1 : 以下、\... - 2014/05/23 02:53:52.53 Wc/VU3W60.net 1/16

サトシ「よーしよし偉いぞピカチュウ」

オーキド「ピッピカチュウ」

カスミ「サトシ…それはピカチュウじゃないわ。オーキド博士よ」

サトシ「カスミ…?いきなり何言ってんだ?ほら!どう見たってピカチュウじゃないか」

カスミ「いい加減に現実を見て!ピカチュウはもういない…死んだのよ!」

元スレ
サトシ「ピカチュウ、10万ボルトだ!」オーキド「ピッカー!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1400781232/

4 : 以下、\... - 2014/05/23 02:57:05.19 Wc/VU3W60.net 2/16

タケシ「カスミ、そっとしておいてやれ…今はまだ、現実を受け入れられないんだろう」

カスミ「でもっ…もう1年になるのよ!こんなサトシ見てられない!」

タケシ「あの惨劇から一年か…。サトシの傷は癒えても、心に空いた穴は塞がっちゃいない」

サトシ「よーしピカチュウ!特訓に行こうぜ!」
オーキド「ピカピッカァ!」

タケシ「ボケたオーキド博士をピカチュウと思い込むことで、心の穴を埋めようとしているんだ」

カスミ「サトシ…」

8 : 以下、\... - 2014/05/23 03:01:14.87 Wc/VU3W60.net 3/16

あ! やせいの ラッタ がとびだしてきた!

サトシ「よし!ピカチュウ!でんこうせっかだ!」

オーキド「ピッカ!」シュインシュインドシュイン

ラッタをたおした!


サトシ「いいぞ!ピカチュウ!その調子だ!」
オーキド「ピカピカピー!」

サトシ「ん?あそにトレーナーがいるな」
サトシ「よーし!ポケモンバトルを申し込もう」

サトシ「ねぇそこの君!俺とポケモンバトルしようぜ!」

トレーナー「いいぜ!かかってきな!行け、ギャラドス!」

サトシ「ピカチュウ!君に決めた!」
オーキド「ピッカッチュー!!」

トレーナー「えっ」

サトシ「ピカチュウ、先手必勝だ!10万ボルト!」

トレーナー「ちょっと待って」

トレーナー「そのおじいちゃんなんなの。メタモン?」

9 : 以下、\... - 2014/05/23 03:04:00.28 Wc/VU3W60.net 4/16

サトシ「え?何言ってるんだよどこからどう見てもピカチュウだろ!」

トレーナー「ピカチュウ?どう見ても人間にしか見えないんだけど」

サトシ「人間じゃねーよピカチュウだよ!ほら鳴き声だって…」
オーキド「ピカチュウ!ピカピッカピッカチュウー!」
サトシ「ほら完全にピカチュウじゃねーか!」

トレーナー「うーん、じゃあいいや新種のピカチュウってことで…」

サトシ「よーしじゃあバトル続行だぜ!ピカチュウ!かみなりだ!」

オーキド「ピッカァー!!」
しかしPPが足りない!

トレーナー「ギャラドス!今だやれっ!かみつく!」

ギャラドス「ギャアアアス!」ガブリ!

オーキド「ピッピカァ!!」ブシャー!

サトシ「ピカチュウ!頑張れ!耐えるんだ!頑張れぇ!」

トレーナー「トドメだギャラドス!はかいこうせん!」

ギャラドス「ギャオース!!」ドギャーーーン!

オーキド「ピッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

サトシ「ピカチュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」

15 : 以下、\... - 2014/05/23 03:07:29.65 Wc/VU3W60.net 5/16

トレーナー「金は貰っておくぜ。俺に挑みたいならもう少しレベルを上げておくんだな」


サトシ「ピカチュウ!大丈夫かピカチュウ!」ダッ

オーキド「ピィカ…ピカピィ…」

サトシ「クッ、酷い…!このままじゃピカチュウは…。ダメだ!回復アイテムもない!」

オーキド「ピカピィ…。ピッピカァ…」

サトシ「大丈夫だピカチュウ!すぐにポケモンセンターへ連れて行ってやるからな!」

オーキド「ピカァ…」ガクッ

サトシ「ピカチュウ…?ピカチュウッ!駄目だ死ぬなぁ!目を覚ませピカチュウ!」

オーキド「 」

サトシ「ピカチュウ!なんでだ!俺はまたピカチュウを守れないのかよ!」

サトシ「また…?あれ、どういうことだ?頭がっ…痛い。なんだ?前にも同じことが…」


そしてサトシは一年前の惨劇を思い出す

18 : 以下、\... - 2014/05/23 03:13:23.00 Wc/VU3W60.net 6/16

サトシ(そうだ…あれは確か…一年前のポケモンリーグ決勝でのバトル…)

サトシ(相手はドラゴン使いのワタル。ワタルが出してきたのはカイリュー)

サトシ(お互い残るは最後の一匹、倒された方が敗北というバトルの正念場)

サトシ(だけどその時の俺は、ワタルのカイリューが相手でも勝つ自信があった)

サトシ(その時のピカチュウは、まさに最強と言っていいほど鍛えあげられていた)

サトシ(そして俺は信じていた。ピカチュウが負けるはずがないと)

サトシ(そしてあの瞬間、バトルの最後、HPぎりぎりのカイリューが放ったはかいこうせん)

サトシ(そのとき俺は勝利を確信した。ピカチュウなら、よけられると)

サトシ(はかいこうせん後の、隙をついての10万ボルト…それが俺の予想した勝利への道筋だった)

サトシ(しかし、俺の予想は外れた。ワタルのカイリューが放ったはかいこうせんの狙いは俺だった)

サトシ(ワタルは勝つために、トレーナーである俺を直接狙ったんだ。そしてピカチュウは、俺をかばって…)

24 : 以下、\... - 2014/05/23 03:21:19.22 Wc/VU3W60.net 7/16

サトシ(それからは覚えていない。恐らく俺は負けたんだろう)

サトシ(気が付くとそこは、病院のベッドの上だった)

サトシ(俺は真っ先にピカチュウの無事を確かめようとした。ピカチュウは大丈夫か)

サトシ(病室で付き添っていたタケシにそう聞いても、首を横に振るだけだった)

サトシ(俺は事実を受け入れることができなかった。例えピカチュウの墓を目の前にしても)

サトシ(それから俺はずっとピカチュウを探しまわった。ピカチュウが死ぬはずがない)

サトシ(ピカチュウはきっとどこかにいる。そう思って草むらや家の中をずっと探し続けた)

サトシ(カスミやタケシは何も言わなかった。そんな俺を遠くから心配そうに眺めていた)

サトシ(そしてある日、俺がマサラタウンの草むらをいつものように探しまわっていると)

サトシ(後ろからピカチュウの鳴き声が聞こえたんだ。振り向くとそこには、オーキド博士がいた)

27 : 以下、\... - 2014/05/23 03:29:18.15 Wc/VU3W60.net 8/16

サトシ(そうして俺は、ボケたオーキド博士をピカチュウと思い込むことにした)

サトシ(本当は心の底では気づいていたんだ、これはピカチュウじゃなくて、オーキド博士だってことに)

サトシ(でも、そのときの俺は、ピカチュウが死んだ現実を受け入れることができなかった)

サトシ(俺は心の穴を埋めるように、ピカチュウとの日々を過ごした)

サトシ(それなのに、俺はまた同じ過ちを…)

サトシ(俺はピカチュウを二度失ってしまったんだ。俺の弱さのせいで…)


オーキド博士はそのまま二度と目を覚まさなかった
葬式はマサラタウンのオーキド研究所で行われた
表向きには、草むらを歩いていたところ不運にも野生ポケモンに出くわし
そのまま襲われて死んだことにされていた

29 : 以下、\... - 2014/05/23 03:36:26.03 Wc/VU3W60.net 9/16

オーキド博士が死んでから数日、サトシはずっと自分の家で塞ぎ込んでいた

コンコン

シゲル「サトシ、ちょっといいかい。」

サトシ「シゲル…?今は、一人にしておいてくれねーか…」

シゲル「話したいことがあるんだ。これ、おじいちゃんの部屋で見つけたんだ」

サトシ「これは、ポケモンの卵…?」

シゲル「そう、サトシ、君の死んだピカチュウが残した卵だ」

32 : 以下、\... - 2014/05/23 03:41:00.27 Wc/VU3W60.net 10/16

サトシ「ピカチュウの!?」

シゲル「恐らくリーグ前、君がピカチュウをおじいちゃんの研究所に預けていたとき」

シゲル「そのときに、君のピカチュウが研究所で生んだ卵だ」

サトシ「そんな、でも俺そんなこと全然知らなくて」

シゲル「それもそのはずだ。隠してたんだよ、おじいちゃんがずっとね」

サトシ「オーキド博士が?なんでそんなことを…。それに卵を産んだなら相手がいるはずだ」

シゲル「……」

サトシ「相手は雌のピカチュウか?誰のポケモンなんだ?」

シゲル「…相手はピカチュウじゃない。ピカチュウと卵を生んだのは、オーキド博士だ」

サトシ「!?」

33 : 以下、\... - 2014/05/23 03:46:38.31 Wc/VU3W60.net 11/16

シゲル「その卵は、ピカチュウと、おじいちゃんとの間に産まれた卵なんだよ」

サトシ「ちょっと待てよ!何言ってるんだ!ポケモンと人間の間に卵なんて…」

シゲル「その通りだ。ポケモンは人間との間に子供を作ることは不可能。人間ならね」

サトシ「!まさか…!」

シゲル「そう、君のずっと会っていたおじいちゃんは、おじいちゃんの真似をしているメタモン」

シゲル「本物のオーキド博士は、とっくの昔に死んでいたんだ」

サトシ「そんな…。俺が知っているオーキド博士は、メタモンだったのか…?」

36 : 以下、\... - 2014/05/23 03:52:29.70 Wc/VU3W60.net 12/16

シゲル「フッ僕も君と同じさ…。おじいちゃんが死んだ時、僕はどうしてもおじいちゃんの死を受け入れられなかった」

サトシ「……」

シゲル「そして僕は、研究所にいたメタモンをおじいちゃんと思い込んだ」

シゲル「メタモンも僕のために、ずっとおじいちゃんのものまねをし続けてくれた」

シゲル「そうするうちに、僕もメタモンも、このオーキド博士こそが本物のオーキド博士だと思うようになったんだ」

シゲル「やっと思い出した。いや、やっと現実を受け入れることができたよ。メタモンが死んでようやく」

サトシ「じゃあオーキド博士はボケていたんじゃなくて…」

シゲル「そう、あの時の僕と、君を重ねて…。死んだピカチュウの代わりになろうとしたんだ」

シゲル「でもメタモンオーキド博士でいる時間が長すぎた。もう、オーキド博士以外にはなれなくなっていた」

サトシ「俺のために…オーキド博士のままでピカチュウを演じて…」

45 : 以下、\... - 2014/05/23 04:11:27.07 Wc/VU3W60.net 13/16

シゲル「おそらく君のピカチュウは、リーグ戦で命を落とすことを気づいていたんだ」

サトシ「……」

シゲル「だからその前に、メタモンとの間に子供を作った。自分がいつ死んでもいいように」

サトシ「ピカチュウ…」

シゲル「だけどメタモンは卵を君に預けることをしなかった」

シゲル「君がピカチュウの死を受け止めきれていなかったからだ」

シゲル「だからメタモンは葛藤し、自らがピカチュウを演じることを選んだんだ」

シゲル「思い出せ、君の夢はなんだ!ポケモンマスターになることだろう!」

シゲル「さぁ、この卵を孵化させて、そしてもう一度立ち上がるんだ!」

シゲル「それが死んだメタモンとピカチュウの願いなんだよ」

シゲル「じゃあな、ポケモンリーグ決勝で待ってるぜ」

46 : 以下、\... - 2014/05/23 04:14:23.76 Wc/VU3W60.net 14/16

サトシ「そうだ、思い出したよ。俺は、ポケモンマスターになりたかったんだ」

サトシ「ピカチュウ、オーキド博士。俺、もう一度やってみるよ」

おや…? たまごがかえって ピカチュウがうまれた!

ピカチュウ2世「ピッカァ!ピカピッカァ!」

サトシ「よしよし!お前の名前はオーキドだ!よろしくなオーキド!」

オーキド「ピカピッカピー!」


数年後
ポケモンリーグ決勝

サトシ「オーキド、10万ボルトだ!」
オーキド「ピッカー!」



44 : 以下、\... - 2014/05/23 04:08:08.38 H38oRwk/0.net 15/16

勢いだけかと思ったしっかりした伏線が貼られててワロタ

58 : 以下、\... - 2014/05/23 05:39:46.33 UQ0fZPwS0.net 16/16

思いのほかいい話だった

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