女幽霊「だって暇なんですよ」
男「うるさい」
女幽霊「呪っちゃいますよ」
男「あーあー聞こえない」
女幽霊「…」ブツブツ
男「ん?うわ!ウンコ踏んじまった」
元スレ
女幽霊「構ってください」男「ついてくるな」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1281787042/
女幽霊「お腹すきました」
男「幽霊なのに?」
女幽霊「味覚が求めているんです」
男「うるせー塩味だ、どーだうれしーか」
女幽霊「やめてぇ!塩かけないでくださぁい!」
男「ええい、仕方ない、ほら、アイス買ってきてやったぞ」
女幽霊「わぁい」
女幽霊「………」
男「どうした」
女幽霊「私チョコ嫌いですっ」プイッ
男「このやろ、もういい俺が食う」
女幽霊「あ、ちょ、そっちのバニラは!!バニラはぁあ!!」
男「わがまま言う子にあげるアイスはない!」ドンッ
女幽霊「もう許しません!」
女幽霊「アイスの怨みは大きいですよ!!」
男「さてどうするのか」
女幽霊「…」ブツブツ
男「痛っ…腹が…二つは流石にアレだったか…トイレ…」
女幽霊「……!」ブツブツ
男「あれ?このトイレ、誰もいないのに鍵が…ちくしょおおぉぉぉ!!!」
男「風呂にでも入るか」
ガララ
女幽霊「きゃあああああッ!!!」
男「」ピシャッ
男「おい、いつまで入ってる気だ」
女幽霊「幽霊は水気のあるところが大好きなんです」チャプ…
男「うるせ、トイレにでも篭ってろ」
女幽霊「いやです臭いです。ちゃんと掃除してください」
男「消臭力まで置いとるわ!」
男「ふう…やっと入れた…」
男「ん?」
男「なんだよこの髪の毛!長ぇ!!怖ぇ!!」
女幽霊「あ、大丈夫ですよ、それ詰まったりしませんから」ガララ
男「そういう問題じゃねーよ。あと入ってくるな」
男「いやー、風呂あがりの牛乳は美味い」グイ
女幽霊「……」
男「キラキラした目でこっちを見るな」
女幽霊「…」
男「あぁ、美味しいなぁ」グイグイ
女幽霊「…」ブツブツ
男「ぐあ!飲み過ぎて腹が!!トイレ…鍵がぁあ!またこのパターンかちくしょぉぉぉおああッ!!」
男「そろそろ寝よ」
女幽霊「…」
男「なんだ」
女幽霊「入っていいですか?」
男「えぇ~」
女幽霊「だめ…ですか…」ジワッ
男「嘘嘘、寝相わるくないなら構わん」
女幽霊「!」
女幽霊「泣いて損した…」
男「さぁ朝だ、仕事行ってくる」
女幽霊「私も行きます!」
男「笑わせんな」
女幽霊「…だめ?」ジワッ
男「そんなワンパターンしかしないならこちらにも考えがある」スッ…スッ…
女幽霊「何してるんですか?」
男「じゃ、仕事行ってくる」ガチャ
女幽霊「あ、待っ…あれ!?壁?」
女幽霊「あわわわ、部屋の四隅に塩…」
女幽霊「ちょっ待って!出してくださぁーーいっ!!!待ってーー!!」
男「今日も一日頑張るか」
女幽霊「あぁ…小鳥さんがお空で踊ってる…」
女幽霊「小学生だ、いいなぁ…」
小学生「うわ、マンションのあの部屋見てみろ!」
小学生「うわぁああ!いかにもな感じの女の子がぁああ!!」
小学生「やべぇええ!!」
小学生「ちょっなんであんな嬉しそうに手振ってるのさ!怖ぇええ!!」
男「ただいまぁ」
女幽霊「………」グスッ
男「どうした」
女幽霊「もっと早く帰ってきてくださいよぉ!!小学生だって走ってどっか行っちゃうし!!」
男「あぁはいはいごめんなさいね」
男「ほら、ケーキだ、チョコ嫌いだったよな?だからさ」
女幽霊「!」
男「デコレーションチョコケーキを買ってきた」
女幽霊「いじわるーーー!!」
男「おーい」
女幽霊「ぐすっ…」
男「なんだよケーキ一つで…」
女幽霊「女の子はケーキ一つで戦争が勃発するんですっ!ケーキだけは!!」
男「ケーキだけは…か…」
男「そうか、こっそり買ったこのレアチーズのシュークリームはケーキじゃないから俺が食っても問題ないと」
女幽霊「シュ…シュークリームはケーキに入ります!!」
女幽霊「男さん?」
男「ん??」
女幽霊「女さんっていう人の話、聞きましたけど、あれは本当なんですか?」
男「あぁ、あいつと俺は前世の記憶持ってるよ」
男「俺に霊感があるのも多分そのせいだ」
女幽霊「へぇ…じゃ、男さんは先輩ですね」
男「なんのだよ」
女幽霊「幽霊のっ!!」
男「うーん」
女幽霊「暑い~」
男「幽霊なのに暑いとか…体は冷たいだろ?」
女幽霊「エアコンつけましょうよぉ…」
男「今月ピンチなんだ、駄目だ」
女幽霊「じゃなんであんな豪勢なケーキ買ってくるんですかぁ…私を暑がらせて楽しんでるとしか」
男「こほん、夕涼みしてくる」
女幽霊「あー!!逃げた!!」
男「ふー、涼しかった」
女幽霊「暑い~」
女幽霊「私、脱ぎますよ!?いいんですか!?」
男「さ~てと、明日は早いから寝るか」
女幽霊「…ちらっ」ヌギ
男「Zzz」
女幽霊「あーっと!これはキワドイ!!」ヌギヌギ
男「Zzz…」
女幽霊「せめて何かしらリアクションしてくださいよぉ!!」
女幽霊「へっくし!」
男「あーあーあんな格好で寝るからだ」
女幽霊「起きてたんなら無視しないでくださいよぉ!!」
男「お前に色気作戦なんて10年早いわ」
女幽霊「む~!!」
女幽霊「あ…」クラッ
男「幽霊なのに風邪引くとか…お前本当に幽霊か?」
女幽霊「幽霊ですよ!ほら!足がないのに浮いてるでしょ!?ほら!ほら!」
男「わかったわかった見せんでいい」
男「仕事行ってくる」
女幽霊「またお留守番ですかぁ?」
男「そのとおり」
女幽霊「むぅ」
仕事現場
男「はぁ…今日はモデルか」
女「ばーか、グラビアばっか撮ってるアンタが何言ってんの」
男「グラビアはあんま撮ったことないし」
女「さ、今日もばっちり撮ってよね!売れっ子カメラマン!!」
男「はいはい、頑張りますよ現場監督」
男「ふぅ、今日も疲れた」
女幽霊「おかえりなさいませ」
男「どうした」
女幽霊「新ジャンル・メイド幽霊ですよぉ♪」
男「服変わってないし…死装束のままだし」
女幽霊「だ、だってぇ…」
女幽霊「なにかご注文はありますでしょうか?ご主人さま♪」
男「とりあえず成仏してくれ」
女幽霊「はい♪かしこまりました…てできるわけないじゃないですか!」
男「うん、そのノリツッコミ寒いからね」
女幽霊「う…そんなこと…あるかな…」
女幽霊「朝ですよぉ…♪」
女幽霊「起きてくださぁ~い♪」
男「起きてる、起きてるからさ、上に乗るのやめてくれ」
女幽霊「あーッ!私に魅力がないと思ってる言い方!!」
男「はいはい」
男「今日は久しぶりに休みだからな、寝かせてくれい」
女幽霊「え~休みなのに寝るだけなんてつまんないですよぉ。遊園地行きましょ!ね!ね!!」
男「え~と、新しく買った塩は…と」
女幽霊「たまには家でゴロゴロもいいですよねぇ」
男「よし、今日は外食するか」
女幽霊「わぁい!」
男「お前は留守番だ」
女幽霊「へっ?」
男「想像して見ろ!端から見たら誰もいない筈の席に料理が置かれてて、それに向かって話してる男の姿とか不気味だろうが!!」
女幽霊「うっ…」
女幽霊「でも…せっかく…楽しみにぃ…」グスッ
男「…」
男「もしもし?あの~そちらのお店に完全個室の部屋とかありますかね?僕対人恐怖症でして、是非そちらに…あ、ありますか、ありがとうございま~す」ガチャ
外食先
女幽霊「やった♪」
男「これで満足か」
ウェイター「ご注文の方は…」
男「あぁ、煮魚定食と」
女幽霊「ハンバーグ!」
男「…ハンバーグ定食を」
ウェイター「え…お一人様で、お2つを?」
男「ははは…」
ウェイター「か、かしこまりました」
女幽霊「ごちそうさま」
男「いや、お前が食ったのはよくわかったよ?でもさ」
男「物理的にまだハンバーグ定食はサラピンなんだけど」
男「それを食うのは俺なんだけど」
女幽霊「ごちそうさまぁ」
男「おい」
男「もう食えん…」
女幽霊「ふぁいと!」
男「お前…22の若者にこんな重いもん食わせるとは…」
女幽霊「じゃ、ハンバーグ定食だけにしたらよかったじゃないですか」
男「いや、お前が煮魚をだなぁ」
女幽霊「えぇ~」
男「なんで休日のほうが疲れるんだよ…胃もたれやべぇ…」
女幽霊「アイス食べますぅ?」
男「それは俺への宣戦布告か?」
男「いくら胃もたれ中でも塩を撒く体力くらいはあるぞ!」パッパッ
女幽霊「ひぇええん!ごめんなさぁい!!」
女幽霊「うぅ…」
男「ったく…これに懲りて、俺への宣戦布告はやめなさい!」
女幽霊「嫌です!」
男「んなっ!?」
女幽霊「たとえ塩をかぶせられ、この私が消えようとも…私は男さんとの闘いからは逃げません!!」ドンッ
男「よし…かぶせてみようか」
女幽霊「今は休戦中です」
仕事現場
男「うっす」
女「遅刻」
男「いや、2秒じゃん…たったの…」
女「あんたねぇ、カメラマンで例えるとシャッターチャンスは2秒どころか1秒ないのよ!?」
男「う…なんか納得…」
女「罰として」
女「夕食、奢って」
男「あーもう!仕方ない!」
夜
男「最近順調?」
女「何が?」
男「色々」
女「うーん…まぁ、前に死んだときの年齢越えて今は社会人だから、何が上手くいってるのかわからないな」
男「まぁ、まだ若いもんなぁ」
女「ほんと…」
女「どう?いい人見つけた?」
男「何の」
女「彼女できた?ってこと」
男「いいや、全く」
女「だと思った」
男「そういうお前はどうだよ」
女「私の場合は仕事で忙しいからなぁ…」
男「逃げるな逃げるな」
男「ただいまー」
女幽霊「…」
男「ん?どうした」
女幽霊「最近…力が入らないんです…」
男「ん?」
女幽霊「霊力っていうのかな…そういうのが…もう…弱くなってる…」
男「おいおいどういうこった」
男「そんなもんはただの気のせいだ」
女幽霊「そうですかねぇ…」
男「大丈夫だって」
女幽霊「うーん…」
男「…てわけだ、ちょっと見てくれ」
女「あんたの家入るの久しぶり…今はマンションの一室だけど…」
女幽霊「……」
女「あぁ、なるほど、見える見える」
女幽霊「男さん」
男「ん?」
女幽霊「女さんってもしかして…」
男「ああ、こいつだ」
女幽霊「!」
女幽霊「…」
女「や、やだなぁ、そんな睨まなくても…」
女幽霊「男さん、この人との関係は?」
男「なにを疑ってる」
女「こいつとはあの世からの知り合い。幼馴染みの究極形みたいなもんかな」
男「あぁ、そんなところか」
女幽霊「む…」
女「う~ん、私にもちょっとわかんないなぁ…」
男「俺たちはすぐ成仏したからなぁ」
女「うん…」
女幽霊「ふぇえ、私、どうなっちゃうんですかぁ?」
男「ほら、チョコ食うと元気になるぞ」
女幽霊「チョコは嫌い!」
男「好き嫌いしてる間はまだ大丈夫かな」
男「寺の人に見せるか?」
女「あー駄目駄目、たぶん消されるから」
男「そっかー」
女幽霊「………」
男「とりあえずさ、気をしっかりもて、な」
女幽霊「ふぁい…」
仕事現場
女「あれ?今日は早いのね」
男「まぁな」
女「あの子の様子は?」
男「わからん。ジリ貧状態だなぁ」
女「うーん」
男「心配?」
女「まぁね」
男「…今日…話したいことが…あるんだけど、夜空いてる?」
女「んー、うん空いてる」
レストラン
男「ん…そろそろ時間なんだけど遅いなー」
男「ま、呼んだのはこっちだから、気長に待つか」
現場
女「あ、やば!約束遅れちゃう!!」
女「ごめんなさい!遅れちゃった!」
男「プライベートではお前が遅刻する側かぁ…」
女「う…仕方なかったの!」
女「で…話って?」
男「まぁ、とりあえず世間話からで」
女「う…うん…」
男「あの後…どうしたの?」
女「あの後?」
男「ほら、高校の卒業式。お前が大学行って、俺は専門行って…」
女「あぁ、はいはい。私のことを聞いてるの?」
男「うん」
女「そうね…とりあえず大変だった」
男「例えば?」
女「まず研修とかでしょー?それから…」
女「なんかレポートとか…」
男「違う…」
女「ん?」
男「そんなことじゃなくてさ」
男「…」
女「…」
女「…うん、知ってる」
女「あんたも鈍感すぎるわよ、何のために私がメディア系の仕事してると思ってんのよ」
男「?」
女「言ったでしょ?サポートって」
男「…あ…」
女「もう…偶然を装ってアンタにこぎつくまで苦労したわ。アンタ業界でひっぱりダコだから」
男「どうも」
女「でも…私はアンタのサポートがしたかった。なんかその勢いでこの歳で現場監督まで行っちゃったけど」
男「…女」
女「なぁに?」
男「結婚しよう」
男「………」
女「………」
女「ばーか」
男「…」
女「遅刻にも程があるわよ…」グスッ
女「大目に見てあげるのは…今回…だけだから…」グズッ
男「!」
女「えへへっ…!」ニコッ
男宅
男「ただいま」
女幽霊「あれ?やけに機嫌いいですね」
男「うん」
男「まさかなぁ…はは、あの世からの縁が…こうしてつながるとは」
男「それに…」
男「……ッ!!!」
男「おい!お前どうしたんだその体!!」
女幽霊「あは…もう…全然力が入りませぇん…」
男「消えかかって……!!」
男「お…おいっ!!」
女幽霊「もうわかりました…私…もう…」
男「おい…」
女幽霊「いつか…成仏しなきゃいけないっていうけど…なんだか強制的にさせられるみたいで…あは…」
男「笑ってる場合か!気をしっかり持て!!」
女幽霊「もう…ダメ…」
男「そんな…」
女幽霊「もし私にも…来世があるのなら…」
女幽霊「男さんに…もう一度…会いたい…」
男「………」
女幽霊「いつか…絶対…会いに行きますから…」
男「……」
男「あぁ…待ってるぞ」
女幽霊「最後に聞いていいですか?」
男「なんだ」
女幽霊「私のこと…好き?」
男「…」
男「お前がチョコを嫌うくらい…嫌いだよ…」
女幽霊「あはは…嘘つきっ…」
男「待ってるからな…」
女幽霊「うんっ………」
…………
5年後…
男「ふう…久しぶりの休みだ…」
女「もう…またグラビアばっか撮って…」
男「グラビアは撮りたいけど撮ってない!最近はもっぱらモデルとかサッカー選手とかだぞ?」
女「本当にぃ?」ニヤニヤ
男「そりゃ…ちょっとは…」
女「ほれ見たことか」バシッ
男「痛い!」
娘「パパ!ママ!ケンカはメッだよ!!」
男「大丈夫、たいていパパが負けるから…ほら、チョコあげようか?」
娘「あたしチョコ嫌ーい!!」
おわり
でも面白かった