2 : VIPに... - 2014/10/27 23:42:40.58 nR1fdImYO 1/65

「んしょっ、と……それじゃ、行ってきまーす!」

「うん、行ってらっしゃい。 気をつけてね」

「はーい!」

「朝から元気ねぇ」

「そうだね」

「あら、おはよう」

「うん、おはよ。 妹は朝練?」

「そそ。 それより姉、昨日も遅くまで起きてたでしょ」

「……あー、やっぱりバレた?」

「そりゃ分かるわよ……ドアから明かりが漏れてたし」

「でも、遅れてる分の授業を取り戻さなきゃいけないし」

「……熱心なのは良いけど、体を大切にしなさいよ?」

「……うん、わかってる。 ごめんなさい」

「ううん、謝ることじゃないの。 でも……」

「うん、大丈夫、もう分かってるから」

「姉……」

「それじゃ、着替えてくるね」

「……ええ、行ってらっしゃい」

3 : VIPに... - 2014/10/27 23:44:10.93 nR1fdImYO 2/65

「お、今日は学校行くのか?」

「うん、調子良いみたいだし」

「気を付けてな」

「うん、ありがとう」

「また倒れられたら、こっちも倒れてしまいそうだからな」

「そんなに心配しなくても大丈夫、多分今日は」

「まあ、姉がそう言うなら、信じるとするか」ハハハ

「うん、それじゃあ行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

「ちょっとあなた、車の鍵知らない?」

「車の鍵?」

「ええ、昨日そこの棚に置いたはずなんだけど……」

「ああ、すまんすまん、最後に私が使ってからカバンに入れたままだ」ゴソゴソ

「もうっ、ちゃんと戻しておいてっ!」

「ははは、悪い悪い」チャリ

4 : VIPに... - 2014/10/27 23:45:15.48 nR1fdImYO 3/65

私は心臓が弱い。

いつも車で学校への送り迎えがあるし、体育は見学してる。

病気がちという理由で、お母さんたちは私ばかりを構っていて、妹に申し訳ない気持ちでいっぱい。

でも、そのことで謝っても、

『気にしてないから大丈夫。 わたしの心配より、自分の心配をしなきゃだめだよ』

と言って、逆に心配される。

妹は、こんな私にいつも優しくしてくれる。

5 : VIPに... - 2014/10/27 23:48:50.49 nR1fdImYO 4/65

「はい、学校着いたわよ」

「うん、ありがとう」

「気をつけて行くのよ?」

「分かってる。 じゃあ行ってくるね」ガチャ

「行ってらっしゃい」


ブロロロロ


「ふう……」

「あ、姉!」タタタ

「あ、友ちゃん、おはよう」

「おはよー、もう大丈夫なの?」

「うん、調子は良いみたい」

「そっか」

「ごめんね、なんか私、心配かけてばっかりだよね」

「謝ることじゃないよ、ね?」

「……うん、ごめんね」

「いいっていいって、ほら、教室行こ?」

「うん」

6 : VIPに... - 2014/10/27 23:50:06.96 nR1fdImYO 5/65

──────────────




「ん~~っ、やっと昼休みかぁ」

「お疲れ様」

「ほんと疲れたよ~……」

「ほとんど寝てたのに?」

「うるさいよっ! ほら、早くパン買うよ!」

「はいはい……うわ、今日は人多いね」

「購買、朝やってなかったからねぇ」

「私が友ちゃんの分も買ってくるよ。 何がいい?」

「クリームパンで!」チャリ

「ふふ、分かった」

「お願いねー!」

「ん、あれ、友先輩?」

「うん?」

「こんにちは」ペコ

「あ、妹ちゃん、こんちわー」

7 : VIPに... - 2014/10/27 23:53:55.16 nR1fdImYO 6/65

「今日は購買、人多いですね~」

「妹ちゃんはもう買ったの?」

「ええ、なんとか」

「希望のものは買えた?」

「残り一つでしたが、なんとか買えましたよ」

「ふぅん、何買ったの?」

「これです」ガサガサ

「これは…………これ……は……」

「クリームパンです」

「友ちゃん、友ちゃん、クリームパン売り切れだったよ!」

「え、お、お姉ちゃん!?」

「あ、妹」

「orz」

8 : VIPに... - 2014/10/27 23:55:29.86 nR1fdImYO 7/65

~屋上~

「売り切れてたから、これ、代わりに買ってきたんだけど」ガサガサ

「……ジャムパン?」

「うん、マーマレードのやつ。 好きでしょ?」

「ああぁぁありがとう心の友よおおぉぉ~~~っ」ギュウウゥゥ

「もう、大げさだよ」

「…………む」

「ところで、今日はほんとに調子いいみたいだね」

「ん、信じてなかったの?」

「信じろと言われましても……ねえ」

妹 コクコク

「む、むぅ、妹まで……」

9 : VIPに... - 2014/10/27 23:56:32.88 nR1fdImYO 8/65

「お姉ちゃん、油断は大敵だよ」

「うん……でも、油断してなくても……」

「本人の意思とは関係なしだもんね……はむはむ」

「……」

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

「……大丈夫じゃないから、心配してるの」

「……うん、ごめんね」

「あははっ、なんか夫婦みたいだよ、アンタたち」

「 「……っっ、げほっ、げほげほっ!」 」

「なっ、何言ってるの友ちゃんっ!」

「そうだそうだ!!」

「え、えー……ご、ごめん、軽い冗談だったんだけど……」

10 : VIPに... - 2014/10/27 23:58:44.14 nR1fdImYO 9/65

「まったく……」モグモグ

「まあ、いい妹さんを持ったよ、姉は」

「……うん」

「えっ、ちょっ、ちょっとなんでそんな話になるんですか!?」

「何より機転が効くのよ。 次期部長候補かな」

「部長直々に推薦かぁ」

「私が三年になったら、後はヨロシク!」ポン

「えええ!?」

「うん、妹ならできるよ、頑張って」

「無理無理っ、絶対無理っ!!」

「どうして? 優しいし、気遣い上手。 部活でも活躍してるんでしょ?」

「してるねぇ」

「ふふっ、もっと自分に自信を持って、ね?」ナデナデ

「あ、あぅぅ……///」

「んー……えいっ」ギュウッ

「ふわあぁっ!?///」

11 : VIPに... - 2014/10/28 00:01:44.69 74asHmGoO 10/65

「」ダラダラ

「おっ、お姉ちゃん、友先輩が鼻血噴いて倒れてるよっ」

「うわー……制服にかからなくて良かったね」フキフキ

「ねえ、この量ってやばそうだけど……大丈夫なのかな」フキフキ

「まあ、明らかに顔色悪いし、貧血だろうけど……」

「はっ!?」パチッ

「大丈夫みたいだし」

「すごい血液の生成がはやいんだね、きっと……」

「なんか今、とてもいい百合を見たような気がする!」

「ゆ、ゆり……?」

「さすがに屋上には生えてないと思いますが……」キョロキョロ

「いやいやそっちの百合じゃないんだ」

「そっちのって……どっちの?」

「ふふ……そうだな、百合の蕾は育てるに限るし……」ブツブツ

「友ちゃん……さっきの鼻血の勢いで、床に頭ぶつけちゃったんだね……」

「友先輩……」

12 : VIPに... - 2014/10/28 00:02:54.30 74asHmGoO 11/65

キーンコーンカーンコーン

「あ」

「予鈴だね」

「んーーーっ、よし、戻るかぁ」

「うん」

「お姉ちゃん、またおうちでね」

「うん」

「また部活でね~」

「はーい」

13 : VIPに... - 2014/10/28 00:03:46.79 74asHmGoO 12/65

───────────────




~帰り道~

妹友「最近、友先輩怠けてきてない?」

「わたしもそう思う」

妹友「なんか、妹に頼りっぱなしだよね~」

「ほんとにねぇ」

妹友「やっぱり次期部長は妹かな?」

「わたしには向いてないよ~」

妹友「そう? むしろ、妹以外に適役はいないと思うよ?」

「またまた……それじゃ、また明日ね」

妹友「うん、また明日~」

14 : VIPに... - 2014/10/28 00:04:52.92 74asHmGoO 13/65

「ただいまー!」

「おかえり」

「お腹すいたー!」

「はいはい、もう夕食できるから、姉呼んできて」

「はーい」

15 : VIPに... - 2014/10/28 00:05:52.06 74asHmGoO 14/65

~姉の部屋前~

コンコン

「お姉ちゃん、ご飯だよ」

シーン……

「……あれ、お姉ちゃん?」コンコン

シーン……

「……?」カチャ

「……」

「あれ、勉強してた……?」

「……」

「へ? ちょっと、お姉ちゃん?」トテトテ

(……? 机に突っ伏して───?!)

「おっ、お姉ちゃん!? お姉ちゃん、大丈夫!?」ユサユサ

16 : VIPに... - 2014/10/28 00:07:44.18 74asHmGoO 15/65

「……ん、んぅ…………ぁれ、いもぉと……おはよぉ……」クシクシ

「」

「んん……ありゃ、寝ちゃってたぁ……ふわあぁ……」

「…………お姉ちゃんの、ばかっ」ギュウッ

「んん……?」

「でも……良かったぁ……」

「……なんか、ごめんね」ナデナデ

「……ううん、わたしが早とちりしただけだから」

「……ありがとね、妹」

「え?」

「心配してくれて」

「……そんなの、当たり前でしょ」

「そうかな?」

「もうっ、そんなの誰でも心配するよっ」

17 : VIPに... - 2014/10/28 00:08:41.02 74asHmGoO 16/65

~リビング~

「それじゃ、食べて」

「うん、いただきます」

「いただきまーす!」

「はむ……うん、美味しいね」

「ふふっ、ありがとう」

「んー」ムグムグ

「姉、今日はどうだった?」

「調子良かったよ」

「そう、ならいいんだけど」

18 : VIPに... - 2014/10/28 00:10:41.56 74asHmGoO 17/65

~夕食後 姉の部屋~

「よし、明日の準備はおっけー、と」トントン

(明日は学校行けるかな……)キイ

(また倒れたりしたら……怖いなぁ)

(でも、学校には行きたいし……)

「はぁ……なんで、こんな体なのかな」

(ちゃんとした体で、生まれてきたかったなぁ……)

(妹みた、い、に…………)

19 : VIPに... - 2014/10/28 00:12:19.41 74asHmGoO 18/65

~妹の部屋~

「えーっと、本、本……」ゴソゴソ

「……ん? この本は……」パラパラ

「……あっ、お姉ちゃんが貸してくれた本、返すの忘れてたっ!!」

「やばー……これだけかな、これだけだよね」ガサゴソ

「そうみたい……やばやば、お姉ちゃん、怒ってなければいいけど……」バタバタ

20 : VIPに... - 2014/10/28 00:17:16.09 74asHmGoO 19/65

~姉の部屋前~

コンコン

「お姉ちゃーん」

シーン

「……げ、もう寝ちゃったのかな」

「お姉ちゃーん?」コンコン

シーン

「……本を返すだけだし、いいよね」カチャ

21 : VIPに... - 2014/10/28 00:19:07.74 74asHmGoO 20/65

「失礼しまー……って、起きてたの?」

「…………」

「もー、また机で寝てるの? 風邪ひくよ~」ツンツン

「…………」

「……え? お、お姉ちゃん?」ユサユサ

「…………」

「……!! お、お母さんっ!!」バタバタ

22 : VIPに... - 2014/10/28 00:22:18.14 74asHmGoO 21/65

───────────────




~病室~

「…………ぁ、ぁ……?」パチ

「……!!」

「あ、れ…………いもうと……?」

「良かった……おねえちゃん……」

「……また?」

「うん……」

「……大丈夫?」

「あはは……こればっかりは、対処のしようも無いかな」

「そうね……」

「どうしたの?」

「……ううん、何でもないわ」

「そう?」

23 : VIPに... - 2014/10/28 00:23:10.42 74asHmGoO 22/65

~数時間前~

医者「お久しぶりです」ペコリ

「どうもです」

「ええ、ご無沙汰してます」

医者「できれば、ご無沙汰したままのほうが良かったのですが……再び、ですね」

「ええ……先生には、何度もご迷惑を」

医者「いえ、気にしないでください…………それで、ですね」

「はい」

医者「姉さんの、状態なのですが……」

「……はい」

医者「率直に申し上げますと……恐らく、かなり危険な状態でしょう」

「……やはり、ですか」

医者「早急な入院をおすすめしますが……どうでしょうか」

「……お願いします」

24 : VIPに... - 2014/10/28 00:24:44.77 74asHmGoO 23/65

───────────────




「今度は、どれぐらい眠ってたのかな」

「七時間くらい、かな」

「……お母さんたちは、ずっとここにいたの?」

「ええ、そうよ」

「……ごめんなさい」

「お姉ちゃんが謝ることじゃないよ、仕方ないもん」

「うん……」

「……それでね、姉」

「うん」

「入院、することになったのよ」

「……そっか」

「嫌じゃないの?」

「ううん、もう、これ以上迷惑はかけられないから」

「お姉ちゃん……」グスッ

「もう、どうしたの? 私は大丈夫だよ、妹」

「……うん」

25 : VIPに... - 2014/10/28 00:25:36.96 74asHmGoO 24/65

それから、地獄の入院生活が始まった。

何が地獄かっていうと、とにかく暇。 ヒマ。

検査とかもあるけど、そんなに頻度は高くない。

個室だし、たまに来る看護婦さんは、忙しいだろうからあんまり引き止められないし。

学校が終わる時間帯になれば、友達がお見舞いに来てくれて楽しいし、嬉しいけどね。

でも……やっぱり、一番嬉しいのは……。

26 : VIPに... - 2014/10/28 00:27:56.61 a7oHHalLO 25/65

コンコン

「どうぞー」

カチャ

「お姉ちゃん」ヒョコッ

「あ……妹」

「えへへ、また来たよ」

「無理して来なくても良いんだよ?」

「ううん、無理してないし」

「そう……ごめんね」

「わたしが好きで来てるんだから、謝らないで」

「……うん」

「それで……これなんですけど」ゴソゴソ

「……妹、絶対これ目当てで来てるでしょ」

「ちっ、違うよっ!」

「もう、宿題くらい自分でやんなきゃだめだよ?」

「う、うぅ……だって、お姉ちゃんの説明がわかりやすいんだもん……」

「……もう、しょうがないなぁ」

27 : VIPに... - 2014/10/28 00:28:52.35 a7oHHalLO 26/65

「うぐぐ」カリカリ

「ふふ、頑張って」

「めんどくさいぃ……」シクシク

「ん、じゃあ終わったらお見舞いでもらったお菓子でも食べよっか」

「頑張るっ!」ガリガリガリガリ

「お菓子効果すごい……」

28 : VIPに... - 2014/10/28 00:31:45.40 a7oHHalLO 27/65

「うまうま」モグモグ

「今日は早かったね?」

「お菓子のためだもん」モグモグ

「ふふっ……まだまだ子供だね」

「むっ、そんなことないもん」

「そんなんじゃ、知らないおじさんとかにお菓子で釣られちゃうんじゃないの?」

「釣られないよっ」

「あははっ、妹ならありそう」

「絶対無いってば!」

「心配だなぁ、これじゃあまだまだ死ねないかな」

「…………死なないでよ?」

「まだ大丈夫だよ、きっと」

「……お姉ちゃんが死んじゃったら、わたしも追いかけるから」

「ダメ」

「やだ」

29 : VIPに... - 2014/10/28 00:33:44.83 a7oHHalLO 28/65

「私は、死にたくて死ぬわけじゃないんだからね」

「……わかってるもん」

「けど、妹は生きてられる」

「……」

「もったいないよ」

「……じゃあ、絶対、死んじゃヤだから」

「そうだね、生きてたいな」

「こういうときぐらい、約束するって言ってよ」

「…………ごめん、なさい」

「……寂しいよ、お姉ちゃん」

「……」

「お姉ちゃんが、おうちにいなくて……すっごく静かで……」

「それで、もし、お姉ちゃんが死んじゃったら……わたし……っ」グスッ

「……大丈夫、また、帰れるよ」ナデナデ

「……っ、おねえちゃんっ……」ギュウッ

「よしよし……」ナデナデ

30 : VIPに... - 2014/10/28 00:36:00.90 a7oHHalLO 29/65

「……おねえちゃん、いい匂い」

「え?」

「ふんふん……んー」ギュー

「ちょ、ちょっと、匂い嗅がれるのはさすがに恥ずかしいよ」

「……む」ムニュ

「ん?」

「……おっきい」ムニムニ

「ひゃあっ!? ちょっ、こらあっ」ペチペチ

「むーっ、お姉ちゃんが全部持ってっちゃったから、わたしがぺったんこになっちゃったんだよ!」

「え、え? 私のせい?」

「そう、お姉ちゃんのせい」

31 : VIPに... - 2014/10/28 00:37:54.13 a7oHHalLO 30/65

ポッポー ポッポー ポッポー

「……あ、もう18時だよ」

「……」

「ほら、もう帰らないと。 お母さんが心配するよ?」

「……」ギュ

「もう……私は大丈夫だから」ナデナデ

「……お姉ちゃんの大丈夫は、信用できないもん」

「……自分でもそう思う」

「……また明日、来るからね」

「無理して毎日来なくていいんだよ?」

「さっきも言ったでしょ、無理なんかしてない」

「……うん、ありがとう」ナデナデ

「ん……えへへ……」

「気をつけて帰ってね」

「……お姉ちゃん」

「うん?」

「あのね……?」

「うん」

「……ううん、何でもないっ! じゃあ、また明日ね!」ガチャ

「そう? うん、またね」

パタン

32 : VIPに... - 2014/10/28 00:39:00.42 a7oHHalLO 31/65

(何を言おうとしてたんだろ……)

ガチャッ

「!?」ビクッ

「そ、そのっ……お姉ちゃん」パタン

「い、妹……? どうしたの?」

「あ、あのあの、えっと」

「と、とりあえず、落ち着いて」

「う、うん……すーはー……」

「それで?」

「あ、あのね、その……」

「うん」

「そ、そのっ、あのっ………す、すっ、好きだよっ、お姉ちゃんっ!」

「え?」

「そっ、それだけだからっ!! また明日っ!!」ガチャッ

「えっ、えっえっ、ちょっ」

バタンッ

33 : VIPに... - 2014/10/28 00:39:41.41 a7oHHalLO 32/65

「……え?」

「す、好き……好き、って………?」

「……~~~~っ!!///」ガバフッ

(あわわわわっ、うそうそ、まさか、妹が……)ドキドキ

(私のことが好き? 妹が?)ドキドキ

(え? え? なになに、どっち? 家族として? それとも……)

(でもでも、そんな、家族としてならあそこまで恥ずかしがることはないと思うし……)

(え、じゃ、じゃあ、好き、って……)

「うあぁぁもう、全然元気じゃんか私の心臓っ!!」ドキドキ

34 : VIPに... - 2014/10/28 00:40:22.25 a7oHHalLO 33/65

~翌日~

(全然寝れなかった……)

コンコン

「どうぞー……」

看護婦「起きてますか?」カチャ

「おはようございます」

看護婦「おはようございます、検温の時間ですよ」ピッ

「はい」ゴソゴソ

看護婦「顔色があまり良くありませんが……大丈夫ですか?」

「ちょっとよく眠れなくて……」

看護婦「何か、悩み事でも?」

「いえ、悩みっていうものでもないんですが」ピピピッ

看護婦「ふむ、平熱、と……」カキカキ

看護婦「お疲れ様でした、今日はよく眠れますように」ナデナデ

「あ……」

看護婦「それでは」ペコリ

35 : VIPに... - 2014/10/28 00:41:05.39 a7oHHalLO 34/65

───────────────




「いやいや、最近後輩たちが妙に生意気でさ」

「友ちゃんがちゃんと部活やってないからなんじゃない?」

「……やってるもん」

「よく妹から愚痴を聞くけど?」クスクス

「ぐっ……」

「先輩がちゃんとしないと、示しがつかないでしょ?」

「精進します……」

「頑張って」

「ぐぬぬ……おっと、それじゃ、そろそろ帰るね」

「来てくれてありがとね」

「いやいや、当然ですってばさ」

「ばいばい」

「うむ、また明日」カチャ

「あっ」

「うをっ!?」ビクッ

「妹!?」

36 : VIPに... - 2014/10/28 00:42:04.48 a7oHHalLO 35/65

「妹ちゃんか、びっくりしたぁ」

「こ、こんにちは」ペコリ

「姉のお見舞い?」

「あ、えっと……」チラ

「あ……」

「んじゃま、私は帰るから。 あとは任せたよ妹ちゃん!」ポン

「は、はぁ、わかりました……?」

37 : VIPに... - 2014/10/28 00:44:29.75 a7oHHalLO 36/65

「……」

「……とりあえず、座って?」

「あ、うん……」ストン

「……」

「……」

「……えっと、宿題は?」

「あっ、えと、今日は、ないの」

「そう……」

「……でも、テストも近いし、勉強しよっかな、って」ゴソゴソ

「そっか」

38 : VIPに... - 2014/10/28 00:47:15.86 a7oHHalLO 37/65

「……」カリ

「あんまり進んでないね」

「……集中できなくて」

「ん、と……ごめん、今日はお菓子ないや」

「やっ、別に、お菓子のためにやってるわけじゃないからさ」

「でも、このままだとずっと集中できないままかもしれないし……」

「んーん、大丈夫。 なんとかするから」

「……」

「……」カリ

「……ね、もし、よかったらだけど」

「ん?」

「……えっと、このページが終わったら……キス、してあげよっか?」

妹 ガリガリガリガリガリガリ

「ええっ!? は、早くない!?」

39 : VIPに... - 2014/10/28 00:49:14.03 a7oHHalLO 38/65

「終わった!」ピラッ

「う、うそ……ほんとに終わってる……」

「じゃ、じゃあ、その……ご褒美、ちょうだい?」

「ちょ、ちょっと待って、まだ心の準備が……」

「……じゃあ、わたしからするね」

「え、えっ、ま、まっ、んんっ」チュ

「んふ……はぁ……」

「あ、ぁ……///」

「準備、できた?」

「え?」

「まだ、お姉ちゃんからのご褒美、もらってないよ?」

「えっ!? だ、だって、今ので……」

「お姉ちゃんからはされてないもん」

「うぅ……」

「ん……ほら、はやくぅ……」

「……っ」ドキドキ

「まだぁ……?」

「ん、ん……」チュ

40 : VIPに... - 2014/10/28 00:50:33.09 a7oHHalLO 39/65

「ぷは……」

「えへへー……///」ギュウ

「うあぁ、恥ずかしいぃ……///」

「もー、お姉ちゃんが言ったことでしょ?」

「まさかあんなに早く終わるなんて思ってなかったんだもん……」

「だって、あんなこと言われたら誰だってやる気出すよ」

「うぅ、まだドキドキしてる……」ドキドキ

「……うん、感じるよ。 すっごく早くなってるもん。 それに、心電図の音も聞こえるし」

「言わないでぇ……」

「えへへ、お姉ちゃん、かわいいっ」ギュー

「うぅぅ……///」

「ねぇねぇ、お姉ちゃん」

「え?」

「その……もう一ページやったら、もう一回キス、とか……」

「……うん、いいよ」

「いいの!?」

「う、うん……がんばって」

「うんっ!」

41 : VIPに... - 2014/10/28 00:51:47.67 a7oHHalLO 40/65

「……むぐぐ」カリカリ

「……」

「ぐぬぬ……うわあっ!?」ビクッ

「……妹」ギュー

「お、お姉ちゃん……?」

「……好きだよ、妹」

「……!?///」ボシュー

「勉強中にごめんね……でも、どうしても伝えたくて」

「……集中、切れちゃった」

「うえ、ごめんなさい……」

「大丈夫、今日の勉強はこれでおしまいだから」パタン

「え、キスはいいの?」

「キスも好きだけど……抱きしめられるのも、好きだもん」スリ

42 : VIPに... - 2014/10/28 00:52:22.50 a7oHHalLO 41/65

「ねえ、妹」

「なに?」

「どうして、急に告白する気になったの?」

「……だって、想いを伝えられずにお別れなんて、嫌だったんだもん」

「……そっか」

「お姉ちゃん、死なないって約束してくれないから、だからっ……」

「ん……」

「……お姉ちゃん、ぎゅってして」

「……っ」ギュウ

「ぁっ、はぅ……お姉ちゃんに抱きしめられるの、好き……///」

43 : VIPに... - 2014/10/28 00:55:05.98 a7oHHalLO 42/65

───────────────




私と妹が、お互いの気持ちを伝え合ってから一週間。

入院生活にもだんだん慣れてきて、暇つぶしもうまくできるようになれた。

病院内を歩き回ったりとか。 看護婦さんに怒られちゃったけど。

でも、外出は許可してくれない。 当たり前のことかもしれないけど。

妹とお出かけしたりとか、いろいろやりたいことがあるのに。

44 : VIPに... - 2014/10/28 00:55:56.79 a7oHHalLO 43/65

───────────────




「……んー」ゴロン

(入院……いつまでなのかな)

(……ずっと、このままなのかな)

(家に帰って……お母さんの料理を食べて……妹とおしゃべりして……)

(やりたいことはいっぱいあるのに……なんで……)

(なんで………私なのかな)

「……っ」

「なんで……なのかなぁ……」

「……っ、ひっく……」グスッ

「……?」グラッ

「ふえ……? ……」

45 : VIPに... - 2014/10/28 00:56:28.25 a7oHHalLO 44/65

───────────────




医者「ん、今日の卵焼き、少ししょっぱいかも」モグモグ

バタバタバタ

看護婦「先生っ!!」バターン

医者「どうしたの?」

看護婦「姉さんの意識が……」

医者「……分かったわ、すぐに行くから。 あなたはお母さんに連絡して」

看護婦「はいっ」

46 : VIPに... - 2014/10/28 00:58:17.40 a7oHHalLO 45/65

───────────────




「先生……姉は……」

医者「……なんとも、言えません」

「……」

医者「……今回が、山場かもしれません」

「そん、な……」

医者「あとは……姉さんが、どれほど頑張れるかにかかっています」

医者「医者なのに……無力な私で、申し訳ありません」

「いえ、先生は、手を尽くしてくださいました」

「本当に、ありがとうございます……」

47 : VIPに... - 2014/10/28 00:59:41.52 a7oHHalLO 46/65

~病室~

バタバタ ガチャッ

「はぁっ、はぁっ、お姉ちゃんはっ!?」

「妹……」

「……っ! お姉ちゃんっ!!」

「……」

「お姉ちゃんっ、起きて、起きてよおっ!」ユサユサ

「死んじゃ……死んじゃやだよぉ……っ」

「………お母さん、お父さん迎えに行くから」

「やだ、やだ……っ、死んじゃ、やだぁっ……」ギュウ

「……」

「お願い、起きて、起きてよおっ!」ポロポロ

「グスッ……まだ、一緒にいたいよぉっ……」

「まだ……お話したいよぉっ……」

「おねえちゃん……おきてよぉ……っ」

48 : VIPに... - 2014/10/28 01:00:54.57 a7oHHalLO 47/65

「…………っ、ぅぁ」ピクッ

「……!?」

「……っ、はぁっ……」

「……お、おね、ちゃ………?」

「はぁっ………えへへ、また、眠っちゃった、かな」

「……~~~~っ!!」ギュウッ

「はぁっ、はぁっ……ごめん、ね……」ナデナデ

「おねえ、ちゃん……っ」

「……もう…………無理、かも……」

「え……?」

「ごめんね、妹……私、もう、だめ、みたい……」

「う、うそ……でしょ……?」

「最後に、妹に会えて……良かった……」

「まだ、まだ最後じゃないもんっ!!」

「ごめん……なさい……私……」

「だめ、だめ……頑張ってよ、お願い……っ」

「いもう、と………」

「やだ……やだよ……」

「……ごめん、ね………いも………」カクンッ

「……!? お、お姉ちゃんっ!? お姉ちゃんっ!!」


ピーーーーーー


「え………ぁ……ぁ………っ」

49 : VIPに... - 2014/10/28 01:03:55.92 a7oHHalLO 48/65

「妹っ、姉は……」ガチャッ

「……」

「……」

「う……うそ……?」

「…………おね、ちゃ……」

「うそ……だよ、ね……?」

「また……起きて、くれるよね……?」

「また起きて……ごめんねって……大丈夫だよって……」

「また……また…………ひっく……」

「妹……っ」

「グスッ……どうして、お姉ちゃんが……どうして、どうしてっ……ふぇぇっ……」ポロポロ

「おねえちゃんっ……おねえちゃんっ……わたし、やだよおっ……」

「おねえちゃんがいなきゃ、やだよぉっ!」

「死なないでって、言ったのに……約束もしてくれなくてっ……ばかっ、おねえちゃんのばかばかばかっ!!」

「ばかっ……だいっきらい……っ」

「……」ギュ

「ひっく……ひっく……」

「……お姉ちゃんは、良く、頑張ったわ」ナデナデ

「ひっく……グスッ……」

「姉も……精一杯生きたんだ」ナデナデ

「うん……ひっく……」

50 : VIPに... - 2014/10/28 01:06:14.50 a7oHHalLO 49/65

……………………………。

……………………。

……………。

……なんだろう、この感じ。

体がふわふわしてるような、そんな感じ。

辺り一面、全部真っ白。

何も見えない。

私はもう、死んだのかな。

……もう、妹には、会えないのかな。

もっと、伝えたいことがあったのに。

もっと、一緒にいたかったのに。

……ごめんね、妹……。

……ここは、どこなのかな。

あ、ちょっと見えるようになってきたかも……?

51 : VIPに... - 2014/10/28 01:06:53.43 a7oHHalLO 50/65

「……っ、ふえぇっ……おねえちゃん……っ」


……私の体にしがみついて泣きじゃくる妹の姿と、その傍らで泣いているお父さんとお母さんの姿があった。

これは、どういうことだろう。

私は死んだはずなのに。

どうして、目の前に妹がいるのかな。

妹がしがみついてるのは……私の、死体なのに。

……あれ、自分の手が、透けて見える……?

……。

……そっか、私、幽霊になっちゃったのか。

やだなあ、幽霊は苦手なんだけど。

でも……未練がありまくりだったし、しょうがないのかも。

52 : VIPに... - 2014/10/28 01:08:29.75 a7oHHalLO 51/65

───────────────




それから私は、妹を見守り続けた。

最初の一週間ほどは、妹はすぐに涙ぐんだり、泣いたりしていた。

その度に、私も泣いた。

けれど、ひと月を過ぎるとあまり泣かなくなり、笑顔が見られるようになった。

妹が笑顔になる度に、私も笑顔になった。

だんだんと元気になっていく妹を、私は、嬉しいような寂しいような、複雑な気持ちで見ていた。

けれど、私を思い出すのか、たまに涙ぐむこともあった。

部屋で一人、泣いている時もあった。

そんな時、私はただ、そばにいるだけだった。

触れることができないから。 生殺しにも程があるよ、神様。

53 : VIPに... - 2014/10/28 01:09:04.16 a7oHHalLO 52/65

そのまたしばらくあと、妹はほぼ完全に元気になった。

部活でも活躍してる。

友達とわいわい話してるところを見て、ちょっぴり嫉妬した。

そして、ほっとした。

もし私が死んだら、妹がどうなってしまうかを想像すると、気が気じゃなかったから。

もしかしたら塞ぎ込んじゃうんじゃないか、とか、いろいろ考えちゃってたし。

でも、そんな心配は必要なかったね。

いい友達を持ったね、妹。

54 : VIPに... - 2014/10/28 01:09:36.19 a7oHHalLO 53/65

今、私は妹の部屋にいる。

妹は、音楽を聞きながら、ベッドに寝っ転がって雑誌を読んでいる。

すごくリラックスした表情で、見ていて微笑ましい。

この姿でいることも案外悪くないな、と思わせてくれる。

もっ、もちろん、お風呂とか、そういうのとかは覗いてない。

妹が寝たら、ちゃんと部屋からでて、元私の部屋にもどるし。

……ちまちま寝顔を覗きには来たけど。

55 : VIPに... - 2014/10/28 01:11:10.34 a7oHHalLO 54/65

やっぱり、妹から離れたくないなぁ。

でも、ずっとここにいることは、きっと妹にとって良くない。

それに、私に寂しさが募っていくだけ。

妹に触りたい、抱きしめたい。

でも、それをさせてくれないのが、神様のいじわるなところ。

ここに、ずっとはいられない。

……それに、もう、妹に私は必要ない。

これから妹は、卒業して、入学して、卒業して、就職して。

その合間合間に、恋をして。

妹自身の人生を歩んでいく。

その中で、妹にとって私は、思い出の人になるだけ。

……もう、見守る必要もないね。 今までも、そうだったのかもしれないけど。

妹は、強かった。

それだけが分かれば、お姉ちゃんは十分だよ。

……さよなら、妹。

56 : VIPに... - 2014/10/28 01:12:04.81 a7oHHalLO 55/65











「…………お姉ちゃん?」










57 : VIPに... - 2014/10/28 01:14:13.94 a7oHHalLO 56/65

………………え?

……え、今、呼ばれた?

気のせい? え、気のせい?

うわわわ、もう、せっかく消えかけてたのに、また元に戻っちゃったよ。

もう、やだなあ。 せっかく決心がついたのに。


「お姉ちゃん……?」キョロキョロ


…………。

……気のせい、じゃない……?


「え、お姉ちゃん……? いる、の……?」キョロキョロ


ば、バレた……なんで?

姿とかは見えないようにしてたんだけど……バレたら、しょうがないかなぁ。

……いいよね?

今だけ……いいよね?

姿を、見せても。

一応、ほかの部屋に声が聞こえないように部屋に膜を張っておく。 霊力ってやつ?


「どこ……? お姉ちゃん……?」

『……』フッ

「……え……?」

58 : VIPに... - 2014/10/28 01:15:28.67 a7oHHalLO 57/65

「……え、え……? う、うそ……」フルフル

『……妹』

「おねぇ……ちゃん………?」ポロポロ

『あー……もう、泣かないと思ったんだけど』

「ごめっ……ごめ、なさ……っ」グスッ

『……もう、泣かないでよ……私まで、泣いちゃうよぉ……っ』ウルウル

「おねえちゃん……ずっと、ずっと会いたかった……っ」

『うん……』

「ほんとに、ほんとにほんとに、お姉ちゃん……?」

『こんな姿だけど……そうだよ』

「良かった……また、会えた……」

『……どうして気づいたの?』

「……お姉ちゃんの声が、聞こえたの」

『私の?』

「なんか、さよなら、って……だから……」

『……そっか』


聞こえちゃったんだ。

私の声が。

59 : VIPに... - 2014/10/28 01:16:36.50 a7oHHalLO 58/65

「……ねえ」

『うん?』

「……行っちゃうの……?」

『……』

「遠くに……行っちゃうの……?」

『……ここには、いられないの』

「……っ、ならっ、なら……!!」

「わたしも……わたしも、連れてってよ!」

『妹……』

「嫌だよ、いなくなっちゃうなんて、いやだよぉ……っ」

「ひとりは、ひとりは、やだよぉっ……」

「せっかく……想いが伝えられたのにっ……」

「ずっと、ずっと、一緒にいたいよぉっ……」

『ごめんね、妹』

「……!」

『私だって、ずっと一緒にいたいよ』

『せっかく妹が気づいてくれたのに、消えたくない』

「じゃ、じゃあ……」

『でも、でも……だめなの』

「……え」

『私のことは……忘れて』

「……そんな」

『死んだ人にいつまでも固執しちゃ、ダメ』

『妹は、私の分まで生きてほしいの』

60 : VIPに... - 2014/10/28 01:19:39.57 a7oHHalLO 59/65

「そんな、そんなのって……っ」

『ごめんね、妹……』

「やだっ!! わたし、ぜったい、ぜっっっったいお姉ちゃんを忘れないもん!!」

『妹……』

「だって、だって……だって、おねえちゃん……っ」

『妹……おねがい、最後くらい……おねえちゃんの言うこと、聞いてよ……っ』ウルウル

「だって、だって、わたし……おねえちゃんが、好きなんだもん……っ」ポロポロ

「大好きなんだもん……ひっく……っ」

『……っ、いもうとの、ばかぁっ……』ギュウッ

「ふえ……っ」

『やめてよ…………はなれられなく、なっちゃうよぉっ……』ポロポロ

「おねえちゃん……」ギュ

『わたしだって、わたしだって……いもうとが好きだよ、大好きだよ』

『でも、でも…………わたしはもう、しんじゃったから……だから……っ』

「おねえちゃんっ、ひっく、やだよぉっ、いかないでよぉっ!」

『ごめん……ごめんなさい、妹ぉっ……』

「やだ、やだやだっ、うわああああぁぁんっ!!」

61 : VIPに... - 2014/10/28 01:20:36.04 a7oHHalLO 60/65

───────────────




「ひっく…………ふえぇっ……ひっく……」

『ん……よしよし……』ナデナデ

「ん……そういえば、おねえちゃん、さわれるんだね……」

『……え、あ、あれ? なんで!?』

「え、な、なに?」

『い、今まで何回も触ろうとして触れなかったのに……!?』

「……触ろうとしてたんだ」

『……あ、いや、その』

「えへへ、いいよ……お姉ちゃん……」ギュウ

『む、むぅ……』

62 : VIPに... - 2014/10/28 01:21:29.95 a7oHHalLO 61/65

『……』ナデナデ

「……ね、お姉ちゃん」

『うん?』

「……ごめんなさい」

『え?』

「わがままばっかり言って……」

『……ううん、私も思ってたことだから』

「……でも、やっぱり行っちゃうんだ」

『……うん』

「……ね」

『うん?』

「……ありがとね、お姉ちゃん」

『……え?』

「こんなわたしを好きになってくれて……甘えさせてくれて……」

「ありがとう、おねえちゃん……ありがとう……っ」

『いもうと……っ』ギュ

63 : VIPに... - 2014/10/28 01:22:24.01 a7oHHalLO 62/65

「これが、言いたかった……ずっと……」

『うん……』

「ずっと……」カクン

『え? 妹!?』

「……すぅ……すぅ……」

『……ふふ、泣き疲れちゃったかな』

『ありがと、か……』ナデ

「ふぁ……」

『……こちらこそ、ありがとね、妹』

『好きだよ、妹……ん……』チュ

「んぅ……」

『ぷは……おやすみ』

64 : VIPに... - 2014/10/28 01:23:54.94 a7oHHalLO 63/65

時計を見ると、ちょうど夜中の二時半を指していた。

妹に布団をかけ、寝顔を見つめる。


『……この時のためにも、今まで見守ってた甲斐があったかな』

『なんだか、すっごく嬉しいかも』ナデナデ

「んん……」

『……けど』


ここで、お別れだね。

今まで本当にありがとう、妹。

あなたのおかげで、私は逝けそうです。


『……また、どこかで会えるといいね』ナデ

「ん……おねえちゃん……」



『……さよなら、妹』

65 : VIPに... - 2014/10/28 01:26:48.56 a7oHHalLO 64/65

おわりです。
このSSは、

姉「…ただいま、妹」
http://ayamevip.com/archives/21402123.html

の別ルートです。
だいぶ前に書いて某所に投下しましたが、こちらに投下するのを忘れていました。


ありがとうございました。

66 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします - 2014/10/28 01:42:00.22 kZEOZjVBO 65/65

乙 泣いた

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