時は王国歴322年。
王国は広大な領地を持ちながらも魔王国を制圧できないでいた。
長年戦闘状態にある魔王国魔王軍に対し、再三再四討伐隊を送り込むが
魔王国に迫りながらもことごとく弾き返され痛手を負っていた。
大昔、とある勇者と名乗るものが地表に現れ、魔王国を滅ぼしたのが今から300年前…
そして今から22年前、再び強大な兵力と武力を持ち魔王国が建国された。
魔王軍と王国軍の戦闘は次第に拡大し、全土に飛び火、凄惨な戦いが何年も続く。
一進一退を繰り返す両軍は互いに疲弊し、王国歴321年、王は最後の希望として
第36回魔王討伐軍を進軍させた。結果、魔王国魔王城に迫るも討伐軍は壊滅。
そして再び…討伐軍が編成され出発しようとしていた…
元スレ
「パフパフしていかない?」勇者「パフパフ?本番じゃなきゃいかねーよ!」
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謁見を控えた前日
港町酒場
バニー「パフパフしていかない?」
勇者「パフパフ?本番じゃなきゃいかねーよ!」
バニー「うちはパフパフだけよ!」
勇者「なら向こうに行け!ばばぁ!」
職業:勇者
300年前の魔王を封印した勇者の末裔。童貞。
王国の庇護の元、裕福な暮らしを約束された一族。
実戦経験:なし
賢者「口を慎みなさい!」
勇者「え?あぁ?」
賢者「あなたって人は!」
勇者「俺にかまうんじゃねーよ!」
職業:賢者
先祖代々から賢者稼業。
厳格な家庭に育つ生まれながらの賢者。
実戦経験:なし
パラ「どんな田舎者が来ているかと思いえば…」
勇者「あ?あ?なんだ?喧嘩売ってんのか?」
パラ「その格好で王様にお会いするのか?」
勇者「わるいかよ?」
職業:パラディン
家柄を守る為に冒険に出たお坊ちゃま。
王国の大臣の息子。
実戦経験:なし
バト「だまれうるせぇガキども!」
勇者「うるせぇぞおっさん!」
バト「一回も戦場見た事ねぇひよっこが騒ぐな!」
勇者「なんでもやってやんよ!」
職業:バトルマスター
流れ者の傭兵、以前は正規軍を率いる師団長だった。
実戦経験:第19回~第30回魔王討伐軍参戦
魔法「やれやれw」
勇者「笑うな!」
魔法「そうやってすぐ人に突っかかるんだから」
勇者「んなことねーぞ!」
職業:魔法使い
勇者とは幼馴染、魔法学校首席卒業。
実戦経験:魔法学校時に魔物を用いた模擬戦闘でチームを優勝に導く。
レン「あれ?魔法使いさんじゃないですか!」
魔法「あー!久しぶり!」
レン「スライム狩り以来ですね~」
魔法「うんうん、会えてうれしー」
勇者「ちっ!!」
職業:レンジャー
色々な街、洞窟、塔を歩きまわり世界の地理を知り尽している達人。
小さい村から大きい街まで地理を知る。
実戦経験:街周辺の魔物討伐
盗賊「こんにちは」
勇者「盗人が入る店じゃねーぞ!」
盗賊「そんな…ひどい」
勇者「泥棒は向こう行ってろ!」
賢者「口を慎みなさい!」
職業:盗賊
先祖代々泥棒稼業。王国内では泥棒として虐げられて生きる。
実戦経験:謎
旅芸人「お久しぶりだね」
バト「討伐軍依頼だな」
旅芸人「弟殿は元気かい?」
バト「いや…」
職業:旅芸人
以前の職業はバトルマスター。バトルマスターとは戦友。
パーティーの隊長的存在。
実戦経験:不明
勇者「お前達参加するのか?」
賢者「諸先輩方を前にその口の効き方はやめなさい!」
レン「威勢のいい子だねw」
バト「こういう奴が一番早く死ぬ」
盗賊「まぁ落ち着いて下さい」
魔法「そうよ、揉めないで!」
旅芸「戦場は厳しいからなぁ」
バト「あの頃を思い出すな…」
勇者「んなもん、ちゃっちゃ殺して魔王殺せば英雄wちょろすぎワロタ」
パラ「そうは言ってもね…」
ガタン!ガラガラ!
衛兵「明日!朝9時!王様が謁見される!一同身なりを整え集合せい!」
賢者「わかりました」
チュンチュン♪
勇者「あーねむー」
魔法「早く!間に合わないよ!」
勇者「お、おぅ」
賢者「早く下着をつけなさい!」
チャラララーン♪チャラララーン♪
衛兵「一同!武器は持ってないな!よし!」
勇者「あのファンファーレはなんだよwくそがww」
衛兵「黙らんかそこ!王様の謁見であるぞ!」
ガタガタ。ゴトン。
王様「おっほん!」
衛兵「表をあげい!」
王様「よいよい、皆の者ようきてくれた」
王様「さてな、昨年送り出した第36回魔法討伐軍じゃが…全滅だってさ」
ざわっ。ざわざわ。
衛兵「静かにせんか!」
王様「でね、また行ってもらいたいのね、第37回魔王討伐軍としてね」
ボソボソ。
バト「全滅…」
旅芸「まさか…」
王様「最後の魔法郵便によると、魔王の城1キロ手前で黒い霧に包まれてという所までじゃ」
バト「王様!」
衛兵「黙れ!」
王様「よいよい、なんじゃ」
バト「全滅とは…確か第36回には弟のバトが…そしてその婚約者の魔法も…」
王様「すまんのうぅ」
王様「もう誰も死んでほしくないんじゃ」
王様「今回で最後にしたいと思っておる…頼むぞ英雄たち!」
衛兵「出発は明日だ!今日は王様の心使いで特別に部屋を与える!」
ガチャ。
勇者「おぉ!酒も御馳走もいっぱいだ!おぃ女がいねぇぞ!」
パラ「君はいつもそうじゃないか、田舎者だな」
勇者「てめーこそ!親のすねかじりだろうが!」
パラ「やれやれ、失礼な勇者様だ」
旅芸「すまない…弟殿が参加していたなんて…」
バト「かまわんよ」
旅芸「今回の遠征で終わらせよう」
バト「弟の仇をうってやる!」
賢者「回復呪文を復習してきます!」
魔法「あっ!私も攻撃呪文を!」
レン「僕も手伝うよ魔法さん」
魔法「ありがとう!心強い!」
勇者「ちっ!!」
コソコソ
盗賊「おっ!賢者殿は!こんなイヤラシイ下着を!!」
勇者「おぃ!なに人の荷物漁ってんだよ!」
盗賊「あww」
勇者「あ、じゃねーだろ!チクるぞお前!」
盗賊「いやいや、それはダメです勇者様」
勇者「こういう時だけ様付けてんじゃねーよ」
盗賊「魔法使い殿のもお見せしますんで是非内緒で」
勇者「お!じゃ見せて見ろ!」
盗賊「これが魔法使い殿の下着で御座います」
勇者「え?」
盗賊「はい、白一色で、えーっと…グンゼと書いてあります」
勇者「そ、そうか…」
一同「ぐぅzzzすぴーzzz」
ガチャ。ドカン!
衛兵「討伐軍の出陣である!!」
住民「打倒魔王!がんばれー!」
住民「いけー!パラ様かっこいい!」
住民「魔法さんもっと胸みせてー!」
住民「レンジャーさん素敵~」
勇者「俺に対する声援がねぇ…」
住民「童貞野郎だwww」
勇者「コノヤロウ!」
バト「やめろ!お前は一番先に死にたいのか?」
勇者「うるせぇ!黙れ!」
レン「まぁまぁ落ち着いて」
衛兵「城門ひらけー!ひらけー!」
ゴゴゴゴゴゴゴ、ゴゥゥゥン。
レン「早速だが、最前線に行くにはこのメンバーではきつい」
レン「前線より少し前の街に行こうか」
賢者「そうですね」
ギュルールールールー。
補給基地兼砂漠の街入口
ドサッ!
勇者「おぃ!もう少し優しいルーラってないのかよ!」
賢者「あなたに言われたくありません!」
パラ「仕方がないじゃないか、まったくもう君は田舎者だな」
盗賊「いててて、あっ!鍋フタ!後で売ろうっと!」
バト「待て!なんか雰囲気がおかしい…静かすぎる」
旅芸「確かに…」
ジャリ…カサカサ…
魔法「誰も…いない」
バト「下がれ!来るぞ!」
ギャーギャーギャー!
魔物1「うぴぴぴ!」
魔物2「もにゅー!」
旅芸「待ち伏せだ!全員戦闘態勢を取れ!」
勇者「くそ、くそ、くそ!」
旅芸「魔方陣を張れ!賢者!下がって回復を準備しろ!」
バト「こっちは引き受けた!後は頼むぜ!」
盗賊「後ろに回って援護します!」
レン「僕も後ろへまわるよ!」
魔法「いくよ~!」
旅芸「来るぞ!!!」
ギャオー!ギャギャ!グゥワー!
旅芸「来たぞパラディン狙いだ!」
バト「そうはさせねぇ!」
パラ「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
バト「叩き切れパラディン!!」
パラ「おわっ!ひぃぃぃぃ」
バト「間に合わん!!!」
魔法「メラゾーマぁぁぁ!」
ドドドドドド!びぎゃぁー
ドーン!プスプス。
旅芸「もう一匹!どこだ!」
バト「もう終わった」
旅芸「流石だなバトの一太刀は」
勇者「ガクガク、ブルブル」
パラ「ガクガク、ブルブル」
バト「ひよっこめ!役に立たん!」
勇者「こ、こわ、怖すぎ、ワロ、ワロエナイ」
旅芸「無理もないですよ、初戦ですし」
バト「死ぬなよ」
魔法「今のよかった?」
レン「いい一撃でしたね!」
勇者「ちっ!!」
賢者「ガクガク。ブルブル 腰が抜けちゃって…」
盗賊「どうぞ、背中貸してあげます」
賢者「すいません」
盗賊「あれ?おんぶしたらちょいとお尻が濡れてるかも、うししし」オモラシ?
レン「いいかい、相手の強さに合わせて魔法を撃つんだ」
魔法「はい」
レン「でないとあっという間にMPが無くなるからね」
魔法「はい!(レンさんカッコいい!」
勇者「ちっ!!」
盗賊「うししし」ペロペロ
勇者「おぃ、なに指舐めてんだよ気持ち悪いなお前」
盗賊「いや、そうじゃなくてですね勇者様」
勇者「様を付けるおまえは何か隠してる!」
旅芸「いくぞ!街を探索するんだ」
砂漠の町
レン「まさか…これは」
バト「襲われたな、それも大規模な軍団だ」
パラ「お、お、おえぇぇぇ」
勇者「お、お、おえぇぇぇ」
賢者「お、お、おえぇぇぇ」
バト「はははははww吐いてんじゃねぇひよっこ共!」
パラ「だって…こんなにひどいなんて…ぐすん」
バト「なら帰るか?ママに言いつけに行くか?」
盗賊「おっと!これも貰おう、あ、これも!」
レン「亡骸からお金を取るのは頂けないな」
盗賊「こうでもしなきゃ僕たちは生きていけない!」
レン「僕は見なかったことにする」
魔法「それにしても悲惨…女子供まで」
旅芸「そうだな…」
魔法「補給部隊も全滅…となると最前線はどうなっているの?」
旅芸「補給が切れた部隊は孤立し、最後は全滅する…」
旅芸「初戦にはショックが大きすぎた様だ、少し早いがここで野営しよう」
勇者「…」
旅芸「どうしたんだ?」
勇者「あまりにも酷い、これが魔王軍のやり方なのか?」
旅芸「いや、同じだ」
勇者「同じ?」
旅芸「王国正規軍も魔王軍の街で同じ事している」
勇者「そ、そんな!」
勇者「じゃ、じゃぁあんたも同じ事をしてきたのか!」
旅芸「…そうだ」
勇者「お前ら外道だ!魔王と変わりないじゃないか!」
旅芸「そうだ!!変わりない!!それを心に刻み込め!」
勇者「ぐっ!」
バト「奴にはまだ荷が重すぎる」
旅芸「だが乗り越えなくては…」
パチパチ。もわもわ。パチパチ。
レン「持ち回りで見張りをしよう」
魔法「じゃ私はレンジャーさんと」
勇者「ちっ!!」
旅芸「僕はパラディン君とするよ」
パラ「ひぃぃぃ」
旅芸「大丈夫さ」
パラ「はい…」
盗賊「じゃ僕は賢者さんと」
賢者「宜しくお願いします」
盗賊「大丈夫だよ(パンツ濡れてんだろうなぁ」
賢者「夜はまた一段と怖いですね」
パチパチ。
バト「じゃ俺はひよっことだな」
勇者「お、おぅ…」
バト「ビビったのか?」
勇者「違う!そんなんじゃねーよ!」
バト「じゃ最初の盗賊、賢者!頼んだぞ!」
盗賊「お任せを!」
パチパチ。
盗賊「今日会った魔物…」
賢者「はい」
盗賊「あれは喋らなかった」
賢者「え?」
盗賊「魔物の中には僕たちと同じ言語の者もいる」
賢者「意思疎通が図れると言うのですか!」
盗賊「僕は遠い村で会った事がある、僕らより賢い魔物に…」
賢者「すると和平も可能ですね」
盗賊「そうかな、僕たちはお互い殺し過ぎたのかもしれない」
賢者「22年も戦ってるのですものね」
盗賊「これから次の前線基地に行けば魔物はもっと賢くなる」
賢者「人を騙す事も可能だとお思いですか?」
盗賊「そう、夜な夜な聞こえてくるんだよ、魔物の歌や咆哮がね」
賢者「そ、そうですか…」
盗賊「あw怖がらないで、大丈夫だよ…キットネ」
賢者「…」
パチパチ。
バト「俺達の番だ、おぃ起きろ!」
勇者「う~ん」
バト「おぃ焚き木をくべろ」
勇者「なんで俺が!」
バト「つべこべ言わずやれ!」
勇者「なんだよくそ!」
バト「おぃ!どこへ行く!うろちょろするな!」
勇者「うるせーよ!しょんべんだよ!」
トコトコ。ガサガサ。
勇者「ったくうるせーおっさんだぜ!やってられねーよ!」
ジョボボボボボボ
勇者「ふぅ~すっきりだ~」
ガサガサ!!
勇者「誰だ!」
ガサゴゾ!!
勇者「出てこい!誰だ!」
魔物1「ひょーwww美味しそうな肉み~っけ」
魔物2「おぃおぃ横取りすんなよ、俺が見つけたんだぜ」
魔物3「仲良く分けるにはちと小さいな」
魔物4「俺内臓、俺内臓、俺内臓、俺内臓」
勇者「う、やばい!」
勇者「おっさん!たすけ…ぐふぅ」
魔物2「よそ見すんなよなw」
勇者「うがぁぁぁ」
魔物1「はっはっww腕が千切れそうだぜ」
魔物3「うひゃー美味そう!」
魔物4「俺内臓!俺内臓!」
勇者「はぁはぁ…気絶したら終わりだ」
勇者「うぐぐっ腕が…」
魔物2「終わりだ小僧w」
ゴギャン。
バト「手を煩わせんな!」
勇者「お、おっさん!」
バト「敵襲!」ピーーフィッ!!
勇者「死ぬのか…」
盗人「よいしょっと…」シュパ!!
魔物1「うぐっ、ど、毒だ」
レン「魔人切り!!」
魔物2「うぐぉぉぉあぁ!」
賢者「ベホイム!!」
勇者「あぁ腕が…治ってゆく…温かい」ドピュドピュ
魔法「ルカナン!!」
旅芸「今だ!守備力が減ったぞ!行けパラディン!」
パラ「うおぉぉぉぉ!」
魔物3「ぐがぁぁ」
バト「あいつ、必死な中で一閃づきしやがったw」
旅芸「成長した?かな?w」
バト「来るぞ!」
魔物4「内臓なくなった…」
魔物4は逃げ出した。
旅芸「周りの防備を固めろ!上からくるかもしれないぞ!」
魔法「ふぅ、勇者!大丈夫?」
勇者「う、うるせぇ!触んじゃねぇ!」
魔法「あんた…人に助けてもらってそれはないんじゃない?」
勇者「誰が助けろって言ったんだよ!」
ボゴォ。
勇者「いってぇ!おっさん!何すんだよ!」
バト「お前…そんなに死にてぇのか…」
バト「お前、賢者がいたから腕が動かせるんだろうが!」
ボゴォ。
賢者「バトさん止めてください、私は私の仕事をしたまでです!」
バト「お前、お嬢ちゃんに救われたな。次はお前が守れよ」
勇者「くそっ!なんだよ皆で寄ってたかって!」
賢者「血が出てる口元も治しておきますね、ホイミ!」
レン「おぅ!パラディン君頑張ったね!すごいよ!」
旅芸「うんうん、いい一突きだった!速かったし!」
パラ「え。でも足手まといで…」
バト「大丈夫だ、アイツよりは役に立つ」
勇者「ちっ!!」
チュンチュン♪
旅芸「さぁ次の街へ行こう、食料補給だ」
バト「剣の切れ味を増したいな」
レン「次の街ならありそうですよ!大きい街ですし」
魔法「わ~い!お風呂入れるかなぁ?」
盗賊「さてと、盗品売らなきゃw」
賢者「いけない事してますねーー」
盗賊「うるさいなぁエロパンツ」
賢者「はい?何か言いました?」
盗賊「なんでもないです」
賢者「(確か今エロパンツって言った気が…)」
レン「勇者君、もっと素直にならないと仲間と上手くやっていけないよ」
勇者「俺は仲間だと思ってねぇし!」
レン「そうか、じゃこのパーティからは抜けないとね」
勇者「なんでだよ!」
レン「戦場で僕は君に自分の背中を任せる事は出来ないよ」
勇者「レンジャー…」
レン「何が気に入らないかは判らないが、信頼関係が無いならパーティにはいらない」
勇者「判った、抜けるよ」
レン「そうやって逃げてばかりなんだな君は」
勇者「出てけ!っていうから抜けるだけだろ!」
レン「そうやって人のせいにばかりして、今まで自分で戦って来なかった」
勇者「そんなこと…ない!」
レン「パラディン君を見てごらん、あの一戦後の自信のある顔を」
勇者「なんだ!あんなスカした奴なんか!」
レン「でも今の君より僕は背中を任せてもいい、それは逃げないからだ」
勇者「もっと強くなりたい…それだけだ」
レン「でも今の君はこれ以上強くなれない」
勇者「どうすれば!どうすればいいんだ!教えてくれ!」
レン「そうだね、まずはみんなの信頼を得ることだ」
勇者「わ、わかった…」
魔法「わぁここね、大きいお城ね」
レン「昔は王様の御静養地だった、今は魔王軍と戦う前線基地になっているんだ」
魔法「スウィーツあるかなぁ?」
レン「いい店を知ってるよ、あとで行こう」
勇者「ちっ!!」
前線基地
旅芸「たのもー!開門たのもー!」
衛兵「誰だおまえらは!薄汚い格好しおって!」
旅芸「魔王軍討伐隊の者だ!たのもー」
衛兵「そんな話は聞いとらん!」
旅芸「怪しい者ではない、たのもー」
衛兵「しばし待たれい!」
バト「いれねぇと城門ぶっ壊すぞ!」
衛兵「まって!まって!今開けるから!」
ガゴゴゴゴゴゴゴ。
盗賊「さすが防衛施設、門も頑丈ですね」
バト「以前に一度魔王軍に乗り込まれたけどな」
盗賊「そうなんですか!」
バト「俺も弟もここで防衛任務についてた」
盗賊「すごい!」
バト「大勢死んだ…仲間も…魔物もな」
テクテク。トコトコ
歩兵「あ、あなたは!」
バト「なんだ?」
歩兵「バト兄様ではないですか?」
バト「なぜそれを知っている?」
歩兵「バト弟様の部下だった者でございます」
バト「で、弟はどこだ!」
歩兵「た、大変ざ、残念ながら…」
バト「やはり!」
歩兵「弟様は黒い霧に巻き込まれ帰らぬ人に…うっうっ」
バト「泣くな、あいつもそれは判っていたはずだ」
バト「おぃ、剣を研磨できるか?」
歩兵「はっ!こちらへ!街の研磨屋よりも軍直属の研磨師が居ます!」
バト「そうか、案内してくれ。酒でも飲もうや、なぁ戦友」
歩兵「ありがたき幸せ!」
テクテク。トコトコ。
盗賊「さてと、僕は道具屋に行ってきますね」
旅芸「後で酒場で落ちあおう」
コンコン。
盗賊「こんにちは」
トルネコ「なんだい?」
盗賊「これ売りたいんですが」
トル「盗品は買わないよ」
盗賊「え?盗品じゃないですよ!」
トル「どうみても盗品でしょ、血とかついてるし」
盗賊「頼むよオヤジ」
トル「なんか他にあります?」
盗賊「こんなのはどうです?うししし」
トル「こ!これは!」
盗賊「でしょ~でしょ~?判るよね、目利きのオヤジなら判るよね?」
トル「エロパンティ!!それも賢者殿が穿いてると言う…」
盗賊「証明書付けちゃうけどw」
トル「まじ?」
盗賊「まじ!(鼻血拭けよオヤジ)」
トル「5000Gでどう?」
盗賊「え?何が5000Gなんだい?」
トル「パンティが4950G、後は50Gだね」
盗賊「ぜってぇ売らねぇ、お前には売らねぇ!」
トル「頼む!それだけは売ってくれ!」
盗賊「全部で12000G、びた一文負けない!」
トル「どっちが道具屋なんだよ」
盗賊「いいだろ?な?賢者様のエロパンティだぞ!」
トル「仕方ない、12000Gで手を打つよ!」
盗賊「よし、決まりだ!じゃまたな!」
トル「うしししのし!今日の夜は捗るぜ!」
賢者「こんにちは~」
トル「はいはい(こ、これは!エロ下着賢者様!)」
賢者「あの~天使のすずはありますか?」
トル「あ~今品切れなんすよ~はぁはぁ」
賢者「(なんかこの人はぁはぁしてるキモイ)」
トル「他にはありますか?」
賢者「あれ?(この人の持ってる下着っぽいのって私の勝負下着じゃ)」
トル「上薬草か特薬草ならお安くしときますが」
賢者「え?(あ!絶対私の!フリルついてるし!)」
トル「後は何にします?」
賢者「その右手に持っている白い布を下さい!」
トル「(しまった!!いちもつに巻き付けとけばよかった!)」
賢者「それです!」
トル「これですか?」
賢者「貸してください(元はと言えば私のものじゃない!)」
トル「貸すだけですよ(これでプレミアもんだぜぇ)」
賢者「リレミト!!」
トル「あっ!消えた!ドロボー!下着ドロボー!」
賢者「ふぅ、やっと取り返したわ、誰かしら私の下着を売ったの?」
テクテク。トコトコ。
旅芸「なぁパラディン君」
パラ「はい」
旅芸「この店で遊んでいかないか?」
パラ「え!ここは大人の…」
旅芸「戦いには慰安も必要だろ?」
パラ「はい確かに、でも僕初めてですし」
旅芸「大丈夫さ、御代は俺持ちだ」
パラ「え、あ、そんな無理です」
ガラガラ。
旅芸「よぉ久しぶりだなルイーダ」
ルイーダ「久しぶりね旅芸人さん」
旅芸「今日は一人の若者を男にしてやってくれないか?」
ルイ「いいわよ?貴男は?」
旅芸「俺か?俺はとっくの昔に男を捨てたよw」
ルイ「あら、じゃ今日はやめとくわw」
旅芸「今日はこいつだ」
パラ「あら?かわいい坊やね」
旅芸「ルイーダ、今日は誰が空いているんだい?」
ルイ「そうね、ロクサーヌなんかどうかしら?」
旅芸「おぅ!それはいい!大人なしい清楚な彼女はぴったりだ」
ルイ「私だって清楚でおしとやかよ」
旅芸「それはどうかな?」
ルイ「いじわるっ!」
旅芸「パラディン君にはビッチなサンディは手におえんだろう」
パラ「え、あ、何処に行けば…」
旅芸「奥の部屋だ、俺はここで酒でも飲んでるよ」
ガガガガガ。
ロクサーヌ「いらっしゃい坊や」
パラディン「はい、どうも」
パラ「ど、どうすれば」
ロク「私の言う通りにすれば大丈夫」
ロク「脱いで!全部!」
パラ「え!ダメです!ダメです!女の人の前で脱ぐなんて!」
ロク「めんどくさい子ねぇ~」
パラ「あっダメ!あっ!あぁぁぁ!」
ロク「こんなになってて何がダメなのよ!!いただき!!」
パラ「お、おかあさぁぁぁん!」
ティリリ♪リッティッティッティー♪ パラディンのレベルが上がった。
さみだれづきを覚えた。スクルトを覚えた。
ガガガガガ。
旅芸「おぅどうだった?だいぶげっそりしてるが…」
パラ「え、えぇとても…よかったです」
旅芸「おぃルイーダ、あんまり新入りを虐めないでくれw」
ルイ「虐めてなんていないわ、彼を気に入ったのよロクサーヌが」
ロク「またね、坊や」
パラ「ひ!ひぃ!」
旅芸「よし酒場に戻ろう」
ルイ「私も後で行くわ」
テクテク。トコトコ。
レン「ここが人気のスウィーツ店だよ」
魔法「レンジャーさん凄い!(イケメンだし)」
レン「なに食べる、僕はいつもの「スライムベスの卵」かな」
魔法「え?なにそれ…」
レン「おいしいよ、プルンとしていて甘みがあって」
魔法「私は…メタルスライムの涙で!」
レン「おっ!がっつり行くね~」
魔法「えへへ(やばい!大食いと思われちゃったかも!)」
レン「君は何故魔法使いに?」
魔法「昔から街では魔法使いが一人いなくてはならなくて」
レン「そうなんだ」
魔法「それで私しか街には女の子がいなくて」
レン「ほうほう」
魔法「それで仕方なくだったんだけど、勉強したら面白くなって」
レン「そうか、それで魔法学校の推薦があったんだね」
魔法「無理矢理推薦してもらってw」
レン「いや、魔法学校首席だったって聞いたよ」
魔法「勇者の面倒みなきゃならないし…」
レン「幼馴染だったよね」
魔法「そう、でも勇者はああいう性格だしなかなか皆と馴染めないし」
レン「彼は平気さ、強くなれる」
魔法「そうかな?みんなに迷惑かけてばかりいて…」
レン「大丈夫さ、彼は必ず強くなれるから」
魔法「そんな事より!!レンジャーさんのそれ、ちょっと味見させて下さい!」
レン「いいよw」
魔法「(あぁーやっちゃった、大食い女確定だわコレ)」
テクテク。トコトコ。
勇者「道場はここか」
コンコン。
謎「だれだ」
勇者「勇者と申します」
謎「なんの用だ」
勇者「強くなりたくて…」
謎「一日では強くならん!馬鹿者め!」
勇者「でも、少しでもいいんです!仲間の為に!」
謎「ならば…開けるがよい、そこ代わり逃げ出す事は許されんぞ!!」
勇者「覚悟を決める…いくんだ俺!」
ガラガラ。
レオコーン「よく来たな若者よ」
勇者「ひぃ!ひぃぃぃぃ!」
レオ「逃げ出せないぞ」
勇者「あっダメです!無理です!」
レオ「さぁ修行をつけてやろう」
勇者「殺される!」
レオ「逃がさんと言っただろう?ふふふふ」
勇者「間違ってました!強くなんてなりたくありません!」
レオ「またお前は嘘を塗り固めて逃げるのか」
勇者「違う!俺は…」
レオ「いずれお前のせいで誰かが死ぬ、お前は能無しだからな」
勇者「死…」
レオ「能無しめ!叩ききってやる!」
勇者「ひぃぃぃ!うわぁ!」
ボゴォ!
ドゴォ!
バキィ!
勇者「はぁはぁ、歯が立たない」
レオ「弱いのぉ、それで仲間と一緒にいて恥ずかしくないのかお前は」
勇者「どうすれば…」
レオ「お前は目の前の事から逃げようとしてばかりだ」
勇者「どうすれば…」
レオ「覚悟を決めろ!仲間の為、世界の為!覚悟を決めるのだ!」
勇者「覚悟って言われても…」
レオ「それ、いくぞ!若造!」
バキィ!
ボキィ!
ダキィ!
レオ「逃げるだけか?本当の戦いでも逃げるのか?逃げ回るのかっ!!!!!!」
勇者「無理だ、俺には無理だ…」
レオ「帰るがよい。王国にな」
勇者「ぐっ」
レオ「いつまで経っても逃げる奴はどの世界にもいる、それは恥じる事ではない」
勇者「…」
レオ「だが仲間には迷惑がかかる、即刻パーティーを抜けろ」
勇者「もう一度!もう一度お願いします!」
レオ「無駄じゃ!」
勇者「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
キンっ!
レオ「ほう、やりおる」
勇者「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ボコッ!
バコッ!
ベコッ!
勇者「まだまだぁぁぁぁ!」
レオ「こんな力があろうとは、わしも迂闊だったわ」
ビギィ!
バギィ!
ボギィ!
勇者「はぁはぁはぁ」
レオ「立ってるのもやっとじゃな、次は手加減せんぞ!!」
勇者「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
ドガァ!!!
レオ「そうじゃ!己の全てを掛けた一撃を見舞うのじゃ!」
勇者「こ、これが俺…」
キーン、ぐわっ!
レオ「油断するな!相手は一人とは限らんぞ!」
勇者「そうだ、相手は一人じゃない…」
レオ「それ、いくぞ!!」
勇者「ここだぁぁぁ!!!!」
レオ「ぐふぅぅぅ」
勇者「やった!」
レオ「甘い!!!」
勇者「うぎゃぁ」
勇者「意識が…」
バシャ!
レオ「起きろ、起きるのじゃ」
勇者「俺…」
レオ「立ったまま気絶しおったw」
勇者「そんな!」
レオ「剣術はまだまだじゃ、だがこの剣を授けよう」
勇者「いいのかおっさん!」
レオ「おっさん言うな!!」
勇者「レオコーン様!」
レオ「仲間を信じ、仲間から信頼される戦士となれ!」
勇者「はい」
レオ「今は足手まといかもしれん、でもいずれ成長し必ずや信頼を勝ち取れる」
勇者「はい」
レオ「焦るでないぞ、その時は必ずや訪れる」
勇者「この剣は…」
レオ「メタルキングの剣じゃ」
勇者「こんな高価な物を貰えない!」
レオ「いいんじゃよ、私ももうすぐお迎えが来る、最後の希望をお前に託すでな」
勇者「ありがとう…また必ずもどってくる!」
レオ「出来ない約束はしない主義なんじゃがなw仕方あるまい」
勇者「約束する!」
レオ「お前のを見てると昔の私の様だな、ぶっきら棒で無愛想で喧嘩早く、童貞」
勇者「パ!パフパフ位したことあるわ!」
レオ「ふははははははw さらばじゃ若造!私はもう寝る」
勇者「あ、りがとう先生」
テクテク。
勇者「いててて、あのじじぃやり過ぎなんだよ、いててて」
勇者「酒場はどこだ?」
勇者「おぃそこの人!酒場はどこだい?」
ポンビキ「はいはいお兄さん!調子はどうだい?」
勇者「いや、酒場はどこ?」
ポン「いやいやいや、その前に!一発きれーーに抜いてこ!ね?」
勇者「いや酒場いきてーんだよ」
ポン「なに言ってるのおにーさん!巷じゃ酒場前に一発!コレ常識!」
勇者「マジ酒場どこよ!」
ポン「一回お触り10G!揉んで触って20G!後はお好み100G!」
勇者「困ったなぁ」
ポン「ね?ね?こっちよ!こっち!大丈夫だから!ぼったくりなし!ね?」
勇者「なぁこんな暗い所に店なんかあるのかよ?」
ポン「ないよw」
勇者「ないのかよ!(はっ!!)」
ポン「有り金全部置いてって、ちなみにその高そうな剣もね」
勇者「人は切りたくない」
ポン「だめ、だめ、俺も剣の使い手相手にならないよ」
勇者「ほんと止めてくれ、人は切れない」
ポン「じゃ俺が切るからじっとしててね!」
シュっ!
ポン「いたい!」
盗賊「だから一人で夜はダメですよ勇者さん」
勇者「盗賊!」
盗賊「後はお任せを」
勇者「頼む、殺さないでくれ」
盗賊「それはどうかなぁ、悪人は死んでもらいますよきっと」
ポン「おぃ、おまえらそんな所でコソコソしてんじゃねーよ!」
盗賊「あっ待ってね!今話し中」
ポン「隙あり過ぎ、馬鹿共め!」
シュッ!
ポン「うぎゃぁぁぁぁ」
勇者「おぃ大丈夫か!おぃ!」
盗賊「うるさい口ですね、塞いじゃいましょう」
ゴキッ!
ポン「う…」
勇者「殺したのか!おぃ!殺したのか!」
盗賊「あんたに何がわかる?」
勇者「殺す事無いだろう!」
盗賊「こうでもしなきゃコイツは他の人にも同じことをする!」
勇者「でも何故殺すんだ!」
盗賊「あんたはなんにも判っちゃいねぇ」
勇者「なんだと!」
盗賊「優しさと甘さは違う!そしてそれだけじゃ生きていけない世界もあるんだよ」
勇者「でも殺す事はないだろう!!」
盗賊「貴男とは意見が合わないみたいだ、仕方がない」
勇者「おぃ、待て!」
盗賊「あんたみたいな甘ちゃんな勇者様とは違うんだよこっちは」
勇者「教えてくれ!」
盗賊「盗賊というだけで虐げられてきた俺達の気持ちなんてな」
勇者「そ、そんな!」
盗賊「勇者一族はあんたみたいな甘ちゃんでも生かしてくれる」
盗賊「なんせ王国の庇護のもと贅沢暮らしだもんな」
盗賊「冒険ではくを付けようって魂胆か?これは冒険じゃない、殺し合いだ」
盗賊「最後までお前には判らないだろうな、下界の暮らしなんてよ」
シュン!
勇者「くそ…どうなってる」
ガチャ。ガヤガヤ。
旅芸「おぅ!勇者君!こっちだ!」
盗賊「どうぞ、ここ。僕は向こうへ」
勇者「あぁごめん、ありがとう(こいつ!さっきと全然態度が…)」
賢者「どうしたのこの傷」
勇者「ちょっと転んで」
賢者「ホイミ!」
勇者「自分で治せるよ」
賢者「私が居ないと傷治せないくせに!」
バト「おぃ!その剣はどうした?」
勇者「これ、そこで修行したらくれたんだ」
バト「良い剣だ、見せてくれ」
勇者「おぅ、でも重いんだよね」
バト「これは!よく磨かれたメタルスライムの剣か?」
勇者「うん、道場のオヤジはそう言ってた」
バト「あのレオコーンの所へ行ったのか?」
勇者「そうだよ」
バト「よく行く気になったなw」
勇者「なんで?」
バト「あいつが人と喋るなんてめったにないぞ!」
勇者「そうなんだw」
バト「だってあいつ幽霊だもん」
勇者「え?え?えぇぇぇぇ!」
魔法「やっと笑ったね勇者」
勇者「うるせぇぞブス!」
魔法「あー!イオナズンぶち込むよ!」
勇者「え?」
レン「あれ?パラディン君、なんか顔つき変わったね?」
パラ「そうですか?」
レン「自信に満ち溢れた感じがするよw」
パラ「実は…」
旅芸「まぁ言わなくても判るだろう?レンジャーw」
レン「そう言う事かw了解隊長」
賢者「え?なんですか?」
魔法「そう、なになに?」
バト「お子ちゃま達は黙ってろってこったw」
盗賊「(賢者様は処女か!)」
旅芸「よし、明日からまた戦いが始まる!」
旅芸「ゆっくり休む事!」
旅芸「防具等ちゃんと揃えておくんだぞ!誰も死なせない!いいな!」
勇者「お、おぅ…」
シーン。キンキン。カンカン。
勇者「むにゃ、おしっこ!おしっこ!」
勇者「ん?こんな暗闇で何やってんだ?」
レン「違う!もう少し腰を捻るんだ!」
パラ「はい!」
レン「そこで突き刺せ!」
パラ「はい!」
レン「いいぞ!そして相手が怯んだ隙に一閃づきかさみだれづきだ!」
パラ「はい!」
勇者「あいつこんな夜中まで…」
勇者「ん?こっちにも」
バト「いいか、お前のは短剣だ!それはMPが尽きた時大事になる」
魔法「はい!」
バト「アサシンアタックが出来るか?」
魔法「できます!」
バト「思いっきり掛ってこい!」
魔法「うおぁりゃ!」
キンっ!
バト「いいぞ!いい踏込だ!」
魔法「はい!」
バト「踏み込んだ瞬間にMPが回復してたらメガライヤーでも叩き込め!」
魔法「はい、わかりました!」
バト「よし、じゃ一からもう一度やるぞ!」
魔法「お願いします!」
勇者「あいつらまで…」
盗賊「いいですか、あなたは弱い」
賢者「はい」
盗賊「杖で叩いても魔物は怯まないでしょう」
賢者「はい」
盗賊「そこで、戦場での立ち回りが重要です」
賢者「はい」
盗賊「なるべく下がり、状況を把握し適所で回復系や麻痺系を打込む」
賢者「でもそれだと逃げるみたいで…」
盗賊「いいんです、あなたが死んでしまったらパーティーが危機に瀕してしまいます」
賢者「はい」
盗賊「回復系の司令塔となり、絶えず戦況を見回す練習をしましょう」
賢者「はい!」
盗賊「いいですか、いきますよ!」
賢者「ひゃ!」
賢者「早過ぎて見えません!(今お尻触ったよなコイツ)」
盗賊「目で追ってはダメです、感じるのです」
盗賊「いきますよ~」
賢者「あっ(絶対触った!絶対!今揉んだし!)」
盗賊「すぐには慣れません、毎日練習することです」
賢者「はい!(毎日お尻触りたいだけだろうが!)」
勇者「あっ!あいつまた手の匂い嗅いでる!」
勇者「俺は…やっぱり仲間ではないのか…」
ガタっ。
旅芸「どうした、こんな夜中に」
勇者「旅芸人!」
旅芸「焦ってるのか?」
勇者「そんなんじゃない!トイレに起きただけだ」
旅芸「嘘だ!君は焦っているんだろう?仲間に認められないから」
勇者「違う!」
旅芸「でも自分から仲間に教えてくださいとは口が裂けても言えない」
旅芸「だから幽霊のオヤジの所に修行に行った。そうだろう?」
勇者「うるさい!」
旅芸「少し昔話をしてやろう」
勇者「いらねぇよそんなの!」
旅芸「まぁ戯言だ、独り言と思ってもらっていい」
旅芸「俺が軍隊に入った頃まだお前よりも若かった。今でも覚えてるのは
王国軍第11遠征師団だった。度重なる魔王軍との戦いで多くの戦友を失った。
その後部隊長としてバトルマスターになり、魔王討伐軍に従軍した。
ある街での事だ。俺達分隊は街外れの監視塔に居た。今日みたいな夜だった。
部下にはお前みたいな跳ねっ返りが何人もいて士気は高かった。
若いのが一人、「魔物です」っていうんだよ。当然戦闘態勢になる。
だが魔物は道に迷ってしまっただけの子供を連れた母親のキメラだった。
俺達は街から出てキメラ親子を囲んだ。
だが奴らは喋るんだよ!わかるか?「助けてくれ」「見逃してくれ」って
俺達に嘆願するんだ!」
勇者「…」
旅芸「俺達にはどうする事もできない。殺すしかないんだ。
若いのが涙流しながらキメラ親子に剣を振りかざした。
「すまない」「すまない」と言いながら魔物を殺すんだ。判るか?
そして次の日の夜、キメラの大軍勢が街に押し寄せた…
街は火の海と化し、女子供含めて殺された。あるものは焼かれ
あるものは食われ、街の石畳は人の臓物と血と、魔物の内臓で赤く染まった。
その臓物の中を這いずりまわりながら俺と部下はなんとか生き延びた。
夜明けの街…それは地獄だった。部下の一人は狂気に満ちた目で
魔物の亡骸に延々と剣を振り下ろしていた。駆け寄って止めた瞬間彼は死んだよ。」
勇者「何故だ…」
旅芸「何故か?…か。理由なんてない。これが戦争だ。
記憶しておけ、俺達の相手はただの魔物じゃない。
知恵を持ち、俺達と同じ様な言語で話、そして家族も、仲間も
同じ様に軍隊もある。そしてお互いが思う。我が正義だと。
だが正義なんて何処にもない。話がそれてしまったな…」
旅芸「俺の部隊はこの街… そうこの街に配属された。
そこで隣の師団長だったバトルマスターと出会った。
そしてあの夜、俺達は仲間たちと陽気に討伐軍司令部で酒を交わしていた。
城門の一つからメキメキという音が聞こえ始めた。
考える間もなく城門は音と共に崩れ去った。
そして今でもぞっとするあの光景があった。暗闇に無数の光り輝く目だ!
暗闇に蠢き、殺す殺すと訴えてくるその眼光は人々を威圧し凍りつかせる。
一斉に飛び出した俺達だったが、そこに居たのは人を掴み投げ飛ばし
怪力で家々を破壊して回るあの忌々しいイボイノスだった。」
旅芸「戦闘は3日間続いた。あの時と同じだった。石畳は赤く染まり
城壁には血飛沫が舞い、人々は逃げ惑った。明けても暮れても魔物達は
怯みもせず昼夜を続けて攻勢をかけてきた。4日目の朝…
ついに王国軍はイボイノスを仕留めた。奴の最後の言葉はこうだ…
「いずれまた会おう」だった。俺は脚に重傷を負い意識を失った。」
旅芸「目が覚めた時、部下は一人も生き残っていなかった。
王国軍はこの攻撃で半数の兵力を失った。魔王軍もそれ相当の消耗を強いられたはずだ
この時俺は軍を辞めた。旅芸人となり各地を放浪した。
今でも思う、あの時俺は死んで当然だったんだ。
俺の脚に槍が刺さる瞬間、俺を突き飛ばした部下が居た。
そう、お前と同じくらいの若造で名前はロビンと言った。
奴は気さくで面倒見がよく、次期部隊長に推薦されていた。
そんな奴を、二本の槍が貫いたんだ…」
勇者「それで彼は…」
旅芸「もちろん、死んだ。
そして三本目の槍が俺の脚に刺さってた。俺は奴を抱きかかえたまま意識を失った。
ロビンの最後の言葉は「母親にこれを…」と出した従軍記章だったよ。
いいか、俺は誰も死なせたくはない。これ以上誰もだ!
だがお前は無茶な事して人を!仲間を!危ない目に合わせる様なら俺はお前を
メンバーから外す。」
勇者「わかった…」
旅芸「これからが本当の地獄だ。耐えられるかは自分に聞くんだ。
時には人すらも切らなきゃならない。そうなった時お前はどうする?
人は切れません、どうぞ殺してくださいか?」
勇者「わ、わからない」
旅芸「非道になれとは言わない… ただ、優しさは時に災難を自分に
持って帰って来る。それだけは憶えといてくれ、戯言が過ぎたな、おやすみ」
勇者「あ、あぁ、おやすみ」
パタン。
勇者「眠れる訳がない…」
チュンチュン♪
旅芸「よし!準備をして出発だ!城門前に武器屋があるそこで装備を整えよう!」
バト「武器屋かwまだあのばばぁ元気かな?」
旅芸「あぁ彼女は死にそうにないw」
ガチャ。
ソナ「あら、久しぶりね」
バト「よぉばあさん、何年振りだ?」
ソナ「知らないわw」
旅芸「元気そうだ」
ソナ「まだ死ねないもの」
旅芸「早速だが、この人達に最適な装備を揃えてくれないか?」
ソナ「高くつくわよ~」
旅芸「あぁ王様のこの無料カード使えるんだろう?」
ソナ「そんな古びたカードなんて使えないわよ!」
勇者「やろう!あのクソ王!騙しやがったな!」
盗賊「でしょ?でしょ?だから僕の出番でしょ?」
賢者「ん?大丈夫なんですか?」
盗賊「みんな僕が盗賊してたら文句言ってたけどさぁ~」
レン「すまん…あやまる」
盗賊「いえいえ、ここは一つ僕が「貸し」ておきましょう!」
魔法「けち臭!!」
盗賊「え?魔法さんまでそう言う事言うんですか!」
魔法「ここは男らしくバーン!といきなさいよ!」
盗賊「困りましたね…う~ん、仕方がない12000Gは奢りです!」
賢者「すごい!盗賊さんすごい!」
盗賊「(あなたのエロパンティのお蔭です!)」
旅芸「じゃ魔法さんから選ぶよ」
魔法「お願いします!」
ガララン。
旅芸「よしこれでみんな揃ったね!」
バト「いいか、気を抜くなよ」
門番「お気をつけて!開門!!!」
ちゃーらーらー、らららーらら、らぁららぁらーー♪
旅芸「バト、どう思う?」
バト「なんだ?」
旅芸「もう少し経験を積ませたいんだ」
バト「だな」
レン「レベル上げの洞窟ならこの先にありますよ」
旅芸「ほう、ならこの際腕試しといきますか?」
レン「で、洞窟を抜けると最果ての塔がありますが…」
旅芸「あぁ!あそこは強すぎるな」
レン「でも、ここで経験を積まないと魔王城まで持ちませんよ」
バト「死ななきゃいいが…」
洞窟入口
勇者「うわ!暗い!」
魔法「それに臭い!」
バト「文句言うなひよっこめ!」
旅芸「松明を作ったから平気だよ、さぁ行くよ」
ザッザッザッ。
盗賊「宝箱!宝箱!」
レン「あるかね?」
盗賊「B2Fより下ですね、きっと」
レン「なにが出るか毎回楽しみなんだけど時々さぁ」
盗賊「そうですねw時々あいつが住んでるんですよね!」
レン「でしょ?あれ嫌い」
盗賊「ミミックですね、あれは死にますからね」
レン「以前食らって酷い目にあったよ」
どよ~ん。
旅芸「来るぞ!」
魔法「この臭いは…」
バト「くさった死体だ!」
パラ「お、おえぇぇぇぇ!」
盗賊「がいこつ兵もセットだ!」
旅芸「戦闘配置だ!」
魔物1「うへへへーうえー」
魔物2「うひゅ、うぴゅ」
レン「弓で蹴散らすぞ!さみだれうち!」ヒュンヒュン
魔物3「むひょー!」
魔物4「うごーー!」
旅芸「ねむり打ち!どうだ?」スパッ!
魔物5「zzzz」
魔物6「zzzz」
バト「この二匹は頂くぜ!うりゃぁ!」
バゴォォォ!
魔法「どいて!撃つわよ!イオラ!!」
ギュイーン。ボコボコボコ。
勇者「うわ!狭い洞窟で火炎系撃つなよ!」
賢者「スクルト!」
盗賊「今です!パラディンさん!」
パラ「うおぉぉぉぉぉ!どりゃ!」
ボガァァァ!
バト「お前の番だ、いけ!」
勇者「お、おぅ」
勇者「うぉぉぉ!」
バト「ダメだ、腰が引けてる!」
勇者「このやろー!」
バト「引け!死ぬぞ!」
盗賊「お任せを!おとしあな!」
凹!
勇者「うわぁぁぁぁ」
バト「今だ!レンジャーとどめだ!」
レン「うりゃぁぁ!」
ドスっ!
旅芸「皆怪我はないか!」
勇者「いてて、落とし穴があった」
バト「腰が引けてる、穴が無きゃ今頃死んでる」
勇者「…」
盗賊「まぁ気にしない、気にしない」
魔法「あんた…マジで足手まといなんじゃ…」
勇者「うるせー!」
盗賊「おっ!階段ですね、行ってみましょう。」
ザッザッザッ。
勇者「おっ!おおお!宝箱!」
盗賊「開けちゃダメです!」
勇者「そうなのか?いいじゃん!」
盗賊「ミミックだったらヤバいですから」
盗賊「絶対に!開けちゃダメです!これは本当です」
勇者「ケチケチすんなよ!」
盗賊「本当に!だめです!」
勇者「はぁ?お前に命令されたくないし」
勇者「宝物かも知れないだろ!!どれどれ~」
レン「やめろ!」
ドギャン!!
勇者「わわわ!あぁ!」
旅芸「ミミックだ!強敵だぞ!」
っがぁぁぁぁぁ!
バト「ひよっこ共は後ろへ下がれ!来るぞ!」
どひゅん!どひゅん!
レン「うわぁ!」
パラ「うぐぐぐ!」
バト「賢者!二人がやられた!頼む!」
賢者「はい!」
盗賊「どりゃ!」
キンっ!
どひゅん!どひゅん!
盗賊「うわぁ!」
魔法「痛い!うぐぐぐ」
旅芸「賢者!ベホマラーだ!」
魔物「みみーーーーー!ラリホー」
ムムムム!ムム!
賢者「zzzz」
魔物「みみーーーーー!メラミー」
ムムムム!ムム!
どごぉん!どごぉん!
勇者「うわぁ!うううわぁ!」
旅芸「まずい!全滅するぞ!やつの呪文を止めるんだ!」
バト「うおぉりゃぁ!」
ドゴォォ!
バト「かてぇぞ!」
魔法「撃つよ!」
旅芸「待て!バトにバイキルトをかけろ!」
魔法「了解、バイキルト!!」
旅芸「間に合うか…」
魔物「みみーーーーー!ザキー!」
ムムムム!ムム!
パラ「うっ…」ガクリ。
魔物「みみーーーーー!」
バコォ!ボコォ!
レン「うがぁぁぁ」ガクリ。
盗賊「起きて!賢者さん!起きて!」
旅芸「ザラキを唱えられたら死ぬぞ!」
勇者「このやろー!」
旅芸「下がれ!お前じゃ歯が立たん!」
ティリリ!ミス!
盗賊「賢者さん!起きて!(この際だ揉め!揉みまくれ!)」
魔物「みみーーーーー!ザキー!」
ムムムム!ムム!
旅芸「ヤバい!」
魔法「うっ」ガクリ。
旅芸「まだ来るぞ!」
魔物「みみーーーーー!!」
ボコォ!ゴバァ!
バト「うぐ、耐えられん!」
賢者「(誰?私の胸を揉みまくっているのは!)」
賢者「へ?あっ寝てました!」
盗賊「早く、賢者さん!」
賢者「え!いつの間にこんな惨状に…」
盗賊「何か呪文を!!!」
賢者「イオグランデ!!!」
ひゅーん。どごぉぉぉぉぉん!
パラパラ。
盗賊「(いきなりイオグランデはねーだろ普通!)」
旅芸「大丈夫か?」
勇者「ゲホ、ゲホ、ゲホ」
勇者「賢者!いきなり何の呪文だよ!」
ボゴッ!!!
勇者「いってーなぁ!」
バト「てめぇー3人死んでんだぞ、下手すりゃ全滅だ」
勇者「ぐっ!」
旅芸「何故開けたんだ!!盗賊君はダメだと言っただろう!」
賢者「魂よ、もう一度戻りたまえ!神よ力を!ザオリク!」
賢者「はぁはぁ」
盗賊「少し休んでからでないと…」
賢者「いえ、魂が抜けた後時間が経つと治らないんです!」
賢者「魂よ、もう一度戻りたまえ!神よ力を!ザオリク!」
旅芸「俺がザオラルを唱えてみる、後は休んでくれ」
魔法「ありがとう賢者!」
パラ「有難う御座います賢者さん」
旅芸「ザオラル!」
バト「ダメだ…」
旅芸「くそ!もう一度だ!ザオラル!」
レン「ううううっ」
盗賊「薬草を!」
レン「相変わらずコレは美味しくないな」ムシャムシャ
旅芸「はぁはぁ、なんとか生き返ったか…」
盗賊「一回洞窟を出ましょう!体勢を整えないと」
旅芸「そうだな、リレミト!!」
ザッザッザッ。
バト「俺はもうコイツとは一緒に行きたくない」
勇者「こっちも頼んでねぇよ!」
旅芸「あれだけ俺が言ったのに君の心には届かなかったみたいだ、残念だよ」
魔法「あんた本当にこれでいいの?馬鹿なの?」
勇者「うるせー!」
賢者「誰でも間違いはあります。そして皆さん生きて帰れました」
盗賊「僕も反対だな。仲間を危険に巻き込むだけで後は役立たずじゃ…」
パラ「僕は初心者だけど、君ほど馬鹿じゃない。人の言う事を聞けない奴は一緒に旅は出来ない」
レン「僕はまだやれそうな気がするけどね、うるせーなんてwガッツは認めるよ」
旅芸「この洞窟ですらままならないなら魔王は倒せない!死ぬだけだ!」
バト「いったん街まで戻ろう。いいよなレンジャー」
レン「はい、構いませんよ」
レン「でも、僕の知ってる村に行ってみませんか?」
盗賊「どこですか?」
レン「ここから東に行った所にある村で、のんびりした村だよ」
魔法「(スウィーツないし!)」
レン「じゃ近くまでキメラの翼でいくよ」
ぎゅるーん、るーん、るーん。
東の村
宿主「いらっしゃい!一晩120Gだが泊っていくかい?」
旅芸「あぁ、泊らせてもらおう」
バト「今日はヘトヘトだぜ、あの馬鹿のせいでよ!」
勇者「んだと!」
レン「君は怒る権利はないよ、実際危険にさらしたんだろう?」
勇者「…」
盗賊「勇者さん、僕と散歩に行きませんか?」
勇者「なんでお前と行くんだよ!」
魔法「なに尖がって粋がってんの?馬鹿みたい」
勇者「ぐっ」
レン「気晴らしに行くと良いよ、この辺は魔物も少ない」
勇者「わ、わかったよ!行けばいいんだろ!」
ガチャ。
勇者「なんで散歩なんか…」
盗賊「なんで?」
勇者「そうだ」
盗賊「別にあんたなんかと歩きたかねぇよ」
勇者「じゃなんで!」
盗賊「話がしてぇと思ってさ」
勇者「話?」
盗賊「あぁ、あんた今まで何回殺されかけた事ある?」
勇者「そ、そんな事ない!」
盗賊「そうか、ないか」
勇者「なんだそれ」
盗賊「俺はなぁ、今まで生きてきて20回は殺されかけた事がある」
勇者「そ、そんなにか!」
盗賊「あぁ、あんた一族を守るためにな」
勇者「お、憶えてない!」
盗賊「そりゃそうだろう、お前はまだ赤ん坊だ」
勇者「俺の一族だって?」
盗賊「うん、そうだよ。そのお蔭で俺の父親は死んだ。おふくろも死んだ。
じいちゃん、ばあちゃんも死んだ。弟も姉貴も死んだ。」
勇者「お、おれのせいだっていうのか!」
盗賊「いやいや、あんたのせいだなんて言ってないよ」
勇者「何がいいたいんだ」
盗賊「あんたは城の外の豪華な邸宅に住んでた…真っ白な家だ。だろう?」
勇者「確かに家は大きかった…」
盗賊「その家の警護は俺達の役目だったんだよ、盗賊という名でしか
世間では知られてないけどな、裏じゃボディーガートみたいなもんさ。」
勇者「そうだったのか…」
盗賊「まぁ話を聞いてくれよ。その家は魔王軍の暗殺者に狙われていたんだ。
22年間ずーっとだ。その間俺達はあんたの家、家族を守り通した。
あんたの家は勇者一族だ。昔から守られて血を絶やさずにいられた。
安全な中で暮らし、おまえが外の遊びに行くときは俺達一族の誰かが
遠巻きでおまえを警護してた。魔王軍の襲撃を悟られない様に
秘密裏に暗殺者を処分した。その戦いの中で俺達一族は殺されていった」
勇者「俺にどうしろと言うんだ!無理だ!」
盗賊「どうもしないさ、俺はただあんたがもっとまともに育ってると思ってた。
でも、今日のいままでの行動で只の馬鹿だと判った。
なぁ、その馬鹿を守るために何故俺の姉貴や弟は死ななきゃならなかったんだ?
なぁ教えてくれよ!なぁ!おぃ!なんで…。なんで俺の姉貴が殺されなきゃならなかったんだよ!
教えろよ!おまえ!」
勇者「す、すまない」
盗賊「すまない?簡単に謝ってんじゃねーよ!糞野郎!どんな思いで弟が死んでったか判るか!
暗殺者の毒にやられて一週間も苦しみもがきながら、勇者様をお守り出来た!と
笑いながら死んでいった人の気持ちが判るかおまえには!
次に馬鹿な事してみろ!俺はお前を殺す!後ろから一思いに叩き切ってやる!」
勇者「…」
盗賊「今の話は忘れてくれ…すまん」
勇者「盗賊!」
盗賊「僕はいつもの僕に戻るよ、それじゃぁな」
勇者「俺は…どうすればいいんだ!」
賢者「勇者さん!」
勇者「お、おぅ」
賢者「どうしたんですか?暗い顔して」
勇者「ちょっとな、今日失敗ばかりでごめん」
賢者「誰でも失敗はありますよ」
勇者「でも俺のせいで全員が死にかけた…」
賢者「そうですね、みんな死にそうでしたね」
勇者「どうすればいい、俺は…」
賢者「そんなの私に聞かれても…」
勇者「そうだよね、自分で考えるんだよな」
賢者「その為のお手伝いはしますよ」
勇者「ありがとう」
賢者「いえいえ」
勇者「ところで何を買ったの?」
賢者「(ドキっ!この間汚れた勝負下着の買い直しとは言えないわ!)」
勇者「?」
賢者「チーズです!チーズ!」
勇者「そうか、美味しいそうだ」
コソコソ…
盗賊「むむむ、さては新しいエロパンティを買ったな!」
食卓
わいわい、がやがや。
旅芸「この街に一週間程滞在しようと思う」
バト「おぃ、急がなくていいのか?」
旅芸「急いで全滅するよりはマシだ」
魔法「修行付けてもらえますかバトさん!」
バト「おぅいいぜ!」
魔法「レンさんもお願いします!」
レン「僕で出来る事があれば何でも」
魔法「(やった!倒れたフリして抱き付いちゃお!)」
賢者「盗賊さん、私も修行いいですか」
盗賊「いいですよ(また尻揉みしてやる!)」
賢者「でもお尻触るのはなしです!」
盗賊「え?(うっ!前より見えてやがる!)」
パラ「僕も一緒にお願いします」
レン「あぁ頑張ろう!」
ガチャ。
旅芸「勇者君はどうするんだい」
勇者「俺は…パーティーを抜けます」
旅芸「そうか、残念だが…」
旅芸「キメラの翼をあげよう、これで家に帰れる」
勇者「はい…あの、皆には…」
旅芸「あぁ、皆には誤魔化しておくよ」
勇者「ごめん…なさい」
旅芸「いいか、死ぬなよ…」
ぎゅるん、ぎゅるん、ぎゅるん、
ドサッ!
勇者「いてて」
勇者「ここは?あれ?」
勇者「あれ?城は?家は?」
謎「誰だ!煩いな!」
勇者「ん?海の匂い…ここは!島だ!狭い島…」
勇者「誰だ!」
謎「誰だじゃない!勝手に人の島に着といて誰だじゃないだろう馬鹿者!」
勇者「あんた誰だ!」
謎「馬鹿者!人に尋ねる前に自分を紹介しない馬鹿なのかお前は!」
勇者「う!ゆ、勇者と言います」
謎「馬鹿者!言いますじゃないだろう!申しますだ馬鹿!」
勇者「馬鹿馬鹿うるせーなおっさん!」
謎「馬鹿だから馬鹿なんだよ馬鹿!」
勇者「なんだよくそ!」
謎「ほほぅ、馬鹿はなんでここに来たのじゃ?」
勇者「キメラの翼で…」
謎「そうか、誰から貰った?」
勇者「旅芸人だ」
謎「旅芸人さんだろうが!馬鹿!」
勇者「そしたらここに…」
謎「そうか、じゃ仕方ない、ここは馬鹿しか来ない所じゃ」
勇者「なぜだ!」
謎「人にモノを聞くときは何故ですかだろうが!馬鹿者!」
勇者「なぜですか」
謎「お前はあの旅芸人に貰ったキメラの翼と言ったな」
勇者「はい」
謎「あれには特殊な魔法が掛っていて一箇所にしか行けない様になっておる」
勇者「それがここ?」
謎「そうじゃ」
勇者「なんで…」
謎「旅芸人がお前に託したものを見せよう、こっちにこい」
勇者「あなたはどなたですか?」
謎「わしか?わしはキャプテン・メダルじゃ」
勇者「変な名前ですねw」
メダル「笑うでない!」ボコッ!
勇者「杖痛い!杖!」
メダ「さぁ入れ」
勇者「はい」
メダ「旅芸人がお前に託した物だ」
勇者「これは!!!」
メダ「思い出したか?」
勇者「これは!!!旅芸人の命を救った…ロビンの従軍記章!」
メダ「話は聞いておる様じゃの」
勇者「それじゃ…あなたは…ロビンの…」
メダ「ああ?父親じゃないぞ!」
メダ「ロビンは旅芸人の弟だ!」
勇者「そんな!聞いてない!嘘だ!」
メダ「信じなければそれでよい」
勇者「ぐ…まさか!」
メダ「おまえとロビンが重なったんじゃろう」
勇者「俺はここで何をすれば…」
メダ「後ろに井戸がある、そこに一週間入れ」
勇者「えっ!」
メダ「食料と薬草は投げ入れてやる」
勇者「そんな!」
メダ「まぁなんかの漫画みたいに一週間入ったら一年間分過ごせるとかないから」
勇者「まぁそれはないにしても…」
メダ「戦うのじゃ、己の弱さ、浅はかさ、甘さと!」
勇者「でも…」
メダ「なんの為にその剣をもっておる!いらんならわしがコレクションしたい」
勇者「これは、道場のおっさんとの約束の剣なんだ」
メダ「そんなのは知っておる!いいか、井戸に入り自分を磨くのじゃ!」
勇者「ううう」
メダ「だが…良い方へ転ぶか、悪い方へ転ぶかはお前次第じゃ」
勇者「悪い方?」
メダ「一週間がたった時、悪い方ならわしがお前を切り捨てる。それだけじゃ」
メダ「はよ行け!馬鹿者!」
ひゅーぅ。
勇者「うわっ!真っ暗だ!」
メダ「松明投げるよー」ポイッ
勇者「あち!うわっ!あっち!松明あっつ!」
メダ「食料と薬草なげるねー」ポイッ
勇者「いた!いたた!」
うぅぅぅぅ!!
勇者「わ!なんだ!唸り声がする!」
うがぁぁぁぁ!!
勇者「な!なんでこんな所にドラゴンがいるんだよ!」
ボバァァァァァ!
勇者「うわ!あっつ!炎あっつ!」
メダ「それね、わしが錬金したドラゴンなのね」
勇者「こんなの作ってんじゃねーよ!」
メダ「一日でどんどん強くなってくからね」
勇者「まじで!」
メダ「殺されても知らないよ」
勇者「ちょい!まって!キャプテン!まって!」
メダ「止めを刺すには一週間生き延びる事だけね」
勇者「うおー!やべぇ!」
・一日目
勇者「はぁはぁ、ヤバい血が止まらない!」
勇者「薬草は…あったこれだ!」ムシャムシャ
がおぉぉぉぉぉぉ!
勇者「もう生き返りやがった!」
勇者「このやろう!どりゃ!」
メダ「どれどれ?あぁー血でてるねー死んじゃうかもなぁ」
メダ「そろそろレベルアップしてもいい頃だけどね~」
勇者「ここだ!ドラゴン斬り!」ブシュァァァァァ!
どあぁぁぁぁぁぁ!
勇者「やべぇ!急所外した!どがぁぁぁ」ボコォォォ
メダ「まだまだじゃの、さてパフパフTVでもみるかの」
・二日目
勇者「はぁはぁ…寝られない…一晩中戦って眠れない」
メダ「おはよー」
メダ「死んだ?」
勇者「まだまだぁ!」ブシュゥゥゥゥ!
メダ「飯食えよちゃんと」
・三日目
勇者「もう…だめだ!」
メダ「おはよー」
メダ「あれ?死んでる?」
メダ「あwwまじ死んでるし」
メダ「よいしょっと。世界樹の葉を無理やり口につっこんでと!」
勇者「ごふ!ごふごふ!」オエェェェ
メダ「ちゃんとやれよ!」
勇者「はぁはぁ…ヤバい意識が…」
・四日目
勇者「もう三日も寝てない…」
勇者「ドラゴンはもう今までの手が通用しない!」
勇者「よしこれだぁぁぁぁ!はやぶさ斬り!!!」
ぐおぉぉぉぉぉぉ!ん!
勇者「はぁはぁ…血が足りない!もっと早く!」ムシャムシャ
勇者「キャプテン!」
メダ「なんじゃ」
勇者「もっと薬草をくれ!」
メダ「言い方が気に入らないヤダ」
勇者「お願いだ!薬草を!ごふぅぅぅ」
メダ「お、今の尻尾の一撃はきついな」
勇者「うがぁぁぁ腕が!もげた」
メダ「しょうがないなぁ…これっきりだからね!ベホマ!!」
勇者「うっ、嘘つき…」
メダ「ありゃ?マホバリアだったか?」
勇者「意味ない…うがぁぁぁ」
メダ「すまんのぅ、歳とってくると魔法唱えるのも一苦労だで」
・五日目
勇者「あぁもう死ぬ。ほんと死ぬ」
くぎゃぁぁぁぁぁ!
勇者「ごぼぉぉぉ!」
勇者「ダメだ、強すぎる!今ので肋骨何本か飛ばされたし」
メダ「あれ?死んだ?」
メダ「心を澄ませ、何も考えるな、本能のまま突き進むのじゃ!」
勇者「うりゃぁぁぁぁぁぁ!」
メダ「おっ!光った!ミラクルソードじゃね!おっ!おっ!」
勇者「おぉ!切りつける度に身体が…回復して、おがぁぁぁ」
メダ「油断するでない!馬鹿者め!」
・六日目
メダ「もしかして立ったまま寝てる?」
メダ「あやつ、無意識に剣を…」
勇者「むにゃ~」
勇者「殺してやる!殺してやる!殺してやる!」
メダ「あっいかん!意識に悪が!」
メダ「ラリホーマ!!!」
勇者「zzzz」
がおぉぉぉぉぉ!
メダ「まて、まてドラゴン、わしじゃ!」
メダ「ったく世話の焼けるやつじゃわ」
メダ「少し口の中に薬草突っ込んでおこう」
メダ「よし!ザメハ!!」
勇者「おえぇ、ごふ、ごふ!」
メダ「行けドラゴン!」
がぁおぉぉぉぉぉぉ!
メダ「久しく使っとらんなぁこんな魔法」
メダ「そうだ、使ったのは…う~ん、あぁバニー眠らせて…うししし、あ、いかん、また死んだ」
・七日目
勇者「今日で終わりだ…今日なのか?曜日の間隔か…」
勇者「糞尿垂れ流しで一週間、攻撃されて寝られなかった…」
勇者「何回死んだかもわからない。痛みは増してゆくばかりだ」
勇者「蘇生やりすぎでもう何本かの骨が上手く戻らない」
勇者「あと何回出来るんだろうか…」
メダ「おはよー」
メダ「今日は死ぬなよ、もうそろそろ身体の蘇生が限界だからさ」
勇者「判った…」
ぐらぁぁぁぁぁぁ!
勇者「来い!」
うごぁぁぁぁぁぁ!
勇者「うおぉぉぉぉ!ギガスラッシュ!!」
メダ「お!いいんじゃね!いいんじゃね!」
勇者「浅いか…」シュンシュン!
ごがぁぁぁぁぁぁ!
メダ「なに!!!振り向きざまにあの速さではやぶさ斬りだと!!!」
うがががが…ドシーン!!
メダ「倒したのか!おぃ!返事をしろ!」
勇者「…」
メダ「立ったまま失神しとるわw」
トントントン
メダ「ったく背負って上がるこっち身にもなれ」
メダ「お疲れね、ドラゴンちゃん、土に返っていいぞ」
メダ「泥のドラゴンを魔法で扱うのは難しいんだからな、まったく!」
メダ「でもまぁ生きてて良かったなぁ勇者よ!」
勇者「ガツガツ!モフモフ!ガツガツ!」
メダ「慌てんでもよい!まだ飯はある!」
勇者「俺…」
メダ「なんじゃ」
勇者「強くなったかな、キャプテン」
メダ「あぁ、確実に」
勇者「本当に?」
メダ「後は…心の問題じゃ」
勇者「心か…」
メダ「よいか、強いだけじゃダメなのじゃよ、勇気、優しさ、そして決断力」
勇者「そうか」
メダ「それには犠牲もある…それを受け入れられるかどうかじゃ」
勇者「俺…仲間に戻りたい」
メダ「まぁ予想はしとったがなwそれ、キメラの翼じゃ」
勇者「ありがとう、キャプテン・メダル!」
メダ「また来い。次は二週間閉じ込めてやるでな」
勇者「俺、俺、」
メダ「何も言うでない、行くのじゃ!仲間の元に!」
ぎゅるん~ぎゅるん~ぎゅるん~
最果ての塔
旅芸「強い!」
魔法「あんなに修行したのに!」
盗賊「今回の魔物は知能が違う!」
魔物1「お前達は何者だ?」
魔物2「ここがお前たちの墓場だ!」
バト「そ、そうはさせるか!」ハァハァ
賢者「動かないで!傷口が開いちゃう!」
レン「そろそろパラディンを生き返らせないとますいぞ」
旅芸「万事休すか!」ハァハァ
魔物3「俺はその赤い鎧の女貰っていいだろう?」
魔物4「あぁ好きにしろ、どうせいたぶって殺すんだろw」
魔物3「な~に、ちょこっと串刺しにするだけさ」
魔物4「じゃ俺もあの緑の法衣の女だな」
魔物5「それは俺のだぞ」
魔物6「それよか全員いっぺんに鍋に入れようぜ!」
魔物1「行くぞ!人間ども!」
魔法「マヒャド!!!」
ガラガラガラ!
魔物3「うわ!つべた!」
魔物4「お前の相手は俺だ!」
レン「くそっ!うがぁぁぁぁ」
魔物5「惨劇の始まりだなwとぅ!」
盗賊「うぐぐぐっ」
魔物6「苦しんで死んでもらわないとなぁ、ほらよ!」
賢者「うあぁぁぁぁぁぁぁ!」
魔物2「どうする人間ども?逃げるか?さぁ死ね!」
魔法「うぐっ…」ガクッ。
魔物1「さぁ聞かせろ、お前達は何者だ?」
旅芸「魔王討伐隊だ!」
魔物1「はははははw聞いて飽きれるw魔王様の討伐隊?嘘だろう?」
旅芸「まだ終わらん!」
魔物1「魔王様は尊大な方だ、その方を討伐する?許されん今すぐ死ね!」
旅芸「もはやこれまでか!」
・・・
ヒュン!
魔物1「何者だ!」
勇者「俺?」
勇者「名もなき勇者だ!うぉぉぉぉりゃぁぁぁ!」
魔物1「うがぁぁ、馬鹿な!速い!」
魔物2「誰が来ようがこの絶望的状況からは変わらんな」
勇者「行くぞ!」
魔物2「お前!」
勇者「魔法を殺したのはお前だな」
魔物2「あぁ、後で尻から食ってやる!」
勇者「なら先にお前が死ね!」ザグリッ!
魔物2「馬鹿な!ノーモーションからの急所を…うぐ、ごはぁぁ」
魔物1「小癪な!」
魔物3「おのれ!」
勇者「怖いのか?纏めてかかってこい!」
勇者「遅い!!」シュパン!サランッ!
魔物1「うぎゃぁ」
ドサ、ドサ…
勇者「どうした?後三匹!まとめて相手してやる!」
魔物6「ごあぁ!」タン!トン!シュパ!
ドサ、ドサ、ドサ…
賢者「勇者様…怖い…」
旅芸「話は後だ!二人を蘇生するんだ!」
バト「お前…魂売ったのか…」
盗賊「速く、そして強烈な一撃、旅芸人!!勇者に何をした!」
レン「僕や盗賊君よりも速い、この短期間で何をしたんだ…」
魔法「う、うううん…賢者!ありがと」
魔法「あれ?勇者!どうしてここに…」
パラ「戻ってきたのかい?」
勇者「みんな…ごめん…俺…」
旅芸「何も言うな、みんな判ってくれる」
盗賊「いったい何を彼にしたのか聞きたい!」
旅芸「特に何も…俺の修行の地に行かせたんだ」
バト「まさか!あのメダルじいさんの所か!」
旅芸「そうだ、彼をメダルの所に送り込んだ、一か八かだった」
バト「おまえ…あそこはロビンとの思い出の…」
旅芸「そうだが…その話はよそう」
旅芸「よく戻ってきてくれたな、ありがとう」
勇者「俺は…迷惑ばかりで…」
旅芸「いいんだ、今はもう立派な勇者だ!」
魔法「あんたいきなり抜けてなにやってんのよもう!!グスン」
勇者「ごめん、あの時は皆に会せる顔が無くて…」
バト「歓迎するぜ、勇者」
勇者「おっさん」
ヒソヒソ。コソコソ。
賢者「あれは…勇者様じゃない…心が暴走してる」
盗賊「確かに…以前のあいつなら殺すなんて口にしなかった…」
賢者「盗賊さん、何かおかしいです」
盗賊「そうだね、彼は怒りをコントロール出来ないでいる」
賢者「このままだと感情に呑み込まれてしまいます」
盗賊「最後は僕が止めます、その時はザオリクしてくださいねw」
旅芸「さぁ行こう!次の街へ!」
テクテク。テクテク。
パラ「ん?あれはキャラバンじゃないですか?」
盗賊「あぁ用心棒まで雇ってる大規模な商隊だね」
バト「酒でも買うかw」
魔法「まほうの聖水あるかなぁ」
レン「よし、声を掛けてみよう!おーい!おーい!」
商人「こんにちは、珍しいですね、こんな所で会うのは」
レン「そうだね、商品を見せてくれるかな?」
商人「その前に、やはりこういう所なのでGをお見せ頂かないと…」
レン「まいったなw」
盗賊「レンジャーさん貸しですからねw」ジャラジャラ
バト「酒はあるか?」
商人「ございます」
レン「毒矢が欲しいんだが」
商人「これですかね」
パラ「僕は爆弾石がほしいなぁ」
商人「おっ!一個だけありました!」
コソコソ。
旅芸「勇者、盗賊、バトお前達剣を抜けるようにしておけ!!」
バト「OK」
盗賊「ハイ」
勇者「ム!」
旅芸「なぁ商人」
商人「はい!」
旅芸「この後ろの幌馬車は何が入ってる?」
商人「え?そ、それは寝床ですよ(ギクッ!)」
旅芸「そうか、寝床か、なら一晩何Gで泊らせてくれるんだ?」
商人「そ、そんな!汚い寝床ですので、人様にお貸しするなんてとんでもない!」
旅芸「さっきから幌の中からウーウー聞こえるのは羊か?牛か?」
商人「いえ、ね、ねこを数匹飼っておりまして」
旅芸「そうか、ならいいんだけど」
コソコソ、ヒソヒソ
商人「先生達にお伝えして、こいつに見破られそうだと」
丁稚「はい」
商人「御嬢さん方!、こちらの鎧なんて如何でしょうか?」
魔法「あー!青い鎧カッコいい!」
商人「賢者様もこのような法衣がよろしいかと」
賢者「こ、これじゃ裸同然じゃないですか!」
商人「いえ、これはイケナイ水着と危ない水着を組み合わせた物でして」
賢者「イヤラシイですわ!」
商人「これにてっぺきレギンスを組み合わせることでマニア様には大変好評でして…」
盗賊「(こいつ!極めてやがる!)」
商人「イケてるミュールなんかの組み合わせもいいですね!」
賢者「いりません!」
商人「では今、一番のこれ!如何ですか!カラフルチュチュ!クリア特典ですしレアですよ!」
盗賊「(賢者様の貧乳にチュチュを着せろとかどんだけエロいんだよおやじ!)」
商人「賢者様の体形なら!これ!さとりのワンピース!如何ですか!」
賢者「いりません!」
盗賊「そうですよ、こんないかがわしい服!(エロパンティはいてる癖にいりませんとかww)」
商人「そうですかぁ…バニースーツもあったんですけどねぇ~いやぁ残念」
ガサ、ゴソ。
警備1「あーそろそろ出発なんでいいですかね?」
旅芸「そうか、邪魔したな」
警備2「離れてくれ!」
旅芸「なにかイケナイものでも入ってるのか?」
警備3「離れろ!」
旅芸「おぃおぃ、そんなに熱くなるなよ」
警備4「離れろと言ってるのが判らないのか!」
旅芸「ちょっと中を覗きたいだけだぜ、どうした?そんな熱くなって」
警備5「おぃ!怪我したくなかったら離れろ!」
旅芸「OK、OK!おぃおぃ剣先を俺に向けないでくれよ」
警備6「変な事すると弓で射抜くぞ!」
旅芸「だから落ち着けって!な?落ち着けよ!」
旅芸「バト!ギガスラッシュで幌馬車の後ろを薙げ!」
バト「おうよ!」ズバァァァァ!
盗賊「人攫いか!くそ!」
旅芸「おぃ、これはどういう事だ?」
商人「隣村で買ったモノでございますよ」
旅芸「おまえの店は人を買うのか?」
商人「止むを得ずでございますニタァ」
旅芸「若い女だけ買うのもおかしいな」
レン「お前、まさか…魔王軍に売りつけるつもりか!」
商人「売りつけるだなんて、正当なお取引と仰って頂きたい」
レン「外道め!」
商人「はいはい、動いたらいけませんよ。お嬢様達にしっかり弓矢が狙いをつけてます」
商人「動くとお仲間が死にますよ。射抜くのは心臓…そうです蘇生出来ない様にね」
旅芸「馬鹿なw俺達の動きは弓矢より速いぞ」
商人「試してみますか?旅芸人様、心臓と眉間、この二つなら蘇生は無理です」
旅芸「くっ!」
魔法「メタパニで切り抜けられるかしら」
賢者「唱える間もなく射抜かれます」
商人「ならこのお嬢様お二人も頂いていきます。高く売れそうですし」
盗賊「お前、自分が何をやってるのか判ってるのか?魔王に魂売ったのか!」
商人「御冗談をホッホッホッ 私は商人です。儲かる仕事をするまでです」
旅芸「一ついいか」
商人「なんでしょうか?」
旅芸「魔王に会った事あるか?」
商人「いえ、魔王様にはお会いしたことありません」
旅芸「じゃ誰と取引する!」
商人「う~ん、では冥土の土産でお聞かせしますね」
旅芸「確かに、冥土の土産だ、すぐ忘れられる」
商人「魔王国領内のある街で、ある方をお待ちして引き渡すのです」
旅芸「誰だ!」
商人「お名前は言えません。ですが、ある人です。」
旅芸「人だと!馬鹿な!」
商人「驚くのも無理はない。私も初めてお会いした時は殺されるかと思いましたからね」
商人「彼女は…おっと口が滑りました」
バト「俺が弓矢一本なら止められる!」
盗賊「僕が一本」
レン「僕も一本」
勇者「俺もなんとか…」
バト「4本止められれば後は暴れられる」
バト「どうする?やるか?」
旅芸「まて!俺が合図したら一斉にやってくれ」
旅芸「女の人買いかwおもしろい、会いたくなった」
商人「まぁ仮に会ったとしても殺されますけどね」
旅芸「すまんwもう一つだけいいか?」
商人「わがままな方ですね、いいでしょう」
旅芸「その女魔物ちゃんは可愛いフリフリのブラジャーしてるのか?ん?」
商人「下品な方だ!仕方がないですね、お嬢様達も一緒に冥土に行ってもらいますね」
旅芸「おぃおぃ、早過ぎだぜ、商人さん!」
商人「問答無用です!」
旅芸「ちゃんと下着は交換してるのか?女魔物はw」
商人「下品な!」
旅芸「いけ!」
シュ、シュ、シュ、シュ。
商人「ななんと!弓矢を素手で!」
旅芸「後は好きにやらせてもらう!殺すな!」
うわぁ!あぎゃ!ひぃ!ぼこぉ!あぁ!ぎゃぁ!
商人「うぐぐぐ」
勇者「選ばせてやる」
商人「何を…」
勇者「首を斬り落とすか、脚先から切り刻んでいくか選べ」
商人「そんな…女たちは返します!商品も全部あげます!お許しを!」
勇者「お前の恐怖なんか、あの女たちに比べれば半分以下だ!」
商人「すいません、もうしません」
勇者「口先だけ嘘をいいやがって!何人売ったんだ!言え!チクッ」
商人「いたい!いたい!20人です!20人売りました!」
勇者「外道が!今すぐ殺してやる!」
バト「おぃやめろ!」
勇者「はなせ!」
バト「(なんて力だ!)」
旅芸「様子が変だぞ!」
バト「旅芸人!勇者を止めろ!」
盗賊「暴走してる!賢者さん!」
賢者「はい!」
盗賊「まだらくもいとを使おう!」
レン「落ち着け!殺すな!」
勇者「こいつは外道だ!殺してやる!」
盗賊「今だ!」ヒョイ
シュルルルルルル~
勇者「うぐぐぐ!」
賢者「今です!」
バト「うおぉりゃ!」
商人「あーーーれーーーーー」ヒューン。
グサァ。
魔法「あいつ…地面を刺してる…」
勇者「あれ?え?皆どうしたの?」
魔法「あんた今…人を殺そうとした」
勇者「俺が?そんな訳ないだろう?」
魔法「盗賊さんがまだらくもいとを投げ、バトさんがあいつを投げなければあんた…」
勇者「そんな…皆違うだろ?なぁ?」
旅芸「確かに君は殺そうとした、また心が制御できていない」
旅芸「急に強くなり、自信がついたのは判る。だがその強さに自惚れてる」
パラ「そんなんじゃ危なくて近寄れないよ」
勇者「ごめん…気を付ける」
旅芸「一人では戦うな!必ず誰かをパートナーにするんだ!いいな!」
旅芸「みんなも必ず勇者に付いている様に!」
勇者「俺は…強くなったはずなのに…俺は…」
賢者「まぁ私が付いてますから大丈夫ですよ」
旅芸「よし!幌馬車で隣村までこの女の子達を返しに行く!出発だ」
パカパカ。パカパカ。
レン「くそ!あと1キロって時に…」
魔物1「うがぁぁぁぁ!」
魔物2「うぴゅぴゅーーー!」
バト「でかいな」
盗賊「あぁでかい」
魔法「一気に沈めますか」
賢者「幌馬車上から撃ってみましょう」
魔法「じゃ、私は右、賢者は左で」
賢者「いきますよ!ドルマドン!!」
盗賊「顔に似合わず闇系の魔法ですか!」
ぎゅーん、ドンドン!ぼかぁ!
魔法「撃ちます!メラゾーマ!!」
バフッ。
魔法「あれ?」
魔法「メラゾ-マ!!」
バフッ。
魔法「あれぇ!」
レン「こっちに来るぞ!」
パラ「きたきた!」
レン「魔法!早く撃つんだ!」
魔法「メガライアぁぁぁぁぁー!!!!!」
ぎゅるるるる。ちゅどーん。
パラ「あっあぶね!いたい!石いたい!」
レン「わっ!わっ!幌馬車に燃え移ったぞ!」
盗賊「わぁー燃えてる燃えてる!」
魔法「どうしよう!どうしよう!」
旅芸「何騒いで…わぁあっち!」
バト「あちちちち!」
勇者「頭が!頭あっつ!あっつ!」
旅芸「レンジャー!手綱を切れ!全員飛び降りろ!」
旅芸「バト!盗賊!勇者!彼女たちを救え!」
旅芸「無事か?」
魔法「すいません…」
旅芸「構わんが…戦闘中に不発はゴメンだな」
隣村
村人「ありがたや、ありがたや」
村人「これで娘が…ううううっ」
村人「どうぞ、どうぞ泊って行って下され」
バト「遠慮なく泊まらせてもらうぜ」
魔法「賢者ちゃん、後で付き合ってほしいんだけど…」
賢者「いいですよ」
村はずれ。
魔法「なんで不発だったんだろう」
賢者「MPの感じはどうでした?」
魔法「足りてたと思う」
賢者「軽く撃ってみては」
魔法「うん、メラゾーマ」
ぼがん!
賢者「大丈夫ですね」
魔法「おかしいなぁ、賢者ちゃんはそう言う事ある?」
賢者「MP不足以外ですと…杖が合わないとか」
魔法「でも私、短剣じゃん?」
賢者「そうですよねー」
魔法「なんでだろう…」
賢者「私も一度だけありました!」
魔法「なに?なに?」
賢者「幼馴染に恋をした時…一時的に魔法力が下がりホイミさえ唱える事が」
魔法「恋?///」
賢者「え?魔法さん恋しているのですか?」
魔法「そ、そんな!勇者になんて恋してないし!」
賢者「(バレバレすぎだし!)」
賢者「(え?ちょっと待って!私だって勇者さんの近くに居たいのに!)」
魔法「賢者ちゃん?」
賢者「はい、あっすいません」
賢者「私も撃ってみます!!」
魔法「どうぞ」
賢者「はぁぁぁぁぁ!マダンテ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ。
魔法「でかすぎ!デカすぎだって!やばい!離れなきゃ!」
賢者「負けない!私、負けない!はぁぁぁぁ!」
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!どごーーーーーーーん!
パラパラ…パラ…
魔法「クレーター出来てるけど…それに人の家の畑っぽいよ…」
賢者「いけない!MPが0に!」
魔法「変な子…」
隣村
レン「そう気を落すな」
勇者「すいません」
レン「君は成長しているよ」
勇者「でも、強くなろうと思ったのに…」
レン「大丈夫さ、みんな付いてるよ」
勇者「心が…一瞬切れるんです」
レン「今の自分に自惚れちゃダメだ、でないと取込まれちゃう」
勇者「取り込まれる?」
レン「うん、自惚れが過ぎて自分が一番強くなった気になると
周りからの意見にも耳を貸さなくなる。
そうなると仲間も、信頼も、そして自分も見えなくなる。
その果ては…魔物以下に成り下がるのかもしれない。
幸い僕はその手前で止められた」
勇者「そうなんですか」
レン「僕はね、小さいころから父親にレンジャーという職業を
教えられてきた。ある日、魔物の山狩りについて行った帰りさ
相手は何でもない魔物だった。弱く、脆く、群れてないなんでもない魔物だ。
川原に来た時だ、僕は水が飲みたかった。それで父親に川に行くと伝え崖を降りた。
だが、その下には魔物が群れていたんだ。何十匹じゃない、何百匹だった。
一斉に僕に向けられる視線。僕は叫んだ「お父さん!」と。
急いで降りてきた父親は僕を守る為一生懸命戦った。もちろん僕も戦ったさ
でも、多勢に無勢、段々と押されていった。
そしてMPもHPもつきる頃、父親は言った「逃げろ」と。
そして最後のMPで僕にベホイムを放ったんだ。僕は走った。助けを求めに。
だが、助けが来た頃には父親はもう帰らぬ人になっていた。
僕はその場で、何回もザオラルを唱えた。でも生き返らなかった。」
勇者「そんな事があったんですか」
レン「それから僕は死にもの狂いで勉強し、レンジャー学校に入り
魔法の精度の他に弓矢の使い方をマスターした。
気が付けば山一番のレンジャーだった僕は、仲間が父親を殺したと思って
仲間を他人を見下し、貶し尊大な態度をとっている嫌な奴だった。
山狩りでも他人の言う事は聞かず、一人で行動した。
何か言われれば反対し、すぐに力の勝負事に持ち込もうとした。
ある日。近所のレンジャー学校の研修を山で行っていた。
僕はそれを横目に山に入ったがいつもと様子が違っていた。
新人レンジャーじゃ敵いもしない魔物が出現していたんだ。
高慢だった僕は一人で倒そうと考えていた。
対峙し、気が付いたときには地面に叩きつけられていた。
その時!声がしたんだ、レンジャー学校の生徒達だった。
みんな必死に魔物を威嚇し、僕から気をそらせようとしていた。」
勇者「それで…」
レン「中には覚えたての魔法を唱えてる子もいた。
僕に、この僕に必死になってホイミを唱えてるんだ…
その時思ったんだよ、自分がいかに愚かで馬鹿だったのかと…
僕はそれで自惚れに飲み込まれずに済んだんだ。
僕は学生達に走り寄り、すぐさまキメラの翼をかざした。
僕一人を残して皆移動されたよ…
そして一人で魔物と戦った。自惚れなく、自然に体が動いた。
気持ちは殺してやるではなかった。自分のテリトリーへ帰れという
願いだったのかもしれない。ただ言える事は…あの時救ってくれた
生徒たちに感謝しているという事だ」
レン「下らない話をしてしまったね」
勇者「いえ…」
レン「君は大丈夫だよ、自惚れや恐怖をコントロールすることだ」
勇者「出来ない時は…僕を…殺してください」
レン「殺しはしない…でも止めて見せるよ」
旅芸「パラディン君」
パラ「はい!」
旅芸「あれからロクサーヌには会ったかい?」
パラ「いえ…」
旅芸「そうか、可哀想に、会ってあげれば?」
パラ「そんな…僕はまだひよっこですし」
旅芸「立派な男だろう?」
パラ「僕は…自分に自信が無いんです」
旅芸「性的にって訳じゃないだろう?」
パラ「はい…僕は昔から自信が無くて…
親は僕の事を凄い大物みたいに言いますが、僕はそれに対して報えない。
気が小さくて、この討伐軍だって参加すれば家名にハクがつくからと
父上から言われ、でも僕は最初は行きたくなかったんです。
パラディンって言っても父上から勝手に与えられた称号ですし
軍隊の槍兵よりも下で、今まで訓練も何もしてこなかった。
毎日遊んで飲み歩いて、女の子に声かけてって…
知らない人たちと旅するのも苦手でいつ逃げ出そうか考えていました。
でも勇者をみたら「こんな自由な奴もいるんだ」って…
あいつの家は元々勇者一族として豪華な暮らしです、でもあいつは
馬鹿だけど、強くなって、皆から認められようとしている。
恥ずかしい話ですが、嫉妬してしまうんです。」
旅芸「君だって十分素質があるよ、この間だってちゃんと対処出来たじゃないか」
パラ「そんな事ありません。バトさんの背中にいつも隠れてて
行け!って言われないと動けなくて。それでも怖くて、怖くて…
内緒で何回も漏らしました。それを洗ってる自分が情けなくて…」
旅芸「考え過ぎだよ、俺も初めての時は漏らしたんだぞ!それも大きい方だ!」
パラ「まさか!そんな旅芸人さんがそんなはずないですよ!」
旅芸「いや、まじだ」
パラ「そうだったんですか!」
旅芸「だから俺より君のほうがマシだw」
パラ「なんか…ありがとうございます」
旅芸「一歩、一歩だよ、明日はまた早い、寝よう」
パラ「はい!!」
ゴソゴソ。
盗賊「さてと!そろそろみんな寝たかな」
ゴソゴソ。
盗賊「お、おぉぉぉ!この間賢者殿が買ったのは!」
ゴソゴソ。
盗賊「これは!こんなケシカランおパンティを!」
ゴソゴソ。
盗賊「聖職者たるものこんなものを履いてはいけません!!没収します!!」
賢者「もしもし!」
盗賊「ひゃぁ!」
賢者「あなたですね、いつも漁っているのは!」
盗賊「違います、違います、今日が初めてです!」
賢者「いいえ、嘘です!」
盗賊「はじめてです!」
賢者「(言い切りやがった)」
盗賊「なにも見てません!」
賢者「(開き直り!)」
賢者「相談があるのですが!」
盗賊「なんなりと!」
賢者「あの~恋ってしたことあります?」
盗賊「えー!賢者殿が恋ですか?」
賢者「いいえ、盗賊さんが恋をした事あるか聞いているのです」
盗賊「そうですねー行きずりの恋は何度かw」
賢者「え?行きずりとはなんですか?」
盗賊「(めんどくせー!)」
盗賊「えーっとですね、そのー女の子のいる店で~とか」
賢者「はい、肉便器なクソビッチの溜まり場ですね」
盗賊「(そんな言い方ねーだろうが!)」
賢者「そこでビッチと恋をしたと?」
盗賊「いえ、間違えました!そんな事実はありません!」
賢者「あーよかった、盗賊さんに限ってそう言うのはないと思ってたんですよ」
盗賊「なんででしょうか?」
賢者「えーだって、モテなさそうっていうか、脂ぎってるっていうか…」
盗賊「酷過ぎw」
勇者「あいつら仲良いね」
魔法「だね」
勇者「俺が暴走したらメガライヤー撃ちこんでくれよな」
魔法「うん、遠慮なく打込むよ」
魔法「死なないで…ね」
バト「ロマンスだねぇ~え~旅芸人よ!」
旅芸「そうか?」
バト「え?お前はほんと昔からロマンス無いもんな」
旅芸「え~そうか?w」
バト「まぁこれからは…厳しい話だが…」
旅芸「あぁ」
バト「誰かしら死ぬ…俺かも知れんしお前かもしれん」
旅芸「あぁそうだな」
バト「俺が死んだら、弟の隣に埋めてくれ」
旅芸「俺が死んだらな…メダルのおっさんに送ってくれ」
バト「もちろん、若い奴は死なせたくねぇ」
旅芸「先は判らん…だが、俺もお前もそして若いのも死なせん」
隣村 -朝-
村人「おはよーごぜーやす!」
村人「ゆうべはお楽しみでしたね」
勇者「誰がだよ!」
旅芸「よし!行くぞ!」
バト「今日は何処まで行くんだ?」
旅芸「レンジャー君!ガイド頼む!」
レン「はい、今日は山の中腹まで行き、明日登頂、きっとそこから魔王城が見えるでしょう」
レン「ここからは…未知の領域です」
旅芸「こころしてかかれ!行くぞ!」
パラ「ヤバい…死ぬかもしれないガクブル」
魔法「確かに…今までとは空気が違う様な」
賢者「怖いですね」
盗賊「僕とレンジャーさんが先に偵察行きますから大丈夫ですよ」
勇者「俺の身体…大丈夫なんだろうか…」
賢者「大丈夫ですよ!治してあげますから」
勇者「あ、あぁ頼むよ賢者」
賢者「(頼むよ!だなんて!頼られてる私ステキ!)」
テクテク。トコトコ。
バト「段々寒くなってきたな」
レン「この辺は特に雪の多い地域みたいですからね」
パラ「ガクガク。ブルブル」
魔法「ガクガク。ブルブル」
賢者「ガクガク。ブルブル」
魔法「こうなったら…と」
魔法「こうして、ああして、よし出来た!」
魔法「この中に…それ!メラ!」
ぽわわわ~ん。
パラ「あっ!暖かい!流石魔法さん!」
賢者「私だって!ほら!」
パラ「ん?何も起きませんね」
賢者「あれ?」
パラ「暖かくないですね、コレ」
パラ「もしかして…イオ系を閉じ込めたんじゃ…」
賢者「だめね。もう捨てる!」ポイッ!
ころん。。。。。。ドンッッ!
パラ「危ないじゃないですか!」
パラ「もし握ってたら…手首もげてた…」
賢者「私には無理ですよ~だ!」
魔法「(なんか拗ねてるな…)」
レン「この中腹辺りが寒いですが守りにも良さそうですね」
バト「ここに野営しようか」
旅芸「そうだな」
ブォォォォォ!ヒューーーー!
勇者「凄い吹雪になってきたな」
盗賊「この辺は魔物も多いしね、氷系の魔物の棲家なんだよね」
勇者「そうなのか、出なきゃいいけどなぁ」
ジリッ。ジリジリ…ヒタヒタ。ヒタヒタ。
盗賊「ん!」
バト「ん!」
レン「ん!」
勇者「これは!」
旅芸「お出ましだ」
魔法「きゃっきゃwきゃっきゃw」
賢者「ははははw」
パラ「うしししw」
バト「そこだ!」シュキン!
魔物「うがぁぁぁ」ゴボゴボ
パラ「わぁぁぁぁ!」
魔法「なに?何が起きたの?」
賢者「うー」
旅芸「敵の数が多い!賢者!全員にスクルトをかけろ!」
賢者「はっ!! スクルト!!」
ムムムム!ムム!
旅芸「魔法!炎系の魔法が頼りだ!温存しつつ撃ちまくれ!」
バト「行くぞ!若造!」
勇者「おぅ、おっさん!」
レン「ほぅ、珍しいゴールデンスライムだ」
盗賊「儲けにはなるかな」
賢者「きゃぁ!」
レン「あんこくまじんに足掴まれたか!叩き切るんだ!」
勇者「うりゃ!」ブツリ!
勇者「こっちだ賢者!」
賢者「(やばっ!今ので濡れたかも)」
旅芸「何匹だ?」
レン「8匹かと」
旅芸「ムチで蹴散らす、その後個別に叩き潰そう」
旅芸「いくぞ!」ビシビシビシ!
魔物「うがぁ~」
魔物「うおぉぉ」
バト「飛びやがった!くそっ!」
パラ「上は僕が!ここだぁぁぁ!」グサリ。
盗賊「後ろからよいしょっと…それ!」グサリ。
レン「一番最後列を狙うよ!」ヒュン!グサリ!
魔法「撃つわよ!メラゾーマ!!」
ぐるるるる… ドーン!
勇者「まだいる!」
賢者「ピオリム!!」
ムムムム!ムム!
バト「飛べ若造!」
勇者「おぅ!」ヒュン!
旅芸「そのまま突き刺せ!」
勇者「うおぉぉぉぉ!」
どしゅーん!
勇者「スライムだらけだwベトベトだよ」
盗賊「これにはコツがあるんですよ~あぁもう~Gまでスライムまみれだ」
レン「いい、剣捌きだね」
勇者「ありがとう」
バト「魔物の内臓だらけだ…くそ!臭って仕方がねぇ」
パラ「僕もです…」
バト「上空の魔物によく狙いがついたな、大したものだ」
パラ「う、うれしいです」
ヒタヒタ。ヒタヒタ。
旅芸「まだか…」
魔物「うがぁぁぁぁ!」
イエローサタン「こら、吠えるんじゃない」
盗賊「注意しないと…話せるのが相手だ」
魔物「うがぁぁぁぁぁ!」
イエ「黙れと言っただろう!」
イエ「こんばんわ、討伐軍一同様」
魔物「うがぁぁぁぁぁぁ!」
イエ「この馬鹿垂れがぁ!」ピシピシ
魔物「うぐっ」
イエ「失礼。こんばんわ諸君」
ヴァルハラー「どもども」
レン「二人と後ろの魔物相手じゃきついぞ…どうする」
盗賊「う~ん、爆弾岩を仕掛けておきますか」
イエ「先程は挨拶も出来ない部下が失礼した」
ヴァ「ほんとごめん」
イエ「私がこの山を管轄している魔王軍山岳師団長のイエローサタンだ」
ヴァ「私はその部下。ヴァルハラーです」
イエ「君たちは我が軍のテリトリーにて行動している事は御存じか?」
旅芸「あぁ、知っている」
イエ「それが敵対行為であることもか?」
旅芸「あぁ、申し訳ないがそう言う事だ」
イエ「即刻立ち去れと言っても戦いになるだけだな」
旅芸「そうだな…やるかやられるかだ」
イエ「どうだろうか?ここは明日まで休戦をしてはどうだろう?」
旅芸「休戦だと?ふっ、誰がそれを証明する」
イエ「それはお互い様だ。信じるもよし、信じないもよし」
旅芸「じゃ今日は枕高くして寝られるなw」
イエ「私の部下たちには一切手を出させない」
旅芸「信じられるか!」
イエ「その代り…君たちも手を出さないくれ」
ヴァ「できる?ん?出来ちゃう感じ?」
バト「判った…攻撃してこない限り手出しはしない」
旅芸「けれど、もし指一本でも触れたなら全力で叩き潰す。いいか?」
イエ「構いません。所で仲良くお酒なんて飲めないですかね?」
盗賊「何言ってるんだコイツ!」
ヴァ「いやいや、うちのボスね、酒好きで平和主義なんすわ」
パラ「出来れば殺したくない、戦いたくないという事ですか?」
イエ「もともと山岳地域は人間との棲み分けが出来てましてね」
イエ「こちらも入らない、人も入らない干渉地域があったんですよ」
イエ「ある日、人間の子供が迷い込んでですね、魔物の地域まで
来てしまったんですよ。ガラの悪い魔物は食べたり引きちぎったりしますが
私達はそんな野蛮ではありません。主食が氷ですから」
魔法「主食がかき氷!すごい」
イエ「そこで人間村に手紙を書きましてね。誘拐とかじゃないよ!
ちゃんと安全に預かって怪我はないよ!だから中間地点まで来てくれたら
襲ったりしないで子供を渡すよ。と。
そしたらですね!なんとびっくり!村人総出で来たんですよ!武器もなしに!
こりゃー私もビックリしましてね、お土産なんか頂いちゃってw」
賢者「そんな事があるんですね」
イエ「そのお土産に所謂お酒が入って居まして、これがオイシイのなんの!
また手紙で使いの者を出して買うから!ってね。それから少しずつですが
人間村と交流しましてね、今じゃ立派な貿易、取引相手ですよ!」
ヴァ「まぁ使いの者ってのは俺っちなんすけどね、あ!あごがとれそう」
盗賊「あ、ありえない…罠だ!」
イエ「う~ん。そう思う人もいますからねぇ~人それぞれ、魔物それぞれってね」
盗賊「俺の姉貴や弟はお前らに殺されたんだ!」
旅芸「落ち着け盗賊!」
盗賊「仲良く酒だと!ふざけるな!叩き潰してやる!」
旅芸「落ち着け!」
イエ「そうですか、そんな悲しい事がありましたか…」
イエ「私の弟も人間に殺されました。」
イエ「山で川遊びをしていただけなんですよ、危害もなにも加えてない」
レン「ま、まさか!」
イエ「私の弟をご存じで?」
レン「いや、ありえない!」
イエ「人違いだと、いやいや魔物違いだと良いんですけどね」
レン「あれは…いや…違う…」
イエ「まぁ詳しくは聞きません。それにもう戦いはコリゴリです」
イエ「多くの部下を失い、家族とも会えない日は続き、食料も何も届かず
飢えていく部下たちを見ていると心が痛い。」
旅芸「それはこちらも同じだ」
イエ「なら、何故戦う必要があるのでしょうか?どちらかを滅ぼす必要があるのでしょうか?」
盗賊「戯言だ!お前達は散々村を襲い、人を食い殺し、好き放題侵略した!」
イエ「もちろんです。それが戦争です。でも今日は…今日だけは戦いたくないなぁと思いまして」
ヴァ「俺っちもさぁ疲れちゃってさぁ」
イエ「酒を飲もうなんてのは冗談ですが、今日だけは休戦にしませんか?」
旅芸「わかった…背中から撃つようなことはしない」
イエ「そうですか!それは良かった!実はお酒も持ってきたんですけどね」
魔法「用意がいい魔物さんだこと!」
イエ「それが指揮官たる者の務めですから」
盗賊「今日は引いてやる、次会った時は容赦はしない!」
イエ「そうですね、次にお会いした時こちらも全力で戦います」
イエ「お互い会わないといいですね、でもそれもちょっと寂しいかなぁ~それでは」
イエ「敬意を表して頂いたお礼にお酒置いていきます、毒なんかはもちろん入ってません!」
イエ「それでは、御武運を!」
イエ「あっ最後に!いいですか?」
ヴァ「いいっすかね?」
旅芸「なんだ」
イエ「そのー、その剣を持つ君!」
勇者「俺か?」
イエ「失礼、勇者殿。私は特にあなたとは戦いたくありません」
勇者「どういう事だ!」
イエ「なんと言いますか…まだ強さに取込まれています、暴走癖と言いますか」
勇者「…」
イエ「本当の勇者になった時お会いしたいものです」
勇者「わかった…」
イエ「じゃ!失礼した」
ザッザッザッ。
勇者「変わった奴だな」
旅芸「ああいうのが厄介なんだ…」
勇者「やっかい?」
旅芸「あいつに…今話したあの戦いたくないという魔物にお前は剣を突き立てられるか?」
勇者「確かに…」
バト「そうだ、戦いたくないという相手を真っ二つに切る…確かにそれが戦争だ
だが、その戦争の中でも一番つらいのはああいう相手と対峙した時だ」
勇者「俺は…無理っぽいな」
盗賊「俺は…殺す!」
賢者「盗賊さん?」
盗賊「お、おぉこれは賢者殿、失礼しました」
パラ「僕も無理だ…気が引けてしまう」
旅芸「それを乗り越えろとは言わない、出来れば俺も会いたくないんでな」
続き
「パフパフしていかない?」勇者「パフパフ?本番じゃなきゃいかねーよ!」【後編】
この違和感は
淡々としてる?