銀「私、パンを焼くわ」
めぐ「……水銀燈?」
銀「教会に、大きなキッチンがあるのよ。きっと、教会にすんでた牧師が使っていたのね」
めぐ「なんで、パンを焼くの?」
銀「……別に、理由なんて無いわよ」
めぐ「……そう」
銀「そうよ」
元スレ
水銀燈の作ったパン1つ300円wwwwwwwww
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1259924144/
めぐ「水銀燈の作ったパンかぁ……。ね、出来たら食べさせてくれる?」
銀「何であなたにあげなきゃいけないのよ」
銀「あなたにあげるくらいなら、捨てるわよ」
めぐ「そう、残念」
めぐ「……残念」
銀「……」
銀「……気が向いたらね」
めぐ「え?」
銀「あなたが、食物を欲しがるなんて、珍しいし」
銀「栄養失調で倒れられても、私が困るのよ」
銀「じゃなきゃ、私があなたから満足に力を奪えないじゃない」
めぐ「……水銀燈」
めぐ「うん、そうね」
銀「ほら、わかったら、その不味い食物も食べなさい」
めぐ「水銀燈、一緒に食べよ?」
銀「やぁよ。そんなものいらないわよ」
銀「それに、食べなくても私は生きていけるの」
めぐ「そうなの?」
銀「当たり前じゃない。人形なのよ」
桜田家
翠「はむはむっ……はふっ、はふ、ガツガツ!!」
雛「んぐんぐ、ごくっ、がふがふっ……もぐ!!」
紅「………………」モクモク
ジュン「おまえら、ホント食い意地はってるよな」
翠「当たり前です!!食べることは生きることです!!」
雛「生きるって事は、体に物を取り込むことなのよ!!」
紅「………………」モクモク
ジュン「人形はみんなこうなのか?金糸雀も、卵焼きとか好きだったはずだし……」
雛「デザートのうにゅー!!」
ジュン「…………はぁ」
銀「…………っ」イラッ
めぐ「どうしたの、水銀燈?」
銀「今、物凄く頭にきたわ」
めぐ「そう。どうしてかしらね」
銀「……とにかく、パンを作るのに必要なものを探してくるわ」バサッ
めぐ「……またね、水銀燈」
銀「…………ふん」バサァ
めぐ「パン、かぁ。水銀燈はやっぱり洋食派なのかぁ……」
銀「ともかく、まず水を用意しなきゃ……」
銀「水道は止まってるから、綺麗な水が無いと何も出来ないわぁ……」
銀「あとは火ね。この時代、ガス……だったかしら。めぐの見てたテレビで、値段があがったとかどうとか……」
銀「……ま、なんとかなるわよね」
銀「……違うわ、なんとかするのよ」
銀「絶対に」
nのフィールド 2685423番目の世界
銀「……水。波も風も、何もない一面の水」
銀「綺麗な水。澄んでて、煌めいて、軟らかな……」
ちゃぷっ
銀「……」コクッ
銀「……美味しい……」
銀「この水な……ら……」
銀「………………」
銀「入れ物……」
パタパタパタパタ
銀「水は手に入ったけど、問題は材料よね……」
銀「強力粉、イースト、砂糖にバターに……」
銀「これが問題よね。……ん?」
ワーワー チビイチゴ!! ヒナノウニュー クンクン!!クンクン!! オマエラウルセー!!
銀「真紅と、人間の家……」
銀「…………!!」ピーン
ジュンの部屋
ジュン「お、これは買い……か?」
翠・雛「デスビーム!!デスビーム!!」
ジュン「あぁうるせぇ。はい、ハッカアメ」
雛「んゅ……甘いの……甘いの……」カラコロ
翠「それに……ん、スーってするです……んむんむ」カラコロ
ジュン(よし、10分は静かになるかな)
紅「あぁ……クンクンの名推理がまさか文庫で味わえるなんて……」
ジュン(あっちもしばらくはおとなしいな。……ん?)
ジュン「おぉぉぉ!!すごい、宇宙人愛用の眼鏡!!これは胡散臭い!!」
銀「………………」ジーッ
銀「あの娘達は放っておいても安心ね。問題は……」
ガサッ
金「ふふふ……失敗を重ね、カナは成長するのよ。今日こそ、カナの侵入テクを……」
ガシッ
金「……がしっ?」
金「…………」チラッ
銀「…………」
金「…………」
銀「…………ふっ」ニヤ
金「 」
金「あの、すみません。悪気は無かったんです。だからあの、親とかには……」
銀「何言ってるのよ。それより、私の話、聞いてたんでしょぉ?」
金「あ、あぁ。えっと、パンの材料を盗むから手伝えと……」
銀「そ。あなた、知ってるわよね。パンの材料」
金「強力粉、ドライイースト、塩、砂糖、バター、ショートニング、水、脱脂粉乳……だったかしら」
銀「あーら、ちゃんと知ってるのねぇ、偉いわぁ。策士を自称するだけあって、知識だけはあるのね」
金「そ、それほどでも……」テレテレ
銀(……皮肉が通じないのよね、この娘)
金「桜田家には、ここから入れるかしら」
銀「ここって……やだ、トイレじゃなぁい」
金「え、……何か問題が?」
銀「やぁよ、私。こんなところから入るの」
金「でめ、ここが一番……」
銀「何度言われても嫌。大体、こんな不衛生な場所にすら、私は触れたくないの」
銀「人間の不浄を捨てる場なんて、絶対嫌よ」
金(いつもここから入ってるカナの立場が……)
金「というわけで、普通にベランダから侵入したかしら」
銀「はじめからこっちにしなさいよ」
金「潜入の醍醐味という奴よ」
銀「キッチンは向こうね……」
金「早く用をすませるかしら!!」
銀「……随分収納が多いのね」
金「収納が多いキッチンは主婦の憧れかしら」
銀「この箱は?」
金「冷蔵庫ね」
銀(うそ、めぐの部屋にある奴の何倍の大きさよ……これ……)
銀「この箱は?」
金「電子レンジね。食物を温める箱よ」
銀「……今の時代には、食物を冷ます箱も、温める箱もあるのね」
金「ちなみに、食物を細かく刻んでジュースにする大きなコップもあるかしら!!」
銀「あっちの箱、人を映すじゃなぁい?」
金「あぁ、テレビ」
銀「あっちの箱は、真紅がキラキラ光る円盤を入れていたわ」
金「あれで記憶媒体から映像を読み取り、テレビに映すのよ」
銀「はぁ……」
銀「この時代の箱は何でも出来るのね」
金「ねー」
銀「……あ、閃いた」ピーン
金「何?」
銀「人を箱に入れるのよ」
金「箱に?」
銀「そう。人、一人分の箱。宿代わり貸すの」
金「……ほぅ」
銀「小さな箱なら、場所もとらないし、このゴミゴミした国でも省スペースで宿を貸せる」
銀「一夜だけ、寝るだけなら、たいした場所も必要ないじゃない」
金「はー、なるほど」
銀「ボックスホテル、これね」
金「さ、さすが水銀燈!!恐ろしい発想!!」
銀「ふふん」
※カプセルホテル
銀「そんな事は良いわ。パンの材料を探すわよ」
銀「…………」ソワソワ
金(絶対ボックスホテルの事考えてる……)
金「えっと、お砂糖はあったわ」
銀「……これは、えっと、……読めないわ」
金「漢字ね。こんな時こそ、漢字辞典!!これで漢字を調べて……」
金「……しら……」
銀「だから、読めないのよ」
金「………………」
金「デン、プン。……グリア……ジンと、ぐ、グルテニン?が、……12%」
金「おぉ!!これは強力粉!!」
銀「……成分で判別するの」
金「ギリギリ、カタカナが読めて助かったかしら」
銀「読めるの、カタカナ」
金「塩も見つけたかしら。大体砂糖とセットね」
銀「……冷蔵庫に入ってるこれ、もしかしてバター?」
金「えっと、……ば、ばた……?何かしらこの線」
銀「ばた、まで言ったらバターしかないじゃない。これがバターね」
金「あとは、ショートニングにドライイースト、脱脂粉乳……」
銀「……見つからないわね」
銀「skimmed milk……あったわ、脱脂粉乳」
金「あとはドライイーストにショートニング」
のり「はい、ドライイースト」
金「あ、ありがとうかしら!!」
のり「ショートニングはこれよ」
銀「あら、気が利くじゃない」
のり「うふふ、ありがとう」
金「………………」
銀「………………」
のり「………………」ニコニコ
金・銀「……っっ!!」ババッ
のり「あらあら」ニコニコ
金「ごめんなさいごめんなさい……警察は、警察は、親には知らせないで……」ガタガタ
銀「……」ギリッ
のり「つ、通報なんてしないわカナちゃん」オロオロ
金「あぁぁぁありがとうございますぁぁ……」メソメソ
銀「人間、これらの材料は頂いていくわ。もうこれは私のモノなの。返してって言っても返さな……」
のり「あ、うん。良いわよ」
銀「……は?」
のり「パン作るんでしょう?美味しいパンが出来ると良いわねぇ」ニコニコ
銀「……」
銀(な、何この人間。何でこんなに笑顔なのよ……)
銀(……私の事を驚異だなんて、微塵も感じてないのね)イラッ
銀「……ふん。なら、遠慮なく頂いていくわ」バサァッ
バサッ バサッ……
金「よ、よかったの?」
のり「何が?」
金「え、だって、材料を……」
のり「あの娘、カナちゃんのお知り合い?」
金「カナの、カナのたった一人のお姉さんかしら」
のり「カナちゃんのお姉さんが、悪い娘のはずないじゃない」
金「………………」
金「………………っ!!」パァァァァッ
のり「じゃ、おやつにするからみんなを呼んできてくれるかな?」
金「了解かしら!!」
銀「材料は手に入った。水もある」
銀「……焼き上げるための火が無い……」
銀「教会のキッチンは形だけ。火が点かないし水も出ない」
銀「あぁ……。迂闊だったわねぇ」
銀「真紅の家にはもう近づきたくない」
銀「他に行ける場所……」
銀「…………あー……」
銀「ガスがあれば良いのよ、たぶん。……可燃性の」
銀「……最終的には薪よねぇ。釜で焼くことになるのかしら」
銀「私の火じゃ焼けないわよねぇ……」
銀「……困ったわぁ……」
?????
銀「ま、使える場所はここだけよね。仕方ないわ」
銀「えっと、脱脂粉乳はだまにならないように……」
銀「ショートニング……バター……」
銀「練って……練って……」
銀「やだ、変な感触。……でも、我慢しなきゃいけないのよね……」
銀「んっ……んっ……っと。……どれだけ捏ねれば良いのよ……」
銀「はぁ……。記憶だとこんな作り方であってるはずだけど……」
銀「テーブルに粉ふっておかなきゃ……」
銀「んー、こんな感じかしら。だんだん気持ち良い感触になってきたわね」
銀「……打ち付けたりするのかしらね」バンバン
銀「まんまる……に、して……」
銀「……ん、あとは発酵させるのよね」
蒼「………………」
銀「確か、30度で45分くらいかしらね」
蒼「………………」
銀「待ってる間暇ねー」
蒼「………………」
場所:結菱邸 厨房
雛「起立!!」
紅「……」
雛「礼!!」
紅「……」ペコ
雛「休め!!」
紅「はぁやれやれどっこいしょ。……あ、どっこいしょって言っちゃった」
雛「小休止!!」
蒼「……水銀燈」ギラリ
銀「あぁら、蒼星石じゃない。鋏なんか出して怖い顔して……」
蒼「……ここはマスターの家だ。僕がいるのは当然だろう」
銀「わかってるわよ。別に今は迷惑かけてないし、アリスゲームの気分じゃないの」
蒼「そうだね。僕も今日は気分じゃぁない」
銀「じゃあ消えなさい。……目障りなの、貴女」
蒼「同感だよ、まったく僕も同意見だ」
蒼「その黒い翼、散らしてみるかい?さぞ、美しいだろうね」ギラ
銀「やぁよ、厨房が汚れちゃうじゃない」
蒼「水銀燈ぉぉぉぉっ!!!!」バッ
銀「待ちなさい!!」
蒼「っっ!!」ビクッ
蒼「……まさか、怖じ気付いたかい?」
銀「………………」
銀「危なかったわ、30度じゃなくて40度になってた。ふぅ、気付いてよかったぁ……」
蒼「………………」
銀「ちょっと、私は忙しいの。出ていって」
バタン
蒼「………………」
蒼「………………」
バンッ
蒼「水銀燈ぉぉぉっ!!」
銀「うるさいわねぇ!!」
蒼「今すぐこの屋敷から出ていくんだ!!君が何を企んでいるかはわからない!!
エプロンして厨房に立ち、君が何を考えているか予想もつかない!!しかし、君にはここから出ていってもらう!!」
銀「出ていくわよ!!三時間くらい待ちなさいよ!!」
蒼「三時間ってなんだその微妙な時間設定はぁぁ!!!!」
銀「パン生地の発酵と焼き時間よぉっ!!」
蒼「………………」
銀「………………」イライラ
蒼「…………パン?」
銀「パン」
蒼「……あのふわふわした?」
銀「パン」
銀「よっ……あとは焼きあげを待つだけね」
蒼「……まさか、本当にパンを焼くだけなのかい?」
銀「……教会、火を使えなかったのよ」
蒼「なぜここで」
銀「ここ以外にあるの?あるなら、そっちを使ってるわよ」
蒼「なぜパンを」
銀「貴女に言う意味があるの?」
蒼「……焼き上がり、君が帰るまで鋏はしまわない」
銀「構わないわよ。……それに、貴女私に勝てると思ってるの?」
蒼「試すかい?」
銀「やぁよ、怖いもの」クスクス
蒼「…………」
銀「……時間ね。オーブンを開けるわ」
蒼「…………」チラッ
銀「な、何見てるのよ!!」
蒼「本当に焼き上がったのがパンかどうか確かめるだけさ」
銀「そんな必要……ないじゃない……」ギギギ
蒼「いいやっ、僕には……確かめる義務がある……」グググ
銀「しつ……こいっ!!」
ガチャッ
ほわっ
銀・蒼「っっ!!」
蒼「む、胸いっぱいに広がる、イーストの香ばしいかおり……」
銀「軟らかく、ほんのり甘味のあるこの匂い……」
ゴソゴソ
銀「……焼き上がった……」
蒼「……食パン……」
銀・蒼「…………」ジュル
銀「はっ!!ダメよ!!貴女にはあげないわよ!!」
蒼「ほ、ほしいなんて一言も……っ!!」
銀「目輝かせて涎出すんじゃないわよ!!乙女でしょ!?」
蒼「ち、ちょうだい!!僕にちょうだい!!」
銀「幼くならないでよ!!」
銀(……美味しく出来たかしら)
銀(……もっと、美しく焼けるかしら)
蒼「……水銀燈、もう一度聞かせてくれないかな」
蒼「なぜ、パンを?」
銀「………………」
銀「私は、アリスになるのよ」
蒼「アリスになるために?」
銀「違うわよ」
銀「アリスになれば、お父様と一緒に過ごせる。お父様と暮らせる」
銀「そうしたら、私がお父様の食事を作るわ」
銀「お父様が、毎朝喜んで食べてくれる、ふわふわのパンを」
銀「私はね、貴女たちとは違い、アリスになった後の事まで考えてるのよ」
蒼「アリスになった、後……」
銀「私は、お父様に笑顔でいてほしい」
銀「私は、お父様に美味しいものを食べてほしいの」
銀「私は、お父様が幸福であってほしい」
銀「生きるって、体にモノを取り込むことでしょ?」
銀「私は、普段食事をしないけど、お父様には、良い食事を……とってほしい」
銀「それは、貴女だってそうじゃないの?」
蒼「………………」
銀「邪魔したわね」バサァッ
蒼「………………」
蒼「…………食事……」
一葉「蒼星石、こんなところにいたのか。何をしているんだい?」
蒼「……マスター、お願いがあります」
一葉「ん?なんだい?」
蒼「今日の夕食、僕にも手伝わせてください」
金「みっちゃんとお料理かしらー!!」
みつ「カナとお料理なんてひさしぶりーっ!!じゃあ今日は、カナの大好きな~……」
金「か、カナの大好きな……?」
みつ「玉子焼きにしましょう!!」
金「きゃぁぁぁっ!!みっちゃんだいすきー!!」
みつ「私もよカナァァァア!!」グリグリ
金「マサチューセッチュゥゥゥ!!!!」
翠「ほら、今日のはなまるハンバーグは翠星石も手伝ったですよ」
雛「ヒナは卵さん割ったのー!!」
紅「私は食器を出したわ」
のり「みんなで作ったのよー」
紅「私は食器を出したわ!!」
ジュン「なんだ、今日はどうしたんだ?」
翠「べっつに~。意味なんてないですよー」
雛「美味しいものを食べたら、ジュンが元気になるって翠星石が……」
翠「キィィィィィィッ!!」
ジュン「ん、……そ、そっか」テレ
紅「食器を出したわ!!!!」
ジュン「あーはいはい。ほら、ハッカ」
紅「……甘いわ……すーってするわ……んむ」カラコロ
銀「……めぐ、また病院食残したのね」
めぐ「だって、あんな不味いの、食べたくないもの」
銀「……味はまだ見てないけど、……パンを作ったわ」
めぐ「え、うそっ!!水銀燈がっ!?」
銀「捨てても邪魔だし、客観的な意見がほしいの。……ほら、食べなさい」
めぐ「食べる食べる♪」
銀「……」
めぐ「美味しいっ!!美味しい水銀燈!!」
銀「そ、……そう」
めぐ「あー、なんか食べただけで元気が出てくる。私生きちゃう」
銀「大げさよ」
めぐ「……生きるって、食べる事なのね」
銀「……人間は、食べることで、体をつくのよ」
めぐ「んー、美味しい」
銀「ちょっと、私はまだ食べてないのよ。私にもよこしなさいよ」
めぐ「美味しい♪」
銀「……もう」
おわり
翠「……翠星石、将来はパン屋さんになりたいんですよ」
蒼「へぇ、知らなかったな。翠星石に、そんな夢が。……なんで、パン屋さんに?」
翠「……毎日、素敵な香に包まれて、ふわふわの美味しいパンが、食べられるからですね」
蒼「はは、君らしいよ」
翠「そして、みんな翠星石のパンで笑顔になるです」
蒼「……そうだね」
翠「翠星石は、将来は何になるですか?」
蒼「僕は、……花屋さん、かな」
翠「翠星石も、お花屋さんかパン屋さんで迷ったですよ」
蒼「僕は、君のパン屋さんの前に、花屋さんを作る」
翠「なんでですか?」
蒼「僕の育てた花の香と、君のパンの香。道を挟んで、二つの良い香が交ざりあえば、きっと、すごく幸せな香になる」
蒼「僕の花を見ながら、翠星石のパンを、みんなが食べる」
翠「……良いですね」
蒼「うん」
ジュン「………………何してんの」
翠「青春ごっこ」
蒼「ジュン君は、隣の骨董屋さんね」
ジュン「やらねーよ」
銀「パン、いかが?」
雛「はわぁ……」キラキラ
銀「貴女に売るパンは無いわよ」
雛「……ヒナ、お友達にパンをあげたいの」
銀「……そう」
雛「ごめんなさい、お金もないのに見てて」
銀「迷惑よ」
雛「ごめんなさい」トボトボ
銀「…………」
銀「これ、いらないからあげるわ」
雛「え……これ、パン?でも、ヒナ300円無いの……」
銀「私が私に買ったのよ。でも、お昼はピラフを食べたの。いらないから、あげるわ」
雛「あ……ぁ……」
銀「…………ほら」
雛「ありがとうなの!!」
銀「別にぃ……」
巴「桜田くんは、将来は何になりたいの?」
ジュン「……パン屋さん、かな」
巴「どうして?」
ジュン「パンに、唾液を入れて、もっさりしたパンを、小さい子が食べるのを見下したいから、かな」
巴「そう。……病院、いこっか」ニコ
ジュン「はは、大丈夫、自覚あるから」
巴「よかった」
ジュン「あぁ」
金「卵パン!!」
銀「何よ、それ」
金「卵を使った、ふんわりパン!!」
銀「カロリー偏りそうね」
金「殻も入れるからカルシウムもばっちり!!」
銀「貴女、お店潰す気ね」
紅「……パン、パン」
ジュン「……何してんだあいつ。パンに語ってる」
紅「聞こえてるんでしょ?わかってるのよ、のりに聞いたもの。あなた、耳があるんでしょ?」
ジュン「………………」
ジュン『……真紅ちゃん、真紅ちゃん』
紅「しゃべった!!しゃべったわ!!」
ジュン『いつも美味しく食べてくれてありがとう!!』
紅「い、いえ、そんなっ……」アタフタ
ジュン「………………」
巴「桜田くんは、どんなパンを作るの?」
ジュン「そうだな……。足の裏で作るかな」
ジュン「間接的に、みんなが僕の足の裏を舐めるんだ」
ジュン「……ぞくぞくするよね」
巴「そっか。……警察よぼっか」
ジュン「“まだ”してないから大丈夫」
巴「よかった」
銀「一つ300円よ」
翠「お一つくーださい」
銀「貴女は500円」
蒼「一つもらえるかな」
銀「……まあ300円で良いわ」
金「卵ください」
銀「帰りなさい」
紅「一つ頂くわ」モグモグ
銀「泥棒よおまわりさん!!」
紅「モグモグ……」
雪「………………出番なかった」
銀「………………」
雪「………………」
銀「まぁ、食べなさい」
雪「………………」
雪「………………」スカッスカッ
雪「………………触れないです」
雪「………………」
雪「………………ぐすっ」
銀「わ、わざとじゃないわよ」
紅「パンを作ったわ」
ジュン「あー、真紅、まだ日本語完璧じゃなかったか。これな、消し炭っていうんだ」
紅「パンを作ったのよ」
ジュン「英語にするとダークマターかな、うん。またひとつかしこくなったな」
紅「パンを作ったの」
ジュン「はい、ハッカアメ」
紅「あぁ……甘いわ……スースーするわ」カラコロ
ジュン(よし、10分は逃げられる)
銀「手作りパン、一つ300円よぉ」
ジュン「一つくれよ」
銀「あなたに売るパンは無いわ」
みつ「一つくださいな」
銀「あなた誰よ」
槐「一つ……頂けないかな」
銀「絶対嫌」
一葉「一つほしいな」
銀「スーパーにでも行けば?」
めぐ「水銀燈、お腹すいちゃった」
銀「また?仕方ないわね」
薔「……パン………ふわふわ」
銀「ちょっと、指で触らないでよ、売り物なのよ?」イライラ
薔「……指……」
薔「………………」ピキピキ
銀「水晶もダメ。ていうか、パンに刺さるでしょ、やめなさい」
薔「………………」
薔「パン……一つ、ほしい」
銀「600円よぉ」
巴「桜田くん、私もパン作りたい」
ジュン「じゃあ、僕がテーブルになるから、僕の上で捏ねたり叩きつけたりして」
巴「やだ、桜田くんたら。ふふ……」
ジュン「はははっ」
巴「ふふふ……」
ローゼン 冬のパン祭り
水銀燈のパン屋さんでパンを買うと、ポイントがもらえる。ポイントをためて、素敵なお皿をもらっちゃおう。
ジュン「………………ふーん」
銀「………………ふわぁ」
ジュン「パン一つください」
銀「やぁよ」
ジュン(お皿ほしいなぁ……)
銀「新作のブラックベリーパンあるわよぉ。300円よ」
翠「くーだーさーい」
銀「500円」
蒼「もらえるかな」
銀「300円」
金「卵パンをくーださい」
銀「無いわよ」
紅「モグモグ……」
銀「捕まえたわっ!!」ガシッ
紅「ふもが、もぐんぐ、もがががっ!」
銀「行儀が悪いわよ、ちゃんと飲んでから喋って」
紅「………………ごくん」
紅「私は食べてないわ」
銀「おまわりさーん」
ジュン(友人からポイントをもらったぞ)
ジュン「お皿、ほしいんだけど」
銀「やぁよ」
ジュン「………………」
ジュン(嫌われすぎじゃないかな)
王さまと幸せのパン職人
王さま「町一番のパン職人とはおぬしか」
銀「人違いじゃないのぉ?」
王さま「人違いか」
銀「人違いよ」
王さまと幸せのパン職人 完
ジュン「パンください」
銀「パンはパンでも食べられないパンは?」
ジュン「……フライパン?」
銀「正解は、あなたにとっての私のパンよ」
ジュン「………………」
クンクン『凶器は冷凍したパン。犯人は殺害後、パンを解凍して食べたんだ……』
紅「………………」ハラハラ
翠「真紅、パンを食べますかー?」
紅「す、翠星石、あなた!?」
翠「おやおやなんですかぁ?ひっひっひ……」
紅「………………」ガタガタブルブル
134 : サボテン ◆WWLovejExI - 2009/12/05(土) 05:56:33.61 Trt3iAC3O 60/60危ない。これ寝呆けてる……。
寝ます。また時間あれば遊びたいです。皆さん、素敵な土曜日を満喫してください。