう……ふーっ、仕方ないわね。しっかりメモをとるのよ?いい?」
ハニー「……(そのことで喜んだり、怒ったり、していたの、かしら)」
ハーマイオニー「これらの薬草は、魔法使いが性急さや向こう見ずさを作り出したいときに――」
ハニー「……(そうね……ハーマイオニーは、シリウスがあそこに閉じ込められているせいで向こう見ずになっている、そう言っていたわね……それは、そうよ。だって、シリウスは……)」
ハーマイオニー「――脳を火照らせることに非常に効き目があるため――」
ハニー「……(魔法省は、私がヴォルデモートの感情をよめると知ったら、脳が火照っていると思うでしょうね……)」
ハーマイオニー「――そのため、『混乱・錯乱薬』用に多く使われ――」
ハニー「……(混乱、そうね。どうして私はあいつの気持ちが分かってしまうのかしら。ダンブルドアのこれまでの説明では、不十分だわ。わたしと、あいつの。この薄気味悪い絆は、なんだというの……?)」
ハーマイオニー「――――」
ハニー「……(あぁ――)」
ハーマイオニー「――――」
ハニー「……(ハーマイオニーの声がとっても、心地よくて……眠くなって、きたわ……)」
ハニー「……スーッ、スーーッ」
ハーマイオニー「っていうわけで、この薬を是非ともアンブリッジの朝食にでも入れてみたいところだわねと思ったり……あら?」
ロン「君ってたまーに無謀だよなシリウスとかハニーにいえないくらい……おっと、ハニーはおねむみたいだ」
ハーマイオニー「……傷のことで悩んでいたものね、疲れたのだわ。ロン、そのままじっとしてハニーを起こさないように、ね?」
ロン「もちの僕さ。それに、静かに、そーーーっと……」
「ハニー・ポッター!ハニー・ポッターさま!」
ロン「!?」
ハーマイオニー「っ!?『シレンシオ!』」
「おぉぅ!お嬢様、あぶなくございます!ドビーの帽子がおちてしまいます!ご勘弁を!」
ハニー「んっ……えっ? ドビー?あなたなの?」
ドビー「はい!ハニー・ポッターさま!ドビーめはあなたさまのふくろう、そしてわれらが同胞をお渡しに来た次第にございます!」
白豚「ピィヒーン」
ハニー「! あぁ、よかったわ!治ったのね! ドビー、よくやったわ……できる豚は好きよ?」
ドビー「光栄至極にございます!ヒンヒン!」
ロン「あー、ドビー?しばらくぶりだけどさ、君、そんなに足とか頭とか大きかったっけ?え?」
ハーマイオニー「……」
ドビー「グリフィンドール寮で拾ったものにございます!毎度色も形も違いますので、ドビーは大好きなのでございます!はい!」
ハーマイオニー「……」
ドビー「最近では、他の屋敷しもべ妖精が隠された衣服に侮辱されたと腹をたててこちらのお掃除をしませんで、ドビーめがほとんどいただいているのです!あっ、ウィンキーにも少しわけてございます!相変わらずあまりお洋服は好きではないようですが……」
ハニー「……有効に活用してくれる子がいるだけでも、あー、よかったわ。ね、ハーマイオニー?」
ハーマイオニー「……こうなったら厨房に送りつけて……」
ロン「やめろよ、ほんっと君って妖精にとりつかれてるよな。ハニーだけにしとけよ……よう白豚、元気にしてたかい?ヒンヒン」
白豚「ピーィヒン」
ロン「あぁ、こっちはいつもどおりさ。ハニー、君が夏と同じ悪い夢でもみてたんじゃないか心配してたってさ」
ハーマイオニー「……それは一応でいいからあなたの質問ということにしていただけないかしら、頭が痛くなるから」
ハニー「……夢、そうね。また同じだったわ。狭い通路に、突き当たりの扉。そこに行きたいのにあと少しでたどりつけなくって……この私に入れない部屋なんてないはずなのに、まったく、なんなのかしら」
ドビー「ドビーめがあなたさまのお力になれればよかったのですが!あぁ、ドビーは――」
ハニー「あなたは良い子よ、良い私の豚だわ、ドビー。ありがとう」
ドビー「お礼など!あぁハニー・ポッターあなたさまはどこまで高貴なのでしょう!おまけに可憐で!ドビーめはいつでもあなさまをお助けしたいのです!ハニー・ポッターがドビーを自由にしましたから!そして、ドビーめはいま、ずっと幸せですから!」
ハニー「……ふふっ、気持ちだけにしてもらおうかしら。白豚のことはありがとう。でも、今のところあなたの手を借りることは……あっ」
ドビー「なんにございますか?フォイフォイうるさいクズを折り畳んでスープの出汁にいたしますか?」
ハニー「いいえ、そうじゃ……ふっきれすぎよね、あなた」
ドビー「二十八人の生徒様が『闇の魔術に対する防衛術』の練習ができ、なおかつアンブリッジ先生にはみつからない、そんな場所、にございますか……?」
ハニー「えぇ、必要なの。どうしても、ね」
ロン「へい同胞、あんまりハニーの期待に答えようって無理しなくってもいいぜ?そんな無理難題、一番豚の僕でさえ――」
ドビー「いえ、いえっ!一番豚様、それにハニー・ポッター!ドビーめはぴったりな場所を知っております、はい!」
ハニー「! ほんと、ドビー!?」
ドビー「えぇ!あなた様はそのような部屋が『必要』なのでございますね!?その場所を『求めて』おいでなのですね!でしたら、『必要の部屋』はあなたさまの望んだ通りになるはずにございます!」
ハーマイオニー「『必要の部屋』……?聞いたことがないわ」
ドビー「えぇ、お嬢様!城中のあらゆる場所を知っているわたくしめたちの間ですら知らない者もいるようです!『あったりなかったり部屋』とも呼ばれていまして、求める者のほしいものが全て備わった部屋なのでございます!」
ロン「全て、って?」
ドビー「言葉通りの意味でして、一番豚さま!ドビーが酔ってどうしようもなかったウィンキーをつれて入ったときは、『酔い止めの薬』と寝かせておくのにちょうど良い屋敷しもべ妖精サイズのベッドがありました!」
ハニー「……去年、あの腹黒豚が話していた……」
ロン「あっ!トイレを我慢してる人がそこを通りかかったら、便座いっぱいの部屋になっちまう!そういうことかい!?」
ドビー「そうかと存じます、えぇ。その部屋はいつもそこにあるのですが、強く思い、また一連の動きをしなければお呼びに答えませんで、存在を知る生徒様はほとんどいないかと。もちろん、教授の方々も、にございます!」
ハーマイオニー「すごいわ……ホグワーツの歴史にも書いていないような、そんな部屋があっただなんて。ダンブルドアのお墨付きもあるのだもの、安全ね」
ハニー「……あの話をしたのは偶然なのかしら、なんなのかしら、ね」
翌日 放課後
八階
ロン「『バカのバーナス』って絵の向かい側、ここだね。なんだいこの絵、トロールにバレエ教えようとしてら、バカだなぁ。クィディッチにしとけばいいのに」
ハーマイオニー「あなたこの絵から抜け出てきたんじゃないかしら。集まった人たちには全員この場所を教えたのだから、違っていてもこまるわ」
ハニー「ドビーを信じましょう、私の豚だもの、当然だけれどね。さて……フィルチもアンブリッジも、自分の事務所にいるようだわ」
ロン「ハニーのお父さん印の地図のおかげで万々歳さ、あぁ。えーっと、なんだっけ?ハニーを108回たたえればいいんだっけ?」
ハニー「罪深い美しさですものね、えぇ」
ハーマイオニー「後にするか心の中だけにして。気持ちを必要なことに集中して、この石壁の前を三回往復する、という話だったわ」
ハニー「そうすればここに扉が、だったわね。さぁ、やりましょう。いい?『闇の魔術に対する防衛術』を練習するための部屋、よ?」
ロン「オーケーハニー、なるべく君のことは8割くらいに抑えておくよ……ヘイ、ハーマイオニー。頼むから扉をあけたら天蓋付のベッドとシャワールームが待ってた、なんてやめてくれよな」
ハーマイオニー「あなたこそ、ハニーグッズに覆われた部屋なんてやめて頂戴よ。鞄がないのだから」
ハニー「ハイハイ、ありがとう。さっ、やりましょう……信じてるわよ、ドビー」
『必要の部屋』
ロン「すっげぇや!これって闇払いが使うような『隠れん防止器』だよ、ハニー!」
ハニー「えぇ、あなたが私にくれたものより特大なそれ、ね。『敵鏡』に、『秘密発見器』。お誂え向きだわ」
ロン「あぁ、それにこのたっくさんのクッションもさ。『失神呪文』を練習するのにちょうどいいよな。君が倒れることがあったらすかさず僕がクッションになるけど」
ハーマイオニー「それに、ここの本棚を見て!何百って学術書!『通常の呪いとその逆呪い概論』、『闇の魔術の裏をかく』、『ツッコミに疲れた人のためのあきらめ方二十選』……これは個人的趣味として読みましょう」
ロン「君、シリ、スナッフルと会って以来始めて自信が持てたような顔してくれてるよな、まったく」
ハーマイオニー「そ、それはそうよ!だって、ここならなんだってそろっているわ!邪魔もされないし、それに!」
ロン「壁紙からクッションからなにまでハニー色、あぁ、わかるぜ」
ハーマイオニー「天国よね!」
ハニー「あなたたちの望みはよく分かったわよ、はいはい。ふふっ」
ガチャッ
ザガリアス「ここかな……うわっ、なんだここ、血の池地獄?」
ロン「オーケーザガリー、第一回目の授業は君にモデルになってもらうとしようか、もちのロンでね」
ガヤガヤ ザワザワ
フレッド「すっげぇ場所を見つけたなぁ、ハニー?え?でもおかしいな、俺たち一度、たしかにここに入ったことがあるんだけど」
ジョージ「あん時ゃ確かフィルチの野郎から逃げ続けてて、ここに飛び込んだんだよな?せまっ苦しい箒置き場だったんだけどさ」
ハニー「詳しく説明するのは省くわ。大事なのは、私たちがここを見つけたということ、それに、みんなここで良いと思っているようってこと、そうでしょ?」
チョウ「えぇ、ハニー!とっても素敵ね!ふふっ、なんだかあなたみたいだし」
ハニー「えぇ、ありがと。よく言われるわ、よくね」
ハーマイオニー「オホン! それじゃ、いろいろと決めていかなくてはいけないわね。この集まりの名前、とか」
ロン「そりゃもう、HハニーにI一生ついていくNのだ、略してHINだろ、ヒンヒン」
ネビル「意義なし!ヒンヒン!」
ディーン「ヒンヒン!」
ハーマイオニー「ふざけないで全力で。あのね、私たちのやろうとしていることがバレては意味がないのよ。だから、ハニーの名前を入れることはできないわ」
アンジェリーナ「あー、それじゃ反アンブリッジ同盟、っていうのも駄目かぁ」
チョウ「防衛協会(DefenseAssociation)は?頭文字をとって、DA。これなら、どこで呼んでも分からないのじゃないかしら」
ジニー「雌狐の癖にセンスがいい……うん、DAって良い感じ。でも、ダンブルドア・アーミーの頭文字ね。だって、魔法省が怖いものそのものズバリでしょ?」
ザワザワザワ
フレッド「いいねぇジニー、さすがは我らが末妹だ」
ジョージ「やるじゃないかジニー、センス抜群だぜ」
ジニー「誰かさんたちのおかげでね」
ハーマイオニー「賛成多数、みたいね。ハニー、いいかしら」
ハニー「えぇ、許可してあげるわ」
ハーマイオニー「ありがとう。それじゃ、この羊皮紙に……『ダンブルドア軍団』、っと」
ロン「んじゃぁ、HINの方は僕ら豚定例会議の愛称にしようか。なぁ同胞ども、ヒンヒン」
ハーマイオニー「言い損ねたけど何よりいつも鳴いているのと区別しにくいのよそれ、いい加減にしなさい」
ハーマイオニー「それから、えーっと。今日はここの場所や集まる時間を口頭で伝えたのだけど、次回以降はこれを使うわ……ロン、はい。これを配ってもらえる?」
ロン「……が、ガリオン金貨!?おいおい、買収しなくたって僕ぁいつまでもこれからもハニーの豚だよ当たり前だろありがとう!」
ハーマイオニー「そうじゃなくて。これ、偽物の金貨なの。本物の金貨には、ここの部分に鋳造した小鬼を示す続き番号が打ってあるんだけど、この偽金貨の数字は、次の集会の日付と表すわ」
ザワザワザワ
ハーマイオニー「ハニーが次のこの集まりの日程を決めたら、ハニーの持っている金貨の数字を変更します。金貨には全部『変幻自在』の呪文をかけてあるから、大元のハニーの金貨にあわせて全部変化するわ。そのとき金貨が熱くなるはずだから、ポケットにでもいれてすぐに気づくようにしていてくれると……」
……
ハーマイオニー「……えぇっと、私、なかなかいい考えだと思ったのだけど」
テリー「……君、『変幻自在術』が使えるの?だって、それってNEWT試験レベルだぜ?それって……」
ハーマイオニー「あー……そうね。えっと、夏にその効果を聞いて、少し練習してみたのを生かせたものだから」
テリー「……君、なんでレイブンに来なかったんだ!?その頭脳で」
ハーマイオニー「えぇ、組み分けも最後まで悩んでいたわ。でも最後にはこちらに決めたの、それに、あー……ハニーがいたし」
ロン「組み分け君が先だったろ、何言ってんだかまったく……豚のみんなはヒンヒンで伝わるから大丈夫だよな?うん?僕が持ってても……」
ハニー「ロン?」
ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」
ハニー「ちょっと実演してみるから、あなたの分の金貨を口に入れておいてくれるかしら?」
ハニー「ロンの舌が満足に動くようになってきたところで」
ロン「あぁハニー、ここに救護セットまであってよはったよな、うん。ひみさえみりゃ僕ぁたちまち全快らけろね」
ハニー「当然ね、えぇ。私、練習するものを考えてみたのだけれど。最初にやるべきなのは『エクスペリアームス、武器よされ』。そう、『武装解除術』だと思うの……」
ザガリアス「武装解除……?あんな初歩的なので、どうやって『例のあの人』から身を守るっていうんだか、やれやれ」
フレッド「おぉともザガリー、例えばお前の眼を杖でつつこうとしてる俺たち相手とかには有効かもな?え?」
ジョージ「前回のお仕置きのことをすっかりお忘れのようだな?え?生意気な口叩けないようにしてやろうか」
ザガリアス「ひぃっ!?」
ハニー「二人とも抑えて。そうね、あいつに有効かどうか。六月に私はあいつに向かってこの呪文を使ったことで、生き延びられたのだけれど」
ザガリアス「!?」
ハニー「それでもあなたには程度の低すぎる豚以下の術に思えると言うのなら、帰っていいわ。お疲れ様」
ザガリアス「……教えて、ください」
ロン「そうだぜザガリー、最初っからそういう態度でいりゃいいのさ。もちのロンでね。そんじゃ、ハニー?二人一組にでもしようか?」
ハニー「えぇ、そうね。散らばって、向かい合って立って頂戴。私は抜かして」
ザワザワザワ ガヤガヤガヤ
ザガリアス「……」
ロン「みろよネビル、散々いやみ叩いてきたせいで誰からも組んでもらえないやつだぜ」
ネビル「わぁ!ぼっちってやつだね!」
ザガリアス「うるさいな!!!!」
マイケル「なぁザガリアス、ハニーを除くわけだからどこかが三人組になるんだよ。僕とジニーと君で組まないかい?」
ジニー「マイケルらしいわ、まったく」
ラベンダー「……」
パーバティ「……」
ハーマイオニー「……マイケルの善行をあなたたちのフィルターで見ようものなら杖ごと吹き飛ばすわよ、二人とも」
エクスペリアームス!
エクスペリアぁムス!
エクス・ペリアームズ! エクスペクトパトローナム!
ハニー「誰かパパ呼んでなかったかしら……あぁ、そうね。これはずいぶんと初歩的なもの、そう私も思っていたのだけれど」
ハーマイオニー「どうやら、これから初めて正解だったようね。相手の杖を吹き飛ばすよりも、せいぜい二、三歩後ずさりさせるかしかめ面させるか程度の人が、ほとんどのようだもの」
ロン「僕の杖は君のおかげさまで天井に突き刺さってるけどねマーリンの髭。なんだよあれ。君なんなんだよ」
ハニー「……みんな、そのまま何度か続けて頂戴!私が見回るわ……」
ザガリアス「エクスペ……あっ!あれ?なんで……エクスペリ、うわっ!?」
マイケル「ざ、ザガリアス落ち着いて!あー、暴発でもしているのかな?呪文を唱えてる君の杖の方が飛んでいってしまう、なんて」
ハニー「……」
ザガリアス「っ、な、なんだよ、笑いにきたのかい?」
ハニー「冗談、ここじゃ私はあなたの先生なのよ?」
ジニー「せんせ、せんせ!私、なんでだか分からなくもないわ!」
ハニー「えぇ、よくできるかわいい生徒ね、ジニー……二人とも?」
フレッド「おっとバレたか、さすがはハニー、我らが指導者」
ジョージ「すまんねザガリー、ちょっと手元が狂っちまって」
ハニー「あなたたちが出来るのは十分わかったから二人でやりなさい。さっ、ザガリアス?」
ザガリアス「あ、あぁ……エクs」
ジニー「『エクスペリアームス!武器よされ!』」
ザガリアス「あぁっ!僕の杖が天井に!!!!」
ジニー「油断大敵よ、ザガリー!ねぇせんせ♪今のどうだったかしら!」
マイケル「あー、ジニー。流れってしってるかい」
ザガリアス「まったくだよ」
ハニー「あなたはあまり言えないとおもうけれどね」
チョウ「あぁ、うん……エクスペ、えーっと!」
ハニー「……」
チョウ「『エクスペリメリウス!』じゃなくって……あっ!マリエッタ、ごめんなさい!ローブに火が、あぁ!?」
マリエッタ「……火をつけるのは心だけにしてよ、もう」
チョウ「ごめんね……あぁ、あなたが見ていたせいよ、ハニー。緊張してしまったわ」
マリエッタ「……チィッッ」
ハニー「えぇ、あっちから見ていたときに成功してたのを見てもの、分かってるわ……あー、あなたのお友達」
チョウ「あっ、放っておいて。気に入らないことがあると部屋の隅であぁやってひざをかかえるの……本当は、えーっと、ここに来たくなかったのだけど、私がお願いっ、お願いニャンッ、って言ったから……」
ハニー「……あなたそれ素で言っているのよね、おそらく」
チョウ「? 彼女、ご両親からアンブリッジに反抗することはやめなさい、って言われているの。魔法省にお勤めだから」
ハニー「そう……それでも来てくれたことには変わりないわ」
チョウ「えぇっ。私の両親も、そうだったのだけど……私、あんなことがあったのにアンブリッジや『例のあの人』に立ち向かわないなんて、ごめんだわ。だって、セドリックは……あっ」
ハニー「……」
チョウ「……」
ルーナ「あのね。あたしのパパは反魔法省運動のこと、とっても支持してるもン!」
ハニー「!? る、ルーナ……?」
ジャスティン「ちょ、まっ、るーにー、今ハニーの邪魔しちゃ、っく、ローブがこんがらがって、あの子僕の杖どころかローブごと何したんだ!?ちっくしょう!」
ルーナ「パパはいっつも言ってるよ、魔法省やファッジがこれまでどんなひどいことしてきたか。それに、アンガビュラー‐スラッシキルターがいるもンね」
チョウ「……っふふ、そうね。私も間違ってないっていってくれるの?」
ルーナ「?当たり前だと思うな、ここにいるみんな。『今は見えない何か』を笑ったりしないもン。でしょ?」
ハニー「……流石にあいつと『スノーカック』は同列とは言わないけれどね。ふふっ」
ルーナ「同じだよ。パパ言ってたよ、標本にしたいなぁ、って」
ハニー「押し花にしときなさい、ラベルは私が書いてあげるわ。何とか草って」
ハーマイオニー「さぁ立ちなさいロナルド!あなたハニーの一番の豚なんでしょ!?立って!」
ロン「っちょ、気持ちは分かる、分かるけどさハーマイオニー!いい加減僕と僕の杖折れるよ!僕のほうは主に心が!マーリンの髭!あっ、ハニーお帰り。君の美しさったら花も恥らって折れ曲がるね」
ハニー「知ってるわ。そろそろ時間かしら、って思って」
ハーマイオニー「! ほんとね、九時を十分も……フィルチに見つかったら処分されてしまうわ」
ハニー「『地図』で安全なルートを順番に帰すけれどね……」
ザワザワザワザワ ガヤガヤガヤワイワイ
エクスペリアームス! アームス! ヒンヒン!
ハニー「……みんな、聞いてくれるかしら。そろそろ……駄目ね、声が通らないわ」
ハーマイオニー「笛がほしいわね……」
ロン「もがっ!?な、んら!?ぺっ!あっ!どうして僕の口の中に……ほら貝が!?」
ハーマイオニー「……無駄にすごいことしないで『必要の部屋』……というかロンの口すごいわね」
ロン「このくらいあのナメクジにくらべりゃ小さいよ。どれ……」
ブォォオオオオオオオオオオッッ!
フレッド「合戦の合図だ!みんな!敵はアンブリッジ事務室にありぃいぃいい!」
ジョージ「であえいであえーーーぃっ!今こそダンブルドア軍団の出撃じゃぁ!」
ウオオオオオォオオオオオ!
ハーマイオニー「意気込みだけにして!!!やめなさい!!!!ストップ!すと――『ペトりフィカストタルス、石になれ!!』」
ネビル「僕はハニーの一番やrうわああああ――!」
ロン「おいおいハーマイオニー、君、ネビルを石にする癖でもあるのかい?」
ハーマイオニー「あなたたちこそ私に実力行使に出させる趣味でもあるの、もう……えぇ、みんな、注目してくれてありがとう、そう、うん。そのうち教えるわ、これは」
・
・
・
・
・
・
ロン「『地図』によれば、みんな寮に無事たどり着いたみたいだね。何せハニーの加護があるしな、当然かぁ」
ハニー「えぇ、私の加護と、それにパパたちの助けがあれば。当然でしょうね」
ハーマイオニー「規則破り以外でも活用の道があってよかったわ……あぁ、厳密に言えばこれも規則破りなのでしょうけど」
ロン「細かいこと言うなよ、大成功だったんだし。あぁハニー!約束された成功っていうのはこういうことを言うんだね!ヒンヒン!」
ハニー「当然だわ、だって……」
ロン「あぁ!去年シリウスに進められた本とか手紙を何度も読み返して今日の訓練でみんながうまくいくようにがんばって復習したもんねあぁそうだよね君って流石ハニーはハニーで痛い!!ありがとう!ヒンヒン!」
ハニー「私は中途半端が嫌いなの、それだけよ。分かってるわね?」
ロン「もちのロンさ。おかげで僕、の杖は未だに天井から抜けないけどね。マーリンの髭」
ハーマイオニー「ご、ごめんなさいってば。最後は少し気合が入りすぎて……『アクシオ、ロンの杖!』」
ロン「駄目かぁ……よし、ハーマイオニー、ほら」
ハーマイオニー「……ほら、って、あなた、屈んでなにを?」
ロン「肩車するから、ほら。取ってくれよ、君のせいなんだからさ」
ハーマイオニー「!? な、何を言ってるのかしら!とんだのは、えぇっと、あなたが無様に呪文をかけられたせいじゃない!お断りよ!」
ロン「なんだよ、さっきまで謝ってたくせに!マーリンの髭!だいたいな、僕だって君から一回武装解除しただろ!?」
ハーマイオニー「あーら!それはあなたがこけてしまって私の手から杖をはたいてしまったのを一回とするなら、の話でしょ!」
ハニー「……なんでもいいから、早くして頂戴。もう、ロン、あなた、スライディング得意だったわよね。生かしなさいな」
ロン「もちの――っ」
ハーマイオニー「!? 私の足元……きゃぁ!?!?」
ロン「僕さっ! ほらハーマイオニー、これで届くだろ?早く杖――あいたっ!?」
ハーマイオニー「おろして!おろしなさい!!ロナルド・ウィーズリー!こんなの、ゆるされ、きゃぁあああああ!」
ロン「待って待ってくれハーミ、ハーマイオニー!鼻はやめ!!君の杖が鼻に刺さっていたたたたたたたマー髭!マーーーー髭ぇええええ!!」
ハニー「…………どうやっても良い雰囲気にならないんだから、もう……そういうことに慣れていそうなチョウにでも聞こうかしら。ふふっ」
二週間後
ロン「ハニーときたら、宿題までやっつける上HIN、じゃなかった、DAで使えそうな呪文まで見つけるなんてまったく、知ってたけど君に常識なんてもの通用しないよね。合わせるもんな、常識の方が」
ハニー「当然ね……順調に進められて気分がいいのだもの。力もいれたくなるわ」
ハーマイオニー「ほんと、あがりが出たらどうしようと思っていたけど、存外ハニーは教えるのが上手よね」
ハニー「あら、ナニがですって……そうね、えぇ。ネビルがまさかあなたの『武装解除』に成功するまでになるなんて、思っていなかったわ」
ロン「流石は豚の中の漢だよね、うん。大体の子は『武装解除』がかなり上手くなったし、コリンなんて『妨害の呪い』が十八番になったもんなぁ。『これで撮影が捗るよ!ヒンヒン!』とか言ってたっけ」
ハーマイオニー「悪用しないでほしいところだけど、上達するのはいいことね。次の練習は……えーっと、水曜?になるかしら」
ロン「先週は火曜と土曜、んで今度は水曜か。うん、このいやーな天気のせいでクィディッチ3チームの練習日の変更が多いから、決まった曜日は無理だよな。マーリンの髭」
ハーマイオニー「むしろその方がありがたいわ。誰かが目をつけていても不定期ならパターンを見抜いたりできないもの」
ハニー「でも、水曜から先はきっと組めないと思うわ……アンジェリーナが」
ロン「毎日練習だ!雨が降っても、やりが降っても!だもんなぁ……マーリンの髭が降らないかな」
ハーマイオニー「大事なことなのに……とは、こればっかりは言わないであげるわ。久しぶりのクィディッチリーグの開幕戦、それも、スリザリン相手なんだものね」
ハニー「二年前に私たちのチームが優勝して以来、ね……炎豚も張り切ってるわ」
ロン「あぁ、奴さんやる気十分だよな、うん」
ハーマイオニー「……そろそろ私の方がおかしいんじゃないかと思えて嫌、いいえ、ちょっと、いくらなんでも箒は『ヒンヒン』さえ言えないじゃない、ちょっと」
ロン「さぁね。おっと、そろそろ『変身術』の時間だよ……マクゴナガルはまたどっさり宿題を出すかなぁ、やれやれ」
ハニー「……さぁ、どうかしら。公正で厳格な、マクゴナガル先生は」
『変身術』
マクゴナガル「……本日は、宿題を出しません。よいですね?」
ザワザワザワザワ
マクゴナガル「静粛に。あなたがたには今、やるべきことが他に沢山あることと思います」
ロン「ハニーのすばらしさに涙したり?」
ハニー「脱水必至ね、ええ」
ハーマイオニー「あぁ……先生、あなたが最後の常識の砦だと思っていたのに」
マクゴナガル「言わないでください、ミス・グレンジャー。私はクィディッチ優勝杯が自分の事務所に飾られていることに、すっかり馴れてしまいました。二人とも、空いた時間は練習にお使いなさい。よいですか、勝つのです!」
ロン「あー、はい、先生。先生もクィディッチ馬鹿だったっけ、ありがたいことに」
ハニー「当然だわ、先生。私を誰だと思ってらっしゃるのかしら。あなたが選んだ最高のシーカー、そうでしょ?」
マクゴナガル「えぇ、違いありません。ポッター、ウィーズリー、頼みますよ……他のみなさんによく言っておきます。よいですか?これは、何も私がグリフィンドールクィディッチチームをえこひいきしたいがためのことではありません。えぇ、違いますとも。何故なら、本日の課題はみなさん無事に――」
ネビル「あれ?先生、僕のカラスまだ『消失』しきって――うわぁああ!?!?と、トレバーごと消えてトレバぁああああああ!!うわぁああああん!!!」
ハーマイオニー「……無言で、先生、本気だわ。本気でえこひいきを通す気だわ」
マクゴナガル「ミス・グレンジャー、ですから贔屓ではないと言っています。よいですか、本当のえこひいきというのは……スリザリン生がグリフィンの選手に何度も呪いをかけてきたという報告と抗議の数々を!全て黙殺しなかったことにしたあの男!!セブルス・スネイプの――オホン。スネイプ先生のような所業を言うのです」
ロン「あー、こないだアリシアがついに呪われっちまって、眉毛が口まで覆って窒息するところだったっけ」
ハニー「『自分で「毛生え呪文」でもかけたのではないですかな?』ですものね、あの童貞。最悪だわ」
ハーマイオニー「……かけた生徒は、あー、双子の制裁で窒息どころではなかったけど」
マクゴナガル「因果応報、当然至極です、えぇ」
ハーマイオニー「先生、ほんと、先生ってクィディッチ絡むと……あぁ」
ロン「代弁してやるぜハーマイオニー。マーリンの髭」
翌週
大広間
ガヤガヤガヤガヤ ザワザワザワ
フレッド「おいおいロニー坊や、お前、赤毛にそのあおーい顔はよろしくない色合いだと思うぜ?え?」
ジョージ「俺達の商品の宣伝をしなくて結構だぜ?青い方を齧ると何になる?びくついっちまうのか?」
ロン「だ、だれがびくついてんのさ!マーリンの、あれだよ!ロンだよ!もちの髭!!」
ハーマイオニー「動揺しすぎよ、もう……でも、初めての試合だから当然かもしれないわね、えぇ」
ハニー「? 私はとっても楽しみだったわよ」
ハーマイオニー「それは、あなた飛行バカだものね……」
マルフォイ「おっ!おいおい、グリフィンドールのキーパーだ! うわぁっ、ごごご、ごめんよ、すぐに拾う髭~!」
スリザリン生<ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!
ロン「ちっくしょ、マルフォイの奴、あんにゃろ……僕の真似して茶化すのはいいけどなんだよ語尾に髭って。僕ぁそこまで言ってない髭よ、ったく。あっちは見ないぞ、みてやるもんか髭!」
ハーマイオニー「客観視できないこともあなたの弱点よね。マルフォイたち、悪趣味……あら」
ハニー「ロン、あなたは私の一番の豚でしょ。自信をもちなさい」
ロン「ひ、ヒンヒン!そりゃ君の豚としての威信をかけるのはもちのロンなんだけどね、ハニー!あー、ほら、ゴールポストじゃ僕、一人だし……」
フレッド「おいおいどうした、昨日の最後の練習じゃ、ロニー。お前、目の覚めるような守備をしてくれたじゃないか?え?あれをみせてやれよ」
ジョージ「そうだぜロニー、『ヒトデとスティック』どころじゃぁない、片手で箒にぶらさがってクァッフルを蹴り返すなんてな離れわざをな!」
ロン「……うん」
フレッド「さってと、そんじゃ俺たちは先に控え室に行くぜ、またあとでな」
ジョージ「観客席によって商品を売りさばかなくっちゃいけないしな。じゃ」
ハーマイオニー「まったく……ロン、すごいじゃない。そんな高度なプレーをしていたなんて」
ロン「あー、まぁね、うん……偶然ってすごいよな」
ハニー「……偶然?」
ロン「あー、うん。クァッフルはまだ遠くにあると思ってて、ハニーを見てたらずり落ちっちまって。んで、ただ箒に戻ろうとしてたら……急に、クァッフルがきて」
ハニー「……つまり、私がいれば偶然と呼べるような奇跡だって思いのまま、そういうことでしょう?何を勝手に落ち込んでいるのこの豚!」
ロン「!そうか!ハニーは女神だもんな!クィディッチの!いや!僕の女神だ!ヒンヒン!ハニー万歳!応援してるよ!」
ハーマイオニー「あなた選手でしょ今年から、もう……そのままスリザリンの席を観ないといいのだけど」
ザワザワザワ
クスクス ヒソヒソ
ルーナ「おはよう。良い天気になってよかったね」
ハニー「あら、ハァイるー……その頭、どうしたの」
ロン「なんだいハニー、ルーナの頭がちょっと髭なのはいつもの――びっくりした。一瞬食われてるのかと思ったぜ、うん」
ハーマイオニー「あー……獅子の剥製の帽子?」
ルーナ「うん、あたし、グリフィンドールを応援してるんだ。これ、面白いんだよ。見てて……?」
マルフォイ「おいおい、ポッティーのいかれポンチと変人ルーニーの組み合わせなんてありゃ傑作だ!なんだい、あの間抜けな帽子は!ハッハッ――」
獅子帽子『グゥワァアアアアアオォォオオォオォォォォッッッ!!!』
マルフォイ「フォォオオオイ!?」
ハニー「……っ、び、っくり、したわ。ぇえ、突然だったもの……杖で叩くと、本当に雄たけびあげるのね」
ルーナ「うん、おかげでちょっとさっきから耳がちょっと遠くって」
ロン「ぶっとんでるよな、君って。あー……そのカブのイヤリングでも耳の穴につっこんどけばいいんじゃないのかい?」
ルーナ「そっか! へぇ、あんたってやっぱり面白いね。がんばれぇ、ロナルド!」
獅子帽子『グワァアアアアオオアアアアオオオオオンッッッッ!!!』
ロン「うるっさいなもう!ありがとさん!ありがたいね、あぁ!とっても素敵な初陣になりそうだよ、君のおかげ様で!」
ハーマイオニー「……」
ハーマイオニー「ハニー、お願いがあるの」
ハニー「なぁに?ふふっ、私の方こそ……あぁ、真面目な話なのね」
ハーマイオニー「いつだってそうなのだけどね……ロンに、スリザリンの人たちがつけてるバッジを見せないようにお願いできる?」
ハニー「……またバッジなの?本当、ここの人たちって……何か分からないけれど、分かったわ。あなたが言うなら……それで、ハーマイオニー?……ロンの見送りを、ルーナに任せてしまっていいの?」
ハーマイオニー「……」
ロン「……ハニー、そろそろ行こうか、うん。立てるかい?僕はギリギリだよマーリンの髭で」
ハーマイオニー「……お、オホン。ちょっと、ロン少しかがんでくれるかしら」
ロン「なんだよ、ハーマイオニー。こうかい?それにしてもまったく、調子狂わせてくれるよな、ルーナのや――」
チュッ
ロン「」
ハーマイオニー「……頑張ってね、ロン」
ロン「」
ハーマイオニー「……」
ロン「」
ハーマイオニー「……」
ロン「」
ガチャッ、バタンッ
ハニー「……不思議そうな顔をして、行ってしまったわね。ふふっ、この私を置いて、頬をなでながら」
ハーマイオニー「な、なんなのかしら、あの反応、全く、えーっと、失礼だわ。人が折角、励ましたのに……」
ネビル「みんな、一番豚改めロナルど畜生ウィーズリーの処遇だけどさ」
ディーン「屠殺だろあんなもん、意義なしで」
ハニー「ちょっとビックリしたわ。あなたが、あんな行動するなんて」
ハーマイオニー「……意識をスリザリンとは違う方に向けなきゃ、って、そう思ったのよ、えぇ」
ハニー「そうね、そういうことにしてあげるわ……あの、バッジ」
ハーマイオニー「……『ウィーズリーこそ我が王者』……あの人たちのことだもの、いい意味なわけがない、わよね?」
ハニー「それはもう、ね。さて、ハーマイオニー」
ハーマイオニー「えぇ、ハニー。ロンは、その、狙い通り茫然自失で行ってしまったのだし、あなたも行ってらっしゃい……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……ま、待たれても、その」
ハニー「ロンには、してあげたのに?」
ハーマイオニー「あ、あなた、焚きつけておいて……こ、こういうときばっかり、強引にこないのはずるいわ!」
ハニー「そう……私のことは応援してくれないのね、ハーマイオニーは」
ハーマイオニー「……そんなわけないじゃない!いい!?言っておきますけど、私はあなたが最初に飛ぶの一番近くで見てたの!第一の課題の飛ぶ姿がステキですって!?あなたのことをずっと応援してきた立場から言わせてもらえば、あなたが飛んでる姿は全部ステキで……んっ!?っふ、っちょ、っと、は……」
ハニー「……ふぅ。えぇ、知ってるわ。あなたが見てくれているから、わたし、頑張れるんだもん。行って来る。ロンと、勝ってくるんだから。待っててね」
ハーマイオニー「……えぇ、ハニー――っ」
ハニー「……っ」
ネビル「つづけて!!!」
ディーン「どうぞ」
バターン!!
ロン「ヒンヒンヒーーーーン!」
引っ込めウィーズリーーー!!
ロンは氏ね!!!もげろ!!!!!
ロン「HAHAHA!やだねっ!!!!!
クィディッチ競技場
ワアアアァアアアアアアアアア!!
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
リー「Yeahhhhhhhhhhhhhhh!!!お集まりのみなみなさま!!!!紳士淑女老若男女犬も鹿も狼もついでにネズミもいるのかな?おまたせしました!!!クィディッチリーグ、いよいよ開幕です!」
ワァアアアアアアアア!
リー「いよいよ!!えぇそうですともいよいよようやくですいやぁあああああ長かったぁあああああああ!!」
ナニガー!
リー「さぁね!君の記憶とか記録とかそういうのに聞いてみな!!目の前のそういうのにな!!!ともあれクィディッチシーズンの到来です!今が11月かと気が遠くなるそんな私実況はリー・ジョーダン!解説は、この方をお呼びしましょう!解説は……この僕リー・ジョーダンでーーーーす!」
マクゴナガル「リー!! お、おや?」
リー「おやおやおやおやどうしましたかマクゴナガルせんせー!!身構えておいででしたかおやおや先生いつもはコールを嫌がっておいでなのにそんなツンデレネコミミ教師はもちの一番豚で今日も解説席にお呼びしますよせーの!マクゴにゃガルせんせーー!」
にゃんこーーーーーー!
マクゴナガル「ぐっ、リーーーー!冗談はおやめなさい!!!」
リー「おぉっと先生のジョーダンが炸裂してわたくしリー・ジョーダンはしてやったりな感じなわけですがそうですね時間も推してるので試合に参りましょうそうしましょう!始まる前から時間を気にするなんでかってなんでだろうなお前の胸に利きやがれ!さぁさぁ、ピッチにはグリフィンドール、そしてマルフォイと愉快な筋肉たちが揃っております!」
マクゴナガル「リー!的確に情報はお伝えなさい!」
リー「だって先生こりゃある意味的確ですよ、えぇ、分かったわかりましたよ!スリザリンチーム、マルフォイの腰巾着二人を新任ビーターにあてがいました!おやおや、箒の前後も分からなさそうなゴリラ族をチームに加えるとはなんとも悲惨です!スリザリンにゃ人材がいないのか!?」
マクゴナガル「言葉が過ぎるとマイクをとりあげますよ!」
リー「オーケーせんせー、まだ取り上げないあたりあんたは最高だぜ!さてさてグリフィンドールの方にも新任キーパー我らが一番豚ロン・ウィーズリーがゴールポストの前に控えております!」
ロン「ハニー以外が僕を豚って言うなよ!」
リー「当たり前だこのすっとこどっこいてめぇなんて今後豚の風上にもおけないど畜生だ!!!定例会議で思い知らせてやるからな!」
マクゴナガル「リー!脱線をしない!」
リー「HAHAHA!そりゃ僕を喋らせた瞬間から諦めたほうがいいってもんですよ、先生!」
リー「さぁさぁそういうわけでグリフィンドールには僕達の女神であり勝利の女神であり美の女神でもありもう女神の全てを兼任しておいでな我らがハニー・ポッターもいるわけですから、今年も優勝杯はいただきですねねぇ先生?」
マクゴナガル「無論です」
リー「真顔です!真顔でおっしゃるマクゴナガル女史あんたやっぱり最高だぜ!さぁさぁマダム・フーチがピッチにやってきました。彼女はそういやこの試合の時以外見ませんが普段は何をしているのでしょうかまったく謎です、給料でもめたりしてるのかなっとさぁそんなことはどうでもいいとマクゴナガル先生がおっしゃっていますそうしようそうしようと実況のリー・ジョーダンも言いました!」
ハニー「相変わらず好き勝手するわね、リーは……あら」
マルフォイ「やーぁ、ポッター。このバッジ、君の好みに合うんじゃないか?え?」
ハニー「残念、自分で王冠をつけるような趣味はないの。どうせならもっと豪華なものにすれば考えてあげてもよかったのだけれどね……何かする前に、試合を終わらせてあげるわ」
ブォォオオオオオオオオオオ!!
リー「さぁほら貝がなりました!試合開始です!」
マクゴナガル「冗談はやめ――本当に始まっている!?」
リー「音の提供はハニーに一生着いて行くのだ略してチームHINの漢、ネビル・ロングボトムの演奏でした!ごらんくださいあの勇姿!ほら貝を吹く姿はまさに漢!!漢だぜネビル!豚の中でな!!」
マクゴナガル「……せめて西洋文化になさい!!!!!」
リー「クァッフルはまずグリフィンチーム、アンジェリーナ・ジョンソン選手の手に渡りました!」
ワァアアアアアアア!!
リー「ご覧下さいあの引き締まった身体!魅惑のうなじ!健康的なふともも!汗で光る浅黒い肌!たまりませんね、えぇ!!」
マクゴナガル「リー!誰があなたの性癖の話をしろと言いましたか!」
リー「とんでもございませんマクゴナガル先生!これは僕個人の好みではなく健康優良男児なら当然抱くべき感想をですね」
マクゴナガル「マイクと首を飛ばしてさしあげましょうか?」
リー「ジョーダンの冗談はさて置き!さぁさぁアンジェリーナはクァッフルを持って颯爽と飛んでおります!厨二デカブツ、失敬、ワリントンをかわし、育ちすぎた闘牛、失敬、モンタギューをかわし――あいたっ!ブラッジャーに後ろからやられました!あーぁ」
マクゴナガル「……」
リー「……モンタギューが飛んでいます。こう、シュー、って」
マクゴナガル「真面目に公正に実況なさい!!」
リー「合点です先生なにせジョージ・ウィーズリーからの的確なブラッジャーがモンタギューの後頭部を襲いましたからね!よしっ!ケイティ・ベルが拾った!二年生からグリフィンドールの三人娘としてアリシア、アンジェリーナと共に飛んできた可愛いケイティ!みなさん!その三人娘の姿を見られるのも今年までなのです!アリシアとアンジェリーナは今年で卒業!彼女らの姿を、っ、笑顔を邪魔することが!たとえ敵とはいえあなたがたにできますか!?それでも血の通った人間で――」
マクゴナガル「泣き落としはやめなさい、リー!」
リー「そりゃもう承知しましたよ先生嘘無きですからね!さぁケイティからアリシアにパスが回る!ワリントンを――あぁっ!かわせない!なんてこった!!クァッフルはスリザリンチームへ……」
ワァアアアアアアアアアア!! ガヤガヤガヤガヤ ――ズリーは
リー「ちっくしょうめスリザリンチームが大いに沸いております。おや、何か歌が聞こえますなんでしょう。負け犬の遠吠えになるよう祈って聞いてみましょうか――」
マルフォイ「いいぞっ!お前達!ワン、ツー、スリー、フォーーイッ!」
スリザリン生徒「♪ ウィーズリーは守れない~♪ 万に一つも守れない~♪」
スリザリン生徒「♪ だから歌うぞスリザリン~♪ ウィーズリーこそ我が王者~♪」
スリザリン生徒「♪ ウィーズリーの生まれは豚小屋だ いつでもクァッフル見逃した~♪」
スリザリン生徒「♪ おかげで我らは大勝利~♪ ウィーズリーこそわが王者――」
リー「っ、ワリントン、ゴールにむかいます!!うるっせぇえ!豚ども!!バカな歌をかきけせ!!!」
ヒンヒィイイイイイン!!
ローーーーーン!!ローーン!!
グワァアオオオオオオオオオオオオオンッ!!!
ロン「」
リー「やれ!!ロン!! 期待の新星!我らが豚の――あぁ――スリザリン、先取点」
ワァアアアアアアアアアア!!!
ウィーズリーこそ我が王者~♪
ハニー「っ、ロン……!」
ワアアァアアアアアアアアア!! ヒンヒーーーーン!
ウィーーズリーは~~♪
ハニー「っ、ロン!っ、声が届かないわね、当然だけれど……こうなったら、直接」
アンジェリーナ「ポッター!何してる!動いて!早く!」
ハニー「っ、だけど、ロンが……!」
アンジェリーナ「あいつの動きはあいつの責任であいつの役目だ!あいつがとられた点は私たちが稼ぐ!君の役目はなんだ!?え!?心配顔で浮かんでることか!?いつもの不敵な顔でスニッチをもぎとるのが君の役目だろ!さぁ!」
ハニー「……ほんっっと、ウッドに似てきたわね、アンジェリーナ!しっかり点、頼んだわよ!」
リー「さぁさぁ仕切りなおしです!ロン、気にすんな!よくあるこった!うん!次止めりゃいいんだ!さぁ、クァッフルはアリシアに渡ります……」
ハニー「アンジェリーナの言う通りだわ……ロンにはロンの役目がある。この場に出てきてまで、ロンを信じられないなら、私はロンの……友達失格だわ」
ハニー「……頑張って、ロン……ハーマイオニーの応援までもらっておいて、無様なままじゃ、終わっちゃ、許さないんだから」
・
・
・
ウィーズリーこそ我が王者~♪
リー「よーしロン!いけるぜ!いけるぜロン略してイケロン!止めろ……あぁっ、二〇対〇、スリザリンリード」
・
・
・
ウィーズリーの生まれは豚小屋だ~♪
リー「三度目の正直だ!ロン!やれ!おまえなら……三〇対〇、スリザリン、リード」
・
・
・
ウィーズリーは守れない~♪
リー「ロン、お前ってやつは……四〇対〇、スリザリン、リード」
ハニー「ロン……いつもわたしを助けてくれてる」
ハニー「いつもは豚のくせに、たまにとても意地悪だけれど」
ハニー「……そんなあなたに、少しでも。お礼をしなくちゃ」
ハニー「わたしだけが、できる、ことで――!」
ハニー「見つけた――スニッチ!」
リー「一〇対四〇!いいぞ!巻き返しで……おぉっと!!ハニー・ポッターが猛烈なスタート!これは……スニッチです!スニッチが現れました!いいぞ!ハニー!あぁ!彼女が飛ぶ姿は赤い星のようでなんと美しい軌跡でしょう!遅れて後ろを飛ぶマルフォイの野郎はなんだありゃ!効果音はフォーイで決まりだな!」
マクゴナガル「いけっ!いけっ!いきなさい、ポッターーー!」
リー「イェー先生最高だぜ! ハニー! いけ! やった!!」
ハニー「っ……スニッチをとったわ!!」
ブォォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!
リー「試合終了!一六〇対四〇で、グリフィンドールの勝利です!!」
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
ハニーーーーィイイイイイ!!!
グワァオオォォォォォオオオオオンッッッッ!!
ハニー「……良かった。試合に勝てば、ロンを責めたりは、誰も……っ!?!?」
ロン「ハニー……僕、ってぉおおおおおおおっとぉおおおおお!マーリンの髭ぇえええ!」ズザァァァアァッ!
ハニー「いった、っ……試合は終わったのに、っ、どうしてブラッジャー……あぁ、ロン。こっちのピッチまで飛んでいたとはいえ、いい動きね。よくやったわ、えぇ。本当に」
ロン「そ、そんな、僕、試合じゃ……いや、それより!おいどこのどいつだこの……!」
マルフォイ「おーやおや、ゴイル。ダメだろう、試合が終わったらブラッジャーで狙っちゃいけない、そうだろう?教えてなかったか?お前は覚えが悪いからな、え?」
ゴイル「ウッホウッホ!」
フーチ「何事です!すでにほら貝は鳴ったというのに!!」
ブーーーーーーーブーーーーーーーッ!!!
ゴイルァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
ヒンヒンヒーーーン(怒)
アンジェリーナ「ハニー、平気!?大丈夫か!?あぁ、スニッチを取ったあとでよか、いや、よかないんだけど、とにかく無事でよかった!」
ハニー「聞かなかったことにしてあげるわ……えぇ、大して強く打たれたわけじゃないもの。気を抜いていたから落ちそうになっただけ。それに、ロンがちゃんと抱きとめてくれたわ」
アンジェリーナ「あぁ、そうだね。ロン、そんな顔するな」
ケイティ「そうよ」
アリシア「そうよそうよ」
フレッド「確かに散々だったがな、ロニー。なぁに、気にすんなよ。僕らとお前の仲だろ」
ジョージ「お前が情けない洟垂れロニーだってことはとっくの昔に知ってたぜ、僕達はさ」
ロン「……僕、更衣室に行くよ。先に……いや、ハニー。ほら、君はほら、勝利者インタビューがほら、マー髭さ……」
ハニー「ロン!ちょっと、待ち……まったく、いい度胸しているわ……でも、みんな気にして、その、ないわよね?」
アンジェリーナ「当然さ、勝てたんだから。むしろ追加点をやって安心させてやれなかった私たちが悪い。ハニー、早めに決着をつけてくれてありがとう。今度は――」
マルフォイ「おやおや、それじゃ、ウィーズリーの首を救ったわけだねぇ、ポッター」
ハニー「……何か用があるの、それとも申し開きかしら?腰巾着に私へブラッジャーを打ち込ませたことについての」
マルフォイ「何のことだか、何にせよあいつにはそれをこなせるだけの能力があるってことだけど、君のとこのへぼキーパーはどうだい?あんあ最低の選手は見たことない。でも、まぁ仕方ないか。何せ豚小屋生まれだものなぁ、そうだろう?」
フレッド「おぉマルフォイ、逆に尊敬するぜ、僕ぁ」
アンジェリーナ「フレッド、やめて。ただの負け犬の遠吠えだって、ちょ、っと、ケイティ、アリシア、そっちおさえて!」
ハニー「……手を出したらダメよ、ジョージも!っ、待ちなさい、ってば!」
ジョージ「僕らの前でその話をするとはなぁ、え?」
マルフォイ「気に入ってくれたならありがたいね。もう少し歌詞を増やせればよかったんだけど、生憎『ふとっちょ』とか『おかめ』の韻を踏むことばがみつからなかったんだ。つまり、君達のあのデブでグズな母親のことだけど」
アンジェリーナ「抑えて!頼むから!フレッド!!」
フレッド「おふくろが――デブだとこの――俺達でも触れられない部分によくも」
マルフォイ「『役立たずのひょっとこ』ってのも候補だったんだけどね。つまりは君達の父親さ」
ジョージ「親父は――俺達を――禿げ上がってまで支えてんだ、この、クソ野郎」
ハニー「分かるわ、分かるわ、ジョージ!だから、あんな奴の言うことなんて――」
マルフォイ「あぁ、なるフォどね。ポッター、君はウィーズリーの豚小屋の悪臭も大丈夫なわけだ。マグル贔屓の腐った小屋の臭いは、そうだな。分かりたくもないが、君の 母 親 の 臭いを思い出させてくれるんだr――」
アンジェリーナ「ハニー!!!ハニーーーー!!ストップ!!!ストーーーーーーーーップ!!!!ダメだ!!それ以上マルフォイの関節は曲がらな、ジョーーーーーージ!!マルフォイの口にも鼻にもそれ以上『ずる休みスナック』のヤバイ方入らないからやめ、いや、他のとこからって、やめ、ジョーーーージーーーーーー!!!!」
数十分後
マクゴナガルの事務室
マクゴナガル「一体全体!!どういうおつもりですか!!」
ハニー「……」
ジョージ「……」
マクゴナガル「人前であんな恥さらしな真似を!一人に二人がかりで!あぁ!誇り高いグリフィンドール寮の者が!申し開きがありますか!?」
ハニー「……マルフォイが、挑発しました」
マクゴナガル「挑発!!ポッターもウィーズリーも、あなた方は選手になって何年ですか!負けた選手がどういう心境か――あぁ、えぇっ!!そういえばあなた方はここ数年幸運にもほとんど負けなしなのでしたね!!!なんと!!!災難な!!!!!ことに!!!!!!!!」
ジョージ「……あー、柔肌が傷ついちまうと思うぜ、先生」
マクゴナガル「舐めるんじゃありませんカッサカサです!!!さぁ!!!一体どんな挑発をしたと言うのです!二人がかりで暴行することを正当化するものなのでしょうね!?」
ジョージ「……家族を侮辱されました。ハニーの母さんも」
マクゴナガル「えぇ、許しがたいことです!して、あなた方はその場を公正な審判であるフーチ先生に仕切っていただかず!マグルの決闘ショーを始めることにしたわけですか!?!?」
ハニー「……先生、私のは関節技だから、あー、護身で」
マクゴナガル「相手の腕その他諸々をへし折りかけるのがどこが護身ですか!!!!」
ジョージ「先生、僕はただほら、菓子を食わせただけでさ」
マクゴナガル「それが原因なのか嘔吐し発熱し鼻血を噴出しだしたののどこがただ食べさせたなのですか!なんですあれは!どういう症状なのです!!!」
ジョージ「さーてね、アンブリッジ炎とかじゃないですか」
アンブリッジ「エヘンッエヘンッ!」
ハニー「……丁度来たようだものね」
マクゴナガル「……ドローレス、何か?」
アンブリッジ「せんせ、わたくし……お手伝いしにきましたの♪」
マクゴナガル「手伝い?必要ありません。この子たちはグリフィンドールの寮生ですので、処罰の裁量は私次第です。さぁ、ポッター、ウィーズリー!二人には一週間の罰則を――」
アンブリッジ「エヘンッエヘンッ!」
マクゴナガル「――我に忍耐を与えよ――何です!?」
アンブリッジ「実は、ミネルバ。この――『教育令第二十五条』においては、わたくしがどう思うのか、がより重要なのですわ♪」
マクゴナガル「!? また、その条例ですか!?一体幾つ加えるつもりなのです!!」
アンブリッジ「実は、あなたのおかげですの。私がグリフィンドールのクィディッチチーム再編を渋った折、校長にかけあってわたくしの決定を覆させましたわね?大臣に相談しましたら――高等尋問官はただの教師以上の権威と権限をもってしかるべきである、とのお返事とともに、これが」
マクゴナガル「権、限……?」
アンブリッジ「エヘンッ、エヘンッ!『高等尋問官は、ここに、ホグワーツの生徒に関する全ての処罰、制裁、特権の剥奪に最高の権限を持ち、他の教師の決定全てを変更する権限を持つものとする』……コーネリウス魔法省大臣の署名つき、公正な文書ですわ。お確かめに?」
マクゴナガル「……」
アンブリッジ「必要ありませんわね、あなたならばよくお分かりでしょうし。さて、ミネルバ、今となってはよくお分かりですわね?グリフィンドールの選手は、なんと恐ろしい『癇癪』もちですことかしら」
ハニー「……っ」
アンブリッジ「この二人、そしてそちらの双子のもう一方も同じくらい危険であると判断して。この三人に対し、わたくし、ホグワーツ高等尋問官は――」
アンブリッジ「クィディッチの終身禁止、と、決定いたしますわ♪」
談話室
ハニー「……」
ハーマイオニー「……ハニー」
アリシア「不公平だわ、絶対!だって、ゴイルのやつは!」
ケイティ「書き取り罰則だけなのに、三人だけ、そんな!」
ジニー「……フレッドまでなんて横暴だわ!なんにもしていないのに!」
フレッド「……同じことさ。アンジェリーナたちに抑えられてなきゃ、僕もあいつに『ウンのない人』でも……ヘイ相棒。ちょーっと、やっちまったな」
ジョージ「……おうともさ。あぁ、ハニー。悪いな、君まで巻き込んじまってさ……あー、っと。才女様の髪に隔てられてて聞こえないかもしれないけど」
ハニー「――」
ハーマイオニー「……聞こえてるわ、私の自業自得よ、ですって」
ジニー「とってもいい光景なのに……ロン、どこ行ったのかしら。おねぇさまがとっても珍しく、凹んでいるのに、もう」
ハーマイオニー「……珍しくもないけどね」
アンジェリーナ「……私、もう寝るよ……起きたら全部、悪い夢だった、ってなってるかもしれない……シーカーもビーターもなしで、どうやって……はっは、は……」
アリシア「私たちも……あなたたちは、ロンを待つの?」
ケイティ「伝えておいて……ロンのせいじゃない、って」
ハーマイオニー「……えぇ」
ゾロゾロゾロ
ハーマイオニー「……ハニー……ねぇ、仕方の無い事だわ。あなたのせいじゃない、誰のせいでも。悪いのは――」
ハニー「わたしが、我慢すればよかった、だけよ――わたし、何度も――先生とも、約束して」
ハーマイオニー「……そうね、えぇ。癇癪を抑えられたら、そう思うでしょうけど。でもね、あなたの良い所は、あなたのしたいようにする所なの……だから、ほら……あっ」
ロン「……」
ハーマイオニー「……どこに行っていたのよ、もう」
ロン「あー――歩いてた。外を」
ハーマイオニー「ハニーのクッション役のあなたがそんなに冷えていたら意味がないわ、もう」
ロン「ハニーと、フレッド、ジョージが終身クィディッチ禁止……!?」
ハーマイオニー「えぇ、そうなってしまったの。アンブリッジの、教育令第二十五条、とやらの権限で」
ロン「あんのカエルババア……でも、僕のせいだ」
ハニー「っ、違うわ!ロン、私がマルフォイをとっちめたのはあなたに言われたことじゃない――」
ロン「分かってる、あんのフォイフォイめ、僕たち家族を直にバカにしだしたんだろ……それもこれも、僕が試合でヘマばっかりしなけりゃ」
ハニー「何にも関係がないわ。あいつは、バカにできれば試合の内容なんて」
ロン「あの歌で上がっちゃって……僕は君の、豚失格だ」
ハニー「あの歌じゃ誰だってそうなるわ。勝手に決めないで」
ロン「……君は優しいね、ハニー」
ハニー「今頃知ったのかしら。その優しさをいつまでも受けられる所に、いるくせに。また離れるつもり?っ、ロン」
ロン「……ごめんよ。君の分も……僕、今度こそ頑張る。今度こそ、だ。あのフォイフォイめ……アンブリッジめ!マーリンの髭!」
ハーマイオニー「……頼りになりますこと。あぁ、そうね……空元気真っ盛りなあなたたちに、一つだけ。良いニュースがあるわ」
ロン「何言ってんのさ、僕ぁハニーを見られれば『元気爆発薬』一気飲みレベルだよ……なんだい?マルフォイの症状が悪化してバツフォイにでもなったのかい?」
ハニー「空元気?何かしら、それ……あんな人?にやられっぱなしで、へこむ私じゃないわ!……なに?アンブリッジがサラザールに捕食でもされたのかしら。出来る豚ね」
ハーマイオニー「それぞれ良いニュースと言っていいのか微妙じゃないの、もう……ほら、外を見て……」
ロン「外?雪が降り出してることくらいしか、特に――あっ!」
ハニー「……!小屋に、灯り……!あれって!」
ハーマイオニー「えぇ。ハグリッドが、帰ってきたわ」
ハグリッド「ハーーーーァアアアアニーーーーーーイイイイイイイイ!!!うおぉおおおおおおおお!俺ぁ帰ってきたぞぉおおおおおおおおおお!ヒンヒン、ヒーーーーーーーーーーーン!!!」
ハニー「ロン!私の豚!身体は温まったでしょうね!?」
ロン「いつでも、どうぞ!ハニー!僕のハニー!ヒンヒン!!」
ハーマイオニー「まずは『忍びの地図』と『透明マント』が先よ、もう、騒がしいんだから、あなたたちって」
ハニー「当然よ、言ったでしょ?私は私のしたいようにするの」
ハニー「気持ちだって、感情だって、『わたしは嘘なんてつかない』わ。そうでしょ?」
上巻・完
リーマス「……私の将来を潰しただけじゃあきたらずあのアンブリッジめどうしてくれよう」
シリウス「……乗り込むか!え!?ムーニー!」
リーマス「あぁ、少なくとも無様につかまりかけた君は連れて行かないけどね。パッドフット、ステイ」
今度こそ、完
759 : ◆GPcj7MxBSM - 2013/04/20 02:15:05.61 3xPZazeb0 157/157上巻は以上!2スレいくとはな!
下巻開始は上手くいけば日曜に!
スレタイは未定や!堪忍な!
ラドクリフお大事に
じゃあの!
ハリー・ポッターシリーズ
一巻~七巻
世界的大ヒット発売中!
2014年後半、USJにて
ハリポタアトラクション建設決定!!
続き
ハニー・ポッター「誰一人だって、欠けさせないわ」
色んな意味で。
原作よりもカッコいいなヒンヒン