サクラ「エヴァにだけは乗らんといてください言うたやないですかー」スパン
シンジ「痛っ」
サクラ「フォースインパクト起きかけとるやないですかー」スパンスパン
シンジ「痛っ、痛いよ!いい加減スリッパで叩くのやめてよ!」
サクラ「皆に迷惑かけまくりやないですかー」スパンスパンスパン
シンジ「知らないっ!僕は綾波を助けようとしただけでっ!」
サクラ「ホンマにアホちゃいますかー」スパンスパンスパンスパン
ーーブリッジ
ミサト「アレ、いつからやってるのかしら」
リツコ「11時間と34分23、4、5秒……。食事休憩を除けば10時間と31分28秒よ」
ミサト「……そう」
リツコ「止めないのね」
ミサト「ブリッジクルーの士気も上がってるみたいだし丁度いいわ。私も参加したいくらいよ」
リツコ「……ところでミサト。シベリア鉄道の東方の始発駅は?」
ミサト「ヴラジオストーク」
リツコ「よし。汎用人型決戦兵器」
ミサト「エバー」
リツコ「……この艦の名称は」
ミサト「ブンダー」
リツコ「ヴンダーよ……まだ言えないのね」
ミサト「慣れないわ」
ーー医務室
サクラ「いい加減にしたってくださいよホンマ」スパン
シンジ「だって綾波が」
サクラ「やかましっ」スパン
シンジ「なんでだよぉ!」
サクラ「シンジさんの担当医務官の私がどれだけ始末書書かされた思とるんですかー!」スパンッ
シンジ「そ、そんな!あの時行ってもいいって」
サクラ「あれだけエヴァにだけは乗らんといてください言うたやないですかー」スパン
シンジ「ぶへっ!……頬はやめてよ!それに論点がずれてるよ!始末書は僕を逃がした事に関しての」
サクラ「やかまし言うとるでしょーがっ!シンジさんは黙ってはたかれてといて下さい!」スパンッ
シンジ「ひどいよぉ……」グスッ
サクラ(……)ゾクゾクッ
シンジ「……?」
サクラ「えいっ」スパンッ
シンジ「痛いっ!」
ウィーン
サクラ「っ!?」バッ
アスカ「……」
サクラ「こ、こんにちはっ!ご苦労様です!」ペコッ
シンジ「アスカァ!助けてよ!サクラさんがスリッパで叩いてくるんだ!すっごく痛いんだよ!」ヒリヒリ
アスカ「へぇ……アンタ。スリッパ片方貸しなさい」
サクラ「は、はいっ!」サッ
アスカ「……」スパン
シンジ「あいたっ!アスカ!?」
シンジ「……あんまりだよ!なんでアスカまでスリッパで叩くんだよ!」
アスカ「アンタの事がムカつくからよガキシンジ」スパン
シンジ「そんなぁ!」
アスカ「黙れっ!」スパン
シンジ「ひでぶっ!」
アスカ「アンタはっ……!」スパンッ
シンジ「ぐえっ!」
アスカ「なんでそんなに……ガキなのよっ!」スッパアアアアアアアアアアアアアアン
シンジ「痛っ……ア、アスカは」
アスカ「何」ギロッ
シンジ「そんな事言うなら、アスカは何歳なのさっ!」
アスカ「」イラッ
シンジ「ま、まさか14年経ってるからって28歳な訳ないよねぇ?そんな大人のファッションが缶バッジ付きネコミミ帽子なんてあり得ないし」
シンジ「28歳でその言動こそまさにガキだもんねぇ?アスカさんにじゅうはっさ~い、あっこれ隠せてないや」エヘラエヘラ
サクラ(うわ、火にガソリンばらまきおった)
アスカ「アンタには……」ワナワナ
シンジ「ん?図星なの?まさかねぇ」
アスカ「アンタには関係ないっ!」スッパアアアアアアアアアアアアアアン
シンジ「ぎゃあああああああああああああああああああああ!」ジタバタ
アスカ「もういい!自分の部屋に帰るっ!」
ウィーン
サクラ「シンジさん……結構アホですねあなた」
シンジ「痛いよぉ……」
サクラ「それはそれとして」スパン
シンジ「もうやめてよ!すべからく苦痛だよ!」
サクラ「嫌です」スパン
シンジ「くそう……だからみんな死んじゃえばいいんだ……何も思い通りにならないじゃないか……エヴァなんて乗るんじゃなかった……」ブツブツ
サクラ「何を下らんことブツブツ言っとるんですか」スパン
ウィーン
マリ「こんちはー。お姫様こなかったかにゃん?」
サクラ「マリさん、ご苦労様ですっ!アスカさんならさっき自分の部屋に戻って行かれました!」
マリ「ほーほー。で、なんでわんこ君は泣いてるの?」
サクラ「あっ、これは私やアスカさんがスリッパで執拗に殴打したからです」
マリ「……そりゃまた難儀な。どうわんこ君、今の気分は?」
シンジ「誰か助けてよぉ……なんで僕がこんな目に」ブツブツ
マリ「ん。もう少し反省が必要な事はよーく分かったよ。スリッパ貸しな~」
サクラ「はいっ」サッ
マリ「しっあわっせはー」スパン
シンジ「ぐへっ!」
マリ「あっるいってこっない~♪」スパンスパン
シンジ「頬をぶふっ!……複数回スリッパで殴打するのはげふっ!……やめてよ!」
マリ「やっめなっいよー」スパンスパン
シンジ「あんまりだよぉ……」グスッ
マリ(……)ゾクッ
マリ「よしっ、キミ!」
サクラ「は、はいっ!何でしょうか!」
マリ「合体攻撃だ!いっくよー!」スッ
サクラ「……シンジさん、恨まんといてくださいね」スッ
シンジ「そんなの勝手すぎるよ!待ってちょっとホントにもう無理無理無理無理なんだってばぁ!」
マリ&サクラ「「とうっ!」」スッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ
シンジ「」バタッ
医療機器『バイタル低下確認。デンジャー』
サクラ「えぇ!?」
マリ「あちゃー、やり過ぎだねこりゃ。後よろしく」
サクラ「し、集中治療室に搬送します!」
マリ「人間の医療が通用するのかわかんないけどねー……しっかり反省しな、わんこ君」
ーーブリッジ
リツコ「碇シンジ君が集中治療室に搬送されたわ」
ミサト「理由は?」
リツコ「大方脳震盪かしらね」
ミサト「スリッパで?」
リツコ「ええ。スリッパで」
ミサト「うそぉ……」
リツコ「出来たものは否定しようがないわ」
ミサト「そりゃまたなんちゅー……どんな威力で叩いたのよ」
リツコ「いつになく柔らかい声ね、『艦長』」フッ
ミサト「ッ……前方確認!警戒怠るな!」
リツコ「この艦の名称は」
ミサト「ブッダー」
リツコ「……酷くなってるわよ」
ミサト「いつもみたいに前フリが無かったし、このところ働き詰めだったからあんまり練習する暇なくて……」シュン
リツコ「長に言い訳は許されないし、本番に前フリはないのよ。……次は頑張りなさい」
ミサト「……はい」
ーー医務室
サクラ「謝りませんよ。元辿ったらエヴァ乗るな言うたのに乗ったシンジさんが悪いんですから」
シンジ「……」プイッ
サクラ「……」
シンジ「……」
サクラ「……」
シンジ「……」
サクラ「あーもう!分かりましたよ!すんませんでした!実際ちょっと楽しんでました!ちょーしこいてやり過ぎました!」ペコッ
シンジ「楽しんでたんだ……」
サクラ「だっていい音するやないですかスリッパで叩くと」
シンジ「それはまぁ、そうだけど」
サクラ「……反応も面白かったし」ボソッ
シンジ「?」
サクラ「なんでもないですよ。安静にしとってください」
シンジ「……」ゴロン
サクラ「……」カリカリ
シンジ「……暇だなぁ」
サクラ「……」カリカリ
シンジ「でも綾波もいないし……どーでもいいか……生きる気力なくしちゃったよ……」
サクラ「……」カリカリ
シンジ「……暇だなぁ。ミサトさんも冷たいし、アスカはいつも通りだし。僕何も分からないって言ってるじゃないか……」
サクラ「……」カリカリイラッ
シンジ「カヲル君もバトロワみたいな首輪で爆死しちゃったもんなぁ……カシウスってなんなんだよ……でもどうでもいいか……」
サクラ「……」カリカリ
シンジ「……暇だなぁ。十三号機ちょっとかっこよかったなぁ。あれこそまさに僕の機体だよね。両手に槍持って大暴れ。槍でやり直す。プッ……」
サクラ「……」カリカリイラッ
シンジ「……でも僕がなんかしたらひどいことになるもんなぁ。やめたほうがいいんだろうなぁ」
サクラ「……」イライラ
シンジ「……暇だなー。生きる気力ないなー……あやなみぃ、僕が助けたぽか波ぃ……どこいっちゃったんだよぉ」グスッ
サクラ「あーもーやかましっ!」スパンッ
シンジ「何するんだよっ!」
サクラ「ちょっと待っといてください!」ドタドタ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サクラ「はいこれ!」ポイポイッ
シンジ「うわっ……拘束されてるから受け取れないんだけど」
サクラ「上半身だけ拘束解除します!」ピッ
シンジ「ボウルと、野菜と……ピーラー?」
サクラ「そない暇言うんでしたら芋の皮でも剥いとれタコっちゅー話です」
シンジ「えっ」
サクラ「人員を遊ばせる余裕なんてないんですよ本来。洗って剥き終わったらこっちのボウルに入れるだけですから」
シンジ「……いいの?」
サクラ「はい?」
シンジ「僕がやっても、いいの?」
サクラ「……何がアカンのですか。データによると結構料理上手みたいに書いてありますけど?」
シンジ「上手、っていうか……皆作らないから作ってただけで、料理人みたいには」
サクラ「……」スパン
シンジ「なんでっ!?」
サクラ「口動かす前に手ぇ動かしてください。少なくとも私は成果に期待してますんで」
シンジ「……」
サクラ「返事!」
シンジ「はひっ!」
~~80分後
サクラ「……」カリカリ
シンジ「……」ジャブジャブ
サクラ「……ふぅ」トントン
シンジ「……」ショリショリ
サクラ「……」チラッ
シンジ「……」ジャブジャブ
サクラ(めっちゃハマっとるやん……)
シンジ(意外と楽しい……)ショリショリ
サクラ「……」
シンジ「?」ショリ
サクラ「っ!」バッ
シンジ「……」ショリショリ
サクラ「……」カリカリ
シンジ「……~♪ジャブジャブ
サクラ(女々しいっちゅーか甲斐甲斐しいっちゅーか……もう完全に主夫の様相やな。そらーアスカさんも頼りにしますわ)
ウィーン
アスカ「ガキシ……何やってんのアンタ」
シンジ「野菜の皮むきだけど」ショリショリ
アスカ「……」
サクラ「アスカさん!ご苦労様です!」ペコッ
アスカ「スリッパ貸しなさい」
サクラ「はいっ」サッ
アスカ「……」ヒュッ
シンジ「やめてよ!」
アスカ「!」ピタッ
シンジ「野菜にばい菌が付くだろ!」
アスカ「こんのぉ……!」イライライライラ
シンジ「ていうか何しに来たのさ」
アスカ「アンタの根暗な面を引っ叩いてやりに来たのよ!」
シンジ「それだけのために?」
アスカ「それだけのためよっ!文句ある!?」
シンジ「かわいそうだね……」
アスカ「なっ!?」
シンジ「皮むきはいいよ。人類が生み出した文化の極みだよ。……争いなんて進歩を妨げるものでしかないと分からせてくれるよ」ショリショリ
アスカ「このっ!」スパーン
シンジ「アスカが今スリッパで僕を殴った間に、僕は皆が食べる野菜の皮を剥いている。人の役に立つって、こういうことなんだね」ショリショリ
サクラ(なんで二人ともつっかかるんやろか……ガキだからか)
アスカ「……」プルプル
シンジ「アスカが僕をスリッパで殴る限り、僕はアスカを見下し続けるよ」
アスカ「……帰るっ!」バッ
シンジ「じゃあね、アスカ」
アスカ「ふんっ!」
ウィーン
サクラ「……シンジさん」
シンジ「何ですか?」ジャブジャブ
サクラ「なんであんなアスカさんにだけ辛辣なんですか?」
シンジ「辛辣……かなぁ。僕としてはアスカの方がずっと辛辣だと思うけど」ショリショリ
サクラ「いや、そら……」
シンジ「?」
サクラ「……やっぱええです。なんでもないですわ」
サクラ(こらアスカさんが可哀想やわ。こないな朴念仁口説き落とそ思たら相当の苦難を強いられるやろなぁ。ご愁傷様です)
シンジ「あ、サクラさん」
サクラ「なんです?」
シンジ「野菜の皮でエヴァ2号機作ってみたんですよ。どう……ですかね」
サクラ「……けなすこと言って落ち込ませる前に褒めたります。確かに良くできてますわ。ちょっとした芸術作品ですね」
シンジ「だよね!僕も結構良くできたかなって」
サクラ「写真撮らせてください」ピロンッ
シンジ「へへ、そんな、写真に撮るほどじゃ」テレテレ
サクラ「さて」スッ
シンジ「?」
サクラ「食べ物で遊ぶな、アホッ!」スパン
シンジ「あいったぁ!なんでだよ!良くできてるって言ってくれたじゃないか!勝手すぎるよ!」
サクラ「はぁ……どーもシンジさんはそこんところ勘違いしとるみたいですね」
シンジ「え」
サクラ「確かにシンジさんの作ったエヴァ2号機は上手でした。後で皆に見せびらかしたろ思てます」
シンジ(やっぱり、上手く出来てるんじゃないか……もっと褒めてくれたっていいじゃないか)
サクラ「ただ、シンジさんが食べ物で遊んだのも事実。どっちもシンジさんの『野菜でエヴァ作る』っちゅー行動から生まれた結果や」
シンジ「……」
サクラ「行動の結果には必ず功罪両面が現れてきます。いい面だけ受け取って悪い面は知らんて、そらぁ虫が良すぎますやろ」
シンジ(……)
サクラ「せやからな、なんか行動を起こすっちゅーことは、悪い面もひっくるめて結果を受け止める責任を持つっちゅー事や」
サクラ「なんや知らんとこで悪い面が出てきたかて、行動を起こした本人が知らんぷりするんは許されんのです。分かりました?」
シンジ「……うん」
サクラ「ん。ならよし!作業に戻りぃや、碇シンジ三等兵!」ニコッ
シンジ「さ、三等兵!?」
サクラ「ちゃんと就職したわけやないんやから三等兵や。当たり前ですやろ」
シンジ「はぁ」
サクラ「ちなみに私上官ですんで、敬語でお願いしますね?」
シンジ「りょ、了解しました。上官殿……?」
サクラ「プッ……ま、それ全部終わったらちょっとくらい拘束解いてあげますよ。説明がてら艦内案内したりますから頑張って……」
シンジ「頑張ります!」ジャブジャブ
サクラ「……現金なやっちゃなぁ」
~~3時間後
サクラ「……」コポコポ
シンジ(この匂い……コーヒーにお湯注いでるのかな?サクラさんってコーヒー飲むのか……っと、集中しないとミスる!)ショリショリ
サクラ「……」ニヤッ
シンジ「これでラスト……よっし!」ショリショリ
サクラ「……」ソローリ
シンジ「お、終わった……!ただの皮むきでもこれだけあると重労働なんだな……」ゼーゼー
サクラ「お疲れ様です。ほれ出来立て」ピトッ
シンジ「ぁっっつぅ!!!!!…………くない?」キョトン
サクラ「あはは、騙された~。ただのぬっるい缶コーヒーやっちゅーねん。シンジさんのアホー」クスクス
シンジ「アホって……!ひどいよぉ!」
サクラ「先入観にとらわれ過ぎや。もーちょい広い視点から見らんとな。色々と」
シンジ「うぅ……」
サクラ「さて、約束は約束や。拘束外しますけど暴れんといてくださいよ?」
シンジ(やっと下半身が自由になった……)
サクラ「さて、それじゃー腹ばいになって下さい」
シンジ「え?」
サクラ「長時間同じ姿勢とってていきなり歩けるわけないですやろ。そんで無理してベットに頭打ってお陀仏やったら世話ないっちゅー話です」
シンジ「つまり?」
サクラ「マッサージや。スパルタでいきますよ?」ニコッ
シンジ「ちょっ……待っ」
~~15分後
ウィーン
マリ「こんちはーわんこ君元気してるー?……って」
シンジ「もう十分!もう十分だから!」
サクラ「暴れんといてくださいって……いっとるやろっ!」ゴキゴキ
シンジ「ぐぎぃっ……!も、もう歩けるってば!肩は歩行に関係ないし!」
サクラ「全身マッサージやっ!大丈夫大丈夫言うてシンジさんがもし肩壊したらまた私の始末書が増えるやないですか!そうなる前にやる事はやっとくんです!」ゴキゴキゴキッ
シンジ「がぎゃあっ!」ピクピク
マリ「えー?なになにー?新手のプレイかにゃん?」
サクラ「マリさんっお疲れっ様っですっ!」グイッグイッグイッ
シンジ「たったっ助けっ……」
マリ「なるほど……大体事情は飲みこんだ。面白そうな方に加勢するっ!」バッ
シンジ「ひぃっ!?」
サクラ「それじゃ、ダブルキックで〆ましょか!」ギリギリ
マリ「了解!音楽スタートと同時にカウントを開始。6.2秒でケリをつけるよ!」
サクラ「はいっ!」
シンジ「キック!?今キックって言ったしこれ完全に関節技掛けられてるよね僕!?職権乱用反対!」
サクラ「シンジさん!」
シンジ「何!?」
サクラ「人間ってのは攻撃性をどこかで発露しないと苛々して生きていけないんです!食べ物をよく噛むのもそのためなんです!」
シンジ「サクラさんが何を言ってるのかよく分からないよ!僕はどうすればいいんだよ!」
マリ「悦べばいいと思うにゃん」
シンジ「」
~~それから
シンジ「あへぇ……蹴られるの気持ちいいよぉ……」ピクピク
マリ「ふぅ……」ツヤツヤ
サクラ(なんかノリで大変なことしてしまった気がする)ダラダラ
シンジ「も、もっと蹴って下さい!」
マリ「よーし、それなら私の手の甲をぺろぺろするんだわんこ君!」
シンジ「わんわん!」ペロペロ
マリ「よーしよしよしよし、かわいいねー」ナデナデ
シンジ「わん!」
マリ「ほら、ご褒美っ!」ゲシッ
シンジ「わおんっ!」ビクン
サクラ「あの、二人ともその辺で」
シンジ「サクラさんも蹴ってくれますよね……?」キラキラ
サクラ「い、いやそのあんま蹴って怪我されても困りますし」
マリ「物事には功罪両面がある。悪い面も受け止めるのが……なんだったかにゃ?」ニヤニヤ
サクラ「ど、どこでそれを!?」
マリ「さーて、どこだったかにゃー♪」
サクラ「うぅ……」
シンジ「……」キラキラ
サクラ(……仕方ない。こんなんバレたら始末書じゃすまへんし、この部屋の中でちょっとずつ元に戻していくしかないわな)
マリ「ん。決心ついたようで何より。それじゃ、私はこれで~。また会おうね、わんこ君」
サクラ(逃げ足はやっ)
シンジ「わんわん!」
サクラ「……シンジさん。元に戻るまでつきっきりで看病しますんで、改めてしばらくよろしくお願いします」ペコッ
シンジ「わんわんわーん!」
シンジ(僕は、ここに居てもいいんだ!)
ーーブリッジ
ミサト「……」ハァハァ
リツコ「息が荒いわよ。あれ、そのままにしてていいの?」
ミサト「ま、まぁ航行に問題はないし、ブ、ブリッジの士気も上がってるし、アレはシンジ君の罪だし、い、いいんじゃない?」ジュルリ
リツコ「……あなた、一番重要な部分が変わってないわよね」
ミサト「そんな事ないわ」キリッ
リツコ「この艦の名前は」
ミサト「ブンダー」
リツコ「……」
ミサト「いや……これは、違う……苦手分野を突くのは卑怯よ」シュン
リツコ(これからどうなるのかしら。本当に頭が痛いわ……)
ーー医務室
サクラ「えいっ」ゲシッ
シンジ「わん!」
サクラ(……)ゾクゾクッ
シンジ「あへぇ……」ビクンビクン
サクラ(ま、シンジさんを独占できると考えればこれはこれで……ん?なんで荒縄がこんなとこに)
サクラ(マリさんがおいていったんかな……荒縄、か)
サクラ(ふ、ふふふ、ふふふふふ……私ももう少し楽しませてもらう事にしましたよ)ジュルリ
サクラ「シンジさん。これからも、よろしくお願いしますねっ!」
シンジ「わんっ!」
.
終劇