見崎「そう」
赤沢「一体なんなのよ、それ!」
綾野「そのままの意味だよ。こういっちゃんとは今後、握手禁止」
小椋「最近の泉美は事あるごとに握手しすぎ」
赤沢「そうかしら。私はそんなつもりないんだけど」
綾野「へえ、どの口が言うのかな」ムカッ
見崎「……なら、思い出させてあげようか」
小椋「そうだね。じゃあ、回想スタート!」
元スレ
赤沢「握手禁止令?!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334223378/
~回想1・朝~
恒一「」ガラッ
赤沢「おはよう、恒一君」
恒一「おはよう。赤沢さん」
赤沢「はい」スッ
恒一「えっと?」
赤沢「おはようの握手」
恒一「う、うん。おはよう」ギュッ
赤沢「はい、おはよう。ふふっ」
~放課後~
赤沢「恒一君、帰るの?」
恒一「うん。今日はこの後、病院なんだ。赤沢さんは?」
赤沢「私はこれから演劇部よ」
恒一「そうなんだ。頑張ってね」
赤沢「ええ。よかったら、今度見学しにきて」
恒一「そうだね。今度行くよ」
赤沢「ありがとう。それじゃあ……」スッ
恒一「?」
赤沢「さよならの握手」
恒一「さ、さよなら」ギュッ
赤沢「また明日、ね」
―――――
―――
―
小椋「どうなの、これ」
赤沢「なにか変?ただの挨拶じゃない」
見崎「……挨拶に握手はいらないと思うの」
赤沢「そうかしら?私は必要があると思うんだけど」
綾野「もういいよ……。それじゃ、次いくよ」
~回想2・休み時間~
赤沢「恒一君、握手しましょう」
恒一「えっ、どうして」
赤沢「いいから」
恒一「うん……。はい」ギュッ
赤沢「……それじゃあ、ちょっとこっち来て」グイッ
恒一「え?!なに、どうしたの」
赤沢「私、今日日直でしょ。課題ノートを職員室からもらってくるの、手伝って欲しいの」
恒一「手伝うのは構わないけど……」
赤沢「手伝ってくれるのね。ありがとう」
恒一「う、うん……」
―――――
―――
―
綾野「これはおかしいでしょ」
赤沢「どうして?」
小椋「だって、手を繋ぐ必要ないじゃん」
赤沢「恒一君、転校してきてまだ校舎の中を把握してないと思うの。だから私が案内してあげてるだけよ」
綾野「こういっちゃんが転校してきたの5月だよっ。もう何ヶ月経ったと思ってるの?!」
赤沢「それは……あれよ。恒一君がはぐれないようによ。けっこう、フラフラしてるでしょ」
見崎「……苦しい言い訳ね」
小椋「あと、まだあるから」
~回想3・休み時間~
赤沢「恒一君、手出して」
恒一「……うん。また、握手?」ギュッ
赤沢「さあ、行きましょう」スタスタ
恒一「わ?!えと、今度は何?」
赤沢「いいからついてきて」スタスタ
恒一「はあ……」スタスタ
赤沢「ここよ」
恒一「ってここ、女子トイレ……」
赤沢「ありがとう。それじゃ、ここまでね」
赤沢「……それとも、いっしょに入りたい?」クスッ
恒一「っ?!な、な……」カア
赤沢「ふふっ、冗談。顔、赤いわよ♪」
恒一「か、からかわないでよぉ!」
―――――
―――
―
見崎「おい」
小椋「どないなっとんねん」
綾野「もうね、手ぇ繋ぎたいだけとちゃうんかと」
赤沢「これは……ただのスキンシップよ。そう、スキンシップ。ハイタッチと同じようなものよ」
小椋「ふ~ん」ジトー
綾野「とにかく、もうこういっちゃんとは握手禁止です」
赤沢「そんなのおかしいわよ。だいたいなんの権限があって」
桜木「あの、委員長権限です」
赤沢「桜木さん?!」
桜木「赤沢さんの行動はクラスの風紀を著しく乱しているという意見を多くもらっていまして……」
桜木「ですから、クラスのルールとして赤沢さんは握手禁止ということです。すみません」
赤沢「そんな……」
~翌日~
恒一「」ガラッ
見崎「……おはよう。榊原君」
綾野「こういっちゃん、おはよー」
小椋「おはよ、榊原君」
恒一「うん。おはよう」
恒一「……」キョロキョロ
恒一「あっ、赤沢さんもおはよう」
赤沢「……ええ、おはよう」プイッ
恒一(……あれ?)
~休み時間~
赤沢「恒一君」
恒一「何?赤沢さん」
赤沢「これ、進路調査のプリント。書き終わったら桜木さんに提出して」
恒一「分かった。わざわざありがとう」
赤沢「……」
恒一「……」
赤沢「……」
恒一「えっと、どうしたの?」
赤沢「……なんでもない。それじゃ」
恒一「?」
~昼休み・中庭~
恒一「なあ、勅使河原」
勅使河原「なんだ?サカキ」パクパク
恒一「今日の赤沢さん、少し変じゃない?」
勅使河原「そうか?いつもと変わらねーと思うけど」モグモグ
恒一「そうかな……」
勅使河原「分かった!きっとアノ日なんだろ」ニシシ
望月「勅使河原君、そういうことは言っちゃダメだよぉ」
勅使河原「誰も聞いてね―から大丈夫だって」
恒一(そうなの、かな……)
~屋上~
赤沢「はあ……」ボー
綾野「泉美、早く食べないと昼休み終わっちゃうよ」
赤沢「……そう、ね」
綾野「うう、なんかここまで落ち込まれると罪悪感が……」ヒソヒソ
小椋「けど、元はと言えば泉美のせいだし……」ヒソヒソ
見崎「……」モグモグ
赤沢(手が、寂しい……)ニギニギ
~昼食後・教室~
見崎「……榊原君」
恒一「どうしたの?見崎」
見崎「次の授業は美術だったよね」
恒一「そうだね」
見崎「なら、一緒に美術室まで行きましょう」
恒一「いいよ。行こうか」
見崎「……手を繋いで」
赤沢「?!」ガタッ
恒一「えっ、手?!」
見崎「そう。早く」
恒一「え、え~と……」チラッ
赤沢「! あ、彩。一緒に行きましょう。早くしないと遅刻するわ」スタスタ
綾野「う、うん……」スタスタ
見崎「私達も、行こ」ギュ
恒一「そう、だね……」
赤沢(何でよ……どうしてこんなにも、苦しいの……)トボトボ
~放課後~
ジャアネー カエロウゼー
恒一「……赤沢さん」
赤沢「……どうしたの、恒一君」
恒一「その、今日はなんだか元気がないように見えたんだけど」
赤沢「そんなことないわよ。私は普段通りよ」
恒一「……そっか。うん、それならいいんだ。それじゃあ、さよなら」
赤沢「ええ、さよなら」
恒一「……」
赤沢「……」
恒一「やっぱり、変だよ。いつもなら握手するのに」
赤沢「そ、そう?」
恒一「そうだよ。朝だってしてたのに、今日はしなかった」
赤沢「だったら、これまでのことは忘れて。そして覚えておいて。もう握手はしない。飽きたの」
赤沢(胸が……痛いよ……)
赤沢「……それじゃあ、私も帰るから」
恒一「待って!」ガシッ
赤沢「なに?離して」キッ
恒一「僕がしたいんだ。赤沢さんと握手」
赤沢「え……?」
恒一「最近ずっとしてたからさ、しないとなんだか寂しくて……」
恒一「だからさ、赤沢さんが迷惑じゃなければ……握手、しようよ」
赤沢「…………う、ひっく……」ポロ
恒一「赤沢さん?」
赤沢「うう、うえええええんっ!」
恒一「ちょ、なんで泣いて。えっ」
赤沢「泣いて、なん……て、ぐすっ、ないわよぉ……馬鹿ぁ」グスグス
赤沢(嬉しくても涙って出るんだ……)
恒一「えーと、あの……」
綾野「あ~あ、もう。泉美、握手していいよ」
恒一「綾野さん?!」
小椋「ごめんね、榊原君。あたし達が泉美に握手しちゃダメって言ってたんだ」
見崎「……赤沢さん、最近ずっと榊原君にひっついてるから」
恒一「そうだったのか……」
綾野「けど、もういいよ。こういっちゃんからして欲しいって言うんだもん」
小椋「くやしいけど、あたし達の負けみたい」
見崎「……」
恒一(賭けでもしてたのかな……?)
赤沢「……見崎さん、ごめんなさい」
赤沢「私……気付かない内にあなたのこと、傷付けてたみたい。あの時、逆の立場になって気付いたの……」
見崎「何のこと?それより、いつもみたいに握手でもしてれば」プイッ
赤沢「……ありがとう」
~下校中~
恒一「あの……赤沢さん?」
赤沢「何?」
恒一「どうして、手を繋いだままなのかな?」
赤沢「恒一君が繋いで欲しいって言ったんじゃない」ギュウ
恒一「それは、言ったといえば言ったけど……」
赤沢「私は仕方なく繋いでるのよ。これでいいわよね」
恒一「……はい」
赤沢「ふふっ//」
~分かれ道~
恒一「ここからは別々だね」
赤沢「そうね……」ショボン
恒一「それじゃあ、また明日」
赤沢「ええ、さよなら」
恒一「……」
赤沢「……」
恒一「えっと、離してもらってもいいかな?」
赤沢「えっ、恒一君じゃないの?」
恒一「? 何のこと……あれ、離れない」
赤沢「うそ?!そんな……ホントに離れない……」
恒一 赤沢「「どうしよう……」」
赤沢(……けど、この状態ならもしかして)ドキドキ
赤沢「恒一君、その……よかったら、家に来ない……?」モジモジ
恒一「え?!」
赤沢「こうなってしまった以上、どちらかの家に二人で帰らなきゃいけないでしょ」
恒一「うん……」
赤沢「わ、私の家、両親が今海外で誰もいなくて……だから……」カアア
恒一「そう、だね。それじゃあ……お邪魔しようかな」
赤沢「そ、そう。ありがと//」
恒一(あとで、怜子さんに電話しないと)
赤沢(さ、誘ってしまったわ……。恒一君と二人きり……//)
恒一「けど、これってもしかして現象なのかな……」
赤沢「へ?!あ、そ、そうかもしれないわね。ホント、やんなっちゃう」
~赤沢宅~
恒一「お邪魔します」
赤沢「どうぞ」
恒一「けっこう、広いんだね。すごい」
赤沢「そうかしら。けど、ただ広いだけよ」
恒一「ははは……」
赤沢「……」
恒一「……えっと、これからどうしようか?」
赤沢「そうね……じっとしててもしょうがないから、夕ご飯でも作りましょうか」
恒一「そうだね。料理ならある程度心得があるから……ってこの状態じゃ、無理かも」
赤沢「あ」
赤沢「ごめんなさい。結局、レトルトしか出せなくて」
恒一「いいよ、気にしないで。ほら、お米とごうか」
赤沢「ええ」
赤沢(けど、こうやって二人でキッチンに立つなんて……)
赤沢「新婚さんみたい//」ボソッ
恒一「あ、赤沢さん今……//」
赤沢「へ?!あ、なんでもないのよ!ただその……勝手に口が動いただけで……」カァー
恒一「そ、そうなんだぁ!なるほど……それはしょうがないね」
赤沢「ええ。そうなのよ……」
恒一「///」
赤沢「///」
恒一「ごちそうさまでした」
赤沢「おそまつさま」
恒一「……」
赤沢「……」
赤沢(どうしよう。なにかしてないと、手握りっぱなしなの意識しちゃうわね)
赤沢「あのっ、食器洗うわね」アセアセ
恒一「そうだね。一緒に洗おうか」
赤沢(あっ、そうよね……。これじゃあ、こき使ってるみたいじゃない……)
―――――
―――
―
赤沢「……」ソワソワ
恒一「赤沢さん?」
赤沢「な、何?」
恒一「なんだか、落ち着かないみたいだから。どうかした?」
赤沢「なんでもないわ」ソワソワ
恒一「それなら、いいんだけど……」
赤沢(もう、ダメ……)グイッ
恒一「わっ、どうしたの?!」
赤沢「……」スタスタ
恒一「どこいくの?」スタスタ
赤沢「……ィ……レ」
恒一「え?」
赤沢「その……トイレよ……//」
恒一「そ、そっか……。ごめん//」
赤沢「こんな状態だからしょうがないけど、絶っ対見ないでよ!あと、聞くのも、嗅ぐのも禁止よ!」
恒一「分かってるよ。けど、耳ふさぐのは無理だよ……」
赤沢「片方だけでもふさぎなさいよ!うう……//」ストン
赤沢(なんで、こんなことになってんのよ。馬鹿ぁ……//)
恒一(うわ、どうしよ。やっぱり聞こえるよ)
赤沢「…………もう、いいわよ……」
恒一「分かった」
赤沢「やっぱり聞こえてんじゃない……」
恒一「あっ、……ごめん」
赤沢「馬鹿」グスン
恒一「で、これが一番の問題だよね」
赤沢「お風呂……よね」
恒一「赤沢さんはどうするつもりだったの?」
赤沢「私は……入るつもりよ」
恒一「……本当に?」
赤沢「ええ。やっぱり、汗もかいてるし」
恒一「服はどうやって脱ぐの?」
赤沢「え?!服は…その、最悪裁断して……」
恒一「えぇ?!それは流石に……」
赤沢「だ、大丈夫。ちゃんと弁償するわよ」
恒一「……けど、お風呂から上がった後は?着るのも難しいと思うよ」
赤沢「あっ……それは……」
恒一「今日はお互い我慢しよう。一日くらい大丈夫だよ」
赤沢「そう、ね……」
赤沢(私、全然ダメね……)
~赤沢自室~
赤沢「……それじゃあ、寝ましょうか」
恒一「ベッド、一緒に入るんだよね……」
赤沢「そうよ……」
恒一「……」
赤沢「……」スッ
赤沢「早く、入りなさいよ//」
恒一「うん//」ゴロン
赤沢「……」ドキドキ
恒一「……」ドキドキ
赤沢(恒一君、こんなに近い……汗臭いって思われないかしら……)
赤沢「恒一君、起きてる?」
恒一「起きてるよ」
赤沢「その、もし、汗臭いようだったら……ごめんなさい」
恒一「そんなことないよ」
赤沢「そう。よかった……」
赤沢「……恒一君。私ね、今日あなたが握手して欲しいって言ってくれて、すごく嬉しかった」
赤沢「だから、その……こっち向いてくれる……」
恒一「うん?」
チュッ
恒一「へ?!い、今……キス……」
赤沢「……恒一君、私の彼氏になりなさいよ//」
恒一「」ボーゼン
赤沢(どうしよう、固まってるじゃない。なんで私はこんな告白しかできないよぉ……)
赤沢「や、やっぱり、今のは忘れて」
恒一「それは、困るかな」
赤沢「え……?」
恒一「僕からお願いするよ。赤沢さんの彼氏にしてください」
赤沢「あ、う……ホントに?」
恒一「うん。これからも手を繋ぐ関係でいたいんだ」
赤沢「あ、ありがとう!」ダキッ
恒一「こちらこそ。ありがとう」ギュウ
赤沢「……」ミツメ
恒一「……」アイ
赤沢「んっ……」
チュウ
赤沢「ふふ……恒一君、大好きよ//」
~翌朝~
赤沢「ん、んん~……」パチリ
恒一「すー、すー……」
赤沢「夢じゃ、ないのよね。……ふふふ」ニヤニヤ
赤沢「恒一君、カワイイ寝顔。いたずらしちゃおうかしら」ツンツン
赤沢「……あれ?!」
赤沢「ああああああああああっ?!」
恒一「うっ、う~ん。……どうしたの?」ガバッ
赤沢「手、離れてる……」
恒一「本当だ。……けど、よかったね」
赤沢「そうね……」
恒一「もしかして、残念だった?」
赤沢「いいえ。これからは、いつでも手を繋げるもの」
恒一「そうだね」
赤沢「恒一君、おはようの握手」スッ
恒一「うん。おはよう」ギュッ
赤沢「……それと、おはようの……キスも……お願い//」カアア
恒一「うん」
赤沢「んっ……」
チュウ
~数日後~
赤沢「恒一君、一緒にお昼食べましょう」
恒一「いいよ。それじゃあ、屋上に行こうか、泉美」
ギュッ
桜木「あ、あの~、ちょっといいですか?」
恒一「どうしたの?桜木さん」
桜木「そのぉ、クラスの皆さんから苦情が出ていて……」
桜木「手を繋ぐのはもう禁止してくれって」
赤沢「それは無理よ」
赤沢「だってこの手はもう、離れないんだから」ニコリ
おわり
86 : 以下、名... - 2012/04/12(木) 20:42:11.38 OzSCW70z0 48/48お付き合い頂きありがとうございます
これで赤沢さんのところへ行けます
今更ながら小説のAnother読んでます
アニメは観たけど実写はどうしようかなぁ…