「まゆりは俺の人質なのだ! 誰にも渡さないぞ」
「えへへ、まゆしぃはオカリンの人質なんだね」
「だめだろ、まゆり。人質が笑うのはへんなんだぞ」
「そうなの? でも、まゆしぃはオカリンといるとうれしいのです」
「まったく……ワガママな人質だな」
マミ「やっと、普通の生活に戻れるのね……」 岡部「マミ……」
http://ayamevip.com/archives/40422306.html
の続きなので注意。たぶん読んでないと訳が分からないよ。
元スレ
QB「君の願いは何だい?」 まゆり「まゆしぃの願いはね――」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1305941036/
岡部「……夢か」
マミ「倫太郎、まゆりさんって誰かしら? 何度も呼んでいたようだけど」
ダル「マミ氏の目がヤバい!」
紅莉栖「これは修羅場の予感ね」
岡部「待て、何か勘違いしていないか」
マミ「人質とか……そういうプレイがお好みだったかしら?」
岡部「落ち着けマミ。話せば分かる!」
マミ「問答無用! 最終砲撃(ティロ・フィナーレ)!」
どっぎゃーん
マミ「え、幼なじみ? 私ったら早とちりしちゃったわ……ごめんね」
岡部「電話レンジ(仮)をぶん投げるのは早とちりってレベルじゃないだろう」
ダル「それだけ深く愛してるってことですねわかりますん」
紅莉栖「まぁ電話レンジ(仮)はもう中身くり抜いたただのハリボテだし……死に至ることはないわ」
岡部「俺は不死身でもなんでもないんだぞ、勘弁してくれ」
岡部「まゆり、か。元気にしてるのだろうか……」
まゆしぃとオカリンはいつも一緒に遊んでた。
でもオカリンはある日、こういうごっこ遊びはもう卒業するって言って、まゆしぃと遊んでくれなくなっちゃった。
まゆしぃはその分おばあちゃんと長く遊んでいたけど、オカリンがお引越しした直後に、おばあちゃんは死んじゃった。
おばあちゃんが死んじゃってから一年ぐらい経って、何とか普通の生活が送れるようになった。
でも、生きていても楽しくないなぁ。オカリンもおばあちゃんもいないんだもん。
おばあちゃんじゃなくて、まゆしぃが死んじゃえばよかったのに。
QB「未来ガジェット研究所の面々に別れを告げた後、ボクは雑用で各地を飛び回っていた」
QB「まぁその雑用も、これであらかた片付いたかな」
QB「後は自分の星に帰るだけだね。よく、分からないけれど……名残り惜しいという思いがどこかにある」
QB「ボクたちインキュベーターに感情なんて存在しないはずなのだけれどね」
QB「人工グリーフシードなんていうイレギュラーが発生したぐらいだ。ボクに感情が芽生えたとしても大したことではないか」
QB「ん?」
QB「なんだろう、この弱々しすぎる因果の反応は」
QB「普通の人間が通常背負うべき因果を遥かに下回っているじゃないか。不自然すぎる」
QB「念のため、調査したほうが良さそうだね……やれやれ」
まゆり「今日の講義は大変だったなぁ。大学生は辛いです」
QB「こんにちは、ちょっといいかな」
まゆり「ね、猫さん? 可愛い! お喋りできるなんて、賢い猫さんだねー」
QB「いや、ボクは猫さんじゃなくてキュゥべえさ……」
まゆり「キュゥ、べえ?」
QB「そうさ、こう見えても宇宙人なんだ!」
まゆり「宇宙人……オカリンがいたら喜びそう」
QB「オカリン?」
まゆり「あ! ごめんね、なんでもないの」
QB(岡部倫太郎のことかな? これはもしかしたら、彼女も時間遡行によって因果が変化した可能性がある)
まゆり「キュゥべえは、まゆしぃに何かご用かなー?」
QB「うーん、実はちょっと住処を追い出されてね……。少しの間だけ、ここに置いてくれないかな」
まゆり「うーん……いいよー。キュゥべえ可愛いし」
まゆり「キュゥべえに似合うような可愛いにコスも作ってあげるね!」
QB「う、うん……楽しみにしてるよ」
QB(コスってなんだろう……まぁいいか)
岡部「うーむ……妙だな。ここ数日は毎日のようにまゆりの夢をみる」
ダル「浮気ダメ、ゼッタイ」
岡部「するかっ!」
まどか「岡部さんはマミさん一筋ですよね」
ほむら「私はまどか一筋よ」
まどか「えへへ……わたしもほむらちゃん一筋だよ」
ダル「いつの間にかリア充収容所になってる件」
岡部「フッ、フェイリスのところにでも行ってみたらどうだ?」
ダル「んー、この作業が終わったら行ってくるお」
マミ「でも確かに妙よね。まゆりさんに何かあったんじゃ?」
まどか「岡部さん、会いに行ってあげたほうがいいと思います」
ほむら「電話番号ぐらい分かるんでしょう? 一度電話してみたら」
岡部「あそこに住んでたのも何年も前の話だからな。電話番号は覚えていない」
岡部「直接行ってみるか……あまり気は進まんが」
紅莉栖「なんで気が進まないのよ」
ダル「エロいことして嫌われたんですね分かります」
岡部「しとらんわっ! あー、実は俺はまゆりとだな……」
紅莉栖「その子と仲良くごっこ遊びしてたけど、中学生になって恥ずかしくなり遊ばなくなった」
紅莉栖「そしてある日転校することになり、彼女に何も言わずに別れることになった……なるほどね」
ほむら「まぁ、仕方のないことでしょうね」
まどか「でもまゆりちゃんがちょっとかわいそう……」
ほむら「そうね。でも、なんで今まで一度も連絡を取らなかったのよ」
岡部「なんて、連絡をすればいいのか分からなかったんだ」
マミ「…………」
マミ「うじうじしてても仕方ないわ。次の休みに、まゆりさんの家に行きなさい!」
岡部「今更どんな顔をして会えばいいんだ」
マミ「それは自分で決めることよ」
岡部「無責任すぎるだろマミ」
マミ「何か言ったかしら」
岡部「わかった、わかったからその電話レンジ(仮)を今すぐ元に戻してくれ」
岡部「……少し外の空気を吸ってくる」
ほむら「ずいぶん強引じゃない、あなたらしくもない」
マミ「これぐらいしないと、倫太郎が行動しそうになかったからね」
マミ「今日は無理だ明日にしよう。来週は無理だ来月にしよう……」
マミ「そんな風に問題を先延ばしにすればする分、何らかの形で自分に返ってくるわ」
紅莉栖「明日から本気出す(キリッ じゃだめってことね」
QB「お帰り、学校お疲れ様」
まゆり「ただいまー、キュゥべえ。もうクタクタだよー」
QB「もうご飯出来てるみたいだよ。食べたら、昨日の話の続きを聞かせてね」
まゆり「わかったよー」
まゆり「どこまでお話ししたっけ」
QB「岡部倫太郎が引っ越しした後に、君のおばあちゃんが亡くなったという話まで聞いたよ」
まゆり「そうそう、よく覚えてるねーキュゥべえ。すごいなぁ」
まゆり「オカリンもおばあちゃんもいなくなって、まゆしぃはショックで1年ぐらいすごいことになってたんだって」
まゆり「誰とも会話もしないし、ご飯もほとんど食べない。そんな感じだったみたい」
QB「時の流れが、君の傷を癒したということか……」
まゆり「癒したっていうより、諦めちゃった」
まゆり「誰かが自分を無理やりにでも、この悲しみから連れ出してくれる、そんな思いがどこかにあったの」
まゆり「でも誰も連れ出してくれなかったよ。アニメや漫画の世界じゃないんだし、そりゃそうだよね」
QB「そう……辛かっただろうね」
QB(まどかの願いがなければ、その役割を果たしたのは彼だったのだろうね……)
まゆり「そうでもないよー? 一度諦めちゃえば楽になれたし」
まゆり「キュゥべえ。ひとつ聞いてもいいかなー?」
QB「何だい、まゆり」
まゆり「キュゥべえは、何でオカリンの本名知ってるのかなー?」
QB「!!」
まゆり「まゆしぃはキュゥべえにオカリンの本名教えたことないんだけどなー」
QB(目の前にいるのは椎名まゆり、だよね。今のゾクッとする感覚はなんなんだ?)
QB(もしかして、これが恐怖という感情?)
まゆり「どうしたのキュゥべえ? 答えられないかなー?」
QB(仕方ない。すべて話そう)
QB「――というわけなんだ。隠していてすまない」
まゆり「気にしてないよー。うーん、そんなことがあったんだ」
まゆり「ねぇキュゥべえ。まゆしぃも魔法少女になれるかな」
QB「まゆり!?」
QB(まだ僕には少女の願いを叶え、魔法少女にする権利及び義務がある。このことについて嘘はつけない……)
QB「できるよ」
まゆり「そうなんだぁ。じゃあ今晩じっくり願い事を考えておくから、明日お願いね」
QB「わ、わかったよ」
まゆり「もう寝るね、おやすみー」
QB(因果があまりにも少ないから願いで大したことはできないだろう。でも、何か嫌な予感がする)
QB(ちょっとラボには遠いけど、力を限界まで集中させれば……マミ、聞こえるかい?)
マミ(キュゥべえ!? あなた宇宙に帰ったんじゃ)
QB(後処理がいろいろとあってね。って今はそれどころじゃないんだ! 岡部倫太郎はいるかい?)
マミ(ラボにいるけど、どうかしたの?)
QB(椎名まゆりの家にくるように伝えてくれ! 嫌な予感がするんだ)
マミ(椎名、まゆり……? ちょうどいいわね、次の休みに行こうと思ってたのよ)
QB(それじゃ遅いんだ! お願いだ、なんとかして明日の朝に来てくれ!)
マミ(何かあったのね。わかった、倫太郎に伝えておくわ)
QB(ありがとうマミ。頼んだよ)
マミ「倫太郎、まゆりさんの家に行くのは明日の朝にしてもらえるかしら」
岡部「いやさすがにそれは……心の準備というものがあるのだぞ」
マミ「明日行かないと、取り返しの付かないことになる」
岡部「……どういうことだ?」
マミ「私にも詳しいことは分からないけど、キュゥべえが連絡してきたの」
岡部「あいつを信じろというのか?」
マミ「嘘をついてるような様子じゃなかったわ」
岡部「…………」
岡部「わかった、明日の早朝ここを発つ」
岡部「この街も久しぶりだな……パッと見、あまり変わっていない」
岡部「まゆりの家はここだな。ピンポンせねばならんのに、緊張して指が動かん……」
ガチャ
「あら、どちら様で?」
岡部(まゆりの母か! あまり変わっていないな、数年経つのに)
岡部(って無言じゃまずい、何か言わねば不審者扱いされるかもしれん!)
まゆり母「もしかして、倫太郎くん?」
岡部「は、はい! お久しぶりです」
まゆり母「大きくなったわね。まゆりに会いに来てくれたのかしら」
岡部「えぇ、そうなんですよ」
まゆり母「上がって上がって。まゆりもよろこぶわ」
まゆり母「あの子、昔からおばあちゃんっ子だったでしょう。おばあちゃんが亡くなってから長い間塞ぎこんでててね……」
岡部「そうだったんですか……おばあちゃんが」
まゆり母「安らかな顔で大往生を遂げたけれど、子供にはそんなこと関係ないわね」
まゆり母「1年ぐらい、誰とも話さず、食べ物もほとんど取らなかったの」
まゆり母「今では大丈夫そうに振舞ってるけど、私には今でも不安定なように見える」
まゆり母「まゆりに何度も話したけど、そんなことないの一点張り。親のくせに何も出来ないなんて情けないわ」
岡部「そんなこと、ないです」
ぴりりりり
まゆり母「あら、電話。ちょっと待っててね」
まゆり母「ごめんなさい、ちょっと用事が出来たわ。少しだけまゆりのことお願いしてもいいかしら」
岡部「は、はい。分かりました」
まゆり母「お願いね」
岡部(若い娘が居るというのに、男をおいていってもいいのか?)
岡部(まぁ俺としては好都合だが)
岡部「確かこの部屋だったよな」
ガチャ
岡部「久しぶりだなまゆり……ってキュゥべえ!?」
岡部「あ、マミが言ってたか」
まゆり「オカ、リン……?」
岡部「あぁ、そうだ」
まゆり「ずっと会いたかったんだよ、オカリン」
岡部「すまなかったな、まゆり」
まゆり「これからはずっと一緒に居られるんだよね?」
岡部「はい?」
まゆり「だってオカリンは何年もまゆしぃを待たせたんだよ」
まゆり「これからずっと一緒にいてくれないなら怒っちゃいます」
岡部「怒っちゃうと、どうなるんだ?」
まゆり「怒っちゃうとね……うーん、そこはまだ考えてないや」
岡部「まぁまゆりだし仕方ないな」
まゆり「もう、オカリンひどいよー」
まゆり「オカリンはキュゥべえとかのこと知ってるんだよね。何でも願いを叶えられるってすごいよね」
岡部「おい、まゆり。魔法少女になるなんて言わないよな」
岡部「というかインキュベーター! キサマらはもう地球に関わらないと言ったではないか!」
QB「残念ながら、まだボクには少女の願いを叶え、魔法少女にする権利及び義務があるみたいだ」
QB「本来なら既にその権利は剥奪されているハズなんだが、君たちがおこしたのは想定外の事態だからね……いろいろ手間取っているんだろう」
岡部「クソッ……」
まゆり「キュゥべえ、まゆしぃを魔法少女にして」
岡部「まゆり!」
まゆり「まゆしぃの願いは、オカリンとおばあちゃんと一緒に、ずっと仲良く暮らすことなのです☆」
QB「……すまないまゆり。その願いは叶えられないよ」
まゆり「えぇー、何でも願いが叶えられるって言ったのはキュゥべえでしょ」
QB「岡部倫太郎は君より強力な魔法少女によってその運命がある程度決まってしまっているんだ」
QB「だから、岡部倫太郎と仲良く暮らす……というのは出来ない」
まゆり「ふーん、鹿目まどかちゃんってそんなにすごいんだ。そっかー、オカリンはまゆしぃと居られないんだ」
岡部「まゆり……」
まゆり「それじゃあ、願いを変えるね」
岡部「本当にいいのか! その様子では魔法少女になったらどうなるか全て聞いているんじゃないのか」
まゆり「うん、魔女になってひどいことしちゃうかもしれないんだよね」
岡部「それが分かっていてなぜ……」
まゆり「オカリン、人工グリーフシード作れたんだよね?」
岡部「それはそうだが、まだあれは不安定なのだ。すぐに量産できるシロモノではない!」
まゆり「そっかー。でもオカリンなら、まゆしぃが魔女になっちゃう前に何とかしてくれる気がする」
まゆり「キュゥべえ、いいかな?」
QB「あぁ、ボクはいつでも構わないよ」
QB「椎名まゆり、君の願いは何だい?」
岡部「やめろ、まゆり!」
まゆり「まゆしぃの願いはね――」
岡部「させるか!」
岡部はまゆりに向かって走り、体当たりをかました。
まゆり「きゃっ……!」
まゆり「いったーい。なんでオカリンはまゆしぃの邪魔するの?」
まゆり「まゆしぃはおばあちゃんと一緒に暮らしたいだけなのに!」
まゆり「オカリンにはもう関係ないよ!」
岡部「いい加減にしろ!」
岡部はまゆりの頬を叩いた。
まゆり「オカ、リン……? なんで泣いてるの?」
岡部「お前のおばあちゃんは、死んだんだよ……」
岡部「おばあちゃんは寿命で亡くなったって、お前の母親に聞いた」
岡部「それを魔法の力で無理やり生き返らせてみろ。何が起こるか分からん」
岡部「今にも死にそうな状態で生き長らえることになるかもしれない」
岡部「それならまだいい方だ。身体が腐敗し、生きてる間には決して味わえないような痛みを味わいながら生きることになるかもしれん」
まゆり「…………」
岡部「死者を生き返らせるなんて絶対にしてはいけないんだよ。それは、死者への冒涜だ」
まゆり「オカリンだって、マミさんを助けるために何度も世界やり直してきたんだよね」
まゆり「オカリンに、そんなセリフを使う資格ってあるの?」
岡部「それとこれでは状況が違う。マミは寿命で死んだわけではない」
岡部「いつかマミが寿命で死んだのなら、俺はその死を受け入れる」
まゆり「じゃあ、まゆしぃはどうすればいいの……もう独りはイヤ、です」
岡部「キュゥべえも言っていたが、俺はずっとまゆりのそばにいるなんて出来ない」
岡部「けどな、何か辛いことがあったら俺に連絡しろ」
岡部「すぐにお前の元に駆けつけてやる」
岡部「お前は、俺の人質だからな」
まゆりん「オカリン……」
まゆり「オカリン、オカリン!」
岡部に抱きつくまゆりを、岡部は包み込むように受け止めた。
まゆり「もう、まゆしぃは大丈夫だよ」
まゆり「遠くにいても、まゆしぃはずっとオカリンの人質なんだよね」
岡部「あぁ、まゆりはずっと俺の人質だ」
まゆり「だから、まゆしぃに何かあったら助けに来てね」
岡部「あぁ、勿論だ」
まゆり「うん、約束だよ」
ぐぅううううう
まゆり「あはは……お昼、まだ食べてなかったね」
岡部「やれやれ、では何か作るとしよう。この鳳凰院凶真のマッドな料理に驚嘆するがいい! フゥーハハハ!」
次の日――
まゆり「もう行っちゃうの?」
岡部「名残り惜しくはあるが、戻ってやらねばならんことが山ほどあってな」
まゆり「どうせ、レポートが終わってないとかそんな感じでしょー」
岡部「グハァッ! な、なぜ分かった……」
まゆり「だってオカリンってば何度も宿題忘れてたでしょー。有名だったもん」
岡部(二つ下のまゆりの耳に入るレベルってどんだけ有名だったんだ俺は)
まゆり「今度はちゃんと余裕を持って出さないとダメだよ?」
岡部「わ、分かっている。レポートなんざこの鳳凰院凶真の敵ではない」
岡部「じゃあな、まゆり」
まゆり「うん。さよなら。じゃなくて……またね、オカリン!」
岡部「ああ、また会おう」
QB「ボクもそろそろ宇宙に帰るとするよ」
まゆり「キュゥべえ! どこ行ってたの、心配したよー?」
QB「あの空気ではボクはお邪魔だと判断したのさ」
まゆり「感情がないって言ってたけど、きっとあるよ。空気を読むなんて、感情がなかったらできないもん」
QB「そうかな、ありがとう」
まゆり「キュゥべえは帰らなきゃだめなの? せっかくコスできたのに残念だなー」
QB「前から気になってたんだけれど、コスって何だい?」
まゆり「うーん、実際に見せたほうがいいかな。ちょっと待っててね」
QB「実物? 分かったよ」
QB「コス……何かを擦ったりする行為に関係があるのかな」
まゆり「お待たせ! じゃーん、これがキュゥべえのために作ったコスなのです」
QB「この服はタキシードという奴かい」
まゆり「そうだよー。キュゥべえはなんだか紳士って感じがしたからこういう感じのが似合うかなって」
まゆり「キュゥべえ、これ着てくれる?」
QB「うん」
QB「どう、かな?」
まゆり「いいよ、すごく似合ってる! それ、キュゥべえにあげるね」
QB「え、いいのかい?」
まゆり「もちろんだよー。キュゥべえのために作ったんだし」
QB「ありがとう、とてもうれしいよ」
まゆり「キュゥべえ、泣いてる……?」
QB「え? おかしいなぁ、インキュベーターは涙なんて流すはずがないのに」
QB「最後に、こんな素敵な感情を知ることができてよかった」
QB「本当にありがとう、まゆり」
まゆり「ううん。お礼を言うのはまゆしぃの方だよ」
まゆり「数日間だけど、キュゥべえと一緒に過ごせて楽しかった」
まゆり「それに、キュゥべえがまゆしぃに会いにこなかったら……オカリンとも会えなかったかもしれないし」
QB「まゆり……それじゃあ、さようなら」
まゆり「バイバイ、キュゥべえ」
数日後――
紅莉栖「うーん、やっぱり気になるわね」
岡部「どうした助手二号よ」
紅莉栖「二号って言うな! 去年、岡部は鹿目さんの願いによって生まれた存在って結論になったじゃない」
ほむら「ずいぶんと懐かしい話ね……」
紅莉栖「それなら最初から見滝原に住んでるものじゃない? なぜ別の街から引っ越す、なんて面倒な設定になってるのかしら」
岡部「確かに、少し妙な話だ」
紅莉栖「もしかしたら、岡部は鹿目さんの願いによって生まれたのではないのかも」
ダル「別の場所に住んでいたオカリンが見滝原にやってくるようになった説が正しいってことかお?」
岡部「しかしそれではリーディング・シュタイナーの説明がつかないぞ」
紅莉栖「岡部はもともとリーディ(ryの才能を秘めていたけど、実際に発動するほどではなかった」
紅莉栖「しかし鹿目さんの願いによりそれが覚醒した……とか」
岡部「それを認めると何でもありの世界になってしまうぞ」
さやか「グリーフシード作っちゃったりしてる時点で何でもありな気がする」
紅莉栖「まぁ、その通りなのだけれど……」
岡部「この件は考えても真実は分からないだろうな。ちょっと外の空気を吸ってくるとしよう」
岡部(作られた存在と知ったときは正直ショックを受けた。誰にも気付かれないようにはしてきたがな)
岡部(もし助手二号の説が正しいとなると、俺は魔法によって生み出された存在ではないという事になる)
岡部(まぁ確かめようがないことではあるが……助手二号には少し救われたかもしれん)
岡部(出ていってすぐに戻るのもアレだな。もう少しぶらついてから帰ろう)
岡部「鳳凰院凶真、ただいま帰還したぞ」ガチャ
まゆり「あ、オカリンお帰りー。トゥットゥルー♪」
岡部「ま、まゆり!? 何でラボに……」
まゆり「えぇ、オカリン会いに来ていいって言ったでしょー」
岡部「いや確かに言ったけどな……なんというか、そのふいんき的にだな。あの別れから数日でというのはだな」
ダル「まゆ氏まゆ氏、オカリンは感動のあまり頭が混乱してると思われ」
まゆり「そうなんだー。オカリンはまゆしぃが来てくれて感動してるんだね」
岡部「勝手なことを抜かすなダル」
まゆり「オカリンはまゆしぃがここにきちゃイヤだったの?」
岡部「そ、そんなはずがないだろう! 極論過ぎるぞまゆりよ」
マミ「倫太郎、椎名さんの前ではタジタジね」
岡部「えぇい、マミまで何を言うか! あー、まゆりがここに来るのは初めてだったよな」
岡部「では、この未来ガジェット研究所の発明品の数々を存分に見せてやろう!」
さやか「ポンコツばかりだけどねー」
岡部「ポンコツではない! どれもこれも超一級品の発明ばかりだ!」
QB「やれやれ。君は見ていて本当に飽きないね、岡部倫太郎」
岡部「きゅ、キュゥべえ!? お前宇宙に帰ったのではなかったのか。てか何だその服は!」
QB「どうやら僕に感情が芽生えたことの確認が取れたようでね、しばらくは地球に滞在するよう命じられたのさ」
まゆり「そうなんだ、うれしいなぁ。まゆしぃが作ったコス、着てくれてるんだねー」
岡部「まゆりが作ったのか……なるほどな」
マミ「まゆりさんのコスプレ衣装すごいのよね」
さやか「そうそう、これとかめちゃかわっすよ!」
まゆり「えへへー。ここ、可愛い女の子ばかりでコス作りのやる気もどんどん上がっちゃうよー」
ダル「大量の美少女レイヤーと同じ空間を共有する……男のロマンすなー」
杏子「鼻血でてんぞ、ティッシュつめとけ」
ダル「んごぉ! 佐倉氏奥までつめす……あれ、今僕JKにティッシュ突っ込まれた!? これは新手のプレイ!?」
杏子「変なこといってんじゃねぇよ馬鹿!」ゲシゲシ
ダル「もっと蹴ってください!」
ほむら「まったく、まどかに変な物見せないでもらいたいわね……」
まどか「そ、そうだね。まだ、わたし達には早いと思う」
ほむら(まだ? つまり将来的にはまどかに……まずい想像したら興奮して)
さやか「ちょ、何でほむらまで鼻血だしてんのよ!」
紅莉栖「暁美さんもとんだHENTAIだったのね」
まゆり「あれ、なんだろこの写真」
マミ「懐かしいわね。これは前にみんなで撮ったのよ」
岡部「人工グリーフシード完成記念だったな」
杏子「この後大変だったよな、まどかの胸揉んだりでさ」
まどか「せっかくまゆりさん来てくれたんだし、写真撮りたいなぁ」
岡部「ラボメンが2人も加わりとうとう10人になった記念か、悪くない」
紅莉栖「岡部は厨二病に頼らないとネーミングセンスがひどいことになるわね」
QB「2人ってどういうことだい?」
岡部「まゆりとお前のことに決まってるだろう。どうせ俺達のことを監視でもするんだろう?」
岡部「ならいっそラボメンになってもらおうというわけだ」
QB「わけが分からないよ。でも、不思議と嫌な気分はしないね」
ほむら「今度は余裕を持ってタイマーセットしなさいよ」
まゆり「オカリンじゃ不安だし、まゆしぃがやるね」
ダル「それなら安心すな」
杏子「だな」
岡部「いろいろと言いたいことはあるがまぁいい。頼んだぞ、まゆりよ」
まゆり「タイマーセットしたよー」
紅莉栖「どこぞのHENTAIみたいに走ったりしないでね、まゆりさん」
まゆり「まゆしぃはどこに立とうかな……やっぱりオカリンの隣!」
タイマーが切れ、写真が撮られる瞬間にまゆりは岡部のほっぺたに唇をつけた。
岡部「!?」
マミ「なっ!?」
まゆり「オカリンの恋人はマミちゃんだけど、それならまゆしぃは愛人さんにでもなろうかなぁって」
岡部「な、なななな何を言っているのだまゆりよ!」
マミ「そ、そうよダメよ愛人なんて!」
ダル「これは罪づくりなオカリンが悪いってことですね」
杏子「だな、全部悪い」
さやか「というわけで反省しなさーい」
ほむら「二股かけるなんて許されないわ。少し頭を冷やしなさい」
岡部「いや今回俺は何も悪いことしてな……ぐわあああああ!」
QB「やれやれ、相変わらず騒がしいなここは」
QB「でも、悪くないね。こういうのも」
QB「ボクはいつまでここに居られるか分からないけれど、できたらずっと見守っていたい」
まゆり「どうしたのキュゥべえ、そこに誰かいるのー?」
QB「あぁ、これはね……本部への報告のために通信しているのさ」
まゆり「このふよふよ浮いてるのがカメラ?」
QB「そうさ、今リアルタイムで映像付きで通話してるんだよ」
まゆり「そうなんだ、すごいねー」
まゆり「モニターの向こうで見てるキュゥべえの上司さん聞こえますか? まゆしぃはまゆしぃって言いまーす」
まゆり「あっちで集中攻撃をうけてるのが鳳凰院なんとかさん」
まゆり「本名は岡部倫太郎だから、まゆしぃはオカリンって呼んでます」
杏子「おいなんか面白そうなことやってんじゃねーか! アタシは佐倉杏子、よろしくー!」
紅莉栖「私は牧瀬紅莉栖。って佐倉さん! ちょっと前にですぎじゃないかしら」
杏子「細けぇことは」
ダル「いいんだよ! あ、僕は橋田至」
まどか「なんだか最近杏子ちゃんと橋田さんって息合ってるよね。あ、鹿目まどかです。よろしくお願いします」
岡部「宇宙人のコンタクトとなればこの鳳凰院凶真も参加せざるをえまい! フゥーハハハ!」
さやか「オカリン声でかいから! あ、美樹さやかです。よろしく!」
ほむら「まったく……暁美ほむらよ」
マミ「巴……いいえ、岡部マミです」」
ぎゃあぎゃあぎゃあ
QB「あぁ、これは後で大目玉だね……」
おわり
54 : 以下、名... - 2011/05/21(土) 14:04:09.01 YUaK9UbW0 48/48まゆしぃをなんとかだしたかっただけなんだ、うん