女「と…材料をしこたま買ったまではよかったのだが…迂闊だった」
女「私、一人暮らしだ」
元スレ
女「今夜は鍋にしよう」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1265114772/
女「独り鍋は寂しすぎる…そうだ」
女「お隣さん誘おう」
ピンポーン
男「ん?こんな時間に誰だ?」
男「はいはい」ガチャ
女「こんばんはー」
男「ああ隣の女さん、こんばんは…どうしたんですか?」
女「じゃんけんしますよ!じゃーんけーん」
男「え!?」
女、男「ぽん!」
女「私が勝ったのであなたの家で鍋をやらせてもらいます」
男「ちなみに負けてた場合は?」
女「あなたは私の家で鍋をしていました」
男「鍋をするのは確定なんですか」
女「お邪魔しまーす」
男「一人鍋寂しいからって隣にきますか?普通」
女「みんなと同じが1番良いという日本人的考えには虫唾が暴れだすのです」
男「いやいや、常識的考えでしょ…見ず知らずの人について行ったら駄目なんですよ?」
女「見ず知らずじゃありません、今まで七回あいさつしました」
男「今すぐ警戒レベルをマックスにしてください
女「台所借りますねー」
男「ああ、手伝いますよ」
女「ありがとうございます」
男「いえいえ」
女「初めての共同作業ですね」
男「もっと素敵な状況で聞きたかったです」
女「めでたく私も押しかけ女房ですね」
男「違うと思います」
女「つみれ投入ーどばどばー」
男「鶏つみれですか」
女「嫌いでしたか?」
男「暫定ながら大好物です」
女「つまり私の腕によっては…」
男「トラウマになります」
女「責任重大ですね」
男「ええ」
女「俺…ちゃんと責任とるから…」
男「お断りします」
女「ぶー」
女「ここで鍋アイウエオ作文!つみれの『つ』!」
男「え?…罪なヤツ」
女「『み』!」
男「乱れ喘いで」
女「『れ』!」
男「連続殺人事件」
女「男、10ポーインツ!」
男「内Pですか」
女「ええ。…鍋グツグツ、煮えるまで暇です」
男「ですねー」
女「しかし男さんの家はよいものです」
男「そうですか」
女「コタツがあります!文明の利器です!消費電力増加!地球温暖化促進!」
男「なんだか罪の意識が芽生えてきました」
女「ふふ、そうでしょう。悪いと思うなら私にコタツを渡すといいですよ」
男「地球に悪いんで電源切りますね」
女「あーうー嘘です嘘ーごめんなさーい」
男「コタツないんですか?」
女「クーラーがあればいいのです」
男「コタツ欲しくないんですか?」
女「貰えるんですか?」
男「あげません」
女「ならずっといます、ふふん」
男「しまった」
女「むー煮えましたー!」
男「完成ですね」
女「完成ー!」
男「ずいぶん閑静な歓声ですね」
女「気持ちが大事なんです。さあ、血と汗と努力の結晶を頂きましょう」
男「僕達の結晶なのか、材料だったもの達の結晶なのか」
男、女「いただきます」
女「つみれーつみれー♪」パクリ
男「どうですか?」
女「もぐもぐ、美味しいです」
男「どうやら食べても死にはしないみたいだ」
女「酷いです、毒見ですか」
男「様子見です」
女「いこーるで結ばれますよそれ」
男「それは知らなかった」
男「アク取りますよー」
女「おお、アクを抜きさる正義のヒーローですね」
男「ならばアクをだしたあなたは悪の親玉ですね」
女「い、意義あり!それならば男さんも同罪です!」
男「正義のヒーローは器物破損も無視される、スーパー無罪ライセンスを所持してるから大丈夫なのです」
女「ズルイですー!」
男「はい、白菜」
女「どうも」
女「さっきから男さんアク取りばっかりです」
男「レディーファーストの精神ですよ」
女「もっとハングリー精神を持ちなさい!それでも受験生ですか!」
男「もう23です」
女「仕方ありませんね、ふーふー」
男「?」
女「はい、あ~んです」
男「」
男「…」モグモグ
女「…おおう、なんだか癖になりますねコレ」
男「…」ゴクン
女「おいしかったでちゅかー?」ナデナデ
男「美味いやら甘いやら」
女「食った食った」
男「今後、『あ~ん』がトラウマになることが確定しました」
女「ふふへふへ、可愛かったですよ」
男「カッコイイと言われたいのです」
女「元からカッコイイじゃないですか」
男「…顔に血液が集中する奇病にかかりました」
女「結構滑稽で面白いです」
女「それではさようなら」
男「さようなら」
女「…送ってくれないんですか?」
男「あなた隣でしょう」
女「送りオオカミ…」
男「何を期待しているんですか」
女「ぶー」
男「…嵐のようだった」
男「うーん…久々だな、人とあんなに喋ったの」
男「…寝るか」
…
女「むう…なんだかー胸がチクチクばたんきゅーなのですぞ」
女「う~フワフワなのです…病気?」
女「…寝ますか」
男「今日も元気に出社しますか」
女「あ」
男「あ」
女「さくばんはおたのしみでしたね」
男「あなたもでしょう」
女「おはようございます」
男「おはようございます」
男「これからお仕事ですか?」
女「ええ、はい。歯車になってきます」
男「お茶汲み人形となるのですか」
女「なぜ心の中を、もしやサイコメトラーですか」
男「ええ」
女「ちゃきーん、プライバシー保護法発動!これで覗かれないです」
男「残念ながら知る権利が僕にはあります、よって無効」
女「いやー見透かされるー今日のパンツは純白ということがバレてしまうー」
男「なんと」
男「思わぬ収穫です」
女「棚からぼたもちですね」
男「たなぼたってヤツですか」
女「ええ、略してなかたです」
男「サッカー界のたなぼたですね」
女「相手国にとってですが」
女「では私はこれで」
男「私もこれで」
女、男「さようなら」
女「…」
男「…」
女、男「よく考えればエレベーターまでいっしょでしたね」
女「では今度こそ」
男「ええ」
男、女「さようなら」
男「…遅刻寸前だ」
男「…」カタカタ
友「おーい男、もう昼休みだぞ?」
男「遅刻分…」カタカタ
友「真面目だねぇ」
眼鏡「男さんは真面目なんですよー…それに比べて友さんは…」
友「な、なんだよう!そんな目で見るなぁッ!」
男「…」カタカタ
女「むいむいー」
同僚「どうしたい女?」
女「おー同僚ちゃん、おはよー」
同僚「さっきもあいさつしたよー」
女「あのねあのね」
同僚「うんうん」
女「隣の人と鍋つついたら胸までつつかれたのかチクチクしてでもプカプカフワフワなアチチチ、最後にはぎゅいーんと吹っ飛んでいきそうなのです」
同僚「ぎゅいーんですか」
女「ぎゅいーんなのです」
男「…終了」
友「おつかれさーん」
眼鏡「おつかれさまです」
男「帰る」
友「なんだよー飲みにいかないのか?」
男「悪いけどパス」
友「…眼鏡ちゃーん、いっしょに飲みに…」
眼鏡「男さんが行かないなら私もパスです」
友「しょんなー」
女「うう、同僚ちゃんは意地悪なのです。答えを知ってる顔なのに『悩め』とほざいてきやがりました!」
女「こうなりゃヤケ酒じゃー飲むんじゃぼけーい」
…
女「しまった、いっしょに飲む相手がいない」
男「んー暇だ」
ピピピピピンポーンピッピッピッポォオーン
男「…誰だ軽快なリズムを刻みやがって」
ガチャ
女「こんばんはー」
男「デ・ジャヴー?」
女「じゃーんけーん」
男「ぽん」
女「いえーい勝ちました」
男「今夜はなんでしょう?」
女「酒と鍋と女です」
男「最後以外なら喜んでもらうんですが」
女「ぶー」
男「今日はなんの鍋ですか?」
女「鱈鍋です、お好きですか」
男「好物です」
女「暫定では?」
男「あなたの腕は認めています」
女「おお、公認ですな、お墨つきですな」
男「ええ」
女「これでいつでも嫁にこれますね、ぽっ」
男「その願いを叶えるには全部で7つの公認が必要です」
女「むむぅ、おじいちゃんの遺品にはありませんでしたね」
男「魚を切るのはまかせてください」ザックンバラン
女「おお、すばらしい包丁さばきです」
男「父親から教えられた殺人術の一つです」
女「おお、一子相伝の技ですか」
男「ええ、自分の中に誰かいるか確認してみますか?」
女「やめて!あなたとの子が!」
男「記憶にないですね」
女「妄想妊娠です」
男「責任逃れ発動!ボクは見えなくなった!」
女「フフ…私の魔眼から逃れますかね…」
男「あ、お皿とってください」
女「あいあいあー」
女「では鱈だらけのグツグツ水泳大会~」
男「いぇーい」
女「タラリもあるよ」
男「タラリってなんですか?」
女「こう…股からタラッ…と」
男「女の子がそんなこと言っちゃいけません」
女「女の子じゃありません、乙女なのです、アイアンメイデンなのです」
男「鉄の処女で拷問器具ですか」
女「どりゃー処刑ー」だきっ
男「うわー捕まったー」
女「愛の針で串刺しなのです」
男「あんまりうまいこと言えてませんね」
女「確かにそうですね」
女「ぐつぐつ、わくてか」
男「コタツにはいると寝そうになります」
女「お疲れなのですね」
男「ええ、目が痛いです、最近視力も落ちてきました」
女「ついに眼鏡っこデビューですね、燃えーです」
男「情熱が、と言う意味ですね。わかります。同じ職場に眼鏡っこがいるのでキャラが被ってしまうのですよ」
女「なぁに、文だけじゃわかりませんよ」
男「それもそうでしたね」
女「だから私は皆様が望みさえすれば、巨乳キャラである私もいることになるのです」
男「まあ実際は虚乳ですけどね」
女「誰がうまいこと言えと、くらえー人差し指と中指が力を合わせて相手の眼の中に無理やり侵入しようとする行為ー」
男「痛い痛い、目潰しと言ってください」
女「鱈ちねの~」
男「なんでしたっけそれ」
女「なんでしたっけ?」
男「・・・」
女「・・・」
男「鱈ちねの~」
女「鱈ちねの~」
女「できましたー」
男「ビール?日本酒?」
女「とりあえずカシスオレンジで」
男「オシャレなバーに行ってください」
女「あちらのお客様からいつまでたっても来ないのですが・・・」
男「みりょく が 足りない ぜつぼうてきだ」
女「寄せて上げてひっくり返せばけっこうあるんですよ?」
男「どうやるんですかソレ?」
女「かしこさが200を超えればわかります」
男「そんな境地に達したくないです」
女「残念です」
男「で、結局なににするんですか?」
女「わかめ酒!」
男「日本酒でいいですね」
女「鱈はふはふ」
男「酒ちびちび」
女「水族館で見るとキレイなのに、鍋でみると美味しそうになるのはなぜでしょう?」
男「ブスだらけだと普通が美人に見える理論です」
女「つまり主観は客観的にみた立場により変わると」
男「ええ、安西先生が言ってました」
女「バスケはどうしたんですか?」
男「靴がキュッキュッするのがイラつくと嘆いていました」
女「ツンデレですね」
男「ええ」
男「しかし鍋は美味しいですなぁ」
女「私も美味しいですよ?」
男「あいにく僕にカニバリズムの趣味はないんで」
女「残念です」
男「しかし、この人数でやる鍋は少々悲しいですね」
女「二人きりですもんね」
男「もし今度やるなら誰か呼びましょうか?」
女「うーん…私は」
男「?」
女「このままの方が好きだなぁ」
男「…そうですか」
女「そうですね」
女「月が綺麗ですね」
男「月見でいっぱい、ですか」
女「こいこい!」
男「なにを引き寄せようとしているんですか?」
女「あなたです、人間磁石の異名をもつ私の力からは逃れることはできませんよ」
男「あーれー引っ張られる」
女「…いい月ですね」
男「本当です」
男「ん、そろそろ酔いが回ってきました」
女「そのまま酔った勢いで初めてを奪われるのね、私」
男「流石に鉄の処女は破れません」
女「そうですか」
男「…」
女「あなたになら捧げてもいいと思っていたのですが」
男「…」スヤスヤ
女「…あれー?」
女「むう、ノンレム睡眠ですか」
女「起すのも可哀想ですしどうしましょう」
女「んー、かといってこのままでは風邪を引いてしまいます…」
女「流石に布団を出すのは…どこにあるかもわからないですし、なにより個人情報保護法的なものに引っかかる気配ビンビンです」
女「むう」
男「ん…寝てたか」のそり
女「…ぐがー」すやすや
男「ん?待て、状況整理だ」
知らない部屋
一つの布団で二人が寝ている
しかも男女
内一人は自分
お互い酒を摂取
記憶無し
男「…なんだ夢か、起きろ自分」
女「ぐがー」スヤスヤ
…
女「で、仕方が無いから私の部屋にはこんで寝かせたわけです」
男「なんだ、そうでしたか」
女「ビックリしましたよ、起きたらあなたが壁に頭打ち付けて『目覚めろ!目覚めろ!』って叫んでるんですもん」
男「ああ、あれ朝の儀式なんです」
女「そうでしたか」
男「ええ」
男「あ…仕事に行かなければ」
女「ん、ではサヨウナラです」
男「サヨウナラです、色々御世話になりました」
女「田舎に泊まろうみたいですね」
男「なにか御礼をしなければいけないみたいですね」
女「有り金全部置いてきな」
男「サイフは私の家にあります」
女「ありゃー」
男「…」カタカタ
友「本当に真面目だなお前は」
男「そうでもないさ」
友「今日は飲みにいくよな?」
男「…んー」
友「なんだよー…もしかして女でもできたか?」
男「…そうなのかな?」
友「」
眼鏡「」
女「同僚ちゃーん」
同僚「どうした女」
女「ぽかぽかなのです!幸せがハッピー、クッキー、ラッキーマンなのです!」
同僚「ほう、さては例の男となにかあったのかい?」
女「いっしょに寝たのです!」
同僚「」
男「なぜか質問攻めされた…なにかマズイこと言ったのか?」ヨロ
女「うう、なんで根堀り葉掘り聞いてくるかなー…いっしょにスヤスヤグースカブースカなだけなのに」
男、女「あ」
女「今晩はお日柄もよく」
男「つまりこんばんは、と」
女「はい、だいたいそんなかんじです」
男「…それでは」
女「じゃんけん!」
男「!…負けませんよ」
女「えへー」
男「また負けました…今日はなんですか?」
女「トマト鍋です」
男「ほほう、初見です」
女「初耳ではないんですね」
男「ええ、残念ながら」
女「初味をどうぞ」
男「別名味見ですね」
女「口移しはいかがですか?」
男「口の細菌交換したい気分じゃないので」
女「ぶー」
女「トマトートマトー」
男「だいぶありますね」
女「余ってしまいました」
男「カプレーゼでも作りましょうか」
女「なんですかソレ?かぷー?」
男「酒のツマミによく作るんですよ」
女「かぷー」
男「かぷー」
女「かぷっ!」
男「痛い痛い、噛まないで」
女「毎度おなじみグツグツたいむです」
男「あなたにはジャンケンでずっと勝てていませんね」
女「私は運命を決定する能力を持っているので」
男「それはビックリ、驚き桃の木、金のなる木」
女「あるんですか!?」
男「ええ、カインズホームで売ってました。525円で」
女「流石カインズホーム、いいものなんでも毎日安い」
男、女「かいんずほぉ~むぅ~」
男「だめんずをぉ~か~、みたいですね」
女「懐かしさと一瞬のブームが涙を誘います、よよ」
男「できましたね」
女「りこぴん摂取しますか」
男「ええ」
男、女「いただきます」
女「真っ赤なお鍋はめりーくりすますなのです」
男「泡は白で小松菜は緑で確かにクリスマス」
女「というわけでくりすますぷれじでんとー」
男「わぁ、何をもらえるのかしら。わくわくしちゃう」
女「あ~ん」
男「あれ、二日前にタイムスリップしたのかな?」
男「いやーもぐもぐ」
女「なんですかーもぐもぐ」
男「慣れるとなんてことないですねもぐもぐ」
女「あなたの熟れたトマトのようなお顔が拝見できると思ったのにもぐもぐ」
男「残念でしたーもぐもぐ」
女「残念ですよーもぐもぐ」
男「お茶いりますか?さてはて」
女「お願いしますーごきゅごきゅ」
男「あ、カプレーゼ食べてみてください」
女「あ、そういえばあったのでした」
男「うっかりですね」
女「天然ドジッ子を目指し、日々努力をつみかさねていますからー」
男「養殖の匂いプンプンですね」
女「あらーつい、うっかり」
男「おお天然です」
女「でしょー?」
男「まあ好みではないですが」
女「ぶー」
女「かぷり」
男「どうですか?」
女「不敵で無敵な美味しさです」
男「喜んでもらえてなによりです」
女「これなら将来、私は楽できそうです」
男「なんの予定ですか」
女「まだまだ未定ですけどね」
男「だからなんの予定かと」
男、女「ご馳走様でした」
女「美味しかったですか?」
男「ええ、毎日食べたいくらいです」
女「私も男さんのカプレーゼ、毎日食べたいですよ」
男「…」
女「…」
男「そうですかー」
女「そうなのだー」
男「…」
女「…」
男「ちょっと好きになりました」
女「私もです」
男、女「にへー」
男「んーこの調子だと明日にはらぶらぶいちゃいちゃ展開になりそうですね」
女「きゃーちゅーですよちゅー!」
男「愛は止まりませんねぇ」
女「そうですねぇ」
男「てりゃー抱きついてみる」
女「きゃー抱き返してみる」
男「ぽかぽかですね」
女「こそばゆいです」
男「もう遅いです」
女「そうですね」
男「それでは」
女「それでは」
男、女「また明日」
男「…」
女「…」
男、女「にへー」
男「がちゃり、ばたん」
女「がちゃり、ばたん」
男、女「おはようございます」
男「…」
女「顔が赤いですよー?」
男「あなたとペアルックでいいかんじなのです」
女「うひゃー、嬉恥かしこそばゆしです」
女「やばいです、世界がばら色です、けど現実なのですわふーい」
男「まだまだ世間は銀世界ですね」
女「私は春なので問題ありません」
男「ならば僕は先取りして夏です」
女「こされてしまいましたー不覚」
男「お互いに頭の中が春ですねー」
女「ですねー」
女「寂しいですけどお別れです、よよ」
男「ではまた今夜」
女「あいあい」
男、女「いってらっしゃい」
男「…♪」カタカタ
眼鏡「…なんだか男さん妙に上機嫌じゃないですか?」
友「あ、ああ…」
男「…♪」
友「なあ男」
男「ん、どした?」
友「なんか良いことでもあったのか?」
男「ああ」
友「もしかしてお前に恋人とか?…いやまさかな、朴念仁のお前が…」
男「よくわかったな?ビックリしたぞ」
友「」
眼鏡「」
女「ぎゅいーん」
同僚「おお、どうした女ちゃん上機嫌じゃないか」
女「世界が薔薇色、何色、虹色、全色、全開、限界幸せわーるどなのです!」
同僚「あー…つまり」
女「あい!未来の夫様なのです!!」
同僚「…死にたい」
眼鏡「え…あの…や、やだなぁ男さん!エイプリルフールはまだ先ですよ!」
男「うん、知ってるよ」
眼鏡「」
男「あ、仕事しないと。早く終わらせて会いたいし」カタカタカタカタ
友「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ俺より先にあの男がいや、まさか、そんな」ガタガタ
女「ふひふひ幸せ幸せー」
同僚「うらやましいなあオイ」
女「あげませんよー」
同僚「クッソォ…私も隣に押しかけてみようかしら」
男「あ」
女「あ」
男「ジャンケンですか?」
女「勝たないといれてくれないんですか?」
男「…どうぞ我が家へ」
女「ふへー」
男「今日のお鍋は?」
女「あなたの好物のスキヤキです」
男「好物と明言したことはないですが確かに好きです」
女「むふふー私とどっちが好きですかー」
男「スキヤキですね9:1で」
女「結構な敗北!?もう離婚の危機!?」
男「ああ、僕ツンデレなんですよ」
女「そうですか、なら安心です」
女「お肉は特売していた国産牛肉ですー」
男「おお、安心ですね」
女「まあなんの肉かなんてわかったもんじゃないですがねー」
男「ですねー」
女「まあ、あなたと食べれればなんでもいいのですが」
男「おー、裸エプロンでもないのに抱きしめたくなります」
女「『抱きしめた』なら使ってもいいッ!」
男「プロシュート兄貴ですか、なら抱きしめた」ギュー
女「きゃー」
男「グツグツタイムです」
女「ああ!私の捨て台詞を!」
男「せめてキメ台詞にしましょうよ」
女「残念ながらキメ台詞はあなたへのプロポーズで埋まっています」
男「奇遇ですね僕もです」
女「なんという運命、これは通報レベル」
男「罪状は恋泥棒ですね」
女「いえいえ私を日々悩ませ悶え死にさせた殺人罪です」
男「会ってまだ四日目じゃないですか」
女「それもそうでしたね」
男「ええ」
男「できあがりー」
女「では、いただき・・・」
男「ひょいぱくもぐもぐ」
女「…あれ?いっしょに『いただきます』というのが恒例では?」
男「戦場でそんなことを考えてられるのですかあなたは」モグモグ
女「迂闊でした…スキヤキを食べることは戦争だと父に教えられたハズなのに…」
男「そんなことを言ってる間にも肉は減りますよー」モグモグ
女「ああっ!鬼!悪魔!大好き!」
男「おお、ツンデレですね」
女「いえ、情緒不安定です」
男「そうですか」
女「あーん」
男「うまうま、あーん」
女「うまうま、あーん」
男「うまうま。いやーばかっぷるっていいですねぇ」
女「そうですねぇ。…ところで」
男「はい」
女「いいかげん私はしらたき以外を口にしたいのですが」
男「私もあなたの運ぶ豆腐は見飽きたのですが」
男、女「…」
男「…あーん」
女「何事もなかったかのようにしらたきですか。あなたが食べさせてくれるならなんでもいいですけどね、あーん」
女「ふう、おなか満腹いい気分」
男「ついでに食後のいちゃいちゃタイムです」
女「愛の栄養補給でっすね、むちゅー」
男「ああ、ファーストキッスが奪われてしまいました」
女「実は鱈鍋の日にこっそり奪っていましたーかみんぐあうとー」
男「なんと、仕返しです、むちゅー」
女「むひゃー」
女「むいー、コタツ最高ですー」
男「あらためて人類ってすごいですねー」
女「なにもする気がおきませんー」
男「ならそろそろ手を離してください、片付けできないじゃないですか」
女「一度掴んだ幸せは離したくないのです」
男「大丈夫です、帰省本能あるので」
女「なら安心ですね、けど離したくないです」
男「きゃー、束縛されたー」
女「ふふ、愛の手錠です」
男「今のはあまりうまくないですね」
女「これが俗に言う色ボケです」
男「うまい」
男「おお、もうこんな時間です」
女「ああ、もうそんな時間ですか」
男「ではお別れの時ですね、ハンカチ片手に送り出します、よよ」
女「ぴんぽーん!ここで女ちゃんの超絶回答!」
男「おお、なんでしょうか」
女「明日は日曜日なのです」
男「…わっふー!」
女「わっふー!」
女「いっしょにスヤスヤぽかぽか幸せです」
男「あいあい、狭いですけどね」
女「その分、愛が近くに感じれますよどきどき」
男「そうですね」
女「男さん」
男「はい」
女「あいらぶゆー」
男「あいらぶゆーとぅー」
男、女「にへー」
男「おやすみなさい」
女「おやすみなさい」
男「ぐうぐう」
女「すやすや」
男「…むい」
女「…むい」
男、女「きのうはおたのしみでしたね」
男「嘘ですけどねー」
女「けどねー」
女「今日はなにをしましょうか」
男「デートですかね、常識的に」
女「ばかっぷるの常識ですね」
男「あい」
女「嫌いじゃないです」
男「僕は好きです」
女「あうー素直さんはこそばゆいのです」
男「と、いうわけで」
女「お出かけです」
男「どこへ行きましょうか?」
女「実家にご挨拶を」
男「おお、もう結婚まで秒読みですか」
女「否定をしないその姿勢が素直にうれしいです」
男、女「にへー」
男「デートってなにをすればいいのでしょう?」
女「桜の前で愛を誓ったり」
男「残念ながら冬です」
女「ひらり、桜雪の舞う」
男「サーカスの作るゲーム世界ではないのです」
女「それは残念」
男「やはりベターに映画ですかね?」
女「ああ、よく眠れますよね」
男「言うと思いました」
女「あなたも同じようなものでしょう?」
男「ええ」
男「困った困った、なにをすればいいのかわかりません」
女「私もです」
男「やはり学生時代に恋愛の一つや二つ、やっておくべきでしたね」
女「あら、私はあなたが始めてで幸せです」
男「ああ、顔に血液が集中する持病がでました」
女「むひむひ」
男「うーむ」
女「うーむ」
グー
男「…」
女「…」
…
男「結局僕達はここに落ち着くのですね」
女「蟹鍋です」
男「はい、あーん」
女「私もあーん」
友「どうよ眼鏡ちゃん、俺おすすめの蟹鍋」
眼鏡「えーと男さんは?」
友「用事があるらしい」
眼鏡「失礼します」
友「待って!帰らないで!友は寂しいと死んじゃう生き物なの!!」
眼鏡「ええ、知っていますよ?」
友「死ねってかチキショウ!!いいよいいよ、蟹鍋自殺だ!!」
眼鏡「嘘です!嘘!まったくもう……ん、あれは?」
女「あーん」
男「僕もあーん」
眼鏡「」
友「ん?あれは男か?…その隣は」
友「 天 使 ! ? 」
眼鏡「おおおおおおおおおお男さんッ!?」
男「ん?ああ、友に眼鏡」
女「最後まで食べないとダメですー」
男「ゴメンゴメン、あーん」
女「むひゃー、いいこいいこですー」
男「えへー…で、どうした二人とも?」
友「…えと、お前、男だよな?」
男「ああ」
友「そうか、俺の幻覚じゃないわけだな」
眼鏡「それで、その…隣のお方は…」
男「俺の嫁」
女「妻の女と申しますですー」ペコリ
眼鏡「」ピシッ
女「夫がいつもお世話になっています、ぺこり」
友「ああ、いえいえ、こちらこそ…」ペコリ
眼鏡「おおおおおおおおおお夫!?」
男「結婚秒読み五秒前ですね」
女「婚約届けならここに」
男「準備万端ですね」
女「離婚届けも」
男「そんなもん必要ないのでーす、びりびりばりーん」
女「おお!祝福の紙吹雪なのです」
友「…息ぴったりだな」
眼鏡「…あう」
眼鏡「ぬなぁっ!!」
男「!?」ビクッ
友「ど・・・どうしたんですか眼鏡ちゃん?」
眼鏡「女サンッ!」ビシィッ
女「むい?」
眼鏡「 略 奪 愛 ! 」
女「!!」
眼鏡「失礼します!」
友「め、眼鏡ちゃん!?待ってー!!」
男「どうしたんですかね?」
女「…ライバル登場です、むみー」
男「?」
女「男さん」
男「ん?」
女「…浮気しちゃダメですよ?」
男「あーもう可愛いなあ、むぎゅむぎゅ」
女「あーうー愛を再確認ー超充電ー」
店員(死ねばいいのに…)
男「蟹おいしかったですねー」
女「ですねー」
男「今夜はどうしましょうか?」
女「…らぶらぶちゅっちゅっ?」
男「夕食のことです」
女「私をオカズに」
男「ストップ」
男「到着我が家ー」
女「ただいま我が家ー」
男「おかえりなさい」
女「ゴハンにする?ライスにする?それとも…お・こ・め?」
男「パン派なんじゃぼけー、パンを用意しろーい」
女「パンがないからケーキを食べればいいじゃないっ!勘違いしないでよね!喧嘩売ってるわけじゃないんだからねっ!!」
男「おお、死にそうなセリフもツンデレ補正で死亡フラグ回避ですね」
女「このぱーふぇくつな頭脳がかがやいていますよ」
男「なにがはいっているのですか?」
女「あなたへのラヴとライクとそのたもろもろですーきゃー!」
男「きゃー!」
男「今日は」
女「湯豆腐です、るんたった」
男「胃にやさしいですね」
女「蟹食べたあとなので」
男「手伝いますよ」
女「ありがとうございます」
男「夫ですので」
女「あふー」
男「グツグツタイムです」
女「・・・むちゅー」
男「おお、いきなり唇を奪われてしまいました」
女「たりませーんよこせこらー、むちゅー」
男「ほっぺたとれるとれる
男「過度なスキンシップは不快感を与えますよ。画面の向こう側の人に」
女「それでもいいのですむちゅー、このまま子授かりなのです、たはー!」
男「それもいいですけど、そろそろ湯豆腐できますよ」
女「関係ありますかー!愛はとまらないんじゃー!」
男「…うーん」
女「既成事実なのです!らぶらぶするのです!」
男「…なんかおかしいですよ?」
女「…ほえ?」
男「あなたいつもと違います」
女「む」
男「僕の知ってる女さんは、ふざけていても、イチャイチャしていても、どんなときでも、食事だけは最後まできちんと食べる人です」
女「…」
男「さっきみたいに、食事をとるのを無視してまでイチャイチャする人じゃありません。
むしろイチャイチャしながら食べるハズです」
男「どうしたんですか?」
女「……」
女「…ヒッグ」
男「…?」
女「うわぁあああああん!」ポロポロ
男「泣っ!?えっ!?ど、どうしよ」オロオロ
女「ふぇええええええん!」シクシク
…
女「落ち着きました」
男「あとちょっとで自殺しようかと思っていたところでしたよ」
女「…不安になったんです」
男「なにが?」
女「男さんがとられそうで」
男「…え?」
女「気付いてないんですか?」
男「いやいや、何度もいいますがもてたことないですし」
女「…男さん、カッコイイし、優しいし、楽しいし、大好きだし」
女「けど、私は、全然、可愛くないし、気遣いもないし、楽しくもないし…胸もないし」
女「けど、男さんとられたら、私ッ…男さん大好きだから、男さんしかいないから…怖くなって、それで、それで」ウルウル
男「あー、不安になって…既成事実?」
女「…はい」
女「…嫌いになりましたか?」
男「…」
女「そうですよね、こんな意地汚い女なんて、嫌いになってとうぜ…」
男「抱きしめさせろ」
女「え!?」
男「やー!」抱き
女「うなー!?」
女「お、おとっおとこさ…」
男「あのね女さん、一度しか言わないから、多分」
女「え?」
男「世界で一番愛してる、一生かけて幸せにする、だから…」
男「これからも一緒に鍋、食べてください」
女「…」
男「本当は歯の浮くような台詞言いたかったんだけれど難しいね、平凡になっちゃった」
女「…」
男「ダメですか?」
女「駄目なわけ…」
女「無いじゃないですか…うぅ…」ウルウル
男「な!?なんでまた涙!?」
女「だって、ドキドキでダメダメかと思ったのに、幸せでフワフワで、うれしくて…考えられなくてぇ…」ウルウル
男「あ、う、え、と、とりあえず」
女「ふえ?」
男「お鍋、食べましょう」
女「…はい!!」
それからそれから…
女「あれからもう五年かぁ…」
男「何書いてるんですか?」ヒョイ
女「らぶらぶ思い出日記です、にへー」
男「そうですか、にへー。今日はお鍋ですよ、早く来てくださいね」
女「あいあいー」
あれから特に私と男さんは変わらず、同じ鍋をつついている。
一つ違いを言うなら
四年前から鍋を囲む人数が一人増えただけである。
女「今夜は鍋にしよう」おしまい
644 : 以下、名... - 2010/02/09(火) 23:43:04.25 gLBfsPYW0 98/98みんな鍋食え、あとお隣さんは大切にね!
受験、頑張れ。
寝る、蝶・寝る。
さようなら。