1 : VIPに... - 2014/04/27 01:15:36.31 rcwrYrWH0 1/261




女騎士  「タイトルでピンと来た通の方、まあ大目に見て欲しいねえw」

女聖騎士 「女の騎士が七人も揃いながら、大人気の痴女の騎士はいないんだサーセンwww」

姫騎士  「オークは沢山出て来ますけれど、ことごとく皆殺しですわ!」

騎士見習い「えっちシーンがあるからね? お子様は読んじゃだめだよ?」

黒騎士  「凄惨な流血場面が多い…。文字だけだが。」

竜騎士  「性暴力描写がありますので…健全な男女への悪影響が懸念されます。」

王国騎士 「どこかでお会いした方、お久しぶりです。これは少し前のお話になります。」







元スレ
女騎士「七人の女騎士」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398528936/

2 : VIPに... - 2014/04/27 01:20:29.68 rcwrYrWH0 2/261




(森林地帯・エルフの村)



オークA 「ブヒヒヒヒヒ~~~っっ!」

女エルフ 「いやああああっ! 離してえっ!」

オークB 「刈り尽くしたかと思えば、まだまだ上玉が残ってたブヒ~ッwww」

オークC 「この分だと食い物も蓄えてるはず! くまなく探し出すブヒッ!」

男エルフA「ま、待ってくれっ、娘を連れて行かないでくれっ」

山賊首領 「うるせえ! つべこべ言いやがるなっ!
      てめえら誰のおかげで生き永らえてるんだっ!? んぁ!?」

男エルフA「わかっとりますっ、し、しかし、娘は身篭っています、大事な時なんです、だから――」

山賊首領 「るせえ! おい野郎ども! 引き揚げるぞ!」

男エルフA「こ…この人でなしがあっ!」 ダダダッ

山賊首領 「フン!」 ザシュッ!

男エルフA「ぐ…ぐぅっ…」 ドサッ

女エルフ 「お父さん!?」

山賊首領 「ちっ! バカめ、んな鉈なんかで俺に敵うかよ!」

男エルフA「」

女エルフ 「お父さんっっ いや! いやあっ!」

オークD 「親分、食い物もたんまり蓄えてありましたブヒッ!」

山賊首領 「まあ今日はこんなもんだろ! てめーら、引き揚げるぞ!」

山賊達  「イエーァ!」








3 : VIPに... - 2014/04/27 01:29:29.24 rcwrYrWH0 3/261




(森林地帯・エルフの村・長老の家)



男エルフB「男エルフAやつ殺されちまった…。そんで娘さ、連れてかれたべさ!」

男エルフC「燻製にする肉をごっそり全部持っていかれただ。今年の冬はロクな食べ物が無いぞ。」

男エルフD「もう、この森で生きていくのは無理だろ…。みんなで逃げるしか…」

男エルフC「逃げるったってよ、受け入れてくれる森なんかねえよ?」

エルフ娘 「戦うのよ! ご先祖様はみんなそうして来たじゃない!」

男エルフE「戦う? どうやって? あいつら人殺しなんか何ともねえ、勝ち目なんかないぞ。」

男エルフF「武器ったって、鉈と鍬と鎌と狩りの弓しかない。オークどもの棍棒に勝てる気がしねぇ」

男エルフG「戦うなんてとんでもねぇ! そんなことしてみろ、皆殺しにされっぞ!」

エルフ娘 「じゃあ、いつまでこんな惨めな暮らしを続けるつもり!?」

男エルフH「おめえは自分が戦う立場に無いからそんたらこと言えるんだ! オレには養う家族が居る!」





4 : VIPに... - 2014/04/27 01:33:38.10 rcwrYrWH0 4/261


男エルフG「女はええよ、いざとなったら、ご奉仕します許して下さいって言って
      チ○コしゃぶってやりゃ、殺されることはねえべさ」

エルフ娘 「ふざけないで! どれだけの恥辱か分かって言ってるの!?」

男エルフC「恥辱だの誇りだので命には代えられねえよ?」

エルフ娘 「それでも男!? 他所の森のエルフが聞いたら嘲笑うわ! m9(^Д^)プギャーwwwって!」

男エルフD「他所の森の奴らなんか知ったことかっ」

男エルフH「おめーが戦ってみろ! 口ばっか達者な娘っこが偉そうに!」

エルフ娘 「揃いもそろってタ○ナシばっか! 呆れるわよ!」

男エルフE「オラ達がみーんな殺されても、おめーはメス奴隷として可愛がってもらえるぜ!」

男エルフG「オークのナニぶち込まれて豚の子でも孕めば、その減らず口も叩けなくならぁ!」

エルフ娘 「~~っっ!!」

長老   「 ばかもん!! お前たち、それでもエルフか!! 」

長老   「どこの田舎百姓おやぢの集会だよと、読者が呆れておるわ!」

エルフ娘 「田舎百姓おやぢだってこんな下品じゃないわ。」

長老   「…こほん。私に考えがある。」








5 : VIPに... - 2014/04/27 01:37:18.29 rcwrYrWH0 5/261




(王国商業都市・教会)



女聖騎士 「それで、その山賊どもの親玉は何者だ? すげえ大悪党か? それとも悪の魔法使いとか?
      邪神を崇拝する異教徒どもか!? それとも魔王復活を目論むテロ組織か!? 」

エルフ娘 「…いえ、ただの山賊だと思います。」

女聖騎士 「なんだよ、くだらない…。そんなの衛兵に言って追っ払ってもらえばいいだろうが。」

男ハーフエルフ 「衛兵屯所には何度も行ったんだ。村に衛兵の人も来てくれたけど…」

エルフ娘 「何時来るか判らない山賊を追い払う為に森の中で何日も見張ってることは出来ないって…」

女聖騎士 「そりゃそうさな…。じゃ傭兵を雇うといいぜ。金はいくら持ってる?」

エルフ娘 「村のみんなで出し合ったの。銀貨20枚」

女聖騎士 「そりゃ、全然足りない。話にならないぜ…」

男ハーフエルフ 「貧乏な村なんだ。森で狩りしたり山菜獲ったり薪作ったりして暮らしてる。」

エルフ娘 「どうか神の思し召しを…」

女聖騎士 「だめだめ、神様はもっと悪い巨悪を討つのに忙しいんだ。他所へ行きなよ。」








6 : VIPに... - 2014/04/27 01:41:05.29 rcwrYrWH0 6/261




(王国商業都市・酒場)



男ハーフエルフ 「ダメだ…。誰も相手にしてくんないよ。報酬が割りに合わないって。」

エルフ娘 「世の中、お金が全てって感じよね…。どうしたらいいのよ、もうっ」

男ハーフエルフ 「なあ…、いっそこのまま二人で村出て、街で働いて暮らさないか?」

エルフ娘 「何言ってるのよ!? 私達はそれで良くても、村のみんなはどうなるの!」

男ハーフエルフ 「あんな連中どうでもいいじゃんか。放っておいて二人で――」

エルフ娘 「馬鹿な事言わないで! ご先祖が代々守ってきた森よ! それを捨てて逃げるなんてっっ!」





7 : VIPに... - 2014/04/27 01:43:38.61 rcwrYrWH0 7/261


騎士見習い「なあ君たち、何か困り事かい? ボクでよければ相談に乗ってやろうじゃないか!」

エルフ娘 「貴女は?」

騎士見習い「見ての通り、ナイトさ! 自由を守る正義の味方! 悪いヤツはボクがやっつけてやる!」

男ハーフエルフ 「…ナイトなのに鎧着て無いの? 普通に女の子にしか見えない。」

騎士見習い「失礼だなあ。戦争でもないのに鎧なんか要らないよ。」

エルフ娘 「その細くて小さな剣、戦えるの? 頼りなさそ…」

騎士見習い「レイピアをバカにするなよ。騎士が決闘に使う正装だよ?」

エルフ娘 「貴女、誰かと決闘して勝った事あるの?」

騎士見習い「決闘なんかしないよ。
      ボクをバカにしてくる奴にいちいち決闘申し込んでたら、命がいくつあっても足りないし。」

男ハーフエルフ 「だっせ…」

エルフ娘 「せっかくだけど、貴女の助けは要らないわ。お気持ちだけいただいておきます。」



8 : VIPに... - 2014/04/27 01:46:26.00 rcwrYrWH0 8/261


チンピラA「よう、お嬢ちゃん、俺たちにコマり事があるんだよ、聞いてくれるんだろ?」

チンピラB「俺たちもう三日もヌいてねーんだよwww」

騎士見習い「売春窟なら街の西の端まで行かないと無いよ。」

チンピラC「バクチ負けっちまってよぉ、遊ぶ金ねーんよ。だからさあ、お嬢ちゃんで我慢すっからwww」

騎士見習い「お前らみたいな早漏が、我慢するとか説得力ないわーwww」

チンピラA「んだとこの女ぁ! 調子ん乗ってんじゃねーぞ!?」

エルフ娘 「ちょっと、あなた達――」

男ハーフエルフ 「だめだよ、止めときなよっ」 グッ

エルフ娘 「でも!」

男ハーフエルフ 「俺らには関係ない。」

チンピラB「奥歯ガタガタ言わしてやろうかぁ!? ああ!?」

騎士見習い「奥歯が虫歯でガタガタなのはお前だろっwww」



11 : VIPに... - 2014/04/27 01:51:07.61 rcwrYrWH0 9/261


チンピラC「こいつっ! おいっ、こいつひん剥いて犯っちまおうぜっ!」

騎士見習い「わっ、ちょっと! 何すんだよ! 離せよぉっ!」

店員   「店内で騒ぎは困ります。どうぞ外へ。」

チンピラA「だとよ! そいつ連れ出せ!」

チンピラB「来いよ! お外でいい事しようぜえ!」

騎士見習い「イヤだよ! ボクそんな趣味ないよ! 口臭えよ!」

チンピラC「剣の突きなんかよりよっぽど気持ちイイ"突き"を教えてやるぜえwww」

エルフ娘 「…あの子、連れてかれちゃうわっ」

男ハーフエルフ 「俺らにはどうしようもない。ほっとけ、他人だ。」



14 : VIPに... - 2014/04/27 01:56:20.50 rcwrYrWH0 10/261


女騎士  「おい店員、このリンゴ、一つもらうぞ。」

騎士見習い「ふざけんなよっ 騎士を本気にさせたら後悔するぞっ!? ちょ、聞いてるのかよ!?」

チンピラA「本気になったらすげえんだとwwwこりゃイッパツだけじゃ済まねえかもなwww」

女騎士  「なあおい、チンピラ諸君。今なら大目に見てやるから、その子放して失せな?」

チンピラB「なんだてめえは?」

チンピラC「俺たちと一緒に遊びてえのか?www」

女騎士  「失せないとひねり潰すぞ、と言ってるの。」

チンピラA「うっせえ、BBA! しゃしゃり出るなっ」 チャキッ!

女騎士  「 っ 」 グッ!

リンゴ   ブシュッ!!

チンピラA「………。」

チンピラB「片手だけでリンゴくしゃくしゃに握りつぶしやがった…」

チンピラC「こいつやべえ…」

女騎士  「で? 返事は?」 コキキッ

チンピラ達「調子に乗ってました、スミマセンでしたっっ」 orz orz orz








15 : VIPに... - 2014/04/27 01:59:50.42 rcwrYrWH0 11/261




(王国商業都市・酒場)



騎士見習い「ありがとうございました! お姉さん、ステキでしたっっ!」

女騎士  「剣を抜かずに済んで何よりだ。」

エルフ娘 「あの女騎士いいわ! 気に入った!」

男ハーフエルフ 「えー、女じゃんよ…」

エルフ娘 「あのっ! 貴女を騎士と見込んで、お願いしたいことがあります!」

女騎士  「あん? なーんで騎士だと思うのかなあ? 剣すら下げてないただのBBAの筈だが…」

エルフ娘 「あたしはエルフです! 人の放つオーラが見えます! 貴女の放つオーラは騎士色!」

男ハーフエルフ 「えー、そうなの?」

エルフ娘 「おだまり」 ゴスッ



16 : VIPに... - 2014/04/27 02:01:44.41 rcwrYrWH0 12/261


エルフ娘 「貴女はまさしく正義の騎士! 愛の騎士! 貴女のような方を探してました!」

女騎士  「愛のほうは負け越してるけどねwww」

騎士見習い「あの… 愛でしたら… もしあたしでよければ…」 モジモジ

女騎士  「きみ、さっきまで一人称がボクだったよ?
      急にしおらしくなって見せてもすぐメッキが剥がれるよ?www」

騎士見習い「えへへー、ばれましたぁwww」

エルフ娘 「私達の森に、オークを引き連れた山賊どもが度々現れるようになって、食べ物も女の子も、
      古新聞や空き缶や資源ごみ、タンスの中のコインまで何もかも奪っていくのですっ」

女騎士  「村を護ればいいのか? 敵の数は?」

男ハーフエルフ 「よくわからないけど、40か50くらい? もっとかも…」

女騎士  「そりゃ、手練れの二十三十も居なきゃ話にならないな…」

エルフ娘 「お金はこれで全部。村の人全員で金目のもの全部売ったの。
      足りなければ農具も売るし、それでも不足なら私が売春窟に入ってもいいわっ」

女騎士  「全部か…。必死だな…」



17 : VIPに... - 2014/04/27 02:03:07.53 rcwrYrWH0 13/261


男ハーフエルフ 「もう何人にも断られて、他に頼める人がいません。」

エルフ娘 「愛をお望みでしたら、私を好きになさって下さいませっ。ですからぜひ!」

女騎士  「…分かった、引き受けよう。ああ、私はノーマルだから愛は真心にして頼むよw」

騎士見習い「ではボクも旅支度をしてきますね!」

女騎士  「いやいや、お前は駄目だ、遊びじゃない。雇わないぞ。」

騎士見習い「ボクだって立派に戦えるよ! ゴブリンやっつけたんだから!」

女騎士  「素人が首突っ込めるほど甘い仕事じゃない。いいからお家に帰んな。」








18 : VIPに... - 2014/04/27 02:06:10.08 rcwrYrWH0 14/261




(王国商業都市・宿)



女騎士  「あー、なんだい騒がしいねー。」

宿主人  「あ、お客さん、すみませんね、ついうるさくしちまった。」

女騎士  「まだ寝る時間じゃないからいいけどさ。何騒いでんだい?」

運送屋  「それがさ、ここのお客さん宛ての荷物を運んでたら、ドラゴンに襲われてさ!」

女騎士  「ドラゴン? ドラゴンって…あの火ぃ吐くドラゴン!?」

運送屋  「びっくりしたのなんの! 突然、荷馬車の前に飛び降りてきて! 一目散に逃げ出して来た!」

宿主人  「ベッドだの家具だのを、運んで来てもらうはずだったんだけども?」

運送屋  「申し訳ねえ。でもよ、ドラゴンがうろついてるのに、荷馬車取りに戻るなんて
      おっかねえことできねえよ。荷物の保証金が出ますんでそれでご勘弁を。」



19 : VIPに... - 2014/04/27 02:07:52.51 rcwrYrWH0 15/261


王国騎士 「あの、もし…ドラゴンを見たという方はこちらでしょうか?」

運送屋  「おっ? お姉さん、騎士さんかい!?」

王国騎士 「はい。王国騎士団の者です。ドラゴンが出たという噂の真偽の調査に向かおうと思います。
      遭遇した場所はどのあたりでしょうか?」

運送屋  「南街道を行って、国境を超える前の峠です。
      あっしの荷馬車だけじゃねえ、あそこ通る予定だった流通がみんな止まっちまってる。
      いま市場が大騒ぎだ。駅馬車もブルっちまって出られねえってさ。」

宿主人  「ドラゴンなんて本当に居たんだ? 驚きだね~。」

女騎士  「なあ騎士さん、あんたもしや、凄腕かい? もしかしてドラゴンスレイヤーとか…!?」

王国騎士 「いえいえ、本当にドラゴンなら交戦するつもりはありません。
      噂の真偽と、被害状況を調査に行きます。」

運送屋  「調査って、それでも危ねえよ? 相手は火を吐く魔獣だ。ぱっくり食われちまう!」

王国騎士 「仕事ですから。まずは隠れて、見つかったら全速力で逃げます。逃げ足には自身あります。」



20 : VIPに... - 2014/04/27 02:09:55.28 rcwrYrWH0 16/261


女騎士  「なんか頼りないねえ。マジで食われそう。」

王国騎士 「念のため、遺書残しておきます。」

女騎士  「おいおい、死ぬ気かよ。家族が泣くぞ。」

王国騎士 「あたしは一人者です。家族なんか居ませんから…。それでも食べられたくはないですけど。」

女騎士  「お前、肝据わってるのか何なのか…。」

王国騎士 「そのドラゴンですが、大きさはどのくらいでしょうか?」

運送屋  「山のようにでけえよ! あのぶんじゃ牛や馬ならぺロリ一飲みじゃないか!?」

運送屋  「そ、そうだそうだ! 背中に人が乗ってた! 女みたいだ!」

王国騎士 「え? 人が…!?」

女騎士  「なんだと…!?」








21 : VIPに... - 2014/04/27 02:12:59.27 rcwrYrWH0 17/261




(南街道・馬上の騎士)



王国騎士 「本当に付いて来るのですか? 危険ですよ?」

女騎士  「お前だって危険じゃないか。いいだろ?」

王国騎士 「ワイバーンていう翼竜が、よくドラゴンと間違われると聞いていますが、
      もしそれだったとしても大変危険な魔獣に違いは無いです。」

女騎士  「詳しいじゃないか。なるほど敵を知る事は生き残る重要な条件だ。お前、なかなか出来るな。」

王国騎士 「古い資料を読んだだけです。牛や馬を一飲みって言ってましたが、
      そのドラゴンがそんな大きいなら、それこそ伝説の勇者とかを呼んで来ないと退治できません。」

女騎士  「その伝説の勇者とやらはどこに住んでるんだよwww」

王国騎士 「騎士団の出番だったとしても、詳細の報告が無いと、出没したという噂だけでは
      何の対策もされません。できれば全長を計らせてもらえれば、十分な報告書が書けるのですが。」

女騎士  「寝てるとこを近づいて、計りで計るってのか?www」

王国騎士 「じっとしてて下さいねー全長計らせて下さいねーってお願いしてみましょうか?」

女騎士  「それで言う事聞いてくれるなら苦労ないなwww てかお前、余裕だなあ!?」

王国騎士 「冗談でも言って無いと怖くてやってられませんw」



22 : VIPに... - 2014/04/27 02:15:10.57 rcwrYrWH0 18/261


女騎士  「そいつにもし人が乗ってるなら、そいつは"竜騎士"ってんだ。ぜひ会って見たいもんだ。」

王国騎士 「ドラゴンナイトとかドラゴンライダーって、そんな英雄譚に出てくるような人が
      本当に居るのでしょうか?」

女騎士  「どんな猛者か、この目で見たいだろ!?」

王国騎士 「あの、いきなり決闘申し込んだりとかしないで下さいね?
      立場上、あたしは仲裁しなければならないのですが、そんな怖い事したくありません。」

女騎士  「ははは、面白いこと言うな? ドラゴンを従えるような豪傑に、敵うなんて思って無いよ。」

王国騎士 「お話できるようなら、事情徴収してなるべく穏便に済ませたいです。」

女騎士  「ドラゴンナイトを相手に事情徴収かい?www」



23 : VIPに... - 2014/04/27 02:17:26.41 rcwrYrWH0 19/261


女騎士  「お前、勇敢なのか臆病なのか判らないなあ。
      お前のその聖槍、いい得物じゃないか。それなりの武勲挙げないと賜れない代物だろ。」

王国騎士 「"ヴァルキリージャベリン"をご存知でしたか。ミノタウロスを討伐して王家より賜りました。」

女騎士  「あの半牛の化けモンをぶっ倒した? すげえな。乙女が危険な仕事をよくやるよ。」

王国騎士 「おかげで、近衛騎士への昇格を推挙してもらえました。
      今は昇格に必要な論文をまとめる為に各地の治安の現状を見て廻っています。」

女騎士  「うは、急に役人くせえ話になるwww」

王国騎士 「戦闘実技だけでは騎兵止まりです。騎士には士官としての幅広い能力を求められるので。」

女騎士  「論文なんかが必須じゃ、私は王国の騎士には成れないなあwww」

王国騎士 「女騎士さんは何方かに仕えて?」

女騎士  「いんや。強いて言えば、正義と自由に仕える騎士…としておこうか。」



24 : VIPに... - 2014/04/27 02:20:19.04 rcwrYrWH0 20/261


王国騎士 「ではお仕事は何を? 傭兵でしょうか?」

女騎士  「平和なご時勢だ、そんな儲かる話は少ないよ。臨時で雇われの衛兵とか。」

女騎士  「儲からないと言えば、全然儲からない仕事があるんだが、お前、一緒にやらないか?」

王国騎士 「全然儲からない…仕事ですか?」

女騎士  「エルフの寒村にオークの群れを引き連れた山賊がしばしば現れて苦しめられているって言うから、
      そいつら追っ払う。飯くらいは出るが報酬は一人たった300。どーよ?w」

王国騎士 「いいですよ? そういう事なら騎士の役目でもあります。報酬はいりません。
      いま指揮できる部下は与えられてないのであたし一人になりますが。」

女騎士  「敵の数は良く分からんが、40は下らないwww」

王国騎士 「また遺書書かなければならないですね、はぁ。」

女騎士  「えらく安受け合いだな!? 他に何も出ないよ!?」

王国騎士 「戦死も給金のうちです。ああ、でも怖いので死にたくないですが。」



25 : VIPに... - 2014/04/27 02:22:18.41 rcwrYrWH0 21/261


女騎士  「騎士として名誉の死ばかりじゃないよ?
      相手はオークだ、こいつぁ大変な淫獣で、女と見りゃ強姦して、豚の子を孕ませられた例も
      多々あるってことだ。女の全てを蹂躙され尽くされるってのは、ある意味死より辛い。」

王国騎士 「……。女としてはもうダメかも知れませんが、死ぬよりマシのような気もします。
      女の子としての貞操観は捨てたほうがいいと教官が言ってたので、そう思う事にしてます。」

女騎士  「女である前に騎士であろうってか? お前、気に行ったよ、よろしくなwww」








26 : VIPに... - 2014/04/27 02:24:22.16 rcwrYrWH0 22/261




(南街道・馬上の騎士)



女聖騎士 「よう! 女騎士、やっと追いついたぜ!」

女騎士  「ちっ うるさいのが来たもんだ。」

王国騎士 「お知り合いの方ですか?」

女聖騎士 「さすがだな、女騎士。今度はドラゴン退治で名を挙げようとは、大きく出たな!?」

女騎士  「よしてくれ、ドラゴンとの戦い方なんか知らないし、そんなつもりないよっ」

女聖騎士 「またまたw 判るぜぇ? 背伸びしてんのが。こちらの王国騎士さん、すげえ使い手なんだろ?
      聖槍ヴァルキリージャベリンとくれば、戦乙女の証とまで言われてるんだ。
      ドラゴンを狩るならこのくらいの使い手を相棒にしないとな!」

王国騎士 「いえいえ! あたしドラゴンと戦うつもりありませんよ!? 勝てるわけ無いです。」

女聖騎士 「まずは様子を見て、勝てそうな相手か見極めないとな。
      ただ闇雲に突撃するようなバカじゃ、あんたらのような英雄にはなれねえ。判ってる。」

王国騎士 「英雄? あたしは全然違いますよ? 女騎士さん…?」



27 : VIPに... - 2014/04/27 02:27:32.93 rcwrYrWH0 23/261


女聖騎士 「なんだ、知らないのかよ。この女騎士様はな、亡国から十字軍を叩き出した大英雄さまだぜ?」

王国騎士 「えっ…! 亡国って…あの解放戦線の!?」

女騎士  「ったく、ぺらぺらしゃべるなちゅーの…。昔の話だよ。」

王国騎士 「ええっ…!? 亡国解放戦線の自由騎士って、女性の方だったんですか!?
      てっきり、筋肉もりもりマッチョマンの大佐みたいな人だと…」

女聖騎士 「敵側の私ですら胸がすっとするくらい、十字軍のケダモノどもを完膚なきまでにノしたんだ。
      教皇の奴、ざまあ味噌漬けだったわwww」

女騎士  「でも結局国は無くなっちまったねえ。いいから忘れろ。それより何しに来たの?」

女聖騎士 「私もドラゴン退治に加わるぞ!
      ドラゴンスレイヤーなんてすっげー称号を得るビッグチャンスだ! アタシにも一枚噛ませろ!」

女騎士  「だから戦うつもりは無いと言ってるだろっ」

女聖騎士 「ケチなこと言うなよっ 英雄二人が三人になったって名誉は減るもんじゃないだろ?www」

王国騎士 「本当にこんな街道にドラゴンが出たのか、被害の状況がどうか、確かめるだけですよ?」

女聖騎士 「わかったわかった、アタシだって無闇にドラゴンに飛びかかって死にたくはないさ。
      あんたらが攻撃に出るまではおとなしく従ってるよ。だからいいだろ!? 仲間に入れろwww」

女騎士  「聞いちゃいねえよ…ったく」








28 : VIPに... - 2014/04/27 02:30:32.16 rcwrYrWH0 24/261




(南街道・峠)



女聖騎士 「なあ、あの娘はなんだ?」

女騎士  「女戦士…といったところか? でもスラリとしてて腕とか筋肉ないよな…。」

女聖騎士 「なんで半裸なんだよ。服も着ないで胸当て直接つけてるって、なんだありゃ?」

女騎士  「あの申し訳程度の面積の装甲な、ビキニアーマーって言うらしい。」

王国騎士 「えー…あれって都市伝説か何かだと思っていました。」

女騎士  「実在してるのは知ってた。帝国の闘技場で女の剣闘士が着てたりする。
      実用云々よりも観客ウケってことであんなんらしい。」

王国騎士 「ちょっと事情徴収してみます。」 タッタッタ..

女騎士  「付き合おう…」



29 : VIPに... - 2014/04/27 02:33:11.70 rcwrYrWH0 25/261


王国騎士 「あたしは王国騎士団の者です。失礼ですが、ここで何を? 」

    「あ…。その…。どうぞお構いなく…。」

王国騎士 「見たところ荷物も何も持っていらっしゃらないですし、その…服が…」

    「荷物は主が…。ああ、そう、このあたりで、不審な荷馬車を見ませんでしたか?」

王国騎士 「この街道は、ドラゴンが出たって噂で持ちきりで今誰も通らないのです。
      見た所、貴女は馬も連れて居ないようですし、そんな格好で徒歩でここまで?」

    「いえ、徒歩では…」

女騎士  「なあ、そんな美味しそうな格好してちゃ、ドラゴンでなくても食われちまうよ?
      なんなら後ろ乗ってくか?」

    「あ…いえ… どうぞお構いなく…」

女聖騎士 「構うなったってよ、いざドラゴンが出て目の前で食われてくれちゃ、目覚めが悪いってんだよ。
      町まで送ってやるからホレ、乗りな!」

    「え…あ…いいですっ その…大丈夫ですから…」



30 : VIPに... - 2014/04/27 02:35:07.57 rcwrYrWH0 26/261


女聖騎士 「おいおい、武器何も持って無いとかどうしちまったよ? 無用心にも程があらあなっ!」

    「ああっ、いいんです。いえっ、そのっ」

??    グルルルルルッッ…!

王国騎士 「…!! 何、今の…!!」

女騎士  「すぐ近くだっ! その藪の向こうだっ!」

女聖騎士 「ドド、ドラゴンかっ!? どうしてそんなっ、何時の間にっ!?」

??    ガアアアアアアアッッ!!

      ミシミシメキッ! バキバキビシッ! ミシミシミシっ!!

    「主よ! 大丈夫、この人たちは敵じゃない! だからお願い、静まって!」

ドラゴン  シュ―――――――――ッッ!! 

女騎士  「で、でた…」

王国騎士 「 」

女聖騎士 「あわわわわ…」








31 : VIPに... - 2014/04/27 02:37:56.49 rcwrYrWH0 27/261




(南街道・峠)



ドラゴン  グルルルルルル・・・

竜騎士  「驚かせてしまいました。すみません…。」

女騎士  「こいつがドラゴン…こえええwww」

王国騎士 「全長約6、7メートルくらいでしょうか。大王イカよりは短いですね?」

女聖騎士 「なーに冷静に観察してるんだよ、やっぱ戦乙女は度胸が違うぜw」

竜騎士  「この子は私の主ですが、火竜としてはまだ子供です。」

女騎士  「ドラゴンが主? あんたがドラゴンの主じゃないのか?」

竜騎士  「契約により主従となっており、私が従者です。」

女騎士  「てっきり、ドラゴンすら従わせるすげえ猛者が竜の騎士なんだと思ってたんだが…。」

竜騎士  「そういう方もいらっしゃるのかも知れませんが、私は形ばかりの騎士、乗ってるだけです。」



32 : VIPに... - 2014/04/27 02:42:13.46 rcwrYrWH0 28/261


王国騎士 「そのドラゴンさんが、こんな人通りの多い街道で何を?」

竜騎士  「国境の向こうで人狩りが出まして、攫われた子の家族から、連れ戻して欲しいと頼まれました。
      奴隷密売の荷馬車が通ると聞いたので…」

女騎士  「ああ~、それで怪しいと踏んだ荷馬車を片っ端から襲撃したのか。」

竜騎士  「はい。この子の姿を見た人はみんな馬車を捨てて逃げ出すので、手荒なことをせずに済みます。」

女騎士  「ほーん? それはこのドラゴンの命令でやってる仕事かい?」

竜騎士  「いえ。私が主にお願いして、手伝っていただいてます。」

女騎士  「へー。じゃ、やっぱこのドラゴンは君の言うこと聞くんじゃないか。なら立派な竜の騎士だ。」

女聖騎士 「なあ! 今言ったその攫われた子ってのは、どっかの王族かなんかかい!?
      救出したら英雄かい!?」

竜騎士  「農村の娘さんです。賄賂をたくさん渡さないと役人も捜索の手はずすら付けてくれないと、
      ご両親が泣いてらしたので…」

女聖騎士 「あ~、なんだよ、シケた話ばっかじゃんか…」

女騎士  「いやいや、世の中捨てたもんじゃない、君のようなお人よしを探していたんだw
      なあ竜騎士さん、全く儲からない仕事があるんだが一緒にやらないか?www」








33 : VIPに... - 2014/04/27 02:45:39.34 rcwrYrWH0 29/261




(南街道・峠)



女聖騎士 「おい、でかい荷馬車が通るぜ?」

王国騎士 「御者の方、一人だけですね。なんだかものものしい格好です。」

女騎士  「真っ黒なプレートメイルなんか着込んで、戦争にでも行く気か?」

王国騎士 「事情徴収に行きます。」

女騎士  「付き合うぞ。ドラゴンと竜騎士さんは隠れててくれ」

女聖騎士 「しゃあねえ、アタシも。」

王国騎士 「失礼! あたしは王国騎士団の者です。馬車から降りて下さい!」



34 : VIPに... - 2014/04/27 02:47:11.21 rcwrYrWH0 30/261


黒騎士  「なぜだ?」 ガシャッ

女聖騎士 「あれ、女じゃん?」

王国騎士 「積荷を改めさせていただきます!」

黒騎士  「後ろの積荷は、死体だけだ。」

王国騎士 「死体…!? と、とにかく降りて下さい!」

黒騎士  「やれやれ。」 ガシャッ

王国騎士 「女騎士さん、積荷を見ていただけますか…!?」

女騎士  「ああ…。なんだこの馬車、鉄の檻が… うっわ、マジ死体だ。血まみれ…!」

王国騎士 「なんですって…!」

黒騎士  「私が屠った。」

王国騎士 「屠ったって…殺したって事!? いったい誰!?」

黒騎士  「人狩りどもと売人。残らず狩り取って、捨てに行くところだった。」

女騎士  「この荷馬車…奴隷を運ぶ為の牢だな…」



35 : VIPに... - 2014/04/27 02:48:48.50 rcwrYrWH0 31/261


王国騎士 「殺人の容疑で貴女を連行しますっ 武器を捨てなさいっ」

黒騎士  「…分かった。」 ガシャッ

竜騎士  「あの…捕まっていた人たちは…?」

黒騎士  「全員解放した。国境超えたすぐの農村だとかで、歩いて帰れると言っていた。」

竜騎士  「ありがとう! その人達の家族が泣いていたのですっ」

黒騎士  「うむ。だが礼には及ばない。殺りたいから殺っただけだ。」

女騎士  「なんか、両手両足がぐちゃぐちゃになってる死体があるぞ…?」

黒騎士  「仲間の居所を吐かせた。一人残らず屠る主義だ。」

女聖騎士 「拷問かよ…こええ… 司教の異端審問みてえだ…」








36 : VIPに... - 2014/04/27 02:50:36.67 rcwrYrWH0 32/261




(王国商業都市・宿)



老執事  「女騎士殿のお部屋はこちらで?」

エルフ娘 「女騎士は今留守にしてます。
      お仕事の件でしたら、改めてこちらから連絡いたしますがいかがでしょう?」

老執事  「さようですか。残念ですが、もう発たねばなりませんので、代わりにこれを…」 ゴトッ

エルフ娘 「? お手紙ですか。渡しましょう。こっちの重い皮袋は?」

老執事  「僅かばかりの金貨でございます。女騎士殿にくれぐれもよろしくとお伝え下さいませ。では」








37 : VIPに... - 2014/04/27 02:52:38.91 rcwrYrWH0 33/261




(王国商業都市・宿)



女騎士  「いや参った参った、やっと解放されたっ、サツの仕事はあいかわらずどんくせえっ
      王国騎士のやつ、仕事だからって几帳面に過ぎるぜ、たく…」

エルフ娘 「女騎士さま、留守中に身なりの良いご老人が現れて…」

女騎士  「ぜひ私を花嫁にって話なら今はパスだwww」

エルフ娘 「ご老人が趣味ですか? 変わってますね。」

女騎士  「ガキくせえアンちゃんなんかより素敵なダンディのほうがいいってねwww」



38 : VIPに... - 2014/04/27 02:54:22.46 rcwrYrWH0 34/261


エルフ娘 「残念ながら縁談とは…。お手紙と、お金を置いていかれました。」

女騎士  「お金? 銭もらえる心当たりなんか無いが…いくら?」

エルフ娘 「中は見ておりませんが、金貨と言っておられました。これ、お手紙。」

女騎士  「おいおい、マジで結婚の支度金とかじゃねーよな… どれ…、はー、達筆だねえ。」

女騎士  「―――。」

エルフ娘 「あの…?」

女騎士  「わからない…ちょっとまた出かける。」








39 : VIPに... - 2014/04/27 02:57:49.58 rcwrYrWH0 35/261




(王国商業都市・騎士団寄宿舎)



王国騎士 「遅くまでお付き合いさせてしまってすみませんでした。
      もう少しちゃっちゃと事後処理してもらえると思っていたのですが、
      王都と違ってここはのほほんとしているようで…」

女騎士  「黒騎士がぶち殺した奴ら、手配犯で助かったぜ。
      言ったろ? 人狩りの死体なんかうっちゃって、知らん顔してりゃ良かったんだ。」

王国騎士 「あたしは騎士ですから、立場上そんな訳にもいかないのですよ。」

女騎士  「ドラゴン騒ぎはどう報告するのさ?」

王国騎士 「そのまま書きますよ? 騒ぎにはなりましたが、具体的な法に触れるような事実が無いので
      注意して街道沿いより退去させた、と。」

女騎士  「ドラゴンに注意して退去させた、ねえwww」



40 : VIPに... - 2014/04/27 02:59:58.78 rcwrYrWH0 36/261


王国騎士 「あの竜の騎士の女の子も、例の山賊退治のお仕事に?」

女騎士  「ああ。苦しめられてる村人を助けられるなら是非協力するってさ。お人よしでいい子だ。」

王国騎士 「すごいです! ドラゴンが居れば百人力じゃないですか!」

女騎士  「そこまでは期待してない。竜騎士ちゃんもドラゴンも、あまり実戦経験が無いそうだ。」

王国騎士 「でも苔脅しには十分ですよ。山賊やらオークなら見ただけで逃げ出すと思います。」

女騎士  「まあ、そうだろうな。だがいつまでも村に駐留できるわけじゃない。それが問題だ。」

王国騎士 「女騎士さんはどうしてそんなお仕事を引き受けることにしたのです?」

女騎士  「村じゅう金目のもの全部かき集めて金にしたんだと。全部差し出されたのは初めてだ。
      しかもそれであの額じゃ、救いの手を差し伸べるバカは私くらいしか居ないんじゃないか、
      そう思ってねえ。」

王国騎士 「さすが自由騎士、やっぱり英雄って、そういう人たちなんですね。」

女騎士  「こそばゆいからやめてくれw」



41 : VIPに... - 2014/04/27 03:01:28.60 rcwrYrWH0 37/261


女騎士  「ああそうだ、その仕事の事で来たんだった。
      ちょっとどうしたらいいか判らない事案が出来ちまって、相談が…」

王国騎士 「あたしにですか? ええ、何でもどうぞ?」

女騎士  「ご老人が金貨を置いて、この仕事に、とある騎士を雇うように、と口添えがあった。」

王国騎士 「お金を置いて? 資金援助でしょうか?」

女騎士  「そのご老人は亡国の姫に仕えていた執事だ。
      それで、ご指名のとある騎士とは若い娘だが、たぶん姫だろう。」

王国騎士 「えっ? どうして…? それ、判るんですか?」

女騎士  「至らぬ所も多いと思いますが、よしなに、と…」

王国騎士 「その執事さんの孫や親戚だったりとかそういう話ではないのでしょうか?」

女騎士  「執事は新しい主君に仕える事になったとあるから、ならそっちに頼むのがスジだろ…
      私はただのごろつきみたいなもんだよ…。」

王国騎士 「そのお姫様を、護って欲しいということでしょうか?」

女騎士  「そこんとこが判らない。でも私は亡国の騎士では無いし、王家に忠誠を期待される
      言われはないんだ。なーにを期待されてるのか、それが判らんのよねえ。」



42 : VIPに... - 2014/04/27 03:03:45.57 rcwrYrWH0 38/261


王国騎士 「山賊退治の仕事に雇えとはどういう意味でしょう?」

女騎士  「亡国の姫は、兄たちに代わって鎧を纏い、全軍の軍神みたいな存在だったそうだよ。
      もっとも、国は滅んで王家は散々、姫も行方を晦ましていると聞いていたが…」

王国騎士 「なら、お姫さまとはいえ、強いお方なのでしょうか?」

女騎士  「どーだか。最前線を掛け抜けるならいざ知らず、近衛にがっちり護られての行軍なら、
      自分でチャンバラできる必要ないしなあ。」

女騎士  「姫と思しきその騎士に会って問い詰めてみるのが手っ取り早いが、王家の考えることは判らん。
      どういう切り口でどこまで話していいやら。」

女騎士  「お前は王に仕える騎士だろ? どう思う?」

王国騎士 「王に仕えてはいますが、王族の方とはちょっとお話したことあるだけで、親しい訳では…」

女騎士  「そうか~。どーすべなあ~ 金つっ返すにも執事はとっくに行っちまったろうしなあ。」

王国騎士 「やはり、そのご指名の騎士さんに会って、全部話してみては如何でしょう。」








43 : VIPに... - 2014/04/27 03:07:42.59 rcwrYrWH0 39/261




(王国商業都市・酒場)



チンピラA「ひいいいっっ! たたた、助けてっっ…」

チンピラB「俺の指がぁーっ 指がぁーっ」

チンピラC「うぼぁ…」 (:Q_

王国騎士 「何事です!?」

女騎士  「うわー、チンピラ諸君、どうしたかねー。こりゃ派手にやられたねえ。」

姫騎士  「バーテン、邪魔したわね。これ以上この者らの血で床を汚さないよう、外で始末しますわ。」

店員   「お気遣いありがとうございます。終わりましたら声おかけ下さい。片付けをいたしますので。」

姫騎士  「さあ、表へ出るのですわ。一刀で楽に死なせて差し上げましてよ。」 グィッ!

チンピラA「だ、だれかっ!」 ズルズルズル..

チンピラB「お助けえ~っっ」 ズルズルズル..



44 : VIPに... - 2014/04/27 03:10:37.14 rcwrYrWH0 40/261


姫騎士  「お祈りは済みましたかしら?」

王国騎士 「ま、待ちなさいっ! 何をするつもりですか!?」

姫騎士  「あら? 衛兵さん? 今頃やっとのご到着ですか、ずいぶんのんびりしていらっしゃること。
      わたくしがどこにでもいる娘でしたら、今頃貞操を奪われている真っ最中ですわ。」

王国騎士 「衛兵ではありませんっ その男達に暴力を振るうのは止めなさいっ 何があったのです!?」

姫騎士  「この男達は、三人掛かりでわたくしを侮辱し穢そうとまでしましたの。万死に値します。」

チンピラB「ちょっと上から触っただけだっっ た、助けてっ」

姫騎士  「平手打ちまでくれましたわ。」

チンピラA「お…お前が、俺らを見下すからだっ」

女騎士  「お前ら救いようも無いバカだねえ。せっかく私が大目に見てやったのに、学習しないねえ?」

姫騎士  「騎士を愚弄した罪、死をもって償っていただきます。ご機嫌よう。」 スチャッ

王国騎士 「ダメです! この男たちは衛兵に引き渡すべきですっ」

姫騎士  「ご冗談を。侮辱を受けたのはこのわたくしです。わたくしが裁きを下します。」

王国騎士 「私刑は法で禁じられています! 王国の騎士として見過ごせません!」



45 : VIPに... - 2014/04/27 03:13:20.19 rcwrYrWH0 41/261


姫騎士  「お黙りなさい? 事が終わってからノコノコやって来るボンクラが、何を偉そうに。
      日々平穏に暮らせれば満足な役立たずは、引っ込んでいらっしゃい。」

王国騎士 「あたしは見廻りではありませんっ それにこの男達は法で裁かれるべきです!」

姫騎士  「どうやら話は平行線のようです…。
      これ以上、わたくしのする事を邪魔するのでしたら、決闘を申し入れますわ!」 シャキッ

王国騎士 「あたしと!? どうしてあたしが貴女と決闘なんですか!?」

姫騎士  「わたくしを侮辱した者共の肩を持とうとする、敵対行為と見なして当然ですわ!」

王国騎士 「敵も味方もありませんっ 貴女の無法を止めるのはあたしの仕事ですっ」

姫騎士  「怖気づいて決闘を受ける事すらできない腑抜けに、騎士を名乗る資格があるとお思いですの?」

王国騎士 「私闘も禁じられています! どうしてもと言うのであれば貴女を逮捕します!」



46 : VIPに... - 2014/04/27 03:15:37.62 rcwrYrWH0 42/261


女騎士  「まー、そう熱く成りなさんな、ここはどうか引いてはくれまいか、"姫"どの?」

姫騎士  「…!」

女騎士  「この王国騎士な、これが仕事なんよ。融通が利かない奴だが、騎士って本来そういうもんだろ?
      なっ、そういうことだから、仕事熱心に免じてこいつに任せてやってくれよっ」

女騎士  「どうしてもこのクズどもをお手打ちにならねば済まないほど、大変なことをされたのかい?」

姫騎士  「…。わかりましたわ。このゴミどもの処分は任せます。」

女騎士  「少し話がしたいんだ。安宿だが、私の部屋で飲まないか?」








47 : VIPに... - 2014/04/27 11:27:02.41 rcwrYrWH0 43/261




(王国商業都市・宿)



姫騎士  「これは…執事に持たせた金貨です。」

女騎士  「手紙には、新しい主君に仕えることになった、とある。クビにしたのかい?」

姫騎士  「…。わたくしに残された全財産です。持たせて、解雇しました…。」

女騎士  「全財産? 私のような貧乏人が言うのもなんだが、お姫様の全財産がこれだけかい?」

姫騎士  「…。ええ。」

女騎士  「まあ、贅沢しなきゃ数ヶ月は暮らせる額ではあるな…。私には大金だ。」

姫騎士  「執事は最後まで供をすると言ってくれましたが、もはやその忠誠が意味を成さないほど
      没落してしまいました。これ以上、彼の人生を棒に振らせるのは我慢なりませんでした…。」

女騎士  「その金がこっちに廻って来ちまった。最後の忠誠ってやつか…。」

姫騎士  「これではわたくしは、何も持たせずに彼を放り出したも同然ではっ… うっ、ううっ…」 ポロポロ



48 : VIPに... - 2014/04/27 11:30:15.94 rcwrYrWH0 44/261


女騎士  「全財産を執事にくれて、このあと姫殿はどうするつもりだったのかい?」

姫騎士  「剣と弓の腕には多少の覚えがあります。
      傭兵でも用心棒でもわたくし一人食べて行くくらいならなんとか…」

女騎士  「どうしてこの仕事を選んだかねえ。
      山賊退治っても、僅かな手勢で並み居る山賊を追っ払わなくちゃならない。」

女騎士  「金貨は姫どのに返すわ。もっとマシな仕事を探すといいよ。」

姫騎士  「いえ、わたくしも同行させてください。
      その仕事、執事がわたくしに相応しい門出と見定め、貴女に依頼したのだと思います。」

女騎士  「申し出は有難いが、姫殿をお姫様として待遇することはできないし、
      もちろん護って差し上げることもできない。大勢の賊と戦えば死ぬかもしれない。」

姫騎士  「剣を取った時から、死の覚悟は出来ています。」

女騎士  「オークに弄られ、恥辱を味わうことも有り得る。王家そのものの名を穢すことに――」

姫騎士  「わたくしはもう、姫などではないのですっっ!!」

女騎士  「……。」

姫騎士  「あ…いや…、もう無くなった王家の肩書きに意味など無いということです…」

女騎士  「…そうかい。私としても腕に覚えのある人手は欲しい。
      一晩じっくり考えて欲しいな。それでもよければ歓迎するよ。」








49 : VIPに... - 2014/04/27 11:35:38.70 rcwrYrWH0 45/261




(王国商業都市・宿)



女聖騎士 「おいっ、山賊退治の出発はいつだ!? 当然アタシも行くぜ!」

女騎士  「なあ? ハナから話してる通り、相手は唯の山賊とオークの群れだ、
      数こそ多いが手柄にも何にもなりゃしないぞ? 報酬だって――」

女聖騎士 「またまたぁwww 女騎士ともあろう大英雄が、山賊退治とか笑えるぜwww
      とか何とか言って、背後にいる黒幕は何だ!? 邪教集団!? 悪の魔術師!? 復活の邪神!
      あれだ、新世界建設を企てるテロ集団! もしくは宇宙の彼方、銀河帝国から――」

女騎士  「いやいやいや、ジ○ダイの騎士じゃあるまいしそんなの相手にできるわけねーよっwww
      その荒唐無稽な英雄譚から離れような?www」

女聖騎士 「隠すなよ水臭えなっw 依頼主は誰だ!? 王様か!? 教皇か!? 皇帝陛下か!?
      英雄になったらどんな待遇が待ってるんだ!? 領土か!? 爵位か!? 騎士団長!?」

女騎士  「依頼主は寒村の貧乏なエルフだし、村の英雄になって木彫りの像が民芸屋に並ぶだけだよw」

女聖騎士 「見え透いた冗談はよせwww いいぜ、お楽しみってことだな、分かったよ!
      相手がどんな巨悪だろうと怖かねぇ、ぶっ潰して凱旋パレードだっ ひゃっほぅwww」

女騎士  「ちょ、姉さんそれ違っ… あ~行っちゃったよ…どーしたもんかねアレ…」








50 : VIPに... - 2014/04/27 11:40:53.90 rcwrYrWH0 46/261




(王国商業都市・宿)



黒騎士  「…。やはり貴様だったか。」

女騎士  「おっ!? 黒いの、取調べ大変だったな。なんか用か?」

黒騎士  「あの王国騎士の奴は一緒じゃないのか…?」

女騎士  「いんや? なんで?」

黒騎士  「礼をしてやらんと、気が済まん。」

女騎士  「ま、待てよ、もちつけ? な? あいつにも騎士の立場ってもんがあってな?
      たまたま通ったあんたの馬車を止めちまって、後には引けなくなっちまったんだ、
      頭に来るって気持ちも分かるが、堪忍してやってくれよ、な?」



51 : VIPに... - 2014/04/27 11:42:00.98 rcwrYrWH0 47/261


黒騎士  「じゃ、まず貴様にだけでも…」

女騎士  「ちょっ!? 待てよ、待てったら!
      私は、悪党どもの死体なんか捨てちまって、ほっとけって言ったんだぜ!?
      でも王国騎士のやつ、聞きやしないんで仕方なくだなあっ!?」

黒騎士  「はい。」 スッ..

女騎士  「は、はいっ!?」

黒騎士  「イチゴのタルト。口に合えばいいが…」

女騎士  「はい?」








52 : VIPに... - 2014/04/27 11:44:58.24 rcwrYrWH0 48/261




(王国商業都市・宿)



王国騎士 「女騎士さん、仕事の件、人は集まりそうでしょうか? …って、あら?」

女騎士  「ああ、王国騎士、いいとこに来た、お茶にしようぜw」

黒騎士  「王国騎士よ、世話になったな。」

王国騎士 「意外な処で…?」

女騎士  「黒っちがさ、こんなおいしそーなスイーツw、買ってきてくれたんよw」

黒騎士  「黒っち…」 (///

王国騎士 「いいんですか? 有り難うございます。いただきます。」

黒騎士  「貴様ら二人には世話になった。いろいろ口添えしてもらったおかげで、殺しについては不問だ。
      手配犯の賞金まで貰えた。良い事をした後というのは清々しい。」

女騎士  「殺しの後の飯は美味いってさwww」

王国騎士 「そうですか、さすが"黒騎士"さん、黒いですねw」



53 : VIPに... - 2014/04/27 11:49:09.07 rcwrYrWH0 49/261


黒騎士  「山賊退治の人手を募っているそうだな? まだ足りてなければ私も雇ってくれまいか?」

女騎士  「報酬たった300で四五十の賊とオークを追い払うまで。こんなひでぇ条件でよければw」

黒騎士  「私の取り分はいかほどか?」

女騎士  「報酬は300しかないし、他になーんも無いよ? 全部実費。」

黒騎士  「そうじゃない…山賊とオークを、何匹屠らせてもらえる?」

王国騎士 「ええ?」

女騎士  「何匹屠るって… いやもう、いるだけ全部、好きなだけ…」

黒騎士  「遠慮なく殺していいんだな?」

女騎士  「遠慮って…誰に? まあ、悪党だ、いいんじゃないか?」

黒騎士  「悪党殺りたい放題の出血大サービスか…ああ、なんという官能的な…」

女騎士  「おいおい、濡れそうな顔するような話じゃないよ?」

王国騎士 「あははは… 」 (^^;








54 : VIPに... - 2014/04/27 11:55:01.71 rcwrYrWH0 50/261




(旅路・馬上の騎士達)



エルフ娘 「今夜が最後の宿になります。明日から山道を三日ほどで、私達の森に到着します。」

女騎士  「明日から野宿か、遠いねえ…」

男ハーフエルフ 「粗末だけど橋が出来てから川に入らずに行き来できるようになって、
      これでも昔よりマシだってんだからイヤになる、ったく…」

王国騎士 「今夜の宿は、こんな荒野にあるのでしょうか?」

女聖騎士 「宿というより小屋だな。ベッドもシーツも無いが、野宿よりいくぶんマシか。」

姫騎士  「自炊ですわね?」

黒騎士  「竜騎士が先に行って、焚き火を起こしておいてくれるそうだ。」

姫騎士  「あの子、なんなんですの? いつも裸同然の格好です。見てるこちらが恥ずかしくなりますっ」

黒騎士  「すらりとしてて、お肌が綺麗で、おいしそう…」

女聖騎士 「剥いて頂いちまおうなんて考えるなよ?www主のドラゴンにぱっくりだwww」



55 : VIPに... - 2014/04/27 11:58:00.59 rcwrYrWH0 51/261


女騎士  「なんで裸なんだって訊いたんよ。
      したらさ、ドラゴンの頭の後ろってな、跨ってるとすげえ熱いらしいよ?」

女騎士  「鎧なんか着てたら熱中症、金属表面は火傷するくらい熱くなるし、おまけに火の粉まで
      飛んでくるから革や布地は焦げだらけ。んで結局アレなんだってさ。」

王国騎士 「お肌が火傷したりしないのでしょうか?」

女騎士  「あの子のビキニアーマーは帝国製の超高級品で魔装が施してあって、
      火の粉程度なら平気なんだって。」

姫騎士  「帝国の女はあんな破廉恥な格好したがるのかしら?」

女騎士  「帝国市民の間で人気の女剣闘士があんな格好でウケてるからじゃないかねえ。」

女聖騎士 「やれるもんなら犯してみろと挑発してるみたいだなあwww」

黒騎士  「あの子、ドラゴン抜きならそう強くはないだろう…女の私でも構わないだろうか…?」

王国騎士 「黒っちさん、よだれ…」

女騎士  「竜騎士ちゃんはそもそも武人じゃなかったらしいよ?
      ビキニアーマーだって、女戦士からもらったって。」

姫騎士  「恥ずかしくないのかしらっ」

女騎士  「恥ずかしいけど慣れてくると視線が気持ちいいって言ってたwww」

王国騎士 「目立ちたがり屋さんなのかも知れませんねwww」



56 : VIPに... - 2014/04/27 12:00:09.62 rcwrYrWH0 52/261


エルフ娘 「結局、六人しか集められませんでしたね…。」

女騎士  「これでもよく集まったほうだ。どういうわけか見事に女ばかりだがw」

女騎士  「法則によるとこの面子じゃ山賊はともかくオークに勝てないらしいなwww」

姫騎士  「く、くだらないわ! 何が法則よばかばかしい!」

エルフ娘 「男なんて、ぶら下げてるだけでまるで意気地無しばかり! 要らないです!」

男ハーフエルフ 「オ、オレはそんなことないぞっ!」

エルフ娘 「うーそおっしゃいなっ、いつだって他人事決め込むくせにっ」

男ハーフエルフ 「無駄な争いに首突っ込まないだけだよっ!」

エルフ娘 「首突っ込まずにチ○コ突っ込むことだけ考えてなさいなっ!」

男ハーフエルフ 「突っ込んでもらったことも無い未通女が生意気にっ!」

エルフ娘 「誰があんたたちみたいなヘナ○ンなんかっ!」

王国騎士 「…。エルフってもっとエレガントな種族の人たちかと…」 (^^;

女騎士  「まあ、青二才のうちはこんなもんだろwww」



57 : VIPに... - 2014/04/27 12:03:09.69 rcwrYrWH0 53/261


女聖騎士 「なあおいこの大荷物、いったい何だ? クロスボウか?」

女騎士  「そうだよ。ある方面から若干の資金援助があったから、軍放出の中古を買った。ニ十丁。」

王国騎士 「ニ十丁? そんなに?」

女騎士  「訓練すれば村人にもなんとか使えるだろう。
      我々六人だけで四五十の賊や淫獣と交戦じゃ、どうにもおぼつかない。」

王国騎士 「確かにエルフは弓の使い手が多いとは聞いています。」

女騎士  「腕に覚えがある者は自分の弓を使ってもいい。でもこいつはシロウトでも使える切り札だ。」

女聖騎士 「槍やら棍棒やらメイスみたいな、扱いが簡単な得物のほうが手っ取り早くないか?」

女騎士  「敵に利がある土俵で戦うのは利口じゃないな。白兵戦はオークどもが圧倒的に優位だ。
      生半可なエルフが槍やら棍棒で立ち向かっても蹴散らされるのがオチだろ。
      やつらの手の届かない遠くから狙い射ちなら、勇敢な戦士でなくともビビらず攻撃が可能だ。」

王国騎士 「でも、クロスボウって弓ほど連射利きません。突撃されたらそれまでですよ?」

女騎士  「二人一組にして、一人が射撃を、その間もう一人が装填をすれば、少しだが矢継ぎ早に放てる。
      距離を置いて一方的に攻撃して、あとは突っ込んでくるより先にさっさと逃げさせる。
      あらかじめ退路も確保する。こいつを徹底させる。」

女聖騎士 「はーっ、さすが解放戦線の英雄、戦の勝ち方をよくご存知だwww」



58 : VIPに... - 2014/04/27 12:06:39.16 rcwrYrWH0 54/261


女騎士  「まだあるぞ。殺傷力を最大にする為に、矢に毒を塗る。
      ダークエルフの暗殺者が使うのと同じヤバいのを用意した。心臓止まるぜ。」

女聖騎士 「うわ、えげつねえなあ。英雄の名が泣くんじゃないか?www」

女騎士  「卑怯な手を使わずに掴む勝利に意味がある、と言えるなら使わないよ。
      負ければ我々は逃げ出せばいいが、村人たちの未来は閉ざされる。手段を選ぶ余裕はないんだ。
      まずは、我々と交戦することがどれほど恐ろしい事かと、震え上がらせてやるのさ。」

女聖騎士 「ゲリラ戦の英雄を本気にさせたら、十字軍ごとき蹴散らされるわけだぜwww」

女騎士  「ましてや相手は賊や淫獣だ、正々堂々とは滑稽じゃないかw」

女聖騎士 「まあその一言に尽きるわなぁwww」

王国騎士 「あの、資金援助って…」 ヒソヒソ

女騎士  「ああ、姫騎士が例の金貨を最大限に活用してほしいと申し出てくれた。
      まともな額で傭兵の一人や二人雇うより、こっちのほうが戦力を大きくできるだろ?」 ヒソヒソ

王国騎士 「あの、ありがとうございます。よろしかったのでしょうか?」

姫騎士  「構いませんわ、あの程度のはした金では他に使い道がありませんもの。」

王国騎士 「野営用の道具まで買わせていただいて、すみません。」

姫騎士  「何言ってらっしゃいますの。貴女方全員、大したお人よしですこと。
      このように割りの合わない仕事でも引き受けなさるとは見上げたもの、誉めて差し上げますわ。」

女騎士  「いい感じに上からの物言いだねえwww」








59 : VIPに... - 2014/04/27 12:12:26.25 rcwrYrWH0 55/261




(旅路・避難小屋)



騎士見習い「やっほー♪ お姉さん、元気ぃー?www」

女騎士  「ちょっ!? おまっ… 何でこんなとこに居るかなあ!?」

エルフ娘 「あっ、チンピラに犯られそうになってたダメっ子ナイト!」

騎士見習い「ダメっ子とはなんだっ! ボクが一旦剣を抜いたら奴ら血の海に沈んでたんだぞっ!
      情けをかけてやっただけだいっ!」

竜騎士  「みなさん、長旅お疲れ様でした。」

姫騎士  「竜騎士さん、あなた相変わらず涼しげな格好ですわね…?」

黒騎士  「ぬれぬれに汗ばんで…うふ、うふふ」

王国騎士 「黒っちさん、よだれ…」

竜騎士  「あ、えと、濡れてるのは川に入って身体冷やしてきた所なんです…。」



60 : VIPに... - 2014/04/27 12:16:26.82 rcwrYrWH0 56/261


女騎士  「なあ騎士見習いよ、こんなとこまでどうやって来たのよ!?」

騎士見習い「ドラゴンの背中だよっ! いやぁ~すっげえ眺めよかったあっ!www」

竜騎士  「すみません。気が付いたら主の背中にこの子が…。どうしても付いて来るって言うので…」

女騎士  「なあ、おばさんたち、これから戦争しに行くんだ…」

騎士見習い「こんな時だけ大人ぶったってだめだよーwww 男の一人も出来てからだねーwww」

女騎士  「ちっ、いてえとこ突いてくるねwww」

王国騎士 「あの、歳はおいくつでしょうか?」

騎士見習い「花も恥らう14歳! 一皮剥けたばかりさっwww」

エルフ娘 「14って、まだお子様じゃない!」

騎士見習い「きみは? もしかしてそんなちんちくりんで百歳超えのBBAとか?www」

エルフ娘 「失礼ね! 15よ! あなたのようなお子様と一緒にしないでっ!」



61 : VIPに... - 2014/04/27 12:18:34.66 rcwrYrWH0 57/261


王国騎士 「貴女が14歳だと雇うわけにいかないのです。児童の雇用は法で禁じられているので…」

騎士見習い「お姉さんだっておっぱいそれなりにあるだけで、ボクとそんなに歳違わなくね?」

王国騎士 「あたしは軍属ですから? 民間の雇用法は当てはまりません。」

騎士見習い「お金なんか要らないよっ お姉さん達と一緒に正義の為に戦いたいんだ!」 キラキラ

女騎士  「とは言ってもねえ~」

王国騎士 「帰すと言っても、街までかなりあります。女の子一人でってのは…どうしましょう…」

黒騎士  「硬い事言わずともいいではないか。かわいい子が増えるのは歓迎だ。
      前線に立てなくてもエルフ娘たちの護衛役くらいなら、任せてみてもいい。」

騎士見習い「だよねだよねだよねー! 黒いお姉さん話わかるじゃん! 愛してるよぉ~っwww」

黒騎士  「気軽に"黒っち"と呼んでくれ。」 (///

騎士見習い「パンツみたいな呼び名だねwww」

黒騎士  「ぱん…つ…!?」

女騎士  「もう、しゃーねーな、そうすっか。」

エルフ娘 「なんで私が歳下に護ってもらうのよ、もうっ…」



62 : VIPに... - 2014/04/27 12:21:45.61 rcwrYrWH0 58/261


竜騎士  「川の辺でお風呂沸いてますので順番にどうぞ。」

姫騎士  「お風呂ですか!? こんな何もない場所で!?」

竜騎士  「ドラム缶というのでしょうか、旅人がお風呂代わりに使っていたと思われる丁度いい
      入れ物が二つ放置されていたので…
      生乾きでしたが倒木がたくさんありましたので、主にお願いして炭火にして湯を沸かしました。」

王国騎士 「ドラゴンさんがいると、火には困りませんねw」

女騎士  「炭火か、有難いねー、さっそく焼き鳥と焼き魚できるじゃーんw 一杯やろうw」

姫騎士  「ちょっと!? お風呂入ってるその足元に、肉だの魚だのの串を並べるおつもりですか!?」

女騎士  「いいね! ナイスアイデアwww」

女聖騎士 「それシュールすぎだろwww」

姫騎士  「いえ、あの…、…ごめんあそばせ…」 (///;

女騎士  「今日一番のギャグ確定だわw 一等賞ってことで一番風呂は姫騎士と竜騎士ちゃんに進呈なw
      私ら飯作ってるから入ってくれよ。」








63 : VIPに... - 2014/04/27 12:26:08.18 rcwrYrWH0 59/261




(旅路・川辺の風呂)



竜騎士  「お背中、お流しましょうか?」

姫騎士  「え? …ええ、お願いしてもよろしいかしら?」

竜騎士  「…落ち着かないですか?」

姫騎士  「そうね、何もない外で、裸になるのは慣れませんわ…。」

竜騎士  「私もです。」

姫騎士  「貴女はいつも裸…いえ、なんでもありませんわ。」

竜騎士  「…。私は契約の為に、あの子…いえ主の傍に居て、共に空を駆けねばなりません。
      普通に服を着て飛ぶと、時々火が付いてしまうので。」

姫騎士  「ドラゴンと契約を? 貴女は竜に仕える騎士なのでしょうか?」

竜騎士  「私は巫女だったのですが、そういうことになりました。私は上に乗ってるばかりですが。」



64 : VIPに... - 2014/04/27 12:28:17.37 rcwrYrWH0 60/261


姫騎士  「ランスを携え竜を駆る姿は立派な騎士ですわ。」

竜騎士  「このように扇情的と言いますか、挑発的な出で立ちをしているのにへっぴり腰だなどと、
      みっともない姿は晒したくないと思い、せめて見た目だけは勇壮でありたいと努力しました。」

姫騎士  「貴女、正直なのですね。私の知る見栄ばかりの騎士とは別の人種ですわ。
      でも、黒っち…いえ、黒騎士さんには弱みを見せないようにお気をつけなさいな、
      貴女を狙っていらっしゃるわw」

竜騎士  「?? 女性の黒っちさんが私をどうしようというのでしょう?」

姫騎士  「貴女を襲って裸に剥いて食べてしまおうという魂胆ですわw」

竜騎士  「では驚いて悲鳴を上げたりしないよう気をつけます。主を怒らせたら大変です。」

姫騎士  「…。あなた、そちらの方面では手錬れでいらっしゃって?w」

竜騎士  「そちらの? …ああ、いいえ、そんなことはありません。
      ただ、あの方から悪意は感じません。何かお望みであれば差し上げようと思います。」

姫騎士  「…。お望みって…。ただ貴女を辱めて愉しもうってことではなくって?」

竜騎士  「何かをお望みだから私を辱めて、望むものを得たいというのではないのでしょうか…?」

姫騎士  「わ、わたくしにそのような事を訊かれても困りますわっ
      わたくしには黒騎士さんのような趣味は分かりかねますっ」



65 : VIPに... - 2014/04/27 12:30:02.03 rcwrYrWH0 61/261


竜騎士  「姫騎士さまこそ、高貴なご身分の出でありながら歴戦を重ねておいでですね。」

姫騎士  「なっっ!?」

竜騎士  「乳房や腰周りに傷跡が…」

姫騎士  「こっ、これはっっ!」

竜騎士  「戦場で?」

姫騎士  「あっ、そうっ いえ、そんな大した事じゃありませんわ、ちょっと土路を踏んだのですわ。」

竜騎士  「姫騎士さまはなぜ今回の仕事を?
      危険で全然儲からない割りに合わない仕事だと、女騎士さまがおっしゃっていました。」

姫騎士  「…。この仕事を成し得たなら、取り戻すことが出来る――」

竜騎士  「取り戻す、ですか?」

姫騎士  「個人的な事情ですわ。」








66 : VIPに... - 2014/04/27 12:34:20.45 rcwrYrWH0 62/261




(旅路・川辺の風呂)



女騎士  「なあ、遺書はやっぱり書いたのかい?」

王国騎士 「いいえ。何も書く事が無くて、止めました。」

女騎士  「やっぱり書く気だったんだwww」

王国騎士 「あたしには家族は居ませんが騎士としてのケジメかな、と思ったのですが。
      なんだか仕事の引継ぎみたいな内容しか思いつかなくて。」

女騎士  「恋人とかは? 同期とか仲のいいのでもいいじゃないかw」

王国騎士 「"山賊退治に行ったら死んじゃった、てへ☆"みたいなのも思い付かなくは無かったのですが。」

女騎士  「なんだよその遺書はwww」

王国騎士 「真面目に書いても泣かすだけですし。死んだらあたしのことは忘れて欲しいので…」

女騎士  「忘れて欲しい、か…。若いのに達観してんだなあ。」



67 : VIPに... - 2014/04/27 12:37:26.39 rcwrYrWH0 63/261


王国騎士 「もちろん死にたくないです。怖いですから。」

女騎士  「騎士だからと言って死を恐れることは恥ではないよ。乗り越えて戦えればそれでいい。」

王国騎士 「あの…昔の事、聞いてもいいですか?」

女騎士  「英雄譚を期待してるなら、ろくな話が無いよ。」

王国騎士 「女聖騎士さんとは、その…敵同士だったのですか?」

女騎士  「敵といえば敵だったかも知れないが、関係無いねえ。私が戦ったのは十字軍で、彼女じゃない。
      彼女も建前は教皇に仕える聖騎士団の所属って事になってはいるが、それだけじゃね。」

女騎士  「私は国の騎士じゃないし、彼女も教皇の忠犬じゃない。刃を交える理由は無かったねえ。」

王国騎士 「そうですか、旧知の仲のように見えたので。」

女騎士  「亡国から十字軍を追い出した私が大英雄に見えるらしくて、纏わり付かれて困ってるのよ。」

女騎士  「私は誰に仕えるでもなくくすぶってるだけの唯の独身女だってのに、
      また何か英雄的なドでかい事を始めると思い込んでやがる。違うと言っても聞きやしない。」

王国騎士 「十字軍の敵だった女騎士さんと一緒では、聖騎士団での立場が無くなるのでは?」

女騎士  「あいつ自身が大声で言ってるぜ? 教皇の犬に成り下がるなんざ、騎士の恥と知れだと。
      聖騎士がそれ言っちゃうかねwww」

王国騎士 「よほど教皇が嫌いなのですねw」



68 : VIPに... - 2014/04/27 12:40:04.46 rcwrYrWH0 64/261


女騎士  「騎士と生まれたからには犬に成るな英雄として名を馳せろ…って子供じみた夢に夢中だよ。」

王国騎士 「うらやましいです。あたしは怖がりなので、とても叶えられない夢です。」

女騎士  「おいおい、お前さんもそのクチかい? 戦乙女の証は伊達じゃないなwww」

王国騎士 「いえ、英雄とかじゃなく、何か信条を持ってる騎士って、いいなって…。」

女騎士  「何言ってるよ、お前だって強い信条を持った一人前の騎士じゃないかい。」

王国騎士 「あたしですか? ただ仕事をしているだけです。」

女騎士  「法と秩序の守護者! これほど騎士らしい騎士もそう無いもんだwww」








69 : VIPに... - 2014/04/27 12:54:51.01 rcwrYrWH0 65/261




(旅路・川辺の風呂)



女聖騎士 「悪いね、竜騎士ちゃんじゃなくってさwww」 ザブン

黒騎士  「気にしないでくれ。良く考えたら、風呂に入るなら脱いでしまう。脱がす楽しみが…」

女聖騎士 「うわやべーwww 本気だったかwww マジ百合www」

黒騎士  「もし女聖騎士殿も気があれば遠慮は要らない。私は来る者拒まずの主義だ。」

女聖騎士 「興味が無いわけではないけど遠慮しとくわwww」

黒騎士  「女聖騎士殿はいつも楽しそうだ。結婚を控えてたりするのだろうか?」

女聖騎士 「まさかwww結婚ごときでこんなに楽しい気分になるものかっwww」

黒騎士  「ふむ、この程度のフラグ、かわせねばいくつ命があっても足りない、か。」



70 : VIPに... - 2014/04/27 12:57:03.26 rcwrYrWH0 66/261


女聖騎士 「黒っちも気づいてるんだろう? この件の背後の巨大な悪の影を!」

黒騎士  「なぬ? 聞いてないが? 賊やオークのみならず、さらなる巨悪を屠れるのか?」

女聖騎士 「なんだ、黒っちも知らないか…。」

女聖騎士 「あの女騎士が、銭じゃ動かねえ筋金入りのツワモノばかりを選りすぐって集めたんだ、
      こいつは大変な獲物だぜ?」

女聖騎士 「亡国解放戦線のあの英雄がまた大きな事をやってのけたと、大絶賛間違いなし!
      共に戦うアタシ達も英雄よ!」

黒騎士  「女聖騎士どのは英雄になりたいと?」

女聖騎士 「そうさ! 王だか皇帝だかに勲章を授与され、街々の窓から祝福の紙吹雪が乱れ飛ぶその下を、
      つやつやの栗毛の馬に乗って凱旋パレード!

女聖騎士 「教会にはアタシらの活躍を描く壁画が描かれ、街の吟遊詩人はこぞって
      アタシらの英雄譚を奏でる…!」

女聖騎士 「遂にそんなチャンスが巡って来たんだっっwww 楽しみでたまんねえwww」



71 : VIPに... - 2014/04/27 12:59:01.24 rcwrYrWH0 67/261


黒騎士  「そうか…私が見果てた夢だ…」

女聖騎士 「見果ててどうすんだよwww見果て"ぬ"夢ってんだよwww」

黒騎士  「…見果てたんだ…」

女聖騎士 「おいおい、何だってんだよ、景気わりぃな。黒っちらしくないw」

黒騎士  「昔、私は女騎士の敵だったんだ…。」

女聖騎士 「敵だった? ああ、まあそれならアタシもそうだぜ?」

女聖騎士 「聖騎士団は教皇の配下だからな。亡国側にとっちゃ敵側の人間さね。でもどうでもいい。
      教皇が勝手に唱えた敵味方だ、んなのに付き合ってられるか。」



72 : VIPに... - 2014/04/27 13:04:03.79 rcwrYrWH0 68/261


黒騎士  「私は十字軍の中隊を率いて亡国の町や村を占領していた…」

女聖騎士 「十字軍!? …それじゃあれか、女騎士の亡国解放戦線と直接やり合ったのか?」

黒騎士  「そうだったら良かった…彼女と戦って死んだなら、まだ本望だった…」

女聖騎士 「なあ、女騎士も言ってるが、戦は昔の話だ。忘れちまったほうがいい。」

女聖騎士 「こう言ってはナンだが、女騎士は英雄でありながら、結局亡国が滅んだ為に、
      今日まで報われなかった。だが今度こそ英雄に相応しい栄光を掴もうってんだ。」

女聖騎士 「黒っちが元十字軍で女騎士の敵だったとて、それこそ仇同士が手を結んで
      巨悪に立ち向かったなんて、美談で美味しい役どころじゃん!?」

女聖騎士 「十字軍で英雄に成り損なったんなら、今度こそ栄光をその手に掴めばいいじゃないかwww」

黒騎士  「すまない、今は…ひたすら悪党を屠り、無垢な少女の身体を貪ることでしか、
      魂の安寧を得る事ができそうにない…。」








73 : VIPに... - 2014/04/27 13:07:51.94 rcwrYrWH0 69/261




(旅路・川辺の風呂)



エルフ娘 「お湯加減はいかがかしら?」

騎士見習い「はうぁっ!? い、いつからそこに!?」

エルフ娘 「何時からって、今来たとこだけど? ぬるくない? 薪もっとくべる?」

騎士見習い「なな、なんで裸なのっ!?」

エルフ娘 「私もお風呂に入りに来たのよ? それが何かっ?」

騎士見習い「そう…なんだ、…何でもないよ…」

エルフ娘 「さぶっ、さすがに日が暮れると急に冷えるわね。…にゃぁ~ 温かいわぁ~」 チャプン..

騎士見習い「…。」

エルフ娘 「あ、一番星みっけ。森の中と違って、ここはお空が広いわぁ。」

騎士見習い「…。白くて…綺麗だね」 (///

エルフ娘 「紅いわよ? 明星でしょ?」

騎士見習い「え? あっ、そうだねっ」



74 : VIPに... - 2014/04/27 13:10:45.62 rcwrYrWH0 70/261


エルフ娘 「ねえ、どうして女の子が、騎士になりたいの?」

騎士見習い「どうして女の子って、えーと」

エルフ娘 「出来ることなら私だって剣を習って、あいつらと戦いたい! あいつら許せないっ!」

騎士見習い「やめなよ、危ないよ。殺されるかも知れないよ?」

エルフ娘 「あんただって騎士の真似なんかしてるじゃない! あたしの方が年上なのよ!?」

騎士見習い「そうなんだけどさ」

エルフ娘 「村の男たち、奴らに怯えて私達女をコソコソ隠まうけど、あたしあんなのイヤよ!」

エルフ娘 「戦って欲しいの! 守って欲しいの! それで私も一緒に戦いたいっ!
      それでもダメで殺されたり犯されたり売り飛ばされても、恨んだりしないわ!」

騎士見習い「そんな事はさせない。剣にかけて、きみはボクが守る。」

エルフ娘 「えっ…」

騎士見習い「指一本、触れさせはしない。だから安心して。」

エルフ娘 「……。う、うん…」 (///

騎士見習い「へへーん、ボクの突きはすごいんだぞっ。ヒーヒー言わせてやるぜ!www」

エルフ娘 「…。もう、なんなのよっ、ばか…」 ブクブク








75 : VIPに... - 2014/04/27 13:18:00.85 rcwrYrWH0 71/261




(旅路・野営場)



竜騎士  「火焔放射よぉーいっ、 てえっ!」

ドラゴン  ゴオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーッッッ!!

枯木    ボンッ! パチパチパチパチッ! メキメキメキメキ!

女騎士  「うは、あちいっ」

女聖騎士 「すんげえ…世界が燃えちまうわけだwww」

騎士見習い「ドラゴンこええええwwwwww」

姫騎士  「ちょっと、火の粉が飛んできますわっ」

黒騎士  「竜に跨ってる時のお尻がかわいいなぁ」

王国騎士 「黒っちさん、よだれ…」

竜騎士  「主はまだ子竜ですので、最大火力はこの程度です。」

女聖騎士 「枯木が炭になったぜwww こりゃ食らったらひとたまりもないwww」



76 : VIPに... - 2014/04/27 13:21:54.94 rcwrYrWH0 72/261


王国騎士 「…。威嚇には十分でしょう。でも、直撃しなければ戦闘不能に追い込むには至りません。
      相手の士気によっては反撃を受ける事も有り得ますね。」

女騎士  「さすが王国騎士、冷静な分析だね。」

竜騎士  「はい。成長したドラゴンであれば、前方ほぼ全てを焼き払うこともできるようですが、
      この子の火焔は、まだこの程度です。」

女騎士  「空を飛びながら、これできるかい?」

竜騎士  「飛行しながらの火焔放射はまだ無理です。火焔弾を放つことはできます。」

女騎士  「火焔弾は一分の間にどのくらい放てるかな?」

竜騎士  「滅多に火は使わないので良く判りませんが、それほど多くは無いかと。」

女聖騎士 「ははーん、相手は山賊やオークだけじゃない、もっと強大な敵との戦いを想定してるな?」

女騎士  「いやいやいや、そうじゃないよ!? 味方の能力を把握してなきゃ作戦が立て難いだろ!?」



77 : VIPに... - 2014/04/27 13:24:40.62 rcwrYrWH0 73/261


エルフ娘 「ねえ? 森が焼け野原は困るわ?」

男ハーフエルフ 「別に森なんかどうでもいいじゃないか! どうせ木なんか勝手に生えてくるんだ!」

エルフ娘 「ダメよ! ご先祖様が大事にしてきた森を焼き払ったりなんてこと、あってはならないわ!」

男ハーフエルフ 「知るかよ! 森と俺らの生活とどっちが大事なんだよ!?」

エルフ娘 「森が無くなったら結局村は成り立たなくなるじゃない!」

男ハーフエルフ 「だったら村なんか捨てて、街へ出て働けばいいんだよ!」

エルフ娘 「ならあなた一人で街へ出て行けばいいじゃない!」

女騎士  「まてまて、安心してくれ。この位の炎じゃ森を焼き尽くすことはないよ。
      残り火で山火事を起こさないように注意しよう。」



78 : VIPに... - 2014/04/27 13:27:47.47 rcwrYrWH0 74/261


王国騎士 「この中で侵攻、制圧の能力は間違いなく竜騎士さんが一番ですが、制約もありますね。
      ドラゴンさんがこれだけ大きいので、森の中でどこまで自由に移動できるでしょうか?」

竜騎士  「すみません、一番の課題は私が戦慣れしていないことです…。」

王国騎士 「あたしも慣れているわけじゃないです。
      敵の能力が判りませんが、弓で竜騎士さんを狙い射ちされる可能性にも注意が必要ですね。」

黒騎士  「私なら、針に痺れ薬を塗って背後から一吹き、ドラゴンから落ちた竜騎士たんを…うふwww」

女聖騎士 「黒っちは一体どこの原住民だよwww」

竜騎士  「いえ…、こんな格好ですが魔装で防御されますので、さすがに吹き矢は効きません…」

姫騎士  「一体何の話をされていますの!?」

女騎士  「ドラゴンを先頭にひたすら火力無双のごり押しって訳にはいかなそうだなあ。」








79 : VIPに... - 2014/04/27 13:31:52.05 rcwrYrWH0 75/261




(森林地帯・エルフの村)



長老   「よく着てくれたの。歓迎するよ。」

男エルフB「女じゃねえかよ。」

男エルフC「女ぁ? …本当だ、女ばかり七人。」

男エルフD「いや、あの娘っ子二人はありゃ従者だな、馬に乗ってない。」

女騎士  「さっき、水車のところで何人か驚かせてしまった。悪かったな。ドラゴンを連れているんだ。」

長老   「おお、そりゃ頼もしい。そうかそうか。いやいや、出迎えも出来んですまんの。」

エルフ娘 「なによ! みんな世界の終わりが来たみたいに家に閉じこもって! みっともない!」

女騎士  「花輪の歓迎を期待してたわけじゃないさ。」



80 : VIPに... - 2014/04/27 13:34:40.93 rcwrYrWH0 76/261


女聖騎士 「んで、その山賊軍団は今どこに居るんだ?
      さっさと行ってぶち殺して、黒幕を引きずり出そうぜ!www」

男エルフB「あいつら、熊と違ってナワバリに留まっているわけじゃねえだ。どこからともなくやってくる。」

男エルフC「なあおい、なんで女ばかりなんだよ…? こんなんであいつらに勝てるのか…?」

エルフ娘 「何か文句ある!? あんたたちみたいな意気地無しよりよっぽど勇敢よ!」

長老   「失礼をお詫びする。田舎モンなんで古い常識から抜け出しておらんのですよ。」

エルフ娘 「本来、あんたたち男が武器をとって村を守らなけりゃならないのよ!?」

長老   「長い間、平和だったのでな。男たちは皆、戦いを忘れちまっておる。」

女騎士  「我々もこの人数だけで、並み居る賊どもと渡り合えるとは思っていないよ。
      村の守り方を教えるから、男は訓練に、女子供はその間の仕事を、それぞれ励んで欲しい。」

長老   「夕方には山に入ってる連中も戻ろう、ささやかながら歓迎会をしようかの。」








81 : VIPに... - 2014/04/27 13:44:10.88 rcwrYrWH0 77/261




(森林地帯・エルフの村・作戦司令部)



女騎士  「まずは地理を把握したいね。地図はあるかい?」

男エルフE「猟師がこれ持って来ただ。獣道までは描いてないだよ。」

女騎士  「連中がどこを通るか判らない以上、罠を張るのはこの村の中だな。」

王国騎士 「ではそれまで、あたしたちが居る事はなるべく悟られないようにしましょうか。」

姫騎士  「何故ですの? 大勢が駐留しているかのように見せたほうがいいのではなくて?」

女騎士  「それでビビって二度と来なければいいが、そうは問屋が卸さないだろうさ。」

王国騎士 「油断していつもの村にやって来たつもりの処を、一斉攻撃で殲滅します。」

女聖騎士 「殲滅とか、戦乙女は言う事が過激だねえ。せめて皆殺しと言おうぜwww」

騎士見習い「それどっちも同じだよねwww」



82 : VIPに... - 2014/04/27 13:48:18.95 rcwrYrWH0 78/261


女騎士  「最初の第一撃でどれだけ相手の数を減らせるかが、重要だ。
      この戦の勝敗を分ける戦いになると言っていい。戦が長引けば数に劣るこちらはジリ貧だ。」

王国騎士 「とは言うものの、おそらく壊滅的打撃を与えるのは難しいです。
      最初の戦いまでに村人達をどれだけ戦力として仕上げることができるかによるかと…。」

女騎士  「情け容赦は要らない。逃げる奴の背中に矢を放て。敵の人数を減らすことが重要だ。」

黒騎士  「私は降伏する奴を生かしておくつもりは無いが、それで構わないだろうか?」

女聖騎士 「騎士としてどうなんだよそれwww」

女騎士  「…まあ、好きにしていい。」

騎士見習い「黒豹相手に降参してみても無駄なのと一緒だねwww」

黒騎士  「がおー」

竜騎士  「黒っちかわいい…」



83 : VIPに... - 2014/04/27 13:54:52.42 rcwrYrWH0 79/261


長老   「それまでの間、あのドラゴンをどうするつもりじゃね? …みんな怖がるでの。」

竜騎士  「ずっと村の中に入れておく訳にはいかないです。竜にとっては賊もエルフも獲物に過ぎません。
      危険です。」

騎士見習い「不用意に近づくとつまみ食いされるよwww」

女騎士  「川辺の水車小屋の付近が開けててドラゴンの離着陸にいいのだけど、賊が南から来た場合
      見つかってしまうなあ。逃げられてしまう。」

長老   「南からは道が限られておる。子供らに見張りをさせて、見つかる前に知らせるのはどうかね。」

王国騎士 「知らせるって…? 信号弾でも?」

長老   「いや、大層なもんじゃない、山で熊が獲れた時なんかに運ぶ手伝いを寄越すよう
      合図で伝えるのは子供の役目じゃて、慣れておる。ちょっと訓練すれば見張りも出来よう。」

姫騎士  「南だけと言わず、賊どもが通りそうな所全て見張って、早めに知らせてもらう必要がなくって?」

女騎士  「そうだね、それが出来れば、より効果的な戦力配置ができるだろう。」

男エルフF「でもよ? それまでの間、村から離れられないのか? 狩りにも行けないのか?」

エルフ娘 「奴らをやっつけるまでの間くらい、我慢すれば!?」

男エルフE「狩りに行けないと生活の銭がねえだよ。養わなきゃなんねえ家族がいる。」

長老   「その辺のことも村全体で助け合わねばな。今夜にも全員で話し合おう。」








84 : VIPに... - 2014/04/27 14:30:48.25 rcwrYrWH0 80/261




(森林地帯・エルフの村・晩餐会)



篝火    パチ パチ パチ...



エルフ娘 「今日は、こんな辺境の山奥の村まではるばるやって来て下さった、
      六人の騎士さまと一人の見習いを歓迎して、ささやかながら晩餐会を開かせていただきます。」

長老   「皆の衆、明日から厳しい訓練が待ってるからの。勝利の前祝になるよう、楽しんでおこう。」

女騎士  「ああ~、風呂入らせてもらってすっきりしたよ。臭いやしないか気になってたんだwww」

王国騎士 「久しぶりにベッドの上で眠れそうですね。」

女聖騎士 「なーんて、奴ら今夜来たりしてなw」

男エルフB「それはねえだ。今まで夜中に来たことはねえ。山道は暗くて何も見えなくなる。」

女聖騎士 「そういや連中はどこで寝泊りしてるんだ? 毎日野宿か?」

男エルフC「知らねえよ? 一日で来れる範囲には村も集落も無いべ。
      前に一度、山ん中の猟師の番屋が勝手に使われた跡があったって話は聞いた。」

女騎士  「なるほど。連中が拠点にしそうな場所をあらかじめ把握しておきたいな。」



85 : VIPに... - 2014/04/27 14:39:39.67 rcwrYrWH0 81/261


男エルフD「難しい話はまた明日からだ、騎士さん達、酒はやるかい?」

女聖騎士 「なんだよ、グラスはないのかい? 焼き物のコップかよ、シケてんなwww」

男エルフD「酒だってシケてるよ。水よりマシさ。奴らのせいで貧乏暇無し、飲まなけりゃやってらんねー。」

女聖騎士 「なあおい、その山賊とかオークどもを統べる、親玉ってのがいるだろ? どんな奴だ?」

男エルフD「親玉? 頬に傷のある山賊の親分だ。とんでもねえ悪党よっ。盗人の人殺しだっ」

女聖騎士 「そいつ人間か? ローブかぶってて半分骸骨みたいなツラしてて、怪しげな呪文唱えて
      手から電撃放ったりしないか!? あるいは暗黒の衣装着て、黒兜に仮面で――」

男エルフC「黒い鎧に兜って、お仲間の黒騎士さんじゃないか。」

男エルフB「山賊の親分はそんなんじゃねえよ。でけえ剣持って部下どもに威張り散らしてる。」

男エルフC「人間のクズだ。クズの親分だ。」

女聖騎士 「んな訳ないんだがなあ? じゃ、そいつらを従えてるもっと大物がいるはずだが?」

男エルフD「あいつらを従えてるのは、銭と食い物と女だ。それを探して廻っているだけだべ。」



86 : VIPに... - 2014/04/27 14:41:34.15 rcwrYrWH0 82/261


エルフ子A「ねえ、黒いお姉さんは、悪い騎士なの?」

黒騎士  「えー、何でだい?」

エルフ子B「だって、お話に出てくる勇者に立ちはだかる悪い騎士は、黒いんだよ?」

竜騎士  「ええ、このお姉さん、とっても悪い騎士なの。
      お父さんお母さんの言う事を聞かない悪い子を、攫って食べてしまうのよ?」

エルフ子C「食べちゃうのっ!? 食べられたら死んじゃうよっ こわい…」

エルフ子B「ぼく知ってる。食べるってえっちな事をするって意味なんだよ。」

黒騎士  「ええ?」

エルフ子A「黒いお姉さん、えっちで悪い騎士なの?」

竜騎士  「ええ、黒っち姉さんはえっちで悪い騎士なの。
      私のことも、裸にして食べてしまおうと狙ってるのですからw」

黒騎士  「ちょwww子供達の前でなんてことをwww」



87 : VIPに... - 2014/04/27 14:44:09.75 rcwrYrWH0 83/261


長老   「粗末な物ばかりで申し訳ないの。
      高貴な出の方にはとても見合わないと思いますが御容赦くだされ。」

姫騎士  「いえ、そのような事はありませんわ。お酒を嗜める生活からしばらく離れていましたので。」

騎士見習い「わははー。姫騎士さんの分、ボクが貰って進ぜようw」

王国騎士 「未成年なのですからお酒はほどほどにしてくださいね?」

騎士見習い「うぇーいw」

長老   「果物のジュースがある。こちらのほうがいいかね?」

姫騎士  「ありがとう、頂きますわ。」

長老   「世の中、金が全てだと思っておったがの。
      あのような僅かばかりの銭で、皆さんのような方々に来て頂けて、感謝しとります。」

姫騎士  「ええ、それぞれの思惑を抱えておりますわ…」



88 : VIPに... - 2014/04/27 14:46:37.00 rcwrYrWH0 84/261


長老   「二人はどうして来てくれなさったかのう?」

騎士見習い「ボクは正義の味方だからね! 悪い奴がいるからやっつけに来た!w」

長老   「お嬢さんは勇ましいのw エルフ娘が二人になったみたいだw」

エルフ娘 「どうしてこんなダメっ子ナイトと一緒にするのよ!」

騎士見習い「ダメっ子とはなんだよっ ゴブリンやっつけたんだぞっ!」

エルフ娘 「私だってコボルト追い払ったことあるんだからっ!」

姫騎士  「お二人とも、淑女ならもう少しお行儀にお気をつけなさいな。」

長老   「姫騎士どのにも何か思惑があってのご来訪ですかの?」

姫騎士  「個人的な、取るに足らない事情ですわ。」



89 : VIPに... - 2014/04/27 14:49:03.07 rcwrYrWH0 85/261


騎士見習い「ねえ、ボクたちと同じくらいから上の年齢の女の人、少なくない?」

エルフ娘 「村から離れた谷に匿っているの。」

長老   「村の女が何人も攫われての。ほとんど戻らない…」

騎士見習い「殺されちゃったの…!?」

長老   「人買いに売ったと…奴らはそう言うだけだ。」

エルフ娘 「一人、散々に弄られて丸裸で山道に捨てられてた子がいたの。
      目が虚ろで、うわ言のように卑猥な事を…しばらく廃人のようだったわ…」

姫騎士  「っっ…!!」 ダンッ!

騎士見習い「お姉さん?」

姫騎士  「あ…ごめんあそばせっ …少し疲れましたの。お先に休ませていただきますわ。」








90 : VIPに... - 2014/04/27 14:55:32.88 rcwrYrWH0 86/261




(森林地帯・エルフの村・村はずれ)



王国騎士 「まず台尻をしっかり肩に当てて、本体がぐらぐら動かないように構えます。
      そして、手前の照準と矢尻を合わせて、標的を狙う。…もう少し力を抜いて」

男エルフG「姉ちゃん、背中にパイオツ当たってるぜw」

王国騎士 「次に的を外したら、頭にリンゴ載せて槍投げの練習台になってもらうわ。」

男エルフG「サーセンwww」

王国騎士 「狙いを定めたらゆっくり引き金を引きこむ。そうそう、当たった。」

エルフ子B「ねえ黒っち、ぼくたちにもこれ教えて?」

エルフ子A「悪い奴らやっつけるー!」

エルフ子C「やっつけるー!」

黒騎士  「ええ~? なあ王国騎士よ、クロスボウ教えてもいいか? 法に触れたりしないだろうか?」

王国騎士 「法云々よりも、取り扱いについて細心の注意を払うようしっかり教えて下さいね?」

黒騎士  「うむ。話がわかる王国騎士が好きだ。」

王国騎士 「やめてくださいね?」



91 : VIPに... - 2014/04/27 14:58:08.98 rcwrYrWH0 87/261


女騎士  「教官どの、ご苦労~。弓兵隊の訓練の調子はどんな感じよ?」

王国騎士 「20名、装填から照準、発射までとりあえず及第点までは出来るようになりましたよ。」

男エルフE「教官の教え方がいいんだぜ!」

男エルフG「特にパイオツ!www」

女騎士  「どういう教え方したのよ?」

王国騎士 「自分が騎士団で習った通りに教えてるだけですってばっ!」

黒騎士  「王国の騎士は、弓の訓練で的を外すと投げ槍の練習台にされるらしいw」

女騎士  「なんだよそりゃw ほー、あの丸太? あんな遠くが的かい? 最初からシビアだね。」

王国騎士 「なるべく遠くから正確な狙い射ちが出来たほうが、相手には脅威ですから。」

女騎士  「私、ナイフで真ん中行けるぜ。…ほいっ」 ビュン!

黒騎士  「…。中央に突き刺さってる。すごいな。乾いてるからけっこう硬いんだよ、あれ。」

女騎士  「どやwww 教官どのはできるかい?」

王国騎士 「あたし投げナイフは上手く無いので…」



92 : VIPに... - 2014/04/27 15:00:37.27 rcwrYrWH0 88/261


女騎士  「ナイフじゃない、そいつだ、投げ槍。得意なんだろ? 戦乙女よw」

王国騎士 「"ヴァルキリージャベリン"ですか。遊びに使っていい物じゃないんですけど、まあいいです。」

男エルフG「その槍さー手で投げて、あれに当てるんかい!?」

男エルフE「当たるにしいたけ一袋賭けるぜ!」

男エルフG「当たらないに賭けないと賭けにならんなあ。じゃしかたない、乗った。」

エルフ子A「当たるー!」

エルフ子B「当たれー!」

エルフ子C「当たろー!」

黒騎士  「では私は、外すにパイオツを賭けよう。王国騎士よ、賭けに乗ってくれるな?」

王国騎士 「ちょっ!? 外したらあたし何されるの!?」

女騎士  「当てればいいんだよ、ほれ、見せてみ?」

王国騎士 「やあああっっ」 ブンッ!

丸太    ズパアアアアン!

女騎士  「うはっ!? 丸太が砕けたっ、すげぇwww」

黒騎士  「見事だ! 潔くわたしのパイオツを――」

王国騎士 「いりませんっ」








93 : VIPに... - 2014/04/27 15:05:20.62 rcwrYrWH0 89/261




(森林地帯・エルフの村・作戦司令部)



長老   「賊が三人、こちらに向かっている。見張りの子が知らせたんじゃ。」

女騎士  「三人? 偵察か。生け捕りにしたいところだ。」

長老   「王国騎士どのと姫騎士どのが向かったよ。」

女騎士  「騎士見習いの奴まで居ないな、付いて行ったか…」








94 : VIPに... - 2014/04/27 15:10:44.36 rcwrYrWH0 90/261




(森林地帯・村を見下ろす山道)



姫騎士  「っっ!」 ザッ!

騎士見習い「わあ! 待ってっ ボクだよ!」

姫騎士  「ちょっと!? 何で貴女がここに――」

王国騎士 「シーッ」

騎士見習い「ごめんなさい…」

姫騎士  「危ないですわ、村に戻っておいでなさいっ」

騎士見習い「敵は三人だよ? 二人じゃ不利だよ?」

姫騎士  「遊びじゃありませんのよっ?」

騎士見習い「姫騎士さん、今日はパンツ縞パンだねw」

姫騎士  「ちょっ、いいかげんに――」

王国騎士 「シーッ」

騎士見習い「や~い、怒られたw」

姫騎士  「~~っ!」



95 : VIPに... - 2014/04/27 15:13:49.72 rcwrYrWH0 91/261


王国騎士 「馬が二頭そこに繋いである…」

姫騎士  「馬を降りてどこへ?」

騎士見習い「崖で立ちションでもしてんじゃね? 蹴っ飛ばして突き落してやろうw」

王国騎士 「万一、旅人の可能性は?」

エルフ娘 「間違いなく、奴らの一味よ!」

騎士見習い「わあ、いつの間に!?」

エルフ娘 「下からお尻がよく見えるもの。」

騎士見習い「姫騎士さんの縞パンねw」

エルフ娘 「いいえ、王国騎士さんの白が。」

王国騎士 「ちょっとぉ!?」

騎士見習い「あ、あれ、姫騎士さんは…?」

エルフ娘 「上に上がって行ったわよ?」



96 : VIPに... - 2014/04/27 15:26:28.22 rcwrYrWH0 92/261


山賊A  「ぐえぇっ」

山賊A  「」

姫騎士  「はぁっ、はぁっ…!」

騎士見習い「や、殺ったの…!?」

王国騎士 「あぶないっ!」 ピュン!

山賊B  「ぐあああーっっ!」 ドサッ

山賊B  「」

姫騎士  「あ、ありがとう、危なかった…」

王国騎士 「あと一人、いるはずだけど!?」

姫騎士  「できれば生け捕りにして、向こうの詳細を吐かせたいと女騎士さんが…」



97 : VIPに... - 2014/04/27 15:28:50.45 rcwrYrWH0 93/261


騎士見習い「あそこだよ! 逃げちゃう!」

姫騎士  「くっ、遠いわ…!」 キリキリキリ...ケンッ

エルフ娘 「もう、弓でも届かないわ…」

王国騎士 「王家より賜りしヴァルキリージャベリン… 戦乙女よ、我に力を …ふーっ」 チャキッ!

王国騎士 「やあああっっ!!」 ビュン!!

山賊C  「 ―― ギャァァ…」

山賊C  「」 ドッ..

姫騎士  「…! やったわ…」

騎士見習い「すごいっっ、すごいよ! あんなすごい投げ槍は初めて見たよ!」

王国騎士 「ああ、まだまだね…」

騎士見習い「どうして!? ばっちり仕留めたよ!? あんなに遠いのに!!」

王国騎士 「足を狙ったの。手元が狂ったわ。」








98 : VIPに... - 2014/04/27 15:38:40.44 rcwrYrWH0 94/261




(森林地帯・エルフの村・作戦司令部)



女騎士  「おかげで奴らがそう遠くない所まで来ているのが判った。方角も。」

王国騎士 「すぐに一斉攻撃の用意を。」

女騎士  「まずは我々がご挨拶といこう。
      騎士5人で南側を半包囲して、合図で村人の弓兵隊が一斉射撃、その後騎士は斬り込みにかかる。
      弓兵隊は決めたルートで北側に移動してくれ。」

竜騎士  「ドラゴンが北側から突入して退路を塞ぎます。
      弓兵隊の皆さんはドラゴンの後ろまで来れば大丈夫。近づく敵は丸焼きです。」

女聖騎士 「うまくいけば南の5人と、北側のドラゴンと弓兵隊で挟み討ちだw」

男エルフ 「なあ、クロスボウの一発目を射ったら、すぐ逃げなければなんねえか?
      留まって射ち続けたらダメか?」

女騎士  「可能なら構わないけど危険だよ。
      家の扉や家具積んだバリケードくらいじゃ図体のでかいオークは押し入ってくるだろうね。
      私らが助けに行く余裕は無いだろう。」

男エルフ 「入って来た途端に鉈で頭カチ割ってやるでよ!」



99 : VIPに... - 2014/04/27 15:42:42.31 rcwrYrWH0 95/261


王国騎士 「それと、すぐに乱戦になるから、毒矢を使うのは最初の一斉射撃だけにしてくださいね。」

女聖騎士 「アタシ達のお尻にブスリは御免だよw せっかくの純白パンティに穴が開いちまうw」

王国騎士 「え」 モゾモゾ

エルフ娘 「私も弓くらい引けるんだから!」

見習い騎士「ボクは? 斬り込んでいい?」

姫騎士  「貴女には、お姫様を守る任務がありますわ。エルフ娘を守って差し上げて?」

見習い騎士「ボクだって戦えるのに~」

エルフ娘 「ダメっ子ナイトの護衛なんか要らないのにっ」

黒騎士  「東西に作った障害を突破して脱出した連中が、隊を再編成してきたら厄介だが。」

女騎士  「さすがにそこまでは読めないけど、その可能性は低いんじゃないかな。
      よほど良く訓練された軍でもなければ出来ないだろ。」

女聖騎士 「それこそ、賊の親分が女騎士くらいデキる司令官でもなけりゃなwww」



100 : VIPに... - 2014/04/27 15:45:54.01 rcwrYrWH0 96/261







(森林地帯・山道)



山賊首領 「おい! 偵察に行った奴ら何時まで待たせるつもりだ!? いつ戻る!? んぁ!?」

山賊   「さあ? 村で女でも捕まえて、手篭めにして愉しんでるんじゃねえですか?」

山賊首領 「ふざけるな! ついこの間まで毎日女エルフの乳吸って、まだ足りねえってのか!?」

山賊D  「しかしですよ親分、あの女エルフ、マ○コユルユルで物足りなくなってたですよ。」

山賊E  「ガキ何人も産んだ後の女じゃつまらないねぇ。使い古しじゃ征服した感じがしねぇよ。
      犯るなら活きのいい生娘が最高ぉー。」

山賊F  「おまけによ、壊れて人形みたいになっちまってた。アレじゃーなー。」



101 : VIPに... - 2014/04/27 15:50:27.54 rcwrYrWH0 97/261


山賊首領 「ばかやろう!! そのせいで、二束三文で買い叩かれたじゃねえかよ!!」

山賊   「元より孕んで膨らんでたんで、イイ値が付かないのはしょうがないですぜ。」

山賊首領 「子持ちシシャモは値が張るってのに、腹ぁ膨れたエルフ女が売れない法は無えだろう!
      調教だかなんだか知らねえが、あんな白痴みたいにしちまいやがって!」

山賊F  「オークどもですよ。奴ら、女を甚振ってメス豚にしちまう事に関しては天才だ。
      どうしてあそこまで狂わせるかね。」

山賊E  「ご奉仕しないと腹を殴って流産させると脅かして、子袋一杯になるまで注いだら
      腹の子が精液で溺れ死ぬとかいろいろ面白え事言って追い込んで、
      必死におしゃぶりさせて愉しんでたぜwww」

山賊首領 「くそったれが! おかげで飯を買う金がもう無ぇ!
      もうカビの生えたモロコシやらヤギのくせえ乳なんか真っ平だ!」

山賊G  「親分も女エルフのお乳たっぷり吸っとけば良かったんですよwww」

山賊H  「甘くて生暖かくて最高、ぐへへwww」

山賊E  「まーるで自分のガキに吸わせてるみてえな、うっとりした顔しやがんのwww」

山賊首領 「そいつがっっ! どれっだけ高くついたと思ってやがるんだ!? んぁ!?
      くっそ! どいつもこいつも後先考えねぇで好き勝手しやがって!」

山賊   「オークの連中が追いつき次第すぐ村に行きましょう。そうすりゃ何か食い物に有りつけますぜ。」








102 : VIPに... - 2014/04/27 15:54:12.35 rcwrYrWH0 98/261




(森林地帯・エルフの村・作戦司令部)



男エルフC「奴ら、来た! 来やがった! 予想通り北の山道だっ!」

女騎士  「総員戦闘配置っ! 大丈夫、打ち合せ通りにやればいい!」

男エルフF「戦えない者は避難させる!」

姫騎士  「い…いよいよですわっ」

黒騎士  「斬り放題…うふふふ」

騎士見習い「ボクも斬り込み隊に入れてよ!」

女騎士  「ダメダメ。敵は一人じゃないんだ。一番やばい所はお姉さん達に任せろ、な?」

騎士見習い「ちぇー」

女聖騎士 「縄網隊は網張る準備出来てるぜ。奴ら、袋の鼠にしてやるw」

王国騎士 「弓兵隊、配置完了しました。」

竜騎士  「主は藪の中に潜んでもらっています。これから私も行って配置に着きます。」

女騎士  「よーし、じゃ五人でお出迎えとするか!」








103 : VIPに... - 2014/04/27 16:05:11.78 rcwrYrWH0 99/261




(森林地帯・エルフの村・広場)



山賊首領 「……。」

山賊共  「…。」

オーク  「ブヒッ」

女騎士  「待っていたよ、悪党ども。」 ザッ!

山賊首領 「妙に静かで気にいらねえと思ったが、何だ…てめえらは?」

女騎士  「疫病神だよ…お前達の。」

山賊首領 「フン、疫病神が女の神様たぁ、聞いてねぇな。」

女聖騎士 「そりゃそうだ。天にまします神サマが、てめーらをぶち殺す為だけに、
      特別にお遣わしになった女神さまだからなw」

黒騎士  「同じく、貴様たち専属の死神だ…」

王国騎士 「戦乙女」

姫騎士  「軍神とでも名乗っておこうかしら」



104 : VIPに... - 2014/04/27 16:09:06.34 rcwrYrWH0 100/261


山賊首領 「五人か。この大軍団相手に、何だってんだ?
      慰安婦てんなら歓迎するぜwwwただし金はやらねえwww」

騎士見習い「正義の味方にお金は要らないぜ!」

竜騎士  「火焔地獄へご案内します。」

女騎士  (ちょ、あいつらっwww)

山賊首領 「屋根の上にガキと半裸の娘…? これだけで俺たちを包囲したつもりか。」

山賊首領 「七人! たった七人で俺たちにケンカ売ろうってのか!?」

山賊首領 「そうか、てめーらエルフ共に雇われたな!? どうりで斥候が三人、返ってこねえ訳だ…
      ほどほどにしておいてやろうなんて仏心出したのが俺の間違いだった。
      食い扶ち残してやったばかりに、てめーらみてな勘違い女を雇いやがって!」

女騎士  「あたしらみたいのに目ぇ付けられたのが運の尽きってやつだ。
      この場で武器捨ててとっとと出ていくか、」

黒騎士  「さもなくば、みんなで仲良くあの世行き。」 スチャッ

女聖騎士 「ま、すごすご帰った所で、おまえらの命運はそれまでなんだろうけどなwww」

山賊首領 「女ども、何サマのつもりか知らねえが、調子に乗ってるんじゃねえぞ…
      いま大人しく引っ込んでおけば、手下三人殺ったことは大目に見てやる。」

山賊首領 「だがこれ以上俺様を怒らせると、全員並べて素っ裸にして、オークチ○コのバイキングだっ!」



105 : VIPに... - 2014/04/27 16:15:43.58 rcwrYrWH0 101/261


女騎士  「女を食事に誘うなら、もう少しマシなトコにしようぜ。
      もっともお前ら薄汚い山賊には、嗤われるのが怖くてまともな店には入れないかwww」

山賊首領 「おい! 聞いたか野郎ども! こいつら七人どうしても、この俺に敗北して、
      這いつくばってケツ差し出して、メス奴隷にして貰いてぇらしい!」

山賊首領 「 犯っちまえ!! 」

山賊達  「 イエーァ!! 」

女騎士  「 弓兵隊っ 射ち方用意っ! 」

村の家々   バタン! バタン! バタン! バタン! バタン! バタン!

山賊首領 「なにぃっ…!?」

女騎士  「 放てえっ!! 」

      ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ!

山賊達  「ぐえっ! うぐぅ!? ぎゃああっ! うおおおっ! ぐあああぁ!!」

オーク達 「ブヒーッッ! グヒイイィ! ブホオッ! グエエ!! フギャッ!!」



106 : VIPに... - 2014/04/27 16:19:00.95 rcwrYrWH0 102/261


女騎士  「 抜刀隊、斬り込めっ!! 」

女聖騎士 「神の裁きだ! 死ねやごらああああああっ!!www」 ズシャ! ブシャ!

王国騎士 「奥義・聖槍乱舞っっ!」 ビュンビュンビュン!

黒騎士  「ひと~りぃ…、ふた~りぃ…、さん~にん…、うふ、うふふ」 ドブシュッ! ズビュッ! プシューーッ!!

山賊達  「ぎゃあああああっ!! うおおおおおおおおっ!! ぐああああああ~っ!!」

オーク達 「ブヒいイイイイッッ!! グヒイイイイイッ!! ギャアアアアアアッッ!!」

山賊D  「あ"…が… うぐ…む、が… ど、毒がっ…!?」 ビクビク

オークA 「く、苦しっ… っ…ぶふぉっ…」 ドサッ

山賊   「畜生っ! 反撃だっっ! 押し戻せえっ!」

      ドスン ドスン ドスン

ドラゴン 「 ゴガアアアアアアアアアアアアアアーーーッ!! 」

オーク  「ブッヒイイイイイーーっっ!?」

山賊   「ななな!? 何だありゃあああっっ!!?」

竜騎士  「 火焔放射っ! 薙ぎ払えっっ!! 」

ドラゴン  ヴォオオォッ!! ゴオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーッッッ!!








107 : VIPに... - 2014/04/27 16:24:37.68 rcwrYrWH0 103/261




(森林地帯・エルフの村・民家)



エルフ娘 「えいっ! よし当たったっ、ざまあみなさいっ! もう一丁…」 キリキリキリ..

      ドガン!

オークB 「ブ、ブヒッ…!」

エルフ娘 「っ…!?」

オークB 「…エルフの分際でっ…! めちゃくちゃに犯して縊り殺すブヒーッ!」 ダダダッ!

エルフ娘 「き、きゃあああ!?」

オークB 「ブヒーーーーッッ!!」 ガバアッ!!

エルフ娘 「イヤ!イヤ!いやああああーーーーっっ!! 助けてええええっっ!!」 ジタバタ



108 : VIPに... - 2014/04/27 16:27:07.09 rcwrYrWH0 104/261


オークB 「」

エルフ娘 「いやだあああっっ! 誰かあっっ!」

騎士見習い「えへへーw」

エルフ娘 「…!! ダメっ子…!?」

騎士見習い「大丈夫、そんなに怖がらなくても、こいつもう死んでるよw」

エルフ娘 「え…」

騎士見習い「こいつはすげえんだぜ。こんな細くて短いレイピアでも、岩を突いても折れないんだ。
      こいつにかかったら隙だらけのオークなんか一発で串刺しさ!」

エルフ娘 「……。」

騎士見習い「さあ、立って。どう? これで少しはボクを見直したかい?」

エルフ娘 「……。」

騎士見習い「約束通り、指一本触れる前にやっつけたよ!」

エルフ娘 「……。」

騎士見習い「ねえ、少しはかっこいいとかステキとかさ?誉めてくれてもいいじゃん?」



109 : VIPに... - 2014/04/27 16:29:45.87 rcwrYrWH0 105/261


エルフ娘 「あ……」 ポロポロポロポロ...

騎士見習い「あれ? どうしたの? どこか痛いの? 怪我してない?」

エルフ娘 「ああああ"~っっ こわっ、怖かったっっ…怖かったあああ~っ!」 ギュウウウウッ

騎士見習い「ああ、なんだ、そっか。もう大丈夫、ボクが付いてるw」

エルフ娘 「えぐっ、えぐっ… ありがとうっ! ホントにありがとうっ!」 ギュウウウッ








110 : VIPに... - 2014/04/27 16:32:38.24 rcwrYrWH0 106/261




(森林地帯・エルフの村・広場)



女騎士  「死体だらけだ… この臭い…… なあ、怪我は無いか?」

女聖騎士 「ある…オークに棍棒何発かもらった… 鎧の上だからそう大事でも…痛って~」

女騎士  「だいぶ殺したな…。しかしまあ、死体の焼ける臭いってのは慣れないなあ。」

女聖騎士 「見ろあのオーク、立ったまま黒焼きになってんぜwww」

女騎士  「頚動脈斬り裂いた死体は、黒騎士の仕業か…。こっちは血の海だ。」

女聖騎士 「でもよ、けっこうな数、討ち漏らしたぜ? 一目散でちりじりに逃げたのも多かった。」

女騎士  「連中だってバカじゃない、一塊でドラゴンに焼き殺されるのはイヤだろうさ。
      それに死に物狂いで徹底抗戦されたら、こちらもヤバかった。」

竜騎士  「あのっ、女騎士さんちょっと来て下さい…こっちです。」

女騎士  「何かあったか?」 タッタッタ..



111 : VIPに... - 2014/04/27 16:38:50.87 rcwrYrWH0 107/261




(森林地帯・エルフの村)



竜騎士  「その、姫騎士さんが…」

姫騎士  「これでもっ! これでもっ! これでもくらえっっ!」 ザシュッ ブシュッ グボッ

オークC 「」 ピクピク

姫騎士  「さあっ…! 何とか言ってみなさいっっ 言えっ! 言ええええっっ!」 バシッ グシッ ゴリッ

オークC 「」

女騎士  「姫騎士、どうした…? おい…?」

姫騎士  「まだわたくしを嗤うのっ!? これでもまだっ!? まだ嗤うの!? このっっ! このっっ!
      このおおおおおーーっっ!!」 グシッ ゴキッ ビチャッ

女騎士  「姫騎士、もういい! 止めるんだ! こいつはもう死んでる!」

姫騎士  「……!」

女騎士  「もう、戦いは終わったんだ。だからもうよすんだ、返り血がこんなに…」 ギュッ

姫騎士  「……。」

女騎士  「さあ、剣を鞘に戻そう? もうこの辺には生きてる敵はいないから…」



112 : VIPに... - 2014/04/27 16:42:11.68 rcwrYrWH0 108/261


姫騎士  「女騎士さん…わたくしは……、誇りある騎士…でしょうか…」

女騎士  「?」

姫騎士  「いえ…何でもありませんわ…」

女騎士  「川へ行って返り血を洗おう? 一緒に行って綺麗にしてやるから…」

姫騎士  「…。いえ… 一人で行けます…。お見苦しい所をお見せしました。頭冷やして参りますわ…」

女騎士  「そう…?」

竜騎士  「女騎士さん、その…」

女騎士  「ああ、済まなかったね。ちょっと竜騎士ちゃんにはキツかったね。」

竜騎士  「他にも、メッタ斬りのオークの死体がいくつも…」

女騎士  「…。こういうの、初陣の新兵が時々起こすことはあるんだけど…」

竜騎士  「姫騎士さんは何か、苦しんでいるようにも見えます。」

女騎士  「事情を知ってるかい?」

竜騎士  「いいえ。でも、この戦いで何か取り戻す、そのような事をおっしゃっていました…。」








113 : VIPに... - 2014/04/27 16:48:12.47 rcwrYrWH0 109/261




(森林地帯・エルフの村・広場・戦勝会)



長老   「皆の衆、片付けが終わったら、まずは休憩してくれ。酒と食事の用意があるでな。」

男エルフE「そんでよ! 奴と目が合っただよ! 野郎、俺の顔見て逃げ出しやがった!www」

男エルフG「俺ぁ、でけえ棍棒持ったオーク三匹とやり合っただ!www」

男エルフB「弓矢でどうやって三匹と戦うだよwww おめえ、話が段々大きくなるwww」

長老   「みなさん、ご無事でなによりじゃの。村の者も死人が出ずに済んだで。」

女騎士  「戦果としては、ま、こんなもんか、というとこかねえ。」

エルフ娘 「大勝利です! みなさんのおかげです! やったぁ!」

騎士見習い「お姉さん達、やっぱすごいよ! 並み居る賊を千切っては投げ千切っては投げっwww」

黒騎士  「うむ、殺しの後の酒は格別だ。」

王国騎士 「危ない人みたいですよ?www」



114 : VIPに... - 2014/04/27 16:53:08.97 rcwrYrWH0 110/261


女騎士  「そうだ、おい騎士見習い! おまえ表に出てきちゃ駄目だと言ったのに、
      カッコつけてわざと目立つ屋根の上なんかで名乗りをあげやがって! 危ないだろwww」

竜騎士  「ごめんなさい。私もやめようと言ったのですが、気が付いたら一緒に乗せられてました。」

黒騎士  「竜騎士たんも結構な目立ちたがりだねw」

騎士見習い「いいじゃないかーっ ボクはもう立派な一人前の騎士だよっ! エルフ娘を守ったよ!」

エルフ娘 「う、うんっ! か…カッコ良かったわっ」 (///

男ハーフエルフ 「俺がっ! 危ないから退避しようって言ったのに! 言う事聞かないから危ない目に遭うんだ!」

エルフ娘 「何よ! 戦いもしない意気地無しのくせに!
      女の子が戦ってるのに、男の貴方は恥ずかしく無いの!?」

男ハーフエルフ 「何だとっ! やたらに危ない事するのはバカだよっっ!」

エルフ娘 「やたらにって、今日危ない事しなかったらいつするってのよ!」

長老   「ふむ、若い娘たちは皆勇ましいの、結構結構、頼もしいことだ。」



115 : VIPに... - 2014/04/27 16:56:46.40 rcwrYrWH0 111/261


女聖騎士 「こちらの被害が思ったより全然少なかったな! さすが解放戦線の英雄、大したもんだよwww」

長老   「いざと言う時に備えて名医を呼んでおるがの、世話にならんで済むようじゃ。」

王国騎士 「このような森の奥に、お医者様が?」

長老   「森の神さまじゃよ。この森のエルフが代々敬ってきた守り神。密かに女衆にも人気だとかの。」

女聖騎士 「なんだよそりゃ、イケメンカリスマ名医か?www」

女騎士  「今回は完全な奇襲が成功したから一方的に攻撃できたけど、次からはこうは行かないよ。
      正面切ってやり合ったら、こちらもタダでは済まない。医者が居てくれると心強いね。」

女聖騎士 「もっとも、死ぬ時はあっさり死んじまうもんだけどなwww」

男エルフC「もう、あいつら二度と来ねえだよ! な? そうだろ!?」

女騎士  「それは判らないな。様子を見る必要があるだろうね。」

男エルフD「どうして!? あんな目に遭って、また来るなんて有り得ねえだろ?」

女騎士  「私は山賊じゃないんだ、奴らが何考えてるか、本人に聞いてみなけりゃ判らないよ。」

騎士見習い「聞いてみたい?www」

女聖騎士 「連中の所へ酒でも持って行って聞いてみるか?
      "ねえ今どんな気持ち? ねえくやしい? ねえどうするの? m9(^Д^)プギャーwww"ってw」








116 : VIPに... - 2014/04/27 17:02:47.30 rcwrYrWH0 112/261




(森林地帯・エルフの村・湯浴み場)



竜騎士  「…お背中、お流ししましょうか…?」

姫騎士  「…。構いませんの。ほっておいて。」

竜騎士  「背中を流させて欲しいのです。そうさせては頂けませんか?」

姫騎士  「先刻の事でしたら、気になさらないで下さいますか?」

竜騎士  「…。」

姫騎士  「…わかりましたわ。このような所で裸で立ちすくんで居られても困りますの。
      ささっと済ませていただけます?」

竜騎士  「ありがとうございます。では…」 パチャ..

姫騎士  「…」



117 : VIPに... - 2014/04/27 17:05:52.27 rcwrYrWH0 113/261


竜騎士  「…。」 パシャッ

姫騎士  「…女騎士さんに言われて?」

竜騎士  「いえ…。できればその…この間お話されてた事の、続きを聞かせてはいただけないかと…。」

姫騎士  「…。続き?」

竜騎士  「避難小屋で、お風呂をご一緒させて頂いた時、お話していただきました。」

姫騎士  「貴女に何をお話しましたでしょう? 黒騎士さんにお気を付けなさいという話でしたかしら?」

竜騎士  「この戦いで、取り戻したいものがあると、そうおっしゃいました。」

姫騎士  「…。」

竜騎士  「姫騎士さまは何と戦っていらっしゃるのか、お話してはいただけませんか?」

姫騎士  「…余計なお世話というものですわっ!」

竜騎士  「…っ」

姫騎士  「あ、ごめんなさい…。心配をさせておいて、勝手な事を言いましたわ。」

竜騎士  「私こそすみません。人には踏み込んで欲しくない過去があるものだと分かっていながら、つい…」



118 : VIPに... - 2014/04/27 17:09:24.28 rcwrYrWH0 114/261


姫騎士  「わたくしなら平気です。戦いで気が昂ぶっただけです。次からは冷静に――」

竜騎士   ギュッ..

姫騎士  「ちょっと…何を…? わ、わたくしには黒騎士さんのような趣味は――」

竜騎士  「…震えておられます。」

姫騎士  「そんな事はっ…! …貴女が背中から抱きすくめたりするからですわっ」

竜騎士  「もう、古傷に触れるようなことはいたしません。
      ですが、お役に立てることがあるならお手伝いいたします。もうお一人ではありませんから…」

姫騎士  「…。貴女、竜に乗る前は巫女だったとおっしゃったかしら?」

竜騎士  「はい。」

姫騎士  「そう。どうりで、澄んだ真っ直ぐな心根で、綺麗で穢れの無い身体をされてるのですね。
      聖職者には、お節介さんが多いですわ。」

竜騎士  「聖職者などとそんな大層な者ではありません。ただ火竜を鎮めるための…」



119 : VIPに... - 2014/04/27 17:13:08.77 rcwrYrWH0 115/261


竜騎士  「お節介は私の性分です。巫女の役割とは関係ありません。」

姫騎士  「では覚えておいでなさいな。」

姫騎士  「高みから救いの手を差し伸べるその程度の覚悟では、助けたり手伝ったり、
      ましてや肩代わりなどできないほど、酷い事実と向き合わねばならない者もおりますの。」

竜騎士  「はい。出過ぎた事を言いました。」

姫騎士  「いいですわ、お気持ちは有難く頂戴します。」

竜騎士  「…震え、治まりましたね。」

姫騎士  「あ… そうね…? あ、ありがとう…」

竜騎士  「今の私には、この位の事しかして差し上げられませんが、それでも良かったです。」 ニコ








120 : VIPに... - 2014/04/27 17:30:33.98 rcwrYrWH0 116/261




(森林地帯・夜の山間部)



焚き火   パチ..パチ..



山賊首領 「で、他には!?」

山賊   「山賊Dも、矢が刺さって血の気が失せた顔で…結局死にました。」

山賊I  「山賊EとF…だったっけか、怪物の炎を浴びて、全身火達磨で…」

オークI 「オークD、E,Fも、目の前で焼き豚にされたブヒッ」

山賊首領 「そんで今、何人だ!?」

山賊   「20名。」

山賊I  「山賊GだかHだかは、二刀流の女騎士に腕ぇ飛ばされてた…戻ってねぇみたいだ。」

山賊J  「隣に居た山賊K…いやCだったかも…黒い死神に首んとこ斬られて、血飛沫上げた…
      みてくれ、おかげで血まみれよ。どうすんだ畜生っ」

オークJ 「オークIは追って来る女から逃げようとして落とし穴に落ちたブヒッ」

オークI 「そのマヌケはオークGブヒッ」



121 : VIPに... - 2014/04/27 17:39:58.06 rcwrYrWH0 117/261


山賊首領 「で? 合わせて何人だっ!」

山賊   「えー…」

騎士見習い「24。」

山賊   「24名…まだ居るかも」

山賊首領 「24! 24だぞ!? 半分! 半分になっちまった! どういうことだっ!? んぁ!?」

山賊I  「あの怪物、あれはいったい何だったんで?」

山賊首領 「ドラゴンだ…! 他に何だってんだ!?」

山賊   「女が乗っていました。女戦士だか女剣闘士だかみたいな格好の。」

山賊首領 「七人の女の一人だ! あの娘、ドラゴンを手下にしてやがる!
      冗談じゃねえ! ドラゴンなんかに跨るたぁ、とんでもねえビッチだ!」

オークJ 「もう、あんなおっかない化物の居るトコは御免ブヒッ。他所の村に行くブヒッ」

山賊首領 「ばっきゃろおおおっっ!!」

山賊首領 「もう一つの村はな! てめえらが女が手に入らなかった腹いせに畑に火ぃ着けた所為で、
      みんな居なくなって廃墟になっちまった! 山向こうの村はもう雪が付いて行けやしねえ!
      もう他所へ動くにも食い物すら無え!」

オークJ 「あいつらが女を沢山産んでおかなかったのが悪いブヒッ」

山賊首領 「てめえら脳みそまで豚か!? 卵産む雌鳥絞める奴があるかっ!
      おかげでこっちが干上がっちまったんだぞ!? んぁ!?」



122 : VIPに... - 2014/04/27 17:46:11.22 rcwrYrWH0 118/261


山賊I  「町まで出て行って強盗でもするしか…」

山賊首領 「町はダメだっ! 賞金首んなっちまった…もう地の果てまで騎士団や賞金稼ぎに
      追い立てられるのは真っ平だ! 枕高くして寝られやしねえ…」

山賊J  「連中が居なくなるまで待つのは?」

山賊首領 「待てねえ! 食い物がもう無くなるんだ! いつ居なくなるか判らねえのを待てるか!」

オークI 「このごろ種付けしてないブヒッ この前のエルフは腹ふくれてて孕ませられなかったブヒッ
      あの村は雌エルフの匂いがする。きっと探せばまだまだ雌が居るブヒッ」

山賊I  「三度の飯よりレイプかよ。クソブタめ…。」

山賊首領 「おいそこの若ぇの!!」

騎士見習い「へ、へいっ!?」

山賊首領 「生き残りをかき集めて伝えろ! 十字軍の面子を隊長に、部隊を再編成する!
      この臭え飯食ったら夜襲を掛けるぞ!」

騎士見習い「へいっ!」

山賊首領 「それで駄目なら、癪だが仕方ねえ…。"先生"に頭さげて、お越し願うんだ…」








123 : VIPに... - 2014/04/27 17:49:53.86 rcwrYrWH0 119/261




(森林地帯・エルフの村・作戦司令部)



男エルフF「もう、奴らやって来ねえだよ。オラ明日から隣の山まで狩りさ行くだ。」

女騎士  「待ってくれないか。また襲って来ないとは限らないんだ。」

男エルフE「来るとしたら仲間の墓に花供えにだ。でも、んなわけねえべwww」

王国騎士 「射撃手が最低二十人、村に居てくれないと弓兵隊の戦力が下ってしまいます。」

男エルフH「戦力って、騎士さまには俺たちは唯の兵隊かも知れねえけどよ?
      俺たちだって生活があんだよ。少しでも稼いで、女房子供に食わせねばなんねえ。」

男エルフG「毎日訓練してくれるなら、俺は兵隊でもいいぜ?
      王国騎士ちゃん、あんたのパイオツ気に入ったwww」

男エルフC「南の水車とこにはドラゴンまで居るんだ、奴らおっかなくて近寄りたくもねえべさ。」

男エルフE「戦はお仕舞いだ。」

女騎士  「確かに敵に大打撃を与えたけど、まだ二十を下らないだろう数の賊が残ってるんだ。
      壊滅させたわけじゃないよ?」

男エルフE「騎士さま達さえ居てくれれば十分だ。飯さ食わせっから、後は騎士様達に任せただよ。」



124 : VIPに... - 2014/04/27 17:52:08.67 rcwrYrWH0 120/261


騎士見習い「そういう甘い事はベッドの奥さんに言うんだね。奴ら、今夜にも仕掛けて来るよ。」

女騎士  「…!」

エルフ娘 「どこへ行ってたの? 探したのにっ」

女聖騎士 「なんだお前、その男みたいな汚ねえ格好はwwwだっせwww」

男エルフC「仕掛けてくるって、なんでそんな事判る?」

騎士見習い「あいつら、もうお金も食べ物も無く、他所へ行くにも当ても無くて、焦ってるよ。」

男エルフD「どったらそんな事さー判るべ!?」

騎士見習い「すぐにも襲ってくる。今すぐ臨戦態勢に入るべきだと思うよっ!」

女騎士  「なあおい、何でそんな事まで断言できるの。もったい付けないで聞かせてくれないかい?」

騎士見習い「奴らが落ち合ってる所を見つけ出して、
      仲間のフリして何話してるか隣でばっちり聞いてきたおwww」

全員   「」








125 : VIPに... - 2014/04/27 17:57:19.02 rcwrYrWH0 121/261




(森林地帯・エルフの村・夜の村はずれ)



騎士見習い「そんでさぁwww山賊の親分がさ、ボクに言うんだよwww
      "オイ若いの! てめえどこで一緒になった? 思い出せねえ…"」

エルフ娘 「…」

騎士見習い「でもボクは慌てなかったね。そう、自分でも驚くほど冷静だった。だって、奴ら烏合の衆だ。
      名前すらまともに覚えて無いんだ。親しいのは数人だけ、そんな連中の集まりだ。
      だから、誰も知らない顔が紛れ込んでいたとしてもすぐには判らない。」

エルフ娘 「…」

騎士見習い「だからこう返してやったんだ、
      "そんな昔の事は忘れた。死んだダチ公との思い出に浸る趣味は無いんだ" ってねwww」

エルフ娘 「…」

騎士見習い「……。」

騎士見習い「ごめん、あいつらの話なんか面白くないよね、それじゃさ――」



126 : VIPに... - 2014/04/27 17:59:50.99 rcwrYrWH0 122/261


エルフ娘 「っっ!」 ギュッ!!

騎士見習い「え? なに?」

エルフ娘 「んっ!」 チュッ..

騎士見習い「むぅっ!? う、ふっ…!? んんーっ!」 チュ..

エルフ娘 「んぅっ、んんっ、はぁ、はぁ…」

騎士見習い「ちょっ…なに、どうしたの…!? いきなり…キス…」

エルフ娘 「私っ、貴女が…好きよっ!」

騎士見習い「あの、好きって…」

エルフ娘 「貴女、女の子なのにどうしてこんなに勇敢なの!? どうしてこんなに素敵なの!?
      ああ、もう、私どうしたらいいか判らないっ! 女の子なのに! もう気持ち抑えられない!」

騎士見習い「え…」

エルフ娘 「いいえ、違うわ!
      意気地無しの男達とは違う、女の子だからこそ、私をこんなに恋焦がらせるのよっ!」



127 : VIPに... - 2014/04/27 18:02:38.33 rcwrYrWH0 123/261


エルフ娘 「ああ、どうして私、女に生まれてしまったのっっ!?
      男に生まれて来たなら、こんなにも苦しむことは無いのにっ!」

騎士見習い「男にって…、待ってよ…」

エルフ娘 「判ってる。私、ヘン。貴女に受け入れてもらえなくてもいい… だけどっ
      お願いっ! ずっと好きでいさせてっっ!! ああ、わあああぁぁ~っっ」 ポロポロポロ...

騎士見習い「……っ」

エルフ娘 「ああああ、えぐっ、えぐっ、ぐしゅっ…」 ポロポロポロ...

騎士見習い「聞いて欲しいことがある。」

エルフ娘 「…言わないでっ。貴女に拒絶されたら私、明日から何を希望に生きたらいいか判らないっ」

騎士見習い「ありがとう。君の気持ちは嬉しい、とっても…。」

エルフ娘 「…!」

騎士見習い「だけど、言わなければ成らない事がある。」

騎士見習い「 ボクは、男だ。 」








【 後編 】へ続きます。

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