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111 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 03:04:48.87 SrEvg5gpo 1/43

【バルフォア級軽空母/通路】



「あ、ごきげんよう……」

エルフ三男「……」

騎士ほ「……フクク、ごきげんよう。お早いご到着でしたのね、道中何事もなかったようで、安心いたしました」

「はあい、ありがとうございます」

騎士ほ「では大将閣下……きちんと彼女をエスコートしてさしあげてくださいまし……フクク……」

エルフ三男「え、ええ……もちろん」

「閣下、お出かけはできませんの?」

エルフ三男「もう少し表が安全になってからだ、それまでは来賓用の船室を用意してある」

「はあい」



エルフ三男「……円卓どもの反応は?」

騎士ほ「南東部沿岸に展開している共和国軍と合流してから音沙汰は無し。
アリス=リデルの勧告はすでに連中の耳に入っているはず、ぼちぼち催促をしたくなってくる頃合いですわね……」

エルフ三男「そう、ですか……」

騎士ほ「それで……フクク、そちらは……お世継ぎはできそうですか?」

エルフ三男「なっ……」

騎士ほ「まだ仕込んでいないと? もうじきお姉様の治める平安が世を包み込むとはいえ、まだまだ戦火は絶えませぬ。
一期一会、一国の為政に携わる男ならば色にも精通しておりませんと格好がつきませんでしょう?」

エルフ三男「こっ、ここでそんな話は……できればやめていただきたいのですが」

騎士ほ「失礼……なにぶん田舎の下卑た官吏の娘ですゆえ……冗談ですわよ、冗談」

エルフ三男「……引き続き警戒を。正規軍とその頭は押さえたとはいえ、エクスキャリバーの保持者が沈黙を続けている事は不気味ですから」




騎士ほ「……チッ」

元スレ
女騎士「どうやら切り札は、常に私のところに来るようだぜ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395903582/

112 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 03:21:59.10 SrEvg5gpo 2/43

騎士ほ「(アリス=リデルは押さえた……女王名義の表明もすでに行っている……
正規軍を通しての勧告だ、信憑性という問題では市民に対してはクリアできていると思われるが……)」


騎士ほ「(円卓にとって女王の存在は絶対のはず、いわばアイデンティティそのもの……
ここで女王擁護の為と表立って動かねば、後になって仮に儀典局を立て直そうとしたとて、周囲からの反発は免れまい……
この状況での雲隠れ、円卓どもにとってもマイナスなはず……こちらとの密約もある、我々との関係をお姉様や正規軍の口から暴露される恐れもあるのに、だ)」


騎士ほ「(なぜ姿を現さない、ラーンスロット卿……! 先の騒動で、どさくさにまぎれておっ死んだのか?
円卓のエクスキャリバー所有者に太刀打ちできる存在など、それこそお姉様のような聖剣を抱く勇者くらいしかいないはずだが……)」


騎士ほ「(勇者しか、いない……聖剣を持つ、勇者……)」


騎士ほ「(もしくは、我々を排除する為の何らかの策を手に入れたか? 勇者や聖剣に匹敵する何かを……
いや、しかし事が長引けば不利になるのは奴らの方だ。癪だが、連合からの圧迫が我々に有利に働いている)」




騎士ほ「(気に入らん……気に入らんな、連合も……円卓も……ふざけやがって……
何でこっちの思った通りに……お姉様を喜ばせる通りに動かねえんだよ……不愉快なんだよ……!)」

115 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 03:42:18.45 SrEvg5gpo 3/43

【北西諸島/沿岸】


連合騎兵「『長女』の身柄の安全が確認できたようです、現在は向こうの艦に収容されているとの事で」

雷帝「りょうかーい。いや、国をこうして出ると色々驚く事がたくさん起こるものだね」

連合騎兵「は……まさか、かの女王の乱心という事件をこの目で見る事ができようとは」

雷帝「それに、女王に神罰を下した英雄の剣。なんとも美しい光を放つものだったじゃないか」

連合騎兵「アジ=ダハーカの剣でしょうか」

雷帝「やはりアジ……ふふ、叔母様は素晴らしい才を持つお人だ。周囲を導く卓越したカリスマ性に加え、
聖剣を行使する聖なる資格まで有しておられる。帝国なんぞにご執心では、まさしく才を潰す事と同義。勿体ない限りだ……」

連合騎兵「『長女』の妹君? あのアジ=ダハーカが……?」

雷帝「このポストに就く以前から調べていたんだよ。6年前の英雄アジ=ダハーカの血縁の人間がどんなのか、気になるだろ? 君も」

連合騎兵「は……しかし長官、なぜアジ=ダハーカ本人ではなく『長女』の身柄を……」

雷帝「……君、親御さんは?」

連合騎兵「は…・・・東部の農村で……お蔭様で、両親とも健在です」

雷帝「そいつはいい。君はご両親は大事かな?」

連合騎兵「それは、もちろん。大切に思っております」

雷帝「私もなんだよ」

連合騎兵「は……長官も、でありますか」

雷帝「私はね、筋金入りのマザコンなんだよ。出来る事なら……いつまでも、いつまでもいつまでも、ずっとずっと……
母様の胎に包まれたい、母様の愛に絆されたい、いつまでも愛撫されていたい。日ごろからそう想っておる。四六時中な」

連合騎兵「」

雷帝「十月十日をそのやわらかであたたかい子宮の内で育んでくださった母様を、今度はわたしが包み込む番なのだ……
……我が高潔なる血統に連なる人間以外の愚物に、人間である資格などない。母様を守護する為の存在だけが、『人間』なのだよ」

連合騎兵「」

雷帝「君も『人間』でいたいなら、今以上に励めよ? 私は実力ある愚物は好きだからね」

連合騎兵「(また長官の病気が始まった)」

117 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 04:00:35.98 SrEvg5gpo 4/43

【エリン本島/上空】


「お兄ちゃん……どうだった、エリン」

息子「どうって、何が?」

「ジャ、ジャバウォッキーの人たち……それも、違う世界から来た人のこと……」

息子「別に、何とも……」

「……わたし、もうエリン行きたくないな」

息子「どうして?」

「だって……怖いんだもの。目付き、ヘンだし……かっこいい人やきれいな人も多いけど、ちゃんとお話ししてくれないし」

息子「……」

「さっきね……押し倒されて、お尻さわられた。すっごく身なりはいいのに……なんだか気持ち悪い人に……」

息子「何で離陸するときに言わなかった。そいつの性器削いでやる」

「だから、怖かったの……この人に何言っても、本当に通じないんだろうなって思って……
ふつうのおじさんだったら、殴ったり蹴ったりすればおカネくれるって大体想像つくけど、あそこにいる人たちは……」

息子「想像も、つかない……?」



ポニテ「恐らくは、自分ひとりの中で価値観が完結している連中ばかりなのです。そう気に病む事はございません、忘れましょうね」

息子「は、はい」

「……これは不可抗力、だとか、私が黙ってるとずっと独り言しゃべってた。そんな人、ばっかりだった」

ポニテ「お二人が生きていく上で、関わり合いになる必要のない人種です。あくまで反面教師として受け止めるようお努めください」

息子「実は、実はぼくも……胸、触られました」

ポニテ「は?」

119 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 04:14:18.88 SrEvg5gpo 5/43

エルフ騎兵「ぼつぼつ帰りましょうや、隊長さん。日が暮れる前に、若様お嬢様を帰してやらにゃ」

ポニテ「そうですね……若様、聞こえましたか」

息子「はい、了解です。中尉の編隊に入ります」

エルフ騎兵「……今日も円卓の騎士側からの回答は無し、か」

エルフ近衛兵「正規軍と議会に、北西という国家をみすみす明け渡すとは思えませんが」

ポニテ「……こちらから行動を起こすにしても、沿岸部には教皇領の司祭も出向してきています。あまり派手なちょっかいは出せますまい」

エルフ騎兵「モドカしいな……」

「でも……でも、これで北西の戦いはおしまい……ですよね」

ポニテ「女王も、こちらの意向を理解してくれたようですからね。きっと、円卓も解ってくれる筈……」

「だと、いいなあ……」

息子「6年前からの戦争……やっと終わるんですね」

ポニテ「これからが頑張りどころですよ、若様、お嬢様。帝国の復興は、お二人の双肩にかかっているのですから」



エルフ騎兵「出張おしまい、それを見越して……色々準備してきたんですよ、俺」

エルフ近衛兵「準備?」

ポニテ「はて……何の事やら」

エルフ騎兵「俺、実は艦に恋人がいるんすよ。午後の哨戒から戻ったらプロポーズしようと、花束も買ってあったりして」

121 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 04:16:57.26 SrEvg5gpo 6/43

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122 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 04:24:13.19 SrEvg5gpo 7/43

エルフ近衛兵「てっ……」

ポニテ「全騎急速上昇! 速度上げろ!!」

息子「だっ……誰が、誰がやった!!」

エルフ近衛兵「銃声が聞こえなかった……! 何だ、野生の飛竜か何かか!?」

「敵……敵なんて、もういないんじゃ……!」

息子「退くぞっ、もたもたするんじゃない! クロウクルアッハの速力で振り切る、早くしろっ!!」

ポニテ「一騎やられた!! 編隊崩すな、必ず生きて帰るぞ!!」




息子「(敵が、一瞬だけ見えた……あれは、あの赤い鱗は……ペンドラゴン! 円卓だ……!!)」

123 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 04:37:32.75 SrEvg5gpo 8/43

【北西沿岸/上空】


雷帝「あれは……ペンドラゴン? これ見よがしに真っ赤なので飛んできやがって、何のつもりだか」

連合騎兵「方角からして共同体方面……?」

雷帝「……まさか、もしかすると……もしかするか?」

連合騎兵「長官、何を……」

雷帝「アジ=ダハーカどもの空母、一隻は不可視の諸島群に。もう一隻は北西に停泊していたな。
……あれの向かう先、恐らくは前者だ。何が目的かはわからんが……遠目からでも武装しているのは見えた」

連合騎兵「トチ狂ったのか!? なんてこった……! 今、奴らがアジ=ダハーカを急襲するメリットがどこにある……?」

雷帝「知った事かよ……後でそんなもん確かめりゃあいい」

連合騎兵「ちょ、長官……長官ッ!!」

雷帝「先行する、貴様は共和国と教皇領に確認を取れ。女王の飼い犬にちゃんと首輪してたのかって聞いて来い」

連合騎兵「しかし、長官お一人で向かうおつもり……」

雷帝「二度は言わない。さっさと行け」



雷帝「(どういうつもりだ糞円卓……!! よりにもよって最後っ屁か? くだらねえマネしてんじゃねぇよ、ざけてんな……!!
このご時世に、布告なしで奇襲だあ? なめやがって……それとも連中はテロリストだから布告する必要ねえってか?
そんな自信がどこにあるってんだよ、ナマクラの不感症聖剣ぶらさげたゲスども……!! まとめてバルムンクで皆殺しにしてやる……
……そこに誰の母親がいるかわかってんのか? この、この雷帝をお産みになられたお方がいるのだぞッ……!!)」

124 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 04:52:29.14 SrEvg5gpo 9/43

【バルフォア級軽空母周辺海域】


秘書「大変ですっ、大変なんですよう!! ぶ、武装したドラグーンが、きゅ、きゅうそくせっきんちゅうで……」

騎士ほ「言われんでもわかっている! 各部隊スクランブル、艦に近づけさせるな!」

秘書「うぇぇーん、何でですかぁー、こっちには女王陛下もいるのにぃー!」

女騎士「あぁーんもぉ何でだよぉー、あいつら女王惜しくねぇーのぉー!? うっぜーなまったくよぉー!!」

騎士ほ「……お姉様、ジョワユーズやデュランダルで騎兵を相手にはできると思われますか?」

女騎士「やってみなきゃあわからんが……非常にやりたくない。怖いし。タイマンなら勝てるかもわからんが」

騎士ほ「多数を相手にする場合には、やはり不安が残りますか……」

女騎士「もう一度、連中に女王の身柄について懇切丁寧に解説してやれ! 言う事聞かなきゃマジで女王ブッ殺すってな!」

騎士ほ「御意に……!」

女騎士「ザケやがって! 往生際の悪い連中だ、ブッ殺すときには一人ずつ頭の先から輪切りにしていってサラミにしてやらぁ……!!」



秘書「あ、あやや! 騎士様ぁ、どちらへ……」

女騎士「大事な用事だよ用事! ったくよぉー、やってらんねぇってんだバッキャロちくしょうめ」

騎士ほ「……私も、艦内で用を済ませたら上がります」

秘書「……あーうー」

女騎士「(利用価値のねぇ女王なんかいらねぇよ……何の為にキャリバーン込みでエサやってると思ってんだよ……あーもうみんな死ね)」

125 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 05:05:33.05 SrEvg5gpo 10/43

モルドレッド「わらわら雑魚まで引き連れて恥ずかしくないのかぁー? 円卓の皆々様ぁぁ?」



パラメデス「モルドレッド……あのクソガキッッ!!」

ガレス「ラーンスロット卿、モル公はオレ達がブッ殺す! アンタはアジ=ダハーカを!」

ラーンスロット「……承知した!」

ガウェイン「先行する、必ず勝つぞ!」



モルドレッド「無駄なんだよ、無駄無駄ぁ……彼女に敵うとでも思ってんのかよ、あんな似非女王を何十年も何百年も崇拝してたお前らが!!」

エルフ近衛兵「各騎散開しろッ!! 艦に取りつかせるなッ、死守しろッ!!」

ポニテ「仲介に入った恩を仇で返すのかっ……北西の騎士の矜持はどこへやったのだっ、お前達は!!」




ダキニ「朱天、ちっこいの、貧乳ぅー? どこへ行ったぁー?」

チバラキ「おやかたさまなら」「ひさしぶりに」「ひとりででかけてった」

ダキニ「一人で……? この騒がしい時に、どこに油売りに行ってるんだか……」

チバラキ「なんかなー?」「テンカンテンってーの?」「それをみつけたってなー」「じきじきにそそのかしにいったのー」

ダキニ「ああ、そう……オイタもほどほどにせんといかんよお?」


134 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 20:37:51.13 SrEvg5gpo 11/43

【北西廃墟/地下】


女騎士「正規軍の連中も出張って来たか……てめえらんとこの不祥事だ、てめえらで殺しあえってんだ……」

息子「母様……早く、安全な場所へ退かねば」

秘書「そ、そぉですよぉ……なな、なんでわざわざこんな所に……」

女騎士「ふん、すぐに済むから待ってな」




女騎士「どうなってんだよぉーーー、おい女王陛下ぁぁぁぁ、なあよぉぉーー」

女王「……」

女騎士「フシュフシュ口呼吸しやがって、このクソデブがぁぁ。そこまでオメーは威厳を腐らせてたってのかぁぁ?
円卓どもにどんな教育してやがったんだ、テメェの名前出してんのにガン無視じゃねェかよッ!!」 パンッ

女王「ぶぁ……」

女騎士「よくここまで丹精込めて国一つ腐らせたもんだぜ……あんな連中に聖剣なんか持たせてんじゃねぇぞ洋梨がッ!!」

女王「……」

女騎士「くっせぇなお前……マジ不愉快だわ。ブッ殺してやらねえと気が済ま……」




息子「母様ッ、早くこちらへッ!!」

女騎士「うるさいな、何事ァ!!」

秘書「わわわ、てて、敵がっ、敵がすぐそばまで来てますよぉ!!」

女騎士「は?」


136 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 20:46:41.02 SrEvg5gpo 12/43

騎兵α「アジ=ダハーカを確認、生死は問わない! 行け行け行けっ!!」

騎兵β「この悪魔どもっ!!」

騎兵α「死ねっ、死んじまえってんだッ!!」



女騎士「」

息子「母様ッ!」

秘書「騎士様ぁぁ、どおしましょおお、拳銃一丁じゃどうしょもないですよおおおお」

女騎士「おめえは元から戦力になんか数えちゃいねぇわ!!」

息子「僕が応戦します、折を見て騎竜で脱出を!」

秘書「いやああああああ、いやああああああ、きっと少人数で戦域から離れたから尾けられたんですよおおお」

女騎士「うるせぇ!! おめえは盾にでもなって死ね!! 私は知らんぞ、私のせいじゃない!」



騎兵α「いた!! あいつだ、金髪の悪魔ッ!!」

騎兵β「見つけたぜアジ=ダハーカァァ!!」



女騎士「」

139 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 20:52:48.38 SrEvg5gpo 13/43

息子「ゴミどもが……! 対話もできん知恵遅れの分際で、母様に弓引くか!」

騎兵α「撃てッ、撃てぇーーッ!!」

騎兵β「息の根を止めろっ!!」

女騎士「おーっと、ちょっと待ちなー!! このままクソ狭い地下で小銃ぶっ放す気かぁー? 私はともかく、お前らの大事な大事な重役が……」

騎兵α「は……は!?」

騎兵β「おい、おいッ!! 撃て、早く撃て!! 早く!!」

女騎士「だから重役!! おめーら円卓が大事に大事にしてる女王陛下まで死んじまうぞお!? 向こうにいる洋梨肉女、どうなっても知ら……」

140 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 20:53:39.64 SrEvg5gpo 14/43

1395903582-140

142 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 21:07:07.33 SrEvg5gpo 15/43

女王「えぎゅう」



女騎士「知らねえ……ぞ……?」

騎兵γ「殺せ!! 皆殺しだ、重役とて構うな!! 俺達がここで聞いた事全部、アジ=ダハーカの虚言だ!!」

騎兵α「あ、悪魔め、悪魔め!!」

女騎士「(は……は? は?)」

息子「女王を……撃った!?」


騎兵γ「(……肉から剣の先端が飛び出ている、これがキャリバーンなら……本物の女王アリス=リデルか)」


女騎士「ざっけんじゃねぇや、ザコのくせに!! 人質、こんな、こんなダイナシにしやがって!! 何様だよテメェら、おとなしくなれよ!!」

騎兵β「だっ、黙れっ! 喋るなっ!!」

女騎士「ひっ、人質の価値、わかってねぇのかぁ!? な、なら、なら……」

息子「お前が代わりになれ、いいな」

パンッ

騎兵β「おぎゃっ!!」

女騎士「どっ、どおうだっ!! さっさと帰れっ!! お前らもあんなクソデブになんかなりたかねぇだろ!!
い、い、今尻尾巻いて帰ったら悪いようにゃしねえ、さっさと消えやがれ!! 早くしろお!!」

騎兵α「くっ、くう……」

騎兵γ「……」

女騎士「(なっ、何なんだよこいつら……近衛軍、円卓の舎弟どもの装備だが……じょ、女王を撃ちやがったぞ……!?)」

騎兵γ「……すまんな」

騎兵α「すまねぇっ……」

騎兵β「」

145 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 21:27:04.50 SrEvg5gpo 16/43

息子「母様っ、危ない!!」

女騎士「ひやああああああ」

秘書「ひやああああああ」

騎兵γ「撤収。キャリバーンの機能劣化は既に確認した、退くぞ」

騎兵α「く、くそ、くそくそっ……!!」

女騎士「(ひ、ひ、人質を、撃、撃ちやがった……い、い、イミわかんねぇし……頭おかしいんじゃねぇの……?)」



息子「待て、待てッ!! こんな事をして……ただで済むと思っているのかッ、お前達!!」

騎兵α「あれ……話に聞く、竜と勇者の相の子か」

騎兵γ「幼いからとて侮るな、並の騎兵の数十人ぶんの働きはする。相手取るな、今は退くぞ。目的は達した」


息子「(あの連中、本当に北西の兵か!? これまでの近衛のような驕りや余裕は感じられない……
そもそも……儀典局の顔とも言える近衛の兵が……顔を隠すような装備を身に着けるのか!?)」


騎兵γ「(しつこいのがいる……やはり双子の兄の方か! 一般のワイバーンでは、連中のクロウクルアッハを撒けん……!)」

騎兵α「件の弾頭弾、もう残弾はないのか」

騎兵γ「もうカラだ、キャリバーンの為に全部撃ち尽くした。予定通りだ」

騎兵α「くっ……くそ……」

騎兵γ「落胆するのはまだ早い、この先で合流の部隊と落ち合えれば生きて帰れる。希望は捨てるな」

騎兵α「落ち合えなかったら……」

騎兵γ「使い捨てのハズレ配置だったってわけだ。潔くあの世に行こうぜ」

騎兵α「」

147 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/02 21:39:42.22 SrEvg5gpo 17/43

【北西市街/廃墟】


息子「……」

秘書「うげぁー、あぁー……」

息子「こいつら、自害したのか……クズどもがッ!! ご丁寧に、顔の真ん前で発破させてやがる……!!」



女騎士「……ちっくしょうが!! 何なんだよまったくよぉー!!」

息子「母様、キャリバーンの方は?」

女騎士「何が何だかわからねぇ!! あの肉玉も、なんか息してねぇし……」

息子「……不死の女王が……危篤の状態にあると?」

秘書「それって……つまり……」

女騎士「……私の方見るんじゃねぇよデブッ!!」

息子「円卓か、もしくはそれに与する集団が女王の命を故意に狙ったという事……
この二人が正式な近衛軍の人間かどうかは、かなり疑問符が残ります。そして……」

女騎士「……」

息子「この連中が聖剣のマスターである女王を殺傷出来うる手段を有していた、という事……!」

女騎士「」

274 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/19 14:48:21.29 fMu6N73yo 18/43

【北西諸島・南沿岸】

騎士は「お姉様っ! よくぞ御無事で……若様もお怪我はございませんか」

女騎士「あーもううぜえっ!! 円卓みんな死ねッ、鬱陶しい連中だな!」

息子「ありがとうございます、そちらこそ叔母様の護送からこちら休みなしではありませんか」

騎士は「生憎とそんな時間もありませんで……状況はあまり芳しくございません、北西沖に停泊していた1番艦に奴ら殺到しております」

女騎士「やっぱりお前らの見解でも、此度の襲撃は円卓の搾りカスどもによるものってか」

騎士は「は。騎竜の品種や武装、そして何よりペンドラゴンの目撃証言も多数ある事から、恐らくは確定かと」

秘書「どどど、どうなっちゃうんですかね……な、何とかなるんですか……?」

騎士は「正規軍や近衛の大半を押さえたとはいえ……予告なしの完全な奇襲、初動の遅れからかなりの騎竜の接近を許したと聞きます。
バルフォア級の航行能力、北西一体の地の利に深く精通した密偵が動いていたとしか……」

女騎士「接近を許したって事ぁ……取りつかれて白兵戦に移行している可能性もあるという事か」

秘書「そ、それまずくないですか……大将さんも確かあそこにいましたし、下手すると……」

女騎士「いずれにせよ、あの女王への直談判が結果的にこの私の安全につながったという事だな。あー良かった」

秘書「」

276 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/19 15:12:54.18 fMu6N73yo 19/43

4月18日

・北西諸島列島南東部海峡付近におけるテロ行為における死亡者一覧(FCA314連隊における損害は割愛、別紙にて報告)

サー・ガレス…バルフォア級一番艦、甲板部にて迫撃砲の一撃を受け死亡
サー・パラメデス…バルフォア級一番艦、居住区域通路にて銃撃を受け死亡
サー・ガウェイン…戦闘海域上空にてサー・モルドレッド、およびFCA騎兵との交戦の末死亡

ヤン=フランチシェク アルヴライヒ騎竜中隊少尉…哨戒中、サー・ガウェインによる聖剣の威光の発露により撃墜
フランク=ドルマン アルヴライヒ近衛騎竜連隊中尉…サー・ガレスと交戦、死亡

マリアンヌ=クレア=フォン=ヴィッテルスバッハ…船内へ侵入したテロリストにより射殺

277 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/19 15:21:56.31 fMu6N73yo 20/43

女騎士「は?」

秘書「は? と申されましても、その……」

女騎士「なに? ほとぼり覚めてから艦に戻ったってのに……は? は? は?」

秘書「……」

女騎士「あのメス牛……えっ、何……死んだ……死んじゃったの?」

秘書「はい、ご遺体はまだ艦内に……大将さんが寄り添っていらっしゃいます」

女騎士「……」

秘書「騎士様……」

女騎士「……んだよ……何でだよ、なんであいつが……」

秘書「……」

女騎士「あいつが死んだら連合のご機嫌どうなっちまうんだよ……最後まで肝心なところで使えねえおっぱい女だな……
あーうっぜぇ……一時期喋り方から何までうざくてうざくて何回かブッ殺そうかと思ったが、よりによってザコにやられるとは……」

秘書「」

女騎士「まあいいや、こっちにゃ北西の正規軍様がいらっしゃるんだ。簡単にゃ負けはしねえだろ。
目障りな円卓や女王派も……ここまで叩き潰してやりゃあぐうの音も出まい。ラーンスロット卿の御加減はどうかね?」

秘書「は、はいっ……自害しようとしたところを拘束、現在尋問が行われている最中です……」

女騎士「洗いざらい吐かせろよお。連中にゃ、この私に直接兵を差し向けた前科があるのだ。必ず突き止めろ」

秘書「はい……」

280 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/19 15:41:19.96 fMu6N73yo 21/43

ポニテ「クソッ……クソ!! 我々がいながらなんてざまだっ!!」

モルドレッド「残念です……早期にエクスキャリバー保持者が複数人いる事を確認できていれば、艦内の被害も防げたものを」

騎士ほ「遅かれ早かれ、艦の非戦闘員には危険が及んでいたはず。どうこう悔やんでもしかたありませんわ……」

ポニテ「ご成婚を目前に逝ってしまわれるとは……なんと惨い……」

モルドレッド「……」


モルドレッド「(しかし、どうしたものか……雷帝側にはどうエクスキューズを返す?
単なるこちらの不手際では示しがつかん、下手をすればFCAそのものが敵視されかねん……
どういった理由であちらがメス牛を欲しがったかが分かれば、対応にも幅が出るが……)」

騎士ほ「当面……連合には代替となるポストの人材を担保として引き渡します。こればかりは弁明しようがありません」

モルドレッド「不備を認めるというので?」

騎士ほ「あえて不遜な姿勢をとることもない、それに現地にはこれ見よがしに監視役の雷帝本人が滞在していた。
想定以上に突かれるのであれば、その点を指摘してやればよいのです。本国に雷帝の任命責任も問う事ができましょう」

モルドレッド「高みの見物に励んでいたツケだと」

騎士ほ「あまり連合の蛮族を甘やかすのも癪でしょう? こちらとて要人を一人殺されている被害者、
主張すべき点は声高にいたしませんと損をするばかり。違いまして?」

モルドレッド「了解。正規軍の広報にもそう伝えておきましょう」

騎士ほ「お願いいたしますわ。それと、人材の提供と航空戦力の一部共有化の件もお伝えくださいましね」

モルドレッド「承知していますよ、いくらそちらが勇者である騎士様に募った勇士の集団であれ、
航空戦力の規模は先ほどの円卓残党と同じか、それに劣るほど……補強は急務であると存じております」

騎士ほ「良いお返事を期待しておりますわ……何せ、こちらは集団としての脳ミソがひとつ欠落してしまいましたから……フクク……」

281 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/19 15:44:37.24 fMu6N73yo 22/43

バルフォア級2番艦・来賓私室

エルフ三男「」


エルフ三男「」


エルフ三男「」


エルフ三男「」


エルフ三男「……ふぅ」
1395903582-281

285 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/19 16:00:08.20 fMu6N73yo 23/43

騎士ほ「失礼いたしま……」

「きゃ……か、閣下……閣下?」

エルフ三男「」

騎士ほ「……フィアンセを前に一人でナニをしごいて達するなど、エチケットに反するのではございません?」

エルフ三男「」

騎士ほ「心中お察しいたします、どうかお心を強くお持ちくださいまし。それと……」

「……」

騎士ほ「換気なさってはいかがです? こうカアテンを閉め切っていてはますます滅入ります。
それと……衛生的な面でも……なかなかにかぐわしい香りがしますわよ、このお部屋」

エルフ三男「」

「か、閣下……」

騎士ほ「(フクク……しかし、銃痕以外はほぼそのままの遺体を前にしても手淫でのみ済ませるとは。
筋金入りだな……時折こいつの倫理観念がよくわからなくなる……所詮は人にあらぬエルフよ、フクク……)」

エルフ三男「」

騎士ほ「すぐに陣頭に立って指揮をしろなどとは言いません、立て直しは私とモルドレッド卿が正規軍と行います。
ですが、我々は信じておりましてよ? あなたが哀しみを越え、あるいは背負って再び勇ましく騎士様と共に立つのを」

エルフ三男「」

騎士ほ「その為に……お嬢様ともども、こうして据え膳として参ったのですから……」

「あ、あの……閣下、失礼します」

エルフ三男「」

騎士ほ「(……この男、冷静な際の判断能力に加え血統の面でも非凡なところがある。
私個人の観点ではギリギリ合格と言ったところだが……ま、既にお姉様が許可を出している。
慰み半分に子種を頂戴してやろう……はい、童貞卒業おめでとうございます……フクク、フカカカ……)」

「閣下、こちらへ……はい、えっと……」

エルフ三男「」

「がんばりますから……げ、元気出してくださいね」


騎士ほ「(マグロにゃ何言っても通じねえだろうがなぁ……wwwwwwwwwwwwww)」

289 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/19 16:30:14.17 fMu6N73yo 24/43

ダキニ「それでは、若い二人でごゆっくり……かな?」

騎士ほ「聞き耳を立てているとは、不躾な妖精どもですこと」

チバラキ「オメーが」「いえた」「事でもねぇーだろー?」

大嶽「まあまあ、ここはひとつお祝いでもすべきでは? 一国の主張がようやく一人前の男児になられるのですから」

朱天「酒の用意をせよ! うまい肴も持て! たくさん子をつくって欲しいものじゃて」

騎士ほ「フククク……白々しい、もっと子作りに適した孕み袋がダメになったのですよ?」

朱天「あの小娘、父親は零落したとはいえ竜神の一柱と聞いておるぞ? さらにそこへウロヴォロスの加護が少なからず混ざっている……
一族の繁栄を一手に担えるほどの畜生腹となるにはまだ時間はかかろうが、今から出産を経験しておいて損はなかろ」

大嶽「それに……見様によってはあの女性もまた、命と引き換えにかけがえのない未来を産んだと言えましょう」

騎士ほ「屁理屈を……」

朱天「まさしく転換点といったところだのう。あやつを欲しがった連合の雷帝にも、
柔肌を求めたエルフの大将にも、勇者という存在をひとつ喪った世界にも……カカカカカ」

騎士ほ「更なる戦乱のリスクを想定すらしない、どうしようもない悪鬼どもですわね……」

チバラキ「ばーかwwwww」「そもそも殺ったのはwwww」「おめぇじゃねぇかwwwwww」

騎士ほ「フクククwwwwwwwwwwwwwwwwwwフカカカカwwwwwwwwwwww」

ダキニ「なんと欲望に流されやすい女か」

騎士ほ「あんな肉豚に我々の行動が制限されてたまるかって話ですわぁwwwwwwwwwwwwww
あのラードの塊がいるおかげで連合のハエどもが擦り寄ってきた……まったく、まさしくクソにたかるハエですわ。
さしずめ奴はクソとカビたオガクズを尻にこびりつけた養豚場の豚もいいとこ!! お姉様の遠い親戚が間違いで豚を犯した時に産まれた子ですわよ!!」

チバラキ「おまえwwww」「ほんとwwwww」「ゲスの極みwwwwwwwwwwww」

騎士ほ「はぁーあすっきりしましたわぁ。あの豚の脳天をぶち抜いてやった時……重い生理がようやく終わったような解放感を味わいましたの。
何が勇者なんでしょうねぇー? お姉様の加護にあずかる私だからこそできた駆除なのかしらぁ? フカカ、フカカカwwwwwwwwww」

326 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/24 04:24:44.66 JTe904cEo 25/43

【エリン本島/草原】

女騎士「はぁ……静謐で穏やかなるこの時が……私の平穏……ハァンモック……あばばー……」

リンドヴルム「……」

アルバス「アリスが……女王が死に……北西に新たな体制ができつつある……それは……真か……?」

リンドヴルム「すべて真実だ、白の竜よ。ゴグ・マゴグの巨人を覚醒させ、乱心された女王の業によるもの」

アルバス「アリスが……原初の勇者の……意を汲む者が……!」

リンドヴルム「人の理を外れ、数百年の時を生きた人間はもはや人間の尺度では測れぬ。
女王という『魔』は、真なる人間の意志によって行われる革命に打倒された。白の竜、これこそ摂理というものではないか」

アルバス「それでは……あまりに……彼らが報われぬ……」

リンドヴルム「私は世を捨てた老いぼれに過ぎぬ、過ぎぬが……やはり、どちらに与するかといえば、
今を生きる人間の側に着く。畏敬をいだき、畏怖に立ち向かう人間を愛し、また愛されるべき存在が我々エルダーだと考えるが」

アルバス「アリスの思想は……汝の心を動かすに至らなかった、か……」

リンドヴルム「誤解なきように言っておくが、私はジャバウォッキーを憎んでいるわけではない。
彼らとて望んでこの地に生まれ出でたわけではない。等しく庇護されるべき存在とも認識している、だから……」


女騎士「だからぁー、ここを私の別荘にしてやるって事ぉー」

アルバス「……?」

女騎士「不可視の霧に覆われた島、別名ティルナノーグ。メシがまじいのに目を瞑ればおいしい土地だからな。
そこのレイプ魔が言うように、くたばりぞこないどもには手は出さねェ。そのかわりに島よこせ」

アルバス「」

327 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/24 04:49:57.11 JTe904cEo 26/43

息子「よいのですか、母様……あの女王のような危険分子を放置するような事で……」

女騎士「構うもんですか。こっちにはジョワユーズがある、ジャバウォッキー相手には折り紙つきの聖遺物よ。それに」

息子「それに……?」

女騎士「やりようによっちゃあ、劣化勇者を手駒にする事もできる。パンピーの鉄砲玉よりましな働きはするだろうしな」

息子「鉄砲玉……まだ、戦いは完全に終わったわけじゃあないのか……」

女騎士「んー、あー……まあ、そうだなあ。人間みな闘争の中で人生を謳歌するものなのです」

秘書「……と、ところでえ……何でまたエリンに戻ってきたんですかあ? 事件の処理で北西本島におられなくてもいいんですか?」

女騎士「私が行って何かできる事があるとでもいうのか?
あったとしてもやりたくない、儀典局側からもらうもんもらったから、その検証なりなんなりをしたいだけだ」

秘書「検証? 儀典局って……何をもらったっていうんです。女王周りの資料は正規軍を通してこちらにも回ってきてますけど……」

女騎士「ふふん、知りたいか? 知りたいだろぉなぁ……知りたかろ? 不思議やろ?」

秘書「し、しりたーい……しりたいけど教えてく」

女騎士「知りたかろ!! しょうがないもんなぁ、お前も私の舎弟の端くれだもんなぁ。よっしゃ糞竜ども、今すぐこの資料かいつまんで解説しろ」

リンドヴルム「」

アルバス「……これ……は……」

女騎士「キャメロットの廃墟、アリス陛下の元寝室から何まで一切合財ひっくり返して貰ってきたモンだよ。
思った通り、おもしれえ事がビッチリ書かれてる資料だ。本来なら分裂症の妄想文にしか見えんが」

息子「面白い……こと?」

女騎士「アガルタ=レポート……だとか御大層に書かれてるみてえだが……生憎私は字が読めんし、
そもそもこの字はあのアリス陛下が元いた世界で使われていた言語のものらしい。私にゃお手上げだが、エルフやエルダーならと思ってな」

リンドヴルム「どうかな、白の竜。あなたなら解読は……」

アルバス「……」

329 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/24 05:12:26.03 JTe904cEo 27/43

女騎士「シャンバラ……?」

アルバス「アリスが……おそらくは……ジャバウォッキーが初めて生を受けた世界……それが、アガルタであり……シャンバラ」

女騎士「シャンバラ……シャンバラねぇ。聞いた事はねえな」

息子「アガルタとはどこにある土地、いえ、国なのでしょう。魔王軍統治領にもそんな場所……」

アルバス「原初の勇者が散り、ロンギヌスがこのエリンに渡り……以来……アリスはシャンバラへの回帰を求めてきた……
聖剣キャリバーンの天威を借り……円卓という戦力を構築し……北西という……大きな流れをつくりあげた」

女騎士「そのデッカイ国をまとめて潰してやり直すなんてアホな事しなけりゃ疎まれずに済んだのになぁ。
あ、まぁもっともぉ、それを黙認してたお前らも同レベルの甲斐性ナシなわけだ。なっ、このドブネズミがよォ」

アルバス「……」

女騎士「黙認していた事実を公表すれば……世論はお前らエルダー断罪に一気に傾くぜ。教皇領すら敵になる。
そうなりゃアリス陛下が遺したエリンも北西もみいんなおじゃんだ。良かったなー、優しい私らに匿ってもらえてなー」

秘書「(白竜さんちっちゃくなりそう……)」

女騎士「さて……で、シャンバラってのは女王が元いた世界って事で確定。そりゃどこにある?」

アルバス「この……我々が今いるこの地には……ない……アガルタは……形而上の概念に過ぎぬ……」

女騎士「だが、あの女王はくそまじめにここまで丁寧なレポートを遺している。単なる哲学あそびじゃあないはずだぜ。
それに、現にジャバウォッキーが転生とやらでこっちの世界にコンニチハしていやがるからな」

アルバス「アガルタへ渡るには……シャンバラへの鍵が必要……すなわち……
アガルタとこの世界を貫く唯一の楔……ロンギヌスが……不可欠……」

息子「ロンギヌス、いや……今はブリューナク、安置されていたあの巨大な鉱石……!」

女騎士「あのでっかい槍が……シャンバラに繋がってるってのか?」

アルバス「あくまで……ここに記されているのは……関連性が示唆されているのみ……
ある程度の検証については記述があるが……ブリューナクに何らかの術がかけられているのは事実……」

女騎士「検証検証ってよぉ、にしちゃあ異世界の扉ガッバガバのユッルユルじゃねぇか。
一日何人あの女みてぇな冴えないボンクラのチンカスどもが雪崩れこんできてんだ? やっぱエリン糞だわ」



女騎士「だが……ガバガバユルユルなら……こっちから向こうに行くってのも不可能じゃあねえよなぁ?」

330 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/24 05:26:30.41 JTe904cEo 28/43

【バルフォア級1番艦/甲板】

雷帝「いや、派手にやられたもんですよ……これはひどい、商船の流用とはいえ最新鋭空母がここまでやられるとは」

騎士ほ「さすがは史上初めて騎竜を戦に用いた北西のトップエースたち……といったところでしょうか」

雷帝「その猛攻を凌いだあなた方も、相当なやり手です。それだけに、惜しい……」

騎士ほ「……」

雷帝「惜しいお方を亡くした。いえね、我が情報庁に……彼女の娘がおりましてね。
職権を濫用する気はないのですが……生き別れの母にどうしても引き合わせてやりたいと便宜を図ってやったのですが」

騎士ほ「誰にもお優しく、等しく慈愛をもって接する聖母のようなお方でしたのに」

雷帝「美人薄命を地で行ったお方とも聞いておりますよ……ええ、残念です」

騎士ほ「……」

雷帝「ご遺体はどちらへ?」

騎士ほ「お色を直して、今は下の私室でお眠りになっておられますわ。葬儀の際にふたたびお顔を拝見できましょう」

雷帝「艦を墓標にした水葬と聞いております……ぜひ、参加させて頂きたく思います」



騎士ほ「(予想通り、雷帝自ら1番艦の視察に来たな……ここで事件現場の公開を渋るわけにもいかん、
かえって態度を硬化させるだけ……どうせあの豚の死骸ごと艦は沈めっちまうんだ。証拠なぞ見つけられるかよ。
フクク、一皮むけば真面目が取柄の長官閣下。さっさとお帰りくださいましね……)」

331 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/24 05:38:50.53 JTe904cEo 29/43

雷帝「……北西近衛の捕虜の証言リストを持て」

局員「は……」

雷帝「先日から何か新たな情報は?」

局員「今のところ、特には。やはり、本来の攻撃目標に艦内居住区は入っていないと」

雷帝「甲板と騎竜ドック、そしてブリッジの即時制圧、か。当時すでに近衛の軍勢は母屋を喪った賊、
テロリストも同然。居住区へ赴いて人質の一人や二人確保していてもおかしくないのでは?」

局員「それは……しかし、アジ=ダハーカの手の者を信頼するなと仰ったのは長官では」

雷帝「いやぁ、勘違いしないでくれたまえよ。私とてFCAなんぞ微塵も信用しちゃあいない。
私はそもそも連合だって北西だって円卓だって魔王軍だって、言っちまえばこの情報庁だって。
私はな、自分の目で見てバラして味を見ておかんと信じない質なのだ」

局員「では、長官も……少なからぬ疑念のようなものを抱いていると?」

雷帝「軍艦に要人乗っけるのは百歩譲って善しとしよう、だがなぜ都合よく不可視の海域にいたはずのこの1番艦に敵が殺到する?
あの霧に隠された本島ほどではないにせよ、並みの船舶や騎竜で空母の位置を正確に捉えるのは、事前情報なしでは不可能だ」

局員「……」

雷帝「円卓とアジ=ダハーカが繋がってる可能性もないわけじゃあねえ。だが……
我々が疎んじられているのは事実だな。まあ、気楽にいこう。そしてしっかりお仕事をこなそうじゃないか。そして殺す」

局員「はっ?」

雷帝「ん……何か?」

局員「いや、その…何でも」

雷帝「……」

417 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 17:49:49.99 p+FChBERo 30/43

エルフ三男「……」

雷帝「あら……お早いお着きで。このたびは、まことにご愁傷様でございました」

エルフ三男「ここは……甲……板?」

雷帝「どうかなさいまして? よもや、舟でもこぎながら歩いてきたとは言いますまい」

エルフ三男「……した」

雷帝「はい」

エルフ三男「彼女の……騎士様の匂いが……したのだ。彼女の声が聞こえたのだ……」

雷帝「まあ、それはそれは……しかし、そんな事はあり得ません。もしかすると……これに惹かれて来たのではないので?」


クリームヒルト「ちょりっす王様ぁ、っていうか死んだぁ? まじでぇ? あのコ死んじゃったのぉ? うけるー」


エルフ三男「聖……剣……」

雷帝「ここで私とあなたが逢ったのも何かの縁……すこし、お話しでもいたしませんか。尋問だとかそういう物騒なものではございませんで」

エルフ三男「……」

雷帝「さ、ぜひぜひお聞かせくださいな。あなたが殺ッたんじゃないって事を……ねえ、お義父さまぁ?」


419 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 18:22:24.96 p+FChBERo 31/43

【エリン本島/ブリューナクの神殿】

アルバス「古来……一部の人間が……魔術と呼ばれる業を行使していた事は……存じていよう」

女騎士「いきなり何を言い出すんだじじい」

息子「勇者どもの腰巾着が用いていた、異教徒の外法でしょう、母様。虚空から火炎や氷塊を繰り出す悪魔の業……」

アルバス「現象改竄とアトラクタ誘導……その双方を産まれながらに行う技術を有する者は……
この我が……幼き翼竜であった頃には……かなりの数が存在していた……」

女騎士「くだらねぇー。何が魔術だってんだ、おおかた昔のバカな農民ども相手に手品でもやって儲ける詐欺か……
もしくは学のねえ王侯貴族相手に、土くれから金でも作りましょうだとかでパトロンこさえる上手なやり方ってだけだろが」

アルバス「だが……ウロヴォロスの勇者たる汝は……その天威、既に己が力の一端として認めているのであろうに……」

女騎士「私はおいしいものか自分の得になる事以外は信じねえし認めねえ」

息子「……どうして、今その話を?」

アルバス「ロンギヌス……ブリューナクが……魔術の作用に関連しているとの記述が……少なからず、ある」

女騎士「……あのヤリがか。確かにな、どうにもありゃあ気味が悪い代物だぜ。触ったとたんに……
なんだ、あれは。妙な女どもの呻きが頭ン中になだれ込んできやがった。ありゃあ不愉快だったね」

息子「そんな事が……?」

アルバス「魔術とは……アガスティア式列の改竄にいたる業とは……渇望と欲求に帰結する願いに基づくもの……
すなわち……すべて魔術はウロヴォロスの天威に紐づく、奇跡の模倣……偶発を必然とする技術……」

女騎士「ウロ公が……魔術の元締めぇ?」

アルバス「ブリューナク……ひいては、ヴォーパル鉄鉱とは……常時、形而上の存在であるアガスティアの記述を通し……
この世界や、アガルタまでもを含めたすべての可能性世界の願望と直結する……媒介……」

女騎士「……は?」

アルバス「汝の……耳にした呻き……嘆きとは……どういったものだったか?」

女騎士「そりゃ……いろいろさ。サイレンみてえな音や、蒸気船の唸りみてえな騒音……
それと、女。ハラまされたり殺されたり、くたばりぞこないの女どもの声がワンワン響いてきやがって」

アルバス「……」

420 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 18:36:50.09 p+FChBERo 32/43

息子「その声……願望の主の発した欲望だという事か」

アルバス「左様……命は絶たれ、肉体を喪っても……矜持と欲望は……アガスティアからヴォーパル鋼を通し……顕現する……」

女騎士「顕現するって……つってもよぉ、魔術を使うボケナスなんか、それこそ今じゃ一握りなんだろ?
ツキのねえ女どもの怨念までマホーになったところで……私らが今いる世界になんか影響があったのか?」

アルバス「……」

女騎士「だいたいおめえの話わけわかんねぇんだよ。それホントに必要な話か? もうちょっと考えてから喋れカス」

アルバス「……キャリバーンの神霊……ダグザの証言を得た事で……アリスはここまで辿りついたのだろうな……
そうか……だからこそ……あの強硬策に……狂気に走らざるを得なくなった……彼女は既に……詰んでいた……」

息子「……」

女騎士「はいはい、そうでございますか」

アルバス「ウロヴォロスの……勇者……亡国の女騎士……
汝こそが……三千世界の女の念が産み出したる……畜群からの解放の体現……
汝こそが……ウロヴォロスの施した魔術の現象そのもの……!」

女騎士「」

422 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 19:07:34.40 p+FChBERo 33/43

アルバス「そうか……蛇は……この為に、人々から魔術というものを奪ったのか……」

女騎士「おい、おいおいおい、イミがわかんねぇぞ馬鹿野郎。勝手に主張して勝手に納得してんなホッケミリン」

アルバス「しかし……きっかけは何だ……蛇が超人を完成させるに至った理由は……
なぜ蛇は、あえて人々から欲求の権限を取り上げ……虚ろなる信仰に傾倒させるような真似を……」

女騎士「だまらっしゃい!! 殺すぞボケが!! テメーもポエム族の一匹ってぇのがよっくわかった!!
二度となめた口利くんじゃあねーぞ、三枚におろしてやっかんな!?」

アルバス「……」

女騎士「おい強姦魔! よく言い聞かせとけ、自分の立場ってやつをそこのゴミ虫に教えてやれ」

リンドヴルム「……」

女騎士「ったくよー、こちとらはシャンバラとやらの行き方が知りてえんだ。それ以外の事ぁどうでもいいの。
あいつの言動から察するに、あいつみてぇなクソニートがのうのうと十五過ぎてフラフラしてても何とかなる世界、
すなわち最低限の社会保障と社会契約が成立する国家が存在してるってわけだ。つまり、未開の蛮族がオノかついでひゃっはーなんて事ァない」

息子「確かに、そんなような事を言っていた気が……」

女騎士「向こうに行く価値は十二分にあるって事よ。車に退かれたとも言ってたわけだからな。
もしかすりゃあ、液体燃料の導入やピストンエンジンの革新も夢じゃあねえ」

リンドヴルム「本当に君は……アガルタを求めているのだな」

女騎士「欲求は人間の原動力だろ? 欲しがって何が悪ィんだよ。人生で気持ち良くなる方法を模索しない奴はただの植物だ」

息子「すべて、母様の心のままに」

女騎士「で? 少しは落ち着いたかね、アンポンタンくん。ついでにおめえもシャンバラに連れてってやらんでもないが」

アルバス「ダグザ……の証言として……こう記されている……」

女騎士「なんだよー、あるんじゃねぇかよー。サッサと言えマヌケが」

アルバス「四カ月前……アガルタ側からの……アトラクタ誘導が確認され……数百年ぶりの……
神霊に因らぬ魔術現象は起こった……これすなわち……人為的な……シャンバラへの『扉』の展開」

女騎士「やっぱ異世界へのトビラガッバガバじゃねぇか。施錠しろ施錠」

息子「四カ月前……四カ月前といえば……」

リンドヴルム「もしや……考えたくはないが、あの一件か……?」

アルバス「以降……この事象を……極東現地の言語にあやかり……『ネキリの開錠』と呼称す……」

424 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 19:11:31.46 p+FChBERo 34/43

1395903582-424

426 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 19:16:47.13 p+FChBERo 35/43

【エリン本島/上空】

ポニテ「今の光……四カ月前のものと同じものかッ!?」

エルフ衛兵「ネ、ネキリの光……たっ、大尉ッ!! あれを、あれを見てください! エリンの島を……!」

ポニテ「あれは……霧が晴れていくッ!? 島を包む不可視の霧が……剥がされたッ!?」

エルフ衛兵「北西正規軍にも協力を煽ぎましょう、ネキリが関連しているとなれば、やはり……」

ポニテ「間違いないッ! 勇者ども……魔王軍の手先の仕業だッ!! あの島を東帝のようにさせてたまるものかッ!!」

429 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 19:24:06.90 p+FChBERo 36/43

【エリン周辺海域/バルフォア級1番艦】

エルフ三男「……」

雷帝「あら……そんなに急いでどちらへ向かわれるのですか」

騎士ほ「エリン……ジャバウォッキーの聖地が襲撃を受けていると報告がございました。私も北西の部下を率いて出なければ……」

雷帝「またまた……冗談仰らないでください、こちらの現場検証……まだ終わってないんですから」

騎士ほ「お渡しできる資料はすべて開示いたしました、すぐに退去をお願いいたしますわ」

雷帝「退去……?」

騎士ほ「先にご説明した通りこの空母……今日中には処分しなければなりませんの。魔王軍の不埒者に探られては、面倒ですから」

雷帝「それは困る。まだ調べたい事が山ほどございます、それに……」

騎士ほ「……」

雷帝「お前らFCAの疑いが晴れたわけじゃあねぇんだぜ? 八方美人のゲス野郎がよぉ」

430 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 19:36:44.94 p+FChBERo 37/43

雷帝「さんざん調べさせてもらったがッ!! こちらの疑問が晴れるような解答は得られなかったんだよなぁ!!」

騎士ほ「……」

雷帝「わざわざ居住区域にまで円卓の侵入を許すなんざぁ、極東の魔神がいる時点でちゃんちゃらおかしいんだよなぁ!!
円卓の残党どもに何のメリットもない! そらそうだ、お前らは人質なんぞ屁とも思っちゃあいなんだからなぁ!!」

騎士ほ「人聞きの悪い」

モルドレッド「……ペンドラゴンの用意はできています。急ぎましょう」

雷帝「そもそも先の円卓騒ぎも……お前らが仕組んだ自作自演だという可能性も否定できねんだよ。
それに乗った私も私で愚かだったが……女王の排除という目標は達成できた、その点では感謝してやる気もないわけではない。が」

騎士ほ「……」

雷帝「貴女にも、協力してもらえませんかね……事情聴取。たとえばまず……貴女、襲撃時はどこで何してたのか、とか……」

モルドレッド「まさかとは思うが……僕たちを疑っているのか? 情報庁ともあろう組織が?
どこのデマに踊らされているかは知らないが、もう少し思案を巡らせるべきだ。こんな不毛な問答はやめろ」

雷帝「不毛かどうかを判断すんのはこっちなんだよ、癇癪持ちの血を引く短小包茎クソ童貞野郎がよぉ。
お前らが残党側と繋がっていたかいないのか……判断できる書面もな、こちとら持ってねえわけじゃあねえんだよ」

騎士ほ「……なに?」

雷帝「『北西の暗号』で記された座標の羅列だよ、近衛のグズが写しを大事に抱えていやがった……
驚いたことに、この艦の執務室にまったく同じ筆跡で書かれたメモ束の跡が残ってたんだよぉ」

モルドレッド「(何が……起こっているッ!? そんな馬鹿げたミスをするグズ野郎が……FCAにいる筈……)」

騎士ほ「……」

433 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 19:51:37.28 p+FChBERo 38/43

騎士ほ「裏切り者……執務室に出入りできるシロアリ野郎……あいつしか……いねぇ……」

モルドレッド「……」

雷帝「御同行、願えますかね? おふたがた?」



騎士ほ「発破ッ!! 点火しろッ!!」

雷帝「させるか糞ボケがッ!! 土壇場で自爆するなんちゅう幼稚な手段に気づかねえとでも思ったのか、マヌケッ!!」

騎士ほ「ッ……!!」

エルフ三男「……」

騎士ほ「テメエか……発破の……爆薬の箇所……ばらしやがったのは……童貞野郎ォ……」

エルフ三男「彼女を殺した人間が……本当にFCAにいるのなら……協力してほしいのだ。あなた達にも」

騎士ほ「チェリーエルフごときが人間サマと対等に口利いてんじゃあねーぞ?
ちょっと騎士様のサイフに選ばれたからって、6年前からいい気になってやがって」

エルフ三男「……穢れた血め。オーガとのクォーターの分際で、騎士様に仕えるなんておこがましいんだよ」

騎士ほ「……」

雷帝「で、彼女……何で死んじゃったのかな? 言い訳くらいは聞いてやりますが」

モルドレッド「……エクスキャリバー……限定」

雷帝「なんで死ななきゃならなかったのかな?」

騎士ほ「……A解放……起動」

雷帝「わたしの母様は……お前ら排水溝のヌメリに潜む雑菌以下の存在に殺されなきゃならんほどの存在か?」


騎士ほ「その通りだ馬ぁ鹿がッ!! 死ねいッ!!」

435 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 20:02:01.22 p+FChBERo 39/43

モルドレッド「げゅ」

騎士ほ「つぉねぱ」



雷帝「お前らさぁー、ほんとバカだよなぁぁー、王手摘みっての分かってながらさぁぁー、どぉして向かってくるかなぁぁー」」

騎士ほ「が、がうっ、がふっ」

雷帝「ちょっとおねーさんとバルムンクにお話ししてみよっかぁ? 誰がやったかさぁー?」

騎士ほ「グッ……」

雷帝「おっとあぶねえ。舌ぁ噛むんじゃあないぞお。前歯ブチ折っちゃうぞ。ばき、ぽぎっと」

騎士ほ「がぇ」

雷帝「今のオソマツな不意打ちだまし討ちだってさぁ……別にする必要なかったじゃん?
あわよくばってやつ? 何その虐められっ子的な発想。お前さ、ガキんとき友達いなかったろ? キモイし当然かあ」

騎士ほ「……」

モルドレッド「が……ぐ……」

雷帝「お義父さまぁ。そっちのチンカス野郎、まだ息があります。とどめを」

エルフ三男「……」

パンッ パンッ

436 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 20:18:27.51 p+FChBERo 40/43

雷帝「お前だろ? 殺したのってさ」

騎士ほ「……」

雷帝「お義父さまがこう仰ってたんだぞぉ? 聖剣に誓われて……このドブ色の髪したゲス女が出撃前にふらついてましたってなぁ?」

騎士ほ「……」

雷帝「わざわざエクスキャリバーを見せて向かってきたって事はさ? 
自白してるようなもんじゃん? お前が関係してるって事をさ?」

騎士ほ「……」

雷帝「お前さぁーー、ジャン=ヴァルジャンからコゼット取ったら何にも残ンねぇだろォーーー!?
ペニスの一本もねぇ南部訛りのドグサレ田舎モンがよぉーーーー、他人の親ァ殺してんじゃあねぇーぞぉーーー?」

エルフ三男「本当に……あなた……お前が……やり……やがったのか……」

騎士ほ「すべて……お姉様の……繁栄の為……フクク……」

雷帝「ふんっ」

騎士ほ「げうっ!!」


雷帝「あのなぁ……いくらあのアジ=ダハーカがジョワユーズとかいう聖剣持ってる慈悲深ぁいお方だとしてだ。
穢れた血のおめえにどれだけの気を割く? 割くわけねぇじゃんおめえなんかに。穢れた血。魔物め。くっせぇなお前」

騎士ほ「テメェなんかに……わかって……たまるか」

雷帝「わかるんだよなぁ……おめえなんかより、ずっとずっとずぅーーっとお姉様の事がわかっちゃうんだよなぁ……
何せ、血が繋がってるんだからよぉ。右わきの下のほくろだって、耳の裏のにおいだって、彼女の枕のにおいだってわかる」

騎士ほ「……」

雷帝「おめえは一度でもさぁ、裸のアジ=ダハーカに抱かれた事はあるのかい? ねえだろうなあ、だっておめえは魔物なんだから」

騎士ほ「……」

雷帝「しかし……そんなおめえの夢もついに夢で終わっちまった。こっち来る前な、1番艦へのエスコートをしてくれたのは……
おまえの敬愛するお姉様なんだよ……いいや、おめえの言葉を使うのも気味がわりい。叔母様が全部教えてくれたんだ」

騎士ほ「」

雷帝「何だぁ、きめえ顔しやがって。前髪全部引っこ抜くぞおい」

騎士ほ「」

雷帝「引っこ抜くぞっつってんだよ!!」

ブヂブヂブヂブヂィ



440 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 20:32:07.02 p+FChBERo 41/43

雷帝「例え叔母様に何か裏切られたとしてもだ。おめえらふやけた脳ミソの西洋人の思考形態はこうだろ?
『お姉様が裏切らざるを得なくなった状況を作った奴の方が悪い』とか、そんなとこだろ? 見え見えなんだよタコ」

エルフ三男「……」

雷帝「でもよぉ……おめえ、そりゃあ自分の事買い被りすぎってもんだ。叔母様をはじめとした勇者の血統の人間は……
おめえみてえなマザリモンの事なんか二の次三の次四の次でしかねぇんだよ、自惚れんなウジムシ?」

騎士ほ「あ、ぎぎぃ……」

雷帝「バルムンク、限定C解放……豚さんは豚さんらしく、運びやすいようにコンパクトになろっか?」

エルフ三男「……」

雷帝「返事しろよ豚があ! おい、おらぁ!! 向こう半年は飼ってやるからよぉーー、ただじゃ殺さねぇからなぁ
愛しのお姉様とは私が仲よくしといてやるよ……そうだ、たまに一緒にガラスの向こうでおめえの事見物してやるよ。
耳もタンも髪も削いだきもちわりーおめえの姿ぁ、指差しながらタマゴでもぶつけてやらあ」

騎士ほ「」

雷帝「はぁぁ……わかるかなぁ? 私はなぁー、おめえの自白以降、三回はオーガズムを迎えているのだ。
なぜかって、そりゃあそうだ。苦痛のあとの復讐の成就という極上の快感を得ているのだ。
天の母様はきっとお喜びになる!! 憎悪をひり出す豚であるてめえを浄化してやる事で、私もまた神に愛される!!」
ははは、ははははは!! ファッションクレイジーのテメエごときにかけた時間は勿体ねえがな!! はははは!!」



444 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 20:38:26.32 p+FChBERo 42/43

4/29
【モルドレッド=ディギトゥス=リデル 死亡】
【エリーゼ=ガーデルマン 再起不能】

・雷帝によりエクスキャリバー二本が押収される

447 : ゴミクズ ◆nJFtHmO8u2 - 2014/04/29 20:45:44.02 p+FChBERo 43/43

第10部 最終Ⅳ 決着編
1395903582-447-14
第10部 最終Ⅴ もうちょっとだけ続くんじゃ
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