鳴「榊原君ほんとに……や…め…」
恒一 ピタ
鳴「……」
恒一「……」
鳴「……」
恒一「本当に……止めて欲しかったの?」
鳴「……榊原君の意地悪」
元スレ
鳴「あっ...やめ...て...」恒一「見崎prpr」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340460815/
恒一「じゃあどうしてやめてって……」
鳴「も、物事には色々順序ってものがあるでしょ」
恒一「ふ~ん、例えば?」
鳴「だ、だって榊原君私に対してこ………すら…ううん、なんでもない」
恒一「ごめん、よく聞こえなかった、もう一回言ってもらっていい?」
鳴「……榊原君私に対して告白すら……してないじゃない」
恒一「……本当に大切なことって……言葉にするとウソっぽくならない?」
鳴「それはそうかもしれないけど、今はそういう問題じゃないでしょ」
恒一「……それに、先に誘ってきたのは見崎の方じゃないか」
鳴「私、誘ってなんかいないけど」
恒一「……そっか。僕の独りよがりな勘違いだったのか。ごめん、見崎」
鳴「いいのよ、別に。私は怒っているわけではないから」
恒一「まあ、その前提を受け入れたうえでも、いくつか質問があるんだけどいいかな?」
鳴「なに?」
恒一「ここは誰の家かな?」
鳴「私の家よ」
恒一「……それで、誰の部屋?」
鳴「……私の部屋」
恒一「……今の二人の姿勢を説明してもらおうか」
鳴「私がベッドの上に仰向けに寝ていて、その上に榊原君がいる」
恒一「……僕にベッドに寝るように言ったのは……誰?」
鳴「……私」
恒一「いや、どう見ても誘ってますからそれ!」
鳴「……後から客観的に見れば確かにそうかもしれない」
恒一「まさか……見崎……君って……」
鳴「まあ、誘うっていうよりも……成り行きというか無意識というか」
恒一「前から思ってたんだけど……見崎……君はもっと自分の行動について省みる必要があると思うよ」
鳴「そう?」
恒一「だってそうじゃないか、現にさっきみたいに僕が勘違いする原因になっているし」
鳴「私は榊原君が……勘違いしているとは思ってない」
恒一「でもさっきはやめてって……」
鳴「うん、だからね……そういうことされること自体が嫌なわけじゃないよ」
恒一「じゃあなんで…………あ」
鳴「気づいた?」
恒一「……さっき素直に見崎の言うことに応じていれば良かったんだね」
鳴「……そうね。まあ……榊原君の言ったことも分からないではないけれど」
恒一「と言うと?」
鳴「言葉でいくら説明しても、やっぱり行動が伴ってないとね……そういう例は私も色々目にしたし」
恒一「見崎、それって……」
鳴「今、それ以上質問するのは野暮だからやめてね。話の本筋でもないし」
恒一「……わかった」
鳴「でも、今回みたいなケースはむしろ逆でしょ?榊原君が言ったことがウソだなんて思わないもの」
恒一「……ちょっとさっきは僕の意地悪も過ぎたようだね」
鳴「……そういうことなら、改めてお願いします」
恒一「じゃあちょっと起きてよ、さすがにこのままの姿勢じゃ……」
鳴「それもそうね」
恒一「膝立ちのほうがいいのかな……」
鳴「榊原君の好きにして頂戴」
恒一「じゃあそれで……」
鳴「……はい」
恒一「見崎、僕は君のことが好きだ。僕とつきあってください」
鳴「私も、榊原君のことが好き。だから……今の返事は……イエスで……」
恒一「フフッ」
鳴「な、なんでそこで笑うの?」
恒一「いや?相変わらず回りくどい言い方するなあ、と思って」
鳴「は、恥ずかしいから……///」
恒一「へぇ?他人をベッドに誘うのは恥ずかしくないのに?」
鳴「え……そ、それは…………ど、どうしよう……」
恒一「どうしたの?」
鳴「わ、私って……言葉を口にする以外のことは……無意識にやっていたことが多いのかも……」
恒一「え?今さらそんな話になるの?」
鳴「榊原君は気づいていたの?」
恒一「気づいていたというか……まあ……」
鳴 カァァ
恒一(あ、可愛い)
鳴「じゃ、じゃあ……今までも私は榊原君に対して……」
恒一「まあ今回ほどじゃないにしても……『誘う』行動は多かったんじゃないの?」
鳴(ヤバい……自分でそう思ってやってたわけじゃないのに……)
恒一(なんか下向いちゃって震えてるよ……何か言った方がいいのかな?)
恒一「ま、でもさっきそれが僕の誤解じゃなくてよかったよ」
鳴「……どういうこと?」
恒一「見崎が僕を好いてくれているからそんな行動をとったってこと」
鳴「……そういう問題じゃ……」
恒一「でも、今さらどうこうしようとしたって無駄だろう?何せ無意識の話なんだから」
鳴「……」
恒一「それにさ……口ではそうでもないけれど、行動は素直なところ……そういう所、僕は好きだよ」
鳴「あ…ありがとう……でも……」
恒一「うん、たぶん今見崎は自分の過去の行動を一気に思い出して……ってことだよね?」
鳴 コクリ
恒一「恥ずかしいと思うのは……嫌かな?」
鳴「良いわけ……ないでしょ……」
恒一「そうか………………あ、そうだ」
鳴「?」
恒一「とりあえず、今思い出してるような恥ずかしい過去を忘れさせる方法ならあるよ?」
鳴「本当?」
恒一「……やってみる?」
鳴「…先にその方法を教えてくれないと、嫌」
恒一「チッ、上手くいくと思ったのに」
鳴「今明らかに何か企んでる顔してたもの」
恒一「そう?まあ方法を先に教えようが後に教えようが関係ないからいいんだけどね」
鳴「どういうこと?」
恒一「その方法って別に今の話が出なくてもどのみちやるはめになることだから」
鳴「……なるほどね。それで、早くその方法が何かを教えてよ」
恒一「過去の恥ずかしい行動を忘れさせるんだろう?それなら……」
恒一「…………今からもっと恥ずかしいことをやればいいさ」
鳴「さ、榊原君って……本当に意地悪な人なのね」
恒一「でも、しょうがないじゃない。それを見崎も望んでいることは証明済みなんだから」
鳴「もう……ベッドに誘ったことは謝るから……」
恒一「謝らなくていいよ、僕は見崎がそうやって『誘って』くれて嬉しかったわけだし」
鳴「だ、だから私はそんなつもりは……」
恒一「うん……それはもうわかったよ。でも、嬉しいって言ったのはそういうことじゃなくて……」
鳴「?」
恒一「そういう行動を取らせたのが、見崎の本心によるものだからってこと」
鳴「要するに、行動でもって『好きだ』『好きだ』って言ってるようなものだっていいたいのね」
恒一「そうそう、それをさっき実際の言葉でもっても確認できて安心した」
鳴「あっそ。よかったわね」
恒一「どうしたの?随分そっけないじゃない」
鳴「私だけ恥ずかしい思いをして……なんか損した気分」
恒一「……つまり見崎は僕にも恥ずかしい思いをしろと?」
鳴「否定はしない」
恒一「そうか……そうなのかぁ」ニヤニヤ
鳴「なんでそこでニヤニヤするのよ……気持ち悪い」
恒一「いや?別に……ただ、見崎は自分の彼氏に恥ずかしいことをさせたい女の子なんだ、と思って」
鳴「……もう榊原君とは話してあげないよ、そんなこと言ってると」
恒一「いいよ?僕は見崎と一緒にいられるだけで幸せだから」
鳴「わ、私が言うには恥ずかしすぎる…………そんなセリフ」
恒一「……今のは自分でも恥ずかしいと思ったよ、というかむしろ恥ずかしいからこそ言ってみたよ」
鳴「ああ、バランスを取ってくれようとしたのね」
恒一「そうそう、見崎が恥ずかしい行動なら、僕は恥ずかしい言動で」
鳴「……この際だから、もっと言ってみてよ。歯の浮くようなセリフを」
恒一(いかん……攻守逆転される……)
鳴「私のこと……好きなんでしょ?」ニヤリ
恒一「わ、わかったよ。……言えばいいんだろう」
恒一「とは言ってもパッと思いつかないな、そんなセリフ。何か見崎が希望を出してよ」
鳴「私が?」
恒一「そうだよ。そのほうが見崎も満足できていいだろう?」
鳴「何かうまいこと誘導されてる気がするけど……月並みに『愛している』とか?」
恒一 ガシッ
鳴(あ、肩に手を……)
恒一「愛してるよ、見崎」
鳴「……な、なんでそんなこと……真顔でサラッと言えるの?」
恒一「本当のことだから、何も抵抗はないよ」
鳴(///……何?結局恥ずかしくなるのはこっちなわけ?)
恒一「他にはないの?(もう既に顔が赤いけど、無視してよう)」
鳴「ほ、他?……『ぼ、僕が君を守る』、とか」
恒一「…見崎、僕が君を守るよ」
鳴「あ、あの……い、今のも本当のことだって言いたいの?」
恒一「そうだけど?」
鳴「じ、自意識過剰とか思わない?」
恒一「……別に。見崎ってなんか見てると危なっかしいから庇護欲をそそられるんだよ」
鳴「そ、そう…なの……」
恒一(ますます赤くなって顔が下を向けがちだけど、さらに畳みかけることにしよう)
恒一「他には他には?」
鳴「榊原君……」
恒一「ん?何?」
鳴「……もともとバランスを取るためよね?こんなことしているのは」
恒一「そのはずだけど……」
鳴「何かその……言われるのも恥ずかしいから……やっぱりやめようよ」
恒一「そう?……ふ~ん……そうなんだ……」
鳴(な、何?耳元に口を近づけて……)
恒一「大好きだよ、鳴」ボソッ
鳴「な、なな……急に何を言い出すの、榊原君」
恒一「言われる方も恥ずかしいって言ったから……ちょっと言ってみたくなって」
鳴「そ、そんなに私の恥ずかしがるところが見たいわけ?榊原君は」
恒一「……だってそのほうが可愛いじゃない」
鳴「……」
恒一(さすがに黙ってしまったか……)
鳴(このままやられっぱなしなのは……なんか悔しい……)
鳴(なんとか逆転できないかなあ?基本的に榊原君のほうが余裕あるし……)
鳴(もう……諦めた方がいいのかな)
鳴「榊原君」
恒一「ん?」
鳴「横になって目をつぶって」
恒一「えっ」
グイッ ドサッ
チュッ
恒一「!!!」
鳴「榊原君が……いけないんだよ?私に意地悪ばかりするから……」
恒一「ご、ごめん…」
鳴「いいよ、別に。私、もう諦めたから」
恒一「な、何を?」
鳴「……榊原君が私に恥ずかしい思いをさせて喜ぶのを」
恒一「な、なんかその言い方だと僕が変態みたいじゃないか」
鳴「私は思ったことを言っただけ。それとも何?榊原君がそういうってことは……ふ~ん?」
恒一「あっ…いや、これはその……」
鳴「…榊原君の変態」
恒一「ごめん……本当にさっきからのことは謝るから……」
鳴「今のも本当は言わせたかったんじゃないの?変態って」
恒一「そ、そんなことないよ……」
鳴「そう……じゃあさっきの続きね」
チュッ
ムグッ
恒一(!……見崎の舌がこっちに……)
プハッ
鳴「……何?私にキスされるの嫌だった?」
恒一「嫌、じゃないけど……こんな一方的な……」
鳴「あら、あなたがそれを言える立場なのかしら」
恒一「……すいません」
鳴「…じゃあ選ばせてあげる。このまま私に襲われるのと、さっきみたいに罵られるのと」
恒一「じゃ、じゃあ罵られる方でお願いします」
鳴「榊原君あなたって……変態と言われたいの?」
恒一「え…あ、いや…………そうです」
鳴「変態と言われて喜ぶ……やっぱりあなた、変態さんね」
恒一(もう、今は大人しくしてよう……)
鳴「でも実際、その気はあるよね?あって間もないころに家まで尾行したりとか」
鳴「私に似た人形見て思わず『鳴っ』って言っちゃったりとか」
恒一「……」
鳴(少しは大人しくなったみたい……でも、これだけじゃ済ませないよ)
鳴「おまけに私に恥ずかしいことさせて喜ぶとか……変態もいいところね」
鳴「……なんで私こんな変態さんを好きになっちゃったんだろう?」
鳴「ま、いいか。これから襲う男の子のことをああだこうだ言っても仕方ないし」
恒一「これから襲う!?見崎、さっきと話が違うじゃないか」
鳴「?…違わなくないと思うけど」
恒一「いや、さっき見崎は襲われるのがいいか、罵られるのがいいか選べって」
鳴「言ったわよ?ただし『このまま』襲われるか、罵られるかってね」
恒一「『このまま』……まさか!」
鳴「そう、罵られるほうを選んだところで『このまま』襲われなくなるってだけで襲われないとは言ってない」
鳴「だいたいよく考えてみたら、襲うのに相手の同意なんて必要ないし」
恒一(やられた……もう……諦めるか……)
鳴「ねえ榊原君?」
恒一「見崎?もういいよ……君の好きにしてくれて……」
鳴「少しは私の気持ち、わかってくれた?」
恒一「えっ?あっ……うん……さっきはごめんなさい」
鳴「いくら私が恥ずかしがるのが可愛いって言ったって……やり過ぎはダメだよ?」
恒一「……反省します」
鳴「うむ、よろしい」
鳴「これで榊原君が私の気持ちもわかってくれたことだし……今度こそ、してもいいよ」
恒一「な、何を?」
鳴「……最初にあなたがやりたかったこと。このベッドの上で」
恒一「い、いいの?」
鳴「いいよ。晴れて恋人になったわけだし、これで一方的に意地悪される心配もなくなったし、ね」
恒一「……ありがとう、見崎」
鳴「あ……あと……名前で呼んでもらっても……いいかな?その…恒一君」
恒一「わかったよ、鳴」
恒一「でも……大丈夫?前はつながっていると不安って言ってたし……」
鳴「恒一君と、その……たまに、なら……大丈夫だと思う」
恒一「そう?ならいいけど」
鳴「もうこれからは……意地悪しないで……や、優しくしてね」
恒一「……うん。……鳴、愛してる」
鳴「私も……恒一君のこと、愛してる」
まあそんなこんなでまわりくどい経過を経て二人は『仲良く』致しましたとさ
おわり