1 : 以下、2... - 2014/03/17 23:43:41.27 yGR68uUy0 1/401


スレタイからして手遅れな気がしますけど、叛逆のネタバレ有りです。

映画見てない人への配慮なんて、あるわけないです。

基本、叛逆前の世界で進行します。そもそもの設定に致命的な矛盾が存在するけど、キニシナイ。

投下速度たぶん遅いだろうけど、遅くとも叛逆の円盤発売前までには完結させる。

今度こそクララドールズを活躍させるんだ……!





元スレ
偽街の子供達「ご主人様!」メガほむ「ご主人様!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395067421/

2 : 以下、2... - 2014/03/17 23:48:09.03 yGR68uUy0 2/401



メガほむ(あ、ありのままいま起こったことを話すよ!)

メガほむ(退院して今日から一人暮らしをするマンションに入ったら、すでになんかたくさんの子供達がいて初対面なのに『ご主人様』って呼ばれた)

メガほむ(何を言ってるかわからないと思うけど、何が起こったかわたしにもわからない!)

メガほむ(なにこれ? 幻覚? 幻覚なの!?)

マヌケ「ご主人様?」

オクビョウ「どうしたの?」チョンチョン

メガほむ(裾を引っ張られてる……やっぱり幻覚じゃないのかなぁ)



3 : 以下、2... - 2014/03/17 23:54:55.23 yGR68uUy0 3/401


メガほむ「あっと、その、あなたたち、誰なの……? おうち、間違えてないの、かな?」

レイケツ「ダレ?」

ネクラ「ダレっていわれても……」

ウソツキ「だれだろう?」

オクビョウ「色から生まれたけど」

イバリ「誰でもないよ」

ノロマ「おうちは?」

ガンコ「空にはなくて」

ナマケ「ここにあるね」

メガほむ「…………」

メガほむ(……意味がわからない!)



4 : 以下、2... - 2014/03/18 00:00:35.54 hUPzjOOo0 4/401


メガほむ(どうしよう……どうしよう……。なにを言ってるのこの子たち。わけがわからないよぅ……)

ヒガミ「ボーっとしてる」

ヤキモチ「カナメマドカがいないのにボーっとしてる?」

ノロマ「どうしたのかな」

ワガママ「ご主人様ー?」

メガほむ「え、えっと、あなたたち。その、ご主人様ってわたしのこと……?」オドオド

偽街の子供達「うん!」

メガほむ「あ、やっぱりそうなんだ……」

偽街の子供達「?」

メガほむ(わたし、なんでこんな小さい子たちからご主人様だなんて呼ばれてるの……?)



6 : 以下、2... - 2014/03/18 00:05:07.72 hUPzjOOo0 5/401


イバリ「どうしたんだろう?」

ヒガミ「変だね」

マヌケ「変かな」

ワガママ「変だよ!」

ワルクチ「いつも変だけど?」

ナマケ「今日はいつもより変」

メガほむ「その、あなたたちのご主人様ってどんな人なの?」

レイケツ「なに言ってるの?」

ヤキモチ「目の前にいるよ?」

メガほむ「そうじゃなくて、その……そう、見た目とか! どういう外見の人なの?」

ナマケ「見た目?」

オクビョウ「見た目……」



7 : 以下、2... - 2014/03/18 00:08:55.11 hUPzjOOo0 6/401



ヤキモチ「鏡もってくる?」

ナマケ「めんどくさいから口で言おうよ」

ガンコ「そうだね」

メガほむ「うん、わたしとしてもそっちのほうが助かるかなぁ……」

メガほむ(というか、鏡を持ってこられても困るよぅ)

イバリ「そっか」

ワガママ「ご主人様はね」

レイケツ「髪が黒くて」

ミエ「ストレートロングで」

ワルクチ「いつもクールぶってる」

ヒガミ「愛の人」

メガほむ(……愛?)



8 : 以下、2... - 2014/03/18 00:10:18.26 hUPzjOOo0 7/401



メガほむ「ええっと、眼鏡は? それと、黒髪ストレートって言ってたけど、こんな三つ編みとかは……」

イバリ「眼鏡?」

ウソツキ「かけてたような……」

ネクラ「三つ編みは?」

オクビョウ「していたような……」

ナマケ「でもいまはほどいてる」

ワガママ「眼鏡もかけてない!」

ノロマ「黒髪ストレートだよ」

ミエ「それでクールビューティーぶってる」

ガンコ「そんなご主人様」

メガほむ(……やっぱり、わたしじゃないよぅ)



9 : 以下、2... - 2014/03/18 00:19:09.78 hUPzjOOo0 8/401


メガほむ(うぅ。どうしよう。この子たち、帰る気配がまったくないよぅ)チラチラ

ミエ「なんか部屋、いろいろ変わってない?」

マヌケ「そう?」

ヒガミ「変わってるよ。ものがないもん」

ナマケ「どうでもいい」

ネクラ「どうでもいいかな?」

レイケツ「どうでもいいよ」

メガほむ(そしてこの、我が家にいるような遠慮のなさとくつろぎようはなんなんだろう。入居したてのわたしよりも、よっぽどなじんでる……)



10 : 以下、2... - 2014/03/18 00:23:31.00 hUPzjOOo0 9/401




12 : 以下、2... - 2014/03/18 00:26:02.50 hUPzjOOo0 10/401



~叛逆後世界~


デビほむ「……やっぱりいないわね」キョロキョロ

QB「どうしたんだい、ほむら」

デビほむ「あら、インキュベーター。あなた、私の使い魔たちを見なかったかしら?」

QB「見ていないよ。おかげで今日はとても平和だったからね」

デビほむ「そう……それは残念だわ」

QB「そうかい。それより、彼女たちがどうかしたのかい?」

デビほむ「夕ご飯の時間なのに帰ってこないのよ。どうしたのかしら」

QB「へえ。というか、彼女たちはご飯を食べるのかい?」

ほむら「ええ。だいたい夕食時には帰ってきてたのだけれども……どうしたのかしら? あなたの様子だと、インキュベーター狩りに熱中しているわけでもなさそうだし」

QB「さあね。僕にはわからないよ」








13 : 以下、2... - 2014/03/18 00:29:09.39 hUPzjOOo0 11/401


ワガママ「あ!」

メガほむ「ひゃっ。な、なに?」

ワガママ「ご飯!」

メガほむ「ご、ご飯?」

ミエ「うん。ご飯の時間」

メガほむ「ええっと、おなかがすいたの?」

ネクラ「おなかはすかないけど」

ワガママ「ご飯は食べたい!」

メガほむ「じゃあおうちに帰るとか……」

マヌケ「家?」

ヒガミ「ここだよね」

メガほむ「どういうことなの……」

レイケツ「いいからご飯」

ノロマ「はやくー、はやくー」

メガほむ「え、ええ、ええええっ?」

メガほむ(自分の分まで含めて十五人分。……ど、どうしよう!)



14 : 以下、2... - 2014/03/18 00:50:51.70 hUPzjOOo0 12/401


レイケツ「ごちそうさま」

メガほむ「ごちそうさま……」

メガほむ(お皿とかは、お弁当箱も使って頑張って回し回しで何とかなったけど、初日で買いだめた食材はすっからかん……。明日も買出しにいかなきゃ)

マヌケ「でもいつもと味が違ったような?」

オクビョウ「いつものご主人様ものとは違ったね」

ノロマ「なんでだろう」

メガほむ(そりゃ別人が作ったものだもん。ていうか、狭いよ。よく考えなくても、十五人も入れる部屋じゃないよね、ここ……)

ワガママ「味はまあまあだった」

ウソツキ「おいしかった」

ガンコ「おいしかった?」

ミエ「まあまあだったよ」

メガほむ(お料理にはダメ出しされちゃってる。……自信、あったんだけどなぁ)ショボーン



15 : 以下、2... - 2014/03/18 00:53:18.01 hUPzjOOo0 13/401




16 : 以下、2... - 2014/03/18 00:53:49.08 hUPzjOOo0 14/401


~叛逆後の世界~


デビほむ「ごちそうさま」

デビほむ「……」

デビほむ「……結局、戻ってこなかったわね。まあ、そのうちひょっこり戻ってくるとは思うのだけれども」

デビほむ(とはいえ、この目の前に並んだ、自分の分を抜いての十四人分の残飯。……どうしましょう、これ)

QB「やあ、ほむら。今日は一日自分の使い魔を探していたみたいだけれども、見つかったかい?」

デビほむ「いいえ」

QB「そっぱりそうかい。実は僕も気になって探してみたけれども、少なくともこの見滝原にはいないようだよ」

デビほむ「……あなたたちがそんな調べ物をしてくれるなんて意外ね」

QB「彼女たちの所在の有無は、僕たち固体数に大きくかかわることだからね」

デビほむ「そうだったわね。あなたたちは、そういうやつらよね」

デビほむ(でも、見滝原にあの子たちがいない……?)

QB「それで、どうするんだい、ほむら?」

デビほむ「そうね……とりあえず、インキュベーター」

QB「なんだい?」

デビほむ「あなた、これ食べる?」







17 : 以下、2... - 2014/03/18 01:05:52.67 hUPzjOOo0 15/401


メガほむ(さて、引っ越しの荷解きと部屋のセッティングは終わった。後は――)

イバリ「部屋にものがふえたね」

ミエ「うん」

ヤキモチ「でも、見たことないものばっかり」

メガほむ(――この子たちをどうにかするだけだ……)

ヒガミ「でも新鮮かも」

ネクラ「確かに」

ウソツキ「うんうん」

メガほむ(よくわからないうちにご飯まで振舞ったっちゃったけど、ちゃんと帰ってって言わないと。うん! 相手の目を見て、毅然とした態度で言えば大丈夫。年下相手だし……よし!)

メガほむ「あの、あなたたち!」キッ

ワルクチ「どなるな。やかましい」

レイケツ「うるさい。なにか用なの」

メガほむ「あ、あぅ……」シュン




26 : 以下、2... - 2014/03/18 23:27:21.92 hUPzjOOo0 16/401


ナマケ「で、何なの?」

メガほむ「あー、えっと、そのぅ……」オドオド

ノロマ「はやくー」

メガほむ「わ、わたし寝るね? 退院したてだから、お薬飲んですぐ寝なきゃいけないんだ!」

ワガママ「そうなんだ」

ガンコ「なら寝なきゃね」

メガほむ「うん、そうだね……」

メガほむ(自分の気の弱さが恨めしいよぉ……)



27 : 以下、2... - 2014/03/18 23:30:38.53 hUPzjOOo0 17/401



メガほむ「それでなんだけど、あなたたちは―― 」

レイケツ「お休みなさい」

ネクラ「わたしたちも寝る?」

ワルクチ「寝なくていいでしょ」

ナマケ「わたしここで休んでる」

ヤキモチ「じゃあわたしも」

ヒガミ「ならわたしだって」

イバリ「今日はみんなでここにいよっか」

ガンコ「そうしよう」

メガほむ(当然のように泊まるつもりだ……)




28 : 以下、2... - 2014/03/18 23:49:26.65 hUPzjOOo0 18/401



~翌朝~


メガほむ「ふわぁあ。えっと、眼鏡眼鏡」

メガほむ(ううん。それにしても変な夢を見たなぁ。引っ越し初日に子供が居つくなんて、ありえないよね)

メガほむ(そう。昨日のあれは、きっと夢――)カチャリ

イバリ「おはよう」

ワガママ「おはよう!」

メガほむ「……おはよう」

メガほむ(――じゃないよねー、やっぱり)



30 : 以下、2... - 2014/03/19 00:11:07.19 h7AXSU+U0 19/401


イバリ「今日は何をしよっか」

ネクラ「インキュベーターを狩る?」

ワガママ「とりあえず遊ぼうよ!」

メガほむ(やっぱり部屋に子供たちが――あれ? でも人数がずいぶん減ってる気がする)

メガほむ「えっとぉ……」

ノロマ「うん?」

ガンコ「どうしたの」

メガほむ「その、昨日よりちょっと人数が減ってるなーって思って、うん。それだけ、何だけど……」

イバリ「うん」

ミエ「減ってるよ」

ワガママ「ちょうど半分減ってる!」

ヤキモチ「半分は学校に行ってるよ」


31 : 以下、2... - 2014/03/19 00:15:43.65 h7AXSU+U0 20/401


メガほむ「あ。そっか。そうだよね。学校かぁ。今日は平日だもんね」

ガンコ「そうだよ」

ノロマ「ご主人様は学校に行かなくていいの?」

メガほむ「わたしは、転校までにまだちょっと日があるから……」

イバリ「転校?」

メガほむ「うん。つい昨日までと入院してたから。……というか、あなたたちは学校に行かなくていいの? ほかの子たちは学校に行ってるんだよね?」

ネクラ「だって学校に行くのは交代だもん」

ヤキモチ「半分が学校に行って」

ワガママ「残りの半分は遊ぶ!」

メガほむ(小学校ってそんな制度だったっけ……)



33 : 以下、2... - 2014/03/19 00:21:57.25 h7AXSU+U0 21/401


ヤキモチ「ご主人様はどうするの?」

イバリ「学校に行かないんでしょう?」

ノロマ「ならどうする?」

ミエ「一緒に遊ぶ?」

メガほむ「ええっと……」

メガほむ(何をするのかわからないけど、とりあえず断ろ――)

ガンコ「一緒に遊ぼう」

ワガママ「一緒に遊ぼ!」

メガほむ「あぅ。わ、わかった……」

偽街の子供達「!?」



34 : 以下、2... - 2014/03/19 00:23:43.59 h7AXSU+U0 22/401


ネクラ「え」

イバリ「ご主人様が?」

ワガママ「遊んでくれるの?」

ガンコ「珍しい」

ヤキモチ「どうしたのかな」

ノロマ「どうしたんだろう?」

ミエ「どうかしたのかな」

メガほむ(お誘いを断りきれなかっただけなのに、この言われようはなんなんだろう。この子たちのご主人様って、いったい……)

イバリ「まあいっか」

ガンコ「うん」

ワガママ「遊ぼう!」

ヤキモチ「そうだね」

メガほむ「あ、ちょっと待って! 手、手をひっぱらないで……!」



45 : 以下、2... - 2014/03/19 23:04:42.86 h7AXSU+U0 23/401




46 : 以下、2... - 2014/03/19 23:05:18.55 h7AXSU+U0 24/401



~叛逆後の世界~


デビほむ(あの子たち、いつもなら学校のほうにも来てるだんけど……)キョロキョロ

デビほむ「……やっぱりいないわね」

デビほむ(インキュベーターが見滝原にいないと断言していたから、期待はしてなかったけれども、今日はあの子たち帰ってくるかしら。夕ご飯、どうしましょう)ハア

さやか「ほむら。あんたどうしたのさ。ため息なんてしちゃってさ」

デビほむ「美樹さやか……。あなたには関係のないことよ」

さやか「そんなこと言われてもねぇ。普段は仲良くしようって言ったのはあんたでしょうが。あんまりケンカ腰でいると、まどかにまで嫌われちゃうぞー?」

デビほむ「…………」

さやか「それに落ち込んでる友達をほっとくのも気分良くないしさ。とりあえず話してみなさいな」

デビほむ「……わたしの使い魔が、昨日から帰ってこないのよ」

さやか「使い魔? っていうと、あの女の子の人形の? いつもどっかウロウロしてるじゃん」

デビほむ「気まぐれなのはいつものことだけど、それでも夕ご飯の時間には帰ってきていたのよ。それなのに、昨日からずっと戻ってこないの」

さやか「なんか放し飼いの猫みたいだね、あんたのとこの使い魔……」

デビほむ「そうね。普段はあまり気にしてなかったけど……今頃どうしているのかしら、あの子たち」







47 : 以下、2... - 2014/03/19 23:08:33.88 h7AXSU+U0 25/401



ガンコ「ご主人様をつれて川原にきたけど」

メガほむ「ぜえ、はあ……うぅ、ちょっと、とま、ってぇ」

ノロマ「歩くのおそいね」

イバリ「お前が言うな」

ヤキモチ「でも大丈夫?」

メガほむ「だいじょ、うぶじゃ、ないかも――あ」クラッ

ワガママ「え?」

ネクラ「あ」

ガンコ「……倒れた?」

ヤキモチ「倒れたね」



48 : 以下、2... - 2014/03/19 23:21:35.93 h7AXSU+U0 26/401


ガンコ「大丈夫?」

ワガママ「ご主人様、大丈夫?」

メガほむ「ごめんね。ちょっとした貧血だから、陰で休んでれば――」

ノロマ「えぇー」

ミエ「歩いただけで貧血?」

ネクラ「それ大丈夫なの?」

メガほむ「……うぅ」



49 : 以下、2... - 2014/03/19 23:38:27.96 h7AXSU+U0 27/401



~叛逆後の世界~


さやか「でも、ふーん。使い魔、使い魔かぁ」

デビほむ「どうしたの、美樹さやか」

さやか「あ、いや。そういえば、あたしの使い魔って見かけないけど、あの子たちもこっちに来てるのかなーって思ってさ」

デビほむ「さあ? 知らないわよ、そんなこと」

さやか「んな無責任な。あんたのせいで使い魔たちもこっちに来ちゃったんでしょうが」

デビほむ「うるさいわね……。わたしだって円環の理からこぼれた使い魔をいちいち把握してるわけじゃないし、あなたの使い魔は百江なぎさのと違って出歩くタイプでもないでしょう? 知るわけないじゃない」

さやか「あー、そっか。そうだよね。ちぇー。久しぶりにあの子たちの演奏を聴くのもいいかなって思ったんだけどなぁ」

デビほむ「…………ねえ、さやか」

さやか「うん? 何よ、ほむら」

デビほむ「あなたの使い魔なら、あそこにいるじゃない。演奏を聞かせてもらえば?」

さやか「おいちょっと待て。なんで恭介と仁美のほうを向いてるのよあんたは!」

デビほむ「あんまりケンカ腰にならないでちょうだい。そんな態度だと、まどかにまで嫌われるわよ?」フフッ








50 : 以下、2... - 2014/03/20 00:03:11.68 u6/6FKG/0 28/401


ヤキモチ「そろそろ大丈夫?」

メガほむ「うん。もう大丈夫だよ」

ワガママ「なら遊ぼ!」

メガほむ「そ、そうだね」

ネクラ「何する?」

ミエ「そこでボール拾った」

イバリ「これを投げよう」

メガほむ「キャッチボール? それぐらいなら、わたしも大丈夫かな」

ノロマ「それじゃあ」

ガンコ「えいっ」

メガほむ「え、ちょ」ゴツンッ



51 : 以下、2... - 2014/03/20 00:24:58.58 u6/6FKG/0 29/401


メガほむ「い、痛いっ……!」プルプル

ノロマ「あれ?」

ワガママ「どうしたのご主人様?」

メガほむ「どうしたもなにも……なんで? なんでいきなりボールぶつけたの? 投げつけられたら、痛いんだよ?」ウルウル

イバリ「え」

ミエ「いやだって」

メガほむ「だってじゃないの! 人にボールぶつけちゃダメ!」

ネクラ「……うん」

ノロマ「わかったー」

ヤキモチ「今度からトマトにしよう」

メガほむ「トマトもダメ!」



52 : 以下、2... - 2014/03/20 00:45:16.05 u6/6FKG/0 30/401


ネクラ「ダメだって」

ノロマ「ボールをぶつけるのはダメ?」

メガほむ「そうだよ。だから普通にキャッチボールを――」

ガンコ「じゃあボール投げはやめだね」

メガほむ「え。いや、普通に――」

ヤキモチ「ならなにする?」

メガほむ「だからふつ――」

イバリ「これでボールを打つ」シャキン

メガほむ「……うん。もうそれでいいや……」



57 : 以下、2... - 2014/03/20 23:39:34.69 u6/6FKG/0 31/401


メガほむ(でもあんな黒い棒、いつの間に……? ボールと一緒でそこら辺から拾ってきたのかな?)

ワガママ「じゃあ、わたしボール投げる」

ミエ「いいよ」

ノロマ「投げろー」

メガほむ「あ。そうだっ。変なところに飛んだら危ないから、打つ方向には気をつ――」

ワガママ「えいっ」

イバリ「ていっ」

カッキーン

メガほむ(遅かったかぁ……)



58 : 以下、2... - 2014/03/20 23:43:48.37 u6/6FKG/0 32/401


ガンコ「さすが」

ワガママ「打たれた……」

ネクラ「すごくとんだね」

メガほむ「うん、そうだね……川原から、飛び出ちゃったね」

ノロマ「そうだね」

イバリ「ホームラン!」

メガほむ「……ボール、拾ってこよっか」

ヤキモチ「うん」

ミエ「そうだね」



59 : 以下、2... - 2014/03/20 23:45:16.06 u6/6FKG/0 33/401


ワガママ「ボール」

ミエ「ボール?」

メガほむ「ボール、どこまで飛んで行っちゃったのかなぁ」

ガンコ「さあ?」

ヤキモチ「こっちだとは思うけど」

イバリ「どこまでとんだかな」ワクワク

メガほむ「お願いだからちょっとは反省して……」



62 : 以下、2... - 2014/03/20 23:54:30.63 u6/6FKG/0 34/401


ミエ「あ」

メガほむ「うん? ボール、見つかっ――」

ネクラ「猫だ」

メガほむ「そうだね……かわいい猫だね……。でも今はボールを……」

ノロマ「あの猫とびだしそう」

メガほむ「あっ。もう、ダメだよ、黒猫ちゃん。いまは車が通ってるんだから、危ないよ」ヒョイ

黒猫「にゃー」

ブロロロオ――



63 : 以下、2... - 2014/03/20 23:58:30.27 u6/6FKG/0 35/401


ネクラ「車だ」

イバリ「通りすぎたよ」

ノロマ「けっこう速度でてた」

メガほむ「ほら。あのまま飛び出たらひかれてたよ?」

黒猫「にゃ」ペロ

メガほむ「きゃっ。……ふふっ、あなた人懐っこいのね。かわいい」ナデナデ

偽街の子供達「……」

ヤキモチ「……そんな猫よりボール」



66 : 以下、2... - 2014/03/21 00:27:37.94 BPJUCRxq0 36/401



メガほむ「あ、うん、そうだね。……えっと、もう車は来てないかな。はい。もう飛び出そうとしたりしちゃダメだよ?」

黒猫「にゃー」

メガほむ「ふふっ。ばいばい」

ガンコ「はやくボールを探そう」

ノロマ「はやくー」

メガほむ「うんっ。でも、ホントどこに行っちゃったかなぁ」

ネクラ「さあ――あ」

メガほむ「どうしたの? 今度は犬でも見つけた?」

ミエ「いや」

ヤキモチ「あれって……」

???「い、痛いよぉ……!」プルプル

メガほむ「……あ゛」



67 : 以下、2... - 2014/03/21 00:39:07.44 BPJUCRxq0 37/401


メガほむ(涙目でうずくまって頭を抑えてるわたしと同い年ぐらいの女の子が。その足元にあるあれって、うん。間違いないよね)

ガンコ「あれは……。まずいよ」

ネクラ「うん。まずいね」

メガほむ「うん。飛ばしたボールのせいだね……」

イバリ「え?」

ヤキモチ「そっち?」

メガほむ「そっちもなにも……ああ、もうっ。とにかく謝らないと!」

ノロマ「あれれ?」

ワガママ「すごく怒られると思ったのにね」ヒソヒソ

ミエ「ボールのほうを気にするなんてどうしたんだろう」ヒソヒソ



76 : 以下、2... - 2014/03/21 23:11:56.33 BPJUCRxq0 38/401



???「痛い……。ていうか、なんでいきなりボールが……?」ウルウル

メガほむ「あ、あの、すいませんっ」

???「でもさやかちゃんなら避けてたのかなぁ。うぅ、わたしって本当にどんくさい――へ?」

メガほむ「ぁえっと、ご、ごめんなさいっ。そのボール、この子たちが打ち上げちゃったやつで……その、本当にすいません!」

???「へ? あ。そ、そうなんだ。それで……」

メガほむ「はい、そうなんです。この子たちも悪気があったわけじゃないんですけど……」

ワガママ「うん」

ミエ「わざとではないよ」

メガほむ「ほら。あなたたちも謝らないとだめだよ」

ネクラ「わかった」

イバリ「ごめんね」

ヤキモチ「いたかった?」

???「ううん、大丈夫だよ」ウェヒヒ



77 : 以下、2... - 2014/03/21 23:26:18.50 BPJUCRxq0 39/401



ノロマ「そっかー」

ミエ「それはよかった」

メガほむ「あの、本当に大丈夫でしたか? なにかお詫びとか……」

???「い、いいよぉ。よけれなかったわたしもどんくさいかったんだし」

メガほむ「そ、そんなことありません! わたしだっていきなりボールが飛んできたら絶対よけられないですし……!」

???「それじゃ、お互いさまってことでどうかな?」

メガほむ「そんなっ。こっちが一方的に悪いのに、そんなの――」

???「いいのいいの。気にしないで?」

イバリ「わかった」

ネクラ「あんまりキニシナイでおく」

メガほむ「あ、ちょ、あなたたち――」

???「ウェヒヒ。うん。それじゃあね。君たちもバイバイ」

ワガママ「ばいばい!」

ノロマ「じゃーねー」




78 : 以下、2... - 2014/03/21 23:50:21.44 BPJUCRxq0 40/401


メガほむ「あっ。あぁ、行っちゃった……」

ワガママ「行っちゃった」

ヤキモチ「行っちゃったね」

イバリ「それでいいよ」

ミエ「まだ会えるしね」

メガほむ「また会える、のかな?」

メガほむ(……でもあの子の着てた制服、転校する学校のだ。転校して会えたりしたら、素敵だなぁ)

ネクラ「大丈夫だよ」

ノロマ「まだ、会えるから」

メガほむ「えへへ、そうかな。また、会えたらいいな」



79 : 以下、2... - 2014/03/22 00:15:14.09 VBTbEv4Y0 41/401


メガほむ「でも、優しい人で良かったぁ」

ネクラ「そうだね」

ノロマ「やさしくて」

ガンコ「やさしすぎる人だね」

メガほむ「うん? ええっと、どういうこと……?」

ヤキモチ「……ううん」

ミエ「ご主人様がいいならいいよ」

メガほむ「えっと、なにが?」

イバリ「何でもないよ」

メガほむ「そ、そう?」

メガほむ(ちょっとずつ慣れてきたけど、この子たちのこういうところは、まだよくわからないなぁ……)



80 : 以下、2... - 2014/03/22 00:26:14.87 VBTbEv4Y0 42/401


ヤキモチ「それじゃあ」

ワガママ「とりあえず遊ぼう!」

メガほむ「うん。でも今度は変なところに飛ばしちゃダメだよ?」

イバリ「えー」

メガほむ「えー、じゃないの!」

ガンコ「うーん」

ネクラ「なら、わかった」

メガほむ「ならっ、て……まあ、いいや。それじゃ、行こっか」

ノロマ「あ、ちょっと待ってー。はしらないでー」



82 : 以下、2... - 2014/03/22 00:39:02.43 VBTbEv4Y0 43/401


イバリ「ただいま」

ノロマー「ただいまー」

ガンコ「今日は遊んだね」

ミエ「楽しかった」

オクビョウ「あ」

ナマケ「帰ってき」

ヒガミ「ご主人様と一緒だ」

マヌケ「おかえり」

メガほむ「……た、ただいま」

メガほむ(うん、やっぱり今日いなかった子たちもそろってるよね……)

レイケツ「おかえりなさい」



83 : 以下、2... - 2014/03/22 00:50:59.50 VBTbEv4Y0 44/401



イバリ「それじゃあ」

ナマケ「お腹はすかないけど」

ガンコ「やっぱりご飯」

メガほむ「ふふふ。大丈夫だよ。今日はちゃんと準備してあるからね!」

メガほむ(大丈夫。このくらいの要求は予測の範囲内。食材はちゃんと買いこんである! 今度こそはこの子たちに文句を言わせないからね!)

オクビョウ「そうなの?」

ワガママ「それじゃ、デザートも!」

ノロマ「よろしくー」

メガほむ「!?」




84 : 以下、2... - 2014/03/22 00:54:17.43 VBTbEv4Y0 45/401




85 : 以下、2... - 2014/03/22 00:55:38.22 VBTbEv4Y0 46/401


~叛逆後の世界~

デビほむ「……ごちそうさま」

デビほむ「やっぱり、今日も戻ってこないわね。本当に、どこに行ってしまったのかしら……」

QB「やっぱりと予測していながら、君はどうして彼女たちの分の夕ご飯を作ったんだい?」

デビほむ「もし帰ってきたときにご飯がなかったら困るでしょう?」

QB「保険ということかい? けれどもそれにしたって、十四人分余計に作るのは手間じゃないのかい?」

デビほむ「……ふん。あなたにわかることじゃないわ、インキュベーター」

QB「そうかい。それで、これは食べていいのかい? そのためにわざわざ僕を呼んだんだろう?」

デビほむ「いいわよ。……今日は帰ってこないだろうし、仕方がないわ」

QB「なら、ありがたくいただくよ」ガツガツ

デビほむ「……ふんっ」

QB「なんだい。今日はデザートもあるのかい? ずいぶん豪勢だね」キュップイ

デビほむ「…………うるさいわね。あなたに用意したものではないわ。黙って食べてなさい」







90 : 以下、2... - 2014/03/22 12:51:35.82 VBTbEv4Y0 47/401



~数日後~

メガほむ(リボンの位置も大丈夫。スカートもめくれあがったりはしてない。うん!)

メガほむ「よし。制服はこれで変じゃないよね」

ワルクチ「いつも通りだよ」

メガほむ「うん。制服着るの今日が初めてなんだけどね……」

メガほむ(今日から学校、かぁ)ドキドキ

メガほむ「じゃあ、わたしは学校に行ってくるけど――」

レイケツ「いってらっしゃい」

メガほむ「うん。……お留守番、よろしくね?」

ナマケ「まかせて」

メガほむ(ふふふふ。ここ数日で、もう留守番を任せられるほど完璧に居ついちゃってるよ……。ダメだよわたし。冷静になっちゃダメだ……!)



91 : 以下、2... - 2014/03/22 13:03:31.58 VBTbEv4Y0 48/401


メガほむ「それじゃあ、行ってきます」

ウソツキ「いってらっしゃい」

パタン

偽街の子供達「……」

ヒガミ「今日はなにしよっか」

マヌケ「最近はご主人様が遊んでくれてたしね」

レイケツ「久しぶりにインキュベーターでも狩る?」

オクビョウ「そうしよっか」

ナマケ「わたしお留守番してる」

ウソツキ「そういえばご主人様にそういわれたような……」

ワルクチ「ひとり残ってればいいよ」

マヌケ「そうだね」

レイケツ「よろしく」

ナマケ「じゃーね」



93 : 以下、2... - 2014/03/22 13:05:07.30 VBTbEv4Y0 49/401




94 : 以下、2... - 2014/03/22 13:11:53.59 VBTbEv4Y0 50/401


~叛逆後の世界~

デビほむ「……」ボー

デビほむ(あの後数日たったけれども、まだあの子たちは帰ってこない……。もしどこかで事故にあってたりしたら……いや、さすがにそれはないわよね。いやでも――)


さやか「大丈夫か、あいつ……」

杏子「なぁ、さやか」

さやか「うん? どうしたの、杏子」

杏子「ほむらのやつ、様子が変じゃねーか?」

さやか「ああ……。まあ何? あれよ。飼ってるペットが脱走しちゃったから心配でそわそわしちゃってる飼い主みたいなもんよ」

杏子「はあ? 何だ、そのたとえ。てかあいつ、動物とか飼ってったっけ」

さやか「飼ってるというか居ついてたというか……まあ、何にしてもそんな心配する状態じゃないよ」

杏子「ふーん。ペットが脱走、ねぇ……」


デビほむ(いっそのことチラシでも貼って目撃情報を……あ、だめね。あの子たち、普段は普通の人間には見えないようにしてるし。でもそれじゃあ――)ボー







95 : 以下、2... - 2014/03/22 13:32:58.53 VBTbEv4Y0 51/401



~学校初日~


和子先生「女子の皆さんはくれぐれも! 半熟じゃないと食べられないとか抜かす男とは交際しないように! そして男子の皆さんは絶対に、卵の焼き加減ケチをつけるような大人にはならないこと!」

メガほむ「……」ドキドキ

和子先生「――はい。あとそれから。今日は皆さんに転校生を紹介します」

さやか(そっちが後回しかよ……!?)

メガほむ(よ、よし!)テクテク

さやか「わあ、眼鏡でおさげっ娘。真面目そー」

まどか「……あれ?」

まどか(あの子、どこかで見たことあるような……あっ! 川原で会った子かなっ)



96 : 以下、2... - 2014/03/22 13:35:11.12 VBTbEv4Y0 52/401



和子先生「はーい。それじゃあ自己紹介いってみよー」

メガほむ「あ、あの――」

メガほむ(あ。思ったより緊張しない。……ここ数日ずっとあの子たちに囲まれてたおかげかな?)

メガほむ「えっと、暁美ほむらです。よろしぶぅううう!」

さやか(よろしぶぅううう!?)

まどか(よろしぶぅううう!?)

メガほむ「ご、ごほっほっがほ!」

メガほむ(窓の外に! 窓の外にあの子たちが! 何やってるのあの子たち!?)

和子先生「……あー。えっと、暁美さんは心臓の病気でずっと入院していたの。久しぶりの学校だからいろいろ戸惑うことも多いでしょう。みんな、助けてあげてね」

パチパチパチパチ



102 : 以下、2... - 2014/03/22 23:47:34.68 VBTbEv4Y0 53/401


モブA「暁美さんって前はどこの学校だったの?」

モブB「前は部活とか入ってた? 運動系? 文化系?」

モブC「すっごい長い髪だよね~。毎朝編むの、大変じゃない?」


メガほむ「あの、えっと……」

メガほむ(ど、どうしよう。せっかく話しかけてきてくれてるのに、窓の外にいるあの子たちが気になって会話に集中できない……!)

メガほむ(木の上に腰かけるとか、本当に何をやってるんだろうあの子たちっ。すぐさま問い詰めたい。何か、何かここを抜け出せる口実が欲しい!)

まどか「暁美さん」

メガほむ「ふぇっ?」

メガほむ(増えた!? あれ、でもこの人、どこかで――)

まどか「保健室、行かなきゃいけないんでしょ? 場所わかる?」

メガほむ「え? いいえ……」

メガほむ(……あ。この人、川原で会った優しい人だ)

まどか「じゃあ案内するよ。わたし保健委員なんだ。――みんな、ごめんね。暁美さんって休み時間には保健室でお薬飲まないといけないの」

モブA「あ、そうだったの? ごめんね、引きとめちゃって」

モブB「暁美さん、また後でね」

メガほむ「い、いえ。こちらこそよろしく……」



103 : 以下、2... - 2014/03/23 00:05:44.28 KzW6/nKD0 54/401


まどか「ごめんね。みんな悪気はないと思うんだけど……転校生なんて珍しいから、はしゃいじゃって」

メガほむ「いえ、その……ありがとうございます」

メガほむ(……憶えてて、くれてるかな。き、聞いてみようかなっ。あ、でも憶えてるのわたしだけだったら、ちょっと自意識過剰っぽいよね……)

まどか「そんなに緊張しないでよ。クラスメイトなんだからさ。それに……同い年だったんだね」

メガほむ「……ぁ」

メガほむ(憶えてて、くれたんだ!)

まどか「わたし、鹿目まどか。まどかって呼んで?」

メガほむ「あ、その、わたしは暁美ほむらです!」

まどか「えへへ、知ってる。教室で聞いたもん」

メガほむ「あ……。ですよね。あの、前会った時は本当にごめんなさい。こっちが悪いのに、ちゃんと謝れなくて……」

まどか「いいよぉ。こんな素敵な偶然が作れたんだから、あの時のボールに感謝だよね」ウェヒヒ

メガほむ「そ、そんな」

メガほむ(本当に、優ししい人なんだなぁ)



104 : 以下、2... - 2014/03/23 01:12:00.68 KzW6/nKD0 55/401


まどか「ねえ、ほむらちゃんって呼んでいいかな?」

メガほむ「ぁ、その、わたし、あんまり名前で呼ばれたことってなくて……その、すごく変な名前だし」

メガほむ(あの子たちは『ご主人様』って呼ぶし……)

まどか「えぇ。そんなことないよ。なんかさ、燃え上れーって感じでカッコいいと思うなぁ」

メガほむ「名前負け、してます」

まどか「そんなのもったいないよ。せっかく素敵な名前なんだから、ほむらちゃんもカッコ良くなっちゃえばいいんだよ」ウィヒヒ

メガほむ(……カッコ良く、かぁ)



106 : 以下、2... - 2014/03/23 01:24:13.63 KzW6/nKD0 56/401


まどか「まあ偉そうに言っちゃったけど、わたしは特に得意な科目とか自慢できるようなこともないんだけどね」

メガほむ「そ、そんなこと! 鹿目さん、すごく優しくて……いまもこんな親切にしてもらってますし!」

まどか「そ、そうかな? ほむらちゃんは何か得意なことってある?」

メガほむ「ええっと……料理、とか?」

まどか「ほむらちゃん、料理できるのっ? すごい!」

メガほむ「え。あ、そのぅ……一通りできるぐらいですけど」モジモジ

まどか「一通りできる何てすごいよぉ」

メガほむ「え、えへへ」

まどか「わたしもいまパパ――お、お父さんに料理ならってるところなんだけど、全然で」

メガほむ「お父さんに……?」

まどか「うん! うちってま……お母さんが働いてて、お父さんが主夫をしてるの。お父さんのクリームシチューがとってもおいしいから習い始めてるんだけど、これが難しくって。一人じゃまだまだ作れないや」

メガほむ「クリームシチュー………」

メガほむ(夕ご飯にいいかも。子供も好きな料理だし、大人数向きだし。ふふっ。やっとあの子たちに文句を言わせないメニューができるかも!)

まどか「ほむらちゃん?」

メガほむ「あ、いえ。今晩の献立に、クリームシチューもいいなって」

まどか「ほむらちゃんがおうちのごはん作るの? すごいなぁ」

メガほむ「そ、そんな……。鹿目さんなら、そのくらいすぐできるようになりますよ」



114 : 以下、2... - 2014/03/23 14:10:04.06 KzW6/nKD0 57/401



まどか「あ。保健室についちゃったね。ここだよ」

メガほむ「あ、はい……」

まどか「後はひとりで大丈夫? 戻るときに道がわかんなさそうだったら、ちょっと待ってよっか」

メガほむ「いえ、大丈夫です。案内、ありがとうございました」

まどか「えへへ。保健委員のお仕事だもん。気にしないで?」

メガほむ「は、はい」

まどか「それじゃ、また後でいっぱいおしゃべりしようねっ」ウェヒヒ

メガほむ「……はい!」




115 : 以下、2... - 2014/03/23 14:13:02.72 KzW6/nKD0 58/401


~保健室~

メガほむ「ふう。鹿目さん、優しい人だったなぁ。友達に、なれるかな」

メガほむ(もうお薬は飲んだけど……教室に戻る前にアレを確認しておかなきゃ)

メガほむ(いまは先生もいなくて、保健室に一人きりだし。たぶん、このカーテンを開ければ――)

偽街の子供達「?」

メガほむ「やっぱりいた……」



116 : 以下、2... - 2014/03/23 14:16:42.51 KzW6/nKD0 59/401



イバリ「どうしたの、ご主人様?」

ヒガミ「今日はさぼり?」

ヤキモチ「保健室でさぼり?」

ワガママ「さぼりなら一緒にあそぼ!」

メガほむ「さぼりじゃありません。休み時間にはお薬飲まなきゃいけないの」

ネクラ「お薬?」

ミエ「へぇー」

ノロマ「そうなんだ」

ワガママ「じゃあ遊べないんだ……」


117 : 以下、2... - 2014/03/23 14:18:24.91 KzW6/nKD0 60/401


メガほむ「そうなんだけど……なんでここにいるの? お留守番頼んだ子たちはともかく、あなたたちは学校に行ってたはずじゃないの?」

ノロマ「え?」

ネクラ「なに言ってるの?」

メガほむ「へ? なにって……」

ガンコ「だって、学校に来てる」

イバリ「前にもいったけど」

ヤキモチ「半分が学校に行って」

ワガママ「残りの半分は遊ぶ!」

ヒガミ「だから学校に来てる」

メガほむ(……はっ! もしかして、学校って小学校じゃなくてここのこと!?)



118 : 以下、2... - 2014/03/23 14:38:09.29 KzW6/nKD0 61/401


メガほむ「で、でも、あんな危ないとこに座ってたりしたらダメじゃない。それに、誰かに見つかったら大騒ぎになるよ?」

ミエ「大丈夫だよ」

ネクラ「あのくらいなら落ちても平気だし」

ワガママ「普通の人には見えないし!」

メガほむ「……見えない、の?」

ノロマ「うん」

メガほむ「そう、なんだ……」

メガほむ(うすうす感づいてたけど、この子たち、やっぱり人間じゃないんだよね。普通の人に見えないってことは、妖精さんみたいな存在なのかな……?)

メガほむ「……じゃあ、そもそもなんで中学校に来てるの?」

イバリ「カナメマドカの監視だよ」

メガほむ「……え?」



119 : 以下、2... - 2014/03/23 14:45:36.27 KzW6/nKD0 62/401


ネクラ「ご主人様がいったんだよ」

ヤキモチ「カナメマドカを監視しろって」

ヒガミ「過保護」

イバリ「でもいまのカナメマドカは変かも」

ワガママ「変というか、ふつう?」

ノロマ「うん。ふつうの因果」

メガほむ「ぇ、え? カナメマドカって、鹿目さんのこと、だよね? 

ミエ「それはもちろ――!」

偽街の子供達「!」

ガララ

メガほむ「ふぇ!?」ビクッ

メガほむ(保健室のドアが開いた!? 誰かき――って、あれ!? あの子たちが消えた!?)

マミ「……」



127 : 以下、2... - 2014/03/23 23:48:00.33 KzW6/nKD0 63/401


マミ(……逃がしたわね。たぶん、使い魔の反応だったと思うんだけど、学校に入り込まれるなんて迂闊だわ。……でも、そっちを追うよりこの子の様子を見るのが先決ね)

メガほむ(じょ、上級生の人かな? すごく大人っぽい人……)

マミ「あなた、保健室にいるみたいだけど、気分でも悪いのかしら」ニコッ

メガほむ「ひゃい。い、いいえっ。その、お薬を飲まなきゃいけないだけですっ」

マミ「あら、そうなの」ジイー

マミ(うん。魔女の口づけを受けてる様子もない。意識もはっきりしてるみたいだし、大丈夫よね)

メガほむ「ええっと、なんでしょうか……?」

マミ「ううん。何でもないわ。……もし突然ネガティブになっても、それは一時的なものだから気を強く持ってね。けっして惑わされたりしちゃダメよ?」

メガほむ「え。あ。は、はい」

マミ「うん。それじゃあね」

メガほむ「はい。それでは……」

メガほむ(……あの人、なにしに保健室に来たんだろう?)



128 : 以下、2... - 2014/03/24 00:02:27.86 Vmvw4gIB0 64/401


ワガママ「あぶなかった」

ネクラ「あぶなかったね」

ミエ「見つからなくてよかった」

ノロマ「トモエマミから逃げれて良かった」

イバリ「でも、トモエマミに見つかったらまずかったの?」

ヤキモチ「さあ?」

ヒガミ「でも、こわかったよ」

ネクラ「うん。あのトモエマミはこわかった」



129 : 以下、2... - 2014/03/24 00:24:26.19 Vmvw4gIB0 65/401


ノロマ「見つかったら、攻撃されてた?」

ワガママ「そうかも」

ヤキモチ「攻撃されたら、にげれた?」

ミエ「どうだろう?」

ネクラ「相手がトモエマミだからね」

イバリ「今日はちゃんと隠れよっか」

ノロマ「そうだね」

ネクラ「そうしよう」

ワガママ「ご主人様とも話せないけど」

ヒガミ「しかたないね」

ヤキモチ「今日は隠れよう」

イバリ「そうしよう」



130 : 以下、2... - 2014/03/24 00:46:10.98 Vmvw4gIB0 66/401




131 : 以下、2... - 2014/03/24 00:52:35.72 Vmvw4gIB0 67/401



~叛逆後の世界~


杏子「なあ、ほむら」

デビほむ「杏子? なにか用かしら」

杏子「今日の放課後、あたしと一緒に風見野まで出かけねえか?」

デビほむ「……わたしと? いったい何をしに行くの?」

杏子「あっちのあたしの行きつけのラーメン屋があるんだ。食いに行かねーか?」

デビほむ「それなら美樹さやかとでもいっしょに行けばいいじゃない」

杏子「んー、さやかとはいつでも行けるしな。なんつーかさ、ほむら。なにがあったかは知らないけどさ、ちょっと遠出するのもいい気分転換になるんじゃねーの?」

デビほむ「……」

デビほむ(あの子たち、今日も帰ってこないだろうし外食もいいかしら。いい加減インキュベーターにくれてやるもの嫌になってきたし……それに違う町に行ってみれば、あの子たちが見つかるかもしれないわね)

デビほむ「いいわ、行きましょう。ただ……おごらないわよ?」

杏子「はあ? 誘っといておごってくれなんていわねーよ」







141 : 以下、2... - 2014/03/24 23:39:17.89 Vmvw4gIB0 68/401


~数学の授業中~


メガほむ(人間じゃない、かぁ。あの子たちに聞いたらどういう存在なのか、答えてくれるかな? ……ううん。なんかよくわからない返事でよくわかんなくなる未来が想像できる)

数学教師「この問題は誰に解いてもらおうかな」

メガほむ(それに鹿目さんを監視してるって、どういうことなんだろう。ご主人様がって言ってたけど、わたし、そんなこと言ってないし……っていうことは、例のクールぶってる人が鹿目さんを? でもなんで? ……うぅ、ああ、もうっ。いくら考えたってわからないよ。そんなの、そんなの――!)

数学教師「……じゃあ、暁美さん」

メガほむ「そんなのよくわからないです!」

数学教師「お、おお。そうか……」

メガほむ「へ?」

メガほむ(あ。し、しまった! 反射的に考え事が言葉に出ちゃった……!)

メガほむ「あ、いえ、えっとその……」

数学教師「あー、君は休学していたんだっけな。友達からノートを借りておくように」

メガほむ「は、はい。すいません……」



142 : 以下、2... - 2014/03/24 23:56:06.16 Vmvw4gIB0 69/401


キーンコーンカーンコーン


メガほむ「はぁ……」

まどか「ほむらちゃん。元気出して。数学がわからないのは、ほむらちゃんだけじゃないから」

メガほむ「え?」

まどか「わたし、毎日学校に来てるし授業もちゃんと受けてるけど、それでもやっぱり数学は苦手なの」

メガほむ「そうなんですか?」

まどか「だから平気だよっ」ウェヒヒ

さやか「こーらまどかぁー? そんなフォローのしかたないでしょう。暁美さん戸惑ってるじゃない」

まどか「うぁ、えっと……ダメ?」

メガほむ「い、いいえ。その鹿目さんの気持ちは、とっても嬉しかったですっ」

さやか「そう? いやー、でも数学の時のあの潔さ、あたしは嫌いじゃないよ! 数学の先生の面食らった顔見たぁ? いやいや、そんな顔されてもあんな問題とけるわけないっての」

メガほむ「え? いえ、その……」

まどか「さやかちゃん。そんなフォローのしかたはないよ……」



143 : 以下、2... - 2014/03/25 00:46:43.89 nBQyTG6Y0 70/401


さやか「ありゃ、ダメかな? んじゃ、本命の数学のノート!」

メガほむ「あ……。ありがとう、ございます。これ、とてもわかりやすくまとめてありますね」

さやか「へへ、でしょでしょ」

まどか「ほむらちゃん、よかったねっ」

メガほむ「うんっ」

さやか「へへーん」

メガほむ「美樹さんの字って、とてもきれいで上品な感じがしますね」

さやか「うん。だってそれ、あたしのノートじゃないもん」

ほむら「え?」


144 : 以下、2... - 2014/03/25 00:55:22.17 nBQyTG6Y0 71/401


まどか「あぁ! これ、仁美ちゃんのノートじゃない。……貸してくれたの?」

さやか「え? 頼めば、快く貸してくれると思うよ?」

まどか「勝手に借りたの? い、いいのかな?」

さやか「でも、困ったクラスメイトを助けるのは学級委員の務めでしょう? ノート一冊で二人が助かるんだから、仁美だって怒らないわよ」

まどか「……ふたり?」

さやか「あたしもぉ。いやー、最近の数学、ぜんっぜんわかんないんだよねぇ」

まどか「もぉー。さやかちゃんたら調子いいんだから」

さやか「そういうまどかは見なくていいの? 後悔するぞぉ?」

仁美「さやかさん?」

さやか「うぇ!? ひ、仁美!?」

仁美「わざわざノートなんて持ち出さずとも、言ってくだされば教えて差し上げますのに」

さやか「だ、だよねぇ。あはは……」

仁美「今度勉強会をしましょうか。……もちろん、暁美さんも一緒に」

メガほむ「よ、よろしくお願いします」

まどか「あっ。それならわたしも、お願い!」

仁美「ええ、もちろん」



145 : 以下、2... - 2014/03/25 01:05:25.66 nBQyTG6Y0 72/401


~体育の授業~


イーチニサーンシー ゴーロクシチハチ

ピピー

体育教師「準備体操はそこまで。今日は走り高跳びです。正面飛びに背面とび、はさみ飛びにベリーロール。いろいろと試して飛んでみてねー」

クラス一同「はーい」



メガほむ「はあ、ふう……」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫? ちょっと疲れちゃってるみたいだけど……」

メガほむ「う、うん。これくらいならまだ大丈夫だよ」

まどか「そう? ずっと入院してたんだし、あんまり無理はしないでね?」

メガほむ「うん。自分の限界はちゃんとわかってるから、大丈夫」

まどか「そっか。ならよかった」ウィヒヒ

メガほむ(あの子たちの遊びに付き合ってたおかげかな。動きまわるのには、大分なれちゃった。……そうじゃなかったら、準備運動だけで倒れてたかも)



146 : 以下、2... - 2014/03/25 01:27:04.44 nBQyTG6Y0 73/401


さやか「美樹さやか、いっきまーす!」

タタタタッ

さやか「スーパージャンプだぁ――痛ったぁ!」ドサッ

アハハ ナニヤッテンノモー マジメニヤレー

さやか「にゃははっ、さやかちゃんの次の大記録に期待してくれー!」



メガほむ「……美樹さん、すごいですね」

まどか「あはは、そうだね。あそこまで堂々と失敗できるっていうのも、さやかちゃんのすごいところだよね」

メガほむ「ほんとうに。うらやましいです」

まどか「ほむらちゃんなら大丈夫だよぉ。ほら、数学の時の『よくわかりません!』って」ウェヒヒ

メガほむ「あ、あれはっ、その、違うんです」

まどか「そうなの?」

メガほむ「はい……。ちょっと考え事をしていたせいで、つい」




147 : 以下、2... - 2014/03/25 01:30:11.23 nBQyTG6Y0 74/401


まどか「そっかぁ。でも……うぅ。そろそろわたしの番だ。ちゃんと跳べるかなぁ」

メガほむ「か、鹿目さんなら大丈夫ですっ。それに、鹿目さんの次のわたしが大失敗しますから、ちょっとやそっとの失敗なんて、目立ちません!」

まどか「……それ、わたしが失敗することが前提だよね?」

メガほむ「あ」

まどか「ウェヒヒ、冗談だよ。ありがとう。どうせなら、一緒に大失敗しちゃおっか?」

メガほむ「は、はい!」

まどか「えへへ。……そんなこと言ってるのに裏切っちゃったらごめんね。――よしっ」

メガほむ「へ? か、鹿目さん!?」

まどか「鹿目まどか、いっきまーす!」

タタタタッ ビュンッ

メガほむ(わぁ。きれいな背面跳び……)

まどか「ほむらちゃーん! わたしうまく跳べたよー! だからほむらちゃんもガンバッテ!」

メガほむ「うぅ……。あ、暁美ほむら、いきます!」



153 : 以下、2... - 2014/03/25 22:01:10.55 nBQyTG6Y0 75/401




154 : 以下、2... - 2014/03/25 22:02:18.84 nBQyTG6Y0 76/401



~叛逆後の世界~


ブロロロオ――


杏子「……」

デビほむ「……」

杏子「次の停留所から風見野だよ」

デビほむ「ええ。……この三叉路を左に曲がったら、風見野に入るんだったわよね」

杏子「ああ、そうだよ」カチ

ピンポーン

アナウンス『次は風見野一丁目。市立風見野小学校はこちらからお越しください。――次、止まります』







155 : 以下、2... - 2014/03/25 22:17:13.66 nBQyTG6Y0 77/401



~ショッピングモールのファーストフード店~


さやか「いやー。でも暁美さん、走高跳びのときはすごかったよねぇ。こう、眼鏡がポーンとバーを飛び超えてさ。真面目なお下げっ娘と見せかけたドジっ娘とは……くうぅ~っ、萌えかっ? そこが萌えなのかぁっ!?」

メガほむ「うぅ……」

まどか「さやかちゃん。あんまりほむらちゃんをイジメちゃだめだよっ」

さやか「お、おおう、すまん。そんなつもりじゃなかったんだけど……暁美さんもごめんね? もしかして気ぃ悪くしちゃった?」

メガほむ「へ? い、いえ、大丈夫です」

まどか「ほんと? さやかちゃん、ちょっと調子がいいところあるから、嫌だったら嫌だって言わないとだめだよ?」

さやか「今日のまどかはなかなかグイグイきますなぁ……」

メガほむ「あ、あの、美樹さん。本当に大丈夫ですから……。鹿目さんも、ありがとう」

まどか「いいよぉ、ほむらちゃん。さやかちゃんって、思い込みですぐケンカをはじめちゃったりするから、何かあったらすぐわたしに相談してね」ウィヒヒ

さやか「ねえ仁美。さっきからまどかがひどいんだけど、あたし、今日なんかやっちゃった……?」

仁美「さあ? しいて言えば、私のノートを勝手に持ち出したぐらいのことしかしてませんわね」

さやか「……すいませんでした!」



157 : 以下、2... - 2014/03/25 22:37:22.25 nBQyTG6Y0 78/401


仁美「でもお二人は、さっそく仲良くなっていらっしゃいますわね。まどかさん、暁美さんとは本当に今日が初対面なんですか?」

まどか「へへっ。実は違うんだよねー。ね、ほむらちゃん」

メガほむ「はいっ」

さやか「へー。ということは、まどかは暁美さんとどっかで会ってたんだ」

まどか「うんっ。ちょっと前にね」

メガほむ「はい。転校する少し前に、偶然」

まどか「ねぇー」

仁美「ふふっ、なるほど。その素敵な偶然のおかげで、お二人は親密なんですね」

さやか「ふーん。保健室に案内した時とか、何となくまどかにしちゃあやたら積極的だなぁとは思ってたけど、そっかぁ。偶然の再会で、テンション上がっちゃってたんだ。舞い上がっちゃってますなー、まどか」

まどか「えへへ。まあね」

さやか「そっかぁ。それなら決まりだわ! あんたら前世から因果の糸でつながれた運命の相手なんだぁ!」

メガほむ「そ、そんな。鹿目さんと、その、う、運命の相手だなんて……」

さやか「まどかめぇ。あたしの嫁になるっていう話はどうなったんだぁ!? あの朝の約束を忘れたとは言わせんぞぉ!」

メガほむ「!?」

まどか「もぉー、さやかちゃんたら何いってるの」



159 : 以下、2... - 2014/03/25 23:12:13.24 nBQyTG6Y0 79/401


仁美「あら、もうこんな時間ですの? ごめんなさい。お先に失礼しますわ」

メガほむ「何か用事があるんですか?」

仁美「はい。ちょっとおけいこ事がありますの」

まどか「仁美ちゃん、お嬢様だから。今日はピアノ? それとも日本舞踊?」

仁美「お茶のお稽古ですの。来年は受験もありますのに、いつまで続けさせられるのか……」

さやか「うはぁ……小市民に生まれて良かったわぁ」

まどか「わたしたちも行こっか」

さやか「まどか。帰りにCD屋に寄ってもいい?」

まどか「いいよ。また上条君の?」

メガほむ(上条君……?)

さやか「へへ。まあね」

まどか「そっか。ほむらちゃんはどうする?」

メガほむ「あっ、と、わたしはちょっと買いたいものもあるので……」

さやか「そうなの? そっちのほう先に寄って行こうか?」

メガほむ「い、いえ。そのまま夕ご飯の買出しをしなきゃいけないですし……できれば、ひとりで選びたいものなので」

まどか「そっかぁ。ほむらちゃん、おうちのご飯作ってるんだっけ。邪魔しちゃ悪いよね」

さやか「えぇっ、まじで? すごいなぁ、暁美さん」

メガほむ「そ、そんな。大したことじゃ――」

仁美「いいえ。おうちの手伝いをちゃんとされてるなんて、ほんとうに偉いですわ」

まどか「えへへ。やっぱりほむらちゃん、すごいんだよ」ウェヒヒ

メガほむ「あ、あうぅ」

まどか「それじゃあ、ほむらちゃん。またね」

メガほむ「はい。また、明日」

さやか「ばいばーい」

仁美「それでは失礼しますわ」



160 : 以下、2... - 2014/03/25 23:28:34.77 nBQyTG6Y0 80/401







QB「きゅ――」グチャ

レイケツ「また一匹」

オクビョウ「もう何匹つぶしたっけ」

マヌケ「知らない」

ガンコ「とにかくたくさん」

ウソツキ「百一匹」

ワルクチ「うるさい」

QB「……」ヒョコ

オクビョウ「いくらでも湧いてるね」

ガンコ「まだまだ、たくさん殺そう」

マヌケ「そうだね」

QB「……」タタタタッ

レイケツ「逃がさない」

ワルクチ「当然」

偽街の子供達「逃がさない」タタタタッ








161 : 以下、2... - 2014/03/25 23:40:43.34 nBQyTG6Y0 81/401


~ショッピングモール内の雑貨屋~


店員「ありがとうございましたー」

メガほむ「……ふう。よさそうなものがあってよかった。次はシチューの材料を買わなくちゃ」

メガほむ(あの子たちの分のお皿、買っちゃった。いつまでもお弁当箱を使ったり、お皿を回して食べるのもかわいそうだもんね)

メガほむ「ふふっ。あの子たち、喜んでくれるかな」

メガほむ(でも、さすがに十四人分のお皿は重いかも。これにシチューの材料も加わるとなると……うぅ)

QB『助けて……』

メガほむ「……え?」



162 : 以下、2... - 2014/03/25 23:48:01.04 nBQyTG6Y0 82/401


メガほむ(いま、頭の中に声が……)

QB『助けて……誰か……』

メガほむ「ッ!」

メガほむ(やっぱり、聞き間違いじゃない)

メガほむ「……誰? 誰なの?」

メガほむ(たぶん、こっちのほう、かな?)テクテク

メガほむ「……どこにいるの? あなた、誰なの?」

QB『誰か……僕をたすけ――』

マヌケ「あれ、ご主人様?」

オクビョウ「ご主人様だ」

ウソツキ「偶然だね」

ガンコ「どうしたの?」

ワルクチ「ひとりごとは変だ」

メガほむ「あなたたちだったの!?」


163 : 以下、2... - 2014/03/26 00:07:15.28 FRv3ctK70 83/401


メガほむ「え? え? あなたたち、何やってるの? 学校に来てない子にはお留守番頼んでたはずだけど……」

ガンコ「ひとり家に残ってる」

ワルクチ「だから残りで遊んでる」

マヌケ「インキュベーター狩りで遊んでる」

メガほむ「へー。できればその、インキュベーターっていうのが何なのかから教えてくれたら嬉しいなぁ……」

マヌケ「インキュベータはインキュベータ」

ガンコ「あれ? というか、インキュベーターは?」

オクビョウ「追っかけてたはずだよね」

ウソツキ「にがした?」

ワルクチ「おい。先頭だれだ」

メガほむ「あ、うん。教えてくれないんだよね。なんとなくわかってたからいいよ……」



164 : 以下、2... - 2014/03/26 00:17:35.51 FRv3ctK70 84/401


メガほむ(うーん。お留守番を頼んでも外で遊びまわっちゃうかぁ。……迷ったりしないのかな。いや、でもいつも夕ご飯の時には全員そろってたし、平気かな?)

ガンコ「わたしは先頭じゃない」

マヌケ「わたし前についていっただけだよ?」

オクビョウ「じゃあ、お前の前は?」

マヌケ「ええっと、確か」

ウソツキ「わたしだよ」

メガほむ(楽しそうにしてるし、家に押し込めるのもかわいそうだよね。……あれ? でも学校に来てた子が七人で、お留守番の子が一人。そうすると、もう一人足りないような……)

ガンコ「お前か……」

ワルクチ「誰こいつに先頭を走らせたのは……」

ウソツキ「え? わたし先頭じゃないよ?」

マヌケ「え?」

オクビョウ「ウソじゃない?」

ウソツキ「ウソじゃないよ。ホントだよ」

ワルクチ「ということは」

ガンコ「もしかして」

メガほむ「?」







まどか「……あなた、なの?」

QB「……助け、て……」

まどか「あ、ひどい怪我……!」

コツコツ

まどか(え? 足音――ッ!?)

レイケツ「……カナメマドカ?」



171 : 以下、2... - 2014/03/26 21:31:10.79 FRv3ctK70 85/401


まどか「あなた、誰……? どうしてわたしの名前、知ってるの?」

QB「……」

レイケツ「……カナメマドカ。そいつから離れて」チャキ

まどか「ひっ。だ、ダメだよっ。ひどいことしないで……!」ギュッ

レイケツ「……そう」

まどか「ぁ」

プシュウウウウウ

レイケツ「!」

さやか「まどか、こっち!」

まどか「さやかちゃん!?」タタタタッ



173 : 以下、2... - 2014/03/26 21:45:09.07 FRv3ctK70 86/401


レイケツ「ミキサヤカ……。――ッ!」

Anthony:Das sind mir unbekannte Biume.
      (見たことのない花だ)
Anthony:Ja, sie sind mir aush unbekannt.
      (見たことのない花だね)

レイケツ「結界? 迷惑」チャキ

Anthony:Schneiden wir sie ab?
     (チョン切ってしまおうか)
Anthony:Ja, schneiden wir sie ab.
     (チョン切ってしまおうね)

レイケツ「……しかも、うるさい」ヒュン



174 : 以下、2... - 2014/03/26 22:06:31.13 FRv3ctK70 87/401


さやか「なんなのあの子ッ? 喪服で通り魔とか、ちょっとシャレが効きすぎてない!?」

まどか「わたしに言われても、わかんないよ!」

さやか「そりゃそうだ! つーかまどか、それなにッ? ヌイグルミ……じゃないよね。生きてるの!?」

まどか「わかんない。わかんないけど……この子を助けなきゃ!」

Anthony:Die Rosen schenken wir unserer Konigin.
      (バラは僕らの女王様へ)

さやか「あ、あれ!? 非常口は……どこよ、ここ!?」

まどか「変だよ、ここ……どんどん道が変わってく!」

さやか「ああもうっ、どーなんってんのさ!」

Anthony:Und die schlechten Blumen steigen auf die Guuiiotine.
      (悪いお花はギロチン送り)

まどか「ひぃっ。やだ……何か、いる?」

Anthony:Ja, schneide sie ab!
     (ヤア! チョンと切れ!)

さやか「じょ、冗談だよね。あたし、悪い夢でも見てるんだよね? ね、まどかぁッ」

Anthony:Ja, schneide sie heraus!
     (ヤア! 切り落とせ!)

パァアアアアア!

マミ「――危なかったわね。でももう大丈夫よ」



176 : 以下、2... - 2014/03/26 22:28:47.49 FRv3ctK70 88/401


さやか「あ、あれ……?」

まどか「これは――」

マミ「キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう。この子はわたしの大切な友達なの」ニコッ

まどか「は、はい。わたし、呼ばれたんです。頭の中に、直接この子の声が」

マミ「ふうん、なるほどね。――その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。二年生?」

まどか「はいっ」

さやか「えっと、あなたは――」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね。でもその前に――ちょっと一仕事、片づけちゃっていいかしら」ヘンシン


177 : 以下、2... - 2014/03/26 23:03:04.61 FRv3ctK70 89/401








メガほむ「ね、ねえ。はぐれた子と合流するって言ってたけど、本当にこっちであってるの?」ビクビク

マヌケ「あってるよ」

ガンコ「間違いなくあってる」

オクビョウ「なんで?」

メガほむ「だって、ここ、何か変というか……。道がおかしいし、看板の文字も、何だかよくわからないし……」

ガンコ「看板?」

ウソツキ「あれかな?」

ワルクチ「O Gott, es gibt Schadlinge!」(大変! くだらない虫がついてしまった)

メガほむ「へ?」

ガンコ「Haben Sie schon Wasser rerossen?」(もうお水はあげましたか?)

オクビョウ「Die ersten Knospen sollen gepfluckt sein.」(はじめての蕾は摘み取りましょう)

マヌケ「Die Rosen sollen vorsihtig behandelt sein.」(薔薇は丁寧に扱うこと)

メガほむ「え? え?」

178 : 以下、2... - 2014/03/26 23:23:52.83 FRv3ctK70 90/401


メガほむ「な、なに!? いきなり何を唱え始めて……ひっ。いまよくわからない影がっ」

ガンコ「看板を読んだだけ」

ウソツキ「それにあそこらへんのは何もしてこないよ」

メガほむ「ほ、ほんと?」

マヌケ「看板はホントだけど」

オクビョウ「あそこらへんのはなんとも……」

メガほむ「そこは嘘でもホントって言って!?」

ワルクチ「ご主人様うるさい」

ガンコ「きりきり歩こう」

メガほむ「……うぅ。ねえ、ほんとうにこっちなの? それは嘘じゃないの?」

マヌケ「それは嘘じゃないよ」

ワルクチ「こいつじゃあるまいし」

ウソツキ「わあ。とばっちり」



181 : 以下、2... - 2014/03/26 23:36:12.57 FRv3ctK70 91/401







マミ「ふう。だいたいこんなものかしら」

まどか「す、すごい……」

さやか「も、元の光景に戻った……?」

マミ「さて、大体は片付いたんだけど――」チャキ

レイケツ「……」

マミ「まだ、一匹残っていたのね。魔女が逃げたっていうのに使い魔が残っているだなんて珍しいわ」

レイケツ「……トモエ、マミ」ギラリ



182 : 以下、2... - 2014/03/26 23:59:25.66 FRv3ctK70 92/401




183 : 以下、2... - 2014/03/27 00:01:18.46 OT1N/nDh0 93/401


~叛逆後の世界~


杏子「どうだ、ほむら。うめーか?」ズルズル

デビほむ「ええ、文句なしにおいしいわ。あなたが勧めるだけはあるわね」ズルズル

杏子「そーだろ? ほむらは話せばわかるやつだって思ってたぜ」ズルズル

デビほむ「ええ。わたしもあなたのことは信用しているもの。このラーメン、おかわりを頼みたいくらいだわ」ズルズル

杏子「ははんっ、そういう時は替え玉をするんだよ」ズルズル

デビほむ「替え玉……ですって?」ズルズル

杏子「ああ。こうやって百円玉を出して――おっちゃん! 替え玉くれ!」

店主「はいよ! 替え玉一丁!」

店員「替え玉一丁入りましたぁ!」

デビほむ「なるほど。そうやって麺のお代りをするのね。――すいませーん、わたしにも替え玉を一つ!」

店主「はいよぉ!」







194 : 以下、2... - 2014/03/27 23:08:21.09 OT1N/nDh0 94/401


メガほむ「ねえ、まだ? まだつかないの?」

ウソツキ「まだまだだよ」

マヌケ「もうそろそろだよ」

メガほむ「どっちなのぉ……」

ガンコ「もうちょっとだよ」

ワルクチ「というか、いい加減にしろ」

メガほむ「う、だ、だって……」

――わた――用があ――は、あな――ゃな――

――あら。言葉――す使い――んて珍し――

メガほむ(……? 反響してわかりづらいけど、話し声がする。曲がり角の先で誰か話してるのかな?)

オクビョウ「お」

ガンコ「いたいた」

マヌケ「ついたついた」

メガほむ「え? ホント? やっと……って、えぇ!?」

レイケツ「……やっと来た」

マミ「!」



195 : 以下、2... - 2014/03/27 23:35:01.51 OT1N/nDh0 95/401


レイケツ「どこ行ってたの」

オクビョウ「ごめんね」

ワルクチ「だいたいこいつのせい」

ウソツキ「そんなことないよ」

マヌケ「でもご主人様つれてきたよ」

ガンコ「うん。つれてきたよ」

レイケツ「いや、だからなに?」

マミ(しまった、増援ッ。接近に気が付かなかったなんて、迂闊だわ……!)

まどか「え、え?」

さやか「増えた!? ……って、あれ?」

マミ(くっ。わたし一人になら何とかなるけど、この子たちをかばいながらだと……しかも向こうにもう一人、捕まってる子がいるわ……!)

メガほむ(コスプレしておもちゃの鉄砲を持ってるあの人、何者だろう……? 変わった人だなー)



196 : 以下、2... - 2014/03/27 23:56:38.77 OT1N/nDh0 96/401


まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

さやか「暁美さん! なんでここに!?」

メガほむ「あれ? 鹿目さんと美樹さんまで……あ! そういえばそこの人、もしかして保健室で会った先輩ですか? もしかして鹿目さんたちの知り合いとか?」

まどか「へ? ううん。初対面だよ」

さやか「ちょっ、あんたたち! これ、そんなほのぼのした会話してる状況じゃ――」

マミ「あなた、すぐに逃げて! 無理なら、絶対その場から動かないで!」

メガほむ「へ?」

マミ(状況が把握できてないのね。もどかしいけど、仕方ないわ。まずこっちの二人は結界で守って――)

パアアア

まどか「わぁ、きれい……」

さやか「すごい。リボンのドーム……?」

マミ(あとはあっちね)チャキ

ウソツキ「む」

ガンコ「やるの?」

ワルクチ「ドリルめ」

メガほむ「え? ど、どうしたんですか? そんなおもちゃ、こっちに向けて……あ! も、もしかして、そっちの子が何かして怒らせちゃいましたか? す、すいませんでしたっ。それなら謝りますから――」

マミ(……何を言ってるのかしら? 混乱してる……?)



197 : 以下、2... - 2014/03/28 00:19:01.62 ZK/QuiSk0 97/401


マミ「これはおもちゃじゃないわ。でも、あなたには絶対に当てないから安心して?」ニコリ

メガほむ「……え?」

オクビョウ「ほんとにやるの? トモエマミだよ?」

マヌケ「なんとかなるよ」

レイケツ「やろうか」

マミ(あとは絶対にあっち子には当てないように、慎重に戦う……大丈夫。できるわ。一般人を守りながら戦うのは、慣れてるもの。よしっ)

メガほむ「や、やめてくださいっ!」

マミ「え?」

偽街の子供達「!」



198 : 以下、2... - 2014/03/28 00:34:08.63 ZK/QuiSk0 98/401


マミ「ちょ、あなた射線にでちゃ危な――」

メガほむ「そ、そんなの振り回してるあなたのほうがよっぽど危ないです!」

マミ「!?」

メガほむ(保健室で会った時にはすごく大人っぽい人だと思ったのに、コスプレで通り魔なんてっ。そんな危ない人だなんて思わなかった!)

オクビョウ「ご主人様?」

マヌケ「なにしてるの?」

ワルクチ「わりと邪魔なんだけど」

メガほむ「だ、大丈夫だよ。あの変な人からは、わわわ、わたしが守るからっ」

ウソツキ「ん?」

ガンコ「え?」

レイケツ「は?」

まどか(うーん。さっき助けてもらったし、カッコいい人だと思うんだけど……)

さやか(どっちの事情もよくわからないし、変って言われると否定できないかも……)

マミ「へ、変な人……」ショボーン



199 : 以下、2... - 2014/03/28 00:55:38.87 ZK/QuiSk0 99/401


マミ(どうして? 魔女の口づけを受けてる気配もないのに使い魔をかばうなんて……ていうか、ご主人様? まさかあの子が魔女なの? でもそんな気配はないというか、どう見ても人間よね、あの子)

マミ「ねえ、あなた――」

メガほむ「い、いまなら何も見なかったことにしますので、どど、どっか行ってください! じゃないと、ええっと……警察! 警察を呼びますよ!?」

マミ「えぇ!?」

ワルクチ「……なにこれ」

レイケツ「さあ?」

オクビョウ「どうしよっか」

マヌケ「観戦?」

ガンコ「観覧?」

ウソツキ「がんばれご主人様ー」

メガほむ「うぅ……!」キッ

メガほむ(怖いけど、怖いけど毅然とした態度で相手をにらみつけて、おびえた態度は見せないっ。この子たちのためにも、絶対ひいちゃだめだ……!)

マミ「うぅ」タジタジ

マミ(にらまれてるわ……。気弱そうなのにすごく必死に。でも使い魔を放っておくわけにもいかないし――ど、どうすればいいのかしら、この状況!?)

まどか「あ、あのぅー」

マミ ほむ「何(ですか)!?」

さやか「あー、いや、何だ。横から失礼しちゃうんだけど」

まどか「ここは一回落ち着いてから話し合えないかなーって、そう思うんですけど、どうかなって」



212 : 以下、2... - 2014/03/28 21:20:42.79 ZK/QuiSk0 100/401




213 : 以下、2... - 2014/03/28 21:23:26.68 ZK/QuiSk0 101/401


 ~叛逆後の世界~


杏子「ふぅー、食った食ったぁ。満腹だ」

デビほむ「ええ、そうね。けれども替え玉がまさか二回以上できるだなんて……なかなか侮れないシステムだわ、ラーメン屋って」

杏子「はっ。あんたがラーメン屋のシステムを語るなんてお笑いだよ、ほむら。替え玉なんてまだまだ序の口だぜ?」

デビほむ「なん、ですって……!」

杏子「替え玉のほかにも、味濃いめ、アツモリ、スープ割り……まだまだあるんだ。ラーメンについて語りたいなら、また食いにこよーぜ」

デビほむ「そうね。機会があれば、また来る必要がありそうね」

杏子「ははっ。……それで、あたしはもう見滝原に帰るけど、ほむらはどうすんだ?」

デビほむ「わたしは……少し、あたりをふらついて行くわ」

杏子「……ふーん」

デビほむ「なに?」

杏子「いいや。なんつーのかな。うまいもん食って腹いっぱいになれば、たいていの悩み事なんてどうでもよくなるもんだけどさ。そうじゃない悩み事もあるよなって、それだけだよ」

デビほむ「……腹がいっぱい云々は、あなただけじゃないの?」

杏子「うっせー。……ま、何にしても少しは気晴らしには待ったみたいでよかったさ。なに探してるかは知んないけど、あんまり思いつめんなよ」

デビほむ「……ええ。気をつかわせたわね」

杏子「なに言ってんだ。あたしがうまいもん食いたかっただけさ。んじゃな、また明日」

デビほむ「さようなら。……また、明日」







214 : 以下、2... - 2014/03/28 21:45:30.48 ZK/QuiSk0 102/401


 ~マミホーム~


マミ「わたしの名前は巴マミ。見滝原中学の三年生で、キュゥべえと契約した魔法少女よ」

QB「僕の名前はキュゥべえ。マミのような素質のある女の子と契約を取り交わして、魔法少女を生み出すのが僕の役目だよ」

まどか「わたしは鹿目まどかって言います。今日は助けてもらった上にお招きいただいちゃって、ありがとうございます」

さやか「あたしは美樹さやかです。いやー、素敵な部屋ですね!」

メガほむ「わ、わたしは暁美ほむ――あわわっ、あなたたちダメだよ! 人様のおうちなんだから勝手にうろついちゃ……ああもうっ。まだケーキに手をつけるのもダメ!」

マヌケ「えー」

ガンコ「でもミキサヤカはもう食べてるよ」

メガほむ「え?」

さやか「んーっ。このケーキめちゃうまっすよ、マミさん!」

ウソツキ「ほら」

ワルクチ「もう食べてる」

メガほむ「美樹さん!?」

レイケツ「じゃあ、いただきます」

オクビョウ「ケーキ♪」

まどか(ほむらちゃん、お母さんみたいだなぁ。……あれ? ほむらちゃんはケーキ食べないのかな。おいしいのに)

マミ(収拾つくのかしら、この状況……)

QB「そろそろ説明を始めてもいいかい?」




215 : 以下、2... - 2014/03/28 22:13:39.79 ZK/QuiSk0 103/401


マミ「――というのが、魔女と魔法少女についてなの。だから結構危ないところだったのよ。あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから」

メガほむ(わたし、そんな怖い空間に引っ張りこまれてたんだ……。いや、無事だったしいいんだけど)ジトー

マヌケ「?」

ガンコ「何、こっち見て」

メガほむ「……なんでもないよ」プイッ

オクビョウ「なんだろう?」

レイケツ「かまわなくていいよ」

メガほむ「……」ムッ

まどか「あ、えっと、その。ま、マミさんはそんな怖いものと戦ってるんですかっ?」

マミ「そ、そうね。命がけよ。だからあなたたちも慎重に選んだほうがいいわ」

さやか「命がけ戦いの代わりに何でも願い事を一つだけ、かぁ。ううん。悩むなぁ」

マミ「わたし達のほうの説明はそんなところよ。――それで、わたしからもあなたに聞きたいことがあるの」

メガほむ「……」ムスー

ウソツキ「ご主人様」

ワルクチ「さっきからなんなの?」

メガほむ「だからなんでもな――あ。わ、わたしですか?」

QB「そうだね、暁美ほむら。いまの君は僕から見ても興味深い。その使い魔は、どうして君と一緒にいるんだい?」



216 : 以下、2... - 2014/03/28 22:28:17.94 ZK/QuiSk0 104/401


メガほむ「え? どうしてって言われても……というか、使い魔って……?」

さやか「キュゥべえ。その使い魔っていうのはなんなの? 魔女とは違うの?」

マミ「あら、ごめんなさい。言ってなかったかしら。使い魔っていうのは魔女から分裂した存在のことなの。今日あなたたちを襲ったのも使い魔なのよ?」

まどか「そ、そうなんですか。でも、あれとこの子たちが、一緒……?」

マミ「ええ。使い魔も魔女によって姿形がまったく違うの。放っておくと分裂元の魔女になるから放っておいたら危ないんだけど……」

さやか「へぇー……こいつらが?」

オクビョウ「ケーキ」パクパク

レイケツ「おいしい」パクパク

ガンコ「さすが」パクパク

マヌケ「さすがトモエマミ」パクパク

ウソツキ「おかわり!」

ワルクチ「そんなものはない」パクパク

メガほむ「……もう。しょうがないなぁ。わたしの分食べる?」

ウソツキ「たべる!」

メガほむ「はい、どうぞ」

まどか(あ。ほむらちゃん、ケーキ食べてないと思ったら、あの子たちにあげるためだったんだ。……わたしのもあげよっかなぁ。半分くらいしか残ってないけど、喜んでくれるかな?)

マミ「…………」



217 : 以下、2... - 2014/03/28 22:51:54.47 ZK/QuiSk0 105/401


マミ「……こほん。暁美さん。もう一度聞くけれども、あなたはどうして使い魔と一緒にいるの? ご主人様って、どういうこと?」

QB「人間と使い魔が一緒にいるだなんてこと、そうそうないはずなんだけど……」

メガほむ「そ、それは、わたしもよくわからないというか、成り行きというか……」

さやか「成り行きってどんな? 暁美さんはその子たちとどこで会ったの?」

メガほむ「えっと、わたし退院してから一人暮らしを始めてて……その引っ越し初日に、なぜかうちにいました……」

さやか「はぁ!? なにそれ。あやしさ大爆発じゃん。暁美さん、よくそいつら追い出さなかったね」

メガほむ「そ、それはそうなんですけど、なんかもう我が物顔で居座ってたので」

まどか「でも、それじゃあ、この子たち一緒に暮らしてる? 七人暮らし?」

メガほむ「いえ、この倍ちょっといます」

さやか「ってことは十人以上!?」

まどか(……あ。そういえば川原で会った子たち、ここにいる子たちとはほとんど別人みたいだけど、そっちの子たちも使い魔なのかな?)

マミ「十人以上の使い魔と共存? そんなことが……」

メガほむ「は、はい。人数が多くて大変ですけど、何とか暮らしていけてます」


218 : 以下、2... - 2014/03/28 23:16:27.75 ZK/QuiSk0 106/401


マミ「で、でも、あなたとその子たちが一緒に暮らしてるからって、危険性がないって証明されるわけじゃないのよ? この子がキュゥべえを襲っていたのは確かな事実だもの」

メガほむ「え? キュゥべえを、襲った……?」

レイケツ「そうだね」

ワルクチ「それが?」

マミ「……一方的に襲っておいて、『それが』ってことはないでしょう」

ウソツキ「そう?」

マヌケ「そういうものでしょ?」

ガンコ「そういうものだよ」

オクビョウ「インキュベーターって、そういうもの」

マミ「え、いや、そういうものって……」

さやか(意味が分からないけど押しがつよいなぁ、こいつら……)



219 : 以下、2... - 2014/03/28 23:30:50.47 ZK/QuiSk0 107/401


まどか「ええっと……とりあえず、インキュベーターってなに?」

ガンコ「こいつ」

マヌケ「これがインキュベーター」

メガほむ「へ? この白い子は、キュゥべえって名前じゃ……?」

QB「国や地方によって僕の呼称も変わってくるからね。時代によってキューブと呼ばれていたこともあったし、インキュベーターというのも確かに僕の名前だよ」

マミ「あら、そうだったの?」

QB「そうだよ、マミ。とはいえ、いったいどこでその名前を知ったんだい?」

ワルクチ「どうでもいいだろ」

ウソツキ「そこで黒猫に聞いた」

QB「わけがわからないよ……」

メガほむ(インキュベーター狩りってそういうこと……。じゃあ、この子たちがキュゥべえを襲ってたのは、間違いないんだ)



221 : 以下、2... - 2014/03/28 23:52:04.24 ZK/QuiSk0 108/401


QB「使い魔は必ずしも人間を傷つけることを目的として動いているわけではないけれども、君たちの役割は僕を追いかけることにあるのかい?」

レイケツ「そんなわけない」

ガンコ「衛兵じゃあるまいし」

オクビョウ「騎兵でもあるまいし」

ワルクチ「インキュベーター狩りは、ただの暇つぶし」

マミ「……」イラッ

まどか(あぁ、マミさんの顔が険しく……)

さやか(暇つぶしで友達攻撃されれば怒るよね、そりゃ)

メガほむ(うぅ。どうしよう。これ、全部こっちに非があるみたい……)

QB「やれやれ。暇つぶしで追い回されるのは、無駄以外の何物でもないんだけどなぁ」

メガほむ「あ、あのっ。わたしもこの子たちをずっと見ておけるわけではないんですけど……で、でも、それでもちゃんと言い聞かせますのでっ、今回は見逃してもらえませんかっ?」

マミ「……」


222 : 以下、2... - 2014/03/29 00:02:21.33 mY+cIrv70 109/401


マミ(……言い聞かせる、か。それができるなら、確かにこの子たちと戦う必要はないわよね。目的がわからないのが不気味だけど、むやみに人を傷つけるわけじゃないみたいだし、そこはキュゥべえも認めてる。それに――)

メガほむ「う、だ、ダメですか……?」

マミ(――ここまで引き下がられちゃうと、無下にはできないわよね。仕方ない、か)ハア

マミ「そうね。わかったわ」

QB「おや。見逃すのかい、マミ?」

マミ「いいのよ、キュゥべえ。あなたのことはわたしがこれからしっかり守ればいいんだし……むしろキュゥべえはいいの? あなた、理不尽な理由で襲われたのよ?」

QB「僕は別にかまわないよ」

メガほむ「じゃ、じゃあ!」

マミ「ええ、そうね。……でもね、暁美さん。その子たちには絶対に人を襲わないように、よぉく言い聞かせておいてね」ニコリ

メガほむ「はいっ、もちろんです!」

さやか「おおっ」

まどか「良かったね、ほむらちゃん!」

メガほむ「うんっ!」


223 : 以下、2... - 2014/03/29 00:22:17.05 mY+cIrv70 110/401


 ~ほむホーム~


レイケツ「ただいま」

オクビョウ「ただいまー」

メガほむ「ただいま。みんなそろってるね」

イバリ「おかえり」

ナマケ「留守番してたよー」

ワルクチ「サボってただけじゃないの?」

ノロマ「おかえりー」

ウソツキ「ケーキ食べてきたよ」

ヤキモチ「え、なにそれ」

ヒガミ「ずるい……」

ワガママ「わたしも食べたい!」

メガほむ「あはは……。ケーキは無理だけど、夕ご飯のクリームシチュー作るから待ってて。……それと、はい」

ミエ「なにこれ」

ネクラ「お皿?」

メガほむ「うん。人数分あるから、それを配って待ってて。……割らないようにね?」

マヌケ「大丈夫だよ」

レイケツ「それじゃ、待ってる」

メガほむ「うん。それと、今日は食事の後に大切なお話があるからね?」

ミエ「大切な?」

ヒガミ「話?」

ワガママ「なんだろう」

ワルクチ「インキュベーターのことでしょ」

オクビョウ「そっか」

ガンコ「なるほど」

メガほむ(キュゥべえのことは後でしっかり注意するとして……よーしっ。今日こそお料理には文句を言わせないんだから!)



225 : 以下、2... - 2014/03/29 00:26:04.48 mY+cIrv70 111/401




226 : 以下、2... - 2014/03/29 00:26:35.37 mY+cIrv70 112/401


 ~叛逆後の世界~


デビほむ「ただいま」

デビほむ「…………」

デビほむ「……そうね。誰もいなかったわね」

デビほむ(結局、風見野にもあの子たちの気配はなかった……)

デビほむ「……」

デビほむ(無事、よね?)







233 : 以下、2... - 2014/03/29 21:57:55.79 mY+cIrv70 113/401


~通学路~


まどか「おっはよー」

メガほむ「お待たせしました」

仁美「おはようございます。お二人は先に合流されていたんですの?」

メガほむ「い、いえ」

まどか「来る途中にそこで会ったんだっ」

仁美「そうなんですか。ふふ。昨日ですでにとても親密だったので、お二人だけで先に待ち合わせていたのかと思いましたわ」

メガほむ「そ、そんな」

まどか「もう、仁美ちゃんったら。さやかちゃんもおはよう!」ウィヒヒ

さやか「あー。二人ともおはよ、う……ぇあ?」

仁美「さやかさん?」

さやか「……あ、いや、仁美。何でもない。てか仁美には……いや、やっぱり何でもないんだけど……暁美さん暁美さん」チョイチョイ

メガほむ「ですよね……」テクテク

まどか「あはは……。さやかちゃん。気持ちはわかるよ」

仁美「?」

さやか「あたしの見間違いじゃなきゃ、なんかいるんだけど。暁美さんの背後に、七人ぐらい……!」ヒソヒソ

メガほむ「はい。います。見間違いじゃないです」ヒソヒソ

偽街の子供達「?」



234 : 以下、2... - 2014/03/29 22:06:09.23 mY+cIrv70 114/401


レイケツ「ミキサヤカ?」

ネクラ「なに?」

さやか「何って……いや。あんたらには聞くまい。聞いてもたぶん無駄だし。で、どういうことなの、暁美さん」ヒソヒソ

メガほむ「なんというかその……実は、前から学校に忍び込んでいたみたいなので、どうせなら一緒にこようかなって思って。ちゃんと見ておくっていう巴さんとの約束もありますし」ヒソヒソ

さやか「仁美に見えてないのは?」ヒソヒソ

メガほむ「この子たち、普通の人には見えないみたいで……」ヒソヒソ

さやか「あ、そこら辺はキュゥべえと一緒なんだ」ヒソヒソ

ウソツキ「え」

ミエ「インキュベーターと一緒?」

ノロマ「あれと……」

ワルクチ「最悪……」



235 : 以下、2... - 2014/03/29 22:31:36.58 mY+cIrv70 115/401


仁美「お二人とも、さっきからどうされたんですか? 内緒話にしても、少し長いような……はっ」

ほむら「えっ? いや、これはっ、その……」

仁美「まさかお二人とも、たった一日でわたくしたちにも聞かせされない事柄を話すような間柄に? そこまで急接近されるなんて、いったい何がありましたの!?」

さやか「いや、人に話せないっていえばそうなんだけど、そりゃねえわ、さすがに」

まどか「そ、そうだよ仁美ちゃんっ。なな、なに言ってるの? そんなわけないでしょ!? 」

仁美「でもいけませんわ、お二方。女同士で……それは、禁断の愛の形ですのよ~!」タタタタッ

ほむら「あ、いやだから――って、行っちゃった。……志筑さんって、ああいう人だったんですか?」

まどか「ううん。普段はもっとおしとやかなお嬢様って感じなんだけど・……今日の仁美ちゃん、なんだかさやかちゃんみたいだったよ」

さやか「どーゆー意味だよ、それは!?」



236 : 以下、2... - 2014/03/29 22:46:37.10 mY+cIrv70 116/401


~屋上~


さやか「ねえ、まどか。暁美さん。願い事、決まった?」

まどか「ううん。ほむらちゃんは?」

メガほむ「わたしも、特にこれといって思いつかないです」

さやか「そっかぁ。あたしも全然。なんだかなー。いくらでも思いつくもんだと思ったし、実際やりたいことも欲しいものもたくさんあるんだけどさ。命がけってとこでそうまでするもんじゃねーよなって引っかかっちゃうんだよね」

まどか「うん」

メガほむ「そうですね。わたしの場合、引っ越したばかりでこの町にもまだ慣れてませんし、あの子たちの世話もしなきゃですし……それに加えて魔法少女をやる時間があるかっていえば、それはどうだろうとも思うんです」

まどか「そっか。ほむらちゃんは大変だもんね。……そういえばあの子たちは?」

メガほむ「あそこの木の上です……」

まどか「わあ。なにやってるんだろう?」

メガほむ「さあ……そればっかりは、わたしにもよくわからないです」

さやか「あいつらほんとよく分かんないなぁ。まあ、あいつらに関しては考えるだけ無駄がするんだよね……勘だけどさ」



237 : 以下、2... - 2014/03/29 23:00:34.85 mY+cIrv70 117/401


さやか「暁美さん……あ、ほむらって呼んでいいかな? いい加減他人行儀だしさ」

メガほむ「え? あ、は、はい」

さやか「うん。ほむらはやっぱり、マミさんに誘われた魔法少女体験ツアーには参加しないの?」

メガほむ「はい。……家のことをやらないといけませんし、わたし、勉強も遅れてるので……」

さやか「そっか。ほむらは一人暮らしの上にあんなの十人以上も抱えてちゃ、そりゃ他人に構ってる余裕なんてないのは分かるよ」

メガほむ「あ、その、すいません……」

さやか「いや、悪い意味で行ったわけじゃないよ? まーきっと、そういう面も含めてさ、あたしたちが幸せバカなんだろうなってことを言いたいの」

まどか「幸せ、バカ?」

さやか「そう。だってさ、別に珍しくなんてないはずだよ。命と引き換えにしてまでかなえたい望みってさ。そういうものを抱えてる人は、世の中にいっぱいいるんじゃないかな」

まどか「……」

メガほむ「……」

さやか「だからさ、それが見つからないあたしたちって、その程度の不幸しか知らないってことじゃん。大変なことがあるいっても、自分の力で乗り切れる程度の困難しかないって、そういうことじゃん」

メガほむ「……美樹さん」

さやか「なんで、あたしたちなのかな。だって不公平だと思わない? こういうチャンス、本当に欲しいと思っている人は他にいるはずなのにね」

まどか「さやかちゃん……それってもしかして――」


キーンコーンカーンコーン


メガほむ「あ、予鈴のチャイム……」

さやか「……おおっとぉ。ちょっと話に熱中しすぎちゃったみたいだね。まどか、ほむら。教室に戻ろっか!」

メガほむ「は、はい」

まどか「……」



240 : 以下、2... - 2014/03/29 23:12:18.63 mY+cIrv70 118/401


 ~叛逆後の世界~


デビほむ(あの子たちがこんなにも戻ってこなかったことはないわ。そろそろ本格的に探さないと、手遅れになるかもしれない。でも、いったいどうすれば……)

デビほむ「……はあ」

マミ「……はあ」

デビほむ「ん?」

マミ「あら」

デビほむ(……巴マミ? すぐ近くで食事をしてたのね。……気が付かなかったわ)

マミ「……暁美さんも屋上で昼食?」

デビほむ「……ええ」

マミ「そう……。でもどうしたの、暗い顔でお昼を食べて? 目の下なんて、隈がひどいわよ」フフッ

デビほむ「大したことじゃないわ。それに暗い顔はお互いさまよ。……何かあったの?」

マミ「あら。そんなにわかりやすく顔に出てた?」

デビほむ「ええ。顔に油性ペンで『悩み中です』って書いてあったわ」

マミ「ふふっ、そう。……実はなぎさちゃんと少し、ね」

デビほむ「……そう」

マミ「なぎさちゃんが最近なんだか落ち込んでるみたいだったから、その原因を探ろうとしたんだけど、少し詮索しすぎちゃったみたいなの。それで怒らせちゃって……」

デビほむ「なかなか難しいものよ、そういうのって。特に子供相手にはそう。難しい年ごろだもの。あなたに非があるわけではないわ」

マミ「そういうものかしら……」

デビほむ「そういうものなのよ、子供を相手にするっていうのは」

マミ「……うんっ。わかったわ。ありがとう、暁美さん。だいぶ気が晴れたわ!」ニコッ

デビほむ「それならよかったわ」ニコリ






241 : 以下、2... - 2014/03/29 23:34:41.30 mY+cIrv70 119/401


 ~ショッピングモールのファーストフード店~


マミ「そっか。暁美さんは参加しないのね?」

さやか「はい」

まどか「ほむらちゃん、最近まで入院していたみたいだし、生活で忙しいみたいで」

マミ「そうね。無理に誘うものでもないし、仕方ないわ。さて、それじゃあ気を取り直して。魔法少女体験コース第一弾、張り切っていってみましょうか! 準備はいい?」

さやか「もちろんです!」

まどか「は、はい。わたしも大丈夫ですっ」

まどか(……ほむらちゃん、今頃なにしてるかな?)



242 : 以下、2... - 2014/03/29 23:43:06.92 mY+cIrv70 120/401


 ~ほむホーム~


レイケツ「ただいま」

ミエ「ただいまー!」

ナマケ「おかえり」

メガほむ「ただいまー……って、あれ? 今日はあなた一人?」

ナマケ「そうだよ」

メガほむ「そっか。あなた、いつもちゃんとお留守番してくれるね」

ヤキモチ「……というかさ」

ネクラ「お前さ」

ワルクチ「サボってるだけじゃないよな」

ナマケ「……」

ウソツキ「うたがうのはよくないよ!」

メガほむ「うーん。ほかの子たちはまだ遊びまわってるのかな。お夕飯にはきちんと戻ってくるかな……」

ナマケ「ううん」

メガほむ「えっ、戻ってこないの!?」

ナマケ「違う。遊んでるわけじゃない」

メガほむ「へ? ああ! いまいない子たたちは遊びまわってるわけじゃないってこと? でも、じゃあ何を――」

ネクラ「あ、そっか」

ノロマ「今日は、あれか」

ミエ「そういえば、そうだっけ」

メガほむ「……アレ?」

ヤキモチ「うん」

レイケツ「葬列」

ナマケ「その盛り上げ」

メガほむ「……え?」

メガほむ(そう、れつ……?)


243 : 以下、2... - 2014/03/30 00:14:33.22 jwaLUGYF0 121/401





マミ「こうやって魔力の痕跡をたどっていくの。魔女探しは基本足頼みよ」

まどか「……い、意外と地味なんですね」

さやか「だねー。マミさん。魔女のいる場所、せめてめぼしぐらいはつけられないの?」

マミ「そうね。事故の多い大きな道路とか歓楽街は優先的にチェックしないとね。あとは自殺に向いた人気のない場所とか……それから、病院に取りつかれたら最悪よ。ただでさえ弱ってる人から生気をすって、目も当てられないことになるもの」

さやか「それだけわかってたら、結構限られてくる気もするけど……」

マミ「魔女もじっとしてるわけじゃなくて、何度も移動するから……あら。かなり強い魔力の波動だわ。近いかも」

まどか「えっ。ほ、ほんとうですかっ?」

さやか「おおっ。いよいよかぁ!?」

マミ「ええ。たぶん、この通りを抜けた先の建物に間違いないけれども――」

マミ(あら? でも、この反応……)

まどか「こ、このすぐ先に……」

さやか「こ、怖くなんかないっての! よしっ」タタタタッ

まどか「あ、さやかちゃん!?」

マミ「あ、美樹さんっ。勝手に離れられると――」

さやか「悪者の巣はここかぁ!」

偽街の子供達「?」



244 : 以下、2... - 2014/03/30 00:27:46.21 jwaLUGYF0 122/401


イバリ「ミキサヤカ?」

マヌケ「トモエマミ?」

オクビョウ「カナメマドカまで」

ガンコ「なに?」

マミ(やっぱり。……昨日とは違う子も多いけど、魔力のパターンが同質だから同じ魔女から分裂した使い魔に間違いないわね)

さやか「なんだ。マミさんのソウルジェムに反応した魔力って、あんたらのかぁ」

ヒガミ「魔力?」

オクビョウ「わたしたちの?」

マミ(でも、さっき拾った魔力はこの子たちにしてはパターンが少し変だった気もするんだけど……)

さやか「そうだよ。こっちは魔女探しをしてたの。まったくまぎらわしいなぁ。ビビらせんなっての」

まどか「あ。さやかちゃん、やっぱり怖かったんだ」ウェヒヒ

さやか「ばッ。そ、そんなことないっての!」

マミ(……おかしいわ。やっぱりこの子たちとは明らかに異質な魔力が混ざってる!)


245 : 以下、2... - 2014/03/30 00:34:12.92 jwaLUGYF0 123/401


さやか「それであんたらは何しにここに来てるわけ? 子供が遊びに来る場所じゃないでしょ、こんなとこ」

まどか「そうだよ。あんまり変なところにいると、ほむらちゃんが心配するよ?」

ワガママ「そんなこと言っても」

ヒガミ「ここにこないと盛り上げられない」

マミ「……盛り上げるって、何をかしら?」

ガンコ「葬列」

マヌケ「葬列」

ワガママ「あれの!」

オクビョウ「葬列」

まどか「あれって、屋上……? あっ!」

さやか「ッ。マミさん、あれって!」

OL「……」フラリ

マミ「!」ヘンシン


246 : 以下、2... - 2014/03/30 00:45:46.30 jwaLUGYF0 124/401


まどか「そ、その人は」

マミ「大丈夫、気を失ってるだけよ。――それよりも」キッ

マヌケ「なんだ」

ヒガミ「助けられちゃった」

オクビョウ「葬列は中止?」

ガンコ「残念」

まどか「ざ、残念って、そんな……」

さやか「あんたたちっ。自分たちが何を言ってるのかわかってるの!? マミさんが来てなかったら、その人死んでたんだよ!?」

イバリ「そうだね」

ワガママ「それが?」

さやか「なっ――」

マミ「美樹さん。ストップ」


247 : 以下、2... - 2014/03/30 01:07:20.13 jwaLUGYF0 125/401


さやか「ちょ、マミさん、なんで!」

マミ「いいの。使い魔ってそういうものだってわかっていながら、安易に見逃したわたしも悪かったわ」

まどか「ま、マミさん。もしかしてその子たちと戦うつもりじゃ……」

マミ「暁美さんとの約束もあるし、ここにはこの子たちより優先する敵もいるみたいだから、できれば戦いたくはないけれども……ねえ、あなたたち。この人の首筋に魔女の口付けがされていたけれども、あなたたちの仕業?」

イバリ「違うよ」

ヒガミ「葬列は見るもの」

ガンコ「葬列を開くのは、ご主人様」

マミ「でしょうね。魔力のパターンがまったく違ったもの。……念のため聞くけど、あなたたちの『ご主人様』の仕業でもないわよね」

さやか「!」

まどか「マミさんっ」

マミ「ごめんなさいね。それでも、聞かなきゃいけないの。……それで、どうなのかしら?」

マヌケ「うん」

オクビョウ「違うね」

ワガママ「ご主人様はデキソコナイ」

イバリ「他人の葬列は、開けない」

ガンコ「だからわざわざ来てるの」



248 : 以下、2... - 2014/03/30 01:14:36.24 jwaLUGYF0 126/401


まどか「……」ホッ

さやか「……」

マミ「そう。少しだけ安心できたわ。……あなたたちは何故だか葬列という言葉にこだわってるみたいだし、さっきの人の自殺を止めるつもりはなかったわよね?」

ヒガミ「うん」

ガンコ「止めたら葬列にならない」

さやか「お前ら――」

マミ「美樹さん、落ち着いて。この子たちがOLの人に危害を加えたわけじゃないのは確かなの。

さやか「それは、そうなのかもしれませんけど……でも……!」

マミ「いまは、それでいいの。それで聞きたいんだけど――もし暁美さんの葬列が開かれそうだったら、あなたたちはどうするの?」

イバリ「なにそれ」

オクビョウ「葬列でしょ」

ヒガミ「しかも」

マヌケ「ご主人様の」

ガンコ「それなら」

ワガママ「やることはひとつ!」

マミ「……」

さやか「……」

まどか「……」


偽街の子供達「「「盛り上げる」」」




249 : 以下、2... - 2014/03/30 01:19:38.89 jwaLUGYF0 127/401


まどか「っ」

さやか「……へぇ」

マミ「……暁美さんとは、また話し合う必要があるみたいだわ」

オクビョウ「そうなの?」

マヌケ「なにを話すの?」

さやか「……お前たちのことだよ」

イバリ「ふーん」

ワガママ「そうなんだ」

まどか「ぁ……」

マミ「とりあえず、この子たちは置いていきましょう。すぐ人に危害を加えるってわけでもないのは確かみたいだかし、OLの人を操っていた魔女を逃がすわけにもいかないわ」

まどか「は、はいっ」

さやか「……わかった。確かにそっちのほうが優先だよね」

ガンコ「結界に入るの?」

ヒガミ「いってらっしゃい」

マミ「……」

さやか「……」

まどか「……」


250 : 以下、2... - 2014/03/30 01:45:43.91 jwaLUGYF0 128/401




251 : 以下、2... - 2014/03/30 01:46:31.14 jwaLUGYF0 129/401


 ~叛逆後の世界~


デビほむ(うーん。あの子たちを見つけ出せる手段がないわけでもないのだけれど……なんというか、わたしのプライドが許さないわ、その方法は。いやでも……)

なぎさ「…………」キーコ キーコ

デビほむ「……あら」

デビほむ(あそこでブランコをこいでるのは、百江なぎさ? ……そういえば、巴さんと喧嘩していたのよね)

デビほむ「百江なぎさよね」

なぎさ「……? お姉さん、誰ですか?」

デビほむ「巴さんの知り合いよ」

なぎさ「ぁ。マミの……」

デビほむ「そうよ。……あなた、こんなところで何をしてるの?」

なぎさ「実は……友達を待ってるのです」

デビほむ「友達? こんなところで? もう小学校も終わって、帰宅の途中でしょう?」

なぎさ「はい。そうなのですけど、この公園でよく会ってた友達がいたのです」

デビほむ「そうなの。違う小学校の友達なのかしら?」

なぎさ「はい。なのに、その友達と最近は会えないのです。考えてみれば、あの子たちのおうちも連絡先も知りません。……このまま、お別れなのかもしれないのです」



252 : 以下、2... - 2014/03/30 01:50:20.08 jwaLUGYF0 130/401


デビほむ(……そっか。あの子たちには、百江なぎさの監視も頼んでいたわね。ええ、まあ一緒に遊んでたっていうのは聞かなかったことにしましょう)

なぎさ「もうあの子たちに会えないかもしれないって、そんなことを考えていた時に、マミにそのことを聞かれて……それで、なんだか自分でもよくわからないくらい腹が立って、それでマミにあたり散らしてしまいました……」ジワッ

デビほむ「……」

なぎさ「最低なのです。もう、マミにもここで会ってた友達にも、あわせる顔がな――」

デビほむ「大丈夫よ」

なぎさ「――え?」

デビほむ「大丈夫よ。巴さんならそんなことくらい優しく許してくれるだろうし……その子たちも、きっとそんなにいい子でもないから、ちょっと悪い子が相手でも何にも気にしないわ」

なぎさ「そう、でしょうか」

デビほむ「ええ。だからあなたは巴さんと仲直りをしてきなさい。……その友達も、そのうちひょっこり戻ってくるわよ」

なぎさ「そう、ですねっ。うん! お姉さんの言う通りなのです! わかりましたっ。なぎさはすぐにマミに謝ってくるのです!」

デビほむ「ええ。それがいいわ」

なぎさ「はいっ。ありがとうございました、お姉さん。それじゃあ!」

デビほむ「ええ、頑張ってきなさい」


253 : 以下、2... - 2014/03/30 01:51:18.79 jwaLUGYF0 131/401


 ~ほむホーム~

デビほむ(……そうね。わたしのプライドだなんて、そんなくだらないことにこだわっている場合じゃなかったわね)

デビほむ「インキュベーター」

QB「なんだい、ほむら」ヒョコ

デビほむ「あなた、世界中のあちこちに個体がいるのよね」

QB「まあ、否定するほど間違った認識ではないね」

デビほむ「そう。……あなたに頼み事をするのは心底しゃくなのだけれども、しかたないわ。見滝原だけではなくて、日本全域であの子たちを探しなさい」

QB「……やれやれ。わかったよ。だだし、多少の時間はもらうよ?」

デビほむ「いいわ。それで、どのくらいかかるの?」

QB「ひと月は待たせないさ」

デビほむ「わかったわ」ファサ






266 : 以下、2... - 2014/03/30 19:27:33.50 jwaLUGYF0 132/401


マミ「ティロ・フィナーレ」

Gertrud:Aaaaaaaaaaa…….

さやか「か、勝ったの?」

まどか「すごい……!」

マミ「そうね、もう大丈夫よ。……それで、これがグリーフシード」ヒョイ

まどか「真っ黒い、宝石……?」

マミ「宝石のように見えるけれども、これは魔女の卵よ。運が良ければ魔女が時々持ち歩いているの」

さやか「げっ、あれの卵っ?」

QB「大丈夫だよ。この状態なら安全だよ。むしろ役に立つ貴重なものだ」

マミ「見て。わたしのグリーフシード、昨日よりちょっと色が濁ってるでしょう。でも、グリーフシードを使えば――」シュウウ

まどか「わぁ。きれいになった」

マミ「ね? これで消耗したわたしの魔力も元通り。前に話した魔女退治の報酬っていうのが、これ。――それで、あなたたちはいつまでそこにいるのかしら?」

偽街の子供達「……」


267 : 以下、2... - 2014/03/30 19:39:17.25 jwaLUGYF0 133/401


まどか「あ。あの子たち……」

さやか「まだいたのか、あいつら」ジトッ

マミ「それで、どうするの? わたしたちは、いますぐあなたたちをどうこうしようという気はないわよ? それとも……そっちはそうじゃないっていいのかしら」

まどか「ま、マミさん。そんな風に言わなくっても……」

さやか「いいや。マミさんの言う通りだよ。あんたら、ここに残って何してたのさ。葬列ってやつは中止になったんでしょう?」

偽街の子供達「……」

マミ「そうね。事情次第では、こちらも黙って見ているわけには――」

偽街の子供達「かぁいそうに」

マミ「――ぇ?」



268 : 以下、2... - 2014/03/30 19:46:21.86 jwaLUGYF0 134/401


まどか「か、かわいそう……?」

さやか「はぁ? あんたたち、いきなり何を――」

イバリ「あぁ」

オクビョウ「かぁいそうに」

マヌケ「かぁいそうにねぇ」

ワガママ「かぁいそうなちょうちょだよ」

マミ「だ、だから、あなたたち。さっきから、いったい何を……?」

マヌケ「不信」

ガンコ「人間不信」

ヒガミ「バラ以外は信用しない」

オクビョウ「だから自分のバラ園にこもった」

イバリ「ただそれだけだったのに」

まどか(あ。これって、もしかしてあの魔女のこと……?)


269 : 以下、2... - 2014/03/30 20:05:03.16 jwaLUGYF0 135/401


イバリ「そんな自分のバラ園で」

ガンコ「きれいにお髭を整えていたのに」

ヒガミ「きれいなバラを育てていたのに」

マヌケ「たったそれしか残ってないのに」

オクビョウ「あぁ」

ワガママ「かぁいそうに」

ヒガミ「かぁいそうに」

さやか(……なに、これ。こいつらの言葉もしぐさも、これっぽっちも心に響かない。むしろ、ただただ、キモチ悪くて不気味でしかない……!)

イバリ「シクシク」

マヌケ「シクシク」

オクビョウ「シクシク」

偽街の子供達「シクシクシクシク」



270 : 以下、2... - 2014/03/30 20:29:22.58 jwaLUGYF0 136/401


さやか「あんたら、やっぱり人間とは違うんだね」

まどか「さ、さやかちゃん……」

さやか「だってそうでしょう、まどか。あんた、さっきの見て何とも思わなかったの?」

まどか「ぅ。それは……」

マミ「……鹿目さん、美樹さん、帰りましょう。話し合いは、暁美さんもいないと意味がないわ」

イバリ「そう?」

マヌケ「じゃあ、おしまい?」

オクビョウ「葬列は、おしまい?」

ガンコ「おしまい」

まどか(さっきまで泣いてる時は、うつむいて顔を手で覆ってたけど……)

さやか(こいつら、やっぱり泣きまねか)

マミ「ええ。もうおしまいにしないとね」

さやか「ほむらにもちゃんと言っておくよ。……あの子の目を覚まさせてやんないと」

ワガママ「?」

ヒガミ「なんのこと?」

さやか「ふんっ。あんたらにはわかんないことだよ。――マミさん。ほむらには明日、マミさんの家に来るよう伝えときます」

マミ「そう。お願いね。できるだけ早いうちのほうがいいものね」

まどか「……」


271 : 以下、2... - 2014/03/30 20:35:54.08 jwaLUGYF0 137/401


ヒガミ「行っちゃった」

ワガママ「行っちゃったね」

マヌケ「ま、いっか」

イバリ「おしまいなら、帰ろう」

オクビョウ「そうだね」

ガンコ「ご飯の時間」

ワガママ「ご飯!」

ヒガミ「帰ろう」

マヌケ「うん」

オクビョウ「ご主人様のところに」

ガンコ「帰ろう」


273 : 以下、2... - 2014/03/30 20:53:29.16 jwaLUGYF0 138/401


~ほむホーム~


ネクラ「それで」

ミエ「ご飯は」

ノロマ「まだー?」

メガほむ「まだだよ。外に行った子が帰ってくるまで待つの。みんな揃ってからのほうがいいでしょ?」

レイケツ「いや別に」

ウソツキ「先に食べよう」

メガほむ「だーめ」

ヤキモチ「えー」

ミエ「あいつら――あ」

イバリ「ただいまー」

ワガママ「ご飯!」

ナマケ「帰ってきたね」

ワルクチ「遅い」

メガほむ「ふふっ、おかえり。それじゃあ、ご飯にしよっか」

ワガママ「ご飯!」


274 : 以下、2... - 2014/03/30 21:02:59.39 jwaLUGYF0 139/401


レイケツ「いただきます」

ワガママ「いただきます!」

メガほむ「いただきます。……それで、今日は帰りが遅かったけど、外で何をしてたの?」

イバリ「葬列」

ガンコ「葬列」

マヌケ「葬列」

メガほむ「あー、うん。それは残ってた子に聞いてたから知ってる。だから、できれば何のお葬式だか教えてくれたら嬉しいなって、そう思うんだけど……」

ヒガミ「なんの?」

ガンコ「なんのって言われたら」

オクビョウ「ちょうちょだね」

ワガママ「ちょうちょの葬列!」

メガほむ「……ちょうちょ?」

275 : 以下、2... - 2014/03/30 21:07:23.29 jwaLUGYF0 140/401


メガほむ「ちょうちょって、あの、ひらひらーって飛んでる蝶々?」

イバリ「ひらひらというか」

ワガママ「どろどろというか」

ガンコ「とにかくちょうちょ」

オクビョウ「バラが好きだったちょうちょ」

マヌケ「かぁいそうなちょうちょ」

ヒガミ「その葬列」

メガほむ「ふーん、そっか。ちょうちょの葬列かぁ」

メガほむ(なーんだ。葬列って聞いてちょっと不安になってたけど、蝶々のお葬式なんだ。ふふっ。よくわからないところも多い子たちだけど、やっぱり子供らしくってかわいらしいところもあるんだ)

ネクラ「どうしたの、ご主人様?」

ワルクチ「なに笑ってるの」

メガほむ「ううん、何でもないよ」

ノロマ「ふーん」

レイケツ「変なの」

ナマケ「いつも変だけど」

ヤキモチ「いまもやっぱり変なの」

メガほむ「こーら。そういうこと言わないの」ニコニコ


283 : 以下、2... - 2014/03/31 23:52:54.88 w/8+AudS0 141/401


~夜の公園~


マミ「ティロ・フィナーレ!」

Ulla:Uuuuuuuuuuu……

まどか「やった!」

さやか「おおっ。やっぱマミさんってカッコいいね~」

マミ「もう。見せものじゃないのよ。危ないことしてるって意識が忘れないでおいて欲しいわ」

さやか「いえーす」

まどか「あはは、さやかちゃんたら……。でも、グリーフシードを落とさなかったね」

QB「今のは魔女から分裂した使い魔でしかないからね。グリーフシードは持ってないよ」

まどか「あ……使い魔、だったんだ」

さやか「……あいつらと一緒か」

マミ「……」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫かな」

さやか「ふんっ。知ったこっちゃないよっ――とは言えないよね、やっぱり。くっそう、あの分からず屋めぇ」

マミ「仕方ないわ。何が悪いってわけじゃなくても、言葉が通じない時ってあるものだから。――さ、行きましょう」


285 : 以下、2... - 2014/04/01 01:20:49.06 cwQdwD4O0 142/401


~回想・マミホーム~


マミ「はい、どうぞ暁美さん。新しく封を切ったエキセアなんだけど、お口に合うかしら?」

メガほむ「はい。とってもおいしいです」

マミ「良かったわ」ニコ

さやか「ほー。これそんなおいしいの? どれどれ――って、マミさんこれすっぱい! すっぱいよ!?」

まどか「さ、さやかちゃん、落ち着いて? たぶんこれ、もともとそういう味だと思うよ」

さやか「そ、そっか。ああ、うん、そうだよね。……けどほむら。これおいしいか?」

メガほむ「え? その、はい。体にじんわり染みわたっていく感じがして、けっこう好きな味です」

さやか「へー、ほー、ふーん。……え。マジで?」

マミ「ふふっ。美樹さんには、まだちょっと早い味だったかしら?」

さやか「えっ? いや、そんなことないっすよ! ほれこの通り!」ゴクゴク

まどか「さやかちゃん……」

メガほむ「美樹さん……。その、個人の好みもあると思うので無理に――」

さやか「っぷはーっ。マミさん、おかわり!」

マミ「わかったわ。美樹さんには、ちゃんと飲みやすいお茶をいれてくるから待ってて。確か、一回分ぐらい残ってたカモミールティーがあったはずですか」

さやか「……えー。何でしょうかね。いまのあたしに何か言いたいことはあるかなぁ、ほむら」

メガほむ「その、なんていうか……ごめんなさい!」

さやか「うん。謝らないで……むしろみじめになっちゃう」シクシク

まどか「あはは……。あ、マミさんっ。わたしもそっちのお茶でいいですか?」

マミ「ええ、もちろんよ」



329 : 以下、2... - 2014/04/01 23:59:44.03 cwQdwD4O0 143/401


マミ「はい、どうぞ美樹さん。カモミールティーよ。飲みやすいブレンドにしてあるから、遠慮なくぐいっといっちゃってね」クスクス

さやか「ありがとうございます、マミさん。このお茶おいしいですね……ええ、お子ちゃまな味覚なあたしにもわかる素敵なお茶ですとも!」

まどか「ほむらちゃん、あんまり気にしなくていいからね?」

メガほむ「あはは……。それで、今日はお話があるって聞いたんですけど……?」

さやか「……」

まどか「……」

マミ「そうね。あの使い魔の子達のことで、ちょっとね」



330 : 以下、2... - 2014/04/02 00:15:45.37 4muHPxcU0 144/401


メガほむ「あ、そうなんですか。あの子達の……。いったいどうしたんですか?」

さやか「どうかしたっていうかさ――」

マミ「美樹さん。わたしのほうから話させて? ……お願い」

さやか「……はい。でも、遠回しの言い方で無理だったら、わたしにも言わせてください」

マミ「……わかったわ」

メガほむ「……?」

まどか「……」

マミ「話の腰を折っちゃってごめんなさい、暁美さん。それで話なんだけれども……あの子たちと、距離を置いてみる気はない?」

メガほむ「はい?」キョトン


332 : 以下、2... - 2014/04/02 00:31:53.08 4muHPxcU0 145/401


メガほむ「ええっと、距離を置くってどういう……というか、そもそも何でですか?」

マミ「ほら、なんていうのかしらね。わたしも一人暮らしをしてるじゃない? だから、やっぱり生活の大変さは分かるのよ。一人で生活を回していくのって、本当に大変よね。でも、それをこなしてる暁美さんは、すごいと思うわ」

メガほむ「い、いえ。わたしなんてまだ退院してちょっとだけで……。もう何年も一人暮らしをしている巴さんのほうが、ずっとすごいです」

マミ「ふふっ、ありがとう。……でもね、やっぱり一人で生活していくっていうのは時間を削っていくことなの。暁美さんみたいに自分以外の子の世話をしながらだと、特にね」

メガほむ「それは……そうかもしれませんけど」

マミ「特に暁美さんは退院したてだから無理がきく身体じゃないだろうし……あんまりこういうことを言いたくはないんだけど、暁美さん。ちょっと、勉強のほうも遅れちゃってるんでしょう?」

メガほむ「う……。そう、ですけど、なんで巴さんがそれを――」

まどか「……ごめんね、ほむらちゃん」

さやか「あたしたちのほうから話しちゃったんだ。勝手に話したことについては、ごめん。謝るよ」

マミ「暁美さんも二人を責めないで? わたしが聞き出したんだし、それに全然気にすることではないと思うの。仕方のないことだし、これからいくらだって取り戻せるわ。言ってくれれば、わたしだって協力できるしね。何せ、これでもあなたたちの一つ上だから」

メガほむ「あ、ありがとうございます」

マミ「どういたしまして。……でもね、やっぱりそれをするのには、時間がいると思うのよ」


333 : 以下、2... - 2014/04/02 00:52:29.54 4muHPxcU0 146/401


メガほむ「……時間、ですか?」

マミ「そうよ。わたしも魔法少女の活動しながら学校へ行ってるから、大変さは身に染みてわかってる。勉強をするのもそう。生活を回すのもそう。せっかく退院できた体を無理させないことも大切だわ」

メガほむ「そ、そんなの、どうにでもなりますっ。わたし、勉強なら頑張りますし、あの子たちの世話だったら別に無理なことありませんっ」

マミ「そう。でもね、暁美さん。鹿目さんや美樹さんと遊ぶのにだって時間がいるわ」

メガほむ「……ぁ」

マミ「わたしはね、魔法少女になったものとして、この町を守らなくちゃいけなかった。魔女から街のみんなを守るために頑張って頑張って、それで、魔法少女になってから以前の友達とは、だいぶ距離が離れちゃった。当然よね。魔法少女の活動を優先させて、友達との付き合いが悪くなっちゃったもの。それでもそれを後悔したことなんて……ないわ」

さやか「……」

まどか「マミさん……」

マミ「でもね暁美さん。あなたには普通の女の子としての幸せな生活があるのよ。素敵な学校生活。友達との楽しい放課後。それを犠牲にしてまであの子たちの世話をするの? それっておかしなことじゃない?」

メガほむ「おかしな、ことなんかじゃ……」

マミ「本当にそうかしら。そもそも、使い魔と一緒に住んでことが変なことだしね」

メガほむ「……変、って」カチン



334 : 以下、2... - 2014/04/02 01:34:29.10 4muHPxcU0 147/401


メガほむ「それは、変なのかもしれませんけど、だからって関係のない巴さんに言われることじゃないと思いますっ」

マミ「関係ないってことはないわ。わたしは魔法少女だもの。その経験からいわせてもらえば、使い魔と一緒に住んでいるという今のあなたの状況はあまり良いものだと思えないわ」

メガほむ「……魔法少女だから何なんですか? 魔法少女ってだけでなんでもわかるっていうんですか? あの子たちのこと何にも知らないくせに、一方的に離れたほうがいいだなんて、なんでそんなこといえるんですか……!」

マミ「それは……」

まどか「ほ、ほむらちゃん、落ち着いてっ。マミさんだってなにも悪気があって言ってるわけじゃないんだよ? だから、ね?」

メガほむ「鹿目さん……」

さやか「そうだよ、ほむら。マミさんはあんたのことを思って言ってるんだよ?」

メガほむ「……わたしの、ため? 」



335 : 以下、2... - 2014/04/02 02:03:20.59 4muHPxcU0 148/401


メガほむ「わたしのためって何なんですか? あの子たちから離れろって、そんなこと言われて何がわたしのためなんですか?」

まどか「ほむらちゃん……」

マミ(しまったわね。思った以上にあの使い魔たちに対して愛着心が湧いてしまってるのね……。これは、逆効果だったかも)

メガほむ「……さっきから、いったい何なんですか。なんだか遠まわしで、ぼやかした言い回しで何かごまかそうとしてませんか? 言いたいことがあるなら、はっきり言ってください」

さやか「わかった。あたしだってこんな風にごまかすのは嫌いだからね。もうはっきり言うよ、ほむら。あんた、あいつらを追い出しなよ」

メガほむ「……それが今日、本当に言いたかったことなんですね。でも、なんでそんな話になったんですか? この間は条件付きだけれども一緒にいていいって、巴さんが許してくれたんじゃないですか」

マミ「そうね。そうだったんだけど、状況が変わったの。……いいえ。あの使い魔の子達対する認識が変わったって言い方のほうがいいかしら」

さやか「そうだよ。ほむら。あたしたちは昨日あいつらに会って、見ちゃったんだ」

メガほむ「何をですか?」

さやか「あいつらが、OLの人の自殺を眺めてるところだよ」

メガほむ「!」


364 : 以下、2... - 2014/04/02 23:52:08.64 4muHPxcU0 149/401


さやか「マミさんがその人を助けてくれたからよかったけど、そうじゃなかったらOLの人は死んでた。あいつらは、それを眺めるつもりだったんだ」

メガほむ「い、言いがかりですよっ。そんなことわからないじゃないですかっ。もしかしたら助けるつもりだったのかもしれませんしっ」

マミ「それはないわね。わたしたちがそれを聞いたら、あの子たちははっきり違うって答えたもの。『止めたら葬列が中止になる。盛り上げられない』ってね」

まどか「ほんとのこと、だよ」

メガほむ「……っ。でも、そんなの、あの子たちが何をしたってわけでもないじゃないですか! わたしだって、自殺をしようとしてる人がいたならどうしたらいいかわからなくなるだろうし、きっとどうにもできませんよっ。見ていたからいけないなんて……それは、そうなのかもしれませんけど……。でも……」

マミ「そうね。OLの人だって、魔女に操られて自殺をしそうになっていたのだから、その面ではあの使い魔の子達に非はないわ」

メガほむ「じゃあ――」

マミ「でも、あの子たちが人の死を見送って、ましてや人の死を盛り上げようなんて発言をしたのは事実よ。使い魔ってそういうものだってことから目をそらすのはよくないわ。……それにね、暁美さん」

メガほむ「……まだ、あるんですか?」

マミ「ええ。一番大事なことよ」

さやか「ほむら。その時にマミさんがあいつらに聞いたんだよ。ほむらが死にそうになったらどうする、ってさ。あいつら、なんて答えたと思う?」

メガほむ「……それ、は」

さやか「盛り上げるって、口をそろえて言い切ったんだよ」

メガほむ「…………」


365 : 以下、2... - 2014/04/03 00:21:47.97 AM0+i/8B0 150/401


さやか「しかもさ、マミさんが魔女を退治した後、あいつらはその魔女の葬列のままごとみたいなことを始めたんだ」

メガほむ「……葬列の、ままごとですか?」

まどか「うん。マミさんが戦った魔女っていうのが、どろどろしてるさなぎの中身に蝶々の羽をつけたみたいな怪物だったんだけど、それをかわいそうな蝶々だっていって」

メガほむ「そう、ですか……。それで、蝶々のお葬式って……」

さやか「ほむら。あいつらは不気味だよ。人間じゃないんだ」

マミ「そうね。やっぱり暁美さんは、あの子たちとは距離をとったほうがいいわ。使い魔だって結界を張れるのだから、必ずしも暁美さんのおうちにいる必要もないでしょうし。わたしだって人に危害を加えない使い魔を退治しようなんてことしないわ」

まどか「ほむらちゃん。その、どうかな? マミさんの提案なら、別に離れて暮らしても、もう会えなくなるってわけでもないと思うの」

マミ(……もし魔女になって呪いを生み始めたら、さすがに黙って見てるわけにはいかないでしょうけど、ね)

メガほむ「……やっぱり、嫌です」


366 : 以下、2... - 2014/04/03 01:00:06.01 AM0+i/8B0 151/401


さやか「ほむら、あんた――」

メガほむ「あの子たちが人間じゃないっていうのは確かにその通りです。行動が不気味だって言われれば、そうなのかもしれません。でも逆に、人間じゃないならわたしたちとは違う価値観なのも当然じゃないんですか?」

マミ「それは、そういってしまえばそうなのかもしれないけれども……」

メガほむ「だいたい、魔女が退治された後のお葬式だって、あの子達なりに真剣にやってたのかもしれないじゃないですか。わたしたちからしたら、その魔女っていうのは怪物でしかないのかもしれないですけど、あの子たちにとっては、死んじゃったら悲しいものなのかもしれないじゃないですかっ」

さやか「はっ。あれが真剣にだって? あいつらが悲しんでたって? それはないよ。ほむらはアレを見てないからそんなことが言えるんだ」

メガほむ「それは美樹さんが勝手に思ってるだけなんじゃないんですか? ……思い込みが激しくって他人をすぐケンカしちゃうって、鹿目さんが言ってた通りだと思います」

さやか「……なんだとぉ?」

まどか「ほ、ほむらちゃん!? わたし、何もそんな風に言ったわけじゃないよ!」

メガほむ「……ごめんなさい、美樹さん。言いすぎました」

さやか「……別に、気にしてないよ」


367 : 以下、2... - 2014/04/03 01:48:44.52 AM0+i/8B0 152/401


マミ「でも、暁美さん。あなたはやっぱり、あの子たちと離れるつもりはないのね?」

メガほむ「……はい。ありません」

さやか「……」

マミ「そっか。……でも、わたしが最初に言った問題はどうするの? あなたのこれからが心配だっていうのも、わたしたちの本心なの」

メガほむ「それなら、解決する方法があるってさっき思い出しました。……キュゥべえ」

QB「なんだい?」

メガほむ「キュゥべえ。あなたと契約すれば、どんな願いもかなえられるんだよね?」

QB「ああ、もちろんさ、暁美ほむら」

メガほむ「そっか。やっぱり、そうなんだよね」

マミ「ッ。暁美さん。あなた、まさか――!」

QB「けれども、君はその祈りのために魂を懸けられるかい? 戦いの定めを受け入れてまでかなえたい望みがあるというのなら――僕が力になってあげられるよ」

メガほむ「うん。あの子達のためなら、いいよ。わたし、魔法少女になる」

まどか「ほむらちゃん!?」

さやか「ほむら!? あんたなに考えてるの!?」」

QB「そうかい。なら、教えてごらん。君はどんな祈りでソウルジェムを輝かせるんだい?」

メガほむ「わたしは――」


405 : 以下、2... - 2014/04/03 23:08:39.81 AM0+i/8B0 153/401


メガほむ「わたしは、時間が欲しい。入院していた今までを取り戻せるような時間が、友達とも一緒にいられる時間が、何よりもっとあの子たちと過ごせるような時間が――」

マミ「やめて!」

メガほむ「!?」ビクッ

まどか「ま、マミさん?」

QB「マミ? どうして止めるんだい?」

マミ「ダメよっ。魔法少女がどんなものかもしれないうちにQBと契約したら、あなたは絶対に後悔する。あなたには、まだ選択する余地があるの。だから、お願いだから冷静になって……!」

さやか「マミさん……」

メガほむ「……」

QB「それで、君はどうするんだい、暁美ほむら」

メガほむ「……すいません、巴さん。もう帰ります。ちょっと、頭も冷やしておきたいので」

QB「そうかい。残念だけど、君がそういうなら仕方ないね」

マミ「そうね。これ以上は、お互いに余計なトラブルを生むだけになりかねないものね。今日はお開きにしましょう」

メガほむ「はい。わかりました。……それじゃあ、お先に失礼します」

さやか「…………」

まどか「あ、ほむらちゃん……」

メガほむ「ごめんなさい、鹿目さん。――巴さん。今日はお招きいただいてありがとうございました。お茶、おいしかったです」

マミ「……そうね。今度、また落ち着いて話をしましょう」







406 : 以下、2... - 2014/04/03 23:17:51.44 AM0+i/8B0 154/401


~夜の公園~


さやか「うー。いま思い出してもあの時のことはちょっと腹が立つけど……しっかしそれ以上に、ほむらがあそこまで思いつめちゃうとはなぁ。まさかあいつらのために一回きりの願い事を使おうとするだなんて思わなかったよ」

マミ「そうね。でも、暁美さんの気持ちを考えずにこっちの意見を押し付けようとしたわたしたちも悪いと思うのよ。結果的に、あの時に暁美さんを追い詰めちゃったのは、わたしたちだわ」

まどか「そうですよね。……ほむらちゃん、あんなにあの子たちのこと大事に思ってたんだ」

さやか「でもさ、あいつらはほむらのことどうでもいいと思ってるんだよ? それを知らないでいるっていうのは……やっぱり、ほむらがかわいそうだよ」

マミ「そうね。どうにかしてそれを伝えられればいいんだけど……」

まどか「……」

さやか「あの葬列のままごとを目の前でやられればほむらの目も覚めるとは思うんだけど、難しいよね。……でもさ、ほむらとの会話で思ったんだけど、願い事って他人のためのものでもいいんだね」

まどか「それって……上条君のこと?」

さやか「なっ……! ほ、ほむらとの会話で思ったっていったじゃんか!」


407 : 以下、2... - 2014/04/03 23:35:26.30 AM0+i/8B0 155/401


QB「べつに契約者自身が願いごとの対象になる必然性はないね。前例もないわけじゃないし」

マミ「……でも、あまり関心できた話じゃないわ」

まどか「あ……。やっぱり、そうなんですか?」

マミ「ええ。暁美さんの時にも言ったけれども、選択の余地がある子にはちゃんと考えて欲しいの。……自分の願い事に、後悔なんてしてほしくないから」

さやか「願い事をかなえて後悔って、どういうことですか?」

マミ「そうね……。たとえば、他の人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと」

まどか「自分の、望み?」

マミ「そう。暁美さんが途中まで口走っていた願い事は、何だかんだで自分の望みも叶えるものだったみたいだけど――美樹さん。あなたは、その人に夢を叶えて欲しいの? それともその人の夢を叶えた恩人になりたいの?」

さやか「……」

まどか「――マミさん」

マミ「同じようでも全然違うことよ、これ」

さやか「……その言い方は、ちょっとひどいと思う」

マミ「ごめんね。でも今のうちに言っておかないと。そこをはき違えたまま先に進んだら、あなら、きっとあの時の暁美さんが契約した場合以上に後悔するから」

さやか「……そうだね。あたしの考えが甘かった。ごめん」

マミ「やっぱり、難しい事柄よね。焦って決めるわけじゃないわ。暁美さんにも、そう伝えておいてくれるかしら。……わたしのほうから伝えると、角が立つかもしれないから」

まどか「はい。わたしからほむらちゃんに伝えておきます」

QB「さっきからの会話を来ていると君たちの感情は複雑だね。僕にはとても理解できないよ」

マミ「あら。キュゥべえもまだまだね」クスクス

まどか「あはは……」


408 : 以下、2... - 2014/04/03 23:50:10.05 AM0+i/8B0 156/401




409 : 以下、2... - 2014/04/03 23:52:06.18 AM0+i/8B0 157/401

~叛逆後の世界~


デビほむ「らんらんららら、らんらんららら~♪」

デビほむ(さて、あの子たちが見つかったわけじゃないけど、時間の問題だと思うとすっきりするわね。久しぶりにすがすがしい気分だわ)

マミ「~♪」

デビほむ(あれは巴さん……。鼻歌なんて歌っちゃって、見るからに期限がよさそうね。まあ、なにがあったかはだいたいわかるけど)

マミ「~♪~♪」

デビほむ「ご機嫌そうね、巴さん」

マミ「暁美さん! ええ、実はなぎさちゃんと仲直りをしたのよ!」ニコニコ

デビほむ「そう。それはよかったわね」

マミ「ええ。それで今日、なぎさちゃんと一緒にチーズケーキを作るの! ふふふっ」

デビほむ(本当わかりやすいわね、この人は)

マミ「でも暁美さんもなんだかすっきりした顔をしてるわよ? いいことがあったのかしら」

デビほむ「……え、えぇ」

デビほむ(そんなにわかりやすかったかしら、わたし……?)

デビほむ「実はこの間から抱えていた問題のめどがつきそうなのよ。それでね」ファサ

マミ「ふふっ。よかったわね」ニコニコ

デビほむ「ええ。よかったわ」フフッ


412 : 以下、2... - 2014/04/04 00:11:07.42 yALeqMle0 158/401






~翌日・放課後~


メガほむ「す、すいません。補習が終わるまで待ってもらっちゃって」

まどか「いいよ。気にしないで、ほむらちゃん」

さやか「そーだよ。遅れた勉強を取り戻すために、自分からちょっと課題出してもらうようにしたんでしょ? 自分から勉強しよう何て、偉すぎてほむらがまぶしい! 名前通りに燃えあがる太陽か!? 直視できないぜ!」

まどか「あはは……」

メガほむ「さ、さやかさん」

さやか「あははっ。ほむら、まだ夕ご飯の準備までには余裕があるっしょ?」

メガほむ「あ、はい。まだ大丈夫です」

まどか「良かった。なら、帰りにちょっと寄り道して行こう?」

さやか「うんうん。昨日ちょっとぎくしゃくしちゃったしさ。その空気を、遊びでぱーっと散らしちゃおうぜ!」

メガほむ「あ……。は、はい! お願いします!」

まどか「うん。こっちこそお願い」

さやか「どんと任せろ! ……で、その道すがらでちょっと寄りたいところがあるんだけど、いいかな?」

メガほむ「……?」


413 : 以下、2... - 2014/04/04 00:26:15.76 yALeqMle0 159/401


~病院~


さやか「さあ、着いたぞ! とりあえずはここからだ!」

メガほむ「え? ここって、病院ですよね。さやかさん、何か病気しているようには見えないですけど……」

さやか「おう! あたしはいつだって健康優良児だぞ!」

まどか「さやかちゃんの幼馴染が入院してるんだ。上条君っていう、わたしたちと同じクラスの男の子なんだけど」

メガほむ「あ! もしかして、あのいつも空いてる席の人ですか?」

さやか「そうそう!」

メガほむ「へぇー。そうなんですね」

まどか「さやかちゃん、よく来てるんだよねー。いつもは放課後すぐだから、もうちょっと早い時間なんだけど」

さやか「お、幼馴染だから! それだけだよ!」

メガほむ「……? そうなんですか。仲が良いんですね」

まどか「ほむらちゃん……そういうことだけじゃないんだよ……」

メガほむ「え、え?」

さやか「そういうことだけだよ! ……じゃあ、あたしは恭介のお見舞い行くから、まどかとほむらはここで待ってて!」

まどか「はーい。さやかちゃん、ガンバッテ!」ウェヒヒ

さやか「まぁーどぉーかぁー?」

メガほむ「?」


414 : 以下、2... - 2014/04/04 00:37:22.30 yALeqMle0 160/401


メガほむ「あ、行っちゃった。……結局、どういうことだったんですか?」

まどか「ふふっ。何でもないよ。……それよりここでただ待ってるのもヒマだし、ちょっとあたりをぶらぶらしよっか」

メガほむ「そうですね」







さやか(この間買ったレアもののCD、恭介喜んでくれるかな。……ってあれ? いま恭介の病室から出てきたのって、恭介のお父さんと主治医の人?)

上条父「……おや? さやかちゃんかい。恭介に会いに来てくれたんだね」

さやか「あー、はい。恭介のお見舞いに来たんですけど……もしかして、タイミングが悪かったりしちゃいましたか、あたし?」

上条父「そうだね。実はさっきまで大切な話をしていて、いまは少し……いや、むしろ、会ってあげてくれないかな。恭介もわたしたちより、よく会いに来てくれるさやかちゃんの言葉のほうが、届くだろうしね」

さやか「……?」

上条父「情けない話だけど、わたしたちでは力不足だったからね……。どうか、恭介を励ましてほしい」

さやか「は、はい、わかりました……?」

上条父「よろしく頼むよ、さやかちゃん」


415 : 以下、2... - 2014/04/04 01:03:33.20 yALeqMle0 161/401


~病院・駐輪場~


まどか「うーん、駐輪場まで来たけど、特に面白そうなものはないね」

メガほむ「はい。病院ってそういうものですし……って、あれ?」

まどか「ほむらちゃん、どうした――あ」

ノロマ「……」

マヌケ「あれ?」

ガンコ「ご主人様」

ヒガミ「それと、カナメマドカ」

まどか「う、うん。今日はいっぱいいるね……。いつもの倍くらい?」オドオド

メガほむ「どうしたの、あなたたち。こんなところに全員――は、いないみたいだけど。あの子がお留守番してくれてるのかな」

ネクラ「お留守番というか」

ヤキモチ「あれは」

ワルクチ「サボりというか」

ミエ「今日は大切な葬列なのに」

レイケツ「次はひっぱり出す」

まどか(そ、葬列って、もしかして……)ゾクリ

メガほむ「ふふっ、そっか。……それで、大切な葬列ってなんのこと?」

オクビョウ「あれ」

ウソツキ「そろそろ始まる、あれ」

メガほむ「ええっと……何あれ?」

まどか「え? あ、あれって……!」


416 : 以下、2... - 2014/04/04 01:21:57.02 yALeqMle0 162/401

まどか「グリーフシード!? 嘘、なんでこんな所に……」

メガほむ「ええっと、ぐりーふしーど……?」

ワガママ「うん!」

イバリ「あれが卵」

ガンコ「魔女の卵」

メガほむ「へえー。これが、魔女っていうのの卵なの? ちっちゃいんだね」

ミエ「うん」

マヌケ「もうそろそろ孵るよ」

ヤキモチ「魔女が孵る」

まどか「そ、それじゃあ、またあの迷路みたいのができちゃうの。こんなところで……た、大変! 早くマミさんを呼ばないと! ……って、ああっ。マミさんの番号、聞いてないよ……!」

メガほむ「あの迷路、やっぱり危ないものなんですか?」

まどか「そうだよ!」

ネクラ「そうかな」

ウソツキ「そうでもないよ」

まどか「……っ」


417 : 以下、2... - 2014/04/04 01:27:22.72 yALeqMle0 163/401

メガほむ「ええっと、これが放っておけないものだっていうなら、とりあえずわたしがここで見張ってます。鹿目さんは巴さんを呼んできてください」

まどか「そんなっ。もしあの迷路が出来上がっちゃったら、ほむらちゃん、出てこれないかもしれないんだよ!?」

メガほむ「大丈夫です。前にあの迷路みたいなのに引っ張り込まれた時も、なんだかんだでこの子たちと一緒にいれば平気でしたから」

レイケツ「なに?」

オクビョウ「ご主人様も一緒に待つの?」

メガほむ「うん、そうだよ。いいよね?」

ノロマ「……」

ワルクチ「別に」

ヒガミ「いいよ」

メガほむ「ふふ、ありがとう。それじゃあ、鹿目さん」

まどか「……あたし、すぐマミさんを連れてくるから!」タタタタッ


418 : 以下、2... - 2014/04/04 01:36:22.75 yALeqMle0 164/401


ネクラ「カナメマドカは行っちゃった」

ウソツキ「主賓を呼びに、行っちゃった」

メガほむ(……主賓? 何のことだろう?)

メガほむ「ね、あなたたち。主賓って何のこと?」

ワルクチ「ドリル」

マヌケ「チーズ?」

ワガママ「ケーキ!」

メガほむ「うん。もういいよ。わたしの質問に答えてくれないのにはなれちゃったから、もういいよーだ……」

オクビョウ「ところで」

イバリ「待つのはいいけど」

ネクラ「曲がった迷路は」

ミエ「もうできた」

メガほむ「え……わ!」


419 : 以下、2... - 2014/04/04 01:40:27.09 yALeqMle0 165/401







恭介「動かないんだ……もう、痛みさえ感じない……こんな手なんて……」

さやか「大丈夫だよ。きっと何とかなるよ。諦めなければ、きっといつか――」

恭介「諦めろって言われたのさ」

さやか「っ」

恭介「もう演奏は諦めろってさ。いまさっき、先生直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって」

さやか「……」

恭介「僕の手は、もう二度と動かない。奇跡か、魔法限り、治らない……」

さやか「……あるよ」

恭介「…………?」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」



QB「…………」




【 中編 】 に続きます。

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