第一話 「お前は今日死ぬ!」
第二話 「セックスしないと死ぬ!?」
第三話 「褒められないと死ぬ!」
第四話 「約束破ると死ぬ!」
第五話 「優しくしないと死ぬ!」
第六話 「大切にしないと死ぬ!」
第七話 「決断したら死ぬ!」
第八話 「姉に勝たないと死ぬ!」
第九話 「改心させないと死ぬ!」
最終話 「決戦! 魔王城!」
勇者「……zzZ」
勇者「……zzZ」
勇者「!」パチッ
勇者「……7時か」
勇者「……腹、減ったな。そろそろ起きようかな?」
勇者「……」
勇者「……いいや。後、一時間だけ」ゴロゴロ
女僧侶「コラっ! 勇者さんっ! もう7時ですよっ!」
勇者「う、う~ん……お願い……後、1時間だけ……」
女僧侶「今日は、お昼から男盗賊さんと男賢者さんと一緒に、支援物資運びに行くんでしょ!」
勇者「う~ん……昨日、その打ち合わせで遅かったんだよ……」
女僧侶「ほらっ! もう、朝御飯できてますよっ! 起きて下さいっ!」
勇者「後一時間……後一時間だけ……お願い……」
女僧侶「も~う……勇者さん、魔王倒してから、ちょっとぐうたらしすぎじゃないですかねぇ……?」
勇者「だって……世界に平和は戻ったんだよ……? まだ、眠いよ……」
女僧侶「まだ、多くの街には傷跡が残ってるんです! だから、私達がしっかりしないと!」
勇者「わかってるけど……お願いっ! 後、一時間だけ寝かせてっ!」
女僧侶「も~う……勇者さんの人生それでいいんですかっ!?」
勇者「!」
勇者「……」ムクッ
女僧侶「……ん?」
勇者「そうだよな……そうだよ……これじゃあ、ダメだよ……」
女僧侶「あれ? 勇者さん、起きます?」
勇者「まだ、俺にはやる事が山積みなんだ……こんな所で止まってたら、アイツに怒られちゃうよ……」
女僧侶「……あれ? 急にやる気になって、どうしたんですか? 勇者さん?」
勇者「いやぁ……懐かしい言葉を聞いたような気がしてね……?」
女僧侶「……はぁ?」
勇者「よしっ! じゃあ、顔洗ってくるよっ! 朝御飯食べたら、皆と合流しようか!」
女僧侶「?」
ーーーーー
男賢者「勇者君……早いよ……まだ、8時だよ……?」
男盗賊「出発は昼って言ったじゃねぇか? 朝だぞ? まだ、朝だっての」
勇者「何言ってんだ! あっちの大陸には朝飯もまともに食えねぇような人達が沢山いるんだぞ?」
男賢者「……まぁ」
男盗賊「……そうだけどさ」
勇者「だったらよぉ! 俺達が一刻も早く、この支援物資を届けてやろうぜ! 足踏みしてる時間なんてねぇんだよっ!」
男賢者「そうだね。 勇者君の言う通りだね」
男盗賊「まぁ……俺も、子供達にまともな飯食わせてやりてぇしな……」
勇者「そうだっ! その通りだっ! おめぇら、わかってるじゃねぇかっ!」
「わかってねぇなぁっ! おめぇはよぉっ!」
勇者「……ん? 何だあれ?」
男賢者「……男の子が絡まれてるみたいだね?」
男盗賊「なんだよ、あのおっさん……」
女僧侶「ど、どうしましょう……止めに行きましょうか……」アセアセ
男賢者「そうだね! 男盗賊君、行こうっ!」
男盗賊「おいっ! 勇者ァ! おめぇも来やがれっ!」
女僧侶「……勇者さん? 何してるんですか?」
勇者「……」
「だからよぉ? 確かに魔王は倒されたけどよぉ? まだ、世の中にはやらなきゃいけない事が沢山あるじゃねぇか!」
「……俺がやらなくても、誰かがやるもん」
「おめぇが、そういう考え方だからなぁ! こうやって、神様がおめぇを選んだんだよぉ!」
「……何、言ってるのあんた?」
「バ、バカっ……! おめぇ、あのメッセージ見ただろ? カップラーメンや、チラシに書いていた『お前の人生それでいいのか』ってメッセージをよぉっ!」
「……何、それ?」
「カァ~! なんで、どいつもこいつも気づかねぇんだよっ! この導入部分がねぇ、毎回長いんだよっ! 毎回よぉ!」
「?」
「まぁ、でもよぉ……? そんなおめぇでも、『コレ』見たら信じるだろ……」
「?」
「いいか? おめぇに与えられた命題はコレだっ!」
勇者「!」
男賢者「あれ……? あの人……?」
男盗賊「何処かで見た事があるような気がするなぁ……?」
女僧侶「あれ? 二人もそう思います? 私も、あの人……何処かで見た事あるような気がするんですよねぇ……」
勇者「はははっ……! 何だよアイツっ……! はははははっ……!」ゲラゲラ
男賢者「……ん?」
男盗賊「どうした?」
女僧侶「……勇者さん?」
勇者「アイツ、生きてのかよっ……! そうだよなぁ……そうだよ……だって、アイツ……天使だもん。簡単に死ぬワケねぇよ……!」
勇者「……そっか。アイツ、新しい仕事決まったんだ」
女僧侶「あ、あの……勇者さん、知り合いなんですか? あの人と?」
勇者「あぁ、昔……ちょっとね……?」
女僧侶「だったら、勇者さん、止めて下さいよ!? 男の子が絡まれているんですよ?」
勇者「いやいや……大丈夫大丈夫……あの人、悪い人じゃないからさ……?」
女僧侶「……えっ?」
勇者「それに……あいつはきっと……あの男の子にとっても必要な人だからさ……?」
女僧侶「?」
勇者「俺が首突っ込んで、邪魔しちゃいけないよ。基本的に導入部分が長いからね……導入部分が……」
女僧侶「……勇者さん、何言ってるんですか?」
勇者「よしっ! じゃあ、俺達も出発するかっ!」
女僧侶「えっ!?」
勇者「天童も頑張ってるんだし……俺も負けてられないからね……!」
男賢者「……あの男の子は、どうするんですか?」
勇者「大丈夫だって! 俺が首突っ込むと、あの子の為にはならないもん」
男盗賊「……はぁ?」
勇者「じゃあ、皆! 今日も一日頑張ろうっ! じゃあ、出発~!」
女僧侶「えっ……? えっ……? 出発して……いいんですかね……?」
男賢者「まぁ、でも……僕もあの人、悪い人じゃない気がするから……」
男盗賊「大丈夫かな……? って、お~いっ! 勇者、待ってくれよっ!」
天童「……ったく、頑張ってるじゃねぇか、アイツ」
天童「もう……一人前だよ、おめぇはよぉ……」
天童「……勇者」
天童「お前の人生それでいいんだ!」
天童「……ん?」
天童「って、おいっ! おいっ! さっきのガキは何処に行ったんだっ! いねぇぞっ!?」アタフタ
天童「おいっ! おいっ! 逃げてんじゃねぇよっ! おめぇ、本当に死んじまうんだよっ!」
「なんだよ、おめぇ……ついて来んなよ、気持ち悪ぃっ!」
天童「うるせぇっ! こっちはおめぇでパート2やれって神様に言われてんだよっ! 逃げんじゃねぇよっ!」
天国に一番近い勇者~heaven cannot wait~
ーー完
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